ちょっと寄り道

1 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:28
 
 
新スレ立たせてもらいます。
ここでは短編しか書かないつもりです。
まずはガキみきです。
 
2 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:29
 
 
 
 
『好き』
 
 
 
 
 
 
 
3 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:30
 
 
いつのまにか、時計は4時半を指してて今を言葉にするなら、高校生のあたしには放課後なワケで。
とっぷり日が暮れるわけでもなくて、なにより夕焼けが眩しい。そんなにオレンジ色で染まらなくてもいいじゃないかと、頭の中で必死の抗議をしてしまう。
早く帰ればいいのに、そうもいかない。あたしは待ってる側だから。
 
 
「早くこないかな・・・」
 
 
なんて女の子らしい娘が言ったらすっごく可愛いんだろうセリフを、誰もいないこんなときにしか言えないでいるあたし。
さっきから眩しすぎる夕焼けは、あたしの赤くなった顔も隠してくれてるんだろうか。
 
 
「あ、もう5時になっちゃう・・・」
 
 
何やってるんだろう。暗くなっちゃうじゃないか。あたしだって暇じゃないんだぞ。これといった用事も特にないけど。
ずっと机に座ってるのも疲れるし、気晴らしにグランドを覗いてみるも、誰が誰だかわかんないくらいに豆粒でたいした興味も湧かない。
 
 
4 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:30
 
 
「あ、メールきてた。・・・まこちぃじゃん」
 
 
届いたメールに簡単に返事返して、またあたしは待ってる。
この時間は嫌いじゃない。ずーっと待ってるけど、嫌いじゃない。
だって絶対来てくれるから。
 
 
―ガラガラガラっ!−
 
 
「お、ガキさん。何また勉強?」
「・・・もっさんこそまた見回り?」
「うん。美貴新米だしパシられてんの」
「あははは。大変だねー」
 
 
やっと来たか。と呆れてるあたしと、大はしゃぎしているあたしがいる。一体どっちがホントなのだろうか。きっと多分、絶対後者だと思う。
黒いスーツに真っ白なシャツ。今日はストレートだけどきっと明日はウェーブな長い髪。あたしは真っ直ぐな髪が好き。そう、今日みたいな髪が好き。っていうかアナタが好きで、今日も意味無くこんな時間まで待ってる。友達の誘いをかれこれ何回断ってしまったのだろう。
 
 
5 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:30
 
 
「ホラ、ガキさん。もう帰りな、鍵閉めるよ」
「うん。ちょっと待って」
 
 
ヤバいヤバい。もう2人きりタイムが終わりらしい。
でもすぐには帰りたくないから、家で勉強なんかしないのに無理矢理カバンに教科書詰めて時間稼ぎ。
こんな小さなことしかできないあたしに告白なんて夢のまた夢。
いいの、しないから。先生に恋すること自体が無謀だったから。
 
 
「はーやーくぅ。美貴今日はすぐ帰るんだから」
「・・・はいはい。分かった分かった」
 
 
危ない危ない。いつも通りに流せたかな?心臓ドキッってしちゃったよ。
早く帰るって誰かと遊ぶのかな?あたしの知らない人、だよね。もしかして付き合ってるのかな?・・・そうかもしんない。だってもっさんはキレイだし大人だし。あたしなんかただの一生徒だもん。
 
 
6 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:31
 
 
―ガラガラガラ、ピシャッ!・・・・・・ガチャガチャ―
 
 
「じゃあね、もっさん。気をつけて帰るんだよ?」
「お、ガキさんに言われちゃったよ美貴」
「あはは。それじゃさよーなら」
 
 
逃げるようにもっさんに背中向けてごめんね。だって涙みられたくないもん。
先生のくせに先生らしくなくて、壁作んないもっさんがたまらなく好きだから、みられたくないんだもん。
初恋、かなぁ?だよね。だって叶わなかったもん。
みんなこんな想いしてるのかな?すごく辛いよ苦しいよ。あたしだけ?こんな想いしてるのって。
 
 
「おぉーい。ガキさーん」
「ふぇ!?」
 
 
7 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:31
 
 
もう少しで階段降りるときに、遠く離れた、さっきまであたしがいたとこから届く、のんびりした声。
左手には学校中のドアの鍵。それが夕日でキラキラ光ってる。そんな些細なことでも、また好きが増えた。
例えば、教科書覗いた顔とか、説明してる顔とか、試験官でボーっとしてる顔とか。いろんな顔みてきたけどどんなもっさんでも好きだった。じゃなきゃこんな時間まで残ってたりなんかしない。でももう諦める、しかないじゃんか。
 
 
「なに?もっさん」
 
 
いつもと同じ。うん大丈夫。涙も拭いたし声も気をつけた。
何にも変わってない。いつものあたしだ。
 
 
「焼肉食いにいこーよ。美貴の奢りで」
 
 
8 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:32
 
 
いつもと変わらないもっさんは、時に突拍子もないことを言ってきた。
確かに明日は土曜日で休みだからいいけど。あ、そーだ。お母さんにご飯いらないってメールしなきゃ。帰りも遅くなるっていわなきゃ。
 
 
「美貴、職員室いってカバン取ってくるから昇降口行ってて」
 
 
唖然として何も言えないあたしに、1つ命令を下して走っていったもっさん。その走り方すらも好きでいるあたしは、どうかしちゃってるかもしんない。でもいい。
早く昇降口にいかなきゃ。お母さんにメールしなきゃ。全てはもっさんの為。
なんだかあたしらしくないほど、どっぷりハマッてるもっさんに、さっき諦めると言ったのは撤回しよう。そしてもっと大好きになろう。海よりも広い、空のように。
 
 
9 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:32
 
 
 
 
簡単に言葉にはできないけど、胸の中では叫びまくろう。大好きと。
 
 
 


10 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/15(木) 23:33
 
更新終了。
 
 
ふぅ。こんなガキさんはイヤだwww
 
 
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/16(金) 00:32
いや、こんなガキさん大好きなんですけど・・・
次回更新楽しみに待ってます。
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/16(金) 00:39
そんながきさんがステキ。
てか作者さんがステキ♪
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/18(日) 18:46
みきがき大好きだわぁ
この年齢差が切ないんですよねぇ……
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/21(水) 19:24
くあー
いいっすな!いいっすな!!
初恋の甘酸っぱさが出ててきゅうんとしてしまいましたw
15 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:47
 
 
 
 
 
 
 
 
 
16 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:47
 
 
 
 
『携帯電話』
 
 
 
 
 
17 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:47
 
 
「・・・もしもし?」
「もしもーし?亀ぇ?」
「・・・そーですけど。・・・どーしたんですかぁ?」
 
 
 
只今の時刻。午前2時。18歳になった絵里は夜9時までという対象から外れてしまった。
でも今日は別に仕事をしてたんじゃなくって、普通に寝てたところを起こされた。絵里的にこの時間に携帯がなってるのに気付いたのは奇跡だと思う。
これがさゆとかれいなだったら絶対出ないし、まず起きてない。
 
 
18 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:47
 
 
「あ、また敬語使ってる」
「当たり前じゃないですかー」
「敬語とってよって何回も言ってるのにぃ」
「だからぁ、それは無理ですって言ってるじゃないですかー」
 
 
普段から回らない頭なのに、寝ているところを不意打ちされて、正直、思考回路は停止中でなおかつ夢の中へ沈んでいきそうだったけれども、その話に関しては別問題。
絶対曲げられないんだって何回も言ったのに、電話の主ガキさんは尚も言ってくる。
っていうか、何でこの時間にこんなことで電話をしなきゃいけないんだろう。きっとガキさんは絵里に何か用事があって電話してきたんじゃないだろうか。
 
 
「ところでガキさん。絵里に何か用事あるんですか?」
「・・・へっ!?」
「へっ!?じゃないですよ。こんな時間に電話してくるなんて、どーしたんですか?」
「・・・・・・・・・別に用事とかはなかったんだけどさ」
 
 
19 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:48
 
 
さっきまでの声とは一変して、すごく、すごく小さな声。
夜中の今ですら消えてしまいそうなくらい、でもちょっと見えてしまった心の中のSOS。
ガキさんが話しやすいように相槌を打って、次の言葉を待つ。
 
 
「あたし、なんか、寝付けなくてさ。最近」
 
 
もう完全に見えてしまった心の中のSOSは、昨日今日のことじゃなかったらしい。
絵里はなんでもっと早く、気付いてあげれなかったんだろう。
 
 
「ここんとこね、声の調子がイマイチで、歌がうまくいかなくてさ」
「そーゆーときもありますって。しかも全然気にならないですよ」
「んー、でもね。なんか納得いかなくて悔しい」
 
 
20 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:48
 
 
あとね、あとね、とガキさんは絵里に悩みを言ってきた。今まで絵里がガキさんにばっかり悩み事を言ってたのに、今度はガキさんが絵里を頼ってくれてるんだろうか。そうだったら素直に嬉しい。
だって絵里の心の支えはガキさんだったから、今度は絵里がガキさんの心の支えになってあげたい。
そうしたらなんか相思相愛みたいに思えてきそうで。絵里がガキさんを好きになったように、ガキさんも絵里のこと、少しでいいから今よりも好きになってくれたらって思う。
 
 
「愛ちゃんには相談したんですか?」
「しようと思ってやめた。最近お互いライバル視してるからさ。いい意味でね」
「同期同士はやっぱりライバル視しますよね。絵里もそうです」
 
 
もういつの間にかどっかへいっちゃった眠気。電気をつけようとしたけど、真っ暗の方がガキさんの感情を読み取りやすく感じて、電気をつけずにいた。ちょっと怖いけど。
そういえばさっきから気になってたことがあったんだっけ。
 
 
21 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:49
 
 
「ガキさん、さっきまで歌の練習してました?」
「え、なんで亀分かったの?」
「声、少し枯れてますよ」
「あちゃーバレた?」
「そんなのすぐバレますよー。無茶しないでくださいね」
「敬語とってよー」
「だから無理ですってー」
 
 
こんな時間まで頑張っても、声枯らしたら明日怒られちゃうよ、マネージャーさんに。
早く休んで、明日一緒に練習しましょうよって言いたいけど、臆病者の絵里にはまだ言えない言葉。
だから違う言葉で、絵里らしく。
 
 
22 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:49
 
 
「もう絵里眠いんでガキさんも寝てください」
「亀ってホンット適当だよねー」
「あはははははー。じゃあ絵里寝ますんでまた明日ー」
「こーらー、亀ぇ敬語取れー」
「はーい、おやすみなさーい」
「全くぅ。あ、今日聞いてくれてありがとねー。おやすみー」
 
 
電話が切れた途端に静寂に包まれたけど、耳にはまだガキさんの声が聞こえてるみたい。
携帯の熱なんだろうけど耳が暖かいから、それもガキさんのぬくもりに思えちゃう。
ガキさんのこと大好きだから、誰かに取られないうちに、いつかは自分の気持ちを伝えたいとは思う。でも根っからの臆病者の絵里だから、すぐには言えないと思う。
 
 
23 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:49
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
24 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 22:50
 
 
でもいつかは絶対言いますから、そのときに、もしガキさんも同じ気持ちだったら、絵里と付き合ってくれるんだったら、絵里、敬語取って話してもいいですか?
 
 
 
25 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/21(水) 23:01
 
 
>>11 名無飼育さん
 
ありがとうです。
こんなガキさん好きですかwwwよかったww
また書いてみたいですね、こんなガキさんww
 
 
>>12 名無飼育さん
 
ありがとうです。
ガキさん素敵ですか、嬉しいですw
私はまだまだ未熟なんでこれから素敵だなって(ry
 
 
>>13 名無飼育さん
 
ありがとうです。
最近がきみきはマイナーCPじゃないですもんね。
すっかりメジャーです。私もがきみき好きですねぇ。
 
 
>>14 名無飼育さん
 
ありがとうです。
甘酸っぱいとな、運動部の部室みた(ry
またこーゆーの書けたらなって思いますww運次第ですのでww
 
 
 
 
ちょ、今回失敗気味www
ホントすいやせんwww
 
 
26 名前:名無し飼育 投稿日:2007/03/22(木) 00:11
やばい・・・亀が可愛い・・・・・・。
27 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:16
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
28 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:16
 
 
 
 
『シャンパン』
 
 
 
 
 
 
29 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:16
 
 
クリスマスの夜、なんでれいなは走っとるとー?マジ苦しいとよ・・・。
これも全部あいつのせいやけんね。バカ絵里。
命令されるの嫌いやって知っとるはずやけん。多分、断れないってのも知っとるとね。
もうイヴが終わってしまうけんね、早くいかんと怒られるったい。
 
 
「いやでもー、・・・急いでいったらからかわれそうやけん」
 
 
ありゃ、もう絵里ん家ばい。れいなホントは足早いと?
そんなことより、ゼーゼー言っとったら絵里に「絵里のために走ってきてくれたんだーっ!!」なんてフザケたこと言われるったい。絶対イヤやけんね、そんなん。
フー、深呼吸、深呼吸。落ち着け、うん。よしっ!
 
 
30 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:17
 
 
―ピンポーン♪―
 
 
大丈夫、大丈夫。もう呼吸戻ったけん、絶対バレんとよ。
 
 
―ガチャ・・・―
 
 
「れいな、早かったね。入って」
「・・・うん」
 
 
絵里の部屋に上がらせてもらったんやけど、・・・汚い。
本とかグチャグチャなっとるし、多分あのクローゼット開けたら悲惨なことになっとると思う。
れいなの部屋もそんなキレイじゃないんやけど、ここまでじゃないとよ。
 
 
31 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:17
 
 
「買ってきてくれたー?」
「あ、うん。これでよかと?」
「よかと、よかとー」
 
 
なんかれいなの真似しとー、ムカつく。バカにされたみたいやけん。
絵里は昨日が誕生日やけど会えんかったし、今日イヴやから別にいっかなってことで今から誕生パーティ。そう、2人だけのパーティやけん。
いつもは自分でやれって言えたんやけど、絵里誕生日やし、少しくらいならワガママ聞いてあげるのも、恋人の役目ってもんやろって、れいなそう思ったけん。そしたら図に乗りやがって。
 
 
『じゃあー、絵里が仕事終わったら連絡するからー、れいなはケーキとシャンパンと誕生日プレゼントとクリスマスプレゼント絶対忘れずに持ってきてねー』
 
 
32 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:17
 
 
そのあとに「ウヘヘ・・・」ってキモい笑いしよって、仕事に行ったけん。
れいなは先に仕事終わってたから一旦家に帰ったんやけど、ケーキとシャンパンって・・・。
プレゼントは誕生日のもクリスマスのも二つ用意してたんやけど、1ヶ月前から・・・。内緒やけん。誰にも相談とかしなかったけんね、みんな知らんと。
 
 
「わぁーいっ!!チーズケーキだぁ!!!」
「絵里チーズ好きやろ」
「うんっ!!」
 
 
家についてもプレゼント引っ掴んで速攻ケーキ屋さんに走ったばい。
選んでる時間とかなかったけん、「一番高いチーズケーキくださいっ!」って、つい叫んでしまったとよ。恥ずかしかったばい。絵里には絶対に言わん。
 
 
33 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:18
 
 
「じゃあ切るねー」
「え、歌わんと?」
「うん、いい。昨日歌ってもらったし」
「あ、そ・・・」
 
 
れいなが言うのもなんやけど、絵里って女の子っぽくないとよ。部屋は汚いし、約束は守らんし、サバサバしとるけんね。れいなもやけど。でも恋人やん、れいな。歌ってほしくないと?
 
 
「昨日れいな歌ってたじゃん」
「げっ!?聞こえてたと?」
「絵里は耳もいいから〜♪」
 
 
あえて突っ込まずにスルーして、絵里が皿に乗っけてくれたチーズケーキを勝手に食べたと。やっぱり一番高いだけあっておいしいけん。絵里も笑顔になっとるとよ。
んー、れいな走った甲斐あったばいね。やっぱり絵里の笑顔が好きやけん。
 
 
34 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:18
 
 
「れーなぁー、ケーキおいしーねぇ」
「やろー、れいな走ったけん。超疲れたー」
「えー、れいな走って買ってきてくれたんだー。ヤダ絵里愛されてるぅー」
「え、いや、あの、そのー・・・・・・」
「れいなプレゼントはぁ?」
 
 
つい口走ってしまったけん。訳分からんくなったれいなは、完全に絵里のペースに乗らされてしまったとよ。
もうムードとか全く無いまんまで渡してしまったけん。1ヶ月前から用意したヤツやのに。
 
 
「あー、ピアスだ。こっちはブレスレットじゃん」
「絵里、欲しいっていっとったやつやけん・・・」
「うへへー。ありがとー」
 
 
35 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:18
 
 
ニタニタ笑っとる絵里はキモい。でもれいなは可愛いと思ってしまうと。
喜んでくれとるし、れいなも嬉しいけん。
あ、絵里もう1つ忘れとるとよ。
 
 
「絵里、シャンパン買ってきたと」
「あ、そーだったっけ?」
「やっぱし忘れとったな」
 
 
キモい笑いをしながらコップを用意しとる。ホントにキモい。
「あれ?開かない・・・」とかなんとかぶつくさ言っとるんやけど、大丈夫と?
 
 
「はい、かんぱーいっ!!」
「乾杯・・・」
 
 
36 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:19
 
 
さっきからやけにテンション高い絵里。でも飲んだ瞬間しかめっ面・・・。
あれ?甘いの好きなはずやのに。おかしいなぁ。
れいなマズいの買ってきたと?どれどれ・・・。
 
 
「うぇっ!!何?この味ーっ!」
「れいな、これお酒じゃない?」
「そんな訳ないとーっ!絵里、シャンパンって言ったけんっ!!」
「えー、絵里シャンパンって言ってた?」
「うん。やかられいな買ってきたとよ」
「あちゃー、絵里間違えちゃったー。うへへ」
「へっ!?どゆこと?」
「シャンパンはお酒でー、シャンメリーはジュースだよ」
 
 
知らんかったと・・・。じゃあれいなお酒買ってきたと!?
こんなん大人は飲むとかいな?全然甘くないし、苦いと。それに消毒っぽい・・・。
 
 
37 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:19
 
 
「あ、でも絵里コレ結構イケるー」
「ちょ、ちょっ!!絵里ーっ!!」
「ほら、れいなも飲みなよー」
 
 
絵里の声に反応してそっち見たら、絵里が普通に飲んどるし。
しかも止めに入ったれいなにも無理矢理コップ向けてきとーとよ。
 
 
「・・・ゴクっ。・・・・・・うぐっ・・・」
「やだーっ!れいなカッコいいー」
 
 
だんだん酔いが回り始めたのか、絵里はまたテンション上がってきとって五月蝿い。
あー、でもれいなもだんだん熱くなってきたばい。訳分からんくなったきたとよ。
 
 
「うへへー。絵里ねぇ〜、れいな好きー」
 
 
38 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:20
 
 
真っ赤な顔して言う絵里。多分れいなも真っ赤やと思うけど。
シャンパンの入ったコップ片手に、やけに嬉しそうに言う絵里を見とったら、なんかこう、胸をギュッって掴まれたような感じがしたけん。無意識で絵里を押し倒してしまったとよ。
 
 
「れいな、痛いよー。うへへぇ」
「れいな今、酔っとるけん。絵里いい?」
「いーよぉー。れいな好きー」
 
 
2人とも酔っ払ってたけん、もうメチャクチャやったけど、まぁでも新鮮?な感じやったし、やっぱり酔っとっても絵里は可愛いけん。そんな絵里も、れいなは好いとー。
でも今度は、シャンメリー買って行くけん。やってシャンパン苦いと。おいしくなか。
それにまだれいな達、コドモやけんね。れいなが大人になってからシャンパン買って行くとよ。
れいなが大人になったときでも、傍におってね絵里。バリ好いとーとよ。
 
 
39 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:20
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
40 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:20
 
 
「うー・・・・・・、すっごい頭いたーぃ・・・」
「・・・・・・れいなも・・・」
 
 
次の日はやっぱり2人とも二日酔いやったけん。
吉澤さんと藤本さんにみっちり怒られたっちゃ。
 
 
41 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/22(木) 23:25
 
 
>>26 名無し飼育さん
 
ありがとうです。
亀が可愛いですかー!?よかったー。
あ、でも今回のはキモいんでwww
 
 
 
私的に亀はこっちかなwwwキモwww
ちなみに私が今飲んでただけで書いたんで季節とか無視ムシーww
シャンパンって地味にアルコール高ぇww
 
 
42 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/23(金) 22:53
色んな意味でバカップルなれなえり万歳!w
作者さんが一番書きやすいって言ってたれなえりもっと書いてくださーいw

しかしこの2人はほんとに酒弱そうですねぇw
43 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/26(月) 17:08
ほんまバカップルww
おもしろかったです!!
44 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:07
 
 
 
 
 
 
 
 
45 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:07
 
 
 
『生きる力』
 
 
 
46 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:08
 
 
 
 
1941年12月8日am1:30
大日本帝国は真珠湾攻撃を開始。大東亜戦争(太平洋戦争)が始まった。
 
 
 
 
 
47 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:08
 
 
あたし、新垣里沙。14歳。横浜に住んでるの。
戦争に行ったお父さんは今、どこにいるんだろう?この間、おじいちゃんが帰ってきたよ。
戦場で打たれたって。お国のためによくやったってババちゃんとお母さんが喜んでた。
でもずーっと泣いてた。
 
 
隣の家のお父さんもいないし、向かいの家のお兄ちゃんは一昨日みんなに見送られて戦場に行ったんだって。
もう男の人は小さな子供と老人しかいないんだよ。
 
 
48 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:08
 
 
 
 
 
 
ねぇ、お父さん。あたし、14歳になったんだよ。
 
 
 
 
 
49 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:09
 
 
 
 
1942年4月18日。米軍はドーリットル空襲を開始。
東京市、川崎市、横須賀市、名古屋市、四日市市、神戸市は米軍の攻撃を受け、大損害を受けた。
 
 
 
 
50 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:09
 
 
「ねぇ、お母さん。みんなは行かないの?」
「お母さんたちはここで待ってるから。・・・・・・おばさんにこの手紙渡してね」
「うん。じゃあ明日には帰るねぇ」
「気をつけてねっ!里沙っ!!」
 
 
あたしは空襲が来た日から一週間後、お母さんに頼まれて親戚に手紙を渡してくれと頼まれた。
東京になんか親戚いたっけ?と思うけど、あたしが知らないだけでいるみたい。
駅について切符を渡す。汽車の中に入ると、人で溢れかえっていてかなり窮屈。
 
 
東京に着くと、大都市だと思っていたそこは、廃れた街になっていた。
 
 
51 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:09
 
 
駅を出て、住所と簡単な地図を頼りにおばさんがいるという場所を探す。
でも辺り一面グッチャグチャで、全然分かりやしない。
あー、もうっ!早く見つけてさっさと渡して帰りたい。
ババちゃんの具合だってよくないし、妹の面倒はあたしがみなきゃ。お母さんが心配だよ。
 
 
「もーっ!!探したってキリがないじゃないかぁっ!!!」
「何、探してんの?」
 
 
つい頭にきて叫んでしまった。周りの人達はそんなあたしを白い目でみてくる。
恥ずかしさと自己嫌悪に陥っている最中、誰かの声が聞こえた。
 
 
52 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:10
 
 
「誰、ですか?」
「あたし?あたしは吉澤ひとみ」
「あ、新垣里沙です。よろしくどーぞ・・・・・・ってちがーうっ!!」
「あはははは。おもしれーな、ガキさん」
「っ!?ガキさんって誰ですかっ!!」
「お前だよ、ガキさん。で?何探してんの?」
 
 
急にあたしをガキ呼ばわりしてきた吉澤さんって人は、あたしのことを助けてくれるらしい。
住所の書かれた紙を見て、早速場所に連れていってくれるそうだ。
なんだこの人ちょっとバカっぽいけど、いい人なのだ。
 
 
「あたしさ、この住所の近くに友達がいるんだよ」
「へー、そうなんですか」
「ついでに紹介してやるよ」
「・・・別に結構です」
「なんだよ、照れてんじゃねーってっ!」
「痛いですってばっ!!」
 
 
53 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:10
 
 
あたしの肩をバシバシ叩く吉澤さん。ショートで少し髪の色が明るい。
よく見たら顔が外人さんみたい。・・・もしかして米軍!?
 
 
「吉澤さんって、・・・もしかして」
「おーいっ!!ミキティいるー?」
「人の話を聞けーっ!!」
 
 
あたしを軽くスルーした吉澤さんは、とても家とは思えないようなガラクタの山に向かって叫んだ。
すると、ガラクタがずれたかと思ったら、そこから人が出てきた。
あたしくらいの長い髪で、結んでいないけどサラサラで、顔はキレイだけど目つきが怖くて、なにより猫背だった。
 
 
「ガキさん、こいつがあたしの友達のミキティ」
「あ、どうも・・・新垣里沙です・・・」
「よっちゃん、誰このガキんちょ」
「おいおいミキティ。どーみてもガキさんだろ」
 
 
54 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:10
 
 
この吉澤さんって人はあたしをガキさんと呼びたいらしく、うるさい。
あのー、あたし、この人の名前知らないんですけどー。
 
 
「ガキさん、こいつは・・・・・・なんだっけ?苗字。〜本・・・んーなんだっけ?」
「美貴の名前忘れたのかよっ!!」
「もっさんって言うんですか?」
「言わねーよっ!」
「じゃあもっさんの名前はなんなんですか?」
「藤本美貴っ!!」
 
 
どーやらもっさんは藤本美貴って名前らしい。
ってか吉澤さんって友達の名前忘れちゃうんですか。あんたバカです。
なんか忘れてる気がする。・・・・・・。
 
 
55 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:11
 
 
「あーっ!!忘れてたじゃないですかーっ!!!」
「うるせーぞガキさん。どーした」
「美貴の鼓膜がグワングワンしたじゃん」
「あたしっ、この近くのおばさんに用事あるんですってっ!!」
 
 
叫んだあたしの手から紙をとったもっさんは、住所をみるなり「こっち」といってスタスタ歩きだした。
あたしは早歩きで着いていって、吉澤さんはなぜか踊りながら着いてきた。
やがてもっさんはある瓦礫の前で立ち止まった。
 
 
「ここだよ、ガキさん」
「へっ!?何も家らしいものないじゃないですか」
「でもここだよ。空襲くるまでは家があったの美貴知ってるもん」
「・・・・・・じゃあ・・・」
 
 
56 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:11
 
 
空襲で家に銃弾が当たったのか。でも防空壕に隠れてたんなら助かってるはず。
おばさんが誰か知らないから、この近所で知ってる人を探そう。
 
 
「ねぇ、ここにいたおばさん知ってる?」
「え、・・・いや・・・」
 
 
目の前を歩いてた、あたしと同じくらいの年の娘に話しかけた。
でもなんかはっきり言わない。
 
 
「ガキさん、その娘知ってるの?」
「知らないですよ」
「なんかめっちゃビビッってんじゃん」
 
 
57 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:11
 
 
確かに。あたし達3人で囲んでるから軽いリンチみたい。
でもあたしにはもう時間がないの。早く、日が暮れてしまうじゃないか。
あたしは早く家に帰って、お母さんに伝えなきゃいけないんだから。
 
 
「この間の空襲で、・・・逃げおくれたって。誰か言ってたのは・・・聞いた・・・」
「じゃあ、もう・・・」
「ガキさん、用事ってなんだったの?」
「それは・・・」
 
 
お母さんから手紙を頼まれたこと。あたしは横浜からきたこと。今日中に帰りたいこと。
全てを話したんだけど、あたし、お母さんになんて言えばいいんだろう。
 
 
58 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:12
 
 
「手紙ってガキさんみたの?」
「見てない」
「見てみなよ。お母さんはすごく大事なことをおばさんに言いたかったんじゃないの?じゃなきゃ自分の娘を、こんな危ないとこに1人でなんてこさせないでしょ」
「そりゃそーだな、ミキティ」
 
 
あたしはなんか気が進まなかったけど、2人の言う通り、手紙を読むことにした。
 
 
「・・・・・・うそ・・・」
 
 
59 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:12
 
 
手紙の内容は、おばさんにあたしを預けることだった。
理由は、いつ横浜が狙われるか分からないというのと、あたしだけは学校に行かせたいからということ。
手紙の最後には「また会おうね。里沙」と書かれていた。
あたしは愕然としてしまって、膝から崩れ落ちてしまった。真っ白になった頭を少しずつ整理していく。
そういえば帰りの切符を持たせてもらっていなかった。駅まで向かえにきてくれなかった。きっとお母さんは泣いてしまうから、そしたらあたしにバレてしまうから、駅にこれなかったんだ。
確かにうちはお金もないし、あたしと妹はこどもで食費が足りなかった。
お母さんはあたしのために、おばさんを頼ったんだ。
 
 
「あたしこれから・・・・・・」
 
 
あたしの様子に異変を感じた3人は、手紙を読んで唖然としていた。
3人の視線があたしに刺さってくる。そうだ、あたしはたった今、1人ぼっちになっちゃったんだもん。珍しくはないけど、まさかあたしがなるなんて。
 
 
60 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:12
 
 
「泣かないでよ・・・あたしも1人ぼっちだから」
「ふぇっ!?」
「あたし亀井絵里。一緒に頑張ろ?」
「うん・・・。あたし、新垣里沙」
 
 
急に寂しくなっちゃったから、つい泣いちゃったけど。でもこの娘も1人ぼっちらしい。
話を聞けば、親も兄弟もみんな空襲で死んだらしい。ボロボロのチョッキを大事そうに着ている。きっとお母さんからもらったものなんだろう。
くよくよしててもしょうがない。この戦争が終わったら、お母さんに会いに行こう。
ババちゃんと妹にも。そのときにはお父さんも帰ってくるよ、きっと。
 
 
61 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:13
 
 
「よし、亀。住むとこ探しにいこっか」
「うんっ!!」
「んじゃ行くか、ガキさん」
「美貴いいとこ知ってるよぉ」
「はぁ!?なんでアナタ達が?」
「うちらも孤児だし、ねっミキティ」
「うん、大分前からね」
 
 
そんなこんなで始まった、訳の分からない4人家族。
まさかお母さんと離れることになるなんて思わなかったけど、絶対帰るから、いつか。
そのときに全部話すね、お母さん。
 
 
62 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:13
 
 
 
 
あたしは今日も元気だから。
お母さんもババちゃんも妹も、元気でね。
 
 
 
 
63 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:13
 
 
 
 
 
 
 
 
64 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/27(火) 00:22
 
 
更新終了
 
 
また始めちゃいました、変な話。
そんなに長くしませんし、間に関係ない短編とか入ると思われます。
もう書かないと決めたのに長編ww
どーしても書きたかったのよwww
 
 
>>42 名無飼育さん
 
ありがとうございます。
こんなれな絵里でいいんすか?ww
確かに書きやすいんですよね、私の中では。
酒弱そうな振りして実はめっちゃ強いえりりんwww
 
 
>>43 名無飼育さん
 
ありがとうございます。
この2人は多分アホwwいいじゃないww
バカップルに憧れるバカップルww
王子様を待ってるさゆは何処へ・・・・・・。
 
 
65 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/27(火) 07:51
あのー前スレ読みたいのですがどれでしょうか?
66 名前: 投稿日:2007/03/27(火) 14:26
森板の消えないカケラだよ
67 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:43
 
 
 
 
 
 
 
 
 
68 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:43
 
 
「あの・・・」
「んー?なんだよガキさん」
 
 
やけに楽しそうな3人の背中をずっと見ていたら、なんか疑問が浮かんできた。
小さなあたしの声に気付いたのは吉澤さんだけだった。
 
 
「あたし、自力で帰ったほうがいいんですかね?」
「帰れるんなら帰ったほうがいいけどね」
 
 
なんだか引っ掛かるような言い方をした吉澤さん。
理由はなんなんだろう・・・。
 
 
69 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:44
 
 
「今、米軍は関東を狙ってるんだよ。東京があるから」
「・・・・・・・・・確かに」
「今、自力で帰ろうとしてもまず道が分からないし、いつ空襲がくるかも分からない。もしそこで死んだら、ガキさんと家族はどーなる?」
 
 
黙ったあたしに今度は優しい言い方で、でもちょっとキツい感じで話してきた。
そんなあたし達を知らない前の2人は、今後についてでも話しているんだろうか。
 
 
「あたしは死んでるんですよね?」
「そうだね」
「じゃああたしの家族は、おばさんの死も分かんなくて、あたしの死も知らないままになっちゃいますね」
「うん。それでもいいの?」
「・・・・・・・・・イヤ、です・・・」
 
 
70 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:44
 
 
確かにそうだ。あたしが死んでしまったら、いつか戦争が終わって平和な日がきたときに、お母さんやババちゃん、妹はあたしの帰りをいつまでも待つだろう。
もし、風の噂であたしの死を知ったとき、みんなどれだけ悲しむんだろう。
 
 
「じゃ、あたし達と暮らそうよ」
「・・・・・・はい・・・」
 
 
1人で妄想に耽っていたら、吉澤さんがあたしの頭をなでてそう言ってくれた。
うん、あたし1人なんかじゃないもん。
まだ今日会ったばっかでよく分かんない人たちだけど、それでもあたし、1人じゃないんだ。
あたしには何にもなくなっちゃったけど、これからみんなで頑張ろう。
 
 
71 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:44
 
 
「ねぇねぇガキさんもそう思うでしょ?」
「は?なんのことだか分かんないんだけど、亀ぇ」
「おっきい家に住もうよーっ!」
「そんな家なんかないって」
 
 
亀は明るい娘だった。最初はオドオドしてるし、声も小さいから結構大人しいと思ってたけど、ただの人見知りらしく、仲良くなったら結構五月蝿い。
 
 
「あったとしても空襲の的にされて終わりだろ」
「もっさんの言うとおりだよ、亀」
「だぁってー・・・」
「とにかく街に住むのはよくない。また空襲がきたら終わりだ。ミキティ、なんかいいとこ知ってんだろ?」
「知ってるよん。んーっとね、よく美貴が遊びにいくとこ」
 
 
72 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:44
 
 
ってことでもっさんに着いていくまま、街をでてしまい川のほうに近づいてしまった。
ここって結構いい場所かもしれない。まだ水も少しはキレイだし、街からそんなに遠くもない。
魚も今は夜で見えないけど、昼間は見えるかもしれない。
 
 
「ここですか?もっさん」
「そうだよガキさん。なかなかいい所っしょ?」
「はい、そうですね。・・・ところでもっさんはどこの人ですか?」
「ん?なんで?」
「今の、方言ですよね?」
「あちゃ、出ちゃったか。美貴ね、北海道出身なの」
「あー、そうなんですかぁ」
 
 
やっぱり。だって方言出たし。そうか、もっさんは北海道なんだ。
んー?でもなんでまた東京に?
 
 
73 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:45
 
 
「どーして東京に出てきたんですかぁ?」
「それはあとで話すよ。とにかくみんなで屋根がありそうなとこ探そ」
 
 
もっさんの言うことに従って、まずはみんなバラバラになって住めるとこを探す。
なんてったって4人だからなー。広いとこのほうが・・・・・・。
 
 
「みんな来てくださーいっ!!」
 
 
亀の声がして、あたし達は急いで駆け寄っていく。
広いとこが見つかったのだろうか。
 
 
「ふざけんじゃねーよっ!!亀っ!」
「亀ちゃん、これじゃ狭い」
「コーラー亀ぇ、こんなんじゃ入んないだろー」
 
 
74 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:45
 
 
亀が見つけたところは凄く狭くて二人がやっと入れるくらい。
でも奥行きは結構ある。だけども4人はいくらなんでも無理でしょ。
3人に怒られた亀は、シュンとして変なことを言ったのだ。
 
 
「絵里、狭いとこ好きなんです」
 
 
みんなドン引き。
いくら亀が好きでもあたしは嫌い。しかもこれ絶対4人は入らないから。
もっとゆったりした場所探そうよ、亀。
 
 
75 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:46
 
 
「美貴は広いとこ探すから、亀ちゃんそこで住めば?」
「酷いですよーっ!!」
「あたしもミキティと広いとこ探す」
「吉澤さんまでっ!!!」
 
 
冷たい言葉を浴びせたもっさんは、亀を無視して再捜索。
それに吉澤さんも付いてしまって、あたしと亀の2人っきり。
 
 
「じゃあガキさ」
「あたしも広いとこがいいから」
 
 
絶対くると思ったから少し構えていたら、案の定きてくれた。
サラッと軽く流してもっさんのとこに走っていく。
 
 
76 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:46
 
 
「みんな酷いーっ!!」
 
 
1人絶叫する亀。不貞腐れるのかと思いきや、すぐこっちに向かって走ってきた。
多分1人になって急に怖くなったんだろう。そりゃそーだ。もう夜中もいいところだし。
 
 
「ここがいいんじゃない?」
 
 
もっさんが指を指して言ってきた。
あたしがみるからに屋根らしきものは全くない。
 
 
「屋根ねーじゃん。雨きたらどーすんの?」
「明日、木材かっぱらってこよーよ」
 
 
こうゆう風にさ。と、もっさんは手振り素振りで説明する。
確かに木材で2mくらい上に屋根を作って、あとは入り口を別に作って木材を立てかければ、十分に家ができる。
 
 
77 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:46
 
 
「でも昼間に木材なんか持ってたら捕まりますよ?」
「まぁまぁガキさん、見てなって」
 
 
あたしを宥めるように肩をポンポン叩いた吉澤さん。
もっさんと吉澤さんは2人で何かを企んでいるらしく、傍にいた亀もポカンとしていた。
 
 
「んじゃ今日は寝るか?」
「なんかいっぱい歩いたから腹減った」
「あ、そーいえばこれ・・・」
 
 
あたしのカバンにはお母さんが持たせてくれた乾パンと、水筒が入っていた。
みんなで食べようと差し出したんだけど。
 
 
78 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:47
 
 
「ガキさん、泣くな」
 
 
もっさんの言葉で自分が泣いてることに気付いた、・・・・・・ワケじゃなくって。
視界が潤んだ時点で気付いてたけど、バレないようにしたのに。
もっさんは冷たい言い方だったけど、自分の服であたしの涙を拭いてくれた。
 
 
「・・・・・・・・・ごめんなさい・・・」
「美貴はね、ずっと一人ぼっちだったからさ、ガキさんの気持ち痛いほど分かるよ。でもね、今は嬉しい。だって1人じゃないもん美貴」
「そーだよガキさん。うちらも家族みたいなもんだろ」
 
 
うん、そーだよね。みんなはずっと前から1人だったんだもん。
ずっと寂しかったんだよね。今のあたし以上に。でも乗り越えて今生きてるんだから凄いよ。
あたしだったら無理かもしれないのに。
ありがとう。家族って言ってくれて。
 
 
79 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:47
 
 
「絵里なんか今日始めて友達できたんだよ?」
「バカ亀。空気嫁」
「あたしさっき家族って言ったばっかなのに、早速撤回宣言かよ」
 
 
亀の空気を読まない発言にキレるお2人さん。
バシバシ頭叩かれてるのにヘラヘラ笑ってる亀。
あたし、この人たちに出会えたのって凄い奇跡なのかも。だってあたしが1人で叫んだとき、吉澤さんがあたしに気付かなかったら一生会えなかった人たちだもん。
 
 
 
80 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:47
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
81 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:48
 
 
恥ずかしくってこれから先も言える気配ないけど勇気だして言うね。
 
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・乾パン食べましょ?」
 
 
ごめん、・・・・・・やっぱりまだ言えないのだ。
 
 
82 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:48
 
 
 
 
 
 
 
 
 
83 名前:かつおぶし 投稿日:2007/03/30(金) 22:55
 
 
更新終了
 
 
>>65 名無飼育さん
 
前スレ、多分つまんないっすww
 
 
>>66 章さん
 
ご親切にありがとうです。
 
 
 
さて、次はちょっと寄り道で短編書こっかなww
早速飽きたわけじゃないよwww
このスレ自体寄り道道重だからさーwww
 
 

 
 

84 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:24










85 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:24
 
 
 
 
 
 
『届かぬ思い・・・だったのに』
 
 
 
 
 
 
86 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:24
 
 
今日は卒業式の日。
あたしはいつもより少し遅い時間に起きた。
今日で最後の制服をいつもと同じ着方で、髪にブラシ入れるのもいつもと同じで。
 
 
「ガーキーさぁんっ!早くいこーっ!!」
 
 
クラスメイトの亀がいつもと同じように迎えに来てくれた。
今行くー、と言って階段をバタバタ降りていく。
絶対必要なんかなさそうな鞄を肩にかけて、ローファーを履く。
いつも通りすぎる、最後の日。
 
 
「今日で最後なんだよねー、絵里、全然実感ないんだけどー」
 
 
87 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:24
 
 
多分、卒業する人の9割は絶対言ってそうなセリフを亀も言ってきた。
当然あたしもそれは思っていたことだったけども。
 
 
「そーだねー」
「明日から制服着ないとか信じらんない」
 
 
確かにね。制服云々じゃなくって、あの人に会えないのが信じられない。
亀はいいよね、付き合ってる人いるんだし。
 
 
昇降口に着いて、上履きを履こうとしたらあの人がいた。
みんな卒業アルバムを開いて、書いて書いてとせがまれていた。
 
 
「あれ凄いよね、藤本先生」
「そーだねー。人気あるもんねぇ」
 
 
88 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:25
 
 
絶対こうなるってのは分かってたことだし。あえて気にしないと思ってた。
でも自分もその娘たちと一緒で、今日でいなくなることも分かってた。
 
 
「教室いこっか」
「ガキさん声かけなくてもいいの?」
「うん。邪魔になるし」
「・・・そっか」
 
 
教室に入ると、最高潮に騒がしいことになってる。
みんなで写真を撮ったり、アルバムに書いてたり、黒板に落書きしたりしている。
あたしと亀も、教室に着いた途端にその仲へと引きずり込まれた。
 
 
「始まるから早く並んでー」
 
 
担任の先生が来て、みんな廊下に並ぶ。
胸にはいつの間にかついてた小さな飾りがとても違和感あった。
そのまま体育館へあたし達が入っていくと、卒業式は始まってしまった。
 
 
89 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:25
 
 
「亀、寝ちゃダメ」
 
 
小さな声で隣の亀を叩き起こす。
 
 
「無理・・・あの人話長すぎ・・・」
「あの人って・・・。あれは校長だから・・・」
 
 
式の最中、亀はずっと船を漕ぎまくっていた。
きっとコロンブスも目じゃないくらいだったと思う。
式が終わって、みんな教室へ戻ってHRになるけど、なんにも聞こえてこない。
 
 
90 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:25
 
 
「ガキさん、帰ろ」
「え、もう終わったの?」
「うん。これからみんなとカラオケ行く約束してたでしょ。幹事の娘、先に行ってるからさ、絵里たちも早く行こ」
 
 
そういえば。先週あたりにそんな約束してたな。
制服で騒げる最後の日だからって、思い出になるようにと。
だけど、でも。
今行ったら、あの人に、もう会えない。
 
 
「亀、先に行ってて」
 
 
亀にだけ明かしてたあたしの胸の内。
亀はちょっと寂しそうな顔したけど、分かったって言ってくれた。
 
 
91 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:26
 
 
クラスのみんなが居なくなるのはすぐだった。
多分、カラオケにみんなして行ったのだろう。
あたしだけいないことにみんな気付くのかな。
亀、お願いだからみんなにうっかりバラさないでよね。
 
 
誰もいない教室に、また今日もいつもと同じ、1人で待ってる。
今日は流石に来ないかもね。
片付けとかあるだろうし、先生達で飲み会とかもあるみたいだし。
じゃあ、なんであたし待ってんだろう。
 
 
「お腹すいたな・・・・・・カラオケ行くかぁ」
 
 
もう午後2時すぎると、学校自体に誰もいなくなってきた。
鍵を閉められる前に帰んなきゃいけない約束になってるから、もう帰ったほうがいいと思った。
 
 
92 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:26
 
 
「よいしょっと・・・」
 
 
鞄を掴んで一人で教室を出る。
最後だっていうのに、今日に限って来てくれないあの人。
事情は分かるし、あの人とは約束なんか一度もしたことがないから、いつも勝手に残ってるあたしを、業務で見回りにきて見つけてるだけなんだもん。
 
 
「えっ、お礼参り?」
「んなわけないでしょーがっ!」
 
 
教室のドアを閉めようとした途端に聞こえた、あの人の声。
おかしなこと言うからつい、突っ込んでしまったけど。
今日も、いつものように来てくれたのには、やっぱり嬉しかった。
 
 
93 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:26
 
 
「やっぱり今日も残ってたんだ」
「もっさんを待ってたんで」
 
 
サラッと言えた割にはドキドキしてる心臓。
っていうかなんで言ってしまったんだろうと後悔した。
でも冗談にしてしまうこともできたんだけど、それはしたくなかった。
 
 
「美貴ね、今日はとっても寂しいんだよね」
 
 
午後2時を過ぎたばかりでは、太陽の光がただでさえ眩しい。
なのにもっさんは真っ白いスーツなんか着てるもんだから、あたしの目はショボショボしてしまう。
寂しいと言ったもっさんは、どーにもこーにも眩しすぎた。
 
 
94 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:27
 
 
「もうさ、こーやってガキさんがここで待ってることとかなくなっちゃうんだよねー。ホントは美貴、ガキさん毎日残ってるの知ってて、見回り当番じゃない日でも『美貴が行きます』とかなんとか言って、しかもこの教室だけ最後に取っておいたりとか、他の教室なんか見てない日とかあったりもしたんだよねー。なんかガキさんと話してるとすっごい楽しかったから、毎日の日課みたいになっててさぁ。ガキさん、生徒なのに美貴がドキドキとかしちゃダメだって思ってたんだけど、気持ち抑えられなかったんだよねー。だから今日、もしかしたらガキさんいるかもしんないって思って来てみたらホントにいるんだもん。美貴チョーびっくりしたしー」
 
 
眩しさにヤラれてるあたしをよそに、1人マシンガンで喋りまくりなもっさん。
普段より早口で喋るから聞き流しそうだったけど、もっさんもあたしのこと、ずっと気になっていてくれていたみたい。
素直に喜びたいとこなんだけど、顔を赤くしてモジモジしてるもっさんは、ちょっとばかしキモくて。
あんまりにも可愛いから、この際、全て白状してしまおうと心に決めた。
 
 
95 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:27
 
 
「・・・もっさん」
「んー?」
「毎日、待ってました。もっさんを」
 
 
怖いと評判なもっさんの目つき。
でもそれがまん丸になっていくのが見える。
ねぇ、もっさん。今日の私、美人ですか?
 
 
「いつの間にか好きになってて、もっさんのことが」
 
 
もっさんだけが時間止まったみたい。
ちっとも動かないから、ホントに止まったかと心配してしまう。
ねぇ、もっさん。自信もって言ってもいいですか?
 
 
96 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:28
 
 
「毎日ちょっとしか会えないけど、でもすっごく嬉しいから。あたし、毎日残ってた」
 
 
告白するのって、勇気がいるんだね。なんでか緊張してるもん。
亀も告白した時は頭真っ白なったーって言ってたし。
ねぇ、もっさん。今日の私、色っぽいですか?
 
 
「こんなに好きなのに、今日の朝、みんなに囲まれてるもっさん見て、ちょっとヤだった」
 
 
まだ止まってるもっさん。
瞬きすらしないけれど、大丈夫なのだろうか。
あたしより全然大人なクセに、そんな反応がすごく可愛い。
ねぇ、もっさん。真っ直ぐに打ち明けて平気ですか?
 
 
97 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:28
 
 
「もっさんが好きになるずっと前から、あたし、好きだったの」
 
 
もっさんの返事を待ってはみるものの、『あの』とか『その』しか言えないらしく、続きは一向に来る気配がない。
真っ直ぐに打ち明けすぎたかなぁ?なんて思いつつ、ダメ押ししてみよう。
 
 
「ずっと待ってたんだよ、もっさんのこと」
「でも美貴、そんなの知らなくて・・・」
「いいよ、知らなくて。そんなことより、もっさんの気持ちが知りたい」
 
 
98 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:28
 
 
ゆっくりもっさんに近づいて、そっと手に触れる。
寒がりなもっさんの手は、想像以上に冷たくなっていた。
顔はさっきから真っ赤なのに。
 
 
「・・・っん!・・・」
 
 
いきなり動いたかと思えば、もっさんのアップ。
あたしの唇に、あったかい感触。
ビックリして逃げようとしたけど、もっさんの手があたしの頭をしっかり押さえつけてて、動けない。
初めてのキスなのに、向こうはレベルをどんどん上げてくる。
 
 
99 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:29
 
 
「ガキさん、帰ろ。一刻も早く」
「え、ちょ、どーし・・・ってコラーっ!!」
 
 
いきなり抱っこされて、一目散にもっさんの車へ運ばれるあたし。
きっと職員室に鞄を取りにいってたもっさんは、走って戻ってきた。
急いで車を走らせるもっさんの横で、あたしは亀にメールを入れた。
 
 
あっという間についたもっさんの部屋は、意外とキレイでびっくりした。
もっと部屋を詮索したかったのに、もっさんはいきなり押し倒してきた。
 
 
「ちょっ!!いきなりはナシーっ!!!」
「無理。美貴我慢できないもん」
「コーラーっ!!」
 
 
100 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/07(土) 23:32


更新終了
 
 
がきみきの続きみたいな話。
だってガキさんはウブだからww
美貴様には優しくされたいのよ、ガキさんは。
分かってあげてね、美貴様ww
 
 
101 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/08(日) 00:14
み・き・さ・まーーーっっ!!
いきなり押し倒したんすか!?
しかもがきさんを…。
ぬあ〜〜〜すっげえ良かったですw
102 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/08(日) 00:45
むは---っ(゚∀ハ)
やっちゃえ!!もっさん!!
103 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/09(月) 19:32
続きが読みたいと思ってたんでラッキー
104 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/09(月) 23:57
 
 
 
 
 
 
 
 
 
105 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/09(月) 23:57
 
 
 
 
 
 
 
『夢の中』
 
 
 
 
 
 
 
 
106 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/09(月) 23:57
 
 
「亀ぇ、人間って一生の内に何年間分寝てることになってるか、知ってる?」
 
 
ガキさん、絵里それ知ってる。
あれでしょ?なまたまごってやつだったよね。
絵里、前にみせてもらったことあるよ。誰かは忘れちゃったけど。
 
 
「知ってますよ。確か、20年。でしたよね」
「・・・そう」
 
 
絵里が答えてしまったのを気に食わないのか、ガキさんはそれっきり黙ったまま。
今さら知らない振りとかってできないし・・・。
なんか気まずい。どーしよっかな。
 
 
107 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/09(月) 23:58
 
 
「絵里たちって、まだ寝てることになってるんですよね」
「そう。まだ寝てるの」
 
 
ホントは起きてるのにね、とか言ったらぶち壊しだろうから言わないでおく。
ってか急にどーしたんだろ。
 
 
「このまま目が覚めなきゃいいのに」
「・・・なんでですか?」
 
 
なんか今日のガキさんちょっと変。
いつもみたいに元気じゃないし、ふざけてる様子もない。
 
 
108 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/09(月) 23:58
 
 
「夢の中が今ってことなら、一生覚めたくない」
「はぁ・・・」
 
 
なんか機嫌とか悪いのかな。言葉にトゲがあるんだけど。
絵里、なんかしたっけ?
 
 
「あたし、今が一番幸せだもん」
「絵里もそーですよぉ」
 
 
あ、なんとなく分かったかも。
ガキさん、今、怖いんだ。
 
 
「夢の中の今が、一番幸せなんだもん」
「大丈夫ですよ、ガキさん。大丈夫だから」
 
 
109 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/09(月) 23:58
 
 
大きくて丸い瞳から、ポロポロ零れてくる涙。
必死で瞬きして、まるで『泣いてなんかいないから』とでも言いたそうに。
あぁ、こんなにもガキさんは、怖がってる。
 
 
「絵里も、ガキさんも。まだまだ夢の中ですよ」
「・・・亀のくせに偉そう。亀のくせにー・・・」
 
 
絵里に嫌味っぽく呟いて、にっこり笑ってくれたガキさん。
その瞬間に、目尻を伝った涙。こんなに不安だったんだ。
絵里、今日のガキさんの涙、見なかったことにしますね。
 
 
「ナンカレー、食べにいきましょ?」
「亀のおごり?」
「・・・・・・・・・いいですよーだ」
 
 
110 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/09(月) 23:59
 
 
 
 
 
 
 
まだ絵里達、夢の中ですよ。
おんなじ夢の中で、一緒にハシャいでるじゃないですか。
 
 
 
 
 
 
 
111 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/10(火) 00:00
 
 
 
 
 
 
 
 
 
112 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/10(火) 00:08
 
 
更新終了
 
 
>>101 名無飼育さん
 
ありがとうです。
美貴様に命令できるのは亜弥様だけww
ガキさんは喰われるのでした(チャンチャン♪
 
 
>>102 名無飼育さん
 
ありがとうです。
ヤることが必須項目な美貴様ww
きっとガキさんの唇にヤラレたんだなww
 
 
>>103 名無飼育さん
 
ありがとうです。
続き期待してくれてましたぁ!よかったぁ、書いて。
がきみきは旬だねっ(ブーム完全乗り遅れw
 
 
 
ひとつ、気付いたことが。
がきえりって書きにくいww
えりりんの敬語が曲者だなコレ。
アンリアルとかって普通に難しいよね。
こいつらタメなのに先輩後輩だから。
113 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/28(土) 20:58
作者さんのがきえり好きですよー
114 名前:生きる力 投稿日:2007/04/29(日) 22:24
 
 
 
 
 
 
 
 
 
115 名前:生きる力 投稿日:2007/04/29(日) 22:24
 
 
 
またまたぁー、こんな夜にどこ行くのさ。ねぇ、もっさん。
吉澤さんと亀もついてってるけども、あたしは眠いの。
 
 
「ガキさん、眠いだろーけど頑張って」
「はい、吉澤さん・・・」
「言ってる側から寝るなよ」
「もっさん。明日にしません?」
「明日は雨だよ、ガキさん」
「なんで分かるの?亀」
 
 
急に思い立ったもっさんは、今から町に戻って木材を盗ってこようと言った。
今はもう幽霊が活動する時間であって、生身のあたしにはキツイ。
でも、もっさんは町に行く気満々だし、亀は明日雨降るって聞かないし。
なんでも今日は星が見えないからだってさ。
 
 
116 名前:生きる力 投稿日:2007/04/29(日) 22:25
 
 
「ほら、あれが町だよ」
「結構近いとこまできたのに、建物がほとんどないなぁ」
「この間の空襲ですよ。凄かったもん」
 
 
もっさんが指した先には、建物らしいものなんかなかった。
みんな崩れてて、とても町には思えなかった。
こんな場所に来て、一体どーするんだろう。
 
 
「もっさん、木材なんかないんじゃないですか?」
「甘いなガキさん。汽車を狙うのさ」
 
 
そう言い放って、駅に向かい早速汽車の中を見ている。
監視してるおじさんは、夜遅いせいか寝てる。
木材の入ったコンテナの上によじ登り、吉澤さんともっさんはサクサクと木材を運んでいく。
亀はいつの間にか、どこから持ってきたのか不明だけど荷車を引いてきた。
 
 
117 名前:生きる力 投稿日:2007/04/29(日) 22:25
 
 
「ガキさんも手伝ってよ」
「あぁ、はい」
 
 
音を出さずに運ぶのは意外と神経が疲れる。
でも3人は慣れているのか、仕事が速い。
あ、違った。亀はただヘラヘラしているだけだった。
 
 
「さて、もう帰ろうか。夜が明けるし」
「そーだな、ミキティ」
 
 
吉澤さんともっさんは、2人で荷車を押すと言ってくれた。
流石に悪いから、交代でしましょっと言ったけども、あたしには重くて無理だった。
先に亀と2人で歩く。後ろには荷車引く2人。
なんだか、亀との距離が近い。
 
 
118 名前:生きる力 投稿日:2007/04/29(日) 22:25
 
 
「亀、なんでそんなにくっつくのさ」
「なんとなくー」
 
 
そう言って少し離れた亀。別にイヤだったワケじゃないから、なんだかちょっと悪いことした気分。
だからなんでもない振りして距離を戻してみた。
そしたらまたにっこり笑ってる亀。
あぁ、そう言えば亀は友達がいなかったとかなんとか言ってたな。
 
 
「あいつら、なんか仲良しだねミキティ」
「んー。いいことじゃん」
 
 
なんか後ろでゼーゼー言ってるのが聞こえたけど、聞こえない振りをしよう。
亀もそう思ったのか、後ろを振り向かなかったし。
 
 
119 名前:生きる力 投稿日:2007/04/29(日) 22:25
 
 
「明日になったら屋根作ろうよ、よっちゃん」
「うん。流石に今日はもう寝たいね」
 
 
どうやらかなりお疲れの2人。着いたらマッサージしてあげよう。
あたしと亀のお姉ちゃんなんだし、大事にしなきゃね。
明日はきっと忙しいから、あたしも頑張ろうっと。
 
 

120 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/29(日) 22:29
 
 
更新終了
 
 
>>113 名無飼育さん
 
ありがとうございます。
がきかめ好きですかぁ、嬉しいですよー。
もっと書けるように頑張りますね。
 
 
121 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/29(日) 23:18
 
 
 
 
 
 
 
122 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/29(日) 23:18
 
 
 
 
『こんなにも』
 
 
 
 
123 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/29(日) 23:19
 
 
近くにいるのに、遠い存在なあなた。
家が隣で、幼なじみで、恋人で。
昔からあなたの背中ばかり見てきた。2つ上のあなた。
大学生なあなた。アルバイターなあたし。
高校生にあたしがなったとき、あなたに告白されて付き合った。
3年経った今でも、好き。好きなのに。
 
 
「ガキさん、あーし今週空いてないわぁ」
「んー、あたしもバイト忙しい」
「また来週にでも時間見つけるがし」
「そーだねぇ」
 
 
あたしの部屋でまったりしてるのに、こんな会話。
お互いのすれ違った生活は今に始まったワケじゃないのに。
この心にできた隙間はなんなんだろう。
 
 
124 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/29(日) 23:19
 
 
「あ、あーし明日レポート締め切りやった」
「そっか。もう帰る?」
「うん。またな」
「送るよ、そこまで」
「えぇよ。すぐやもん」
 
 
パタパタと帰ってくあなた。
うちの玄関が閉まった5秒後に隣の家の玄関が開く音。
よし、無事に着いたか。
時計を見ると、夜の11時になろうとしていた。
あたしの部屋の窓の向こうにはあなたの部屋の窓。
 
 
すぐに電気がついて、部屋にいるみたい。
赤いカーテンの向こうは、あなたがいるのに。
あたしにはあなたが見えないの。
 
 
125 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/29(日) 23:19
 
 
『里沙ちゃん、遊ぼー』
『うん。愛ちゃん行こー』
 
 
子どものころは毎日会ってたよね。
あなたが中学生になってから、どんどん会わなくなったね。
ずっとずっと背中ばっかみてたから、追い付きたくて頑張った。
そしたらいつの間にか好きになってたのに気付いたのは、中3のときだった。
この恋を、叶えるつもりなかったの。
距離感は大分前から感じてたから。
なのになんであなたは告白してきたの?
なんであたしは断れなかったの?
 
 
もうあたし達、形だけだよ。付き合ってるのって。
心が叫んでる。あなたが欲しいって、叫んでる。
でも今日もこの想いはあたしの胸に、ギュウギュウに押し詰めて。
1人で寝るベットに、あなたの香りはもうしないの。
電気を消して、眠くないのにベットに入る。
隣の部屋は、夜遅くまで電気がついていた。
 
 
126 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/29(日) 23:20
 
 
「・・・・・・こんなにも・・・」
 
 
言葉は出ないのに、涙ばかりが溢れてしまった。
 
 
 
127 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/29(日) 23:20
 
 
 
 
 
 
 
 
128 名前:かつおぶし 投稿日:2007/04/29(日) 23:21
 
 
あいがきでしたぁ。
なんとなくガキさんが好きな私。
「こんなにも」なんだろうね。
 
 
129 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/30(月) 05:10
ガキさんがんば!
ガキさん好きだな。
130 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/30(月) 11:09
切ないな〜。
自分もがきさん好きなんで作者さんに感謝です♪
131 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 11:57
 
 
きっとガキまこ。
 
 
 
 
『もういいから』
 
 
132 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 11:58
 
 
昨日、電話がきた。でも出ない。
だってあたし達、もう終わったんだよ?
 
 
「まーた留守電入ってるよ、もー」
 
 
とかなんとか言っときながらも、つい、聞いてしまう。
とても優しい声は、半年前と何も変わってない。
 
 
≪ガキさん?電話まだ出てくれないの?いつでもいいからさ、掛けてきて≫
 
 
133 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 11:58
 
 
掛けないっつーの。もう話すことなんかないじゃん。
あんたからいなくなったんでしょーが。
勝手にいなくなって、勝手に恋人つくったんじゃん。
なのになんで今さら?
止めて。ただ遊びたいだけなら他あたって下さいってのー。
 
 
「もしもし?愛ちゃん?」
「おぅ。どしたぁ?こんな時間にぃ」
「いやー、また電話きててさー」
「またか。懲りんなー、あいつー」
「んー。ちょっと対策考えないとねー」
「ほやねー。・・・あ、キャッチ入ってしもたわ」
「うっそ!タイミング悪いなー」
「ほんまゴメンな。あとで掛けなおすわ」
「んー。別にまた今度でもいいよー」
「じゃ、切るわ」
 
 
134 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 11:58
 
 
頼りにならなかったなー愛ちゃん。どーせこの後も掛かってこないだろうし。
このままあの人からの電話をシカトすればいいだけ、なんだけどねー。
そんなのいつか出ちゃうんだろーしなー。「何よぅ」って。
やっぱり一回会ってキッチリ話をつけるべきかぁ。
 
 
イ・ヤ・だ。もう会いたくないもんねーだ。
どんだけあたしが傷ついたと思ってんの?最初のころは毎日泣いたよ。
もう枕が絞れるくらい、ってどんだけぇ〜。
ちょっとっ!ふざけるのは止めてよ。今、真剣に考えてるんだから。
って全部あたしじゃんっ!あーもうイヤだ。
いつもそう。あの人のこと考えるとワケわかんないし。
テンションも若干高めになってるのも否定できない。
だってしょうがないじゃないか。好きだったんだから。
 
 
「ちょっと気分転換しにコンビニいこっと」
 
 
135 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 11:59
 
 
誰に言うでもなく呟いて、パジャマからGパンとTシャツに着替えて。
一応ぐるっと部屋一面みて戸締りして、財布と携帯を持った。
家のそばの公園は、夜になると誰もいなくてちょっと怖い。
コンビニはすぐそこサンクスだから(でもローソン)何も心配は、ないはず。
 
 
「ってなんであんたーっ!!」
「あ、ガキさん」
「どーしたのよこんな時間に?ってかなんでここに?」
「そりゃーガキさんがなかなか電話とってくれないからー」
「だからってずっと待ってたの?」
「いや、それはないよ。たまたまだよ」
「・・・はぁ。なにがたまたまなのさ」
「そんなことより、買い物でしょ?」
「んー。そうだけどさ。まさか会うなんて思ってなかったし」
 
 
136 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 11:59
 
 
半年振りにあったコイツは、ちょっと痩せてて。
でも話し方とか変わってなくて。髪型はちょっと変わったけど。
少しぎこちなさを感じるけれど、ふと半年前に戻った気がした。
だからなのかな?手を、繋ぎたくなった。
 
 
「なんか欲しいものある?」
「んーとね、アイスとジュース」
「二つもぉ!?・・・ったく」
 
 
そんなこんなでコンビニから出てしまった。
といっても我が家へ上げるわけにはいかない。そんな約束してないし。
じゃあ当然あの怖ーい公園になってしまうわけで。
えぇーっ!それだけは本当に無理。勘弁して。
ってか、1人で帰ればいいじゃん。野心的でい(ry
 
 
137 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:00
 
 
「じゃ、あたし帰るから」
「ちょ、ちょ!話したいことあるんだってば」
「聞きたくないもん。そんな話」
「5分で終わるからさー」
「イ・ヤ。あ!あと電話もしてこないで。メールも」
 
 
まだ向こうはギャンギャン言ってきてるけど、完全スルー。
家は付き合ってたころに知ってるから気にせず帰れる。
このままドアをあけて、家に入れば全て終わる。
きっともう電話もメールもこないだろう。
今日みたいに会うこともなくなるだろう。
でもなんでかな。寂しい。正直、寂しい。
だって一度はアナタに恋したんですもの。・・・ってキモいよ自分。
だけどいい加減、忘れたいんだよ。早く忘れたい。
もう苦しめられるのは真っ平ゴメンだ。
 
 
138 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:00
 
 
「・・・わかった。用件だけ言って」
「いいの?あのね・・・」
 
 
おいおいおい。あたしはバカか、バカなのか。
今さっき忘れたいとかカッコいいこと言ってたじゃんっ!
なのになんでそんなこと言ったんだろ、もー。
結局は寄り戻したいんじゃん。あたしとしたことが不覚にも。
はいはい、1人が寂しいんですよ。正直に言いますよ。
でも一応捨てられた身だからさ、あたし。
少しは反省させたいよね、またあんなことが起きないようにするためにも。
んー、誓約書でも書かせようかな。いっそのこと。
 
 
139 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:00
 
 
「・・・でさ。ガキさんの隣に引っ越すんだー」
「はぁっ!?」
「いやいや。引っ越すんだって」
「いつ?いつに?」
「来週だよ」
「・・・で?それだけ?」
「え、いやぁ・・・そのー・・・」
 
 
キタキタキター。よしキタ。確実にキタなこれ。
暗くてわかんないけどきっと真っ赤な顔して告白してくるぞー。
まぁたぶん、「もう一度やり直したいんだけど」あたりが無難かなー。
そしたらなんて言おうかな。言ってやろうかな。
そーだねー、「考えてやってもいいけど?」とか言ってやろう。
それできっと必死になって説得し始めてくるぞー。
あたしはそんな言葉を聞いて困った笑いをするんだよ。
しょーがないなー、って感じでさ。ククク、たーのしー。
ほらほら、早く言え。待ってるんだぞこっちは。
 
 
140 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:01
 
 
「そ、それだけなんだけどさー。はは」
「あはは。・・・絶対引っ越してくるな。絶対にだ」
 
 
えぇぇぇえええええっ!!!何その展開っ!ふざけんな。
予想外、予想外すぎ。孫さんもビックリだよ、そんなの。
なにがキタキタキターだよ、自分。超バカじゃん、恥ずかしいじゃん。
ってかなんなのコイツー。空気読め、バカ。
本当、時間の無駄。明日も早いんだからもう寝よう。
こんなバカに労力使ってらんない。もう遅いけど。
 
 
「え!?ちょ、怒んないでよガキさん」
「うるさい。もう寝る。だから帰れ。今すぐ帰れ」
 
 
141 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:01
 
 
ドアをバタンと閉めて鍵を掛けた。どっと疲れが出てくる。
さすがに真夜中だし、大声を出してはこない。ってか帰ったっぽい。
覗き穴からそっと覗いてみたら・・・え、まだいるよ。なんなの?なんでなの?
ちょっと心配で、だけどドアは閉めたままで、静かに話しかけてみた。
 
 
「ちょっと!こんなとこにいられても困るから」
「だって隣の部屋はまだ鍵もらってないもん」
「だからってここにいることないでしょーが。お家に帰りなって」
「もう終電いっちゃったんだもーん」
「歩け。1時間歩けば着くでしょ」
「靴擦れするからヤダよー」
 
 
142 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:02
 
 
なんなのコイツーっ!!超ワガママなんだけどー。
前はこんなんじゃなかったのにぃ。もっと優しかったじゃん。
あたしのワガママいっぱい聞いてくれてたじゃないか。
なのになんでよ。変わってないと思ってたけど、変わった。ワガママになった。
もうあたしの知ってるころとは違うんだね。やっぱり。
でもあたし、今。このドア開けたがってる。
絶対もうどーにもなんないって分かってるのに。それでも。
開けてしまえば、きっとワガママなアイツが入ってくる。
あのころと違う、まるで他人みたいなアイツ。
ムカついていきなり殴ってしまわないだろうか、あたしは。
 
 
「はぁ・・・」
 
 
思いっきりため息ついて、ドアノブを握る。
鍵を開けて、ドアも開ける。
 
 
143 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:02
 
 
「ほら早く入っ・・・・・・!?」
 
 
遮られた言葉と呼吸。
重なった唇からどんどん力が抜けてくる。
頭の中も真っ白だ。
久しぶりのキスはちょっと刺激的すぎて、正直離れたくない。
もっと、もっとって求めてしまう。
だって・・・だってさ?しょうがないじゃない。
キスはあのころとおんなじなんだもん。
 
 
144 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:02
 
 
ってかコイツー、何しにきたんだろ?
まぁいいや。あとで聞こう。
 
 
145 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:03
 
 
おしまい。
 
 
146 名前:かつおぶし 投稿日:2007/07/08(日) 12:10
 
>>129 名無飼育さん
 
ありがとうございます。
今後のリーダー、サブリーダーに期待しましょー。
 
>>130 名無飼育さん
 
ありがとうございます
ガキさん推しがいっぱいで俺も嬉しいw
 
 
147 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/08(日) 22:20
ガキさんとりあえずもちつけw
148 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/17(月) 19:06
何これ、最高すぎな高新なんだけど。

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