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御三家!

1 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月29日(土)07時29分07秒
「ねーねー、あんた誰にいれたー?」
「えー?やっぱあたしは“あの人”だよ」
「ウッソ。あたしは“あのお方”だけどな〜」
「いやいや。“あの子”でしょ」

ここはモーニング女学院。女の園である。
今日は、二ヶ月に一回の行事、人気投票の結果発表である。
誰がこの学校で一番人気があるのかを競う行事。
さっきの女の子達は、それに誰をいれたのかで盛り上がっていたのだ。
じゃあ、女の子達が言っていた“あの人”“あのお方”“あの子”とは一体誰なんだろうか。


朝の体育館。大きな人だかりができている。
そう。あの順位が発表されたのだ。

「・・・また?」
一人の女の子がそう呟く。顔はもう泣きそうになっている。
でも、強制的に誰かに連れて行かれ、もうなすがまま。

「あ〜あ。今回も一位やなかったか」
一人の女性が残念そうな声を出す。少々順位に不満があるようだ。
でも、大人しく誘導する女の子には従う。

「おお!またはいってる!すっげ〜」
一人興奮冷めやらぬ人物。嬉しそうだ。
誘導する女の子に抱き着いて、嬉しさを全開にしている。

この人物達こそが、女版御三家である。
さて、その人物達は一体誰なんだろうか。まずは、人気投票第三位の子から見て行こう。

「ではお呼びいたしましょー!!」
司会者の声が、体育館中に響きわたる。
それに合わせて、生徒達のボルテージも上がる。
「第三位・・・・吉澤ひとみー!!!」
キャー、という声がこだまする。
頭を軽く下げながら、吉澤は出て来た。
嬉しそうな顔をして。
「つづきまして、第二位!中澤裕子せんせー!!!」
みんなに手を振りながら、笑って出て来る。
「それではみなさんおまちかね!第一位の市井紗耶香ー!!!」
もうあきらめたように、好きにして、と言った感じで登場する。
御三家が出揃った。
2 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月29日(土)08時03分40秒
「いやー。やはりこの三人でしたねー。五月にやったトキも、まったく同じ
 順位でしたし。でも市井さんはお強いですねー。
 えっと・・・、入学して8回連続ですか。いやーすごい。
 裕ちゃん先生も、ずっと変わらない人気で。
 なによりすごいのは、吉澤さん!あなたです!まだ入学して四ヶ月も経って
 ないのに三位とは」
「いや〜、そんなことないですよ〜。まだまだ裕ちゃセンセーや市井さんには
 かないませんよ〜」
「なーにを言ってんねん。こいつ」
「わっ。やめてくださいよ〜」
二人で突つき合い、じゃれ合う。
それだけで周りから、黄色い悲鳴が飛ぶ。
「ほら。紗耶香もなんか」
「え?あ、ああ・・・」
元気がない市井。その原因は、彼女にあるようだ。


その後のイベントも終わり、急いで屋上に駆けつける市井。
ドアを開けるとそこには、頬を膨らませた、一年の後籐真希が立っていた。

「ご、ごめん真希!遅くなっちゃって!」
「・・・・・」
目を、市井と合わせないように顔を反らす後籐。
「・・・まーき!」
しゃがんで、下から後籐の顔を覗き込む。
「悪かったってマジで。まさかはいってると思わなかったしさ。ごめん」
順位にはいっていると予想していなかったらしく、どうやら後籐と約束していた
ようだ。
「いちーちゃん・・・」
「ん?んっ・・・」

後籐もしゃがんで、市井の目線に顔を合わすと、その唇にキスをした。
「・・・これでちょっとは許したげる・・・」
「ははっ、ちょっとか。じゃあ、どーやったら全部許してくれるんだ?」
後籐の唇を撫でながら、静かに問う。
「わかってるでしょ〜、絶対」
「いやわかんない、わかんない」
「ウソだ〜。ぜっ・・・・・」
今度は市井からキスをする。長い甘いキスを。

「ふう・・・」
軽く息を整え、後籐の髪をとかしながら囁く。
「市井んち行こうか」
「・・・うん」
そして、無事仲直りも済み、二人は手を繋ぎ市井の家に向かう。

市井の元気がないのも、どうやら直ったようだ。
3 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月29日(土)08時11分15秒
いいね〜、こういうストレートな話もまたよし!
4 名前:まいのすけ 投稿日:2000年07月29日(土)10時48分11秒
イイ感じ。
5 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月30日(日)01時44分07秒
応援してる!
6 名前:龍岩寺 投稿日:2000年07月31日(月)10時56分40秒
もうめちゃめちゃいい感じですー。
続き期待したます!
7 名前:龍岩寺 投稿日:2000年07月31日(月)10時57分32秒
もうめちゃめちゃいい感じですー。
続き期待しています!
8 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)10時59分24秒
>>6-7
2連カキコするほどいい感じってことですな。
同感ですぞ。
9 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)14時02分06秒
次の日の朝、学校の校門で御三家が勢揃いした。

「あ、おはよーございます市井さん、裕ちゃんセンセ−」
「うぃーっす」
「おお、おはよーさんよっしー。今日はあのミクロおらんのか?」
中澤が言うミクロとは、吉澤のファンクラブの会長、矢口真里のことだ。
二年生で、市井と一緒のクラス。
「ああ、矢口さんですか?なんか、今日はファンクラブの子達と、昨日の人気
 投票の祝賀会するから、会員の子に召集かけてくるってどっか行きました」
そんな吉澤のファンクラブの名前は、“ゆでたまごクラブ“。
吉澤の大好物の“ゆでたまご”からとったのだ。

「市井さんとか、裕ちゃんセンセーのとこも祝賀会とかないんですか?」
御三家のまわりには、女の子達がキャ−キャ−騒いでいるが、本人達は全然
気にする様子はない。
「ん〜、飯田さんに聞いて。あの人が全部仕切ってるから」
そう言ったのは市井。
「ああ。カオリやったな。あんたのファンクラブの会長は」
「はあ・・・」
「なんやったけ、ファンクラブの名前は」
わかっているが、わざと聞く。意地悪な中澤。
「・・・知ってるでしょ?」
「わからんな〜。なあ?よっしー」
「はい」
「・・・・・」
恨むように二人を睨む。しかし、それでビビるほど、二人の肝は小さくない。

「・・・“ダンディ、市井王子を守る会”・・・」

「はあ?ごめん、聞こえんかった」
「最近、耳の調子が悪いんですよねー」
ワザトだっ!絶対ワザトだ!
そう思っても、口には出せない。
グッと言葉を飲み込む。
「“ダンディ、市井王子を守る会”!!これでいーでしょ?!」
もうヤケになって、大声で言う。
中澤と吉澤は、腹を抱えて笑っている。
「くっ・・・・。よっしー!自分だって笑えねーじゃねーか!
 裕ちゃんセンセ−だって、“裕ちゃんの女房”とか変な名前じゃんかー!!」
顔を真っ赤にして、二人に怒鳴り散らす。
「ひゃっひゃっひゃ。いーやんけ、“裕ちゃんの女房”。ウチはカッコえー
 思うけどなー。なっちがつけてくれたし」
「うっさい!このタラシ!」
「そーですよ裕ちゃんセンセ−。タラシはいけません」
「お前もだろーが!!」
10 名前:まいのすけ 投稿日:2000年07月31日(月)14時30分06秒
何かおもしろくなってきたです。
11 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)14時33分50秒
ある朝の、御三家の風景をお送りしました。
ついでに、ちょっとファンクラブの名前も。

ここで、登場人物紹介をしたいと思います。

市井紗耶香…二年。御三家のうちの一人。一年の後籐真希と付き合っている。
      性格は基本的に真面目。後籐にめちゃめちゃ弱い。

中澤裕子…モ−女(モーニング女学院の略)の教師。27歳。担当は社会。
     酒乱でキス魔。誰にでもいい顔をするので、本命が誰かわからない。

吉澤ひとみ…一年生。後籐の幼馴染。中学の頃、後籐と付き合っていた。
      中澤と一緒で、いまいち本命が誰かわからないが、最近やっと
      一人に絞ったらしい?!

後籐真希…一年。“ダンディ、市井王子を守る会”の子達から、恨めしそうに
     いつも睨まれている。でも、そんなことはひとつも気にしない
     マイペースな性格。市井ちゃん大好き人間。
飯田圭織…“ダンディ、市井王子を守る会”会長。三年生。
     なぜか、安倍なつみと仲が悪い。

安倍なつみ…“裕ちゃんの女房”会長。飯田と同期。
      飯田と会うと、ケンカばかりしている。なので、飯田が会長を
      努めている市井のことも嫌い。

矢口真里…二年。“ゆでたまごクラブ”会長。
     比較的みんなと仲がいいが、よく市井と話している為、飯田と
     衝突する事もしばしば。
     その度に、吉澤に止められている。


その他の登場人物はまだ未定。
12 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)19時44分00秒
コメディーも大好きです。
13 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)20時20分59秒
ファンクラブの名前が面白いな
14 名前:サンジ 投稿日:2000年07月31日(月)23時03分57秒
うまいねー。なんか。相関関係とか。
15 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月01日(火)01時07分00秒
「・・・・」
中澤が教える社会の授業中、吉澤はあごに手を置いて、居眠りをしていた。

「・・・よっしー、よっしー!当てられてるってば!」
隣りの席の後籐が起こす。
「・・・ん〜?」
いい気分だった所を後籐に起こされ、不機嫌そうに目を開けるとそこには、
にんまり笑った中澤の顔があった。
「いいお目覚めやな〜吉澤くん。・・・廊下」
「はい・・・」

ブツブツ文句を言いながら廊下に出る。
廊下は教室より涼しくて、吉澤の眠気をフッ飛ばすにはちょうどよかった。
「だいたいさ〜、今どき廊下なんて古すぎんだよね〜。いつの時代の人だっつーの」
「吉澤」
ギョッ!と驚いた顔で、窓を見る。
しまった・・・。
気づいた時、もうすでに遅し。
「・・・グランド10周行って来い!!」
「はい・・・(泣)」

そうして、10周走った吉澤くんでした。
16 名前:名無し中 投稿日:2000年08月01日(火)01時13分39秒
吉澤のプロフィールに気になるとこが……
「中学時代に後藤と付き合っていた」てっ!
そのへんもこれからの話に絡んでくるのか期待。
17 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月01日(火)02時37分21秒
面白い!人物構成が豊か。
この人達がどう絡んでいくのが、とても気になる。
18 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月01日(火)08時38分55秒
よっすぃ〜の本命が気になる・・・
19 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月01日(火)09時45分47秒
今はまだ出てきてない他のメンバーの動向も気になる
20 名前:龍岩寺 投稿日:2000年08月01日(火)10時36分44秒
おもしろい、おもしろすぎます!
ファンクラブ名いいですね〜。市井のは、何故『守る会』が付くのか
謎ですごくいい感じです。
よっすぃーの本命も気になりますが、
個人的に、石川の設定がどうなるのか気になります。
続きが早く読みたいです。
21 名前:市井紗耶香と後籐真希 投稿日:2000年08月01日(火)21時39分02秒
今日も、地獄のお弁当タイムがやってきた・・・・。

「あっ、いちーちゃーん!ここ、ここ!」
ぶんぶん手を振って、自分がそこにいることをアピールする。
中庭の、二人っきりになれる場所で。
「ごめん!遅くなった!」

「えへへ〜、今日はめちゃくちゃがんばったよ〜」
無邪気に笑った真希の顔って、ほんっとかわいいなぁ。
でも・・・
「え・・・、そ、そーなんだ・・・」
「うん!!」

・・・・料理ベタなんだよね。

「わ、わかった。ど、どんなの?」
弁当を覗き込む。・・・見た目は綺麗なんだよねぇ。
「今回はぁ、手作りハンバーグが自信作なんだよ!」
「て、手作りね・・・、手作り・・・」
今度は、どんな味がするだろう・・・。

口に入れて一回噛んだだけで、卒倒しそうになる。
「・・・おいし?」
でも、真希に潤んだ瞳で見られると、

「・・・おいしい」

って言っちゃうんだよなぁ。ほんと真希には弱いんだよ。自分でもそれはわかってる。
「あ、んじゃあねぇ、このだし巻きたまごも食べてよ。はい、アーン」
「・・・アーン(泣)」
・・・まずい。

神様、真希に料理の才能はないのですか?
22 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月01日(火)21時43分00秒
毎回読み切りみたいにいきます。
話が続かなくなるので。
だから、名前の所にそれぞれ題名を。

書いて欲しいキャラがいたら、リクエストおっけー。
実際書くかどーかはわからんけど。
23 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月02日(水)00時48分52秒
ぜひ石川を!!
不幸っぽいキャラでの登場希望。
24 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月02日(水)02時06分24秒
是非、平家さんを!!
しょーもないキャラだけど、オイシイ位置を希望。
25 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月02日(水)03時38分18秒
同じく石川を!
こんなに想像を掻き立てる人はそういないでしょう。
26 名前:龍岩寺 投稿日:2000年08月02日(水)09時55分37秒
私は、よっすぃーと石川の絡みを希望です!
石川の設定はどうなるのか分かりませんが、
幸せになるならそれにこしたことは無し・・・。

そして、市井と後藤は、ラブラブですね。
いい感じです。もっとこの続きも読みたいです。
27 名前:不幸少女 石川梨華 投稿日:2000年08月02日(水)14時32分08秒
あ・・・、今日もひとみちゃんのファンクラブの人が写真売ってる・・。
すごい人だかりだなあ。・・・よ、よーし私も!

「すいません!44番の生写真欲しいんですけど!」
なんとか人込みをかきわけて、ちょっと照れたひとみちゃんの生写真を注文する。
「あー、ついさっき売り切れたよ」
「え・・・」
矢口会長と名札を貼ってる人に、そう言われる。
・・・また?
昨日も私が頼んだやつ売り切れだった・・・。
呪われているの?私・・・・。

トボトボと廊下を歩いていたら、人とぶつかった。
市井さんだ・・・。
「あ、ごめん。ダイジョ−ブ?」
優しく声をかけてくれた。しかも、こんなに近くで御三家の頂点の人見れる
なんて、私ってツイてる?
「ちょっとぉ、ちゃんと前見て歩きなさいよ〜。紗耶香ケガしちゃうじゃん」
・・・ワケがなかった。
「い、飯田さ〜ん。絡むのはやめましょ〜よ〜」
市井さんの隣りには、市井さんのファンクラブの会長、飯田さんがいた。
この人、この学校で一番恐いんだよね・・・。
「す、すいません!以後気をつけます!」
頭を下げ、急いでその場から去って行った。

「はあ・・・もうやだ・・」
またトボトボと階段を降りる。階を間違えて、屋上まで行っちゃったから。
「なんで私ってこんなにドジなんだろう・・・」
「あっれ〜?梨華っちじゃん」
ブツブツ文句を言ってたら、階段の下から声が聞こえた。
「ひ、ひとみちゃん!」
「どしたの?こんなとこで」
ニコニコしながら、階段をゆっくり上ってくる。
私も急いでひとみちゃんのもとに駆け降りようとしたけど、途中、足を滑らせて
そのまま落ちてしまった。
といっても、残り5段くらいだったから、ケガはしなかったけど。

「・・・・キティちゃんパンツ・・・」
「ええっ?!」
スカートがめくれて、下着がひとみちゃんに丸見えだった。

ああ、私はなんて不幸なの・・・?
28 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月02日(水)17時40分08秒
なんで石川はツイてない役がこんなにハマるんだ・・・・・
29 名前:サンジ 投稿日:2000年08月02日(水)18時48分04秒
ハマりすぎですよ・・・。
30 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月03日(木)02時41分17秒
不幸っちゅーよりお笑いキャラになってる。<石川
最高っす!(笑)
31 名前:龍岩寺 投稿日:2000年08月03日(木)12時07分28秒
おもしろい、おもしろくてハマッてる・・・石川。
だけど、どうか幸せにさせてやって下さい。
32 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月04日(金)15時33分18秒
石川〜〜(ワラ
これからよっすぃ〜と絡んでくんかな・・・?
33 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月05日(土)01時45分45秒
続き楽しみにしてます。
34 名前:七不思議っ! お昼の校内放送 投稿日:2000年08月05日(土)02時34分01秒
モーニング女学院には、お昼の校内放送というものがあった。
毎回御三家の面々をゲストに迎え、色んな質問に答える、という放送。
だが、今はなぜか ない。なくなったのは、二ヶ月前。

           −−−−−−−−−−

♪ピンポンパンポーン♪

お昼の校内放送。
今日は、御三家の一人、吉澤ひとみのインタビューだ。

『みなさん ごきげんよう。放送委員の保田です。
 今日のゲストは、ゆでたまごクラブのみなさんお待ちかね!よっしーの
 登場であります!! 入学二ヶ月にして、人気投票三位にはいった一年生。
 ・・・・え〜、こんにちは』
『こんにちは〜』
いつも通りのマイペース口調で答える。
『こんちゃっす!会長の矢口っす!』
誰も聞いていないのに、勝手に答える会長 矢口。

『・・・今耳鳴りが聞こえました。とりあえずムシします』
そして、会話を進める。

『次のおハガキ。・・えっと、これはペンネーム 不幸少女さんからの質問で、
 “不幸なお姉さんは好きですか?”っていう質問ハガキが来てます』

(キャッ。私のハガキだわ)
教室でお弁当をつつきながら、一人テレる石川。

『う〜ん。どーでしょう、こんな人は』
『う〜ん。オイラは嫌いだな〜、不幸なやつは。やっぱ女は、よっしーみたい
 でなくちゃね』
またしても、二人の会話に入って来る会長 矢口。
『アンタに聞いてないっ!だいたいなんでここにいるのよ!!』
『気にしない 気にしない』
『気にするわっっ!!ミクロがチョロチョロうろついてたら!!』

周りにいた、他の放送部員達が止めに入る。
『離せーー!アイツのせいで、お昼の放送時間がめちゃくちゃだーー!!』
『それは圭ちゃんの顔でしょ』
『や、矢口さんっ!!それは思ってても、言っちゃいけないことを・・・』
フォローしたつもりが、吉澤の一言で、余計悪化する。
『てめーらぁ!全員ブッ殺してやるーー!!』

ブチッ!

いきなり放送が途切れた。しかしそのあと、またすぐに音楽が流れ、放送がはいる。

『えー、大変お見苦しい放送をお聞かせしました。少しお時間は早いですが、
 これにて、お昼の放送を 終了したいと思います。それではみなさん ごきげんよう』

           −−−−−−−−−−

それから、お昼の放送は流れることはなかった・・・。
ついでに、不幸少女の子の質問の答えも・・・。

いまや、すべては謎の中・・・・。
35 名前:七不思議っ! お昼の校内放送 投稿日:2000年08月05日(土)02時34分44秒
モーニング女学院には、お昼の校内放送というものがあった。
毎回御三家の面々をゲストに迎え、色んな質問に答える、という放送。
だが、今はなぜか ない。なくなったのは、二ヶ月前。

           −−−−−−−−−−

♪ピンポンパンポーン♪

お昼の校内放送。
今日は、御三家の一人、吉澤ひとみのインタビューだ。

『みなさん ごきげんよう。放送委員の保田です。
 今日のゲストは、ゆでたまごクラブのみなさんお待ちかね!よっしーの
 登場であります!! 入学二ヶ月にして、人気投票三位にはいった一年生。
 ・・・・え〜、こんにちは』
『こんにちは〜』
いつも通りのマイペース口調で答える。
『こんちゃっす!会長の矢口っす!』
誰も聞いていないのに、勝手に答える会長 矢口。

『・・・今耳鳴りが聞こえました。とりあえずムシします』
そして、会話を進める。

『次のおハガキ。・・えっと、これはペンネーム 不幸少女さんからの質問で、
 “不幸なお姉さんは好きですか?”っていう質問ハガキが来てます』

(キャッ。私のハガキだわ)
教室でお弁当をつつきながら、一人テレる石川。

『う〜ん。どーでしょう、こんな人は』
『う〜ん。オイラは嫌いだな〜、不幸なやつは。やっぱ女は、よっしーみたい
 でなくちゃね』
またしても、二人の会話に入って来る会長 矢口。
『アンタに聞いてないっ!だいたいなんでここにいるのよ!!』
『気にしない 気にしない』
『気にするわっっ!!ミクロがチョロチョロうろついてたら!!』

周りにいた、他の放送部員達が止めに入る。
『離せーー!アイツのせいで、お昼の放送時間がめちゃくちゃだーー!!』
『それは圭ちゃんの顔でしょ』
『や、矢口さんっ!!それは思ってても、言っちゃいけないことを・・・』
フォローしたつもりが、吉澤の一言で、余計悪化する。
『てめーらぁ!全員ブッ殺してやるーー!!』

ブチッ!

いきなり放送が途切れた。しかしそのあと、またすぐに音楽が流れ、放送がはいる。

『えー、大変お見苦しい放送をお聞かせしました。少しお時間は早いですが、
 これにて、お昼の放送を 終了したいと思います。それではみなさん ごきげんよう』

           −−−−−−−−−−

それから、お昼の放送は流れることはなかった・・・。
ついでに、不幸少女の子の質問の答えも・・・。

いまや、すべては謎の中・・・・。
36 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月05日(土)02時37分44秒
 ↑
すいません・・・。二重カキコ失礼。
37 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月05日(土)09時52分01秒
お昼の放送復活しないんですか・・・?
38 名前:龍岩寺 投稿日:2000年08月05日(土)14時23分53秒
もうめちゃめちゃ楽しいです。
かんばってください!
39 名前:越後屋 投稿日:2000年08月06日(日)06時03分44秒
なんだか・・・石川が不憫で不憫で・・・。
でも、なんでこう不幸がにあうのか・・・。
40 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月08日(火)15時11分34秒
御三家の続きが気になるぞ。
41 名前:御三家! 作者 投稿日:2000年08月08日(火)19時52分02秒
すいません、リクエストお願いします。
何書いて欲しいか、どんな話が読みたいか書いてくれたら助かります。

別に、御三家!の世界を壊さなかったら、違う人が書いてくれてもいいです。
自分も、おもろいの思い付いたら書きますから。
42 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月08日(火)23時09分54秒
もっともっと、いちごま中心がいいです。わがままですいません。
43 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月08日(火)23時23分18秒
プロフで吉澤が、昔後藤と付き合ってたとなってるので、
そこらへんの絡みが見たいです。
あと、ファンクラブ同士の小競り合いとか。
あくまでも、コメディータッチがいいです。無茶いってすいません。
44 名前:恋のトライアングル? IGY 投稿日:2000年08月09日(水)00時15分57秒
今日は真希と帰る日。
週に一回は、飯田さんに許しをもらって、一緒に帰って良い事になっている。
彼女なんだから、勝手に帰ればいいじゃんって?
そんなことできないよ。
だって、飯田さん恐いんだもん。
前黙って真希と帰った次の日、5時間説教された。
もう、あんな思いはいやだ。 だから、素直に飯田さんの言う事を聞く。

「まーきっ」
ひょこっと待ち合わせ場所に顔を出す。
「あ、いちーちゃん」
嬉しそうに駆け寄って来てくれる。
ああ、ここが学校じゃなかったら、押し倒してチュ−できるのにっ!
・・・・読者のイメージが崩れるからやめよう。

「市井さん こんちわ〜」
このスローな喋り方は、
「あ、よっしーも 今日いっしょに帰ってもいい?」
・・・やっぱり。

三人並んで歩く。
・・・っていうか、なんでよっしーが真ん中なんだよっ!
なんで真希とばっか喋ってるんだよっ!
・・・やめよう。読者のイメージが崩れる。
「・・・ね?いちーちゃん」
「へ?!」
急に真希に問い掛けられ、ビックリ。
「だからぁ、ここが初めてキスしたとこだよねって」
ああ。この公園ね。
そう、あれは54日と5時間前・・・。
「でもさ、私達もここでキスしたことあったよね」
こ、こいつ・・・。悪気がないから、余計タチが悪い。
「あー、あったねー」
って、真希ものんなくていーじゃん!
軽く受け流しゃーよー! あたしがいんのに!
顔に青筋が浮きだってくるのが自分でもわかる。

どーしてくれようか この二人。
そんなことばかり考えていた。
45 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月09日(水)00時18分20秒
わがままいっちゃうといしかごも見てみたいんですよね…。

46 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月09日(水)00時20分30秒
あ、ごめんなさい…途中邪魔しちゃいました…。(汗)

47 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月09日(水)01時43分28秒
>44
面白いっす。なんか東京大学物語を思い出してしまった。
48 名前:龍岩寺 投稿日:2000年08月09日(水)13時15分25秒
もっと、よしいしの絡みが見たい・・・。
49 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月09日(水)19時02分57秒
>48
 同じく。
 
50 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月11日(金)14時30分43秒
やぐよしは見れないのだろうか・・・
51 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月14日(月)15時42分40秒
中澤先生に付きまとう加護辻なんてどうでしょう?
52 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月14日(月)19時24分11秒
やぐちゅーは?
53 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月15日(火)01時09分18秒
ねーさんはなっちだろ?設定からすると。
でも平家さん出してくれ。
54 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月15日(火)02時08分12秒
>53
 なるほど。
 てゆーかねーさんがみたいだけかも。ごめん。
55 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月20日(日)01時16分59秒
このはなしがすきだ!
56 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月20日(日)19時53分59秒
続き…ないすか?
57 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月23日(水)01時05分13秒
作者さーん!
がんばってください!
応援してます!
58 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月25日(金)00時09分41秒
つーづーきー
59 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月26日(土)23時29分39秒
この板の中でいっちゃんおもろいっす
唯一の学園物でもありますね!
60 名前:サンジ 投稿日:2000年08月28日(月)01時08分03秒
続き読みたいなぁ・・・。
61 名前:突き飛ばされた理由(ワケ) 投稿日:2000年08月28日(月)10時11分51秒
「真希・・・」
「ん・・・」
市井の部屋。
二人は今から、愛の確かめをする所である。
「うんっ・・・」
真希の服を脱がすため、お腹に手をかけたとき、事件が起こった。

「やっ、やっぱヤダッ!」

後藤が、市井を突き飛ばしたのだ。
「へ? な、なんで?」
市井は、なぜ自分が突き飛ばされたのか分からない。
ただただ、戸惑うばかり。
「・・・ごめんっ、いちーちゃん!」

              ********

「・・・ふ〜ん。それでウチんとこ相談に来たワケかぁ〜」
「はあ・・・」
ズズッと日本茶をすすりながら、相談された中澤はニヤニヤしている。
「な、なんすか。しまりのない顔しちゃって」
「いや〜。あんたらがそこまでいってるとは知らんかったからな」
「うっ・・・」
市井の顔が赤くなる。
「そ、そんなことより! どー思うって聞いてんるんです!」
逆ギレ。
だから、市井ってばおもしろい。
てん
「う〜ん。そーやな〜、・・・あきたとか?」
その言葉を言った後、中澤は死ぬほど後悔した。
市井が気絶したからだ。
「ゲッ! ジョ、ジョーダンやん ジョーダン!」
その言葉で、市井の目が覚める。

「なんか原因があるんちゃうん? 例えばその時は生理中やったとか」
今度はマジメに。
市井が気絶しない様に言葉を選ぶ。
「いや。だってその時は最初に言うもん、真希」
「じゃあなんやねん」
「だから、わかんないから聞いてるんだってば」
経験豊富そうな中澤に聞いても、一向に答えが出てこない。
こーなれば、あの人に聞くしかないのだ。

「そんなん、直接本人に聞けや。本人に聞いた方が一番早い」
「だってさ・・・」
市井もそれを考えてたのだが、聞くのが怖いのだそうだ。
「いちーちゃんに触られるのが嫌だったから」と言われるかもしれないから。
真希にはめっぽう弱い、小心者のいちーちゃん。

「がんばれ。勇気振り絞って聞いてみーや。
 ただそん時は虫の居所が悪かっただけやろ。応援したるから」
市井の肩に手を置いて、カツをいれてやる。
市井もそれで、ちょっとは勇気が出たようだ。
「わかった・・・。がんばるよ」
62 名前:突き飛ばされた理由(ワケ) 投稿日:2000年08月28日(月)10時19分34秒

その日の移動教室の時、同じクラスの矢口と歩いていると、
前方に後藤の姿が見えた。
「ごめんヤグチ! 先行ってて!」
そう言って、市井は後藤の元へ駆け寄って行った。

「真希!」
「あ、いちーちゃん・・・」
市井の顔を見るなり、気まずそうな顔になる後藤。
「あ、あのさ――」
「ごめん! あたし急いでるから!」
そう言うが早いか、後藤が走ってどこかに行ってしまった。

「なんだよ・・・。嫌いになったんだら嫌いになったって、
 はっきり言えばいーじゃん・・・」
63 名前:御三家! 作者 投稿日:2000年08月28日(月)10時31分47秒
訂正。<62
「嫌いになったんだら」じゃなくて、「嫌いになったんだったら」。

すいません。随分間を空けました。
今回はちょっとシリアスで。
64 名前: 名無しさん 投稿日:2000年08月28日(月)13時35分45秒
待ってました更新!!
大好きです この話!!
65 名前:龍岩寺 投稿日:2000年08月28日(月)14時57分31秒
頑張ってください。
応援してます。
66 名前:ゴリコップ 投稿日:2000年08月29日(火)00時52分40秒
なぜだ〜〜!!後藤!!
なぜなんだ〜〜〜〜!!!
67 名前:さんちー 投稿日:2000年08月29日(火)01時02分44秒
わーい!更新めちゃめちゃ嬉しいです!!
ホント楽しみにしてます。
いちーちゃん可愛い。
68 名前:突き飛ばされた理由(ワケ) 投稿日:2000年08月29日(火)10時21分19秒

「よっ、紗耶香。・・・どーやった?」
次の休み時間、中澤は市井に声を掛けた。
その中澤の声に気づいて、振り向いた市井の顔は・・・。
「あ、あんた血の気失せてんで・・・? ア、アカンかったんか・・・?」
小さく、縦に頷く。
「おいおい。そんな顔しとったら、ファン減んで?
 まあ、ウチとしては減ってくれた方がいいけどもやな・・・」
「ファンなんかいらない・・・。真希がいればそれで・・・」
ボソボソと、そう呟く。
「あかん。こりゃ完全にイカれてるわ」

 ********

昼休みの中庭。
市井はそこに向かう。

「いちーちゃーん! 遅いよもう!」
「え・・・。なんで真希いんの?」
確か二時間目の移動教室の時は逃げたはず。
自分が勇気を振り絞って声を掛けたのに。
「なんでって。いっつもいるじゃん」
何言ってんのいちーちゃん? と疑問顔。
「・・・・?」
まったく真希の態度に理解が出来ず、こっちも疑問顔。

しばらくは不思議がってた市井も、別に真希が怒ってないんならいいや、
と思い始めた頃、ふとおかしいことに気づいた。
「真希ぃ・・・」
「ん?」
「あんた、昼ご飯は・・・?」
そう。食いしん坊の真希が、今弁当を食べてないのだ。
「ああ・・・、さ、三時間目終わった後に食べたんだよ!」
「誰と」
「よ、よっし〜と・・・」
市井の頭の中で、ブチッと何かが切れた音がした。

「わりーけどさ、戻るわ」
「え? なんで!」
後藤が慌てる。
「あたしと食べたくないんなら、無理やり来なくていいんだよ。
 そのままよっし〜と一緒にいればよかったんだ。
 んで、ついでにヨリ戻せばよかったんだよ!」
「な、なに言ってんの? いちーちゃん・・・」
「もういいよ。あたしに触られたくないんだろ?
 吉澤にだったら、触られてもいいんだろ?! もう、いいよ・・・」
後藤の言ってることに耳も向けず、一方的に自分の言いたいことを言う。
後藤が「違う!」と言ってるのに、市井はそのまま戻って行ってしまった。

「違うよいちーちゃん・・・。
 触られたくなかったのは、お弁当を食べなかったのは・・・」
69 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月30日(水)07時03分50秒
再開してたんですね。嬉しい!
70 名前:フーテンの寅さん 投稿日:2000年08月31日(木)02時20分22秒
市井よ・・・。
「ヨッスィ〜とヨリを戻せばよかった!」なんて
それを言っちゃ〜おしまいよ。
71 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月31日(木)08時33分28秒
後藤ダイエット中・・・とか?
72 名前:突き飛ばされた理由(ワケ) 投稿日:2000年08月31日(木)14時08分45秒
「きゃははははは!」
前方にミクロ発見。
その隣には、今の市井の怒りのボルテージを上げる人物も。
「いっや〜。・・・ん? あ、市井さん!」
にこにこと、二人がバラのトゲ状態の市井の所まで歩み寄る。

「ん? ちょ、ちょっと待ったよっすぃー!」
矢口が市井の様子がいつもと違う事に気づいたが、時すでに遅かった。
「うわあっ!」
市井の肩に手をかけようとした吉澤。
その手に噛み付いた市井。
まるで、かわいがってた飼い犬に、突然裏切られた。そんな感じだった。
吉澤は、のちにそう語った。

「ちょっとちょっと紗耶香! オイラのよっすぃーに何すんだよ!
 いくら友達だからって、許さないぞ!」
矢口が早口でまくしたてる。
吉澤はそんな矢口の後ろで、「歯型が〜、歯型が〜」と、唸っていた。

「けっ。吉澤の味方なんか、友達じゃねえや。けっ」
矢口を恨めしそうに見る。
そして最後に、
「吉澤なんか、大っ嫌いだぁ〜〜!!」
と叫んで、その場から離れていった。

「・・・なに? 今の人・・・」
「さあ・・・」
まったく、意味がわからない二人。
とりあえず、今のはなかったことにしよう。
そういうことで、落ち着いた。
73 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月31日(木)18時33分21秒
ちょうおもしろいっす〜
ながくつづけてほしいす〜
74 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月31日(木)20時12分37秒
市井めちゃかわいっスね。
へなちょこっぷりがグー。
75 名前:龍岩寺 投稿日:2000年08月31日(木)21時50分17秒
市井かわいいでよ〜。
めっちゃくちゃガキですな。
次の展開が楽しみです。
76 名前:御三家! 作者 投稿日:2000年08月31日(木)23時44分41秒
みなさん、たくさんのレスありがとうございます。
今回は作者の代わりに、いちーちゃんとごまが答えてくれます。
都合上、まいのすけさんから。

>まいのすけさん
ごま「まいのすけさん、それを言っちゃあ・・・・」
いち「ダメ、ダッメ〜」
ごま「オイ!オイ!オイ!オイ!」(青色7風味)

>73
いち「それはあたしらが答えていいものか・・・。ねえ?」
ごま「ん? そりゃあ、続けるに決まってるっしょ!」
いち「って、それじゃあ、あんたが書くんかい!」

>74
いち「ありがとー。かなり嬉しい」
ごま「むー。あたしはー?」
いち「・・・でも、へなちょこって誉めてんの?」

>75
ごま「あはっ。いちーちゃん、餓鬼だって」
いち「違う!『餓鬼』じゃなくて、『ガキ』だ!
   あたしゃ妖怪か!!」
77 名前:Hruso 投稿日:2000年09月01日(金)00時02分45秒
長く続けて欲しいです。
登場人物が多くて、設定もしっかりしてるし
長く続いたらどんどん面白くなっていきそうです。
期待しています。
78 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月01日(金)14時07分08秒
あげ。
79 名前:突き飛ばされた理由(ワケ) 投稿日:2000年09月03日(日)22時28分11秒
「はあ? 紗耶香が後藤にフラれたぁ?」
放課後中澤に呼ばれた飯田。
そこで中澤に、今日の市井のことを聞く。
それを聞いた飯田は、素っ頓狂な声をあげた。
「いや、フラれたかどーかは知らんねんけど、何かそーゆう風に
 ウワサしとったからな。紗耶香のファンクラブの子らが」
なぜファンクラブの子達と分かるのか。
答えはカンタン。
ファンクラブ会員の子達は、市井のことを『王子』と言うから。
だから、会話でファンクラブの子達が喋っていた事が分かったのだ。
「誰? そのウワサしてた子って誰?」
近くにあった職員の椅子に腰かけ、本格的に話を聞く体制にはいる。
その椅子の持ち主、平家みちよ先生は、
飯田に「どけ」とも言えず、一人黙って立っている。
そんな平家に、二人共全然気づかない。
一生懸命討論している。

「わかった。カオリが直接紗耶香に聞く。
 会員の子達の話はアテにならない」
「うん、そーやな。圭織が直接聞いた方がええやろ。
 紗耶香も圭織に弱いしな」
まあね、とにっこり笑ってピースサイン。
そうして二人の会話は終了。
飯田は紗耶香を探しに行く。

飯田が職員室を出るのを確認すると、
平家はやっと椅子に座れると思い、目を椅子に向ける。
しかしそこには、中澤のファンクラブ会長 安倍なつみが座っていた。
「裕ちゃん裕ちゃん! 聞いてよクラスの子がねー」
「おう。クラスの子がどーしたんやー?」
ラブラブモード全開の二人。
もちろん注意など出来るワケがない平家。
この二人の会話は、それから二時間程続いた・・・。
80 名前:御三家! 作者 投稿日:2000年09月03日(日)22時41分33秒
やっと平家さん出せた・・・。
ついでになっちも。
登場人物紹介には載ってるのに、今まで一回も登場しなかった人。

ごま「ちょっと待ってよ。あたしらでてないじゃん」
いち「まあまあ真希。落ち着いて」
すいません。次出します。
って、なんで謝らなきゃいけないんだ。

81 名前:御三家! 作者 投稿日:2000年09月04日(月)00時41分26秒
登場人物紹介の追加。

石川梨華・・・一年生。吉澤のことが好き。
      なぜかこの人のやる事なす事、不幸が多い。
      石川梨華。別名、不幸少女。

平家みちよ・・・モー女の教師。22歳。担当は国語。
       石川とはなぜか気が合う。中澤のいいおもちゃ。

出す予定の人達。
加護亜依 石黒彩 辻希美 T&Cボンバーの誰か。

私事。
マリア様がみてる(文庫)めちゃおもろい。
あれはいいです。       
82 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月04日(月)01時42分52秒
ごめんなさい。

ごめんなさいごま。ごめんなさいいちーちゃん。ごめんなさい作者さん。
・・・これで、許してもらえるでしょうか?(苦笑
83 名前:いちーちゃんとごま 投稿日:2000年09月04日(月)06時00分14秒
>まいのすけさん
ごま「えー? どーしよっかなー」
いち「おいおい。許してやれよ。まいのすけさんも
   謝ってんだから」
ごま「・・・いちーちゃんがそう言うなら」
いち「よし。そーやって、素直にあたしの言うことを聞く
   真希が好きだよ?」
ごま「うん! まいのすけさん、気にしなくていいです!」
作者「気にしなくていいです」
84 名前:サンジ 投稿日:2000年09月05日(火)00時54分17秒
うーん、やっぱ設定が素晴らしい。おもろい。
つうか彩っぺも出てくるんスか?楽しみやなぁ。
85 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月05日(火)23時08分48秒
まじで大好きだ〜、これ。
なっちゅーがもっと見たい。

スレの返事くれるんでしたら、市井と後藤じゃなく
安倍と中澤はだめっすか?
その二人から返事が欲しい・・・。
って図々しいっつーの。見なかったことにして下さい。
86 名前:ちょっと休戦。 投稿日:2000年09月06日(水)23時04分37秒
9月6日。
緊急生徒朝礼で、『あれ』が発表された。
モー女の人気投票募集。
その締め切り日は、一週間後の9月13日。
発表は次の日の14日。
その上位の三位が、御三家となる。

投票は一人一回。
なぜその人が好きなのか理由を書く。
以上。人気投票の決まり事。

さあ、今から投票開始!
あなたの票で、次の御三家が誰になるのかが決まる!?
それでは、よーいスタート!!


作者から一言。
みなさん、どーか投票してやって下さい。
一回やってみたかったんです。
ちなみに自分は、いちーちゃんに一票。
なぜなら作者は、いちーちゃん大好き人間だから。

突き飛ばされた理由(ワケ)は、もう少しで終わります。
おもろくないけど、もうちょっとガマンしてください。
87 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月06日(水)23時35分23秒
石川に一票。
何故か御三家に選ばれてしまった不幸な石川の反応が見てみたい。(笑
88 名前:たか 投稿日:2000年09月06日(水)23時46分44秒
市井ちゃんに一票
だってカッコイイし綺麗だから♪
89 名前:さんちー 投稿日:2000年09月06日(水)23時49分36秒
いちいちゃんに一票!!
やっぱ市井ちゃんがかっこええ。
90 名前:ABBEY ROAD 投稿日:2000年09月06日(水)23時51分14秒
市井ちゃんに一票
男前なところが好きです

突き飛ばされた理由面白いですよ
自分は好きです。
続き期待しています。
91 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月07日(木)00時20分23秒
後藤に一票♪
市井ちゃんとワンツーとかになったらおもしろそうっす。

とっても続きが気になる作品ですね。
92 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月07日(木)00時49分08秒
後藤さんに一票。。。
スイカ好きに悪い人はいないっす。
93 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月07日(木)01時04分36秒
中澤さんに1票。
キレイだし。自分、やぐちゅー派なんだけどね。
94 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月07日(木)01時22分21秒
石川さんに一票。
やっぱりかわいいしね。
御三家に選ばれ不幸少女は御三家に選ばれ幸福少女へ。
95 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月07日(木)01時35分50秒
かっこいいと言ったら市井だね。
96 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月07日(木)01時53分47秒
市井に一票!
ちょっとヘナチョコなところがいいね。
97 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月07日(木)02時19分29秒
石川に一票
不幸少女振りを見て好きになっちゃった(w
98 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月07日(木)02時34分19秒
市井に一票
生き様がかっこいい
99 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月07日(木)03時09分43秒
中澤先生に一票!
やっぱりこの人は御三家に必要でしょう。
100 名前:名無し 投稿日:2000年09月07日(木)04時16分20秒
よっすぃ〜に今のとこ投票がないなぁと思いつつ、
中澤先生に一票!!

そして、最下位は平家先生希望(笑)
101 名前:誠螢 投稿日:2000年09月07日(木)16時13分24秒
よっすぃ〜に一票。
本当は、市井の方が好きなんですけどね。
入ってないし。ということで。
102 名前:Hruso 投稿日:2000年09月07日(木)16時30分04秒
市井ちゃんに当然一票!
103 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月07日(木)17時50分16秒
やっぱり石川でしょう!
御三家になっても不幸なまま。面白過ぎる!
104 名前:I&G 投稿日:2000年09月07日(木)19時32分40秒
もちろん市井ちゃんに一票。
矢口と石川にも入れたいけど、一人を選ぶなら市井しかいないでしょう。
105 名前:ラスカル 投稿日:2000年09月07日(木)21時02分43秒
元ヤンかおりんに一票!!!
自分の中では市井に次いでかなりの男前だと思う!!!
106 名前:ちょっと休戦。 人気投票争い! 投稿日:2000年09月07日(木)22時58分13秒
みなさんありがとです。
この投票は13日までオッケーです。

今んとこ一位は市井か。
二位は・・・石川?
三位は中澤先生?
みんな、そんなに不幸な石川が見たいんですか?
じゃあキャラ人気とかだったら一位かな。

>サンジさん
かお「ありがと。作者も喜んでるわよ。・・・でもねえ、設定は
    ちょっと間違ってるよね。ホントはカオリが紗耶香の彼女なのに〜!」
いち「いや。っていうか、いつの間にあたしの彼女に?」
ごま「いちーちゃんの浮気者!」

>85
ゆう「指定ありがとさん。本編にはあんま出させてもらわれへんから、
   こーゆうとこで出番増やさんとな」
なち「裕ちゃんはまだいいよ! なっちなんか、この前やっと
   出してもらったんだよ?! 扱いがひど過ぎるよまったく・・・」
へーけ「なっちはまだええやん。あたしなんか、セリフもなしやで・・・?」
107 名前:Qoo 投稿日:2000年09月07日(木)23時51分56秒
“ダンディ、市井王子を守る会”
ダンディな市井ちゃんに一票!(笑
108 名前:デラックス 投稿日:2000年09月08日(金)00時19分45秒
私も市井ちゃんに!!!
かっこよすぎー(笑)
109 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月08日(金)01時16分29秒
市井紗耶香に一票〜〜!!

よっすぃ〜も好きなんだけど・・・。
いしよしはあるのかな・・・。
110 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月08日(金)01時35分03秒
よっスィーに!!
そしてさりげなくいしよし希望…。
不幸でもいいっす。
111 名前:ぴかでりー 投稿日:2000年09月08日(金)09時44分29秒
市井ちゃんに一票。
現実の市井ちゃんも好きだけど、ここの市井ちゃんもええのー。
112 名前:突き飛ばされた理由(ワケ) 投稿日:2000年09月08日(金)15時10分13秒
「紗耶香〜」
ウロウロと校舎を彷徨いながら、飯田は市井の名を呼ぶ。
しかし、市井からの返事はない。
いつもなら、飯田の声を聞いただけですっ飛んで来るのに。
やはりもう学校にはいないと思い、回れ右をしたその時。

「あ。よっすぃ〜、あそこにカオリロボがいるぞ。
 絶対に目合わせちゃダメだ。目からビームが飛んで来る」
「目からビーム? 矢口さんはセクシービームですよね」

飯田の耳に、あの二人組の声が聞こえてきた。
矢口と吉澤だ。
(最悪・・・。また人の血圧をあげにきやがった・・・)
頭を抱えてうずくまる。
それを見て矢口が飯田に近寄った。
「んん? カオリセンパイ? 電池切れですか?」
「なんで電池切れなのよ!」
ベシ!と、頭にかおりチョップ。
どーせ殴られるのを分かっているのに、なぜ懲りずにそんなことを言うのだろうか。
飯田は頭を悩ませる。

「おおっと。あんたらの相手してるヒマなかった。
 カオリ紗耶香探してんだけど、見なかった?」
我に返り、自分が何をしようとしていたか思い出す。
「え〜? さやかなら、もうとっくに帰りましたよ?
 今にも死にそうな顔で」
同じクラスの矢口が答える。
「死にそうな顔?・・・やっぱ、会員の子達が言ってたことはホントなのかな・・・」
う〜ん、とアゴに手をあて、考えるポーズ。
「なに? なんのハナシっすか?」
目を輝せて、矢口は飯田にお願いの眼差し。
「紗耶香が、後藤にフラれたって話」

              ********

そんな噂が流れているとは知らない市井はというと。

「くっそ〜。吉澤のやつ〜。吉澤はあいつが好きじゃなかったのかよ〜。
 前市井にそう言ったくせに〜。くっそ〜」
学校近くにある、喫茶・鼻ピ・で、ヤケジュース(?)を飲んでいた。
「彩っぺ! おかわり!」
カウンター前にいる、鼻ピのお姉さんにグラスを突きつける。
鼻ピのお姉さん=この店の主人、石黒彩22歳。
とっても気さくな人で、モー女の生徒達がよく出入りしているお店でもある。
「はいはい。でも、もうコーラなくなっちゃったから、ココアでいい?」
「ぐはっ。それだけはやめてぇ・・・」
113 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月08日(金)19時28分00秒
喫茶店鼻ピ最高ー!
114 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月09日(土)01時56分51秒
当然市井ちゃんに一票。
115 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月09日(土)02時10分01秒
中澤先生に一票。
ぐでんぐでんに女ったらしの中澤先生希望(爆)
なっちとの絡み、もっと見たい〜。
116 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月09日(土)03時03分37秒
中澤せんせーに1票!
なっちだけじゃなくって矢口とかにも手ぇだして
ほしいなあ。やっぱ中澤せんせーは遊び人でしょう。
117 名前:突き飛ばされた理由(ワケ) 投稿日:2000年09月09日(土)10時47分09秒
そんな風に二人が喋っていると、入り口のドアが開いた。
後藤だった。

「あ・・・」
二人共見つめあったまま、動かない。
石黒は二人のことを市井から聞いていたので、その場を離れることにした。

「い、いちーちゃ〜ん。今日はあたしと帰る日だったのに、
 こんなとこいたんだ〜。あたし、ずっと待ってたんだよ〜?
 電話くらいしてくれればいいのに〜」
ムリに笑顔を作って、一生懸命取り繕う。

「・・・うっさいなぁ」

でも市井の口から出てきた言葉は、「ごめん」とかではなかった。
付き合って初めて、後藤に対して言った言葉だった。
「もういいよ。もういいから。
 ムリに笑顔作らなくていいよ。ムリにあたしに付き合わなくていいよ」
テーブルの上にお金を置き、後藤の横を通り過ぎようとする・・・が、
後ろから後藤に抱きしめられ、市井は立ち止まった。
「やだぁ・・・行っちゃやだぁ・・・」
腰にまわした手に力を込める。
市井が、どこかに行かないように。
「は、は、は、離せよ!」
市井は顔を真っ赤にして、腰にまわした手を引き剥がしにかかる。
不意打ちには弱い、小心者のいちーちゃん。
「やだ。絶対やだ」
そこは後藤も譲らないらしい。
必死で市井にしがみつく。
そんなやりとりが、20分ほど続いた。

              **********

一方。
職員室でずっと喋っていた中澤と安倍はというと。

「にしてもさ〜裕ちゃん」
安倍の家まで車で送っている途中、
安倍は助手席で足をブラブラさせながら中澤に聞いた。
車内には、サザンの歌がかかっている。
「なんや〜? なっち」
顔は前を向いて、返事を返す。
「・・・サザンのいとしのエリー替え歌して、
 いとしのなっちにするのやめてくれない? かなり恥ずかしいよ」
「エリー」と言っている所を、器用に自分の声を録音して
「なっち」に吹き替えている。
「え〜? 別にいいやんそんなん。裕ちゃんのオリジナル曲や」
「オ、オリジナルって・・・」
あきれる安倍。
でも、そんな中澤にはもう慣れた。今は、それが愛しさに変わる。
イミのわからないこと言う中澤がかわいくてかわいくて仕方がない。
そんなかわいい中澤に、軽くホッペにキスしてやった。


険悪ムード全開のいちごまとは正反対に、ラブラブモードななっちゅーでした。
118 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月09日(土)16時14分37秒
頑張れ後藤!
119 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月10日(日)00時18分26秒
市井ちゃんに一票!!
かっこよすぎ、だ〜か〜ら〜!!(謎)
120 名前:誠螢 投稿日:2000年09月10日(日)00時44分15秒
市井は、よっすいーの好きな人を知ってるのか?
『あいつ』って誰なんだろう。
・・・気になります。
121 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月10日(日)00時51分13秒
無茶苦茶聞きたい、その「愛しのなっち」(笑)
なんてなんて人なんだ、中澤先生!!
愛の為なら、そんな労力は惜しまないんですねぇ。
122 名前:突き飛ばされた理由(ワケ) 投稿日:2000年09月10日(日)01時29分14秒
話は市井と後藤に戻る。

「・・・も、もういーかげん離してよ・・・。
 そろそろ腰のゲンカイだ・・・」
血の気を失った顔で、後藤に訴える市井。
バカ力の後藤に、20分も抱き着かれてたら、いくら
市井でも体がもたない。
「・・・やだ。絶対離さない・・・」
そんな市井の訴えも聞かず、後藤はより力を強める。
「わ、わかった! 絶対に帰ったりしないから!
 真希のハナシ、ちゃんと聞くから!」
このままでは命が危ないと思い、必死で後藤を説得する。
「・・・・・・」
ゆっくりと、腰にまわした手を緩める。
後藤も、それに納得してくれたようだ。


舞台は市井の家へと移る。

「はい。砂糖たっぷりのコーヒーとおかし」
後藤の好みの味と食べ物。トレイに運んで持ってくる。
しかし、いつもはすぐ食いつくハズの後藤が、なぜか今日は手もつけようともしない。
「・・・あたしがいれたコーヒーはもう飲みたくない?」
寂しそうに呟く市井に、慌てて首を振る後藤。
「違う違う!・・・そーじゃなくって・・・」
「そーじゃなくって・・・なんだよ」
その後の言葉が聞きたい。
「そーじゃなくって・・・ただ」
「ただ?」

「太っちゃうから、嫌なだけなの〜!!」
「はあ??」
123 名前:突き飛ばされた理由(ワケ) 投稿日:2000年09月10日(日)02時07分13秒
突然の真希の予想もしなかった言葉に、市井は目を丸くする。
「いちーちゃん、前あたしが好きな人のタイプ聞いたら、
 『細い人』って言ったじゃん。前はそんな別に気にしなかったけど、
 最近ちょっとやばくなってきて・・・。
 いちーちゃんにお腹とか見られたら、嫌われるかも・・・って思って。
 頑張って昼ご飯も食べないでさ・・・。なのにっ、なのになんかいちーちゃん
 怒っちゃってっ・・・っ・・・」
「まき・・・」
「よっ、よっしーとヨリ戻せとかっ・・・、あたしは、あたしはいちーちゃんが――」
後藤の言葉は、途中で終わってしまった。
市井が、突然後藤を抱きしめたからだ。
「わかった。わかったから。
 ほんとごめん。あたしって、ほんとバカだ。真希にこんな思いさせちゃって」
「いちーちゃん・・・」
おずおずと、後藤も市井の背中に手をまわす。
今度は、あんまり力を入れずに。

「・・・じゃあ、あたしのこと嫌いになったワケじゃないんだね?」
後藤が泣き止んだのを見て、市井が声を掛ける。
「うん。それは絶対ない。・・・でも」
「でも、何?」
後藤の少し濡れた唇を、親指で撫でながら市井が問う。
「あたし、まだ痩せてない・・・」
真剣に、真っ直ぐ市井を見詰めて、後藤はそう答えた。
瞬間、市井の口から笑いが漏れる。
「な、なんで笑うのー!」
「いや、ごめんごめん。かわいいなーって思って」
「なっ!」
後藤の顔が赤くなる。
「別にね、タイプなんてどーでもいいんだ。
 ようは、真希がいてくれたらそれで。それだけでいいんだ」
「・・・ほんと? 今のあたしもちゃんと好き?」
「好きだよ・・・これからもずっと」
唇から親指を離す。
「あたしもいちーちゃんが好きだよ」
徐々に、二人の顔が近づいていく。
「仲直りしようか・・・」
「うん。仲直り・・・」
二人の唇が重なった。

             **********

次の日の朝。
仲良く登校した二人を待っていたのは、新聞部のレポーター達だった。
「市井さん市井さん! 後藤さんと別れたのは本当ですか?!」
「昨日、市井さんの同じクラスの矢口さんが言ってたんですけど!」
「なんで別れたはずなのに、手を繋いで一緒に登校しているんですか?!」

それから一週間ほど、その質問攻撃は続いた。
相変わらず、御三家関係者は大変だ。
124 名前:御三家! 作者 投稿日:2000年09月10日(日)02時21分30秒
一応、突き飛ばされた理由(ワケ)これにて終了。
長い。終わり方が変。
色々と不満勃発です。

>まいのすけさん
なんか、後藤あんま目立たなかった気が・・・(汗

>119
そうです。市井くんはかっこいいのです。

>誠螢
よっすぃ〜の本命、みんな気になるんですね。
相手役として一番多いのは石川か。
ちなみに自分、よしいし大好きです。
でも、相手が石川とは言ってませんよ?(どないやねん!)

>たれきりんさん
ゆう「なっち〜 マイラ〜ブ ソースィ〜」
なち「やめて! マジで恥ずかしいから!」
・・・こんなカンジでしょうか?
125 名前:Hruso 投稿日:2000年09月10日(日)03時16分54秒
ちょっと険悪モードになってから、
最後は甘々モードに。
このギャップがたまらないです。
126 名前:中等部一の問題児 投稿日:2000年09月10日(日)09時37分03秒
「うけけけけ。行くでーのんちゃん」
「や、やっぱやめようよー。絶対怒るって」
「いいからいいから」

向こうから平家が歩いてくる。
それを二人で確かめて、持っていた糸を二手に別れてピンと張る。
そして・・・

「うわっ!」

作戦成功。平家はその糸にひっかかって、前に転んでしまった。
「った〜! 誰やねんこんなことした奴は〜〜!」
そう叫んだ平家の前に、一人の少女が姿をみせた。

「まいどっ! 中等部一年、加護亜依でっす!」

そう。この加護こそが、中等部一の問題児なのだ。

              **********

「ほら、のんちゃん今や。突入すんで」
高等部と中等部の境目の渡り廊下。問題児とその子分(?)はいた。
「や、やっぱさ、絶対バレるって! やめようよー」
「何言うてんねん。飯田さんに逢いたくないんか?」
「そ、それは・・・」
「よし! 今は誰もおらん! 行くで!」


人が少ない廊下を通って、二人は目的の場所に行く。
ただいま昼休みなので、見つからない様に気をつける。
「飯田さんドコおんねん。それに師匠も見つからんしやな」
「師匠?」
「後藤さんのことや」
「ああ」
そういう風に二人が喋っていると、後ろから誰かに声を掛けられた。
「中等部の生徒が、こんなとこで何やってんの?」
127 名前:中等部一の問題児 投稿日:2000年09月10日(日)10時34分23秒
慌てて二人が振り向く。そこには・・・

「わー! ガメラや、ガメラがおるー!」
「わ、わ、いーださーん!」

放送委員、保田圭がいた。
「あ、あんたらね〜」
中学生ということで、多少保田もガマン。
「あっ、なんや人間やったんか。ビックリした〜」
「ビックリした〜」
「普通わかるでしょ・・・」

「で? なんで中等部の子がここにいるの?」
冷静を取り戻し、さっき聞いた質問をもう一回する。
「いや〜、ちょっと会いたい人がいまして・・・」
「会いたい人?」
「そーです! あの、飯田さん知りませんか?」
上目使いで、保田に尋ねる。
それは計算なのか、そーでないのか。
「カオリ? カオリは多分、ファンクラブの会議室にいると思うけど?」
「あ、じゃあ師匠は?」
「師匠?」
「後藤さんのことや! そんなんも分からんのかいな。おくれてるな」
「くっ・・・」
右手をグッと抑える。
ダメだ。相手はガキだ。自分でそう言い聞かして。
「後藤さんなら、中庭かどっかにいるんじゃない?」
ムリに笑顔を作って言う。またそれがブサイクだ。(圭ちゃんファンの人ゴメンなさい)
「ふーん。ありがと。んじゃのんちゃん行こか・・・ってあれ?」
そこに姿はなかった。
「・・・まっいいか。ウチも師匠んとこ行こ。じゃーねー」
そう言うだけ言って、加護は去って行った。
「・・・あたし、一体何がしたかったの・・・?」
一人、保田だけを残して。

              **********

ガラッ。
「飯田さん!」
会議室のドアを開けてすぐ、憧れの人の名を呼ぶ。
「辻ぃ、どーしたの?」
いつもの恐い、でも少し優しめな顔で、辻を見る。
「てへへ・・・。逢いにきちゃいました」
ててて、という表現が良く似合う歩き方で、飯田に近づく。
その近づいて来た辻の頭を、飯田は優しく撫でてやった。
嬉しそうに目を細める辻。
「ご飯食べてきたの?」
「あ、まだなんです。だから、飯田さんといっしょに食べようと思って・・・」
と言った辻の手には、小さなお弁当箱が握られていた。
「じゃあ、食べよう」
「は、はいっ!」
128 名前:中等部一の問題児 投稿日:2000年09月10日(日)10時52分51秒
            **********

問題児加護は、中庭のほうに向かっていた。

「ん〜っと・・・師匠師匠っと・・・」
キョロキョロ辺りを見回して、師匠後藤真希を探す。
「お、おった。市井さんもおるやん。しっしょー!」
人目も気にせず、大きな声で叫ぶ。その声で、二人も気づいたようだ。

「やー、加護ちゃんに会うの久しぶりだねー」
市井は、これぞ幸い!とばかりに、しきりに加護に話し掛ける。
ご飯を口に運ばせないために。
「ちょっといちーちゃん」
後藤がそう言うが、
「いや、今加護ちゃんと喋っているからさ」
市井は上手くごまかした。
しかし、そこで事件は起こった。

「ウチも、師匠の作ったご飯食べたいな〜」

加護が、そんなことを言い出したのだ。
「あ、いいよ〜。何がいい?」
「その卵焼きがいい〜」
「だ、だめ! 加護ちゃ・・・」
市井も必死で止めたが、・・・遅かった。
もう口にいれたあと。

「ぐえ。なにこれ、めっちゃマズイ・・・」

(遅かった・・・)
市井がずっと心にしまっていた言葉を加護はあっさり言ってのける。
その言った当の本人はというと、文句を言うだけ言って帰って行ってしまった。
残された市井の前には、放心状態の後藤が。
さあどーやってなだめよう・・・、市井は頭を悩ませる。


問題児加護とその子分辻、二人のハチャメチャ日記はまだ続く。
犠牲者だけを増やして・・・。
129 名前:御三家! 作者 投稿日:2000年09月10日(日)11時10分10秒
登場人物追加。

加護亜依…中一。今世紀最大の問題児。
     辻と同じクラスで、大体いつも一緒に行動している。
     隣に住んでる後藤真希のことを、「師匠」と呼んで慕っている。

辻希美…中一。非常に甘えっ子。加護とは正反対の性格。
    人なつっこくてかわいいので、年上の人に人気が高い。(特に中澤)
    でも本人は、なぜか飯田一筋。

石黒彩…モー女の学校近くにある喫茶・鼻ピ・のオーナー。
    よくみんなの悩みを聞いてあげたり、相談に乗ってくれたりするいい人。
    実は結婚しているらしいとの噂も。

保田圭…三年生。放送委員。
    あんなことがあってから、一度も放送をさせてもらえない可哀想な人。
    矢口を見ると、今でもその事を思い出す。

>Hrusoさん
ありがとうございます。
でももうしばらくは、甘いもの書きません。
選挙編にはいるんで。(人気投票の)
130 名前:サンジ 投稿日:2000年09月10日(日)14時48分55秒
師匠て・・・(w
加護いいっすねぇ。辻もかわいいし。
131 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月10日(日)15時08分35秒
とうとう辻ちゃんとかごちゃん登場ですね。保田ガメラ・・・かわいそうに・・・。
ひそかにかおのの、よしいし希望です。
132 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月10日(日)15時13分40秒
辻可愛いなぁ。
最近よっすぃ〜が出てこない上に御三家落ち
しそうで心配・・・。
頑張れ!吉澤くん!!
133 名前:あいぼんとのの 投稿日:2000年09月10日(日)15時29分58秒
>サンジはん
あい「ありがとー。じゃあ、人気投票はウチにいれてなー」
のの「え? 中学生は対象外のはずだよ?
   人気投票に参加出来るのは、高等部の人だけだよ」
あい「うっさいなー。そんなんカンケーあらへん。
   ようはハートや。ハートが大事なんや」
のの「・・・ハートでどーにかなるってわけでもないのに・・・」

人気投票、まだまだ受付中!!
でも石黒と加護と辻は対象外。(別に一票いれてもいいですが)
このままいくと、御三家のメンツが変わる・・・。
134 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月10日(日)15時39分30秒
>不幸少女を守り隊会長さん
いし「あ、ありがとうございます!」
ゴンッ。
深くお辞儀しすぎて、傍にあった机にぶつかった音。
いし「いつつ・・・。
   そ、それにしても、私にもファンクラブが出来てほんとうれしいです!
   ありがとうございました!」
ゴンッ。
さっきと同じ事の繰り返し。相変わらず不幸である。

>まいのすけさん
よし「がんばるっす!だってそうっす!負けられないっす!」
やぐ「オイラもがんばるゾ!」
135 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月10日(日)17時22分25秒
かわいそうな保田・・・
校内放送はだめでも、朝礼での人気投票結果発表でマイクを掴ませてあげられないでしょうか
投票は中澤先生に1票
136 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月10日(日)17時23分44秒
話し先読みで体育科信田先生に1票!
137 名前:サンジ 投稿日:2000年09月10日(日)19時13分31秒
加護には悪いけどよっすぃーに1票です。
ってかやぐよし好きなんで。
138 名前:誠螢 投稿日:2000年09月10日(日)22時35分48秒
辻かわいいっすぅ〜。
加護も正直だ。すごく笑えました。
市井ちゃん頑張れ!!
139 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月11日(月)00時04分31秒
この加護かわいい〜〜〜!!!
なんかチビデビルって感じだなぁ。
140 名前:Hruso 投稿日:2000年09月11日(月)00時07分05秒
>126
の加護ちゃんの「うけけけけ」っていう台詞が最高。
それと校内放送の復活はないんですか?
新御三家になってからでも。
141 名前:Endorphin 投稿日:2000年09月11日(月)00時14分06秒
不幸な平家先生に1票。みっちゃん頑張れ!!
みっちゃんにもファンクラブ出来ないかな〜。
142 名前:さんちー 投稿日:2000年09月11日(月)00時27分15秒
>140
同感!!「うけけけけ」ってなんかうひゃひゃって感じっす。
訳わからんね...。
143 名前:いらー 投稿日:2000年09月11日(月)04時53分21秒
校内放送以来、出てこなかったので保田にいれようと
思ってたけど出てきたので、市井ちゃんに一票。
144 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月11日(月)05時01分00秒
辻かわい〜〜
でも石川に一票
145 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月11日(月)06時33分26秒
>135 いらーさん
やす「ちょっとあんた達。そんなこと言うんなら
   あたしに一票いれなさいよ!あたしも対象にはいってるのよ!?」

>136
そ、それは出せってことですか・・・? が、がんばります。

>サンジさん
よし「ありがとーございます!でも、私たぶん御三家落ちだぁ〜!」

>誠螢さん
いち「ほんと、毎日が大変ですよ・・・。
   一応この話の主人公のはずなのに・・・。頑張ります」

>ムーミンはん
あい「デビルちゃうわ!エンジェルじゃ!言葉気ぃつけろよ!」
のの「・・・その前に、自分の言葉使い直しなよ・・・」

>Hrusoはん さんちーはん
あい「そんなウケたか?じゃあサービスや。うけけけけ!うけけけけ!うけけ・・・」
のの「・・・もう、ついていくのがイヤになったよ・・・」

>Endorphinさん
へーけ「ううっ。ありがとー、涙が出てくるわ。
    そんな優しい言葉掛けてくれた人何年ぶりや・・・」

>144
のの「飯田さんにいれるならいいとして・・・。
   石川って誰ですか? そんな人に負けるなんて・・・」
146 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月11日(月)18時33分19秒
>134
すみません。不幸から救えませんでした・・・。しかし安心して下さい。あの机は燃やしておきましたから!!
投票するの忘れてました。とゆうことで、石川 梨華に1票!
147 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月12日(火)02時01分52秒
>145
わ〜い!!あいぼんに怒られたーー!!
毒舌あいぼんばんざ〜い。

そういえば、まだ投票していなかったので平家に1票。
中澤・飯田・安部に続きチビッコ二人にまで
バカにされるとは・・・おいしすぎるじょ。
148 名前:115 投稿日:2000年09月12日(火)03時07分16秒
中澤先生となっちの絡み書いてくれてありがとうございます。
やっぱこの二人はいい!
もいっちょリクエスト。
ののに甘々な中澤先生が見たい。
それでなっちに怒られたりして。
149 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月12日(火)17時10分43秒
「ほら! その台は向こうでしょ! さっさと運ぶ!」
体育館に、信田先生の声が響く。
明後日の人気投票のセットのため、大忙しだ。
舞台、垂れ幕、表彰台。
文化祭より金をかけてるんじゃないかと、ついつい疑ってしまうほど。

「おう美帆ちゃん達。がんばっとるかー?」
そんな忙しい体育館の中に、御三家候補の中澤がやって来た。
中澤の右手には、なぜか辻が。
「・・・ちょっと、中澤先生も手伝ってくださいよ。遊んでないで」
汗を拭きながら、恨めしそうに中澤を見る。
「いややわ〜。御三家の一人がセット作るなんて、聞いたことないわ。
 それより、ここに置いてあるジュース飲んでいい?」
「え?」
信田の返事も待たず、机の上に置いてあったジュースを飲み干す中澤。
そして。
「あ〜おいしかった! ほんじゃ辻、ここには圭織おらんみたいやから
 他んとこ回ろか。ウチもなっち探してるし」
「はいっ!」
ててて、と中澤の後ろについて行く。
中澤と一緒に、愛しの飯田さんを探しに行く為に。

150 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月12日(火)17時48分35秒
>不幸少女を守り隊会長さん
いし「本当にありがとうございます! 石川カンゲキです!」

>ムーミンはん
あい「あんた・・・。そんなに喜んでるんやったら、ウチにいれろや! 
   別にいれてもいいって作者の人言うとったやんけ!
   平家より、ウチの魅力に気づけ!!」

>115さん
いいですよね〜この二人。
やっぱ中澤の相手は、なっちがいいですよね。
矢口よりなっち! これは譲れません(笑)
いや、うちの矢口は市井ちゃん一筋なんで・・・。
やぐちゅーより、さやまり派なわたし・・・。
151 名前:149の続き。 投稿日:2000年09月12日(火)23時41分32秒
そうして二人が去った後、汗をかいた平家が戻って来た。
しかし、戻って来て何かオカシイ事に気づく。
そう。
机の上に置いてあった平家のジュースがないのだ。
あったのは、ただの紙コップだけ。
どこまで自分は不幸なんだろう・・・、心底親に訴えたい気持ちになった。


ひとまず終わり。
前のやつ、変なところで切ってしまった。
短い小話です。信田先生と平家先生を出したかっただけ。

もうすぐで、人気投票結果発表。
御三家、大幅改革しそうな予感・・・。
さあ、どーなることやら。
152 名前:Hruso 投稿日:2000年09月13日(水)00時37分20秒
確か投票は今日までなんですよね。
このままいくと御三家が変わる・・・。ファンクラブはどうなっちゃうの?
そう言えば、この小説に出てくる他の娘。の票はどうなるんですか?
作者さんが決めて入れてくれるんでしょうか?
153 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)01時37分24秒
今日でおわりなのか。市井が抜けないように一票いれとこう。
154 名前:名無し 投稿日:2000年09月13日(水)02時29分56秒
今のとこ、誰がどんくらい票とってるんだろう?
今回の「へそ」の功労として吉澤さんに一票!
155 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)03時40分01秒
市井かっこよすぎ市井に一票
156 名前:149の続き。 投稿日:2000年09月13日(水)05時54分11秒
>Hrusoさん
へい。そうです。わしがいれます。
例えば飯田は市井、安倍は中澤、矢口は吉澤とか。
石川も吉澤に投票するし。でも、御三家落ちは確定だな<よっすぃ〜

>153
いや。市井ちゃんは絶対抜けないと思いますよ?

>名無しさん
「へそ」かぁ・・・。見たいなぁ・・・、
大阪に住んでるので見れない(涙)

>155
ごま「えへへ〜。よかったね、いちーちゃん」
いち「え? あ、うん。どうもっす」
ごま「にしても、やっぱいちーちゃんって人気あるなぁ」
157 名前:156の名前のところ 投稿日:2000年09月13日(水)05時55分51秒
あれは間違いです。
続きじゃありません。消すの忘れてましたごめんなさい。
158 名前:誠螢 投稿日:2000年09月13日(水)14時58分45秒
てゆーか、みっちゃんかわいそう〜。
がんばれみっちゃん。
159 名前:Yambo 投稿日:2000年09月13日(水)21時35分36秒
市井ちゃんに一票!!
160 名前:麻婆 投稿日:2000年09月14日(木)00時45分36秒
市井ぃぃちゃんに、清い(さやい…サムイ造語だ…)一票!!!
161 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月14日(木)02時21分10秒
2代目(?)御三家はいったい誰の手に!?
まぁ、1位は市井に確定っしょ!!
162 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月14日(木)23時35分55秒
午前八時半。
体育館で、『あれ』が発表された。
そう。人気投票の結果である。

              **********

「…もうやだ…」
そう呟いたのは、人気投票の一位。
いつもの定位置を獲得。市井紗耶香だ。

「うわ、くっそ! またかいな。またアイツに負けた!」
そう悔しがっているのは、人気投票の二位。
いつもの定位置を獲得。中澤裕子である。

「え、うそ……」
人に踏まれながら、人に押されながら見た、人気投票の第三位。
そこには、自分が思っていた人の名前が書いてなかった。
そこに書いてたのは、石川梨華。
そう。自分だったのだ。


2000年、第三回目の人気投票。
御三家に変化があった。
さて、これからの御三家、どーなるんでしょうか?
四位に落ちた吉澤くんも、どーなるんでしょうか?

作者も、わかりません。
163 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)01時03分26秒
よ・・よっすぃ〜がぁ・・・・
164 名前:サンジ 投稿日:2000年09月15日(金)02時16分00秒
吉澤くんが・・・・。
165 名前:誠螢 投稿日:2000年09月15日(金)03時34分01秒
てゆーか、石川・・・。
166 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月15日(金)09時13分05秒
やった!!3位だぁ!!よっすぃ〜ごめん・・・。
167 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)09時21分54秒
ビバ石川!!
168 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)14時37分36秒
石川、御三家入りですか。
モーニング女学園の誰が入れたんだろう?
FCはできるのか?会長は誰なんだ?
今後が楽しみです。
いずれにしても、これを機に石川が更なる不幸に見まわれる気が…
169 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)16時40分43秒
>163 サンジさん
ほんとに……どーしよう。
矢口に殺される…。

>会長さん 167さん
いし「私……複雑です…。でもそれ以上に作者さんが……」

>168
市井…飯田  中澤…安倍  吉澤…矢口

後藤…市井  平家…中澤(安倍に脅され)  信田…中澤(安倍に脅され)

保田…市井(実は、隠れファンだったりする)  と、プラスみんなの投票。

中学生二人と鼻ピは投票できない。高等部限定なので。


ファンクラブ会長は…166さん。あなたやりません?(わら
だっていないんだもんよ〜。
170 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)16時57分00秒
なっちって一体・・・。脅すって・・・。

会長かぁ。平家さんは?不幸二人組みで。(ワラ
171 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)17時03分27秒
なんか、鼻ピって書いてあるとわらえる。

今後の展開が楽しみ〜♪
172 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月15日(金)17時45分10秒
>169
ぜひやりたいです!!(笑)
よっすぃ〜がまりっぺに入れてたなんて・・・。よっすぃ〜の好きな人はまりっぺなのか!?
作者さん梨華ちゃんは幸せになれるのでしょうか・・・。圭ちゃんは隠れファンだったんですね。
なっちは脅してたのか・・・。ココ娘。はでないのかな−アヤカちゃんを英語教師として・・・。
173 名前:吉澤くん、グレる! の巻。 投稿日:2000年09月15日(金)23時27分02秒
「てえへんだ、てえへんだ〜〜!!」
二年の市井の教室に、ミクロマン参上。
なぜか息を切らして、ひどく動揺している。
「どしたの。矢口」
朝ご飯なのか、あんぱんを口にくわえながら矢口に尋ねる市井。
「ノンキにあんぱんなんか食ってる場合じゃない!
 よっすぃ〜が、よっすぃ〜がグレたんだ〜〜!!」
「…………………はあ?」

             **********

「おはよ〜ごっちん」
クラスメートの子と朝の挨拶。笑顔で交わす後藤。
その後藤の右手には、携帯電話。
「へへへ。いちーちゃんに『学校着いたよ』メール送信!」
それだけの為にメールするのか後藤。隣にいた子もあきれている。

「え、ちょ、ちょっと……」

そんな後藤の後ろで、ざわめきがする。
何だろう…、そう思って振り向いてみるとそこには。

「おうごっちん。おっは〜」

髪を金髪にして、髪をたたせて、ガムをクチャクチャ噛んでる吉澤がいた。
「よ、よっすぃ〜……? ど、どしたの……?」
動揺を隠すこともできず、吉澤に尋ねる。
でも返ってきた答えは。

「見ての通り、グレたんだよ」

矢口の言っていた通りだった。
174 名前:ごさんけ 投稿日:2000年09月15日(金)23時47分13秒
>170さん
なち「裕ちゃんが市井……じゃなかった、一位になる為には
   脅しも必要なんですよ。会長はタイヘンなんです」

>171さん
あや「なんで鼻ピって書いてあると笑えるの?………まっいいか」
ゆう「じゃあ聞くなや!」

>会長さん
やってくだせえ(わら
よっすぃ〜が矢口にいれたのは、一番無難だからです。
それに、市井も飯田さんにいれてるし、中澤も安倍に。
アヤカですか……。
これ以上登場人物増やすとちょっと……。
考えてみます。
175 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)00時50分37秒
意外な展開(笑
まさかよっすぃーがぐれちゃうとは・・矢口なんか大変そうっす。
石川さんの御三家入りも驚いたけど、こっちはもっと驚いた。
これからどうなっていくんでしょうか?
176 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月16日(土)02時12分28秒
よっすぃ〜ご立腹!!
続きが気になるよーーーっっ!!
177 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月16日(土)14時54分51秒
では会長務めさせていただきます(笑)
よっすぃ〜の金髪・・・。見てみたいです。もしかして梨華ちゃんはよっすぃ〜に恨まれてる!?
これからどうなるのか期待です。頑張って下さい!!
178 名前:誠螢 投稿日:2000年09月16日(土)15時13分32秒
そんなにショックだったのか・・・よっすぃー。
石川は、どう出るのかな。
179 名前:吉澤くん、ごまちゃんとケンカをする!の巻。 投稿日:2000年09月17日(日)00時34分50秒
「ほらほらあれー」
「ええ?! うっそ。あれ吉澤さんなのー?」
「ちょっと。聞こえるって」

吉澤のクラスに、すごい人だかりができている。
グレてしまったよっすぃ〜を、一目見ようとみんなが押し寄せているのだ。

「ねー。だからどーして髪いじったのって聞いてんじゃん」
前の席の人の椅子に座り、後藤は吉澤に聞いてみる。
グレてしまったワケを。
「うっさいな。ごっちんにはカンケーない」
「ムッ。何よその言い方」
険悪なムードが漂う。普段滅多にケンカなんかしない二人だが、
一度ケンカしてしまうと、誰にも止められなくなってしまう。
クラスメート達は、一回それを見たことがあるので、必死に二人をなだめる。
………が、少し遅かったようだ。

「何よ! 昔から何かあったら『ごっちんにはカンケーない』って言ってさ!
 カンケーなくなんかないよ! カンケーあるから聞いてんじゃん!」
「幼馴染なだけだろ?! カンケーないよ!」
「ある!」
「ない!」

二人共ムキになって、その言葉を繰り返す。子供のケンカ。

「よっすぃ〜がいつもそーやって突き放すような事言うから、
 あたしは別れたんだよ! あの時から自分、全然成長してないじゃん!
 そんなんじゃ、よっすぃ〜の好きな人もかわいそうだね」
「っ! べ、別に今は好きな人のことはカンケーないだろ?!」
「あるよ!」
「ないよ!」

やっと違う事を言ったと思ったら、また元の言い合いに巻き戻り。
しかし、そんな言い合いにも、とうとう終わりが来たようだ。

「吉澤〜。ちょっと職員室行こか〜」

御三家の一人、教師である中澤の声で。
180 名前:ごさんけ! 投稿日:2000年09月17日(日)00時55分32秒
>たれきりんさん
マジどーなっていくんでしょう…。
作者もタイヘンだけど、矢口もタイヘンだよね。
やぐ「よっすぃ〜……(涙)」

>ムーミンさん
そーいってくださると……。
書いてる甲斐があるってもんです!

>会長さん
一つ問題があるんです。
……どーやって、ファンクラブ会長します?
設定に追加させましょうか?

不幸少女を守る会会長…年齢不詳。名前不明。
           影ながら、不幸少女の行く末を見守っている。

こんなカンジで(わら
石川ファンのみんな! 会長さんに言って、会員にいれてもらおう!(わら
もちろん他のファンクラブも会員募集中。
かお「紗耶香のこと王子と言っていいのは会員だけ!」
なち「裕ちゃんのキスマーク写真が手に入るのは会員だけ!」
やぐ「よっすぃ〜手作り(?)のゆでたまごが食べれるのは会員だけ!」
会長さんたち、宣伝中。

>誠螢さん
よし「ショック〜? ん、んなワケないじゃん。な、なにを言ってるんだか」
ごま「…よっすぃ〜、言葉どもってるよ?」
181 名前:I&G 投稿日:2000年09月17日(日)01時04分12秒
是非、自分を紗耶香のファンクラブの会員に!!
紗耶香王子様〜〜〜。(笑)
182 名前:Hruso 投稿日:2000年09月17日(日)01時19分41秒
自分も王子のファンクラブに。
「王子」って呼びたいです。
183 名前:サンジ 投稿日:2000年09月17日(日)01時34分53秒
やっぱ入るんやったら
よっすぃーかな。入れてくれい。
184 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月17日(日)02時09分09秒
自分、裕ちゃん押しなんで、中澤センセのファンクラブに入りたい
んだけど、矢口と一緒になって騒いでたい気もする。
中澤センセの会長が矢口だったら楽に決めれたのに〜(笑

というわけで・・・中澤センセファンクラブ入会希望♪
185 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月17日(日)08時36分33秒
>180
ありがとうございます!!感激っす。これからも影ながら見守らせてもらいます。
各会長さん達が宣伝してるんで自分も宣伝させてもらいます。
会長「梨華ちゃんの私の不幸の一言日記がみれるのは会員だけ!」
みなさんはいってくださいね〜。
186 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月17日(日)16時15分19秒
市井が大人気なので。
ココはよっすぃ〜を応援してくです。自分は。(ワラ
グレてても好きだ!よっすぃ〜!
187 名前:ごさんけ! 投稿日:2000年09月17日(日)16時37分26秒
>I&Gさんと、Hrusoさん
かお「はい。入会ありがとねー。言っとくけど、会員番号11は譲らないからね!」
ごま「ちなみにあたしは510です」
いち「っていうか、真希あんた入ってたの?!」

>サンジさんの野郎と、まいのすけさんの野郎
よし「今さらそんなこと言ったって遅いんだよ! ケッ!」
やぐ「よ、よっすぃ……(涙)」

>たれきりんさん
ゆう「あんがとさん。裕ちゃんめっちゃうれしいわ〜」
やぐ「オイラは嬉しくない! よっすぃ〜のファンクラブに入ってくれよ〜」
ゆう「よしよし。裕ちゃんが慰めたるから」
やぐ「やめろ〜。ここはなっちゅー派だ〜」

>会長さん
いし「私からも宣伝。みなさん! はいってください!
   にしても、最近出番ないです……」

188 名前:Hruso 投稿日:2000年09月17日(日)18時44分14秒
じゃあ、会員番号15がいいです。>かお会長
それにしてグレたたよっすぃは、これからどうなるんでしょうか?
189 名前:あつし 投稿日:2000年09月18日(月)00時10分27秒
王子のファンクラブに。いれてください
190 名前:吉澤くん、ごまちゃんとケンカをする!の巻。2 投稿日:2000年09月18日(月)07時45分36秒
「ちっ」
軽く舌打ちをして、中澤の所へ歩いて行く吉澤。
その後ろ姿に、後藤が話し掛ける。

「弱虫。逃げるんだ、あたしから」

いかにもケンカを売っているとしか聞こえない。
吉澤も、それに乗ることにした。
「何だって? 誰が逃げるって?」
ギロッと後藤を睨む。その吉澤の鋭い睨みに、クラスメート達は恐くて動けなくなった。
が、後藤は反対に睨み返している。

「ただ御三家に入れなかっただけでグレるなんて、子供だね〜マジで」
「っ! 『だけ』ってなんだよ! 私は御三家に絶対入りたかったんだよ!」
殴りかかりそうな手を、必死に抑える。
後藤はかまわず喋り続ける。
「そーだよねー。御三家に入ったら、あの人に褒めてもらえるもんねー」
「いちいちいちいち。何が言いたいんだよ」
その吉澤の問いに、後藤はゆっくり口を開いた。

「……よっすぃ〜は弱虫。ただそれだけ」
191 名前:ぴかでりー 投稿日:2000年09月18日(月)13時17分00秒
自分も市井ちゃんファンクラブに入れてください。
全身全霊をかけて「王子」を守ります!
192 名前:115 投稿日:2000年09月19日(火)01時16分45秒
中澤先生のファンクラブに。
キスマーク写真じゃなくて本物のキスが欲しかったりする(爆)
193 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月19日(火)05時22分44秒
うーん健康的なスレッドですね〜。
194 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月19日(火)14時12分51秒
あぁ、よっすぃ〜いいですわ。(笑
ガンバレ!吉澤君!!
195 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月19日(火)17時46分33秒
ごっちんの言うあの人って誰だぁ!?
みなさん不幸少女守り隊。にも入って下さいね。
196 名前:サンジ 投稿日:2000年09月19日(火)19時07分17秒
ワル吉澤くんもなかなかいいなーと思ったり・・・。(ワラ
197 名前:吉澤くん、ごまちゃんとケンカをする!の巻。3 投稿日:2000年09月19日(火)21時13分46秒
ブチン。
吉澤はとうとう切れた。だるそうに、細い金色の髪を掻きあげる。
そして、誰も見た事がないような目で後藤を睨んだ。

「何て? 誰が弱虫だって?」
よっぽど気に入らなかったんだろう、その言葉が。
でも後藤は動じず、静かにもう一度その言葉を言う。
「聞こえなかったの? じゃあもう一回言ってあげる。
 よっすぃ〜は弱虫って言ったの。…わかった?」
笑顔。表面上では。

「もう怒った。いいかげんにしろよ自分」
ガン!と、傍にあった椅子を蹴る。
教室にいた子達から、悲鳴が漏れる。中澤は、おもしろそうに二人を眺めていた。

「あ〜あ。ちょっと物にあたるのやめなよ。この席の子かわいそうじゃん。
 しかもこの席の子、いちーちゃんのファンクラブに入ってる子なのに」
そう言って吉澤が蹴った椅子を、元の場所に戻してやる。
そんな後藤の行動さえも気に入らない吉澤。
二人の言葉は平行線。
「弱虫」と言い続ける後藤と、「弱虫じゃない」と言い続ける吉澤。
どっちが折れて、二人は交わるんだろうか。
198 名前:ごさんけ! 投稿日:2000年09月19日(火)21時38分38秒
>ぴかでりーさん
かお「入れるのはもちろんケッコーだけど、
   紗耶香を守るのはこの私! 飯田圭織サマよ!」
いち「あ、あの〜飯田さん……。自分で『サマ』を付けるのはどうかと……」
かお「え? なんか言った?」(目で殺す飯田)
いち「い、いえ…、なんでもありませんです、はい(涙)」

>115さん
ああ、なっちゅー好きの人ですよね。
ではこの二人に登場してもらいましょう。
ゆう「ほんまのキス〜? いいで〜いくらでも」
なち「ちょ、ちょっと裕ちゃん! 浮気はダメだよ!」
ゆう「うそやって。うそ。かわええなぁ、ほんまなっちは」
(そう言って安倍の顔に顔を近づける)
なち「わっ。ちょ、ちょっと裕ちゃん。こんなとこで……」
相変わらずラブラブだ(爆)

>193
ん?健康的?どーゆう意味だろう……。

>まいのすけさんの野郎
よし「ああ? 何がいいんだよこの野郎。
   てめーに言われなくてもガンバルっつーんだよ!」
やぐ「す、すいません!まいのすけさん! よっすぃ〜は悪気があって
   こーゆう事を言ってるんじゃないんです! 怒るんならこのオイラを…!」
作者も矢口と一緒に謝ります。
吉澤くんを許してやって下さい。

>会長さん
もうちょっとで明らかになりやす。お待ちを。

>サンジさん
やぐ「本当に?本当にそう思うのか……?
   あんなよっすぃ〜でいいと思ってるのかーーっ!!」
よし「は? 矢口さん、今なんか言いました?」
やぐ「へ?! い、いや何でもない、何でも。あ、あはははは……」

作者です。
今回の話は、よっすぃ〜とごまちゃんメインでやす。
幼馴染のこの二人。過去に付き合ってたこの二人。よしごまです。
それとプラス、吉澤くんの好きな人。
やっと明らかになります(わら
まあもうここまでくりゃ、誰を好きなのか判ったと思うけど。
199 名前:ごん太 投稿日:2000年09月20日(水)01時35分33秒
吉澤スネオ・・・。
200 名前:193 投稿日:2000年09月20日(水)04時55分44秒
いや、なんか健全なファン交流やなーと思って。
2Chみたいに変な荒らしもないし。
あ、あと小説の内容もほのぼのしてていいっす。
自分男子校だったもんで、こういう雰囲気にあこがれてしまう…。
201 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月22日(金)00時44分08秒
よっすぃーが好きな人・・・。
自分が思い浮かべた人で、はたして合っているんだろうか(笑
よしごまも好きっす。ドキドキしながら読んでま〜す。
202 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月22日(金)10時24分33秒
矢口がフォローしてくれたぞ。(笑
やぐよしもいいなぁ・・・。

ココの吉澤くんが最近すごく好きなのです。
続き頑張って下さい。
203 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月22日(金)22時59分53秒
バンッ!!
ドアを思いっきり閉める音。
「……チッ」
軽く舌打ちして、ベッドにダイブ。
吉澤ひとみは疲れていた。

「ごっちんのバカヤロー……」

吉澤と後藤、二人仲良く写ってる写真に向かって呟く。
でもそこからじゃ、後藤の声は返ってこない。
いつもの人懐っこい笑顔で、にっこり微笑んでいるだけ。
「弱虫かぁ……。そーかもね、実際。
 ……だって、今の私は、明日のごっちんの誕生日に
 プレゼント渡す勇気もないもんね……」
軽く苦笑いして、写真の後藤に軽くデコピンをした。

 ********

「った!」
オデコを押さえる。
机の上から落ちた消しゴムを取ろうとして、どうやらぶつけてしまったようだ。

「あ〜〜っ!!」

イライラする。何だか落ち着かない。
だから、意味もなく叫んだりなんかしてみた。でも何も変わらない。

「よっすぃ〜のバカヤロー……」

高等部登校、記念すべき第一日目の時の写真。
そこには後藤と吉澤、二人仲良く写っている。
しかしそう呟いたところで、いつものマイペースな抗議は返ってこない。
べーグルをくわえて、嬉しそうに笑っているだけ。
「弱虫……。この頃のよっすぃ〜は、今と全然違かったよ。
 あの人は、御三家に入れなかったくらいでよっすぃ〜のこと嫌いになる人
 じゃないのに……。早くそのことに気づいてくれなきゃ、あたしが
 悪者になっちゃうよ……」
軽く苦笑いして、後藤は誰かにメールをいれた。

『いちーちゃん……逢いたいよ。。。』

と。
204 名前:ごさんけ… 投稿日:2000年09月22日(金)23時11分03秒
>ごん太さんの野郎
よし「ああ? 誰がスネオだって? 私の名前はひとみだっつーの!」

>193さん
ありがとうございます。
でも実際、女子高はこんなんじゃないですよ。決してこんなんじゃ……。

>たれきりんさん
誰だ?思い浮かべた人って。
でも吉澤くんの好きな人、ずっと迷ってたんですよ。
どっちにしようかって。だからナイショだったんですけど(わら
よしごまはね〜……。

>まいのすけさん
やぐ「オイラの育て方が悪かったんです。どーかお許しを……(涙目)」
いち「矢口……、いつ吉澤産んだの?」
205 名前:サンジ 投稿日:2000年09月23日(土)00時02分35秒
後藤ももう15か。おめでとうございます・・・。
っていうか俺今思い出した。(ワラ
206 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月23日(土)02時15分15秒
石川絡んでこないのか…。
207 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月23日(土)03時34分41秒
矢口ってばええ奴だ・・・。
市井そこはつっこまない。(笑
208 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月23日(土)08時08分36秒
よっすぃ〜の好きな人もうすぐ分かるのかな?
自分の予想では・・・・・。
それにしても梨華ちゃんでてこないなぁ〜。
作者さん続き楽しみにしてます!
209 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月23日(土)09時58分20秒
かき忘れてまったことが1つ自分もマリア様がみてる、読んでますよ。
いばらの森以外、全部もってます。
210 名前:ミラクルン 投稿日:2000年09月23日(土)14時19分32秒
久し振りに来たらすんごいコトになってるすぃ〜(笑)
よっすぃ〜!
でも、たっぷり読めてちょとラッキー♪

自分も投票したかったっス。
でも、オイラの1票じゃ、順位は変わんないからいっか。
だって、言わずと知れた(?)いちーちゃん好きだもん。

これからも楽しみにしてます!!
211 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月23日(土)22時20分39秒
後藤の家の近くの公園。
夜の9時。市井は、そこに向かっていた。

「はぁはぁ……。ごめん真希!……待った?」
「………」
市井の問いを無視して、ブランコを漕ぎ始める。
暗くてよく分からないが、後藤の口元は笑っているような。
でも市井は気づかない。
「ちょっ、真希ぃ〜」
情けない声を出し、なんとか説得を試みるが、相手はブランコを漕いでいるので
なかなか上手く話せない。
「違うんだって! バスが遅れて来たんだよ!」
近くにいたら危ない為、少し離れて言い分けを言う。
その顔は許してもらおうと必死だ。
後藤はそんな市井がおかしくて、我慢できなくなった。

ブランコから飛び降りる。そしてそのまま市井の胸の中に。
「あはっ。あたし怒ってると思った?」
少し顔を上げて、上目使いで市井を見る。
「……うん、思った。だって、普通市井が来たら真っ先にこうやって
 抱き着いてくるのに、今日は無言だったからさ……」
肩に顔を埋めて、少々不満げに言葉を返す。
「あはっ、ごめんごめん。イジワルってものを一回したかったっていうか〜?」
「よく言うよまったく。しょっちゅうしてるくせに。イジワル」
廻した手に力を込めて、意地悪な表情を浮かべている後藤の唇にキスをした。

 ・・・・・・・・・

「よっすぃ〜と?」
市井からもらった指輪を見るのをやめ、顔を上げる。
「うん。なんか裕ちゃんセンセーが言ってた。……ケンカしたんだって?」
先程走って喉が渇いたのか、近くの自動販売機で買ったジュースを口にしながら
後藤に話し掛ける。
「別にケンカなんかじゃないよあんなの……」
ついさっきまで嬉しそうだった顔も、市井の口から出た『吉澤』って言葉を聞き、
思い出したかの様に不機嫌な顔になった。
「自分を見失ってるんだよ、よっすぃ〜は。だから注意しただけなのに。
 ……全然人の話聞かないで怒るし。あたしの言った事、理解しようとしないし」
ボソボソと喋る後藤。市井は黙って後藤の話に耳を傾ける。
「ずっと前からそうだった。なんかあっても絶対あたしとかに言わないで、
 一人で気持ち押さえ込む。付き合ってる時だってそう。『何かあったの?』って
 聞いても、返ってくるのはいつもおんなじ。『ごっちんにはカンケーない』」
ここで一つ間を置いて、市井にもらったジュースを喉に通した。
そしてまた話に戻る。
212 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月23日(土)22時54分51秒
「好きな人に、そう言われるのはかなりツラかった……。
 だから我慢できなくて別れたんだ。そん時はすっごい迷ったケド、
 今は別れてよかったと思ってる。……だって、いちーちゃんと出逢えたから」
不機嫌だった顔も、やっと元に戻った。いつもの笑顔になる。
そんな後藤の笑顔につられて、市井の頬も緩んだ。
「それにさ、よッすぃ〜の方も別れてよかったと思うんだよ。
 あたしとおんなじで、自分を引き出してくれる人を見つけたから。
 ……でも、よっすぃ〜はその人を信じれずに裏切ったんだ。
 よっすぃ〜を一途に想ってくれてるあの人を。だからあたしは言ったんだよ、
 『弱虫』って。あんな方向に行ったよっすぃ〜を『弱虫』って」
「………でも、真希は待ってるんだよね。吉澤が自分取り戻してくれるの。
 だからそーやって言うんだよね」
さっきからずっと黙っていた市井が、ここで口を開く。
その顔は笑顔だ。
「……うん」
後藤も笑顔。

「だってさー、よっすぃ〜は誰かがそうやって言ってあげないとダメなんだよね〜。
 今回はあたしが背中押しただけ。あの人の代わりに」
「あいつか〜。あいつ今何してんだろうね〜」
吉澤の想い人を思い出し、二人は笑いがこみ上げてきた。
「早く前のあの人に戻してあげなきゃね」
「そだね。……でもその前に、自分吉澤と仲直りしなよ?」
「え〜」
「え〜、じゃない!」
ベシッと軽く頭をはたく。
「あはっ、痛いって〜」
そうやってしばらく、じゃれ合っていた。

「仲直りなんかしないよ?」
市井の腕の中に収まってじっとしていた後藤が突然口を開く。
「あー? まだそんなことを……。そんなに怒ってんの? 吉澤のこと……」
「違う違う」
笑いながら答える。
「じゃあなんで」
その問いにしばらく黙っていたが、数十秒後、口を開いた。

「だってあたし、よっすぃ〜とケンカなんかしてないもん」
213 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年09月24日(日)08時39分18秒
もうそろそろ「あの人」が・・・。
楽しみだ!
214 名前:サンジ 投稿日:2000年09月24日(日)11時41分39秒
やっぱ「あの人」や!
やったー。作者氏ファイト!
215 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月24日(日)13時22分30秒
>サンジさん
後藤の誕生日、もう昨日ですね……。
あの人、想像通りでしたか。喜んでくれてよかったです。

>206さん
石川は……絡んだらややこしくなるんで……。

>まいのすけさん
やぐ「ふっふっふ。紗耶香怒られたー」
いち「う、うるさいっ!」

>会長さん
石川はこれが終わったら……。
もう少し待って。
マリみてはいいっすよね〜。自分のお気に入りは白薔薇さま!


やっと吉澤くんの好きな人が……。
違う風に期待してた人ゴメンなさい! やっぱ○○が一番かと……。
216 名前:Hruso 投稿日:2000年09月26日(火)03時49分17秒
よしごまの中学時代がちょっとだけ明かされましたね。
もうちょっと回想シーンとかも見たいかも。
あと、加護ちゃんの出番待ってます。
217 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月26日(火)14時12分45秒
ごめんね市井。怒ってないよ。(笑
吉澤君はまだ拗ねてる最中なのかな・・・?(笑

続き頑張って下さい。
218 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月28日(木)00時08分02秒
「弱虫」か…。
本物の吉澤にもこの表現が当てはまる気がするな。
作者さんはそのへんを意識して吉澤くんを書いているのですか?
それとも全く関係ないのかな?
219 名前:あつし 投稿日:2000年10月01日(日)14時51分58秒
まだかなー
220 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月01日(日)23時55分37秒
更新お待ちしております。
221 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月02日(月)07時19分08秒
「あ、いちーちゃん、もうここでいいよ」
20メートル先には後藤の家。そこで後藤は市井の手を離す。
「そう?……んじゃ」
「ええっ? ちょっ……」
バイバイと言って、駅に向かおうとした市井を後藤の手が引き止める。
「まだおやすみのチュウが済んでない……」
「ははっ。ああそうか」
思い出したかのように向きを変え、市井は後藤の柔らかい唇に触れた。


「バイバーイ!」
見えなくなるまで手を振り続ける。
2分ぐらい経ち、ようやく見えなくなった。手を下ろす。
「へへ〜。市井ちゃんからもらった指輪、大切にしなきゃ♪」
愛おしそうに指輪を自分の目の前に持っていき、ニヤニヤしながら見る。
するとその指の間から、誰かが自分の家の前に立っているのが見えた。
「……誰?」
背が高く、見た目はすごく格好いい。
暗闇でその人物の顔がいまいち見えない。どこかで見たことあるような……。

「やっと帰ってきた……。遅いんだよごっちん!」

そう。後藤の幼馴染、吉澤だった。

222 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月02日(月)08時36分42秒
「よ、よっすぃ〜?!」
本当に吉澤か確かめる為、ダッシュで吉澤の前まで行き、じっと顔を見やる。
「あ、ほんとによっすぃ〜だ……」
合点がいったのか、一歩後ろに下がり、距離を置いた。

「確かめなくても分かるだろ? フツー……」
軽く後藤の足を蹴る。すかさず後藤もやり返した。
「だ、だってさあ! その髪……!」
あまりにも後藤の声が大きかったので、吉澤は慌てて後藤の口を塞ぐ。
「シーッ! 今11時なんだから、もうちょっと声のボリューム落として!」
自分の声の方がデカイと思うけど……。
その言葉は自分の胸の中だけにしまうことにした。



「髪は、ごっちんに言われて戻したんじゃないからね。
 あの人の悲しむ顔が見たくなかっただけだからね!」
家の前の階段で談笑中。
「はいはい、わかってるって!」
素直じゃない性格も。全部わかってる。
「……なーんかその言い方ムカツクんだよね」
「あはっ? そう?」
少し前まで喧嘩していたこの二人。でも今はそんな雰囲気さえもない。
いつも通りの会話。いつも通りのじゃれ合い。
目に見えない絆がある。

「あ、もうちょっとで12時になる。そろそろ家ん中に入んなきゃ」
よっこいしょ、と重い腰を持ち上げる。
吉澤もそれに応じ、自分も同じ様に立つ。よっこいしょとは言ってないが。

「じゃーねー。あんまし髪染めたりしない方がいいよ? 痛んじゃうから」
前、髪を金に染めてた先輩からのアドバイス。
不器用にウインクして、吉澤に微笑んだ。
「うっさい! もうしないよ、そんなこと」
つられて微笑い、吉澤は突っ込む。
「じゃね」
吉澤に背を向け、ヒラヒラと手を振る。
後藤の左手がドアに触れた瞬間、

「ごっちん!」

吉澤が叫び、後藤に何かを投げつけた。
そして、「バイバイ!」と言って去って行った。

「……?」
わけがわからず綺麗に包んだ包みを開ける。
「……あ、これ……」
吉澤と一緒に買い物に行った時、ずっと睨めっこしていたピアス。
その時は全然興味なさそうに後藤を急かしていたのに。
「まったく……ほんっと素直じゃないなぁ」
時計を確認する。12時まであと30秒。
なんとか23日のうちに、後藤にプレゼントを渡せたようだ。
223 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月02日(月)08時42分56秒
次の日。

「よ、よ、よ、よっすぃ〜!!」
昨日まで死にかけだった矢口の顔が、今は目に涙を溜め、
はちきれんばかりの笑顔に変わっている。
「うわっ! い、痛いですよ矢口さ〜ん」
口ではそう言っているが、しっかりと腰にまわされた矢口の腕を解こうとはしない。
吉澤も、胸で泣いている矢口の頭を撫でてあげている。

「……よかったね、矢口」
「よっすぃ〜! そこ! もう一押し!」
そんな二人を遠目で見て、市井と後藤はそれぞれの想いを相手に贈ってやった。
後藤はどこか間違っているような気がするが……。
224 名前:ご、ごさんけ… 投稿日:2000年10月02日(月)08時58分08秒
すいません。サボってました。
学校とバイトが忙しくて……(言い訳
マジすいません。

>Hrusoさん
二人の回想、都合上いれれませんでした。
そん代わり、加護ちゃんは次出しますんで!

>まいのすけさん
よし「拗ねてる? とんでもない! そぉとぉハッピーですよ!」
よしごま「そぉとぉ〜!」

>218さん
「弱虫」ですか……。
いや特別意識したわけではないです。
まあ、誕生日とか好きな食べ物嫌いな食べ物とかは本物となるべく一緒にと
意識してますけど。

>あつしさん
待たせてすいません。更新しました。

>220さん
これからはまたマメに更新しようと思います。
225 名前:まいのすけ 投稿日:2000年10月02日(月)12時29分10秒
吉澤君はそぉとぉハッピーなのか。よかった。(笑
226 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年10月02日(月)18時36分34秒
更新待ってました!!梨華ちゃんはもうそろそろでるかな?
「マリみて」は最高です!自分のお気に入りは祥子さまです。志摩子さんも好きですけど。
カップリング(爆)としては祥子X祐巳です。
227 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月03日(火)00時59分41秒
更新されてる、続き楽しみにしてます。
228 名前:ミラクルン 投稿日:2000年10月04日(水)10時00分21秒
よっすぃー更正したんだね。
よかった!!
229 名前:御三家 市井紗耶香の朝 投稿日:2000年10月06日(金)16時39分23秒
午前6時45分起床。
まず始めに、顔を洗いに行く為洗面場へと足を運ぶ。

午前7時半。
身支度を整え、駅へと向かう。
今日は早目の出発。週に一度の、後藤と一緒の登校日だから。
一旦途中下車し、お姫様のお迎えに。

午前8時。
後藤の母親に聞いたところ、やっぱりまだ寝ているらしい。
お姫様を起こしに二階へあがる。

「真希〜、起きろ〜」
体を揺さぶる。すると布団の中から「う〜ん……」という声が聞こえた。
「ほら。時間やばいんだって! おばさん、もうスイカ切ってくれてるから、
 早く服着替えて食べてきなって!」
「………ヤダ〜。おはようのチュウしてくれないからヤダ〜……」
「はあ?!」
そうとう時間がやばいのか、ちょっと怒ったような言い方になる。
「そんな子供みたいなこと言ってないで、さっさと起きろって!
 今度チコクしたらやばいんだろ?!」
そう怒鳴って初めて気づく。……後藤が涙目なことに。

午前8時15分。
まだ後藤は布団から出る気配はない。

「ちょ、ちょっと真希さん……? その目は反則……」
タジタジの市井。
「だっていちーちゃんがチュウしてくんないんだもん……」
どこか楽しんでいる様な後藤。そしてとびっきりの笑顔で。
「チュウしてくれたら直るよ(はぁと)」

午前9時。
二人仲良く登校し、先生に怒られましたとさ。

〜市井ちゃんの独り言〜
「どーせあたしは真希に弱いよ!(涙)」
230 名前:ごさんけ!@カゼ気味 投稿日:2000年10月06日(金)16時55分22秒
朝の風景市井バージョンをお届けしました。
次は………誰にしよう。

>まいのすけさん
基本的にここの吉澤くん、楽天家なんで……。

>会長さん
待たせてすいません(汗)
お目当ての石川も、一応朝の話作ってる途中なんで、待ってて頂ければそのうち。
わしゃあやっぱ、令ちゃん×由乃っす。聖×志摩子もいいけどね。

>227さん
更新しました。
続きというかなんというか分かりませんが、どうぞ見てやって下さい。

>ミラクルンさん
よっすぃ〜元に戻ってくれて、自分も嬉しいです。
後藤に感謝!
231 名前:!? 投稿日:2000年10月07日(土)01時27分52秒
後藤に弱い市井ちゃん、いいっすね〜
次矢口さんあたりどうっすか?お風邪おだいじに。
232 名前:ごさんけ 投稿日:2000年10月09日(月)23時46分09秒
なんか232〜235までの消えてる。
なのでもう一回矢口編を。
233 名前:会長 矢口真里の朝 投稿日:2000年10月10日(火)00時15分54秒
ピピピピピピ……
午前7時10分。
7時からずっと目覚ましが鳴り続けている。
しかし目覚ましをかけている本人は、いまだ夢の真っ最中。

午前7時35分。
まだ矢口は起きてこない。
仕方がないので、母親が起こしに行くことに。

「ちょっと真里。いいかげん起きなさい」
カーテンを開け、光がはいるようにする。
それが目にはいったのか、やっと矢口が目をさました。
「あ〜〜……?」
キョロキョロと辺りを見渡す。
特に変わった様子はない。宝物の写真達もちゃんと壁にあるし。
「……よし」
何が「よし」なのか、もう一度寝る体勢にはいった。
「こらこら。部屋確認しないで、時計確認しなさい!」
お母さん、ナイスツッコミ。

午前8時16分。
急いで髪をサイドに分け、急いでローファーを履き、家を出る。
朝食のトーストを口にくわえているのはお約束。
向かうは、いつも一緒に通っている吉澤の家。

午前8時25分。
息を整える暇もなく、インターホンへ。
五秒後。

「矢口さん遅いですよ! また寝坊したんですか!」
「わはは。ごめんごめん」
そうして二人は学校までダッシュ。
吉澤の家から学校までは10分あったらいけるので、なんとか先生が来る35分には間に合いそう。
何もなければ……だが。

午前8時32分。
吉澤が異変に気づいた。

「あれ? 私の上靴がない」
「えぇっ?」
吉澤のそばまで行き、一緒に靴箱を確かめる。……確かにない。
「おっかしいなー……ん?」
ふと吉澤が鏡を見る。そこには、HRを終わった加護がいた。
手には、上靴を持っている。
「「あー!!」」

午前8時36分。
ちょこまか逃げ回る加護を、二人がかりでやっと捕まえた。
上靴は戻ってきたが、もう遅い。
だって、35分を過ぎちゃったんだから……。

矢口と吉澤、二人の出席簿に『遅刻』という文字がついたのは間違いない。

〜加護の作戦大成功〜
あい「うけけけけ。やっぱよっすぃ〜からかうの楽しいのう!
   今度は誰にしようかな〜」
234 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月10日(火)00時18分42秒
矢口編(二回目)お送りしました。

>!?さん
なんか自分の中の市井ちゃんは、後藤に弱いんですよ。
後藤に対してはダメダメ君なんです、うちのいちーちゃん(わら
235 名前:まいのすけ 投稿日:2000年10月11日(水)12時36分55秒
加護いいな〜。(笑
仲良く登校、やぐよしもいいす。
236 名前:ムーミン 投稿日:2000年10月11日(水)20時42分30秒
さすが、チビデビルあいぼん!!
この、うけけけ笑いが似合うのは鬼太郎に出てくる妖怪と
あいぼんしかいないね(笑)

あとリクエストすると、ラブリーエンジェルののとかおりん編が見たい。
237 名前:Hruso 投稿日:2000年10月12日(木)01時22分10秒
チビデビルあいぼん!再登場めっちゃうれしいっす。
へなちょこ市井ちゃんもいい味だしてますね。
238 名前:11ch 投稿日:2000年10月12日(木)19時47分52秒
加護良い
シリアスな面もみてみたいけど
239 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月15日(日)00時04分12秒
更新お待ちしております。
240 名前:希美の願い 投稿日:2000年10月15日(日)02時14分56秒
「ね〜ね〜希美ってさ〜、なんであんな恐い人が好きなの?」
またこの質問。そんなにおかしい?
「恐くなんかないよ、飯田さんは。優しいもん」
そりゃ恐い時もあるけど。でも。
「飯田さんは優しいんだから!」

              *******

「うけけけけ。のんちゃんさっきの平家の顔見たか?
 さいこうけっさくやわホンマ!」
いつもノー天気なあいちゃん。わたしも、こんな風になれたらなーって思う。
「またなんかしたの? そのうち怒るよ平家せんせいも」
「だいじょうぶや。そしたら、次のターゲットもう決めてるから」
なんかたくらんでるあいちゃんの顔。
次のギセイ者は誰だろう……。

「にしてものんちゃん。なんか元気ないやんけ」
「え……」
慌てて否定する。
「そ、そんなことないよ。別にいつもどおりだよっ」
「なんや、また誰かに部長の事言われたんか?」
部長っていうのは、飯田さんのこと。
後藤さんの「師匠」の次には、飯田さんの「部長」。
あいちゃんが呼ぶあだ名は、いまいちよくわかんない。

「……ん。でもいつものことだしさ。趣味悪いとか変とか言われるの。
 そんなんで気にしてたらキリないんだけど」
でも、やっぱ好きな人がゴカイされてるのはツライよ……。
あいちゃんとか市井さんとか後藤さんとかは分かってくれてるけど。
ほんとはすっごい優しいってこと。
ほんとはすっごい寂しがり屋ってこと。
みんなにも、わかって欲しい。
飯田さんの外見だけじゃなくって、内面を。
241 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2000年10月15日(日)10時12分25秒
今度はののちゃん中心ですかね?
楽しみです
242 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月15日(日)12時50分02秒
ののちゃんがどうしてかおりを好きになったのかがわかるのかな?
続きに期待
243 名前:まいのすけ 投稿日:2000年10月16日(月)14時40分31秒
頑張れ辻的な話になるんですかね。
楽しみ楽しみ。
244 名前:!? 投稿日:2000年10月17日(火)00時05分28秒
リクエストしといて感想遅れた;すいません
矢口の目を覚まして部屋の写真を確認して”よしっ!”
って言って寝るのが最高です!
御三家さんのいちごま&やぐよし好きっす!
以外と不幸な石川さんがツボだったり(笑
245 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月25日(水)00時43分57秒
続きお待ちしております。
246 名前:Hruso 投稿日:2000年11月04日(土)23時41分38秒
のの中心ですか。
王子を守る会のカオリがどう反応するんでしょうね。
247 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月07日(火)00時00分35秒
続きはまだっすか?224でマメに更新するって言ってたのに…。
248 名前:希美の願い 投稿日:2000年11月07日(火)23時39分36秒
お昼休み。
恐いけど、勇気をふりしぼって高等部へと向かう。
一人で行くのは初めてだから、すっごいドキドキ。
いつもついて来てくれるあいちゃんは、今日は何か用事があるみたいで、
昼休みなると同時にどっか行っちゃった。

あいちゃんに教えてもらった会議室への近道の場所。
早く飯田さんに逢いたかったから、わたしはそこを通ることにした。ゆっくりゆっくりと。
だって誰かに見つかっちゃったりしたら、飯田さんに逢えなくなっちゃうもんね。
周りに気をくばりながら、わたしはいつも飯田さんがいる会議室に向かった。

「い〜ださ〜……」
呼びかけたその時、少し開いたドアのすきまから見えたあの人。
飯田さんにとって、すっごい大事な人。
市井、紗耶香さん。

わたしは、中に入るのをやめた。
来た道を、そのまま戻って行った。

かなしかった。

あんな楽しそうな飯田さんの顔、わたしは見たことなかったから。
みんなにもわかって欲しいとか言いながら、自分が一番わかってなかった。

うぬぼれてた。

飯田さんは、わたしのこと少しでも好きだって。
市井さんよりももしかしたら、わたしの方が好きかもしれないって。

ぜんぶ、オモイチガイだった。
249 名前:あつし 投稿日:2000年11月07日(火)23時56分31秒
がんばれのの
250 名前:さくしゃ…… 投稿日:2000年11月07日(火)23時57分33秒
最初に謝っときます。ごめんなさい!!
お詫びにみなさんのリクエストにお応えしますんで!
ほんとすいません!!

>会長さん
辻中心ですが、どうも暗くなっちゃいました……。

>242さん
へい。どうして好きになったか、たぶん分かると思います。
上手く話と絡みあってくれればですけど……。

>まいのすけさん
ゆう「頑張れ辻!」
なち「いや、裕ちゃんが言ってどうすんのさ」

>!?さん
あい「まったく!どいつもこいつも石川ばっかりやな!」
のの「でもまあ仕方ないよ。好きなものは」
あい「………なあ、うちらってそんな人気ないんかな?」
のの「………人気投票ゼロだったしね」
あいのの「………」

>245さん
待てせてすいませんでした。反省してます。

>Hrusoさん
辻中心というか、一応主役は中一コンビっす。

>247さん
何と言っていいのかわかりませんが、自分は嘘つきという事だけは判りました。
ほんとうにごめんなさい。
251 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月08日(水)03時13分38秒
まあ作者さんにも色々都合があるんだからしょうがないでしょ
耐え忍んで更新待つのも読者のつとめさ
252 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月09日(木)21時12分37秒
ほんとほんと、更新出来なかったのはいろいろ事情があるだろうし
気にしなくても。その分面白い作品を提供していただければ。
ってこれもプレッシャーか!?
マターリが一番ですよ。
253 名前:希美の願い 投稿日:2000年11月18日(土)10時39分45秒
「う…っ……」
わたしの意識とは別に流れてくる涙。
必死に制服のソデでぬぐう。

「あれ? な、なんや自分どないしてん!?」

その時、聞いたことのある声にハッと顔を上げた。
その声は、やっぱりあいちゃんだった。

「あはは…なんでもないよ、なんでも」
慌てて涙をふきとる。
でもあいちゃんはそんな答えじゃ許してくれない。
「なんやねん、誰に泣かされてん! ウチがカタキウチして来たるから言ってみぃ!」
無理だよ。ただシットして泣いてたなんて、あいちゃんには言えない。
「……ちょっと目にゴミ入っただけ。それよりあいちゃんドコ行ってたの?」
「あ? ああ……」
わたしの答えにまだなっとくしてないのか、じっとわたしを見てるんだけど、
わたしはその視線を無視して話をそらした。

「ちょっとな、新しい標的をからかいに行っとってん。あいつの不幸ぶりは見てておもろい」
あいちゃんお得意の「うけけけけ」笑い。
その笑いを聞いて、わたしの心はちょこっとマシになった。

でも、しんぱいごとがひとつ。
平家せんせいの次の、新しい人って誰だろう。
あいつの不幸ぶりって一体なんだろう。
でもその時のわたしは、飯田さんのことで頭がいっぱいだったから、軽く受け流すだけだった。
254 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月18日(土)10時46分10秒
次はちょっと視点が変わり、加護の一人称になります。
加護の新しい標的はまた今度ってことで。

>あつしさん
あい「ほら、応援してくれてんで? いつものやついっときーや」
のの「うん! がんばりますっ!」
(そう言って、ののお得意のがんばりますポーズ)

>251 252さん
ほんとありがとうございます(涙) そんな優しいお言葉をかけてくれるなんて。
毎日更新出来たら一番なんですけどね、ってゆうかしたいよ。出来るんなら。
出来る限り時間を作って更新します。。。
255 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月28日(火)02時13分38秒
更新待ってまーす。圭ちゃんの話も書いてください。
市井ちゃんの隠れファンみたいだけど、ここはフリーらしき
加護というのをリクエストしたい ダメ?
かわいい圭ちゃんが見たい(顔は怖いので?)
いや自分は保田ヲタですから
256 名前:希美の願い 投稿日:2000年12月09日(土)07時09分15秒
おかしい。絶対おかしい。
のんちゃんは絶対なんか隠してる。
ウチには判る。だって、ウチはのんちゃんの親友なんやから!

              *******

残りの昼休みをつかって、ウチはのんちゃんを泣かした奴を探し出すことにした。
高等部の方から戻って来たから、中等部の奴らじゃないことは確かや。
だって中等部の子で、高等部に出入りしたりすんのはウチらだけやからな。
となると、のんちゃんを泣かした奴はアイツか……?


「おら。白状せえや自分。のんちゃん泣かしたんやろーが!」
「ちょ、ちょっと、何言ってんのかまったく…」
「黙れゴルァ! のんちゃんのセンサイな心は、十分傷ついてんねん!
 どうセキニンとってくれんねん!!」
しらばっくれようとしてる目の前の奴の胸ぐらをつかんで、ウチは更にオドす。
「いいかげん認めたらどうやねん! ガメラァ!!」

              ピキッ。

何かが切れたような音がした。
オニのような顔が、もっとオニのような顔になっていく……。

「加護ぉ。だれがガメラだって?」

低い低い声。
………こーなったら、あの方法しかない。

「さ、さいならーーっ!!」

逃げるが勝ちや。
257 名前:希美の願い 投稿日:2000年12月09日(土)07時10分05秒
「はぁはぁ……もう追っかけてこーへんやろ…」
後ろを振り返る。……よかった、おらん。
でも、あいつのせいでだいぶ時間とってしまったやんけ。
あと15分ぐらいしかない。
とりあえずウチは、のんちゃんが誰かに泣かされたことを報告する義務があるから、
例の会議室へと足を運んだ。
まずは、大きくシンコキュウ。……よしっ!

「ぶちょー! 部長いてますかぁ!!」

中を確認する。……おった。

「加護ぉ。どしたの」

のんきに機械……やのうて、パンをかじってる飯田さんが。
その隣には、師匠のダーリン市井さん。
珍しいな、昼休み市井さんがここにおるなんて。
しかもえらい仲良さそうなフンイキで。のんちゃんが見たらヤキモチ妬きそうな……あっ!

「ねえ加護。辻どーしたの辻。今日ここ来てないんだけど」
「あ、そーいえば来てませんね辻ちゃん。来たら帰ろうと思ってたのに」
黙ってるウチに、部長からの質問。
……のんちゃん、今度たこ焼きおごってもらうからな。

「のんちゃんは…高等部へ行こうとした時平家せんせいに見つかって、こってり怒られたあげく
 泣かされてしまったんです……。んで、『こんな泣き顔飯田さんに見せれないよう』って言うて
中等部の方へ戻って行きました……ううっ」
ポケットからハンカチを取り出して、目頭を押さえる。

(うけけけけ。なんて演技派! ウチ女優になれるんちゃう!?)

案の定部長はそれを聞いて飛び出して行った。
これで、のんちゃんの泣き顔も笑顔に変わるやろ。
そんなことを思ってニヤニヤしてるウチに、市井さんから一言。

「加護ちゃん、床に目薬落ちてるよ」
「えっ!?」

下を見たら、目薬なんか落ちてない。ちゃんとポケットの中にあった。
……やっぱり、この人にはかなわへんわ。
258 名前:さくしゃ 投稿日:2000年12月09日(土)07時19分55秒
お久しぶりの交信…じゃなくて更新。
ちょっと娘。さん達じゃなく、白ベリさん達に転んでまして(爆
にしても、昨日のMステ聞いてたら、加護「のの」って呼んでるんですね。失敗失敗。
これが終わったら、最近マイブームのなっちゅー書きたい。
久しぶりの更新……疲れた。

>255はん
あい「はあ!?なんでウチとがメラがくっつかなあかんねん!」
けい「そうよ!絶対嫌よこんなチビデビル!!」
KI「……ふん!!」
259 名前:あつし 投稿日:2000年12月09日(土)17時32分20秒
待ってました
作者さんがんばれ
260 名前:Hruso 投稿日:2000年12月10日(日)02時43分38秒
おおおお、更新されている。
やはり市井が最強?なのか。(笑
261 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月10日(日)04時39分01秒
255です。
いちいーちゃんすごーい!
加護のうけけけ笑いはいいね
頑張れガメラ!!
262 名前:希美の願い 投稿日:2000年12月10日(日)10時11分06秒
「辻ぃーー!!」

教室に戻ったわたしの耳に聞こえる飯田さんの声。
あれ? わたしって耳悪かったっけ。
だって、飯田さんが中等部なんかに来るわけないじゃん。わたしに会いに来るわけないじゃん。
さっきのは、空耳。
そうけつろんづけて無視を決め込んでたら、バンッ!っていう音と共に、飯田さんが
教室の中に入って来た。おどろいてその方向を見ると、扉が外れていた。
………飯田さんのばか力で。

「辻、ちょっと来て」
みんなの注目のもと、飯田さんの真剣なまなざしがわたしに向けられる。
そんな風に見られたら、わたしは何も言えないよ。
………代わりに、涙が出てきた。

「えぇっ、ちょ、辻っ! な、なんで泣くのよ!」
「うっ……ぇく…っ…」
なれない様子で、泣いてるわたしの頭をなでる飯田さん。
まわりの友達たちは、そんな飯田さんにおどろいてるみたい。

「……辻。どーしたのさ、いきなり泣き出してさ。
 あ、そうだ。もう大丈夫、ちゃんと辻の仇はとってやったからね。泣くことなんかないよ」
カタキ…? 何を言ってるのかわからなかったけど、頭をなでてくれている
飯田さんの優しさだけは分かった気がする。
わたしは……やっぱり飯田さんが好きだ。

「……いいださん」
「ん?」
「わたし……」
「うん」
「飯田さんのことが……」
263 名前:希美の願い 投稿日:2000年12月10日(日)10時11分41秒
一世一代の大告白。
市井さんにかなわないのは分かってる。わたしは、あんな風にカッコよくできない。
でも、気持ちを伝えることなら、わたしはできそうな気がした。

「わたし、飯田さんのス――」
「すいませーん! あいぼんいますかぁ?」

言いかけた自分の声に、かん高いアニメ声がかぶさる。
…………。
あいちゃんの新しいターゲットわかった。
きっと、この人だ。
いつもならめったに手伝ったりはしないけど、今度ばかりは手伝ってあげよう。
不幸を見て楽しむのは、一人より二人のほうがいいもんね。

「ねえ辻。『わたし、飯田さんのことス――』のあと何だったの?
 まさか、『飯田さんのことスルメっぽいと思ってました』とかじゃないよね?」
「すいません、あいぼんどこ行ったか知りませんか? 私の大事なカチューシャ持って
 どっか行ったんですよー!」

………わたしの人生、これでいいの?
好きな人に、「スキ」を「スルメ」とカンチガイされる。
一世一代の大告白を、アニメ声にジャマされる。
神様、もし願いが叶うなら。
もしも願いが叶うのなら。

もっと、常識がわかる人をつくって下さい。(涙)


 おわり。
264 名前:希美の願い後日談。 投稿日:2000年12月10日(日)10時12分35秒
次の日、加護と辻は学校に行き、ふと校舎にかけられてある時計を見たら、
なぜか長針が平家先生だった。
一分経つと、平家先生が動いてる。
奇妙な光景。奇妙な時計。
それを見た加護は、

(部長は絶対敵にまわさんとこ……)

大きく一人頷き、決意を固めた。
265 名前:ごさんけさくしゃ。 投稿日:2000年12月10日(日)10時29分15秒
希美の願い終了。
もっと加護登場させたかったなぁ…。

>あつしさん
ゆう「ごめんなぁ。お待たせしてもうて」
いち「ほんとすいません。ここの作者、浮気してたんですよ、まったく」
よし「さっさと更新しろよボケぇ!」
いっちゅー「よっすぃ〜……グレ吉澤になってるよ……」

>Hrusoさん
かお「あ、え〜と会員番号15の子だよね。
   ちょっと、何紗耶香のこと呼び捨てにしてるのよ!ちゃんと『王子』って呼びなさい!」
いち「い、飯田さん…。恥ずかしいからやめてください、ほんとに…」

>名無しさん(255の人)
あい「ふーん。あんたはウチを応援せんと、ガメラをとるってわけやな。
   うけけけけ笑いなんぼでもしたるわ!だからウチも応援しんかい!」
けい「フッ…。所詮あんたは新メンバーなのよ(不敵な微笑み)
   オリジナルメンバーには敵わない……」
さやまり「え、うちらも新メンバーだったよね……」
ゆうなちかお「オリジナルは私らじゃ!!」
266 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月10日(日)10時56分32秒
平家さんが長針・・・・。
誰か助けてやろうよ・・・・。
267 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月10日(日)12時20分53秒
保田の再登場に期待
268 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月10日(日)16時40分53秒
平家さん不幸が似合いすぎるよ…
269 名前:寒さ対策 〜1〜 投稿日:2000年12月15日(金)10時07分18秒
『好きです。』

たったそれだけ。
名前も書いてない、白い封筒の中身には、そんなことが書いてあった。
ゆでたまごクラブ会長 矢口真里の靴のロッカーに。

              *********

「どうしよう。ラブレターなんて初めてだよオイラ。……どうしよう」
昼休み、屋上に誰もいないのを確認して再度白い封筒を見る。
でも、何回見たって中身は変わらない。
矢口は「はぁっ」と短いため息をつくと、ゴロンとタイルに横になった。
しかし、なぜか影になる自分。ここは屋上で、影になるところはないのに。

「……何やってんですか? 矢口さん」

影を造った正体は、矢口の大事な人、吉澤ひとみだった。
270 名前:寒さ対策 〜2〜 投稿日:2000年12月15日(金)10時08分27秒
「よよよよよっすぃ〜!? なななな何でもないよ何でも!!」
きゃははは、とごまかし笑いをして、手に握っていた封筒を制服のポケットに乱暴に突っ込む。
「………なんか隠しませんでした?今…」
「か、隠してない隠してない! い、嫌だなぁ〜、オイラがよっすぃ〜に隠し事するわけ
 ないだろ〜? ききき気のせいだって!」
あきらかに怪しい矢口。これで信じるバカはいない。…と思ったが、

「…そーすか?…気のせいか、すいません勘違いしました」

ここに一人いた。
バカだ。単純すぎる。そんなに矢口の言う事に忠実なのか?
ここに後藤がいたら、ちゃんと突っ込んでくれたハズ。
しかし後藤は、今市井とイチャイチャ中。いるハズがない。
矢口にとっては救われた。

「そ、そ〜だよぉ。勘違いはよくないよ吉澤くん。まあ、今回は特別に許してあげるけど」
顔に冷や汗をかきながら、自分より20cmくらい高いだろう吉澤の頭を、近くにあった
ベンチの上にのり撫でてやる。
271 名前:寒さ対策 〜3〜 投稿日:2000年12月15日(金)10時08分59秒
「ちょ、恥ずかしいっすよ矢口さん…」
頬を朱色に染めて、下を向く。
そんな吉澤の姿に、矢口の胸は大きく高鳴った。
やっぱり好きだ。ひとつ年下のよっすぃ〜が。
抱き締めようとして、伸ばした手。
それは、空振りだった。

「あれ?」
前を見ると、吉澤は屋上の入り口に。
いつのまに移動したんだ? そんな疑問より、矢口は吉澤がどこに行くのか気になった。
「三年の人に呼び出された時間になったんで、もう行きます。また帰りにでも」
「え、ちょっと……」
抱き締めたかったのに。矢口の望みは叶いそうになかった。
そんな事を考えているうちに、吉澤は屋上を去ってしまった。
今から、三年の人に告白されに行くんだろう。
吉澤がモテていることは知っている。元御三家だし、グレた吉澤を見て、またファンが増えたみたいだし。
吉澤が中等部に入って来たときからずっと想っていたから、人気があるのは嬉しい。
やっぱり自分の好きな人は、モテて人気のある人の方がいい。
でも、乙女矢口の心はとっても複雑。

「オイラだってモテるんだからな……。ほっといたらしんないよ……?」

ポケットに入れた白い封筒を、ギュッと握り締める。
季節は、まだ冬とはいいきれない11月の初句。
外は寒かった。

「……オイラは、寒いの嫌いなんだ」

272 名前:ごさんけ 投稿日:2000年12月15日(金)10時15分08秒
やぐよし編。
ほんとはなっちゅ〜書きたかったんですけど、とりあえず。
これが終わったら石川書きたいなぁ…。

>>266
あのあと、中澤先生が助けてくれたみたいですよ?
これでまた平家先生は、中澤先生に頭があがらない…。

>>267
圭ちゃんも考えてます。
お昼の放送復活しようかとか、○○とくっつけさせようかとか…。
ま、まだ未定なんですけどね(爆

>>268
へーけ「もうちょっといい言葉ないか?
    不幸が似合いすぎって言われても、全然嬉しない……」
いし「平家先生かわいそう……」
へーけ「いや、あんたに言われたないって」
273 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月16日(土)02時39分51秒
みっちゃん石川に負けず不幸が似合う
やぐよし、波乱が起きるのか?

わたしは、ガメラとチビデビルを応援してます。
274 名前:やぐよし派 投稿日:2000年12月18日(月)14時58分20秒
ゆでたまごクラブに入りたいんですけど・・・。
275 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月27日(水)13時15分40秒
やぐよしだぁ〜〜〜
276 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月27日(水)21時32分35秒
続き〜(><)
277 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月29日(金)02時27分56秒
続き希望〜
278 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月01日(月)15時34分22秒
お正月だからかな?催促age
279 名前:寒さ対策 〜4 投稿日:2001年01月05日(金)00時51分21秒
「すいません、私、好きな人いますんで」

もう何十回も言ったセリフ。中等部にいた時よりも、高等部に入ってからよく使うようになったセリフ。
それであきらめてくれる人もいれば、なかなか納得してくれない人も。
今回の三年生は、後者だった。

「アタシ、絶対あきらめない。絶対、吉澤くんを奪ってみせるからね」
いいかげん、人のこと「くん」付けで呼ぶのやめてよ。
そう、何回つっこみたいと思ったことか。でも今さら一人に注意したって、
友達以外の人はみんな「くん」付けで呼ぶから意味がない。
いつも、
(ま、市井さんの『王子』っていうよりかマシか)
と思い納得する。
……にしても困った。今度の人は手強いぞ。

「いや、奪ってみせるとか言われても、困るっていうか…」
「何で? アタシは困らないよ?」
「オレっちが困りますよ……」
はっ! 言ってから後悔。
最近自分のマイブーム“オレっち”を、クラスメイト以外に使ってしまった。
しかも使った相手は、自分のことが好きな人。
「キャー! 何々? すっごいかわいい!!」
「うわ!」
こうなるのは判ってたんだ。思いっきり抱きしめられる。
優しい吉澤は、無理やり解くことができない。
その時。

 カシャッ

シャッターの音がした。
口元に笑みを浮かべ、カメラのレンズ越しにこっちを見ている。

(あ、あいつ……!)

コラ待て! そう言う前に、カメラ小僧はそこから去って行った。

「加護ぉ!!」

チビデビルあいぼん……ここでも発揮。
280 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月05日(金)01時07分07秒
またしても加護登場。一体コイツは何回登場したら…。
でも加護好きだ〜! よしかご好きだ〜!
しかし一押しはさやまりなんスよね…。

>273さん
あい「またかいな。なんやウチらもしかして人気ある?」
けい「もしかしてじゃなくて、当然人気あるの!」
あい「それって、市井さんくらいあんのかなぁ?」
けい「ダメよ!王子と比べちゃ!王子は特別なの!」
あい「ん?ガメラってファンクラブ入ってたっけ?」
けい「はっ……しまった……」
あい「……(今度部長に聞いてみよ)」

>やぐよし派さん
やぐ「おっけ〜おっけ〜!いいぞぉ入っても!」
よし「大歓迎っす!」
やぐ「いまなら、よっすぃ〜の寝起きの顔写真が!」
よし「矢口さん、それいつ撮ったんすか…」
やぐ「あ」

>275さん
やぐ「矢口」
よし「吉澤」
やぐよし「二人合わせて“やぐよし”だぁ〜!!」

>276さん 277さん
早く書くつもりだったんですけど、遅くなっちゃいまして…。

>278さん
正月明けたんで、アップしました!
281 名前:ムーミン 投稿日:2001年01月05日(金)01時28分21秒
いつの間にか、加護=チビデビルが定着している(笑)
人気者だね。ウハウハですなっ(爆)
282 名前:不幸少女を守り隊会長 投稿日:2001年01月05日(金)10時48分07秒
加護ちゃんかわいい!もっとみんなを困らせて欲しい(笑)
どうでもいいことなんですけど不幸少女を守り隊会長から
紅餓唯 朧にHN変わりました。
283 名前:あつし 投稿日:2001年01月05日(金)23時47分23秒
久しぶりの更新うれしいなぁ
284 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月06日(土)01時14分45秒
「おれっち」良すぎっす。
285 名前:278 投稿日:2001年01月06日(土)13時58分33秒
更新ありがとうございました。
吉澤くんか〜いいなぁ〜。
286 名前:274 投稿日:2001年01月06日(土)18時11分53秒
やった〜よっすぃ〜の寝起き顔写真ゲット〜
矢口会長ありがと〜吉澤くんのおれっちサイコ〜
もちろん矢口の前でもおれっち使ってるんだろ〜
287 名前:寒さ対策 〜5〜 投稿日:2001年01月09日(火)13時07分20秒
(やばいやばいやばいやばい………)

吉澤は、恐れていた。
昼休み加護に撮られたあの写真。
あのチビデビルは、どこに持って行く気だろう。矢口さんの所だったら、オレっちは終わりだ。
吉澤は、恐れていた。

「絶対探し出さなければ…」
そう決意するも、神出鬼没の加護の居場所なんて、判るはずもない。
もう授業は終わった。教室に行ったが、辻に聞くともう帰った後らしい。
吉澤の頭は、加護でいっぱいだった。
なので、矢口と一緒に帰る約束すら、今の吉澤には頭になかった。
「師匠のごっちんに聞いてみようか…、いや、でも…」
市井以外の人にあんまり関心のない後藤が、加護の居場所を把握しているわけがないだろう。
吉澤はそう思って、後藤の所に行くのをやめた。


しかし吉澤は、一つ思い違いをしていた。
もちろん後藤が加護の場所を把握しているわけがないが、神出鬼没の加護はどこに現れるか判らない。
どこに現れるか判らないということは、師匠の後藤の所に現れる可能性もあるのだ。

吉澤は、一つ思い違いをしていた。
ついでに、約束のこともすっかり忘れていた。
288 名前:寒さ対策 〜6〜 投稿日:2001年01月09日(火)13時07分59秒
矢口は一人、下駄箱の所にもたれて立っていた。
吉澤のクラスの子の大半は、もう靴を履き替えて学校を出ている。
しかし、肝心の吉澤はまだ来ない。
かれこれ、30分程経った時だった。

「あれ? 矢口まだいたの?」
振り返ると、市井がいた。隣には、“ダンディ、市井王子を守る会”会長の飯田もいる。
そしてそのまた隣には、珍しく安倍もいた。

「なに? 珍しい組み合わせだね」
「でしょ」
ここに来るまでに、激しい口論が続いていたんだろう。
市井の顔色で悟った。
「ちょっと誤解解いとくけど、なっちとは一緒に帰らないからね」
「そんなの誤解解かなくても判ってるよ。圭織じゃないんだから」
「何それ。どーゆう意味?」
「そーゆう意味だよ」
「まーまーまーまー!」
市井が間に割って入る。しかしそれで治まるような二人じゃない。

「ジャマ!!」

市井は、二人に突き飛ばされてしまった。
「い、痛いっす……」
ガクッ。
息を引き取ったかのようにグッタリと。
そんな市井を見たら、飛んで駆けつける飯田も、今日は目の前の敵を倒しにかかっている。
そんな市井を見たら、「バーカ、バーカ、バーカ」と言う安倍も、今日は目の前の敵を倒しにかかっている。
そんな市井を見たら、ノッて「大丈夫か!? しっかりしろ!」と言う矢口も、今日は乗らなかった。

今の自分の前には、ゴジラVSメカゴジラの戦いと死体がある。
矢口は思った。

「よっすぃ〜……早くオイラを助けに来てよぉ……」
289 名前:さくしゃです。 投稿日:2001年01月09日(火)13時08分48秒
最近、どんどん話が長くなってるような気がする。
最初の方が読みきり中心だったはずなのに…。

>ムーミンはん
あい「自分が名づけ親やんな?
   レスを全部読んでたら、あんたが一番最初に言うとった」
ごま「いいじゃん、かわいいじゃん、チビデビル」
あい「師匠…それは自分じゃないから言えることやって。
   よくもこんなあだ名を! 仕返しは十倍して返すからな!」
ごま「…………どうせなら、百倍にすればいいのに……」

>会長さん
おお、お久しぶりです。
青版で書いてますよね?

>284さん
よし「いやあ、そう言って頂けると光栄です。
   その呼び方、どうしても作者の人が言わせたかったらしくて…」
ごま「これでまたよっすぃ〜の虜が増えるね」

物陰にて。
いし「ひとみちゃん素敵……」

>278さん
よし「いいですかぁ? 困ってんですけどねぇ…」
あい「いいやん、吉澤くん(『くん』強調)」
よし「あんたに言われると、なんだか無性にムカツクよ…」

>274さん(やぐよし派さん)
やぐ「何!? オイラの前で“オレっち”って使ってくれたっけ!?」
よし「え、い、いや……どうだったかな……」
やぐ「よっすぃ〜……(涙)」
290 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月09日(火)16時41分52秒
気になる〜…
そして、そろそろ二人に(?)進展が欲しい…
291 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月25日(木)18時26分47秒
Eかんじ
292 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月30日(火)19時03分09秒
催促age
293 名前:やぐよし派 投稿日:2001年02月04日(日)00時23分16秒
なに〜!?それはないだろ、吉澤くん!
会長可愛いから、誰かに取られてしまうぞ!
294 名前:たれ。 投稿日:2001年02月10日(土)03時11分33秒
吉澤くん。早く助けにきてください。
矢口と一緒に自分も待ってます(笑
295 名前:寒さ対策 〜7〜 投稿日:2001年02月10日(土)12時07分31秒
そんな矢口の願い虚しく、吉澤は加護に夢中。
矢口のことなんか、全然頭になかった。

「くっそ、加護のヤツ。ほんとどこにいるんだよ〜」
中等部の教室は、あらかた探し終わった。高等部も全部。
それでもいない加護。
なんだか、泣きそうになってきた。

なんで、なんでこーなるんだろう。
ただ矢口さんが好きなだけなのに。
矢口さんの悲しい顔を見たくないから、こんな一生懸命。

………違う。

矢口さんの悲しい顔を見たくないからじゃない。
自分がそーゆう人間だって見られたくないからだ。
ガードしようと思えば、いくらでも出来た。
そんなのは簡単なことなのに。
なんだかんだ言って、悲しむ顔を作ってる原因は全部自分。

「……矢口さんに、オレっちは相応しくないよね……」

そう言って、加護探しをあきらめかけたその時、後ろから声を掛けられた。

「よっすぃ〜、こんなトコにいた〜」
296 名前:寒さ対策 〜8〜 投稿日:2001年02月10日(土)12時08分08秒
後ろを向く。
声の主は、いつも聞き慣れてる、幼馴染の後藤だった。
後藤に横には、後藤に首根っこを掴まれている加護もいる。

「あ! 加護!」
吉澤の声に反応してビクッとなる加護。
逃げようと思い、走り出そうとするが、後藤に首根っこを掴まれている為出来ない。
「ごめんね〜。はい、コレ」
たぶん、加護がおもしろおかしく後藤に話したんだろう。
それを後藤に怒られ、こんな風に。

後藤に渡されたのは、写真のネガだった。

「ほんとごめん。今まで探してたんでしょ?」
「あ、うん……」
「…ほら、加護ちゃん。よっすぃ〜に謝る!」
「え〜」
「『え〜』じゃない」
「………はい」
渋々、といった感じで、

「ごめんなさい」

加護は頭を下げた。
微妙に、泣きそうになっている。
そんなのを見たら、もう許すしかなかった。
「いいよ、もう。怒ってないから」
その言葉はウソじゃない。
小さい加護の頭をポンポンと叩いてやる。
加護の目から涙が零れ、それを慌てて拭う加護。
可愛かった。

「まったく加護ちゃんはぁ。ダイジョウブ?」
「うっ、うっさいねん!……っく、……ぇ……」
師匠の後藤に逆らうような言葉。普段なら絶対言わない。
どうやら、泣いている時はひねくれるらしい。
後藤も慣れているようで、気にしている様子はない。
羨ましかった。

「あ、そうだ。言うの忘れてた」
「え?」
加護を見ていた目を後藤に移す。
泣いている加護の背中を撫でながら、後藤は言った。
「やぐっつぁん、まだ下駄箱にいたけど。
確か、約束してたんじゃなかったっけ?」
完璧に。
忘れていた。
297 名前:寒さ対策 〜9〜 投稿日:2001年02月10日(土)12時08分53秒
「ね、ねえ、矢口さん怒ってた?」
「いや、どうだったかな。でも寂しそうだった」
「あーもう! 加護ぉ!」
「ご、ごめんなさ〜い!」
大分泣き止んだ加護にちょっと文句を言いながら、三人は走る。
後藤と加護は、吉澤に付いて行っているだけだが。


「はぁはぁ……矢口さん!」

下駄箱に駆け込む。矢口はいた。
傍には、死の淵から復活した市井もいる。
(どうやって復活したかは定かではないが……)
その市井の隣では、今だ繰り広げられているゴジラVSメカゴジラ。

「あ、いちーちゃんだぁ!」
「市井さんっ!」
二人同時に抱きつかれる。
「わわっ」
ゴン、と頭を打つ。
なんだか、今日はついていないみたいだ。


ついてない人はもう一人。それは吉澤。
「あ、あの……すいませんでした」
忘れていた事に対して、まず謝る。
「……キャハッ、いいよぉ怒ってないよ。帰ろ?」
下を向いていた顔を上げ、いつものテンションで帰りの催促。
でもいつもと違う所。

笑顔が不自然。

「………なんで、なんで責めないんですか。約束忘れてたのに……」
そんな無理して笑顔作られても。
自分が見たいのは、笑顔の奥に寂しさが見えない笑顔。天使の笑顔。
でもそんな無理して笑顔を作ってる原因は自分。
だから、責めて欲しかったのに。

なんで忘れるんだよ。来るの遅いよ。よっすぃ〜なんか嫌い。

予想してた言葉は、大ハズレ。
上手く行かない。

「なんか、ダメっすね。自分達」
「…………は? なんで? なんでそんな事言うの?」
「……だって、そうですよ。そうだからですよ」
根本的に、合わないんです。
自分といたら、矢口さんを悲しませることばっかり。
そう言ったら、矢口さんの目から涙が零れた。

「………もういい。もういいよ。
よっすぃ〜がそんな風に思ってたなんて、オイラ知んなかった。
…………バカみたい」
吉澤をキッと睨んで、矢口は出て行った。
「矢口さ―」
慌てて追いかけようとした吉澤の手を誰かが止める。
市井だった。

「お前が行ってどうすんの? 矢口泣かせたお前が行ってどうすんの?」
掴んだ手が赤くなっていく。それでも手の力は緩められない。
「……矢口泣かせたヤツは、絶対許さないからな」
ゾッとした。あまりの気迫に。
「市井が行く」
掴んだ手を離し、市井は矢口を追いかけた。
298 名前:寒さ対策 〜10〜 投稿日:2001年02月10日(土)12時09分30秒
「う〜ん、難しいねぇ。責めて欲しかったよっすぃ〜と、責めたらダメだと思ったやぐっつぁん。
考え方の違いってやつは、こーゆう事を言うのか。ふむ」
緊張感のない声。後藤だ。
「ま、大丈夫だって。いちーちゃんはやぐっつぁんの味方かもしんないけど、
あたしはよっすぃ〜の味方だから」
矢口と市井の言っている事は判る。でも、やっぱり自分は吉澤。
こう見えても、そんな吉澤の気持ちは一番判ってるつもりだから。
言いたくて言ったんじゃない。泣かしたかったわけじゃない。
ただ、矢口のことが好きなだけ。

伊達に、幼馴染と元彼女やって来たわけじゃないからね。
よっすぃ〜を傷つけたり泣かしたりするヤツは、あたしも絶対許さないから。
例え、いちーちゃんでもね。

後藤は笑った。
その後藤の笑顔を見て、今度は嬉しくて涙が出た。

「ごっちんと、幼馴染でよかった」
「あたしも。あたしも、よっすぃ〜と幼馴染でよかったよ」
そう言って泣いている吉澤の額にチョップをくらわす。
「なんか、泣いてんの見んの、ひさしぶり」
仕返しに、吉澤も後藤の額にチョップ。
「最後に泣いたの、ごっちんにフラれた時だからね」
「ア八ッ? そーだったっけ」

今度は、二人で笑った。
299 名前:作者 投稿日:2001年02月10日(土)12時10分07秒
長い間、間を空けてしまってすいませんです。
ほんと反省してます。ごめんなさい。
そのお詫びと言っちゃなんなんですが、今回多めに……。
これで許してもらえないですかね……?
300 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月10日(土)13時57分07秒
会長のロッカーのラブレターは一体だれが?
301 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月10日(土)14時59分47秒
さりげに、いちごまの雲行きも怪しいかんじに・・・・
302 名前:作者 投稿日:2001年02月10日(土)15時53分41秒
付け足し。
どうやら、間違って消してしまった所があるようで。

>>297
の最後の所に、
>市井に掴まれた手が、痛かった。
>情けなくて涙が出て来る自分が、とても滑稽に思えた。
>ぼやける視界の中で、二人の背中を追うことしか出来ない自分が、とても惨めだった。
そして、
>>298
にいく。はずだったんですが、こっちの消し間違いです。すいません。

>290さん
やぐ「ししし進展ってそんな! オオオオイラ、こここ心の準備が!」
いち「……どんな進展を想像してんのさ……」

>291さん
ありがとうございます。
でも、どんどんEかんじから遠ざかっていってる気がする…。

>293さん
ほんと遅くてすいません。
わざわざありがとっす。

>やぐよし派さん
やぐ「そーだそーだよっすぃ〜! 言ってくんないと、オイラどっかいっちゃうぞ!」
よし「ええ! それは困ります!」
やぐ「じゃあ言ってよ」
よし「う…、……オ、オ、……あ〜、やっぱり言えませ〜ん!」
やぐ「………さよなら」
よし「え、や、矢口さ〜ん!」

>たれ。さん
よし「……すいません、助け出すどころか、泣かせちゃいました…」

>300さん
それは、まだ内緒です。
ラブレターの送り主は、これからちょっとずつヒントだしながら、
皆さんに判るようにします。

>301さん
ごま「あー、でもどーなんだろ。実際問題」
いち「でも、真希が吉澤の肩持つってことは、そーゆう事なんじゃない?」
ごま「………じゃあ、肩持つのやめる」

よし「ってオイ!」




303 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月10日(土)16時38分39秒
矢口を追い掛けた市井っすか・・・このふたりもとてもキになります・・・
304 名前:ミルクチョコ 投稿日:2001年02月10日(土)21時02分00秒
はじめまして。

ずっと更新待っていました。
やぐよしがこんなにはっきりしてる小説は
滅多にないので、期待してます。
305 名前:寒さ対策 〜11〜 投稿日:2001年02月12日(月)12時09分04秒
時は同じく、矢口を追いかけた市井はというと。


中庭の奥の奥にある一本の大きな木。何の迷いもなく、そこに歩を進める。
確信があるんだ、そこに矢口がいるって確信が。
何かがあった時は、絶対にここに来る。
吉澤は知らなくても、自分は知ってる。

ずっと、矢口を見てたから。

吉澤が後藤と付き合っていた時、市井と後藤がまだ付き合っていなかった時。
市井は、矢口のことが好きだった。
でも矢口は、吉澤のことが好きだった。
そんな矢口の気持ちを市井も知っていたから、自分の気持ちはずっと胸の奥に隠していたけれど。

納得してた。
認めてた。
吉澤を。
吉澤なら、矢口泣かせたりしないだろうって。
なのに、なのに。


「………矢口、やっぱここにいた」

そこには目を真っ赤に腫らした矢口がいて。
見るのがツラくて悲しくて。
歯を食いしばって、涙が出るのをグッと堪えた。
306 名前:寒さ対策 〜12〜 投稿日:2001年02月12日(月)12時09分43秒
「よっこいしょ……」
そんな事を言いながら、体育座りをして顔を埋めている矢口の横に腰掛ける。
矢口はチラッと市井を見て、また顔を埋めた。
「……バッカだな〜、そんな泣いてたら化粧おちるぞぉ?」
「………ン……いっ!」
「ん?」
「……紗耶香にっ、カンケーないぃっ……!」
「あっそうですか…」
突き放したような答えに苦笑しながら。
それでも、市井は話掛ける。

「………矢口はさ、見栄っ張りだよ。だから、勘違いされたりするんだ。
なんで、なんで素の自分もっと見せないの? ほんとはこんな泣き虫だとか、
吉澤が他の子と話してる時、どんなに苦しいかとか。
全部見せてあげなきゃ、相手に伝わらないよ……」
と、こんな事を言っても、それが出来ないからこうなっているのに。
でも、それはホントのことだから。それを言わなきゃ、二人はずっとこのままだから。
だから言う。
すると、矢口が顔をあげ、口を開いた。
「…………今更、勇気出してそんな事言っても、もう遅いよ。
だって、オイラ達根本的に合わないんだもん……」
弱気な言葉。
吉澤のことになると、矢口はいつもこんな感じだ。

「…………まあ、今は何言っても一緒だね。とりあえず、家帰ろう」
ほとんど中に何も入っていない矢口の鞄と、自分の鞄を持ち立ち上がる。
矢口は、ちょっと拍子抜け。
もっと何か言われると思ったのに。

矢口らしくない。吉澤のことはあきらめなよ。元気だせ。

「………そんなこと言わないよ」
いきなり、市井の否定の言葉。
今自分は声には出していなかったのに、それを見透かしているように市井は言った。

「だって、言ったってそんなこと出来ないでしょ?
吉澤のことあきらめることとか、今元気出すことなんか。
……それに、矢口は泣いてる方が、市井にとって矢口らしいしね」
だから、そんなこと言わないよ。
最後は、矢口の頭をグシャグシャにしながら、そう言った。


……ねえ、なんで矢口の思ってたこと判ったの?

涙を拭いて、市井の手を握りながら。

ん〜?……そりゃ、元好きな人だからさ。

笑って、鞄を矢口に渡した。矢口は、

………バーカ。

ちょっと照れたように笑って、その鞄をまた市井に持たせるように突っ返した。
307 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月12日(月)15時14分13秒
市井ちゃんは矢口の事好きだったのかあ。。。
308 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月12日(月)17時40分08秒
どうなるんだ〜一体!
期待してます^^
309 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月12日(月)19時00分02秒
そういえば市井と後藤のなれそめはなんなんですか?ちょこっと気になったり…。
310 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月16日(金)03時27分11秒
さやまり好きの自分は、このまま・・・・ってダメですよね。(笑
いちごま&よしやぐ中心だもんね。(笑)
311 名前:やぐよし派 投稿日:2001年02月20日(火)18時59分54秒
・・・吉澤くん。何してんだ、君は。
さあ、早く矢口会長を追いかけろ!
さもないと矢口会長が誰かに取られてしまうぞ!
312 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月28日(水)22時16分25秒
期待age
313 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月02日(金)21時12分38秒
よっすぃー。会長はもててるんだぞ。ラブレターももらってるんだぞ。
早く幸せにしてあげてくれー。会長はずっと君を待ってるんだぞ。
314 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月10日(土)17時19分09秒
更新待ちつづけます。続きが気になってしかたないっすよ。
315 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月15日(木)00時04分09秒
作者さぁ〜〜〜ん!!!
316 名前:さくしゃ 投稿日:2001年03月16日(金)09時24分17秒
ごめんなさい…。
明日めいっぱい更新します。
とりあえず寒さ対策、明日中に終わらせます…。
317 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月16日(金)16時44分03秒
>さくしゃさん
マジっすか?たのしみだぁ〜
318 名前:紅餓唯 朧 投稿日:2001年03月16日(金)17時29分48秒
楽しみに待ってます!!頑張って下さい
319 名前:さくしゃ 投稿日:2001年03月17日(土)22時06分10秒
あ〜すいません!ちょっと今日予定外の用事が入ってしまいまして…。
ごめんなさい、更新できませんでした。
あさってかしあさってには必ず更新するので、ご了承下さい。
ほんとに、すいません。
320 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月20日(火)23時32分05秒
はやくぅ〜
321 名前:寒さ対策 〜13〜 投稿日:2001年03月21日(水)01時17分28秒
『好きです。』

今日も入ってる。
何の意味があって、何が欲しくてこうやって手紙なんか出してるんだろう。
「……オイラ、どーすればいいのか分かんないじゃん……」
そしてまたいつもの様に制服のポケットに入れて、矢口は教室に向かった。

              **********

吉澤とケンカ別れみたいなのをしてから、もうすぐ1週間が過ぎようとしていた。
その間、毎日の様に入っている今朝の封筒。
もちろん、差出人の名前が書いていないから、誰に返事していいのかも分からない。
でもそれ以上に、矢口は悩んでいた。

「なんで、笑ってられるんだろ……」
そう言った矢口の視線の先には、外でバスケをしている吉澤。
後藤やクラスメイト達と仲良く談笑している。
「真希も、吉澤の味方なんかしてさ。何笑ってんだ」
やってられないと言った感じで、口にアンパンをくわえた市井が隣りに腰を下ろす。
そして一口パックの牛乳を口に含んだ。
「へへ、紗耶香ヤキモチ?」
「まっさかぁ」
おどけるように言った市井だが、少し言葉に動揺が見られた。
それに気づき、矢口は笑う。
「…………何だよ」
「別に♪あ、それより次音楽じゃん。早目に行っとこうよ」
これ以上吉澤を見ていても、嫌なことを思い出すだけ。
解決方法が見つからない今、ちょっとでも吉澤の事を考えないようにしよう。
考えても、ツライだけだから。
「あ、うん」
牛乳とアンパンと音楽の教科書を持って、市井も後について行く。
そうやって矢口の少し後ろを歩いていると、矢口が携帯をポケットから取り出した
のと同時に白い封筒が落ちてしまったのを見てしまった。
322 名前:寒さ対策 〜14〜 投稿日:2001年03月21日(水)01時18分05秒
「何だ?コレ?」
?マークが飛び交う市井の声に、矢口が振り返る。
「…手紙か。あ、はい」
差出人の名前は書いてないが、手紙だという事は認知した。
一応常識なので中身は見ず、矢口に渡す。
「ちょっ!勝手に見ないでよ!!」
慌てて市井の手からひったくるようにして矢口が手紙を取る。
市井が手に取った手紙は、白い封筒。
つまり、矢口へのラブレターの手紙。
ラブレターってばれたわけじゃない。でも、それがばれたみたいで何だか嫌だった。
まるで自分が吉澤に黙って、悪いことをしているようで。

乱暴にひったくられた市井は、あきらかに不満な顔。
「…なんだよ。心配しなくても、中なんか見ないって」
「…………」
矢口はそれには返事を返さず、無言で、今度は落ちないように制服の胸ポケットに。
そして、
「………先行く」
そう言って足早にそこから去って行ってしまった。

「………なんだぁ?アイツ」
置いて行かれた市井は、一人でゆっくりと音楽室へと。
「しっかしあの白い封筒、どっかで見たよな。……どこで見たんだったっけ?」
う〜ん、と頭を抱え込みながら考えてみても、思い出せない。
でも、絶対どこかで誰かが同じのを持っているのを見たんだ。

「……最近、ちょっと物忘れが激しいのかな…」

真顔でそう言うと、今度はそれを否定する為に一週間前食べたご飯を思い出す事に考えをチェンジする。
矢口の白い封筒のことなど、すっかり忘れていた。


「………炊き込み御飯、カレー、………えっと…そうだ牛丼だ!
 やった全部言えた!市井は物忘れひどくなんかないぞ!!」

………でも、肝心の手紙の事は忘れてるじゃないか。
やっぱり、物忘れ激しい市井くんでした。
323 名前:さくしゃ 投稿日:2001年03月21日(水)01時18分45秒
遅れた上に、全部更新できなくてごめんなさい!
なんか、約束破ってばっかだな〜…。
続きは、なんとか早くあげるつもり。。。
324 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)17時40分33秒
>さくしゃさんえ
更新最高でした
325 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月28日(水)08時31分53秒
まだっすかぁ?
326 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月02日(月)04時02分58秒
作者さん、気長に待ってますんで、がんばってください。
327 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月02日(月)10時11分51秒
頑張って下さい
328 名前:やぐよし派 投稿日:2001年04月11日(水)22時30分08秒
作者さん!もう吉澤くんの誕生日ですよ!
仲直りさせないでどうするんですか!
もしも仲直りさせなかったら・・・フフフ。
329 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月16日(月)20時30分06秒
作者さん、更新ずっと待ってます。続きが気になります。
お願いします。
330 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月18日(水)21時02分31秒
作者さん。返事待ってますよ。
矢口と吉澤を早く幸せにしてあげてください。
331 名前:れお 投稿日:2001年04月21日(土)22時40分34秒
作者さん、頑張って!
332 名前:真理 投稿日:2001年04月25日(水)21時09分51秒
オイラは寒いまま〜?(w
作者様もイロイロと大変かもしれないけど、
無理しない程度にガンバっす!
333 名前:寒さ対策 〜15〜 投稿日:2001年04月27日(金)14時56分17秒
「よっすぃ〜、帰ろ〜」
「あ、うん。今行く」
帰り支度を整え、教室の入り口の所で待っていた後藤の元に駆け寄る。
いつもなら吉澤は矢口と帰るのだが、今はケンカ中。
久しぶりに後藤と帰ることに。

「なんかね、今月携帯代3万請求きたんだけど」
前後の会話に繋がりのない話に苦笑しながらも、相槌をうつ。
「お母さん出してくれないって言うし、あたしバイトしてないし。
あれだね、いっそ夜逃げしようか」
「なんで夜逃げにまで話が飛ぶのさ」
でもそこが後藤らしいといっちゃ後藤らしい。
「貯金下ろしなよ。あるでしょ?」
「あったら、いつも市井ちゃんにデート費用出してもらわないよぉ」
「え」
それじゃ後藤と付き合ってからずっと、市井さんはお金を削られていたのか…。
吉澤は少し同情した。
「よっすぃ〜と付き合ってた時は、大抵いつも一緒だったからデートとか行かなかったけどさ。
ほら、市井ちゃん人気あるし、会長のガードきついし」
「うん、まぁ会長飯田さんだからね」
「でしょお?だから、休みの日に遊ぶしかないからねぇ」
「市井さんのオゴリでね」
「た、たまには出すよぉ」
「はいはい」
そんなたわいない話をしながら、下駄箱に向かった。
334 名前:寒さ対策 〜16〜 投稿日:2001年04月27日(金)14時56分53秒
「いいか、のの。人がおらんようになった時がチャンスやで」
「う、うん」
「なんやねん、何ビビってんねん。これは、二人のためでもあるんやで」
「けどさ…」
「そりゃあ最初はからかいでやったけど、今は話が別や」
「う〜……でももしこれが飯田さんにバレたりしたら…」
「大丈夫!怒らんって。だってウチらはキョーリョクしてんねんで?」
「…………キョーリョクというか、よけいこんがらせてるだけと思うけど……」
「ん、なんか言うた?」
「い、いや!なんでも……あっ!!」
「ん?…あっ!!」
コソコソと草陰で話していた途中、辻がいきなり声をあげる。
それに反応し、チビデビルが顔を上げると、そこにはあきれた顔をした二人。
「二人共、高等部んトコで何やってんのさ」
「加護ぉ、あれだけ怒られたのに、まだ懲りてないの?」
ちょうど階段を下りてきた後藤と吉澤だ。
「し、師匠っ、何を言ってるんですか!もうウチは懲りてますよっ」
「じゃあ何話してたの?」
「い、いや、なんかののが石川とかいう人に不幸の手紙送りたいとか言い出してね」
「あ、あいちゃん!?」
「しっ!黙ってぇ!」
無理やり辻の口を押さえる。
モゴモゴと辻は押さえられながらも何かを言っているのだが、それが何を言っているのかは分からない。
「だから、それやったら人がおらん方が入れる時チャンスやって言って。
けど、土壇場になって飯田さんにバレたら恐いとか言い出すから…」
「んーーっ!」
首を思いっきり横に振る。
見ようによっては、「違う」と言っているようにも見える。
「石川って梨華ちゃんのこと? ダメだよ辻、そんな手紙なんか送ったりしちゃ」
「石川って誰?」
しかし二人はそんな辻の様子には一つも気づかない。
「…………(涙)」
辻ももう諦めて、本来なら聞かなくていい吉澤のお説教を、黙って聞いた。

「………のの、すまん許してくれ。こうするしかなかったんや……」

辻は、一生忘れないだろう……。

加護に関わったら、ロクな事にならない……と。
335 名前:寒さ対策 〜17〜 投稿日:2001年04月27日(金)14時57分26秒
ホームルームが終わって、早足で教室から出て行く矢口を市井が追う。
「矢口、一緒帰ろうって。待ってよ」
しかし矢口は止まらず、階段を下りて行く。
あの音楽へ移動する時から、ずっとこんな調子だ。
手紙を見られた事が、よっぽどショックだったんだろうか。
中身は見ていないのに。
市井は思う。
「おい〜…いいかげんにしろよ、ったく」
けれど怒っている理由も分からずに、無視されるのは何か嫌だ。
それに、そこまで心も広くない。
「矢口、ほんとしまいに市井も怒るよ?」
そう言ってやっと矢口に追いついたと思ったのだが、急に止まった矢口の背中に、
市井はぶつかってしまう。
「ど、どーしたんだよ…」
顔を上げて、矢口が見ている方向に自分も目を向ける。
向けた視線の先には、おもしろくなさそうに下駄箱にもたれながら外を見ている後藤と、
3年生らしき人に抱き付かれてる吉澤がいた。

「矢口、気にすんなよ」
気持ちを察し、市井がポンと矢口の肩に手をやる。
しかし矢口はそれをするりと交わし、堂々と三人の前を通って行く。
「や、矢口さん!」
急に現れた矢口を見て、慌てて3年生を引き剥がす吉澤。
「これは違うんス、ちょ、ちょっと事情が…」
「関係ないよ、オイラには」
「……や…ぐちさん…」
その言葉を聞いて、黙ってしまう吉澤。
矢口は一度も振り向かずにそこから去ってしまう。
市井はそんな吉澤を少し気の毒に思いながらも、矢口の後を追う。
「市井ちゃんバイバイ」
「はは、バイバイ」
おもしろくなさそうな顔を一転させ、市井に笑顔でバイバイを言う後藤に苦笑いしながら、
市井は慌てて矢口の後を追って消えて行った。
336 名前:寒さ対策 〜18〜 投稿日:2001年04月27日(金)14時57分57秒
「あ〜あ、行っちゃった。やっぱお互い違う人の味方してるから、
市井ちゃん後藤に対しても冷たい……」
寂しそうに呟く後藤。
吉澤は、苛立っていた。
「離れてください」
「えぇ?もうちょっといいじゃん」
「いいから、離れてください」
静かに低い声で言う吉澤に少しの恐怖を覚え、3年生は言う通り離れる。
それを確認して、吉澤は靴を履き替え後藤の手を取って下駄箱から出る。
「いいのぉ〜?あの3年生、なんか怒ってるよぉ?」
「いいよ」
「……だったらいいけど」
「…………ごめん」
文句も言わず、黙ってついて来てくれる後藤に感謝をし、同時に謝罪をした。


何をしたらいいのか、何を言ったらいいのか。
やり場のない気持ちを、どこにぶつけたらいいのか。
不安で押し潰されそうなる自分。
そんな自分の傍に後藤が居てくれる。
それが、すごくありがたかった。

恋人としては上手く行かなかったけど、親友としてはこれからもよろしくね。

繋いだ手に、そっと力を込めた。

337 名前:さくしゃ 投稿日:2001年04月27日(金)15時01分17秒
よしごま風味更新。
楽しみにしてくれてる方、本当に申し訳ないと思っています。
怒られて、文句言われるのも覚悟してます。

遅くなってすいませんでした。
338 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月27日(金)15時33分36秒
お久しぶりです。(笑
無事戻ってこられて、ほっとしています。
あいかわらず、辻加護コンビいい味出してますね。
次の更新楽しみに待ってます。
339 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月27日(金)22時36分37秒
よかったぁ・・更新されてて。
ちゃんと更新してくれるんだったらいつまででも待ちますよ。
あまり、気にしないでくださいね。
340 名前:真理 投稿日:2001年04月30日(月)05時05分30秒
怒ってなんかいませんよ〜(笑
ここのお話、なんか面白いしね。
オイラとヨッスィ〜が、、、ねぇ?(ニヤリ
これからもファイト〜!
あ、でもできたら幸せ且つのほほんとした
バカップル(死語?)に収まりたいなぁ(w
341 名前:寒さ対策 〜19〜 投稿日:2001年05月02日(水)15時16分05秒
              *********

「や〜ぐち! やっと捕まえた」
息を切らしながらも、一生懸命矢口を追いかけ、手を掴む。
矢口は手を振り解こうとするものの、その手は離れない。
「意地張るなよなぁ、らしくないぞ?」
「…うるさいっ」
「はいはい。ごめんごめん」
「2回言うなっ」
「たははっ」
笑って自分から手を離す。
そして、自分と目を合わせないように反らしている矢口の顔を、自分の方に向けた。

「………なに」
向けたものの、何も言い出そうともしない市井。
我慢し切れなくて、矢口が聞く。
「や、泣いてるかと思った」
「な、泣いてないよっ!」
「うん。でも、泣きそうな顔してる」
「ぅ……」
実は、さっきからずっと涙をこらえてるのだ。
それを見透かされて、少し気が緩んでしまった。
「あ、泣いた」
押さえきれなくて、ついに涙がこぼれる。
市井は、泣いてる所を人に見られたりしないように、ゆっくりと矢口を抱きしめてくれた。
そして、

「彩っぺの所で、紅茶でも飲もうか。オゴるよ」

矢口の手を優しく手を引いて喫茶・鼻ピ・に向かった。
342 名前:寒さ対策 〜20〜 投稿日:2001年05月02日(水)15時16分52秒
落ち着いたBGMが、矢口の荒れていた心を落ち着かせる。
冷たかった心も、石黒が入れてくれた温かい紅茶で満たされた。

「でも意外だな。あんた達二人が、こんな大きなケンカするなんて」
生徒達がよく立ち寄る喫茶・鼻ピ・。
それで生徒達に愚痴や噂話を聞いたりするのはよくあることなのだが、
来た生徒達全員が、最近矢口と吉澤がケンカしたと石黒に言う。
イコールどうゆうことかというと、ほぼ学年関係なく、知っているのだ。
小さなケンカなら、噂や一部の子だけしか知らないだろうに。
「まあ、いつも一緒にいる二人が、一週間近く隣にいないんだもんね。
そりゃオカシイと思うわな」
渋い顔をして、コーヒーを少し。
その後、苦かったのか砂糖を少々加えてまた飲む。
すると今度は甘くなってしまったのか、妙に甘ったるい顔をした。
「紗耶香はもうコーヒー飲むな」
あきれながら石黒が笑う。
矢口も、その石黒の突っ込みに少し笑ってしまった。

「はい」
甘くなってしまったコーヒーをさげ、出てきたのはコーラ。
「せんきゅー」
礼を言って、ゴクゴクと飲んだ。
そんな市井と対照的に、紅茶をチビチビと飲む矢口。
「あんま一気飲みしたら、お腹痛くなるよ」
「……あんまチビチビ飲んでたら、背がちっちゃくなるよ」
ゲシッ!
せっかく忠告してやったのに、コイツは。
「じょ、ジョーダンだよ」
「紗耶香のジョーダンはタチ悪いの!」
「………ごめんなさい」
「感情がこもってないよ」
「はぁ? めちゃくちゃこもってんのに、なぜ矢口は分かってくれないんだ」
「そんな見え透いた嘘、矢口にはお見通し」
「…………ごめんなさい」
「よろしい♪」


紗耶香は、いつもそうだよね。
矢口がヘコんでたら、変なこと言って絶対矢口を怒らすんだ。
なんでだろうね。
そうやって怒ったら、心が楽になるんだ。
怒りながらも、紗耶香にいつも感謝する。

紗耶香が、親友でホントによかった。

これからも、ずっと矢口にジョーダンを言ってね。
343 名前:寒さ対策 〜20〜 投稿日:2001年05月02日(水)15時22分29秒
さやまり風味更新。
なんか、全然進んでない…。

>>338-340
怒らないでいてくれて、ありがとうございます(感涙
なんとかこれからも頑張って行きたいと思います。
更新は、ゆったりめになりますけど、この話必ず終わらせるので。
気長に待っていてくれれば助かります。
344 名前:ぷち 投稿日:2001年05月02日(水)17時12分43秒
さやまりぃぃ〜〜♪(感涙)
市井、優しいなぁ・・・・
345 名前:338 投稿日:2001年05月02日(水)18時57分17秒
のんびりいってください。(w
346 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月06日(日)01時58分12秒
このままさやまりでもいいような気もするんですが・・・
やっぱり、ここのスレはラブないちごまじゃなきゃイヤ!!
もう、以外と御三家さんとこのいちごまも素直じゃないんだからなぁ(曝
347 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月15日(火)17時54分09秒
あれ、まだ?
待ってますね...
348 名前:やぐよし派 投稿日:2001年05月26日(土)11時49分43秒
作者さん!いつになったら矢口会長と吉澤君を幸せにするんですか!
矢口会長も吉澤君も、もうすぐ凍えて死んでしまいますよ!?
っつーか、もう春やで?寒さ対策て・・・遅すぎるわ!
349 名前:俺もやぐよし派 投稿日:2001年05月28日(月)09時55分29秒
むしろあついっすよ・・・
350 名前:no name 投稿日:2001年05月31日(木)09時15分15秒
…待ってます。
でも初期の頃と違って、キャラクターの内面を書き込んでるから
時間は掛かりますよね。 私は決して遅筆だとは思いません。
気長に待ちますので、ヤメないでくださいね。
351 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月07日(木)17時43分18秒
さやまりさん、頑張って書いて。
というか、帰って来て。
352 名前:さくしゃ 投稿日:2001年06月08日(金)22時26分20秒
ごめんなさい。
私生活で色々あり、もう書く気力がなくなりました。
ごめんなさい。
どう頑張っても、今はもう書くことできません。
ごめんなさい。
なんとか寒さ対策だけでも終わらせようと思ったんですが、無理でした。
ごめんなさい。

本当に、ごめんなさい。
353 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月09日(土)00時11分52秒
えっ!?それはつまり放棄するってことですか〜!?
354 名前:「御三家!」の大ファン(泣 投稿日:2001年06月09日(土)09時25分06秒
個人的事情なら仕方がないですね…
圧縮されるまで残ってると思うので、気力がもどったら、
続きを書いてくれることを期待しています。
ん〜と……がんばってね!!
355 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月20日(水)03時13分25秒
待ってます・・・なんて言うのはキツイかな。
お疲れ様でした。いい話だったよ。
356 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月23日(土)10時10分00秒
さくしゃさん。お疲れさまでした。楽しませていただいて、ホントにありがとう
ございました。
また、いつか気力が戻る時があったら、この話でもいいし、別の話でもイイから、
この板で書いていただけるとウレシイです。
何があったのかは分かりませんが、プライベートの方でも、早く立ち直れると
いいですね。でも、これだけの話の書ける方ですから、きっと大丈夫だと信じ
ています。今は、こちらの方は気にせずに、どうぞご自分のプライベートの方
の建て直しに専念して下さい。
ガンバレ、さくしゃさん!きっとみんな応援してるぞ!
357 名前:mo-na 投稿日:2001年07月13日(金)06時02分19秒
う〜ん良い作品でした!
なので尚更淋しいですね。
レスをみて、次回作もし書く気になってくれたら嬉しいかも
反対に辛いかなァ…
358 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月14日(土)23時00分32秒
そう、ですか・・・。
359 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月15日(日)00時03分12秒
放棄スレあげてくんなや!
360 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月18日(水)18時07分28秒
喧嘩したままってのが嫌なので、作者さんに代わって続きを書きたいとも思ったのですが、実際に書くとなると難しいですね。
もし、書いてくれる人がいれば、ネタは提供しますが。
361 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月20日(金)22時12分30秒
停止の原因は360との喧嘩だったのか?
なら仲直りして欲しいな。
続けるかどうかはとりあえず。
362 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月20日(金)22時16分37秒
>>361
喧嘩したままってのは作者さんと360じゃなくて、やぐよしのことじゃないのか?
363 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月23日(月)17時48分22秒
>>361,362
勘違いさせてみたいですね。

>喧嘩したまま
ってのは、やぐよしのことです。いちごまも喧嘩じゃないけど、気まずいままってのが嫌なんですが、下手に書いて名作を汚すわけにはいかないので…。
364 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月23日(月)19時28分41秒
>>363
どうせ放置スレなんだし書いてみたら?
365 名前:363 投稿日:2001年07月24日(火)19時22分05秒
>>364
今月いっぱいは余裕がないので、一週間後にその気になっていたら、とりあえずsageのまま書くかも。
構想はあるのだけれど、下書きしている時間がないのが、辛い。
366 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月24日(火)19時50分08秒
>>365
頑張ってね。
367 名前:同意 投稿日:2001年07月24日(火)23時43分27秒
>>365
元祖作者さんには申し訳有りませんが「継続」には賛成
放置は悲しいし「続き」が気になる。頑張ってね。
368 名前:名前はまだない 投稿日:2001年07月26日(木)19時36分52秒
ちょっとテスト的に書いてみます。
変な所があれば教えてください。

最後まで書くかどうかは、気分次第ですが、どうせ直すなら、全部書く前の方がいいので。
369 名前:寒さ対策 〜21〜 投稿日:2001年07月26日(木)19時38分43秒
あれから、2週間が過ぎたある日。

後藤は、教室の移動のため、クラスメートの数人と廊下を歩いていた。吉澤は日直のため、職員室に行っていて、今はいない。後藤はクラスメートの話し掛けるのにも適当に相槌を打ちながらも、気持ちは晴れない。この2週間、市井との会話といえば、先週に1度。それも「バイバイ‥‥」だけである。

「あ〜」と溜息をふと漏らしたその時、廊下の向こうで、黄色いざわめきが聞こえた。

「あっ、いちーちゃん!」

市井がファンの5人に囲まれているところだった。

後藤が自然と市井を見つめていると、突然市井と目があった。思わず視線を反らしそうになったが、それより早く、市井は視線を自分の頭上にむけ、さらに後藤を見つめてきた。

(上って、屋上?)
後藤は人差し指で天井を指した。
市井が小さく頷くのが見える。
その間、約2秒。あまりの早業に誰も気付く様子はない。

(次の授業は、平家先生か。じゃあ決まり。)

後藤は具合が悪いので保健室に行くことを告げて、クラスメートと別れた。
370 名前:寒さ対策 〜22〜 投稿日:2001年07月26日(木)19時39分39秒

(いちーちゃんと話するの、久しぶりだなぁ。)
(よっすぃ〜が一緒だったら、ばれてたかも。)
(何だろう、別れ話じゃないよなぁ‥‥)

最初軽かった足取りがだんだんと重くなるのを感じながら屋上に行くと、既に市井は来ていた。

「よっ!」

右手を頭の上でチョップの形にする、お決まりの挨拶だ。そんなお決まりのポーズも何となく懐かしかったりする。

「何だか、久しぶりだね。こうして話すの。」

市井から話かけてきたが、後藤は黙ったまま頷く。

「ねぇ、真希はあたしの事好き?」
371 名前:寒さ対策 〜23〜 投稿日:2001年07月26日(木)19時40分35秒

(なによ、突然!)
一度市井を見つめた後、後藤はやはり黙ったまま頷く。

「じゃぁ、矢口の事は?」

後藤はしばらく考えて、

「好きだよ。優しいし、楽しいし。頼り甲斐のあるお姉さんって感じかな。」
「じゃぁ、吉澤の事は?」
「やっぱり、好きだよ。なにしろ、幼馴染だからね。いい所も悪い所もお互いによく知っているし。でも親友として好きなだけで、それ以上も以下もないよ。」

「そっかぁ」と言ったまま、市井はしばらく黙っていたが、

「私も吉澤はね、真希や矢口を泣かせることするし、それでいながらどちらとも仲がいいし、嫌な奴って感じだった。でも、あいつの優しさとか、純粋さが解るから、今は好きかな。」

(何が言いたいんだろう。いちーちゃんは)

「矢口のことも好きだよ。たぶん、真希が吉澤を好きなのとはちょっと違うと思うけど。」

市井は下を向いたまま後藤に近づき、横に並んだかと思うと、

「でもね、やっぱり一番好きなのは、真希のことなんだよね。」
372 名前:寒さ対策 〜24〜 投稿日:2001年07月26日(木)19時42分05秒
「矢口と吉澤の件があってから、変な感じになっちゃたけど、っておい泣くなよ!」
「ふぇん、だって、いちーちゃんが、後藤のこと一番好きだって、言ってくれたんだもん。さっきだって、もう終わりにしようなんて、振られちゃうじゃないかって、とっても不安だったんだよ。」

後藤が市井の方に身体を向けた。今にも溢れそうな目をキラキラさせながら。

「ごめんね。心配かけて。」

市井は後藤の頭を胸に抱き、ゆっくりと頭を撫でながら続けた。

「さっきの続きだけど、矢口と吉澤の件からあたし達も気まずくなっちゃったじゃない。でも、矢口は吉澤のことがやっぱり好きだし、きっと吉澤も矢口が好きだよね。」
「ウン。」
「だったら、4人ともお互いが好きなはずだ。だったら、喧嘩するのは嫌。だから、少なくとも、あたしと真希だけでも仲いいままでいたいなってね。」
「後藤は、いちーちゃんと喧嘩なんかしてないもん。」
「だって、電話もしてこないし、お昼休みだって、吉澤とばっかり遊んでるし、これでもね、寂しかったんだじょ。」
「電話してこないのは、いちーちゃんもじゃんか!」

抱かれていた頭を離して、市井を見上げる。

「まっ、そりゃぁそうだけど‥‥」引き離された手で自分の頭をボリボリ掻く市井。
373 名前:寒さ対策 〜25〜 投稿日:2001年07月26日(木)19時43分45秒
後藤は、一度見上げた顔をもう一度下に向け、頭を市井の胸にくっつけてきた。

「後藤はね、泣いてるやぐっつぁんをいちーちゃんが追いかけた時、やっぱりいちーちゃんは、やぐっつぁんの方が好きだったんだって、すごい不安になっちゃったの。だって、いちーちゃんは、後藤よりやぐっつぁんが好きだった時間の方が長いんだよ。さっきまでは後藤のことも好きだったかもしれないけれど、やっぱりやぐっつぁんが一番なのかなぁって。」
「バカだなぁ。あたしは真希が一番だって。」
「うぇーん、いちーちゃんがバカって言った。どうせ後藤はバカですよ。バカだから、ちゃんと言葉で言ってもらえないと、後藤はわからないの!」
「だったら、何回でも言うよ。市井は真希のことが一番好きだよ。」
「ふぇーん、あたしもいちーちゃんのことが一番好き!」

それから、二人はこの二週間を取り戻すかのように、とりとめのない話を延々と繰り返した。
374 名前:名前はまだない 投稿日:2001年07月26日(木)19時45分45秒
今日はここまで。

今日はテスト的なので、sageのまま書きました。

とりあえず、いちごまは仲直りさせられたかな。
375 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月26日(木)20時46分37秒
テストとか言わずにどんどん書こうよ。
376 名前:名前はまだない 投稿日:2001年07月27日(金)20時11分44秒
>>375
>テストとか言わずにどんどん書こうよ。
7月中は余裕ないんで上げる予定はなかったのですが、初書きで不安なもんで、テストってしておきました。
上のも睡眠時間つぶして、とりあえず書いたりしたんですが。

このあと、本当に7月いっぱいは書く事も見る事もできないので、その間に色々とご意見いただけるとありがたいです。
意見が聞けて、直せるかどうかは定かじゃないですが、努力をしますし、本格的に始める前にそういった意見を聞きたい
というのも目的だったりしますので、よろしくお願いします。
377 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月28日(土)03時20分27秒
俺としては、放置されてしまったこの小説が生き返るのは素直にうれしいです。
テストの部分も読んでみた感じ特に問題があるとも思えなかったし。

378 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月28日(土)07時46分40秒
>>377
同意。
ただ改行をもっとまめにした方が読みやすいよ。
379 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月28日(土)13時21分01秒
ここが上手くいったら代打屋として放置スレを救う旅に出てはどうか?
気が早いけど。
380 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月29日(日)02時51分28秒
元の作者さんが反対しない限り続けてよいと思います。
内容も今までのイメージを崩す感じではないので、すごく期待しています。

ただ、続編を書く限りは中途で放置というのはできればやめていただきたいかと。
この板でもありますけど、名作の続編を書き始めて結局放置っていうのは
読んでる方は普通の新作を放置されるよりも無責任に感じてしまうので。

ずっと書き続けなきゃだめ!というわけではないですよ。
区切りのいいところで区切ってくださればいいです。
たとえば寒さ対策は終らせるとか、その続きにしても途中で終らないで
話の区切りまでやっていただくとか。

そんな感じにしていただくと嬉いです。
応援しているので頑張ってください!!!
381 名前:名前はまだない 投稿日:2001年08月01日(水)19時21分04秒
>>377
私も仲悪いままってのが、不満でしたので、チャレンジしてみます。

>>378
横に長いって意味ですよね。改善してみます。

>>379
うまくいったら、自分のスレ立てたいと思ってます。
一応、中作二本、大作(かな?)一本を構想中。
ストーリー的には固まってるのだが、作品にするのが大変。

>>380
寒さ対策は終わらせます。読者様と元作者さんの満足のいく物になるかは別として。
元々がショート作品集だったようなので、このスレを終わらせるのは私の役目ではないと思います。
また、アイデアが続けば、続編書くかもしれませんが。

名前は未だ決まっていません。自分のスレ上げるまでには考えます。
382 名前:寒さ対策 〜26〜 投稿日:2001年08月01日(水)19時23分51秒

「けどさぁ、やっぱり問題は矢口と吉澤のことだよね。」
「うん、今のよっすぃ〜の前じゃ、いちーちゃんとも仲良くし辛いもんね。」
「あたしだって、矢口の前だと気ぃ使っちゃうよ。」

二人並んで、ふーっとため息を漏らした。

「よっすぃ〜は何でも自分で背負い込むのが悪いんだけどね。それは優しいようで、とて
も冷たいことがある。」

後藤は加護の件を市井に話した。

「ふーん、で怒ってほしくてあんなことを言ったのか。」
「でもね、やぐっつぁんも何か変だよね。普段だったら、よっすぃ〜の背中バーンとか叩
いて、『何言ってんだよ。』とか言いそうなんだけど。」
「それは、市井も感じた。何か他で悩んでることがあるのかなぁ。だとしても、それは吉
澤に関係していることなんだろうなぁ。でなけりゃ、喧嘩するはずないもの。」
「そうだよね。だけど、よっすぃ〜はそれに気付いていないか、知らないことだよね。も
し、自分のことでやぐっつぁんを悩ませるようなことがあったら、よっすぃ〜は絶対に自
分から謝るよ。」
「確かに。ということは、吉澤と関係ない所で、勝手に矢口が悩んでいるというのも考え
られるわけだ。」
「う〜ん、何かがどこかで食い違っちゃったんだよね。よっすぃ〜か?」
「矢口か?」
「「どっちもか?」」

後藤は、市井から少し離れて歩きながら、頭をクシャクシャと掻き揚げた。
383 名前:寒さ対策 〜27〜 投稿日:2001年08月01日(水)19時25分01秒

「なんだか、こんだけ混んがらがると、もっと食い違ったら、意外に元にもどったりして
ね。ハハハ。」
「そんな都合良くいく訳ないだろう。」

しばらく俯いて考えていた市井だったが、突然上を向いたかと思うと、

「うん、いいぞ。それだ。」
「えっ、なになに。」
「まきーっ、すごいぞっ。」と言いながら後藤に抱きつく。
「えっ、いちーちゃん、後藤のこと誉めてるの?」
「そうだよ。えらい、えらい。」

後藤の頭をクシャクシャにする。

「へっへっ、やったね。ニィーッ。」

口を横一文字にした、後藤の笑顔だ。
(やっぱり、真希はかわいいよなぁ。)
384 名前:寒さ対策 〜28〜 投稿日:2001年08月01日(水)19時26分02秒

−放課後−

「よっすぃ〜、帰ろうかぁ。」

後藤が呼びかける。

「あっ、ごっちん。ちょっと待ってて。今日、あたし日直だからさぁ。これを職員室に持
っていかないといけないから。」

吉澤は全員分のプリントを持ったまま応えた。

「ご苦労なこったね。じゃあ、先に行ってるよ。下で待ってるからねぇ。」

と言い残して、後藤は教室を飛び出していった。

「えーーっ、待っててくれないのぉ。ひどいなぁ、ごっちんが日直の時はあたしが一緒に
持ってってあげたのにぃ。もぉ!」

吉澤は手が塞がっているので、足で後藤の机を小突いた。
385 名前:寒さ対策 〜29〜 投稿日:2001年08月01日(水)19時27分23秒

さて、こちらは下駄箱前。

「ごっちーーん、遅くなってごめんね。」

と吉澤が駆け下りた所には、後藤はいなくてその代わりに、

「よっ!」
「市井さんっ!」

「どうしたんですか、急に?」
「いやぁ、元彼どうし、話がしてみたいと思ってさぁ。」
「何ですか、元彼って!しかも元って、市井さん、ごっちんと別れたんですか?」
「どこかのバカ野郎たちのおかげで、風前のともしびだってぇの!」
「すいません。オレっちのせいで。」うな垂れる吉澤君。
「だっ大丈夫だよ。市井達は。」
「本当ですか?」ちょっと元気が戻った吉澤君。
「うん、今日も真希と話したよ。久し振りだったけどな。」

後藤が保健室から戻った時に、妙に元気だったことを思い出した。
(ふーん、あの時か。)
386 名前:寒さ対策 〜30〜 投稿日:2001年08月01日(水)19時28分24秒

「でさぁ、あたしも真希ももう同じ思いをしたくないわけ。だから、お互いに相談相手を
代えてみようかっという事になったわけ。解る?」
(解る?って言われてもなぁ。)
「でもぉ‥‥」
「ああっ、もうグダグダ言わないで、行くぞぉ。」
「行くって、どこへですか?」
「吉澤んちだよ。決まってるだろぅ!」
「ええっ!!!」

その後、市井に引きずられていく吉澤の姿に微笑む二つ(一人は不安そうな)の小さな影。
(うけけけけ!)
387 名前:寒さ対策 〜31〜 投稿日:2001年08月01日(水)19時29分33秒

一方、

「サヤカ、遅いなぁ」一人たたずむ小さい影。そこに音もなく近づく大きな影。

ふと、制服のポケットにあるものが気になって、取り出した時、

「わっ!」
「ヒャァッッ!!!」

小さい影が飛びあがる。

「何するんだよって、ごっちんかぁ。」あわてて、ポケットに戻す。
「何隠したの。やぐっつぁん。後藤にも見せてよ。」
「何も隠してないよ。それに、よっすぃ〜はどうしたの。いつも一緒でしょ。」
「やっぱり、よっすぃ〜のこと、気になるんだ。」
「そんなんじゃないよ。それに、オイラはサヤカを待ってるんだ!」
「いちーちゃんは来ないよ。よっすぃ〜と帰ったよ。」
「なんで、サヤカがよっすぃ〜と帰るんだよ。」
「いちーちゃんってさぁ、あんまりよっすぃ〜とゆっくり話したことないし、たまにはい
いんじゃないかなぁって。」
「じゃぁ、なんでごっちんがここにいるの?」
「いちーちゃんの代わり。」
「代わりって‥‥なんじゃ、そりゃぁ!!」

混乱した頭のまま、矢口は考えた。
(ごっちんにだったら、相談できるかな?)
388 名前:寒さ対策 〜32〜 投稿日:2001年08月01日(水)19時31分05秒

時間は戻って、屋上へ。

「だからさぁ、真希の言うとおり、もっと食い違うために、あたしらも食い違ってやるわ
け。」
「あたし達も喧嘩するっていうこと?」
「違う違う、組合せを代えてやるの。真希は吉澤の気持ちがよく解るだろう。」
「うん」
「あたしは、矢口の気持ちが理解できると。」
「うんうん」
「だから、真希が吉澤の気持ちになって、矢口の相談に乗り、市井は矢口の気持ちになっ
て、吉澤の話を聞く。そうしたら、本人どうしでも言えないようなことも言えちゃうかも
しれないでしょ。」
「うんうんうん」
「そこですぐに仲直りさせることができなくても、あたし達が聞いたことを話あえば、も
っとお互いの気持ちが解るよ。」
「そうだね。いちーちゃんってすごーーい。」
「あたしじゃないよ。真希がえらいんだよ。」
「そうっか。えへへ。」

市井に頭をワシワシされ、喜ぶ後藤真希。
389 名前:寒さ対策 〜33〜 投稿日:2001年08月01日(水)19時32分27秒

「あっ!でも、よっすぃ〜の相談聞いてるうちに、よっすぃ〜の方が好きになったなんて
のはダメだよ。」
「はっはっ、大丈夫だよ。あたしに真希以上に好きになる奴なんていないよ。それより、
真希こそ矢口の方が好きになったりしないでよぉ。」
「それはどうかな?」

一瞬、市井が固まる。
後藤は市井に背を向け、歩きながら、

「だって、相手はいちーちゃんが好きだった相手だよ。好きになっちゃうかもしれない
よ。」
「後藤さん、あたしは何をすれば良いのでしょう?」

後藤は振り向いて、目を閉じ、唇を突き出した。市井はゆっくり近づき、腰に手を回し、
静かに唇を合わせた。

「やっぱり、いちーちゃんがいい。」
「あたしだって、ずっと我慢してたんだからね。」
「でも、本当に心配だったら、今晩絶対に電話ちょうだいね。」

そして、お互いの相手と待ち合わせるように打合せを重ねる二人だった。
390 名前:名前はまだない 投稿日:2001年08月01日(水)19時36分33秒
今日はここまで。

時間空いてた割にペースが遅いのは、パソコン触ってる時間があまりないためです。
できるだけ、更新は早めにしたいと思ってますが、よろしくお願いします。

今一番難しいのは、レスを切る場所だったりする。

できるだけ勉強したいので、アドバイスがあれば引き続きお願いします。
391 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月01日(水)21時38分29秒
待ってました。
良い感じじゃないでしょうか。
無理せず頑張って下さい。
392 名前:mo-na 投稿日:2001年08月02日(木)03時10分31秒
いいんじゃ〜〜ぁないのでしょうか!
復活万歳!
ラストまで頑張ってくださいね!新作者さま。
393 名前:名前はまだない 投稿日:2001年08月02日(木)19時44分40秒
何だか掲示板が変な様子ですが、レスを全部読むを選ぶと読めるみたいですね。

ちょっと不安なので、UPは明日を予定。ひょっとしたら、日曜日になるかも。
394 名前:名前はまだない 投稿日:2001年08月03日(金)20時56分04秒
とりあえず、全部書き上げたので,UPしようとしたら、512文字制限で引っ掛かってしまった。
今から512以下で区切るのは、気力がありません。

日曜に512制限が外れてたらUP予定ですが、続いてたらもう少し後かも。
395 名前:mo-na 投稿日:2001年08月04日(土)03時31分41秒
あら・・ショッキー
では、待ちますね!
396 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月04日(土)08時40分14秒
512文字制限撤廃はないそうなので、がんばって切り直してください。
楽しみに待ってます。
397 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月05日(日)10時58分51秒
>>395、396
現作者です。

こちらの更新もあったのですが、時事ネタで書きたいのがあったので、新スレを海板であげました。
題名は「永遠に」です。本日より開始です。そちらでもお付き合いいただけると、ありがたいです。

では、これから切り直しにかかります。予定では、あと二回かな、三回かな。
398 名前:寒さ対策 〜34〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時30分23秒
「で、よっすぃ〜はどんな感じだった?」

現在、23時を過ぎた頃。

その日の夕方、屋上での予定通り、お互いに相手を代えて話を聞いてみたのだが、その報
告のための電話をしているのであった。といっても、屋上で確かめ合った気持ちに変化が
ないことを確認し合うのも目的である。そのため、約束通りに22時に市井から電話した
が、吉澤と矢口の話になるまでに、こんな時間になってしまっていたのであった。

「うん、そうだねぇ。吉澤って、かなり強情だね。」
「でしょ。でしょ。」
「真希もかなり強情だけど、吉澤も負けてないね。」
「ええっ!後藤は素直だよぉ。」
「いやいや、真希も一度へそ曲げたら、自分からは絶対に折れないもんね。」
「自分が悪いって思ったら、ちゃんと謝るよぉ。」
「ハイハイ、って、今は真希の話じゃないんだからぁ。」
とはいうものの、自分から後藤の話題になってしまう、後藤大好きな市井でした。
399 名前:寒さ対策 〜35〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時31分08秒
「何言っても、『いえ、悪いのは全部自分っすから』とか、『矢口さんには、迷惑ばかり
で申し訳ないです』とか、そんなのばっかりでさ、こっちが疲れるよ。」
「男気が強いのはいいんだけれど、もうちょっと相手の気持ちも考えろ!って言いたくな
るんだよね。」
「あたしもさぁ、矢口がどんだけ、昔から吉澤のことを考えていたかとか、ファンクラブ
の会長で嬉しそうな姿とか、説明したんだけど、聞く耳持たずだよ。」
「そうそう、いちーちゃんとこのカオリなんかとは、全然違うもんね。」
「カオリの話は止めておこう。」

後藤とヨリを戻したのを知って、頭からケムリが上がる飯田(『ダンディ、市井王子を守
る会』会長)をイメージして、身体がビクンと反応して、思わず後ろを振り向く市井であ
った。
400 名前:寒さ対策 〜36〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時32分10秒
「ごめんなぁ、市井は全然役にたたなかったョ‥‥。」

ちょっと、ヘナ気味の市井。

「ん、ぁあ、でもこれで、やぐっつぁんのいらいらする気持ちも理解できたわけじゃない。
それに後藤がよっすぃ〜に思ってたのも間違いじゃないってわかったんだから、それだけ
でもいいじゃない。」
「あぁ、真希は本当に優しいなぁ。」

ケイタイを片手に反対の手で涙を拭う仕草を見せたが、部屋で一人きりのため、誰も気付
くはずもない。

「まぁ、よっすぃ〜が簡単に折れるとは思ってなかったし、もしこれで簡単に折れてたり
したら、あたしの立つ瀬がないよぉ。ちょっと、安心したってのが本音かも。」
「はっはっはっ、もうちょっと期待されてると思ったけどなぁ。」
「あたしだって、伊達に幼馴染やってないからね。」
「おいおい、そんなこと言うと、妬いちゃうぞぉ。」
「だからぁ、よっしぃ〜とは親友としてしか見ていないって。」

やはり、話は進まぬ二人であった。

「それはそうと、真希の方はどうったのよ。」
「うーーーーーんとねぇ。」
401 名前:寒さ対策 〜37〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時33分26秒
時間は数時間戻って、こちらは、矢口の家。

何が何だか判らぬまま、市井の代わりに付いてきた後藤を帰すこともできず、ここまで連
れてきてしまった。矢口も後藤に聞いてもらおうかと悩んでいるうちに、帰すことができ
なくなったのも理由であるが。

「ごっちん、ごめんね。サヤカとは仲直りできたの?」
「うん、残念ながら仲直りしたよ。っていうか、ケンカなんかしてなかったし。」
「そうか、そりゃ安心した。」

矢口にいつもの元気はなく、弱々しい笑顔だった。

「ん!残念だった?」と覗き込む後藤。

「うん、ちょっとね。けっこうサヤカが近くにいてくれて、救われてたからねぇ。あ、で
も、お昼休みとかによっすぃ〜と遊んでるごっちんを見てて、恨めしそうに眺めているサ
ヤカも知ってるから、それも辛かったけどね。」
「いちーちゃんに惚れちゃった?」
「バカ!そんなんじゃないよ。」

思わず顔を背ける矢口。
402 名前:寒さ対策 〜38〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時34分38秒
後藤は、矢口とは反対の方に顔を向けながら、

「後藤はね、本当はやぐっつぁんに嫉妬してたんだよ。」

矢口が「えっ」と振り向く。
後藤は向きを変えずに続ける。

「あの時さぁ、やぐっつぁんとよっすぃ〜がケンカした時ね。あの時、いちーちゃんがよ
っすぃ〜が追いかけようとするのを止めて、自分で行っちゃったじゃない。あっ、やぐっ
つぁんはよっすぃ〜が追いかけようとしたのも知らなかったかな?そん時さぁ、いちーち
ゃんがやぐっつぁんをよっすぃ〜から奪い返したように見えたのね。」

後藤は”奪い返した”の部分を強調するように言った。

「あ〜あ、いちーちゃんは後藤よりもやぐっつぁんの方が好きなのかなぁってねぇ‥
‥。」

「それは違うよ。ごっちん」

後藤の話を途中で遮るように矢口は言った。
403 名前:寒さ対策 〜39〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時36分38秒
「サヤカが本当に好きなのは、ごっちんだけだって。今までずっと、サヤカを見てきてい
るオイラが言ってるんだから、間違いないよ。」

後藤が振り向くと、いつもと同じ優しい目をした矢口がいた。
そんな矢口を後藤はしばらく見とれていた。

(いちーちゃんは、こんなところが好きになったのかな?)

ふと、我に返って、

「そんなこと言っちゃって。やぐっつぁんはよっすぃ〜の事ばっかり見てたくせに。」
「ちょーーっと、確かによっすぃ〜のことも見てたけどさぁ。」
「じゃぁ、その頃付き合ってたあたしのことも見てたんだ。」
「うん、見てたよ。こんないい加減でやる気がなくて、いつも眠そうなこいつのどこがい
いんだ!ってね。」
「うーーっ、ひどい言い方。」
「でも、いい加減だったでしょ。」
「そんなこと‥‥。」
「やる気なかったでしょ。」
「そうかな。」
「寝てばっかしだったでしょ。」
「それは確かに。」
404 名前:寒さ対策 〜40〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時38分12秒
「でもね、笑ってる顔がすっごい可愛くてねぇ、あっ、よっすぃ〜はこんな娘が好きなん
だぁって思ったよ。だから、よっすぃ〜と別れた時は、あれぇって思ったけど、今度はサ
ヤカと付き合ってるって聞いても、そっかぁって感じで、素直に喜べたよ。」
「下げたり、上げたり、あんたはエレベーター娘。かぁ!」

妙な関西弁風(監修:加護)に突っ込んでおく後藤。

「でさぁ、ごっちん。ちょっと聞いてみてもいいかなぁ?」
「ん、何?」

矢口は言葉を選んでいるようだった。

「サヤカって、御三家ナンバー1じゃない。それって不安じゃない?」
「不安じゃないって言うと嘘になるけど、ほら、いちーちゃんとこには、番人がいるから
ね。」
「あぁ、メカゴジラね。」
「メカゴジラ‥‥、ブォッ!」
405 名前:寒さ対策 〜41〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時39分24秒
”メカゴジラ”がつぼにはまったらしく、後藤はしばらく笑い転げていた。
「飯田さんがメカゴジラ‥‥くっくっくっ、じゃぁ対戦する安倍さんがゴジラかぁ‥‥く
っくっくっくっ、やぐっつぁんは小っちゃいからゴジラの子供‥‥、はっはっはっ。」
「なんでオイラがミニラなんだよぉ!」

ひとしきり笑った後、涙を溜めながら、
「そう、あのメカゴジラがいるからぁ、ふぁっふぁっ‥‥、変な奴が手を出したり、ふぃ
っふぃっ‥‥、できないんでねっ、ふぇっふぇっ‥‥、そっちの方は安心できるかな。ふ
ぅーっ。お腹痛っ。」
「ごっちん、あんた笑いすぎだよ。」
「だって、はまり過ぎ。ふぁっふぁっ‥‥。」
406 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月05日(日)11時44分50秒
( `.∀´) <ねぇ、この展開でアタシは出ないの!
        (ちょっと複雑な心境)
407 名前:寒さ対策 〜42〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時46分26秒
ふーっと一息、ちょっと落ち着けるように、息を整えて、
「見たことないから、わかんないけど、ちょっと嫌かな。でも、断ってくれたら、それは
それで嬉しいかも。」
「でもさぁ、こくられている時の迷いみたいな気持ちとかさぁ、わかっちゃったらどうす
る?」
「それって、選ぶ相手をあたしにしようか、目の前の相手にしようか迷うってこと?それ
は、嫌かなぁ。スパッと決めろよぉ、あたしにって感じ。」
「サヤカやよっすぃ〜って、こくられる回数も多いでしょ。それだけ迷うことがある可能
性も多いってことじゃない。でもさぁ、ごっちんみたいに本当に自分のことが好きで選ん
でくれていたら嬉しいけどさぁ、そんなんじゃなくて、いつもお世話になってるからみた
いなので決められると、なんか悲しいよね。」
「そうかなぁ。結局相手を選ばないってことは、それだけ相手を好きになれなかったって
ことでしょ。だったら、結果は同じだと思うんだけど。」
「でも付き合ってみたら、その相手のことを本当に好きになるかもしれないし、その娘の
方がぴったり合うかもしれないじゃない。その可能性を奪ってたりしたら、やっぱ辛いじ
ゃん。」

矢口の表情はまた弱々しくなった。
408 名前:寒さ対策 〜43〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時47分38秒
「それは、よっすぃ〜に合う娘が他にいるってこと?やぐっつぁんはよっすぃ〜の可能性
を奪ってるってこと?」

矢口は後ろをむいたまま、応えない。

「やぐっつぁんがどう思っているかしらないけれど、よっすぃ〜はやぐっつぁんのことを
迷惑に思ったりしていないよ。よっすぃ〜は自分がやぐっつぁんに迷惑をかけているって
方を気にしているくらいだから。自分が迷惑なんじゃないかって、そっちを心配している
よ。」

「オイラさぁ‥‥」

矢口は言いかけたまま、沈黙が続いた。
沈黙を破ったのは、階下からの矢口の母親の声だった。
409 名前:寒さ対策 〜44〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時48分59秒
「真里っ、もうすぐ夕飯だけど、お友達は食べていかれるの?」

部屋から顔を出して後藤は応えた。

「あっ、私もうすぐ帰りますので、お気になさらないでください。」
「そうですか。何もおかまいなしで、ごめんなさいね。」
「いえいえ、こちらが急におしかけましたので。」
「じゃぁ、真里、あまりご迷惑にならないようにね。」
「うん、もうすぐ終わるから‥‥。」

「ふーっ」と一息ついて、母親の気配がなくなったのを確認した後、

「オイラさぁ、実はこくられちゃったのね。柄でもなく浮かれちゃったりしてさぁ。よっ
すぃ〜にもサヤカにも言ってないよ。ごっちんが初めて。」
「ふーん、そうなんだ。でも、やぐっつぁんじゃぁ、別に不思議じゃないじゃない。」
「それがさぁ、オイラこんなの初めてなのよぉ。」

矢口が手紙は見せなかったのは、手紙をくれた相手に対する思いやりの気持ちだったのか
もしれない。そういう事が初めてというのは、市井が矢口を好きだったことを知ってる後藤にとっては、
意外であった。
410 名前:寒さ対策 〜45〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時50分56秒
「それまでは、よっすぃ〜がこくられているのを見ても、ちょっとはドキドキだったけど、
それでオイラ達の関係は崩れないって自信みたいなのがあったんだよね。でもさぁ、自分
がこくられて喜んでる訳じゃない。何か心ときめいちゃってる自分がいるわけよ。同じ機
会を何度も経験しているよっすぃ〜にとっては、こんなときめきが何度もあって、それを
我慢させてるんじゃないかぁとか、ときめくことさえ我慢させてるんじゃないかぁって‥
‥。」


後藤は黙ったまま、矢口を見つめる。後藤の反応を確認したのか、矢口は続ける。

「自分がこくられて初めて、よっすぃ〜の気持ちになれたっていうのかなぁ。今までは、
よっすぃ〜のファンとしてしか見れていなかったから、オイラの好きなようにやってきた
けど、ファンはファンとしてあんまり入り込みすぎちゃぁいけないんだなってね。」

(それは違うよ!)

後藤は言いたかったけれど、矢口の空気がそれを拒否していた。もしも、安易な言葉で説
得しようとしても、それは矢口の心を閉ざすだけだ。今は矢口がこくられたという事実を
受け入れてあげる。それだけで充分ではないかと後藤は考えた。
411 名前:寒さ対策 〜46〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時53分15秒
「何にも言えなかったよ。あたしも役にたたなかったね。」

時間は23時過ぎに戻る。

後藤は矢口との会話を市井に報告した。矢口がこくられた話も他に誰にも話さないことを
条件に話した。

「いんにゃ、矢口の変な様子の理由がわかったのは収穫だよ。」
「でもやぐっつぁんがよっすぃ〜が好きなのも本当な気持ちだと思うの。ただ、やぐっつ
ぁんの中で自信がなくなってるだけで、本当の気持ちに気付かせてあげれば、よっすぃ〜
も折れるよ。きっと。」

市井はしばらく考えていたが、

「ねぇ、真希。一つ約束を破ってもいいかなぁ?」
「えっ、なになに?」
「やっぱり、矢口がこくられた話を吉澤にしないといけないんじゃないかと思うんだ。そ
して、吉澤が本当に矢口のことを好きだという気持ちに気付かせる必要があると思うん
だ。」
「でも、よっすぃ〜のことだから、そんな話されたら、自分から身を退いてしまうかもし
れないよ。」
「だから、それはあたしに任せてくれないかなぁ。」
「いちーちゃん、大丈夫?」
「大丈夫。あたしに任せて。あたしにもちょっとくらいいいとこ見させてよね。」
412 名前:寒さ対策 〜47〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時54分26秒
さて、次の日。

「よっすぃ〜、おはよー。」
「ごっちん、今日は早いねぇ。」
「ねぇねぇ、いちーちゃんとはどうだった?」

「市井」と聞いて、周囲が一瞬静かになる。吉澤はアワアワと周囲を気にしながら、
「ごっちん、変な言い方しないでよ。何にもないよぉ。」
「なに小声で言ってるのぉ。変なの。」
「ただでさえ、市井さんのファンの子が多いんだから、刺激するような事言わないでよ
ね。」
「なに意識してるのぉ。ひょってして、惚れちゃったぁ?」
「バカ!なに言ってるのぉ。!」

口を縦に広げておどける後藤真希。
それを見て、「冗談か」と周囲はまたいつもの喧騒に包まれた。

「で、いちーちゃんからの伝言。今日も付き合えって。」
「うーん、何だか苦手だなぁ、あの人。」

机に突っ伏せた格好で天井を見上げる吉澤。
413 名前:寒さ対策 〜48〜 投稿日:2001年08月05日(日)11時55分28秒
一方、市井は?

「おっはよー、矢口っ」
「あっ、サヤカ、昨日はなんだよぉ。先に帰っちゃって。」
「はは、気にするな気にするな。真希も喜んでたぞ。」
「何か聞いた?」
「何か言ったのぉ?」
「べつにぃ。」

頭を傾けて下から覗き込む市井のふざけた態度に、プィっと横を向いてみせる矢口。

「怒るな怒るな。あっ今日もあたし、吉澤んところに行くから、矢口は真希をお願いね
っ。」
「なんで、オイラがごっちんの相手するわけよぉ。」
「だって、あいつはあたしがいないと寂しがるじゃない。」
「だったら、サヤカが行っておあげよ。」
「いや、今日は真希と一緒に帰れる日じゃないから、そんなことしたら、またカオリの説
教聞かされるよ。」ブルブルと震えてみせた。
「確かにねぇ‥‥。」

気がついたら、今日も後藤と付き合うことを約束された矢口であった。
414 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月05日(日)12時01分47秒
ちょっと休憩。余裕があったら、夕方にUPします。

今回の部分は結構難産でした。場面展開のない分、会話で進展させないといけないのですが、
矢口のキャラがうまく台詞で表現できなくて苦労しました。他のメンバーのも自信ないですが。

もう少しですので、よろしくお願いします。
415 名前:寒さ対策 〜49〜 投稿日:2001年08月05日(日)18時33分39秒
さて、放課後。

季節は11月中旬だが、今日は日差しが強く気温が上がっていたため、放課後の時間でも
寒いという感じはなかった。きっと、ほとんどの生徒達には、心地よい日というのであっ
たろう。
にもかかわらず、とても心地よさとは掛離れた人物が1名。一年の下駄箱前でたたずんで
いた。現在、御三家候補(前回次点)の吉澤くんであった。
昨日も市井とは約2時間付き合わされた。付き合わされたといっても、場所は吉澤宅だし、
一方的に話すのは市井に対して、生返事ばかりだったのが2時間にもなった原因なので、
吉澤も怒れない。
本当は今日も断りたかったけれど、運動部気質のある吉澤には先輩の誘いを断ることはで
きなかったし、何より後藤の伝言でもある。

「はぁーーーっ」

本日15回目の大きなため息であった。
416 名前:寒さ対策 〜50〜 投稿日:2001年08月05日(日)18時34分44秒
「昨日は、オレっち、あんな態度で。市井さん怒ってるだろうなぁ。矢口さんのことで心
配してもらってるのは判るんだけど、もうダメなんだよね。きっと、矢口さんにも嫌われ
てるし。あぁーっ、こんなんじゃぁ、ごっちんにも嫌がられるかもなぁ。って、前に振ら
れたんだよなぁ。やだなぁ、こんなオレっちって。」

既に冬空モードに入っている吉澤の前に、

「よっ!」

春空モードに爽やかな市井出現。

「そんな顔してたら、ファンの子が退いちゃうぞ。御三家復帰狙ってるんじゃないのか
ぁ。」
「もう、そんなのオレっちには関係ないっすから。」
「おうおう、あん時グレてた奴が言うことかね?」
「あん時と今じゃぁ、違いますから。」
「それは、矢口のことか?」
「矢口さんとは関係ないです。」

ほほう!と言いながら、うな垂れる吉澤の後ろに回る。

「ここじゃぁ、話にくいだろ。かといって、昨日みたいなのも疲れるし、場所変えよ
う。」

市井は吉澤を体育館裏に連れていった。
417 名前:寒さ対策 〜51〜 投稿日:2001年08月05日(日)18時36分11秒
「ここなら、お互いのファンに見つかることなく話せるだろ。」
「はいっ、でも手短かにいきましょう。」
「あたしもそれを希望するよ。」

指をポキポキ鳴らす真似をしながら、5mほど離れた場所から市井は睨んでみせた。
市井の迫力に負けないように、胸を突き出す吉澤。
(なんだか決闘って雰囲気だなぁ。)

突然の風にも、ショートヘアーの二人は気にすることはない。二人、微動だにしないまま、
数分間。

「もう一度聞くよ。矢口のことはどう思っているの。」

先に口を開いたのは市井だった。ごまかしや言い訳は許さないといった、緊張感みなぎる
声だった。
418 名前:寒さ対策 〜52〜 投稿日:2001年08月05日(日)18時37分56秒
「オレっちは、矢口さんにはすごい感謝しています。本当にお世話になりました。でも、
これ以上オレっちのせいで矢口さんに迷惑をかけたくないんです。」
「矢口が迷惑だって言ったのかよぉ。」
「矢口さんは優しいから、そんなこと自分からは言いません。」
「じゃぁ、本当に迷惑がっているか、嫌がっているか解らないじゃないか。」
「でも、もう矢口さんの悲しい顔を見るのは嫌なんです。」
「そんな悲しい顔にさせたの誰なんだよぉ。」
「だから、これ以上もぅ‥‥。」

吉澤の気勢がそがれた。
市井が吉澤に近づく。手の届く距離だ。
419 名前:寒さ対策 〜53〜 投稿日:2001年08月05日(日)18時39分11秒
左手を吉澤の右肩に乗せて、
「吉澤、あたしが矢口のこと好きだったって知ってるよねぇ。」
さっきまでとは異なる優しい問いかけだった。
「えぇ、ごっちんから聞いています。」
「だったら、あたしが好きだって言わなかったことも。」
「えぇ。」
「矢口もあたしの気持ちはもう知ってるとは思うけれど、結局はあたしからは言ってない
んだ。」
「はい」
「多分というか、間違いないと思うんだけど、矢口って誰かからこくられたことってない
んだ。」
「そんなことないですよ。あんなに可愛くて、明るいし、みんなの人気ものじゃないです
か。絶対にありますよ。」
「いや、ないんだ。本人が言ってたよ。生まれて初めてこくられたってね。」
「?????」

吉澤は何が何だか、訳もわからず、頭が混乱してしまい、一瞬思考回路が停止してしまっ
た。
420 名前:寒さ対策 〜54〜 投稿日:2001年08月05日(日)18時40分27秒
「今月の頭らしいよ。ちょうど矢口と吉澤がケンカした頃さ。そりゃそうだ。ケンカの原
因の一つだからね。」

「全然、訳わかってないんですけど。」
無理に冷静を装い、視線を合わさない吉澤。

「矢口が言うんだよ。こくられて、こんなにドキドキする気持ちを吉澤は何回も経験して
るって、初めてわかったって。吉澤はいつもこんな気持ちを経験してたのかって。」

何も言わない吉澤の両肩に市井は両手を置いて続けた。

「あたしも経験あるけど、誰にこくられようが、関係ないんだよね。本当に自分が誰のこ
とを想っているか。そういう相手がいなければ、こくられてもドキドキするかもしれない
けど、想う相手がいたら、こくられても迷惑なだけなんだよね。」
「でも、矢口さんはこくられて、心ときめいたんですよね。それは、オレっちが想う相手
じゃないってことですよね。」
「違うよ。矢口はこくった相手にドキドキしてるんじゃなくて、こくられたことにドキド
キしてるんだ。」
「でも、もしそのこくった相手が出てきたら、そいつに心ときめくかもしれないんですよ
ね。矢口さんには、オレっちみたいなのより、その方が幸せなのかもしれないですね。」
421 名前:寒さ対策 〜55〜 投稿日:2001年08月05日(日)18時41分59秒
市井はしばらく黙ったままだった。下を向いた吉澤は市井の表情は解らないが、きっと困
惑してるのだろうと感じた。
(あぁ、やっぱりダメダメなオレっち。)

「吉澤?」

数秒にも数分にも思えた沈黙を破ったのは市井の問いかけだった。

「はい」

弱々しく応えてふと顔を上げた時、市井の右肩が動くのが見えた。
と思ったその直後、

バキッ!

吉澤の目に火花が散った。と、そのまま吉澤の身体が大きく右に跳んだ。
(なにが起こったんだ???)

市井の右ストレートが吉澤の左顔面にクリーンヒットしたのだった。
(オレっち、殴られたの?)
422 名前:寒さ対策 〜56〜 投稿日:2001年08月05日(日)18時44分27秒
地面に転がった姿勢のまま左頬をなでようと手を伸ばした途端、今度は市井が吉澤をあお
向けにして、馬乗りになった。そして、襟首を両手で掴むと激しく前後に揺らした。

「バカヤロー、何で矢口の気持ちを解ってやれないんだよぉ。あたしの好きだった矢口を
こんな情けない奴に託さなければならないのかよぉ。くやしかったら、矢口のことを絶対
に離さないように抱きしめてみやがれぇ。」

市井は目を真っ赤にして叫んだ。
腕力なら吉澤の方が上である。市井を跳ね除けることも容易なはずだった。しかし、今の
吉澤にそんな力は残っていなかった。

「矢口は吉澤じゃなけりゃダメなんだよぉ。御三家なんか関係ない、吉澤ひとみが好きな
んだよぉ。何で解ってやらないんだよぉ。」

(矢口さん!)と思ったその瞬間、
423 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月05日(日)18時49分01秒
現作者です。

更新終了です。

一応、考えていたストーリーの中では、一番の山場のところでしたので、頑張ってみましたが、
なかなかうまくはいかないです。まだまだ修行が足りん。

次でこの「寒さ対策」は終了予定です。
424 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月06日(月)05時11分37秒
いや〜、熱いですな。
まさに、熱血青春ドラマですな(w

ところで、作者さんは「寒さ対策」が終わったら、終了させてしまうんですか?
せっかく復活したんで、出来れば続けて欲しいのですが。
425 名前:寒さ対策 〜57〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時23分32秒
(矢口さん、ごめんなさい。)

っと思った瞬間、

「ほぇーっ」

意味不明の言葉を残して市井の身体は左に跳んだ。

(?????)

市井が跳んだ方向を見ると、10m向こうで腰を押さえている市井の姿が。
反対の方向に目を向けると、そこには、

「矢口さん!!!!!」
「サヤカ、いくらサヤカでもよっすぃ〜にひどい事したら、オイラが許さないからね。」

吉澤のそばで仁王立ちする矢口がいた。吉澤に馬乗りになっている市井に、矢口が体当た
りしたのだった。
426 名前:寒さ対策 〜58〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時24分39秒
矢口はしゃがんで、倒れている吉澤の頭を抱き起こして、
「よっすぃ〜、大丈夫?頬がこんなに腫れてるよ。待ってて、すぐに冷やさないといけな
いから。」
「待ってください。矢口さん!」
「ん、どうした?」
「お願いです。もうしばらく、このままでいさせてください。」
「ダメだよ。ケガしてるかもしれないし。」
「大丈夫です。市井さん、そんなに腕力ないし。それにこのまま矢口さんの、真里の温か
さを感じていたいんです。」
「よっすぃ〜‥‥」

思いっきり吉澤の頭をだきしめる矢口。
ん、なぜか背中をパンパンと叩く奴が。
何かと抱きしめる力を緩めると、

「矢口さん、息できないっすよ。苦しいっすよ。」
「あ、ごめんごめん。」

もう一度、やさしく吉澤を抱きしめる。

「真里、ごめんね。心配させたね。もう離さないからね。」
「うん、よっすぃ〜。これからもよろしくね。」
427 名前:寒さ対策 〜59〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時25分13秒
思い出したように市井を探す矢口と吉澤。

「あっ!あそこっ。」

吉澤の指した方向を見ると、そこには後藤に肩を借りながら、去っていく市井の姿があっ
た。矢口達が自分を見つけたのに気付いたのか、振り向かずに腰を擦っていた左手を上げ
てみせた。

「市井さん、カッコつけすぎ。」
「サヤカ、ありがとうね。これからもずっと、親友だよ。」

ゆっくり起き上がった吉澤が腕を差し出す。それにしがみつくような格好の矢口と共に、
市井達とは反対の方へ歩きだした。
428 名前:寒さ対策 〜60〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時26分23秒
「いちーちゃん、無理し過ぎ。」
「いいじゃん、最後くらいカッコつけさせてよね。」
「うん、すごいカッコ良かったよ。」

腰をしこたま打ち付けて、まっすぐ立てない身体の市井に、肩を貸しながら後藤が言う。

「でも、真希っ、ナイスタイミング。もうちょっと遅かったらやばかったかも。」
「だって、いちーちゃんが『4時10分ちょうどに体育館裏を通れ!もし1分でも早かっ
たり、遅れたりしたら、キス禁止だ!』って言うんだもん。」

後藤が恥ずかしそうに俯いた。それを下から覗き込むようにして、市井がキスしてきた。

「あたしだって、こんな気持ちのいいこと、禁止にしたくないからねぇ。」
「もう、いちーちゃんったらぁ。」

バシッ!

「ご、後藤さん、そこはっ。」
「あっ、ごめん。いちーちゃん。」苦痛に顔を歪める市井沙耶香。

向かう先は市井宅か?

「あっ、ちょっと待ってて。」
「ん、どうした?」

後藤は素早い手付きで携帯メールを打った。

「これで大丈夫っと。じゃあ、行こうか。」

こんどこそ市井宅へ向かう二人であった。
429 名前:寒さ対策 〜61〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時28分31秒
さて、ここは体育館裏。

「うけけけけ。」

繁みの中からカメラ片手の小悪魔×2登場。

「やったやった、大スクープやで。市井さんとよっすぃ〜の乱闘騒ぎ。そして、よっすぃ
〜と矢口さんの仲直り。絶対にうけるで。評判間違いなし。うけけけけぇ。」
「あいちゃん、こんなの趣味悪いよ。止めようよぉ。」
「だって、うちらよっすぃ〜らの仲ようなる手伝いをしたんやで。感謝されるでぇ。」
「だってぇ!」
「心配せんでもええで、のんちゃん。市井さんもそれに一役かってることになってるんや
で。飯田さんやて、喜んでくれるでぇ。」
「そうかなぁ。」

ふんふんふんと上機嫌の加護。
430 名前:寒さ対策 〜62〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時29分19秒
「ん。なんや、メール着信しとる。音消しとったから気がつかんかったわ。」

メールを確認中の加護から鼻歌が消えた。

「どうしたの。あいちゃん?」

固まったままの加護の携帯を覗き込む。

『加護ちゃん へ

  今日のネガを渡すように。もし、今日の写真をバラ巻くようなことがあったら、
  二度と私の前に顔を出すんじゃないよ!

 後藤 』

「あかん、バレてる。あの人怒らせたら、飯田さんより怖いかもしれん。」

ヘナヘナしゃがみこんだ絶望加護と、それを心配そうに覗きこむ半泣き辻。
日は落ちて、寒さが堪える季節であったことを思い出させるには充分であった。
431 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月06日(月)19時31分22秒
ショック

携帯メール中の”後藤 』”がズレてしまった。
432 名前:寒さ対策 〜63〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時34分41秒

−次の日−

「いちーちゃん、そのチョコ取ってよ。」
「ホイッ、じゃぁ、あーーーん。」
「あーーーん、うーーーん、おいちい。」
「何だよ、ごっちん、イチャイチャすんなよ。」
「お熱くて、チョコが溶けちゃうって。あはっ。」
「じゃぁ、こっちもこっちも。ゆっすぃ〜。」
「はい。真里。あーーーん。」
「あーーーん。」
「ホイッ!」
「あっ、ごらぁ。市井っ。」
「あっ、サヤカ、よっすぃ〜のベーグル、横から取るなよ。」
「いいじゃんか。ケチケチするなよ。」
「あんた達ねぇ、もう少し静かにできない?」
「いいじゃん。他にお客さんいないんだし。ねぇーーーっ。」
「「「ねぇーーーっ。」」」
「あんたらねぇ。」

ここは喫茶・鼻ピ。

頭を抱えるオーナー石黒を無視して、持ち込んだお菓子で盛り上がる4人組。
433 名前:寒さ対策 〜64〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時37分00秒
「それはそうと、吉澤。その顔のアザは何?男前が台無しじゃん。」
「あぁ、これは名誉の負傷です。これがあったから、また真里や市井さんと仲良くなれた
んです。」取り戻したベーグルをほおばる吉澤。
(そんだけほおばったら、そりゃ目立つよな。:市井談)

昨日の件から、吉澤の呼び方が「矢口さん」から「真里」に変わっていた。「真里」と聞
く度に思いっきりニヤつかせる、幸せ矢口であった。

「紗耶香は紗耶香で、姿勢悪いし。」
「あっ、これはカッコつけ過ぎた代償ってやつかな。」
(アザがあるのはアタシしか知らない。:後藤談)

「でもさぁ、よっすぃ〜。結構跡残ったねぇ。」
「これじゃぁ、次の人気投票やばいんじゃないの。」
「大丈夫。こういうのもよっすぃ〜の男っぽさを上げるポイントだったりするのさ。」
「でもさぁ、市井さんだったから良かったっすよ。ごっちんだったら、アザだけじゃすま
なかったかも。」
「命が危なかったかもね。」

ポッキーをくわえて、力こぶを見せる後藤真希。
434 名前:寒さ対策 〜65〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時38分06秒
「矢口のタックルだって凄かったぞ。10mくらい跳んだからねぇ。」
「いやぁ、よっすぃ〜が殴られてるの見たら、頭ん中飛んじゃって。気がついたらサヤカ
に体当たりしてたからねぇ。」
「矢口は小っちゃいから、一点に力が集中するんだよね。おかげで、矢口にやられたのと
地面で打ったのとで、衝撃が二倍だよ。」
痛そうに腰を擦ってみせる。
「それじゃぁ、ごっちんとえっちできないっすね。」
「そん時は、あたしが上になるから心配ないよぉ。」と後藤。

右の市井の裏拳が胸元に「おいおい」。
左の吉澤の張手が後頭部にバン。
ちょっと遅れて、カウンタから石黒が脳天にパッシーン!。

「いったーい。何するのよ。もぉ。」
「うら若き乙女がそういう事言うじゃありません。でも、なんで彩っぺ、そんなの持って
るのよ?」

石黒の手には見事なハリセンが。しかも、真中には〇に「裕」の一字。

「あぁ、これ。ある人の持ち込み。何かあったらこれで突っ込んでくれって。特注なの。」

ヒュン!と鳴らして素振りして見せた。
(慣れてるぅ。)
435 名前:寒さ対策 〜66〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時41分40秒
「まあまあ、あと問題が一つ残ってるんだけど‥‥。」

石黒を含んだ4人が市井に注目した。

「やっぱり、矢口にはこくられた件をちゃんとみんなに報告してもらわないとね。」
「えぇ、やだぁ、恥ずかしいよぉ。」
「ダメだよ、真里。ちゃんとオレっちにも報告してもらわないと。」

吉澤に言われると、断れない。

「えぇ、実はこれなんだけどぉ。」

矢口は制服のポケットから例の手紙を出した。

「これって、前に矢口が落として、あたしが拾ってあげたのだよね。そん時の矢口ったら
急に怒りだしちゃってさぁ、何だよって。」
「そりゃぁ、こんなのもらってどうしようって、すげー悩んでた時だったからさぁ。パニ
クりまくよ。」
436 名前:寒さ対策 〜67〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時42分37秒
封筒を手に取って見つめる後藤。

「ねぇ、中見てもいい?」
「いいよ。どうせ一行だけだし。名前もないし。」

便箋を出して、裏表を見ていたが、

「ねぇ、いちーちゃん。これ知らない?」
「知らないって。そう言えば、どっかで見た気がするんだよね。」
「よっすぃ〜は?」
「なんとなく見覚えがありそうだけど、何か足りないような気がする。」
「やぐっつあんは、気がつかなかったんだよねぇ。」
「うん。でもそう言えば、どっかで見たことがありそうだけど、別に普通の便箋と封筒じ
ゃない。そんな気がするだけじゃないの?」
「彩っぺは?」
「『ダンディ・市井王子を守る会』の会合を送る時の会員限定封筒だよね。祝勝会ここで
やることもあるから、何回か見たことあるよ。」
「当ったりぃ。」
437 名前:寒さ対策 〜67〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時45分02秒

唖然とする市井。

「なんでサヤカが気がつかないのよぉ。」
「いやぁ、そう言われても、こういうのはカオリに任せてるし。」
「いちーちゃんは気がつかないかもね。だって、いちーちゃんの所には送られてくるわけ
ないもん。」
「「そっかぁ。」」

便箋を手に取って眺めながら、
「じゃぁ、うちの会員の子が矢口にこくったって事?」
「いや、違いますよ市井さん。だって、この封筒と便箋には会員特典ってことで、市井さ
んのプライベート写真がプリントされてるのが売りなんです。」
「えっ、そんなことまでやってるのぉ。市井知らなかった。」
「でも、これは何もプリントされていないから、別ですよ。」
「だけど、偽者が出回った時に見分けるために、この封筒と便箋はカオリの特注品だよ。
ほら、このスカシがカオリのオリジナルデザインだからね。いちーちゃんをイメージしな
がらカオリが作ったって。」
「ははっ、これがあたし‥‥」

そこには、正体不明の宇宙人が‥‥。
(こりゃ、カオリにしか無理だわ。)
438 名前:寒さ対策 〜68〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時46分07秒

「でもさぁ、そういういわれものが、何でここにあるわけ?」

当の本人の矢口には気になるところだ。

「この封筒はカオリが管理してるわけだから、そう簡単に持ち出したりはできない。校内
一怖いカオリを敵に回すのなんて、安倍さんくらいなもんでしょ。」
「じゃ、なっちが犯人?」
「安倍さんがこんなことしても何にも得にならないし、不幸の手紙とかだったら、解るけ
どラブレターじゃねぇ。」

”不幸の手紙”と言って、後藤は思いだした。

「ははーん、解った。」
「「「なに?なに?」」」
「安倍さん以外にもう一人、カオリを怖がらない子がいるよぉ。」
「誰だぁ。あっ、あいつか?」
「そう。」
「「「辻!」」」
「そして、その辻といつも一緒にいるのは?」
「「「かぁーーごぉーー」」」
439 名前:寒さ対策 〜69〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時47分22秒

「なんでぃ、オイラあいつらのいたずらに振り回されてたってことか?ショック!!」
「いいじゃないっすか。雨降って地固まるってね。本当に好きな相手が近くにいれば、そ
れで充分っすよ。」
「うん、そうだよね、よっすぃ〜。」

二人がラブラブモードに入って、市井らもと思ったその時、

カランカラン

「あ、いらっしゃい。お二人?ちょっとうるさいかもしれないけどいいかしら?」
「あっ!加護!」「辻!」

噂の二人であった。

「師匠のこと探してて‥‥、中澤先生に聞いたら‥‥、ここじゃないかって‥‥」

いつになく元気のない二人であった。

「かごぉー!」

後藤が手を振り上げたのを吉澤が左手で制して、

「どうした?加護ちゃん、辻ちゃん、何か言いたいことあるのかなぁ?」

優しく問い掛けた。
440 名前:寒さ対策 〜70〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時48分56秒

目にいっぱいの涙を溜めた加護が、

「よっすぃ〜、矢口さん、ごめんなさい。ちょっとよっすぃ〜をからかおうって思って、
私がやりました。のんちゃんは私の言う通りにやっただけやから、怒らんといてあげてく
ださい。悪いのは全部うちです。」
「ののも悪いんです。私が飯田さんに嘘をついて、この便箋と封筒をもらったんです。」
「のんちゃんは本当に自分で欲しくてお願いしたんや。うちがそれを勝手に使うただけや
から、やっぱり悪いのはうちだけや。」
「でも、私も一緒に矢口さんところに手紙置いたし。」
「いや、のんちゃんはなんべんも止めようって言うてくれたんや。うちはそれを聞かへん
かった。」
「あいちゃんは、本当にゆっすぃ〜と矢口さんのことを考えて、やったんです。本当に親
切な気持ちだったんですぅ。」

高等部の4人はあきれ顔で、お互いの顔を見合わせた。
441 名前:寒さ対策 〜71〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時50分02秒

「解ったよ。オイラは何も怒ってないよ。ラブレターが本物じゃないって解ったのは残念
だったけど、よっすぃ〜とは今まで以上の仲になれたしね。」
「えぇ、あんた達のおかげで、あたし達二人はこーんなに仲良くなれたんだよねぇ。」

吉澤が矢口を抱きしめる。矢口も吉澤を抱きつく。
市井も後藤も笑ってる。
加護も辻も目に涙をためたまま、やっとニッコリした。

後藤が加護を手招きする。下を向いたまま、近づく加護。何も言わず、後藤は加護の頭を
クシャクシャにした。

後藤に怒られないと解って安心したのか、
「師匠ーーーっ、うぇーーん」

加護が後藤に抱きついた格好で大声で泣きだした。辻も市井に頭を撫でてもらって、てへ
てへと笑っている。
442 名前:寒さ対策 〜72〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時51分20秒
「さて、加護」

一頻り加護が泣き終わるのを待って、後藤が加護に向かった。

「やぐっつぁんのことはわかった。じゃぁ、これもあんた達に仕業かい?」

後藤の右手にはピンク色の封筒が握られていた。

ピンクの封筒にピンクの便箋。宛名もご丁寧にピンクのインクで、
確かに「後藤 真希 様」とあった。

「何それ?市井は聞いていないぞぉ。」
「今朝、あたしの下駄箱に入ってたんだけどぉ。あたしにこういうことするとは、いい根
性してるじゃない。」
443 名前:寒さ対策 〜73〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時52分43秒
加護は黙ったまま、首を横にふる。次に辻を見る。

「それは本当に知りません。あいちゃんからも聞いてないし。」
「本当にうちは知らん。師匠にそんな真似できるはずない!」

加護は顔を引き攣らせながら応えた。

「嘘じゃないだろうね。」

壁に張り付いて首を振る加護を見て、
「どうやら嘘じゃなさそうだぞ。真希。」
「ん、じゃぁ、これは何?」

きょとんとした6人。

「ただのラブレターじゃないのぉ。」

カウンターから石黒の声。

「ごっちんって可愛いから、ごっちんのことスキな子ができても不思議じゃないでしょ。
ねっ、吉澤!」
「あっ!はいっ」
「ねっ、紗耶香!」

市井は呆然としたまま何も応えない。
444 名前:寒さ対策 〜74〜 投稿日:2001年08月06日(月)19時53分44秒
「サヤカ、サヤカ」

矢口が市井の目の前で手を振るが、何も反応しない市井。

「いちーちゃん!」

後藤が目の前に立つ。すると、

「まーきーーーーーーーーーーーっ」

市井が後藤の足にしがみついて泣き始めた。

「ちょっとちょっと、いちーちゃん。大丈夫だよ。後藤はいちーちゃんが一番だって。」
「本当か?本当に本当か?」
「もう、絶対に本当だって。」
「まーきーっ。」

再び泣き崩れる市井の頭を撫でながら、幸せをかみ締める後藤であった。それを見守る笑
顔の矢口と吉澤。そして石黒と辻。加護はというと、いつもの笑顔でカメラを取り出した
所を後藤に見つかり、キッと睨まれ、またまたしょんぼりするのであった。

(そういえば、そろそろ2000年第4回目の人気投票の頃だ。)
445 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月06日(月)20時03分24秒
寒さ対策終了です。お付き合いいただき、ありがとうございました。

>>424
一応、伏線は残したつもりなので、もう一話くらいは書きたいかな。と思ってます。
書くとしても、書き溜めてないので、ちょっと時間がかかります。二週間くらい。
(山に篭るので、通信できなくなるのです。本当に)
446 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月06日(月)22時44分55秒
ラブレタ−だしたのは
裕ちゃんかと思った
447 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月07日(火)00時58分21秒
疲れ様です。
寒さ対策の最後、とっても良かったです。
伏線も気になるし、是非もう一話、お願いいたします。
448 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月07日(火)19時58分05秒
>>446
元作者さんの意向はそうだったかもしれません。
私は、>>442に繋げるために、辻加護に悪者になってもらいました。

>>447
ありがとうございます。
ラストの鼻ピでのシーンに関しては、完全にお遊びさせていただきました。
自分で読んでてても、結構面白いと思っていたので、うれしいです。
449 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月08日(水)19時38分18秒
予告です。

次作のタイトルは『不幸少女白書』です。梨華ちゃんに活躍していただきます。なっちがキーパーソンの予定。

8/13アップ予定ですが、その後山に篭ります。
450 名前:元さくしゃです。 投稿日:2001年08月08日(水)21時13分55秒
ええと、なんて言ったらいいのか。
寒さ対策を完結させてくれて、プッチ・モニストさん本当に感謝しています。
あんな変なとこで終わって、収集つかないままだったのに、まとめてくれた現作者様に頭があがりません。

自分の構想の中では、ラブレターを出したのは、プッチ・モニストさんと同じ、加護だったんです。
理由もそのまんまで、からかって入れたのはいいんだけど、そのせいか何かで2人が喧嘩して、
引っ込みがつかなくなったのと同時に、そのラブレターを使ってなんとか仲直り出来ないか、と考えてたんです。
この話を完結させてくれて、本当に嬉しいです。

最後に、自分が言える立場じゃないけど、
この「御三家!」の、意味の判らない設定とキャラクターを、愛してくれると嬉しいです。

完結させてくれて、ありがとうございました。
とってもとっても、おもしろかったです。
451 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月09日(木)19時21分11秒
>>450
元作者さんに出ていただいて、感謝です。

元の雰囲気を崩さないように注意したつもりですが、いかがだったでしょうか?

スレも長くなった(200KB超だし)ので、いったんスレを完了させた方がいいのではと思ってます。
もし元作者さんの許しが得られるなら、次次回をメドに、スレ完了に向けてのストーリーを構想し
ますが、いかがでしょうか。元作者さん以外のご意見もお願いします。
452 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月11日(土)07時35分06秒
好きな小説なので終わるのは悲しいですが、
作者さんの意志に任せます。
海板の方も頑張って。
453 名前:Hruso 投稿日:2001年08月11日(土)21時31分07秒
完了してしまうのですか。
残念な気がしちゃいますけど、プッチ・モニストさんや元の作者さんがOKなら
それがいいと思います。
できれば最後にもう一回御三家投票を見たいなぁ、とか思ったりして。
454 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月13日(月)12時58分55秒
>>452,453
スレ完了に関しては、私の分はとしていただいても結構です。
とりあえず、あと二話分は書く予定ですし、完了っぽい雰囲気に持っていくと思います。

御三家投票はあります。ストーリー上必要なので、一般投票はできませんが、重要なポ
イントですので、ご了承ください。
(ヒント:市井=イチイ)

本日、夕方更新予定。
455 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時25分26秒
ここは、喫茶・鼻ピ 今日も大騒ぎです。

「で、ごっちん。中は読んだのぉ。」
「いや、まだだよ。」
「読んであげなよ。」
「でも、いちーちゃんが‥‥。」

指差す先には、後藤の足にすがるヘナ市井。

「じゃあ、うちが読んだる。」と駆け寄る加護を片手で制し、
「あんたはダメ。やぐっちゃん、ちょっと、いちーちゃんをお願い。」
「あーーん、矢口ぃ。」
「ちょっと、すぅぉんなぬぅぃくっつくなよなぁ。」

市井を矢口に預けて、後藤と吉澤は別のテーブルに移動して封筒へ。

「ピンクの便箋にピンクのインクって読みにくいよね。」
「これはかなり、ピンクにこだわりを持ってるんだね。」
456 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月13日(月)18時25分58秒

『後藤 真希 様

  突然のお手紙で失礼します。
  いつも後藤さんの姿を遠くから見ていました。あなたのお姿を拝見する度、
  心ときめかせちゃってる私です。
  いつもネガティブな私ですが、今日は前向きにお願いしちゃいます。
  どうか、私と付き合ってください。
  今日の4時に裏門でお待ちしております。

 石川 梨華 』
457 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月13日(月)18時26分54秒
「石川さんって、前回の人気投票で御三家に入った子だよね。」
「うん、よっすぃ〜が負けた相手。」
「うるさいなぁ。でも、今日の4時って、今何時だ。」
「うーんとね、5時20分かな。」
「どーすんの。」
「どーすんのって、アタシは約束した覚えはないからねぇ。」
「約束してないっていっても、まだ待ってたらどうすんのよぉ。」
「もう1時間以上過ぎてるんだよ。待ってないよ。」
「待ってるかもしれないじゃない。じゃあさ、オレっちがひとっ走り見てきてあげるよ。」
「えっ、いいよぉ。またやぐっちゃんに怒られるよぉ。」
「大丈夫だって、すぐに戻ってくるし。その代わり、もし待ってたら、行っておあげよ。」
「ええ、やだなぁ。」
「いいじゃん。ちゃんと『付き合っている人がいますから』って言っておあげよ。それが
市井さんのためだし、ごっちんのためだし、梨華ちゃんのためでもあるし。」
「うーん、解ったよ。ごめんね。よっすぃ〜」
「ううん、昨日のお返し。じゃあね。」
458 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時27分59秒
吉澤は、走り出していた。

「まーきーっ」
「大丈夫だよ。ほら、ごっちんそこにいるだろ。どこにも行ってないよ。」
「あーー 真希っ」
「はいはい、大丈夫だって。やぐっちゃん、ごめん。よっすぃ〜ちょっと借りちゃった。」

腕組みして膨れっ面してみせた矢口は、手紙を見せてもらって、

「いきなり、『今日の4時に』って言われてもなぁ。それに石川って、よっすぃ〜のファ
ンだったぞ。」
「えっ、そうなの。アタシをダシにして、よっすぃ〜を誘き出すなんてのじゃないよね。」
「うーん、そこまで悪賢いタイプじゃなかったと思うけど。」

15分ほどで吉澤は帰ってきた。

「「どうだった、よっすぃ〜」」
「うん、裏門には誰もいなかったよ。トイレに行ってるかもってしばらく待ってみたけど。」
「そっかぁ、やっぱり帰っちゃったんだねぇ。」

機嫌の直った市井と辻加護も一緒に改めて、盛り上がるのだった。
459 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時28分54秒
18時。信田先生のお帰りだ。
「あれ、こんな所でなにしてるの?」
「はい、ちょっと人を待ってるぅんですぅ。」
「そう、今日は寒いから、早く帰りなさいね。」
(なんで、先生は半そでTシャツなんだろぉ?)

21時

西門は生徒が使うことはなく、ほとんど用務員さん用だ。そこに向かう影一つ。
「おぉ、さっむいなぁ。ほんまに、ねえさんにはかなわんわぁ。なっちもなっちやでぇ。
こっちがテストの採点しようって思ってんのに、3時間やでぇ。3時間も動かへん。おか
げでこんな時間になってもうたわぁ。居酒屋近いから、西門つこうとこっ。」

フンフンフンと鼻歌交じりで出ようとすると、

「ん、誰かおんの?」
「あっ、ごめんなさい。」
「何しとんねぇ。石川ぁ。」
「平家先生?、うぇーーーーーん」
「あかんでぇ。風邪ひくでぇ。」
460 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時29分45秒
「何、ごっちん待ってたって。」
「はい。」

身体が冷えてるので、近くの居酒屋風の喫茶店に入った二人。
石川にはホットミルクを。平家はコーヒーを飲む。
(生徒の前や。熱燗はまずいもんなぁ。)

「でも、ごっちんはどっかの喫茶店に行っとったって聞いたで。」
「ええ、そうなんですかぁ。」
「ああ、中等部の子が来た時、ねえさん、中澤先生がゆうとったわ。」
「そうなんですか‥‥。」
「ごっちんと約束しとったんか?」
石川はコクリと頷いた。
「そやけど、なんであんな時間まで待っとんねぇ。」
「ひょっとしたら‥‥、って思って。」
「でもなんで西門なんや。生徒が使うんやったら、正門か裏門やろ。普通。」
「えっ?ああーっ!私、裏門って書いたかもしれなぃ。ええーーーーん、どうしよう。」
「知らんわ。」
仕方なしに、泣き出した石川の頭を撫でる平家であった。
461 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時30分43秒
「ねぇ、真希」
「なーに、いちーちゃん」
「さっきの、石川さんだっけ?手紙の子。知ってる子?」
「うーん、あんまり‥‥。」
「会ってあげたら。」
「だって、いちーちゃん。」
「大丈夫なんだろう。それとも会ったら、気持ち変わっちゃう?」
ブブンと首を横に振る。
「だったら、会ってちゃんと返事したあげた方がいいんじゃないかなぁ。」
「でも、そんなことして、いちーちゃん、ごとーのこと嫌いにならない?」
「アタシが!真希を!なるわけないじゃん。」

ベットに横たわる二人。上目使いで見つめる後藤に市井が頭をクシャクシャにする。頭を
市井の胸に預ける後藤。

「じゃあ、証拠!」
「証拠って」
「解ってるくせにイジワルぅ」

口を尖がらせて文句を言う後藤の唇を市井の唇が被う。

「これじゃダメ?」
「ダーメ」
「じゃあ、これは?」

市井が後藤の脇腹をくすぐった。

「キャハキャハ、ダメ。解った。許す。」
「えっ、許すって、許してくださいでしょう。」

さらにくすぐる。

「ギブ、ギブ、あーんダメ!」

思わず後藤の右手が市井の腰に。

「いってぇーー☆〃ξ」
「あっ、ゴメン」
462 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時32分17秒
次の朝。正門に向かう生徒の群れ。
男前吉澤くんは今日も(一昨日までは違ってたが)矢口と同伴登校。

正門で佇む少女を発見。

「あっ、梨華ちゃん。おはよー。」
「あっ、よっすぃ〜。おはょー。」
「どうしたの?こんな所で。」
「えぇ、ちょっと。」
「ひょっとして、ごっ、んあー。」

吉澤を引っ張る矢口。

「何するんですかぁ。」
「バカだね、よっすぃ〜。あんたが石川がごっちん待ってるのを知ってるってことは、ご
っちんの手紙をあんたが知ってるってことでしょう。」
「そうですよ。」
「そんなの石川が知ったら、気分悪いでしょーよ。」
「あっ、そうかぁ。」
「ごめんね。石川さん。」
「いいえ」

遠ざかる二人の背中に手を振る石川。

教室に入って、ふと思い出したように吉澤
「だけどぉ、ごっちん来るのって、何時になるやら。」

しっかり遅刻のついた後藤と市井と石川でした。
463 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時33分06秒
「後藤さん!」

結局朝も会えなかったため、塞ぎがちだった石川の所に友人が駆け寄った。指差した教室
の窓際には、憧れのあの人が。

「ごめんね。石川さん。」
「いいえ、私の方こそ、ごめんなさぃ。」(シュン)
「あのう、もしお昼休みでよかったら、体育館裏に来てもらえないかなぁ。」
「はいっ、喜んで。」(ヤッタァ!)
「じゃあ、お昼休みに」
「うん、ありがとう。」

去っていった後藤を見送った後、一気に上機嫌でハナ歌なんか歌っちゃって、クラスの注
目を浴びている事にも気付かない石川さんでした。
464 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時33分55秒
「なになに、お昼休みに体育館裏だってぇ。」
「うん、よっすぃ〜からの情報だから、間違いないよ。」

矢口から、後藤がお昼休みに石川と会うことを聞かされた市井は、

「そっかぁ。」
「で、行くんでしょ。」
「行かないよ。」
「なんで、心配じゃないのぉ。」
「大丈夫だよ。本人がそう言ってるんだし。」
「でも、相手は御三家だよ。よっすぃ〜より人気あるんだよぉ。」
「へっへっ、こちとら人気投票一位だってぇの。三位なんかに負けるけぃ。」
465 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時34分32秒
「なんで、オイラまでこなくちゃぁいけないんだよ。」
「うるっさいなぁ。アタシだけじゃぁ、寂しいだろぉ。」
「でも、心配しなくていいっすよ。ごっちん断るつもりだし。」
「心配なんかしてねぇよ。あっ、来た。」

スキップで近づく石川の姿を発見し、体育館裏の繁みに隠れる三人。隠れるポイントは加
護に教えてもらったとか。

(ごっちん、遅いっすねぇ。)
(真希が時間通りに来るかよぉ。)

その頃、後藤は?
466 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時36分22秒
「いちーちゃん、遅いなぁ。しゃあない、行くかぁ。」
10分ほど市井達を待ったが来ないので、約束とおり体育館裏へ。

「あっ、石川さん、ごめんね。待った?」
「ううん、今来たところ。」
(ウソつけ、15分は待ってただろう:市井)

「昨日はごめんね。でも、先に約束があったから。遅くなっちゃったんだけど。」
「えっ、来てくれてたんだぁ。」
「うん、一応ね。」
(行ったのはアタシじゃんか:吉澤)

「ありがとう。私、間違えて西門で待ってて‥‥。」
「あっ、そうなんだぁ。」
「また、ドジっちゃった。」
(‥‥‥‥:矢口)
467 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時37分00秒
「でさぁ、手紙のことなんだけどぉ、なんでごとーなんか。」
「うん、私ね、前までよっすぃ〜のファンだったの。でもぉ、何かの間違いで私が御三家
に選ばれちゃって、そしたら、ファンクラブできちゃったみたいなの。会長さんはよく知
らないんだけどぉ。会員の戸田さんと木村さんが一生懸命になっちゃって、『次も御三家
狙うには』って言うんで、じゃあ御三家の方々のプライベートを研究しようってなったの。
私迷わずよっすぃ〜を選んでね。この2週間くらい、ずーっとよっすぃ〜のこと、追いか
けてたの。」
(ストーカーじゃん:吉澤)

「そしたら、いつも近くに後藤さんがいて、なんで私のよっすぃ〜にって、その時は思っ
たのぉ。」
(オイラのよっすぃ〜だぞぉ:矢口)

「でも、後藤さんのこともずーっと見てるうちに、何だか後藤さんの方が素敵に思えてき
て、よっすぃ〜には憧れの気持ちなんだけど、後藤さんには本当に大好きって気持ちにな
っちゃって‥‥。」
(そりゃ、可愛いけどさ。ってオイオイ:市井)

「それで、この気持ちを伝えたくて、こうしてお手紙したんですぅ。」
468 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時37分51秒
横を向いて俯いていた後藤が口を開いた。

「そうなんだ。ありがとう。でも‥‥。」
「でも‥‥?」
「でも、今アタシ付き合ってる人がいるんだぁ。」
(ホッ:市井)

「やっぱり‥‥。それって、よっすぃ〜?」
「違うよ。よっすぃ〜とは前に付き合ってたけど、別れた。今はただの友達。」
「じゃぁ、誰だか。教えてもらいたいんだけどぉ‥‥。」
「うん、あのね。いちーちゃん。」
「いちーちゃん?」
「そう、市井沙耶香。知ってるでしょ。」
「あの、人気投票一位の。」
「そう。」
「そうなんだぁ‥‥。」

ガクッとうな垂れる石川であった。

「だからぁ、ごめんね。」

石川はすくっと起き上がって、
「うん、解った。」
「そう、解ってくれてありがとう。」
「解った。後藤さんは、イチイがいいのね。」
「うん、そうなんだ。」
「そうなんだ、イチイの人が‥‥。」
「ん?なんか違うような‥‥。」
469 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時38分42秒
後藤の声がきこえたのかどうか解らないが、石川は歩き出した。ちょうど三人が潜んでい
る真横に来た時、
(マズイ!:三人)
「私も次の人気投票で一位になります。そしたら、後藤さん付き合ってくれますよねぇ。
私頑張ります。」
(ズルッ:三人+後藤)

「市井さんには負けませんから。」そう言い残して、石川は走り去って行った。
470 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時39分55秒
「何だよぉ。あいつぅ。」
「御三家を舐めてるんじゃないのぉ。」
「あんなのに負けたかと思うと、くやしいっすよぉ。」
「だけど、何であんな発想になる。」
「サヤカの名前が紛らわしいからだよ。」
「アタシかーい!」

ワイワイ言い合う三人がふと気配に気付いて振り向くと、

手を腰に当てて仁王立ちした後藤さんでした。

「いちーちゃん、やぐっつぁんによっすぃ〜も。こんな所で何してんのぉ。」

お怒りモード突入。
471 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時40分36秒
「いやっ、ちょっと一昨日の反省会をしないとねって‥‥。」
「ハハハ、日に当てると顔のアザにもいいんじゃないかって‥‥。」
「オイラ、ゆっすぃ〜にもれなく付いてるからさぁ‥‥。」

「待ってたのに‥‥。」
「「「へっ?」」」
「ずーっと屋上で待ってたのに‥‥。」
後藤の目に涙が溜まっていた。
「一緒にお弁当食べようって待ってたのにぃ!」
最後は大声で叫んでいた。

「ゴメン。真希。アタシやっぱり不安になっちゃってさぁ。自分のことしか考えていなか
ったよ。真希の気持ち考えてあげてなかったね。ゴメン。さぁ、食べようかぁ。」
「でも、授業始まっちゃうよぉ。」
「授業なんかより、真希との昼飯の方が重要に決まってるじゃんか。なぁ、吉澤!」
「そっそうっすよ。そういやぁ、オレっちもまだ食べてなかったし、一緒に食べましょう。」
「えっ、オイラも?しょうがないなぁ。オイラはよっすぃ〜にもれなくだから、一緒に食
べてやるよぉ。」
「へへへ。ありがとう、みんな。」

機嫌が直って、ニカーッと笑う後藤さんでした。
472 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時41分43秒
次の日の昼休み

♪ピンポンパンポーン♪
『えーテステス。ただいまマイクのテスト中。本日は晴天なり。本日は晴天なり。かえる
ぴょこぴょこみぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこみぴょこぴょこ。となりのきゃくはよ
くかきくうたけがきにたけたてかけたかったかきくうきゃくだ。みなさん ごきげんよう。
放送委員の保田です。』

えーっと、‥‥!久し振りのお昼の放送だ。

『本日は、ある方のワガママ、ウォホン、ご好意によりまして、お昼の放送をお届けする
ことができました。ゲストは前回、御三家に選ばれました石川梨華さんです。』
『みなさん、こんにちは。石川梨華です。』
『石川さんは、本当に可愛いですね。やはり、御三家に選ばれるだけのことはありますねぇ。』
『ええーっ、そうですか?ありがとうございます。』
『声も可愛いですし。』
『ありがとうございます。よく言われるんですぅ。』
『今日は何か?』
『はいっ、今日は、来週の人気投票で、この石川梨華に投票していただきたくて、皆さん
にお願いに来ました。』
473 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時42分25秒
「ぶぉーっ!」
「あっ、汚ねぇーっ、市井さん、ひどいっすよぉ」
「ああ、ゴメン。でも、それ真希の作った料理だから。」
「なんで、ごとーの料理だってのが関係するのよ!」
「怒るなよ。だって、あんな放送聞かされたらさぁ。」

その後も20分間、(寒い)トークが交わされたのであった。

『では、また明日。チャオー。』

「「「「明日もかい!」」」」
474 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時42分58秒
「真里、オレっちらも負けてられないっす。」
「うん、それはオイラも考えてる。任せときっ。」
「やっぱ、オレっちんちの会長は頼りになるねぇ。」

横目で市井を見下ろす吉澤。

「へっへん、こっちには校内最強の会長がいるんだ。」
「でも、いちーちゃん。もし梨華ちゃんが一位になったりしたら‥‥。」
「大丈夫だよ。そんなに心配なら、よーし。」

市井はむくっと立ち上がって、屋上を後にした。
475 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時43分42秒
「んんん、やっとサヤカも本気になってくれたか。カオリうれしいよ。」

ファンクラブ会長のメカゴジラ(ゴツン!)飯田さんはいつもの会議室にいた。

「あんな石川なんて子に負けやしないけど、念には念をいれないとね。大丈夫、カオリに
考えがあるから、任せといて。」
「さっすがぁ、うちの会長は頼りになるねぇ。」
「その代わり、人気投票までは後藤とは仲良くしないこと!これが条件。」
「ええーっ、それは辛いっすよぉ。」
「ダメダメ、そんないちゃついてる暇なくなるよ。だって、あと5日しかないんだからね。」
「ふぁーい。」

その後、作戦会議に入った二人であった。
476 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時44分31秒
「保田さん、今日はどうもありがとうございました。」
「あぁ、いいよ。アタシもお昼の放送やりたかったしさ。」
「でも、突然お願いしたのに‥‥。」
「本当にアタシがやりたかっただけ。」

本当は石川の泣き顔に断れなかったのだ。まぁ、放送委員の保田がお昼の校内放送をやり
たかったのも、間違いではないが。

「明日も来るんでしょ。だったら、もっとトーク練習しときなよっ。」
「はいっ、ありがとうございます。ガメさん。」
「ガメさん?」
「はい。保田さんの愛称だって、加護ちゃんに教えてもらったから。でも、本当に似てま
すよねぇ。あん、いたいっ。なんで、グーで殴るんですかぁ。」

今日も加護は健在だった。
477 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時45分06秒
次の朝、吉澤の左手はギプスで固められていた。

後藤があわてた様子で訊ねる。
「ぎをみてせざるはゆうなきなりっすから。」
「はぁ?」
「ぎをみてせざるはゆうなきなりっすから。」
「何言ってんのぉ?」

吉澤は後藤と頭を突き合わせて、
(真里がギプスの事聞かれたら、そう応えろって。)
(どういう意味なの?)
(オレっちも知らない。)
(なーんだぁ。じゃあ、ケガはしてないってこと?)
(全然。平気っすよぉ。)
(んまぁ、そりゃ良かった。)

隣の席どうしでコソコソ話す二人組であった。
478 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時46分04秒
『では、チャーミーでした。また明日、チャオー。』
『石川さん、ありがとうございました。なお、明日は土曜日ですので、お昼の放送はござ
いません。ご了承ください。それから、お知らせです。本日から人気投票当日まで、4時
より屋上で、市井沙耶香握手会が行なわれます。期間中に新規会員になられた方には、も
れなくツーショット写真が撮影できるそうです。また、新規会員をご紹介いただいた方に
も、ご紹介いただいた人数分ツーショット写真が撮影できるそうです。ふるって、ご参加
ください。また、視聴覚教室では、4時より中澤先生の「恋愛講座」が開催されます。本
日第一回目のテーマは「正しいキスの仕方」です。参加者の方には中澤先生との実技が体
験できるかもしれません。ゲストに、一年の吉澤さんをお迎えしております。お楽しみに。
保田圭でした。』

さあ、人気投票争いも熾烈になってきました。

『明日は2時より、中庭から公開放送です!チャーミーでしたっ。』
479 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時47分22秒
*****

さて、いよいよ2000年第4回人気投票発表の日です。

「おめでとうございます。第三位に返り咲きました吉澤ひとみさんです。」
「どうも、ありがとうございます。」
黄色い声援に応える。ちょっと俯きがちに、ギプスで固められた左手を上げて。
「その手は、どうされたんですか?」
「ぎをみてせざるはゆうなきなりっすから。」
シブーい!という歓声が飛び交う。
「ファンの間で流行にもなりましたこのフレーズですが、どういう意味ですか?」
「いえ、ぎをみてせざるはゆうなきなりっすから。」

「『義を見て、』つまり正しい事をしようとしている目の前で、『せざる』何もせぇへん、
『ゆう無き成り』そんな薄情な事、裕ちゃんはしませんでって。そういう意味やな!」
「(そうだったのか)そんなとこです。」
「まぁ、誰かの義のためにケガしてもうた。ってとこかぁ。なぁおい。」
キャー!かっけー!の掛け声が飛ぶ。

「続きまして、第二位。中澤裕子先生でーす。」
おーおーと両手を上げて、歓声に応える。

「では、みなさんお待ちかね。第一位の方の登場です。」
480 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時48分11秒
一位の発表を聞いて、寂しそうに会場を後にする少女一人。頬には涙が‥‥。
走った。走った。少しでも遠くに行きたかった。少しでも早く、少しでも遠くに‥‥。

「ぐうぇっ、ぐうぇっ」

涙が止まらない。どうしてこんなに悲しいのだろう。御三家になれなかったから?人気投
票一位になれなかったから?

いや違う。それが、後藤真希を失う事を意味するから。
「あなたはイチイじゃないのよ。」そんな声が頭をかすめる。

「待って!」

その声は!愛しいあの声だ。振り向くと、後藤が追いかけてきたのだった。

「待って!梨華ちゃん。」
481 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月13日(月)18時48分59秒
「やはり、強いですねぇ。市井沙耶香さん。10回連続は新記録です。」
「ありがとうございます。」
「このあと、連勝記録はいくつまで伸ばしたいですか?」
「いえ、もう充分です。」
「謙虚ですねぇ。こういう所も人気の秘訣でしょうか。」

その後インタヴューは続いたが、上の空だ。
出ていった石川を追いかけた後藤を見たためだ。

「あの時と同じやろ。」
「えっ?」
「サヤカが泣いた矢口を追い掛けた時やがなぁ。」
「裕ちゃんせんせー‥‥。」
「あん時のごっちんの気持ち、解ったりや。」

市井はハッとして中澤をみた。そして、ニッコリ。

「うん、ありがとぉ。」
482 名前:キスの味 投稿日:2001年08月13日(月)18時49分59秒
ファンに囲まれる吉澤を尻目に、矢口は舞台裏へ。
そこに待ちうける中澤先生。

「裕ちゃん、今回はいっぱいお世話になったね。ありがとう。」
「可愛い、矢口の頼みや。ぎをみてせざるはゆうなきなり。ってな。」
「でも、裕ちゃんの恋愛講座でゲスト出演させてもらったし、それで印象アップさせても
らえたし。」
「ああ、よっさん、おもろいからなぁ。いじり甲斐あったでぇ。」
「さっきの解説もお願いしてたし。」
「あぁ、うちも教師らしいとこ見せとかんとなぁ。」
「ちょっと、アレンジ入ってたけどね。」
本当は、裕ではなく、優(やさしさ)であったり、勇(勇気)であったのだが。
「まぁ、その分、お代はいただくから。気にせんといてぇ。」
「う、うん、しょうがないねぇ。」

「そしたら、目ぇつぶりぃ。」
483 名前:キスの味 投稿日:2001年08月13日(月)18時51分49秒
それは、矢口から中澤に今回の人気投票の件でお願いした時の交換条件だった。矢口は仕
方なく、目を閉じた。

「ちょっと、待っといてなぁ。絶対に目を開けたらアカンでぇ。」

中澤が近づく気配を感じた。

「優しい、したるからなぁ。心配せんでもええでぇ。」

両手が肩に置かれた。ゴクリ。

(ゴメンネ、よっすぃ〜。これも全部よっすぃ〜のためだからねぇ。)
吉澤に懺悔の言葉を思い浮かべた直後、

矢口の唇は静かに被われた。そして、上唇下唇と交互に咥えられた後、舌が伸び唇の間を
を舐められた。その後、舌を入れられるのか、それだけは拒もうと思って身体に力が入っ
たその時、ふっと唇が離された。身体から力が抜けていくのが解った。

「裕ちゃん、気持ち良かったよ。」と目を開けた途端、目の前には肩に手を置いたままの
吉澤がいた。

「よっすぃ〜!!!」途端に顔が熱くなってきたのが、ありありと解った。
「真里、ありがとう。何かお礼がしたいって思ってたら、中澤先生が‥‥。」吉澤の恥ず
かしそうだが、優しい笑顔が眩しかった。
484 名前:キスの味 投稿日:2001年08月13日(月)18時52分44秒
矢口は恥ずかしくて、いったん下を向いたが、思い出したように上を向いた。吉澤の後ろ
から中澤が顔を出した。

「やっぱ、吉澤より先にいただくのはなぁ。よっさん、怒らしたら恐そうやし。」

「裕ちゃん」
いったん吉澤から離れ、中澤の腕を掴んだ。

「裕ちゃん、ありがとう。オイラ、オイラ‥‥。」
言いたい事が何か解らなくなって、恥ずかしくて下を向くと、涙が出そうだった。慌てて
上を向いたその時、「ブチュ!」

「矢口ぃ、お代はいただいたでぇ。」
そう言い残して、中澤は会場を出ていった。出口には、場面を見ていたと思われるゴジラ
の姿が。

(裕ちゃん、ありがとう。大好きだよ。)
485 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月13日(月)18時56分21秒
不幸少女白書、並びにキスの味。更新終了です。
ちなみに、不幸少女白書は前半部分の終了です。

書き溜め分を全部吐き出したので、次の更新は二週間後目標です。
486 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月14日(火)04時39分33秒
一つ気になったのですが沙耶香ではなく紗耶香です。
それだけがちょこっと気になりました。
487 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月20日(月)19時55分52秒
>>486
失礼しました。以後、注意します。
今後もご指摘、よろしくお願いします。
488 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月21日(火)19時43分54秒
作者です。

不幸少女白書の後半です。
489 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月21日(火)19時46分15秒
「ゴメンね。後藤さん。私、一位じゃなかったし、御三家にも入れなかった。私ってやっ
ぱりダメだよね。」

石川は後藤を見ることすらできない。涙をこらえるので、やっとという所だろう。

「ううん、梨華ちゃん。アタシは誰が一位かって関係ないし。それに梨華ちゃんが御三家
じゃないからって、嫌いじゃないよ。」
「えっ」初めて後藤の方を向いた。
「後藤にとっては、やっぱりいちーちゃんが一番だから、梨華ちゃんと付き合ったりはで
きないんだけど、梨華ちゃんの気持ちは嬉しいんだ。だから、梨華ちゃんとは、別の形で
付き合えないかなーって、思ったんだよね。」
「あ、ありがとう。後藤さん。こんな私でもいいかなぁ。」
「うん、どうせこんなアタシだし。それに、梨華ちゃんて、可愛いと思うよ。それから、
後藤さんってのも止めようよ。」
「お名前、呼んじゃあダメですかぁ。」
「じゃなくて、みんな、ごっちんって呼んでくれるから、梨華ちゃんもさ。」
「うん、解った。後藤さん、じゃなくて、ごっちん。」

笑顔で去っていく石川を見送った後、後藤は大きな不安にみまわれた。
「いちーちゃん、怒ってないかなぁ。」
490 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月21日(火)19時47分46秒

「いちーちゃん」

いつもの待ち合わせ場所である屋上に顔を出したが、市井の姿はない。がっかりして、ト
ボトボと階段を降りようとしたところに、息をきらせて駆け上がってくる人影が。見ると、
愛しのあの人ではないか。
「ごめん、真希。カオリに呼び止められてて、遅くなっちゃった。ホント、ごめん。」
うつむいたまま、何も言わない後藤。
「ホント、ごめん。何でも言うこと聞くからさぁ。機嫌なおしてくれよ。」
突然、後藤はニッコリした満面の笑みを返してきた。
「じゃあ、一緒に帰ろう。」

幸せそうに手を繋いで帰る二人だった。
491 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月21日(火)19時49分57秒
次の日の朝

今日も矢口と吉澤は同伴登校です。

「えっ、ごっちんはあの時、梨華ちゃんを追いかけたんだ。じゃあ、そん時サヤカは?」
「舞台の上から、ボーっと見てましたよ。」
「サヤカ、ショックだったろうね。」
「でも、市井さんとごっちん、昨日は仲良く幸せそうに帰ったそうです。」
「じゃあ、別に喧嘩とかはなかったんだ。」
「何でも屋上に上がる階段の所で、影を潜めている市井さんが確認されたみたいですが。」

市井が後藤との仲を壊さないために、わざと自分が遅れて、自分から詫びるように仕向け
たのだが、気付くものは誰もいない。
492 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月21日(火)20時03分43秒
その日の休憩時間。

「おーい、ごっちん。お客さんだよ。」
「ほーい、あっ、梨華ちゃん。」
「ごっちん、私ね、色々考えたの。別のつきあうって事。そして、とっても良いことを思
いついたのね。」
「うんうん」
(やっぱり、梨華ちゃんって、可愛いよなぁ。)

キラキラした笑顔で話す石川に思わず見とれるのであった。

「私ねっ、ごっちんのファンクラブの会長をやろうと思うの。」
「うんうん、ん?」
「そしてねっ、ごっちんを人気投票一位にしたいの。」
(また、それかい。)
「でね、ファンクラブ名も考えてきたの。『真希ちゃん以外の子が好きなのって、ばかや
ろう‥‥』」
「ちょっと待った!アタシ、ファンクラブだなんて、そんな‥‥。」
「うううん、ごっちん可愛いし、優しいから、絶対だよ。じゃあね。チャオー。」
石川は、走り去っていった。

「へぇー、ごっちんのファンクラブかぁ‥‥。」
横から、吉澤が近づくのに気がついて、
「ハハハハハ‥‥」

突然、吉澤が真顔で、
「オレっちも入れて。」

後藤のアッパーカットをもらった吉澤くんでした。
(マジなのにぃ。)
493 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月21日(火)20時35分34秒
最後まで上げようと思っていたけど、サーバが不調のようなので、残りは後日。
494 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時27分10秒
「はぁーっ」
「どうした、ごっちん。なんか悩んでんの?」
「あっ、安倍さん。」

後藤が石川の件で悩みながら、歩いていたのを呼び止めたのは、中澤さんちの安倍だった。

「うーん、悩んでいるといえば、」
と応えながら、
(やぐっつぁんに相談してみようと思ったけど、安倍さんにも聞いてみようっと。)

「あのーぉ、安倍さん。」
「ん、どした?」
「安倍さんって、裕ちゃんセンセー好きですよねぇ。」
「うん、好きだよ。」
妙なイントネーションで応える安倍。
495 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時28分32秒
「じゃあ、なんでファンクラブの会長やってるんですか?よっすぃ〜とこのやぐっつぁん
なんかは、元々がよっすぃ〜のファンだった所から始まっているから、あんまり不思議が
ないんだけど、裕ちゃんセンセーんとこは、ちょっと違うじゃないですか。」
「好きだったという意味では大して変わらないよ。まぁ、強いて言うなら、恩返しかな。」
「恩返し?」
「色々とお世話になったので、その代わりに、色々と世話が焼きたい。あっ、本音はそっ
ちかなぁ。」
「世話を焼きたいねぇ‥‥。」
「まぁ、後はいっしょにいられる時間が長いとかね。」
「ふーん。」
「どした、カオリの代わりにサヤカんところの会長やんの?」
「うううん、私はいちーちゃんが他の子に気に入られるのは仕方ないけど、それを応援す
る気にはなれないんでね。」
「そうかもね。うちは、裕ちゃんが勝手にやってるからいいけど、サヤカはあんまり乗り
気じゃないもんね。」
コクリと頷く。

「じゃあ、どしたべ。言いにくかったら無理には聞かないけど、良かったら、相談に乗る
よぉ。」

「実は‥‥」と言いかけて、後藤は周囲を見渡した。

「ここじゃぁ、言いにくいっか。じゃあ、視聴覚教室行こぉっか。」
496 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時29分22秒

「ほぉ、そりゃまた、大胆な告白だべ。」

後藤は石川の件を安倍に話した。

「梨華ちゃんの気持ちは嬉しいんだけど、後藤にファンクラブって柄じゃないし。どうい
う風に付き合っていけばいいか‥‥。」
「ふーん、ごっちんって可愛いね。」
「えっ?」
「そんな風に相手の事で悩んであげられるんだぁ。うらやましいなぁ。」
「そんな大したやつじゃないっすよ。後藤なんて。」

安倍に見つめられ、照れて俯く後藤であった。

「さっき、なんで会長やってるかって聞いたじゃない。そのことなんだけどねぇ‥‥。」
497 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時31分07秒
−安倍の独白−

サヤカんとこのカオリ、いるじゃない。そう、なっちの天敵って言われてるアイツ。

カオリとなっちって、幼馴染なんだよ。意外だって。みんなあんまり知らないからね。

なっちとカオリは同じ病院で生まれたんだよ。しかも、ベットが隣合わせ。お母さんどう
しが仲良くなっちゃってね、それが縁で家族付合いしてるくらいなの。だから、カオリと
も小さい頃から遊んでたし、幼稚園からずーっと一緒。なっちって幼稚園の頃から男の子
によくイジメられていたけど、カオリがいつも助けてくれてた。だから、周囲はいつも、
なっちがお姫様でカオリが王子様って見られていたんだ。

この学校に来たのも、なっちがカオリを誘ったのね。カオリは他にも友達がいて、他の高
校に行くつもりだったみたいだけど、なっちって友達がカオリ以外にはあんまりいなかっ
たから、一緒に来てほしくて。

なっちが入学した頃も人気投票ってあったよ。へっへっ、自慢じゃないけど、なっちもこ
れでも1年の頃は1位だったんだよ。カオリも御三家でね、カオリが三位、なっちともう
一人が1位争いってのが、その頃のパターンだったのね。
でもね、本当はなっちはずーっと2位だったの。当時、やっぱり1年だった福田明日香っ
て子にはどうしても勝てなくて。なっちはあんまり気にしなかったんだけど、カオリの方
が意識しちゃって、『なっちをどうしても1位にしてやりたい』って、それでなっちのフ
ァンクラブの会長をやるって言い出したの。その時、なっちは断ったんだけど、カオリは
それでも折れなくて、結局会長やってもらった。そのおかげで、そこからは2回連続1位
になれたんだ。
498 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時31分49秒
−安倍の独白−

だけど気がついたら、なっちはアスカ、1位争いしていた相手ね。アスカのことが好きに
なってたの。今まで、カオリ以外に親友っていなかったから、相手を好きな気持ちが、友
情なのか愛情なのか解らなかったのね。多分、共に1位争いしているうちに、ライバル心
が友情になったんだと思うんだけど、その頃はそれを愛情だって勘違いしてしまったんだ。
そのアスカが2年生になる前に高校辞めちゃったの。理由はよく知らない。聞いた話では、
もっと勉強したいって、外国に行ったみたい。そうしたら、何にもやる気がなくなっちゃ
てねぇ。カオリはなっちが落ち込んでる理由を知らないから、『どうしたの頑張ろう
よ!』って言ってくれたんだけど、全然立ち直れなくて、『御三家なんて興味ない!』っ
て大喧嘩しちゃったの。カオリは会長も辞めちゃって、それっきり。

そしたら、今までカオリを恐れていた上級生とかが、なっちをイジメ始めたの。やっぱり、
1年生で1位とかって、生意気って思われてたんだろうね。結構ひどかったよ。アスカが
いなくなって悲しいのもあって、本当に自殺も考えた頃があった。もうどうでも良かった。
その頃はねぇ。

そん時、いつも心配してくれてたのが、裕ちゃんだった。上級生からのイジメの盾にもな
ってくれたし、不安な時にはいつも話をきいてくれた。イジメてた上級生が卒業したから、
ひどいイジメはすぐに無くなったけど、またイジメられるんじゃないかって不安とアスカ
がいないって事ですごく暗かったの。だから、裕ちゃんはずっと心配してくれてたんだ。
だから、アスカの事を裕ちゃんにも話したの。そしたら、友情と愛情を勘違いしている。
アスカの代わりに、本当に愛情を持てる相手が見つかる。って教えてくれたの。言われて
もすぐには理解できなかったけど、アスカ以外のことを考えようとした。暗かった頃って、
アスカ以外の人のこと考えてもみなかったのね。でも、今そばにいない人の事をいくら考
えても仕方ないなぁって。

それから、アスカのことを忘れるために、ほとんど毎日、裕ちゃんと話しをしに行ってた。
何を話すってわけじゃないけど、とにかく裕ちゃんと喋ってたら、悲しい気持ちは無くな
ってたかな。それで、なるべく一緒にいられるように、気がついたら会長やってた。

なっちが裕ちゃんとこの会長やってるのは、そういう理由。
499 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時32分47秒
「ねぇ、安倍さん。」
「なっちでいいよぉ。」
「じゃあ、なっつぁん。」
「ん?」
「励ましてもらう相手はカオリじゃダメだったの?」
「うーん、カオリはなっちとケンカした本当の理由を知らないからね。なっちの気持ちを
気付いてくれなかったのが許せないのかも。」
「違うんじゃないかなぁ。」
「へっ?」
「カオリはなっつぁんの気持ちも知ってたんじゃないかなぁ。それなのに、カオリの気持
ちをなっちが気付かないから‥‥。カオリは、それが許せないのかも。」

安倍は特上の笑顔を作って、「やっぱり。そっかぁ。」

「ありがとうございます。」
「どう?何か力になれた?」
「はい。とっても。」

後藤も安倍に負けないくらいの、特上の笑顔を作ってみせた。
500 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時33分33秒
*****

「ごっちん、どこ行くのぉ。」

石川は、お昼休みも後藤達の輪の中に入れてもらったのはいいのだが、昼食を食べた後、
後藤について来るように言われたのはいいのだが。向かうは某会議室。

「何だ?ごっちんか。何か用?」

ぶっきらぼうに答えるのは、飯田さん。ここは、ファンクラブの会議室だ。
飯田としては、市井と付き合ってる後藤の存在は、面白くない。自然と対応も‥‥。
それに対し、全く気にする様子もないマイペースな後藤は、
「うん、ちょっとね。飯田先輩に良い話しをって思って。」

状況が読めず、オドオドする石川を無視して進める。

「飯田先輩ももうすぐ卒業じゃないですか。市井ちゃんとこの会長さんも新しくなるのか
なぁって。」
「うん、まぁね。適当な人材がいなくって、困ってるのよぉ。」
「でね、会長やりたいって人がいるんで、是非にと思って。」
と言いながら、石川の背中を押す。

「えっ、私?」
「うん、そうだよ。後藤のファンクラブの会長やりたいって、言ってたでしょ。だったら、
ここで修行するのが、一番だよ。ちゃんと1位連続記録更新中のノウハウを勉強しといで。」

と言われて、石川さん
「うん、そうだね。私頑張る。飯田さん、よろしくお願いします。」
両手を握り締めて、やる気を示すのだった。

「石川ぁ、大丈夫かぁ。まぁ、1月の人気投票目指してやってみるかぁ。」

そんな二人を残して、後藤は?
501 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時34分39秒
「なっつぁん、いますかぁ?」
「おっ、ごっちん。どしたぁ。」
「へへへ、また来ましたぁ。」

午前中に話したばかりなのに、昼休みにも安倍を訪ねてきたのは、決して安倍の前に広げ
られているお菓子の山のため、だけ ではないだろう。

「なっつぁんも今度卒業だし、会長の後任っているのかなぁって。」
「ん?いないよぉ。裕ちゃんが決めると思うけど。」
「後藤が、立候補してもいいかなぁ?」
「えっ、サヤカはどうすんのぉ。」
「いちーちゃんとは今まで通り。愛し合ってるしぃ。」

後藤がちょっと照れた様子を見せる。

「なっちは別にいいけど、裕ちゃんがどう言うかね。」
「うちがどしたって?」
「「ふぁっ!」」

突然、背後から現れた中澤に二人揃って、飛び上がる。
「裕ちゃん、びっくりさせないでよ。ん、何それ?」
「おぉ、これか?ちょっと待ってなぁ。おっ、ちょうどよかった。みっちゃーーーん。」

たまたま、視聴覚教室の前を横切る平家先生。
502 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時35分32秒
「ん?なんや。ねぇさん?」
「うん、いつも世話になってるみっちゃんにお礼しとうてな。」
と言いながら、それを背中に隠して平家に近づく。

「なんや、気持ち悪いなぁ。」
「そんなことあらへんでぇ。ほんまにみっちゃんには感謝しとるし。アッ!」
「なに?」
突然、中澤が指差す方に振り向く平家。

バッシーン!

「ほら、見てみぃ。このハリセンで叩くとなぁ、紙ふぶきが舞うねん。綺麗やろぉ。苦労
したでぇ。これ作るんに、1週間かかったからなぁ。みっちゃん、ありがとう。」
頭を抱えてしゃがみ込む平家先生。
「なんや、それだけかいな。」

その後、安倍から後藤が中澤のファンクラブの会長をやりたい旨が告げられた。一瞬、戸
惑った中澤だが、快く了承した。了承した原因の一つには、後藤のハリセンで救急車で運
ばれた先生がいたというのもあったが。
503 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時36分56秒
*****
1ヶ月後、

お昼休みに響くアニメ声。最近はお昼の名物となった。

「保田さ〜ん、待ってくださ〜い。」
「またアンタぁ、もう、うるさいわねぇ。」
「これ、明日のお昼の放送で読んでください。読んでもらえないと、飯田さんに怒られる
んですぅ。」
「そんなの知らないわよ。」
「えぇ、そんなぁ‥‥。」
「ああ、もう泣かないでよ。解ったわよ。これ読めばいいの。」
「ハイッ!ありがとうございます。」
「バカッ!抱きつかないでよ。なにこれ?」
「ハイッ!市井さんからのクリスマスメッセージです。」
「なんで、アタシが読むのよ。」
「だってぇ、市井さんも飯田さんも読むの嫌だって言うしぃ。」
「じゃあ、アンタが読めば。」
「ええ、そんな、私がですかぁ。そうですね。」
「いや、いい。アタシが読む。アンタに読ませたら、何言い出すか解らないし。」
「やったぁ、ありがとうございます。ガメさん。チュッ!」
「止めろ!バカ!それに、ガメさんは言うなぁ。」

頬を赤らめながら逃げる保田の様子を見物する、仲良くお弁当中の二人。

「あの二人、何気に仲いいねぇ。」
「うん、そうだね。」
「真希、嫉妬してる?」
「アタシが?まっさかぁ。」
「本当かなぁ。おっ、来たぞぉ。」

見ると、両手を振りながら、満面の笑みで駆け寄る石川。
504 名前:不幸少女白書 投稿日:2001年08月23日(木)08時38分14秒
「ごっち〜ん」
「やぁ、梨華ちゃん。元気そうね。」
「うん、昨日ね、飯田さんに誉められたの。石川は頑張り屋さんだって。」
「へへぇ、良かったねぇ。」
「ハイッ。市井さんのクリスマスメッセージお願いしてきました。明日のお昼の放送で流
れます。」
「あれって、石川ちゃんが書いたじゃないの?」
「しーっ、ダメですよ。そんな事誰かに聞かれちゃぁ、マズイでしょ。市井さんが書いた
んじゃないって知られたら、どうするんですかぁ。」
「やっ、市井的にはそっちの方が‥‥。」
「そんなことないですよ。じゃあ、ごっちんもごゆっくり。チャオー。」
「はは、行っちゃった。」

「石川も元気なようやな。」
振り向くと、
「「裕ちゃんせんせー」」
「いつも大人しいしとって、損ばっかりやったけど、元気なのは何よりや。」
「うん、そうだね。」
「ありがとうな。ごっちん。」
「アタシは何もしてないよ。梨華ちゃんが頑張ってるだけ。」
「そうかもな。そやけど、ごっちんにお礼や。今日の放課後にファンクラブの会合やから。
視聴覚教室な。」
「うん、わかった。なっつぁんは?」
「なっちも来るでぇ。」
ウシッ!とガッツポーズの後藤に、
「ええーっ、真希ぃ。」と市井が文句を言う。
「あっ、ついでにサヤカも来てええでぇ。」
「わーい」単純に喜ぶ市井。

「裕ちゃんのファンクラブに入れたるさかいな。」
「「ええーっ」」
505 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月23日(木)08時41分43秒
作者です。

不幸少女白書、終了です。

次で後藤が中澤のファンクラブの会長に立候補した理由が明確になる予定。
506 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月24日(金)02時48分05秒
楽しみにしてます。
507 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月24日(金)19時21分22秒
更新です。

週末があるので、頑張ってみました。
508 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月24日(金)19時23分10秒
2001年1月

平和に21世紀を迎えることができました。

初詣に来た、晴れ着の5人組
お祈りの内容は?

市井「今年こそ、真希の料理が上手になりますように。」
後藤「今年は、毎日市井ちゃんと一緒にいられますように。」
矢口「今年こそ、よっすぃ〜がオイラだけのものでありますように。」
吉澤「真里と喧嘩しませんように。今年だけじゃなく、ずーっと。」
石川「今年こそ、ポジティブになれますように。そして、飯田さんに誉められますように。
それから、ごっちんが人気1位になりますように。それから、保田さんと‥‥。」

「おーい、石川ちゃん。まだぁ?」
「いつまで、お祈りしてるのぉ。」

石川が振り向くと、4人ははるか後方に。
「あっ、ごめんなさぁい。」

あわてて駆け寄る石川を待って、
「じゃあ、行くかぁ。」と市井。
「行くって、どこへ行くの。いちーちゃん。」
「初詣っていやぁ、決まってるだろ。おみくじだよ。」
「「「おおーーっ!」」」と気合いれても、おみくじの内容が変わるものでもないが、ま
ぁ、気持ちもわからなくもない。
509 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月24日(金)19時24分49秒
「真希っ、見せてよ。何だった?」
「うん、ごとーは中吉。失物見つかるだって。」
「いいなぁ、オイラ末吉だぜぇ。でもほら、待ち人現る。」
「待ち人って、誰っすかぁ。」
「もちろん、よっすぃ〜に決まってるじゃん。で、よっすぃ〜は?」
「オレっちも末吉っすよ。」
「いちーちゃんは?」
「へっへっ、吉だぜ。願い事かなうってね。」
「へぇーっ、すごいねぇ。で、梨華ちゃんは?」
と振り向くと、俯いて黙ったままの石川が。ひょってして、泣いてる?

今まで騒いでいた4人が固まる。
(やばいじゃん。中身、聞けねぇよ。)
(どうも、不運が重なる子だねぇ。)
などと、気まずい雰囲気の中、市井が後藤の背中を押す。
「えっ、アタシ?」
「だって、石川は真希がお気に入りなんだからぁ。」

しぶしぶ、後藤が近づいて。
「梨華ちゃん。たかが、おみくじじゃない。気にしないで。何だったら、もう一回引き直
してみる?」
と優しく声をかけると、石川は下を向いたまま、首を横に振る。そして、後藤の目の前に
自分のおみくじを差し出した。そこに書かれていた文字は、

『大吉』

「私、初めてなんですぅ。初めて大吉だったんでぇ、すごく嬉しくてぇ。」

「もう、石川ちゃん、びっくりさせないでよぉ。アタシはてっきり。」
「本当だよ。大吉引いて泣き出すなんて、オイラ初めてだよ。」
「でも、良かったね。梨華ちゃん。これから、運が良くなるよ。」

正月早々、賑やかな5人組でした。

「あかん、今年も『凶』や。」by平家

510 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月24日(金)19時26分30秒
三学期も始まり、またみんな普通に学生生活を過ごしているのですが、この学校には普通
の学生生活とは違うことがあるのです。

「おう美帆ちゃん達。がんばっとるかー?」

そうです。第5回、人気投票があるのです。

お昼休みの名物にも拍車がかかります。

「保田さーん、待ってくださーい」
「またアンタなのぉ。今度は何よ。サヤカのインタビューは昨日放送したでしょ。」
「ハイ、ありがとうございました。今日はこれなんですけどぉ。」
「これって、何よ。サヤカのポスターじゃない。」
「はい、そうですよ。私が描いたんです。」
「なんで、アタシがポスターを見ないと、い・け・な・い・わ・け。」
「だってぇ、変なのだと、飯田さんに怒られちゃうしぃ‥‥。」
「だからって‥‥、なんでアタシが。」
「でもぉ‥‥。」
「ああ、解ったわよ。解ったからそんな顔しないでよ。」

石川の泣き顔に弱い、保田さんでした。
(でも、絵に関してだけは、相談するんじゃなかった。)

511 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月24日(金)19時27分19秒
某会議室では、

「おっし、石川ぁ、こっちのポスターでいこう。さぁ、早くコピーして学校中に貼っといで。」
「ハイッ、飯田さん。のんちゃんも手伝ってね。」
「てへへ。飯田さんのお願いだったら、何でも聞いちゃいます。」
「うん、辻は可愛いね。」
「てへてへ」

一方、視聴覚教室。

「なぁ、ごっちん。祝勝会の会場やけど、ハロプロ亭でええか。」
「うん、いいんじゃない。」
「なっちは?」
「なっちもいいよぉ。」
「よし、じゃあ、予約しとかんとあかんなぁ。」
「うん、そうだね。せんせー、よろしく。」
「おぅ。あと、ポスター描いてみたんやけど、どうやろ。」
「ダメダメ、せんせー、何か面白いこと書いた方がうけるよ。」
「そやな、ちょっと考えてくるわぁ。」

教室を出ていく中澤とは無関係に、お菓子を囲んで盛り上がる後藤と安倍であった。
512 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月24日(金)19時28分00秒
*****
そして、2000年度第5回目の人気投票が発表された。

第1位は?
「‥‥もう、どーでもいいっすよ。」
連続記録を11に伸ばした市井紗耶香。

第2位は?
「またかいなぁ。いつも同じやったら、おもろないでぇ。」
やはり定位置の中澤裕子。

第3位は?
「ええ、なんであたしが‥‥」
4ヶ月ぶりに御三家に復帰した石川梨華。

「石川さんは、お昼休みの健気な姿が好評だったようです。」
舞台に立った石川は、ワーワーという歓声の中、壁際の立つ保田の姿を見つけた。保田は
ニッコリと笑った後、振り向いて会場を後にした。
(保田さん、ありがとうございます。)
その背中に頭を下げる石川であった。

513 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月24日(金)19時29分16秒
「ごめんねぇ。よっすぃ〜、ごっちんも。」
「いいっすよ。心配しないで。梨華ちゃん頑張ってたし。」
「そうだよ。ごとーなんて、最初っから関係してないしぃ。」
「オイラも今の梨華ちゃんなら、負けても悔いないよ。」

でも、後藤は知っていた。今回、矢口が目立った活動をしなかったのは、石川に自信をつ
けさせるためにも、御三家に入ってもらおうと、吉澤と相談していたからだった。決して、
矢口も吉澤もそれを後藤に告げたわけではない。しかし、後藤も市井もそれに気付いてい
た。5人で一緒にいる間に、自然と感じていたのだった。

「石川ぁ、ごっちん。」
「あっ、カオリ!」

5人が話してる所に飯田が現れた。

矢口の方には顔もむけず、
「石川ぁ、よく頑張ったねぇ。これでカオリも安心して引退できるよ。」
「いえ、飯田さんには、ご迷惑いっぱいかけましたし。」
飯田はニッコリ笑って、今度は後藤に
「ごっちんもありがとう。こんないい子を紹介してもらって。」
後藤はニィーッと笑ってみせた。
514 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月24日(金)19時30分59秒
「ああ、ごっちん。ここにいたのぉ。祝勝会行くよぉ‥‥。」
後藤を探しに来た安倍が飯田を見つけて、黙ってしまう。

「あっ、なっち。ちょっと待ってて。」

後藤は、飯田の元に歩いていった。
「飯田さん、もういちーちゃんのところの会長は梨華ちゃんに任せていいって言いました
よね。」
「うん、言ったよ。」
「だったら、あと1回の人気投票、なっちを1位にするために頑張ってもらえませんか?」
「なっちのためぇ!」

飯田は大きな目を更に大きくして、今度は安倍を見た。

「なっつぁんも、裕ちゃんせんせーの会長を今度はごとーに任せてもらっていいよね。」
「うん、ごっちんなら大丈夫だよ。」
「だったら、もう1回。最後の人気投票で1位とってよ。」

安倍も飯田も黙ったまま。
安倍と飯田の過去を知らない市井達も状況が読めず、オロオロするばかり。
と、
「飯田さん!」沈黙を破ったのは石川だった。
515 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月24日(金)19時32分15秒
「飯田さん。私、頑張ります。飯田さんに教えてもらった事をしっかり守って、次も必ず
市井さんを1位にしてみせます。だから、飯田さんも頑張って、安倍さんを‥‥。」
「ごとーだって。負けないよ。裕ちゃんせんせーは手ごわいからね。」
「オイラ達も忘れちゃぁ、困るね。」
「えぇ、今度は本気でいきますよ。今回はり、あっ!」あわてて矢口に口を抑えられる吉澤。

「解ったよ。でも、カオリがやる気になったって、なっちにその気がなければダメなんだ
よ。なっちはどうなんだい。」
全員の視線が安倍に集まった。
「なっちはね‥‥。なっちはね‥‥。」
言葉を捜すように下を向いたかと思うと、ゆっくり飯田に近づいた。
「なっちはね。カオリが好きなんだぁ。カオリと‥‥ずっと一緒にいたいんだぁ。」
そういうと、安倍は飯田に抱きついて泣き出した。飯田も泣いていた。
516 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月24日(金)19時33分21秒
「グシュン、うえーん」
「なんで、真希が泣くんだよぉ。」
「だって、なっつぁんが‥‥。なっつぁんが‥‥。」
「そういうサヤカだって、目ぇウルウルさせてるじゃんかぁ。」
「矢口だって、目ぇ赤いぞぉ。」
矢口の横では、下を向いたまま固まっている吉澤。やっぱり涙ぐんでる石川に、肘で突つ
かれても全く動く様子がない。
ちょっと気になった矢口が、苦もなく下から見上げる。
「ん、よっしぃ〜?」
そこには、目と口を必死に食いしばって、こらえている吉澤の顔が。

「よっすぃ〜、こういうのに弱いんだよね。」
ちょっと落ち着いた後藤が矢口に教える。
「そうかっ、ゆっすぃ〜」と頭を撫でる矢口。
「真理〜っ、ぐうぇーん」と吉澤が矢口に覆い被さるようにして、遂に泣き出した。
その余りの大声に、飯田も安倍も呆れてしまったのか、
「「ハハハ」」笑い出してしまった。
「「ハハハ」」市井も石川も笑った。
「「ハハハ」」後藤や矢口も笑い出して、初めて吉澤は我にかえった。
「ハハハ」吉澤も一緒になって笑い出した。

次の日、1枚の写真が校内を出まわった。
『鬼の目にも涙』

「かごーぉっ!」
517 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月24日(金)19時35分13秒
作者です。

御三家 再び 前半終了です。

最後に向けて構想中ですが、そんなに盛り上がらないかも。
518 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月24日(金)21時49分48秒
鬼って誰ですか?
519 名前:ちとツッコミ 投稿日:2001年08月25日(土)00時17分13秒
>「真理〜っ、ぐうぇーん」
真理?真里!

御三家おもろいネ!続き待ってます。
520 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月26日(日)16時43分42秒
(・∀・)イイ!! とってもいい展開です。
続きに期待。
521 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月27日(月)12時46分14秒
作者です。レス感謝です。

>>518
鬼は誰でも良かったんですが、勢いで最後の3行は書いてしまった。
(あくまで)作品の設定上は、飯田さんかなぁ。

>>519
申し訳ありませんでした。
UPする予定ではなかったのですが、思わず書けてしまったし、週末をはさむので、勢いで
UPしたため、チェック漏れてました。また、よろしくお願いします。

>>520
ちょっと、特定のキャストにおいしい役が偏ってるかなという気がしていますが、それは
書く側の偏見もあってで、ご了承ください。
最終的には、オールハッピーを願っています。

続きは、未着手(週末の方が家庭サービスで時間がとれなかったりする)なので、しばらく
お待ちを。
522 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月29日(水)08時51分27秒
「さて、なっち。期間がないから、きっちり作戦立てないとね。」
「うん、そうだねぇ。」
「この時期、三年生は試験がないから、そこでしっかり準備をしての一発逆転を狙うって
のが常套手段じゃない。うちもそれをやろうと思うの。」
「そうだね。サヤカやごっちん達は期末試験だしね。」

この高校では、三年生はこの時点で進路が確定しているため、期末は形ばかりの試験とな
っている。そのため、この時期三年生のみ試験勉強から免れている状態なのだ。

「でもね、それを効果的にするためには、地道な活動が絶対に必要なわけ。それで、なっ
ちの魅力を存分に引き出すためには、この作戦がベストだと思うの。」
「ええーっ、そりゃ、なっちも好きだけど、そんなみんなが‥‥。」
「大丈夫だよぉ。カオリはずーっと、なっちと一緒だったんだよぉ。絶対にみんな気に入
ってくれるって。」
「そうかなぁ。じゃあ、カオリも一緒だよ。」
「うん、任しといて。応援するから。」
「違うよ。カオリもやるんだよぉ。」
「えっ、カオリはダメだよぉ。ダメダメ。絶対にダメ。」
「うううん、大丈夫。なっちにはちゃーんと解る。なっちとカオリが一緒の方が絶対にみ
んな気に入ってくれるよぉ。」
「え〜ん、しょうがないなぁ。いっちょやりましょかぁ。」
523 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月29日(水)08時51分57秒
一方、某会議室では、

「梨華ちゃん、やっぱり企画としては、試験明けを狙うとすると、バレンタインだと思う
んです。」
「りんねちゃん。私もそれが妥当だと思うの。」
「それで、”バレンタインデー特別企画、市井紗耶香への告白大会開催”しかも一人必ず
恋人に選ばれますってのはどう?」
「あさみちゃん。とってもいいんだけど。それじゃぁ、別スレのパクリじゃん。」

石川を真中に頭を抱える、戸田と木村。石川のファンクラブ会員だった二人が、いつの間
にか、市井のファンクラブを手伝うことに。

(市井さんから、ごっちんを奪うのには、捨てがたいなぁ。)
524 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月29日(水)08時52分27秒
さて、視聴覚教室では、

「ごっちん、うちはどうすれば、ええねん。なっちに1位にもなって欲しいし。最後に1
位になったうちも見て欲しいし。ああ、辛いわ。」
「とりあえず、センセーには、ファンクラブ会員には、社会の試験20点プラスって考え
たんだけど。」
「あほ、そんなことできるかいな。ちゃんと裕ちゃんの魅力を知って、会員になってもら
わんとなぁ。」
「「ちぇっ!」」
「で、なんでサヤカまでおるんやぁ。」
525 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月29日(水)08時53分15秒
一方、喫茶・鼻ピ
「ええんかぁ、うち、これ全部食べてええんかぁ。」
「うん、これ全部いいよぉ。」
「へへっ、矢口さん大好き!」
そう言いながら、目の前のケーキにぱくつく加護の姿が。

三つ目を食べ終わったところで、
「でね、加護ちゃん。お願いがあるんだけどさぁ。」
加護の4つ目を口に運ぶ動作が止まる。

「えっ、やっぱしぃ。」
「うん、大したことじゃないよ。いつもやってること。よっすぃ〜のプライベート写真を
撮ってあげてほしいの。でも、いつもみたいなのじゃなくて、爽やかなのとか、溌剌とし
たのとかね。」
「えーっ、でも、そんなんおもろないもん。」
食べる手を再開しながら、応える。

「へえーっ、これ食べてもいいよぉって言ったけど、誰もオイラが奢るなんて言ってない
よ。いいのかなぁー。」
「そんなん、サギやんか。」
「言ってないものは、言ってない。でもここの彩さん、怒らせたら、恐いよぉー。ごっち
んもここで怒られて、泣いてたからねぇ。」
「えっ、師匠までが。」
4つ目の半分を食べたところで身体が固まる。

ふと、カウンターを見ると、石黒と目が合う。
「「にひぃー。」」
お互いで微笑みを交わす。と、まもなく加護は矢口に顔を近づけ、
「解りました。最高の写真撮らせていただきます。」

交渉成立。
526 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月29日(水)08時53分55秒
作者です。

ちょこっとだけ、更新。
527 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月29日(水)21時57分12秒
そんな、ある日

『さて、お昼の放送の最後に、1曲お贈りしましょう。「愛の種」です。』

「♪さあ 出かけよう きっと 届くから 、〜♪」

「えっ、これ。なっちとカオリじゃん。」
「あっ、本当だ。」

確かに安倍と飯田の声だった。その美しいハーモニーは聴く人の心を魅了した。まさに、
試験勉強中の学生達にとっては、一服の清涼剤と言ってよかった。

安倍と飯田の「愛の種」は、その後も毎日のようにお昼の放送で流された。そして、それ
に反感を持つより、毎日この歌が聴けることに好感を持つ生徒が増えていった。それは、
期末試験の終了まで続けられた。

その後も、放送部には「愛の種」への問合せが寄せられたが、二度と放送されることはな
かった。
528 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月29日(水)21時58分15秒
「保田さーん」
「なに、またあんたぁ。」
「すいません。教えてほしいんですけどぉ。」
「何なのよ。さっさと言って。」
「どうして、『愛の種』放送しないんですかぁ。」
「だって、本人達が流すなって言うんだから、仕方ないでしょうよ。」
「でも、人気投票狙ってるなら、このまま流して評判上げる方が得策でしょ。」
「知らないわよ。カオリが何考えてるかなんて。」

本当に保田も知らないようだ。

「どうだった。梨華ちゃん。」
「保田さんも知らないみたですぅ。」
「そっかぁ、圭ちゃんが知らないんじゃあ、カオリ本人に聞くしかないね。」
529 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月29日(水)21時59分18秒
「それは、企業秘密だからさぁ。いくらサヤカでも教えられないよ。」
久し振りに校内で会った飯田に市井が、『愛の種』を放送しなくなった理由を聞いてみた
が、そう簡単にはいかなかった。

「でも、なっちとカオリ。評判いいよ。ありゃあ、好感度急上昇だね。これでアタシも気
楽になれるかね。」
「何、言うのよぉ。これでもサヤカが最大のライバルだって思ってるんだからさぁ。」
「ああ、じゃ、やっぱり人気投票狙いか。」
「まあね。それは黙ってても解るだろうし。でも、それ以上は言わないよぉ。サヤカも好
きだけど、なっちは特別なんだ。あの子を裏切るような真似は、絶対にできない。」
「うん、アタシもそんなスパイみたいな事は性に合わないから。でも、石川ちゃんや矢口
に頼まれてね。ちょっと聞いてみただけ。じゃあね。」

飯田に背を向けて、帰ろうとする市井に。
「特別に1つだけ教えるよ。特別企画やるから、楽しみにしときなぁ。」
530 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月29日(水)22時03分22秒
作者です。ちょこっと更新。

実は、海板の執筆の方が調子いいんで、こっちが停滞気味です。

もうちょっと引っ張りたかったけど、無意味に長くなりそうなので、一気にヤマ場へ。
少々お待ちを。
531 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月30日(木)20時05分03秒
そして、遂にニュースが流れた。

『あの「愛の種」を歌う安倍さんと飯田さんが、卒業記念のコンサートを行ないます。日
時は3月10日土曜日の13時から。場所は体育館です。ふるってご参加ください。』

「しまったぁ、やられたぁ。コンサートやれるくらいまで、準備できてたなんて想像して
なかったぁ。」
矢口の残念そうな声が響いた。

「で、みんなどうするの?」
という市井の提案に、
「行くに決まってるよぉ。」
後藤が先ず応える。
「そうだよな。敵さんの情報は必要だしな。」
と矢口。
「私も飯田さんにはお世話になったし、絶対に行きます。」
と石川が応えれば、
「オレっちも行きます。行きます。」
吉澤も賛同する。
「よし、じゃあ全員でいくぞぉ。」
「「「おぉーっ!」」」

532 名前:御三家 再び 投稿日:2001年08月30日(木)20時07分30秒
*****
3月10日 土曜日

「しかし、結構入ったねぇ。」

開演5分前のギリギリに体育館に入ってきた人達。

「第二土曜だってのにぃ、ほとんどいっぱいですねぇ。」
「もう席残ってないんじゃないのぉ。」
「真希が寝坊するからだろう。」
市井にグーパンチをもらう後藤。
(だって、いちーちゃん、夜更かしなんだもん。)

「あっ、あそこに、ほらっ」
石川が指差す方を見ると、

「「おおーい」」
最前列に矢口と吉澤が。

「わりーわりー。こいつが寝坊してさぁ。」
「えぇ、ごっちんが時間通りに来るなんて想像してませんでしたから。」
「ええっ、よっすぃ〜、ひどーい。」
後藤がプクーっと膨れる。

「まぁまぁ、矢口らのおかげで最前列に座れるんだし。」

矢口と吉澤の話では、30分前には半分以上の席が詰まっていたそうだ。やはり、『愛の
種』の評判は高く、生徒以外の観客も多いようだ。

「じゃあ、矢口は何時からきてたんだぁ?」
「うん、12時くらいかなぁ。」
「やけに早いねぇー。」
「うん、よっすぃ〜が一緒にお弁当食べたいって言うからさぁ。」
「だって、お昼ってそのくらいの時間じゃないっすかぁ。」
「1時間もここでいたのかぁ?」
「だって、よっすぃ〜が膝枕してくれるんだもん。1日中でもいられるよぉ。」
お弁当のおかげで、最前列を確保できた5人でした。
「確かに、矢口なら5席分くらいかな。」

「おっ、始まるぞ。」
533 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年08月30日(木)20時09分20秒
作者です。ちょこっと更新。

えーっと、まだ、始まりません。もうしばらくお待ちください。
534 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年09月02日(日)09時49分00秒
作者です。

ショック!昨晩、執筆中にPCがフリーズ。1時間半の作業がパァー。

本日、更新の予定が、延期です。
535 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時02分36秒
「♪〜スマイル スマイル スマイル 」

歌いながら登場の二人に、歓声が上がった。

オープニングにぴったりのアップテンポの曲で、二人の掛け合いだった。ハーモニーの美
しさより、お互いの個々の良さが目立つ選曲である。
安倍が手拍子を煽り、会場の雰囲気を盛り上げていく。

「大キライ 大キライ 大キライ 大スキ ah〜♪」

パチパチパチ

「みなさん、こんにちわ。安倍なつみです。今日はこんなに多くの方に集まっていただい
て、ほんとにありがとうございます。
「こんにちわ。飯田かおりです。私達も一生懸命歌いますので、皆さんも楽しんでいって
ください。」

パチパチパチ
536 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時03分51秒
「私達も今月でこの学校を卒業して、旅立っていきます。三年間お世話になった方達への
お礼と。」
「この学校を思い出として、みなさんの中にいつまでも持ち続けて欲しい。そんな気持ち
で、今回のコンサートを二人で相談して、決めました。」
「まだまだ力不足の所はありますが、二人で一生懸命に練習してきました。今日も一生懸
命に歌いますので、よろしくお願いします。」

パチパチパチ

「音楽は音を楽しむと書いて音楽です。今日来ていただいているみなさんも、そして私た
ちも楽しめたら。そう思っています。私も一生懸命歌いますので、よろしくお願いします。」

パチパチパチ
537 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時04分35秒
「さて、次は卒業をテーマにした曲です。」
「『Memory青春の光』です。」
「この曲は男女の別れなんですけど、嫌いになったんじゃなく、今日であなたを卒業しま
す。あなたから旅立ちます。そういう歌です。聞いてください。」

「♪〜 メモは 少し長いけど でも最後まで 読んでよねぇ」

安倍がメインで飯田がサブをつとめた。悲しいメロを切々と安倍が歌い、飯田がそれを盛
り上げる。飯田が盛り上げる分、安倍が淡々と歌うのが返って哀愁を誘い、観客の心を惹
きつけた。

こうして、コンサートは続いていった。
538 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時05分16秒
歌だけでなく、二人のトークも楽しいものだった。

飯田の宇宙交信トークと安倍のまったりほのぼのトークの組合せは、そのアンバランスさ
が聞いてる方を楽しませた。

朝食べた納豆の話が、
「だからねぇ、カオはマゼラン大星雲に行かなくちゃぁって思うの。」
「はぁ?」
「だって、銀河鉄道だって、運転してみたいじゃない。」
「おーい、カオリっ。帰ってこいよー。」
「ん?今、カオリ何してた?」
「帰ってきた?」
「うん」
「良かったぁ。」

ドッ!(観客)
539 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時05分57秒
「さて、カオリがやっと帰ってきた所で、三曲続けてお贈りします。『恋の始発列車』『線香花火』『パパに似ている彼』です。」
「どれも可愛い乙女心を歌った曲です。聞いてください。」

パチパチパチ
540 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時08分09秒

飯田の思い出話は、自らファンクラブの会長をしている市井の爆笑暴露話であった。
学校でも注目される市井の話だけに、聞く側の興味も高く、また笑いも多く、受けた。

「サヤカが彼女とケンカした時なんだけどぉ、彼女にフラれたぁーって、学校中の評判に
なったじゃないですか。あの時のサヤカの情けない姿ったらさぁ‥‥。」

「あ〜〜、辞めてくれーーー。」
客席で独り頭を抱える市井であった。

一方、安倍の方は、やはりファンクラブの会長をやってる中澤の暴露話であろう。と大半
が期待していたが、予想に反して、

「アスカは、なっちが初めてライバルだって思った子なんです。」
541 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時08分54秒
1年生の時に人気投票を争った、福田の話であった。
安倍の福田に対する思いは、笑いこそはなかったが、共に学生生活を送る者達も身近な心
境だと気付き、多くの共感を得た。

「今、アスカがどこにいるかは知らないんですが、もし会えるような事があったら、お礼
が言いたいです。なっちはあなたのおかげで、こうしていられるんだよ。それに、カオリ
とも今まで以上に仲良くなれたしねっ。」

安倍は飯田の肩に手を回した。飯田は思わず、溢れそうな涙を拭った。

「なっつぁん、良かったよねぇ。」
事情を聞いている後藤の目にも涙が。

「では、この歌をアスカに贈ります。『Never Forget』あなたを忘れない。」
542 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時09分37秒
「次は、なっちの作った曲。いこうよ。」
「ええっ、やっぱりあれ歌うのぉ。」
「いいじゃん。結構、いい曲だからさぁ、歌っちゃいなよ。」
「そう、じゃあ本邦初公開。なっちの作った曲です。『さんぽ』」

パチパチパチ

「ワンツースリーフォー 『ぽ・ぽ・ぽ』 さんぽでした。」

しーーん

「何、ふざけてんのよぉ。」
「ふざけてなんかないよぉ。」
「真面目に歌いなさいよぉ。」
「真面目に歌ったよぉ。」
「どの辺が真面目なのよぉ。」
「この辺かなぁ。」
と言って、安倍は自分の鼻を指差した。
「ん?なっちの鼻がどう真面目なのよぉ。」
「いやーっ、ポテチのいい匂いがしたなぁって。」

ドッ!(観客)

「はいっ、気を取り直しまして、今度こそ本当にお贈りします。『さんぽ』です。」
543 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時10分50秒
「裕ちゃん、いい子達だよねぇ。」
「おっ、来とったんかいな。」
「店の近くでこんなのやられちゃあ、お客が来ないんでねぇ。」

体育館の入り口近くで聞いていた中澤に声をかけたのは、喫茶・鼻ピのオーナー石黒だった。

「もうすぐ、あの子達もここから旅立っちゃうのねぇ。」
「そやなぁ。ほんまに手のかかる子達やったわ。」
「でも、そんな子達が好きなんでしょ。裕ちゃんは。」
「まあな。」

中澤の視線はずーっと安倍に向けられていた。

「裕ちゃんはやっぱり、なっちが好きなんだね。」
「なっちだけちゃうでぇ。みんな、ほんまにええ子や。」
「アタシはどうだった?」
「そんな昔のことなんか忘れてもうたわ。」

中澤がこっそり涙を拭ったのを石黒は気付いていた。

「裕ちゃん、今から泣いてて、卒業式の時なんかどうするのぉ。」
「あほ。ウチは教師や。教師やから、卒業式の時には笑って送ってやらんとあかんね。ち
ゃんとあいつらに最後の言葉を贈ってやらんとあかんね。教師は泣いたらあかんね。そや
から、今のうちに泣いとくんや。」
544 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時14分40秒
「♪〜涙 止まらないかも わがままな娘でごめんね Mother」

『ふるさと』は遠い故郷を出てきた子が、故郷に住む母を思い出している歌だ。やはり、
地方から出てきている子達の共感を得た。

「さて、今日は長い時間お付合いしていただきましたが、いよいよ最後の曲となってしま
いました。」

「「「ええーっ」」」

「ありがとうございます。最後の曲はみなさんにお馴染みとなりました『愛の種』です。」
545 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時15分18秒
「この曲は、昔私達の町にあるグループが訪れた時に、そのグループが歌っていた曲でした。」
「そのグループは自分たちの夢を実現するために、色んな町でこの曲を歌い、宣伝し、自
分たちで売っていたのです。」
「その苦労があって、そのグループは夢を実現しました。そして、今もなお新しい夢に向
かって頑張っています。」
「ですから、この曲は夢を実現する曲なんです。」
「みなさんもこの曲を聞きながら、夢を実現していってください。」
「この曲が種となって、ここに来ていただいたみなさんの夢という花を咲かせてくれれば、
そんな思いで、この曲を最後に歌います。では、聞いてください。」
「「今日は、どうもありがとうございました。」」

パチパチパチ
546 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時16分23秒
こうして、コンサートの幕は降りた。

「「アンコール アンコール アンコール」」
会場中が大合唱だ。

「「アンコール アンコール アンコール」」
市井も後藤も叫んだ。
「「アンコール アンコール アンコール」」
矢口も石川も叫んだ。
「アンコール アンコール アンコール」
吉澤は拳を突き上げて、叫んでいる。

数分後、いったん降りた幕が上げられた。

「「みなさーん、どうもありがとうございまーす。」」
二人が手を振りながら現れた。

どぉーーーっ
会場がいったん、どよめいた。
547 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時17分09秒
「みなさん、ほんとにほんとに、ありがとうございます。こんなにみんなに喜んでいただ
いて、なっちは本当に幸せです。」
「今日のことは大切な思い出になりました。今日この勇気を与えてくれたのは皆さんの声
援です。今日のことを思い出しながら、卒業してからも頑張っていきたいと思います。」

どぉーっ

「では、皆さんのご好意により、‥‥もう一曲だけ、歌わせてくださーい。」

どぉーーーっ

「その前にお願いがあります。今日のコンサートを行なうに当たって、とてもお世話にな
った人達がいます。最後の曲はその人達と歌いたいんですが、どうでしょうかぁ。」
548 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時18分01秒
どぉーーーっ

飯田と安倍の視線が1点に向けられた。

「ごっちん、さやかに矢口、よっすぃ〜に石川も出てきてよぉ。」

「「「ええーっ、私達?」」」

「うん、あんた達のおかげでカオリ達も仲直りできたんだし、なっちと一緒に歌うことも
できた。本当に嬉しいんだ。だから、アンタ達にも今の気持ちを感じて欲しいんだよ。」
「ね、ごっちん。ほんとに感謝してる。だからさぁ、お願い。」
「サヤカぁ、あんたアタシの頼みを聞けないって言わないよねぇ。石川も。」

「乗りかかった船だ。最後まで付合いましょうかぁ。」
市井達5人がステージに上がった。
市井、吉澤、石川と御三家経験者揃いのため、黄色い声援も飛ぶ。
549 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時18分36秒
飯田が小さい二人を見つけた。
「おっ、辻ぃ。あんたもおいでよ。」
「加護ちゃんも一緒に。」

「へい!」
辻は嫌がる加護を引きずるようにしてステージに上がった。

「加護、一言っ」
後藤が強い口調で言う。

「はい‥‥。加護です。いつもイタズラばかりしてて、ごめんなさい。」
いつにない加護の萎縮した姿に会場の笑いが漏れた。

「あのー、一つお願いがあるんですけどぉ。」
「なーに?石川ちゃん。」
「じゃあ、ちょっとすいません。」
と言って、舞台裏に走り去った。
550 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時19分28秒
「保田さーん」
「今度は何なのよぉ。私は今放送委員の仕事で忙しいのよ。」
石川は舞台袖でスタッフをしている保田の所に来たのだった。
「すいません。保田さんにお願いがあるです。」
「だから、アタシは今忙しいから、後にして。」
「今じゃないとダメなんですぅ。」
「じゃあ、この最後の曲が終わってからね。」
「その曲を保田さんと、一緒に歌いたいんですぅ。」
「えっ!」
石川を見ると、いつもの上目使いではなく、保田を真正面に見つめてきた。その迫力に、
さすがの保田も圧倒された。
551 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時20分07秒
「でも、何でアタシが歌うのよ。」
「だって、保田さんも卒業じゃないですかぁ。いつもお願いばかりだったですけどぉ、最
後に何か一緒にできたらって思ってたから。」

石川の目は、甘えやお世辞という気持ちではなく、純粋な気持ちを伝えた。

「解ったわよ。歌うわよ。歌えばいいんでしょ。」
「ほんとですか。ありがとうございます。」
「仕方ないわよ。アンタの頼みだもの。」

そして、二人は手を取り合って、ステージに登場した。
552 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月02日(日)14時20分42秒
「裕ちゃんせんせーは呼ばないのぉ。」
後藤が安倍に尋ねた。

「うん、裕ちゃんはこういうの苦手だしね。それに最後まで見てて欲しいから‥‥。」
安倍は中澤を見つめた。中澤も静かに頷いて、応えた。

「だけど、アタシ達何歌うの?」

553 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年09月02日(日)14時24分11秒
作者です。何とか、昨日消えた分は書けました。

コンサートも残り、アンコールのみとなりました。さぁ、あなたが望むアンコール曲は?

御三家 再びも佳境に入りました。もう少し、お付合いください。
554 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月02日(日)15時28分19秒
これだけのメンバーが揃うとやっぱり最後は「ダディドゥデドダディ!」じゃないかな?
頑張ってください。
555 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)02時45分52秒
うーん、俺っちとしては「21世紀」をキボンするが・・・
556 名前:mo-na 投稿日:2001年09月03日(月)02時57分08秒
>>357でカキコしました者です。
お話、良い感じの所にきてますね。(泣ける)
毎回更新、楽しませて頂いてます。
やはりラストは「I …」♪かな?(笑)お邪魔しちゃ悪いのでまたROMに戻ります。

557 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)11時50分10秒
いや、裏を書いて『さみしい日』でしょう!
558 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月03日(月)19時23分37秒
「最後の曲はこの曲だよ。」

飯田が10人分の楽譜を配った。
後藤の顔がキラッと光った。

「これだけど、みんな知ってる?」

市井が後藤をいったん見た後、
「知ってるよ。真希の大好きな曲だからさ。」
後藤も嬉しそうに頷く。
「まぁね、ちょっと思い出があるからね。」
「だから、オイラとよっすぃ〜も良く聞かされてるから、大丈夫。」

加護と辻は不安そうだ。

「辻ぃ、一緒に歌おう。」
飯田が辻の肩を抱けば、
「じゃあ、加護はアタシとだ。」
後藤が加護のそばにつく。

「圭ちゃんはどうなの?こんな曲聞いたことないんじゃないの?」
市井の挑戦的な態度に、
「バカにしないでよ。アタシは放送委員よ。アンタ達とは聞いてる音楽の量が違うのよ。」
そう言って、やはり不安そうな石川の腕を取った。
「大丈夫だよ。アタシが一緒だからね。」
それを見て、石川が嬉しそうに微笑んで頷いた。
559 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月03日(月)19時24分16秒
「アタシはここ。」
市井が後藤の隣に滑り込む。後藤はニィーと笑い返す。

「なっちがセンターね。吉澤ぁ、こっち来て。」
飯田に呼ばれて、吉澤は矢口と手をつないだまま、飯田の隣へ。

「で、矢口がこっち。」
「えっ、嫌だよー。これじゃあ、まるで宇宙人じゃんかぁ。」

飯田と吉澤の間で手を繋がれた矢口が文句を言う。

「いやぁー、一回やってみたかったんだよね。」

それぞれの位置についたのを確認して、安倍が客席に向かって告げた。
「では、最後の曲です。聞いてください。」
560 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月03日(月)19時25分23秒
『あなたの夢を 少しだけ 教えて おまじないをするのよ Yes Yes Yes 』
『あたしの夢も 少しだけ 聞いてね 眠たそうにしないで No No No 』

市井と後藤がにっこり見詰め合いながら、手拍子を頭打ちで打つ。観客もそれに応えるよ
うに手拍子が響き始める。

『21世紀が 来る日を 二人して 迎えたいの』

安倍がメンバー一人一人を順に見つめていく。
(圭ちゃんにもお世話になったねぇ。)
(矢口、吉澤とケンカしちゃぁダメだよ。)
(梨華ちゃん、とっても前向きになったねぇ。)
(辻ちゃん、加護ちゃん、ほんとに可愛いねぇ。)
(サヤカ、なっちは負けないよぉ。)
(ごっちん、ほんとに、ほんとにほんとぉに、ありがとう。)

そして、飯田と目が合った。
(カオリ、今までごめんね。)
(うううん、いいんだよ。お互い様だしさぁ。)
(でも、今日はほんとに楽しかったね。)
(うん、なっちが頑張ったからだよ。)
(カオリもね。)
(ありがとう。)
(ありがとう。)
視線だけで、二人は会話を交わした。

『腕を組んで あの公園で おしゃべりしよう 』
『腕を組んで あの街まで 歩いて行こう 』
『夢の続きを 教えてよ 』
561 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月03日(月)19時27分05秒
安倍と飯田がマイクを置いて、それぞれの隣の手を取った。
そして、マイクを置いたまま歌は続いた。

『あなたの夢は 少しだけ わかったわ 大きな夢なんだね Yes Yes Yes 』

他のメンバーも楽譜を置き、順々に隣の手を取っていった。

『21世紀って どんなんだろ ドキドキして 恐い感じ』

そして、10人全員が手を繋いだ。

『手と手つないで ねえ あの駅へ 連れて行って』
『手と手つないで ねえ 未来まで 連れて行って』
『夢の続きをまた聞いて』
562 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月03日(月)19時28分22秒
そして、今度は10人が腕を組み合った。市井と吉澤が足を蹴り上げて観客を煽っている。

『腕を組んで あの公園で おしゃべりしよう 』
『腕を組んで あの街まで 歩いて行こう 』
『夢の続きを 教えてよ 』

安倍がいったん置いたマイクを取って、音楽をバックに客席に最後の挨拶を始めた。

「みなさん、今日はどうもありがとうございました。私はこの学校で夢を見続ける事の重
要さを教わりました。そして、夢を語り合う仲間の素晴らしさも。夢は追い掛けなくては
始まりません。いつも夢を持ち続けて、そして夢に向かう。これからもそうありたいと思
います。そして、皆さんも、もし寂しいこととか、くじけそうなことがあったら、こう言
ってください。」

『私の夢は‥‥』

そして、大歓声の中、コンサートは終了した。
563 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月03日(月)19時29分59秒
そして、人気投票の日が明日にせまった。

「おう美帆ちゃん、なんか手伝うことないかぁ。」
「おや、中澤先生、珍しいですねぇ。御三家なのにお手伝いだなんて。」

腕捲りをして近づく中澤に信田が皮肉を言う。

人気予想の方は、やはりコンサートの影響は強く、安倍の人気は高まっていた。しかし、
「ごめん。なっち。カオリまで目立ち過ぎたよ。」
安倍と飯田にどれだけ票が散るかという点が危ぶまれた。

やはり基礎票で強い市井と安倍の一騎撃ちの予想だった。残る三位の枠に誰が入るか?

「今回、ウチは何にもしてへんね。今度の会長もその辺が解ってくれてるみたいで、何も
言わんといてくれてるし。」

そう言いながら、ちょっと寂しそうに机を運ぶ中澤を皮肉ったことを後悔した信田だった。

*****
そして、卒業式も明日に迫った。そして、それは人気投票の発表の日でもあったのです。

結果は、
564 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年09月03日(月)19時33分36秒
作者です。

何とか、コンサートを終えることができました。ちょっとしつこかったかも。
ちなみに、並び順は、

 吉−矢−飯−辻−安−加−後−市−保−石 
 です。

想像力豊かな方は、思い浮かべながら、どうぞ。
565 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年09月03日(月)19時39分37秒
>>554-557

アンコール曲、予想していただきありがとうございます。

当初は、意表を突く意味で、『でっかい宇宙に愛がある』を考えていたのですが、コンサート中で
『愛の種』で夢のついて語ったので、夢繋がりで、こっちにしました。

559で切って、引っ張ろうかとも思ったのですが、書いちゃいました。

残りは、あと2回かな。今週中には終わります。
566 名前:555 投稿日:2001年09月03日(月)22時56分25秒
よっしゃぁ〜、ビンゴ!!
レス番もゾロ目でキリが良かったし、こりゃいいことあるかも。
567 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月04日(火)19時05分42秒
そして、卒業式も明日に迫った。そして、それは人気投票の発表の日でもあったのです。

『結果は、

 第一位 市井紗耶香
 第二位 中澤裕子
 第三位 安倍なつみ

  以上の通りに決まりました。』

ステージでは御三家へのインタビューが行なわれています。

「市井さん、やはり強かったですねぇ。」
「いえ、もう、申し訳ないです。」
「やはり、”ホワイトデー特別企画、市井紗耶香に告白されてみよう大会”が好評だった
おかげでしょうか。」
「はい、ありがとうございます。」

「次は中澤先生ですが、今回も二位でしたが。」
「ええ、まぁこんなもんですわ。」
「今回は、いつもの元気がないようですね。」
「ウチみたいなんで二位もろうて、恐縮しております。」

「さて、先日のコンサートで人気を博しましたが、残念ながら三位でした。」
「はい、なっちは精一杯頑張ったんで、満足してます。コンサートも楽しかったし。」
「卒業後のご予定は?」
「はい、とりあえず、学校に行きながら、もう一度自分の夢を見つめようかなって。」

「どうもありがとうございました。今年度最後の御三家の方々にもう一度拍手を。」
568 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月04日(火)19時07分38秒
大歓声とは裏腹に、三人の中で表情が明るいのは安倍一人で、市井は毎回だが、中澤まで
が浮かない表情でステージを後にした。

まず、三人に駆け寄ったのは泣き顔の飯田だった。
「なっち、ごめんね。本当にごめんね。」
「なんでカオリが謝るんだよぉ。なっちも頑張ったし、カオリも頑張った。コンサートだ
って楽しかったし、来てくれた人もみんな喜んでくれたじゃない。」
「でも、カオリが出なければ、なっちにもっと‥‥。」
「何言ってるのよ。カオリがいたから、なっちは頑張れたんじゃない。なっち一人じゃあ、
コンサートだってできなかったよ。サヤカの票には、それだけカオリの苦労が詰まってる
んだよ。それを二ヵ月じゃあね。ここまでやれて、満足だよ。」

569 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月04日(火)19時08分10秒
「飯田さん‥‥」
石川が近づいてきた。
「石川ぁ、よく頑張ったね。初めて負けたよ。本当にあんたらには勝てないよ。」
「飯田さん、そんなぁ‥‥。」
「これは、嫌味で言ってるんじゃないよ。本当によく頑張った。これからもサヤカをよろ
しくね。」
「今回一位になれたのもぉ、今までの飯田さんの苦労があったからですぅ。だけど、これ
からもそれを無駄にしないようにぃ、頑張ります。」
「うん、えらいねぇ。石川は、本当に頑張り屋さんだぁ。それに、とっても前向きだし。」
飯田は、泣きじゃくる石川の頭をしっかりと撫でた。
570 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月04日(火)19時08分58秒
「なっち」
「裕ちゃん。」
「ごめんなぁ。ウチもなんで二位になれたんか、よう解らんねぇ。ほんまは、なっちに一
位を取らせたかったんやけどなぁ。」
「気持ちは解ってたけど、無理だよ。」
「そんなことない。なっちやったら‥‥」
「そうじゃない。裕ちゃんの人気のこと。」
「ウチの?」
「うん、だってなっちだけじゃなくて、ほんとに多くの子達が裕ちゃんに励まされ、元気
付けられてきたんだよ。そんな感謝の気持ちが人気投票に集まるんだから、やっぱり裕ち
ゃんにはかなわないよ。」
「そんなことないで。」
「そんなことあるよ。ね、ごっちん。」
571 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月04日(火)19時09分49秒
後藤が安倍に近づいた。

「あの時言った、『裕ちゃんせんせーは手強いよ』っていうのは、そういう意味だったん
でしょ。」
「うん、まぁね。」
「やっぱり、ごっちんだったら、裕ちゃんを任せて大丈夫かな。」
「へっへっ‥‥」
「でもね、ごっちん。人気投票は負けちゃったけど‥‥。」
「へ?」
「裕ちゃんは譲らないからねぇ。」

後藤と中澤が見詰め合った。中澤の顔がみるみる赤くなっていった。

「アホ、行くでぇ。」
「行くってどこよ。」
「祝勝会やがな‥‥って、どこも予約してへん。はよ探さな。」

「ハロプロ亭でいいんでしょ。」
「ヘ?」
「いつもの所だから、予約しといたよ。」
「ごっちん、アンタようやった。偉いなぁ。ご褒美にキスしたる。」
「きえーっ!」
「痛っ、サヤカ、あんた何すんねぇ。」
「アタシの真希に手を出すんじゃないよ。」
「ええやんか。ウチのとこの会長やで。悔しかったら、ウチのファンクラブに入りぃ。」
「ダメだ。真希はアタシの物。悔しかったら、一位取ってみろーぃ。」
「ああーっ、そんな事言うかぁ。ごっちん、次は絶対に一位取ったろうな。」

気がついたら、いつもの賑やかさを取り戻していたのだった。
572 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月04日(火)19時10分35秒
そして、卒業式当日。

「なっち、カオリ、御卒業おめでとう。」

正門で安倍と飯田を囲んで、後藤達が盛り上がっていた。

「あれ、石川は?」
飯田が石川がいないのに気付く。

「きっと、あそこだよねー」
「うん、絶対にあそこ。」
後藤と市井が目を合わせる。

その頃、石川は放送室に来ていた。そう、いつも保田がお昼の放送をやっていた放送室に。

「誰?誰かいるの?」
「はい、ごめんなさい。」
「誰?そのアニメ声は‥‥、石川。」
「はい。保田さんなら、こちらじゃないかと思って。」
保田が最後にここを訪れると、石川が予想して待ってる所に保田が来たのだった。
573 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月04日(火)19時11分20秒
「何でアンタがここで待ってるのよ。みんなと同じで正門のとこで待ってればいいのに。」
「だってぇ、みんなの前だと恥ずかしいですからぁ。」
「なに、アタシに告白でもしようとでも言うの。キスでもしてほしいの?」

石川は顔を真っ赤にして、
「いえ、そんなのじゃないです。あっ、保田さんのことは好きです。本当に大好きなんで
す。だけど‥‥、そういうのじゃなくて。」
「じゃあ、何なのよ。イライラするわねぇ。」

「実は、コレ‥‥」
「ん?」

石川が保田に差し出した両手の上には、不恰好な人形らしきものが。

「これを‥‥アタシに‥‥。」
「はい。一生懸命作ったんですけどぉ、うまくできなくて、こんなのになっちゃったんで
すけどぉ、‥‥ダメですかぁ。」
「いや、いいよ。よくできてるよ。ありがとう。石川だって、思って、大事にさせてもら
うよ。」
「保田さん、本当にお世話になりました。」
石川が駈け寄り、保田がそれを受け止め、抱きしめた。

「みんなが待ってるんだろう。行こうっか。」
574 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月04日(火)19時13分35秒
石川と保田、それに飯田に会いに来た辻と辻に引っ張って来られた加護も加わり、コン
サートのメンバーが集結した。そして、中澤も。

「裕ちゃんせんせー、さぁ、最後の言葉をお願い。」
後藤が中澤の背中を押す。

「待て、ごっちん、そんなに押すなや。」

中澤に全員の視線が注目する。

「なっち、カオリ、卒業おめでとう。アンタらは、ほんまに出来の悪い子やった。」

安倍と飯田が顔を見合わせて、苦笑する。

「ほんまに出来が悪かった。そやけど、とっても大事なもんを見つけてくれた。ここにい
るかけがえのない仲間や。そして、明日に向かっていく夢や。この二つは、アンタらの心
を豊かにする。アンタらだけやない。ウチや仲間の心も豊かにするんや。これは素晴らし
いことやで。勉強なんてどうでもええ。こんなこと教師が言うもんちゃうけどな。」

市井が、いいぞーっと囃したてる。
575 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月04日(火)19時14分20秒
「勉強して得られる知識は、いつでも得られる。その代わりにいつでも忘れる。そやけど、
心を豊にするんは、今のうちや。そして、いったん豊になった心は無くなったりせぇへん。
アンタらは、ほんまにええもんを学んでくれた。うちら教師では教えられへんことを、ち
ゃんと立派に学んでくれた。お礼言うで。ありがとうな。」

「裕ちゃん」

安倍が中澤に駆け寄り、中澤の胸で泣いた。

「裕ちゃん。ありがとう。ほんとにほんとにありがとう。裕ちゃんは言ったけど、なっち
は、いっぱいいっぱい、裕ちゃんから教えてもらったよ。誰かを好きになることも。誰か
を信じることも。裕ちゃん、大好きだよ。」

飯田も中澤の肩に顔を預けて、泣き出した。

「おうおう、泣くな泣くな。行くぞぉ。ごっちん、準備はどうや。」
「うん、OKだよ。カラオケ付きだって。」
「ようやった、ごっちん。おーし、こないだ歌われへんかった分、取り戻すでぇ。」

「どこだよ。」
「鼻ピらしいっすよ。市井さん」
「あそこカラオケやってんのぉ。」
「今日だけ特別だって。」

「歌うでぇー。」

「「「「「おおーっ」」」」」

勢いに押されてか、桜の花吹雪が11人を舞い包んだ。
576 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年09月04日(火)19時17分44秒
作者です。

裕ちゃんのありがたい言葉で感動を呼びたかったけれど、いかがでしょう。
とりあえず、卒業という形で一つの区切りがつけれたかな。
577 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月05日(水)19時16分12秒
4月を迎え、ここモーニング女学院にも新学期が訪れた。

「1年の松浦さん‥‥だったかなぁ。」
「はい、私、初めて吉澤さんを見た時から‥‥。」
「でも、アタシ付き合ってる人いるんで。」
「それでも、あきらめきれません。」
「‥‥って、言われてもなぁ。」
「じゃあ、証拠見せます。」
そう言って、新入生は吉澤に抱きついて、キスしようとした。

カシャ

「ん?あっ、加護ぉ、またお前達か!」

「のんちゃん、逃げるでぇ。」
「へい!」

「待ちなさいよぉー!」

加護を追い掛ける吉澤。新入生を独り残して。

「うけけけ。うまくいったね。矢口さん。」
「本当だよ。加護達のおかげだよ。」
「本当に。加護ちゃん達を追い掛けることで、しつこい子から逃げることができるんです
からねぇ。」
「てへてへ。」

578 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月05日(水)19時17分11秒
ガチャッ

『はい、保田です。』
「保田さーん、お願いがあるんですけどぉー」
『ええーっ、またアンタなの。今度は何なのよぉ。』
「実は、新入生のデータを管理したいんですけどぉ。」
『そんなの、アタシは卒業してるんだから、無理よ。』
「そうじゃなくて、パソコンでデータ管理しようかなぁって。」
『ふんふん、それでアタシにパソコンの使い方を教えて欲しいって。』
「はい、そうなんですぅ。で、今日買ってきました。」
『そう、じゃあ、解んないとこがあったら、聞いてね。じゃ!』
「あっ、待ってください。」
『なによ!』
「あのぉ、このパソコン、電源が入らないんですぅ。」
579 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月05日(水)19時17分52秒
「あと、今年の新入生で人気出そうなのは、小川、高橋、新垣の三人。それから、この紺
野あたりがダークホースね。」
「はい、解りました。」
「だけど心配しないで、サヤカや吉澤みたいにすぐに人気が出るような子は、松浦独りね。
人気投票の度に、こいつらの票は気にしておくように。」
「はい、飯田さん。」

某会議室で、石川、戸田、木村に指示を出しているのは、元会長の飯田だった。

「それから、サヤカには、学校であんまりごっちんと仲良い所を目立つような事をさせな
いように。いい。これが一番大事だよ。」
「飯田さん、それは大丈夫です。ちゃんと考えてあります。」

石川はニッコリ笑って応えた。
(目立たなければ、いいんだよね。)
580 名前:御三家 再び 投稿日:2001年09月05日(水)19時18分38秒
「なぁなぁ、‥‥」
「へぇ、じゃあ‥‥」
「そやねん。それがなぁ、‥‥」
「へっ、うっそー、それってぇ‥‥」

(なんで、卒業したなっちがウチの席に座ってんねぇ。しかも二時間も前から。)

相変わらず、平家の席を占領して中澤と話し込む安倍がいた。

「おっ、みっちゃん、ちょうど良かった。コーヒー二つな。」
「あっ、それから、ポテチもお願いしまーす。」
「へいへい、解りました。けど、なんで視聴覚教室使わへんねぇ。」

安倍と中澤は目と目を合わせて、ニッコリ。

「「だって(そやかて)、ごっちんとサヤカが使ってるんだ(や)もーん。」」



「「 Chu!! 」」
581 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年09月05日(水)19時19分39秒
作者です。御三家 再び 終了です。

お付き合いいただきました方々、ありがとうございました。
582 名前:プッチ・モニスト 投稿日:2001年09月05日(水)19時25分59秒
これにて、私の更新は終了とさせていただきます。元作者さんにお返しさせていただきます。

思えば、練習代わりに放置スレを使わせていただいた形になりました。スレを提供いただきま
した作者さんと、暖かいレスをいただきましした皆様に、この場を借りましてお礼を言わせて
いただきます。

ありがとうございました。

現在、海板で「永遠に」を継続中です。そちらも応援いただけるとうれしいです。
583 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)12時05分30秒
御疲れ様でした。
人気作品の後を別作者が書くという異例の試みでしたが、私は成功だったと思っています。
自分の中での「御三家」のイメージとほぼ同じ感じで進んでましたし。

ラストの終り方もすごくいいです。
これからも楽しそうな娘。達の生活が続いていくんだなぁ、って思うとこっちまで嬉しくなっちゃいますよね。

海板の方も頑張ってください。

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