リセット・ボタンに触れながら
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/11(日) 23:08
- 見切り発車ですがどうしても発車したくなってしまったのではじめます。
リアル世界のつもりですがアンリアルも混じります。
- 2 名前: 投稿日:2007/03/11(日) 23:09
-
『よっちゃん、美貴、亜弥ちゃんと別れた』
『マジ?』
『うん。ふられちゃった。』
『なんで、そんな。どうして?』
『わかんないよぉ。やだよぉ』
そんな会話をあたしたちがしたのは、もう一年近く前。
泣きじゃくる美貴を前に手を差し伸べられなかったあたしも、
チャンス到来?とこっそりひねくれた考えを持ってるあたしも、
もうずっと前のもの。
- 3 名前: 投稿日:2007/03/11(日) 23:10
-
『よっちゃん、美貴はよっちゃんが好きなんだ』
『は、あ、え?だって、松浦は』
『亜弥ちゃんとはもう親友同士じゃん。よっちゃんが好きなの。大好きなの。
美貴がつらいとき、苦しいとき、支えてくれるのはいつもよっちゃんだったんだぁ。
よっちゃんがよければ、付き合ってほしいって思ってる』
『あ、うん。ありがとう。よしこも』
『よしこもなに?』
『美貴が好きだったよ、ずっと』
こんな会話は、三ヶ月前だったか。
笑ってる美貴に照れてるあたし。
恥ずかしくてうれしかった、三ヶ月前。
- 4 名前:世界の端々に広がる幸せ 投稿日:2007/03/11(日) 23:10
- 「よっちゃん一緒に帰ろう」
「あーい、ちょい待って」
仕事が終わって、いつもどおりの会話。
あたしは美貴に声をかけられる。
終わりの時間が割合早くて次の日の一個目の仕事が同じなときはたいていこうしていた。
美貴とあたしは恋人同士。
そうなってもう、数ヶ月になる。
最も、あたしが美貴をそういう目で見るようになったのはもっと早い。
あたしたちは割とうまく言ってるし、仲もいい。
けんかなんてしたことない。
たまに美貴がぷりぷり怒ったりするけど、それすら幸せの一部。
なのだと思う。
- 5 名前:世界の端々に広がる幸せ 投稿日:2007/03/11(日) 23:11
- 家に帰って、だらっとして、お風呂入って、ご飯を食べて、寝る。
一人で過ごすときとなんら変わらない当たり前の生活を、二人でするようになるだけで、それはそれは幸せなものになる。
美貴は二人っきりになると外では見れないような、甘えっこの姿を見せる。
手をつないだり、一緒に寝たり、キスしたり、セックスしたり、それは凄く幸せで味わったことのないような充足感。
ただ、この当たり前の生活に「親友」の姿が普通以上にちらつくこと。
それが当たり前を壊していく気がして、あたしはどうしても気になってしまう。
最も美貴は何も気にしちゃいないし、あたしの気持ちにも気づいてない。
だからこそ成り立っている、当たり前の幸せ。
矛盾している。
あたしには何が自分の気持ちなんだか、もうわからない。
- 6 名前:世界の端々に広がる幸せ 投稿日:2007/03/11(日) 23:11
- 家に帰って、松浦にメール。
だらっとして、松浦が暇なときは電話。
ご飯を食べて、メール。寝る前にメール。
きっとあたしとしているメールの回数より多い。
彼女は言う。
「亜弥ちゃん寂しがりだからね。あたしぐらいしか親身になってくれたりここまで親しかったりする人、いないんだよ」
あたしは思う。
じゃあ何で別れた?恋人というくくりにすれば、その関係はもっと簡単なんじゃないか?
なぜだか悲しそうな顔で笑う美貴にそんなこと聞けない。
答えは出ない。
声にも出せない。
あたしは怖いのだ。
松浦の存在をあたしが否定したとき、美貴は恋人のあたしより親友の松浦を取るんじゃないかと。
- 7 名前:世界の端々に広がる幸せ 投稿日:2007/03/11(日) 23:12
- こうして悩んでいるけど、実際松浦には彼氏がいる。
だけど、二人にとってその互いの存在はほかに変えられない大切なものなんだというのは、わかる。
二人に何があったのかはあたしは知る由もないけど、深いところに傷があって、それを支えあってるような気がする。
想像するしかないって言うのは、悲しくて切ない。
以前、あたしたちが付き合いたてのころ、美貴は言った。
『美貴たちって、色々ありすぎてるし知りすぎてるしさ。
亜弥ちゃん彼氏はいるけど、今心から信頼できるのは美貴しかいないと思うんだ。
だから美貴は親友としてできる限りのことはしてあげたいし、支えてあげたい。
よっちゃんとは違った意味で、大事な人なんだ。これっておかしいかな?』
あたしは何もいえなかった。答えを求めるなよ、と怒りすらわいた。
首を振って、『大事にしなよ』なんていう男前でくだらないうそ偽りの言葉しかいえなかった。
あたしは美貴が好きで、大好きで、なくしたくない。
- 8 名前:世界の端々に広がる幸せ 投稿日:2007/03/11(日) 23:12
-
こういった毎日にもなんとなく慣れてきて(心の中ではいつまでたっても消化できないが)、そうしてあたしたちは幸せだ。
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/11(日) 23:22
- 短いですがこんな感じで
吉澤さんの脱退の話はとりあえずなかったことに…。
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/11(日) 23:51
- 面白そうですね
次回も楽しみにしてます^^
- 11 名前:どうにもこうにも消化できないことへ膨らんでいく事実 投稿日:2007/03/12(月) 04:09
- いつもどおりだった。
毎日が、普通に過ぎていって、当たり前すぎて、おかしなことに気づかなくなっていったのかもしれない。
いつしかあたしは、想像するようになってしまった。
彼女たちの過去を。
偽るようになってしまった。
あたしの気持ちや態度を。
二人の会話に松浦の話題が出るのは日常。
松浦の話を楽しそうにする美貴も日常。
それを笑って流すあたしも日常。
美貴といると、楽しい、それが日常。
- 12 名前:どうにもこうにも消化できないことへ膨らんでいく事実 投稿日:2007/03/12(月) 04:09
- あたしは、バカな役回りがよく似合う。
自分でわかっているのだ。
役回りとはいっても、そうしているときにはそれが本当の自分なんだって思えるくらいに自然に出てくる言動だし、
それに不満を持っているわけでもない。
あたしがバカなことするとみんなが笑ってくれる。
美貴がうれしそうにしてくれる。
それがあたしを動かす原動力なんだ、きっと。
だから弱音なんて吐くあたしは、あたしじゃない。
- 13 名前:どうにもこうにも消化できないことへ膨らんでいく事実 投稿日:2007/03/12(月) 04:10
- 友達は少なくない。
満遍なく付き合って、身近な人から嫌われたことはあんまりないはずだ。
だからこそ吐けない弱音。
つらいだなんて、当然思うに決まってる。
- 14 名前:どうにもこうにも消化できないことへ膨らんでいく事実 投稿日:2007/03/12(月) 04:10
-
- 15 名前:どうにもこうにも消化できないことへ膨らんでいく事実 投稿日:2007/03/12(月) 04:11
- 「みーきちゃん。よしこもう眠いよう。」
テレビをつけた部屋で、あたしはベッドに横になっている。
美貴は床に座って、テレビをうすぼんやりした目で見ながらカチカチとメールを打つ。
「そだね。明日早いしそろそろ寝よっか。美貴も眠い。」
そう言って、テレビを消して布団にもぐりこんでくる美貴を、あたしは笑顔で受け止めた。
「うあー、暑いよう、よっちゃん。」
「うっせ。こちとら眠いんじゃ。」
もぞもぞと胸のあたりに顔をうずめる美貴を抱きしめて、頭をなでると、んー、と美貴は目を細めた。
そのままの格好で、最近の仕事とか、楽しかった収録だとか、おいしかった差し入れだとかの話をして、あたしたちは笑った。
なんでもない会話の中、美貴はなんでもないように話題を変えた。
- 16 名前:どうにもこうにも消化できないことへ膨らんでいく事実 投稿日:2007/03/12(月) 04:11
- 「そういやさぁ、亜弥ちゃん彼氏と別れたんだよね。」
あたしの顔は美貴からは見えない。
あたしも美貴の顔は見えない。
「へぇ。いつ?松浦大丈夫なの?」
「うーん。おととい。ちょっと今ヤバイっぽくてね。だから、あ、メール。」
ブルブルと振動音がして着信を告げる。
あたしは美貴を解放して、美貴は携帯に手を差し伸べる。
ぼんやりと見つめていた。
「で、今のメールも亜弥ちゃんなんだけどさぁ。すごい落ちてるんだ。
いやなこと言われて、別れたみたいだから。
なんか亜弥ちゃんってちょっと弱いんだよね、精神的に。」
「うん、わかるよ。大丈夫なの?」
そんなこと言われても知らないといえない。
- 17 名前:どうにもこうにも消化できないことへ膨らんでいく事実 投稿日:2007/03/12(月) 04:12
- いまさらながら少しずつ、焦りが出てきた。
美貴と松浦は親友で、仲がいい。
彼氏と別れた。松浦が。
松浦は、美貴の元彼女だ、これに誤りはない。
じゃあどうなるか、これから先。
それは答えが出ない。
心臓がキューンと音を立てるように引きつる。
「大丈夫じゃない。付き合ってたのに、なんでそんなこといえるんだろうって思う。
亜弥ちゃんをあんなに傷つけて。美貴だったら、絶対そんなことしないのに。」
さすがに痛い。目じりにしわが寄る。
鼻の奥がつんとして涙が出そうになったけど、我慢して飲み込んだ。
吐き出さなきゃ。
「なんだよーそれ。どういう意味で言ってんだよぉ。」
こんなときでもふざけた物言いしか出来ない自分はなんなんだろう。
本音は、もっと痛いのに。
少しだけ漏らした本音で精一杯だった。
- 18 名前:どうにもこうにも消化できないことへ膨らんでいく事実 投稿日:2007/03/12(月) 04:13
- 「あ、違うよ?美貴だったら、よっちゃんにそんな思いさせるようなこと言えないっていうこと。
ごめんごめん、ちょっと足りなかった。」
苦笑いの美貴になだめられて、少しも毛羽立った気持ちが落ち着かない。
ふっと、あぁ、美貴ってあたしより年上なんだっけなって思った。
これから先、後何度こんな思いをするんだろうって思いながら、あたしは目を閉じた。
少しだけ表立ってしまった不安が、不満が、
これからどんな形になるのか、あたしにはわからないから。
- 19 名前:どうにもこうにも消化できないことへ膨らんでいく事実 投稿日:2007/03/12(月) 04:13
-
- 20 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/12(月) 04:15
- 更新しました。
>>10 名無し飼育さん
ありがとうございます。
頑張ってさくっと進めていきます。
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/14(水) 00:20
- これからどうなっていくのか楽しみです。
- 22 名前:好きだっていう思いは時として自分をも傷つける 投稿日:2007/03/17(土) 18:50
- 日常の中で松浦が占める割合が多くなってきた。
今も美貴は松浦と電話をしてる。
美貴の顔は、あたしが見たことのない顔になっている。
どうしてだろう。
幸せなのに、怖い。
- 23 名前:好きだっていう思いは時として自分をも傷つける 投稿日:2007/03/17(土) 18:50
-
- 24 名前:好きだっていう思いは時として自分をも傷つける 投稿日:2007/03/17(土) 18:51
- 「うん、わかったから、少し落ち着いて。亜弥ちゃん、大丈夫だから。」
松浦が精神的に弱いということは、わかっていた。
美貴と松浦の付き合いを見ているうちに、なんとなくわかってきたことだった。
プロ意識っていうものは、松浦には人一倍ある。
そのせいかオフのときに発作的に崩れてしまったり、壊れてしまったりするらしい。
誰にもつらい顔を見せないんだと思っていた。
いつも笑っていたから。
だけどそれは違って、美貴にだけ、その姿を見せることが出来るのだなぁと思った。
胸がぞわぞわした。
電話を切った美貴があたしを見て、つらそうな顔をしていた。
「よっちゃんごめん。明日朝遅いし、美貴今から亜弥ちゃんの家に行って来てもいいかな。
亜弥ちゃん、ちょっとやばいことになってるから、落ち着かせないと、大変なことになるかもしれない。」
つらそうな顔しないで欲しい。
あたしだって、本当は凄くつらい。
- 25 名前:好きだっていう思いは時として自分をも傷つける 投稿日:2007/03/17(土) 18:51
- なんでって思い出したらきりがない。
なんで美貴が行かなきゃいけないの?
親友ってなに?
親友だったらそこまでするの?
じゃああたしは?
あたしは何?
「よっちゃん?今からはいやだ?やなら、いいよ。ごめんね?」
イヤだよ。
ものすごくいやだ。
だけどそれを言ってしまったら、あたしはどうなる?
あたしよりも松浦との関係を大事に思っていたら、あたしは。
いらないかもしれない。
いやだ。
あたしは美貴が好きだ。
美貴しかいない。
「ううん、行って来て。あたしも、松浦心配だし。うん、行った方がいい。」
そう言うしかないじゃないか。
- 26 名前:好きだっていう思いは時として自分をも傷つける 投稿日:2007/03/17(土) 18:52
- 一人になった。
美貴は松浦のところへ行った。
あたしが許可して、望んだことなのに、ひどく苦しかった。
涙が出そうになるのを必死で止めた。
バカみたいだから。
一人になると危険なのだ。
いろんなことを考え出してしまって、自分だけじゃ受け止められなくなって、
でも自分しかいなくて、吐き出せなくて、
全部自分に戻ってくる。
「くそ…。」
独り言は空間に消えて行ったけど、あたしは消えなかった。
消えたかった。
そうしているうちに携帯が震えて、手に取ると美貴からのメールだった。
ごめんねと、遅くなると、そんな感じのことが2,3行記されていた。
遅くなるってことは、帰ってくるってことか。
素直に嬉しいあたしと、涙を流してるあたしがいる。
もし本当に遅くなるなら、泊まってきちゃってもいいよ?
それだけ返して、あたしは目を閉じた。
眠れるはずなんてなかった。
美貴は朝まで帰ってこなかった。
- 27 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/17(土) 18:52
-
- 28 名前:ふとしたときに気がつく非日常 投稿日:2007/03/17(土) 18:52
- ちょっとした用事で事務所に行ったとき、松浦に会った。
あたしは一人で、松浦も一人だった。
「あ、よしざわさんこんちわー。」
「おう、久しぶり。元気?」
「まぁまぁですねぇ。あ、たんから色々聞いてると思うけど、迷惑かけてごめんね?」
「あぁ、うん。松浦も大変だな、うん。これくらいしか言えないけど。」
「うん。ありがとね、吉澤さんもさ。」
松浦は笑っていた。
いつもと変わらない笑顔、ではなく、少しだけ陰のある笑顔。
- 29 名前:ふとしたときに気がつく非日常 投稿日:2007/03/17(土) 18:53
- あたしにも弱いところを見せていいのか、と不思議な気持ちだった。
美貴だけに見せて、美貴にしか言わないのかと思っていたから、あたしにそうやって話を振ってくるのは意外だ。
仲間として関わることはあったし、美貴と付き合いだしたあとも何度か話をすることはあったけど、こういうのは初めてだった。
「ごめんね、二人にも迷惑かけちゃって。」
じゃあ行くね、と言って松浦は泣きそうな顔をして、そうして歩いていった。
あぁ、松浦は美貴のこと、もう本当に恋愛対象にはみてないんだなぁ、と思った。
だけど大切な人なんだなぁ、と思った。
親友って何だろう。
寄り添って歩いていくのは、恋人か親友か、どっちかでいいじゃないか。
三人で寄り添っていたら、それはそれは不恰好で、いつかもつれて転んでしまうのに。
きれいにまとまる日はいつか来るのだろうか。
- 30 名前:ふとしたときに気がつく非日常 投稿日:2007/03/17(土) 18:53
-
- 31 名前:ふとしたときに気がつく非日常 投稿日:2007/03/17(土) 18:53
- 「今日松浦に会ったよ。」
夜、美貴と二人でベッドにもぐって、美貴はなぜかあたしの頭を楽しそうになでていた。
「へぇー。どうだった?元気だった?」
「うん。大丈夫じゃなさそうには見えなかった。と思う。」
「そっかぁ。まぁちょっと落ち着いてきたみたいだね。」
「どうだろね。でも、二人に迷惑かけてごめんって言ってた。」
「へぇ。なんか珍しいね。亜弥ちゃんがごめんとか想像できない。」
「確かにね。」
頭をなでていた手をほほにうつして、美貴の手はさわさわ動いてくすぐったい、でも心地よい。
美貴はじっとあたしをみつめてなんだかにやにやしていた。
あたしはなんだかいてもたってもいられなくなって、悔しくて、わざと音を立てて唇にキスをした。
美貴はますます変な顔でにやにやしていて、あたしの頬に同じようにキスをした。
「口にしてよぅ」
ふざけて言うと、今度はちゃんとくれた。
それは少しずつ深い深いものになって、苦しくて、愛おしかった。
- 32 名前:ふとしたときに気がつく非日常 投稿日:2007/03/17(土) 18:53
- 幸せな時間なんだ。
誰にも奪って欲しくない。
本当に、誰にも。
そうしてあたしは、日常と非日常とがごっちゃになって、非、という言葉にすら不信感を抱いて。
なにかが少しずつ音を立てて崩れて。
- 33 名前:ふとしたときに気がつく非日常 投稿日:2007/03/17(土) 18:55
- >>21 名無飼育さん
ありがとうございます。
頑張ります。
実はあややが一推しです。関係ないです。
- 34 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/17(土) 23:38
- いったい誰が幸せになれるのか、全員なれるのか、
超楽しみにしてます。
- 35 名前:一瞬と永遠 投稿日:2007/03/19(月) 23:24
- 美貴は何度もあたしを好きだと言った。
愛してるとも言った。
これはきっと真実だ。
あたしも美貴を愛してる。
本当に少しずつだった。
付き合い始めて一気に大きくなったけど、その後はもう気にしないようにつとめていて、
だから気づかないうちに少しずつ不満は増えていた。
好きだと思う気持ちと不安や不満を天秤にかけたら、今どちらが上に掲げられるんだろう。
美貴と一緒にいるときは好きな気持ちが膨らんで
離れているときは不安が膨らむ。
自分の気持ちがもどかしかった。
美貴と別れたら、なんてことも少しだけ考えたりした。
怖くなってすぐに首を振ったけれど。
- 36 名前:一瞬と永遠 投稿日:2007/03/19(月) 23:25
- 幸せなんだ。
美貴が好きなんだ。
この気持ちに変わりはないのに。
失うことほど怖いことなんてないのに、不安がいっぱいになって、どうしていいかわからないことがある。
松浦は美貴の親友だ。
だけどやっぱり一度は恋人として付き合った人を、ただの親友として見るなんて、わからない。
わかるけど、納得が出来ない。
やっぱり違うじゃないかって思ってしまう。
じゃあどうすればいい?
あたしは何を望んでいるんだろう。
涙が出てしまった。
- 37 名前:一瞬と永遠 投稿日:2007/03/19(月) 23:25
- 「んぅ……んん…う、え?よっちゃん?どうしたの。」
鼻をすすって寝返りを打ったら、隣でぐうぐう寝ていたはずの美貴は、急に目を覚ました。
寝返りをうったあたしの顔は美貴の目の前にあって、涙はしっかりと美貴の目に捉えられてしまった。
やばい。
美貴はこういうとき、結構しつこいんだ。
「んー何でもないよ。」
あくびで済ませられるような涙ではなくて、なんでもないで納得するはずがないこともわかっていた。
「何でもないってなに。泣いてるじゃん。」
「うん。まぁちょっと。」
「なに。」
寝起きは悪いし顔は怖いし凄まれてるし、あたしは余計に泣きそうになっていた。
「言えないの?」
はぁとため息を吐かれて、とうとうあたしは留めていた涙を堪えきれなくなって。
ぼろぼろと涙が出てきて、嗚咽すら漏れて、美貴の体を抱きしめて、そうして隠し切れない気持ちを隠すように顔を埋めた。
どうしてだろう、こんなに自分が弱いとは思っていなかった。
体が震えてしまう。
美貴はぎゅっとあたしを抱き返してくれた。
- 38 名前:一瞬と永遠 投稿日:2007/03/19(月) 23:25
- 「よっちゃん…ねぇ、どうしたの?何がそんなに苦しいの?言ってくれなきゃわからないんだよ、美貴は。」
こんなにも美貴は温かくて、抱きしめれば幸せなのに、あたしはどうして。
「最近あんまり食べてないよね。夜も寝てないでしょ。美貴だって表面的なことはわかるよ。
だけど中身は分からないんだから、よっちゃん何がそんなにつらい?考えるしか出来ないよ。
でも考えても分からないし。美貴が悪い?美貴がよっちゃんを苦しめてるの?」
美貴の言葉はまとまりがなくて支離滅裂で、怒りさえ感じているみたいな口調だったけれど、
あたしは抱きしめて抱きしめられているこの感覚がとても幸せで、何も考えたくなかった。
一瞬で終わりにしたいけれど、永遠に続いて欲しかった。
震えは止まっていたけれど、心臓はドキドキと早い足音で、泣きすぎたせいか頭も痛かった。
もう大丈夫。
- 39 名前:一瞬と永遠 投稿日:2007/03/19(月) 23:26
- 「な、でもない。ほんとに、ちょっと疲れちゃってるだけで。いろんなことが嫌になっちゃうんだもん。
忙しくて、考えたくないことばっかりで、でも寝ようとするといろんなこと、考えちゃうんだもん。」
嘘ではない。
だもん、なんて少し子どもっぽいけれど、口をついて出てしまった言葉だから、きっと本心なんだろう。
嘘ではない。
だけど本当でもない、少しだけ濁した、あたしの本音。
美貴は聞き取ってくれるかな。
聞き取らないといいな。
分からなくていい、この気持ちなんてきっと美貴には分かれない。
だけど絶対に別れない。離れない。
「そっか。今日はもう寝ようね。美貴がぎゅってしててあげるから。
ゆっくり目を閉じれば大丈夫なんだよ。
おやすみ、よっちゃん。」
美貴の顔は見えなかったけれど、あたしはそのとき確かに、幸せだった。
- 40 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/19(月) 23:28
- 短いですがいったん切ります。
>>34 名無し飼育さん
レスありがとうございます。
幸せとは難しいことです。
ありがたいお言葉、感謝です。
- 41 名前:名無し飼育さん 投稿日:2007/03/19(月) 23:55
- うわぁ…めっちゃイイ!
不安で堪らないよっちゃんとどう転ぶか分からないミキティが気になる(・∀・)期待してま〜す
- 42 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/21(水) 02:02
- 続きがすごい気になります。3人どうなるんですかね
作者さんの実はあややが一推しなんです発言唐突でちょっとワロスw
続きマターリ待ってます
- 43 名前:名無し 投稿日:2007/03/21(水) 20:42
- 楽しみにマッテマス…
- 44 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:54
- それから、美貴もあたしもいたって普通で、
あたしはあのときのことを夢かなんかじゃないかって感じるほどだった。
だけどそれは確かにあって、ないものとしているあたしは、
恥ずかしいと思ったり、消えてしまいたいと思ったり、仕方ないと思ったり忙しい。
美貴は何を考えているのか分からないけど、
あのときの一瞬も永遠も消えてしまったように今まで通りだったことは確かだ。
- 45 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:54
- 「ねぇ木曜の夜何か用事ある?仕事終わったあと。」
美貴の部屋のベッドに二人で腰掛けて、美貴がそう言ったのは水曜の夜。
「ていうか明日じゃん。暇だけどさ。」
「あ、そっかぁ。明日の夜、ご飯食べに行かない?
亜弥ちゃんとご飯約束してたんだけど、よっちゃんもどうかって亜弥ちゃんが。」
「ほう。」
「行く?」
「うーん。ジャマじゃない?二人で話したいこととかあるんじゃないの?」
「いや、美貴はよっちゃんと一緒いたいし。
亜弥ちゃんが言うんだから別にいいんでしょ亜弥ちゃんも。」
こんな些細な一言でもすごく嬉しい。
美貴はあたしと一緒にいたいと思ってくれてるんだなって素直に思えた。
松浦と美貴とあたしと三人でご飯なんて普通に考えたら気まずい。
いや実際にあたしが気まずい。
だけど美貴が一緒にいたいなんていうもんだから、つい嬉しくなってしまう。
まぁいいかって思ってしまう。
- 46 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:55
- 「うーん…。じゃあいいなら一緒しようかな。」
「うんうん。よかったー。じゃあ亜弥ちゃんにも言っとくね。」
「うんよろしく。」
よかったと言って笑う美貴の顔が可愛すぎて、思わず抱きしめた。
「んー。どうしたの。」
「可愛かったから。」
「うは。調子乗るよ美貴。」
「いいよ。」
キスをした。
気持ちがよかった。
美貴のさらさらした髪をなでる。
壊れるくらい強く抱きしめたいけど、壊したくないから優しくした。
衝動を、髪をなでたり頬に触れたりしてごまかした。
可愛い。好きだ。抱きしめてぐちゃぐちゃにしたい。
- 47 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:55
- いっそ二人で一つになってしまいたい。
そうすればくだらないことで嫉妬することもない。
大事なものはたった一つでいい。
別れの日なんてこないのに。
美貴の体にあたしを刻み込んで、少しの間もあたしを忘れないように。
ほかの人の温もりや重みなんかにかき消されなければいいのに。
一つになっていたいから、あたしは美貴の中をなるたけ長くかき回して、一緒に眠りに落ちる。
少しでもあたしを刻み付けていられるように。
- 48 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:55
-
- 49 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:56
- 「お、来たねーお二人さん。」
松浦の待つ店に二人で一緒に到着して、松浦は奥まった席におさまっていた。
松浦は手前の席に座って、あたしたちを待っていた。
美貴は気にする風もなく奥の席について、あたしもその隣に座る。
「遅くなったー。なんか収録長引いてさぁ。」
「うんうん。いいよいいよ。二人のおごりだなんて悪いなぁ。」
「ばーか。まぁアホな子かまってないでなんか頼もうよっちゃん。
美貴お腹すいてすいて倒れちゃうよ。」
「よしざーも腹減ってのぼせそう。」
「はいはい。早く決めてよあたしもう決まってるんだから。」
適当な会話を運んで、適当に注文を終えて、あたしは自業自得ながら早速居心地の悪さを感じ始めていた。
へらへら笑うのも会話を合わせるのも得意だけれど、内容のある話をするのは苦手だ。
内容のない話を、美貴を交えてするのは正直困難だった。
- 50 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:56
- 「いやーもう亜弥ちゃん色々とお疲れ。」
運ばれてきたお冷を手に持って、美貴は乾杯の真似をして笑った。
「うわ、嫌味。意味深。うざ。」
「だってもうお疲れとしかいえないわーさすがに。」
「うっさいな。迷惑かけたよ申し訳ないね謝るよ。」
なんの話をしているのかは分かった。
こんな風に話せるほど、松浦の調子が戻ってきてるんだと言うことも。
「吉澤さんにも迷惑かけましたー。ごめんね。もう平気だからさ。」
「いえいえ。ご愁傷様でした。」
「うっわ。これまた嫌味。
さすが恋人同士ってのは違うね。ツーカーの仲ってやつだね。」
「ねー。恋人同士だもんねーよっちゃん。」
「ねー美貴ちゃん。」
「仲いいなぁ君たち。」
ふっと斜め前に座る松浦と目が合う。
すべてを知ってます、安心してください。
そう語りかけるような、穏やかな瞳だった。
あたしは少しだけそれが怖かったので、思い切り楽しそうな顔をして見せた。
- 51 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:56
- 「美貴たんは吉澤さんのこと大好きだよね。うざいくらいに。それはもううざいくらいに。」
「うるさいなー。当たり前じゃん大好きだよぉよっちゃん。」
「よしこも美貴ちゃんのこと大好きだよぉ。」
「だーかーら!うざいうざい!分かったから。家でやれそういうのはー。」
ふつ、と小さな嫌悪感が沸いた。
気付いているのかもしれない。
彼女は、あたしの抱える気持ちや悩みを。
あたしの気持ちを汲み取って表現してくれる美貴にも分からないその気持ちを、
汲み取った上で会話をしているのかもしれない。
「お待たせいたしましたー。」
料理を運んできたウエイターによって会話は途切れ、目の前に置かれていく料理を美貴は嬉しそうに迎え入れる。
あたしは松浦から目が離せなかった。
そして松浦も一瞬あたしを見た。
その瞳はもう何を考えているのかまったく分からなくて、あたしは思わず目をそらすように料理に微笑みかけていた。
- 52 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:57
- 「トイレー。トイレに行ってくるー。」
美貴が子どもみたいに言う。
ちょっとどきりとした。
「はい行っといれー。おべんきでー。」
「きたねっ。そんなことお食事の場で言わないでください!」
「うざー。」
松浦らしくないくだらないギャグに思わず笑ってしまって、なんとなく悔しかった。
あ、と思う間に美貴は行ってしまって、あたしたちは二人だけになった。
- 53 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:57
- 二人になって話すことはあんまりない。
共通の話題が美貴についてしかないのだ。
当たり障りない大抵の話題は今までの間に使い果たしている。
ヤバイなと感じた。
松浦は何もないように笑顔で口を開く。
実際何もないのだが。
「やっと二人になったー。」
「はぁ?なになになに。」
「なんちって。嘘です。嘘ではないけど。」
読めない女だ。
何で急にこんなことを言い出すのか、何でニコニコしてるのか、その裏に隠されてるものは何なのか。
何も見えてこない。
「今度二人で話しませんか?」
また唐突に松浦は言う。
- 54 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:58
- 「何でよ?何はなすのよ二人で。今でいいじゃん。」
「出来れば、たんには聞かれたくないかなって。あたしとしても、吉澤さんとしてもね。」
「どうして、そんな。おかしいよ、だって。」
言葉がうまく紡げない。
分からないことが多すぎる。
松浦は全部分かってる?
あたしの思いも、美貴の思いも?
松浦の思いは?
なんなんだ、いったい。
「とにかくもう一回ちゃんと話そう?出来れば早いほうがいいなあたしは。」
「でも。」
「明日の夜は早い?美貴たんと会う予定?」
「いや、明日はお互いあがり別だからあたしは家帰る予定だったけど。」
「そっか。じゃあ、とりあえず明日ってことで。あと携帯教えてもらってもいいかな。
ホントだったらメールで誘おうと思ったけど吉澤さんのアド知らなくて。」
「あぁ、うん。」
- 55 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:58
- なんだか分からないうちに話は進みに進んで、あたしは松浦と携帯の赤外線モードに入っていた。
考えるのを放棄したいような気分で、明日になればとにかく結論くらいでるだろうと腹を括った。
明日なんてどうでもいいと思った。
早く家に帰って、美貴を抱きしめて、一緒に寝たい。
「たっだいまー。」
「おう。おかえり。」
「ちょっとなに携帯交換しちゃってるの。親睦深まっちゃったわけ?」
何にも気付いていない美貴が明るい笑顔で戻ってきて間に入る。
少しだけ心が和らぐ。
「そうそう。仲良しだもんねー、吉澤さん。」
「あ、うん。」
- 56 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:58
- いつもの調子で冗談が出てこなかった。
どう返していいのかも、松浦の心も分からない。
「ん?よっちゃんどした?亜弥ちゃんになんかされた?」
美貴がおどけた顔であたしを覗き込む。
勘がいい美貴はあたしの表情一つで読み取ってしまう。
あたしは何もない顔で返して見せた。
「うん。みきちゅわん、亜弥ちゃんがいじめるのー。助けてー。」
「ちょっと亜弥ちゃん、よっちゃんが気持ち悪くなっちゃったじゃん!どうしてくれんの!」
「えー知らないよそんなの!勝手にしてよ!」
和やかな雰囲気で、あたしたちは日付が変わるずいぶん前に解散となった。
松浦の目的は完全にあたしだったわけだ。
なんだか釈然としない気持ちになった。
早く二人になりたい。
- 57 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:58
-
- 58 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:58
- 家で二人きりになって、あたしはほっとしてソファに腰掛ける美貴に体を預けた。
「よっちゃーん?どしたー?」
「んー…ちょい眠い。」
「へぇ。疲れちった?ごめんね?」
「んなことないよ。松浦とちゃんと話したの初めてだからちょっと緊張はしたけど。」
「そっかぁ。でもよっちゃん普通だったよ。まぁ仲良くしてあげてよ。亜弥ちゃん友達少ないからさー。」
「うん。仲良くしたいと思ってるよん。」
- 59 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:59
- 美貴のひざの上、お互いテレビに顔を向けたままだったけれど、
声もぬくもりも美貴のすべてが心地よかった。
自然と心が平坦になっていく。
「ねぇ頭なでて。」
気張らないでお願いしたら、美貴は少しだけ笑って頭をなでてくれた。
ふわふわした手の平が髪の毛に絡む感触やそこから流れてくる美貴の息遣いがあたしを落ち着かせる。
いやなことも分からないことも考えられなくなる。
「かわいいなぁよっちゃん。」
「んー。だって気持ちいんだもん。」
「よっちゃんの頭皮めちゃくちゃあったかい。」
「なんだそれ。みきー好きだー。」
「あは、それこそなんだそれ。」
美貴、ほんとうはあたしいつも不安でいっぱいなんだよ。
松浦のこと気にして、松浦にあんなふうに意味わかんないまま誘われて、明日会う約束までして。
でも、美貴が好き。
ずっと二人だけでいたい。
おかしいんだ、あたし。
- 60 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:59
- 「よっちゃん大丈夫?」
「ん?何が?」
「こないだのさ。あれから、平気?」
今、そのことに触れられるなんて思っていなかったから驚いた。
あたし自身なかったことにしておきたかったようなものだし、美貴もそう考えているんだと思っていた。
やっぱり美貴は勘がいい。
「あー…うん。ごめん、なんか変になっちゃって。」
「いいんだけど。平気かなって思って。よっちゃんがあんなんなるの初めてだし。」
「うん、大丈夫。ごめんね?」
驚くほどに、今は平気だった。
美貴がそばにいるだけで、不安はなくなるし、落ち着く。
「よっちゃんあんまり考えてること出そうとしないけど、出してもいいんだからね。」
ぱっと不穏な考えが生まれた。
すごく嬉しい言葉だった、だけど。
- 61 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:59
- 「よっちゃん、美貴といると余計に、なんていうか変な意味で落ち着いちゃってる感じだから。」
逃げてるのかな。
そう思った。
美貴といるときは落ち着くし考えなくていいと思い込んで。
一生ずっと一緒にいられるわけじゃないのに。
逃げられない。
明日だって迫ってくる。
怖い。
ダメだ、今考えたら。
「平気?どうしたの?」
「美貴…。」
「よっちゃん?」
「あたしのこと、すき?」
「当たり前じゃん。何でよ?」
「イチバンにすき?」
- 62 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 00:59
- 美貴は一瞬、少しだけ怒ったみたいな顔になった。
聞いちゃいけなかったことばだった。
分かっていたのに抑えられなかった。
「美貴はよっちゃんが好きだよ。それじゃだめ?よっちゃんがすごく大事だよ。」
「うん…。ごめん…。」
「謝んないで。別によっちゃん悪くない。」
「うん…。」
優しい美貴の声は、心地よいはずなのに、なぜか今日だけはあたしを追ってくる気がした。
逃げるな、向き合え。
優しさのうしろにそんな厳しさが見えて、あたしはどうしても穏やかになることが出来ないままだった。
- 63 名前:向かい合わせの裏側 投稿日:2007/03/23(金) 01:04
- >>41 名無し飼育さん
ミキティはキャラがつかみにくいので四苦八苦してます
ご期待にそえるよう頑張ります
>>42 名無飼育さん
あやや可愛いよあやや
というのは冗談ではなく本気です
でも実は3人とも好きなんです
>>43 名無しさん
楽しんでいただけて幸いです
お待たせしてすみませんです
ありがとうございます
- 64 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/26(月) 00:32
- 更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
あややがどう動くのか気になりますね
- 65 名前: 投稿日:2007/04/05(木) 15:17
- ねぇ!聞いてよぉ〜!
昨日ネェー学校に忘れ物しちゃってぇ〜取りに行ったら
まぢで好きな人が学校にぃたの!(´I`● )ぽぇー
でね、、前から告ろうとしてたnだヶどなかなか告でなヵった
からその時に(チャンスぢゃn!)って思って本気で告ったの!
したら軽くOKしてくれてぇ〜(*≧∇≦*)
そnですぐにデートすることになっちゃってさぁ〜
したらどこに行ったと思う?
らぶホだょぅ♪まぢ恥ずかしかったnだヶどキャッ(/∀\*))★
でも彼がそnな人だとゎ思わなかったなぁー
んでラブホでやっちゃたの♪
すごく彼のあそこがでかかったゎ。。
優しい人だと思ってたら全くちがぅの!
部屋に入った瞬間わたしをベットに押し倒して
服をやぶくの・・・。
だヵら帰りゎ困ったゎー・・・。
んで脱がしてくれた後ゎ急に舐めるし撮るしで
もぅ大変!
それだヶならまだぃぃのに腕をヒモでしばるnだょネェー。。。
なnヵ私の体が彼の物になっちゃったみたぃだったの。。。
でね!その時に撮った写メがあるnだヶど
ただでゎ見せられなぃなぁ〜(◆$'Д`*)ノ
つぃでに言うヶど全部私の写真だヶど。。
男の写真ゎなぃからネェー
んでーその写メの見方ゎー
なnとこれを3回こぴるだヶ!
すると急にサイト(?)みたぃなのが画面に出てきて
ボタンを押すとぉー写真
- 66 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/14(土) 19:30
- 続き気になってます
- 67 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/24(火) 00:38
- 誰ひとり悪い人なんていない。だから辛い。
続き楽しみにしてます。
- 68 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/01(金) 22:48
- おもしろいです!続き待ってます
- 69 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/02(木) 08:57
- 待ってますー
- 70 名前:隣と、隣 投稿日:2007/08/10(金) 02:44
- 『じゃあ、あたしの家でいい?外じゃなにかと落ち着かないし。』
電話越しの松浦の声は、笑ってもいなかったし怒ってもいない、
無機質なものだった。
あたしはその誘いを受け、
まもなく届いた松浦のメールには自宅の大体の場所と住所が書かれていた。
タクシーでその場所を告げて緩やかな夜の街を動き出す。
あたしは目を閉じて、なんとなく美貴のことを思い出していた。
- 71 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 02:45
- 『あれ、よっちゃん今日は急ぎ?』
仕事が終わってあたしはなんとなく急ぎ目に荷物を片付けたりしていて、
それを見て美貴はあたしのそばによってきた。
『うん、ごめんね言ってなくて。今日ちょっと友達と会う予定あってさ。』
『そっかぁ。なんだ。』
『ごめん。』
美貴は昨日の夜の少しぎくしゃくしたことには触れてこない。
それが少しだけ、あたしはいやだと思った。
深いところまで触れてこない、だけどいつも一番近くにいてあたしを分かってくれてる。
そんな関係を望んでいて満足していたのに、
昨夜生まれた疑問が頭を離れないからすっきりしない。
あたしは逃げてる?
なにもかもを深くまで考えないようにしてる?
初めて気付いた自分、そして嫌によみがえる今までの生活。
なにがそんなに怖いんだか。
『いいよいいよ。また明日ね。遅刻すんなよー。』
言い残して背を向ける美貴をあたしはどんな気持ちで見つめただろう。
自分で自分が分からない。
- 72 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 02:46
- 松浦の部屋には初めて足を踏み入れたけど、
噂に違わず神経質なくらい綺麗で、気の使われた部屋だ。
「いいとこ住んでんじゃん。」
「まぁねー。これでも結構コダワリ持ってるから。コーヒーでいい?」
「あ、うん。ありがと。」
「なんかして待ってて。何でも使っていいから。」
キッチンに消えていった松浦の言葉に甘えて、
手持ち無沙汰でテレビをつける。
みたことのないドラマが流れている。
話の流れがつかめないのに
箱の中ではシリアスな雰囲気が流れていて、何だか疎外感を感じた。
チャンネルを変えてもどこも同じだろうと思い、
そのままなんとなくテレビを見つめ続けた。
松浦は何を話すんだろう。
松浦と何を話せばいいんだろう。
非日常な空間に、あたしは緊張を隠せない。
- 73 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 02:47
- カチャカチャという食器のなる音が遠くから近づいてくる。
松浦が戻ってきた。
「あー、最近このドラマ話題になってるね。吉澤さん見てるの?」
吉澤さん、という呼び方に違和感を感じたけれど、
「吉澤さん」以外の呼ばれ方は考えられない。
不思議だった。
「ううん、たまたまつけたらやってた。松浦みてんの?」
「あたしも見てなーい。そんな時間なーい。はいどうぞ。」
松浦笑いながらコーヒーカップを二つテーブルにおいて、
自然にソファーの空いた隙間、つまりはあたしの隣に腰をおろした。
顔が見えない分その方が緊張もしないかと思ったけれど、隣に感じる存在感で余計にそわそわする。
ミルクも砂糖も入れないで、コーヒーをすすった。
苦い。
だけど松浦もそのままコーヒーを飲んでいるから、
そんな素振り見せないように気を払いながら、カップをテーブルに置く。
言葉のない部屋でテレビだけが音を放つ。
気まずいな、と思った矢先、松浦が口を開いた。
「話なんだけどね。」
「あ、うん。」
不意をつかれて返事が少し遅れたけれど、気にもとめず、むしろ独り言のように松浦は続けた。
「あたしさ、美貴たん好きなんだよね。」
- 74 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 02:47
- 心拍数があがった。
体が熱くなって、それからさっと血の気が引くような感覚。
「え?」
苦笑いで、そう呟くしか出来なかった。
顔が見えなくてよかった。
きっと、松浦の目を見て話していたら、
一瞬の間に何もかもがあふれ出して抑えきれないところまできていただろう。
そう思った。
続く言葉を待つ時間が、今までになく長く感じる。
- 75 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 02:47
- 「なんてね。びびった?」
「は?」
まただ。
全部知ってるような態度で、あぁそうだ、大人に上からいなされてる小さな子どもにでもなった気分。
この感覚がとてつもなく嫌いだ。
どくんどくんと、いつの間にか握り締めていた手が心臓になったみたいに脈を刻む。
「なーんか、意地悪したくなっちゃうんだよね。
吉澤さんも、みきたんも。二人してしっあわせそうな顔してさ。」
「え?」
さっきから一言しか言葉を発していない。
でもそれ以外言いようがない。
何が何だか分からない。
松浦が何を考えているのかも、美貴のことをどう思っているのかも、何が目的であたしを呼んだのかも。
つかめない状況。
あたしの苦手なものだ。
「っていうのも冗談。」
松浦はあたしの顔を覗き込んだ。
あたしは目を合わせるのが恐くて、どうにもやり場のない視線をテレビにうつした。
いつの間にかドラマは終わり、音楽番組が煌々と輝きを放つ。
英語ばかりの歌詞と、耳なじみのある音楽が場違いなほど明るく響いた。
- 76 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 02:48
- 「どういう意味だか、分かる?」
「わかんないよ全然。」
ふっと鼻を鳴らしてあたしの精一杯の強がり。
それすら笑顔で受け流される。
「つまりー、えーとなんだ。
別にあたしはみきたんと吉澤さんの仲を壊そうなんて思ってない。」
「だから?」
「や、吉澤さん分かってないなって思ったから。」
「別に。」
不機嫌もいらだちも隠すことが出来ず、隠そうともせずの受け答え。
けどそんなのも暖簾に腕押しっていう感覚が付きまとう。
カラカラカラカラ、あたしが一人で回っている気分。
「なんか怒ってるみたいだけど、でも。」
松浦は確実に故意に一瞬間をおいて、そうしてテレビの音が響く中、笑う。
「みきたんはあたしが一番だけどね。」
- 77 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 02:52
- >>64
あやや動かしてみました。
>>66
すみません遅れてしまって。
いまさらながら頑張っていきます。
>>67
悪い人はいないし、悪い人にしたくもないですね。
でも人間の価値観って難しいものです。
ありがとうございます。
>>68
ありがとうございます。
もう、ごめんなさい。
>>69
お待たせしてごめんなさい。
待っていてくれて嬉しいです本当に励みになります。
- 78 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 03:46
- いつからこうなったんだろう。
あたしが松浦を意識し始めてから?
あたしが美貴と付き合ってから?
それとも、二人が別れる前からなのかな。
- 79 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 03:47
- 「でもってなに。意味がつながらない。」
「そこ突っ込んできますか。」
「ていうか何一つ見えない読めない分からない。何が言いたいの。」
松浦はあたしを覗き込んだ体勢のままで話し続けるから、
あたしはひたすらテレビを見つめる。
興味がないというように、松浦の話なんか真剣に聞く気もないというように。
でも苛立ちは隠せない。
お腹の中に消化しきれない熱くて苦いものが広がっている。
心臓がきゅっとなって、思わず胸の辺りを鷲づかみにする。
- 80 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 03:47
- なんでこんなに苦しいか。
わかっているからだ、松浦に言われなくても、そんなこと。
いまさら言われなくても、とうの昔から自分の中では気付いていて、
それでも見ない振りしてた現実。
何もこんなところで呼び戻さなくても、という意味もない怒り、不安、焦り。
付き合っている中で何度も感じてきたその思い。
松浦がつらいとき、美貴はいつも支える。
松浦が苦しいとき、美貴はいつも手を差し伸べる。
じゃあ、あたしは?
美貴の手が両方松浦に向いているとき、そのときこそ苦しい、あたしの気持ちは?
いったいどこに救いを求めればいい。
思っては消し、思っては消ししていた感情。
きっと美貴は知らない。
自分だって気付かないフリをしてきた。
- 81 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 03:47
- 「あたしがつらいときはみきたんがいっつも助けてくれる。
かけてもいい。みきたんはあたしを絶対に見捨てない。手放さない。」
「あたしたちにはいろいろありすぎたからね。
誰も知らない、たくさんのことがあった。」
「みきたんはあたしの幸せを一番に考える。
自分の幸せ削ってでも、あたしを助けようとする。」
松浦の一言一言があたしの胸に突き刺さる。
どうして、何で、おかしい、間違ってる。
思うのに言葉は出てこなくて、頭も心臓もお腹も爆発しそうなほど痛くて、苦しい。
何度思っても答えが出ないこと。
―――じゃあ、何で二人は別れた。離れた。
分からないことがいっぱいで、もうだめになりそうだ。
- 82 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 03:47
- 「おかしいって思う?」
急に静かに、どこか不安げな松浦の声が響く。
音楽は鳴り続けている。
さっきとは打って変わって、スローテンポな曲が松浦の声と重なる。
問いかけているようで、確信しているようなその言葉の影。
「だけど、そうなんだよ。あたしとみきたんは。」
「じゃあ、じゃあなんで。」
なんで。
二人は今離れていて。
あたしがいて。
あたしは何?
- 83 名前:隣の、隣 投稿日:2007/08/10(金) 03:47
- 続く言葉は出ないのに、松浦は自分の言葉を紡ぐ。
分かってるよ、言いたいことは。
そういうように微笑んで。
「さぁ。わっかんない。でもそうなの。結果だけがそこに残されてるって言うか。
過程も、もちろんあるけどでも、今はどうしようもなくて。
つまり結局は、あたしもみきたんもお互い大事で、ほかに変えようがない、そんな感じ。」
素手で捕まえることなんて出来ない魚が手のひらから逃げるように、当たり前のように、
するりするりとかいくぐって、松浦はあたしに現実を叩きつけた。
- 84 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/10(金) 03:48
- 何だか変なところで切っちゃったみたいで。
今日はここまでです。読みにくくてごめんなさい。
- 85 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/25(土) 14:27
- あやみきの間にどんなことがあったのか気になる…。
楽しみに待ってます。
- 86 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/21(水) 22:40
- 続きが気になって気になって・・・
どーなるんだろぅか?
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