1 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:51
安、辻、後、藤
アンリアル
年齢設定かなり弄ってあります
ところによりエロあり

sageレス希望
2 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:52
「こんにちは」

 なつみはスカートを押さえてゆっくりと希美に視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。

「のんちゃん。一緒に行こう?」

 そっと手を伸ばして小さな手に触れようとしたが、なつみの手が触れる前にその手はびくっと震えて
引かれてしまった。
 
 無理もない。

 なつみはそうではないけれど…希美にしてみればなつみは初めて見る人間なのだ。

「…おねえちゃん、だァれ?」

 不安そうに揺れる瞳。
 そんな希美をこれ以上怯えさせないように、なつみはできるだけ優しく微笑んで、引かれてしまった手
を取った。
 なつみの笑顔に少しは警戒を解いてくれたのか、希美は今度は逃げなかった。
3 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:52
「おねえちゃんはね」

 もう片方の手で、希美の頭をふわりと撫でる。

 微笑んだなつみの瞳から雫がひとつ、転がり落ちた。

「のんちゃんの、ママだよ」






4 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:53

「のーのー!ちゃんとお野菜食べなくちゃダメっしょー?」

 オレンジジュースのグラスをテーブルに置いて、なつみはニンジンを避けてお皿をつついている希美に
呆れた声をかける。

「だってニンジンきらいなのれす」
「きらいでもちゃんと食べなくちゃダーメ!おっきくなれないよ?」
「う〜」

 まったく、どうしてここまで野菜ギライになるまでほっておかれたんだべか?

 唇を尖らせてフォークでニンジンをつつく希美を見てため息をつく。

「…ね、のの」
「なんれすか」
「ニンジンね、ちゃーんと食べたらごほうびにお夕飯好きなもの作ってあげる」
「ほんとれすか!?」
「ほんとほんと。なっちがののに嘘ついたことある?」
5 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:54

 希美はしばらくじぃっとなつみを見つめていたが、やがて決心したようにフォークでニンジンを突き刺す。

「…〜〜っ」

 しかし本当に苦手なのだろう、その手は口に運ばれる前に止まってしまう。

「のーの、がんばれー!ハンバーグでもオムライスでもいいんだよぉ?」
「のん、グラタンがいいれす」
「いいよ?マカロニたくさんのグラタン作ったげる」

 なつみの言葉と笑顔に、希美はついに手に持ったフォークに刺したニンジンを口に入れた。
 そしてもぐもぐと口を動かして、テーブルにあったオレンジジュースのグラスを掴んで一気にそれで流し
込んだ。
6 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:55

「…まずいのれす」
「のの、えらいえらい!」

 涙目でごちる希美の頭をよしよしと撫でる。

「なちゅみ、やくそくれすよ」
「グラタンでしょー?今日はね、なるべくはやくお迎えに行くからお買い物して帰ろうね?」
「へい!」
「したっけ保育園行こっか」

 野菜嫌いなところを除けば希美は本当に手の掛からない良い子だ。
 保育園の送り迎えに乗せる車のチャイルドシートも、最初こそ居心地悪そうにしていたけれどすぐに慣れた
のか大人しくなったし、なによりあまり我侭を言わない。
 子供なので多少愚図ることがあっても、なつみが「好きなもの作ってあげる」と言えばすぐにご機嫌になった。
7 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:55

 保育園で毎日保育士の先生から書いてもらう連絡帳も、特に気になることは書かれた事はなかった。

「ののー、夕方迎えにくるからね」
「へい。なちゅみもおしごとがんばって」

 小さな手をパタパタと振りながら保育園の中に入っていく希美を見えなくなるまで見送って、なつみは大急ぎ
で車に戻る。

 小柄な体に不釣合いな大きな古い四駆。
 エンジンをかけて車をスタートさせて、自宅で作ってきたオニギリに齧り付いた。





8 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:56


 なつみの仕事は予備校の講師である。
 科目は世界史。

 まだ夏休み前だというのに教室はほぼ満員。
 まあ浪人生には夏休みも何も関係ないのかもしれないが…。

「――とりあえず、ここまでを復習しておけば来週の模擬は問題ないと思います」

 テキストと閉じてなつみがホワイトボードから振り返る。
 すると何故か教室からクスクスと小さな笑い声が起こる。
「…どしたの?」
 きょとんとするなつみに、1番前の席の少女が声をかけてきた。

「せんせぇ、ほっぺたゴハン粒ついてますよ?」

 至極真面目な顔で、その少女は自らの左の口元を指差しながら言った。

「え、うそっ?」
9 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:57


 慌てて左の頬をさぐると、たしかに半分乾いて固くなりかけた御飯粒が手についた。

 ――車ん中で食べたおにぎりだ…!

 カアァっと一気に顔が赤くなったのがわかった。

 教室中がどっと沸く。

「あ、ありがとう、教えてくれて…えっと」

 もっと早く教えてくれればいいのに、と思いながらも教えてくれた少女にお礼を言う。
 けれど名前が出てこなかった。顔は何度か見かけているのだけれど…。
10 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:57
「ふじもと。藤本美貴です」

 少女、美貴は顔色ひとつ変えない。
 
 まったく、これじゃあどっちが先生かわかんないべさ。

「うん、藤本さんね、ありがと…」
「せんせぇ、いいかげん生徒の名前くらい覚えてくださいよ」
「うん、ごめんね」

 だって仕方ないじゃん。席が決まってるわけじゃないし、来たり来なかったりする子もいるし。

 そんなふうに心の中でぶつぶつ文句を言う。
 
 壁にかけられた時計を見ると授業終了の時間まで間もない。
 なつみはテキストを閉じて小さくため息をついた。
11 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:58


「もう時間ないから…今日は終わりにします」

 ちゃんとボード写して帰ってね、と続ける前に無造作に椅子を引いて立ち上がる音。
 そしてあっと言う間に教室は空になってしまった。
 まあ、いつものことなのだけれど、なつみは自分の時との違いに暫く呆然としてしまう。

 なつみが受験の時は予備校が終わっても講師に質問したり仲間内でわからないところを訊きあったりして
なかなか教室は空にはならなかった。
 
 まだ夏前だからみんな余裕で構えてるのかな、と思いながら、なつみはホワイトボードをキレイにして電気
を消して教室を後にした。





12 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 05:59

 遅くなっちゃったなァ。

 あの後、先輩講師に捕まって「なつみの教室が煩かった」とお説教をくらってしまった。

 これからは朝はもうちょっと早く起きて部屋で食べよう。

 そんな決意をしながらなんとかなつみの車は保育園に着く。

「なちゅみ、おそいのれす!」
「ごめ〜ん、のの!」

 保育園の玄関ですっかり帰り支度が整った希美が腰に両手を当ててわざとらしいポーズで怒っていた。
 いや、正確には「怒ってるフリ」なのだが、なつみは素直に謝る。
13 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 06:00
「ばつとしてグラタンとハンバーグもつくるのれす」
「ええ〜?カンベンしてよ、グラタンって案外時間かかるし…」
「だめなのれす」
「とほほ…」

 希美は無理な我侭は言わないが、一度決めたらなかなか頑固で譲らないところがある。

 そういうところはなつみと似ているかもしれない。

「ののー、ハンバーグさ、チンするやつでいい?」
「え〜」
「今度さ、ちゃんと作るから、ね?」

 これから買い物して帰ってグラタンとハンバーグを一から作るのはなかなかしんどい。
 明日も普通に仕事なのだ。
14 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 06:01
 なつみが本当に困っているのに気づいたのか、希美は膨らましていた頬を引っ込める。
「しょうがないのれす」
「ありがと〜。そのかわりメチャクチャ美味しいグラタン作るからね?」

 その言葉にチャイルドシートに座った希美は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。





15 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 06:01

 その後、スーパーでグラタンの材料を買って自宅のあるマンションに戻った。

 車を駐車場に入れて後部席に置いた食材を片手に、トートバッグを肩にかけたもう片手は希美と繋いで
エレベーターに乗り込む。

「のの、先にお風呂入るんだよ?」
「きょうはまるちゃんのひなのれす」
「あ、そうだっけ」

 他愛もない会話をしているうちにエレベーターは自室のある4階へ着き、ポンと小さな音を立てて扉が
開いた。

「なちゅみ」
16 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 06:02

 奥から二番目にある部屋に向かう途中、希美がくいくいとなつみの手を引いた。
 先に御飯食べて、それから一緒にお風呂入って、などとこれからの予定を考えていたなつみは、希美の
その行動にハッと我に返る。

「どした、のの」
「だれかうちのまえにいるのれす」
「…え?」

 ぎくっとして顔を向ける。

 たしかに自宅のドアの前に、ドアに寄りかかるようにして誰かが座り込んでいた。

 思わずなつみの足が止まる。つられて希美の足も止まる。
 希美は不安げになつみを見上げた。
17 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 06:03

「――あ」

 ドアの前の人物は、なつみ達に気づくとよっこらせ、と立ち上がった。

 スラリと細身の端正な顔をした女の子だった。
 彼女は長い茶色い髪をかきあげて、その整った顔をふにゃっと崩してこちらに笑いかけた。

「んぁ…おかえり、なっち」  





18 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 06:03
(●´ー`)
19 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 06:03
( ´D`)
20 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/20(金) 06:05
とりあえずこんな感じで
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/21(土) 01:58
ぉ、いい感じの作品発見!
この三人にミキティがどう絡んでくるんでしょうか?w
次回更新も楽しみに待ってます。
22 名前:N&M 投稿日:2006/01/22(日) 15:35
おっ。
面白くなりそうなww
メンバー好きですねぇ。w
次回も楽しみにしてますねっ!
23 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 03:55
 おかえり。

 少女は初対面の相手に言うには似つかわしくない言葉を言って、なつみ達に近づく。
 思わずなつみは希美を庇うように後ろに隠した。

「あ、あなた誰?」
「んぁ?」
 なつみの問いに、少女は立ち止まって自分を指差した。
「ごとー?」
 ごとー、それがこの少女の名前なのだろうか。

 ゴトー、ごとう…後藤…。

「んぁ〜、なっち、ごとーのこと忘れちゃったの?」

 んぁ。

「…!…もしかして…ごっちん…?」

 後藤と言う名前と「んぁ」という口癖。
 なつみの頭に何年も前の記憶が蘇る。

「なっちぃ!思い出してくれたぁ!?」
「きゃぁっ」

24 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 03:56
自らを後藤と名乗った少女はなつみが自分を思い出してくれたのがよっぽど嬉しいのか、長い腕を
伸ばしてなつみを抱きしめる。
 
「なっちぃ〜、ひさしぶり〜」

 ぎゅうぎゅう抱きしめてくる少女になつみはじたじたと暴れることで抵抗する。

「ごっちん!苦しいって…!」
「んぁっ」

 なつみの苦しげな声に少女は慌てて腕を離す。

「ふぅ…ごっちん、大きくなったねぇ…」

 乱れてしまった髪を整えながら少女を見上げる。
 なつみの記憶の中の少女は、なつみよりももっとずっと背が低くて、いつもなつみの後をついて回って、
まるで仔犬のようだったのに。

 なに食べたらこんな大きくなるんだべさ…。

 自分より軽く10センチは大きい。

「そうかな?普通だよ。…ところで」
25 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 03:57
 少女は相変わらずふにゃふにゃの笑顔をしたまま、未だなつみの後ろで警戒した顔で自分を見上げて
いる希美に視線を合わせるように屈みこむ。

「この子…」
「ん。なっちの娘だよ。希美って言うの。希望の希に美しいって書くんだ」
「…そっか。この子が」

 少女はなつみの服をぎゅっと握ったままの希美ににかっと笑いかける。

「はじめまして、希美ちゃん。あたしは後藤真希」

 すっと希美に向かって差し出された手。
 希美は困ったみたいにその手となつみの顔を交互に見た。
 なつみはそんな希美の頭にそっと手を乗せると、諭すように言う。
26 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 03:57
「のの、ごあいさつできるっしょ?」

 なつみの言葉に、希美はおずおずと手を伸ばして、少女ーー真希の手をきゅっと握った。

「はじめまして…のぞみれす」
「うん。はじめまして」

 握られた手をぶんぶんと振って真希は繰り返した。











27 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 03:58
「それにしても久しぶりだねぇ」

 ソファではなく、フローリングに直に胡坐をかいた真希になつみは麦茶の入ったグラスを渡す。
「どれぐらいぶりだっけ?今日はどうしたの?観光とか?」
 つぎつぎと質問を繰り出すなつみに真希は思わず苦笑いする。

「そんないっぺんに聞かれても答えらんないよ」
「あ、そっか。ごめん、懐かしくてつい…エヘヘ」

 なつみの実家は北海道にあった。
 真希はなつみの父親が運転手として勤めていた豪邸の、所謂「お嬢様」だった。
 でも真希はそんなことはぜんぜん気にしていないようで、年上のなつみによく懐いていたし、なつみも真希を
実の妹のように可愛がっていた。
28 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 03:59
 しかし、なつみが15歳の時に父親がなくなり、父子家庭だったなつみは天涯孤独になった。
 そして一人で頑張っていたなつみが自分の体の異変に気づいたのが20歳の頃。
 当時付き合っていた恋人の子供を妊娠していた。

 「教師になりたい」その夢を捨てて、なつみは大学を辞めて結婚をして東京に出た。

 無事に希美も産まれて、幸せな家族生活が送れると思った矢先ーー。

 生真面目で優しい夫が交通事故で他界した。
 乗っていたタクシーの運転手のわき見運転が原因だった。
 タクシー会社から受け取った見舞金と夫の保険金で一生生活には困らないだけの大金は手に入ったが、なつみは
悲しみにうちひしがれた。 
29 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:00
 そんななつみの唯一の心の支えは産まれたばかりの娘の希美だけだったのだが、その希美も間もなく夫の母親に
無理矢理引き取られてしまった。

 それから5年間、なつみは立ち直るために大学を受験し直し、教師への夢を再び追いかけはじめた。
 大学ではただがむしゃらに勉強に打ち込んだ。
 そのおかげか、無事に教職免許も取得でき、勤める学校を探そうと思った頃、今度は夫の母親が亡くなったとの
知らせが入った。

 なつみが希美を引き取りに向かうと、希美はなつみを不思議そうに見上げた。

 5年ぶりに逢った娘。
30 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:01
 彼女はなつみを覚えてはいなかった。

 産まれてすぐ引き離されたのだから仕方ない。

 それでもこの子は確かに自分の娘なのだ。

 自分と同じ、身内は目の前にいるお互いしかいないのだ。

 なつみは希美と生活を共にしていくことを決めた。

 それから半年が過ぎた今、希美はまだなつみを「母親」と認めてはくれていない。




31 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:01
「ごとーさ、高校出てからずっとやりたいことみつかんなくて」

 2年間フラフラしてたのね。

 渡された麦茶のグラスを弄びながら真希はぽつりぽつりと近況を語りはじめる。
 希美はアニメに夢中でこっちなんか見向きもしない。

「でぇ、こんなんじゃだめだよなーって思って、やりたいこと探そうって思って…東京きたんだ」
「…ごっちん」
「ん?」
「ごっちん、なんでなっちが住んでるとこ分かったの?」

 急に浮かんだ疑問を口に出す。
 確か真希には…真希に関わらず、北海道の知り合いで今のなつみの状況を知っている人間は
いないはずだった。

 電話はもちろん、手紙だって書いていない。
32 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:02
「あ〜…、まあいいじゃん、それは」
「えー!?なんで、気になるべさ」
「…ふふっ」
「な、なんで笑ってんのさ」

 不意に笑い出した真希になつみは思わずムッとなる。

 そんななつみに真希は破顔したまま告げる。

「べさ、って。なっち変わらないねぇ」
「ふぇっ!?なっち今べさなんて言った?」
「言った言った。もぉかわいい」

 言いながら真希はなつみの頭に手を乗せてぽんぽんと撫でる。

 年下の癖に生意気、そう思いながらも何故か悪い気はしなかった。
33 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:03
「ってわけでさ〜、なっち、しばらくお世話になります」
「…はぁ!?」
「ごとー住むとこもなくってさー。探すのメンドクサイし、ホテルって好きじゃないし」
「ちょ、いきなりそんな困るべさ!」
「あはは!またべさって言った」
「ごっちん!」

 けたけたと笑う真希のペースにはまりっ放しのなつみ。

 確かに部屋は余っている。
 女二人暮らしだし、不都合はないだろう。
 しかし。

「ご両親は知ってるのかい?」
「あ、親はね、てきとーに誤魔化してきた」
「ごっちん!」
「ごめん、怒らないで、なっち」

 しゅんと項垂れる真希に、なつみはなんだか自分が悪者になったような錯覚に陥る。
34 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:03
「…ちゃんと電話くらいしなさい?」
「え〜」
「じゃないとここにおいてあげない」

 なつみの言葉に真希は驚いて顔をあげる。

「電話したらここにいていいの?」
「…しかたないっしょや」
 やれやれ、とため息をつくなつみに、真希は満面の笑顔で抱きつく。
「ちょ、ごっちん!苦しいってばぁ!」
「なっちありがと〜!!!」
35 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:04
 そこへアニメを見終わった希美が、ふたりが遊んでると思ったのかタックルで加わってきて。

「のんもやるのれす!」
「のーの!苦しいって…」
「んぁ〜、おもしろいねぇ」

 おもしろくなーーーーーーーい!!!!
 なつみの雷が落ちるのは時間の問題みたいである。

 
 


36 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:07
三人暮らしスタート

>>21
初レスありがdございます
ミキサマの本格的な出番はもうちょい後です

>>22 N&Mサマ
レスありがdございます
期待に沿えるようがんばりたいです
37 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:07
川VvV)<出番まだー?
38 名前:奈無し作者 投稿日:2006/01/26(木) 04:07
( ´ Д `)<まぁ〜だだよ〜
39 名前:N&M 投稿日:2006/01/29(日) 17:16
ごっちん登場ぉ。
さて。どうなるか、、、
美貴もぉーぃぃよ(ぇ
次回も楽しみにしてます。
40 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/10(金) 17:40
もーいいかい?
41 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/10(金) 22:27
待ってますよー
42 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/07(金) 14:56
まだ待ちますよ…
43 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/01(月) 13:29
大好きななちののに後藤さんがからんで、藤本さんって楽しみすぎます
お願いです、やめないでね。待ってマース。
44 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:14
 奇妙な共同生活が始まってから一ヶ月が過ぎた。

 最初は真希がずっと家にいることに不思議そうだった希美も、慣れたのか真希に懐いたのか今では何も言わない。

 なつみも、意外と家事が得意な真希に随分と助けられている。
 仕事の帰りに希美を保育園から引き取って、帰ると食事や風呂の支度がしてある。

 最初は申し訳ない気持ちがしたが、真希いわく「居候だし、ホラ、お料理とか好きだからさ」と言う事で、今は遠慮なく
甘えさせてもらっている。

「おかえりー!なっち!のんちゃん!」

 おかえり。

 この言葉で帰宅を迎えられるのにももう慣れた。

「なっち、お風呂用意できてるよ。お味噌汁あっためるからさ、のんちゃんと入ってきなよ」
「きょうはドラちゃんのひなのれす」

 保育園の鞄から出したお弁当箱を渡しながら希美は真希を見上げて言った。
 その言葉に真希は少し慌てる。

「んぁっ!?今日ドラちゃんだっけ?」
「そうれす。きんようびなのれす」
45 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:14

 そのやりとりを聞いていたなつみは思わずクスクスと笑いが零れる。

「いいよ。ふたりとも。ドラちゃん見てて。先になっちお風呂入るからさ」

 テレビの後に真希と希美がお風呂に入っている間になつみが夕食の支度をする。
 その提案に真希と希美は笑顔で頷いて、どっかりとテレビの前に座り込んだ。

 相変わらずごっちんはドラちゃん好きだなぁ。

 子供の頃から変わっていない真希に、なつみは微笑ましく思いながらバスルームに向かった。
46 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:15

「〜〜う〜、生き返るぅ」

 少し熱めのお湯に身を沈めて思わず声が出る。

 お風呂に入ると「極楽、極楽」って言う人と、今の自分みたいに「生き返る」って言う人がいるけど、矛盾してるなぁ
などとどうでもいいことを考える。

 しかし、今のなつみの気分はまさに「生き返る」と言った感じだ。

 東京に出てきて夫が他界してからずっと、一人で気を張って生きてきた。
 なにをするにも誰も助けてはくれなかった。

 でも今は真希がいる。

 疲れて仕事から帰ると暖かい食事とお風呂の支度がしてある。
 朝も起きると紅茶と朝食の用意ができている。
 休日に追われていた、買い物も洗濯もすべて真希が引き受けてくれている。
47 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:16

 普通の専業主婦だったら些細なことかもしれないが、なつみにはとてもありがたいことだった。

 時間に余裕が持てる。
 のんびりする時間があることで心にもゆとりができてきた気がする。

 お風呂に浸かっていて思わず鼻歌などが出てしまうのは精神的に余裕が出来てきた証拠なのだろう。

 そろそろアニメも終わる頃だ。

 なつみは勢いよくお湯からあがり、脱衣所に出た。



48 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:16

「んぁっ!」

 希美と一緒にテレビを見ていた真希が突然声をあげた。

 きょとんとして見上げてくる希美に、真希は苦笑いして立ち上がる。

「なっちのパジャマ用意しとくの忘れてた」

 急いで寝室においてあるパジャマを持ってバスルームに向かう。
 そろそろなつみがお風呂からあがる頃だ。

 だめだなぁ、あたし。
 ついついドラちゃんに夢中になっちゃった。

 次回予告が見られなかったことを少しだけ残念に思いながら、真希は勢いよく脱衣所のドアを開けた。


49 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:17




「キャアアアアアァァ!!!!!」
「んあああぁぁぁーーーーー!!!!」





50 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:18

 ドアを開けた脱衣所にはバスタオルで身体を拭く裸のなつみ。
 女同士なのだから意識する必要はないのだが、突然開けられたドアになつみは思わず悲鳴をあげてしまった。

 なつみの悲鳴に真希はパジャマを持ったまま慌ててドアを閉めた。

「んぁぁ…」

 閉めたドアに背中を預けて、真希はずるずるとその場に座り込んでしまう。

 ―――みちゃった。

 なっちの裸、見ちゃったよぉ…。

 ぎゅうっとパジャマを抱きしめる。
 鼻に届くなつみの匂いに、先ほど一瞬見てしまったなつみの裸が蘇る。
 本当に一瞬のことだったはずなのに、それはありえないほど鮮明に真希の脳裏に染み付いてしまったようだ。
51 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:18

 心臓が今までにないくらい速く鳴っている。

 女性の裸くらい珍しいものでもなんでもない。
 事実、産まれて18年、毎日自分の裸を見てきた。

 でも違うのだ。
 
 真希にとって、なつみの裸は、いや、なつみの存在そのものが特別なのだ。

「…ごっちん?」

 脱衣所の中から声をかけられて、真希は飛び上がるくらい驚いた。

「あっ!な、なっち!?」
「あのね、着替え、貰いたいんだけど」
「着替え、あ、ご、ごめん!」

 パジャマを持ってドアを閉めてしまったことにようやく気づいた真希は慌てて立ち上がる。
52 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:19

 しかし、なつみは今どんな格好で中にいるんだろう、なんて邪なことを考えてしまった真希はドアを開けることが
できない。
 すると、内側からゆっくりとドアが開いて、隙間からなつみがひょこっと顔を出した。

「ごめんね?おっきな声だしちゃって」
「や、ごとーこそゴメン、いきなりドア開けちゃって…」

 なるべくなつみを見ないようにして、真希は素早くパジャマを渡す。

 ありがと、と呟いてドアの向こうになつみが消えると、真希は大きくため息をついて、再びその場にしゃがみ込んで
しまった。

 そんな真希を、ふたりの大きな声にびっくりして様子を見にきた希美が不思議そうに見つめていた。




53 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:20


「お待たせぇ。お味噌汁とかあっためとくからさ、ふたりともお風呂入ってきちゃって」

 きっちりパジャマを着てバスルームから出てきたなつみは声をかけながらまっすぐにキッチンに向かった。
 まだ混乱していた真希は少しほっとしながら、希美と自分の着替えを持ってバスルームに入る。

「ねーねー。まきちゃん」
「ん〜?」

 身体を洗う真希を湯船に浸かってぼんやり眺めていた希美が不意に口を開いた。

「さっき、なちゅみにおこられてたの?」

 その言葉に真希は驚く。

「へぇ?なんで?」
「だって、まきちゃんまっかになってないちゃいそうだったのれす」
「…あぁ」

 子供にはあの時の真希の態度は怒られた後のように見えたのかもしれない。

「ちがうよぉ」

 シャワーで身体の泡を流して、希美と一緒に湯船に入る。
54 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:21

 弾みで揺れるゴムの黄色いアヒルを湯船のふちに避難させた希美は、まだ不思議そうに真希を見上げている。

「なちゅみ、おこるとこわいのれす」
「あはは、ちょっと見てみたいかも」

 なつみに叱られて真希が落ち込んでいると思っているのだろう、希美は子供なりに真希を慰めようとしてくれて
いるみたいだ。
 そんな希美に真希は思わず相好を崩し、ポンポンと頭を撫でてやる。

「だいじょーぶ。ごとーとなっちは仲良しだよ」

 真希の笑顔に希美の顔が安心したように綻ぶ。

「のんちゃんとごとーも仲良しだよね」
「へい!」

 なつみがとても大事に大事にしている希美。
 真希も彼女のこの屈託のない笑顔を守りたいと思う。

 なによりも、なつみのために。
55 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:21

 その時、脱衣所の向こうからふたりの長風呂を咎めるなつみの声がした。
 お味噌汁冷めちゃうべさーとブツブツ言うなつみに、真希と希美は顔を見合わせて思わず噴出す。

「ほんとうだ。怒ると恐いね」
「ね」

 でも、そろそろいい加減あがらないと本当にカミナリが落ちそうだ。
 先に希美をあがらせるために湯船から引き上げてやる。

「まきちゃんはぁ」
「ん?」
「どうしてのんたちといっしょにいるのれすか?」

 子供らしい、単純な疑問。
 こういう疑問をぶつけられるということは、随分真希に心を許してくれてきた証拠だろう。

 そして真希の中にあるその疑問に対する応えも、とても単純なものだった。

「ごとーはね」

 小さな子供同士が内緒話でもするみたいに、真希は希美の耳元に顔を近づける。
56 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:22





「なっちとのんちゃんを守るために一緒にいるんだよ」



57 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:23

 よくわからない、と首をかしげる希美が先にバスルームから出ると、真希は鼻までぶくぶくとお湯に浸かる。

 それからさっき希美に言った言葉を頭の中で反芻すると、決意するように小さく頷いた。





58 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:26
 遅すぎだっちゅーの

>>39
川VvV)<いいの?美貴ちゃん出ちゃおっかなー

>>40-42
少しですが

>>43
辞めませんよ 作者は病んでますが
59 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:27


( ´D`)<テヘテヘ
60 名前:奈無し作者 投稿日:2006/05/11(木) 22:28


( ´ Д `)<ごとーの日に間に合わなかったぽ

61 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/12(金) 21:46
更新されてるーー!!
なんか、
ごっちんとのんちゃんが可愛らしいww
美貴ちゃんも待ってまっせー?ww
次回もめっちゃ楽しみにしてます。
62 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/18(木) 10:22
どんな展開になるんだろー。
いいよいいよ^^。
63 名前:nanasi 投稿日:2006/05/28(日) 23:07
出てくる人がみんな好きなので今後が楽しみです。
のんちゃんの笑顔を自分も守りたいw
頑張ってください!!
64 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/16(金) 17:40
待ってますんで頑張ってくださいねー
65 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/26(月) 19:20
待ってます
66 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/21(月) 00:31
待ってますよ

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