ベイカーストリートの惨劇

1 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/03(金) 15:22
ズラタンと言います。書かせていただきます、お願します。
知っているかたは知っていると思いますが
元ネタは、某有名アニメの映画版です。
ただ、登場キャラが子供ではないので、そのへん上手く出来るか心配です。
がんばって更新します。
2 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/03(金) 15:26
あと、かなりマニアックなジャンルの人も出てくるので、
分からない方は分からないかも知れません。
まず大まかな登場人物紹介から行きます。
3 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/03(金) 16:53
中心になるのは田中、藤本、亀井、後藤あたりです。
一気に書くととんでもない数になるので今回はこれくらいです。
書いておきたい設定としては、藤本さんは空手初段の腕前です。
4 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/03(金) 16:54
来週からじっくり更新します。
完結目指して頑張ります。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/05(日) 23:40
はい(≧▽≦)ゞ楽しみに待っています。がんばって下さい。
6 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/06(月) 10:53
『プロローグ』



    ウチも・・・ノアズアークみたいに飛べたらええな・・・

7 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/06(月) 10:58
NYタイムズのその日の一面は、時の大統領演説でもなく、NYで起こった殺人事件でもなければ
メジャーリーグの話題でもなかった。
一面を割いたのは、世間にも顔が知られていたヴァージニア州在住の天才少女
アイ・カゴが自宅兼仕事場としていたマンションのベランダから身を投げたというニュースであった。
8 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/06(月) 11:09
通常NYタイムズがこのようなニュースを扱うのは稀といってもいい。
アイ・カゴは幼くして両親を亡くした為、
IT業界の帝王と呼ばれているツンク・シンドラーに引き取られ
現在は13歳という若さでヴァージニア工科大学に通う大学院生だった。

9 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/06(月) 11:12
さらに人間の皮膚・血液などからその人物の先祖を突き止めることが出来る、
DNA探査プログラムを開発したことで、一躍世界中にその名を轟かせた人物である。
10 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/06(月) 11:22
しかし、これほどまでにマスコミが騒ぎ立てた理由は他にあった。
当時彼女は、1年で人間の脳約5年分成長すると言われた人工頭脳の開発に取り組んでいた。
”ノアズアーク”と名づけられていたこの人工頭脳は
人類史上最大の発明になるだろうと言われていた。
それ故か、産業スパイによる暗殺、ツンクカンパニーに造反しようとし殺された、
など数多くの噂が飛び交い、業界に衝撃を与えていた。
11 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/06(月) 11:25
ノアズ・アーク自体はどうなったか?
アイ・カゴが身を投げる直前に一般電話回線にデータをすべて流したために
アイのパソコンにはデータは残っていなかった。
事件自体が自殺と発表されたため、時の流れの中、ノアズ・アークの存在も
忘れ去られていった。

そして5年後・・・
12 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/07(火) 13:30
『プロローグ』完

プロローグはこんなところです。
いきなり加護さん死なせてしまってスミマセン・・・
13 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/07(火) 14:01
2005年10月27日
エージェント「HELOO」内


「ゲームの発表会? 藤本さんなんですかそれ。」
田中れいなは、明らかに不可思議な声を出した。
「あのね、さゆのお父さんが出席する予定だったらしいのね、
 なんか急にはずせない用事ができたらしくてね、
 さゆが代理で出席するんだって、
 それであたしたちも招待させてくれるらしいよ。」
藤本美貴が身支度をしながら話した。
「あたしとれいな、それと紺ちゃんにいつものみなさんもどうぞだって。」
「紺野さんも行くんですか?。」
「あんね〜ゲームには興味ないって言ってたからね
 多分、パーティーで出る料理目当てなんじゃないの?。」
(はは・・・やっぱり)
れいなは心の中で軽く毒づいた。 

14 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/08(水) 11:12
「ゲームには参加できないんだけどね。ま、一食分浮くしいい話じゃん、
 みんなにも聞いてみといてよ。」
「わかりました、今日行ったらきいてみます。」
(まあ聞くまでもないやろうけど・・・)
いつものメンツが断るわけが無いとれいなは確信していた。
(絵里は・・・一応聞いてみよ。)
15 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/08(水) 12:02
「それ、コクーンの発表会のことですよ!」
昼休み、いつものメンバーの集まった屋上で今朝の話を切り出すと
久住小春が目を輝かせた。
「?小春ちゃん何それ?。」
「田中ちゃん知らないの!?。」
弁当をほおばっていた小川麻琴が驚いたように叫んだ。
「ゲーム苦手だもんね〜田中ちゃん。」
「高橋さん、言わんといてくださいよ〜。」
すかさず茶々を入れた高橋愛に、れいなは顔をしかめた。
16 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/08(水) 12:25
「聞いた話ですけど、IT業界で注目されているゲーム機だそうです。」
小春が話し出した。
「繭の形のカプセルに入ってですね、完全な催眠状態の中で音声認識システムを持つ
 ゲーム自体と対話しながらバーチャル・リアリティの世界で遊ぶゲームって聞きました。」
「ふーん、よく知っとうね。」
思わず感心してしまう小春の知識だ。
「ね〜麻琴〜、どうせ行くなら体験したいよね〜。」
「そりゃあね、やってみたいよ。」
「あの、それは無理やと思いますよ。」
「完全な覆面発表会って言ってましたからね。会場に行けるだけでも運いいんですよ高橋さん、小川さん。」
「美味しいもん食べれるんで、それでいいじゃなかですか。」

「うーーん。」
「それならまあいいかな。」
愛も麻琴も渋々納得したようだ。


17 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/08(水) 12:32
「絵里はどうすると?」
れいなはそれまで興味が無かったのか黙って会話に耳を傾けていた
亀井絵里に声をかけた。
「うーん、ゲームかぁ・・・。」
少し悩んだあと、
「でもパーティ会場で矢口さんで出迎えるのもいいかも♪」
「え・・・?」
れいなは合点がいかない様だ。
18 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/08(水) 12:43
「?、れいな何も聞いてないの?。」
「2週間留守にするってことしかきいとらんよ。」
「ふーん。」
「その・・・コクーンとか言うゲームと何か関係あると?」
その時ちょうど昼休み終了の鐘が鳴り響いた。
「あ、昼休み終りだ。」
絵里は座っていたとこから立ち上がると、出口に向かって走り出した。
「あ、ちょっと絵里〜」
「おしえてあげないよ〜、そのうち連絡でもあるんじゃない。」
そう言うと、絵里は校舎の中へ戻っていった。
19 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/08(水) 12:48
「れいな電話〜。」
「はーい。」
その夜。ちょうど風呂から上がったれいなに美貴から受話器が渡された。
「田中ちゃん?おいらおいら。」
電話は矢口真里からのものだった。
20 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/08(水) 12:52
「思ったより速かったですね、電話。」
「コクーンの発表会に来ることになったんだって?。」
「あ、はい、さゆん家の招待で。」
「どのみちおいらが誘おうって思ってたし、手間が省けたな。」
「?」
21 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/08(水) 12:59
「何でです?」
「ごっちんもそのパーティに出席するのさ、久しぶりに顔合わしたらどうかなって思ってね。」
「後藤さんが?何でゲームの発表会なんかに?」
「来ればわかるよん♪、じゃ当日ね〜」
それだけ言うと矢口は一方的に電話を切ってしまった。
「・・・わけわからん・・・。」
れいなは不機嫌そうに呟くと受話器を置いた。
22 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/08(水) 13:02
こんな感じで更新していきます。
ペース遅くてスイマセン。
23 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/09(木) 09:50
2005年11月5日
その日東京後楽園ホールは華やかな雰囲気に包まれていた。
「本日はここ、東京後楽園ホールにおきまして、
 仮想体感シュミレーションゲーム”コクーン”が華々しくプレミアを飾ろうとしています。」
どこかのマスコミだろうか、そう報道している。
24 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/09(木) 10:00
「あっ、今、ツンクカンパニーのツンク社長が到着されました」
多くのフラッシュがたかれるなか、ツンクが姿をあらわした。
われ先にと駆け寄る報道陣に対して、ツンクは軽く手を上げ答えると、
さっと中へ、入って行った。
25 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/10(金) 13:23
「さて、私たちマスコミ当てに配られた資料にコクーンの詳細が書かれているので
 ご紹介したいと思います。」
26 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/10(金) 13:27
「プレイヤーは繭の形をした機械の中に入り、完全な睡眠状態に陥ります。」
「人間の司る5感も全て現実と同じ感覚になるため、プレイヤーは
 現実の世界のような状態でゲームを体感できるのです。」
27 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/10(金) 13:32
「今回のプレミアでこのコクーンを体感できるのは、一般選考から選ばれた年齢もバラバラな
 50人の子供たちです。」
「いずれも大物財閥、銀行頭取の子孫など日本の未来を担う子供達が集まっています。」
28 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/10(金) 13:38
「・・・ただのゲームの発表会なのに、物々しいったらないね。」
金属探知検査を終えた紺野あさ美は思わず呟いた。
「今日にこぎつけるまで、産業スパイとか暗躍したらしいですよ、紺野さん。」
ゲームは苦手なれいなだったが、元パートナーの真希がこのパーティに出席すると聞いて
色々とネットで情報を探ったのだが、結局真希にどう絡んでいるのかさっぱり分からなかった。
29 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/10(金) 13:45
「・・・ん?なんだあれ!?」
愛が急に駆け出すと、おもむろに1階ホールを覗き込んだ。
「あ、小川さん!あれですよコクーン!!。」
小春も思わず声を上げる。
「どうにかしてできないかなぁ・・・」
「だから無理ですって、小川さん。」
れいなが諭すように話した。
30 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/10(金) 13:46
スイマセン、誤字です。
「小川さん」じゃなくて「高橋さん」です。
つぎから間違えないよう、確認します。
31 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/10(金) 13:54
いくら財閥の娘とはいえ、父の代理で出席のさゆみに、政界・財政の
2・3世の中に愛や麻琴達を加えることを強要するのは無理な話だ。
「みんな〜速く行こー。」
あさ美に促され、れいな、美貴、愛達4人組はパーティ会場に足を運んだ。
32 名前:みっくす 投稿日:2006/02/10(金) 14:38
更新おつかれさまです。
あの、話がどういう風に展開して行くのか
楽しみにしています。

あと、できれば
登場人物の設定等(人物関係・年齢等)を解説いただけると、
読みやすいのですが。
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/10(金) 17:14
これって著作権とかは大丈夫なんですかね?
設定は殆ど同じだし、台詞も映画と同じものが・・・。
34 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/14(火) 09:35
すいません。忘れてました。
分かりずらかったらすいません。設定いきます。
35 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/14(火) 10:16
台詞とかは全く同じにするつもりはないので、大丈夫じゃないっすか。

田中れいな・・エージェント「HELLO」の探偵。普段は普通の高校生です。
       活躍を取り上げられるのが嫌いで、警察の捜査には極秘に協力しているって感じです。
       文学系・細かいことが嫌いだが、推理小説は好んで読む。

後藤真希・・・元エージェント「HELLO」のリーダー。今風にいえばれいなの教育係みたいな感じです。
       現在はもとあった才能を生かして推理小説家として生活。
       元パートナー同士って形で今回は登場させました。

藤本美貴・・・都内の短大に通う短大生。エージェント「HELLO」には気がついたら
       いつのまにか居るくらい頻繁に訪問する。財閥令嬢道重さゆみとは親友。
       へたな男より強いです。

亀井絵里・・・れいなの同級生。普段はふにゃふにゃしているが、直感力・推理力は、
       そこらへんの警察より優れているため、考えがいきづまるとれいなはよく相談している。

36 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/14(火) 10:16
高橋 愛・・・れいなと同じ高校に通う高校3年生。同学年の小川麻琴と仲が良い。
       何かと事件に首を突っ込みたくなる好奇心旺盛な性格です。

小川麻琴・・・れいなと同じ高校に通う高校3年生。設定考えたんですけど、すいません思い浮かびませんでした。
       好奇心旺盛ってのは同じです。

久住小春・・・れいなの後輩に当たる高校1年生。必要ない知識まで覚えたがるためいろんな知識を持っている。
       ちなみに勉強がかなり出来るっていう細かい設定です。

矢口真里・・・れいなから言えば親戚にあたる人物で長い付き合い。絵里がここに住んでいるため結構れいなも訪問する。
       趣味で最近発明を始めたばかりです。

紺野あさ美・・元警視庁刑事。現在は依頼のこない探偵。刑事課だったため顔見知りも何人か。
       そのためれいな達にきた仕事をいくつかもらったりしているので、知り合いの関係になった。
       色気より食い気です。

加護亜衣(アイ・カゴ)・・5年前にときの人となっていた天才少女。
             後は冒頭の設定どうりです。年齢は15に一応しています。
 
37 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/14(火) 10:18
読みづらいですよね。すいません・・・
現在の人物はこれで全員です。まだで出てくるので、そのつど更新していきます。
38 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/14(火) 10:20
これから行くところがあるので今日はこんなところです。
本っ当に更新遅くてすいません。もっとペースあげて更新していきます。
39 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/15(水) 12:39
さすがの人数のため、広いはずのパーティ会場はごったがえしている、という感じだ。
さらに、隅に置かれた勇壮なブロンズ像が結構なスペースを占めているせいか、
本来の空間を狭く感じさせている。
40 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/15(水) 12:50
もっともゲーム目当てで来ていないあさ美にはどうでもいいようだ。
「偉い人も来ているみたいだし、はしたないことしないでよ、紺ちゃん」
釘を刺しておこうと美貴があさ美の方を振り返った。
「・・・あれ?紺ちゃんは?」すでにあさ美の姿はない。
「あっちですよ」
絵里が指差す方を見てみるとあさ美はすでにテーブル中央の料理に舌鼓をうっていた。
「も〜!」
(あ〜あ、もう始まった・・・)
美貴の忠告無駄のようで、れいなも冷ややかな視線を送っていた。
41 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/15(水) 12:58
「あたしも食べよ!」
麻琴も麻琴でテーブルに陣取っていた。
「こんなたくさん食べれるなんてラッキー!!」
愛もいつのまにかテーブルに座っていた。
「・・・・でも本当にラッキーなのは・・・・」
寂しげな小春の視線の先を見ると、ゲーム参加バッジをつけた子供達の姿があった。
42 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/15(水) 13:20
「軽視副総監の孫、財界実力者の孫、与党政治家の娘・・・日本の将来を
 背負って立つ二世・三世が勢揃いって感じね」
皮肉混じりに美貴が呟く。
「悪い日本の世襲が凝縮されてる・・・」
「・・・・えっ!?」
自分の台詞以上の強烈な皮肉にその主をみて美貴は驚いた。
「亀ちゃんって言うことたまに意味わかんない・・」
いっぱしの大人の言う台詞だ、麻琴に分かるわけが無い。
「政治家の子供は政治家に、医者の子供は医者になる、これじゃいつまで経っても
 同じ事の繰り返しってことですよ」
すかさずれいながフォローした。
(もう!あんまり難しい言葉出しちゃいけんよ絵里!)
(あはは・・・ごめんごめん。)
43 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/15(水) 13:28
「藤本さん!」
「あ、さゆ・・・」
道重さゆみに声かけられ、美貴は一瞬言葉を失った。
今日のさゆみはいつもとまったく違う深紅のイブニングドレスを身にまとっていた。
その姿はいつものさゆみとは違った大人の雰囲気をかもし出している。
おまけに身につけているアクセサリーは素人の蘭から見ても高価な物である事が分かるものだった。
44 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 10:20
「ヤッホー、みんな久しぶり!」
当の本人はまったく変りない口調でれいな達に話し掛けている。
そんな様子に美貴はなぜかホッとした。
「道重さん、こんにちは」
「招待してくれてありがと、重さん!」
小春と愛がしっかり挨拶をする。
「・・でもせっかく来たんだし、あれやってみたいなぁ」
麻琴は諦めきれてないようだ。すると、
「あんた達じゃ無理よ!」
45 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 10:27
麻琴の呟きをかき消す台詞に振り替えると、サッカーボールを足元に
4人の少女が立っていた。
「・・・あんた達、ちゃんと招待されてんの?」
「失礼ね!みんなはれっきとしたうちの招待客よ!」
「おっと」
「これは失礼しました、道重財閥のご令嬢」
さゆみに改まって挨拶したのは後ろの3人のうちの1人だった。
46 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 10:37
「私たちとあなた達じゃ立場が違うのよ!」
「選ばれなかった人間は、黙って外から見てればいいの!」
挑戦的な台詞に最初に反応したのは愛だった。
「・・・・・この連中、ムカツク。」
「ま、せいぜいつまらないパーティを楽しみなさいね!」
とことん挑発てきな台詞を残すと、少女達は去っていった。。
47 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 10:46
「あんな子達が親の仕事を継いで日本のリーダーになるっちゃね・・・」
「何にも変わらない訳、解ったかも・・」
やりとりを見ていたれいなと絵里は呆れたように話していた。




48 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 10:59
「何ですかあの人たち!!」
「マジ腹立つ!」
小春も麻琴もいらだっているようだ。
「さゆ、誰いまの女の子達?」
美貴がさゆみに話し掛ける。
「最初に話してきたのが柴田あゆみちゃん、軽視副総監の孫です。
 それから後ろにいたのが木村麻美ちゃん、里田まいちゃん、斉藤美海ちゃん、・・・だったっけ。
 3人ともいいところのぼんぼんですよ」
「あ〜、だからあのバッジ着けてんだ」
「さ、藤本さん気分変えましょう、みんなもほら!」
さゆみは美貴達に気にするな、と軽くウィンクすると、近くのテーブルに促した。
49 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 11:03
ファンの方本当にスイマセン・・・・。
さっきの4人はかなり嫌な設定にしています。お嬢様ってことで実際100%
しない話し方もします。本っ当にファンの方スイマセン。
ちなみにサッカーボールですが、4人ともフットサルやっていますし、
不思議ではないかな、と思って書きました。

50 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 11:06
「何すんのさ!?」
「返してよ!!
パーティの客おかまいなしにサッカーゲームをしていた4人を止めたのは
1人の男性だった。
51 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 11:18
「他のお客様の邪魔になる、外へいきなさい!」
だれの孫、娘、としってか、テーブルを揺らされたり、身体にぶつかられたり等
少女達の行為に迷惑していた客がいないわけが無かったのだが、誰一人文句を言わなかった。
52 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 11:23
「誰、おじさん?」
真っ先に食ってかかったのは柴田あゆみだった。
「開発を担当した経塚と言います」
「おじいちゃんの銀行が助けたから、完成できたんでしょ!」
斉藤美海が加勢したが、経塚は動じず続けた。
53 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 11:30
「あなた達は公衆道徳というものをお父さんやお母さんから教わらなかったのかな?
 それと、目上の人に対しての話し方も」
「偉そうに!」
「もうお金貸してあげないよ!」
「おじさん、あたし達のこと知らないんじゃない?」
「私達にたてつくと、すぐクビになっちゃうよ?」
54 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 11:32
4人が4人、負けずに言い返すが、経塚のほうが上手だった。
「・・・ではその前に、あなた達をつまみ出すとしましょう」
表情も変えずに言い放つ経塚に、さすがの4人も相手が悪いと思ったようだ。
「い、行こう・・・・」
一瞬経塚を睨むと、4人はその場を去っていった。
55 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 11:34
これでやっと4分の1くらい進みました。
とりあえず、出てきたキャラ紹介、行きます。
56 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 11:47
経塚泰成(たいせー)
コクーン開発責任者。っていうこといがいは特徴ありません。
これから話の動向に伴っていろいろ書いていきます。

柴田あゆみ・・軽視副総監の孫。   さっきも断りましたが、
木村麻美・・・与党実力議員の娘。  この4人は設定変わってます。
里田まい・・・財界実力者の孫。   それと4人ともフットサル仲間です。
斉藤美海・・・銀行頭取の娘。

道重さゆみ・・美貴と同じ短大に通う親友、実際は財閥の令嬢、ただ本人はあまり気にしていない。
       美貴とは同じ学年だが、美貴が再入学したため年齢は年下。
57 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/16(木) 11:49
今日はこんな所です。
で、断るの忘れていたんですが、実際のメンバー同士の呼び方とか
話してる方言とか、あまりわからないので半分想像で書いてます。
その辺了承お願いします。
58 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/18(土) 21:54
ほぼ同時刻、後楽園ホールに一台の車が横付けされていた。
現れたのは、後藤真希。
現在は世界的な推理小説家として活躍しているが、元は
れいなのパートナーだった敏腕の探偵だ。
59 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/18(土) 22:07
当然のごとく一斉にフラッシュがたかれるが、
こうした状況は慣れているのだろう、目もくれずに階段を上がっていく。
実に堂々とした姿だ。随行の真里はと言うとその場の雰囲気に飲まれているようで
少し真希より離れて上がっていった。
60 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/18(土) 22:24
金属探知検査を終えると、やっとマスコミのフラッシュから解放され、
ホッとした真里は真希に話しかけた。
「田中ちゃんも来てるはず、久しぶりに顔あわせたらいいんじゃない」
真里の言葉に真希は、人差し指を口の前に立てた。
「やぐっつあん、れいなとの関係はなるべくこれね」
「分かった分かった」
61 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/18(土) 22:32
「皆様、ステージにご注目ください」
パーティの司会がアナウンスを始めた。
「ただいま、コクーンのゲーム・ステージのためにアイデアを提供していただいた
 後藤真希先生がアメリカからご到着されました!!」
世界的に有名な真希の登場とあって、会場は大きな拍手に包まれた。
真希も手を上げて答えている。
62 名前:クロ 投稿日:2006/02/18(土) 22:53
「後藤さん・・・」
一人この様子をじっと見るものがいた。もちろんれいなだ。
「いっやー、やっと帰ってこれたよー」
元気のいい声に振り返ると、いつの間にか真里が立っていた。
63 名前:クロ 投稿日:2006/02/18(土) 22:59
「2週間もどこいってたかと思ったら、後藤さんのとこだったんですか。
「コクーンのね、プログラム最終段階の手伝いでね」
「後藤さんが来てるってことは・・・吉澤さんも?」
「よっすぃ〜はね、何か友達のところに顔出したりするって」
「へぇ〜」
64 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/18(土) 23:03
スイマセン別のサイトで使ってる名前で書いちゃいました。
次気をつけます。
やっと休みになったので、これからできる限り毎日更新していきます。
65 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/19(日) 16:23
「あ、そうそう・・・はい、お土産」
真里は懐から意外なものを取り出した。
「これゲームの参加バッジですか?
 でも、れいなゲーム苦手やし・・・・」
「田中ちゃんだったら熱中するんじゃないかな〜、まだ秘密なんだけど
 ゲームの舞台の一つがね、百年前・十九世紀末のロンドンなんだ」
「百年前のロンドン・・・? 
 ・・・後藤さんの十八番の世界なんですか」
「そゆこと」
66 名前:ズラタン 投稿日:2006/02/19(日) 16:27
「・・・嬉しいですけど、一人でやるわけにはいかんですよ」
れいなはコクーンをやりたがっていた三人を見ると苦笑した。
あれだけ騒いでいたのだ。
一人で参加しょうものなら後で何が起こるか想像がつく。
67 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/03(金) 13:03
「あ、矢口さんお帰りなさい」
いつの間にか絵里が2人のそばに来ていた。
「お〜亀井ちゃん、2週間も留守にしてごめんね」
「どうでした?、むこうの生活は」
「まあ、まあって感じかな、
 それはそうと、はい、例のお土産」
68 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/03(金) 13:07
真里はポケットから一枚のMOを取り出すと絵里に渡した。
「ん?それ何?」
「知らな〜い」
いつもの態度にれいなは聞くだけ無駄だと瞬時に悟った。
その時、会場のライトが消されふいに真っ暗になった。
69 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/03(金) 13:08
すいません、長いこと更新しれませんでした。
またしっかりと更新していきたいと思います。
よろしかったら、ご覧になってください。
70 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 21:17
「わっ、何も見えない」
会場のブロンズ像にもたれかかっていたあさ美は、突然の
暗転に驚いて体勢を整えようとした、
「わっ!!」
「Sorry!」
英語が返ってきた、どうやら外国人とぶつかったようだ。
「もー、暗闇で動き回らないでよ!!」
日本語で悪態をついたところで分かるまい、
と思いつつ、つい口が開いてしまう。
まさかこれが事件の始まりだと思うはずはなかった。
71 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 21:24
突然舞台の上から強烈なライトが四方八方に放たれたかと思うと、
奈落が開きモデルのような女性と共に噂のゲーム機、コクーンが登場した。
繭と言うより卵と言った方が分かりやすいかもしれない。
高さはモデルの女性よりも高いくらいだ。
「それでは次世代ゲーム機、コクーンをご覧いただきましょう」
司会者のアナウンスと共に、モデルの女性がコクーンに座り操作を始める
72 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 21:29
「このカプセルは人間の五感を司り、触覚も痛みも匂いも、
 すべての感覚が現実のような世界にプレイヤーは置かれます。
 電気的に中枢神経に働きかけるシステムが用いられ、
 身体に害はまったくありません」
舞台の華やかさというのは見れば見るほど辛いものだ。
「見てるだけじゃなぁ・・・」
「やらないとわかんないもんね・・・」
「うん・・・」
口々に不満を呟く三人に、れいなは複雑な思いになり、
無言で手の中のゲーム参加バッジを見つめた。



同じ頃。
「Seven More Minutes・・・」
手のひらのストップウォッチを見て、暗い通路を歩きながら、
一人の男が呟いていた。

73 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 21:42
軽視副総監ともなると、出たくもないパーティにも出席しなくてはならなくなる。
実際、今日の柴田登志夫は大きな事件が片づいた後だった、
本来なら家でゆっくり寝ていたいところだろう。
しかしさすがエリートといった所だ、そんな様子は微塵も見せない。
さすがに、今日は各界のお偉方とすすんで歓談する気にはなれなかった。
会場の隅に足が向いたのは無意識の事だったのだろう。
目の前の大きなブロンズ像にふと目がいった。

74 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 21:45
「なかなか立派なブロンズ像ですな」
特に興味はないが、仕事柄こういった物の偽物を見慣れているせいか、
いつの間にか目が肥えてしまったようだ。
「何でも、シンドラー社長のお気に入りのコレクションらしいですよ」
警護を兼ねた随行の部下が解説してくれる。
「ほーう・・・わざわざ持ち込むとは、よほど気に入ってるんですね」
近寄って来たのは財閥系・銀行頭取、斉藤哲之助だった。
75 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 21:48
この戦後最大級とも言える不況の嵐で、財閥系と言えども銀行頭取は苦労しているのだろう。
義理でパーティーに出ているのは自分だけではなさそうだ、と、登志夫は苦笑した。
「こういった像には珍しい、闘志あふれる姿が、ご自分と重なるのでしょう」
ツンク・シンドラーは今でさえIT産業界の帝王と呼ばれる人物だが、
一昔前まではまったく無名の人物だった。
一代でここまでの財を成したその闘志は確かに底知れないものであろう。
登志夫や哲之助のように親の跡を継いだだけの人間には分かるまい。
「そうですな」と言おうとした登志夫の言葉を遮るかのように、
サッカーボールが像が持っている短剣をはじき飛ばした。
76 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 21:52
「いっけない!」
そのボールは孫のあゆみが蹴ったものだった。
登志夫は顔をしかめた。
77 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 21:55
「あゆみ、ここにボールを当てるのはやめなさい」
「はーい・・・」
あゆみは渋い顔で短剣を拾うと、元通りに戻した。
おそらく反省の欠片もないであろう事は登志夫には分かっていたが、
公衆の場で孫を怒鳴りつける訳にもいかず、そのまま言葉を飲んだ。
(我ながら甘いな)
登志夫は心の中で呟いた。
78 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 22:20
後藤真希は係員の誘導で記者たちが待つスペースへと向かっていた。
ちょうどその時2人の子供の会話が耳に飛び込んでいた。
「ちょっとまずっちゃったね」
「どーってことないって。どうせ安物よ」
そういえばさっきガチャン、と音がしたな、と、真希は思った。
こんな場所でもつい色々な事に目がいってしまうから、
ひとみに「推理の事しか頭にない」と言われてしまうのだろう。
「うっそ」
「こんなとこに、高い物置くわけないって」
あまり説得力のない台詞だったが、もうひとりの子供は
「それもそうね」
と納得している様子だった。
79 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 22:36
そうこうしている間に、真希はあっという間に記者に囲まれていた。
いくつか質問があった後、「最後にお聞きしたいのですが」
女性レポーターが口を開いた。
「今回、後藤先生がお忙しい中コクーンに関わられたのはどうしてなのでしょうか」
「コクーン開発者の経塚泰成氏は、大学時代の恩師なんですよ、
 文学のいろはを教えてもらいましたね。
 今回はいいお手伝いが出来ました。
「ありがとうございました」
80 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 22:44
インタビューを終えた真希は近くの係員に声をかけた。
久しぶりに恩師に会うことが出来るのだ。
「すいません、泰成さんは・・・」
「あ、すぐ探してきます」
走っていく係員を目で追っていると、れいなが立っていた。
81 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 22:53
「・・・んぁ?」
踏み出そうとした瞬間だった。
「後藤先生!!」
「サインお願いします!!」
「先生!私も!!」
「お願いします!先生!!」
インタビューが終わるのを待っていたファンだろう。
あっという間に囲まれてしまった。
真希はれいなの方にフッと微笑むと色紙にマジックを走らせた。

82 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/04(土) 23:04
ファンに囲まれる真希を誇らしげに見ながら、れいなは
(元気そうで安心しました・・・)心の中で呟いた。
世界で名を轟かせる真希をれいなは尊敬していた。
その時
(れいなもね)
ふと目が合った真希にそう言われたような気がした。
れいなは身を翻すと、真里たちのいるテーブルへ戻っていった。
83 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 19:55
経塚泰成の仕事場、通称「開発ルーム」は、後楽園ホールすぐ横に位置する、
ツンク社長が日本に所有するSビルの地下1階にあった。
モニターに向かって仕事をしていると、ドアの開く音がした。
やって来たのは待っていた人物、ツンク・シンドラー社長だった。

84 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 19:58
「・・・すぐに会場に戻らなくてはならない。さっさと言ったらどうだ?
 アイから託されたDNA探査プログラムをいくらで売るつもりだ」
無駄を嫌うツンクらしく、さっさと本題に入って来る。
泰成はそんな様子を無視するように、ゆっくりと彼の方に向き直った。
85 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 20:01
「私はあなたを強請るつもりはありません。・・・償って欲しいのです」
ツンクは何も言わない。
重苦しい空気が流れる中、泰成は言葉を続けた。
86 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 20:04
「アイは知ってしまった。ツンク帝国を崩壊させてしまうあなたの秘密を。……
 しかし、アイの力なくては人工頭脳は完成出来ない。
 あなたはアイにハードワークを課して完成を急がせた……
 精神的に追いつめられたアイは、人工頭脳が完成した暁にはあなたに殺されると思った……」
泰成は虚空を見つめていた。
ツンクの視線が手の中のストップウォッチに注がれている事など、気付きもしない。

87 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 20:08
「だから自分の分身といえるノアズ・アークを電話回線に逃がし、
 マンション屋上から身を投げた・・・」
しばし、二人の間に重い沈黙の時が流れる。
沈黙を破ったのは泰成だった。
意を決したようにツンクを見つめる。
88 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 20:15
「それからしばらく経って、私のコンピューターにDNA探査プログラムのデータが侵入しました。
 それはアイの遺志を継いだノアズ・アークの仕業でした。
 私には・・・アイの心の叫びに思えましたがね・・・」
「・・・償いはする」
ツンクが重い口を開いた。
「すべてを世間に公表して、どんな裁きでも受けるつもりだ。
 だがその前に見せてくれないか?
 ノアズ・アークがキミに送って来たというDNA探査プログラムを」
「・・・いいでしょう」
泰成はツンクに背を向けてキーボードの操作を始めた。
プログラムを操作する間、まったく無防備だった事が悲劇の始まりだった。
89 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 20:21
「これこそまさに、時を越え現代に運ばれて来た、ロンドンの亡霊・・・」
その時、短剣を手にしたツンクが泰成に突進して来た。
「・・・・・・!!」
次の瞬間、短剣が泰成の心臓を貫いた。
 

 すべて思った通りに事が運んだとはいえ、心臓が高鳴っている。
 (私の計画は完璧だ……)


シンドラーは自分に暗示をかけるように心の中で呟いた。






90 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 20:26
すぐさま持ってきたCD−ROMを泰成のパソコンのハードディスクにセットする。
かの有名なコンピューターウイルス、黒猫(ブラック・キャット)をも凌ぐ、
IT業界の裏世界で流通している強力なデータ消去プログラムだった。
プログラムが正常に作動したのを確認すると、泰成に突き刺した短剣を抜き取る。
手近にあったティッシュペーパーで血を拭うと、
ツンクは息を整えるかのように、深呼吸し、パーティー会場へと引き返して行った。
泰成が虫の息でキーボードに残したメッセージも、
それに触発されてあるプログラムが発動した事も、知るよしもなかった……
91 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 20:30
ようやく半分近くになりました。
ここからうまく展開させれればなと思います。
92 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 20:48
警視庁捜査一課に事件の第一報が入ったのは、
中澤裕子が残業を終えて帰ろうとした矢先だった。
「・・・?殺しやて?」
「はい、現場は後楽園ホール横のSビル地下一階だそうです」
「うちの管轄内やんか・・・」
裕子は溜息をついた。しかしそうも言ってられない。
「後楽園ホール・・・?そういや、今日あそこで開かれているパーティーに
 柴田警視副総監が出席していなかったっけ・・・」
安倍なつみが思い出したように呟く。
「・・・・・・やれやれ、政界、財界とお偉方がぎょうさん出席しているのは間違いないな。
 何かと気を遣いそうやな」
裕子はイスの背もたれに掛けていた上着を気を取り直すようにとった。
「なっち、石川、行くで」

93 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/06(月) 20:52
「すみません、通して下さい!!」
ファンに囲まれ、快くサインに応じている真希に係員が駆け寄って来た。
耳打ちされた言葉に、さすがの真希も一瞬言葉を失った。
「・・・!?泰成さんが!?案内して下さい」
険しい表情に、さすがに彼女を引き留めようとする者はいなかった。
めったな事では表情を崩さない真希の様子を見て、
れいなは何かあった事を直感し、思わず駆けだしていた。
94 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/07(火) 19:55
「皆様ご注目ください」
再びアナウンスが始まった。
「さて、皆様にはちょっとしたゲームにチャレンジしてもらいたいと思います」
舞台上に注目が集まる。
95 名前:ズラタン 投稿日:2006/03/07(火) 20:09
すいません、今日ここまでにします。
内容まとまったらまた更新します。
96 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/12(日) 03:43
がんばって!
97 名前:ズラタン 投稿日:2006/04/10(月) 14:19
スミマセン。続きがどうしても浮かびません。
ご迷惑をかけると思いますので、このスレは放棄します。
身勝手な理由で本当にスミマセン。
98 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/10(月) 21:28
ochi
99 名前:ズラタン 投稿日:2006/06/07(水) 20:46
「ねえ、小春ちゃん、何なの?」
不意にパーティー会場から連れ出され、麻琴は、不満そうに呟いた。
「小川さんは、まさか、このまま帰るつもりですか?」
 小春が、怒ったように言う。
「このまま……って、そりゃ、コクーンやりたいけどさ」
「これを見て下さい」
小春は、五枚のカードを取り出した。それは、子供達に人気の特撮ヒーローのカードだった。
「このカードは、滅多に手に入らないレアカードで、ネットオークションでは、かなり高額で取引されています」
「なるほど。ゲーム参加バッジと、そのカードと交換してくれないか、交渉するんだね?」
愛が言うと、小春は、無言でうなずいた。
パーティー会場の司会が、招待客をコクーン会場へと案内するアナウンスを入れると、三人は真っ先に出て、ターゲットを絞っていた。すると、親と離れて子供達だけで行動している四人の少年達が目に入った。
「あの子達と交渉してみましょう」
小春に促され、麻琴は、そのうちの一人に声をかけた。
「ねえ、ちょっといい?」
「何?」
一人が足を止めると、あとの三人もついて来た。
「じゃーん!」
麻琴は、これ見よがしにカードを高く掲げる。
「すんげえ!」
「レアカードだ!」
「プレミア付きのだぜ!」
「欲しいーっ!」
四人の少年達が、一斉に声をあげる。
「ゲーム参加バッジと交換してあげてもいいよ」
小春が、絶妙なタイミングで声をかける。
「でもなあ……」
「ゲームもやりたいし……」
「コクーンは、これからだって出来るけど、このカードは、今を逃したら、もう手に入らないかもよ」
愛の言葉に、少年達は、複雑な表情で顔を見合わせた。
100 名前:ズラタン 投稿日:2006/08/01(火) 18:05
94は忘れてください。
101 名前:ズラタン 投稿日:2006/08/01(火) 18:07
 その頃、れいなは、途中で合流したあさ美と共に、事件現場へ向かっていた。真希は、途中でマスコミに捕まってしまったようだ。
「中澤さん!」
 あさ美がドアを開けると、鑑識が去ったばかりの現場に中澤、安倍、そして、第一発見者と思われる係員の姿があった。
「ああ、紺野に田中。あんたらも来とったんか」
 中澤は、二人を見ながら言った。
「はい。バルコニーに出ていたら、パトカーが入ってくるのが見えたので」
 と、あさ美は言ってから、
「ところで、被害者の身元は、わかったんですか?」
「経塚泰誠。コクーンの開発責任者やそうや。心臓をひと突き、凶器は持ち去っとる」
と、中澤は言った。
 一方、れいなは、二人の話に耳を傾けつつ、床に捨てられたティッシュペーパーを観察していた。
(血を拭っとう……よっぽど大切な凶器なんか、残しとくと、持ち主が分かってしまうんやろうか……?)
 れいなは、遺体に歩み寄る。
「それにしても、開発責任者が何故、このような地下室で?」
 安倍が、係員に訊いた。
「はい、経塚主任は、人の出入りが頻繁なところは、集中出来ないからと、いつも一人ここで……」
「なるほど」
 安倍は、うなずきながら、手帳にメモを取った。
 遺体の横のキーボードを見たれいなは、はっと目を止めた。
(RとTとJに、血の跡……!)
「あの……」
 係員が、おどおど口を開く。
「何でしょう? 気がついた事があったら、仰って下さい」
 安倍が、先を促した。
「はい、実は、不可解な事が一つありまして……ハードディスクのデータが、すべて破壊されているんです」
「データが?」
「もしかして、ライバル会社の破壊工作じゃないですか?」
 あさ美が、声を大きくする。
「それにしては、遅いんやなかですか? コクーンは、もう完成しとうし」
 と、れいなは言ってから、奥の机を指差して、
「それより、机のキーボード、ダイイング・メッセージやなかとですか?」
「えっ!」
 あさ美、中澤、安倍が、目の色を変えた。
「キーに血が! 死の間際に押したようです!」
 安倍が、思わず声を大きくした。
「RとTとJ……」
 中澤は、独り言のように言う。
「何かの略でしょうか……?」
 あさ美は、首を傾げた。
 そんな三人を横目に、れいなは、一人考えていた。
(RTJ、TJR、TRJ、JTR……JTR?)
 れいなの頭に、ある考えが浮かんだ。
(十九世紀末のロンドン……まさか!)
102 名前:ズラタン 投稿日:2006/08/01(火) 18:11
 麻琴、愛、小春の3人は、頭を悩ませていた。結局、最初に手に入れた4個のバッジしか交換できなかったのである。
「ねえ、もう時間がないよ」
 愛が、腕時計を見ながら言う。
「困りましたねえ……」
 小春は、困惑の表情で、腕を組んだ。
「仕方ありません。田中さんと亀井さんには、ジャンケンでもして、決めてもらいましょう」
 ちょうどその時、絵里が、美貴とさゆみと一緒に、パーティー会場から出て来た。
「亀ちゃん! ほら、手に入ったよ!」
 麻琴が、ゲーム参加バッジを、さゆみに差し出す。
「おやおや、たいしたもんだこと」
 美貴が、目を丸くする。
「せっかくだけど、絵里はいいです」
「え、どうして?」
 麻琴が、驚いたように訊いた。
「……その様子だと、トレードに成功したのは、4つだけなんでしょ?」
 図星の台詞に、麻琴は、言葉を失う。
「絵里は、ゲームそのものより、プログラムの方が興味あるし。好奇心旺盛なれいなに譲ります」
 と、絵里は、微笑んだ。
「亀子、どうして4つしかないって分かったの?」
 愛が、不思議そうに訊く。
「小春ちゃんのポケット……一枚残ってますよ?」
 絵里の視線の先を見ると、カードの角が、申し訳なさそうに姿を見せている。
 小春は、思わず苦笑いした。
「じゃあ、これは、田中さんの分ですね」
「藤本さん、田中ちゃんは?」
 麻琴が、美貴に訊いた。
「え? てっきり、あんた達と一緒だと思ってたんだけど」
 三人は、顔を見合わせると、首を横に振った。
「……もう! 紺ちゃんと二人、どこ行っちゃったのよ?」
「まあまあ、そのうちひょっこり現れますよ。さっ、移動しましょう」
 さゆみに促され、美貴と麻琴達は、コクーン会場へと向かった。
103 名前:ズラタン 投稿日:2006/08/01(火) 18:12
↑訂正
麻琴がバッジを差し出したのは絵里に対してでした。
104 名前:ズラタン 投稿日:2006/08/01(火) 18:21
やっぱり続きが思い浮かびませんので、放棄します。
本当にスミマセン。
105 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/03(木) 23:24
設定を使わせてもらって良いですか?

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