Another story

1 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:06
はじめまして。読み切りを週一ペースぐらいであげれたらと思います。カプ物が多いと思います。暗い話からですが、始めます。
2 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:07
RAIN
涙はいつか雨になる。
君の手の中にある滴は冷たいのかな?

愛なんかないんだよ。

背中を見せながら呟いた君が忘れられなくて、私はきっととても君に惹かれてる。

泣かないで。
君の涙は愛ゆえに。


RAIN for Asami Konno
3 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:08
「あさ美ちゃん、明日大丈夫?」
いつもの合図。君からの大切なシグナル。

君がそれを言う時は限界の時。
一杯一杯でどうしようもない時。

君は知らないのかな?
私が君の言葉に逆らえないこと。
4 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:08
「いいよ」
私が答えると軽く微笑み、どこかにいなくなる。




私は愛ちゃんが好き。
愛ちゃんは美貴ちゃんが好き。
美貴ちゃんは吉澤さんが好き。
吉澤さんは矢口さんが好き。
矢口さんは他の誰かが好き。


報われないなぁ。みんな報われないよ。

5 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:09
どうして辞めにしないんだろう?
どうして終わりにしないんだろう?

6 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:09
私?

私はいいの。
愛ちゃんは私を頼ってくれる。
ギリギリになったら私のところに来てくれる。

だから、私はいいの。
それだけで幸せだから…。


ひょっとしたらみんなそうなのかな?
だから終わりに出来ないのかな?


小さな繋がりでも断ち切れないのかな?
7 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:12
私は愛ちゃんの秘密を知ってる。
誰も知らない。
多分愛ちゃんとその相手と私しか知らないこと。



愛ちゃんは寂しいと言う。

あの人はそれを慰める。


それでも寂しいと言う。
だから私が慰める。

なにもしない。


ただ、そばにいるだけ。
でも、それが幸せなの。
8 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:12
次の日、愛ちゃんは予定通りに家に来た。

いつも通りにテレビ見て、いつも通りにご飯を食べて、
いつも通りにお風呂に入って、
いつも通りにくだらない話をした。


唯一違ったのは、愛ちゃんが寝る前に話しかけてきたこと。

いつもは愛ちゃんが私がお風呂に入ってる間にさっさと寝てしまう。
今日は起きていた。
9 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:13
「あさ美ちゃん…?」
いつもの愛ちゃんからは想像できないようなか細い声で話しかけてきた。

愛ちゃんは壁に向かって寝ていたので、私は反対側を向いて布団に入っていた。

背中合わせに愛ちゃんの声が振動する。

「なに?」
驚きながらも努めて冷静に返事をした。


でもなかなか愛ちゃんから返事がない。

時計の針の音がやけに大きく響いた。


「あさ美ちゃんって、ぁーしのこと好きやろ?」
話しかけられて、多分五分以上すぎてたと思う。
私はてっきり愛ちゃんが寝惚けて声をかけたと思い、深くは考えてなかった。


だからかな。思ってたよりも簡単に
「うん。好きだよ」
答えられた。

10 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:15
「なんで何も言わんの…?」

愛ちゃんはか細く。本当にか細く言った。
背中をくっつけて振動を感じてないと聞き逃してしまうぐらいに、か細く。


「言ったって愛ちゃんは私のものにはならないもの。愛ちゃんを苦しめることはしたくないし」
私は答えた。事実、言ったってどうしようもないことはわかってるし。



「抱きたいとか…思わんの?」
愛ちゃんはさっきよりも幾分かはっきりと聞いてきた。

「抱かれたいの?」
思わず聞いてしまった。
「違う!ただ、ぁーしは…好きな人と…その…したいなって思うから」
愛ちゃんは速攻で答えた。

そっか。そうだよね。それが普通だもんね。

分かるよ。愛ちゃんの気持ち。


「確かにキスしたいなーとか抱き締めたいなーとか、逆に抱き締められたいなーって思うことはあるよ」
私はそこで一旦、言葉を区切った。

背中には愛ちゃんの温もりを感じる。
呼吸するたびに軽く上下する背中。
これだけがただ愛おしい。


「でも、それを愛ちゃんは望んでない。私にしてほしいわけじゃないでしょ?」
私は聞き返した。

11 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:16
「でも、ぁーしは…」
愛ちゃんは言いかけた。
「知ってるよ」
私はそれをさえぎった。


「でも、私は愛ちゃんが私にそれをしてほしいと思ってからじゃないと出来ないの。それが愛だと私は思ってるから」
私は言った。

「ぁーしは…ぁーしは…」
愛ちゃんは口ごもっていた。
そして…嗚咽。

愛ちゃんは泣いていた。

「愛ちゃん…」
私は愛ちゃんの名前を読んだ。

「愛なんか…ないんだよ…。だから…だから」
愛ちゃんは泣きながら私に言った。

私は愛ちゃんの背中を抱き締めた。

「もう、いいよ」

私が声をかけると愛ちゃんは声をあげて泣いた。

12 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:17
いいんだよ、愛ちゃん。
愛ちゃんは自由に生きて。
愛ちゃんが私に涙を見せる。
とても幸せだけど、とても辛いの。

泣かないで。
私は愛ちゃんの笑った顔が見たい。

泣かないで。
全てを私が拭うことは出来ないから。

泣かないで。
涙はいつか変わるから。
だからそれを信じて笑って。

あの笑顔。
これが愛だと私は思うから。

13 名前:aki 投稿日:2006/05/24(水) 22:18
>2-12
RAIN

ありがとうございました。
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/25(木) 21:08
切ないっすねぇ。
次回も楽しみにしています。
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/27(土) 23:09
彼女達の立ち方のakiさんじゃ無いですよね?
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/28(日) 11:28
さげてね
17 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:37
>>14
名無し飼育さん。
ありがとうございます。頑張ります。

>>15
名無し飼育さん。
違いますよ。
18 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:38
泣き顔の私を笑って
くしゃくしゃって頭を撫でてる

失われた日々はもうもとには戻らないけど
新しい日々を作ってはいける

ありがとうございます

貴方を好きになれて良かった


19 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:39



失われた日々 for Miki Fujimoto



20 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:39
いつまでも美貴はあの人のことを考えている。
いなくなったあの人。

もう一年もたつのに…。

好きです。
伝えられず、伝わらず。
21 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:39
あの人が誰かと付き合ってるのは知ってた。
それこそだいぶ前から。

でも美貴の気持ちは消えなかった。
いつまでもいつまでも未練がましくあの人のことを想っている。


好きです。
伝えたかった。
22 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:40





でも





23 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:40
伝えたらきっとあの人は悲しむ。
困って困って困りつくして、美貴のことを敬遠するようになる。

痛々しく笑いながら誰にも気付かれないように美貴の目の前からいなくなる。

そんなの嫌だった。


24 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:40
「矢口さ〜ん」
美貴が甘えて矢口さんに寄りかかって、
「なに?ミキティ」
それに微笑んで答える。

そんな関係。
そんな日々がなくなってしまう。


それはとても、、、嫌だった。
25 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:42
どうせ叶わない恋ならば伝えない方が幸せだ。


でも矢口さんだって鈍感では…ないんだよね。
26 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:43
「どうした?ミキティ」
突然の電話。
すごく驚いてるような声。
「最近、話してないな〜と思いまして。今大丈夫ですか?」
ゆっくりと慌てずに言う。

心臓はありえないくらい大きく早く脈を打っていて、美貴が考えている以上に緊張していることを教えてくれる。


「・・・」
電話をかけたがいいが、なかなか次の言葉が出なかった。
当然矢口さんもなにも喋らない。
後ろでガタガタと音がしている。

「…ミキティ?」
不審に思った矢口さんが聞いてくる。

「はい」
軽く答えた言葉は涙声だった。
え?美貴泣いてる?
「ミキティ?どうした?泣いてるの?なんかあった?」
矢口さんが電話の向こうで慌てたように聞いてくる。


でもやっぱり美貴は次の言葉が出なかった。
27 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:43
「ミキティ、今どこ?家?」
矢口さんは質問を変えて聞いてきた。
「…はい」
静かに美貴は答えた。
「今から行くから」
矢口さんはそれだけ言うと一方的に電話を切った。





28 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:43
美貴の家。
矢口さん家から二分ぐらい。
少しでも矢口さんの近くにいたくてこのマンションにした。

矢口さんが…来る?
なんで?美貴が泣いたから?

そっか。そういう人だもんね。

悔しいな〜。また矢口さんを困らせてる。



29 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:44
ピンポ〜ン

間のびしたチャイムがなった。
矢口さんだ。
美貴は涙を拭きながら玄関に向かった。

「ミキティ?どしたんだよ?なんで泣いてんだよ?」
泣き顔の美貴に驚いたみたいで矢口さんは頭をよしよしって撫でてくれた。
それだけでまた美貴は泣いてしまった。
嗚咽が止まらない。

「あ゛〜とりあえず中入ろ?」
矢口さんはそう言いながら美貴の手を取って中に入ってくる。

30 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:45
リビングのソファに座らされる。
隣でまた頭を撫でてくれて。

涙が止まらない。


「美貴…矢口さんが好きです」
嗚咽をなんとか止めながらつむいだ言葉。

「そっか…」
矢口さんは言いながら頭を撫でてくれる。
「知って…ましたよね?」
美貴は聞く。
矢口さんはただうなずく。


わかってたんだ。
全部。
知ってて気付かないふりをしてたんだ。

だってそうでもしないと自分が自分でいられなくなりそうで、
相手のためじゃない。

美貴は美貴のために矢口さんのことを自己満足に自己完結してたんだ。
31 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:46
「ごめんね」
矢口さんが言う。
まだ頭を撫でてくれている。

「ありがとう・・・ござ・・いました」
美貴は途切れ途切れに言って頭を下げた。

「うん」
辛そうな…でもどことなく嬉しそうな笑顔で矢口さんは美貴の頭をくしゃくしゃって撫でた。


「オイラ、帰るけど大丈夫?またなんかあったら電話しなよ。藤本のこと、…みんな心配してるよ?」
矢口さんは言いながら靴を履いていた。

美貴はただ頷いていた。

「ありがとうございます」
さっきよりもはっきり言った。
それを見た矢口さんはさっきよりもちゃんとした笑顔で「バイバイ」って手を振った。

32 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:48
ソファに座るとまた涙が溢れてきた。
鼻水がぐしゅぐしゅ出て…。

ははっ、美貴って格好悪い。



嬉しかった。
楽しかった。

矢口さんと少しでも関わることが出来て。
矢口さんは最後の最後まで後輩として美貴を見てた。

本当にありがたかった。
ちょっとでも情けかけられたらふっきれないもん。


矢口さんで美貴はよかった。

貴方を好きになれて美貴は本当に幸せでした。


ありがとうございます。
美貴の前に現れてくれて。
美貴に愛を教えてくれて。

ありがとうございます。
本当に大好きで幸せでした。


美貴はちゃんと歩いていきます。
前に向かってちゃんと歩いていきます。
33 名前:aki 投稿日:2006/06/01(木) 20:49
>>18-32
失われた日々

ありがとうございました。
34 名前:aki 投稿日:2006/06/20(火) 19:47





真実





35 名前:aki 投稿日:2006/06/20(火) 19:48
カタ…

物音がして目が覚めた。
リビングの方に光がついている。
私はベッドを抜け出し、リビングに行った。


「よっすぃ…?」
リビングではさっきまで一緒に寝ていたよっすぃがどこかに出かける準備をしていた。
私と目が合うとばつが悪そうに顔をしかめた。

「どっかにいくの?」
よっすぃは答えなかった。
疑問は確信に変わった。


「なんで?どうして?さっきまで一緒に寝てたのに…」
私はよっすぃに掴みかかった。
よっすぃはなにも言わない。

「なんで?よっすぃはなにを見てるの?私を見てくれてないの?」
私はよっすぃの胸を叩きながら泣きわめいた。

よっすぃはため息を一つこぼし、私の肩に手を置いて目を合わせた。

「見てるよ。ちゃんと梨華ちゃんのこと見てるよ」
よっすぃはそれだけ言うと私を押し退けて、玄関に向かった。
36 名前:aki 投稿日:2006/06/20(火) 19:48
追い掛けようとしたら美貴ちゃんに止められた。

「よっちゃんは止められないよ。よっちゃんは止められない。美貴にだって梨華ちゃんにだって」
美貴ちゃんは言いながらよっすぃの後ろ姿を見ている。
美貴ちゃんだって、悲しいんだ。
よっすぃをとめられなくて。
どんだけ唇を重ねても、どんだけ体を重ねても、どんだけ時間を重ねても、よっすぃは私達を見てはいない。

微笑んで立ち去ってしまう。


バタン

ドアが閉まる。
美貴ちゃんが私の唇にキスをする。
何度もした行為。
それでも私はまた感じる。

よっすぃを重ねて。
37 名前:aki 投稿日:2006/06/20(火) 19:50
>>34-36
真実

激短いです。続編になりそうな予感。でもそうしたらエロ入っちゃうなw

ありがとうございました。
38 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/08(土) 19:38
この先が気になります。。。
続編があったら嬉しいな。
39 名前:aki 投稿日:2006/07/13(木) 01:04
求められるから求め返す。

ただ、それだけのことなのに彼女達はそれで納得しない。

一人一人大事にしているのに

もっと

を求める。

だから私も

もっと

と求め返す。

どこがいけないの?
40 名前:aki 投稿日:2006/07/13(木) 01:05





Love Game for Hitomi Yoshizawa





41 名前:aki 投稿日:2006/07/13(木) 01:05
恋愛はゲームに似てるって誰かが言ってた。
そんなもんかと思う。
でも彼女はそれぞれに必死で一生懸命なんだろう。

唯一残念なのが、私が本気になれないこと。



42 名前:aki 投稿日:2006/07/13(木) 01:06
「どうして…?」
今日も今日とて、目の前で泣かれる。

泣かれるだけならまだいい。
殴ってくる人とかいるからね。
アイドルだっつーのに。


ねぇ、なにか私いけないことした?
求められたから求め返したんだよ。
ただ、それだけのことだよ。
なんでそんなに束縛したがるかな。
理解できない。


「よっすぃーは誰かを好きになったことないの?」

ないよ。
ってか、わかんないよ。

恋愛感情?
なに、それ。しらける。


「あの子のとこ、行ってたんでしょ」
あの子ってどの子だよ。
わけわかんねー。
それでもいいって言ってたじゃん。

「どうして…?」
またそこに戻るんですか。
いい加減、ウザイんですけどー。


「ねぇ、なにか言ってよ!」
大声で言わないでよ。
耳が痛いじゃん。
43 名前:aki 投稿日:2006/07/13(木) 01:06
「別れよっか」
「え…?」
「そんなに嫌なら別れよ。あたし、君を幸せにしてあげることは出来ないし。終りにしよ?」
淡々と伝える。
別にどっちだっていい。
他の人なんて、いっぱいいる。

「え…やだ、やだよ。終わるなんてやだ!」
また泣き出す。

「じゃあ、このままでもいいの?」
「うん。いいから。そばにいてくれるだけでいいから…。だからどこにも行かないで」
女は懇願する。

「分かったよ。どこにも行かないよ。だから、ね?泣きやんで」
そう言って出来るだけ優しくキスをする。

首に腕を回されて、キスは激しくなっていく。

また
求められた。


44 名前:aki 投稿日:2006/07/13(木) 01:07
求められるから
求め返すんだ。

生命としての本能を果たすんだ。
だからそこに愛なんてない。
愛とかなくてもSEXはできる。
男でなくてもSEXはできる。

楽なんだ。
こっちの方が。

だから変えないだけ。

ただ、それだけ。
45 名前:aki 投稿日:2006/07/13(木) 01:10
>>39-43
Love Game

>>34-36 真実の続きです。まだ続きます。
ありがとうございました。
46 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/19(水) 22:53
続き気になりますね。
よっすぃーは何を見ているんだろう…。
47 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:42
私は弱虫なのかな。
欲張りなのかな。

幸せを求めるんだ。
みんなの幸せ。

誰かが悲しんでるなら助けてあげたい。
誰かが喜んでるなら分かち合いたい。

でも
臆病だから悲しみを救えないなら手を引くし、
喜びを分かち合えないなら離れたくなる。


ワガママなのかな。

48 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:42





promise for Hitomi Yoshizawa





49 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:42
今日はあの子と会う。
髪が長くて猫っぽくて、きつそうで甘えん坊な子。
一緒に過ごす時間は誰よりも多いのにもっとを求める欲張りな子。

50 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:43
「絶対だよ」
彼女はそう言って私を見上げる。
私が頷くと満足そうに微笑む。

かわいいんだけど、愛じゃない。
愛しいと感じるけど、愛じゃない。
だって彼女がいなくても私は変わらない。
彼女が泣き叫んで私を束縛しようとしたら、
私は手を離す。

皆と同じようにかわいくて、皆と同じように愛しい。
そんな子。

51 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:43
「よっちゃん、今日ね亜弥ちゃんがさ〜」
笑顔で話しかけてくれる。
つられて私も笑顔になれる。

「…とかって言うの。ひどくない?」
などと言いながら目は笑っている。

「ねぇ、よっちゃん聞いてる?」
「聞いてるよ」
思いっきりまじめな顔して彼女を見つめる。

顔を近付けて唇を重ねる。
軽く、優しく、激しく、激しく。

「んっ…」
色っぽい声が聞こえる。
もう止まれない。

私は手を胸に持っていった。
服の上から軽くなでる。
キスは辞めずに。

きゅっと胸を掴むと体がびくっと反応した。

「や、よっちゃん…まだ…」
「美貴ちゃんが欲しいの。だめ?」
彼女がなにかを言う前に畳み掛けるように言う。
彼女は顔を真っ赤にして、抵抗をやめた。

52 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:44
唇を耳元、首筋とどんどんさげていく。

「ゃん…くすぐったい」
服をまくり、ブラをあげ胸にキス。

「んっ…っ…ハァ」
乳首を口に含んで舐める。
吸ったり、軽く噛んだり、舌で押し込んだり。
ことごとく彼女は可愛く反応する。

舌を出しながらお腹まで降りていき、軽く吸った。
薄く赤い跡がついた。

スカートの中のパンツに上から触れる。
水気を感じるくらい湿っていた。

「ん…よっちゃぁん」
切なげに名前を呼ぶ。
「どうしたの?」
なんて、ちょっとイジワル。
53 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:44
「ちゃんと……して…」
顔を真っ赤にして、目には涙をため彼女はねだる。
なんて可愛いんだろう。

私は彼女の額にキスを落とすと、パンツを一気に下げ十分に濡れそぼっているそこに指をねじこんだ。

「ンァァァ…アン」
一際大きく彼女が叫んだ。

ジュポジュポと音がするぐらい大きく指を出し入れして、彼女の感じるとこを突いていく。


「んっ…よっ、ちゃん、はっ、美貴…もう」
「いいよ。イカしてあげる」
言いながら乳首を舐める。
彼女の中がどんどん熱くなる。

私はこれ以上ないぐらい指を大きく速く出し入れした。

「んっ、んっ、っ…ぁあ、ぁん…ィク…アッ、んーー!」
彼女の体が大きくのけぞった。
彼女の中はヒクヒクと痙攣している。
54 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:44
指を抜いて淫液で濡れている指を舐めた。
彼女の口に指をあてて舐めるようにうながす。

彼女は焦点があってないまま、私の手をとりペロペロと舐めまくる。

あらかた舐めると手をどかして、私の首に腕をまわす。

優しく、でも激しくキスをしてあげる。

55 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:45
「よっちゃん、大好き」
なんて、ふにゃりと笑いながら言うもんだからこちらもつられて笑顔になる。

彼女はこれ以上を求めない。
求めたいんだろうけど、求めてこない。
ギリギリの間で私を求める。

だから私も笑顔で返す。


面倒くさいのは嫌いだ。
楽しめればそれでいいじゃん。
他になにが必要なんだよ?

56 名前:aki 投稿日:2006/07/21(金) 16:51
>>47-55
promise〜h〜

>>39-44
Love Gameの続きです。
ありがとうございました。

レス下さってる名無しさん。ありがとうございます。励みになってます。
57 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/07/23(日) 18:02
面白いです。
続きが気になります。
58 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:44
絶対だよ。

君と出会ってよく使うようになった言葉。
君はいつも笑顔で頷くけど、簡単に絶対じゃなくなる。

今日も“絶対だよ”って言って、君の笑顔で頷く姿を見る。

絶対じゃないのに。
分かってるのに。

口に出してしまう。

絶対だよ-----。
59 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:45





promise for Miki Fujimoto





60 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:45
『ごめん。今日だめになった』

簡単なメール。
何度目だろう?このメールをもらうのは。

『用事?』
いつものように送り返す。

『うん』
何分もしないうちに返事。

『終わってからでもだめ?』
またいつものように送り返す。

『遅くなりそうだから』

『そっか』


送信ボタンを押して携帯を閉じる。
1つ、ため息がこぼれた。


「どうしたの?」
たまたま仕事が重なってた梨華ちゃんが聞いてくる。

「どうもしないよ」
そう答えて携帯を鞄の中にしまう。

よっちゃんからの連絡がこない携帯なんていらない。
61 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:45
「よっすぃー?」
梨華ちゃんが呟く。
美貴は聞こえないふりした。

「梨華ちゃん、今日このあとひま?」
出来るだけ明るく聞く。
梨華ちゃんはまだ浮かない顔だ。
「ごめん。仕事あるから…」
本当に申し訳なさそうに言う。

「そっか」
と微笑んで見せた。

62 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:45
絶対だって言ったのになぁー…。
泣きそうになる。
けど、泣いちゃいけない。
よっちゃんが知ったら関係は終わってしまう。
泣かないから、求めすぎないからよっちゃんは美貴をそばにおいてくれる。
これ以上を求めたらよっちゃんはいなくなる。

だから泣けない。
泣いちゃいけない。
63 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:46
服の裾を掴まれた。
亀井だ。この子もよっちゃんとしてるんだよね。

「なに?」
って聞いてみても、何も答えない。
目だけは心配そうに美貴を見上げてる。

「どうしたの?」
努めて優しく聞いた。

「…泣きそうだったから」
亀井は自分が泣きそうな声で美貴に言った。

「大丈夫だよ。美貴泣いてないでしょ?」
美貴は笑ってみせる。

「そうですか…」
悲しそうに、本当に悲しそうに亀井は手を離した。
亀井が悲しむことではないのに。

「亀ちゃんさ、この後ひま?」
亀井は一瞬視線を泳がせる。
「美貴に付き合ってくんない?」
ちょっと間があり、亀井は頷いた。
「じゃあ、後で」
美貴はそう言って仕事に戻っていった。

梨華ちゃんが美貴を見ていたけど、なにも言わなかった。

梨華ちゃんは知らないことが多すぎる。
64 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:46
よっちゃんが亀井と関係してるのも、道重や田中、
久住を除いた全員と関係してるって知らない。

その原因が自分だってことも知らない。

知ってほしくはない。
美貴だけが知ってるってそれぐらいの優越感味わいたい。
よっちゃんは否定するだろうけど。
でも梨華ちゃんが原因でよっちゃんは変わった。

65 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:48
梨華ちゃんが卒業してから…。
よっちゃんは誰とでも寝るようになった。
梨華ちゃんにだって、卒業してすぐに寝たらしいし。
順番はよく知らないけど、多分美貴の方が早い。
よっちゃん、迷ってたから。
梨華ちゃんとすることに。


好きだから…なのかな。
違うって言いたいけど言い切れない。

よっちゃんはしてるときだけちゃんと美貴を見てくれている。
そう願ってるだけなのかもしれないけど。

だってよっちゃんの目は笑ってないし、美貴を捉えてない。

多分みんなにそうなんだろうな。

だけど美貴に止めることは出来ない。
誰にだって出来ないんじゃないのかな。
だってよっちゃんはみんなと距離をとってるから。
確信に入ろうとすると逃げるから。

だからよっちゃんを止めるなんて出来ない。
66 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:49
寂しく思うけど・・・安心する。

だって誰にも出来ないんだ。
梨華ちゃんでさえ。
美貴だけじゃない。

だから、安心。

ただ、願うのはよっちゃんが美貴から離れないことだけ。

よっちゃんがそばにさえいてくれれば美貴はなにもいらないから。


だから、神様。
お願いです。
美貴からよっちゃんを取り上げないでください。
歌が歌えなくなってもいい。
足が動かなくなってもいい。

美貴からよっちゃんを取り上げないでください。
67 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:53
>>58-66
promise〜m〜

ここからどんどんぐしゃぐしゃにw
みんな幸せになってほしいと思うのは甘いのでしょうか。
幸せを考えますが、物語は勝手に進んでいきます。


>名無しさん。
ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
68 名前:aki 投稿日:2006/07/27(木) 00:53
そして、

ありがとうございました。
69 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/27(木) 22:01
お疲れ様です。
akiさんのみきよし(?)いいですね。ミキティ切なげだけど…
70 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/02(水) 11:58
吉澤さん、悲し過ぎますね。
続き楽しみにしています。
71 名前:aki 投稿日:2006/08/04(金) 21:45
みんなが憧れてやまない人。
全てを持ってるように見えるあの人は寂しい目をしてる。

追い求めることに疲れてしまったような目。


みんなが憧れてやまない人。
全てを持ってるように見えるあの人は悲しい目をして私を抱く。

虚しいこととわかっているような目をしながら、
私を抱く。


惰性のように私を抱く。
私はあの人が泣いてるように見える。

あの人の涙を拭える人はいないのかな。
72 名前:aki 投稿日:2006/08/04(金) 21:45





幻影 for Eri Kamei





73 名前:aki 投稿日:2006/08/04(金) 21:46
「亀ちゃんさ、このあとひま?」
藤本さんに聞かれた。
この後はれいなとさゆと遊びに行く約束をしている。
一瞬考えた。

でも頷いた。
れいなもさゆも絵里なしでも大丈夫だろう。
けど藤本さんは違う。

もし絵里が拒んだら・・・きっと誰かを、そして自分自身を傷つけるだろう。

そんなことしてほしくない。
74 名前:aki 投稿日:2006/08/04(金) 21:46
仕事が終わって藤本さんを待つ。
藤本さんはラストに撮りに入った。
いつもは次の仕事とかなければ年功序列で撮るんだけど今日は違った。
吉澤さんの次は高橋さんだった。


みんなの顔が少しだけ変わった。

みんな知ってる。
藤本さんと吉澤さんの関係。
吉澤さんとみんなの関係。

けど、みんな追求できない。

望む言葉をくれて望む愛をくれる優しいあの人を手放すことを誰もしない。
かくいう私だって吉澤さんを追求することはできない。

歪んでる。
けど、これが私達。
75 名前:aki 投稿日:2006/08/04(金) 21:46
「待った?行こうか」
藤本さんが入ってくる。
早業で着替えを終え、鞄を手に取る。
私は微笑んで鞄を持ち直した。

藤本さんはスタスタと前を歩く。
時折振り返って私を待つ。
もう少し遅く歩いてもいいのに。

私は小走りで藤本さんに追い付く。
横顔はやっぱりいらいらしている。

ちょっと歩いて大通りに出た。
タクシーを止めて乗り込む。
どこに行くんだろう?
76 名前:aki 投稿日:2006/08/04(金) 21:46
「あの・・・」
窓の外を見ている藤本さんに呼びかける。
ぴくっとしたけどこちらに振り向かず、
「なに?」
と答えた。

「どこに行くんですか?」
「美貴の家」
私の質問にかぶせるように答える。
なにも言うなオーラが出ている。

私は小さくため息をつき、窓の外を眺めた。

日が長くなってまだ明るいこの時間。
でもネオンはきらびやかに街をいろどっている。

夕焼けの赤い光りに街やネオンの色が赤く染まっていく。
ちょっと切ない光景だった。
77 名前:aki 投稿日:2006/08/04(金) 21:50
虚ろげだ。
みんな。

街も人も。

好きとか嫌いのラブゲーム。

空虚だ。
だけど私だってそれに関わってる。

吉澤さんは優しい。
優しいからみんな求める。
求めるからもっと優しくなる。
そのしわ寄せだって当然どっかにくる。

吉澤さんは気付いてないだろう。
自分のしていることに。
気付かないふりをうまくしてるんだ。

だから私達も気付かないふりをうまくするようにしている。

けど、人の感情って難しい。

吉澤さんを待つと決めたのも藤本さんの感情で、
待つことが辛くなって他の人を求めるのも藤本さんの感情だ。

やっぱり空虚だ。

そしてそれに応えてしまう私も、やっぱり空虚なんだろう。

空っぽだから真実を知りたくないし、わかりたくない。
それが私達の生き方・・・なのかな。
78 名前:aki 投稿日:2006/08/04(金) 21:51
>71-77
幻影

続きます。
出演者出揃いました。
ありがとうございました。
79 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:30
幻の愛なんていらない
真実の愛が欲しい

幼いころ思っていたこと

でも今は幻の愛を求めてる

幻を真実だと思い込んで

いつか彼女もそうなってくれると信じて

80 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:30





幻影act2 for Eri Kamei





81 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:31
「あがんなよ」
玄関でつったってる私に藤本さんが声をかける。

「おじゃまします」
と声をかけてあがる。
私は藤本さんの家に来たことはなかった。

部屋は思ってたよりも綺麗だった。
さすがA型。

リビングのソファに座る。
藤本さんは台所でなにかしている。

テレビの横のコルクボードには吉澤さんとの写真が飾ってあった。
テレビの台には吉澤さんのシール。

ぱっと見は分からないけど、この部屋・・・たぶん藤本さんの家全体は吉澤さんに包まれてるんだ。

吉澤さんの気持ちなんて関係なく、ただ優しい吉澤さんを追い求めている。

それって・・・吉澤さんの幻を追い求めてるだけだ。
本当の吉澤さんじゃない。
優しくて包みこんでくれる吉澤さんを。


私達みんなそうなのかな。
吉澤さんはそれで幸せなのかな。
82 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:31
「気になる?」
いつの間にいたのか、藤本さんがカップを乗せたお盆を持ちながら聞いた。
吉澤さんの写真のことだろう。

私は反射的に首をふった。

「別にいいんだ」
呟くように藤本さんは言った。

それが私が写真を見てたことに対するものか、それともまた別のことなのか。

順当にいけば前者だろうけど、なんか違う気がした。

「コーヒーでいいよね?」
藤本さんは言いながらカップを私の前に置く。
私は頷いた。

83 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:31
「ありがとうござ・・・」
「今日さ、よっちゃんと遊ぶ予定だったんだ」
私がお礼を言う前に藤本さんは喋りだした。
「でも、、、用事が出来たんだって」
藤本さんは顔をあげて、微笑んだ。
その笑顔は私でもわかるぐらい無理をしていた。

「藤本さん・・・」
「亀井は、よっちゃん好きなの?」



84 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:32






―――――好きなの?






85 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:34
言葉が耳から離れない。
こんなに直球でくると思わなかった。

「いいんだ。誰がよっちゃんを好きでも。だってよっちゃんは変わらないもの」
答えに詰まってると藤本さんは喋りだした。

「よっちゃんだってみんなだってわかってる。よっちゃんが変わらないこと。
よっちゃんに特定の人ができないこと」

藤本さんはカップに目を落としたまま、話した。

「美貴によっちゃんは変えられないから。それでもいいと思って美貴は一緒にいるんだ」
藤本さんは顔を上げて微笑んだ。
86 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:34
私は吉澤さんのことをどう思ってるんだろう。

ふと疑問に思った。

吉澤さんが誰かと関係して寂しく思うことはあっても、嫉妬を感じることはなかった。

吉澤さんだから・・・

それでなんとなく済ませてきた。

けど、それって恋じゃないよね?

独占したい―――

前の、その前の恋愛もそうだった。
好きな人が誰かと話をしているだけで嫉妬した。


でも、今は違う。

吉澤さんには嫉妬しない。
恋とか愛とかではなく、吉澤さんが好き。

だから求めてた。


違うのかな。
これは恋と愛のどちらでもないのかな。

恋愛に似たゲームなのかな。
87 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:34



そこにみんなの愛はあるのかな?



88 名前:aki 投稿日:2006/08/16(水) 06:35
>>79-87
幻影act2

ありがとうございました。
89 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/18(金) 14:53
続きが気になりますね
待ってますよ
90 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/18(金) 21:01
オモシロイです。
続き楽しみにしています。
91 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:28
当たり前のことだと彼女は言った。
だけどそれが当たり前と感じなかったり、苦痛を感じたりする子だっている。


嬉しいけど辛い。

相反する二つの気持ち。

分かってほしい二つの気持ち。

これは彼女にしか止められないゲーム。
92 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:28





start for hitomi yoshizawa & eri kamei





93 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:29
藤本さんは結局私を抱きはしなかった。
石川さんと藤本さんは関係を持ってたみたいだから、
てっきり私を代えに使おうとしたのかと思った。
でも藤本さんは吉澤さんの話を少しした後はさっさと寝てしまった。
私に何か言われるのを恐れてたみたいだった。


だけど、私は忘れない。
夜中、藤本さんが泣きながら吉澤さんの名を呼んだこと。
それが夢にうなされて――であることを。


私は伝えなきゃ。
吉澤さんに。

誰にも止められなくとも、なんのアクションも起こさなければ状況は変わらないから。



94 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:29
私は知ってほしいんだ。


吉澤さんを愛してる人がいることを。
その愛がとても無器用であることを。


そして、
吉澤さんはその愛に応えるべきだと。


じゃなきゃ、二人が傷付く。

まわりみんなが傷付く。


だから吉澤さんは決めなきゃいけない。
自分の幸せを。

それが吉澤さんにとって苦しいことでも、
私にとって辛いことでも、
伝えなきゃいけない。
決めなきゃいけない。


それがゲームを終わらせることになると思う。
95 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:30
「亀井、なに?こんなとこに呼び出して」
誰もいない楽屋。
収録が終わった後、私は吉澤さんにメールを送った。
私達が使った隣の楽屋に来てください、と。

10分後ぐらいに吉澤さんは来た。
早く帰りたそうに顔をしかめている。

ってのは、そう見せてるだけ。
怖いんだ。
私に核心を迫られるのが。
だから逃げたい。


なんとなくわかってきた。
吉澤さんのこと。

―――変えられないから

藤本さんは言った。
変えられないんじゃない変えようとするのを吉澤さんは拒んでる。
だから、変えられない。


誰かの、何かのせいにして吉澤さんは逃げてる。


それは多分あの人のせい。

96 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:30
「早く帰りたいんだけど・・・」
なかなか言い出さない私に苛立ったのか吉澤さんは不機嫌そうに告げた。



「昨日、藤本さんのところに泊まりました」
慌てず、冷静にはっきりと。
頭の中で唱えて言った。

吉澤さんは右眉を動かした。

「それで?」
冷たく言い放つ。
目は私を威圧するように睨んでいた。
でも瞳の奥は揺れている。
動揺している。

心臓の鼓動が大きく響く。

「気にならないんですか?」
微笑んで見せた。
「なんで?うちには関係のないことじゃん?」
微笑み返された。

やっぱり吉澤さんだ。

つかず離れず。
追わず逃げず。


97 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:32
「藤本さんは吉澤さんのこと好きです」
はっきりと告げた。


「知ってるよ」
吉澤さんは事も無げに言った。
「夢であなたを思って泣くことも?」
吉澤さんはまた眉をあげ、不機嫌そうに私を見た。

「・・・なにが言いたいの?」
吉澤さんは聞いた。
「みんなとの関係終わりにしませんか?」
沈黙が流れる。
吉澤さんは宙を仰いで考えている。

後悔がゆっくり襲ってくる。


告げてもよかったのだろうか。
私でよかったのだろうか。
藤本さんはこれを望んでいるのだろうか。


わからない。
98 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:33
「うちはいつ終わったっていいんだよ。ただ美貴がうちを求めるからうちはそれに応える。
うちが美貴にそれを強制しているわけじゃない。
美貴だけじゃない。うちはみんなにうちを求めろなんて言ってない。
亀井にだってしてないでしょ?」
小さい子に諭すように吉澤さんは言った。

「求めてほしいんですよね?吉澤さんは求めてほしいんですよね。
自分を必要とされたいんですよね。
だからみんなに優しい態度をとって、おちゃらけて人気者でいたがる。
強制しているわけじゃないけど、求めるように仕向けているのは吉澤さんですよ?」
上目使いを意図して使う。
今までの人生の中で一番胸が高揚している。
吉澤さんとのやりとりを楽しいと感じている。
99 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:33
「はぁ…。ねぇ、用ってそんだけ?そんなくだらないことで呼び出したの?帰るよ」
吉澤さんは前髪をぐしゃりとかきあげて言った。
そんな動作さえも美しい。
みんなが好きになるだけはあるな。

「にげるんですか?」
「はぁ?」
「にげるんですよね。怖いんですよね。
吉澤さんは臆病ですもんね。
みんなに優しくされたいんですよね。
優しくされなかったら、簡単に捨てちゃうんですもんね。
辛いことが大嫌いなんですもんね」
「・・・ちょっと亀井?」
「いい加減なこと言って、みんなに愛されて、
それが嘘でも嬉しいですもんね。
嘘つきな吉澤さんは臆病者だから・・・」





―――パシンッ



100 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:34
叩かれた。
吉澤さんは怒りで頬が赤く染まっている。


「みんながそうさせるんだ。
うちのせいじゃない。
みんなが求めるから・・・。
求められたら応える。
当たり前でしょ?」
吉澤さんは言い訳するように言った。

当たり前?
違うよ、吉澤さん。

「・・・じゃあ、私に応えてください。
私はあなたに誠実さを求めます。あなたはそれに応えてください」
私の頬を暖かいものが伝う。
泣いていた。

「うちは・・・」
吉澤さんはにがむしを噛み潰したような顔をした。

「今のままでいいと思ってるんですか?
そんなわけないですよね?
私だって吉澤さん好きなんですよ。
だから吉澤さんのためにも今のままではいけないと思います」
私は精一杯言った。

「うちはみんなが・・・」
吉澤さんはまだ苦しそうな顔をしていた。

「そんなにあの人のことがショックだったんですか?
じゃあなんで伝えなかったんですか?
吉澤さんはやっぱり臆病です」
私は睨んだ。
泣きながら睨んだ。

「あの人…って」
吉澤さんの声はかすれてた。
「そんなになるなら矢口さんに伝えればよかったじゃないですか!
こんなこと・・・本当は誰も望んで―――」
101 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:35
バンッ

楽屋から吉澤さんは出ていった。
吉澤さんは泣いていた。
ぽとりと涙がこぼれていた。

吉澤さんが出ていった後、私は膝から崩れて大声で泣いた。

吉澤さん――

好きな人の名を呼びながら。
嫌われると覚悟したのに・・・
心の中は矛盾だらけだった。


102 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:46
>>91-101
start

もう少しです。
>名無しさん。
まとめてですいません。
レスありがとうございます。励みになります。
103 名前:aki 投稿日:2006/08/19(土) 12:47
>>91-101
start

もう少しです。
>名無しさん。
まとめてですいません。
レスありがとうございます。励みになります。



↑カキコミスすいません。

ありがとうございました。
104 名前:aki 投稿日:2006/09/02(土) 23:08
どこに行くの?

思わずそんな言葉を投げかける。
いつも化粧などしない美貴が鏡に向かって一生懸命自分を着飾っている。
マニキュアから始まり、アイライン、チーク、口紅・・・。
赤とピンクの中間の色だ。

どこだっていいでしょ。

振り向きざまに言われた。

そんな色似合わないよ。

違う。こんなことが言いたいんじゃない。
美貴がそんなに一生懸命に着飾るのが誰のためかと考えたくないんだ。

あんたには関係ないでしょ。

彼女はそう言うと上に羽織っていたガウンを脱ぎ、下のドレスと対の黒のストールを羽織った。
鏡で身支度を整えると部屋を出て行った。

わかっている。
この関係も、美貴には美貴の好きなひとがいる。
私は単なる寂しさを埋めるための道具にすぎないことも。

でも、私は美貴が−−−

なにより悔しいのは美貴が化粧をしているところを見とれてしまったこと。
そしてそれが自分のためではないと気づくのが少しばかり遅れたこと。

美貴、
その唇で口付けて
105 名前:aki 投稿日:2006/09/02(土) 23:08
骨休みにちょっとだけ書いてみました。
ありがとうございました。
106 名前:aki 投稿日:2006/10/22(日) 10:47
好きだった、ずっと
彼女に恋人がいることを知っても
変わらずに好きだった

けど、裏切られた

彼女は私達を裏切らないと信じていた
だけど違った

彼女にとっては当然の選択

でも私達―――ううん、私にとってはひどい仕打ち

これがあなたの気持ちなら甘んじて受けよう

そう思っていた

だけど私は気付かないふりをしてただけ

たくさんの人を傷つけた

終わりにすべきだ

107 名前:aki 投稿日:2006/10/22(日) 10:47





period for Hitomi Yoshizawa





108 名前:aki 投稿日:2006/10/22(日) 10:47
手の甲で口許をおさえながらしゃくりあげるように彼女は泣いていた。
私はそんな彼女を見たことがなく、涙を流すのも気高く、クールなイメージだった。

そんな彼女が今目の前で必死に泣き声をもらすまいと泣いている。
抱き締めればよいのだろうか。


躊躇する。
109 名前:aki 投稿日:2006/10/22(日) 10:47
別れを告げたのは自分だ。
決心したのも自分だ。


「ごめんね」
でもいたたまれなくて謝った。
「よっ・・ちゃん・・・」
グスグスと鼻をすすりながら私を見上げる彼女。


ごめんね。


心の中でもう一度呟いて私は部屋を出た。



ごめんね。

ずっと言えなかった言葉。
もしかしたらずっと言いたかった言葉。

ずるいかな。
でも今はこの言葉しか使えない。
110 名前:aki 投稿日:2006/10/22(日) 10:48
「よっすぃー?本気なの?」
呆然と言う彼女。
頷いてみせる。

そう、とだけ彼女は呟いて目を伏せた。


私は彼女こそ大声で泣いてわめきちらすと思っていた。
だって、彼女はいつも私を独占するためにそうしていたから。

でも泣いたのはいつも泣かなかった彼女で、
泣かなかったのはいつも泣いていた彼女だった。


111 名前:aki 投稿日:2006/10/22(日) 10:48
みんなに愛されて、みんなに優しくされて、
私は自分が思っている以上に幸せだった。
私は自分が思っている以上に子供だった。

ありがとう、みんな。
ありがとう、亀井。


伝えます。
あの人に。


好きだったこと。
辛かったこと。

それからみんなにありがとうとまた感謝して歩き出したい。

私達の未来に。
112 名前:aki 投稿日:2006/10/22(日) 10:49
>>106-111
period
次で終わりです。ありがとうございました。
113 名前:aki 投稿日:2006/12/16(土) 20:06
「好きな人が出来たの」

数ヵ月前からは君からこんな言葉を聞くなんて考えもしなかった。
けど、君は君の道を歩き始めてる。
あの時の自分が間違ってはいなかったとほっとする。

終わらない人もいる。
けれど、いつか終われる。
それまで私は信じる。

あの人がそうしてくれたように…。
114 名前:aki 投稿日:2006/12/16(土) 20:06





Epilogue  after that for Hitomi Yoshizawa





115 名前:aki 投稿日:2006/12/16(土) 20:07
「よかったね」
私はそう言って微笑む。
彼女もまた微笑む。

幸せだと感じる。
体が繋がらなくても関係などなくても、幸せを感じられる。

最近、それを知った。

116 名前:aki 投稿日:2006/12/16(土) 20:08
好きだと伝えたあの時、彼女は私を勇気付けてくれた。

『信じてるから』
彼女に言われた。

『よっすぃ〜がちゃんと自分の道を進めるって、信じてるよ』
微笑みながら彼女は言った。
私はただ頷くしかできなかった。

彼女は幸せだ。
それが今私に残る唯一の救い。

簡単にはたちきれない。
彼女らもまたそうなんだろう。

私は彼女らを見守らなければいけない。
彼女らの幸せを―――。

そして創らなければ。
自分の幸せを―――。
117 名前:aki 投稿日:2006/12/16(土) 20:13
>>113‐116
after that

以上で終わりです。
次の予告など。
118 名前:aki 投稿日:2006/12/16(土) 20:20
閑散としている店内。
平日とはいえ、少し人がいなすぎだろう。

デパートというにはだいぶ小さい、名だけの昔に建てられた店。
そこに私はいる。

街から外れた路地裏を通るとここに行き着く。

なにが悲しくてこんなとこにいるかと言えば、それはあれのためだ。
あれのためだけに私はここにいる。

ツーンとしたアンモニア臭がする。
掃除が行き届いてない証拠だ。
こんなところ一秒だっていたくない。
だけど探さなきゃ、あれを。
119 名前:DRUG GAME 投稿日:2006/12/16(土) 20:21
一番奥から二番目の個室に入り鍵をかける。
いつもここにあるからだ。
タンクをそっと持ち上げる。
…ない。
ペーパーホルダーの裏側。…ない。

汚物入れの中。
…ない。

どこだ。
どこにある?

棚の上。
…ない。
ペーパーの芯の中。
…ない。

貼り紙の裏。
…あった。

「はぁ…」
思わずため息をつく。
貼り紙の裏からビニールのパックを3つ、あるだけ全部取りだし、
折り畳んだ3万をパックと同じ場所に戻す。


水を流してからトイレを出た。

120 名前:DRUG GAME 投稿日:2006/12/16(土) 20:23
犯罪なのだれろうか……。
今ではもう何も感じない。

ただ、ただあれが欲しい。
それだけだ。

だから
121 名前:DRUG GAME 投稿日:2006/12/16(土) 20:25
>>118‐120
DRUG GAME

主演はまだ決まってない見切り発車ですww
リクエストあればよろしくお願いします。

ありがとうございました。
122 名前:aki 投稿日:2007/04/10(火) 21:22
きっかけは一通の迷惑メールだった。
いつもならば見過ごしていたようなメール。
そこには『亀井絵里さんへ』と確かに私の名前が入っていた。

アドレスはごく親しい友達と仕事で必要な人にしか教えてない。
その中で私をフルネームで呼ぶ人はいない。

消してしまおうと思っていた。
けど、なんとなく開いていた。
そこにはそっけなくただ一言だけ。
123 名前:aki 投稿日:2007/04/10(火) 21:22





貴女の望む物差し上げます。





124 名前:aki 投稿日:2007/04/10(火) 21:23
私の望むもの・・・?
なに、それ。

私は欲しい物は大概手に入れてきた。
この仕事をしはじめてからは物欲もそこまでなくなったし、
欲しい物があったら買っている。
だから、望むものなんてない。




いつもなら絶対返事しない。
絶対、しない。

なのに、なぜだろう。



125 名前:aki 投稿日:2007/04/10(火) 21:23





なにをくれる?





126 名前:aki 投稿日:2007/04/10(火) 21:24
返事をしていた。

私が望むもの、知りたくて。

今思えばあの時から私はイカれていたのかもしれない。
日々の喧騒にちょっとばかり疲れていたのかもしれない。


返事をしなければよかった。

何度も何度も悔やんだ。
だけどすぐに私の体はアレを欲した。
アレがなんなのかわかっていた。

最初は偽物だと思っていた。
けれど、目の前に禁じられた遊びがあるのにに手をださないのは、
とても惜しく感じた。

127 名前:aki 投稿日:2007/04/10(火) 21:24
いつもの私なら捨ててしまっていた。
けれど、それが出来ないくらい私はイカれ、疲れていた。


128 名前:aki 投稿日:2007/04/10(火) 21:24
メールに書かれてあった公園の滑り台の下にあった袋。

それごと私は持って行った。
誰も着いてきてなかったのに私は走った。
走って走って走りまくった。
冬なのに雨に濡れたのかと思われるぐらい私は汗をかいていた。

129 名前:aki 投稿日:2007/04/10(火) 21:25
部屋に帰って一息つく。
この前友達が来た時に買った酒をビンのままあおる。
喉に熱を感じた。

息は整ってきたけれど鼓動はまだ大きく感じる。


ふと、あの袋が目に入る。
中を見てみると白い粉が入った袋が3つ。
そして紙が一枚。

『あなたが欲しい物差し上げます』

黒い紙に白い字で書いてある。
その下には袋の粉をコップ一杯の水で飲むようにと書いてあった。

130 名前:aki 投稿日:2007/04/10(火) 21:25
よせばよかった・・・・・


こんなもの捨ててしまえば・・・

分かっていながら、私はそれを飲んだ。

けれど、何も起こらなかった。
「なんだ」
そう呟きコップを台所に持っていこうとした瞬間、
世界が反転した。


キラキラと目の前に花火が上がった。
全ての物が変に歪んで見えた。

手足が痺れてきた。
それは・・・快感に近かった。


私はその感覚のまま意識を失った。

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