不思議の国のコンノ

1 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:46

初小説です。
更新遅いです。
長いかもしれません。
短いかもしれません。
気長にお付き合いいただけたら、これ幸いと思っております。

それでは始めましょうか。

不思議の国へようこそ。
2 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:47
1、
3 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:47
「ついに明日か・・・」

私は一人、部屋で呟いた。
そして、部屋の中をちょっと見回した。
机の上には解きかけの問題集。
ベッドの上には明日着ていく服がすでに用意してあった。

今日は7月22日、土曜日。
つまり明日は7月23日、日曜日。



明日私は、モーニング娘。を卒業する。
4 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:48
「明日なんだよなぁ・・・」

布団に横たわって、もう一度呟いた。
時刻は午前0時を少し回ったところ。
明日も早いから、もう寝たほうがいい時間帯だ。

部屋の電気を消し、目を閉じる。
少し開けてある窓から、微かに風が入ってきた。
その風を感じながら、私はモーニング娘。として過ごしてきた日々を思い返していた。

オーディション。
デビュー。
ライブ。
テレビやラジオ。
お芝居。
数々のレッスン。

この5年間に起こった全ての出来事が大切な思い出だった。
その思い出に明日、ピリオドが打たれる。
5 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:49
今でも時々迷う。

自分の結論はこれでよかったのかと。
夢のためとはいえ、娘。を辞める必要はあったのか?

何回も考えたことだ。
その度にこの結論が正しいのだと自分に言い聞かせてきた。
しかし、何度言い聞かせてもこの思いはやってくる。


『やめる必要は無いんじゃないか?』


そう思うと、なかなか寝付けなかった。
6 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:49

「ふぅ・・・」

寝よう、寝ようと思うほど目が冴えてしまい、私は目を開いた。
暗い部屋の中でポツンと光る天井のオレンジ色の豆電球をぼんやりと眺めていた。

カサッ・・・

何か物音がした。
ゴキブリだろうか?
・・・それだけは勘弁してほしい。
私はこの世で虫という生き物が何よりも苦手なのだ。
あのグロテスクな姿。
想像しただけで身震いしてしまう。
その中でも最強最悪の生き物が、もしも私の部屋に存在するとしたならば、即刻排除しなければ!
そうしなければ眠れない。

私は布団から起き出し、電気をつけた。
7 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:50



・・・


8 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:50
そこにいたのは予想もしない生き物。
いや、生き物というか人。
その人は目をパチクリとさせてこちらを見ていた。
それが知らない人であれば悲鳴をあげて助けを呼んだだろうが、そこにいたのは私がよく知っている人だった。
この5年間どんなときも一緒にいた。
嬉しいときも怒ってるときも悲しいときも楽しいときも。
私の大切な、大切な仲間。

私はその人物に呼びかけてみた。
9 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:51



「ガキさん?」



10 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:51
そう、そこにいたのは新垣里沙、通称ガキさんだった。
ガキさんはウサギの耳を頭につけ、手には懐中時計を持っていた。

何故ウサギ?
ウサギならさゆじゃないの?
なのにガキさん?
いくらなんでもイメージとのギャップがありすぎる。
それにその格好は何?
懐中時計なんてどこから見つけてきたの?
っていうか、その前になんでガキさんが私の部屋にいるんだ?

いきなり出現した多くの疑問に私の頭は爆発寸前だった。
それでなくても情報処理が遅いっていうのに・・・
目の前にあることから一つずつ解決していこう。
そう自分の中で結論を出し、まずはガキさんに呼びかけた。
11 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:52

「なんでガキさんがここにいるの?」
「・・・・・・・・・・」

答えない。
あまり広いとは言えない私の部屋の両端で私とガキさんが対峙する。
部屋の中を微妙な沈黙が包む。
私が答えを待っていると、ガキさんは何も言わずニコッと笑った。

そして・・・
12 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:52



開いていたクローゼットの中に走っていった。



13 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:52
おかしい。

あのクローゼットにはそれほど奥行きは無いはず。
あのスピードで突っ込んでいけば、すぐに壁に激突するはずだ。
なのに、壁にぶつかった音がしない。
急に止まったとしても何かしら音がしてもいいはずだ。
私は恐る恐るクローゼットの中を覗き込んだ。
14 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:53
そこには、もう一つ部屋があった。
そして、ガキさんが走っていく後ろ姿が見えた。

・・・
考えろ、私。
ここは角部屋、しかも2階。
いつもならすぐそこに壁があるはずだし、壁が無かったとしても部屋のある余地は無い。
パンクしそうな頭の中にまた一つ疑問が追加され、私の頭は許容量を超えそうだった。
そんな頭が導き出した結論は・・・
15 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:53

「行ってみよう」


考えるより行動したほうが早いに決まってる。
それに、なぜか行かなければならないような気がした。
きっと何かが見つかる。
そんな予感めいた確信が私の中に芽生えていた。

「ガキさん、待って!!」

そして私はクローゼットの奥の部屋へと足を踏み出した。
16 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/01(金) 12:56
こんな感じです。

最初に言いましたが更新は遅いです。
安倍さんの足より遅いです。

でも完走はできるように頑張ります。
安倍さんがちゃんといつも完走するように・・・
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/02(土) 05:29
お、紺野さん小説だ♪
楽しみにしてます。
18 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:31
2、
19 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:32
広かった。
私がクローゼットをくぐってやってきた部屋は、私の部屋よりも明らかに広かった。
幅も奥行きも2倍。
つまり面積で言えば4倍。
天井も高かった。
つまり体積で言えば・・・もういいや。
つまりそれほど広かった。
壁も天井も全て白で塗られていて、まるでどこまでも広がっていくように思えた。
光源は見当たらないのに、優しい光で溢れていた。
それほど広い部屋なのに家具は一つも無かった。
ただ、真正面に小さな扉が見え、ちょうどそこをガキさんがくぐり抜けるところだった。
20 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:32
・・・やめようかな。
なんとなく不安な感じがして、私は尻込みした。
足を引いてみると踵にコツン、と何かが当たる感触がした。

「え・・・?」

振り返ってみると、今までそこにあったはずのクローゼットは周りと同じ白い壁に変わっていた。
触ってみても何も変わらない。

「はぁ・・・進むしかないってことか」
21 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:33
ため息を一つついて、前に見える小さな扉に向かった。
小さな扉は・・・近づいても小さかった。
大きさは私の両手ほど。
遠くにあったから小さいのではなく、元々小さかったようだ。

「ん・・・!」

どうにか頑張ってみたが入れない。
まぁ、扉の大きさからして当然なんだけど・・・
中国雑技団の人でもムリなんじゃないかな?
・・・イヤ、あの人たちならありえるかもしれない。

そんなことを考えても仕方が無い。
私は雑技団の人間じゃないんだから。
とりあえず、ガキさんがここを通っていったということは何かしら秘密があるはずだ。
そう思い、部屋を見回すと・・・
22 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:33
テーブルがあった。
しかも、部屋の中央に。

おかしい。
さっきは無かった。
あったとしたら、私が見逃すはずがない。
怪しさ満点のそのテーブルに近づいてみると、テーブルの上にはほかほかのじゃがバターが置いてあった。

「わぁっ!!」

脇に置いてあった箸を持つと、すぐに口の中にじゃがいもを放り込む。
じゃがいも独特の甘さとホクホク感、バターの塩気が口一杯に広がる。
23 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:34
「う〜ん、幸せ・・・」

と、呟いたところで私は我に返った。
いくらじゃがいもだったとはいえ、こんな怪しさ満点のものを躊躇無く食べてしまう私って・・・
反省。
ひと昔前に流行った、テーブルに手をつくポーズをとる。
ポーズをとる・・・
とる・・・
24 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:34
と・・・とれない?
手に当たるはずのテーブルに当たらない。
というか届かない。
気付けば、テーブルは見上げるほど巨大化していた。
いや、違う。

私が小さくなったんだ!!

その証拠に、すぐそこに見えていたさっきの小さな扉が遠くのほうに見えるし、
今使っていた箸が、異常な大きさになってすぐそばに落ちている。
なぜ小さくなってしまったのか、という疑問は横に置いといて、
この大きさならさっきの扉も通れるはず。
私は扉に向かって走り出した。
25 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:34


【5分後】


26 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:35
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・!!」

遠い。
身体が小さくなった分、扉までの距離が遠い。
私が長距離が得意だったからまだしも、安倍さんだったどうするつもりなんだ、まったく。
安倍さんなら日が暮れちゃうよ・・・
なんとか扉に辿り着き、深呼吸をして息を整える。

「ふうっ!!」

額の汗をぬぐってから私は普通の大きさ(になったように見える)の扉を開けて、さらに先に進んだ。
27 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/21(木) 00:36
第2話、終了です。

ね?更新遅いでしょ?
そんなこと自慢しても何も偉くないんですけどね

>>17さん
レスありがとうございます
気長にお付き合いくださいませ
28 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/22(金) 22:22
大スキな紺野さんの小説がまた読めるなんて・゜・(つД`)・゜・。
楽しみにしています。
遅くても更新まってますね!
29 名前:17 投稿日:2006/10/21(土) 23:51
おおー、いつの間にやら続きが来てるぅ
次も楽しみにしてます。
30 名前:17 投稿日:2006/10/21(土) 23:51
ぐあ・・・。sage忘れorz
31 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:20


3、

32 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:21
扉の奥は通路だった。
出口が見えないから、結構な長さのようだ。
先ほどの部屋とは違い、全面的に黒い。
なのに、なんとなく明るいところはさっきの部屋と同じだった。

「そうだ、早く行かないとガキさんを見失っちゃう」

先に行っているガキさんに追いつくため、私は再び走り出した。
暗い一本道を走る。
出口が見えないので、少し憂鬱になりながらも走る。
あまりにも代わり映えしない風景に、実は足元だけベルトコンベアになっていて全く進んでいないんじゃないか?
そんなことを思い始めた頃、ようやく出口の光が遠くに見えた。
その光に向かってペースを早め、一気に出口を駆け抜ける。
33 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:22



トンネルを抜けるとそこは雪国でした。



・・・間違えた。
通路を抜けるとそこは深い森でした。
34 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:22
一目見ただけで古い森だということが分かる。
上を見上げると重なりあった葉の間からほんの少しだけ光が見えた。
周りにある木は、どれもごつごつとしていて枝が複雑に伸びていた。
その姿はまるで『LOVEマシーン』が始まる前のモーニング娘。のポーズのようで私は少し笑った。

「何笑ってるの?」

不意に声がして、私はビクッとした。

「だ、誰?」

そう言いながら辺りを見回す。
見回して気付いたが、前のクローゼット同様、通路も消えていた。
どうやらここは前に進むことしか許してくれないらしい。
35 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:23
「どこ見てんの?ここだよ、ここ」

その声の方に顔を向けてみると、そこには尻尾が見えた。
そして、その尻尾の持ち主は・・・

「美貴ちゃん!?」

そう、その顔は間違いなく、モーニング娘。のツッコミ番長・藤本美貴だった。
ただ、先ほどのガキさんがウサギだったように、美貴ちゃんは猫だったが・・・
まぁ、ガキさんウサギと違い、こちらはイメージ通りって感じだけど。
美貴ちゃんは猫耳と尻尾をつけて、木の枝に寝転んでいた。
その格好に、昔やっていた『美少女教育』で同じような格好をしていたことを思い出す。
36 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:24

「違いま〜す、私はチシャ猫で〜す」

からかうような口調で美貴ちゃんが答える。
チシャ猫って・・・アリスじゃないんだから・・・


・・・ん?アリス?
そういえば、なんとなくここまでの展開がアリスに似ている気がする。
ウサギのガキさん。
身体が小さくなるじゃがバター。
そして、チシャ猫の美貴ちゃん。
37 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:24
そうだ、アリスの登場人物と同じだ。
・・・若干、設定にムリはあるけど。
ということは私がアリス!?
やった!主人公じゃん!!
これまで脇役ばっかりだったからなぁ・・・
ドラマにしても歌にしても・・・
主役だったのは最初のミュージカルくらいかなぁ・・・
あとはずっと脇役ばっかりだった・・・
こんなところで主役ができるなんて・・・
嬉しいなぁ・・・
これだけでも来た甲斐があったよ・・・

「お〜い、お〜いってば!」

遠くを見ていた私は、美貴ちゃんの声で現実に引き戻された。
38 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:25

「美貴をほったらかしにしてボーっとするなって。だいたい、この格好すごい恥ずかしいんだから」
「・・・やっぱり美貴ちゃんじゃん」
「違います、チシャ猫です」
「・・・・・」

もうどっちでもいいや。

「で、そのチシャ猫さんが何か用?」
「違うでしょ?用があるのはそっちでしょ?」
「え・・・?」

予想もしない答えに少々面食らう。
39 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:25

「いろいろ聞きたいんじゃないの?何も聞きたくないなら美貴、行くよ。別に美貴は困らないし」
「ま、待って!!」

慌てて美貴ちゃんを、いやチシャ猫さんを呼び止める。

「教えて!ここはどこ?どうすれば帰れるの?」
「その願い、叶えよう!!!」

・・・あれ?魔女?

「チシャ猫だってば」
「あの・・・人の心を読むのやめてもらえます?」
「ここはね」

私の抗議を無視して美貴ちゃんは話を続ける。
40 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:26

「ここは不思議の国。そして、どこでもない場所」
「どこでもない・・・?」
「そう。あるけどない。ないけどある。そんな場所」

・・・禅問答か。

「そんな難しいこと分かんないよ」
「だから、人の心を・・・」
「帰る方法は無いよ」
「え・・・!?」

抗議する前に美貴ちゃんが言った言葉に、言葉を失う。
帰る方法が無い?
41 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:26

「どういう意味?」
「どうもこうも、そのままの意味だよ」
「本当に無いの?」
「うん」

なんということだ・・・
美貴ちゃんの言っていることが本当なら、一生私はここにいることになってしまう。
どうしよう・・・
42 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:27
朝になってママが私を起こしにくる。
そして、私がいないことに気付くだろう。
心配したママは警察に連絡。
当然事務所にも、メンバーにも連絡が行くだろう。
そのうちマスコミも嗅ぎ付けて、明日の朝刊・・・いや、今日の夕刊には1面に
『紺野あさ美、卒業当日に謎の失踪!!』って書かれちゃうんだ・・・
その記事にはあること無いこと書かれて、朝のワイドショーに出てくる変なコメンテーターが得意げに
『勉強に行き詰ってたんですかねぇ・・・?』とか言うに決まってる。
さらにファンの人にもインタビューとかして、そのファンの人が
『こんこんは一気に爆発しちゃうからね。前にもフットサルで辻にキレてたらしいし』
とか言っちゃうんだ・・・
どうしよう、どうしよう・・・

「お〜い、お〜いってば!!」

美貴ちゃんの声にまた現実に引き戻される。
43 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:27
「まったく・・・何いろいろ想像してんだか」
「だって・・・」
「分かったよ・・・どうしても戻りたいんだったら女王に会ってみな」
「・・・女王?」
「そう、通称『氷の女王』」

・・・怖そう、すごく怖そう。
でも元の世界に戻るにはその人に会わなくちゃならない。
新聞記事になる前に元の世界に戻らなきゃ。

「どこに行けば・・・?」
「さぁね?そこからは自分で探しな」

そう言う美貴ちゃんの身体はだんだん透けていった。
ディズニーのアニメで見たチシャ猫そのものだ。
44 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:28

「教えてよ!」
「や〜だよ。 娘。のときは自分の力で乗り越えたんでしょ?
だったら今回も自分の力でどうにかしな。これからはメンバーもいないんだし」

ハッとした。
そうだ、私はこれから一人。
全てを自分の力で乗り越えなくっちゃいけないんだ。
そこには頼れるメンバーもいない・・・

そんなことを考えているうちに美貴ちゃんの身体はどんどん薄くなって、
いるかいないか分からないくらいになってしまっていた。

「はぁ・・・話してたらお腹空いてきちゃった。焼肉でも食べに行こうっと」

その一言を残して美貴ちゃんは完全に消えた。

「焼肉か・・・」

その言葉を合図にしたかのように、私のお腹が派手に鳴った。
45 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:28
顔を赤くして、私は辺りを見回す。
どうやら、誰にも聞かれなかったみたいだ。
でもお腹空いたな・・・
女王に会うにも、何か食べてからじゃないと・・・
腹が減っては戦は出来ぬって言うし。
そのとき、私の鼻がカボチャの匂いをキャッチした!!

匂いにつられるように、その匂いの元のほうへ私は歩いていった・・・
46 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/10/29(日) 21:32
第3話、終了です。

>>28さん
ありがとうございます。
ご期待にそえるよう、頑張ります。

>>29さん
すいません、遅くて(汗
遅いからなかなか気付かないですよね
気付いてもらえるように、なるべく早く更新したいです
47 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/02(木) 19:30
               
48 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:52

4、
49 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:53
深い森の中をひたすらに進む。
目印など無い。
道などあるわけが無い。
でも私は、『そこ』に向かってまっすぐ進んでいった。
この鼻だけを頼りに。
50 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:53
視界が開けた。
木を避けながら進んできたので、急に木が無くなり少しつんのめった。
体勢を整えながら、ゆっくりと顔を上げていく。
そこは広場のようだった。
そこだけ木が切り倒され、ぽっかりと穴が開いたようだった。
その中心にはなぜか長いテーブルがあり、その両脇にはたくさんのイスがあった。
そのテーブルの真ん中あたりに一人の人が座っていた。
その人はただひたすらに目の前のカボチャ料理をほおばり続けていた。
いや、ほおばるというより、むさぼり食っていた。

「あの・・・」

恐る恐る背中に向かって声をかける。
51 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:54
・・・無視。
頭に乗せたシルクハットが小刻みに揺れている。
シルクハットとテーブルセット。
ここがアリスの世界ならこの人はあの役なんだろうな・・・

「あの!!」

少し声を大きくする。

「ほっほはっへ!!」

どうやら聞こえたらしい。
・・・と言っても、相手が何を言ってるのかは分からないけど。
口の中のものを飲み込んでから話してほしい。
左の手のひらをこちらに向けながらも、顔はテーブルを向いたまま。
ジェスチャーから察するに、『ちょっと待って』と言っているようだった。
その人は傍らにあった、コップの水を一気に飲み干し、プハーッと一息ついてからこちらを向いた。
52 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:54

「なにか御用ですか?」

振り返ったシルクハットのその人物も私の良く知る人物だった。
53 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:55



その人は、私の同期・5期メンバーの一人、小川麻琴だった。



54 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:55
分かってたよ。
だってカボチャだもん。
この流れから言って、麻琴が出てこないわけが無いと思ってた。
でも、なぜ?
なぜ、コントの白百合伯爵夫人のメイクなの?

「だって私は仮面屋だから」
「・・・・・・」

ここの人たちはみんな心が読めるのか?
いいや、もうその疑問は考えないことにしよう。
それよりも。
55 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:55
「仮面屋さん?」
「うん」
「帽子屋じゃなくて?」
「うん、仮面屋」

イカレ帽子屋だと思ったけど、どうやら違うらしい。
確かにイカレ帽子屋よりも浮かれ仮面屋のほうが似合ってるような気もする。
まぁ、どっちでもいいけど。
それよりも私の関心はテーブルの上のカボチャ料理に向かっていた。
テーブルの上にはたくさんのカボチャ料理。
カボチャの金色に光る実は、まさに黄金。
いうなれば、テーブルの上は黄金の山、宝の山だった。
56 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:56
「食べたい?」

シルクハットをかぶった、厚化粧の女が・・・いや、麻琴が聞く。

「うん!」

元気に答えると、麻琴はニッコリ笑って、

「よしっ!それじゃカボチャパーティだ!!」

と言って、指をパチンと鳴らした。
すると、いきなり目の前が真っ白になった。
何が起こったのか分からずにただ突っ立っていると、
目の前にあった『白』はサッと消え去り、再び目の前に麻琴が現れた。
どうやら、今の白いのはテーブルクロスだったようだ。
今までむき出しだった木のテーブルには、テーブルクロスが敷かれ、
その長いテーブルの端から端までカボチャ料理で埋め尽くされていた。
57 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:56
「うわぁ・・・」

そう言ったきり、言葉が出てこない。
自分でも目がキラキラと輝いているのが分かった。

「さぁ、食べよ!」

私は麻琴の向かい側の席に座った。
見渡す限りのカボチャ料理。
お母さん、今私は幸せの中にいます・・・

「「いっただきま〜す!!」」

二人で声を揃えて、私たちは食べ始めた。

おいしい。
どれもこれも全部おいしい。
まるで・・・
58 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:57

「まるでカボチャ天国やぁ〜」

麻琴が今、私が言おうとしていたことを言う。
『私と同じこと考えてる』と笑いながら言おうと麻琴の顔を見た。

あれ?
麻琴の顔が変わってる。
いや、正確にはメイクが変わっている。
ほんの数分前には、確かに白百合伯爵夫人のメイクだった。
だけど、今は・・・
五郎さんになっていた。

「る〜るるる、る〜るるる」

キタキツネを呼びながら、麻琴はカボチャをほおばっていた。
両目の脇をテープで止めて、無理やり目を細めている。
あれでちゃんとカボチャが見えてるんだろうか?
帽子もいつの間にか五郎さん仕様になってるし・・・
いったいいつの間に・・・?
59 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:58
「はははひっはへほ、はへんははっへ」

【注】
登場人物が口に食べ物を入れたまま話しているので、
ここからはクリアな音声でお送りします。


「だから言ったでしょ、仮面屋だって」

まただよ。
もういい加減、心を読まれるのにも慣れてきた。

「その仮面屋っていうのがよく分かんないんだけど?」
「ん?だって私、コントでいろんな役やるでしょ?それでメイクもいろいろするし。
 それが仮面みたいだな、って思って」
「やっぱり麻琴なの?」
「ううん、仮面屋」
60 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:58
どうやらここの人たちは、絶対に自分を本人とは認めないみたいだ。
と思っているうちに、麻琴の顔は細毛数子に変わっていた。

「あんた、死ぬわよ」

はいはい。
麻琴のボケをスルーして、次の質問をする。

「あのさ、ガキさん探してるんだけど、知らない?」
「知ってるよ」
「本当に!?教えて!!」
「ヤダ」

・・・即答かよ。

「・・・なんで?」
「だってカボチャ食べるのに忙しいし」
「今だって食べてるじゃん」

【注】
現在、二人は口いっぱいにカボチャをほお張っております。
そのままでは聞き苦しいので、音声をクリアにしてお送りしております。
61 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:59
「でも、忙しいの!」

私の慣れないツッコミを無視して、麻琴は食べ続ける。
どちらかといえば、私もボケなんだからね。
麻琴がボケたら私がツッコまないといけないじゃない。
まったく、二人ともボケというシチュエーションは、話の展開が遅くて困る。
・・・作者が。

「いいじゃない、ちょっとくらい食べるのやめてくれたってさ」

文句を言いながら、私は少し周りの森に目を向けた。
62 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:59

「・・・あれ?」

ふと見ると、森の前にある茂みの中にピンク色の揺れる物体を見つけた。
よくよく見れば、うさぎの耳のようだ。
うさぎ・・・?

「ガキさん!?」

そうだ、さっき見たガキさんもあんな感じのうさ耳を付けていた・・・ような気がする。
でも、微妙に違うような気も・・・

そんなことを考えていると、見えていた耳は私を挑発するかのようにクニャクニャと踊りだした。
そして、その動きが止まったかと思うと、下からスケッチブックが出てきた。
何か書いてある。
63 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 16:59

『バ〜カ』

「なっ!?」

私が思わず立ち上がると、耳はスケッチブックを引っ込め、森の奥に逃げ出した。
・・・と、思ったら、ギリギリ見えるところで止まって、また踊りだした。
私が追ってこないから、さらに挑発しているらしい。
そして、ついにトドメの一撃が来た。
あのスケッチブックだ。
今回はこう書いてあった。

『デブ』

これは頭にきた。
私は太ってるんじゃない、ぽっちゃりしてるんだ!
顔にお肉がつきやすいだけだ!
64 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 17:00

決めた。
あの耳を捕まえて、一発正拳突きをお見舞いしてやる。
どうせ麻琴がカボチャ食べ終わらないと、何も聞けそうにないし。
それまでの時間つぶしだ。
目の前で、私のことなどまったく気にしていない様子でカボチャを食べ続ける麻琴を尻目に私は席を立ち、
耳を追いかけるために、森の中へと入っていった。
65 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 17:00










・・・と、その前に。
最後に一つだけカボチャを口に放り込んだ。
やっぱりおいしいや。
66 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 17:02
第5話、終了です。

ずいぶんと間が開いてしまいました。
世間では『こんこん、慶応大合格』のニュースで賑わっているのに
ここはまだ、娘。卒業前・・・
早く終わらせないと・・・
67 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/24(日) 17:14
・・・ごめん、第4話だった
68 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/09(火) 01:19
もー作者さんったらお茶目さんなんだ・か・ら☆

年をまたいだブリザードはさておき、とても面白かったです。
ものすごく面白かったです。
今年も面白く切なくよろしくお願いいたします。
69 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/02/27(火) 03:29
まもなく再開予定ですので
もうしばらくお待ちを・・・

・・・待ってくれてる人いるのかな?
いや、いると信じよう

3月中には必ず更新しますんで(範囲広っ!)
70 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/27(火) 11:39
おー!待ってますよー
三月が楽しみだなーw
71 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:33

5、

72 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:33
どこかから鳥の鳴く声がする。
木の葉の間から差し込む光が辺りを優しく照らしている。
時折、吹く風で木の葉が揺れ、それにつられて光も揺れている。
そこはゆったりとした時間が流れる場所だった。

その中を走る、ピンクの物体と一人の少女。

逃げるピンクの物体。
追う少女。
その差はだんだん縮まっていた。
73 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:34
よし、いい感じだ。
私はピンクの耳を追って、森の中を疾走していた。
たまに見えるピンクの耳との距離は確実に縮まっている。
フッフッフ、スポフェスMVPの力をなめるなよ・・・
幸い、ピンクの物体のスピードは遅い。
・・・というか、鈍い。
この分なら、すぐに追いつくだろう。

そう思っていると、ピンクの物体は動きを止めた。
諦めたのかな?
ま、許さないけど。
私はラストスパートとばかりに、スピードを少し上げた。
74 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:34
「もう逃がさないわよ・・・」

深い森の中の少し開けたところで私たちは対峙した。
最後のスパートで少し乱れた息を、深呼吸をして静かにしていく。
追い詰めたピンクの耳の持ち主は何もせず、大きな木を背にこちらを向いて立っていた。

「やっぱり、あなただったのね・・・」

ピンクの耳の持ち主には見覚えがあった。
その愛くるしい顔とは正反対のイジワルな性格。
設定なのか、言葉を一切使わず、スケッチブックに書いた文字でのみ会話をするという
独特のスタイル。
そう・・・そこにいたのは・・・
75 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:35


絶叫コマーシャルでお馴染みのウサギの着ぐるみだった。


76 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:36
「あのときはお世話になったわね・・・」

じりじりと、ウサギとの距離を詰めていく。

「あのときの恨み、忘れてないわよ・・・」

その距離、残り1メートル。

「あのとき、あなたが勝ったほうが乗る、なんて言わなければ、
あんな怖い思いをしなくてすんだのに・・・」

拳をギュッと握り締め、正拳突きの構え。

「ウサギの・・・ウサギの・・・バカァ!!!」

私の渾身の力を込めた拳がウサギに炸裂した!!
77 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:37
・・・と思われた、そのとき!

『ちょっと待って!』
「!!!!!!!!」

ウサギの掲げたスケッチブックに、私はギリギリのところで拳を止めた。
車は急に止まれないが、拳はなんとか止まるらしい。
私はすぐに再び拳を動かせるよう、準備をしながら訊いた。
78 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:37
「何?」
ペラッ
『紺野さんは女王様のところに行きたいんですよね?』
「そうだけど?」
ペラッ
『行き方教えます』
「マジで!?」
ペラッ
『マジです』

どうでもいいけど、なんでこのスケッチブックと会話が成り立つんだろう?
私ってそんなに分かりやすいんだろうか?

ペラッ
『話を進めてもいいですか?』
「あ、どうぞ」
ペラッ
『こちらです』
79 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:38
そう言いながら(めくりながら)ウサギが案内してくれた先には、一つの乗り物があった。

ペラッ
『これに乗れば、あっという間に女王様のところに行けます』
ペラッ
『さぁ、乗ってください』
「イヤです」

私は即答した。
だって・・・
だって・・・
この乗り物、どう見たって・・・
80 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:38
ジェットコースターじゃないかぁああああああ!!!!!!!!



ペラッ
『そうです、ジェットコースターです』
ペラッ
『でも、すぐに女王様のところへ行けますよ?』
「あの・・・別の方法って無いの?」

私は願いを込めるように聞いてみた。

ペラッ
『ありますよ』
「本当に!?」
ペラッ
『はい』
「なんだ、あるんじゃん!早く言ってよね!」
ペラッ
『それではあちらをご覧ください』
81 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:39
そう言って(めくって)ウサギは森の先の少し開けたところを指差しながら、
双眼鏡を私に手渡した。
言われたとおり、双眼鏡で指差された方を見てみる。

「・・・・・・・・・・・」

しばし絶句。
軽く息を吐いてから、質問した。

「・・・あれは何?」

そう、双眼鏡で覗いた先にはちょっと理解不能なものがいた。
言葉で説明するなら

『外人のお面を被った半裸のマッチョ男』

自分でも意味不明なことは分かっているが、この言葉以外に言い表す言葉を私は知らない。
82 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:41
ペラッ
『彼の名前はMr.スウェット』
ペラッ
『通称、スーさんです』

いやいやいや、スーさんとかいらないから。
っていうか、その名前は何!?

ペラッ
『スーさんの脇に長い石段があったのが分かりましたか?』
「うん、あったね」

たしかに、そのスーさんの脇には長い石段があった。
長すぎて、頂上が見えないほど長い石段だった。
・・・待てよ?このタイミングでその話が出てくるということは、もしかして・・・
83 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:41
ペラッ
『あの階段を上がることがその方法です』

そんなぁ・・・
あんな階段上れないよぉ・・・

ペラッ
『しかも、上っている間、ずっとスーさんが横から話しかけてきます』

うざっ!

ペラッ
『さぁ、どちらにしますか?』
84 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:42
片や、大嫌いなジェットコースター。
片や、終わりの見えない階段上り、しかも変な人のおまけ付き。
どちらを選んでも不正解。
どちらを選んでもきついのは必至。
なら・・・

「ジェットコースターにする、そっちのほうが早く終わるし」
ペラッ
『分かりました、それではこちらへ』

ウサギに案内されるまま、私はジェットコースターの一番前に座る。
安全バーがゆっくりと降りてきて、私の身体をガッチリとロックした。
これで、もう逃げることはできない。
そう思ったら、すごく逃げたくなってきた。
85 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:44
「あの、やっぱりやめたいんだけど・・・」
ペラッ
『無理ですね』
「やっぱり?」
ペラッ
『あ、一つだけ言い忘れてました』
「何?」

少しでも発車時間を延ばしたくて、話を繋げようと頑張ってみる。
ウサギは片手でスケッチブックを持ちながら、余ったもう片方の手でピースを作り
自分の頭の上に持ってきた。

ペラッ
『うさちゃんピース!!』
86 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:45
・・・

その場の空気が一瞬にして凍りつく。
ウサギのやるうさちゃんピース。
その威力は全盛期の石川さんを彷彿とさせた。
しかも妙に決まっているから、余計に性質が悪い。
まるで本人がやってるみたいだ。
さゆに弟子入りでもしたのかな?

ペラッ
『さて・・・それでは出発です』

何事も無かったかのように、ウサギは進める。
っていうかなんで今、うさちゃんピースをやったの?
87 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:46
ペラッ
『あ、最後にもう一つだけ』
「え?またうさちゃんピースとかやめてよ?」
ペラッ
『乗車時間は、普通のジェットコースターをはるかに越える10分です』
「・・・え?」
ペラッ
『それでは素敵な旅をお楽しみください』
「ちょ、ちょっと・・・!!!」

私の焦りと裏腹にジェットコースターは動き出した。
ゆっくりと坂を上がっていくジェットコースターからウサギの方を見ると
満面の笑みで(多分)手を振っていた。
あいつ・・・今度会ったら絶対正拳突きを食らわしてやる・・・
上段回し蹴りもおまけしてやる・・・!!!
88 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:46
ブツブツとウサギへの恨みを呟いている間に、ジェットコースターは坂の頂上へ到着していた。
私は大きく息を吸い込んで、目を閉じた。
そして、私の長い長い10分間が始まった・・・
89 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:46


90 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:47
紺野の悲鳴が聞こえ始めた頃、ウサギは顔を取った。
着ぐるみはよっぽど暑かったのか、その顔は汗だらけだ。
男性が入っているのかと思いきや、そこに現れたのは口元のホクロと長い黒髪が印象的な、
かわいい女の子だった。

「違うの」

・・・はい?

「『カワイイ』じゃないの『すごくカワイイ』なの」

あ、すいません・・・っていうかナレーターに口を挟むのやめてもらえますか?
いろいろ設定が・・・
91 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:47
「そんなの関係無いの」

関係無いですか・・・(汗

「そんなことより聞きたいことがあるの」

・・・はい、なんでしょうか。

「さゆみの出番ってこれで終わり?」

えっと・・・今のところ、後で出てくる予定は無いです。

「やなの!やなの!もっと出番増やさないとやなの!!」

そんなことを言われましても、こちらにも事情というものがありまして・・・

「そんな事情なんて知ったこっちゃないの」

そう言われましても・・・

「ここからは紺野さんの話をやめて、さゆみ姫と白馬の王子様のラブストーリーにするの」

いや、あの・・・

「そうするの!そうしたらもっと読者が増えるの!!」
92 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:51
・・・分かりましたよ、じゃあ後でお姫様として出しますから、それでいいでしょ?

「分かればいいの、これで安心なの」

はぁ・・・大変だ・・・


そんなやり取りが行なわれているとはつゆ知らず
紺野さんはジェットコースターの上で悲鳴を上げ続けていた。
ちなみに、まだ全体のコースの半分も消化していない。
93 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/27(火) 02:55
第5話、終了です。

大変お待たせいたしました。
3月に更新すると言ったら、普通中旬には更新しますよねぇ・・・
すいませんでした。
こんこんが卒業した7月までに、完結できるだろうか・・・
が、頑張ります(汗

>>68さん
お褒めの言葉、麻琴にありがとうございます。
面白くも、切なくもできるかどうか分かりませんが、頑張ります。

>>70さん
大変お待たせしました。
次はもうちょっと早めに更新できるように頑張りますんで・・・はい。
94 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/03/28(水) 00:20
あ、一応ageときます
95 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/29(木) 21:27
そんなに分かりやすいのかなぁ…と無言で固まってる彼女が
ありありと思い浮かんで笑いましたw
ゆっくりお待ちしてまーす
96 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/14(日) 15:16
底でやっててください

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