消えないカケラ
- 1 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:43
- キラキラきらきら、ぴかぴかピカピカ
そう輝いてみえるのはあたしだけなんだろうか。
君には、そう見えないのかな?
- 2 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:44
-
高校入学した。頭の悪いあたしでも入れる学校があったなんて。
そこはなんと言ってもやっぱし東京のイイとこなわけで。
中学時代、みんなが背伸びしたがる時期。波に乗り遅れるはずもなく、むしろ輪を乱してしまうくらい、背伸びだなんて言えないほどのことをしてたんだ。きっと周りはあたしのことを『不良』、そう言うんだ。
でも高校に入ってしまえばもうこっちのもの。
あとは卒業するまで遊びまくればいいんだ。中学時代にはできなかったことも、高校生になればなんでもできそうな気がするんだ。いや、できるんだ!
- 3 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:45
-
「おーいっ!麻琴!ここだよ〜」
ふと声がしたから、その主を探してはみるものの女子高だしみんな同じ制服なわけで、一向に探し出せない。
それに今はお昼休みなこともあって、とても困難すぎるし。
すると急に肩を思いっきり後ろに引っ張られたんだ。
「いでっ!」
「お前さ、キョロキョロしすぎ」
「よしざーさんかぁ、誰かと思ったしぃ〜」
「いいからいいから、屋上いこーぜ!」
「ふぁ〜い…」
- 4 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:46
-
よしざーさんとは、吉澤ひとみさん。バレー部だったらしいけど、今は違う。
もう部活には入ってないんだけど、バレー部のときはもの凄い人だったらしい。
なんで辞めたのかはあたしには聞けない。だって聞いちゃいけないって気がするから。
ついでによしざーさんは2年生。
あたしは一年生。どうして知り合ったのかは、これから分かると思うよ?
- 5 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:47
-
「ありゃ?今日はみんなお揃いで」
「だろ〜?超珍しい日だからさ、麻琴も呼ぼうって」
「んあ、久しぶりだね。まこっちゃん」
「あ、…はい。お元気そうで」
「麻琴さぁ、昨日補習逃げたでしょう?」
「えっ!?なんで知ってるんですかぁ?」
「昨日の放課後、まこっちゃんの担任がさ大声で探してたんだよね」
藤本美貴ちゃん。3年生。一見怖そうに見えるけどホントはそんなことなくて、ちょっと勘違いされやすい人。
後藤真希さん。2年生。ほとんど学校で見かけない。よく寝てる人。クールでカッコいいけど、可愛いとこもちゃんとあってあたしの尊敬する一人。大学生に恋人がいるらしい。
石川梨華さん。3年生。ピンク好きと言ったらこの人。あたし達の中では一番マジメなんだけど、恋人がよしざーさんだからよくサボらされるみたい。
松浦亜弥ちゃん。2年生。自分が大好きと言ってるけど、恋人はしっかりいる。美貴ちゃん。誰にも人懐っこいんだけれど、どこか孤独感を感じさせる人。
- 6 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:48
-
こんな人たちだけど、毎日がすごく楽しいんだ。
だって屋上にいけばいつも誰かいるし、年下のあたしのこともみんな可愛がってくれる。
同級生に友達らしい人はいないけど、それでもいいやって思えてくるんだ。
「麻琴〜、補習はダメだなぁ」
「…よしざーさんには言われたくないんですけど」
「そうだよ、よっすぃ。あたしが教えてあげてるんだからね」
「うん。今思い出した。梨華ちゃん、今度のテストもよろしく!」
「またぁ?もうよっすぃったらちゃんと授業出なよぉっ!」
- 7 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:49
-
二人で揉め始めてきたから、他の3人の会話に混ざることにした。
「ごっちんってさぁ、学校来てないときって何してんの?」
「あー!あたしもそれ気になるっ!」
「んぁ、寝てる」
「「はぁっ!?」」
二人ともフリーズ。きっとそんなに眠いのかと驚いているんだろう。
「後藤さんって、学校来てないとき寝てるってことは、夜とか彼女さんと遊んでるんですか?」
「んぁ、そーだね」
「なんだよ、そーかよ。もっと詳しく言ってくれよなぁ、亜弥ちゃん?」
「まったく!ずっと寝てるのかと思ってちょっと引いてたし」
「だってめんどいじゃん」
- 8 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:49
-
あぁなんか、こっちでも揉めてきたなぁ。
そう思っていると、昼休みが終わりの、そして、5時間目が始まるチャイムが鳴った。
予鈴が聞こえないほど騒いでいたんだなぁ、なんて思った。
「チャイム鳴りましたけど、どーします?」
「あ?サボるに決まってんじゃん」
「久しぶりにみんな集まったんだからよ?遊びにいこーぜ!」
「いいですけど、今日お金あんましないですよ?」
「平気、平気!そーゆーのは美貴に任せとけって!」
「はぁ…」
- 9 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:50
-
そうしてみんなについてくと、東京でも大きな街に出た。
きっとみんなもお金なんてそんなにもってないはずだし、どーするつもりなんだろう。
「美貴ちゃん、カツアゲでもすんの?」
「おいおい麻琴ぉ〜、美貴がそんなしょぼいことするわけねーだろ」
「ミキティなら余裕でできんじゃん」
「そーゆーよしこもできるよ」
「そーゆーごっちんもっ!」
端からみればあたし達なんて、真昼間から街に出てサボってる不良にしか見えない。
実際、不良なんだけども。
亜弥ちゃんと、石川さんは、そんなにサボったり喧嘩もあんまりしないんだけど、怒らせてしまうと超怖いんだ。
美貴ちゃんとよしざーさんも手がつけれないぐらいに。
- 10 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:50
-
「お♪カモはっけ〜ん♪」
「え?どれ?」
「まぁまぁ。まこっちゃんはじっくり見てなって」
急に美貴ちゃんが呟いたかと思うと、ふらふらぁ〜っと荷物をたくさん持ったおばあちゃんのとこに行ったんだ。
普段は目つきが悪くてみんな避けて歩いちゃうくらい怖いのに、にっこり笑っておばあちゃんの目線に合わせるようにちょっと屈んで話しかけたんだ。
「おばぁ〜ちゃんっ!いっぱい買い物したねぇ、重くない?荷物。美貴が持ってあげるよぉ」
「ほんとかい?ありがとねぇ、いやぁもう腰が痛くて大変だったんだよぉ〜」
「うん!もう美貴が持ってあげるからさぁ、おばぁちゃんいっぱい買い物してもいいよぉ!」
- 11 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:51
-
「…何ですか、あれ」
「みて分かるだろ〜!ミキティがおばあちゃんにボランティアだよ」
「それは分かりますけどよしざーさん、何でですか?」
「ついていけば分かるよ」
こっそりついていくこと2時間後、おばあちゃんの最寄り駅まで行って、タクシーで帰るおばあちゃんを笑顔で見送る藤本美貴さん。タクシーが見えなくなると、両肩と首をグルグル回している。凝ったんだろう、そりゃそーだ。
2時間ずっと荷物持ってあげてたんだから。美貴ちゃんはあたし達を見つけて、こっちに駆け足できた。
とりあえず、元の場所に戻ろうということで、また電車に乗って街に戻ってきた。
- 12 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:51
-
「美貴ちゃん、どーゆーことなの?」
「麻琴。美貴は今日、いい事をしたんだ」
「それは分かるけど」
「あのおばあちゃんの荷物を持ってあげたんだ」
「その意味が分かんないよ」
「だからあのおばあちゃんは美貴に、一万円をくれたんだ」
「えぇっ!!!マジで?」
「マジで」
得意げにポケットから一万円札を出した美貴ちゃん。なんかもやもやがすっきりした気がする。
だからあんなに笑顔で人懐こそうにしかも優しくしてたんだぁ。
美貴ちゃん、恐ろしすぎるよ美貴ちゃん。
- 13 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:52
-
「たんはホントそーゆーの得意だよね」
「みんな美貴のこと真似したほうがいいよ?」
「んぁ、あたしと梨華ちゃんとまっつーは真似できるけど、よしこは無理だね」
「なんでさぁっ!あたしだって超優しいのにぃ!」
「あー確かに。下心は隠せなさそう」
「麻琴てめー…」
とりあえずそのお金でみんなでご飯食べて、カラオケに行って、楽しい時間はあっという間に過ぎちゃうんだ。
みんなそれぞれデートらしくて、あたしだけなんだか手持ち無沙汰。
しょーがないから家に帰ることにしたんだ。
- 14 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:52
-
「ただいま…」
誰も何も言うはずがない。だって今のあたしの家は学校の寮だ。実家が遠いわけでもないけど、ここの寮は規則はあるけどそんなに厳しくないし、門限もあるようでないようなもの。だって管理人なんていないし。
よしざーさんも石川さんも、美貴ちゃんも亜弥ちゃんも、後藤さんもここに住んでる。
部屋は一人一部屋という、素晴らしい寮なんだ。
でもさっきから、なんか聞こえる。なんだろう、喧嘩っぽい。
声が低いな、男だな多分。うちの女の子に手でも出しているのかな。
ジャージに着替えてから行こう。久しぶりの喧嘩だし。
よしざーさん達とつるむようになってから、喧嘩の回数が減ったんた。あの人達はここら辺じゃ超有名で、誰も喧嘩売ってくる人なんていなかったから。あたしはちょっと退屈してたんだ。
- 15 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:53
-
「あんたさぁ、何してんの?」
「うるせーんだよっ!怪我したくなきゃさっさとどっか行け!」
「…ひっ!…ぃ、イヤ…」
うちの生徒の女の子は怖がって半泣き状態だし、男は連れ出す気満々だし、あたしのイライラは頂点に達しそうだった。
女の子にはまず笑顔で安心させてから、男に蹴りを入れた。
「ぐっ!ぁあっいてぇ!いって…」
「へへへ、いてぇだろぉ?よしざーさんに教わったやつだかんね」
「よ、吉澤?」
「あ、知ってる?じゃあ、後藤さんや石川さんや亜弥ちゃんは?」
「うぅ、ぁわわわ…」
- 16 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:53
-
やっぱしあの人たち凄いや。この男がビビッてる。もう少しだ。
あたしは男に近寄って、耳元で囁いた。
「藤本美貴も、友達なんだけど」
「やっ、やべぇ!すいません、す、すいませんでしたぁ!」
男が逃げてった。名前聞くだけであんなにビビるだなんて、あの人たち、一体どんな噂されてんだろ。
そんなに怖くないのにね、ホントは。怒ると終わりだけど。
「あ、あのぅ、ありがとうございました」
「へ?まだいたんだ。怖かったでしょ?平気?怪我ない?」
「あ、はい。大丈夫です」
「もう部屋戻ったほうがいいよ。送るし」
「いや、あの、あーし、コンビニ行きたくて」
「じゃあ、付き合ってあげるからアイス買って」
「はぁ?」
「助けてあげたじゃん。あたし、小川麻琴。1年。君は?」
「知らんの?」
「知らないよ、君みたいな訛ってる娘」
「高橋愛。同じクラスがし」
「知らんかった…」
- 17 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:54
-
コンビニに行くまでの間、あたし達は急速に仲良くなっていったんだ。
あたしは愛ちゃんって呼ぶし、愛ちゃんは麻琴って呼んでくれた。
愛ちゃんも寮に住んでて、部屋も近いことが分かった。
同級生であんまり親しくしてた人がいなかったから、愛ちゃんと仲良くなれたのは嬉しかったんだ。
「麻琴、アイス一口頂戴」
「んぇ、いいよ」
- 18 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:54
-
チョコの棒アイスだったからなのか、愛ちゃんが食べるとこをみてしまったからなのか。
あたしの胸が一拍間違えたみたい。なんだろうあたし、どーしたんだろう。心臓悪いのかな?
でも愛ちゃんってなんかこう、可愛い、よね。可愛い。
顔に似合わず口悪いし、なんでもズケズケ言いそうだし。
「ほやの、麻琴。また明日」
「え?待ってよ、愛ちゃん」
「ん〜どうしたん?」
「い、いやあたしさ、暇なんだよね。部屋入っていい?」
「…ええよ」
「お邪魔します」
- 19 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:55
-
初めて入った愛ちゃんの部屋は、普通に綺麗で女の子の部屋だった。
ん?あれ?なんだろ?すっごいドキドキしてきちゃった。あたし心臓病なの?
せっかく愛ちゃんの部屋にお邪魔してるのにぃ!
「麻琴ぉ!顔真っ赤やで?熱あるんやない?」
「ないない。でもなんかドキドキしてる…」
「へっ?な、なんでなん?」
「分かんないよう…。急に心臓悪くなったのかなぁ?」
すると愛ちゃんは、大きな声で笑ったんだ。
- 20 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:55
-
「あぁ〜ひゃっひゃっひゃ…!なんやの麻琴、心臓って」
「えぇ、分かんないよ。そんなの」
「麻琴、今まで恋したことないんやろ?」
「うぇ?なんで急に?まぁ、ないけど」
「そうなんか、そうなんか。いいやん、今日はもう寝るがし。一緒に寝よっせ」
「えぇぇえぇっ!なんでなんで…」
「うっさいんじゃ」
「はい…」
「おやすみ、麻琴」
「お、おお、お、おやすみ、愛ちゃん…」
なんで?なんであたしは愛ちゃんと寝なきゃいけないの?
なんだよもう、ドキドキがとまんないってばぁ!
どーしたんだろう、あたし、おかしくなっちゃったのかなぁ?
- 21 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/10(日) 20:59
- 初めて書かせてもらいます。
ホントは一番上に書くつもりが忘れて今書かせてもらいます。
主役は麻琴で、多分学園物の恋愛になると思います。
更新遅くならないように頑張りますんで、どうか宜しくお願いします。
- 22 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/11(月) 00:22
- おーおもしろそうですね
出てるメンバーも学園物も好きなんで楽しみにしてます!
- 23 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/11(月) 08:41
- まことかわいい……
強引な感じの愛ちゃんもいいw
- 24 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/12(火) 23:25
-
>22様
ありがとうごさいます!
ここで書くのは初めてなんで期待に応えられるかすっごい不安なんですけど、頑張ってみますんで!
キャラが無駄にならないように1人1人の個性を出していけたらいいなぁなんて思ってます。
>23様
ありがとうございます!
麻琴可愛いですか?嬉しいです!
愛ちゃんもこれからいっぱい出していきたいので、今かなり試行錯誤中です。
つまらないものにならないよう頑張ります!
- 25 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/12(火) 23:25
-
「すぅ〜すぅ〜…」
ぎゃあぁあああぁぁっ!
寝れない寝れない寝れないっ!今までお母さんとしか寝たことないのに!
今日初めて喋った人と一緒に寝るだなんて!?
- 26 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/12(火) 23:26
-
「…んぅ…っん……すぅ…」
うわわわぁああぁあっ!
危険危険危険っ!ヤバいって、マジで!寝返り打つのはいいけどお願い愛ちゃんっ!
こっち向かないでってばぁ!
あぁもうホント寝れないしぃ…どーしよ、どーしよどーしよ?
心臓がなんか変だよぅ、あたしこのまま死んじゃうんじゃないかな?平気ぃ?
明日よしざーさんに……、いや、美貴ちゃんに……、ダメだっ!
誰だれダレ?誰に相談すれば……そうだっ!石川さんに相談しようっ!そーすればきっとあたしのこの心臓がおかしくなっちゃったのも分かるかも!
ふぅ〜これで助かったぞぉ!石川さん明日は絶対学校に居てくださいねぇ!
- 27 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/12(火) 23:27
-
「ん……んふ〜……」
やっぱりこの娘って可愛いよなぁ。ちょっとサルっぽいけどさ、可愛い。
きっとよしざーさんとか美貴ちゃんとかが見たら、気に入っちゃうんだろうなぁ。
そんでもって亜弥ちゃんと石川さんに超怒られちゃうんだろうなぁ。
いやいやいや!愛ちゃ〜んっ!お願いだから、あたしを抱きしめるのはヤメテ!心臓壊れそうになってるの、ホントに壊れちゃうからぁ!
なんで?なんでこんなにドキドキしてるんだよ、あたしぃ〜っ!
- 28 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/12(火) 23:27
-
―ピピピピピピピピ……ピ…―
「んぅ……、あっ、おはよ。麻琴」
「げっ!ええぇぇぇえええええっ!」
「うっさいんや、朝から」
「も、もう朝!?」
「もうって、今7時半やで?そんなに爆睡しとったんかい」
「あ、あはははは…。…はぃ…」
一睡もしてなかった気がする。てゆーかしてない、絶対。
あのあと愛ちゃんは着替えるからあたしを追い出しやがった。寝不足なのに、あたし。
「じゃあ、教室でね!」なんて捨て台詞吐いてたけど、愛ちゃん。ごめんあたし今日は教室いけない。
石川さんに会いに行かなくちゃだし、それよりも今は寝させてくれぃ!
自分の部屋に戻ったあたしは、即座にベットに沈んだんだ。
- 29 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/12(火) 23:28
-
ふと目が覚めて、時計をみた。12時。うぅ…眠い。なんだか後藤さんの気持ちがちょっとだけ分かった気がするんだ。
でもここで寝たら絶対放課後まで起きられない。石川さんに会わなきゃ!
あれぇ?でも、もうドキドキしてないよ、あたし。なんでだろう、愛ちゃんといたときはあんなにドキドキして、心臓壊れるんじゃないかって思ったくらい凄かったのに。
ん〜でもやっぱり相談しよっ!またおかしくなったらイヤだし。
「石川さんいますぅ?」
「お?麻琴じゃん。なんだお前、今日いたの?」
「今来たんですよ」
「だよな。3時間目くらいにお前の教室通ったけど、いなかったもんな」
「…で、石川さんは?」
「何?告白すんの?」
「するつもりだったらよしざーさんに言いません」
「渡さないよ?」
「むしろ渡さないでください。もう!話が進まないってよしざーさん!」
「ははは。梨華ちゃんなら図書室にいるよ。勉強してるから」
- 30 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/12(火) 23:28
-
くっそぉ〜!せっかく屋上まで駆け上がったのに図書室かぁ…。こっから結構遠いんだよなぁ。
今、昼休みだし。今から図書室行っても昼休み終わるまでには解決できなさそうだし。だったらよしざーさんに頼んで放課後石川さんと会おうかな。それまでは教室戻って一眠りしよう。
「あの、よしざーさん」
「ん〜、何?」
「放課後、石川さんに屋上きてくださいって伝えてもらっていいですか?」
「いいけど、どーしたの?お前、変だよ?」
「な、何がですか?」
「…制服」
「へっ?……ぎゃあぁぁああぁぁあああっ!!!」
せ、せせせ、制服がっ!
ブレザーは裏っ返しだし、ネクタイは玉結びになってるし、スカートは分かりづらいけど前後ろ逆だしっ!
よしざーさんは笑ってくれるどころか失笑してるし。
顔が真っ赤になりながら着替えなおしていたら、よしざーさんが傍にきたんだ。
- 31 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/09/12(火) 23:29
-
「梨華ちゃんに何言うの?」
「うぅ…」
「どーせバレるんだからいいじゃん」
「はぁ…あの、あたし……」
あたしは観念して、よしざーさんに全てを話したんだ。って言っても、昨日の出来事なんだけど。
よしざーさんはたまにニヤニヤしたり、なんだか優しい目であたしを見たり表情がコロコロ変わりながら、でもあたしの話を黙って頷きながら聞いててくれたんだ。
話しながら思った。この人、いつもバカやってるし喧嘩もするから勘違いされてるけど、優しさだったらそこら辺の人たちより全然いっぱいあるなぁって。今さらながらに思ったんだ。
- 32 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/13(水) 19:09
-
ねこじゃらしと言う作者さんが既におらっしゃるので、名前を換えさせて頂きます。
誤解を招いてしまって大変申し訳ありませんでした。
これからは、かつおぶしでお願いします。
- 33 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/15(金) 12:47
- 今日発見しました!おもしろそう!!
続き楽しみにしているんで頑張って下さいね!
- 34 名前:23 投稿日:2006/09/19(火) 22:46
- 更新お疲れ様です
マジでこのまことだいすきですw
無理せずに作者様のペースでがんばってください
- 35 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/20(水) 23:47
-
>>33様
ありがとうございます!
なんだか話が分かりづらくなってしまって申し訳ありません。
もっと分かりやすく書けるように頑張りますので、これからもどうか宜しくお願いします。
<<23様
ありがとうございます。
また見に来て下さるのって、すごく嬉しいと思いました。
この麻琴が大好きって言ってくださるので、期待に応えられるようにしたいですね。
やっぱり更新遅くなってしまってすいません。
- 36 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/21(木) 01:07
-
「お前さ、鈍感じゃん?」
「それはよく言われるかも」
全てを話した後、妙な沈黙があった。
あたしとよしざーさんの間では、まずないような沈黙だったんだ。
なのにいきなり、あんなこと言ってくるし。分かんないなぁ、この人って。
「まだ分かんないんならさ、分かんないままでいいよ」
「いや、だから鈍感ってのは分かりますって…」
「気付かされるのって、どーなの?」
「…言ってる意味が分かんないし」
「自分でいつか気付くから、成長してくモンなんじゃないの?」
「何なにナニ?全く話が読めないんですけど」
- 37 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/21(木) 01:08
-
なんだかよしざーさんがどっか遠くに行っちゃったみたいなんだ。この人よく分かんない行動とるからなぁ。
意味不明なこと言ってあたしのこと構ってくんないし。言って損したな、こりゃ。
やっぱり石川さんに聞いてもらうのが一番だよ、ホント。
成長とか鈍感とかって関係ないっしょ、実際。だってあたしの心臓がおかしくなっちゃったかもしんないんだからさ。
こんなバカな人のどこが好きなんだろ、石川さん。まぁなんとなく分かるけどね。
「おい麻琴!どこいくんだよ!」
「よしざーさんに話したのが間違いでした。なんで石川さんの授業終わるまで待ちます」
「分かってねぇな〜、…それでいいんだけどさ」
「なんか言いました?」
「べっつにぃ〜!それよりもう5時間目始まってっからよ、お前教室もどれねぇからな」
「えぇ〜マジでぇ!くっそぉ寝ようと思ったのにぃ!」
「……また寝れねぇんじゃねぇの?」
「はぇ?もっかい」
「いいよ、気にすんなって」
- 38 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/21(木) 01:08
-
さっきからボソボソ言うから全く聞こえないし。催促しても言ってくれないし。なんなの?なんかあたしに隠し事でもしてんのかなぁ?でもそーゆー人じゃないの知ってるし。でもでも違和感。
あ〜ぁ、愛ちゃん会いたいなぁ。もっといっぱい喋りたい、笑ってたいよ。せっかく友達ができたんだもん。もっともっと仲良くなりたいなぁ。
「梨華ちゃんにメール送ればいいじゃん」
「めんどいんでよしざーさん、お願いします」
「はぁ、ったく」
「石川さんのことになると面倒臭がらないんですね」
「死ぬほど面倒臭ぇ」
「またまたそんなこと言ってぇ!超ラブラブじゃないですか」
「…羨ましい?」
「すっっごく羨ましいっ!」
「ははははは!お前って鈍感なくせに純粋なんだな」
「え?バカにしてます?」
「ある意味褒めてんだけど」
- 39 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/21(木) 01:09
-
バカにされた。よしざーさんは褒めてるって言ってたけど、あれはバカにしてるんだ。
どーせお前にはまだ分かんねぇって思ってるんだ、絶対。いいもんいいもん、いつか恋人できたら嫌がるほどノロケ話してやるんだもんねぇだっ!
よしざーさん達よりも幸せになってやるんだ!
「梨華ちゃん、5時間目終わったらくるって」
「そーですか」
「お前ここにいる?それまで」
「ん〜…」
―ぐりゅりゅりゅるぅぅ〜、ぐぅ〜
「腹、減ってんだな」
「聞こえました?」
「めっちゃ聞こえたっつーの」
「今日まだなんも食べてないや」
「じゃ、マック行こーぜ」
- 40 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/21(木) 01:10
-
マックに連れて行かれたんだ。ビッグマックセット買って、お持ち帰りにしてまた屋上にきたんだ。
二人でいると、くだらない話ばっかだけど楽しいんだ。てゆーかよしざーさんがいると、大概くだらない話ばっかな気がするんだけどね。こーゆー人だからさ。
「麻琴いる〜?」
「あ、石川さん。すいませんわざわざ」
「いいよ、次音楽だったし」
「あ〜…」
「何よ、その反応」
「梨華ちゃん音痴だもんね」
「よっすぃは黙ってて」
「音痴♪音痴♪音痴♪」
「…麻琴、よっすぃほっといてお話しよーか。どーしたの?」
「あぁ…、はぃ…」
- 41 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/21(木) 01:11
-
石川さんが怖い。すっごく怖い。目が怖すぎる。
よしざーさんもそこまで言わなくてもいいのに、バカ。あとで殴られちゃうよ?しーらないっ!
石川さんが怒ってるのを気付かない振りして、さっきよしざーさんに言ったことと殆ど変わらないけど、全て話したんだ。
あたしが話してる間、石川さんとよしざーさんは何度もお互いの顔を見てたんだ。
二人がラブラブなのは知ってるけど、なにも見せ付けなくていいじゃんっ!
あたしが話し終わったときには、石川さんもよしざーさんと同じで優しい顔をしてたんだ。なんかこう、あったかくてお母さんみたいだった。話、聞いててくれてたんだ、よかったぁ。
「あの、石川さん。あたしの心臓って病気なんですかね?」
- 42 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/21(木) 01:11
-
石川さんなら分かると思って聞いたんだけどな。思いっきり笑われちゃったし。なんで?
あたし何にもおもしろいこと言ってないよね?……言ってないって!
ねぇ、なんで笑うのぉ?あたしの心臓が今ピンチなんだよ!笑ってないで真剣に応えてよぅ!死んじゃうかもしんないんだよ、石川さぁんっ!
あぁ、やっぱり病院行ったほうがいいのかなぁ?
- 43 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/22(金) 21:59
- まこと(・∀・)ニヤニヤ
いいねー青春だぁ!
早く続きが読みたいっす
- 44 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:34
-
- 45 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:35
-
「石川さぁんっ!」
「あははは!……あ、はい、なんでしょうか?」
「あたしの心臓はどうなんですかっ?」
「あぁ!そうよね、そうよね!そこ聞きたかったんだもんね」
「はい…」
「ん〜…結構キツいんじゃないかしら」
やっぱりっ!あぁあぁああぁあああっ!
あたしは心臓が悪くなっちゃったんだっ!しかも急に!
お父さんお母さんごめんなさい。あたしは先にいなくなっちゃうかもしんないけど、これからも愛してね。
ってか、石川さんもよしざーさんも酷くない?あたしが死んじゃうってのに笑う?普通。
まぁ、この人達は少し、いやかなり変だし、しょうがないか。
そんなことよりのんびりしてる暇ないじゃん、あたし!
- 46 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:35
-
「じゃ、行ってきます」
「は?どこ?」
「教室はまだ授業中よ?」
「なぁに言ってんですかぁっ!病院ですよ、病院っ!」
「心療内科?そこまで酷くはなさそうよ?」
「梨華ちゃん、心療内科って何?」
「心の病を治してくれるとこよ」
「そんなとこに麻琴がぁ?」
「そんなとこになんか行きませんよっ!別に悩み事なんかないですし」
「じゃあ病院行く必要ないわよ」
「最初っからね」
「なんでですかぁ!あたし心臓病かもしんないんですよっ?」
「それはまずないわよぉ」
「100%ない」
二人が心臓病を否定するから、じゃあ何で?って聞いたら、石川さんは「どーして麻琴の心臓がドキドキするのかよく考えてみたら?」って言われたんだ。そんなこと言われても分かんないから聞いたのにぃ。
でも病気じゃないって言われたからまずは安心かな。あー、愛ちゃんに会いたい。
今日の夜にでも会いにいこっかなぁ。教室いけなかったし。
- 47 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:36
-
「じゃあ、あたし帰りますんで」
「愛ちゃんには会うの?」
「なんでそんなこと聞くんですか?」
「ん?なんとなくよ」
「部屋にいたら行くかも知れませんけど」
「ぜぇっっっっってぇ行けっ!命令だ」
「…なんで命令されなきゃ…」
なんだかワケ分かんない命令されちゃったなぁ。なんでそんなこと言ってくんだろ?
明日よしざーさんに会ったら絶対聞かれるだろーから、何としてでも会わなきゃ!
あ…でも、あたし愛ちゃんの携帯知らないや。会ったときにでも聞こうかな。
なんでだろ?なんかウキウキしてきちゃった!まだ分かんないのに。
そろそろ授業終わるころだし、教室の前で待ってようかな。
- 48 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:36
-
―キーンコーンカーンコーン……―
授業が終わって教室の中に入ろうとしたんだけど、先生が生徒の質問に答え始めちゃって入れないんだ。
だから昇降口で待ってることにしたんだけど、……なっかなか来ないっ!
もぉ〜何してんだよ愛ちゃんはぁ、ったく。まだかなまだかな。
「ぁあああああっ!麻琴がしぃーーーっ!」
「愛ちゃん!もぉ遅いよ…」
「今日なんで休んだんよ?」
「いやーだってさ?昨日ドキドキが酷かったからさ、石川さん達に相談してて……」
「はぁ?なんで相談する必要があんのよ?」
あれ?変かも。うわっ、また心臓バクバクしてきちゃったしぃ!なんでまた愛ちゃんのときにぃ!
でもでもっ!愛ちゃんの番号聞きたいし、もっともっと喋りたいし、……もぉ〜!
- 49 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:37
-
「麻琴、顔ひっで赤い」
「うぇ?そ、そう?今ちょっと心臓が…」
「またおかしくなったん?」
「う、うん。なんでだろ…」
「あんたアホやろ?」
「な、何で?」
「普通気付くがし」
「もぉ〜分かんないよぉ…。よしざーさんも、石川さんも、愛ちゃんも」
「じゃ、あーし行くから」
「え?どこに?ってかこんなあたし残して?」
「あーしいなくなったら治まるんやない?丁度これから図書室行くし」
「え、何ソレ?愛ちゃんいなくなったら治まるって」
あたしがまだ聞いてんのに愛ちゃんはさっさと行ってしまった。なんだよもぉ〜!
もっともっと喋りたかったのにさぁ。図書室なんて入学してから一回も行ったことないし。
なんてことをブツブツ呟いてたら、いつのまにかドキドキしなくなってた。
すっげぇ、愛ちゃん!ブラックジャックなんじゃないのぉ〜?あ、もしかしたら将来はお医者さんになりたいとか、看護師さんになりたいとか?今度聞いてみようかなぁ?
なんか今まで他の人に興味なんてそんなに湧かなかったのに、愛ちゃんは別だなぁ。別格。
- 50 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:37
-
「あああぁぁあぁぁぁああっ!番号聞けなかったよぉ…」
うぅ…今日の夜にでも聞こう。会いたいし。
「コンコン、コンコン…」
―ガチャ…―
「愛ちゃん、こんばんは」
「普通手でドアノックするんやない?口で言ってどーするんや…」
「まぁまぁ、さっきはありがと。ドキドキ治ったよ!すごいよねぇ、愛ちゃん」
「………ほんまにアホやな」
「ん?なんか言った?」
「言ってないがし。そんで?どーしたん?」
「あぁ、そーだった!番号、……お、教え、…て?」
「ええけど……はい、これ」
「あ、ありがと」
- 51 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:39
-
うはぁ、またドキドキしてきちゃったよぅ、もぉバカバカバカっ!
なんで愛ちゃんのときばっかこーなちゃうんだよぅ!喋れなくなっちゃうのにぃ…。
「麻琴のは?貸して、登録するから」
「う、うん」
うわわわわわっ!携帯渡すときに手ぇ触れちゃったっ!
あったかかったなぁ、愛ちゃんの手。うわっ、ヤバ!ドキドキが酷くなってきちゃったかも。
うわうわうわうわうわっ!顔がどんどん赤くなってくの自分でも分かるぅ。血が逆流してるみたい。
はぁ〜愛ちゃんにバレちゃうよぅ、もぅ。
- 52 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:40
-
「麻琴!ボーっとしとるがし!」
「はぇ?」
「携帯、もう登録し終わったから」
「あ、あぁそう…」
「…………部屋、戻ったら?」
「バレた?」
「顔、真っ赤がし。放課後会ったときよりも」
「えへへぇ、なんでいっつも愛ちゃんのときばっか心臓おかしいんだろーね」
「誰でも初めはそーなんやない?」
「えぇ?愛ちゃんと喋るとみんなこーなっちゃうんだ?」
「……ならんよ、普通は」
「じゃあ…、なんであたしはドキドキしちゃうんだろ?」
- 53 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:40
-
なんか愛ちゃんもワケ分かんないこと言ってるし。あたしの周りの人って変な人多いなぁ。
じゃあ初めて喋る人にはドキドキするってことぉ?ん〜分かる気はするけどなぁ、なんかドキドキ感が違う気がするんだよねぇ、なんとなくだけど。
ひょっとしてあたしってみんなが言うとおりにバカなのかな?言ってること理解できないし。
授業サボってばっかいないで勉強したほうがいいのかもしんない。
なんか愛ちゃん俯いちゃってるし。どーしたんだろ?疲れてんのかな?
愛ちゃんってさ、あたしより背ぇちっちゃいのに俯いてるから顔まったく見えないんだ。
- 54 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:41
-
「あの〜、あ、愛ちゃん?どーし…」
「あーしだってドキドキくらいしとんのやっっ!」
「えっ?……あわわわ、愛ちゃん手っ!手ぇ、は、離し…て……」
「ええからっ!分かる?あーしのドキドキ…」
「わ、わわ、分かりますっ!分かりましたからぁ!」
「分かっとらんやんっ!このガキぃ!アホ!ヘタレっ!」
―ドカっ!―
「ぐぇっ!」
「はよ気付いてよぉっ!」
―バタンっ!―
「いててててて……、なんだよもぉ〜」
- 55 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:41
-
ドキドキしてたんだ、愛ちゃんの胸。それは分かったよ?ホントに。
だから分かるって言ったのに、「分かっとらん」って何が?
何を分かってもらいたかったんだろ?言いたいことあるなら言っちゃえばいいのに。
あぁ、でもウザいとか、しつこいとか、ホントは嫌いとかだったらヤダ。すっごくヤダ!
もぅ愛ちゃんはすぐ怒るんだからぁ、…何で?怒んないでよ、なんか寂しいじゃん。
あ、もうドキドキしてない。あ、もう愛ちゃんに会いたくなってきた。何で?
「もぉ〜ワケわかんないよーっ!」
石川さんもよしざーさんも愛ちゃんも!言ってることが分かんないすぎるぅ!
あー、頭がパンクしちゃいそうだよぉ!両手でガシガシ頭掻き回してもスッキリしないし!
もぉヤダ!やだやだやだ!こんな気持ちっ!今日はもう1人でいたくない!
美貴ちゃん達とあそぼっ!そんでこの気持ちスッキリさせたいんだ。
もう何も考えたくないよぉ!
- 56 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:41
-
- 57 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/23(土) 20:46
-
>>43 名無し飼育様
ありがとうございますっ!
頑張って更新速度を速めたいのですが、なかなか…。
話もそんな進んでないですし。
なんでこれからもっと進展できるように頑張ります!
- 58 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/24(日) 02:43
- 笑いながら楽しく読んでます
この二人、お互いに相手に振り回されてると思ってそうですねw
- 59 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 10:21
-
>>58 名無飼育様
ありがとうございます!
笑ってもらえて嬉しいです。そうゆう風に書いてるのに、笑ってくれる人いなかったらどーしよーとか思ってたので、正直安心しました。
そうですね。これからどう振り回そうか私も考えてます。
ここまで症状でて、気付かない人も珍しいですけど。
- 60 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:54
-
- 61 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:55
-
―プルルルルルル、プルルル………ガチャ―
「もしもし?」
「あ、美貴ちゃーんっ!あのさぁ…」
「麻琴かぁ…、なんだよぉ。美貴達の邪魔する気かぁ?」
「え?そーだったの?」
「もしもしまこっちゃん?違う!そんなことしてないからねぇーっ」
「亜弥ちゃん?」
「んで?どーしたの?」
「あ、そうそう!今部屋にいるでしょ?遊びに行ってもいい?」
「あー、いいよ。ごっちんもいるし」
「分かった。すぐ行く」
ほんとに亜弥ちゃんとシちゃってんのかと思った。でも後藤さんもいるみたいだし。
3人でいるんだぁ。珍しいなぁ。何してたんだろ?お邪魔じゃないかな、あたし。
あ、もう美貴ちゃんの部屋についちゃったし。
- 62 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:55
-
―コンコン、ガチャ―
「美貴ちゃーんっ!会いたかったよぅー!」
「げっ!何こいつ、ウザっ!」
「もぉ〜、たん!そんなこと言わないのぉ」
「まこっちゃんっていっつも元気なんだねぇ」
「ごっちん。関心することないから。バカなだけだよ」
「たんもバカでしょっ!まこっちゃんゴメンねぇ」
「いつものことですから、聞き流してますよ」
なんだか女の子ってホントお喋り好きだよなぁ、なんて。
なんかもう止めないと永遠に話してそうなんだもん。でもそこら辺は区切りをつけて、なんであたしがここに来たかって話になったんだ。だからちょっと1人でいたくなかったんだって話してたら…
- 63 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:56
-
―ガチャ―
「麻琴いるだろーっ!」
「よ、よしざーさん?」
「おーおーなんだよみんなしているじゃん」
「みんな邪魔してごめんね」
「どーしたの?よっちゃんに梨華ちゃんまで」
「まこっちゃんのこと探してたの?」
「まーねぇ♪」
「んぁ、何でさ?」
「……麻琴、話してないの?」
話していないと言ったら、美貴ちゃんが殴りかかる勢いで問い詰めてきたんだ。
だから、また簡潔に話したんだけど。もうみんなに知られちゃったよぅ!
あーどうしよ。みんな愛ちゃんに会いたがったらなんかヤダな。うん、ヤダ。
だってさぁ、愛ちゃん可愛いもん。みんな気に入っちゃうと思うし。
- 64 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:56
-
「そうかそうか、麻琴にもついに来たかぁ!」
「え?何がぁ?」
「教えなーい!なんかもったいから」
「えぇーケチケチケチぃ!」
「まこっちゃん、ホントに気付いてないのぉ?」
「何にですかぁ?」
「……ん〜重症だね」
「んぁ、可愛らしいことじゃん」
「はぁ…」
またおんなじ反応されたんだ。みーんな優しい顔してる。でも詳しいことは言ってくれないし。
みんなも経験あるのかなぁ?えぇ!こんなにドキドキしちゃうのが当たり前だったら、何人か死んじゃうんじゃない?
「みなさんはこんな経験あります?」
「今はもうそんなだけどねぇ、昔はあったなぁ」
「後藤さんがぁ?」
「んぁ、意外?」
- 65 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:57
-
意外もなにも…。あたしこの人見てるとたまに、喜怒哀楽がないんじゃないかって思うんだ。
後藤さんもこのドキドキ経験あるんだぁ…。えぇでもいつだろう?今はもうないんでしょ。
んー聞きたいっ!もしかしたらあたしのドキドキ治るかも?
「詳しく教えてくれませんか?もしかしたら治るかもしれないんで」
「詳しくってもさぁ、人それぞれだし治らないって」
「そんなぁ〜!」
あたしと後藤さんのやりとりを、ひそひそ話しながら聞いてた美貴ちゃんと亜弥ちゃん。
なんだろう?ニヤニヤしてるし。またバカにしてんのかなぁ?
- 66 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:57
-
「麻琴。ドキドキしてるときって何思う?」
「ふぇ?」
「例えばぁ、触りたいとかさぁ」
「えぇっ?」
「あたしはぁ、たんとチューしたいって思うなぁ」
「そ、そん、なこと言われてもぉ」
「美貴もドキドキすると、チューしたくなるぅ」
「わ、わかんないよぅ」
あたしに話しかけてるのに、二人ったら今にもキスしちゃいそうなくらい見詰め合って顔が近い。
いいよなぁ、ラブラブでさぁ。あたしだってラブラブしたいよぅ。
「愛ちゃんって娘に、キスしたい?」
「わあああぁぁっ!」
「うるさい」
「だってだってぇ…。いきなり何言うのさ?」
「したくないの?」
「そ、それはぁ…」
- 67 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:57
-
分かんないよ、そんなの。そんなこと考えたことなんてないんだもん。
愛ちゃんにキスって考えただけで、すっごく恥ずかしいんだ。鼻血出ちゃいそうだよ。
あ、ヤバい。想像しただけで。わあわあわあわあわあぁぁああっ!
「お、おい麻琴!顔真っ赤だぜ?」
「ヤベェこいつっ!鼻血出てんし!ごっちんティッシュっ!」
「んぁ、まこっちゃんはウブだねぇ、ほい」
「ちょっと麻琴?あんた何考えてたのよっ!」
「にゃはは。ちょっと刺激が強かったかなぁ?」
先輩達がなにやらギャアギャア言ってたっぽいけど、そんなのまったく聞いてらんなかったんだ。
鼻血出ちゃって血だらけだし、頭に血が上るし、またドキドキしてきちゃったしで。
もうなんか頭の中、愛ちゃんのことでってか、愛ちゃんとキスしたらってことで一杯だったし。
- 68 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:58
-
「こいつ、マジで重症かも」
「うぅ〜……」
「麻琴。ちゃんと横になってて」
「ふぁ〜ぃ……」
「こんな娘初めてみたよ、美貴」
「たん、あたしも」
「可愛いねぇ、まこっちゃんは」
うぅ…、なんで愛ちゃんと出会ってから愛ちゃんのことばっか考えちゃうんだろ?
わかんないよぅ。愛ちゃんのこともっとよく知りたいよぅ。
好きな人とかいんのかなぁ?もしかしてもう付き合ってんのかなぁ?キスしたことあるのかなぁ?
うわぁああぁあっ!ヤダよそんなの。ヤダヤダ!
愛ちゃんの口からそんなの聞きたくないんだ。知りたいけど、聞きたくないぃ…。
- 69 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:58
-
「…うぅ…、ひばひゅぶ、ぶぁひじゃんじぶぁひじゃひぃ〜…」
「………ぇえっ?麻琴、なんていったの?」
「鼻にティッシュ詰め込みすぎて全く聞き取れねぇぞ?」
「だってまだ止まらないもの…」
「あたし達に言ってるの?まこっちゃん?」
「んぁ、違うよまっつー。今すぐ愛ちゃんに会いたいって言ったんだよね?まこっちゃん」
「ふぁい」
「なんだ、そーなのかよ」
「でも麻琴、本気なんだね」
「手助けできたらしてあげるんだけどね」
何のこと?本気って。何のこと?手助けって。
あたしが本気?何に?…………………あ、愛ちゃんにっ!?
えっ?もしかしてあたし、愛ちゃんのことぉーーーーーっ!
- 70 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:58
-
「す、すす、す、す、す…」
「どもり過ぎだっつーの」
「あら、麻琴。鼻血止まったのね」
「あ、はい」
「んで?すの次は?」
「やっと分かりましたっ!あたし、愛ちゃんのことが、す…すすすす、す、…すす」
「なんでそんなにどもるかなぁ?」
「もう言えるまで待っててあげようよ〜」
「ほら、さっさと言っちまえ」
「すすすすす、す、すす、す、す、…き、す、好き、なのかも」
「なのかもってっ!確定じゃねぇのかよっ!」
「んぁ、青春だねぇ」
「気付くの遅すぎだよ、まったく」
「にゃはは。これからが大変だねぇ、まこっちゃん」
「ホントよぉ、うまくいってほしいけどねぇ」
- 71 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:59
-
うおぉぉおおおおっ!愛ちゃーんっ!分かったぞぉー!
やっと分かったよぉ、愛ちゃん。これが好きってことなんだね。
もう愛ちゃんに会いたくて堪んないよぅ。考えるだけでドキドキしてくるぅ。
人を好きになるってこんな気持ちなんだぁ、すげーっ!
好きだよぉ、愛ちゃん。すっごく大好きだよ、もう食べることよりもっともっと大好き。
ねぇ、愛ちゃん。会いたいって今言ったら会ってくれる?
この気持ちぶつけてもヤダって言わないで、受け止めてくれる?
そしたらあたし、愛ちゃんに気持ちごと抱きつくから。そしたら愛ちゃん、抱きしめ返してくれる?
ニッコニコ笑って、あたしの頭ナデナデしてくれる?
- 72 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 16:59
-
キラキラきらきら、ぴかぴかピカピカ
そう輝いてみえるのはあたしだけなんだろうか。
君にも、そう見えてるでしょ?
- 73 名前:かつおぶし 投稿日:2006/09/24(日) 17:04
-
えぇと、一応『消えないカケラ』は終了です。
読んでくださった皆様、ありがとうございました。
ホントはもっと長くなる予定だったのですが、キリがいいので終了しました。
皆様の反応をみて、続編を出すか考えてます。
あまり、愛さん出せてなくてすいませんでした。
ということで、とりあえず。
今までありがとうございましたぁっ!
- 74 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/24(日) 17:53
- うわ、びっくりした終わりですか
愛ちゃんの反応ぜひ見たいです
- 75 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/24(日) 23:05
- 工エエェェ(´д`)ェェエエ工
ここで終わりなんてションナ・・・・・
是非とも続きを書いていただきたい!!!!!1
- 76 名前:23 投稿日:2006/09/25(月) 22:07
- 更新&完結お疲れ様でした〜
最後までマコトの行動すべてが可愛かったです!!
作者様のお話だいすきなので、また読める日を楽しみにしています……
楽しくって心あったまるお話ありがとうございました
- 77 名前:ななししいく 投稿日:2006/09/25(月) 22:09
- 続き…く…くれっ…
- 78 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/27(水) 14:43
- これからどういうふうに進展するか知りたいっ!
- 79 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:00
-
>>74-78様
ありがとうごさいます。
続きを書き溜めていたので、あげさせて頂きます。
意外と何も進展されていないので、つまらないですが。
飽きずに読んで頂けるとうれしいです。
- 80 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:01
-
空が我慢できなくて泣いてる夜、かわりにあたしは笑ってたんだ。
空が優しく見守ってる夜、だから構わず泣いたんだ。
あたし、早く伝えたい。今日中に伝えたいんだ。
だって今日気付いたんだもん。ついさっき。
美貴ちゃんの部屋を飛び出して、愛ちゃんの部屋に向かってるんだ。
今すぐ伝えたい、この気持ち。明日じゃ遅い気がしてさ。
ねぇ愛ちゃん、あたしやっぱり大好きだよ。
- 81 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:02
-
―プルルルルルル、プルルルルルル、プルルルルルル、プ……ガチャ―
「……、もしもし……」
「愛ちゃん?あれ、なんかテンション低くない?」
「今、何時やと思っとんの?」
「え?知らない」
「2時なんやけど」
「ありゃ〜…、寝てた?」
「…うん」
「今さ、愛ちゃんの部屋の前なんだけど」
「寝ろっ!」
「そっ、そんなこと言わないでさぁ!開けてよ」
「いややっ!」
「大事な話があるんだって」
「朝になってからでいいやん」
「今、言いたいのっ!」
「…はぁ、わかったがし、待っとって」
- 82 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:02
-
なんか強引に電話切られちゃったし。でもすぐにドア開けてくれたんだ。
あれ?でもなんか不機嫌っぽい。まぁ、夜中だし。愛ちゃん寝てたしね。
なんか、ドキドキ感がちょっと違うかもしんない。
もう好きって自覚してるからかな?気持ちを閉じ込めらんないんだ。
「なんなの?話って」
「部屋、入れてくんないの?」
「内容しだいやな。くだらん話やったら寝るし」
「ははっ!超くだらないかもしんない。でも大事な話だよ。あのね?あたし、愛ちゃんのこと好き」
「………、中入って」
「お邪魔しま〜す」
- 83 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:02
-
愛ちゃんの顔、ちょっと怖かった。不審がってる顔してた。
あたし、嘘なんか言ってないし。ホントのことなんだけど。
まぁ気付かされたとこもあるけど、やっと気付いたし。
ねぇ愛ちゃん、お願い信じてよ。
「なんで、気付いたん?」
「先輩達に相談したから、かな?」
「あーしのどこが、好きなんよ?」
「そんなの分かんないよ。気付いたら、愛ちゃんが好きになってたんだもん」
「やってうちら、まだお互い何も知らんやん?」
「まぁ、そうだけど。これから知っていけばいいじゃん」
「楽観的やな」
「愛ちゃんは?」
「あーしは………」
- 84 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:03
-
ヤダ。困んないでよ、愛ちゃん。黙んないであたしのこと好きって言ってよ。
沈黙が長くなるたび、少しずつ傷付いちゃうから。
あの時の愛ちゃんのドキドキは、どういう意味だったの?
「好きやよ。あーしを助けてくれたとき、麻琴カッコよかったもん」
「でへへへへ〜」
「でもこんなヘタレやったとは…」
「ちっ、違うよ!愛ちゃん!」
「まぁ、これも麻琴なんやから仕方ないんやけど」
「そうそうっ!そーゆーことっ!」
「もうドキドキせんの?」
「するよ?けど、前とはなんか違うんだよね。開放された感じ」
「ふ〜ん…。じゃ、あーし寝るから」
「ひ、ひどっ!あ、でももうこんな時間か」
「そゆこと。じゃ、麻琴。おやすみ」
「今日は教室行くからね。おやすみ、愛ちゃん」
- 85 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:03
-
うはぁ。可愛い愛ちゃん。眠いんだって、当たり前だよね。3時前だし。
あー、あたし達って付き合ったんだよねぇ?確かめてないや、後で聞かなきゃ。
うぅ、もう会いたいよぅ愛ちゃん。離れたくない。でも我慢しなきゃだよね。
分かってる。分かってるんだけどさ、なんかね?離れてるだけでこんなに寂しい気持ちになっちゃうんだよ?
愛ちゃんはもう、夢の中だろーけど。
へへっ、たぶん愛ちゃんには言えないだろうけど、夢の中でもあたしといてね?
せめて、夢の中のあたしには寂しくさせないでね?
朝になったんだ。あたしはやっぱり眠気に勝てなくて、また昼から登校。
でも、屋上にはまだいかないで、先に教室に行ったんだ。
そして愛ちゃんを連れて、屋上に向かったんだ。
先輩達に紹介したくて、愛ちゃんを。
- 86 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:04
-
「おはよーございます。みなさん」
「おっ?やっぱり来たなぁー!美貴の予感的中っ!」
「四時間目サボった甲斐あったな」
「いや、今昼休みでしょ、よっすぃ。適当な理由つけないの」
「たんのもよっすぃも最近サボりすぎじゃない?」
「んぁ、卒業する気ないんじゃない?」
「あ、あの!早速あたしを無視しないでくださいよ!」
「ん?その娘が例の愛ちゃん?」
「は、初めまして。高橋愛です…」
なんか愛ちゃん緊張しちゃってるし。まぁ怖いで有名な人達だからね。
でもいい人達だからさ。バカだけど。そのうち慣れてくるから。
愛ちゃんが安心してくれるように、あたしは手をつないだんだ。ギュッとね。
そしたら愛ちゃんもギュッてしてくれたんだ。こんなことがすごく嬉しい。
一通り自己紹介が終わって、お昼ご飯も食べて談笑してたらもうチャイム。
- 87 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:04
-
「麻琴。チャイム鳴ったで?教室戻ろ」
「えぇ〜!面倒くさいよぉ」
「恋人の言うことぐらい聞いてやれよなぁ」
「よしざーさんに言われたくないって」
「ほや、はよしてって。次は席替えもあるんやから」
「ほんとにぃ?あたし愛ちゃんの隣がいい!」
「あんたいっつも窓側やんか!…じゃ、お先失礼します」
「麻琴のしつけ頼んだぞー愛ちゃん」
「あはは。できる限りは」
教室にはなんとか遅れずに入れた。そーか、担任の授業だから席替えもあるんだ。
あたしはまたいつものように、窓側キープで。
その隣に愛ちゃんの机があるのは初めてだけど、これからはずっとで。
あたし、ひょっとしたらサボりの回数減るかもしんない。
だからって頭までは良くなんないだろうな。もう手遅れな感じだし。
- 88 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:05
-
「おい小川ぁ〜、放課後うちんとこ寄ってってなぁ」
「はい?あたしなんかしたっけ?」
授業が全部終わって、帰ろうとしたら中澤先生が言ってきた。
もしかして、こないだの補習のことかな?
ありゃ、愛ちゃんが呆れ顔で見てるし。
「麻琴。先帰ってるで」
「えぇっ!そんな…」
職員室に行ったら、やっぱり補習のことだったんだ。
2時間かけて補習を終わらせて帰った。
愛ちゃんと付き合い始めて、毎日がもっと楽しくなっていったんだ。
だからなのか、あたしがバカなのか、気付かなかったんだ。
- 89 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:05
-
「あ〜ぁ、楽しかったなぁ高校生活」
「そうねぇ、いっぱい色んな事あったもんね」
「え?あの、どーいうことですか?」
「は?美貴と梨華ちゃん、もうすぐ卒業だよ?」
気付いてなかった。愛ちゃんといることが楽しすぎて、忘れてた。
この二人がいなくなることに。でもおめでたいことに。
おめでとうございますって、言ってるのにすごく寂しい。
「よっちゃんと亜弥ちゃんなんか留年しろってうるさくてさ」
「ほんとよ〜、あの二人は最後まであぁなんだから」
「これからは、どうするんですか?」
「麻琴には言ってなかったっけ?美貴はね、スタンドで働くんだ」
「あたしはね、大学に行くのよ」
- 90 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:06
-
なんだろう、この気持ち。あたしが知ってる二人じゃないみたいなんだ。
もう大人になっちゃうんだなぁ。今まで一緒に遊んでたのに。
よしざーさんと亜弥ちゃんがうるさいのも分かる。
寂しいけど、笑顔で送り出したいんだよね、きっと。
「卒業式、寝坊すんなよ」
「式の最中に騒いだりしたら駄目よ、麻琴」
「わかってますって!」
寮に着いてからは部屋に戻らず、愛ちゃんの部屋に転がりこんだんだ。
愛ちゃんはあたしと違って頭いいし、季節で卒業の時期ってことも分かってると思うけど。
- 91 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:06
-
「愛ちゃ〜んっ!美貴ちゃんと石川さんが卒業しちゃうよぉっ!」
「はぁ?当たり前やんか」
「そーだけどぉっ!」
「あんな麻琴。今宿題してんの、あっちいって」
あっちって、ベッドじゃん。うるさいから寝ろってことぉ?
むむむむむっ!愛ちゃんの匂いがするぅ。いい匂いだぁ。
ベッドに寝転がって愛ちゃんが宿題してるのを見つめる。
あたしも宿題あるってことだよね?でも授業聞いてないからいいや。
「ねぇ、麻琴」
「ん〜?宿題終わったの、愛ちゃん」
「今何時やと思っとんの?」
「ふぇ?……7時ぃっ!」
「そゆこと。ご飯どーする?」
「食堂行くから、着替えてくるね」
- 92 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:07
-
思いっきり爆睡してしまった。愛ちゃんも宿題終わらせたみたいだし。
今日はよしざーさんとお揃いのジャージでいいや。気に入ってるし。
なんで高校生って寝ても寝ても眠いんだろ?まだまだ成長期だからかなぁ?
制服で寝ちゃったから皺ができちゃったよ。今日干したら元に戻るかなぁ。
「愛ちゃんお待たせ」
「はよ行こう、時間なくなるで」
そうだった。食堂って時間が決まってるんだった。確か8時まで。
今日って何のメニューかなぁ?シチューがいいなぁ。
「あーお腹いっぱいやなぁ、麻琴部屋いこっせ」
「うぅ…魚、魚…」
「いつまで言っとるんやっ!」
「いでっ!」
- 93 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:07
-
魚が不満だったあたしはしつこいらしく、殴られてしまったんだ。
どうしても満足いかなくて、嫌がる愛ちゃんを無理矢理連れてコンビニへ。
肉まんとか、チョコとか、ジュースとか色々買い込んで戻ってきた。
「麻琴ぉ、太るで?」
「うぅ…。やっぱり愛ちゃんも痩せてる方がいい?」
「このまんまが麻琴はええで。あったかいし」
じゃ、痩せなくていいじゃん。太らないように気をつけるからね。
だってあたし食べるの好きなんだもん。こればっかりはしょうがないよぉ。
- 94 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:08
-
「なぁ、麻琴。聞いたらおかしいんかも知れんけど、聞いてもいい?」
「え?うん。ナニナニ?」
「普通、付き合ってたらキスとかするもんやろ?」
「ぎゃあぁあぁぁああぁっ!き、急に何言うのさぁ!」
「だってそうやんっ!付き合ってもう5ヶ月は軽く経ってるで?」
「し、したいとは、思うけど…その、恥ずかしくって…」
「じゃあ、ええよ。あーしからするがし」
そう言って愛ちゃんが近づいてくる。あたしは金縛りにあったみたいに動けなくて。
初めて重なった唇はプニってて、チョコの味がしたんだ。
目を閉じることも忘れて、ただただ愛ちゃんを見てるしかできなかった。
- 95 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:08
-
- 96 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/07(土) 19:10
-
更新しました。
これから、第2弾が発動されますんで。
どうぞよろしくお願いします。
- 97 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/07(土) 23:26
- うひょー!積極的!
続き待ってます!
- 98 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/12(木) 19:49
-
- 99 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/12(木) 19:49
-
「…ふっ、……」
「……んっぁ……」
わあぁぁあああっ!しちゃったよっ!しちゃったっ!
熱い暑いあついっ!あたしの顔が熱いっ!
愛ちゃんから顔が逸らせないよ、恥ずかしいのにぃ。
あ、でも愛ちゃんも恥ずかしそうだよ?俯いてモジモジしちゃってるもん。
「あーし、…初めてやったから。今の」
「あ、あたしもだよ?」
「うん。知っとるがし」
「……そぅ…」
「じゃ、次は麻琴からや」
「えぇぇええっ!」
「いっつもリアクションでかすぎ」
「でもでもでも…」
「はよしねま」
- 100 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/12(木) 19:50
-
うぅ…、恥ずかしい。かなり恥ずかしい。
もう恋人なんだし、さっき愛ちゃんがしてくれたんだから、普通にすればいいのに。
なんでか勇気が湧かない。ってか勇気がない。
ダメダメダメダメダメっ!早くしないとまた怒っちゃうっ!
「じゃ、じゃあする…いや、させていただきます…」
「…うん」
ふぁあぁ〜、恥ずかしいよぉっ!
顔を近づけてくと愛ちゃんったら、だんだん目がゆっくり閉じてくんだもんっ!
可愛いなぁ、愛ちゃん。いつまでもあたしといてね?
…はっ!あたしも目閉じなきゃっ!さっき閉じれなかったんだし。
ねぇ、愛ちゃん。あたしのキス、不器用かもしんないけど一生懸命頑張るから。
- 101 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/12(木) 19:50
-
「…ん、……」
「…ふぁ…」
「麻琴、好きやよ」
「へへっ。あたしも大好き」
「寝よっか?」
「うんっ!」
好きだよ、愛ちゃん。もう離したくないんだ。これから先、愛ちゃんがいればいい。
一緒の布団で寝るのも、もう数え切れないよね。それでも夢で愛ちゃんといたいんだ。
あたし、愛ちゃん中毒にかかってるかも。なんかもう好きすぎる。
- 102 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/12(木) 19:51
-
- 103 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/12(木) 19:51
-
「あ〜ぁ、いっちゃったね」
「ホントだよ。たんに留年しろっつったのに」
「んぁ、留年しそうだったけどね」
「でもHR終わったら飲み行く約束してましたよね?」
「このバカ麻琴っ!卒業生を送る後輩ってやつをやってみたかったんだよっ!」
卒業生が退場していく時にこんな会話でいいのかな?
あ、愛ちゃんが泣いてる。向こうであたしの知らない先輩たちに挨拶してるっぽい。
部活とか?いや、愛ちゃんは部活に入ってないはず。じゃ委員会か。
- 104 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/12(木) 19:51
-
「うちらも教室に戻ってHRいきますか?」
「いかねぇ、ダリィもん」
「じゃあさ、たんと梨華ちゃんくるまで寮に戻ってよっか」
「んぁ、まっつーの部屋ね」
「じゃ、愛ちゃんに断ってきますね」
愛ちゃんにそう言ったら、愛ちゃんもこれから委員会の人たちと用事があるみたいだった。
あたしは帰りが何時になるか分からないから、メールすると言ったんだ。
そしたら愛ちゃんが「羽目外しすぎるんやないで」と言ってきた。
そっか、そうだよね。愛ちゃんってあたし達と違って結構マジメなんだった。
あたしといても宿題とかするし、学校サボるのもあんまりしないし。
あたしは学校サボるし、遅刻するし、校則違反だらけだし、喧嘩もする。
こんなあたしで愛ちゃんは幸せ、なのかな。
- 105 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/12(木) 19:52
-
「麻琴ぉ〜っ!何ボーっと突っ立ってんだよっ!」
「まこっちゃん早くぅっ!」
「…んぁ」
ヤバッ!なんか超考え込んじゃってた。
危ない危ない。誰かさんみたいに交信しちゃうとこだったよ。
「はぁ〜いっ!今行きますからぁっ!」
- 106 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/12(木) 19:56
-
更新しました。
麻琴はいつでもふにゃってます。そんなとこが可愛いですけど。
別れがあれば出会いが付き物なんで。
>>97 名無飼育様
ありがとうございますっ!
積極的な愛さんが私の中でのイメージなんです。
なのでこれからもぶっちぎりな愛さんをやらかしちゃいます。
- 107 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:33
-
- 108 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:33
-
「美貴ちゃん達がきたら、どーします?」
「ん〜、とりあえずお前が酒買ってこいよ」
「えぇっ!あたし1人でなんか持てませんよぉ〜」
「ったく、しょーがねぇな」
あたしとよしざーさんが話してる間、亜弥ちゃんと後藤さんは、部屋の片付けをしていた。
当たり前だけど、美貴ちゃんと石川さんの部屋はもう存在してなくて、ホントはもうこの寮にも入っちゃいけないんだけど、そこら辺はテキトーにごまかしちゃって。
んーでも遅すぎるなぁ。先生とかにからかわれてるんかなぁ。
それとも2人ともモテるし告白されまくってんのかも。うん、有り得る。
恋人がいるのはみんな知ってるけど、好きなのは止めらんないって。
でも卒業式終わってから2時間も経ってる。HRだってそんな長くかかんないだろうし、誰かと話してても美貴ちゃんあたりが「ウザい」とか言って蹴散らしそうだよ?
じゃあ、なんでこんなに時間かかるんだろう。
- 109 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:34
-
「よしざーさんっ!2人遅すぎですよ?」
「まぁまぁ、落ち着けって。麻琴はせっかちなんだよ」
「あたし、たんに早く来いってメール送ったのにぃ。来たら怒ってやろ」
「んぁ。まっつー、今日はめでたいんだから。許してあげな?」
- 110 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:34
-
「遅いっ!たんのバカっ!電話してやるっ!」
「最初からそーしとけば…」
「まこっちゃんは黙っててっ!」
「…はい」
―プルルルルルルル、プルルルルルルル、…………
「出ない。たんがあたしの電話に出ない…」
「怖っ!怖いです。松浦さん、落ち着いて?」
「まこっちゃん」
「っ!はいっ!なんでございましょうか?」
「たんを連れてきて」
「かしこまりましたぁ!」
- 111 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:34
-
早くっ!早く美貴ちゃんを連れてこなきゃっ!ついでに石川さんもっ!
多分あの2人は一緒にいると思うし。ってかマジこえぇ!亜弥ちゃん。
あんな顔久しぶりに見たし。前に美貴ちゃんに浮気疑惑が流れた時以来だよ。
ってかどこにいるんですかぁ?お二人さん!
あたしもう校舎の中全部見たんですけどいないし。かくれんぼしてんの?
グランドにもいないし、体育館にももちろんいないし。
このまま帰ったら亜弥ちゃんにプロレス技かけられそうだよ。絶対絞められる。100%。
「………ろっ!……」
「………………でってばっ!……」
- 112 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:35
-
んっ?今声がしたよね?あいにくあたし耳が遠い……ってそんなこと言ってる場合じゃないっ!
どこだろう?あたしが入ってないとこっていったらもう体育倉庫あたりだけだけど。
はっ!分かった!喧嘩だっ!そうだ、絶対そう。
卒業式の日に先生を殴ってスッキリしちゃうってやつ。
でもあの2人がそんなちゃっちいことしないと思うんだけどなぁ。
見てもいいのかなぁ?酷すぎたら止めに入ればいっか。
「ふざけんじゃねぇよっ!美貴は覚えてねぇーっつーのっ!」
「あんた達みたいな雑魚いちいち覚えてらんないわよっ!」
げぇっ!何こいつら?美貴ちゃんと石川さんやられてんじゃんっ!
助けにいきますからねぇ!あ、でもちょっと待って。メール送らなきゃ。
よしざーさん達至急きてください。美貴ちゃんと石川さんが20人に喧嘩売られて負けそうです。
はい、送信。よしこれでOK!ついでに小川麻琴、出動っ!
- 113 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:35
-
「コラーっ!お前達、この2人に触んじゃねぇっ!」
「ば、バカっ!なんで来たんだよ麻琴っ!」
「早く逃げなさいっ!」
「そうは行きません、石川さん。初めて出会ったとき、やられてたあたしをみんなが助けてくれました。今度はそのお礼をしなきゃなりませんので」
「何ブツブツ喋ってんだよっ!テメーもボコボコにしてやんぞっ!」
「お前は黙ってろ」
ありゃ?美貴ちゃんが既にキレてる状態じゃん。じゃあなんでやられてんだろ?
相手20人みんな女の子だし、殴られた形跡もない。
こんな相手に手こずるとは到底思えないんだけど。
- 114 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:37
-
「2人ともどーしたんですか?こんな相手楽勝でしょ?」
「あのな、麻琴。美貴達がやり返したら、こいつら今度はお前達に仕返ししてくるんだ。そーなったとき、美貴達はもう助けてあげらんないんだよ」
「あたしはね、やっつけちゃうつもりだったんだけど、美貴ちゃんがそう言うから…。あたし達は、学校だけじゃなく、こういった全てのことに卒業しなきゃって」
「じゃあ、殴られっぱなしってことですか?」
「多分、人生初」
「我慢もこれから必要なのよ」
「こんなに怪我してるのに何言ってんですかっ!我慢なんてしなくていいですよっ!あたし達のことなんか考えなくたっていいですよっ!もっと自分を大事にしてくださいよっ!」
- 115 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:37
-
こんなにボロボロになってるのに。こんなに血ぃ出てるのに。
いつもバカやってたから気付かなかった。二人はこんなにも大人になってたなんて。
前は売られた喧嘩はバシバシ買ってた美貴ちゃんなのに。普段は普通の高校生でもキレると誰も止められない石川さんなのに。
この日がくるずっと前から大人になる準備をしてたんだね。あたしの知らない間に。
よしざーさんも、亜弥ちゃんも、後藤さんもきっと知らない間に。
あぁ、ホントに2人は卒業してっちゃうんだ。明日からはもう学校にいないんだ。
あたしの知らない社会ってやつに、向かってくんだね。
邪魔はさせない。このふたりの邪魔だけは。それにもうすぐ3人も駆けつけてくる。
- 116 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:37
-
「…っ!?亜弥ちゃんっ?」
「たんっ!お前はこの野郎っ!なんで早く言わないのっ!」
「…よっすぃ…」
「ちょっ、ちょっと!梨華ちゃん傷が…」
「んぁ、酷い。許せないなぁ、この人達」
あたし達6人集まったのを見て、敵は動揺を隠せないみたいなんだ。
でもよしざーさん達には言わなきゃいけないことがある。
どうして2人がやられているかを説明したんだ。あたし達の為、自分達の為にってことを。
つまりはまだ、敵が優勢であるということを。
- 117 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:38
-
「えぇーっ!でもたん達はやられてんじゃん」
「そっ、そーだけどっ!」
「つーか梨華ちゃんに触らないで欲しいんだけど」
「よっ、よっすぃ落ち着いて?…ねっ?」
「んぁ、2人の為にもうちらの為にもこいつらボコボコしちゃおーよ」
「「「さんせーいっ!!!」」」
「…ったく。うちらやられ損じゃん」
「…もうみんなに任せちゃお?ミキティ」
結局みんなで相手をボコボコにしちゃったんだ。さすが恋人がやられただけあって、よしざーさんと亜弥ちゃんは凄く本気を出してて、2人で15人はやっつけてた。
美貴ちゃんと石川さんはなんか疲れてるみたいで、二人で終わるのを待ってたみたい。
喧嘩の最中、2人を見たけど、なんか楽しそうに話してたんだ。何を話してたのかは分かんなかったけど、多分、思い出話とかでもしてたんじゃないかな。
1時間くらいで敵が逃げ帰ったのを見て、うちらも帰ることにしたんだ。
美貴ちゃんも石川さんも辛そうだったから、あたしとよしざーさんがおんぶすることにした。
- 118 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:38
-
「なんであたしが…。普通は亜弥ちゃんがおんぶするべきじゃ…」
「やだ。たん重いし」
「しっつれーな。麻琴より全然軽いんですけど」
「あの…、もういいです」
亜弥ちゃんの部屋についたのがもう夕方。午後にあんなことさえなきゃよかったのに。
でもあたし達みたいなやつってこーゆーことがあるのはしょうがないことだよね。つき物ってやつ。
美貴ちゃんと石川さんの傷を手当する間に、あたしとよしざーさんは買い物に出かけたんだ。
そう、今日のパーティーのためにちょっとね。
あたし達が帰ってきたときにはもう手当ても終わってて、待っててくれてたみたい。
- 119 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:39
-
「はい、じゃあ卒業おめでとーっ!」
「「「「「「かんぱーいっ!!!!!!」」」」」」
ヤバい超楽しいっ!こんな日ももう最後だなんて思いたくないよ。ずっと続くと思ってたんだ。
明日から違う生活始まるんだよなぁ、2人は。
あーでもしんみりしててもしょうがないし。一生会えないわけじゃないんだし。今は今で楽しもう。
こんな楽しいとこに、愛ちゃんもいたらなぁって思う。愛ちゃんもいたら、もっと楽しくなるのに。
愛ちゃんも今は楽しんでるんだろーなぁ。あたしの知らない人たちと。
すっごく楽しんでるんだけど、あたし愛ちゃんに会いたがってる。でも言わない。誰にも言わないよ。だって水差すわけにはいかないし。だから、あたしが愛ちゃんに会いたがってるのを知ってるのは神様だけなんだ。
あのね、神様。絶対愛ちゃんに言っちゃダメだかんね?
どーせまた、「ガキなんやから、麻琴は。アホ」って言うんだからっ!
- 120 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:39
-
「おい麻琴っ!さっきから飲んでねぇじゃねーかっ!」
「んぁ、これ一気ね」
「ごっちんこれって…」
「しっ!梨華ちゃんは黙ってて」
「にゃはは。まこっちゃん潰れちゃうね、絶対」
「小川麻琴っ!一気させて頂きまーすっ!」
- 121 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:39
-
あたしはこの後の記憶がぶっ飛んで、次に目覚めたのは次の日の夕方だった。
しかも、なぜか愛ちゃんの部屋にいて、喧嘩の時には作らなかった傷がいっぱいあったんだ。
とにかく頭が痛くてすぐには気付かなかったんだ。
あたしと愛ちゃんが服を着ていなかったことに。
愛ちゃんはまだ爆睡してるし、まっぱだし、あたしもまっぱだし。
ってかなんでっ?なんでこんなことになってんのぉ〜!
あたし?あたしがなんかしちゃったのかぁ〜っ!ねぇ!教えてよ誰か!神様ぁ〜!
- 122 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:40
-
- 123 名前:かつおぶし 投稿日:2006/10/14(土) 22:42
-
更新しました。
話がよく分かんなくなってきたと自覚し始めました。
これからもっと長くなる予定ですんで。
- 124 名前:マコッX 投稿日:2006/10/15(日) 18:39
- 作者さんへ
はじめまして。
なんだかいろんな意味でハラハラドキドキしてきました。
これからも頑張ってください。
- 125 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:13
-
- 126 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:13
-
「ん、…ぅん………麻琴?」
「ゃっ!ダメっ!み、見ないでっ!」
ど、どーしよー!愛ちゃんが起きちゃったよぉ。待ってってばぁっ!い、今服着るから。
…って、あたしの服、ない。あれ?何で、ない、の、かな。
「あの、愛ちゃん」
「なんやの、見んなって言ったやん」
「そ、そーだけどっ!…ねぇ、あたしの服って…」
「知らんよ、そんなん。あんたまっ裸であーしの部屋に来たがし」
「う、嘘…」
「嘘やよ」
- 127 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:13
-
嘘つかないでよぉっ!愛ちゃん。すぐあたしのことからかうんだからぁ!
あーよかった、嘘で。でも何であたしの服ないんだろ。
「なんか酒やら、食べ物やらこぼしてたっけぇ、洗濯したんよ」
「うげーマジっ!あぁゴメンね。ありがとぉ」
「それよりあーしのジャージでいいやろ、はよ着て」
「あ…うん。ありがと」
あたしの裸を見ないように、愛ちゃんがジャージを貸してくれたんだけど。
「やっぱちっちゃいよぉ…」
「のばさんでよ。あーしのなんやから」
- 128 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:14
-
うぅ、頭が痛い。二日酔いかぁ、これじゃあ遊べないじゃん。
愛ちゃんはまだ裸だし、今日は部屋でまったりしよーかなぁ。
「…って愛ちゃんっ!なんで愛ちゃんまだ裸なのさっ!」
「だれが脱がしたと思ってんのぉ?」
「え、…やっぱりあたしなの?」
「当たり前やん」
「ちょ、詳しく話して」
それから愛ちゃんは寒くなったらしく、服を着たんだ。
お互い顔を洗って、ご飯を食べてから、愛ちゃんは昨日のことを話してくれた。
- 129 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:14
-
「あーしは11時くらいにはもう部屋にいたんよ。そんでな、すぐ寝てもうたから何時かは知らんのやけど、夜中になんかよしざーさんとか、美貴ちゃんとか、…」
「全員きたの?」
「そうなんよ。麻琴が酔ってウザいから、後は頼んだって」
「ひ、酷すぎ…」
「ほんまに麻琴酔いまくってたし、寝かそうと思ってベッドに連れてったら、急に服脱ぎだして…」
「あ、あたしがぁっ!?」
「当たり前やん。そんでな、『愛ちゃんも脱いで』って言うてきたんよ」
「……それで?…」
「ええよって言った」
「バカぁっ!もぉ…。えっ、もしかして…」
「最後まで聞いてよ。そんでな、あーしも脱いでベッドに行ったら、麻琴が抱きついてきたんよ。やからあーしは、来たなって思ったんやけど、あんたそのまま寝てしまったんやて」
- 130 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:15
-
あたしって最低…。酔った勢いとか。しかも寝るとか。
ってか愛ちゃんもなんでそんな乗り気なのさっ!普通断ってよっ!
あぁもうバカバカバカっ!愛ちゃん傷付けちゃったよぉ。もうあたしのこと嫌いになったらどーしよ?
とりあえず謝んなきゃ!許してくれるかなぁ?
「あの、愛ちゃん。……ゴメンね?」
「別に謝らんでもええって」
「や、でもさ…」
「途中で寝られたんはイヤやったし、酔ってるときってのもイヤやけど、謝らんでええよ」
「え、ソコ?そこがダメってことなの?行為についてあたしは…」
「や、だってあーしら付き合ってるやん。やからいつでもええんよ、それは」
「そう…、なんだ…」
- 131 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:15
-
この人、変っ!考え方がおかしい。前からたま〜に変だなって思ってたけど、ここまでとは。
だってだって、だぁってさ?こういうことってものすごく大事じゃん?だからさ、もっとこう真剣に考えようよ!
「愛ちゃんは、いつでもいいって思ってるの?」
「思っとるよ」
「でも愛ちゃんも初めてじゃん?あたしも初めてなんだし、普通もっと真剣なんじゃないの?」
「真剣やって。本気で麻琴のこと好きなんやから、いつでもええんよ」
あぁ、そういうことなんだ。愛ちゃんはもう答えが出てるんだ。
そっか、あたしがグズグズしてたんだ。でもよかった、まだで。
だってあたしがイヤだもん、そんなの。
- 132 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:15
-
「じゃあ、いつしてくれるん?」
「はぇっ?い、いつ?」
「やっておかしいやろ?2人とも寮に住んでていっつも一緒なのに、まだとか」
「だってこういうのは二人の気持ちが…」
「やからいつでもええって」
あぁ、そうだった。愛ちゃんはずーっと待っててくれてたんだ。うん、今も。
でもね、あたしね?なんかもっと大事にしてたいんだ。だって今もこのままで十分幸せだし。
もう半年くらいの付き合いだけどさ、毎日がこう新鮮でさ。楽しいし、嬉しい。
「あたしは、今のままでも十分幸せだから。…えっと、その…」
「うん。分かっとるよ、そんなん。だからあーしはずっと待ってるんやって」
「ん。…ありがと。愛ちゃんゴメンね」
「やから謝らんでええっての」
「へへっ、好きだよ」
「知っとるよ」
- 133 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:16
-
その日は殆ど愛ちゃんの部屋でまったりしてたんだ。
先輩たちも昨日飲み過ぎたらしく寝てたし、あたしも外出たくなかったし。
次の日は、美貴ちゃんと石川さんが帰っていったんだ。美貴ちゃんは就職の準備があるし、石川さんも大学に行くためにやることいっぱいあるらしくて。…でもなんかそれがやっぱり寂しかったんだ。
- 134 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:16
-
- 135 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:17
-
春休みは、バイト三昧だった。基本、休み期間は暇だしバイトしてるから。
あっという間に春休みも終わって、新学期が始まろうとしてたんだ。
まぁ、あたしは初日そうそう遅刻でしたけれども。
- 136 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:17
-
「あれ?なんかみんな雰囲気変わってんねぇ」
「……」
「シカトですか…」
―ガラっ!―
「麻琴ぉ!なんであんたはそんなアホなんっ!」
「うぇっ?何がぁ?」
「ここ一年の教室!あんたは二年なったやろっ!」
「おわっ!そうだったぁ!……すいませ〜ん」
- 137 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:17
-
あー超恥ずかしい。こんなバカなことやってる人なんてあたしくらいかも。ネタ的にも古いし。
そう思いながら入学式サボって屋上にいったらいつものメンバー。
亜弥ちゃん、よしざーさん。後藤さんは多分今日は来てないな。
「聞いてよまこっちゃんっ!よっすぃったら二年の教室にいたんだよぉ!」
「げっ!バカ、言うなよ。恥ずかしいだろ」
「あ、あんたもかよ…はぁ…」
「え、もしかしてまこっちゃんも同じことしてた?」
「…してました」
「なぁ、うちらってホントに頭悪いのかもな」
「今気付くことじゃないから、それ」
「あはは、…はは、…は……」
- 138 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:18
-
よしざーさんは置いといて、あたしってバカ。もうバカすぎるのかも。
今年は17歳になるんだしもっとしっかりしなきゃっ!愛ちゃんに愛想つかれちゃうよぉ。
今年の目標はそうだな、カッコいい先輩になることっ!よしっ、これだ!
みんなからそう言われるようになってやろーじゃんっ!
青空キレーだし、桜は満開だし、二年になれたしっ!あとは、ええっと……。
「なんだよ、オラァっ!!」
「あぁ?やんのかゴラァ!!」
「え、2人とも喧嘩しないでくださいよ」
「バカ、してねーっての」
「まこっちゃん、下だよ。下から聞こえてくる」
「あ、ホントだ」
- 139 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:18
-
何やら揉めてるみたい。ありぁ新入生同士だな、コレ。
入学式も出ないで喧嘩してるし。まぁ、あたし達も出てないけど。
先生とかもみんな体育館にいるし、平気っちゃ平気なんだろうけど。
「しゃーねぇなぁ。止めに行くか」
「そーだね。あれはあの娘が悪いよ」
「えっ、何のことだか全く分かんないんですけど」
「いいから、来いって」
2人には喧嘩の内容が聞き取れてたみたいなんだけど、あたしにはさっぱり。
でも着いて来いって言われたし、一緒に行くことに。
でもこのお2人さんは急ぐってことを知らないみたいなんだ。
いつも歩くペースとなんら変わらない歩調で喧嘩止めに行く?普通。
まぁ、他人のことだし、怪我しても関係ないっちゃないけどさ。もうちょっと急ごうよ。
- 140 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:19
-
「はいはい、そこまで〜…ってもう終わってんじゃんっ!」
「1人で楽しそうだね、よっすぃ」
「えっ、ホントに終わってますね」
「先輩……ですか?」
なんとまぁ、この喧嘩に勝ったのはすっごく小柄で、愛ちゃんよりもちっちゃい娘だったんだ。
でもなんか顔が怖いってか、なんかキツそう。美貴ちゃんみたいなタイプ。
でも初対面なうちらに敬語で話してくるってことは、常識はありそうだよ。
「あたしは3年の吉澤ひとみだよ」
「あたしも3年の松浦亜弥」
「あ、あたしは2年の小川麻琴…、ですぅ」
- 141 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:19
-
はぁ、またどもっちゃったよ。しかも気ぃ弱そうになっちゃったし。
あたしって後輩キャラが定着しすぎてんのかなぁ。だって想像つかないもん、威張ってるとこ。
「田中れいなです。よろしく」
「おぅ!こちらこそよろしくな」
「よろしくぅ〜、れいな」
「あ、よろしく…」
なんかあたしって仲良くする気ないみたいに思われたりしたかなぁ?
緊張しただけだからさ、ねっ?って心の中で言ったって伝わるわけないよなぁ。
どーしよ、仲良くなれなかったら。ってか喧嘩強いのかな?
- 142 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:19
-
「あのさ、こいつとなんで喧嘩してたの?」
「あぁ、こいつがれいなの訛りバカにしたけん。頭にきたと」
「すげーなっ!九州の方から来たのか?」
「そーです」
「訛ってるれいな、可愛いじゃんね?まこっちゃんもそー思うでしょ?愛ちゃんみたいで」
「あは、は…。愛ちゃんは別として可愛いと思うよ」
そんなこんなで屋上にれいなも連れてきたんだ。つまり、仲間になったってこと。
入学式はいつの間にか終わってたみたいだけど、そんなの構わずに4人で喋ってたんだ。
まぁ、殆どれいなのことなんだけどさ。
れいなは高校からこっちにきたらしくて、中学のころから外見で判断されて、いろんな奴に喧嘩を売られる度に段々強くなっていったみたいなんだ。売られた喧嘩を買えば買うほど、ヤンキー扱いされて、地元の高校からは入学を拒否されちゃったらしく、うちの高校にきたんだって。
- 143 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:20
-
「まぁ、地元にいたら喧嘩ばっかりやけん。丁度よかったんかもしれません」
「うちらもさ、何か知らねーけど有名なんだよな。でも喧嘩売ってくるバカも少なくなってきたからな、向こうにいるよりは楽しめると思うぜぇ」
「だれのせいでこんなバカみたいに有名になったのさっ!」
「まつーらのせいだろ」
「よっすぃのせいですぅ!あんたが喧嘩買い捲るからでしょー!」
「ナニィ!?既にミキティが暴れまくってたじゃねーか!」
「あの娘はそーゆー性格なのっ!」
「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。ねっ?」
よしざーさんと亜弥ちゃんがモメ出したから止めに入ったんだけど。いつもなら石川さんと美貴ちゃんが止めてくれてたんだよなぁって思ったんだ。やっぱりなんか足んない感じがするんだよね。
でもれいなが新しく加わったんだしさ、また楽しくなるんだよね。実際すでに楽しいし。
- 144 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:20
-
「れいなはさ、友達まだできないの?」
「んー…、なんか難しいんですよね」
「まぁ、あたしもさ、最初はこの人たちがいるから、クラスには馴染めなくてもいいやって思ってたけど、ふとした瞬間に仲良くなれるもんだよ」
「そーですよね」
そうそう。あたしだって愛ちゃんと仲良くなってから、クラスに友達できたし。
この学校ってクラス替えないから3年間一緒なんだよね。
だから愛ちゃんにはホント感謝してる。ありがとぉ。
- 145 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:20
-
「んぁ〜、おはよ」
「ごっちん!今頃きても遅いっての」
「しかも教室いかなきゃ欠席扱いだから」
「おはよーございます。後藤さん」
「んぁ、この娘だぁれ?」
「あ、田中れいなです」
「んぁ、一年生か。可愛いねぇ」
後藤さんも来て、ひとしきり挨拶も終わったことだし、これから石川さんと美貴ちゃんに会いに行くんだ。
れいなはちょっと緊張してたみたいだけど、そんなに怖い人たちじゃないよって言ってあげた。
実際、おもしろい人たちなんだよね。喧嘩さえ売られなければ。
- 146 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:21
-
「よろしく。藤本美貴です」
「石川梨華です。よろしくね。れいな」
「あ、どーも。田中れいなです。よろしくお願いします」
「たん、なんかガソリン臭いんだけど」
「しょーがないって。亜弥ちゃん」
みんな揃ったことで、ご飯でも食べに行こうって話になったんだ。
愛ちゃんがいないって?うん、愛ちゃんはね、もともとうちらみたいにヤンチャじゃないし、いつ喧嘩が起こるか分かんないからさ、あんまり呼ばないんだ。
愛ちゃんは他にも友達がいるし、紺野あさ美ちゃんとか新垣里沙ちゃんとか。
あたしもその2人とは仲いいし、4人で遊ぶこともチラホラ。ちなみに同じクラス。
そこら辺のファミレスでご飯を食べて、公園で他愛もない話をして、夜も遅くなったことだし帰ろっかってことになったから、公園を出たんだ。そしたら目の前で事件が起こってたんだ。
- 147 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:21
-
「ちょ、…離してくださいっ!」
「いいじゃんかよ、遊ぼーぜ」
「イヤですぅ!」
可愛い、可愛い女の子2人を無理矢理連れて行こうとする男2人。
とりあえず隠れてみてたあたしたちなんだけど。
「よっすぃ助けてあげなよ、美貴たち見てるからさ」
「なっ!薄情な奴らだ…」
「れいなが行くけん。見ててください」
「あ、あたしも行くよぉ」
れいな1人じゃ危なさそうだし、今日すでに喧嘩した後だったし、あたしも参戦しようとしたんだ。
そしたら男2人はあたし目掛けて殴りにきたんだ。
間一髪でよけれたものの、なかなか攻撃できなくて困ってたんだ。
なんかチャンスないかなぁ…。
- 148 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:22
-
「うぉりゃあぁぁあああっ!」
「ぐぇっ!」
「ぐぁあっ!」
「ふぅ。これでおしまいったい」
「れいな、それどこから…」
れいながあたしを助けてくれたんだ。そのれいなの手には金属バットが。
どこから持ってきたのか、聞いてみたら公園に落ちてたそうだ。
金属バットで殴られた彼らはすっかり伸びたらしく、ほっとくことにしたんだ。面倒だし。
「あのぉ…ありがとうございましたぁ」
「可愛い顔に傷ついてないですかぁ?」
「あぁ、はぁ…」
- 149 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:22
-
なんだあの娘。可愛いってぇ?そんなの亜弥ちゃんしか言わないもんだと思ってたよ。
いや、確かに。可愛いんだけどさ。正直返答に困っちゃうよね。
れいなもタジタジだし。とりあえず名前を聞くことに。
「あたしは亀井絵里です」
「絵里より可愛い私は、道重さゆみですっ!」
絵里ちゃんとさゆみちゃんって言うらしい。どうやら彼女達もうちの高校らしく、1年生だってさ。
やったじゃん、れいな。これで友達できるって!カッコいいとこ見せれたんだし。
あたしはパッとしなかったけどさ。
あ、しかもれいな達3人とも同じクラスじゃん。完璧友達だね、よかった、よかった。
- 150 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:23
-
「んぁ?なんか、れいなさっきから顔赤くない?」
「あーホントですねぇ!」
「な、なんでもなかとですって!は、早く帰りましょーよ」
「あ、あぁ。そだな。んじゃミキティ、梨華ちゃん頼んだぜ」
「梨華ちゃん1人で帰れんだろ」
「もう、たんっ!女の子には優しくしなさいって言ってるでしょっ!」
「じょ、冗談ですよ。さ、送りますよ梨華ちゃん」
「ミキティ、あたし1人で帰る…」
なんかゴチャゴチャしちゃったけどさ、れいなどーしたんだろ。
なんか恥ずかしいことでもあったのかなぁ?あたしが見るからになかったような…。
あ、れいなに聞こうと思ったけどさきにズンズン進んじゃってるし、絵里ちゃんとさゆみちゃん連れて。
そっか、あの娘たちも寮に住んでるから送ってあげてるんだ。そっかそっか。
初めての友達だもんねぇ、れいな。でも恥ずかしいことなのかなぁ。あんなに真っ赤な顔してさ。
あたしも早く帰って愛ちゃんのとこに行こっと。今日も一緒に寝よっかなぁ。
帰りが遅いからって怒られちゃうかもしんない。でもキスしたら許してくれるよね、愛ちゃん?
- 151 名前:かつおぶし 投稿日:2006/11/05(日) 21:28
-
更新いたしました。
ってか遅くなりまして、ほんっとすいません。
時間はたっぷりあったんですけど、書く気がなくてですね、こんなに間があいてしましましたとさ。
>>124 マコッX さん
はじめましてですっ!そしてよんでくれてどうもありがとうございます。
え〜、…こんなにお待たせしちゃいまして申し訳ないです。
これからも頑張る気でいるので、応援よろしくですっ!
- 152 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/05(日) 22:33
- わーい更新きたー。
ますます続きが気になる展開に!
次回更新待ってます。
- 153 名前:マコッX 投稿日:2006/11/22(水) 19:20
- 面白い展開になってきましたね
次の更新楽しみにしています。
まこあい大好きです
- 154 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/30(木) 21:21
- >>124
>>153
マコッX、レスでageない様に。
- 155 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:49
-
- 156 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:49
-
れいな達が入学してから、1ヶ月が経ったんだけども。
生活はまったく変わらず、のんびりまったり静か〜に暮らしてたんだ。
愛ちゃんとも変わらずに仲良く付き合ってるし、ガキさんともあさ美ちゃんとも仲良く。
あたし達が静かにしてるから学校的には問題もそれなりに少なくって、先生とかも厳しくなくなってきてる。
喧嘩がなければゴチャゴチャしなくて済むし、怪我の心配もしないで済むからいいことなんだろうけど。
でもなんかなぁ…、つまんないって感じ。
よしざーさんにでも相談してみよっかなぁ。
- 157 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:50
-
「…って思うんですけど。どー思います?よしざーさんは」
「ふーん。じゃ喧嘩してくれば?」
「イヤですよ。喧嘩したら愛ちゃんに怒られるし、怪我するし」
「喧嘩売られたらどーすんの?」
「そりゃあ買いますよ。ナメられたくないですし」
「じゃあ売られるまで待ってるしかねーな」
「そーいうことになっちゃいますねぇ…」
結局、相談聞いてもらったけど今のままって感じみたい。
あたしが伝えたかったことがうまく伝えられなかったのかなぁ?って思ってたら、よしざーさんはあたしにこーいってくれたんだ。
- 158 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:50
-
「うちらは絶対誰かに狙われてんだよ。こーやってのんびりしてっけどさ、どっかのバカがファミレスか駐車場か屋上とかで話してんだよ、きっと。いつ潰そうかってな。そんなくだらねー話してるやつが何人いるかは知らねーけど。だからってあたしはいちいち気ぃ張ってんのもバカらしいからしねーし、松浦もごっちんもそう思ってるよ。いつふっかけられるか分かんねーから、のんびりできるときはしたほうがいいんじゃねーの」
「確かにそーですねぇ」
「のんびりできるのだって幸せなんだぜ。これでも好き勝手やらしてもらってんだから楽しいだろ?」
「楽しいことには変わりないですね」
「あたしがいて、ごっちんがいて、松浦もいて、愛ちゃんもいて、れいなもいて。他にも仲良くなったやつらいっぱいいるだろーが。楽しくないわけねーじゃん」
「そーですね。美貴ちゃんとか石川さんにもまだ面倒みてもらえてるし」
「だろ〜?仲間に囲まれてっから今の麻琴がいるし、今のあたしがいるんだよ」
「なんかよしざーさん、めちゃくちゃカッコいいですっ!」
「バカ。みんなには内緒だぞ」
- 159 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:50
-
あたしが伝えたかったことは、ちゃんとよしざーさんに伝わってたみたい。
今しかのんびりできない、って言われて気付いたよ。でも確かにそうだ。このまま静かに卒業までいけるはずがない。
今までもたくさん喧嘩してきたんだし。平和な日々に慣れてきたから刺激が欲しくなっただけなんだ。
でも待ってればいつかくるんだし、今のままでもいっかなぁ。
仲間はいつでも傍にいてくれてるんだから。
「ごっちんからメールきたぜ」
「今日もきてないんですか?後藤さんは」
「寮にもいなかったからなぁ。ごっちんは謎めいてるよ。全く」
あたしだけかな?後藤さんって卒業できなさそうって思うのは。
学校きてるときのほうが珍しいんだもん。
- 160 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:51
-
「ののとあいぼん、やっと編入してくるらしーぜ」
「のんつぁんとかーちゃんがぁ!?」
「おう。ごっちん情報だし間違いねーな」
のんつぁんとかーちゃん。この2人はあたしとタメなんだけど、違う高校に通ってるんだ。一応ね。
あたし達が入学して、夏休みに入る直前に事件が起こったんだ。
そのころのあたしは同じ学年の人たちとあまり仲良くなくて、友達と呼べる人がいなかったんだ。そんなあたしを見かねて、よしざーさんと石川さん、まぁ年上組はみんな2人のことを知ってたらしく、あたしに紹介してくれたんだ。
- 161 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:51
-
- 162 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:51
-
「こいつが辻希美。で、こいつが加護亜依。ほれ自己紹介しろ」
「のんはつぃののみって言うんだ。よろしくね」
「へぇ!?……あ、あぁ小川麻琴って言います。よ、よろしく」
「うちは加護亜依って言うんや。よろしくな」
「ふぁ!?……はぁ…小川麻琴って言います。こちらこそよろしく…」
なんだこの2人?なんか黒いほう、『つぃののみ』って言ったよねぇ?辻希美じゃないの?んでこの白いほうは関西人なのかなぁ?話し方が関西弁なんだけど。
- 163 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:52
-
「ごめんね麻琴。この2人よくわかんないでしょ?あたしが説明するからね。ののは舌っ足らずだから自分の名前がはっきり言えないのよ。だから自分で『のん』って言ってるの。あいぼんは小学校まで奈良にいたの。だから関西弁なんだけど、慣れれば聞き取れるようになるからね」
「そ、そーですか。石川さん、わざわざすいません説明してもらって」
「そーだよ梨華ちゃんっ!わざわざ言わなくたってのん達と麻琴はもう友達なんだから」
「せやせや。のう、まこっちゃん。うちらの呼び名は好きに呼んだってな」
「もう!2人ともヒドい!分かりやすくしてあげたのにぃ」
「まぁまぁ石川さん。落ち着いてくださいよ。声が高いとみんな倒れちゃいますから」
このあともみんなで喋ってたら、いつの間にか『のんつぁん』『かーちゃん』って呼んでて、すっごく仲良くなって楽しかったんだけど、そんな時間はすぐ終わりを告げたんだ。
- 164 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:52
-
「…しっ!今、物音がした」
「「「「えっ?」」」」
―ドダドダドダっ!!
「なんだぁ!?テメーらぁっ!」
「うるせーっ!ボコりにきたんだよぉっ!」
「上等じゃねーかぁ!掛かってこいやぁコラァっ!!」
- 165 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:52
-
あたし達は急にっていってもいつものことなんだけど、喧嘩を売られたんだ。
そのころのあたしは今よりもやんちゃだったから、お構いなしに相手を殴りにいってたんだ。よしざーさんも美貴ちゃんも本気だったし。もちろん亜弥ちゃんも石川さんも後藤さんも本気だった。
ただ人数が半端なく多くて、いくら倒してもキリがないくらいだった。
そんなとき、気になるのがのんつぁんとかーちゃん。2人はどれだけ強いんだろーと思って、ちらちら見てたんだ。
普通、喧嘩ってタイマン勝負でしょ?まぁ向こうは大勢だから一気にくるけど。でもあの2人は違ってたんだ。まるで、のんつぁんとかーちゃん対敵大勢だったんだ。2人で何人もなぎ倒しって感じだった。2人の息がピッタシすぎてホント関心しちゃうくらいだった。
2人が一気に倒してくれたから、敵の数がどんどん減っていって残りは5人になったんだ。
「お前ら逃げてもいーぜ。別に追いかけねーし」
「美貴はもう疲れたからやんないよ」
「ねぇ…たん、あたしも疲れたよぉ。痣できちゃったし」
「んぁ、眠い」
「みんな怪我大丈夫?」
- 166 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:53
-
よしざーさん達は疲れたらしく、みんな地面に座って敵が帰るのを待ってたんだ。あたしはというと、のんつぁん達のことをまだ見てたんだ。もっとよく知りたくて、あの強さが。
すると敵は急にのんつぁん達に向かっていったんだ。5人いっぺんに。でもよしざーさんたちは2人を知ってるから大丈夫だろうと思って、ほっといてたんだ。それがいけなかったんだ。
奴らはポケットからナイフを出してきたんだ。あたしが気付いたときにはよしざーさん達も気付いてて、みんなが立ち上がって止めに入ろうとしたんだ。
- 167 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:54
-
―ザクッ、ザクッ―
あたし達は、誰一人として間に合うことができなかったんだ。
- 168 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:54
-
ホントに一瞬だったけど、それはスローモーションみたいでもあった。
敵の1人がナイフを持った手を大降りしたけど、のんつぁんがそれを避けたんだ。と同時にかーちゃんがそいつを一発でやっつけたんだ。すると今度は四人一気に襲い掛かってきやがった。のんつぁんとかーちゃんはナイフを気にしてか、バラバラで戦ったけどすぐに二人をやっつけたんだ。のんつぁんとかーちゃんの体勢が整う前に、敵の残り2人は襲ってきた。結局最後は、のんつぁんはかーちゃんを庇うように、かーちゃんはのんつぁんを庇うように、お腹を刺されてしまったんだ。
のんつぁんもかーちゃんも、お互いを守りたかったんだ。ただそれだけのことをしたのに。
- 169 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:55
-
「テメーらぁっ!!ぜってー許さねーぞコラァ!」
あのあと、刺したやつらはマジ切れしたよしざーさんと美貴ちゃんにボコボコにされてた。多分意識がなかったんじゃないかな。腕とかもなんか変に曲がってたような。
石川さんが救急車を呼んで、病院に行ったんだ。血がたくさん出てたし、何よりもものすごく痛そうだったんだ。
でも手術が終わったときには麻酔も効いてて、二人は眠ってた。気持ちよさそうに。
次の日、目を覚ました2人は昨日のことでダメ出しをしてた。
「あいぼんがマズいっ!って顔したからさぁ〜」
「ちゃうやろ、そこ。ののが先に刺されそうなってたからやなぁ〜」
「まぁまぁ。2人は昨日の奴らに怒ってないの?」
「別にぃ〜。そーゆーときもあるって」
「せやな。喧嘩に怪我は付きもんやからな」
「よしざーさんと石川さんがもうヤバイくらい怒ってるんだよ。相手のこと許せないって言ってたし」
- 170 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:55
-
あたしはこれからよしざーさん達のことを喋ろうとしたそのとき、のんつぁん達の学校の先生が来たんだ。
だからそのまま帰ってしまったから、あとで詳しく聞いたんだけど、のんつぁん達は喧嘩がバレて退院後、停学をくらったらしいんだ。
うちの学校に行きたいって言っても学校にいってないから出席日数が足りなくて、一年生の最後のほうはマジメに学校に行って、補習とかも受けて留年を免れたらしんだ。それでやっとうちの学校に編入できるようになったんだ。
- 171 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:56
-
- 172 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 11:56
-
「あいつらに最近会ってねーなぁ。どんくらいだろ?」
「入院中もあまり会いにいけませんでしたしね」
「いつくんのかなぁ?ごっちんに聞いてみるか」
後藤さんの情報では、今週中に2人が入ってくるらしい。どこから仕入れたのかは教えてくれなかったけど。
あたしは早くのんつぁんとかーちゃんに会いたくて仕方なかったんだ。
これからがもっと楽しくなるって思ったら、いても経ってもいらんなくって。
愛ちゃんにも紹介しなきゃな。あさ美ちゃんにもガキさんにも。そーだ、れいな達にも紹介しなきゃ。
個性ある2人だけど面白いし、いい人達だよ。人見知りしないでみんな仲良くなってくれるかなぁ?
んー、心配はしなくても大丈夫な気がするけどね。
あ、空。雲ひとつないなぁ、うん、キレイ。この屋上にみんな呼んじゃおうか?よしざーさん。
だってこんなに透き通るような青空なんだよ?うちらだけのものにしたら、もったいないって。
暖かい春の日差しに青い空。みんなを呼んでこの空の下、日向ぼっこでもしようよ。
あーぁ、明日も続けばいいのになぁ。
- 173 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/27(水) 12:12
-
>>152 名無飼育さん
ありがとうございますっ!
またまた更新しないままですいませんでしたぁ。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
>>153 マコッXさん
ありがとうございますっ!
まこあいを出せませんでした。
私も早くまこあいを書けるとこまで展開を進めたいんですけど、寄り道ばっかでして。
次こそは出せれたなっておもいます。
>>154 名無飼育さん
忠告してくださるのは有り難いことだと思います。
でもどなたか分からないですけど、感想も言ってくれたらもっと有り難いです。
- 174 名前:某マコ好き読者E 投稿日:2006/12/28(木) 20:09
- 一言!ヤッパリ麻琴は最高だぜぃ!
キャワマコも良いけどカチョイイゼMAKOも好きやー
- 175 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:06
-
- 176 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:07
-
今日、どうやらのんつぁんとかーちゃんが来るみたいなんだ。
クラスもあたし達のクラスらしい。だって席が二つ増えてるし。あたしの前と愛ちゃんの前に。
あたしと愛ちゃんは隣の席。そんでその隣にガキさんとあさ美ちゃんがいるんだ。
うちら4人でもうるさいのに、あの2人が入ったらもっとうるさくなっちゃうねぇ。
―ガラガラガラ………ピシャンっ!―
「おはよーさん。今日は転校生が……、ん〜?なんや小川。今日は遅刻やないんやなぁ」
「中澤さんっ!失礼ですよソレ。あたしにだって…」
「小川ぁ!先生を付けろっていっつも言うてるやろぉ!」
- 177 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:07
-
この人は中澤裕子先生って言うんだ。先生って呼ばないと怒るんだけど、あたし達みたいなやんちゃでも全然お構いなしって感じの人で、ホントはすっごく優しい人なんだ。
喧嘩したのがバレて、先生達に怒られても庇ってくれるんだ。
『この娘達は自分から喧嘩を売るような真似だけはせーへんで』って庇ってくれる。
中澤さんも昔はあたし達みたいな人だったらしくて、あたし達の気持ちを分かってくれる貴重な一人なんだ。
「小川に夢中になってもうて忘れとったわ。ほれ入っといでぇ!」
「全くっ!いつまで待たせるんれすか、中澤さん」
「中澤さんの話はどこいっても長いで、キリンになるとこやったわぁ」
「お前らも先生って呼ばんかいっ!」
とても転校生とは思えないような緊張感の無さで2人が入ってきた。のんつぁんとかーちゃん、久しぶりだなぁ。
全く変わってないや。超イタズラっ娘そうだもん。あ、でもちょっと顔つき変わったなぁ。
- 178 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:07
-
「みなさんどーも。つぃののみれす。よろしくー」
「うちは加護亜依って言います。ほな仲良うしてやってなぁ」
「のんつぁんっ!かーちゃんっ!久しぶりだねー、元気してたぁ?」
「おう!麻琴ぉ!なんだよー金髪じゃん!」
「うちらは元気やでぇ、まこっちゃんも元気そうな頭しとんなぁ」
「なんや小川。知り合いなんか?」
「ちょーど一年くらい前に知り合ったんすよ。中澤さん」
「先生を付けろっちゅーに。ほや、2人は小川の前の席に座ってや」
のんつぁんとかーちゃんが座った瞬間にHRが終わって休み時間になったんだ。
あたし達は一通り自己紹介も終わってまずは普通に授業を受けた。
初日から何か問題起こすのは、やっぱよくないしね。
- 179 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:08
-
- 180 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:08
-
そう思ってたのにさ。
なんでこう、うまくいかないんだろ。まるであまのじゃくみたいだ。
- 181 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:08
-
- 182 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:09
-
「オメーら真面目になったかと思えば転校してたのかよっ!!!」
「なんでこいつらにそんなこと言われなきゃなんねーんだ?あいぼん」
「そんなんうちに聞かれてもさっぱりやで、のん」
「えぇ?誰、こいつら。友達じゃないよね?」
「「あたりまえだろーがっ!!」」
せっかくのんつぁんとかーちゃんと遊びに行こうと思ってたのに。なに、こいつら。
まぁ制服は着替えたから身軽っちゃ身軽だけどさ。
ってかさ、2人が有名ってのがいけないんだよね。だからこーやって絡まれるんだ。
まぁ、退屈しのぎにはなるんだろーけどさ。正直メンドくなってきた。
- 183 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:09
-
「安心しろよ。今日は喧嘩しにきたんじゃねー」
「じゃあ学校見学?ってかお前ホント誰なの?のん知らないよ」
「うちかて知らんよ。まこっちゃんの友達?」
「いやいやいや。あたしだって知らないってば」
「ん…?お前、小川麻琴かぁ?」
えぇ!?なんでこいつあたしの名前知ってんだよ?どーしよっかな、知らない振りでもしよっかな。
いやでも今日は喧嘩じゃないってことは、また来るってことだな。
はぁ?今ですら10人も連れてきてんのにぃ?じゃ喧嘩の時はもっと連れてくるってことかいっ!
なんだこいつ。1人で歩けねーってのかぁ?
- 184 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:09
-
「だったらどーなんだ?」
「おぉ。麻琴って意外とカッコいいな」
「せやなぁ。シビれさせんといてーな」
「テメーらコンビは黙ってろよ」
「「はぁ〜い」」
えっ!えぇええぇええぇっ!!この二人絶対バカだよっ!敵が黙ってろって言うの素直に聞く?普通。
はっ!?そうか。この2人に常識自体が存在しないんだった。疑問に思ったあたしがバカなんだ。
しかもあの2人、「話終わったら呼んでねぇ」ってまた寮に戻ってったし。
もしあたしが今ここでヤラれたらどーすんのさ。ねぇ?そんな心配しなくてもいーけどっ!
- 185 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:10
-
「テメーが小川かぁ。どんなツラしてんのかと思ったら、随分マヌケそうだなぁ」
「あたし、頭は悪いよ。あんたよりは強いけど」
「「「「なんだとゴルァっ!!」」」」
「やめとけよ。どのみちオメーらじゃ無理だっつーの」
「お前でも無理だよ」
「はははっ!言ってくれるじゃん、小川ぁ。テメー最近じゃ有名だぜ?吉澤、松浦、後藤の三人の他に強いやつがいるって噂がスゲーんだよ。藤本、石川が卒業してったのにも関らずによぉ」
「ふーん。…で?」
「それに辻と加護かよ。さすがこの街最強と言われるだけあるねぇ」
「だからなんなんだってっ!」
「うちらだって最強になりてーんだよ。そのためにはテメーらを潰さなきゃなんねーんだ」
「最強になりたきゃ勝手に名乗ればいーだろ。あたしの先輩達は自分から最強だなんて言ってねーし。第一、お前ら何人こようが潰せないって」
- 186 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:11
-
「テメーらと喧嘩しねーで最強なんてこと言ったって誰も聞かねーんだよ。叫んだって無駄」
「まぁ、そーかもね」
「だろ?だからさぁ、またいつか遊びにくるよ。そんときに受けてくれるか?」
「いいけど。……あたしだけに言ってんじゃねーだろ」
「当たり前だ。吉澤、松浦、後藤、辻、加護、そしてお前だ」
「一年に凶暴なやつがいるんだけど。手ぇ打っといたほうがいいよ?先に芽を潰したほうがいいんじゃないの?」
「誰だよ、そいつ」
「れいな。…田中れいなだよ」
「そいつも連れてこい。テメーら全員潰したらここにはもう強いやつはいないんだな?」
「うん。いないよ」
「分かった。次会うまで誰にもヤラれんじゃねーぞ」
「お前はさっさとヤラれてしまえよ」
- 187 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:11
-
やっと帰ってくれたかぁ。いやーウザい。なんならボコッてやれば良かったかなぁ?
んーでもここ学校の敷地内だしね。もしここで喧嘩したら先生にまたバレてると思うし、これで良かったんだよ。
さて、あたしはこれからどーしよっかなぁ。
まずはよしざーさんに相談ってか話したほうがいいのかなぁ?んー明日でいいよねぇ。
そーだっ!のんつぁんとかーちゃん呼びにいかなきゃ。遊ぶ約束だったんだ。
「のんつぁーんっ!かーちゃーんっ!!」
「ここだよ、麻琴ぉーっ!」
「えらい長い話やったなぁ」
「ん、まーねぇ。あいつらまた来るって。うちらと喧嘩しに」
「「ふーん…」」
「そんなことよりさぁ、早く遊びにいこーよっ!」
「「うんっ!いこいこ」」
- 188 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:12
-
- 189 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:12
-
次の日、早速みんなを呼び出してあたしは全てを話したんだ。後藤さんの部屋で。
だって後藤さんってなかなか学校じゃ会えないから、部屋に行ったほうが確実に会えるし。
ついでにれいなにも2人を紹介したんだ。初めて会うんだし。
丁度そのとき運よく部屋で爆睡してた後藤さんを、よしざーさんが叩き起こして、今に至るんだ。
- 190 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:12
-
「大体さぁ、いつ来るってことも明かさないとか分けわかんない」
確かに。亜弥ちゃんの言うことは当たってる。
つまりは予告ありだけど、いつもと変わらない喧嘩の始まりってことだよね。
「どーせまた大人数でやってくるんだろ」
うんうん。あたしもそー思うんですよね、よしざーさん。
30人くらい連れてくるんですかねぇ?結果は分かってるのに疲れるだけだし。
「んぁ。……せっかく寝てたのにそんな物騒な話ぃ?」
そっかそっか。後藤さんは叩き起こされたんですもんねぇ。
寝起きにこんな話で楽しくないですよね、ホントすいません。
- 191 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:13
-
「れいなは別に構わないんですけど、喧嘩すると絵里に怒られるったい」
分かる分かる。あたしも喧嘩する度、愛ちゃんに雷落とされるんだよ〜ってれいな!?
亀ちゃんと付き合ってんの?えっ、今度聞いてみてもいいかな。
「のんは、あんまり気乗りしない」
「うちもや。のん」
「どーしたの?2人とも」
「あたしだって気乗りしねーっての」
「んぁ。よっすぃは黙ってて」
- 192 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:13
-
2人はボソボソと呟くように理由を話してくれたんだ。
それは、怪我をして入院して、ついでに停学までくらったとき、留年しそうだったから勉強したんだって。
そこまではあたし達も知ってるんだ。問題はそこからだった。
なんとか留年しないで2年に上がれたけど、すぐまた編入の手続きをしなきゃいけなかった。ふと気付いたら、半年以上も喧嘩なんかしないで生きてきたって。でも確かに勉強は分かんないし、大変だったけど喧嘩なんかしないほうが毎日楽しくいられるんだってことに気付いたんだって。だから、つまりはそーゆーこと。
「そっか。そーだよな、お前ら2人付き合ってるしな」
「そーなんですか!?よしざーさんっ!」
「なんだまこっちゃん知らなかったの?」
「し、知らなかったよ、亜弥ちゃん」
「んぁ。まこっちゃんは周りにも鈍感なんだねぇ」
「そーかもしれないですけど!後藤さんだってのんびりしすぎですよ、いつもっ!」
- 193 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:14
-
2人が付き合ってたなんてぇっ!あたし全く気付かなかったよぉ!だって言ってくれなかったし。
なんか入院してるときも随分楽しそうだなぁっては思ってたけどさぁ。それは病院の部屋が同じだったから、寂しくはないんだろうなって…。はぁ、あたしって何なんだろ。
「よっすいも亜弥ちゃんもさ、梨華ちゃんと美貴ティ喧嘩して怪我してんの見てるのイヤでしょ?」
「まぁ確かにね。梨華ちゃん怪我すると傷跡残りそうだし、何よりキレるし梨華ちゃんが。それを止めにいくのが一番イヤかもしれない。あたしも怪我しそうで」
「よっすぃ最後のほうなんかおかしくなってる。たんが怪我するのはイヤだね。あたしを守れなくなりそうで。なにより喧嘩してるときの目付きがイヤ。野生っぽくて」
「んぁ。まっつーも最後なんか変だよ」
「まぁ、そーゆーことやねん。のんの言いたいこと何となく分かるやろ?」
- 194 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:14
-
あたし達は頷くしかできなかった。だってもし、愛ちゃんが喧嘩しちゃうってことになったらイヤだもん。
怪我してんの見たくないし、怪我させた奴とかも絶対許したくないしね。
でも、なんかそれじゃあ…。
- 195 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:14
-
「だけどさ、のの。あいぼん」
「「何?よっすぃ」」
「今度の奴らにたとえ逃げれたとしても、絶対追いかけてくるぜ。だってもともとは2人の行方を確かめに来たんだろ?」
「あ、そーだった」
「なんや、のん。忘れとったんかいな」
「そいつらに勝ってしまえばいいんだろ?二人なら無傷でやれるよ。あたしが証明する」
「なんでそんな言い切れんのさ。よっすぃ」
「2人がやられそうになったら、命に代えても助けにいくから。あたしが」
「「よっすぃ…」」
「昔は梨華ちゃんと4人で家族ごっこしてた仲じゃねーかっ!とうちゃんに任せろって!」
「「うんっ!ありがと、とーちゃんっ!!」」
- 196 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:15
-
家族ごっこってあなた…。精神年齢いくつなんだよって話。しかもそれに付き合ってしまう石川さんって、どんだけお人よしなんだろう。
ってかみんな帰る勢いなんですけどぉ…。ありゃりゃ、後藤さんもまた寝る気マンマンだし。
結局、こっちからは準備なんてできないから、ひたすら待つことになったみたい。
まぁた愛ちゃんに怒られるなぁ。「なんで喧嘩ばっかするんや、アホ」って。だって口癖なんだもん、アホって言うの。
会えば絶対アホって言われてる気がする。うんうん、必ず言ってくるな。
「まこっちゃん、ちょっといいと?」
「ふぁ?れいな、どしたぁ?帰ってると思ったよ」
- 197 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:15
-
あたしはまた学校に行く前に、自分の部屋に戻ろうとしてたんだ。
忘れ物とかじゃないんだけどさ。ちょっとお腹すいてたし、なんか食べてから行こうと思ってたんだ。
例えばチョコとかチョコとかチョコとか。
「あのぉ、ちょっと相談があるけん」
「ん?どーした?なんでも言ってみ?」
「あ…、その…、え、絵里のことなんですけど…」
「亀ちゃん?……あ、もしかして付き合ってるの?」
「はい。ってまこっちゃんだけ知らんかったと?他の先輩は知ってましたよ?」
「えぇっ!?なんであたしだけ…」
「れいなも自分からは言ってないです。多分うすうす気付かれたんでしょうね」
「そかそか。………あたしが鈍感ってことかぁ…」
あたしって周り見えてない人なのかも。愛ちゃんにアホって言われまくってるし。
あ、そーだ。れいなの相談だったんだ。すっかりネガティブに落ちるとこだった。
- 198 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:16
-
「ねぇ、れいな。亀ちゃんの相談って何?」
「あぁ、はい。そのことなんですけど。れいな、絵里と付き合ってまだちょっとなんですね。…なんかこう、不安なんです。やっぱりれいなじゃイヤって言われそうで」
「なんでぇ?れいなはそんなこと言われるような人じゃないよ?」
「でもっ!れいな達って喧嘩とかするじゃないですか。…さっきののんつぁんとあいぼんが言ってたことが、なんかこう…胸に刺さったっていうか、絵里も同じこと思ってんじゃないかって…」
「まぁ…多分思ってるとは思うけど」
「吉澤さんや松浦さん達も、怪我されるのはイヤって言っとったけん。れいなが怪我してもれいなは平気っちゃけど、絵里には心配させるんやろーなって…」
- 199 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:16
-
れいなも亀ちゃんのこと、本気で好きなんだねぇ。亀ちゃんも本気そうだし。なんかいいよね、こういう話って。
なんかすっごい分かるもん。だって好きな人にはやっぱり笑ってて欲しいよね。
でもあたし達って怪我する度、喧嘩する度、心配させちゃってるんだよね。
あたしの体に湿布とか包帯とかしてくれんのって愛ちゃんだもん。その度、なんかあたしの体なのに愛ちゃんが痛そうな顔するんだもん。その度あたしはなんか胸が痛くなるんだ。
きっとれいなもそんな感じがしちゃってるんだろーな。でもあたし達には…。
- 200 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:17
-
「でもさ、れいな。喧嘩しなきゃいけないじゃん?」
「はい。逃げれないと思います」
「そう。また亀ちゃんに心配させちゃうんだ。もうこれはしょうがないんだよ。だってあたし達が売ってるわけじゃないんだし。売られてるわけだし。売られてるのに買わないってのもなんかカッコ悪いよね?」
「…そうですね。そんなのれいなの心が許せないです」
「でしょ?あたしもそうだし、先輩達もそう思ってるよ。だから絶対喧嘩しちゃうんだけど、その度怪我もしちゃうんだけどさ。亀ちゃんには笑ってあげな?」
「どーゆーことですか?」
「れいなは亀ちゃんに笑ってて欲しいでしょ?…だったら亀ちゃんも同じこと思ってるよ」
「あ、…確かにそーかもしれん」
- 201 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:17
-
「心配させちゃうのは、もうしょうがないんだよ。でもね、全然平気だよって、ちょっと痛いけど大したことないよって。だって好きな人がちゃんと傍にいてくれてるんだもん。自分にはそれだけでいいんだって分かってもらうにはさ、やっぱり笑ってあげるしかないって。そしたらきっと分かってくれるよ」
「なんか、吉澤さん達が今まで別れんでこれたんが分かった気がしました」
「うん。あたしも愛ちゃんと付き合ってから、よしざーさん達みて気付いたんだけどね」
「あはは。なんか気がすっきりしました。まこっちゃんありがとうございます」
「いやいや。どーってことないよ」
- 202 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:17
-
れいなにちょっと先輩らしいことできたかな?カッコいいあたしになれてたかな?
まぁでもあたしだって初めは悩んでた時期もあったけどね。でもいつか愛ちゃんが言ってたんだもん。
「喧嘩せんくなった麻琴を見るのはもうちょいあとでえぇよ。今の麻琴には喧嘩すんのも仕事やろーし、なくなってまったら麻琴じゃないみたいやもん」って言ってくれたんだ。いつも怪我すれば誰よりも心配するのに、あたしそういってくれたんだ。
ホント頭があがらないね、愛ちゃんには。心の底から愛してる。いつも言えないでいるけど。
そーだっ!こうしてちゃらんないっ!愛ちゃんに会いにいかなきゃ。ついでにあさ美ちゃんとガキさんにも。
あんまり遅くなるとまた怒られちゃうし。アホってまた言われちゃう。言われないうちに早くいこっと。
- 203 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:18
-
「あーいちゃーんっ!おはよーっ!!」
「コラァ小川っ!遅刻しとんのにそんなデカい声出すなっ!」
「いいじゃないっすか、中澤さーん。元気があるってことなんですからぁ」
「うっさいわっ!早く席につかんかいっ!」
「へへっ。麻琴って変わってないね、あいぼん」
「せやな。のんにそっくりやで」
「あさ美ちゃん、まこちぃって風邪引いたときあるっけ?」
「さぁ…、あたしの記憶にはないかも。愛ちゃんが面倒みてるからねぇ」
「おーいっ!愛ちゃーん、なんでシカトすんのぉ?」
「……アホ…」
- 204 名前:かつおぶし 投稿日:2006/12/31(日) 22:24
-
>>174 某マコ好き読者Eさん
ありがとうございますぅ。
カッチョまこ、出せるかなぁ?ヘタレまこならいつでも出せるんですが…。
- 205 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/31(日) 22:31
- な、生更新読んでもた
- 206 名前:マコっX 投稿日:2007/01/05(金) 19:35
- ワーイ。更新おつかれさまです。
おもしろい2人出てきましたね。今後の展開が楽しみであります。
作者さんのペースで頑張ってください。応援してます
- 207 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:23
-
ちょっと寄り道。あやみきで。
『強さの秘訣』
- 208 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:23
-
ずーっと1人ぼっちだった。
あたしが心を許せる人なんて、いないと決め付けてた。
まさかこんなに近くにいるなんて。
神様、知ってるんならもっと早く教えてよ。
- 209 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:24
-
「美貴たん。喧嘩することになったの」
「はぁっ!?またかよ。誰とさ?」
「ののとあいぼんに昔ヤラれた奴ららしーよ?」
「ふぅん…。元気だねぇ、あんた達」
「心配してるでしょ?」
「当たり前じゃん」
たんが心配してる。あたしには手に取るように分かるよ。
だから言わないほうがいいって言う人もいると思うけど、あたしにはそんなこと知ったこっちゃない。
だって知ってて欲しいから。たんにあたしの全てを。
良いところも悪いところも全部、知っててくれなきゃ困る。
- 210 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:24
-
「どーでもいーけど怪我だけはしないようにね」
「そんなの無理なの分かって言ってるでしょ?」
「だって怪我されたらイヤに決まってるでしょ、アンタ」
「負けるよりかはマシだね」
「まーた、そんなこと言う…」
うな垂れてる。大きなため息ついて、頭ガシガシしてる。
あたしが言うこと聞かないから?そんなの分かってることじゃない。
心配しなくても大丈夫だよ。たんがいるから。
「美貴がついてるんなら喧嘩してもいーけどさぁ。知らないとこで殴られたり蹴られたりすんのって、想像するだけで美貴イヤなんだよね」
「じゃあ見にくれば?」
「仕事だっつーのっ!今月マジ忙しいから」
「にゃははっ」
「ホントにさ、あんま無理しないでね」
- 211 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:24
-
たんが社会人になって、毎日会えなくなった。
初めは気が狂いそうにもなった。皆には絶対言えないけど。
今までが近すぎたせいか、離れたときの距離感に耐えられなくなりそうだった。
多分、よっすぃも同じだったと思う。言ってこなかったけど。
でもたんはそんなことなかった。
毎日仕事してて、慣れないから疲れとかすごいんだろーなって思ってても、毎日電話くれるの。
「今日、何あった?」とか「風邪引いてない?」とか、なんだろな、今までそんなこと聞かなかったのに必ず聞いてくるようになったの。
必死で働いたお金なのに、貯金もしないであたしにプレゼントくれたよね。
あのとき貰ったピアス、たんに会うときしかつけてないんだよ。これも皆には絶対言わない。
- 212 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:25
-
「たん、今日泊まってってもいい?」
「いいよ。もう遅いし…ってかそれ美貴のパジャマ」
「お風呂はいろーっ!」
「…はいはい」
あたしね、気付いたの。
離れてった方と、離れられた方ってどっちが辛いとかってないと思う。
「あたし、たんと別れたくないよ」
「美貴だって別れたくないよ。…何?急に」
「たんが心配してるの知ってるよ。あたしがどっか行っちゃったらどーしよって思ってるでしょ?」
「そ、そりゃ思うよ。だって前みたいに会えないんだし」
「だからって無理して電話したり、プレゼント買ったりしてるの?」
「別にそーゆーわけじゃ…」
「まっ、嬉しいけど。でもこれだけは分かって。あたしはたんのとこ以外どこにもいくつもりないんだから」
「…う、うん」
- 213 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:25
-
あたしだって辛いなってときあったけど、たんも同じだったんだね。
だからもう大丈夫だよ、あたし。
どんなことでも乗り越えていけるっ!たんが傍にいてくれてるから。
- 214 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:26
-
だからお願い神様…。
あたしからたんだけは奪っていかないで。
- 215 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:26
-
「いつ喧嘩するの?」
「さぁ?詳細は明かしてくんないみたい」
「何それ…。危ないじゃん。まぁでも亜弥ちゃん強いからね」
「そだよぉ。あたし、強いもん」
「何だそりゃ…」
「にゃははっ」
- 216 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:27
-
- 217 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:27
-
ずーっと1人ぼっちだった。
あたしが心を許せる人なんて、いないと決め付けてた。
まさかこんなに近くにいるなんて。
神様、知ってるんならもっと早く教えてよ。
捕まえたからには、もう二度と離せない。
だってまた一人ぼっちになっちゃうもん。
- 218 名前:かつおぶし 投稿日:2007/01/06(土) 00:37
-
寄り道でしたぁ。
なんとなく気紛れな感じで書きました。
多分、他のCPでも書くと思いますので。
これといった話題性の全くない、日常的なやつをね。
>>205 名無飼育様
ありがとうございますっ!
生更新、見ちゃいましたかぁ…。
なんだか恥ずかしい気がするのは私だけでしょうか?
いや、なんかね。恥ずかしいよぉ…。
>>206 マコッXさん
毎度ありがとうございますっ!
私のペースは不定期にも程がありすぎますんで、なんとか飽きずに御覧頂いて欲しいものです。
ちなみに今回は麻琴ナシです。あやみきオンリー。
短編のほうが書きやすいって今頃気付いたりして…。
- 219 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/06(土) 02:33
- ……わッΣ
あッ、あの>>205の者ですッ!有り難うございますッ!!
あやみき大好きなのと、また生更新見ちゃッたのとで固まってました。本気
ミキティがちょイ焦ッてたリするの大好ぶ※◇…大好きです。
好き過ぎて「大好きです。」しカ書けてない…o(_ _*)o
本当、かつおぶし様の作品が大好きなんで、いつまでも次の更新待ってます!
- 220 名前:マコっX 投稿日:2007/01/07(日) 20:58
- おっ、あやみきですか。いいですね。
まこあいの次にいしよしとあやみきが好きです。
作者さんの書く世界好きですので、これからも応援させて
いただきますよ。次回更新も楽しみにしています。
- 221 名前:かつおぶし 投稿日:2007/02/04(日) 02:09
-
あのさ、れいな。
なんで絵里がれいなのこと好きになったか分かる?
- 222 名前:かつおぶし 投稿日:2007/02/04(日) 02:09
-
「ただいま〜…」
「れいなっ!帰ってくんの遅いぃっ!!」
「ん〜ごめん、ごめん。先輩達と遊んでたっちゃ」
「もぉ〜…。遅くなるんだったらメールしてっていっつも言ってるじゃんっ!」
「はいはい。ってかれいな着替えてくるけん。一回部屋戻るっちゃ」
…まったく。れいなはいっつもそうなんだから。約束守ってくんないんだよ。
帰ってくるの遅いと心配しちゃうし、何より退屈だもん。
さゆとも遊ぶけど、さゆはクラスも一緒だしいつも傍にいるから、学校終わってまで遊ぶなんてことそんなにないんだよね。
れいなもクラスは一緒だけど、サボってるからそんなに接する機会もない。
なのに先輩達と遊びに行ってさ。別にそれはいいんだけど、帰りが遅い上に連絡もなしとか有り得ないよ。
だって喧嘩とかしてたらって思っちゃうから心配する。すっごく心配する。
- 223 名前:かつおぶし 投稿日:2007/02/04(日) 02:10
-
「絵里ぃ?れいな着替えてきたけん。何しとると?」
「テレビ見てる。宿題してる。考え事してる」
「…い、忙しそうっちゃね」
「お風呂入ってきなよ。絵里もう入ったから」
「あっそうなん?じゃ入ってくるけんね」
「早く行かないとお風呂抜かれちゃうよ?シャワーだけだと風邪引いちゃうからね」
「なんかママみたい…。ま、いいや。じゃ行ってくるけんね」
もう30分もしたら、寮の管理人さんが大浴場のお風呂のお湯抜きにくるんだよ。ってことはそんな時間まで絵里ほったらかしにされてんだよ?信じらんないっ!絵里1人でずっと部屋にいたんだよ?れいながいつも帰ってくるときは、必ず絵里の部屋に寄るの知ってたから。
- 224 名前:かつおぶし 投稿日:2007/02/04(日) 02:10
-
「れいなのバーカ。こんなの彼女なんかじゃないよ」
あの時、助けてくれたのがれいなだったから。絵里のほうに振り向いて優しく笑ってくれたから。
絵里、れいなを好きになったのに。でもだからこそ、れいなも絵里のこと好きなのすぐ気付いた。
だってれいな、さゆに絵里のことたくさん聞いてたんでしょ?全部絵里に筒抜けだから。
だから告白のときは緊張しなかったの。
『ねぇ、れいな。絵里と付き合ってよ』
『え…、絵里?』
『絵里ね、れいなのこと好きになった』
『いや、あの、その〜……。ど、どうも…』
『れいなも絵里のこと好き?』
『う、うんっ!!』
- 225 名前:かつおぶし 投稿日:2007/02/04(日) 02:11
-
そのときは別に気にしなかったけど、れいなって好きってなかなか言ってくれない。
最近言ってくれたのっていつだったかなぁ?覚えてないや。そんくらい言わないんだよ、れいな。
絵里はちゃんと言ってあげてるのに。
れいなが好きっていってくれるの期待して待ってるのに。
「絵里ぃ〜。風呂入ってきたとー」
「れいな。ここに座って」
「何?絵里まだ怒ってるとかいな?」
いいからって言って、無理矢理座らせた。お風呂上りのれいなは首にタオルかけてて、ピンクのほっぺしてて、いい香りがしてくる。なんだかもうどーでもいいやって思えてきちゃうけど、これだけはダメ。
絵里がホントに待ち続けてるのは、好きって言葉なんかじゃない。
- 226 名前:かつおぶし 投稿日:2007/02/04(日) 02:11
-
「絵里は、れいなのこと好きなんだよ?」
「やからー、さっき謝ったやん。今度からはちゃんと連絡入れるけん」
「それもそうだけど、そのことじゃなくてっ!」
「あー…」
「絵里、れいなの気持ちが知りたい」
「…………れいなも、絵里が好いとー」
うん。あとちょっとだ。
もう少し粘ったら絵里が求めてるのが見れる。
「じゃあキスして」
「…よかよ…」
- 227 名前:かつおぶし 投稿日:2007/02/04(日) 02:12
-
重なり合う唇。ぎこちないれいなの手。どちらも探るように絵里を包み込んでいく。
あんまりにもれいなが好きだから、キスしてても薄目開けてれいなを見ちゃう。
鈍感なれいなはちっとも気付かないで絵里とのキスに夢中。
時に眉間に皺寄せたり、すっごく気持ちよさそうにしたり、泣きそうな顔になったりする、れいなの顔。
やっと見たかった。ずっと待ってた。これが絵里の求めてたもの。
絵里しか見たことないから、れいなのこんな顔。
誰にも見せたくなんかない。世界中で絵里だけ知ってたらいい。
いつかれいなと目が合う日がくるのかなぁ?
- 228 名前:かつおぶし 投稿日:2007/02/04(日) 02:12
-
あのさ、れいな。
なんで絵里がれいなとキスしたがるか分かる?
それはね、キスする度れいなへ堕ちていけるからだよ。
- 229 名前:かつおぶし 投稿日:2007/02/04(日) 02:20
-
更新終了
>>219 名無飼育さん
ありがとうございまーす。
結構、悩んだんですよ。あやみき。だって松浦さん視点ってあんまりないような気がしたんで、まぁチャレンジ一年生ってことで頑張ってみたんですけどwwwww
>>220 マコッXさん
ありがとーございまーす。
マコッXさんもあやみき好きですかぁ!そうかそうか。じゃまたいつか書いてみようかな、あやみきww
結構難しいんだよなぁ、あやみきって何か。
私が一番書きやすいと思うのはれなえりだと勝手に思ってますww
- 230 名前:マコッ 投稿日:2007/02/08(木) 20:06
- 更新お疲れ様です。
あやみきの次がれなえりですか。ここの世界感好きなんで、
お気に入りのCPが増えつつあります。次回更新もお待ちしていますよ。
- 231 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/02(金) 11:58
-
あれから1週間が経った。喧嘩を売ってきた奴らは一向に現れる気配がないままで。
だんだんとあったかくなってきてるから、そのせいにしてまたいつも通りに屋上でサボってたんだ。
雲ひとつない空も好きだけど、青のなかに置いてかれたようにポツポツとある白みたいな空が好きだなぁ、あたし。
「あー気持ちいー。眠くなってきたー」
誰に言ってんのか分かんないけど、多分自分に。
ホントにウトウトしてきたから自然と瞼が落ちてきちゃって、ゴロンと寝転がったんだ。
もう頭の中じゃ夢と現実が区別できなくなってたときに、あの人がきた。
「ん?麻琴ぉ。寝てんのか?」
- 232 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/02(金) 11:59
-
シカトして寝たふりをしてそのまま寝ようかとも考えたんだけど、どーせ起こされちゃうんだろうなって思ったから、素直に起きることにした。蹴飛ばされるのはヤダし。
「寝る直前でしたよ。今も眠いんですけどね」
あたしの話を聞いてんのか聞いてないのか、よく分かんなくてそのままよしざーさんを見てた。
今の季節にはちょっと暑いくらいのブレザーから、チラッと覗いた長い腕には紫の痣が見えた。
「今日もいい天気だなぁー麻琴ぉ」
- 233 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/02(金) 11:59
-
さっきまでのあたしのようにゴロンと寝転がって、空を眺めてる。
聞いてもいいのかな?その痣のこと。
「今日みてーな日はさぁ、授業なんか出てらんねーっつーの」
誰に言ってんのか分かんないけど、多分あたしに。
そしてよしざーさんはいつも通りに振舞ってる。
- 234 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/02(金) 11:59
-
「そーですねぇ。ピクニックとか行きたくなりますねー」
「だよなー。今度みんなで行くか?弁当とか持ってよ」
「いいですねー。でも誰が作るんですか?」
「梨華ちゃん以外だったら誰でも」
笑いながら話すよしざーさんは、全くいつも通りで。
きっと自分から痣のことは話す気がないんだなって思った。
「んで、いつ行く?」
「来週の連休でいいんじゃないですか?」
「おぉそーだな。んじゃみんなにあとで聞こうぜ」
「はい」
- 235 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/02(金) 12:00
-
だからあたしも知らない振りをしたんだ。
きっと知られたくないんだろうなって思ったから。
相手が気になったけど、それは多分時間が教えてくれるはずだ。
「腹減ったなぁ、食堂行く?」
「行きますっ!!」
次の日も、またその次の日も、喧嘩を売ってきた奴らは一向に現れなかった。
- 236 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/02(金) 12:04
-
更新終了
>>230 マコッさん
ありがとうございます。
れなえりは私も大好きですし、書きやすいです。
毎回コメント頂戴できて、すごく嬉しいです。
なのに今回ちょっとしか更新できなくてすいません。
また次の更新に向けて頑張りまーす^^
- 237 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:47
-
- 238 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:47
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「愛ちゃん。・・・ねぇってばっ!」
「・・・・・・・・・」
さっきからずっとこの調子。愛ちゃんは今、宝塚に夢中。
あたしも宝塚好きだけど、何回も観たやつをまた観たいとは思わなくて。
それでも宝塚が好きな愛ちゃんは、さっきからずっとテレビを見てる。
「もうそれ見飽きたし。別のにしてよ」
「・・・・・・・・・」
- 239 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:47
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はいシカト。ってか多分聞いちゃいない。
あんまりちょっかい出すと怒られるし、殴られる可能性もあるからほどほどにしとこう。
でもあたし的にはつまらなくて。
そんなとき、よしざーさんから電話がきた。あたしが退屈してるのを見計らったかのようなタイミング。
『もしもし麻琴?』
「はい。そーですけど」
助けてよしざーさん。あたしをここから出してください。なんてことは言えないけど、ひたすら願って次の言葉を待つ。
すると願いは簡単に叶ってくれた。
「もう花火売りに出されててよ、さっき買ってきたから屋上で花火しよーぜ」
「ホントですかぁ!?すぐ行きますっ!!」
- 240 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:47
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やったぁ!花火だぁ!そっかぁ、もうそんな季節かぁ。
そーいや聞いてなかったけど、よしざーさんの他にも誰かいるのかなぁ。まぁいいや、早くいこっと。
愛ちゃんには言わないで行こう。聞こえないだろうし。もし聞こえてたら「あーしより花火とるんか」って怒られそうだしねぇ。
「おぉーいっ!麻琴ぉ」
「あれ?よしざーさん1人ですかぁ?」
「うん。さっき梨華ちゃんと遊んでて、その帰りだから」
早速嬉しそうに花火の袋をガサゴソあけて、ちっちゃな蝋燭に火を灯した。
よしざーさんはその性格からか、派手目のやつにどんどん火をつけて周りを華やかにしていく。
あたしもそれにつられるようにチョコチョコして遊んでいたんだ。
- 241 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:48
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「せんこう花火、半分こにしてどっちが長いか競争しよーぜ」
「いいですよぉ。負けませんから」
蝋燭の蝋がもう終わりそうになってて、火がユラユラが揺れてた。
消える前にと慌てて火をつけて、あたしとよしざーさんとのサバイバルマッチが始まったんだ。
一本とかじゃなくって、束をまとめて持ってるから火の勢いが凄くて。でもなんとか落とさないようにって、意味も無く持ち方とか体の向きとかを変えてみたりしてた。
―〜〜〜♪―
あたしの携帯が鳴ったから、あたしの左手は不器用にポッケから携帯を出して、耳にあてたんだ。
電話をかけてきたのはガキさんだった。すごく切羽詰ってて、まるで電話越しから怒鳴られてるみたいだった。
- 242 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:48
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「愛ちゃんが病院運ばれたってっっ!!!」
あたしの右手にもってたせんこう花火は、ガキさんの声に反応したのか落ちてしまった。
固まったまま動けないあたしの正面には、いまだ綺麗に火をともしたままのせんこう花火を持って、何も知らないよしざーさんが楽しそう眺めてた。
- 243 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:49
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- 244 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:49
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すぐによしざーさんに事情を説明して、病院に向かった。
あたしが病院に着いたころにはガキさんとあさ美ちゃんは既にいて、手術中と書いてある赤いランプの周りを忙しなくウロチョロしていた。
よしざーさんは他のみんなに電話していた。
頭が混乱していて、なんかすごく怖くて、ガキさん達に声をかけれなかった。
愛ちゃんがどーかしたの?の一言が言えなくて、寒くもないのにガタガタ震えてたんだ。
そしたら真っ赤な目をしたガキさんが、詳しく説明してくれた。
愛ちゃんは宝塚が見終わって、あたしがいないことに気付いたんだって。それでガキさんの部屋にいったけど、あたしは当然いなくって。あさ美ちゃんの部屋にもいないから、外にいると思ったのか近くを探してたらしいんだ。
たまたま愛ちゃんは携帯を部屋に忘れたままあたしを探してたらしく、塾帰りの小学生が車に轢かれそうになってたところを助けたらしい。
- 245 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:50
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「そっかぁ。ありがと、ガキさん」
なんとか落ち着かせて、やっと一言いえた。でも何を言えばいいのか分かんなくて。きっとみんなもそんな感じで、亜弥ちゃん達がきても誰も話そうとしなかった。
2時間くらい経って、あの赤いランプが消えたんだ。先生らしき人がマスクを外しながら、外傷は大したことないけど頭を強く打ったらしくて意識が戻らない、と説明してくれた。
「戻りますよね?」
俯いて何もできないあたしのかわりに、よしざーさんが聞いてくれた。でも先生の言葉は、3日後までに戻らなかったらかなり危険です、と言葉を残して去っていってしまった。
あたし達は無言のまま、集中治療室を眺めるしかできなかった。
- 246 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:50
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あのとき愛ちゃんに一言言ってれば。この思いが頭から足のつま先まで満ち溢れる。どーしようもない罪悪感にこの体が許せなくなりそうで、堪えてた涙がボロボロと溢れてきた。
「麻琴のせいじゃねーからな」
「愛ちゃんは子どもを助けたのよ麻琴」
「愛ちゃんなら大丈夫だって」
それからあたしは毎日病院に行って、愛ちゃんの見舞いにいった。学校には行かずに、ずっと愛ちゃんの病室で目覚めてくれる日を待ってた。ずっと待ってた。
- 247 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:51
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事故から3日後、愛ちゃんはまだ眠りについたままだった。
事故から一ヵ月後、先生から目覚めても障害が残る可能性が大きいと言われた。
学校側からも留年するからとにかく学校に来いと言われて、イヤだったけど行くことにした。だって愛ちゃんが起きて、学校行くようになったときに、あたし留年したらカッコ悪いもん。またアホって言われちゃうし。
事故から9ヶ月後、よしざーさん達は卒業していった。
あれから喧嘩を一切しなくなった。他のみんなもしなくなった。できるだけ気を遣わせたくなくて、なるべくいつも通りにしようと心がけた。だからみんなもいつも通りにしてくれた。
- 248 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:51
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事故から一年9ヵ月後、あたしは高校を卒業した。愛ちゃんはまだ眠ったままだった。
今日は病院へ行く最後の日なんだ。愛ちゃんのお母さんが決めたことなんだ。
あたしが口を挟むことじゃないのは分かってる。でも卒業式が終わったばっかりだから、涙が全然止まってくれなくて、愛ちゃんの分の卒業証書を持って来たはいいんだけど、涙でふやけてきてる。
なんでだろ?覚悟してきたのに。止まんない、涙がとまらないよ。
「うっ・・・、ひぐっ、・・・・・・これ、愛ちゃんの分、・・・です」
「・・・ありがとう。愛も喜ぶわね」
「最後に、・・・・・・2人にさせて、ください」
- 249 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:53
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愛ちゃんのお母さんに頼んで二人だけにしてもらった。昼間の日差しが病室に暖かさをくれてる。
でももう愛ちゃんとお別れだね。
「ねぇ、愛ちゃん。あの日は宝塚観始めてから、あたしのこと完全に忘れてたでしょ?」
もう最後に話したのがなんだったかすら覚えてないんだ、あたしは。
あぁやって暮らしてたのが当たり前だと思ってて。
「あたし、卒業できたよ。これからは就職するんだよね」
ここから少しだけ離れるんだ。そしてまた新しい生活をスタートさせるよ、愛ちゃん。
もうこの病院にも、学校にもきっと来ないと思う。
- 250 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:53
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「ねぇ、愛ちゃん・・・・・・」
お願い、目を開けて。言えなかった。涙が溢れてきちゃって。
ベッドに静かに寝てる愛ちゃんとは裏腹に、泣き崩れるあたし。
「好き、だよぉ・・・。愛してる・・・」
- 251 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:54
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愛ちゃんにずっと言えなかった。なんでか恥ずかしくって。
やっと言えたその言葉に、愛ちゃんからの返事はやっぱりなくて。
これが最後、もう次はないって分かってるから、愛ちゃんの顔を目に焼き付けておこうと思ったのに。
次から次へと溢れる涙が邪魔して、愛ちゃんの顔はぼやけたまんま。
まるで水中から覗いてるみたいで、遠い人のように感じた。
- 252 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:54
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- 253 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:54
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キラキラきらきら、ぴかぴかピカピカ
そう輝いてみえるのはあたしだけなんだろうか。
君には、そう見えないのかな?
- 254 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:54
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- 255 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/11(日) 18:58
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消えないカケラ終了
今まで見てくださった皆様、本当に有難う御座いました。
もしかしたらどっかにまたひょっこり現れるかもしれません。
最後が詰めた話になってスイマセン。
それでは失礼しました。
- 256 名前:マコ 投稿日:2007/03/12(月) 18:21
- 作者さん完結お疲れ様でした。
ここの作品が好きでした。ラストは切ないですね〜。
また、どこかで作者さんにお会いできることを楽しみにしています
素敵な作品をホントにありがとうございました。
- 257 名前:マコッX 投稿日:2007/03/12(月) 18:23
- ↑ スイマセン。sage忘れました。
しかも、名前欄を間違えてしまいました。
- 258 名前:名無し飼育 投稿日:2007/03/14(水) 21:31
- うわぁ…切ない。こうゆうの好きです(つд`)
また機会が会ったらかつおぶしさんの作品見たいです!
- 259 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/26(月) 07:51
- 諸事情で携帯PCから離れていました。>>219です。
携帯戻っきて一番に拝見させていただきました。とても…胸がきゅっとなりました。こちらにくるのが楽しみになっていました。かつおぶしさん、お疲れ様でした。ありがとーございました。
かつおぶしさんとどこかで会えるのを期待しています。
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