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オチも何もないです・・・(一応いちごまです)

1 名前:まいのすけ 投稿日:2000年06月25日(日)22時19分13秒
「後藤!お皿とって、そこの青いやつ!!」
「コレ?は〜い」
お皿を市井に手渡すと料理を作る邪魔にならない様、後藤は椅子に腰掛ける。
今日は久しぶりに市井の家に泊まる事になって
折角だからと、後藤の為市井が夕食を作ってくれている。
(あ、エプロンほどけそう・・・)
市井の背中に見とれていた後藤は、市井のエプロンの紐が解けそうなのを発見した。
「いちーちゃん、ヒモほどけちゃうよー?」
「んん?」
フライパン片手に振り向き市井も解けかけた紐に気付く。
「なおしたげるから、料理に専念してて!」
言うがはやいか市井の背後に回りエプロンの紐に手を伸ばす。
上手く結べず何回か失敗して、何とか結ぶ。
「サーンキュ。」
目線がフライパンから離れなくてもお礼を言ってくれた横顔の凛々しさに
思わず笑顔がとろける後藤。
何だか構って欲しくなってつまみ食い、市井の右手の脇から手を伸ばす。
「コラコラ、もうちょっと待ちなさい。」
「えへへ・・・」
怒られても笑顔の後藤に、ついつられて市井も笑顔。
他愛ない会話さえ懐かしい、二人ともそんな風に感じながら。

テーブルの上には‘市井特製パスタ’フォークとスプーンを並べて、向かい合って座る。
「いただきまーす」
「いただきます」
早速、後藤は最近自分がどうしているかを話す。
市井に聞いて欲しくてしょうがないのだ。
「でね、こないだ雑誌の撮影で圭ちゃんたらね―・・・」
「・・・うん・・・うんうん。」
市井は頷く
(後藤ってば昔よりおしゃべりになったかな)
なんて思いながら。


市井が洗い物をすませて振り向くと、後藤はテーブルに突っ伏して睡眠中。
(食べたら寝るのね・・・。)
ため息を一つついて、しょうがないからノートとテキストを持ってきてひろげる。
今日後藤が来るまでやっていた勉強の続きをする事にする。

20分程集中して、ふと後藤を見ると眉間にシワがよっている。
「どした〜? 裕ちゃんになっちゃうぞ〜?」
眉間によっているシワに人差し指をあてる。
「う〜・・・ん・・・」
険しい顔で唸り、ついには泣きそうな表情にさえなる。
「なんなんだよ〜〜。泣くな〜?」
声を掛けながらおでこに手をやる。
「ごとぉ〜?」
名前を呼んで指をおでこから頬に動かし、そのまま顎に移動。
顎にある指は唇をなぞる。
「・・・キスしちゃうぞ〜?」
もちろん答えを求める訳ではなく聞く。
何度か唇を指でなぞると
少し開いた口に自分の唇を近づける。
後藤の唇は乾いていた。

「い・・・ちーちゃん?」
トロリと目を開けて後藤が目覚める。
「・・・怖い夢でも見た? 泣きそうだった。」
後藤はポ−ッとしたまま暫く考える。
「んん、思い出せない・・・怖かったよーな、」
「何じゃ、そりゃ。」
市井がつっこむと後藤は‘にへっ’と笑う
「いちーちゃんのキスで忘れちゃった。」
ノーテンキな後藤に笑い返すしか出来ない市井。
「眠り姫は王子サマのキスで目覚めるんだよ? いちーちゃん。」
言いながら、後藤は市井の首に手を回し抱き着く。
「あたしが後藤の王子サマぁ?」
不平を言う市井に、頬を膨らませる後藤。
「そぉだよ!いちーちゃんは私の王子サマなの!!」
「ふ〜ん・・・」
気のない返事をしつつも後藤の腰に手をまわす市井。
「姫、今宵は僕と踊りましょう。−ってか?」
市井は調子に乗り、後藤の手をとり踊る真似をする。
「えへへへへ・・・」
後藤もとろける笑顔で真似をする。
そうして、二人で一緒になって笑い最後には抱きしめ合う。
抱きしめ合って、お互いの鼓動を聞きあう。

「ごとぉ、夏はどうする?」
「ん〜・・・あ!お祭り行こう、浴衣着て!!」
「浴衣?」
「うん、浴衣着たいの。浴衣着たごっちんを
 いちーちゃんに見て欲しーの!」
「ん!じゃあ楽しみにしとく」
今年も夏休みが楽しみな二人なのでした。
2 名前:まいのすけ 投稿日:2000年06月25日(日)22時21分54秒
いきおいだけで書いてみました。
最近いちごまアチコチ痛いし甘いのはどですか?って感じで・・・
3 名前:小板橋英一 投稿日:2000年06月25日(日)22時56分07秒
いいですねー。
ほのぼのした気分になれました。
また機会があったら書いてみてください。
4 名前:切なの国 投稿日:2000年06月25日(日)23時45分42秒
んー、なんだか現実の2人がこんな感じなのかなと思ってしまいました。
いい感じのいちごま、楽しませていただきました!
もし、よかればまた次の作品も書いてみて下さい。
5 名前:サンジ 投稿日:2000年06月26日(月)02時10分59秒
いいじゃないっすかー。ほのぼの系は僕は
大好きっすよ。
6 名前:まいのすけ 投稿日:2000年06月26日(月)12時10分52秒
ありがとうございます。
次はピンチランナーの頃のでも書こうかなーとか思ってます。
7 名前:名無しさん 投稿日:2000年06月27日(火)12時41分49秒
甘いの大好きです! 次回作にも期待。
8 名前:名無しさん 投稿日:2000年06月28日(水)11時04分40秒
おもろい
9 名前:まさひ 投稿日:2000年07月18日(火)01時58分16秒
遅いですがレスです。
大変おもろかったです、楽しく読ませて頂きましたm(__)m
市井と後藤の表現の仕方が、少し現実味を帯びていたせいか
ドキドキしたのは俺だけでしょうか?

次回作にも、期待しております・・・それではっ!!
10 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月03日(木)11時49分01秒
続きっぽくいきます。
11 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月03日(木)12時13分04秒
最近後藤は吉澤と仲が良いらしい。
友達としてだって事は判っているのだが、市井の心はなかなか晴れない。
「・・・・・・。」
タオルで頭を拭いていた手を止める。
(う〜〜・・・)
夜中の2時部屋の明かりを点けたまま、ベットに寝転がり考えをめぐらす。
(後藤と最近会ってナイからな〜・・・)
部屋の照明に手をかざす。忙しい後藤を気遣って
最近は殆どメールでのやり取りしかしていない。
(こないだ会ったのって・・・あれ、もう2週間も前か・・・)
静かな部屋で溜め息をつく。
「・・・寝よ・・・。」
力なく呟いて明かりを消しに立ち上がった所で携帯の着信音が鳴った。
(この音!!)
後藤だけに使っている着メロだ。急いで服に埋まっている携帯を取り出す。
「もしもし!後藤?」
『やっほ〜いち―ちゃん?ごっちんで〜す!』
「後藤?どしたの、こんな夜遅く。」
『あのね〜今いちーちゃん家の近くなの〜・・・』
音がよく聞きとれなくなる。
「何?・・・ごと〜?」
『・・・もしー?・・・あの、さ これから行ってもいい??』
「ちょっ・・・近くって、何処??迎え行くよ?」
『いいよ、いいよ。もういちーちゃん家のまん前だから』
「・・・・・・は?」
『窓の外!・・・いちーちゃん見て見て!!』
窓から階下を覗くと前の道路に居る人影が、ひらひらと手を振っている。
「行ってもいい?って聞きながら、もう来てんじゃん・・・」
『え?!・・・あはははは、まぁいーじゃん!』
「ちょっと待ってな今開けるから。」
12 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月03日(木)12時39分03秒
玄関の扉を開けた途端、飛び込んで抱き着いてきた後藤に倒されそうになりながら
市井は扉を閉める。背中をポンポンと叩いて部屋に行こうと促す。

「ごめん、寝てた?」
Tシャツにハーフパンツ姿の市井を見ての事だろう。部屋に入った後藤は
第一声に気まずそうに聞いてきた。
「んにゃ、考え事してた。」
とりあえず、頭を振っておく。
「そっか。」
「とりあえず、座れば?」
「うん。」
後藤がベットに腰掛けると、市井も椅子を引き寄せ後藤の前に座る。
何を話そうか、考えている間に後藤が口を開いた。
「いちーちゃん、土曜日ヒマ?」
「今週の?・・・ん〜・・・暇だったかなぁ〜・・・」
少しイジワルをして、もったいぶって見せようと思った市井だったが
期待を込めた眼差しで頷いている後藤を見てしまうと、それは出来なかった。
「何、どっか行きたいの?」
「うん。家の近くでね、お祭りがあるんだけど、」
「お祭り?・・・そう言や約束したもんね、一緒に行くって。」
すこしぼやけて返した市井だったが、実は市井自身2人でお祭りに行くのを
楽しみにしていた。ただ、以前にも増して忙しくなった後藤の身を案じて
自分からは切り出せないで居たのだ。
「そ、お祭り。約束通り浴衣着てくから、一緒に行こ?」
「あたしは、いんだけど。・・・仕事平気なの?」
「それなんだけどね
 夕方まで収録入ってるから待ち合わせ夜でもいいかな?」
「おっけ、おっけ〜」
市井が軽く返事をすると、後藤は急に真面目な顔をして市井を見つめ出した。
13 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月03日(木)12時48分20秒
「何?・・・」
無言に耐えられなくなり、少々たじろぎながら市井が聞く。
「髪の毛、」
「??・・・髪?」
「髪の毛濡れてるよ。」
風呂あがりで考え込んで居た所に、後藤が来たのだ。
そう短時間では乾ききる筈も無い。
「あぁ、うん。」
市井は髪に触れタオルとドライヤーを引っ張って来る。
それを後藤が横から取り上げた。
「かわかしたげる。」
含みのある満面の笑み。
(その笑顔には逆らいません。)
市井はおとなしく頭を預ける。
14 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月03日(木)12時52分20秒
前から、すっごい時間あいちゃってますね。
てかピンランもの考えてたら、ネタ被ってしまって・・・。
15 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月03日(木)13時14分49秒
「あの、さ」
「うん?!」
ドライヤーの音の中、聞き辛いのか後藤が大きな声で聞き返すので
市井は話し出すべきか悩んだが、結局は言葉が口を突いて出てしまった。
「最近吉澤と仲良しみたいだね〜・・・」
「そうね〜・・・。」
市井の意図を知ってか知らずか、後藤は手も止めずに応える。
「なんでー?」
「やっ・・・ラジオ聞いたりしてると、さ」
市井はそれ以上、どう言葉をつなげればいいのか思いつかなくなり
黙り込んでしまった。
「はい、終わり!」
市井の髪を梳くっていた手が止まり肩に置かれる。
「ありがと。」
乾いたのを確認すると、市井は軽く頭を下げる。
「じゃあ、いちーちゃんお礼に・・・」
と言いながら、後藤は市井の前に座ると目をつぶりキスをせがむ。
「しょーがないな〜・・・」
市井は顔を近づけ唇で後藤の唇に触れると、顔の角度を変え口を開けさせる。
上歯と下はの間をなぞり、舌同士を絡ませる。
三度唾液を飲み込んで顔を離す。
市井は急に恥ずかしくなって、ドライヤーやらを片付け始める。
暫くポーッとしていた後藤はニヤニヤし笑い出している。
意味不明な笑い。

泊まって行くと言い出した後藤の為に、市井が別の部屋から布団を持ってくると
「一緒に寝ようよ〜〜」
と後藤。
「・・・暑いじゃん。」
「クーラーつければへーキだよ!」
言いながら市井の背中を押し片付けさせる後藤。
「・・・しょーがないな〜。」
(やっぱ、あたし甘いのかな・・・)
すこし、考えてしまう市井だった。
16 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月03日(木)13時36分56秒
電気を消すと窓から漏れる外の明かりを、ぼんやりとみつめながら
後藤が口を開く。
「ね、いち―ちゃん起きてる?」
「起きてるよ」
「久しぶりだね、こーゆーの。」
「・・・会ってなかったからね・・・」
自分で言って寂しさを感じる。市井にとってこんなにも大きな存在に
なってしまった後藤。
「ホントはね、不安なんだ。」
「・・・うん。」
(それは、あたしの台詞なんだけど)
あえて言わない、そんな事言ったら余計不安にさせてしまうからだ。
「なんかいちーちゃんが遠くに行っちゃった気がして・・・」
(それも、あたしの台詞だよ・・・)
黙って聞いている市井に後藤は続ける。
「でも、こーやって一緒に居られるから
 明日からもまた、頑張ってけそーな気がするの!」
「・・・そっか・・・だよね、後藤も頑張ってんだもんね。」
「そ〜〜だよ!おれもね、タイヘンなんだよ。ヨッスィ〜に相談したりさ」
声を裏返して応える後藤の口から吉澤の名前を聞いて、返答に困る市井。
「あ!でも浮気とかじゃ無いかんね。」
市井の心を見透かしたかの様な後藤に苦笑いを返し手を繋ぐ。
「あたしも・・・」
言葉は続けずに、手をぎゅっと握る。
「へへへへ・・・」
後藤の笑い声が返ってきて、それは寝息に変わった。

「ごとう・・・寝ちゃった?」
「ん〜・・・・・・」
起きる様子の無い後藤は寝返りをうって、市井と繋がってない方の手を
市井の体にまわす。
「あたしは抱き枕かっての!」
小声でつっこんだ市井も、そのまま寝入ってしまった。
17 名前:さやまり 投稿日:2000年08月04日(金)05時56分20秒
いっすね〜。ラブラブ。
やっぱラブラブが似合うのは、この二人がダントツだ。
18 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月05日(土)07時22分35秒
さらに続きます。
やっとお祭り行きます・・・。
19 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月05日(土)08時00分36秒
待ち合わせ場所に10分前、昔なら走っていたところを今日は待つ側で過ごす。
(へへへ、圭ちゃんのお陰で早く来れたね・・・ありがとー!)
今頃やっと帰路についたであろう保田に、心の中で感謝する。
「・・・さすがに、まだ来ないよね。」
後藤は一人ごちて辺りを見渡す。待ち合わせは駅前の自転車置き場なのだが
改札から出てきた所からでは、見えにくいかもしれない。移動しようか
等と考えて居ると、改札からよく見知った人影が出てきた。市井だ。
白地に赤い金魚柄が映えた浴衣、帯は青色。髪はいじらずにおろしている。
(今日浴衣来てくるなんて行ってなかったのに・・・)
予想外の格好に驚きつつも、似合っているのでしばらく見とれていた。
市井がキョロキョロと周りを見始めると、後藤はようやく声をかけた。
名前を呼び手を振ると、はにかみながら歩いてくる。
「オス・・・早いじゃん?」
「えへへ〜、でもいちーちゃんだって早いじゃん?」
「あたしは、いつもこん位には来てんだよ〜」
後藤の額を軽く小突きながら市井は応える。
しかし目線は後藤に合わせず、空空しく辺りを掠っている。
後藤の浴衣は5日前に、たまたま覗いた古着屋で一目惚れして買った
お気に入りだ。濃紺にアサガオが咲いた一見地味めな柄なのだが、これに黄色の
帯をあわせたら可愛いだろうと思い、今日のため購入したのだ。
そんな後藤の事情を知ってか知らずか、市井は頭上に並ぶ堤燈を眺めたり
通りすぎる子どもを目で追ったりしている。
「ね、いちーちゃん。」
「んん・・・?」
後藤に左手を引かれ向かい合うかたちになり、市井は一瞬見るものの
すぐに目線を何処かにとばす。
「いちーちゃんってば!」
もう一度今度は両手を引く。市井が何か言う前に、目線を何処かにやる前に
後藤はすばやく口を開く。
「見て。」
命令形の口調に顎を引いた市井は、一度目を大きくすると瞬きもせず数秒見つめる。
「・・・うん・・・見てる。」
「感想は?」
「うん・・・可愛い、と思うよ・・・?」
市井は、しきりに頭を振り前髪を横へ流す仕草をしている。
後藤は小さく息をつき笑うと、
「いちーちゃんも、カワイイよー!」
と返した。市井はそれには応えず繋いでいた両手を離し、改めて片手を差し出すと
後藤が握り返すのを待ち、そのまま人込みへと後藤を引っ張った。
20 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月05日(土)08時17分01秒
「いちーちゃん、あんず飴はっけ〜ん!」
「どこー?」
「あっち、ホラ!」
後藤が指差した先まで人の流れに乗り、ゆっくりゆっくり移動する。
そこまで多くはないものの、やはり人込みは出来ているのだ。
「腕相撲で買ったら2個だって!いちーちゃん」
うんうんと頷く市井。傍らで後藤が浴衣の袖を捲くりはじめた。
「・・・やるの?」
「だっていちーちゃんも食べたいでしょ?」
どうやら勝つ気でいるらしい後藤は、屋台のオヤジに小銭を渡し話し掛けている。
「お嬢ちゃん威勢がいいねぇ!でも、手加減はしないよー?」
陽気に喋り出したオヤジに、後藤はえへへと笑い返した。
熱くなった電球の下、腕相撲は後藤の圧勝で終わり
後藤と市井はそれぞれ1つずつあんず飴をもらい、上機嫌で屋台を後にした。
21 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月05日(土)08時42分34秒
「あんず飴はいいんだけどさー、チョコバナナどこかな〜・・・」
「・・・いちーちゃんまだ言ってんの〜?」
先刻からずっと探しているのだが、なかなか見つからないのだ。
「じゃがバターなんか、もう3軒も見つけたのに〜・・・」
ぶつぶつと文句を言い出だした市井を片手で引き、後藤は興味を引かれた
屋台を端から覗いてまわる。
「あ、ポスター・・・」
不意に立ち止まった後藤の目先には、ポスターをクジで当てさせる屋台があった。
もちろんそこには後藤の写ったポスターもあり、よくよく見ると
後藤の隣に、市井が写っているものまであった。
「・・・どした?」
立ち止まった後藤の顔色を伺う様に覗きこんだ市井に、二へッと笑うと首を振る。
「やぁ〜、あそこは避けた方がいいな〜って」
後藤の示した先に、中学生位の女の子達と屋台の内容を軽く確認した
市井は困った表情をして頷いた。
お互いに手を引き合うと、どちらともなく人通りの少ない路地へ逃げ込んだ。
22 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月05日(土)09時15分30秒
少し足早に歩いた所為か2人とも汗をかいてきた。少し先に見えた公園に
入るとベンチに座り込むなり、両手で顔を仰ぎ出す。
「あっつ〜・・・」
市井が振ると後藤も頷く。暫く無言で自分の顔を仰いでいた市井は
急に立ち上がると、飲み物を買って来ると駆け出して行った。
一人残された後藤は肩におろしている髪をみて、今日
おろして来た事を後悔した。
(結んでるよりはバレないけど、あつい〜・・・)
とりあえず片手で後ろ髪を上げ、空いた手で首を仰いでみたが
たいした効果はなかった。
(いちーちゃん遅いなぁ・・・もしかして
 後ろから登場〜!とか、お約束な事してくれんのかな・・・)
等と考えていると首筋が急に冷たくなり、水滴が背中に流れ落ちた。とりあえず
振り向くと、そこには得意顔の市井がいた。
「びっくりした??」
「・・・まあ、一応・・・。」
「なぁんだよ〜、もっと驚いてよ〜!!」
市井は口を尖らせながら言うと、買ってきた缶ジュースを後藤に手渡す。
後藤が缶を開け一口飲むのを確認して、市井も缶を開ける。
「髪の毛、邪魔なの?」
一息で飲めるだけ飲んで市井は聞いてきた。
「うん。失敗した、暑いんだもん。」
「クリップ持ってるから、留めたげようか?」
「ホント?とめて、とめて」
後藤はジュースを零さぬ様に気をつけながら、市井に背を向けた。
後ろを向いた後藤の首筋に手を伸ばすと、首に張り付いていた髪を
丁寧に梳くう。一つにまとめクリップで留めると、市井はそのまま首筋に
顔を近づけると唇を寄せた。
「ひゃ?!」
今度は本当に吃驚して声をあげてしまった後藤。
「びっくりした??」
振り向くとやっぱり得意顔の市井、呆れながらも口の端を緩めて後藤は頷いた。
「ビックリした・・・汗かいてるし・・・。」
「うん、しょっぱかった。」
ぺロッと舌を出して市井が応えると、後藤は「口直し、」と自分から唇を合わせた。

23 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月05日(土)09時22分55秒
虫の声、車の音をかき分け遠くから太鼓の音が響き出した。
何となしにベンチに座ったままでいた後藤は、耳を傾けると振り向き
市井に声を掛けた。
「盆踊り、」
「見に行く?」
「うん。行こ!」
後藤が市井の手を引く。
「あ!チョコバナナも探そう!!」
「まだ言ってんの〜?」
二人は来た路地を戻り、人込みに紛れる。

はぐれない様しっかりと手を繋いで。
24 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月05日(土)09時26分56秒
一応、なんとか終わりです。
思ったよりバカっぽくなっちゃったな市井・・・。
25 名前:まさひ 投稿日:2000年08月05日(土)20時28分44秒
またまた今回も読ませてもらいました。
おもろいっすね〜、市井×後藤・・・中々読み応えありました!!

今回の市井に、なんか元気よさが出てたと思いました
一言で言うなら『ラブラブ』なんですかね?

次回作も期待してますね!
26 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月09日(水)02時02分28秒
続き書いてたんですね
27 名前:Hruso 投稿日:2000年08月22日(火)22時05分33秒
いいっすねぇ。
短〜中編のあまあまものでも、長編のふか〜い話でも、
いちごまは最高ですよね。

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