小川麻琴ドキュメント『出せなかったファンレター』

1 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:38
新参のどらと申します

普段小説とか書かないので定型無視の文章(会話文)です
文法、技法的に至らない部分は数多いと思いますがどうかご容赦下さい・・・
2 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:38
2026年4月、東京狛江 春、出会いの季節
人は一生に数え切れないほど多くの人と出会い、数え切れないほどの辛い別れを体験する
これはそんな『出会い』と『別れ』にテーマを絞ったドキュメンタリー小説です・・・
3 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:40
生徒A「ただいまー あー腹減ったー」
妻  「お帰りなさい、ご飯できてるから早く夕飯にしましょ」

俺   「今日は遅かったな」
生徒A「ああ、今日は新しいダンススクールの初レッスンだったんだ」
妻   「今度のダンスの先生はどう?いい人?」
生徒A「んー・・・何かちょっと変わってるw」
妻   「変わってる?」
生徒A「ああ。いちいち動きが面白くて喋りも舌っ足らずでおもしれーんだよw
   『でぇごす』とか『〜しまった』とかさw」
俺   「・・・・」
生徒A「でさ、レッスンの合間に15分の休憩があるんだけど、タッパにかぼちゃの煮物を入れて持ってきて、初心者クラスの子達と一緒に食べてんのw」
俺   「・・・・」
妻   「へぇ。ちょっと変わってるわね。確か女の人だったよね。」
生徒A「ああ、おばさんだよ。」
俺   「・・・・どんな感じの顔してる?」
生徒A「顔?んーそうだなー、下まつげが異様に濃くて色白なのが印象的だな。あとエラも張ってるしw
    髪型は金髪に近い茶髪で、あと全体的にぽっちゃりしてる。」
俺   「・・・・」
生徒A「何だよオヤジ、何か変だぞ」
妻   「真剣な顔しちゃって、何かあったの?」
俺   「・・・いや、何でもないよ」
4 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:41
俺   「タカシ、ちょっといいか」
生徒A「オヤジ?何だよまた説教か?俺なんにもしてねーぞ」
俺   「いや、違う。説教なんかよりもっと大事なことだ」
生徒A「何だよ何の話だよ?」
俺   「・・・実は、お前の今度通うことになったダンススクール、名前何ていったっけ?」
生徒A「?『狛江ジュニアダンススクール』だけど?」
俺   「そのダンススクールのパンフレットか何かあるか?」
生徒A「パンフレットぉ〜?んなもんあるわけないだろ?入校案内ならあったけど」
俺   「それでいい。ちょっと見せてくれないか?」
生徒A「んだよめんどくせーな・・・確かかばんの中に・・・ああこれだ、ホラ」
俺   「・・・・(やっぱりマコだ)」

     □入校案内 ”狛江ジュニアダンススクール”□
〜明るく楽しいダンスクスールです。ダンスに興味のある子は集まれ!〜
・対象年齢    小学校4年生〜高校3年生
・指導要領    ダンスを好きになってくれるような楽しい指導を心がけています
・生徒数      64人(2026年5月現在)
・室長兼指導者 小林麻琴
・指導者略歴 
 1987年新潟県生まれ
 小学校6年生の時にダンスを始める
 2001-2006年芸能界で5年間活動した後、1年間カナダへ語学留学
 2007年ニューヨークへ渡り、4年間ダンスを学びつつダンサーとして活躍
 2011年帰国後ダンスグループ「Little Cats」を結成
 2012年結婚 
 2016年福岡オリンピック閉会式の振り付けを担当
 2020年本校開校
・室長から一言 「みなさん、楽しく元気にダンスしましょ〜」

                       東京都狛江市○○△△△
                           代表 小林麻琴
5 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:41
俺  「・・・・(あの後芸能界引退して全く消息分からなかったけど、まさかこんな近くでダンス教室やってるなんて・・・
       ・・・そうか、あの後NYでダンスレッスンしてたのか・・・ん?・・・福岡五輪の閉会式?凄いな・・・
       へぇ今は小林って言うのか・・・あのミスプリントの通りになってやんのwちょっと笑えるw
       それにしてもあの頃と全く変わってないなw楽しそうな教室だw)」

生徒A「オヤジ?どうしたんだよ、さっきから何かおかしいぞ」
俺   「お前にいいものを見せてやろう ちょっとこっちへ来なさい」

生徒A「何だよいいものって?」
俺   「・・・あったあった、これだ」
生徒A「何だよコレ?アイドルの写真集・・・?プッwオヤジこんなもの持って・・・ん?・・・コレってまさか・・・」
俺   「そうだ、小林先生の昔の写真集だ」
生徒A「エーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!マジかよ!!!!!!すげぇ!何だこりゃ!!」
俺   「小林先生はな、昔アイドルやってたんだ 『モーニング娘。』って知ってるか?」
生徒A「モ、モーニング?・・・あ、ああ・・・TVの懐かし映像でやってた・・・『にっぽーんの未来は』ってやつだろ?」
俺   「そうだ そのモーニング娘。の一員だったんだ」
生徒A「マジかよ 何か信じらんねー・・・」
俺   「ウソじゃない よく見てみろ、似てるだろ」
生徒A「いや、似てるも何も何も変わってねーよwつかこれ先生が幾つの時に出したんだ?」
俺   「17歳だな」
生徒A「俺とタメ年か・・・どれどれ・・・おお、水着がw」
俺   「なかなか可愛いだろう」
生徒A「ふふ、オヤジも若い頃はコレを見て色々やってたんだなwww」
俺   「・・・お前、普通親に向かってそんな事言うかwお母さんには内緒だぞw」
6 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:42
          [スクールにて]

生徒A「おい、小林先生って昔アイドルだったらしいぞ」
生徒B「ウソだろwあの人食べ物の話しかしないだろw」
生徒A「イヤ、マジなんだって 俺のオヤジ昔ファンだったらしくて写真集とか持ってんだよw」
生徒B「小林先生の写真集か〜怖いもの見たさで見てみたいなw」
生徒A「それがさ、俺も見せてもらったけど結構可愛いのよ、17の時の小林先生」
生徒B「へぇーマジで?じゃぁ今度持ってきて先生に見せてみようぜw絶対面白いぞw」

           [自宅にて]

俺   「今日のレッスンはどうだった?小林先生は元気だったか?」
生徒A「ああ、いつもどおり変な動きしてるよ」
俺   「そうか(マコ頑張ってるな)」
生徒A「でさ、今度あの写真集貸してくれよ 先生に見せて脅かしてやるんだけど」
俺   「・・・・よし、ちょっと待ってろ」

俺   「これを持って行け それからこの封筒は開封するんじゃないぞ 先生に渡せ」
生徒A「?封筒?」
俺   「いいからそのまま渡しなさい」
7 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:42
          [スクールにて]

小林 「はぁ〜い、きょーはここまでぇ〜みんなおつかれ〜」
生徒A・生徒B「センセ〜、これ何だろ〜wwwww」
小林 「!!!!!ちょ、ちょ、ちょっと!!アンタたち何でこんなの持ってるの!?」
生徒A「へへ〜 俺のオヤジが昔先生のファンだったんだってさ」
生徒B「まさか先生が昔アイドルやってたとはねw コレ表紙水着じゃん?」
小林 「・・・いやぁ〜wやめてぇ〜ww[顔真っ赤]」
生徒B「[写真集を開いて] うわっまぶし〜先生の水着姿まぶしすぎるよぉ〜wwww」
小林 「[顔真っ赤] ・・・ヤダーもー!恥ずかしー!ダメェー!! [写真集を奪い取る]」

          [封筒が落ちる]
  
小林 「アラ?これは・・・?」
生徒A「ああ、それオヤジが先生に渡せって」
小林 「・・・アラ、そう[封筒をトレーニングウェアのポケットへ]」


小林 「ただいま〜!」
旦那 「おう、お帰り ん?何か今日は嬉しそうだな」
小林 「デッヘッヘ ちょっとね〜w」
息子 「ママーおかえりーお腹減ったー」
小林 「よしおちゃんただいま〜 ごめんねぇ、ご飯はちょっと後にしてね〜」
息子 「えー」
旦那 「何だよ早くメシにしてくれよ」
小林 「すぐ作るからちょっとだけ待っててね〜」
8 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:42
           [部屋へ]

小林「(この封筒・・・中に何か入ってる・・・ん?手紙?それと・・・)」

[封筒には一通の手紙が入っていた]

小林「(タカシ君のお父さん、モー娘。時代の私のファンだって言ってたっけ・・・『出せなかったファンレター』・・・)」
9 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:43
2006年8月27日
まこっちゃんへ

ミュージカル千秋楽お疲れ様
まこっちゃんの最後の晴れ舞台、この目でしかと見届けました
最後のまこっちゃんの姿はこの5年間で最も輝き、そして最も美しかったです

突然の卒業発表から4ヶ月、まこっちゃんとの最後の思い出の時はすぐに過ぎ去り、もうすぐ最後のお別れの時がやって来ます
まこっちゃんのいない日常を考えると胸が張り裂けそうです
思えばこの5年間、俺はまこっちゃんだけを見てきました
まこっちゃんとの数々の素晴らしい思い出、絶対に忘れません

あの日まこっちゃんがモーニング娘。に受かった時のまこっちゃんの感動の涙、忘れません
あの日の初めてのまこっちゃんのコンサート、忘れません
あの時MCでまこっちゃんが俺たちに初めてかけてくれた言葉、忘れません 「超緊張ド緊張、でも皆さんの愛が沢山伝わってきます!サイコー!」
あの日富士山に上った日、高山病になりながらも登頂を目指したまこっちゃんの一生懸命な涙、忘れません
あの日ボイスレッスンで菅井先生に厳しい言葉をかけられて悔し涙を流したまこっちゃんの悲しむ顔、忘れません
あの日ピーマコで俺たちに見せてくれた愉快な動きと楽しい司会、忘れません
あの日コンサートで見せてくれた切れのあるダンス、忘れません
あの日歌番組で見せてくれた数々の名場面、忘れません 『でぇごす』『おーへっ』口ぽかーん、全て忘れません
あの日椅子に座りながらも歌番組で歌を歌い上げたまこっちゃんの強い眼差し、忘れません

そして今日、俺たちに見せてくれた最後のまこっちゃんの笑顔と涙、一生忘れません
全てのまこっちゃんとの思いでが一つ一つ俺の心の中にしっかりと息づいています
10 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:43
>>9の続き

だからまこっちゃん、君はどんな時も一人じゃない
まこっちゃんがどんな境遇に陥ろうとも、俺たちファンはまこっちゃんの味方です

俺たちにとってまこっちゃんは太陽です
そこにいるだけで周りを幸せにして、周りに笑顔を振りまいて、周りに好かれて
そんなまこっちゃんが大好きです
別れの時は悲しいけど、ファン一同まこっちゃんを暖かく送り出そうと思います

最後に
まこっちゃん、思い出をありがとう


小林「[涙が落ちる] ・・・う・・うぅ・・・思い出しちゃったよ・・・あの最後のミュージカルの日・・・」
11 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:44
2006年8月27日ミュージカル『リボンの騎士』千秋楽終了後楽屋裏にて

        [全員で抱き合う]

高橋 「[号泣] まこっちゃ〜ん、寂しいよぉ〜いっちゃいやだよ〜ウワァァァァン」
新垣 「[号泣] まこっちゃん、私、もう分かんないよ・・・嫌だよ別れるなんて」
石川 「[号泣] 麻琴〜ヾ£#★¶ [声にならない]」
辻   「[号泣] マゴド〜いや、いや、いや、いや、いや、行っちゃいやぁ〜!やだ〜!!!!」
亀井 「[号泣] グスン・・・グスン・・・ [声にならない]」
道重 「[号泣] まこっちゃん・・・絶対お手紙書いてね・・・絶対だよ」
田中 「[号泣] まこっちゃ・・・うう・・・グスングスン」
藤本 「[号泣] マコトぉ・・・寂しくなるよぉ・・・絶対帰って来いよ・・・絶対だぞ・・・」
久住 「[号泣] ・・・小川さん・・・ [声にならない]」

小川 「[号泣] みんなぁ〜ありがとう・・・私、頑張るからねぇ〜」
スタッフ「ホラ小川、吉澤のところにも行ってあげて」

  [離れたところで腰に手を当て天井を見ながら一人皆に背を向けている吉澤]

小川 「[号泣] 吉澤さん、いままで本当にありがとうございましたっ」
吉澤 「[振り返ると目には涙が] 麻琴っ [振り返りざま麻琴を抱きしめる]
   麻琴・・・向こうに行っても変なモン食うんじゃないぞ・・・カラダには気をつけろよ・・・寂しくなったらいつでも電話していいんだからな・・・」
小川 「[抱き合ったまま号泣] よ、吉澤さぁーーーん・・・・」
12 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:44
                 [家に着く]

母親 「麻琴、最後の公演凄く良かったよ お父さんも、ホラ」
父親 「[照れながら] あ、麻琴、よく頑張ったね」
母親 「もう、それしか言えないんだから・・・そうそう、部屋に沢山届け物があるから見てきなさい」
小川 「え?何?」
母親 「とにかく、見てみなさい」

  [部屋には”まこっちゃん卒業おめでとう”と書かれた花束と”ファン一同より”と書かれた1.5m×1.5mのサイン色紙があった]

小川 「(凄い・・・こんなにいっぱいメッセージや写真やグッズや・・・ん?・・・スタッフさんから書置きがある)」


               [スタッフの書置き]

             〜 小川、卒業おめでとう 〜
    これはファンの人たちが小川のために作ってくれたサイン色紙と花束です
   いつもならこういうものは本人には届けてはいけない事になっているんだけど、
  今回は規模が規模だけに上層部と相談の結果、特別に本人に手渡すことになりました

小川 「[号泣] ううぅぅ・・・ありがとう・・ありがとうございます・・・私、本当に幸せです・・・」
13 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:45
母親 「麻琴、いいファンの人たちね」
小川 「うん・・・。」
母親 「麻琴、モーニング娘。に入って良かった?」
小川 「うん。私、モーニング娘に入って、世界で一番幸せな時間を過ごせたよ」
母親 「そう。じゃぁ旅立ちの準備をしましょう」

俺   「タカシ、封筒ちゃんと渡したか?」
生徒A「ああ、バッチリ渡しといたよ」
俺   「そうか ありがとな」

     [俺は財布の中にある一枚の写真を取り出した
     加工をして20年間大切にしてきた俺のお守りだ
          もう必要ないだろう
   俺は清々しい気持ちのまま写真を多摩川へ投げ入れた
      俺の25年間のヲタ生活はここで終了した]

     ttp://makotan.ddo.jp/mako/makoaa4233.jpg
14 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 00:46
以上です


参考資料

夏まゆみ
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%8F%E3%81%BE%E3%82%86%E3%81%BF
18歳でイタリアに渡り、その後、東京やニューヨークでダンスを学びつつ役者・ダンサーとして活躍。
1988年にはダンスグループ「FUN-KEY HEARTS」を結成、長野オリンピックの閉会式等のイベントやショーの振り付けなどを手掛ける。
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/07(日) 01:47
ん?なんじゃこりゃ?(苦笑)

まずドキュメンタリーじゃない(むしろフィクション)し、短編はここでは無いよ。
まだ続くんならゴメンだけど、ここで終わらせるなら完全に短編だよね?(短編集という訳でもなさそうだし)
ちゃんとスレたてる前にFAQとか読もうね。
16 名前:どら 投稿日:2006/05/07(日) 01:53
短編は森板でしたっけ?
間違えましたごめんなさい・・・
皆さんご迷惑おかけしました
削除依頼出しておきます
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/07(日) 04:50
良かったですよ
感動しました
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/07(日) 16:27
狼で見たっていうのは言わない約束?
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/07(日) 20:17
>>1さんには削除じゃなくて続き書いて埋めて欲しいな
単発なら作者フリーにかけばいいんだからさ
質問スレにもあったけど埋めるのが責任をとる一つの形だと思う
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/08(月) 00:09
もしかして狼のをコピペしただけで作者じゃないとか?
んなこたーない!だよね???
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/08(月) 01:16
どなたか月板とか森板とかのURL教えて下さい
現在パソ修理中で携帯からなのでOrz
22 名前:どら 投稿日:2006/05/11(木) 01:58
作者です
案内板・夢板の皆さん大変ご迷惑おかけしました
管理人さん、移転作業大変お手数おかけしました

飼育のみなさん読んでくれてありがとう

>>17
ありがとうございます
こういうものは初めて書いたのでそう言ってもらえると凄くうれしいです

>>18>>20
これは俺が狼のマコ応援スレのとあるレスをきっかけに思い付きで書いたものです
実はまだクライマックスシーンが草稿中で未完成です

>>19
実はこの小説まだ未完成なんです
完成版はいつかできると思うのでここに貼ることは可能ですが、長編の予定はありませんので最後まで埋めるのは無理かな・・・と
でも小説を書くことの魅力にはまりつつあるので今後短編集が出来たらここに貼っていこうかと思います

ということで、完成版が出来次第ここに貼らせて頂くつもりです
完全版の具体的な内容としては、中盤の卒業発表〜クライマックスシーンの補完とエンディング付近のスタッフの書置きの微修正です
実は先日狼で話題になった『布』がヒントですw
こんなラストもアリかなと

余計な書き足しは要らないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この暫定版とはまた別のものとして見ていただけたら幸いです
23 名前:どら 投稿日:2006/08/25(金) 01:07
完全版が出来ました
というか6月にとっくに出来ていましたw

完成したものを読み返してみると鬱マコ全開だったのでうpするのに躊躇していました
しかも6月時点での情報を元に書いているので事実とかけ離れた描写があります
読む人によっては不快感を感じるかもしれません

でも、これで最後になる可能性があるので思い切ってうpします

後半の回想シーンが主な加筆部分です


※完全版があまりにも鬱マコだったので続編も書いてみました
 こちらはちょっと長いです
 完全版の後にうpします
24 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:08
まえがき

 このお話はフィクションです。
 一部事実に基づいて作成しておりますが、ストーリーの展開上、
 卒業発表〜ミュージカルまでの回想部分は一部現実とかけ離れた描写になっております。
 (大きなところでは、小川さんの卒業コンサートが一切行われなかった事、また、小川さんがハロー!プロジェクトを辞め芸能界を引退する事を前提としています。)
 これらはあくまでフィクションであり、必ずしも事実を反映しているわけではない事をあらかじめご承知置きください。
25 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:08



                              ◇
 
 
 
                         
26 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:09
                           2026年4月 
                         春、出会いの季節
        人々は桜舞うこの季節をほのかな期待と心地よい緊張感を持って迎える
           東京のベッドタウン、狛江にも小さな出会いが起きようとしていた
27 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:09


                             
                    『出せなかったファンレター』(完全版)
 
 
  
28 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:09


                                   
                              ◇
 
 
 
29 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:10
生徒A「ただいまー あー腹減ったー」
妻   「お帰りなさい、ご飯できてるから早く夕飯にしましょ」

        [食卓へ]

俺   「今日は遅かったな」
生徒A「ああ、今日は新しいダンススクールの初レッスンだったんだ」
妻   「今度のダンスの先生はどう?いい人?」
生徒A「んー…何かちょっと変わってるw」
妻   「変わってる?」
生徒A「ああ いちいち動きが面白くて喋りも舌っ足らずでおもしれーんだよw 『でぇごす』とか『〜しまった』とかさw」
俺   「…」
生徒A「でさ、レッスンの合間に15分の休憩があるんだけど、タッパにかぼちゃの煮物を入れて持ってきて、初心者クラスの子達と一緒に食べてんのw」
俺   「…」
妻   「へぇ ちょっと変わってるわね 確か女の人だったよね」
生徒A「ああ、おばさんだよ」
俺   「…どんな感じの顔してる?」
生徒A「顔?んーそうだなー、下まつげが異様に濃くて色白なのが印象的だな あとエラも張ってるしw
    髪型は金髪に近い茶髪で、あと全体的にぽっちゃりしてる」
俺   「…」
生徒A「何だよオヤジ、何か変だぞ」
妻   「真剣な顔しちゃって、何かあったの?」
俺   「…いや、何でもないよ」
30 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:10

       [息子の部屋へ]

俺   「タカシ、ちょっといいか」
生徒A「オヤジ?何だよまた説教か?俺なんにもしてねーぞ」
俺   「いや、違う 説教なんかよりもっと大事なことだ」
生徒A「何だよ何の話だよ?」
俺   「…実は、お前の今度通うことになったダンススクール、名前何て言ったっけ?」
生徒A「?『狛江ジュニアダンススクール』だけど?」
俺   「そのダンススクールのパンフレットか何かあるか?」
生徒A「パンフレットぉ〜?んなもんあるわけないだろ?入校案内ならあったけど」
俺   「それでいい ちょっと見せてくれないか?」
生徒A「んだよめんどくせーな…確かかばんの中に…ああこれだ、ホラ」
俺   「…(やっぱりマコだ)」

     □入校案内 ”狛江ジュニアダンススクール”□
〜明るく楽しいダンスクスールです ダンスに興味のある子は集まれ!〜
・対象年齢    小学校4年生〜高校3年生
・指導要領    ダンスを好きになってくれるような楽しい指導を心がけています
・生徒数      64人(2026年4月現在)
・室長兼指導者 小林麻琴
・指導者略歴 
 1987年新潟県生まれ
 小学校6年生の時にダンスを始める
 2001-2006年芸能界で5年間活動した後、1年間カナダへ語学留学
 2007年ニューヨークへ渡り、4年間ダンスを学びつつダンサーとして活躍
 2011年帰国後ダンスグループ「Little Cats」を結成
 2012年結婚 
 2016年福岡オリンピック閉会式の振り付けを担当
 2020年本校開校
・室長から一言 「みなさん、楽しく元気にダンスしましょ〜」

                                東京都狛江市○○△△△
                                      代表 小林麻琴
31 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:10


俺  「…(あの後芸能界引退して全く消息分からなかったけど、まさかこんな近くでダンス教室やってるなんて…
       …そうか、あの後NYでダンスレッスンしてたのか…ん?…福岡五輪の閉会式?凄いな…
       へぇ今は小林って言うのか・・・あのミスプリントの通りになってやんのwちょっと笑えるw
       それにしてもあの頃と全く変わってないなw楽しそうな教室だw)」

生徒A「オヤジ?どうしたんだよ、さっきから何かおかしいぞ」
俺   「お前にいいものを見せてやろう ちょっとこっちへ来なさい」

          [父親の部屋へ]

生徒A「何だよいいものって?」
俺   「…あったあった、これだ」
生徒A「何だよコレ?アイドルの写真集…?プッwオヤジこんなもの持って…ん?…コレってまさか…」
俺   「そうだ、小林先生の昔の写真集だ」
生徒A「エーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!マジかよ!!!!!!すげぇ!何だこりゃ!!」
俺   「小林先生はな、昔アイドルやってたんだ 『モーニング娘。』って知ってるか?」
生徒A「モ、モーニング?…あ、ああ…TVの懐かし映像でやってた…『にっぽーんの未来は』ってやつだろ?」
俺   「そうだ そのモーニング娘。の一員だったんだ」
生徒A「マジかよ 何か信じらんねー…」
俺   「ウソじゃない よく見てみろ、似てるだろ」
生徒A「いや、似てるも何も何も変わってねーよwつかこれ先生が幾つの時に出したんだ?」
俺   「17歳だな」
生徒A「俺とタメ年か…どれどれ…おお、水着がw」
俺   「なかなか可愛いだろう」
生徒A「ふふ、オヤジも若い頃はコレを見て色々やってたんだなwww」
俺   「…お前、普通親に向かってそんな事言うかwお母さんには内緒だぞw」
生徒A「ああ、分かったよw」
32 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:11

          [スクールにて]

生徒A「おい、小林先生って昔アイドルだったらしいぞ」
生徒B「ウソだろwあの人食べ物の話しかしないだろw」
生徒A「イヤ、マジなんだって 俺のオヤジ昔ファンだったらしくて写真集とか持ってんだよw」
生徒B「小林先生の写真集か〜怖いもの見たさで見てみたいなw」
生徒A「それがさ、俺も見せてもらったけど結構可愛いのよ、17の時の小林先生」
生徒B「へぇーマジで?じゃぁ今度持ってきて先生に見せてみようぜw絶対面白いぞw」

           [自宅にて]

俺   「今日のレッスンはどうだった?小林先生は元気だったか?」
生徒A「ああ、いつもどおり変な動きしてるよ」
俺   「そうか(マコ頑張ってるな)」
生徒A「でさ、今度あの写真集貸してくれよ 先生に見せて脅かしてやるんだけど」
俺   「…よし、ちょっと待ってろ」

俺   「これを持って行け それからこの封筒は開封するんじゃないぞ 先生に渡せ」
生徒A「?封筒?」
俺   「いいからそのまま渡しなさい」
33 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:11
          [スクールにて]

小林 「はぁ〜い、きょーはここまでぇ〜みんなおつかれ〜」
生徒A・生徒B「センセ〜、これ何だろ〜wwwww」
小林 「!!!!!ちょ、ちょ、ちょっと!!アンタたち何でこんなの持ってるの!?」
生徒A「へへ〜 俺のオヤジが昔先生のファンだったんだってさ」
生徒B「まさか先生が昔アイドルやってたとはねw コレ表紙水着じゃん?」
小林 「いやぁ〜wやめてぇ〜ww[顔真っ赤]」
生徒B「 [写真集を開いて] うわっまぶし〜先生の水着姿まぶしすぎるよぉ〜wwww [写真のポーズをまねる] 」
小林 「 [顔真っ赤] ヤダーもー!恥ずかしー!ダメェー!! [写真集を奪い取る] 」

          [封筒が落ちる]
  
小林 「アラ?これは…?」
生徒A「ああ、それオヤジが先生に渡せって」
小林 「…アラ、そう [封筒をトレーニングウェアのポケットへ] 」

          [小林の自宅へ]

小林 「ただいま〜!」
旦那 「おう、お帰り ん?何か今日は嬉しそうだな」
小林 「デッヘッヘ ちょっとね〜w」
息子 「ママーおかえりーお腹減ったー」
小林 「よしおちゃんただいま〜 ごめんねぇ、ご飯はちょっと後にしてね〜」
息子 「えー」
旦那 「何だよ早くメシにしてくれよ」
小林 「すぐ作るからちょっとだけ待っててね〜」

            [部屋へ]

小林「(この封筒…中に何か入ってる…ん?手紙…?)」

   [封筒には一通の手紙が入っていた]

小林「(タカシ君のお父さん、モー娘。時代の私のファンだって言ってたっけ…『出せなかったファンレター』…)」

34 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:11


2006年8月27日
まこっちゃんへ

ミュージカル千秋楽お疲れ様
まこっちゃんの最後の晴れ舞台、この目でしかと見届けました
最後のまこっちゃんの姿はこの5年間で最も輝き、そして最も美しかったです

突然の卒業発表から4ヶ月、まこっちゃんとの最後の思い出の時はすぐに過ぎ去り、もうすぐ最後のお別れの時がやって来ます
まこっちゃんのいない日常を考えると胸が張り裂けそうです
思えばこの5年間、俺はまこっちゃんだけを見てきました
まこっちゃんとの数々の素晴らしい思い出、絶対に忘れません

あの日まこっちゃんがモーニング娘。に受かった時のまこっちゃんの感動の涙、忘れません
あの日の初めてのまこっちゃんのコンサート、忘れません
あの時MCでまこっちゃんが俺たちに初めてかけてくれた言葉、忘れません 
あの日富士山に上った日、高山病になりながらも登頂を目指したまこっちゃんの一生懸命な涙、忘れません
あの日ボイスレッスンで菅井先生に厳しい言葉をかけられて悔し涙を流したまこっちゃんの悲しむ顔、忘れません
あの日ピーマコで俺たちに見せてくれた愉快な動きと楽しい司会、忘れません
あの日コンサートで見せてくれた切れのあるダンス、忘れません
あの日歌番組で見せてくれた数々の名場面、忘れません 
あの日椅子に座りながらも歌番組で歌を歌い上げたまこっちゃんの強い眼差し、忘れません

そして今日、俺たちに見せてくれた最後のまこっちゃんの笑顔と涙、一生忘れません
全てのまこっちゃんとの思い出が一つ一つ俺の心の中にしっかりと息づいています

だからまこっちゃん、君はどんな時も一人じゃない
まこっちゃんがどんな境遇に陥ろうとも、俺たちファンはまこっちゃんの味方です

俺たちにとってまこっちゃんは太陽です
そこにいるだけで周りを幸せにして、周りに笑顔を振りまいて、周りに好かれて
そんなまこっちゃんが大好きです
別れの時は悲しいけど、ファン一同まこっちゃんを暖かく送り出そうと思います

最後に
まこっちゃん、思い出をありがとう


小林「 [涙が落ちる] …ぅぅ…思い出しちゃったよ…モーニング娘。時代のあの思い出…」
35 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:12


                   ◇
 
 
 
36 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:12
2006年4月某日 港区東麻布アップフロント事務所にてスケジュール発表

緒方(UFA)「…という事で今後はこんなカンジでよろしく」
矢野(UFA)「みんな、今年のミュージカルは気合を入れてやってくれよ あ、そうそう小川はちょっと残って」
小川    「え?あ、はーい」

矢野(UFA)「小川、今後のスケジュール…というか、小川本人の進路の事についてなんだけど、どうだろ?そろそろ新しい道とか考えてる?」
小川    「新しい道ですか?いえ、特に何もないですけど」
緒方(UFA)「実はさ、飯田、石川と卒業してるじゃん 次、小川あたり卒業かなって」
小川    「え、私卒業ですか…?」
緒方(UFA)「ん…ま、そういうことになるかな どう?小川自身は卒業について」
小川    「…」
矢野(UFA)「…ま、まぁ、すぐに結論を出す必要はないよ 大切な事だからじっくり考えてほしい
      (ぅぅ…ゴメンよ小川 俺だってこんな事言いたくて言ってる訳じゃないんだ)」
小川    「…ハイ」
緒方(UFA)「で、卒業後の進路だけど、小川には海外留学してもらうって事で考えてるんだけど」
小川    「海外…留学、ですか?」
緒方(UFA)「そう、前に本か何かで言ってたから したいって」
小川    「…」
緒方(UFA)「…と、とにかくそういう事で 留学の事も含めて卒業について考えといて
      (小川そんな悲しい顔してくれるなよ…元気出せよ…いつも元気じゃねぇかよ)」
小川    「ハイ…」
矢野(UFA)「(小川…あんな悲しそうな顔して…)で、以上ですよね 山重さん」
山重(UFA重役)「ふぅ〜 [ため息] そんなところだな 小川、もういいよ行って」
小川    「ハイ…」

矢野(UFA)    「やっぱ小川はまだやりたいみたいですね」
緒方(UFA)    「今までと違って突然の通告な訳だし、ちょっと可哀想な感じはしますね」
山重(UFA重役) 「ま、小川には悪いけど不良債権はいつかは切られるだろ だからしょうがない」
緒方(UFA)    「…そうですね(そんな言い方ないだろ)」
山重(UFA重役) 「で、お前らメシまだだろ?ラーメンでもどうだ?おごりで」
矢野(UFA)    「メ、メシですか…?」
山重(UFA重役) 「小川への解雇通告も済んだ事だし、パーッといこうぜ」
緒方・矢野(UFA) 「…そ、そうですね…(小川の気持ちも考えないで…)」
37 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:12
2006年4月某日 小川の自宅マンション

小川「 [帰るなりベッドにうつぶせで倒れ込む] 私…私…5年間一生懸命…頑張ってきたのに…
   みんなが元気になってくれるように…笑顔だけは絶やさないって…
   一生懸命頑張ってきたつもりだったのに…
   卒業コンサートもしてもらえないって…私だけファンの人たちから何もしてもらえないって事…? 
   ひどいよ、ひどすぎるよ…こんなのってないよ…
   …私の5年間は…何だったの?…海外留学って何?
   …卒業する為に海外留学するなんて順番が逆だよ…こんな終わり方ってないよ…
   …ねぇ誰か…私の5年間…無駄…じゃなかったって…言っ…て……」


2006年4月某日アップフロント事務所企画会議室

緒方(UFA)「と、いう事でみなさん、小川・紺野の卒業は4月28日ウェブ上での発表です くれぐれも秘密厳守でお願いします では、本日は以上です」

           [スタッフ退場]

緒方(UFA)「ふぅ〜…小川の卒業、正式に決まっちゃいましたね、矢野さん」
矢野(UFA)「そうですね 何とかしてやりたかったんだけどね」
緒方(UFA)「今までも散々小川関連の企画は山さんに反対されてましたからねぇ…どうしようもないって言うか」
矢野(UFA)「結局、俺たちに出来たのは可能性を残すことだけか」
緒方(UFA)「でも今のところ帰国後の予定は未定ですし…今後小川はどうなってしまうんでしょうね」
矢野(UFA)「う〜ん…小川、本当に可哀想だな」
緒方(UFA)「最後にスタッフ一同、小川のために何かしてやりたいですね」
38 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:13
2006年4月某日TV東京廊下

紺野「麻琴おはよ〜」
小川「あ、こんこん、おはよ」
紺野「麻琴、私ね、麻琴に重大発表があるんだよ 実はまだだれにも言ってないんだ〜」
小川「え?何?」
紺野「私ね、モーニング娘。辞める事にしたの」
小川「えーーー!!!何で何で何で!?」
紺野「私、将来アナウンサーになりたいと思って それで大学を受験することにしたの」
小川「あ…そうなんだ…」
紺野「うん 実はおじゃまるやってるうちアナウンサーっていいなぁって…まだなれるかどうかわからないけど、精一杯チャレンジしてみるつもり」
小川「そっか、凄いね…」
紺野「ごめんね びっくりしたでしょ? でも麻琴に一番に知らせたくてさ、まだ誰にも言ってないんだよ」
小川「で…こんこんはいつ卒業するの?」
紺野「えっとね〜7月23日のコンサートで最後」
小川「そっか…」
紺野「まさか私が卒業コンサートの主役になるなんてね 想像もしてなかったよ」
小川「……」
紺野「私、夢に向かって頑張るよ だから麻琴もモーニング娘。頑張ってね」
小川「……」
紺野「…麻琴?さっきからどうしたの?黙っちゃって」
小川「 [うつむいて小声で] こんこん、私ね…」
紺野「え?何?」
小川「こんこん、私ね…実は私も、モーニング娘。辞めるんだ…」
紺野「ウソ?え?本当に????え?何で?」
小川「あのね、実は5日前に山重さんからお知らせがあって、その時…」
紺野「あ、そう言えばあの時麻琴だけ残されてたっけ…」
小川「うん…」
紺野「…てことは麻琴の意思じゃない訳だ…」
小川「うん…」
紺野「…そっか…」
小川「…」
紺野「…」
39 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:13
           [しばらく沈黙]

紺野「で…麻琴はいつ卒業なの…?」
小川「こんこんの一ヶ月後だよ…」
紺野「そっか…麻琴、辛いね…」
小川「……」
紺野「麻琴?大丈夫?」
小川「 [泣く] …こんこん、ゴメンね…」
紺野「え、麻琴泣いてるの?ゴメンって何?」
小川「 [泣きながら] 私のおかげでこんこんの明るいニュース、台無しにしちゃってゴメンね…」
紺野「 [泣く] やめてよ、謝るのは私の方だよ 麻琴の気持ちも知らないで、私、能天気に自分の事ばかり喋っちゃって…麻琴、ゴメンなさい」
小川「 [泣きながら] やめてよこんこん…こんこんに謝られると、私…」
紺野「 [号泣] 麻琴、ホントにゴメン…ゴメンね…」
小川「 [号泣] ぅぅ…こんこん…私、自分が情けないよ…死にたいよ…」

       [紺野が小川を抱きしめる]

紺野「 [泣きながら] ダメだよ麻琴、死ぬなんて言っちゃダメ!」
小川「 [号泣] …ぐすっ…ぅぅ…だって…私だけがみんなと違う…」
紺野「 [泣きながら] そんな事ない、麻琴も私たちとずっと一緒に頑張って…」

        [紺野の言葉をさえぎる]

小川「 [号泣] 私だけ卒業コンサートないんだよ」
紺野「……え?」
小川「 [号泣] 私だけ…ないんだ…卒業コンサート…やってもらえないんだ…」
紺野「…うそ…」
小川「 [号泣] …本当だよ…私だけ何もないんだ…」
紺野「…そんな…そんなのって…」
小川「 [号泣] ぐすっ…ぐすん… えへっ、私、事務所の人から嫌われてるみたい」
紺野「…マ……」
小川「 [号泣] 私、分かってたんだ…
          曲ではパートもらえないし…
          写真はいっつも端っこだし…
          写真集も結局ほとんど出してもらえなかったし…
          たまにTVに出してもらったと思ったらコントの汚れ役だし…
          …でもね、こんこん 
          私、凄く楽しかった
          みんなと一緒に笑ってお仕事してる時が、私の人生で一番幸せな時だった
          今までの私の人生で、一番、輝いてる時だった
          私はあんまりお仕事もらえなかったけど、みんなの笑顔を見ているだけで、私、幸せだった
          私、大好きなみんなに笑ってもらえるような、ずっとそんな存在でいたかった
          でも、そんなささやかなお願いも神様は許してくれない
          私は9月でみんなとお別れ
          いや…卒業コンサートがないからお別れする事すら出来ないのかな…」
紺野「 [号泣] まこおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ……」
小川「 [号泣] こんこん…」
紺野「 [号泣] マコ…私何もしてあげられないけど、何かあったら相談してね…でも、もう死ぬなんて言わないでね…」
小川「 [号泣] うん…分かったよ こんこん、ありがとう」
40 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:14
2006年4月28日 東京都狛江市 戸建一軒家

ファンA 「ただいま〜!」
Aの母親「おかえり 何かやけに元気ね」
ファンA 「何言ってんだよ 明日からゴールデンウィークだろ?これが浮かれずにいられるかってw」
Aの母親「アンタはいっつも休みの前の日はそうなんだから 子供の頃から何も変わってない」
ファンA 「何だよまた小言かようるせーな ゴールデンウィークを前にした俺に何言っても無駄無駄wwww」

        [自分の部屋へ]

ファンA「(さて、メシの前にヒバスレへ…と 
     ん?何か狼が騒がしいな おいおいwこのスレなんか勢い20,000超えてんじゃん
     どれどれ…ん?紺野とマコ卒業? ハハッwまたヤススレか何かだろ?毎度の事ながらアンチのマコヲタっぷりには参るよw
     ん?…でも勢い2万超えって不自然だな…他にも関連スレ立ってるし…え…?オイちょっと…まさか…ウソだろ?オイ…カチッ)」

          [30分後]

Aの母親「もう、何度呼んでもこないんだから ごはんだって言ってるでしょ?」
ファンA 「…」
Aの母親「どうしたの?こんな時間からベッドに入って 具合でも悪いの?」
ファンA 「…いらない…」
Aの母親「は?一体どうしたのよ?さっきまであんなにはしゃいでたじゃないの」
ファンA 「…いいから…一人にしてくれ」
Aの母親「そう なんだかよく分からないけど、お腹すいたら食べにいらっしゃい」

ファンA「(ぅぅぅぅ…マコ…マコ…マコが…いなくなるなんて…嫌だよ…嫌だ…絶対嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
    …あのマコの笑顔を…二度とTVで見られなくなるなんて…気が狂いそうだよマコ 寂しいよマコ 行っちゃ嫌だよマコ…ぅぅぅ
    …何だよそれ留学って何なんだよマジで糞じゃねぇの信じらんねーよ糞マジで訳わかんねー)」

       [そのまま一時間経過]

ファンA「(でもよく考えたら一番悲しいのはマコ本人じゃないか…?
     留学とか後付けの理由に決まってるし、絶対にマコ本人の希望じゃないはずだ
     俺がここでめそめそしててどうする? 一番悲しんでるマコに何かしてあげたい…
     でも俺に何が出来る…?一人じゃ結局何も出来ないじゃないか…)」
41 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:14
2006年7月23日国立代々木競技場第一体育館にてハロー!プロジェクトコンサートツアー最終日(紺野卒業)

      [メンバーの最後のお別れメッセージ]

高橋「こんこん、5年間ありがとう 大学行っても忘れないでね」
紺野「愛ちゃん、ありがとう」
小川「(…今日でこんこんともお別れなんだ…私の最大の理解者のこんこん…あ、私の番だ)」
   「 [笑顔で] こんこんと一緒に色んなお店行ったよね 私、こんこんとの思い出一生忘れないよ」
紺野「麻琴、ありがと」

           [二人抱き合う]

紺野「[耳元で囁く] 麻琴、辛いだろうけど私がいなくなってもしっかりね 海外行っても電話してね」
小川「[耳元で囁く] ぅぅ…ダメだよこんこん…私、辛いよ…胸が張り裂けそうだよ…」
紺野「[耳元で囁く] 麻琴、ダメだよそんな事言っちゃ 麻琴は強い人だよ 私なんか足元にも及ばないよ」
小川「[耳元で囁く] 私…強くないよ…こんこんがいないとダメだよ…」
紺野「[耳元で囁く] 私ね、実を言うとずっと麻琴に憧れてたんだよ オーディションの時からずっと」
小川「[耳元で囁く] ウソ…」
紺野「[耳元で囁く] ウソじゃないよ本当だよ ねぇ、麻琴、覚えてる?私たちが初めて出会った時の事」
小川「[耳元で囁く] 忘れる訳ないよ…あのオーディションの時…」
紺野「[耳元で囁く] あの時、私ダンスも歌も全然ダメでさ 先生に叱られてばかりで凄く落ち込んでた
            でも麻琴はダンスでセンター取ったり、みんなを仕切ったりして凄くカッコよかった」
小川「[耳元で囁く] 私、見栄張ってただけだよ…弱い自分を見せないために…」
紺野「[耳元で囁く] そんなことない だってあの日私が先生に怒られて落ち込んでる時、麻琴私に声かけてくれたじゃない
            『ホラ、泣いてないで一緒に練習しよっ』って 
            麻琴だって自分の事で精一杯だったはずなのにさ」
小川「[耳元で囁く] ……」
紺野「[耳元で囁く] モーニング娘。に入ってからもそう 麻琴はいつも持ち前の元気で私たちを支えてくれた
            どんなに辛い時も、悲しい時も、いつもメンバーの皆の事を思って、やさしく微笑んでくれた
            そこにいるだけでみんなを和ませて、元気にして…そしてみんなに愛されて
            引っ込み思案な私にとって、麻琴は憧れだった
            自分の幸せよりも周りの人の幸せを一番に願う事のできる人、
            みんなを元気にして、幸せにしてあげられる太陽のような人、それが麻琴なんだよ」
小川「[耳元で囁く] こんこん…」
紺野「[耳元で囁く] だから麻琴がんばって、麻琴ならきっとどこへ行っても成功する」
小川「[耳元で囁く] うん…こんこん、5年間本当にありがとう…」

        [紺野、ラストソロソング『涙が止まらない放課後』を熱唱]

小川「(…うわぁ…綺麗…ピンクのサイリュウム…)」
紺野「 [泣] みなさん、5年間本当にありがとうございましたっ」
ファン「こんこーん ありがとー」
小川「(こんこんいーなぁ…私はミュージカルで卒業だからこんな素敵な場面ないんだろうなぁ…)」
42 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:14
2006年7月某日 東京都狛江市 戸建一軒家

ファンA「(マコの卒業もあと一ヵ月後か…
      ヒバスレもあれ以来すっかりネガティブ進行になったな…
      他メンヲタは相変わらず他人事だし
      …ん?何だコリャ

      『紺野ヲタが粗末な布を配っていた件 その21』

      まだやってたのかw もう本人卒業してるだろw
      …でも結局布って何だったんだ?…カチッ
      …ふ〜ん、なるほど…こうやってサイリュウムの代わりに布を使って…
      …ん?…これは…もしかしたら…
      カタカタカタ…)」

                       新宿コマ劇場 
新宿コマ劇場は1956年の開場以来年間100万人、開設以来4000万人以上の観客を集めて 〜
   シックな赤色で統一された客席内 客席数は2088席と首都圏では最大級の席数を 〜

ファンA「(客席数2088、満員で2000人弱の観客か…
      確かマコは卒コンなしでこのミュで最後だから…
      …うん、行ける この条件なら理論的には可能だ
      しかし…本当にこんな事が俺に出来るか…?
      布どころじゃない、前代未聞だぞこんな事…
      それにマコが喜んでくれるか…?それが一番大事だぞ…)」

         [10分経過]

      ああ、もう、何をうじうじ悩んでる!
      マコだってあんな大きな決心をしたんだ!
      ここで動かなきゃマコに笑われる!!
      とりあえずヒバスレで提案してみよう
      カタカタカタ…)」

   255 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2006/07/13(火) 21:42:67.46 0
   マコの卒業企画です 二つあります
   以下の内容で検討してみて下さい
   一つ目はよくあるやつです 特大のサイン色紙を作る予定です
   二つ目は 〜
43 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:14
2006年7月某日 大阪府堺市 戸建一軒家

ヲタ「(あ〜今日も疲れた なんでアイツの発注ミスで俺らまで責任負わされなきゃならないんだ もう会社辞めっかな…
    あーあ、こういう時は狼でマコ画像を見て癒されるのが一番だw
    どれどれ…今日はどんなマコ関連のスレが立ってるかな…ん?何だ?マコの卒業企画?
    …ふ〜ん、こんな事やんのか 実現できたら凄いだろうな 
    カタカタカタ…)」

   256 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2006/07/13(火) 21:43:29.95 0
   サイリュウムを使わないセレモニーってのは初だな 
   視覚ではなく直接感情に訴える方法できたか 
   観客が協力してくれるかどうかは微妙だが、俺も協力するよ


2006年7月某日 広島県広島市 6畳間のアパート

ヲタ「カタカタカタ…『マコは現地でアメリカン乳首をパワーアップして帰ってくるよ』
   カタカタカタ…『いいだろ別に お前らのカキコだって同じようなものだろw』
   カタカタカタ…『うるせー ジェットはクソにまみれて死んでしまえ』
   …ん?卒業企画?
   ミュでサイリュウム祭りとかどうやるんだ? 
   って……うへwこんな事やるのかw
   こりゃ体当たりの特攻隊だなw 一体誰が参加するんだよw
   カタカタカタ…)」

   276 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2006/07/13(火) 21:55:67.55 0
   こんなの結局ヲタの自己満足なんじゃないの? それに観客がついて来てくれるとは思わない
   

2006年7月某日 東京都杉並区 集団住宅

ヲタ「(カタカタカタ…『昨日告白した子にすげぇ事務的な態度された…これって振られたの?』
    カタカタカタ…『マコはいなくなるし、振られるし、最悪だ』
    カタカタカタ…『ありがとう…ありがとう… 今日はおとめDVD見て寝るよ…』
    おとめDVD…どこに置いたっけな…
    ん?卒業企画? やっと出たな、どれどれ
    …ちょっとマジかよこれ… 想像しただけで涙出るよ…
    カタカタカタ…)」

   280 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2006/07/13(火) 22:00:37.19 0
   すげぇな 成功したら俺絶対泣くよ
   今も泣いてるけど
44 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:15
2006年7月某日 恵比寿駅 トイレ

ヲタ「(アッー!!!!!!!!!!!!!!!!!
    ……ふぅ…どうやら事無きを得たみたいだな…パンツは…よし、汚れていないな
    さっきの店のタコ酢、あれが傷んでたのか? 
    でももう次の電車行っちゃったな…諦めて狼でも見るか 
    カチカチカチ…ハハw またJのおっさんがいるなw…おお、卒業企画もあるじゃん どれどれ…
    おお、凄いなこれは… 俺も影ながら応援してるぞ
    カチカチカチ…)」
 
   285 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2006/07/13(火) 22:15:47.12 0
   よくこんな事考えるなw 
   気合に免じて俺も当日参加してやるよ
   まぁチケットは取れなかったけどなw


2006年7月某日 愛知県名古屋市 高層マンション15階

ヲタ「カタカタカタ…『時報も死んだか 俺ももうすぐマコの後を追うよ…』
   カタカタカタ…『何だかんだ言っても結局マコは解雇されたんだよな』
   カタカタカタ…『ちょっとネガティブレスするとすぐアンチ扱いだ』
   カタカタカタ…『ポジティブ野郎はクソして寝ろ』
   カタカタカタ…『ジェットは今すぐ家の風呂でおぼれて氏ね』
   …ん?卒業企画?…
   む…これは凄いな…こんな事考えてたのか…
   それなりに考えてはいるようだが、こりゃ実現性はかなり乏しいな
   カタカタカタ…)」

   288 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2006/07/13(火) 22:21:09.00 0
   色紙ってのはありきたりだがそれでも本人の手に渡るには事務所の制約があるだろう 
   第二企画は…これは確実性の無い不安定な企画だ 
   観客がついてこなかったらどうする? 著作権的な問題もあるぞ
   今までと違う事をやるからにはそれなりの入念な準備が必要だ 
   失敗したら恥をかくというレベルじゃ済まされないぞ?
45 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:15
2006年7月某日 千葉県船橋市 8畳間のアパート

ヲタ「ねぇ、ちょっと何か言ってよ」
彼氏「どうもこうもねーよ これくらいの事で怒んなよ」
ヲタ「何?他の女の子と買い物するのがこれくらいの事?あの女の子同じ学校の子でしょ!?あの頭良くて髪の長い」
彼氏「だったらどうだっていうんだよ」
ヲタ「あの子と一体何してたのよ?」
彼氏「知らねー つかおめーみてーなうるさい女は無条件でもうダメ」
ヲタ「ちょ、ちょっと待ってよ、どこ行くのぉ〜!」
  「(ハァ、私いつもこうだよ 好きだから一緒にいたくて…でも結局男の子からみたら縛られてるのと同じなんだよね
    …ハァ…こういう時まこっちゃんだったらどうするんだろ… [携帯を取り出す] 
    カチカチ…あれ?まこっちゃんの卒業企画発見 どれどれ…
    へーこれって実現したらまこっちゃん凄く感動するだろうなぁ…いいなぁこんな卒業式…憧れる…
    あーあ、アイツにはこういう女の子に対する思いやりってものが足りないんだよね
    …カタカタ…)」

   291 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2006/07/13(火) 22:23:25.56 0
   サイリュウムなんかより気持ちが直接伝わるいい方法だね
   コンサートと違って狭い劇場と少ない観客を逆に利用したいい案だと思う 
   成功させるのは難しいだろうけど大賛成だ


2006年7月某日 東京都狛江市 戸建一軒家

ファンA「(…賛否両論ってとこか……カタカタカタ)」

    293 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2006/07/13(火) 22:29:88.37 0
    皆さんありがとうございました
    皆さんのご意見を参考に実行してみることにします
    これからの予定ですが、まず  〜                
46 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:15



                    ◇
 
 
 
47 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:15
2006年8月26日ミュージカル『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』千秋楽前夜 小川の自宅マンション

小川「(明日は千秋楽か…これで私のお仕事は最後なんだ
    せめて卒業コンサートくらいはやってもらいたかったな… 
    こんこんのラストステージ、思い出すなぁ…   
    何万人ものお客さんに見守られて…
    拍手と大歓声に包まれて…
    会場が綺麗なサイリュウムで染められて… 
    安倍さんは白だったっけ、こんこんはピンク…私だったらどんな…
    …ハァ、部屋にいると悪い事ばかり考えちゃう ちょっと頭冷やしてこよ)」
 
             [夜の空気を吸いに外へ]

小川「(あぁやっぱり夏の終わりの夜の空気って大好き 祭りの後のように儚くてちょっと寂しくて 
    それにちょっと涼しくて 柏崎を思い出すなぁ)」

             [30分ほど近所を散歩]

小川「(歩いてたらお腹すいちゃった…あ、ドーナツ屋さんだ ちょっとくらいいいよね って私の悪い癖だなぁw)」
48 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:15

                [店内へ]

小川「(こんな夜中でも結構お客さんいるんだね よいしょっと [トレイを持って座る] )」
客A「アラ、安田さんの奥さん、今晩は〜」
客B「まあ、高木さんお久しぶり ご一緒にどうです?」
小川「(ご近所のオバさんたちかな)」
客A「それじゃ失礼しちゃおうかしら」
娘 「よーすけ君のお母さん、こんばんは〜」
客B「アラアラ美紀ちゃんこんばんは ずいぶん遅くまで起きてるのね」
客A「そうなんですよ この子ったら明日の事が気になって寝られないみたいで」
客B「どこかへお出かけ?」
娘 「あのね、ミキね、マコトお姉ちゃん見に行くんだぁ〜」
客B「親戚のお家へ?」
客A「いえ、モーニング娘。のミュージカルを見に行くんです」
娘 「ミキ、マコトお姉ちゃんの大ファンなんだよ 
   マコトお姉ちゃんはね、どんな時でも元気で笑顔でいてくれるんだぁ
   ミキが小学校でお友達とケンカしちゃった時でも、マコトお姉ちゃんの笑顔を見てると自然に元気がわいてくるの
   ミキ、将来はマコトお姉ちゃんみたいな可愛くて元気で明るくてカッコよくて、そして強い女の人になるんだぁ
   この前握手もしてもらったんだよ〜おばさんいいでしょ〜」
小川「(……)」
客B「アラアラ、それは良かったわねぇ」
娘 「うん!でもね、マコトお姉ちゃんもうすぐ外国へ行っちゃうんだ 
   だから、明日がマコトお姉ちゃんとの最後のお別れなの
   それにね、最近マコトお姉ちゃんテレビで元気がないの 前みたいにあんまり笑ってくれないの
   でも、明日は絶対マコトお姉ちゃん笑ってくれるよね? 
   昔ミキに見せてくれたみたいな、飛びっきりの笑顔見せてくれるよね?」
客B 「うん 美紀ちゃんがお願いしてればマコトお姉ちゃんもきっと笑ってくれるわよ」
小川「 [隠れて涙を流す] (ぅぅぅ…私こんな小さな女の子にまで心配されちゃって…
   でも、ごめんね…私、あなたに昔のような笑顔見せてあげられない
   私、本当は弱くていじけ虫でダメな子なんだ…ゴメンね…ゴメンねぇ…
   …私、こんな小さな女の子一人の願いも叶えてあげられないなんて…)」
店員「お客様…あの、大丈夫ですか…?」
小川「えっ あっ、ハイ、大丈夫です [そのまま急いで店を出る] 」
娘 「ねぇ、おかーさん…今の人マコトお姉ちゃんに似てた…」
客A「そんな訳ないでしょ 明日マコトお姉ちゃんは大事な日なのよ」
娘 「うん…」
49 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:16
2006年8月26日ミュージカル『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』千秋楽前夜 都内某作業場

ファンA「…色紙、できましたね」
ファンB「…一ヶ月、みんなよく頑張ったよ」
ファンC「…俺、涙出そう」
ファンD「涙は明日までとっておこうぜ」
ファンA「で、問題はどうやって届けるか…」
ファンB「結局ギリギリまで引っ張っちゃったからなぁ」
ファンC「それは俺が何とかするよ で、もう一つの方は出来てるの?」
ファンA「ああ、それならDさんが」
ファンD「2,000人分、ちゃんと出来てるよ ハイ、これがサンプル」
ファンC「うん、これなら問題ないね」
ファンB「ネットでの呼びかけはどうなってる?」
ファンA「色々やっていますが、賛否両論、成功する可能性は5分5分ってとこですね…」
ファンB「そうか…」
ファンC「A君、明日はくれぐれも頼むよ」
ファンD「そうだよ 君がやらなきゃ何も始まらないんだから」
ファンB「君がやったら俺らすぐ続くから しっかりな」
ファンA「プレッシャーかけないでくださいよ…まぁ最後なんで精一杯やります」


2006年8月26日ミュージカル『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』千秋楽前夜 カラオケボックス

A「あ〜赤いフリ〜ジア〜 信じるぅ〜事にするわぁ〜 二人の運命〜〜〜〜〜」
B「おまえさーやっぱ下手すぎだよw 飼い主と同じでw」
A「俺はさゆと同じならむしろ嬉しいよ」
B「ハハハwまぁ俺も小春と同じくヘタクソだからなwヲタとして推しメンと同じ特徴を持つのはむしろ喜ばしい事だよなw」
A「もちろんwお前も分かってるなw」
B「ハハw  ああそうだ、お前明日ミュ千秋楽行くんだっけ?」
A「ああ、行くよ 確か小川の最後だよな」
B「あーそういえばそうだったな…寂しくなるなーあの変なキャラが見られなくなると」
A「そうだなー で、当日さ、小川オタが凄い事企画してるんだけど知ってる?」
B「え?何何?知らない」
A「 [携帯を取り出して] …えーと、あーあったあった、このスレだよ」
B「どれどれ…へぇ確かに凄い企画だな」
A「だろ?」
B「でもさーこれって俺らが加わったらかえって迷惑なんじゃねw」
A「そんな事言うなよw」
50 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:16
2006年8月27日ミュージカル『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』千秋楽・朝

母  「麻琴、最近元気ないみたいだけど、大丈夫?」
小川「別にいつもどおりだよ」
母  「今日は最終日でしょ?しっかりやれる?」
小川「大丈夫だって」
母  「ならいいんだけど 今日は新潟からみんな観に来るんだから、しっかりね」
小川「うん、分かってる いってきます」
51 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:16
2006年8月27日ミュージカル『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』千秋楽・昼公演終了後

             [控え室にて]

スタッフA「高橋、凄く良かったよ 今日は最終日って事もあって一段と磨きがかかってる感じ」
高橋「あ、ありがとうございます」
スタッフB「やっぱ高橋は違うわ〜」
脚本家「高橋君、素晴らしい出来だよ やはり君を選んで良かった」
高橋「夢のタカラヅカの舞台ですからね しかも最終日ですから自然と力が入ります」
小川「(愛ちゃん凄いな、色んな人に声かけられて 主役だもんな…同期なのになんでこんなに差がついちゃったんだろ 私がトップ合格だったのに)」
高橋「あ、まこっちゃん、最終公演頑張ろうね」
小川「……」
高橋「まこっちゃんにとって最後の舞台だよ 私まこっちゃんのために精一杯頑張るからね」
小川「……」
高橋「…まこっちゃん?」
小川「…愛ちゃんはいいよね 歌も上手くてダンスも出来て可愛くて、しかもミュージカルで主役なんて貰っちゃってさ 
   私なんて歌でセンター貰えた事すらなかったよ(え…私、何言ってるんだろ…)」
高橋「え…?」
小川「あ〜あ、私も愛ちゃんみたいに何もしないで優遇されるような女の子に生まれたかったなぁ〜(ダメ、それ以上言っちゃダメ!)」
高橋「まこっちゃん、それマジで言ってるの…?」
小川「マジに決まってるじゃん 同じ5期なのになんで愛ちゃんばっかりそんなに…」

          バシッ [高橋が小川を叩く]

高橋「 [泣きながら] 私だって努力してるんだよ! まこっちゃん知らないでしょ!? 私が家に帰っても歌やダンスの勉強してること!!
   私の事何も知らないくせに勝手な事言わないでよ!!!!!!!まこっちゃんのバカ!!!! [小川を睨む] 」
小川「……(知ってるよ…前に愛ちゃんの家に遊びに行った時色んな本があった…)」
スタッフA「こらこらこら、本番前に何やってるの!」
スタッフB「も〜 ホラ、高橋も小川も謝って」
高橋「私悪くないもん」
小川「……」
              [高橋が立ち去る]

スタッフA「小川…アンタ高橋と最後まで合わないわね」
スタッフB「最後なんだから仲良くしたらいいのに」
小川「…ごめんなさい…(本当は愛ちゃんの事大好きなのに…こんな事してしまう自分が嫌…愛ちゃんごめん…
   そう言えば受かってすぐの時もよく喧嘩したっけ…私5年間で何も成長してないね…
   結局センター取れなかったし…こんな最後になっちゃったし ホント、もう最悪)」
52 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:17
2006年8月27日アップフロント事務所廊下

緒方(UFA)「(今日は千秋楽か みんなうまくやってるかな 小川元気にやってるかな)」
矢野(UFA)「 [息を切らして] お、緒方さん、ちょ、ちょっと来て!こっち来て!!」
緒方(UFA)「?え?一体どうしたんですか?」
矢野(UFA)「とにかく、こっち来て!」

            [倉庫室へ]

緒方(UFA)「一体何事ですか?何で倉庫なんかへ……ん?これは…」
矢野(UFA)「ね?びっくりでしょ?この色紙、今朝アップフロント宛に届いてたんらしいんですよ 
       で、さっき坂井君とカナちゃんに運んでもらったんです もちろん上には内緒で」
緒方(UFA)「 [色紙に見入る] これは…凄い…」
矢野(UFA)「ええ、私もこんな大きい色紙を見たのは初めてですよw」
緒方(UFA)「これ、全部二人で運んだんですか?」
矢野(UFA)「ええ、何とかかんとかw」
緒方(UFA)「 [色紙を見渡しながら] う〜ん…しかし凄い まさかこれほどのものを…」
矢野(UFA)「今まで数では安倍の時が最大だったけど、これほどの規模のものは前代未聞ですよw」
緒方(UFA)「そりゃそうでしょうw正直驚きましたよ」
矢野(UFA)「…で、緒方さんこれどうします?」
緒方(UFA)「 [少し考えて] …決まってるでしょう 上にはまだ知られてないんでしょ?」
矢野(UFA)「 [企んだ笑顔で] ええ」
緒方(UFA)「じゃぁ決まりだ 矢野さん、さっきの坂井君たちもう一回呼んできて それからクロさんに取り次いで大至急大型用意してもらって」
矢野(UFA)「じゃぁ…やるんですね?」
緒方(UFA)「何度も言わせないで下さい 決まってるでしょう 最後のチャンスです バレないうちに、早く!」
矢野(UFA)「ハイ!」
53 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:17
2006年8月27日ミュージカル『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』千秋楽・最終公演終了 小川麻琴お別れのコメント

小川「 [営業スマイル] …えー、という事でファンの皆さん、今まで5年間ありがとうございました 海外へ行っても皆さんの事は忘れません
   これからも変わらずモーニング娘。、そしてハロー!プロジェクトを応援してください
   (あーあ、最後の最後まで事務所の指定どおりのコメントか…一度くらい自分の言葉で本音を語りたかったよ…これで私の仕事は全て終わりか…)」

                [一礼し、舞台から退く その時]

ファンA「まこっちゃん、待って下さい!!!」
小川  「 [驚いて振り返る] え?」

          [拍手が止み劇場が静まり、発言者に視線が集まる]
 
ファンA「 [一呼吸置いて] まこっちゃん、俺たち、まこっちゃんから5年間色々な贈り物を貰いました
     まこっちゃんの歌声、ダンス、そして弾けるような笑顔、全てかけがえのない思い出です
     本来なら卒業コンサートでまこっちゃんが俺たちに歌を歌ってお別れするはずなんですが、今回は卒業コンサートがありません
     だから、今までの恩返しとして俺たちファンが心を込めて、まこっちゃんの最後の門出を歌で送り出したいと思います
     まこっちゃん、聴いて下さい!」

    [発言者による独唱が始まり、それに合わせて小川のファンが一斉に席を立ち独唱に加わる
   初めは躊躇していた観客も小川のファンの熱い思いに心を打たれ、一人、二人と席を立ってゆく]

        [一人一人の歌声はやがて観客全員の大合唱となり、劇場全体に響き渡る
             2,000人の観客による大合唱が小川一人に向けて送られた
  実は開場前に小川のファンが事の次第と歌詞の書かれたカードを観客全員に配っていたのだった]

小川  「 [感動のあまりその場に尻餅をつき立てない 両手で口を覆い、たちまち目には溢れる涙が] …す…ごい……」
54 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:17


                ありがとう さようなら まこっちゃん

                  ひとつずつの 笑顔 弾む声

                 夏の日差しにも 冬の空の下でも

                   君はまぶしく 輝いてた

                ありがとう さようなら まこっちゃん


                ありがとう さようなら まこっちゃん

                  走るように過ぎた 楽しい日

                 思い出の日々が 宿るあの歌を

                  君はいつの日にも 歌ってた

                ありがとう さようなら まこっちゃん


                ありがとう さようなら まこっちゃん

                  君と過ごした 日々 忘れない
 
                   新しい風に 夢の翼広げて

                   夢の大地へと 飛び立つ時

                ありがとう さようなら まこっちゃん


                ありがとう さようなら まこっちゃん

                ありがとう さようなら まこっちゃん…


                [誰一人として嫌々歌う者はいなかった 
    ある者は小川との最後の別れを惜しみ、ある者は小川への感謝の気持ちを込め、
               観客一人一人が力の限り声を振り絞った
        ファン全員が心の奥では小川を愛していた事を証明した瞬間だった]
55 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:17
            [大合唱の途中、舞台袖から見ていたスタッフたち]

スタッフA「これは…」
スタッフB「凄い…」
スタッフC「こんなの初めてですよ」
スタッフD「初めてサイリュウム見た時も感動したけど…」
スタッフA「今回はもっと感動するわね」
スタッフB「ファンの人たち、なかなかやるな」
スタッフC「こんな事なかなかできないよ」
スタッフA「小川を思う気持ちがファンをつき動かしたんでしょうね」
スタッフC「ん?」
スタッフB「どした?」
スタッフC「あれ山重さんじゃない?」
スタッフB「どこ?」
スタッフC「特別席のところ」
スタッフB「あららw」
スタッフA「あの人も結局人の子だったのねw」
スタッフD「小川の事あれだけ嫌ってたのにw」
スタッフC「卒コンなしを決めたのは自分なのにねぇw」
スタッフA「あの人も心のどこかで小川に申し訳ない気持ちがあったんだよ」
スタッフC「まぁでも間接的にその決定がこの大合唱を生んだわけだし」
スタッフA「結果オーライという事でw」
スタッフB「ハハw」
スタッフD「小川、頑張れよ〜」
スタッフC「みんな日本から応援してるぞ!」
スタッフA「麻琴、海外でもガンバレ! キミなら出来るぞ!」
スタッフB「小川の成功を祈ってぇ〜念力〜! [手を前に出して何かを念じる] 」
一同   「念力〜w」
56 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:17
                [大合唱の途中、役員・来賓特別席]

山重   「 [号泣] ぅぅ…小川…ゴメンよ…許してくれよ…」
山崎会長「山重君、いつまでそうしているつもりかね お客様の前で見苦しい」
山重   「か、会長…申し訳ありません…」
山崎会長「私の5期メンバー優遇策を散々曲げてきた君が、何を今更そんなに悲しんでいるのかね」
山重   「…私の…今までの方針は間違っていたと…」
山崎会長「この大合唱を見て、ようやく気がついたということかね」
山重   「はい…小川がこんなにファンに愛されていたとは…
      会長、私は…どのような処分を受けるのでしょうか…?」
山崎会長「どういうことかね?」
山重   「いや、今回の件で…」
山崎会長「私は人間とは失敗を重ね、挫折し、泣く度に成長するものだと思っている 
      ただ、失敗を反省しない者に成長する余地はない
      山重君、君が今回の件で成長する自信があるならば私はいつでも君を受け入れるつもりだ
      私の君への処分は以上だ」
山重   「 [号泣] か、会長…あ、あり…ありがとうございます…」
57 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:18
          [やがて合唱が終わり、観客は総立ちで小川に向かってスタンディングオベーションを送る]


    ファンB「[号泣] マコーーーーーー!!!!ありがとー!ありがとー!!」  ファンC「[号泣] まこっちゃーん!」  
       観客A「良かったよーまこっちゃーん!」  ファンD「[号泣] まこおおおおおおおおおおおおお!!!!」 
     ファンE「[号泣] マコー!行かないでくれーーー!!!」 ファンF「[号泣] マコー!5年間本当にありがとー!」
 ファンG「[号泣] マコー大好きだーーーーーーーーーー!!!!」 観客B「小川ー」  観客C「小川さーん!良かったよー!!」
  ファンH「[号泣] マコー!絶対に忘れないよー」 観客D「小川さーーーん」 ファンI「[号泣] ・・・マコ・・・悲しいよ・・・うぅ・・・」 
          観客E「まこっちゃーん!」 ファンJ「[号泣] 麻琴ー5年間よくがんばったー!」

                       [3分経過 なおも拍手と喝采は止まない]

    ファンK「[号泣] まこおおおおおおーーー!マコー!好きだー!」 ファンL「[号泣] マコー!マコー!ありがとー!さようならー!」 
   ファンM「[号泣] 麻琴ー海外行っても頑張れー!いつまでも応援してるからなーー!!!!!」 観客F「小川さーーーーん!さようならー!」

                           [10分経過 まだ止まない]

   ファンN「[号泣] マコー、麻琴ー!うおおおおーー!!!大好きだー!うおー!」 ファンO「[号泣] ぅぅぅぅ・・・まこっちゃぁーん!」
        観客G「[号泣] ありがとー!小川さーん」 ファンP「[号泣] 嫌だ・・・嫌だよ・・・マコ行っちゃ嫌だよ・・・」 
      ファンQ「[号泣] まこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」

小川「 [腰をついたまま必死に涙を拭う やがて涙は嗚咽に] うっうっうっ・・・うぅ・・・」


                      [なおも立ち上がれない小川の姿に劇場がざわつく]


       ファンR「マコー大丈夫かー!」 ファンS「マコー!しっかりー!」 観客H「小川さん、頑張ってー!」

                            [小川なおも立ち上がれず
                  たまらず二人のスタッフが出てきて小川の肩を抱き退場させる]

                  [しかし舞台袖に入る直前小川がスタッフを止め、スタッフに囁く
                     小川が自分の足で立ち、よろめきながら再び舞台へ]
58 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:19
小川「 [涙を拭き、深呼吸をする] ぐすっ…みなさん、今日は本当にありがとうございました
   皆さんの温かい贈り物、しっかりと…ぐすっ…受け取りました
   …まさか最後の最後でこんな素晴らしい贈り物を受け取ることになるなんて…ぅぅ…今、凄く感動しています
   …私……私… [再び涙が溢れ、言葉に詰まる] 」
   
          ファンX「[号泣] マコー!」 ファンY「[号泣] マコがんばれー!」 ファンZ「[号泣] まこしっかりー!」 

                      観客I「[号泣] マコトお姉ちゃん、がんばってー!!」

小川「 [深呼吸し、涙を拭き、強い眼差しで]  私…正直に言うと卒業が決まってから、心の中は“迷い”で一杯でした
   この5年間で私がやってきた事、私の選んだ事は果たして正しかったのか、そして、本当にこれで良かったのか
   これまでの活動を振り返る度、出てくるのはそんな後ろ向きな事ばかりでした

   ただ、それと同時にこのような大人な考え方を出来るようになった自分の成長も実感しました
   新潟から出てきて泣いてばかりいた13歳の女の子は、いつの間にか18歳の大人の女性へと変化していました

   その成長の理由を考えた時、そこにあったのはやはりファンの皆さんの存在でした
   私が迷った時、落ち込んだ時、挫けそうになった時、私を励ましてくれたのは紛れもなくファンの皆さんの温かい言葉でした
   ファンの皆さんが温かく見守って下さったからこそ、苦難にひるまず、勇気を出して新しい事に挑戦出来ました
   ファンの皆さんが温かい声援を送って頂いたからこそ、古い悪い殻を破って新しい自分を発見する事が出来ました

   私の心に常に付きまとっていた“迷い”は、今日の皆さんの素晴らしい贈り物のおかげで全て吹き飛びました
   本当に、本当に、ありがとうございました

                          [一礼 深く深呼吸] 
59 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:19

   えー…これが本当の最後です

   私は9月から新たな旅路につきます
   モーニング娘。そしてハロー!プロジェクトという家から出て、初めて自分の足で人生を歩んでゆきます
   もうそこに迷いはありません
   自分を、そして自分の生まれ育ったこの国を信じています
   前だけを見つめ、臆する事無く未知の世界へとこの身を投じてゆきます

   私は今日で皆さんの前からいなくなりますが、小川麻琴は世界のどこかで生き続けています
   皆さんとの輝かしい思い出を胸に、皆さんの知らないどこか遠くの国で、絶えず歩み続けている事でしょう

   そして、私がいなくなり、月日が流れ、時代も大きく変わってしまった時、ある日ふと思い出していただけたら幸いです
   皆さんの思い出の中にある、小川麻琴の永遠に変わる事のない笑顔を、歌声を、踊る姿を…  
   甘く懐かしい、永遠に色褪せる事のない思い出の日々を…
   あの日、あの時、あの場所で、小川麻琴という人間が確かにそこに存在し、
   一人のアイドルとして、時には笑い、時には泣き、芸能界を精一杯生きていたという事を…

   ……それでは、これまで応援してくれたファンの皆さん、最後のお別れです
   これが私の最後の言葉であり、心の底からの言葉です
   どうか温かく受け取ってください

   『5年間、本当に、ありがとうございました 小川、麻琴でしたっ!!』」
60 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:19


                    [全てを吹っ切り、満面の笑み 深く一礼]

   ファンA「[号泣] まこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」 
        ファンB「[号泣] マコーよくがんばったー!」 ファンC「[号泣] マコーありがとー!ありがとー!!!」 
           ファンD「[号泣] マコー!いつまでも応援してるよー!!」 観客J「 [号泣] ぅぅぅぅ・・・」 
              ファンE「[号泣] まこおおおおおおお!!!!大好きだー!!!!!!!!」 


                [結局、これが小川がファンに見せた最後の姿となった
   ファンの悲痛な思いを乗せた拍手と歓声と慟哭は大喝采となり、いつまでも劇場を揺さぶっていた]

               [小川は楽屋裏へ戻り、メンバーと最後のお別れを交わす]
61 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:19

高橋「[号泣] まこっちゃーん! [主役サファイヤ姫の衣装のまま小川に駆け寄り抱きつく]」
小川「[高橋を抱き締める] 愛ちゃん!」
高橋「[耳元で囁く] まこっちゃん…私…寂しいよ…まこっちゃんがいないと…」
小川「[耳元で囁く] 私も愛ちゃんと別れたくないよ…ずっと一緒にいたいよ…」
高橋「[耳元で囁く] 私ね…私、5年間まこっちゃんがいたから頑張ってこれたんだよ…
            どんな時もまこっちゃんが笑顔でいてくれたから…どんな時もまこっちゃんが私に真剣になってくれたから…」
小川「[耳元で囁く] 私も愛ちゃんからいっぱい思い出をもらったよ いっぱい笑っていっぱい泣いて…いっぱい喧嘩もしたよね…w」
高橋「[耳元で囁く] うん…でももう喧嘩もできなくなるなんて寂しすぎるよ…」
小川「[耳元で囁く] また…いつか…会えるよ」
高橋「[耳元で囁く] 絶対だよ、絶対戻ってきてよ…これが最後のお別れなんて嫌だよ…」
小川「[耳元で囁く] うん…約束するよ…私きっと戻ってくるよ」
高橋「[耳元で囁く] 絶対だよ…私にとってまこっちゃんは永遠のライバルなんだよ…」
小川「[耳元で囁く] いつか決着つけなくちゃね…w」
高橋「[耳元で囁く] うん…」
小川「[抱き合ったまま号泣] ……」
高橋「[抱き合ったまま号泣] ……」
小川「[耳元で囁く] …ねぇ、愛ちゃん覚えてる…?」
高橋「[耳元で囁く] …ん?…」
小川「[耳元で囁く] 5期が入ってすぐの頃、二人で朝まで泣いてた時の事」
高橋「[耳元で囁く] 忘れる訳ないよ…私、自分のパートで声が全然出なくて…
            それでまこっちゃんの部屋に行ったら、まこっちゃんも一人で泣いてた」
小川「[耳元で囁く] うん 私も振り間違えちゃってさ…夏先生に怒られて落ち込んでたら愛ちゃんが部屋に来て…」
高橋「[耳元で囁く] ベッドの中で、二人抱き合ったままいつまでも泣いてた…
            『これからどんなに辛い事、苦しい事があっても、二人で頑張っていこうね』って…
            [涙で声が震える]  『悲しい事があったら…きょう…ぅぅ…今日みたいに…うくっ…また…抱き合って泣こうね…』って…」
小川「[耳元で囁く] 今、5年前と同じだよ…」
高橋「[耳元で囁く] ぐすっ…私たち、あの頃と何も変わってないよ…」
小川「[耳元で囁く] だから愛ちゃん、私がいなくなってもずっと変わらないそのままの愛ちゃんでいてね」
高橋「[耳元で囁く] うん…私、待ってるから…まこっちゃんが帰ってくるの…いつまでも、待ってるから…」
小川「[耳元で囁く] 愛ちゃん、5年間、本当に、ありがと」
高橋「[耳元で囁く] まごっじゃあああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

                [抱き合ったまま号泣]

小川「[耳元で囁く] …愛ちゃん、さっきはゴメンね」
高橋「[耳元で囁く] ぐすっ…もういいよ…私の方こそ殴っちゃってゴメン [再び強く抱きしめる] 」
62 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:20
        [他メンバーが小川と高橋の元へ 全員で抱擁]

新垣 「[号泣] まこっちゃん、私、もう分かんないよ…嫌だよ別れるなんて」
石川 「[号泣] 麻琴〜ヾ£#★¶ [声にならない]」
辻   「[号泣] マゴド〜いや、いや、いや、いや、いや、行っちゃいやぁ〜!やだ〜!!!!」
亀井 「[号泣] グスン…グスン… [声にならない]」
道重 「[号泣] まこっちゃん…絶対お手紙書いてね…絶対だよ」
田中 「[号泣] まこっちゃ…うう…グスングスン」
藤本 「[号泣] マコトぉ…寂しくなるよぉ…絶対帰って来いよ…絶対だぞ…」
久住 「[号泣] …小川さん… [声にならない]」
安倍 「[笑顔] マコト、しっかりね」
松浦 「[笑顔] まこっちゃん、元気でね」

小川 「[号泣] ガキさん、石川さん、のんつぁん、亀ちゃん、さゆ、れいな、ミキちゃん、小春ちゃん、
    そして安倍さんに松浦さん、みんないままで本当にどうもありがとう 
    私、海外へ行っても頑張るからね」
スタッフ「ホラ小川、吉澤のところにも行ってあげて」

  [離れたところで腰に手を当て天井を見ながら一人皆に背を向けている吉澤]

小川 「 [号泣] 吉澤さん、いままで本当にありがとうございましたっ」
吉澤 「 [振り返ると目には涙が] 麻琴っ [振り返りざま麻琴を抱きしめる]
    麻琴…向こうに行っても変なモン食うんじゃないぞ…
    カラダには気をつけろよ…寂しくなったらいつでも電話していいんだからな…」
小川 「[抱き合ったまま号泣] よ、吉澤さぁーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!」

           [『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』 公演全て終了 
   小川麻琴、モーニング娘。並びにハロー!プロジェクト卒業及び芸能界引退]
63 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:20
        [公演終了後、再び会場の外に戻って来た小川のファンたち]

ファンC「…さっきまでの熱狂が嘘みたいだ」
ファンD「さすがに誰もいないと静かだな」
ファンB「…もうマコはいないんだよな」
ファンC「ああ…もう会えないんだよ」
ファンA「いつか最後の時が来るとは思ってたけど」
ファンD「実際にその時を迎えてみると…辛いな」
ファンB「これでもう本当に全部終わったんだな」
ファンD「ああ もうマコのいる生活は戻って来ないんだ」
一同  「……」
ファンA「みなさん、これからどうするんですか?」
ファンB「俺はきっぱり足を洗って普通の生活に戻るよ」
ファンC「俺ももう年だし、アイドルの尻追っかけるのはこれで最後かな」
ファンD「俺もそんな感じだな A君はどうするの?」
ファンA「俺は…まだ心残りがある感じですね」
ファンB「そうか 何か俺の昔を思い出すな」
ファンC「君はまだ若いからそういう気持ちも分かる けど若いからこそ、君にはまだ色んな可能性が残されてる事を忘れるなよ」
ファンD「その通り あんまりのめりこんでも人生破綻するだけだぞw」
ファンA「ハハw 俺はただ、まだマコに伝えたい事があるってだけですよ」
ファンC「伝えたい事?」
ファンA「いえ、大した事じゃないです 最後に手紙で一言『ありがとう』って ファン自体は辞めるつもりです」
ファンB「そうか てことはみんなバラバラになるんだな」
一同  「……」
ファンC「じゃぁ、みんなここで本当にお別れだな」
ファンD「ああ 最後にみんなと一緒にファン活動できて楽しかったよ」
ファンB「俺も楽しかったよ」
ファンA「俺もいい経験が出来ました みなさんお元気で…さようなら」
64 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:20
             [小川は両親の待つ自宅マンションへ]

母親 「麻琴、最後の公演凄く良かったよ お父さんも、ホラ」
父親 「 [照れながら] あ、麻琴、よく頑張ったね」
母親 「もう、それしか言えないんだから…お父さん、感動して声を上げて泣いてたのよw」
父親 「 [赤面] よ、余計な事を言うんじゃない!」
母親 「ふふ…あ、そうそう、麻琴、部屋に沢山届け物があるから見てきなさい」
小川 「え?何?」
母親 「とにかく、見てみなさい」

   [部屋にはたくさんの花束や贈り物、そして『俺たちのマコへ』と書かれた特大サイズの巨大サイン色紙があった
        巨大サイン色紙の中心部には小川のモーニング娘。時代の歴史が事細かに書かれており、
        その周りにはファンのメッセージや思い出の写真・グッズなどが大量に貼り付けてあった]
 
小川 「(凄い…こんなに大きな色紙にぎっしりメッセージが…ん?…スタッフさんから書置きがある)」

               [スタッフ(矢野・緒方)の書置き]

                〜 小川、卒業おめでとう 〜
     これはファンの人たちが小川のために作ってくれたサイン色紙と花束です
    いつもならこういうものは本人には届けてはいけない事になっているんだけど、
  今回は規模が規模だけに上層部には秘密で、特別に本人に手渡すことになりました

小川 「 [号泣] ぅぅ…ありがとう…ありがとうございます…私、本当に幸せです…」

母親 「麻琴、いい人たちに恵まれたわね」
小川 「うん…」
母親 「麻琴、モーニング娘。に入って良かった?」
小川 「うん 私、モーニング娘に入って、世界で一番幸せな時間を過ごせたよ」
母親 「そう じゃぁ旅立ちの準備をしましょう」
65 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:21
俺   「タカシ、封筒ちゃんと渡したか?」
生徒A「ああ、バッチリ渡しといたよ」
俺   「そうか ありがとな」


            俺は財布の中にある一枚の写真を取り出した
           加工をして20年間大切にしてきた俺のお守りだ
                   もう必要ないだろう
        俺は清々しい気持ちのまま写真を多摩川へ投げ入れた
             俺の25年間のヲタ生活はここで終了した

           ttp://makotan.ddo.jp/mako/makoaa4233.jpg
66 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:21


                        ◇
 
 
 
67 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:21
〜 エピローグ1 〜

『リボンの騎士』千秋楽でサプライズ ファンの開いた”卒業コンサート” - 日刊スポーツ2006年8月28日

27日新宿コマ劇場でモーニング娘。、美勇伝、安倍なつみ、松浦亜弥、辻希美(ダブルユー)の出演する『リボンの騎士』最終公演が行われた。
小川麻琴(18)にとって最後の舞台となる午後4時からの追加公演では、観客による壮大な”卒業コンサート”が行われた。
小川が最後に「今まで5年間ありがとうございました 海外へ行っても皆さんの事は忘れません」とあいさつすると、示し合わせたようにファンが小川に歌の『贈り物』を贈った。
終始笑顔を絶やさなかった小川だが、ファンの開いた”卒業コンサート”に涙をこらえる事ができなかった。
小川麻琴は卒業後芸能界を離れ一年間カナダへ語学留学する予定。

小川麻琴 1987年10月生まれ さそり座 18歳 新潟県出身 
       2001年第5期メンバーとしてモーニング娘。に加入
       2006年8月27日ミュージカル『リボンの騎士』をもってモーニング娘。卒業

68 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:21
〜 エピローグ2 〜

『俺たちのマコへ』

マコの歴史(抜粋)

2001年7月 モーニング娘。LOVEオーディション21に参加

  鶴瓶「モーニング娘。に入ったきっかけは?」
  麻琴「私は最初、オーディションをやってるの知らなくて、お母さんが新聞に『載ってるよ』って言って、それで受けました すごいギリギリに」
             〜
 寺合宿では課題曲『I Love NY City』でセンターに抜擢
 演劇指導では台詞を覚えるのが一番早かった
 歌唱指導で思ったように声が出ず、菅井先生に『アナタ本当はデキるなのよ』と言われ悔し泣き
 部屋で泣いている時、スタッフに『いつも元気じゃねぇかよ 元気出せよ』と励まされる
 合宿中は他の選考者を常にリード 「まこっちゃん、カッコいい」
             〜
 合格発表では最初に名前を呼ばれる 「ダンスも頑張って えー素質がありますね まだまだ隠された才能があると思います 
                         それをこれからどんどん伸ばしていきたいと思います 
                         えー、小川麻琴」


2002年8月18日 NTV 24時間TV〜愛は地球を救うに出演

 富士登山に挑戦(小川・新垣)
 6合目あたり
  野口「え〜色々子供たちに症状が出始めてきています 小川さん、どうですか?」
  麻琴「ちょっとだけ苦しいんですけども、大丈夫です… [力なく笑い、うつむく] 」
       〜
  野口「小川さん、ちょっとこれからドクターチェック始めるところです え〜ちょっと脈がですね速いんですね」
  医師「足がふらついてて転倒の可能性がありますね」
  野口「山は無理して登るものじゃないですから、僕はここまでかなと」
  麻琴「え…のぼ…登りたい…」
     「登りたい… [何か言いたそうに口をパクパクさせる] 」
  徳光「麻琴ちゃん、諦めることも勇気だよ」
  麻琴「…でもみんなで一緒に頂上まで行きたいです…」
  徳光「行きたいか そうか」
69 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:22
2002年8月27日 NHK-BS2 BSまるごと大全集 100%モーニング娘。

 北海道美瑛町岩田牧場を訪問(高橋・小川)
 オープニング 美瑛の菜の花畑
  麻琴「私の中の北海道といえばぁ…じゃがいも、牛乳、メロン、さつまいも?、カニ!、食べたぁ〜い
     菜の花が沢山咲いていてキレイ 何か、花を見ていると優しい気持ちになれる♥
     見渡す限りの大自然 ラベンダーはもう終わったのかなぁ 空気がキレイ!
     何となく新潟と感じが似ていて落ち着くなぁ ほのぼの、ほのぼの」
     「やっほーって叫びたくなるね」
  高橋「やっほー!」
  麻琴「やぁだよ」
          〜
 育成牛舎へ(生まれたての牛を育てるところ)
  麻琴「あ、ちっちゃい〜かわい〜」
  岩田「ここは、赤ちゃんを産むのにもうちょっとっていうところの牛」
  麻琴「アレ?ここってぇ、牛オスしか…メスしかいないんですかぁ?」
  岩田「メスしかいません」
  麻琴「え、メスしかいないのにどうやって赤ちゃん産むんですか?」
  岩田「あのね、人工授精といって、獣医さんが来て種を付けてくれるんです」
  麻琴「へぇ〜… [牛を見て] 何かまつげ長いなぁキミ、まつげ…怖がっちゃった」
          〜
 搾乳初体験
  麻琴「でっけぇ乳してんなおめ」
    

2003年3月16日 TBSラジオ 坂下千里子のビューティーお先です!に飯田圭織と出演

 毛深い事を暴露
 アイスクリームを一日5個食べる事を告白

 この頃からふくよかになり始める
70 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:22
2003年4月5日 フジTV めちゃめちゃイケてるっ!『岡村女子高等学校 期末テスト』に出演

 自習時間
  麻琴「なんだこれ」
  岡村「ハイみなさん注目〜! 小川さんは凄いですよ〜 
     これ全部スーパーのチラシとかで作ったノートです チラシもこんな風にすればちゃんと使える訳ですね〜」
  麻琴「やだー!アハハハ」
  岡村「これも注目〜! 短くなった鉛筆をテープでつけてますね」
  麻琴「いや〜も〜w」
         〜
 英語:Please hold on me as long as possible.を訳しなさい
  麻琴「私の歌声を長くのせて下さい」
  岡村「つんくに言って下さい」


2003年4月23日 モーニング娘。18thシングル『AS FOR ONE DAY』発売

 TV朝日 MUSIC STATION
  髪を茶色に


2003年6月1日 TV東京 ハロー!モーニング。『ハロプロワイド』開始(中澤・小川・紺野) 

 ピーマコ小川として出演
 この頃から表情が非常に朗らかになる 吉澤ひとみと仲良くなる

 当コーナーにて数々の名言

  麻琴「ピーピーピーピー ピーマコ小川ですっ!」

  麻琴「どーにもこーにもまこっちゃん♪」

  麻琴「どっこいどっこいおがどっこい どっこいどっこいおがどっこーい!」

  麻琴「今日は猪木さんでやってみまった」

  麻琴「チュクチュー あけおめあけおめ おめでとさん♪Sey♪」
    「今年最初のハロプロワイド♪」
    「そこのねーさんビッグな態度♪」
    「チェケラッチョー♪」
    「ハッピー♪」
71 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:22
2003年6月29日 フジTV FNS27時間TVに出演
 
 フィナーレ付近で車椅子に乗り登場
         〜
 モーニング娘。の歌披露になると車椅子に座ったまま悔しそうな顔でメンバーを見送る


2003年7月9日 シャッフルユニット SALT5『GET UP!ラッパー』発売

 フジTV HEY!HEY!HEY!にシャッフルユニットとして出場
  椅子に座って歌を歌う

 TV朝日 MUSIC STATIONに出演
  椅子に座って歌を歌う


2003年7月30日 モーニング娘。19thシングル『シャボン玉』発売

 TBS うたばんに出演(6期初トーク)
  石橋「小川!?」
  麻琴「はい?」
  石橋「あのさ、やる気になろうよ」
     「[口ぽかーんのまね]」
  麻琴「ちゃんと聞いてますよ」
  石橋「ちょっと髪の毛の色、変えたでしょ?」
  麻琴「はい…」
  石橋「足立区鹿浜のおばさんみたいなんだよ」
  麻琴「なぁ〜んでですか〜!?」
  石橋「大丈夫?」
  麻琴「大丈夫で〜す」
  中居「参加意欲持つように」
  麻琴「はい」
     〜
   [飯田の話]
     〜
  中居「小川、今の話、どうだった?」
  麻琴「はあぁ…」
  石橋「 [椅子から転げ落ちる] 」
    「どうだったって言われて『はあぁ』ってなんだよそりゃw」
  麻琴「ちゃんと聞いてましたよ」
  石橋「ほら、クチ!クチ! ちゃんと閉じて!」
  麻琴「 [口をキュッと閉じる] 」
72 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:22
2003年9月18日 モーニング娘。おとめ組『愛の園〜Touch my heart!〜』発売

 緑のキュートな衣装が話題に


2003年9月29日 TV東京 それゆけ!ゴロッキーズ 開始

 数々の発言
  
  質問2:「もしも過去に戻れるならどこに?」
  麻琴「モーニング娘。に入った日」
     「今の自分のまま戻って」
     「こういう事であなたは失敗したんだよっていうのを教えてあげたい」
  藤本「そうしたら、今のまこっちゃんは居ないよ」
  キー坊「失敗をバネに人間は大きくなっていくからさ」
  麻琴「あ〜、そっか…」
     「そうですよね」


2003年10月4日 フジTV めちゃめちゃイケてるッ!『岡村女子高等学校 体育祭』

 個人種目2:走り高跳び
  見事な背面飛びを決める
         〜
 家族との昼食タイム
  ナレーション:小川の家は共働きなので来れなかった
  岡村「あれ…?茂みの辺りに誰かいるぞ?」
  麻琴「 [トン吉チンペーカン太が登場] なぁ〜んでぇ いるのぉ〜?」
     「 [トン吉が股間を掻く] いやぁ〜だ〜www ダメぇ!」
     「 [3人が帰る途中で喧嘩] 早く帰れぇ〜!」


2003年11月19日 2番組に出演

 フジTV 爆笑!おすピー問題に出演
  PK対決のコーナー チア姿で登場
  ピーコ「麻琴、どっち応援するの?」
  麻琴 「え、ヴィクトリーチームですよ」
  おすぎ&ピーコ「 [麻琴を抱き寄せて] こっちに来た方がいいわよぉ〜 もうオカマになっちゃいなさい!」

 (同日)水10!ワンナイR&Rに番宣のため出演
73 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:22
2003年11月22日 2番組に出演

 フジTV もしもツアーズに出演 東京ディズニーランドへ
 
 (同日)フジTV ドラマVICTORY!フットガールズの青春にマコト役で出演


2003年12月11日 フジTV とんねるずのみなさんのおかげでした『新・食わず嫌い王決定戦』に石川梨華と出演

 試食開始
  木梨「かあさんは何でも食べそうだよね?」
  麻琴「かあさんじゃないですよwだって、まだ16歳ですよ」
  木梨「じゃあ、ピーマン好きですか?」
  麻琴「ピーマン好きですよ」
  木梨「ものスゴイ似合うねピーマンの肉詰めっていうのがw」
  石橋「白飯かき込むって感じでね」
  麻琴「いやだぁ〜wそんな風に食べないもん」
    「食べますね いただきます」
    「 [食べようとするが噛み切れず一旦止まる] んっふふふふ ふふふふふふふw」
  石橋「何か、『今日あそこのピーマンが安いわよ!』ってママチャリで買いに行きそうでしょw?
     『奥さん、こっちのが安いわよ!』ってw」
  石川「ホントでもお母さんっぽくて 今日もかばんにはゴマ豆腐が入ってるんですよ
     『石川さんゴマ豆腐食べますぅ?』ってw」
  麻琴「とーふ好きなんです」
  木梨「もの凄い何か明るいし 
     ダンスレッスンとかしてる時に、『豚汁できたわよ〜!』『食べちゃってからやりなさ〜い!』ってやりそうなw」


2004年4月29日 TV東京 二人ゴトにソロ出演

  麻琴「以前は、初対面の人に『話しかけにくい』とか『怖い』とか言われたりしました」
    「今は『オバちゃん』とか言われるようになって、それもねぇ…、結構寂しいなって…」
    「私、実は意外と乙女チックでねぇ 部屋にガーっとぬいぐるみ置いてあったりポスター貼ってあったりとか、布団とかも可愛いキャラクターだったりして…」
    「石川さんとのんちゃんが泊まりにきた時、『ここ、本当に麻琴の部屋!?』とか『こんな所で寝れな〜い!』とか言われて…」

74 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:23
2004年5月12日 モーニング娘。22ndシングル『浪漫〜MY DEAR BOY〜』発売

 フジTV HEY!HEY!HEY!『プライベート写真大公開!』
 麻琴の写真公開
  松本「レディースの集会じゃないですかw」
  浜田「左側写ってないけど、賭場があるんちゃうかw?」
  麻琴「とば?」
  浜田「これは、パンチ効いた写真やで」
     「モーニング娘。とは思われへんもん」
  麻琴「普通にこれで外歩きますよ」
  浜田「え?これで原チャリで来んの?」
  麻琴「違いますよぉ!そんな 乗りませんけど」
  浜田「原チャリで来たらええやん?」
  麻琴「無理ですから!まだ16歳やもん」
  浜田「いや、来れるやん」
  麻琴「そうなんですか?」
  浜田「うん」
  麻琴「自転車?」
  麻琴「 [田中に説明してもらう] お〜へっ」


2004年6月 

 この頃黒髪に戻し金のメッシュを入れる
75 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:23
2004年12月1日 H.P.オールスターズ 『ALL FOR ONE & ONE FOR ALL』発売

 髪を茶色に戻す(金のメッシュはそのまま)

 TBS うたばんに出演
  石橋「小川は重大な相談事があるんだって?」
  麻琴「そうなんです 聞いてくれます?」
  中居「おぉ、聞くよ聞くよ」
  麻琴「今、モーニング娘。の5期と6期でソロ写真集を1人ずつ出しているんですよ」
  中居「ちょっと待てよ!?まさかっ! [麻琴の全身を舐めるように見る] 」
  麻琴「あの、そうなんですよ 『来年の春くらいまでには出そうか?』と言われたので、『あ、出したいです』って言ったんです」
  石橋・中居「えっ?誰が?」
  麻琴「…わ゛だしですげども?」
    「 [一旦話が脇にそれる] 相談にのってくれないんですか!?」
  中居「タイトルどうするの?」
  石橋「小川の武蔵川部屋」
  麻琴「いやぁ〜だぁ〜w」
    「お薦めのポーズとかあったら、教えて欲しいなって…」
  石橋「イメージしているロケ地はどこ?」
  麻琴「畳」
    「 [セットの前へ] 畳があって、寝っころがって…」
    「こうやって振り向いた瞬間に笑った顔っ♥」
  石橋「ちょっといいっスかぁ [カメラを借り、麻琴をズームで撮る] 」
  麻琴「 [カメラに合わせて振り向き] 笑った顔っ♥」
  中居「アラ、可愛い〜」
  石橋氏「小川はやっぱ自然児だからさ、雄大な草原のあるモンゴル!」
  麻琴「遠いw」


2005年1月

 この頃痩せ始める


2005年2月21日 小川麻琴1stソロ写真集『小川麻琴』発売

2005年2月27日 TV東京 ハロー!モーニング。『私をデートに連れてって #2セレブデート』
  
 岡田眞澄とセレブデート(石川・高橋・小川)
  高級レストランでテーブルマナー講座
  麻琴「 [ナイフで音を立ててしまう] えっ あっソーリー」
76 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:23
2005年3月5日 モーニング娘。コンサートツアー2005春〜第六感 ヒット満開!〜(2005年3月5日-5月7日 13都市33公演)

 インフルエンザのためコンサート欠席(3月)


2006年4月28日 紺野あさ美・小川麻琴モーニング娘。卒業発表

2006年8月1日 ミュージカル『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』開始

2006年8月31日 モーニング娘。卒業
77 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:23



                    ◇
 
 
 
78 名前:出せなかったファンレター(完全版) 投稿日:2006/08/25(金) 01:24
※エピソード2 『マコの歴史』は完全版の一部を抜粋したものです。
  完全版はこちらへ。
  『マコの歴史』 完全版
  ttp://tv8.2ch.net/test/read.cgi/zurui/1148988959/

※小説内に出てくる卒業企画及び2ちゃんねるのログは全て架空のものです。
  また、この企画が実行予定又は実行中である事実は一切ありません。
 
※この小説はフィクションですが一部事実に基づいて作成しております。
  ただ、小説の完成時から発表時の間に隔たりがあるため、一部事実と異なる記載があります。
  (この小説は2006年5月時点の事務所発表の情報に基づいて作成したものです。
  ストーリーの展開上、7月23日の卒業ライブや小川さんの卒業後の進路等、事実とかけ離れた描写が数多くあります。)
79 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/25(金) 01:24



                    ◇
 
 
 
80 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/25(金) 01:24


『出せなかったファンレター』 H18.6.4  by どら

参考資料&ご協力頂いたWEBサイト

・ウィキペディア
ttp://ja.wikipedia.org/

・〜 Aesthetic-Sense 〜 小川麻琴ファンサイト
ttp://www.aesthetic-sense.com/
(オッス貴教様、ご協力ありがとうございました)

・246こねくしょん(ハロプロ番組レポ)
ttp://www001.upp.so-net.ne.jp/al246c/
(あれく様、ご協力ありがとうございました)

・『ありがとう さようなら』作詞:井出 隆夫 作曲:福田 和禾子 1985年
81 名前:どら 投稿日:2006/08/25(金) 01:25
 
 
 
                    ◇
 
 
 

 
82 名前:どら 投稿日:2006/08/25(金) 01:30
続きまして、『出せなかったファンレター』(完全版)の続編第一弾 〜ニューヨーク修行編〜 
題して『聖夜の舞姫』です

テーマは“男女の友情”
純粋なラブストーリーです

ストーリーの展開上、ちょっとだけエッチなシーンがありますw
こちらはそれほど鬱マコじゃないと思います


※途中で容量が足りなくなると思いますので、その時は容量の大きめな森板の方にスレ立てしようと思います
※全体のプロットは既に完成しているので毎日更新できると思います
83 名前:どら 投稿日:2006/08/25(金) 01:31




                   ◇
 
 
 
 
 
84 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:31



“友情と恋愛とは人生の幸福を生み出す
 ちょうど二つの唇が、魂を有頂天にするキスを生みだすように”

クリスチャン・フリードリヒ・ヘッベル(1813-1863)
 
 
 
 
 
85 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:32



            『聖夜の舞姫』
 
 
 
 

86 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:32



プロローグ 『ニューヨーク』
第一話   『謎の隣人』
第二話   『冤罪』
第三話   『甘い思い出』
第四話   『親友』
第五話   『小林広樹』
第六話   『貞操』
第七話   『郷愁』
第八話   『好転』
第九話   『夢への階段』
第十話   『恋人のジレンマ』
第十一話 『師弟愛』
第十二話 『モーニング娘。』
第十三話 『最難関』
第十四話 『悲しき錯誤』
第十五話 『自暴自棄』
第十六話 『新しい朝』
第十七話 『揺れる思い 1』
第十八話 『揺れる思い 2』
第十九話 『葛藤の果て』
第二十話 『意外な訪問者』
最終話   『聖夜の舞姫』
エピローグ 『一年後』
 
 
 
87 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:33



               ◇



88 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:33




プロローグ 『ニューヨーク』



89 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:33




灼熱のニューヨーク、JFK空港に一人の少女が降り立った。 



「あっついあっついなぁ」



照りつける太陽から目を覆い、少女は小さな声でつぶやいた。



少女の名は小川麻琴。

新潟出身の純粋な日本人。18歳。
濃いまつげに縁取られた切れ長の目元は、どこか知的で優雅な印象を与える。
新潟女性特有の白磁のような肌がNYの青い空に映えていた。

お気に入りのマーキュリーデュオのストレートデニムに、お尻をすっぽりと包み込む薄手のグレーのロングニット。
ニットの上から太めのベルトを締め、開いた胸元を大きなシルバーのネックレスで飾る。
その手には大きなボストンバッグがあった。
90 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:34



「今日からここで暮らすんだ」



少女は初めて味わうNYに特別な感慨を込めてつぶやいた。



アメリカ一にして世界一の大都市、ニューヨーク。
人々は夢と野望を抱いて世界中からこの街に集う。



少女はおもむろに最初の一歩を踏み出す。



NYの喧騒が少女を包む。



エンパイア・ステートビルを遠くに望み、
日本のそれとは明らかに違った雰囲気のビル群の中を闊歩してゆく。
街行く人々は、無言の内に自分を受け入れてくれているようだった。
91 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:34



タイムズスクウェア、カーネギー・ホール、ブロードウェイ
異国情緒漂う建物、車、タクシー、バス
独特の空気感
街を行き交う様々な色の肌をした人々
空の色 空気のにおい 空気の温度



全てが新鮮だった。
少女は改めて自分が外国に来た事を実感した。



「しっかりやらなきゃ」



少女がこの街に来た目的は、二つあった。
一つは、語学力を磨く事。
もう一つは、本場のダンスレッスンを受け、プロのダンサーとして全米デビューする事。



語学力を磨くというのは名目で、本来的な目的はむしろダンスの方にあった。
ダンスの腕を磨き、子供の頃からの憧れ、Hebrew Actors' Union(HAU)に入る。
それが一番の目標だった。
92 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:35



弱冠18歳の少女がこのような大きな行動を取る事が出来たのには理由があった。



少女は見た目こそ普通の日本人だったが、普通の18歳とは全く違った人生経験をしていた。



日本のトップ女性アイドルグループ、『モーニング娘。』。
少女はこのグループで5年間、歌い、踊っていた。
今回、その所属事務所の資金援助もあってNYへの留学が実現した。



少女が一人つぶやく。



「まずは…ここのアパートに行かなきゃ
 タクシー呼ぶの緊張するなぁ」
93 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:35



新潟の田舎町生まれの少女は一瞬NYのタクシー群にたじろぐ。



勇気を持ってタクシーを停める。
黄色いカプリスワゴンのタクシーがすっと停まる。
大きなバッグをよいしょと車内に入れ、目的地のメモを手渡す。



「OK,Ms. I shall come.」



NYに来て初めての人とのコミュニケーションに、何ともいえない快感を味わう。
車は目的地に向かって動き出した。
94 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:35



右側通行の道
左ハンドルの車
英語で書かれた交通標識
独特の形をした信号機
窓の外を流れるNYの大都会



全ての風景が刺激的だった。
NYの街並みは少女にとって、これから始まる新生活に心地よい緊張感を抱かせるに十分だった。



30分ほどで目的地に到着する。



ニューヨーク市クイーンズ区の南東に位置する、築15年の5階建ての木造アパート。
決して新しくはないが、アメリカ映画によく出てくるような味のあるアパートだ。
95 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:35



重い荷物を運び、まずはエントランス右の部屋にいる管理人に挨拶をする。



「Ah〜My name is Makoto Ogawa.」



部屋に入るなり唐突に挨拶を交わす少女。
管理人は驚きもせず、少女の方に振り返る。



「イラッシャイ オ待チシテオリマシタヨ」



ベティ・ローズ――――

このアパートの管理人。
やたら体格のいい50代前半のメキシコ系アメリカ人の女性。
大きな体に似合わず、その口調は至って穏やかだった。
96 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:36



「あっ、日本語… ハイ、ヨロシクオネガイシマス」



釣られて自分まで英語鈍りになる。
これがベティのツボにはまり、大きな声を上げて笑い出す。



「ハハハハw アンタ、面白イネェw」

「ハハハw せんきゅうせんきゅう」

「フフw I'm ベティ・ローズ
 Please call me “ベティ”ッテ呼ンデネ」

「あ、私、小川麻琴です」

「ジャァ、マコト、部屋ニ案内スルヨ」



少女は自分の部屋まで誘導された。
97 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:36



少女の部屋は3階の角にある303号室。
ここ3階には、角に2つ、廊下に並んで2つ、計4つの部屋があった。



「3階ニハアンタト同ジ日本人イルカラ、何カアッタラ相談シナサイ
 コレガ、room-key ジャァ、ゴユックリ」

「あ、ハイ せんきゅう、ベティ」



ベティを見送ると、少女は部屋の鍵を開けようとドアノブに手をかける。
その時、隣の302号室のドアが勢いよく開いた。
98 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:36



出てきたのはアジア人らしき男性だった。



ラルフローレンの黒いポロシャツに、ヴィンテージ風のGパンといったラフな出で立ち。
日本人かどうかは分からないが、日に焼けた浅黒い肌、短く切り込んだ黒髪、
大きめでまっすぐな黒い瞳は、まさしくアジア人の特徴を持っていた。

年齢は18-20歳ほどか。
しかし、細身で185cm程の長身は少年を実年齢より高く見せていた。
そのどこかクールな印象のある表情は、なかなかの美青年と言えた。
99 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:36



「!!!!!!!」



少女を見るなりクールなマスクは一転して驚きの表情に変わり、その目は少女に釘付けになった。



少女はそれを気にも留めず、目線をそらし、会釈をして部屋に入っていった。
こういう男はモーニング娘。時代も結構いたので扱い慣れていた。
100 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:37
部屋は10畳ほどの広さだった。
部屋には木製のデスク、ベッド、電気スタンド、テレビ、シャワー室、小型冷蔵庫、洗濯機が備え付けられていた。
決して新しくは無いが部屋の中は綺麗に掃除されており、ベッドのシーツもピシっとたたんであった。



窓の外からはNYの街並みが一望できた。
3階から見えるNYの景色はなかなかの壮観だった。

101 名前:聖夜の舞姫 投稿日:2006/08/25(金) 01:37



少女はNYの景色を眺めながら、確かな手ごたえを感じていた。



「何か、結構ニューヨークって楽勝でしょ
 人も優しいし、日本語でも結構いけるし
 頑張るとか、苦労するとか何もしなくて済みそうだな

 この調子なら、特に何も無しにすぐに凱旋できるんじゃん?
 私の本場仕込みのダンスを見たら、みんなパニックになっちゃうよw」



窓枠に手を置きながら、少女は自信の言葉を口にした。



これから先どんな苦難が、そして、どんな喜びが待ちうけているか何も知らずに――――

102 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:38






第一話  『謎の隣人』





103 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:39

「取りあえず、生活用品を買ってくるか」



少女は部屋の片付けもままならないまま200ドルを手に部屋を出た。
階段を降り、管理人室の隣まで行くとベティが先ほどの少年と談笑していた。



少年は少女を確認すると、今度はにこやかに挨拶をする。



「麻琴、久しぶり」

「?へ?」



少年は日本語で話しかけた。
少女は『久しぶり』の意味がわからず、その場で固まった。

104 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:39



かまわず少年が続ける。



「やっぱ久しぶりだから分かんないか 俺だよ、俺」



やけに馴れ馴れしく話かける少年に対し、少女は恐怖感すら感じた。



「(どう見ても知らない人だし、何か怖いな
  私のファンの人がここまで追いかけてきたのかな…)」



にこやかに微笑む少年に対し、少女は恐怖と軽蔑の混ざった眼差しを向けてそそくさとその場を去った。

105 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:39



「あーあ、ベティ、麻琴逃げちゃったよ」

「フフw ソノウチ分カッテクレルヨ
 アナタノ言ッテル事ガ本当ナラネ」

「何だよ、ベティまで俺の事疑ってるのかよw」

「ダッテ、アナタチョットmysterious boy」

「ちぇっ、まぁいいや それにしてもこんな偶然ってあるんだな…」



少女は少年から逃げるように、駆け足で近くのスーパーマーッケットヘ向かっていた。
少女の胸に一抹の不安がよぎる。



「(怖い怖い、ああいうのってストーカーって言うんだっけ
  あんな人が隣にいるなんて嫌だな…
  パンツ盗まれたりしないかな…)」


106 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:40



小川のアパートはNYの郊外に位置し、生活するには最適だった。
近くにはスーパーマーケットの他に雑貨屋、飲食店があった。
さらに、バス停まで歩いて2分という好条件だった。



少女がスーパーマーケットに入る。



「うわぁ…凄く広い…しかも見た事ない商品ばかりだよ…
 ええと…取りあえずお菓子、お菓子♪」



店内をうろつく。

107 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:40



「広すぎて見つからないよ お菓子って英語で何て言ったっけ? 
 ちょっとあの店員さんに聞いてみよ えくすきゅーずみ〜」

「Yes」

「え〜っと、お菓子ハ…ドコ…」

「Sorry?」

「あのぉ〜う〜んと…何ていうんだっけ…?」

「What kind of goods do you want?」
 [何をお探しですか?]

「う〜ん分からない…」

「…Sorry,Ms.」

「あっ、行っちゃった…」



言葉の通じない少女に業を煮やし、店員はそっぽをむいて向こうへ行ってしまった。

108 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:40



仕方が無く、一人で探す。
しかし、英語の全く読めない少女はどうする事も出来ず、途方に暮れる。



「(どうしよ…ここ凄く広いし、私英語全然読めないし…
  ああ、もう30分くらい経っちゃってるよ…)」



明らかに挙動不審な少女を周りの客や店員が横目で見る。



「(困ったなぁ…いったんお店出るしかないかなぁ…でも今日のゴハンどうしよう)」



困り果ててその場にたたずむ少女。
その時、何者かが少女の肩をポンと叩いた。

109 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:41



「お困りですか?お客様」



さっきの少年だった。



少女は驚いて少年の顔を見上げる。
しかし、すぐにぷいと顔をそらしてそのまま逃げてしまった。



少年が追いかける。



「お、おいおい、ちょっと待てよ
 お前、困ってるんだろ?
 今日のメシ、あんのか?」



少女は『メシ』に反応し、ピタリと足を止めた。

110 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:41
「そうそう、人の親切は素直に受け取っておくもんだ」

「…あなたは一体誰なんですか?」



訝しげに少女は少年の顔を睨む。



「ふぅ〜…本気で忘れちゃったのね、俺の事」

「だって、本当に知らないんだもん」

「まぁいいや、とにかく怪しいモンじゃないんで
 俺が買い物付き合ってやるよ
 お前一人じゃ何も買えないだろ?」

「…ええ…そりゃまぁ、そうですけど」

「な?そうだろ?決まりだな
 じゃ、まず何が欲しい?」

「えっと…」



恥ずかしさのあまり言葉に詰まる。

111 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:42
「何だよ、何探してたの?」

「ぉ…お菓子…」

「プッwハハハハwお前、あんなに不安そうな顔してカシ探してたのかよw
 泣きそうな顔して、探してたのはカシかw ブハハハハハハw」



少女は痛いところを突かれ、赤面する。
112 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:42



「ちょっとぉ、もう、そんな事どうでもいいでしょうが〜」

「ハハハwあーあ、腹イテw
 全く…マコは昔っからクソ度胸だけは一人前だよな」

「え?今のどういう意味ですか?」

「その敬語やめろよ タメ口でいいよ」

「でも、あなたって私よりずいぶん年上の人でしょう…?」

「は?いくつに見えるよ?」

「28とか」

「…orz おいおい…10歳違うよ…お前とタメだよ」

「じゃぁ18歳なの?とても見えませんね…」

「嘘じゃねぇっつの」

「…私の昔のファンの人が、情報つかんでここまで追いかけてきたんでしょう?
 私、そういうの大嫌いですから」

「ふざけんなよ 何で俺が…」



少女は少年の言葉を遮り、軽蔑の目線を残して去る。
少年が追いかける。


113 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:43



「おい、だから待てよ メシはどうするんだよ?」

「どっかのカフェででも食べますから」

「注文の仕方とか知ってんのか?NYのルール知らないと何も食えないぞ?」



その言葉にまた足をピタリと止める。



「それ、本当ですか?NYのルール?」

「お…おう、そうだ ここNYにはカフェやレストランで注文する時にあるルールがあるんだ
 それを知らない奴は店員に無視される (まぁウソなんだけどね)」



少女は先ほどの店員の態度を思い出した。

114 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:43



「…分かりました、あなたに従います」

「やれやれ、やっと折れたか 
 こっちがわざわざ親切してやるってのによ
 で、カシだったなw
 それならホレ、目の前にあるこの棚だ
 ちなみに、お菓子は英語でSweets、食料品はGroceryだ 
 ちゃんと覚えとけよ」

「あ、なぁんだ、目の前にあったんだ パニクってて分かんなかった」

115 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:44

「聞いてねぇな… 
 ホラ、勝手に好きなの選べよ
 …っつっても英語読めないかw
 麻琴の好きなパンプキンパイはこれだな」

「…よく知ってますね」

「まぁな」

「まぁいいですけど」

「で、カシの次は何だ?」

「あ、まだチョコレートも欲しい…」

「もう、勝手にしろw チョコはここら辺全部だ」

「えっこれ全部チョコレート?迷うなぁw」

「急に元気出たな」

「別にあなたのおかげじゃないですから」

「ハイハイw …次は生鮮モノか」



少女はショッピングカートを押しながら少年の後についていった。
少年の背中を見ているうち、少女は自分が何だか懐かしい感情に包まれてゆくのを感じた。

116 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:45



「これで食い物は大体揃ったな…
 しかし、大量だなw また太るぞ」

「余計なお世話です」

「だから敬語はやめろって… (頑固なところも全く変わってないか)」

「もういいです レジはどこですか?」

「トイレットペーパーとかまだだろ?あと、生理用品は足りてるのか?」

「!!!」

「ん?どうした?」

「見ず知らずのあなたに、そんな下品な事言われたくないです!
 もう結構ですから私から離れて下さい!!」



少女は満載のカートからこぼれる商品を拾いながら、一目散に少年から逃げた。

117 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:45



「(ああ…さすがに今のはやりすぎたか…つい昔の癖が出ちゃったな
  ま、あとの物は何とか見た目で分かるだろ
  っと、とんだ暇つぶしだったな
  …時間になったし、ちょっくら行くとするか)」



少年は広い店内をまるで自分の家の庭のようにさくさくと進んでいった。



少女は何とか残りの生活必需品をカートに積み込み、レジで清算を終える。

118 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:45



大量の買い物を終え、スーパーマーケットを出る。
辺りはすっかり暗くなっていた。
少女は初めて経験するNYの壮大な夜景に目もくれず、例の少年の事を気にしていた。



「(それにしても、気持ち悪い人だったな
  普通見ず知らずの他人にあんな下品な事言えないよ
  あー…そう言えば隣に住んでるんだった
  ああ、気持ち悪い気持ち悪い 嫌だ嫌だ

  …でもちょっと待てよ…確かにどっかで見た事あるんだよなぁ…
  う〜ん、思い出せない)」

119 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:46



少年の事を考えながら、少女は自宅アパートに戻る。



「Hi、ベティ」

「アラ、マコト、大量ネ」

「ええ、これから忙しくなるから一週間分買っちゃったw」

「フフw本当ニ面白イ子ネw」

「ところでベティ、さっきのやたらデカイ男まだアパートに戻ってないよね?」

「沢田サンノ事? ナラマダ戻ッテナイヨ」

「ああ、良かった じゃぁいいよ、ありがとうベティ」

「待ッテ、マコト、アナタ彼ノ事キット勘違イシテイル」

「え? まぁいいや、とにかくあの手の人とは関わり合いたくないの じゃね」

120 名前:聖夜の舞姫 第一話 『謎の隣人』 投稿日:2006/08/25(金) 01:46



ベティの言葉を遮り、少女は部屋に戻る。



「(沢田…沢田…うーん出てこない 本当に誰だろ?)」



なぜか少女の脳裏に少年の姿が焼きついて離れなかった。

121 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:46







第二話  『冤罪』






122 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:47


大量の食料品や生活雑貨を片付けていると、買い忘れた物があったことに気がつく。



「あーしまった フライパン忘れたー 
 これじゃオムレツができないよ もう一度行かなきゃ
 さっきのお店、確かPM22:30までだっけ
 ちょっと冷えそうだな…ジャケット羽織って行くか 急げ、急げ!」



少女は急いで部屋を出て、全速力で再度スーパーマーケットに向かった。

123 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:48



「ハァハァ あーもう22:00回ってるよ、間に合うかなぁ」



スーパーマーケットに到着し、急いでフライパンを探す。



「あーあったあった、良かったぁ これで料理が出来るよ」



息を切らしながら閉店間際のスーパーでフライパンを物色する少女を、周りの客は奇異の目で見た。

124 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:48



その中に少女にひときわ熱い視線を送るアジア人女性3人組がいた。



真ん中の女性がリーダー格なのであろう、すらっとした長身で容姿端麗、背中まで伸ばした黒髪が艶々と輝いていた。
しかし、その表情は獲物を狙うチーターのような狡猾さをかもし出していた。



少女は三人組に気付かず、フライパンを手にレジへと向かう。
しかし、三人組と接触して少女が倒れる。
その時、三人組の一人が少女の上着のポケットに何かを入れる。
少女はそれに全く気がつかずに起き上がる。



「んも〜ひどいなぁ あの人たち私と同じアジア人でしょ? 
 同じ民族同士仲良くして欲しいよ、全く」

125 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:49



少女は閉店間際で人もまばらな店内をレジに向かって早足で駆ける。



清算を終えて店を出ようとしたその時。



『キュウウウウウウン キュウウウウウウン』



店の万引き防止のブザーがけたたましく鳴った。
周りの客や店員は一斉に少女の方へ視線を向けた。



「え?何?なに?なに?何?ナニ?何何?」

126 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:49



少女が訳も分からずパニック状態になって立ち尽くしていると、
青い制服を着た二人の警官が少女の方へやってきた。



「aq3ws4edfrtg67hy!?!!f6rty7???gyu!!!!!!!!!!」

「fr6t676t!?yu??」



少女には警官が何を言っているのか全く分からなかった。
ただ、自分が何か危険な事に足を踏み入れてしまった状況だけは辛うじて認識できた。
127 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:50



警官の一人が少女の上着を脱がせ、チェックする。
すると、上着の右ポケットからガムが出てきた。



「え?どういう事?何で?」

「What's this? Why did you take this before accounting!!!!」
 [これは何だ?何で清算前の商品を持ち出そうとした!!]



少女に掴みかからんばかりの勢いで詰問する警官二人組みをよそに、
少女は言葉が分からずにただただその場に立ち尽くしていた。

128 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:50



「(え?え?え?え?どうしようどうしよう
 ひょっとして私、万引きの犯人にされちゃうの?
 怖いよ、助けて!誰か助けて!!お願い!)」



騒然とする店内。
騒ぎの中心から離れたところで、先ほどのアジア人女性3人組がニヤニヤとその状況を眺めていた。



少女はパニックになり、顔を覆ってその場にしゃがみ込んだ。
警官たちはようやく少女が言葉が分からない事を悟り、
少女の腕を掴んで立たせると奥の事務室へ連れて行った。

129 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:50



「(うううううぅぅぅぅ…怖いよ、お母さん、私何もやってないのに…
 でも何を言っても通じないし、何言ってるかも分からないし…)」



事務室に到着し、少女は取締り用の無機質なパイプ椅子に座らされた。
狭い室内には飾り気の無いデスクとファイル保存用の金属製の棚、
そしてテレビモニターだけが無造作に置かれていた。



少女の脳裏に、ふと昔見た日本のドラマの光景が思い浮かぶ。



「(ひょっとしてこれって…安倍さんのやってたドラマ同じようなシチュエーションなの?
  無実の日本人女性が海外で罪をかぶせられて…
  …刑務所に…入れられちゃうっていう…
  確かあのドラマじゃ…安倍さん、裸にされてチェックとかされて…
  イヤ、イヤ、嫌!そんなの嫌!!)」

130 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:51



少女の気持ちをそよに、屈強な警官二人による非情な取調べが始まる。
しかし少女は英語を理解できず、ただ泣いているばかりだった。



状況は悪くなる一方である。



無罪を立証できなければ少女の有罪は確実。
刑務所暮らしが始まる。
かと言って少女に無罪を立証できるだけの語学力と知識があるはずもなく、状況は絶望的だった。



「d62fg8w2…???gヴェウvw3エウb!!??????」

「276g2f387832fg7v2?vh3w8v?ve?」



二人の警官は尋問の勢いを緩めない。
NY警官の恐ろしさは日本の警察の比ではなかった。

131 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:51



言葉が分からず、ただ泣いているだけの少女。
話が一向に進まず、いら立ちを抑え切れない警官。



少女にとって絶望的な状況の中、尋問が始まって約30分が過ぎようとしていた。
一向に埒の明かない状況に警官たちは尋問を諦め、どこかに電話をした。



約3分後、すぐにパトカーが駆けつけた。
警官の一人が力ない声でポソリと言った。



「You're to be prisoned.」
 [君は刑務所送りだ]



少女の耳に“prison”の言葉だけがはっきりと聞き取れた。



「prisonって…監獄の事…?ちょっと…ホントに…私…」

132 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:51



3人の警官が事務室に入ってきた。
彼らは少女の腕を掴み、手錠を取り出した。



「手錠…イヤ、イヤ、イヤ、イヤ……
 いやああああああああああああああああああああああああああ」



少女が叫ぶが早いか、勢いよく事務室の扉が開いた。



入って来たのは警官ではなく、例の少年だった。
少年はなぜか店の制服である緑色のYシャツを着ていた。

133 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:52



少年の手には一本のビデオテープが握られていた。
少年は少女の泣き顔を見るとクールな表情を一変させ、警官に向かって物凄い剣幕でまくし立てた。



「You!!! Don't touch her!!!!!!!Now,watch this!!!!」
 [おい!彼女から手を離せ!!これを見ろ!!]



少年は取調室のテレビモニターにテープの映像を映し出した。
それは防犯カメラの映像だった。
少女がフライパンを物色しているシーンがタイムカウントと共にモニターに映し出された。



実は、少年はこのスーパーマーケットでアルバイトをしていたのだった。

134 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:52



少年は事務室のビデオを慣れた手つきで操作する。



「Watch this scene carefully.」
 [ここのシーンをよく見てくれ]



少年は問題のシーンで映像を止めた。



「When she fell down,this girl slipped the chewing gum into her jacket.
 You know,she is definitely innocent!!!!!!!!!!!
 You,Don't touch her,and get out of here!!!!!!Now!!!!!!!」
 [彼女が倒れた時、この女が彼女のジャケットにガムをこっそり入れているんだ
 彼女は完全に潔白だ! オイ、彼女から手を離せ!! 早くここから出て行け!!]



少年の熱弁と証拠の防犯カメラのおかげで警官たちはすっかり大人しくなり、すごすごと部屋から出て行った。

135 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:52



部屋には少年と少女二人だけが残った。
少女は椅子に座ったまま大きな声を上げて泣いていた。



無理もなかった。
昨日来たばかりの未知の土地。
通じない言葉と厳しく追及する警官。
初めて見る手錠。
弱冠18歳の少女にこの体験は辛すぎた。

136 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:52



少年は泣きすさぶ少女の肩を優しく抱いた。



「なぁ、マコ…」



少年が話しかけると少女は少年に抱きついた。



「ぅぇぇぇぇぇぇ…怖かったよ…凄く怖かったよぉ…ぅぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」

「ああ、怖かった、怖かったな
 でも、もう大丈夫だ」



少年は、今にも崩れ落ちそうな少女の小さな体を優しく抱き寄せた。

137 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:53



「うっうっうっ…本当に怖かった…本当に…
 手錠見せられた時、私、本当にもうダメかと思った…」

「……」



少年は無言のまま少女をより強く抱きしめた。



泣き続ける少女。
少年が優しく声をかける。



「さぁ、帰ろう こんな怖い場所は、早く離れよう」

「うん…」



少年はTシャツ一枚になっている少女にジャケットを羽織らせた。
少年に抱き寄せられ、少女は事務室を出た。
スーパーマーケットにはもう誰もいなかった。

138 名前:聖夜の舞姫 第二話 『冤罪』 投稿日:2006/08/25(金) 01:53



夜のNYの街を少年と少女が歩き出す。



少年はまだなお涙の止まらない少女を思いやり、自分のサングラスをかけてやった。
儚い二人は身を寄せ合い、家路につく。
少女の胸に夢の街だったNYの喧騒とネオンが鋭く突き刺さった。

139 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:54







第三話  『甘い思い出』






140 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:54



アパートに到着するが、管理人のベティはもういなかった。
さすがにもう夜も遅いので仕方がない。
時刻は深夜の1時をとうに回っていた。



少年は少女の肩を抱き寄せたまま、優しくいたわるようにゆっくりと階段を上っていった。



「マコ、大丈夫か?家に着いたぞ 鍵はどこだ?」



少女は少年にうながされ、ポケットからアパートの鍵を探す。
しかし、探してもどこにもない。

141 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:55



「ない…鍵がないよ…急いで部屋出たから、きっとどこかで落としたんだ…」

「そうか、しょうがないな、それならしょうがない
 俺がベティの家まで連れてってやるからちょっと待っ…」



少女が少年の言葉を遮る。



「拓海の部屋に泊まらせて」

「え?」
142 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:55

「隣でしょ 迷惑じゃなかったら、一晩だけ泊まらせて」

「あ、い、いいけど…でも…」

「私がいると迷惑?」

「いやいや…そういう訳じゃなくて…
 その…ベッドとかシングルだし…
 それに…俺の名前…」

「拓海…昔みたいに、体を寄せ合って寝ようよ」

「マコ…思い出してくれたんだな…」

「思い出したよ、全部…さっきの拓海の怒った顔見て、全部
 ゴメンね、私、勘違いしちゃって…ゴメンね」

「いや…いいんだ」
143 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:55

「ねぇ、早く部屋に入ろうよ」

「あ、ああ…でも、さっき言ったとおりベッドは…」

「別にエッチな事するわけじゃないんだから」

「あっ…そーだよな、別にな、別に…
 マコは変な事するつもりはないんだもんな…うん、うん…」

「何勘違いしてるのw それに、私もう一人で歩けるから」

「おう、そうか ちょっとは元気になったな
 じゃぁ、今から開けるから」



少年は部屋のドアを開け、少女を部屋に入れた。
144 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:56



少女はベッドに腰掛け、部屋を見回した。



グレー調の家具でまとめられたその部屋は大人の雰囲気をかもし出していた。
整然と並べられた家具の中で、大きな本棚がひときわ目立っていた。
本棚にはなにやら難しそうな本がたくさん並んでいた。



「拓海、昔から几帳面だったもんね 綺麗な部屋だね
 アレ…?」



少女が何かを見つける。



「どした?」

「あ、いや、別に何でもないよ
 …あの本は何?何か勉強してるの?」

145 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:56



少年は部屋の窓を開けながら答えた。



「ああ、俺、今大学で物理工学の研究してるんだ」

「へぇ〜物理かぁ 拓海頭いいもんね どこの大学?」

「コロンビア大学だよ」

「ふぅ〜ん、ニューヨークからコロンビアまで行くのは大変そうだね」

「あ、いや…まぁ、色々と大変だよ」

「ふぅ〜ん…拓海も頑張ってるんだ…
 タイムマシン作って時間旅行するのが拓海の夢なんだもんね」

「マコ、覚えててくれたんだな」

「忘れる訳ないじゃん あの夜の恋人岬の思い出は一生忘れないよ」

146 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:56

「その割りには昼間、俺の事すっかり忘れてたなw」

「だってさ、拓海凄く背伸びてたし、日焼けとかしてるし、髪も短いし
 昔はもっと大人しい感じだったじゃん
 結構カッコよくなったよ」

「ハハwそうか でも、マコも頑張ってるじゃん
 芸能界辞めて一人で海外留学とか、中々思い切った事するよな」

「ま、色々事情があるんだけどね」

「そっか…でも、まさか俺の隣の部屋に来るとはね 正直驚いたよw」

「これも何かの運命かもね」

「ああ、そうだな」 

147 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:57

「ねぇ、拓海…」

「ん?」

「うぅん、何でもない」

「何だよ、変な奴だなw」

「変なのは昔からだよ」

「そうだったな、ハハハw」



二人の会話が一瞬途切れる。
沈黙を嫌うように少年が言葉を発する。



「マコ、先にシャワー浴びて来いよ
 俺、その間に替えの下着とか買って来…」



少年の言葉を遮り、少女が言う。

148 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:57



「拓海、こっち来て…」

「へ?何?」

「私を抱いて…昔のように、優しく抱いて…」

「…マコ……」



少年はゆっくりと少女の腰掛けているベッドの方へ近づく。



開け放たれた窓から深夜のNYの喧騒が涼やかな風に乗って入ってくる。

149 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:58



「マコ…いいのか…?」

「ん?何が?」

「いや、何がって…」

「また勘違いしてるでしょw
 私は、『昔のように抱いて』って言ったんだよ
 昔、拓海の家で二人だけのお泊り会した時みたいに、抱き合って寝ようよ」

「あ、そか、そうだよな、ハハw、抱き合って、寝るんだよな… 
 (昔っていつの話だよ!中学の頃だろ!!18の男女が抱き合ったまま寝るだけとか!!!!
  俺の理性の限界が試される時が来たか!)」

150 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:58



少女は上着を脱ぎ捨て、Tシャツ・ジーンズ姿のままベッドに入る。
少年もバイトの制服のままベッドに入った。



「昔を思い出すね…」

「あ、ああ…そうだな… (うぅ…マコの小さなおっぱいが当たる…)」

「ねぇ…拓海、私、今日本当に嬉しかった
 拓海が助けに来てくれた時、震えるほど嬉しかった
 本当に、ありがと」

「いやぁ…当然の事をしたまでで… 
 (コラ、寝返りを打つな!もぞもぞするな!!あ、足が俺のモノに当たってるから!!!)」

151 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:58

「そうえいえば、あの時も拓海が助けてくれたんだよね…」

「へ?あ、あの時…ですか? (俺は今が“あの時”なんだよ!!)」

「そう、さっきもちょっと言った、夜の恋人岬…」

「ああ…あの時もマコは泣いてたんだよな」

「そう、私、あの時も…」

152 名前:聖夜の舞姫 第三話 『甘い思い出』 投稿日:2006/08/25(金) 01:59



           〜



2001年7月26日 新潟県柏崎市



13歳、それは少女が大人を夢見る思春期の頃。
去年13歳を迎えた小川麻琴も、中学最後の夏を少し背伸びして迎えていた。

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