『いしごま』短編集
- 1 名前:サソリ 投稿日:2006/12/07(木) 19:04
- はじめまして。
サソリです。
いしごま短編行きます。
更新速度は遅めです。
短いものもあれば長いものもあると思われます。
よければ書いて欲しい短編もかけたら書きます。
細かい設定なんか付けてくれたら書きやすいです。
まぁ、マターリ行くんでよろしくです。
- 2 名前:サソリ 投稿日:2006/12/07(木) 19:21
-
『テスト』
- 3 名前:にゃん 投稿日:2006/12/07(木) 19:27
- はじめまして。ぃしごま大好きなんで楽しみにしてます♪リクなんですが、甘々なぃしごまぉ願ぃします。梨華ちゃんに子供みたぃに甘えるごっちんって感じでww
- 4 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 19:50
- 「…おまえ、なんでいつも勉強してこないんだ?数学ぐらい一人で勉強できないのか?」
「…」
「後藤、来週の頭に追試するからな。勉強しとけよ」
「…」
「返事は?返事ぐらいしろ。耳無いのか?え?」
「…はい」
私はそういって職員室の扉を閉めた。
暖房がついてる職員室とは違って廊下は冷え切っている。
うちの学校には廊下にストーブなんか付いていない。
そんな金はうちには無いらしい。
…経費削減…らしい。このクソ寒い冬場にだ。
馬鹿じゃないのか。
素足のアタシはどうなるんだ。
経費削減なら私達にやらせる課題のプリントから無くしてしまえば、
紙の無駄にならなくてすむのに。
そして、無駄に頭を使わなくてすむのに…。
学校は理屈にあってない。
『私』の理屈にだ。
授業がダルイから保健室で休む。
これの何が悪い。
ダルイのも立派な病気だ。気分が悪いのだ。
…だが、それも駄目らしい。
なにやら、授業を受けなさ過ぎるとやらで担任にしかられる。
意味が分からない。
スカートを短くしていれば怒られる。
…まったくもって意味が分からない。
何が悪いのだ?子供が産めなくなる?
そんなのこっちの勝手じゃないか。
子供なんて産む気もさらさらない。
なら、最初から制服をスカートにしなければいいのだ。
授業中に携帯をいじってはいけない?
なら、そっちがもっと分かりやすく教えればいいものだ。
ただ、それだけの事じゃないか。
…テスト?
テストなんてなんであるんだ。
こんなに気分を害されるものをなぜ作る必要がある。
必要ないじゃないか。
たかが、この紙切れ一枚の点数でなぜ人の頭のよさが計れる。
意味が分からない。
矛盾しているんだ。
つまらない事だらけではないか。
本当に本当に…。
―――嫌になるよ…
- 5 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 19:57
- 本当に嫌になる。
馬鹿みたいだ。
担任も大嫌い。先生が嫌いだ。
なら、私はなぜ学校に来る必要があるのだ…?
本当に、大概にしたい。
―――
――――――
放課後に呼び出されたのはテストの点数についてだった。
まぁ、いつものことだ。
あたしの点数が赤点だった。
くだらない。
しかも数学が。
数学なんて大嫌いだ。
私の人生において、あれは必要がないと決まっているんだ。
しかも、あてずっぽうで当たらない教科がこれだ。
腹が立つ。
私の貴重な放課後を奪ったテストというものに心底腹が立つ。
この世に無かったらよかったのに…。
思わず、そんな馬鹿げた事まで考えてしまう。
やってらんないんだよ。
- 6 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 20:03
- 職員室から教室までの長い道を急ぎ足で戻る。
寒い…。
あぁ…意味が分からない。
もし、追試で点数が悪かったらまたテストを受けなきゃいけないんだ。
でも分かるはずないだろう。
私の周りに頭のいいやつなんていない。
ましてや、ノートを取っているやつもいるかどうかも分からない。
ならあたしはどう勉強したらいいのだ。
数学の先生に聞くのはどうも癪に障る。
…馬鹿みたいだ…
やってられない。
家に帰っても勉強しない。
クラスに残ってるやつにでも聞いとくか?
そう考えながら、さらに足を早く動かした。
- 7 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 20:41
- 「おっす!ごっつぁん待ってたよ!一緒にかえるべ」
「…」
しかし教室に残っていたのは私のただひとりの親友のよしこだけだった。
よりにもよってなんでこいつが?
あぁ…あたしには勉強がつくづく向いてないんだと思った。
こいつといると、遊びしかしない。
まぁ、いいやつなんだけど。
「また、テストでおこられたんすか?バカッすねぇ〜」
「…うっさい」
「…大丈夫だって。なんとかなるから」
「なんであんたは一教科も赤点ないわけ?合計点はゴトーのほうが上じゃん」
「あぁ〜。赤点ギリギリラインを全教科キープしてるからだよん!」
「…よしこのほうが馬鹿じゃん」
「赤点ないし。追試あるやつに比べたらましじゃ〜ん?え?」
もっともだよ…。
あぁ…ダルイ…。
「んで、ごっつぁんはどうすんの?自力でがんばんの?」
「…無理にきまってる…あぁ、ダルイってか眠い」
「頭いいヤツにきけば?」
「そんなヤツしらないし」
マジでどうしよ…。
あきらめよっかな。
もともとやる気なかったからいいけどさ。別に。
- 8 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 20:49
- 「…いいや。帰ろ。どうーでもいい」
「はぁ?ごっつぁんが留年とかしたらやなんですけど…」
「しないって」
「いいや。ごっつぁん、出席日数たりなさすぎなんだよ。自覚しろや」
「…」
マジでどうでもいい。
…あたしはそういって鞄を持ち上げてマフラーを首にまきつけた。
「ちょ、ちょっとまってよ」
うしろで何か言っているよしこ。
あぁ…ヤル気でねぇよ。
誰か頭いいヤツ教えてよ…。
玄関まで行くといっそうに寒さが体にビンビンと伝わってくる。
ドアを開けると地獄が待っている気がする…。
寒いんだよ…。
靴を履いて二人で玄関から帰ろうとした。
- 9 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 21:01
- 「…二年生…?かな?さようなら」
後方からキーの高い声が聞こえてきた。
制服ではなくて、OLさんみないな清掃をしている女性が
私達にそう言ったのだ。
何勝手に呼びかけなんかしてんの?
なれなれしいんだよ…。
そう思いながら
普通に無視して帰ろうとした。
…が、もう片方の連れがそうもいかなかった。
言い忘れたけど、うちの学校は女子高。
んで、となりの男勝りのよしこさんは綺麗な人に目が無いってわけ。
まぁ、もてることにはもてるんだけど。
「…おねーサン、何でここにいるんっすかぁ?」
「…ぇ、え?あ、そっか。私ね、この学校に教育実習としてきたんだ」
「へぇ〜。いいっすね」
よしことそこの女が会話してる。
あたしは一刻も早く帰りたいのに…。
これだから綺麗もの好きはこまる。面倒だ。
ここは寒いんだよ。
教育実習生?だっけ?
馬鹿じゃないのか?
いまどき先生になりたいやつなんかいたんだ。
そっちに関心があるよ。
あぁ〜…ダルイ。
なんで以上にダルイんだ…?
頭痛い…。風邪ひいてんのか?
あたしは馬鹿だよ?
馬鹿は風邪ひかないんじゃなかったのかよぉ〜…。
腹立つな…この女。
- 10 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 21:47
- 「あの、お名前なんていうんすか?」
「私?私は石川梨華だよ。貴方たちは?」
「うちは吉澤ひとみです。こっちの無愛想なほうが後藤真希」
…一言よけいなんだよ。
ってか帰りたいんだけど。
アァ…何故ついてないんだ。
教室に立ち寄んないで帰ればよかった。
…何意気投合してんだよ。
石川だっけ…。
これで本当に大学生かよ。
キモい。
頭痛い…。
なんかよくわかんないけど、私が一言もしゃべらないうちに一緒に帰ることになったらしい。
よしこが勝手にそう決めた。
向こうも帰るところだったらしい。
どうでもいいけど。
しばらく3人であるいていた。
だが、よしこはバス。ここでお別れだ。
あぁ…。やっと一人で帰れる。
「吉澤さんはバスなの?」
「はい!あ、石川さんは?」
「私は地下鉄。後藤さんは?」
「…」
「後藤さん?」
「あ、こいつも地下鉄です。つれて帰ってやってくださいよ。なんかフラフラしてるから」
「…うん。大丈夫だよ。それじゃ、後藤さん一緒に途中までかえろっか」
「…」
うるさいな…。
何この女。人の顔色ばっかうかがってて。
自分はいい人みたいな顔とりやがって、腹が立つ。
こういう先生みたいなところが嫌なんだよ。
あ、先生の卵か。
「それじゃ、先生、ごっつぁん、またねぇん〜」
「ばいばい!吉澤さん」
「…」
たまたま行く方向が一緒だから一緒に歩くしかない。
なんで知らないやつと一緒に帰らなきゃいけないんだよ。
「…後藤さん?」
「…」
もう、無視するよ。
ウザイし。
「…後藤さん?」
「…」
うるさいなぁ…ほっといてよ。
関係ないじゃん。
頭痛いんだよ。
本気で。
…フラフラすんだよ。
「…後藤…さん…」
「…」
頭いたい…。
目の前がぐるぐる回ってんだけど。
なにこれ。
きもちわりぃ…。
あぁ…。
こいつの…せいじゃ…ない…の?
やべぇ…。
だ…りぃ…マジで…。
「…?…後藤さん、大丈夫?…後藤さん?」
「…」
―――バタンッ…
気付いた時には倒れていたらしい。
風邪だったのか、よく分からないが遠くのほうで
名前を呼んでいる彼女の声が聞こえた気がした。
- 11 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 22:05
- ―――ぱちっ…
目が覚めたのはそれから数時間後。
知らない部屋のべットの中だった。
異様なピンクだらけの…知らない人の家だった。
「…はぁ?」
思わず出てしまった声。
意味が分からない。
えっと…あたしどうしてここにいるんだ?記憶喪失?
たしかよしこと変な女と3人で帰ってて…わかれて…?
「…いってぇ…頭いたい…」
響くいたみ。
あぁ。風邪というものか?なるほど。
いまどきの風邪は馬鹿にも効くのか。
それとも、私は馬鹿じゃなかった。そういうことなのか?
…。
いや、今はそうじゃなくてここはどこかって事だろう。
マジで恐いんだけど。
知らない人の家で。
何してんだ?
「…あ、気がついたんだ。よかった」
「…え?」
向こうから歩いてきたのはさっきいた変な女だった。
何であんたがここにいるの?
意味わかんないし。
「なんで、あんたがいるの?」
「え〜?後藤さんが倒れたから、タクシーを急いで呼んで私思わず自分の家に連れてきたんだけど…」
「…だからなんで」
「…あなたの家の場所知らなかったし、学校に行ってもろくな処置してくれないかなって…」
「…」
「…よけいな…お世話だったかな」
あぁ〜…。なんなのこの女。
なんでこんな事にいちいち顔色変えたり、助けたりするわけ。
調子狂うな…。
「…別に」
「そっか。ならよかった。ゆっくり休んでいいよ。明日学校休みだしね」
「…」
だから調子狂うんだよ…。
しかも、あたしは何故ピンクのパジャマを着せられてるわけ?
…着替えさせられたの?
ありえないから…。
あぁ…ついてないなぁ。
「…あのさ、お家の方に連絡しなくて大丈夫?なんなら私から…」
「…うち、一人暮らしなの」
「…そっか。なら私の家に着てよかったね。
このまま看病してなかったら大変な事になってたかもよ?」
たしかに…そうかもしれない。
この女と一緒に帰らなければ、一人で倒れて救急車とかで運ばれていたかもしれない。
…ちょっとはいいとこあるのかもな。
「…ありがとう…その、助けてくれて」
「え?え?い、いや…う、うん!」
「?」
急に顔を赤くしだした。
何故そこまで照れる必要があるのだろう。
本当によくわかんない人だ。
- 12 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 22:15
- 「今日は止まっていっていいからね。ゆっくり治そう?」
「…」
なんか、ドキッとした。
なに、この胸の痛み。風邪?
意味わかんない。
顔が赤くなっていくのが分かる。
まだ風邪ひいてんのかよ…。
泊まっていってもいいのかな…。
でも…。
「あたし、月曜に数学の追試があるんで勉強しなきゃいけないんですけど」
「テスト?あれ?終わったんじゃないの?」
「いえ…。赤点だったんで」
「…あ、そっか。数学苦手なの?」
「苦手ってか…まったくわかんないんで」
少し考え込んでいる彼女。
よく見ると綺麗な顔立ちしている。
少し黒いけど健康的な肌…。
綺麗なピンク色の唇…。
綺麗なボディーライン…。
いったい何考えているんだ自分は。
そしてしばらくして彼女が何かを思いついたのか、
緩やかに微笑んだ。
「大丈夫だよ。今日泊まっていきな?」
「…だからテストが…」
「明日、私が教えてあげる。これでも数学の教師を目指してるんだ」
「…え?」
「私じゃ駄目かな?」
「…」
最後の一言で何かどうでもよくなってしまった。
泊まっていこうかな。
それもいいかもしれない。
彼女が教えてくれるなら、きっと大丈夫だ。
そんな気がする。
なんか…テストも乗り越えられる気が一瞬したんだ。
- 13 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 22:18
- 「あとね…」
「?」
彼女が顔を赤くしてもう一つ付け加えた。
すごく恥ずかしそうにうつむきながら。
「…私…貴方をもう少し知りたいんだ…だからさ…ね?」
「…!!」
石川先生、数学以外にいったい何を教えてくれるんですか?
期待してもいいですか?
今、心底テストがあってよかったって思えた瞬間だった。
- 14 名前:テスト 投稿日:2006/12/07(木) 22:19
-
- 15 名前:サソリ 投稿日:2006/12/07(木) 22:26
- はい。
『テスト』でした。
まぁ、短い短編ですね。失礼致しました。
あんまり物語を考えるのは得意なほうじゃないんで
読んでいる方に考えて欲しいなっておもいます。
アンリアルでもリアルでもたぶんいけます。
なるべく細かく書いてくれると作者的にありがたいんですけど。
たとえば、
具体的な話しのストーリーとかをのせてくれたらなぁって。
まぁ、なかったら作者が頑張って考えます。
よろしくです。
≫3 にゃん様
早くてびっくりしました。
作者もいしごま大好きです。
甘いのですね。頑張ります。
もし、よければ具体的な設定があると嬉しいです。
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/07(木) 23:02
- うわーこれから楽しみです!
リクエストいいですか?
こないだの世界バレーの時の2人きりの楽屋
でラブラブなの見たいです
お願いします!
- 17 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 13:49
-
『ブログ』
- 18 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 14:26
- DEF.DIVAの楽屋にて…
―――
――――――
梨華ちゃんが楽屋の椅子に座って雑誌を広げている。
私も同じく、ファッション雑誌を広げていた。
楽屋には今、私と梨華ちゃんの二人だけ。
あとの二人は収録にいっている。
よくあること。
だって、DEF.DIVAは四人グループだから二人ずつに分かれて行動や、
収録なんて本当に当たり前。
そしてどの組み合わせでもおかしいなんて事はない。
今日みたく私と梨華ちゃん、安部さんとごっちんなんてのもよくある組み合わせだ。
最近は世界バレーなんかでいろんな番組に宣伝として出かけている。
私達とモーニング娘、ベリーズ工房、そしてWATは『オフィシャルサポーター』というやつなのだ。
今日はDEF.DIVAとしてある番組に出させてもらっている。
私と梨華ちゃんは先に収録を終えて楽屋で待機となっていた。
そんな時のことだった。
私は最近思った疑問を目の前の彼女に聞いてみる事にした。
「…梨華ちゃんさー、あれはまずいんじゃないの?」
「…ん〜?私、亜弥ちゃんに何かまずい事したっけ?」
「はぁ?ちがうから。ブログの事だって。どうすんの?」
「うん?だから何?ブログって?」
「…自覚無いの?ごっちんのブログの事だって」
「う、うん。ごっちんのブログがどうかしたの?」
まだ分かってないのかよ…。
梨華ちゃんって鈍いなぁ…。
そう思いながら静かに雑誌を閉じる。
彼女の目線は未だに雑誌の服にある。
…聞いてんのかよ…。
最近ミキティと一緒にいるためか言葉使いが荒くなった…といわれる。
私はそんな気がしてないけど、よく言われる。
別にかまわないけどさ。
「私は別にいいんだよ?ごっちんと梨華ちゃんがそれでいいなら。
でもさ、梨華ちゃん、あんだけ人目気にしてたじゃん。
ちょうど今、安部さんとごっちんいないからいっとこうと思って」
「…?」
そうしてやっと梨華ちゃんは雑誌から目を放して私のほうを見た。
そして眉間に皺を寄せて首を傾げた。
遅いから…。
人が話しているときは人の目を見るってお母さんに習わなかったの?
それぐらいちゃんとしないとやってけないよ?
まぁ、ミキティは別だけどさ。
あの子はやっていける感じはするけども。
…そうじゃなくて。
っつかわかんなすぎじゃない?
私がちゃんと説明しないのが悪いわけ?
あぁ〜…。
そして私はため息をついた。
「だからさ…ごっちんのブログに2ショットあったっしょ?
梨華ちゃんとごっちんの。あれはいいわけ?大丈夫なの?」
「…!」
その言葉に彼女は驚いた表情をみせた。
よくこうコロコロ表情を変えれるなぁ〜…。
ミキティなんて怒った顔が50%をしめてるから…。
なんてくだらない事を考えていた。
彼女はしばらく大きな目で私を捉えていたが、
ゆっくりとため息をついて半笑いをしながら目線を下げた。
- 19 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 15:17
- …あれ?
あんだけ人目を気にしてテレビの前ではめったにくっつこうとしない梨華ちゃんなのに…。
もう、どうでもいいのかな?
「…私もね、一応言ったんだよ?駄目だって言ったんだけど…」
「…んで?ごっちんのおねだりに負けたってやつ?」
「ん…そうなるかな…」
梨華ちゃんは甘いからなぁ〜。
ごっちんの事になると全部どうでもよくなる癖があるみたい。
私とミキティはGAMでユニット組んでる事もあるし
前々から仲いいのはテレビの前でも言ってきた。
だから別に気にすることなく
あっちでイチャイチャ、こっちでイチャイチャしてても問題なし。
スタッフさんも認めている仲。
だかどごっちんと梨華ちゃんは違う。
もともと仲いい感じではなかったし今でもあまり二人きりの収録なんて無い。
だけど、現実は超がつくほどバカップルなことは私は知っている。
二人の事を知っている人は
どちらかと言うとごっちんが梨華ちゃんに溺愛してるって
思っているらしいけど、実際は違う。
どちらかと言うと…
梨華ちゃんのほうがごっちんに甘いうえに溺愛している。
それを認めなくないのか
彼女はそれを隠す癖がある。
だってDEF.DIVAの時だって
いつも目線の先にはごっちんがいる。
席が隣になって座っている時の収録だって
触れているところが嬉しいのか常に顔がほんのり赤い。
でも梨華ちゃんなりに頑張っているらしい。
自分たちの関係がなるべくばれないように
必死になって我慢している。
それが私にはわかる。
まぁ、私にしか分からないのかもしれない。
ごっちんにいくら言っても
大丈夫だってしかいわないから
梨華ちゃんは自分一人で関係を壊さないように慎重にしている。
ごっちん曰く、
『私ばっかり梨華ちゃんを好きなんだ』
と落ち込んでいるが
大きな間違いだ。
はっきり言ってメチャクチャ愛されていますよ?
後藤さん?
時々可哀想になってしまうくらい愛されている事をわかっていない。
鈍いんだよ…二人して。
これじゃ可哀想だよ。
彼女が。
ってか…健気だなぁ…。
ミキティもこれぐらい可愛いところがあってもいいものを…。
- 20 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 15:32
- 「なぁんでさ、そんなに甘いわけ?ごっちんに」
「甘くなんか無いよ?…怒ったんだって」
「でも、現実にブログにのってるじゃん?2ショットが」
「…そうなんだよねぇ…なんでなんだろ…」
それは、
『あなたがごっちんに溺愛してるからですよ!』
ってなんだか可哀想でいえなかった。
たぶん、彼女が言う事はあっている。
うん。
きっと止めたんだ。
やめてって。理由も踏まえて。
だけど駄目だった。
…いいんじゃない?
気にしすぎでないかい?
「…私はさ、大丈夫だとおもうよ?だって今DEF.DIVAじゃん?どの人と2ショットがあってもおかしくないよ」
「で、でもさ…中には不思議がる人もいるかもじゃん…」
「はぁ…心配性だなぁ…。何年その関係保ってんのさ。いまさらだよ」
「だからなの!…壊したくないんだよ…ちゃんと言ったのになぁ」
「…」
そういって、思いっきり眉尻をさげた。
…。
うらやましいぞ…ごっちん。
愛されてるねぇ〜。
チョット、ズルイ…。
別に梨華ちゃんみたくキショイのはいらないけど、
この愛され度はうらやましいかも。
ごっちんも馬鹿だねぇ〜…。
「ったく…んで、梨華ちゃんはごっちんになんて言ったの?」
「…うん…」
そうして梨華ちゃんの
なが〜い(本当に長くてどうでもいい)お話を
聞くはめになりました…。
あぁ〜…私ってオシトヨシ…。
ミキティ…助けて…。
- 21 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 16:55
- それは何日か前の、それこそDEF.DIVAの楽屋でした…。
―――
―――――
「梨華ちゃん、一緒に写メとろう?」
ごっちんがこんな事を言い出したのは
DEF.DIVAの楽屋でのことだった。
何を改まって写メなんだろう…。
いっつも撮っているのに。
たぶん、ごっちんの携帯には私との、私の携帯にはごっちんとの
写メが山ほどあった。
別にかまわないけど、いつもならいちいち言ったりはしない。
何か変な感じはした。
…何か企んでいるような…そんな予感。
「…いいけど、なんで今?もう少しで世界バレーの特番だよ?」
「だねぇ〜。しかも生放送。わくわくダネ」
「いや、そうじゃなくてさ…」
私が聞きたいのは理由。
いいんだけど、別に一緒に撮るくらい。
だけど…この笑みの裏に何かあるって思うのは勘違いではない。
長年一緒にいてきた勘というやつだ。
彼女は指定のジャンバー(衣装)をきている。
もちろん私もそう。
さっき、彼女が言っていたとおりもうすぐ出番。
生放送だ。
なのに…なんで今?
「撮ろうよ!いいから♪いいから♪」
「ん…わかった…いいけどさ」
「ん。んじゃ、梨華ちゃん『ガンバルゾ!!』って感じでお願いします」
「え?こ、こんな感じ?」
そうやって言われたから手をグーにしてみせた。
彼女はそれをみて微笑んだ。
…可愛い…。
い、いや、そうじゃなくて!
「ん。いい感じ。んじゃいくよ?ハイ、チーズ♪」
――カシャッ
携帯の電子音が鳴る。
うまく取れたかな?
やっぱりこんな仕事をしているのだから
どんなカメラでも気にしてしまう。
「ごっちん…なんで私はこんなポーズだったの〜?」
「ん〜?だって見ている人になるべく伝わって欲しくて。
今から梨華ちゃんと頑張ってくるんだってのをさ」
「…?見ている人って?」
私の疑問に可愛い顔で微笑んだ。
彼女のこの微笑みはとても好きだ。
まるで子供のような甘えた顔。
最近、セクシー路線にいっているようだけど、やっぱり中身は子供。
21歳だろうが、可愛い子供だった。
「えへへ…。ブログに載せようと思って♪」
「…え?ブログ?」
「私、ブログやってるじゃん?それにさ」
「…え?え?」
ごっちんのブログの事はもちろんしっている。
最近はじめたらしく、普段思っている事や写真を載せているらしい。
いや、『らしい』というのはちょっとおかしいかも。
実を言うと私はものすごくまめにチェックをしている。
彼女の思う事、考えている事を全部知りたかった。
なにか、見ている間は一緒にいなくても
私に言ってくれてるような気にさえなれた。
そんなごっちんのブログ…。
そこに今の写メを?
駄目、絶対に駄目!
もし載せたら私達の関係がばれてしまうかもしれない!
「ごっちん!駄目!載せちゃだめだよ!」
「ふぇ?…な、なして?」
彼女は私が不意に声を大きくして叫んだから
とてもびっくりしていた。
さっぱりなんだか分かっていない様子。
ポカーンって私を見つめている。
「今の写メ、載せちゃだめだよ?…私達の関係がばれちゃうでしょ?」
「だ、大丈夫だって。DEF.DIVAの収録なんだから」
「でも、あえてDEF.DIVAのなかで私だけ2ショットなの?って思う人いるかもじゃない!」
「心配性だなぁ…」
彼女はあきれるようにため息をついた。
それに私はカッとなった。
こっちはごっちんとの関係を壊したくないから
言っているのに何でそんな態度をとるのか。
いつも言っているのに全然聞いてくれない。
- 22 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 16:55
- ましてやこんなふうにされて私達の関係が事務所に
ばれてしまったら、引き離されるかもしれないのに…。
ごっちんは嫌じゃないのか…。
「ごっちん!聞いてるの?駄目って言ったら駄目だからね?!」
「大丈夫だって!心配しすぎだよ」
「そんな事ない!何があるか分からないでしょ?」
「…なぁんでこうさ…聞き分け悪いかなぁ…」
「…!それはごっちんでしょ?わかってよ!」
「うるさいなぁ…大丈夫だっていってんじゃん!」
「…」
「だいたいさぁ、いっつもいっつもそんなんばっかじゃん!
何?梨華ちゃんのその大丈夫じゃないって!そうやって突き放してんの?」
「…!ち、ちが…」
いつのまにか口論になってしまっていた。
本当はこんな事したくないのに。
本当はうれしかった。
こうやって、いろんな面で甘えてくれる、束縛してくれる彼女が大好きだった。
なのにそれが時に不安になる。
壊れて欲しくないって思ったら素直になれなくなる。
私だって彼女とベタベタしたい。
いつも甘えさせてあげたい…。
なのになんでこんな事になるんだろう…。
涙があふれそうになる。
我慢しろ。
ここで許したらまた繰り返しだ。
絶対に許しちゃ駄目だ。
我慢しろ…涙…出てくるな…。
嫌われたくないよぉ…ごっちん…。
彼女はハッとしてわれに帰った。
そして私のほうにゆっくりと近づいてきた。
そして…前から包み込むように私を抱きしめた。
私はえ?っとして彼女をみた。
だって、たった今口論になったばっかりだったのに。
いつも謝るのは私からなのに。
彼女から抱きしめてくれた。
「…ごめん梨華ちゃん。言い過ぎた。ごめんね…」
「…ううん…私こそごめん。だけど、ごっちんわかって?私の言いたい事」
「うん。わかってる。わかってるよ?だけどさ…私もお願い…」
「…駄目だよ…駄目…ばれちゃったら嫌だモン…」
「わかってる。変な事かかないから」
「…でも…」
彼女は私の瞳をゆっくり見つめた。
ふわりとした空気につつまれる。
甘い…酔いそうなくらいの彼女の香りにさそわれる。
あぁ…私って駄目なんだなぁ…。
弱い…。
「お願い…梨華ちゃん…」
「…!」
そういうと彼女は私の口に暖かなものを押しつけた。
目の前に彼女の顔がある。
とても柔らかで…甘い唇が私の唇におしつけられていた。
心臓が飛び出しそうになる。
急にドキドキとおかしくなりそうになる。
熱い…甘い空気が楽屋に広がった。
私が固まっている事をいい事に
微笑みながら彼女は私の顔の色々なところにキスをした。
「…ちょ、…ちょっとごっちん…止め…て」
「ん〜…。嫌だ。梨華ちゃんがいいよっていってくれるまで」
耳、鼻筋、首筋…触れるだけのキスが何度も繰り返される。
頭がおかしくなりそうだ。
クラクラとしてきた…。
「…わかったからぁ…いい…よ…」
私は思わずこの言葉をポロリと言ってしまった。
その言葉を聴いた彼女のニタァっと笑い出した。
「…アリガトウ…まってたよ、その言葉♪」
「!…もしかして仕組んだの?!」
「アハ!ちがうよ。梨華ちゃんが甘いのは知ってるからさ。利用しただけ」
- 23 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 17:00
- はぁ…つぐつぐ私は甘いなぁ…。
分かってたけどさ。
こうなる事ぐらい。
でもね…こうやってベタベタするのは大好き。
私はごっちんが知らないくらいあなたに溺愛している。
でも、それは口が裂けても言いたくない…。
だって年上のプライドがあるんだもの。
言えないよ…。
しょうがないじゃない。
私は彼女が大好きだから。
- 24 名前:サソリ 投稿日:2006/12/09(土) 17:01
- すいません!急用です。また後で書きます!
- 25 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 22:15
- ―――
――――――
なるほどね…そんな事があったわけですか。
目の前の彼女は耳まで真っ赤にしている。
…いつも梨華ちゃんキショイっていうけど、今だけ訂正するよ。
ちょっとだけ可愛いかもしれない。
もちろん、私の次にね。
「…やっぱりごっちんに甘いんだね。梨華ちゃんは」
「うん。甘いと思う。でも、次から気をつけるよ…」
「そうしな。まぁ梨華ちゃんには無理かもだけどね」
「…亜弥ちゃんだって…人の事いえないくらいミキティと…」
「ぇえ?なんかいった?」
「…言ってません…」
「ん。よろしい」
それにしても不思議だよね。
ふだんあんだけボーッてしてるかマイペースで何にも動じないごっちんが
ここまで惚れてるなんて…。
いったいどんな技をつかったんだ?
梨華ちゃん。
もしかして、色仕掛け…?
逆に梨華ちゃんをここまで惚れさせたごっちんも
どんな技を使ったんだ?
話を聴いてると、ものすごく押し引きがうまい気がする。
それが天然っていったら尊敬するよ。
いや、本気で。
ぜひ、二人に聞きたいものだよ。
んで私もミキティに試したいものだよ。
「…わかった。話してくれてありがとう。面白かった」
「え?面白おかしく聞いてたの?」
「…イイエ。半分はちがうよ。半分は今後のためにね…」
「こわぁい…。年下なんて思えないなぁ〜」
「いいじゃん!きにしないで!」
そうこうしている間に本番まぢかだ。
今日は世界バレーの試合がある。
私達は応援席で応援なのだ。
「いくよ!梨華ちゃん!」
「うん。ありがとね。色々とさ」
なんとなく分かってた。
彼女の表情を見れば何があったのか分かる…私は天才だからね。
ごっちんは…無理だけど。
- 26 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 22:25
- その後、私達はオフィシャルサポーターとして歌を歌い、応援に入った。
特別に用意された席に座りみんなで応援する。
私達DEF.DIVAの席は一番前。
順番は私、安部さん、ごっちん、梨華ちゃんの順番だった。
生放送なだけあってお互い気を使っているようであった。
が、しかし…。
テレビを見ていた方々には分からなかったと思うが、
応援席にいる時のイチャコキははっきり言ってみたくなかった。
私たちが映るのは上半身上だけ。
テレビには足は映らない。
…本当にバカップルだよ。
彼女らは下で足をくっつかせていた。
常にそこをくっつかせていた。
そう、足だけを。
馬鹿じゃないのか…。
大概にして欲しい。
ちょっぴりミキティに会いたくなったじゃんか。
ってか、さっき梨華ちゃんは
『次から気をつけるよ…』
ってはっきり言ったじゃんかよ。もう駄目か。
はぁ〜…。
分かるけどさぁ。
慎重に行動しないと本当にいつか壊れちゃうよ?
ってか壊しちゃうよ?
私がさ…。
あぁ〜!!ミキティ!!
メールしてよぉ…。
寂しいじゃんか。
- 27 名前:ブログ 投稿日:2006/12/09(土) 22:28
- >>16 名無飼育さん様
いかがでしたでしょうか。こんな感じにしてみました。
世界バレーのいしごま…のつもりでした。
でも、大半が松浦さんでしたが。
- 28 名前:サソリ 投稿日:2006/12/09(土) 22:32
- はい。『ブログ』でした。
>>3と>>16さんの甘いのと世界バレーを考えた結果…です。
難しい!!あぁ〜!!
>>3さん、石川さんに甘える後藤さんはまた書くんで
これで勘弁です。
いしごまの書いて欲しい短編ありましたらよろしくです。
細かい説明があると助かります。
書きやすいです。
よろしくお願いします。
それでは失礼しました。
- 29 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/09(土) 23:14
- めっちゃ好きです。サソリさんのいしごま!!
なんでリクエストしちゃってもいいですか?
学園物で、ふたりは幼馴染の先輩後輩。
ごっちんは超問題児の不良で、梨華ちゃんは人気者の超優等生。
ツンデレならぬリカデレ状態のごっちんが見たいっす。
周りに恐れられてるごっちんが梨華ちゃんには頭があがらず、
梨華ちゃんにたいしてだけは子供になるごっちんでお願いします
- 30 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/07(日) 19:21
- いしごま(・∀・)イイ!!
作者さんがんばってください
- 31 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/09(火) 17:25
- 待ってます!!!
- 32 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/21(日) 18:25
- 2人の溺愛っぷりがたまらない!!
更新待ってます
- 33 名前:名無し飼育さん 投稿日:2007/02/06(火) 01:26
- 作者さん頑張って下さい
更新気長に待ってます!!
- 34 名前:サソリ 投稿日:2007/02/07(水) 23:45
- 長い間あけてしまってすみませんでした。
色々と正月は忙しく…。
学生なもんで。言い訳っす…(泣)
これからちょくちょく書いていきますんで。
書いて欲しい話がありましたら言ってくだされば嬉しいです。
それでは、近々…。
- 35 名前:サソリ 投稿日:2007/03/06(火) 07:23
- すいません。
長々とあけてしまいまして。
それでは
>>29名無飼育さんのリクエストをいきたいと思います。
梨華ちゃんには頭があがらず…とはいかないかもですが。
- 36 名前:保健室 投稿日:2007/03/06(火) 07:42
- ―――
――――――
天井は白一色。
目を閉じても変わらない世界。
私の居場所でもあり、逃げ場でもある。
そこに横たわっている。
何も感じずに。
音は…何もしない。
するとすれば、パソコンのキーボードを叩く音くらい。
人は…いるんだろう。
まぁ、毎日顔を合わせている人だけども。
体を横にねじるだけでギシギシ音がする。
この鉄製のパイプでできている安くてダサいベットで。
体が痛くなるような硬いマットに
パリッとした白いシートが敷かれていて、
それこそ硬い枕に柔らかくて薄い布団が私には掛けられていた。
乾燥しているこの部屋で。
私は今日もここにいる。
きっと明日もここにいて。
明後日もここにいるんだろう。
私専用になっているベットに横たわる。
居心地は…悪くない。
- 37 名前:保健室 投稿日:2007/03/06(火) 07:52
- もうわかっていると思うが、
ここは保健室だ。
私がもっともお世話になっている場所。
そして今は授業中。
たぶん…五時間目くらいなんだろう。
きっと六時間目もここに私はいる。
そして六時間目が終わったらHRにでないでまっすぐ帰宅するんだ。
ここん所毎日そうだもの。
いつも、昼休みからここに来て、
五、六時間目は全てサボる。
「サボるってサボタージュって言うんだっけなぁ…」
いらない知識が言葉にして出た。
普段生活するうえでこんな知識必要ないのに。
必要ないものなんて覚えないししない主義だったのになぁ…。
別に眠たいわけじゃない。
別に授業が分からないわけじゃない。
別にクラスになじめないわけでもない。
更に言えば、保健室の先生に恋をした…なんてことはもってのほかで。
理由は…ダルイから。
それ以上でもそれ以下でもない。
ただ、こうして天井を眺めて過ごすだけ。
- 38 名前:保健室 投稿日:2007/03/06(火) 08:05
- 簡単に言えば、私は優等生じゃないから。
俗にいう不良ってやつなのかわからないけど。
不良が自分のことを不良なんて言わないから分からないけど。
まぁ、真面目ではないんだろうな。
って言っても馬鹿なわけじゃない。
そこを勘違いしないで欲しい。
私はテストなら学年300人いる中で50位に入るほど頭が良くて。
授業を受けないけど教科書みればだいたいは全て解ける。
だから、私の定義にいわせれば
別にサボっていてもいいんだと思う。
だって、ほかの八割が真面目に授業を受けていれば
授業なんて成立する。
いや、たった一割でも成立するんじゃないのかな。
だってここは高校だから。
義務教育じゃないんだもの。
たとえ私が頭がいいけど出席日数がたりなくて
留年しても高校はどうでもいい顔をしている。
それは当たり前のことで。
留年したらまたその生徒を同じ学年から教えなおせばいい。
同じ顔して同じ授業を何十年と永遠に繰り返すんだ。
それのたった一つにしかない私。
怒る気もないんだろうな。
まぁ怒ったりしたら私が切れるけど。
私の生き方に文句なんかいわせない。
私の定義にもだ。
私は私なんだから。
- 39 名前:保健室 投稿日:2007/03/06(火) 08:17
- 柔らかな日差しが白いカーテン越しから垣間見える。
隙間の開いたカーテンから外の風景がみえる。
鮮やかな黄緑色の葉が元気良く咲き乱れる。
学校の象徴でもある大きな木々が立派に立ち誇っている。。
季節は春と夏の中間。
梅雨が明けてこれから夏に入ろうとする季節だ。
そして私は高校二年生。
大事な大事な年って…言っているハゲてデブな奴らが今は授業をしているんだろう。
やることがないし、
もう一眠りしようかな…。
―― キーンコーンカーンコーン…
そんな時に五時間目の終わりのチャイムが鳴り響いた。
音と共にいっせいに廊下がザワザワとしてきたのが
ここからでもうかがえた。
眠りにつこうとしていたのに…。
これこそ安眠妨害…?
ダルすぎる…。
- 40 名前:保健室 投稿日:2007/03/06(火) 08:32
- ―― シャー…
目に強い日差しがいきなり入る。
誰かがベットのカーテンを開いたのだ。
確認する前にその人物が口を開いた。
若くは無いおばさんの声で。
まぁ、保健室の先生なんだけどもさ。
「後藤さん?あなた六時間目もいるんでしょ?」
「うん」
「先生ね、六時間目ちょっと
職員室で打ち合わせをしないといけないんだよねぇ」
「…で?」
「それで保健室空けるんだけど…いいわよね?」
「別に…」
一々確認することでもないのに。
私を何歳だと思っているんだろう。
ばかばかしい。
「そう。何かあったら職員室に電話してね。誰か来てもほっといていいから」
「わかってるって。もともと出る気なんてないし」
「一応鍵は閉めないけども、ちゃんとねてるのよ?帰らないで居なさいね?」
「うっさい…はやくいけよ」
「…」
ついこんな口をたたいてしまう。
別に嫌いな先生なわけじゃないから普通にすればよかった。
毎日ここにおいてくれる保健室の先生には一応感謝してるんだ。
―― キーンコーンカーンコーン…
再びチャイムがなった。
今度は六時間目の始まるチャイムだ。
それと同時に保健室の扉が閉まる音がした。
先生が出て行ったのだ。
- 41 名前:保健室 投稿日:2007/03/06(火) 08:36
- …やっとひとりになった。
再び静かになる。
廊下からは音はしない。
パソコンのキーボードを叩く音すらもしない。
白い世界にただひとりとなった。
そんな事に少し口元が緩んだ。
いつも一人だったきがした。
これからも一人。
そんな自分が滑稽なかんじだった。
そして浅い眠りに入った。
- 42 名前:保健室 投稿日:2007/03/06(火) 08:43
- …うつらうつらしていたんだと思う。
時間的には十分ちょっとだったらしいが
私の感覚的にはもう少し長い間だった。
そんな時間が過ぎていたころ、
頭の片隅のほうでガチャリと扉が開く音がした。
誰かがはいってきた。
それはわかっていたが一々調べるはずもなく、
誰でもよかったんだ。
私が思い当たる人物では。
が、実際は予想外の人物が入ってきていた。
- 43 名前:保健室 投稿日:2007/03/06(火) 09:07
- シャーッ!
カーテンが勢い良くあけられた。
そしてそれに反応して私が目を開ける前に
彼女は私の頭を強くなでて優しく話しかけてきた。
「ここにいたんだ、真希ちゃん。探したんだよぉ?またサボって…」
「!?」
思わず上半身を起こして目を見開いた。
目の前にいたのは
私が唯一心にざわめきを覚える人で。
たった一つしか年が変わらないのに小さい時から年上っぽく
ふるまろうと必死で
空回りばかりだけどとてもかわいい彼女が居た。
彼女の名は石川梨華。
同じ学校の一つ上の三年生。
幼馴染だ。
性格はまるで正反対でとっても真面目な彼女。
もちろん頭も良くてクラスの人気も高かった。
とてももてる彼女だったけど
いままで誰一人と彼女と付き合ったことがない。
彼女自身にまったくその気がないらしい。
やさしくていつも笑顔の
『梨華ちゃん』がそこに居た。
「…な、なんで?」
「ん〜?何がぁ?」
「いや、今授業中じゃん…」
「真紀ちゃんだって」
「私と梨華ちゃんは違うでしょ…」
少し慌てている様子の私に薄い微笑をみせて
同じベットに腰掛けてきた。
近くに寄るだけですこし心臓が痛くなるのを感じる…。
「さっき真希ちゃんのクラスにいったんだけどさ。サボりって言ってたから…」
「んじゃ、なんで梨華ちゃんまでサボんの…」
「エヘヘ…いいじゃん!」
顔を寄せて私によせる笑顔に顔が熱くなる。
言葉が出ない。
顔を…近づけないで欲しい。
彼女は…知らないかもしれないけど…
私は彼女に好意をもってしまっていた。
それはつい最近きずいた感情で。
一生懸命隠そうとしていた気持ちでもあった。
絶対叶わない思いで苦しいだけだから。
だから高校になってあまり話さないようにしていた。
そうするしか私には方法がなかったんだ。
だからこんなところで会いたくなかった。
苦しい思いが心臓を突き動かす。
苦しい。
痛い。
- 44 名前:保健室 投稿日:2007/03/06(火) 09:16
- 「久しぶりだよね。こうやって話すのさ…」
「…ん」
知ってか知らないのかあえてその話題に触れてくる。
やめて欲しい。
苦しい思いがここにあるのに。
「なんとなくね、話したくなってさ」
「…うん」
「最近サボってばっかりなんだって?」
「…」
「保健室の先生に聞いてみたらそんなこといってたよ?」
私の顔を覗き込んでくる。
顔が見れない。
彼女の問いかけに反応したくない。
「真希ちゃん頭いいのに…もったいないなぁ…」
「そんな説教するためにきたの?」
つい口に出てしまう憎まれ口。
思わずしまったとおもってしまった。
でも、彼女は優しくて。
笑顔を絶やさない。
「違うよぉ…
そんな風に感じたならごめんね…話したかっただけなんだよ…」
「…うん。わかってる」
彼女にやさしくされればされるほど
気持ちが大きくなるのが分かる。
今すぐにでも抱きしめたい気持ちで一杯なのに。
気持ちを伝えたいけど、彼女を困らせたくなかった。
- 45 名前:29 投稿日:2007/03/07(水) 19:01
- 待ってました!!!ずっと楽しみにしてたんですよ。
さっそく読ませてもらいます!!
- 46 名前:保健室 投稿日:2007/03/08(木) 22:00
- 本当は…彼女の唇を無理やりでもいいから奪いたい。
彼女が泣き叫んでもいいから
そのひと時を感じてみたい。
彼女と私、同じものを感じてみたいんだ。
そのあと、私がどんなに非難されようと。
得に気にはしないし後悔はしないと思う。
すぐ隣にすわって私を妹のように扱う彼女が悪いんだ…。
泣いたってしらない。
泣きながら私の名前を呼び叫べばいい。
助けを求めればいい。
それができるのは
数十分間のことで。
そのほんのわずかな時間のために
彼女と一生会えなくなるかもしれないのに。
そんなブラックな考えが私の脳裏にちらつくんだ。
普段なら考えられない。
きっと、ただ好意を持ってるだけの感情じゃなくて。
私のイラつきの当て場にするつもりなんだ。
普段からのイラつき。
それを晴らしたい…。
もっと彼女の奥底が見たい。
もっと彼女の顔が知りたい。
もっと彼女の体が欲しい。
…彼女が欲しい。
…私だけのものにしたい…。
サイアクだね。
- 47 名前:保健室 投稿日:2007/03/08(木) 22:03
- 胸に痛みが走る。
ただの痛さじゃない。
息ができないくらい…。
なんでこんな風に思うようになった?
昔は…違ったのに。
私と彼女は誰からも認められるくらいの親友だったんだ。
『真希ちゃん』と『梨華ちゃん』
そう呼び合っていたんだよね?
- 48 名前:保健室 投稿日:2007/03/08(木) 22:16
- 眉間に皺がよる。
頭が痛い…。
イラたつ…。
そんな事を考えていたら彼女の口が開いた。
「…真紀ちゃん、疲れてる?私、迷惑かな。保健室から出ようか…?」
まるで子犬のように縋るような顔して。
余計に彼女が欲しくなった。
どうしても。
「真紀ちゃん?」
「…早くさ…でたほうがいいんじゃない?」
でも、なにか切れる前に言葉が先にでた。
彼女を泣かせる前に。
早くここを出たほうが良い。
「…なんで?」
「人に…会いたくない…気分なの」
「…でも…」
「いいから早く出てよ!イラつくんだ!!目障りなんだよ!!」
「!!」
私の言葉に彼女は目を丸くした。
今までこんな風に彼女に当たった事は小さい頃から一度もなかった。
私は『梨華ちゃん』が小さい時から大好きだったから。
ずっと大好きだったから。
彼女に好かれようと努力していたんだ。
…私は…
昔から彼女が好きだったんだ。
- 49 名前:保健室 投稿日:2007/03/08(木) 22:29
- だけど、彼女は
やっぱり昔のように微笑んで。
「真紀ちゃん…何に怯えているの?一人じゃないんだよ…」
「…!」
私にとって苦しい一言を言った。
怯えている?
私が?
誰に対して?
何のために?
どうして…?
余計に私の心をかき乱していく。
そんな事いってほしくない。
本当は…分かっているんだ。
全部。
何に怯えているか、
どうしてイラたつのか、
何故ここまで彼女に執着しているのか…。
全部全部、自分に対してなんだ。本当は。
孤独が嫌で。
寂しいのに一人で平気なふりをする。
何も見ない振りして、
これからもそうしていくつもりだったのに…!
なんで余計な事をするんだよ!
「…梨華ちゃんは…私の何が分かるのさ」
「…うん。なにも分からない。だけど真希ちゃんが苦しんでいるのは分かる」
「人事だから…でしょ?真面目な優等生だもんね。偽善?」
「そうおもわれてもいいよ。だけどね、真希ちゃん…」
「?」
彼女はゆっくりと私に体を寄せてきた。
そしてやさしく、強く抱きしめてきた。
「…私は…お姉さんだよ。一つしかかわらないけどさ…。
心配だよ。サボったりしていると心配になるんだよ…?」
「そんなのしらないよ…」
口が嘘をつく。
嘘をつくのは照れ隠しなわけではない。
私が昔から自分を守るためにしてきた防御策で。
苦しいんだ。
本当は嬉しいけど。
うまく言葉がでてこない。
- 50 名前:保健室 投稿日:2007/03/08(木) 22:41
- 「あと20分くらいあるね…六時間目終わるまで」
「…」
彼女の声が耳から…というよりも、
全身から伝わってくる。
抱きしめられたままだから。それはとても居心地がよいもので。
欲望をジワジワと和らいでくれる。
「ほんのちょっとだけど…ここで一緒に寝ちゃおっか」
「えっ…?」
私の答えを聞く前にすぐに私のベットにもぐりこんできて
お互い向かい合わせになる。
二人ではかなり窮屈なため
距離はとても近く、私はまともに顔すらも見れなかった。
「こんな風にして寝るの久しぶりだよね。幼稚園以来?」
「…そんなこともあったね」
「うん。真希ちゃんがさ、いっつも寝てくれなくて私はいつも
真希ちゃんの頭を撫でてあげてたんだよ?…覚えてる?」
「…覚えてる」
「今もさ、私には分からないけど
うまく自分を休ませて上げれてないんじゃないかな」
「…?」
「自分をコントロールできてない子供なんだよ?
今はそれで良いんだよ?私達まだまだ子供じゃない…」
「…うん」
「だから、昔みたくしてあげるよ…」
そういって彼女は私の頭に手を置き、
ゆっくりとゆっくりと撫でてきた。
まるで、母親のようで。胸の苦しい痛みが和らいでいくようだった。
かわりに、嬉しさと眠気が同時に
私を徐々に支配してきた…。
- 51 名前:保健室 投稿日:2007/03/08(木) 22:45
- 彼女は『私達はまだまだ子供』といっていた。
だけどそれはちがくて。
彼女はもう大人だった。
その距離に寂しさを感じたけど嬉しさもあって。
昔みたくお姉ちゃんができた気がした。
甘える存在ができた。
今はそれでいいんだと思う。
今はまだ私が子供だから。
姉と妹の関係でいいんだ。
彼女もそれを望んでるし、私もそれを望んでいる。
でも、何時の日か…。
それが恋人という関係になれたらいい。
それを願いながら
私は目の前の彼女と浅い眠りに着いた。
- 52 名前:保健室 投稿日:2007/03/08(木) 22:46
-
- 53 名前:サソリ 投稿日:2007/03/08(木) 22:54
- はい。『保健室』でした。
正直…微妙です…(泣)
なんか短編に収まらないような過去設定が後藤さんのほうにありそうだし、
それを無理やり短編にしたって感じがします。
さらにいうと、
>>29さんの要望に応えられた自信が…。
ほんとうにすみません!
あと、長い間空けてしまってすみませんでした。
今後はちゃんと更新しますんで…。
>>29->>33までの方々、
ありがとうございます!がんばりますね。
こんな文でよろしければ、またリクエストくださいな。
アンリアルでもリアルでもかきます。
まぁアンリアルのほうが書きやすいって言ったら書きやすいかも…。
作者的にブラックな内容得意です(笑
っていうか、甘くしようとしたら
いっつも少しブラックになるんだよなぁ…。
それでは。
『保健室』でした。
感想お待ちしています。
- 54 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/09(金) 18:16
- 更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
久々にキタキタキタッ!
- 55 名前:名無し飼育さん 投稿日:2007/03/12(月) 14:00
- ごっちんを優しく包み込んでる梨華ちゃんに
心が暖かくなりました。
頑張って下さい!
- 56 名前:名無し読者 投稿日:2007/06/14(木) 08:31
- 待ってます。。
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