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忘れたい、忘れられない

1 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:00
お久しぶりです。
以前にスレを立てた時以来になります。
あれ以降、自分はもっと勉強しないといけない、と思い。
この掲示板にある小説を片っ端から読みました。
2 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:03
ですので、少しはましなことがかけるように、頑張ります。

元ネタはあります。
そこから上手くオリジナルを作れたらと思っています。
以前のように放棄しないように頑張ります。
3 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:08



  -忘れたい、忘れられない-
   
    
          序章 

4 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:19
登場人物(現在の所)
亀井絵里・・・東京のとある探偵事務所の助手(本人談)
保田圭 ・・・東京中央新聞社の記者。
       亀井とはある事件がきっかけで出会う。
5 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:23
「あっ、保田さん起きました?、もうすぐ乗り換えですよ。」
「ふぁぁ・・・、あ、もうそんなに来たんだ。」
6 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:30
あたしは保田圭、どこにでもいるような普通の新聞記者よ。

・・・実は昨日部長から突然「○県に行ってくれ」って言われちゃってさ。
まあ暇だったし観光もかねOKしたんだけど、ここがまた遠いの!
早朝から今まで電車に揺られて・・・、何時間になるかな?
まあ、いまさらことわる訳にもいかないから、腹を決めて電車に乗り込んだわけ。
7 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:36
「それにしても奇遇だったね。
 亀井ちゃんが同じタイミングで○県行くなんて。」
「はい、私は何年か振りになるんですけど、
 ・・・そういう保田さんは何しに行くんですか?」
8 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:39
「あたし?あたしは例によって仕事、取材。
 まぁ観光のついでね、取材は。」
「あ~サボリだ~!」
「うっさいわね!」
9 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:46
会うたびにこんな事を言ってくるこの子は亀井絵里。
東京である事件に巻き込まれた時に知り合ってね、
それ以来何度か事務所に遊びに行ったりとかしてるわ。

「この辺は今が紅葉の見頃ですよ。・・・ほら見てください。」
亀井ちゃんの指差す方には鮮やかな紅葉が見えてきた。
10 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:48
「うわー綺麗ねー! ホント、鮮やかな紅葉ね」
そっか、こっちの紅葉って都心より少し早いんだ。メモリーカード多めに持ってきておいて良かった。
でも・・・亀井ちゃんずいぶん詳しいな。
やっぱ、あれなのかな・・・。
11 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:53
「そういや亀井ちゃん。法事って言ってたっけ。そこが実家なの?」
「あ、そうなんですよ。
 ・・・まぁ山奥の誰も知らないような村なんですけどね・・・。」
「村?ふーん、なんか意外ね。
 あたし亀井ちゃんって都会のイメージあったな」
「そうですか?・・・まぁ、田舎者ほどそれを隠そうとするものですよ」
12 名前:クロ 投稿日:2006/05/11(木) 13:56
今日は終了します。
まず序章を終了できるよう頑張ります。
13 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 11:45
補足です。
保田さんは「~わ。」とかつけた方が面白くなるかなと思ってつけました。

続き行きます。
14 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 11:49
「で、何てとこなの、その・・・故郷の村は。」
「この季節は近所の紅葉がすんごく綺麗ですよ。
 立咲村って言うところなんですが。」
15 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 11:53
「たてさき・・・?へぇ~。あっ!
 じゃあ・・・あたしもそこ行こうかな。」
「えっ、来るんですか?」
「さっき紅葉を観てけっていったのは誰?
 ・・・それに亀井ちゃんの生まれ育った所がどんな場所か、
 気になるファンもいるんじゃないの?」
16 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 11:58
「なんですか、ファンって・・・。
 ・・・そういえば、高橋さんが携帯小説にしたせいで
 妙な手紙とかが来るんですよね。困る・・・。」
「また~マンザラでもないんじゃないの~?
 それとも何?故郷に彼を残してきちゃったとか?」
「うっ・・・。」 
17 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 11:59
あら!?普通に否定するかと思ったけど、意外な反応!
これはもしかすると・・・?
18 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:05
「うそ!?図星!?・・・そうか? そうだったんだ亀井ちゃん!!」
「い、いえ違いますって!!違いますけど・・・
 でもホント紅葉以外は何もないですよ。温泉とかも無いし・・・」
「もう、そんな事きにしますかって! よし、決まり! ふふふ。」
「うっ・・・さては初めからそのつもりで・・・。」
「さぁてねー? なんの事?」
「山道とか危険ですからね。何あっても知りませんよ、もぅ・・・」
19 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:06
補足2です。
亀井さんは設定上では年齢を18にしています。
ちょっとそうじゃないと駄目なので。
20 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:09
むふふ。すっかりうろたえちゃって。これだけムキになるってことは・・・
何か故郷に秘密がある!・・・あたしの勘だけど。
21 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:12
「あそれはそうと亀井ちゃん!
 さっきオトコが待ってるとか言ってたけどさぁ。」
「言ってません!」
「いやいや、何ですか唐突に。
 そういう保圭さんこそどうなんですか。」
22 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:19
「なにその略し方!名字か名前かはっきりしてよ!
 でもってあたしはサッパリ!皆無よ!皆無!
 亀井ちゃんだって商売上出会いも無いんじゃないの?」
「そうですよ!まったく無いです。皆無です!」
「ん~?やけに強調するわね」
「ま~た強がり言って。 結婚したいとかそういう夢ないの?」
「う~ん・・・、今は無いですね。
 それに夢も何ももうしてますよ。」
23 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:30




24 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:38
「・・・・・・えっ!!??」
「はい?」
「今・・・なんて言った?」
「保田さん、目が怖いですよ、って」
「言ってないわ! これは化粧のせい! いやそうじゃない。
 そうじゃなくて、亀井ちゃん・・・結婚してたの!?」
25 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:40
「してますよ。言ってませんでしたっけ? あは。」
「あは・・・じゃなくて! だって指輪も何もしてないし・・・
 第一旦那は何してるの!?」
26 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:46
「指輪なら持ってますよ。ちょっと付けることできないんですけど。
 持ち歩いているんですよ。」
「えー!!!あるの!!」
「保田さん!声大きいですよ!」
27 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:49
あわわ、どえらいスクープ知っちゃった・・・!!
待て、とにかく落ち着こう、落ち着けあたし!
「と、とりあえず亀井ちゃん、あるなら見せてよ。」
「いいですよ、・・・・これです。」
28 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 12:53
亀井ちゃんが小物入れから取り出したのは、大事そうにハンカチにくるまれた、小さな金属の固まりだった。
黒ずんでいてとても指輪と呼べる代物には見えない。
「な、何これ!?」
「指輪・・・だったんですけどね。 焼けて変形しちゃったんですよ。」
「なんでこうなっちゃったの!?」
「ちょっと火事があって・・・」
29 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 13:10
「もー、なら新しいの買ってもらえばいいじゃない!
 旦那は何してるの? あんたが探偵やってること知ってるの?
 あっ!あああっ!も・・・もしかしてあの探偵が・・・?!」
「ちょっと保田さん、落ち着いてくださいよ!安倍さんは関係ないでよぅ」
 
30 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 13:18
「も~、ずるい!ずるいわ!全然そんな素振りも見せないで!!
 相手は何者?いつどこで出会ったの!?結婚はいつしたのよ!?」
「きゃあッ!ちょっと保田さん・・・ああッ!
 やめてやめて!くすぐらないでくださいっ。 あははははは!」
「教えなさいよ~!亀井ちゃんを夢中にさせた男ってどんな人なの!」
 教えてくれるまでやめないわよ~。」
「わかりましたっ!話します!
 話しますからやめてくださいっ。あはははは!」
「やった! そうこなくっちゃ!」
「んもぅ・・・なんか最近こんなのばっかし・・・。
 あの、実はですね・・・」
31 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 13:19




32 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 13:28
「ふぅ・・・やっと到着しましたね。お疲れさまです。
 ここがこの村唯一の玄関なんですよ。・・・・ん?保田さん?」
「・・・・・・。」
「どうしました?さっきから元気無いですよ!」
33 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 13:34
「・・・いや、あの、なんて言ったらいいか・・・。
 自分で聞き出しておいて何だけど・・・。確かに相当な修羅場をくぐってきてる感じはしてたけど。」
「・・・あの、保田さん?」
「すごい!すごいよ亀井ちゃん! あなたそんなことがあったのに
 どうして平気でいられるの?」
「あ、さっきの話ですか。いや別に・・・。それが約束ですから。」
「!!!カッコいい!、すごくカッコいいわ!!」
34 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 13:38
「さあさあ、それより早く行きましょうよ。先によりたい所があるんです
 少し山道歩くんで覚悟してくださいね。」
「あ、ゴメンゴメン、大丈夫。登山は望むところ!」
「普段はバスもで出るんですけどね。天気もいいですし、歩いていこうかなと思ったんですよ」
「うん、いいじゃない。紅葉も見てみたいし。」
「じゃ、行きましょう。こっちです。」
35 名前:クロ 投稿日:2006/05/12(金) 13:49




「保田さーん、大丈夫ですかー!」
「だ、大丈夫よ!」
亀井ちゃんに促されるまま・・・・、結構登ったな。
普段器材かかえて歩いてるから体力には自信あったんだけどな。
あたしって体力ないな・・・。
「ほら保田さん、見てくださいよ」
36 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 12:08
亀井ちゃんの指差す方には、燃えるように真っ赤な紅葉が一面に広がっていた。
「うわぁー、いい眺め! ホント凄いわ! 圧巻ね!」
「でしょー。今が一番いい季節ですからね。
 これ観ると、やっぱ自然って凄いなって思うんですよ。」
「だね、やっぱ自然が一番キレイってことなのかな。
 なんか繊細なことで悩むのが馬鹿馬鹿しく思えてきちゃう。」
「そろそろお肌の曲がり角ですからね。」
「何をおっしゃいますやら!まだまだ全然いけるし!ピチピチよ!」
「ふふふー。」
37 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 12:14
でもホント良い景色。 今まで見たことないかも知んないわね。
しっかり収めとこ。

「やっぱ懐かしいもんなの?亀井ちゃん」
「あたりまえですよぉ~。でも、このあたりも変わってませんね。」
「ふーん。」
38 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 12:17
あら?何だろう、あの建物。
それに、その奥にあるのって・・・あれお墓かな。
・・・あ、そう言えば。
39 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 12:19
「亀井ちゃん、もしかしてお墓に・・・」
「あ、違います違います。 私お墓参りってしませんから。」
「そっか・・・そういえばそんな事言ってたっけ。」
40 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 12:25
「ここは村の共同墓地なんですよ。村人ならどんな人でも同じように埋葬されます。
 死んだ人には身分なんて無い、って考えですね。」
「へぇ・・・そんな風習があるんだ。」
「伝統だけ長くて、変な言い伝えが多いんですよ、この村は。」
死者に身分は無い・・・か、でも立派な風習じゃない。
大切な気持ちね。
41 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 12:30
ん?
「ねぇ亀井ちゃん、向こうの山は?」
「ああ、あれはくじら山って言うんですよ、
 何となくくじらに似てるんで。」

「・・・・・・似てる?」
「・・・まぁ村の人たちがそう呼んでるんでいいじゃないですか」
「でも、よっく見ると確かに似てるかも。」
42 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 12:33
「あそこには湖・・・て言うか、ダムがあるんですよ。」
「へぇ、ダムねぇ・・・。」
「そこからの眺めも、すっごく綺麗なんですよ。 あとで行ってみましょうか。」
「いいじゃないの! なんか充分観光地でもいけそうな感じがするけど。」
「ん~、どうもそういう気が無いみたいなんですよ。この村の人は」
「ふ~ん・・・、なんかもったいないわね。」
43 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 13:30
「!
「ん?どうしたの?」
突然、道の先の方を見て黙っちゃった。どうしたんだろ。
「亀井ちゃん?」
「・・・・・・。」
44 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 15:04
・・・あ、村の方に続く道から、誰か歩いてくる。
「・・・かめい・・・ちゃん? やっぱり亀井ちゃんね。
 駅であなたが来ていると聞いて、きっとここだと思いましたよ。」
「わぁっ・・・! お久しぶりです! 
 あの、生きて・・・生きてたんですね。嬉しいです!」
「あなたも立派に活躍しているってね。」
「いや、そんな事無いですよぅ。 まだまだです。」
45 名前:クロ 投稿日:2006/05/15(月) 15:05
今日ここまでにします。
序章はもう少しでできるのでがんばります。
46 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 15:23
誰かな? なんか亀井ちゃんかなり緊張してるみたいだし・・・、
若く見えるけど・・・なんか年上の女性って感じがする。
47 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 15:34
「あの・・・ちょっとごめんね。 こちらの方は・・・?」
「あ、ごめんなさい。この方は、あ・・・飯田圭織さんと言ってええと・・・」
「まあ、知り合いって所?」
「あは、そうですね。」
48 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 15:38
そっか、故郷の知り会いだったのね。なるほど。
「じゃあ邪魔しちゃ悪いから、あたし向こうで写真撮ってるわ。
 せっかくなんだし、ゆっくり話してなさいよ。」
「あっ、すみません。じゃあ少しだけ。甘えさせてもらいますね。」
「大丈夫よ。ごゆっくりどうぞ。」
49 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 15:42


あら・・・適当に歩いてたら、なんか森の方に入って来ちゃったみたい・・・でも鬱蒼と生い茂る山森も、紅葉に包まれていると暗い感じもしないものね。
生まれも育ちも都心だったから、こんな紅葉に囲まれた事って無かったかも。・・・すっかり気に入っちゃったな、あたし。
50 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 15:44
「はぁ・・・それにしても亀井ちゃんってただ者じゃないと思ってたけど・・・やっぱすごいわ。
 いろんな意味で普通じゃないかも・・・」


あ、向こうが拓けてる。何かあるのかな・・・ よし、行ってよ!
51 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 15:45
スイマセン。「行ってよ!」じゃなくて「行ってみよ!」です。
52 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 15:52
「あれから・・・もう5年になるんですね。」
「・・・そっか。5年経つんですね・・・。」
「1年間幸せに過ごせた?」
「あっ・・・ご存知だったんですか。 はい、お陰様で。
 ”里”の文字も頂くことが出来ましたし。」
「ふふ、良かった。今は、立派な探偵になったって。」
「いやぁ立派かどうかは怪しいです。負けない様に頑張らないと、とは思ってますが。」
「そう・・・。」
53 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 15:54
気に掛けてくれてたんだ。・・・やっぱ優しいな飯田さん。
あれ以来会えてなかったからホント嬉しい。


 「・・・ほんとに綺麗な紅葉ね。あの時と何も変わらない・・・。」


54 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 15:57
「あの・・・飯田さんは今、どうしてるんですか?」
「私は、去年結婚して・・・実は今、妊娠3ヶ月なんです。
 初婚ってやっぱちょっと恥ずかしいんですけど・・・。」
55 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:05
「わあ!そんな事ないです、素敵じゃないですか!
 元気なお子さん産んでくださいね!。」
「ふふ、ありがと。貴女のような素敵な娘ができると嬉しいんですけど、
 あやかって絵里って名前にしちゃおうかな・・・」
56 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:08
「わわ、そんな!私みたいな娘なんて・・・」
「娘なんて?」
「・・・いえ、何でもないです。
 そんな名前にしちゃったらえらい美人になって将来が大変ですよっ。」
「まぁ・・・、ふふっ。」
57 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:15
「・・・あっ、主人が呼んでますね。それじゃ私はこれで。
 亀井ちゃん、危険な仕事だけど体に気を付けてがんばってね。」
「はい、ありがとうございます!。飯田さんもお元気で!」
58 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:21
飯田さん幸せそう、ホント良かった・・・・・・。



「・・・・あっ、保田さん忘れてた!
 大丈夫かな、崖から落ちたりしてないかなぁ・・・。」

59 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:22
あれ、どこ行っちゃったんだろ、居ないな・・・・
「保田さん?・・・保田さーん!」
60 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:31
  
  傷を負った白鷲とはかなく散るもみじの葉・・・


  この紅い葉を見ると、彼女は決まってあの事を思い出す


  思い出すから・・・この季節が好きだと彼女は言う。


  
61 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:33
  忘れられない多くの思いがこぼれ落ちて、


  それはまるで落ち葉のように・・・


  どんなに散っても、この季節になると再び溢れ出す。


62 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:35
  だから・・・こんな景色の前ではどうしても・・・

  
  だれかがそばにいないと泣き出しそうになってしまう、と。


  誰にも分からないよう そっと つぶやいた。

63 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:38
  ・・・もみじの葉が一枚手のひらに落ちた。


  辺りには飛び去った鳥たちが残した羽のように


  たくさんの落ち葉が舞っている。

64 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:39
  それはまるで・・・
  

  ここから飛び立ったあの人が残した紅い羽のようで


  数え切れない思い出だけを残していく。

65 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:40
  今はまだ・・・涙をこらえることが精一杯で


  真正面から向き合えなかった。


66 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:41
  

      亀井絵里
 
      18歳の秋・・・・・・。
   
67 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:41


 ― 忘れたい、忘れられない ―
   
     序章 完
68 名前:クロ 投稿日:2006/05/16(火) 16:42
序章はこんな感じです。
これからしっかり更新していきたいです。
69 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:30
更新します。
ここから1章に入ります。誰視点で進んでいるかはあえて書きません。
あと、わざと名前を間違えてるところもあります。
70 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:31


  -忘れたい、忘れられない-

      第2章
71 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:32


  目が覚めた


  突然目に飛び込んでくる光に慣れるまで、少し時間がかかった

72 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:34
  
  ああ、いけない


  こんな事をしている場合じゃなかった


  早く行かないと・・・


73 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:34
    



     ・・・行く?





     どこへ・・・?



74 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:35

   ・・・思い出せない。


   
   ついさっき自分で思ったことなのに、それが何か分からない


   
75 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:38
  

   私は・・・どこに行こうとしてたんだっけ?

  
   
   しかし思い出そうとすればするほど


   
   その事実は私の思考からするりと逃げていき


   
   まるで夢の中の出来事のように、儚く消えていった。

 
76 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:39
   寝ぼけてるのかな・・・。
   

    
   ・・・そういえば、ここはどこだろう
   


   
   今まで気がつかなかった
77 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:40
  自由ではない

  空が見える

  

  野外だ
78 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:42
  私は倒れているようだった
  
  土の匂いがする
 
  木々がざわめいている

  山の中だろうか

  なぜこんな所で・・・?

  
79 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:43
  ・・・思い出せない。

  ここはどこ?

  そもそも今日は・・・

  今日は・・・?

  何を

  私は・・・何をしてたんだっけ?

  
80 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:44
    

    あれ?


   どうしたのだろう


   ・・・思い出せない


   
81 名前:クロ 投稿日:2006/05/22(月) 12:45
   じゃあ・・・昨日は何を?
   一昨日は?



 いや、それどころか、そもそも





    
    私は・・・誰?


82 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:19
待って

   
  ちょっと待って


  言いようの無い寒気を感じた

  
83 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:25
  名前も、職業も・・・
  
  思い出そうとしたことから順に、
  
  真っ白に消されていくような感覚

84 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:26
  常に当たり前のようにそばにあると思っていたものが
  

  ふと見たら失くなっていた不安感

85 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:29
  どういうこと?


  ・・・分からない。


  何も思い出せない。

86 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:39
   
  目眩を感じた


  くるくると景色が回る


  気分が悪い


87 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:40
   


   ・・・あ、か・・・?


  なにやら、赤いものが見えた。あれは何だろう・・・?

88 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:40

  ・・・ああ、そうだ。


  アヤメだ。

89 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:41
  紅い紅葉の葉


  ああ、綺麗・・・


  ・・・そう思った。

90 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:43
「・・・・・・ さい! 大丈夫ですか!
 意識はありますか!?」
91 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:48
  声が聞こえた。

  若い女の子の声だ。



  
  目の前に、ぼんやりと少女の姿が浮かぶ


  さっきのもみじの葉に、何かをしている様子だった

92 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:48
  ・・・誰?


  私を知っているの?

93 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 15:50


「大丈夫です、止血はしました!
 いま人を呼んできますんで、もう少し待っていてください!!」

 そう言って大急ぎで去っていった。
 ・・・・・・。
94 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 16:06
スイマセン更新の途中ですが修正です。
1章の「あれからもう5年」って言うセリフ
「あれからもう2年」の間違いです。
間違って元ネタをそのまま打ってしまいました、スイマセン。
95 名前:クロ 投稿日:2006/05/30(火) 16:09

  ・・・ああ

  そうか。

 
  さっきもみじの葉と思ったのは・・・



   血に染まった、私の手だったんだ。




  

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