月と太陽

1 名前:すえきち 投稿日:2006/03/01(水) 18:21
初参戦です。いしよしです。
遅いかも知れませんが、完結させます。
よろしくお願いします。
2 名前:すえきち 投稿日:2006/03/01(水) 18:50
今日からウチは、社会人になります。
幼稚園のときに、両親を交通事故で亡くし、施設に引き取られました。
しかし、施設といっても、園長先生をはじめ、先生方には、本当の両親のように愛情一杯に育ててもらって
本当に感謝、感謝です。
高校まで出せせてもらって、両親が残したくれた保険金で、大学にも行けたんだけど
ウチは早く自立して、先生方に恩返しがしたかった。
そして、施設に残る子供たちに、自分で稼いだお金で何か買ってあげたい。
3 名前:すえきち 投稿日:2006/03/01(水) 18:56
就職先は、園長先生の友達で、施設にも良く遊びに来ていた通称『おっちゃん』
実は、鉄工所の社長だったのをしったのは、つい最近だったりする…。
社長は、家族のいないウチのような境遇の子を、社員として採用していて、
アパートも、用意してくれている。
1度、鉄工所に見学に行ったきり、今日が初出勤。
4 名前:すえきち 投稿日:2006/03/01(水) 19:44
アパートに、荷物はすでに送ってある。どうしても施設から初出勤はしたかった。
初出勤といっても、今日は、顔見せ程度。挨拶して、一通りの説明を受けた後、アパートまで
案内をしてもらう。
アパートは、2人で住むことになっている。家賃は、会社持ちで、光熱費は2人で払う。
施設で共同生活に慣れているとはいえ、見ず知らずの人との生活は、正直、不安。
さて、そろそろ出発しなきゃ!
「皆さん、今までお世話になりました。吉澤ひとみ、社会人としてがんばります。」
「うん。ここは、あなたの家なんだから、いつでも遊びにくるんだよ」
お願いだから、先生泣かないで!!
「お姉ちゃ〜ん!!」
チビッコ達も泣かないで!!   笑顔で行きたいんだから…
「そんなにみんなで泣いてちゃ、ひとみちゃんが行きずらいでしょ。笑顔で見送りましょう」
園長先生、ありがとう
「じゃ、行ってきます。」 「いってらっしゃい」
門を出て見えなくなるまで、みんなは手を振ってくれた。
先生方がこの日のために、お金を出し合ってプレゼントしてくれたスーツ。
大事にしなきゃ、罰当たるよね。
ここから、電車で4駅、徒歩20分。 鉄工所が見えてきた。
最初が肝心!! 元気に挨拶
「おはようございま〜す!! 今日からお世話になります。吉澤です。」
5 名前:すえきち 投稿日:2006/03/01(水) 21:43
「なんや〜 朝から威勢がいいやないか〜」
って、あなたが朝からけだるそうなんですけど…

「おはよう! 社長さんから、話は聞いてるよ。今日からよろしくね!」
こちらは、なんと言うか、特徴的な声。

「あっ!私は石川です。こちらは、中澤さん。」
「事務員は、うちら2人だけや。あんたも物好きやな〜。こんな油まみれの現場選ぶなんて」
「いや〜、ウチは、体動かすほうがいいんですよ。物作ったり、細かい作業とか、好きなんです。」
「まぁええわ。けど、現場は口の悪いおっちゃんばっかやで。」
「で、でも、口は悪いけど、根はみんな優しいんだよ。」
石川さん、慌ててフォローしなくても、わかってますって。 慌てたせいか、一段と声高いし…

「おぉ〜!ひとみちゃん、待ってたよ!」
「あっ!おっちゃん…じゃない。社長 おはようございます。よろしくお願いします。」
「そんなにかしこまるような職場じゃないよ」
そうは言われても、緊張しますって
「とりあえず、現場のみんなにあいさつしようかねぇ」

と、現場に行くと、おっちゃんが3人、外人4人。
「新入りのひとみちゃん。よろしくなぁ〜」
「よ、よろしくおねがいします。」
「まぁ、気楽にやってこうやぁ〜」
こんな軽くていいんですか?

「今日は、もういいや。石川!部屋、連れてって。」  「は〜い!」
「今日から石川と同じとこ、住んでもらうから」   「は、はい。」
「じゃ、行こっか」  「はい。じゃ、失礼します。」
「はななぁ〜 明日からがんばりぃ」 相変わらず、中澤さんはけだるそう…

石川さんの後を、とぼとぼと着いていく。 
石川さんは鼻歌を歌ってるけど、ちょっと、音程怪しいっす。
10分程行くと 「そこなの!」と、石川さん。
刑事のものドラマで、犯人が住んでそうなアパート。
『栄荘』 栄えなそう…  2階の奥。
「荷物は吉澤さんの部屋においてあるからね」
「はい。ありがとうございます。」
玄関を入って、6畳の台所、4畳半の和室が2つ。トイレにお風呂。
キッチン・バス じゃなく、日本語が合う部屋。
「じゃ、私は仕事に戻るね。6時には、帰ってくるから。それと、これが吉澤さんのカギ。
まだ、慣れてないから、あんまり出歩いて迷子にならないようにね。」
「あっ いってらしゃい。」
迷子って、ウチもう18歳なんですけど… つかめない人だなぁ
6 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/02(木) 17:51
さて、荷物の整理をしなきゃ… 
とは言っても、大した量じゃないんだよなぁ。小さなテレビとミニコンポ、服なんてほんのちょっとだし。

あっという間に、整理完了!
まだ2時かぁ〜 何しようかな?
7 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/02(木) 17:59
「ただいま!」
「あっ おかえりなさい。」
「吉澤さん、すご〜い!!シンク ピカピカじゃない!」
「時間があったんで、台所とお風呂場とトイレ掃除してました。家事好きなんですよ。」
「私、家事すっごく苦手なんだよぉ… 汚かったでしょ?」
確かに、汚かったっす。
「勝手に冷蔵庫にある物で夕飯作ちゃったんですけど、よかったですか?」
「うん、全然OKだよ!じゃ、冷めないうちに食べよっか」
「はい」  「「いただきま〜す!」」
8 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/02(木) 18:14
おいしい おいしい と石川さんは、きれいに食べてくれて、ほっとしたぁ。
会社だは、ちゃんと顔を見れなかったけど、よくよく見ると、石川さんはすごくかわいい人で、とっても魅力的な笑顔なんだよなぁ〜。思わず見とれてご飯をこぼしました。
食事をしながらここでのルールを、説明してくれて
・食費は、出し合って、1つの財布にし、買ってきた分をそこから引く
・食事は、先に帰った方が作る。同じ時は、2人で。お風呂も同じ。
・食事がいらない、帰宅が遅くなる、外泊する場合は、必ず前もって連絡する。
    などなど…
「同居だから、初めにちゃんとしないと、気まずくなっちゃうから」
とのこと。  確かに
9 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/02(木) 18:24
それと…  と、言いにくそうに
「私、会社に内緒でアルバイト、してるんだ。週に4日くらい。8時前に出るからその日は夜1人になっちゃうんだけど大丈夫?」
「大丈夫っす!」
「よかったぁ。後、会社には内緒にしといてね。共犯みたいで悪いんだけど…」
「口は堅いですから」
「よかったぁ、ありがと。
それと、もう一緒に住むんだから、敬語はやめてね。吉澤さんって呼び方も硬いよねぇ。
そーだ!ひとみちゃんって呼ぶね。」
「はい! じゃないや、うん。」
10 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/02(木) 18:34
翌日。石川さんと2人で出勤。 
ここからは、現場のおっちゃんについて仕事を地道に憶えていかなきゃ!
職人 カッケー!!  ウチは、油まみれになりながら、手元を覗きこんで、コツを盗む。

クタクタのヨレヨレで帰宅。
石川さんは、残業。 直でバイトだから、夕飯は1人。
1人で食事なんて、初めてかも…  寂しいもんだねぇ
疲れたし、やることないし、10時に就寝。

夜中に、ガタガタ音がして飛び起きた!
「な、なんだ!? 泥棒?」
とりあえず、そーっと部屋を出ると、玄関の上がり口に石川さんが倒れていた。
11 名前:ルン 投稿日:2006/03/02(木) 23:09
おもしろいです!!
石川さんはなんでそんなに働くのか気になっちゃいました。
真面目なよっすぃ〜もいい感じ♪
12 名前:すえきち 投稿日:2006/03/03(金) 17:55
>>11 ルン様
ありがとうございます!
初挑戦の小説で、レスを頂けるなんて、光栄です。


作者の我侭で短編を1つ書かせてください。
13 名前:ウチはよっすぃ〜 投稿日:2006/03/03(金) 18:02
ある日の楽屋にて…
「ねぇねぇ ミキティさん」
「なぁに よっちゃんさん」
「ウチ 寂しいの」
「しょうがないなぁ 美貴の胸を貸してあがるよ」
と、ミキティがぎゅっと、抱きしめてくれたから、胸に顔をすりすりしてみると、違和感が…
「ミキティさん、硬い」
ピキッ バシッ☆★
14 名前:ウチはよっすぃ〜 投稿日:2006/03/03(金) 18:09
いって〜!?
「どーせ美貴は誰かさんみたいに巨乳じゃないですよ!! 梨華ちゃんのに慣れたよっちゃんには小さいでしょうよ!硬いでしょうよ!」
「そんなつもりじゃないよぉ… ミキティさん」
「もぉ なによぉ」
「かおりんも矢口さんも梨華ちゃんもいなくなってさ、ウチをよっすぃ〜って呼んでくれる人いなくなっちゃって、寂しいんだよぉ」
「え〜 美貴は、よっちゃんのほうが呼びやすいんだもん。下の子達にいいなよぉ」
う〜ん…
15 名前:ウチはよっすぃ〜 投稿日:2006/03/03(金) 18:16
「吉澤さ〜ん!!!」
うげっ!? ダッシュで抱きつくな!!
「麻琴!今日からよっすぃ〜って呼べ。リーダー命令な」
「え〜 吉澤さんは吉澤さんだよぉ」
「ダメ!嫌ならもう遊んであげない」
「そんな事言って、吉澤さんが寂しいんじゃないんですかぁ?遊べなくなったら」
うっっ! 確信をつきやがって…
16 名前:ウチはよっすぃ〜 投稿日:2006/03/03(金) 18:22
よしっ! 「小春 こっちおいで」
「は〜い 遊んでくれるんですか?」
「今日から、ウチのことよっすぃ〜て呼ぶんだよ! 呼んでくれたら毎日遊んだげる」
「本当ですかぁ? よっすぃ〜!よっすぃ〜!」
「小春はいい子だなぁ♪」

(よっちゃん いいの?それで? はぁぁぁ)
ミキティの深いため息が響きわたる楽屋でした。
17 名前:すえきち 投稿日:2006/03/03(金) 18:24
すいません 思いつきの短編でした。

本編に戻ります
18 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/03(金) 18:33
ウチは部屋を飛び出し、石川さんに駆け寄る。
「石川さん、大丈夫?」
うっわっ!酒臭〜い!?  バイトって水商売だったのかぁ
「ごめんね。起こしちゃって。」  「とりあえず、部屋行きましょう」
まったく動けない石川さんをおんぶして部屋へ運ぶ。
ベットに寝かせて水を運ぶ。 水をおいしそうに飲んだ後、そのまま眠ってしまった。
石川さん、なんでこんなに働くんだろう?
19 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/03(金) 18:42
翌日、昨夜のことを謝る石川さんにこんなに働く理由を聞いてみたが、曖昧にごまかされてしまった。

あれから、相変わらず会社とバイトをする石川さん。 あんなに酔って帰ってくることは、1度も無いが前より痩せた気がする。

そして、今日は初給料日!
必要経費を除くと残りはわずか…。 
でも、施設のみんなに何か… 今回はクッキーの詰め合わせで許してもらおう。
20 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/03(金) 18:52
1ヶ月ぶりに会うみんなは、相変わらず元気いっぱい!
ウチも童心に帰って思いっきり遊んだ。

夕方、中学からの親友 ごっちんと落ち合う。
昔から、一見クールなのに、ウチの顔を見るとふにゃぁ〜となる、笑顔が大好きなんだ。
「よしこ〜!」  「ごっちん 久しぶり 元気だった?」
「見ての通りさぁ」 腰に手をあて、胸を張る。
「よしこは?」 ごっちんは、ウチの手を見て 「女の子の手じゃないね。」
う〜ん 眠そうな顔して鋭い。確かに、油で荒れてしまったウチの手はガサガサ
何も言わずに、ウチの手を撫でてくれた。 思わず、泣きそうになって
「ご、ご飯食べいこ!」
やべぇやべぇ 何気に、優しい人なのよねぇ。
21 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/03(金) 19:39
その夜は、ごっちんの家に泊めてもらった。夜中までお互いの近況報告や、ごっちんの彼とのラブラブのろけ話を、ツッコミながら聞いたりして、いつの間にか寝ていた。
起きた時にはもうお昼で、昨日のうちに買っておいたベーグルを食べる。
「ほんと、よしこはベーグル好きだよねぇ 毎日見てたからさぁ 見てるだけのにごとーがベーグル食べ飽きた気分。」
し、失礼な!! ウチの愛するベーグルを!
「でさぁ、悪いんだけどぉこれからごとー彼とデートなのぉ♪ だからよしこに付き合えなくなっちゃった。あはっ!」
「え〜!? 夜まで遊ぶって言ってたじゃんかぁ!!」 「だぁってぇ…」
「ごっちん きもい」 「ぶぅぅぅぅ」
「わかりましたよ。ウチは帰りますよ。」 「よしこ、必ず穴埋めするから」
そんな拝まなくても、いいよ  「んじゃ!」 「メールするよ!」
22 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/03(金) 19:50
石川さんには、夕飯食べて、夜10時頃帰るって言ってあるんだよなぁ
予定変わっちゃたけど、どこにも行く予定無いって言ってたし大丈夫だよね。
寝不足だし、帰って少し寝よう。
カンカンカンと階段を駆け上がり、カギを開けて入ると、玄関に見慣れぬ靴がある。
これ男物のスニーカーだよなぁ…
んっ? 話し声がする。 男の人といつもより甘えた話し方の石川さん
  そっか… 彼氏来てるんだ…  彼氏いるのも知らなかった。

そーっと、玄関を後にした。
23 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/04(土) 17:52
ウチは部屋を後にし、歩いていたらいつの間にか会社の前にいた。
(どーしよっかなぁ〜)
とりあえず、会社の裏にある公園にいってベンチに座る。

何なんだろう? この気持ちは?
石川さんかわいいし、彼氏いても全然普通でしょ? 
いや、彼氏と決まった訳じゃないじゃん! そーだよ!友達だよな。
友達に、あんな甘えた話し方しないっしょ?
いやいや、実はお兄さんとか…

はぁ 普通に彼氏でしょ 何一生懸命否定してんの ウチ
24 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/04(土) 18:07
「吉澤!こんなとこで何してんの?」
「中澤さん どしたんすか?」
「どしたもなにもあるかい!?家そこやん!」
ほぉ〜 公園の隣のマンション ウチ達とは違いまんな〜 さーすが、年の功
「いやぁ友達と夜まで遊ぶはずだったんすけど、予定変わっちゃって、部屋戻ったら石川さんの…」
「男がおって、気まずくて出てきたってとこか?」
ニヤニヤ笑顔がエロイっす!?
「まぁ そんなとこっす。でも彼氏かわかんないじゃないっすか」
「いや、彼氏や。」
何でそんな怖い顔するんです? 何かあるのかなぁ?
「あの〜中澤さん 何かあるんですか?」
「なんでもない。時期が来たらわかるわ。
 それより、帰れないんじゃ夕飯どうすんねん?家で食べてくか?」
「はい!ごちそうさまです。」
「よっしゃ!買出しいくでぇ〜 あんたは荷物持ちや。」
ニヤッ っていたずらっ子みたいな笑顔 好きっす
25 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/04(土) 18:21
中澤さんの手料理をごちそうになってると、
「なぁ吉澤 あんたは、感情を剥き出しにして、泣いたり怒ったりしたことあるか?」
「う〜ん… 無いですかねぇ」
「そーやろ。あんたはいつも回り見てから反応するもんなぁ。気にしぃや!」
ウチは何も言わず、中澤さんの顔をじっと見る。
「よく言えば、気の利くいい子。悪く言えば、小心者のヘタレ。わかってるやろ?自分で。その握りこぶし。何握ってん?楽しそうな笑顔でも、手、握り締めてるもんな。」
この人は… 
「ウチはあんたの事、好きやで。石川もや。あんたの友達も。もっと自信持ち!嫌われるのが怖いからって、八方美人じゃぁ誰にも信用されん。」
26 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/04(土) 18:35
両親を同時に亡くし、施設に引きとられて、いつの間にか、嫌われたら…追い出されたら…
もう行く場所ないんだ。好かれなきゃ!我慢しなきゃ!頑張らなきゃ!
考える前に、無意識についてしまった習慣。
昨日、ごっちんが、ウチの手撫でてくれた時、握り締めてなかった。
「ここぞと言う時は、感情爆発させ!いつでも受け止めたる。」
ワシャワシャと髪を撫でる手が、大きく感じた。
「もぉ!髪がぐしゃぐしゃになっちゃうから止めてくださいよぉ」
笑いながらそう言うウチの目が、潤んでいたのは、中澤さんにバレてただろうなぁ〜

「ただいまぁ!!」
「おかえり!楽しかった?」
「はい!寝ないで遊んでたから、疲れちゃったんでもう寝ますね。おやすみなさい。」
石川さんは話したそうだったけど、ウチは気まずくて部屋に直行した。
27 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/06(月) 09:11
期待してます
28 名前:すえきち 投稿日:2006/03/06(月) 18:11
>>27 名無飼育さん
ありがとうございます。
期待に答えられる様頑張ります。
29 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/06(月) 18:13



石川さんが倒れたのは、この5日後だった。


30 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/06(月) 18:22
いつも通り、2人で出勤し、お弁当を食べていたら、
「石川、どないしたん? 食欲ないんか?」
「はい…」
「吉澤、何か変なもんでも昨日食べさせたんじゃないん?」
「し、失礼な!!変なもの食べてたら、ウチだって具合悪くなってますよ!」
「アンタは何食べても平気やろ。」  ムキィィィィ!?
「ちょっと、トイレ行ってきます。」
「石川、具合悪かったら帰りぃ」
「はい。」

「石川、遅くないかぁ?」
「そーですねぇ… 見てきます。」

「石川さん、大丈夫ですかぁ?」   無反応…
「開けますよぉ…」   無反応…
う、うわぁぁぁぁ!?
「吉澤、だないしたん!」
31 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/06(月) 18:33
ウチの雄叫びに、慌てて駆けつけた中澤さん。
石川さんが、血を吐いて倒れていた。
「石川!石川! あかん、救急車や!」
事務所に戻り119番する中澤さん。
ウチは、呆然と倒れた石川さんの横に立っていることしか出来なかった。

救急車に担ぎこまれる石川さんは、意識が無く、社長と中澤さんが付き添って行った。

夕方、中澤さんが、戻ってきて、
「入院することになった。吉澤、部屋戻って必要なもの石川の部屋から持ってきてや。」
「はい。 病気なんですか?」
「胃潰瘍らしいわ。検査せな詳しいことは、わからんがなぁ。とりあえず、荷物頼むわ。それ持って病院戻るから」
32 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/06(月) 18:44
アパートに戻り、パジャマや洗面用具などを紙袋に詰め部屋を出ようとしたら
「梨華、いるかな?」 男の人に声をかけられた。
「今日、仕事中に倒れて、入院することになりました。 あのぉ…」
「あぁ!?倒れたぁ! 何だよ、使えねえなぁ」
はぁ? 「石川さんの彼氏じゃないんですか?」
「彼氏ぃ? ハハハ 冗談だろ! 俺はあいつの金だけだよ。それと体か!ハハハ」
なにぃぃぃ 「それ、どーゆー意味っすか?」
「まんまだよ。あいつは金で俺を買ってたってことか?だから俺は抱いてやってたの。恋愛感情なんてねーし、金稼げなきゃもう用はないね!」
33 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/06(月) 19:30
ふざけんな!!! 「ちょっと待てよ!」
そのまま歩いていこうとした男の肩をつかみ振り向かせると、胸倉に掴みかかった。
「なんだよ!てめぇは!!」
「今から病院に行って、石川さんに謝れ!」
「ざけんなよ!あいつだってわかって俺に貢いでたんだよ!」
「あんたが、ここまで石川さんを追い詰めたんだ!絶対許さない。」
「しつけーんだよ!」 
顔の殴られた。お腹を蹴られ、屈みこんだところに膝蹴りが顔面に入る。
ウチは男に足にしがみ付く。
「石川さんに謝れ!」
「うるせぇ!!」 しがみつくウチを男は蹴り続ける。
「アンタ、何しとん!! お巡りさん!こっちや!!」
中澤さんが大声で怒鳴りながら走ってきた。
「もうお前に用は無いって、梨華に言っとけ!」
男が走って逃げていく。 
「畜生!」 地面を這って追いかけようとしたら中澤さんに止められた。
「あんなクズ、殴る価値も無い! 吉澤、はよ病院行って手当てしい!!」
34 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/06(月) 19:43
中澤さんに助けられ、骨折とかは無く、打撲程度で済んだ。
「お巡りさんは?」
「嘘に決まってるやん。遅いから様子見に来たら、これや。」
「すいません」
「今日は、もう石川の顔見て帰るか。痛み止めの点滴してるから、眠ってるけどな。顔見たら安心やろ?」
「はい。」 「そこ病室や。ここで待ってるから顔見てきぃ」
そーっと病室に入ると、規則正しい寝息が聞こえた。
(石川さん、もっと早く気がついてればこんなになるまで追い詰められなかったよね。ごめんね。)
気づいたら、涙が流れていた。

中澤さんと病院を出て、1人アパートに帰ると、悲しくて、悔しくて、涙が止まらなくて。一人でいることが辛くてアパートを出た。 
35 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/06(月) 20:41
ごっちんの部屋の前に来てた。今日は金曜だからきっと彼が来てるはず。
でも、ごっちんしかいないんだ。
ピンポ〜ン 「はーい!」 「よしこ!どした?」
「ごっちん、助けて…」 涙と鼻水と殴られて腫れ上がった顔で、ごっちんに抱きついた。
「とにかく、部屋入ろ!ね?」
促されるまま部屋に入ると、やっぱり彼がいて、
「俺、帰るから。」
「すいません。」 ごっちんの彼とは、何度か3人で遊んだことがあるから顔馴染み。
「気にすんな! じゃっ!」 
「よしこ、何か食べた?」 黙って首を振る。
「野菜スープ作ったんだ。一緒に食べよ!」 そう言ってキッチンに向かった。
36 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/06(月) 21:32
「はい、どーぞ!」 スープを運んできてくれた。
「ごめんね。」  「よしこ、今度謝ったら本気で怒るよ!」
「うん。」 口の中が切れてるから、少し沁みたけど、心の奥まで暖まった。
そしたら、涙が溢れてきた。 涙と鼻水とで、もう味わかんなくなっちゃったよ。

ごっちんは、何も聞かない。沈黙が続く。
「あのね、聞いてくれる?」
「聞く気マンマンです。」
石川さんに会ってから、今日のことまでを話した。

「自分の気持ちさ、あんな男に殴られてる時に、気づいたなんて、マヌケだよね?」
そう、気づかない振りをしてたんだ。 出会ってすぐから惹かれてた。
石川さんの笑顔が好きだ。守りたい。抱きしめたい。 そんな気持ちを誤魔化してた。
「ウチ、初めてなんだ。守りたいって、笑顔を守りたいって、本気で思う。ウチ、石川さん好きだ。」
今の自分に何が出来るか、なんてわかんないけど、まじめで、一途で、頑張り屋で、たまに頑張りすぎて空回りしてるけど、それとドジなとこも全部大好きなんだ。
「性別も、年齢も、何も関係なく、そう、思う。」
「うん。」
37 名前:すえきち 投稿日:2006/03/06(月) 21:39
補足です。
よっすぃ〜 ⇒ 18歳(入社してすぐに19歳になった)
梨華ちゃん ⇒ 21歳
ごっちん ⇒ 18歳
中澤さん ⇒ 3?歳        です。
  誕生日は実際の誕生日です。
38 名前:ルン 投稿日:2006/03/06(月) 23:16
がんばれ!よっすぃ〜。
梨華ちゃんを救ってあげて
そして、二人で幸せになってくれ〜!!
39 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/07(火) 01:44
うわわわ、良いっす!
期待大!吉くんばんがれ〜
40 名前:すえきち 投稿日:2006/03/07(火) 18:06
>>38ルン様
>>39名無飼育様
 
レスありがとうございます。
 よっすぃ〜 がんばります!
41 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/07(火) 18:20
「ねぇ よしこ」
「ん?」
「石川さんに今ごとーにした話、しよう?」
「………」
黙って俯くウチにごっちんは続ける。
「よしこの思いをこのまま終わらせたくないよ!
石川さんはわかってて貢いでたんなら、それだけ本気だったのかも知れないけど、このままじゃーよしこも石川さんも前に進めないよ。」
「うん…」
「当たって砕けろ!」 ふにゃって笑うごっちん。
ごっちんなりの励ましなんだよね。
「とにかく!今日は、何にも考えずに寝よ!ね?」

ごっちんに手を引かれ、同じベットに入る。
目をつぶっていろいろ考えてたら、また、泣けてきた。
ウチの嗚咽が聞こえてのか、ごっちんが抱きしめてくれた。
「我慢しないで、思いっきり泣いていいんだよ。」
その言葉で、緊張の糸が切れたのか、大声を上げて泣いた。
ごっちんは何も言わず、抱きしめたまま背中をさすってくれた。
42 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/07(火) 18:30
いつの間にか泣き疲れて眠っていたらしい。
「よしこ起きた?おはよ」
「おはよぉ」
昨日より腫れているのか、話ずらい。
「その顔じゃベーグルは無理だろーから、雑炊作ったよ!食べよう」
雑炊をたべていたら、ごっちんが「食べ終わったら、石川さんに会いに行くよ。」
ゲホゲホ!?変なトコに入った。
「ごっちん、早すぎ!」
「何を言うか!膳は急げ!思い立ったが吉日? よしこ、優柔不断だから、決心鈍るでしょ?」
うっっ… わかってらっしゃる
43 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/07(火) 18:41
ごっちんと病院に向かう。
はぁ 何て言う? あの男の伝言もあるし… その前にこの顔、引かれるだろーなぁ…
「何、考えてるの?」
「何から言おうかと…」
「ありのまま、思うまま、そのまんまの気持ちを言えばいいんじゃない? かっこ、付けなくてさ。」
「うん…」

病院に着いた。
石川さんの病室の前、深呼吸、深呼吸。
いきなりドアが開いて、中澤さんが出てきた。
「おぉ吉澤!昨日よりすごい顔になったなぁ…。石川には大まかに話してある。いきなりその顔見たら卒倒しそうやからな。」
にやっと笑い 「石川!吉澤きたで!!」
44 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/07(火) 19:29
えっっ えっっ いきなりですかぁ?
「行け!よしこ!」
うわぁ!?ごっちんに思いっきり背中を押され前のめりになりながら病室に入る。
「ひとみちゃん!」 「は、はい!」 声が裏返っちゃった。かっこ悪〜
石川さんは、眉を八の字に下げ、泣きそうな顔で
「ごめんね。私のせいでこんなケガさせて…」
あ〜あぁ 泣かせてどうするんだよ!
「石川さんのせいじゃないです。ウチが勝手にしたんです。謝らないでください。」
「でも…。」
「あの…非常に言いづらいんですけど…」
「もうおまえに用は無い。連絡もしてくるな!  じゃない?」
「…なんでわかるんですか?」
「そーゆー人だから。」 ってきれいに笑う石川さん。
「…好きなんですよね?」
「う〜ん…わかんなくなっちゃた。」
そう言って、遠い目をして、窓の外を眺めて…
「初めてだったの。好きって言われたのも、付き合ったのも、全部初めてだった。」
45 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/07(火) 19:35
そんな顔で、そんな事言われたら、何にも言えないよ…
「ひとみちゃん?」
石川さんがウチの顔を覗きごみながら
「どうしたの? なんか泣きそうな顔してるよ?」
きれいな、いつもより大人な顔で、全部初めてだった なんて言われたら、ウチはどうしたらいいんだ?
46 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/07(火) 19:46
「あの〜 ウチの話、聞いてくれますか?」
当たって砕けてやる! 子供なウチに出来ること、まんま打ち明ける。
「なに?」
「ウチ、好きなんです。石川さんの事。」
ごっちんにしたように、ありのまま、かっこつけずに思いを伝えた。
石川さんは、何も言わずに聞いていて…
「ウチ、石川さんにしたら子供かも知れないけど、石川さんが楽しい時は、一緒に笑いたいし、悲しい時は、涙を拭って抱き締めたいし…ずっと、ずっと、一緒にいたい。
石川さん、好きです。」
無言のまま俯く石川さんを残し、ウチは病室を後にした。
47 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/07(火) 20:58
廊下の長椅子にごっちんが座っていた。
「伝えた?」
「うん…」
「…で?」
「…無言のまま俯かれちゃった。」
「…そっか…」
「…うん」
「…どうする?」
「アパートに帰るよ。」
「今日はごとーがよしこの家泊〜まるっ!?」
「…。」 チラッとごっちんを見る。
「なんだよぉ〜」
「宿泊料はオムライスでいいよ!」
「宿泊料、取るのかよ〜!?」
「栄荘だよ!栄えるんだよ!」
「なんだよそれ〜!?」
くだらないことをギャーギャー言い合いながら帰った。
(1人じゃなくて、よかったよ。ごっちん、ありがと)
48 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/07(火) 21:36
翌日、買い物して帰るからと、ごっちんは昼過ぎに帰った。
ウチは部屋の掃除をして、石川さんの着替えを届けに病院に行った。
昨日の今日で、気まずい。
ナースステーションで看護婦さんに渡してもらうようにお願いしていたら、
なんと、ごっちんがいた!!
「ごっちん、なんでいるの?」
「よしここそ…」
「石川さんの着替えを届けに…」
「ごとーは、梨華ちゃんのお見舞いに。あはっ!」
「り、梨華ちゃん!?」 いつのまに…
「うん!梨華ちゃんでいいって言われたもん。」
くぅぅぅぅ… なんなんだよ! なんなんだよ!!
ぷるぷる握り拳が震える。
「梨華ちゃん、来週中には退院出来そうなんだって!」
「ふ〜ん…」
「よしこ? あれぇやきもちぃ? ごとーが梨華ちゃんって呼ぶのがおもしろくないんだぁ?」
「そ、そんなことないやい!?」
図星です。ウチも梨華ちゃんって呼びてぇ〜!
「かぁわいい〜ぃ」 ごっちんのおもちゃにされそうになり、慌てて逃げ出した。
49 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/07(火) 21:45


石川さんの退院の日。
夕方、中澤さんに呼ばれた。
「石川、今日で辞めた。アパートも出て行った。」
はぁ? 嘘だろ? ダッシュでアパートに戻る。
石川さんの部屋は、見事に何も無く、台所のテーブルの上に、一通の手紙が置いてあった。

50 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/08(水) 18:00
  ひとみちゃんへ
突然居なくなってごめんね。
どうしても気持ちの整理がつかなくて、一旦友達の所へ身を寄せることにしました。
ひとみちゃんの気持ち、とってもうれしかったよ!
ありがとう

彼の事、ちゃんと踏ん切りをつけて、戻ってくるつもりです。
ひとみちゃん、待っててくれる?
私のわがままだってわかってる。 
でもね、このままひとみちゃんの気持ちを受け入れるのは嫌なの。
お願い。必ず戻ってくるから。そして、ちゃんと返事する。
ひとみちゃんに会ったら、行けなくなっちゃうから、このまま行きます。
ごめんね
            石川梨華
51 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/08(水) 18:02




52 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/08(水) 18:03



石川さんに初めて会った、春がまた来る


53 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/08(水) 18:04


ウチは今日、二十歳になった

54 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/08(水) 18:10
「おはようございます!」
「おはようさん!」
「中澤さん、今日ウチ誕生日なんです!」
「おぉ!おめでとぉ で、いくつになったん?」
「二十歳っす!」
「けっ!?若いなぁ〜」
「今度、飲みに連れてってくださいね!」
「いいでぇ〜 朝まで付き合ってもらおうかぁ」
「い、いやぁ…」 朝までなんて…殺されそうだよぉ…
55 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/08(水) 18:17
仕事が終わった後、中澤さんに食事に誘われたが、断った。
今日は、なんとなく、まっすぐ帰りたい気分。
この間会った時にごっちんにも誘われたが、断った。
みんな、ウチの事を気にかけてくれている。
でも、なるべくアパートに居たいんだ。
石川さんがいつ帰ってきてもいいように、いつも部屋はきれいに掃除をしている。
もう、日課になっちゃった
56 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/08(水) 18:26
いつものようにまっすぐアパートに帰る。
と、階段の所に、人が立っている。
髪が短くなってるけど、見間違うはずがない。
ウチは走り出した。

「ひとみちゃん、おかえり」
ウチは何も答えずに、ただ抱き締めた。
「もう、どこにも行かないから…だから、泣かないで」
石川さんに出会ってから、ウチ泣き虫になったみたい…
「石川さん、おかえりなさい。大好きです。」
石川さんは、なにも言わずに、そっとキスしてくれた。
「わたしも、大好きだよ、ひとみちゃん」



57 名前:すえきち 投稿日:2006/03/08(水) 18:35
完結です。
本編は以上です。

本編はよっすぃ〜視点だったので、番外編として、梨華ちゃん・ごっちん視点で書きたいと思います。
よっすぃ〜の知らないところで、いろんなこと、いろんな思いがあったんです。
結末を早く書きたくて、ちょっと、粗い展開になってしまったのが、未熟者の証ですかねぇ(汗
58 名前:番外編ーごっちん視点ー 投稿日:2006/03/08(水) 19:36
今日は金曜日!久しぶりに彼がお泊りにくるのだ!
営業マンだから、接待のあとに来る。食事は軽く済ませてくるから、野菜スープなんぞを作ってみた。
ピンポ〜ン  「は〜い!」 ドアを開けるなり抱きつかれた。
「ちょ、ちょっと…」 「会いたかった…」
いきなり、キスをしてきた。どんどん深いキスになっていく。
「もう、我慢できない」 ソファーに押し倒され、洋服の上から胸をもまれる。
「うぅん…」 唇から耳に首筋にキスせれて、溜息がもれる。
ピンポ〜ン 「ほっとけよ!」 彼は続けようとしたが、何か胸騒ぎが…
「ちょっと待って」 「んだよぉ〜」
「はーい」 「よしこ、どした!?」
目や口のまわりが腫れ上がり、泣きながら 「ごっちん助けて…」と言うなり抱きつかれた。
異変に気づいた彼が玄関に来る。よしこを見るなり「俺、帰るから」
よしこが謝る。「気にすんな じゃ」 玄関に送りに行くと、
「俺なんかいいから、ついててやれよ。」 「うん、ごめん」 「いいって」
彼を送り、よしこの元に戻る。 
「何か食べた?」 黙って首を振る。
「野菜スープ作ったんだ。一緒にたべよ!」
キッチンに向かう。 一体何があったんだろぅ? よしこのこんな姿初めてだよぉ
59 名前:番外編ーごっちん視点ー 投稿日:2006/03/08(水) 21:06
「はいどーぞ!」 「ごめんね」 「よしこ、今度謝ったら本気で怒るよ!」
本当によしこはもっと我侭になっていいよ!いっつも我慢して、頑張って、なんでもないよって笑うんだもん。
涙を手の甲でゴシゴシ拭いながら、鼻をグズグズ言わせながら、食べるよしこに黙ってティッシュを渡す。
黙ってちょこんと頭を下げて、鼻をかみ、またゴシゴシ拭いながら食べる。
ごとーは、よしこから言い出すまで何も言うつもりはなかった。
「あのね、聞いてくれる?」 「聞く気マンマンです」
よしこの告白に、ごとーは何も言えなかった。
よしこの中のこんな熱い思いに気づいてなかった事が、ショックだった。
近くに居たはずなのに、もっと早く気づいてたら、何か変わってたかもしれない。
そして、よしこが守りたいっていう石川さんに会いたい。
60 名前:番外編ーごっちん視点ー 投稿日:2006/03/08(水) 21:29
ごとーに出来ること。よしこの後押しをすること。そう思った。
よしこの石川さんに対する思いの熱さ。真剣さがすごく伝わったから、そのまんまの言葉で十分だよ。
思わず、泣きそうになっちゃったじゃん!
ちょっと、安心したように見えたから、一緒に寝ることにした。
心も体もボロボロなんだから、せめてゆっくり眠ってほしい。
ベットに入ると、よしこが背中を向けた。いつもは背中を向けたりしないのに…
不思議に思っていると、肩が震えている。「くっ…うぅ…」と声が聞こえる。
よしこを自分のほうに向かせ、抱き締めた。
「我慢しないで、思いっきり泣いていいんだよ」
大声を上げて泣くよしこを抱き締めることしか出来ない自分がすごく悔しい。
61 名前:番外編ーごっちん視点ー 投稿日:2006/03/08(水) 21:45
そのままよしこは眠ってしまった。
そっと、ベットを抜け出し彼に電話する。
「もしもし」 「おぉ!よっすぃ〜は落ち着いた?」
「うん。今は泣きつかれて眠ってる。」 「そっか…」
「あのね、土日よしこについていたいから、会えないよ。」
「うん。わかってる。あんなよっすぃ〜見捨てて俺んとこ来たら追い返すよ!」
「ごめんね。ありがと。」 
「今度会うときは、寝かさないから、覚悟しておくよーに!?」
「今、すっごいエロい顔してんでしょ?」
「ハハハ もう寝な。」 「うん おやすみ」 「おやすみ」
ベットに戻り、よしこの顔を見ると、涙が流れていた。眠りながら泣いていたみたいだ。
涙を拭って、よしこを抱き締めたまま眠った。
62 名前:すえきち 投稿日:2006/03/08(水) 21:55
あえて、ごっちんの彼と、あの男に名前は付けません。
なんか、中途半端につけるのも嫌なので…
 (あの男と同じ名前の方も不愉快だと思います…。)
63 名前:番外編ーごっちん視点ー 投稿日:2006/03/09(木) 18:12
翌日。
ごとーが起きると、まだよしこは眠っていた。
起こさないようにベットを抜け出し、食事の支度をする。
もう10時だから、朝・昼兼用だなぁ〜
昨日の野菜スープをアレンジして、雑炊を作った。よしこ、食べれるかなぁ…
「よしこ、起きた?」 昨日より腫れがひどくなってるなぁ。
食事の準備をして、よしこが来るのを待つ。
「いただきます」  よかった!食べてくれた。
「食べ終わったら、石川さんに会いに行くよ!」
ちゃんと、伝えなきゃ! ごとーも一緒に行くからさ。
64 名前:番外編ーごっちん視点ー 投稿日:2006/03/09(木) 18:32
病院に着くと、石川さんの病室から誰か出てきた。
この人が中澤さんかぁ… 
「石川!吉澤きたで!!」  おろおろするよしこを病室に押し込む。
「行け!よしこ!!」 思いっきり背中を押して、ドアを閉めた。
「初めまして、ごとーです。」
「おぉ、あんたがごっちんか?」 「はい」
ちょっと、話そうか? と言って長椅子に座る中澤さん。
「吉澤、ごっちんとこおったんか?」 「はい」
「そっか… 昨日、一人にするの心配やったけど、無理やりウチんとこ連れてく訳にもいかんから。」
「夜、来たんです。泣きながら…」 「そかそか…」
「あの…」
「石川はきっかけが無かっただけやねん。抜け出すきっかけが…。」
黙って中澤さんの話を聞いていた。すると、ニヤニヤ笑いながら
「なんでやろなぁ?傍から見たら両思いなんやで、あの2人!当事者だけが気づいてないねん。」
「そーねんですか?」 「そーやぁ、あの甘ったるい目、あんたも1回見たらわかるわ。」
ふ〜ん そーなんだぁ…
「吉澤のこと、待ってるんやろ?」 「はい」
「ほな、ウチは先帰るわ。吉澤のこと、頼むな?」
「はい! 中澤さん、今度4人でご飯食べに行きませんか?」
ニヤッと笑いながら「あの2人がくっついたら、何でもご馳走したる。」
「ごとーが、くっつけますよ!」 「楽しみにしてるで!」
ごとー 気合入りまくりです!!!
65 名前:番外編ー梨華ちゃん視点ー 投稿日:2006/03/09(木) 18:47
倒れた翌日、中澤さんが来てくれた。
「どーや?少しは落ち着いたか?」
「はい、痛みはまだ少しありますけど、吐き気は無くなったので。すいません。迷惑かけっぱなしで。」
「ほんまや! でもまぁ、これで縁切れるやろ、あの男と。」
「そーですねぇ…」
「これでまた戻ったら、吉澤が報われんわ」 「えっ…」
「昨日なぁ、あの男に掴みかかってん吉澤。石川に謝れ!って。」
ひとみちゃん、なんで?
「殴られて、蹴られて、それでもしがみ付いて、病院に行って謝れ!ってなぁ」
なんで?なんで私なんかの為に…?
「吉澤、たぶん今日くるんやないかな?顔見て驚かんよーにな?」
「はい…」 「ほな、帰るわ。」 「わざわざすいませんでした。」
中澤さんが廊下に出ると話声がする。
「石川!吉澤来たで!!」 えっ、えっ、どうしよう…
「行け!よしこ!」 誰かがひとみちゃんの背中を押した。
「うわぁ」 ひとみちゃんが前のめりに入ってくるとドアがバタンと閉まった。
66 名前:番外編ー梨華ちゃん視点ー 投稿日:2006/03/09(木) 19:00
入ってきたひとみちゃんはすごい顔で…
「ひとみちゃん」 涙が出ちゃうよぉ… こんなに腫れちゃって…
彼からの伝言を言いづらそうにしていたから、私から言った。だってわかってたから…
「…好きなんですよね?」 っ聞くひとみちゃんの顔が辛そうだった。
「う〜ん、わかんなくなっちゃった」 そう答えた。
もう、わかってたのに… 私はひとみちゃんが好きなんだって…
「初めてだったの。好きって言われたのも、付き合ったのも、全部初めてだった。」
そう、初めてだった。それは事実。
「あの〜ウチの話、聞いてくれますか?」
すごく真剣な表情でひとみちゃんがそう言った。
67 名前:番外編ー梨華ちゃん視点ー 投稿日:2006/03/09(木) 19:56
「ウチ、好きなんです、石川さんのこと」
えっ!? 嘘!?
切々と語られる、私への思い。
すごく、真剣なのが伝わってくる。
聞いたんでしょ? あの人から…
バイトして、貢いで、そのお返しのように抱かれて…
私は、ひとみちゃんのように、きれいな心じゃもうないんだよ!
ひとみちゃんのこと、大好き。私の事、好きって言ってくれるの、すごくうれしい。
でもね、今のわたしにそんな資格ないよ。好きって言ってもらえる資格ない…
黙って俯くことしか出来なかった。

何も答えられない私を残して、ひとみちゃんは病室を出て行った。
ごめんね、ひとみちゃん
68 名前:すえきち 投稿日:2006/03/09(木) 21:55
もう本編は完結しているんですが、書いていて作者が切なくなってしまっているマヌケな現状。
梨華ちゃん視点は、苦しくなります。
あと、関西弁を使っている方から見たら、非常に不自然かと思います。すいません。
69 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/10(金) 13:45
>関西弁
いえいえ、特別違和感も無いし大丈夫ですよ。
二人の幸せを祈りつつ待ってます。
70 名前:すえきち 投稿日:2006/03/10(金) 18:40
>>69 名無飼育様
関西弁、違和感無くてよかったw
中澤さんの関西弁はほんわかしてて好きなんです。
71 名前:番外編ーごっちん視点ー 投稿日:2006/03/10(金) 19:36
よしこの家に泊まった後、買い物に行くからと言って部屋を出た。
確かに買い物にも行くつもりだったけど、メインは石川さんに会いに行くこと。

コンコン 「どーぞ」 「失礼します。」
「あっ!昨日…」
「はい。昨日、よしこと来ました。ごとーです。」
「ごとーさん… ごっちん?」
「はい!」 「ひとみちゃんは?」 「今日は一人です。」
沈黙…  よしっ!
「石川さん、石川さんの事、教えてください。」
「私の事?」
「はい。家族の事とか…」
「あの人の事とか?」
そう言って笑う石川さん。よしこ、ごとーもやられそうだよ。石川さんの笑顔に。
72 名前:番外編ー告白ー 投稿日:2006/03/10(金) 19:47
私の家は母子家庭でね。小さい頃に離婚したらしいんだけど、父親の記憶は全然ないんだぁ。
朝から晩までずーっとママは働いてて、だから、中学卒業したら働こうって思ってたの。
でもね、高校だけは出てって頭下げられちゃって、だから、定時制にしたの。でも、就職先がなかなか見つからなくて、
担任の先生が色々当たってくれて、今の会社に入ったの。
高校2年生のときに、ママが倒れてね。もう手遅れだって言われちゃった。末期ガン。入院して三ヶ月もしないで死んじゃった。
未成年だから、今までいたアパートにも居られなくて、社長さんが、今のアパート用意してくれたの。「会社の寮だ!」って。
73 名前:番外編ー告白ー 投稿日:2006/03/10(金) 19:54
ママが死んで、半年くらいにあの人に会ったの。
一人ぼっちで寂しかったから、付いて行っちゃった。
それから、ずーっとこんな感じ。
抱き締められると、暖かいでしょ?
一人じゃないんだって、なんか、安心したんだぁ。
好きだって、言われると、なんだろう…存在価値っていうのかな?こんな私でも、必要にされてるんだって思えて…
74 名前:69 投稿日:2006/03/10(金) 22:35
中澤さんの関西弁は出身地でもある京都弁の柔らかさがどこかありますもんね!
もちろん自分も好きです♪
あぁ、それにしても梨華ちゃん…。不憫や…。
75 名前:すえきち 投稿日:2006/03/14(火) 14:51
>>69 様
本当に、梨華ちゃんごめんなさいっ! 
  って感じです。
76 名前:番外編ー告白ー 投稿日:2006/03/14(火) 14:57
でもね、ひとみちゃんに出会って、どんどん惹かれていって、このままじゃいけないって思ったの。
純粋で、繊細でね。惹かれていくのと裏腹に、私は汚れてしまったなぁって、思い知らされて…
昨日ね、好きって言われたの。
私も好きなのに、何にも言えなかった…
77 名前:番外編ー決意ー 投稿日:2006/03/14(火) 15:07
「ねぇ、梨華ちゃんって呼んでもいい?」
「うん、いいよ。」
「梨華ちゃんは、汚れてなんかないよ。寂しかっただけ。それだけだよ…」
「ごっちん…」
「そのまんまの梨華ちゃんが、よしこは好きなんだよ。」
そう言ってふにゃって笑うごっちん。
「私ね、しばらくここを離れようって思ってるんだ。」
「離れる?」
「うん。このまま戻ったらまたズルズル元に戻っちゃう気がするの。自信ないの。」
「よしこは?」
「気持ちの整理がついて、もう戻らないって自信がついたら、ひとみちゃんが待っててくれるのなら、戻るつもり。」
「よしこは、待ってるよ。そーゆー奴。」
78 名前:番外編ー決意ー 投稿日:2006/03/14(火) 15:17
「よしこが言ってたんだ。梨華ちゃんの笑顔を守りたいって。わかるなぁ〜。梨華ちゃんの笑顔は太陽みたいだよ。ごとーも好きだよ。」
そ、そんなこと…
「梨華ちゃん、真っ赤だよ〜!?かぁわいぃ〜♪」
「もう、ごっちん…」
「さて、ごとーは帰るよ。バイバイもさよならも言わないよ。また、会えるんだよね?」
「うん!またね!」
ごっちんは、ドアのノブを持って背中を向けたまま
「4月12日…」
「4月12日?」
「4月12日、20歳になるんだ、よしこ…」
「…わかった。」
そのまま、振り返らずごっちんは病室を後にした。
79 名前:番外編ー梨華ちゃん視点ー 投稿日:2006/03/14(火) 15:25
その夜、幼馴染の柴ちゃんに電話した。
結婚して神奈川のマンションを買って、半年もしないうちに、旦那さんが大阪に転勤になってしまった。
柴ちゃんは仕事がある為、旦那さんは単身赴任。週末に旦那さんが帰ってきたり、柴ちゃんが会いに行ったり…。
しばらく居候させてほしいこと、あの人のこと、ひとみちゃんのことを話した。
将来、子供部屋にしょうと思ってた部屋が空いているから、いつでも引越してOKとのこと。
80 名前:番外編ー梨華ちゃん視点ー 投稿日:2006/03/14(火) 15:41
中澤さんには会ってちゃんと話さなきゃ…
「なんや石川、改まって話って…」
「じつは、しばらくここから離れようと思ってるんです。」
「…どうゆう事や?」
「このまま、今までの生活に戻って、あの人から連絡がきたら…自信ないんです。」
「石川…。」
「ひとみちゃんに、好きだって言われたんです。」
中澤さんは、何も言わない。
「私も好きです。ひとみちゃんのこと。だから、離れます。」
「…戻ってくるんやろ?」
「はい。必ず…」
「そっか…。社長にはウチから言うておく。辞めるんやない。休職や。」
「でも、それじゃ…」
「あんたが帰ってくるまで、仕事はウチ1人でこなしたる。」
「中澤さん…」
「必ず、戻ってくるんやで。」
「はい。」

退院と同時に、この町を離れた…。
81 名前:番外編ー中澤さん視点ー 投稿日:2006/03/14(火) 15:55
石川の休職を社長に話した。
「事務は2人でも少ないくらいなのに、中澤1人でこなすのは、無理だろう?」
「何時までかかってもこなします。こなしますから、石川の席はこのまま残してください。お願いします。」
初めて社長に頭を下げた。
「よせよせ、中澤らしくない。石川に席は残すよ。しかし、無理して中澤が体壊したら意味無いだろう?」
「そこまだは、しませんがな…」
「まぁ、事務は中澤が1番わかってるんだから、よろしくな。石川はいつ頃戻るんだ?」
「…春には。」
「う〜ん…。年度末は厳しいから、バイトで対応するか。」
そういって、席を立つ。
とりあえず、石川の席は確保や。 
あとは、仕事やな。絶対、穴は開けへん。
82 名前:番外編ー中澤さん視点ー 投稿日:2006/03/14(火) 16:05
翌日から、連日の残業。
月末は、午前様も当たり前。
そんな、状況がわかったのか、吉澤が毎日、弁当を持ってくる。
「中澤さん!夕飯の時間ですよ〜!」
「おぉ〜、もう少しで一区切りやねん!」
「じゃ、待ってます。」
「まったく、アンタは家で食べればいいやろ?」
「中澤さんが寂しいと思って…」
寂しいのは、アンタやろ。
「おまたせ、ほな食べようか?」
「いただきま〜す♪」
「そんな、慌てんと!?ゆっくり食べぇ!!」
「…は〜い…」 口尖らせて返事するなぁ、小学生みたいや。

石川、待ってるで
83 名前:番外編ーその後ー 投稿日:2006/03/14(火) 16:25
今日からゴールデンウィーク突入!!
梨華ちゃんが、迷惑かけたからって、ごっちんと中澤さんを我が家にご招待。
あの日、ウチの誕生日、いっぱい話をした。今までの事、お互いの気持ち。
初めて結ばれて、初めて一緒に眠って、初めて一緒に朝を迎えて、
ウチの名前を呼びながら、登り詰める梨華ちゃんは、とてもきれいだった。
ウチは、すごく幸せなんだよ。
「ねぇ、梨華ちゃん、今、幸せ?」
「…何?どーしたの、急に」
「答えてよ?」
「幸せだよ、すごく」
その笑顔…その笑顔をね守りたいって思ったんだよ。好きって意識する前に。
ウチにはさ、梨華ちゃんの笑顔に勝るものなんてないんだ。
「よかった…」
84 名前:月と太陽 投稿日:2006/03/14(火) 16:37


     END




85 名前:すえきち 投稿日:2006/03/14(火) 16:45
  月と太陽 番外編を含め、以上で終わりです。

月と太陽は、作者の勝手なイメージでして、
月はよっすぃ〜、太陽は梨華ちゃん 
正反対のようで、そうじゃない。
まったく違う個性で、それでも、お互いに輝いてる。
そんな、2人のイメージをそのままタイトルにしました。

 ありがとうございました
86 名前:ルン 投稿日:2006/03/15(水) 22:43
すえきち様、完結お疲れ様です。
本編で謎だった部分も番外編の方で描かれていてスッキリしました。
おもしろかったです。
87 名前:すえきち 投稿日:2006/06/11(日) 21:07



ご無沙汰です!


短編を1つ
88 名前:すえきち 投稿日:2006/06/11(日) 21:14

今日はハロモニの収録。 今は休憩で思い思い過ごしている。
「よ〜しこ!」
「ん?」 あぁごっちんかぁ
「ごっちん、どーしたの?」
「来週の木曜OFFでしょ?」
「うん、そーだけど…」 その日は梨華ちゃん家に前の日からお泊り。
「午後からちょっと付き合って貰いたいんだけど…」
 う〜ん、どーしようかな?
「あっ梨華ちゃんのOKはもらってるから!」
 うぇぇ!?そーなの? 梨華ちゃんがいいんなら…
「うん。いいよ」
89 名前:約束 投稿日:2006/06/11(日) 21:28
明日はOFF。 梨華ちゃん家にお泊りするの、久しぶりだなぁ♪
ピンポーン! 「は〜い!」 
「梨華ちゃん、ウチだよぉ」
「今、開けるね」 オーロックを解除。速攻で部屋に向かう。
玄関の前に着くとちょうどドアが開いた。
「いらっしゃい」そう言って抱きついてきた。
「どーしたのさぁ?」 
「淋しかったから…ひとみちゃんの匂い、好き…」
あのぉ、ウチも同じで久しぶりの梨華ちゃんの感触に、壊れそうなんですけど…
「・・・梨華ちゃん・・・」 我慢できないっす!
抱き締めたまま唇を奪う。何回も何回も…
「・・・ぅん・・はぁ・・ひとみちゃん・・」
潤んだ熱っぽい瞳で見上げてくる。
「・・・ベット、行こ。」 俯いたまま頷く。
ベットに横たわった梨華ちゃんのパジャマのボタンを外す。
はだけたシャツの下には何もつけていない地肌で、双方の先端は固くなっていた。
「・・ひとみちゃん・早くぅ」
ウチは導かれるように胸に顔を埋めた。
90 名前:約束 投稿日:2006/06/11(日) 21:34
久しぶりの行為の後、気だるさの中、眠りに付いた。

「ひとみちゃん、もぉ起きないと。ごっちんとの待ち合わせ遅れるよ。」
「....ぅん..」起こされて時計を見るともう12時だった。
「おはよう、ひとみちゃん。」 ちゅっ! と音を立てたキス
「・・おはよ、梨華ちゃん」腕をつかんでベットに引き込み、本格的なキスをした。
「・・だぁめだよぉ・・ごっちん2時前には来るって・・」
「じゃぁ、1回は出来るよ。」
91 名前:約束 投稿日:2006/06/11(日) 21:39
シャワーを浴びてキッチンに行くとごっちんが居た。
「はよ、よしこ」「はよ。早いね?」
「今開き時間なんだよぉ。3時間も」
「ひとみちゃん、もう出れる?」
「いいよ、行こうか」
3人で部屋を出ると、大通りでタクシーに乗った。
 どこにいくんだろぉ? 梨華ちゃんのほうを向くと首をかしげていた。
92 名前:約束 投稿日:2006/06/11(日) 21:48
タクシーを降りると教会の前だった。
「…ごっちん?」
「いいから、一緒に来て」
そう言って先に行くごっちんの後を2人で追いかける。

ギィィィィ
軋むドアを開け入っていくと、新旧娘。メンがいた。
「ちょ、どーゆーこと?」
「…よしこ、憶えてないの?」
 えぇ?
「17歳の誕生日の次の日、ごとーに何を言ったか」
 憶えてるよ。忘れたことなんて一回もないよ。
「忘れるわけないじゃん…」
93 名前:約束 投稿日:2006/06/11(日) 21:56
「…ひとみちゃん、何?」
不思議そうな梨華ちゃん。
「今日、今からやるから。梨華ちゃんに言ってないの?」
言ったよ。言ったから、言ってOKだったから、ごっちんに宣言したんじゃん!
「・・・言ったよ。17歳のウチの誕生日に・・」
「・・・ひとみちゃん・・」
「2人とも、着替えてきて!準備してあるから。」
2人で更衣室に行こうとしたら、矢口さんが
「ご、ごめんよっすぃー。オイラの事で20歳の誕生日はそれどころじゃなかったもんな」
「・・矢口さんのせいじゃないです。」
20歳の誕生日から、今日まで、いろいろありすぎ。
矢口さんの脱退、梨華ちゃんの卒業、久住の加入、スフィアリーグ開幕、あいぼんの謹慎。
94 名前:約束 投稿日:2006/06/11(日) 22:04
17歳のウチの誕生日。
「ウチが20歳になったら、結婚しよう」 梨華ちゃんにプロポーズした。
「・・・ひとみちゃん・・」
「戸籍的には無理だけど、ちゃんと両親に紹介して、結婚式しよう。で、同棲じゃなくて新婚生活を始めよう。」
泣き笑いで頷いてくれたんだよね。

でも、未だに中途半端な同棲生活。
両親にも話したし、お揃いの指輪も買った。
でも、式と新居はまだだった。
忙しい。体だけじゃない。精神的に疲れてる。
そんなときほど、隣に居てほしい。毎日。
95 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/12(月) 19:04
まだあるんですよね?
う〜、続き書きになる〜!w
96 名前:すえきち 投稿日:2006/06/12(月) 21:09
>95様
レスありがとうございます。
まだ、続きます。w
97 名前:約束 投稿日:2006/06/12(月) 21:19
梨華ちゃんと更衣室に向かった。
それぞれ部屋は別。 それにしても、よくみんな集まったなぁ…
真っ白なタキシード。
めちゃピッタリなんですが…
更衣室を出ると、ごっちんが壁に寄りかかって立ってた。
「ごっちん、ごーゆーことなの?」
「んぁ?よしこの誕生日頃がよかったんだけどさぁ、みんなライブとかあったし、卒業発表もあったし…」
黙って見つめるウチに
「はぁ、コンコンと、まこっちゃんが居るうちにってね。あいぼんの復帰まで待とうかと思ったけど、2人は卒業したらなかなか会えなくなるでしょ?」
「ごっちん・・・」
「がんばってるリーダーに皆からのプレゼントだよ。言い出しっぺはごとーだけど、全部仕切ったのは裕ちゃんだから。」
そんな気がしてたよ。
「みんなに感謝しなきゃねぇ」
「あいぼん、来てくれるかなぁ…」ごっちんが淋しそうに呟く。
98 名前:約束 投稿日:2006/06/12(月) 21:25
ギィィィィ
ドアの軋む音。
「あいぼん、遅い!!!」 ののの大きな声。
ごっちんと2人、ドアへ駆け寄る。
「ごめん。迷っちゃって…」
「「あいぼん!!」」 
「ごっちん、ごめん。」
何も言わずにあいぼんの頭をぽんぽんと叩く。
「よっすぃ〜、おめでと!」 
「ありがと」 うれしそうに抱きついてきた。
「梨華ちゃん、大事にせーや!!」
「おぅ!任しとけ!!」
「吉澤、そろそろ始めよかぁ」
中澤さんの声に振り向き、ウチは今更緊張してきた。
99 名前:約束 投稿日:2006/06/12(月) 21:27
祭壇で1人梨華ちゃんを待つ。
まだ、ウエディングドレス姿を見ていない。
パイプオルガンの演奏が始まり、軋むドアが開くと、天使がいた。
100 名前:すえきち 投稿日:2006/06/12(月) 21:28
ちょっこす更新しました。
ちまちまと少しずつですが、進めて行きたいと思います。w
101 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/13(火) 14:45
誓いのキスを楽しみにしてます♪
102 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/14(水) 19:51
いいですね〜。続きも楽しみにしてます
103 名前:約束 投稿日:2006/06/18(日) 16:21
梨華ちゃんは、真っ白なウエディングドレスに身を包み、はにかんだ笑顔でバージンロードをゆっくり歩いてくる。
ウチはただじっと見つめていた。 
ずーっと見たかった姿。 想像以上に綺麗で、自然と涙が溢れてきた。
ウチの元にきた梨華ちゃんが、ウチの頬に触れる。
「なんで、泣いてるの?」
「梨華ちゃんが、綺麗過ぎて・・・」
何も言わないで腕を組んできた。

「吉澤ひとみ、あなたは健やかなる時も病める時も石川梨華を愛し続けることを誓いますか?」
「誓います」
「石川梨華、あなたは健やかなる時も病める時も吉澤ひとみを愛し続けることを誓いますか?」
「誓います」
104 名前:約束 投稿日:2006/06/18(日) 16:25
「では、誓いのキスを…」
ウチは梨華ちゃんと向き合い、顔にかかっているベールを捲る。
恥ずかしげな笑顔の梨華ちゃん。 ウチを見つめる瞳。
「梨華ちゃん、愛してる」
そっと、唇に触れた。
105 名前:約束 投稿日:2006/06/18(日) 16:31
唇が離れた時、梨華ちゃんが
「私も愛してるよ、ひとみちゃん」

ずっと、ずっと、夢に見てた結婚式。
急だったから、指輪を持ってきてなくて、式での交換は出来なかった。
でもさ、愛をみんなの前で誓えたことが、すごく幸せだなって…
そう、思うんだよ。
106 名前:約束 投稿日:2006/06/18(日) 16:35
式が終わって、普通なら外で“ライスシャワー”するんだけど、
ウチ達は世間に内緒の夫婦だからそれは出来なくて、
中で、写真を撮った。ツーショットに全員の集合写真。4期4人。
そして、もうすぐ旅立って行くコンコンと麻琴と4人で。
107 名前:約束 投稿日:2006/06/18(日) 16:40
撮影が終わると、仕事の空き時間に来てくれたメンバー達は仕事に戻って、残ったメンバーには、冷やかされて、でも、すっごくうれしくて、みんな最高だよ!
みんなのスケジュールを確認して、教会を押さえてくれた中澤さん。
スタイリストさんにウチと梨華ちゃんのサイズを聞き出して、ドレスとタキシードを用意してくれたごっちん。
ほんと、感謝してます。
108 名前:約束 投稿日:2006/06/18(日) 16:45
式が終わって、梨華ちゃんと2人家に帰る。
みんながくれたお祝いを抱えて。
「梨華ちゃん」
「ん?何?」
「改めて、至らない夫ですが、よろしくお願いいたします」
正座して三つ指ついて頭を下げてみました。
「こちらこそ、不束な嫁ですが、よろしくお願いします。」
梨華ちゃんもウチのまねをして、頭を下げる。

「2人で、幸せになろう。愛してる」
ウチは梨華ちゃんを、抱き締めた。
109 名前:すえきち 投稿日:2006/06/18(日) 16:48
 『約束』 完結です。
呼んでくださった方々の、期待に応えられたかわかりませんが、
2人の幸せを作者は願っております。
110 名前:ルン 投稿日:2006/06/18(日) 18:11
完結お疲れ様です。
こんな仲間がいたら最高ですよね、私も2人の幸せを祈ります。
111 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/19(月) 02:03
完結お疲れ様です☆そして甘いいしよしありがとう。
次回作もまた楽しみにしてます♪^^
112 名前:すえきち 投稿日:2006/06/21(水) 19:32
>110ルン様
>111名無飼育様

ありがとうございます。

また懲りずに短編を・・・
113 名前:バカみたい 投稿日:2006/06/21(水) 19:35
はぁ・・・ 最近ため息ばっかだなぁ・・・
仕事は順調。とりあえず、順調。
今もミュージカルの稽古中。
休憩に入ったとたん、ため息・・・

はぁ・・・
114 名前:バカみたい 投稿日:2006/06/21(水) 19:44
付き合った1年の恋人は目に前で、三好ちゃんに遊ばれてる。
仕事ではここんとこ、毎日のように会ってる。
それでも、同期のよっすぃ〜への接し方。
まぁ、仕事場なんだしぃ、お互いリーダーだしぃ、当然の接し方。
しかーし、予定が合わなくてもう3ヶ月以上、お泊りなし!
とーぜん、ボディタッチなし!!
はぁ・・・ため息も出るってもんです。
115 名前:バカみたい 投稿日:2006/06/21(水) 19:53
梨華ちゃんは、なんとも思わないのかなぁ・・・
いつの間にか、立場が逆転してる気がする。
前は、よっすぃ〜!よっすぃ〜!って、いつでもどこでも纏わり着いてきたのに、
最近は全然平気そう。
それに引き換え、ウチは纏わり着かれると、ウザイ!ウザイ!言ってたのに、
今じゃ梨華ちゃんが纏わり着いてくるのを、待ってる。
気がつくと、目で追ってる。
いっつも、見てる。
はぁ・・・梨華ちゃん・・・
116 名前:バカみたい 投稿日:2006/06/21(水) 20:52
今日は7時に仕事が終わり、まっすぐ家に帰った。
梨華ちゃんは、取材が3件入ってて、その後ラジオの生放送。って三好ちゃんと話してた。
はぁ・・・
一緒に終わりなら、ご飯でもって思ったのにぃ。
麻琴や5期メンに誘われたけど、梨華ちゃんの事でいっぱいいっぱいのウチは直帰した。

はぁ・・・
117 名前:バカみたい 投稿日:2006/06/21(水) 21:24
家についても、携帯を無意識にチェックしてる。
ウチからメールしないと来ることはない。
もぉ終わりかなぁ・・ 終わりなのかなぁ・・
食欲もなくて、お風呂に入ると部屋のベットに転がる。
1時かぁ・・マンションに帰るには1時半くらいだろーなぁ
行ってみようか・・ 待ち伏せとかぁ? ストーカーかよ!?
はぁ・・・ 梨華ちゃ〜〜〜〜ん!!!
118 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/27(火) 00:10
続きが気になりますな。
よっすぃーは尻に敷かれているのか。そうかそうか。w
119 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/13(木) 00:37
よっすぃ〜だいじょうぶかーーー?
120 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/14(金) 11:49
そろそろ更新を・・・すごく気になってます。
121 名前:すえきち 投稿日:2006/07/16(日) 21:07
>118 119 120様
ありがとうございます。
お待たせしてすいません。
122 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/16(日) 21:13
ウジウジ考えてウチは家を飛び出した。
終電で梨華ちゃんのマンションの最寄り駅に行く。
ー何の連絡もしてないのに・・どーすっかなぁ・・ー
マンションに1番近いファミレスに入ってみた。
もうそろそろ生放送が終わる。1時10分になったら携帯に掛けてみよう・・
チーズケーキとレモンティを頼み、携帯とにらめっこ・・・・・
123 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/16(日) 21:18
1時10分
よっしゃっ! pi プルルルルルルル・・・・・
「よっすぃ〜 どーしたの?」
「あ、うん、今日もう終わり?」
「うん。今帰るとこだよ」
「会いたいんだ」
「えっ?だって、もぉ電車・・」
「あ、今、梨華ちゃん家の近くのファミレス」
「・・・いいよ。じゃ、タクシー来たから」
「う、うん・・」 プープープー
ぎ、ぎこちない・・
124 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/16(日) 21:27
タクシーがファミレス前に止まった。
目深に帽子を被った梨華ちゃんが降りてくる。
携帯が鳴った。
「よっすぃ〜お会計して。私テイクアウト頼んであるからお家で話そ」
「わかった・・」
話ってなんだろう? 別れ話かなぁ?
先に外で待っていると、結構大量な荷物にびっくり!?
「そんなに買ってどーするの?」
「ん?話した後に食べようと思って・・」
2人で並んで歩くの久しぶりなのに、会話が弾まない。
 はぁ〜・・・

玄関に入ると、梨華ちゃんの匂い。 部屋中が梨華ちゃんなんだよ、この部屋は。
「よっすぃ〜、先に話する?」
「えっ?」
梨華ちゃんが俯きながら
「別れ話しに来たんでしょ?」 って・・・
「・・うぇぇぇ・・・・・ 梨華ちゃんがそーしたいんじゃないの?」
「なんで私がよっすぃ〜に別れ話しなきゃいけないの?」
125 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/16(日) 21:42
ちょっと、待て!!
なにかい? ウチ達はお互いに捨てられると思ってたのかい?
それで、お互いよそよそしくなったのかい?
 ・・ある意味、バカップル・・
「ひとみちゃん、なんか私達勘違いしてたんじゃない?」
久しぶりに名前を呼んでくれた。
「うん。お互いに捨てられるって思ってたんだね」
「ふふ・・どーしよう、これ・・」
さっき買ったファミレスのテイクアウト品
「やけ食いように買ったの。2人でも多いよね」
そー言う梨華ちゃんのウチにだけ見せる子供っぽい笑顔。
そっかぁ、やけ食いするつもりだったのか・・
「ウチ、夕飯食べてないから一緒に食べよっか?」
「うん。あっそーだ!シャンパン飲まない?」
「シャンパン?梨華ちゃん1人で飲むの?」
「飲まないよ!この間保田さんにもらったの。卒業1周年だって・・」
126 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/16(日) 21:53
ウチ、卒業1周年も、付き合って1年の記念日も、なんもしなかった・・・
「ひとみちゃん、明日早いの?」
「ううん。午後からミュージカルのリハだけ」
「私と同じだぁ・・じゃ、泊まってくでしょ?」
「うん。いい?」
「いいよ。うれしい・・」
保田さんにもらったシャンパンはずっと冷蔵庫の中に居たので冷え冷え
泡が溢れないようにキッチンで栓を抜き、リビングで梨華ちゃんと乾杯した。
127 名前:すえきち 投稿日:2006/07/16(日) 21:55
本日は以上です
少量ですが更新しました
128 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/16(日) 23:45
ホント、バカみたいな勘違い。w
129 名前:ルン 投稿日:2006/07/17(月) 00:28
更新お疲れ様です。

いいですね〜、バカみたいな勘違いをしてしまうほど好きなんですよね。
130 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/17(月) 18:35
「梨華ちゃん、ウチ卒業1周年も付き合って1年のお祝いもなんもしてなかった。ごめん。」
シャンパンで酔ったせいか、自分が情けないせいか、涙が溢れた。
「・・恋人失格・・だね・・」
「お祝いとか、記念日とか、関係ないの。
 会える時にだけじゃなくて、会いたいって思った時にね、会えればいい。
 思っても絶対に無理な時ってあるけど、そんな時は声を聞きたい。
 恋人失格なんて、思ったこと1回もないよ。
 だから、泣かないで。ね?」
そう言って、涙を拭ってくれた。
131 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/17(月) 18:44
お酒に慣れてないウチ達は、見事にシャンパンに飲まれてしまい
何時になく饒舌になって初めて会った頃の話から、最近のバカな勘違いの話まで
笑いながら話続けた。
「もぉ、5時だよぉ〜。お風呂入って寝ないとぉ〜」
「梨華ちゃん、酔ってお風呂は危ないよぉ〜 シャワーだけ軽く浴びて、明日にしなよぉ」
「う〜ん・・ひとみちゃんは?」
「ウチ、入ってきたもん!」
「え〜 じゃ1人で入ってくるぅ・・」
「なにそれ?一緒に入りたかったの?」 いじわるを言ってみた
「・・うん・・久しぶりに一緒に入りたかった。」
な、なんですと!?
「朝は一緒に入ろうね♪」 そう言ってバスルームへ・・・
132 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/17(月) 19:11
はぁ〜〜〜〜
フローリングに転がってみた。
もぉ、無意識な天然フェロモン、どーにかなんないかい?
酔いとは別に、胸がどきどきしてる。
どっから見てもエロいってさぁ、罪よねぇ〜 ウチの彼女はさぁ

なんて酔っ払いの戯言を言ってたら
「そんなとこで寝たら風邪ひくよ!」って甲高い声
うぅ〜ん 伸びをしながら梨華ちゃんを見ると・・・
133 名前:すえきち 投稿日:2006/07/17(月) 19:25
>128 名無飼育様
>129 ルン様
ありがとうございます
タイトルの意味、わかって頂けましたか?w
134 名前:gung 投稿日:2006/07/17(月) 19:44
い、いいところでっ!!
読者泣かせですかwww
135 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/17(月) 22:42
>梨華ちゃんを見ると・・・
梨華ちゃんを見ると・・・、なにぃ?!なんなの?気になるぅ〜!w
136 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/18(火) 08:05
うわっ!いいところでw
きっきっ気になる〜
137 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/18(火) 17:54
すえきちさんって、よっさんねるで書いてる、すえきちさんですか?
138 名前:すえきち 投稿日:2006/07/18(火) 18:37
>gung様
>135様
>136様
すいません。いやらしい止め方で!?過剰に期待しないでくださいw
>137様
恥ずかしながら、そうです
139 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/18(火) 18:42
あのさぁ〜 髪をアップにしてるだけで、色っぽいのよ!
肩なんか出た洋服着ただけで、色っぽいのよ!
ミニスカートに生足で、エロいのよ!
お風呂上りってだけで、エロいのよ!
ね? 1つだけで充分ウチのスイッチ入れちゃうわけよ!
そーれが、1度に全部やられた日にゃ〜・・・
まったく、歩く天然フェロモンがっ!?
140 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/18(火) 18:46
「ウチが風邪ひく前に梨華ちゃんがひくよ!」
「え〜 そんなことないよ!」
「なんでさ?」
「だって、これからひとみちゃんが熱くしてくれるから♪」
そんな事をかわいく言うな!!!
寝室でお肌のお手入れをする梨華ちゃん。
まったく、バスタオル1枚でそんな事言うかぁ?
はぁ〜〜〜
理性がモタナイヨ・・・
141 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/18(火) 18:53
ドレッサーに向かう後姿。
やばい・・もぉ押し倒したいんです。
見てるだけで、息が荒くなるウチは・・たまってる?

も、もぉダメだ・・
「梨華ちゃん・・」
後ろから抱き締めた。うなじ、肩、背中にキスをする。
「・・ひとみちゃん、髪乾かすまで待って・・」
「無理!限界!梨華ちゃんが欲しい・・」
もぉ〜〜って立ち上がった梨華ちゃんを正面から抱き締めると、梨華ちゃんからキスしてきた。
バスタオルを床に落とし、背中、腰、お尻を撫で回す。
142 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/18(火) 19:33
早く、欲しいんだ・・
ベットに押し倒し、闇雲にキスをする。
優しくとか、じっくりとか、そんなの考えられなくて、欲しい、梨華ちゃんが欲しい
こんな独占欲がウチにあったのか?って思うくらいに・・
それが梨華ちゃんに通じてしまったのか
「ひとみちゃんの好きにして・・」
こ、こんなこと言われたら、暴走しちゃうよ!?
耳、首筋、鎖骨、キスをするというより舐め回すに近い。
胸、背中、腰を這い回る手。
梨華ちゃんの艶かしい声に、ウチの頭はシビレテイク。
143 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/18(火) 19:44
「もぉ、激しすぎるよぉ」
まだ荒い息の梨華ちゃん言う。
「だって、好きにしていいって言ったじゃん!」
「言ったけど・・」
何回、梨華ちゃんは昇り詰めたのかわからないくらい、ウチは執拗に求め続けた。
休む間もなく、何回も、何回も・・
シーツには幾つものシミが出来ていた。
「まだ、足りないくらいだよ」
「えっ?足りないの?」
「うん、ウチすげー独占欲強いみたい。梨華ちゃんの全部が欲しいよ」
「全部、あげたじゃない」
確かに、あんな顔は誰も知らない。
でも、もっと、もっと、誰も知らない、ウチだけしか知らない梨華ちゃん、見せてよ。
144 名前:バカみたい 投稿日:2006/07/18(火) 19:56
まだ呼吸の乱れたまま。
まだ乾いていないソコに顔を埋める。
「ちょっ・・・ぁぁ・・ん・・はぁ・だめ・・だよぉ・・」
溢れてくるココはダメじゃないみたいだよ
「もっと、感じてよ。ウチだけ、感じて・・」
「・・はぁ・・感じて・るぅ・・・ああん・・ひとみちゃんだけ・・・」
うつ伏せにして腰を持ち上げる。
中に入りながら、背中に口付ける。
ウチの動きに合わせる用に声を上げる。
弓反りになって痙攣する体。
ウチの名前を呼びながら高くなる声。
何回も梨華ちゃんの名前を呼ぶウチ。

誰も知らない梨華ちゃん、もっと見せて
バカみたいな独占欲。
もぉ絶対不安にさせないから
145 名前:すえきち 投稿日:2006/07/18(火) 19:58
バカみたい 完結です。
呼んでくださった方、ありがとうございました。

これから春コンDVDを見たいと思いますw
146 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/18(火) 23:34
萌えすぎてバカみたいです…
147 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/19(水) 07:44
期待通り良い展開でしたw
お疲れ様でした。
148 名前:すえきち 投稿日:2006/07/31(月) 04:32
 >146様
 >147様
ありがとうございます

また、短編を・・
149 名前:涙雨 投稿日:2006/07/31(月) 04:37
連日のミュージカルの稽古。ウチは集中出来てない。
もういいかげんにしなきゃなぁ・・

ってことで、稽古後、梨華ちゃんに話があるから残って欲しいと伝えた。
怪訝そうな顔をしてたけど、一応OK。

カチャッ
ウチ以外誰も居なくなった楽屋のドアが開いた。
150 名前:涙雨 投稿日:2006/07/31(月) 04:43
「疲れてるのに、ごめんね」
「ううん。よっすぃ〜、話って何?」
「うん・・・」
わかってる。口にしたら、すべてが終わる。
「ウチ、梨華ちゃんのこと、好きなんだ。」
「・・えっ?・・」
「好き、なんだ。・・LIKEじゃ、なく、LOVE」
固まってしまった梨華ちゃん。
わかってただろ!! まだ、拒絶されてないだけ、ましだろ!!
151 名前:涙雨 投稿日:2006/07/31(月) 04:51
「同期で、仲間でって思ってた同性のウチにこんなこと言われても、迷惑でしかないってわかってる。」
「よっすぃ〜を、そーゆー風に見たことないから・・」
「うん。」
「だから、ごめんね」
「いいんだ。結果なんて、わかってたから
 ウチが、もぉ踏ん切りつけなきゃって、思っただけだし、梨華ちゃんが謝る事ないし、気にすることないよ」
八の字眉の梨華ちゃん。
長かったなぁ・・片思い・・
やっべぇ、泣きそう・・
152 名前:涙雨 投稿日:2006/07/31(月) 04:57
「呼び出しといて悪いんだけど、1人にして、欲しい」
梨華ちゃんの前じゃ、絶対に泣かないって思ってたのに、一旦流れてしまった涙は簡単には止まらない。
「よっすぃ〜」
しゃがみこんで泣いてるウチの肩に梨華ちゃんの手が・・
「優しくしないで!ごめん」
梨華ちゃんの手をそっとどかすと、梨華ちゃんは楽屋から出て行った。
153 名前:涙雨 投稿日:2006/07/31(月) 05:02
誰も居ない楽屋にウチの泣き声だけが響く。
好きだって言ったら、もう戻れない。
梨華ちゃんはきっと今まで通りに接してくれるだろう。
けど、ウチは、ウチには・・
ほんとに大好きで、大好きで
行き場の無くなったウチの思いを、今、全部、涙と流れてしまえ
154 名前:涙雨 投稿日:2006/07/31(月) 05:09
pipipipi・・
携帯に出ると、まいちんからで
『梨華ちゃんがよっちゃんのこと、泣かしちゃったって。』
「まいちん、ちゃんと言ったよ」
『そっかぁ、言えたか』
「うん。言、えた・・」
『早くおいで。アヤカと待ってるから』
「うん。今から行く」
涙でぐしゃぐしゃの顔で楽屋を出た。

梨華ちゃん、明日からはただの同期になるから、今日までは大好きで居させてください。
155 名前:すえきち 投稿日:2006/07/31(月) 05:10
“涙雨” 以上です。
156 名前:ルン 投稿日:2006/08/01(火) 23:33
更新お疲れ様です。

いしよしガチ!の自分としては悲しい結末でした。
157 名前:すえきち 投稿日:2006/08/12(土) 18:21
>ルン様

レス、ありがとうございます
基本ハッピーエンドなんですが、夜中に思いつきで書いたせいか、
初の悲しい結末になってしまいました。
158 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/06(日) 06:33
我が愛しのすえきち様は今頃どこで何をしているのでしょうか?

早く帰って来てくださいよう〜。

お待ちしています すえきち様。
159 名前:すえきちファン 投稿日:2007/05/21(月) 12:44
作者さまぁ〜!お忙しいとは思いますが、せめて 生存報告でも
お願いしまぁすぅ〜。
            我が侭言ってごめんなさいね。

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