Taboo

1 名前:haine 投稿日:2006/06/22(木) 18:45
いしよしです☆
よろしくおねがいします!
2 名前:haine 投稿日:2006/06/22(木) 18:54
目を開けるとそこに、見慣れた顔があった。
えーと...。りかちゃん、だよね。
うん、梨華ちゃんだ。......。......。
ふたたび眠りの世界に陥りそうになったあたしに違和感が襲う。
ん?梨華ちゃん?!
「はぁー!?」
思わず勢い良く飛び起きた。なんで?ここ、あたしの家だよね?
「う...ん...。」
やばい。起こした?
てか、なんで...
ゆっくりと眩しそうにその人は目を開いた。
「あ、おはよ...。ひとみちゃん」
にっこりと、
微笑みながら梨華ちゃん、
もとい、
あたしの「元カノ」は言った。

てか、てか、なんであんた裸な訳?!
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/22(木) 20:46
みじかっ!!w
続きあるよね?
4 名前:haine 投稿日:2006/06/23(金) 12:30
続き更新します!
5 名前:haine 投稿日:2006/06/23(金) 12:40
「ひとみちゃん?どうしたの?」
のそのそと起き上がる梨華ちゃんはやっばい位キレイで。
朝日がよく似合って。
「昨日はびっくりしたけど、嬉しかったよ」
恥ずかしそうに髪をかきあげる。細い指。
うあ...かわいい。
じゃなくって!
「あの、あのさ、どういう事?あたし全っ然分かんないんだけど」
「え?覚えてないのぉ?」
ひどいなあ、もう。なんてぶつぶつ呟きながらブランケットを体に巻きつける。
「昨日、ごっちんと三人で飲みに行ったでしょ」
あっ。そうそう。そうだった。
気が乗らなかったけど、ずっと前から約束してたから。
「そしたひとみちゃん、グイグイ飲んじゃって」
「あー....」
確かに。なんか思い出してきた。
6 名前:haine 投稿日:2006/06/23(金) 13:26
昨日は...ごっちんが仕事で遅れるからって二人で先に店に入った。
久々に1対1で梨華ちゃんと向かいあった。
薄暗い照明に、はっきりと照らされる梨華ちゃんの真っすぐな瞳。
流れる微妙な空気に耐えられなくて、ついついアルコールが進んだ。
『飲みすぎちゃダメだよ』梨華ちゃんの声がぼんやりと脳に響く。
相変わらずあたしを見据える瞳。
別れたのはもう一年も前で。
今では何で別れたのかもはっきり思い出せなくて。
些細な喧嘩が多くて?梨華ちゃんの束縛が激しくて?
性格の不一致?価値観の違い?多分全部だった思うけど、
別れを切り出したのはあたしからだった。
すごい大好きだけど、好きすぎて怖かった。
梨華ちゃんに溺れていく自分が怖かった。
慌てて、早く抜けださなきゃって思った。

別れてからももちろん仕事場で会うし、メールだって時々する。
誕生日にはプレゼントを送り合ったり、何人かでご飯を食べに行ったりもする。
でも、二人っきりってのは無かった。避けて来た。
『大丈夫?顔、真っ赤だよ?』
心配そうにあたしの顔を覗きこむ梨華ちゃん。
胸元に揺れるシルバーのネックレスが、目の前で揺れる。
これ...あたしが記念日にあげたやつじゃん。
いつもはしてなかったのに。どうして....
『ひとみちゃん』『ひとみちゃん』
甘い声が何度も響く。あー、別れようって言ったとき、
梨華ちゃんは何て言ったんだっけ?
何であたし別れたかったんだっけ?
何で向き合うのが怖い?
好きだから?
好きじゃないから?
もう、分かんないや.....。

ゆらゆら十字架のネックレスが揺れる。
その輪郭がぼやけていく。
そこで、記憶が途切れた。






7 名前:haine 投稿日:2006/06/23(金) 13:31
あと1,2回の更新で終了です。
自分の文章力の無さが痛い〜。

今回の話が終わったら、また短編書きたいと思ってます。
駄文ですが、お付き合い頂けると嬉しいです。



8 名前:haine 投稿日:2006/06/23(金) 18:26
「....でね、ごっちんが来た頃にはすっかり酔いつぶれちゃって、
あたしがタクシーに乗っけて運んで来たの」
今さらだけど頭がガンガンする。
完璧に二日酔いだ。
思わず右手をこめかみに当てる。
「そっかぁ。思い出したよ。ごめんね、梨華ちゃん。
....で、あたし何か、その、いたしましたか?」
形のいい太ももと、隠しきれない胸の谷間が嫌でも目に入る。

「もう、本当に、覚えていないの?」
ギシッ。獣のような四つん這いの格好で、
ベットの端に腰かけて居るひとみに近づいて行く。
ギシッ。ギシッ....。
こめかみに当てられた手が捕らえられる。
真っすぐ、正面に、梨華の顔がある。なんて至近距離。
「ほら、これが証拠」
そのまま手を胸元まで持っていかれる。
「あ....」
梨華のそこにあったのは、1.2.3.4..。4つものキスマーク。

「ごめん、梨華ちゃん。あたし、本当ごめんっ。
別れたのに。こんなことして本当に....っ」
何て最低なんだ。いくら酔っ払っていたからって。
しかも覚えていないなんて。血の気が一気に引いて行く。
ふいに、胸元の手をきつく握り直される。
「どうして?あたし、嬉しかったんだよ。
ひとみちゃんにいっぱいぎゅってしてもらえて。
いっぱい嬉しかったんだよ?」
「梨華ちゃん...」

涙が、伝っていた。
梨華ちゃんの目から流れ、頬を濡らす。
そして握りあった互いの手に雫がポタポタと落ちる。
「...好きだよ。ずっと、ひとみちゃんしか愛せないよ...」
「.....。」
泣いてるのに。梨華ちゃん泣いているのに。
見とれてる場合じゃないのに。
なんでそんなにキレイなんだよ。
なんであたしの心を離さないんだよ。

「ひとみちゃ...んっ?」
彼女の唇を強引に塞ぐ。
そしてきつく、きつく抱きしめた。
「ごめんね、梨華ちゃん」
今分かった。
梨華ちゃんがキレイ過ぎるから。
真っすぐな心でいつもあたしを見るから。
何もかも見透かされているようで怖かった。
ごめんね...。全部あたしのエゴだったんだ。
今こんなに、あなたを手離したことを後悔している。
こんなに、愛しい人。
誰よりも、誰よりも。

「苦し...ひとみちゃん?どうしたの?」
「梨華ちゃん...好き。...好き...」
梨華ちゃんに感染されのか、涙が溢れて来た。

「もう、離したくない...」
ちゃんと、目を見つめながら言った。
梨華ちゃんはちょっとくすっと笑った。
柔らかな微笑み。
そして言った。
「もう離さないで、ね?」

もう離さないよ。
どんなに溺れても、もう怖くないよ。
あなたがあたしを見つめてくれる限り。







9 名前:haine 投稿日:2006/06/23(金) 18:28
次でラストです。
梨華ちゃん視点です。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/24(土) 00:23
いいっすね〜大人な梨華ちゃんと子供?なよっすぃ〜。
梨華ちゃん視点も楽しみにしてます。
11 名前:haine 投稿日:2006/06/26(月) 15:19
>10
名無飼育さま
ありがとうございます〜。
そうなんです。大人な梨華ちゃんが書きたかったんです。
梨華ちゃん視点では「大人」度満開です。
12 名前:haine 投稿日:2006/06/26(月) 15:19
更新します!
13 名前:haine 投稿日:2006/06/26(月) 15:30
目が覚めたら,一瞬暗闇でびっくりした。
もう、夜...?
視線を泳がせると白い三日月が見える。
カーテンの隙間からチラチラと闇とそして首を傾けて、愛しい人の寝顔を見つけた。
規則正しい寝息が心地よく響く。

...ひとみちゃん。
いっぱい泣いて、いっぱいしたから、疲れちゃったんだね。
少し上体を起こしてひとみの寝顔をじっと見つめる。
ズキズキと、胸が痛みだした。
「ごめんね...」
本当は、ね。
昨日は何も無かったの。
14 名前:haine 投稿日:2006/06/26(月) 15:38
本当は指一本あたしに触れていない。
家に着くなりベッドに倒れこんじゃったから。
でもずっと、この機会を待って居たの。
あなたに「別れよう」って言われたあの日からずっと。
気が遠くなりそうなくらい。

だって、あたしを避けてたでしょ?
あたしのこと、怖がってたでしょ....?
「梨華ちゃんは真っすぐで純粋だから怖かった」
あなたが呟いた言葉が突き刺さる。
違うの。違うよ。あたしそんなんじゃないの。

だってこの胸の印だって
本当は
ごっちんに付けられたもの。
昨日の居酒屋でひとみちゃんが酔いつぶれてる時に。
あなたを取り戻すチャンスだと思ったから。
丁度個室だったから。
ごっちんが、あたしを好きだと知っていたから...。
15 名前:haine 投稿日:2006/06/26(月) 15:47
『お願い、ごっちん...。』
いつもより甘い声で囁いた。
ごっちんは一瞬泣き出しそうな顔であたしを見つめた。
でも、次の瞬間にはあたしの願いを叶えてくれた。
切ない、苦しい、甘い痛みだった。
胸に咲いた4つの痣は、ごっちんの怒り。悲しみ。そして愛。
『ひどい人だよね、梨華ちゃんは...』
そう言い残してごっちんは席を立った。
追いかけなかった。謝りもしなかった。
その時のあたしには、願いが叶えられた満足感しかなかった。

ぎゅっと胸元の十字架を握り締める。
ごめんなさい。
あたしはいくつものタブーを犯した。
キレイじゃなくて純粋じゃなくてごめんなさい。
全部、ひとみちゃんの心を取り戻すため。
16 名前:haine 投稿日:2006/06/26(月) 15:53
本当のあたしを知ったら、きっと軽蔑しちゃうよね。
神様にも、許されない気がする。
流した涙だって、偽物。

でもね、信じて。
あなたをどうしようもなく愛してるの。
これだけが真実。
朝になったらまた太陽のフリをして微笑もう。
これからもあなたを繋ぎ止める為に罪を重ねるかもしれない。
色々な人を傷つけるかもしれない。
歪んでるって分かってる。でも仕方ないの。
愛してる。あなただけ。あなたしか要らない。愛してる。

ねぇひとみちゃん。
もっともっと
あたしに溺れて?



                             END  
17 名前:haine 投稿日:2006/06/26(月) 16:41
Taboo
終了です。

テーマは大人な梨華ちゃんでした。
いい意味でも、悪い意味でも。
でもやっぱ基本はひとみちゃん大好き!
な梨華ちゃんですよね〜。
本当駄文ですいません;


次回もいしよし短編です☆
甘〜いのも書きたいんですけどね。
でも痛〜いのも書きたいので迷ってます。

18 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/27(火) 00:11
更新お疲れ様です。
ほんとに大人な梨華ちゃんでしたでも、それだけよっすぃ〜を愛しているんですよね。
自分は甘〜い『いしよし』が好きなので甘〜いのが読みたいな♪
19 名前:haine 投稿日:2006/06/27(火) 18:11
>18
名無飼育様
ありがとうございます^^
ではでは次回は甘々な二人を!
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/27(火) 23:29
taboo…なるほど…

かっけー!
21 名前:haine 投稿日:2006/06/28(水) 18:12
>20
名無し飼育様

ありがとうございます!
かっけー梨華ちゃん好きなんです。
22 名前:haine 投稿日:2006/06/28(水) 18:14
新連載行きます。
梨華ちゃんとよっすぃー。
うっとーしい位甘々を目指してます。
23 名前:デイジー 投稿日:2006/06/28(水) 18:34
張り巡らされた鏡を睨み付ける人影が二つ。
「「...ったく。あのバカップルが!」」
見事にハモった。
声の主達は互いの存在にたった今気づいた様子でハッと顔を見合わせた。
「藤本....」
「保田さん!」
ドラマの様に二人は歩みより、ガシッと固い握手を交わす。
同士だ!
こうして某テレビ局内女子トイレにて、
バカップル被害者の会が設立された。

「別に、美貴はあの二人がどうなろうと関係ないんだけど。
てかどーでもいいんだけど」
ズズッと音を上げながら熱いミルクティーをすする。
場所をカフェに移してバカップル被害者の会、
記念すべき会合第一回目が開催された。
会員は今んとこ二人。
でも間違いなく増やす自信がある。

「あたしも。ぜんっぜんどうなろうと関係な...く、ないわ!
ダメよ!ちょっと藤本、聞いてくれる!?」
今にも口から炎が出て来そうな程な鬼の形相。
てか、もうすでに目には炎が宿っている。
えっ...。美貴本題に入りたいんだけど。
なんか、エンジンかけちゃった?
24 名前:haine 投稿日:2006/06/28(水) 18:35
続きます!
25 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/30(金) 00:47
次回、期待!!
26 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/30(金) 02:00
新作楽しみにしています♪
27 名前:デイジー【保田圭の史上最悪な夜】 投稿日:2006/06/30(金) 13:20
どの話からはじめようかしら?
え?一つで十分?
・・・仕方無いわね。

あれは一ヶ月位前の出来事よ。
あたしね、すっごい良い夢を見てたの。
教会で結婚式を挙げる夢。純白のドレス姿のあたし☆
でも、目の前のヴェールが邪魔で相手の顔が見えないのよねぇ。
どーにかこーにかして顔を見ようとしたその時!
相手の手がヴェールにかかったの。
誓いのキスよ。
ついに王子様と対面!って最高潮の瞬間。
のはずが。

ピンポーン
「...」
あれっ...
ピンポーンピンポーンピンポーン
王子様は...?
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
....夢?ん?
けたたましい音で鳴り響くインターフォン。
ふっと枕元の時計に目をやると3時を少し回っていた。
もちろんこの暗さは夜中の3時よね。
こんな時間に来るやつは.....。


28 名前:デイジー【保田圭の史上最悪な夜】 投稿日:2006/06/30(金) 14:18
ドスドスドス。大股で歩きながら寝室を出てリビングへ向かう。
その間も音は鳴り止まない。
ドアホンまで辿り着き通話モニターボタンを押す。
モノクロの画面に映し出された泣きじゃくる人物。
「保田さぁん!あ、あけて、くださいっ。
いしかわです・・・・うっううっ」

やっぱりお前か!
負けじと叫び返す。
「石川です、じゃないわよ!あんた今何時だと思ってんのよー!」
「だって、だってひとみちゃんがあーあああ。」
ちっ。しょうがない。
外で泣き叫ばれても近所迷惑だ。保田はオートロックを解除した。
これから起こる惨劇など知る由も無く。

「で?今度は何なのよ?」
あくびを噛み殺しながらコーヒーをリビングへと運ぶ。
ソファーに座り、梨華は少し落ち着いたものの
相変わらずに肩を震わせ泣きじゃくっている。
「ひとみちゃ、が、うぅっ。・・・・
うわ、浮気したんです!ひっく・・・・」
「はぁ!?まさかぁ。」
隣に腰かけると保田は真偽を見極めるように梨華の肩を揺さぶる。
「本当です!だって・・・・きょ、今日おんなじ、仕事場だったの、に。
高橋とばっかりしゃべって・・・・。ひどいですよねっ」

は?

「それなのに、ひとみちゃんてば、梨華ちゃんは最近柴ちゃんとばっかり遊んでるって。
浮気してんじゃないの?なんて言うんですよ!もうっ。頭来ちゃうっ」

あんた、それ本気で言ってんの?
そんな下らないケンカにあたし付き合わされてるの?
ねぇ。
ねぇねぇ。
保田の頭の中にいくつものやりきれない「?」マークが浮かぶ。
29 名前:デイジー【保田圭の史上最悪な夜】 投稿日:2006/06/30(金) 14:56
ガシッ。「きゃ。や、保田さん?」
梨華の手首を掴むと強引に立たせて玄関の方へと引っ張って行く。
「帰って。
あんた達の下らないケンカに付き合う程あたし暇じゃないのよ!」
「やだやだぁっ。ひどいっ・・・。あたし、真剣なんですよぉっ」
掴まれていない右手でリビングのドアに必死でしがみ付く。
「手離しなっ!勝手に二人でやんなさいよ!
ったく、せっかくいい夢見てたのにっ」

ピンポーンピンポーン

再びインターフォンが鳴った。
もしや、もしかしなくても。
保田は一旦梨華の手を離すと素早くモニターを確認した。
やっぱり。
「よっすぃー?」
「あ、保田さん。夜中にすいません。あのー、うちの梨華ちゃん来てますか?」
ちょうどいい。
このまま石川を押し付けよう。
「来てるわよー。今、追い返・・・帰る所だから。
鍵開けるわ・・きゃぁ!」
梨華は保田を突き飛ばし、モニターを睨みつける。
「何よぉ!今更。さっきは追いかけて来なかったくせに。
ひとみちゃんのバカ!あたし、あたし帰らないんだから」
「梨華ちゃん、もう、そんな事言わないで。
ね?一緒に帰ろうよっ」
「嫌よ。もう、知らないんだからぁっ」
梨華は通話ボタンを切り、その場に泣き崩れた。

いたたたた・・。
「ちょっと何すんのよあんた!」
梨華に突き飛ばされた衝撃で尻餅を付いてしまった。
「ごめんなさいっ。でもっ、でも・・・」
大粒の涙をぽろぽろ零しながらその場にうずくまる。
ヤバイ。なんかこれって修羅場ってヤツ?しかもなぜ家で?

「石川・・・」
迎えに来てくれたよっすぃーのがよっぽど大人じゃん。
帰ってやんなよ。と言おうとした時だった。

消火器が飛び込んで来たのは。
30 名前:デイジー【保田圭の史上最悪な夜】 投稿日:2006/06/30(金) 17:47
まずね、ベランダの方からドサって音がしたわ。
その次にガチャガチャと窓を揺らす音。
「え?」数秒の沈黙の後まもなく。
ドン!ドン!ガッシャーーーーン!
「えぇぇぇぇーーーー!?」
スローモーションだったと保田は語る。
窓ガラスが割れて散らばる音。
赤い消火器が飛んで来た事。
派手な音を立てて消火器が床に落ちる。
そして現れたのは・・・・。

「梨華ちゃーん。迎えに来たよ♪さぁおいで♪」
満面の笑みを浮かべる吉澤ひとみ王子。
さすがに梨華の涙も止まり、目を見開いたまま固まっている。
「よ、よっすぃー?あ、あんた・・・・」
保田の頭の中は完全にパニックである。
どういう事ーーーー!

「大変だったんだから。いや〜、
やっぱりベランダの鍵閉まってたね。」
「ちょっと待ってよ!ここ4階よ?どうやって・・・
あっ。ていうか窓っ!窓が!」
保田の剣幕に臆することなく、
散らばったガラスを土足でジャリジャリと踏みしめながら梨華に近づいて行く。
「もっちろん、配管を伝ってに決まってんじゃん。
ロビーにあった消火器かついで来てよかったぁ」
「・・・・・・・」
思考が停止して何も言えない。
31 名前:デイジー【保田圭の史上最悪な夜】 投稿日:2006/06/30(金) 17:49
ひとみは座りこんでいる梨華の前にしゃがんだ。
「ね?帰ろ?」
優しく、甘い囁きだった。
その声を聞いた途端、じわじわと梨華の瞳が潤んで行く。
「ひとみちゃんのバカ!配管っからって・・・
落ちたら死んじゃうかも知れないのよ!
信じられない!」
「だぁいじょうぶ!あたし、
梨華ちゃんに会えない方が辛くて辛くて死んじゃうよ」
「・・・ひとみちゃん」
たまらずにぎゅーっとひとみに抱きついた。
「ごめんね、ごめんね・・・。大好きだよ」
「うん・・・あたしも。」

ひとみはゆっくりと梨華を立ち上がらせると、
未だ茫然自失状態の保田に挨拶をした。
「お騒がせしました〜♪行こ、梨華ちゃん」
「うん。ごめんなさい保田さん♪」
ハッと我に返る。
「あ、待ちなさいよ!これ!この窓、どうしてくれんのよ!」
カーテンがパタパタと虚しく揺れている。
「あぁ、来月の給料日まで立て代えといて!じゃーね、圭ちゃんおやすみ〜」
そう言い残して、玄関の扉がバタンと閉まった。

残されたのは枠だけになった窓。
部屋中に飛び散ったガラス。
凹んだ消火器。
そしてネグリジェ姿の保田圭。

全ての掃除を終えた頃にはもう外が明るくなっていた。
そして朝一番で業者に連絡し、
超強化ガラスと防犯フィルムを注文した。

女とバカには気をつけろ。

迷言が生まれた。
32 名前:haine 投稿日:2006/06/30(金) 18:02
更新完了。
次は美貴帝の災難です。
本当にこんな二人迷惑ですよね〜;

25>名無し飼育様
こんなん出来ました!

26>名無し飼育様
ありがとうございます☆
ご期待に添えたか心配です。

33 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/30(金) 23:44
更新お疲れ様です。
バカップル炸裂!!最高!!
美貴帝の災難の期待してます。
34 名前:デイジー【藤本美貴の史上最悪な朝】 投稿日:2006/07/03(月) 17:43
「・・・まぁ、ほかにいくつかあるけど、
あれがここ最近一番の思い出かしら」
遠い目をして外の景色を見て居るが、カップを持つ手が震えている。
「すげぇ。下手なホラー映画より怖いっすね・・・」
本当、想像するだけで鳥肌が立って来た。

「で。藤本。今回の話なんだけどさぁ」
「待って下さい」
え?
「美貴の話も聞いて下さいよ。」
ギロリと眼光が光った。
口元はかろうじて笑っているが・・・・ミキティーこわい。
ちょっとちょっと、アイドルがそんな顔しちゃいけないんじゃ。
本人は否定するが元ヤンオーラが確かに出ていた。
「わ、分かったわよ。でもあたしのよりは全然マシでしょ」
「ふっ・・・。保田さん、ナメちゃ駄目ですよ。
この美貴を振り回すなんて、アイツらが初めてなんだから」

さっきより、眼光の鋭さが増した。
35 名前:haine 投稿日:2006/07/03(月) 18:02
ちょっとだけ更新です。

33>名無し飼育様
美貴帝編も炸裂させます!!
本当うぜーこいつら。くらいに。
36 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/04(火) 02:16
うほほぅ!楽しみだ!
37 名前:haine 投稿日:2006/07/04(火) 14:33
気が強いって言われるのはそんなに嫌じゃない。
ツッコミキティーも、怖いって言われるのも、別に嫌じゃない。
だって、言いたい事言えない方がもっと嫌。
人に振り回されるのなんて絶対に嫌だって思ってた。
だけど。

「お疲れ様でしたー」
力なく車のドアをバタンと閉める。
眩しい。
まだ5時前なのに。
朝日が眩しい。
スズメがチュンチュン鳴いてるし。
マジで、疲れた。
ラジオの収録に打ち合わせ。
こんなに時間かかるなんて思わなかったよ。
もう、早くシャワー浴びて寝よう。
マネージャーの車を見送って
マンションへ入ろうとしたその時、背後から声が聞こえた。

「お疲れー。遅かったねー」
あぁ?誰だ?
思わずガン飛ばしながら振り向いた。
「うわっ。こえー。せっかくの可愛い顔が台無しだよ!」
美貴とは正反対の眩しい笑顔でヤツは言った。
「よっちゃん・・・?何してんの?」
38 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/05(水) 23:26
よっちゃん何の用なんだろう?
39 名前:デイジー【藤本美貴の史上最悪な朝】 投稿日:2006/07/06(木) 18:39
「何って、待ってたに決まってんじゃーん。
あ。3時間は待ってたかなぁ。
眉間にしわよってるしー。あはははっ」
よっちゃんはいい笑顔で近づいてくる。

てかね、ジャージに健康サンダルのあんたに言われたくない。
ん?待ってたって言った?
美貴のストーカー?
キショイ。梨華ちゃんじゃないんだから。
心ん中で突っ込むけど、
疲れすぎて声にならない。
「あのさぁ、よっちゃん。よく分かんないけど美貴疲れてんの。
用事ならまた今度にしてくんない?」

「あたし達って、体育会系じゃん?」
聞こえて居ないかの様に笑いながら美貴の周りを一周する。
・・・・何の話?
「ちょっと嫌な事あってさぁ。
夜寝れなくなっちゃったんだよね」
だから、何?
あぁ、暑い眠い。イライラして来た。
こうしている間にも日差しはどんどん強くなって行く。
「体動かしたくなってさ。
誰誘おうか考えた結果、藤本美貴さんが選ばれました。
おめでとう!」
ビシッと美貴を指差してヤツは言ってのけた。
なんかもう、倒れそうなんだけど。
40 名前:haine 投稿日:2006/07/06(木) 18:41
>36
名無飼育様
更新短くて申し訳ないです;

>38
名無飼育様
美貴帝にとっていい用ではなさそうです(笑)
41 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/11(火) 01:34
よっちゃんウザ−!www
どうするミキティ!(苦笑)
42 名前:デイジー【藤本美貴の史上最悪な朝】 投稿日:2006/07/12(水) 17:23
「何ぼーっとしてんの?ほらほら、行くよー。
裏に車止めてあるから」
「はっ?車?」
よっちゃん、いつの間に免許を?
やばい。
前から薄々感づいてはいたけどやっぱり変な人だ。
・・・・逃げよう!
「よ、よっちゃん。美貴、帰るわ!じゃっ」
慌ててきびすを返した。
さぁ、このままマンションの中まで一気に!
一歩踏みだそうとしたその時。
「ちょっと待ちな。」
先ほどとは打って変わってドスの効いた声が背中に響いた。
「いいのかなぁー?これ、愛しのあやちゃんvに見せても。」
「はぁっ?何言ってー・・・」
思わず振り向いた。
美貴の目の前にはよっちゃんの白い手と携帯電話の画面。

「うっ・・これは・・・」
満足そうに微笑むよっちゃんが憎らしい。
小さな液晶画面に映し出されていたのは、
絵里が美貴のほっぺにちゅーしている画像。
以前ふざけて亀井の携帯で撮ったものだった。
あいつ!よりによってよっちゃんにこんなの送るなんて!

43 名前:デイジー【藤本美貴の史上最悪な朝】 投稿日:2006/07/12(水) 17:24
>41
名無し飼育様
ねっ。かなりウザウザです。
自分で書きながら美貴帝応援しちゃってます。

44 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/17(月) 15:48
そうか、逃げられるであろう事は織り込み済みか。w
ネタをあらかじめ持って脅しにかかるとはいよいよ質が悪ぃな。(苦笑)
45 名前:デイジー【藤本美貴の史上最悪な朝】 投稿日:2006/07/20(木) 14:00
チッ。
舌打ちをしてよっちゃんを睨みつける。
「別にいいよ。亜弥ちゃんは梨華ちゃんと違って寛容だし。
ちゃんと何でも無いって信じてくれますー」
そうよ。そんな簡単に崩れる絆じゃないもの。
何度か危機はあったけど、乗り越えて来たんだから。

「へぇー、でもね、亜弥ちゃんだって所詮は人間。
あたしがうまいこと脚色したら、きっと大変な事になると思うよ?


・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
神様、美貴が何をしましたか?
こんなにあっさり、思うツボにハマるなんて。

仕方ないから大人しく付き合うことにした。
よっちゃんの愛車は黒のセダン車。
渋い。渋すぎる。
かっけーしょっ?って聞かれたけどその質問は無視しといた。

「で?どこ行くの?」
エンジンが低く唸る。
「いーからいーから!おまかせあれー」
「わっ」
いきなりアクセル全開。
道が空いてるおかげでどんどん進んでいく。

あの時、ちゃんと起きていればよかったんだ。
眠気がピークに達していたあたしは助手席で眠り込んでしまった。





46 名前:haine 投稿日:2006/07/20(木) 16:19
>44
名無し様
見事に拉致成功です!
47 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/20(木) 22:37
効果的に人を脅すよっちゃん恐ぇ。w
ミキティは一体どこに連れて行かれたんだろうか?

((( ;゚Д゚))) ガクガクブルブル
48 名前:デイジー【藤本美貴の史上最悪な朝】 投稿日:2006/07/28(金) 14:46
ちょっとこれ。
美貴お姫様じゃねぇ?
ディズニーの映画でこんなの見た気がする。
深い深い緑
小鳥のさえずり
キラキラ光る湖

なんだっけなー。
あ。眠れる森の美女だ!
亜弥ちゃんにも見せてあげたいなー。

「ほら!よそ見しなーい!」
シュッ。
バシッ。
「っ危ねっ....。」
「おっ。さすが!ナイスキャッチ!」
「.......」

気がついたら山だった。
車を降りて更に奥へ入った。
キャッチボールをしようと言われた。
分かりやすい話でしょ?
そんで今、キャッチボールをしている、と。

「ねー。よっちゃん。聞いてもいいっすかー?」
シュッ。・・・・パンッ。
「んー?なぁに?」
シュッ
「なんで山?」
パンッ。
「なんとなく」
「・・・じゃあ、なんでキャッチボール?」
「なんとなく」
シュッ。
「......」
....バシッ。

聞いても無駄だったか。





49 名前:デイジー【藤本美貴の史上最悪な朝】 投稿日:2006/07/28(金) 14:59
分かって来たぜ。
よっちゃんさんよ。
梨華ちゃんとケンカしたんでしょ?
いつもだったらうるさいくらい
梨華ちゃんがどうのこうのって話してくるのに。
そういえば今日は1回も名前を出していない。
なるほどね。
そんで寝れなくなって一人じゃ寂しくて
美貴にストーカー行為して脅迫してここまで連れて来たと。
それってさ、どうなの?人として。

「早く仲直りしなよ。本当迷惑だから!」
シュッ。
「は?何言って・・・。・・・・うん。」
バシッ。
木々に乾いた音がコダマする。
太陽の熱も茂る葉によって丁度良く遮られてる。

なんかいいかも。
朝から汗流すの気持ちいいかも。

なんて、撤回したい。
油断した美貴のバカ!
50 名前:haine 投稿日:2006/07/28(金) 18:08
>47
名無し様
美貴様無事では済まなさそうです;
私が書くとどーも黒よっちゃんになって行く。
51 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/30(日) 02:52
なんだ、梨華ちゃんと喧嘩したのか。w

それに付き合わされるミキティもえらい災難だけど
山中のキャッチボールなんてシュールなシチュエーションから
まだなんかあんの?よっちゃん。(苦笑
52 名前:デイジー【藤本美貴の史上最悪な朝】 投稿日:2006/08/07(月) 17:34
それから1時間はキャッチボールを続けた。
も、もうさすがに限界!
「はぁ・・・・。
美貴もう疲れた。帰ろうよ。
大体さぁキャッチボールならわざわざこんなとこ、
来なくて良かったじゃん」

「まだだめだよ」
「へっ・・・」
15メートル。
距離があったはずのよっちゃんが近づいて来る。

10メートル。

5メートル。

ぎゅっ。

え。

「まだ分かんない?
なんで夜中から待ってたか。
こんなとこまで連れて来たのか。」

甘い声が耳をくすぐる。
あれ。
抱きしめられてる。

53 名前:デイジー【藤本美貴の史上最悪な朝】 投稿日:2006/08/07(月) 17:52
>51
名無し飼育様
よっちゃんてば、他に目的があったみたいですw
54 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/09(水) 18:51
キャッチボールの次はキャッチミキティか?よっちゃん。w
んで、次どうすんだろ?(笑)
55 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/18(月) 02:30
続き楽しみにしてま〜すよ〜

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