TEST QEST-M.

1 名前:十六夜 投稿日:2007/07/25(水) 23:54
はじめまして、ナカムラと申します。
アンリアルなゲームもの 1〜4期メインのナカザワさん主人公ものです。

稚拙文章ですがどうぞよろしくお願いします。
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/26(木) 00:12
裕ちゃんファンなので嬉しいです。
とても楽しみに待たせて戴きますね!
3 名前:プロローグ 投稿日:2007/07/26(木) 00:36


「…あん?なんやこれ」



仕事から帰宅すると小さな小包が届いていた。
それはホールケーキの箱よりも少し大きい位で、宛名は全く知らない会社のものだった。

恐る恐る箱を開けると、中にはゲーム機とソフト、それに一枚の封筒があって

さっぱり分からないままにとりあえず封筒を読むと、そこには“あなたは新しいゲームソフトのテストプレーヤーに選ばれました”という旨の内容が書いてあった。


「テスト…?なにこれ」


怪しい…
怪しすぎる。


そんなものに応募した記憶もないうえ、何故ここの住所が分かったのかひどく気味が悪い。


「せっかく明日休みやったんに気味悪いわ」


一応マネージャーに連絡だけして、あたしはゲーム機を箱ごと部屋の隅にどけようとしたのだけど、その手がふと止まる。


「…別に興味ないけど」


ゲーム機を取り出し、線を繋げる。


「別に爆弾やあるまいし」


テレビの電源を入れ、コントローラを持ってみる


「まぁ少しくらいは…」




―――この「少しくらい」が、後にひどい後悔につながることをこの時のあたしはまだ知らない。



ゲームの電源を入れた瞬間、目の前が真っ白になった。
4 名前:序章。 投稿日:2007/07/30(月) 10:14
 
―――闇だった。



底のない空間に落ちてゆく感覚。




落ちながら、よく夢でこんなの見たなーとぼんやり考えていた
夢の中では腹の底から震える恐怖を感じていたのに
今は全くそういうのはなく


他人事のように、落ちる感覚を眺めていた。



不思議な感覚
夢なのか現なのか
その狭間の世界を。



 
5 名前:序章。 投稿日:2007/07/30(月) 10:40
 
やがて闇の中に一冊の古ぼけた本が出てきた。
少し大きめの辞書くらいの大きさで深い翠色、表面は皮のようなものが張ってある。
留め具がついており、さらに小さな南京錠のようなものまで…鍵もしっかり付いていた。



…あほやなぁ、鍵ついてたら南京錠の意味ないやろが



性分というか、とりあえずツッコミしてみて本を手にとる
ずしりと心地の良い重み。

表紙には不思議な刻印と、見事な金細工でタイトルらしいものが彫られていた。



…あー……earth…アース?




気づくと落下は止まっていた。

6 名前:序章。 投稿日:2007/07/30(月) 10:57
 

胸が高鳴った。



―――これはアカン。



開いてはいけない
開いたら何かが始まり、後戻りできないような
そんな不安と

これを空けたら何か大きな世界が広がり
新しい何かが始まるという期待。




南京錠を外し、ポケットに入れて留め具を外す。



煩いほど全身に響く自身の鼓動。
それに突き動かされるように手が動いた。



表紙を開くと何も書かれてはなかった。
拍子抜けして本を閉じようとすると、驚いたことに文字が浮かんできた。



‘earth’



本の上に白く輝く靄のようなものが現れてきた
それは次第に増えていき、緩やかな渦を巻き始める。

輝く靄はよく見ると一つ一つが発光する光の粒のようであり
まるで宇宙空間の中で新しい銀河が生まれるその瞬間を見ているようだった。


小さな銀河はやがて巨大な銀河になり
そして中心に一つの星が生まれる。

最初は石のような星
その中で活発な地殻変動、嵐、洪水などが目まぐるしく起こり
大気が出来て海が出来て
見る間に蒼い星が出来上がった。



声も出なかった。



その美しさは宝石なんて比ではない
プラネタリウムでも最新の技術をもっても
この美しさには到底適わない感動があった。
7 名前:序章。 投稿日:2007/07/30(月) 11:03
訂正です。

誤:これを空けたら何か大きな世界が広がり
新しい何かが始まるという期待。

正:これを開けたら何か大きな世界が広がり
新しい何かが生まれるという期待。

以上デス。
失礼致しました。
8 名前:序章。 投稿日:2007/07/30(月) 11:19
 

あたしはこの星をアースと呼ぶことにした。
だってearthってあるし、ねぇ。



それ以上アースは変化を見せなかった。
もしやと思い、ページをめくるとアースは再び動き始めた。


草木が生まれ、生物が生まれる
進化し文明が生まれる。
地球そのもののように出来上がっていくアース
しかし、文明や生き物は地球のそれとは違うようだ。
9 名前:序章。 投稿日:2007/07/30(月) 11:44
 
ページを開く。


人に似た像が浮かぶ。
足元に‘亜族’とあった。

その隣には獣の耳や尻尾、体躯、顔等
ゲームなどに出てくるような出で立ちの像。
‘獣族’

背中に羽をもち、天使のようではあるが
冷たい表情の‘天’

黒い肌で大きな岩の上に座り
お地蔵さまのうように穏やかな‘地’

色白の肌に絹のような薄布を纏い
小さな小人のようなものを従える像の足元には‘エルフ’とあった。

他にも沢山の動植物や自然が浮かんでは消えて
その始めてみる色とりどりの姿形に、あたしは子供のように夢中になった。


おそらくこれがearthに住む者達なのだろうか…?



しかし、めくる途中で一箇所破り取られているところがある。
その後はどこをめくっても何も浮かんでは来なかった。


ガッカリした。


誰や、こんなんひどいことするやつは!!


その声が聞こえたかどうかは知らないが
再び、今度は映像が浮かぶ



10 名前:ナカムラ 投稿日:2007/07/30(月) 12:07
とりあえず本日はここまでデス。

やたら長い序章はまだ続きます(汗)
11 名前:名無し飼育さん 投稿日:2007/07/30(月) 21:16
何だか物凄く文に惹き込まれます
次回更新がこんなに楽しみになるのは久しぶり
頑張って下さい!!
12 名前:序章 投稿日:2007/08/04(土) 08:48


……ん?これは…



新たに現れた映像はこれまでと様子が違っていた。

小さな机に向かって何やら書き込んでいる、ヒト

黒くて薄い布地、イスラム教圏内の女性が身に付けているようなものに似た姿。
どういう人物か分からないが、しかしその手元にあるのは今あたしが手にしている本のそれだった。


13 名前:序章 投稿日:2007/08/04(土) 08:49
へぇーこれってこのヒト書いとったんやー


あたしは本の表紙を軽く撫でた。
見た感じは日記のようにそのまんま普通に書いてるだけ。
使われてるペンのインクが本と同じ翠色なのも意味あるのだろうか

そのヒトがひとつひとつ大事そうに文字を綴っていくと、本がほのかに輝き、今あたしが見ているように本の上に映像が浮かび上がってくる。


浮かぶのは燦々と輝く太陽
その周りに黒い雲が湧き、太陽を隠すと激しい雷雨を降り注ぐ。
雨はすぐに止み、再び太陽が顔を出せば見事な虹が架っていた。


そして、その様子を見守るように眺めていた黒いヒトは、仕上がりに満足そうにうなずくとペンを置いてどこかに消えてしまった。


なるほど…なんでかは知らんけど、こうやってこの本が書かれてたわけね。


あたしは本に目を落とす。

読めはしないが、確かに映像通り翠色のインクで綴られていた。
14 名前:序章。 投稿日:2007/08/04(土) 10:44
 
しっかし、ずいぶんリアルな夢やなぁ


本から目を離して周りを見渡す。


どこまでも続く、闇
その中に浮かぶ、自分
それだけしかない

本の手触りも宙に浮くような不安定な足元も、夢にしては妙にリアルだ。


…本当に、夢やろか?


急激に不安に駆られた。
普段見る夢では、いつもどこか霞みがかっている


本を触る
めくる
臭いを嗅ぐ


手の中にある確かな重み
今はなによりあたしの中の不安を掻き立てる。


みたび、本が光を発した。
15 名前:序章。 投稿日:2007/08/04(土) 11:23

黒い布地をかぶっているのだが、まるで幽霊のように存在が不確かで
すべるように机の本の前に立つと、それをじっと見つめていた。
誰もいない空間から突然ヒトが現れた。
さっきのヒトかと思ったら、なんだか様子が違う。

青白い手が伸び、本に触れようとするとバチッと火花が飛び散る。
一瞬躊躇した幽霊は、しかし次の瞬間
意を決したかのようについさっき黒いヒトが書いていた虹のページを破りとってしまった。


さらにペラペラとめくっては、要所要所のページを破ってゆく。
破り捨てられたページは、翠の光を発してどこかへ飛び去り
やがて幽霊は力尽きたかのように、そのばに崩れ消えた。


黒いヒトが戻ってくる。
無残な姿の本を目にすると、がっくりと膝をついた。


黒いヒトの袖から南京錠現れ、本は自ら鍵を掛け
光の中消えた。


映像は消える。
破られたページをさらにめくると、やはり何箇所か破られていた。
16 名前:序章 投稿日:2007/08/07(火) 01:11


やはり、開けるのではなかった

後悔がジワジワと胸を侵食する。



声無き声があたしに警告する

始まる
始まる


ページを集める旅
世界を巡る旅
戦いの旅
果てのない旅


唄うように
静かに響く
あたしの中で




知らん…
そんなん知らん!

夢や!夢に決まっとる!
こんなの…さっさと覚めぇ!!


早くしないと帰られない、そんな焦燥感に襲われて
あたしは本を閉じ、南京錠をかけた。

しっかり鍵をかけ、それを抜いたとき




ゴゥ…っと空間が揺れた




はっと気付いたときにはすでに遅し、足元に巨大な渦が生まれて声もなくあたしは飲み込まれた。




闇にただひとつ浮かぶ、本



淡く翠の光を発しながら、月のように闇を照らす……



序章・終
17 名前:ナカムラ 投稿日:2007/08/07(火) 01:18

思った以上に長い序章が終了デス。
最後あたりに誤字脱語があまりに多すぎて、目も当てられない状態になってますが(汗)


とりあえず次の章からみんな出てきますよー
とりあえずは懐かしいメンツから…


ではでは
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/08(水) 00:23
更新お疲れ様です。
独特の世界観に毎回引き込まれてます。
これから中澤さんがどう動かされていくのか、どのような形で
メンバーが絡んでいくのか、ますます楽しみです。
19 名前:ナカムラ 投稿日:2007/08/15(水) 00:18
やっと新章始めます。
亀ペースですが、どうぞよろしくお願いします。
20 名前:風の章・1…HOME 投稿日:2007/08/15(水) 00:20



――呼んでいる、誰かの声




ほのかに懐かしく
涙がこぼれた




久しぶり
元気にしとった?

あぁ、その笑顔
変わっとらんね



分かった分かった、今起きるから
あんた相変わらず鬼やなぁ…

 

真面目で
冗談がきかなくて
大人びた
けど幼い笑顔



なぁ、あんたなんで、ここにおるん?



口が動く
何かを聞いた気がした


しかし突然に
恐ろしい速さでフェードアウトしてゆく。



まって、今なんて言うたんや






――明日香…




21 名前:HOME 投稿日:2007/08/15(水) 00:23





どしーーーーん。





「アイターーーーっ!」






夢の余韻に浸る暇もなく、目覚めた瞬間、世界に火花が散った。



衝撃と驚きと、ジワジワと感じ始める痛みに一瞬めまいしたが

ぼんやり周りを見回して、それはすぐ混乱に変わった。
22 名前:HOME 投稿日:2007/08/15(水) 00:25
いつもの見慣れた部屋とは明らかにかけ離れた、部屋と言うより小さなログハウスのような
広さはだいたい八畳くらいだろうか。

大きな窓と小さな窓が二つ、真ん中には小さな木造りのテーブルが一つ
そして小さな窓側の壁に、申し訳なさそうに寄せてある箪笥らしきもの。

天井には今時珍しいランプがぶらさがっており、ベッドから転がり落ちたと思ってたのは、実は古いソファーだった。
23 名前:HOME 投稿日:2007/08/15(水) 00:26





…以上。




それだけしかない、至ってシンプルな
別な言い方をすれば「しごく質素」な部屋だった。
もちろん、このような部屋に住んだことも来たこともないわけで。



……なんやねん、この部屋
誰ん宅や?つーか、なんであたしこんなとこで寝てんねん。夢か?寝ぼけてんかアタシ?


このありえない状況に夢と現の判断が出来ず、それよりひどく眠かったので



ったく、せっかく懐かしー夢やってんコロコロ変わってたまらんわぁ



と、ぶつくさ言いながら、あたしはもう一眠りするべくノロノロとソファーによじ登った。
24 名前:HOME 投稿日:2007/08/15(水) 00:29




「…あ、また寝たの?裕ちゃーん起きてー夢じゃないよー?」



んー明日香?
やって、起きようとしてんやけど変なんやもん



「変じゃないよ?ホラ、起きた起きた」



えーありえへん
アタシん部屋ちゃうしー
なんかエライ眠い…



「おいコラ、裕子。いい加減起きなさい、二度と起きれなくなっちゃうよ」



あーん?アンタなに言うとんねん大袈裟やなぁ…あと五分、だけ…



「その五分が命取りなんだってば!起きて、本当起きろって裕子ぉ!!」




「〜〜〜ッなんやねん!ウッサイなぁ休みくらいゆっくりさせーー!!」




執拗な明日香の声にあたしはようやく体を起こした。




「良かった…裕ちゃん」

「んもー堪忍してーな、明日、香……え……?」



目の前には、ホッとした表情を浮かべた明日香が居る。
文句の一つ言おうとして、はたと気づく。



…なんで明日香があたしの部屋に居るん?



「…あ……え……?」




見慣れない部屋

小さなテーブル

大きな窓と小さな窓

箪笥、ランプ


見たこともない服を着た、明日香





…やはり、まだ夢を見てるのだと思った。
25 名前:ナカムラ 投稿日:2007/08/15(水) 00:30

本日はこれにて。
26 名前:HOME 投稿日:2007/08/15(水) 09:33
 

「…え…っ……あれ…?」


頭の中が真っ白になる
必死に昨日の事を思い出そうとするのだが
目の前の光景に混乱し、思考がグチャグチャになってうまく思い出せなかった。


「え、なんで明日香?…あれ、昨日あたし…確かに部屋に…」


見た事のない部屋
違う空気
窓からは見慣れない景色

すべてが、違う。



「…イタっ……痛い…よなぁ」



試しに頬をつねってみた。
我ながら古いやり方だと思うが、こんな時、人間なんでも試したくなるもので
おかげで確かに自分は目覚めているということが分かった。


明日香が、あたしが落ち着くのを待つかのように見つめていた。
きっとこの瞳は全てを知っている。

ようやくその瞳にひたと視線を合わせ、あたしはくっと喉を鳴らした。




「…なぁ、明日香」




知らずに握り締めていた手に、じわりと汗がにじむ。





「ここ…何処なん?」




緊張で、声がかすれていた。
27 名前:HOME 投稿日:2007/08/15(水) 09:58
 

無言の時間が流れる




数秒にも感じた
数十分にも感じた。



やがて明日香がきゅっと目をつぶり
あたしの手をそっと握った。



「…裕ちゃん」



名前を呼ぶ、声
あたしの知っている、明日香の声

安心させるように柔らかく微笑む、顔
あたしの知っている、明日香の笑顔



明日香や…
ほんまに明日香や



固く固く、握り締めて白くなった指先
重なる温かな手の温もりのおかげで、ようやくあたしの身体から力が抜けた。



「…裕ちゃん、驚いたよね、ホント。あぁ、何から話したらいいだろう」



明日香が話し始めた。
ゆっくり、ゆっくり
あたしが理解出来るように




聞きながら、あたしはもちろん信じられず
幼いコドモのように、弱弱しく頭を振る。




しかし真剣に話す明日香の瞳と
自分が今居る、この現実が
目をそらす事を許さなかった。





「…裕ちゃん、信じられないのも無理ないけれど。ここは‘erthe’。裕ちゃんが夢で見たあの本の中の世界なの」

 
28 名前:訂正。 投稿日:2007/08/15(水) 10:10
 
訂:erthe

正:earth


デシター!

読み返してみるとなんだか読みにくかったり…アチャー(/口<;)

29 名前:HOME 投稿日:2007/08/19(日) 09:29
 
誰も居ない部屋の中、あたしは一人ぼんやりとソファーにもたれていた。
話し終えた明日香は動揺するあたしに気を使い、部屋の外に出ている。

手元に視線を落とす。
ぐっとにぎったり
ぱっと開いたり。

確かな実感
不確かな現実。


ここが、ゲームの中だなんて
いくら明日香が言う話でも、すぐには信じられなかった。
30 名前:HOME 投稿日:2007/08/19(日) 10:06
 
――――――

――――

―……



昨日家に届いたゲーム機。
好奇心で包みを開いたのが事の始まりだった。

明日香曰く、本来テストプレーヤーとは
発売前の新作ソフトをプレーしてもらってバグがないかとか、
面白いかイマイチか、ということを調べるものであり
そもそもこうして公募すること自体珍しい事らしい。

応募していないと言うあたしに、明日香は困ったようにうなずいた。


「そうなんだよね、裕ちゃんこういうの全く興味ないもんね」
「そうや。誰かが送って来たにせよ、あたしん宅の住所知ってる人間なんて限られてんで。マネージャーとかハロプロ関係はまずありえんやろし」


あたしがゲームにさほど興味がないと知っている周りの人間ではない事は確かで
他の誰かだとしても、意図がまったくわからない。
考えているあたしを見つめながら、明日香は言葉を選びながら言う。


「でもね、いま一番重要なのはそこじゃないんだ」
「は?」
「そもそもね、このゲームって裕ちゃんが夢でみた‘本’の映像あるでしょ?何者かに途中で何枚か破られてしまた」
「え?…あぁー、うん、そうそう、あんなリアルな…って、なんであんた知ってんねん」
「まぁ、聞いて。簡単に言ってしまうと、世界に散らばってしまったその破られた本のページを集めるゲームなのね」


まだ鮮明に思い出せる
次々と破られるページ
淡く翠色に光りながら、宙を舞うそれら
崩れて消える幽霊
力なくうなだれる、ヒト


「あれは、いわばゲームのプロローグ。よくゲーム始まる前に流れる映像あるんだけど、それを夢とした形で裕ちゃんは見たの」
「…は?なに?」
「なんて言えばいいのかな…裕ちゃん、電源入れた瞬間意識失ったでしょ」


話が見えない。
だってゲームやろ?
ただのテレビゲームなんやろ?
プロローグだかなんだか知らんけど、なんで夢に出てくんねん。
しかも、なんでそのことを見てもいない明日香が知っている?

じゃぁ明日香がこのゲームをあたしに?
どこかで見ながら…?


「…明日香…あんた…」



背筋が凍った。

31 名前:HOME 投稿日:2007/08/19(日) 10:38
 
「違うよ、裕ちゃん。あたしじゃない」


思ったことが顔に出たのか、明日香はキッパリと否定した。
真っ直ぐ見つめてくる顔
昔からよく見ていた…本気の瞳。


「…分かった、ごめん。あんたのその顔に弱いねん」
「いいの、そう思われても仕方ないし。あたしも困惑してるから」
「明日香…?」
「ちょっと話しズレちゃったけど、このゲームソフト。実はテストにすら出せないバグだらけの代物なの」


本来テストは何人かにプレイしてもらう。
そこでOKが出てようやく量産されるのだが
どこからかこのバグだらけのゲームが流れ出てしまった。
それがあたしの家に送られたようである。

バグとは欠陥のこと。
バグがあると本来プログラムされている通りにゲームが進行できない。


「そのバグが関係しているのかは分からない」


明日香が言う


「こんなこと普通ありえないし、信じられないし。でも本当なの」


変わらないままの瞳で
必死の表情で


「裕ちゃん、裕ちゃんが電源を入れた瞬間、なんらかのバグが反応して、裕ちゃんをゲームの中‘earth’にひきずりこんじゃったの」
「…ウソやろ…」
「…本当だよ。そしてあたしはこのゲームの中のキャラクター。裕ちゃんが今居る‘HOME’の‘門…ゲートキーパー’なんだ」


あぁ…


明日香が嘘をついていないのは分かる
しかし内容があまりにも唐突すぎでついていけなかった。
32 名前:ナカムラ 投稿日:2007/08/19(日) 10:45
 
こんにちはナカムラです。
なんだか書いてる本人がついていけなくなりつつあります(苦笑)

読んで下さっている皆様ありがとうございます。
コメントを書いて下さっている方々、ありがとうございます。
短くて申し訳ないのですが
本日はここマデ。
33 名前:HOME 投稿日:2007/08/28(火) 09:27
 
――――――

――――

―……




この世界はゲームの中。

手に触れるもの
目に映るもの
口に入れるもの

まだ実感は出来ない
だってあまりに普通で
だってあまりに異常であるから。


ぼんやりとした頭で窓の外を眺めた


空に浮かぶ、太陽、雲
鳥にしては大きすぎて奇怪な形をしたもの

大地にそびえる山、木々
さっきまで居た部屋どころか、日本の景色とは思えないそれら。


視線を部屋へ戻す。


明日香の言葉
真剣なまなざし
暖かい手のぬくもり


信じられないものと
信じれるもの


なにも分からないあたしにある選択は、恐らく2つだけ。
…いや、きっとひとつしかない。







髪の毛をワシワシと掻き、大きく深呼吸する。




腹を決めたら、少し肩が軽くなった気がした。

34 名前:HOME 投稿日:2007/08/28(火) 09:49
 
ドアを開けたらすぐ台所で、明日香が食事を作っていた
台所と言ってもガスレンジや釜なんていうのがあるわけではなく
一昔前か、または外国の古い家にあるような、薪で火を熾して使用するものだ。
明日香は器用にそれを操り、パンやら卵やらを焼いていた。

「あ、裕ちゃん。お腹空いたでしょ、今出来るから待っててね」
「…あ…う、うん。ありがと」
「…?…あぁ、びっくりしたでしょーこの台所。この世界、機械とか電気器具とかは特定の場所にしかないから、大抵こんな感じなんだよ」
「そ、そなんや…」

薪をくべながら明日香が説明してくれる。

「明日香…いいお嫁さんなれんで」
「へ?やだー裕ちゃん」

照れながらも慣れた手つきで見慣れない道具を使いこなす。
その姿がやけに説得力を帯びていて、俄然現実味が増した。

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