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すべりだい
- 1 名前:うた 投稿日:2000年07月31日(月)11時20分44秒
- 「後藤…」
いちーちゃんがチョット上ずった声で私を呼ぶとき、私はいつもブルーになった。
そんなときは必ず、私がイヤがることを言うからだ。
「ナニ? いちーちゃん」
でも、私はそんな不安を顔には出さずに、いちーちゃんの声に答える。
別に恥ずかしかったり、不安だったりするわけじゃないんだけど、
いちーちゃんに触れてた・・・。でも、そんな仕草もあの瞬間、
なんの意味もなくなっちゃったんだ。
私の中で、全部が変わって全部がなくなった。
あれから夏は一度しかたってないけど、いちーちゃんは全て消しちゃった。
思い出も、気持ちも全部消しちゃった・・・。
- 2 名前:すべりだい2 投稿日:2000年07月31日(月)11時21分44秒
- いちーちゃん、あの時キスしてくれたよね?
分かってたよ。私のこと、想っててくれてたのは。
でも、全部変わっちゃうんだよ。壊れちゃうんだよ。
いちーちゃんにも分かってたはずだし、もちろん私もわかってた。
彩っぺのときで、慣れてたはずだったけど、やっぱりごっぴんお得意の
笑顔はできなかった。ごめんね。
あれから、ずっと考えてることがあるんだ。だれにも言ってないけど。
私がもっと、ちゃんとしてたら、いちーちゃんはあんな事考えなかった
んじゃないかって…。わかんないけど、なんか、そういう気がする。気がするんだ。
- 3 名前:すべりだい3 投稿日:2000年07月31日(月)11時23分22秒
- 今でも、思いっきり泣いて騒ぎたい時はあるよ。
でも、“後藤は市井がいないとダメなんだ。”って思われるのがイヤだから、
頭の中で思い出をすみにしまいこんで、いちーちゃんの顔が
思い出せなくなるのを待ってるんだ。
そんなことムリだって分かってるけど・・・。
分かってるけど、待ってるんだ。思い出が消えるのを。
FIN
- 4 名前:YUKI 投稿日:2000年07月31日(月)11時24分21秒
- 「夏なのに冬の格好しないといけないって、なんだかイメージ湧きません。」
カレンダー撮影の途中で梨華ちゃんが呟いた。
「うん。私もはじめての時には、結構悩んじゃったかな。」
「矢口さんは何かイメージを掴む秘訣でもあるんですか?」
「平凡かもしれないけど、冬の思い出を思い出すことかな〜。」
他人の秘訣を語ってるみたいだけど、実は私には冬に忘れられない
思い出がある。私はそれをきっと、忘れないと思う。
「うわっ さっむ〜〜〜」
ロケバスをでるなり、祐ちゃんの叫びに近い声が車の中の私達にも聞こえた。
99年もあとわずか、私達モーニング娘。のスケジュールは今まで体験したこと
がない程キツかった。
でも、そんな中でも何故かみんな元気だった。多分、彩っぺの脱退まで残りわずか
だったから、一瞬々々を大切にしてたんだと思う。私の場合は他にも理由があった
けど…。
- 5 名前:YUKI2 投稿日:2000年07月31日(月)11時24分55秒
- 「ホント、さみ〜な〜。」
ロケバスを出た私も叫んだ。真冬の夜の風は本当に寒かったし、声を出さないと
凍えそうだったからだ。
「矢口〜 そんな事言わないでよ〜 もっと寒く感じるじゃない。」
後から一緒にバスを出た紗耶香が、いつもの半ギレ口調で言ってきた。
そんな事言われると、私のイタヅラ心に火がつかない訳がない。
「サムイ サムイ サムイ サムイ〜サムイ〜サムイ〜サムイ〜サムイ〜〜」
疲れてヘトヘトなはずなのに、私は笑顔全開で叫んでた。
「ホント寒くなっちゃたよ〜 寒い寒い〜。」
白い息を吐きながら、紗耶香は体を小さくした。そんな紗耶香を前に私は
両手を広げて、145cmのカラダを大きく見せる。コレが私のしたかったこと。
コレが出来るから、私は笑顔でいられる。
- 6 名前:YUKI3 投稿日:2000年07月31日(月)11時25分32秒
- 紗耶香もそんな私のタクラミに気づいたみたいで、笑ってる。そして、
「マリ〜〜〜〜〜!!!」
って叫んで、私に近づいてくる。こんなときしか呼んでくれないけど、
私は紗耶香が言ってくれる“マリ”って呼び方が大好きだった。
「サヤカ〜〜〜〜〜!!!」
私も大きな声で叫ぶ。近づいた紗耶香の体は私の目の前をふさぐ。
そして、私の背中に腕が回る。私も紗耶香の体に短い腕をまわす。
どんなモノよりもあったかい瞬間。耳の先まで真っ赤になってる。
- 7 名前:YUKI4 投稿日:2000年07月31日(月)11時26分06秒
- 「矢口はやっぱり、あったかいな〜。家にもって帰りたいよ。」
「ナニ〜 矢口はポケットカイロじゃないよ〜。」
ホントは嬉しいくせに、私はそれを口に出さない。
私のほうが紗耶香を持って帰りたいなんて、気づいてないだろうけど。
「あっ!!! 雪だ・・・」
紗耶香のおどろきに満ちた声に私も反応して、空を見る。白い粒が大地を
覆っていく。さっきよりも寒いはずなのに、私は温もりで一杯だった。
- 8 名前:YUKI5 投稿日:2000年07月31日(月)11時26分50秒
- 「いちーちゃん。どーしたの〜!!」
向こうで後藤が紗耶香を呼ぶ声が聞こえた。それとともに、私を包む温もりが
弱くなっていく…。分かってたよ、紗耶香の温もりが私のためのモノじゃないって。
アイツのためだけの温もりになっていることも。ソレを私は借りてるだけ。
「矢口? どうしたの?」
離れようとする紗耶香の体を私は抱きしめつづけてた。
「離れないで。」
思わず口から出た言葉。
「矢口は 矢口はちっちゃいから、雪に…雪に埋まっちゃうから、離さないで。」
今離れると、ホントに埋まっちゃいそうだった。雪の中に自分が消えちゃいそうだった。
- 9 名前:YUKI6 投稿日:2000年07月31日(月)11時27分50秒
- 「矢口・・・」
小さく呟いた紗耶香はまた私を包んでくれた。さっきよりも強くて、さっきよりも
温かい温もりが私の体に伝わる。いつのまにか、雪はやんでいた。
「紗耶香・・・雪やんじゃったから、矢口も埋まらないから大丈夫だよ。」
急に恥ずかしくなって、私はテレ隠しに紗耶香から腕を離そうとする。
「だ〜め!! もし矢口が凍っちゃったら大変だから、もうチョット温めたげる。」
「チョットってどれくらい?」
「春までかな・・・」
「紗耶香・・・」
私はそれ以上何も喋らなかった。本当に春まで、抱き合ってたい気持ちだった。
いつのまにか季節は春を飛び越えて、夏。
もう、そこには私を温めてくれる紗耶香はいない。
ただ、今の私は冬が寒くならないように、祈ることしか出来ない。
もう雪が降っても、私を温めてくれるヒトはいない。
雪と共に私は埋まっていくしかないんだ。
FIN
- 10 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)12時20分13秒
- なんかすっげー悲しい。
- 11 名前:ある所の作者 投稿日:2000年07月31日(月)13時00分30秒
- やっぱさやまりはいいね〜。
うんうん。いいよ、すっごく。
はあ〜、自分もこんな文章上手くなりたい。
- 12 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)13時06分54秒
- ほんと、うまいっすねー。そして、ラブリー。
- 13 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)13時13分37秒
- 2回目読んだけど、やっぱりラブリー!!!
しつこいけど、ラブリーやなぁ。
- 14 名前:青のじゅもん 投稿日:2000年07月31日(月)14時00分57秒
- 「飯田さん、また雨ですよ。」
辻はそう言うと、窓の方をじっと見た。
「最近、夕立が多くなったもんね〜 すぐにやむよ。」
私は窓から目をそらす。別に、辻と話すことがイヤなんかじゃない。
雨を見ると、たまらないくらいに悲しくなるからだ。
そして、たまらないくらいに思い出してしまうからだ。
2000年に入って、私達のスケジュールは多忙を極めた。
特に、シャッフルユニットは時間がない中での準備をしなければならず、
正直言って、メンバーの中ではあまり歓迎されないイベントだった。
でも、私はこのユニットの話を知ったとき、嬉しくてたまらなかった。
もちろん、新しい私を出せる機会を得たこともあったが、それはおまけ
でしかなかった。
- 15 名前:青のじゅもん2 投稿日:2000年07月31日(月)14時01分36秒
- 「さ〜やか!!」
「あれ? かお? いつからいたの?」
チョット拍子抜けした明るい声で紗耶香は答える。メンバーの中で私を「かお」
と特別な呼び方で呼んでくれたのは、紗耶香だけだった。
「ど〜したの? なんか浮かない顔してるけど?」
「えっ!? なんかさあ、自分のキャラを上手く出せなくて・・・。」
そう呟くと、紗耶香の顔は暗くなった。いつも笑ってる紗耶香が私は
見たかったけど、私はそんな暗い紗耶香の顔にも惹かれていた。
- 16 名前:青のじゅもん3 投稿日:2000年07月31日(月)14時02分09秒
- 「圭織は今のままの紗耶香で良いと思うよ。カッコよくて、男前で。」
“私が好きな”という最後の言葉は言えなかった。
「・・・そうだよね。ありがとう!!! ナンカ吹っ切れたよ!!!」
紗耶香はそう言うと、明るい笑顔を私にくれた。でも、本当は別のことで
悩んでたんだよね・・・ 私には最後まで言ってくれなかったけど。
「でもさ〜 圭織この衣装はイヤかな〜。」
実際、私は青色が余り好きではなかった。全てを包み込むように思えて、
怖かった。
「でもさ〜 青って凄いチカラがあるんだって〜 知ってる?」
「紗耶香!! ナニそれ!! 圭織知らないよ。教えて教えて〜!!」
私は子供のように紗耶香の腕に手を回す。
ホントはこうしたいだけ、紗耶香の鼓動を感じていたいだけだった。
- 17 名前:青のじゅもん4 投稿日:2000年07月31日(月)14時02分42秒
- 「あのね、雨の日に青い傘をさして、好きな人の名前を念じると、思いが
叶うんだって。」
「圭織、明日から青い傘使う。」
「あ〜 さては好きな人がいるな〜 誰〜 教えてよ〜 」
「紗耶香!!」
紗耶香は私の言葉を聞くと笑った。私も一緒に笑った。でも、紗耶香、あれホント
だったんだよ。私は紗耶香を雨の中、青い傘で念じてたんだよ。
紗耶香の気持ちは知ってたし、相手も分かってた。
あの時、あんなに泣く姿を見たら、誰だって分かるよ。
でも、私は青い傘をさしてた。ずっと、ずっとさしてた・・・
- 18 名前:青のじゅもん5 投稿日:2000年07月31日(月)14時03分13秒
- 「キャア!!」
辻の叫びで私は我にかえる。そうやら、大きい雷が落ちたようだ。
もし、雷が紗耶香に落ちたら、紗耶香はアイツを忘れるのかな?
それとも、私に落ちて、紗耶香を忘れちゃった方が良いのかな?
紗耶香、紗耶香が教えてくれた、おまじない。ダメみたいだね。
こんなに、こんなに想ってるのに、紗耶香にはかからなかったんだよ。
今度はヒトを忘れさせてくれる、おまじないを教えてよ。
でないと、雨を見るたびに私は泣いちゃうから・・・
FIN
- 19 名前:まいのすけ 投稿日:2000年07月31日(月)14時25分09秒
- 市井・・・・・・
- 20 名前:ある所の作者 投稿日:2000年07月31日(月)14時39分33秒
- いいね〜、市井ちゃんモテモテ〜。
こーなったら、全員制覇だ!!
- 21 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)15時11分21秒
- 作者さん、なんかすごいっすね。
私もあるやつかいてるけど、なんかもうわけわかんなくなってるもん。
文才ある、作者さんがうらやましい・・。
そして、もてもてなさやかちゃんもうらやましい・・。
- 22 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)15時38分53秒
- 乙女心をつかんでるかただ。
- 23 名前:名無しさん 投稿日:2000年07月31日(月)19時41分10秒
- おしゃれさんな文章ですねー。
このせつなさにも惹かれますよ。
- 24 名前:サンジ 投稿日:2000年07月31日(月)23時13分52秒
- マジで俺も全員制覇のが見たいなー。
でも俺はあくまでいちごま、いちかおファンっす。
- 25 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月01日(火)02時48分54秒
- マジで面白いです。
メンバーそれぞれの視点で見た、紗耶香がいい。
是非、全員を制覇していただきたい。
なっちからみた紗耶香ってあまりないから見てみたいな。
- 26 名前:ウソツキ 投稿日:2000年08月01日(火)09時53分26秒
- 私の生活が“普通”になってから、もう2ヶ月が経つ。
でも、自分の中では遠い遠い夢の世界のように感じる、あの頃。
未だに私は寝る前にあの顔が思い出される。何よりも悲しいあの顔…
「離さない。」
確かに私はこう言って、優しくキスをした。
「一緒だよ。」
確かに私はこう言って、強く抱きしめた。
そうやって、私は後藤と長い夜を過ごしていた。
- 27 名前:ウソツキ2 投稿日:2000年08月01日(火)09時54分10秒
- でも、後藤は気づいてたんだと思う。私の思ってること、
私の悩んでること、そして、私のたった一つの秘密も後藤は知ってた。
「ウソだよね・・・」
私がホントの気持ちを打ち明けたとき、後藤は小さく呟いた。
私は聞こえてたのに、言葉を止めなかった。後藤の話を聞くのが、
恐かったんだと思う。泣いている後藤を慰めることも恐かった。
「全部ウソだよ。」
って言ってしまいそうだったから。いつものように夜を過ごして
しまいそうだったから。
- 28 名前:ウソツキ3 投稿日:2000年08月01日(火)09時54分46秒
- 隣りのベッドからずっと嗚咽が聞こえた。私はそれを無視した。
ずっと寝たフリをして、夜を過ごしていた。
「ウソツキ・・・」
なんとか聞き取れる言葉が部屋に響く。
私はそれでも慰めることをしなかった。私は最後までウソをついた…。
- 29 名前:ウソツキ4 投稿日:2000年08月01日(火)09時55分26秒
- もう戻れないし、例え戻れたとしても、私は同じことをするだろう。
そして、同じようにウソをついて、後藤を傷つけるんだと思う。
それが自分を傷つけてることに気づかずに、それが一番大切なもの
を失うことと気づかず同じように私はウソツキになるんだろう。
FIN
- 30 名前:君の声で君のすべてで・・・ 投稿日:2000年08月01日(火)09時56分40秒
- 「ゴメン 寝てた?」
「イヤ、寝てない寝てない。」
夜中の突然の電話。相手はもちろん分かってた。ウソ丸だしの言葉でも、
後藤は安心してくれる。それで私も幸せだった。
「どう? いちーちゃん?」
「まあまあかな… 後藤は?」
「ちゃんと頑張ってるよ…うん・・・」
長い沈黙・・・痛いくらいに響く・・・
- 31 名前:君の声で君のすべてで・・・2 投稿日:2000年08月01日(火)09時57分41秒
- ふいに受話器からもれてくる、かすかな音楽。
「新曲、イイカンジだね・・・。」
「そう!! いちーちゃんいなくてもちゃんとやってるでしょ?」
「♪ダイスキ〜 青春は1・2・3 青春のド・レ・ミ 青春のイ・ロ・ハ教えてよ♪」
「ハハハハハッ 凄いよ! いちーちゃん。」
急に距離がちぢんだ気がした。気がしただけでもよかった。
「吉澤はちゃんとやってる?」
「・・・よっすぃ〜は頑張ってるよ。歌もダンスも一生懸命やってる・・・。」
「吉澤も大変だろうけど、まだまだ頑張らないとね。」
「・・・そうだね。よっすぃ〜も言ってたよ。“頑張る”って・・・。」
- 32 名前:君の声で君のすべてで・・・3 投稿日:2000年08月01日(火)09時58分21秒
- 「吉澤は責任感強かったから、頑・・・」
「なんで! よっすぃ〜のことばっかり聞くの!!!! 私が電話してるのに!!!!」
私の言葉をさえぎったのは苦しいほどの叫び。堰を切ったように流れ出る。
「後藤・・・」
「もっと、私のこと聞いてよ!!! 私のことで何か言ってよ!! いちーちゃん!!」
「ねえ、いちーちゃんは不安じゃないの? いちーちゃんは辛くないの!!!」
痛いくらいに突き刺さる言葉。私は何も言えなかった。
「私、凄く不安だよ!!! 毎日々々辛いよ!!! いちーちゃんのこと、いつも考えてるよ!!」
「私だって後藤のこと考えてるよ。でも、どうしようもないじゃん!!!」
- 33 名前:君の声で君のすべてで・・・4 投稿日:2000年08月01日(火)09時59分31秒
- 「やっぱりムリなんだよ。後藤… ムリなんだよ・・・」
「いちーちゃん イヤだよ。そんなこと言わないでよ。いちーちゃん。」
こうなることは初めから分かってたのかもしれない。
いや、私達も分かっていたのだ。ただ、目を背けてただけなんだ。
「後藤・・・私はどうすればいい? ねえ後藤?答えて。」
答えのない問。何も解決しないけど、後藤の本心が聞きたかった・・・
「そばにいて…いちーちゃんそばにいて、“ギュ”ってしてよ。」
「後藤・・・・。」
- 34 名前:君の声で君のすべてで・・・5 投稿日:2000年08月01日(火)10時00分43秒
- 「後藤は・・・・後藤は変わっちゃうよ。イヤでも変わっちゃうよ。」
「・・・・」
「お願い、“変わるな”って言って、“ギュ”ってしてよ………。」
深い深い沈黙の中へと私達は落ちてゆく。
私は大きく息を吸った。そして、今から言おうとしている
言葉を頭の中で繰り返す。
“これでいいんだ。 これでいいんだ。”
そう何度も言い聞かせながら・・・。
FIN
- 35 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月01日(火)12時31分46秒
- 心が痛みます、切なすぎです。
- 36 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月01日(火)13時48分47秒
- もう帰らぬ日々は夢の中へ
今日もまた一人 部屋に明かりを点けた
眠れぬ夜 君を想う 街は動き出す
一人になるのが怖かったんだ
また誰か求め そして夜は来る
恋したって キスしたって 君を探してた
僕はウソツキだよ 離さないって抱きしめたのに
僕はウソツキだよ 君だけだって囁いたのに
ねえ 君はいつから気づいていたの?
ずっと言えずにいた 一つだけの秘密
眠るフリをしてる僕をじっと見つめてた
音もなく 君はそのドア開けて ゆっくりと閉めた
やがて 朝になった
ウソツキって小さな声 聞こえないフリした
君は僕のことわかっていたんだ ずっと前から
君が去ってから 失ったモノの大きさに気づいても
もうあの頃の二人に戻れない
恋したって キスしたって 君を探してた
僕はウソツキだよ 離さないって抱きしめたのに
僕はウソツキだよ 君だけだって囁いたのに
- 37 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月01日(火)13時50分36秒
- 初めて君に会った日の景色 今もまだ胸の中に焼き付いている
どれくらい時が経てば 君のこと忘れるだろう
一緒に見た夕暮れも 僕には最高の演出だったけど
あの日 僕の声は小さすぎて 始まりに届かない
そういえば 気づかずにいたんだ
初めて人を好きなったと
少し 遅いけど
風が通り過ぎた日々は もう懐かしい思い出だけど
君を忘れる そのことが 僕にはつらすぎたんだ
君と行きたかった場所も 引出しの中に閉まっておこう
いつか笑い話になったとしても 僕は君が好きです
今も君が好きです
- 38 名前:次はこの歌 どうです? 投稿日:2000年08月01日(火)13時52分10秒
- 半年振りに会うあなたに どんな顔すればいいの
僕とは違う世界に住んでいる 不思議なやつだった
忘れてたころに電話が鳴る だけど久しぶりの気がしないのは
きっとそれはどっかで同じ匂いがするからだ
ワガママで意地っ張りで金遣いが荒くて
でもとっても素直で弱くて 心のどっかで引っ掛かる
ああ 胸が痛くなる
ああ どれだけ時間が流れても
僕らまたここで会えるさ
例えるものがあるならば それはねこじゃらしのように
掴めそうになると スルスル手の中から 飛び出していく
約束の時間に平気で遅れてくるのに
顔を見たとたん 許してしまうのはなぜだろう
いいかげんでズル賢くて常識知らずで
でも寂しがり屋のあなたが 記憶の片隅で笑ってる
ああ 胸が痛くなる
ああどれだけ時間が流れても
僕らここで会えるさ
まだ心は掴めないまま
きっとずっとこのままなんだろう それが二人のカタチなんだよ
きっとまたここで会えるさ
僕らまたここで会えるよ
- 39 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月01日(火)23時00分47秒
- 悲しすぎる・・・
- 40 名前:ノーサイド 投稿日:2000年08月02日(水)09時48分57秒
- 「じゃあ、もう一仕事頑張るかっ!!」
そう言って、ステージへと走っていった紗耶香。
袖から最後に見た横顔はビックリするくらい綺麗だった。
最後に深いオジギをしながら、目をつむって深く息を吐いた時、
紗耶香は何を考えてたの? もう感じることのない、時間を感じてたの?
最後まで分からなかった自分が、堪らなくイヤだった。
- 41 名前:ノーサイド2 投稿日:2000年08月02日(水)09時50分38秒
- 紗耶香はこれで、何を得たの? 失ったものしかないじゃない。
私の横で後藤はうつむいてたよ、一度も紗耶香を見なかったよ。
それでも紗耶香は行ってしまうんだね。最後までホンネを言わずに・・・
最後の言葉、凄くカッコよかったよ。どんな歓声よりも私には大きく聞こえた。
でも、そんなに急いで欲しくなかった。もっと、ゆっくり走って欲しかった。
私には紗耶香の背中しか見えない。どんな顔して走ってるのかも分からない。
そして、休むときも私はそばにはいられないんだよね、もう二度と。
- 42 名前:ノーサイド3 投稿日:2000年08月02日(水)09時51分25秒
- みんなはスグに紗耶香のことなんか、忘れちゃうよ。
相変わらずの毒舌だけど、ホントだよ。
なのに、そんな顔がどうしてできるの? どうして笑えるの?
きっと、聞いても教えてくれないんだろうけど・・・
場内が揺れる。 私は小さく息を吐く。
紗耶香、私は同じモノを感じているのかな?
目をつむっても、暗闇しかないよ。
- 43 名前:ノーサイド4 投稿日:2000年08月02日(水)09時52分10秒
- 目をあけると同時に私は光の集まる場所へ走り出す。
紗耶香はテレた表情で私達のほうを見る。
最後まで答えてはくれないんだね。私の疑問に・・・
手に持った花束の優しい匂いが一瞬、私の周りを包んだ。
もう一度、私は目をつむる。
紗耶香、やっぱり暗闇しか私には見えないよ・・・。
FIN
- 44 名前:黄金の月 投稿日:2000年08月02日(水)09時53分15秒
- 「いちーちゃん! スゴイお月さまがキレーだよ。」
子供みたいにはしゃぐ後藤を見るたびに、私の胸は痛む。
昔だったら、ウソなんてスグにバレたのに…
いつのまにか私のウソは上手くなってた。
「ホント キレーだな〜。」
沈黙を嫌っただけの、心のない言葉。
タイミングを考えているだけの時間。
- 45 名前:黄金の月2 投稿日:2000年08月02日(水)09時54分10秒
- 「あのさ、後藤・・・」
「なに? いちーちゃん?」
振り返った後藤の目を私はじっと見る。
私は一つ大きな息をした。
「なに〜 いちー・・・・」
言葉をさえぎるためだけのキス・・・
いつも私の最後の言葉は、伝わることなく、
胸の中にしまわれる。
- 46 名前:黄金の月3 投稿日:2000年08月02日(水)09時55分05秒
- 「ずっと、一緒だよね? いちーちゃん。」
全てをお見通しのような後藤の言葉。
私はもう一度、言葉を消すキスをする。
まるで、誓いを立てるかのようにやさしく・・・
「約束だよ…いちーちゃん・・・」
私はもう一度、大きく息をする。
でも、伝えないといけない言葉は出てこない。
- 47 名前:黄金の月4 投稿日:2000年08月02日(水)09時56分05秒
- 「いちーちゃん?」
言葉のない空間が、新たな不安を生む。
いつになったら、伝える言葉は私の口からでるのだろう?
また言葉は胸にしまわれた。
私は後藤の髪を優しくなでる
そして、顔を近づける。
答えのない沈黙がまたうまれる。
- 48 名前:黄金の月5 投稿日:2000年08月02日(水)09時58分46秒
- 幾つの夜を過ごせば、私は正直になれるのだろう?
冷たい空気は胸をしめつける。
それでも、言葉は出ない。
繰り返されるキスは、不思議なほど悲しかった。
FIN
- 49 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月02日(水)12時37分16秒
- おもしろい・・・
けど、悲しいなぁ・・・
- 50 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月02日(水)14時48分02秒
- このへんで、すこしだけでもいいから、甘いやついっときませんか?
- 51 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月03日(木)15時11分26秒
- >36〜38
上の2つってサムエルですよね?サムエルふあんですか?
一番下はわかんないけど
- 52 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月03日(木)16時00分18秒
- 一番したは、ゆず。だとおもいますよ。アルバムのなかの歌。
- 53 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月03日(木)21時23分47秒
- 一番下のはスガシカオだろ?
黄金の月といえばシカオしかないだろ。
- 54 名前:黄色い狛犬 投稿日:2000年08月03日(木)21時28分02秒
- ♪僕の情熱は、今や〜
♪キミが流した、涙より、冷たくなってしまった〜
(だったっけ? うろ覚え)
- 55 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月04日(金)00時03分21秒
- ごめんごめん。確認しないでかいてしまった。
ゆずのやつは、ねこじゃらしのほう。
- 56 名前:振り向かない 投稿日:2000年08月04日(金)00時16分35秒
- 最近歌番組を見ようとテレビを付けると、よくアイツの顔を見かける。
笑ったり、つまらなさそうにしたり、クールな顔をしていたり。
テレビの中ではあたしの知らないゴトウの表情が映し出されてる。
知らない表情だって感じるのはきっと、アイツの笑顔やすべての表情が、
あたしに向けられていない事を知ったからだろう。
数少ないけれど、あたしと一緒に過ごした時のアイツの顔は、
今でもまぶたに焼き付いて離れないというのに・・・。
- 57 名前:振り向かない 投稿日:2000年08月04日(金)00時17分54秒
- 私達の別れは唐突に訪れた。
あの日は・・・そう、今日みたいに少し雨が降っていた。
- 58 名前:振り向かない 投稿日:2000年08月04日(金)00時20分08秒
- いつか、アイツの心が他の人に移ってしまうことくらい。
いつか、アイツが別れの言葉を切り出すことくらい。
解ってた。解ってたつもりだった。
だけど何故今更あたしの胸を焦がすのだろう。
- 59 名前:The forth avenue Café 投稿日:2000年08月04日(金)10時26分03秒
- 「ホンマ、今年は暑いなあ〜 海にでも行きたいわ〜」
車の中で祐ちゃんが呟く。
その言葉で、私はあの海を思い出す。
季節は夏になったが、過ぎ去っていった冬の海を。
2000年になって、最初の大仕事は映画「ピンチランナー」
の撮影だった。時間のない中での慣れない演技に不安はあったが、
素直に私は楽しんでいた。そう、素直に…
- 60 名前:The forth avenue Café2 投稿日:2000年08月04日(金)10時27分10秒
- 「冬の海って悲しいよね〜 紗耶香。」
「そうだね、かお。」
撮影の合間、私は紗耶香と一緒に海岸にいた。
なぜ、二人だったのかは、今では分からない。
でも、確かに隣には紗耶香がいた。
「演技って難しいね〜。」
「ホント、でも圭織は紗耶香の演技、上手だと思うよ。」
「またまた〜 お世辞なんか言って〜。」
「ホントだってば!! 監督さんも言ってたよ。“市井君は映画向きの人間だ”って。」
監督のマネをすると、紗耶香は本当に気持ちのいいくらい笑ってくれた。
私が一番好きだった顔を見せてくれた。
- 61 名前:The forth avenue Café3 投稿日:2000年08月04日(金)10時28分07秒
- 海の風はいたづらに私達の髪の毛で遊ぶ。
乱れた私の髪に、優しく紗耶香の手が触れる。
「上手だね、紗耶香。」
思わずでた言葉と共に、私は体を紗耶香に傾けた。
「今の圭織と紗耶香、カップルみたいかな?」
他愛もない質問、他愛もない瞬間。
「カップルだったら、ここまでしないとな〜。」
肩に力強い感触が伝わる。優しくて温かい一瞬が私を覆う。
- 62 名前:The forth avenue Café4 投稿日:2000年08月04日(金)10時29分17秒
- 「ねえ、紗耶・・・・・」
それ以上は言わなかった。言えなかった。
紗耶香のあの視線を私には邪魔できないよ。
その視線の先に誰がいるのも分かってた。
だけど、確かめられなかった。事実を知るのが恐かった。
知らなかったわけじゃない。気づいてた・・・
だけど、それでも私は良かったんだ。
そんな紗耶香の顔でも、私は大好きだったから。
- 63 名前:The forth avenue Café5 投稿日:2000年08月04日(金)10時30分12秒
- 冷たい風に吹かれながら、私はそっと目を閉じる。
そこでの紗耶香は優しく、私をみつめてくれたよ。
そして、微笑んで唇を重ねれくれた…。
「飯田さん、着きましたよ。」
辻が私に呼びかける。いつのまにか、冷たい風は消えていた。
そして、私の心も風と一緒に運ばれてしまったようだ。
車から降りると、体を日の光がさす。
- 64 名前:The forth avenue Café5 投稿日:2000年08月04日(金)10時31分10秒
- 空は抜けるように青く、まるで冬などなかったように青い。
だけど、冬はまた訪れる。でも、風は戻っても心は戻らない。
それでも私は時を刻みつづける。
胸からこぼれ出たため息は、あの日の風のように冷たいのに・・・
FIN
- 65 名前:sure 投稿日:2000年08月04日(金)10時31分58秒
- 「矢口さん、電気消しましょうか?」
ツアーが始まると、ホテルでの生活が始まる。
ベッドにたたずむ私によっすぃ〜が聞いてきた。
「へぇ!?」
一瞬、私は答えに詰まる。初めて言われた言葉だから。
今まででは考えられなかった事。
でも、今は自然なこと・・・。
- 66 名前:sure2 投稿日:2000年08月04日(金)10時32分29秒
- 「ねえ、矢口? そっちいっていい?」
追加メンバーとして加入した、私・圭ちゃん・紗耶香は後藤が
入ってくるまでの間、ホテルの部屋でよく同室になった。
そして、紗耶香と一緒のときは必ず、この声が寝る前に私の耳に聞こえた。
「え〜またなの〜〜。」
私は寝返って紗耶香に背を向ける。いかにもイヤそうな声で。
本当は嬉しい顔を紗耶香に見られるのが恥ずかしかったから。
「仕方ないな〜。」
私のお決まりの台詞とともに、ベッドにかわいく紗耶香は転がりこむ。
- 67 名前:sure3 投稿日:2000年08月04日(金)10時33分00秒
- 「矢口〜〜〜〜〜。」
体を近づけて、耳元で小さく囁く。そして、体が紗耶香に包まれる。
大好きな声・香り・体温。恐いくらいに私は幸せの中にいた。
「電気消さないでね・・・・。」
「それじゃあ、矢口が寝れないよ〜。」
少しでも感じたい。寝たくなかったのに、私はイジワルを繰り返す。
- 68 名前:sure4 投稿日:2000年08月04日(金)10時33分38秒
- いつも、紗耶香は肩に顔をのせていろんなことを話してくれた。
振り返りはしなかったけど、紗耶香の顔は輝いてた気がする。
私はそれを聞きたかっただけなのに、あの時がきちゃったんだよ。
いつもの繰り返しのはずだった。私にはそのはずだった。
「今まで、ワガママに付き合ってくれて、ゴメンネ。ありがとう。」
そう言って、私の体に回した手には、いつもの紗耶香がいなかった。
お姉さんだと思ってた私より、紗耶香はもうツヨクなっているんだね。
- 69 名前:sure5 投稿日:2000年08月04日(金)10時34分28秒
- そんなに嬉しそうに夢を話さないでよ。何も言えないじゃん、
大好きなその顔、曇らせるなんて私にはできない。
「矢口? 寝ちゃった? ねえ?」
うん、矢口のキモチは寝ちゃったんだよ。
そして、二度と起きることはないんだ。
ねえ、どうして部屋を出るの?
紗耶香は一体どこで寝るの。一人で寝れないのに・・・
「もしもし ×××? うん、今から行くよ。」
ドアを閉める音、かすかに聞こえる。
途切れた空間、途切れた心、何も残らない。
- 70 名前:sure6 投稿日:2000年08月04日(金)10時35分08秒
- 「よっすぃ〜 ゴメン。電気は消さなくていいよ。」
あれ以来、私は暗闇で寝ることができない。
ベッドに横たわると、小さな光をじっと見つめる。
私を癒す、声も温もりも、そして香りさえも今はない。
想いは変わらないのに、記憶はいつか、あやふやになっていく。
この光だけが、昔の出来事を照らしてくれるんだ・・・
FIN
- 71 名前:フィアンセになりたい 投稿日:2000年08月04日(金)10時36分21秒
- 「でさ〜 よっすぃ〜ってば、突然、逆立ちしたんだよ〜。」
「へえ〜 それはすごいな〜」
過去形だけの会話が虚しいくらいに飾られる。
まるで、二人の時間も過去にしかないみたいに・・・
「そしたら、圭ちゃんが怒っちゃって大変だったんだよ・・・」
「うん・・・そうなんだ・・・・」
取り繕うような相槌。
いつから、こんな事になったんだろう?
- 72 名前:フィアンセになりたい2 投稿日:2000年08月04日(金)10時36分51秒
- 「でさ〜・・・」
「後藤 私達、戻ったほうがいいよ・・」
「え!?」
「昔に戻ったほうがいいんだよ、キスする前の関係に・・・」
「もう私は、後藤だけを見てられないんだ・・・」
もっと、ワガママになれたはず。
“そばにいて”
言えたはずなのに、出てこない。
- 73 名前:フィアンセになりたい3 投稿日:2000年08月04日(金)10時37分35秒
- 「ただのメンバーに戻るの・・・私といちーちゃん」
小さい呟き。静かに流れる。
「戻れるわけないじゃん!!! こんなに好きなのに!! あれだけキスしたのに!!!!」
見つからない答え。嗚咽だけの空間。
手を伸ばせば、髪を撫でられたのに。
目を見つめれば、キスできたのに。
臆病な私はただ、時間が過ぎるのを待った。
- 74 名前:フィアンセになりたい4 投稿日:2000年08月04日(金)10時38分10秒
- 「戻らないとダメなんだよ。もう・・・」
慰めの言葉ではない。自分自身に言い聞かせる言葉。
「どうしても・・・ダメなの? 会わなくなってもいいの?」
ただ、頷いた。声に出すのは恐かったから。
「私はバカだから・・・すぐには戻れないけど、頑張るよ。」
最後まで泣いていて欲しかった。それなら、ワルモノになれたのに。
悲しいほどの笑顔に吸い込まれていく。
- 75 名前:フィアンセになりたい5 投稿日:2000年08月04日(金)10時38分56秒
- 何よりも強く抱きしめてしまった。
「どうして、こんなことするの? “昔に戻ろう”って言ったのに・・・」
「戻ったんだよ。もう昔なんだよ。」
そう、キスする前の関係。だから、初めてのキスをする。
「変わんないよ。いちーちゃん。これじゃあ、変わんな・・・」
それぐらい、私だって分かってた。
だから、言わなくていいよ、口を塞ぐ。
「いちーちゃん ス・・・」
もう喋らなくていいよ。私もそう思ってるから。
その証明だよ。
- 76 名前:フィアンセになりたい6 投稿日:2000年08月04日(金)10時39分26秒
- 答えなんて要らない。ただ、繰り返す。
見つからないからキスをするんだ。
このままで良い訳じゃない。
気持ちを確かめ合ってるはずなのに、ココロには傷しか増えないけど。
FIN
- 77 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月04日(金)11時47分21秒
- 誰なんだ!これを書いてるあなたはなにものなんだー。
もう、ホントに悲しい気分を毎回毎回・・
でも、すごい好きなんですよね・・作者さんの、この雰囲気・・。
- 78 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月04日(金)15時27分46秒
- 後藤以外のメンバー対市井での話が好きっす。
な〜んか市井への思いがあふれてて!
- 79 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月05日(土)07時57分58秒
- フィアンセになりたい…及川ミッチー先輩の名曲じゃないっすか!
良いッス!ありがとう!
- 80 名前:明日春がきたら 投稿日:2000年08月07日(月)14時49分42秒
- 「ののちゃ〜ん!!!」
「キャハハ やめてよ〜 あいぼ〜ん!!」
はじけるくらいの笑い声が楽屋に響く。
私は微笑みながら見つめる。
「イヤ〜 若いっていいな〜〜。」
横で祐ちゃんも笑いながら呟く。
私にも確かにあった時間。
だけど、それはもう戻らない。
- 81 名前:明日春がきたら2 投稿日:2000年08月07日(月)14時50分13秒
- 「なっち〜」
語尾を延ばす不思議なイントネーション。
「そのイントネーション、やめてよ〜。」
私は睨みつけながらも、笑い顔で紗耶香に言っていた。
でも、そんなことはどうでも良かった。
よんでくれさえすれば、名前なんて・・・
いつのまにか、私の部屋をノックしなくなったよね。
それに慣れていく自分がキライだったけど、
その理由に気づいていながら、気づかないするフリする、
自分の方がもっとキライだった。
- 82 名前:明日春がきたら3 投稿日:2000年08月07日(月)14時50分46秒
- 「いちーちゃん!!」
新しい紗耶香の呼び方を楽屋で聞くようになってから、
私を呼ぶ不思議なイントネーションは消えていった。
そして、その呼び方は記憶の彼方へ飛んでいった。
名前を呼んだら振り向いてくれたのかな。
ドアをノックしたら開けてくれたのかな。
そんな思いしか浮かばない。
なにをしても手遅れの今になって・・・
- 83 名前:明日春がきたら4 投稿日:2000年08月07日(月)14時51分20秒
- 「ありがとね。」
最後の言葉には何故か涙が出てこなかった。
“絶対、もどってくるから”
子供みたいにその言葉を信じちゃいけなかったのかな?
もう今の紗耶香とは二度と会えないのに。
「アハハハハ・・・」
楽屋には変わらずに笑い声があり続ける。
あの娘達にとって、今の時間は何でもない時間。
だけど、いつか思うんだ。大切な時間だということ。
- 84 名前:明日春がきたら5 投稿日:2000年08月07日(月)14時51分51秒
- 戻れない時間は私を優しく撫でてくれる。
振り向いた私がみた、“なっち”はとても幼く、弱く見える。
だけどその笑顔は何よりも明るい。
そして、今の私にはきっと出来ない笑顔で
オトナの私を見ている。
FIN
- 85 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月07日(月)15時24分35秒
- とことん、せつない感じでせめてくるんですね・・
- 86 名前:サンジ 投稿日:2000年08月07日(月)17時10分51秒
- いちなちもいいなぁ・・・。
- 87 名前:ダイスキ!! 投稿日:2000年08月08日(火)10時03分58秒
- 「ウフフフフフ…。」
黙ってるつもりなのに、思わず声が出てしまう。
いつもは見られない顔をみるのだから、嬉しくないわけがない。
“カワイイなあ”
いつも、いちーちゃんが言うセリフが思わず頭に浮かんだ。
早起きは、3文以上の得があるんだなあ。
こんなにカワイイ寝顔を見れるんだったら、いつでも早起きするよ。
思わず、指でほっぺを“ぷにぷに”する。
マシュマロみたいに柔らかい。
きっと食べたらおいしいに違いない。
- 88 名前:ダイスキ!!2 投稿日:2000年08月08日(火)10時04分35秒
- まだまだ、私のいちーちゃん実験は続く。
今度は鼻をツンとつついてみる。
「うぅぅぅ・・・・ん。」
思わず、ふとんをかぶる。しかし、まだ起きたようではないみたい。
「ビックリさせるなよなあ・・・いちー・・・・・ちゃん」
“ピンッ”
いつものお返しとばかりに、デコピンをおみまいする。
フフフフフ……
いつも、私を泣かせたり、怒らせたり、
そして・・・え・・・えっちな気持ちにさせる唇を見つめる。
“ぷるんぷるん”
グミみたいだ・・・食べちゃおう。
- 89 名前:ダイスキ!!3 投稿日:2000年08月08日(火)10時05分08秒
- ゆっくりと私はいちーちゃんグミに口を近づける。
“ふるん”
かすかに私の唇といちーちゃんぐみが触れる。
「うぅぅううん・…」
ヤバイ!! 起きちゃうかな?
こんなに近くだとすぐに動くと起こしてしまいそうなので、
私はうごきをストップさせる…
「・・・だ・だめだって・・・かお・・・」
- 90 名前:ダイスキ!!4 投稿日:2000年08月08日(火)10時05分48秒
- ムムッ! なんですかい、今の寝言は・・・
かお・・・。圭織!! いちーちゃんもしかして・・・
「ねぇ 紗耶香〜 紗耶香ってば〜」
私はいちーちゃんの耳元で圭織の声をマネしてみる。
「・・・うぅうん・・かおってば欲張りなんだから…」
・・・・まさか、まさか・・・・
「・・もうねないと・・・・かおってば・・えっちなんだから・・・」
いちーちゃんのウソツキ!! バカバカバカいちーちゃんのバカ。
私はふとんを深くかぶった。気がつくと、寝てしまっていた…。
- 91 名前:ダイスキ!!5 投稿日:2000年08月08日(火)10時06分27秒
- 「後藤!! 後藤ってば!!!」
もう一度、目覚めたとき、私はいつものお寝坊に戻っていた。
「まったく〜 相変わらずだな〜。」
“ぷぅく〜”
私は頬を膨らませて、いちーちゃんと顔を合わせない。
あんなこと言っといて、私にお説教するなんて10年早いよ。
「なんだよ〜。へんじしろよ〜。」
クレヨンしんちゃんになっても知らないんだから。
今日のごっぴんはシリアスモードなんです!!
- 92 名前:ダイスキ!!6 投稿日:2000年08月08日(火)10時07分00秒
- 「後藤ってばさ〜〜」
うしろから私を“むぎゅう〜”と抱きしめるいちーちゃん。
いつもなら、これで私は“ふにぃ〜”となるけどそうはいかないよ。
知ってるんだから、圭織といちーちゃんのアヤシイ関係…
「ホンキにしちゃった?」
「え!?」
「後藤があんまり、カワイイからさ〜思わずイタヅラしちゃったんだよね〜。」
いちーちゃん、何言ってるの? もしかして、もしかして・・・・
- 93 名前:ダイスキ!!7 投稿日:2000年08月08日(火)10時07分33秒
- 「後藤だっていけないんだぞ〜 人のほっぺをオモチャみたいに・・・」
“かぁ〜〜”
自分の顔が赤くなっていくのが分かるくらいに恥ずかしかった。
いちーちゃん起きてたんだ・・・
「ごめんよ〜 後藤!! チョット、からかってやろうと思ったんだ。」
耳元でいちーちゃんが囁いてくれる。
「イジワル!!」
恥ずかしさを隠すために、私は顔をふせる。
- 94 名前:ダイスキ!!8 投稿日:2000年08月08日(火)10時08分16秒
- 「後藤ってば〜」
“ごろん ごろん”
「キャッ!!」
いちーちゃんが私を抱きしめたままベッドに倒れる。
「も〜 いちーちゃんってば〜。」
「なに?」
いちーちゃんはズルイ。いつのまにかおでこ同士をくっつけて、
私をずっと見つめる。
こんなんじゃ、私は何も言えない。
- 95 名前:ダイスキ!!9 投稿日:2000年08月08日(火)10時08分46秒
- 「ゆるしてよ。」
“ちゅう”
お決まりの仲直りのキス。これで許しちゃう私もダメ
なんだけど、“ふに〜”っとなってしまう。
「ちょっと、遊ぼうか?」
「・・・うん。」
いちーちゃんの手が私の体に触れる
いちーちゃん疑ってゴメンね。
- 96 名前:ダイスキ!!10 投稿日:2000年08月08日(火)10時09分28秒
- ♪プルッ プルッ プルプルプル!!♪
こんな時にケータイが鳴るなんて…
私はケータイを手に取る。
「それ、私の!!!」
「い〜じゃん、いちーちゃん。私が出ちゃっても〜。」
どうも、いちーちゃんが慌ててる気がする…
「もしもし」
「もしもし、紗耶香〜 圭織だけど〜 今日も良いかな?」
「えっ!?」
「昨日も楽しかったんだけど〜 今日もチョット暇があるから、
昨日みたいに楽しもうよ・・・」
ブチッ!!
- 97 名前:ダイスキ!!11 投稿日:2000年08月08日(火)10時10分00秒
- 「あの〜 後藤さん?」
「いちーちゃん、…ちょっと、お話しましょうか・・・」
「いやあねえ、これには事情があってねえ。」
その後、いちーちゃんが私の本気の力を知ったのは言うまでもない。
FIN
- 98 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月08日(火)12時53分54秒
- LOVE!
- 99 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月08日(火)13時41分17秒
- んん、甘いなりなり!!
- 100 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月08日(火)16時19分25秒
- 作者さんて、BGM聞きながら文かいてるんですか?
- 101 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月08日(火)21時18分11秒
- BGM聞いている訳ではないんですよ。
歌を聞いて、イメージをパクッてるんです。
今回は甘くなってしまった・・・反省。
- 102 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月08日(火)23時12分34秒
- 甘くておおいにけっこうです。
- 103 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月09日(水)01時33分22秒
- 反省しないでください・・ラブリーものもたまには・・
- 104 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月09日(水)22時58分24秒
- すべりだいシリーズ全部好きです。読むごとに入り込みます。
- 105 名前:Time after time 投稿日:2000年08月10日(木)10時19分37秒
- 「すいません、後藤さん。キョロキョロされると、困るんですけど…。」
申し訳なさそうにADさんが私に言う。本当は私が悪いのに・・・
「ごめんなさい・・・。」
最近になって、よく注意される。何故だろう?
思い当たる事は、ただ一つしかないのに私はその理由を知ろうとしない。
「あのさあ、後藤。」
「なに? いちーちゃん・・・」
はじめの頃はよく注意されたっけ。
「確かに、キョロキョロするなとは言ったけど、私をじ〜と見ないでよ〜」
- 106 名前:Time after time2 投稿日:2000年08月10日(木)10時20分44秒
- 「え〜 だって、市井ちゃんがじっとしろって言うから、そうしてるだけじゃん。」
「そりゃあ、そうだけど・・・・」
「じっとしてるからいいでしょ。いちーちゃんを見てても・・・」
「・・・う・・・うん・・・」
納得しない顔してたけど、私は全開の笑顔でいちーちゃんを見つめてた。
いちーちゃんが夢を探しに行った時、
私はそばにいなくても大丈夫なんだよね。
でも、同じ時間の中にいちーちゃんがいないのは、とっても辛いよ。
- 107 名前:Time after time3 投稿日:2000年08月10日(木)10時21分23秒
- 「私は変わらないよ。」
いちーちゃんはそう約束してくれた。何の根拠もない約束。
「絶対だよ!!」
それしか言えなかった私。それだけで良かったはずなのに。
「それではもう一回よろしくお願いしま〜す!!」
3秒前 2・1・・・・
でも、いちーちゃん。私、わかんないよ。
私は何を見ていればいいの?
もうじっと見るものなんてココにはないよ。
私はいちーちゃんしか見ていなかったんだから・・・
FIN
- 108 名前:T 投稿日:2000年08月11日(金)14時18分25秒
- 作者さん、スーパーカーのファーストアルバムきーたことありますか?
めちゃいいんですよ。ぜひ、聞いてみて下さい。
- 109 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月11日(金)14時21分54秒
- ハピサマのカップリングの「通学列車」で
書いて下さい。
って言ったら困りますか〜?
- 110 名前:愛の病 投稿日:2000年08月11日(金)17時07分01秒
- 「ギターが重くて、上手く踊れないんです・・。」
辻ちゃんが今にも泣きそうな顔で呟く。
「う〜ん・・ この部分では、こうやって足でリズムを取って…」
元々は私のパート。少しだけど、ダンスのコツを教える。
「重いし、肩は痛いし、大変だよ〜」
半年前、私もそんなグチを言っていた。
「でもさあ、せっかくのフロントなんだから頑張ってこーよ。」
同じくらい疲れてたはずなのに、紗耶香は笑ってた。
今思えば、あれがあるから私は頑張っていたのかもしれない。
- 111 名前:愛の病2 投稿日:2000年08月11日(金)17時07分41秒
- 「まあ、矢口はちっちゃいからな〜 どっちがギターか、わからないくらいだし。」
「チョット!! なにそれ〜 失礼ね〜」
そう言うと、紗耶香は席をたち、私に近づく。
「紗耶香ナニ〜 って、チョッ…」
私を両腕でしっかりと抱いて、持ち上げる紗耶香。
「このギターはチョット重いけど、良い音でそうだどな〜」
「キャハハハハハッ!!」
爆笑してた私だけど、心の中はドキドキで一杯だった。
- 112 名前:愛の病3 投稿日:2000年08月11日(金)17時08分17秒
- 紗耶香に抱きしめられるだけで高鳴る胸・・・
その時、気付いた事、私は本当に紗耶香が好きなんだ。
体も心も正直に紗耶香が好きだった。
「アレッ!? こっちが矢口だったか〜。」
そう言うと、紗耶香は私を下ろす。
「紗耶香・・・・青色ずっと、やっていこうね。」
場違いな問いかけ。理由のない不安。
「“ずっと”って言われても、つんくさんが曲作らないと・・・」
- 113 名前:愛の病4 投稿日:2000年08月11日(金)17時14分35秒
- 「紗耶香がどう思ってるか聞きたいの… ずっと、やりたいのかどうか・・・」
「もちろん、やりたいに決まってるじゃん。」
そういって、私の頭を撫でた紗耶香。
ウソがあるなんて疑いもしなかった自分。
あの日、みんなが我慢してた。私も分かってたよ。
だけど、いってしまった一言。
「やめないでよ…」
- 114 名前:愛の病5 投稿日:2000年08月11日(金)17時15分07秒
- ホントは私にこんなこという権利なんてないんだよ。
言わなきゃいけないヤツはただ、泣き続けてた。
紗耶香は結局答えてくれなかった。
私のバカなお願いに、なんにも言ってくれなかった。
間違っての? 正しかったの?
それが分かるのは私じゃない。紗耶香なんだよね。
“ゴメン”でもいいし、“バカッ!!”って怒ってもいい。
ただ、私を見ていて欲しかった。
- 115 名前:愛の病6 投稿日:2000年08月11日(金)17時15分50秒
- 「こう言う感じですか?」
辻ちゃんは良く頑張ってる。私のパートを上手くやってくれる。
「そうそう!! 上手だよ辻ちゃん。」
そう言うと、私は辻ちゃんの頭を撫でる。
辻ちゃんは照れた表情を見せた。
私も別のパートにやっと、慣れたようだ。
だけど、正直言って自信がない。
「違うよ」とも「上手」という声は聞こえない。
私の頭を撫でてくれる人はもうないのだから。
FIN
- 116 名前:I&G 投稿日:2000年08月11日(金)23時36分34秒
- せつないですね。
さやまり好きなんで、今回のは読んでいて嬉しかったです。
また、いつでもいいので書いてください。
- 117 名前:サンジ 投稿日:2000年08月12日(土)07時20分56秒
- せつないのかなり好き。
すべりだいはすげーツボにきた・・・。
- 118 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月12日(土)10時52分37秒
- 持ち上げられてる矢口・・・
カワイイなぁ・・・
- 119 名前:hands 投稿日:2000年08月12日(土)14時29分25秒
- 「飯田さん。どうしたんですか?」
コンサート直前、石川の声が聞こえた。
「あ? これ。 集中できるんだ。」
言った瞬間、後悔が生まれる。
「ごめんなさい。邪魔しちゃって・・・」
案の定、石川の反応は私の想像通り。
「いいの!! いいの!! もう集中できてるから。」
その場を取り繕うような私の言葉。
本当の事を隠したかっただけの嘘。
思い出を誰にも知られたくなかったから。
- 120 名前:hands2 投稿日:2000年08月12日(土)14時32分39秒
- 「OK!! カット〜〜!!!!!」
監督の声が響く。ありったけの声で叫んでいるんだろうけど、
私達の耳にはかすかにしか聞こえない。
水音が音をかき消していたからだ。
「ピンチランナー」の撮影は超が付くほどの過密スケジュール
で進められた。そのため、昼夜を問わず24時間体制で、
臨まなければならなかった。この日もそんな忙しい1ページで
しかないはず。多分、みんなにとっては…。
- 121 名前:hands3 投稿日:2000年08月12日(土)14時34分55秒
- 真夜中の豪雨の中でのメンバー勢ぞろいのワンシーン。
2月の水は、動きを止めるには十分過ぎた。
“カチ カチ カチ カチ”
勝手に私の歯はリズムを刻む。
「かお? 大丈夫? スゴク寒そうだけど?」
「大丈夫なワケはないけど、なんとか大丈夫だよ。紗耶香。」
出来る限りの笑顔を私は紗耶香に見せる。だけど、紗耶香は
そんな私を見ると、よけいに心配してくれた。
- 122 名前:hands4 投稿日:2000年08月12日(土)14時35分30秒
- 「大丈夫じゃないよ〜。」
紗耶香は“ハァ〜”息を吹きかけ、自分の手を温めると、
私の頬をその手で包み込んでくれた。
「ものすごく冷たいよ、かおのほっぺ。」
「ふぁ・・・」
思わずもれた、ため息にも似た声。
不意の温もりと優しさ。自然と私は目を閉じる。
- 123 名前:hands5 投稿日:2000年08月12日(土)14時36分32秒
- 「ヒャッ!! 」
「紗耶香は手だけじゃなくて、ほっぺも温かいんだね。」
私の手も紗耶香の頬を包む。
「かお〜 手も冷たいな〜」
冗談めかした紗耶香の声が聞こえた。
本当に温かかった。頬も手も体も心も全てが温もりに満ちた瞬間。
「紗耶香は圭織にとっての“春”なんだね、きっと。」
「なにソレ〜 また、電波飛んでるよ〜」
素直に言えたはずなのに、私は言うのが怖かった。
- 124 名前:hands6 投稿日:2000年08月12日(土)14時37分03秒
- 「冷たい〜〜。」
どこからか聞こえる、大きな声。同時に短い温もりも終わっていく。
「ホント、しょうがないな〜。 チョット、ゴメン かお。」
ゆっくりと離れる手。目を開けると、紗耶香の顔は私を見ていなかった。
声の方向へと足を進めていく。
「みんな寒いんだから、そんな風に叫んじゃダメだって〜。」
「だって、本当に寒いんだもん。いちーちゃん。」
- 125 名前:hands7 投稿日:2000年08月12日(土)14時37分38秒
- 声の主をしっかりと抱きしめる紗耶香。
「あ〜 温かいよ、いちーちゃん。」
もう、その声には叫びは込められていない。
そしてまた、私の体は寒さに襲われていく。
私は目を閉じて、頬にそっと手を当てる。
あの時の温もりを思い出すように。そして、
紗耶香の感触を忘れないように。
だけど、不思議なくらい温もりは思い出せない。
ただ、冷たい手の感触だけが私を包んでいる。
FIN
- 126 名前:why 投稿日:2000年08月13日(日)12時35分31秒
- 「あとは武道館だけだね・・・」
沈黙よりも重い言葉が聞こえた。
「そうだな〜 今回のツアーはすごく長い気がしてたんだけどね。」
変わらない調子で私はホテルのベッドに腰を下ろす。
「これで、1日2回公演のハードスケジュールからも解放されるんだよ。」
「・・・そうだね。」
「新メンバーのお披露目も無事終了して・・・・」
「イヤだよ!!!!」
- 127 名前:why2 投稿日:2000年08月13日(日)12時36分19秒
- 破裂した言葉と共に私の体に伝わる衝撃。
思わずベッドに仰向けになる。
「やっぱり、イヤだよ!! 私、やっぱりイヤだ!!」
「後藤・・・・・。」
私の体にのりかかる後藤は、か細い声で呟く。
「いちーちゃん・・・辞めないでよ。お願いだから、後藤のそばにいてよ。」
一番聞きたくなかった言葉は、一番言って欲しくない相手から漏れた。
私は何も言えなかった。
- 128 名前:why3 投稿日:2000年08月13日(日)12時36分56秒
- 「1週間後には、いちーちゃんはいないなんて、堪えられないよ。」
目に入った電球は、いつもよりも弱々しく見える。
「・・・辞めなくてもいーじゃん!! どうして、辞めないといけないの!!」
何度も説明した理由。繰り返したとしても、後藤の涙は止まらないだろう。
頭を撫でてやりたかった。震える肩を抱きしめてやりたかった。
優しい言葉をかけてやることも出来たかもしれない。
だけど、私は何もしなかった。この一言を言う以外に。
「疲れたからさ、私寝たいんだ・・・。」
- 129 名前:why4 投稿日:2000年08月13日(日)12時37分36秒
- 「後藤こっちで寝なよ。私そっちで寝るから。」
私はのりかかる後藤を起こすと、隣のベッドに入りこむ。
「何も言ってくれないの? キスしてくれないの?」
寝返りを打った背中には痛いほど言葉が突き刺さる。
「いちーちゃん!!! お願いだから、何か答えてよ・・・。」
いつしか、言葉は言葉でなくなり、嗚咽に変わった。
泣き声が途切れ途切れに聞こえ始める。徐々に景色が暗くなっていく。
私はまぶたを自然と閉じていった。
一人で寝ることなど出来ないはずなのに…
FIN
- 130 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月13日(日)21時33分01秒
- キスぐらいしてやれよーー・・
- 131 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月13日(日)21時44分02秒
- マジ泣き
- 132 名前:青春 投稿日:2000年08月14日(月)10時02分03秒
- 「♪ ほ〜ら ほ〜ら もっと… ♪ すいませんもう一度お願いします。」
一瞬、リハーサル会場が呆気に取られる。
「どうしたの〜 圭ちゃん。珍しいじゃ〜ん!!」
横にいた後藤の驚いた調子。それは私自身同じだった。
もう二度と歌うとは考えられなかった歌。
覚えていたはずのパートはビックリするほど浮かんでこなかった。
周りのメンバーは楽しそうに歌っているのに、どこか私は迷っている。
まるで別の歌、別のメロディーが流れていた。
- 133 名前:青春2 投稿日:2000年08月14日(月)10時02分40秒
- 「ぅぉお〜〜… 圭ちゃん重いよ〜〜。」
「なによ、紗耶香〜 私、そんなに太ってないわよ〜。」
控え室に小さいうめき声が響く。今年の春まで、
私がよく座る椅子からはこんな声が漏れてきた。
「普通さあ〜 私が上に座るんじゃないの〜 圭ちゃん?」
「それ、紗耶香の方が軽いって言うこと?チョット、ムカツクんだけど…」
私は顔だけで後ろを向く。短いながらも、髪の毛だけが声の主を知らせる。
「違うよ〜 年上なんだし、私よりも背が高いんだから…」
- 134 名前:青春3 投稿日:2000年08月14日(月)10時03分13秒
- 「そんなの関係ありません!!!」
「ぐぇ〜〜 マジマジマジ!!」
このときは考えもしなかった・・・
夏には振り向いても、影も形もなくなるなんて。
「一緒に頑張っていこうよ。」
これしか言えなかった。
「うん・・・」
あれ以外の言葉は紗耶香には、なかったのかもしれない。
- 135 名前:青春4 投稿日:2000年08月14日(月)10時03分47秒
- 私にとって…違うね、紗耶香にとって、最後の歌の瞬間。
時間はいつもと変わらずに巡っていく。
そして、同じように歌は終わりを迎えた。
いつのまにか、瞬間は過去に名前をかえる。
“クールでカッコイイね。”
“新しいグループみたいだね〜”
月並みなセリフは、なによりも辛いことと、知らずに投げかけられる。
だけど、そんな痛みにも慣れてしまった。
- 136 名前:青春5 投稿日:2000年08月14日(月)10時04分24秒
- 忘れた歌はすぐに思い出せる。
だけど、私はこんな歌を歌ったことはない。
つかの間の休憩、私は椅子に腰をかけた。
そういえばさっきの歌、誰かが歌ってた気がする。
振り向くと誰か分かる気がして私は振り向く。
だけど、誰もいない。
そう言えば、私は誰を探しているんだろう?
見つからない答えが頭を駆け巡る。
FIN
- 137 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月14日(月)11時57分59秒
- せつな・・・・・
- 138 名前:カプチーノ 投稿日:2000年08月21日(月)11時48分09秒
- 「後藤さん、ホントダンス覚えるの上手ですよね…私、全然覚えられなくて。」
「いやあ、石川ちゃんも覚えられるはずだよ。私だって覚えられなかったんだもん。」
「そうなんですか? 私ももっと上手くなれたらいいけど・・・・」
ダンスレッスンの合間のほんの何気ない会話のはず。だけど私は後悔する。
昔を思い出してしまうような言葉を発した自分に。
「初めてだから慣れない事もあると思うけど、やっぱり頑張らないとダメだよ。」
いじけて、よく泣いていた私の髪を撫でながら、いちーちゃんはいつも慰めてくれた。
「うまくなりますか? 私も。」
何も言わず、頷いてくれた。ウソだったかもしれない。だけど、その笑顔だけでも
私には良かった。
- 139 名前:カプチーノ2 投稿日:2000年08月21日(月)11時48分52秒
- 「どう?いちーちゃん!!」
「“どう?”って言われても・・・。」
きょとん顔のいちーちゃん。カッコイイいちーちゃんだけじゃなくて、
そんないちーちゃんも私は大好きで、大好きで仕方がなかったんだよ。
「ダンスだよ!! ダ・ン・ス!! 上手になったでしょ?」
「まだまだ!! これくらいで“上手”とかいってるよーじゃねぇ…。」
「もしかして、私がこれ以上、上手くなるのが恐いんじゃないの〜」
「なに〜 そんなこと言うのは、このぷくぷくほっぺか〜!!」
そ〜言いながら私のほっぺを優しくつねるいちーちゃんが、悩んでるなんて
バカな私には分からなかった。
- 140 名前:カプチーノ3 投稿日:2000年08月21日(月)11時49分34秒
- 「私のダンスは誰が見てくれるの?」
「・・・・・・・。」
「誰が私のドジを叱ってくれるの!?」
「・・・・・・・。」
「誰が私を優しく抱いてくれるの!!!!!」
「今なら、まだ、私が抱けるよ。」
怒って欲しかった。叱って欲しかった。だけど、いちーちゃんは
包んでくれた。一番、されたくなかったはずなのに、
私はただ、その温かさにうずまっていった。
- 141 名前:カプチーノ4 投稿日:2000年08月21日(月)11時50分16秒
- 「後藤・・・。」
「なに? いちーちゃん・・・。」
「ダンス上手くなったよね。」
「ダメだよ。後藤は・・いつまでも、いちーちゃんの…教育され係です。」
「後藤って成長したよね〜。」
圭ちゃんが、何気なく言った一言。
どんどん私は、いちーちゃんが知らない後藤真希になっていく。
- 142 名前:カプチーノ5 投稿日:2000年08月21日(月)11時53分28秒
- ホントは叱って欲しいのに、頼りたいのに。
そんな事が出来ない私になっちゃってるんだよね。
そして、いちーちゃんも私が知らないいちーちゃんになってるんだ。
私を包んでくれた、いちーちゃんじゃあないんだよね。
FIN
- 143 名前:読んでる人 投稿日:2000年08月21日(月)16時00分21秒
- せつない・・・なんてせつないんだ・・・
- 144 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月21日(月)16時43分07秒
- カプチーノってこれも歌の題名からですか?
ともさかじゃないですよね??
- 145 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月21日(月)17時04分51秒
- カプチーノはともさかりえの歌ですよ!?
作詞作曲がシーナ・リンゴですけど・・・・
歌の題名のはずです。
- 146 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月21日(月)17時11分03秒
- やっぱり!好きだったんですよ。
- 147 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月21日(月)18時15分04秒
- メアド見れ。
- 148 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月23日(水)12時52分18秒
- よい感じに、切なげ。
- 149 名前:鏡の夜 投稿日:2000年08月23日(水)13時36分30秒
- 「矢口さん!! 花火ですよ、花火!!!」
「夏休みだから、どこでもやってるよね〜花火大会・・・」
ツアー先でのホテルの部屋から見える花火を嬉しそうに石川ちゃんは
見つめる。だけど、私はそんな気になれない。見たとしても、あの日の
夜空にはかなわない。そして、あの日は帰ってこない。
紗耶香の脱退発表の後も殺人的なスケジュールは続いた。特にタイへの
アジアフェスティバルへの参加はまさに考えられないスケジュールが組まれ、
メンバー全員の悲鳴が聞こえてきそうだった。私も辛くなかったと言えば
ウソになる。だけど、私はそれでも元気だった・・・
- 150 名前:鏡の夜2 投稿日:2000年08月23日(水)13時37分16秒
- 「紗耶香!! 紗耶香ってば!! 見てごらんよ〜。」
タイでの唯一の一泊、ホテルでの私は、はしゃいでいた。
「ナニ〜 矢口。何があるの?」
「星だよ星!! 見てごらん!! すっごくキレイだよ。」
私はベッドで横になる紗耶香をベランダへと運び出す。
「ね!? スゴク綺麗でしょ?」
「ホントだ・・・・。」
星に魅入られた紗耶香はとても綺麗で、純粋で
私がガマンできないほど好きな紗耶香だった。
- 151 名前:鏡の夜3 投稿日:2000年08月23日(水)13時37分59秒
- 「明日はもう、帰ってるんだよね・・・。」
「また、ツアーが始まっちゃうから。」
「最後のツアーか・・・・」
見たくなかったけど、見てしまった紗耶香の表情。
ウソばっかりじゃん。どうして、そんな目をするの?
夢を追うはずなのに、自分で決めたはずなのに。
大きな忘れ物が、紗耶香を迷わせているのも分かってたよ。
そして、それがどうにもならないことも・・・。
- 152 名前:鏡の夜4 投稿日:2000年08月23日(水)13時38分44秒
- “一緒に頑張ろうよ。”
今言えば、紗耶香は考え直すかもしれない。とっさに浮かんだ想い。
少しの勇気で良かった。あとは口を開くだけでいい・・・
でも口は動かなかった。私は両手を上に上げる。
「ナニしてるの? 矢口?」
「星ってさあ、掴めるのかな・・・。」
「矢口・・・・・。」
「持って帰りたい・・・ずっと見ていたい。」
- 153 名前:鏡の夜5 投稿日:2000年08月23日(水)13時39分28秒
- 急に紗耶香はかがんで私の前に顔をおろす。
「よいっ・・しょ!!!!」
「え?・・・・あっ、キャ!!!」
「矢口・・・これで掴めるはずだよ・・・・。」
抱きしめ、抱え上げてくれた紗耶香は優しくて、大きくて、
「スキな星、掴まえなよ。」
「さ・・・や・・」
おなじ場所・おなじ夜・おなじ空・おなじ時・おなじ星・おなじ目線。
紗耶香と、こんなにおなじなのに、気持ちは同じにできなかった。
- 154 名前:鏡の夜6 投稿日:2000年08月23日(水)13時40分14秒
- 紗耶香、どうして笑うの?
そんな顔を見せられると、矢口は泣けないよ。
ワガママ言えないよ。
ホントの事もいえないじゃない…ズルイよ。
「ウワ〜 キレ〜イ!!!」
梨華ちゃんがベランダから花火を見上げる。
夜空に浮かぶ花火は綺麗なんだろう。
だけど、私は夜の空をもう見上げない。
星なんて掴めるはずもないんだよ。一番大事なものも掴めなかったんだから。
FIN
- 155 名前:サンジ 投稿日:2000年08月23日(水)15時47分48秒
- 俺ショコラかなり好きなんすけど・・・。
っつーかマジいいなあ、さやまりは。
- 156 名前:ずっち 投稿日:2000年08月23日(水)23時07分12秒
- 38・・・・ゆずだ・・・
ちょっと違うレスですみません
- 157 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月24日(木)00時38分39秒
- マジそっこーでファンになりました。
- 158 名前:読んでる人 投稿日:2000年08月24日(木)13時07分55秒
- >「ナニしてるの? 矢口?」
>「星ってさあ、掴めるのかな・・・。」
>「矢口・・・・・。」
>「持って帰りたい・・・ずっと見ていたい。」
この部分で「我が闘争」を思い出してしまいました。
- 159 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月24日(木)15時32分32秒
- 矢口がカワイイなぁ・・・。
- 160 名前:believe 投稿日:2000年08月29日(火)10時25分38秒
- 「そうなんだ・・・・決まったんだ・・・。」
受話器からこぼれてきた声は、いつかは聞くと思っていたこと。
だけど、やっぱり辛いよ。心の準備は出来ていても。
「“やっと決まった”って、言うかんじかな。来月からなんだけどね。」
「イギリス?」
「うん。ロンドンからはチョット離れた、リバプールってところ。」
いちーちゃん。私にとっては場所なんて関係ないんだよ…。
傍にいないことは“遠い”ことなんだから。
- 161 名前:believe2 投稿日:2000年08月29日(火)10時26分28秒
- 「いつ出発するの?」
「聞いてどうするの〜。 見送りに来るとか言うんじゃないよね。」
「ハハハ 忙しくて出来ないけどさ、後藤は無事を祈ってあげるよ。」
「優しくなったなあ、後藤は・・・ 6日の15時。」
「そうなんだ・・・・・。」
聞いたとしても、この言葉しか出ない。
「短い間だけどさ、思いっきり勉強してくるよ。」
「頑張ってね…。」
- 162 名前:believe3 投稿日:2000年08月29日(火)10時27分06秒
- 泣いちゃダメなんだよね。分かってるよ。
私も少しは成長したところ、いちーちゃんに見せないと。
「ありがと。後藤も頑張れ。」
「うん。分かってるよ。」
今日あったこと・明日の予定・新曲のこと。たくさん伝えたかったけど、
いちーちゃんには夢に向かって歩いて欲しい。だから、ガマンするよ。
「向こうに行っても後藤の事、絶対に・・絶対に忘れないから。」
私がこんなに頑張ったりしてるのに、いちーちゃんは私を泣かそうとする。
- 163 名前:believe4 投稿日:2000年08月29日(火)10時28分31秒
- 「後藤も忘れないよ。 いちーちゃんのこと忘れない。」
唇がプルプル震えてきた。多分、目の前にいちーちゃんがいたら、泣いちゃってる。
多分、あの言葉を聞いたら泣いちゃう。
いちーちゃんお願いだから、言わないでと心の中でねがう。
「ガマンしてるの? 後藤…泣きたいなら、泣いていいよ。」
「そんなことないよ。泣きたくなんかないよ。」
「後藤、・・・ホントにかわいいなあ。」
でも、いちーちゃんは言ってしまう。私を泣かせる言葉。
- 164 名前:believe5 投稿日:2000年08月29日(火)10時29分22秒
- 「ずるいよ。いちーちゃ…うぁああ〜〜〜ん!!」
結局、私は変わってない。いちーちゃんがいなくなっても、
泣き虫で、だらしなくて、努力しない後藤真希なんだ。
受話器の向こうは黙ったまま、ただ私の鳴き声だけが電話で伝わる。
でも、絶対に伝えたいことがある。それだけは言わないと。
「グスゥ・・・・・ねぇ、いちーちゃん。」
必死に涙を堪えながら、私は言葉を吐き出す。
- 165 名前:believe6 投稿日:2000年08月29日(火)10時30分04秒
- 「なに? 後藤?」
「絶対に戻ってきてね・・・・絶対に…。」
みんなとの約束じゃない、私だけとの約束。
ワガママかもしれないけど、それが欲しかった。
「約束はしないよ。」
「エッ!!」
「だって、戻ってくるもん。みんなとの約束は守れなくても、後藤の前には戻ってくるよ。」
「いちーちゃん・・・・」
- 166 名前:believe7 投稿日:2000年08月29日(火)10時30分46秒
- ♪I believe 変わりゆく世界でも I believe 変わらないものがある♪
受話器の向こうから聞こえてくる音楽。私達はなにも喋らない。
それだけでよかった。優しい音楽と信じてくれるいちーちゃんがいるだけで。
移動の車の中、私は空を見上げる。
約束の日・約束の時間。いちーちゃんは旅立つ。
私も信じてるよ。いちーちゃん。
「いってらっしゃい。」
小さく呟いた言葉だけど、どこかで“いってきます”と聞こえた気がした。
FIN
- 167 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月29日(火)11時19分43秒
- きゃぁ〜 ビリーブだぁ!!留学ネタがでてくる頃なんだなぁ・・。
- 168 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月29日(火)11時46分30秒
- マジ、Misiaのアルバム「LOVE IS THE MESSAGE」は
大名盤!!
ホント、ピッタリの曲多いんだよな〜。
- 169 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月31日(木)22時51分27秒
- 純いちごま小説ですね・・心にしみる。
- 170 名前:be alive 投稿日:2000年09月04日(月)10時11分13秒
- 「そういえば、後藤が入ってもう1年たつんだよね〜。」
圭ちゃんが思い出したかのように呟いた。
「ホントだ!! すっかり忘れちゃってた〜。」
忘れるはずなんかない事。だけど、ウソを言ってしまう。
きっと、いちーちゃんだったら、真っ先に言ってくれるはず。
いろんな事を覚えて、少しオトナの私の頭をいつもと変わらず
なでてくれただろう。でも、もう目の前に誉めてくれる人はいない。
- 171 名前:be alive2 投稿日:2000年09月04日(月)10時12分05秒
- いちーちゃんの夢。そして、私の夢。理解できないわけじゃない。
だけど、一緒の夢じゃどうしてダメだったの?
私は一緒の夢の方が良かった…。
いちーちゃんは結局、答えてくれなかったよね。
「頑張ってね・・・。」
これしか言えない自分がそこにいた。
「ありがとね。」
いちーちゃんはニッコリ笑って、私を見つめてくれた。
- 172 名前:be alive3 投稿日:2000年09月04日(月)10時13分25秒
- 見えない事がスゴク不安なことなんだって、初めて分かった。
いちーちゃんの姿・声・匂い。いちーちゃんのカケラもない空間に
いることが更に私を不安にさせる。
信じて良いの? いちーちゃん。
いちーちゃんは信じてくれてるの?
泣いた私の髪を撫でて、言ってくれた言葉は今でもおぼえてる?
私が呟いた言葉はおぼえているのかな?
- 173 名前:be alive4 投稿日:2000年09月04日(月)10時14分00秒
- 私はあの頃から変わっているのかな。
自分では分からないよ。いちーちゃん、教えてよ。
私はこのままでいいの?好きでいていいの?
待っていていいの・・・。
FIN
- 174 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月04日(月)21時51分03秒
- 名盤「LOVE IS THE MESSAGE」の中の
「あの日のように」みたいなやつリクエスト
- 175 名前:こいのうた 投稿日:2000年11月10日(金)15時21分00秒
- まただ・・・・。
「体の調子でも悪いんですか? 飯田さん。」
石川はとっても気が利く。だけどこういうときにはそれがイヤになる。
誰にも気付かれたくないから。誰にも感じて欲しくないから、
私が紗耶香を恋しいと思っているなんて……。
「かお?大丈夫?」
私は昔から、体調が優れない事が人より多かった。それは、この世界では絶対に
認められるようなものじゃない。だから、ガマンして歌ったり、テレビ出たりとか
無理をたくさんやってた。そんな時、メンバーの中で私に気付いていたのは声は
いつも一緒だった。
- 176 名前:こいのうた2 投稿日:2000年11月10日(金)15時21分41秒
- 「うん・・・大丈夫だよ。紗耶香、心配しなくてもいいよ。」
私はそんなとき、紗耶香を見つめて笑っていた。最悪な常態だったのに、笑顔が辛い
なんて事は決してなかった。でも、紗耶香は私のミエミエの嘘、分かってたんだと思う。
「そっか…じゃあ大丈夫だね。」
そう言って、紗耶香は私の手を握る。
「えっ!!?」
思わず、私は声を出してしまう。
- 177 名前:こいのうた3 投稿日:2000年11月10日(金)15時22分15秒
- 「私、チョット調子悪いんだよね〜 手を握っててイイ?」
紗耶香はそういって、私に温もりを伝える。笑顔で調子が悪いなんて・・・。
紗耶香も嘘はヘタだった。
温もりだけじゃなくて、いろんなものが紗耶香から貰った。なのに、
私は何もあげられなかった。そして、一番分かったのは、今の私には
紗耶香以上の人がいないことだった…。きっと、それはいつまでも変わらない。
- 178 名前:こいのうた4 投稿日:2000年11月10日(金)15時24分07秒
- 気付いて欲しかった。だけど、気付かないのが紗耶香なんだよね。紗耶香は
アイツにもたくさんあげないといけなかったんだから。でも、そんな紗耶香だから、
私は想っていられるんだよ。今でもたくさん私も紗耶香にあげたいから、
頑張っていられる・…
ふとみると、後藤が楽しく圭ちゃんと話していた。
紗耶香は元気なんだよね。笑っているんだよね。
また手を握ってくれた時、紗耶香には、たくさんのものを圭織はあげるよ…。
その時まで、私は紗耶香を好きでいるよ・・・
- 179 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月10日(金)17時28分58秒
- いちかおは切ないけど、絵になるね。
飯田にもたまには陽の目を見せてあげたい・・・
- 180 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月10日(金)17時37分39秒
- 再開ですか?これ好きだったから嬉しい。
平井堅のLOVE OR LUSTをリクエスト
- 181 名前:Love or Lust 投稿日:2000年11月14日(火)15時27分28秒
- 聞こえてくる音は微かなはずなのに、私には張り裂けそうなくらい聞こえてくる。
“「どうしてなの!!! なんで、辞めないといけないの!! なんとか言ってよ!!」”
“「だから、私にも夢があるんだ・・分かってよ後藤。」”
“「分かりたくないよ!!! 市井ちゃんのワガママじゃん!!!」”
仕事が終わり、タクシーを待つ中、ロビーの隅での傷つけ合いは、いつも私の耳に
届く。それは日が経つことに激しさが増した。正確に言うと、一人の口調に冷静さ
がなくなっていった。
“「私も辞める!!! 私も辞めるよ!!!!」”
“「後藤、話をちゃんと聞いてよ・・・・。」”
- 182 名前:Love or Lust2 投稿日:2000年11月14日(火)15時28分31秒
- 静寂が訪れたと思うと、一定のリズムで聞こえる低い呼吸音・・・・。
“「きっと疲れてるんだよ。帰ったら、早く寝な。」”
もう返事はない。それが終わりの合図。一人の姿が私の前を横切り、外へと出て行く。
うつむきながらタクシーへ乗る。ビックリするくらい、私の心に音は響かない。
そして、すぐ横に感じる大きな空気の流れ。ため息だ。
「大変そうだね・・・紗耶香。」
“おせっかい”・・・・
日頃、喧騒をばら撒いている私でも、それくらい分かってる。でも、思わず出た言葉。
「あ・…矢口・・後藤が最近、ヘナヘナだから、ちょっと怒ったらすねちゃって…」
今更の嘘。紗耶香はいつも、優しすぎる。それが私を苦しめているに気付かないで。
- 183 名前:Love or Lust3 投稿日:2000年11月14日(火)15時29分03秒
- 「後藤も精神的にキツいんだよ。紗耶香がいなくなるのも、あと少しだしね・・。」
それ以上の理由を知らなかったわけじゃない。でも、私には言えなかった。
言ってしまうと、止まらないから。私の気持ちを言ってしまいそうだから。
「まあ、最後の教育係の仕事ってトコなのかな。もう一人いるけど。」
少し笑いながら、紗耶香は私の頭を撫でる。私の髪が紗耶香の肌と触れる。
「こっちの方は全然大丈夫みたいだけどね。」
紗耶香・・・間違ってる。私は全然ダメだよ… いつ壊れるか分からないのに、
紗耶香の息遣い・言葉・温度・存在。紗耶香の全部が私のガマンを破ろうとする。
- 184 名前:Love or Lust4 投稿日:2000年11月14日(火)15時29分50秒
- 「私、実は矢口を一番心配してたんだ…後藤がああなるのは、予想できたんだけど、
他のメンバーだと、矢口が大騒ぎするんじゃないかなって思ってた。圭ちゃんとか、
圭織は大人だから、消化してくれるけど、矢口はそうはいかないだろうって。」
紗耶香は笑いながら、上を見上げる。そんな顔がカッコよくて、素敵過ぎて、
私の中の線を超えてしまった・・・。
「紗耶香…スゴイよ。当たってるよ・・・。」
「矢口?どうしたの? 何か変なこと、私言ったか・」
私の小さい体にこんなに力があるなんて、知らなかった。こんなに人を
抱きしめることが出来るなんて。
- 185 名前:Love or Lust5 投稿日:2000年11月14日(火)15時30分27秒
- 「矢口は・・悲しいよ。 悲しくて悲しくて、死んじゃうよ…。紗耶香・・
矢口はもうダメです・・・・紗耶香が・・好きすぎてダメに・・・・」
もう言葉が出ない。溢れ出した想いだけが、私から出ていく。紗耶香はじっと
私を見つめる。何も言わずに。
「紗耶香・・・矢口は今日、紗耶香に包まれる夢を見るんだ。紗耶香がキスしてくれて、
私を抱きしめてくれる夢。紗耶香・・・・今日だけ、矢口のワガママ聞いてよ。」
涙が止めどなく溢れる。もう戻れない・・・
体が紗耶香を感じる。だけど、そこには優しさしかない。
- 186 名前:Love or Lust 投稿日:2000年11月14日(火)15時31分14秒
- でも、私は紗耶香を感じていたかった。最初で最後だから。
タクシーの中、私は紗耶香の手を離せなかった。どこかへ行きそうだったから。
卑怯なんだろう、バカなんだろう。でも、そんなことはどうでもいい。
紗耶香がここにいるんだから、それだけでいいんだから・・・。
戻れない夜が始まる。
the story runs on・・・・・・
- 187 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月14日(火)18時50分27秒
- 早速、リクエストに答えて頂いてありがとうございます。
まさか、この曲で、さやまりがくるとは思わなかったんで結構嬉しいです。
う〜ん、それにしてもうまい
- 188 名前:Hruso 投稿日:2000年11月16日(木)01時52分41秒
- ここのを読むと悲しくなる・・・。
いいかんじです。
- 189 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月17日(金)21時49分45秒
- ブリグリの新曲をリクエストしていいですか?
結構甘めになってしまうかもしれませんが。
- 190 名前:磁石 投稿日:2000年11月20日(月)11時07分24秒
- 「うん。大丈夫だよ、お母さん。今日は紗耶香の家に泊まるから・・・ウン、
明日も朝早いから・・・・ウン。分かった、それじゃあね。」
慣れない場所でもないし、初めての場所というわけでもない。だけど私は緊張
していた。
「久しぶりだよね〜 紗耶香のマンションに来るのも・・・・」
「・・・・・そうだね。」
その理由なんて、二人とも分かってた。だけど、どちらとも言わない。それが、
新しい傷をつくるのは目に見えていたから。
- 191 名前:磁石2 投稿日:2000年11月20日(月)11時07分56秒
- 「疲れたでしょ・・・矢口、シャワー浴びなよ・。」
「ぇ… うん・・・ありがと・・・じゃあ・」
どこかで止まると思ってたのに、二人とも止めたいと思ってたはずなのに、
なぜだか、その言葉は出てこなくて…。
体に当たる、シャワーの粒が一つ一つハッキリしていて、それがひどく私の心を
悲しくした。濡れた髪の毛をとても冷たく感じる。
“ホントに、望んでいたことなの?”
何度も何度も頭を駆け巡るけど、そんな心の隅で喜んでいる私がいて。
浴槽の中で、少しだけ呟く。
「ダイキライ・・・。」
- 192 名前:磁石3 投稿日:2000年11月20日(月)11時08分29秒
- 〜「そう…大丈夫? うん、それならいいんだけどさ・・・」〜
小さいけど、声が聞こえてくる。
〜「謝ることないんだよ。私が悪いんだからさ…ウン、今から? 今日はダメ・・
久しぶりに千葉に帰ってるからさ・・・・うんそれじゃあね・・・。」
「電話・・・誰だったの?」
ぬれた髪が更に冷たい。ちゃんと、タオルで拭いたはずなのに・・・。
「・・・マネージャー・・プッチモニの打ち合・・」
「携帯見せてよ・・・」
バカだ。ホントに私はバカだ。こんなこと、なんにもならないのに。
- 193 名前:磁石4 投稿日:2000年11月20日(月)11時09分04秒
- ソファーに座り、うつむいた紗耶香。私はテーブルにおいてある、携帯に手を伸ばす。
「あっ!!!」
小さい声がしたが、後には何も続かない。液晶に見えたのは、当たり前の答え。
私の心を傷つけるのに十分過ぎるほどの答え
“発信履歴 ×××”
「まだ、ウソつくんだ・・。」
「矢口・・・やっぱり、やめようよ。私は・・・」
これ以上、傷つきたくない。紗耶香の言葉で、大好きな紗耶香の優しさで。
ソファーに体を預けて私は紗耶香にもたれ掛かる。そして、紗耶香の口を塞ぐ。
私の唇で。
- 194 名前:磁石5 投稿日:2000年11月20日(月)11時09分35秒
- 「どっちのためにもならないよ。こんなの・・」
「いいの!!! いいの!!! いいの!!!」
止まらない涙が流れる。紗耶香にしがみつきながら、私は叫んでいた。
「お願い!!! 傍にいて!!!」
「矢口・・・・・。」
いつも、いえなかった言葉。二人を見ていた私が心にためた言葉。
初めて、心から出て行く。
「矢口は知ってるよ。紗耶香が誰を想ってるかって…でも、今日だけ・・・
今日だけ、矢口を想って…」
- 195 名前:磁石6 投稿日:2000年11月20日(月)11時10分12秒
- 「矢口・・・なにも始まらないよ。終わるだけなんだよ。」
「うん・・・分かってる・・でも、紗耶香・・・矢口を想って・・。」
泣きじゃくる私の髪の毛に温かい温度が広がる。私はその温度に
身を委ねる。優しく包んでくれる温かさに。
「紗耶香・・・好きだよ。」
嬉しいはずなのに、涙が止まらない。もう2度と触れることがないと、
分かっているから。もう昔には戻れないから。
- 196 名前:磁石7 投稿日:2000年11月20日(月)11時10分43秒
- 離れたくない
初めて、そう感じたのに・・・。初めて、正直に言えたのに・・・
最後の夜は過ぎ去っていく。
the story runs on・・・・・・
- 197 名前:angel song 〜イヴの鐘〜 投稿日:2000年11月20日(月)11時11分46秒
- 「あ!! 圭織〜、北海道で雪が降ったって!!」
楽屋のTVを見ていた圭ちゃんが、話しかけてくる。
「そっか、もう冬なんだね・・・。」
私は呟きながら、雪を思い出した。一番真っ白だったあの雪を・・・。
去年の年末、「LOVEマシーン」のヒットで、私達は毎日TV番組の収録
に追われていた。嬉しかったけど、辛くなかったわけでもない。疲れきっていた
こともあって、移動の車の中ではみんな、寝静まっているのが当たり前の光景
だった。
- 198 名前:angel song 〜イヴの鐘〜2 投稿日:2000年11月20日(月)11時13分09秒
- 「雪だ・・・・。」
その日、私の目を覚ましたのは小さい呟き。寝ぼけまなこをこすりながら、
私は横を見る。隣には窓越しに外を見ている紗耶香がいた。
「あ!! ゴメン・・・かお、起こしちゃった?」
私が起きたのに気付いたのか、紗耶香が私の方を向く。
「ううん、全然、そんな事ないよ・・・。」
まだ、頭がぼ〜っとしてたけど、私はぶんぶん首を横に振る。
「ほら・・・かお、雪だよ。」
そういうと、紗耶香はまた、窓の外を見つめる。
私も紗耶香の方に体を伸ばして、曇ったガラスを手で拭い外を見る。
小さいけれど、白い粒が空から舞い降りていた。
「ホントだ・・・。」
私も一瞬だけ、外の景色に魅入る。
- 199 名前:angel song 〜イヴの鐘〜3 投稿日:2000年11月20日(月)11時14分13秒
- 「でも、かおは北海道出身だから、珍しくないか・・・。」
紗耶香は外見つめるのをやめて、私のほうに顔を向ける。
「そんな事、ないよ。やっぱり、雪は、圭織も好きだよ。」
私も窓の外から、目線を紗耶香に移す。紗耶香の顔はとっても喜んでいるようで、
じっと、私を見つめていた。ずっと、見ていると、ホントの事を言っちゃいそう
だから、私はすぐに目線を戻す。
「私も、雪が好きなんだよね〜、静かにしてくれて、キレイでさ…。」
紗耶香も、また向き直して、外を見る。私は雪を見た事よりも、紗耶香と二人で
見ている事がとっても、嬉しかった。
- 200 名前:angel song 〜イヴの鐘〜4 投稿日:2000年11月20日(月)11時14分55秒
- 「ねえ、紗耶香・・・」
そっと呟く。
「何?かお?」
不思議そうに聞き返す紗耶香。
「今度も、雪が降ったら、圭織に教えてよ・・・。一緒に見よう…雪。」
想いが届かないことは分かってた。紗耶香にはもっと大事な人がいるから。
でも、私は同じものを紗耶香と見ていたかった。感じていたかった。
「いいよ。でも、起こしても怒んないでよ〜。」
紗耶香は微笑みながら、頭を私の頭と、コツンとぶつける。
「ぜ〜たっい、おこんないって、大丈夫だよ。」
そう言いながら、私と紗耶香は窓の外をじっと見つめていた。
終わることのないような雪を、じっと見ていた。
- 201 名前:angel song 〜イヴの鐘〜5 投稿日:2000年11月20日(月)11時15分34秒
- ブブブブブブブブブ
体に妙な振動が走る。私はゆっくりと目を開ける。
紗耶香のいない冬、収録終わりの車の中は相変わらず静かだった。
胸の方から伝わる、規則正しい振動源に私は手を当てる。その瞬間
振動は途切れる。
私はそれを手に取り、目をやる
“発信元 公衆電話”
きっと、誰かのいたづらだろう。そう思い、目をもう一度閉じようとした瞬間、
私は窓を見つめる。曇った窓ガラスを。そっと手を窓ガラスにつける。
手の跡から見える、外の世界。そこはうっすらと白い。
- 202 名前:angel song 〜イヴの鐘〜6 投稿日:2000年11月20日(月)11時16分18秒
- 「・・・さやか・・。」
私は携帯電話を握り締め、外を見つめた。雪を降らす空を見つめた。
そして、きっと見つめているもう一人に呟く。
「・・・好きだよ・・今でも。」
届かないのは分かっているのに、私は呟く。
雪の中に消えそうな言葉で。
FIN
- 203 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月20日(月)21時13分18秒
- 歌詞がうかんできましたよ・・。リウエストに応えてくれてどうもでした。
飯田でくるとはおもってなかったのですが・・。笑
- 204 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年11月22日(水)02時28分19秒
- ここ、ものすごいうまい・・・感動した・・・
ちょい古めですがBzの「いつかのメリークリスマス」をリクします。
そろそろ季節ですし。よければお願いします。
- 205 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月22日(水)06時06分27秒
- 矢口のやつって続きものですか?
- 206 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月22日(水)11時32分39秒
- 矢口のやつは、続いてます。続く印を自分なりにつけたんですが、
気づかれなかったかな。
- 207 名前:205っす 投稿日:2000年11月22日(水)15時08分34秒
- >>206
いやなんか、いつもだったら最後に『FIN』が付くのに
矢口のだけ違うな〜っと。
続いてくれるんだったらめちゃ嬉しいっす!
ここのさやまり切なくてすげえ好き。
- 208 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月23日(木)04時23分39秒
- せつなひ・・・
- 209 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月23日(木)22時18分49秒
- 嶋野百恵のHot Glamourで
気が向いたらお願いします
- 210 名前:春風 投稿日:2001年01月29日(月)13時32分38秒
- そっと鏡に映る姿をを見つめる。そこにいるのは少し違う自分。
「・・・よかったんだよね・・。」
私が決めたはずのことだったのに、なぜか鏡を見ることが怖くなる。
冬になった。雪が降った。でも、永遠には続かない。
そして、新しい季節に、あの顔はもうない。
「春だねぇ・・・・かお・・」
それは私を呼ぶ優しい声。
- 211 名前:春風2 投稿日:2001年01月29日(月)13時34分04秒
- 「そうだね・・・紗耶香・・・。」
自然と私は言葉をかえす。ゆっくりと髪をかきあげながら、その顔をみつめながら。
静かに時間が流れていた。もう繰り返すことのない瞬間。
「紗耶香・・・私、幸せだよ・・今。」
そっと呟く。
「私もさあ・・幸せだったよ・・2年間。」
私の手を包む優しい感触。ほどけないくらい強くつないでいたのに、
それはとても儚くて、悲しくて。温かい。
「でもね・・・圭織は・・ずっと続く幸せの方が絶対いいよ・・。」
- 212 名前:春風3 投稿日:2001年01月29日(月)13時34分56秒
- 頬から流れるものはこらえられなかった。私はただ、うつむく。
「かお・・・」
呼ばれたことよりも早く感じたのは包まれていたこと。
髪のほのかな匂いを風が運んでくれる。
「かお・・・私も悲しいよ。だけどさぁ・・・今、幸せだから、泣けないよ。」
紗耶香が涙を見せる相手が、私じゃないのはわかってた・・・。
「離れてもね、かおのキレイな髪を見たら、私はこの幸せを思い出すよ。」
「圭織は・・・圭織は何で、この幸せを思い出したらいいの?」
そんな事しか言えない自分がキライで、紗耶香に伝えられない自分がイヤだった。
- 213 名前:春風4 投稿日:2001年01月29日(月)13時35分47秒
- 「・・・この風が吹いたら、思い出せるじゃん。」
「紗耶香・・・・・・」
そして、また風が吹く季節がやってくる…。
だけど、そこにいたのは、何かを忘れている私。
風はあの幸せも一緒にはこんでいった。
- 214 名前:春風5 投稿日:2001年01月29日(月)13時40分37秒
- 鏡に映るのは新しい色・・・・。
もうあの頃の私はそこにはいない。
紗耶香もきっと、思い出せないのかな。あの時間を、
こんな髪の私を見たら。
届かないのは分かってたはずなのに。
忘れるために自分をかえたのに。
ただ、想いだけがそのままで。
鏡の向こうで誰かが泣いていた。
FIN
- 215 名前:名無しぼん 投稿日:2001年02月12日(月)05時18分43秒
- な、涙が……素晴らしいよ
- 216 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月16日(金)03時28分30秒
- さやまりの続き待ってるんだけど・・・・・
- 217 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月27日(日)10時10分41秒
- 「眩暈」をリクエスト
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