Last judgment

1 名前:NALS 投稿日:2006/03/07(火) 15:12
多分きっと、あやみきだと思います。
ただ、明るい話じゃないです。

週一更新を目指します。

月9ドラマ感覚で楽しんでいただければ幸いです。
2 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:13




3 名前:Last 投稿日:2006/03/07(火) 15:13
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

愛していた。

愛していたかった。

触れ合った。

触れ合っていたかった。

―――――それが、罪だというのですか?

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
4 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:15
亜弥ちゃん、と声をかけると、美貴の肩にもたれかかって
閉じていた目を細く開け、そのまま上目遣いに美貴を見上げた。

「大丈夫?」

ん、と小さく頷く彼女に「そっか」と頷いて、美貴は窓の外に
視線を移した。話は終わったと解釈したのか、亜弥ちゃんの頭が
再び美貴の肩に乗る。その表情は、疲れていた。

亜弥ちゃん………

声は出さず、唇だけを動かして名前を呼ぶ。
当然、返事はなく。
小さく息を吐き出して、美貴も目を閉じた。
5 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:16
窓にあたる雨音が、強くなった気がする。
強くなったのは雨なのか、それとも風なのかは分からない。
とにかく、パチパチと窓を叩く音が耳障りだった。
それに加え、二人掛けの座席はとても固くて腰が痛い。
とても、熟睡できるような環境ではなかった。

ねぇ、亜弥ちゃん

美貴たち、どこで間違っちゃったのかな?

美貴たちは、ただ。

ただ、二人で一緒にいたかっただけなのにね………
6 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:16


7 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:17
結婚しよう。

目の前にいる男の口から漏れる言葉。
陳腐なセリフだと思わずにはいられなかった。

「美貴が成人式を迎えたら、結婚しよう」

それは求婚というより、確認に近い意味を持つ。
今更、契りの言葉というのは必要なかった。
自分たちの婚姻は、随分昔から決められていたことだから。

「一緒に家庭を作ろう」

おかしい。

真面目な顔をしてこんなセリフを使っている彼も

「ん………」

頷いているのか、そうでないのかよく分からない
あやふやな返事をしている美貴も。
8 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:17
幾度目になるかも分からない、夜の二人きりの部屋。
二日に一度、決まった時刻になると美貴の部屋にやってくる彼。
その行為は美貴に、昔、学校で習った『夜這い』という言葉を
思い浮かべさせた。

「もう、寝る?」
「ん………」

触れ合っていた肌が離れ、薄暗い視界とまどろんだ意識の中
美貴は彼に背中を向ける格好で布団を被った。
いつものことだ。
美貴にできる、精一杯の抗議の証。
彼がそれに気がついているのかどうかは分からないけれど
美貴がそういう行動に出てしまった以上、何も手を出すことは
できないらしく。

「また明後日」

そう言って帰って行く彼を、また滑稽に感じ、それに
肯定とも否定ともつかない曖昧な返事を返す自分も
それはまた、滑稽だと思った。
9 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:18
政略結婚。

美貴と彼は、そんな関係なんだろうか。
彼が帰ったことを確認して、ベッドから起き上がる。
ずり落ちた布団からはだけたあまり豊満とはいえない
自分の乳房や、さらにその下を、しばらくぼーっと眺めていた。
鎖骨のあたりに手を当て、恐らくついている跡をそっと撫でる。

自分たちは、今までここで何をしていたのだろう。

そんな考えが、頭を過ぎった。
そんなもの、名前を付けてしまえば『男女の営み』。
中学生くらいの年齢だと『セックス』という名で呼ばれ
笑い話の対象となる行為だということは分かっている。
けれど、どちらにせよ、その行為に恐らく最も必要なものが
美貴たちには欠けていた。
10 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:19
「結婚しよう」

そんな言葉を発する彼にも、それは存在しない。
それは紛れもなく『愛』だった。
彼が行為の度に呟く言葉よりも陳腐で、けれど、他の
どんな言葉よりも、貴いもの。

美貴たちは別に、互いを愛してはいなかった。

機械的に、意図的に決められた相手が目の前にいて。
親たちが望む通りの行為をしているだけ。

「家庭を作ろう」

そう言う彼も、本心では自分とそれを作り上げることを望んで
いないのは一目瞭然で。
もしかしたら、それが救いなのかもしれないと思っていた。
彼が本気であったなら、美貴も本気にならざるを得ないから。
だから彼にそんな気がないとわかっているだけ、気が楽だった。
11 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:20
床に散らばっていた自分の服を取り、ゆっくりとそれを
身に着けていく。ちらりと時計に目をやると、あと少しで
やってくる、夜明けの時間。

「キミは、僕と似ている」

初めて身体を重ねた日。
彼はベッドに沈む美貴にそう囁いた。

「キミは、僕と一緒にいてはいけないと思う」

美貴を見下ろす格好で。美貴の目を見つめながら。
その言葉は些か意外で、それでもどこか嬉しかった。
仲間、と言っては少しずれているのかもしれない。
けれど彼の言うとおり、美貴たちはどこか似ていた。
12 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/07(火) 15:21
二人とも愛を求めていた。
相手の身体と、相手が持つ男女の意とは違う愛ではない。
心から愛せる『誰か』を求めていて、けれどもそれを互いに
目の前の相手には求めなかった。

家庭を作ろう、結婚しよう

その言葉はきっと彼が、美貴と、彼自身に言い聞かせるために
言っている言葉なのだと、いつしかそう思うようになっていた。

それを望むことは許されていない。
それはよく分かっている。
けれど、美貴が欲しいのは家庭や地位や旦那ではなかった。

互いに望む恋。

それが、美貴が一番望んでいるものだった。
13 名前:NALS 投稿日:2006/03/07(火) 15:23
とりあえず、今日はここまで。
意見・感想等ありましたら、お願いします。
14 名前: 投稿日:2006/03/08(水) 17:29
すごい続きが気になってそうがないです!次の更新待ってます。
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/09(木) 11:58
さげてくれ
16 名前:NALS 投稿日:2006/03/09(木) 13:25
>>梅様
ありがとうございます!
拙い文章ですが、楽しんでもらえると嬉しいです

>>名無飼育さん様
お気遣い、ありがとうございます。
私自身、sageとかageはあまり気にしないのですが
でもやっぱり、ここではsage進行で行きたいと思います。
17 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:25
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

美貴が昔話をしたら、亜弥ちゃんはなんて言ったっけ?

どうしても思い出せないけど、あの後急に抱きしめられたこと。

亜弥ちゃんの腕の中がとても温かかったこと。

それは、よく覚えているよ。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
18 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:26
その言葉に、新手のナンパなのかと思った。

ジュースの入った紙コップを片手にして、美貴の視線の
先、と言ってもすぐ目の前にいる彼女は、返す言葉がなくて
困っている美貴に、もう一度同じ言葉を言った。

「可愛いね。でも寂しそう」

昼下がりの映画館。
薄暗く照明が落とされたそこは、上映開始までまだ時間がある
せいか、どことなく賑やかで。大人向けのないようの映画だから
その賑やかさは子供の声じゃなくて、大勢のカップルたちの声。
そのなかで、美貴と同じで一人で見に来ていたのだろう彼女。
ぽかん、としている美貴に小さく笑い「隣、いいですか?」と
聞いてきたらから、思わず頷いた。
19 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:27
「あ、あの………」
「初めまして」

いや、そうじゃなくて…と開きかけた口は差し出された
ポップコーンと「食べます?」の言葉に行き場を失い、代わりに
「あ、うん……いただきます」という言葉を生み出した。

「あの、どうして美貴のこと………」

ポップコーンを口に運びながら、美貴は彼女に声をかける。
しかし彼女は聞こえなかったのか、それともわざとなのか
前方に視線を向けたまま「始まりますね、映画」と言った。

映画の内容なんて、ちっとも頭に入ってこなかった。

ただ、この隣にいる少女が気になって。
時折ちらちらと視線を向けてみたけれど、スクリーンをじっと
見つめている彼女は、それに気付きそうもなかった。
20 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:27

寂しそう、か。

再びスクリーンに視線を戻しながら、ふっと笑みが零れた。
隣に居るこの少女が、何を思ってそう言ったのかは分からない。
けれど、あながち間違ってはいないと思う。
確かに美貴は寂しかった。

そしてこの少女も、また。

表情に表れているわけではないのだけれど、なんとなく
この少女に美貴と似たものを感じた。
恐らく、寂しいのだろう。彼女も。

その原因などは、知る由もなかったけれど。
21 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:28
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

ねぇ亜弥ちゃん、覚えてる?

美貴たちが初めて会った日。

まるでマンガみたいな出会い方でさ。

そのときはまだ

こんな関係になるなんて、思ってもなかったけどね。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
22 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:28
気が付くと、画面にはいつの間にか一番の見所、よくテレビの
ワイドショーで紹介されていたシーンが映し出されていた。

自由を奪われた姫を助け出す、孤独なナイト。

しかしそれを阻む亡霊たち。

目指すは自由の国。

誰の目も気にせず、二人で愛し合える場所。

美貴は、どっちだろう。姫か、ナイトか。
ふとそんな考えが頭を過ぎる。
23 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:29
考えてみてから、あぁ自分には姫というキャラクターは
似合わないなと苦笑して、姫というのはこういう子のこと
を差すのだろうと、横目で隣の少女を見た。
画面を見つめ、何を考えているのかよく分からない彼女は
他の客たちが静かに涙を零している中、どこか冷めたような
目で、スクリーンを見つめていた。
不意に、彼女が美貴の方を見る。突然のことで視線を外せず
美貴と彼女の視線は暗闇の中でしっかりと互いの目を捉えた。
ふっと彼女が微笑む。

ありえないですよね

小さく、そう言われた気がした。
彼女の唇を見つめ、その意味を考える。
24 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:30

ありえない。

一体、彼女のそれは何に対しての言葉だったのだろう。
映画のストーリー全般か、音楽や映像の技術か。
もしくは今のシーンのことなのか。

いや、多分、きっと。

彼女の言葉の本質はもっと深い所にあって、美貴はそれに
何となく気付いているけれど、知らない振りをしている。

美貴も、心のどこかで感じていた。

ありえない、と。

カップルたちはこの映画に涙を流すのだろう。
姫とナイトの運命と、それに抗おうとする無力な抵抗に。
二人を見送る王の言葉が、何故かとても耳に残った。
25 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:31
エンディングロールも終わり、徐々にカップルたちが
席を立ち、場外へと歩を進める。
その中にはやはり、泣いている少女が多く。
男たちは、そんな彼女を見つめながらそっと手を繋ぐという
構図が、しっかりとできあがっていた。

「あぁ………」

無意味に小さく呟いてみる。
酷く、興ざめした気分だった。

「あの、」

声をかけられ、その方を見る。
彼女が、じっと美貴を見つめていた。
26 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:32
「終わりましたね」

終わりましたよ、ではなくて、終わりましたね。
会話の続きを求めるような切り出し。

「あぁ、うん、そうだね」

いつの間にか残っているのは美貴と彼女だけになり
入り口の所では、バイトらしき清掃員が二人、邪魔くさそうな
視線を美貴たちに送っていた。

「………出ようか」

何となく、そう声をかけ、美貴たちは連れ立って外へ出る。
ロビーはパンフを買い求める人や、仲良くジュースやスナックを
分け合っているカップルたちで溢れかえっていた。
27 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:32
なんとなく、気まずい。

互いに無言のまま、カップルたちの間に立っている美貴たち。
きっとその光景は相当奇妙に見えるだろう。
奇妙というより、浮いた存在に。

「あの、外、出ません?」

彼女が遠慮がちに声をかけてくる。
そちらを向くと、些か俯き加減になっている彼女の姿。

「なんか、ここ、居心地悪くて……」

おかしな子だ。
出たければ、一人で出ればいい。
美貴たちは一緒に観に来たわけでも何でもないのに。
28 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:33
そう思ってみたものの、居心地の悪さは美貴も感じて
いたことだし、ここに長く留まる理由もない。
それに、なによりも美貴自身が、彼女ともう少し一緒にいたいと
いう想いがあった。理由なんてどこにもなかった。

ただ、一緒にいたい。

彼女のことを、もっと知りたい。

そう思っていた。
だから、美貴は彼女に言った。

「どっか、食べに行こうか」

少しだけ驚いたような顔をして、けれども彼女はすぐに
頷いてくれた。それが無性に嬉しかった。
29 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:34
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

「マックとミスドどっちがいい?」そう聞いたら、亜弥ちゃんは

「どっちも食べたことない」って言ったよね。

あれにはすごく驚いたよ。どこのお嬢様だろうって。

美貴も一応お嬢様なんだけどね。自分で言うことでもないか。

とにかくさ。

マックにもミスドにも、一度も行ったことのない人って

亜弥ちゃんが初めてだったんだ。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
30 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:34



31 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/09(木) 13:35



32 名前:Last 投稿日:2006/03/09(木) 13:35



33 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/11(土) 07:03
NANAを意識されてるのでしょうか?
34 名前:NALS 投稿日:2006/03/11(土) 11:24
>>33 名無飼育さん様
それはないです。
どちらかと言えば、某ドラマの方だと思います。
35 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/12(日) 02:55
>>33
自分はNANA愛読者ですが、別に意識とか思いませんでした。
作者さん、続き待ってます。
36 名前:NALS 投稿日:2006/03/16(木) 09:59
>>35 名無飼育さん様
ありがとうございます。
駄文ですが、これからもお付き合いください。
37 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:00
あっ………と声が漏れた。
それと同時に、彼の手が止まる。

「ごめん……」

そう呟くと、彼は美貴の体から手を離して、近くに放り出され
ていた服を集めると、それら美貴に渡しながらもう一度
小さな声で「ごめんな」と言った。
大丈夫……そう返すと、彼の表情が一瞬、寂しそうに歪められる。
美貴たちはそのまま互いの顔を見ないように、ゆっくりと
ベッドから起き上がった。
申し訳なさそうに俯いている彼。
美貴は渡された服を着ると彼の背中に両腕を回した。
38 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:01
もう帰るよ、と彼が言う。
美貴は引き止めることも理由を問うこともせず、ただ頷くだけ。

彼は、止めて欲しいのか。

そんなはずはないだろう。
彼自身、早くこの空間から逃げ出したくて仕方のないはず。
利害の一致。

二人がここにいることには、何の意味もなかった。

荷物をまとめた彼が、ドアを出る寸前美貴を振り返る。
なにか言いたそうに口を動かして、けれども戸惑っているのか
俯いたり視線を泳がせたり。
39 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:01
「どうしたの?」
「あ、いや………」

なんでもない、と口を閉じ、じゃあと手を振りながらドアの
向こうに消える彼。
その背中をぼんやりと見送ってから、美貴は手を伸ばし
部屋の明かりをつけた。

ぱちん、という音と共に、それまでどこか異空間のような
雰囲気のあったそこが一気に普通の部屋へと戻る。

紛れもない、美貴の部屋。
40 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:02
きっとこの部屋を知らない人が見たら、まさか成人前の
女が住んでいる部屋だとは思わないだろう。
それほどに、ものがない部屋。

机とクッションとベッドとタンス。

それだけしかない部屋。
友達との写真も、プリクラも。
誕生日に貰った小物も。

この部屋には、何もない。
41 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:02
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

覚えてるかな?

亜弥ちゃんが、初めて美貴の家に来たときのこと。

亜弥ちゃん「何もないね」って言ってさ。

笑いながら、自分の鞄についてたプーさんの人形を机の上に
置いてくれたよね。

あのプーさん。

今でもしっかり美貴の部屋でちょこんと座っているよ

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
42 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:03
机に置いていた携帯電話が着信を知らせる。
友達は決して多くないから、連絡をくれる人など限られる。
ディスプレイを確認すると美貴は通話のボタンを押した。

「もしもし、亜弥です」
「うん、久しぶりだね」
「どうしたの?」
「なんとなく、声が聞きたくて」

彼女とは、あの映画の日以来会っていない。
あの後、結局マックへ行って、そこで交換した
携帯のアドレスと電話番号。
いつなら電話をしても平気かと尋ねた亜弥に
いつでも、とそっけなく返したのを覚えている。
43 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:18
「あの」

ぼんやりとしていた頭に、亜弥の声が響く。

「なに?」
「今日、空いてますか?」

今日…と口の中で転がしながら、今日の予定を思い出す。
特に予定は入っていない。

「あぁ…うん、大丈夫だよ」
「あのっ、じゃあ会いませんか?」

それから適当に時間を場所を決めて、と言っても
ほとんど亜弥が一人で喋っていたのだけれど。
44 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:27
「じゃあ、また後で……」
「はい、じゃあ、また」

ぶちっと切れた電話を放り投げ、壁の時計に視線を向ける。
待ち合わせの時間まではまだまだある。
もう一度、ベッドに転がって、ぼんやりと考える。
彼のこと、亜弥のこと。
けれど、いくら考えたところで答えなど出るはずもなく。
美貴はもう一度時間を確認して、目を閉じた。

なんだか、ひどく疲れた気がした。
けれど、亜弥に会うのをどこか楽しみにしている自分がいる。

待ち合わせは、午後1時。
45 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:35
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

あの頃の美貴には、分からなかった。

いや、分からないフリをしていたのかもしれない。

亜弥ちゃんに会ったときから、多分感じていたんだ。

恥ずかしいから、言わないけどね。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
46 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:55




47 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:55


48 名前:Last judgment 投稿日:2006/03/16(木) 10:55


49 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/24(金) 07:15
続きが気になります!楽しみに待ってます。
50 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/04(火) 18:40
wktkしてます
51 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/16(日) 09:13
待ってます
52 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/02(火) 23:29
待ってますよー
53 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/14(日) 22:49
すごく引き込まれます
続き待ってます
54 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/31(水) 02:26
更新しねーのかよ
55 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/31(水) 02:38
はい、ochi〜。

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