IY Maniac 2

1 名前:Rink 投稿日:2006/07/28(金) 01:29
いしよしです。

スレタイトルは作品とは関係ありませんので
ご了承ください

前スレ名 IY Maniac 『フロリエンタル』
ttp://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/mirage/1144411305/

の、続きです


作者サイト『いしよしManiac』
ttp://maniac.himegimi.jp/
2 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:34









3 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:35


「そんな事あったっけ・・・」
「あったの!梨華は当然の事だけど覚えてないだろうけどさ」

今日の天気はあいにくの雨。
だからそんな時は、この会議室でお昼を食べる
美貴ちゃんさんはと高橋は定食屋に出かけたからウチと梨華だけで
このだだっ広い部屋の端っこに寄ってご飯を食べてる

窓を打つ雨の音が激しい。
こんな日にわざわざ外に食べに行かなくても・・・
雨の日は値段が安いからだと美貴ちゃんさんは張り切ってたけど

「ん〜〜〜・・・思い出せないなぁ」

梨華はお箸を軽く咥えながら、必死で過去の記憶を辿ってるけど
絶対思い出せっこないってば。
だってその時ウチはもっとさえなかっただろうし・・・
4 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:35

「いいからいいから。ほら麺のびるよ?」
「あ、うん・・・」

コンビニ弁当をつつくのもなんとも侘しいような気もするけど
二人とも朝、家でお弁当を作ってくる余裕なんてないんだ

「安くつくけどさぁ・・・」
「やっぱ、ギリギリまで寝てたいしね・・・」
「っていうか、ひとみが寝かせてくれないんじゃん」
「は、ははは」

これまたお恥ずかしい話です
だって梨華は色っぽいし、とってもセクシーだし
なんかもう欲情しまくっちゃうんだ

「・・・ひとみ」
「は、はい!?」
「今、エッチな事考えてたでしょ」
「ば、バカ!違うよ!!」
「目泳いでるよ?」
「そ、そんな事ないってば!!」
「あっやしいんだー!」
「怪しくないってば!」

5 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:36

仕事をすれば先輩後輩。
だけど昼休みや仕事が終わってからは一切敬語や煩わしいものは無くなる
初めはそれを無くすまでに結構苦労したけどね
だってさ・・・憧れの人だし、好きな、人でもあるし
勿論仕事の大先輩なわけで。
やっぱ体育会系のノリは社会人になっても同じだなぁ

「そうそう、そういえばさぁ?」
「ん?どうしたの?」

「なんか、来年の秋に出る新作のYOUシリーズあるじゃない?」
「あ、うん。話上がってきたの?」
「んー、具体的にはまだ聞いてないんだけど」
「どうしたの?」
「なんかメンズを出すんだって」
「へーー。方針変更?」
「ううん、そうじゃなくって。勿論メインはレディースだけど、セットで売るんだってさ」
「面白い企画考え出すなぁ」
「ほんとだよね」
「誰が発案なんだろ・・・気になる」
「上の人たちかなぁ」

会話の大半は仕事の話になっちゃうけど
でも梨華と言葉を交わせるならウチはなんだって嬉しい
仕事の事、趣味の話、将来の事
梨華はウチに気を使って家族の話はしてこない
気使わなくていいよって言うんだけどね

ウチは梨華のそう言うところが好きなんだ



6 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:45




「ねぇ?」
「ん?なに?」

お弁当を食べ終わって、そろそろフロアに戻ろうと
会議室の扉の前まで来たとき
梨華は半歩後ろでウチの袖口をそっとつまんだ

振り返ってみると、もうほんとに誰にも見せられないほど可愛い上目遣い
これは何かをおねだりする時の顔だ

梨華からのおねだりは物なんかじゃない


 そばにいて?

 手繋いでいい?

 キス、してほしいな・・・

 ねぇ、ひとみ・・・抱いて・・・


今までこんなアナタをウチ以外の誰かにも見せてたのかな
小さな嫉妬心を胸の奥に閉じ込めて
今日も見せてくれる可愛いわがままを受け入れるために
彼女の正面に立った

「ん?」

首に腕を回して、今日一番近い距離に来る
ウチは自然と腰に手を回してもっと近づける

7 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:45

「んっ・・・」


こんなにもあなたに近づけて、柔らかく触れて
ウチはこの上ない幸せに包まれる

だけどそれと同時に、不安がチクリと胸を刺すんだ

本当にいいの?って・・・

自ら掴んだのに、手にしたとたん怖くなる
なんてわがままなんだって誰かウチを叱ってよ
怖がらなくていいんだよって、ウチを許してよ


「・・・ひとみ・・・」
「なに?」


「好きだよ」


「ウチも・・・大好き」


首筋に顔を埋めて、今日も華を香る
相変わらず甘い香りでウチを酔わして、惑わせて、狂わせる


 何も考えないで
 アタシの事だけを考えてよ


って・・・

8 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:46
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
9 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:46


まいちんは採用が決定したした事を本当に喜んでくれた
良かったねぇ良かったねぇって泣きながら。
ウチもつられて大泣きした
まだ何も始まっていないけど、でも、ウチはなんだか心の中が吹っ切れたと言うか

まいちんが店を持った、同じ瞬間を
ウチは同じように祝ってあげればなんて、後悔が襲ってくるけど
そんなの気にしないでって言ってくれる

「だってまいもこれからだもん」

またその時祝ってよって言ってくれた


「ねぇ、実際華さんと仕事をするわけなんだけどさぁ?」
「うん。どしたの?浮かない顔して」
「いやぁ・・・どんなキャラで行こうかなーって」
「どんな?って・・・今までどおり普通でいいじゃん」
「いや、だって普通だったらバカ丸出しになるじゃん!」
「今更作って、繕ってもいつかボロ出るんだから」
「おい待て・・・」
「なら最初からバカキャラで行けばいいんだよ」
「だから待てって・・・」
「よっすぃーは昔の素直なよっすぃーが一番素敵だよ?」

「昔の素直なウチ・・・」

「あ、う、うん・・・」
「ってことは・・・なんだ・・・あれか」
「・・・あんまりだし過ぎないようにね」

10 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:46


吉澤ひとみ 改め


新生、吉澤・犬・ひとみ


会社のあるビルの正面玄関の前から、上を見上げた
絶対華さんに気に入ってもらえる!だって犬って可愛いし、無邪気じゃん?
犬のキラキラした目が嫌いだなんて、多分言わないと思うんだ



ウチはポケットから華さんの写真を取り出した


華さん・・・今日、やっと会えるんですね

裏を見ると、まいちんが書いてくれた文字が少し薄くなっている


「・・・めげんな、若人!!」


よしっ!と気合を居れていざ出陣!

11 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:47


フロアはざわざわと少し落ち着きが無い状態で
朝の新しい空気が漂っていた

ウチら新入社員は、別の部屋で簡単なレクチャーを受けた後
ついにフロアに入ることになった。

中澤さんのデスクであろう前に並び、既存の社員さんたちとご対面



 キーンコーン、カーンコーン

「はい、朝礼はじめまーす」
「「「はーい」」」


目の前がだんだんと霞んでくる
全員がウチらに注目してる

やっとこの日が来たんだ
念願叶って、待ち望んでいた日が来た


今までの色んな事が甦る

予備校を辞めたこと
バイトに精を出した日々
時々、大学の子たちと飲みに行ったり
母さんに抱きしめられておお泣きしたこと


「今年も新しく仲間が入ります。じゃぁ自己紹介しよかー」


不動産屋を何軒を回って家を見つけたこと
父さんに何度も殴られた痛みも



・・・悲しさを抱えながら前を行こうと決めたこと


12 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:48



「じゃぁ次、女の子いってみよー」
「は、はい。え、えっと、高橋愛です・・・」


それは全て

あの日、あの看板を見た時から
ウチの人生は大きく変わったんだ


その人に、やっと今日会える


ウチは人生を変えてくれた人と一緒に居れる
仕事が出来て、何かを共有できるんだ

毎日のように看板を見つめていたのも
飽きる事無く雑誌のページを見てたのも
公園で待ちつづけてた事も

アナタの涙を、二次元で、そしてリアルに見たことも


ウチは、今日、この日のために
頑張りつづけてきた


『大切なものは目に見えないんだよ』


いつでもドキドキワクワクを忘れずに
自分の直感を信じればいい

だから今があるんだもの。




ねぇ、華さん


ウチ、アナタのおかげで変われたよ
だからあなたに何かを返したいんだ


アナタの片腕になる自信あるよ
そしてあなたを抱きしめる事も・・・


13 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:49

新生吉澤ひとみ、行きます!
ポリシーは『犬!』



「んじゃ、最後」

ウチは大きく目を見開いた

「はい!・・・すぅぅ」




出会い頭の一言は
大きな声で、ハキハキとぉ!!

「吉澤ひとみです!」
 
今までの3人が声が小さかったせいもあるのか
だるそうな雰囲気が漂っていたけれど
ウチのただ名前を声に出しただけで、しんと静まり返った

「W大学卒業」

ザワザワと辺りがざわめき立つけど
ウチは何も持ってないっての。肩書きなんて所詮肩書きでぃ!

「よろしくお願いします!」

まるでどこかの応援団のように、ウチは勢いをつけてお辞儀をした

なんとも晴れ晴れ。気分は爽快
してやった!みんなあっけに取られてポカーンとしてる
これでウチの印象jはついたと思う


ふと目を前にやると、人の陰で隠れていた

あ、ああ・・・


憧れのあの人がじっとこちらを見て立っていた



は、華さん・・・愛しいあの人、今目の前に居ます・・・幸せ・・・


14 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:50



「よーっしゃ、じゃぁ今から振り分けするから名前呼ばれたら手上げてやー」

幸せの余韻に浸っていると、中澤さんが辺りを見渡しならそう言った
新人教育をするための、教育係を決める事らしいんだけど

中澤さんのあの時の不敵な笑みが甦る

お願いです神様仏様中澤様
どーか、どーーーか!華さんの傍で仕事をさせてください!!

「高橋は藤本な!」
「あ、はーい」

華さんの横に立っていたちょっと猫背の女の人が手を上げる

「それから石川」

イシカワ・・・?



決まってないのは、ウチ・・・だけどイシカワって

15 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:51

「石川は吉澤」








イシカワはヨシザワ
イシカワはヨシザワ





イシカワ=華さん











キタ━━━(0゜〜゜0)━━━!!



中澤様ぁ・・・あなたに一生ついて行きます


「はい・・・」

華さんは小さく手を上げてこっちに合図をくれた
大丈夫!アナタが石川さんで、ウチの憧れの華さんだってことはもう2年も前から分かってます!今すぐ飛んでいきます!!!


「じゃぁ、朝礼終了!今日も一日張り切っていきましょー」
「「「「「はーい」」」」」

16 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:51



「さぁて、今日から君らはココで働いてもらうんやけど」

中澤さんはウチら新人に言葉をくれる
ウチの隣に居る、高橋さんってのは、噂のあの人か・・・
中澤さんのお目にかかった人なんだから、多分凄い能力を持ってるんだろう

「初めのうちは慣れんことも多いかも知れへん。ストレスもあると思う
 けど、やりがいのある仕事やで?まぁ、とりあえず1年続けてみ?楽しさが分かってくるから」

そう言ってウチらの肩をポンポンッと叩いてくれた

「じゃー、みんなさっき手上げてくれた人のとこ行って、仕事に取り掛かってやー!」
「「「「よろしくお願いします!」」」」



17 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:51
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
18 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:53





「・・・はぁ・・・」

ウチは看板を見て、小さなため息が出た
何の因果か、またこうやってあの広告を見るだなんて。


「こらー!サボんなー?」
「サボってないってば」
「さっさと机運ぶ!雨降って来るよ!」
「はーい」



雨がちらつきそうな空
暑い入道雲ははるか遠くに風が連れて行ったようで
もうすっかり秋の気配を感じる

でもまだ少し暑さは残っていて、軽く走ればうっすらと額に汗が滲む

19 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:53

ウチはあの頃、こんな事を思っていたんだ


何もかもが、真新しくて
何でも可能に出来る、と・・・


ただ近づきたくて
ただ追いつきたくて
がむしゃらに走りつづけていた

追いついた途端、ウチは怖くなって、逃げ出した

20 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:54

「・・・ほら、ボーっとしてないで」
「ああ・・・ごめん」

後ろから声をかけたまいちんは、どこか物悲しげな顔をした

「ねぇ・・・」
「・・・なに?」
「・・・本当に、後悔しないの?」
「・・・・・」
「遅くないよ」
「・・・・・・・」
「分かってくれるって」
「・・・もう、いいから・・・」


21 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:54

熱は冷めるもんだ
思いなんて消えるんだ
ほらみたことかと言われた
親子の縁なんてとっくに切られた
ウチは誰にも心を開きたくなかった
僻みっぽくなって 冷たくなって
これじゃ前よりタチが悪い
彼女に追いつこうとしていた勉強の虫だったあの頃より


傷ついてなんかない
これでよかったんだと言い聞かせるしかない
ウチは、あの人を守りたかった
ウチは、あの人が好きな気持ちを

ただ、貫きたかっただけなんだ




22 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/07/28(金) 01:54







23 名前:Rink 投稿日:2006/07/28(金) 02:07
更新終了です
24 名前:Rink 投稿日:2006/07/28(金) 02:07
レスポンス

>774様
何涙ポロリだったんでしょうかw
(0^〜^)っ◇<ハンケチどぞー
出会い編なのに、なんか微妙な終わり方です汗

>オレンヂ様

キョロキョロ(^〜^0;≡;0^〜^)<見られてる・・・?

石川さんは知らないと思います
というか知らない方が身のため・・・w

里田さんは肉食だったんですね!?
それは知りませんでした。反省。出直してまいります

>愛虎様
店員さんの設定は全く無かったんですが
アヤカさん・・・素敵ですね、似合いそうw

ストォカァ吉澤氏がガラ悪いのじゃなく、華さんに対する
(0^〜^)<愛だYO!愛!!
と、言い張っておりますw

>カナリヤ様
(;T▽T)<あたし、何人?って問い合わせ殺到したらしいの・・・
(0^〜^)<う、うん・・・そっか・・・
らしいですw
ストォカァ行為なのか、純情なのか
線引きが難しいですねぇ。
(0^〜^)<実害が出なけりゃいいのです!
(;^▽^)<違うでしょ・・・

>名無し飼育さん様
キョロキョロ(^〜^0;≡;0^〜^)<また見られてる・・・?

ちなみに、「やっと出会えた」は
某作家が某女優に海外の空港で初対面した時に言った台詞です
しかしこの気持ちは分かる気がしますね
( ^▽^)<アタシからすれば初対面なんですけどね


25 名前:Rink 投稿日:2006/07/28(金) 02:08

今回は2つの板に跨ってしまい
読みにくくなってしまって申し訳ありませんでした

さて、出会い編を軽く書きましたが
次からは吉澤さんの回想になると思います
スランプで中々思うように更新出来ませんが
もう少しで終了なので、最後まで頑張ります

よろしくお願いします
26 名前:名無し 投稿日:2006/07/28(金) 02:34
更新お疲れ様です
自分も今まで就活中だったのでいろんな意味で共感し考えさせられます
作者さんの話好きなのでこれからも楽しみに待ってます
27 名前:カナリヤ 投稿日:2006/07/31(月) 21:16
大量更新お疲れ様です!かなり嬉しいです。
回想と回想の繋ぎに、今ある二人のやりとりが差し込まれているのは
場面場面にメリハリが効いててがいいですね。^^
スランプという事でなかなか思うように進められていないのかも知れませんが
頑張ってRinkさんの思い描いた世界で完結出来る事を祈っています。

p.s.
そうは言っても毎回の更新はすごく楽しませて頂いていますよ♪
28 名前:愛虎 投稿日:2006/08/04(金) 00:25
更新お疲れ様です。

出会い編、入社前に梨華ちゃんとあんな出会いがあったんですね。
中澤さんはやっぱりただものじゃないですねホント素敵な人です。
次回楽しみにしてます。              ガンバッ!!
29 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:33







30 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:39


「まいちん・・・・・ウチ、会社辞める」


31 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:40

突然の告白に彼女は黙ったまま
呼吸音だけが聞こえてくる

何も言えない
何も聞けない

お互い



どれだけ時間が経ったのだろうか
彼女は本当に小さな声で


「なん、で・・・」






「どうして、掴んだ、のに・・・離すの・・・」



32 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:41

「もう、限界、で・・・」
「なにが・・・?」


「そこに、居られなく、て・・・」
「どうして」

「見て、られなく、なった、から・・・」

「華、さんを?」

「・・・・・そう・・・・・」



「・・・何があったか、くらい、教えてよ・・・」
「・・・・・・・」


「じゃないと、あたし、よしこの事、呆れて、しまいそうだから」




「待つから、言って・・・」







33 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:41






握り締められた拳が爪あとから血の気が無くなっていく

ウチは、下唇をぎゅっと噛み締めて
溢れてきそうになる感情を堪えた

吐き出してしまいそうになる、弱さを






「・・・・・なん、か・・・全部、いやになった・・・」
「全部って、なに」

「全部、だよ」

「仕事?」
「・・・全部」

「それじゃ、わかんないよ」
「全部だってば・・・」




34 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:43


頭の中でグルグル回る、石川さんの言葉


昨日、相手企業に取り入ってもらいたいと
辞表を出した時の中澤さんの呆然とした顔




ウチは何に躍起になってるんだろう

彼女を守りたいことなのか
それとも真実を追究したいだけだからなのか




所詮ウチは 負け犬なんだ

離れる事で、全てを
終わらせようとさせてる


中澤さんは、真相が明らかになって
ウチを必死で止めてきた
辞めるな、ココにいろ
お前が責任を取る必要なんて何もないんだと

だけどウチは、首を横に振った


ただのきっかけに過ぎないこの出来事は
ウチを二度と上がれなくするための
誰かが仕掛けた罠だって事に気づきながら
自ら嵌りに行く バカな野良犬なんだと



35 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:44


「あたしが、納得するように、説明して」
「だから、全部だって、言ってるでしょ・・・」

「納得いかない。ちゃんと説明してよ」
「何をだよ・・・」

「全部だよ」

「だからなんのだよ」

「なんで、どうして掴んだものを手放さなきゃいけなくなったか、全部」
「だから、嫌になったって言ってんじゃん」

「仕事の内容が?」
「違うよ」
「じゃあ何」
「うるさいなぁ・・・全部だって言ってんでしょ」
「そんな簡単に投げれるような事?」
「そんなもんだっただけだよ」
「は?」
「ウチはどうせ負け犬なんだよ」
「じゃぁ負け犬なら負け犬らしく負けを認めなよ」

「なんだよ、それ」

「よしこは負け犬なんかじゃない。ただの臆病なだけだよ」

「・・・んだよ・・・」

「言いもしない、見もしない、目の前の現実に背中向けてるだけでしょ」

36 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:44

彼女は決して語調を荒げる事無く
同じトーンでただひたすらに言葉を投げ付けてくる


それが逆にウチの癪に障って
だんだんとイライラしてきた


「・・・知ったような事・・・」
「アンタのバカに付き合ってたアタシを納得させるだけの事がないなら」


「ただのヘタレなだけだよ」
「うるさいなぁ!!」
「なに、事実でしょ」
「ウチの何知ってんだよ!」
「何も?」

「はぁ!?」

「言わないから、分かんないだけ」
「だから!!」
「なに自分の事守ってんのよ」

37 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:46


「なに、自分が傷つかない選択してんのよ」


まいちんの感情


「それがどれだけ周りが苦しむか、知っててやってんの?」


まいちんと・・・石川さんや藤本さんの心情


「どれだけ迷惑かけるか、分かってやってんの?」


中澤さんの心境




「ねぇ」


「ねぇってば」



38 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:47



「よしこの守りたいものって何」



「頑なに言わないって決めた、それって、何よ」



「アタシにも言えないこと?」



「ただビビってるだけ?」



まいちんまで裏切って
ウチは一人になろうとしてる

またあの時の
自分を数字でしか表せない“吉澤ひとみ”に
戻ろうとしてる



39 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:48


「ねぇ」



「ねぇってば」





頭を垂れて、テーブルの傷を見つめていた

何を言えば良いのか分からなくて
虚しさと、苦しさと・・・・・

ウチは廃人のようにぐったりとうな垂れていた


















「自分の、ミスで・・・石川さん、に、させなくて良い事、させてしまう・・・」



やっと出た言葉は
自分でも何を言っているのか分からないほど
支離滅裂になっていた



40 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:50






41 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:51



「・・・交換条件ってこと・・・か・・・」


ウチは丸裸にされた

傷だって、最後の最後まで隠しとおしてたのに
身包み剥がされた

弱くなってしまう自分を一番恐れて
鎧を着ることで、強くなってた
フリをしてただけで

その重みに耐えかねて、倒れてしまったウチを
全てとっぱらった彼女は


「そっか・・・・・」


静かに、呟いた


42 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:53



「彼女には・・・言わないの?」
「・・・言えない・・・」

「上司は、承諾したの?」
「してない、と、思う・・・」

「夜逃げでもすんの」
「・・・考えてる・・・」

「帰る場所は」
「ないよ・・・はなっから」

「どこ行くの」
「分かんない・・・」







自分の行動が、突発的で衝動的だという事を
晒される
ウチは冷静さを欠いているのか
それとも逆にあまりにも冷静すぎるのか

どっちにしろ


目の前は闇



43 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:54


「全部・・・」




「・・・・・え・・・・・」








「全部、ゼロから、スタートしてみる?」


ゆっくりと顔を上げる

目の前のまいちんはスッと一粒だけ涙を流して




「めげんな、よしこ」




そう言った






負けたっていい
転んだっていい

またそこからスタートを切ればいい



44 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:55


「・・・う、っぐ、うぅ・・・ぐっ・・・」
「辛いなら、泣いていいよ」

「ううっ、ぐぐぐっ」
「よしこは、頑張ったよ」

「自分の精一杯、やったもんね」





「よくやったよ」





「あたしが、いるじゃん」


45 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:57


一人になろうとしなくていいよ

全部見せていいんだよ


あたしがいるでしょ


あたしが応援するよ


よしこのこと
ちゃんと最後まで応援するよ



たとえどんな選択をしても
間違いだなんて思ったりしない


ねぇ



ゼロから、スタートしよう



まだ始まったばかりだよ



46 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 19:59


「う、うぐ、ううう、うぁあああああぁあ!!」
「うん、泣いていい」


「まいちん、まいちん、う、うち、くや、しいよ」
「うん」


「ウチ、なんも出来ない自分が、悔しい、悔しい!!」
「うん」


「なんで、どうして、彼女、守れないんだろうって、悔しい」
「うん、うん」


「自分が、非力で、無力で」






「どうして、あんな悲しそうな笑顔で抱かれるだけとか」


「学歴なんて、ウチの持ってるもんなんて、なんも通用しなくて」


「どうして、ねぇどうして!!」


「どうしてウチは自分の守りたい人を守れないの!?」



47 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 20:00



「ねぇ、どうして!!!」



「どうしてなんだよ!!」






「うん・・・」







ウチは泣きながら、大声で喚いた

今まで押し殺してきた気持ちが、一気に溢れ出て

まいちんの胸元を掴んで
ぐちゃぐちゃになりながら

叫んだ


48 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 20:01






49 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 20:02



常識なんてない

世の中は非常識が常識で

ルールなんて微塵もない



ウチの誇りは粉々に打ち砕かれて
跡形もなく消え去る
理由を残さず

ウチは、必要、ないからね
問題を起こして、大クレームを引き起こしたんだ

中澤さんは何とかすると言ってくれたけれど
もう、こんなボロボロなウチじゃ
使い物にならないから



片腕になれると  信じていたウチは
繊細すぎたんだ



50 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 20:03
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
51 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 20:04


レセプションパーティー間近の日
中澤さんはウチを呼び止めて、相手企業の真相を明かしてくれた

案の定、向こうの部長に工作があり
自分のエゴのままに事を起こしたとの事

だけど石川さんはもう退社してしまった

多分、何も知らず彼のもとへと行ったのだろうか・・・


もう、全てが、色褪せる

深紅の薔薇は
モノクロームにしか映らない

心が、死んだんだと思う








「中澤さん、お世話になりました」
「アンタ、まだ言ってんのか?もうええって言うてるやろ」

「もう、決めた事ですから」
「上司命令でもか」

「・・・すいません・・・私の直属の上司は、石川さんですから・・・」


「でも、彼女が事実に気づく事は、無いと思いますし・・・」


「ウチは、去ります」


「頭冷やせ」
「・・・変わりませんよ」

「なんで言い切れるんや」


この時多分ウチは、笑ったと思う


「あの頑固な石川さんの部下ですから」


そして、泣いた



52 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 20:06


レセプションパーティー当日
慌しく動き回る

感情を閉じ込めて
今は目の前の目標を達成するそれだけに集中する


ウチは舞台袖からじっと進行を眺めていた

少し離れた位置で石川さんも同じように見つめている

時々彼女の視線は感じていた
だけど、言葉を交わすことなんてなかった


彼女の声を忘れさせるために






この二ヶ月弱・・・
いや、あの日、銀座で彼女に出会ってからの事を思い出してた


思いは必ず現実になる


それは良いほうにも、悪いほうにも。



彼女の傍に行きたい
彼女と言葉を交わしたい

出来る事なら、思いだって通わせたい


最後の一つは、叶わなかったけれど
伝えることは出来たから


自分勝手なウチは
尻尾巻いて逃げます


何も告げずに
あなたの前から姿を消します


新人が辞める事は珍しくないでしょ?



街でばったり会ったとしても
多分あなたはウチに気づく事なんてなくて
いつものようにバリバリ仕事をしてるんでしょう

ウチもどこかで、また自分を探します


ありがとう



53 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 20:07


パーティー終了後
片づけを終え、軽く挨拶をみんなにして
足早に会場を去った



ウチは会社に戻りデスクの荷物を全て鞄に詰める



誰にも知られないように隠し持っていた
『華』の切り抜き

後ろにはまいちんの言葉が擦り切れて残っていた


めげんな、若人


叩かれて踏みつけられてもまた這い上がれ






ウチは、別の場所に向かう


さようなら







  バタンッ






54 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/13(日) 20:07






55 名前:Rink 投稿日:2006/08/13(日) 20:08
更新終了です
56 名前:Rink 投稿日:2006/08/13(日) 20:09
レスポンス

>名無し様
ありがとうございます。
基本的に企業という言葉は好きではないのです
人を止めると書きますから。
でもここの吉澤さんはそれでもどうにか石川さんのもとに
行きたかったんでしょうね。それが夢だからね
名無し様もいっぱい考えていっぱい突き進んでください
がんばれ


>カナリヤ様
ありがとうございます
何故かスランプに入ってしまいました汗
でももうゴールが見えてる状態なのでラストスパート頑張ります

>愛虎様
差込み差込みで書いているので
小説における目の前がぼやけ出したようにも思えますが・・・
頑張ります。ありがとうございます

57 名前:Rink 投稿日:2006/08/13(日) 20:11
今回の更新は>>29-54です

端折りましたが
吉澤さんの葛藤を書きたくてこうなりました

早く和んだいしよしを書きたいです
58 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/13(日) 20:19
交信お疲れ様です!
リアルタイムでした(・∀・)ニヤニヤ

以前ハロよしの事も含めカキコした者です。お邪魔致します。
今回も素晴らしいですね〜。毎回感心してしまいます
…石川さん視点の部分を読み返してきます ノシ
『更新終了です』が出るまで、首がキリンになる所でした(笑)

次回も楽しみにしております!
失礼致しました。
59 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/13(日) 22:36
あぁ・・・涙出てきた・・・。グスグス。うえぇぇん・・・。
60 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/08/14(月) 11:30
更新お疲れ様です。
吉澤さん・・・・(;´Д⊂)ヒック
この更新分を読んで前スレから読み直してしまいましたw

次回も楽しみにしてます!
61 名前:カナリヤ 投稿日:2006/08/15(火) 22:12
ここ読者としても辛いシーンだったんですよねぇ。
よっすぃーの慟哭が遣る瀬無い…

来るべき二人の想いが結実するその時まで
私もRinkさんのラストスパートに付いていきます!!頑張って!!
62 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:38






63 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:40

何を見ても、感動も悲しみも生まれない
全てが2色刷りの新聞のようにただ映るという世界

まいちんの仕事を手伝う。
予想以上の働きが出来ているらしく、まいちんは喜んでくれてるけれど
それはウチの仕事の部分だけ
彼女は何も言わない
けれどどこかで思ってるんだと思う

ねぇ、戻りなよ って


64 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:40

このオフィスビル群は、会社から全く反対方向だから
会うことなんてないだろう
そんな事はどうでもいい

ウチはもう別の道を進んでいるんだ
会うだとか、見つかったらだとか
そんなのはもうどうでもいいんだ

声だって忘れた
顔ももうすっかりぼやけている
在籍していた日数の何倍もの月日が流れている

傷ついてなんかない
寂しいだとか思ってない


ウチは、ウチだ



65 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:41

「ねぇ、よしこ?」
「んー?」
「今度さぁ、新しい商品出そうと思ってんだけど」
「おー」
「よしこ考えてよ」
「はぁ!?」
「よしこの腕なら大丈夫だって」
「無理だって」
「秋だし。アタシも考えるけどさ、やってみてよ」


面倒だけど・・・やってみるかな


66 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:42

ランチタイムが終わって、少しずつ試行錯誤しながら0から作り出す
思ってたほどうまく行かなくて何度も何度も繰り返し

試行錯誤を繰り返しながら、秋らしいメニューがいくつか出来た



「んー。なんとか・・・」

ウチは頭に巻いていたタオルを取って
ワゴンから外に出た

夏の陽射しはすっかり無くなり
秋を予感させる風がビュッと吹きぬけた
汗を拭いながら、ふと上を見上げたウチは
唖然として口をあけてしまった


「・・・・・ま、じかよ・・・」





  ― アナタ、咲きほこる  『華』 YOU ―


さっきまで真っ白で広告募集としか書いてなかったビルの一番上には
ウチの中の擦り切れたテープを巻き戻す
華にうずもれて涙を流す、彼女が居た



67 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:43


「はぁ・・・」


結局・・・

フッ・・・

自嘲のため息が出た

そうなのか
これが念なのか、それとも自分が欲していることなのか
ウチの中の世界は2色でいいと自ら選んだのに
誰かが元のカラフルな・・・華やかな世界に戻そうとする

ねぇ、帰ってきてよって

そんなはずない
あの人は何年か前のように二次元だ
リアルにいるわけじゃない
焦がれるあの頃に戻っただけ

遠くから憧れる自分に・・・戻れた・・・


それだけで充分だ







68 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:44






69 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:45

元気してますか
相変わらず周囲にはスパルタでしょうか

あなたに夢で会えたらと願うけれど
一度も出てきてはくれず
当たり前だよねと、朝目覚めた時虚しくなります

だけど最近は、こうやってあなたを見上げる事で
少し、癒されたりしています

いつ撤去されるか分からないあなたを
今日も会えた、今日もまた会えた
そう思いながら毎日ここから思いを飛ばしてます

本当に私は勝手者ですね


勝手な私ですが
いつか・・・いつか出会う事があるなら
思いっきり抓ってください

ごめんなさいと、言えるから

何も言わずに出て行った私を
許してくれないだろうけど


本当は、本当は・・・


70 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:45





71 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:46


「さーーって、今日もランチタイム終わり!!」
「へーい」
「明日からさぁ、あのよっすぃーのスープ出そうと思うんだけど」
「あー、でもあれまだ試作段階だしなぁ」
「大丈夫なんじゃない?後で味見てみる」
「頼むよ」
「んじゃ、看板拾ってきてー」
「はいよー」


ウチはまいちんの指示どおり、店の小さな看板を取りに行く
オフィスビルのパークの四方にあるから
結構遠かったりするけれど、息抜きになるからね



  ガタンッ バンッ!

「った・・・重いんだってば、これ・・・」

小さい割りには重い看板を集めて、ワゴンの方に戻る
って言うかこれ、3枚だけだっけ・・・
ウチはズルズルと引きずるように、パーク内に入っていった



72 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:47


「まいちーーーーん!!」

ワゴン車の中でなにやらまだ作業している彼女を呼ぶ

「よっすぃー、おつかれー」
「看板って3枚だけで良かった?」
「うん、いいよー」
「ってか、これ重いから」
「今作り直して貰ってるってば!」
「軽量してください」
「あーはいはい!分かりました!」
「ははは!」
「おつかれ!あとはアタシするよ」
「サンキュ!あっつ・・・」


帽子を脱いでTシャツで汗を拭う
そんなに走り回ったわけじゃないのに、まだ少し暑さは残ってる

キャップを被りなおそうと顔を少し上げると
今日もまだ撤去されずに、ウチの心を不安と、そして安心させてくれる
彼女の泣き顔が変わらずあった

やっぱ、ウチ、彼女のこと、好きなんだな・・・

どれだけ時間は経っても
許してくれないと分かってても
戻ることなんて、もちろん出来ないけど

それでも、彼女の事を一番に思ってる



「フッ・・・」

今頃気づいても、遅いのにね・・・

ウチは、どんな自分であっても
石川梨華が、好きなんだ

キャップを被りなおして、ふと目の前を見た


73 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:48




  ドクンッ!!



「・・・ぁ・・・・・」


何度目だろうか
この胸を跳ね上げる感覚

見慣れたはずだけど
でも、やっぱり慣れない


 ビュゥゥゥウウウッ

「ぁあ!」

浅く被っていたキャップが突然吹いた風に持っていかれて
足元を転がっていった



帰る場所は当然そこというように
足元で止まる


そう  あなたの、もとで


 


74 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:49



   カツッ  カツッ  カツッ  カツッ




ゆっくりと近づいてくる




   カツッ  カツッ  カツッ  カツッ




視線は揺らぐ事無く
ウチに向けられていると言う事が分かるくらい




   カツッ  カツッ  カツンッ







  ビュゥウウウウウウ   ザワザワザワッ






あなたが
涙を流した石川梨華が 目の前に居た





75 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:50

「よっすぃー?」
「ぇえ?」

首だけ振り返ると、まいちんが不思議そうにウチを見てた
するとため息混じりに息を吐き出す

写真とは違うけれど、何かを察したんだろう

「今日、あたし買い付け行くから、よっすぃー歩きね」
「え!?なん、で」

ウチは体ごと振り向いて、じっと見入った
まいちんは呆れたといわんばかりのため息を地面に捨てる


「分かってんでしょ?」


自分の気持ち
まいの気持ち
彼女の気持ち

アンタが止めてるからだよ



その視線から、伝わってくるビリビリとした痛みに
ウチは思わず顔を背けた


76 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:50


「ねぇ、お姉さん」
「ふ、ふぁい?」

 パンッ!

「ぇえ?」

ウチはビクッと身体を震わせて顔を上げると
にっこり笑いながら頭の後ろで手を組んだまいちんが

「さーーって、帰ろうっと!」

ワゴンに乗り込んでいった





「ジャケットと鞄!」

まいちんは乱暴にジャケットとリュックを放り投げて
ワゴン車の運転席に乗り込んだ


  バンッ ブロロロロッ

「明日休んでもいいからねーーー!」

どういうことだよ・・・
玉砕してボロボロになるからってことか?

なんでもいいけど
突然すぎて、ウチはまだ頭が回っていない

小さくなって、道路から消えたワゴン車

振り返ると、捨てられた仔犬のような目をした
石川さんが居た

変わってない
あの時と同じ
置いていかないでって目をしてる


「あ・・・の・・・」
「・・・座ろ、う、か・・・」


目にいっぱい涙をためて、彼女は促した



77 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:52


78 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:52




  ブーーーッ ブーーーッ ブーーーッ

自動販売機から紅茶を取り出そうとしたら
ポケットに入っていた携帯が震えた



 まず謝りなさい。
 そんで、全部曝け出しなさい
 アタシに出来たんだから出来るはずでしょ?

 今更何を隠したって隠しきれるわけなんてなよ
 だって、華さんが会いに来てくれたじゃない
 目の前に居る人の手、振りほどいちゃだめだよ

 しっかり掴んで


 合わせることなんてしなくていいよ
 自分を出せば良いよ

 そしたら、華さんだって分かってくれるよ


 めげんな、若人!!



「・・・まいちん・・・」

ウチの迷っていた指先が、コーヒーのボタンを押す
繕わなくていい。自分を出さなきゃ・・・ね・・・

違う道に進んでいるけれど


あなたはウチを許してくれるのだろうか
受け入れて、くれるだろうか・・・



79 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:54

「・・・これ・・・」

俯いていた彼女に缶を差し出した
そっと差し出された手

許されるなら、その手を掴んであなたを抱きしめたい
だけど、そんな事は夢のまた夢
ウチは人としてやってはいけない事をしたんだ
謝罪が先だろ

自分にまた鼻で笑った


「・・・すいません」
「どう、して・・・」

 どうして急に辞めたりしたの
 何も言わずに辞めちゃうの

その答えは、こう

「・・・辛かったんです」

その続きは

「・・・・・もう、限界で・・・・・普通に、出来なくて・・・
 いつか・・・おかしくなりそうだったから
 だから・・・自分勝手だって、分かってるけど・・・」


結論は・・・


「逃げました」


80 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:54

すらすらと言葉が出てくる自分に呆れた
何の感情も持っていないように、ただ淡々と言葉が口から発せられる

だけど多分、これも・・・本心じゃない・・・
本当に言いたいことは、違うんだと思う

けど、言えるわけない


81 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:56


そっと顔を上げると
彼女の手の甲に、雫が流れているのが見えた


どうして・・・

どうしてあなたが泣くの
どうしてあなたは泣くの

どうしてウチは彼女を困らせるの
ここまできてウチはまだ彼女に隠そうとするの



もうこれで終わりだ
もう新しい道は始まってる

そう・・・過去に、さよならしないと


もう、全部、言うよ
どう思われたっていい


あなたが好きな気持ちは  いまでも変わらないから



82 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:58



「あなたの・・・」



「ことが」



「大きく、なりすぎて」





「・・・え?」



言いかけた何かを止めながら、ウチは続けた








「・・・好き、だから・・・」




やっと泣けた気がする

するりするりと零れる涙は
今までで一番素直だと思った




「今でも・・・ずっと・・・好き、だから・・・」





「逃げ出して・・・・・・ごめんなさい・・・・・」




83 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:59



彼女は口をうっすら開けて、何か言いたそうにしてるけど
目からはどんどん涙が溢れてくる

拭いたいけど
拭っちゃいけない

見ているだけしか出来ないウチに
しゃくりあげる合間に言葉を必死で吐き出した



「・・・・・っぐっ・・・ぐすっ・・・・・えって、き・・・」
「・・・・・グズッ・・・え・・・?」

「か、って、グスッ、な、さいよぉ・・・」
「・・・え?」







「帰って、き、なさいよぉ!!!」



  カンッ!カランッ! ゴトンッ  コポコポコポッ







「どうし、て、居なくなるのよぉ!!」


「どう、して、とつ、ぜ、行っちゃ、う、のよぉ!!」





「どうして、どうしてよぉ!!!」




まるであの時のウチがそこにいた気がした
まいちんに喚きながら泣きついたあの時の自分


彼女は素直だ
ウチにストレートに投げてくれる


謝罪と愛しさと自分への悔しさと後悔が入り混じって
彼女を強く抱きしめた


84 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 02:59


「どう、して・・・っぐぅ」
「石川さん・・・」


「戻っ、て、来てよぉ・・・」
「石川、さん・・・」





「どこにも、行かないで・・・」



「ずっと居て・・・」
「・・・いし、か・・・」
「離れ、たく、ないよぉ」



「傍に、居て・・・」



聞き、間違い・・・?



「吉澤、さんのこと、好きだから」



呼吸が止まる



「・・・吉澤さん、無しじゃ、生きてけない」







「戻って、来てよぉぉ!!!」









85 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 03:01





86 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 03:02


ねぇ
ウチはとんでもない間違いをしたんじゃないかって思うんだ

あの時の選択は間違っていたんだと
本当にバカだと後悔した

だけど、それでもあなたから離れようとしたのは
今時分が歩いている道を否定したくなかったから

誰も後ろ指なんてささないのに
誰もウチの事を笑ったりしないのに
自分の中で勝手に作り上げた“周り”に
そうされているんじゃないかって・・・

だからあなたの腕を振り解いたんだ
最後の最後までウチは臆病で、負け犬だと。
あなたに会えて、思いが通じて、伝わったから・・・
もうそれだけで充分だと、自己満足をして
あなたの居ない世界で、全てをスタートしなおそうって
また自分勝手を繰り広げようとしてた


87 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 03:02


どこまでも素直じゃないウチでも
あなたは全てを見抜いて
どこまでも弱虫なウチでも
あなたは全てを抱きしめて


傍に居てよ
もう離れないで
ずっと居てよ
じゃないと窒息しちゃう って


なんども なんども
涙を流しながら
ウチにしがみつきながら 言ってくれる
ウチが言いたかった言葉全部


88 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 03:02


ウチは強くなんてなくって
何かでしか自分を表現出来なかった

点数、勉強、肩書き・・・

それももう終わりだね
卒業しきれてなかったんだね


あなたから貰った卒業証書のおかげで
ウチはやっと前に進み出せそうな気がするよ



89 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/08/27(日) 03:03





90 名前:Rink 投稿日:2006/08/27(日) 03:06
更新終了です
91 名前:Rink 投稿日:2006/08/27(日) 03:07
レスポンス

>名無飼育さん様
リアルタイムありがとうございます
キリンになるまで待たせてしまって申し訳でございます
これからはサクサクいけると思うので
ご愛顧の程よろしくお願いします

>名無飼育さん様
( ^▽^)っ◇<ハンケチどぞー
(0^〜^)ノ□<ティッシュもどぞー

>名無し飼育さん様
(0^〜^)っ◇<こっちにもティッシュ
ありがとうございます

>カナリヤ様
ここは作者としても苦しいところでした。
無という世界を作り出すのがこれほどに体力使うのかと
すっかりバテまくりでした

残りは嫌って程甘くしたいと思いますので
よろしくお願いします

92 名前:Rink 投稿日:2006/08/27(日) 03:11
今回の更新は>>62-89です

自分のこれからの課題として
誤字脱字を無くすと決めたのにも関わらず
まだ相変わらずダメダメです・・・萎えさせてしまったらゴメンナサイ

やっと書きたい事を書けた気がします


さ、次回からは石川さん視点に戻ります
もうすぐフロリエンタル終了だー
93 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/27(日) 03:34
よしざーさぁーーん!!!(叫)
94 名前:愛虎 投稿日:2006/08/27(日) 17:11
更新お疲れ様です。
あの時の吉澤さんの心の中がよく伝わってきました
次回からは激甘、大好きなので楽しみにしています。
95 名前:カナリヤ 投稿日:2006/08/28(月) 18:25
更新お疲れ様です。本当にお疲れ様でした。^^;
辛いシーンですけど、この時のよっすぃーの心の有り様は絶対に必要だと思っていたんで
しっかりと書いて下さった事は読者として本当に嬉しいです。

もうすぐフロリエンタルも終わりかぁ〜。

どうこの物語が結ばれるのか楽しみであり、一抹の寂しさも感じていますが
相当に甘くするとのRinkさんの言葉にうきうきして…( `.∀´)y-~~ るわよ!
失礼w、次回の更新も楽しみに待ってます♪
96 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/29(火) 02:13
更新ご苦労様です
もぉすぐ終わりですかぁーーー
よっすぃとよっすぃ父の再戦が見たい。w
97 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/08/29(火) 09:50
更新お疲れ様です。ご苦労様です。
吉澤さんの心の中が目に浮かぶようでした。
里田さんはなんでもお見通しですね(^_^;)
次回も楽しみにして待ってます。
98 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:14





99 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:16


「そっか・・・」


今、私はあなたの腕に抱かれながら
あなたがぽつりぽつりと漏らす言葉を
一言も逃がさないように聴き入った

あなたは何かを思い出すように時々目を閉じる
まるでそのまま眠りにつくんじゃないかと不安になるほど
静かに上下する胸

だけど、不規則に膨らむ胸が
次の言葉を吐き出す合図になる

大きく息を吸い込んで
意を決するように



「ごめんね・・・」
「なんで石、梨華が謝るんですか」

今さっきの事だから名前で呼ぶのも慣れないらしく
一瞬止まるあなたがおかしいけど

だけど私の願いを叶えてくれるあなたが
愛しくて、胸に顔を埋めた

「だって私が傷つけたから」
「違います」


100 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:17


「朝・・・」
「え?」

あ、お願い
私の顔を見ようと隙間を作らないで
このままで聞いてよ
不安になる

私はギュッと彼女を抱き寄せた


「毎朝、デスク掃除してくれてたんでしょ?」
「な!?」

ああ・・・離れちゃった・・・

彼女は目を大きく開いて
何で知ってるの?って顔をした

そりゃ気づくよ
アタシは整理整頓が上手い方じゃない
だけど、毎朝何故かこぎれいになってるんだもの

「ありがと・・・」
「い、いえ・・・石川さんだけじゃなくって、みんなのもでしたから・・・」
「石川さん?」
「あ・・・え・・・っとぉ・・・梨華、です、ね」
「フフッ」

101 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:18


彼女から、どんな思いで過ごしていたのか
彼女からの言葉で聞いた

それはとても客観的で冷静で
まるで三流映画を流すように観ている
そんな風に淡々と話す彼女

どこか痛々しくて
また私はポスッと彼女の胸におでこをつける
少し冷たい手が優しく私の髪をすく




「ねぇ・・・ひとみ?」
「はい・・・」
「あのお守り、まだ持ってるの・・・?」
「・・・・・はい・・・」
「・・・そっか・・・」

「でも、もう、必要なくなりました」
「え・・・?」

「だって・・・叶ったし・・・」

「え・・・?」

「ココに居るから・・・・・梨華が・・・」


そっか
私の勘違いだったんだ・・・


102 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:19


「いし、梨華は・・・彼氏は・・・」


「え?」

「彼氏で、す」

「居ないよ?」
「え!?だって写真」
「写真?」
「あああ、あわわ」

「ねぇ、写真ってなに?」
「いや、あの、その!」
「ねぇってばぁ」

彼女に顔をズイッと近づける
顎を上げて、仰け反ろうとしてるけど
そうは行かないよ?

彼女の足の間に、膝を差し込む

「うぉわあ!」
「ねぇって・・・」
「ちょ、ちょ!それ、だめです!」
「教えてくれたら、やめたげる」

グイグイ膝を奥に進めると
腰が引けて変な体勢で、耳まで真っ赤にしてる
さっきまであんなに激しかったのに
もうこんなに純粋な犬になるんだから


「ねぇってば」
「あ、あ、あの、で、すね!?」
「なあに?」
「その・・・えっと・・・」

「ん?」

大体は見当ついてるんだけどね
こうやってからかうとホント面白いんだ

ごめんね?弄んじゃって

でも、許してくれるでしょ?
だってひとみも悦んでるじゃん

103 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:19

「掃除、してるとき・・・たまたま、見ちゃったんです」
「なにを?」
「・・・・・・・写真・・・」


昔、会社同士の付き合いで飲み会をしたとき
私が彼に思いを告げる前に撮った写真が
デスクのパソコンモニターの後ろに置いてあったのを
彼女は見たんだと思う

それを見て気づいたんだね

そういうところ・・・

「なんか・・・いい雰囲気かなって・・・」


敏感なんだから・・・
でもね


「彼じゃないよ?」
「え!?」


鈍感だよね


「もうとっくの昔に別れたの」
「あ・・・ああ・・・」


そして、繊細


「ひとみは傷つかないで?」
「え・・・?」
「傷なんかじゃないよ?もう過去の思い出だからたまたま置いてあっただけ」
「そう、ですか・・・」

104 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:20

傷を思い出させたんじゃないかと
人の痛みを自分のもののように受け取る彼女

まだ何かを拭い去れない彼女の唇に
私はそっと指で触れた


「平気」
「ん・・・」
「ひとみが、背中を押してくれたの」
「え・・・?」

「一緒に、歩こうって・・・手を引いてくれたの」
「ウチ、が、ですか?」
「そう」

「ひとみがずっと・・・思っててくれたから・・・私はココに居るの」
「・・・・・でも、忘れようと・・・」
「・・・私も、忘れようと、したけど・・・だけど無理だった」
「ウチも、です」

「毎晩夢に出てくるんだよ?」
「すいません・・・」
「出演料居る?」
「・・・・・何を?」


顔を上げて彼女と見つめる

じっと絡みあう視線は
真っ直ぐでいて、とてもシンプルに



「んんっ・・・」
「んぁ・・・」



キスしたい


そう思った


105 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:21




「ずっと・・・『華』の看板見てました・・・」
「知ってる・・・」
「気づかれたんですね・・・」
「クセになってたんでしょ?」
「習慣って言ってくださいよ・・・」
「おかげで追いかけられたもん」
「ありがとうございます」

「こっちこそ・・・ありがとう」



106 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:22


「あ、の・・・」
「ん?なあに?」
「ひ、膝・・・を、です、ね」
「膝?」
「ちょ、ちょっともう少し、元の、定位置にして、もらえませんか?」
「どうして?」
「うおぁ!!」
「なんで逃げるの?」
「ちょ、ちょちょ!む、無理ですって!!」
「ん〜?どぉして?」
「ね、ねぇ、だか、らぁ、うううぉ!」
「あんまりそっち行ったらベッドから落ちちゃうよ?」
「いや、で、でも!」
「ほぉら・・・もっとこっち来て?」
「んんん、石川さぁぁん!」
「こぉらぁ」
「ううぅっ!んっふぅ!だ、から、脇はぁ!」
「ねぇてばぁ・・・もっとこっち来てよ・・・」

「わ、わか、分かりましたから!ねぇ、ちょっと、タンマ!」

「んもぅ・・・」

あんまりゴチャゴチャ言い出すから
私は彼女の肩をベッドに押し付けて
馬乗りになった

「え、ええ!?」
「ねぇ・・・」
「な、なんですか!?」

私の髪が彼女の顔を覆う

真っ暗な部屋なのに、瞳は私を見つめつづける
ちょっと上になったくらいで、そんなに焦らないでよ

107 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:23





「・・・愛して?・・・・・もっと・・・」




「・・・うん・・・」




108 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:27
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
109 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:28


案の定次の日彼女は仕事に行けず
私も仕事を休んだ

まいさんも分かっていたのか
わざわざ電話なんてしなくて良いのにと言われたそうだ

わたしも中澤さんに連絡を入れたら

犬の首に縄でもつけてしっかり捕まえてろと言われた



「・・・バレてんじゃん・・・」

110 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:29

  Pi


「何独り言言ってるんですか」
「あ、ううん・・・なんでもないよ」

パタンと携帯をたたんで、枕の上に投げる

「ねぇ、ひとみ?」
「ん?なんですか?」

ベッドの淵に座って足をバタつかせていた私の隣に
寄り添うように彼女が座る


「・・・しばらくまた、離れちゃうけど・・・」
「はい・・・」
「仕事、始まったら・・・その・・・」


111 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:32


「大丈夫」
「え・・・?」


「仕事の時は、ウチは石川さんで、梨華は吉澤さん」


わたしをぎゅっと抱きしめながら
耳元で囁かれる

何気ない会話なのに、体が痺れて動きが取れないほど
彼女の声に酔ってる

もっと欲しくて、首に腕を巻きつけた



「でも、二人っきりになったら、梨華とひとみ・・・でしょ?」



どうして、分かるんだろう

どうして、気づいちゃうんだろう




「ね?」


どうして、そんなに優しく笑いかけるんだろう



112 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:33


「好きだよ」


好かれてる



「愛してる」


愛されてる



「梨華の、こと・・・今度こそ、大切にしたいんだ・・・」



大切に・・・思われてる・・・


113 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:33




襲ってくる不安に怖くなって

私は彼女に跨るように、向かい合わせで抱きしめた



「うっふぅ!」

「ひとみ・・・ひとみっ・・・」

「んぐっ・・・どう、したの・・・」



「・・・アタシも・・・ひとみのこと・・・好き・・・」
「んっ・・・」
「大好き・・・・・愛してる・・・」

「うん・・・」


「ひとみのこと、もっと・・・全部・・・抱きしめたいの・・・」

「うん・・・」



「傍にいて・・・」
「梨華も・・・」

「隣にいて・・・」
「居るよ」

「わがまま、言っちゃうけど・・・いい?」
「いいよ・・・」



彼女の頭を抱きしめていた腕の力を少しだけ緩めると
スポッと顔を出した

目にかかってる前髪を指でそっと撫で下ろす


114 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:37

「じゃぁ、一つ目のわがまま」
「ん?なあに?」

ホント仔犬みたいな顔するんだから
かわいい

「今日さ、一日中、空いてるじゃない?」
「うん」

「今までの分、埋め合わせて♪」
「え・・・」

彼女の笑顔が引きつって止まった

「お・ね・が・い♪」

「え、えっと・・・そ、れは、どう言う、い、みで?」
「そういう意味」
「うぁ!」



115 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:38





  どうしてもっと早く、手に入れなかったんだろう

  こんなに幸せなものだと気づくのが早ければ


  私はもっと幸せになるのが早かったと思う



  でもそれは 今だからだよと
  彼女は優しく微笑む

  そうだねと返すと
  頭を撫でながら、強く抱き寄せてくれる


  過去があって、今がある


  あなたと歩く今があるなら


  あなたと歩いてる未来があると思うの




  お散歩しよっか

  本当の犬でもつれて、ね?



  そう言うとあなたは
  そうだね一番の笑顔を見せてくれた





116 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/02(土) 20:39





117 名前:Rink 投稿日:2006/09/02(土) 20:39
更新終了です
118 名前:Rink 投稿日:2006/09/02(土) 20:40
レスポンス

>名無飼育さん様
(0^〜^)<ん?どした?
(;^▽^)<主役はアタシなのに!

>愛虎様
(0´〜`)<苦しかったYO
甘くなったのかどうなのか
作者麻痺しておりますw

>カナリヤ様
ありがとうございます
もっと右往左往させたかったんですが
作者の身が持ちませんでした汗

これ以上甘くしてもいいのか
甘いってなんだったかちょっと忘れ気味ですが
最後まで頑張りますよ、保田さん!

>名無飼育さん様
そうですねぇ、父との戦いは今は冷戦で御座いますね
(0´〜`)<父ちゃんとの溝はまだ埋まらない・・・
いつか報われる時が来る気がします

>名無し飼育さん様
里田さんとは長年の付き合いですからね
(0^〜^)<見抜かれるんです
119 名前:Rink 投稿日:2006/09/02(土) 20:43
今回の更新は>>98-116です

甘いというかなんでしょう、平常と言う感じでしょうか
やっとこフロリエンタルでもまったりできるとこまで着ました

さて、佳境に入ってきたんですが
今またGAM視点で悪戦苦闘です汗
どーしたものやら・・・
120 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/03(日) 17:20
更新お疲れ様です。
久々に見たら更新されてました。
いいですね。二人の甘さ。 疲れがとれますね。
羨ましい・・・。

121 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:20





122 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:22



  3ヵ月後



外はすっかり冬景色
去年着ていたロングコートをクローゼットから部屋の中に移した

ちょっと狭くなったウォークインクローゼット
だってそれには訳があるから


「ねぇ、梨華?」
「ん?どうしたの?」

「この部屋いいんじゃない?」
「どれ?」


犬が室内犬になったから



123 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:23

彼女は会社を飛び出してから
まいさんの仕事部屋兼倉庫にしていたワンルームに住んでいたそうだ

狭く寝る場所もままならない部屋に居るより
私の部屋で暮らした方がよっぽど快適だろうと思って。


だけど二人で住むには狭い私の部屋を
ちょうど契約が切れる春前に引っ越そうという話をしているところ

キッチンは大きい方がいいだの
寝室は一つでいいだの
プライベートルームは要るか要らないかなんて。


124 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:23

「でもさぁ、プライベートってあるようでないよね」
「そうだよね」

仕事も家に帰ってからも一緒じゃ
苦しくないの?息詰まらない?って聞かれたけれど

ひとみが居ない方が窒息するよと言ったら
彼女はギュッと抱きしめてくれた


「生命維持装置ですから」


って言いながらね


125 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:24


「犬は癒しなのー」
「あーそーですかー、わんわん」
「なによぉ、そんなつまらなさそうにしてぇ」
「べーつに?ワンワンッ!」
「ポーイッ!ほら取っといで!」
「ワンッ!」

私の投げたクッションを広いにキッチンに向かう
ついでにシュンシュンと湯気の上がっていたケトルの火を止めてくれた

「ん〜〜、やっぱ2DKはあったほうがいいかなぁ」
「ん〜?」
「だってさすがに1DKじゃ狭すぎるし、物が入らないもんね・・・」
「今でこそいっぱいいっぱいだし」
「ひとみの荷物はまだ向こうにあるの?」
「んー、ベッドはあるかな」
「そっか・・・それ、要る?」
「いや・・・処分に困ってる。はい。熱いから気をつけて」
「あ、ありがと」

マグカップを渡してくれた彼女は
立ち上がったまま、ずずっと紅茶をすすった

126 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:24

「ん?」
「ん?」
「なんで座らないの?」
「座れないの」
「あ・・・」

振り返って背中を見ると
ベッドとの間が少しも空いてなかった

テーブルの方に少し前に身体を詰めると

「よいしょ」
「んっ」

後ろから抱きしめるように、彼女が座った
ここがひとみの定位置

長い腕を伸ばしてマグをテーブルの上に置くと
私が見ていたマンションのチラシを手にとる

「んー。ここってさ、この近くじゃない?」
「どれ?」
「ほら・・・駅と反対方向か」
「そうだね」

いつも密着してるけど
彼女の長い睫が上下するたび、吐息を感じるたび
私は胸を高鳴らせてる

これが、恋なんだよね

127 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:25

「ん?どした?」
「え!?」
「視線感じたから」
「あ・・・うん・・・ひとみって綺麗だなって・・・」
「ブッ!!なに言ってんの!」
「だって、ホントのことだもん!」
「・・・照れるじゃん・・・」
「う、うん・・・」

チラシを放り投げて後ろから抱きしめてくれる

部屋の外はすっかり北風が舞ってるのに
ひとみが居れば寒さなんて感じない
むしろ暖かいくらいなんだ

128 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:25

「ん〜〜、いつから犬になったんだろ」
「え?」
「アタシ」
「フッ・・・」
「なによぉ」

「はじめっからでしょ?」

「えーーー?」
「ハハッ!」
「・・・・・キャンッ!・・・」
「なーに可愛く鳴いてんだよ」
「なによぉ!」
「拗ねない拗ねない」
「いいけど・・・」


129 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:27

「それよりさぁ」
「ん?」
「もうすぐ梨華の誕生日じゃない?」
「うん」

「こんな事聞くのあれだけどさ」
「うん」
「なに欲しい?」
「えー。ちょっとは考えてよぉ」
「考えてるよ。でもリクエストないかなーと思っただけ」
「あ、いっぱいくれるの?」

「・・・安月給なの知ってるよね・・・」
「・・・そうだよね・・・」

「ホテルで食事して、最上階のバーで飲んで、スウィートで泊まりたいなんて誰も言ってないよぉ」

「もう一回言おうか?」
「冗談だって・・・」


130 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:28

「そうだなぁ・・・」

私は体勢を変えて、抱えてもらうように横向きに座った

「ん?」

彼女の白い頬を撫でて、そのまま耳をなぞり
首に指を這わす

「ひとみを繋げる」
「んんっ・・・」




「首輪」




「はぁ!?」
「もちろんお散歩できるようにね?」


131 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:28

「・・・梨華ってそっちの趣味あんの?」
「あはは!無いよ!じょーだんだってば!」
「さっきの目は冗談じゃ済まされなかった」
「冗談冗談!ひとみからもらえるものなら何でもうれしいよ?」

「ジャーキーでも?」
「それはいや・・・」
「フリスビーは?」
「もっといや・・・ひとみしか楽しめないじゃん」
「梨華も犬なんでしょ?」
「うぅぅぅぅぅ・・・」
「あっはは!分かったよ。楽しみにしてて」
「首輪は嫌だからね!」
「んだよ、自分から提案してて」
「だーってぇ・・・」
「分かってるってば」





誕生日は抱えきれないほどの薔薇の花束と

抱えきれないほどの愛を貰いました




132 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:29
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
133 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:29


「さて、そろそろYOUの新作の事について話を詰めていこうかと思ってるんやけどな」



今日は定例の会議
年を越す前に、来年春に出る新作などの発表が行われ
YOU子班全員が集まって今後の方針などを決定していく。


「今回はみんな何となく知ってると思うけど、男女セットで売り出すことになった」

中澤さんを中心にぐるりと囲まれた円卓は
やっぱりビリビリッとした空気に包まれる

「今回のイメージキャラクターは、顧客に選んでもらおうと思ってな
 各店舗でアンケートを依頼してたんや。それに商品の中にもハガキ入れてたってのは知ってるよな?」


「その結果や」



私は何気なしに資料に目を通していた

ん〜、この香調って初めてだなぁ
ていうか、テーマがエロいんですけど・・・

134 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:31

「ねぇ、石川さん」
「ん?なに?」

隣にいたひとみがこっそりと耳打ちしてくる
やっぱり会社に入れば先輩と後輩の顔をきちんと使い分けれるあたり
私も、そして彼女もプロなんだと思う
美貴ちゃんはデレデレしてるってバッサリ否定するけどね


「テーマ、エロいっすよね」
「そうだね」
「万が一選ばれてたとしても、ちょっとご遠慮したいですね・・・」
「そうだよね・・・」
「だってキャッチフレーズ、『あなた」




「石川!」
「はい!!」

「吉澤!」
「ふぇい!?」





「お前ら二人、ダントツや」


にやりと笑う中澤さんが
一瞬悪魔に見えた

135 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:32



「・・・エロいからご遠慮願いたいって・・・」
「言ってたばっかなのに・・・」







 
  『 あなた つかまえる   YOU  - One -   』







136 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:33
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
137 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:33


桜舞い散る新しい春
私はまたこうして手がけた広告を見上げてる

だけど去年と違うのは隣に・・・


「・・・っていうか・・・」
「・・・マジで・・・」

「「 エロい 」」


呆れながらも嬉しそうにする彼女が居る



138 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:34


今回は2パターン使われる事になった

まず一つが、肩まで出した私を目隠しして
後ろから耳に噛み付くひとみ

もう一つが、寝転がったひとみに目隠しをして
今にもキスしそうに近づくわたし

ひとみがメンズ用、わたしがウィメンズ用

それにしても、よくこれで審査通ったよねと
本当に感心してる

全国に貼り出されるから当然家族の目にもつく訳で

「またパパに泣かれちゃう・・・」
「またまいちんに笑われる」

「笑われたの?」
「泣かれたんだ・・・」

「だって、嫁入り前なのにって・・・」
「ウチは・・・あのよしこがねぇ、ギャッハッハッ!って・・・」



「「はぁ・・・」」


139 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:35

私たちは会社の前のビルにあった看板に背を向けて
もと来た道を戻ることにした

「それにしても、今回の香調ってめずらしいよね」
「やっぱり男女両方出すからじゃない?」
「エロい空気出せって事?」
「両方、若干だけど基調が違うからね」
「んー、でもどっちもイランイランは入ってるから」

「・・・そう言うことだよね」
「春なのに・・・」
「春だからだよ・・・」
「サカリの季せ」



   ギュゥゥゥゥゥゥッ!!!



「あだだだだだだだっ!!な、何するんですかぁ!」
「真昼間からそんな事言わないの!!」
「ふぁい・・・痛い・・・」

「でも、それが狙いだとは言ってたけどね」
「当たってるんじゃないですかぁ!」
「まぁね・・・」


140 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:36

「今回の香調、何でしたっけ。未だに覚えられないんです」
「フローラル・オリエンタル」
「フローラル・オリエンタル」

「そ。フロリエンタルっていうの」

「へーー」
「まるで私たちみたいだね」
「え?」

「華のような私とぉ〜」
「はいはい」
「エキゾチックというか・・・雰囲気出してるひとみと」
「雰囲気って」

「素敵だね」
「そうだね」
「フフッ・・・うれしいね」
「うん」


141 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:37

「ねぇ、ひとみ?」
「ん?」
「今、Oneつけてる?」
「どうして?」

私は立ち止まって、彼女に向き合った
風に乗ってサラサラとなびいていく華の木の下
彼女の首に腕を絡ませると
自然と腰に手が回る

「だって、なんか・・・」
「ムラムラしてんの?」
「ばか!」
「なんだ、違うのか」
「その表現がやなのー!」
「はいはい・・・んじゃ、なに?」

「ん〜〜・・・発情?」

「そっちの方がエロいってば・・・」

「だぁってイランイランがぁ!」
「はいはい」

142 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:38


「ねぇ、ひとみ」
「なに?」

「あの写真みたいにさ」
「うん」
「目を閉じてても、私って分かる?」

「・・・フフッ・・・」


口の端だけを上げて、彼女は得意げな笑みをこぼした
分かってる。答えなんて聞かなくても

でも、聞きたいの。

アナタから


「どこに居ても、分かるよ」
「うん・・・」

「どこに居ても、つかまえて」
「うん」

143 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:39

「どこにも行かないで」
「フフッ・・・行かないよ」

「梨華も」
「うん・・・居るよ」


彼女は首だけを看板の方に向けた
その首筋がとても綺麗で、真っ白だったから

「んんっ!!」
「エヘッ」
「昼間だって言ったの梨華のほうなのに」
「だぁって・・・」

浅い印をつけた


144 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:40

ひとみと居れば色んな事を発見する
甘える事、ヤキモチを妬いたり、小さな幸せを見つけたり
お互い、臆病で
だけどそれでも強がっていたよねって笑いあう
不安が無いわけじゃないけれど
でも、それ以上に大きな愛が私を包んでくれるから
もう何にも怖がらなくていいんだって身体全体で感じるの
髪の一本一本にも、満たされていくっていうか・・・

それはひとみも同じ?

聞いてもいい?


145 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:41



「・・・ウチ、幸せだよ」
「え・・・?」

「梨華が居てくれるから」

「それが、一番の幸せ」

「ありがとう」



そして私は、こんなにも泣き虫だという事にも気づかされる
感情を豊かにしてくれたのはあなただから


146 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:41


「フッ・・・もう、泣き虫だなぁ」
「だってぇ・・・」
「最初から分かってたけどね」
「え?」

「ウチが初めて梨華を見た時から」
「・・・うん」



「さ、もどろっか」
「うん!」
「新人しごきは大変だー」
「アタシの気持ち分かったでしょ?」
「いつの間に教育係役後任しちゃったんだか・・・」
「仕方ないでしょー?アタシは部長仕事しなきゃいけないんだから」
「はいはい、頑張らせていただきますよー」



147 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:42



ひとみが私を見つけ出してくれたように
今日もまた風に乗って見知らぬ街に行く
あなたの香りを運んでいく




素敵な人があなたを見つけられるように

そして、鮮やかな華が咲き誇るように







148 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/04(月) 18:43

    『フロリエンタル』



  ( ^▽^)^〜^0) <おしまい♪


149 名前:ふろりえんちゃる 投稿日:2006/09/04(月) 18:44



ふろりえんちゃる


「んっ・・・ね、ねぇ・・・」
「なに・・・」
「ひとみ、きょ、う・・・んぁ!」
「なに・・・」
「なに、つけ、て、る?」
「・・・んっ・・・Oneだけど?」
「ど、っち・・・」
「男」
「んっ、っふぅ!」
「梨華は?」
「ウィメ、ンズ、んやぁ!」
「・・・はぁ・・・」
「だ、から・・・んっ、っくぅ!」
「だから?」
「こんな、に、なっちゃ、んやぁ!だ、めだよ!ここ、かい、しゃ」
「大丈夫・・・」
「だ、め!だれ、か、来るって、んぁ!」
「来ないよ」
「ね、ねぇ、おねが、い、んっ、家、帰って、か、んっ!」
「待てない」
「だ、めだよ、外、から、見え、んやぁ!」



150 名前:ふろりえんちゃる 投稿日:2006/09/04(月) 18:44


 15分後

「んもぅ・・・」
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないよぉ!午後から会議なのにぃ!」
「ほら、立って?」
「んもー・・・」

「んんっ!!」
「んっ・・・」

「んぁ・・・んふぅ!」
「んっ・・・」

「こらぁ、ひとみ」
「なーに」
「だーめ」
「どうして」
「だって・・・おうち帰ってから」
「はーい」


まったく・・・どこでこんな事覚えたんだか
それに乗せられてしまいそうになる自分も節操がないと思っちゃうけど・・・

Oneの香りはどうしてもクラクラきちゃうから・・・

151 名前:ふろりえんちゃる 投稿日:2006/09/04(月) 18:45


「ねぇ、ひとみ?」
「ん?」


「んっ・・・」
「・・・はい、終わり!」
「んだよ」
「後でね」
「はいはい」


やっぱりしたくなるんだ



152 名前:ふろりえんちゃる 投稿日:2006/09/04(月) 18:47

( ^▽^)<聞いた話しだと、今回の香調は中澤さんの意見を取り入れたって
(0^〜^)<そうらしいね
(;^▽^)<策略・・・?
(0^〜^)<考えすぎじゃない?ねぇ、そんな事いいからさぁ
(;^▽^)<ちょ、ちょっと犬!どこ触ってんのよ!








( ^▽^)^〜^0)<おしまい♪
153 名前:Rink 投稿日:2006/09/04(月) 18:49
更新終了です

そして『フロリエンタル』終了でございます
154 名前:Rink 投稿日:2006/09/04(月) 18:50
>名無飼育さん様

( ^▽^)<まるで疲れたときに食べるおはぎのように
(0^〜^)<あまーーい

ありがとうございます
155 名前:Rink 投稿日:2006/09/04(月) 18:54
今回の更新は>>121-152でございます

ご愛顧ありがとうございました。意外にアッサリ終わってしまったw
でもまぁ、幸せムードな感じで終われたので良かったかなと。
番外編であやみき一本入れた後、またいしよしで
今度はギャグ炸裂アフォ吉澤さんでいきます

(0^〜^)<りーーかちゃーーーん!
吉澤さんは2枚目も3枚目も似合うから素敵です
(;T▽T)<もういやぁぁぁ!
石川さんには幸薄でいていただきたい

お楽しみに
156 名前:オレンヂ 投稿日:2006/09/04(月) 20:43
更新&完結お疲れ様です

甘ーーーいいしよしいいですねぇ(*´Д`)
フロリエンタルに出てくる香水とか広告とか
現実にあればいいのになぁと思いながら読ませてもらいました
番外編のあやみきとギャグ炸裂のいしよしも楽しみにしております♪
157 名前:愛虎 投稿日:2006/09/04(月) 23:34
完結お疲れ様です。

甘〜〜いいしよし最高ですね、PCの前でニヤニヤが止まりませんでした。
ギャグ炸裂のいしよし楽しみにしてます。
158 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/05(火) 00:11
完結お疲れ様です!!!!

今回も大変楽しませて頂きました♪
ここのちょっと強いけど弱い石川さんと犬だけど頼れる吉澤さんが
いいコンビで好きでした。
この二人、もう少しみて見たいなーという気持ちもありますが、
まずは、いい作品を有り難うございました。
159 名前:774 投稿日:2006/09/05(火) 00:36
完結お疲れ様です
いやはやいいですネェ・・・
次回作も楽しみにしてますw
160 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/05(火) 00:52
完結お疲れさまです。

犬な吉澤さんと飼い主の石川さんのコンビ好きでしたw
自分の中で井戸田さんが『あまーい!』連発してます(笑)
近くに誰も居なくてよかった・・・・。
アフォな吉澤さんもあやみきも楽しみです!
161 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/05(火) 01:09
完結お疲れ様です。

中澤さん、カッケーでした!うちの上司もこれぐらい度量のある人だったらいいのにぃと
何度思ったことか…。
次回作も楽しみに待ってます。
162 名前:カナリヤ 投稿日:2006/09/06(水) 03:41
うわー!!終わってたー!!!(爆w)

完結おめでとうございます♪&お疲れさまでした!
よっすぃーと梨華ちゃんの強さと弱さがそれぞれ見えて空回りの恋模様が
読んでいてすごく引き込まれました。
紆余曲折を経て結ばれた二人。
これからもずっと幸せでいて欲しいと願っていますね、御主人様と犬な関係で。w

ギャグないしよし楽しみにしています♪
163 名前:tomy 投稿日:2006/09/07(木) 00:17
はじめまして!!
いつもRinkさんの小説楽しく読ませて頂いてます!!
番外編もすごく楽しみです!!
あと、梨華ちゃんの誕生日のお話を
書いてもらいたいなあ。。。なんて。。。
164 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/07(木) 01:17
>>163
レスはsageで、っていうのは読者の礼儀ね。気を付けましょう。
つーか、リク意味分らん。なぜ今?w
165 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/07(木) 06:14
半年待てなかったのかなw
166 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/07(木) 22:34
ま、どんなにリクしたって書くのはRinkさんなわけだから。
ウチら読者はRinkさんの小説を読みたいわけで。
お疲れ様でした。次回作ゆっくり待ってますんで。
167 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:36







168 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:37

今日は久しぶりにひとみちゃんとデート!

いつもはフットサルの練習もあったし
わたしも最近は柴ちゃんとずっと遊んでたりから
二人とも浮かれちゃって
ひとみちゃんは相変わらずプリクラとか撮るのを
恥ずかしがったけど、でも照れながらでも撮ってくれたの!

チューとかされちゃったし♪
キャーーー!もううれしくって!


「ねぇ、今からどうしよっか」
「ん〜〜、カラオケとかは?」
「そういや最近誰とも行ってないなぁ」
「んじゃ行こ?」
「そうだね」

ひとみちゃんの腕を取ってぎゅっと引き寄せた
ひとみちゃんは照れてるけれど、離そうとはしなかった
なんかやっぱりこういうの、いいなぁ
169 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:37


カラオケと言えば決まってこの店。
わたしたちの存在をばれないようにしてくれる。
ケメちゃんに教えてもらったんだ
そういえばケメちゃんとも最近来てないなぁ
今度誘ってみようっと


「梨華ちゃん美勇伝、歌ってよ」
「ええ?なんで?」
「紫陽花!」
「えー、やぁだぁ!」
「どーしてさ」
「だってぇ・・・恥ずかしいんだもん」
「えぇ〜、聞きたい〜!」
「だぁめ!他の歌歌うもん!」

リモコンで適当に選んで、送信する
自分たちの曲は、ひとみちゃんの前じゃ歌えないよぉ
ひとみちゃんはわたしのブリブリの歌声を聞くと
うぇ〜なんて言ってるけど、いつもの事だし
もーって膨れるとホッペにキスをくれるの
もぅ、いくら2人きりだからって
恥ずかしいんだからぁ

ひとみちゃんもハローの曲以外を歌ってる
かーっこいいなぁ〜♪

170 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:38

リモコンの画面を見てると
懐かしい曲の特集をしてた

ん〜、結構知らない曲あるなぁ

あ!これこの間お姉ちゃんが歌ってたやつだ
結構簡単だったし、歌えるかも!
ちょっと悲しい曲だけど、歌っちゃえ

 ピッ


  ♪ズンチャズンチャズンチャズンチャ


「あ、なつかしー!」
「この間、お姉ちゃんが歌ってたんだ〜」

171 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:38


『あなたが私にくれたもの〜 キリンがさかだちしたピアス
 あなたが私にくれたもの〜 フラッグチェックのハンチング』

恋人がたくさん彼女にプレゼントしたものを
ただただ並べて歌ってるだけなんだけど

わたし、ひとみちゃんからこんなにプレゼントもらった事ないなぁ

『大好きだったけど〜 彼女がいた〜なんて〜』
「アタシは居ないよ」
「大好き フフッ、もう歌えないじゃな〜い!」
「ハハッ」
『バイバイマイスーイッ、ダ、アーリンッ さよならしてあげるわ』


172 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:39

軽快な音楽が終わって、ちょっと静かな時間が流れた
ひとみちゃん、次の曲入れないの?

「どうしたの?」
「・・・ううん、なんでもない」

じーっと画面を見つめたまま、何かブツブツ言ってるひとみちゃん
どうしたんだろう。なんかよくなかった?
寂しい歌だったから?

わたしは向側にいたひとみちゃんの隣に移動して
ソファに膝立ちになると、彼女をぎゅっと抱きしめた

173 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:40


「もぅ、どーしたの?」
「うう?なんでもないよ」

胸に埋めていた彼女の顔を少し覗き込むと
いつにもまして、大きな目が潤んでいた

「淋しかった?」
「ん〜〜・・・」

むーっと突き出た唇に
わたしはそっと重ねる

 チュッ

「大好きだよ?」
「うん」

 チュッ

「ずっと、大好き」
「アタシも・・・梨華ちゃんのこと、大好き」
「うん」

 チュッ


174 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:40


わたしがモーニングを卒業して、一緒に居る時間はぐっと減った
だけどそのおかげで、今まで以上に
ひとみちゃんの事を好きになったの

テレビで見る姿に惚れ直しちゃったり
電話越しのキスにドキドキしたり
たまに会うフットサルの練習のときに胸を焦がしたり

まるで先輩に片思いしてる女子高生みたいって
柴ちゃんには言われちゃったけど
でも、片思いじゃないもん!

ひとみちゃんが卒業の時にくれた写真たて
実はあの裏には
ひとみちゃんからのメッセージがかかれていたの

  ずっと大好き 変わらずに愛してる


きゃーーー!もう〜〜〜♪♪

ひとみちゃんってホントロマンティストなんだからぁ

さりげなくそうやってくれる
彼女はとても真っ直ぐで、純粋で、優しくって
ヘタレなんていわれてるけれど、みんなに優しいから。
時々ヤキモチやいちゃったりもするけど
でも、みんなから愛されてるひとみちゃん

そんなひとみちゃんに愛されているわたし

独り占めしたいよぉって思ってても口に出せないでいると
そばに寄ってきて、ぎゅっと抱きしめてくれる

「アタシ、梨華ちゃんを幸せにしたい。喜ぶ顔が見たいから・・・」

そう言ってキスをくれる
心から愛されてるって実感するの

175 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:41


「ねぇ、梨華ちゃん」

彼女の隣に座りなおして、手をぎゅっと握り締める

「ん?なあに?」

「アタシ、梨華ちゃんにプレゼントってあんまあげてないよね」
「ん〜、そうかなぁ」
「うん・・・数えれるほどじゃない?」
「そっかなぁ・・・」

残るものは確かに数えられるほどかもしれない
でも

「・・・いっつも貰ってるよ?」
「え?」
「ひとみちゃんの、ココ」

わたしは彼女の胸に手を当てた

「心を、たーーーっくさん、もらってる♪」
「心・・・」
「うん!ひとみちゃんの思いをいっつも、いーーっぱい感じてるもの
 数え切れないくらい!」

「そっか・・・」
「そうだよ?」

ニコッと微笑むと、彼女は納得いかなさそうに口をゆがめた
もぅ、そんな顔しないでよぉ

「分かった」
「プッ」

え?ひとみちゃん、何が分かったの?
膨らませていたホッペから息を出す

「分かったよ、梨華ちゃん」

だ、だから何が分かったの?

176 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:42

「思いついたものを、プレゼントする」
「え!?」

どういうこと?
ひとみちゃんの思いついたものってなんのこと?

「この歌詞の恋人ってさ、見たものをそのまま上げてるって感じしない?」
「う、うん・・・」
「それ見て、彼女にそのままプレゼントしてるっていうか」

彼女はテーブルの上に置かれたジュースのグラスに目を落とす
同じ事言ってるよ?ひとみちゃん・・・
でも、言いたいことは分かったの
もう長年の付き合いのおかげで、彼女の心の中までも伝わってくる

 一番にわたしの事を考えてる

それを言いたいんだよね?

「うん」
「だから・・・」
「ん?だから?」

彼女は突然、意を決したように顔を上げた

「うん!!」

だから何が「うん!」なのよぉ!!

177 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:43





    プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜





178 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:44

今日はフットサルの練習
公開されていない秘密の練習場にわたしたちは集合した


いつも一番乗りのひとみちゃんが今日はまだ来てない
どうしたんだろう、寝坊かなぁ

「よしこ遅いね」
「ん〜、そうだね」
「昨日一緒じゃなかったの?」
「途中までは一緒だったんだけど・・・」

昨日カラオケを出た後、二人でご飯に行くのかなと思ったんだけど
ひとみちゃんは「用を思い出した!」と言って
風のように走り去っていったの

「なに、倦怠期ぃ〜?」
「柴ちゃん!そんな事ありませんよ〜っだ!」
「あー、はいはい、いつでもラブラブしてくださいー」
「もぅ〜!」

179 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:45





「梨華ちゃーーーーん!!」


「あ、よしこ来たみたいだね」
「う、うん」

それにしても、他の人たちに挨拶せずに
わたしの名前を呼んで遠くから走ってくるなんて

いいのかな、って思いながらも嬉しくなった


「梨華ちゃん!アタシ、梨華ちゃんのためにお花持ってきたよ!」
「え!?」

そんなぁ、もう、みんなが居る前で恥ずかしいじゃん
でも、嬉しくって
頬が真っ赤になったのを両手で隠した
180 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:45

「蓮華がね!咲いてたんだ!!」

181 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:46


「「「れ、蓮華・・・?」」」




蓮華って春の花だよね・・・
田んぼにたくさん咲くのが蓮華だよね・・・?
今、その時期じゃないよね。
もうすぐ秋だよね





「はい!ほらぁ!!」




ひとみちゃんが後ろに隠していた花を目の前に差し出してくれた

とても茎が長くて、赤くて、細い花びらが何本も線のように開いてる





ひとみちゃん、こ、これ・・・


182 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:47



  <<<< 彼岸花だYO!! >>>>






周りにいた人たち全員の、心のツッコミが
聞こえた気がした


「ほら!綺麗でしょ!?ねぇ、綺麗じゃない?!
 練習場の道端でたくさん咲いてたんだ!ねぇ、綺麗じゃない?梨華ちゃんみたいで!
 梨華の『華』と蓮華の『華』って一緒でしょ?」


  <<<< 綺麗だけど嬉しくないだろ!! >>>>


みんなのツッコミが強くなって聞こえる
北澤監督までツッコんでるみたい・・・

蓮華って漢字は知ってるのに、蓮華を知らないだなんて
ひとみちゃん・・・
183 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:47


「赤い蓮華ってあるんだね!アタシ初めて見たよ!」


 <<<< だから彼岸花だってば!! >>>>


184 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:48

「はい!蓮華!」
「あ、ありが、とう・・・」

「喜んで貰えてうれしいなぁ〜!」

満面の笑顔のひとみちゃん
蓮華(彼岸花)受け取るわたしは、どう対応していいのかに困ってる

「さっきさぁ、蓮華取る時に手切っちゃったみたいでさぁ」

彼女の親指からは少し血が出てた
ひとみちゃんはその血を舐めるように口元に手を運ぶ

ちょっと待って!!!
蓮華、じゃなくって彼岸花って毒あるんじゃなかったっけ!?

185 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:49

「ひ、ひとみちゃん!!!」

わたしは慌てて唇に触れそうになっていた手を掴むと
コートをダッシュで駆け抜けた


  ダダダダダダダダッ!!

「り、梨華ちゃん、どうしたの!?」

力強く彼女を掴んじゃったから
反対の手に握られていた彼岸花もくたっと折れ曲がった


「て、て、手、洗おうね!」
「なんで?平気だよ?」
「いいから、お願い!しっかり洗って!」
「舐めときゃ治るのに」
「そうじゃなくって!!ど、毒があるの!」
「え!?蓮華って毒あるの??」
「そ、あ、いや、じゃないんだけど」
「へぇー、梨華ちゃんって物知りだなぁ〜」

ザブザブと流れる水で手を洗い流しているひとみちゃんは
すげーなんて言いながら尊敬のまなざしでわたしを見た

蓮華じゃないって言うべき・・・?
186 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:50

「あ、あのね?ひとみちゃん、これ、蓮華じゃ」

「それ見た瞬間さぁ、梨華ちゃんに似合うだろうなぁって思ったんだぁ」
「あ、そ、そう、なんだ・・・」

「梨華ちゃん、花好きじゃん?」
「う、うん・・・」
「だからさぁ、喜んでくれるかなぁ〜って!」

 キュッ

蛇口を捻って水を止めると
手をパッパと振って手に付いていた水を切った
その顔は本当に嬉しそうで・・・

「う、うん・・・・・り、梨華、うれしい」
「ほんと!?よかったぁぁ」

「う、うん・・・うれしい、よ?」


う、うん・・・梨華、うれしい・・・ 



187 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:51


とりあえず、彼岸花を空いていたペットボトルに水を入れて挿しておいた
コートの端っこで彼岸花が揺れている

彼岸花って家にもって帰っちゃったら、火事になるっていうから
昔ママに叱られたような気がするんだけど・・・


わたしはせっかくひとみちゃんが命からがら持って来てくれたんだし
火事にならないように気をつければいいと
そのペットボトルごと家に持って帰ることにした




お仕事を終えて家に着いた頃には
もうすっかりクタッとしなだれていた

「ひとみちゃん・・・」

野に咲く花は、枯れも早いんだね・・・
わたしは謝りながらゴミ箱にそっと捨てた






(;T▽T)<野に咲く、花のように〜・・・

188 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:52





189 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/09(土) 16:55
更新終了です
190 名前:Rink 投稿日:2006/09/09(土) 16:56
レスポンス

>オレンヂ様
ありがとうございます!
香水はさすがにRinkの力を持ってでも作れないっすねぇ汗
広告なら何とか、こう、色んなものを事務所に積んで撮れそうな
(;^▽^)<束積むのとかやめて…
しませんってか出来ませんねw
頭の中でイメージしてもらえれば幸いです

>愛虎様
ありがとうございます!
( ^▽^)<あま〜〜い?
(0^〜^)<あまーーい!!
ありがとうございます。甘い方がイイですね、やっぱり
書きやすいったらありゃしない

>名無飼育さん様
ありがとうございます!
>この二人、もう少しみて見たいなーという気持ちもありますが、
作者も思いました
( `▽´)0`〜´) <思うなら書けYO!!
小ネタで書くと思いますのでお楽しみに♪

>774様
ありがとうございます!
次回もSSもお楽しみに〜!

>名無し飼育さん様
ありがとうございます!
( ^▽^)0^〜^)<あま〜〜〜い!!?
Rink作品を読まれるときは回りに注意ですなw
次回もよろしくお願いします!

>名無飼育さん様
ありがとうございます!
中澤さんの素敵さはどこの会社、企業にも必要ですよね
でも中々、居ないんだこれが汗
社長娘ですけど、ちゃんと面接から受けたそうですよ?(裏ネタ

>カナリヤ様
終わってたよー!w
ありがとうございます。
御主人様と犬な関係はいつの間にか反対になってそうで
そのあたりも書いていければ良いかな〜と思ってますので
よろしくお願いします。

>tomy様
実は誕生日の時の事を書くつもりだったんだけど
端折りました。気力が・・・汗
もし書けたらどこかに載せようと思ってますので
その時はよろしくお願いします。

>名無飼育さん様
サンクスです
多分『フロリエンタル』の中の誕生日の事だと思います
( ^▽^)<首輪ちょうだい?
(0T〜T)<いやって言ったくせに!

>名無飼育さん様
首輪誕生日の事だと思いますw
( ^▽^)<ある意味待てないけど
(0´〜`)<お散歩ですね・・・ゴシュジンサマァ

>名無飼育さん様
サンクスです
『フロリエンタル』のいしよし視点はとりあえず自分の中で落ち着き
暫くは違う視点、もしくは違う小説を書いているので
書けるときが来たら、どこかにUPしたいと思います
ありがとうございます
191 名前:Rink 投稿日:2006/09/09(土) 16:59
新作開始でございます
次期は去年の今ごろくらいをご想像お願いします

今回の更新は>>167-188です

さて、暴走吉澤さんの新作スタートさせましたが
今回は序の口でございます。だんだん激しくなると思います
皆さんの笑いのツボに入るかどうかイササカ不安ではありますが
よろしくお願いします


フロリエンタルGAM視点は・・・えっと・・・
サイトの方にでもいずれ載せます。すいません
ゆっくり書きたいんで汗
192 名前:774 投稿日:2006/09/09(土) 19:05
更新お疲れ様です
まぁ面白そうなのがwww
新作もGAM視点も楽しみにしてますねー
193 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 19:12
更新お疲れ様です。早速読ませて頂きました。
よっすぃ可愛いw
まだまだ序の口ですかwこの先楽しみです!
194 名前:カナリヤ 投稿日:2006/09/09(土) 19:35
新作スタートおめでとうございます♪

まさかジッタリン・ジンを引っ張り出してくるとは思いませんでした!懐かし過ぎます!!w
よっすぃーの悲しいよ… その間違い。(苦笑)
今後、いったいどこへ向かって走って(暴走)行くのか、梨華ちゃんを見守りたいと思います。w

>GAM視点
慣れないCPだと思うので御自分で納得出来る形で書いて下さいね。
新しく始まった短編?も引き続き楽しみにしています。すごい好みの設定ですし。w
195 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 21:04
新作おめでとうございます。
暴走吉澤さんが素敵でしょうがありません。
そして偶然なのか、つい昨日この曲を有線で聞きましたよ
新作のお告げだったんでしょうかねぇ…ww
196 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:27
あぁ…愛すべきアフォですね、やっぱりw
197 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/10(日) 00:29
更新お疲れ様です。

暴走するよしざーさん最高っすw
頑張れ、いしかーさん!
198 名前:愛虎 投稿日:2006/09/10(日) 01:29
更新お疲れ様です。
暴走しまくるよっすぃーめちゃくちゃカワイイです。
梨華ちゃんもこんなよっすぃーにデレデレデな感じですね。
ギャグの中に甘さもあって面白いです。
どんどん激しくしちゃって下さい楽しみにしてます。
199 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:05





200 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:06


次の日、ハロモニの収録でわたしはスタジオに向かう


ひとみちゃんとは違う楽屋だけど
わたしはモーニングの楽屋に遊びに来てた
だって一人だと寂しいんだもん。

やっぱりモーニングっていいなぁ
美勇伝は美勇伝のよさがあるけれど
なんか家族みたいで、とっても暖かい
笑い声が絶えなくて、みんなはしゃぎあえるから

それにしてもひとみちゃんはまだ来てない
おっかしいなぁ〜

201 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:07


「吉澤さん、まだ来てないですねー」
「そうだねぇ」
「石川さん、吉澤さん目当てなんでしょぉ〜?」
「ちょっとマコトぉ〜〜」

二人でくねくねしながらふざけあってると
廊下の方からけたたましく誰かが走ってくる音がした





 「りーーーかちゃーーーーーん!!」





  ガチャッ!

あれ、居ない!!
なんて声が聞こえて、こっちの扉が開く
ひとみちゃんったらぁ・・・

202 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:07


  ガチャッ!!

「梨華ちゃん!こっちにいたんだ!!」
「あ、うん!」

「「「おはようございまーす」」」

ひとみちゃんはみんなの挨拶もそこそこに
わたしに満面の笑みで近づいてきた

203 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:08

「梨華ちゃん!梨華ちゃん!今日ね来る時すんごいかわいい花束見つけたんだ!!」
「え!?」

ひとみちゃんはまた後ろでに何かを隠し持ってる
お、お花のプレゼント?
今度は花束なんだね

204 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:08

「チョーーーーかわいいコスモス!!」

205 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:09

あ、今度は時期がずれてない
わたしもちょっと期待しちゃう

「ほんと!?」

周りからはいいなぁなんて声も聞こえてきた
やあだぁ、照れるよぉ

「吉澤さぁん、わたしにも下さいよぉ〜」
「なんでおめーにあげなきゃいけないんだよ!」
「ええー、石川さんにばっかりぃ!」
「いいの!梨華ちゃんはアタシの彼女なんだから!」

もぉ〜〜、ホント照れちゃう!

「石川さん、クネクネしすぎですから」
「だぁって、愛ちゃんうれしいじゃない?」
「そう、ですけど」

206 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:09


「梨華ちゃん、アタシだけ見てよぉ!」
「あ、ごめんね?」

わたしはイスから立ち上がって彼女のパーカーのポケットを
ちょっとだけつまんだ


ひとみちゃんは拗ねていた目をを元に戻して
満面の笑みで、後ろに隠していた花を前に出した


「はい!これ!!」










「あ・・・え・・・っと・・・」


ひとみちゃんが握り締めていたのは
白や黄色の花びらがとってもかわいく開いていた





207 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:10




  <<<< それ、菊じゃん!!! >>>>






五期のツッコミが聞こえた気がした

とっても緑緑しい(造語)葉っぱがその後ろに刺さっている
切られた枝の下は輪ゴムでキッチリ止められていた




208 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:11




  <<<<<<<<< しかもお供え用だよ!! >>>>>>>>>







小春ちゃんのツッコミも聞こえてくる
美貴ちゃんなんて、いつも以上に激しい
昨日の彼岸花を見てるから余計なんだと思う・・・


209 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:12



「ねぇ、ほら綺麗じゃない!?この葉っぱとかさぁ!」



ひとみちゃん、それってね、榊っていうの・・・

神棚とかにあるでしょ?見たこと無いかな・・・?
神主さんがね?もってるやつなの。知らない?

ひとみちゃん、どんなお花屋さんに行ったの?
もしかして・・・お墓の近くで買わなかった?


210 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:12

「なんかさぁ、ぶっちゃけ安いなぁって思ったんだけど
 このコスモス綺麗だったからさぁ、思わず買っちゃったんだ!!」
「あ、ああ・・・」



「フランス産らしいんだよ!この菊!!」









フランスの『仏』じゃなくって


ホトケの『仏』じゃ、ない?


仏はあってるよ・・・あってるけど
読み方が違うの、ねぇひとみちゃん・・・


211 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:13



「梨華ちゃんみたいじゃない!?この白いのとか!!」


 <<<< それって、どういうことなんだろう・・・ >>>>


マコト、高橋、紺野、新垣・・・
わたしもそう思う・・・


「これだったら、梨華ちゃんちにあった花瓶にピッタリでしょ?長さとか!」


 <<< リーダーが分からない・・・ >>>


えり、さゆ、れいな・・・
ごめんね・・・


「店の人に2つじゃないんですか?って言われたんだけど
 1個でいいです!って言ったんだ」


 < 吉澤さんって、こう言う人なんだぁ >


小春ちゃん!違うの!違うのぉぉ!!
誤解なんだよぉ!


美貴ちゃんは呆れて楽屋から出て行った

ああ、美貴ちゃん・・・
あたしを置いていかないで・・・
ツッコミは美貴ちゃんしか出来ないんだから・・・


212 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:14

「そ、そう、なんだ・・・」
「うん、はい!!」

ひとみちゃんは持っていた菊をグッと前に差し出した
わたしはそれを受け取った

わたしの指先がプルプルと震えているのは
気のせい、なのかな・・・


「あ、あ・・・りがとう・・・」
「綺麗でしょ!?」
「う、うん、そ、そうだ、ね?」
「あれ、梨華ちゃん、嬉しくなかった・・・?」

ひとみちゃんは少し眉を下げて
淋しそうな目の色をした

ち、違う!!そんなことない!
あなたが買ってきたコスモスっぽい菊だって
あたしにはコスモスに見えるの!大丈夫!

すっごい綺麗だよ!うん綺麗!

梨華!綺麗っていうのよ!コスモスに見えるでしょ!?
見える見える!これはコスモスなの!

榊は見えない!見えない!

見えてない見えてない!

213 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:15



「ううん!そ、そんなことないよほぉ!?」
「・・・ホント・・・?」

声が上ずったのを、またひとみちゃんは怪しく思ったのか
じっと見つめてくる

「う、うん!ほ、ホントだよ!?」

「なんか・・・嬉しくなさそう・・・」
「なんでよ!うれしいに決まってるじゃん!」

だってさって言いながらひとみちゃんは
唇をむっと突き出した

ごめんね!悲しませてるよね!
違うよ!?違うの!

「うれしいよ!綺麗だもん!」
「・・・ホント?」

顔を上げてわたしを見つめるその顔は
いっきに嬉しそうに輝いた
それは眩しくて目を思わず細めたくなるくらい

「う、うん!!こ、こほぉ!コスモス、き、綺麗だね!梨華、うれしい!!」
「はぁ・・・よかったぁぁ」


 <<<<<<<< 石川さんも 分からない・・・ >>>>>>>>


いいの、みんなにそう思われても・・・
ひとみちゃんのことになると、こうなっちゃうの・・・
美勇伝の二人にバレなければ
あたしは大丈夫だから・・・

コスモスと認めたくなかったのか
どもっちゃったけど・・・
いいの、これはコスモスなの

214 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:15


わたしは周りで唖然としていたみんなに睨みながら
心の中で言い放った



 “ いい?みんな。今日だけこの菊はコスモスなんだからね ”


 <<<<<<<< あ、ああああ・・・ >>>>>>>>




 “ 返事はぁっ!!!? ”


 <<<<<<<< は、はひぃ!!! >>>>>>>>


215 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:16


「こ、怖いよぉぉ・・・」
「大丈夫だよ、さゆ、大丈夫」
「えりぃ〜〜」

ごめんね、さゆ・・・
いくらかわいい妹でもひとみちゃんの方が大事なの


「じゃぁ、今日も張り切って収録いきましょ〜〜!」

「「「「「「は、はぁ〜い・・・」」」」」」




収録は微妙な空気の中行われた

216 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:17
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
217 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:18

鞄の横に置かれた、コスモス(菊)の花束・・・
これ、どうしたらいいんだろう
うちの家に、お仏壇は無いし・・・
菊だけとって花瓶にさしたとしても
榊を置くような神棚だって無いし・・・

これ、どうしよう・・・
菊は確かにかわいいの
スプレー菊とかもあるし・・・
でも、この菊は・・・どうも生々しくって・・・

218 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:18


 プルルルルッ プルルルッ ピッ

「もしもし、ママ・・・?」
『どうしたの?急に電話なんかしてきて。』
「う、うん・・・」
『声が落ち込んでるよ?なんかあった?』
「う、うん・・・あのね、驚かないで聞いてね・・・」
『う、うん・・・』
「・・・・・お供え用の菊を、もらったの」
『え!?』
「どうしたら、いいかな・・・」

『誰にもらったの!?』

「ひと・・・ううん、言えない・・・」
『・・・いつの間にお仏壇買ったの?』
「買うわけないじゃ〜〜〜ん!!」
『ん〜〜〜〜』

そりゃママだって困るよね・・・
でも1番困ってるのはあたしなの
捨てれないじゃん?
お花だって命はあるんだし
なによりひとみちゃんから貰ったものだもの

『とりあえず、花瓶に入れていけておきなさい』
「は、はい・・・」



219 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:19


けっこう、これって
長持ちするんだね・・・

水を替え、風通しのよいところにおいてあるからなのか
目に触れないようにしていても
なかなか枯れてくれなくって・・・
本当なら枯れてほしくないから長持ちさせようと頑張るんだけど

今は・・・早く枯れて欲しい・・・









(;T▽T)<おててのしわとしわを合わせて、しあわせ・・・なむぅ・・・

220 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/11(月) 01:20





221 名前:Rink 投稿日:2006/09/11(月) 01:24
短いですが、更新終了です
222 名前:Rink 投稿日:2006/09/11(月) 01:24
レスポンス

>774様
(0^〜^)<ありがとぉ〜!
(;T▽T)<ありがたくない気が・・・
GAM視点はホントいつか必ず・・・w
>名無飼育さん様
(0^〜^)<まだまだいくぜぃ!
よろしくおねがいします

>カナリヤ様
ありがとうございます。
ジッタはやっぱり懐かしい部類なんですかねぇ
小さい頃から聞いてるんで自分の中では懐かしいっていう
感覚じゃないんですけど
(;^▽^)<それが懐かしいっていうんだよ
あ、そっかw
吉澤さん大暴走しますので、引き止めず見守ってあげてください
石川さんはほっといても大丈夫だと思いますよ?w
GAM視点は、というかいしよし以外は本当に書いたことが無いし
読んだことも皆無なので、読者様のイメージを壊さないよう
なんとか頑張って書きたいと思います
短編は、あれは、あれで。なかなかw


>名無飼育さん様
ありがとうございます
(0^〜^)<さんきゅ〜〜!
それにしても、有線・・・偶然ってすごいわ・・・
(;^▽^)<告げちゃいました♪

>名無飼育さん様
(0^〜^)<えへへ〜
アフォというか、多分彼女の脳は全て石川さんに直結してるような・・・
そんな気が致しますw

>名無し飼育さん様
大暴走吉澤さんに振り回される石川さんを
楽しんでいただければと思います

>愛虎様
何を貰っても嬉しいという言葉が真実かどうか
石川さんに証明していただきたいっていう裏の思いが
作者にはあるんですが・・・ある意味我慢レースw
(;^▽^)<デレデレがいつまで続くか不安なんです・・・
223 名前:Rink 投稿日:2006/09/11(月) 01:26
今回の更新は>>199-220でございます
Rinkはいつも1回の更新で50〜100ほど上げちゃったりしちゃうんですけど
この話は、1つプレゼントごと上げていこうと思います

さて、すっとぼけ吉澤さんと、馬鹿なのか愛があるのか石川さんですが
暴走劇場まだまだ続きます!

皆さんこの話を読むときは
昔のCDなりカセットなりを引っ張り出して
例の曲を聴きながら見てくださいね
作者は連日エンドレスリピートで更新しておりますゆえw
224 名前:774 投稿日:2006/09/11(月) 12:17
>>210 で菊って言ってるのは吉澤さんなのでしょうか?
ぃゃキット気のせいですよね・・・
今回もぶっ壊れ気味がかなり面白いです
毎回楽しみにしてます〜
225 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/11(月) 12:18
更新お疲れ様です。
今回の吉澤さんいいですね。

疲れた体に笑がとても。一日の嫌な事を
忘れて眠れます。
226 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/11(月) 15:19
曲名をそのまま作品名に付けるのってどうかと思いますね
227 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/11(月) 16:15
お話の内容ともマッチしているし別に問題ないと思うのだけど…
ちなみにちょっと調べたのですが著作権的にも大丈夫ですよね
228 名前:カナリヤ 投稿日:2006/09/11(月) 21:55
更新お疲れさまです♪
よっすぃー、わざとじゃないよね?w
なぜかあまり縁起のよろしく無いプレゼントが続いておりますが
梨華ちゃんの身に何も起こらない事を祈っています。(苦笑)

>(;T▽T)<おててのしわとしわを…
そういや最近このCMも見かけて無いなとか。w

229 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/12(火) 00:17
更新お疲れ様です。
楽屋が病室で、吉澤さんがもってきた花がゆりの花じゃなくてよかった!
さらに縁起が悪くなっちゃいますからね・・・。
石川さんの愛の深さに頭が下がりますw
230 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/12(火) 05:17




231 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/12(火) 05:18


「ちゃんちゃかちゃーん!」


今日はラジオ放送の日
いつものように、リスナーからのメールを読んだり
カミカミだけど、頑張ってる

232 名前:フロリエンタル 投稿日:2006/09/12(火) 05:19


「さぁここで、生放送中に来たコーナー以外のおはがきです!
 大阪にお住まいのちゃんちゃかネーム、Rinkさん
 石川さん、こんばんは!はいこんばんは!
 私は最近花をよく貰うんですが」


うっ!!
なんてタイムリーなメールなの
そりゃ生放送なんだからね・・・

233 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:20

「石川さんは、どんな花が好きですか?貰ってみたい花束なんかありますか?」


『普通の花なら何でもうれしいです』って答えたい・・・
でもそれじゃラジオになんないし


「そうだなぁ〜・・・何でも好きなんですけど
 最近チューリップがすごい好きで〜
 やっぱり、バラの花束とかも貰ってみたいなぁって思うんだけど恥ずかしいじゃん?
 だからぁ、チューリップかなぁ〜」


もちろんひとみちゃんからだけど♪

234 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:20



235 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:21

今日も一日終わった
長かったなぁ・・・
やっと空いた花瓶はそっと奥に仕舞いこんだ

ちゃんチャミをひとみちゃんが聞いてるとは思えないから
大丈夫だとは思うけれど

でももし、ひとみちゃんが聞いてても大丈夫だと思う
チューリップ!ってちゃんと言ったし、花束ってちゃんと言ったし

チューリップが分からなくても、お店の人に聞くと思うから・・・



次はちゃんとした、チューリップの花束!!
うふふっ!
赤とかピンクの花束を持って
ミスムンの時みたいにお迎え来てくれないかなぁ〜〜!

きゃぁぁ♪ ちょっと楽しみにしておこうっと♪

今日メールしてくれた人にちょっとだけ感謝しなくっちゃ♪


236 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:22
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
237 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:23


  ピーンポーン


「はぁ〜い!」

今日はひとみちゃんがおうちに来てくれる日
外でのデートだと、やっぱり気を使ってしまって
ゆっくりも出来ないし、お話だってなかなか出来ないから

わたしは扉を開けて、先に家に入った


238 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:23


「ひとみちゃん、何飲む〜?」


「梨華ちゃん!!」

満面の笑みをくれるひとみちゃんの背中で
なにかがさがさと音がした

も、もしかして・・・

「この間のラジオ聞いた人が居てさ!」
「え!?」
「ちゃんチャミ!」
「あ、うん・・・」

239 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:24

「梨華ちゃん、チューリップ好きなんでしょ!?」


240 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:25


き、来た・・・
やっと来た・・・

神様、ありがとう・・・
梨華は今本当に幸せです

「だから、お店のチューリップ買い占めてきたの!!」
「ええ!?」

それって凄い数なんじゃないの?
でも、でもうれしい♪♪

わたしはひとみちゃんに抱きついた

「うううううぅ、うれしいよぉぉ」
「ありゃ、もう泣いちゃったの?」

「だって、だってぇぇ」
「泣き虫だなぁ」

ひとみちゃんは左手で頭をナデナデしてくれる

泣いた意味は他にもあるの
だって、彼岸花と菊だったから

やっとまともなお花をもらえるって嬉しくなって・・・


ひとみちゃんはわたしから少し離れるように
一歩後ろに下がった

241 名前:プレゼント  〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:25


「はい!これ!!」



  ガサッ!





「・・・あ、あああ・・・・・・・・」




目の前に差し出されたのは
本当にたくさんの、たくさんの
それはたーーーーーーーーーくさんの



















白いチューリップ



242 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:27


「梨華ちゃん、ピンクの次に好きな色でしょ!?
 アタシピンク好きじゃないしさぁ?」


ひとみちゃんの好みだから、なんだね・・・
ねぇ、ひとみちゃん・・・あのね・・・


「初めてこんなにたくさん買っちゃったよぉ。
 お店の人もすんごいビックリしてたしさぁ!?」


そ、そりゃビックリするよ
だってね・・・

243 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:27
「プレゼントですか?って聞かれたから、はい!!って答えたんだ!
 恋人にですか?って聞かれたから、またはい!って答えたの!
 そしたら、それはちょっとおよししたほうがって言われたんだけど」


そりゃ店員さんも止めるよぉ・・・


「いいんです!!白がすきなんです!って言ったの! 
 そしたらなんかちょっと、かわいそうって目されたんだ」


・・・店員さんも知ってるなら、教えてあげてよ・・・
あのね、ひとみちゃん、あのね・・・
まさか、違うと思うんだけど

244 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:28


「周りの包みも白にしてもらったんだ!
 すっげーくない!?真っ白!!カッケー!」


ひとみちゃん・・・
あのね、チューリップのね
赤いチューリップのね、花言葉はね
「愛の告白」とか「愛の宣告」とか
けっこうロマンティックな花言葉なの・・・

でもね、でも・・・

白いチューリップはね

245 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:29


「はい!梨華ちゃん!どうぞ!!」


受け取りたくない・・・
さすがにコレは・・・

だって
白いチューリップの花言葉は













“ 失恋 ”

なの・・・






違うよね!ねぇ、違うって言って!!!

246 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:29

「う、ううううううう!!」
「どうしたの!?梨華ちゃん!なんで泣いてるの!?」

「うぇぇぇぇえええ!」

嬉しいけど、嬉しいけど、言えないのぉぉ!

「ねぇ、梨華ちゃん!そんなに嬉しかったの!?」
「う、ううう、うううう」

うなずく事も首を横に振ることも出来ない
ねぇ、どうしたらいいんですかぁぁ






プルプルと震える指先で
キレイにラッピングされた真っ白のそれは綺麗なチューリップの花束を頂きました


受け取ったからって、別れるってことじゃないよね・・・

247 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:31

「ねぇ、ひと、みちゃ・・・ぐすっ」
「どうしたの?」

「あたしたち、別れないよねぇ!?」
「何言ってんの!?そんなわけ無いじゃん!」

「ホント!?ねぇ、ホントに!!?」
「うん!」

「好き!!?」
「好きだよ?」

「愛してる!??」
「愛してるよ?」

「うううううううう」










じゃぁなんで白なのよーーーー!!


248 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:32


「なんで泣くの!?嬉しくなかった!?」

「う、ううん・・・り、梨華・・・うれ、しいぃ・・・」


わたしの涙がおさまるまで
ひとみちゃんはずっと頭を撫でてくれていた
そんなにうれしかったんだーなんてニコニコしながら

ぐ、ぐぅぅ

何も言えないわたしは
奥にしまいこんだ花瓶をそっと取り出して
白いチューリップの花束をそっと挿した


は、はは・・・


もう、笑うしか、ない・・・


249 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:32

誰よ、ちゃんチャミにあんなメール送ってきたの!!!
確かRinkとかいうやつだったはず


んもおおおおおおお!!!


覚えてなさいよーーーー!!

もし、もし万が一別れたりでもしたら
一生恨んでやる
何が何でも探し出して、締め上げてやるんだから

口の中に手ぇ突っ込ん(ry








   石川さんの怒りがおさまるまで   
    しばらくお待ちください     
                    

   






;Rink)<ガクガクガクガクッ


250 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:33


当分の間は、お花はいいです・・・

ねぇひとみちゃん
お願い、今度は花言葉も調べて・・・

一応さ、公言してないけどさ
あたしあなたの恋人じゃない?
もう5年近く付き合ってるけど、いまだにラブラブじゃない?
倦怠期だってないし、いつだってラブラブでしょ?

何も考えてないからって言っても
考えなさ過ぎだと思うの・・・

店員さんの意見も取り入れて、ねぇ・・・


く、クラクラする
わたしとひとみちゃんはクラクラディナータイムを送った

わたしの場合は眩暈でクラクラだけど・・・






もうお花の話はしないでおこう









(;T▽T)<なーらんだー、なーらんだー、しーろ、しーろ、しーいーろー・・・

251 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/12(火) 05:35





252 名前:Rink 投稿日:2006/09/12(火) 05:36
更新終了です
今回の更新の最初の3スレほど
『フロリエンタル』になってしまいました

慣れって怖い・・・
253 名前:Rink 投稿日:2006/09/12(火) 05:37
レスポンス

>774様
(;^▽^)<>>210はよっちゃんです・・・
アフォというか、花を知らなさ過ぎだと思う気がして
仕方ないんですが
さらに壊れてきますのでよろしくですー

>名無飼育さん様
ありがたい。笑いを提供できて
作者大変嬉しく思います!
でも今後の展開で爆笑しすぎて近所迷惑にだけは
ホントに注意してくださいねw

>名無し飼育さん様
では、何かいいタイトルをつけてください。
メールでお願いします

>名無飼育さん様
ありがとうございます
過去作品の他作者さんたちのはどうなるのかとも疑問ですが
なにかいいタイトル思いついたら変更しようかなとも思ってます

>カナリヤ様
(0^〜^)<真剣だよ!
その真剣さが逆に怖かったりするんですよねw
今回のプレゼントは更に縁起がよろしくないです
もうこれは自虐大好きな嫁に対して故意としか思えない・・・?
>>(;T▽T)<おててのしわとしわを…
これ、実は読者様に募集かけたんですよw
Rinkはお仏壇の浜屋しか知らないので(関西ローカルw

>名無し飼育さん様
白ユリとかだったら
縁起悪いというか、もう常識の範疇を越えry
それをアフォで許してしまう石川さんの方が
真のアフォな気もしてきましたw
(;T▽T)<頑張る!!
254 名前:Rink 投稿日:2006/09/12(火) 05:39
今回の更新は>>230-251です

さて、次回からは石川さんが壊れだします。
幸薄く鳴り出します。
吉澤さんの間違いは策略のような気もしてきましたが・・・w
(0^〜^)<いつだって真剣だYO!
真剣だそうです。
255 名前:名無し丸の介 投稿日:2006/09/12(火) 08:12
よっちゃん…(ノ∀`)
256 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/12(火) 09:54
更新お疲れ様です。
近所迷惑ではなく・・・。今回は職場で読んでいて
白い目でみられました。 
笑がダメです。この後はにやけつつがんばります。
257 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/12(火) 11:44
綺麗ならそれでいいじゃん。
と、思ってしまう自分は、花を贈るのはやめようと思いますw
よっちゃんもりかちゃんもRinkさんも応援しています(^^
258 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/12(火) 11:45
sage忘れ申し訳ないです・・・。
259 名前:愛虎 投稿日:2006/09/12(火) 22:59
更新お疲れ様です。
花言葉、私はあまり気にしないですけど
プレゼントする時は失敗をしない為に花屋さんに相談してます。
次回、石川さんが壊れていくんですねその時よっちゃんはどうするんだろう?
楽しみにしてます。
260 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:46






261 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:47

しばらくひとみちゃんと一緒のお仕事がなくって
寂しくもあり、ちょっと、ちょっとだけホッとしてた


はぁ・・・どうしてひとみちゃんは
突然花をくれるようになったんだろう・・・

彼岸花・・・菊・・・白いチューリップ・・・
統一性が無さすぎ

262 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:47




  ♪おお〜さ〜か〜 恋のうた〜〜 アーッ


ベランダでぼーっとしていたら
部屋のほうから携帯が鳴った

あの着うたはひとみちゃん!!


  ダダダダダッ   ピッ!

わたしは画面も見ずにボタンを押す


「はい!!」
『お〜〜、どした?息切らして』

やっぱり。声の主はひとみちゃんだった

「う、ううん?」
『そんなに嬉しかったの?』
「うん!!えへへ〜」
『そかそかー。梨華ちゃん、今家?』

263 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:48


わたしはテレビの前に置いてあるソファに座った
目の前では昔のコンサートDVDが流れてる

「うん、そうだよ?」
『やっぱりー。なんか歌聞こえてきたからさぁ』
「あ、うん!タンポポの最後のときのDVD見てたの」
『2期タンポポ?』
「うん、そうだよー」

黄色と白のペンライトが凄くキレイだったのを
今でもはっきりと思い出せる

「これ、綺麗だったなぁ」
『ん?どれ?』
「ペンライト」
『ああー、黄色と白のやつ?』
「そうそう・・・なんか本当にタンポポ畑にいるような気分だったの」
『そうなんだぁ!』




ひとみちゃんの声が気持ち弾んだ気がした
あたし、またなんか言っちゃった・・・?







ハッ!!!
た、タンポポ・・・


264 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:49


で、でも、大丈夫
今はどこを探してもタンポポなんて、咲いてないもん!
はぁぁぁ
あ、焦った・・・
でも、なんとか話をそらせたい・・・

「昔さぁ?タンポポで遊んだりしなかった?」
『ええ?』
「ほら、時計とかさ!」

あえて別のものの名前を出してみよう

『あーー、したかなぁ〜』
「お、王冠みたいなの、作ったり!!」

何こんなに焦ってるんだろう
ひとみちゃんとの会話は楽しいはずなのに!

「綿毛とかさあ、ふーーって飛ばしたりしなかった?」
『ああ、したねぇ。でも今あんまりタンポポって見ないなぁ』
「そうだねぇ、なかなか見かけないなぁ・・・ふーってするの好きだったんだけど・・・」
『そうなの?』
「うん、だって楽しくない?」
『そう、だね』


265 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:49


こうやって話していると普通なのにね、ひとみちゃん・・・
会話はちゃんと出来てるんだよ?

なのになんで・・・



「ね、ねぇ、ひとみちゃん?」
『ん〜?なに?』

「あ、あのね、どうして」
『うん』
「ひが、蓮華とかさ?・・・菊」
『菊?』
「違う!き、きく、く、くけこ!こ!コスモスとかさ?」
『うん』

「と、突然だよね?」
『・・・・・』



ひとみちゃんが黙り込んだ
電話の向こうで静かに呼吸をする音がする

266 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:50


「ひ、ひとみちゃん?」
『だって・・・さ・・・』
「う、うん・・・」
『アタシ、梨華ちゃんに、プレゼント・・・』

あ・・・
それって、もしかして
この間のカラオケの事言ってるのかな

『花は、残んないんだけど・・・でも、思いついたものを・・・』


そっか・・・
ひとみちゃんは本当にあたしの事を思ってくれてるんだ・・・
だから目に付いたものをあたしにくれてたんだ

彼岸花にしても、菊にしても、白いチューリップも
思いついたから・・・
あたしに、プレゼントしたいんだって、思ったんだね・・・

ごめんね・・・
あたし、忘れてた
ひとみちゃんがあたしの事をそんなにたくさん思ってくれてたなんて
今、言われて気づいただなんて・・・
ひとみちゃんの事分かってるようで、分かってなかった・・・


267 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:50

「ご、めん・・・ごめんね・・・」
『なんで?』
「だって、だって・・・グスッ、グスンッ・・・」
『どうしたの?なんで泣いてんだよぉ』
「ひとみちゃ、ぐすっ、んのこと、好き、で・・・」
『え?好きだから、ごめんなの?』
「ちが、うぐっ」
『梨華ちゃん・・・』
「ひと、み、ちゃ、んの、気持ち、分かって、グスッ、なか、うぐ」
『・・・・・』

一所懸命なんとか伝えようとするけれど
声もうわずるし、おなかもひくひくしちゃって
何も喋れなくなる

268 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:51



『分かった!!』

思わず耳を離したくなるほど
ひとみちゃんは大きな声を出した

「ふ、ふぇ!?」
『梨華ちゃん!待ってて!!』


  ピッ  プー、プー、プー

ひとみちゃんはいきなり電話を切った
分かったって、何が分かったんだろう

わたしはティッシュで涙と鼻水を拭きながら
DVDを止めた

269 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:51


久しぶりに泣いたから、ちょっと頭が痛い


それよりメールも電話も繋がらないひとみちゃん・・・
一体何が分かったんだろう・・・

また、なんだか、嫌な予感がするけれど


でも、もうひとみちゃんから貰うものは
全部受け入れようと思うの

たとえ白いチューリップだったとしても
彼岸花だったとしても

彼女からの愛を、受け取れるんだもの・・・



270 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:52



271 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:52


  ピーーンポーン

日にちも変わって、しばらく経った頃
家のドアベルが鳴った

「はーい」
『梨華ちゃん!あたし!』

ひ、ひとみちゃん!?

「ちょ、ちょっとまって!今あけるから!」

オートロックを解除すると
彼女はインターフォンのモニターから消えた

こんな時間にひとみちゃんが来るなんて

わたしはちょっと部屋を片付ける
どうしたんだろう。
こんな急に来ることなんて、今まで無かったから

272 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:53

  ピーンポーン

「はーい!」

 ガチャッ!

「梨華ちゃん!!!」
「い、いらっしゃい。どうしたの?」
「上がっていい?」
「う、うん」

ひとみちゃんは本当にそのまま出て来たみたいで
お風呂上りだったのか、ハットから少し出てた髪が湿っていた

「コーヒーがいい?」
「あ、なんでもいいよ」

やかんを火にかけると
ひとみちゃんの居るリビングに向かった

273 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:53


「ねぇ、急にどうしたの?」
「んと・・・梨華ちゃんにね、プレゼント」


あ・・・き、来た・・・


大丈夫。もう大丈夫だもん
何が来ても、もう驚いたりしない
ひとみちゃんは後ろのポケットの中から
何かを取り出してる





思い当たる節といえば・・・
タンポポ・・・?




そんな・・・タンポポなんて今ごろ咲いてないし
むしろ綿毛なんて、もうとっくに飛んでいっちゃって


274 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:54


「梨華ちゃんさ、タンポポの綿毛好きって言ってたじゃん!?」
「う、ぅ、ぅう、うん!」

落ち着いて!梨華、落ち着くのよ!
大丈夫!綿毛なんて、この季節にないんだから!!







ちょっとまって・・・無いってことは
無いって事は・・・









何か別の物で来るって事よね



梨華!落ち着いて!
息が荒くなってるけど、深呼吸するんだ!

すぅぅぅぅううう、はぁぁぁぁぁああ

よし、大丈夫!


275 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:55


「だから、ほら!!!」


目の前に差し出されたのは
本当にほわほわの、もこもこの



「綿毛!!」

「・・・あ、ああ・・・わ、わた・・・」
















耳かき


276 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:56




ひ、ひ、ひとみちゃん・・・

それはどう頑張っても、ふーーって出来ない、よぉ・・・?





「ねぇ、ふーってしよ!?ふーーって!ベランダから!」






さ、さ、せるん、だね・・・



グイッとわたしの目の前に差し出して
いつものように笑顔をくれる



出来ない・・・ってぇ、言ってんじゃんんん!!



わたしの目からはまた涙が一筋零れた
もう、もう・・・

好きすぎる・・・この人のこと・・・

277 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:58


「はい!!!」
「う、うん・・・うぐ、うっぐぅ、り、梨華、う、れしいよぉ・・・」


わたしは涙をおさえて、ひとみちゃんとベランダに出た



「ふ、ふ・・・ふ・・・」


出来ない・・・出来ないよぉぉおお!!
口から漏れる息で綿毛が揺れるけれど
願いは虚しく、飛んでいってくれない
も、もう、お願い・・・

「ふ、ふぅぅ、ふ、ふ・・・」

278 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:58

「どうしたの??もっとふーってしないとさぁ?」


ねぇ、ひとみちゃん
ねぇ耳かきって分かって、買ったんでしょぉぉ?

なのに、どうして、どうして・・・
もう、もう・・・


「うううぅぅううっ!!」


わたしはまた零れてきた涙を手で拭った
悲しいのか嬉しいのかアホすぎてなのか分からない涙


279 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 22:59

「ほら!!もっとふーーーって!」
「う、うん・・・」



ひとみちゃんの純粋で、汚れない笑顔を見てたら
この笑顔だけはどうしても守り抜かなきゃ
そう思えてきた
あたしは、この人の笑顔を守るためならなんだってする・・・



もう決めたの。今決めたの





あたし、アフォになる


280 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:00


わたしはひとみちゃんの顔の前に腕を伸ばして
向こうの方を指差した


「あ!!ひとみちゃん!!あれなに!?」
「え!?」


  ブチッ!!

ひとみちゃんが向こうを向いた瞬間
わたしは見つからないように綿を引きちぎった


「なんもないじゃーん」
「エヘヘ、ごめんね〜?なんか光った気がしたんだぁ〜」
「そっかぁ〜、UFOだったらカッケーんだけどなぁ」
「そうだね!」


綿がちぎられた事をひとみちゃんに悟られないように
耳かきの上のほうをしっかり握って
握り締めた指の上に綿をそっと乗せるように置いた
もちろんコッソリ

281 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:01


「んじゃ、ふーってするね?」
「うん!!」

「ふーーーーっ」

綿は固まりのまま、マンションの下へと
姿を消していった

「わーーー、すっごーい!!」
「ほんとだ!」
「風に乗って、どこまでも飛んでいってねぇ〜〜!」

わたしは綿に向かって手を振る
ひとみちゃんはベランダの柵に捕まって、落ちていく様を見届けた


282 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:02


「・・・でもさぁ」
「え!?」

笑顔で部屋に入ろうとするわたしを彼女は引き止めるように
ベランダの柵を覗き込んでいた身体を引き起こした

な、なに・・・?


「綿毛ってさぁ、ああやって塊で飛んでいかないよねぇ?」


飛ぶっていうか、どっちかっていうと落ちてるんだけどね


「しかもさぁ、普通、上に向かって飛ばない?」



そういうことは鋭いんだね・・・





なのに、なんで耳かきだって、気づかないのよぉぉ!!

283 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:02


「そ、そうかな??」
「ん〜〜、まあいいや!!」
「ホッ・・・」


一安心したわたしは、やかんのお湯を止めようと
中に入ろうとしたら






「あと二本取ってきたから!!」






そ、そんなに買ったんだ・・・
コンビニの耳かき、買い占めちゃったんだね




そんなことより、ひとみちゃん


『取ってきた』っておかしいからぁぁぁ!!


レシート絶対持ってるでしょぉぉ!?
お金払ったでしょぉ!!?


284 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:03


「はい、どうぞ?」
「あ、あああ・・・ありがとう・・・」


塊のまま飛ばしちゃ、ひとみちゃんが傷ついちゃう


もう、いいの・・・
あたしなんだってするから・・・

でも、でも・・・





細工が必要だわ・・・

285 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:03


「ひとみちゃん、綿毛もらっていい?」
「うん、もちろん!」
「でも、ちょっと、お手洗い行って来る」
「あ、うん!!」

わたしはひとみちゃんから綿毛(耳かき)を受け取ると
キッチンに行って火を止め
はさみを掴んでトイレに向かった


286 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:04


「ひとみちゃんにばれないように、バレないように・・・」

  ブチッ!!  ブチッ!!

「ひとみちゃんを傷つけちゃだめ・・・だめだよ、梨華・・・」

  チョキチョキ、チョキチョキ

ちぎった綿をハサミで細かく切り刻む
これで、大丈夫だと思う・・・
よし・・・


飛ばないように、吹く形のままトイレから出る
そっと手で伏せながら
ひとみちゃんの居るベランダに戻った

287 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:05



「おかえり〜」
「た、ただいま!」

「タンポポ飛ばす!?」


キラキラした笑顔

いいの・・・あたし、その笑顔を見られるのなら・・・
幸せになれるから・・・


「う、うん・・・飛ばすね・・・」

握り締められた二本の耳かき
その上に乗せられた細かくなった綿

「ふ、ふ、ふぅぅぅううう」

綿は風に乗って、キレイに飛んでいった

「お〜〜、きれ〜〜!」
「う、うん・・・綺麗だね・・・」


耳かきを握り締めたまま、わたしは顔を手で隠した

流れる涙をひとみちゃんには見られたくない・・・



288 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:05


「どうしたの?梨華ちゃん!」
「う、ううん、なんでもないの・・・」
「なんで泣いてるのぉ!?」

「い、命の尊さを、知れたから・・・う、うううう」

「ホントだねぇ!すごいなぁ・・・頑張れよぉおお!!」
「頑張れ・・・頑張れぇ・・・」





頑張れ、あたし・・・うううう


ひとみちゃん、あなたはもう、頑張らないで・・・お願い・・・


289 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:06


夜中なのにも関わらず、ひとみちゃんは大きな声で
綿毛に手を振りながら応援してる

わたしは頑張れ頑張れと、自分に励ましを送った


もう、涙が、止まりません・・・







(;T▽T)<♪タンポポの様に光れ〜〜


290 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:07




291 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:08



あたし、学習したの

花の話題は、もう出さないって。


ひとみちゃんの頭は、時々ぶっ飛んだ事を考えるらしい
でも学習するって事には、とんと薄いらしくって・・・

あたしもバカなんだろうけれど
ひとみちゃんは違った意味で、線が切れてるみたい・・・
飯田さんとはまた違うジャンルみたい


292 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:09


でもね、そんなことよりも
いつもひとみちゃんがあたしにプレゼントを持って来てくれるときの
あの、屈託の無い、汚れなんて一つも知らないような、笑顔

あたしはその笑顔が見れるなら
本当に何をしてもいいと思ったの
ひとみちゃんはあたしの事を思って持って来てくれる



ポジティブに考えれば

この世の中に
彼岸花やお供え用の菊や耳かきをプレゼントする恋人が居る!?

居ないでしょ!?

居たら言ってきてよ!
あたしの方が愛されてるって自信あるから!!


293 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:10


しかも・・・しかもだよ?


あたし、石川梨華なの・・・

一応、テレビに出てて、それなりに頑張ってる子なの
もう大人の仲間入りしたの

その石川梨華にだよ!?

あの吉澤ひとみがだよ!?

モーニング娘。のリーダーで、ガッタスのキャプテンで
家は名家だと聞いています
ご実家はすごい家だと聞いてます
社長令嬢らしいです。っていうかそうだし・・・

そんな吉澤ひとみからだよ!?



294 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:10


わたしは棚の上に置かれた、竹だけになった耳かきを見つめた


そう・・・ひとみちゃんから貰った耳かき

三本もあるね
一生使いまわし出来るね

ひとみちゃんとの子どもが、もし授かったとしたら・・・
孫の代まで引き継げるね・・・


素敵・・・

ひとみちゃん、そこまで考えてくれてたんだねっ!!


295 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:11



「はぁぁぁぁああ・・・・・」



まるで魂も一緒に抜け出しそうなため息が出た

そんな事思えればいいけど・・・

子どもなんて出来るわけないし
その前に彼女があたしと一生添い遂げてくれるかなんてのも微妙だし・・・

あたしとひとみちゃんは、生まれ変わる前から出会ってた
占いでそう出ていたけれど・・・

放浪の占い師と旅役者だったっけ・・・

占い師だもんね・・・やっぱり突拍子も無い事言うのね・・・
あたしはそんなあなたに占われてはおどけた役をしていたんだろうね・・・


いいの・・・いいの・・・

ひとみちゃん・・・

やっぱりあなたの事、大好きだから・・・


296 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:11
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
297 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:12


また一日が過ぎ、一日が過ぎ
今日はハロモニの収録。
ひとみちゃんと会えるのはうれしいけれど
モーニングのメンバーとはあれ以来顔を合わせにくくなってる

バカップルってさ?
普通イチャイチャしてるようなカップルの事じゃない?

でもね、あたしとひとみちゃんは

 “ バカ ”

それだけなの・・・
ちっちゃい『つ』と『プル』がどっかに行っちゃったみたい・・・

ハハッ・・・いいんだ・・・


どうせみんなには、ひとみちゃんのあたしに対する
愛の深さなんて分かりっこないんだから!
あたしだけ分かってればいいの!!


298 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:12

わたしは台本に目を通す
司会をするようになって、ちゃんと仕切らなきゃって
思うようになったから。

結構司会って大変なんだよなぁ・・・


ペンでチェックを入れながら
隅っこに落書きをした
わたしが書く落書きは、いつも同じで
うさちゃんしか書けない

ひとみちゃんは絵の才能もあるみたいで
サクサク書いていく

彼女って意外と芸術肌だったりするのかなぁ・・・

お願いだから交信だけはしないでね

299 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:13

  トントンッ

「はーい!」
「りかちゃーん?」

扉からヒョコッと顔を出したのは
わたしの恋人、ひとみちゃんだった

「どうしたの?」
「どうしたのって・・・冷たいんだなぁ?」
「え?」
「だって楽屋にも来てくれないしさぁ?」

あ、それはね・・・ひとみちゃんに会いにいかなかったんじゃなくって
他の子達が会いたがらないだけなの
わたしの事を怯えながら、時々冷たい目線を送るからなの・・・

「ごめんね?」
「ううん、いいんだ!はい!これ」

  ビクッ!!

最近、ひとみちゃんの「はい!これ」って言葉にビクビクするようになった
また何を出されるのかってちょっと怖くって・・・
前フリがちゃんとあれば、大丈夫なんだけどね

ひとみちゃんが渡してくれたのは、レモンティーの缶だった

300 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:14


「あ、ああ・・・ありがとう」
「いいえ〜」

よいしょと言いながら、わたしの隣に座る

ひとみちゃんはジューッとジュースをすすりながら
わたしのチェックしていた台本をススッとずらして見入った

「梨華ちゃん、まめだねー」
「そう?」

ネイルのせいでプルタブをあけるのにあくせくしてると
ひとみちゃんは台本に顔を向けたまま
何も言わずにカコッと開けてくれる

ほらぁ、ね?

さりげない優しさ
わたしにしかくれない暖かさ

こう言うところにわたしは惚れちゃったの


 こう言うのばっかりだといいんだけど・・・


心のどこかから聞こえてきた声を掻き消した


301 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:14


「だって司会だもん。頑張らなきゃって思うの!」
「あはは!梨華ちゃんホントに頑張りやさんだね!」

ひとみちゃんは頭を撫でてくれる
もう、照れちゃうよぉ

「でも、この落書きはなんだぁ?」
「ああ、うさちゃん」
「見れば分かるって・・・まぁ、息抜きもたまにはいるしね」
「うん」
「それにしても梨華ちゃん、ウサギしか書けないよね」
「いいじゃん!ウサちゃん好きなんだもん!」



  キラッ



ひとみちゃんの目が光った気がした



え・・・え!?
気のせいだよね??


ウサギから話をそらさないと!!



302 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:15



「しょ、小学校の時とかね?飼育係してたの!飼育係!」



  キラキラッ!



あ・・・ああ・・・気、のせいじゃないかも・・・
ひとみちゃんはわたしにかぶりつく勢いで
目を輝かせながら

「もっと聞かせて!ねぇうさぎの話もっと聞かせて!!」

わたしの太ももに手を置いて、おねだりするように
顔を近づけてくる


あ、ああ・・・飼育係って強調したのにぃ・・・

303 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:16


「う、うさぎ、白と、まだらと、黒の、う、さぎさん・・・」
「梨華ちゃんはさ!そのなかで何色のウサギが好きだったの!?」
「えあ、あっと、えっと・・・し、白?」
「やぁっぱり〜〜?」

ね、ねぇ、何がやっぱりなの??


「梨華ちゃん白好きだもんねぇ〜。なるほどなぁ〜」


ねぇ、何がなるほどなの!?
何になるほど納得しちゃったのよぉ!?


「そっかそっか、うさぎさんかぁ〜!」


もしかして墓穴掘っちゃった?







「よおっし!!買ってくる!!」

「まってぇぇぇぇ!!!」



304 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:17

  ガタンッ!!  ギュウゥゥゥ!!!

「な、なんだよぉ」
「アナタ、待ってぇぇぇ!!」

勢いよく立ち上がったひとみちゃんの腕を
めいいっぱい引っ張った

「トメ子、止めるな!!」
「トメ子止めます!!」

お願い、今は行かないで!!
せっかくセットしてもらった髪を振り乱しながらも
首をぶんぶん振って彼女を止める
もうすぐ収録始まるんだし
それに、それに

「うさぎは、ねぇ、うさ、うさぎは」
「なに?白いうさぎでしょ?」
「買ってこないで・・・お願い・・・お姉ちゃんがウサギ苦手なの」
「え!?そうなの?」

心苦しい嘘をついてしまった
お姉ちゃん、ごめんなさい

305 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:18

「それに、そんなお金使わなくていいから・・・」
「梨華ちゃんへのプレゼントだし!」
「いいの!いいのぉ!!お願いぃぃ!!!」
「どうして!?」
「どうせならウサギのぬいぐるみにしてぇぇ!」

力じゃ断然ひとみちゃんのほうが上だってことは分かってた
だからもう情に任せて落とすしかない


「ねぇ・・・お願い・・・」


ひとみちゃんはわたしの上目遣いに弱い
だから思いっきり目を潤ませて上目遣いでひとみちゃんを見た

プルプルしてる、行こうかどうしようか迷ってる

いいよ、いいよ梨華!
この調子で、もう一押しだ!

306 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:18

「ねぇ・・・ひとみちゃん・・・ね?」
「う、ううう・・・」

「ひとみちゃんがそばに居てくれたら、あたし、それでいいの」
「う、うぐうぅううう」

「ねぇ、お願い?」




  グイッ!!  


  チュッ♪




ひとみちゃんの腕を両手一杯の力で引っ張って
キスをした

こんな時になんて、したくなかったんだけど
こうでもしなきゃ、止まってくれない



307 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:19



「・・・分かったよぉ・・・」


はぁ・・・よかった・・・


「買ってこないから・・・」


彼女は照れながら、中腰だった体勢から
ストンッと隣に座った




「うん・・・」

わたしは彼女の肩に頭を凭れさせて
そっと寄り添った
ひとみちゃんは頭をずっと撫でてくれる

うん、これがいいの・・・


「分かったよ」

「うん・・・」


これがいい・・・




308 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:19



309 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:20


収録を終え、美勇伝のラジオも終わり
ほっと一息。家に帰ってぐったりする

これは仕事の疲れからじゃないと思うんだ
最近目の下のクマがひどい気がするのは
多分・・・


ううん、違う!
ひとみちゃんのせいだなんて誰も言ってないよ!?
梨華、何言ってるの!!

しっかりしろぉ!

310 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:20


 パンパンッ!

ほっぺたを軽く叩いて、気合を入れなおした

ひとみちゃんを傷つけちゃだめ
あんな素敵な笑顔をくれてるのはあたしにだけ
だから、あたしも笑顔じゃなくっちゃ!

「よぉっし、がんばろっと!」


パックを念入りにして
ゆっくり寝よう

明日はひとみちゃんと夜から会えるもの
久しぶりのデート
寒くなってきたから、おうちでゴロゴロまったりしよっと
夜ご飯は、お鍋とかがいいかなぁ〜


311 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/13(水) 23:21





312 名前:Rink 投稿日:2006/09/13(水) 23:22
更新終了です
313 名前:Rink 投稿日:2006/09/13(水) 23:22
レスポンス

>名無し丸の介様
( T▽T)<ひとみちゃん・・・
(0^〜^)<ん?

>名無飼育さん様
職場とか!w
気をつけてくださいね、マジで

>名無飼育さん様
いやいや、花は贈られるとうれしいものですよ?
でも、ただ、あれは・・・ひどすぎるw
( ^▽^)0^〜^)<応援 ありがとうございます!

>愛虎様
おお、お花屋さんに相談とは
吉澤さんに教えてあげたい
(;^▽^)<よっちゃん、変わらず爆走してるの・・・
誰か止めてあげてくださいw
314 名前:Rink 投稿日:2006/09/13(水) 23:23
今回の更新は>>260-311です

壊れてきたでしょうか?どうでしょうか
次回はちょっと長くなるので、今回嵐の前の静けさ更新ってことにしました。


それにしてもこの石川さんは凄いわ・・・w
315 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/14(木) 00:18
更新お疲れ様です。
いい具合に壊れてますよ!イイっす!
よしざーさんの暴走っぷりがとっても素敵w
だけど、いしかーさんの愛の大きさのほうが素敵!
316 名前:774 投稿日:2006/09/14(木) 00:40
ちょwww面白すぎwww
思わず ニヤ(・∀・)ニヤ しちゃいました
しかしコレほどまで壊れるとは・・・l||li _| ̄|○ il||li
けどまだまだ壊れていくんですよねキット・・・
期待してますねー
更新お疲れ様でした。
317 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/14(木) 00:50
>(;T▽T)<おててのしわとしわを合わせて・・・
作品に使われてる!!なんか感動です。
それにしても「バカップル」と「バカ」「ップル」の違いって・・・笑
このままガンガンいっちゃって下さい!

318 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:00





319 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:01


次の日、朝から晩までみっちり詰まったスケジュールをこなす
ひとみちゃんとまったり出来ると思ったら
仕事も張り切れちゃう!

全ての仕事を終え、携帯をチェックする
朝入ってきたおはようメール以来
彼女からのメールはない


ん〜〜、お仕事頑張ってるってことだろうから
邪魔しないようにしなきゃ


『おうちでご飯作って待ってるからね〜!今日はお鍋だよー!』


  ピッ

送信終了っと!
わたしはみんなとのおしゃべりもそこそこに
足早に家に向かう

320 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:01

その前に近所のスーパーで買い物をする
とっても小さなスーパーだから
いつの間にか店のおばさんたちと仲良くなっちゃった


「おう!梨華ちゃん!いらっしゃい!」
「こんばんは〜!」

近所の商店街にある鶏肉やさんのおじさんとも顔なじみ
「( ^▽^)<お〜にく〜〜!」のポスターも
色褪せてはいるけれどいつまでも貼ってくれてる

「ん〜、もも肉がいっかな〜」
「水炊きでもするのかい!?おまけしてやるよー!」

持ってけ!と
わたしの言ったグラムよりも大幅におまけしてくれた
もう、そんなことしちゃったら、また奥さんに叱られちゃうよぉ?

「ありがと〜!」
「また来てくれよー!」

321 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:01

鶏肉は大丈夫だけど、鳥はだめなんだよねぇ・・・
なんの因果なんだろう、はぁ・・・

今日はお野菜も安かったし、お肉もおまけしてもらえちゃったし
なんだかいい日だなぁ!
早く帰って変身しなくっちゃ!
この間買ったピンクのエプロンつけて
奥様になっちゃうんだ♪

ひとみちゃんに「ただいま〜!」って言ってもらうのが夢なの。
いつ来ても「おじゃまします」だもんなぁ

いつか、ただいまって言ってくれるような
ちっちゃくていいから、赤い屋根のおうちに住みたいなぁ
ひとみちゃんと、あたしと、犬とか飼いたいなぁ




322 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:02


家に帰って着替えを済ますと
さっそく夜ご飯の支度をする
支度って言っても、野菜を切るだけだから
お鍋って好きなんだぁ
野菜もたっぷり食べられるしね♪



 ♪梨華ぁ〜、アタシからのメールだよー!


準備も終わって、テーブルの上をセットしていると
ひとみちゃんからのメールが届いた

いやいやながらもひとみちゃんは声を入れてくれたの
それをひとみちゃんだけのメール着音にしてるんだぁ♪


  ピッ

『ちょっとてこずってて、遅くなりそう。
 でも一緒にご飯食べたいから、待ってて!ごめんね!』


てこずってる?
仕事押してるのかなぁ・・・


『お仕事お疲れ様♪ 待ってるから気にしないでね!』


送信っと。

323 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:03



 ♪梨華ぁ〜、アタシからのメールだよー!


は、早い・・・
仕事じゃないの?


『お鍋楽しみにしてて!!』




ど、どういうこと!?
ひとみちゃんもお鍋作ってくるの?
まさかね・・・


ま、まぁ、いいや。
楽しみにしておこうっと





324 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:03


  カチッ カチッ カチッ カチッ


時計を見ると、夜の9時半を回った
さすがにおなかもグーグー鳴り出してる
ん〜、ひとみちゃん遅いなぁ

さっき「まだかかりそう?」ってメールを送ったんだけど
それから返事がこない

電話の電源も切れてるのか、ずっと繋がらないし
不安というか、心配になってきた







  ピーンポーン

ああ、やっと来たぁ!

  ガチャッ

「はあい?」
『ごめん!遅くなって!』

オートロックを解除すると
またひとみちゃんはダッシュしたのか
あっという間にモニターから姿が消えた

んも〜、遅いんだからぁ!


でも、さすがだね、ひとみちゃん
あたしをこんなにも笑顔にするんだから


ガスコンロの火をつけて、おなべを温める


325 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:04


  ピーンポーン

「はぁい!」
「おじゃましまーっす!」
「んも〜〜、たまにはさぁ?」
「なに?」

ひとみちゃんは、いつも持っていないおっきなリュックを背負っていた
どうしたんだろう。お泊りするのかな?
もーー、やあだぁぁ♪
梨華、寝れないじゃない♪

「ううん、いいの♪」
「あ・・・えっと・・・ただいま」

ほらね?こうやって察知してくれるの
ひとみちゃんはわたしのことが好きで
わたしはひとみちゃんのことが好き

だからこうやって幸せになれる


「おかえり♪」


  チュッ♪


「寒かったでしょ?」
「うん!外に3時間もいたからさぁ」
「え!?ロケだったの?」
「ううん、違うよ?」


玄関からリビングまでの距離も
手を繋いで移動する





でも、ひとみちゃんの言葉が
とっても引っかかった

326 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:04


「と、とりあえず、座って?もう準備出来てるから」
「あ、うん・・・」

ひとみちゃんはリュックをそっと肩から外して
ソファの上に置いた





  ガサガサッ





えっ!?
リュック揺れてない?

気のせいだよね
置いたときの振動で揺れたんだよね


327 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:05


「梨華ちゃん!!」


キッチンでお茶をいれようとした私を
ひとみちゃんは呼び止めた

この引き止められ方、とっても懐かしい気がする・・・
それに、とっても嫌な予感がするの・・・




「ちょっと来て!」

キッチンカウンターから彼女の顔が見えた
満面の笑みで私を手招きして呼ぶ

これって、もしかして・・・




「な、なあに?」



328 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:06



「梨華ちゃんにね!プレゼントがあるんだ!!」



き、来た・・・

今度はなによ、なんなのよ・・・
アタシしばらく余計な事は言わなかったはずだよ!?


ひとみちゃんの向かいに座ると
彼女は嬉しそうに後ろに置いていたリュックのジッパーを開けた

  ゴソゴソ、ゴソッ

何かを取り出してるみたいだけど
大きな背中で見えない


「えへへ〜〜」

首だけをこちらに向けて、笑顔なひとみちゃん
アタシ、アタシどうしたらいいんだろう・・・

「な、なあに?」


「はい!!!」

後ろ手にもっているものを
グイッと私の前に差し出した



それはとっても白くて、ふわふわしていて
ちょっと小さめの

















ウサギ










ぬいぐるみって言ったのにぃぃぃ!!!

どうして、ナマモノ持ってくるのよぉ!!!


329 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:07


「ひ、ひとみちゃぁぁん!!」
「ほらぁ!かわいいでしょ!?」

彼女はウサギの耳を手でガシッと掴んで
わたしの前に差し出す

「ひ、ひとみちゃん!!!だめだよ!うさぎさん耳痛い痛いだよぉ!!」

「あ、だめなの!?この持ち方」

それは狩人さながらの、とってもワイルドな持ち方で
彼女の背中に猟銃が見えた気がした


「かわいくない!?」
「か、かわいい、け、けど・・・ぬ、ぬいぐるみの方が・・・」
「生きてるほうがいいじゃん?」
「そ、そうだけど・・・」

330 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:07





「お鍋にピッタリ♪♪」






お鍋にピッタリって・・・ことは・・・



「だめぇぇぇぇぇえええええ!!!」



331 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:08


「どうして?」
「どうしてって、う、うう、うさ、うさ、うさぎさん、た、食べるの!?」
「だめかな?」
「だめだめだめだめだめだめだめぇぇぇぇえええ!!」

「なーんだ、おいしそうじゃない?」
「そう言う問題じゃないのぉぉ!!!」


「んじゃぁ、ペットだなぁ、お前」

うさぎさんはすっかり大人しくなっていた
かなりひとみちゃんが怖かったんだと思うの
怯えてるように見えたから


332 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:08



「梨華ちゃんさぁ、ウサギ好きって言ったからさぁ?」
「言った、言ったけど・・・」

「買わないでーって止められちゃったからさぁ」


え、ええっと
買ったんじゃないって、こと?


「アタシ、3時間も待ってたんだよー?」


ど、どこで?
どちら様のお宅の前で待ってたの?ひとみちゃん・・・
もしかして、ペットショップの前で・・・


ねぇ、ウサギさん
あなたはどちらのウサギさんなの?


赤い目と私が見詰め合う
まるで同志のような友情がこのとき芽生えた気がした


333 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:10


「ね、ねぇ、ひとみちゃん?」

両腕でウサギさんを抱きしめるひとみちゃんに
聞きたくないけど聞かなきゃいけない事を聞いた


「ん?なあに?」
「こ、このウサギさんって、ね?」
「うん!」


「ど、どちら様のウサギさん?」


こ、怖い・・・
聞くのが怖い

お願い!野生だと言って!!
この際、もういいから買ってきたって言って!!




















「近くの小学校!!」









マジカ━━━━━━ ;T▽T ━━━━━━!!!







は、は、は、は、はぁぁぁぁあああああ!!







犯罪じゃないのよぉぉぉおおおお!!!



334 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:10


「小学校ってさぁ、閉まっても人居るからさぁ?」


そ、そりゃ居るよぉ!!


「だから、静まり帰るまで待ってたんだー
 塀乗り越えて校庭の隅っこ走ってさ!」


け、計画的犯行ぢゃないのぉ・・・
3時間潜んでたってわけ!?


「鍵とかさ、紙クリップで開けてさ!マジで開くんだね!
 超カッケーーー!!楽しかったよ!
 なんか、泥棒みたいだったー!!」



それを泥棒って言うんだよぉぉ!!





ぐつぐつとおなべが煮えだした

335 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:11


「はい、梨華ちゃん!!」
「あ、ああ・・・ああ・・・」

これって、犯罪を唆したことになるのかな
こう言うのってなんて言う罪になるんだろう



( `.∀´)<教唆犯ね








「あり、がとう・・・梨華、うれしい・・・」





 =======================

 ちなみに石川さんが罪に問われるとすれば
 窃盗の教唆犯になります。
 
 教唆犯とは、犯罪の決意の無い者に
 特定の犯罪をそそのかして決意させ
 そのものに実行行為をさせる者

 唆した人間は窃盗の教唆犯(窃盗罪)になる
 ほぼ同罪という感じですね

 川o・-・)ノ<完璧です!

 =======================


336 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:12


わたしとひとみちゃん、そしてウサギさんは
遅めの夕飯をとることにした

ちょっと寒いだろうけど
ウサギさんにはしばらくの間ベランダで居てもらうことに。

お鍋に入れる白菜をちょっとおすそ分け

モソモソと食べてる姿を
わたしは涙ながらに見つめて、そっと扉を閉めた

337 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:12

  ガラガラッ ピシャン

「あいつの名前、何にするかな〜〜」


やっぱり飼うんだね・・・
その方向で話を進めるのね

しかもうちで飼うんでしょ?
名前なんて決めなくていいよぉ

もう、ウサギさんは返すの!!
小学生が泣いちゃうでしょ!!


私が1番泣きたいよぉ!!


「えぐえぐ、ううっぐ、うぐっ」

鶏屋さんのおじさんの顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えした
どうしてあのおじさん以上の笑顔なのに
することはこんなぶっ飛んでるわけ!?
しかも、しかも・・・

犯ざry  もう口にもしたくない!!


338 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:12



339 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:13


ご飯を食べ終わった後、本当なら二人でラブラブするはずだったんだろうけど
わたしはひとみちゃんを何が何でも寝かしつけなきゃいけなかった

「え!?梨華ちゃん、今日はしないの・・・?」
「う、うん・・・だってひとみちゃん疲れてるでしょ?」

「んじゃぁ、たまには添い寝して寝よっか?」
「う、うん」


ひとみちゃんはお仕事の疲れもあったせいか
お風呂に入ってベッドに横になった途端
わたしを抱き寄せると
スースーと寝息を立て始めた







  パチッ  チラッ

「・・・やっと寝やがった・・・」

彼女の胸に埋めていた顔をそっと上げる
こうやって見てると、ホントカッコいいし、綺麗だし
わたしだけのひとみちゃん・・・


  チュッ


寝息を立てる彼女の唇をそっと奪った




さて・・・
行きますか・・・

340 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:13


わたしは彼女を起こさないようにそっとベッドから出る

静かに、静かに着替えを済ませて
リビングからベランダに出た


「ごめんね・・・」

ぎゅっとウサギを抱きしめる

「アフォな旦那様なの・・・ほんとごめんね。
 お友達のところに返してあげるから、じっとしててね」

ウサギはわたしの言葉が通じたのか
きゅーんと言いたそうに、うずくまった

ひとみちゃんが持ってきたリュックにウサギさんを入れる

「ちょっとの間だけ、我慢しててね」


  ジー―ーーッ

ジッパーを閉め、揺らさないように背負うと
わたしはだてメガネと帽子をかぶり

そっと家を出た


341 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:14
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
342 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:14


近くの小学校と言えばここしかないのよね


真っ暗な小学校の門の前

ここから飛び越えるのはかなり危険度が高い
ちょっと一週してみよう


学校の周りをテクテク歩く

時間は夜中の3時
かなり怪しいわたし
でもウサギさんを返しさないと、朝になったら大騒動
そしてわたしは犯罪者・・・



いやぁぁぁぁぁあ!

頭を抱え込んでしゃがみ込んだ


343 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:15


すると小さな穴が

そこは校庭に繋がるフェンスに
誰かがいたずらであけたのだろうか
こども一人がなんとか通れる隙間があった

いいよ、ここから入ってやろうじゃないの
リュックを肩から下ろし、先に穴に通す


「んぐっ・・・け、結構、小さい・・・いたた!」


  カシャンッ!!

  ギクッ!!











  シーン・・・



「ふぅ・・・」


なんであたしがこんな事しなくちゃいけないのよぉ
変な汗が流れてきた
これじゃ、本当に泥棒さんじゃない・・・
もしくはねずみ小僧?
っていうか、盗ったものを返しにきてるんだから
泥棒でもねずみ小僧でもないんだけど・・・

344 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:16

なんとかフェンスをくぐって
校庭の隅っこを歩く

鉄棒やうんていが並ぶ脇を通って
校舎の隅のほうにあった、小屋を見つけた

あ、あれかな・・・


暗闇ではっきりは見えないけれど
柵に覆われた小屋があった



  キィッ


柵の中には入れたんだけど、小屋にはしっかり鍵がかかってある

これ、ひとみちゃん紙クリップで開けたって言ってたよね
あの人、なんでそんな器用な事出来るのよぉ


家から持ってきた紙クリップを長くのばして
鍵穴に突っ込んでみる

  ガチャガチャッ


そんな簡単に開くはずが・・・





  ガチャガチャッ     カチャッ




あ、開いちゃったよぉ・・・


あたしももう、犯罪者の仲間入りなのね・・・

345 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:17

リュックを降ろして、中からそっとうさぎさんを出す

「ごめんね・・・もうこんな事ないようにするからね」

仲間のもとへと返してあげると
白ウサギは小屋の隅っこにいた仲間たちのもとへ
文字通り、脱兎の如く駆けてった


「ふぅ・・・」


一段落・・・

もう、ひとみちゃんのせいで・・・

でも、元はと言えばわたしのせい
だから仕方ないの

誰も責められない、誰も悪くない・・・

悪いのはそう、このわたし・・・



  キィッ パタンッ


扉を閉め、鍵をかけた




サクサクと土の感触を踏みしめながら
小屋の周りを囲っていた柵を出た


346 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:17


   バッ!!


「誰だ!!!!!」


後ろからライトで照らされる

「え!?」

わたしは思わず振り返ってしまった

眩しくて手でライトを隠すけれど
相手の顔は見えない

多分、小学校の警備員さん・・・?


でもそんなことよりも先に
頭の中に瞬時に過ぎった文字













 『美勇伝 石川梨華、校庭に忍び込み、未明逮捕』













い、い、い









いやぁぁああああああああああああああ!!!!!!!!!!



347 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:18



「こら!まて!!!」

「コケッ!?」


ウサギ小屋の隣が鶏小屋になっていたためか
ライトに反応した鶏が暴れだした


い、い、いい、いい







いやぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!



348 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:18



  バッ!! シュタタタタタタッ!!

わたしは脱兎の如く
本当に飛び跳ねるように校庭をダッシュした

「おい!こらまて!!!ウサギ泥棒!!」
「違う!違うのぉぉ!!!」

「コケーーーーーー!!!」


  ダダダダダダッ!  シュタタタタタッ!
  バサバサバサッ!!


「きゃぁあああああ!!!」
「待てぇぇぇぇぇええ!!!」

「ココココココッコケーーーーー!!!」


「違うのぉぉ!!!盗んでないーーーー!」
「コラ!!待てぇぇえええええ!!!」
















「返しに来ただけええええええ!!!」






349 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:19















   チュンッ  チュンッチュンッ




「あ、朝だ・・・」


何とか警備員さんから逃れられ
わたしは近くの公園でぐったりしていた

時計を見ると、朝の5時前

もう、いや・・・



走りすぎて、叫びすぎたおかげで
喉がカラカラになっていた

「喉渇いた・・・」

家に帰る途中、道すがら自動販売機でスポーツドリンクを買う


 ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ


仕事の後の一杯は美味しいのね・・・
あたしはもう、こんな風に味わいたくないけれど


フラフラになりながらマンションまで向かう


350 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:20



  バルルルルッ キィ

「すいませーん」
「へ!?」

後ろから声をかけられ振り返ると




け、け・・・



警察!?!???

ああああ もう、終わり・・・



お父さんお母さん、ひとみちゃん・・・

社長、三好ちゃん、岡田ちゃん・・・

ごめんね・・・


あたし、塀の中に入るかも・・・




でもダメ!!
あたしはなんにも悪い事してないもの!
ここは平静を装うのよ!!

ひとみちゃんが待ってるんだもの!
おうちじゃ愛しのひとみちゃんが待ってるもの!!

351 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:20

「ちょっとお尋ねしたいんですけどー」

バイクを止めて降りると男性警察官がわたしに近寄ってきた

「はい・・・」

「今朝方、近くの小学校に泥棒が入りまして」
「え!?」

「目撃情報がないか、いま聞いてるんですが」

「あ、はぁ・・・」

やっぱりあれって泥棒なんだ・・・
被害、何にも、ないじゃないよぉ・・・


「こんな朝早くからお出かけですか?」

「あ、ええ・・・まぁ」
「お嬢さん、家出とかじゃないよね?」

「ち、違いますよ!」

お巡りさんはわたしの背中に背負っていたリュックの大きさを見て
そう思ったんだと思う

こんなおっきなの背負ってたら
家出か、ウサギ泥棒しかないもん

352 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:21



「あなたお名前は?」
「ふぇ!?」
「名前」

職務質問されてるじゃないよぉ!!!
これって完璧怪しいって思われてるじゃん!!


わたしは帽子とメガネを取って
お巡りさんをじっと見つめた





お願い、気づいて
これでもテレビに出てるの

ねぇ、わたしを見て
じっと見て・・・





ねぇ、ねぇってばぁあ!!!
見なさいよ!!


353 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:22



「あ!!」

よしよし、そうよ、それでいいの

「も、もしかして・・・」
「え?」

「モーニング娘。の石川梨華!?」



おい・・・
あたしもう、モーニングじゃないの。
美勇伝なの!
しかもリーダーやってるんですけど!?



「あ、え、ええ、まぁ。エヘッ♪」

おどけて見上げると
さっきまでの鋭い目線が一気にだらしなく垂れ下がった





こいつ・・・ヲタだな?
のわりにはなんで美勇伝知らないかなぁ!?



354 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:23



「あ、あの!あの、さ、サイン!!」

「あ、いいですよぉ〜♪」

お巡りはバイクの荷台からなにやら紙を取り出して
わたしにさしだした

サラサラっとサインを書く

「お巡りさん、お名前はぁ?」
「あ、あ、あの、す、鈴木巡査であります!!」

警察手帳を取り出して、ご丁寧にわたしに見せてくれる
なによ
巡査って、ペーペーじゃん

「鈴木さんでいいですかぁ?」

「あ、出来れば下の名前で・・・」
「ええっとぉ〜」

よしよし、これでいいのよ・・・
フフッ


「太郎であります!!」


太郎って・・・ベタね・・・
あ、中澤さん。ごめんなさい


「じゃ、太郎さんへ♪」
「自分、感激であります!!!」


アフォ一丁出来上がりぃ

355 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:23

「はい、どうぞ♪」
「あ、ありがとうございますぅ!!!宝にします!!」
「いいえ♪」

営業スマイル営業スマイル♪
太郎はわたしに右手を差し出し
ぶんぶん振るように握手した
いいわよ、いくらでもしてあげる
握手会でこんなに強く握られたら
睨んでやりたくなるけれど・・・今日だけは許すわ

でもね、その代わりと言っちゃなんだけど


「あのですね?」
「は、はい!!?」
「お巡りさんにぃ〜、お願いがあるんですぅ」

「な、なんでしょう!?」


亜弥ちゃん口調も役立つものだね
しかもこの声だから余計に甘く聞こえるのかな
太郎がデレデレの顔になった

ちょっと、国家の安全ちゃんと守ってくれるの?


「ほら、やっぱりわたし、そういう仕事してるじゃないですかぁ」
「え、ええ」
「なんでぇ〜。今日、ここにわたしが居た事、誰にも言わないで欲しいんですぅ」

356 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:24


「あ、ああ・・・そっか・・・」


太郎はちょっとガッカリしたように
肩を落とした
でもさっきわたしがサインした紙は
しっかりと握り締められてる

なんでガッカリするのよ・・・


「そっか・・・そうですよね・・・やっぱり石川さん、彼氏いるんだ・・・」


おいおい・・・妄想かよ・・・
それはそれで変な噂流されても困るの

「違うんです!そうじゃないの!」
「え!?」

太郎は俯いていた顔を上げて
ちょっと望みが見えたって目をした

アンタに望みは無いから!!!
あたしはひとみちゃんだけなの!!

なにがどう転んでも、ひとみちゃんオンリーなの!!!


357 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:24


「ほら、近所に住んでるって、知られちゃうじゃないですかぁ」
「あああ!なるほど!!」

ほんと、コイツチョロいわ・・・

「な・ん・で♪秘密にしてもらえますぅ?」

上目遣いをして、胸の前で手を組んで
お願いポーズ


  キラキラキラ〜ンッ♪


眩しいぐらいに笑顔を見せてやった
フンッ コレで落ちないやつは居ないわ



「おふっ!!!(萌えぇぇぇ!!)」





「やっぱり・・・だめ、ですかぁ?」





  キラキラキラリ〜ンッ!!





「ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!(梨華ちゃん、キャワーーー!!)」




なんで股間押さえんの?
もう、やだぁぁぁあ!!
キモイよぉ!!!



はやく家に帰りたい・・・

358 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:25


「ハ、ハハッ」

わたしは引きつりながらも笑顔を見せると
押さえていた股間から手を離して
また敬礼をした

「了解であります!!」
「はぁ・・・よかったぁ。エヘッ♪」


「ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!」



もう・・・それ、いいから・・・



「じゃぁ、失礼しまぁっす!」
「あ、は、はい〜〜〜」

すっかり腑抜けになった太郎を置いて
わたしはさっさとその場を去った





あいつ、あたしがこの辺に住んでるっての知ったから
あいつがストーカーとかになったりしないでしょうね・・・


また引っ越さなきゃ・・・



359 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:25



  ガチャッ


「た、ただいま・・・」


家に帰ってきたときは、もうすっかり空が明るくなっていた
わたしはリュックを元の位置に置くと
そのままソファに倒れこんだ


「つ、疲れた・・・」


窃盗教唆罪、不法侵入、賄賂、隠ぺい工作

ああああ!!!!重罪犯罪者よぉぉ!!


360 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:26



でもね

あたし決めたの

ひとみちゃんのためなら、なんでもするって



見えなければいいのよ!
バレなければ、なんだっていいのよ!!
みんな裏で何やってるかなんてわかんないんだから!



ひとみちゃんのためなら

あたし




黒くなったっていいわ











だれ!?
「もうすでに黒いじゃん」って言ったやつ!

出てきなさい!
今のあたしに歯向かえるもんならやってみなさいよ!
黒いんじゃないの!
人よりちょっと色素が濃いだけなのよ!!


もういい・・・疲れた

ひとりあそびしてないで
寝よう・・・
お仕事までまだ時間があるから
ちょっとだけ寝れる



わたしは携帯のアラームをセットして
ソファで浅い眠りについた


361 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:26







   梨華ちゃん・・・



   ひとみちゃん・・・?


   梨華ちゃん・・・


   なあに・・・?


   梨華ちゃんに、プレゼントあるんだ!

   はい!これ!!!



  

   もういやぁぁああああああああ!!!









362 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:27


  パチッ!!バサッ!

「はうぅぅ!!」

はぁ、はぁ・・・はぁ・・・

なんなの、あの悪夢・・・

ひとみちゃんの笑顔は見れたけど
ひとみちゃんの手にあった物って


いやだ、思い出したくない


フルフルと首を振って顔を上げると
さっきとは違う景色になってた

あれ?ここ、ベッド?

少し顔を上げると、ひとみちゃんの綺麗な寝顔があった


ああ、そっか・・・夢見てたんだ
今までの事は悪い夢だったんだね
そう言うことにしよう  


わたしはひとみちゃんの腕の中で
心地よい眠りについた




363 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:27





  ピピピッ ピピピッ




「ふ、ふああああああ」

3時間・・・
けっこうぐっすり眠れたなぁ
やっぱり、ひとみちゃんの隣だからなんだ

もぞもぞと顔を埋めて、身体を密着させた


「ん〜、どしたぁ?」
「へ?」

顔を上げると、目が開いていないひとみちゃんが
にっこりと微笑んでくれた


か、かわいい・・・


364 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:28


「ううん・・・」
「淋しかったぁ?」
「・・・うん・・・」


  ギュウッ


ひとみちゃんがわたしの腰に腕を回して
グイッと引き寄せてくれる

そう、これ・・・

ひとみちゃんの優しさ
ひとみちゃんの愛情

ふわふわの毛布みたいに包み込んでくれる


「ひとみちゃん」
「なあに?」
「わたし、近いうちに引っ越さなきゃいけないかも」
「え?どうして?」
「ん、ん〜〜・・・まぁ、いろいろと・・・」


彼女の胸の前に手を置いて暖かさを感じる

365 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:28


「ねぇ、ひとみちゃん・・・」
「ん?なあに?」
「わたしね・・・夢があるの・・・」
「ゆめ?」
「そう・・・聞いてくれる?」
「うん」

「いつか・・・いつか、ひとみちゃんと暮らしたいなぁって、思うんだ」

ひとみちゃんはわたしから離れて
顔を覗き込もうとしたけれど
お願い、まだ見ないで
恥ずかしいから・・・最後まで聞いてほしい


「小さな一軒家で・・・赤い屋根で、ちょっとしたお庭があってね
 そこに、ひとみちゃんと・・・わたしと・・・ペットがいて・・・
 穏やかな、生活を送りたいって、思うの・・・」

「・・・そうだね・・・」
「うん・・・」

「じゃぁ、都心はちょっと無理かなぁ」
「うん・・・いいんだ、その頃にはこんなに慌しい生活じゃないと思うもの」

「・・・ん・・・・・」

わたしが少し顔を上げたから
彼女はようやくわたしの顔を見ることが出来た

触れるだけのキス

366 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:29


「起きたらさぁ、梨華ちゃん居ないんだもん・・・」
「ふぇ?」
「ベッドじゃなくって、ソファで寝てたからさぁ?」

「淋しかったの?」

「ん・・・」

むっと突き出された唇に
今度は長めのキスをする


そっかぁ・・・
ひとみちゃんがこっちに運んでくれたんだぁ






















ってことは





ゆ、めじゃ・・・なかったのね・・・








「さぁって、そろそろ起きよっか!じゅげむじゅげむごこうのすりきれさんの散歩行かなきゃ行けないし!」



ひとみちゃん!?
じゅげむじゅげむごこうのすりきれって誰!?
長いよ!!
それに散歩ってなあに!?

367 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:29

「やっぱりウサギといえば、にんじんかなぁ〜〜」

ガバッと起き上がった彼女は
気持ちよさそうに、ん〜〜〜っと伸びをした



ね、ねぇ
お願い、夢だと言って・・・


ひとみちゃんはベッドから素早く抜け出ると
わたしを起こしながら


「一緒にご飯あげよ!?」


また素敵な笑顔でわたしを誘う






けど



けどね










そんなお誘い、要らないの


そして





じゅげむ(以降略)さんは、あたしが今朝方









犯罪に手を染めながら

お返ししたからぁぁぁぁああああ!!



368 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:30



「じゅげ〜む、じゅげ〜む!ごこうのすりきれさーーーん♪♪」



「まってぇ!!!」

ベッドを離れようとするあなたの腰に
タックルをして止めようとしても
ひとみちゃんはやっぱり素早い

  ブンッ!! スカッ

「ひゃぁあ!」

  ドサッ!!

わたしの腕は空を切って、勢い余って顔からベッドの下に落ちた

「ったぁああ・・・」

足だけをベッドに乗せて、名古屋キャッソーしゃちほこ状態の身体
首が変な方向に曲がってるけど
ひとみちゃんはそんなわたしに目もくれず
るんるん気分で鼻歌なんて歌いながら
部屋を出て行った



待って・・・ねぇ、待って・・・

あなたを悲しませたくないの・・・


お願い・・・待って・・・





待ってぇぇぇぇぇ!!!




  


「・・・ああああああああああああ!!!!!」




リビングの方からひとみちゃんの雄叫びが聞こえる

待ってぇ!ひとみちゃん!ねぇ待って!!!

369 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:31

  ダダダダダダダダッ!


「じゅ、じゅげむじゅげむごこうのすりきれきさんがぁ・・・」


ベランダはもぬけの殻
昨日の白菜の欠片がすこし散乱していた

これ・・・どうやって彼女を納得させればいいんだろう
正直に話すべきなのか
それとも・・・

「じゅげむじゅげむごこうのすりきれさんがぁああ!!梨華ちゃん!!梨華ちゃぁあああん!!」

まるで幼稚園児が、大切なものを無くしたときのように
ひとみちゃんは大きな声で目に一杯涙を溜めながら
わたしの肩をガクガク揺らした

  ガクガクッ

痛い痛い、ひとみちゃん、痛いから
く、首、もげる・・・

  ガクガクガクガク ゴキッ!

「い、いたい、いたい!」
「じゅげむじゅげむごこうのすりきれさんがぁぁぁ!!」
「ひ、ひとみ、ちゃ、おち、おち、おちつい、て!」
「梨華ちゃんのために、梨華ちゃんのためのじゅげむじゅげむごこうのすりきれさんがぁあ!」


そうなのね
あのウサギさんはわたしのために盗ってきた
い、いえ?取ってきたものだったのよね

やっぱりここは・・・

370 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:32


「あのね、ひとみちゃん」


肩に置かれていた手をぎゅっと握り締めて
わたしはひとみちゃんの目をじっと見つめた







「じゅげむじゅげむごこうのすりきれさんは、絵本の世界に返ったの」





「・・・へ?」




「じゅげむじゅげむごこうのすりきれさんはね、本当は、じゅげむじゅげむごこうのすりきれってお名前じゃなくって」




「う、うん・・・・」




「アリスの国の・・・ウサギさんだったの」














「・・・ぇぇえええええええ!?」



ひとみちゃんは口と目の両方を大きく開けて
それはもう、もう、大変驚いた

371 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:32

「アリスの国に帰んなきゃ、あのお話なりたたないでしょ?」
「うんうんうんうん!」

首をガクガク縦に振る
つ、強いから。ね?ひとみちゃん
鞭打ちなっちゃうよ?シャボン玉のときみたいになっちゃうよ?

「だからね、今朝、そっとわたしを起こしに来て、見送ったの」
「えええええ!?じゃ、じゃぁ、なんであたしは起こしてくれなかったのぉ!?」

「ひとみちゃんの顔を見るとね、じゅげむじゅげむごこうのすりきれさん、帰れなくなっちゃうからって・・・」
「そっか・・・」

しょぼんとした顔で
彼女は本当に悲しそうに納得した

わたしは彼女の頭を撫でて、ぎゅっと引き寄せる


「絵本の世界に戻っても、じゅげむじゅげむごこうのすりきれさんは元気にしてるから・・・」

「ん・・・」


「じゅげむじゅげむごこうのすりきれさん、小さいからさ・・・大きくなったら帰ってきてくれるよ」




「うん・・・」




子どもみたいに純粋で、真っ直ぐで
繊細な心を持ってる彼女

きっちょむさんが居なくなったのは本当に悲しい事なんだけど



だけど、ひとみちゃん












盗ってきちゃだめ・・・






「仕事の支度しよっか?」
「うん!!」



372 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:33





373 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:33




「忘れ物なあい?」
「うん!大丈夫!」

二人で支度して、家を出る
今日は二人別の現場だし
わたしの時間は、もうちょっと遅く出ても大丈夫だったんだけど

やっぱりさみしいから


エレベーターの中で手を繋いで
ひとみちゃんの顔を見つめる


  チュッ


「フフッ」
「エヘヘッ」


マンションを出て、駅までテクテク歩いた

374 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:34


彼女はいつも車道側を歩いてくれる
こんなさりげない優しさも嬉しい

少し慌しくなりそうな商店街を抜ける前に
花壇の前に立てられた
一つの掲示板に目がいった




ん・・・ん!?!?







  『戸締り注意!! 小学校に泥棒が入りました!』








もう、いやぁあああああ!!!


375 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:34

「ひとみちゃん、わたし、早々に引越しするわ」
「え!?急にどうしたの」
「だめ・・・足がつく」
「な、なに!?足ってなあに!?」

「気にしないで!大丈夫!うまくやるから!」
「ね、ねぇ、梨華ちゃん!なにをうまくやるんだよぉ〜〜!」











(;T▽T)<♪うーさぎ、うさぎ、何見て跳ねる〜


376 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/15(金) 00:36





377 名前:Rink 投稿日:2006/09/15(金) 00:37
更新終了です
378 名前:Rink 投稿日:2006/09/15(金) 00:37
レスポンス

>名無し飼育さん様
(;^▽^)<もう大変ですよぉ?
石川さんは愛というより、なんだろう・・・
ただの処理班のような気がしますw

>774様
ありがとうございます
壊れまくりますよw
(0^〜^)<普通なんだけどな
気づいてないし!

>名無飼育さん様
以前日記に書いた時にメールくれた方でしょうか
その節はお世話になりました。ありがとうございますw
いしよしはバカップルではなくバk(ry
ま、まぁ、ガンガンいきますのでよろしくお願いします
379 名前:Rink 投稿日:2006/09/15(金) 00:40
今回の更新は>>318-376です

ここで作者からのお詫び

『プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜』を書いておりますが
決して石川梨華さんならびに吉澤ひとみさんの事が憎くて
このような内容になっているわけではありません
お二方ともとても応援しております
それゆえこのような内容ってことで・・・汗

そして全国の鈴木太郎さん、ごめんなさい汗



さて、石川さんは暫く発言に注意しておられるようですが
その上を行く吉澤さんの行動力に注目いただければと思います

380 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/16(土) 11:46
更新お疲れ様です。
今回は、部屋で1人にやけつつ 読みました。

じゅげむじゅげむごこうのすりきれ 吉澤さん何処からこの名前を。
梨華ちゃんが、壊れないことを願ってます。


381 名前:カナリヤ 投稿日:2006/09/16(土) 18:39
更新お疲れさまです♪
今日たまっていた分を一気に読んだら、何故か涙が零れました。w
溢れんばかりの二人の愛が悲しいですぅ。(*T▽T)
382 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:36




383 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:38


石川梨華
もうすぐ21歳になります


前科は、今までありませんでした





今も、ありませんが


下手をすれば、そういうことに、なりそうです









ヘタなんて・・・






「出来ないの!!」


  ダンッ!!

「うぇ!!?」
「ちょっと、梨華、どうしたの・・・」
384 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:39

今日はたまのオフで実家に帰ってきたの
今はのんびり家族団欒をしてる最中だったんだけど・・・
ふと思い出しちゃってコタツをこぶしでたたいてしまった
お姉ちゃんもママも驚いて目が点になった

「ご、ごめん・・・なんでもない」
「ストレスでも溜まってるの?」


確かにストレス・・・

ううん、愛情!!
あれはひとみちゃんからのわたしにだけにくれてるとても大きくて深い愛情なの!!

今日は彼女もお休みだったんだけど
ちょっと出かけるからと、朝早くに出かけていった
ホッとしたのは事実。
だって・・・
一緒に居ればまた何かわたしが余計な事を言いそうだったから。

385 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:40

「なんか最近悩み事でもあるの?」
「ふぇ!?」
「眉間にしわ寄ってるわよ?」
「悩み事・・・」
「この間のラジオも元気なかったみたいだし」
「そ、そんなことないよ!」
「何があったの?ママに言ってごらんなさい?」

ママは真剣な顔でわたしに問い掛けてきた
そうだよね・・・。
この間だって電話したと思ったら
“仏花どうしたらいい?”だもんね・・・

「・・・大丈夫」
「ホントに?」
「うん!大丈夫だよ!」

わたしはガッツポーズでアピールした
ママもお姉ちゃんもほっとした顔をした

大丈夫だよ。だって何にも起きてないもの。
そう、なんにも・・・

386 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:41





  りーーーーーかちゃーーーーーーん・・・





頭の端っこでわたしを呼ぶ声が聞こえてきた
そうなの・・・その声がわたしの苦労の元凶・・・
ううん、愛情の主・・・

387 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:41





  りーーーかちゃーーーーん・・・




でもね、誰よりも深い愛情をもらっているって断言できる

だってさ、こんなに思われてる恋人っている?
世の中にさ
いつも彼女のことを考えていて
思いついたものをプレゼントしてくれる恋人。
愛しい愛しいあの人

388 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:42





  あ、お母さん!梨華ちゃんいますか?

  あらあら、いらっしゃい。どうぞ?

  おじゃまします!





ただ・・・ただ・・・
少しだけ・・・ううん、かなりずれてるの・・・
的が外れてるの・・・

あたしのセンスも大概だって言われる
キャラ物は控えた方がイイとか、未だにピンク趣味はどうかとか・・・

でも、その的外れじゃないの
彼女は・・・その・・・


常識の範囲を越えてるの・・・

389 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:42




  りかちゃーーーん!!






そういえば、さっきからひとみちゃんの声が
やたらとリアルに聞こえるのは


気のせい




  バタバタバタバタッ!!




  りーーーーーーかーーーーーーーーちゃーーーーん!








気のせい・・・







  バンッ!!




「梨華ちゃぁぁああああああん!!!」




「じゃなあああぁぁぁぁぁいい!!!」


390 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:43


「梨華ちゃん!!!」


そこに居たのはまるで幼稚園児みたいにキラキラした目の
ひとみちゃん

「な、なあにぃ!?」
「実家帰ってたんだね!!携帯鳴らしても出ないからさぁ!!?」
「あ、ご、ごめん」
「ううん、いいんだ!あ、お姉さんお久しぶりです!」
「ひとみちゃん、こんにちは」
「どうもです」

そういいながらひとみちゃんはコタツの中に入ってきた
大きなかばんを肩から下ろしながら








ねぇ・・・



そのかばんって・・・


391 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:43


「よいしょっとぉ」
「ひ、ひとみちゃん・・・?」
「ん?なあに?」

わたしの隣で変わらないキラキラした目で見つめてくるひとみちゃん
わたしと会った時、いつもしてくれる
けど今日は更にその輝きを増してる気がするの

怖い・・・もうやだ、聞きたくない
出来ればそのまま封印したい






っていうか実家まで来るってことは・・・




っていうか、今日ひとみちゃん、どこ行ってたの・・・?

392 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:44


「ね、ねぇ、ひとみちゃん?」
「ん?なあに?」
「今日、朝早く出て行ったよね?」
「うん!」
「もう、帰ってきての?」
「そうだよ!朝イチの新幹線で行ったんだ!早かったぁ!」
「朝イチ・・・新幹線・・・!?」
「うん!秋田までひとっ走りだよ!!」



ねぇ、秋田まで何しに行ったの・・・?
もしかして、きりたんぽ買い占めてきたとか、そういうんじゃないよね・・・?

ひとみちゃんのことだから有り得そうだけど
でもそんなの、もうレベルが低すぎて多分違うと思うの。
だって、小学校忍び込んだ人だもの







  ゴソッ  ガサガサ



え、ええ、ええええ!?
かばん、動いたよほぉ!?
ねぇ、ね、ねぇ!??

この展開、凄くヤなんですけど!!!

393 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:45


「今日は梨華ちゃんに飛びっきりのプレゼント持ってきたの!」
「あらぁ!いいわね、梨華!」

ママがお盆にお茶を乗せて、リビングに入ってきた
その顔は本当にうれしそうで・・・

ねぇ、ママ・・・
その台詞をプレゼント見てからも言えるか
アタシは自信ないよ・・・


「梨華はホント幸せもんだよねぇ・・・アタシもそういう恋人欲しいよぉ」
「えへへ〜!お姉さん、照れますよぉ」

お姉ちゃん・・・なんならこの部分だけ上げるよ?
代わりにプレゼント貰って・・・


「梨華ちゃんのために〜〜」

すごいニコニコしてる。かわいい・・・
け、ど・・・その鞄の大きさは


可愛くない!!!


394 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:45




「今度は大丈夫!!」







「逃げたりしないよ!?」









わたしの目の前に差し出されたのは



長い耳
赤い目

ココまでは一緒な、んだけど・・・



サイズが・・・


サイズが・・・・・












でかいぃぃぃぃいいいいいい!!!


395 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:46


「ほら、等身大の梨華うさだよぉ!!!」

かわいくない・・・
ウサギって大きくなると可愛いどころかふてぶてしくなるのね・・・
いた、イタタッ!
コイツ生意気に蹴ってきやがった
な、なによ!

「よかったじゃない、梨華!」

ま、ママ!?本気で言ってんの!?

「アンタペット欲しいって言ってたじゃん」

お、お姉ちゃん・・・ココでばらさなくたって

「やったぁ!丁度良かったよぉ」
「あ、あうぅぅ」

396 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:46




にしてもデカすぎ。
それって、秋田に行ったこととなんか関係してるの・・・?

「このウサギさんね、日本一なんだって!」

え・・・っとぉ・・・
日本に1羽しかいないから、日本一なのよね

ま、まさか



「秋田県の、杉本さん宅のウサギです!!」



ど・・・ど・・・



















堂々と窃盗公言してんじゃないよぉぉぉおおお!!


397 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:47


「あらぁ、梨華良かったわねぇ!」

ま、ママぁ・・・

「プレミアもんじゃん?」

おねぇちゃん・・・


おかしいいからぁぁぁぁあ!!
みんなどうして窃盗の部分に触れないの?
ねぇ、ねぇ!
ひとみちゃんから何か貰ってんの?
ねぇ、袖の下渡されたの!?ねぇ!!
398 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:47


「はい!梨華ちゃん!」

 ずしっ

「お、重っ!!」
「7キロあるんだって〜。スゲー!カッケー!」
「・・・カッコよくないよぉ・・・」




「アンタのマンションペット大丈夫なの?」
「良かったね。これで梨華も寂しくないね」
「あーでも、毎日ひとみちゃんが家に行ってるから」
「にぎやかになりそうねぇ」

お、お前たち・・・

「えへへー」
「それよりひとみちゃん、夜ご飯食べていくでしょ?」
「あ!ご馳走になります〜!」
「んじゃぁ、お母さん買い物行ってくるわね」
「はーい」
「んじゃアタシも出かけようっかなー」








待ぁぁぁああたんかぁぁぁぁぁああああ!!!

「ちょっと!!みんな待っ」

  ドカッ!!

「ゴフッ!!」

み、みぞおちに入った・・・
な、なに!?このウサギ!!
399 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:49


  ゲシッ!ゲシゲシッ!

「いたた!痛い!!」
「ああ、海砂利水魚さんお腹すいてるのかなぁ」
「お、お腹!?」
「うん、一日7食食べるんだってさー」
「っていうか、もう、名前まで決まってんのぉ!?」
「梨華ちゃん家じゃ狭くなるなぁ〜」
「海砂利水魚はいいから、これ、どうすんのよぉ!イタタッ!」
「馴染んでるよ?」
「馴染んで、いったい!!ないよ!!」
「懐いてるし」
「懐いてないってばぁ!!っていうか杉山さんに返しておいでよ!」
「杉本さん」
「いーから、どっちでも!!」
「どうして?」
「どうしてって、杉本でも杉山でも」
400 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:50


「違う!!」

いつの間にか誰もいなくなったリビング
ひとみちゃんが急に怒鳴って立ち上がった
私と海砂利水魚さんは思わずビクッとなって見上げる
ひとみちゃんのその目は・・・

涙がいっぱい溜まっていた


「どうして・・・どうしてさ!!」
「どう、してって・・・」

「ウチ、梨華ちゃん・・・梨華ちゃんが・・・ウサギ好きだって・・・言うから・・・」

「そう、だけど・・・」
「だから、だから・・・今日、秋田行って・・・」
「で、でも」
「今度は絵本の中に帰らない、おっきなウサギ・・・取ってきたのに・・・」

401 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:50

ひとみちゃん・・・

あたし、ウサギ好きだよ・・・
あなたが朝イチで出かけたのも知ってる
多分朝からあなた何も食べてないんでしょ?
さっきから何気にお腹が鳴ってるのも気づいてた

ひとみちゃんの目からはとうとう涙が零れた


「取って、グスッ・・・きた、グスッ・・・のに・・・」




でも、ね・・・?
そこが問題なの・・・

402 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:51


私は膝の上であぐらをかいていた海砂利水魚さんを降ろし
ひとみちゃんと向かい合うように立ち上がった

「ひとみちゃん・・・」
「・・・んっぐっ、グスッ・・・なに?」

「ごめんね・・・そうだよね・・・」
「うっぐ・・・ぐすっ・・・ぐす・・・」

ギュッと抱きしめる
彼女は直立不動で、わたしの背中に腕をまわすこともしない
まるで叱られた幼稚園児のように

「ごめんね・・・ありがとう・・・」

彼女の頭を撫でると、安心したのか
首筋に顔を埋めて、うううっと泣きつづけた


「ありがとう・・・ありがと・・・」

403 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:52


そうだった・・・

アタシ、ひとみちゃんのためにアフォになるって決めたんだった

それなのに、それなのに
ひとみちゃんのこと泣かせて・・・


最低だよ、アタシ


ごめんね・・・











もう、ここまできたなら・・・









飼います・・・



404 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:54

「ありがと・・・」
「りか、ちゃ・・・よろ、こんで、くれ、てるの?」
「ん?」

彼女は顔を上げて、鼻を真っ赤にして
私に聞いてきた
もう大丈夫だよ?そんな不安げな顔しないでよぉ
大丈夫。海砂利水魚さんはちゃんと飼うから

「うん。うれしいよ?」
「ほん、とぉ?」
「ホント。ひとみちゃんからもらえるものなら何でも」
「ほんとにほんとにほんと?」
「うん。ほんとにほんとにほんとぉ」


「よかったぁ・・・」


ほらぁ、笑顔になった

かわいい・・・
ひとみちゃんは安心したように大きくうんと頷いた
そうそ、いい子。いい子・・・





  ゲシッ!!

「ったぁぁぁ!!」


405 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:55

  ゲシゲシッ!!

「たた!痛いよぉ!」
「おおー、海砂利水魚さん、お腹すいてるのかー?」

  グァアア!!   ガブッ!!

「あっはっはー、痛いぞぉ、このやろぉ♪」
「ひ、ひとみちゃん!は、鼻噛まれて」

  ガシッ! ブラーーンッ

「ほーーら、いけない子にはお仕置きだぁ!!」
「ひ、ひひぃぃぃとみちゃぁぁん!み、耳持っちゃちぎれちゃうよぉ!!!」

な、7キロもあるんでしょ!
だめだめ!!

「ひ、ひとみちゃん!!」
「海砂利水魚さん!反省したか?」


  ショボーン・・・


「よしよし。じゃあもう降ろしてやろう」

  スタッ

「いい子にしてるんだぞ?いいな?」

406 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 00:55


ジーーッと見上げる彼(彼女?)
その視線は私のほうへと向けられ



  ゲシゲシッ!!

「ったいってばぁ!!なんでアタシなのよぉ!!」
「あっはっは〜!梨華ちゃんのこと気に入ったんだねぇー」
「ち、違っ、違ういたたたたた!!」


  グァアア!!  ガブッ!!


「っだぁぁぁぁあああ!!!」
「あっははは!元気だなぁ、お前!」
407 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 01:00

  バタバタバタッ  ピョーンピョーン

「おお、吉澤さん」
「あ、梨華ちゃんの御父さん。お久しぶりです」
「おお、どうしたんだ?このウサギ」
「ぱ、パパ!た、助けてぇ!!」

  ガシガシッ!ドスッ!ドコッ!

「梨華ちゃんが欲しいって言ってたんで」
「イタタタタッ!言ってないってばぁ!!パパッ!助けっ、痛い!!」
「おー、優しいなぁ吉澤さんは」

  バタバタバタッ  ピョーンピョーン ガシガシッ!!

「ぱ、パパ??素無視!?いたっ!痛い!!髪の毛引っ張るなぁ!!」
「ところでお父さんはどこか出かけるんですか?」
「ああ、近くで市場がしてるからね」
「市場?」
「痛い!もぉぉ!!こら、待てぇ!!パパのバカーー!!」

  バタバタバタッ  ピョーンピョーンッ・・・  グァアアッ!!

「そうなんだ。最近盆栽に嵌っててね」
「それはまた渋い趣味ですねぇ」

「痛い痛い痛いってばぁ!!顔はやめてぇぇぇぇ!!」
















「ボディにしてぇェェェェェ!!!」



408 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 01:01





409 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 01:01


2日後


  プツッ


『 では次のニュースです
  一昨日、秋田県○○市の杉本孝さん宅で日本一大きなウサギ
  ミンクちゃん、3歳が檻から逃げ出したとの事です
  警察の調べでは、鍵が壊されていたので何者かによって盗まれた可能性もあるとの事
  このミンクちゃんは、来月ギネスにも載る予定で、手続きをしていたもようで
  飼い主である杉本さんは心労のため倒れ、市内の病院に意識不明の状態で・・・ 』














「ひとみちゃぁぁぁあああああああん!!!」








(;T▽T)<うさちゃん、ピーーッス・・・イタタタ!!痛いってばぁ!!!

410 名前:プレゼント 〜好きすぎてバカみたい〜 投稿日:2006/09/19(火) 01:03




411 名前:Rink 投稿日:2006/09/19(火) 01:04
更新終了です
412 名前:Rink 投稿日:2006/09/19(火) 01:04
>名無飼育さん様
(0^〜^)<名前は閃きです!
ニヤニヤですか?ありがとうございます
作者としては大爆笑で部屋が揺れるくらいの物を期待してるんですが・・・w
(;T▽T)<限界ギリギリです

>カナリヤ様
(0^〜^)っ◇<ハンケチどうぞ〜
(;T▽T)<ひとみちゃん、アタシに先ちょうだいよ・・・

涙が出ましたかw
切な過ぎますかねぇ。笑いを求めているのに泣かせちゃいかんな汗
がんばります
413 名前:Rink 投稿日:2006/09/19(火) 01:06
↑レスポンスです

今回の更新は>>382-410です

もう壊れてきたとかのレベルじゃなくなってますか?
吉澤さんは飛んでますね
石川さんも実はうれしかったりするのかも
(;^▽^)<うれしいけどうれしくないよ!!

次回もっと嬉しくないものがまた登場します
414 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/20(水) 00:14
更新お疲れ様です。
吉澤さんの発想は素晴らしいの一言に尽きます。
尊敬しなきゃいけませんねw
石川さん、頑張って!吉澤さんに負けないで!
415 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/20(水) 10:05
更新お疲れさまです。
いつも楽しく読んでます。
今日も会社で読んでにらまれました。

海砂利水魚さんですか。じゃ次は・・・・。なのかな?
でも石川さん 壊れないで下さいね。
416 名前:カナリヤ 投稿日:2006/09/20(水) 19:31
更新お疲れさまです♪
よっすぃーとの仲は家族公認だったんか。w
それにしてもまだウサギにこだわってたとは。
さすがの梨華ちゃんも完全に裏を突かれたといったところですね。(笑)
よっすぃーはうたばんで見た(見たっけ?)巨大ウサギの事を思い出したんだきっと。w

梨華ちゃんが海砂利水魚さん(旧名ミンクちゃん)をどうするのか、
よっすぃーの次なる犯行… もとい、プレゼントは何か、楽しみにしています。w
417 名前:Rink 投稿日:2006/11/09(木) 13:26

レス

>名無し飼育さん様
とんでもない発想の持ち主吉澤さんは
これでもかというくらい投げつけてきますが
相手が負けず嫌いな石川さんだから受け止めてもらえるんでしょうかねw

>名無し飼育さん様
読む場所は、出来るだけ人のいないところで・・・w
そうですねぇ、次は予想通りの名前に??
石川さんの人格崩壊の日は近いと思います

>カナリヤ様
そうみたいですね。家族むつまじく・・・ドタバタですけども汗
吉澤さんの犯行はさらに悪化し激化しそうですw
418 名前:Rink 投稿日:2006/11/09(木) 13:53

  読者の方へ お詫び


赤板から読んでくださっていた方も
このスレから読んでくださっていた方にも
もうすでに私の活動方針を知ってくださっている方にも

Rinkよりお詫びとお礼


これ以上ここでの更新をするという事が出来なくなり
この先、飼育での活動はしばらく控えさせていただきます

読んでくださっている方、次回の更新を楽しみにしてくださっている方が
いらっしゃる事は十分承知しています
Rinkの作品を楽しみにしてくださる方に対して
大変失礼な上に、裏切る形になってしまい
本当に申し訳ありません

飼育での活動停止の理由として。
スレッド数にすれば5つも立てさせていただき
とてもお世話になった飼育ですが
精神的負担があまりにも大きく
書くことを辞めるか、更新場所を変えるか、暫く放置するか・・・など
色々検討した結果の末
活動拠点を変えるということになりました。

読んでくださっている方から沢山メールを頂き
引き続き飼育で更新してほしいと言ってくださった方もいらっしゃいましたが
久しぶりにスレを覗くと、色んなことを思い出して
胃炎が再発してしまい
いい意味でも、悪い意味でもストレスになっているのだと実感。
書くという行為は止めたくないという思いを持ちつつ
掲示板形式での更新は、今後多分無いのかもしれない
というのが本音です。

沢山考えて、沢山悩み、出したひとつの結論です。

本当に申し訳ありません
そして沢山頂いたレスに、本当に感謝しています
ありがとうございました。

皆さんが書き込んでくれたレスに励まされ
頑張ろうと心を奮い立たせる事が出来ました。
もちろん、書き込んではないけれど読んでくださっている方で
かげながら応援してくださった方が居る事にも。
本当に本当にありがとうございました。
言葉では言い表せないくらい、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。

いつか、皆さんと出会うことがあるなら
お礼をちゃんと自分の口で言いたいです。
「読んでくれてありがとう」って・・・
(;^▽^)<非現場でしょ
すいません・・・

当分は、サイトで細々と更新していきたいと思います
この話の続きも、いつになるか分かりませんが
そのうち書きたいなと思っています。
作者の勝手な都合ではありますが
本当に申し訳ありません。

今まで応援してくださった方へ
本当にありがとうございました!
私は幸せものです。

そして
いしよしは素敵ですw

( ^▽^)^〜^0) <永久に不滅♪





またいつかどこかで出会えることを願って。


                       Rink

419 名前:Rink 投稿日:2006/11/09(木) 14:11

追記


私が伝えたかったこと

揺らいでしまいそうになる弱い自分。
見えないもの、形無いものに対して
臆病になりながら
でも、信じぬきたいと思う、強い心
それをくれる大切な人

こんな荒んだ時代だからこそ
愛や自由や、現実や夢を書いていきたいと
新作を書くごとにその思いが増していきました。

いしよしを書くということが嫌になったこともあります
石川梨華、吉澤ひとみが好きならば
小説なんて書かないだろうと自分を疑った事もあります
なんでこんなにしんどい思いをしてまで書くんだろう
自分は何の為に書いているんだろう
病気を患いながらそれでもなぜ書き続けるんだろうと
自問自答の日々でした。
その辺に居る一般人が、ネットの片隅から
どれだけ大声を出して叫んだって
聞こえるわけないだろうと沈んだこともあります


しかしすべてそれらは過去形。

色々考えてもそれに対して答えが出ない
出るのは一切書かなくなって、暫くしてから
「ああ、そうなのかもな・・・」とぼんやり出るだけだと思うんです
答えを求めることなんて無意味だと思いました。

私はただ、シンプルに
いしよしを通じて “見えないもの、形無いものの大切さ”を
書いていたいのだと・・・。
自分の作品を読み返して、そう感じました

くだらないと笑ってください
いしよしなんて妄想、過去の産物だと罵ってください
それでも結構です
私は私の思いを投げ続けます
いつかだれかが拾ってくれるまで
自分の書きたい言葉をストレートに書き続けます
もう、これ以上無いというところまで
見えないものは形が無いので無限に広がる
その限界がどこまでかを探す旅に出ます。

420 名前:Rink 投稿日:2006/11/09(木) 14:13

  LINE  




 "私を愛してくれる、すべての人へ
そして、私の愛する人へ これを届けます"




ライン

この言葉を聞いて、皆さんは何のラインを想像しますか?

スタート、ゴール
ボーダー、エンド

色々あります



わたしは今ゴールラインに立っています

1つの出来事を終わらせようとしてます

でも、とある人がこう言ってました

ゴールラインはスタートラインなんだって。



出来事が終わっても
また新しいゴールに向かって走り出す

だってほら、金メダリストがよく言うでしょ?
次の大会に向けて頑張ります!って。

ここが終わり
だけど
ここが始まり








see you again!!

                 Rink
421 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/11/12(日) 01:04
こういう場を借りて小説を書いているのですから
小説以外に自己陶酔に浸る文章を長々と書き連ねるのは
どうなんでしょうか
ここがストレスになっているだなんて管理人にも失礼ですよ
引退されて正解ですね
422 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/13(月) 08:50
↑読んでるだけの奴は気楽だな
423 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/15(水) 07:57
今までお疲れ様でした。
今後はゆっくりと過ごして下さい
424 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/25(土) 00:56
自己陶酔に浸る文章書いたらダメってどこに書いてあるのさ
頭だけ書いて逃げて行く人が多い中
ここまで書き込めばこのスレッドは完全にRinkさんのもの
Rinkさんの表現の場であるのだよ
425 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/26(日) 09:53
日本語も正しく理解してないのにポリシーとかw

ここの板は無料で運営されてるんじゃないよ。
「誰か」がお金を出してくれてるから維持できてる。
自己陶酔の文章を連ねるだけで
「誰か」かもしれない読者や管理人さんの厚意を理解してないやつは
自分の愚かさに気付くべき。
426 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/26(日) 12:56
落とします(^▽^)つ
427 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/26(日) 16:51
>>425
お前は一体何様なんだよ(笑)
「自己陶酔の文章を連ねるだけ…」と言ってる時点ですでに的外れ。
”「誰か」かもしれない読者や管理人さんの厚意”に対してちゃんと謝意を示しているし
謝罪もしている。その事は一読すれば簡単に理解できるはず。
本文もろくに読めてない人間が「日本語も正しく理解してない」とか言うな。
”自己陶酔”の文章を連ねて自分の愚かさにも気付いていないのはいったいどちらなのか
もう一度よ〜く読んで考えてみれば?

Rinkさんもご自分のサイトに活動の場を移されているので
Rinkさんの読みたい人はそちらに行く方がいいですね。
428 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/20(土) 03:22
この人サイトもやめたの?
429 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/20(土) 07:13
>>428
わざわざageんなよ。
430 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/21(日) 20:49
結局ああいう人間なんだよ
431 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/22(月) 00:53
サイト上でしか読めない作品とかもあったから、
一言言って欲しかった。
更新止める兆候とかも私が見る限りなかったし。
残念です。
432 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/22(月) 01:33
更新停止は残念だけど、『ああいう人間なんだよ』ってのは
聞き捨てならないな。
職業として書いてるんじゃないんだからさ。
433 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/22(月) 08:26
>>431
完全同意。急すぎます
434 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/22(月) 08:47
*「結局ああゆう人間なんだよ」
そう言うあなたはどう言う人間なんですか?
完璧な人間なんているのでしようか?
私は海外からROMってるのですが、我慢できなくて書き込みして
しまいました。作者さんスレよごしすみません。
そして十分に休養して またサイトの再開楽しみにまってます。
「日本人同士優しい心で見守りましょうよ!」
ごめんなさい長々と。
435 名前: 投稿日:2007/01/22(月) 11:52
いろいろ言いたいのはわかるけども、
そっとしておくのも優しさです。
上げるのは、やめましょう。
売り言葉に買い言葉です。
あまり、スレ内で、喧嘩腰になるのもどうかと思います。
冷静な対応をしましょう。
長文失礼しました。
436 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/22(月) 14:55
不安定なヒトなんだなと思うよ
だからこそああいう作品が書けるのかもしれないね
結局私たちは与えられたものを受け入れるしかないのだから
気長に復活を待つとしますか
437 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/22(月) 18:38
>>434
どうでもいいけどageんなよ
438 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/23(火) 19:31
同じいしよし好きとして、石川さんの誕生日である19日に
rinkさんどんなコメントを書いてるかなと思って見に行ったら
サイト更新停止の知らせが。
なんでこのタイミングに…と、すごく残念だった。
439 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/03(土) 18:32
わかんないなぁ
440 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/03(土) 18:49
みんな理由は分かんないの。
何にしても作者さんに何かあったんだろうし
待つしかないのだから読者は黙って待つしか無し。
それからageない様にね。
441 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/04(日) 17:40
bye bye!
しばらく更新止めます
だけだぞもう少し言いようがあるだろ
442 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/05(月) 00:07
>441
同意。
443 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/08(木) 06:09
様子見るしかできない読者

はがゆい
444 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/13(火) 18:32
復活お待ちしてます
445 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/14(水) 06:30
もう諦めな
446 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/15(木) 00:16
HPのコメント変わったね。
447 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/14(土) 19:28
Rinkさんのサイトどうやって探せばいいんですかね?

スレ違いすみません
448 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/15(日) 03:35
>447さん りかつぷる のサイトにアドレスありますYo!
449 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/15(日) 03:41
ごめん! りかっぷる です。
450 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/15(日) 04:01
>448さん
thanks!!いけました。
451 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/16(月) 18:25
あんなに切望してたサイトの再開。
行ってみると暗い。
ロムってるこっちまで気分がブルーになった。
452 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/17(火) 10:47
確かに
453 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/18(水) 23:28
そうかなぁ?
454 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/19(木) 00:53
>453 なぜあげる
でも451、452はここに書くべきでないのでは。
日記とかなんて特に個人の自由だと思うのだが。
455 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/19(木) 02:07
Rink乙
456 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/19(木) 07:36
Rinkさんからコメント来た?
と思った なんだよもう〜 いちいちあげるなよ!。
457 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/19(木) 17:54
>454 うざい!
あげたっていいじゃないの? 作者はもう二度とここへは来ないと言って
たし  なんだかんだ言ってこのスレに書き込みするほど、作者のこと
が好きだと思うんです。 それにこのスレしか作者のことを、あ〜だ
こ〜だと話すスレはないし。 もう、いっその事このスレをRinkさん
の事を語る「ぶっちゃけトーク」スレにしたほうがいいのでは?
Rink好きだけ集まってサ〜 語ろうよ? 
458 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/21(土) 23:27
そういうのを無作法と言うんですよ
ここは小説板であって好き勝手に書き込んで良い場所ではないんだから
そもそも”あげたっていいじゃないの?”と言ってしまえるその神経を疑う
「ぶっちゃけトーク」なりなんなりを語りたいなら他所へ逝け

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