四畳半の部屋
- 1 名前:丸九 投稿日:2006/04/06(木) 22:38
- 文才は無いんですが時給自足しないとやっていけそうにないです。
御意見御感想お待ちしてます。
- 2 名前:傘 投稿日:2006/04/06(木) 22:41
-
白く冷えた壁に凭れ掛かる背中はきっと何よりも滑らか。
抱きたいな。厭らしく想像を重ね行き着いた先は、ひどく簡潔に。
「おそいね」
「うん」
一緒にいて苦はない。それでいて、楽とは言えない。
それは、あたしにも彼女にも共通して言える事だと思っている。
女同士がうんぬん、ああ難しい。
彼女の白い肌を見つめて、触れたいと思うことは恋愛じゃあないのか?
尋ねられても、答えられない。
- 3 名前:傘 投稿日:2006/04/06(木) 22:41
- 雨は静かに艶やかに滴り落ちる。
彼女のさらりとした前髪が揺れる度に、傘の位置を少しずらして道の先を見つめた。
- 4 名前:傘 投稿日:2006/04/06(木) 22:42
- 一般的に見たら、ただの可愛い女の子の風貌をしている。
ただあたしから見たら、その辺で地べたに座るような女の子達と比べたら全然清楚なイメージ。
可愛らしい顔とは裏腹に、オトコマエな性格をした少々ずるがしこい女の子。
それだけで説明や補足は充分なくらい、シンプルかつ大胆なおんなのこ。
うーん、わかんないかな。
- 5 名前:傘 投稿日:2006/04/06(木) 22:42
- 「しゃべんないの?」
「うーん、めんどくさい」
「あはは、実はあたしも」
「だと思った。気まずい?」
「んーん、そんなことないよ。でもつまんない」
「我侭だなぁ」
「ごっちんには負けるよ」
- 6 名前:傘 投稿日:2006/04/06(木) 22:43
- 冷えた手をこすり合わせて、熱を保とうとする。
ポケットに突っ込んだ右手を差し出すまいか鈍く迷った挙げ句――やめといた。
会話で関係をつなげるよりも、横にいて傘をさしていることだけで良かった。
いや、本当は良く無い。だけど、頭の隅っこで小さなごとーが必死に呼び掛けてる。
ここからさきは、だめなんだよ。って。
- 7 名前:傘 投稿日:2006/04/06(木) 22:43
-
心許すヒトは、愛しいあの子だけって事。
頭ではちゃんと理解してるから、お利口だもんねあたしの脳味噌。
まっつーの不器用で完璧な笑顔と他愛無い世間話が好きだから、どうってことない。
うん。どうってことない筈なんだよ。
だのに、往生際のワルイ。好き、くらい言いたい。
これって恋だ。答えが出ても、まっつーの白々しいほほえみが尚可愛いと思った。
- 8 名前:傘 投稿日:2006/04/06(木) 22:44
-
「あ、ほら。来たよ」
「やっぱ傘持って無いね。行こうか」
「傘いっこしかないよ。入れないじゃん、三人も」
「コンビニで買ってけばいいよ。途中まで」
「ん。そだね」
- 9 名前:傘 投稿日:2006/04/06(木) 22:44
-
雨宿りはお終い。ばばば、と傘に爆弾のような雨が降り注ぐ。
その音でまっつーの小さな声がかき消されて、あたし達は対した解釈もせず歩き出した。
シンプル。なんて無性透明なふたりなんだろうと、きっと空も感涙してる。
あのこが慌てて走って来る。きみさえいなけりゃ、あたしは何か別の方法を考えてた。
まっつーはきらきらしてた。
その瞬間、あたしはあたしの中にいる小さな生き物に対してこう言った。
- 10 名前:傘 投稿日:2006/04/06(木) 22:45
-
やっぱ、ここからさき、このまんまでいいよ。
透明なビニール傘をふたつ買って、コンビニを出た。
空を見上げると、きれいな虹が3本きれいに架かっていた。
fin
- 11 名前:丸九 投稿日:2006/04/06(木) 22:47
- こんな感じで。
作者はネタに乏しいのでリクエストあれば是非レス下さい。
カプはとりあえず限定しません。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/06(木) 23:35
- じゃあ田中×亀井お願いします!ラブラブなので、どうか1つ…
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/06(木) 23:48
- あやみきで甘々なのをお願いします!
あやみき大好きなもので(笑)
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/07(金) 18:24
- 激甘のみきよしがみたいです!(*゚∀゚)=3ハァハァ
- 15 名前:丸九 投稿日:2006/04/07(金) 19:07
- 12の名無飼育さんのリク、田亀行きます。
- 16 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:08
- 穏やかな海原を名残惜しそうに、猫が眺めていた。
防波堤に落書きされたパンクな絵の隣に相合い傘を書き足して、海風を頬に感じる。
えり、じかんは?
チョークを手にして微笑む絵里に尋ねた。
猫はまだ、都会に帰りたくなかった。
じりじりと焦げそうな地面を軽快に走る猫は、捨て猫に憧れた。
- 17 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:09
-
コンビニや便利な交通機関は此処には殆どはたらいていない。
無人販売の農地が広がっていたり、はたまた隣を見遣れば大海原がれいなを迎えてくれる。
都会とは違う美しさに惹かれたのは、ここを訪れてから。
けれど連れの人間はそうでもないらしく、れいなの感動を別けてやろうと持ちかけても、相手にはしない。
「つまんないよ、こんなところ」
そう言って、時折吹く悪戯な風によって乱される髪を凪いで喚くのだった。
- 18 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:09
- 綿飴みたい。
れいなは空に浮かぶ雲をなぞり、残された時間を余す事なく睡眠に費やした。
絵里は少し不服そうな表情でれいなの横に座っていた。勿論、視線の先はれいなの寝顔で。
「れーな」
「うん?」
「チューしていい?」
「よかよ」
「えっ?」
「してもよか。てか、せぇ」
「え…えっ?」
絵里はあっけにとられた。
いつもの冷ややかな視線と抵抗は何処へやら、れいなは右目をつりあげてまた目を閉じる。
- 19 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:10
-
「どした?はやく」
「…れ、れぇな?」
- 20 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:10
-
ムクリ、と猫そのもののように身体を起こす。
本当はほかほかになった布団があれば最高だったのに、と小声で呟くれいな。
いつになく挑戦的なれいなに、絵里は怯んだ。
ぺし、と音のわりにダメージの少ない柔らかな感触。
絵里はぎゅっと目を瞑って身構え、れいなの悪戯な微笑を見て頬を膨らます。
れいなはやっぱり捻くれている。ちょうど、あの捨て猫のように。
昨晩れいなと砂浜を歩きふと見かけた、魚を銜えて一目散に逃げて行った黒猫。
れーなの髪の色と同じだし。と、勝手な解釈をして。
- 21 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:10
-
「…しないの?」
「は?…せんよ。ていうか、絵里が誘ったくせに」
「そうだけど!そこは絵里の恋人として許せないの!」
「うわ、出た自己中。そげん言われても困るっちゃ」
「れーなは絵里のこと好きでしょ?」
「好きだけど」
「…けど?」
- 22 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:11
- 遠くで海猫が鳴いている。にゃあ、にゃあとまさしく本物の猫のように鳴いている。
- 23 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:11
-
「その、あれ。順序って物があるやん」
たとえば、恋人になりたいのだったら、友達から始めるように。
キスがしたいのなら、手を繋ぐ事から始めるように。
れいなの言いたい事は分からなくもない。
だけど、飲み込むのにはぱさつきすぎの想い。
れいなの頬が、みるみるうちに薄紅色に変わって行く。
- 24 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:12
-
「でもれいな、絵里のこと誘ったじゃん」
「だ、だからあれはからかっただけ。絵里やって嫌がったやろ?」
「…ちがうもん。れいなは絵里とチューしたくないんだ。ふーん」
「なんでそうなるかなぁ…」
口論はいつまでも続いた。
海猫がふたりを遊びに誘っても、ふたりは聞く耳を持たなかった。
- 25 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:12
-
「なん、ちゅーしたいちゅーしたいって。なんでそんなちゅーにこだわると?」
「だってれいなのこと好きだもん」
「…わかったから。それはもうわかっとう」
「じゃあいいじゃん」
「……絵里はいきなりすぎ」
「じゃ、手繋ごうよ」
「え?」
「じゅんじょ、守るから」
- 26 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:12
- 物事には順序がある。それは、変えちゃいけないものだから。
- 27 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:13
-
絵里の時にあっさりとした所は、れいなをひどく困らせ、そしてまた嬉しくもさせる。
ネチネチとした女の子はどちらかと言えば好きでは無い。
絵里は、どっちだろう。
違いの指を絡ませ考えた結果、アンバランスな性格だということにした。
「海、また行こうね」
「は?絵里、ここ嫌いなんじゃなかった?」
「んーん。れいながいればどこでもいい」
そして、極めて単純。
- 28 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:14
- 海の景色を後にして、車からどんどん離れて行く。壁の落書きも、昨日みた黒猫も、海猫も。
すべてれいなと絵里の頭に焼きついている。また今度、と小さく手を振って別れた海は、やっぱり綺麗だった。
- 29 名前:猫 投稿日:2006/04/07(金) 19:14
-
絵里が眠りこける車内の中、れいなは絵里が書いた落書きの事を思い出していた。
白いチョークを指に握りしめて、嬉しそうに楽しそうに、さんかくを描いて。
そしててっぺんには、ハートマーク。
えり れいな。
来年来る時は、それに何か書き足せたら良い。
パーキングエリアで目を覚ました絵里の耳元で、そっと囁いた。
fin
- 30 名前:丸九 投稿日:2006/04/07(金) 19:18
- リクエストありがとうございました。
次回はあやみき。
>12様
田亀はぶっちゃけあんまり書かない範囲だったので難しかったです。
御希望に添えられてません。恐らくorz
>13様
あやみきの甘めですね。甘くなるか否かは保証できませんorz
>14様
みきよし、了解しました。実は推しカプでございます。
- 31 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/07(金) 21:04
- 田亀リクしたものです。
早速どうもありがとうございました!
っていうか、絵里が絵里らしくてイイ!
難しかったようですみませんでした。でもしっかり萌えさせて頂きました。
- 32 名前:丸 投稿日:2006/04/07(金) 21:21
- リクします!田亀で絵里→風邪。れいな→看病でお願いします
- 33 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/07(金) 22:18
- 二つともすごい面白かったです。表現が豊かですね。
リクエストは、もっと作者さんの書いたものを読みたい、で。
楽しみにしています。
- 34 名前:初心者作家T 投稿日:2006/04/07(金) 23:59
- いやー、ウマいです。
特に田亀萌えました・・・(*´∀`)
これからも萌えさせて下さい〜w(嫌)
- 35 名前:丸九 投稿日:2006/04/08(土) 16:33
- 13様のリクエストで、あやみき。
- 36 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:33
- ヤカンが湯気を吹いて亜弥を呼んでいた。
こたつから中途半端にはみ出た自らのつま先を見つめて、もぞもぞと立ち上がる。
「たん、紅茶でいい?」
「ううん、いらない」
それでもヤカンは亜弥を急かすように湯気を吹いていた。
美貴はそれを見て、なんとなくヤカンに妬けたのだった。
- 37 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:34
-
末っ子気質の美貴と、アネゴ気取りの亜弥は相性が良い。
互いのどちらかが一本電話を入れれば、すぐに駆け付けて甘え甘えさせてやる。
この関係に名前を付けるとしたら、それは世間では受け入れてくれないものらしい。
黙認していながら、亜弥と美貴は『仲良し』だった。
- 38 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:34
-
春らしい、うすいピンクのワンピースをはためかせる亜弥は可愛かった。
それは美貴だけが思う事ではなく、街を歩けばだれだって亜弥に目を引かれるだろう。
それ程の存在感を持った亜弥を、見事に美貴は独り占めしている。
世間的には認めてくれなくとも、美貴はそれだけで充分だった。
満足だった。
手を繋いで他愛もない話を繰り返し、目が合えばキスを交わす。
それは互いの家でのんびりしているときも、この行為は欠かさなかった。
- 39 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:34
-
「亜弥ちゃぁん」
「ん?」
「この間言ってた映画さぁ」
「うん」
脈絡のない美貴の持ちかけにも、ゆるやかな微笑で耳を傾ける。
幾つか年上の美貴に対し、遠慮や遠回しな言葉を亜弥が使う事は一切無い。
膝の上に乗りお構い無しに亜弥の用事を邪魔しようとしても、亜弥は疎ましいとすら思わなかった。
むしろ、愛おしいと思った。
- 40 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:35
- 春が過ぎて夏がやってくるように、ふたりにも変化が訪れた。
- 41 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:35
-
「亜弥ちゃぁん」
「ん?」
「昨日夕方にやってたドラマでね」
「ん、ちょっと待って。これ終ったら」
「うん。わかった」
亜弥は美貴の聞き分けの良さに優しく笑い、ペンを走らせた。
いつになく忙しそうに書き物をする亜弥の隣に退がり、美貴はそれをじっと見つめた。
亜弥は忙しくて膝の上には乗せてくれなかった。
どんなに訳のある用事をしていても、亜弥が美貴を膝に上げない事は今までになかった。
- 42 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:35
- 指をくわえてそそくさとキッチンへ逃げ行った美貴に、亜弥が気付く筈もなかった。
- 43 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:36
-
「亜弥ちゃぁん」
「ん?」
「亜弥ちゃんがよく見てる雑誌にさぁ」
「んー」
「この間行ったカフェが載っててね」
「うん」
「それでね」
亜弥はとうとう、美貴の話に耳を傾けているのかどうかすら分からないような相づちで誤魔化した。
一度口付けたマグカップを片手に、読み飽きた筈の雑誌に目を通す仕種は美貴にとって嫌味だった。
続きを話すまいか考えるうちに、亜弥は美貴の目の届かない所へ行ってしまう。
- 44 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:36
- 拗ねたそぶりをして寝転がっても、美貴の頭を撫でてマグカップにしたような口付けをしてくれることも、なくなった。
- 45 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:37
-
ヤカンが美貴を呼び出す。
喧しい音と湯気が、すぐに火を止めてくれと催促をする。
- 46 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:37
- キッチンからはこたつがちょうどよく見える。
あの中途半端に突き出た白い足は、今は美貴にもヤカンにも見えない。
底が茶色く焦げたヤカンはそろそろ変え時となり、こたつもそろそろ押し入れへ案内する頃になった。
いくつかの季節が過ぎて、美貴は亜弥のことを忘れかけていた。
新しいものを見つけ喜ぶ度に、隣で同じように喜ぶ顔すら思い出すのも、美貴にとって辛いだけだった。
- 47 名前:ヤカン 投稿日:2006/04/08(土) 16:38
-
たん、紅茶でいい?
ううん、いらない。
あの日から、消えたこたつ。
沸騰したヤカンを見るたびに、美貴はいつもハーブティーの香りだけを思い出すのだった。
fin
- 48 名前:丸九 投稿日:2006/04/08(土) 16:44
- リクエストありがとうございました。
松浦さんに甘える藤本さんは好きですが文章にするには難しいorz
最後とかすみません。
>31様
良かったですか?ありがとうございます。良かったらまたリクお願いしますね。
>32様
ほほぅ、なかなか良い萌えネタで(爆
是非書きたいと思います。ありがとうございます。
>33様
いやいや作者泣かせもいい所でございます・゚・(ノД`)・゚・
とっても嬉しいですが答えられるように努力しますorz
>34様
ま、まさか他スレの作者様からレスを頂けるとは…(ノ∀`) アチャー
あなたさまの小説、実は見てますから(何
た田亀好き同志仲良くしていただけたら光栄です。
次回はみきよし。
- 49 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/04/08(土) 22:43
- 吉澤×亀井で激甘をお願いします
- 50 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/10(月) 00:43
- 13です
リクにお答え頂きありがとうございました!
最後は切なかったです
ちょっと泣きそうになりました(ノ_・。)グスン
またあやみき書いてもらえるのを期待してます
- 51 名前:丸九 投稿日:2006/04/11(火) 21:31
- 14様のリクで、みきよし。
最初に深く頭を下げてお詫び致します。激甘は無理でしたorz
- 52 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:32
- 冷蔵庫でキンキンに冷えたビールはすべて彼女の胃の中へ流れて行った。
味にこだわりなど持たず酔えれば何でもいいと言った所だろう、俯いた表情で何があったのか全て理解出来た。
あたしの呼びかけを一度二度聞き逃し、わざとらしく小首を傾げて尋ねる。
ほんのりと染まって来た頬に手を伸ばすかどうか迷ったことすら掻き消す。そんな瞳をしていた。
- 53 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:32
- 美貴にとってあたしは精神安定剤みたいなもので、常備薬でもあるから。
一歩間違えたら美貴は死んでしまう可能性もあって、色々とあたしから離れられない理由もある。
それはあたしも同じだからこの関係がずっと続いている。
いつから、なんて覚えていない。気が付けば、気紛れに互いを欲しがる関係に変わって行った。
- 54 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:32
- わりと有名な銘柄の日本酒。いつかバイト先の先輩から貰ったものだった。
酔いどれのドラッグ女はどこからかそれを引っぱり出し、勝手に空け飲みはじめる。
何も言わないのは何時もの事だから、フローリングに酒を零してもあたしは黙って布巾を取りに腰を上げた。
そして、美貴の生気の無い視線が突き刺さる。
「よっちゃん」
「何ー」
「しよ」
唐突過ぎる彼女の言葉と口付けに、あたしは観念して目を閉じた。
深く傷跡を残す行為はあたしも美貴も求めてはいない。だから馴れ合いで充分なコミュニケーション。
美貴はあたしのことを好いていて、あたしも美貴のことを好いている。
セックスにそれ以外の理由は要らない。
少なくとも、あたし達には。
- 55 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:33
- うっすらと額に汗が浮き部屋が薄暗くなり始めた頃。
白く突っ張ったベッドに美貴が埋まり、それだけであたしの入る場所はないと言うのに。
美貴が執拗にあたしを求めたせいで、しょうがなく朝まで身体を「く」の字にして眠る事になってしまった。
冷えた指先を銜えて舐める。美貴があたしにしたように、優しく。
ことが終われば酔いもさめている筈だから、すぐに帰れと促す気でいた。最初はそうだった。
けれど、一度柔らかい穴に食い込んだあたしの指が簡単に美貴を突き放せるほどの力はない。
前戯に夢中になるセックスはほとんどしない。だから美貴の身体に触れる機会は、行為中でもあまりない。
それがどんなに寂しいことで、美貴にとって如何なる事なのかあたしは知ろうともしなかった。
考えれば考えるだけ、あたしの何かで美貴を壊してしまう気がしたから。
- 56 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:34
- 触れるだけのキス。にひ、とありのままの微笑がやけにあたしの奥底に焼きつく。
どっこいしょ、と素っ裸のお姫さまを腕に閉じ込めて目を閉じた。
お姫さまと呼ぶには少し大胆なやつだけれど。
「ねぇよっちゃん」
「んー」
「ごめんね」
「は?なにが?」
「色々。ごめんね」
少したるんできたあたしの二の腕に顔を擦り付け美貴が言う。
冗談混じりの表情と悪意のない瞳が今のあたしには辛過ぎて、思わず顔を背けた。
どちらが悪いとかじゃない。行為をする事で得られるものなんてちっぽけなもので、その代わりに削られるもの方が代償が大きいということに気付かなかった。
- 57 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:34
- 謝れる勇気が欲しいのは美貴だけじゃないと判る。
あたしだって心のどっかで、間違った事をしていると思ってる。
- 58 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:35
- 「よっちゃん」
「…ん?」
「もー帰るわ。午後から仕事あるし」
「そだね。じゃ送るよ」
「いいよ、もう少し寝たいでしょ?」
- 59 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:35
-
あたしの肩にちゅ、とキスをして風のように落ちていた服を纏い髪をまとめている。
相変わらず行為の前でも後でもキレイなひとだと思うのは、きっと友達でもなく恋人でもない存在だから。
はやく好きだと言えば良いのに。
――それでも、あたしが安定剤であることに代わりはないけれど。
枕に顔を埋めて、美貴が仕度を済ませるまであたしはじっと堪えていた。
何かに押しつぶされそうで、自分の身体さえ傷付けてしまいそうな恐怖を感じていた。うしろで美貴が何かを呟く。
- 60 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:35
-
「ばいばい」
聞こえていた。だけど返事はしなかった。
肩に残されたキスの感覚と生暖かい美貴の体温を感じて、もう一眠りすることにした。
玄関から、美貴の足音が消えて行った。
- 61 名前:クスリ 投稿日:2006/04/11(火) 21:36
- 薬が切れたら、あいつはまたあたしを欲しがる。
- 62 名前:丸九 投稿日:2006/04/11(火) 21:38
- あ、fin忘れたorz
リク制にしたの自分なのに希望に添えられて無い自分ってorz
依存性のある関係、とでもいいましょうか。
>49様
亀吉ですね。了解です。
>50様
気に入って頂けたようで嬉しいです。今後ともよろしくおねがいします。
あやみき万歳。
次回は田亀。萌えシチュですねぇ。
- 63 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/12(水) 00:33
- 一応要望を
嗜好にあわないなら普通にスルーしていただいて構いません
田中×紺野
シチュエーションは問いません
- 64 名前:14 投稿日:2006/04/12(水) 08:36
- リクこたえて頂いてありがとうございます(*゚∀゚)
なんかおとなっぽくエロスな感んじのみきよしでいいですよ(・∀・)ニヤニヤ
この2人はほんと並んでるだけで絵になりますからね
ありがとうございまーす
- 65 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/13(木) 09:50
- うわぁ…切ない…
- 66 名前:丸九 投稿日:2006/04/16(日) 15:53
- 32様のリク、田亀。
- 67 名前:熱 投稿日:2006/04/16(日) 15:54
- レポート用紙が絵里の吐息に吹かれ、テーブルの下へ舞い落ちた。
額に冷却シートを貼って熱っぽいピンク色の頬を両手で抑え、まるで恋する乙女のような眼差し。
面白くないテレビ番組のチャンネルを変える事も作ってあげたお粥に手を付ける事もしない。
本当は仮病なんだろうと思い、本来なら学校に行く時間をとうに過ぎている時計を指して促す。
- 68 名前:熱 投稿日:2006/04/16(日) 15:54
- 絵里は首を横に振って、れなをきつく睨んだ。
ほら、と言って投げ付けられた体温計はしっかりと39度のデジタル。
布団をすっぽりと被って、風邪だということをわざとらしくアピールしていた。
- 69 名前:熱 投稿日:2006/04/16(日) 15:54
- 「…れーなぁ」
「なん」
「…なんでがっこーいかないの?」
「創立記念日だから。朝言ったやん」
「きーてなかった」
「あ、そう」
- 70 名前:熱 投稿日:2006/04/16(日) 15:55
-
もぞもぞと布団から這い出て、それでもまだ不満気な顔を剥き出しにして。
絵里はれなの肩に力無く触れて乾いた声。
「れーなぁ」
一つ年上の絵里。だというのに、精神年齢はきっとれなの方が上回っている。
指先が肩から少しづつ首に移動して、しまいにはぐっと首をしめられる形で引き寄せられた。
- 71 名前:熱 投稿日:2006/04/16(日) 15:55
-
「いっしょに寝よーよ」
ふ、と苦笑いを返すれなに絵里はめげずに首を締めてくる。
容赦無いからかいと隙だらけの状況に飲まれて、諦めて解こうとした絵里の手に身体ごと引かれる。
口付けた唇から菌が伝染ろうと、はだけたパジャマから覗く肌の熱い体温を感じる事ができるならそれで良かった。
- 72 名前:熱 投稿日:2006/04/16(日) 15:56
-
生温いシーツの上で寝返りを打つ。
快楽の果てと夢の世界へ一度に旅立ってしまった絵里にパジャマを着させて、けだるい身体を起こす。
ぐにゃりと丸まり用無しになった冷却シートは既にゴミとなって絵里の熱を奪った。
終らない。まだ終っていない火照りを余す事なく絵里に触れた。
うっすらと曇った視界から冷たい絵里の手が伸びて、いたる所の性感体へ導く。
「…ん、れいな」
ろれつの回らなかった言葉がいつのまにか変わり始め、新たな快感へ。
何のために看てやっていたのかと二度目が終り、完全にウイルスをもらってしまった身体をふらつかせた。
- 73 名前:熱 投稿日:2006/04/16(日) 15:56
-
ううん、悪く無い。むしろ気分が良い不快感に煽られる。
ん、イイ感じ。
「絵里」
聞こえるか聞こえないかのギリギリ音声。
微睡みながら触れた指先から、未だ熱が放たれる。
fin
- 74 名前:丸九 投稿日:2006/04/16(日) 16:01
- ようはこういう展開が書きたかっただけです。
>63様
田紺!ほほぅ、色々と勉強して頑張ります。遅くなるかもしれませんがよろしいでしょうか?笑
>64様
わざわざ御感想ありがとうございます。ですよね!並んでるだけでこっちは期待でドキがムネムネ(ry
>65様
みきよしは甘々よりも切なめの方が萌えます。ええ、私だけですねきっと。
次回は亀吉で。
- 75 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/16(日) 21:47
- リクエストよろしいでしょうか。
吉澤×高橋で、高橋上位な感じで。
難しいかと思いますが宜しくお願いします。
- 76 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/16(日) 23:20
- まこあいを読みたいです。
へタレなまことと、それをじれったく思う愛ちゃんという感じのをお願いします。
- 77 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/17(水) 02:58
- 今更ですが傘の最後でビニール傘を2本買ったのがいいですね
きっと後藤さんが思っているよりずっと彼女は愛されているんだと思いました
- 78 名前:丸九 投稿日:2006/05/23(火) 21:46
- 更新が遅れ気味で申し訳ありません。
新生活がスタートした途端毎日が慌ただしいものでorz
来月中には書き上げる次第です。
リクエストが溜まってきたので…頑張ります。
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