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組み合わせ・・・
- 1 名前:とーしゅん 投稿日:2000年07月30日(日)20時26分49秒
- お初です。とーしゅんです。しがない娘。の小説書きです、はい。
ところでみなさん、娘。の組み合わせ(っつーかなんつーか)、
何が一番すきですか??
俺はゆうやぐ、ごまいち、けいなち、よしいし、かごののが王道(謎)で、
あと、ゆうなち、ゆうごま、ゆういち(名前みたい)、ゆうよし、ゆうのの、なちまり、
ごままり、ごまよし、いしかご、ゆうりか、よしまり、りかまり・・・
って、キリがない。
ここに来て一番びっくりしたのは、「いちごま」だった事です。
ってか、俺はずっと「ごまいち」で書いてきたもんで・・・
いや、いちーちゃんは受けだろ。って思ってたんすよ。
でも、ポピュラーなのは「いちごま」なんですね・・・ちょっとショッキー(byゆーちゃん)
あと、結構すきなのは「りかまり」。
こないだ書いてみたんすけど、何かスゴイ作品になってしまった。
これ、収拾がつかないなぁ、おい・・・
みなさんはどのコンビが一番すきですか?
ぜひ教えてくだされ。
- 2 名前:Hruso 投稿日:2000年07月30日(日)20時39分12秒
- やっぱ一番は「いちごま」でしょう。
その他だと、りか○○もの、よし○○ものかな。
全部書いてるときりがないですけど。
- 3 名前:とーしゅん 投稿日:2000年07月30日(日)20時50分35秒
- それでわ早速、ここで一句・・・
やのうて。ここでごまいちの作品でもいかがでしょう?
ってか、ごまいち+矢口です、はい。
かなしーかもしんない、この話・・・
「・・・いま何やってんのカナ・・・」
後藤がボソッと呟いたのを聞いてしまった。
後藤の視線は海にあった。でも、見ているものは海じゃない。
矢口にはわかった。後藤が見てるもの。
「・・・市井ちゃん・・・」
今、後藤の目の前では、きっと紗耶香が笑ってるんだろうな。
そう思うと、何故か胸が鳴った。
きゅん、って、鳴った。
「・・・逢いたいヨ・・」
後藤の声が切なげに聞こえて、また胸が鳴った。
目がやけに淋しそうで、こっちまで淋しくなってきた。
- 4 名前:とーしゅん 投稿日:2000年07月30日(日)21時00分17秒
- アタシニハ イチイチャンシカ イナインダヨ
ドアの向こうから聞こえてきた、真希の甘い声。
ワカッテルヨ ゴトウ アタシダッテ・・・
吐息と共に聞こえてきた、紗耶香の撫でるような声。
二人の声が折り重なって。体も折り重なって。
足が動かない。
意識は全てドアの向こうに注がれる。
ダメだってわかってるクセに、足はてんで動こうとしない。
イチイチャン・・・
一番聞きたくなかった。
後藤の声では一番聞きたくなかった言葉。
スキダヨ・・・
その言葉で現実世界に引き戻されたような気がした。
- 5 名前:とーしゅん 投稿日:2000年07月30日(日)21時03分04秒
- 気がついた時には、後藤の視線は紗耶香じゃなくてあたしにきてた。
後藤は不思議そうな表情であたしの顔を覗きこむ。
「どーしたの、やぐっつぁん。何かヘンだよ?」
トボけた表情がすっごいかわいくって。
まるで子供みたい。もう中3のくせして。
「・・べっつにー。後藤に言うほどのモンでもないしー」
「あっ、ひっどーい!それって、サベツだぁ!」
「差別くらい漢字で言いなよ・・・」
「?何でカタカナで言ったってわかるのぉ?」
「・・・」
「ねぇ、何でぇ?」
後藤はホントにわかんない、って感じで聞いてくる。
あたしにはそれがいとおしく思えてしょうがない。
「ねー、やぐっつぁんってばぁー」
「・・・愛のぱわーかな?」
あたしのこの言葉に、後藤は少し照れたみたい。
「なっ、あはっ、て、テれるなぁー。あははっ」
「かお、赤いぞー?素直に嬉しいって言えばぁ?」
あたしはイジワルにそう言う。
後藤の顔はますます赤くなっていく。
「も、もぉーっ!カラカわないでよねーっ!」
あたしたちは、笑った。
後藤の声とあたしの声が混ざって、まるでハモってるみたいに感じた。
このまま一緒に笑っていれればいいな、って思った。
ずっと後藤と一緒にいたいな、って思った。
でも、それが無理っていうのはわかってた。
あのドアの前に立った時から。
だから、せめて、今だけでも・・・
あー。描写、下手だぁ。
何でこんなに表現力が乏しいんだろ、俺って・・・
こんな作品ですけど、もしよければ読んでやってください。
そして出来れば感想でも・・・
- 6 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月30日(日)22時10分56秒
- いや、うまいっす。
- 7 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)00時05分43秒
- 短い中に切なさがつまってて、よかったです。
個人的にこういうの好きです。次も期待してます!
昔はいちごまが好きだったんですけど、今はいしよしが好きですね。
とにかく新メンバーものを希望!
- 8 名前:龍岩寺 投稿日:2000年07月31日(月)10時52分04秒
- とーしゅんさま初めまして。
この小説は、矢口の視線から後藤を見ているものなのでしょうか?
すごく切なくて、微妙な3人の関係がうまく出ていたと思います。
すごくおもしろいと思いました。
私も最初は、市井ちゃんは絶対受けと思っていたのですが、
皆さんのいちごま小説など読んでたら、その考えが逆転してしまいました。
今好きなカップ・・いや組み合わせは、いちごま、やぐなち、よしいし、
ゆうのの、やすかご、などなどです。
とにかく娘。みんな好きなので、いろいろとありだと思ってます。
ではでは。
- 9 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)11時01分56秒
- >>8
やすかご、ってあんまり思いつかなかった。
あ、でも某小説で一度だけあったな。他のは王道ですね。
- 10 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月02日(水)09時43分30秒
- >とーしゅんさん
これまでに書いていたごまいちが読みたいです。
- 11 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月02日(水)19時09分29秒
- ここでひとつ、ゆうやぐでもいかがでしょう・・・
>8
はい、新メンバーものも書きますです。
でも、あんまし期待しないでくださいね・・・
>10
んー・・・難しいですね。
ってか、ずっと長編ものを書いてるんすよ、今でも。
ま、駄作なんですけどね。
だから・・・その中でのごまいちを少しピックアップしてみます。
でも、今回はゆうやぐっす。
辺りには誰もいなかった。
当たり前。だって今は夜中の12時。
あたしは今、裕ちゃんが運転する車に乗っていた。
車の中では、あたしたちの3rdアルバム「3rdーLOVEパラダイスー」が流れていた。
3曲目が終わって、4曲目のイントロに突入。
あたしが好きな歌、「くちづけのその後」。
- 12 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月02日(水)19時13分57秒
- 裕ちゃんは何も言わず、ただ前をじっと見てた。
何だかちょっとだけ淋しかった。
あまり見ない裕ちゃんの横顔は、いつもの裕ちゃんよりぐっと大人っぽく見えた。
と同時に、目が淋しそうだった。
いつもならうるさい二人なのに、この時ばかりは水を差したように静かだったのが、何故か不気味に思えた。
裕ちゃん、こっち向いてよ・・・
心の中での呟き、呼びかけ。
でも、裕ちゃんには伝わるはずもなかった。
- 13 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月02日(水)19時18分02秒
- そこの信号は赤だった。当然車は止まる。
裕ちゃんが初めてあたしを見た。
あたしも裕ちゃんの目をじっと見る。
あたしたちはお互いぴくりとも動かなかった。
何も言う必要はなかった。
あたしと裕ちゃんの顔は自然と近づいていった。
先にあたしが目を閉じる。
少しして、唇に触れる柔らかいもの。
ただ触れるだけのキスだった。
唇がほのかにあったかく感じた。
あたしたちは信号が青になっても唇を離そうとはしなかった。
- 14 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月02日(水)19時23分12秒
- どちらともなく唇が離れた。
その時流れた、こんな歌詞。
くちづけのその後いつでも ドキドキして熱いわ どうしてかな
くちづけのその後いつでも お家ではしゃいじゃうわ あなたはどうしてるかな・・・
裕ちゃんがそっと口を開いた。
「・・・ドキドキして熱い?」
「・・・うん」
あたしは裕ちゃんの手をとって、あたしの胸の辺りにそっとのせた。
「・・ね、ドキドキいってるでしょ」
「ん・・・」
あたしのドキドキは鳴り止まなかった。
だって、裕ちゃんの手が触れてたから・・・
信号はいつのまにか赤になっていた。
だからあたしたちはもう一回唇を重ねた。
〜FIN〜
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月03日(木)03時33分40秒
- >ドキドキして熱いわ〜
>お家ではしゃいじゃうわ〜
って、矢口とねーさんが歌ってる部分とか?
- 16 名前:龍岩寺 投稿日:2000年08月03日(木)14時02分44秒
- うーん,ラブラブ(死語?)ですね。
いちごまもいいけど、よしいしも読みたいな・・・なんてね。
- 17 名前:ちーと 投稿日:2000年08月04日(金)00時06分09秒
- 超甘いいちごま希望です。悲しいのはかんべん。
- 18 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月08日(火)22時20分53秒
- ごまいち(いちごま?)、いってみまっす。
短いっすよー。俺、単発屋なもんで。
◆◇
市井ちゃんの手が、あたしのほっぺたに添えられた。
触れられただけで、もう、ほわーんとした気分になる。
あったかくて、包み込むような市井ちゃんの手。
あたしの顔を優しく、それでいて力強く引き寄せていく。
市井ちゃんの顔がだんだんアップになっていくにつれ、あたしのドキドキも速くなってった。
目をすっと細める。
顔のすぐそばに感じられる、市井ちゃんの吐息。
久しぶりの・・・ちゅう。
- 19 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月08日(火)23時25分58秒
- 明日、試合なんで・・・
今日はもう寝ます。
って、もう11:30だけど。
また明日、書くっす。
- 20 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月09日(水)01時49分04秒
- 試合どうだった?
続き待ってます。
- 21 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月09日(水)21時51分20秒
- >20
試合、負けました。
でも、予選通過。(謎)
でわ、↓
「んん・・・」
市井ちゃんの唇、やーらかいなぁ。
何かいー匂いがするし。
何て言うんだろ、う〜ん・・・
あ、そーだ!
洗剤の匂いだぁ!
・・・・・・せんざい?
何で市井ちゃんの唇から洗剤の匂いがするわけぇ?
それに何だか今日の市井ちゃんの唇、布っぽいってゆーか・・・?
あれれ?市井ちゃんの頭って、こんなにぽふぽふしてたっけぇ?
・・・なーに、この感触わ?
「ん〜〜〜・・・・ん?」
市井ちゃんだと思ってぎゅっと抱きしめてキスしてたのは、昨日洗ったばっかしの枕だった。
そりゃあ布っぽいよね・・・(ってか、布っぽいって???)
・・・とりあえず、起きよ。
あたしは体を起こして、うーん、と伸びをした。
これで目はある程度覚めた。
でも・・・
今一つすっきりしないのは、この枕のせい。
何にも言わない枕を睨みつけると、あたしはぼふっ、ぼふっ、と枕を叩いた。
「ばかぁー!何で市井ちゃんじゃなくて、お前なんだよー!」
でも、枕にはそんな攻撃、意味ない。
一人で枕を叩きまくって、一人で朝っぱらから体力を消費した。
「・・・はぁ・・・はぁ」
あたしは枕に向かってもう一言何か言ってやろうと思った。
けど。
(・・・言っても何もならないや)
それに気付いて、あたしはベッドから降りた。
カーテンをシャッと開けて、部屋に朝の光を取り込む。
眩しい太陽の光に、目を細めた。
「いー天気だなぁ」
こんな日は、市井ちゃんとどっか外で遊びたいなぁ。
でも・・・
「・・市井ちゃんのジャマしちゃいけないよね」
そう呟いて、あたしはパジャマのまま、部屋を出ようとした。
部屋を出る前に枕に一言。
「・・・ばぁか」
- 22 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月10日(木)00時46分54秒
- 市井じゃないけど「可愛いなぁ後藤」と言ってやりたくなるね。
- 23 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月10日(木)15時23分31秒
- 「ふわぁ〜〜〜」
おっきな欠伸をしながらあたしは階段を降りてった。
今の顔、市井ちゃんが見たらどう言うだろー・・・
「うっわ、後藤、すごい顔!あんたホントに女の子かぁ?」
それとも・・・
「ちょっと、後藤!欠伸する時くらい手で隠しなよ!」
・・・何か教育係って感じだ。
じゃあ・・・
「後藤は欠伸してる顔も可愛いなぁ」
・・・これに決めた。
ちょうどその変な妄想が終わった時、一階に着いた。
リビングに向かうにつれ、何かの薫りが鼻についた。
この匂いって・・・!
よく市井ちゃんのそばでかいだ匂い!
ウルトラマリンだ!!!
あたしはダッシュでリビングへと走った。
市井ちゃんが来てる!
市井ちゃんが、あたしの家に来てるんだ!!
リビングのドアを勢いよく開ける。
TVがついていて、ニュースをやっていた。
辺りを見回しても誰もいない。
台所からトントンと、包丁の音が聞こえてきた。
市井ちゃんだ!
あたしの為にあさごはんを作ってくれてるんだ!
あたしは胸に嬉しさをいっぱい詰め込んで、台所を覗いた。
そこで料理していた人物。
それは。
「・・・?」
市井ちゃんって、こんなに背、ちっちゃかったっけ?
それに髪の毛、こんなに茶色で長かったっけ?
しかも何か手つきがぎこちないし。
その人物はあたしの視線に気付いたのか、後ろを振り向いた。
「あ。おはよ、後藤」
市井ちゃんより高い声。
「あんた、やっぱり起きんの遅いねー」
市井ちゃんとは違った笑顔。
「もうすぐあさごはん出来るよ。矢口特製のスペシャルおかず付きで!」
市井ちゃんと仲が良かった、矢口真里。
同時にあたしとも仲が良かった、矢口真里。
それでいて、あたしと市井ちゃんの間では邪魔な存在だった、矢口真里。
・・・何でここに、やぐっつぁんがいんの?
朝から訳わかんない事ばっかで、あたしの頭の中はもうパンク寸前だった。
- 24 名前:名無し中 投稿日:2000年08月11日(金)01時25分16秒
- ちょっとなんか、ここの後藤さん好きかも……
- 25 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月11日(金)01時38分04秒
- 矢口の存在がどう絡んでいくか楽しみ
頑張ってください。
- 26 名前:undefined 投稿日:2000年08月11日(金)16時22分28秒
- そーいえば、やぐっつぁんもウルトラマリンなんだっけ・・・
胸に膨らませていた期待は、シャボン玉みたいにはじけた。
「・・・でね、そこで後藤のお母さんと会ってぇー、良かったら家に上がって
もらってもかまいませんよ、って言うから。
それに、こんないー天気の日、後藤に会わなきゃ損だな、って思って」
そう言って笑いながらあたしの顔をのぞき込む顔は、まるで小悪魔みたい。
分かってる。
何でやぐっつぁんが家に来たのかくらい。
分かってたけど・・・頭がそれを認めようとしなかった。
「・・・ごちそうさま」
少し味付けが辛かったやぐっつぁんのあさごはんを食べ終えたあたしは、席を立った。
待ってましたとばかりに、やぐっつぁんの手があたしの腕を掴む。
「どこ行くの?」
「・・・顔洗いに行く」
「顔くらいいつでも洗えるでしょ?それより、さぁ・・・」
そう言って、やぐっつぁんはあたしの腕を引っ張ると、ソファに突き放した。
「いっ、たぁ・・・い」
やぐっつぁんの顔を見上げてみる。
電気の逆光で少し見えにくかった。
けど、どんな顔してるのかは大体想像がつく。
きっと、すごい嬉しそうな顔。
そんで、すごいイジワルそうな顔。
「後藤〜。矢口のキモチ、言ったでしょ?何で答えてくんないのさぁ」
そう言って近付いてきた顔。
やっぱり想像通りの顔だった。
- 27 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月11日(金)16時23分44秒
- あ、名前かえんの、忘れてた。
- 28 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月11日(金)16時35分32秒
- 「・・・」
あたしは無言でやぐっつぁんから目をそらした。
「こっち向きなよ、後藤」
さっきとは違った、少し真剣味を帯びた声。
いつも聞いてる高い声より、少し低くて重い声。
この声に、何回弄ばれただろう?
(市井ちゃん・・・)
こんな時に限って、頭をよぎるのは、市井ちゃんの顔。
(ごめんね、市井ちゃん・・・)
遅い懺悔。
ほんとに、もう遅い。
やぐっつぁんとこういう関係になったのは、市井ちゃんが卒業してから。
きっかけは、市井ちゃんがゲストだったハローモーニングの収録日。
あの時、隣にいた市井ちゃんが、すごく遠くに感じられた。
何で、こんなに遠いんだろう・・・
答えは出ないまま、収録は終わった。
先にスタジオを出る市井ちゃんの背中を見てると、何でか涙が出そうになった。
あたしは急いでトイレにかけ込んだ。
「ひっ・・・ひっ・・市・・井・・・ちゃぁん・・・」
涙はとめどなく溢れ出る。
あたしにはどうにも出来ないくらい、すごい勢いで目から落ちていく。
手も、もう、涙で濡れてた。
もう、あたしたちはオワリなの・・・?
考えた事もないような言葉が頭の中に浮かぶ。
嫌だ。
こんな事、考えたくもない!
でも、言葉は頭の中から消え去ろうとしない。
「もぉ・・・ヤだ・・よぉ・・・」
全てを投げ出したかった。
投げ出して、どこかに逃げてしまいたかった。
そして、みんな忘れてしまいたかった。
その時。
「後藤〜?ここにいんの〜?」
- 29 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月11日(金)16時45分07秒
- (やぐっつぁんだ!)
あたしは急いで拭い切れてない涙を拭った。
「後藤〜?いるんなら返事しろよ〜」
「あ、うん、ここにいるよ〜」
トイレのドアを開けて、やぐっつぁんに返事する。
「ごめん、ごめん、ちょっとねぇ〜」
言葉を切って、やぐっつぁんを見てみる。
やぐっつぁんの顔は、まるで狐につつまれたみたいに、びっくりした顔。
まるで、見たこともないようなモノを見てるような、そんな顔。
「ど、どうしたの、やぐっつぁん?」
「どうしたのって、あんた・・・泣いてたの?」
一瞬、身を震わせる。
あたしのこの反応を、やぐっつぁんは見逃さなかった。
「・・・紗耶香の事?」
やぐっつぁんのこの言葉が、あたしの涙の引き金になった。
「ふえぇ〜〜〜〜〜ん!」
あたしはやぐっつぁんに抱きついた。
あたしのひくついた肩を、やぐっつぁんはそっと抱いてくれた。
すごく、あったかかった。
「ん・・・だめ、だよ・・やぐっつぁ・ん・・・」
やぐっつぁんの舌があたしの首筋を沿って、下におりていく。
あたしはやぐっつぁんに身をまかせるしかなかった。
「あたしが、居てあげるから・・・」
「んん・・・」
トイレに響く、舌が這う音と、あたしの吐息混じりの声。
この時、頭に浮かんだのは・・・
他ならぬ市井ちゃんだった。
でも、それは涙によって、見えなくなった。
- 30 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月11日(金)21時18分40秒
- あれからというもの、あたしは何度となくやぐっつぁんに、抱かれた。
やぐっつぁんは、あたしの中の市井ちゃんを全て消し去ろうと、一生懸命だった。
でも、あたしの中から、市井ちゃんは、消えない。
消えるどころか、日毎に存在が大きくなってってる。
もう、会いたくてならなかった。
でも・・・
あたしを抱きしめてるのは
あたしにくちづけてるのは
あたしをもとめてくるのは
---------やぐっつぁんだった。
- 31 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月11日(金)21時28分01秒
- 「・・・ねぇ、聞いてる、後藤?」
やぐっつぁんの顔がだんだん迫ってくる。
もう、やぐっつぁんの唇の味は、覚えてしまった。
だから、もう・・・
「いやっ!」
あたしは、初めてやぐっつぁんを突き放した。
あたしの意外な行動に、びっくりしてるやぐっつぁん。
あたしは、絞り出すような声で言った。
「あたしはっ・・・市井ちゃんが好きなのぉっ!」
おそるおそるやぐっつぁんの顔を見る。
目を見開いていて、見たこともない表情だった。
二人を襲った、痛い沈黙。
二人とも、沈黙を破ろうとしない。
いや、破れない。
あたしは、また涙が出てきてて、どうにか抑えようとするのに精一杯。
やぐっつぁんは、唇をギュッと噛みしめながら、あたしを見ていた。
その視線は、思ったほど、痛くなかった。
沈黙を破ったのは、あたしでもやぐっつぁんでもなく、
『tururururu...tururururu...』
電話、だった。
- 32 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月19日(土)16時08分31秒
- あたしは急いでソファから立ち上がって、電話の前に立った。
やぐっつぁんの視線があたしの背中に刺さる。
先程よりも少しだけ痛い視線だった。
・・・だれ?
あたしの頭の中に浮かんだ人物。
------市井ちゃん。
もしかしたら・・・
あたしはおそるおそる電話のディスプレをのぞいた。
この番号・・・
市井ちゃんだ!
あたしはそれを確認すると、すぐに受話器を取った。
「もしもし!市井ちゃん?」
『おぉ〜、ひさしぶりぃ、後藤。何であたしって分かった?』
「だって、電話のディスプレに表示されるんだもん、番号」
『あぁ、そっか』
「今日は・・どうしたの?」
『ん?あー、あんね、あたし今日ヒマだからぁ、もし後藤がよかったら、
一緒に遊びにでも行かないかな〜、って』
「遊びに!?どこどこ!?」
『そうせかすなって。何、今日ヒマなの?』
「うん!もちろんヒマだよ・・・・!」
背後から迫ってくる気配に、あたしは電話に気を取られて気付かなかった。
「いやぁぁっ!!!」
『!後藤!?』
荒い息づかい。
見開いた目。
押さえつける手。
のしかかる体。
それほど恐くもないのに、何故かあたしの体は震えていた。
『もしもし、後藤!?ねぇ、どうしたのさ、後藤!?後藤ってば!!』
やぐっつぁんは、落ちていた受話器を手に取ると、おもいっきりうしろに投げた。
『ごと・・・・・!・・・・・・?!・・・・』
もう、市井ちゃんの声は、遠かった。
- 33 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月19日(土)16時25分13秒
- やぐっつぁんの視線は恐いものだったのに、何故か目が離せなかった。
「・・・後藤」
静かに呟くやぐっつぁん。
あまりに優しい声だったので、体に入ってた力を一瞬、抜いてしまった。
「!!!」
乱暴に奪われた唇。
いつもより強く押しつけられて、唇の感触なんて確かめる暇もない。
既にもう手はシャツの中に潜っている。
「〜〜〜っ!!!」
唇を塞がれたまま、やぐっつぁんの手に翻弄されていく。
頭はすごく嫌がってるのに、体は言う事を聞かない。
強く揉まれる胸。
痛いだけで、何の気持ちよさも感じない。
「やああぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」
やっと唇を離されたかと思うと、その唇は今度は首筋を這ってくる。
優しく首筋を沿ってくる舌に、背筋に寒気を感じる。
「やめてぇぇ!!」
どんなに叫んでも、誰も来てくれなかった。
どんなに、叫んでも・・・
いちい、ちゃん・・・
やぐっつぁんに犯されながらも、考えるのは市井ちゃんの事。
たす、けて・・・
涙が溢れそうになったけど、それを止めようとはしなかった。
でも、その前に、あたしの瞳から涙が出る前に、頬に冷たい感触があった。
・・・?
それは、やぐっつぁんの瞳から落ちたものだった。
やぐっつぁんは、泣いていた。
- 34 名前:とーしゅん 投稿日:2000年08月19日(土)16時27分15秒
- 久々に更新。
ふぅ・・・行き詰まってんなぁ。
この後、どーしよ?
ってか、これって結構イタイなぁ・・・
・・・家で甘いの書きまくろう。
- 35 名前:ティモ 投稿日:2000年08月19日(土)17時26分22秒
- とーしゅんさん、がんばって!
- 36 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月19日(土)23時22分41秒
- 家で書きまくった甘いのもここで発表してくださいね。
- 37 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月26日(土)06時10分41秒
- 続き!
ファイト〜>と−しゅんさん
- 38 名前:とーしゅん 投稿日:2000年09月11日(月)20時11分46秒
- 自分のものでない涙が、頬に落ちるのは初めてだった。
今まで感じた事のない感触に襲われる。
いつしか、その涙は、あたしの涙と混ざっていった。
声もなく、泣いた。
目を開いたまま、泣いた。
涙だけが勝手に目から出ていった。
やぐっつぁんの視線を受けながら、出ていった。
「やぐ・・・・っつぁ・・・」
涙のせいで、ちゃんと言えない。
声が震えちゃって、喉がつまっちゃって。
言葉が言えないのが、こんなにもどかしいなんて。
「ご・・・とぉ」
やぐっつぁんは、震えた声であたしを呼びながら、あたしの上にかぶさった。
別に何をするわけでもなく、ただ、単に覆いかぶさった。
そして、あたしの肩に顔を埋めて、また、泣いた。
肩に染みる涙の冷たさが、体と心を震わせた。
- 39 名前:とーしゅん 投稿日:2000年09月11日(月)21時01分27秒
- 「・・・きだった」
「え?」
言葉尻しか聞こえなくて、ぐずった声で聞き返す。
「好きだった・・・」
「・・・」
だった・・・?
過去形、なの?
「本気だった・・」
・・また。
だった。
「紗耶香より、ずっとずっと、好きだった・・」
涙にはそぐわない、笑顔。
でも、もう、過去のコトなんでしょ?
やぐっつぁんは、もう、あたしのコト、好きじゃないんでしょ?
いいよ、だって、あたしは
市井ちゃんが一番好きだもん
ぽろ。ぽろ。ぽろ。
なのに、何で出てくんの。
何でとまんないの。
なみだ。
- 40 名前:とーしゅん 投稿日:2000年09月11日(月)21時08分19秒
- やぐっつぁんは、顔を上げて、あたしの顔をじっと見つめる。
透き通った目。
濁りなんて、ちょこっともない。
そんな目に見とれていたら、いつのまにか唇が唇にそっと落ちてきた。
今まで口づけられた中でも、一番優しいキス。
優しくて、涙の味しかしない、キス。
体の上の重みがなくなった。
やぐっつぁんが、ゆっくりと立ち上がってた。
あたしは体を起こす気力もなく、
床に倒れたまま、やぐっつぁんを見上げていた。
目を細めて、あたしを見るやぐっつぁんの顔は、
見たこともないくらい、すんごいキレイで、
キレイすぎて、涙がまた出そうになった。
「ばいばい」
いつもと変わらない、『ばいばい』だった。
- 41 名前:とーしゅん 投稿日:2000年09月11日(月)21時13分42秒
- ばたん。
ドアが閉まる音。
部屋の中にやけに大きく響く。
一人、そんなに広くもない部屋に取り残されて、泣く。
「ふぇ・・・・っ・・・っく・・・・・」
思いきり泣きたいのに、泣けない。
思いきり叫びたいのに、叫べない。
どうして?
お願い、泣かせて。
おもいっきり、泣かせてよぉ。
一人、泣きじゃくっていたその時。
バタンッ!という玄関のドアが開く音がしたかと思うと、
ダダダッというすごい勢いで何かが近付いてきて、
部屋のドアを思いきり開け放つものがあった。
それは。
- 42 名前:とーしゅん 投稿日:2000年09月11日(月)22時12分55秒
- 肩で息をしながら。
荒い息づかいで。
「後藤・・・はぁ、はぁ・・・よか・・った・・・はぁ」
心のどこかで分かっていたのか、
市井ちゃんが来た事に、あまり驚いていない自分がいた。
「いちぃ・・ちゃ・・・・」
市井ちゃんは、あたしに駆け寄って、そっと優しく包み込んでくれた。
また、涙が出てきた。
もぅ、何回目だろ、これで?
涙。アンタ、出すぎ。
「もっと泣きな」
頭の上から聞こえてくる声。
「大声出して、おもっきし泣きな」
よかった。
やっと、これで、泣ける。
市井ちゃんの腕の中で、泣きまくった。
大声をあげて、涙をいっぱい流して、
もう涙が枯れちゃうくらいまで、泣いた。
頭に、冷たいものが何回か落ちたような気がしたけど、
かまわず泣いた。
- 43 名前:とーしゅん 投稿日:2000年09月11日(月)22時24分26秒
- 「あのね」
「うん」
ぐずついた声で、市井ちゃんに言う。
「あたしね、市井ちゃんが好きなの」
「うん」
優しく頭を撫でてくれる手。
「でもね、やぐっつぁんも好きなの」
「うん」
そっと包み込んでくれる腕。
「でも、市井ちゃんの方がもっともっと好きなの」
「うん」
心に染み渡る暖かい声。
「だからぁ、ごめんなさい」
「うん」
髪に差し込まれる長い指。
「も、いいよ」
誰よりもあなたが好きなの。
「も、いいから」
世界で一番、好きなの。
「あたしのそばにいてくれればいいよ」
あたしにはあなたしかいない。
「そんな顔、しないでよ・・・」
愛してる。
- 44 名前:とーしゅん 投稿日:2000年09月11日(月)22時30分15秒
- 市井ちゃんの腕に抱かれながら
思った事は
幸せって何だろう?って事。
今、あたしは幸せなの?
幸せでしょ。
だって、好きな人がそばにいて、
好きな人が想ってくれて、
好きな人に抱かれてて。
これで幸せじゃないんなら、
幸せって、何。
少なくとも、今のあたしは幸せじゃない。
それは、あたしだけじゃなくて。
市井ちゃんも、やぐっつぁんも。
みんな、幸せじゃない。
誰も、幸せなんかじゃない。
でも、一個だけ。
あたし、不幸じゃないよ。
幸せって。
- 45 名前:とーしゅん 投稿日:2000年09月11日(月)22時34分21秒
- 終わりです。
やっと、終わりましたぁ〜〜〜〜〜(ばたっ)
これ、その時その時に突発で書いてるもんで、
どーも話しが行き詰まっちゃって。
文章も変なとこ、いーっぱい。
終われてよかったです、ホントに。
でも、何かちょっと中途半端かな?
皆さんの感想、お待ちしております。
一段落着いたら、また新作書きます。
次は、「よしのの」ですぞ〜・・・・
- 46 名前:ゴンザレス 投稿日:2000年09月12日(火)00時05分28秒
- 久しぶりの更新。
ありがたや、ありがたや。
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