彷徨える星達U
- 1 名前:ais 投稿日:2007/03/18(日) 20:07
- エリリン主役のアクション物です。
彷徨える星達の続編です。
前スレ 彷徨える星達
ttp://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/mirage/1163343012/
- 2 名前:天使のように 投稿日:2007/03/18(日) 20:10
-
絵里視点
絵里の周りで激しい音が飛び交っている。
ベリーズ、って言ったかな。
素早い動き、正確な射撃、身体能力もかなりのものだね。
そこら辺の兵士より、統率力もとれてて連携が上手い。
絵里が避けた直後に、また別の攻撃が向かってくる。
ほとんど隙を見せない、最高のコンビネーションだと思う。
ただ、一つ残念なのは、
「ハァッ、ハァッ、どうして、当たらないの・・・?」
「こっちは、四人がかりなのに・・・。」
相手が絵里だったってことかな。
絵里の周りにいる女の子達は、荒い息を吐き出しながら絵里を見てる。
- 3 名前:天使のように 投稿日:2007/03/18(日) 20:11
- 右から向かってくるナイフのついた鞭、それを僅かに顔を逸らして避ける。
次は、左からだね。
絵里は見向きもしないで光速の居合いを振るった。
ズバッ!
「キャッ!私の、銃が・・・。」
女の子の持ってるマシンガンの先端がポロッと落ちた。
今度は背後に動く気配と殺気を感じた。
絵里は慌てずに一歩横に動いた。
ドゴーンッ!
絵里の前にある建物の一片が吹き飛んだ。
- 4 名前:天使のように 投稿日:2007/03/18(日) 20:12
- 後ろから絵里にバズーカを放ったんだ。
でもね、当たらないよ。
「どうして、後ろも見ないで避けれるの・・・?」
「何なの、この人・・・全部、紙一重で避けて・・・。」
「まるで、天使のように舞ってるみたい・・・。」
「つ、強すぎる・・・。」
そんなこと言われても、体が勝手に動くんだよね。
もしかしたら、以前までの絵里だったらまだ倒せたかもしれないね。
でも、この一ヶ月の間、絵里はモーニングのエースと死ぬまで、っていうか
仮想空間では何度も死んでたけど、ずっと相手してたんだ。
動体視力はもちろん、スタミナの調整や無駄な動きもとらない戦い方を身に付けた。
戦いに関するあらゆるスキルを学んだんだ。
悪いんだけど、相手が悪いよ。
そろそろ終わりにさせてもらうね。
- 5 名前:天使のように 投稿日:2007/03/18(日) 20:13
- 絵里はバズーカを持ってる子に飛び出した。
銃口が絵里を向いた瞬間に、絵里は横に飛ぶ。
シュンッ!
「えっ!?」
「消えた・・・!?」
ビシッ!
絵里が狙ったのは鎖を持ってた子。
バズーカを放つ前に鎖で足を止める、そこまで読んでいたから
先手を打ったんだ。
- 6 名前:天使のように 投稿日:2007/03/18(日) 20:14
- 絵里に首を打たれたその子は、前に崩れ落ちた。
「茉麻!」
「大丈夫だよ。峰撃ちだから死んでないよ。」
「このっ!」
絵里に向けてバズーカが放たれた。
絵里は、当たる瞬間にトルテュで切り裂いて、すぐにその場から離れた。
ドゴーンッ!
絵里のいた場所で爆発が起きる。
他の三人の視線はそっちだけを向いてる。
- 7 名前:天使のように 投稿日:2007/03/18(日) 20:14
- まだまだ実践不足だね。
絵里はバズーカとマシンガンを持ってる子の間に、挟まるように着地した。
「なっ!?」
「は、疾い・・・。」
ビシッ!ズンッ!
二人が地面に崩れ落ちて、残ったのはあと一人。
「友理奈・・・千奈美・・・。」
「もうやめておけば?絵里には勝てないよ。」
「そういうわけには、いかないんです!」
残った一人が剣を振るった。
異様な曲がり方をしてて読みづらいけど、絵里にはどのようにくるのか見えている。
- 8 名前:天使のように 投稿日:2007/03/18(日) 20:15
- これで終わりだよ。
剣を掻い潜ったあと、少女の急所に一撃当て込んだ。
さてと、絵里も行かなくちゃ・・・!?
ドゴゴゴゴッ!!!
突然、絵里の周りを壁が覆った。
これは、土の壁・・・?
他に能力者がいたってことかな?
「時間は、稼いだよ・・・。」
「えっ?」
最後に倒れた子が小さく呟いた。
時間って、まさかこの技を放つために・・・?
- 9 名前:天使のように 投稿日:2007/03/18(日) 20:16
- そう思った瞬間、上にいくつもの氷柱と、水の槍が降り注いできた。
嘘でしょ!?
ドドドドドッ!!!
土の壁の中で、ものすごい地鳴りが響いた。
その外側から見つめる三つの姿。
「これで、一人死んだわね。」
「梨沙子の力のおかげね。」
「ねぇ、桃ちゃん、みや〜。佐紀ちゃん達も巻き添えになったんだよ。
これでよかったの?」
「佐紀が考えた作戦よ。私達は、あの子の指示通りに動いた。それだけよ。」
「そうだけど・・・。」
ピシピシッ!ズズンッ!
「ふぁ〜、危なかった〜。」
絵里は壁を月華で切り裂いて出てきた。
- 10 名前:天使のように 投稿日:2007/03/18(日) 20:17
- 全くもう、最近の若い子達はムチャするんだから。
「まだ、生きてたの・・・?」
「私達の、あの攻撃でも無傷だなんて・・・。」
「生きてるよ。ついでに、あの子達もまだ無事だよ。」
絵里は後ろを向いてそう言った。
前にいた三人の女の子達は、驚いた表情をして絵里を見てる。
「まさか、あの攻撃を全て弾いたっていうんですか!?佐紀達のことまで庇って・・・。」
「そうだよ〜。けっこうしんどかったけどね。犠牲とか考えたらだめだよ。
み〜んな、一人一人精一杯生きてるんだからさ。」
う〜ん、絵里、いいこと言ったね。
ただ、この子達はわかってくれてないみたいだけどね・・・。
能力者が三人か・・・。
でもまだまだ子供、絵里は負けないよ。
急いでるから、すぐに勝負をつけさせてもらうね!
- 11 名前:ais 投稿日:2007/03/18(日) 20:17
- 本日の更新でした〜。
- 12 名前:たま 投稿日:2007/03/18(日) 21:33
- 新スレおめです♪
亀ちゃんがここまで強くなれたのはきっと愛ちゃんとの特訓のおかげですね☆
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/18(日) 22:50
- おお絵里強いな
でもなんか口調とか相変わらずのん気なとこがまた彼女らしいのかな
- 14 名前:ウイング 投稿日:2007/03/20(火) 20:36
- お久しぶりです、新スレッドおめでとうございます!
色々深読みをしてしまうこの展開(笑)にいつもドキドキしてます☆
これからもよろしくお願いします!
- 15 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:45
- 絵里達は少し場所を移動して向き合った。
でないと、さっきの子達も巻き添えになるからね。
最初に絵里に飛んできたのは、水の弾丸だった。
弾く・・・ううん、嫌な予感がするから避ける。
絵里が体を逸らして避けると、後ろの壁にいくつもの穴が空いていた。
ガガッ!
一発の弾につき、二回ぶつかった音がした。
水の中に土、ね。
水を弾いても土が貫く、二重の弾ってことか。
けっこう頭いいんだね〜。
- 16 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:46
- 何発も放たれてくる弾を避けてると、一人の少女が手を大きく翳した。
「そこっ!」
今度は、絵里の真上から巨大な氷柱が降り注ぐ。
これは普通に避けられる。
そう思った瞬間、土が噴出して絵里の足が埋まり込んだ。
「これで逃げられないでしょ!」
「終わりよっ!」
ドゴゴゴゴゴッッッ!!!
絵里のいたとこに、たくさんの氷柱が突き刺さった。
- 17 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:47
- あんなの当たったら怪我じゃ済まないよ。
正直なところ、当たらないけどね。
「やった・・・!?」
「そんな・・・。」
氷柱が砕けたあと、絵里は普通に立っていた。
ちなみに、絵里は氷柱の後ろに隠れてました〜。
この程度の土で埋まるほど、絵里の脚の筋力は弱くないよ。
思いっきり振り上げて砕いちゃった。
なかなか強いけど、負けるわけにはいかないんだ。
三人は戸惑いの目をして絵里を見てる。
- 18 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:49
-
「ねぇ、もうやめない?絵里には勝てないよ。」
「な、何をそんなこと・・・。」
「それは、君達の方がわかってるでしょ。絵里が用があるのは、
後藤さんだけなんだ。ここを通してくれないかな?」
「後藤さんに・・・。」
三人の目つきが変わった。
さっきよりも強い眼光で絵里を睨んでくる。
ピリピリッと空気が震える。
さっき以上に本気モードってことですか。
「親のいなかった私達を、悪いやつらから守ってくれたのが後藤さんだった。」
「あの人なら、世界を変えられる。こんなくだらない世の中を変えてくれる!」
「後藤さんに会わせるわけにはいかないだもん!」
少女達の言葉に、絵里は少し懐かしさを覚えた。
- 19 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:50
- 後藤さん・・・やっぱり、絵里の知ってる後藤さんなんだ。
もしかしたら、今も昔も変わってないのかもしれない。
だからこそ、後藤さんの真意が知りたい。
それを聞き出さないと、何も始まらないし何も終わらない。
後藤さんの創ろうとしてる新世界って、どんなのだろ・・・?
かといって、ハローや、この世界を壊させるわけにはいかない。
絵里だって負けるわけには・・・。
ピクンッ
「(何、この力は・・・?)」
絵里の頭を、直感みたいなものが通り過ぎた。
- 20 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:51
- 後藤さんの力が溢れ出して、ここにいる絵里にまで届いてくる。
後藤さんと戦ってるのは誰・・・?
早く行って、後藤さんを止めないと・・・。
「余所見してる暇なんか与えない!」
「もらいました!」
ちょっと大人びた小さい子は、体に似合わない土でできた巨大な斧を、
顎がしゃくれてる子は、水でできた半円の西洋刀、もう一人の女の子は
氷の薙刀を持って向かってくる。
- 21 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:51
- 中距離、長距離でも全て往なすから、近距離で戦おうとしてるんだと思う。
でも、ごめんね。
急がないといけなくなったから、本気でやらせてもらうよ!
「はぁぁぁぁっっ!!!」
絵里の二本のトルテュが、急激に輝きだす。
これで、決める!
パキャッ!ガゴッ!パンッ!
絵里と三人が交差した瞬間、三人の武器が粉々に砕けた。
絵里のトルテュが壊したんだ。
- 22 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:52
-
「こ、この程度で、まだ・・・。」
三人は順々に崩れ落ちた。
交差した時に、急所に一撃当てておいたからね。
そのはずなのに、一人だけよろよろと起き上がる子がいた。
絵里の攻撃に耐えるなんて、すごい精神力を持ってるんだね。
「ま、負けられない・・・私達は、あなたにだけは、絶対に・・・。」
「も、桃子・・・。」
「私達は、あなたのように、なりたかった・・・。」
「・・・どういう意味?」
「あの人は、あなたのその力を認めているんです。私達には、そんな力はなかった。
これが限界だった。なのに、あなたは後藤さんの敵になる、それが許せないんです!
だから・・・私達は、あなたに勝って、認めてもらうの!」
再び作られる氷の薙刀、だけどところどころに皹が入ってて、
今にも壊れそうだった。
それでも、必死になって絵里に向かってくる。
- 23 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:54
- 仕方、ないね・・・ごめんね。
トン
彼女の攻撃を避け様に、脊髄に手刀を一撃打ち込んだ。
桃子って呼ばれた子は前に倒れていく。
そこを絵里はそっと抱き止めて、地面に寝かせた。
完全に意識を失うためにけっこう強く打ち込んだから、一日は目を覚まさないと思う。
それくらい、簡単には断ち切れない意思を持っていた。
でも、絵里も戦わないといけないから、悪く思わないでね。
- 24 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:54
- 絵里は、かろうじて意識のある女の子に目を向けた。
「あとでこの子が起きたらさ、伝えておいてほしいことがあるんだけど、
いいかな?」
「な、何・・・?」
「後藤さんはね、人を不公平に差別する人じゃないよ。君達が
ここにいるってことは、後藤さんが必要としてる証なんだから。
自信持っていいんだよ。絵里がどうだからってわけじゃないの。
君達は君達だよ。」
これで伝わってくれればいいけどね。
絵里は大きな音の鳴る方へと向いた。
後藤さん・・・今、いきますからね。
終わりにしましょう。
いざ、決着の舞台へ!
- 25 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:55
-
ひとみ視点
ごっちんを止めたい。
かつての親友だった彼女の道を正したい。
その一心でここまできたんだ。
「らぁっ!」
「はっ!」
ごっちんの剣と私の拳が重なる。
- 26 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:56
- 相変わらずのパワーとスピードだ。
押さえ込むのがやっとだよ。
だけどね、今日の私は一味違うぜ!
「うっ、ぉぉぉっ!」
「んっ・・・。」
ガキッと大きな音を立てて、ごっちんを弾き飛ばした。
いける・・・ごっちんとほとんど互角だ。
援軍を待つような真似はしない。
私がここでケリをつける。
ごっちんは、首を振り回しながらこっちに近づいてくる。
- 27 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:57
-
「ごっちん・・・そろそろ教えてくれよ。あんたの願う世界は何なんだ?
何を求めてハローを潰そうとしてるの?」
「ん?ああ、よっすぃには教えてなかったね。あたしは、この国に戦争を起こすよ。
そして、全てが終わったらこの国の支配者となるんだ。」
「なっ・・・それが、ごっちんの望む未来なのか?」
「そうだよ。暗殺組織なんてあってはならない。平和への使者もいてはいけない。
殺し合いこそが人の進むべき道なんだ。あたしの計画の邪魔する者は、
全て排除する。」
「それを圭ちゃんが望むと思ってんのかよ?」
「圭ちゃん・・・?よっすぃ、あんたの口から軽々しくあの人の名前を
呼んでほしくないね!」
初めてごっちんの表情が変わった。
怒った反動で殺気が部屋に充満する。
私ですら身震いする狂気だよ・・・。
- 28 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 01:58
- ごっちんは剣を構えて襲ってくる。
剣と拳がギリギリと押し合う。
「ごっちん!もうやめるんだ!こんなことしたって、圭ちゃんは戻らない!」
「圭ちゃんは関係ないよ。これは、あたしの問題だ。」
「だったら尚更だよ!もう、私達は友達としてやっていけないのかよ!?」
「何言ってんの?頭イカれてんじゃない?とっくに終わってんだよ。」
「この、バカ野郎っ!」
ゴッ!
ごっちんの剣を振り切って、もう片方の手で顔を殴り飛ばした。
死んだ・・・いや、あの100年に一人の天才が、そんな簡単に死ぬわけがない。
予想通り、ごっちんはむくっと立ち上がった。
衝撃の瞬間に体を引いて、威力を殺したんだ。
完璧なタイミングだったってのにね・・・。
口元の血を舐めて、先ほどまでとは違う柔らかい笑みを浮かべた。
- 29 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 02:00
- さっきまで放っていた殺気もほとんどない。
わかって、くれたの・・・?
「ねぇ、よっすぃ。」
「何・・・?」
「平和って何?モーニングの戦士なら答えられるよね?」
「それは、争いのない、誰もが優しい世界であれば・・・。」
「それは綺麗事なんだよ。誰もが優しい?どうしたらそうなるのさ?
ハローが導いてあげるの?それも無理だね。現に、平和を望む者達が
武器を手にしてるんだ。犯罪者が消えるわけがない。人が武器を
持つ限り、安全な場所なんてないんだよ。」
「なら、私達はどうしたらよかったんだ?」
「簡単なことさ。全て消えればいいんだよ。あたしが消してあげるよ。」
「ごっちん!」
「あたしの望みが叶うのなら、悪魔にだって魂を売り渡すよ。
この力をもってね。」
ズゥゥゥンッ!!!
な、何だ・・・?
この地面が割れるような地響きは・・・。
- 30 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 02:00
- 違う、ごっちんの力に震えてるんだ。
私が身構えると、ごっちんの剣がいきなり輝きだした。
この、力は・・・?
「よっすぃ、さよならの時間だよ。」
ごっちんが剣を振るう。
は、疾い!
腕で押さえるのが限界・・・!?
ビキッ!
嘘、だろ・・・。
超合金でできた手甲に罅が入った。
- 31 名前:決着の舞台 投稿日:2007/03/21(水) 02:01
- こ、こんなこと、ありえない・・・。
「それっ!」
「ぐぐっ、うぁぁっ!」
あまりの力に押され、腕から血が噴出した。
っつ、何なんだよ、この力は・・・?
私の緊張感が最大限にまで高まっていく。
本能がごっちんを恐れている。
ここまで怖いと思ったことなんて、今までなかった・・・。
「くっ、そぉっ!」
「バイバイ。あたしの親友。」
私は力の限りごっちんに立ち向かった。
私が、みんなを守るんだ!
負けられないんだーっ!
- 32 名前:ais 投稿日:2007/03/21(水) 02:01
- 更新しました〜。
- 33 名前:ais 投稿日:2007/03/21(水) 02:04
- >>たまさん
ありがとうです〜♪
このスレでも何卒よろしくお願いですm(_ _)m
>>名無飼育さん
強さの中にも笑顔あり、が彼女のモットーで(マテ
キャラは生かさず殺さずで参りますw
>>ウイングさん
どうもです〜。
こちらこそよろしくです!
ご期待に添えるようにがんばりたいと思います。
- 34 名前:たま 投稿日:2007/03/21(水) 21:53
- 後藤さんは本当スゴイですね!もうコレしか言えません(笑)
- 35 名前:1%の勝率 投稿日:2007/03/23(金) 20:29
-
れいな視点
れいなのリジィエと、マルシェの爪が重なり合う。
こ、い、つ・・・。
ガキンッ!
「くぅっ!」
力で跳ね飛ばされた。
やっぱり、ナイトなんかとはレベルが違うと!
れいながマルシェに目を向けた瞬間、その姿が消えた。
- 36 名前:1%の勝率 投稿日:2007/03/23(金) 20:30
-
「ど、どこに・・・!?」
ガッ!
うぐっ、横から蹴りを食らった。
ぎりぎりで後ろに身を引いたけん、顔を潰されることはなかったと、
口の中切って血が出てきた。
目で捉えられない速さやない。
でも、動くスピードはれいなと同等、パワーは向こうが断然上。
しかも殺気も気配もないもんやけん、一度見失うとどこから襲われるかわからん。
これが、ぽんちゃんの最高傑作か・・・。
「れいなではマルシェに勝てないよ。」
「何っ!?」
後ろから聞こえてきた声に、れいなは叫んだ。
- 37 名前:1%の勝率 投稿日:2007/03/23(金) 20:30
- 耳を澄ますと、ぽんちゃんの薄ら笑いが聞こえる。
「私の設計にミスはないよ。導き出した計算によっては、99%もの勝率を表しているの。
あなたでは勝てない。」
「そんなの、やってみなきゃわからんっちゃ!」
れいなはマルシェに向かって飛び出した。
ぽんちゃんが完璧な計算をはじき出せるのは知ってると。
やけん、その1%の勝率に賭けてやる!
再びリジィエが爪とぶつかる。
何度も何度も接触したあと、一度弾いて間を置いた。
何やと・・・?
立ち止まったまま動かんくなった。
- 38 名前:1%の勝率 投稿日:2007/03/23(金) 20:31
- そう思った瞬間、マルシェがビーム砲を向けた。
やばっ!
ドキューンッ!ドドドッ!
あっぶな〜、壁を貫通しよった。
あんなの食らったら跡形もなく消される。
れいなは土煙に紛れて柱の影まで逃げ出した。
どうすると・・・?
普通にぶつかり合っても勝ち目はなかね。
なら・・・!?
直感みたいなものがれいなを上に跳ばせた。
ドキューンッ!
れいながいた場所を、柱ごとビームが通過した。
- 39 名前:1%の勝率 投稿日:2007/03/23(金) 20:32
- 柱がぼろぼろと崩れ落ちていく。
そっか、相手は機械やったね。
れいなが隠れようと、熱センサーとかですぐにわかる・・・!?
マルシェが足についてるジェットでれいなに突っ込んできた。
マルシェが爪を前に出す。
この体勢じゃ避けられん!
リジィエを振るうけど爪に弾かれて、ビーム砲の右腕を振りかぶった。
ドゴッ!ダンッ!
「あぐっ・・・。」
頭を殴られて地面に叩きつけられた。
やばっ、意識が飛びそうやと・・・。
- 40 名前:1%の勝率 投稿日:2007/03/23(金) 20:32
- でも、さっき、何でビームでれいなを殺さなかったと・・・?
そういえば、あの時も・・・もし、れいなの感が当たってるなら・・・。
れいなが膝立ちのままでいると、マルシェが降りてきた。
まだ、まだやれると・・・。
ゴッ!バキッ!ガンッ!
れいなは壁にぶつかって倒れこんだ。
ごほっ、マジ、やばいって・・・。
爪だけはなんとか弾けたけど、殴られて蹴られてで、ぼろぼろにやられた。
アバラの骨に罅が入ったっぽいし、このままやと、本気で殺される。
れいなのすぐ目の前にマルシェがきている。
- 41 名前:1%の勝率 投稿日:2007/03/23(金) 20:33
- れいなは、もう動けんと・・・やけん、早く"あれ"でこい。
これは、一種の賭けなんやけんね・・・。
れいなが息を吐き出しながら座り込んでいると、マルシェがとどめにと
ビーム砲を向けてきた。
きたっ、ここしかない!
れいなは素早く立ち上がってリジィエを構えた。
マルシェはビーム砲を撃つほんのコンマ数秒の間だけ、たぶんチャージのために
体の機能を停止させる。
その瞬間だけがれいなの勝機!
「うりゃぁぁっ!"咆哮"!!!」
ガキャンッ!ドゥゥゥッ!
れいなのいた場所に穴が空いた。
同時に、れいなのリジィエがマルシェの目の部分を、突き刺していた。
- 42 名前:1%の勝率 投稿日:2007/03/23(金) 20:34
- 誰よりも完璧に拘るぽんちゃんやけん、センサーを付けたのは
恐らく人と同じ場所、つまりは目の位置。
直感っていうより、仲間やったとよくわかってる。
センサーを失ったマルシェは、れいなを殺そうと腕や足を振り回す。
すぐ傍にいるのに気付かない、これがロボットの弱点でもあると。
今、終わらせてやるっちゃ!
「これで決めると!"牙狼"」
ドゴォォォッッ!
れいなの新必殺技、"牙狼"。
一点集中で勢いよく突き出す咆哮に、さらに体の捻りと腕で回転を加えた技。
れいなの放った突きが、マルシェの胸に大きな穴を開けて吹き飛ばした。
マルシェは壁に強く叩きつけられて、大きな爆発を起こした。
- 43 名前:1%の勝率 投稿日:2007/03/23(金) 20:36
- ハァッ、ハァッ、やっと、勝てた・・・。
これで、終わりにすると、ぽんちゃん・・・!?
「まさか、私の造ったマルシェを"一体"破壊されるとは思わなかったよ。」
れいなは絶句した。
ぽんちゃんを振り向いた時に、見たくもないものを見てしまったけんね・・・。
ぽんちゃんの周りには、大苦戦してようやく倒したマルシェが、
あと三体も立っていた。
「れいな、死んだっちゃね・・・。」
れいなは小さく笑ってそう言った。
人間、本当にどうしようもない時には笑みが毀れるって言うけど、
今のれいなはまさにそれ。
・・・どうしようもない?
れいならしくなかよ。
ただで死んでなんかやらん。
やるだけやって、ぽんちゃんに一泡吹かせてやると!
- 44 名前:ais 投稿日:2007/03/23(金) 20:37
- 更新しました〜。
- 45 名前:ais 投稿日:2007/03/23(金) 20:37
- >>たまさん
まぁごっちんですからねw
ちょっとすごすぎかなっていう疑問はないと思えな(ry
- 46 名前:たま 投稿日:2007/03/23(金) 21:40
- れいなぁぁぁ(黙れ(笑)
完璧です!…な紺ちゃんだけどれいなならきっと勝ってくれるはずです!笑
- 47 名前:紡ぐ絆 投稿日:2007/03/24(土) 22:14
- 前から一体のマルシェが突っ込んでくる。
そいつの爪は、渾身の力を込めてリジィエで弾いた。
でも、それで終わりなんかやない。
横にはビーム砲を構えている別のマルシェ。
くそっ・・・。
ドキュゥゥンッ!!!
ぎりぎり、とはいっても僅かに頬を掠めてなんとか避ける。
ゴッ!
「くっ・・・。」
避けた方で待ってたやつに殴られる。
れいなはゴロゴロと地面を転がった。
- 48 名前:紡ぐ絆 投稿日:2007/03/24(土) 22:15
- 休む間もなく攻めてくるマルシェ達。
体は限界に達していて傷だらけ。
でも、まだやと・・・まだ、最後まで戦うっちゃ!
この手に絵里の温もりが残ってる。
仲間達との約束を守るためにも、必ず・・・。
でも、れいなが立ち上がろうとした時には、すでに三体に囲まれていた。
嘘やろ・・・ここまで、か。
一体がれいなに爪を振り下ろした。
みんな、ごめんね。
れいな、約束守れんかったと・・・。
ガキィッ!
すぐれいなの手前でマルシェの腕が止まった。
- 49 名前:紡ぐ絆 投稿日:2007/03/24(土) 22:16
- ぽんちゃんが止めた?
いや、ギリギリと動いているからには、れいなを殺そうとしとるんやろ。
あっ、これは・・・糸!?
「ようやく見つけたよ。田中っち、生きてる?」
「新垣さん!」
れいなはその場から離れて新垣さんに近寄った。
新垣さん、無事やったんやね。
そう声をかけようと思った。
でも、新垣さんは真剣に、どこか寂しそうな表情でぽんちゃんを見てる。
ぽんちゃんと目が合うと、マルシェ達の動きが止まって彼女の元に戻っていく。
- 50 名前:紡ぐ絆 投稿日:2007/03/24(土) 22:16
-
「マメがここにくるなんて予想外だね。」
「私も想像できなかったよ。あさ美ちゃんが仲間を傷つけるなんて、
信じたくなかった。」
「私の手は下してないよ。」
「そんな屁理屈聞きたくもない!あさ美ちゃん・・・一体、何がしたいの?
本当にどうしちゃったんだよ!?」
「前にも言ったはずだよ。私には叶えたい夢があるってね。」
「その夢の先がそのロボットなわけ?」
「これも利用するよ。けど、あくまで理想の一部でしかない。」
新垣さんはフンと頷いて、マルシェ達を見る。
「マメと今のれいなでは、この三体のマルシェに勝てないよ。さっきまでの弱点も、
強化させるシステムをインストールした。この子達に敵う者はいない。」
インストール・・・?
そういえば、さっき一体ぶっ倒した時に、ぽんちゃんは左手の機械を
カタカタと動かしてた。
- 51 名前:紡ぐ絆 投稿日:2007/03/24(土) 22:19
- 弱点を修正されたんじゃ、本当に勝てないんやなかね・・・。
「田中っち。モーニングのメンバーが、そんな暗い顔しない。」
「新垣さん・・・何か、手はあるんですか?」
「まぁね。なんとかなるでしょ。あさ美ちゃん。」
「何?」
「そのロボットの照準、私に向けなよ。」
「に、新垣さん!」
「マメ・・・?」
「そんなおもちゃ、私一人で十分だよ。それとも、壊されるのが怖いの?」
ぽんちゃんの表情に笑みが消えた。
あのふてぐされた顔、明らかに怒っとる。
- 52 名前:紡ぐ絆 投稿日:2007/03/24(土) 22:20
- れいながほとんど互角だったマルシェ、それを三体も相手にするなんて
無謀にもほどがある。
れいなは慌てて新垣さんの肩を掴んだ。
「新垣さん!あれ、マジで化け物並の強さやと!一人でなんてムチャやろ!」
「田中っち〜。私のこと、信じられないの?」
「い、いや、でも・・・。」
「田中っち、私の代わりにあの子の目を覚ましてやってよ。あんたが勝つことを、
信じてるからさ。よろしく頼むね。」
「マメ・・・話しは済んだの?」
「もういいよ。邪魔にならないとこでやるから、追跡させなよ。」
そう言って、新垣さんはそっとれいなの手を離させると、出入り口の方へと駆けていった。
三体のマルシェは、れいなを無視して新垣さんを追っていった。
- 53 名前:紡ぐ絆 投稿日:2007/03/24(土) 22:21
- 本当は、新垣さんがぽんちゃんと決着をつけたかったはずなのに、
れいなが怪我してるから代わってくれたんやね・・・。
れいなと新垣さんの紡ぐ絆、信頼に答えると!
「ぽんちゃん、れいなと勝負するっちゃ。」
れいなはリジィエの矛先をぽんちゃんに向ける。
ぽんちゃんは、じっとれいなを見つめてから近寄ってくる。
「れいな、本気で私に勝てると思ってる?マメだって・・・。」
「れいな達は、強い絆で結ばれてるんやって思えると。やけん、勝つ!
新垣さんのためにも、勝つしかなかよ。」
ぽんちゃんは基本的に誰かと戦って修行したりってのはなかったけん、
どんくらい強いのかはそんなにわからんと。
- 54 名前:紡ぐ絆 投稿日:2007/03/24(土) 22:22
- でも、新垣さんの思いを伝えるためにも、絶対に負けられない!
「れいな、あなた達は一つ大きな勘違いをしてるよ。」
「何やって?」
「私はマルシェに頼っているわけではないの。さっきも言った通り、
自分の手を下したくないだけ。私は、マルシェよりもはるかに強いよ。
私の本当の力、見せてあげる。」
ぽんちゃんは素早く左手の機械のボタンを押した。
れいなが警戒しても、特に変わった様子は見られない。
一体、何したと・・・?
「れいな、仮想空間って便利だと思わない?」
「・・・何を言っとうと?」
仮想空間って、トレーニングルームのことやね?
それはすごい便利やと思うけど、何が言いたいんやろ・・・?
- 55 名前:紡ぐ絆 投稿日:2007/03/24(土) 22:24
- ぽんちゃんは構わず口を開く。
「現実を仮想とした世界が仮想空間。ならば、現実と仮想を
織り交ぜることが可能だとしたら?」
「さ、さっきから何が言いたいっちゃ?」
「現実であり、仮想である世界、真想空間。それを私はこの機械で創り上げた。
一定の範囲内であれば、私は最強の力を得ることができるの。れいな、
それを今ここで証明してあげる。」
ぽんちゃんが左腕につけている機械のボタンを押すと、突然彼女の右手に
武器が収まった。
えっ・・・何で、ぽんちゃんがそれを・・・?
ズバァッ!
「がはっ・・・。」
そ、そんなの嘘、やろ・・・。
まさか、何で、ぽんちゃんが・・・。
れいなは傷口を押さえて倒れ込んだ。
「言ったよね、れいな。これがある限り、私は最強だってさ。」
れいなの後ろに周り込んだぽんちゃんは、武器についた血を滴らせながら
冷たくそう言った。
- 56 名前:ais 投稿日:2007/03/24(土) 22:24
- 更新でした〜。
風邪を引いてしまってだるい・・・orz
- 57 名前:ais 投稿日:2007/03/24(土) 22:26
- >>たまさん
いくらでも叫んじゃってください♪
さって今後にどうなるかはどうしよか(謎)
とりあえず一言、れいにゃ〜(爆)
- 58 名前:たま 投稿日:2007/03/25(日) 00:53
- 垣さんカッコいい!
垣さんの強さならきっとマルシェに勝てますね♪
- 59 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 20:56
- れいなはよろよろと立ち上がった。
斬られた背中がズキズキと唸る。
一瞬にして背後に回り込んだ動き、そして今の剣技は・・・。
再びぽんちゃんの姿が消えた。
いや、超スピードで部屋を飛び回ってるんだ。
大丈夫、パターンはなんとなく読める。
ここやと!
ガキィッ!
リジィエと剣が交わった。
あまりにも速すぎてぎりぎりやった。
- 60 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 20:57
-
「今のをよく止められたね。」
「簡単には、負けられんっちゃ!」
「そう。けどね・・・。」
ビシッ!
つっ、腕を少し斬られた。
何度も高速の速さで攻めてくる。
ぽんちゃんの手にはあの"サファイア"、愛ちゃんの武器やった。
動き、剣技、能力も彼女そのもの、何がどうなっとるんやろ?
運動能力もそうやけど、何よりもサファイアを創り出した。
これが、ぽんちゃんの能力・・・いや、そんなことありえんと。
人は神なんかやない、物をゼロから生み出すことなんてありえない。
- 61 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 20:59
- さっきぽんちゃんは現実と仮想を混ぜ合わせるって言っとった。
なら、これはただの幻でしか・・・。
ぽんちゃんの振るった剣を避けると、後ろにあった柱がスパッと斬れた。
やっぱり、本物やね・・・。
「れいなには、この剣がただの仮想に見える?」
「見えるわけ、なかよ。現にれいなやって斬られてる。」
「そう、私はれいなを斬った。でもね、現実にはこれは本物ではないんだよ。」
「なっ!?やって、それは・・・。」
「人は目に見える物を実体だと認識する。限りなく似た世界を創り上げたのが仮想空間。
あの世界では全てが仮想であったから、抜け出た時には怪我しても何もなかったよね。
ならば、現実でも同じ現象を起こせばいい。人は実体であると認識すれば、それが
本物だと思い込み、当然ダメージも受けたように感じる。だけど、人はそれを認識したとこで、
ないものをあると思うことには、少なからず疑問を感じてしまう。この世界には0か1か、
どちらかしか存在しない。だとすると、ほんの0コンマ1%でも認められない人間では、
この現象を引き起こせるわけがない。」
「な、なら、柱が斬れたのはどうなってると?ぽんちゃんに疑念がないってことやろ?」
「さて、どうしてでしょう?」
ぽんちゃんが背後に回って剣を振りかぶった。
- 62 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:00
- よくわからんけど、このくらいでやられるかーっ!
考えられるのは、それこそがぽんちゃんの能力やってこと。
でも、れいなは本物の愛ちゃんとずっと戦ってきたんやと!
リジィエとサファイアがぶつかって、激しい閃光が舞い上がる。
「れいな、私が特殊な能力を使ってると思ってるでしょ?」
「違うと!?」
「それは半分正解で、半分は不正解だよ。ほとんどの人は解放系の
能力を使用するんだけど、私は違う。私が得た力は、私自身の脳を
活性化させる力なの。私にとっての最強は、モーニングのメンバーの
全てが詰まった力。私の思う人自身の能力が脳神経を辿り、戦闘能力を
インポートしてその人そのものに変えることができる。それが、
私の使うこの機械、イマージナル・キャスト(想像の成型)。これさえあれば、
私は無敵になれる。この力で私自身に1%の疑念もなく思い込ませれば、
それは真実になる。逆に、普通の人間には本物にしか見えないから、
それもまた1、存在する物となる。こんな感じでね。」
つまりは、本物同然で扱えるってわけやね。
全く、信じられないほど高度な知能と思想を持っとるわ。
- 63 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:02
- ぽんちゃんが武器を振りかぶった。
目は慣れてきた、次こそ弾いて・・・!?
やっぱ無理。
訂正、すぐにここから離れる!
ドガシャッ!
れいなのいた場所の地面に、巨大な亀裂が走った。
ぽんちゃんが持っていた武器は"ヘケート"、あの魔女の武器やった。
藤本さんのパワーまで使えるとね・・・。
ぽんちゃんはその場で回転して、ヘケートを投げ飛ばしてきた。
藤本さんの必殺技、"デス・ブレード"をれいなは屈んで避ける。
ヘケートは後ろの方の柱を突っ切って壁に深くめり込んだ。
- 64 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:02
- あんなの止められるわけなかよ・・・!?
やばっ、ぽんちゃんの姿が消えた。
どこに・・・懐!?
ガガガッ!
「くっ、っつうぅ・・・。」
まさか、乱打でくるなんてね・・・。
そういや、昔は武術も習ってたけん、武器がなくても戦えるんやった。
的確に急所を打ち抜いてくるけん、衝撃をずらしたとこでダメージがひどく残る。
殴られて間を置いた直後に、ぽんちゃんの手に収まった武器、さゆのリュー。
まさか、こんな至近距離で"あれ"を放たれたら・・・。
- 65 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:04
- ここは賭けるしかない!
ドゥゥゥゥッッ!!!ドンッ!
「カハッ・・・ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・。」
れいなは宙に弾かれて、地面に叩きつけられた。
なんとか、生きとると・・・。
スパイラルショットが放たれた瞬間、れいなは"牙狼"を放って相殺した。
そのおかげで直撃は免れたみたい。
- 66 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:06
- それにしても、本当に無敵やね・・・。
れいなは荒い息を吐いて、近づいてくるぽんちゃんの姿を見据える。
「これを使って戦ってると、私は父親似なんだってつくづく思うよ。」
「・・・?」
「あんなに嫌いだった父と同じ構想、同じ理想を持っている。
それが最強だとはいえ、嫌になっちゃうな・・・。」
ぽんちゃん・・・一体何が言いたいと?
パパと同じ考えを持って、それが嫌い?
ぽんちゃんの言葉の意味が全くわからん。
「ねぇ、れいな。私の力、誰かを思い出さないかな?」
「誰って、そんな人いないと・・・。」
「あの子は、自分の体を好きな形の武器に、便利な力に成型できるんだよね。」
あの子、って一体誰のことやろ・・・?
- 67 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:06
- 自分の体を成型・・・!?
そう、確かにいた。
うちのメンバーで梅干が好きでいつもヘラヘラしてて・・・って、
そこは関係なか!
自分の力で武器が作れる、それって小春と同じやと。
小春のこと、ぽんちゃんが知っとる・・・?
「ぽんちゃん、小春のこと、何をどこまで知っとるっちゃ?」
「よく知ってるよ。あなた達以上に知っている。なぜなら、久住小春という人間兵器は、
私の父親が生みだしたのだから。」
「!?」
れいなは何も言えんかった。
小春を、ぽんちゃんのパパが、"生みだした"?
- 68 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:08
- どうして、そんなことを・・・。
「私の父親は狂っていた。人を殺すことだけに興味を持って、どのようにしたら
人は死ぬのか、逆にどんな形で殺すのが理想なのか、その答えを探し続けていた。
そして、数年前に起こった犯罪者の脱走事件、覚えてるよね?あの事件の引き金を
引いたのも、私の父だったの。」
「なっ!?や、でも・・・。」
「私の父も天才だった。だから、誰かに成りすまして犯罪を行うことなんて、
簡単なことだよ。犯罪者達は暴行、強姦、殺人を限りなく起こし続けた。
それらのデータを元に考えたのが、人間自身が武器となればいい。
武器と化した人間こそが最強、それが辿り着いた答え、久住小春という
人造人間なんだよ。」
何を言えばいいのかわからんかった。
頭が全くついていけない。
それでも、一つだけわかるのは、心の底から怒りが込み上げてきたこと。
人を人と思わない悪質な行為、小春がどれだけ傷ついてきたかを考えると、
やるせない思いでいっぱいになるっていうのに。
- 69 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:09
- そんなこと、許せるわけがないっちゃ!
れいなはきつい目をしてぽんちゃんを睨んだ。
「ぽんちゃん!そんなひどいこと知ってて、どうして何も・・・。」
「知らなかったんだよ。」
「えっ・・・?」
「今話したのは、全て調べたことから知ったんだ。私の父は、私が小さい頃に
家を出たっきり、帰ってこなかった。父のいない家族、母は私達姉妹を
育てるために夜まで働いて、妹もその分しっかりとがんばってきたの。
許せなかった。私は私達を捨てた父親を見つけ出すために、モーニングに
入ったといっても過言じゃない。そして、見つけ出して、真相を知った直後に
闇に葬った。モーニングが攻め込んでくる前のことだったから、履歴には
残ってないけどね。できることなら信じたかった。何かどうしようもない
理由で傍にいられなかった、そう信じていたかったのにね・・・本当に、
最悪な人間だったよ。」
ぽんちゃんは、最後は小さく呟いた。
あの幸せそうな笑顔、きっと前向きに生きるために出してたんやね。
- 70 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:10
- 家族に裏切られるって、すごく辛いっちゃ・・・。
れいなの心境を読み取ったのか、ぽんちゃんは真剣な目でれいなを見た。
「父がどうであろうと関係ないよね。私は、私の夢を実現させるために、
モーニングを潰すよ。それだけは変わらない。」
「そこまでして叶えたいぽんちゃんの夢って、一体何やと?」
「私の夢は、この国で生きている人の意思を、完全統一させること。」
「完全統一・・・?」
「そう、全ての人が同じ思想、同じ志を持てば、決して道を踏み外すことなんてない。
私の父のように犯罪者に染まることもなく、誰もが決められた未来へと歩んでいく、
最高の世界だよ。」
「そ、そんなことが・・・。」
「できるよ。私の作ったウィルスを感染させていけば、人々は真っ直ぐな道だけを
選んでいく。確実な平和への道だと思わない?」
「・・・一つ聞かせてほしいと。もし仮にれいながそうなったら、
れいなはどうなるっちゃ?」
「田中れいな専用のウィルスを作成して、私の作った道を生きていくの。
場合によっては能力を極めさせたり、大金持ちになることだって・・・。」
「そんなの嫌だ!それじゃ、ただの人形やロボットと同じやろ!
れいなはれいなでいたい!」
「そう言うと思ったよ。ハローは、モーニングは私の計画を止めようとする。
れいな、私達の理想のために、死んでもらうよ。」
ぽんちゃんが猛スピードで突っ込んできた。
- 71 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:11
- れいなもそれに合わせてリジィエを突いた。
ガキィッ!
れいなのリジィエが、横に弾かれた。
あの手甲は、吉澤さん・・・ぽんちゃんは勢いを殺さずに飛び掛ってくる。
武器が変形して持っているのは、絵里のトルテュ。
それを反転して振りかぶる。
絵里、違うよね・・・。
ザシュッ!
「なっ・・・。」
れいなはトルテュを手の平で受け止めた。
やっぱり・・・絵里のトルテュとは、全く重みが違う。
- 72 名前:笑顔 投稿日:2007/03/26(月) 21:12
- 手の平からダラダラと血が流れて痛い。
でも、れいなは引かずにぽんちゃんを鋭い眼光で睨みつける。
その勢いに押されたのか、ぽんちゃんは苦い表情をして後ろに下がる。
「いい人もいれば、当然悪いやつらもいる。決して許せない人間もいる。
でも、善とか悪とか、それらもひっくるめて生きているのが人やと!
考えもしない、やるだけやってればいいなんて、そんなの間違ってるっちゃ!
れいなは、れいなでいたい。みんなやってそう思うはずやと。」
「・・・やっぱり、あなたとは相容れないみたいね。私の計画の邪魔をしないで。」
「れいながそんなことさせない。ぽんちゃんが忘れた信頼の紡ぎ、
れいなが思い出させてやるっちゃ!」
れいなは血で塗れた手でリジィエを握り直す。
れいなには、負けられない思いがある。
取り返したい笑顔がある。
信頼でできた固い絆がある。
最後まであきらめない。
ぽんちゃんが間違ってるってこと、教えてやると。
- 73 名前:ais 投稿日:2007/03/26(月) 21:12
- 更新しました〜。
- 74 名前:ais 投稿日:2007/03/26(月) 21:13
- >>たまさん
それがどうなるかは次回のお楽しみってことで(謎)
- 75 名前:ais 投稿日:2007/03/26(月) 21:52
- あと少しですけどわけありでしばらく離れます。
すぐに帰ってくるつもりなんでそれではまたm(_ _)m
- 76 名前:たま 投稿日:2007/03/27(火) 00:33
- 紺ちゃん…
作者様の帰りをいつまでも待っていますので気をつけて(?)下さいね
- 77 名前:橘 投稿日:2007/03/28(水) 18:18
- 久し振りに読ませていただきましたぁ〜
ここで作者さんにお願いがあります!!れいなPを助けてくださぁ〜い!!
- 78 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 22:56
- ぽんちゃんが手を何度も振るう。
次にぽんちゃんが創りだした武器は"ヌーヴォー"、それを使って
周りに糸を張っていく。
逃げ場を与えずに、ここで決着を着けるってことね。
れいなやって逃げるつもりなんてなかよ。
それが終わると、ぽんちゃんの手に徐々に成型される物、
それはれいなと同じ"リジィエ"やった。
「せめてもの慰めだよ。あなたの武器で殺してあげる。」
そんな慰めなんていらんと。
ぽんちゃんの構えは"牙狼"、れいなの最高技やった。
れいなもリジィエを後ろに引いて構える。
- 79 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 22:58
- れいなと同じ能力で同じ技、ここまではよくてもれいなは傷だらけのぼろぼろ、
どうやっても勝ち目はなかね。
やけど、決定的に違う物が一つある。
リアルとアンリアル、同じリジィエでも重みが違う。
リジィエにやって心はある。
れいなはリジィエのこと信じてる。
やけんお願い、もう少しだけでいいけんね、れいなの大切な仲間のためにも、
れいなに力を・・・。
れいなはスーッと息を吸い込んで、前に思いっきり飛び出した。
ぽんちゃんもリジィエを前に突き出す。
ドォォォォンッッッ!!!
「くっ・・・。」
「こ、の・・・。」
強力な衝撃が体中に走った。
それでもやっぱり、れいなの方が少しずつ押されてる。
- 80 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 22:59
- 傷口から血が噴出してきた。
けど、ここで、終わるわけにはいかないっちゃ・・・。
リジィエ・・・いくとっ!
「うぁぁぁぁっっ!!」
「!?」
バシュッ!
拮抗してた力が衝撃を抑えきれなくなって、二本のリジィエが宙を舞った。
ありがとね、リジィエ・・・。
ぽんちゃんは武器を創り出そうと左手に右手を伸ばす。
この瞬間を待ってたと!
- 81 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:00
- れいなは腰の後ろから"武器"を取り出して、それを振り回した。
「なっ・・・。」
ぽんちゃんは驚愕の表情をしてそれを見てる。
れいなが放ったのは、ぽんちゃんの大親友であってれいなの先輩、
マコっちゃんの使用してた武器、"ナイロン"。
ぽんちゃんに思い出してほしかったけん、勝手にやけど借りたっちゃよ。
ナイロンはポンちゃんの体に巻きついて自由を奪う。
ズシュッ!
「うぁっ!」
ぽんちゃんの体中から血が噴出した。
- 82 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:01
- ナイロンは一度絡まればそれまで、無理に振り解こうとすれば、
肉を裂いて骨まで砕く。
あと一息、れいなは宙に跳んでリジィエに手を伸ばす。
どっちが本物かなんて、長い付き合いやけん簡単にわかる。
パシッと手に掴んで、その勢いのままぽんちゃんに突っ込んでいく。
「これで、決まりやとっ!」
「くぅっ・・・。」
ガキャンッ!
れいなは、ぽんちゃんの左手の機械を粉々に砕いた。
- 83 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:02
- ぽんちゃんの体が後ろに落ちていく。
マコっちゃん、力を借りたよ。
これでぽんちゃんが目を覚ましてくれればいいんやけどね・・・。
「ぽんちゃんに、勝った・・・あれ?」
れいなの体も倒れていく。
やばっ、血を流しすぎたかも・・・全然力が入らんと。
せっかく、ぽんちゃんを倒したのに、意識が・・・。
- 84 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:02
-
「田中っち。」
「ん・・・。」
「田中っちーっ!」
ベシッ!
「っっ!!!」
傷口に強烈な痛みを感じてれいなは飛び起きた。
そこには、頬を緩ませてる新垣さんが立ってた。
- 85 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:03
- えっ、いつの間に・・・まさかれいな、寝ちゃったと!?
「に、新垣さん!無事やったんですね!よかった〜・・・。」
「死ぬような思いをしたよ。生きて帰ってくるのがやっとだったね。」
「本当に、よくあんなロボット達と戦って、生きて帰ってこれましたね。」
あのめちゃくちゃ強いロボット達を相手にした新垣さん、やっぱり強かったんやね。
でも、よく見るとひどい怪我してて、かなり痛そう・・・。
足や胸には斬られてるみたいで、血が垂れたあとが付いてるし、
肩には何かが刺さったような・・・?
何の傷やろ・・・まるで、ヌーヴォーのような細い何かに刺された痕みたい。
「新垣さん、その肩の傷は?」
「あ〜これね。自分でやったの。」
「自分でって、新垣さん、そんな趣味が・・・。」
バシッ!
新垣さんに肩を強く叩かれた。
- 86 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:04
- ちょ、れいなもそこ、大怪我しとんのに・・・。
新垣さんに睨まれて、れいなは小さく首を垂れ下げた。
「あさ美ちゃんは天才だよ。たぶん、私達の全ての動きをマルシェにロードして、
完璧なロボットに仕上げたんだと思う。」
「はぁ・・・。」
「あのロボット達は、私達の動きを全て知っている。ならば、もしマルシェが
知らない動き、例えば私が自分自身に攻撃を与えるような行動を起こしたら、
どうなると思う?」
「それは、更に奥までデータを検索して、それでもなかったら・・・どうなると?」
「もし人がそれを見たら、何をしてるんだって考える。けれど、ロボットは違う。
知っているだけで、考えることはできないんだよ。それでも見つからなかったらば、
オーバーフローを起こして暴走を引き起こす。そこを狙ったんだ。」
「は〜、さすがは新垣さんやね・・・あっ、ぽんちゃんは!?」
新垣さんは、れいなから目を離して右の方を向いた。
新垣さんの視線の先には、ぽんちゃんが目を開けたまま倒れてた。
ナイロンは解かれてるのに、逃げなかったんやね。
- 87 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:05
- 新垣さんは、真剣な表情をしてぽんちゃんに向かっていく。
彼女の前で座り込み、そして、
パシッ!
ふっくらした頬を叩いた。
ぽんちゃんはゆらりと新垣さんに視線を向けた。
「全くもう、あんたって子は普段はトロいのに、こういう時だけ先走って・・・
あさ美ちゃん、私達に話しなさいよ。親友でしょ。」
「・・・話したら納得してくれた?」
「しない。するわけないでしょ。だから、一緒に別の方法を考えていこうよ。」
「もう、遅いんだよ。私は取り返しのつかないことをした。あの子が殺されるのを、
私は見ているだけだった・・・。」
「・・・やれやれ。天才でも早とちりはするもんだね。」
そう言って、新垣さんは懐から携帯を取り出した。
- 88 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:06
- ポンちゃんが使うメインコンピューター、イマージナル・・・なんとかってのを
壊したけん、使えるようになったんやね。
何度かボタンを押して、ぽんちゃんの手に渡す。
「・・・?」
「まだやり直したいって思えるなら、そう言えばいいじゃん。」
ぽんちゃんは不思議そうに新垣さんを見て、携帯を耳に当てた。
『もしもし、里沙ちゃん?』
「マ、マコト・・・?」
『あっ、あさ美ちゃんか〜。久しぶりだね。』
「ど、どうして、そんな普通に話せるの・・・?私、マコトに、
あれだけひどいことをしたのに・・・。」
『ん〜、あれは確かに痛かったよ。まぁ、私の力不足だったってことだね。』
「そ、そんなこと・・・私、私は・・・。」
『あさ美ちゃんにも何か理由でもあったんでしょ?今度ゆっくりと
話しでもしようよ。だからさ、戻っておいで。』
「マコト・・・。」
ぽんちゃんは涙を零しながら話してる。
- 89 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:07
- マコっちゃん、ようやく起きてくれたんやね・・・。
っつうか、新垣さんも教えてくれたらよかったと〜。
「私達がここにくる二日前に目を覚ましたんだってさ。何かの前触れに
気付いたのかもね。この戦いが終わったら教えるつもりだったんだから、
そう怒らないの。」
「別に、怒ってませんよ。」
「早く終わらせてさ、仲間の待つ居場所にまで戻ろうよ。」
「はい!」
しばらくして、ぽんちゃんが話し終えた。
新垣さんは、ぽんちゃんの差し出した携帯を取り出して彼女を見つめる。
「マメ、れいな、戦った私が言うのもなんだけど、一つだけお願いを聞いてほしいの。」
「何?」
「・・・私を、後藤さんのところまで連れてって。」
- 90 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:08
-
ひとみ視点
ドガッ!
「がはっ、ぐぅ・・。」
私は壁に叩きつけられて血を吐き出した。
くそっ、傷だらけで、体がまともに動かねぇ・・・。
超合金でできてるはずの手甲が、ほとんど砕けている。
ごっちんの剣を弾けない。
あの、手甲すら破壊する光は、何なんだ・・・?
- 91 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:08
-
「よっすぃ、もう終わりだね。」
「そ、その光が、ごっちんの能力なのか・・・?」
「そうだよ。あたしが創る世界のために、得た力だよ。この力があれば、
戦争を巻き起こすことだってできる。」
「何、考えてんだよ・・・?戦争なんかして、ごっちんの望む世界には・・・。」
「できるよ。その戦争こそが、革命のための第一歩だからね。」
「革命って、一体・・・。」
「よっすぃは、空から見ててくれればそれでいいんだよ。バイバイ。」
ごっちんが剣を振りかぶった。
くっ、だめだ・・・腕が全く動かない。
ここまで、か・・・。
ガキャッ!
「くぅぅ・・・。」
「えっ・・・?」
あのごっちんが吹き飛ばされた。
- 92 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:09
- 私の目の前には、見覚えのある後姿。
まさか、こいつがごっちんを・・・?
私が呆然と見ていると、横から高橋が私の体を支え起こした。
「よしざーさん、大丈夫やけ?」
「あ、ああ・・・。もしかして、今の・・・?」
「ええ。絵里が、やったんやよ。」
高橋は小さく笑みを浮かべて頷いた。
私達の目の前に立つ亀井絵里は、ごっちんから決して目を離さない。
「愛ちゃん。吉澤さんのこと、お願いします。」
「任せておきなよ。」
私が全く相手にならなかったのに、亀ちゃん一人で平気なのか・・・?
けど、高橋もずいぶんと怪我してるみたいだし、他のメンバーも
ここにいないってことは、重症で動けないってことか・・・。
- 93 名前:仲間のために 投稿日:2007/04/03(火) 23:10
- ったく、後輩に任せることになるなんて、情けないな・・・。
ここは、亀ちゃんに託すしかないか。
「気をつけろよ。ごっちんは、不思議な力を持ってるから。」
「絵里、あんたにはまだまだ教えることが山ほどあるんやからね。
絶対に、戻ってくるんやよ・・・。」
「はい!」
亀ちゃんは一度だけ笑顔を見せて、またすぐにごっちんを向いた。
悪いな、頼りのない先輩で・・・。
「私じゃ、ごっちんの心を、取り戻せなかった・・・。」
「あたしももう戦えないですよ。けど、あの子ならきっとできる。
一緒に修行してたあたしにはわかる。あの子には、未来を担う
秘めた力を持っているんですよ。よしざーさんも、絵里のことを
信じてください。」
「わかってる・・・。」
私は高橋の肩に手をかけて、亀ちゃんから目を離した。
あと、頼むぜ・・・。
- 94 名前:ais 投稿日:2007/04/03(火) 23:11
- 久しぶりに更新しました〜。
- 95 名前:最終回予告 投稿日:2007/04/03(火) 23:19
- ずっとずっと、夢見てた。
いつかは叶うって信じてた。
「これがあたし達の進む未来なんだよ。」
「それでも、絵里は・・・。」
いつからか違う道を歩んでいた二人。
再び再開を果たした絵里の思いを真希はどのように受け止めるのか?
一体、真希の望む未来とは?
真実の幕開けと共に始まる悲しき戦い。
世界の存亡を賭けた激闘のクライマックス。
そして、この戦いの行く末に残されたものとは・・・。
- 96 名前:ais 投稿日:2007/04/03(火) 23:21
- >>たまさん
何事もなく帰ってきちゃいましたw
今後もマイペースに更新していくのでよろしくです♪
>>橘さん
すいません、お願いされても内容変更できるほど頭よくもないもので・・・(汗)
まぁ結果的にはこうなりました〜。
予告と区切りが逆だとか(汗)
最後までぼけててすいませんm(_ _)m
- 97 名前:たま 投稿日:2007/04/04(水) 02:09
- うぉ…麻琴が目を醒ましてくれましたね♪
後藤さんと絵里…頑張れ…(ぇ
- 98 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/04(水) 21:41
- まこっちゃんの意識が戻ってよかったです
とうとう最終決戦…絵里はどんな戦いを見せてくれるのか楽しみです
- 99 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:32
-
絵里視点
絵里と後藤さんは向かい合ったまま動かない。
愛ちゃん達はずいぶんと離れたかな。
後藤さんは何も言わずに絵里を見ている。
すぐにでも戦うと思ったのに、どうしたんだろ・・・?
「後藤さん・・・絵里と、戦わないんですか?」
「ん〜、よっすぃ達が気になって勝負にならなかったじゃ、意味ないからね。」
「・・・気付いてたんですか。なのに、どうして・・・?」
「いつかはこの日がくると思ってたんだ。君と再会したあの時から、ずっとね・・・。
あたしと亀井ちゃんが、殺し合いをするんじゃないかってね。」
「絵里は、後藤さんと戦いたくありません!」
「戦わないと、みんなが死ぬよ。それでもいいの?」
「それもいやです!わけをちゃんと話してください。」
「そうだね〜。一分後に君が生きてたら、教えてあげるよ。」
そう言って、後藤さんが超スピードで絵里の目前にまで迫ってきた。
絵里はすぐにトルテュを交差させて防ぐ。
- 100 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:33
- でも、まともに当てたら力で押し殺される。
勢いを殺して避けるんだ!
ガキィッ!
後藤さんの剣を受け止めた。
瞬間、支点をずらして横に流した。
剣が反れたと同時に、トルテュを向ける。
後藤さんは顔を下げて避ける。
けど、まだまだだよ!
- 101 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:34
- 反転してもう片方のトルテュを翳した。
それを今度は剣で防がれる。
「なかなかやるようになったね。」
「ありがとうございます。」
簡単に答えてまた攻める。
いける、後藤さんの動きについていける。
何度も剣とナイフを突き合わせて、最後の一撃で絵里達は距離を離した。
「後藤さん、時間になりました。」
「ん?」
「一分経ったら教えてくれるって言ったじゃないですか。
真相を教えてください。」
「・・・ふむ、あたし相手に数える余裕があるなんて、
やっぱり見込んだ通りだね。」
後藤さんは嬉しそうに笑った。
- 102 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:35
- そして、絵里の方に手を差し出したんだ。
「亀井ちゃん、あたしと手を組まないかな?」
「なっ!?どういう、意味ですか・・・?」
「あたしは別に殺し合いがしたいわけじゃない。ただ、ハローの存在さえ
消せればそれでいいんだ。そして、この国に戦争を起こせればね。」
「戦争!?だめに決まってるじゃないですか!」
「そっか。なら、残念だけど交渉決裂だね。死んでもらうよ。」
後藤さんの殺気が一気に強くなった。
肌がビリビリと感じるような、ねっとりと絡まってくる雰囲気。
後藤さんの表情から笑みが消える。
くる・・・!?
後藤さんの姿が消えた。
さっきと違って、殺気が部屋全体を包んでいるから、どこにいるかもわからない。
ううん、落ち着こう・・・気配じゃなくて、空気を感じるんだ。
- 103 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:35
- どこに・・・きた、後ろだ!
絵里が頭を下げた瞬間、そこを剣が通り過ぎた。
「へ〜、今のを避けるなんて、本当に強くなったね〜。」
感心してるのか、曖昧な口調で言われてもね・・・。
絵里は素早くナイフを突き刺した。
けど、それは残像でしかなくて、後藤さんの姿はなかった。
今度は・・・上!
ドガシャッ!
地面に巨大な亀裂が入った。
そのせいで砂煙が宙を舞う。
- 104 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:37
- それに紛れて後藤さんの背後に迫る。
今度こそもらいましたよ!
バシッ!
絵里が振るった腕を腕で弾かれた。
やっぱそう簡単にはいかないか・・・。
疾い、その上に全く隙がない。
ここは、手数で勝負するしかない!
「月華!」
「ん・・・おっと!」
絵里の連続で放つ居合い、それを後藤さんは剣で全て叩きつけた。
絵里の必殺技が一回目で看破されるなんて・・・。
- 105 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:37
- 落ち込む間もなく、後藤さんが鋭く剣を振るってきた。
狙いは足、絵里は跳んで避ける。
その直後に、後藤さんがすでに剣を構えている。
とんでもないほど素早い引き戻し・・・空中じゃ避けれない。
なんとか、防御しないと・・・。
ドゴッ!グシャッ!
「っつ・・・。」
二本のトルテュで防御したんだけど、力で吹き飛ばされて背中から壁にぶつかった。
- 106 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:38
- 痛い・・・けど、半べそを掻いてる暇なんてないよ。
絵里はすぐに立ち上がって、向かってくる後藤さんを見据える。
「後藤さん・・・どうして、戦争なんか起こそうとするんですか?
誰よりも絵里に優しくしてくれたあなたが、どうして変わってしまったんですか・・・?」
「あたしはいつでもあたしだよ。あたしは自分の意思で動いてるだけだよ。」
剣を避け様にトルテュを突く。
後藤さんは紙一重で避けて、足を突き出した。
絵里は上に飛んで、空中からトルテュを振り下ろす。
だけど、後藤さんに剣で弾かれる。
その拍子に一瞬だけ絵里が無防備になった。
- 107 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:39
- 絵里がトルテュを構えるより先に、後藤さんの剣が
絵里の目の前にまで迫ってくる。
ビシッ!
「くっ、やぁっ!」
絵里は首を限界まで捻ると、剣が頬を斬りつけて血が飛び散った。
それも気にせずトルテュを一閃する。
チッ!
「へぇ・・・。」
トルテュが後藤さんの腕を掠めて、血が垂れていく。
- 108 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:41
- 幾度となく傷がついて、地面を赤く濡らす。
それでも、絵里達は体を止めずに口を開く。
「この国に革命を起こさないといけないんだよ。亀井ちゃんは
今の惨状を理解してるの?」
「してるつもりです。だからこそ、絵里は弱い人達を守るために、
モーニングになったんです!」
「それが間違ってるんだよ。守ってるから、人は付け上がる。自分の立場も
省みずに、勝手な尊重をして我侭に生きる。そして、気に食わなければ
殺意を起こすんだ。殺し合うのが大好きなんだよ。」
「そんなこと・・・。」
「ないって言い切れるの?人の歴史は常に戦い続けてきた。だから、
もっと戦えばいいんだよ。」
「そんなの間違ってます!」
「間違ってないよ。戦わないと、わからないんだ。人が死ぬ意味を、
苦しみを、怒りを・・・いやになるくらい戦って、苦しみを理解して、
二度と戦いたくないって思わせないといけないんだ!」
後藤さんの強力な一撃に、絵里は弾き飛ばされた。
後藤さん・・・辛かったんですね。
自分が苦しんだから、他人にも自分と同じ絶望を与えて、二度と同じ過ちを
起こさないためにも、悲しみを理解させようとしてるんだ。
- 109 名前:モーニングの名にかけて 投稿日:2007/04/07(土) 23:42
- あまりにも優しすぎるあなただから、きっとその答えに結びついたんだ。
でも、でも・・・。
「例え世界中の人間に恨まれようと、恐怖政治と言われようと、
あたしはこの国を支配する。全ての人間に死の意味を理解させるんだ。」
「やっぱり間違ってます!関係のない、平和に生きたい人まで巻き添うことなんて許せません!」
「だめなんだよ。全ての人々を巻き込まないと、戦争の意味なんてないんだ。
傍観して他人事でいるだけでは、理解できるわけがない。」
「絵里はいやです。死んでほしくない人達がいる。守りたい大切な人達がいる。
この命に代えても、絵里の仲間達をこれ以上傷つけさせません。後藤さんは、
間違ってるんです。」
「どうして間違ってるって言い切れるのかな?」
「それは・・・絵里が、モーニングだからです。」
「ふむ、じゃあモーニングであればそれが正しいってこと?」
「そうとも言い切れません。でも、これが絵里の信条なんです。
後藤さんが教えてくれた、平和な未来への道標です。だから・・・。」
「だから?」
「だから・・・もし、後藤さんがこの世に争いを繰り広げると言うのなら、
モーニングの名にかけて、この亀井絵里があなたを倒します!」
絵里は力強くそう言った。
自分の信念を曲げない、それを教えてくれたのは後藤さん、あなたです。
絵里は負けない。
後藤さんを倒して、この国を守るんだ!
- 110 名前:ais 投稿日:2007/04/07(土) 23:43
- 本日の更新でした〜
- 111 名前:ais 投稿日:2007/04/07(土) 23:45
- >>たまさん
目を覚ましましたね〜♪
この二人、自分も大好きなだけにちょっと胸が苦しんだり(ry
ある意味二人ともがんばってほしいものです(謎)
>>名無し飼育さん
最終決戦始まりました〜!
絵里はですね・・・どうしましょう(マテ
面白い展開にできたらいいな〜って思ってるんでそこそこ期待してくださいw
- 112 名前:たま 投稿日:2007/04/08(日) 00:50
- 後藤さんの想いと亀ちゃんの想いがスゴィ伝わって来ます!
本当にどっちも頑張って欲しいです!
- 113 名前:橘 投稿日:2007/04/09(月) 21:24
- えりりん後藤さんに勝てるといいですね(*‘‐^)-☆
- 114 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:32
- 絵里と後藤さんの目が交わったまま、時が流れていく。
ほんの3・4秒ほどなのに、やけに長く感じる。
後藤さんは小さく息を吐いて、昔に見た、あの純粋な瞳を見せた。
後藤さん・・・?
「・・・強くなったね。」
「えっ・・・!?」
突然、後藤さんが剣を投げてきた。
絵里は体を逸らしてぎりぎりで避けた。
まさか、自分の武器を投げてくるなんて・・・後藤さんがいない!?
どこに・・・やばっ、すぐ目の前だ!
「油断禁物だよ。」
パパンッ!
後藤さんの手刀が絵里の腕を弾いた。
- 115 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:33
- これは・・・絵里の、月光!?
それよりも全然弱いけど、一瞬でも絵里の神経に直接打ち当てたのは確かだった。
さっきたった一回見せただけ、それも武器も持たずに放つなんて・・・。
その一瞬が余りにも大きすぎた。
衝撃を打ち当てたと同時に、絵里の手からトルテュが落ちる。
腕が動くまでに時間がかかりすぎる。
防御が、間に合わない・・・。
仕方なく絵里が逃げ出そうとする前に、服を掴まれて引き寄せられた。
そして・・・なぜか、後藤さんに抱きしめられた。
- 116 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:34
- 砕くんじゃなくて、柔らかく、包み込むように。
一体、どういうこと・・・?
「いいんだよ。君はそれでいいんだ。」
「後藤、さん・・・?」
「あたしは我が道をいくよ。それが気に入らないなら、ここであたしを倒せばいい。
それだけの話しさ。」
「そん、な・・・後藤さん、まだ考え直せないですか?今からでも、
遅くはないはず・・・。」
「だめだよ。もし君があたしを倒せなければ、あたしは立ち向かってくるだろう、
君の仲間達もこの手で葬るよ。あたしは最後まで止まるつもりはない。さてと、
続きをやろうかね。」
後藤さんは絵里から離れると、無防備に歩いて剣を取りに向かう。
絵里も慌ててトルテュを装備し直す。
後藤さんの考えは、やっぱり正しくない。
だけど、これ以上この人と、戦いたくないよ・・・。
- 117 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:35
-
「言っておくけど、同情する必要はないよ。あたしは亀井ちゃん達を
殺すつもりだから。それだけは覚えておいてね。」
「・・・。」
「今のでやる気を失ったんなら、あたしの力を見せてあげるよ。」
「後藤さんの、力・・・?」
「未来を掴むためにあたしが得た力、この"光の力"をね!」
ドゥゥンッ!
後藤さんの剣が急激な輝きを魅せる。
あれって、もしかして、絵里と同じ・・・いや。
「はぁっ!」
「!?」
ドドドドドッッ!!!
地面に衝撃が走って、絵里のすぐ後ろの壁が崩壊した。
- 118 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:35
- もし、今のを避けれなかったら・・・。
見えていたわけではなくって、体が勝手に反応した。
後藤さんが発する恐怖が、絵里を突き動かした。
「後藤さんも、紺ちゃんの薬を使ってるんですね・・・。」
「いいや、使ってないよ。」
「えっ・・・?」
「紺野のことは信じてるよ。だけど、あたしはあくまであたしだよ。
自分の力は自分自身で生み出さないと、力に溺れるだけだよ。その結果が、
今の現状さ。あたしの仲間はみんな負けたみたいだからね。
他の力を感じないでしょ?」
そういえば、確かにそうだ。
ここ以外からは物音が全然しない。
- 119 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:36
- 後藤さんの話しが本当なら、みんなが勝ったんだ・・・。
あとは、後藤さんだけなんだ。
「後藤さん。もう、終わりにしませんか?もうやめましょうよ。」
「だめだよ。あたしは例え一人になろうと、この決意を変えることはない。」
「そう、ですか・・・。」
「それにしても、君も面白いね。あたしを殺さないと自分が殺されるかも
しれないのに、まだそんなことを言ってるの?」
「絵里は、この世界を平和にしたいです。それに・・・後藤さんにも、
幸せになってほしいんです。絵里のことを救ってくれた後藤さんと、
これからも・・・。」
「・・・これ以上、君と話すことはないよ。いくよっ!」
後藤さんが瞬時に飛び込んできて、剣を振りかぶる。
この光の剣を、止められるの・・・?
いや、絶対に無理だね。
後藤さんの力は、同じ光でも性質が全然違う。
- 120 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:37
- 後藤さんは、絵里に光を照らしてくれる太陽そのもの。
絵里は後藤さんに照らしてもらえて、ようやく輝くことができた、
差し詰め月ってとこかな。
けれど、月には月の力がある。
絵里も、"光の力"を使って止めてみせる!
バシィッ!
剣と二本のナイフが交わって、眩しい光が飛び散った。
絵里のトルテュも、後藤さんの剣のように光に満ちている。
でも、やっぱり後藤さんの方が強くて押されてる・・・。
「・・・まさか、亀井ちゃんもその力を持ってるなんてね。」
「くっ、ぐぅぅ・・・やぁっ!」
なんとか後藤さんの剣を弾くことができた。
- 121 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:38
- この力はものすごいパワーを秘めてるんだけど、体力の消耗が激しくて
継続させるのが難しい。
このまま長引けば、圧倒的にこっちが不利だね。
一気に勝負をつけるしかない!
「月華!」
光の速さで放つ居合いの乱れ打ち。
今の状態なら、いくら後藤さんでも・・・。
バババババッ!
「くっ、やるね・・・。」
まさか、この力を使った"月華"まで弾くなんてね・・・。
だけどそこは計算の内、後藤さんならありえないことはない。
- 122 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:39
- "月華"はあくまで後藤さんに隙を作るためのフェイクに過ぎない。
ほんのごく一瞬だけ、僅かに上体が揺らいだ。
よし、もらったよ!
「月光!」
ズババババッ!
絵里が放った斬撃が、全て後藤さんの肉体の急所を打ち抜いた。
これで、終わった・・・全て終わったんだ。
さすがに力を解放しすぎて、もうほとんど体力が・・・。
「隙だらけだよ。亀井ちゃん。」
「えっ・・・?」
ズバッ!
「うぁっ!」
絵里の背中に強烈な痛みが走った。
血が、ドクドクと出ているのがわかる。
- 123 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:40
- 背中を、斬られたんだ。
どうして、後藤さんが、後ろに・・・。
「勝負を焦りすぎたね。あたしが放つ殺気の中、あたしと戦い続けて、
その特殊な力まで放出させてたんだ。もう体力が尽きてしまう、
すぐにでも倒したい、っていうのはわかるけど、あたしの剣の由来、
知らないのかな?」
絵里は体を震えさせて起き上がり、後藤さんを見つめた。
そうだ、確か、"ガラスのパンプス"って聞いたことがある。
何でガラスなのか、そういう疑問が沸いたことあるけど、
調べるようなことはしなかった。
- 124 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:41
- 後藤さんに会いたくなってしまうから、後藤さんに関する情報は
調べなかったんだ。
まさか、ここでそれが仇になるなんて・・・。
「わかんないようだから教えてあげるよ。あたしの剣が放つ光は、
この半透明な剣を通すことで、鏡のように自身を映し出して、
あたし自身の虚像を作り出すんだ。まるで、磨き上げられた
ガラスに反射するようにね。君が放った月光だっけ?それは、
あたしの虚像に当てただけに過ぎない。」
「で、でも、当てた、感触があったのに・・・。」
「この力を編み出したことで、虚像といっても限りなく本物に近い、
光の実態を作り出すことができるんだ。あたしに当てたと思っても
無理はないね。」
「そ、そんな・・・。」
「これで終わりだね。最後だから、あたしも本気を出して、君を殺してあげるよ。」
後藤さんが力を放出した瞬間、この高い天井にまで届くような、
巨大な光に剣と化した。
あまりのパワーに天井が崩れかけてる。
- 125 名前:未来を掴むために 投稿日:2007/04/21(土) 01:42
- あんなの食らったら、跡形もなくかき消されちゃう・・・。
絵里自身、ここにいるだけで体が痛くてしょうがない。
おまけに体はぼろぼろ、背中には大きな斬り傷、体力もほとんど残ってないよ。
勝てるかな・・・ううん、勝つしか、ない。
やるしかないんだ。
絵里はスーッと息を吐き出して、二本のトルテュを重ね合わせた。
その瞬間、光の短刀ができあがる。
後藤さんの光に比べたら、ほんのちっぽけにしか見えないと思う。
だけど、これに絵里の、絵里達の全てがかかってるんだ。
この希望という光を、絶やすわけには、いかない。
- 126 名前:ais 投稿日:2007/04/21(土) 01:43
- 久しぶりに更新しました〜
- 127 名前:ais 投稿日:2007/04/21(土) 01:45
- >>たまさん
お互いに持つ自由意志、それはどちらが正しいかなんて
誰にも判断できないでしょうね〜。
あと少しなんでお付き合いください。
>>橘さん
真の勝利者はどちらでしょうか?
その結果は何をもたらすのかってとこですかね〜。
最後まで意味不明な言葉で申し訳(ry
- 128 名前:たま 投稿日:2007/04/22(日) 02:01
- お久しぶりです!
亀ちゃんは優しいですね…そして後藤さんも…
- 129 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:12
-
ずっとずっと、夢見てた。
いつかは叶うって信じてた。
- 130 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:13
-
「後藤さ〜ん。おはよ〜ございま〜す!」
「んあ、おはよ・・・。」
「ちょ、ちょっと立ったまま寝ないでくださいよ〜。」
「ふわ〜眠い。それにしても、亀井ちゃん服のセンス変じゃない?」
「え〜?すっごく可愛いと思ったんだけどな〜。お嬢様みたいじゃないですか〜?」
「ニヤニヤクネクネしながら言わないの。キショイよ。」
「む〜・・・。」
「んじゃ、今日は亀井ちゃんに似合う服でも見に行こうかね。」
「本当ですか〜?」
「うん。そのあとで美味しいパスタでも食べに行こう。この間見つけたんだ。
味はあたしが保障するよ。きっと亀井ちゃんも気に入ると思うんだ。」
「やった〜!後藤さん大好きです〜・・・。」
- 131 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:14
- 絵里がこの世界を平和にできたら、あなたと共に笑い合っていたかった。
そのためにもがんばってきた。
もし何事もない日常でも、同じ町に住んでたから出会える可能性だってあった。
優しかったあなたの傍にいたかった。
なのに・・・どうしてこうなっちゃったんだろう?
大好きな後藤さんが、本気で絵里を殺そうとしている。
それに応えないと、この世界を本気で壊そうとすると思う。
絵里が、止めないといけないんだ。
暴走した後藤さんの感情を止めるのが、絵里の義務なんだ。
残された最後の力を振り絞って、亀井絵里、いくよ!
- 132 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:15
- 絵里は後藤さんに向かって飛び出した。
あのパワーに勝てる自信はないよ。
でも、まだ負けだって決まったわけじゃない。
絵里のほんの僅かな可能性、勝機はほんのちょびっとだけはあるはず。
あれだけの力を放出してるんだから、当たる瞬間、その一瞬で避けて、
一気に後藤さんを倒す。
あの剣を振り回すのにだって、すごい力と集中力がいるはずだよ。
それまでの時間、そこに全てを賭ける。
それしか手はない。
「さよならだよ。亀井ちゃん。」
後藤さんが光の剣を振り下ろした。
- 133 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:16
- やった、ぎりぎりだけど避けられた。
あとは全速力で辿りつければ・・・!?
絵里に向かって光の剣が振り下ろされてる。
何で・・・今、避けたよね・・・?
まさか・・・さっきの光まで、虚像だっていうの・・・?
ドゴゥゥゥゥゥッッ!!!
絵里のいる直線状に地面が裂けて、壁一面が崩壊した。
絵里は光を最大限にして耐えている。
けど、もう限界・・・今にも消えそうになってる。
- 134 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:17
- 絵里は、絵里は、負けられないの・・・。
こんなとこで、死ねない、よぉ・・・。
「うっ、ぁぁ・・・。」
「君のことは忘れないよ。安らかに眠ってね。」
絵里を守っていた光が打ち砕かれた。
後藤さんの呟きを聞きながら、絵里は光に飲み込まれていく。
絵里の体が、ぼろぼろと欠けていく・・・。
アハハ、なのに何でだろ?
全然痛くもないや。
みんな、ごめんね。
絵里、勝てなかったよ・・・。
さゆ、れいな・・・あと、よろしく頼むね。
- 135 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:17
- 絵里はゆらゆらと揺れながら地面に倒れていく。
さよなら・・・大好きな、仲間達・・・。
パシッ!
倒れようとしている絵里の体が止まった。
背中に人の温かさを感じる。
誰かが、支えてくれてるの・・・?
「おいおい、私より先に死ぬつもりかよ?」
「よ、吉澤さん・・・?」
絵里の背中を押してくれてるのは、吉澤さんだった。
- 136 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:18
- そこにさらに三つの手が伸び出てきて、同じように押してくれる。
「絵里、まだやよ。あんたの力はこんなもんじゃないがし。」
「この美貴が認めてんだよ。しっかりしなよ。」
「カ〜メ〜、あきらめるなんてモーニングじゃないでしょ。
ほらっ、最後までがんばる!」
「愛ちゃん・・・藤本さんに、ガキさんまで・・・。」
ハハ、幻影だか光だかは知らないけど、気持ちいいな・・・。
力強く押してくれる先輩達が、さらに力を加えてくれる。
「小春も手伝いますよ〜!」
前に飛び出てきた、天使の羽を広げて光から守ってくれる小春ちゃん。
君はいつでも元気だね。
その元気、絵里も見習わないとね。
絵里は倒れないで前に向き直った。
- 137 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:19
- まだ、戦える。
絵里は、一人じゃないから。
支えてくれる仲間がいるから、真っ直ぐに進めるよ。
あとは、この震えている両手さえ動けば・・・?
絵里の両腕を誰かが持ち直してくれてる。
見ると、右腕をれいなが、左腕をさゆが持って構えた。
「さゆ、れいな・・・。」
「絵里、平和にするんやろ?」
「絵里の力で後藤さんを倒すの。」
「・・・アハハ、絵里達っていつでも三人揃ってるよね。でもね、
絵里一人じゃ後藤さんに勝てないかもしれない。だからさ・・・
力、貸してくれるかな?」
さゆとれいなは嬉しそうに頷いてくれた。
- 138 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:20
- まだ、いける。
まだいけるよ。
絵里の剣が今までにないくらいに、ものすごい輝きを出している。
後藤さん、これで、終わりにしましょう!
「うぁぁぁぁっっ!!!」
絵里の光の剣が、後藤さんの光をかき消した。
後藤さんは、少し眉を細めて絵里を見てる。
「あれを食らって、生きてるなんてね・・・。」
「後藤さん、もう一度だけ言います。考え直せませんか?」
「無理だよ。この世の中を更正させないといけないんだ。戦争を起こすことで、
人々に罪の深さを理解させないといけないんだ。」
「そんなことない!人は、変われます。後藤さんが思ってるほど、
人は弱くありません。絵里達の未来だって、変えていけるはずです。」
「君が何を言おうと無駄だよ。あたしは、この世界を創り直す!」
「そんなこと、絵里がさせません。絵里にだって、守りたい未来があるんです!」
絵里がそう言うと、後藤さんが剣を振り上げた。
- 139 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:21
- その直後に、さらに強くなる後藤さんの光の剣。
絵里も全ての力を剣に収める。
みんなが届けてくれた思い、この力であなたを、倒す!
絵里は一直線に走り出した。
後藤さんも剣を振り下ろす。
ズドォンッ!
再び光が絵里を包み込んだ。
光が守ってくれてるのに、体が溶けちゃいそうなくらい熱い。
- 140 名前:仲間がいるから 投稿日:2007/04/25(水) 23:21
- でも・・・絵里は、止まらない。
この手に、未来を・・・掴むんだ!
「亀井ちゃん、君は・・・いや、とどめだよ!」
「絵里は、絵里達は死なない!」
バシュンッ!!!ドスッ!
「がはっ・・・。」
絵里のトルテュが剣の光をかき消して、後藤さんの胸を貫いた。
後藤さんが後ろに倒れていく。
やったよ・・・みんな、ありがとう・・・。
- 141 名前:ais 投稿日:2007/04/25(水) 23:22
- 更新しましたです。
GW中には終わる☆カナw
- 142 名前:ais 投稿日:2007/04/25(水) 23:23
- >>たまさん
お久しぶりです〜。
なんとも言えない結末を迎えそうで・・・。
あと少しだけお付き合いいただければ嬉しいです。
- 143 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/26(木) 18:43
- 後藤さんが最後に何を言いかけたのか気になりますね
終わってしまうのは寂しいですがラスト楽しみにしています
- 144 名前:たま 投稿日:2007/04/27(金) 10:25
- 後藤さん…
私も淋しいですがラストがすごく気になります
- 145 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:01
- 絵里は荒い息を吐き出して、前に倒れそうになる体を支えて、
後藤さんに近寄った。
まだ、息はあるよね・・・?
こんなとこで、死んだらだめですよ・・・。
「・・・あたしの、負けだね。」
「後藤、さん・・・。」
絵里はよろよろと倒れてる後藤さんに手を伸ばした。
すると、後藤さんもまた震える手で、絵里の手を弾いた。
- 146 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:03
- ど、どうして・・・?
後藤さんの手は、まるで死んでしまった人のように、冷たかった。
「あたしの全精力を使って戦ったんだ。あたしは、どちらにせよ終わりだよ。」
「どうして、ですか・・・?絵里を倒して、理想の世界を創ろうと、
してたんじゃないんですかぁ・・・?」
「・・・君もおかしな子だね。どうして泣くの?」
後藤さんは、血と一緒に小さな笑い声を零した。
自分でも気付かないうちに、絵里の目から涙が零れ落ちていた。
後藤さん、あなたこそ、どうして笑ってられるの・・・?
「ごふっ・・・君に、託すよ・・・。この世界の、平和をね。」
「い、嫌です・・・後藤さん、死んじゃだめですよぉ・・・。」
「あたしが倒れてるのは、あたしが間違ってたからだよ。君が責任を
感じる必要なんて、どこにも、ないんだ・・・。しっかりと、叶えてよ。
君の願う、未来への夢を・・・。」
「後藤、さん・・・。」
「絵里っ!」
入り口の方から呼ばれて振り向いた。
そこには、れいなとガキさん、それに、その二人に支えられてる紺ちゃんがいた。
- 147 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:03
- 三人はゆっくりとこっちに向かってくる。
「絵里・・・やったんやね。」
「うん・・・。」
れいなは、それ以上は何も聞かないで、後藤さんを見つめた。
紺ちゃんが後藤さんの傍に座って、そっと彼女の頬に触れる。
「後藤さん・・・。」
「誰・・・?紺野、かな?」
「・・・もう、目も見えないのですね。」
「アハ、道を踏み外した、報いだね。でも・・・。」
「でも?」
「最後に、紺野に会えて、よかったよ。今まで、こんなあたしに付き合ってくれて、
ありがと、ね・・・。」
後藤さん・・・?
後藤さんは、小さい笑みを浮かべながら、永久の眠りについた。
- 148 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:05
- これで、いいんだよね・・・。
平和になるんだよ・・・。
なのに、ずっと、涙が止まらないよぉ・・・。
「後藤、さん!ふぐっ、うぇぇ・・・。」
頬を伝っていく涙が地面に零れていく。
同じ平和を願ったはずなのに、どうして絵里達は戦ったの・・・?
後藤さんのやり方は、間違ってたんだ。
でも、でもぉ・・・。
「後藤さん・・・終わったんですね。」
「紺、ちゃん・・・。」
「絵里に負けたのなら、私達の夢はここまでですね。全て、終わりにしましょう。」
紺ちゃんがそう言うと、ポケットからリモコンを取り出して、
それを押した。
- 149 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:07
- その瞬間、
ゴゴゴゴゴッ!!!
突然、地面が揺れ動いた。
そして、あらゆるところで爆発が起こり始める。
もしかして、自爆装置・・・?
「あさ美ちゃん!何をして・・・。」
「もうわかってるでしょ。ここの組織を自爆させたの。早く逃げて。」
「ぽんちゃん!」
「れいな、あなたはあなたらしく生きるんでしょ?あなたの道を進みなさい。」
「なら、ぽんちゃんも・・・。」
「私は、取り返せないほどの罪を犯した。私の夢もここまでだよ。
それに、後藤さんって孤独になりがちだったけど、本当は寂しがり屋さんなの。
だからね・・・私だけでも、最後まで傍にいてあげたいの。」
「ぽんちゃ・・・新垣さん?」
ガキさんがれいなの言葉を遮って引っ張った。
- 150 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:09
- ガキさんは後ろを向いたまま紺ちゃん達を見ようとしない。
きっと、泣いてるんだ・・・。
「もう、無駄だよ。あさ美ちゃんは、頑固で、絶対に自分の意思を
曲げようとしないから・・・。」
「マメ、マコトに謝っておいてくれないかな?もう一度話しができなくて、
ごめんってね。それと、愛ちゃんにもよろしくね。ここまで、
ありがとう。」
「バカ・・・。ほんっとに、あさ美ちゃんは、バカだよ・・・。」
「アハハ、私にバカって言えるのも、マメくらいなものだよ。」
ドォンッ!
すぐ近くの地面が爆発した。
時機にここも爆発に飲まれちゃう。
- 151 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:10
- ガキさんとれいな、それに絵里も歯を食い縛って、その場から
目を離して歩き出した。
「絵里。」
「えっ・・・?」
絵里は紺ちゃんに呼ばれて振り向いた。
熱ですごく暑くなってるのに、紺ちゃんはあの幸せそうな笑みを絶やさないで、
絵里を見ている。
「後藤さんの代弁、しておくね。"ありがとう"。」
「えっ・・・?紺ちゃん・・・。」
ドォンッ!
絵里の手前で爆発が起こった。
- 152 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:10
- 後藤さん達の姿は煙でよく見えない。
紺ちゃんの言っていた意味がよく理解できない。
でも・・・考えるのは、あとにしよう。
これ以上、ここにいるのは危険だね。
絵里達は、生きるんだ。
それが、後藤さんを倒した絵里の義務だから。
絵里達はその場から走り出した。
- 153 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:11
- 燃え盛る組織を真っ直ぐに走り抜く。
後藤さん達は、もう・・・振り返る暇なんてないよ。
すぐ後ろにまで、爆発の渦が迫ってきてるんだ。
しっかりと生きること、それが絵里ができる唯一の、後藤さんに対する恩返しなんだ。
ここは二階だけど、もう本当にやばいくらい天井や地面が砕けてる。
階段を下りてる暇なんてない。
次の壁を突き破る!
「ガキさん!れいな!次の壁を絵里が斬るから、そこから・・・。」
「カメ、その体で斬れるの?腕、ほとんど動かないんでしょ。」
「それは、やってみないと・・・でも、絵里がやらないと逃げられないよ!」
「逃げられないのは確かだけど、あんたがやる必要はないでしょ。
ねぇ、田中っち。」
「ったく、新垣さんも人使いが荒いと。絵里、ここは任せるっちゃ。」
「れいな・・・。」
れいなが先に進んでリジィエを構えた。
- 154 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:12
- れいなもたくさん傷ついてるのに、ごめんね・・・。
「"牙狼"!」
ドゴォッ!
れいなの強烈な一撃が壁に大きな穴を空けた。
絵里達は真っ直ぐにその穴に飛び込んだ。
ダンッ!ベタッ!
地面に着地したと同時に、体が前に倒れ込んだ。
もう、踏み込む力も残ってなかったみたい・・・。
- 155 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:12
- 隣の方では、れいなも同じように倒れてる。
もうちょっと離れないと危ないよね・・・。
でも、全然力が入らないよ〜。
「ほら、二人とも大丈夫?」
「ガキさ〜ん。絵里、バテました。」
「あと少しだからがんばる。いくよ。」
「うぇ?おわっ!」
「ちょっ、新垣さん・・・。」
ガキさんが糸を絵里達の腕に絡ませて引っ張ってくる〜。
ガキさんってば、強引なんだから。
仕方ない、歩きますか!
- 156 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:13
- 絵里達は爆発していく組織から離れていく。
より一層轟音が響いて、一度だけ振り向いた。
紺ちゃん、あっちでも笑顔でいてくださいね。
そして、後藤さん・・・今まで、ありがとうございました。
絵里を助けてくれて、導いてくれて、感謝しています。
大好きでしたよ。
お別れ、ですね・・・さよなら。
絵里は目に溜まってきた涙を拭って、また歩き始めた。
絵里はもう、振り向かないって決めたから。
- 157 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:14
- 組織から少し離れたところで、ハローの軍隊がこの辺り周辺を囲っていた。
その中心には、絵里達の故郷、モーニングの仲間達がいた。
アハハ、ほんのちょっと前に別れたっていうのに、久しぶりな気がする・・・。
みんな怪我してるのに、待っててくれたんだね。
特に藤本さんなんかは、死んでてもおかしくないくらい、重症みたい。
最初に愛ちゃんがこっちに気づいて、みんなの目がこっちを向いた。
絵里は、ガキさんとれいなと目を合わせて、息を吸い込んだ。
「「「ただいまーっ!!!」」」
「絵里達、うるさいの。」
グサッときた一言、それはさゆから発せられた。
ひどいな〜、がんばってきたのに・・・。
ガキさんは吉澤さん達のとこに、情報を伝えにいった。
- 158 名前:ただいま 投稿日:2007/04/30(月) 20:14
- 絵里とれいなは、さゆの元に・・・あっ、なるほどね。
小春ちゃんが寝てたんだね。
さゆはそっと彼女の髪に触れたあと、立ち上がって絵里達に飛びついてきた。
ちょっとさゆ、傷口に触れてて、すごい痛いんですけど・・・。
さゆの体が震えてる。
もしかして、泣いてるの・・・?
「えりぃ、れいなぁ・・・おかえり、なさい・・・。」
「・・・ただいま、さゆ。」
「ちゃんと帰ってきたと。」
「うん・・・。」
さゆと、れいなと、三人で生きている温もりを感じる。
よかった・・・また、こうして抱き合うことができたんだ。
これで、終わったんだね。
全てが終わったんだ・・・。
後藤さん・・・。
- 159 名前:ais 投稿日:2007/04/30(月) 20:15
- 更新しました〜。
次回で終わりです。
- 160 名前:ais 投稿日:2007/04/30(月) 20:17
- >>名無飼育さん
それは最終回でってことでw
ラストまで突っ走っていきます!
>>たま
あと少し、っていうか次回で終わりです(汗)
ここまでお付き合いいただいてありがとうですm(_ _)m
あと一回ですけど最後までよろしくです。
- 161 名前:ais 投稿日:2007/04/30(月) 20:18
- >>たまさん
すいません、>>160でさん付け忘れてしまいました(汗)
ご了承ください・・・m(_ _)m
- 162 名前:橘 投稿日:2007/05/01(火) 00:24
- えりりんサイコ〜でしたっ(*‘‐^)-☆
あと一話頑張ってくださいっ!
- 163 名前:たま 投稿日:2007/05/01(火) 10:45
- 後藤さんと紺ちゃん…
本当に感動しました!
ラスト1話頑張って下さいね!
- 164 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:29
-
一ヵ月後、
「ん〜・・・っと!」
絵里は大きく欠伸をして、涙が出てきた目を擦った。
場所は組織の上にあるビルの屋上、絵里は手摺に寄り掛かって空を見ていた。
午前の仕事が終わったあと、休憩のついでにここにきた。
特に何かあるってわけじゃないのに、空に近い場所って気持ちがいいんだ。
だったらもっと高いとこに行けって感じだけど、生憎お昼休みも
そんなに長いわけじゃないんだよね。
それにしても、いい天気だし、今日は平和だな〜。
- 165 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:31
- SSSランクが終了したあと、元モーニングメンバー、及び後藤さんの信者達は捕まった。
今は超合金でできた特殊な牢屋に入ってる。
子供達の方は、まだ修正できるようなら殺さないで教育し直す方針でいるけど、
元モーニングのメンバーはどうなるのか、それは絵里達にもわからない。
少し前に、組織に一通のメールが届いた。
それは、今はもういないはずの後藤さんからだった。
たぶん、タイマーセットで送信を遅らせたんだ。
内容は、紺ちゃんが作った薬の中和、つまりは能力者の能力を消す薬の作り方が書かれていた。
消すというよりも抑制剤みたいなものかな。
それを飲めば、能力を無理やり体内に押し留めることができるみたい。
薬を作ったあと、料理に紛れ込ませることで、飲ませることに成功した。
能力で逃げ出すこともできない今、メンバーのみんながどうなるのか、
それは上層部の人たちが決めることだから、絵里にはどうしようもない。
更正させてまた共に戦うのか、それとも・・・。
- 166 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:32
- 一番可愛そうなのは、松浦さんかもしれない。
あの人は、後藤さんに恩を返すために、藤本さんを愛するが故に戦ってた。
まだ人は殺してないから、いつかは出れるとは思う。
でも、藤本さんが時間がある度に彼女に会いにいってるけど、
一時の心の迷いだったとはいえ、藤本さんを殺そうとした自分が
許せなくて、一度も顔を合わせようとはしないみたい。
もし松浦さんが出れた時には、もう一度愛し直せたらいいな〜。
「ふわぁ・・・本当に平和だな〜。」
絵里はもう一度欠伸をして空を見上げる。
真っ青な空、白い雲、今日は特に事件のない穏やかな一日。
- 167 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:32
-
最近、事件がめっきり減った。
その理由は、絵里達と後藤さん達との戦いにあった。
- 168 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:33
- あの任務から三日後、モーニングのみんなは病院で過ごしていた。
誰もが満身創痍でまともに動けなくて、同時に暇してた。
ずっと仕事だったからやることなくてどうしても暇になる。
仲間が増えたって、マコっちゃんだけは喜んでたけどね。
吉澤さんはマコっちゃんと小春ちゃんの相手をして遊んでて、
藤本さんは一番の重症でまだ首だけしか動かせない状態で、
天井をぼーっと見てた。
ガキさんはパソコン、さゆと愛ちゃんはゲームやってて、
れいなは雑誌を見てる。
絵里は適当にテレビを見てたんだ。
その時だった。
いきなりテレビの画面が変わって、絵里は口を開けて驚いた。
映像として写ったのは、なんとこの間まで起こっていた絵里達の死闘のシーン。
組織の外で戦ってたさゆや、地下で戦ったれいな、そして、後藤さんと激闘を繰り広げた
絵里達の姿まで映し出されていた。
- 169 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:35
- 他のメンバーもテレビを凝視して見てる。
あとでテレビ局に問い合わせたところ、何者かに衛星が乗っ取られた上に
電波が妨害されて、そのあとでいきなりこのビデオが回ったって言ってた。
こんなことができるのは、この世の中でもたった一人だけ、紺ちゃんしかいない。
たぶん、どこからか、どういう風にか知らないけど、絵里達の
戦ったシーンをカメラで撮って、衛星から流したんだ。
話しでは全国各地に放送されたんだって。
それが起きたあと、人々は変わった。
犯罪を犯す理屈や精神、戦いの末に残るもの、残されたもの、何を得て何を失ったのか。
人の死や生に対する執着心、怒りや悲しみ、誰もが考えるようになった。
- 170 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:36
- それは悪の組織や犯罪者達にも伝わったようで、犯罪の数は激減、
組織は解散する場所が増えた。
人々も強く、優しく生きようと努力し始めた。
絵里達の戦いから、絵里達の思いが国中の人たちに伝わったんだよね。
後藤さん達は、わかっていたのかもしれない。
自分達のとった行動が、間違っていることを。
だけど、進んでしまったからには戻れない。
止まるわけにはいかなかった。
だって、それは自分の意思を曲げることになってしまうから。
例え誤っていたとしても、己の信じた道を貫く、それが後藤真希って人だから・・・。
だからこそ、止めてほしかったんだと思う。
「亀井ちゃん、君はあの時の約束を、覚えててくれたんだね・・・。」
最後に絵里と剣を交えた時に聞こえた、後藤さんの言葉。
あの人に救われた絵里に、きっと救ってほしかったんだよね。
- 171 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:38
-
「ねぇ、亀井ちゃん。」
「はい?」
「もしモーニングになったらさ、いつかは自分の信じた道と違う相手と
ぶつかると思うんだ。真っ直ぐに同じ道を進める人なんていない。
間違った未来を築こうとする人もいる。その時にはさ、君が止めるんだよ。
自分の信じた正義を、貫いてね。」
「あの、では、絵里が間違えてたらどうするんです?」
「その時には、君をよく知る人達が助けてくれるよ。正しい道に連れてってくれるはずだ。
これは約束だよ。亀井ちゃんにしかできないことかもしれないんだ。」
「絵里だけ・・・?それは、どういう意味ですか・・・?」
「今は知る必要はないよ。でも、いつかそうなってしまった時には、
よろしく頼むね・・・。」
- 172 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:39
- 絵里がエッグに入る直前に、後藤さんと話した記憶。
この時の約束を、こうなることを見越して絵里に託したのかもしれない。
そうでなくても、自分が犠牲になることで国に真の平和を届ける。
後藤さん、バカみたいですよ。
後藤さんよりもずっとバカな絵里に託すなんて、本当に・・・。
ううん、絵里は泣かないよ。
前だけを見て、しっかりと歩くんだ。
誰かが階段を上ってくる音が聞こえてくる。
この足音は、れいなかな。
- 173 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:39
- 屋上の扉が開いて、れいなが出てきた。
「絵里、やっぱここにいたっちゃね。」
「れいな、どうかした?まだ休憩時間あると思うけど。」
「リーダーが仕事がきたって言っとるけん、今から会議するってさ。」
「アハハ、れいなパシられたんだ〜。」
「バ〜カ。どうせ絵里が泣いてると思って、笑いにきたっちゃよ!」
「絵里だって泣いてないもん。」
「絵里・・・一人で泣くことなかよ。辛かったら、れいな達が・・・。」
「うん、わかってる。ありがとね、れいな。」
れいなとすれ違い様に、軽く頬にキスをした。
れいなは一瞬驚いた顔をして、絵里を振り向く。
アハ、れいな、顔を赤くしちゃってる〜♪
「え、絵里、何でキスしたと・・・?」
「ほらほら、れいな。リーダーさんに怒られちゃうから急ごうよ〜。」
「ちょ、絵里!わけくらい聞かせるっちゃ!」
れいなって鈍いな〜。
絵里の気持ちを汲み取ってくれた、ちょっとしたお礼だよ。
- 174 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:40
- 絵里達の新しい未来が始まった。
「えっと、次の任務は亀ちゃんと田中ちゃんに・・・愛ちゃん、どこだっけ?」
「さぁ?里沙ちゃん、どこ?」
「コラーッ!二人ともリーダー、サブリーダーなんだから、
もっとしっかりしてよ!」
「美貴、リーダーって柄じゃないし。」
「あたしはやることないし。」
「もう、本当に勘弁してよ・・・。」
ガキさんが頭を押さえて俯いちゃった。
SSSランクが終わったあと、吉澤さんはモーニングを脱退した。
後藤さんとの戦闘を交えて、本当の平和の意味を知るために、旅に出たいって言ってた。
後藤さんを止められなかったことを、すごく悔やんでた。
親友だったんだもんね・・・絵里がそうだったら、立ち直れないかも。
でも、マコっちゃんも吉澤さんについていくって言ってたから、
寂しくはないよね。
- 175 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:41
- そのために、年功序列で藤本さんがリーダー、愛ちゃんがサブリーダーになったんだけど、
今の会話の通り、先行きが不安です・・・。
「新リーダー、ちゃんと仕事覚えてくださいよ〜。」
「ぐっ、さゆに言われた・・・。」
「さゆ、何気に藤本さんでもがんばってると。仕方ないけん、許してやるっちゃ。」
「そうそう、藤本さんも鬼のような顔してるけど、ほんの少しはいいとこもあるんだよ〜。」
「お・ま・え・ら〜・・・失礼なこと言いすぎだろ〜!」
「「キャ〜ッ、藤本さんが怒った〜。」」
れいなと二人で藤本さんと追いかけっこ。
気軽に悪ふざけができるくらい、絵里達の中では壁がなくなった。
- 176 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:42
- 先輩後輩っていうのはともかくとして、信頼関係はますます良好。
でも、捕まったら本気で殺されそうだから、そろそろ謝っておこっかな・・・。
「さゆ、どっちが先に捕まるか、賭けてみんか?」
「なら、さゆみはれいなに賭けるの。絵里は変なとこで計算高いですから。」
「さゆ〜、変なとこは余計・・・おっと!」
「こいつら、待ちやがれ!」
藤本さんの手を掻い潜ってさらに逃げ出す。
避け様に舌打ちしてたし、怖い怖い・・・。
愛ちゃんも絵里達で賭けないでくださいよ〜。
まぁ、やる時はやってくれる二人だし、絵里達も十分頼れるんだよね。
- 177 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:43
- 今日の待合室も元気で平和だな〜。
ガキさんが頭を抱え込んでるのを除いてだけどね。
「「おはようございま〜す。」」
待合室に入ってきた小春ちゃんともう一人。
吉澤さんの代わりってわけじゃないけど、今回新たに新メンバーが入ったんだ〜。
名前は光井愛佳ちゃん、小春ちゃんと同じ年でけっこうおっとりした感じの子。
小春ちゃんは後輩ができたってすごく喜んでた。
絵里も小春ちゃんが入った時には張り切ってたな〜。
つんくさんがまたそのうちメンバーを入れるって言ってたから、
モーニングもどんどん進化していくんだ。
- 178 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:44
- 二人に気付いた藤本さんは、すぐに自分の席に着いた。
絵里達とふざけてたら威厳も何もないもんね。
「光井ちゃん、ここは慣れた?次の任務もいけそうかな?」
「はぁ、でも〜、まだ覚えること多くて・・・。」
「大丈夫だよん。色んなこと聞いていいよ〜。」
お〜、小春ちゃんも成長したね〜。
すっかり先輩になっちゃって・・・。
「聞けば何でも教えられるからさ。先輩達がね。」
「「「って、あんたじゃないのかよ!」」」
まぁ、当然の突っ込みだろうね。
れいなと藤本さん、ガキさんの声がハモった。
ちなみに絵里は、乗り遅れました・・・。
いっつも突っ込まれる側だから、絵里も突っ込みの勉強でもしよっかな〜。
- 179 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:45
- 中には例外もいるけどね・・・。
「何?何の話しやざ?」
「さゆみの可愛さについて?それは難しいの。さゆみの美しさは
神様からの贈り物だし、さすがにこればっかりは・・・。」
愛ちゃんはぼけてるし、さゆは完全に自分の世界。
空気を読んでくださいよ・・・絵里だって少しは成長したのにさ。
わいわいと話しているうちに時間になった。
「んじゃ、モーニング、いくよ。がんばっていきまっ!」
「「「しょ〜い!!!」」」
メンバーが揃ってる時には、よくやるようになった掛け声。
いつでも絵里達がモーニングなんだって、自分に言い聞かせてるんだよね。
さってと、今日も俄然強めでいきましょ〜!
- 180 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:46
- ふざけてばかりじゃなくって、やる時にはやるよ。
「こ、こいつ!」
「そこっ!」
キキンッ!
二人の男が持ってる銃を切り落とした。
場所は銀行、強盗にきた犯人を捕らえろって指令なの。
「投降してください。それとも・・・。」
「わ、わかりました・・・。」
絵里がトルテュを向けると、素直に手を挙げた。
- 181 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:47
- よし、今日も無駄な血を流さないで済んだね。
完全平和への実現が近づいてから、できる限り殺さない方針でいくことになった。
絵里もできれば人を殺したくないからね〜。
男達はハローの人に連れて行かれた。
パチパチパチッ!
周りのお客さん達から拍手と歓声が聞こえてくる。
絵里はとりあえず笑顔を見せておいた。
メディアに映ってからは、こういうことが増えてきた。
正義の集団、"モーニング"
この名前が全国各地に広まって、今ではある意味芸能人みたいになってる。
顔とか隠さないと、通りで握手とかサインとか求められたりしちゃうんだよね。
- 182 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:48
- いや〜、嬉しいけどまた微妙な、ね・・・。
よし、今日は特別サービス!
「このエリザベス・キャメイにお任せよ!」
絵里はビシッとした口調でそう言った。
イエイ、ポーズもばっちりで完璧だね♪
なのにお客さんも店員さんも、みんなシーンとしちゃってる。
「(・・・あれ?)」
もしかして、外した・・・?
- 183 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:49
- こういう時は、えっと・・・よし、逃げよう。
絵里は光の速さで、まるで消えたように銀行から飛び出した。
愛ちゃん、人間めちゃくちゃ必死になると、光の速さにも耐えられるもんですね。
それにしてもやっば〜、考えてみたら超恥ずかしいんですけど!
少し自制しよう、うん。
今日も誰も死ななくてよかった。
絵里はサングラスをかけて歩き出した。
- 184 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:50
- その日の夜、絵里とさゆ、れいなの三人でご飯を食べにいったの。
小春ちゃんは光井ちゃんと遊びに行くんだって。
さっきの話しをしたら、れいながものすごい大きな声で笑い転げた。
「キャハハハッッ!!!絵里、マジで面白すぎやと!」
「・・・れいな、笑いすぎ。」
「ちょ、れいなを笑い殺す気やろ。ハハハッ!ングッ!ゲホッ、ゲホゲホ!」
れいなが喉を押さえてテーブルを叩いた。
笑いすぎて食べ物が器官にでも入ったんだろね。
- 185 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:50
- 絵里を笑ったバチが当たったんだよ。
「み、水・・・。」
れいなが自分のコップに手を伸ばしたところを、絵里が奪い取った。
れいななんか知らない!
絵里は一気に飲み干した。
「え、絵里、れいなの水・・・げほげほっ。」
「フンだ。」
「全くもう、二人とも大人気ないの。」
それまで黙ってたさゆが、れいなに水を手渡した。
れいなはそれを勢いよく飲んでいく。
- 186 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:51
- あのままでもよかったのに、さゆは色んな意味で大人なんだよね。
絵里がじっと見てると、さゆがこっちを向いた。
「ねぇ、絵里。」
「何ですか〜?」
「バカなの。」
プチッ!
「さゆみみたいに可愛い子なら大繁盛だけど、絵里がやっても笑えるか、
もしくは寒いだけなの。無理しない方がいいよ?」
プチプチッ!
いい加減にキレちゃったよ。
絵里は思わず立ち上がってさゆを睨みつけた。
そこまで言うことないじゃん!
こんなにキレたのって、えっと〜・・・さゆに助けられた時以来だった。
- 187 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:52
- 絵里はヘナヘナと座り込んだ。
そうだ、さゆに借りがあるんだった・・・。
「そう怒らないの。あとでカラオケ代奢ってあげるの。れいながね。」
「な、何でれいなやと!?」
「先に絵里を怒らせたのはれいななの。責任とって、絵里と付き合うの。」
「何でそこまで先走っとると!全然関係・・・もしかして絵里、
この間のって・・・。」
「えっ?本当に何かあったの?教えてよ。」
この間・・・ああ、屋上でキスしたことね。
この子も本当に鈍いね〜。
れいなはさゆにしつこく言い迫られてる。
相変わらず、面白いメンバーだよね。
人は、変わる。
でも、決して変わらないものだってある。
絵里達の絆は、これから先にも変わることなんてないって信じたいな。
- 188 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:53
- 絵里達が外に出ると、辺りはすでに真っ暗だった。
でも、明日は休みだから、あとで小春ちゃんと光井ちゃんも合流して、
みんなでカラオケに行くんだ〜。
さゆはさっきのことが気になってるみたいで、しつこくれいなに聞いている。
さゆも飽きないよね〜。
ふと、夜空を見上げた。
後藤さんと戦う前みたいに、満面に星空が散らばっていた。
星の流れがどこに向かっているのかなんて、絵里にはわからない。
彷徨った挙句に消滅するのかもしれない。
- 189 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:54
- それは人も同じ、だけど違うとこだってある。
人は、自分で進むべき道を決められる。
誤った道を選んでも、正すことだってできるはず。
絵里は、真っ直ぐに、自分の正義を信じて生きていくよ。
後藤さん、これが絵里の選んだ未来です。
「絵里、助けてくれんと!さゆが・・・。」
「もう、れいな、いい加減に白状しなさい。絵里も何か知ってるんじゃないの?」
アハハ、まだやってたんだ。
先の方で騒いでる二人に駆け寄った。
「そうだね〜。なら、カラオケで絵里より高得点だったら、
絵里達の秘密を教えちゃうよ♪」
「秘密なんてなかよ!大体、さゆが歌で勝てるわけ・・・痛っ!
何もグーで殴らんでも・・・。」
「面白いの。さゆみの凄いとこを魅せてあげるの。」
「よ〜し、今日は思いっきり歌うよ〜!」
「「お〜!!」」
絵里達は元気に歩き出した。
これが、絵里の生きる世界なんだ。
あの星達のように、輝ける未来を創るんだ・・・。
- 190 名前:エピローグ 〜未来への扉〜 投稿日:2007/05/04(金) 22:54
-
終わり
- 191 名前:ais 投稿日:2007/05/04(金) 22:59
- 以上で彷徨える星達は終了となります。
何を元ネタにしているか知っている人もいるようでw
オリジナリティを出してみたんですけどいかがだったでしょうか?
現実のモー娘。とちょっと絡ませてみたり、ぶっちゃけ自分のやりたいように
書いていたってのが大部分ですけど(大汗)
それなりな終わらせ方ができて自分的には満足です。
また来週辺りから別のも書いていく予定なんで、自分の名前を見つけたら
また読んでいただけると嬉しいです。
予定では全く別ジャンルですけどね(爆)
長い感想、申し訳ないです。
最後に一言、読んでくれた方々、レスをくれた方々、大変力になりました。
本当にご愛読ありがとうございました〜。
- 192 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/04(金) 23:02
- 作者様、完結お疲れ様です。
そして感動をありがとうございました。
- 193 名前:ais 投稿日:2007/05/04(金) 23:03
- >>橘さん
エリリン主役で最後まで突っ走ってきました〜!
六期メインにするとどうしてもれいなが目立ってしまってなかなか・・・。
本編でもれいながサブみたいになってましたけど終わらせられてよかったです。
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m
>>たまさん
感動していただけてよかったです。
書き始めてから約半年、ずっとレスしてくれてすごく嬉しかったです。
たまさんのレスがとても力になりました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m
P.S.次回作が愛美貴予定なんでまた読んでいただけると嬉しい☆カナw
- 194 名前:ウイング 投稿日:2007/05/05(土) 00:52
- お疲れ様でした。
今回の作品といい、以前の作品といい、
ホントに読み応えのある、考えさせられる作品をありがとうございました!
何か自分で書いてみたいという気になりました。
またaisさんの作品をどこかで発見できるように、アンテナはっておきます(笑)
- 195 名前:たま 投稿日:2007/05/05(土) 00:54
- 小説完結おめでとうございます!
aisさんの作品は本当に大好きな作品でした♪
毎回楽しく読んでいました!次回作が愛美貴…それを聞いてガッツポーズしました(笑)
次回作も絶対読みます☆
本当におめでとうございます!
- 196 名前:橘 投稿日:2007/05/05(土) 19:20
- aisさん次回作を楽しみにしています。
- 197 名前:ais 投稿日:2007/05/09(水) 22:18
- >>192 :名無飼育さん
ありがとうです。
感動していただいたなんて嬉しいお言葉を・・・(泣)
今後もそのような作品を書いていけたらと思います。
>>ウイングさん
ありがとうです。
前回といい今回といい、両方読んでいただけるとはマジで嬉しいです!
自分もウイングさんの作品を見つけにいますわw
今後もまた何かあったらよろしくです♪
>>たまさん
愛美貴ラブで生きているものでw
今回もそうですが何かとこの二人が出てくるのが多いもので
他のキャラが生かせない部分が・・・(汗)
まぁやりたいようにやらせてもらい(ry
最後までお付き合いいただいて本当にありがとうございました〜!
>>橘さん
ここまでほんとにありがとうでした〜。
次もがんばって更新していきたいものです。
- 198 名前:ais 投稿日:2007/05/09(水) 22:20
- 部をわきまえずにまた幻版で新しい小説を書いていこうと思います。
またお付き合いいただけたら嬉しい限りです。
それでは、もし興味がわいていただけたら新スレで会いましょう!
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