彷徨える星達
- 1 名前:ais 投稿日:2006/11/12(日) 23:50
- konkon改め、aisといいます。
また一つ小説を書いていこうと思いますので、今後もよろしくです。
エリリン主役のアクションものです。
- 2 名前:ais 投稿日:2006/11/12(日) 23:52
- 20XX年、それは唐突に訪れた。
日本のとある場所に、日本最大の刑務所が存在していた。
そこは警備員は少ないが万全なるセキュリティによって、完全に包囲されている。
基準を超える凶悪犯罪者達は、決して脱出不可能なこの刑務所へと送られる。
過去に一人として逃げ出せた者は存在しない。
逃げ出そうとした者は、刑務所中に散らばっている監視カメラに撮られた直後に、
それについている自動銃によって殺されるのだ。
逃げ出すことはおろか、うかつな行動すら制限されていたのだ。
だが、たった一人のハッカーに作られたウィルスよって、それらが全て破壊された。
セキュリティの失った刑務所は人の入れるただの箱でしかなく、警備員達は殺され、
何百人もの犯罪者が逃げ出したのだ。
全てが機械頼りだった上に、警察のコンピューターにまでウィルスが侵入していたので、
復旧した時には遅すぎた。
ハッカーは後に逮捕されたが、逃げ出した全ての犯罪者を捕まえることはできなかった。
- 3 名前:ais 投稿日:2006/11/12(日) 23:53
- 犯罪者達はしばらく身を潜めたあと、次々と強盗、殺人などを繰り返した。
中には徒党を組んで計画的に犯罪を実行し、ある者は仲間を増やしてテロ活動を行った。
街中で銃を乱射する者がいれば、デパートやマンションを爆破することもあり、
そのような犯罪が日本各地で起こり出した。
警察だけでは対処のしようがないほど、犯行は増え続けていた。
政府はこの犯罪者達を捕らえるために、凶悪犯罪者に対抗する手段として、
ある秘密組織を作り上げた。
それから五年の月日が流れた・・・。
- 4 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/12(日) 23:55
-
ジリリリリリリリッ!
ガチャッ
私、亀井絵里は目覚まし時計の音で目を覚ました。
ん〜もう8時か。
でも久しぶりに長く眠れたな〜。
服を着替えてメイクをして、だだっ広いリビングに入った。
まだあの子達は起きてないのかな?
昨日は仕事はなかったはずなんだけどな〜。
椅子に座ってテーブルの上にあるパンをちぎって口に放り込む。
冷蔵庫から取り出したサラダを食べてると、隣の部屋のドアが開いた。
「絵里、おはよ〜。」
「おっはよ〜。さゆ。」
部屋から出てきたのは同室の道重さゆみ。
誰よりも女の子らしい女の子で、同時に究極のナルシスト。
鏡を見た自分が誰よりも好きなんだってさ。
- 5 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/12(日) 23:58
- さゆは絵里の前の椅子に座って、同じようにパンを食べ始めた。
「さゆ、れいなは?」
「れいなはもう家を出たよ。」
「ってこと、はまたあれかな。あの子も飽きないよね〜。」
「いいんじゃないの?れいなの好きでやってることなんだし。」
相変わらず他人にはあんまり興味ないのね。
一応ルームメイトなのにね。
絵里とさゆと、ここにはいない田中れいなって子は、三人で共同生活しているの。
絵里達の家は、最上級のホテルでいくつもの部屋があって、
部屋は各個人で使用しているんだ。
- 6 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/12(日) 23:59
- 別に絵里達は大金持ちってわけじゃなくて、まぁあることにはあるんだけど、
ある仕事をしていることからタダでこのホテルを借りてるの。
「さゆ、新人さんが入ってくるのって、今日だっけ?」
「確かそうだったと思うの。」
さゆはお茶を飲みながらのんびりと答えた。
空き部屋が一つあってね、絵里達はそこを物置として使ってたんだけど、
今日から新しい新人さんが入るから、
昨日は掃除してたんだよね。
どんな子が入ってくるんだろ?
楽しみだな〜。
- 7 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/13(月) 00:00
- ホテルを出て歩いてる時も、さゆは大きい鏡を見ながら絵里と話してる。
本当にこの子は・・・それでもすれ違う人々とぶつからないから奇妙な光景だ。
ん〜いい天気だな。
こんな日は平和にのんびりと・・・。
パンッ!
過ごしたかったな〜。
決して常人には聞こえない銃声を絵里は聞いてしまった。
直後に先の方の交差点で、人が倒れ込んだ。
「さゆ!」
「うん!」
絵里達は倒れた人に駆け寄った。
周りにいた人達は、我先にと逃げ出していた。
- 8 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/13(月) 00:01
- 今のこの世界では、救急車を呼ぶよりも逃げ出す人の方が多い。
まぁこれだけ危険な世界なら、仕方ないと言えば仕方ないんだけどね。
逆に守る必要がなくなるから、絵里達にとってはありがたい。
「絵里、どう?」
「大丈夫。まだ息があるよ。それよりさゆ・・・。」
「ちょっと待ってね。この位置からだと・・・あそこにいるの!」
さゆが指した方向は、絵里達のいるとこから100メートルほど離れた
五階建てのビルの屋上だった。
うん、微かに人が動く様子が見える。
まだこっちに銃を向けてる。
「さゆ!」
「任せといて!」
さゆは懐から銃を取り出して、それをビルの屋上に向けて放った。
- 9 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/13(月) 00:03
-
パンッ!
銃を向けてた人が倒れた。
さすがはさゆ、百発百中の腕前だよね。
でも他に三人の人影が見えた。
いくらさゆの腕前でも、ここの位置からだと死角になってて弾は当たらない。
でも、逃がすわけにはいかない!
「さゆ、あとお願い!」
「わかったの。」
絵里は持っていたかばんを放り投げて、猛スピードでビルに走り出した。
階段かエレベーターか、そんなもの必要ない。
絵里は近くにあった車に飛び乗って、そこから一気に三階まで飛び上がった。
- 10 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/13(月) 00:04
- あとは勢いのまま、各階のベランダの手摺を蹴って飛び上がっていく。
屋上には三人の銃を持った男達がいた。
誰もが目を丸くして驚いている。
まぁ、屋上の外から人が出てくれば誰でもそうなるかな。
「な、何だお前!」
「平和の使者、とでも言っておきますよ。」
太腿に付けてある二本のナイフを引き抜いて、両手で構える。
しばらく呆然としていた男達は、大声で笑い始めた。
「何で笑ってるの?」
「ハン、てめぇが何者だか知らねぇが、そんなおもちゃで銃に敵うとでも思ってんのか?」
そう言って三つの銃がこっちを向いた。
直後に響いた三発の銃声。
- 11 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/13(月) 00:07
- ナイフと銃、どっちが優れているかと聞かれれば、大半の人は銃と答えるだろう。
でもね、
キンッ!キンッ!キンッ!
「なっ!?」
男達は驚いて一歩身を引いた。
それもそのはず、弾は全て絵里を打ち抜いたはずだった。
だけど、当たらなかった。
別に超能力とかそういったものじゃない。
絵里の超人的なパワーとスピードで、弾をナイフで弾いたんだ。
- 12 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/13(月) 00:07
- 男達は叫びながらこっちに向かって撃ってくる。
それも全部絵里はナイフで弾く。
だけどね、そんなものじゃ絵里の武器、"トルテュ"は壊れないよ。
しばらくして、カチャッ、カチャッって音が聞こえてきた。
どうやら弾切れみたいだね。
「もういい?今度はこっちから行くよ。」
「うっ、うわーっ!」
男達は慌てて逃げ出そうとした。
だ・け・ど、絵里が逃がすと思ったら大間違いで〜す!
絵里は一瞬にして二人の男の横をすり抜けた。
その瞬間、二人の男の首から大量の血が噴出した。
- 13 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/13(月) 00:09
- 人を殺すのはとっても簡単。
よけいな手間はいらない、頚動脈を斬ればいいだけの話しなんだよね。
あと一人、その男は腰にあったもう一つの銃を掴んで、絵里に向けた。
「し、死ねよ!」
「遅い!」
キンッ!
弾を避けて男の懐に入った絵里は、トルテュを一閃させた。
直後に、銃の本体が二つに別れて地面に落ちた。
- 14 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/13(月) 00:09
- 絵里は男を力任せに蹴り上げて壁に突き飛ばした。
何本かアバラの骨が折れる音が聞こえた。
倒れて蹲っている男の上に跨って、首にトルテュを当てる。
「あんたを殺したところで、今まで殺した人達は生き返らないよ。」
「ヒィッ!」
「だからさ、あっちに言ったらちゃんと謝るんだよ。」
「た、助け・・・。」
ズバッ!
ふぅ、終わった。
平和な世界って、いつ訪れるのかな〜?
- 15 名前:エピローグ 投稿日:2006/11/13(月) 00:11
- 絵里が交差点に戻ると、ちょうど救急車が出て行くとこだった。
急所は外してたし、さゆが応急処置をとってくれたから、たぶん大丈夫でしょ。
「絵里、終わったの?」
「・・・うん。終わったよ。」
絵里が小さく頷くと、さゆはかばんから携帯を取り出した。
「もしもし、本部ですか?こちらNO0020、道重さゆみです。あのですね・・・。」
さゆは今の状況を正確に本部に伝えてくれている。
こういう時のさゆの優しさは、やっぱ嬉しいな。
絵里の代わりに話してくれてる。
人を殺すのって、やっぱ好きになれないな。
けど、何も関係のない人が殺されるのはもっと嫌だ。
そのために絵里は・・・。
「絵里、終わったの。」
「ありがとね、さゆ。そろそろ行こっか。」
「うん。」
絵里はさゆと一緒に並んで歩き始めた。
いつかはくるであろう、平和な世界を求めて・・・。
- 16 名前:ais 投稿日:2006/11/13(月) 00:11
- こんな感じで進めていきたいと思います。
レスをいただけると嬉しいです。
ではまたw
- 17 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/13(月) 00:21
- すみません
エピローグ は 〆ではないかと
プロローグ ですか?
- 18 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/13(月) 02:00
- 新作キタ!
- 19 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:27
- さっきの交差点から歩いて10分、絵里達はあるビルに着いた。
ビルといってもそんな大きなビルじゃなくて、どこにでもあるような普通のビル。
まぁ、見かけ上はだけどね。
中に入って、受付の女性の傍に寄る。
「「おはようございま〜す」」
「おはようございます。亀井様、道重様、どうぞ。」
受付の女性の人は、後ろにある扉に手で招いた。
そこを通ってさらに中に入ると、鋼鉄の扉が待ち構えていた。
関係者の話しでは爆薬でも壊すことはできないみたい。
絵里は傍にある機械に手を当てる。
すると、カチャリとロックが開いた。
- 20 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:29
- 変な人が入らないように、指紋照合になってるんだ。
さゆも同じように扉を開ける。
そして、そのすぐ先にはエレベーターがあって、絵里達はその中に入った。
もちろん、上ではなく下に進む。
絵里達の組織は地下に作られている。
地上に作って爆撃なんかされたら、たまったもんじゃないもんね。
しばらく話しているうちに到着〜。
いつもの長い長い通路を二人並んで歩く。
前から二人の捜査員が歩いてきて、絵里達の顔を見た瞬間大きく頭を下げてきた。
「おはようございます。NO0019、NO0020.」
「その呼び方やめてもらえないですか?さゆはNOで呼ばれたくないの。」
「は、はい!申し訳ありません!道重様。」
確かに名前で呼んでほしいよね。
絵里達だって、本当ならまだ高校生やってるんだからさ。
- 21 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:30
- でもさゆの説教って長いから、ココら辺で止めとかなきゃ間に合わなくなるかな。
「さゆ、そろそろ行くよ。」
「まだ話しは終わってないの。大体ね・・・。」
「早く行かないと、うちの怖〜い隊長さんに怒られるよ?」
「・・・わかったの。」
さゆはまだ納得がいってないようだけど、また絵里達は歩き出した。
集合場所は絵里達のグループ、"モーニング"専用の待合室。
事件があったからぎりぎりになったけど、うちの隊長さんは許してくれるかな・・・?
少し足早に歩いて待合室に到着、したのに誰もいない。
- 22 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:31
- な〜んだ、慌てて損しちゃった。
れいなもここにいないってことは、まだやってんのかな?
「さゆ、れいなのとこに行ってみない?」
「まだみんな集まってないもんね。いいよ。」
自分のロッカーの中に荷物を置いて、一つ先の廊下まで歩く。
その通りにある一室に、れいなはいると思う。
絵里達が着いた場所はトレーニングルーム。
だけど、うちにあるのはただのトレーニングルームじゃない。
実戦に基づいた戦闘を行うことが出来る、いわば仮想空間と呼ばれるところ。
それも現実とごちゃごちゃになるくらい、完璧に設定されてるの。
- 23 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:33
- ここには一人で入ることもできれば、敵を出現させることもできるんだ。
敵のレベルは設定できて、最弱から最強、数人の相手からいくつもの組織と
戦うこともできる。
その中にいる間は、戦えば疲れるし、傷を受ければ痛みが走る。
死ぬってことはないんだけど、死ぬほど苦しいんだよね〜。
でも、本当の戦闘の経験を積むには、まさに適している場所なの。
これを作ったのは、ちょっと前までうちのメンバーだった人でね、
IQ200を超える超天才的頭脳を持ってた人なんだ。
今は何やってんのかな〜?
「絵里、何ぼーっとしてんの?」
「ん、何でもないよ〜。」
まさかさゆに言われるとは思わなかった・・・。
そんなことを考えてると、部屋の中で大きな物音がした。
- 24 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:36
- トレーニングルームでは、れいなが相手に向かって槍を振り回していた。
今回の修行場所は工場の中みたい。
れいなの武器は、小柄なれいなに似合わない長い槍、"リジィエ"。
それを軽々と振り回しては、いくつもの突きを放つ。
れいなの攻撃は、相手の人にちっとも当たろうともしない。
れいなが弱いわけじゃない。
証拠に、れいなが振り回せば鉄柵や鎖を切り裂き、突く度に後ろの壁には
大きな穴が空いている。
猛攻な上に的確、それでも当たらないのは相手が相手だから。
「よっと。どうした〜?れいな、こっちやよ〜。」
「くそっ!待て!」
だってれいなの相手は、絵里達のチームメイトのあの高橋愛さんだから。
- 25 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:38
- 絵里達の前に入った人で、れいなの次に小柄な体格をしているにも関わらず、
メンバー過去最強と呼ばれた"あの人"にも負けず劣らずの実力を持っていて、
今ではモーニングの中でもエースを務めている。
時には厳しくもあるけど、決して高飛車にならずに優しいお姉さんでいてくれる、
絵里達も大好きな人なんだ。
特に、
「あ〜!れいなずるいの!愛ちゃん独り占めにして〜。」
さゆは愛ちゃんを心の底から慕ってる。
仲のいいお姉ちゃんがいたから、きっとダブって見えるんだろね。
- 26 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:39
- チームメイトだから名前でいいよって言ってくれて以来、
絵里達は愛ちゃんって呼んでる。
ああ、この人はもちろん本物ですよ。
絵里達のレベルを持った相手は、さすがに作ることはできないみたい。
さて勝負の方はというと、れいなの繰り出す突きを、愛ちゃんはナイフ一本で横に弾いてる。
今日はご自慢の愛刀を持参じゃないんだね。
悲しいことに、絵里達が相手だと滅多に使うことがないんだよな〜。
途中までは突きをメインに戦ってたれいなは、途中から愛ちゃんの足元に狙いを向けた。
だけど、愛ちゃんは軽々と跳んで攻撃を避ける。
「このっ!このっ!」
「あたしの足を止めようって考えね。でも当たらんよ。」
次のれいなの攻撃で、愛ちゃんは一度後ろに跳んで下がった。
反動を利用して、一気に間合いを詰めてれいなを押さえるつもりだ。
- 27 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:40
- その直後に、れいなは攻撃の勢いを止めないで地面に槍を突き刺し、
勢いに乗って愛ちゃんに飛び込んだ。
「やぁっ!」
カッ!
あまりにも意外な動きだったからか、愛ちゃんのナイフを真上に蹴り飛ばした。
同時に槍を持ち替えて、勢いよく突き出した。
「あら〜。」
「もらったっちゃ!」
れいなの槍が、愛ちゃんのいたところを貫いた。
絵里が見えたのはここまで、愛ちゃんはそこにはいなかった。
そして、凛とした姿勢でれいなの槍の上に立っていた。
- 28 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:41
-
「今のは惜しかったで。いい攻撃やった。」
「くっ!」
れいなが動くより先に、超スピードで前に出た愛ちゃんの両足が、
れいなの首を挟み捉える。
さらに、そこから身を捻って飛び上がる。
この勢いで地面に衝突すれば、れいなの首の骨は粉々に砕ける。
仮想空間とはいえ、想像しただけでも痛そう・・・。
ドンッ!
二人の体が地面に落ちた。
愛ちゃんは横にならないで縦になり、自らの両膝で支えたことかられいなは無傷だった。
- 29 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:42
- その二人のところに、先ほど蹴り上げたナイフが落ちてきて、
愛ちゃんが見ずに手を上げて掴み取る。
「チェックメイトやよ。これで二回死んどるな。」
愛ちゃんはニシシッて笑って、れいなの首筋にナイフを当てた。
れいなを相手に、やっぱすごいな〜。
見てるだけで惚れ惚れするくらい、綺麗な戦い方だったよ。
「くっそ〜!また負けたと・・・。」
「これで124勝1敗2分やね。れいなも十分強くなってるよ。
落ち込むことないわ。」
れいなは悔しそうに顔を歪めた。
勝ちや引き分けも、愛ちゃんが任務で重症を負ったときだけなんだよね。
絵里達も、もっと強くならないと!
- 30 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:44
- 部屋から二人の姿が消えて、絵里達の前に出てきた。
ここは自分の意思で部屋を行き来できるようになってるんだ。
絵里達に気付いた愛ちゃんは、手を振って歩いてきた。
「よっ!二人はこれから特訓か〜?」
「もしそうだとしたら、さゆみの相手お願いできますか?」
「ん〜、あたしはこれから行くとこあるんやよ。そういえば、
里沙ちゃんがあんた達に頼みたいことがあるとか言うとったわな。
たぶん、新人をどうするかって話しやったと思うけど。」
「そうですか。愛ちゃんは新人の子と会いました?」
愛ちゃんとさゆは話しながら先を歩く。
絵里は落ち込んでるれいなの顔を覗き見た。
- 31 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:46
- あれ、頬が赤くなってるみたい。
まさか絵里に見惚れちゃって・・・な〜んてさゆみたいな考えはしません。
誰かに殴られたのかな・・・?
「れいな〜。顔、どうしたの?」
「ん、これ?昨日さゆが眠れないから一緒に寝ようって、強引にもベッドの中に
入り込んできたと。そしたらあいつめちゃ寝相が悪いけん、寝てるときに
顔を蹴られた。マジで痛かったっちゃ。そうだ!さゆ、待て!」
れいなはさゆを追って駆け出した。
ベッドに入ってるのに逆さまになるなんて、さゆくらいなもんだよね。
れいなもれいなだよ、寝相悪いのわかってるのに入れてあげるんだから、
口では悪く言っても優しいんだよね。
ちょっと変わってるけど、絵里の大切な仲間達。
ここが絵里の居場所なんだ。
- 32 名前:絵里の居場所 投稿日:2006/11/18(土) 09:46
- 絶対に失いたくない、絵里の大好きな居場所。
絵里は負けないよ。
俄然強めな感じでやってやるんだもん!
「絵里、一人で何ぶつぶつしゃべってると?」
「ニヤついててキモいよ。」
二人ともひどい・・・。
しかも、さゆにキモいって言われるのが何よりも傷ついた。
「絵里、またおかしくなったんか?先行っちゃうよ?」
「愛ちゃんまでひどいですよ〜。」
愛ちゃん達は笑って絵里のことを待っててくれる。
絵里は少し頬を膨らませて、三人を追いかけた。
- 33 名前:ais 投稿日:2006/11/18(土) 09:47
- 今回の更新です。
- 34 名前:ais 投稿日:2006/11/18(土) 09:48
- >>17:名無飼育さん
初っ端間違えました・・・orz
今後は気をつけます
>>18:名無飼育さん
応援よろしくです!
- 35 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:27
- 絵里達が待合室に戻ると、そこには他の二人のメンバーがいた。
奥に座って音楽を聴いているのが、副隊長を務める藤本美貴さん。
カッコイイ人なんだけど、目つきや口調が強めでちょっと怖い感じかな。
今では慣れたとしても、最初に会った時には話しかけるのも怖かったな〜。
っていうか、今も恐ろしい目をして壁を睨みつけている。
何でそんなにキレてるんだろ・・・?
本当は諜報部員だったんだけど、"ある理由"から絵里達と同時期に加入したの。
藤本さんとは組んだりするのがあんまりないから、その強さはまだ未知数。
そして、ノートパソコンをカタカタといじっているのは、ガキさんこと新垣里沙ちゃん。
愛ちゃんと同期で、当初は彼女の補佐役についてたみたい。
だけど、そのあとに他の同期が脱退したために、それまで内勤をしていた人が
いなくなっちゃったもんだから、最近は中での仕事が多くなってきた。
絵里と同じ年で、けっこう仲がいいんだな〜これが。
- 36 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:28
- ガキさんは仕事に集中してて、絵里達に全く気付いてないみたい。
愛ちゃんは一息ついて、ガキさんに近寄って肩をポンと叩いた。
「里沙ちゃん。そろそろ時間やで。」
「ん、愛ちゃん達もトレーニングは終わったのね。全員集まったことだし、
そろそろ仕事の話しでも始めようかね。」
「おう。そんじゃ、美貴ちゃんも呼んでくるわ。」
そう言って、愛ちゃんは藤本さんに向かっていった。
こればっかは本当にすごいな〜って感心する。
今の藤本さんに話しかけられるのは、隊長でも嫌な顔するのに
愛ちゃんは普通に話しかけてる。
これが絵里だったら殺されてるかも・・・。
- 37 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:29
- まだ不機嫌そうな顔をしてる藤本さんを、引きずるようにして連れてきた愛ちゃん、
ここに隊長を除く6人が集まった。
って、隊長がどうしていないの?
「ガキさ〜ん。うちの隊長はどうしたの〜?」
「ああ、カメ達は知らないんだね。吉澤さんなら・・・。」
「暇やからってナンパしにいきよったわ。」
ガキさんの言葉を遮ってそう言った愛ちゃん。
絵里達が口を開くより先に、信じられないほどの殺気が部屋を包み込んだ。
それは、愛ちゃんの隣にいる藤本さんから放たれていた。
常人がここにいたら、確実に気を失ってるよ。
- 38 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:30
-
「ハァッ?何よそれ、美貴達が働いてる時にそんなことしてるわけ?」
「もっさん、吉澤さんはお偉いさん達との打ち合わせで、ここにはいないんだよ。
愛ちゃんもさ、こんな時に冗談言うのやめてね。」
「何、冗談なの?」
「アハッ、そう怒らんの。可愛い顔が台無しやざ。」
「べ、別に可愛くなんか・・・。」
おお、藤本さんが照れてる!?
絵里、初めて見た・・・隣のさゆとれいなも口を開けて見ている。
こんな藤本さん、そう見られるもんじゃないもんね。
絵里達"モーニング"の隊長は、ここにはいない吉澤ひとみさん。
本当は副隊長になる予定だったのに、前の隊長がヘマをやらかしたことから辞任して、
今は隊長についている。
- 39 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:31
- 絵里達の面倒を見るというより、重要な役や話し合いの場に赴くことが多いため、
ほとんど単独行動ばっか。
最近も全く顔合わせてないな〜。
「仕事の話しに入る前に、こっちにきていいよ。」
ガキさんがドアの方に呼びかけた。
さっきから人の気配は感じていた。
例え姿が見えなくても、どこにいるかはすぐにわかる。
ドアが開いてひょっこりと現れたのは、まだ幼い、とはいっても絵里よりも
身長の高い、可愛い女の子だった。
緊張してるっていうより、ものすごい笑顔だ。
その子はトコトコと絵里達の前にやってきた。
- 40 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:32
-
「カメ達は初めてだよね。自己紹介して。」
「は〜い!新しくモーニングに入ることになりました、久住小春です。
よろしくお願いしま〜す!」
小春ちゃんは大きく頭を下げて、またとびっきりの笑顔を見せた。
絵里達にとって、初めてできた後輩。
とてもじゃないけど人を殺せるようには見えない。
まぁ、それは絵里達も同じだけどね。
「初めまして、亀井絵里です。」
「田中れいな、よろしく〜。」
「道重さゆみで〜す。よろピ〜ンク♪」
部屋がものすごく寒くなったんですけど・・・。
それでも笑ってる小春ちゃん、若い証拠なのかな?
- 41 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:32
- 誰も言葉を発せない中、ガキさんが一つ咳払いをして口を開いた。
「ま、まぁともかく、こんな変な先輩もいるけど、がんばってね。」
「新垣さ〜ん。さゆみは変じゃないですよ〜。とっても可愛い・・・。」
「愛ちゃんとモッさんはそろそろ時間だから、準備しておいてね。」
さゆを無視して愛ちゃん達に声をかける。
二人は腰を上げて立ち上がった。
「やれやれ、遠征は好きじゃないな。」
「仕事やから仕方ないやよ。がんばろっ!」
「そうだね。さっさと終わらせてくるか。」
愛ちゃんと藤本さんは、話しながら部屋を出て行った。
- 42 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:33
- 遠征って言ってたよね、うちの二人のエースが出るってことは、
それだけ大きな仕事だってことかな?
「ねぇねぇ、ガキさん。愛ちゃん達って何してくるんですか〜?」
「ああ、これだよ。」
ガキさんが紙をフラフラと振って見せた。
どれどれ・・・うぇぇっ!
SSランクの仕事じゃないですか!
それをたった二人って、生きて帰ってこれるのかな・・・?
あの二人でもさすがに心配になってきた。
「ガキさん・・・あの二人、大丈夫だよね?」
「心配いらないよ。あっちで吉澤さんも合流するし、あの三人だったら
無事に帰ってくるよ。」
「・・・そうだよね。」
そうだよ、大丈夫だよ。
たまに頼りないとことかあるけど、あの人達の実力は本物のプロなんだから。
- 43 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:35
- 絵里があの人達にできることは、信じることだけ。
絵里は絵里でやれることをしっかりやろう、うん。
「ところでガキさん、今日の絵里達の仕事は?」
「う〜んとね、そこら辺は昼頃になってから話すよ。それまでは
小春ちゃんと話したり、好きにしてていいよ。」
「本当に〜?」
最近仕事ばっかだったから、こういう時間は嬉しいな〜。
ガキさんは仮眠をとるからって別の部屋に移動した。
絵里はガキさんを見送ったあと、話しに華を咲かせている三人に混ざった。
- 44 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:36
- お昼ごはんを食べたあと、アナウンスが流れて絵里達は呼ばれた。
場所は通信室、基本的にガキさんはここにいるんだ。
"あの人"がやめてからは、絵里達のサポート役に回ってくれてるの。
「四人とも揃ってるね。」
「新垣さん、今日は何すると?」
「田中っち、慌てないの。これから説明するよ。ハイ。」
ガキさんは絵里達にそれぞれ数枚の紙を渡した。
ふむふむ、今回の任務は破壊活動ね。
兵器を無断で作ってるところがあるから、絵里達で殲滅しろってね。
すでに二回呼びかけているので、投降はするつもりはないと。
ランクはAみたい。
このランクっていうのは任務の難易度を表すもので、低いものでEランク、
一番高いのではSSSランクっていうのがある。
- 45 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:37
- EやDランクなら、特に問題なく解決できるレベルで、CやBレベルになると、
一人だとけっこう面倒な作業が出てくる。
今回のAランクではけっこう苦戦するかもって感じなんだけど、
絵里達三人が揃えば簡単にクリアできるでしょ。
油断は微塵もするつもりはないけど、心に余裕が生まれるのも確かだ。
この世界では常にデッドオアアライブ、だけどそれ以上のレベルはいくら絵里達でも、
死ぬ可能性がすごく高くて、特にSSランクなんかはとてもじゃないけど厳しすぎる。
現実は厳しいね〜。
けど、一つ引っ掛かることがある。
「新垣さん、れいな達三人も必要ですか?」
絵里もれいなと同じ疑問を持っていた。
- 46 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:38
- Aランクなら一人でも可能だと思う。
そこに三人も必要なのかな?
念には念をってこと?
「今回の任務は三人じゃないよ。四人で行ってもらう。」
「四人・・・ってことは、小春ちゃんも行くんですか?」
「愛ちゃん達は別の任務についてるし、あんた達だってすごく成長したでしょ。
小春ちゃんにもそろそろ実戦についてもらうつもりだよ。」
「けど、危険やなか?初任務でAランクって・・・。」
「小春ちゃんは、トレーニングルームですでにBランクまでは突破している。
あとは現実世界でどこまでやれるかだよ。そのためにカメ達にカバーしてもらう。
無理そうならやめるけど?どうする?」
「だ、誰も無理だなんて言ってなかよ!れいな達大丈夫です!」
「さゆみも小春ちゃんを庇ってあげるから問題ないですよ。」
はぁ、ガキさんも絵里達の扱いを理解してんのね。
- 47 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:39
- ああ言えば絶対にれいなは実行するし、さゆも流されていく。
まぁ、なんとかなるかな。
「カメはどう?」
「もちろん、俄然強めって感じ〜。」
「そっか。これからヘリコプター出してもらうから、それに乗ってってね。
任務開始は15:30。健闘を祈る。」
「「「ラジャー!!!」」」
絵里達はビシッと敬礼で返した。
小春ちゃんも少し遅れて敬礼する。
よ〜し、先輩としてカッコイイとこ見せますか!
絵里達は任務について話しながら部屋を出て行った。
- 48 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:40
- ヘリコプターに乗って、現場から少し離れたビルの屋上に到着。
屋上から見たところ、今回はそこそこ広い工場みたい。
警備員は二人だけ、これなら入るのは容易いね。
三回目の投降でも聞かなかったから、もう容赦はしない。
この世に悪がいる限り、絵里達が正義となるのだ!
絵里、カッコイイ〜。
「絵里、何ニヤニヤしとると?」
「また変な妄想してるの?キショイの。」
「だ、大丈夫ですよ!それも個性だと思いますよ。」
まさか小春ちゃんに慰められるとは・・・トホホ。
- 49 名前:新メンバー 投稿日:2006/11/23(木) 20:41
- そんなことで落ち込んでなんていられない。
顔の表情を引き締めて、絵里は後ろを向いた。
時刻は15:28、そろそろ時間だ。
「れいな、さゆ、小春ちゃん、行くよ。」
「は、はい!」
「心配しなくて大丈夫なの。さゆみ達が守ってあげるの。」
「れいな達は強いけんね。しっかり見てると。」
「はい!」
よし、それじゃ行きますか。
絵里は一度三人に笑みを見せて歩き出した。
絵里達の強さを見せ付けてあげないとね。
ミッションスタート!
- 50 名前:ais 投稿日:2006/11/23(木) 20:42
- 交信しました
- 51 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/24(金) 02:25
- 愛ちゃんと美貴がかっこいい♪そして気になる
- 52 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:37
- 絵里達は正面から堂々と歩いていく。
絵里達は手ぶらだし、まぁ弱冠一名槍を布で隠してて目立つ人もいるけど、
見た目は可愛い女子高生だから、特別警戒されるようなこともないでしょ。
正面を守っていた二人の男は、絵里達に気づいて近寄ってきた。
「君達、ここは立ち入り禁止だよ。」
「そうなんですか〜。なら、お邪魔しま〜す。」
絵里がそう言うと、もう一人の男の人が睨んできた。
う〜、そんな怖い顔してるとモテないですよ。
「あのね、君達はここに入ることはできないの。わかったかい?」
「れいな〜。絵里、間違ったこと言った〜?」
「間違っとるに決まっとるやろ。」
「さゆみ達は"モーニング"なんだから、断る必要ないの。」
「「なっ!?」」
さゆの言葉に、二人は慌てて懐に手を伸ばした。
- 53 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:38
- 手馴れた様子で銃を絵里達に向けてくる。
そんなもので絵里達がビビるとでも思ってんのかな?
警戒するのが遅すぎですね。
キンッ!ドスッ!
絵里の振るったトルテュが銃を切り飛ばし、もう一人の男の胸をれいなが、
いつの間にか布を剥ぎ取ったリジィエで貫いた。
銃を失った男は、今にも泣きそうな顔をして逃げ出した。
男はポケットからIDカードを出して、工場の扉の鍵を開けた。
- 54 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:39
- ここまでは作戦通り、お疲れ様でした〜。
パンッ!
さゆの撃った弾が男の頭を打ち抜いた。
鍵さえ開けばもう用はないもんね。
さてと、ここからが本番だね。
絵里達は固まって扉に近づいていく。
「小春ちゃん、準備はいい?」
「はい!大丈夫で〜す。」
「さゆみが守るから問題ないの。」
「そんじゃ、いくと。」
れいなが扉を開いた。
その瞬間、
ダダダダダダッ!!!
いくつもの銃弾の嵐が扉を撃ち飛ばした。
- 55 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:41
- れいなとさゆは右に、絵里は小春ちゃんを抱えて横に避けた。
もう、失敗したな〜。
きっとどこからか監視カメラで見られてたんだ。
それにしても、久しぶりに興奮してきた。
心拍が上がるたびにトルテュを握る力が強くなる。
やばい、銃声を聞くたびにドキドキしてきちゃった。
絵里はちょっと体質が変わってるみたいで、普段は完全平和主義、
戦場では興奮すると血に飢えた狼になる。
ここにいる人達は全員滅殺確定だね。
さっさと投降しなかったあなた達がいけないんだからね。
絵里は口元に一度笑みを浮かべて、れいな達を振り向いた。
- 56 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:44
- ちょっと〜、何で二人とも引きつった表情してんの〜?
何か言いたげな絵里に見かねたのか、れいなとさゆは小さくため息をついた。
「絵里、こんなとこでニヤけないの。」
「小春に悪い影響だけは与えんでね。」
「仕方ないでしょ。れいな、次止まったらいくよ。」
銃声が鳴り止んだ。
れいなと目で合図して一気に飛び込んだ。
中には四人、再び銃を撃ってきた。
だけど撃つのが遅いし狙いが甘いんだよ。
- 57 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:45
- 少し避けるか弾くだけで、絵里には全く当たらない。
「バイバイ。」
スパッ!
絵里が二人の男を通り抜けた瞬間、二人の首から血が噴出した。
もう二人は、れいなのリジィエに斬られて地面に倒れ込んだ。
余裕だね。
って思った直後に、奥からさらに二人の男が出てきて、また銃を撃ってきた。
しつこいな〜、さっさと逃げてれば殺さないであげたのにね。
- 58 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:45
- 絵里とれいなが前に走り出そうとした。
同時に、
パンッ!パンッ!
絵里達の真ん中を通り抜けた二発の弾。
それらは男達の頭を確実に貫いていた。
「さゆ、横取りやと。」
「さゆみだって、小春ちゃんにかっこいいとこ見せたいんだもん。」
プリプリポーズをとるさゆと、渋い顔をするれいな。
小春ちゃんは血に見馴れてるのか、もしくはこれが彼女の特徴なのか、
こんな時にも笑顔だ。
たぶん本人は自意識がないだろうから、帰ったらガキさんにでも聞いてみようっと。
- 59 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:47
- そこからも絵里達は順調に進んでいく。
絵里とれいなで通路を突き抜け、さゆは小春ちゃんを守りながら
後ろから援護してくれる。
不意打ちや多人数相手は当たり前、そんなものには特訓で慣れてるし、
小春ちゃんを庇うさゆの心配もしていない。
さゆ専用の銃、"リュー"は、銃の両端に縦がついているから、それで弾を防げる。
何よりも、小春ちゃんも弾が見えているみたいだから、よほどのことがない限りは大丈夫だと思う。
ようやく一段落ついて歩いていると、横の部屋の扉が開いて一人の女の人が飛び出してきた。
部屋には他に気配はなくて、その女の人は壁に背をつけて震えている。
- 60 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:48
- 女の人は泣きながら座り込んだ。
むっ、大きな胸でいいな〜・・・べ、別に羨ましくなんかないもん!
だって、任務とかで邪魔だし、絵里には必要ないも〜んだ。
見たところ武器はどこにも持ってなさそう。
絵里達は一度目を合わせて、女の人を素通りすることにした。
向かってこないなら興味がない。
一番後ろにいる小春ちゃんが通り過ぎようとした瞬間、その女の人は
胸の谷間からナイフを取り出して、小春ちゃんに振り下ろした。
タンッ!ドンッ!
絵里達はこの人の殺気に気づいてた。
さゆの放った弾がナイフを弾き飛ばし、直後にれいなが女の豊富な胸を突き刺した。
- 61 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:49
-
「小春ちゃん、油断したらだめなの。」
「ここで信頼してもいいのはれいな達だけやと。」
「は〜い。」
小春ちゃんは元気な返事をしたけど、絵里が動かなかった理由は、
小春ちゃんも狙われたことをわかっていたと思うんだ。
Bランクまでクリアした小春ちゃんが簡単に殺されるわけがない。
それとは別に、小春ちゃんの力が見れるチャンスだと思ってた。
ガキさんが言うには、小春ちゃんの武器は小春ちゃん"自身"だとしか教えてくれなかった。
まぁ、次の機会でいいかな。
いずれは一緒に戦う日がくるんだからね。
絵里達は気を取り直して前に歩き出した。
- 62 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:50
-
「失礼します!」
ある一室に、一人の男が飛び込んで声を上げた。
部屋のデスクの前に座っている、長い金髪にサングラスをかけた男は、
パソコンから目を離して入ってきた男を向いた。
「ハタケ様!大変です!」
「そんなに声を荒げてどうした?例の侵入者達の始末は終わったのか?」
「それが・・・ただいま最終防衛ラインまで突破されました。その他は全滅です。」
「くっ、モーニング、か・・・噂通りの凄腕揃いのようだな。」
モーニングのメンバーに狙われた人は、この世に一人として生存している者はいない。
それは今ここにいる全ての人間が標的となっている。
- 63 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:51
- ハタケと呼ばれた男は、しばらく唸ったあとに腰を上げた。
「俺はまだ死ぬわけにはいかんのだ。どうせなら"あれ"を起動させてみようじゃないか。」
「"あれ"、と申しますと・・・まさか!?」
「ああ。実験体にはちょうどいいだろう。うちの科学力を見せ付けて
教えてやろうではないか。人間の動かす時代はもう終わりだということを!」
ハタケは大声で笑い始めた。
そして、男と共に部屋を出て行った。
- 64 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:53
-
ダダダダダッ!
途切れることなく降り注ぐ銃声。
部屋の中には見たところ十人くらいが、部屋の両脇に半々くらいに分かれてて、
さらに壁掛けの上から二人がこっちを狙って撃ってきてる。
その部屋に入ろうとして、絵里達は入り口の前から身を潜めてる。
部屋までの通路が狭くって、これじゃ入ったと同時に狙い撃ちされる。
こんなんじゃ中に入るのも面倒くさいよね。
まぁ、要はやり方次第だけどさ。
「さゆ。」
「任せるの。今日は・・・これにしようかな。」
さゆが腰についているポーチから取り出したのは、銀色の弾丸。
それを銃に詰めて、部屋の中にいた一人の男に打ち込んだ。
- 65 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:55
- 弾が男に当たった瞬間、部屋の中を急激な光を包み込んだ。
さゆの放ったのは特殊な弾丸、"フラッシュショット"
玩具が好きな彼女は、こういった物を作るのが好きみたい。
閃光弾を放り込んだりしても、弾に当たると中途半端にしか光らなくなる。
その点、さゆのフラッシュショットなら確実に相手を打ち込めるから、
ダメージはそこそこでも狙った場所に光を放つことができる。
「れいな!」
「OK!」
時間は一瞬あればいい。
相手が気づいた時には、絵里達は部屋の中央にまで走り込んでいた。
- 66 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:57
- 当然のごとく全ての銃がこっちを向いた。
でも、忘れてませんか〜?
絵里達は"挟まれている"ことを。
銃が放たれようとした瞬間、絵里達は同時にその場から離れた。
「うがっ!」
「ぎゃぁぁっ!」
左右同時に撃つんだから、同士討ちが起こった。
絵里って頭いい〜♪
相手が怯んでいる隙に、絵里は右側の男達を狙いを澄ませた。
三つの銃がこっちを向いたけど、もう遅いよ。
ズババッ!
絵里がトルテュを振り払うと、男達は血を噴出して倒れていく。
- 67 名前:任務開始 投稿日:2006/12/07(木) 23:59
- れいなの方もすぐに終わって、上の二人はさゆが撃ち殺した。
絵里は血のついたトルテュを舌で舐めとった。
やっぱり美味しくはないか。
「絵里、次に行くの。」
「うん。ガキさんの話しだとあと少しだよね。がんばろう!」
守りが強くなってきたし、そろそろ終わりに近づいてきたかな。
この勢いで、さっさと終わらせちゃいますか!
- 68 名前:任務開始 投稿日:2006/12/08(金) 00:00
- 最後に入った部屋は、今までで一番広かった。
中は少し薄暗くて、機械が動くような音がずっと聞こえてる。
暗いとこは嫌いなんだけどな〜って思ってると、突然電気の部屋がついた。
部屋の中央辺りに、一人の金髪の男が立っていた。
確かターゲットの"ハタケ"って人だ。
この人を殺せば終わり、なんだけどあの自信満々な笑みは何なんだろ?
「あなたがハタケさんなの?」
「そうだ。俺がハタケ、ここの職長だ。」
「職長だかなんだか知らんけど、あんたの命はここまでやと。」
「人を殺す兵器を作るなんて許しませんよ。」
「兵器?違うな。これは人類の文明なのだよ。見よ!」
ハタケが腕を振るうと、上から三つの物体が落ちてきた。
- 69 名前:任務開始 投稿日:2006/12/08(金) 00:01
- それは、絵里達と同じ二足歩行で動くロボットみたい。
「ハカセ、アノモノタチガエモノデスカ?」
「そうだ。やつらが俺達の夢を壊そうとする悪者達だ。」
「ゼンインハイジョデヨロシイデショウカ?」
「もちろんだ。頼んだぞ。」
「リョウカイ。」
誰が悪者なんでしょうかね〜。
三体のロボットがこっちを向いた。
「・・・カッコイイですね〜。」
「「「いやいやいや・・・」」」
小春ちゃん、感心してる場合じゃないから・・・。
まさかここまでマイペースだとは思わなかったよ。
- 70 名前:任務開始 投稿日:2006/12/08(金) 00:02
- それにしても、人型ロボットか・・・確かに人類は進化してきてはいるけど、
ここまで人工知能が備わっているロボットなんて見たことない。
だけど、相手にとって不足はない。
「面白そうっちゃね。機械が相手やと。」
「小春ちゃんは下がってるの。巻き込まれないように気をつけてね。」
「はい!」
「さゆ、れいな、いくよ。」
掛け声と同時に絵里は飛び出した。
後ろからさゆとれいなも続く。
三対三の真っ向勝負、ロボットとはいえ絵里達に敵対したことを、
十分に後悔させてあげるんだから!
- 71 名前:ais 投稿日:2006/12/08(金) 00:02
- 更新しました〜。
- 72 名前:ais 投稿日:2006/12/08(金) 00:03
- >>名無し飼育さん
いずれは愛美貴も登場させる予定です。
彼女達もすごいことになると思われ(ry
- 73 名前:たま 投稿日:2006/12/09(土) 11:25
- 亀ちゃんがちょっぴり怖いですね(笑)行動自体は可愛いのに♪
私もSSの仕事をしに行った愛ちゃんと美貴ちゃんが気になります♪
次の更新楽しみにしてます☆
- 74 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:29
- 絵里が向かった先には、真ん中にいる全体がギザギザした形の銀色のロボット。
飛び込んで一瞬で切り裂く。
この作業は人間だろうとロボットだろうと関係ないよ。
絵里は腰からトルテュを抜き出して、さらに走るギアを上げようとした。
だけど、それより先に横にいる3メートルくらいある、大きなロボットの両腕がパカッと開く。
ドドドドドッ!
うげっ、ガトリングガンじゃん!
絵里達は横に飛んで弾を避ける。
その直後に、もう一体の騎士のように鎧を纏ったロボットが、フェンシングみたいな
剣を構えて突っ込んできた。
「絵里!上に飛ぶと!」
「えっ?うん!」
絵里が飛んだ瞬間、後ろかられいなの強力な突きがロボットを弾き飛ばす。
- 75 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:30
- でも、ダメージはなさそう。
あの一瞬のうちに、腕についてる盾で守ったみたい。
ロボットのくせに、思った以上に骨があるようだね。
「スラッシュ!バスター!ナイト!何をしている!?早くやつらを殺せ!」
後ろからハタケが叫んだ。
大体名前でどのロボットなのかわかった。
ガトリングをつけた大きなロボットがバスターで、騎士の格好をしたのがナイト。
まだあの得体の知れない銀色のロボットがスラッシュかな。
三体とごちゃごちゃ戦ってたら邪魔になる。
一対一に分かれた方がよさそうだね。
- 76 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:31
-
「れいな、あの騎士をお願い。さゆはあのガトリングガン持ってるやつね。
絵里はあのギザギザを叩く。」
「わかったと!」
「任せるの。」
さゆが後ろからバスターに銃を放つ。
でも、それらは硬い体に弾かれてしまう。
よ〜し、それでいいの。
さゆがあいつを引き付けてくれれば、絵里達が他の二体を相手をする。
狙い通り、バスターはさゆが避ける方向を向いて、ガトリングガンを放っている。
あとはこっちも引き離すだけ。
- 77 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:31
- おわっ、ナイトが猛スピードで絵里に向かってくる。
そこに、れいなが横からナイトの槍を弾いた。
「お前の相手はれいながするっちゃ!」
「フフ、オモシロイ。」
んじゃ、れいながこいつの相手をしてくれているうちに・・・あれ?
もう一体のスラッシュってやつがいなくなってる。
どこに・・・ん、影?
絵里は上を向いた瞬間、その場から離れた。
ザシュッ!
上から跳んできたスラッシュの腕が、地面を切り裂いていた。
- 78 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:32
- 何、こいつの腕・・・?
けど、考えるより先にまずはこいつを斬る!
絵里は素早く懐に飛び込んで、トルテュを一閃させた。
キンッ!
あれ・・・弾かれた?
狙った箇所は顔。
だけど、まるで剣とか刃物に当たったような感触だった。
「ムダダ。ワタシニハソンナモノハキカン。」
「そんなことわかんないじゃん。」
「ワカルノダ。ナゼナラワタシハ、カラダノホトンドガキョウキナノダカラ。」
スラッシュが足を振り上げて絵里の顔を狙う。
甘いよ、絵里は直前まで引き付けて首を横に振って避けた。
- 79 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:33
- ならばもう一度!
絵里が走り出そうとした瞬間、今度は振り上げた足を振り下ろしてきた。
絵里が寸前で後ろに避けると、またさらに地面が切り裂かれた。
同時に、絵里の頬から血が垂れてくる。
思った以上に柔軟性があり、かつ全てが武器ってことですか。
しかも機動性が優れててかなり速い。
こいつは倒すのが面倒だね・・・でも、絵里の顔に傷をつけた罪は重いよ。
ギッタギッタに斬りつけて、ぶっ倒してやるんだから!
- 80 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:34
- さゆが相手をしているバスターは、ひたすら両腕のガトリングガンを撃ち続けている。
だけど、さゆはそれを冷静に避けるか、リューを使って防いでいる。
ガトリングくらいでやられる絵里達じゃないもんね。
「そんなもので、さゆみを殺せると思ってるの?」
「ニンゲンニシテハデキルヨウダ。ナラバ、コレデドウダ!」
バスターの胸と肩が開いて、そこからいくつものミサイルが飛び出した。
さゆはポーチから赤い弾を取り出して、リューに詰め込む。
そして、
ドンッ!ドンッ!ドンッ!ボボボボボッ!
向かってくるミサイルを打ち抜いて、全て爆破させた。
- 81 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:35
- さゆが放った弾はボムショット。
弾が当たると爆弾する特殊弾なの。
普通の弾丸じゃ打ち抜けないから、爆発させたんだ。
さゆの周りが爆煙で見えなくなる。
それでも、感じ取る能力に長けてるさゆなら、弾が飛んできても対処は可能だ。
無闇に動くと狙い撃ちされるのが目に見えてるから、ここはあえて動かない。
神経を研ぎ澄ませて煙が晴れるのを待っていると、一瞬にして暗い闇に覆われた。
さゆの目の前には、予想と反してバスター本体が突っ込んできていた。
「タマガキカナイナラ、コレナラドウダ!」
ボンッ!
重火器の爆発を利用した反動で、猛スピードでバスターの巨大な腕が
さゆの体を捉える。
- 82 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:36
- さゆはリューで防ぐけど、そこはさすがに抑えきれるほど半端な攻撃じゃなくて、
さゆは壁に強く叩きつけられた。
「くっ・・・。」
「フハハッ!ニンゲンゴトキガオレニカナウト・・・ナニ?」
笑っていたバスターの体が後ろに体を引かせた。
「いちいちうるさいの。もう終わりにするの。」
恐怖の知らないロボットですら怯えさせるほどの強力な殺気が、
さゆから放たれていた。
- 83 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:37
-
「おりゃぁぁっ!」
「フンッ!キカンゾ!」
剣を避けつつ放ったれいなの槍が、ナイトの盾によって弾かれる。
ナイトの動きはれいなに引けをとらないほどに速い。
そして、強固な盾で守られていることから、まだダメージは与えられていない。
「ったく、れいなの槍を弾くなんて、なかなか大したもんやと。」
「ニンゲンノコウゲキナド、キクワケガナカロウ。」
「その人間に作られたくせによく言うと!」
「ニンゲンニハデキヌカラオレタチガツクラレタノダロウ。コノコウゲキヲヨケレルカ!?」
バババババッ!
ナイトの攻撃がくる瞬間、れいなは横に飛んで避けた。
- 84 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:38
- その直後に、壁にいくつもの穴が空いていた。
超高速攻撃だったため、摩擦で穴からプスプスと焼けるような匂いがする。
「ロボットのくせに、ずいぶんと速いとね。」
「ソコマデヘラズグチガキケルトハ、キサマモタイシタモノダ。ダガ!」
ナイトの連続攻撃がれいなを襲う。
あまりの速さに、れいなは避けることで精一杯だった。
れいなの腕がピッと切れて、血が垂れていく。
- 85 名前:ぶっ飛ばすよ! 投稿日:2006/12/12(火) 23:38
-
「ちっ!このっ!」
「ムダダ!」
やっぱりれいなの槍は盾に弾かれちゃった。
ナイトはれいなの顔に目掛けて剣を向けた。
「ムダダトイッテイル。コノタテハイカナルモノモハジキカエス。
ソロソロオワリニシテヤロ・・・ム?」
「無駄無駄って、何を根拠に無駄やって言ってると?」
「キサマ・・・。」
「お前に見せてやるっちゃ。れいなとリジィエの力を!」
れいなは、薄く笑みを浮かべて槍を構えた。
- 86 名前:ais 投稿日:2006/12/12(火) 23:39
- 今回の更新でした。
- 87 名前:ais 投稿日:2006/12/12(火) 23:40
- >>たまさん
可愛く怖い、これがこの小説のモットーかとw
愛美貴の仕事は後々ですね。
また他のメンバーも続々登場予定です。
- 88 名前:たま 投稿日:2006/12/13(水) 00:26
- さすが可愛く怖い…W
今回も楽しませていただきました☆次回も楽しみにしてます♪
- 89 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:02
- 絵里にスラッシュが腕を振り下ろしてくる。
スラッシュが振るうたびに、壁や地面が切り裂かれていく。
「遅いですよ〜。」
「コノ!コレナラドウダ!」
絵里が避け続けてると、今度は回転して体全体で切りかかってきた。
絵里の避けた後方には、縦一直線に大きな裂け目ができていた。
大した大技だけど、それくらいのスピードで絵里を殺せると思ってたら大間違いだよ。
こんなオンボロ工場がどんだけ傷ついたって構わないけど、こっちは早く帰りたいんだよね。
もう、いいかな。
- 90 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:03
- イラついたスラッシュは、右腕を大きく振りかぶって向かってきた。
これを待ってました〜。
「イイカゲンニシネッ!」
ポトッ!
スラッシュの右腕が地面に落ちた。
もちろん、絵里のトルテュが切り裂いたんだ。
「ナ、ナゼワタシノウデガ・・・。」
「確かにあなたの体の大半は凶器に包まれてるよ。でもね、柔軟性が高い分、
関節部だけは装甲が薄いってことに気付いたんだよね〜。」
「ヌッ、ォォォッ!」
絵里の言葉の途中で、スラッシュが足を振り上げた。
- 91 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:04
- だから、あなたの攻撃は意味をなさないんだよ。
次は足の関節を切り飛ばしてやった。
「絵里に戦いを仕掛けたあなたが悪いんだよ。バイバ〜イ。」
「バ、バカナ・・・。」
ズバァッ!
絵里の一閃で首を切り飛ばした。
待てと言われて待つ人はいないってこと、これでインプットできたよね。
もうこの世にいないから、どうでもいいかな。
あとは他の二体、さゆとれいなはどうなったかな〜?
- 92 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:05
- さゆに睨みつけられたバスター。
震えているわけじゃないけど動くことができないみたい。
むしろ、さゆの得体の知れない力に、コンピューターがついていけてない感じ。
それでも、バスターはガトリングガンをさゆに向けた。
「コレデオワリダ!」
「終わりなのはあなたの方なの。」
さゆは二発の弾を指に挟んで、それを手際よくリューに差し込んだ。
- 93 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:06
- 再びガトリングガンの音が鳴り響く。
さゆはそれを横に飛んで避けると、銃口をバスターに向ける。
「フン。サッキノバクダンデオレヲウツノカ?オレヲタオセルカモシレナイガ、
カヤクニヒガツイテキサマラモシヌコトニナルゾ。」
「・・・ロボットのくせにバカなの。」
ドンッ!ドンッ!
ドシャッ!ガチャッ!
二発の銃声の直後に、バスターの両腕が地面に落ちた。
バスターは固まったまま動かない。
- 94 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:07
-
「ナゼダ!?キサマハイッタイナニヲシタ!?ナゼオレノウデガ・・・。」
「知ってどうするの?これから死ぬんだから教える必要ないの。」
バスターは知らないけど、さゆが放った弾は"エアショット"。
超極薄の円形の弾で、それをリューで放つことから超スピードによる空気の刃が出来上がる。
それでバスターの両腕が切り落としたってわけ。
「オイ、オレヲウッタラドウナルカワカッテルノカ?タトエサッキノタマデウッタトコロデ、
オレノカクガショウゲキヲウケテバクハツシ、コノヘヤガマルゴトフキトブゾ!」
「だから何なの?そんな脅しに屈すると思ってるの?」
さゆは躊躇いもなく銃をバスターに向けた。
- 95 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:07
- バスターはオドオドと後ろに下がる。
ロボットでも恐怖ってあるもんなんだね。
「敵を倒す手段なんていくらでもあるの。これで死んでね。」
「ヌッ・・・。」
ドキュゥゥゥゥンッッッ!
さゆが放ったあとには、バスターの上半身は粉々に吹き飛んでいた。
爆発もさせないほど粉々にしちゃえば問題ないもんね。
- 96 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:09
- 今さゆが撃ったのは、さゆの超必殺武器の"スパイラルショット"
さっきの"エアーショット"を高速回転で放つことで、強力な空気の大砲になる。
超金属で作られたリューだからこそ放てる弾。
だけど、この武器は反動があまりにも強すぎるから、滅多に撃つことはないんだ。
「よし、今日も強いし可愛い♪」
さゆは自慢の顔を両手で挟んで微笑んだ。
お願いだから任務中は控えてね・・・。
- 97 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:09
- いくつもの突きの嵐が繰り広げられている。
れいなの槍をナイトは盾で守り、ナイトの剣をれいなは避け続ける。
一度金属がぶつかる音が響いて、二つの影はそこから離れる。
「ナンドムダダトイッテイル?キサマノコウゲキハキカン。」
「・・・その盾、うざいっちゃね。」
れいなは槍を両手で振り回して、身を低く構える。
「本当にその盾が役に立つか、試してみると?」
「ム?ナニヲイッテ・・・。」
「一つだけ言っとくと。お前は次のれいなの攻撃で倒す。」
ナイトは一つ沈黙を置いて、剣を前に向ける。
そして、前に走り出した。
- 98 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:10
-
「オモシロイ!キサマガドウヤッテオレヲタオソウトシテルノカ、ミセテモラオウ!」
「それは無理やね。終わったときにはもう、お前は死んでると。」
れいなはまだ動かない。
ナイトの剣がれいなの顔のすぐ目の前まで迫ってきている。
「リジィエ・・・いくとっ!」
ドンッッッ!!!
二つの体が交差した。
- 99 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:12
- 同時に、盾が粉々に吹き飛んで、ナイトの胴体が地面に倒れた。
「マ、マサカコノオレガ、ヤラレルトハ・・・・」
「お前もなかなか強かったと。やけん、れいなの方が強かったってだけやね。
れいなに貫けんもんはなかよ。」
ドゴーンッ!
れいなが槍を持ち直して離れた瞬間、爆発が起こって吹き飛んだ。
れいなはナイトの残骸を一瞥して、絵里達に寄ってきた。
- 100 名前:負けられないね 投稿日:2006/12/15(金) 23:12
- さゆもれいなも強くなってるな〜。
絵里も負けられないね。
さてと、あとはハタケだけ・・・!?
いつの間にかいなくなってて、部屋の奥の方の扉が開いてる。
「絵里!やつを追うと!」
「うん!」
「小春ちゃんも急ぐの!」
「はい!」
部屋の隅で見ていた小春ちゃんも連れて、絵里達は走り出した。
絵里達の顔を見たからには、死んでもらうしかない。
ここまできて逃がさないよ!
- 101 名前:ais 投稿日:2006/12/15(金) 23:12
- 更新しました。
- 102 名前:ais 投稿日:2006/12/15(金) 23:14
- >>88
最高の褒め言葉ありがとうですw
まだまだこのメンバー達でいってきますよ(謎)
- 103 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/16(土) 00:37
- ぉー!6期の3人強いっすなーw
次も期待大
- 104 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:09
- 絵里達が奥の通路を走ると、上に続く階段があった。
それを駆け足で上っていくと屋上についた。
そのずっと先では、ハタケがヘリに乗り込んでいるところだった。
走ってるけど間に合わないかもしれない。
だけど、絶対に逃がさない!
「さゆ!」
「うん!」
さゆがボムショットをヘリに放った。
ボンッ!ボンッ!
二発の弾がヘリに当たって爆発が起こった。
- 105 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:09
- でも、全くの無傷だった。
恐らくは爆発なんかにも備えられている装甲ヘリなんだ。
「さゆ!スパイラルショットは!?」
「・・・わかったの。」
さゆがポーチに手を入れたとこで、れいながさゆの手を掴んだ。
よく見たら、さゆの指から血が滴り落ちていた。
そっか、さっきのスパイラルショットでもう・・・。
「くっ、絶対に落としてやるんだから!」
「絵里!?」
絵里は超スピードでヘリに走り寄る。
すでにヘリは浮き上がり始めていた。
- 106 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:10
- ぎりぎり間に合うかどうかってとこかな・・・。
とにかく今は走るしかない!
「こっ、のーっ!」
ヘリが飛んでいくとこに、絵里は大きく飛び上がった。
なんとか腕を伸ばすけれど、あと数センチってとこで届かなかった。
高さは十数メートルってとこ、死ぬことはないと思うけど、任務、果たせなかったな・・・。
絵里達の乗ってきたヘリに追跡してもらったとこで、あっちの装甲ヘリには
機関銃がついてたから、追いついても落とされる可能性の方が高い。
- 107 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:12
- あんなロボットが世に回ったら大変なことになるし・・・悔しいよぉ。
絵里は目を瞑って海に落ちるのを待った。
パシッ!
突然、落下スピードが止まった。
後ろから誰かに支えられているみたい。
アハハ、絵里、死んじゃったのかな?
天使さんに捕まえられるなんて・・・!?
後ろを振り返って驚いた。
「亀井さん、大丈夫ですか?」
「こ、小春ちゃん・・・?」
絵里を掴んでいたのは、天使じゃなくて小春ちゃんだった。
天使の羽を持っている〜♪
って歌があったっけな〜てそういう問題じゃない!
- 108 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:13
- ともかく、小春ちゃんの背中には、天使のような羽が生えていた。
えっ、えっ?
小春ちゃんが天使だったってこと?
この能力は・・・使えるね!
小春ちゃんが何者なのかは後回し、まずは任務を達成すること。
「小春ちゃん。あのヘリを追えるかな?」
「任せてください!」
小春ちゃんは絵里を抱きかかえたまま、猛スピードでヘリを追跡する。
- 109 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:14
- お〜、すっごく頼りになるね〜。
ヘリまであと少し、ってとこで機関銃がこっちを向いた。
「小春ちゃん!上に向かって!」
「はい!」
機関銃を避けながら、ヘリの真上まで翔び上がる。
よ〜し、ここだったら機関銃も届かない。
絵里は小春ちゃんの腕を離させて、ヘリに向かって落ちていく。
「そこっ!」
装甲ヘリといっても全てが硬いわけじゃない。
ヘリを支えるプロペラの支柱、絵里はそこを斬りつけた。
- 110 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:15
- 支えのなくなったヘリは、急降下して地面に墜落した。
絵里は落ちるより先に飛び上がって、小春ちゃんの手を掴んだ。
あれなら死んでると思うけど、とりあえずあとでガキさんに確認してもらおう。
「よし、一先ずは任務完了。戻ろっか。」
「は〜い。」
小春ちゃんは嬉しそうに羽を羽ばたかせて、さっきの基地に戻っていく。
それにしても、この能力は一体・・・?
やめ、考えるのはあとにしよっと。
絵里は色んな空想をしながら、決して乗り物などでは感じられない空の眺めを楽しんでいた。
- 111 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:16
- 基地に戻ってもまだ任務が全部完了したわけじゃない。
絵里達はメインコンピューターのある部屋に入った。
れいながポケットからCDを取り出して、それを近くのパソコンの中に入れた。
れいなは手馴れた様子でパソコンのキーボードを叩き始める。
絵里達のもう一つの仕事、それは基地のデータをハッキングしてくること。
あとで他の人にやってもらってもいいんだけど、どうせなら一気にまとめて
終わらせたいじゃん。
絵里達も一通りの知識は備わってるから、特に問題はないでしょ。
さゆは小春ちゃんと一緒に扉の前で、万が一のために見張りをしているんだけど、
話しに夢中になっててちょっと心配・・・。
まぁ、やる時はやるから大丈夫かな。
- 112 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:17
- 絵里はれいなのサポート、とはいっても何もなければ見てるだけなんだけどね。
れいながカタカタとキーボードを叩いていると、前にある巨大なスクリーンに、
さっきのロボットの詳細のようなものが出てきた。
見ているだけで頭が痛くなるくらい、文字の羅列が多すぎる。
このロボットを設計した人、ものすごく頭いいよきっと。
「れいな、どうかな?」
「この程度のファイアーウォールで、れいなから守れるわけ・・・よしっ!
これであとはCDに移して終わりやと。」
よ〜し、今日も無事に任務が終わりそうです♪
今日は早く帰れそうだな・・・そう思ってた時だった。
「何これ!?」
れいなが大声を上げて立ち上がった。
- 113 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:18
- 絵里がそっちを見ると、画面のスクリーンが赤く点滅している。
そして、徐々にデータがかき消されていく。
「れいな!地雷とか踏んだの!?」
「違う!れいなは何もしてない!別の誰かがここにウィルスを侵入させて、
データを削除してる!絵里、早く手伝って!」
「わかった!」
絵里も隣のパソコンかられいなに協力してデバッグしようとした。
でも、あまりにも相手の侵攻が早すぎて追いつけない。
絵里もれいなもなんとか抵抗しようとしたけど、数秒後には全てのデータが消されていた。
れいなは悔しそうにうな垂れてる。
絵里は呆然として画面を見ていた。
こんなこと、初めて・・・。
さゆと小春ちゃんが後ろから何か言ってたけど、何を話したのかは
あまりよく覚えてなかった。
- 114 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:19
- 絵里は電話でガキさんに任務が終了したことを報告して、絵里達の組織、"ハロー"に戻った。
ガキさんのいる通信室に行って、今日の出来事を簡単に報告した。
データが消されちゃって怒られるかな〜って思ったけど、ガキさんは渋い顔をして唸っている。
「そっか〜。そんなすごい人がいるんだ・・・なるほどね、お疲れさま。」
「ガキさん・・・絵里達のこと、怒らないの?」
「カメと田中っちの二人がかりでも全く相手にならなかったんでしょ?
だったら、私や他の人がやったところで、結果は同じだよ。」
「で、でも・・・。」
「そんなに気にしなくていいよ。あとのことは吉澤さんとか上の人に伝えて、
こっちでも検索してみるからさ。今日は終わりでいいよ。」
ガキさんは笑ってそう言うと、またパソコンに目を向けた。
絵里とれいなは、一度部屋に戻って帰る準備を始めた。
- 115 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:20
- さゆは小春ちゃんの天使の羽が気に入ったようで、二人でトレーニングルームに入って、
遊んでくるってさ。
先に帰る準備の終わったれいなが絵里を振り向いた。
「絵里、このあとどうすると?」
「絵里は、ちょっと寄るとこあるから先に帰ってていいよ。」
「・・・れいなも行ってもよか?」
絵里はれいなと顔を合わせる。
れいなも絵里が行こうとしているとこに気づいてるんだ。
絵里は小さく首を頷けて、かばんを肩にかけた。
- 116 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:21
- 絵里達が組織を出て、しばらく歩いてから入ったところは、この町の総合病院。
ここはハローの管理下でもあるんだ。
エレベーターで五階について、ある部屋の扉をノックして中に入る。
そこには、体中にチューブが取り付けられている、一人の女性が寝ていた。
絵里はベッドの近くにある椅子に座って、その人の顔を覗き込んだ。
れいなは病室の壁に腕を組んで寄りかかる。
「こんにちわ〜。」
「絵里、もうこんばんわやと思うけど。」
「ん〜れいなも細かいとこ気にしないの。久しぶりだね、マコッちゃん。」
この病室で寝ている人は、小川麻琴さん。
絵里達の一つ上の先輩で、愛ちゃん達と同期なの。
- 117 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:22
- いつも朗らかで、元気で明るくて、絵里達を励ましてくれた大好きな先輩。
なのに、ある時に深い傷を負って、ずっと昏睡状態が続いてるの。
あまりにもひどい怪我で、いつ目を覚ますかもわからない。
だから、任務が早めに終わったり時間がある日には、お見舞いにくるんだ。
「今日も絵里達がんばったんだよ〜。Aランクの組織を潰してきました〜。
それでね、絵里達に後輩ができたんだよ。久住小春ちゃんって子でね・・・。」
絵里は今日の出来事や最近のニュースとかを話し始めた。
聞こえてるかな?
聞こえてるよね、聞いてくれてるよね。
また、きちんと面と向かってお話ししたいな・・・。
- 118 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:23
- マコッちゃんもモーニングの一員なんだから、そんな簡単にやられるわけがない。
マコッちゃんは本当に強かったよ。
なのに彼女がやられたってことは、よほどの実力者なのか、それとも・・・。
そこの真相は誰にもわからないでいる。
「ねぇ、マコっちゃん。今日ね、すんごい人に会ったよ。会ったっていうか、
パソコンからデータを取り出そうとしたらね、いきなりデータを削除してきた
人がいたんだ。絵里とれいなが束になっても敵わないくらい、頭のいい人だったね。
もしかしたら、"紺ちゃん"くらいすごいかもね・・・。」
「絵里。その辺にしといた方がよかよ。」
「・・・わかってるよ。うん、わかってる。」
絵里はマコッちゃんの顔を見つめたあと、椅子から立ち上がった。
マコッちゃん、またきますね。
機械音の鳴る部屋に背を向けて、絵里は静かに扉を閉めた。
- 119 名前:小春ちゃんの能力 投稿日:2006/12/17(日) 23:25
- 名前:亀井絵里
年齢:18歳
武器:トルテュ(二本のナイフ)
履歴:中学一年の頃に強盗犯によって家族を失い、その一年後にある人間の推薦によって組織に入ることを認められる。
それからしばらくの間は、戦闘を強いられる特殊施設、"エッグ"により戦闘能力の強化。
二年後、実力が認められてさゆみ、れいなと共にモーニングに加入した。ナイフを持たせたら右に出る者はいない。
絵里は他の二人に比べて年上であることから、自らが前に立って二人を引き連れようとしているが、
自分と同じ匂いのするさゆに引き込まれては、前向きなれいなに引き上げられることが多いようだ。
絵里達の使う武器は、特殊な金属、"超合金"でできているので、滅多に壊れることはない。
- 120 名前:道重さゆみ 投稿日:2006/12/17(日) 23:27
- 名前:道重さゆみ
年齢:17歳
武器:リュー(盾のついた特殊拳銃)
履歴:中学に入りたての頃に、姉が強姦にあって殺害された。誰よりも自分大好きなさゆみは、
その事件により自分も狙われることを意識し、自らを守れるようになるために"エッグ"に入る。
あることから絵里達と仲良くなってからは、三人で行動する日々が増えていった。
拳銃の腕はスナイパー以上の実力を持っていて、例え100メートル離れた的があったとしても、
真ん中を打ち抜ける自信があるようだ。昔から玩具が好きで、弾の開発なども個人で行ったりしている。
自分に可愛さには絶対の自信を持ち、顔を傷つけるものはすぐにでも敵とみなして排除する。
- 121 名前:田中れいな 投稿日:2006/12/17(日) 23:28
- 名前:田中れいな
年齢:17歳
武器:リジィエ(槍)
履歴:れいなにとってつまらないことは、事件が起きることで外に出れなくなって、何もできなくなることだ。
あまりに犯罪の多いこの世に嫌気がさして、両親には新しい中学に転入すると嘘をつき、一人で家を出ることを決意。
自らの強い主張で"エッグ"に入ることを許可される。単純かつ正直で嘘のつけない真っ直ぐな少女。
絵里達を引っ張るのは面倒だが、三人で一緒にいるときが一番落ち着くようだ。棒術に長けていて、
槍を使えば自称天下一品。だが、先輩の高橋愛に勝負を挑んでは、よく打ちのめされている。
- 122 名前:ais 投稿日:2006/12/17(日) 23:29
- 今回の更新です。
レス119においては、名前を亀井絵里に変更してください・・・。
- 123 名前:ais 投稿日:2006/12/17(日) 23:30
- >>名無し飼育さん
六期も強いですよ〜。
今後の彼女達の成長を見てやってください。
- 124 名前:たま 投稿日:2006/12/18(月) 05:49
- たくさん更新されてる♪
小春ちゃんの能力スゴイですね☆
次回も楽しみです♪
- 125 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/21(木) 23:54
- 今日は待機の日で、呼び出されるまでトレーニングルームで修行中。
さゆは小春ちゃんを連れて任務に行ってるから、れいなと真剣勝負してるんだ。
修行といっても本気、マジと書いて本気です。
れいなとの戦績はほとんど互角、今日こそは勝ちを伸ばしたいんだよね!
今日の戦闘場所はビルの屋上。
勝負は簡単、死んだり落ちたら負け。
れいなの槍が向かってくる。
それを絵里はぎりぎりで避けて、トルテュを顔に突き立てる。
れいなは絵里の腕を弾いて離れる。
- 126 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/21(木) 23:56
-
「そんなの当たらんと!」
「れいなこそ絵里に当ててないじゃん!」
「ここからやと!」
槍という武器だから、れいなはどうあっても距離を離して戦いたがってる。
逆に絵里の武器はナイフだから、接近しないと戦えない。
れいなの槍を避けつつ、絵里が傍にまで近寄ると、れいなは後ろに跳んで離れる。
その繰り返しが何度か続く。
だけど今日の場所はれいなにとって不適だってこと、忘れてないかな?
ガシャ
「へへ〜ん、追い詰めたよ。」
「やばっ・・・。」
れいなの背中が屋上の手摺にぶつかった。
- 127 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/21(木) 23:56
- あと一撃、一撃避ければれいなはもう逃げれない。
その一撃が大変なんだよね〜。
とにかく集中して、れいなの動きを、目を見て徐々に距離を詰める。
勝負は一瞬、絵里は僅かに横にステップを踏んで飛び出した。
れいなのリジィエが伸びた。
今だ!
ピシッ!
皮一枚、絵里のお腹辺りの服が破れた。
けど、避けれた。
れいなは素早くリジィエを引き戻す。
- 128 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/21(木) 23:57
- でも、ほんのちょっとの差で絵里の方が早い。
これで絵里の勝ちだよ!
絵里はトルテュの先をれいなの胸に突き伸ばす。
あれ・・・?
ほんのごく僅かな違和感が、絵里に不安を与えた。
何だろ・・・!?
れいなの槍がすでに手元に戻ってる。
そっか、さっきの一撃はわざと短く持って戦ってたんだ。
って、やばいじゃん!
- 129 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/21(木) 23:58
-
「そこっ!」
「くっ・・・。」
ズバッ!
っつ・・・なんとか避けようとしたけど、右腕を深く斬られた。
けど、このまま引いたら絶対にれいなが有利になる。
れいな、ただじゃやられないよ!
絵里はもう使えない右腕を強引にも振り回して、れいなの左腕に突き立てた。
「うぁぁっ!」
「もらったよ!」
「やらせんと!」
ドンッ!
そこで絵里の意識は途切れた。
そして、元の部屋に戻ってきた。
- 130 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/21(木) 23:59
- 絵里が死んだから戻ってきちゃったんだ。
ほとんど同時に、れいなが絵里の前に出てきた。
「あ〜あ、今回も引き分けだから・・・いくつだっけ?」
「これで8勝7敗54分けやと。」
「嘘だ〜!れいな、今回のも勝ちに入れたでしょ!」
「何言うとうと?今のはどう見たってれいなの勝ちやろ。」
「は〜、そうやって自分に有利なこと言うんだ。愛ちゃんに修行つけてもらってんのに、
全然変わってないね。そんなんじゃ一生愛ちゃんに勝てないね。」
「何やと!絵里やって勝てないやろ!」
「れいなみたいに卑怯じゃないも〜ん!」
「絵里!」
「何よ!」
普段は滅多にけんかなんかしないんだけど、こればっかは譲れない。
真剣勝負は引いたら負け、女にだって絶対に負けられないものがあるの。
- 131 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:01
- 絵里とれいなはずっとギャーギャーと騒いでた。
その時、絵里の視界にあるものが目に入った。
「ねぇ、れいな。」
「なん?負けを認めると?」
「そうじゃなくってさ、絵里達以外にもここ使ってる人いるみたいだよ。」
「えっ?」
絵里の目に入ったのは、機械の一部についている点灯ランプ。
ここの部屋は最大で8人まで入ることができて、一人が仮想空間に入ると、
一つのランプが付く仕掛けになっている。
絵里達が使ってた二つのランプが消えたんだけど、他に二つのランプが付いている。
絵里達のあとに誰かが入って使ってるんだ。
- 132 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:01
- 誰だろ?
もしかしたらさゆ達が戻ってて、どっかでやってるのかもしれないね。
「れいな、見てみようよ。」
「わかった。」
れいなはパチパチっと機械のボタンを触る。
すると、上の方のモニターに一つの影が写った。
外部からなら、中で使ってる人をカメラで見ることができるの。
戦ってるのは・・・あっ、愛ちゃんだ!
無事に戻ってきたんだ・・・っていうわけでもなさそう。
腕とか足には包帯が巻かれている。
- 133 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:04
- トレーニングルームは仮想空間ではあっても、現実と精神はリンクしている。
だから、普通の状態でこっちで死んでも、元の世界では特に怪我はしてない。
けど、逆に元の世界で怪我をしてたら、この仮想空間にまで反映される。
それがこのシステムの厄介なとこなんだよね。
だけど、戻ってきてくれてよかった〜。
さすがの愛ちゃん達でも、SSランクだと怪我とかしちゃうんだね。
それにしても、怪我してるのにトレーニングするなんて、いかにも真面目な愛ちゃんらしいな。
愛ちゃんが立ってる場所は、空が見渡せるくらい高くて・・・どこだろ?
ここってもしかして、東京タワー・・・?
しかもそのてっぺんの先に、凛とした体制で、爪先だけで立っている。
- 134 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:06
- 右手には珍しく愛ちゃんの愛刀、"サファイア"が手に握られている。
少し曲線的でしなやかな剣、刀身は黒と赤で彩られている。
精神統一しているのかな、って思っていると、突然横に巨大なヘリが飛び出してきた。
そのヘリの横についている機関銃が愛ちゃんを向いた。
まさか、そんなとこで戦うっていうんですか・・・?
ドドドドドッ!
機関銃から弾が放たれる。
愛ちゃんは全く動じることもなく、不要に動いたりしないで、
自分に当たる弾だけを超高速で振り払って叩き落している。
- 135 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:06
- 直後に、今度はヘリの真下から、二発のミサイルが飛び出した。
うわ〜、めちゃくちゃだ・・・。
ドドドンッ!
愛ちゃんの立っていた先端が跡形もなく崩れ落ちる。
愛ちゃんはというと、ヘリの真上に華麗に高く飛び上がる。
接近戦の絵里達にとっては、これしか方法がないもんね。
キキンッ!
愛ちゃんの剣がヘリのプロペラを全て斬りつけた。
ヘリが落ちるより先に、愛ちゃんは別の方向を向いて飛び上がる。
そこには、他にもう一台のヘリが向かってきていた。
- 136 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:08
- ヘリの機関銃が愛ちゃんを向く。
空中じゃ避けることはできない。
さぁ、愛ちゃんはどうするの・・・?
そこで、絵里は目を見開くことになる。
愛ちゃんは脇の下まで剣を引いて、そして、
「ハッ!」
絵里ですら目で追えないほどの、まさに超光速で剣を振り払った、
その直後に、ヘリのプロペラを支える支柱がポロッと切れた。
超スピードによって繰り出される剣技、"居合い"だった。
- 137 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:09
- すごい、初めて見た・・・。
鞘を使わずに、しかも空中という不安定なとこから放った。
愛ちゃんはそのプロペラを蹴って元の位置に戻り、また戦い始める。
リボンで髪を結んで、その圧倒的かつ鮮やかな戦い方から、絵里達が住む
闇の世界では、"リボンの騎士"とまで呼ばれていた愛ちゃん。
息をするのも、目を閉じるのも忘れるくらい綺麗だった。
やっぱすごいな〜・・・ん、そういえばもう一つランプが付いてたっけ?
「れいな、もう一人は誰なの?」
「ん、ちょっと待って。」
今度は別のモニターに人影が写る。
その画面に映ったのは藤本さんだった。
- 138 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:10
- 藤本さんも体中に包帯を巻いてる。
こっちで戦ってる場所は街中、ゲリラ戦をやってるみたい。
藤本さんの手には、見たことのない死神のような巨大な鎌を持っている。
あれが藤本さんの武器なのかな?
ダララララッ!
数人の兵士達が藤本さんに弾を発射する。
藤本さんは近くの鉄柱に身を隠した。
兵士達はゆっくりと近づいてくる。
さらには、奥からミサイルを積んだ装甲車が二台向かってきてる。
後ろは燃える町、横道もないし逃げ場はない。
- 139 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:12
-
「ちっ、この程度で美貴がやられるかよ!」
そこから、また絵里達は信じられない光景を目にする。
藤本さんは鉄柱から少し離れると、鎌を勢いよく振りぬいた。
ズバッ!
数十センチはある太い鉄柱が倒れていく。
それを藤本さんは、なんと両手で抱えて投げ飛ばした。
ゴガガッ!ドゴォォォッッッ!!!
鉄柱は兵士を数人弾き飛ばして、装甲車を一台吹き飛ばした。
- 140 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:12
- 何て腕力してるんだろ・・・。
敵が動揺している内に、藤本さんが鎌を構えて飛び出した。
「うりゃぁっ!」
一撃で数人の兵士の上体が地面に落ちた。
鋭く重い斬撃を止めることはおろか、避けることすらできなかった。
残った装甲車にまで駆け寄ると、大きく鎌を振り下ろす。
ズシャッ!
あの硬い装甲車が、まるで紙のように切り裂かれた。
- 141 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:14
- そういえば、聞いたことがある。
死神のような鎌を持ち、敵を切り裂く姿は美しく気品で、鮮血を浴びながら
微笑むことから、死神というより"魔女"の由来を持ち合わせている。
愛ちゃんとはまるで対極の戦い方だった。
踊るように舞って、流れるように戦う愛ちゃん。
そして、一直線にぶつかって弾き飛ばしていく藤本さん、
柔と剛、逆に正反対だからこそ相性がいいのかもしれない。
絵里もこのくらいすごくなりたいな。
そして、たくさんの人達を守りたい。
- 142 名前:リボンの騎士と魔女 投稿日:2006/12/22(金) 00:15
- 絵里は一度体を震わせて、れいなを向いた。
言っておくけど武者振いだからね。
「れいな。」
「ん?」
「もっと修行しよう!絵里達も強くなってみせようよ!」
「そうやね。置いてかれてる場合じゃなかね!今度こそれいなが勝つと!」
絵里達はもう一度仮想空間の中に飛び出した。
思うだけじゃだめだってこと、それはみんな知っている。
絵里にできることがあるなら、何だってやってみせるよ。
愛ちゃん、藤本さん、待ってなくてもいいですよ。
すぐにその背中に追いつくんだからね。
さゆとれいなと、小春ちゃんも一緒に、絵里達は全力疾走で駆け抜けるよ。
れいなが絵里の前に現れた。
今度こそ負けないんだからね!
- 143 名前:高橋愛 投稿日:2006/12/22(金) 00:17
- 名前:高橋愛
年齢:20歳
武器:サファイア(剣)
履歴:昔から正義心を持ち、ヒーローになることに憧れていた。事件が多発してからは尚強く思うようになり、
エッグの存在を知って入隊した。才能があり、努力も惜しまぬ彼女だったので早いうちからトップクラスに
まで詰め寄るが、周りの嫉妬やいじめから自信をなくし、テストに不合格となる。その後、同期の三人と
仲良くなってからは、一緒に合格するために力を合わせ、二度目で四人揃って合格する。
後藤真希の再来とまで呼ばれる彼女は、真希の次期エース候補として戦闘を前線で繰り広げ、真希がいなくなってからは
エースの一人として君臨し続けている。謙虚で優しく面倒見のいい彼女は、後輩からはよく好かれている。
ただ、同期の新垣里沙には心を許し、何でもぶちまけるためにあまりよくは思われていない。
- 144 名前:高橋愛 投稿日:2006/12/22(金) 00:18
- 藤本美貴
年齢:21歳
武器:ヘケート(大鎌)
履歴:将来の夢は、普通の生活なんかじゃなくて、人々から尊敬されるような人間になりたかった。そのことから
今の世界を見つめ、悪党を倒そうとエッグに入隊。ひとみ達と同期なのだが、彼女だけ落とされたことで
一度は夢を捨てるが、あきらめきれずに諜報部員となる。いくつか仕事をこなしたある日のこと、
敵に見つかって瞬時にその相手を殺した。すぐに何人にも取り囲まれ、逃げ出すことすらできなくなった美貴は、
ナイフと拳銃のみで敵を全滅させた。その功績が認められ、異例のモーニングに入隊することになる。
同期の絵里達としては先輩であるために、ひとみや愛の方が仲がいい。しかし、普段から不機嫌そうな
目つきをしている彼女に、気楽に話しかけられるのはメンバー内、いやこの世で愛一人だけのようだ。
- 145 名前:ais 投稿日:2006/12/22(金) 00:18
- 更新しました
- 146 名前:ais 投稿日:2006/12/22(金) 00:20
- >>たまさん
小春の能力はまた後ほどってとこですかね(謎)
更新ペースを速めてがんばっていこうと思います
次回もよろですw
- 147 名前:たま 投稿日:2006/12/22(金) 00:36
- ぉっ
結構リアルタイムだぁ♪
愛ちゃんと美貴…カッコ良過ぎです♪2人がメンバーの中でも大好きなんで頑張って欲しいです♪
- 148 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 22:51
-
さゆみ視点
今回は絵里じゃなくって、宇宙一可愛いさゆみのお話しなの。
よし、今日も可愛い♪
今日のお仕事は少し離れた町にいるCランクの犯人を捕まえること。
さゆみ一人でも十分に逮捕できるけど、今回は小春ちゃんの教育も含めてのお仕事なの。
昨日新垣さんから聞いた情報によると、この近辺で身を潜めているらしいの。
銃を使って銀行強盗を二回やったみたい。
でも、まだ人は殺してないから、殺さなくてもいいって言ってたの。
さゆみ的にはどっちでもいいんだけど、任務だから殺さない方向で行くつもり。
うん、さゆみって可愛くて偉い偉い。
- 149 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 22:52
- 海に隣接したこの綺麗なホテルに泊まってるなんて、豪勢なのもいいとこなの。
それも今日までだけどね。
そろそろチェックアウトの時間、さゆみは犯人のいる部屋の前の通路に立った。
相手は拳銃を持ってるから、容易に警察官を動員するわけにはいかないし、
まだ人を殺してはいないとはいえ、何人かの警察官も撃たれたみたい。
下手に抵抗される方が面倒なことになるから、たまに派遣されたりするの。
他の部屋の人には外に出ないように伝えてある。
小春ちゃんにはホテルの前で待機って言ってあるの。
- 150 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 22:53
- おっ、大きな荷物を持った人が部屋から出てきた。
あれ、犯人は二人だったはずだけど、まだ部屋の中にいるのかな?
「そこのお兄さん、待ってください。」
さゆみは笑顔で声をかけた。
男の人は訝しげな表情をしてこっちを向いた。
ん、なかなかカッコイイ人なの。
刑務所に行ってもモテるかもね。
「何か用かな?」
「お兄さんは指名手配されてるから、捕まえにきたの。」
「何!?」
「"モーニング"って聞いたことありませんか?」
男の人は荷物を地面に捨てて懐に手を伸ばした。
- 151 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 22:56
- へ〜、やっぱりモーニングって有名のね。
嬉しいような寂しいような、どうせならさゆみの圧倒的な可愛さで有名になりたいの。
パンッ!
男の人の持った拳銃を、さゆみのリューで撃ち飛ばした。
誰が相手でも、早撃ちなら負けないの。
「今死ぬのとあとで死ぬの、選ばせてあげるの。」
「わ、わかりました・・・。」
男の人は手を上げて投降した。
時には素直に認めるのもいい判断だと思うの。
後味悪くなくって済むもんね。
- 152 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 22:57
- さゆみは男の人に近づこうとした。
その時だった。
パリンッ!
ほんの小さくだけど、窓が割れる音が聞こえた。
まさか、逃げたの?
隣は海だったとはいえ、十階の高さから飛び降りるなんてどうかしてる。
捕まるくらいなら海を泳いで逃げるってことなのね。
どうせ逃げられるわけないのに。
下手したら死んでるかもね。
あ〜もう、面倒くさい!
さゆみは手を上げてた男の頭に、リューをぶつけて気絶させると、
待機させていた警備員に連絡して、部屋の中に飛び込んだ。
- 153 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 22:58
- 部屋の隅の窓ガラスが割れてる。
さゆみは小さくため息をついて、窓の下を向いた。
ん、あれは・・・飛び込んだ男の人が、何かに支えられて宙に浮いてる。
「あっ、道重さ〜ん!」
「小春ちゃん・・・。」
小春ちゃんが天使の羽を使って、男の体を支えていた。
二人はゆっくりと下に降りていく。
さゆみも手摺を使って、一階ごとに飛び降りていく。
さゆみが降りると、男は小春ちゃんの首を腕で締め上げた。
- 154 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 22:59
-
「くるなよ!こいつを殺されたいのか!?」
全く、助けてあげたのにそんな手を使ってまで逃げたいのね。
小春ちゃんの優しさを踏みにじるなんて、さいて〜。
さゆみは持っていた銃を懐にしまいこんだ。
「仕方ないの。さゆみは手を出すのをやめるの。」
「やめるんじゃねぇ。その銃をこっちに渡せ!妙な抵抗をしたら・・・。」
「勘違いしてない?さゆみが手を出すのをやめるの。それに、やれるものなら
やってみたら?」
「何・・・?だったら、望みどおり殺して・・・!?」
男がどれだけ力を込めても、小春ちゃんの表情は一切変わらない。
- 155 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 22:59
- それも当然なの。
だって、小春ちゃんの能力が発動しているのだから。
「な、何だこいつ・・・首が、金属みたいに硬い・・・。」
「小春ちゃん。好きにしていいよ。」
「は〜い。」
ボフンッ!
小春ちゃんが再び羽を広げて、男の人を弾き飛ばした。
男の人が蹲っているところに、小春ちゃんが飛び込んで腕を振り上げる。
- 156 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 23:00
- 小春ちゃんの腕が一瞬だけ急激に輝きを纏う。
そして、その腕が円形の棒状に変化した。
「せーのっ!」
ゴンッ!
男の人の頭を棒と化した腕で殴って、気絶させた。
さゆみの可愛い小春ちゃんを人質にとろうなんて、絶対に許せないの。
あとで刑務を長くしてもらおっと。
- 157 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 23:01
-
「道重さん、終わりました〜。」
「そうだね。任務完了なの。」
さゆみは小春ちゃんにうさちゃんピースを向けて、えっと頭の上で両手でピースするのね。
それがさゆみのお決まりポーズなの。
あとは警察の人に渡して、任務完了〜♪
そういえば、顔を見られたのに殺さなかったね。
まぁ、いっか。
どうせ刑務所から出られるのは数年後だし、その頃にはさゆはもっともっと、
超可愛くなってるし〜、誰だかもわかんないもんね。
これにて一件落着だね。
- 158 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 23:02
- 今日のお仕事は、あとは帰って事務処理して終わり。
そうは言ってもまだお昼時で時間があるから、近くの町のファミレスに
お昼ごはんを食べにきたの。
さゆみ達はごはんを食べて、二人でケーキを食べ始める。
さゆみは、ポケットからティッシュを取り出して、彼女の口の周りを拭いてあげる。
「小春ちゃん、口元にクリームが付いてたの。」
「んん、ありがとうございます。」
小春ちゃんは嬉しそうに笑う。
フフッ、可愛いな〜。
さゆみの次に可愛いの。
あっ、これはさゆみにとってものすごい褒め言葉ね。
決して悪く言ってるわけじゃないの。
- 159 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 23:03
- さゆみって末っ子だから、妹のいるお姉さんってこんな感じなのかな?
さゆみのお姉ちゃんも、こんな気分だったのかな・・・?
もう、そんなことも聞けないほど遠くに行っちゃったけどね。
「あの、道重さんは・・・その・・・。」
小春ちゃんは、さっきまでと一変して真剣な表情で、口を濁して聞いてきた。
正直なところ、普段は笑顔だからちょっとだけ驚いた。
さゆみ、何かやったっけ?
何か言いたそうだったから、彼女から顔を離さずにじっと待つ。
「道重さんは、小春のこと、怖くないんですか?」
「怖い?むしろ可愛いと思うけど。」
「こんな、化け物みたいな能力、怖いとかって思わないんですか?」
化け物みたいな能力?
小春ちゃんの能力のことかな?
- 160 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 23:04
- 彼女も絵里と同じ、事故で親を亡くした孤児だった。
小春ちゃんを預かっていた施設は研究所のようなとこで、それはもうひどいところで、
孤児を実験の道具として扱ってきた。
その数は十数人と上り、何人もの人達が実験体として苦しんで、殺された。
小春ちゃんもそのうちの一人で、そこの施設はモーニングの手によって破壊されたけど、
彼女だけが成功作として生きていた。
施設は全て破壊はしたものの、代表者だけは捕まらなかったのが気になるとこだって、
愛ちゃんが言ってたような気がする。
研究所が開発した小春ちゃんの力は、自由自在に体の細胞を変化させること。
自らの強いイメージを持つことで、体を鉄のように硬くしたり、
腕を剣のように鋭くしたり、天使の羽を広げることまでできる。
- 161 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 23:05
- それまでに自我が壊れそうなほどにひどい実験や、きつい試練を受けてきたみたいで、
彼女がよく笑っているのはそのせいだって言われてるの。
そして、小春ちゃんの力に目をつけたハローのお偉いさんが、
モーニングに連れてきたってわけ。
「小春ちゃん。それはうちのメンバーが言ってたの?」
「・・・いえ、誰も言ってません。でも、みんな思って・・・」
「本当にみんなが思ってるって、意識してるの?」
「・・・。」
「なら気にすることないの。さゆみ達だって、よく化け物扱いされてたの。」
「えっ・・・?」
小春ちゃんは不思議そうにさゆみを見つめてきた。
さゆみは嘘を言ってない。
エッグにいた頃、さゆみ達は人一倍努力して、誰にも負けない力を持ってから、
いつも化け物みたいな言われ方をしてたの。
- 162 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 23:07
- 決してさゆみ達には言ってこなかったけどね。
怒らせたら怖いことを知ってるから。
それも仕方のないこと、さゆみが宇宙一可愛いから、嫉妬されてたんだろうけどね〜。
「小春ちゃんをそんな目で見るメンバーはいないの。さゆみ達はもう、
かけがえのない仲間なんだから。」
「道重、さん・・・。」
「小春ちゃんは小春ちゃんなの。モーニングの一員、それだけでしょ。」
「ふ、ふぇ〜ん・・・。」
「あらあら、こんなとこで泣かないの。可愛い顔が台無しなの。」
さゆみはそっと彼女の涙をハンカチで拭いた。
大人っぽいとは言われても、まだまだ子供なの。
きっと、さゆみを慰める時のお姉ちゃんも、こんな気持ちだったのかな〜?
- 163 名前:教育係 投稿日:2006/12/23(土) 23:07
- なら、小春ちゃんにもそのうちわかるはず。
その時まで、さゆみはしっかりと教育係としてがんばるの。
「そろそろ時間だから、帰ろうか。さゆみ達の居場所にね。」
「はい!」
小春ちゃんは満面の笑みを浮かべて頷いた。
もう、大丈夫だよね。
さゆみの可愛い可愛い後輩。
誰がなんと言おうと、さゆみ達は仲間だよ。
さゆみは小春ちゃんと手を繋いでファミレスを出て行った。
彼女が一人でも任務ができるように、不安にならないように、
さゆみ達の絆も結いでいきたいな。
次のお仕事もがんばろうね♪
- 164 名前:久住小春 投稿日:2006/12/23(土) 23:10
- 名前:久住小春
年齢:14歳
武器:無し(細胞変化)
履歴:数年前に両親が事故により亡くなって、施設に送られた。その施設では人体実験が行われており、
小春もその実験体にされた。常に地獄のような特訓が行われては、毎日のように薬を投与をされ、
周りでは何人もの同じ孤児が死んでいった。だが、幼いながらも体のできていた小春は、
なんとか生き延びることができた。モーニングに助けられてからは、特殊能力を生かすことを条件に
加入することに。小春にとっては新しい生活、自分の能力が認められたことが嬉しかった。
実験の反動か、どんな場面でも無邪気で緊張感はほとんどなく、それが余裕となることで、
戦闘中に混乱するようなことはあまりない。教育係はさゆみだが、基本的には誰にでもなつく。
- 165 名前:ais 投稿日:2006/12/23(土) 23:11
- 更新です。
- 166 名前:ais 投稿日:2006/12/23(土) 23:12
- >>たまさん
リアルタイムどうもです。
愛美貴も大活躍させる予定ですのでご期待をw
- 167 名前:たま 投稿日:2006/12/24(日) 01:48
- 小春ちゃんの過去は何か淋しいです…
愛美貴の活躍を期待してます☆
- 168 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:39
- それは突然起こった。
今日は、絵里とさゆ、れいなの三人の仕事は、Bランク級の犯罪者を抹殺すること。
その場所はちょっと遠いし複数人いることから、絵里達が派遣されて抹殺してきたんだ。
そして、仕事が終わって帰りのヘリで寝ている時だった。
「亀井様。道重様。田中様。新垣様から通信です。」
運転手が絵里達にそう言って、前にある画面のディスプレイを付けた。
そこにガキさんの顔が映る。
寝ていた絵里とれいなが、目を擦りながら起き上がった。
何だろ、真剣な表情をして、緊急事態かな?
漫画を読んで起きていたさゆが、最初に口を開いた。
- 169 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:40
-
「新垣さん、どうしたの?」
『カメ!さゆみん!田中っち!今すぐに行ってほしいとこがあるの。』
「ガキさん、何があったの?」
『私もよくわからないんだけど、町で暴れている人がいるんだって。
それが警察でも手をつけられないみたいなんだ。そっちの方が近いから、
先に行って止めてきて。無理そうなら状況だけ伝えて逃げて。私達も
すぐに行くから。場所は・・・。』
ガキさんは場所を教えると、すぐに通信を切っちゃった。
相当慌ててるみたいだね。
町で人が暴れてるって、一体何があったんだろ・・・?
絵里達が逃げてもいいってことは、相当やばい集団なんだろうけどさ、
何かこう、胸に引っかかる違和感があるんだよね。
「絵里、何かやばそうな空気感じとるんやけど、れいなだけ?」
「・・・さぁね。とりあえず、運転手さん、飛ばしてください。」
「了解しました。」
ヘリは進行方向を変えて目的の町に進んでいく。
妙な胸騒ぎがするのは、れいなだけじゃない。
一体、このズキズキするような痛みは、何なんだろ・・・?
- 170 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:41
- 町はひどい有様だった。
道路はところどころ崩れてて、車なんかはペシャンコになってるのもあって、
地面や壁は血に塗れている。
警察官が対抗しても、全く相手にならなかったって聞いた。
ひどすぎる・・・戦争でもあったんじゃないかってくらい、町の大通りが壊れてる。
町の人々は一通り非難はしたって聞いたから、相手が誰だろうと思いっきりやれるね。
絶対に許さない。
ズドォンッ!
奥の方で衝撃音が聞こえた。
あっちに犯人がいるんだ。
- 171 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:42
- 絵里は気を引き締めて顔を二人に向ける。
「行くよ!」
「「うん!」」
絵里達は音のする方に駆け出した。
近くまで寄って現場を見て、絵里達は固まった。
町を破壊していたのは、たった一人の女性だったから。
その女性は近くの電柱を殴って砕いた。
折れた電柱が近くの車を踏み潰した。
「やめなさい!」
「これ以上の横暴は許さないの。」
絵里とさゆがそう叫ぶと、女性はこっちを向いた。
- 172 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:43
- 身長の高いモデルのようなスタイル。
だけど、その細い腕がこの町を破壊するほど、信じられない力を秘めている。
「あなたは誰ですか?何でこんなことをするんですか?」
「私の名前は飯田圭織よ。この町は、破壊したいから壊してるに決まってんじゃん!」
自分を飯田圭織と名乗った女性は、近くにあったワゴン車を掴んで、
力任せに投げてきた。
って、嘘でしょ!?
絵里達はすぐに散開して避ける。
ゴシャァッ!
近くにあった車が吹き飛んだ。
何て恐ろしい力なんだろ・・・。
- 173 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:44
- それにしても、この人は一体何者なの?
こんな人がこの世に存在してたなんて・・・。
「思い出したの。飯田圭織って確か、吉澤さんの前にモーニングのリーダーをやってた人なの。」
「「!?」」
絵里とれいなは驚いてさゆを振り向いた。
どうして・・・?
モーニングは、人を殺したりもしてるけど、それはあくまで生きていることも許されない、
犯罪者専用の暗殺集団のはず。
平和に生きている人達を殺すなんて、その居場所を壊すなんて・・・そんなことは許されない。
「飯田さん。何であなたがこのようなことをしているのかは知りませんけど、
モーニングの名にかけて、あなたを殺します。」
「モーニング?ああ、そんなグループもあったわね。その精神も古いのよ。」
「どういう、意味ですか?」
「あんた達に答える義理はないわ。私はこの町を破壊する。それだけよ!」
飯田さんが絵里達に突っ込んでくる。
どうすればいいのかなんて、もう考えない。
例え何者であろうと、この人を殺すのみ。
- 174 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:44
- 絵里はトルテュを両手に持って、飯田さんに向かって走り出した。
飯田さんの拳が、上から振り下ろされる。
速い、けど避けられないほどじゃない。
ドゴォォォンッッッ!!!
地面が粉々に砕け散った。
けど、絵里には当たってないよ。
絵里は素早く背後に回りこんで、トルテュを心臓に突きたてた。
これで終わり・・・。
キンッ!
「!?」
「無駄よ。そんなものが私に通用すると思ってんの!?」
飯田さんの回し蹴りが絵里の顔を狙う。
絵里はなんとかトルテュで止めようと思ったけど、あまりに力に差がありすぎて、
後ろの壁に叩きつけられた。
- 175 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:45
- 痛っ・・・口元から血が毀れてくる。
何てパワーなの・・・。
それに、さっき斬りつけたときの音は、まるで分厚い金属にでも
突き刺した気分だった。
「何、この人・・・?」
「絵里!」
「許さないの!」
さゆの二発の弾が、飯田さんの額と胸を打ち付けた。
だけど、やっぱり弾かれてしまってダメージはなさそう。
今度はれいなの槍が飯田さんを突きつける。
それでもダメージを与えることができない。
- 176 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:47
-
「効かないって言ってるでしょ。」
「なっ!?うわぁっ!」
飯田さんはれいなの槍を掴んで、その場から回り始めた。
勢いよく振るったと同時に、れいなの体が離れて吹き飛ばされる。
あの勢いでぶつかると、いくられいなでも死ぬかもしれない。
なんとか、しないと・・・。
絵里が動こうとするより先に、さゆが回り込んでれいなを抱き止めた。
でも、あまりの威力に二人してビルの壁に叩きつけられた。
さゆとれいなは、苦しそうに顔を顰める。
でも、二人ともなんとか生きてるみたい。
- 177 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:48
- って安心してられない!
ちょっと二人ともやばいって!
「ぐっ、くそぉ・・・。」
「れいな!避けてっ!」
「絵里・・・?うぉっ!」
れいなはさゆの体と一緒に、自分の体を押し下げた。
その直後に、二人のすぐ上にリジィエが突き刺さった。
「惜しかったな〜。あと少しで串刺しだったのにね。」
「れいな、さゆ、大丈夫!?」
絵里は地面に倒れた二人に駆け寄った。
- 178 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:48
- れいなはまだなんとか平気そうだけど、さゆは額から血が出ている。
えっ・・・もしかして、別の意味ですごくやばくないですか・・・?
「・・・痛いの。」
「さ、さゆ。一旦落ち着くと・・・。」
「絵里。」
「は、はい!」
つい大きな声で返事をしちゃった。
だって、さゆの低い声が怖すぎるよ〜。
- 179 名前:悪魔の使者 投稿日:2006/12/26(火) 23:49
-
「あいつは絶対に殺すの。本気で許さないの。」
「や、やけん、なんとか倒す方法考えんといかんし・・・。」
「できないこともないよ。」
「「えっ?」」
絵里は小さく笑みを浮かべた。
以前に愛ちゃんから教えてもらった"あの技"なら、あの人にも効くかもしれない。
そのためには・・・。
「二人にお願いがあるの。頼めるかな?」
さゆとれいなは一瞬呆けた顔をしたけど、すぐに頷いてくれた。
よ〜し、絵里達の力を見せてあげるんだから。
反撃開始だね!
- 180 名前:ais 投稿日:2006/12/26(火) 23:49
- 更新しました。
- 181 名前:ais 投稿日:2006/12/26(火) 23:50
- >>たまさん
小春の過去も寂しいですね〜。
悲しい記憶を持ってる人ばっか集まって・・・(泣)
- 182 名前:たま 投稿日:2006/12/27(水) 03:55
- 飯田さん…((゚д゚))
さゆの顔を傷つけるのは死より怖そうですね(笑)
愛ちゃんが教えてくれた技とは一体何でしょうか…気になります☆
- 183 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:49
- ガラガラと何かが崩れる音が聞こえた。
見ると、飯田さんが町を破壊しながら近づいてきた。
次で決めるしかない。
「二人とも、お願いね。」
「任せるっちゃ!」
「止どめはさゆみに残しておくの」
「「・・・。」」
絵里とれいなは苦笑いを浮かべて飛び出した。
絵里達が飯田さんの前に出ると、彼女は不思議そうにこっちを見てきた。
「あれ、まだやるの?逃げ出したと思ったのに。」
「れいな達は逃げるわけにはいかんやろ。」
「そうですよ。これ以上好きにはさせません。」
「へ〜、面白いじゃん。なら止めてもらおうかな。私のこの"金の力"を、
押さえられるものならね!」
飯田さんは、隣に止めてあった車を片手で掴んで持ち上げる。
- 184 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:49
- 全く、どこからあんな力が出てくるんだろ?
それに、"金の力"・・・?
何のことかな・・・っと、今は飯田さんを倒すことだけを考えなきゃね!
飯田さんがこっちに投げ出した瞬間に、絵里は車の下を潜って近づき、
首をトルテュで斬りつけた。
キンッ!
やっぱり効かないか。
ならば、"あの技"を使う他に手はないね。
絵里はほんの僅かに下がって、両手を広げて状態を下げた。
- 185 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:50
- 飯田さんが両手を組んで振り下ろしてきた。
技を使うときの絵里は動けない。
だから、頼んだよ。
5・・・4・・・
「させんと!」
「ん?」
横かられいなの槍が頭部を打ち抜いた。
れいなの力でも、大したダメージは与えられない。
だけど、時間さえ稼いでくれればいい。
ほんの五秒の間、それは一瞬にして死に繋がるこの世界では、あまりにも長い時間。
ここは、二人を信じるしかない。
- 186 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:51
- 飯田さんは槍を引っ張ってれいなの服を掴んだ。
この状態で地面に叩きつけられたら、体中が粉々に砕けてしまう。
ドンッ!ドンッ!
3・・・2・・・1・・・
さゆの弾が飯田さんの指を弾いて、れいなを下ろさせた。
れいなは素早く身を引いた。
絵里が二人に頼んだこと、それは飯田さんと絵里の距離を離させずに、
時間を稼いでほしいってこと。
絵里の必殺技は、全ての神経を集中させるために約五秒、そして間合いが
1メートルほどであるっていう条件が必要なの。
距離はこれ以上でも以下でもいけない。
- 187 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:52
- まだまだ未熟者でごめんね。
でも、二人は見事に実践してくれた。
これで発動できるよ。
「何をしようと、私は・・・。」
「いくよっ!」
キキキンッ!
瞬時にいくつもの斬撃を放って、絵里は地面に倒れ込んだ。
痛いよ〜、すんごい集中してたから着地のことまで考えてなかった。
絵里の後ろでは、飯田さんがゆっくりとこっちを向いた。
今の隙だらけの絵里なんか、簡単に殺せるよね。
さっきまでならね。
- 188 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:53
-
「絵里!」
「言ったでしょ?あんた達の攻撃なんか、蚊に刺されたような・・・!?」
飯田さんの体が前に倒れ込んだ。
体はビクついてて、あの硬かった筋肉が徐々に萎み始める。
「な、何っ!?何をしたわけ!?」
「絵里が放った技は、愛ちゃん直伝の必殺技、"月光"。外側の筋肉じゃなくって、
内側の神経を断ち切ったんです。もう力も入れられないし、立てないでしょ?」
「ぬっ!うぉぉぉ!」
どれだけ飯田さんが力を込めたって無駄だよ。
両腕両足、それに他にもいくつかの神経を断ち切っておいたから。
この技は、外部からの斬撃じゃなくって、内部に直接攻撃を与える、
どちらかというと打撃の方が近いかな。
衝撃を鍛えようがない神経に与えて、切断するんだ。
- 189 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:54
- 愛ちゃん、絵里、やりましたよ。
絵里が一息つくと、さゆとれいなが駆け寄ってきた。
「絵里、何したと!?こんな体硬い人どうやって倒したん?」
「それはあとで教えてあげるよ〜。」
「そんなことはどうでもいいの。」
さゆ、ひどいな〜。
そんなこと扱いしなくたって・・・うぇっ!?
さゆが飯田さんの髪を引き上げて、胸にリューを当ててる。
顔を傷つけられたこと、まだ許してなかったのね・・・。
- 190 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:55
- 今のさゆを絵里達が止められる術は、当然あるわけがない。
下手に止めたら殺されるかも・・・。
「あなたは、絶対にやってはいけないことをしてしまったの。それ、わかってるの?」
「何を・・・?この町を破壊したことを言ってるの?それなら、私は別に・・・。」
「違う。さゆみの可愛いお顔を傷つけたの。死んでください。」
ドゥゥゥゥッッッ!!!!
ドゴォォォンッッッ!!!
うっひゃぁ、さゆ、あんな至近距離でスパイラルショット放つなんて・・・。
飯田さんはビルの壁を突き破って、さらに奥の壁に体が埋まっていた。
まだピクピクと体が動いてるから、死んではいないみたい。
- 191 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:56
-
「まだ生きてるなんて、しぶといの。」
「さゆ、スッキリしたんなら、まだ殺さないで。」
「絵里・・・?」
「元モーニングのリーダーを務めていた人が、ここまで豹変するなんて、
絶対に何かあったんだよ。それに、あんな力が出せるなんて聞いたことがない。
気になることもあるし、捕まえて調べてもらった方がいいよ。」
「もうええやろ。ぶっ倒したんやしね。」
「ん〜わかったの。二人に免じて殺さないであげるの。だけど、
あと何発か殴ってらせてもらうの。」
絵里とれいなは顔を見合わせて、やっぱり苦笑い。
わかってはいたけど、怒った時のさゆは怖すぎだって。
まぁ、終わったんだし別にいいかな。
もうすんごく疲れちゃった〜。
こういう日は、早く帰ってお風呂に入って、のんびりと・・・!?
ゾクッ
絵里もれいなも、飯田さんに向かおうとしてたさゆも、体が動かなくなった。
- 192 名前:堕天使の到来 投稿日:2006/12/29(金) 23:57
- 信じられないほどの殺気が絵里達を包んでる・・・。
体が震えて止まらない。
まるで、肉食動物に威圧されてるみたいな、ここにいるだけで恐ろしく怖い。
それは、当然飯田さんじゃなくって、もっと先の通路から感じる。
「へ〜、カオリを倒すなんて、なかなかやるもんだね〜。」
殺気とは正反対に、まったりとした呑気な声が聞こえてきた。
絵里、この声を知ってる。
でも、まさか・・・あの人なわけ、そんな・・・。
絵里は必死になって声の方に首を振り向かせた。
だけど、やっぱりその人は、絵里がよく知っている人物だった。
堕天使の到来した瞬間だった。
- 193 名前:ais 投稿日:2006/12/29(金) 23:58
- 更新しました〜。
明日中にあと一回、年内最後の更新をしようかと思います。
- 194 名前:ais 投稿日:2006/12/29(金) 23:59
- >>たまさん
愛ちゃん直伝の技でした〜。
さゆは本気でキレると・・・ガクガクブルブル(((゚д゚)
- 195 名前:たま 投稿日:2006/12/30(土) 01:05
- 愛ちゃん直伝の技…愛ちゃんものすごい人なんですね(笑)
- 196 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:04
- 絵里は今見ている光景が信じられなかった。
さっきの言い方だと、あの人が飯田さんに、この町を破壊させたような、
そんな言い方に聞こえた。
ようやく殺気が消え去って、さゆとれいなもその人を振り向いた。
「え、絵里、何やと、あの人の殺気は・・・。」
「怖いの・・・さゆみ、こんなの感じたことない・・・。」
絵里だって、感じたことはあっても、向けられたのは初めてだよ。
その人は、先ほどまでとは正反対ににっこりと笑って絵里達を見た。
「まさか君がここにいるなんてね。久しぶり、亀井ちゃん。」
「・・・これは一体、どういうことなんですか?後藤さん!」
絵里達の前にいる女性、後藤真希さんは長い髪を一度撫でて、
また笑みを浮かべる。
- 197 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:05
-
「絵里、知り合いなの?」
「あの人は誰やと?」
「・・・後藤真希さん。モーニング過去最強と謳われた人だよ。」
「「!?」」
れいなとさゆは驚いて後藤さんを向いた。
この組織にいる人なら、名前だけなら誰もが知っているはず。
計り知れない力、生まれ持った才能の前に倒せなかった敵はない、
モーニング最強の戦士だった人。
なのに、どうして、後藤さんがこんなにひどいことを・・・?
絵里を拾ってくれた、絵里が尊敬して已まなかったあの人が・・・。
「君達の予測している通りだよ。カオリにこの町を破壊するように
命じたのは、あたしだよ。」
「そんな・・・。」
「さてと、相手は現モーニングの皆さんか。久々に腕が鳴るね。」
「ご、後藤さん・・・絵里達と、戦う、んですか・・・?」
「今はね、ハローはあたしの"敵"なんだよ。その中にあるモーニングも、
当然敵となる。理解できたかな?」
「絵里、くるよ!」
「例え最強のあんたが相手やろうと、れいな達は負けんと!」
れいなとさゆが武器を構えた。
- 198 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:06
- でも、絵里はその場から動けなかった。
無理だよ・・・絵里、後藤さんと、戦えないよ・・・。
「フフン、元気があっていいね〜。それじゃ、いくよ!」
後藤さんは左手に剣を持って、その場から消えた。
いや、一瞬にして絵里の目の前にまで飛び込んできた。
その時にも、絵里は動けなかった。
「亀井ちゃん。バイバイ」
キンッ!
れいなのリジィエが後藤さんの剣を弾いた。
そして、果敢に攻めていく。
- 199 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:07
- さゆは、絵里の肩を掴んで自分に振り向かせる。
さっきとは別の意味で、すごく怒ってた。
「絵里!何で動かないの!?」
「いやだよ・・・絵里、後藤さんと戦いたくないよ。」
「絵里、どうしたの?」
「後藤さんは、絵里の恩人なの。絵里を拾ってくれた、大切な人なの。
絵里は、あの人に殺されるのなら、それでも・・・。」
パンッ!
さゆに頬を叩かれた。
ジンジンと顔に熱が灯ってくる。
「バカじゃないの?死にたければあとでさゆみが殺してあげるの。
だけど、今の絵里はモーニングの一員なんだってこと、忘れてない?
さゆみ達は、完全なる平和を目指して戦ってるの。例え理由があろうと、
戦わないといけないの。二度と大切な人達を失いたくないからね。
あの人と戦いたくないのなら、邪魔だけはしないでね。」
そう言って、さゆはれいなの援護に向かった。
- 200 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:08
- ・・・そう、だったよね。
絵里はモーニングとして戦ってるんだよね。
さゆもれいなも、みんな大好きだから戦ってるんだ。
今の絵里にできること、それは・・・。
「ほらほらっ!最初の威勢はどうしたのさ?」
「くっ!このっ!」
さすがは最強と呼ばれた人、れいなの突きを軽々と避けていく。
途中、れいなの槍を弾いて、その勢いのまま剣を振りかぶった。
「やらせないの!」
ドンッ!ドンッ!キンッ!キンッ!
さゆの放った弾が全て弾かれた。
れいなはまだ体制を崩したままだ。
- 201 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:09
-
「これでっ!」
「やば・・・。」
ガキンッ!
後藤さんの振り下ろした剣を、絵里の二本のトルテュを交差させて受け止めた。
ギリギリと力を込めて、なんとか振り払う。
「ほ〜う。ようやく亀井ちゃんも戦う気になったか。」
「絵里・・・。」
「できることなら、あなたとは戦いたくなかった・・・。でも、この国を、
絵里の大切な仲間を傷つけるっていうなら、絵里は・・・後藤さん、
あなたを倒します。」
「へ〜、あたしを倒す、ね。ずいぶんと大きく出るようだけど、
そんなことできると思ってる?」
「できますよ。だって、絵里は一人じゃないんだから!」
絵里は瞬時に二本のナイフを振るった。
- 202 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:09
- 後藤さんはそれを避けつつ剣を振るう。
その瞬間に、絵里の後ろから槍が飛び出して、後藤さんの剣を弾いた。
「絵里だけにはやらせんと!」
「よし、いっくよーっ!」
絵里が至近距離でナイフで攻める。
その後ろから、れいなのリジィエによる二段攻撃。
いや、
ドンッ!
「さゆみのことも忘れたらだめなの。」
「ちっ。」
後藤さんは首を振るって弾を避けた。
さゆも含んだ三段攻撃。
加入前から絵里達は組んでるから、コンビネーションは抜群だ。
- 203 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:10
- 絵里がどう動いたら、れいながどのように動いてくれるか、
さゆがどこを狙ってくれるのか、頭じゃなくて本能が理解してる。
それは二人も同じことだと確信してる。
だから、絵里は好きなように動くことができる。
「ヤァッ!」
「ハッ!」
「そこなの!」
ガガガッ!ボンッ!
「くっ!」
絵里達の連続技に、さゆのボムショットが後藤さんを弾き飛ばした。
後藤さんは地面を転がってすぐに立ち上がる。
- 204 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:11
- 絵里達が攻めてる・・・このままいけば倒せるはず!
・・・本当に倒せるの?
あの後藤さんを絵里達が・・・?
もちろん倒すつもりでやっている。
でも、戦ってからずっと感じているこの違和感は、一体何なんだろ・・・?
絵里はナイフをもう一度握り締めて、後藤さんを見つめた。
「フフッ、なかなか骨があるようで面白いな。それじゃ・・・。」
ズドォォンッッ!!!
な、何これ・・・すごい衝撃が絵里達を襲った。
- 205 名前:最強の戦士 投稿日:2006/12/30(土) 18:13
- 後藤さんは剣以外に武器を持ってないはず。
まさか、覇気だけでここまで・・・。
「あたしも少しだけ本気になろっかな。」
後藤さんは剣を右手に持ち替えた。
やっぱり、ね・・・。
絵里の感じてた違和感、そう、後藤さんは右利きだってことだ。
それが利き腕に持ち替えたってことは、ここからが本番ってことか。
後藤さんにとっては、今までの絵里達との死闘は、ただのお遊びにしか
すぎなかったんですね・・・。
後藤さんは、口元に笑みを浮かべて剣を構えた。
- 206 名前:ais 投稿日:2006/12/30(土) 18:13
- 今年の最終更新でした。
- 207 名前:ais 投稿日:2006/12/30(土) 18:14
- >>たまさん
はい。
来年もまたよろしくです〜。
- 208 名前:たま 投稿日:2006/12/30(土) 19:56
- ごっちん((゚Д゚))
ごっちんがハローを敵と思うのは一体…
今年の更新お疲れ様でした☆来年も楽しみにしてますね♪
- 209 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/31(日) 10:05
- 亀ちゃん主役でこういうお話は珍しいですね
来年も楽しみにしています
- 210 名前:橘 投稿日:2007/01/01(月) 21:39
- 小説、毎回楽しみに読んでいます!亀井さん頑張ってネ!!!
- 211 名前:理想の世界 投稿日:2007/01/02(火) 15:32
- 何も見えなかった。
気付いたら、目の前で後藤さんが剣を振りかぶっていた。
さっきは動きたくなかったけど、避けようと思えば避けれたはず。
なのに、今度は全く動くことすらできないほど、疾すぎた。
絵里はなんとかナイフを前に出した。
ズバッ!
「うぁぁぁぁっっ!!!」
ナイフが弾かれて左肩を深く斬られた。
痛い、痛いよぉ・・・。
ゴッ!
さらに剣の柄で殴られて、絵里が崩れようとしたところに足を振り上げる。
ドゴッ!ボキボキボキッッ!!!
お腹を蹴られて吹き飛ばされた。
- 212 名前:理想の世界 投稿日:2007/01/02(火) 15:33
- 絵里はガードレールにぶつかったけど、そんなものじゃ止まらなくって、
壁に勢いよく叩きつけられた。
「ゴホッ!ゴボッ、うぇぇ・・・。」
か、体中が、痛い、よぉ・・・。
自分でも信じられないほど、口から血を吐き出した。
蹴られた衝撃で、肋骨が何本も折れたみたい。
側頭部を殴られて、眩暈がして今にも倒れそう。
血がドクドクと頭から流れてきてる。
だ、だけど、戦わなきゃ・・・。
さゆと、れいなが、殺されちゃうよぉ・・・。
- 213 名前:理想の世界 投稿日:2007/01/02(火) 15:34
-
「さ、さゆ・・・れい、なぁ・・・。」
体が全く動かない。
どうにか、どうにかしない、と・・・。
こ、の・・・。
ドンッ!
「うぁっ!」
突然、何かが絵里に突っ込んできた。
後藤さんの攻撃、だと思ったけど、それを受けたのは絵里じゃなくて、
「れ、れいなぁ・・・。」
絵里にぶつかってきたのはれいなだった。
体中が斬られてて、血に塗れていた。
- 214 名前:理想の世界 投稿日:2007/01/02(火) 15:35
- れいなまでやられちゃった・・・。
さ、さゆは?
ズドォォォンッッッ!!!
音のした方を力なく向くと、さゆが顔を掴まれて地面に埋め込まれていた。
さゆは全く動かない。
後藤さんは、特に表情を変えることもなく剣を振り上げた。
「さすがはモーニングだね。まだ生きてるんだ。でも、今楽にしてあげるよ。」
いやだ・・・さゆ、死んじゃやだよぉ・・・。
- 215 名前:理想の世界 投稿日:2007/01/02(火) 15:36
- れいなも起きない。
絵里も動けない。
さゆ、起きて逃げてよ。
誰か、助けてよぉ・・・。
「さ、さゆ・・・。」
さゆに剣を下ろされた。
さゆ・・・いや、お別れじゃないよね。
絵里達もすぐにそっちに行くんだからさ。
この世界のことは、吉澤さんや愛ちゃんなら、きっと後藤さんを止められるはず。
ハハッ、やだな〜。
もう死んじゃったみたいな言い方しちゃって・・・。
- 216 名前:理想の世界 投稿日:2007/01/02(火) 15:36
-
「全くだよ。まだ生きてんでしょうが。」
ギンッ!
後藤さんの振り下ろされた剣が、なぜかさゆの目の前で止まった。
何、何が起きてるの・・・?
ボンッ!
いきなり後藤さんの目の前で、爆発が起こった。
後藤さんは無事だったけど、そこから身を引いた。
何・・・何が起こったの?
「これは・・・新垣か。」
「そういうことですよ。後藤さん。」
うわぁ・・・ガキさんだ。
ガキさんが近くの鉄橋の上に立っていた。
- 217 名前:理想の世界 投稿日:2007/01/02(火) 15:38
- 助けに、きてくれたんだ・・・。
「その武器、"ヌーヴォー"って言ったけね?次は新垣が相手をするの?」
「いいえ、私の仕事はカメ達を助けることですよ。」
「助けたところで、あたしを止めなきゃ・・・!?」
ドシャッ!
後藤さんが突然現れた影に吹き飛ばされた。
あの後藤さんを吹き飛ばせるなんて、この世に数人しかいない。
絵里達モーニングのリーダー、吉澤さんが増援にきてくれたんだ。
後藤さんは空中で体制を立て直して、顔を緩めて吉澤さんを見つめる。
- 218 名前:理想の世界 投稿日:2007/01/02(火) 15:40
-
「へ〜、現モーニングのリーダーさんがここまでいらっしゃるなんてね。」
「ごっちん・・・突然行方を暗ませたと思ったらさ、いきなり現れて
こんなことして・・・一体何してんだよ!?」
吉澤さんが大声で怒鳴りつけた。
後藤さんは、逆に不思議そうに吉澤さんを見ている。
「何って、あたしの理想の世界を創り上げる前の、テストってとこかな。
少しやりすぎたけど、間違ったことはしているつもりはないよ。」
「理想の世界・・・?これが、ごっちんの理想なのかよ?」
「そうだよ。よっすぃにはわかんないだろうけどね。」
「ああ、わかんないよ。だけど、これだけは言える。」
「何?」
「今のごっちんは危なすぎるよ。モーニングのリーダーとして、
あんたをぶっ倒す!」
吉澤さんは、両腕にはめている手甲をガチンとぶつけて、後藤さんに拳を向けた。
- 219 名前:ais 投稿日:2007/01/02(火) 15:40
- 新年一発目の更新でした〜
- 220 名前:ais 投稿日:2007/01/02(火) 15:44
- >>たまさん
あけおめことよろです♪
ごっちんの真意はどこにあるのか、それは誰にもわかりません(謎)
>>209:名無飼育さん
そうですね〜。
ちょっと趣向を変えて彼女が主役ってことになりましたw
今年も張り切ってまいりたいと思います。
>>橘さん
そう言っていただけるとすごく嬉しいです。
今後もエリリンにはがんばってもらいますよw
- 221 名前:たま 投稿日:2007/01/02(火) 17:26
- あけましておめでとうございます☆
よっちゃんと垣さんカッコ良い!!
ちょっち惚れました☆笑
- 222 名前:橘 投稿日:2007/01/02(火) 19:53
- 亀井さんを始め、れいなやさゆにも頑張ってもらいたですネ。
これからも作者さんを応援したいです!!
- 223 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 22:55
- 吉澤さんが前に飛び出した。
後藤さんも剣を持って立ち向かう。
ズドォォンッ!!!
二人の攻撃が当たった瞬間、ものすごい衝撃が絵里達にまで吹き付けてきた。
吉澤さんの武器は両腕に付けているあの手甲のみ、つまりは拳みたい。
確か暗殺拳の達人だって聞いたことがある。
すごいな・・・吉澤さんが、あの後藤さんと互角に戦ってる。
絵里なんかが入り込める世界じゃないかもしれない。
次元が違いすぎるよ・・・。
絵里が呆然とその戦闘を見ていると、ガキさんがさゆを背負ってきた。
- 224 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 22:56
- さゆは、まだ生きてるの・・・?
絵里の傍に下ろされた彼女を見ると、ゆっくりとだけど胸が上下してる。
よかった・・・まだ、生きてるんだ・・・。
ガキさんがスッと腰を下ろして絵里達を見つめる。
「大丈夫だった?って、聞くまでもないか。むしろ、よく後藤さん相手に
生きていられたもんだね。やばかったら逃げろって言ったのにさ。」
「ガキさん、絵里達・・・。」
「話しはあとだよ。ここから引くよ。立てる?」
ガキさんは立ち上がって、絵里に手を差し伸べた。
だけど、絵里はガキさんに向けて首を横に振った。
「ガキさん。れいなと、さゆをお願い。」
「カメ?」
「絵里は、ここに残るよ。」
「な〜に言ってんの?こんなに怪我して、下手したら死ぬよ?」
「でも!絵里、この闘いを見届けたいの・・・見なきゃいけない気がするの。」
「れ、れいなも、残ると・・・。」
「さゆみだけ、帰るわけには、いかないの・・・。」
れいなとさゆが目を覚まして、状態を起こした。
二人ともフラフラなのに、ガキさんを見る目に力が残ってる。
- 225 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 22:57
- アハハ、絵里達ってたぶんバカなんだろうね。
もちろん、いい意味で受け取ってほしいな。
「あ〜ったく!本当にどうしようもない後輩達なんだから。」
「ガキさん・・・。」
「メロン隊は、この町にまだ生存者がいるかもしれないから、
確認してください。あと、カントリー隊はこの仕方のない
後輩達の手当てを、よろしくお願いします。」
「了解!」
いつの間にか、絵里達の後ろにきていた人達が町に散らばって、そのうちの
他の三人の人達は、絵里達の手当てを始めてくれた。
「ガキさん、ありがとう。」
「お礼を言われても嬉しくないよ。けど、ここにいるからには
しっかりと見ておくんだよ。あと、衝撃は抑えきれないから
そこは我慢するように。その代わり・・・。」
二人の衝突によって、また衝撃波の嵐が絵里達を襲う。
その一部がすぐ傍の壊れかけたビルにぶつかって、大きな破片が落ちてきた。
- 226 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 22:58
- やばいよ、今の絵里達動けないのに・・・。
そう思った時、ガキさんが上に手を広げて何度か振るった。
すると、破片が方向を変えて絵里達の後ろに落ちた。
一体、何したの・・・?
「物理的なものなら、あんた達のこと守ってあげるよ。」
「ガキさん、今、何をやったの・・・?」
「私のことはあとだよ。見てるんでしょ?」
そうだった、絵里達は見てないといけないんだ。
吉澤さんも後藤さんも、猛スピードで何度も衝突を繰り返してる。
吉澤さんの放ったパンチを、後藤さんは剣の柄で受け止める。
戦いながら後藤さんが口を開いた。
- 227 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 22:59
-
「よっすぃを見てると思い出すよ。あたしとよっすぃと、"圭ちゃん"で
チームを組んでたりしたよね。ほとんど一人で戦ってたあたしでも、
最強のチームだと思えたよ。あの頃は楽しかったよね〜。」
「ごっちん・・・あの人はもういないんだよ。」
「それは何でだっけね?」
「・・・。」
後藤さんの攻撃に吉澤さんが少し押される。
でも、すぐに拳を前に突き出して剣を弾いた。
「それにしても、あのよっすぃが立派になったもんだね。だけど、覚えてる?
よっすぃはあたしに一度でも勝てたことないんだよ。」
「今はわからないだろ。それに、例えあたしが負けそうになっても、
あとから高橋達も向かってくるんだ。時間さえ稼げればいい。
ごっちん、ここまでだよ。」
「にゃるほどね〜。確かにここらで切り上げた方がよさそうだね。」
後藤さんが吉澤さんの腕を振り払って、後ろに大きく跳び下がった。
直後に、車みたいな小型の飛行機・・・空を飛ぶ車って言えばいいのかな?
それが、ゆっくりと下りてきた。
- 228 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 23:00
- その車のドアが開いて、一つの影が降りてきた。
瞬間、絵里も、さゆもれいなも、吉澤さんも口を開けて驚いた。
何より、ガキさんは目まで丸く開いて、その人を見つめている。
「お久しぶりですね。吉澤さん。」
「お前・・・紺野、か?」
「私以外に誰に見えますか?」
絵里達が目にしている人は、歴代トップの天才少女、紺野あさ美さんだった。
絵里達と同じモーニングの一員だった人で、マコッちゃんが誰かにやられた直後に、
忽然と姿を消してしまった人。
どれだけ捜索しても見つからなかったこの人が、こんなところで、
それも後藤さん一緒にいるなんて・・・。
そして、誰よりもショックを隠せないのはガキさんだった。
- 229 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 23:01
- だって、ガキさんと紺ちゃんは、同期でずっと一緒に過ごしていたんだから。
「あさ美、ちゃん・・・ねぇ、そんなとこで何してんの?」
「マメか・・・。相変わらず元気そうだね。」
「そんなこと聞いてるんじゃないよ!何をしてんのかって聞いてんの!」
「私は、後藤さんと手を組んだ。モーニングはやめたって書置きしたでしょ?」
「何で、何がしたいんだよ!マコッちゃんもまだ目を覚まさないのに、どうして・・・。」
「マメ、私にはどうしても叶えたい夢があるの。それは・・・。」
「紺野、そろそろ行くよ。ここでやられるわけにもいかないからね。」
「・・・飯田さんの回収は終わってます。すぐに帰りますよ。」
「おっけ〜。」
後藤さんがそう言うと、紺ちゃんは口を閉じて車の中に入った。
それに続いて、後藤さんが飛び乗った。
- 230 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 23:02
-
「よっすぃ、それに他のみんな、また会おうね〜。」
「待てよ!逃がすかよっ!」
吉澤さんが追いかけようと前に飛び出した。
その瞬間、車の下から機関銃が出てきて、それが放たれる。
吉澤さんはチラッとこっちを振り向いて、弾丸の嵐の中に自ら飛び込み、
それを弾いていく。
その間に、車は高く飛び上がって、ジェット機のように飛んで
絵里達の前からいなくなった。
弾を避けて、後藤さんに詰め寄ることだってできたはず。
なのに、自分から弾を弾きにいったのは、絵里達が後ろにいたから・・・。
- 231 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 23:03
- 絵里は、真相を知りたかったからここにいたのに、結局邪魔にしかならなかった・・・。
吉澤さんは、何度か頭を掻いてこっちに向かってきた。
「やっべぇな〜。逃がしちまった。」
「・・・とりあえず、本部に連絡を入れておきます。」
「ああ、ガキさん頼むわ。ついでに高橋達にも伝えといて。」
「はい。」
ガキさんは手際よく電話を始める。
まだその場から立てない絵里達の前に、吉澤さんは座り込んだ。
「吉澤さん・・・どうして、絵里達を、庇ったんですか・・・?」
「ん?」
「後藤さんを追って、捕まえることだってできたんでしょ?
何で、絵里達を、庇って・・・。」
最後の方は、涙がぼろぼろと出てきて言葉にならなかった。
- 232 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 23:04
- 絵里が、余計なことを言わなかったら、後藤さん達を捕まえられたかも、
しれなかったのに・・・。
それまで黙り込んでいた吉澤さんは、絵里の頭をガシガシと撫で付けた。
「泣くなよ。次に倒せばいいだけの話しだ。それに、あっちには紺野がいたんだ。
あいつがいるとなると、どちらにせよ何だかの手で逃げられただろうね。
お前達の責任じゃない。それに、可愛い後輩を見捨ててまで、任務を
優先させるつもりはないよ。よく無事でいてくれたよ。」
「で、でも・・・ふぃぐ、ぅぅ・・・。」
「だから、泣〜く〜なって。悔しかったら、次に成功させようぜ。帰るぞ。」
吉澤さんは、もう一度頭を撫でて立ち上がった。
悔しくって仕方ない・・・。
絵里達が後藤さんを捕まえられなかったこともあるけど、それ以上に、
先輩達の足を引っ張って、挙句の果てには逃がしてしまったこと・・・。
- 233 名前:絶対に忘れない 投稿日:2007/01/05(金) 23:06
- 涙が止まらずに落ちていく。
さゆも、れいなも、声を押し殺して泣いている。
「ふぐっ、絵里、強くなります・・・もう、誰にも負けたくない!」
「れいなやって!」
「さゆみも!」
絵里、今日の日のことを絶対に忘れないよ。
今度こそ、絶対に後藤さんを倒してみせるんだから!
満月の光が絵里達を照らす。
この光に、絵里は誓いを立てることにした。
- 234 名前:吉澤ひとみ 投稿日:2007/01/05(金) 23:08
- 名前:吉澤ひとみ
年齢:21歳
武器:素手(手甲をつけた素手の暗殺拳)
履歴:モーニングの四代目リーダー。実力はエースの愛・美貴にも劣らない力を持つとも言われている。
過去に真希達とチームを組んだことがあり、モーニングの中でも最強と言われ続け、
後にはプチモーニング、語呂合わせからプッチモニと呼ばれていた。しかし、チームを組んでいた
もう一人の命を失ったことによって、チームは解散し、真希はモーニングを抜け、ひとみは
それ以降も戦い続けてリーダーの座を受け継いだ。基本的には単独行動が多いことから、
仲間のまとめ役を里沙に任せている。性格や容姿は男っぽく、女性にも好かれやすい。
- 235 名前:ais 投稿日:2007/01/05(金) 23:09
- 本日の更新でした〜
- 236 名前:ais 投稿日:2007/01/05(金) 23:11
- >>たまさん
あけおめです〜♪
基本的にみんなかっこよかったりw
もっと惚れちゃってくださ(ry
>>橘さん
ありがとうございます。
この三人もまだまだ活躍しますよ〜!
すいませんけどレスはsageでよろしくですm(_ _)m
- 237 名前:たま 投稿日:2007/01/06(土) 08:57
- 紺ちゃんまでも…
一体モーニングを辞めた人達はどうしたんでしょうか…
次回も超楽しみです♪
- 238 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/07(日) 23:52
-
れいな視点
後藤さんとの死闘を終えて一週間が経った。
れいな達は今、組織のトレーニングルームで戦って修行をしてると。
さっきまでは病院に入院してたけど、もう限界やった。
寝ている暇なんてないけん、三人で協力して病院から抜け出して、今に至るってこと。
あんなにぼろ負けして、れいなは悔しかった。
全く手も足も出せずに終わっちゃった。
れいなは、絵里やさゆやって満足できるわけがなかね!
今日の修行場は森の中。
れいなが辺りを窺っていると、絵里が木の影から飛び出してきた。
「ヤァッ!」
「なんの!」
絵里の振るったトルテュを、リジィエの先端で弾く。
- 239 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/07(日) 23:53
- く〜、傷に響くと・・・。
仮想空間でも怪我してるって、何かおかしいやろ?
いつもの動きが全くできん。
まぁ、そのおかげで一回だけ大怪我しとる愛ちゃんに勝てて・・・全然嬉しくなか。
今度こそ絶対に倒してやると!
その前に、絵里達に勝たんとね。
絵里のすぐ背後の草から、さゆが飛び出した。
「もらったの!」
「当たらないよ!」
「二人とも、れいなが倒すけんね・・・。」
ズバッ!
「うぁっ・・・。」
いきなり後ろから何かで斬られた・・・。
前の方では、絵里とさゆも傷口を押さえて蹲ってる。
一体、誰が何をしたと・・・?
- 240 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/07(日) 23:54
- 今日の設定にれいな達以外に敵はいないはず。
だとすると、他に考えられる理由は二つだけ。
誰かが勝手に設定を変えたか、もしくは・・・。
「コラーッ!あんた達何をしてんの!?」
「新垣さん・・・。」
「えっとね、ガキさん・・・。」
「さゆみ達、もっと強くなりたいの。」
「強くなりたいじゃない!勝手に病院を抜け出して、全くもう・・・。」
新垣さんがこの世界に入ってきて、れいな達を攻撃したってことね。
かといって、もろに怪我してるとこを斬ることないやろ・・・。
- 241 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/07(日) 23:56
- やけど、気になる点が一つある。
「ねぇ、新垣さんの武器って何なの?」
「絵里達を一気に攻撃するなんて、そんなのずるい〜。」
絵里、ずるいとかって問題やないやろ。
れいなの疑問をさゆが聞いてくれた。
新垣さんとは組んだことないけん、わからんと。
れいな達が立っていた場所は、一直線にいるわけやない。
それも、声からしてずいぶんと遠くにいたにもかかわらず、飛んできた武器の音も、
何も見えなかった。
この間も手を振っただけで岩をどかしちゃうし、超能力者とか?
「特別な力なんてないよ。普段のあんた達なら、見抜けないほどの武器じゃないって。
それすらわかんないくらい疲労してんの。ここまでにしなさい。」
「でも、絵里達だって、もっと強くならないと・・・。」
「いちおう聞いてあげるけど、私に殺されて戻るか、自分の意思で戻るか、
どっちがいい?5秒以内に戻りなさい。言っておくけど、私は愛ちゃんみたいに
優しくないからね。」
やばい、新垣さんの目がマジだ・・・。
こりゃ、逃げ出した方がよかね?
- 242 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/07(日) 23:57
- いや、ここで引くれいな達やない!
れいな達のコンビネーション、見せてやって・・・!?
絵里とさゆがいなくなってる。
あいつら、逃げよったな〜!
「田中っち、もしかしてその体で私と戦うつもりでいるの?」
「あ、当たり前やと!れいな一人でもやれるもん!」
「ふ〜ん、わかった。手加減はしないからね!」
新垣さんが勢いよく手を振るった。
何であろうとれいなも負けはせんと!
思いっきり見返してやるっちゃ!
- 243 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/07(日) 23:58
- トボトボと通路を歩くれいな。
一瞬にしてズタボロにされたと・・・。
新垣さんはさっさと通信室に戻っていった。
こんな体のれいな一人で新垣さん相手に何ができると!?
これもみんな絵里とさゆのせいだ。
けど、新垣さんの武器がわかったことだけは、大きな収穫やったと思う。
新垣さんの武器、"ヌーヴォー"は糸なんだ。
調合金を溶かして結って作られた、世界一硬い糸。
やろうと思えば、何トンもある車とかをたった一本で支えることもできるんやってさ。
新垣さんは両腕に装着したヌーヴォーから糸を引き出して、その糸を自在に
振り回して敵を切りつけ、手に付けている特殊な手袋で糸を切っては接着して、
罠を張ったり後藤さんの剣を止めたりしてたんだ。
攻撃力はあんまりないけど、その分特殊な攻撃法や罠を設置できたりするんやって。
- 244 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/07(日) 23:59
- うん、これでれいなも勉強になったと。
次はぜーったいに勝つ!
れいなが待合室に戻ると、絵里とさゆと小春が、大量に置いてある書類を
一枚ずつまったりと見ていた。
全く、人が一生懸命がんばってたっていうのに〜!
「絵里!さゆ!れいなを置いていくなんてひどかよ!」
「あ、れいなおかえり〜。」
「れいな、遊んでないで手伝ってよ。」
「遊んでるって、れいな新垣さんと戦ってたと!」
「あの状態で新垣さんに勝てるわけないの。」
ぬぐっ、正論を言われた・・・。
けど、それでも戦い抜くのがれいな達の務めやろ!
もう、本気で怒った。
- 245 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/08(月) 00:00
-
「もういい。新垣さんの武器せっかく教えてもらったのに、もう教えてやらん。」
「えっ?れいな、知らなかったの?」
「・・・へっ?」
「さゆみもさっき絵里に教えてもらったの。だから問題ないの。」
「な、なん?絵里、知っとったんか?」
「絵里とガキさんの仲だもん♪この前教えてもらったよ。それに、
知らないなんて一言も言ってないよ。」
そういえば、一気に攻撃するのがずるいとか・・・確かに言っとらん。
やけん、さゆとさっさと逃げてきたってことか。
そんなのずるかよ〜・・・。
「れいな、これが今日の仕事なの。」
「全部終わったら話しがあるから、ガキさんのとこにきてってさ〜。」
「へいへい・・・。」
ん〜と、今後のモーニングのターゲットを覚えろってことね。
あと何十枚あるんだか・・・。
れいなは大きなため息を一つこぼして、資料を一枚ずつ読み始めた。
- 246 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/08(月) 00:01
- 全部終わったのが夕方くらいで、れいな達は新垣さんのいる通信室に向かった。
れいな達が入ると、愛ちゃんと新垣さんが何か話してた。
「・・・ってことだから。愛ちゃん、頼めるかな?」
「あいよ〜。任せとけって!」
愛ちゃんが笑顔で頷いたあと、二人の視線がれいな達に向いた。
なん、何の話ししてるっちゃ?
「カメ、重さん、田中っち。あと小春ちゃんもよく聞いてね。」
「何ですか?」
「これから三日間、あんた達に休暇をあげるから、好きに使っていいよ。」
三日間の休暇?
それが大事な話しやと?
- 247 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/08(月) 00:02
-
「ねぇ、ガキさん。それだとこっちの方が厳しくない?それに、
後藤さんの件もあるし・・・。」
「しばらくは大きな任務はないから大丈夫。よほどのことがない限りは、
呼び出したりしないよ。後藤さんの居場所は、今のところは何も
掴めてないんだよ。だから、しっかりと休んで怪我を早く治すこと。」
「け、けど、れいな達、強くならんとまた足を引っ張ることになると。
そんなのもう・・・。」
「怪我してまともに動けん方が邪魔になるやよ。」
愛ちゃんがれいな達を見てそう言った。
普段の彼女とは思えないほど冷酷な言い方やった。
基本的には何でも受け止めてくれる彼女やけど、任務については本当に真剣そのもの。
やけん、ここまでズバッと言われると何も言えなくなる。
「休むのも戦士の勤めやよ。あとは先輩達に任せなさい!それとも、
あたし達だけじゃ不安やっていうんか?」
「そ、そんなことないです!」
「ならば、安心して休んでてよ。がんばりすぎも体に毒やで。」
「もう一つ言っておくと、その間はここへの立ち入りは禁止ね。
黙って勝手にトレーニングなんかしたら、本当に謹慎させるからね。
よ〜く覚えておくように。」
それからもいくつか話しをして、れいな達はハローを出た。
- 248 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/08(月) 00:03
- 休みか〜、何しよっかな?
家に戻って、部屋のお風呂に入ってリビングにいくと、絵里がソファの上に寝転んでた。
何かを考えてるっていうより、焦点の合わない目でぼーっと天井を見ていた。
「絵里、どうしたと?何かあった?」
「ん〜、何でもないよ。」
絵里はこっちを見ないで返事をした。
やっぱり、何か変やね。
れいなは向かい側にある椅子に座って絵里を見つめた。
「そういえば、さゆと小春は?」
「あの二人なら、どっかに遊びに行こうって雑誌を買いに行ったよ。」
「絵里は一緒に行かんの?」
「ん〜、そういう気分じゃないかな。れいなはこの三日間どうするの?」
「れいなは、地元に帰省しようと思う。一泊二日で帰るんなら、たぶん平気やろ。」
「そっか〜・・・。」
絵里・・・?
れいなは立ち上がって、絵里の顔を覗き見た。
- 249 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/08(月) 00:05
- 絵里は天井かられいなに視線を移す。
「絵里は、どうすると?」
「絵里はさ、帰る場所がないからね。お墓参りもこの間行ったばっかだし、
適当に一人で過ごしてるよ。絵里のことは気にしないで、楽しんできなよ。」
寂しく笑う絵里の表情。
れいな、もしかして悪いこと言ったかな・・・?
絵里の気持ち、全く考えてなかった。
れいなには、例え遠くてもれいなを思ってくれる人達がいる。
- 250 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/08(月) 00:06
- 誰も思ってくれない気持ちって、どれだけ寂しいんやろ?
れいな達が傍にいない時、絵里は何を考えてるのかな?
一人はやっぱり、寂しいんやろね・・・。
それなら、
「絵里、どうせなら旅行気分で、れいなの家に一緒に行かない?」
「れいなの、家・・・?いいよ。そんなの迷惑だし・・・。」
「迷惑なんてどうして考えるっちゃ?れいな達、友達やろ。」
「それは、そうだけど・・・。」
「家にいるくらいなら、外に出て美味しいものでも食べ歩いた方が楽しかろうよ。
福岡はさ、はずれの店がなかよ。絵里も絶対に気に入るはずやけんね。行こうよ!」
れいなは絵里の手を引いて起こした。
絵里は少しだけ考えたあと、首を縦に頷けた。
- 251 名前:れいなの帰省 投稿日:2007/01/08(月) 00:06
- 全く、変なとこで気を使うんやもんね。
「絵里、明日昼の飛行機で向かうと。準備もあるし早く風呂入って寝た方がよかよ。」
「ねぇ、れいな。」
「ん?」
「・・・ありがとね。」
絵里は、さっきよりも少し笑って部屋に戻っていった。
まぁ、絵里も強い子やし大丈夫やろ。
さてと、どこに案内してやろっかね〜?
明日が少し楽しみになってきた。
れいなも疲れたし、早く寝ようっと。
絵里、あんまり我慢しちゃだめやと。
れいな達が、ずっと傍にいるけんね。
- 252 名前:新垣里沙 投稿日:2007/01/08(月) 00:07
- 名前:新垣里沙
年齢:18歳
武器:ヌーヴォー(糸)
履歴:親が裏の仕事をしていることから、モーニングの情報を知って憧れを持ち、エッグに入隊した。
圧倒的な才能を持つ愛とは違い、里沙の実力はそれほど大したことはなかった。それでも、
チームを組んでモーニングに受かった時には批判の声が沸き、コネで入ったなどと言われていた。
だが、後に特訓をして力を付け、他のメンバーと遜色のない実力を持ったことで、誰にも文句を
言われることはなくなった。以前は愛のサポート役をしていたが、あさ美が抜けたことで
モーニングの指揮官となる。だが、怒ってもあまり怖くもないので、同期の愛はともかく、
後輩メンバーまでも好き勝手にやらせてしまうことが、彼女の悩みの種でもある。
- 253 名前:ais 投稿日:2007/01/08(月) 00:07
- 更新でした〜
- 254 名前:ais 投稿日:2007/01/08(月) 00:08
- >>たまさん
どうなってしまうんでしょうね〜。
彼女達にも何かあるのかも・・・(謎)
- 255 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/08(月) 00:34
- 更新お疲れ様です。
毎回とても楽しみにしています。
黒い猫好きだった者としては特にww
- 256 名前:たま 投稿日:2007/01/08(月) 08:03
- れいな優しいですね(笑)
愛ちゃんの一言が冷たい言い方でしたがソコに後輩に対する愛を感じました(笑)
- 257 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 22:54
- れいな達は空港に到着した。
あ〜もう、チェックインまで全然時間ないやん!
れいなと絵里はタクシーから降りると、荷物を持って走り出した。
「ぎりぎりやね。絵里がゆっくりご飯を食べてるからやろ!」
「れいなだって寝坊したじゃん!」
「って、文句言っとる場合じゃなかね。絵里、飛ばすよ!」
「うん!」
ビュンッ!
常人の目では追いつけないほどの疾さで、れいな達は人々の間を潜り抜けていく。
受付についた時なんか、れいな達が突然現れたもんやけん、受付の人が
目を丸くして驚いてた。
- 258 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 22:56
- よし、とりあえずは間に合った〜。
時間まで適当に話したあと、絵里と飛行機に乗り込む。
飛行機が離陸したあと、絵里は窓際に座って、珍しげに窓の外を見つめる。
「絵里、何そんなマジマジと見てると?」
「絵里ね、普通の飛行機に乗るの初めてなんだ。」
「そうなん?」
仕事で任務に赴く時は、ヘリコプターとか、組織専用のジェット機を
使って移動するけん、こうしてゆっくりと飛んでる景色が、絵里は嬉しいみたい。
景色が一つ変わる度にはしゃいでて、しばらくしたら寝息を立て始めた。
そういや、緊張してあんまり寝てないとか言っとったね。
何もないときくらいは、普通の女の子でいても悪くないよね。
れいなは持ってるジャケットを絵里にかけて、かばんから雑誌を取り出した。
十分に寝たけん全然眠くはない。
適当に本でも見て、時間を潰すとするかな。
- 259 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 22:57
- 飛行機を降りて駅から出て、ここからまた電車で移動する。
昼過ぎって中途半端な時間やけど、お腹がすいとるけん何か食べていこっかな。
「絵里、何か食べたいものとかある?」
「えっとね〜、博多ラーメンが食べたい!」
「オッケー。よし、そんじゃ食べに行くとしますか!」
「お〜!」
二人で歩いて近くの店に入る。
テレビとかにも出たことのある、有名なラーメン屋だ。
けど、時間が時間やけんすぐに入ることができた。
注文したラーメンが出てきて、それを食べた絵里はれいなの肩をパシパシ叩いた。
- 260 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 22:58
-
「れ、れいな〜。すっごく美味しいよ!」
「来る前に言ったやろ。福岡はみんな美味しいってね。」
れいなも久々にこっちのラーメンを食べて、もうこれだけで満足やね!
それからは、福岡の名物とか観光名所とかを二人して回っていった。
でも、まともに見れたのは半分くらいやった。
破壊活動や放火など、テロ行為によって潰れた場所がいくつかあった。
こっちの方はまだ比較的少ないけど、やっぱり許せんね。
なんといってもれいなの故郷やし、絶対にみんなぶっ潰してやる!
そろそろ夜になろうとした時間に、れいな達は家に着いた。
れいなの家は普通の一軒家。
門を開けてドアの前で一息つく。
- 261 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 22:58
- 久しぶりやとけっこう緊張するもんやね。
れいなは気を引き締めてドアを開けた。
「ただいま〜。」
「「「おかえり〜!!!」」」
なっ、パパもママも、弟達もみんな揃って玄関に立っていた。
っつうか何で玄関で待ってると?
「れいな、おかえりなさい。晩ごはんの支度できてるけん、早く上がりなさい。」
「その子がれいなの友達か〜。れいなと違って華やかな子やね〜。」
「パパ、うっさい。親に似たんやろ。」
「は、初めまして。亀井絵里っていいます。」
「フフッ、れいなが友達を連れてくるなんて、嬉しいわね〜。」
「れいなは誰とでも仲良くなれると。絵里、いくよ。」
れいなは絵里を連れて自分の部屋に向かう。
れいなの部屋も、当然やけど何も変わってないな〜。
ママが掃除をした形跡が残ってるくらいで、あとは家を出る前のままやった。
- 262 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 22:59
- ここに戻ると初心に帰ることができる。
れいなは自分のバッグを放り投げて、ベッドの上に座った。
「絵里、適当に荷物置いてよかよ。」
「うん。れいなの家の人って、面白い人達だね〜。」
「ノー天気なだけやと。絵里もさっき閉鎖してた場所見たやろ。」
「うん・・・。」
「さっさと平和にしてやらんと、うちの人間も危ないけんね。
少しは身の危険を察してほしいと。」
「だけどさ、れいなの家族って、暖かくて絵里も好きだな〜。」
「わかっちょるよ。やけん、れいなは守ると。そして・・・。」
グ〜
れいなのお腹がすいて変な音が出た。
せっかくカッコイイこと言ってたのに・・・。
- 263 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 23:00
- 絵里は大声で笑い出す。
「アハハハッ!れいなが一番面白〜い!」
「お、面白くなか!絵里、晩ごはん食べにいくよ。」
絵里を引き連れてリビングに入ると、食卓の上いっぱいに豪勢なご飯が乗っていた。
何もここまでやらんでもいいと思うけどね。
まぁ、れいなの好物ばっかやけん文句は言わんと。
「絵里、早く食べよ。」
「うん。」
「その前に、れいな、ちょっといいかしら?」
台所にいるママに呼ばれた。
せっかくこれから食べようとしてんのに、何の話しやろ?
- 264 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 23:02
- 台所にいくと、ママが真剣な顔をしてれいなを見てきた。
「この間、あなたからものすごいお金が振り込まれてたけど、あれは何?」
「メールで送ったっちゃろ。宝くじが当たったけん、れいな一人じゃ
使えんからこっちにも送ったってだけやと。」
「そうなん・・・やけんね、あなたが当てたのなら、今後のためにも貯金して・・・。」
「まだ十分に残ってると。心配なかよ。」
「あちらでの生活に不十分なことなか?何かあるなら、私も行くと?」
「大丈夫やって。ママ、れいなは楽しく過ごしてると、問題ないっちゃ。」
れいなは一度笑顔を見せて、台所から出てきた。
この間、給料の一部を家に送った。
れいな達の世界は生死を伴う、かつ、モーニングとして闇の世界で大いに活躍している。
そのため、給料の振込み額はかなり大きいもんで、遊んで暮らせるくらいの金は溜まってる。
お金使う機会なんてそうはないし、たまには親孝行せんとね。
家族の中では、れいなは普通の女子高生ってことになってる。
特待生で選ばれたってことにして、組織に入り込んだ。
うるさくて騒がしいこんな場所でも、心配はかけたくない。
やけん、れいなは、れいな達は死ねない。
- 265 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 23:02
- さてと、お腹がすいたし絵里のとこに戻ろっと。
椅子について絵里を見ると、まだ箸に手をつけてないみたい。
「絵里、先に食べててもよかったと。」
「絵里ちゃんは、れいなと違って優しいけん待っててくれたんやろ。」
「ハイハイ。んじゃ、絵里、食べよ。」
「「いただきます。」」
絵里は最初に味噌汁に手をつけて、一口飲んだ。
うちはけっこういい出汁使っとるけんね。
さっきみたいにはしゃぐかな〜って、少し期待したりもした。
やけど、絵里は一つ雰囲気を落として、その直後に涙を零した。
- 266 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 23:03
- 絵里・・・?
「え、絵里ちゃん。何かあったのかい?」
「変なものとか入ってた?」
ママとパパは慌てて絵里に話しかけてる。
絵里は、小さく笑って首を横に振った。
「ご、ごめんなさい。ちょっと舌を噛んじゃっただけです。」
「そう・・・ならいいけど、何かあったらすぐに言ってね。」
「大丈夫です。とっても美味しいですよ。」
「そういってもらえると嬉しいわ。たくさん食べてね。」
「はい!」
絵里は満面な笑顔で色々と口に入れていく。
絵里、何かあったと?
さっきのことを気にしながら、れいなもご飯を食べ始めた。
- 267 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 23:05
- ご飯を食べ終えたあと、れいなはお風呂に入って布団の上でぼーっとしてた。
今は絵里がお風呂に入ってる。
先に入れって言ったのに絶対にあとがいいって、無駄に気を使うもんやけん、
れいなが折れて先に入ってきた。
そこが絵里のいいとこでもあって、悪いとこでもある。
少しは甘えてもよかろうにね。
しばらくして、パジャマに着替えた絵里が部屋に入ってきた。
絵里はれいなの傍に寄ってきて、不思議そうにれいなを見る。
何を言いたいのかは、簡単にわかった。
- 268 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 23:06
-
「なん?」
「れいな、どうしてそこにいるの?」
「絵里はベッドを使ってよかよ。こっちやと背中が痛くなるやろ。」
「だめだよ〜。絵里は客なんだからこっちでいいよ。」
「アホ。普通は逆やろ。絵里がお客さんなんやけん、そっちなの。」
「む〜、でも・・・。」
全く、気を利かせすぎやっての。
れいながずっとどかんでいると、絵里は渋々とベッドの上に座った。
「絵里。」
「な〜に?」
「さっき、泣いてたけど何かあった?」
「ん・・・ちょっとね、お袋の味がしたっていうのかな〜。アハハ、
年寄りくさい言い方だけど、ママのこと、思い出しちゃってね・・・。
家族の優しさに触れたっていうのかな〜。すっごく暖かかったんだ。」
「絵里・・・。」
「れいな、今日は本当にありがとね。とっても楽しかったよ。」
「・・・れいなも、絵里にきてもらって楽しかったよ。」
絵里と目が合うと、なんとなく二人して笑い出した。
- 269 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 23:07
- そういえば、絵里と二人で遊びいくことなんて、そうあるわけやないもんね。
まだ、時間はあるとね。
「絵里、明日は夜の便まで時間あると、またどっか連れていってあげる。」
「ほんとに〜?」
「うん。明日も早いけん、さっさと寝よう。」
「れいな・・・ご家族の方達は、もういいの?」
「元気な姿が見れただけでよかよ。れいなは平気。ほらっ、寝よう。」
「うん。」
明かりを消して、二人とも布団に潜り込む。
少しづつ眠くなってウトウトしてきた。
なんとなく絵里の方を見ると、まだ起きてるみたい。
暗闇の中でも戦えるように仕込まれてるけん、目が開いてるかどうかくらい見える。
- 270 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 23:08
-
「絵里、まだ起きてると?」
「・・・ねぇ、れいな。一つお願いしていい?」
「なん?」
「一緒に寝ない?」
甘えてきて無理矢理入ってくるさゆはともかく、絵里がこんなこと言うなんて珍しい。
まぁ、たまにはいいかな。
れいなは起き上がって絵里の隣に入り込んだ。
「ウヘヘ、れいな、暖か〜い。」
「絵里の方がお風呂入ったばかりやけん、熱いやろ。」
「そうじゃなくってさ、れいなって優しいなってね。」
「・・・絵里、疲れとるだけっちゃ。早く寝なよ。」
「うん。おやすみなさ〜い。」
絵里は目を瞑って眠り始めた。
- 271 名前:家族の優しさ 投稿日:2007/01/09(火) 23:09
- なぜかれいなの肩に頭を置いて・・・こういう無意識に甘えられると、
けっこう恥ずかしかったりするもんやね。
家族のいない絵里。
やけん、家族の暖かさに触れたことで、急に寂しくなったのかもしれん。
絵里、家族はいなくてもれいな達が傍にいるよ。
明日からも、またよろしくね。
れいなも眠くなってきた。
絵里、おやすみ〜。
- 272 名前:次回予告 投稿日:2007/01/09(火) 23:10
-
「どうしてよ!?どうして、こんな簡単に人を殺せるの!?」
「あたしの名前は後藤真希。よろしくね。」
「絵里は・・・強くなりたい。」
絵里の家族が殺された悲劇の事件。
最も信頼していた真希との出会い。
さゆみ、れいなと共に上を目指す試練。
絵里の過去が今明かされる。
- 273 名前:ais 投稿日:2007/01/09(火) 23:11
- 更新しました〜。
なんとなく次回予告を付けてみたりw
- 274 名前:ais 投稿日:2007/01/09(火) 23:13
- >>255:名無飼育さん
ありがとうです。
黒い猫・・・・・・・やっぱり気付かれたようで(汗)
ストーリーというより内容をちょっとお借りしたりして(ry
まぁこんな話しをあるんだと読んでいただけると嬉しいかなとw
>>たまさん
時には冷たく当たるのも愛ですよね〜。
なんたって仲間ですから!
けっこう好き勝手に動く三人って設定なのでw
- 275 名前:たま 投稿日:2007/01/10(水) 00:31
- ぬぉ!?
気になる次回予告…
おかげさまで次回が超楽しみです(笑)
- 276 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/10(水) 20:14
- 亀ちゃん…。・゚・(ノД`)・゚・。
次回が気になって気になって待ちきれません
- 277 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:27
-
絵里視点
四年前
今日は12月23日、絵里の誕生日なんだ。
これからパパに、ちょっと早いクリスマスプレゼントを買ってもらうんだ。
っていうか、誕生日とまとめないでほしいな・・・。
たまに自分の誕生日を恨んだりしてるけど、プレゼントを買ってもらうのは本当に嬉しいな。
家族みんなで車に乗って、ウキウキ気分でデパートに向かう。
途中にお金をおろすために銀行に寄った。
朝早くからきたせいか、中にはほとんどお客さんがいない。
これならすぐに終わりそうだね。
でもその前におトイレにいっておこうっと。
用を済まして、ドアを開けようとしたその時だった。
ダダダダダダッ!!!
何か、銀行の中で大きな音が聞こえてきた。
- 278 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:28
- 何、何が起こってるの・・・?
怖くなってその場で立ち竦んでいると、音が聞こえなくなった。
そーっとドアを開けて、トイレから出てきた。
その瞬間、絵里は呆然として固まってしまった。
中には五人の男達、その人達は銃を持っている。
そして、そこにいたお客さんや銀行員達は、赤く染まって倒れてる。
パパと、ママまで倒れてる・・・。
お兄ちゃんも、妹も、倒れたまま動かない。
嘘でしょ・・・そんなの、嘘だよ!
「いやぁぁぁぁーーーっっっ!!!!」
絵里は慌ててパパに駆け寄った。
息が全くない。
ママも、お兄ちゃんも、妹まで、みんな、全然動いてくれない。
- 279 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:29
- みんな死んだんだって、恐怖が襲ってくる。
涙が自然と毀れてきた。
「ねぇ、起きてよ・・・どうして、みんな起きないの・・・?どうして・・・。」
「何だよ、まだ生き残りがいたのか。」
絵里は、立っている男の方を振り向いた。
二人は銀行の中を漁ってて、三人がこっちを見ていた。
銀行強盗・・・?
この人達が、絵里の家族を撃ったの・・・?
お金なんかのために・・・。
一人の男がこっちに近寄ってくる。
「へ〜、けっこう可愛いじゃん。一緒に持って帰ろうぜ。」
「バカ言うなよ。殺しておけ。」
「けどさ〜・・・。」
何よ、殺すって・・・そんな簡単に言っていいものじゃないでしょ。
近寄ってきた男が、絵里の顎を掴んで顔を上げさせた。
- 280 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:30
- 許せない・・・絶対に許さない!
ガブッ!
「痛っ!このガキ!」
ガッ!
指を噛んでやったら、思いっきり殴られた。
口の中に鉄の味がじわりと滲んでくる。
痛いよ・・・ねぇ神様、絵里、何か悪いことしました?
痛みよりも悔しさで涙が止まらない。
- 281 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:31
- 絵里に指を噛まれた男が、銃を手に持ち直した。
「くそっ!いてぇな。」
「ギャハハッ!連れてこうとして噛まれてるんじゃ世話ねぇな。」
「殺すならさっさと殺せよ。そろそろ逃げないと警察がくるぞ。」
「うるせぇ!わかってるよ。」
何で、こんなことになったの・・・?
絵里はこの人達を許せない・・・。
人を、絵里の家族を簡単に殺すなんて、許せるわけがない。
絵里は銃に怯まないで、男達を睨みつけた。
「な、何だよ、これ・・・殺気か?」
「まさか、このガキから・・・?」
「ち、違う!いいからさっさと殺せ!早く逃げるぞ!」
男達の体がガタガタと震えだした。
- 282 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:33
- 何だろ、この空気は・・・?
一気に温度が下がったような、氷のように冷たい感情が絵里の心を包んでくる。
男の銃がこっちを向いた。
あ〜あ、絵里の人生、短かったな・・・。
キンッ!ズバァッ!
一体、何が起きたのか全くわからなかった。
気が付いた時には、目の前に一人の綺麗な女性が立っていた。
髪が長くて、凛としたカッコイイ女性の人。
だけど大きな違和感、それは右手には大きな剣を持っていること。
- 283 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:33
- 少し遅れて、男の銃を持っていた右腕が地面に落ちた。
男は血が噴出している右腕を押さえて蹲る。
「なっ!ぐぁぁっ!!!」
「な、何者だ!?」
「これから死ぬ人間に教える必要はないよ。」
「し、死ね!」
再びいくつもの銃声が響いた。
その女性は絵里を抱えて横に飛ぶと、絵里を壁の後ろに隠した。
そして、またすぐに飛び出す。
絵里はそーっと顔を出して中を覗いた。
信じられないことに、その女性は弾を剣で弾きながら男達に突き進んでいく。
- 284 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:34
-
「なっ!?うわぁぁっっ!!!」
「これまでに殺した人達に、死をもって償え。」
ズババババッ!!!
ほんの一瞬の出来事だった。
男達はバラバラになって地面に落ちていた。
女性は、ポケットから携帯を取り出して顔に近づける。
「終わりました。入ってきてください。」
女性がそう言うと、入り口から何人もの人達が入ってきた。
その人達は、倒れている人達に近寄って色々と話しを始めた。
- 285 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:35
- タンカで連れ出された人は、ほんの僅かに五人だけ。
たぶん、まだ生き残れる可能性がある人で、他の人はもう・・・。
絵里の家族は、確認されただけで、連れ出されることはなかった。
絵里は家族のみんなの傍まで寄って、じっと見渡した。
誰も、動かない・・・。
本当に、死んじゃったんだ・・・。
夢であってほしい・・・ただの、悪夢であってほしいよぉ・・・。
絵里が涙を零して立っていると、後ろからポンと肩を叩かれた。
さっきまで戦ってた女性だった。
「君は、大丈夫だった・・・?」
「・・・。」
「君のご家族、なんだね・・・ごめんね。遅くなって・・・。」
その女性は絵里の体を優しく抱きしめた。
- 286 名前:悪夢 投稿日:2007/01/11(木) 23:37
- どうして、この人が謝るの・・・?
この人が誤る必要なんてどこにもないのに・・・。
謝られたって、みんなが帰ってくるわけじゃないのに・・・。
「どうして、ですか・・・?」
「えっ?」
「どうして、こんなに簡単に、みんなを殺せるの!?どうして絵里だけ生きてるの!?
絵里だって、死んじゃえばよかったのに!」
「・・・そんなこと、言わないで。」
「どうして・・・うぐっ、うわぁっ!」
絵里はその人の肩を掴んで、泣き叫んだ。
その女性は、それ以上何も言わずに絵里の頭を撫でてくれていた。
- 287 名前:ais 投稿日:2007/01/11(木) 23:38
- 更新です。
- 288 名前:ais 投稿日:2007/01/11(木) 23:40
- >>たまさん
次回予告、何かいいかな〜って思って勝手につけちゃいましたw
また次の話しになったらつけてみたいと思います。
>>名無し飼育さん
エリリンの過去の具体的な話しを・・・(泣)
ちょっと自分でも読んでて悲しいミキモチに・・・。
- 289 名前:たま 投稿日:2007/01/12(金) 02:00
- 亀ちゃん…なんて悲しい過去を…
- 290 名前:絵里の決意 投稿日:2007/01/13(土) 23:15
- それから、何をどうしたのかは覚えてない。
思い出せるのは、誰もいない家に帰って、泣き喚いていたことだけかな。
それからは、荷物をまとめて施設に住むことになった。
親戚は同情をしただけで、精神を犯されてる危険性があるからって、
引き取ってくれることはなかった。
悲しかったけど、その方が楽でよかった。
今は一人でいたかった。
施設に入ってからも、別の中学に転校することはなかった。
施設の人達は絵里の気持ちを察してくれて、何か言われるようなこともない。
施設の中では、独自で勉強をしているか、適当に本を読んでいるだけ。
ただ、家族のことを思い出してしまう時には、近くの川原を走り続けていた。
がむしゃらになって走っている時だけは、何も考えずに済むから。
雨の日でも、風が吹こうと、絵里は走っていた。
- 291 名前:絵里の決意 投稿日:2007/01/13(土) 23:16
- それからちょうど一年が過ぎた。
絵里は自分の住んでいた家を見に戻った。
家はなくなってて、そこには別の建物が建造中だった。
絵里のいた居場所、無くなっちゃったんだね・・・。
絵里は小さくため息をついて、目を離した。
次に向かったのは家族のお墓だった。
花を添えて手を合わせる。
みんな、あっちで元気にやってるのかな?
ねぇ、絵里はどうしたらいいのかな?
答えは、見つかるのかな・・・?
泣いてたって失った時は戻らない。
それでも涙がぼろぼろと零れて止まらない。
手で目を押さえながら、絵里は腰を上げて歩き出した。
- 292 名前:絵里の決意 投稿日:2007/01/13(土) 23:17
- 最後に向かったのは、あの事件の起きた銀行だった。
二度と見たくはなかったのに、なぜか自然とここに足が運んだ。
その銀行はもうなかったけど、もう一度だけ見ておきたかったんだろうね。
ここで、みんな死んじゃったんだよね・・・。
何もないその場所で、通りを歩く人達は不信な目で見てくるけど、
絵里はそこから動かなかった。
そろそろ行こうかな・・・そう思い始めた時だった。
「あれ?君はあの時の・・・。」
「えっ・・・?」
声がした方を振り向くと、忘れもしない、銀行強盗から絵里を守ってくれた、
あの女性が立っていた。
- 293 名前:絵里の決意 投稿日:2007/01/13(土) 23:18
- 女性は、少しだけ笑みを浮かべて近寄ってくる。
「久しぶり、って言えばいいのかな。」
「あなたは・・・。」
「少し、話しをしない?」
絵里を助けてくれたとはいえ、全く知らない人だ。
なのに、絵里は首を頷けていた。
話しをしてしまいたかったのかもしれない。
絵里の今の心境を、そして答えを出してくれるって期待したのかもしれない。
絵里達は近くの喫茶店に入って、向き合って座る。
「そういえば、自己紹介してなかったね。あたしの名前は後藤真希っていうんだ。
よろしくね。」
「絵里、私は、亀井絵里っていいます。」
「亀井ちゃん、ね。確かさ、施設に送られたって聞いたけど、今はどうしてるの?」
後藤さんは運ばれてきたコーヒーを一口飲んで、絵里を見つめた。
- 294 名前:絵里の決意 投稿日:2007/01/13(土) 23:21
- 端正な顔、透き通るような綺麗な目、本当に人を殺したとは
思えないほど優しい表情。
この人にならわかってもらえるって、直感みたいなものが働いた。
絵里は、あの時からの日常を後藤さんに話した。
とはいっても、大したこともしてないから、特に話すこともないんだけどね。
「絵里は、あの人達のことを許せません・・・今のこの国の有様を、
許したくない・・・。」
「そっか・・・。」
「後藤さんは、どのようなお仕事をしているんですか?警察官とか?」
「警察、じゃないね。裏の組織、"ハロー"で働いてるんだ。」
「裏の、組織・・・?」
「警察じゃないんだよ。大きな声じゃ言えないけど主な仕事はね、
警察じゃ手出しができないような、凶悪犯罪者の抹殺なんだ。」
「抹殺・・・。」
「そう、人を殺してるんだよ。そうでもしないと、この世の中は守れないんだ。」
後藤さんは寂しそうに呟いた。
人を殺すことによって人を守る。
そんなものが許されるわけがない。
- 295 名前:絵里の決意 投稿日:2007/01/13(土) 23:22
- だけど、平和に生きている人達を殺している犯罪者は、もっと許せない・・・。
現に絵里も後藤さんに助けてもらったんだから。
話しをしていて驚いたことは、後藤さんはまだ高校生くらいの年であること。
あまりにも綺麗で大人っぽいから、成人していると思ってた。
そして、後藤さんも絵里と同じように、犯罪に巻き込まれて家族を
失っているって言ってた。
何よりも驚いたのは、絵里と同じ年くらいの子も、その組織に関わって働いているみたい。
なら、絵里でも、その組織に入れるのかな・・・?
「後藤さんの組織なら、平和にできるんですか?」
「さてね。確信はないけど、これしか方法はないとあたしも思ってる。
人は簡単には変われない、同じ過ちを繰り返すことなんていくらでもある。
だから、殺される前に殺すしかないんだ。」
「絵里にも、守ることができますか・・・?」
「えっ?」
「もう、こんな気持ちはいやなんです。誰にも死んでほしくない、
絵里の目の前で、大切な人を失いたくない。その組織なら、
絵里も、力になれますか・・・?」
後藤さんはもう一度コーヒーを飲んで、遠くを見つめる。
何か深く考えてるみたい。
- 296 名前:絵里の決意 投稿日:2007/01/13(土) 23:24
- その直後だった。
ものすごく鋭い目で絵里を睨みつけてきた。
さっきとは打って変わって、怖くて仕方ない。
体がガタガタと震えだす。
すぐにでもここから離れたい。
でも、絵里の決意だって変わらない。
絵里のような人達を、二度と生み出さないためにも・・・。
絵里は、後藤さんの睨みに屈さないで、目で見つめて返した。
「言うのは簡単だよ。誰にだってできる。そういった覚悟はあるの?」
「はい。」
「人を殺すんだよ。それでもいいの?」
「・・・はい。それが、間違っているかもしれないって思います。
けど、守るためなら、絵里は自分の手を汚した方がいいです。
人が殺されるのを、このまま黙って何もしないよりは、ずっと・・・。」
「・・・わかった。」
後藤さんはかばんから紙とペンを取り出して、そこに何かを書いた。
そして、それを絵里に渡した。
- 297 名前:絵里の決意 投稿日:2007/01/13(土) 23:25
- これは・・・携帯の番号と、メールアドレスみたい。
「準備が整ったらあたしに連絡して。迎えを出すからさ。」
「本当、ですか?」
「亀井ちゃん次第だよ。よく考えて、連絡してね。」
「は、はい。ありがとうございます。」
「もしかしたらさ、君と出会ったのは、偶然じゃないのかもしれないね。」
そう言って、後藤さんは伝票を持って立ち上がった。
偶然じゃないって、どういう意味だろ・・・?
絵里はその後ろ姿を見送っていた。
これからの生活がどう変わるかなんてわからない。
でも、自分で決めたんだ。
絵里、強くなるって決めたんだ。
もう立ち止まらないよ。
亀井絵里、いくよ!
- 298 名前:ais 投稿日:2007/01/13(土) 23:25
- 更新しました
- 299 名前:ais 投稿日:2007/01/13(土) 23:26
- >>たまさん
悲しい過去を背負ってますね・・・。
ここから彼女の全てが始まります。
- 300 名前:たま 投稿日:2007/01/14(日) 01:48
- あの時の後藤さんとは想像出来ないくらい優しいですね
次回も楽しみにしています☆
- 301 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/15(月) 23:43
- 後藤さんと会ってから三日後、絵里はハローの組織の特別施設、エッグに入隊した。
ここでは、絵里と同じ年くらいの子から、年が一回り以上離れているお姉さんまでの人達が、
人を殺すための特訓を受けている。
ここでの勉強は、人の体の構造や仕組み、または任務に関する言語や
パソコンとかの仕事に関することのみ。
訓練は一日中走り続けたり、筋トレをしたり、時には模擬試合を行ったりしている。
容赦のなく降り注ぐ罵声、信じられないほどきつい訓練の毎日、勉強はどうにかなっても
体はほんの数日で悲鳴を上げ始めた。
一人っきりの部屋で、大泣きした日もあった。
逃げ出したい、その言葉が何度も頭の中を巡りついた。
でも、絵里は逃げなかった。
絵里も強くなるって、守れる人になりたいって、後藤さんと約束したんだ。
絵里は、毎日のように夜遅くまで独自で訓練をして、いっぱい勉強もした。
誰にも負けたくなかった。
誰よりも早く、強くなりたかった。
- 302 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/15(月) 23:47
- その絵里のがんばりが実を結んだおかげで、僅か一年くらいでエッグの中で、
成績がトップ3にまで上り詰めた。
他の二人は見たことないけど、絵里と同じように実力がずば抜けてるって噂を聞いた。
それも、絵里と同じ年くらいなんだってさ。
一体どんな子達なんだろ?
このままがんばってれば、そのうち会えるのかな?
- 303 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/15(月) 23:50
- ある日、絵里が訓練を終えて食堂に着いた時だった。
昼休みにまでがんばっていたために、ほとんどの人が食べ終わって
話しとかをしている。
昼食は自分達の席に準備はされてるんだ。
今日もがんばりすぎちゃってお腹すいたな〜。
お昼ごはんは何かな?
絵里は自分の席に向かって歩き出した。
その時、
ガシャンッ!
絵里の隣の席の人が、絵里の分のご飯が乗ってるトレイを落とした。
健康管理も行われているために、昼食はこれしかない。
- 304 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/15(月) 23:52
-
「ごめんね〜。あんたの分落としちゃった。」
その人は笑いながら絵里にそう言った。
周りの人も笑ってる。
最近、こんな風にいじめられることが多くなってきた。
絵里は誰とも話しをしないから、友達なんてできるわけがない。
誰とも絡んでないせいか、絵里一人にだけ、こうしたいじめをされることがある。
絵里は小さくため息をついて、食堂から出ようとした。
晩ごはんは早めに食べようっと。
トントン
食堂を出る前に、後ろから肩を叩かれた。
振り返ってみると、話したことのない女の子が立っていた。
- 305 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/15(月) 23:54
- ちょっと目つきが厳しくて、睨まれてるようにも感じる。
絵里、何かしたっけ・・・?
絵里が思い出そうとした時、その子は右手に持ってるパンを絵里に差し出した。
「れいな、小食やけん食べれなかったと。お腹すいた状態で訓練したって
身に入らんやろ。これ、食べてよかよ。」
「えっ?いいの?本当に?」
「嘘言うくらいなら、初めからやらんと。」
「じゃあ・・・いただきます。」
絵里はパンを受け取って、大きくかじりついた。
やばい、普通のパンなのにお腹すいた時って美味しく感じるね。
れいなって言った子は、壁に背をつけて絵里を見ている。
ん、れいなって名前、どこかで聞いたような・・・。
「あの、ありがとう・・・。」
「亀井さん、やったね。あんたも文句の一つくらい言った方がよかよ。
実力もなく、大した努力もしない凡人の嫌がらせやって気付いとるやろ。
嫉妬しかできんアホ共なんか踏み潰せばよかろ。」
れいなちゃんは、大声で、絵里じゃなくって食堂にいるみんなに
聞こえるように言った。
- 306 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/15(月) 23:55
- 全員の視線が絵里達に向いた。
さっき絵里を笑ってたグループの人達が、絵里達に寄ってくる。
「何よ、あんた。生意気だよ。」
「やけん、どうしたって言うと?れいなは本当のことしか言っとらんやろ。
それすらもわからんバカやと?」
「何だって!?」
何人もの人達が詰め寄ってくる。
正直なところ、全然怖くない。
絵里は、本当の殺気を知っているから。
「別にやるならやるでも構わんけど・・・。」
れいなちゃんは、近くにあった掃除用のモップの先端を外す。
そして、棒となったそれを何度か振り回して構えた。
「どうなっても知らんと。」
肉食動物みたいな鋭い目つきで、れいなちゃんは周りを睨みつける。
- 307 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/15(月) 23:56
- そうだ、思い出した。
田中れいな、絵里と同じように、エッグの中でもトップレベルと
言われてる実力者で、特に棒術は天才的にすごいらしい。
れいなちゃんに一人が飛び出した。
けど、れいなちゃんは棒を器用に振り回して、腕を弾いてお腹を突き飛ばす。
やられた人は、その場にぐったりと崩れ落ちた。
「文句があるやつは、いくらでもかかってくると。みんな倒してやるっちゃ。」
「こいつっ!」
何人もの人がれいなちゃんに向かっていく。
よほど不満があるみたいだね。
- 308 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/15(月) 23:58
- そのうちの何人かが絵里に向かってくる。
ここまできたら、絵里もやっちゃっていいよね。
今までの嫌がらせのツケを返させてもらうよ!
絵里は一度ステップを踏むと、近くまできた一人に一瞬にして飛び込んで、
首に手刀を打ち当てた。
同時に、近くにいたもう一人を蹴り飛ばす。
棒を使う中距離のれいなちゃんとは違って、絵里の特技は接近戦だった。
昔から走るのは好きだったから、足はけっこう速いんだよね。
相手の目を見て、攻撃に合わせて瞬時に飛び込み、一撃急所に当て込む。
たぶん、邪魔にならないナイフとかが一番合ってるんだろうな〜。
絵里はれいなちゃんと二人で、次々と生徒を倒していく。
- 309 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/15(月) 23:59
- さすがはここでの特訓を受けている人達といったところで、そこそこは強い。
でも、絵里達の実力についてこれる人はいない。
もう食堂の中は乱れに乱れている。
絵里が一人の生徒を蹴り倒した時だった。
ガシャン
何かが割れる音が聞こえた。
まだ誰か食べてた人がいたのかな?
こんな中で食べてるなんて、相当度胸があるよね。
だけど、現実はそんなに簡単に済ませられるものじゃなかった。
パンッ!
銃声が響いて、一人の生徒が倒れた。
- 310 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/16(火) 00:00
- 全員の視線が音の鳴った方に向いた。
そこには、銃を手にしている、絵里達と大して年が変わらない女の子がいた。
「お、同じ施設の仲間を、殺したの・・・?」
「へ〜、仲間仲間って、狡いいじめをするのが仲間なの?さゆみみたいに
あまりに可愛くて強い子が近くにいると、嫉妬するのも当然なの。
問題はそこからどうするかでしょ。あなた達、口ばっかでむかつくの。」
「な、何を・・・。」
「大体、殺したから何だっていうの?さゆみの顔を汚した人は死ねばいいの。」
顔を汚した・・・?
ああ、よく見ると顔にケチャップがついてる。
まさか、そんなことで殺したの・・・?
- 311 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/16(火) 00:01
- せっかくいいこと言ったと思ったのに、あまりにも危険すぎる子だね。
その子は、汚れた顔をハンカチで拭いて、再び銃を持ち直した。
「別に殺してないよ。さゆみ特製のゴム弾だから死なないと思う。
死ぬほど痛いとは思うけどね。それで、さゆみの顔を汚したのは誰なの?」
「「「・・・。」」」
「そう、誰も答えないの。ならば、全員倒せばいいの。」
パンッ!パンッ!パンッ!
その子は銃を乱射し始めた。
いや、乱射じゃなくて、今撃った弾は人間の急所を確実に打ち込んでいた。
恐ろしいほど的確で速い射撃だった。
この子が乱入して、さらに混戦となる。
絵里とれいなちゃんは向かってくる人達を、さゆみって子は
近くにいる者を次々と撃っていく。
- 312 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/16(火) 00:04
- さゆみっていうと、トップ3のもう一人、道重さゆみかな。
銃の技術が並外れていて、100メートルも離れた的を、スコープも使わずに
一撃で中心に、それも連続で当てたっていう伝説の持ち主。
終わってみれば、立っているのは絵里とれいなちゃん、あとは道重さゆみちゃんだけだった。
さゆみちゃんは、最後のターゲットとして絵里達に照準を合わせた。
って、いきなりですか!?
「これで終わりなの。」
「えっ、ちょっと待って・・・。」
パンッ!パンッ!キンッ!キンッ!
絵里は反射的にテーブルに置いてあったナイフで弾いて、
れいなちゃんは棒で弾の軌道をずらした。
- 313 名前:道重さゆみと田中れいな 投稿日:2007/01/16(火) 00:05
- 毎日のように鍛えてたから、体が勝手に反応した。
本物の弾だったら危なかったな〜・・・。
さゆみちゃんは顔を顰めて、それでも絵里達からは銃口を外さない。
「ちょっと待ってよ!絵里達は何もしてないよ。」
「そう、あんたにやったのはそこで寝てるやつやと。」
れいなちゃんは床で倒れている一人の生徒に指を指した。
きっと適当なんだろうね。
さゆみちゃんは、その倒れている生徒の前まで寄って、何度も顔を踏みつけた。
うわっ、えげつないな〜・・・それが終わると、彼女はすっきりした表情で銃をしまった。
さてと、むかついてたとはいえ、ずいぶんと派手にやっちゃったな〜。
少しして、教官達が食堂に入ってきてざわつき始める。
怒られるだけならともかく、追い出されたくはないな〜・・・。
その後、絵里達はとんでもないところに連れて行かれることになる。
- 314 名前:ais 投稿日:2007/01/16(火) 00:05
- 更新しました〜。
- 315 名前:ais 投稿日:2007/01/16(火) 00:06
- >>たまさん
そうですね〜。
人は変わるのかそうでないのか、様々な理由があるってことで(謎)
そのうちまた登場しますw
- 316 名前:たま 投稿日:2007/01/16(火) 00:08
- ひゃっほぃW
超リアルタイムでした☆
亀ちゃんとれいなとさゆの出会いは激しいですね(笑)とくにさゆ(笑)
- 317 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:50
- あれから、絵里達三人は呼び出しを受けた。
怒られるのかな〜って思ったけど、外に出て車に乗せられた。
どうやら、どこかに連れていかれるみたい。
その間はアイマスクで目隠しをされた。
まさか、拷問部屋に連れて行かれて、いじめられたりってないよね・・・?
隣の二人は・・・普通に寝てるし。
本当に緊張感ないな〜。
いいや、絵里も寝てることにしよ。
おやすみなさ〜い。
- 318 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:50
- しばらくして、運転手の人に呼び起こされた。
アイマスクはもう取ってもいいみたい。
車から出ると、そこはどこかの駐車場みたいで、出入り口の方に向かっていく。
その付近に一人の女性が立っていた。
どこか中世的な子をしてて、男っぽくも見えてカッコイイ。
ここで働いてる人なのかな?
「NO.0011。亀井絵里、道重さゆみ、田中れいなの三名をお連れしました。」
「お疲れ様っす。その子達が例の問題児ってやつですか?」
問題児ってひどくないですか〜?
まぁ、あれだけ暴れたら当然かな。
- 319 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:52
- 運転手の人はいくつか話すと、その場から離れて車に向かう。
ずいぶんと腰を低くして話してたから、相当階級が高い人なんだろうな。
「んじゃ、私についてきて。案内するからさ。」
そう言って、えっとNO.0011さんは歩き出した。
絵里達も後ろについて歩いていく。
中はどこかの組織とかみたいで、通り行く人はみんなスーツを着ている。
但し、NO.0011さんだけは全身を黒で包み込んだ私服だった。
「あのぉ、NO.0011さん。」
「ん〜、まさかナンバーで呼ばれるとは思わなかった。私の名前は吉澤ひとみ、
よろしくね。吉澤でいいよ。」
「吉澤さん。絵里達は、これからどうなるんですか?」
「そんな怯えた顔しなくていいよ。それは着けばわかるよ。」
吉澤さんは笑ってそう言うけど、それ以上は教えてくれなかった。
後ろにいるさゆみちゃんもれいなちゃんも、首を傾げるだけだった。
- 320 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:52
- 運転手の人はいくつか話すと、その場から離れて車に向かう。
ずいぶんと腰を低くして話してたから、相当階級が高い人なんだろうな。
「んじゃ、私についてきて。案内するからさ。」
そう言って、えっとNO.0011さんは歩き出した。
絵里達も後ろについて歩いていく。
中はどこかの組織とかみたいで、通り行く人はみんなスーツを着ている。
但し、NO.0011さんだけは全身を黒で包み込んだ私服だった。
「あのぉ、NO.0011さん。」
「ん〜、まさかナンバーで呼ばれるとは思わなかった。私の名前は吉澤ひとみ、
よろしくね。吉澤でいいよ。」
「吉澤さん。絵里達は、これからどうなるんですか?」
「そんな怯えた顔しなくていいよ。それは着けばわかるよ。」
吉澤さんは笑ってそう言うけど、それ以上は教えてくれなかった。
後ろにいるさゆみちゃんもれいなちゃんも、首を傾げるだけだった。
- 321 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:53
- 何度か通路を曲がったあと、一つの部屋に案内された。
その部屋は、いくつものボタンとかモニターが付いていて、
機械で作られたような部屋だった。
そこには、また別の女の人、とはいっても絵里と同じ年くらいの人が、
大きなパソコンの前でカタカタとキーボードをいじっている。
画面に映ってる文字を読んでみようと思ったけど、目も頭も全く追いつけません・・・。
「紺野、調子はどうだ?」
「もちろん、完璧です。準備は整ってますよ。」
「そっか。わかった。んじゃ、こっちにきてくれ。」
吉澤さんに絵里達が手招きされた。
- 322 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:54
- そこにはいくつかの小部屋があって、そこに一人一人入るように言われる。
すでに一つの部屋はロックされていた。
あるものは台と、ごちゃごちゃとコードがついてる半円の機械。
「三人とも、よく話しを聞いてくれ。」
「何ですか?」
「台の上によくわからん機械があるだろ?それを頭にかぶるんだ。」
「吉澤さん、その機械はバーチャル・プロセス・・・。」
「んなもん覚えられるか。」
「さゆみ、これをかぶるんですか〜?」
「ん、何か問題がある?」
「さゆみの可愛い髪が乱れちゃいます。」
そういう問題ですか・・・?
けど、ちょっと怖いのは確かだね。
いきなり電気とか走ってビビビとかってきたら、本当に痛そうだし。
- 323 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:55
- 次に返ってきたのは、さっきよりも冷たくなってる吉澤さんの言葉だった。
「いやならやらなくてもいい。その代わり、君には資格がなくなるって
ことだけは覚えておくといい。」
「何の資格ですか?」
「それはやればわかる。」
「ん〜、わかりました。」
「それをかぶったら、まずは自分の武器をイメージするんだ。自分が
どんな武器を持っているのか、一番動きやすく扱いやすい、そして
どんな威力を発揮するのか、想像してみて。」
自分の武器・・・。
なら、絵里はナイフがいい。
両手で軽々と扱える、超接近戦で戦える二本のナイフ。
それを想像してると、機械がウィーンって動き出した。
それからもいくつかの指示に従って、絵里達はその通りにイメージした。
- 324 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:56
-
「よし、それじゃ始めるぞ。紺野。」
「はい。いきます。」
何、何が起こるの・・・?
突然目の前が光りだして、思わず目を瞑った。
ようやく光に慣れてきて、目を開けて絵里は驚いた。
どこかよくわかんない部屋に絵里は立っていた。
手には、さっき自分がイメージした二本のナイフが握られている。
さっきまでいた場所とは、全然違う場所に立っていた。
「な、なんやとこれ?」
「さゆみ、どこにきたの?」
すぐ隣に他の二人もいた。
一体、何が起こってるの?
- 325 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:57
- 絵里達が戸惑ってると、奥にある扉から一人の女の人が入ってきた。
すごく可愛らしい、ちょっと幼く見える女の子。
でも、上司っぽいから敬語は使わないとまずいかな。
「あんた達が噂に聞いた問題児か。あたしの名前は高橋愛、よろしくな〜。」
その女の子は、自分の名前を言って笑顔を向けた。
妙にイントネーションが訛っててよく聞き取れなかった。
「あのぉ、ここはどこですか?」
「れいな達、これからどうなるんです?」
「まぁまぁ、落ち着いて。この世界は仮想空間とか呼ばれる場所で、
現実やなくって、限りなく現実に近い創りだした世界みたいやよ。」
「仮想空間・・・。」
「細かいことはあさ美ちゃんにでも聞いてね。あたしにはごちゃごちゃしてて
よくわからんかったからさ。」
「それで、さゆみ達はどうするんですか?」
「ここで、簡単なテストをするだけやよ。」
「テスト?」
「一体何のテストですか?」
「決まっとるやろ。"モーニング"に入るためのテストやよ。」
「「「!?」」」
高橋さんの言葉に、絵里は思わず息を飲んだ。
- 326 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 21:59
- 裏の組織最高峰と呼ばれる正義の集団、モーニング。
エッグにいる大半の生徒は、そこに入ろうと懸命に努力している。
もちろん、絵里達もそこに入ることが目的だった。
後藤さんがいるモーニング、このテストに受かれば、入ることができるんだ・・・。
れいなちゃんの口元が緩む。
さゆみちゃんも目を輝かせる。
「それで、テストって何をするんですか?」
「簡単やよ。あたしのことを殺す。それだけ。」
「殺す・・・。」
「大丈夫やって。確かに痛みは感じるけど、現実では別に何も起こっとらんから。
あたしを殺したとこで何も問題ないし、それに・・・。」
「それに?」
「あんた達を殺しても問題もない。」
高橋さんがキッパリと言った瞬間、ゾクッと背筋が凍った。
この人も、たぶんただものじゃない。
- 327 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 22:00
- ん、待てよ。
高橋さんを倒せば入れるってことは、まさか・・・。
「もしかして、高橋さんも・・・。」
「うん。改めて紹介するわ。NO.0014、モーニングの高橋愛。ちなみにさっきの
二人も同じやよ。ここであたしを殺せんのなら、モーニングの戦士として、
現実なんかじゃとても役に立たんわ。さてと、三人がかりで構わんよ。
かかっておいで。」
ゴクッと唾を飲み込んだ。
高橋さんの言うとおりであれば、この人に殺されても大丈夫なはず。
あまりにもリアルすぎて、今の自分と現実が全く同じ気がして少し怖い。
でも、ほんのちょっとだけ、楽しみでもあるんだ。
絵里が憧れた後藤さん、そのグループにいる高橋さん、どのくらい強いのか、
今の絵里達がどの程度通用するのか、知りたかったから。
- 328 名前:モーニングの戦士 投稿日:2007/01/17(水) 22:01
- 絵里はナイフを持って構える。
れいなちゃんは槍を、さゆみちゃんは銃を持っている。
対する高橋さんは、ポケットに両手を突っ込んだままこっちを見てる。
「高橋さんは、武器を持たないんですか?」
「失礼な。あたしにも専用の武器があるやよ。ただ、ここでは使う
必要がないってだけ。」
「それって、れいな達相手やと武器はいらんってこと?」
「そういうこと。武器っていうより、手を使う必要がないか。んじゃ、
合格ラインを追加してやるわ。あたしに手を使わせても合格でええよ。
あとで文句なんか言わんで、やってみなよ。」
・・・面白いじゃん。
絵里達だって、エッグの中では敵なしだったんだ。
絶対に倒してやる!
- 329 名前:ais 投稿日:2007/01/17(水) 22:01
- 続けていきます。
- 330 名前:幻想でしかなかった現実 投稿日:2007/01/17(水) 22:02
- 距離はおよそ10メートル。
狙うんであれば、初めから全力で相手を倒すことだけを考える。
高橋さんがこれだけ油断してるんだったら、すぐにでも倒すことだってできるはず。
ここは三人で協力して・・・。
ドンッ!ドンッ!
まず最初に、さゆみちゃんの銃が高橋さんを狙い撃った。
高橋さんは、首を左右に振って弾を避ける。
- 331 名前:幻想でしかなかった現実 投稿日:2007/01/17(水) 22:02
- さゆみちゃん、まだ早いよ!
絵里が様子見したあとで、後ろから撃ってほしかったのに・・・。
って、れいなちゃんも飛び出しちゃった。
もう、ならば絵里も行くしかないじゃん!
「ヤァッ!」
「ほ〜、けっこうやるやな〜。」
れいなちゃんの突きを、高橋さんは横に飛んで避ける。
れいなちゃんの動きに完璧に合わせて、まるで踊るようにステップを踏んでる。
槍を大きく振るっても、ちょうどいいタイミングでジャンプして避けた。
そこに絵里が飛び出して右手でナイフを振るった。
高橋さんは顔を後ろに下げて避ける。
でも、まだまだぁっ!
今度は左手で心臓を狙う。
- 332 名前:幻想でしかなかった現実 投稿日:2007/01/17(水) 22:03
- この体制なら当てられる。
もらったよ!
バシッ!
高橋さんの足が絵里の腕を蹴り上げた。
普通の人なら完全にバランスを崩してるのに、何て柔軟性なんだろう・・・。
高橋さんは器用に回転して着地した。
「あたしが武器を持たんのは、あんた達に実力のレベルを合わせてやってるんやよ。
誰が相手やろうと油断はせんよ。今、亀ちゃんはあたしに勝ったと思った。
それに油断を覚えた。あたしは自分の立場に偉く口を出すつもりはないけど、
少しは相手を理解した方がええで。あたしはモーニングの戦士、高橋愛。
そんなんじゃ、一生モーニングになれんよ。」
「は、はい!」
「そこなのっ!」
絵里のすぐ脇を弾が通り抜けた。
高橋さんは、やっぱり僅かに揺れるだけで弾は後ろに逸れていく。
- 333 名前:幻想でしかなかった現実 投稿日:2007/01/17(水) 22:04
-
「道重ちゃん、あんたは狙いが正確すぎる。それじゃ見え見えやよ。」
「ハァァッ!」
弾が止まった直後にれいなちゃんが槍を振りかぶる。
「んで、田中ちゃんは前に突っ込みすぎやな。そんなんじゃ・・・。」
トン ゲシッ!
「むっ・・・。」
「簡単に懐に潜られるで。少しは危機感を感じた方がええよ。」
高橋さんは、れいなちゃんの槍の上に飛び乗って、足で顔を蹴った。
反撃に出ようとする前に、高橋さんは身を翻す。
- 334 名前:幻想でしかなかった現実 投稿日:2007/01/17(水) 22:05
- 一人一人に対する洞察力はすごいとこがある。
これが、モーニングか・・・なら、尚更負けられない!
絵里達は、モーニングになるんだ!
三人で一気に猛攻をかける。
「ヤァッ!」
「このぉっ!」
「今なの!」
「やれやれ。あんた達には最大の弱点があるわな。」
最大の弱点・・・?
それが何かはわからないけど、とにかく今は・・・。
ビシッ!
「痛っ!」
「か、亀井さん!邪魔やと!」
絵里が動いたとこに、れいなちゃんに脇腹を少し斬られた。
- 335 名前:幻想でしかなかった現実 投稿日:2007/01/17(水) 22:06
- 絵里の動いたとこにぶつかってきたくせに〜。
それに、人のこと斬っておいて、そんな言い方ないじゃん・・・。
「ちょっと、どくの!当てられない。」
「ど、どっちにどくの!?」
「痛いって!そっちに行ってよ。」
高橋さんの言っていた意味がわかった。
絵里達のコンビネーションは、最悪だった。
結局、絵里達は負けた。
絵里は何度かれいなちゃんとぶつかったり斬られたりして、
さゆみちゃんの弾を肩に受けた。
れいなちゃんも、狙って動いた高橋さんに釣られて、両腕を撃たれる。
残ったさゆみちゃんは、超スピードで近づいた高橋さんが、
足をさゆみちゃんの腕の関節に絡めて、骨を粉々に砕いた。
そして、銃を手放すはめに。
- 336 名前:幻想でしかなかった現実 投稿日:2007/01/17(水) 22:08
- 自滅といっても過言じゃなかった。
高橋さんには、かすり傷一つ負わせることもできなかった。
くっ・・・絵里達が、バカだった。
エッグでトップに立ったからって有頂天になってた。
幻想でしかなかった現実だと、叩きつけられたんだ。
悔しくて涙がぼろぼろと零れてくる。
他の二人も泣いていた。
「悔しいと思ったら、もっと強くなりなよ。それに、人は一人で戦ってるわけやない。
仲間と協力して、信頼して生きてるんやからさ。」
そう言って、高橋さんの姿が消えた。
モーニング、か・・・。
まだまだ先は遠いな〜。
- 337 名前:幻想でしかなかった現実 投稿日:2007/01/17(水) 22:09
- 小部屋から出てきた高橋さんは、トレーニングルームの状況を見ていた、
吉澤さんと紺野さんに近づいた。
「愛ちゃん、お疲れさま。」
「どうだったよ?あの候補の三人は。」
「そうですね。各個人のレベルはかなり高いですよ。ただ、今までずっと
一人で戦ってきたんやろうから、バラバラに戦っていた。力を合わせることと、
あとは経験さえ積めば強力な味方になりえますね。」
「そっか〜。個性強そうだもんな。あの子らが入ってきたら、
紺野いじめられたりしてな。」
「それはありえそうやね。」
「もう、二人ともひどいですよ。」
この時の話しは、絵里達は聞いていない。
ただ、絵里の中で芽生えたものがあったのも確かだった。
- 338 名前:ais 投稿日:2007/01/17(水) 22:09
- 連続更新でした〜w
- 339 名前:ais 投稿日:2007/01/17(水) 22:10
- >>たまさん
マジでリアルタイムですねw
さゆの登場はけっこう悩んだんですけど、
やはり独特の雰囲気でと思って(ry
三人の出会いでした〜。
- 340 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/18(木) 00:44
- 一気に読ませていただきました
続きまってます
- 341 名前:たま 投稿日:2007/01/18(木) 05:41
- やっぱり愛ちゃんはカッコいいですね♪
過去のモーニングが分かってすごく良かったです☆
- 342 名前:栄光を胸に 投稿日:2007/01/19(金) 22:37
- 帰りの車の中、アイマスクをつけたまま絵里は口を開いた。
「やっぱり、強かったね。」
「・・・れいな達、甘かったと。」
「高橋さん、可愛くて綺麗だったの。」
「「そこかよ!」」
絵里とれいなちゃんの声がハモった。
でも、彼女の言いたい意味は、別のとこにある。
「高橋さん、とても綺麗な戦い方をしてた。実力の一端も見せることはなかったの。」
「最後なんか一瞬でやられちゃったもんね。」
「何が起こったかもわからんかった。」
「蹴られたって感触しか残らなかったの。もっと強くならないとだめなの。」
そうなんだよね〜。
あれでも本気じゃないとしたら、絵里達と高橋さんの力は天と地の差が
あるといっても、過言じゃないかもしれない。
- 343 名前:栄光を胸に 投稿日:2007/01/19(金) 22:38
- なら、まずはみんなで倒すことから考えないといけないね。
「絵里達も、力を合わせてでも認めてもらおう!」
「各自で特訓も必要やけど、組み手とかして悪いとことか探さなきゃだめやね。」
「そうだよね。さゆみちゃんとれいなちゃんは・・・。」
「「さゆみ。」れいな。」
「えっ?」
「れいなでよかよ。年も変わらんし。」
「さゆみも、さゆとかさゆみでいいの。呼び合う時に遅くなるの。」
「・・・うん。絵里も絵里でいいよ。改めてよろしくね。さゆ、れいな。」
「れいなこそ。」
「よろしくなの。絵里。」
三人の笑い声が車の中に響き合う。
久しぶりに仲間ができたって実感できた。
この三人でなら、きっと・・・。
- 344 名前:栄光を胸に 投稿日:2007/01/19(金) 22:39
-
『れいな!ここで絵里はこっちに行くから、そっちはよろしく!』
『わかったと!さゆもこのタイミング覚えておくっちゃ!』
『任せて。二人のパターンを読むの。』
『『『三人でモーニングになろう!!!』』』
- 345 名前:栄光を胸に 投稿日:2007/01/19(金) 22:40
- それからしばらくして、絵里達はモーニング加入が認められた。
あの時からは、時間があるたびに三人で実践感覚でトレーニングをしたり、
お互いに戦って長所や短所を探したり、コンビネーションなんかも考えた。
そして、この間のテストでついに高橋さんに勝つことができたんだ。
もちろん、手は出しても武器は使ってなかったし、手加減されてたような気はする。
それでも、高橋さんは笑って、"強くなったね"って、そう言ってくれた。
その時は涙が出そうになるくらい嬉しくて、三人で感動してた。
合格だって言われた時には、試験だって忘れててぼーっとしちゃったけどね。
今回は他にもう一人いて、藤本美貴さんも同期で入隊した。
どういう人かは知らないけど、前代未聞だと言われる急遽加入ってことから、
絶対に何かやったんだろうね。
さぁ、ここからがようやく本番なんだ。
認められた栄光を胸に、ここから走り出すんだ。
絵里達の力で、この世界を・・・。
- 346 名前:栄光を胸に 投稿日:2007/01/19(金) 22:41
-
「絵里・・・絵里・・・。」
「ん〜・・・。」
「絵里!いい加減に起きんしゃい!」
ビシッ!
いった〜い!
誰かに頬を叩かれた。
顔を顰めて目を開けると、れいなが仁王立ちしてた。
「あれ〜、何でれいなが絵里の部屋にいるの?プラバシーの侵害だ〜!」
「何を寝ぼけたこと言うとると?ここはれいなの家やろ。」
あ〜、そうだった。
絵里、れいなの家に泊まったんだっけ?
「絵里、もう出んと間に合わなくなると。」
「え〜?だってまだ十時だよ。」
「やけん、れいなのプランが狂っちゃうっての。あと三十分で家を出るけんね。」
「うん、わかった。」
久しぶりに昔の夢を見たな〜。
さゆとれいなと、がんばってここまできたんだよね。
- 347 名前:栄光を胸に 投稿日:2007/01/19(金) 22:43
-
「ねぇ、れいな。」
「ん?」
「絵里達と初めて出会った時のこと、覚えてる?」
「忘れた。」
「そんな〜!れいなひどいよ〜。」
「ん〜、思い出した。何か幸薄そうな女の子が空腹でぶっ倒れそうなとこを、
この優しいれいなちゃんがパンを恵んであげたって話しね。」
「れいな、自分でちゃん付けても可愛くないよ。」
「え、絵里に言われとうなか!」
「っていうか、キャラじゃないし、全く似合わないよね。」
「大きなお世話やと!さっさと準備する!」
絵里のこと幸薄いって言ったお返しです〜。
でも、れいなも覚えててくれてるんだね。
絵里達が、仲間になったあの日のことを。
その時までは、後藤さんを目標にしてただけで、一人で生きていくことだけを考えた。
だけど、本当は違うんだよね。
絵里が入った時には、後藤さんはいなかったけど、みんな優しくしてくれた。
- 348 名前:栄光を胸に 投稿日:2007/01/19(金) 22:44
- 絵里に力を貸してくれたんだ。
さゆやれいなも、他のみんなも、大切な仲間なんだよね。
「ジャンプジャンプテイクオフしようぜ〜♪」
「ん?」
「見上げれば〜未来〜♪」
「絵里、何歌っとうと?」
「この間テレビでアイドルが歌ってたんだ〜。この世界が平和になったら、
絵里もアイドル目指そっかな〜。」
「ふ〜ん、ええんやないの。」
あれ、れいならしくないね。
いつもならアホみたいって突っ込むとこなのに。
「夢を持って悪いなんてことなかよ。絵里ならなれるかもしれんしね。」
「やっぱり〜♪絵里って可愛いもんね。モーニングみんなでなれるかもよ。
れいなももしかしたら・・・まぁ、なれたらいいね。」
「何でれいなだけハブると!ほらっ、話しはあとでいくらでも聞くけん、
ご飯食べにいくよ。」
「は〜い。」
絵里は元気に布団の上から降りた。
亀井絵里、今日も元気にいっきま〜す!
- 349 名前:次回予告 投稿日:2007/01/19(金) 22:46
- 愛、麻琴、そしてあさ美と四人でチームを組んでいた里沙。
いつまでも続くと思っていた毎日。
だが、それは突然起こった。
「もしかして・・・でも、まさか・・・。」
「マコトーッ!!!」
「どうして、こんなことに・・・。」
真実がなんなのか、里沙の導き出した答えとは一体何か。
厚い友情の裏切りと同時に起きた深い悲しみ。
里沙の今後の未来はどうなるのか・・・。
- 350 名前:ais 投稿日:2007/01/19(金) 22:46
- 更新しました〜
- 351 名前:ais 投稿日:2007/01/19(金) 22:48
- >>340:名無飼育さん
ありがとうでっす♪
今後もまた読んでやってください〜。
>>たまさん
絵里だけでなく、他のメンバーも書いていけたらいいなって思います。
また色々と組み込んでいきたいですw
- 352 名前:たま 投稿日:2007/01/20(土) 11:07
- ぉー次回は垣さん…
5期大好きなんで楽しみです☆
- 353 名前:これから先も 投稿日:2007/01/20(土) 22:22
-
里沙視点
私、新垣里沙は、いつも通りに通信室で仕事をしている。
よし、こっちのシステムは異常なし。
あとは諜報部員の調査のまとめとスケジュール管理をして、
今が4時だから大体10時頃になるかな。
それにしても、今日はやけに体がだるい。
風邪でも引いたかな?
いやいや、そんな弱気じゃ予定通り終わらせられないな。
里沙、しっかりしろ!
ペチンと両頬を叩いて、再びパソコンと向き合おうとした。
- 354 名前:これから先も 投稿日:2007/01/20(土) 22:23
- でも、な〜んか不自然に背後に違和感を感じるんだよね〜。
「愛ちゃん、何も気配を絶たないで入ってこなくていいから。」
「何やよ、里沙ちゃんががんばっとるから、邪魔しちゃいかんと思ったのに〜。」
「逆に落ち着かないから。どうかした?」
中に入ってきたのは、私の同期の高橋愛。
実力は文句なし、才能はズバ抜けていて、先輩メンバーと組んでた時でも頼りにされていた。
なのに、それ以外はからっきしだめで手間のかかる妹。
まぁ、年上なんだけどね。
私が面倒みないと何をやりだすかわかんない女の子だよ。
- 355 名前:これから先も 投稿日:2007/01/20(土) 22:23
-
「おぺらいた〜って大変そうな仕事やな。」
「オペレーターね。まぁ、慣れればなんとかなるよ。」
「ん、ちゃんとおぺらいた〜って言っとるがし!」
またこの子は意味不明なことを・・・
いい加減に訛ってることに気付こうよ。
やばい、この子と話しをしてるとどんどんとずれていくから、
仕事が終わらなくなる。
さっさと話しを切ろう。
「愛ちゃん、用があるんじゃないの?」
「ああ、そうやった。里沙ちゃん、あとどれくらいで終わるんか?」
「ん〜、あとはこれくらいかな。」
私はパソコンをいじってスケジュールを見せる。
- 356 名前:これから先も 投稿日:2007/01/20(土) 22:24
- だけど、この子は人の話しを聞かないで私のことを見てて・・・って何!?
いきなり顔を近づけてきた。
ビシッ!
「いった〜!里沙ちゃんが叩いた〜!」
「あんたが顔を近づけてくるからでしょ。キスなんかしたら殴ってたよ。」
「やなくて、おでこ触ろうとしただけやろ。キスはついでやよ。」
ついでにやるのかよ!
って突っ込む前に、今度は私のおでこを触ってきた。
何だか愛ちゃんの手が冷たく感じる。
- 357 名前:これから先も 投稿日:2007/01/20(土) 22:26
-
「37度8分やね。」
「適当でしょ。」
「エヘヘ。けど、熱は本当にあるよ。」
ふ〜ん、どおりで体調がおかしいわけだ。
それにしても、誰もそんなことに気付いてないのに、愛ちゃんとは
今日は初めて顔を合わせたのに、一発でわかったんだね。
パソコンに写る顔を見た私でさえ、なんとも感じないくらいなのに。
さすがは長年付き合ってきた同期だね。
「里沙ちゃんは今日はもう帰りなよ。あとはあたしがやっとくわ。」
「何言ってんの。愛ちゃんだって、仕事して帰ってきたばっかで疲れてるでしょ。」
「車の中で寝てたから大丈夫やざ。ほらほら、病人は帰って寝てるの。
あとでぶっ倒れると、絵里達に偉そうな口聞いたのにって、絶対に
文句言われるで。それに・・・。」
「ん?」
「あさ美ちゃん達の居場所、探しとるんやろ?」
「・・・。」
何だよ、バレてたんだね。
たぶん、これも愛ちゃんしか知らない。
- 358 名前:これから先も 投稿日:2007/01/20(土) 22:27
- 愛ちゃんは、優しい笑みを浮かべて私の頭を撫でた。
「疲れてるんやよ。毎日夜まで無理せんで、たまには息抜きも必要やろ。
今後も里沙ちゃんの力が必要なんやからさ。」
「愛ちゃん・・・。」
「そういうことやから、あとはお姉さんに任せなさい!」
「ん・・・ありがと。」
愛ちゃんは私の代わりにキーボードを叩き始めた。
全くもう、こういう時だけお姉ちゃんになるんだから。
だったら最初っからしっかりしてよね。
まぁ、そうなったら愛ちゃんらしくないからつまんないけど。
とにかく、今日のところは甘えさせてもらおうかな。
- 359 名前:これから先も 投稿日:2007/01/20(土) 22:28
- 組織を出たあと、私は総合病院に足を運んだ。
私自身が診てもらうわけじゃないんだよね。
今から帰ってもすぐには寝ないだろうし、たまには顔を見ておきたかったんだ。
私が入った部屋は、マコっちゃんの寝ている部屋だった。
相変わらず安らかに眠ってるね。
マコっちゃんは全く起きそうにない。
早く戻ってきてよね〜。
マコっちゃんの頬をプニプニと触る。
あれからずいぶん経ったな〜。
ねぇ、マコっちゃん、一体何があったの?
あの事件には、あさ美ちゃんも関わってるの?
教えてよ、マコっちゃん・・・。
- 360 名前:これから先も 投稿日:2007/01/20(土) 22:29
- ある日、私達はSSランクの組織に侵入した。
私と愛ちゃん、あさ美ちゃん、マコっちゃんの四人が正面から突撃して、
その隙に裏から吉澤さんともっさんが、ターゲットまで攻め込んでいくって作戦だ。
カメ達には今回はお留守番を任せてきた。
カメ達と違って、私達四人のコンビネーションは、エッグにいた頃から完璧だった。
理由は、一人で戦えるレベルを持ち合わせていなかったから。
愛ちゃんはともかく、私達は明らかにレベルが劣っていた。
まずは、四人でチームを組んで、完璧に仕上げようって考えた。
個々のレベルが小さくても、集まれば大きくなる。
愛ちゃんがいてくれたから、私達は彼女に追いつこうとしてがんばることができた。
愛ちゃんのレベルまでなくても、それぞれの能力を発揮すれば、十分力になれるはず。
だから、四人で組んでる時が一番持ち味を出せたかもしれない。
- 361 名前:これから先も 投稿日:2007/01/20(土) 22:30
- 乗り込んだ後、まずはあさ美ちゃんが練りに練った作戦を基に指示を出して、
私が罠を張ったり後方からの敵から守る。
その間に、あさ美ちゃんが銃を撃ったり、マコっちゃんの武器、"ナイロン"っていう
鋭利な刃のついているチェーンを振り回して、敵を倒したり怯ませる。
そして、愛ちゃんが一気に敵を斬り倒す。
私達には勢いはないけど、確実に敵を倒すという点では、評価が高かった。
今回の作戦での仕事は、時間よりも派手に暴れること。
頭さえ倒してしまえば制圧は完了するんだから。
二時間後、私達に気が向いていたことから、手薄になった上層部を
吉澤さん達が占拠した。
組織の人達は、逃げたり投降を始めた。
任務完了、やっぱり私達のチームプレーはいい感じだね。
ずっとこのメンバーで組めたらいいな。
これから先も、一緒にやっていける、そう思っていたんだ。
- 362 名前:ais 投稿日:2007/01/20(土) 22:30
- 続けていきます。
- 363 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:31
- 制圧したあとは、あさ美ちゃんの出番だ。
天才レベルの知能を持つあさ美ちゃんは、この基地のコンピューターから
情報を引き出し始める。
私達は話しながらあさ美ちゃんの仕事が終わるのを待っていた。
「あっ!?」
突然、あさ美ちゃんの大声が聞こえた。
私は不振に思って彼女に近寄っていく。
「もしかして・・・でも、まさか・・・。」
「あさ美ちゃん、どうかした?」
「い、いや・・・なんでもないよ。」
私が覗き込むより先に、彼女は情報を全て消し去った。
- 364 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:32
- あさ美ちゃんは一度見たものは全て記憶できるから、媒体とかもいらないんだよね。
何かあったの?
やっぱ天才でもミスってあるのかな?
あさ美ちゃんは何事もなかったように、みんなの中に戻った。
その時には、私も特に気にするようなことはなかった。
任務が終わったことで、気が緩んでいたのかもしれない。
- 365 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:33
- 次の日の夜、私達は久しぶりに打ち上げをした。
吉澤さんともっさんは、酒を飲んで浮かれている。
ああ、もちろん私達は未成年なんで飲んでないよ。
もっさんがカメ達に飲ませようとしてたけど、そこは私達がなんとか止めた。
未成年に飲ませようとするなっての。
みんなで騒ぐなんて滅多にないから、すっごく楽しかった。
しばらく騒いだあと、あさ美ちゃんが席を立った。
「あれ?あさ美ちゃん、どっか行くの?」
「ん・・・ちょっと体調が悪いみたいでね。」
「おい、紺野〜。一人で大丈夫か〜?」
「平気ですよ。お疲れ様です。」
あさ美ちゃんはペコっと頭を下げて店を出て行った。
- 366 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:33
- 昨日といい、何かあったのかな〜?
明日聞いてみよっかな。
私はそう思ってたけど、今度はマコっちゃんが席を立ち上がった。
「マコっちゃんも出ちゃうの?」
「う〜ん、あさ美ちゃんが心配だからね。家まで送ったら戻ってくるよ。」
「マコト〜。あたしも行こうか?」
「大丈夫だよ、愛ちゃん。すぐに帰ってくるからさ。」
「そっか〜。んじゃ、お願いね。」
「あいよ〜。」
マコっちゃんは朗らかに笑って店を出て行った。
まさか、これが彼女の最後の笑顔になるなんて、私も、愛ちゃんも、
誰も思いもしなかった。
- 367 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:34
- マコっちゃんが出て行ってから30分が経過した。
ここからあさ美ちゃんの家まで5分もあれば着くのに、明らかに遅すぎる。
話しでもしてるんなら、電話の一つでもくれてもいいのに。
「なぁ、里沙ちゃん。マコト、遅くない?」
「うん、私もそう思う。ちょっと電話してみるよ。」
私が携帯を取り出そうとした時だった。
どこからか女性の悲鳴が聞こえた。
それはたぶん、この店にいる人の中で私達だけだと思う。
私達は瞬時に目の色を変えて、店を飛び出した。
- 368 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:35
- 声が聞こえたのは店の裏の方。
私達が裏道に回ると、誰かが倒れてた。
誰か、じゃなくって、私達がよく知ってる人。
遠まわしな言い方をしたのは、信じたくなかったから。
ありえないと思いたかった。
な、何で・・・どうして、マコっちゃんが倒れてるの!?
「マコっ、ちゃん・・・?」
「マコトーッ!!!」
私と愛ちゃんはマコっちゃんに駆け寄った。
- 369 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:36
- いくつかの切り傷に、お腹には何かで刺されたようで穴が空いてる。
すでにほとんど息はない。
早く、早くなんとかしないと・・・。
「おい!二人とも体を揺するな!すぐに手当てするぞ!」
「・・・はい、そうです。緊急でお願いします!」
吉澤さんが駆け寄ってきて応急手当てを、もっさんが携帯で病院に電話してる。
さすがは隊長と副隊長、肝心な時には頼りになる。
そうだよ、ここで私達が落ち着かないでどうするんだよ!
私達も傷口の応急手当を始めた。
大丈夫、すぐに救急車がくるよ。
だから、無事でいてね・・・。
- 370 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:37
-
「ん・・・あれ?」
窓の外に目を向けると、すでに外が暗くなっていた。
頭がぼーっとして体がだるい。
愛ちゃんの言うとおり、疲れてんのかもしれないな。
マコっちゃん、今日は帰るね。
私は椅子から立ち上がって部屋から出た。
- 371 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:38
- あれからマコっちゃんはずっとこのままだ。
死んでもおかしくない状況だったけど、そこは屈強な精神力を持つ
マコっちゃんだから、死なずに済んだんだと思う。
事件はこれだけで終わったわけじゃなかった。
この次の日、待合室にあさ美ちゃんからの書置きが残っていた。
それは、モーニングを抜けるというもの。
それを見た時には、みんな口を開けたまま、何も言うことができなかった。
誰にも何も言わずに突然の失踪、私達はカメ達と違って一緒に住んでるわけじゃないから、
彼女の全てを見ていたわけじゃなかった。
それ以来、彼女の所在が掴めずにいたのに、いきなりあれだもん。
あさ美ちゃんは何がしたいんだろ?
後藤さんとの繋がりは一体何・・・?
- 372 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:39
- 私は一つだけ仮説を立ててみた。
もし、あのSSランクの任務であさ美ちゃんが何か、例えば行方不明だった
後藤さんの情報を知ったとしたら、それを最も彼女と親しいマコっちゃんが気付いて、
問いただそうとして別の仲間にやられたとしたら・・・後藤さんの情報は
探してみたけど、やっぱり何も見つからなかった。
私達にとって、後藤さんは尊敬や憧れを已まない人だった。
特に、知能は認められたが技能が赤点ぎりぎりだったあさ美ちゃんは、
後藤さんをずっと見ていた。
彼女がいなくなってからは、仕事も手がつかないくらい落ち込んでいた。
その後藤さんに会える可能性が出てきたんだ。
接触を謀ろうとするのは当然だ。
そして、後藤さんと接触しているとこを、マコっちゃんが目撃したとしたら・・・。
- 373 名前:闇に落ちた真実 投稿日:2007/01/20(土) 22:41
- マコっちゃんなら、プロの暗殺者が十人相手でもやられることはない。
武器を持っていなくっても、ここまでひどい怪我を負うことなんてありえない。
相当な実力者でないと、マコっちゃんを倒すことなんてできない。
仮説の答え、もしかしたら、後藤さんがマコっちゃんを倒したんじゃないかって考えた。
それなら全ての辻褄が合わないこともない。
カメ達にも手をつけるほど狡猾になれたんだとしたら、ありえないこともないよね。
闇に落ちた真実は、まだ何もわかっていない。
だけど、信じたくないけどそれしか答えがない。
何にせよ、マコっちゃんが目を覚まさない今、あさ美ちゃん達本人を捕らえて聞き出す、
方法はそれだけなんだよね。
万が一には倒すしかない。
相手があさ美ちゃんだろうと、倒すしか・・・。
早く見つけ出さないととんでもないことになるかもしれない。
そのためにも、早く風邪を治さなきゃね。
帰って寝ることにしよう。
マコっちゃん、起きたらまた話しをしようね。
- 374 名前:次回予告 投稿日:2007/01/20(土) 22:42
-
「あの、ありがとうございます。」
美貴が町で偶然にも助けた少女。
その子と話していくうちに、徐々に心を許すようになる。
そんな日々が楽しいと思い始めていく美貴に、問題が訪れる。
「美貴ちゃんと組みたくない。美貴ちゃんには足りないものがあるがし。」
「美貴は、どうしたらいいんだよ・・・。」
愛とけんかをしてコンビを解消されそうになる。
愛が怒っている理由が全くわからない。
美貴に足りないものとは何なのか?
深く悩んで導き出した美貴の答えとは・・・。
- 375 名前:ais 投稿日:2007/01/20(土) 22:42
- 更新しましたです〜♪
- 376 名前:ais 投稿日:2007/01/20(土) 22:44
- >>たまさん
ガキさん視点でした〜。
彼女らしくなく頭を使ったり(ry
かなりシリアスな感じになりましたw
- 377 名前:橘 投稿日:2007/01/20(土) 23:59
-
お久しぶりです!!
しばらく見てない間に進んでいたのでびっくりしたしたぁ〜
次の更新を楽しみにしていますw
- 378 名前:たま 投稿日:2007/01/21(日) 08:14
- 麻琴が長い間眠っている理由はまだ色々な謎が残ってますね…
次回は美貴ですか♪ちょっとみきあいの予感☆笑
- 379 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:15
-
美貴視点
今日は特に仕事がないから休みをもらった。
とはいっても、別にやりたいことがあるわけじゃない。
それを愛ちゃんに話したら、同じ日に休みをもらった彼女に、隣町のデパートに
買い物に行こうって誘われた。
基本的にインドアな美貴を家から連れ出そうとするのは、この世界見渡しても
愛ちゃんくらいなものだ。
年の近いよっちゃんですら美貴を誘おうとしない。
美貴は他人に干渉するタイプじゃないから、それでもいいんだけどね。
後輩には恐れられてるみたいだし、愛ちゃんはいい意味で怖いもの知らずなんだよね。
美貴は末っ子だったから、甘えられるのは慣れてない。
でも、悪くはないね。
そんなわけで、隣町の駅で待ち合わせをしてた。
- 380 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:16
- 時間まであと数分、突然電話が鳴り出した。
愛ちゃんからだった。
「もしもし。」
『美貴ちゃん、ごめん!今日行けんくなったわ。』
「はぁ?」
『何か緊急の依頼がきたって里沙ちゃんに頼まれたんやよ。これは一人でやれるから、
美貴ちゃんは休日を楽しんでね。ごめんね!』
それだけ言って、愛ちゃんは携帯を切った。
緊急っていきなりかよ。
まぁ、いきなりだから緊急っていうんだけど、相当慌ててたみたいだし仕方ない。
適当にフラついて帰るとするかな。
愛ちゃんの言っていたデパートに行こうと、駅を出た時だった。
歩道の先で、一人の女の子が柄の悪い男三人に絡まれてるのが目に入った。
- 381 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:17
- 女の子はどう見ても嫌がってる。
近くに人はいるのに、見て見ぬフリをするだけ。
警察くらい呼んでやればいいのに。
めんどくさいけど、助けてやるか。
美貴は堂々とその男達に近寄っていく。
「やめてあげなよ。嫌がってんでしょ。」
「ああ、何だてめぇは?」
「待てよ。睨んだら可愛そうだろ。君も俺達のグループに入りたいんだろ?」
「・・・はぁ、バカを相手にしてると疲れる。」
「何だと?」
「五秒やる。美貴の前から消えろ。」
美貴がそう言うと、男達は笑い始めた。
- 382 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:18
- モーニング、って言ってもわからないだろうし、教えたら殺すことになる。
これくらい、警察の方でなんとかしろっての。
「君が何者かは知らないけど、俺達はな・・・。」
ゴッ!
美貴が一人の男の顔を殴り飛ばした。
五秒経った。
嘘、まだ四秒だけどむかついたから殴った。
誰かなんて知るかっての。
悪者はあんた達だって美貴が決めたんだ。
- 383 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:19
-
「な、何しやがる!?」
「お前、俺達のことわかって・・・。」
「だから知らないって。」
ドゴッ!ボガッ!
他の二人も殴り飛ばしてやった。
自分の立場を棚に上げる人間が一番嫌いだ。
だから、例えどんなに偉い人からの依頼でも、相手がむかつく人間なら受けはしない。
それはモーニングの権限でもあるから、文句は言わせない。
でも、思いっきり手加減はしてやったよ。
本気で殴ってたら、首から上が吹き飛んでるとこだった。
パチパチパチ
周りから拍手と歓声が飛んできた。
たぶん、美貴がこいつらをぶっ倒したからだろう。
- 384 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:20
- 気に食わない、美貴は少し殺気を含めて周りの人達を睨みつけた。
一瞬にして辺りは静まり返る。
「こんだけいるんなら、助けることくらいできるでしょ。せめて警察くらい
呼んであげたらどうなの?情けないな。」
美貴がそう言うと、観衆達は散らばっていく。
そういえば、コンコン、紺野あさ美が言ってたっけ。
国中の人間が罪を理解しないと、それを裁ける人もいなくなる。
と、後藤さんが言ってました〜って、あんたも受け売りかっての。
後藤真希が何を考えてるのかは知らないけど、言っている意味は理解できる。
治安が悪いのは、悪いやつだけじゃなくて一般市民も悪いのかもね。
- 385 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:21
- 美貴らしくなく悟ってしまった。
まぁでも、少しはスッキリしたかな。
デパート行く気はなんか失せたから、帰って寝るとするか。
美貴は反転して歩き出した。
「待ってください。」
美貴が振り向くと、さっき助けた少女が駆け足で寄ってきた。
よく見ると、愛ちゃんと同じ年くらいの、可愛い女の子だ。
「あの、ありがとうございました。本当に助かりました。」
「別にあなたのためじゃないよ。気に食わなかったから殴っただけ。」
この言葉に嘘はない。
助けるってのもあったけど、何よりもむかついたからけんかしただけだ。
- 386 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:22
-
「あの、これから時間とかありますか?」
「ん・・・あるっちゃあるかな。」
「なら、一緒にお昼でもどうですか?先ほどのお礼がしたいんです。」
美貴は一つ間を置いて首を頷けた。
正直なところ、帰って寝るか少し迷った。
でも、よほど嬉しかったのか、ここまで笑顔で誘われると断るのも悪い気がする。
それにしても、この子は美貴が怖くないのかな?
ある意味愛ちゃんと似てるか。
そう思うと、少し面白くなって笑ってしまった。
女の子はキョトンとした顔で美貴を見る。
「どうかしました?」
「いや、何でもないよ。」
美貴達は駅から少し離れたとこにあるファミレスに入った。
- 387 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:23
- 向かい合って座ると、この子はニコニコと笑って美貴を見つめてくる。
そこまで見られると恥ずかしいんですけど・・・。
「えっと、自己紹介が遅れました。私の名前は松浦亜弥っていいます。」
「んと、美貴は藤本美貴。」
「はい。藤本さんは、この町の人なんですか?」
「いや、隣町に住んでるよ。ここには友達と遊びにくる予定だったんだけど、
急用でこれなくなってね。一人でふらついてたら、えっと、亜弥ちゃんが
絡まれてるのを見たんだよ。」
「そうなんですか〜。あのですね・・・。」
美貴達は昼ごはんを食べならが色々と話した。
もちろん、仕事や美貴の素性は隠しながらだけど。
亜弥ちゃんは、初めて会った美貴に対して、何でも楽しそうに話してくれた。
- 388 名前:助けた少女 投稿日:2007/01/22(月) 22:25
- 話しをしてて、この子はずいぶんと頭がいいんだなって思う。
美貴が敬語をやめていいって言ったらすぐやめたし、好きなように呼んでって言えば
焼肉でタンが好きだからって、すぐにあだ名を美貴たんに変更した。
きちんと話した内容を覚えてるんだ。
美貴が言葉を濁せばすぐに話しを変えて、自分に興味のあることを聞いてくる。
現状の雰囲気を察知して、それに適応する話しができる力があるんだね。
美貴って、気を使わせる性格してんのかもね。
亜弥ちゃんのご両親は不慮の事故で、いや、強盗が逃げた車が、
斜線を超えて突っ込んできて、亡くなったらしい。
今は一人で暮らしてて、大学に通ってるみたい。
一人でいて辛かったし寂しかった。
だから、美貴が助けたことがすごく嬉しかったって言ってくれた。
そんなこと言われたことなかったから、美貴も嬉しかった。
それからも、美貴達は時間の限り話しをていた。
こんなにも人と話すことが楽しいなんて、知らなかったよ。
すごい、不思議な体験した気分だった。
- 389 名前:ais 投稿日:2007/01/22(月) 22:26
- またまた続けていきます!
- 390 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:27
- 気が付いたら、けっこうな時間になっていた。
美貴の睡眠時間がかなり減っちゃったな。
まぁ、それだけ楽しく話しができたってことだよね。
他人とここまで話したのって初めてのことだったから、
美貴も嬉しかったのかもしれない。
「もうこんな時間だね。美貴、そろそろ帰るよ。」
「そっか〜。残念だな・・・。」
「ま、また会えばいいじゃん。」
「本当に!?また、美貴たんとお話できるの?」
「うん。まぁ・・・仕事がなければね。」
「じゃあ、約束ね。」
亜弥ちゃんは小指を差し出してきた。
美貴は恐る恐るその指に小指を絡める。
- 391 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:29
- 人の温もりって、滅多に感じることがないから、指を通して胸の内まで暖かく感じた。
番号だけメモっておいて、美貴は伝票を持って席を立ち上がった。
「あ、私が払うよ。」
「いいよ。久しぶりに楽しかったからさ。またね。」
美貴はお金を払って店を出た。
昼ごはんを食べたはずのに、もう辺りは薄暗い。
松浦亜弥ちゃん、か・・・。
美貴とけっこう気が合うのかな?
また会おうなんて、まさか美貴の口から出るなんてね。
今度会う時には絡まれないようにしてね。
- 392 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:30
- そういえば、変な暴走族がこの町を占拠してるから、なかなか外に
出れなくなったとか言ってたっけ。
警察とかでも手出しできないくらい、タチが悪いとか。
もしかして、さっき殴ったやつらもそうなのかな・・・?
そんなことを考えながら、駅前の交差点を渡ろうとした時だった。
何台もの車やバイクが、美貴の周りを取り囲んだ。
どうやらビンゴだったみたいだね。
頭の片隅に見覚えのある三人組と、頭をスキンヘッドにした
大柄な男がこっちを見ている。
筋肉ムキムキでいかにもモテなさそう。
「ボス、あの女です。」
「へ〜、あんな綺麗な姉ちゃんにやられたのか。」
「マジで強いんですよ。お願いします!」
今時ボスってか、人を笑わせる才能あるんじゃないの?
綺麗だってとこは、別に重さんじゃないけど肯定しておこう。
- 393 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:30
- そのボスって男が、のっそりと美貴に近づいてくる。
「よぉ、姉ちゃん。本当にあんたがこいつらをやったのか?」
「だったら何?」
「フン、気が強くていいじゃねぇか。どうだ、俺の女になるなら許してもいいが。」
「もし断ったら?」
「とっ捕まえてヒ〜ヒ〜言わしてやるだけだ。どっちがいいよ?」
ブッ、もう笑いたくて仕方ないんですけど!
こいつの発言面白すぎ!
とりあえず、口元を緩めるだけで我慢はする。
こんなとこで暴れたら周りの人達に迷惑だからね。
「決まってんでしょ。どっちもいやだね。」
美貴は、隣でバイクを乗り回している男を蹴飛ばして、それに飛び乗った。
- 394 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:33
-
「待て!逃がすかよ!」
「誰が逃げるか。ついてきなよ。」
美貴はアクセルを吹かせて道路を突っ切った。
あくまで最高速は出さないように、あいつらがついてこれるレベルで。
美貴の後ろを何台ものバイクが追いかけてくる。
さてと、どこら辺なら平気そうかな・・・ん、あそこがいい。
美貴は廃墟と化した工場の前の広場に入った。
しばらく待っていると、暴走族がさっきのように美貴を囲んできた。
70、80人くらいか。
美貴に焦りは全くない。
美貴達が日々相手をしている、銃とか刀を持ってるプロに比べたら、
小さいナイフとか棒きれを持ってる素人どもなんか、どうしたら怖がれるって話し。
- 395 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:34
- だったらまだ亀ちゃん達の方が怖さも威圧感もある。
緊張感はなさそうだけどね・・・。
さっきのボスって男が近寄ってきた。
周りの男達も、今度は逃げられないように距離を詰めている。
「鬼ごっこは終わりだな。覚悟はいいか?」
「二つだけ言わせてもらうよ。」
「何だよ?今更謝ったって遅いぞ。」
「本当は面倒なんだけど、あんた達に付き合った理由の一つ目。美貴ね、
あんた達には感謝してるんだ。あんた達が亜弥ちゃんに絡んでたから、
あの子と知り合うことができた。全く知らない町で友達ができるなんて、
思いもしなかった。本当に嬉しかったんだ。だからさ・・・。」
ベキベキベキッ!ミシッ!
美貴はバイクのフレームを掴んで握り潰し、そのままバイクを片手で持ち上げた。
- 396 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:35
- ボスは驚愕の表情をして後ろに下がる。
大の男が、情けないね。
「先に二つ目を言っておくよ。その友達がいる町に、てめぇらみたいな
クズがいたら困るんだよ。さっきのお礼に、殺さないであげるよ。」
殺気も交えて周りを睨みつけた。
誰も動くことができない。
どう動こうが、かかってこようが結果は変わらないよ。
全員、半殺し確定なんだからね!
美貴はバイクを放り投げて駆け出した。
- 397 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:35
- 次の日、美貴はいつも通りにハローの中に入った。
今日の任務はDランクの犯人を捕まえること。
この程度の仕事なんか美貴を使うことないのに。
まぁ、人手が足りないらしいから仕方ない。
その前にメンバー内でのミーティングがあるから、それまで待合室で待つことにした。
勝手に決めた美貴専用の壁際の場所に座って、イヤホンを付ける。
今日は音楽じゃなくてラジオ、昨日の事件がどうなったか気になった。
おっ、やってるやってる。
隣町で暴走族が全員捕まったって話し。
その前に病院で何ヶ月も入院してからだってさ。
- 398 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:36
- 手加減はしたから誰も死んではいないみたい。
相手が美貴でよかったな、感謝しろよ。
美貴が自分の独り言に笑ってると、愛ちゃんが隣に座り込んだ。
「美貴ちゃん、昨日あたし達が行こうとした町の事件、知っとるか?」
「暴走族がやられたってやつ?」
「うん。そのうちの一人によれば、たった一人の女に全滅させられたんやってさ〜。」
愛ちゃんはじっとこっちを見て離さない。
はいはい、バレバレなのね。
美貴は視線を外して横になる。
この子に見られてると、一から話すことになるからね。
- 399 名前:会いたい気持ち 投稿日:2007/01/22(月) 22:37
- それは面倒だし、亜弥ちゃんのことは、できれば黙っておきたい。
美貴らしくないって言われるのがわかってるから。
「美貴ちゃん、何かあった?」
「何のこと?」
「朝から嬉しそうやざ。不機嫌っぽくないもん。」
「それ、どういう意味だよ?」
「あら〜、いつもの美貴ちゃんに戻っちゃった。あたしも非難せんとあかんわ。」
愛ちゃんはそう言って亀ちゃん達のとこに戻っていく。
相変わらずだね、君は。
言いたい放題言って終わりですかい。
でも、愛ちゃんの言っていることは間違いじゃない。
美貴、また亜弥ちゃんに会いたいって思ってる。
こんなにも誰かに会いたい気持ちが沸いてくるなんて・・・。
まだ会ったばかりなのに、面白いもんだね。
なんとなく、彼女の番号が入ってる携帯を握り締める。
亜弥ちゃんは今頃何してんのかな?
次は、いつ会えるのかな・・・?
- 400 名前:ais 投稿日:2007/01/22(月) 22:38
- 美貴編でした〜。
まだまだ続きますけどねw
- 401 名前:ais 投稿日:2007/01/22(月) 22:40
- >>橘さん
お久しぶりです〜。
今後も更新を続けていくので暇があれば読んでやってください。
>>たまさん
麻琴に関してはまだまだ謎が深まるばかりで・・・
愛美貴・・・う〜ん、ある意味そうといえばそうなんですかね・・・w
まぁ、たぶん次からでわかります(謎)
- 402 名前:たま 投稿日:2007/01/23(火) 12:14
- あーみきあいじゃなかったっすね…orz笑
- 403 名前:橘 投稿日:2007/01/23(火) 13:08
-
今日も読ませてもらいしたぁ〜!!
ミキティガンバ
- 404 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/23(火) 19:37
- こんな偉そうなこと言える立場でもないですけど
作者様以前に比べてかなり筆力上がってますね
- 405 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:05
- 亜弥ちゃんと出会って二週間が過ぎた。
今日は仕事が午前中に終わったから、愛ちゃんとトレーニングをして、
そのあとでまた会うんだ。
最近は特に大きな事件もないから、早く帰れる日には連絡して、
隣町で会っている。
週に2・3回は会ってるんじゃないかな。
大抵は彼女の話しを聞いているだけなのに、それがまた居心地がいい。
会うだけで、彼女の声を聞いているだけで、美貴の心は満たされている。
彼女と一緒にいる時が、一番生きてるって感じさえしてくる。
- 406 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:06
-
パンッ!
おっと、トレーニング中だったんだ。
美貴は反射的に後ろに跳んだ。
そのコンマ数秒後に、美貴の目の前を弾が飛んでいく。
今日の戦闘場所は下級組織の内部、その中で愛ちゃんと戦っている。
二人ともメイン武器は使わないで戦ってるんだ。
いつ、どんな時でも対応できるようにって、本当に熱心な子だよね。
通路の先に雑魚が二人、美貴はサバイバルナイフを握り締めて走り出した。
さっさと終わらせて、早く亜弥ちゃんに会いたいな。
- 407 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:07
- 敵を倒しながら進んでいると、工場のような広場に出た。
不良品っぽいものがそこら辺に落ちている。
同時に目に入ったのは、何人もの切り倒された兵士達。
愛ちゃんもがんばるね〜。
銃声が聞こえないってことは、残りは愛ちゃんだけ・・・かな。
痛っ、さっき頬を掠めた傷が疼く。
ちょっと避けるの失敗したんだよな〜。
それ以上に気になるのは、胸に感じるモヤモヤっとしたよくわかんない感情と、
ズキズキする痛み。
空白で埋め尽くされているところに、何かわからないものが頭の中を通過する。
亜弥ちゃんのことを考えるたびにそれが出てくる。
全く、意味わかんないや・・・ん、やばっ!?
上から二個の手榴弾が飛んできた。
- 408 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:08
- 跳んで掴んで投げ飛ばすか、いや、間に合わない。
美貴は前に転がるようにして避けた。
愛ちゃんもやってくれる、って!?
すぐ目の前に、振り子を利用したクレーンが突っ込んできた。
これはさすがに避けるのも無理。
ドガッ!
ぐっ、ちょっと痛いけど、まだまだいけるよ!
反動で後ろに突き飛ばされる。
- 409 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:09
- 普通の人間ならグシャグシャだな。
このくらいのことで、この美貴が・・・。
ドドーンッッ!!!
「うぁっ!」
美貴は爆発で再び吹き飛ばされる。
さっき投げられた手榴弾が今頃爆発しやがった。
っつ、足をちょいやっちゃったみたい・・・。
何も考える間もなく、美貴の姿を影が覆う。
すぐに顔を向けると、ナイフを構えた愛ちゃんが飛び込んできていた。
手榴弾もクレーンもフェイク、本人がクレーンに掴まってきてたんだ。
気付いた時には遅すぎた。
美貴の銃が着地寸前で蹴られ、愛ちゃんはナイフを持つ右手を振りかぶる。
- 410 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:10
- ちっ、美貴の負けか〜。
まぁ、仕方ないけど今日は負けを認めよう。
愛ちゃんは美貴の顔の目前で寸止めを、
ガッ!
しなかった。
斬るんじゃなくって、殴られた。
あの愛ちゃんが、美貴、というより人を殴った・・・?
殴られた痛みよりも、驚きで反応できず、無様に地面に転がった。
「愛ちゃん、何も殴らなくったって・・・。」
「美貴ちゃん、何してんの?」
「へっ?」
「何考えて戦ってたって聞いてんよ。答えてみなよ。」
普段どおりの声、だけど、あの愛ちゃんが本気で怒ってる。
こんな愛ちゃん、誰が知ってるんだろ・・・?
- 411 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:11
- さらに信じられないことに、愛ちゃんは美貴の胸倉を掴んで顔を近づける。
「いつもの美貴ちゃんなら、すぐにでも手榴弾に反応して、投げ飛ばすか
ナイフを投げて、爆発させてた。クレーンやって避けれたし、何よりも
あたしを探ってるはずやよ。ねぇ、答えてよ。何を考えて戦ってたん?」
「べ、別に。それは、美貴の勝手じゃん。」
「・・・あっそ。もうええわ。今の腑抜けた美貴ちゃんと戦ってた
あたしがバカやったわ。これじゃ何の意味もないわ。無駄な時間を
過ごしたよ。帰るわ。」
愛ちゃんは美貴の服を離して、後ろを向いた。
美貴が腑抜けた・・・無駄な時間?
さすがの美貴も、そこまで言われて黙っていられるかっての!
「愛ちゃん、待ちなよ。誰が腑抜けだって?」
「美貴ちゃん以外にいないやろ。一般兵にまで傷つけられるくらい、
腑抜けて弱い藤本美貴に言ったんやよ。」
「これは、ちょっと油断しただけだよ!本気でやったら美貴だって・・・。」
「油断・・・?」
愛ちゃんの顔色が変わる。
愛ちゃんとは思えないほどの殺気が部屋に充満する。
- 412 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:12
- 美貴、何か悪いこと言った・・・?
冷や汗が背中に張り付いて気持ち悪い。
でも、全く動けない。
愛ちゃんが、本気で怒ってる・・・。
「あたしがいるのに、油断したっていうの・・・?」
「だから、ちょっとだけだって。美貴だってやる気あるよ。」
「・・・なら、そのやる気を見せてよ。一回抜けたあと、もう一回だけ勝負しよう。
美貴ちゃんはどんな武器使ってもええよ。その代わり、あたしは武器を使わん。」
「な、何を言って・・・。」
「三発殴ったらあたしの勝ち。美貴ちゃんは、あたしに傷を付けられたら勝ちね。」
何よ、それ・・・。
美貴、完全になめられてるよね。
いくら愛ちゃんでも、そこまで言われて許せるもんじゃないよ。
いいよ、わかった。
本気で殺す気で倒してやる!
- 413 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:13
-
ドガッ!
「あがっ・・・。」
美貴は背中から倒れ込んだ。
愛ちゃんの膝蹴りがまともに顎に入った。
脳を揺さぶられて眩暈がしてくる。
どうして、だよ・・・?
美貴は、腰に数本のナイフと拳銃、手にはヘケートの次に扱いやすい、
サバイバルナイフを持って戦った。
装備は万全だったはず。
なのに、一発も、掠り傷すら付けられなかった。
- 414 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:14
- こんなに力に差があるの・・・?
嘘、あるわけがないよ!
だって、今までだって、愛ちゃんと何度か組み手をしたことがあるんだ。
ずっと、手加減してきたってこと・・・?
そんなこと、まさか・・・。
「美貴ちゃんは強いよ。少なくとも、あたしに匹敵する強さは持っとるね。」
「な、何よそれ・・・。同情なんかしなくたって・・・。」
「あたしが嘘つくのが苦手なの、美貴ちゃんやってよく知っとるやろ。」
「・・・。」
美貴は何も言えなかった。
目を見ればわかる、愛ちゃんは嘘ついてない。
- 415 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:15
- なら、どうしてここまで差があるの?
美貴だって、本気でやってるのに・・・。
「今度のSSランクの任務、美貴ちゃん達と組む予定やったけど、
今の美貴ちゃんとは組めんわ。あたし、美貴ちゃんと一緒に
戦いたくない。よしざーさんか里沙ちゃんに頼むわ。」
「なっ!?そんなの、愛ちゃんが決めていいもんじゃないでしょ?」
「次の任務には、絵里とれいなも連れていくんやよ。やけど、
今の美貴ちゃんには、あたしも、あの子達の命も任せられんよ。
あたしやって死にたくないし、絵里達にも死んでほしくない。
SSランクの怖さ、よく知っとるやろ?すっごく生きる覚悟が必要なんやよ。
ねぇ、本当に戦う気あるの?これが実践なら、美貴ちゃんはあたしに
何度も殺されとるんやよ。モーニング失格やよ。」
「そ、それは・・・。」
美貴が何かを言うより先に、愛ちゃんは振り返った。
美貴はなんとか顔を上げて、彼女の顔を見ようとした。
- 416 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:16
- ぐっ、体が全然言うこと利かない。
彼女の攻撃は、全て急所に当たっていた。
常人なら、一発で気を失ってるっての・・・。
「明日、もう一回戦おう。それでもだめなら、美貴ちゃんに任務を
降りてもらうか、あたし達は今回は控えるよ。今の美貴ちゃんは
全然らしくないやよ。キッパリ言って今の美貴ちゃんは、絵里にも、
さゆもれいなも、小春にすら勝てんわ。」
「はぁっ!?そんなわけ・・・。」
「誰にも勝てないよ。あたし達にあって、今の美貴ちゃんに足りないもの。
それがわからん限りは、美貴ちゃんはモーニングやないからね。」
愛ちゃんの姿がスーッと消えていく。
- 417 名前:生きる覚悟 投稿日:2007/01/25(木) 23:17
- 一体、何なんだよ・・・?
あの愛ちゃんにここまで言われるなんて、何が足りないっていうんだよ?
わかんない、わかんないよ・・・。
「美貴ちゃんが戦う理由は何なの?どうしてここにいるのか、
よく思い出して。」
愛ちゃんが消える間際にそう言った。
くそっ!
ダンッと拳を地面に叩きつけて、それを目の上に乗せた。
美貴、泣いてないからね。
泣いて、ないんだから・・・。
愛ちゃん、君は何が言いたかったの?
美貴に足りないものって、一体何なんだよ・・・?
- 418 名前:ais 投稿日:2007/01/25(木) 23:17
- 更新しました〜。
- 419 名前:ais 投稿日:2007/01/25(木) 23:19
- >>たまさん
愛美貴は以前に書いたことがあるのでまた別にってことで・・・(汗)
親友みたいな感じの方がしっかりきたりw
>>橘さん
ミキサマもまだまだ負けてませんよ〜!
今後どうなるかはまた・・・(謎)
404 :名無飼育さん
いえいえ、嬉しいお言葉ありがとうです♪
そう言ってもらえるとやりがいが出てきます。
- 420 名前:たま 投稿日:2007/01/25(木) 23:42
- 愛ちゃんがマジギレしたのにはビックリです…
仲間だからこそ怒ったんでしょぅ
- 421 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:47
- 美貴は足早に組織を抜け出した。
控え室に寄って誰かに当たるのは、何か我侭な子供みたいで嫌だったし、
何よりも今は愛ちゃんと顔を合わせられなかった。
くそっ、言いたい放題言いやがって。
それ以上に、言いたい放題言わせた美貴は、本当に何なんだっての・・・。
こんな状態で亜弥ちゃんと会うのか・・・。
まぁ、たまにはあの子に悩みを聞いてもらうとするかな。
- 422 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:49
- 昼過ぎ、場所は変わって今日は少し離れた町にきている。
大きな公園があるから、のんびりと過ごそうって言われたんだ。
亜弥ちゃんとは駅で待ち合わせて、二人でゆっくりと歩いている。
「でね、ひどいんだよ。美貴が少し失敗したからって怒ってさ〜。」
「へ〜、美貴たんでも失敗することあるんだね。」
「滅多にないけどね。すごく怒られちゃったよ。」
さっきまで溜まってた愛ちゃんに対する怒り。
それを全て亜弥ちゃんにぶつけている。
亜弥ちゃんと会ってから、美貴ばっかそのことばかり話してる。
普段とは全く逆の状態、それだけ美貴は苛立っていた。
亜弥ちゃんと話していると楽しい。
だけどまた別の、胸のモヤモヤが浮き上がってきた。
それを抑えようと弾丸トークで落ち着けようとした。
ところが、それはさらに強まるばかり。
- 423 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:50
- マジでわけわかんない。
一体、今日の美貴って何なんだろ・・・?
「いいんじゃないの?そんなに怒ってもらえるなんて、
それだけ大事にされてるんだよ。」
「そっかな〜?」
「私が何か悪いことしたら、美貴たんが怒ってくれるのかな?」
「・・・自信ない。」
「え〜?どうしてよ〜?」
「ん〜・・・亜弥ちゃんが可愛いからかな。」
「ほっほ〜う。素直な気持ちだね。」
君もずいぶんな自信家だね。
まぁ、重さんクラスのナルシストだってのは、話しを聞いてて理解はしてたよ。
亜弥ちゃんと話してると、時間が過ぎるのを忘れてしまう。
もう空は薄暗くなってきて、そのくらいに公園を抜けて海辺に出た。
夕焼けで赤く照らされる海は、綺麗だった。
- 424 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:50
- 美貴は亜弥ちゃんといるのが楽しい。
なら、亜弥ちゃんはどうなんだろ・・・?
そういえば、亜弥ちゃんはどうして美貴といるんだろう?
話しを聞いてくれる相手だったら誰でもいいの?
もしそうだったらって思うと、少し胸が痛くなる。
亜弥ちゃんは、何を思って美貴といるんだろう?
「こういうとこを二人で歩いてるとさ、恋人みたいだね・・・。」
「ねぇ、亜弥ちゃん。一つ聞いていい?」
「ん?」
亜弥ちゃんは背中に手をつけてこっちを向いた。
- 425 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:52
- 吸い込まれるような純粋な瞳。
その瞳は美貴を見てるんだよね。
「亜弥ちゃんはさ、どうして美貴といるの?」
「えっ?」
「美貴以外にもさ、他に大学とかに友達とかいるでしょ?亜弥ちゃんにとって、
美貴じゃなくても、話しができれば満足できるんじゃないの?」
「・・・できないよ。できるわけないじゃん!」
「亜弥、ちゃん・・・?」
亜弥ちゃんは大声で美貴に言った。
何がいけないのか、美貴にはわからない。
「私は・・・美貴たんのことが好き。」
「・・・好き?」
「うん、そうだよ。初めて美貴たんに助けてもらって、話しを聞いてもらえて、
すごく嬉しかったの。また会ってくれるって言ってくれた。何度も会ってるうちに、
美貴たんに会いたくて仕方なくなったの。本当に美貴たんが好きなの。ずっと、
一緒にいてほしいよ。私と、付き合ってほしい・・・。」
亜弥ちゃんは虚ろんだ目をして、美貴にそう言った。
- 426 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:53
- そっか・・・胸のモヤモヤの謎、ようやくわかった気がした。
美貴も、亜弥ちゃんのことが好きなんだ。
むかついたから暴走族とけんかしたっていうのは、自分に対する言い訳に過ぎない。
初めて会ったときから惹かれてたんだ。
そして、彼女に危険が降りかからないように、暴走族を潰したんだ。
亜弥ちゃんを、守りたかったから。
亜弥ちゃんのことを、好きになったから。
バカだよね、マジでバカだよ。
こんなことにも気付かなかったなんてね。
そりゃ愛ちゃんもキレるでしょ。
美貴はフッと笑って亜弥ちゃんを見つめ返した。
- 427 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:54
- 次の日の朝、美貴は起きてすぐに組織に向かった。
寝癖が立っていようが、服が乱れてようがどうでもいい。
組織の人間に珍しげに見られながらも、美貴は足を急がせた。
自分達の待合室に入ると、中にはよっちゃんとガキさん、そして奥では愛ちゃんが
本を読んでいた。
亀ちゃん達は遠征だって言ってたから、邪魔にはならないな。
美貴は愛ちゃんの傍まで近寄っていく。
「愛ちゃん、おはよう。」
「ん・・・おはよ。」
「いきなりで悪いんだけど、美貴と勝負してほしいんだ。
今から付き合ってくれない?」
愛ちゃんは少し驚いた顔をして、小さく首を頷けた。
自分から勝負するように言ってくるとは思わなかったんだろうね。
美貴はかばんを近くの椅子に放り投げて、部屋を出て行った。
- 428 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:55
- 美貴は愛ちゃんと二人でトレーニングルームに入る。
ここまで歩いてても、一切口を開いていない。
愛ちゃんは愛ちゃんで、何か考えてるのかもしれない。
そして、美貴の頭の中では、愛ちゃんと勝負するシミュレーションだけが流れていた。
二人で個室に入る前に、美貴は愛ちゃんを向いた。
「愛ちゃん、一つお願いがあるんだ。」
「何?」
「サファイアを使ってほしい。美貴もヘケートを使う。本気で勝負してほしいんだ。」
「・・・わかった。」
今回の美貴はマジだよ。
負けない思いは常にある。
けど、今日だけは絶対に答えを見せなきゃいけないんだ。
そのためにも、本気で戦ってもらわないとね。
- 429 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:55
- 今日の勝負の世界は森の中。
邪魔者はいない、ただ一対一の勝負。
愛ちゃんが瞬時に間を詰めて攻めてくる。
ズババババッ!
ちっ、やっぱ疾いな・・・。
一瞬にして数発の剣技、全部避けたつもりだったのに、腕から血が滲み出る。
でも、このくらいでやられるか!
美貴は愛ちゃんの動きを読んで、ヘケートを振り回した。
それが当たる直前で、愛ちゃんの姿が消える。
どこへ行った・・・?
美貴は動かずに気配だけを集中させて待つ。
- 430 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:56
- しばらく待っても何も起こらない。
普段の美貴なら、苛つく前にここで一息をつく。
けっこうチームを組んだりしてるから、どの時にどのように動くかは、
お互いによく知っている。
美貴が美貴を狙うなら、その一瞬の隙だと思う。
予想通り、上の方から微かに物音が聞こえた。
同時に、大木が振ってきた。
こんな分厚い木を切るなんて、顔に似合わず派手なもんだ。
右か左か、まさかね・・・避けるわけがないでしょ!
「ハァァッ!」
ズバァッ!
美貴は大木を真っ二つに切り裂いた。
- 431 名前:魔女対リボンの騎士 投稿日:2007/01/26(金) 22:58
- 少し遅れて、地面に降り立った小さい影。
やっぱり大木の後ろに隠れてたんだね。
「ちぇっ、絶対避けると思ったのにな〜。」
「そう思ったから集中してたんだよ。簡単にやられるかっての!」
美貴のヘケートと愛ちゃんのサファイアが交わる。
魔女対リボンの騎士、本来なら正義が勝つんだろうね。
っつうか、美貴も正義だっての。
「美貴ちゃん、やるね。」
「まだまだこれからだよ!いくぜっ!」
今回ばっかは美貴の全てを受けてもらうよ。
愛ちゃんに、美貴の戦う意味を伝えないといけないんだ。
藤本美貴、やってやるぜ!
- 432 名前:ais 投稿日:2007/01/26(金) 22:59
- 更新でした〜
- 433 名前:ais 投稿日:2007/01/26(金) 22:59
- >>たまさん
実際にマジ切れした彼女は一体・・・(怖)
仲間だからこそ、かもしれないですね〜。
- 434 名前:たま 投稿日:2007/01/27(土) 01:07
- んゃぁ〜愛ちゃんと美貴の関係なんか良ぃですねぇ♪
- 435 名前:ウイング 投稿日:2007/01/27(土) 08:41
- 以前に偶然作者さんの別の作品を見て、マジで感動しました!
こういうタイプの作品って初めてだったんですけど、色々考えさせられました。
今回新作みたいなんで、がんばってくださいね。
陰ながら応援してます☆
- 436 名前:橘 投稿日:2007/01/27(土) 12:40
- ミキティ頑張ってますね〜!!愛ちゃんも最高ですっテ
次の更新を楽しみにしてます。
- 437 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:23
- 美貴は大きく鎌を振り上げて、思いっきり振り切った。
ブォォッ!
「なっ!?」
衝撃で愛ちゃんの体が僅かに浮き上がる。
今だ!
すぐさま飛び込んで、鎌を振り下ろそうとした時だった。
サファイアを持つ愛ちゃんの腕が、微かにブレた。
やばいって、直感が美貴に教えて地面に寝かせた。
直後に、後ろの方で何かが倒れる音が聞こえた。
愛ちゃんの振るった居合いで木が倒れたんだろうね。
- 438 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:24
- そんな時でも美貴は愛ちゃんから目を離さない。
彼女が相手だと、コンマ数秒あればバラバラに刻まれるから。
攻めさせるのは得策じゃないかな。
そう思った時には、愛ちゃんは目の前にまで迫って剣を振るってくる。
ちっ、ぎりぎり、とは言っても避けられるのは紙一重、
いや皮一枚やられて血が出てる。
チームを組んでる時よりも、実際に向き合って戦うと、改めてその恐ろしさがわかる。
愛ちゃんは、美貴よりも同期のお子様達やガキさんによく付き合ってるから、
あんまり戦ったりしない。
でも、今この場で戦ってて、愛ちゃんのすごさが身に染みるよ。
さすがは"リボンの騎士"、といったとこね・・・だからって、
"魔女"が負けるわけにはいかないでしょ!
- 439 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:26
- 美貴は彼女に合わせて横に飛び、ヘケートを突き出した。
リーチの差はこっちにある。
それが逆に弱点となることも知っている。
一度懐に飛び込まれれば、それでゲームオーバー。
だからこそ、美貴は賭けに出た。
愛ちゃんはヘケートを潜り抜け、剣を引いて突き出した。
狙うは美貴の心臓、この瞬間に勝負を賭ける!
ドスッ!
美貴は咄嗟に左腕で防御した。
その腕をサファイアが突き抜けて、美貴の胸を貫いた。
- 440 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:27
- 剣は左腕を突き出したおかげで、心臓の僅かに右に逸れた。
っつうか、息をするのも苦しいくらい、痛すぎる・・・。
血が垂れ流れ出てきて、口の中も苦くなってきた。
愛ちゃんの顔が少しだけ険しくなる。
避けようと思えば避けれた。
でも、昨日みたいにあきらめたわけじゃない。
むしろ、本番はこれからだよ!
愛ちゃんが剣を引くより先に、左腕にグッと力を込めた。
「!?」
美貴の締め付けた筋肉がサファイアを離さない。
肉を切らして骨を断つ、ってね。
- 441 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:28
- かといって、愛ちゃんを逃がしたら全く意味がない。
例え武器を持たなくても、愛ちゃんなら難なく美貴を殺すことだってできるんだから。
美貴は右手を出して愛ちゃんの腕を掴み取った。
ヘケートはサファイアを突かれた時点で捨てていた。
ここで逃げ出されても、暴れられても、怪我をしている美貴が不利だ。
だから、一気に勝負を決めるよ!
ボキボキボキッッ!!!
「っっっ!!!」
愛ちゃんの腕を握り潰した。
彼女の顔が痛みで引き攣る。
- 442 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:29
- まだだ、これで終わらせる気はない。
逃がさないように、今度は足を踏みつけて粉々に砕いた。
目の前では、愛ちゃんが涙目になって苦しんでる。
普通ならあまりの激痛で気を失ってるよね。
さすがはうちのエース、といいたいとこだけど、可哀想になってきたから
終わらせてあげるよ。
美貴も左腕と胸が痛いしね。
愛ちゃんの体を引き寄せて首を掴み上げる。
「ごほっ!あぐぅ・・・。」
「美貴の勝ちだね。」
ゴキャッ!
- 443 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:30
- 部屋を出た瞬間、美貴は大きくガッツポーズをとった。
こんなに嬉しいのなんて、すっごく久しぶりだよ。
任務完了するより嬉しいかもしれない。
隣の部屋からは、愛ちゃんが腕を振り回しながら出てきた。
美貴も違和感を感じて胸の辺りを摩る。
やられた場所とか、現実ではなんともないんだけど、痛みみたいなのが
残って気持ち悪いんだよね。
愛ちゃんは少しふてぐされた顔をして、美貴の顔を見てきた。
「・・・あたしの負けやよ。」
「ってことは、美貴がエースでいいってこと?」
「そんなん、何にもならんで。欲しけりゃもってってどうぞ。」
「よし、それじゃエースとして命令。ジュース買ってきて。」
「やだ。」
「即答かよ!本当に意味ないじゃ〜ん。」
美貴がそう言うと、二人で顔を合わせて大笑いをした。
昨日とは違って、スッキリとしていい気分だ。
- 444 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:31
- 気配を感じてモニターの方を振り向くと、よっちゃんとガキさんがこっちを見ていた。
「二人とも、お疲れ〜。」
「何、見てたの?」
「ああ。それにしても、ミキティえげつない勝ち方するよな〜。」
「危ない戦い方だったよね。」
「勝てば官軍、負ければ賊軍って言うでしょ。勝てばいいんだよ。」
「うぇっ!美貴ちゃんに賊軍って言われた〜!」
「愛ちゃん、賊軍の意味わかってるの?」
「いや、全然わからん。里沙ちゃん、どういう意味?」
わかんないのかよ!
っつうか年下に聞くなよ・・・。
やっぱり、どうでもいいとこではこの子は天然だわ。
よくもこれで美貴に説教してきたもんだよね〜。
よっちゃんとガキさんはこれから修行するっていうから、
愛ちゃんと二人で出てきた。
- 445 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:33
-
「それで、美貴はどうでしたか?」
「あたしに勝っといてよく言うわな。SSランク、一緒に行こう。」
「そうこなくっちゃね!亀ちゃんと田中ちゃんにも、美貴の実力を教えてあげよう。」
「答えは、見つかったんやね?」
「・・・まぁね。美貴なりに答えを出せたよ。」
美貴は頭に両手で組んで、昨日の出来事を思い出した。
『ごめん。亜弥ちゃんとは、付き合えない。』
それが彼女に出した美貴の答えだった。
亜弥ちゃんのことは大好きだよ。
その言葉を伝えて、ずっと一緒にいたいとも思った。
けど、美貴のいる世界ではデッドオアアライブ、常に死と隣り合わせだ。
もし付き合って美貴が死んだら、彼女はきっと立ち直れない。
- 446 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:35
- 美貴がこの仕事をやめるって手もある。
でも、ただでさえこの世界でも危険が多いのに、結局は亜弥ちゃんと
平和には過ごせない。
それに、ここにいる仲間達を裏切りたくない。
裏切りじゃないって言ってくれるだろうけど、半端に終わらす美貴自身が許せない。
早くこの世界を平和にしよう。
亜弥ちゃんが好きだから、亜弥ちゃんが暮らしやすい世界に。
死ぬためでも、殺しにいくためでもない。
守るための戦い、それを愛ちゃんは言いたかったんだね。
「愛ちゃん。その・・・ありがと、ね。」
「ん?ぼそぼそって言われても聞こえんわ。何て言ったんか?」
「別に、何でもないよ。」
「嘘やよ!ありがとうって言ったがし。」
「聞こえてんじゃん!ったく・・・。」
「あっ!愛ちゃん見つけたと!」
後ろの方から田中ちゃんが駆け寄ってきた。
- 447 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:36
- 遠征明けだってのに、元気なもんだね〜。
美貴にもその若さを分け与えてほしいもんだわ。
「れいな、仕事は終わったんか?」
「はい。愛ちゃん、勝負してください!」
「ん〜、誰かさんのおかげで、ちょっと疲れとるんやよね〜。」
「はいはい。よし、たまには美貴が田中ちゃんの相手になってあげよう。」
美貴は田中ちゃんの首に腕を回して、トレーニングルームに戻る。
田中ちゃんはバタバタと腕の中で暴れてくる。
そんなに喜ばなくたっていいのにね。
「あ、愛ちゃん助けて!殺されると!」
「当たり前じゃん。殺す気でやらないと意味ないでしょ。」
「れいな、がんばってな〜。」
「うぇぇっ!ちょっ、誰か〜!」
愛ちゃんは手を振って控え室に戻っていく。
- 448 名前:美貴の答え 投稿日:2007/01/27(土) 21:36
- 田中ちゃんもいい加減にあきらめろ。
美貴が相手になるんだから、もっと喜んでほしいものだ。
強くなって、この国を守ってやらないとね。
もし全てが終わったその時は・・・亜弥ちゃんは美貴を見てくれるかな?
他に好きな人ができて、付き合ってたとしたら、美貴は友達として彼女に会いたい。
幸せに暮らしてもらいたい、それが美貴の願いだから。
彼女やみんなの未来を守り通す。
これが美貴の答えだよ。
- 449 名前:次回予告 投稿日:2007/01/27(土) 21:37
- 真希は着実に仲間を増やし、ついに反乱を起こし始めた。
彼女の名が出た時、ひとみは昔の思い出を思い浮かべた。
真希と、そして姉のような存在だったある人のこと。
「いやだよ・・・まだ、いっちゃだめだよ・・・。」
「す、すぐに戻りますから!」
二度と交わることのない友情。
崩壊した信頼。
戦っている自分の存在意義。
ならば、真希が戦う理由はどこにあるのか・・・。
- 450 名前:ais 投稿日:2007/01/27(土) 21:38
- 美貴編、というか愛美貴編終了です〜w
- 451 名前:ais 投稿日:2007/01/27(土) 21:41
- >>たまさん
こんな感じの二人ですw
仲間意識が強いからこそ、ってとこでしょうか(謎)
>>ウイングさん
ありがとうございます!
まさか昔の自分の作品を読んでいただけるとは・・・(号泣)
もしよろしければ何を読んだかを教えてもらっても(ry
まだまだ書いていきたいと思いますのでよろしくです♪
>>橘さん
お気に入りの二人なんでつい推してしまったりしてw
信頼してがんばってるお二人にご注目ください。
- 452 名前:たま 投稿日:2007/01/27(土) 23:04
- 布団の中で感動しちゃっている自分がいました(笑)
そしてれいな…ご愁傷様
- 453 名前:橘 投稿日:2007/01/27(土) 23:06
-
ミキティ最高〜!!
でも残酷な殺し方ですねぇ、愛ちゃんが可愛そうでした。
また更新待ってますよぉ〜!!
- 454 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/27(土) 23:08
- おもろいです!
よっちゃん編期待大!!
- 455 名前:ウイング 投稿日:2007/01/28(日) 15:26
- ”バンドモノ”と言えば多分お分かりになると思います☆
あれの続編があったらなぁ・・・(ボソッw)
今回の作品はまたあの作品とは違って新鮮です☆
ちょくちょく見て行きたいと思いますので
超新参者ですが(汗)よろしくお願いします!
- 456 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:10
- 松浦亜弥は、美貴と別れたあと、公園の中を泣きながら歩いていた。
こんなつもりはなかった。
このままの関係で、これからも美貴と友達として付き合っていくはずだった。
だけど、想いが強くなって、止まらなくなって、美貴に本音を伝えた。
美貴は、これからも友達として付き合いたいと言っていた。
結果的にはフラれたのだ。
「ぐすっ、うぁ〜ん!」
人が自分を見ていようと、大声で泣きながら歩き続ける。
- 457 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:10
- しばらくして、広間に出た。
そこにあるベンチには、一人の女性が座っていた。
亜弥はそのベンチの近くまで歩き、立ち止まった。
「どうだった?って、聞くまでもないかな。」
「・・・私、フラれちゃった。」
「そっか・・・それで、君はどうする?」
「私も、いくよ。未来は、自分で作り出さないといけないんだよね。」
「それは、あたし達に協力してくれるってことかな?」
亜弥は小さく首を頷ける。
その女性は立ち上がって、嬉しそうに笑った。
「送るよ。色々と話したいこともあるからね。」
「ううん。今日は、一人にしてくれないかな?」
「わかった。んじゃまた連絡するよ。気をつけてね、まっつー。」
「うん。バイバイ、ごっちん。」
亜弥の後姿を見届けた後藤真希は、もう一度ベンチに座りなおした。
- 458 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:12
- 時計台の時刻は9時を指そうとしている。
夜空を見上げながら口を開いた。
「そろそろ紺野が迎えにきてくれるかな。それにしても、惜しかったな〜。
藤本美貴ちゃんは、どちらかというとこっちの世界の人間っぽいって、
紺野も言ってたのにな〜。まっつーが誘ってくれたらな〜。もったいない。」
当てが外れた、そうは思わない。
仲間を一人手に入れたのだから、結果的には問題はない。
なぜ亜弥なのか、それは真希にしかわからないことだ。
対立するのなら戦うまで。
蛍光灯が照らす光を、影が覆った。
あさ美が迎えにきたのだ。
「いよいよだよ。これからが、始まりの時なんだ。」
真希はゆっくりと立ち上がって、尻の辺りをパンパンと叩いた。
そして、何事もないように照らしてくる月を見据えていた。
- 459 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:13
-
ひとみ視点
ミキティと高橋が戦った日から、三日が過ぎた。
あの日からミキティは今まで以上にやる気を出して仕事をしている。
あいつに一体何が起きたんだ?
ちょっと不安に思う私達からしたら、モーニングの不思議として
ひっそりと話したりしてる。
この日の朝、私はいつもどおりに組織のエレベーターに乗り込んだ。
いつもと違うところは、滅多にしない正装をしていること。
そして、エレベーターのボタンの七階を押したことだ。
この組織は、下に下がることに階級が高くなっていて、七階はその最下層、
つまりは一番偉い人たちがいるってわけだ。
- 460 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:13
- ちょっと呼び出しを受けちゃったんだよね〜。
うちらって何かと派手に暴れるから、たまに怒られたりもするわけよ。
リーダーの苦悩、あいつらはわかってんのだろうか・・・?
七階に着いて通路を歩く。
過ぎ行く人に頭を下げながら、最も奥にある巨大な扉に近づいた。
あ〜、今日は何を言われるんだかな・・・。
コンコン
「失礼します!」
私はノックを二回して、扉を開けた。
そこには、数人座れるようなテーブルと、そこの椅子に座って話しをしている、
二人の男女がいた。
- 461 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:14
- 二人の視線がこっちを向いた。
「おっ、きたか。」
「久しぶりやな、吉澤。」
「お久しぶりです。つんくさん、中澤さん。」
私は大きく頭を下げる。
サングラスをかけている金髪の男の方は、自称つんくっていう名称不詳な人。
細かくは知らないけど、ここの組織を任されている、いわばここで一番偉い人。
モーニングを作ったのもこの人だって言われている。
その隣にいる、青い目をしたちょっと怖めなおば、お姉さんは中澤裕子さん。
初代モーニングのリーダーであり、今はつんくさんのサポートをしている。
「そんな固くなることないで。あんたにそういう格好はきついやろうからな。
別に怒っとるわけでもないわ。ほらっ、座りや。」
「ハハッ、そう言ってもらえると気が楽っすよ。」
ワイシャツの第一ボタンを外して、手前にあった椅子に座った。
- 462 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:16
- ふ〜、少しは楽になったかな。
私の安堵の表情とは裏腹に、二人の表情は真剣そのものだ。
私も気持ちを切り替えて二人を見つめた。
「何か、あったんですか?」
「・・・昨日、あっちゃん、稲葉貴子と前田ゆき、アヤカの組織が潰されたんや。」
「なっ!?それ、マジっすか?」
中澤さんは渋々と首を頷ける。
うちの組織は、日本中にいくつか存在する。
ここ、本拠ほどではないとはいえ、特殊な訓練を受けた者達が大勢いるはず。
特に、アヤカの支部は建設したばかりだ。
アヤカはしばらく前までは本拠にいたが、支部ができることから
そちらを任されることになったって、すごく張り切っていた。
- 463 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:17
- なのに、どうして・・・。
私は真剣な表情で二人を見つめる。
「アヤカ達は、無事なんですか・・・?」
「あの子らも訓練を受けとったからな。なんとか生きてる、まぁ重症やけどな。
だけど、何人もの人間が殺され、支部は跡形もなく潰されとった。
それも、信じられんことに支部を潰したのはたった数人、少ないとこは
2・3人だけやったらしい。そんな人数でうちの支部を、しかも三つも
同時に破壊されるなんて、天地がひっくり返ろうとありえん。あるとしたら・・・。」
「ごっちん、ですね?」
「ああ。それしか考えられん。」
つんくさんがきっぱりとそう言った。
そんなことできる可能性があるとしたら、うちらのような特殊な人間だけだ。
今の話しが本当なら、潰したやつらはモーニングのレベルくらいあるかもしれない。
あっちには最強と呼ばれた女、後藤真希がいる。
ハローを知り尽くしている紺野がいる。
- 464 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:18
- 他にも、カオリがごっちんについたことで、連絡の取れなくなっている
先輩や同期も組んだって考えも挙げられる。
ごっちん一人でも十分問題だっていうのに、やっかいな話しだ。
「吉澤、時は一刻を争う。後藤真希、また以下の者達をSSSランク級の犯罪者とみなし、
やつらの情報が入り次第、抹殺することを命ずる。」
「・・・了解しました。」
「吉澤・・・。」
「中澤さん、平気っすよ。私は、モーニングなんだから。」
私は一つ頭を下げて部屋を出た。
SSSランクって、前代未聞だよな。
ランクとしては一応存在していたが、現実に問題となったのは初めてのことだ。
あながち間違ってはいないけどね。
あの後藤真希が本気で戦うことになったら、止められる人間は誰もいなくなる。
それこそ、私達が命をかけてでも止めないと・・・。
- 465 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:19
- そこの生き残った兵士によると、いくつものおかしな現象が起きたとかって言ってて、
いきなり炎が巻き起こったり、全てのシステムがダウンしたり、何もないはずの暗い闇から
体を斬られたとか、人が地面に押しつぶされたとか、混乱させるような話しを聞いた。
本人が混乱してるって誰もが思うが、私はそうじゃないと踏んでいる。
町を破壊したカオリのデタラメな力、あれにはきっとわけがある。
私の知ってるカオリは、力はある方だけど車を投げ飛ばしたり、鉄柱を曲げたり、
そこまで人間離れはしていなかった。
亀ちゃんが言ってたナイフも銃も効かない"金の力"。
これに秘密があるとしたら、マジで国家レベルの問題だ。
- 466 名前:始まりの時 投稿日:2007/01/29(月) 22:20
- だけど、話しでは支部に近い町とかには、一切被害は出していないって言ってた。
カオリが暴れた町も、ハローの組織の管轄内だったな。
つまり、一般市民には手を出していないってことだ。
ごっちん、紺野、何を考えてんだ?
『んあ〜。よっすぃ、まだ眠いよ〜・・・。』
『吉澤さん、このお芋すっごく美味しいですよ〜。』
ったく、普段はのんびりしてたあいつらが、うちらと抗争を始めようってのかよ。
SSSランク、そんなものは関係なしに、私のやるべきことは決まってる。
一発ぶん殴って目を覚まさせる、それだけだ。
- 467 名前:ais 投稿日:2007/01/29(月) 22:20
- 更新しました〜。
- 468 名前:ais 投稿日:2007/01/29(月) 22:28
- >>たまさん
布団の中で書いている自分がいたりして(爆)
感動していただけるとは、冥利に尽きますね〜(泣)
れいなは、まぁ・・・ご愁傷様ですね(マテ
>>橘さん
ある意味ミキサマは最強ですから・・・ガクガクブルブル
仮想空間とはいえ、かなりやばいでしょうね〜
川VoV)<弱肉強食だから
>>454:名無飼育さん
そう言っていただけるのが本当に嬉しいです♪
よっすぃ編がどうなるかは・・・(謎)
>>ウイングさん
よ〜くわかりましたw
あれも愛美貴なんで超お勧めだったり(ry
でもあれはあの場面で終わるのがベストかな〜とか思いつつ・・・(汗)
ちなみにその作品と今回の間にももう一つ書いてたりしてw
今後もまたよろしくです!
- 469 名前:たま 投稿日:2007/01/29(月) 23:00
- 松浦さんまで…(泣)
ごっちん達の目的が本当気になります
- 470 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/30(火) 00:34
- いよいよ物語の核に近づいてきましたね。
これからも楽しみにしてます。
>>255の者なので色々と予想したりしてますw
- 471 名前:橘 投稿日:2007/01/30(火) 13:10
-
今日も読ませていただきましたぁ〜!!
これからも更新頑張ってください
- 472 名前:ウイング 投稿日:2007/01/30(火) 20:16
- 探した結果、例の小説見つかりました☆
”色がない”やつですよね?w
・・・たぶん”あいみき”好きかもしれません(爆)
- 473 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:04
- 今日の私の仕事は護衛の任務だ。
護衛する人は、今ベンツの中で私と向き合って座っている大臣だ。
けっこう有名な人で、世間的には支持率が高いようだ。
でも、私はどうにもこの人を好きになれないんだよね。
ぐちぐちとうるさいし、エロい目でこっちを見てきたりするし、あんたは政治家だろっての。
私が大臣だったら、もっとしっかりと国のことを考えて・・・できるわけないか。
私は私にしかできないことをやるだけだよね。
「それにしても、ハローは何をやってるんだ?君らをよこしてきて大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。信じてもらえないんですか?」
「だってな〜、可愛い子ばっか連れて自分の好みで選んだんじゃないか?」
大臣はまた愚痴みたいなのを呟いた。
- 474 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:05
- 最近、テロか個人的な問題かはわからないけど、誰かに狙われているんだってさ。
だから不安なんだろうけど、せめて私に文句を言うのはやめてくれ。
他にSPが二人いるんだから、そっちに言ってほしい。
「しかも、こんなとこで寝てる子もおるもんな。全く・・・。」
「すいません。でも、仕事の時は十分頼りになりますよ。
それまでは私が守りますから。」
今日は小春も勉強がてらに連れてきた。
でも、夜遅くまでがんばってたから、疲れて寝ちゃったんだよね。
昨日、久しぶりに戻ってきた私に、小春が修行をつけてほしいと言ってきた。
最近は時間の空いてるメンバーに、トレーニングしてもらってるようだ。
少しずつでも力をつけてきて、今では一人でも仕事を任せられる。
よくがんばってるよ、私の肩に乗せている小春の頭をそっと撫でた。
- 475 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:07
- 車は問題なく目的地についた。
私は小春を起こして車を出る。
そのあとから大臣が出てきた。
距離は建物まで十五メートルほど、SPは大臣を庇うようにして周りを見渡している。
やれやれ、それじゃだめなんだよ。
ここまでに怪しい気配や殺気は感じられなかった。
もし誰かが大臣を狙ってるとしたら、今この瞬間だろう。
それも、どこか遠くから・・・私は集中してその場に固まる。
どこだ・・・くるっ!
私は猛スピードで大臣の前に飛び出し、
ビュンッ!
大臣のすぐ顔の横に拳を突き出した。
大臣は震えながら座り込んだ。
- 476 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:08
- SPの二人が私に銃を向けてくる。
「貴様!何をして・・・。」
「バカッ!伏せろ!」
カンッ!キンッ!
私は手甲で飛んできたものを弾いた。
落ちた物は弾、どこからか撃たれたものだ。
さっきも手甲で弾かなきゃ、大臣の頭が貫かれてたんだ。
ようやくそれに気付いたSPは、慌てて辺りを見渡し始める。
弾が飛んできた方向を確認して、私は一点だけを見つめる。
そして、指を指した。
- 477 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:10
- それに気付いた小春が、私の指の先の方を見据える。
「小春、あのビルの屋上だ。いけるか?」
「はい!」
「やばそうだったら無理せずに戻って来い。他に仲間がいるかもしれないから、
生け捕りにするんだ。仲間の居場所を吐かせる。」
「は〜い!」
小春はスーッと息を吐き出すと、背中から天使の羽を出して、
空へと飛び上がっていく。
ずいぶんと頼りになるようになったよ。
この調子ならミラクルエースになる日も遠くはないな。
あの子が戻ってくるまで、私はこの依頼人を守ってやるとするか。
- 478 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:11
- 数分後、小春が犯人の一人を連れて戻ってきた。
そいつ以外には特に狙ってくる者もいなくて、大臣はすごすごと建物に入っていった。
犯人を近くにいた警備員に渡して、今回の任務は終了だな。
今日は特に任務がないから午後からは休みだ。
「吉澤さ〜ん!家まで乗せてってくれるそうですから、帰りましょ〜!」
小春が車の前から大声で呼んだ。
近いんだから聞こえてるっての。
「小春は乗せてもらいなよ。私は寄るとこがあるから、歩いていくよ。」
「え〜!なら、小春も一緒に行っていいですか〜?」
「ん・・・好きにしなよ。」
興味心か、一人で寂しいからなのか、まぁ両方だろうな。
小春は私のあとをついてきた。
- 479 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:13
- 私が大臣の護衛に当たったのは、あくまでついででしかない。
この近くに用があったから、私が引き受けたまで。
話しながら歩いて、途中でコンビニに寄った。
買った物は、花と線香、それにアルコールが高めのお酒。
小春には適当にお菓子を買ってやった。
それでも喜ぶんだから、無邪気でいいもんだ。
購入した物を手にして着いた場所は、墓地だった。
ここにくるのもどれくらいぶりだろ・・・?
小春は不思議そうに周りを見渡して私についてくる。
私はあるお墓の前で立ち止まった。
- 480 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:14
- 久しぶりだね、"圭ちゃん"・・・。
小春はその墓地に刻まれている名前を凝視する。
「ホッタケイ、さん・・・?」
「いや、これで"やすだ"って読むんだ。モーニングで私の先輩だった人だよ。」
花を添えて、線香に火を付けて墓の前に置いた。
そして、手を合わせて目を瞑る。
圭ちゃん、元気にしてる?
こっちは色々と大変だよ。
ごっちんがバカなことしでかしちゃってさ・・・。
最近の話しを頭の中で語りかける。
- 481 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:15
- しばらくして目を開けると、小春も同じように手を合わせていた。
私は小春の頭に手を乗せてから、さっき買った酒を空ける。
圭ちゃんのコップに酒を注いで、残ったビンでコツンと叩き合せて、
私はそれを煽った。
今は任務中じゃないし、たまにはいいでしょ。
また口付けようとした時、小春の熱い視線に気付いた。
「小春、飲んでみるか?」
「いいの!?」
小春はゆっくりとビンを傾けてちょっとだけ舐めた。
その瞬間、思いっきり顔を歪めて私に返した。
- 482 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:16
- ハハッ、やっぱまだ早かったな。
かばんに入れておいた水を渡すと、勢いよく飲み干した。
ケホケホと小さく咳をして、可愛いやつだな。
私は小さく笑って残りの酒を飲み切った。
圭ちゃん、見てる?
圭ちゃんが好きだったお酒、けっこう強いんだけど私も飲めるようになったんだよ。
時が経つのって早いね・・・。
「うぇ〜、気持ち悪い・・・。」
「まぁ、そんなもんだろ。私も昔は飲めなかったし、今度はもう少し
大人になってからな。」
「吉澤さんでも飲めなかったんですか〜?」
「でもって何だよ?私も子供だったんだよ。自分では大人になったと言い聞かせて、
結局は子供のまま、あの人に迷惑かけてばっかだったな・・・。」
そう、あの時も、どんな時にも、あの人に比べたら私は子供だった。
大人になりたいって思ってただけで、何もわかっていなかったんだ。
だから、あの時も・・・。
- 483 名前:ミラクルエース 投稿日:2007/01/30(火) 21:17
- 本日の更新でした〜。
- 484 名前:ais 投稿日:2007/01/30(火) 21:23
- >>たまさん
あややはどうなってしまうんでしょうね〜?
ごっちんの目的は未だ不明ってことで・・・(謎)
>>470:名無飼育さん
自分と同じく黒猫好きの方ですねw
ぶっちゃけまだまだ先が長かったり(謎)
少しはオリジナリティが出せてればいいかと思われ(ry
>>橘さん
連日ありがとうございます!
今後も連日更新目指します(汗)
あと、レスは嬉しいのですができればsageでよろしくです・・・m(_ _)m
>>ウイングさん
そういうものもあったりしますw
愛美貴は推しメンなので自分も大好物ですよ〜♪
そのために今後も出番が多い☆カナ
- 485 名前:たま 投稿日:2007/01/31(水) 00:43
- 小春が無邪気で可愛いですね☆
あの時が気になります
- 486 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 21:52
- 数年前、
「よし、やってやるぜぇ!」
私はエッグに入隊した。
入隊した理由は簡単、正義の味方がカッケェと思ったから。
元々体力はあった方だし、力だって普通の人よりもある。
体動かしてる方が好きだったから、そっち系の仕事につこうと思ったんだ。
でも、現実はそんなに簡単なもんじゃなく、勉強はするわ走りまくるわで、
すっごくだるくなった。
みんなには絶対に帰らないって言って出てきたし、今からやめるのも何だか情けない。
まぁ、適度にやっていこうかな〜くらいでがんばってた。
- 487 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 21:53
- それからしばらく経ってのことだった。
私達の目指しているモーニングに、一人の少女が入った。
名前は後藤真希、エッグに入らないで入隊なんて聞いたことがない。
何で入れたか、それは彼女の家族が、ある組織の抗争に巻き添えにあったことで殺され、
怒り狂った彼女がたった一人で組織を潰したんだって聞いた。
誰もが倒れている血塗れの部屋に、一人で佇んでいたみたい。
階級はAランクとかで、あのモーニングのメンバーであってもそれなりに
難しいと言われている。
さらには、彼女が入った直後にモーニングはSSランクをクリアすることに成功、
裏の世界に名前を轟かせることになる。
まだ私と同じ年なのに、すごいな・・・ちょっとやる気が出てきたよ。
負けず嫌いの私は、そこから猛特訓を開始した。
だって、そんだけすごい子ががんばってるのに、私は何してんだって思うじゃん?
その子と同じとこまで上り詰めたいって思えた。
- 488 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 21:54
- 時が流れて、私はモーニングに加入した。
ついに、後藤真希と同じとこまで辿り着くことができたんだ。
けど、初めて彼女と会った時には、正直なところ拍子抜けした。
「は、初めまして!吉澤ひとみです!」
「んあ、あたしは後藤真希だよ〜。よろしくね〜。」
すんごいまったりと、フニャっと笑って挨拶をした。
何か、思いっきり普通の子じゃん。
威圧感は全くなし、恐怖も感じられない。
可愛らしい目、綺麗な体つき、そこは確かに大人っぽく見えるが、
特別な力は感じられなかった。
本当は、組織同士が相打ちになって、たまたま彼女がそこに、
いただけなんじゃないかって思えるくらいだった。
- 489 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 21:55
- 入隊してからは、同期や先輩達と特訓をする日々が続いた。
当時は仮想空間なんてなかったから、実践向けの練習の毎日。
特訓をしている時にも、後藤真希は欠伸をしたり、寝ていたりで、
力の一端も見せようとしなかった。
数ヶ月後、初めて組織に乗り込む日がやってきた。
ついにこの時がきたんだ・・・。
下級ランクで、人を殺したことは何度かある。
最初は気持ち悪かったが、人は慣れるのは早い。
殺人者もそう思ってんのかもね。
今回の任務は一人じゃなくって、チームで組むことになる。
さすがに新人一人には任せられないよね。
他の同期も先輩達と仕事に行くようだ。
- 490 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 21:56
- 中澤さんに通信室に行くように言われて、そこに向かった。
「失礼します!」
部屋の中に入ると、二人の女性がパソコンを見ながら話していた。
一人は私達の憧れだった後藤真希、もう一人は保田圭って先輩だった。
目つきが鋭くってよく怒られるって、同期が話してたっけ。
何か、微妙なメンバーだな・・・。
基本的に、先輩メンバーも忙しいからあんまり話したことないんだよね。
私に気付いた二人は、席を立って近づいてくる。
- 491 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 21:57
-
「こうして話すのは初めてね。あんたとチームを組むことになった、
保田圭よ。よろしくね。」
「アハ、改めて紹介しとこっかね。後藤真希で〜す。がんばろうね!」
「は、はい!吉澤ひとみです!よろしくお願いします!」
「任務実行は明日の昼よ。これ、目を通しておいてね。」
保田さんから数枚の紙を渡された。
明日の任務の資料みたい。
同じようにもらった後藤さんは、渋い顔をして唸ってる。
「圭ちゃ〜ん、文字が多いよ〜。」
「文句があるなら連れていかないわよ。それよりも、あんたは寝坊しないようにね。」
「はいはい、わかってますよ〜。」
まるで姉妹のような話し方だった。
本当に大丈夫なのかな・・・?
- 492 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 21:59
- 任務当日、現場に着いた私達は、近くのビルから遠巻きに眺めた。
ここか・・・けっこう広いんだな。
大丈夫大丈夫、絶対にいけるって!
もしかしたら、後藤さんより私の方が強かったりしてね。
だけど、現実はそんなに簡単なもんじゃ済まなかった。
ダダダッ!
「くぅっ・・・。」
実践は予想外のことばかりが起きた。
- 493 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:00
- 後藤さんが前に飛び出した。
そこから私も一緒に飛び出すのに、全く足がついていけない。
「吉澤!避けるのよ!」
「うわっ!」
保田さんに引っ張られた直後に、私のいたとこを弾が通り過ぎた。
保田さんは銃で後藤さんの援護をしている。
だめだ、特訓では上手くいったのに、どうして・・・。
後藤さんも、保田さんも、私の想像以上の力を持っていた。
攻める時には迅速に正確に敵を撃ち、引く時には引いて、隙ができるとすぐに攻撃に入る。
- 494 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:01
- 頭も、体もついていかずに、後藤さんは一人でも真っ直ぐに敵に立ち向かい、
後方射撃なはずの保田さんに引っ張られる始末だ。
結局、任務自体は成功したのだが、私はただの役立たずで終わった。
家に帰ると、私は悔しくて泣いた。
「ちくしょう・・・この、くそぉっ!」
甘い考えで臨んだ自分自身に腹を立て、悔しくて涙が止まらなかった。
二人に何か言われたわけでもないし、逆に慰められてみじめに思えた。
強くなりたい、その時初めて心からそう思った。
- 495 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:02
- それからというもの、私は特訓と任務に明け暮れた生活をしていた。
少しずつだけど追いつけるようにはなって、後藤さんとは、ごっちん、よっすぃって
呼び合えるくらいに仲良くなった。
保田さんは、自分から圭ちゃんって呼んでって言ってくれたけど、
何か恥ずかしくって言えなかった。
いつもきつい目をしてて、怒る時にはすごい怒るし、よく説教をされた。
でも、付き合ってるととても頼りになる、優しいお姉さんだってわかった。
私とごっちんで攻めて、保田さんが援護する、いつしか三人は
モーニングの中でも最強のチームになっていた。
- 496 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:03
- 数ヵ月後、ある任務に私達はついた。
ランクはS、けっこうでかい麻薬組織だから、それなりに凄腕が揃ってるかもね。
それでも私は誰にも負けない自信があった。
特訓は怠ってないし、一人でも任務をこなせるようになってきたしね。
「ねぇ、ごっちん。今度の任務で勝負しない?」
「勝負?何の?」
「どれだけ多くの敵を倒せるかだよ。勝った方が、負けた人に命令できる。」
「ふ〜ん。別にいいよ。その前に死なないようにね。」
「大丈夫だよ。今日もいけるって!」
私はパシンと自分の拳を叩いた。
保田さんから呼び出されて、作戦の確認を行う。
その時の私は、ごっちんに勝つこと以外のことは頭になかった。
作戦なんて、初めから聞いていなかった。
- 497 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:04
- いつも通り、私とごっちんで飛び出していく。
ごっちんは剣を振り回して、鋭い斬激で敵を切り倒していく。
一方の私は、手甲をつけているだけで武器はない。
いや、武器は私の拳、それだけでいいんだ。
拳で頭を砕けば、手刀で敵を貫いていく。
身軽な方が楽でいいんだよね。
っと、そんな場合じゃない!
弾を手甲で捌いて、近寄って心臓を貫く。
血を振り払って次のターゲットに、私達はすごいスピードで駆けていく。
私は焦っていた。
今のところ、ごっちんの方が二人多く倒している。
あと少しで終わりそうだし、次は私が倒さないと間に合わないな。
そう思って、私はマシンガンを振り回している兵士を殴り飛ばして、
すぐに先に進んだんだ。
- 498 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:05
- もう殺したと思っていた。
でも、中途半端に殴ってしまったせいで、殺せてなかったんだ。
殴られた兵士が弾を乱射した。
私は、当たる直前まで気付けなかった。
ドドドッ!
弾が当たるその刹那、私の目の前に黒い影が現れた。
嘘、でしょ・・・保田さんが、私の前に立って、体を盾にして銃の弾を受け止めたんだ。
保田さんの体が赤く染まっていく。
それでも、銃を敵に向けて発砲してから、地面に倒れ込んだ。
- 499 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:06
- ごっちんもこっちの事態に気付いて戻ってきた。
「圭ちゃん!しっかりしてよ!」
「保田さん!どうして、私なんか庇って・・・。」
「い、いい加減・・・圭ちゃんって、呼びなさいよ・・・。」
「圭ちゃん、しゃべんないで!すぐに病院に連れて行くから!」
保田さんの体には、何発もの弾が埋まっていた。
激痛で話すことすらままならないはず。
けど、保田さんは首を横に振った。
「早く、ターゲットを、倒しなさい・・・。私より、そっちを先に・・・。」
「そんなことできないよ!だって、圭ちゃん・・・。」
「ぐっ、いいから、行きなさい!今回の作戦は、ターゲットの、抹殺よ。
ここで殺さないと、たくさんの人が死ぬのよ・・・。ごっちん、
この国の人たちを、守ってあげて・・・。」
「ぐっ、うぐっ!」
ごっちんは泣きながら駆け出した。
私はまだ立つこともできないで、涙を零して保田さんを見ていた。
- 500 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:07
-
「よっ、すぃ・・・。」
「け、圭ちゃ、ん・・・。」
「・・・フフッ、やっと、呼んでくれたわね・・・。ごっちん、のこと、お願いね。
あんたも、手を貸してあげて・・・。よっすぃ・・・。」
「すぐに・・・すぐに、戻ってきますから!」
私は立ち上がってごっちんを追いかけた。
私達二人で、猛スピードでターゲットを殺して、圭ちゃんのとこに戻ってきた。
でも、その時には、圭ちゃんの息は止まっていた。
ごっちんがよろよろと近寄っていく。
私も彼女のあとについて、圭ちゃんの前で立ち尽くした。
「ねぇ、圭ちゃん。終わったんだよ。早く、帰ろうよ・・・?」
「・・・。」
「圭ちゃん!起きないと、あたしでも怒るよ!どうして何も言ってくれないの!?
いやだよ・・・まだ、いっちゃだめだよ・・・。ねぇ、圭、ちゃぁん・・・。
ひぐっ、うぐぅぅぅ・・・。」
「う、うあぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」
その日、モーニングから一人、いなくなった。
仲間だったメンバーが、死んだんだ。
- 501 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:10
- 数日後、私達は彼女の遺品として、日記をもらった。
日記には私達のことがたくさん書かれていた。
『今日、新しい子と組むことになった。吉澤ひとみ、なかなかやる気がありそうな子で安心した。』
『よっすぃに酒を飲ませてみた。やっぱり全然飲めなかったわ。でも、将来は一緒に飲みたいわね。』
『よっすぃの成長ぶりがすごいわ。この子なら、今後のモーニングを支えられるって信じられる。』
たくさんのことが、書いてあったんだ・・・。
ごっちんは、途中で読むのをやめて部屋を出て行った。
私は、一人で部屋の中でずっと泣いていた。
私のミスで、あの人を死なせてしまったんだ。
一度の驕りで、一回きりの油断で、大切な人を失った。
ほんの僅かな焦り、誤った判断が人を死なせてしまったんだ。
- 502 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:12
- しばらくして、ごっちんは忽然と姿を消した。
少し前に、今後について悩んでいたから、私は特に何も言わなかった。
どこかで元気にやってることだけを信じてた。
戦うのをやめようと思った時期もあった。
私が代わりに死ねばよかった、そう思う時もあった。
でも、それを圭ちゃんは望まない。
圭ちゃんは平和を愛していた。
だから、圭ちゃんが望む平和にできるように、私が戦うんだ。
あの人の分まで、一生懸命に生きていくんだ。
圭ちゃんが守ってくれたたった一つの命、大事にしていくんだって決めたんだ。
そう、あの時に誓った・・・。
- 503 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:13
- 私は小さく息をついて立ち上がる。
私が考えてるうちに、小春がゴミを回収してくれた。
後輩に気を使われてるようじゃまだまだだな・・・。
再び私達は歩き始める。
この程度の酒で酔ったりはせず、真っ直ぐに道なりに歩く。
「小春。」
「は〜い?」
「エースになれよ。」
「えっ?」
「モーニングのエースになれ。もっと強くなって、奇跡を起こせる
ミラクルエースになりなよ。」
「そうしたら、みんな喜んでくれる?」
「もちろんさ。たくさんの人を救えるんだ。小春の能力で、幸せになるんだよ。」
「小春の能力、役に立つならがんばりま〜す!」
「ああ。お前ならきっとできるよ。」
私は小春の背中をポンと叩いた。
- 504 名前:たった一つの命 投稿日:2007/02/01(木) 22:15
- 小春は元気に、嬉しそうに笑顔を見せた。
二人で歩いてると、どこからかいい匂いがしてきた。
そういえば、まだ昼飯食べてなかったな。
「小春、昼飯食べていこう。何がいい?」
「え〜っと、梅干が食べたい!」
「お前、昼飯に梅干を食べに行くなんて聞いたことないぞ・・・。」
「なら、えっと・・・。」
第一に梅干で、次はわかんないのかよ。
ほんとに面白いやつだな。
それに、頼りになる。
こいつらと一緒なら、ごっちんのこともきっと止められる。
一人じゃないから、みんながいるから。
私はもう、立ち止まらない。
- 505 名前:次回予告 投稿日:2007/02/01(木) 22:17
- 突如、原因不明の病に倒れたさゆみ。
彼女を救うために、小春は愛と共に治療法を求めて探索に出ることを決意する。
治す手がかりがありそうな組織に乗り込んだ小春。
そこでは、思いも寄らない人物と遭遇することになる。
「初めましてかな、久住小春ちゃん。」
「道重さんのこと、助けたかったのに・・・。」
「小春・・・あとのこと、頼んだよ。」
さゆみが倒れた原因は一体何か?
敵か、味方か、この人物の目的は?
そして、愛の言葉の意味することとは・・・。
- 506 名前:ais 投稿日:2007/02/01(木) 22:17
- 更新しました。
- 507 名前:ais 投稿日:2007/02/01(木) 22:19
- >>たまさん
元気があってこそ小春ですから♪
よっすぃの過去、こんな感じになっちゃいました・・・。
- 508 名前:たま 投稿日:2007/02/01(木) 22:57
- 圭ちゃん…
カッコいいです
そして次回がめちゃめちゃ楽しみです!!
すでに待ちきれません(笑)
- 509 名前:橘 投稿日:2007/02/02(金) 23:03
-
いやぁ面白いですねぇ〜!!
次回の更新も楽しみにしてます。
- 510 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:02
-
小春視点
ある日のことだった。
小春は道重さんとトレーニングルームで特訓をしてたの。
昨日はAランクを二人で潰してきて、"強くなったの"って褒められたんだ〜。
そして、今日のお仕事はCランクの犯人を捕まえること。
昨日よりランクは低いけど、これから一人で捕まえに行くんだ。
その前に、少しだけ道重さんに特訓してもらおうとして、二人で戦ってるところ。
道重さんは、小春との距離を空けて銃で狙ってくる。
何か、今日の道重さんは様子がおかしい。
狙いが甘いし、撃つタイミングが遅すぎる。
道重さんの撃った弾を、鋼鉄化した腕で弾いて、天使の翼を広げて飛び上がる。
- 511 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:03
- 空中に飛んじゃえば、少しは動揺するはず・・・?
小春が上にいるのに、道重さんは前を向いたまま動かない。
どうして・・・!?
次の瞬間、道重さんのリューが地面に落ちて、道重さんが倒れちゃったんだ。
小春はすぐに道重さんのところに向かった。
すごい熱・・・こんな状態なのに戻れないなんて、まさか!?
小春はすぐに元の世界に戻って、道重さんのいる小部屋を開けた。
道重さんは、辛うじて意識があるだけで、仮想空間とリンクしたままだったんだ。
「道重さん!しっかりして!」
どうしよ・・・朝はなんともなさそうだったのに、
どうして何も言ってくれなかったの・・・?
小春は道重さんを医務室に運んで、亀井さん達を呼びにいった。
- 512 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:04
- そして、場所はまた医務室へ。
今は小春と亀井さん、通信室にいた新垣さんが道重さんを囲ってる。
高橋さんは医務の先生と話しをしてる。
遠くに仕事に行ってる吉澤さんと藤本さん、任務中の田中さんはここにはいない。
道重さん・・・小春は、道重さんの手をぎゅっと握った。
「さゆ・・・。」
「すごい熱だよ。昨日は普通だったのに・・・。」
少しして、高橋さんが部屋に入ってきた。
彼女もまた、浮かない表情をしている。
「全く原因不明みたいやざ。お医者さんでもわからんてさ。」
「そりゃそうでしょ。風邪とかそういうレベルじゃないよ・・・。」
「さゆ、助かりますよね・・・?」
亀井さんの呟きに、高橋さんも新垣さんも口を閉ざした。
- 513 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:05
- 息が荒くて苦しそう・・・。
どうして・・・小春は、どうしたらいいの・・・?
何が原因で・・・もしかしたら!?
やりたくない、でも、今やらないと道重さんを助けられない。
小春が封印していた、昔の記憶の扉を、開くんだ・・・。
ズキンッ!
『いやだっ!痛いよ、やめて・・・』
『ゴホッ、もう、許して・・・。』
小春は頭を押さえてしゃがみ込んだ。
小春の脳裏に嫌なイメージが沸いてくる。
- 514 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:07
- それは、小春が施設で実際に受けていた、拷問ともいえる調教だった。
何発も殴られて、注射器で薬を投入されて、気持ち悪くて吐き出した。
体中がズタボロになるまで、電気で痺れさせられた時もあった。
時には、鎖で完全拘束されて、自力で抜け出すまでご飯を食べれない時もあった。
自分が自分じゃなくなる、体が壊れていくみたいだった。
「ぐっ、ぁぁ、うぅぅ・・・。」
鮮明に思い出せるから、今でも同じ痛みが体を縛り付けてくる。
もう、嫌だよ・・・思い出したく、ない・・・。
いや、こんなとこで、くじけられない・・・。
ち、違う、小春が知りたいのは、ここじゃない。
そう、研究者達が話してる言葉、それは・・・ぐぅっ!
- 515 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:08
-
「薬でも治らんなんて、どうしたらええかもわからんよ。とにかく、
治す方法を探すしか・・・。」
「うぁぁっ!」
「・・・小春ちゃん?」
「小春!どうしたんか!?」
高橋さんが優しく小春を立たせてくれた。
ようやく、辿りつくことができた。
やっぱり、原因は小春にあったんだ。
「道重さんの病気、小春のせいかもしれない・・・。」
みんなが首を傾げて小春を見た。
昨日、小春のミスで、剣にした指で道重さんの腕を少しだけ切っちゃったんだ。
小春の力には、細胞変化とは他に、傷口から細胞を送り込んで
感染させることができるって、聞いたことがあるのを思い出したんだ。
- 516 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:09
- あんな施設、二度と思い出したくなかったけど、道重さんの命が
関わってるんだからしょうがない。
それが原因で、道重さんが倒れちゃったと思う。
だけど、肝心の治し方だけは思い出せなかった。
それをみんなに話すと、小春について調べてくるって、新垣さんが出て行った。
何か、涙がぼろぼろと零れてくる。
「どうしよ・・・小春のせいで、道重さんが治らなかったら・・・。」
「・・・大丈夫やよ。里沙ちゃんが、何か見つけてきてくれるって。」
「そうだよ。さゆも、小春ちゃんを恨んだりしてないから。」
「でも、でもぉ・・・。」
「小春、ちゃん・・・。」
道重さんが小さく目を開けて、小春を見た。
- 517 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:09
- 起きて大丈夫なのかな?
頭は痛くないの?
体はきつくない・・・?
「小春ちゃんの、せいじゃ、ないの・・・。さゆが、周りを、見てなかったからなの。
小春ちゃんは、悪くない・・・。」
「道重さん・・・。」
「だから、泣かないで。さゆみ、大丈夫、だから・・・。」
「大丈夫なわけないやろ。まだ寝てなきゃあかんよ。」
「そうだよ〜。さゆ、いい子で可愛いから、ちゃんと寝てようよ。」
道重さんは、亀井さんにそっと寝かされて、また眠りについた。
それでも、すごく辛そうな顔してる。
新垣さん、早くお願い・・・。
- 518 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:10
- 十五分くらい経って、新垣さんが一枚の紙を持って戻ってきた。
小春は奪うようにしてそれを見た。
ランクはS、ここの組織の人が、小春と関わった可能性がある・・・ってこと?
「小春ちゃん、落ち着いて。今から説明するから。」
「はい!小春、何でもやります!」
「違うから。小春ちゃんにはここで残ってもらうよ。」
えっ・・・?
新垣さん、今何て言ったの・・・?
小春が留守番なんて、待ってられない!
「新垣さん!小春にやらせてください!」
「今回の任務で、小春ちゃんの嫌な記憶を呼び戻してしまうかもしれないんだよ。
それに、さゆみんも小春ちゃんが傍にいた方が嬉しいだろうからさ。今回は、
愛ちゃんとカメに・・・。」
「いやです!お願いします!」
「あのね、だから・・・。」
「道重さん、小春の能力、褒めてくれたんです。小春にしかできない、
特別な能力なんだって、褒めてくれたんです・・・。道重さんが助かるなら、
小春は何だってします!だから・・・。」
「そうかもしれないけど・・・愛ちゃん?」
高橋さんが、新垣さんの肩を掴んで言葉を遮った。
- 519 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:12
- いつも以上に真剣な表情で小春を見てる。
「小春、あんたの苦い記憶を呼び戻してしまうかもしれんのよ。
さっき死ぬほど辛かったんやろ?それでもええの?」
「はい!」
「あんたはSランクは未体験やが。すんごく危険やで。」
「そこがどこであろうと、道重さんを助けたいんです。」
「ん・・・わかった。今回はあたしと小春でいってくるわ。」
「ちょっと、愛ちゃん・・・。」
「絵里は小春の仕事を頼むわ。あとは万が一の時のために待機。
今はさゆについててあげて。里沙ちゃん、バックアップ頼むわ。」
「わかりました〜。」
「・・・ふ〜、今回だけだよ。」
新垣さんは、大きくため息をついて首を頷けた。
小春が高橋さんを向くと、一度ウインクして部屋を出て行く。
高橋さん、ありがとうございます。
小春はがんばります!
道重さん、すぐに戻ってくるから、待っててね。
- 520 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:13
- ジェット機で20分、車で10分くらいのとこに、大きな要塞がある。
ここに、小春の記録とか何かのデータとかが、置いてあるのかな?
道重さん、助かるといいな・・・。
高橋さんと二人で近くのビルの屋上に上った。
ここから見ただけでも、けっこう広いな〜。
「小春、今回は時間があまりないから、速攻で終わらすよ。」
「はい!」
「あたしは正面から入って暴れるで。あたしが注意を引き付けてるうちに、
そのあとからあんたは上から入ってきて。ターゲットを逃がすわけにはいかんからの。」
「わかりました!」
「大半の兵隊さんがあたしんとこにくるから、それほど難しくはないはず。
その代わり、あんたのフォローはできんこと、忘れんでね。」
心臓がドキドキしてきた。
そうだ、今日は一人で組織の中に入るんだ・・・。
- 521 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:14
- 大丈夫大丈夫、道重さんとか、先輩達に色々と教わってきたんだ。
一人でもなんとかしないと・・・。
「小春、二つだけ覚えておいてね。まず一つ目に、やばいと思ったら逃げること。」
「そ、そんなの嫌です!ここで逃げたら、道重さんが・・・。」
「可能性は一つやないやよ。それに、あんたが死んだら、さゆはどうなるの?
人の死は終わりと同じ。絶対に生きなきゃあかんからね。」
「・・・はい。」
「やから、一人やって思わないで。離れてても、あたし達は仲間やからさ。
一緒にさゆのとこに帰ろ。」
「は、はい!」
「もう一つ、そんなに緊張せんのよ。あんたは少しお気楽思考でいった方が、
余裕が持てて動きが冴えるんやけ。無理して深く考え込まんの。」
「・・・高橋さん、ひどいです。」
「褒めてるつもりなんやけどね。」
高橋さんはニシシッて笑って、小春の頭を撫でた。
- 522 名前:願いを込めて 投稿日:2007/02/03(土) 20:15
- 高橋さんって、不思議な人だな〜。
少しずつだけど落ち着いてきた。
「よし、それじゃいくで!何かあったら連絡するんやよ。」
「はい!高橋さんも、気をつけてくださいね。」
「おう!」
高橋さんはビルから飛び降りた。
少しして、扉の方で爆発のようなものが起きた。
高橋さんが派手に動いてくれたら、小春は裏からターゲットを捕まえる。
道重さんが助かるように、願いを込めて・・・。
よ〜し、いっくぞ〜っ!
- 523 名前:ais 投稿日:2007/02/03(土) 20:15
- 更新しました。
- 524 名前:ais 投稿日:2007/02/03(土) 20:17
- >>たまさん
プッチモニの見せ場の一つですからw
そこまで期待していただけるとは、できるだけがんばります!
>>橘さん
ありがとうです。
ですけど、できればsageで・・・。
- 525 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:15
- 小春は、羽を広げて組織の屋上に飛び立った。
屋上には自家用機と思われる、小さい飛行機が置いてある。
今回ばかりは、いつも以上に気を引き締めて、絶対に逃がすわけにはいかないんだ。
下の方で高橋さんが敵を引き付けてる間に、小春も急いでターゲットを捕らえないと!
その前に、逃げられないためにもこの飛行機壊しちゃおっかな〜。
まずは羽を切り落として・・・!?
突然の殺気に小春は振り向いた。
その直後に、得体の知れない何かが飛行機に突っ込んだ。
小春はすぐにその場から離れた。
ドゴォォォォッッッ!!!
飛行機が木端微塵に吹き飛んだ。
- 526 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:16
- 物、じゃない。
火に燃える残骸から人が向かってくる。
こんなことができる人が、小春達以外にもいたなんて・・・!?
嘘・・・どうして、この人が・・・。
「後藤、真希・・・。」
「ん、誰?」
小春の前に悠然とした姿で向かってくる人は、元モーニングだった後藤真希さん。
SSSランクという、最強かつ最凶のランクをつけられた、この世で一番強い人。
そうとは思えないほど、資料で見たよりずっと綺麗で、優しそうな澄んだ目をしてる。
だけど、モーニングにとっては倒さなければならない、最重要人物だ。
- 527 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:17
- 小春、勝てるかな・・・?
道重さんを助けたいのに、こんな時に限って誰もいない。
いや、助けるんだ!
勝つしか、ない。
「お〜い、君はこんなとこで何してるの?一体誰だい?」
「モーニングの、久住小春です。」
「久住小春・・・ああ、君が紺野の言ってた、なるほどね〜。」
後藤さんは一人で頷いて納得してる。
小春のこと、知ってるの・・・?
紺野さんと関係があるの?
どうして小春のことを、何をどこまで知ってるんだろ・・・?
- 528 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:17
-
「初めましてかな、久住小春ちゃん。後藤真希です。」
「こ、小春のことを知ってるんですか?」
「まぁそこそこね。ところで、モーニングの君がここにいるってことは、
この組織の殲滅が目的かな?」
「それは、二の次です。小春の仕事は、別のとこにあります。」
「なら、この組織の情報がメインってとこか。それとも、
君達も"たいせー"さんに用があるのかな?」
確か、ターゲットもその名前だった。
君もってことは、後藤さんもたいせーって人に用があるの?
この人の目的は何だろ・・・?
考える間もなく、何人かの兵士達が屋上に出てきた。
さっきの爆発で気付かれちゃったんだ。
後藤さんもいるっていうのに、どうしよ〜!
- 529 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:18
- 小春の悩みとは裏腹に、この人は簡単に答えを出した。
「久住ちゃんって言ったね。たいせーさんのとこに辿り着くまでは一時休戦、
一緒に共闘しない?」
「えっ・・・?」
「面倒なことになりそうだし、あたしが今用事があるのは、君達じゃなくて
たいせーさんだけなんだよね。別にここで君と戦っても構わないけど、
君はどうする?」
「そ、それは・・・。」
「君達にとっては、あたしは殺すべき存在なんだろうね。そんなあたしの話しじゃ、
聞いてられないって思うかな?」
兵士達が銃を撃ってきた。
小春と後藤さんは、横に飛んで弾を避ける。
- 530 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:19
- みんな・・・ごめんなさい。
今は、道重さんを助けたい。
「小春には手を出しませんか?」
「当然でしょ。それとも、油断させて後ろからズブリッて刺すと思ってた?」
「・・・。」
「悪いんだけど、あたしは誰にも負けない自信があるんだ。油断させるくらいなら、
さっさとこの場で殺してるよ。それで、あたしと組む?」
そう言われてみれば、亀井さん達を圧倒できるほどの人が、
小春一人をわざわざ煽る必要はないね。
小春は、後藤さんがこっちに目を向けた時に、小さく首を頷けた。
- 531 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:20
- 今だけは、この人を信じよう。
小春は羽を広げて兵士達の真上まで飛び上がった。
兵士達の顔が一瞬だけこっちに向いた。
その一瞬の間で、後藤さんが兵士達に近寄って、全員バラバラに切り刻んだ。
疾い、な・・・高橋さんくらい速いかもしれない。
小春が地面に降り立つと、後藤さんは嬉しそうに笑って、扉を開けて中に入った。
よくわかんない人・・・。
さっきの爆発音に気付いたのか、兵士達は次から次へと向かってくる。
でも、苦戦はしなかった。
後藤さんは、本当に強かった。
小春は必要ないんじゃないかってくらい、敵を圧倒し続けた。
- 532 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:21
- たまにスピードを緩めて小春に合わせたり、わざと小春の後ろに
隠れて守られたりした。
どうにも遊んでるようにも感じる。
けれど、油断や隙は微塵も見せない。
これが、最強の敵、後藤真希か・・・。
後藤さんは、のんきに鼻歌なんかを歌いながら歩いてる。
その時、足を止めて通路の窓に顔を近づけた。
「車の音、か・・・?」
「後藤さん?」
「逃げ出すつもりね。そうはいかないよん。久住ちゃん、いくよっ!」
「えっ?」
後藤さんは窓ガラスを割って外に飛び出した。
小春も羽を広げて窓から外に出る。
- 533 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:21
- けっこう高いのに、後藤さんは普通に降り立って、すぐに走り出した。
小春も追いかけていくと、組織の裏の方から三台の車が出てきた。
これに乗って逃げようとしてたんだ。
後藤さんが向かってくる車の一台の前に飛び出した。
「ハァッ!」
ギャンッ!
後藤さんの一振りが、車を真っ二つに切り裂いて爆発させた。
さらにもう一台のエンジンに剣を突き立てて、車を止める。
外に出て銃を放とうとした人達は、簡単に斬り殺された。
- 534 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:22
- 残りの止まってる一台の車から、一人の男が怯えながら出てきた。
顔写真を思い出して、この人がターゲットだってわかった。
後藤さんはその人に目を向けた。
「たいせーさん。あなたのこと、紺野が褒めてましたよ。よくもまぁ、
あたし達の居場所を突き止めて、情報を入手しましたね。」
「ご、後藤・・・ゆ、許してくれ・・・。」
「あたし達に資金援助をしてくれたあなただから、あたし達も協力しても
いいと思ってた。だから、こっちも見返りとして紺野の知識を貸してたんだよ。
でもね、あなたが何をしようと構わないけど、あたし達の邪魔、特にこれからの
未来を決する計画を知られるわけにはいかなかった。その秘密を知ったからには、
今ここで死んでもらうよ。」
後藤さんは、先ほどまでとは全く違う冷酷な目をして近寄っていく。
その時、ターゲットがポケットからリモコンみたいな装置を出して、それを押した。
その直後に、組織から何かが飛び出してきて、後藤さんの前に立ちはだかった。
- 535 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:24
- あっ、これって見たことある・・・。
確か、はたけって人の組織で出てきた、スラッシュとバスター、
ナイトって呼ばれてたロボット達だ。
「こ、こんなとこで、死んでたまるか!死ぬのはお前の方だ!いけっ!」
三体のロボットが後藤さんに向かう。
後藤さんはほんの僅かに視線を揺らしてロボットを見据える。
「・・・くだらないね。」
キンッ!
ほんの、一瞬の出来事だった。
三体のロボットがバラバラになって落ちていく。
全身凶器のスラッシュも、ナイトの盾も、バスターの核も、
この人の前では全くの無意味だった。
- 536 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:25
- まずい、たいせーって人を殺されるわけにはいかないんだ!
小春は羽を羽ばたかせて飛び出した。
「試作品程度であたしを倒せると思ってるの?」
「ひ、ひぃぃっ!」
「むかつくからさ、早いとこ死んで。」
後藤さんが大きく剣を振り上げた。
ガキッ!
後藤さんの剣を、小春が剣にした腕で受け止めた。
- 537 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:25
- この人、やっぱりすごい力だよ・・・抑え込むのでやっとだ。
「久住ちゃん。何してんの?」
「こ、この人に死なれては困るんです。この人は、捕まえるんです。
まだ、小春達の目的は達成してないから・・・。」
「モーニングの言葉とは思えないね。存在を知った者には死を、
じゃなかったっけ?ずいぶんと甘くなったもんだね。」
なんとか後藤さんの剣を弾いた。
その瞬間、恐ろしいほどの殺気が小春を包み込んだ。
今にも泣きたくなるような、怖くて仕方ないよ・・・。
ガクガクと肩が震えてきた・・・。
でも、でも、道重さんを助けたいの・・・。
- 538 名前:共闘 投稿日:2007/02/03(土) 21:27
-
「ご、後藤さん。お願いです。ここは、引いてください。」
「いやだね。あたしはその人を殺すためにきたんだ。無駄骨はごめんだよ。
文句があるなら、君から殺すよ?早く消えなよ。」
「こ、小春も、ここは引けません!」
「そっか。君のことは生かしておきたかったけど、ここで終わりだね!」
ガキャッ!
さっきよりも大きな衝撃が腕に走った。
鋼鉄にしてるのに、ズキズキと痛みが走る。
小春は耐え切れずに後ろに吹き飛ばされた。
反転して地面に着地する。
痛いし、怖いよ・・・。
ううん、そんなこと言ってられない。
道重さんの命がかかってるんだ。
小春だってやってやるんだ!
道重さん、見ててくださいね・・・。
- 539 名前:ais 投稿日:2007/02/03(土) 21:27
- 久しぶりに連続更新でした〜
- 540 名前:たま 投稿日:2007/02/04(日) 04:36
- 小春の師匠(?)思いの心に感動しました!
これまた続きが激しく気になります☆
- 541 名前:橘 投稿日:2007/02/05(月) 11:48
-
今回も楽しみに読ませていただきました!
小春大丈夫ですかねぇ
- 542 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/05(月) 19:40
- どんどん続きが気になってきます。
続きマータリお待ちしてます。
>>541 橘さん
いい加減ageるのやめましょうよ。
メール欄にsageと入れるだけですよ。
- 543 名前:橘 投稿日:2007/02/05(月) 20:50
- 失礼しました!
これでよろしいでしょうか?
- 544 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:01
- 後藤さんが一瞬にして飛び込んでくる。
腕で弾こうにも、力で弾かれる。
そこに、息をつく間もなく後藤さんが目の前に迫ってきた。
跳んでもすぐに追いつかれそうだな。
ここは、時間を稼ぐしかない!
羽を広げるのが間に合わないから、足の形をバネ状に変化させて、
その反動で何メートルも高く跳び上がった。
スナップジャンプ、この高さならいくら後藤さんでも・・・!?
後藤さんは大きく跳び上がると、そこから壁を蹴って上ってきて、
小春にまで飛び込んだ。
- 545 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:02
- この人、むちゃくちゃだよ・・・。
「面白い力を持ってるね。少しもったいないな。」
「小春は、物なんかじゃありません!」
後藤さんの力は弾ききれない。
なら、弾けるだけの威力をそこに加えるまで。
ぶつけるだけのパワーで足りないなら、回転力をプラスするんだ。
小春の右腕を槍みたいに変化させて、それを高速回転させる。
ドリルアーム、これなら・・・。
「せぃっ!」
「やぁっ!」
バチバチバチッ!
ものすごい火花が飛び散ったあと、反動で二人とも後ろに弾かれた。
- 546 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:04
- お、お願いだから、早く力が溜まって!
ドゴォォォッッッ!!!
後藤さんはまともに地面に衝突して、小春は墜落するぎりぎりのとこで
羽を広げて助かった。
ふ〜、危ないとこだった。
さすがにあれでは生きてるとは思えない。
だけど、このビリビリとする痺れは一体・・・。
「参ったな。予想外だよ。ここまで強くなってるなんてね。」
「!?」
嘘でしょ・・・あれでも立てるの?
後藤さんは、頭から血は流してるけど、さしてダメージを受けてるようには見えない。
- 547 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:04
- どうすればこの人は倒せるのかな・・・?
それを考えるより先に、後藤さんが剣を構えた。
「あたしに血を流させたんだ。特別に、あたしの本気を見せてあげるよ。」
後藤さんが剣をこっちに向けた。
その瞬間、
ドシュッ!
「う、うぁぁぁっ!!!」
小春は右肩を押さえて倒れ込んだ。
痛いよ・・・な、何が、起きたの・・・?
見えたのは、一瞬の閃光だった。
それ以外には、何も見えなかったのに・・・。
- 548 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:05
- いつの間にか、倒れてる小春の前に後藤さんが近寄ってきていた。
まだ、だよ・・・ここで死んだら、道重さんを助けられない。
なのに、足が、腕が言うことを聞いてくれない・・・。
「くっ、うう・・・。」
「久しぶりに楽しめたよ。でも、あたしにはあんまり時間がないんでね。
さよならだよ。久住ちゃん・・・?」
後藤さんが真後ろに跳んだ。
その直後に突風が小春を包み込み、先の方の電柱が縦に引き裂かれた。
「はは、また更に強くなったんじゃないの〜?高橋。」
「相変わらずですね。後藤さん・・・。」
あぁ、高橋さんだ・・・。
いつも通り、凛とした姿勢・・・じゃなかった。
息は何度も吐き出してて、体中が傷ついてる。
- 549 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:06
- 小春のために、一人でがんばってくれたから・・・。
それでも、何者にも屈さない真剣な眼差しは変わらない・・・!?
ガガガガガガッッッ!!!!
高橋さんの姿が消えた。
同時に後藤さんもいなくなって、辺りで激しい嵐が巻き起こる。
えっ、え・・・何が、起こってるの・・・?
よく見ると、高橋さんと後藤さんが超スピードで戦ってるのがわかった。
ほんの一秒のうちに、何十回と剣を振るってるんだろ・・・。
小春には正確な数も目で追いきれない。
瞬きする間もなく重なり合う二本の剣。
すごい、な・・・小春も、がんばって追いつかないとね。
今にきっと、みんなを守れるくらいにまで、強く・・・。
- 550 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:07
-
愛視点
やっぱり、後藤さんは強い。
後藤さんの強さに憧れていた昔、そして今も尚力の衰えは見えんね。
スピードはほとんど互角、そうなるとパワーで劣るあたしの方が、断然不利やな。
しかも、体がズキズキと唸るくらい、けっこう傷ついてる。
隙を作ろうと左右にステップを振るけど、すぐに追いつかれてしまう。
一度スピードを落として、目の前に立つ後藤さんを見据える。
「後藤さん、どうしてあなたがここにいるんですか!?」
「それはこっちが聞きたいな〜。どうして高橋達がここにいるの?
たいせーさんがターゲットの理由は?」
「それは・・・こっちの事情ですよ。」
「ふ〜ん。まぁ、どうでもいいや。邪魔をするんなら、今ここで殺すだけだよ。」
ドンッ!
後藤さんの殺気が今まで以上に強くなった。
- 551 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:08
- 本気を出すってことやね。
心臓がドクドクと鼓動の高鳴りを上げる。
こんな殺気、美貴ちゃんやって出したことないで。
どうする・・・?
後藤さんの発言から推測すると、まだターゲットは生きている。
どういうわけかわからんけど、そのターゲットを殺すために後藤さんがきた。
それを防ごうと小春が戦ってたってとこやな。
さゆを助けるには、ターゲットに死なれたら困るがし。
仕方、ないか・・・。
あたしは小さく笑みを浮かべて小春を見た。
- 552 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:09
-
「小春。」
「は、はい。」
「あとのこと、頼んだよ。」
「えっ・・・?」
このまま戦ってても、勝ち目はない。
さゆを、この国を守るためにも、ここで刺し違えてでも後藤さんを倒す。
「後藤さん。あたしの最高の技をお見せしますよ。受ける気はありますか?」
「受けないって言ったらどうするの?」
「変わりませんよ。あなたを倒す、それだけです!」
あたしは最大限にまで力を溜める。
この技なら、それなりにはダメージを与えられるはず。
とどめは小春に任せるやよ。
- 553 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:10
- ここに、あたしの全てをかける。
あたしは剣を上段に上げて、足を踏みしめた。
「高橋愛、ここに参る。奥義・・・。」
「あっ!」
小春の声であたしは振り向いた。
途中で硬直が解けて技を放つタイミングを失ってしまった。
一体何かあったん・・・?
見ると、車が猛スピードであたし達と反対方向に走り出す。
やばいな、あれにターゲットが乗ってるんやろ?
「小春!あの車を追って!」
「はい!」
「その必要は、ない!」
バシュッ!
危険やって、直感が働いた。
あたしは小春のとこまで駆け出して、彼女を抱えて横に飛んだ。
- 554 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:10
- その直後やった。
光の渦があたし達のいたとこを通過して、
ドォンッ!
走り去ろうとした車を粉々に粉砕した。
もし、あそこに立ってたら、あたし達も・・・。
この力は、一体何やよ・・・?
「あ、ああ・・・。」
「・・・小春?」
「うわぁっ!み、道重さんのこと、助けたかったのに・・・。」
・・・そうやね。
けど、別の方法を探すしかないみたいやよ。
- 555 名前:今にきっと 投稿日:2007/02/05(月) 21:11
- 里沙ちゃんならなんとかしてくれるはず。
その前に、あたしは目の前にいる敵を倒さんとね。
後藤さんは、満足そうな顔をして後ろを向いた。
「さてと、あたしの用事は済んだから帰るよ。またね〜。」
「待ってください。このまま逃がすと思っとるんですか?」
「フフッ、よくも悪くも、高橋って本当に真面目だよね〜。」
「そんなこと、どうでもいいです。あたしは、あたしの任務を全うするだけやが。」
あたしは再び剣を構えた。
ここで逃がしたら、次にいつ会えるかもわからん。
絶対に、決着を着ける!
- 556 名前:ais 投稿日:2007/02/05(月) 21:11
- 更新しました〜。
前スレ突破w
- 557 名前:ais 投稿日:2007/02/05(月) 21:13
- >>たまさん
小春にとって最高の師匠ですから♪
ある意味この師弟は最強ですw
>>橘さん
ありがとうです。
今後もよろしくお願いします。
>>542:名無飼育さん
ご指摘ありがとうでした〜!
またよければ読んでください
- 558 名前:たま 投稿日:2007/02/06(火) 00:55
- 更新お疲れ様です!
こんなに楽しく読める小説を書けるaisさん最高です!
ごっちんと愛ちゃんの勝負が気になりますね…次回も楽しみにしてます☆
- 559 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/06(火) 14:54
- sugokuiidesu
- 560 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:40
- 後藤さんを、倒す・・・。
やれるかどうかやない、やるしかないんやよ。
あたしが前に飛び出そうとした瞬間やった。
ダララララッ!
あたしの真上から銃弾が飛んできた。
あたしは大きく後ろに下がって、その飛んできた方向を見る。
そこには、二・三人だけ乗れるような、車みたいな飛行機と、それに乗ってる
よく見覚えのある人物。
まさか、彼女までここにきてくれるなんてね・・・。
- 561 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:41
- その飛行機は、あたしと後藤さんの間に着陸した。
飛行機の操縦席から一人の少女が降りてきた。
「久しぶりだね。愛ちゃん。」
「ほんま、久しぶりやな・・・コンコン。」
あたし達の前に現れたのは、紺野あさ美、SSSランクの後藤真希の側近やった。
そして、あたしの大切な同期でもあった。
里沙ちゃんから聞いた時には信じられんかったけど、こうして目の辺りにすると
理解せざるを得ない。
「後藤さん。そろそろ時間ですので、戻りますよ。大体、勝手に出て行かなくても、
私の手でちゃんと始末しましたよ。」
「だってさ〜、たいせーさんがむかついたんだもん。もう終わったけどね。」
「はい。では行きますよ。」
「待てや!このまま行かせると思っとるんか?」
あたしの声に二人の視線がこっちを向いた。
- 562 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:42
- あの車っぽい飛行機さえ破壊すれば、ここに二人を留めておくことができる。
その間に、どうにかしてメンバーを招集すれば、きっと・・・。
「ところで、愛ちゃんがどうしているの?ここはまだ範囲内じゃないはずだけど。」
「・・・うちの組織のデータベースをハッキングしよったな?」
「まぁね。それで、どうするつもりなの?」
そう言われても、あたしにはどうしようもないのが事実やった。
ただでさえ後藤さんに勝てるかどうかもわからんのに、コンコンまで一緒やと
勝てる見込みはほとんどない。
できることと言えば、やっぱりあの飛行機を壊せるかどうかってとこ。
それさえ済めば、あたしは例え殺されようと、時間さえ稼げればそれでいい。
でも、小春も殺される可能性がある。
彼女を逃がして、あたしが対抗すれば、少しでもダメージを与えられれば・・・。
- 563 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:43
- その時、泣きながら蹲ってた小春が口を開いた。
「道重さんが、倒れちゃったの!」
「・・・さゆが?それと何か関係が?」
「小春のせいで、小春が怪我させちゃって、細胞が入っちゃったの!
それで、ここの組織の人なら、小春のことわかるはずだったのに・・・。」
「久住小春。例の彼女だよ。」
「彼女が・・・なるほど。ずいぶんと成長したんだね。」
後藤さんの言葉に、あさ美ちゃんは何度も小さく頷いた。
何の話しか全くわからん。
小春のこと、二人は知っとるんか・・・?
あさ美ちゃんは考え事をやめると、あたしを向いた。
- 564 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:44
-
「ねぇ、愛ちゃん。取引しない?」
「取引やって?」
「何らかの理由で久住ちゃんがさゆを傷つけて、異種細胞が入り込んだことから
さゆが倒れた。彼女を治す方法を知るために、久住ちゃんが育てられた組織の一人だった、
たいせーさんに話しを聞こうとした。そんなとこでしょ?」
「・・・。」
「私達のことを見逃すのなら、さゆの助け方を教えるよ。どうかな?」
「本当ですか!?」
小春は泣くのをやめてあさ美ちゃんをじっと見つめる。
ここで取引に応じれば、後藤さん達を逃がすはめになる。
さゆを助けるか、でもここで戦わんと任務が・・・いや、悩むまでもないわな。
あたしは深くため息をついて剣を下ろした。
「わかった。さゆを助ける方法、教えてくれ。」
「高橋さん・・・。」
また泣きそうになってる小春に、あたしは笑って見せた。
- 565 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:46
- 仲間の命と引き換えに任務を達成したって、何にもならない。
もし仮に後藤さん達を倒して平和になったとしても、あたしの胸には
さゆを見殺しにしたっていう思いが残って、彼女を愛した人達も
悲しみから抜け出せないかもしれん。
そんなの本当の平和やない。
いつでもいいから、本当の平和がくるその時まで、あたしが戦い続ければいいんやよ。
今は、何としてでもさゆを助けることが最優先。
「交渉成立だね。さゆの助け方は簡単だよ。そこにいる久住ちゃんの血を、
一滴でもいいから飲ませればいいの。」
「小春の・・・?」
「さゆの体は、久住ちゃんの細胞が本体と認識しないために、逆にそれが
ウィルスとなって、さゆの体を破壊しようとしている。なら、彼女の血を
送り込むことで、久住ちゃんの体だと認識させてあげればいいってわけ。」
「ほうやったんか・・・。」
「紺野〜、教えてよかったの?教えたあとで襲ってくるかもよ〜?」
後藤さんはまったりとした口調でそう言った。
- 566 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:47
- 全く思っとらんくせに、よく言うわな。
ほんまに読めん人やわ。
「大丈夫ですよ。愛ちゃんが一番わかってるはずですから。今私達と戦ったとこで、
ほとんど勝ち目がないことを。そして、嘘をつけないバカ正直者だってね。」
「それはわからんで?」
「わかったところで、時間がないのはそっちも同じだよ。久住ちゃんの細胞が
完全に侵食するのは、24時間後のこと。それまでに治らなければ、さゆの体の
細胞は破壊されて、最後には跡形もなくなる。」
「何やって!?」
「私達に出会えたこと、少しは感謝してね。たいせーさんは知らなかったはずだからさ。」
あさ美ちゃんの乗る車が上昇していく。
そして、ジェットが噴射してどこかに消え去った。
- 567 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:47
- どこへ行ったか知りたかった。
でも、今はぼーっとしてる暇なんてない。
昨日のさゆ達の任務が完了してから、あと何時間もあるわけやないんだ。
「小春、聞いたわな?」
「はい!急ぎましょう!」
「おう。」
あの二人が何を考えてるかなんて、あたしには全くわからん。
それでも、今は彼女の言葉を信じるしか方法はなかった。
- 568 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:48
- 夜中、さゆが目を覚ました。
心拍は正常、顔色もよく、特に問題もなさそうに起き上がる。
傍にある椅子に座って本を読んでたあたしは、本を置いて彼女を見つめる。
「よっ。起きたか。」
「愛ちゃん・・・まだ起きてたんですか?」
「ああ。どうにも体が痛くて敵わんでな。」
あたしは腕に巻いた包帯をさゆに見せた。
さゆが慌ててこっちにこようとするけど、その前にあたしが指でベッドを指した。
そこには、手を枕にして寝ている小春の姿。
傷だらけで痛々しいけど、安らかに眠ってる。
- 569 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:49
- さゆは、そっと小春の頭を撫でた。
「絵里とれいなも隣の部屋で寝てるわ。さっきまでさゆの傍にいたんやよ。
あの子らが起きたら、礼を言いなよ。」
「愛ちゃんと、小春ちゃんが助けてくれたんですね・・・。」
「あたしは小春に付き合っただけやよ。小春の思いが、さゆを助けたんよ。」
「・・・ありがとうございます。」
後藤さん達の話しは、あとにするか。
今話したとこで、混乱するだけやもんね。
特に面識のあった絵里は、この話しをしても大丈夫なんやろか・・・?
あたしが考えてると、さゆが手の平を振ってあたしを呼んだ。
ああ、小春を起こしちゃうから立てんのか。
あたしはゆっくりと彼女に近づいて、小春の反対側に座り込んだ。
- 570 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:50
- その瞬間、
チュッ
・・・いきなりキスされた。
さゆは嬉しそうにこっちを見とる。
「さゆみからの、愛情たっぷりのお礼です。」
「あんたがしたかっただけやろ。」
「エヘヘ。」
女の子らしく可愛く笑うさゆの頭を、ペシッと叩いて部屋を出た。
考えなくちゃいけんことは山ほどある。
- 571 名前:戻れない過去 投稿日:2007/02/06(火) 22:51
- 後藤さんのあの不思議な力、あんなの見たことがない・・・。
あの人達の理想は、あたし達とは違うってこと?
あの人達にとっての幸せは何?
コンコンは、どうして後藤さんと・・・?
そして、小春について詳しかったのはなぜ・・・?
国で一番情報が豊富なはずの、ハローでも知らないことをあさ美ちゃんは知っている。
彼女の行方を知りたい、でも知ることができないもどかしさ。
同じ思いでみんなで戦ってたあの場所は、もう戻れない過去でしかないんやね。
これ以上平和を乱すんであれば、あたし達が正しい方向を示してやるしかない。
次に会った時には、決着をつけて終われたらええな・・・。
- 572 名前:次回予告 投稿日:2007/02/06(火) 22:53
- 絵里とれいなにとって初めてのSSランク。
数々の苦難を乗り越え、そこに待ち受けるものとは・・・?
「ここまできたら引き返せんよ。」
「あんたの力を信用してるよ。」
「どうして何もしないんですか!?信じられない!」
「れいな達、ここまでやね・・・。」
愛と美貴の先輩二人と共に任務を成功できるのか?
絵里とれいなの運命は、ここを乗り越えることでしか見えてこない。
- 573 名前:ais 投稿日:2007/02/06(火) 22:53
- 更新でした〜。
- 574 名前:ais 投稿日:2007/02/06(火) 22:55
- >>たまさん
ありがとうです。
超最高の褒め言葉ですね♪
今後もバシバシ更新していきたいです。
>>559:名無飼育さん
えっと〜ありがとうです(汗)
また読んでやってください
- 575 名前:橘 投稿日:2007/02/06(火) 23:26
- 今日も読ませていただきましたぁ!
次回を心待ちにしてます
- 576 名前:たま 投稿日:2007/02/07(水) 00:30
- 愛ちゃん何かカッコいいです☆
次回も楽しみにしてます
- 577 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/07(水) 06:50
- 現モーニング、心境複雑って感じですね
次回は久々に主人公に出番があるようで…楽しみにしています
- 578 名前:初のSSランク 投稿日:2007/02/08(木) 21:18
-
絵里視点
ついにこの日がやってきちゃいました!
今日の任務は、絵里達にとって初のSSランクなんだ。
絵里とれいな、それに愛ちゃんと藤本さんが待合室にいる。
これからの作戦をみんなで決めてるとこなの。
「それじゃ、組織の中に入ったら、あたしとれいな、美貴ちゃんと絵里で別れるやよ。」
「四人では動かんのですか?」
「美貴達が四人固まるよりも、分散した方が敵を混乱させやすい。
それに、もし万が一の時に、どちらかでもターゲットに辿り着かないと、
任務は成功したとはいえないんだよ。」
少しだけ、背筋に寒気を感じた。
藤本さんの今の言い方は、死ぬ覚悟はあるのかって言われた気がした。
- 579 名前:初のSSランク 投稿日:2007/02/08(木) 21:19
- 仲間の死を乗り越えてでも、敵を倒すことに全てをかける。
吉澤さんが似たような話しをしていたことを思い出した。
絵里の顔を見て、藤本さんが優しく笑った。
この人でも、こんな顔するんだなんて、ちょっと失礼なこと思ったりして。
「別に死にに行くつもりはないよ。ただね、ここは二つの塔、って言えばいいのかな?
美貴達が攻めてる間に囲まれると余計に面倒なんだよ。」
「やから、両方同時に攻めるってわけ。他に何かある?」
「えっと、不満があるわけじゃないんですけど、絵里は藤本さんと組むんですか?」
「亀ちゃん、明らかに不満そうな顔してない?」
絵里は何度も大きく首を横に振った。
別に藤本さんより愛ちゃんの方が慣れてるとか、そういうことじゃなくって、
コンビとしてはれいなの方がやりやすいはず。
それは先輩方二人も同様。
- 580 名前:初のSSランク 投稿日:2007/02/08(木) 21:20
-
「今回の任務は、速攻タイプやなくて、確実に敵を倒すことやよ。
やから、スピード主体のあたしと絵里、破壊力主体の美貴ちゃんと
れいなを分けた。それに、ある意味美貴ちゃんとれいなは相性が悪いんやよね。」
「れいな、何か問題あると?」
「そうじゃないよ。問題があるのは武器の話し。それに、今回二人には
美貴達の戦い方を見て、自分にはない能力も勉強してほしいんだ。
SSSランク、後藤真希と戦う前にね。」
後藤さん、か・・・。
ガキさんの話しでは、このSSランクの組織は、後藤さんと関わりがある可能性が高いって言ってた。
もし情報が入手できれば、後藤さんの居場所が突き止められるかもしれない。
絶対に失敗は許されないんだ。
「問題なければいくやよ。絵里、れいな、大丈夫?」
「はい!」
「いけますよ!」
「よし、この組織をぶっ潰すぞ!」
ぶっ潰すって、藤本さんと組むのはやっぱちょっと怖いよ〜。
でも、泣き言なんて言ってられないよね。
絵里は絵里で、仲間と、自分を信じることのみに専念しよう。
- 581 名前:初のSSランク 投稿日:2007/02/08(木) 21:21
- ハローからヘリを使って二時間ほどで、目的の場所に到着した。
空から見た限りだと、何の変哲もない小さな建物って感じ。
学校の体育館くらいかな?
人だって大して入れなさそうだし、工場って感じでもない。
こんなものなのに、SSランクをつけるの?
それに、二つの塔って言ってたのに、それらしきものもない。
絵里達はその建物の近くに近寄って、身を潜める。
「愛ちゃん、あれが例の組織やと?」
「そうやよ。いくよ。」
愛ちゃんと藤本さんは、その建物の入り口に近寄っていく。
見張りには二人の人が立っている。
警備員っていうよりも、兵士って感じの人達で、それでも二人は臆せずに向かう。
- 582 名前:初のSSランク 投稿日:2007/02/08(木) 21:22
- 絵里達も愛ちゃん達についていく。
絵里達に気付いた兵士達は、厳しい目をして銃を向けてきた。
今回は堂々と武器を手にしてるから、さすがに不審に思われるよね。
「おい、何だお前達は?」
「"モーニング"。これだけ言えばわかるわな。」
「お前達がだと!?」
兵士達の引き金を引く指が動く。
キンッ!キンッ!
それよりも早く、愛ちゃんの瞬速の剣技が銃を切り落とした。
- 583 名前:初のSSランク 投稿日:2007/02/08(木) 21:23
- 目で追いかけるのが大変なくらいに迅い・・・。
そして、藤本さんのヘケートが、一発で二人の兵士を斬りつけた。
愛ちゃん達は、少し離れたとこにある、普通なら気付きもしない
監視カメラに目を向ける。
「これより、モーニングの名の元に、この組織を制圧します。」
「美貴達は三回忠告した。それでも投降しないあんた達が悪い。」
そう言って、二人は歩き出した。
鍵のかかってる扉を、藤本さんが力で引き裂いて開ける。
中には、何もなかった。
あるものは、壁際にあるいくつか付いてるボタンだけ。
- 584 名前:初のSSランク 投稿日:2007/02/08(木) 21:24
-
「何もないですね。」
「当たり前やろ。ここからが本番なんやよ。」
「これから、って何もないんですよ?それに二つの塔って・・・?」
「塔って言ったのはわかりずらかったか。亀ちゃん、美貴達の組織はどこにある?」
「絵里達のって、あっ!?」
わかった時には、愛ちゃんがボタンをパチパチって押してた。
その瞬間、部屋全体が下に下がっていく。
そっか、ここは倉庫なんかじゃなくって・・・。
「そう、あくまでここはバカでかいリフトに過ぎない。二つの塔は、下に伸びてるんだ。」
「絵里、れいな、ここまできたら引き返せんよ。いけるね?」
絵里達は大きく頷いた。
- 585 名前:初のSSランク 投稿日:2007/02/08(木) 21:24
- 元から逃げ出すつもりなんかありませんよ。
お二人の力になるつもりです。
期待してもらっても・・・。
ドドドドドドッッッ!!!
下の方からいくつもの弾丸が飛んできた。
そういえばバレてた、っていうかバラしたんだったよね。
ドキドキして興奮してきた。
さ〜ってと、SSランクであろうと、どうなっても知らないからね!
「モーニングの高橋愛!参る!」
「藤本美貴!いっくぜーっ!」
「田中れいな!やってやるっちゃ!」
「亀井絵里!いっきまーっす!」
絵里達はリフトから飛び降りて、弾を撃ってくる兵士達に飛び込んだ。
数はざっと20人、全員を殺すまでに10秒もかからなかった。
- 586 名前:初のSSランク 投稿日:2007/02/08(木) 21:25
- やっぱ四人揃うと強いね〜。
前の方に向かう道とは別に、もう一つ脇に通路がある。
愛ちゃんはそっちを向いて指を指した。
「あたしとれいなは、あっちの塔から進むわ。こっちは任せるね。」
「オッケー。気をつけてね。」
「れいな・・・がんばってね。」
「絵里もね。一緒にみんなで帰ると。またあとでね。」
「うん。」
今までとは次元の違う任務。
絵里はれいなと一度手を合わせて、背中を向けた。
そうだよ、みんなで帰るんだ。
藤本さんと、力を合わせなくっちゃね!
- 587 名前:ais 投稿日:2007/02/08(木) 21:25
- 更新しました〜
- 588 名前:ais 投稿日:2007/02/08(木) 21:28
- >>橘さん
ありがとうです。
もしよろしければ中身の感想もいただけるとすごく嬉しいです。
>>たまさん
何かではなくてかっこいいんですw
どうあっても彼女を推してしまう作者で(ry
>>577:名無飼育さん
複雑、ですよね〜。
それでも戦わないといけない、やるせない思いです。
久々に主人公視点で参りますw
- 589 名前:たま 投稿日:2007/02/08(木) 21:59
- 美貴愛の2人カッコいいですねぇ〜…惚れた(笑)
- 590 名前:橘 投稿日:2007/02/08(木) 22:17
- えりりん頑張ってますねぇ〜!
愛ちゃんやミキティ、れいなも頑張ってました。
平和になると良いですね。
- 591 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:23
- 絵里達は長い通路を駆け進む。
その間にもたくさんの兵士達が、絵里達に銃を撃ったり剣で襲ってくる。
さすがはSSランク、敵の射撃も動きも一流だ。
絵里は突き立てられた剣を避けつつ、敵の首を切る。
隣の藤本さんは、豪快にヘケートを振り回して、敵を斬り飛ばす。
そして、腰に付けてる三本のナイフを投げて、遠くから撃ってくる兵士達を突き殺した。
「亀ちゃん!」
「はい!」
敵が怯んだ瞬間に絵里は駆け出して、近くにいる兵士の首を切っていく。
思った以上に相性いいのかな?
攻め方がわかる、というか絵里の動きに藤本さんが合わせてくれてる。
- 592 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:24
- 見た目は適当っぽいのにかなり真面目・・・絵里、ずいぶん失礼なこと思ってたんだね。
敵がいなくなった通路を、藤本さんはヘケートを肩にかけて向かってくる。
「ここら辺の敵は一掃したっぽいね。亀ちゃん、大丈夫?」
「は、はい。ちょっと疲れただけです。まだまだいけますよ。」
「うん、期待してるから。先はまだ長いからね。」
敵が強くって、思った以上に疲れちゃったよ。
いやいや、そんな泣き言は言ってられません!
藤本さんと一緒に階段を下りていく。
エレベーターもあったけど、待ち伏せされたら逃げ場がないもんね。
次に出たとこはずいぶんと広い通路だった。
そして、あんまり見たくないものが見えたりする・・・。
- 593 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:25
- 前の方にはなんと戦車、しかもその後ろの方には、何十人もの兵士達が、
盾で体を隠しながら銃を向けている。
たかが絵里達二人にそんな大げさな・・・いや、それだけ過大評価されてるってことね。
アハハッ、モーニングって、やっぱすごい・・・。
ドォンッ!
絵里は慌てて横に避ける。
絵里達の後ろの方で大爆発、そこで終わりじゃなかった。
まるで嵐のような銃声が通路全体に響く。
絵里と藤本さんは、横に繋がる通路に体を隠した。
この横道の先は行き止まりっぽいから、周ることもできない。
- 594 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:26
- 嘘でしょ〜!
何で地下に戦車なんかがあるの!?
大砲の弾なんて弾けないよ〜。
その後ろの方には、30人近くいる兵隊さん達、けっこう遠いから
駆け抜けるには危険すぎる。
盾があるから投げナイフもできない。
せめてさゆがいてくれたらな〜・・・。
藤本さんから指示をもらおうと、振り向いた時だった。
藤本さんは、肩を回して立ち上がった。
- 595 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:27
-
「さてと、亀ちゃん。いくか。」
「いくって、どうするんですか〜?」
「そうだな〜。3秒くらいの間、美貴のことを守ってほしい。」
「絵里が、藤本さんを・・・?」
「あんたの力を信用してるよ。頼むね。」
藤本さんが、絵里の力を信頼してくれてる・・・。
はっきりとした性格なのは知ってたけど、面と向かって言われると少し恥ずかしいな。
そのあとで簡単に説明を受けたら、この人はとんでもないことを言い出すな〜・・・。
だけど、絵里も藤本さんを信じることにする。
緊張の高まる体を抑えて、二人で前に飛び出した。
- 596 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:27
- 絵里が前、藤本さんがすぐ後ろにいる。
戦車の大砲がこっちを向く。
それより先に、後ろから放たれる弾丸の嵐。
キキキキンッッッ!!!
絵里は、いつも以上にがんばって、弾を弾いていく。
一発でも避けても、逸らしてもだめなんだ。
後ろには、藤本さんがいるんだから・・・。
ドォンッ!
大砲が火を噴いた。
その瞬間、絵里は地面にしゃがみ込んだ。
- 597 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:29
-
「うりゃぁぁっ!!!」
ガキンッ!
藤本さんは、体を限界までねじらせて、なんとヘケートを使って
大砲の弾を打ち返した。
弾は見事に戦車に当たって吹き飛ばし、後ろの方の兵士も何人か巻き添えにした。
でも、それだけで終わりじゃなかった。
「デス・ブレード!」
その勢いのまま回転して、今度はヘケートを投げ飛ばす。
高速回転のかかったヘケートは、盾すらも突き破って何人もの人を切り刻み、
壁に深く突き刺さった。
「亀ちゃん!いくぞ!」
「はい!」
爆煙が漂う中、猛スピードで走り出す。
- 598 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:30
- 残った兵士達は、絵里達に銃を向け直す。
でも、先ほどの藤本さんの攻撃で、完全に動揺しちゃってて狙いが定まってない。
残りは数人しかいないし、特に問題なく突破できる。
絵里は素早く駆け込んで、兵士達を二本のトルテュで切り殺す。
藤本さんはというと、自前のサバイバルナイフで華麗に、とは全く言い切れないほど、
力で敵を突き殺す。
放たれた弾丸は、倒れてる兵士を盾にして、さらに突き進む。
あまりに冷酷で狡猾、そうは見えるけど最も効率はいいかもしれない。
これが"魔女"の力か・・・どちらかと言うと狂犬って方がしっかりきたりして。
とんでもない力技だったけど、結果的に絵里達は、ここにいる全ての兵士を倒すことができた。
- 599 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:31
- なるほどね、藤本さんとれいなの相性がよくないって意味がわかった気がする。
二人とも長い武器だから、今みたいな時だとぶつかったりして危ないもんね。
それにしても、すんごい疲れた。
あ〜、どっちかっていうと精神面、心臓のドキドキがまだ止まらないよ。
「亀ちゃん、よくやったね。」
「藤本さん・・・うへへ。」
「その笑い方キモいよ。ん・・・?」
キモいってひどい・・・そう思ってると、藤本さんは絵里の足を見ていた。
さっき藤本さんを守ってた時に、一発間に合わなくて掠っちゃったんだよね。
- 600 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:31
- 藤本さんは自分の服を破って、それを血の出ている絵里の足に巻いてくれた。
「藤本さん、ありがとうございます。」
「悪かったね。こんなムチャさせてさ。」
「いえ、敵を全滅させられたんだからいいですよ。絵里じゃ、
こんなことできませんから。」
「逆だよ。亀ちゃんがいたから今の戦い方ができたんだ。謙遜することないよ。」
藤本さんはそう言って、ヘケートを手にとって歩き出す。
まさか、藤本さんに褒められるとは思ってもなかったから、
すんごく嬉しいな。
よ〜し、もっと頼られるように、ここから先もがんばるぞ〜!
- 601 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:32
- 地下三階、ここまでも絵里達は順調に進む。
たぶん、さっきので大半の戦力を失ったんだろうね。
奥に進むと扉があって、でもそこは開くことがなかった。
鍵っていうか、CPでロックをかけてるみたい。
けっこう厚そうな扉・・・そうだ、絵里はちょっと試したいことがあったんだ。
「フン、このくらいの扉、美貴にかかれば・・・。」
「藤本さん。ここは絵里に任せてもらえませんか?」
「亀ちゃん・・・?」
絵里は扉の前に立つと、一瞬にして精神を最大限にまで高めた。
- 602 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:33
- 飯田さんと戦った時から、ずっと練習してたんだよね。
「ハァァッ!!」
キキキンッ!
絵里は一瞬にして、何発もトルテュを振るった。
その直後に、分厚い扉がバラバラになって地面に落ちていった。
絵里の新技、"月華"は、愛ちゃんの居合いと違って、細かく射程が短い居合いを、
何発も連続で放つんだ。
精神を上げる時間を限りなく短くするために、しんどい修行とかしてたんだよね。
「へ〜、なかなかやるじゃん。」
「うへへへへ〜。」
「だからその笑い方やめなって。いくよ。」
藤本さんに頭を軽く撫でられて、一緒に前の道を進んでいく。
さらに通路を真っ直ぐに歩いて、途中の脇道のある方を向くと、大きな扉があった。
たぶん、あの部屋にターゲットがいるんだ。
- 603 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:34
- 絵里達がそこに進もうとした直後だった。
ドドドンッ!
絵里達のきた通路の反対側の扉が、粉々になって吹き飛んだ。
絵里達は警戒してそっちの方を向いた。
でも、そんな必要はなかった。
そこから現れたのは愛ちゃんとれいなだった。
れいな・・・よかった〜、また会うことができた。
れいなは絵里に駆け寄ってくる。
絵里もれいなの方に足を向けた。
「絵里!」
「れいな〜!」
二人で手を叩き合って抱き合った。
- 604 名前:魔女の力 投稿日:2007/02/09(金) 21:35
- 絵里達が、ここまでこれたんだ〜。
けっこう成長したんじゃないかな〜。
絵里達が喜び合ってる間に、愛ちゃんが歩み寄ってきた。
「愛ちゃん、さっきの扉どうやって破壊したの?愛ちゃんじゃないよね?」
「れいなの技、"咆哮"やってさ。絵里一人に先に行かれるのが
嫌やって編み出したんやざ。」
「へ〜、いいんじゃないの。ライバル同士で力を高め合うってか。
んで、何で咆哮?」
「れいなやからやろ。猫科やし。れいにゃって感じやが。」
「なるほどね。れいにゃか。可愛いじゃん。」
「な、れいな、猫じゃないっちゃよ。」
「ええやんか。れいにゃって可愛い名前やよ。」
「う〜ん、愛ちゃん達がそれでいいなら、いいですけど。」
「うへへ、れいにゃ〜。」
「絵里は許さん。」
「え〜、どうしてよ〜?」
「ほらほら、話すのはあとにして、先に向かうで。」
そうだったそうだった!
最後にターゲットを抹殺しないと、この仕事も終わりじゃないんだ。
絵里達は最後の扉に向かって歩き始めた。
- 605 名前:ais 投稿日:2007/02/09(金) 21:37
- 本日の更新でした〜
- 606 名前:ais 投稿日:2007/02/09(金) 21:39
- >>たまさん
もっともっと惚れちゃってくださいw
今後も活躍していくと思われ(ry
>>橘さん
みんなでがんばりますよ〜!
ハッピーな毎日〜♪
- 607 名前:たま 投稿日:2007/02/10(土) 01:28
- 亀ちゃん強くなりましたねぇ☆美貴はやっぱり…笑
次回も楽しみにしてますねぇ♪
- 608 名前:橘 投稿日:2007/02/10(土) 02:13
- ミキティとえりりんいいコンビネーションですねぇ〜!
最高ですっ!!
- 609 名前:正義 投稿日:2007/02/10(土) 09:29
- 扉まであと数歩ってところだった。
ドゴンッ!
何かが扉を突き破って出てきた。
絵里達はすぐに武器を構える。
えっ・・・何なの?
扉を出てきたのは、体中が火に包まれている人だった。
火が消えた時には、すでに黒こげで息はなかった。
- 610 名前:正義 投稿日:2007/02/10(土) 09:30
- 部屋の中には、一人の女性が立っていた。
それも、絵里達がよく知っている人・・・。
「あ〜ら、モーニングの皆さんじゃないですか。ハッピ〜?」
絵里は何も言えなかった。
石川梨華さん、美人で可愛らしいモーニングの先輩だった人。
その石川さんがどうしてここに・・・?
「梨華ちゃん・・・?」
「いしかーさんが、何でここに・・・?」
「せっかく提供してあげた情報を、そこのアホまことが横流ししたのよ。
それで、ごっちんに頼まれて殺しにきたっていうわけ。」
まことって、"ターゲット"の名前だったよね。
後藤さんと、手を組んだんだ・・・。
- 611 名前:正義 投稿日:2007/02/10(土) 09:31
- 絵里達が入った時に、よく話しをしてくれた石川さん。
さゆとよく可愛さで張り合ってて、絵里達を可愛がってくれたのに・・・。
「いしかーさん!どうしてあなたまで、後藤さんと手を組んだんですか!?」
「そうだよ!梨華ちゃんの正義ってそんなものだったの?」
「・・・正義になんかならないわよ。私達は悪魔に魂を売ることにしたの。
真実の世界を創り上げるためにね。」
「それって、一体・・・。」
「話しはここまでよ。絵里香、唯。」
いつの間にか、石川さんの隣に二人の女が現れた。
「ここは任せるわね。」
「梨華ちゃん、美貴達のことをなめてない?雑魚なんか相手にするつもりはないんだよ。」
「雑魚かどうかはやってみればわかるわよ。んじゃ、お願いね。」
「唯ちゃん。いこうか。」
「ほいさ〜。絵里香ちゃん。」
絵里香、唯って呼び合う女二人がこっちに向かってくる。
- 612 名前:正義 投稿日:2007/02/10(土) 09:32
- 絵里香って方が、その場から消えた。
いや、高速スピードで愛ちゃんの傍まで駆け寄った。
「いやっ!」
「くっ!」
絵里香が振るった短剣を、剣で受け止めた。
それからも、更にスピードを上げて愛ちゃんを攻めていく。
嘘でしょ・・・動揺してるとはいえ、あの愛ちゃんが・・・。
「ほっ!」
「こ、の・・・。」
もう片方の唯って方は、巨大なハンマーで藤本さんを攻めてる。
藤本さんまで押されてるの・・・?
- 613 名前:正義 投稿日:2007/02/10(土) 09:33
- 何なの、この力は?
この二人が押されてるなんて、信じられない・・・。
「甘く見ない方がいいわよ。二人とも、紺野が作った薬によって、
限界までパワーとスピードを引き出しているからね。」
紺ちゃんが作った薬・・・?
それを考える間もなく、石川さんが両手に持つ二丁の銃を向けた。
狙いは愛ちゃんと藤本さんだ。
絵里達が助けなきゃ!
ドンッ!ドンッ!
絵里とれいなは、銃と二人の間に飛び出した。
- 614 名前:正義 投稿日:2007/02/10(土) 09:34
- このタイミングだったら弾ける、そう思ってた。
なのに、何よこれ・・・?
飛んできた弾は炎の弾だった。
さゆのボムショットとは違って、弾自体が炎みたい。
避けたら二人に当たるかもしれない。
お願いトルテュ、力を貸して!
絵里はトルテュを重ねて弾を防御した。
ドォンッ!
「うぁっ!」
「がはっ!」
絵里とれいなは後ろに倒れ込んだ。
- 615 名前:正義 投稿日:2007/02/10(土) 09:35
- あつっ・・・やっぱ、こんなの防げないよ・・・。
体中が熱くて痛いよ〜・・・。
「絵里!れいな!」
「梨華ちゃん!どういうつもりだよ!」
「答える必要はないでしょ。」
二人の目の色が変わった。
絵里香と唯が愛ちゃん達に向かっていく。
「何考えとるか知らんけど!」
「ふざけてんなよ!」
ズバババッ!ドゴンッ!
愛ちゃんが絵里香の体をいくつも斬りつけて、藤本さんが唯の顔を掴んで
地面に埋まるほど強く叩きつけた。
そして、石川さんに飛び出した。
- 616 名前:正義 投稿日:2007/02/10(土) 09:36
- 愛ちゃんのサファイアと藤本さんのヘケートが、石川さんの体を貫いた。
でも、その瞬間にフッと消えた。
火でできたダミー・・・?
いつの間にすり替わったんだろ?
藤本さんは部屋の奥にあるエレベーターに気付いて、強引にも力で開けた。
その時には、すでに中には何もなかった。
「くそっ!梨華ちゃん、何がしたいんだよ・・・?」
「・・・よくわからんけど、とりあえず情報収集して・・・!?」
ドゴゴゴゴッ!
何、何が起きてるの・・・?
突然の大地震、いや、地下で地震を感じるなんてありえない。
- 617 名前:正義 投稿日:2007/02/10(土) 09:36
- 天井が割れて、いくつもの破片が降ってくる。
可能性は、というよりも確実に、この組織が自爆したんだ。
「絵里!れいな!立てるか?」
「な、なんとか・・・。」
「大丈夫、です。」
「急いで脱出するよ!」
くぅぅ、体が熱くて痛いけど、ここは我慢するしかないね。
絵里達は地上を目指して走り出した。
- 618 名前:ais 投稿日:2007/02/10(土) 09:36
- 朝一更新でした〜w
- 619 名前:ais 投稿日:2007/02/10(土) 09:38
- >>たまさん
どんどん強くなってますよ〜!
まぁミキサマですからね、このくらいはやってほし(ry
>>橘さん
最近この二人の絡みをよく見るもので(汗)
何かとミキサマが亀ちゃんに手を出すっていうのが好きですwww
- 620 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/10(土) 11:54
- 感想とか付けるのが苦手なので、いつも陰から更新を楽しみにしています!
ただ、絵里香ではなく絵梨香かと…
- 621 名前:たま 投稿日:2007/02/10(土) 13:52
- ォー朝一更新☆
梨華ちゃんまでごっちんの仲間に…
先輩を守る後輩…なんか素敵ですね☆
やっぱり先輩2人はカッコ良すぎですが(笑)
- 622 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:10
- 2階、1階まではなんとかなった。
けど、そこから上があまりにも遠すぎる。
当然リフトも動かないものだから、階段を見つけて上っていく。
ハァッ、ハァッ、長すぎるよ・・・。
普段の絵里ならなんともなかったのに・・・!?
ようやく出口が見えてきた時だった。
絵里は足が動かなくなってその場に転んだ。
「絵里!」
倒れる直前で、れいなが支えてくれた。
- 623 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:11
- ここまでの疲労や怪我っていうのもあるけど、さっきの炎の弾がやっぱり効いてる。
体がギスギスして痛いし、水分を失ったように眩暈までしてる。
絵里を支えてくれたれいなもガタガタと震えている。
あと、少しなのに・・・。
前の方では、破片が落ちてきてほとんど出口が見えなくなってきた。
前にいる二人に、これ以上迷惑はかけたくないな・・・。
「愛ちゃん!藤本さん!先に行ってください!」
「二人だけでも先に行かんと間に合わなくなる!この国を、守ってください!」
「・・・愛ちゃん。いくよ。」
「・・・わかった。」
藤本さんがヘケートを投げ飛ばして、破片を粉々に吹き飛ばし、
出口までの隙間ができる。
そこに愛ちゃんが走り出す。
- 624 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:12
-
「絵里・・・れいな達、ここまでなんやね。」
「そうみたいだね・・・向こうにいっても、仲良くしてね。れいな。」
うん、これでいいんだ。
落ちてくる瓦礫が体に当たって痛い。
でも、足を引っ張ってまで、二人を巻き込みたくないよ。
本当はもうちょっと生きていたかったけどね。
さゆ、みんなで生きていくって約束、守れなくってごめんね・・・。
「寝言は寝てからいいなよ。」
「ふ、藤本さん!?」
なぜか藤本さんが絵里達の目の前にまできていた。
- 625 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:13
- その直後だった。
絵里の襟首を掴み上げられた。
「わっ、えっ・・・?」
「ちょっときついけど、我慢しなよ。愛ちゃん!」
「おう!」
藤本さんに出口に向かって投げ飛ばされた。
飛んでいく絵里を、愛ちゃんがキャッチする。
絵里を下ろしたら、すぐにれいなも飛んできて捕まえた。
そのあと、絵里達を両脇に抱えて出口を抜け出した。
絵里達が外に出た直後だった。
ドドドドドッ!!!
また大きな爆発が起こって、出口が塞ぎ込まれた。
- 626 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:13
- 嘘、でしょ・・・?
藤本さんが、まだ出てきてないのに、そんなの嘘だよね・・・。
絵里達を助けたせいで、藤本さんが・・・。
絵里とれいなは出口のとこまで近寄った。
完全に塞がってる。
そんなの、ないよ・・・。
「絵里!まだ間に合うと!ここを壊すっちゃ!」
「・・・うん!」
そうだ、泣いてる場合じゃないんだ!
すぐに助ければまだ間に合うはず!
絵里とれいなは武器を構えた。
- 627 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:14
-
「二人とも、そんなとこにいたらあかんよ。」
愛ちゃんののんびりした声が、絵里達の動きを止めた。
愛ちゃんは携帯を取り出して電話を始める。
「ああ、里沙ちゃんか。こっちの仕事は終わったで。確認頼むわ。」
どうして・・・どうして、そんなに普通にしてられるんですか!?
絵里達を止めたのは、現場を荒させないためなの?
絵里は、涙目でも睨みながら愛ちゃんに詰め寄った。
「愛ちゃん!まだ藤本さんは生きてるはずです。だから・・・。」
「ん〜色々と問題が出て大変やわ。こっからまた忙しくなってくるわな。」
愛ちゃんは絵里の聞く耳持たずに話しをしている。
これには、さすがの絵里でも許せなかった。
- 628 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:15
- 絵里は、愛ちゃんの肩を掴んで顔を近づけた。
「愛ちゃん・・・藤本さんが、埋まってるんですよ。何でそんなに
平気でいられるんですか!?どうして何もしないんですか!?信じられない!」
「えっ?みんな無事かって?そんなの決まっとるやろ。」
ドゴンッ!
絵里は突然大きな音のした方を振り返った。
そこには、巨大な天井の破片を持ち抱えている藤本さんが立っていた。
本当に、すごい力を、持ってるんですね・・・。
藤本さんは、ドシンと破片を下ろして首をコキコキと鳴らした。
「みんな無事やよ。みんなで帰るって、絵里達と約束したもんね。」
愛ちゃんはポンと絵里の頭を撫でて、一つウインクを零した。
- 629 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:16
- 絵里達は藤本さんに駆け寄った。
愛ちゃんも、わかってるなら、教えてくれてもよかったのに・・・。
「フーッ。さすがに疲れたわ。早く帰って風呂にでも・・・おわっ!」
「ぶ、ぶじぼどざ〜ん・・・。」
「生きてて、よかったと・・・。」
絵里とれいなは藤本さんに抱きついた。
本当に、心配したんだから!
「わ、わかったから。心配かけてごめんね。」
「え、絵里達の方こそ、ごめんなさい・・・。」
「また、足引っ張ったと・・・。」
「やれやれ。そんなことないって。」
「そうやよ。二人がいたからあたし達も生きてここにいるんやよ。」
愛ちゃんが携帯をしまいながらこっちに寄ってきた。
- 630 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:17
- 絵里達は藤本さんから離れて、愛ちゃんの方を向いた。
さっきとは打って変わって、真剣な表情をしてる。
「美貴ちゃん。」
「わかってる。二人とも、大変なのはこれからだよ。」
藤本さんの言葉は、とてつもなく重かった。
後藤さん達と戦うって決意はあったのに、まさか生死を共にした先輩達とも
戦うことになるなんて・・・。
それも、愛ちゃん達は絵里達よりも一緒にいた時期が長い。
だけど、石川さん達を止めないと、国が滅んでしまうんだよね・・・。
「情報は得られんかったけど、こうして生きて帰ってこれてよかったわ。」
「そうだね。あっ、どうせだからみんなで銭湯にでも行かない?」
「やだ。美貴ちゃん、セクハラするんやけ。」
「だってさ〜、油断してるとこでお尻とか触ると、普段とは違う反応がさ・・・アハハハッ!」
「美貴ちゃん・・・それ、相当やばいで。」
愛ちゃんと藤本さんは、笑いながら話してる。
そして、組織があった場所に背を向けた。
- 631 名前:帰還 投稿日:2007/02/10(土) 21:18
- そうだよね・・・まずは、みんなで帰還できただけでもよしとしよう。
何かを考えるよりも、体を治すことが先決だよね。
緊張感が抜けたからか、一気に眠気が増してきた。
教育係、ってわけじゃないけど、さゆが尊敬してた石川さん。
石川さんの銃技に憧れて、さゆもここまで強くなったんだ。
このこと伝えるのは、辛いな〜・・・。
れいなもたぶん同じこと考えてるだろうね。
でも、絵里達は生きている。
SSランクを突破できた今だけは、喜んでもいいよね。
生きていればきっと、本当の平和を作れるはずなんだからさ。
- 632 名前:次回予告 投稿日:2007/02/10(土) 21:19
- ついに昔の仲間達と戦うことになった絵里。
相手との相性は最悪、状況は悪化するばかり。
そんな中、悲しみと怒りが湧き起こり、絵里の力が覚醒する。
「許さない・・・絶対に許さない!」
ドォォンッッ!!!
一体、絵里に何が起きたのか?
絵里の真の力とは果たして・・・。
- 633 名前:ais 投稿日:2007/02/10(土) 21:20
- ある意味連続更新でした〜w
三連休でどこまで進めるか・・・。
- 634 名前:ais 投稿日:2007/02/10(土) 21:23
- >>620:名無飼育さん
ありがとうです。
どんな一言でもいいんでレスくれると力になります。
名前変換には以後気をつけます(汗)
>>たまさん
朝っぱらから起きてしまったんで書いてましたw
先輩後輩共々守りあって生きていく、かっこいいですよね〜♪
先輩の力が後輩にどのような影響を与えるかは(ry
- 635 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/10(土) 23:46
- まさかこの人まで敵だなんて…
次回はさらに新展開なようで楽しみです
最後になりましたが連日更新お疲れ様です
- 636 名前:たま 投稿日:2007/02/11(日) 02:42
- さすが先輩方(笑)
そして美貴のセクハラは気をつけた方が良いですね(笑)
- 637 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:14
- Aランク制圧完了!
あとは情報を入手するのみだね。
絵里は組織のパソコンをいじって情報を探ろうとした。
一緒にきたさゆは、この組織を見て周ってくるって、部屋を出て行っちゃった。
ここにきてから、誰かに見られてる気配を感じてたんだってさ。
絵里は気付かなかったな・・・何事にも敏感なさゆだったからこそ、
感じたのかもしれない。
それとも、まだ病み上がりだから気にしちゃってるのかもね。
誰かが入ってくることだけに注意しながら、情報、特に後藤さん達に関することが知りたかった。
だけど、裏に紺ちゃんがいるせいか、全く見当たらないんだよね。
ここも関わりがあるようなこと、聞いたんだけどな〜。
- 638 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:14
- いやいや、あきらめちゃだめだよ。
何かあるかもしれないし、もう少しだけがんばってみよっと。
でもな〜、紺ちゃんが相手だと、知識については全く勝てる気がしない・・・!?
絵里はバッと振り向いた。
扉の先から、誰かの気配を感じる。
さゆ、じゃない。
これは殺気だ!
ドゴーンッ!
いきなり扉が爆発した。
絵里はナイフを構えてそっちに向き直る。
- 639 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:15
- 爆煙の中から現れたのは、小さい二つの影。
どっちも記憶にありますよ・・・。
「久しぶりだな。亀井。」
「・・・どうして、あなた達がここにいるんですか?矢口さん、それに辻さん・・・。」
絵里の前に姿を見せたのは、元モーニングの矢口真里さんと辻希美さん。
理由は、聞かなくてもわかってるんだけどね。
「決まってるだろ。お前達をぶっ殺しにきたんだよ。」
「各個人ごとに殺した方が、手っ取り早いからね。」
「なら、質問を変えます。どうして後藤さんと手を組んだんです?」
「そうだな。一言で言うならこの世界が気に入らねぇ。それだけだ。」
そう言って、矢口さんがこっちに小型の爆弾を投げてきた。
って、こんなとこで爆発させたら、そっちも巻き込まれるのに・・・。
絵里は近くの窓を突き破って外に逃げ出した。
- 640 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:16
- 直後に起きた大爆発、部屋の中は粉々で壁が大破している。
その破れた壁から、二人がこっちを見下ろしてきた。
二人は、火傷の一つ負うどころか、服すら破けていない。
あんな至近距離で放ったのなら、逃げても少しは煙のあとがつくはず。
何か、嫌な予感がするな〜・・・。
飯田さんみたいに変な力を身に付けてたら、とてもじゃないけど
一人で勝てる自信がないや。
さゆがここにいてくれたら・・・。
いいや、そんなんじゃだめだ!
これ以上、誰かに守られたくない。
絵里自身が強くならないとね。
- 641 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:17
- 降りてきた二人にトルテュを向ける。
「何だよ、今日はお前だけか?高橋とか藤本は一緒にいなくていいのか?」
「・・・絵里一人で十分ですよ。」
「ハン、口だけは一人前になったじゃねぇか。」
「やぐっちゃん。のんにやらせてよ。実力の差を思い知らせてやる。」
「ふ〜ん、いいぜ。やってこいよ。」
前に出てきたのは辻さんだけだった。
その方がありがたい。
一対一なら、まだなんとかなるかもしれない。
辻さんの武器は、両手の指につけている巨大な鉤爪、"ピエール"。
一度捕まれば骨ごと砕かれる。
「いくよっ!」
辻さんが猛スピードで突っ込んできた。
- 642 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:18
- さすがに速いな・・・。
絵里はぎりぎりで爪をかわす。
ドォンッ!
くっ、風圧で少し飛ばされた。
地面には深く鋭い爪痕が残ってる。
あんなの食らったらひとたまりもないね・・・。
当時、パワーと一瞬のスピードだけだったら、モーニング1だった辻さん。
集中力を切らしたら負ける。
次のすくい上げるような攻撃を紙一重でかわした。
風圧だけでこの衝撃・・・パワーではまず勝てない。
だから、一瞬の隙をつくしかない。
- 643 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:18
- 何度か避けてるうちに、パターンが読めてきた。
きっぱり言って、辻さんの動きは単調だ。
次の攻撃は、顔を狙って突いてくる。
ここだ!
「ハッ!」
「くっ、もらいましたよ!」
絵里は懐に潜り込んで、トルテュを突き刺そうとした。
その瞬間、下から爆弾が飛び出てきた。
- 644 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:19
- 嘘でしょ!?
一体どこから・・・。
ドーンッ!
「うぁっ!」
すぐに下がったけど、防いだ腕が焼けるように熱い。
しかも、絵里より辻さんの方はまともに食らったはず。
なのに、全くの無傷でさっきの場所に立っていた。
何が、どうなってんの・・・?
「やぐっちゃん、邪魔しないでよ。どうせ当たらないんだしさ。」
「だったらさっさと終わらせろよ。」
「わかってるよ。」
二人には何も変わった様子は見られない。
何が起きてるか、まずはそれを理解しないといけないね。
- 645 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:20
- 相手は余裕の表情、その顔を変えてやる!
絵里は猛スピードで飛び出して、辻さんに向けてもう一度トルテュを振るった。
今度は確実に当たる、そう思ってた。
ブォンッ!
「!?」
「当たらないって言ったでしょ。」
トルテュを持つ手が、突然の突風に弾かれた。
そんなはずがない!
さらに左手で振るうけど、結果は同じだった。
もし、飯田さんみたいに何らかの能力者だとしたら・・・。
- 646 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:21
-
「そうだよ。のんは風を操れる。」
ブンッ!
ブシュ!
辻さんの爪を避けた瞬間、絵里の脇腹が切り裂かれた。
痛い・・・ドロッとした血が、垂れてくる。
「くぅぅ・・・。」
爪は完全に避けたはずなのに、何かに斬られた。
それも、物理的ではない何かに。
風・・・ってことは、カマイタチみたいなものなのかな。
- 647 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:22
- 風で防がれたのならば、絵里の必殺技で貫いてやる!
「死になよ!」
「"月華"!」
ズババババッ!
「あぅ・・・。」
やられたのは絵里の方だった。
左肩が斬られて、血が噴出す。
逆に辻さんの方には何もダメージを与えられてない。
絵里の居合いまでが、全て弾かれてしまった。
このままじゃ、何もできないまま殺されちゃうよ・・・。
この時、一瞬だけ見えた。
矢口さんが、持ってる爆弾を、下に落とした。
その瞬間、矢口さんの影が広がって爆弾を飲み込んだ。
- 648 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:23
- 影・・・ってことは、まさか!
絵里は素早く自分の影を見た。
絵里の影から爆弾が飛び出してくる。
やばい、絵里は思いっきり爆弾を真上に蹴り飛ばした。
直後に、絵里達の上の方で大きな爆発が起きた。
影から影って、これが矢口さんの能力ってわけですか・・・。
「よく気付いたな。おいらの力は影を操ることができんだよ。
こんな感じでな。」
矢口さんが手をこっちに向けると、絵里の影から闇の手が出てきて、
両足を掴まれた。
- 649 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:23
- 思いっきり振り切ろうとしても離してくれない。
トルテュで斬ろうにも貫通してしまう。
すぐ目の前には辻さんがいる。
このっ、どうしたらいいのよ・・・。
「これで終わりにするよ!」
前から辻さんが突っ込んできた。
この体制じゃ避けることもできないし、かといって彼女の力を弾くこともできない。
このままじゃ、やられちゃう・・・。
トルテュに力を込めて、力を抑えることだけに集中するしか・・・。
- 650 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:24
- その時、絵里の前に黒い影が飛び込んできた。
ドシュッ!
「えっ・・・さゆっ!?」
嘘でしょ・・・さゆが、絵里の前にきて、絵里を庇って爪を刺されてる。
お腹からはポトポトと血が零れ落ちていく。
さゆは、震える腕でリューを辻さんと矢口さんに向けた。
放たれた二発の弾、辻さんはその場から飛び下がって避けて、
矢口さんは影を盾にして弾を飲み込んだ。
絵里の足に絡みつく影が消えて、さゆの傍まで駆け寄って抱き起こした。
- 651 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:25
-
「さゆっ!さゆ、しっかりしてよ!さゆぅ・・・。」
また、だ・・・。
また、絵里が守られてる・・・。
絵里が守りたかったのに、絵里が、弱いから・・・。
「絵里・・・泣いちゃ、だめなの・・・。絵里には、秘められた力が、
あると思うの。がんばって、ね・・・。」
さゆは、小さく笑って目を閉じた。
大丈夫、まだ息はあるから、死んではいない。
- 652 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:25
- 勝手に死んだらだめだからね。
絵里の方が可愛いってこと、教えてあげるんだから、死なないでよ・・・。
すぐに、助けるからね・・・。
「ちっ、まだ殺せてなかったか。」
「さっさと死んでくれれば楽なのにね。」
プツン
絵里の中で、何かが弾けた。
昔の仲間を殺す?
そんなこと、簡単に言えるなんて、絶対におかしいよ。
- 653 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:27
- ものすごい熱が体中に絡みついてくる。
もう、本気で怒ったよ!
「許さない・・・絶対に許さない!」
ドォォォンッッ!!!
よくわかんない力が溢れ出してきた。
傷の痛みも疲労も感じない。
むしろ、さっきよりも体が軽くて力が漲ってくる。
そして、トルテュが淡く光っている。
感じたことがないほど鳴り止まない鼓動、この力が何なのか、
それを考えるのは後回し。
今は、この人達を倒す!
- 654 名前:鳴り止まない鼓動 投稿日:2007/02/11(日) 23:29
- >>635:名無飼育さん
誰が敵で誰が味方か、って感じですね〜。
新展開スタートしましたw
ここからもまたお楽しみいただけたらいいなと思ってます。
>>たま
この二人は娘。の核ですからね♪
最近のミキサマはかなりセクハラしまくってるようで(ry
- 655 名前:ais 投稿日:2007/02/11(日) 23:30
- 順序逆ですけど更新しました(遅)
- 656 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/12(月) 00:05
- 連夜の更新お疲れ様です
毎日幸せです。w
- 657 名前:たま 投稿日:2007/02/12(月) 09:28
- やぐのんコンビまでも…続き気になります!
- 658 名前:橘 投稿日:2007/02/12(月) 16:02
- 更新お疲れです!
敵が多いですねぇ〜でもモーニングのみんな頑張れ!!
- 659 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:30
- 矢口さんと辻さんは、不審な目をして絵里を見ている。
「何だよ、こいつの力・・・?」
「もしかして、"覚醒"したのかな?"ごっちんの力"みたい・・・。」
「へっ、あいつが亀井のことを気にしてたのは、このことか?
だったら、おいら達でこいつを殺せば・・・!?」
何を話してるのかなんてどうでもいいよ。
絵里は超スピードで矢口さんの前まで飛び込んだ。
突如、影から闇の腕が飛び出して、絵里の足を掴み取られる。
だから、何だっていうんだよ!
ズドンッ!
「ガハッ・・・。」
絵里は、闇の腕を力で引きちぎって矢口さんを蹴り飛ばした。
- 660 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:31
- 矢口さんは壁に激突して倒れ込む。
まだだ、まだ終わってない。
上から飛び込んでくる辻さんに、トルテュを向ける。
「うぁぁぁぁっ!!」
「そんなもの、のんには効かないよ!」
ズバァッ!
「あぐっ!」
絵里のトルテュの光が、辻さんの風の鎧を突き破って体を斬りつけた。
そう深くはないけど、血が吹き出てくる。
あと少し、ここで決め・・・!?
飛び出そうとした足に、全く力が入らなくなった。
しかも、トルテュの光も消えて、絵里自身も急激な眩暈に襲われた。
- 661 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:31
- 嘘・・・何で、こんなのって・・・。
ドンッ!
辻さんにタックルされて吹き飛ばされた。
絵里は地面を転がって倒れこむ。
ごほっ、痛い、っていうのもあるけど、どうしてこんなことに・・・?
「いてぇな。よくもやってくれたな。」
「ほんとだよ。のんに傷をつけられるなんてね。」
辻さんが傷口を押さえながらこっちにくる。
奥の方からは、矢口さんが向かってきてる。
影に掴まれたせいで、ダメージが浅かったんだ。
- 662 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:32
- 体が鉛のように重い。
お願いだよ・・・。
絵里の体、あと少しでいいから動いて!
「辻、お前は亀井を仕留めろよ。おいらは道重を殺す。」
「わかった。」
矢口さんが前に手を出した。
すると、さゆの体を影が飲み込み始めた。
「さ、さゆ・・・。」
やめて、よ・・・絵里の、大切な仲間を、連れて行かないでよ・・・。
いやだよ、動いて・・・絵里の体、動いてよぉ・・・。
- 663 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:34
- 影がさゆの体を半分以上飲み込んでる。
絵里のすぐ目の前では、辻さんが腕を振りかぶっていた。
ドンッ!
何が起きたか、全くわからなかった。
気付いた時には、誰かに抱えられて、ほんの一瞬のうちに辻さんから
ずいぶんと離されていた。
その直後に、影からさゆの体が、まるで何かに引き寄せられるように浮き上がって、
絵里達の方に向かってくる。
これは、糸・・・?
そして、絵里の目の前に現れた人がさゆを抱き止めた。
- 664 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:35
- 地面に下ろされたあと、絵里はその人達のことを見上げた。
「よっ。絵里、大丈夫か〜?」
「さゆみんの方は、ちょっと危ないかもね。」
絵里の傍に立っていたのは、愛ちゃんとガキさんだった。
二人とも、助けにきてくれたんだ・・・。
「さゆから通信が入ってな、嫌な予感がするからきてほしいって言われたんよ。」
「この子の感はよく当たるからね〜。」
「そんでもって、きてみたらこれだわ。全く、嫌になるわ〜。」
口調とは裏腹に、真剣な表情で矢口さん達から目を離さない愛ちゃん。
ガキさんはさゆの応急手当をしてくれてる。
- 665 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:35
-
「高橋と、新垣か。」
「矢口さんとのんちゃんも、後藤さん側ってわけやね。ならば、
後藤さんの居場所も知ってるはずですよね?」
「それをおいら達から聞き出そうってか。なめるなよっ!」
愛ちゃんの影から腕が出てきて、彼女の足を掴んだ。
同時に、辻さんがこっちに突っ込んでくる。
ガキさんはさゆを向いてるし、ここは絵里がなんとかしないと・・・。
「絵里、そこで寝ててもかまわんで。」
「えっ・・・?」
「うわっ!」
愛ちゃんを向こうとする前に、辻さんが前に派手に転んだ。
- 666 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:37
- よ〜く見てみると、薄く細い糸が張られてる。
ガキさん、抜け目ないね・・・。
愛ちゃんが大きく剣を振り上げて、矢口さんに向けて居合いを放った。
矢口さんは影を引っ込めてそこから離れて避ける。
この二人、息が合ってて本当にすごいな〜。
長年組んでたコンビだもんね。
「絵里、あの二人の能力を簡単に説明して。」
「は、はい。矢口さんは、影を操ることができるみたいで、影から影へと
物を移動できたりもします。辻さんが風の能力者で、鎧を纏ったり
刃にして扱えるとか・・・。」
「ほうか。わかった。あとはあたし達に任せときなよ。」
「カメはさゆみんを連れて逃げて。近くにヘリを待たせてあるから、
そこまで・・・。」
「ガキさん。我侭かもしれないけど、ここは絵里にやらせてくれないかな?」
「カメ・・・?」
「さゆのこと、お願いします。さゆを傷つけたあの人達だけは、
絶対に許せない・・・。」
「そうは言っても、無理でしょ。体が震えてるじゃん。」
そう、さっきから絵里の体は震えが止まらないの。
頭はだるいし、まともに動けない。
- 667 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:37
- でも、このくらいのことで、負けたくない。
さゆは、もっと痛かったんだ!
ドシュッ!
「うぅ・・・。」
「なっ!カメ!?」
「あんた、何しとるんやが・・・?」
絵里は左腕にトルテュを突き刺した。
血がドクドクと流れて、激痛が襲ってくる。
そのおかげで、震えは止まったし、意識もしっかりしてきた。
- 668 名前:覚醒 投稿日:2007/02/12(月) 20:38
- ガキさんは慌てて絵里の腕に包帯を巻いてくれた。
「全くもう、あんたはどうしてそんなにムチャするのさ?」
「うへへ・・・左腕は使えないけど、絵里、いけますよ。」
「里沙ちゃん、この子はもう止まらんよ。あきらめるしかないやざ。」
ガキさんは愛ちゃんの顔を見て、深くため息をついた。
悪いとは思ってても、今回だけは譲れない。
「わかったよ。愛ちゃん、のんちゃんの方を頼めるかな?」
「ほいきた。」
「私はさゆみんを連れていくよ。戻ってきたら、カメのサポートに回る。
私が戻ってくるまでまでは、無理はしないようにね。」
「ガキさん・・・ありがとう。」
「そう思ってるんなら、たまには言うこと聞いてよね。」
ガキさんはさゆを抱えて離れていった。
左手は痛いけど、やる気は十分、体力もまだまだいける。
ここからが本番なんだからね!
- 669 名前:ais 投稿日:2007/02/12(月) 20:39
- 本日の更新でした〜。
- 670 名前:ais 投稿日:2007/02/12(月) 20:41
- >>656:名無飼育さん
ありがとうです♪
そう言っていただけると自分も幸せです。
>>たまさん
彼女らも敵ですね〜。
続きは・・・どうなるんでしょ(謎)
>>橘さん
敵ばかりですね(汗)
どこからどこまでどうすればいいのか自分もわからなく(ry
- 671 名前:たま 投稿日:2007/02/12(月) 22:18
- 亀ちゃんの友を思う気持ち素晴らしいです!
でも愛ちゃんカッコいい…笑
- 672 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/12(月) 23:35
- 更新お疲れ様です
失礼かもしれませんが亀ちゃんやっと主人公らしくなってきましたね
- 673 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 22:51
- 絵里のトルテュと、矢口さんの持つ三本の大きな針が交差する。
これと爆弾が影を使う前の武器だったみたい。
ガキさんが戻ってくるまでは、しばらくは愛ちゃんと力を合わせて、とはいっても彼女が
ほとんど二人を抑えてくれたおかげで、時間を稼いでくれた。
そのあと、愛ちゃんは辻さんとぶつかり合って別の場所で戦ってるみたい。
絵里の仕事は、ここで矢口さんを倒すこと。
左手の使えない、しかもベテランの矢口さんに勝てるかどうか、それはわかんない。
でも、負ける気は全くしないよ。
だって、絵里は一人じゃないんだから!
「終わりだ!」
一度距離を置くと、矢口さんが爆弾を影に落とした。
- 674 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 22:52
- 電柱、壁、植木とかどこの影からでも放てるものだとしたら、
どこからくるかわかんない。
ただ、絵里が見るのは矢口さんの動きと絵里自身の影のみでいい。
爆弾は、絵里の死角となる近くの車の影から出てきた。
絵里は全く気付かなかった。
ドゴーンッ!
爆発は絵里の真横で起こった。
だけど、絵里はそれに巻き込まれなかった。
「うへへ〜。ガキさんナイス!」
「ちっ、新垣の仕業か!」
「そういうことです。カメはやらせませんよ!」
爆弾が爆発する直前、絵里の周りを動きながらフォローしてくれるガキさんが、
遠くから爆弾をヌーヴォーで叩きつけたんだ。
- 675 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 22:53
- さってと、ここからは絵里の番だよ。
絵里はトルテュを振るって矢口さんを攻めていく。
右腕一本でも、超接近戦なら誰が相手でも負けたくない。
集中するんだ。
目じゃなくて、空気を読んで、どう動けばいいのか、もっと先の先まで見つめよう。
絵里が矢口さんの目の前に飛び込んでトルテュを振るう。
「(くっ!何だよ、こいつは・・・。)」
「やっ!」
「(怪我してるくせに、どんどんと速くなってやがる・・・。)」
「カメ!次は右!」
「うん!」
後ろから叫ぶガキさんの指示通り、絵里は右から攻める。
- 676 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 22:54
- 矢口さんの弱点ってわけじゃない。
これが絵里達の作戦なんだ。
矢口さんが再び爆弾を影から放ってきた。
それはガキさんがしっかりと弾いてくれる。
もっと、もっと疾く動くよ!
爆発が起きたあと、絵里の振るったトルテュが矢口さんの腕を掠めた。
持っていた針が落ちて、腕からポタポタと血が垂れる。
「この、ガキ共が!調子に乗るなよ!」
「ガキさ〜ん、呼んでるよ。」
「そのガキじゃないでしょ。あんたもしっかりと集中する。」
「わかってま〜す。」
大丈夫、絵里達なら勝てるよ。
これは油断なんかじゃなくって、根拠のある自信だ。
- 677 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 22:55
- 絵里のことは、影を使った攻撃はガキさんが守ってくれる。
ガキさんを狙うって手もあるんだろうけど、狙いを定めて影を使う一瞬だけ、
その瞬間だけは彼女に隙ができる。
その隙に絵里が倒すことだって可能だから、無闇にガキさんには手を出さないし、
絵里もガキさんを信じて戦うことができる。
それに、ガキさんに狙いを定めさせるほど、絵里だって余裕は持たせないようにしてる。
これが、絵里の持っている"信頼"なんだ。
絵里はトルテュを振るった直後に前に屈んだ。
その瞬間、ヌーヴォーが絵里のすぐ上を通って、矢口さんの頬を切り裂く。
「痛っ!こいつら・・・なっ!?」
横に動こうとした矢口さんは、足を踏み出した瞬間その場で止まった。
左足に線のような赤いあとがついてる。
- 678 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 22:57
- もう、動けませんよ。
矢口さんの周りにはあらゆる角度から、糸が貼り付けられている。
ガキさんが予め張っておいた糸の世界に、足を踏み入れたんだから。
うかつに動けばバラバラに刻まれるよ。
これも、ガキさんの指示通り動いた絵里のおかげだよね〜なんて言ったら、
ガキさんに怒られそうだから言わないけど。
「てめぇら、ふざけてんじゃねぇぞっ!」
矢口さんが着ていたジャケットを広げて、持っていた爆弾を全て影に落とした。
そのいくつもの爆弾が、絵里の影から飛び出してきた。
- 679 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 22:57
- こんなにたくさんあるんじゃ、いくらガキさんでも弾ききれない。
「終わりだ!」
ドドドドドッッッ!!!
絵里のいた場所で大爆発が起こった。
「へっ、粉々になったか・・・!?」
矢口さんの前から近寄ってくる一つの影。
絵里が空高く飛び上がって彼女に向かってるんだ。
弾ききれないなら、当たらないとこまで避ければいい。
ガキさんの張った糸を利用して、弓みたいにしならせて、その反動で跳んだんだ。
- 680 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 22:58
- これで、終わりにするよ。
絵里は、懐に持っていた銃、リューを矢口さんに向けた。
さゆ、力を貸してね。
「そんなものが効くかよ!」
矢口さんの影が浮き上がって、それが盾になる。
これだと完全に死角になってて当たらない。
でもね、絵里の狙いはそこじゃないんだ。
バスッ!
弾が当たったのは、矢口さんの手前の地面。
その直後に、周りが見えないほどの煙が包み込んだ。
- 681 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 22:59
- "スモークショット"、今回さゆが持ってきた弾の一つなんだ。
絵里は、地面に着地したと同時に走り出す。
絵里達は鍛えられてるから、この煙の中でも戦うことができる。
それは相手も同じ、けどさっきとは決定的に違うとこがある。
「ちっ、煙幕に紛れておいらを倒そうってか!」
「そういうことです!」
「ふざけんなよ!針を落とそうと、おいらには力が・・・!?」
矢口さんが絵里に手を向ける。
けど、今の状態では光すら入らないほどの煙の中。
光の当たらない場所に、影はできないよね。
「終わりです。"月光"!」
「ま、待て・・・。」
絵里が技を放った瞬間、矢口さんが倒れ込んだ。
- 682 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 23:00
- 動機と後藤さん達の居場所を聞かなきゃいけないんだから、
殺してはいない。
まだ首から上は動くことができるはず。
「矢口さん、どうしてあなたまでハローに敵対するんですか?」
「くっ・・・ハン、さっき言っただろ。復讐だよ。」
「復讐?」
「おいらの自由な時間に緊急の仕事、それを無視して遊んでただけで、
モーニング解雇だろ。ふざけんなって話しだよ。」
「遊んでたって・・・あの日の事件で、三人もの人が命を失ったんですよ!」
「知るかよ。まともに遊べもしないとこなんか、こっちから願い下げ・・・。」
ドゴッ!
思いっきり、いや少し手加減して首を踏みつけた。
泡吹いてるけど、まぁ死んではいないっぽいから大丈夫でしょ。
- 683 名前:一人じゃない 投稿日:2007/02/13(火) 23:01
- 人の命の重み、忘れちゃったのかな・・・?
煙が晴れたあと、ガキさんが駆け寄ってきた。
「カメ、お疲れ〜。」
「ガキさんもね。殺さないで倒したよ〜。ガキさん、褒めて褒めて〜。」
「はいはい。よくやったよ。あとは、愛ちゃんの方か・・・。」
ドゴォッ!
少し先の広間の方で、大きな爆発が起こった。
きっと愛ちゃんが戦ってるんだ。
ガキさんはヌーヴォーで矢口さんを縛ったあと、絵里を向いた。
「カメ、いくよ。まだ動ける?」
「俄然強め!いきましょう!」
絵里と、ガキさんは矢口さんを引きずって走り出した。
愛ちゃん、どうか無事でいてくださいね・・・。
- 684 名前:ais 投稿日:2007/02/13(火) 23:01
- 更新しました・・・。
風邪引いたせいで頭が重・・・orz
- 685 名前:ais 投稿日:2007/02/13(火) 23:03
- >>たまさん
現実でも一番の友達ですからね〜。
お互いに誰よりも傷つけられるのは嫌なんでしょうね。
さゆの顔に関してはどうにも(ry
>>672:名無飼育さん
ぶっちゃけあながち間違いでもないと思われます(汗)
どうにもツートップが目立ってしまう形になってしまい・・・。
まぁ、ここからですよここからw
- 686 名前:たま 投稿日:2007/02/14(水) 14:47
- やぐが物凄い嫌な感じな役ですね(笑)
今回の更新で亀ちゃんをキレさせたらいけないって事が分かりました(笑)
後は愛ちゃんvsのん…
次回も更新待ってます!
- 687 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:02
- 絵里達が着いた場所は、工場の跡地のようなとこだった。
辺りは何かの力で壊されたような、機械の残骸が散らばっている。
そんな中、高速スピードで戦っている二人の姿が見えた。
「うりゃっ!」
「当たらんよ!」
ズドンッ!
辻さんの力で壁が粉々に砕けた。
それを上に避けた愛ちゃんが、剣を振り下ろした。
「そこっ!」
「ヤァッ!」
ズバババッ!
すれ違い様にいくつもの斬撃を放った。
なのに、辻さんには傷一つつけられない。
- 688 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:03
- 辻さんの攻撃は一発でも食らえば終わる。
だけど、愛ちゃんの攻撃は、正直なところ軽すぎる。
鮮やかに、華麗に戦う彼女だから、剣に重みが足りないんだ。
そうなってくると、体力の勝負、愛ちゃんの方が不利になる。
愛ちゃん、どうするの・・・?
しばらく同じことを繰り返した二人は、一度足を止めて向き合った。
「愛ちゃんの攻撃なんか当たらないよ。いい加減にやめたら?」
「そういうのんちゃんも、攻撃が単純すぎて当たらんわ。」
「・・・相っ変わらずむかつく態度してるよね。ハローにいた時からそうだった。」
「ほ〜う、何か嫌がらせっぽいこと受けてたような気はしたけど、何でむかつくん?」
「それがわかってないからむかつくんだよ!」
辻さんが飛び出して爪を振るった。
- 689 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:04
- 愛ちゃんは身を翻して後ろに避ける。
「愛ちゃんは、のん達より後輩なんだよ。なのに、最初の頃からエースで前に出てた。
いっつも前に出て戦ってた。むかつくんだよ!」
「・・・くっだらない理由やね。」
「くだらない?才能のない人間の気持ちなんか、愛ちゃんにはわかんないよ!」
「あたしは才能があるって、自分では思っとらん。できんことなら精一杯努力して、
がんばってきたつもりやよ。」
「そのセリフ、"あの人"に聞かせてやりたいよ。」
辻さんがその場から爪を振るった。
その瞬間、愛ちゃんは横に跳んで避ける。
直後に、愛ちゃんの後ろの方の瓦礫が、粉々に吹き飛んだ。
- 690 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:06
- 居合いなんてもんじゃない。
むしろ、風の塊を力で投げ飛ばしたって感じかな。
あんなの食らったらバラバラになっちゃう・・・。
それでも、愛ちゃんは目を逸らすことなく辻さんを見てる。
「才能のあった人間が、もっと才能のある人間に負ける気持ち、
愛ちゃんはわかってる?そのせいで、あの人はずっと苦しんでて、
モーニングを抜け出したんだ!」
「・・・才能、ね〜。やっぱ相当嫌われてたんやろね。なんせ、
少しタメ口きいただけで、めちゃくちゃ怒ってたもんね。
ほとんど無視されてたしな。」
「愛ちゃんの無神経さにはあきれるばかりだからね。」
無神経って、ひどくないですか〜?
愛ちゃんは、すっごく優しいもん。
たまに・・・まぁ、自分優先で考えることもあったりするけど、
人の思いを踏みにじるような真似だけはしたことなんてない。
- 691 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:07
- いつでも謙虚で優しくて、少しおかしいとこもあるけど筋が通ってて、任務の時には
いつでも真面目で、人の命を尊く重んじてて、そして誰よりも努力家だった。
そんなの、ただの嫉妬だよ。
絵里達は、人々を助けたいからモーニングになったんだよ。
それなのに、それが理由でモーニングの敵になるって、おかしいよ・・・。
辻さんの振り下ろした爪を、愛ちゃんが横に弾いた。
「んじゃ、無神経ついでに教えてくれや。"あいぼん"はどうしたんか?」
「・・・あいぼんはここにはいないよ。」
愛ちゃんの言葉に、辻さんの動きが一瞬だけ鈍った。
"あいぼん"っていうのは愛称で、本名は加護亜衣さん。
辻さんの名パートナーだった人で、二人で裏世界に一声を浴びせたこともある。
- 692 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:08
- いつでも、どこにいっても二人で一つだった。
なのに、ここにいないのは何で・・・?
「あいぼんは、壊れたんだ。」
「壊れた?」
「コンコンの作った薬に耐えられず、精神崩壊したんだ。のんみたいに
潜在能力を引き出すことができる人もいれば、その反面で体や精神が
耐えうる力を持たなかったら、死んだりそういうことが起こるんだ。
今は寝たっきりだよ。」
「やれやれ、よっぽど危ない薬なんやろね。後藤さんは、何をしたいんやろ・・・?」
再びいくつもの斬撃の嵐が飛ぶ。
でも、どうあっても愛ちゃんの方が押されている。
途中、風の刃が当たって愛ちゃんの腕から血が出てきた。
「あたしを倒すこと、それがのんちゃんの望みなんか?」
「それだけじゃない。誰よりものんが優れてるって、
この世界に教えてやるんだ。」
「・・・なら、その間違いを正してやらなあかんわけね。」
「間違い、だって?」
辻さんは顔に怒りを露に出して震えてる。
さらに、辻さんの周りに風が集まって、一種の台風みたいになってる。
- 693 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:09
- あんなの、いくら愛ちゃんでも危険だよ!
助けないと・・・こんな絵里でも、身代わりくらいなら・・・?
絵里が飛び出そうとした時、ガキさんに腕を掴まれた。
「ここは愛ちゃんを信じてよ。」
「ガキさん・・・?」
「あの子も色々と苦しんでたんだよ。エース扱いを受ける自分に、
周りからの嫉妬や妬み、居場所がなくなるほど心を痛めて、
待合室とかで同期の私達がいない時には、ほとんど一人で
隅っこで本を読んでたよ。本当は、寂しがり屋で普通の女の子なのにね。
それでも愛ちゃんはここまで成長してきたんだ。私はずっと見てきたんだよ。
何年も一番傍で、ずっと見てきたんだ。誰よりも真っ直ぐすぎて不器用で、
他人には理解してもらえないから、がんばって自分を見てもらおうと、
時間があれば努力してた。一生懸命な女の子なんだ。それを他人にとやかく
言われるような筋合いはない、間違ってるって教えてあげなきゃね。」
ガキさんは真剣な表情をして愛ちゃんを見てる。
まさか、愛ちゃんの笑顔の裏側に、そんなことがあったなんて・・・。
- 694 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:11
- でも、絵里も同じ体験してきたから、よくわかるよ。
だから、愛ちゃん、絶対に負けないでくださいね!
「誰よりも優れてる人なんて、この世に存在しない。例え、
あの後藤さんであろうとね。やから、人は成長するんやよ。
現状に満足したら終わりやが。」
「屁理屈なんてどうだっていいんだよ。愛ちゃんの非力なパワーじゃ、
のんは倒せない。」
「どうだかね。力があるから勝てるわけじゃないやよ。」
「その、口の減らない余裕な態度がむかつくんだよ!」
風を纏った、竜巻と化した辻さんが愛ちゃんを襲う。
あんなすごい風に対抗できるわけ・・・いや、絵里は愛ちゃんを信じます。
愛ちゃんは、剣を上段に構えたまま動かない。
- 695 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:12
-
「教えてあげるよ。音速の剣技は、時にはパワーも打ち砕くことをね。」
「うるさい!砕けろー!」
「これで決めるわ。"色即是空"!」
ドゴゴゴゴッッッ!!!!
一体、何が起こったのかわからなかった。
愛ちゃんの姿が消えたと思ったら、同時に竜巻も消え去って、
絵里達の周りを突風が包み込んだ。
そして、二人の一直線上にある壁が壊れて、さらに音が突き進んでいった。
絵里が呆然としていると、さっきとは逆にガキさんに腕を引っ張られた。
「カメ、いくよっ!」
「ガ、ガキさん。どうなってるの〜?」
「愛ちゃんの奥義の一つ、"色即是空"。音速のスピードで突進することで、
超破壊力を得ることができるんだよ。それを使ってのんちゃんの風の鎧を壊して、
突き倒したんだ。」
「えっ?倒したんなら、何を焦ってんの?」
「確かに倒したんだろうけど、あの技を使うと愛ちゃんの体にも
大きな反動がくるんだよ。あまりの速さに体が耐え切れないんだ・・・。」
「そんな・・・。」
絵里達は急いで壊れた壁を突き進んだ。
- 696 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:13
- 奥の方では、お腹から血を出して倒れてる辻さんと、剣を支えにして
屈んでる愛ちゃんがいた。
「愛ちゃん!」
「大丈夫ですか!?」
「ん・・・おう。そっちも、終わったか・・・。」
愛ちゃんはだるそうにこっちを向いた。
口には血のあとがあって、体が震えている。
これほどの技を出さないと勝てない相手だったんだ。
辻さんの方が強いってわかってたから、ガキさんは辻さんじゃなくて
矢口さんを選んだんだ。
怪我をした絵里じゃ歯が立たないって知ってたから・・・。
絵里なんか、ガキさんとさゆの力を借りてやっとだったのにね。
- 697 名前:終わらせよう 投稿日:2007/02/14(水) 23:14
- そんなことを考えてると、愛ちゃんがのろのろと立ち上がった。
ガキさんは辻さんを死なせないために手当てをしてるから、絵里が支えた。
「絵里・・・終わらせよう。」
「えっ?何の話しですか?」
「もう、こんな戦いは終わらせたいがし。今回の件で、この二人から
後藤さん達の居場所を突き止めることができるはず。あたし達は、
後藤さんを倒すやよ。」
「そう、ですね・・・。」
「そのうち、大事な話しをすると思うから、そん時には聞いてね。」
愛ちゃんは小さく笑って携帯を取り出した。
それから数分後、矢口さんと辻さんは拘束されて連れて行かれた。
今回の任務は終了ってことで、今はヘリに乗って帰ってるところなの。
愛ちゃんは助手席で寝てて、ガキさんは窓の景色を眺めてる。
愛ちゃんはさっき何が言いたかったんだろ・・・?
大事な話し、か・・・。
- 698 名前:次回予告 投稿日:2007/02/14(水) 23:16
-
どうして人は死ぬの?
どうして人は殺し合いをするの?
繰り返される疑問。
その答えに辿りつくことができないでいる人のとる行動は?
戦い合うことでしか答えを見つけ出せない真希。
絵里が信じる思いは、真希に伝わるのだろうか。
- 699 名前:ais 投稿日:2007/02/14(水) 23:16
- 更新しました。
- 700 名前:ais 投稿日:2007/02/14(水) 23:17
- >>たまさん
ちょっとキャラを出してみたりしてw
怒りは時には恐ろしき・・・。
まぁ顔を傷つけられたさゆに比べたら可愛いもんだと思って(ry
- 701 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/14(水) 23:28
- 物語に躍動感を感じます。
その躍動感の中に緊張感もあり、楽しませてもらってます。
次回も楽しみにしてます。
- 702 名前:たま 投稿日:2007/02/14(水) 23:53
- やはり愛ちゃんカッコいい…orz
けれどあの愛ちゃんでものんに勝つのが大変なのに…
- 703 名前:一ヶ月 投稿日:2007/02/16(金) 23:05
- あれから三日後、絵里達は待合室に集合した。
今回は珍しく、八人全員が揃っている。
吉澤さんが絵里達の中心に出て、一枚の紙を広げた。
「みんな、よく聞いてくれ。SSSランク、後藤真希達の居場所が判明した。」
「あの捕らえた二人から聞き出したんだね?」
藤本さんの言葉に、吉澤さんが頷いた。
ようやく、後藤さん達と戦う日がきたんだ。
「その情報は正しいんですか?」
「確実にな。」
「あの二人から聞き出したんでしょ?それは本当のことやと?」
「まぁ、今はまだ調査中だが、十中八九正しいだろ。なんたって拷問をかけたのは、
うちの本家リーダーだからな。」
うちの本家って、中澤さんのことか〜。
・・・うわっ、絶対にそんなの嫌だ!
怖くて仕方ないよ〜・・・。
- 704 名前:一ヶ月 投稿日:2007/02/16(金) 23:07
- 他のメンバーの表情も青冷めてる。
絵里達はそれほど面識はないけど、それだけ怖い人なんですよ〜。
「ま、まぁともかく、約一ヶ月後、私達は乗り込むことにした。」
「一ヶ月も待たせて大丈夫なんですか?」
「もちろん、その間に何か起こりそうなら、すぐにでも乗り込むつもりだ。
だけど、相手はSSSランク、特に相手に紺野がいるってことは、
セキュリティが凄まじく固い上に、無闇に手出しすれば逆にこちらの
情報を操作される可能性も出てくる。よほど念入りに調査しないと、
すぐにでもやられるだろ。今回の任務はそれだけ危険なんだ。だから、
みんなには自分で決めてほしいんだ。」
「何を決めるんです?」
「今回の任務は強制しない。本当に命懸けになると思う。助けたくても助けられない、
そんな場面も出てくるだろう。別に行かなくたって、あとで咎めるようなことはしない。
行くかどうかを自分でよく考えて、決めてほしいんだ。」
吉澤さんはメンバーを見渡しながらそう言ってきた。
- 705 名前:一ヶ月 投稿日:2007/02/16(金) 23:07
- 確かに、元メンバーと戦ったら勝てる保障はないよね。
それは少し前に戦った絵里達にとって実証済み。
何が起きるかもわからないんだ。
「よしざーさん、一人で行くつもりやろ?」
「そんなこと、美貴が許すと思ってるわけ?」
最初に口を開いたのは、うちのエースの愛ちゃんと藤本さんだった。
「よっちゃんが死んだら、美貴がリーダーになっちゃうじゃん。」
「全くやよ。そんなん危なっかしすぎるわ。」
「・・・愛ちゃん、冗談を本気で受け止めないでくれるかな?」
「今回は私も行きますよ。あさ美ちゃんに言いたいことは山ほどあるんでね。」
愛ちゃん達の話しに割り込んで、ガキさんがそう言った。
- 706 名前:一ヶ月 投稿日:2007/02/16(金) 23:08
- それは絵里達だって同じことだよ。
ここで逃げるような真似だけはしない。
「絵里は、いきます!」
「れいなも負けんと。」
「さゆみも戦うの。」
れいなとさゆも続いてくれた。
絵里達でこの国を救うって約束したもんね。
三人の決意は変わりませんよ。
「小春もいきま〜す。」
「小春、お前もごっちんと戦ったことあるだろ。死ぬかもしれないんだぞ。
それでもいいのか?」
「吉澤さんが言ってくれたんじゃないですか〜。ミラクルエースになれってね。
小春は、この能力でみんなを笑顔にできるなら、どんなことだってしてみせるよ。」
「・・・そっか。みんなの決意は受け取ったよ。」
吉澤さんは一つため息をつくと、前に手を差し出した。
その意図を理解して、絵里達も手を重ねていく。
- 707 名前:一ヶ月 投稿日:2007/02/16(金) 23:09
- その意図を理解して、絵里達も手を重ねていく。
「今から一ヶ月後、このメンバーで後藤真希を倒すぞ。覚悟はいいな?」
「「「お〜!!!」」」
「よし、いくぜっ!がんばっていきまっ!」
「「「しょ〜い!!!」」」
アハハ、この掛け声懐かしいな〜。
全員揃った時にしかやらないもんね。
あと一ヶ月、か・・・絵里には何ができるのかな?
話しが終わって解散したあと、愛ちゃんにトレーニングルームに
くるように言われた。
そういえば、れいなも同じようなことを藤本さんと話してたな。
愛ちゃんとトレーニングするって、久しぶりだな〜。
部屋に入って愛ちゃんのイメージとシンクロする。
- 708 名前:一ヶ月 投稿日:2007/02/16(金) 23:11
- その部屋では、愛ちゃんが一人で瞑想をしていた。
「愛ちゃん。亀井絵里、到着しました。」
「絵里・・・きたんやね。」
「お話しって何ですか〜?」
「絵里、後藤さんと戦うんやよね?」
愛ちゃんは睨みつけるようにこっちを見た。
な、何で怒ってるんですか・・・?
絵里は小さく頷いた。
「今の絵里のレベルやと、はっきり言って勝てる可能性は皆無に等しいがし。
それ、自覚しとるか?」
「・・・はい。それは、わかってます。でも、愛ちゃん達はいくんですよね?
みんなが帰ってくるのを待っていることなんてできません!少しでも力に
なりたいんです。」
「うん。それを聞きたかったんやが。ならば、今からあたしに付き合ってもらうやよ。」
「愛ちゃんが、ですか・・・?」
「今から一ヶ月の間、Bランク以下の仕事は入れないことにした。
あとたった一ヶ月しかないから、仕事の時以外はあたしとここで
修行してもらうやよ。それでもええか?」
「もしかして、れいな達も誰かが付いて特訓するんですか?」
「うん、他のメンバーが付いてるんやよ。それよりも、あたしが聞きたいのは
絵里の意思やよ。周りがどうやなくて、あんたはどうなんか?」
「もちろん、よろしくお願いします。」
絵里は二本のトルテュを愛ちゃんに向ける。
その瞬間、愛ちゃんから迸る凄まじいほどの殺気が、絵里を包み込んだ。
- 709 名前:一ヶ月 投稿日:2007/02/16(金) 23:12
- 同時に、
トン
背後から、何かが絵里の肩に乗っかった。
愛ちゃんのサファイアだった。
「これで、一回死んどるな。」
何も、感じなかった・・・。
音も、息遣いも、目で追えるとかそういうレベルなんかじゃない。
背中がスーッと冷たくなっていく。
足がガクガクと震えてきた。
- 710 名前:一ヶ月 投稿日:2007/02/16(金) 23:16
- 絵里は、唾を飲み込んでそっと後ろを振り向いた。
その時、感じたことのない恐怖が絵里を包み込んだ。
こんなに怖いのって、後藤さんと戦った時以来かな。
でも、愛ちゃんからこんな殺気向けられたの、初めてですよ・・・。
そして、初めて愛ちゃんを怖いと思った。
手加減されていた今までとは違う、本気になった高橋愛と戦えるんですね。
怖いはずなのに、別の意味で胸がすごくドキドキしてきた。
「絵里、少なくともあんたには、あたしと同じくらいまでは強くなってもらうやよ。」
「愛ちゃんの位まで・・・。」
「そのくらい強くならないと、後藤さんはおろか、元モーニングの人にも勝てない。
やけど、できることならあたし以上になってほしい。あんたがモーニングとして、
この戦いを終わらせるんやよ。」
絵里の力で、この戦いを・・・?
絵里、試されてるんだね。
それ以上に、理解してくれてるんだ。
- 711 名前:一ヶ月 投稿日:2007/02/16(金) 23:17
- 絵里と後藤さんの関係を知っているからこそ、愛ちゃんは絵里のために・・・。
「愛ちゃん・・・。」
「まぁ、そんな簡単にはエースの座は譲れないからね。やるだけやって、
二人で強くなって戻るよ。」
「はい!」
愛ちゃんはいつものようににっこりと笑うと、すぐに真剣な表情をして、
剣を構えて絵里を見た。
どこまでいけるかわからない。
でも、愛ちゃんの気持ちに応えたい。
その次元の高さまで絵里も登ってみせますよ。
亀井絵里、いきます!
- 712 名前:ais 投稿日:2007/02/16(金) 23:17
- 更新しました〜。
- 713 名前:ais 投稿日:2007/02/16(金) 23:18
- >>701:名無飼育さん
そこまで言って頂けるとは本当に嬉しいです・・・(泣)
今後もどうぞよろしくお願いします。
>>たまさん
まぁ元モーニングですからね〜。
これからが本当の戦いの始まりですよ(謎)
- 714 名前:橘 投稿日:2007/02/16(金) 23:37
- いよいよ戦いが本格化してきましたねぇ〜!
みんなが無事に帰ってくるのを祈ってますよ。作者さん
- 715 名前:たま 投稿日:2007/02/17(土) 01:10
- とうとう最終決戦まで来ましたね☆
亀ちゃんには頑張って愛ちゃんレベルまで強くなって欲しいですね♪
- 716 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:03
-
真希視点
どうして人は死ぬの?
どうして人は殺し合いをするの?
どんな事象も理由なんて一つだけ、自分の欲に負けるからだ。
そのために、あたし自身も大切な人達を失った。
ならば、あたしはどうすればいいの?
どうしたらよかった?
その答えも簡単、あたし自身の欲を埋め尽くせばいい。
欲というより願望がある。
許せない。
何もかも許せない。
理解もしようとしない人間達。
だから、全て、全て破壊してやるんだ。
そのためには・・・。
- 717 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:04
- あたしはそこで目を覚ました。
ベッドから起き上がって、小さく欠伸をする。
自問自答の繰り返しだったあの頃、その先に今のあたしがいる。
いい加減に忘れればいいのに。
いや、忘れたらいけないんだ。
忘れてしまったら、今後の未来も変わることがなくなってしまうから。
あたしはあたしの思ったように動けばいいんだ。
そのためにも、モーニングは、ハローはあってはいけないんだ。
あたし自身が望む未来のためにも・・・
コンコン
「後藤さん、入りますよ。」
「んあ、いいよ〜。」
ドアが開いて、一人の少女が入ってきた。
- 718 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:05
- もう、少女とはいえないほど大人ぽくなったけどね。
まんまるの目であたしを見つめる彼女、紺野あさ美が近寄ってきた。
「後藤さん、全員集まりましたよ。そろそろ始めましょう。」
「ん・・・了解。」
あたしはのっそりと起きて紺野と一緒に部屋を出た。
色々と近況を話してくれるけど、あんまり頭の中に入ってこない。
そういえば、ぼーっとしててよく圭ちゃんに怒られたっけな〜。
あの厳しい口調で、でも思いやりのある優しい目で、怒られることももうないんだ。
今のあたしを見たら、やっぱり怒るのかな・・・?
- 719 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:06
- あたしが昔を思い出していると、紺野があたしの髪をそっと撫でた。
「寝癖、立ってますよ。」
「ああ・・・ごめん。」
「後藤さん、しっかりしてくださいよ。私は、あなたの考えに賛同したから、
ついていこうと決めたんです。それとも、何かありましたか?」
「いや、大丈夫だよ。よし!」
パンッと頬を叩いて、前に見える大きな扉の前に立った。
初めて会った時はオドオドしてばっかだった紺野に、説教させられるなんてね。
あたしも、後ろを振り返っていられないね。
あたし達は扉を開けて中に入った。
部屋の中には、十数人のあたしの同志達がいて、あたし達に気付いてこっちを向いた。
椅子に座っている者もいれば、壁に寄りかかって何かを考えてる者もいる。
- 720 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:07
- 同士といっても、しばらくの間道が同じだけの話しで、本当の意味での
同士であるわけではない。
全てが終わったあと、あたしについてきてくれる者もいれば、
自分勝手に動こうとする者、今の世の中を変えようとする者、
中にはあたしを殺そうとする者もいるかもしれない。
別に、それでもよかった。
立ち向かってくる者は殺せばいい。
どんな思いでも近寄ってくるならその時まで共に歩むだけ。
今はハローを潰す力が欲しかったから、それでいいんだ。
「よく集まってくれたね。みんな。」
「リーダーが遅刻してもいいの〜?」
「ぎりぎり間に合ったでしょ。まず最初に、大事な話しがあるからよく聞いてね。」
今回は茶々を入れられる暇はないんだ。
あたしは真剣な表情で周りを見渡した。
- 721 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:08
- 周りの者達も口を閉じてあたしに注目した。
「やぐっつぁんとじーつーがハローに捕まったよ。」
「本当ですか!?」
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫だと思うよ。殺されてはいないだろうね。」
周りの声に、あたしは簡単にそう答えた。
これは事実、紺野が調べてくれたからね。
どちらにせよ、殺すようなもったいない真似はしないはず。
元仲間だから、っていうのとは別のとこに目的があるから。
「そのおかげで、こっちの情報は漏れただろうね。しばらくしたら、
モーニングがこっちにくるよ。」
「では、私達はどうするんですか?」
「どうもしないよ。ここで待とう。そして、倒すんだ。モーニングが潰れれば、
ハローも終わりだからね。」
これも間違いではない。
あそこの主力はモーニングだけだ。
- 722 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:09
- 元メンがいない今、それ以外は正直なとこ大したことはない。
「ねぇ、ごっちん。一つ質問してもいい?」
色黒の美少女、ちょっと失礼な言い方だったかもしれないけど、
元メンの一人、石川梨華が手を上げてこっちを見てる。
「何、梨華ちゃん?」
「回りくどいことしなくたって、こっちから攻めればいいんじゃない?」
「いや、今はうかつに動かない方がいい。どれほどの力を手に入れたところで、
数で囲まれたらいくらあたし達でも、面倒なことになる。それに、ここは
紺野が改造した居城なんだから、待ってたって問題ないよ。むしろ、
向こうから来てくれる方がありがたい。」
「ふ〜ん。まぁ、私は別にいいけど、そちらさんはどうですか〜?」
梨華ちゃんは向かいの壁に背を付けて立ってる人に声をかける。
- 723 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:10
-
「向かってくるものは、容赦なく殺すだけでしょ。」
「うん、モーニングは過去の産物なんだ。あたし達の未来にモーニングはいらない。
ハローを潰したら、あたしはこの国に"戦争"を起こす。そして、
この国を支配する。この決意は変わらないよ。」
それからもいくつか話して、あたしと紺野は部屋から出た。
梨華ちゃんが平気そうだったから少し安心した。
梨華ちゃんのサポート役の、三好ちゃんと岡田ちゃんは生き埋めになった。
っていうか、地下数十メートルも下なんだから死んでるか。
まぁ、戦争に犠牲はつきものなんだから、仕方ないといえばそこまでだ。
- 724 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:12
- 心を鬼にしないと、先になんか進めないんだ。
あとは"あの子"の覚醒を待つばかりだな。
「後藤さん、何かお考えですか?」
「・・・紺野、さっきも言ったとおり、戦争を起こすよ。あたしは全てを破壊する。」
「ええ、わかってます。あなたの望むとおりにしてください。」
「ねぇ、紺野・・・。」
あたしは体重をかけて紺野の肩にもたれかかった。
紺野は何も言わずに抱きしめてくれた。
「人間ってさ〜、わかんないよね。あたしがこの国を支配すれば・・・。」
「これ以上、考える必要はないですよ。後藤さんは、疲れてるんです。
私はあなたの傍にいますよ。」
「さっきまで、寝てたのにね。」
「人はいくらでも疲れます。今のこの国も疲れてるんです。私達の力で、
私達の望む国に再興しましょう。」
「うん。そうだね。」
あたしはスッと顔を上げて歩き始める。
- 725 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:13
- ふと、通路の窓の外に目がいった。
今夜は久しぶりに星が満開のようだ。
今の世界を生きる人々は、あの彷徨える星達と同じだ。
道標のない砂漠の中でずっと迷い込んでるんだ。
何が正しいかなんてわかんないよ。
自分が正しいと思った道を貫くだけ。
だから、あたしは革命を起こすために戦争を始める。
邪魔するものは、誰であろうと倒すだけだよ。
例え、それがモーニングであっても、亀井ちゃん、君であろうとね。
あたし達の未来のために・・・。
- 726 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:14
-
絵里視点
愛ちゃんと特訓を開始して四週間が経った。
「やぁっ!」
「くっ・・・。」
絵里のトルテュが愛ちゃんの右腕を斬りつける。
サファイアを持つ手に力が抜ける。
今しかない!
絵里は素早く愛ちゃんの足に自分の足を絡めて押し倒した。
そして、トルテュを首元に突きつける。
- 727 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:15
-
「ハァッ、ハァッ、絵里の、勝ちです・・・。」
「ああ・・・負けたわ〜。」
愛ちゃんは苦笑いを浮かべて絵里を見た。
やった、これで何度目かの勝利を修めることができたんだ〜。
それまでに何百回殺されたかわかんないけどね・・・。
それでも、自分が強くなってきてるって実感が沸いてくる。
絵里は小さくガッツポーズを作って、その場から立ち上がった。
「絵里、ものすっごい強くなったね。」
「うへへ〜。でも、まだまだ愛ちゃんには敵いませんよ。」
「そんなことないわ。昔のあんたやったら、手を抜いてても余裕やったけど、
今では本気でやっても簡単には勝てる気せんわ。絵里、がんばったね。」
「愛ちゃん・・・ありがとうございます。」
絵里は愛ちゃんに大きく頭を下げた。
- 728 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:16
- やばい、ちょっと泣きそうになってきた・・・。
愛ちゃんに褒められてすごい嬉しいよ〜。
愛ちゃんはポンと絵里の頭に手を置いて、後ろを振り向いた。
「今日で他のみんなの特訓も終わりやけ、そろそろ出るか。」
「あっ、はい!」
絵里は首を振り回しながら部屋から出た。
あ〜、用もなく出たのってすごい久しぶりだな〜。
任務も全て愛ちゃんが引き受けてくれたし、あとはご飯とかお風呂とかトイレとか、
外に出たのなんてそれくらいだもん。
愛ちゃんは用があるって別の道を行っちゃったから、絵里は待合室に向かう。
- 729 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:16
- 部屋の中では、さゆとれいなが話しをしてた。
何か、こんなに会えない時なんてなかったから、懐かしい感じがする。
「やっほ〜。」
「おっ、絵里!」
「そっちも終わったの?」
「えへ、ばっちりだよん。」
絵里達は笑顔で手を叩き合う。
やっぱ三人揃ってると気分がいいね〜。
って、三人?
「さゆ、小春ちゃんは?」
「先に終わって疲れてるから寝るって、もう帰ったの。」
「先輩達は打ち上げやってさ。あの人達酒飲むと絡んでくるけん、
小春も家にいるしれいな達は家でやらんと?」
「それもいいね〜。やろうやろう!」
絵里達はすぐに帰る準備をして組織を出た。
- 730 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:17
- もう夜だっていうのに、やけに世界が眩しく見えるな〜。
組織の外に出たのは、実に四週間ぶりだもんね。
それまでは全部組織についてる設備で済ませてたもんね。
「れいな、藤本さんと修行して色々学んだと。」
「さゆみも、新垣さんに面白い戦い方を学んだの。」
「面白いって、それでよか?」
「さゆみは可愛いからいいの。」
いつもの光景、いつもの会話、これが絵里達の世界なんだよね。
聞いてるだけで楽しいや。
絵里のいるこの居場所、絶対に失いたくないな・・・。
- 731 名前:未来のために 投稿日:2007/02/17(土) 16:18
- 絵里は、天に輝く星空を見上げた。
綺麗だな〜、みんな一生懸命に生き抜く輝きを、放って生きてるんだよね。
後藤さんがこの星空を見たら、何を思うのかな?
なんであっても、絵里達はもう負けませんよ。
あの人を倒して、真っ直ぐな道を目指せるように・・・。
「絵里、何で空見てぼけっとしとるっちゃ?」
「早く帰るの。」
「うん・・・帰ろう。絵里達の家に。」
絵里の言葉に、二人はちょっと呆けた顔をしたけど、すぐに笑ってくれた。
二人とも、絵里の気持ちをわかってくれてるから。
どんなことがあっても守ろう、この世界を。
絵里達の望む未来を築くためにも・・・。
- 732 名前:後藤真希 投稿日:2007/02/17(土) 16:18
- 名前:後藤真希
年齢:21歳
武器:パンプス(大型の剣)
履歴:ある日、街の一部で組織同士の抗争が起こり、偶然にも近くで家族と買い物をしていた真希は、争いに巻き込まれて家族を失う。
その時、彼女の怒りが限界を超え、自ら抗争に飛び込んで全員を抹殺した。さらには、その組織の場所を聞きだし、たった一人で、
それも特訓すらしていないにも関わらず、組織を全滅させた。100年に一人の天才と謳われた真希は、モーニングに推薦された。
最初は孤独だったが、徐々に仲間ができて、そこを居場所と認め、居心地がよく感じられるようになった。だが、姉同然に
慕っていた保田圭の死により、この国の現在の状況に不満を感じ、脱退した。後にモーニングと戦うことに。彼女の真の目的を知る者は、
彼女を心の底から敬っている紺野あさ美ただ一人だけである。
- 733 名前:紺野あさ美 投稿日:2007/02/17(土) 16:19
- 名前:紺野あさ美
年齢:19歳
武器:特になし(独自で開発した武器)
履歴:自分自身の力を認められたい、幼い頃からそう思っていたあさ美は、平和の使者であるモーニングに憧れてエッグに入隊する。
だが、体力はあっても不器用で何もかも上手くいかず、テストを受け終えたあとの採点では、赤点で落第生だった。ただし、
あさ美の天才的知能に目を向けたハローは、彼女のモーニング加入を認めた。戦闘時には冷静沈着かつ、正確な判断を
行えるあさ美は、愛達はもちろん、他の先輩メンバー達にも頼られるようになる。また、自分の武器の特性がないと気付いた彼女は、
様々な武器を独自に開発して扱えるようになることで、前線での戦いにも赴けるようになる。真希が抜けたあとには
ひどく落ち込み、再び彼女と出会えたことからモーニングを抜け出したと里沙は分析しているが、その詳細は未だに不明。
- 734 名前:ais 投稿日:2007/02/17(土) 16:20
- 更新しました〜〜
- 735 名前:ais 投稿日:2007/02/17(土) 16:21
- >>橘さん
いよいよ始まりますよ〜!
始まっちゃうんです!
自分はどうしたらいいでしょ(ry
>>たまさん
あと少し、ってとこですかね〜?
絵里の実力は未だ謎ってことでw
- 736 名前:たま 投稿日:2007/02/17(土) 19:44
- 後藤さんの真意とは…
亀ちゃんは強くなりましたねぇ♪
- 737 名前:橘 投稿日:2007/02/17(土) 22:27
- モーニングの勝利を信じてますよ!!頑張ってください作者さん
- 738 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/17(土) 23:13
- そろそろ物語りも佳境ですね…ワクテカしながら待ってます
>>737
sageは半角じゃないとだめですよー
- 739 名前:橘 投稿日:2007/02/18(日) 20:44
- 申し訳ありません(;_;)不馴れなもので間違いがあったら教えて下さいネ(*‘‐^)-☆
- 740 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/19(月) 23:51
- 今日から三日間の休日、過去最大の大きな仕事前の、ちょっとした休日だ。
もちろん死ぬつもりはないけど、せめてその時まで楽しんでおけって意味だろう。
さっきまで後輩強化の打ち上げをやってて、自分の家に辿り着いた。
私は一人暮らしをしているから、この部屋には普通は誰もいない。
なのに、ソファでゴロゴろしてる子猫・・・いや狂犬が一匹寝てる。
「おい、ミキティ。」
「ん〜?」
ミキティこと藤本美貴は、眠そうな顔でこっちを向いた。
「何で私の家にいるんだ?自分の家に帰らないの?」
「なんとなく、かな。一人ぼっちは寂しいじゃ〜ん。」
「よく言うよ。んで、何考えてんだ?」
エッグにいた時からの知り合いだからよくわかる。
- 741 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/19(月) 23:52
- ミキティの今の目は、深く考え込んでいる時にしか見せない。
ミキティは、私から視線を外して上を向いた。
「美貴さ、次がどんなに苦しい戦いになったとしても、死ねないんだ。
絶対に守ってあげたい人がいるの。っつうかできたんだ。」
「へ〜、他人に興味を持つなんて珍しいね。好きなの?」
「大きなお世話だよ。まぁ、好きだよ。初めて人を好きになったかも。でも・・・。」
「でも?」
「連絡がとれないんだ。ここ最近、あの時に会ってからずっと・・・。」
ミキティが好きな子も、あの時ってのがいつなのかも私にはわからない。
かといって、ミキティが自分の中身を曝け出すなんてこともありえないから、
あえて聞くような真似だけはしない。
- 742 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/19(月) 23:53
- でも、ここまで悩んでいるからには、その子のことがすごく好きなんだろうね。
「この戦いが終わったらさ、少しだけ時間をくれないかな?
彼女を探しにいきたいの。」
「家出でもしたの?ハローの方で検索しようか?」
「家出なんかじゃないよ。その子は、家族がいないからさ。」
「そっか・・・。」
「それに、美貴が探しにいかないと意味がないの。気持ちだけ受け取っておくよ。」
ミキティは、少しだけ笑ってそう言った。
なるほどね、その子のおかげで表情が変わってきたのか。
今までではありえないくらい、コロコロと感情を表に出せるようになったからね。
「んじゃ、そういうことで。眠いから寝るわ。おやすみ〜。」
だから、そんなとこで寝るなっての。
文句を言おうとした時には寝息が聞こえてきてたし、全く・・・。
- 743 名前:ais 投稿日:2007/02/19(月) 23:54
- すいません。
レス740の一行目にひとみ視点と入れてください(汗)
- 744 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/19(月) 23:55
- 毛布をパサッとミキティにかけて、ベッドに腰を下ろす。
好きな人、守りたい人ができるのは、素晴らしいことだと思う。
私にとって大切な人は、この国の人達っていうのもあるけど、
何よりもメンバーのみんなが好きだよ。
だから、敵地に送りたくない。
でも、私一人ではどうしようもないのも事実。
守りたいけど助けてほしい、矛盾してるよな・・・。
私にもっと力があったなら・・・やめた、こんなこと思ってたら、
逆にみんなに怒られそう。
信じ合って生き抜くこと、後藤真希を倒すこと、それだけを考えよう。
やるしか、ないんだから。
- 745 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/19(月) 23:56
-
愛視点
フラフラとマンションの中を歩くあたし。
少しでも気を緩めたら眠ってしまいそうなくらい、酔っちゃってます。
さっきからずっとニヤけてんのが、自分でもわかるがし。
でも直らんし、それ以前に意識を保つのがやっとやよ。
そんなあたしを支えてくれてるのは、同期の新垣里沙ちゃん。
こっちはかな〜り嫌そうな顔をしちゃってる。
「愛ちゃん、あとちょっとだから寝ないでよ。」
「わかってるが〜。そんな怒らんのよ。」
「怒ってないよ。あきれてるだけ。あの二人に敵うわけないでしょ。」
里沙ちゃんは深いため息をついた。
- 746 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/19(月) 23:56
- やって、よしざーさんと美貴ちゃんがお酒を勢いよく飲み干していくから、
ちょっと張り合っちゃったんやよ。
20になって初めてお酒の味を知ったあたし、大して飲めませんでした〜。
それをわかってるのに、酒豪の二人と飲み交わすからこうなった。
まぁ、今回ばっかはちょっと反省してるんやよ。
里沙ちゃんにも途中で止めろって何度か言われたしね。
ふざけたらこの場で放置されそうやけ、ここは黙っとこう。
家について、部屋のベッドに倒れ込んだ。
うぁ〜、ようやくここまで辿り着いたわ。
里沙ちゃんはもう一度ため息をついて、冷蔵庫からミネラルウォーターを
あーしのために持ってきてくれた。
- 747 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/19(月) 23:57
- さすがは頼れるあたしのパートナー!
一気に水を飲み込んで、プハーッと息を吐き出した。
「いや〜、すっきりした!里沙ちゃん、ここまでありがとな。」
「お店に置いていくわけにはいかないでしょ。モーニングのエースなんだから、
もっとしっかりしてよね。」
「しっかりできるもんならしてるやざ。そこは里沙ちゃんの役目やよ。」
「コラーッ!何でも人任せにしないの。」
「本当のことやよ。次の任務でも、すごく期待しとるよ。」
里沙ちゃんにとって、モーニングは昔から憧れの存在やった。
そして、今もこの仕事に誇りをもって、誰よりも強く平和を望む戦士やってことも。
- 748 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/19(月) 23:59
- やからこそ、頼りにできるし、次の任務では不安でもある。
「全く、相変わらず唐突に話し変えるよね。」
「なぁ、里沙ちゃん。次の任務も、頼りにしてええんやよね?」
あたしは真剣な目で彼女を見つめた。
里沙ちゃんは、少し険しい目つきをしてあたしを見ている。
「どういう意味?」
「今度の相手は今までとは違う。前みたいに元モーニングの人達と
戦う可能性も出てくるやよ。その中には、里沙ちゃんの憧れとった頃の
メンバーやっているかもしれん。それでも・・・。」
「愛ちゃんってほんっとにおかしいよね。どうしていきなりマジになるんだか。」
「あたしはいつでも真面目やよ。」
「だからおかしいって言ってんの。まぁ、そうでないと高橋愛じゃなくて
つまんないんだけどね。」
「里沙ちゃんこそ、失礼なことはっきり言うやが。」
「それは愛ちゃんが相手だもん。言いたいこと言わせてもらうよ。
私達は同期でしょ、お互いに遠慮する必要ないじゃん。これが私の
信じてるモーニングだよ。そして、高橋愛を信じてる。私が好きで
憧れていたモーニングだよ。心配無用、今のモーニングの戦士として、
私は戦える。」
里沙ちゃんは自信を持った眼差しをあたしに向けた。
- 749 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:00
- やれやれ、ああ言えばこう言う、いつからそんな関係になったのかね〜?
ん、出会った時からこうやったな。
あたしを支えてくれる、最高の相方やよ。
大丈夫、あたしもあんたのこと信じてるよ。
それにしても、里沙ちゃんも変わらんな〜。
「愛ちゃん・・・何一人で笑ってんのさ?」
「里沙ちゃんって、アホやな〜って思ってね。」
「うわっ、むかつく〜。もう、さっさと寝なさい!私は帰るよ。」
「またな〜。」
里沙ちゃんは何度目かのため息をついて部屋から出て行った。
そんなにため息ばっかついとると、幸せが逃げてくで。
- 750 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:01
- ん〜、さっきの里沙ちゃんの言葉には、少し救われた気がするわ。
正直なところ、怖くもあった。
周りからはエースって言われとるけど、やっぱり怖いもんは怖いんやよ。
今まで共に戦ってきた人達と戦うなんて、そんなことしたくなかった。
でも、吹っ切れたわ。
あたしは、モーニングとして、モーニングを守るためにも戦う。
里沙ちゃんが信じてるモーニング、その力を思い出させてやらんとね。
ふわ〜眠・・・明日も里沙ちゃんのことからかって遊ぶかな〜。
明日も、平和な一日でありますように・・・。
- 751 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:02
-
絵里視点
これからみんなで打ち上げするんだ〜。
ん〜、まぁ、みんなで強くなった記念ってとこかな。
帰ってくる途中に適当な物を買い込んできた。
それで絵里とれいなで料理をして、さゆがお菓子やケーきの買出しに行ってる。
小春ちゃんは寝てるから、食べる時に起こすことにした。
さゆにはちょっと料理は任せられないんだよね・・・。
何を入れるかわからないし、包丁一本持たせるのも怖いんだよね。
ぶっちゃけ、絵里達の料理も危ないといえば危ないけど。
- 752 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:02
- 絵里の両手には包丁、その下にはざるが置いてある。
れいなが野菜を一つ手に持って、絵里の方を向いた。
「絵里、いくよ。」
「おっけ〜。」
ポイッ
ズババババッ!
れいなが投げた野菜を、バラバラに切り刻んだ。
さらに放り投げてくる野菜を切っていく。
- 753 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:03
- ほんの僅かな間に、見事に切り刻まれた野菜達がどっさりとざるに積みあがってる。
絵里の特訓ア〜ンド時間節約で一石二鳥ってね。
「絵里がいると料理するのが楽でよかね。」
「うへへ〜。料理のことなら任せなさ〜い。」
「作るとこは任せたくないけんね。」
「え〜、れいなひど〜い!」
「冗談やと。次はその野菜を煮込むっちゃ。」
絵里だって簡単なものならできますよ〜だ。
ハンバーグとか作るの得意だもん。
まぁ、滅多に作らないのも確かだけど。
朝とかはパンで、夕食は外食で済ましてるし、だって面倒くさいんだもん。
でも、たま〜に、それもみんなで作るとすごく楽しいよね。
- 754 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:04
- 料理ができたあと、れいなと話しながらさゆを待って、彼女が戻ってきたら
小春ちゃんも起こして、パーティーの始まり〜!
今までの特訓とか、その相手の人とどんな話しをしたとか、
けっこう知らなかったことを知ることができたり、色々と話して盛り上がった。
久しぶりに大声で笑ったり、いじられてちょっと膨れてみたり、
好き放題言い合って、それでも心を許せるって素晴らしいよね。
絵里達は仲間なんだって、改めて実感できるから。
こんな平和な日々が続いたらいいな〜。
次の任務が終わってからも、それからもずっと・・・。
- 755 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:05
- 料理を食べ終わったあとだった。
小春ちゃんはまだ眠いっていうから部屋に戻った。
それから、絵里がまったりと椅子に座ってだらけてたら、
さゆが近づいてきた。
「絵里。」
「な〜に、さゆ・・・。」
いきなりキスされた。
しかも、顔をがっしりと掴まれて・・・。
顔を離したあと、さゆは嬉しそうに微笑んだ。
元々キス魔だってのは知ってるけど、突然だったからビックリしたよ。
さゆは今度はれいなに向かって・・・あ、れいなに顔を押さえられた。
それでもさゆはキスしようとしてる。
- 756 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:06
- さゆ対れいな、さてどっちが勝つでしょうね〜。
完全に傍観者と化しちゃったり、ってあれ?
さゆが悲しそうな顔をしてれいなから手を離した。
あきらめたのかな?
れいなは気まずそうに腕を下ろす。
その瞬間、さゆがれいなを引き寄せて口付けた。
うん、さゆの方が一歩上手だったようだね〜。
っていうか、あの子があきらめるわけないじゃん。
やけに長い、っていうかあの子舌まで入れて、しかも糸が引いてるし・・・
いや〜ん、絵里はこれ以上見ていられません!
と、言いつつしっかり見てたりして。
- 757 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:07
- れいなはさゆを引き離して、ズザーッと滑るように後ろに離れた。
「さ、さゆ!何すると!」
「フフン、二人ともご馳走様なの。」
「さゆ!」
「これはさゆみからのお守りなの。二人とも、絶対に生きて帰るの。」
一瞬にして雰囲気を変えてそう言ったさゆ。
さゆって卑怯だよね。
そんなこと言われたら、絵里もれいなも文句が言えないじゃん。
- 758 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:08
-
「そんなの、当然やと。みんなで帰ってくると。」
「そうだよ。絵里達で平和にするって言ったじゃん。」
「うん。さてと、あとは小春ちゃんにもキスしてこよ〜っと。」
小春ちゃんって、今寝てるじゃん・・・。
かといって、絵里達にこの子を止めることなんてできない。
まぁ、別にいいよね。
今日一日くらい、悪ふざけが過ぎてもいいじゃないって感じ。
「ねぇ、れいな。」
「なん?」
「絵里達もキスしよっか?」
「せん!」
れいなは足早に自分の部屋に入っていった。
フフフッ、照れちゃって可愛い〜♪
- 759 名前:平和な一日 投稿日:2007/02/20(火) 00:09
- さゆも、れいなも、小春ちゃんも、絵里が守りたいな。
みんなで助け合って生きていきたい。
ハッピーな毎日を暮らしたいもんね。
後藤さんのことは、絵里が倒す・・・。
あの人達にも、それぞれの思惑があるのかもしれない。
それを間違ってるって、それじゃいけないんだって伝えるんだ。
この思いは、何があろうと絶対に届けるよ。
今度は絵里が、後藤さんを救うんだ。
- 760 名前:次回予告 投稿日:2007/02/20(火) 00:11
- 後藤真希との決戦の日となった。
絵里達の決意は変わらず、モーニング全員で乗り込んだ。
そこでは、数々の死闘が待ち受けていた。
「また、会いたいと思ってたぜ。」
「さゆみは、これ以上大切な人を失いたくないの。」
「あの人が・・・泣いてる。」
「そんな信条には、絶対に負けるわけにはいかないわな。」
「嫌だよ・・・美貴、戦いたくないよ!」
「私のこと、信じられないの?」
「れいな達は、強い絆で結ばれてるんやって思えると。」
「モーニングの名にかけて、この亀井絵里があなたを倒します!」
最終決戦の幕開け。
各メンバーの決死の戦い。
モーニングに未来はあるのか?
熾烈な激闘の末に残る結末は?
果たして、絵里はこの戦いを終わらせることができるのだろうか・・・。
- 761 名前:ais 投稿日:2007/02/20(火) 00:12
- 更新しました〜。
ようやくクライマックスまでたどり着いたw
- 762 名前:ais 投稿日:2007/02/20(火) 00:15
- >>たまさん
ごっちんは何を考えてるんでしょうね〜(謎)
絵里の強さもまた謎で(ry
最後までお付き合いよろです!
>>橘さん
自分もモーニングを信じます!
まぁ、満足いただけるようなラストにしようかと思います。
sageについては自分は平気ですけど他の方ではお気をつけて。
>>名無飼育さん
いよいよ終盤に入りましたよ。
どんな結末になるかは神のみぞ知るw
- 763 名前:たま 投稿日:2007/02/20(火) 04:13
- 愛ちゃんと垣さんの友情に感動しました!
いよいよ最終決戦…
- 764 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:18
- いよいよこの日がきた。
後藤さん達と戦う、決戦の日が・・・。
靴紐をきつく結んで、肩を軽く回す。
不思議と緊張感はあまりない。
体が軽いし頭の中が冴えている。
「絵里、いくと。」
「うん。」
玄関の前で待つれいな達のところに、絵里は足を踏み出した。
組織に着いて、いつも通りの部屋に入る。
- 765 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:19
- 時間は十分前、少し先では愛ちゃんと藤本さんが何か話してる。
笑いながら、時には真剣な顔をして。
でも、やる気だけは離れてる絵里達にまで届くくらい、十分に満ちている。
時間になって、吉澤さんとガキさんが入ってきた。
「よし、全員集合。」
「は〜い。」
絵里達は吉澤さん達の近くまで移動する。
愛ちゃん達もすぐに寄ってきた。
「今回の任務はSSSランク、過去最大の究極の任務だ。きっぱり言って、
めちゃくちゃやばい。みんなも知っている通り、相手はあの後藤真希率いる
元メンバー達だ。覚悟はいいか?」
「覚悟なんて、とっくにできてるに決まってんじゃん。」
「そうですよ〜。絵里達は、後藤さん達と戦います。」
絵里の言葉に、みんな頷いてくれた。
- 766 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:20
- 吉澤さんは渋くせきをして、絵里達を見渡す。
「わかった。では、これから移動する前に、いくつか忠告しておく。
私達が特訓をしている間に、ハローの軍隊が動いたようだ。」
「えっ?」
「結果は・・・惨敗だ。100人以上が動いたにも関わらず、一人でも捕らえたり
殺せるどころか、組織にすら辿りつくこともできなかったらしい。」
「一体、どんなところやと?」
「話しでは、その組織に付いている兵器に殺されたらしい。きっと、
紺野が作ったものだろう。もしそれが私達にも向くようなら、
中に入ることさえ厳しい。気をつけろよ。この任務は、組織に
入る前から始まるんだってことを。」
軍隊が全滅・・・そんなにやばいとこなんですか?
紺ちゃんの知能なら、できるのかもしれないね。
あんなにおっとりとして、幸せそうな笑顔を持つ紺ちゃんが・・・。
- 767 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:22
-
「あと、さっきも言ったように、私達が戦うのは元モーニングのメンバーだ。
それも、紺野の作った薬だか何だか知らないけど、それによって特殊な力を
生み出している者もいるだろう。そこのとこ、十分に気をつけるようにな。
それと、同情だけは絶対にするな。特に、年下メンバー達。」
「は、はい。」
「相手は本気で殺すつもりで迎え撃ってくる。こっちもそれ相当な覚悟でやらないと、死ぬぞ。
それだけは覚えておくように。それから・・・。」
吉澤さんの話しに耳を傾けながらも、絵里は別のことも考えていた。
やっぱり、戦うしかないんだよね。
それしか道はないんだよね。
でも、甘えは許されないんだ。
誰一人、仲間を失いたくないから。
- 768 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:23
- 飛行機で二時間、そこからできるだけ近くまで車で移動した。
町からはけっこう離れている山の中に、その組織はあった。
遠くの方に僅かに見えるいくつかの建物、あそこに後藤さんがいるんですね。
ここからは足で近づくことになる。
「さてと、いつも通りにいきますか!」
「ここまできたら、勝つしかないやね。」
「殲滅するよ。この国を守るんでしょ。」
「大丈夫、いけます!」
「絶対に負けられない戦いがあるっちゃ!」
「誰よりも可愛いさゆみが、あの人達に平和を教えてあげるの。」
「ミラクルビーム!」
「小春ちゃん、意味わかんないから。」
小春ちゃんにガキさんが突っ込みを入れる。
その場の全員に笑いが零れる。
- 769 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:24
-
「よ〜し、それじゃいくぞ。」
吉澤さんがみんなの前に手を差し出した。
絵里達もその上に重ねていく。
「リーダーとして命令だ。いいな、誰も死ぬんじゃねぇぞ!がんばっていきまっ!」
「「「しょーい!!!」」」
この掛け声、好きだな〜。
またみんなとやるためにも、誰も死んだらだめだからね。
- 770 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:25
- 絵里達は、木々に隠れながら少しづつ前進していく。
まだ向こうからは死角になってて気付かれないはず。
ゆっくりと、慎重にいけば紺ちゃんにだってバレないはず。
なのに、ひゅるるー、って音が僅かに聞こえてきた。
同時に感じる寒気、これは・・・。
「全員散るんだ!ここから離れろ!」
上空からいくつものミサイルが飛び出してきた。
絵里達は大きく跳んで離れる。
ドドドドドッッッ!!!
絵里達の近くでいくつもの爆発が鳴り響く。
- 771 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:25
- まだ気付けるはずないのに、どうして・・・まさか、衛星なんかを乗っ取ったとか?
もしくはセンサーとかで感知しているのかもしれない。
紺ちゃんなら十分にありえるね。
それを考えてる余裕なんてない。
できるだけ離れないと爆発に飲み込まれる。
さらには、弾丸やらレーザーやら、あらゆる兵器が絵里達を襲う。
一歩間違えば死んじゃいますって・・・。
すでに山が半分くらい吹き飛んでる。
これなら軍隊でも容易く潰せるわけだね。
絵里の近くにはれいなだけ、他のみんなは無事かな・・・?
- 772 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:26
- いや、心配する必要なんてないはず。
みんなで生きて帰るって約束したんだから!
「絵里!一端別れよう!一緒にいたら標的にされると!れいなは右に行くけん、
左から行って!」
「うん!任せて!」
「絵里・・・またね。」
「もちろんだよ。れいな・・・。」
一度だけ近くまで寄って、手を握り合って、絵里達は離れた。
れいなの手、暖かかったな・・・。
爆発の渦が広まってて、もうれいなの姿も見えない。
またあとで会おうね。
絵里は手の平をぎゅっと握り締めて走り出した。
温もりの残っている手に、未来を携えて・・・。
- 773 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:27
- ある部屋の一室で、紺野あさ美は壁一面を陣取っている液晶画面を見ていた。
画面はいくつかの区に別れていて、そこにはモーニングのメンバー達が写っている。
あさ美がじっとその様子を見ていると、部屋の自動ドアが開いて後藤真希が入ってきた。
「紺野、状況は?」
「はい、モーニングを分散させることに成功しました。ここまでは計画通りです。」
「そっか。んじゃ、あたし達も準備しないとね。みんなにも伝えておいて。」
「はい・・・後藤さん、本当によろしいのでしょうか?」
「何を今更、迷う必要なんてあるの?あたしには戦うしかないんだよ。
それはモーニングの誰もがわかってる。例えあたし一人であろうと、
最後まで戦い続けるよ。紺野、無理はしなくていいよ。君はまだ、
戻れるんだ。」
「いえ、そういうわけではないんです。失礼しました。」
「ねぇ、紺野。」
「はい?どうかしました・・・?」
真希はあさ美の体に抱きついた。
あさ美は横目に真希の顔を見ながら、背中に手を回した。
- 774 名前:究極の任務 投稿日:2007/02/24(土) 02:30
-
「もしさ、全てが終わって、あたしが一人になった時にも、傍にいてくれる?」
「・・・後藤さんは一人にはなりませんよ。」
「ん?」
「私が傍にいますよ。例え、誰もが私達を憎む世界が訪れようと、
私はあなたの傍にいます。それが私の選んだ道ですから。いつでも、
後藤さんの力になりますよ。」
「・・・ありがとう。」
真希は、あさ美を抱きしめる力を少しだけ強めて、人の温もりを覚える。
頬と頬を寄せて、お互いの意思を認め合う。
そして、ゆっくりと彼女を放して後ろを向いた。
「それじゃ、あたしはいくよ。紺野、気をつけてね。」
「はい。後藤さんも、どうかご無事で。」
真希はぐっと親指を立てて見せると、部屋を出て行った。
他に誰もいなくなった部屋で、あさ美のため息が一つ聞こえた。
だが、すぐに気を引き締めて液晶画面の下についているキーボードを叩き始めた。
- 775 名前:ais 投稿日:2007/02/24(土) 02:31
- 更新しました〜。
仕事が忙しくってなかなか更新できず申し訳(ry
- 776 名前:ais 投稿日:2007/02/24(土) 02:32
- >>たまさん
五期、特に愛ガキの結束はたぶん娘一かとw
最終決戦始まりです〜♪
- 777 名前:たま 投稿日:2007/02/24(土) 08:32
- おぉ…とうとう始まりましたね。モーニングのみんながまた全員揃って会える事を信じてます♪
- 778 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:22
-
ひとみ視点
ミサイルとかレーザーを回避しながら、ようやく組織まで辿りつくことができた。
さすがにここまで近づけば、うかつに私達を狙えないだろ。
私の目線には豪勢な扉。
ここが正門ってとこかな。
他のみんなは、無事なのか・・・?
無線は電波の障害で全く使えない。
これも紺野の仕業だろうな。
まぁ、そんな簡単に死ぬような、やわな特訓はしてないさ。
きっとどこからか攻めて来るだろ。
私は私でいけるとこまで・・・!?
ふいに後ろの方に気配を感じた。
私は集中して降りかかってくる殺気を掴む。
- 779 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:23
- 数は・・・二人か。
いや、一人が高速スピードで駆け離れていく。
ちょっと前にある草むらから・・・きやがった!
いきなり二本のナイフが飛んできた。
私はそれを冷静に避けると、草むらに走り出す。
その直後に、すぐ目前に迫ってくる一筋の光。
ガキィッ!
私はそれを手甲で受け止めた。
- 780 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:24
- それを放った者は、小さく笑みを浮かべる。
「ずいぶんな挨拶だな。高橋、それにミキティ。」
「アハ、ほ〜ら、やっぱりよしざーさんやけ。」
「はいはい、わかったから。」
目の前ではしゃぐ高橋、それに草むらからミキティが出てきた。
正直なところ、この二人の実力はよく知ってるから、ここまで着くのに
あんまり心配してなかったけど、見たところは無傷で安心した。
「ったく、敵陣に入る前に殺す気かよ?」
「この程度で死ぬようなら、中に入ってもすぐ殺されるだけでしょ。」
「そういうことです。よしざーさん達なら避けれるってわかってたしね。
ところで、他のみんなは?」
「・・・さぁな。どこかで無事に生きてるとは思うけど、場所まではわからん。」
「そっか。なら、美貴達がすべきことは決まってるよね。」
私達は正門の方を向いた。
ここから一気に中央突破だ。
- 781 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:25
-
「いくぜっ!」
「「おーっ!!」」
ゴスンッ!
扉を殴り飛ばして入っていく。
中から数人の兵士が銃を撃ってきた。
実力はプロ並、でも相手が悪すぎだよ。
私達は武器で弾を弾きながら突き進み、私の拳が兵士の体を吹き飛ばし、
高橋のサファイアとミキティのヘケートが、兵士を切り倒す。
私達が後輩達にできること、それは待ってることじゃなくて、
できる限りの敵を倒しておくことだ。
この三人が揃えば、大抵の任務はクリアできるんだ。
それは、ごっちんも紺野もわかってるはず。
何か考えでもあるのか・・・?
- 782 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:26
- 奥の方からも出てくるけど、結果はどうやっても同じこと。
私達は兵士を倒して先に進んでいく。
階段を上って走っている途中、三方向に別れる道に着いた。
前には階段、この組織を見る限りでは、この階段を上った先が最後、
つまりは後藤真希がいるはず。
でも、高橋は左、ミキティは右を向いた。
あとから挟まれると面倒になる。
だから、それぞれのルートを選択したんだ。
「二人とも、死ぬなよ。」
「よっちゃん、誰に向かって言ってるの?」
「よしざーさんも気をつけて。またあとで会いましょう!」
二人と拳をコツンとぶつけ合って、私は前を向いて駆け出した。
あいつらなら大丈夫だ。
信じてるよ・・・私は、私の敵を倒す!
- 783 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:26
- 階段を上った先を進むと、大きな部屋に出た。
そして、その中に佇む一人の女性。
誰もが見惚れる美しいスタイル、その体に似合わない右手に持つ巨大な剣。
凛とした姿勢から、真っ直ぐな視線が私を向いた。
「やっぱり、一般兵じゃ時間稼ぎにもならなかったか。一番乗りはよっすぃか〜。
まぁ、なんとなく予想はしてたけどね。」
「ごっちん・・・また、会いたいと思ってたぜ。」
「話すことなんてないよ。あたしは、よっすぃを殺す。それだけだよ。」
「そっか・・・なら、私もあんたをぶっ倒すだけだ!」
私は猛スピードで飛び出した。
ごっちんも剣を構えて突っ込んでくる。
私達が衝突した瞬間、部屋に衝撃が走った。
- 784 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:27
-
愛視点
よしざーさん達と別れて真っ直ぐに通路を駆け抜ける。
何度か兵士と遭遇したけど、すぐさま切り倒してさらに走り続ける。
奥の方に一つの扉、入ろうとする刹那、感じたことのある殺気を覚えた。
これは・・・あたしに向けられてるんやね。
あまりに強すぎて、反対に笑っちゃうくらい、凄まじい殺気やよ。
まさか、あなたが後藤さんについてるなんてね・・・。
あたしは扉を静かに開ける。
「きたんだべか。」
「お久しぶりやね。安倍さん。」
あたしの視線の先には、年上ながらに可愛らしい童顔な女性、
元モーニングの安倍なつみさんが立っていた。
- 785 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:28
- 後藤さんが入るまでのエースだった人で、実力は当然すごい。
にっこりとした笑み、それでもどこか怖い雰囲気を持ってる。
っていうか、たぶんあたしに対してだけなんやろね。
「高橋が相手か。ちょうどいいべ。ここで最強を決めておくべさ。」
「後藤さんは入れんのですか?」
「あの子は別の機会に倒してやるべさ。今は先にあんたを殺す。」
「ずいぶんと憎まれてますね〜。あたし、何かしたっけ?」
「その態度が気に食わないんだべさ。」
やれやれ、どう言っても文句を言うくせに。
のんちゃんを溺愛してたのに、あたしには何もしてくれんかったわな。
後藤さんが抜けた時から目の敵にされてたもんやが。
- 786 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:28
- この人の場合、実力に文句ないけど性格に問題あるんやけ。
まぁ、それもあたしにのみね。
とりあえず、口で言っても仕方ないから、やることだけやっとくか〜。
あたしはサファイアを安倍さんに向ける。
「モーニングの戦士として、この高橋愛があなたを倒す。」
「相変わらず生意気だべさ。やれるもんならやってみなっての!」
安倍さんがフェンシングのような剣、"フランツ"を構えて向かってくる。
あなたのプライドをへし折ること、それがあたしの務めやろ。
今回だけは、本気でお相手しますよ!
- 787 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:29
-
美貴視点
「どりゃぁっ!!」
美貴の一振りで、兵士を三人一気に斬り殺す。
邪魔するものは容赦なくぶっ叩くのみ!
美貴は、絶対に死ねないんだ。
あの子を守るためにも、絶対に・・・。
しばらく走ると扉が見えてきた。
あそこに、誰かがいる気配を感じる。
「・・・妙だな。」
誰に言うでもなく呟いた。
- 788 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:30
- 美貴を殺すつもりなら、ほんの僅かな殺気でも感じるはず。
それが全く伝わってこない。
一体、誰だ・・・?
いや、誰であろうと関係ない。
ドゴッ!
扉を蹴り飛ばして部屋に入った。
この勢いのまま敵を倒そうと思ってた。
なのに、何で、君がここにいるの・・・?
「亜弥、ちゃん・・・?」
「美貴たん・・・。」
美貴の目の前にいるのは、紛れもなく美貴の好きな人、松浦亜弥ちゃんだった。
- 789 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:31
- 立体映像や、コンコンの仮想空間でも感じられない、この空気は本物だ。
美貴がフッた日からいなくなって、ずっと探してた彼女が、どうして・・・。
「亜弥ちゃん・・・何で、君がここにいるの?まさか、後藤真希に
人質にとられたとか?なら、大丈夫だよ。美貴が連れて帰るから・・・。」
「違うよ。私は自らの意思でここにきたの。誰も守ってくれない世界。
だったら、私は私の力で未来を作るしかないの!美貴たんが、
傍にいてくれないなら・・・こんなに悲しい気持ちになるくらいなら、
あなたのことを必要としたくないの。美貴たん、お願いだから・・・
ここで死んで。」
亜弥ちゃんは、鎖のついた巨大な鉄球を持ち上げた。
嘘でしょ・・・あんなの持てるなんて、美貴くらい力がないと無理だ。
しかも、それをすごい勢いで美貴に投げつけてくる。
- 790 名前:開戦 投稿日:2007/02/24(土) 20:31
- 当たる直前で、美貴は横に跳んで避けた。
まさか、ただの紙でできた球だとか・・・。
ドガシャッ!
そういうわけではなさそう・・・。
後ろの壁が粉々に砕け散った。
あんなの食らったらペチャンコだよ。
亜弥ちゃんは鎖を引き寄せて自分の元に鉄球を戻した。
「さよなら。私の好きな美貴たん・・・。」
亜弥ちゃんの目から涙が零れる。
本当は泣かせるつもりなんかなかったのにね・・・。
どうすればいいのかわかんないけど、美貴の気持ちだけは伝えるよ。
亜弥ちゃん、待っててね!
- 791 名前:ais 投稿日:2007/02/24(土) 20:32
- 続けていきます
- 792 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:33
-
里沙視点
ミサイルから逃れた私は、一通り建物の周りを回ってみた。
ここはいくつかのブロックに別れてて、離れた場所にも塔らしきものがある。
まぁ、メインはここなんだろうけどね。
ざっと見た感じだと三階建てってとこかな。
あさ美ちゃんならどこにいるかを考えてみる。
あさ美ちゃんは天才だから、どこでどうすればいいのか、無限に道を構築できる。
でもね、彼女が天才であるからこそ、こっちとしてはわかりやすい。
なぜなら、最も効率的で安全なルートを確保するからだ。
ならば、三階の中心部にメインコンピューターなどを確保するだろう。
「よっと!」
私は三階の一部に付けられている、窓の傍の壁に糸を伸ばして貼り付けた。
そして、その上を辿って上っていく。
- 793 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:35
- 予想通り、窓は強化ガラスで簡単には割れそうにもない。
でも、そこは特別問題はない。
私の付けている手袋の指先には、超合金でも溶かせる、超高熱を
発する装置が設置されているんだ。
普段はこれで糸を切り離したりしてるの。
指で窓枠をなぞって、ハイ取れた。
音を立てないようにそっと忍び込む。
中には誰もいない。
下の方で騒ぎがあったようだから、きっとそっちの方に向かってるんだろう。
今はその人が無事であることを祈って、私は私の仕事をするまでだ。
私の仕事は、あさ美ちゃんの動きを止める、つまりはメインコンピューターを
破壊することだ。
彼女さえ止めてしまえば、こちらの状況が漏れることもないし、
次の動きも先読みできる。
逆に誰がどこで何をしているか、色々と掴めるかもしれない。
- 794 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:36
- 先の方へと走っていくと、中心部じゃないけど怪しい部屋を見つけた。
これ以上、自由にはさせないよ!
私はロックされた扉を破壊して、中に飛び込んだ。
「・・・誰もいない。」
でも、そこに彼女はいなかった。
特にそれらしき機械も見当たらない。
ここじゃ、ないってこと・・・?
その代わり、壁いっぱいに広がっているスクリーンに、
よく見覚えのあるメンバーを見つけた。
- 795 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:36
-
「これは・・・田中っち!」
田中っちが、変なロボットと戦ってる。
その先に、ほんの僅かに写ったのは、私の捜し求めている人物、
紺野あさ美だった。
私はすぐに部屋を飛び出した。
彼女なら一体どこに設置する?
もし、メインコンピューターを置くとしたら・・・。
「全くもう・・・田中っち、無事でいてね。」
私は急いで駆け出した。
あさ美ちゃんの居場所、なんとしてでも見つけ出してやる!
- 796 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:37
-
絵里視点
絵里が着いた場所は、小さな施設だった。
さっきから、誰かが絵里を付けてきているのは感じていた。
それも、一人じゃなくて数人の気配。
たぶん、この先は何もなくて行き止まりなんだろうね。
そこで一気に叩こうとしてるんだ。
こっちから出向くか、いや罠の可能性もあるからそれも危険だね。
ならば、絵里のペースにもっていけばいいんだよね。
絵里は向きを変えて壁を向くと、"月華"で切り裂いてそこから飛び降りた。
さてと、どう動いてくるかな?
- 797 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:38
- 絵里が着地した時だった。
絵里の真上から降ってきた人が、剣を振りかぶってきた。
キンッ!
その人の剣をトルテュで弾く。
人、っていうか、子供・・・?
たぶん、小春ちゃんと同じくらいの年齢の子供だった。
ハローにいた・・・ううん、見たことないよ。
なら、エッグから引き寄せたってことかな・・・?
今の動きはただものじゃないもん。
エッグにいた時の絵里と、同等かそれ以上・・・!?
ダダダダッ!
横からマシンガンを撃ってきた、のもまた子供。
絵里は横に跳んでそれを避ける。
- 798 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:39
- その直後に・・・絵里の目の先に飛び込んできたもの。
今度はバズーカですか!?
ドゴーンッ!
首をクネらせて避けると、後ろの方で爆発が聞こえた。
着地する間もなく、いくつものナイフがついたチェーンが絵里に迫ってくる。
絵里はそれを大きく弾いて着地した。
さて、よく周りを見てみると、四人の子供に囲まれてる。
それも、かなり武器の扱いに慣れているみたい。
やれやれ、どうしたものですかね〜?
「モーニングの亀井絵里さんですね?」
「そうだけど、君達は?」
「私達はベリーズ。後藤さんに認められた者です。」
「後藤さんが・・・。」
それを聞いて、絵里の頭に怒りが込み上げてきた。
- 799 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:39
- いくら後藤さんでも許せることと許せないことがあるよ。
こんな子供達まで巻き込むなんて・・・何を考えてるんですか?
「あなたに恨みはありませんが、ここで死んでもらいます。
友理奈と茉麻は右、私と千奈美は左から攻めるよ。」
「了解!」
「おっけ〜だよ。佐紀。」
「任せて!」
素早い動きで両側に別れる。
なるほど、普通の兵士よりもはるかにいい動きしてるよ。
ならば、絵里も真面目にお相手しよっかな!
- 800 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:40
-
れいな視点
いくつもの爆弾から逃れて、ようやく組織に着いた。
のはいいんやけど、れいなが着いたところには入り口が見当たらない。
ここが本拠ってわけやなさそうなのに、誰かがいる気がする。
この中に、れいなの知っとる誰かが・・・。
入り口がないんなら作ればよかね。
れいなは壁に向けてリジィエを構える。
「"咆哮"!」
ドゴンッ!
よっし、壁が空いた空いた〜。
- 801 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:41
- これで中に入れる・・・って、うぇぇっ!
入った瞬間穴って、ここは一体何やと!?
壁にリジィエを突き刺して、なんとか落ちるのを逃れる。
上に上がろうと思えば上がれる。
でも、下から変な音が聞こえてくる。
何か、機械が動いているような、そんな感じの音。
みんなに危険が及ばないように、調べてみる価値はあるっちゃね。
れいなはリジィエを滑らせて下の方に降りていく。
途中で飛び降りて地面に着地した。
なるほど、今のは単なる穴やなくて、リフトが下りてただけやったんだ。
- 802 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:42
- それにしても、薄暗くて広い部屋・・・でも、よく見える。
れいな達の探していたあの人の姿が・・・。
「リフトが降りてるのに、ムチャするのね。それに、できれば扉から
入ってほしかったな。隠し扉だから、わかりにくかったかもしれないけどね。」
「ここにいたんやね。ポンちゃん・・・。」
れいなの少し先では、パソコンをいじっている紺野あさ美さんがいた。
れいなは、ちょっとした聞き取りミスからポンちゃんって呼んでる。
ポンちゃんは、パソコンから目を離して一歩れいなに近寄った。
「まさか、あなたが最初にここまでくるなんてね。れいな。」
「最初で最後っちゃ。ポンちゃん、ここまでやと。」
れいなはリジィエをポンちゃんに向ける。
でも、ポンちゃんは気にせずもう一歩踏み出した。
- 803 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:43
-
「あなた達の目的は何?」
「決まっとると。ポンちゃん達を止めにきたっちゃ。」
「どうして?」
「それは、この世界の脅威になるけん・・・。」
「脅威と思えるのはなぜ?なら、ハローの意思が全てなの?
国民の意見も取り入れないで?」
「そ、それは・・・。」
「私達を脅威と思うのは、私達の力を恐れているから。それは当然、
この世界を壊そうと思えば壊せるよ。でも、私達の目的は別のとこにある。
その目的こそ・・・。」
「ポンちゃん、ストップ!」
れいなは手の平を前に出して止めた。
これ以上言い合ってたら、本当に流されそうやと。
考えてみたら、ポンちゃんに口で敵うわけがなかね。
- 804 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:44
- れいなはれいなの信じた道を貫く。
「れいなは、大切な人達を守るために戦っとる。その人達を傷つけるっていうなら、
例えポンちゃんでもれいなは許さんと!」
「傷つけるつもりはないよ。でも・・・これ以上あなたと話しても、
先に進みそうにないよね。」
ポンちゃんは、れいなが好きだった幸せそうな笑顔を見せて、
左腕についている機械のボタンを押した。
その直後に、一体のロボットが上から落ちてきた。
「れいな、一度だけ聞いてみるよ。ここから引く気はない?」
「あるわけなかよ。」
「だよね。でも、私は昔の仲間と戦いたくないの。だから、
私の造り上げた人型兵器、"マルシェ"が代わりに戦うわ。」
「ポンちゃん・・・。」
「一つだけ言っておくけど、前に戦ったことのあるはたけさんの兵器、
あの時はナイトだったかな。あんなものと一緒にしないでよ。私は
あくまで情報を提供しただけで、造ったのは私じゃないからね。
マルシェの完成度が100%だとしたら、ナイトの強さは10%にも満たないよ。」
やっぱり、はたけの組織でれいな達の邪魔したのは、ポンちゃんやったんやね。
れいなは改めてマルシェを見つめる。
- 805 名前:止めてみせる! 投稿日:2007/02/24(土) 20:44
- 体の形はシンプルに人と同じ形をしている。
右手にはビーム砲、左手には三本の剣のような爪。
他にももしかしたら武器を隠してるかもしれんね。
ナイトの時も本気、ってほどやないけど思いっきりやった。
その十倍以上の強さ、か・・・さすがはポンちゃんやね。
けど、れいなやってあの時よりも強くなってる。
愛ちゃんや藤本さんにたくさん鍛えてもらったと。
槍を大きく振り回して構える。
絶対にれいなが勝って、ポンちゃんを止めてみせる!
- 806 名前:ais 投稿日:2007/02/24(土) 20:45
- 更新しました〜。
- 807 名前:ais 投稿日:2007/02/24(土) 20:47
- >>たまさん
スリーセブン取られたw
そうですね〜いよいよ激闘が始まります!
どうなるかは・・・どうにかなりますかね(マテ
- 808 名前:たま 投稿日:2007/02/25(日) 01:53
- スリーセブンとった☆笑
愛ちゃんを憎んでたのはやはり安倍さんでしたか(笑)
それぞれが闘う相手の行方が気になります!
- 809 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:45
-
さゆみ視点
さゆみは本館と隣接してるある塔にきたの。
大して大きくないとこだったから、制圧は余裕で完了した。
でも、ここじゃないんだよね。
何にもなかったし、何かあるとしたら本館の方。
みんな無事だよね・・・。
もう、さゆみらしくないの。
絵里もれいなもみんな無事に決まってるの。
- 810 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:46
- 小春ちゃん、大丈夫かな〜?
あの子はさゆみよりもしっかりしてるし、覚えるのも早いし、頑張り屋さんだし、
いつかはさゆみからも離れていくんだろうけど、やっぱり心配なの。
後輩の成長って、嬉しいけど寂しいものなのね。
「小春ちゃん・・・がんばってね。」
組織を出るときに、つい口に出してしまったの。
終わって帰ったらぎゅーっと抱きしめるの。
よし、早く任務を終わらせよ〜っと。
- 811 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:46
- 塔から出る時に、上から強い殺気を感じた。
集中して耳を済ませると、微かにリボルバーを鳴らす音が聞こえた。
さゆみは前に飛び出して、弾が放たれるより先にそこから離れる。
ドドーンッ!
さゆみのいた場所に、二本の炎の渦が巻き起こった。
さゆみのボムショットより、はるかに強い炎。
嫌な予感・・・上を向いて、銃を撃ったその人の姿をじっと見つめる。
「石川、さん・・・。」
「さゆ・・・ここで死んでもらうわよ。」
絵里とれいなから聞いた時には、嘘だって思いたかった。
さゆみが尊敬していた石川さん、その人がさゆみを襲ってくるなんて・・・。
- 812 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:47
- どうして・・・ぎりっと口唇を噛み締めて、石川さんを睨んだ。
「石川さん!あなたがさゆみ達と戦う理由は何ですか!?あんなにさゆみ達を
可愛がってくれたあなたが、どうしてこんなことを・・・。」
「話す必要はないわ。私は、さゆを殺す。」
上から飛び降り様に二丁の銃を向けてくる。
赤く光っている銃、その輝きが一段と大きくなる。
あれは・・・炎!?
ドドドドドッ!!!
乱射される炎の銃弾。
地面がいくつもの炎の弾によって燃え上がる。
- 813 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:48
- ・・・やるしかないの。
もうあの頃の石川さんでないのなら、さゆみがあなたを倒すの。
降りてきたと同時に銃を向ける。
人は着地した瞬間、次の動作に移るまでに足に溜める時間を必要とする。
その瞬間を狙えば・・・。
ドドドドドドッ!!!
六連続早撃ち、リューに入ってる全ての弾を石川さんに放った。
例え弾かれようと、一発でも当たれば断然こっちが有利になる。
- 814 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:49
- だけど、さゆみの考えは甘かった。
石川さんは、銃で弾こうともせずに、弾がくるのを待っている。
弾が当たると思った瞬間、全ての弾が石川さんを逸れて避けていった。
一体、どういうことなの・・・?
弾が弾かれたわけでも、外したわけでもない。
軌道が曲がって外れたの。
考える間もなく、また炎の弾が襲ってくる。
しかも、さっきよりも大きいし速い。
- 815 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:49
- さゆみは慌ててリューで弾いた。
ボンッ!
「うぁぁっ!」
「さゆ、残念だけどあなたの弾は当たらないし、私の弾を弾くこともできないわよ。」
熱い・・・なんとか炎に包まれることは逃れたけど、腕が少し焼かれちゃった・・・。
リューでなかったら全身が焼き尽くされてた。
石川さんの体はすでに炎に包まれている。
いや、炎を身につけてるって方が正しいの。
これが、石川さんの特殊な能力なのね・・・。
- 816 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:50
-
「石川さん、そんな力を使ってさゆみに勝って、満足ですか?」
「私の力には変わりないわよ。この力があれば、どんな相手にだって負けない。」
「・・・そうですか。なら、さゆみが打ち砕いてみせますよ。
さゆみの力で、石川さんを倒します!」
「いいわよ。かかってきなさい!」
さゆみは素早くリューに弾を詰め込んで走り出す。
必ず倒す手段はあるはず。
入った時には、可愛くて、綺麗で、見ている者まで見惚れさせるほど、
鮮やかな銃技を見せた石川さん。
さゆみのずっと憧れだった石川さん。
でも、今回だけは絶対に負けられない。
さゆみは、石川さんを超えてみせるの!
- 817 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:51
-
小春視点
よくわかんないとこに着いちゃった。
何本かある塔の一つに入って、兵隊さん達を倒したあと、特に何もなかったから
屋上にまで上ったの。
どこかで爆発のような音が聞こえる。
どこに誰がいるのかな?
ここからだったら見えるかなって思ったけど、広すぎてよく見えないな〜。
とりあえず、右の方の建物まで飛んでみよっかな?
- 818 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:51
- 小春が天使の羽を広げた時だった。
屋上の扉が開いて、誰かが猛スピードでこっちに向かってきた。
スパッ!
小春は飛んでその人の攻撃を避けた。
袖に僅かに切れたあとがある。
あと少し遅かったら斬られてたね。
小春は、上空から斬った人を見て、驚いた。
だって、小春と同じ年くらいの子がそこに立ってるんだもん。
さらに屋上に何人かの女の子達が出てきて、小春に銃を発砲する。
- 819 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:52
- やっぱりその子達も、同じ年か、明らかに小さい子もいる。
腕がいいし、全く躊躇がない。
もしかして、小春みたいに特殊訓練を受けた子なのかな?
本当にそうだとしたら、戦いたくないな・・・。
小春が屋上に降り立つと、七人の女の子達が武器を持って小春を囲んできた。
「モーニングの久住小春ね。」
「・・・あなた達は?」
「私達はキュート、あなたと同じ、幼い頃から兵士として育てられてきたのよ。」
「なのに、後藤さんに加担するの?」
「違うわ。私達は後藤さんに救われたの。あの人のおかげで、私達は
外に出ることができた。あの人の理想のためなら、私達は命だって
捨てる覚悟もできている。」
七人が一斉に小春に向かってくる。
- 820 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:52
- 全員が死を覚悟した目、たぶん説得しても無理だよね。
小春は全精神を両手の指に集中させる。
「バラライカ!」
「!?」
バババババッッッ!!!
まるでイカのように、十本の指を伸ばしてしなやかに緩ませ、
バラバラにして鞭みたいに辺り一面に振り回した。
一人、二人、三人とみんな弾き飛ばす。
七人目まで弾き飛ばして・・・って!?
屋上の外にまで弾き飛ばしちゃった。
- 821 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:54
- 小春はすぐに羽を広げて、その子を抱え込んだ。
その子を屋上まで運んで寝かせる。
「ど、どうして、助けたの・・・?どうせ、傷口からあなたの細胞が入れば、
私達は・・・。」
「大丈夫だよ。制御できるようになったから、今はみんな寝てるだけ。
あと数時間もすれば、何事もなかったように目を覚ますよ。」
「こ、殺さない、の・・・?」
「だって、死んでほしくないもん。小春と同じように、苦しい生活の
毎日だったんでしょ。だったら、命を粗末にしないで、もっとたくさんの
経験を積んだ方が、きっと楽しいよ。小春達は生きてるんだからさ、
今を一生懸命に生きようよ。ね?」
小春がそう言うと、その子は顔を下げて眠っちゃった。
わかって、くれたかな・・・?
- 822 名前:死んでほしくない 投稿日:2007/02/25(日) 22:54
- 小春にもわかんないことがある。
小春のように研究施設に送られた子達を、後藤さんが助け出したってことだよね。
後藤さんは、何を考えてるんだろう・・・?
後藤さんの理想の世界って一体何?
考えるくらいなら、本人に直接聞きに行った方が早いよね。
それじゃ、方向をあの大きな建物に向けて出発・・・!?
何だろ、この感情・・・?
「あの人が・・・泣いてる。」
何でかわかんないけど、あの人のことを感じ取れるようになってるみたい。
とにかく急がないと!
小春は羽を広げて飛び出した。
- 823 名前:ais 投稿日:2007/02/25(日) 22:55
- 更新しました〜。
- 824 名前:ais 投稿日:2007/02/25(日) 22:56
- >>たまさん
ある意味各メンバーの宿敵みたいなw
次回から本戦に入りたいと思います。
仕事がなければの話しですけど・・・
- 825 名前:たま 投稿日:2007/02/25(日) 23:11
- ℃-uteの子達までも…
後藤さんの理想は一体…
- 826 名前:橘 投稿日:2007/02/26(月) 22:11
- いやぁ〜後藤さんたちとのバトル始まりましたね!
そのメンバーよりもミキティが一番辛そうに感じました!!
作者さん全員が無事に戻ってくるのを信じていますよw
- 827 名前:以心伝心 投稿日:2007/02/28(水) 23:53
-
さゆみ視点
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
ボボボンッ!
石川さんの撃った弾を横っ飛びで避ける。
その直後に、後ろの壁が炎に包まれた。
石川さんの武器は、両手に持つ二丁の銃、"トロワ"と"コリン"。
元々は一丁しか使ってなかったけど、当時の教育係だった保田さんって人が
殉職してから、その人の武器を授かったって聞いたの。
- 828 名前:以心伝心 投稿日:2007/02/28(水) 23:53
- モーニングのみに与えられる特殊な金属、超合金でできた武器だからこそ、
あの炎にも耐えられるんだと思う。
ただでさえ二丁の銃を扱えるのに、このやっかいな能力までどう対応しよう・・・?
「このっ!」
反撃に撃つけど、弾は全て後ろに逸れてしまう。
当たらないのであれば、ボムショットですら逸れちゃうよ。
全く打つ手がない。
さゆみはさっきから逃げてばかりいる。
「さゆ、逃げてばかりじゃ私には勝てないわよ。」
「・・・。」
「それも仕方ないことよね。当てられないんだもんね。」
確かに当てられないと意味がない。
でも、何で当てられないのかはなんとなくわかった。
- 829 名前:以心伝心 投稿日:2007/02/28(水) 23:54
- 石川さんの周りには、超高温による炎が纏っているから、
それが大気を歪ませて弾が逸れちゃうんだ。
まずは、あれを何とかしないと・・・。
「さゆ、最後に聞いてあげるわ。ここから退いて。」
「えっ・・・?」
「私だって、可愛い後輩を殺したくないわよ。何事もなく平和な日常を
迎えるっていうなら、ごっちんにはあなたを殺したことにしてあげる。
どう?悪くない条件だと思うけど。」
「お断りします。」
「さゆ・・・?」
「さゆみが戦わないと、苦しんでる人を守ってあげられない。さゆみは、
これ以上大切な人を失いたくないの。」
「そう・・・わかったわ。なら、今すぐに殺してあげる。」
石川さんの二本の銃が火を吹いた。
瞬時に何十発もの弾を放つ。
弾を込める必要がないから、隙すら見当たらない。
- 830 名前:以心伝心 投稿日:2007/02/28(水) 23:55
- さゆみはなんとか避けていくけど、そのうちの一発が避けられそうにない。
リューじゃ弾ききれない。
なら、当たるより先に弾けばいい。
すでにボムショットは装弾してるから、これで・・・。
ボンッ!
「!?」
さゆみの弾が当たったのに、全く威力を衰えることなくこっちに向かってくる。
さゆみは素早くリューで防御した。
ドォォンッ!
「うぁぁぁぁっ!!!」
熱・・・炎が纏わりついて、熱いよ・・・。
体を地面に寝かせて火を消したけど、こんなのもう耐え切れない。
- 831 名前:以心伝心 投稿日:2007/02/28(水) 23:56
- 次に当たったら、本当にやばいかも・・・。
さゆみは建物の影に隠れて身を潜めた。
あの大気の壁を破らないと、話しにならないの。
大気を破る弾・・・・あっ、エアーショットなら当たるかもしれない。
もしくは、スパイラルショットで一気に・・・。
ドゴンッ!
「カハッ・・・。」
何・・・何が、起こったの・・・?
突然後ろの壁が突き破れて、何かに弾き飛ばされた。
- 832 名前:以心伝心 投稿日:2007/02/28(水) 23:57
- 今の衝撃で、肋骨が折れたかも・・・。
石川さん、じゃない。
他の誰か・・・・さゆみが倒れながら目を向けると、そこには前に会ったことのある破壊神、
飯田圭織が立っていた。
こんな不利な状況で、増援が現れるなんて・・・。
もう、まともには動けない。
さゆみ、こんなとこで死んじゃうの・・・?
こんなとこで、死ねないよ・・・。
さゆみにだって、やりたいことはまだまだたくさんあるんだから。
「あら、カオリンいたの?」
「いたのじゃないわよ。こっちで誰かが暴れてるっていうからきたんじゃない。」
「そう。でも、この子は私にやらせてもらうよ。私の手で殺すことが、
せめてもの情けよ。」
石川さんの銃がこっちを向いた。
- 833 名前:以心伝心 投稿日:2007/02/28(水) 23:57
- 次を避ければ、まだ反撃の手は・・・。
「バイバイ。さゆ。」
ドドンッ!
そ、そんな・・・。
石川さんの銃から放たれた弾は、ショットガンのような炎の弾だった。
辺り一面に放たれている。
もう、逃げ場はない・・・。
ドドドドドッ!!!
さゆみのいた場所が火の海になった。
- 834 名前:以心伝心 投稿日:2007/02/28(水) 23:58
- でも、さゆみはそれを見下ろす形になってる。
なぜなら、さゆみは空中に飛んでるから。
「道重さん、大丈夫ですか〜?」
「・・・ありがとう。小春ちゃん。」
さゆみを助けてくれたのは小春ちゃんだった。
天使の羽を靡かせて、ゆっくりと地上に降りた。
「小春ちゃん。どうして、さゆみの居場所がわかったの?」
「よくわかんない。でも、道重さんが泣いてたのがわかったんです。」
「さゆみ、泣いてないんですけど。」
「表に見せてないだけで、心が痛い痛いって、言ってるように感じたのかな?」
「・・・ありがと。もう大丈夫だよ。さゆみは戦えるよ。」
小春ちゃんに心配かけてたら、先輩として情けないもんね。
- 835 名前:以心伝心 投稿日:2007/02/28(水) 23:59
- もしかして、以前に小春ちゃんの血を飲んだ時に、小春ちゃんが自分の血、
さゆみの中に流れている小春ちゃんの血を、感じ取れるようになったのかもしれない。
以心伝心、さゆみ達って相性いいんだね。
「道重さん。小春は、少しは成長しましたか?」
「少しなんてものじゃないの。すっごく強くなったと思うよ。」
「なら、あっちの大きい人、小春に任せてもらっていいですか?」
小春ちゃんは自信満々の表情で飯田圭織を指差した。
前に戦った時は、さゆみ一人では倒せなかった。
それを、小春ちゃんに押し付けてもいいの・・・?
でも、この子ならやれそうな気がする。
そんな希望を分け与えてくれる、不思議な子・・・。
なんたって、ミラクルエースだもんね。
- 836 名前:以心伝心 投稿日:2007/03/01(木) 00:00
-
「お願いするね。さゆみも終わったらすぐに行くの。」
「はい!」
「ちょっと〜、さっきから何を話してんのよ?どうせあんた達は私達に・・・。」
「別にいいじゃん。べ〜だ!このデカロボ女!」
「何ですって!?」
小春ちゃんは近くの組織の中に入っていった。
飯田圭織は壁を砕いて小春ちゃんを追っていく。
これで、もう一度石川さんと戦えるの。
「石川さん、そういうことですから。」
「何がどういうことなの?」
「さゆみには時間がなくなりました。この勝負、すぐにでも終わらせてもらいます。」
「言うようになったわね。さゆ!」
さゆみは再び石川さんにリューを向ける。
こんなとこで終われないよね。
小春ちゃん、何が起ころうとさゆみは絶対に生き抜くから、
またあとで会おうね。
- 837 名前:ais 投稿日:2007/03/01(木) 00:00
- 更新しました〜
- 838 名前:ais 投稿日:2007/03/01(木) 00:02
- >>たまさん
まぁ色んなメンバーを出してみようかとw
ごっちんは何を考えてるんでしょうかね〜(謎)
>>橘さん
ミキサマ大変そうですね・・・(汗)
どのような結末になるかは自分がわかってるのかどうか(ry
- 839 名前:たま 投稿日:2007/03/01(木) 01:22
- 小春ちゃんがかおりんに投げ掛けた言葉につい笑いが(笑)
現実で小春ちゃんがそのセリフを言っていたらまさにミラクル(笑)
- 840 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:33
-
「はぁぁっ!!!」
石川さんが、空に向けて何発もの弾を放った。
その弾が方向を変えて、まるで流星のようにさゆみを襲う。
「そんなセリフは、私を倒せるだけの実力を身につけてからにしなさい!」
確かにね。
さゆみと石川さんは、一度も戦ったことないんだから。
それは、入った当時は実力がわかりきってたし、憧れをもってたから戦いたくなかったの。
だから、今この場で、あなたを倒します!
- 841 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:34
- さゆみはじっと弾の嵐を見つめる。
大丈夫、ここで三歩横にずれれば・・・。
ドドドドドッ!
さゆみの周りが火に包まれた。
さゆみには一発も当たってないけどね。
「あれを、見切ったっていうの・・・?」
「もう当たりませんよ。さゆみには、見えてますから。」
「そんなこと、あるわけない!」
今度はマシンガンのように炎の弾を乱射する。
周りは炎の海で逃げ場がない。
だから、さゆみはリューを地面に向けた。
ドゥゥゥゥゥッッッ!!!
さゆみはスパイラルショットを放った反動で空に高く飛び上がった。
- 842 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:35
- 今のうちに弾を装着。
石川さんの視線がこっちを向いた。
「どんなに見えてたって、空中じゃ避けられないでしょ!」
石川さんが、今度はショットガンを放った。
空中じゃ避けることなんてできないの。
でも、当たらなければいいだけの話し。
数十発ある中でも、さゆみに当たる弾はたったの二発だけ。
それだけに的を絞って、二発の弾を放った。
- 843 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:36
- さゆみが放った弾はボムショット、でも真正面から当てるようなことはしない。
威力ではあちらが上、だからほんの僅かに横にずらして、当ててあげるだけでいいの。
ボボンッ!
爆発の反動で方向が変わった弾は、さゆみのすぐ脇を通り過ぎた。
「外れた!?いや、外したの・・・?」
さゆみに何が起きたのかよくわかんないけど、さっきまでとは全然違う。
石川さんが炎を放つ瞬間が手に取るようにわかる。
先の先まで、大気の動きに注意して、それを感じるの。
目じゃなくて体で、さゆみの肌で感じとるの。
小春ちゃんを早く助けなきゃいけないんだから、急がないと。
- 844 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:37
- でも、焦ったり飲み込まれてるわけにもいかない。
石川さんの力をこの体で感じて・・・今は炎を充電してるみたい。
なら、今度はこっちの番なの。
「これで!」
「何をしようと、どんな弾だって当たらないわよ!」
もう避ける気すらないんですね。
それならそれで好都合、さゆみは三発の弾を放った。
ドンッ!ドンッ!ドンッ!ビビッ!
「くぅっ!」
一発は肩を、一発は足を切り付けた。
残りの一発は頭を狙ったんだけど、大気の歪みが読み切れなくて外れちゃった。
- 845 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:38
- ただ、これで無敵じゃないってこと、対応策があるってことだけはわかったの。
そして、大気の流れは掴めたよ。
さゆみが着地したあと、石川さんは顔を歪めてこっちを見た。
「さゆ、今の弾は・・・。」
「エアーショット。さゆみが造った特殊な弾で、大気をも切り裂く
空気のカッターです。これで、さゆみの勝ちですね。」
「まだ、終わってないわよ!」
石川さんの周りの炎が一段を燃え上がる。
あの状態で弾を撃ち出されたら、ここら辺一体全てが焼き尽くされるかも。
最後の勝負に出るんですね。
わかりました、さゆみもお付き合いしますよ。
さゆみはググッとリューを握り締める。
- 846 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:39
- さゆみのスパイラルショットであの炎に勝てる?
まず無理なの。
スパイラルショットを超える弾、ならば"あれ"しかないの。
さゆみはリューの引き金を引いた。
だけど、まだ発射はしていない。
リューは限界で三秒まで溜めることができるの。
溜めれば溜めるほど、超高速回転が巻き起こって威力は増大する。
さゆみの最大の力をぶつけてあげるの。
「うぁぁっ!」
ドゥゥゥッッッ!!!
石川さんの銃から放たれた炎、それは全てを跡形もなく燃やし尽くす
レーザーのようだった。
- 847 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:41
- こんなの当たったら一溜まりもない。
これが、さゆみの全力です!
「サイクロンショット!」
ドゥゥゥッッッ!!!
スパイラルショットの最大の力、サイクロンショット。
炎のレーザーと巨大な竜巻がぶつかり合う。
メキメキッ!
「くっ!もう少しだけがんばって、さゆみの体・・・。」
ただでさえスパイラルショットでもひどい反動がくるのに、それを超える力で
放つものだから、引き金を引いた右腕がまともに動かせなくなった。
- 848 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:43
- もしかしたら、折れてるかも・・・。
もう、痛みも感じないくらい体がマヒしてる。
でも、あと少し、左腕が使えれば勝てるの。
炎のレーザーとサイクロンショットはしばらく押し合ったあと、
爆発を起こして相殺した。
石川さんは呆然としてその状況を見てる。
「ま、まだよ。私の力はこんなものじゃ・・・。」
「ここなの!」
石川さんが銃を向けてきたと同時に、さゆみは弾を放った。
- 849 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:44
- さゆみが狙うのはただ一点のみ。
ドドゥゥゥゥッッッ!!!!
ダブルスパイラルショット、スパイラルショットの二連続発射。
さゆみの腕の筋肉が引き攣って、血が滲み出る。
もう、まともに弾も撃てなくなったの・・・。
それでも、これで勝負は終わったの。
さゆみの放った弾は、石川さんの二丁の銃の銃口にぶつかった。
「なっ・・・。」
ドゴゥゥゥッッッ!!!!!
最大限にまで炎が溜まったところに、そこに別の威力、それも空気の塊が
放り込まれたものだから、炎がさらに燃え上がり、さすがに超合金で造られた銃とはいえ、
耐え切れなくて巨大な爆発を起こした。
- 850 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:45
- 石川さんは両腕から血を撒き散らしながら吹き飛ばされていく。
石川さん、さよなら・・・。
「うがっ!ぁぁ・・・。」
倒れてもがいている石川さんの傍まで歩み寄る。
さゆみに気付いた石川さんは、小さく笑みを浮かべてさゆみを見上げた。
「私の、負けね・・・。殺しなさいよ・・・。」
「そうですか。それでは。」
「ま、待ちなさい!どうして、殺さないのよ!」
「そんな暇はありません。小春ちゃんが待ってるので。石川さんに
勝ったのでもういいです。」
「何、同情のつもり!?今殺さないと、また私はあなたに挑むわよ。」
「フフン、石川さんがさゆみに・・・いいじゃないですか。いつでもお相手しますよ。
でも、次に会う時は、殺し合いじゃないといいですね。」
さゆみの言いたいことはそれだけ。
どちらにせよ、銃も持てない石川さんは何もできない。
- 851 名前:次に会う時 投稿日:2007/03/03(土) 08:46
- さゆみ、石川さんに勝てたんだ・・・。
おっと、感慨ふけっている場合じゃないの。
早く、小春ちゃんのとこに行かないと!
さゆみは大きく息を吐き出して、走り始めた。
さゆみがいなくなったあと、石川さんは倒れながら涙を零した。
「本当はね、怖かったんだ・・・。さゆ達が入ってきて、ものすごい速さで
成長していくあなた達に抜かれるのが、必要とされなくなるのが怖かったの。
私は、モーニングを抜けて、逃げることしかできなかった・・・。」
石川さんは、震える両手で涙を押さえて、もう一度天を見つめた。
「今度、か・・・もし、そんな機会があったなら、次は私がチャレンジャーね・・・。
それまで、負けちゃだめよ。」
小さく口元を緩めて呟いた。
二度とそんなことが敵わないと知りつつも、口に出さずにはいられなかった。
- 852 名前:ais 投稿日:2007/03/03(土) 08:47
- さゆ編更新でした〜
- 853 名前:ais 投稿日:2007/03/03(土) 08:49
- >>たまさん
小春はカオリと初めて話す記念隊で膝の上に速攻で乗るくらい
ミラクルな子ですわw
あの子はやってくれますよ〜
- 854 名前:橘 投稿日:2007/03/03(土) 21:15
- さゆ頑張って石川さんに勝ちましたねぇ〜
小春ちゃんもミラクルパワーで勝てると信じています!!
- 855 名前:たま 投稿日:2007/03/03(土) 22:41
- さゆの強さが石川さんの心を変えましたね♪
- 856 名前:信頼してるから 投稿日:2007/03/04(日) 22:57
-
小春視点
壊れた壁の破片が飛んできた。
小春はそれを屈んで避ける。
ゴシャッ!
うひゃ〜、破片が粉々に飛び散っちゃってる。
何度攻撃しても効かないし、どうしたらいいのかな・・・?
「このぉっ!」
飯田さんがダンプのように突っ込んでくる。
こんなこと続けてても無駄だよね。
- 857 名前:信頼してるから 投稿日:2007/03/04(日) 22:58
- 小春は腕の形を杭みたいに変形させる。
そして、高速回転を起こす。
「ドリルアームッ!」
「くっ!ぐぅぅ・・・。」
小春の腕を止めようとした腕を弾いて、ドリルアームで弾き飛ばした。
飯田さんが壁に衝突して破片に埋まっていく。
それも僅かな間だけ、すぐに起き上がって突っ込んできた。
これでも無傷って、ありえないでしょ・・・。
小春は亀井さんみたいに必殺技持ってないし、倒せる方法は・・・あった!
一つだけ、開発中の技があるんだった。
でも、成功率低いし、集中するのに時間がかかるし、何よりリーチも短い。
当てるよりも先に殴られそう。
- 858 名前:信頼してるから 投稿日:2007/03/04(日) 22:58
- 突っ込んできた飯田さんを、小春は天使の羽を使って飛び上がる。
ドゴーンッ!
飯田さんが壁に突っ込んで破壊した。
ここまでなら届かないでしょ。
なんとか方法を考えないと・・・っておわっ!
何かが小春に向かって飛んできた。
硬質化した腕でそれから防御する。
その瞬間、砂が飛び散って目に入った。
飯田さんが投げたのは、壁を粉々に砕いてできた砂の塊だったんだ。
- 859 名前:信頼してるから 投稿日:2007/03/04(日) 22:59
- こんな幼稚な手に引っかかるなんて・・・。
ガッ!
「ぐっ!うぅ・・・。」
い、痛い・・・。
たぶん、石かなんかを投げられたんだと思う。
頭から血が垂れていく。
一瞬だけ意識がなくなって、天使の羽が消えちゃった。
次に気付いた時には、飯田さんが腕を振り上げて待っていた。
「や、やばっ!」
「食らえっ!」
ドガッ!
強力なラリアットが小春を急襲した。
なんとか腕で防御したけど、あまりの威力に吹き飛ばされて、
壁に叩きつけられた。
- 860 名前:信頼してるから 投稿日:2007/03/04(日) 23:00
- ぐっ、つぅ・・・鋼鉄と貸した腕で防御したのに、じんじんと響いてる。
背中を強打してヒリヒリするし、こうなったらあの手しかないよ。
小春は右手の指先だけに力を集中していく。
これを当てられれば・・・うぁっ!
すぐ傍にまで迫っていた飯田さんに、首を掴まれて持ち上げられた。
こ、このままだと、首の骨が折られちゃう。
でも、首を鋼鉄化しようとすると、小春の技が・・・。
「ここまでね。終わりよ。」
「ごほっ!お、ぁぁ・・・。」
や、やばい、本気で、殺される・・・。
- 861 名前:信頼してるから 投稿日:2007/03/04(日) 23:01
- あと3秒あれば放てるのに、意識が薄れてきた。
もう、だめ・・・。
ボンッ!ボンッ!
飯田さんの顔が爆発した。
ちょっと首が揺らいだだけだけど、飯田さんの視線は音の方を向いている。
ああ、道重さんだ・・・石川さんを、倒したんだ・・・。
あとは、小春の番だね。
「道重さゆみか。石川は負けたんだ。まぁ、あの子は甘ちゃんだからね。
少しだけ待ってなよ。この子を殺したら、すぐに殺してあげるから。」
「さゆみを殺す?それは無理なの。だって、あなたは小春ちゃんに倒されるの。」
「私が?今から殺すのに何を言ってんの?」
道重さん、ありがとうございます。
小春の技に気付いて、時間を稼いでくれたんだね。
- 862 名前:信頼してるから 投稿日:2007/03/04(日) 23:02
- 今なら撃てる。
この至近距離でなら当てられる!
小春は、思いっきり人差し指を突き出した。
「ミラクルビ−ム!」
ズシュッ!
「ガハッ!」
小春の指は飯田さんの胸の真ん中を打ち抜いた。
飯田さんは派手に後ろに転がっていく。
この技は一点集中技で、それがどんなものであろうと貫通するんだ。
- 863 名前:信頼してるから 投稿日:2007/03/04(日) 23:03
- そして、例え急所でなかろうと当たった時点で小春の勝ちなんだ。
飯田さんは、胸を押さえながら小春を睨んだ。
「つぅ、面白い技ね。でも、この程度で私は・・・!?」
飯田さんが前に倒れ込んだ。
小春のウィルスが回り始めたんだ。
「な、何で、体が・・・。」
「小春の勝ちです。そのまま寝ててください。」
「この、私が、負けるなんて・・・。」
ようやく顔を下げて寝たみたい。
普通ならすぐに倒れるのに、怖い怖い。
っと、体がフラついてきた・・・。
この技を使うと、小春、ものすごく眠くなるんだった・・・。
- 864 名前:信頼してるから 投稿日:2007/03/04(日) 23:03
- 倒れる瞬間、小春を道重さんが抱き止めてくれた。
「小春ちゃん、お疲れ様。よくがんばったね。偉いの。」
「は、はい・・・。」
嬉しいな、道重さんが褒めてくれた。
この人に褒められると、小春の能力が役に立ったんだって思える。
よ〜し、小春、もっとすごくなってミラクルエースになるんだ!
がんばって、ミラクルエースに・・・。
小春の意識はそこで途切れた。
「あとは、みんなに任せるの。」
道重さんの言葉が、ほんの僅かにだけ聞こえた。
大丈夫ですよ。
小春もみんなのこと、信頼してるから・・・。
- 865 名前:次回予告 投稿日:2007/03/04(日) 23:06
-
「最強の才能の前には、誰も勝てないんだべさ。」
「(どうしたら、この人に勝てる・・・?)」
モーニングの元エース、安倍なつみ。
自分にはない才能の前に、愛に打つ手はなかった。
だが、愛には世界平和とは別の理由に、決して負けるわけにはいけない理由があった。
その理由とは何か?
そして、そのためにも愛が用いた手段とは・・・。
- 866 名前:ais 投稿日:2007/03/04(日) 23:07
- 更新しました〜。
そろそろスレ立てしないといけないかな・・・?
- 867 名前:ais 投稿日:2007/03/04(日) 23:10
- >>橘さん
最後まであきらめなかったさゆの勝ちですね♪
小春との死合は・・・ネタバレになるんでこんな結果になったとだけ(ry
まだまだキリキリいきたいです!
>>たまさん
ん〜心を取り戻したというか認めたって感じですかね。
元々そんなキャラじゃない予定だったので(汗)
まぁさゆの勝ちってことでw
- 868 名前:たま 投稿日:2007/03/05(月) 00:47
- やっぱりさゆ小春の師弟コンビは良いですね☆
次回予告気になります!
- 869 名前:橘 投稿日:2007/03/07(水) 05:39
- 小春ちゃん最高の戦いを見せてくれましたねぇ〜
愛ちゃんやミキティの戦いも楽しみです!
- 870 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:50
-
愛視点
何度も交わる剣と剣。
どれだけ素早く切り替えしても、全て弾かれてしまう。
「これでっ!」
あたしは超スピードで残像を作り出し、背後から剣を振るう。
キンッ!
「見え見えだべさ。」
「・・・。」
安倍さんが背中越しに剣を向けて、あたしの剣を防いだ。
- 871 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:51
- そして、
ヒュッ!
「くぅっ!」
閃光の居合いが放たれた。
斬撃というよりも弾、安倍さんはフランツを突くことによって、
衝撃の弾を放ったんや。
あたしは剣で防御したけど、弾かれて地面を転がった。
すぐに立ち上がって剣を構える。
「居合いはあんたの得意技だったべみたいだけど、こんなの簡単にできるっしょ。」
「(くっ、人の技盗みよって・・・。)」
「これが現モーニングのエースの力ね。大したことないべさ。」
「あなたにだけは言われたくない!」
「死ぬ前に疲れることないべさ。殺してあげるから、そこで止まってなさいよ!」
安倍さんの高速の連続突きがあたしを襲う。
- 872 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:52
- くぅっ、さすがに速いわ・・・。
鋭い一突きがあたしの服を掠めて、切れ端がヒラヒラと舞い降りる。
剣を横に弾いて逃れると、すぐさま地面すれすれに剣を振る。
狙いは足、それは後ろに跳んで避けられた。
攻撃に集中してるはずなのに、反撃に敏感すぎる。
さすがはエースやった人やね。
「あんたの攻撃なんて、このなっちには当たらないべさ。」
「・・・あなたの方こそ、攻撃してこないんですか?」
「あんたの攻撃は猿のように飛び回って、隙ができたとこを突いてくるだけ。
だったら、こっちはあんたが疲れるのを待ってた方が楽だべさ。
体力がなくなって動けなくなったとこを、嬲り殺してやるべ。それとも、
そんな攻撃でなっちを倒せると思ってるべか?」
「思ってますよ。倒してみせます。」
「面白いこと言うべさ。なっちの才能を超えられると思ってるんだべ?」
才能、ね〜。
確かに安倍さんの才能は、ある意味モーニング一やと思うね。
- 873 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:53
- 一番すごいと思えるとこは、人並みってレベルをはるかに超えた動体視力。
さらには周囲の空気を読み取れる天性の感。
あたしがどれだけ素早く動こうと、その動きが手にとるように見えとるようやよ。
どんな死角からであろうと、確実にこちらが気付かれてしまう。
一定の間合いに入ったものに敏感に反応する能力、こればっかは後藤さん以上やよ。
そして、スピードを生かすあたしにとっては、まさに天敵とも言える。
その才能だけで、エースのくらいまで上がってきたらしい。
あくまで才能だけでね。
ちょっと煽ってみるかな。
- 874 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:54
-
「エースね〜。後藤さんに勝てなかったくせに。」
「・・・今、何て言ったべさ?」
「後藤さんが真のエースになれた理由、それは才能だけやない。あの人は、
人に努力するとこを見せたくないから、隠れて特訓してたってよしざーさんが
言っとった。それに比べて、あなたはどうですか?何もせず、面倒な仕事は
放棄して、目立つことばっか考えてた。あなたがあたしを嫌いなように、
あたしもあなたのことが嫌いやよ。楽して生きようとする人なんて、
モーニングにはいらなかったやよ。」
「生意気言うべ。努力なんて凡才のすること、どうせ最強の才能の前には、
誰も勝てないんだべ!」
「そんな信条には、絶対に負けるわけにはいかないわな。」
あたしは大して才能があるとは思ってない。
ずっとずっと、努力してきただけ。
努力と才能、両方噛み合ってこそ真の力が見えてくるはず。
その努力した力で、あなたを倒してみせる!
ギィンッ!
再び剣が交わって部屋に響いた。
- 875 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:55
- あまりの動体視力に全て見切られて、当てることができないのも一つの事実。
ん・・・なら、戦法変えてみるかな。
あたしは左足を踏み出して剣を振りかぶった。
「どれだけやっても無駄だって・・・!?」
ビシッ!
よし、安倍さんの腕に傷を負わせた。
とはいっても、ほんのちょっぴりだけどね。
どうして当たったか、それは剣を振りかぶった瞬間に突きを出したからやよ。
ちょっと体制は悪くなるし遅くなるけど、安倍さんは一発目に反応しとるから、
二発目にまで反応できなくなってるんや。
- 876 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:56
-
「・・・ふん、こんなの紛れだべ!」
相変わらず自信過剰やね。
なら、もう一丁!
今度は右からサファイアを振りかぶる。
それに反応して左にフランツで守る。
それもフェイント、あたしは下からすくい上げるように振り上げた。
「くぁっ!」
よし、今度はわき腹に命中。
反応が早すぎるから、体が勝手に反応しちゃうんやろね。
- 877 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:56
- 鋭すぎる反応を逆手にとった戦法。
同じように何度も攻めていく。
「な、何でそんなことができるべさ!?一発目の勢いから二発目に
切り替えるなんて、筋肉も骨もイカれちゃうべさ!頭おかしいっしょ!」
「それに見合うだけの柔軟性と、風に流れるような技を、特訓して編み出したんやざ!
あなたが訓練をサボってる間に、あたしは強くなったんやよ!」
「こ、の、ガキ!」
「おっと!」
安倍さんが突き出した剣を横に避けて、剣を振りかぶる。
今度は防ごうとしない。
いや、考えてるんや。
次はあたしがどこから攻撃しようと悩んでる。
- 878 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:57
- でも、勝負はほんの一瞬の気の迷いで決まる。
音速の剣、サファイアの高橋愛。
あたしはそのスピードで攻撃して、肩を斬りつけた。
安倍さんは傷口を押さえながらあたしを睨む。
「こ、こんなことが、あるわけないべさ・・・。」
「どんだけやっても無駄やよ。あたしの勝ちやが。」
「ふ、ふざけるな!なっちが、このなっちが負けるわけないべ!」
ピシッ!
「!?」
何、今のは!?
いきなり腕に痺れが走った。
- 879 名前:努力と才能 投稿日:2007/03/07(水) 21:58
- あたしは大きく下がって安倍さんを見据える。
静電気みたいにパリッとくるような、そんな痛みが腕にきた。
よく見たら、部屋全体にピシピシッて雷が走ってる。
その中心的な雷の電源は、安倍さん自身から放たれていた。
まさか、ね・・・この人も能力者やってわけですか。
「高橋、あんたに才能の差を教えてやるべ。なっちの本気を見せてやるべさ!」
「安倍さん・・・。」
また面倒なことになってきたわな・・・。
仕方ない、あたしも全身全霊を込めて相手するかな。
あとで文句は言わんようにね。
- 880 名前:ais 投稿日:2007/03/07(水) 21:58
- 更新でした〜
- 881 名前:ais 投稿日:2007/03/07(水) 22:00
- >>たまさん
さゆこはは運命共同体と勝手に思ってますからw
今回はこのようになっており(ry
>>橘さん
黒猫のように小春の成長日記でもありますから♪
愛美貴先輩方はどうなるんでしょうね〜?
- 882 名前:たま 投稿日:2007/03/07(水) 23:34
- 愛ちゃんカッコいい!
その一言(笑)
- 883 名前:橘 投稿日:2007/03/09(金) 21:57
- 愛ちゃんがなっちを倒すことを期待してます(*‘‐^)-☆
愛ちゃんファイト!
- 884 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:42
- 安倍さんの周りにいくつもの雷の球ができあがる。
あれがプラズマってやつか〜。
って、関心しとる場合やない!
「跡形もなく消え去れ!」
安倍さんがこっちに手を向けた瞬間、いくつもの球があたしに向かってくる。
ドドドドドッッ!!!
一つの球が地面に接触する度に、大きな爆発が沸き起こる。
できるだけ早く、大きく避けないと危ないわ。
- 885 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:42
- あたしはタイミングを合わせて横に跳んで、壁を蹴った反動で
安倍さんの背後まで近づいた。
もらったわ!
あたしは素早く飛び込んで剣を振るった。
その瞬間、
バシュッ!
「うぁぁっ!」
体中を雷が走った。
やばっ、熱すぎて、体が麻痺しそうやよ・・・。
「アハハ、おばかなお猿さんが引っ掛かったみたいだべ。なっちの周りには
雷の結界が張られてるんだべさ。これで終わりだべ。」
安倍さんが剣を突き出した。
- 886 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:43
- あかん、足が動かない・・・。
この、動けーっ!
ドシュッ!
「ぐぅぅっ!」
ぎりぎりで心臓を反らせたけど、左肩を貫かれた。
剣を引き抜いたと同時に、血が噴出してくる。
っつ、かなりまずいわ・・・。
痛がってる間もなく降り注ぐ雷。
あたしは地面を転がるようにして安倍さんから離れた。
- 887 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:44
-
「キャハハッ!モーニングのエース様が情けない姿だべ。もうなっちには
勝てないってわかったっしょ。大人しく死ぬべさ。」
「・・・そんなのごめんやが。」
「そう答えるのはわかってたべ。簡単に殺すわけないっしょ。十分に痛めつけて、
ぼろぼろの雑巾みたいにしてやるべさ。」
安倍さんが剣を振るうと、雷が地面を走ってこっちに向かってきた。
さっきとは比較にならないほど速・・・あたしはすぐに跳んで避けようとした。
でも、逃げ切れなくて雷が足を掠める。
「くっ・・・ぁぁっ。」
足が焼かれるように痺れる。
これじゃ、戦いが長引くほどこっちが不利やよ。
- 888 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:44
- まずは作戦を練らないとあかんわな。
幸いにも、安倍さんは自ら動く戦いはしなかったはず。
ここまで離れれば雷は避けられんこともない。
ならば、よく見て考えれば、こっちにだって勝機は・・・。
「ま〜だこないんだべか?だったら、こっちから殺しにいってやるべさ!」
「!?」
安倍さんが超スピードでこっちに飛び込んできた。
こんな速さ、ありえんて・・・。
あたしと同等、もしくはそれ以上・・・。
ビシッ!
「っつぅ・・・。」
「ほらほら、どんどんいくよーっ!」
安倍さんは楽しそうに剣を突き刺してくる。
みんなが言ってた天使っていうより、悪魔みたいやが。
- 889 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:45
- 致命傷、とはいかなくても、高速スピードで突かれるフランツが、
確実にあたしの体を傷つけて痛めつける。
体中から血が出てきて、状態がフラついてきた。
逆に、安倍さんの体には雷が纏わりついて・・・そっか。
やから、こんなスピードが・・・。
「それっ!」
「くっ、そーっ!」
あたしは剣を弾いて逃れると、大きく跳び引いた。
安倍さんの速さの理由、それは雷と雷が起こした反発力。
安倍さんが放つ雷と、地面や周囲に帯電させた別の雷とで磁力を作り上げ、
超衝動的な反発力を用いてるんやが。
- 890 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:46
- あたしの奥義、色即是空なら・・・いや、だめや。
確かに、雷の速さは超えられる。
でも、あたしの奥義には力を溜める時間を必要とするから、近くにいれば雷に焼かれ、
遠くからやと安倍さんの超反応には間に合わない。
一撃押さえられたらそれまで、動きを止められたらやられちゃうやよ。
「(どうしたら、この人に勝てる・・・?)」
安倍さんを倒すには、色即是空を超えるスピードと破壊力が必要やよ。
ならば、方法は一つだけ・・・あたしの全てをかけるしかない!
- 891 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:47
- いくつもの雷を避けたあと、あたしは安倍さんに剣を向けた。
「安倍さん、最後の勝負やよ。」
「はぁ?もうとっくに決まってんじゃん。何を今更・・・。」
「あたしはまだ生きとるやろ。負けてないがし。」
「やれやれ、本当にあんたって子はもう・・・むかつくべさ!」
安倍さんの周りの雷が、目に見えるくらい強力な渦と雷鳴を起こす。
それが徐々に広まって、あたしをも飲み込もうとする。
あんな中に入ったら、ずたぼろってより粉々やね。
安倍さんに勝つ方法は一つだけ。
雷の速さも、安倍さんの反応をも越える技をもって、安倍さんを斬る。
あたしの究極奥義をもって、ね・・・。
- 892 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:48
- あたしは剣を引いて身構える。
サファイア、あたしに力を貸して!
「閃光の騎士、高橋愛。いくでっ!」
あたしは雷の嵐に飛び込んだ。
この技は、長年剣をひたすら振るってきて、ようやく身に付けられた最高の奥義やよ。
生まれ持った才能なんかに負けてられんが!
「ふん、そのまま焼かれて灰になるといいべさ!」
「究極奥義、"画竜点睛"!」
ズバァッ!
光の輝きが撒き散らす中、あたしと安倍さんが交差した。
- 893 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:48
- その瞬間、部屋の壁にいくつもの皹が入り、窓は粉々に砕け散って、
あたし達の直線状の地面に大きな亀裂が入った。
同時に、安倍さんの体から血が噴出した。
「ば、かな・・・。」
あたしの後ろで地面に倒れる音が聞こえる。
光の速さをもってすれば、何者も止めることなんかできんのよ。
とにかく、勝ててよかった・・・。
「ごふっ!」
あたしは大量の血を吐き出して跪いた。
心臓が、張り裂けるように痛い・・・。
- 894 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:49
- 体を両腕で押さえるけど、震えが止まらんで全然力が入らん。
やっぱり、閃光の速さには生身の体じゃ耐えられんか・・・。
けど、泣き言言っとる場合やない。
まだ終わってないんやし、みんなの行方も気になる。
早く、みんなのとこに・・・。
ズズン
何や、地震か?
いや、違う・・・どこか、別の部屋で強力な衝撃が走ったんやね。
- 895 名前:閃光の騎士 投稿日:2007/03/10(土) 01:51
- 美貴ちゃん達、大丈夫かな・・・?
あたしは部屋を出る前に、一度だけ安倍さんを振り向いた。
嫉妬なんかしとらんで、努力しとればライバルになれたかもしれんのにね。
また会った時、どうなっとるかやな。
って、そんなこと考えとる場合やない。
「みんな、無事でいるんやよ!」
問題は先のことより今やが。
早く急がんとね!
- 896 名前:次回予告 投稿日:2007/03/10(土) 01:52
- 愛する者に命を狙われる美貴。
自分自身を責め、そして究極の選択に迫られる。
「美貴たんなんか、大嫌いっ!」
「美貴のこと、殺していいよ。」
亜弥を倒すのか、身を投げ出すかのどちらかしかない。
美貴が選んだのはどのような道なのか?
亜弥への繋がりを求める思いは、果たしてどのような結末が
待ち受けているのだろうか?
- 897 名前:ais 投稿日:2007/03/10(土) 01:52
- 更新でした〜
- 898 名前:ais 投稿日:2007/03/10(土) 01:55
- >>たまさん
本当に一言ですねw
愛ちゃんはキャワカッコイイかと思われ(ry
>>橘さん
はい、こんな結果になりました〜w
これからの彼女の活躍にも期待でして(謎)
P.S.次の話しが終わったら次スレへ移動しようかと思います。
その時にはまたよろしくです!
- 899 名前:たま 投稿日:2007/03/10(土) 09:27
- 愛ちゃんの
「この、動けーっ!」
っていうセリフが愛ちゃんらしいです(笑)
いやぁー愛ちゃんが安倍さんに勝って良かったです☆
- 900 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/11(日) 00:12
- >>899
ネタばれじゃないですか?
興奮して話したくなるのはわかりますけど…
めちゃ面白いです!
続き期待してます。
- 901 名前:美貴自身の戦い 投稿日:2007/03/12(月) 23:49
-
美貴視点
「うぁぁぁっ!」
亜弥ちゃんが鉄球を投げ飛ばす。
それを美貴は冷静に避ける。
しばらく見ててわかったことがある。
きっぱり言って、亜弥ちゃんは戦闘のど素人だ。
自らの鉄球に振り回されることはなくても、美貴に向けて放たれるそれは直球そのもの。
見てれば簡単に避けられる。
- 902 名前:美貴自身の戦い 投稿日:2007/03/12(月) 23:50
-
「このっ!このぉっ!」
「亜弥ちゃん・・・。」
必死になって美貴を殺そうとする亜弥ちゃん。
どこで、間違ったんだろうね・・・?
きっと、美貴の言葉が足りなかったんだね。
亜弥ちゃん・・・。
美貴は、本当は・・・。
「亜弥ちゃん!美貴の話しを聞いて!」
「いやぁっ!美貴たんなんか、大嫌いっ!」
「・・・。」
上から振り下ろされた鉄球を、後ろに跳んで避ける。
鉄球は勢いよく地面にめり込んだ。
- 903 名前:美貴自身の戦い 投稿日:2007/03/12(月) 23:50
- 本気で、殺す気なんだ・・・。
美貴は、口唇を噛み締めて前に飛び出した。
離れたとこから話してたんじゃ、らちがあかない。
彼女を抱きしめて、美貴の思いを伝えないと!
向かってくる鉄球を屈んで外し、そのまま亜弥ちゃんに駆け寄る。
あと少し、初めて会った時に感じた温もりを、今度は美貴が・・・!?
「もう、こないでーっ!」
「な、何で・・・?」
あと数メートルっていうとこで、美貴の足が止まった。
いや、進まなくなった。
- 904 名前:美貴自身の戦い 投稿日:2007/03/12(月) 23:52
- 美貴がどんなに力を込めても、その場から引き離そうとする力に押さえられる。
この、くらいで、あきらめるわけ・・・な、何?
ズシッ!
今度は、体が急激に重くなった・・・。
足が地面にめり込んでいくくらい、強力な重さの塊が美貴にのしかかる。
一体、何なの・・・やばっ!
バキャッ!メキメキメキ!
「がはっ・・・。」
ズドォォンッッ!!!
横からきた鉄球に潰されて、壁に埋まり込んだ。
- 905 名前:美貴自身の戦い 投稿日:2007/03/12(月) 23:53
- ぐっ・・・痛い、なんてもんじゃ済まされない痛みだよ・・・。
亜弥ちゃんのことしか見てなかったから気付かなかった。
それもあるけど、体が重くて動けなかったから、防御するので精一杯だった。
「ぐっ、あっ、くぅぅ・・・。」
きっついなぁ・・・左腕の骨が、砕けてるみたい・・・。
額から流れる血を右腕で拭って、美貴はよろよろと立ち上がった。
ちっくしょぉ、どうすればいいんだよ?
また鉄球が美貴に向かってくる。
フラつく体ですれすれで横に避けた。
壁にぶつかった衝撃で美貴は飛ばされた。
- 906 名前:美貴自身の戦い 投稿日:2007/03/12(月) 23:55
- もうその程度の風圧にも耐えられないくらい、体がイカれちゃってる。
壁に埋まった鉄球は、コンッと音を立てて地面に落ちる。
へっ・・・?
鉄球がコンッて何か、おかしくない・・・?
「そういう、ことか・・・。」
なるほどね、亜弥ちゃんの能力、やっとわかったよ。
彼女の力は、たぶん"地の力"ってやつかな。
鉄球を軽くしたり、美貴の体を重くしたりする重力を操る力。
それに、美貴を近づけないように斥力を使ったり、引力で鉄球を引き寄せたりと、
地の力を操ってるんだ。
- 907 名前:美貴自身の戦い 投稿日:2007/03/12(月) 23:58
- 全く、後藤真希もやっかいな力を与えてくれるよ。
「亜弥ちゃん・・・どうして、後藤真希に力を貸すの?あいつは、
美貴達の居場所を壊そうとしてんだよ。亜弥ちゃんは関係ないじゃん。」
「関係あるんだよ。ごっちんは、私の命の恩人だから。」
「亜弥ちゃんの、恩人・・・?」
「私、事故で家族を亡くしたっていったよね。その時の事故に私も含まれてたの。
パパもママも、隣にいた妹も死んで、私の体も潰されてて命の灯火が消えるとこだった。
車は爆発寸前、誰も近寄ろうともしない中、ある人が命がけで助けてくれたの。
その人こそが、ごっちんだった・・・。」
この亜弥ちゃんの話しは、美貴には理解しかねた。
後藤真希、一体何を考えてるんだ・・・?
- 908 名前:美貴自身の戦い 投稿日:2007/03/12(月) 23:59
- 亜弥ちゃんの事故が起きたのは、美貴達がモーニングに入った直後だったはず。
つまり、モーニングを抜けたあとのことだ。
よっちゃんに詳しく聞いておくんだったな・・・。
「そのあとに病院で会った時、ごっちんは、人としての理想の世界を
創るって言ってくれた。だから、私はごっちんと一緒に、この世界を
変えるために戦う・・・。」
「違う!そんなの間違ってる!」
「美貴、たん・・・?」
「後藤真希の思想が正しいかどうか、そんなの知らないよ。ただね、
亜弥ちゃんは戦っちゃいけないんだ。亜弥ちゃんは美貴達とは違う、
普通の女の子なんだよ。亜弥ちゃんは利用されてるだけ。亜弥ちゃんには、
もっと他にできることがあるよ。美貴は、亜弥ちゃんに戦ってほしくない。」
「そ、そんなこと、美貴たんに言われたくない!」
亜弥ちゃんが鉄球を振りかぶってそう叫んだ。
- 909 名前:美貴自身の戦い 投稿日:2007/03/13(火) 00:00
- それもそうか、美貴が亜弥ちゃんを傷つけちゃったんだからね。
だから、美貴がけじめをつけるよ。
「嫌だよ・・・美貴、戦いたくない!」
「・・・?」
「さっきまではずっとそう思ってた。でも、これは美貴と亜弥ちゃんの
戦いなんかじゃないって、やっと気付いたんだ。美貴自身の戦いなんだ。
美貴、戦うよ。そして、亜弥ちゃんに思いを届ける。」
「うわぁぁっ!」
亜弥ちゃんが鉄球を投げ飛ばした。
美貴がやるべきことは決まってる。
思いを、伝えるんだ。
亜弥ちゃん、見てるんだよ。
美貴は絶対に負けないから!
- 910 名前:ais 投稿日:2007/03/13(火) 00:00
- 更新しました〜。
- 911 名前:ais 投稿日:2007/03/13(火) 00:02
- >>たまさん
愛ちゃんらしくしてみました〜♪
ただ、もう少し隠してお願いしますm(_ _)m
>>名無し飼育さん
ご忠告ありがとうです。
ありがたいお言葉、これからもよろしくです!
- 912 名前:たま 投稿日:2007/03/13(火) 00:03
- あっ…めっちゃリアルタイムだ…笑
先程はネタバレ本当にすいませんでした!
美貴が何だか切ないです
- 913 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:42
- 亜弥ちゃんの鉄球が目前にまで迫ってくる。
右腕は・・・大丈夫、動かせる。
大体、こんな鉄球は亜弥ちゃんに似合わないよ。
だから、排除する!
「デス・サイズ!」
ズバァッ!
鉄球を真っ二つに切り裂いた。
死神の鎌に斬れないものなんて、この世に存在しないよ。
- 914 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:43
- ズキッと腕が痛んだけど気にしない。
ヘケート、あと少しだからがんばってね。
美貴は勢いよく亜弥ちゃんに向かっていく。
「いやぁっ!こないでーっ!」
「はぁぁぁっっ!!」
亜弥ちゃんから数メートルの位置で斥力の壁が発生する。
そこから美貴はヘケートを振り下ろした。
これが、今の美貴と亜弥ちゃんの壁なんだ。
これを壊さないと、亜弥ちゃんのとこにまで辿り着けないんだ。
絶対に壊してみせる!
- 915 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:43
- 右腕までメキメキと唸る。
重力まで発生して、体中にダメージが響く。
体中が血塗れになっちゃって、嫌な感じだな・・・。
亜弥ちゃん、もう、大丈夫だから、心を取り戻して・・・。
ゴキャッ!
「うぁぁぁっ!!!ぐっ、この・・・。」
くそ、右腕まで、折れやがった・・・。
マジで意識が飛びそうだよ・・・。
- 916 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:44
- だけど、あとちょっとでいいから、美貴の体、がんばって・・・。
ヘケート、いくよっ!
「ぐっ、りゃぁぁっ!!」
ザンッ!
「そ、そんな・・・。」
やっと、斥力の壁を、ぶち破った・・・。
美貴は前に倒れこむ拍子に亜弥ちゃんにそのまま抱きついた。
「いや、美貴たん・・・。」
「・・・美貴のこと、殺していいよ。」
「えっ・・・?」
「これ以上、誰の命も奪わないって約束できるなら、美貴を殺せば
亜弥ちゃんが満足できるなら、美貴は殺されても構わない。でもね、
少しだけでいいから、美貴の話しを聞いてほしいんだ・・・。」
美貴は耳元に囁くようにそう言った。
- 917 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:46
- 美貴を振りほどこうとする力が弱まる。
よかった、あと、少しだけだからさ・・・。
「美貴ね、初めて好きな人ができたんだ。初めて、絶対に守りたいって、
思えたんだ・・・。亜弥ちゃんに、好きだって言ってもらえて、美貴、
すごく嬉しかったんだよ・・・。」
「なら、何で、あの時に・・・」
「美貴は、裏の世界で、悪人を殺す仕事をしている・・・。この世界を、
平和にしない限りは、亜弥ちゃんにまで被害が及ぶかもしれないんだ。
美貴が、絶対に、平和にしてみせるから、それまで、待ってほしいな・・・。
その時は・・・美貴の、傍にいて、ほしい・・・。」
「美貴たん・・・?ねぇ、美貴たん!」
あれ・・・?
何か、声が出なくなっちゃった。
ちょっと体を痛めすぎたか・・・。
意識は辛うじてあるし、亜弥ちゃんに抱きしめられてるってのもわかる。
- 918 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:48
- ・・・そっか、亜弥ちゃん、抱きしめてくれたんだ。
温かいな・・・。
「美貴たん、ごめんなさい・・・。ごめん、なさい・・・。」
亜弥ちゃんの涙が美貴の体を伝う。
また、泣かせちゃったな。
傷つけてばかりで本当にごめんね・・・。
でも、わかってくれてよかった・・・。
ズズン ドドドドドッ!!
な、何の音・・・?
この部屋が、崩れてきてるの?
鉄球やら重力やらでズタボロにしちゃったから、当然といえば当然か。
- 919 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:48
- 亜弥ちゃんを、連れて、逃げないと・・・。
なのに、体が動かない・・・なんとか、しないと・・・。
「亜、弥ちゃ・・・逃げ、て・・・。」
「何?美貴たん、何が起こってるの!?ねぇ、しっかりしてよ!」
声が出なくても音が聞こえる。
いけない、上から破片が降ってくる。
せっかく亜弥ちゃんに思いを伝えられたのに、このままじゃ・・・。
ガシッ!ズバァッ!
「(何・・・?)」
誰かに抱えられて、何か壁みたいなコンクリートを切り裂く音が聞こえた直後に、
外に飛び出したみたい。
- 920 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:50
- さっきまでいた部屋は、崩壊したみたいで崩れていく音が聞こえる。
ぎりぎり、で助かったみたい。
地面についたあと、少し離れた草むらに寝かされる。
美貴の視界には亜弥ちゃんともう一人、頼れる仲間が立っていた。
「美貴ちゃん、生きとるか?」
「な、なんとか、ね・・・。」
ぼそぼそっと、美貴達の命の恩人、愛ちゃんに言った。
やれやれ、でっかいカリができちゃったな。
とりあえず、愛ちゃんも無事でよかったよ。
- 921 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:51
-
「体中の骨、折れとるやん・・・大丈夫?んで、この子は?後藤さんの仲間?」
「違、う・・・あ、や、ちゃん、は・・・。」
「私が美貴たんを傷つけました。」
亜弥、ちゃん・・・だめだよ。
愛ちゃんが亜弥ちゃんにサファイアを向ける。
愛ちゃん、わかって・・・亜弥ちゃんは、美貴が・・・。
「さて、美貴ちゃんがここで傷だらけになって倒れてます。あんたならどうする?」
「た、助けるよ!絶対に、こんなとこでなんか死なせたくない!」
「ん、わかったわ。怪我の処置はできる?」
「うん。こう見えても看護学校行ってるから大丈夫!」
「やってさ。美貴ちゃん、よかったね。」
愛ちゃんは剣を下ろして、美貴の頭をポンポンと撫でた。
- 922 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 08:56
- こいつ、よっちゃんから聞きやがったな・・・。
しかも亜弥ちゃんを試すとは・・・いい度胸してるよ。
ただ、美貴はここまでか。
あとは、愛ちゃん達に任せるしかないか・・・。
そう思った時、奥の方から見知った顔が駆け寄ってきた。
「愛ちゃん!」
「お、さゆ!無事やったか・・・小春!?生きとんのか!?」
美貴達の傍に駆け寄ってきたのはさゆだった。
背中には小春を背負ってる。
その子、生きてるよね・・・?
- 923 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 09:00
- さゆは美貴の隣に小春を寝かせた。
「大丈夫ですよ。疲れて眠ってるだけですから。」
「ほうか。さゆ、美貴ちゃん達のこと任せてもええか?」
「うわっ!藤本さん、ひどい怪我・・・。ところで、愛ちゃんはどうするんです?」
「少し様子を見てくる。まともに戦えるかわからんけど、何もせんよりはマシやろ。」
「なら、さゆみも行きます!」
「だめや。」
愛ちゃんはさゆを見つめてきっぱりと言った。
「どうしてですか?さゆみ、信頼されてないからですか・・・?」
「そんなことない。さゆが信頼できんわけやないやよ。むしろすごく信頼してる。
やから、あんたには美貴ちゃん達を守ってほしいがし。まだ敵が近くにおるかもしれんからね。
怪我もしとるし、助けてあげて。」
愛ちゃんはさゆのことを一度抱きしめて、後ろを振り向いた。
- 924 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 09:01
- 何だ、愛ちゃんも妹みたいにあやすことできんじゃん。
甘えてばっかじゃない、いつの間にか大人になったね〜。
パシッ!
さゆが愛ちゃんの背中を叩いた。
な、何やってんの・・・?
気合の注入・・・ってわけじゃなさそう。
愛ちゃんは体を押さえて蹲る。
そんなに強く叩かなくても・・・えっ、左肩から、血が垂れ流れてる。
「さ、さゆ・・・何、するんやが?」
「愛ちゃん、正直に言ってください。その体で戦えますか?」
「そ、そんなの、当たり前やろ・・・。」
「さゆみに軽く叩かれたくらいで倒れてるのに、戦えるんですか?」
「・・・。」
「愛ちゃんも骨、折れてるでしょ?それに、体中が痛んでる。きっぱり言って、
殺されに行くようなもんです。だから・・・。」
さゆはそっと愛ちゃんを抱き起こした。
- 925 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 09:03
-
「今は、仲間を信じてください。吉澤さんも、れいなも、新垣さんもいます。
それに、愛ちゃんと修行した絵里を、信じてください。」
「さゆ・・・。」
「初めて会った時に、信頼が大事だって、愛ちゃんが言ってくれたんですよ。
だから、さゆみ達はここまで強くなれたんです。たまには甘えてくださいよ。
ここは、さゆみが守りますから。」
はい、愛ちゃんの負け〜。
結局妹には敵わないってか。
そのぼろぼろの愛ちゃんに助けてもらっておいて、人のことを
言えた義理じゃないけどね・・・。
- 926 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 09:04
-
「・・・ありがと、さゆ。でもね、行かせてほしいんやよ。あたしに
できることやってあるはず。後悔したくないんや。そして、あんたには
美貴ちゃん達を守ってほしい。我侭やって思うけど、お願いするわ。
絶対に戻ってくるからさ。」
「・・・わかりました。その前に、簡単にでも手当てしてからにしてください。
それと・・・。」
「それと?」
「帰ったらキスしてくださいよ。さゆみ、一度も愛ちゃんから
キスされたことないんですから。ちゃんと戻ってきてしてくれないと、
許しませんよ。」
「全く、あんたって子は・・・。」
愛ちゃんは、ちょっと苦笑いを浮かべてさゆの頭を撫でた。
- 927 名前:愛してる 投稿日:2007/03/17(土) 09:05
- いいよな〜、美貴もそんな簡単にできたら・・・何アホみたいな考えしてんだろ?
愛ちゃんとさゆは姉妹みたいなもんだし、美貴は・・・違う、と思う。
そこら辺も、ゆっくりと学んでいくっきゃないか。
この戦いが終われば、時間もできるはずだしね。
いつかは、愛してるって言葉を、亜弥ちゃんに伝えたいな。
さゆが愛ちゃんを、亜弥ちゃんは美貴の手当てを始めた。
これで、美貴はリタイヤってわけか。
みんな、あとのこと、頼んだよ・・・。
- 928 名前:次回予告 投稿日:2007/03/17(土) 09:05
- 絵里を取り囲む少女達。
あきらめない根強い執念に疑問を隠しきれない。
「私達は、あなたのようになりたかった。」
「(何、この力は・・・?)」
ベリーズとの戦いで魅せる絵里の戦い方とは?
そして、胸を打たれるように強い、絵里が感じ取った不思議な力とは何なのか?
- 929 名前:ais 投稿日:2007/03/17(土) 09:05
- 更新しました〜
- 930 名前:ais 投稿日:2007/03/17(土) 09:07
- >>たまさん
そう気にしなくてもいいですよ〜。
次は気をつけてくださいね♪
ミキサマ編終了です。
こんな感じで、まぁ思いが伝わればよいものかと(ry
- 931 名前:ais 投稿日:2007/03/17(土) 09:09
- 今回である意味キリがいいので、次は別スレを立てたいと思います。
まさか四ヶ月でここまでくるとは思わなかった・・・w
それもこれも読んでレスをくれた方々のおかげです。
次回もまたよろしくです!
- 932 名前:たま 投稿日:2007/03/17(土) 18:54
- さゆが素敵でしたがやっぱりさゆなんだなって思いました(笑)
愛ちゃんもカッコ良かったです☆
- 933 名前:ais 投稿日:2007/03/18(日) 20:08
- >>たまさん
愛さゆラブですw
次スレでお待ちしてます♪
- 934 名前:ais 投稿日:2007/03/18(日) 20:09
- 次スレです。
今後ともよろですm(_ _)m
彷徨える星達U
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