ガムは好きですか?

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/12(火) 02:16
ぎゃむ結成おめでとう。そしてありがとう。
ということでせっかくだからぎゃむばっか書いてみます。
2 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:16


3 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:16
「朝だよ〜!朝!!起・き・ろ〜!!」
「……あやちゃんうるさいー…」
「うるさくない!起きなさい!」

都内のとあるマンションの一室。
毎朝お決まりの光景が今日も繰り広げられていた。
寝つきはものすごくいいが、寝起きがどうしようもなく悪い藤本美貴。
その寝起きの悪い美貴を、毎朝あの手この手で起こしてやる世話焼き女房の松浦亜弥。
美貴は今年で社会人二年目。亜弥は大学二年。
接点がないように見えるこの二人、色々と事情があって一緒に暮らしていた。
4 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:17
「もーみきたん起きてよ。仕事でしょー」
「やだぁ〜ねむいぃ。きょうやすむぅ」
「甘えた声出すな」
冷たく言い放ったと同時に布団も剥いでやった。
この世の終わりのような顔をして、美貴が亜弥を見つめる。

「ほら、早く起きてさっさと仕度する!」
「鬼だ…鬼がいる…」
「なんか言った?」
「いえ何も」
恨めしそうな表情ながらもようやく美貴が体を起こす。
亜弥はわざと大きく溜息をついて見せ、口を尖らした。
5 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:17
「大体ねー、私今日は講義午後からなのにさ、誰のために早起きしてると思ってんの?」
「わぁかってるよー美貴のためでしょ?一人じゃ起きれないしさぁ。感謝してるよ」
「そう思うんならもっと努力してよ」
「え〜?やだ」
「は?……わっ」
急に腕を引っ張られた亜弥はそのまま背中を美貴に預ける形で彼女の腕の中へと納まった。
同時に腕が後ろから伸びてきたと思ったら、ぎゅうっと抱きしめられる。

「だってこの時間がなくなるの、やだもん」
「なっ…」
「亜弥ちゃんに起こされないと一日が始まった気がしない」
だから毎日美貴のこと起こしてよ、と耳元で囁かれた。
6 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:18
「……みきたんずるいよ」
「なにがぁ?」
「…なんでもないですっ」
「ねぇなにが?なにがなんでもないの?」
耳に触れるか触れないかぎりぎりのところで美貴は囁く。

…こいつ、絶対わかってて聞いてる。
亜弥は悔しそうに唇を噛み締め、文句の一つでも言ってやろうかと思った。
と、そこでタイミングよく美貴が亜弥の耳に「ちゅっ」とわざとらしく音を立てながら触れた。

亜弥の口から寸前まで出掛かってた言葉の代わりに、甘ったるい吐息が漏れる。
7 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:18
「ちょっと…っ、みきたん仕事…でしょ?」
「…んーわかってるけど…もうちょい」
「もぉ…っ……だめだってばっ」
「…気持ちいいんじゃないの?」
「…ん…んっ…」
美貴は耳に唇を寄せつつも、両手は亜弥の弱いところを弄り始める。
そのまま流されそうになりながらも亜弥の理性は必死にそれを止める。

そして身を捩って亜弥は美貴を睨みつけた。
もちろん「やめろ」という意思表示を込めてのものだった。
しかし潤んだ瞳に上目遣い。美貴には誘われているようにしか見えない。
そう思い込んだら美貴がやるべきことはたった一つだった。
8 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:19
「亜弥ちゃん…可愛い…」
たまらず美貴は亜弥を押し倒す。
仕事のことなんて既に頭の中から消え去っていた。
器用に亜弥の服を一枚一枚脱がしていく。
下着も取ってしまうと、すでに自己主張をしている部分が目に入る。
美貴は迷わずそこに吸い付いた。

「ちょ…みきたんっ!だめだって……ん、あっ……はぁっ」
一方亜弥もだめとは言いつつも、体の奥についた火は徐々に激しさを増してくる。
理性と欲望の間を行ったりきたりで、口からは拒否の言葉が出ても体は正直に反応していた。
9 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:19
しかしそのとき携帯が着信音を響かせた。
美貴の携帯だった。
ものすごい速さで亜弥から離れ、携帯を手にする美貴。
10 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:21
「はい、藤本です。あぁ、その書類なら昨日……え?…わかりました、すぐ行きます」
簡潔に話を済ませると、すぐにスーツに着替え始める。
五分としないうちに美貴は完全仕事モードになっていた。
亜弥は半裸でただその様子を眺めていた。

「じゃあ亜弥ちゃん、行ってくるよ」
「…………」
「あ、遅くなるかもだからご飯は先食べててね」
「…………」
そして美貴は家を出て行った。何事もなかったかのように。
亜弥はやっぱり半裸のままで呆然とそれを見送っていた。
11 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:21
それから一週間、亜弥は美貴に指一本触れさせなかった。
ついでに朝起こしてやるのもやめた。
仕事に遅刻していく姿を見てはほくそ笑んだ。

ちょっとすっきりした。
12 名前:朝のできごと 投稿日:2006/09/12(火) 02:21


13 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/12(火) 02:23
ちなみに自分はガム好きです。
ぎゃむも好きです。

こんな感じでだらだらやろうと思います。
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/12(火) 02:25
流します。
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/13(水) 02:28
最高です
もっと読みたいです
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/13(水) 18:55
同じくガムが好きです。
ぎゃむも好きです。
このスレも大好きです。
続きお願いします。
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/13(水) 19:34
ガムよりぎゃむの方が好きです(*´Д`) ハァハァ
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/15(金) 12:03
おもしろい。こーゆう関係好きです。
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/17(日) 22:02
作者さんありがとう。
そして亜弥ちゃんみきたんありがとう。
こういうあやみきは最近減ってきたのでなんか嬉しいです。
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/17(火) 14:08

1.朝のできごと
21 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:09
目が覚めてなんかあったかいな、と思ったら亜弥ちゃんに抱きつかれていた。

あれおかしいな…昨日は家に一人だったはずだけど。
合鍵使って入って来たのかな?
まぁいっか。細かいことは。あったかくて気持ちいいし。
今日は久しぶりに休みだし、このまま二度寝しちゃおうかな…。

そのままうとうとしかけたら、「…ぅう〜ん…。」と言いながら身を捩る亜弥ちゃん。
あれ、起きちゃったのかな…。
二度寝しようとしたのにというちょっと残念な気持ち。

だって亜弥ちゃん起きちゃったら美貴寝れないし。
寝ようと思っても絶対眠らせてくれないし。…いや、変な意味じゃなくてね。
22 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:09
でも思いがけず隣に亜弥ちゃんがいたことはやっぱり嬉しくて。
自分でもわかるくらい、顔はにやけちゃってる。
…おいそこ、キモイとか言うな。せめてキモ可愛いと言え。

そしてもぞもぞと少し動いたかと思うと、「…おはよぉ。」と言ってもっと強く抱きついてくる。
寝起きがあまりよろしくない亜弥ちゃんは、完全に目覚めるまでちょっと時間がかかる。
美貴の首筋に顔をぐりぐりと押し付けて、「うぅ〜…。」と唸っている。

その甘えっぷりに、美貴は少しだけ違和感。
抱きついて寝ていたことといい、最近の亜弥ちゃんっぽくないっつーか。
前まではべったりくっついてるのが当たり前だったけど、今じゃあんましなくなったのに。
23 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:11
どうしたんだろ?なんか、何年か前に戻ったみたい。
困っちゃうくらい、美貴のそばから離れようとしなかった亜弥ちゃん。
そういえば友達だった頃は、恋人同士になった今よりもある意味ラブラブだったなぁ。

その理由を亜弥ちゃんに聞いたことがある。
そしたら「だってそんなことしなくても、たんがあたしのモノだって自信持てたから。」だってさ。
友達だった頃はくっついてないと美貴が遠くに行っちゃうような気がしてたって。
どうにかしてそばにいて欲しくて、一緒にいるときは片時も離れたくなかった…らしい。

だからそれは亜弥ちゃんなりの精一杯のアピールでもあったみたいだけど。
美貴、鈍いから行き過ぎたスキンシップくらいにしか思ってなかったけどさ。
つーか逆に直球過ぎて気づかないっつーの。
24 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:11
でもそんなこと聞いたら、美貴の方が亜弥ちゃんから離れられなくなっちゃった。
あの頃とは全く反対で美貴から亜弥ちゃんにくっつく回数が増えてしまった。
おっかしいな、こんなはずじゃなかったのに…。

でもいいんだ。
これまで亜弥ちゃんからたくさん愛情受けてきたから、今度は美貴の番。
「たんウザイ。」って言われても離れてやんないって決めたんだ。
時々ほんとにウザがられてるような気がしないでもないけど、気のせい…だよね、たぶん。うん。

だからまぁ、そんなワケでこんな風な亜弥ちゃんが珍しいってわけですよ。
嫌とかじゃないよ?むしろ嬉しいよ?だってなんか…可愛いんだもん。
でもなぁ…らしくないよなぁ。もしかして、なんかあったのかな?
25 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:12
「おはよ、亜弥ちゃん。」
色々と思うところはあったけど、どうやら目を覚ましたらしいから声をかけてみる。
まだ美貴から離れようとしない亜弥ちゃんは、また小さく唸る。

「みきすけぇ…おはよぉ。」
「はーい?…って何その呼び方。懐かしすぎだから。」
「うぅん?何言ってんの?」
「いやいや。寝ぼけてんの?」
昔の夢でも見てたのかな?みきすけって何年前の呼び名だよ。
亜弥ちゃんはまだ美貴の首筋に顔を埋めて、「寝ぼけてなんかないもぉん。」と妙に甘ったるい声。

「…ねぇみきすけ、おはようのちゅうして。」
「はっ?」
「なぁにさ〜その反応…。」
「えっ、いやぁ別に…。」
なんだこいつ。寝起きにこんなこと言うなんて、珍しい。
今日はもしかしたら雪でも降るのかもしれない。
26 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:12
や、朝からこんな風に甘えられるの、嬉しくないわけじゃないけどね。
いつもだったら寝起きの亜弥ちゃんに手を出そうものなら、それはもう大変。
本気で「ウザイから。」と言われてヘコむはめになるのだ。

亜弥ちゃんは寝起きが悪い。それもものすごく。
付き合う前は寝起きだろうがなんだろうが積極的にキスをねだったりしてきた。
もちろん冗談だと思っていた美貴は「なぁに言ってんの。」の一言で交わしてきたけど。

それがどうだ。まるであの頃のような亜弥ちゃんを目の前にして、美貴は再び違和感を感じる。
おかしい。亜弥ちゃんがおかしい。…なんか変なもんでも食ったかな。
27 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:13
「…ねぇ〜、ちゅうしてよぉ。」

でもこんな風に甘えられて。それも好きな子に。
最近ちょっと冷たいんじゃないの?と思っていた矢先に、こんな。
…やばい、これはど真ん中にガツンときたぞ。

「…ん。」
すぐ下に見えるおでこに、ちゅ、とキス。
次に鼻、ほっぺ。そして耳。
悪戯心でぺろっとちょっとだけ舐めてみると「ひゃぁっ。」と予想外の反応。
お…こんな反応は、なんか新鮮…。

亜弥ちゃんがあんまり可愛くて、美貴は止められなくなった。
ぎゅうっと亜弥ちゃんを抱きしめると、耳たぶを軽く唇で挟んでもう一度舐める。
さっきよりも丹念に。気のせいなんだろうけど、すごく甘く感じる。
28 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:13
「やぁ…っ。」
「ん…亜弥ちゃん…。」
いつもと違う初々しい反応に、美貴は興奮し始めていた。
唇に触れたくなって軽くキスをする。亜弥ちゃんはぎゅっと目を瞑っている。

なんだ…今日の亜弥ちゃん、すっごい可愛いぞ…。

ここまできたら美貴は完全に止まらなくなった。
亜弥ちゃんの言う「おはようのちゅう」とは絶対に違うであろうキスをする。
ちょろっと舌を突き出すと、亜弥ちゃんはわかりやすいほどにビクッと震え、美貴から離れようとする。

首筋から髪の毛に手を差し込んで、引き気味になった亜弥ちゃんをもう一度引き寄せる。
その手で優しく頭を撫でながら、それとは反対に舌の動きは激しさを増す。
掻き混ぜたり、吸ったり、本能のまま。
29 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:14
そのたびに亜弥ちゃんの口から漏れる苦しそうな息遣いに、美貴はこれ以上ないくらい興奮した。
朝からこんなキスをしても何の抵抗もしない亜弥ちゃんは不思議だったけど…。
そんなこと考えてる暇がないくらい、美貴はキスに夢中になっていた。

「…ふっ、…んんっ…、み、き…。」
「はぁ…亜弥ちゃんっ…。」

…ねぇ。ねぇねぇねぇ!なに?さっきからのこの初々しい反応は?!
こんな必死そうな亜弥ちゃん久しぶりに見たよ?
……ていうかっ、可愛いぃぃ!なにこの子!!
もう無理、美貴無理!我慢できないっつーの!!

そのままその先へ進もうと、美貴は体を起こして亜弥ちゃんを押し倒す格好になる。
一呼吸おいて、亜弥ちゃんの顔を見つめる。

そして目が合った。と同時に二人の動きがぴたっと止まった。
30 名前:  投稿日:2006/10/17(火) 14:15
「はぁ?」「えぇ?」
同時に発した二人の言葉は違うが、そこに込められた意味というか、感情は一緒だった。

美貴の目の前にいるのは確かに亜弥ちゃんだった。
でもそれは美貴の知っている、今の亜弥ちゃんではなかった。
どうみても16、7歳くらいの亜弥ちゃんがそこにはいた。
31 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/17(火) 14:15
 
32 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/17(火) 14:16
あの、最初のと題名は一緒ですけど全然違う話なんで。
そしてまだ続きます。
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/17(火) 14:24
>>15名無飼育さん
そんなあなたが最高です。

>>16名無飼育さん
題名一緒ですが続きじゃなくてすいません。
ややこしくてすいません。

>>17名無飼育さん
そんな当たり前のことわかってますよ。

>>18名無飼育さん
僕も大好きです。

>>19名無飼育さん
こちらこそありがとう。
少なくなってきたからこそ自分で書いてみました。
34 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/17(火) 16:29
更新キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ちがう味のぎゃむも最高においしいです。
続き、楽しみに待っています。
35 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/02(木) 17:47
更新まってます。
36 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/08(水) 16:09

2.コーヒーよりもオレンジジュース
37 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:10
「…だ、だだだ、誰っ?!みきすけ、みきすけはっ?!」
さっきまでのトロンとした瞳はどこへやら。一瞬にして青ざめる目の前の子。
美貴は美貴で欲望の火が一瞬にして消えた。

その子は美貴の下から抜け出して、そのまま体を起こして後ずさりする。
そして自分の体を守るように抱きかかえて不審な目で美貴を見た。
なんだよ、さっきまでとエライ違いじゃないの。

「誰って…美貴。藤本美貴。」
「えっ?みきすけ?ウソだっ!だってなんか老け」「老けてません!」
「だっ、だってあたしの知ってるみきすけよりどう見ても老け」「老けてないっつの!」
「は、はい…ごめんなさい…。」
「わかればいいの。…てか、アンタこそ誰よ?」

どう見ても目の前にいるのは亜弥ちゃんだったけど、一応尋ねてみる。
だってあまりにも若すぎる。亜弥ちゃんなわけがない。
これで松浦亜弥だとか言ったら…。
38 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:10
「松浦…亜弥…ですけど。」
「はい嘘!ありえないから!」
「うっ嘘じゃないもん!」
「だって美貴の知ってる松浦亜弥とは全然別人…てか若いっつーか。あ、妹ちゃん?」
って、ここにいるわけないか。
そもそも美貴んち知ってるわけがない。

「妹?妹なら姫路にいますよ?ていうかですね、あたしが松浦亜弥ですから!」
「なんでそんなすぐバレる嘘つくかな…。」
「だから嘘じゃないですよ!お姉さんこそ自分はみきすけだなんて嘘ついてるじゃん!」
「嘘じゃねぇっつの…。」
「あたしだって嘘なんかついてないもん…。」
それから無言の睨み合いが始まった。
39 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:11
だから目を逸らしたら負けのような気がして、じっと目の前の子を見ていた。
…でもほんと亜弥ちゃん並に目力強いな、この子。
そう思ったらなんとなく目を逸らしてしまった。
やべ、そっこー負けてんじゃん。だって目力凄すぎなんだもん。

…ん?てかこの子どうやって美貴んち入ったんだ?
ここの合鍵持ってるのはお母さんと亜弥ちゃんだけなのに。
…もしかしてこれは……す、ストーカーってやつか…?

自分よりも年下の女の子だからって油断してたけど、よくよく考えてみるとヤバイ人なんじゃないの?
だって要するに美貴が寝てる間に勝手に家に入って、一緒の布団に寝てたわけでしょ?

すうっと、背筋に冷たいものが走った。
ど、どうしよう…いきなりキレて刃物とか出してきたら…。
40 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:12
「あの…ちょっと聞くけど…どうやってこの部屋に不法侵…じゃなくて、入ったのかな?」
やべえ不法侵入なんて言ったら逆切れされるっつーの。あぶねぇ…。

ビクビクしながら女の子の反応を窺った。反応なし。
…ってシカトかよ!思い切って聞いてみたのに。

するとその子はいつの間にか俯いていて、小刻みに体が震えてる。…やばい、キレる寸前?
不法侵入って言いかけたの聞こえた?!もしかして殺される?!
…そう思って身構えた美貴だったけど。
よくよく見てみると、その子は肩を震わせて泣いているだけだった。

ちょ、ええっ、なんだよこの展開?ナイフは?
キレると見せかけて泣き落とし?
わかんない。ストーカーって何考えてるかわかんない。わかんなすぎて怖い。
てかこれってもしかして泣き真似か?そうやって美貴の気を引こうったって、そうはいかないぞ。
こんなわけわからん子の思い通りなんかには…な、ならない…ぞ…。
41 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:13
「…ふぇっ、うっ、……。」
「えーっと…。」
…ああっくそ、ダメだ。困る。
亜弥ちゃんに似てるからかもしれないけど、この泣き顔には弱い。

「あのぉ…なんで泣いてるのかな?」
「うっ…だ、だってぇ…なんか悲しくなってきたぁ…。」
「ええ?」
「わけわかんない…みきすけからあんなキス初めてしてくれて、あたし嬉しかったのにさぁ…。
 なのに目の前にはみきすけじゃなくて、みきすけにそっくりなお姉さんがいるし。あたしが
 松浦亜弥じゃないとか言うし…。」
「…キス……はっ!」

そういえば、そんなことも…しちゃったような…。はは、は…。
さっきとは違う意味で、美貴の背筋に冷たいものが走った。
42 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:13
「うぅー…そぉだよ、初めてだったのに…嬉しかったのに…。」
「あ…えーと…。」

ど、どうしよ…だって可愛かったからつい…。って誰でもいいみたいじゃん、美貴。
しかも結構思いっきり…激しくいっちゃったような…。
でもそれは亜弥ちゃんだと思ってたからで…。

や、でも結果的に…美貴は初対面の子にいきなりキスして押し倒して…って美貴は変態か!
しかも相手はどう見ても18歳未満……。あああぁぁ美貴こそ犯罪者じゃん!
きょ、強制ワイセツ罪って言うんだっけ?
これと不法侵入ってどっちが罪重いんだろう…。
…はは…どう考えても…。
43 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:14
「あ、その、ご、ごめん…。」
「うー…それに不法侵入なんてしてないもん…。」
「え?…き、聞こえてたか…。」
「ちゃんと、これ使って入ったもん…みきすけがくれた、合鍵…。」
「あ…。」

ごしごしと涙の残る目を拭ってから、ごそごそとバッグに手を入れて取り出した鍵。
それには見覚えのあるキーホルダーがついていた。
あまり趣味がいいとは言えないけど、北海道まりもバージョンのキティちゃん。
何年か前に亜弥ちゃんに合鍵をあげたときに一緒につけて渡したものと同じだった。
44 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:14
「このキーホルダー…懐かしい。」
「…懐かしい?」
「だって、これ4年くらい前に渡したやつだもん。懐かしいよ。」
「4年前?お姉さんが渡した?」
「うん。てかなんでアンタが持ってんの。あたし亜弥ちゃんにあげたんだけど。」
「…お姉さん、何言ってんの…?これはあたしが昨日貰ったばっかりの合鍵だよ?」
「はっ?昨日?」
「うん。みきすけがいつでも来ていいよ、ってくれたの。それで嬉しくて早速昨日使って入って、
みきすけが寝てたからあたしも一緒に寝てたの。で…起きたらみきすけがいなくて…お姉さんが。」
「んん?ちょっと待って、何?どういうこと?」
「…どういう…ことでしょう…。」

美貴と、たぶんこの子もわけがわからなくなって、無言になった。
45 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:15
4年前に美貴が亜弥ちゃんにあげた合鍵と同じものがここにある。
そしてこの子はこれを昨日貰ったと言う。

……んんー?まさか…この子ほんとに…。

「…亜弥ちゃん?」
「…みきすけ?」

沈黙を破った二人揃っての第一声。
信じられないけど…そういうことらしい。
46 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:15




47 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:16
「ま…とりあえずこれでも飲んで、落ち着こう。」
「あ、ありがとうございます。」
コーヒーを用意して亜弥ちゃんに差し出す。
そしたら丁寧に言葉が返ってきて、おかしくなって吹き出す。

「ふはっ。なんで敬語なの。」
「…年上ですから。」
「元から美貴の方が年上だけど、亜弥ちゃん敬語なんて使ったことないじゃん。普通にしゃべっていいよ。」
「…うん。でも信じられなくて…21歳のみきすけが目の前にいるなんて。」
「そりゃ美貴もだよ。16歳の亜弥ちゃんがここにいるなんて。」
そして二人でじっとお互いを見詰め合う。
見れば見るほど、確かに亜弥ちゃんにしか見えない。若いけど。

あぁ、ほんとに16歳の亜弥ちゃんなんだなぁ。
まさにあややって感じの上目遣いでこちらを見る姿に懐かしさを覚える。
こういう顔をされるたびに、なぜかわからないけどドキドキしていた昔のことを思い出した。
全然、自分の気持ちに気づいてなかったもんね、美貴。
48 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:16
「…ねぇ、みきすけ。」
「ん?」
「あたし…コーヒー苦手なんだけど…。」
「…あ、そっか。そういや昔コーヒーとか飲めなかったもんね。ごめんごめん。」
すっかり忘れてた。
亜弥ちゃんは亜弥ちゃんだけど、16歳の亜弥ちゃんだもんね。

「む…飲めなくはないよ。苦手なだけで。」
「じゃあ飲めばいいじゃん。」
「……違うのがいい。」
「はいはい、おこちゃまはジュースの方が好きだもんね。」
「子供じゃないもんっ。」

口を尖らしてそんなこと言う時点で子供だけどね。
とは思ってても言わない。そんなこと言ったら怒るし。子供だから。
美貴は笑いを堪えながら、そんなおこちゃまのためにジュースを取りに行った。
49 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:17
冷蔵庫を覗いて、オレンジジュースを取り出す。
それを片手に「これでいい?」と聞くと、こくんと頷いた姿が見えた。

…なんか一つ一つの動作がコドモっぽいんだよなぁ。
あの頃はそんなこと思わなかったけど。そりゃそうか。美貴も17歳だったし。
16歳と言えばれいなとかさゆと一緒か。
…うーん、そりゃ21歳の美貴からしたら子供に見えるわけだよ。

「はい、どうぞ。」
「…コーヒーだって飲めるんだからねっ。」
「はいはい、わかったってば。」
「…じゃあなんでニヤニヤしてんの。」
「えっ?してないよ。」
ごめん亜弥ちゃん、ニヤニヤしてました。
からかい甲斐があるんだもん…今の亜弥ちゃんと違って…。
50 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:17
「ふーん、いいもん別にっ!みきすけなんかキライ!」
「もー怒んないでよ。ごめんごめん…。」
わしゃわしゃと頭を撫でてやる。

むうっと膨らんだ頬が次第に元に戻ってくる。
それを単純だなぁと微笑ましく思うのと同時に生まれる罪悪感。
じりじりと美貴の中に広がってくる。

「ごめんね、ほんとに…。」
「みきすけ?なにが?」
「なんか色々…疑ったこととか。」
「…それはあたしも一緒だし。だってフツウ信じられないでしょ。」
「そうだけど…それだけじゃなくて…キスしちゃったこととか。」
「あ…うん。びっくり、した…。」
「うん、ごめんね…。」

できることならなかったことにしたいけど、そんなの無理だし。
いつも通りみたいな会話してうやむやになりそうだったけど、それじゃダメだ。
美貴がスッキリしないし、何より亜弥ちゃんに悪い。
51 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:18
でも謝っても謝っても、ぐあっとお腹の底から湧きあがってくる後悔。
亜弥ちゃんだと思ったからしちゃったんだけど…いや確かに亜弥ちゃんは亜弥ちゃんだけど。
そうゆうことするような間柄の亜弥ちゃんじゃないし…って考えてて意味わかんなくなってきた。

「とにかく、ごめん。」
「…いーよ、怒ってない。」
「ほんとに?」
亜弥ちゃんは俯いていて、美貴からはその表情が見えない。
ほんと?本心から言ってる?

「にゃは。そんな不安そうな顔しないでよ、年上のくせに。」
「だって美貴…最低じゃん。」
「…みきすけ忘れたの?あたしが嬉しかった、って言ったこと。」
顔を上げた亜弥ちゃんは拗ねたような表情で。

嬉しかった…?

「だってあたし…好きだもん。」
「へ?」
「だからぁ…みきすけを、好きなの。キスされたの、嬉しかった…。」
頬を赤く染めて、亜弥ちゃんは小さな声でそう言った。
52 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:19
亜弥ちゃんにそう言われるのは確かに嬉しかった。だって美貴も亜弥ちゃんを好きだから。
それが16歳の亜弥ちゃんだろうと、20歳の亜弥ちゃんだろうと、亜弥ちゃんは亜弥ちゃんだから。

けど、複雑だった。
だって、16歳の亜弥ちゃんは21歳の美貴を知らない。
今の彼女が「好き」だと言っている相手は…美貴だけど、美貴じゃない。

「…それは美貴を『みきすけ』だと思ってたからでしょ?」
「それはそうだけど…。」
「今の美貴は、亜弥ちゃんの知ってる『みきすけ』じゃないんだよ?わかってる?」
「…なんか難しい。」
「難しくないよ。亜弥ちゃんの知ってる『みきすけ』は17歳で、今の美貴は21歳。別人だよ。」
「…そうかな?」
「…そうだよ。」
そこで美貴は口を噤む。ちょっと泣きそうだった。
自分で自分を否定しているような気分になったからだ。
53 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:20
「確かに…あたしの知ってるみきすけと今目の前にいるみきすけは、全然違う。」
「…うん、そうだろうね。」
「でもそれは見た目のことだけ。」
「え?」
「17歳だろうが21歳だろうが、関係ない。あたしにとってみきすけはみきすけだよ。」
「亜弥ちゃ…。」
16歳の亜弥ちゃんは、美貴が考えていたこととそっくりそのままのことを言った。

その表情は16歳とは思えないほど大人びていて、胸に込み上げてくる想い。
思わず抱きしめたくなってしまい、無意識に伸びかけた腕に気づきハッとする。
それに気づいてかどうかはわからないけど、亜弥ちゃんの方から美貴の腕にそっと触れてきた。

「…今のみきすけにしたら4年前のことだから、忘れてるかもしれないけど…。」
きゅっと亜弥ちゃんの手に力が込められる。
54 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:21
「あたしに合鍵くれたのは、みきすけもあたしを好きだからじゃないかって…思ったの。」
「それは……。」
「…あたしの自惚れだったのかな…。」
美貴が知っている、あの太陽のような笑顔はそこにはなく。
頼りなさげに美貴を見つめる女の子がいるだけだった。

「…亜弥ちゃん。」
「…わっ。」
名前を呼んで、先ほど躊躇った腕を今度は躊躇わずに伸ばして、抱きしめる。
まるで初めて抱きしめたような感覚だった。
でもそんな美貴よりも、もっとぎこちないのは亜弥ちゃん。

あの頃はこんな風なスキンシップ当たり前だったけど、それは友達としてのこと。
そこにそれ以上の意味を持つようになるなんて、17歳の美貴は正直思ってもいなかった。
合鍵をあげたのだって、深く考えてのことじゃなかった。

でもそれは気持ちがなかったわけじゃなく気づいていなかっただけ。
今ならわかる。美貴だってずっと亜弥ちゃんを好きだったんだ。
55 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:22
すっと息を吸い込んで心を落ち着かせようとするけど、心拍数はどんどんあがる。
…はは、ダメだ。バカみたいに緊張してる。

そのとき、抱きしめた亜弥ちゃんの体から彼女の心臓の音が伝わってきた。
どくどくと早鐘を打つような鼓動。そして、その体が少し震えてることにも気づく。

その鼓動から、体の震えから、亜弥ちゃんの想いが伝わってくるようで。
美貴の胸の中に亜弥ちゃんへの愛しさがいっぱい溢れてくる。
そしたら緊張なんて吹っ飛んで…。

「好き。…大好きだよ、亜弥ちゃん。」
「…ふぇ…みきすけぇ…。」

亜弥ちゃんはその震えた手を、美貴にしがみ付くように背中に回してきた。
その直後に思いっきり鼻水を啜る音が聞こえてきて、思わず笑いそうになったけど…。
そんなところも愛しく感じるなんて、末期かな。
56 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:23
「よしよし、泣かないの。」
「…また子供扱いするぅ。」
可愛くって、抱きしめたまま頭を撫でながらそう言ったら不満そうな声。
だけど美貴にぎゅっとしがみ付く腕の強さは変わらない。

「じゃあコーヒー飲む?」
「…もう冷めちゃったからヤダ。」
「冷めてなくても飲めないくせに。」
「もう!みきすけ?!なんでこーゆーいい雰囲気のときにそーやって意地悪なことばっか言うの!」
バッと体を離して、美貴を睨みつける亜弥ちゃん。
そんなときでも上目遣いなのはさすが16歳の亜弥ちゃんなだけある。

美貴は笑って、もう一度頭を撫でてやる。
なんか今の亜弥ちゃん妙に頭撫でたくなるなぁ。

「だって可愛いから、つい。」
「…やっぱ子供扱いしてる。」
「そんなことないよ。だって子供には…。」
「え?」
57 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:23
ちゅ、と軽く。

「こんなことしないでしょ?」
「…うん。」
一気に頬を染める亜弥ちゃん。
そのまま美貴に寄りかかって、甘えるように美貴の首筋にその熱くなった頬を寄せた。

…っあ〜!可愛いなぁちくしょうめ…。
ん?なに?…犯罪じゃないから!さっきとは違って同意の上だからいいの!
反応がいちいち新鮮で、こっちまでドキドキする。

「みきすけ…もっかい、して。」
「もう一回だけ?」
「…やだ。もっと、もっといっぱい…して?」
「うん、いっぱいしてあげる。」

ちゅ、ちゅ、と何度もする。
そのたびに可愛い反応を返してくれて、止まらなくなりそうだった。
58 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:24
でもさっきしたようなキスはしないようにしないと。
あんなキスしたら、それ以上は抑えがきかなくなっちゃいそうだし。
…さすがに16歳相手にいきなりそーゆーのはマズイだろう…美貴、大人だし…。

数え切れないほどキスをして、最後に少しだけ長めに下唇を吸うように触れた。
亜弥ちゃんが鼻から抜けるような声を漏らして、思わずその唇を舐めたくなってしまう。
でもそこは必死で我慢して唇を離した。
…やばい、これ以上はやばい。

「んっ…みきすけぇ、もっとぉ〜…。」
「亜弥ちゃん…これ以上は…。」
「いっぱいしてくれるって言ったのに…。」
「い、言ったけど…。」
そんな潤んだ瞳でお願いされても…美貴の意思は固いぞ。

「…じゃあいい。」
ホッ。諦めてくれたか。

「あたしからするもん。」
ん?
…ん?
59 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:24
亜弥ちゃんは美貴の上に跨ると、首に腕を回してじっと見つめてきた。
その艶のある表情にドキッとさせられる。
16歳だと思って正直子供扱いしてたけど…こんな顔するなんて…。

美貴が亜弥ちゃんに見とれてぼうっとしていると、いつの間にか近づいていた顔。
やばい、と思った瞬間すでに唇を奪われていた。

「…好き、みきすけ…。」
「亜弥ちゃ……んんっ…。」
必死に美貴への想いを伝えるようなそのキスに、我慢していた何かが壊れそうになる。
軽く触れるだけの子供っぽいキスなのに、気持ちいい。

だめだ…我慢できそうにない…。
ごめん、亜弥ちゃん。
60 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:25
亜弥ちゃんの背中に腕を回して、美貴からキスを。
少しだけ唇を舐めると、やっぱり亜弥ちゃんは少し身を竦めた。
焦っちゃいけないって思っていてももう止められない。

怖がらせないように、なるべく優しく舌を差し込んでいく。
すぐに見つかった亜弥ちゃんの可愛い舌と触れ合う。唇以上に柔らかいその感触に頭が痺れそう。
ゆっくりと、形を確かめるように何度も、何度も。

薄く目を開けて亜弥ちゃんを見つめる。
予想通り必死そうに目を閉じていて、その姿に美貴はやっぱり愛しさが募る。

苦しそうな息遣いが聞こえてきて、名残惜しかったけど一旦離れる。
頬を撫でて「亜弥ちゃん」と名前を呼ぶ。
ゆっくりと開けられる瞳。そこには美貴しか、映ってない。
61 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:26


悔しいくらい、惚れてるなぁって思った。
62 名前:  投稿日:2006/11/08(水) 16:26


63 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/08(水) 16:27
更新終了ですよ。
64 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/08(水) 16:27
ちょっと急いでるんでレスはまた後日。
65 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/09(木) 09:49
うひゃーいいですねー
読みながらどきどきしちゃいましたww
亜弥ちゃん可愛い
66 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/11(土) 17:17
はぁぁぁ…(((( ;゚Д゚)))
久しぶりにみきあやを見たせいでしょうか…ものすごく萌えるorz
亜弥ちゃんがとてもつもなく可愛いです。
次回更新、まったり待ってますので頑張って下さい。
67 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/11(土) 18:12
改めて、レスありがとうございます。

>>34名無飼育さん
そうですか、それは良かったですw
待たせてしまって申し訳ないです。

>>35名無飼育さん
マターリ更新ですみません。
どうか見捨てないで下さい。

>>65名無飼育さん
そう思って頂けると嬉しいです。
今となっては懐かしい、あややな感じの松浦さん目指してますw

>>66名無飼育さん
これくらいのみきあやは亜弥ちゃんキャワ!!って感じでしたよね。
でもこれだけじゃ終わりませんよ…(何

次回もいつになるかわかりませんが気長に待って下さると嬉しいです。
困ったことに、ぎゃむ熱は当分冷めそうにありません。
68 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/11/21(火) 16:16
亜弥ちゃんキャワ!
みきすけはとまれるのかw
私もぎゃむ熱が冷めそうにありません
次回も楽しみにお待ちしております
69 名前:A 投稿日:2006/12/13(水) 19:11
ガム好きー。
続き期待してます。
70 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/14(木) 03:30
同じく期待して待ってます
71 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/20(水) 15:51
えー作者です。
激しく更新が滞っておりますが…。

「サンタクロースになって亜弥ちゃんに美貴をプレゼント」

って、ちょ、すごすぎ!!!!
いやぁ…これが公式に発売されてるのがありえない。
モチベーションががっつり上がりましたw
ちょこちょこ書いてるんで年内には更新したいと思ってます。
レスありがとうございます。以上生存報告でした。
72 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/20(水) 18:33
作者さん生きててよかったです。
まったりお待ちしてます。
73 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:36
更新しちゃうよ
74 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:36
3.ドッペルゲンガー?
75 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:37
亜弥ちゃんの可愛さに、16歳とは思えない色っぽさ。
キスの合間に漏れる吐息。お互いの顔しか映っていない瞳。
まるで初めてのときのように美貴はドキドキしていた。

騒がしい心臓の音を落ち着かせようと、一旦顔を離してからそっと抱きしめる。
亜弥ちゃんも大人しく美貴の腕の中に収まっている。
聞こえるのはお互いの苦しそうな息遣いだけ。

「…大丈夫?」
「…ちょっと、ドキドキしすぎて死にそう。」
「へへ。そっか。…美貴もだけど。」
「…ん。…みきすけぇ…。」
きゅっと抱きついて、美貴の首筋に顔を埋める。
はぁ、と小さく息をつく。その吐息の熱さに胸がとくんと高鳴った。
76 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:37
髪を撫でながら柔らかい髪の毛に唇を落とす。
全てが愛しい。亜弥ちゃん…。

「…んん?」
あれ。ちょっと待てよ?
亜弥ちゃんはここにいる。でもそれは16歳の亜弥ちゃん。
ということは、4年前の世界に亜弥ちゃんがいないってことになる。
同時刻に、同一人物が存在するなんてありえるんだろうか。
そもそも16歳の亜弥ちゃんがここにいることがありえないけど…けっこうこれってマズイ状況なんじゃ。

あまりに幸せな時間を過ごしていた美貴は突然そのことを思いつく。
亜弥ちゃんでいっぱいだった頭がちょっとずつはっきりしてくる。
さっき飲んだコーヒーがようやく効いてきたらしい。
77 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:38
「ねぇ、亜弥ちゃん。」
「…んー?」
ちょっと体を離すと、上目遣いでトロンとした瞳の亜弥ちゃんと目が合う。
うわー…可愛い………ってダメだ。ダメだって、美貴。
我慢しなさい美貴の理性!!

「あ、あのさ。亜弥ちゃん今ここにいるじゃん?」
「うん。」
「…4年前にいるはずの亜弥ちゃんがここにいるってことは、4年前ってどうなってんのかな?」
「どうなってるんだろう……。ねぇ、あと…20歳のあたしって、どうしてるの?」
「…あっ!そういえば…。」
忘れてた。目の前の亜弥ちゃんに夢中ですっかり忘れてたよ。
どど、どうしよう。ごめん、20歳の亜弥ちゃん。
てかこれは浮気じゃないからね?!だってどっちも亜弥ちゃんだし…。

必死で誰に対してかよくわからないが、心の中で言い訳をする。
そんな美貴を見て目の前の亜弥ちゃんは不思議そうにしていた。
78 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:38
「えと、ちょっと連絡取ってみる…。」
携帯を取り出して、履歴から探して通話ボタンを押す。
ところが。

「…出ないや。あ、そういえば今日は雑誌の取材が朝から入ってるって、昨日言ってたっけ。」
昨日眠る前にしたメールの内容を思い出す。
美貴はオフだよ〜と送ると、ズルイ!みきたん取材代わって!とわけのわからないメールが返ってきた。
そんなんできるわけないでしょうが。

「そっかぁ。…ねぇ、みきすけ。」
「ん?」
「その雑誌の取材ってどこでやるの?」
「あ〜確かテレビ局でやるって言ってた。そのあとそこで収録もあるからって。」
「ふ〜ん…。」
それから亜弥ちゃんは小難しい顔をして、黙り込んだ。
それを見て美貴もなんとなく口を閉じる。

しかしほんと不思議な気分。いまだに夢を見てるんじゃないかって思う。
目の前にいるのは亜弥ちゃん。でもそれは16歳の亜弥ちゃんで。
触れることもできるし、そっくりさんでもない。
世の中の人がこの事実を知ったらどうなるんだろう…。
79 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:39
こんなことを色々と考えていたら、さっきまで昂ぶっていた気持ちが落ち着いてきた。
よかった、美貴ただの変態じゃなかったみたい。
理性とかちゃんとあるもんね!本能のままに生きてるだけじゃないよ!

誰に向かっての弁解かわからないけど、そんなことを思っていると…。
亜弥ちゃんが突然目をキラキラさせて顔を上げた。
なぜだか美貴は嫌な予感に襲われる。

なんとなく見たことのある表情だった。
なんつーか、こう…よからぬ事を考えている子供のような…。
そんな美貴の気持ちなんて知る由もない亜弥ちゃんは、満面の笑みでこう言った。
80 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:39
「みきすけ、あたし20歳の自分見てみたい!」
「えぇ?!」
美貴の悪い予感は見事に当たり、亜弥ちゃんはとんでもないことを言い出した。

「…い、いや、それはちょっとマズイんじゃないかなぁ…色々と…。」
「大丈夫だよ、ちゃんと変装するし!」
「でも誰かに見つかったら…。」
「妹でーす、とか言えば大丈夫だって。」
「いやいやいや、絶対ヤバイから。出歩くのはやめたほうがいいよ。」
美貴の言ってることは間違ってないと思う。

だってどう考えてもそうでしょ。
もし亜弥ちゃん本人に見つかったら…どうなるんだろう?
ほら、自分のドッペルゲンガーに会ったら死んじゃうとか言うじゃん。
この場合ドッペルゲンガーとは違うけど、なんかよくないことが起こりそうだし…。
81 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:40
「…このまま大人しくしてたら、あたしは元の時代に戻れるの?」
「や…それは…わかんないけど…。」
「でしょ?だったら、なんか行動してたほうがマシだもん。」
「…うーん…。美貴はやめたほうがいいと思う…。」
亜弥ちゃんの言う事もわからなくはないけど、絶対危ない気がする。
何がって言われてもよくわからないけど、なんとなく。

そしたら亜弥ちゃんは拗ねたように口を尖らせた。
…この顔はよく知ってるぞ…。
美貴はまた、嫌な予感に襲われる。それもすごく嫌な予感。

「…じゃあいい、あたし一人で行く。」
「それはもっとヤバイって!!」
ああ、もう、やっぱり!
思ったとおりだ。
美貴が一緒ならまだフォローのしようもあるけど、この子一人なのは絶対にマズイ。
82 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:40
「だったら、みきすけも着いてきてよ。」
「う…。」
まるで美貴の思考を読んだかのような切り替えしに言葉が詰まる。

「ね?お願い、みきすけ。」
「…うん…わかった。」
これ以上反論してもきっとこの子は聞く耳を持たないだろう。
だって亜弥ちゃんだし。一度言い出したら絶対に自分の意見を押し通す子だし。
他の人の意見なんて最初から聞く気ないし。

「えへへぇ〜みきすけ、大好きっ。」
そんな満面の笑みで抱きつかれちゃ、まぁいいかなんて思ってしまう。
美貴って単純。今まで何回こうやって亜弥ちゃんに丸め込まれてきたか知れない。
それでもいいやって思ってしまうほど、亜弥ちゃんには弱いんだよねぇ。今も、昔も。

これが惚れた弱みってやつだろうか…。
「早く、早く!」と急かす亜弥ちゃんを見て、美貴は溜息をつきながら立ち上がった。
83 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:41
タクシーを降りてテレビ局の中に入る。
あまり人気はない。その方が都合がいいけど。
知ってる顔に会わないように、亜弥ちゃんを美貴の後ろに隠すように歩いていく。

亜弥ちゃんはそれまで来ていた服から、美貴の服に着替えていた。
「この時代の服が着たい」というので好きに選ばせたのだ。
美貴に早く準備してと言っていたわりに、雑誌を見てしっかり流行りを研究してから着替えていた。
案の定、美貴の方が早く準備が終わり待たされることになったんだけど。

「…ところで亜弥ちゃん。」
「なにー?」
「一応、もう一回言っておくけど。誰に話し掛けられても美貴が答えるから亜弥ちゃんは黙ってること。それと、20歳の亜弥ちゃんにだけは絶対見つからないようにね。」
「わかってるってばぁ。でも別に大丈夫じゃないの?テレビ局なんていっぱい人いるし。」
ほんとにわかってるのか、と突っ込みたくなるくらい適当な返事。
自分の置かれてる状況を理解してるんだろうか、この子。
84 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:41
「大丈夫なわけないじゃん。4年前の自分が目の前にいたらびっくりするでしょ。」
「うんまぁそうだけどぉ。それ言ったらみきすけだってそうじゃん。」
「そりゃそうだけど、美貴の場合しょうがないじゃん。朝起きてなんで亜弥ちゃんいるんだ?
って思ったけどさ、それがまさか16歳の亜弥ちゃんだなんて思うわけないし。」
「うん、そうだよねぇ。あたしもなんで未来に来ちゃったのかわかんないし。」
誰かに聞かれたら頭おかしいんじゃないの?って思われるのは確実だから、小声。
その辺は亜弥ちゃんも気を使っているようでよかった。

こそこそと会話しながら歩き回っていると、後ろから「あれ?」と聞こえてきた声。
亜弥ちゃんと二人、ビクッとなって振り向くとそこには見知ったスタッフさんの姿があった。

…って、マズイ!この人はマズイ!!
よりによって、亜弥ちゃんと二人でやっていた某番組で一緒に仕事をしていた人だ。
つまり亜弥ちゃんのこともよく知っている人だ。

いきなり、ピンチ。
85 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:42
「あ、ど、どうも…お疲れさまです。」
「お疲れさまー。この辺いるってことは、今日収録あるの?」
「いや休みですよ。ちょっと用があって…。」
「あーそうなんだ。ん?そっちの子は?」
美貴の後ろに隠すようにしていた亜弥ちゃんに興味を持ったのか、覗き込むようにして尋ねられる。
ぎゃあ!!やめて!!それはやめて!!
顔見られたら確実にバレる!!

「あ、その…し、親戚の子ですよ!テレビ局行ってみたいって言われたから、連れてきたんです!」
「へぇ、親戚の子ねぇ。…ん?…君、どっかで会ったことない?」
「そ、そんなわけないじゃないですかー!この子東京出てきたの今日が初めてだし!」
「…そう?ま、しっかり案内してやんなよ。じゃ、俺仕事だから。」
「あ、はいぃ!それじゃあ!」
しつこく追求することもなく、その人は歩いていった。
86 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:42
「にゃはっ、ばれたかと思ったー。」
「なんでそんな楽観的なの…美貴、超焦ったよ…。」
「みきすけ実はへたれだもんね。」
「うっさいよ…。」
亜弥ちゃんは他人事のように笑っている。しかも楽しそう。
美貴だけかよ、こんな焦ったの。

あーもう、やばかった、ほんとやばかった。最高にやばかった。
動悸が激しい。こんな緊張は味わいたくない。
こんな思いするなら、やっぱり来なきゃよかった…。

「あぁ〜!お久しぶりじゃないですかー。元気でしたぁ?」
「あれ、松浦じゃん。久しぶりー。」
早くも亜弥ちゃんを連れてきたことを後悔し始めた美貴。
その背中越しに突然聞こえてきた会話。
87 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:43
なんてことない、普通の会話だった。だけど。
今、マツウラ、って言った?
マツウラってどこのマツウラさんですか?
ていうかものすごく、聞いたことのある声だったような…。

「てか、藤本と会う約束でもしてたん?今そこで…あ、まだいる。おーい藤本ぉ!」
「え、みきたんいるんですか?…あっほんとだ、みきたぁ〜ん!」

どきん、と心臓が跳ね上がった。
え、な、なんで?まだ取材中じゃ…。
つーかほんとに会っちゃうとは思ってなかったよ。
テレビ局なんてそこら中に人が溢れかえっているというのに。

さすがに隣にいる16歳の亜弥ちゃんも、目を見開いて驚いていた。
あんなに見たいと騒いでいたのに、実際に目の前にするとやはり衝撃が大きかったようだ。
88 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:43
「…あたし美人になってる。」
「いやいや、それ自分で言う?…ってこんなこと言ってる場合じゃないから。」
「うん、そうだね。とりあえず、さっきのは聞こえなかったことにしようか。」
「亜弥ちゃん、それナイスアイディアだね。」
こそこそ言い合って、手を取り合って歩き出す。
あくまでも自然に。

「あれ、藤本?」
「ちょっと、みきたぁ〜ん?無視しないでよ!」
美貴達の行動はやっぱり不自然だったようで、戸惑ったような超えが聞こえてくる。
それでも聞こえないふりをして、一刻も早くこの場を離れようと美貴達は少し小走りになった。

「…っ、みきたん、何なの?!」
わ、わ、追いかけてきたっ!
やばいっ!

「みきすけっ、ちょっとやばくない?」
「わかってるよっ。あっ、あのエレベーター乗ろっ!」
亜弥ちゃんはすぐ後ろまで迫っているようだった。
そしてもうちょっとでエレベーターに乗り込める、というところだったけど…。
89 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:44
「こらっ!藤本美貴!止まれぇ!」
「わっ!!」
いつの間にか追いついた亜弥ちゃんに肩をつかまれ、エレベーターには乗り込めず。

「あっ亜弥ちゃん?し、仕事は?」
「終わった!!」
「しゅ、収録もあったんじゃ…。」
「それはちょっとトラブって明日になったの!つかあんたなに逃げてんのよ!」
「に、逃げてなんかないよ…急いでただけ…。」
「嘘だ!あたしが声かけたら走り出したじゃん!」
「えーっと…それは…んーと…。」
がっちり両肩をつかまれて、問い詰められる。
亜弥ちゃん(20歳の方)はめちゃくちゃ怒っている。
ど、どうしよ…。
90 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:44
何が何でも美貴を逃がそうとしない亜弥ちゃん(20)は、ふいに視線を美貴から外した。
興奮していて気づくのが遅れたようだ。…って、やばい!
美貴はとっさに亜弥ちゃん(16)の顔を隠すように腕の中に閉じ込めた。

「…みきたん、誰その子?」
「えっ、あ、い、従姉妹!」
「へぇー従姉妹。…ちょっと、なんで抱きしめてんの?」
「え?なんでって…何でだろぉ〜何でだろぉ〜…。」
「古いから。つかアンタ、あたしその子に会うの初めてなんだし、自己紹介くらいさせてよ。」
「へっ?…うああっ!ちょ、待った!亜弥ちゃん!」
美貴の腕をぐいっと引っ張って、亜弥ちゃん(16)から離そうとした。
普段は美貴の方が力が強いんだけど、こんなときの亜弥ちゃんはものすごく強引。
やべぇやべぇ、危ないとこだった…。
91 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:45
「なにを待てって言うのさ。とりあえずほら、従姉妹ちゃんの顔見せてよ。」
「いやいやいやいや!それはダメだって!」
「はぁ?何言ってんの?意味わかんないんだけど…てかほんとに従姉妹?」
「えっ?!い、従姉妹だよ!」
「じゃあ何でさっきから顔見せようとしないの。ほんとに意味わかんない。…まさか。」
亜弥ちゃん(20)はすぅっと目を細めて、顔から笑顔を消した。
この目は…や、殺られる…。

「アンタ、なに浮気してんの…。」
「へぇっ?!浮気ぃ?」

う、浮気…確かに朝からあんな激しいチューしちゃったけども。でも相手は亜弥ちゃんだし。
あ、でもそれは16歳の亜弥ちゃんで20歳の亜弥ちゃんじゃないし…。
最初は知らなかったからしょうがないけど、…それを知ってからチューしちゃったのって…。
いわゆる確信犯ってやつなわけで。それってつまり。
いやでも美貴は亜弥ちゃんが好きだからそういうことしたいって思うわけだし…。
さっきも思ったけど…これは浮気なんだろうか?…浮気かも?
でもここでそれを認めるということは美貴の命に危険が…。

と、ここまで約5秒で考えて結論を出した。
92 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:45
「美貴が浮気なんてするわけないじゃん?バカだな亜弥ちゃんは☆」
「バカにしてんの?」
思い切り可愛く言ったのにサクッと切り捨てられました。
これってあの、その、100%浮気してると思われてるってこと?
だって怖い。亜弥ちゃん目が怖い。
静かな口調がさらに怖さを引き立ててる…。

それから亜弥ちゃん(20)は視線を亜弥ちゃん(16)に移す。
「ねぇさっきから黙ってるけど…たんが従姉妹だって言い張ってるアナタ。」
「…………。」
「なにシカトしてんの?それじゃあ浮気相手だって認めてるようなもんじゃないの?」
「…………。」
亜弥ちゃん(16歳)は美貴の言う事を守って終始無言。
ていうか亜弥ちゃんに対してこんな態度取れるなんてさすが亜弥ちゃん。
って、やっぱり自分で言ってて意味わかんない…。
93 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:46
「てかさぁ…みきたんにくっつくのやめてくれる?この子あたしのなんだから。」
「…………あたしのです。」
「…ん?いま何て言った?」
「あたしのです。って言ったんです。」
「あたしのって…いやいや、なに言ってんの?なんか勘違いしてるみたいだけど、たんの本命はあたし。」
「いえ、あたしです。今だってあたしのこと抱きしめてくれてるし。」
それまで無言を貫き通してきた亜弥ちゃん(16)は、いきなり口を開き始める。
そして明らかに挑発するようなことを言って、美貴の首に両腕を巻きつけてぎゅうっと抱きついてきた。

「ちょ、まずいってば…。」
「なんで?みきすけがあたしのこと抱きしめてたんだよ?だったらあたしから抱きついてもいいじゃん。」
「いやそうゆうことじゃなくてね?…ハッ。」
小声でこそこそ言い合っていると、すぐ横から感じる怒りのオーラ。

「…っもう、頭きた!!おめぇら、いいかげん離れろっつーの!!たんはあたしのなの!!」
ここがテレビ局だという事もすでに頭にないのか、アイドルとは思えない言葉遣い。
しかも人に聞かれちゃまずいようなことを大声で。

それに呆気に取られていると、気づけば亜弥ちゃん(16)は美貴の腕の中にはいなくて。
というか、美貴が亜弥ちゃん(20)の腕の中に収まっていた。
そして亜弥ちゃん(20)は目を見開いて、目の前の亜弥ちゃん(16)を凝視していた。
ああやっぱり亜弥ちゃん(20)は体の肉付き感がたまんない…って違う!そうじゃねぇ!
94 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:47
「…は?あたし?いやいや、あたしはここにいるし。…誰、あんた?」
「松浦亜弥です。」
「あのね、松浦亜弥はあたし。イタいこと言ってんじゃねーよ。で、誰?」
「だから松浦亜弥ですよ。」
「あのね、確かにあんたあたしに似てるのは認める。でも松浦亜弥はあたしだから。」
「確かにあたしはあなたより若くて可愛いですけど、あたしも松浦亜弥です。」
「ちょっとなんか今、聞き捨てならないこと言ったね。あんたが誰だろうと、あたしのが可愛いから。」
「えー?でもみきすけあたしのこと可愛いって言ってくれたよ?」
「はい?てか、みきすけとか止めてくれる?そもそもそのあだ名、あたしが考えたんだけど。」
「あたしが考えたんです。てゆうかぁ、たんって誰のことですかぁ?」
「たんはたんだよ。なんなのあんたさっきから。ぶっちゃけ、たんとどういう関係なのよ?」
「どういう関係って、さっきまで同じベッドで寝てましたけど?」
「ね、寝てたって…はぁ?!ちょっと、たん、まじで浮気してたわけ?!しかもこんな若い子と?!」

16歳の亜弥ちゃんと20歳の亜弥ちゃんが目の前で言い合いをしている。
美貴はできるだけ存在を消そうとしていたわけだけど、やはりそんなのは無駄だった。
95 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:47
「や、あの、これには深いわけがありまして…。」
「へぇ〜その深いわけとやらを教えていただけないかしらねー?」
「…んーっと…その…。」

どうしよう、どうやって言い訳したら。
まさか亜弥ちゃんと間違えましたとは言えないし。
そもそもどっちも亜弥ちゃんだし。

色んな考えが頭をぐるぐる回って…美貴は急にありえない気持ち悪さに襲われた。
お酒を一気して、頭をぐるぐる回したような、そんな感じ。

「き、気持ちわる…。」
「たん…ごまかそうったってそうはいかないよ…。」
「いや、ちょっと…まじでやば…。」
「…え、なに?ほんとに?」
「みきすけっ?大丈夫?!」
「…うぁ…。」
96 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:48
なに、これ?なんでこんな気持ち悪いの?

二人の亜弥ちゃんが存在する。まさか、そのことで影響を受けるのが美貴なの?
もしかして亜弥ちゃん(16)に本能のままにあんなことこんなことしちゃったのがまずかった?
ってか、まじこの気持ち悪さは…シャレになんない…。

そして美貴はそのまま意識を失った。
97 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:48




98 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:48
4.夕暮れ時に
99 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:49
「…あれ?」
気づいたら自分の家のベッドの上にいた。
気持ち悪さはすっかり消えていて、美貴はゆっくり体を起こした。

「あ、たん起きた?」
「ああ亜弥ちゃんっ?!」
ひょこっとキッチンから顔を出したのは亜弥ちゃん。
心の準備が何もないまま現れた亜弥ちゃんに、美貴はまた気持ちが悪くなるような思いだった。
ところが。

「休みだからって寝すぎだよ。もう夕方なんだけど。」
「え?あ、そ、そうかな…。」
「そうだよー。」
「…亜弥ちゃん、仕事は?午後から収録あるって言ってなかった?」
「ああ、あれね。ちょっとトラブって明日に延期。スケジュール調整大丈夫かなー。」
「へ、へぇ…。」
「でもラッキーなことにそのおかげで午後からオフになったし、たんも今日はオフだよなーって。
二人ともオフなんて奇跡じゃん?だからせっかく遊びに来たのにさ…めっちゃ爆睡してんだもん。
ま、あたしもせっかくのオフでも寝溜めしちゃったりするけどね。」

そう言って、亜弥ちゃんは柔らかく笑った。
美貴の前でしか見せない笑い方。美貴の好きな亜弥ちゃんの笑顔だった。
100 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:49
…あれ?っていうか、なんだこの和やかな雰囲気は。
それに…。

「あのー…亜弥ちゃん?」
「ん?」
「もう一人の亜弥ちゃんは?」
「はい?何言ってんの?まだ寝ぼけてんのかーこら。」

亜弥ちゃんは美貴と同じようにベッドに腰掛けて、こつん、と美貴の頭を小突いた。
でもその手は優しくて。大好きな亜弥ちゃんの暖かい手。

そういえば、二人っきりで会うのはかなり久しぶりだった。
そう思ったら急に胸に込み上げてくる想い。
美貴はたまらなくなって亜弥ちゃんに寄りかかった。
101 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:50
「なに、甘えてんのか?」
「…うん。」
「にゃはは。たんは可愛いなぁ。」
「…亜弥ちゃんのが可愛いよ。」
「まぁねー。」
亜弥ちゃんは美貴を抱きしめて、満足そうに笑っている。
てかそこでたんのが可愛いよ、とは言わないんだね。まぁ亜弥ちゃんだし…。

そんなこと思っても口には出さない。
出したところでこの子が自分の意見を変えるとも思えないし。
…それにそんなところも好きだったり。

肩に美貴の頭を乗せて、亜弥ちゃんは優しく美貴の髪を撫でる。
ほんと…体勢からして昔とは真逆っていうか。
昔は亜弥ちゃんが美貴に寄りかかって、美貴がそれを受け止めて…って感じだったのに。
いつから逆転しちゃったんだろう。
102 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:50
「たん、あたしに会えなくて寂しかったんでしょ?」
「え…。」
「違うの?」
「…ううん、寂しかった。」
「…たんはあたしの前だと素直だよね、ほんと。ま、他の人にそんなとこ見せなくていいけど。」
そして軽くこめかみあたりにちゅ、っと一発。
美貴の気持ちはそれだけで、亜弥ちゃんでいっぱいになってしまう。

そっか、美貴寂しかったんだ。
今初めて気づいた…。

…あれは、夢だったのかな?
朝目覚めたら隣にいた16歳の亜弥ちゃん。
16歳の亜弥ちゃんは、そんな美貴の気持ちを埋めるために現れたんだろうか。
夢にしちゃ、唇の感触とかやけにリアルだったけど…美貴ってほんと欲求不満な男子中学生みたい…。
103 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:51
でも隣にいる亜弥ちゃんが何も言わないってことは、やっぱり夢だったのかな…。
普通に考えればそうなんだろうけど、なんとなく違和感があった。

その違和感の正体に考えを巡らせていると、テーブルの上にあるものに目が釘付けになった。
…飲みかけのコーヒーと、オレンジジュース。

「亜弥ちゃん…あれ飲んだの?」
テーブルの上を指差して尋ねた。

「え?ううん、あたし来たらもうあったけど?」
「…そっか。」
「あんたどうせ昨日飲みかけたのそのままにしてるんでしょ。ほんと片付けない子だよね。」
「えー違うよぉ。」
「だって実際置きっ放しじゃん。コーヒーとオレンジジュース。組み合わせ悪いけど一緒に飲んだの?」
「うーん…さぁ、どうだったかなぁ。」
「なんで忘れてんのさ。たん、もうボケ始めちゃったの?」
呆れたように亜弥ちゃんは笑う。美貴もつられて笑った。
104 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:52
「ま、それはいいとして…。さてと、久しぶりだし…たん、エッチしよ?」
「…亜弥ちゃん…いつも思うけど、ものすっごい直球だよね。」
昔と変わったのは変わったけど、やっぱり亜弥ちゃんは亜弥ちゃんだな。
なんかちょっと安心したかも…。

そんなことを考えていたらいつの間にか押し倒されていた。
ついでにニヤケ顔の亜弥ちゃんが美貴を見下ろしていた。

「イヤ?」
スウェットの裾から手を差し入れて、首筋に顔を埋め耳元までゆっくり舌で舐め上げてから囁く。
…こいつ、絶対わかってやってる…。

「…イヤじゃない。」
ぶっきらぼうにそう言って、美貴は亜弥ちゃんの首に腕を回した。
105 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:52



106 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:53
結局あれが夢なのかどうかはっきりしなかったけど。
亜弥ちゃんに愛されながら、もう一度16歳の亜弥ちゃんに会いたいなぁと思ったのは秘密。

だってさ、まじで可愛かったんだもん…。
思わずあの朝の出来事を思い出してにやけたら、「あたし以外のこと考えてるでしょ」って突っ込まれた。
「亜弥ちゃんのこと以外考えてないよ」って言ったら「…ほんとにぃ?」って疑いの目。

…美貴、嘘は言ってないよね?
107 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:53



108 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:53
end
109 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 16:57
ということでこの話は終了です。
無理矢理終わらせた感は否めない。ホントスイマセンデシタorz

何としてでも年内に終わらせたかったので。
そして名前欄を変えるのを忘れていたことに今さら気づきました。
ほんと最後までグダグダだな自分。

それではまた次の話が浮かんだらやってきます。
110 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 17:14
ほんともうレス返し忘れるとかorz

>>72 名無飼育さん
生きてましたよw
マターリお待ち頂いて、ありがとうございます。


ネタは色々あるんですけど、形にするのがうまくいきませんねぇ。
ということで、皆さんよいお年を。
111 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/30(土) 19:45
年末にいいもの見させて頂きました。
こういう結末とはww
可愛い亜弥ちゃんもどぎつい亜弥ちゃんも可愛かったです。
作者さんも、よいお年を。
112 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/31(日) 03:58
心温まりました^^
へたれなたんイイ!
W亜弥ちゃんバトルがリアルに観たいwww
113 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:37
今日はハローのコンサートの打ち上げだ。
とあるホテルの一番大きな会場には、ハロプロのメンバーや事務所関係者、スタッフ達が集まっている。

ハロプロメンバーは皆ホテルに部屋を取ってあるので、これが終わればそのまま部屋に行って休める。
そのせいかいつもよりも大人メンバーのお酒の進み具合が速いようだ。
もちろん、コンサートが大成功に終わったのもその理由の一つだろう。

あたしはというといつものようにみきたんと一緒だった。
でも二人きりではない。モーニング娘。のリーダー、よっすぃも一緒だ。

よっすぃのことは嫌いじゃない。むしろハロプロの中では好きなメンバーに入る。
話をしていて面白いし、ノリもいい。自分からネガティブな話題を持ち出さないところも好感が持てる。
みきたんとは言いたいこと言い合えるし、女同士っていうか男同士みたいで一緒にいて楽。
よっすぃとも似たような感じだけど、みきたんとはちょっと違う意味で付き合いやすい。
114 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:37
ハロプロは女の集団ということもあって、人間関係は結構ドロドロしていたりする。
普段ソロとして活動しているあたしにはあまり縁のないことだけど。
だからこそ、こういう場では色々と感じることもある。大きな声では言えないけど。

でもさすがモーニング娘。という大所帯をまとめているリーダー。
女同士の人間関係をよく理解しているのか、そういう付き合いがうまい。
それに空気もちゃんと読んでくれるし、嫌な部分には触れてこない。

みきたんも元々ソロだったし、女同士の煩わしい部分に最初は嫌気がさしていたらしい。
それでも今こうやって楽しそうに仕事をしているのは、よっすぃの存在が大きいのだろう。
よっすぃ自身も、みきたんといるときは楽しそうだし、心を許しているように見える。

普段あまりよっすぃと関わることの少ないあたしにも、みきたんの気持ちはわかる。
こう言っちゃよっすぃに失礼かもしれないけど、お父さんみたいにどーんと構えてくれてるとことかね。
何も言わずに包み込んでくれる感じとかね。なんか、頼りたくなるもん。
この人にだったら甘えても大丈夫かな?って思うもん。
115 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:37
でも。だからって。
みきたん、それは甘えすぎじゃないか?
よっすぃも、ちょっとやりすぎじゃないか?
116 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:38



117 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:38
「よっちゃあ〜ん、美貴あれ食べたいぃ」
「また肉?ほんと肉好きだよね、美貴」
「うん!でもよっちゃんの方がもっと好きぃ〜」
「お〜よっちゃんも美貴のことが大好きだぞぅ」

頭をよしよし、と撫でて優しい笑顔のよっすぃ。
とろけるような笑顔で「えへへぇ」とよっすぃに抱きつくみきたん。

「ほれ、肉。あーん」
「あーん……おいしいっ。よっちゃんありがとー」
「どういたしまして。美貴はほんとにおいしそうに食べるなぁ」
「よっちゃんが食べさせてくれたからだよぅ」
「可愛いこというなぁ、美貴は」

「あんまり可愛いからもう一枚」と言ってみきたんに食べさせるよっすぃ。
心底嬉しそうに口を開けて、「ん〜おいしい!」と言いながらまた抱きつくみきたん。
あたしはその中には入らず、じーっと視線を送り続ける。
118 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:38
なんか、おかしくない?
そのポジションはあたしだけのものだったはずなのに。
みきたんのその心を許しきった笑顔はあたしだけに向けられたものじゃなかったか?

つーか、なんだよ、そのラブラブっぷり!
デレデレしすぎなんだよ、みきたんめ…。
よっすぃもちょっと前まではみきたんに対してそんな感じじゃなかったのに。
なんか、最近…相思相愛みたいな…ほんとにカップルみたいな…。

それより何より、あたしの存在忘れてないか?二人とも…。

「…みきたん」
わざと低い声で呼んでみると「ん?なぁに亜弥ちゃん?」と可愛らしく首を傾げられて。
いつものような甘えた笑顔にほっとしつつも、複雑な気分。だってさ…。
119 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:39
「いや…よっすぃにくっつきすぎじゃない?」
「そぉ?いつもこんな感じだよね、よっちゃん」
「んーそうだねー。美貴がいつもくっついてくるから」

二人に超笑顔で、なんでもないことのように返されて一瞬言葉に詰まる。
ふーん…いつものことなんだ…ふーん…。

胸に何かモヤモヤしたものが湧き上がってくるのと同時に、みきたんの顔が意地悪くニヤニヤとし始める。

「なにー亜弥ちゃんヤキモチ?」
「…はっ?」
「お?ヤキモチ焼いちゃってんすか、まつーらさんはぁ」

ヤキモチ?このあたしが?

何言っちゃってんの?みきたんの一番はあたしでしょ?
もう付き合いも長いし、これくらいのことじゃヤキモチとか焼くわけないじゃん。
付き合いの浅いよっすぃには入り込めない絆ってもんがあるのよ。大親友だからね。
いやでもフットサル始めてから、あたしが入り込めない絆が二人に芽生えてるような気がしないでも…。

つーか、二人ともちょっと調子に乗りすぎじゃないの?
お酒が入ってるせいもあるだろうけど。
120 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:39
「んふふ、美貴がよっちゃんとラブラブなのに嫉妬してんでしょお」
「なんだー松浦でもそんなとこあるんだねー」
「どうする、よっちゃ〜ん」
「うちらの愛は誰にも邪魔できないけどね」
「あのね、お二人さん、誰もそんなこと言ってないでしょ?」

二人があたしを煽ってるのはわかってるけど、そんなことに乱されるまつーらさんじゃないのよ。
松浦亜弥を舐めんなよ、ふふん。

「うわー余裕だよ、まつーら」
「亜弥ちゃんはうちらの愛の深さをわかってないよね」
「何をバカなことを…」
「お、言うねぇまつーら。…よーしひーちゃん本気出しちゃうぞぉ」
「えーなになに、なにすんの、よっちゃあ〜ん」

みきたんはよっすぃの肩に手を置き、甘ったるい声を出す。
コントのような二人のやりとりをあたしは余裕の笑みで見ていた。
そして手にしていたお酒をクイッと飲む。あーおいしい。

「美貴…」
「え、よっちゃん?……んっ」

もう一口、と思ってグラスを傾けたとき。
あたしの目の前で二人の唇が重なった。結構、思いっきり。
121 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:40
「どうだまつーら!」
よっすぃが得意げな顔であたしを見たと同時に。

―――ガシャン!

あたしは手に持っていたグラスを落としてしまった。
思いのほか大きな音が出て、周りにいたハロプロメンバーやスタッフ達に「なんだ?」と注目される。

「ごめんなさ〜い、グラス落としちゃいましたぁ!」
「まっつー大丈夫?怪我してない?」
近くにいたごっちんが駆け寄ってくる。
それに笑顔で「大丈夫」と答えると、ホテルのスタッフの人が慌てて片付けにやってくる。
お礼を言ってからよっすぃの方に振り返った。

「ちょっと酔っちゃったみたい。もう部屋戻るね」
「あ、うん…お疲れ」
よっすぃにそう言って、近くのマネージャーにも同じことを言ってその場を離れた。
気まずそうな顔のよっすぃは何か言いたげだったけど、あたしは気づかない振りをして。

みきたんの顔は見れなかった。
122 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:40



123 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:40
部屋へ戻ると、あたしは着替えもせずにベッドに倒れこんだ。
胸元をぎゅっと押さえ込んで、落ち着け、と自分に言い聞かす。

あんなのはハロプロ内では当たり前のスキンシップだ。
よっすぃがあんなことをするのは珍しいけど、ちょっとしたノリでしたことくらいわかってる。
それにキスくらいあたしもみきたんとしたことがある。
二人で出した曲のプロモーションビデオの中でもしちゃったし。
あんなのただの冗談だ。わかってる。…わかってるけど。

でも、目の前でみきたんがよっすぃにキスされたとき、あたしは自分でも驚くくらい動揺した。

キスされた瞬間のみきたんの顔が頭から離れない。
唇が離れたあとに切なそうに歪められた横顔。
よっすぃを見つめるその瞳に、親愛以上の何かが含まれているように感じられて。
冗談じゃ済まされない何かがあるような気がして。
124 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:40
「…なにこれ、ほんとに嫉妬してんの、あたし…?」
だってあの場にあのまま居られなかった。
なーにしてんの、って笑い飛ばせばよかったのにできなかった。

こんなの親友に対して思うことじゃない。
でも、今までこんなこと思ったことなかったのに。
みきたんがあんな顔するから。みきたんのあんな顔見たことなかったから。

誰にも取られるわけがないと思っていたあたしの場所。
自信たっぷりにそう思っていたけど案外そんなのは簡単に誰かに奪われてしまうんじゃないかと。
あたしが自信を持っていた二人の関係なんて、実は脆いものだったんじゃないかって。
さっきの二人を見て、あたしは初めてそう思った。
125 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:41
そしてあたしは。
みきたんに触れたよっすぃを見て、許せない、と思ってしまったんだ。
そんな風にみきたんに触れるなんて。みきたんにあんな顔をさせるなんて。

あたし以外の人間に触れさせたくないって、本気で思ってしまった。
みきたんのあんな顔を見るのはあたしだけでいいって。

おかしいよね、こんなの。
今までこんなこと思ったことない。
あたし達は親友で、他の誰も入り込めないほど仲が良くて。
これ以上の関係なんて考えたこともない。
だってこれが二人の最高の形だって思っていたから。

一緒にお風呂に入ったって何も思わなかったのに。
一緒のベッドに眠ったって何も思わなかったのに。

それなのにあたしは、今までとは違う意味でみきたんに触れたいだなんて考えてる。
突然生まれたその欲求にあたしは動揺を隠せない。
126 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:41
前からこんな感情があったのかと問われれば、ないと断言することができない。
だって…考えてみれば色んな場面で兆候はあった。

数年前二人でやった番組。
大好きなみきたんと二人きりなのが嬉しくて、バカみたいにはしゃいだ。
どっちかというとあたしからみきたんにくっつくことが多かった。
それが時間が経って、みきたんからあたしに甘えるようになって、それを嬉しいと感じた。
ちょっと冷たくすると、「最近冷たい」と言ってもっと甘えるようになったのを嬉しいと感じた。

去年二人で組んだユニット。
二作目のプロモーションビデオでキスをした。
キスしたあとに照れたように笑うみきたんを見て、「仕事じゃん」と冷たくあしらった。
可愛いやつめと思いながらそれを素直に言えなくてわざとそんな風にして。
照れながらじゃれてくるみきたんを、まっすぐに見れない自分がいた。

みきたんが甘えてくればくるほど、焦りのようなものを感じていたのはいつから?
無邪気な笑顔を向けられるたびに、目を逸らしたくなったのはいつから?
無意識に冷たくして、それ以上あたしの中に入り込ませないようにしたのはいつから?
127 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:42
混乱する頭を抱え込んで、あたしはゆっくり息を吐く。
考えても明確な答えは出ない。
自分のことでこんなにも自信が持てないのは初めてだ。

あたしはふらふらと立ち上がると、バスルームに向かう。
もう考えるのは嫌だった。お風呂に入って眠ろう。
そして、今日考えたことは忘れよう。それが一番いい。
明日からはいつものあたしに戻って、そうすればまたみきたんと笑い合えるはず…。

バスルームへ続くドアに手を掛けたところで、ノックの音が聞こえてくる。
誰だろう?あたしの部屋を知っているのはマネージャーだけ。
そういえば明日のスケジュールの確認をしていなかったから、その話かもしれない。
そう思ってあたしは勢いよくドアを開けた。
128 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:42
「…は?」
「あ…今、大丈夫?」
ドアを開けると目の前にいたのはみきたんだった。
まだ酔いが残っているのが頬の赤さからわかった。目が合って、不自然にならないように目を逸らす。

「…大丈夫だけど、なに」
「いや…いきなり帰っちゃったから大丈夫かな、と思って」
「疲れたから戻っただけだよ…とりあえず、入ったら?」
「…いいの?」
「うん」
ドアの前で立ち話するのも、休んでいる他のメンバーに迷惑だろうと思いあたしはみきたんを招き入れる。

「座ったら?」
「あ、うん」
居心地悪そうにしているみきたんを横目で見ながら、あたしはバスルームへ行きお湯を溜め始める。
お湯を見つめながら、なんでみきたん相手にこんなに心が掻き乱されているのか自分に問い掛ける。
バカじゃないの、とは思ってもいつも通りにできない自分がいる。
129 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:42
「亜弥ちゃん、さっきのことだけど」
「…さっきのことって?」
みきたんは座らずに、そのままバスルームの入り口にいた。
横目だけでそれを確認する。

「…よっちゃんに…その、キスされたこと」
「それが、どうかした?」
「いや…亜弥ちゃん気にしてんのかなって…」
「は?あたしが?なんで?」
何でもないことのように言って笑った。
視線は変わらず浴槽に注がれるお湯に向けたまま。

「あんなの大したことじゃないじゃん。ハロプロ内じゃ当たり前のスキンシップでしょ」
あたしは自分に言い聞かせるようにそう言うと立ち上がった。
そうだ、大したことじゃない。
全然気にしてない。そうだ、そうだよ…。
130 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:43
「だって、あのあとすぐに行っちゃったし…」
「だから疲れたからだって言ったじゃん」
これ以上その話をしたくなかった。
それにみきたんにも側にいて欲しくなかった。

このままいられたら、何かとんでもないことを言ってしまいそうで。

「ほんとに気にしてない?」
「気にしてないって言ってんじゃん。大体、なんであたしがそんなこと気にすんのよ」
「亜弥ちゃん…ほんとに?ほんとに気にしてない?」
「しつこいよ、みきたん。話それだけなら帰って。あたし休みたいんだから」

痛いくらいにみきたんの視線を背中に感じる。
これ以上は耐えられない。いつも通りのあたしでいられる自信がない。
自分の中から沸きあがってくる名前のつけられない感情に心が支配されそうだった。
131 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:43
「…じゃあ、なんで…」
そのあとは声が小さすぎて聞こえなくて。
初めて聞いた気がする弱々しいみきたんの声にあたしは思わず振り返った。

心臓が跳ねた。
まっすぐにあたしを見つめる、どうしようもないくらい切なげな表情。
それはよっすぃにキスされたときの顔と同じような表情で。

みきたん、どうして?なんでそんな顔するの…?

あたしに対してみきたんがそんな顔をする理由がわかんなくて。
あたしはそんなみきたんから目が離せなくなって。
132 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:43
そして言葉もなく見つめ合って、みきたんの瞳の色がすっと深みを増したような気がした。
その瞳があたしに何かを訴えているようで。
抑え切れない何かを含んでいるように見えて。
ありえないと思ったけど。
みきたんのその瞳を見ていたら唐突に出た答え。

…あたし、だったの?
みきたんにそんな顔をさせていたのは…。

よっすぃにキスされたとき、あんな顔をしたのはあたしに見られたから?
冗談だってわかってても、あたしの目の前でキスされたから?
それをあたしにどう思われるか怖かったの?
みきたん、それって。
133 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:44
「…やっと、美貴のこと見てくれた」
ふわり、と笑う。
いつもふざけあってる彼女からは想像もできない姿。
長い付き合いなのに初めて見る表情。…知らない人、みたい。

みきたんは微笑むだけでそれ以上何か言ったわけでもない。
それなのにあたしはわかってしまった。
みきたんの瞳が、表情が、みきたんを形作る全部が、あたしへの気持ちを伝えている。

あたしはそんなみきたんの姿にすっかり心が奪われて目が離せなくなっている。
頭で考えても全然わからなかったのに、あたしの体はそれが答えだと叫んでる。
細胞の一つ一つがあたしの気持ちを訴えている。
134 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:44
あたしの意思とは無関係に体が勝手に動いた。
立ち上がってそっとみきたんの手に触れて、引き寄せて。
逆らうことなくあたしの腕の中に大人しく収まる。
抱きしめたのなんて数え切れないくらいあるのに、今までのそれとはまるで違う。
自分の気持ちが。みきたんの気持ちが。

自他共に認める大親友。
これ以上の形はありえないと思っていたのに、気持ちなんてどう転がるかわからない。
ちょっとしたことで、それまでとはまるで違う世界に引き込まれる。

後悔しないか?と問われてもあたしにその答えは出ない。
だって今のあたしは腕の中にいるこの子をこんなにも愛しく思ってしまっている。
今のこの気持ちをなかったことにしたら、それこそ後悔するだろう。

それにどれが一番正しいかなんてきっと誰にもわからない。
だったら、何が正しいかはあたしとみきたんが決めればいいことなんじゃない?
135 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:44
「…亜弥ちゃん」
「…ん?」
「亜弥ちゃんも美貴と同じ気持ちって思ってもいいの?」
「…みきたん、わかんないの?」
そう答えて少し体を離して至近距離で見つめる。

「ううん。ただ、ちゃんと確かめたくて」
「…そんなの言わなくても、ほんとはわかってるくせに」
「…うん、わかってるよ」
みきたんは心底幸せそうに顔を崩して笑った。

その途端にあたしの心はざわざわと騒ぎ出す。
自分でもうまくコントロールできない、自覚したばかりのまだ持て余し気味のこの感情。

暴れ出しそうな気持ちを抑え切れなくなってもう一度引き寄せようとしたら。
それより早くみきたんに引き寄せられて。
ちょっと戸惑ったけど、それに逆らう理由もなかったからあたしは大人しく目を閉じた。
136 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:45



137 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:45
目が覚めると、すぐ隣にはあたしにしがみつくように眠るみきたん。
二人とも何も身に付けていなかったから、これまでとは違うリアルな柔らかさを感じる。

昨日はどっちがどっちかもわからなくなるほど求め合った。
急に思い出してしまって、顔が赤くなる。
自分とみきたんがあんな風になるだなんて、想像もできなかった。
嫌だとか思ってるわけじゃなくて…なんていうか…照れくさい。

だってほんの数時間前までは親友だったのに。
それが…ねぇ?あんな風に…ねぇ?

でもみきたんめちゃくちゃ可愛かった。…うん。
あたししか知らない。…みきたんの気持ちよさそうな声とか、表情とか。
触れても触れても足りなくて。もっと欲しくて欲しくて堪らなくて…。
138 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:45
色々思い出してたら、ちょっとやばいかも…。
まだ眠りの世界にいるみきたんをちらりと見る。
あたしを信じきっているようなその寝顔が可愛くてしょうがない。

つーか昨日はあれだけ考えて悩んでいたのに、自分のことながら切り替え早すぎ。
そう思わないでもなかったけど単純で何が悪い。
一回認めてしまえば、後はもう気づいてしまった自分の気持ちに素直になればいいだけ。

不安がないと言えば嘘になる。でもなんとなくだけど、大丈夫だと思う。
あたしはその自分の直感を信じる。そして、みきたんも。
その方が、いろんなことが上手くいく気がするし、きっと楽しい未来が待っている。
自分の思うがままに生きる。それでこそ松浦亜弥でしょう。
139 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:45
とりあえず再び芽生えてしまった欲求をどうにかしないと落ち着かない。
あたしはニヤリと笑って、あたしに巻きついているみきたんの腕を取り彼女に覆い被さる。

「うう…」
「おはよ、みきたん。ね、起きて」
「…まだ眠いぃ…寝る…」
「ダメ。起きて」
「…やだぁ〜…」

さて、寝起きの悪いみきたんをどうやってその気にさせようか。
下手なことするより、ここはやっぱり直球で勝負するしかないかな。
そう思ってあたしは不機嫌そうにむにゃむにゃ動くみきたんの唇を塞いだ。
140 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:46



141 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:47
今はこんな風にお互いの気持ちが通じ合って離れそうにもないけど。
もしかしたらいつか離れてしまうかもしれない。
そんなの嫌だしそんな風にさせないけど。

でも未来は誰にもわからないから絶対ないなんて言い切れない。
今はこんなにも自信に満ち溢れているけど、ひょっとしたら些細なことで簡単に壊れるかもしれない。
最初からこうなるべきじゃなかったって後悔するかもしれない。

だからこそ。この気持ちだけを今は信じていよう?
離れてしまうときがきたとしても、この気持ちに嘘はなかったと胸を張って言えるように。
それだけは絶対に嘘にしたくないから。だから、それだけは忘れないでいよう?



あたしは忘れないよ。
みきたんも、忘れないで。



142 名前:ただ、それだけ 投稿日:2007/01/29(月) 14:48



143 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/29(月) 14:49
終了です。
144 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/29(月) 14:51
レスありがとうございます。
自分的に早く更新できてよかったです。
思いっきり暗い話にしようと思ったのに、気づいたらこんなんでした。
あれおかしいなー。
145 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/29(月) 14:52
たまには上げてみたり。
それではまた次の更新で。
あやみきだいすっき。
146 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/29(月) 22:03
 最 高 !
147 名前:AM 投稿日:2007/01/29(月) 22:07
素晴らしいです。
148 名前:かべ 投稿日:2007/01/29(月) 22:35
これくらいの暗さ、間接照明のような味があって大好きです。

主演女優2人の関係性がモロ好みだし、助演男優wもナイスです。
149 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/29(月) 23:01
(*´д`;)…感服。
150 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/30(火) 16:45
ごちそうさまでございますm(__)m
151 名前:名無し飼育 投稿日:2007/02/01(木) 23:26
素晴らしい作品、ごちそうさまでした!



152 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/07(水) 01:19
覗いてみてよかった。面白かったです。
153 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/15(木) 23:30
胸がしめつけられた。。
良かったです!
154 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/16(月) 03:57
こんな夜更けに更新
155 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 03:58
るーるるるー

って。
二人で組んだユニットの歌を、一人で楽しそうに歌いながら。
亜弥ちゃんは酒を飲む。

それはもう、ごきげんに。
156 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 03:58
「たんも飲めー」
ぐいっと。
ロックの梅酒が入ったグラスを美貴に差し出す。

「美貴明日早いから無理」 
素気なく答える。朝早いのはほんとだし。いいかげん寝たい。
てか何杯目だよそれ。
別に数えちゃいないけど、明らかに飲みすぎでしょ。

「えーいいじゃんいいじゃんいいじゃ〜ん」
「亜弥ちゃんは明日オフだもんね。好きなだけ飲めばいいじゃん」
「一人で飲んでもつまんなーい」
「知らねえよ」
溜息交じりにそう吐き捨てる。
亜弥ちゃんってこんな酒癖悪かったっけ。

ん、あ、そっか。
いつもは美貴の方が飲みすぎちゃうから。
こんな風になった亜弥ちゃんを見るのは初めてかも。
157 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 03:59
「たん、あたしの酒が飲めないっての」
「亜弥ちゃん、それは美貴んちの冷蔵庫に入ってた美貴が買ってきたお酒ですよ」
「ん?そーんな細かいこと気にすんなよぉ。ほら飲め、飲め」
「…ウザいなぁ」

美貴が呟くようにそう言うと亜弥ちゃんは。
子供のように頬を膨らませて、おまけに口も尖らせた。
うわ、やばいよその顔。全然可愛くない。

なんてわりとひどいことを考えていると亜弥ちゃんは突然かくっと頭を下げた。
やけに機械的な動きで、ゼンマイ仕掛けのおもちゃのようだった。
158 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 03:59
急に黙ってしまった亜弥ちゃん。
なんだ、寝たのか?つくづく自分勝手な奴だ、なんて思っていると。

ぽたっと落ちる水滴が見えた。

その水滴が彼女の着ているパジャマのズボンを数か所濡らしたところで。
ようやく泣いているのだと気がついた。
159 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:00
「…亜弥ちゃん?どうした?」
美貴、なんかしたっけ?
理由がわからなくて、素直に尋ねる。
だけど亜弥ちゃんは黙ったまま。苦しそうに、息を吐き出した。

固く握って両膝の上に置かれた微かに震える手。
そっと包むと、ようやく顔を上げてくれた。

「…たん」
顔を上げたことで、頬を伝って涙が流れ落ちる。
距離を縮めてそれを唇で吸うように触れると、亜弥ちゃんは少しだけ身を震わせた。

視線だけでもう一度「どうしたの」と尋ねる。
亜弥ちゃんはひくっと喉を引き攣らせて、ぎゅっと目を瞑る。
そして数回大きく息を吐いた。
160 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:00
「…なんかね」
「うん」
「最近はずっとたんと一緒の仕事だったじゃん」
「ん、そうだね」
答えながら思い出す。
去年二人で組んで始まったユニットでの活動。

亜弥ちゃんとこんなに一緒の仕事が続くなんて、正直嬉しかった。
娘での活動よりも熱が入っちゃうくらい。
仕事に私情を挟むなんてやっちゃいけないことだけど、どうしても隠しきれなくて。

「嬉しかったよ。たんと一緒にいる時間が増えて」
「うん、美貴も」
「仕事なのかプライベートなのかわかんなくなるくらい」
「はは、だよね。いや、そんなのダメなんだけど」
「そうなんだけどね」

ふふ、と力のない顔で亜弥ちゃんは笑う。
さっきまで酔っ払って絡んできた人とは思えないくらい、力のない笑顔だった。
161 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:00
「…それでさ、やっぱり前より忙しくなったじゃん。たんは娘さんでの活動もあるし」
「え?…んーまぁ確かにねぇ…」
「結構、睡眠時間とか削られてたでしょ。空き時間はずっと寝てたり」
「あー…だね」

言われてみると、その通りだった。
待ち時間が少しでもあれば仮眠を取っていたし、移動中ももちろんそうだ。
楽しいけど、正直言うと体は相当きつかった。

「思ったんだ。あたし、何もできないなぁって」
「…なに?どういうこと?」
「んー…」
何か苦いものでも食べたあとのように顔を歪ませて、亜弥ちゃんは視線を落とす。

「ずっと一緒にいて、しんどそうなたんを見てるのに、あたしは何もしてあげられないって」
視線を落したまま、亜弥ちゃんは呟くようにそう言った。
美貴は何も言うことができずに、ただ亜弥ちゃんの手を包み込んだまま聞いていた。
162 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:01
「最近のたんは本気でしんどそうで、甘えてすらこなくてさ」
ぽつりぽつりと、ゆっくり亜弥ちゃんは呟く。

「思えばいつもたんから甘えてくるばっかで、あたしから甘えさせるのってしたことないって気づいて。
お酒でも飲ませれば、前みたいに甘えてくれるかなって思ったんだけど…。あたし、ただうざいだけの
単なる酔っ払いだったよね」

ははっ、と乾いた笑い声。

「仕事が一緒だとこんな風にプライベートでも一緒にいる時間が増えてさ。嬉しいけど、でも」
亜弥ちゃんはそこで言葉を切ると、一瞬考えたように視線を彷徨わせる。
彷徨わせた視線が美貴とぶつかると再び口を開く。

「たんにとっては負担なだけなのかも、なんて思った」
163 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:01
黙ったままの美貴を見て、亜弥ちゃんは「…朝、早いんだよね」と言って立ち上がった。
亜弥ちゃんの手を包んでいた美貴の手は、行き場を失くしてフローリングの床の上に落ちる。

確かにしんどかった。
でもそんなのは、美貴だけじゃない。
亜弥ちゃんだって一緒だ。
それなのに。美貴は。自分のことしか考えていなかった。

仕事が終わると途端に無口になる美貴を、責めることもせずいつも通りに接してきた亜弥ちゃん。
そんな亜弥ちゃんに美貴はどんな態度だった?
あからさまに疲れてるからほっといて、なんて態度で。
ひどいときには言葉を交わすこともなく移動の車に乗り込んで、そのまま眠りについたり。

今日だって、亜弥ちゃんがそんなことを考えているなんて思いもせずに。
一人で酔っ払って、迷惑だなんて思って。早く寝たいとか、そんなことしか考えてなくて。

こんなに美貴のことを大事に想ってくれている子に。
そんな風に思わせていたなんて。

一気に頭に血が上った気がした。
自分が情けなくて、恥ずかしくて、どうにかなりそうだった。
164 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:02
「じゃあ帰るね」
「…え」
いつの間にか着ていたパジャマを脱いで、亜弥ちゃんは着替えていて。
鞄を肩にかけて、ここに来たときと同じ格好でドアの前に立っている。

「帰るって、もうこんな時間」
「タクシーつかまえるよ」
「今日は泊まるって言ってたじゃん」
「…また今度にするよ。じゃあね、おやすみ、たん」
笑顔でそう言うと、亜弥ちゃんは後ろを向いてそのまま玄関へ向かっていく。

今度って、いつ?

その後姿を見て。
ほんの数メートル先にいるのに、すごく遠くにいるように見えて。


嫌だ。嫌だよ、亜弥ちゃん。
行かないでよ。
美貴から離れて行かないで。
165 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:02
勢いよく立ち上がって、そのままの勢いで駆け寄って。
亜弥ちゃんが振り返るより早く、いつもより頼りなさげに見える背中に抱きついた。

「…たん?」
「だめ。行っちゃだめ…」
抱きついた腕を亜弥ちゃんの体の前に回す。
身動きが取れないように、ぎゅっと強く。

「…なんでそんなこと…そんなこと言われたら…」
「…言われたら?」
亜弥ちゃんのこめかみ辺りに額を押し付けて、緩く息を吐く。
亜弥ちゃんはゆっくりと、顔だけを美貴に向けた。
166 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:02
「…ほんとに離れられなくなる」
「こんな、自分勝手で我儘な奴なのに?」
「…そんなのとっくに知ってるよ」
「…亜弥ちゃん、馬鹿だよ。こんな奴のこと…」
なんでそんなに、想ってくれるんだろう。
涙が出そうになった。
自分の馬鹿さ加減と、亜弥ちゃんの想いに。

「あたしは、どんなたんでも好きなの。大好き。誰よりも、自分よりも好きなんだよ?」
「…っ、亜弥ちゃん…」
「たんはあたしのこと、邪魔?迷惑?」
「…邪魔でもないし、迷惑でもない」
「じゃあ…絶対離れてやんない。どんなにたんがウザそうにしても、絶対そばにいるよ?」
「うん…」
「ばっか、なに泣きそうになってんの」

いつものように強気に笑った亜弥ちゃん。
そう言う亜弥ちゃんだってさっき泣いてたじゃん、と言い返そうと思ったけどそれは叶わなかった。
亜弥ちゃんが、そっと優しいキスをくれたから。
167 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:03




168 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:03
当たり前すぎて気づかないことって、結構ある。
失くしそうになってからそれがどれほど大事なものだったか気づいたり。
でもなんとか失くす前に気づいて、繋ぎ止めることができたなら。

もう二度と失くさないようにしなきゃいけない。
いくら後悔しても二度と元には戻らない。そんな気がする。

だから美貴はこの気持ちを絶対見失ったりしない。
当り前のこの日常がどれだけ大事なものだったのか、とか。
どれだけかけがえのないものだったのか、ちゃんと気づけたから。
169 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:03




170 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:04
「亜弥ちゃん、起きて」
「…んぅ」
「まーいいけど、寝てても。オフだもんね」
「…んー…」
まだ夢と現実の間を行ったり来たりしているような亜弥ちゃん。
そりゃ昨日あれだけ飲めばねぇ。

仕事に行く準備も終わって、亜弥ちゃんに一応声を掛けてはみたものの。
どう見ても起きる気配は感じられない。

何か嫌な夢でも見てるのか、やたら眉間に皺が寄っているのに気づく。
そっとその場所にキスをすると、とたんに穏やかな顔になって。
そんな些細なことが嬉しい。

「…じゃ、仕事行ってくるからね」
「…んん…?…うん」
「だめだ、起きそうにないや」
せっかくの貴重な睡眠時間を邪魔するのもな、と思って美貴は静かにその場を離れた。
171 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:04
朝早い集合時間。
いつもなら愚痴の一つも言うところだけど、今日は違う。
天気も良いし、何より気分が良い。

ようやく捕まったタクシーに乗り込むと同時に携帯がメールの着信を知らせる。
亜弥ちゃんからだった。どうやら美貴が家を出てからすぐに起きたらしい。

>バカー!起こせよ!新婚さんみたいに見送りしたかったのに!!

「…アホか」
そう言いながらもにやける顔が、何より正直な美貴の気持ちの表れだった。

朝はどこもラッシュだ。目的地まではまだ時間がかかるだろう。
美貴はメールの返信はせず、リダイヤルの一番上を選んで発信ボタンを押した。
172 名前:DAYS 投稿日:2007/04/16(月) 04:05




173 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/16(月) 04:05
更新終了
174 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/16(月) 04:08
レスありがとうございます。
こんなわりと放置気味なスレを覗いて下さるだけでもありがたい…。

ところで今回の話は酒に酔った勢いで書きました。
文章校正とか一切してないんで誤字脱字があったらすみません。
とかいいつつ特に悪いとは思ってません。最低だ。
それではまた次の更新で。ぎゃむツアーおめでとう。
175 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/17(火) 00:35
ニヤ(・∀・)ニヤ
176 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/17(火) 01:55
アヤ从‘ ∀‘从ニヤ
177 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/17(火) 14:26
みんなニヤニヤしすぎw
と言いつつ自分もニヤ(・∀・)ニヤ
ごちそうさまでした。
178 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/18(水) 00:50
放置気味とはいいつつもすてきなお話あざーっす

ギャムギャム(・∀・)ニヤニヤ
179 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/18(水) 20:27
モエモエ(・∀・)ニヤニヤ
180 名前:名無し飼育さん 投稿日:2007/04/19(木) 01:16
待ってました!素敵なお話あざーっす!

ギャムモエ(・∀・)ニヤニヤ
181 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/04(金) 00:06
松浦さんオトメ!!カワエエ話あざーっす!

アヤニヤ(・∀・)ミキニヤ

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