裕ちゃん

1 名前:名無しの権兵衛 投稿日:2007/07/04(水) 22:00
超昔に書いた物です。(裕ちゃん卒業の頃)
ちゃちぃ文章ですが、読んでいただけるとうれしいな
2 名前:名無しの権兵衛 投稿日:2007/07/04(水) 22:01
がしゃん!
「裕ちゃん?どうしたの?」
しーんと静まりかえった奥の部屋からは何も聞こえてこない
「裕ちゃん?」
あなたは白い小さな瓶と一緒にテーブルの脇に横たわっていた
「ゆ・う・ちゃ・ん?」
息はしていないみたい
なぜ?なぜ?なぜ?

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「なっち 今日行っていい?話したいこともあるし」
「うん いいよ」
どうしたんだろう何となく思い詰めてるような顔をしているのが気になるけど・・

「上がって」 
「結構綺麗にしてるやん(笑)」
「そんな〜(てへへ)」
「奥に座ってて  なんか飲む?コーヒーがいい? 紅茶? それともビール?」
「コーヒーにして  ん?ビールってあんた飲んでるんかい」
「ううん 裕ちゃんがいつ来ても良いようにおいてあるの」
「もしこのまんま来なかったらどうする気だったんや?」
「そんなこと考えなかった(笑)」
はい お待たせ インスタントじゃないんだぞ
ほい ありがと あぁ良い香り

「早速だけどで話って何? 何となくここのところ元気が無いような気はしてたけど」
「う〜ん」 と小さく唸って黙ってしまった
少し沈黙の後
「あんな 私娘。卒業しようとおもうねん  それと歌手中澤裕子も」

「えっ本気なの」

「うん」

「なんで  ねぇなんで
みんないなくなっても裕ちゃん一人ででもやるって言ってたべさ」

「あのころはね。私がいま娘。としてこれからやっていけるか 不安なの」

「なっちだって不安だよ でも不安解消してくれるみんながいるべさ
真里っぺだって 圭ちゃんだって 圭織だって 頼り無いかもしれないけどなっちだっているじゃない」

「わかってる わかってるんやけど・・・・」

そのまま、また黙ってしまった

「何でも良いから話してよ  解決するかどうかわからないけど 裕ちゃんの不安教えてよ
頼り無いし馬鹿な私だけど 愚痴なら聞けるとおもうし」

「ごめん ありがと うち帰るわ」

立ち上がろうとした裕ちゃんを私は止めた

「だめ 今日はとことん裕ちゃんの話聞くから」

「いやや 帰る」

「話があるって言ったの裕ちゃんだったじゃない 私何にも聞いてないよ
娘。やめたいとしかきいてない その理由ぐらい話してたっていいべさ」

支離滅裂なこと言ってたかもしれない 止めたかったどうしても止めてやめないでと説得したかった
半ばあきらめたのか 裕ちゃんは腰をおろした

「なっち ごめん」 

「ちゃんと 理由話さな あかんよな・・・・・
つらいねん  今の状況が 娘。もソロ中澤裕子としても
そして一個人の中澤裕子としても」
「いっぱいいっぱいなの 体じゃなくて精神的に・・・・
だから いつも朝が来なければいいなとか思ってる  こんなんじゃだめだと思いつつ・・・・」

聞こえるか聞こえない声で話しぼろぼろと大粒の涙を流している

裕ちゃん・・・
私は肩を抱いた

「裕ちゃんごめん私が迷惑ばっかりかけてるし そんなこと全然しらなかったし
メンバー全員で裕ちゃんに おんぶにだっこだったんだね
これから気をつける だからやめないでお願い」

俯いたまま裕ちゃんは小さくコクリと頷いた

ちょっと待ってて タオル持ってくるから
裕ちゃんの顔は涙でぐしゃぐしゃだった

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私は、いつの間にか彩っぺの家に電話をして 
「裕ちゃんが裕ちゃんが」と呟いていた様で
おかしいなと彩っぺが感づいてマネージャーさんに電話をしてくれたらしい

警察に呼ばれて事情説明をしなくてはいけないのに 私は裕ちゃんを亡くしたと言う状況を把握できずに、何も話せなかった

後から警察の人から聞いたんだけど裕ちゃんの鞄の中にこんなメモが入っていたらしい
『なっち ごめん 
何度謝っても足らないかもしれないね
私がいなくなってもなっちは笑顔でいてね
私はなっちの笑顔が一番好きだから』

「裕ちゃんのばーかー!!
笑顔を泣き顔に変えているのはあなたでしょ」
心の中で思いっきり叫んだ。


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