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超短いんですけど、一応いちごま。
- 1 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月13日(日)23時31分49秒
- 「心の石」
あの時のあたしは、あなたがずっと考えていた事なんてぜんぜん知らなくて。
ただ、ずっとこのまま続いていくだろうなんて、根拠のない確信さえあって。
あたしの隣には、ずっとあなたがいてくれるって。
ずっとそばにいてくれるって。
なんの疑いもなくそう思っていた。
- 2 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月13日(日)23時33分02秒
- 最近なぜか多い音楽番組の特番。
前に放送したものをまた使って。で、ついでに未放送部分も見せちゃうってやつ。
なんだかつまんない。
1曲歌って、少ししゃべってそれでいいじゃない。
あ〜ぁ、かなりつ・ま・ん・な・い。
今のあたしは、あんまり昔の映像とか見たくなかった。
だって、昔のってことは、絶対にあの人が出てくるってことでしょ?
過去として、あの人の姿を見るのはまだちょっとつらい。
それを見ちゃえば、自分がどうなっちゃうのもかわかんなくて。
だから、できることなら今日の収録にはでたくなかった。
でもそんなわけにもいかなくて(いくらばかなあたしでもそれくらいは自覚してます)
あたしはもうすぐ始まってしまう悲しい時間の為に、一生懸命嘘の笑顔をつくって心に
バリアーをはった。
(あっ・・・)
その画面いっぱいに映っている大好きな、大好きな人の笑顔。
手をのばせば、その頬に、その唇に触れられそうなそんな錯覚さえ抱いてしまう。
- 3 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月13日(日)23時34分11秒
- 「ごと〜がぁ〜」
そして画面の中であの人があたしの名前を呼んだ。
一瞬、息ができなくなった。
なんでこんな映像なんか見せるんだ。
いやだいやだいやだいやだいやだいやだ。
すごくいやな気持ちになった。
必死で作ってた笑顔もだんだん崩れていくのがわかる。
あたしはあたしをちゃんとコントロールできなかった。
誰か助けて。
だいじょうぶだよって抱きしめて。
思わず無意識に助けを求めようとちらっと隣の席を見てしまう。
わかってたはずなのに。
そして現実を実感させられてしまう。
-ここにはもういないだ-
- 4 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月13日(日)23時35分09秒
- もうだめだった。
どんなに泣かないって思っていても、あたしの心は涙でいっぱいになっていく。
声をあげて泣きたかった。
あなたの名前を呼びながら、さみしいよって叫びたかった。
そばにいてよって抱きしめたかった。
でも、できない。
あたしはどうしていいのかわからなくなる。
どんな顔をしていいのかわからなくなる。
だから・・・心をからっぽにする。
なにがおきても傷つかないように。
もうこんな悲しい想いをしないように。
そして・・・あたしはあの時に戻る。
心が痛むなんていう感情なんか知らなかったあの時に。
あなたと出会う前のあの時に。
- 5 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月13日(日)23時36分02秒
- 悲しいよ。今でも。きっとこれからもずっと。
さみしいよ。あなたが隣にいないっていう現実が。
あたしを抱きしめて。
あたしを一人にしないで。
強くなりたいよ。
あなたに助けを求めなくても平気なくらい。
もっと強くなりたい。
あなたがそばにいなくても平気なくらい。
あなたの姿が画面に写ってもわらっていられるくらい。
すみません。やっぱしうまく書けないっす。
だけど他の作者さんみたいにうまくなりたいっていう思いから書いてみました。
ダメ出しお待ちしています。
- 6 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月13日(日)23時49分59秒
- いや、泣けました。また書いてね。できれば今度はハッピーなのを!
- 7 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月14日(月)01時48分39秒
- 最近こういう悲しい系にもはまっているのでもっと読みたいです。
面白かったです。
- 8 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月14日(月)02時54分35秒
- もう1コあります。
これも超短編ですが、矢口と裕ちゃんです。
この二人も好きだったりします。
長いのも書いてみたいんだけど技術が・・・。
- 9 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月14日(月)02時56分30秒
- 「さなぎ」
やっぱりなーんとなく見ちゃうんだよなぁ。
なんでだろ?うーむ。
なんて・・考えなくてもわかってるんだけど。
そう、答えは1つしかありません。
「好きだから」
矢口はあなたが大好きだから。
だからどうしても姿を追ってしまうのです。
- 10 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月14日(月)02時58分20秒
- 最初は怖い人って思ってたのに。
いつのまにかってやつなんです。
あなたと行動を一緒にするようになって。
あなたの隣にいられるようになって。
あなたの優しさが少しずつ見えてくるようになって。
あなたの笑顔にドキドキして。
あなたの涙に苦しくなって。
気が付いたら、矢口はあなたに惚れちゃってました。
できれば、ずっと隣にいたいんだけど。
なかなかそうもいかなくて。
だから、せめて一緒の時間を過ごせる時は、あなたを見つめさせてください。
へへ。
こーゆーのって、てれますねぇ。
なんか、まるで恋する乙女って感じだよ(笑)
- 11 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月14日(月)02時59分17秒
- そーだ!!矢口はただいま恋に燃えております!!
好きな人が目の前にいるんだもん。
少しぐらいひたっちゃってもいいよね?
雑誌を読んでる振りをしてちょっと見ちゃえ。
なんかさ〜、なんかさ〜。
なんであんなにかっこいいんだろ。
どうやったらあんなふうになれるんだろ。
大人の女って感じ・・・矢口には無理なのかなぁ。
あのあごのライン。指でつ〜ってしてみたいな。
綺麗・・・だよな・・・。
やばっ!!
見つかっちゃったかな?
見られちゃったかな?
急にこっちむくんだもん。
もしかして、矢口の視線に気づいたとか?
そうなのか?
- 12 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月14日(月)03時01分58秒
- んなわけないか。
よし、だいじょぶみたい。
あぁ、あぶなかった。
でも、ちょこっとだけ、気づいてくれてもよかったんだけどな。
なんか少し期待しちゃった。
あっあくびした(笑)
ふむ。どうやらちょっとお疲れって感じ。
昨日、寝るの遅かったとか。
ふ〜ん、涙なんかふいちゃって。
だめじゃん、疲れはちゃんととっとかなきゃ。
まったく、昨日は何時に寝たんだよ。
また・・だれかと飲みに行ってたのかな。
ただでさえ、寝る時間が少ないのにさ。矢口がそばにいたら、もっと・・・。
そばにいたら。
そばにいられたら。
もっと・・・。
- 13 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月14日(月)03時03分51秒
- あ〜ぁ。
きっと矢口の気持なんか、ぜんぜん気づいてないんだろうな。
ずっとあなただけ見てるんだよ?
ちょっとくらいさ〜、なんやろって思ってくれてもいいのにさ〜。
そしたら。そしたら伝えられるかも。
矢口がどれくらいあなたのことが大好きかってことが。
いつか伝えたい。
必ず伝えたい。
あなたに伝えたいこの想い。
それで「あたしも矢口のこと好きやねん」って言わせてやるんだ。
これ矢口の密かな誓い。
がんばるぞ!!おおぉぉぉぉ〜!!
そんなふうに想ってることも知らないで、当の本人は机につっぷしちゃってるし。
あ〜ぁ。どうやらかなりオネムみたい。
しかたない。矢口が言って目を覚まさしてあげますか。
あなたに好きだって言ってもらえるような人になりたい。
それまでがんばって女を磨かなくちゃ。
あなたに負けないくらいいい女になんなきゃ。
さ〜て、矢口の愛のパワーで、起こしてあげるよ。
いまそばに行くからね。
- 14 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月14日(月)03時05分18秒
- 「ゆ〜〜ぅちゃ〜〜〜ん、な〜に寝てるんだよぅ♪」
「んぁ?」
少し寝ぼけた感じで見上げる裕ちゃんの視線。
かなりドキッとしちゃいました。
「少しくらい寝かせて〜な、矢口」
気のせいかな?
なんか少し嬉しそうに見えたような・・・。
気のせいじゃない?
「起きてよぉ。ねーねーねー」
「ん〜」
「ね?」
じっと矢口の顔を見てる。
ドキドキドキドキ・・。
「ちゅ〜さしてくれたら起きる」
「なんだよそれー(笑)」
こんなやりとりがすっごく嬉しかったりするんです。
少しずつあなたに近づいていってるのかな?
よ〜し!!がんばだぁぁぁ!!!
「だーーめーー♪」
「えぇ〜、矢口のけーーちぃ」
へへ。
好きだよ、ゆうちゃん。
この想い絶対に伝えるんだ。
ぜったーーーい!!
- 15 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月14日(月)09時38分22秒
- いいすね・・・やぐちゅ〜!!
いちごまもよかったっす。
なんか、文体(?)から、後藤も矢口も可愛いさ出てて。
- 16 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月15日(火)02時32分05秒
- >6
ありがとうございます。そう言って頂けてまじ嬉しいっす。
なんだかかなり無茶苦茶な独り言小話だったんですけど(爆
甘々モノ書いてみたいっす。
>7
もっと読みたいって・・そんなありがとうございます。
もう日々勉強の毎日。ちゃんと話になるように・・。
>まいのすけさん
後藤から可愛さ・・出てました?気づかなかった。
やぐちゅ〜&いちごまはおいらの基本っす。
今度のはもちっとちゃんと話になってるはず。
- 17 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月15日(火)03時23分56秒
- とりあえず、前のよりかはらしくなってるはず。
またしても裕ちゃんと矢口です。
よろしくお願いします。
- 18 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月15日(火)03時34分09秒
- 「笑顔のおいしさ」
ある晴れた日曜日。
とあるマンションの一室。
ほとんどの部屋のカーテンが全開になっているのに、この部屋だけはまだ
閉まっている。部屋の住人、中澤裕子は、まだベットの中で夢とも現実と
もおぼつかない世界を行き来していた。
やや現実の世界へ近づいてきた感覚に素直に従い、かすかに開けた瞳から、
時計の示す時間が多少ぼやけながらではあるがなんとか確認できた。
「9時・・や・・んかぁ・・」
こんな時間に起きてしまった自分に、ちゃんとつっこみを入れるそのつぶ
やきは、ほとんど声になっていなかった。
- 19 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月15日(火)03時35分46秒
- カーテンを閉めていても朝日が部屋の中にと入り込んで来る。そのかすか
な光さえも今の裕子にはまぶしく感じてしまう。
次にやってきた夢の世界の感覚に素直に従い、そのまま瞳を閉じて枕に顔
を沈めた。昨日(正確には今日・・)かなり遅くまで飲み歩いてしまい、
家にたどり着いた頃には、空がやや明るくなってしまっていた。
少し記憶も途切れがちだが、こうやってきちんと布団の中にいるというの
は毎日の訓練(どんなに遅くなっても次の日の仕事の為にベッドに入る)
の賜物であろう。
(9時・・・なんか・・あった・・よ・・・な・・・)
- 20 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月15日(火)03時37分56秒
- −前日の夜−
仕事が終わり、早々に帰り支度をしていた裕子に平家が声をかけてきた。
「なっかざーわさーん、今夜ひま?」
「なん?」
シャツのボタンをはずしながら、平家の方へ顔を向ける。
「むっちゃおいしいお酒飲ませてくれる店みつけてさ〜♪」
(なんやて?酒?まじか?)
「行く?」
その言葉を聞いて裕子の疲れは一気に吹っ飛んだ。
「あったりまえやん、行かんわけないやんか〜♪」
「だよね〜(笑)」
「最近飲みに行ってないしさ〜、もうパ〜ッと♪」
「そうこなくっちゃ!!」
(お酒♪お酒♪)
「じゃあさ、すぐ片付けちゃうからちょっと待っててね」
「あ〜い♪」
そう言うと、平家はダッシュで自分の控え室へと戻って行く。
裕子はその後ろ姿を見て思う。
(いや〜、ほんまにええやつやなぁ・・)
- 21 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月15日(火)03時40分32秒
- その後の展開はいつものとおり。
「カーーーッッ」とか「うまいっっ!!」なんていいながら底無しのよう
に酒を飲んでいく裕子の姿に気をよくした店の主人が、「これなんかどうだ?」
「これは飲んだ事ね〜だろ〜」と奥からどんどん秘蔵の酒を出してきては、
次々と裕子のコップについでいく。「出されたお酒はぜ〜んぶ飲まなきゃ
女がすたる」ってな感じで、その全てを、それはそれは幸せな表情を浮か
べながら飲み干していく。
そして空になったコップをにぎりしめ、身体を打ち震わせながら
「も〜〜、いつ死んでもい〜〜〜、おいしすぎやぁ」
なんてつぶやいている。
その言葉を聞いて、さらに機嫌をよくした主人がまたコップになみなみと
お酒をついでくる。
- 22 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月15日(火)03時42分07秒
- (あいかわらずの飲みっぷり。うんうん、い〜ね〜)
平家はそんな幸せそうな裕子の顔を見ながら、それを肴にちびちびと飲ん
でいた。そしてふと思う。
(こーゆーのってなにげに幸せっていうのかなー)
好きな人の幸せな顔っていうのは最高のつまみです。
- 23 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月15日(火)03時44分41秒
- とりあえず、今日はここまでっす。
平家さん出てますけど、これからの話にはあんまり関係ないっす。
ファンの方、すみません。
- 24 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月15日(火)04時31分51秒
- 平家週間だと言うのに、そんな扱いも、現実と一緒やな。
な〜んて、楽しく読ませてもらってますよ。
- 25 名前:guardian dog 投稿日:2000年08月15日(火)23時23分24秒
- ときどき、はっ、とするようなセンテンスが出てきて、すごいなって思うです。
今回だと、
>好きな人の幸せな顔っていうのは最高のつまみです。
ってコトバに、うわあっ、って思っちった。センスいいですね。
- 26 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月16日(水)01時47分09秒
- それからさらにしこたま飲んで、さらにもう一件はしごして。
そこでも当然あびるほど飲んで。
となると、次の裕子の行動は。
「も〜な〜、裕ちゃんめちゃさみしいねんでぇ」
「はいはい」
「会社行ってな、また残業になるわけやん」
「はいはい」
「会社の窓から見る夜景がさ〜」
「はいはい」
適当に相づちしながら平家は酒を一口飲む。
(はじまっちゃいましたねぇ)
ついさっきまで超がつくほど明るく、そこらのおやじよろしく酒を飲んで
いた裕子だったが、いきなり愚痴りやさんに変わる。
(ん〜この場合愚痴っていうよりも)
「みっちゃん、ちゃんと聞いてるんかぁ」
「聞いてますよ、ねえさん」
ほんとはあんまり聞いてなかった平家は多少のうしろめたさから逃れる為
に、空に近かったコップに酒を継ぎ足す。
- 27 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月16日(水)01時48分43秒
- 「ありがとな〜、みっちゃん」
「いえいえ」
(今のねえさん、むちゃかわいいやんか)
平家の気持ちなんかぜんぜん気づいてないだろう裕子は、その平家にむかっ
て無防備な笑顔を見せる。
(なんかこう、母性本能くすぐられるっちゅうか・・)
仕事じゃちょっと強引なところがあるのに、こういう席ではとことん甘え
たモードになっている。他の人に言わせると単なるからみやで片づけられ
てしまう裕子なのだが、平家にとってはもう。
(あかんあかん。うちのなけなしの理性が)
そんな心の葛藤を知ってか知らずか裕子の愚痴はさらに進む。
- 28 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月16日(水)01時50分52秒
- 「仕事忙しいのはいややないんやけどなぁ、会いたい人に会えんようにな
るっちゅ〜のは」
裕子は大きくグビッと飲み干し、ダンッとテーブルに叩き付ける。そして。
「つらいんやぁぁぁ!!!」
「うわぁぁっ、ちょっ・・ちょっと」
裕子はいきなりは平家に抱きついてきた。ちょっと体勢をくずしながらも
なんとかもちこたえる。
「ねえさん、ちょっとっ」
大慌ての平家を無視して抱きしめたままさらに続く。
「も〜、なんであんなにかわえ〜んやろぉ」
平家の顔が少し悲しそうになったのを裕子は気づかない。
- 29 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月16日(水)01時52分34秒
- 裕子は月曜日に送られてきた矢口からのメールの事を裕子は思い出してい
た。ここしばらくぜんぜん顔も合わせていなかったし、裕子自信、矢口に
会えないっていうのはかなりつらかったのだが。
『裕ちゃんに会いたいです』
いつも言ってくるわがままとはちょっと感じが違っていた。
そのメールを呼んだ時、なんだかすごく泣きそうになった。
「こんな裕ちゃんでごめんよぉ」
「裕ちゃんかて会いたいんやよぉ」
「矢口に会いたいよ〜」
平家に抱き着きながらも出てくるのはやっぱりその名前。
(って、やっぱり結局はそれですかい)
- 30 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月16日(水)01時58分07秒
- はい、今日はここまで。
平家さんの出番は前ので終わりのはずだったのが、のびてしまいました(笑
なんだか、とっても書きやすくて。
でも、基本はやぐちゅ〜なおいらなので、平家さんごめんなさいです。
>24
あなたのレスを読んでしまったら、ここまで書いてしまいました。
もちっと平家さん出てきます。
>25
ありがとうございます。なんかはずかしいっすね、ハハ。
なんか、平家さんってそいうい風に思いながら裕ちゃんと飲んでそ
うなイメージがありまして。
- 31 名前:I&G 投稿日:2000年08月16日(水)02時20分13秒
- 矢口の「裕ちゃんに会いたいです」の部分がなんかいいね。
かわいいぞ!矢口。そりゃー裕ちゃんも好きになるよって感じですね。
- 32 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月16日(水)05時36分00秒
- やぐちゅ〜〜〜!!
- 33 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月17日(木)00時11分00秒
- どんな娘かさんざん裕子から聞かされているから、なんだかイメージ的に
はしっかり出来上がっている。写真も一度見せてもらった。
(ねえさんが好きな人か・・)
毎回毎回、自分の想いは一方通行なんだか知らされてしまう。
なれたといえば嘘になるが、こんな裕子が好きな平家である。
(しかたないなぁ)
決局は最後まで面倒を見てしまうのだ。
「ねえさん・・・」
なんとかなぐさめの言葉をかけようと、裕子の肩に手を置こうとしたちょ
うどその時、いきなり裕子が平家から離れる。
「うわっ!!」
急にそんな行動をとられたものだから、なぐさめようとした平家の手は、
裕子の背中でものの見事に跳ね返されてしまった。
「急になんですか」
「なんや、殺気を感じてな」
(殺気ってあんた)
ますます悲しくなる平家。
- 34 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月17日(木)00時12分11秒
- とりあえずきちんと座り直す二人。
「みっちゃんの空やんか」
どうやら裕子は少し落ち着いてきたらしい。ニコニコしながらお酒を注ご
うとする。完全に振り回されてるなぁ、そう自覚しながら平家はコップを
手に持った。
「その娘とどれくらいあってへんの?」
さっきからちょっと気になっていた事を素直に聞いてみた。
「誰?矢口?」
「うん」
(他に誰がいるねん)
「そうやなぁ・・・2・・週間くらいやったかな」
「ふ〜ん」
「なんやその気のない返事は」
「だって、2週間って。もっと長い間かと思ってたから」
「あほっ。ラブラブな恋人同士にとっては例え1日でもむっちゃ長いねんで」
「はいはい、ラブラブですか〜」
「そや、うちと矢口はラブラブや」
その裕子の得意げな表情。平家はいつもののろけ話がはじまると思った。
- 35 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月17日(木)00時20分02秒
- 「なんちゅうかな。好きな時に会えへんってゆうのは、つらいんやけど」
「けど?」
(2開戦のゴングが鳴ったわ)
「ん〜、なんかそういう時にな、あ〜あたしはやぐぢが好きやねんなぁっ
て実感するわけや」
「・・・・」
「またちょこちょこ来るメールに可愛い事いっぱい書いてくるしなぁ」
「・・・・」
「なんであんなにかわいいかなぁ」
目尻なんかすっかり下げて、裕子はとろ〜んとつぶやく。
なんと言っていいのかわからず、平家は注いでもらったお酒に口をつける。
矢口の話をしている裕子は、きっと誰が見ても幸せという言葉が浮かんで
くるであろう表情にになっている。
(こんな幸せそうなねえさんって、この話してる時しか見てことないわ)
自分と会っている時にはちょっとだけ矢口の話はやめてほしいと思った。
好きな人がする自分以外の好きな人の話は、なんだかお酒の味をおいしく
なさせた。
「こないだ会った時もなぁ〜」
「2週間前?」
「そ。あん時も久しぶりのデートやったんやけど・・・」
裕子の矢口に対するのろけ。
ちょっと心が痛くなるが、平家はおとなしくその話に耳をかたむける。
- 36 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月17日(木)00時22分17秒
- −裕子の回想−
2週間前。
今日は久しぶりのデートの日。それも太陽がまだ頭の上を移動している時
間帯。天気はすばらしく良く、澄み切った青空が目にまぶしかった。
「え〜天気やな〜」
公園のベンチに座りながら空を見上げ、裕子はしみじみと太陽の大切さを
実感し、ふと10mほど先にある売店へアイスを買いに行ったはずの真里
の姿を探す。ちょうどアイスを一つ受け取ったところだった。見ればピン
クとイエローのかたまりが二つのっている。ついつい笑みがもれる。
もう一つ、ホワイトのかたまりが一つだけのっているアイスを受け取って、
「ありがと〜」という声がした。そしてくるりとまわり、こちらへかけて
くる。その顔には満面の笑み。
(か〜っ。むちゃ可愛ええなぁ)
裕子も微笑みを返しながら、手をあげる。
こちらへかけてくる真里を見ていると、なんだか気分はまるでそこらのお
やじの様だと思った。今にも転んでしまいそうに見えて、腰が少し浮いて
しまう。そんな自分に気づき少し照れ笑い。
裕子の目の前まで来て、真里はおもむろにホワイトのアイスを差し出す。
「はい」
「ありがと」
ニッコリと笑ってくれる裕子を見つめ、真里はなんだかむしょうに嬉しく
なった。
- 37 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月17日(木)00時25分53秒
- 2人並んでベンチに腰掛ける。
真里は、この何気ない時間が大好きだった。裕子と一緒にいるだけで、こ
の人の笑顔がみれるだけでとっても嬉しくなる自分は、すっごく幸せなん
だなといつも思う。
横目でそっと盗み見る。そんな事しなくても、堂々と見ればいいんだけど、
ちょっとだけ自分を見ていない裕子が見たくなる。なんだかドキドキして
しまう。一緒にいればいるほどいろんな裕子の顔が見れる。
裕子のその瞳は何だか遠くを見ているように見えた。
はじめて会った時と同じ瞳だなと思った。いつもどこか遠くを見ていて。
その視線の先に何があるのかずっと気になっていた。あの時は、それが何
だか気に入らなくて、自分の方に振り向かせようと、いろいろと試みては
みたのだが、結局あんまり意味がなく、今もその瞳は変わらないまま、こ
うして2人並んで椅子に腰掛けている。
(一生わからなくてもいい。こうして矢口が裕ちゃんの事を見つめ続けて
ればいいんだ)
- 38 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月17日(木)00時31分21秒
- なんとかやぐちゅ〜に持ってこれてホッ。
平家さんごめんなさい。うちの裕ちゃんは矢口しか見えてません。
>I&Gさん
うちの裕ちゃんは矢口にめろめろなんで(笑
ついでに矢口も裕ちゃん一筋な人だし。ありがとうございます。
>まいのすけさん
やぐちゅ〜、がんばります。
みなさんにあきられないように・・。
- 39 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月18日(金)00時15分12秒
- 今度ははっきりと裕子の方を向いて、その人の名を呼ぶ。
「裕ちゃん?」
「ん?」
久しぶりの太陽の光の中でのデートに、裕子は幸せを感じていた。
その幸せが、真里を見つめる時に自然と笑顔になって現れる。
その笑顔見たさに、つい名前を呼んでしまった真里は、パァッと顔を赤ら
めて「なんでもなーい」と顔を背ける。
一瞬「ん?」と顔でしゃべったが、そのまま裕子も正面を向いて、少し溶
け出したアイスをなめる。
「あっ、そや・・」
「なに?」
裕子はニンマリしながら真里に言う。
「再来週の日曜な〜、休みが取れそうなんや」
「ほんとぉ!!」
- 40 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月18日(金)00時18分08秒
- 裕子の勤め先は広告代理店。最近、毎日残業続きで、しかもここ数週間は
休日返上で大きなプロジェクトにかかりきりになっていた為ここしばらく
の二人のやりとりは、電話とメールのみ。
最初は明るく答えてくれていた真里も、ここ最近の電話の声からは、少し
さみしそうな感じが伝わってくるようになった。そんな声を聞いてしまう
と真里にむしょうに会いたくなってしまう裕子。
なんとかやりくりして午後からではあるが時間を作った。
その仕事も後しばらくで片が付く。
そうしたらまずまっ先に真里と一緒の時間を楽しむつもりだった。
こうしてデートするのも、ほんとに久しぶりで、だからまたすぐに会える
と聞いて、真里はすっごく嬉しかった。
「ずっ〜と2人でいられるで」
「ほんとにぃ?、うれしぃー!!」
思わず裕子に抱きついてしまう。そんな真里のストレートな感情表現にか
なり弱い自分。(あかんなー。かわいすぎや)
「だいぶ久しぶりやもんなぁ・・せや、矢口どっか行きたいとこないんか?」
「え?」
「裕ちゃん、どこで〜もつれてったる」
「わーーーい!!!」
またおもいっきり裕子に抱き着く真里がいた。
- 41 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月18日(金)00時19分33秒
- 「あっ!・・」
真里は自分達を見つめるまわりの視線に気づいて、あわてて裕子から離れた。
「へへ・・・」
照れ笑い。思わず目が細くなる裕子。
「どこ行きたい?」
「どこでもいい?」
「うん」
裕子のその瞳に見つめられると、何故だかすごくドキドキしてしまうそん
な自分が恥ずかしくて目線を下に落とす。
「じゃあ・・遊園地に行きたい!!」
「遊園地?」
「うん・・2人だけで・・・ダメ?」
遊園地という言葉を聞いて、ふと思う。
(そういえば、今まで何度か遊びに行ったことはあるけど、いつも必ず誰
かと一緒になってたよなぁ・・)
少し不安げな表情で自分をみつめる真里がなんだかたまらなく可愛くて、
少し意地悪を言ってみたくなったが、そこはグッとおさえ「ええよ」とだ
け言う。
とたんに真里の顔がパッとはちきれんばかりの笑顔に変わる。
「じゃあ、朝、呼びに行くから!!」
アイスを持っている事さえ忘れて、裕子の両手をがしっとつかむ。
「なんだか、すっごーーい嬉しいぃぃ!!」
真里のこんな表情が見れるのなら、休みを取ってよかったなと、なんとな
くそう思った。
- 42 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月18日(金)00時22分15秒
- して・・。
デートの後、裕子は必ず真里を家まで送っていく。
途中何かあったら危ないという思いと少しでも一緒にいたいっていう想い。
この2つを足したら必然的にこうなってしまう。
駅から真里の家まで10分。
空はすっかり暗くなっていて、まだらではあるが星が少し見えていた。
街灯の感覚が少し広いのであろう、街の中まで少し暗い。
時間は8時を少しまわった所。
裕子たち以外の通行人は誰もいなくて、二人はいつもよりくっついて歩いていた。
特に会話するわけでもなく、ただ手をつないで。
- 43 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月18日(金)00時28分25秒
- −裕子の想い−
(矢口の手ってあったかいなぁ)
あたしのよりも少しちいさい真里のその手。
でもあたしなんかよりもぜんぜん力強くて。
矢口は気づいてへんかもしれないけど。
どれだけその手に救われてきたことか。
いっつもあたしの事ギュッてつかんでてくれてて。
迷いそうになる道を矢口がいるから歩けるんやで。
それはある日。
少し肌寒い日。
なにげなく裕子の頬を真里の手がつつむ。
この時あたしは直感した。
『こいつには勝てへん』ってな。
矢口、ずっと一緒に歩いて行こうな。
矢口、ずっとあたしのそはばにいてな。
愛おしい人のそれが力。
- 44 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月18日(金)00時30分32秒
- 裕子は今日一日の真里の表情を思い出す。
待ち合わせ場所であった時の顔。
二人ベンチで話した時の顔。
「嬉しいー」って抱き着いてきた時の顔。
コーヒー飲んで「にが〜い」って泣いた顔。
ガラス越しに洋服を見つめている顔。
そしていま手をつないで帰る時の横顔。
一日一緒にいるだけで、真里は裕子にいろんな表情を見せてくれる。
もっと一緒にいれたらもっとたくさん見れるのに。
自分の仕事がちょっとうらめしい。
「どしたの?裕ちゃん」
どうやら裕子はかなり長い間真里の事を見つめていたらしい。
「ん?なんもないよ」
「うっそ。なんかずっと見てたじゃん、矢口の事」
「そか?」
「うん」
(こいつわかってて聞いてきてるんやろな)
ちょっと得意げになっている真里の顔。
- 45 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月18日(金)00時33分41秒
- あたしがどれだけ矢口の事好きか知ってるか?
あたしの想いはちゃんと矢口に伝わってるか?
ほんとに好きやねんで。
一緒にいてもちょっと悲しくなるくらい。
矢口の瞳を見ていると、めっちゃ息苦しいんやで。
その素直な視線が自分の心をつかんで離さない。
ずっとあたしの事見ててや。
矢口・・・。
「なになに?」
「んー」
「もしかして矢口に見惚れちゃってたとか?」
そう言っている真里の顔は裕子が一番好きな顔で。
裕子を、いじめたくていじめたくてしょうがないっていうその真里の顔。
「あほっ」軽く額をたたく。
「なんだよぉ」
左手でそのたたかれた箇所をさすりながら、ちょっと口をとがらせてふく
らむ頬。そんな表情もまた可愛くて。
自分の想いを素直に伝えたくなる裕子。
- 46 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月18日(金)00時37分44秒
- やっとやぐちゅ〜部分に突入。
最初思ってたよりもかなり長くなってしまってるので
自分、かなりあせってます。
いつになったら終りという言葉がうてるんだろう。
ご感想お待ちしています。
- 47 名前:guardian dog 投稿日:2000年08月18日(金)00時50分52秒
- やぐちゅ〜万歳ではあるが……
みっちゃん……頑張れ。きっと、いつの日かいいこともあるさ。
- 48 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月18日(金)01時35分21秒
- いや〜、甘い〜甘い〜話でようござんす。
- 49 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時09分20秒
- やぐちゅ〜はちょっと休憩。
急に書きたくなった、本題通りの超短いんですけど、一応いちごま」です。
- 50 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時10分06秒
- 「唇からもれるウソ」
覚えている?
市井ちゃんとのはじめてキス。
覚えてない?
後藤が好きだって言ってくれた事。
忘れちゃった?
あたしがどれだけ市井ちゃんの事が大好きか。
あたしはちゃんと覚えているよ。
市井ちゃんと過ごしたたくさんの時間。
告白した事。
キスした事。
あたしの想い。
市井ちゃんの言葉。
- 51 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時11分03秒
- きっとそうだ。
市井ちゃんは忘れちゃったんだ。
あたしの前からいなくなっちゃう時に。
全部忘れちゃったんだ。
あたしの想いも市井ちゃんの言葉も。
だから連絡くれないんだ。
だから会ってくれないんだ。
市井ちゃん。
声が聞きたい。
前みたいに。
優しくあたしを呼んでほしい。
後藤に会いたいって。
後藤が大好きって。
- 52 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時12分04秒
- 二人だけでダンスの練習。
部屋には他にだれもいなくて。
まだ身に入りきらないステップを。
繰り返し繰り返し。
でもぜんぜんうまく踊れなくて。
止められるテープ。
途切れる集中力。
聞こえてくる市井ちゃんの息づかい。
感じるのは市井ちゃんのその真剣な眼差し。
- 53 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時12分43秒
- 「やる気がないなら帰れよ、後藤」
いらつきを含んだ強い口調。
あたしは何も答えられなくて。
「もう1回やってみよう」
あたしの気持ちがわかってくれて。
巻き戻しのボタンを押す指。
「やったじゃん!!ごとぉぉ!!」
自分の事のように一緒になって喜んでくれる。
抱きしめてくれる市井ちゃんの腕。
「なに泣いてんだよ〜」
市井ちゃんの顔がくしゃくしゃの笑顔に変わる。
肩に置かれた手にすごいドキドキしてた。
- 54 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時13分21秒
- 「市井ちゃん大好きだよぉ」
がまんできなくなって今度はあたしから抱きしめた。
大好き。
大好きだよ、市井ちゃん。
市井ちゃんは何にも言わずあたしを抱きしめてくれて。
抱きしめてくれて。
「あたしも後藤の事好きだよ」
二人の間に流れる緊張感。
市井ちゃんから視線を外せないあたしと。
あたし以外誰もいない市井ちゃんの瞳と。
- 55 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時13分54秒
- ゆっくり、ゆっくりと近づく二人の顔。
絡み合う視線。
閉じる瞼。
市井ちゃんの匂い。
そして。
重ねられる唇。
時が止まる。
聞こえてくる二人のドキドキ。
あたしの方がちょっと早いかな。
背中にまわされた腕。
ギュッとつかむ市井ちゃんの服。
あたしの背中をなでる市井ちゃんの手。
止まらないドキドキ。
- 56 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時14分26秒
- きっともう忘れちゃってるんだろうな。
でもね。
あたしはちゃんと覚えてる。
あの時の市井ちゃんのやらわかさ。
あの時の市井ちゃんのあたたかさ。
あの時の市井ちゃんの優しさ。
- 57 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時15分18秒
- 市井ちゃんは言ってくれた。
「ダイスキダヨ」
市井ちゃんが大好き。
「アイシテルヨ」
あたしも・・愛してる。
「ズットコウシテイヨウ」
このままずっと。
「ソバニイルヨ」
そばにいて。
それなのに。
「ダイスキダヨ、マキ」
うそつき。
「アイシテル、マキ」
うそつき。
「マキトズットコウシテイタイ」
うそつき。
「マキノソバニイルカラ」
うそつき。
市井ちゃんのうそつき。
- 58 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時15分59秒
- あの時の残酷なまでの甘いささやきは。
私から今までのすべてを奪い去り。
市井ちゃんしか見えなくさせる。
それなのに。
市井ちゃんは忘れちゃったかも。
あたしに言ってくれた言葉なんて。
でもまだあたしは。
市井ちゃんの言葉(ウソ)にとらわれている。
ベッドの上で思い出す。
その唇からもれた甘い言葉(ウソ)を。
- 59 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月19日(土)02時24分07秒
- どうやら自分は後藤にさみしい思いをさせるのが好きみたいです。
まだ市井ちゃんを引きずってる後藤。
でもなんとか前に進もうとしている後藤。
↑のは前向きじゃないですけど(笑
ご感想お待ちしています。
- 60 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月19日(土)23時03分58秒
- せつね〜な〜。自分は甘いいちごまが好き。
- 61 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月20日(日)00時48分45秒
- お返事遅くなってすみません。
>guardian dogさん
平家さんですか。いいことあった方がいいですか?(笑
自分も書いててこのままじゃちょっとかわいそうかなと。
>48さん
今回の更新部分は、がんばってもうちょっと甘くしてみたつもりです。
ていうか、ほんとに単に甘いやぐちゅ〜モノが書きたいだけなんです。
なかなかうまく描けないんですけど。
>60さん
自分も甘々いちごま大好きなんですよ。
でも書けないっす。なぜだ?なぜなんだ?
では、やぐちゅ〜の続きです。
- 62 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月20日(日)00時49分58秒
- 「矢口が恋人で裕ちゃんしあわせやな〜って」
「・・・・」
(ほら何も言えへんくなった)
「ば〜か」
きっと明るい所にいたらはっきり見れたであろう真里のその顔を想像しな
がら裕子はつないだ手をさらにギュッと強く握った。
- 63 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月20日(日)00時50分51秒
- 家の近くの電信柱の影。
いつものように両手を握り合ったまま、キスをする。
背の低い真里の為にちょっとかがんで。
「大好きだよ、裕ちゃん」
真里の言葉。いつも別れる時に必ずささやいてくれる言葉。
何度聞いても幸せな気持ちになれる。
「あたしもや、矢口」
「うん」
そしてまたキスをする。
すごく甘い、心が満たされるキス。
できればこのままずっと朝まで一緒にすごしたいという想いが出てきてし
まう。それでもやっぱり二人はここで別れなくちゃいけない事はわかって
いて。
- 64 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月20日(日)00時51分59秒
- 「じゃ、日曜ね」
「ん」
「9時に行くからね」
「ん」
「ちゃんと用意してるんだぞ」
「ん」
みつめあう瞳。
お互いなかなか離れづらくてその両手をさらに強く握り合う。
「おやすみ、矢口」
先に裕子が言う。
「おやすみ、裕ちゃん」
それに真里が答える。
手が離される。
この瞬間、たまらなくさみしくなる。
真里のぬくもりが空気にとけてしまうようで。
- 65 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月20日(日)00時53分19秒
- 玄関に入る少し手前で、真里が振り向く。
そして声に出さずにつぶやく。
『大好き』
裕子はとろけまくりの笑顔で答えるのだった。
- 66 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月20日(日)00時54分26秒
- −裕子と平家がいる飲み屋−
二人がカウンターに座ってからかなり時間がたっていた。
店にいた客の数も少なくなっている。
そして二人のまわりにはすでに誰もいない。
裕子はすっかりそのカウンターにつっぷしており、平家の動作を見ている
とすっかり眠り込んでしまっているようである。
「ねえさん?・・お〜い?いい加減、目ぇ覚まし〜な」
「や・・ぐち〜ぃ」
「はいはい、あたしはみっちゃんやで〜」
(なにが悲しゅうて、恋人とデートしてる夢を見てるヤツの世話しなあか
んのや)
- 67 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月20日(日)00時55分33秒
- 途中まではちゃんと起きていたのに、二人でアイス食べていたという辺り
から裕子の意識はあやしくなって、そのままごく自然に眠り始めてしまっ
たのだ。普段の裕子の仕事ぶりを知っていた平家は、そのまま少し寝かせ
てあげることにした。
さっきから聞こえてくる裕子の寝言から、彼女が見ているであろう夢が少
し想像できる。
「わか・・・て・・るて、や・・ぐちぃ」
(ねえさんは夢の中であの娘とどんな会話してるんやろ)
- 68 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月20日(日)00時57分30秒
- 平家さん復活です。
さぁ、これからどうしましょう(笑
- 69 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月20日(日)06時08分42秒
- イェー、平家さんふっかーつ!
「人は眠るから、寝込みを襲うことができる!!」
と、どこかの演劇でやってたのを思い出します。
- 70 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月20日(日)19時43分14秒
- ファイっ!
- 71 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月21日(月)23時47分05秒
- いやぁ、まじでこれからどうしましょって感じなんすよ。
やっぱり、平家さんにがんばってほしいって方が多い・・・ような気がします。
むむむ。
というわけで、まだ続きどっちにしようかなやんでるんで。
とりあえず、ぜんぜん関係ない「超短いけどいちごま」更新です。
続き・・・続き・・・。平家さんおいしいですよねぇ(笑
- 72 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月21日(月)23時50分42秒
- 「泣き笑顔」
あたしはほんとはさみしがりやで。
あたしはほんとは泣き虫で。
誰かに支えてもらわないと。
自分のいる場所さえもわかんなくなる。
どこに進めばいいんだろう。
どこへ行けばいいんだろう。
そんな事ばかり考えてると。
なんだか涙が流れてくる。
これくらいで泣いちゃうんだよな、あたしって。
なんて弱いんだろう、あたしって。
いかんいかん。
泣いちゃだめだぞ、市井紗耶香!!
これくらいで泣いちゃだめだぞ。
- 73 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月21日(月)23時52分13秒
- このままじゃいけないって事しかわかんなくて。
何かを変えなきゃってただ気ばかりあせってる。
何を変えなきゃいけないか。
それさえもわかっていなかったくせに。
ただとにかく今のままじゃいけないって。
それしか考えられなかった。
今のままのあたしでいいのか?
ずっと、ずっとこのままでいいのか?
- 74 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月21日(月)23時54分02秒
- だめだ。
それじゃだめだ。
前に進まなきゃ。
ここで止まっちゃいけないんだ。
前に、前に進んで行かなきゃ。
昔の市井にはできなかった事も。
今の市井にはできるんだから。
あたしにはそれだけのパワーがある。
みんなからもらったパワーがある。
あいつからもらったパワーがある。
ここで使わないでどこで使う。
そうだ・・・きっとそうなんだ。
- 75 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月21日(月)23時55分00秒
- 階段を一段上がる為に。
今こそパワーを使う時。
あたしの本気を見せる為に。
今こそパワーを使う時。
さみしくないなんて言えば嘘になるけど。
みんなには・・あいつには見ていて欲しい。
あたしの姿を。
これからのあたしの姿を。
前へ進むあたしの姿を。
- 76 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月21日(月)23時56分11秒
- だから。
だからさ。
泣くなよ、後藤。
そんな顔して泣くなよ、後藤。
あたしは絶対戻ってくるから。
後藤のとこへ戻ってくるから。
強くなって戻ってくるから。
昔も今もこれからも。
あたしの帰ってくる場所は。
後藤、あんたのとこだけなんだから。
絶対笑顔で帰ってくるから。
だから。
だからさ。
泣くなよ・・・後藤。
笑顔のくせに泣くなよ、後藤。
- 77 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月22日(火)00時04分14秒
- >69さん
それってやっぱりそ〜ゆ〜意味ですよね?
今、かなりかたむいてきてます。
このまま平家さんで・・・って(笑
襲わせてみましょうかしら。
>70さん
ありがとうございます。
がんばります。その一言が元気をくれるんです。
- 78 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月23日(水)13時20分58秒
- やぐちゅ〜・・・。
この先どーなるのか?!・・・気になりますな。
- 79 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月23日(水)19時12分21秒
- 50からのショート(ごまの)すごいイイです。せつねェ。
- 80 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時46分15秒
- やぐちゅ〜好きな自分なのに。
このままでは、平家さん大爆発になってしまいそう。
やべえっす。
では、「笑顔のおいしさ」更新です。
- 81 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時47分17秒
- (だまってるとむっちゃ綺麗な人なんやけどな)
隣に眠る裕子の寝顔は、普段の彼女と印象がガラッと変わってしまい、な
んだかとても子供っぽくて、おもわず見惚れてしまいそうになる。
ただ単に、裕子は眠っているだけなんだろうけど、そんな無防備に目をつ
むられてしまうと、なんだか自分にすべてを預けているように見えてきて。
(あかんあかん、んなわけないやんか)
夢の中の彼女にむかってしているだろう微笑みを、少しだけ見せてくれる
裕子はを、やっぱりちょっと罪作りな女だと思った。
「あ・・・い・・たい・・んよ」
少し眉間を寄せて悲しそうにつぶやく。
平家もそんな裕子を見ていると、自然と同じ表情になってしまう。
裕子が会いたいと願うのは、彼女ただ一人で。
そんなことは今更って感じなのだが、やっぱりこうも言われてしまうと平
家の心は苦しくなっていく。
- 82 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時47分49秒
- 「あたしもねえさんにもっと会いたいんやけどなぁ」
そっと裕子へとのびていく手。指先がそのやらわかそうな髪にかすかにふ
れた。サラリと流れていく前髪。あらわになる閉じられた瞳。
無防備な寝顔。一気にあがる心拍数。
頬にふれてみたいという想い。移動する指先。
そこで動きが止まってしまう。
後、後一歩前に進めないもどかしさ。
平家はためいきをつく。
(なんか・・せつないなぁ)
- 83 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時48分31秒
- −平家の想い−
なんでこんなヤツ好きになってもたんやろ。
なんか・・・人生最大の汚点かもしれへん。
中澤裕子。
すぐ人の事いじめるし。
平気でめっちゃたたいてくるし。
あいさつがわりにケリやしなぁ。
それに。
それにもう、かわいい恋人までいてるしさ。
はじめて見た時、綺麗やなってただそれだけやった。
関西人特有のノリのよさと華麗なつっこみと。
たまにやりすぎてきつい印象与えることもあるけど。
いつも笑顔でまわりのみんなを引っ張ってって。
- 84 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時49分09秒
- でも・・・。
でもあたしはわかってしまった。
ほんまはめっちゃ泣き虫な人。
ほんまはめっちゃ寂しがりやな人。
いつかプツンと切れてしまいそうな、そんなフインキを持った人。
強がりばっか言ってあたしの事笑いとばしたかと思えば。
こうやってお酒の席でめっちゃ甘えてくるし。
なんかなぁ。
この人ってなんなんやろ。
あたしにこうやって、平気で彼女ののろけもしてくるし。
なあ、中澤裕子さん?
あたし、あんたのこと好きなんやで。
こぉやって見てるだけで心臓なんかめっちゃドキドキしてるんよ。
- 85 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時50分58秒
- みっちゃんは押しが弱いんやって。
あたしの仕事ぶり見てたしか前にそう言ってたやんか。
プライベートでもそうなんかって。
まぁ、確かにそうなんやけどね。
でもなぁ。
このままじゃあかんては思ってるはいる。
ほんと、好きな人には好きやって言わなあかんもんな。
ちゃんと好きって伝えなあかんもんな。
でもなぁ。
それが一番むつかしいんや!!
- 86 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時51分37秒
- 「や・・・ぐ・・・・」
この人が呼んでいる名前は、やっぱりあたしじゃなくて。
いま、こうしてそばにいるあたしの名前やなくて。
「なぁ、なんであたしの名前呼んでくれへんの?」
相手には聞こえないように、小さな声でつぶやく。
好きやで。
他に相手がいるってわかってても。
やっぱり大好きや、ねえさん。
グチでものろけでも何でもいい。
全部聞いてあげるから、ずっと一緒にいてもいいやろ?
な、ねえさん。
- 87 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時52分23秒
- 裕子が眠りこんでから30分。
さすがの平家もそろそろ起こさなければと思いはじめていた。
「ねえさん?そろそろ起きなぁ?」
「ん・・・・・んぅ・・」
(また色っぽい声出さはるし)
「時間、やばいで?」
「ん〜〜〜」
このままではいつまでたっても埒があかない。
今度は強引に肩を揺すりながら。
「ねえさーん、起きんとまじで襲っちゃうよー」
「!!」
その言葉を言った瞬間、裕子の瞳がカッと開き、いきなり上半身を起こす。
- 88 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時53分13秒
- 「おわっ!!」
あまりに突然だったので、驚いた平家はおもわず椅子から立ち上がり、その
拍子にひじの近くにあったコップをひっくり返してしまう。
いきおいよく広がっていく水割り。
「あ〜ぁ、なにしてるんや、みっちゃん」
慌てる平家をよそ目に、その流れるお酒を見つめながらもったいなさそうに
言ってくる。
(あんたのせいや!!)
つっこみを入れたい気持ちを一生懸命がまんして、とにかく拭くものは拭か
なければ。自分と裕子のタオルを2枚使って、なんとかその場を元に戻す。
「起きてるんならちゃんと起きて〜な〜。びっくりするやんかぁ。急になん
やねん」
「いや・・・なんか殺気を感じてな」
「またそれかい」
(この人はあたしの気持ち知っててからかってるんとちゃうやろか)
- 89 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月23日(水)23時57分53秒
- 自分で書いててあれなんすけど(笑
平家さん、かなりいいかもですね。
>まいのすけさん
やぐちゅ〜、どうなるんでしょ。
自分も気になってます(笑
甘いやぐちゅ〜を書くはずだったのに・・がんばります。
>79さん
ありがとうございます。
ああゆう感じだったらいくらでも出てくるんですけど。
いかんせん、「言葉」があんまり出てこないです。
なんか、国語力の低さばればれっすね。
後藤に悲しい想いさせるのが好きで。
- 90 名前:ムーミン 投稿日:2000年08月24日(木)01時22分40秒
- 平家に幸あれ。
- 91 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月24日(木)01時44分35秒
- 「華麗なつっこみ」って所で笑ってしまった。
いいっすねぇ、平家さん。AXELに投票せねば!(笑
- 92 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月24日(木)03時13分24秒
- こんな夜中に失礼します(笑
>ムーミンさん
幸せになってほしいですよね、平家さん。
でもっでもっ・・・葛藤中。
>91さん
ありがとうございます。
平家さんにかなり傾きかけてきてます。
おかしい・・やぐちゅ〜話だったのに。
「超短いんですけどいちごま」更新です。
今回は後藤にあんまり悲しい想いをさせないようにと。
- 93 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月24日(木)03時15分41秒
- 「もっともっと」
ついさっき別れたばかりなのに。
ついさっきまで一緒にいたのに。
でもすぐに会いたくなる。
今日も一日中一緒にいたのに。
朝から晩まで一緒にいたのに。
でもすぐに会いたくなる。
あたし、いつからこうなっちゃったんだろ。
明日になればまた会えるのに。
その時間さえも惜しい気がする。
仕事でもオフでも会っているのに。
それでも足りない気がする。
なんだか穴があいてるみたいに。
いつまでも満たされない心。
あたし、なんでこうなっちゃったんだろ。
- 94 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月24日(木)03時16分48秒
- 前はこんなに誰かに会いたいって思った事なかったのに。
こんなに一緒にいたいって思った事なかったのに。
考えれば考えるほど不思議なんだよね。
どうしてここまで執着してるんだろ。
なんであの人の事しか出てこないんだろ。
いったい、あたしの中で何が変わったの?
このもやもやした気持ちってなんなの?
- 95 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月24日(木)03時17分37秒
- 「いちーちゃん」
電車の中でその人の名前をつぶやいてみる。
みんなといる時も考えてる事は市井ちゃんの事で。
こうやって一人でいる時も浮かんでくるのは市井ちゃんの事で。
いつも、いっつも思い出すのは市井ちゃんの事ばかりで。
今日の朝、あたしのあいさつに笑顔で答えてくれた市井ちゃん。
移動中に小声で話してくれた市井ちゃん。
眠りかけたあたしをそのまま肩で支えてくれた市井ちゃん。
収録の合間に一緒に遊んでくれる市井ちゃん。
なんだかすっごく嬉しくて。
意味もなく抱きついちゃったりしちゃったんだけど。
その時の振り向いた顔がまたかっこよくて。
そのままずーっとひっついてた。
- 96 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月24日(木)03時18分17秒
- 「なんでかなぁ」
電車の中で独り言。
これってさ。
これってやっぱり好きって事なのかな。
ずっと一緒にいたいっていう気持ちは、好きって事なのかな。
でもさー、好きってなんなんだろ。
それだったら娘。のみんなの事だって好きなんだし。
一緒にいてすごく楽しいし。
でも、なんか。
なんか少しだけ違う気がする。
市井ちゃんへの好きとみんなへの好きが。
どこが違うかははっきりわかんないんだけど。
やっぱりなんか違う気がする。
んー。だめだわかんない。
いったいこの気持ちがなんなのか。
今のあたしにはわかんない。
誰でもいいから教えてほしい。
- 97 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月24日(木)03時19分26秒
- いつか・・・わかる時がくるのかな。
この気持ちが何なのか。
いつか・・・わかる時がくるのかな。
あたしの好きっていう気持ち。
市井ちゃんの事見てたらわかる時がくるのかな。
「あ〜ぁ」
何度目かのため息。
はやく明日になって下さい。
はやく市井ちゃんに会わせて下さい。
その為にあたしは家に帰るんだから。
すぐにでも会いたい気持ちをぐっと押さえて。
あたしは家に帰るんだから。
- 98 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月24日(木)03時20分22秒
- もっともっとあなたと一緒にいたい。
もっともっとあなたを側で感じていたい。
もっともっと。
もっともっと。
- 99 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月24日(木)06時04分19秒
- せつねーな、ごとー。いちーの笑顔が浮かぶよ
>たれきりんさん
傾く所か、倒れてしまいましょう(ワラ
- 100 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月25日(金)04時06分08秒
- またしてもいちごまで更新。
今回のは「ちょっとだけ長いけど一応いちごま」っす。
ご感想お待ちしています。
- 101 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月25日(金)04時07分03秒
- 「日焼け止め」
今は夏。
当たり前だけど、毎日がとてつもなく暑い。
今の季節、朝起きると必ずやる事。
「どうか涼しくなってください」
でもそんな願いをしてみても、気温は毎日どんどん上昇中。
暑くて暑くて。
ほんとに暑くて。
とてもじゃないけど我慢できない。
こんな所でだらだらしてちゃだめだ。
どこかに、どこかに行かなくちゃ。
毎日毎日ずっとおんなじ事考えて。
「うぉぉぉ!!暑い!!」
とうとう限界を超えてしまった。
だからあたしはここに来た。
白い砂浜。
照りつける太陽。
どこまでも続く青い空。
そう、ここはまぎれもなく、海!!
あたしは今、海に来てるんだ。
- 102 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月25日(金)04時09分12秒
- やっぱりここに来ないと夏ははじまらない。
大きく息を吸い込んで、潮風で体の掃除しようとしたちょうどその時。
「いち〜ちゃん!!」
「うわっ!!」
背後からいきなりタックルかましてくるヤツが一人。
あまりの爽快感にすっかり忘れてた。
こいつと一緒に来てたんだ。
ほんとは一人で来るつもりだったのに。
つい、こいつにだけ口をすべらしてしまった。
言ってしまってからすごく後悔。
だって、こいつが次に言い出す事がわかりすぎるくらいわかっちゃって。
あたしの予感は100%
何を言っても聞き入れてくれない。
だから、こうして二人で海にいます。
- 103 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月25日(金)04時14分59秒
- 「すっごいきれーだねぇ」
単純に海の綺麗さに感動してるみたいに、あたしを後ろから抱きしめながら、
後藤はお気楽につぶやいた。
あたし達が今いる場所は、潮風がちょっときつめなんだけど、後藤の顔があ
たしの耳のすぐ近くにあるもんだから、もろその息遣いが直撃で、くやしい
けどちょっとだけ感じてしまった。
身体がすこーしだけビクッてなってしまうのも止められなくて。
「どしたの?市井ちゃん」
ちっ、こーゆー事だけ妙に敏感なヤツなんだよな。
「なんかおかしいよ?」
あーだから耳元でしゃべんなって。
「なんでもない」
「なに?ん?ん?」
も〜、いいからほっといてくれ。
んな事言えるわけないだろうが・・・後藤の声に感じちゃったなんてよ。
しかし、こんなとこで・・・ってなんでおまえあたしに抱きついてるんだっ。
海岸線を見下ろせるちょっとだけ小高い砂の山の上に。
まわり(でもかなりの小人数なんだけど)の注目をあびながら、抱き合ってい
る女の子2人。
やっとそのことに気づいたあたしは、後藤の腕を振りほどきにかかる。
- 104 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月25日(金)04時16分31秒
- 「いいかげん離せよ〜。暑いじゃねぇか」
「えー、いいじゃん。後藤はぜんぜん暑くないから」
「あたしが暑いんだよ!!」
ちょっときつめに声を出して、その腕をほどく。
「市井ちゃんのいじわるー」
後藤がちょっと口をとがらせて、すねてみせた。
はいはい、あたしはいじわる野郎です。
あんたに言われなくてもちゃんと自覚しています。
なんとでも好きなだけ言って下さい。
でも。
そのすねたとこもかわいいなんて思ってることは。
その顔が見たくてわざといじめちゃってることは。
後藤には絶対に気づかせないんだからな。
- 105 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月25日(金)04時21分06秒
- 「ほら、とっとと行って泳ぐぞ、後藤」
まだ口をとがらせていた後藤の頭をポンとたたいたその瞬間。
すねてた顔が一気に、こっちまでもがとけてしまいそうな笑顔に変わる。
それを目の当たりにしたあたしは、だまって後ろを向くのが精一杯だった。
あたしは砂浜へと下りながら、自分勝手にドキドキしている心臓に、一生懸命
喝を入れていた。なんであいつはあたしが何かするたびに、あんなに嬉しそう
な顔するんだろ。なんで、なんでなんだろう。
その後藤の笑顔には、ちょっと・・・ほんとにちょっとだけなんだけど、惚れ
てしまいそうな魅力があって。
「あー。待ってよぉ、市井ちゃーん」
心中穏やかでないあたしの後を大慌てで追いかけてくる後藤。
それに気づいてわざと早歩きで逃げるあたし。
- 106 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月25日(金)04時29分01秒
- とりあえずはここまでっす。
今回のは甘〜く甘〜くをモットーにして書いてみました。
なんだか自分の書くいちごまって悲しいのばっかなので。
たまにはこういうのもいいんではないかと。
>99さん
悲しい後藤LOVEなヤツなので(笑)あぁ、もっと悲しませたい。
ハハ、ぜひ倒れ込ませてみたいっす。
題名がそのまんまなので、内容わかっちゃった方もいらっしゃると
思うんですけどとりあえずもう少し続きます。
- 107 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月25日(金)18時31分51秒
- 甘党的にはバンザイって感じっす。(ワラ
- 108 名前:Hruso(超甘党) 投稿日:2000年08月26日(土)00時44分31秒
- バンザ〜イ(笑)
- 109 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月26日(土)23時43分02秒
- はい、「日焼け止め」続きっす。
- 110 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月26日(土)23時44分10秒
- 「市井ちゃーーーん」
後藤の声がちょっと遠くに聞こえた。
そしてその後に続く「よーし!!」という言葉と砂の音。
やっぱりダッシュで追っかけてくるな。
よしよし、じゃいつものように逃げてやろうかな。
あたしは後ろを振り向いて、後藤にむかって舌を出して、思いっきり歩くスピー
ドを上げた。
「市井ちゃん、待てよぉぉ!!」
「待たん!!」
意味があるのかないのか、きっと2人ともかなり真剣におっかけっこしてた気
がする。逃げるあたしに追う後藤。なんか考えただけでもドキドキはいっそう
強くなっていく。
こうやって、追っかけてきてくれるヤツがいるっていうのは、やっぱりすごく
幸せな事なんだよな。あいつが絶対追っかけてきてくれるって思っちゃってる
あたしは、ほんとにすごく幸せなんだよな。
- 111 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月26日(土)23時44分41秒
- 最後はいつも。
必ずあたしは後藤につかまって。
必ず後藤はあたしをつかまえて。
アハッて得意げに笑う後藤と、一応くやしがってみるあたし。
それってなんかいい感じ。
だから今日も結局は後藤につかまっちゃって。
この場合、体当たりされたんだけど。
その勢いで、あたしはバランスを崩して砂浜に倒れこんだ。
「ちくしょー、またつかまっちまったぁぁ」
ぜえぜえ言いながら2人おもいっきり笑い合う。
「あち〜〜、まじであち〜って」
「もぉ・・・市井ちゃんが逃げるからだよぉ」
なんかかなりバカだな、あたし達って(笑)
- 112 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月26日(土)23時46分06秒
- さて。
そろそろ息も落ち着いてきて。
あたしと後藤は、早速、海で泳ごうと着ていた服を脱いでいった。
二人とも服の下にちゃんと水着をしこんでいたのだ。
はやく、あの海に入りたい。
あこがれの海が今、目の前に!!
海水の冷たさを待っているあたしの身体。
早く脱げって後藤に言おうと視線を移したちょうどその時。
あいつはTシャツを両腕でまくって脱ごうとしてるとこだった。
それも途中で引っ掛かっているのか、モゾモゾしてて一向に脱ぎ終わらない。
あ、あいかわらずでかいじゃねーか。
あたしの視線は一点集中。
いやぁ、目の前にこんなのあったら見ちゃうって。
- 113 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月26日(土)23時46分38秒
- 「市井ちゃーん・・・」
シャツを頭に被ったまま、後藤は弱々しくあたしの名前を呼んだ。
「取れないよ〜」
「なんだぁ?」
さっきまで自分の胸を見つめられてたなんて気づいてない後藤は、泣きそうな
声であたしに助けを求めてくる。
こいつ、まるで子供じゃねーか。
ったくさーあたしがいなかったらどうすんだよぉ。
体ばっかり大きくなって。
後藤のまん前に立って、引っかかってる服をつかんでやる。
「せーのでひっぱるからな」
「はーい」
引っ張る前にちらっと視線を下にずらした事は後藤には絶対ないしょだ。
- 114 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月26日(土)23時48分02秒
- 無事、Tシャツも脱ぎ終えて。
先に着替え終わっていたあたしは、砂浜の上にガッと立つ。
ん〜、いい風だ。
海があたしを呼んでるぜ!!
一生懸命『海に対して』テンションを上げる。
そうしなきゃ、あたしの頭の中は後藤の事でいっぱいになっちゃいそうで。
「この日の為に買ったんだよ〜」
「市井ちゃんに見せたくて♪」
「似合う?」
後藤の言葉で、あたしは海の存在なんて忘れてしまった。
いかんいかん、このままではいかん。
あたしは海で泳ぎたくてここにいるんだ。
決して後藤の水着姿を見るためでは。
- 115 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月26日(土)23時48分35秒
- かなりいいかげんな準備体操と。
はやく海に飛び込んでいきたいっていう気持ちと。
でもやっぱり後藤の水着姿が気になっている、あたしと。
「行くぞぉぉ!!」
そんなふうに思ってることなんか、決して悟られないように。
あたしは海に向かって気合一発、大声で叫んだ。
「だめだよー、市井ちゃん。これしなきゃ」
「へ?」
海へ向って一直線のあたしにむかって後藤はほにゃ〜と声をかけてきた。
なにをするっていうんだ?
準備体操ならさっきやったぞ?
- 116 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月26日(土)23時51分49秒
- ニコニコしながら後藤はあたしに手招きする。
そんな笑顔で手招きされちゃ行かないわけにはいかんだろ。
ふらふらと後藤に近づいてしまうあたし。
「なんだよ?」
わざとぶっきらぼうに聞いてみる。
「これしなきゃやばいでしょー、市井ちゃん」
そう言って目の前に差し出された・・ん?なんだそりゃ?
わかんないって顔してるあたしにちょっと驚きながら後藤が言う。
「あー、だめだよ市井ちゃん。いつもあたしに言ってるじゃん」
「ちゃんと娘。としての自覚持てって」
だからなんだよ、それ。
その時のこいつの顔っていったら。
なんだかとても自慢気で。
まさに『フフン』って感じで。
ちょっとかわいいぞと思ってしまった。
「ひ・や・け・ど・め」
勝ち誇った顔でそう呟いた。
- 117 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月26日(土)23時53分05秒
- あー、はいはい。そーゆーことっすか。
ただ海で泳ぎたいってことしか頭になかったあたしは、すっかり忘れてしまっ
てた。たしかに後藤の言うとおり、今の時期に日焼けなんかしたらやばいよね。
ちらっと後藤の顔を見る。まだ残っているその憎らしい笑顔。
「忘れてた」
「だめじゃーん」
なんか、かなりくやしいじゃないか。
教育係の面目まるつぶれ。
いつのまにこんなにしっかりしてきたんだろ、こいつ。
「はい」
「はい?」
いきなりその容器を目の前に差し出された。
またわけわかんない表情になるあたし。
つい受け取っちゃったけど、あたしが先にぬれってことか?
「ぬってよ、市井ちゃん」
その言葉に固まってしまった。
後藤の「ぬってよ」って言葉。
ぬってよ?
誰が?
あたしが?
容器と後藤の顔を交互に見つめて、首をかしげた。
- 118 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月27日(日)00時22分43秒
- あぁ、展開ばればれっすねぇ。
ま、それはそれはとして(笑
>まいのすけさん
ばんざい、ありがとうございます。
がんばって甘く目指します!!
>Hrusoさん
引き続きありがとうございまーす。
次回、市井ちゃんドキドきシーン突入っす(ほんとか?)
今までレスつけて下さったみなさん、ほんとにありがとうございます。
読んでてもらえてるってホッとしてたりして。
これからもがんばります。
- 119 名前:Yambo 投稿日:2000年08月27日(日)10時55分11秒
- いいっすねぇー、甘いっすねぇー。
ドキドキシーン期待します。
- 120 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時27分32秒
- 「なんで?」
後から考えたらなんてまぬけな発言なんだろう。
でもその時は言葉の意味を理解してなくて。
「なんでってー」
なんでそんな事言ってるの?って感じの後藤。
「一人じゃ背中とかぬれないじゃん」
あ〜はいはい・・・はい!?
それって・・・あたしにぬれってこと?
後藤の背中にぬれってこと?
なっ、なに言い出すんだお前は!!
「市井ちゃん・・・」
「なんだよっ」
「顔が赤いよ(笑)」
なんかいつもと立場が逆転してるじないかよぉ。
なんでこいつが余裕の表情しててあたしがあせってなきゃなんないんだ。
ちきしょー、くやしいぜ。
「わかったよ。ぬってやるからさっさと寝な」
照れ隠しの強めの口調。
後藤はなんだかニヤニヤしてるし。
すっかりこいつのペースにはまってる気がする。
- 121 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時28分44秒
- あたしの言葉を聞いた後藤は「ヤッター!!」って叫んでそのままころんと寝
転んだ。こいつたしかまだ14だよな。これってかなりの誘い文句の様な気が
するんだけど。ま、別に女の子同志だし、誘ってるってわけじゃないだろうけ
どさ・・・っていうか、誘い文句って思ってるあたしがおかしいのか?
手のひらに日焼け止めを落とす。
ちょっと冷たくていい感じだ。
それをゆっくり広げて。
いかん、ドキドキしてきた。
「じゃ、ぬるからな」
「うん♪」
おまえさー、簡単に答えるなよぉ。
大きく1つ深呼吸をして後藤の背中に手をあてた。
なんでこんなに緊張してるんだ、あたし。
「・・・・・・・・・」
二人とも無言で。
- 122 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時29分35秒
- 最初に肩に手を当てた。水着の部分をさけながら。
ちょっとピクッてふるえる後藤の肌。
あたしの手も一緒にふるえる。
いま、直に後藤の肌にさわってるんだよな。
そんな事考えると、なんだか妙な気分になってくる。
あたしはそのままゆっくりと手を下ろしていった。
後藤の背中って綺麗だよな。
普段あんまり間近で見れない箇所。
あたしの手に伝わってくるこの感触。
それがやけに気持ちよくて。
ドキドキは最高潮。
首の後ろから肩の先まで丁寧にぬっていく。
日焼け止めのおかげで後藤の肌はだんだんなめらかさを増していった。
後藤の背中・・・・。
その時なぜかニヤけてしまってる自分に気づいた。
おいおい、市井。
なんでニヤけてるんだよぉ。
日焼け止めぬってるくらいで。
なんでこんなに嬉しがってるんだよぉ。
いかんいかん。
相手は後藤じゃんか。
落ち着け〜落ち着くんだ、市井。
真面目な顔に戻そうと努力してみる。
ってなんで努力してるんだ?
- 123 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時30分29秒
- ん〜」
「市井ちゃん?」
あたしは手を止めて考え込んだ。
これぬるのにちょっと水着がじゃまだななんて思ってしまって。
まー、できないこともないんだけど、でもちょっとじゃま。
「ねー、後藤。水着取んない・・?よね?」
「えぇーッ!!なんでぇー!?」
「なんかうまくぬれないっす」
液体が水着につかないようにするのは至難の技で。
で、がんばってよけるんだけど、やっぱりどうしても指先が当たっちゃって、
スムーズにぬれない。
「そんなちゃんとぬらなくていいから、市井ちゃん」
「そ?」
「うん」
「水着がなかったら完璧にぬれるんだけどなぁ」
そう言ったあたしの頭に浮かんできたのは、水着をはずした後藤の姿。
前を両腕でかくして、あたしに背中を向ける後藤の姿。
うぉっ!!それってかなりやばいかっこじゃん。
「だって、はずしちゃったら恥ずかしいよ〜」
た、確かにそうだ。
当の本人はもちろん恥ずかしいだろうし、それよりもまずあたしが恥ずかしい
かも・・・あたし何言ってんだ。
後藤に水着取れだなんて。あぶねーあぶねー。
- 124 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時31分49秒
- 「ここぬり終ったから、次に行きます」
苦戦しつつもなんとか肩の部分をぬり終わらせて。
視線を下の方に動かした。
あたしはさらに日焼け止めを手のひらに継ぎ足す。
ちょっとだけ起き上がってあたしの顔を見る後藤。
「ん・・・」
なんだか妙に熱っぽさを感じたぞ、その返事。
なんだか妙に色っぽいぞ、後藤。
「じゃ・・・ぬるよ?」
自分でもなんでこんなに真面目な顔して後藤に聞いているのか。
もうなにがなにやらわかんねー状態っす。
今度は、そっと・・・そっと腰に手をあてた。
「ッ・・・・・」
さっきよりもあきらかに動きが大きくなる後藤。
声には出てなかったけど、微かに息がもれてた。
そっちの方がだんぜんエッチっぽくて・・・。
なんかちょっと変な気持ち。
ちらっと後藤の顔を見てみると。
なにかに耐えてるってそんな表情。
声なんかよりもれる息なんかより。
ずっとずっとあたしを刺激するその表情。
そんな顔するなよ〜。
なんか恥ずかしくなっちまうじゃねーか。
- 125 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時32分38秒
- 腰に手を当てたまま、なかなかぬりだせないあたし。
「どしたの?」
少しかすれた声で聞く後藤。
「なんでもない。じゃ、ぬるっす」
「ん・・・」
ゆっくり・・ゆっくりと後藤の肌をすべるあたしの手。
日焼け止めがちゃんとぬれるように、意識して密着させるあたしの手。
後藤の肌にふれているあたしの手。
何回も何回もいったりきたり。
うすくうすく液体をのばしていく。
あたしは自分の体温がどんどん上がっていってる事に気づいた。
きっと後藤もふれている手のひらからそれを感じてるはず。
あたしは後藤の鼓動がどんどん早くなっている事に気づいた。
きっと後藤あたしがわかっちゃった事を感じてるはず。
「あっ・・・」
ちょっとだけ。
ほんのちょっとだけ油断して。
あたしは後藤のわき腹に手をすべらしてしまった。
後藤は身体は大きく反応する。
それと同時に、少しだけ開いた唇の間からもれる吐息。
あたし今のでやられちゃった。
もろ腰にきたって感じだった。
もっともっとあたしの事感じてほしいってまじで思った。
この手のひらだけじゃなく、あたしの全てを感じてほしいってまじで思った。
あたし、後藤が好きだ。
あたし、後藤に惚れてるんだ。
この気持ちはやっぱりそれだったんだ。
- 126 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時33分41秒
- 「後藤」
「・・・?」
声には出さないでそっとこっちに顔を向ける。
その顔がまたなんともいえなくて。
ちきしょー、かわいーじゃねぇか。
あたしはすごくすっきりしてた。
自分の気持ちに納得してた。
さっきまでのドキドキしてた自分が信じられないくらいに。
後藤の言葉にあせってた自分が信じられないくらいに。
立場は逆転した。
いつものあたしに戻ったって事を教える為に、後藤に向かって笑ってやった。
でもどうやらこいつ、気づいてないみたい。
なんだ?いったいどうした?
ん?ん?・・・・・・・・・・あッ!!そうかそうか。
あたしはなんだかとっても嬉しくなった。
おいしいよなぁ、後藤。
そんなふうにされちゃ、どうしてもいじめたくなっちゃうだろ?
「もしかして、感じちゃった?」
きっと、おもいっきりニヤニヤしているであろうあたしの顔を、ジッと見つめ
る後藤の瞳。そしてあっという間にまっかになる後藤の顔。
あわててそらして、その両腕で隠してしまう。
そして、あたしの心を振るわせたその一言をつぶやいた。
「市井ちゃんの・・・いじわるッ」
- 127 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時34分29秒
- 小さな小さな声で呟いた。
その言い方、もろに急所に直撃ですよ、後藤さん。
あたしはまたもやニッて笑って、そっと後藤の耳元に口を近づけた。
「あたしっていじわる?」
優しくささやくように。
顔を隠したままうなづく後藤。
「でもねー、仕方ないんだよね」
「?」
後藤が振り向く。
気づいちゃったらんだか仕方がない。言ってあげるよ後藤。
「後藤の事好きだからさ」
「えっ!!」
「好きだからいじめちゃうんだよ」
「市井・・ちゃん」
驚きからそのままほにゃ〜ってくずれていったその頬にちゅっとくちづけた。
大サービスだぜ、後藤。
ますますとろけていくその顔。
そして、とろけさせてるのはあたしだ。
後藤はいつもの輝くような笑顔になって。
「あたしも・・市井ちゃんが大好き」
小さな小さな声で呟いた。
あたしは後藤が一番好きって言ってくれた笑顔で返してやる。
- 128 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時35分35秒
- いや〜、なんかいいねこういうのも。
あたしは後藤が好きで。
後藤もあたしの事が好きで。
うん、なんか幸せだな。
無事、日焼け止めもぬり終り、今度は・・。
「じゃ、今度はあたしぬってよ」
「うん!!」
勢いよく返事して、後藤は起き上がった。
「たっぷりぬってあげるね」
「たのむぞ〜」
こくこくとうなづく後藤を見ながら寝転ぶあたし。
いや〜なんかいいねこういうの。
後藤はあたしが好きで。
あたしも後藤が好きで。
うん、幸せだ。
その後はいうにおよばず、あたしはさんざんこそばされて。
大騒ぎするあたしを無視して、後藤は一生懸命日焼け止めをぬっている。
その手のひらにあたしへの想いを込めながら。
なんか海に入る前にすっかり疲れちまったよ。
- 129 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月28日(月)18時38分32秒
- はい、「日焼け止め」終りです。
なんか・・甘いでしょうか?
うーん。もっとがんばらなくては。
>Yamboさん
ぜんぜんドキドキシーンじゃありませんでしたよね(笑
あの予告は取り消しっていうことで。
ご感想ありましたら、一言でもいいのでお願いします。
それでは。
- 130 名前:読んでる人 投稿日:2000年08月28日(月)21時00分49秒
- 良いです。市井の心理描写がすごい面白い。
- 131 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月28日(月)21時06分40秒
- とってもおもしろかったですー。
また、超甘いやつ書いてください!!
いちごまダイスキです。
- 132 名前:Yambo 投稿日:2000年08月28日(月)21時46分19秒
- >たれきりんさん
いえいえ、かなり好きな路線でしたよ。
やっぱいちごまはええなぁ〜。ついニヤニヤしながら読ませていただきました。
次回作もがんばってくださーい、応援しますー。
- 133 名前:さんちー 投稿日:2000年08月28日(月)23時25分38秒
- すごくおもしろかったですよ〜。
やっぱ甘いのはいいっす。
応援してます。これからも頑張って!!
- 134 名前:ムーミン 投稿日:2000年08月29日(火)00時22分03秒
- くぅ〜〜!!後藤の水着はやっぱりビキニなのか??
- 135 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時48分49秒
- 「電車の中で」
ゴトン・・ゴトン・・・。
電車の窓から見てる夕焼けがとても綺麗で。
あたしはただボ〜ッとそれを見ていた。
そっと肩に感じる重みに顔を向ける。
隣にあるのは市井ちゃんの寝顔。
う〜ん、ちょっと日焼けしちゃったみたい。
あたしも焼けちゃったかな。
大切な人との大切な時間。
あたしはついさっきまで二人で過ごしてた時間を思い出してた。
あ〜ぁ、今日がずっと終わらければいいのに。
- 136 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時49分41秒
- あの時、市井ちゃんから「海」って言葉を聞いた時。
あたしマジで神様に感謝したんだよ?
だって、だってさー。
夏の初めからずっと思ってたんだもん。
市井ちゃんと二人だけで海に行きたいってずっと思ってたんだもん。
そんな約束なんかしてないのに。
市井ちゃんに見せる為に新しい水着なんか買ってたりしてたし。
仕事が終って家について。
ちょっとそれ着けて鏡の前に立ったりして。
あたしの姿を見た市井ちゃんがどんな顔するのか。
ドキドキしながら想像してて。
ずっとずっと一緒に行きたいって思ってたんだよー。
だから今日、念願かなって二人だけで海に来たけど。
市井ちゃんったら、あたしの姿に見惚れてなかった?
ずっとあたしの事気にしてなかった?
「海だぁぁ!!」って叫んでたけど。
あれってもしかしてテレ隠し?
どうなのかな?
どっちなのかな?
- 137 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時50分15秒
- あたしは市井ちゃんが好き。
この気持ちはずっと変わってないから。
いつも一緒にいたくて。
市井ちゃんの笑顔を一人占めしたくて。
でも、なんかいい感じだなってとこで、急に引いちゃう市井ちゃんに少しもど
かしさを覚えてて。
あたしの事、好き?
その一言が聞ければいいんだけど。
すぐそこまで出掛かっている言葉なのに。
その機会を与えてくれなくて。
だから市井ちゃんの気持ちも知りたくなって。
ちょっとだけ誘いをかけてみたんだよ?
すっごーくドキドキドキドキしながら。
思い切って言ってみた。
「ぬってよ、市井ちゃん」
- 138 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時50分45秒
- 日焼け止めの存在を忘れてたって聞いた時。
正直、チャーンスって思ったんだ。
だって、だってさー。
今、考えただけでも爆発しそう。
今、思いだしただけでも息ができなくなる。
市井ちゃんがあたしの事どう思ってるのか?
ずっと気になってた事がやっと確認できる。
これってすごいチャンスだったと思わない?
だから一生懸命顔をつくって。
なんともない事のように言ったんだ。
「ぬってよ、市井ちゃん」って。
この言葉を言った時、なんか妙な達成感を感じて。
そっと市井ちゃんの顔を見た。
アハッ。
市井ちゃん、顔、赤くないですか?
すごくあせってませんか?
なんか、あたし・・・いま勝ってる?
心の中でガッツポースをした。
- 139 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時51分21秒
- 市井ちゃんの手はすっごく優しくて。
市井ちゃんの手はすっごく熱くて。
目をつむってその感覚を味わってたあたし。
心臓は破裂寸前で。
振り向きたいのをなんとかこらえて。
じっと市井ちゃんの手の感触を心いっぱいで感じてました。
市井ちゃんが触れたあたしの肩。
市井ちゃんが触れたあたしの首。
市井ちゃんが触れたあたしの背中。
市井ちゃんが触れたあたしの腰。
すぐにでもよみがえってくるその感覚。
日焼け止めをぬってるだけなのに。
なんだか身体は妙に熱っぽくなってきて。
唇を開けば何か言っちゃいそうで。
きつく目を閉じてただ市井ちゃんの手に集中してた。
- 140 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時52分55秒
- だから。
あの時、スウッて手が滑っていった時。
あたしは自分でもびっくりするくらい反応しちゃって。
閉じてたつもりの口からは自然と声が出ちゃって。
だから「しまった」って思った時にはもう手後れ。
背後から感じた市井ちゃんのオーラ。
さっきまで焦ってたはずの市井ちゃんから感じるのいつものオーラ。
あたしの誘いは見事に玉砕。
は〜、ばれちゃった。
がんばってなんでもないようにしてたのに。
今ので絶対ばれちゃった。
あたしがドキドキしてる事を。
あたしが市井ちゃんをすごく感じている事を。
案の定、市井ちゃんはいつもの笑顔に戻ってて。
余裕たっぷりにあたしにささやいた。
「もしかして、感じちゃった?」
こんな事を平気で言えてしまう市井ちゃんは。
一生懸命隠そうとしているあたしの心の動きなんかとうにお見通しで。
そんな事ないって強がりも出ないくらい。
あたしを魅了する。
やっぱりこの人にはかなわない。
市井ちゃんにはかなわない。
そう思ったらすごく恥ずかしくなって。
あたしはまっかになってるだろう自分の顔を慌てて隠した。
- 141 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時53分59秒
- まったく。
わかっててそんな事きいてこないでー。
いっつもいっつもそうやって・・・。
あたしが答えられなくなるような事、平気で聞いてきちゃうんだ。
あたしがその言葉にどれだけドキドキしちゃうのかわかってて、平気で聞いて
きちゃうんだ。
今の質問ももやっぱり答えられなくて。
あたしはとうとうあきらめの白旗を出した。
「市井ちゃんの・・・いじわるッ」
やっぱり勝てないです。
どんなにあがいても無理です。
だって、好きなんだもん。
市井ちゃんの事が好きなんだもん。
すっごく好きになっちゃったんだもん。
一緒にいるだけでドキドキして。
顔が見れただけでもドキドキして。
名前を呼ぶ声にドキドキして。
どんな事されてもドキドキして。
やっぱりだめだったか。
市井ちゃんがどう思ってるのかわかると思ったのに。
自分が先に全部見せちゃった。
- 142 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時54分36秒
- ふえふえしてたあたしの耳元でささやいてくれたその言葉。
「でもねー、仕方ないんだよね」
「後藤の事好きだからさ」
「好きだからいじめちゃうんだよ」
え?今、なんて言ったの?
あたしの事好きって?そうそう言ってくれたの?
ほんとにほんとにあたしの事好きってそう言ってくれたの?
思いがけないその言葉。
ほんとに?ほんとなの?
思わず振り向いたあたしの頬に市井ちゃんのやらわかい唇。
そっと触れただけのその唇からは。
市井ちゃん想いの全てがこもってて。
あたしの心をとかすのには充分すぎて。
だから。
だから。
あたしもこの想いを伝える事ができたんだ。
「あたしも・・市井ちゃんが大好き」
こんな事しなくてもよかったんだ。
あたしはあたしの気もちを素直に伝えればよかったんだ。
泣きそうになったあたしの瞳にうつったのは、大好きな大好きな市井ちゃんの笑顔。
- 143 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時55分35秒
- 市井ちゃんとここにこれてよかった。
市井ちゃんと一緒にいれてよかった。
市井ちゃんを好きでよかった。
肩に感じるのは市井ちゃんの寝息。
あたしもほんとは眠たかったけど、市井ちゃんが先に寝ちゃったから。
その顔を見てたらなんだかもったいなくて。
さっきからずっと見つめてる。
あの場所じゃなかったら、いくらでも水着取ってあげるのになー。
もし取っちゃってたら、市井ちゃんどんな顔したんだろ。
見たかったかも。
ちょっとおしかった気がする。
アハッ・・可愛いな、市井ちゃんの寝顔。
ぷにってその柔らかい頬をつつく。
- 144 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時56分38秒
- ファ〜〜ァ」
大きなあくびを1つ。
まだまだ市井ちゃんの寝顔を見てたいけど。
でも、それももう限界。
だんだん意識もぼやんとしてきた。
コツン
市井ちゃんの頭にそっとくっつける。
あたしもちょっと寝ちゃおっと。
体重を少し市井ちゃんにかたむけた。
眠りに入る一歩手前で、あたしはそっと呟く。
隣に眠る大切な人に。
あなただけにしか言わない言葉。
「大好き・・」
- 145 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)02時57分29秒
- 夕焼けでまぶしい電車の中で。
よりそうようにして眠る二人。
市井は後藤に身体をあずけて。
後藤は市井を守るように。
二人、幸せそうな寝顔。
あ〜ぁ、今日がずっと終わらければいいのに。
後日談。
案の定、そのまま二人は寝過ごして、帰りの電車がなくなった市井は、後藤の
家に泊まらさしてもらいました・・てね♪
- 146 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月29日(火)03時08分33秒
- はい、「日焼け止め」の後藤バージョンっす。
かなり短い時間で書き上げたので・・どうでしょう。
>読んでる人さん
ありがとうございます。
今回の市井ちゃんの視点は、まんま自分の視点っぽい気がする(爆
後藤に対してなんだろう?と悩む市井ちゃんが書きたかったんてです。
>131さん
甘いって言ってもらえてよかったです。
でも・・・書いてるとやっぱり悲しい想いをさせたいなって思う自分は
なんでしょうねぇ。いちごま好きだぁぁ!!
>Yamboさん
よかったっす。
ドキドキシーンなんて書いちゃったもんだから気になってたんすけど。
今回は、一応(なんだかなー)一線こえる前ってことで(笑
ありがとうございます。がんばります。
>さんちーさん
読んでて楽しいのは甘々のいちごま。書いてて楽しいのは悲しいいちごま。
いや、これも楽しかったです。
妄想はどんどん膨らんでいくんですけどね。
ありがとうございます。
>ムーミンさん
ハハハハ。そりゃもちろんビキニっす。
やっぱし好きな人にせまろうと思ったら(笑)ってせまってませんけど。
読んでいただきありがとうございました。
また近いうちにお会いしましょう。
- 147 名前:ミラクルン 投稿日:2000年08月29日(火)04時10分33秒
- 一気に読ませていただきました。
甘々サイコー!!
いや〜、いちごま書きたくなっちゃったよ。
に、しても心理描写が見事です。
見習いたいっす。
- 148 名前:さんちー 投稿日:2000年08月29日(火)07時36分08秒
- いやー、「日焼け止め」最高っす!!
いままで読んだ娘。小説のなかで一番柔らかくって幸せな気持ちになりました。
これからも頑張って下さい。
応援してます!
- 149 名前:読んでる人 投稿日:2000年08月29日(火)09時50分43秒
- 私も幸せな気分になりました。後藤の頑張りっぷりが良いです。
- 150 名前:たれきりん 投稿日:2000年08月31日(木)01時15分04秒
- 感想、ありがとうございました。
すっごく嬉しいっす。
>ミラクルンさん
とんでもないです。ほぼ独り言みたいになっちゃってるんです(笑
甘〜い小話もいいですよねぇ。
次もがんばります。
>さんちーさん
そう言って頂けるだけで・・・感涙っす。
もう少しエッチっぽいのを狙ってたんですけど、無理でした。
ありがとうございます。
>149さん
後藤に市井ちゃんに対してはすっごくがんばってほしいと思う今日この頃。
あせって考えて・・で、がんばって、でもやっぱり好きって自覚するというか。
そういうのが好きかもですね、自分。
は〜い、とりあえず次回の小話の予告です。
やぐちゅーでいちごまなんだけどさやまりという(笑
訳のわからないのを書いてます。
無事UPできるかどうか不安。
- 151 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月31日(木)01時43分51秒
- >150
見たい! 見たい! 早く見たい!
やぐちゅー好き、いちごま大好き、さやまり超好き。
- 152 名前:ムーミン 投稿日:2000年08月31日(木)02時05分29秒
- やぐちゅーでいちごまでさやまり?
わけわからん!!
しかし、たれきりん師匠ならいい話を書いてくれることでしょう。
期待してます。
- 153 名前:Qoo 投稿日:2000年08月31日(木)02時33分35秒
- いやぁ。。。いちごま最高!甘々万歳!!
頑張ってUPしてね。楽しみに待ってます。
- 154 名前:まいのすけ 投稿日:2000年08月31日(木)07時43分09秒
- 大変甘くてよかったです。
寝こける市井を見つめる後藤って、イイえづらっすね。
次回はやぐちゅ〜〜!で、いちごま!!いいですね、楽しみです。
- 155 名前:Yambo 投稿日:2000年08月31日(木)22時44分03秒
- あああー、後藤バージョンまであるー。
いいなぁ〜いちごま…。たれきりんさん、文章うますぎです。
次回作もホント楽しみにしてますっ♪
- 156 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)18時58分02秒
- 予告を書いて、自分の首をしめてるたれきりんです(笑
では・・やぐちゅーでいちごまなんだけどさやまりUPっす。
みなさん、あんまり期待せずに・・・。
- 157 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)18時58分36秒
- 「お互い様」
ここは某テレビ局のひかえ室。
娘。達に与えられた部屋。
7人という大所帯な為、他のゲスト達よりも少し広めの造りになっている。
しかし、今この部屋でくつろいでるのは矢口真里ただ一人だった。
他のメンバーはといいますと、まず中澤と後藤は「モー娘。最年長と最年少の
徹底比較!?」とかいう某雑誌の企画の為に別室で取材を受けていたし、市井
と保田の2人は、その後にプッチの取材があるとかで、一緒に後藤の終わりを
待っている。飯田と安倍の北海道コンビは「なんか食べるの買ってくる〜」と
近くのコンビニへ。
みんな自分のやりたいようにしてしまうと、仕事に差し支えるということに気
づいた中澤は、部屋を出る間際に全員に向かって釘をさす。
『とりあえずは誰かここに残っとかなあかんで』
この言葉せいで、じゃんけんに負けた矢口が残っていたのだった。
- 158 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)18時59分34秒
- 「ん〜〜〜〜」
いつもは騒がしい矢口も、一人だけになると静かである。
壁際に置いてある長椅子に腰掛けて、後藤が持ってきた雑誌にを見ている。
「やっぱり・・この服いいよなぁ」
しーーーーーーん。
返事はない。当たり前だ。
その静けさに耐え切れず、誰もいないのはわかっているのに、矢口はキョロキョ
ロと辺りを見回してしまう。
「あ〜ぁ、早く誰か戻ってこないかなぁ」
唇をつんとたたせて呟いた。
まだみんなが部屋から出ていって、たいして時間は過ぎていないのに、いつもと
違うふいんきに、すでにちょっとさみしいななんて思いはじめていた。
- 159 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)19時00分09秒
- 「つまんねーよ〜ぅ・・・」
自分のまわりに誰もいないっていうのは、かなり珍しい事だった。
仕事の関係上、必ずメンバーの誰かとは一緒になっていたので、今みたいに一人
になった時の時間のつぶし方というのが、いまいちちょとわからない。
だから、後藤の雑誌を見つけた時は、ほんとにホッとした。
とりあえず、誰か戻ってくるまで我慢しますかと、矢口が仕方なく雑誌に目を落
とそうとしたちょうどその瞬間。
「よっ♪」
いきなりドアの方から聞き覚えのある声がした。
バッと顔をあげてそっちへ視線を移動させる。
「あれ〜?どしたの紗耶香ぁ?」
ドアの近くに立っていたのは、まだ取材中であるはずの市井紗耶香。
「何で紗耶香が戻ってくんのぉ?」
「ど〜したのぉ?」
そんな大騒ぎの矢口に「あたしが来ちゃ悪いのかよ」という風な顔をして市井は
部屋の中に入ってくる。
「ん〜なんかさ。裕ちゃんと後藤のとこの取材カメラマンが遅れてるみたいでさ。
先にプッチのしちゃったんだよね」
「そなの?」
「ん、とりあえずあたし終っちゃったし、先に帰ってきた」
そう言うと、市井は部屋の中を見渡して、矢口に一番近いテーブルのイスに背も
たれを前にして腰掛けた。
ちょっと驚いた顔をした矢口。それを見て「ん?」とする市井。
- 160 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)19時00分57秒
- 「いいのぉ?」
「だって残っててもする事ないし」
両腕を背もたれの上に乗せ、少し前かがみになりながら、市井はあっけらかんと
答える。確かに、仕事が終ってしまうとそこに残っている意味はないわけで。
「ふ〜ん」
「でしょ?」
ごく当たり前の事のように市井が言った。
「そうだけどさぁ・・・そんな事すると・・・」
(後藤と一緒だったんでしょ?後からうるさいんじゃない?)
矢口にはわかっていた。
市井が先に帰ろうとする後ろ姿を見て、後藤があせっていただろう事を。
それは最近の娘。内で見るいつもの光景で。
目を閉じなくても想像できてしまう。市井の背中に「待っててよ〜」って叫ん
でいる後藤の姿。で、後から合流して「なんで先に言っちゃったの?」って市
井に詰め寄っている後藤の姿。
そうなってしまう事がわかっていても、やっぱりそういう態度をとってしまう
市井に、矢口は(罪作りなヤツ)と少しあきれていた。
- 161 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)19時01分30秒
- 矢口はチラッと市井を見上げる。
その瞳を見た市井は、何を言いたがってるのかわかった。
(んー、後藤ねぇ。でもまぁ・・・)
ちらっとそんな事を考えて、ニッコリ笑って矢口を見つめる。
「でもね」
「?」
「市井が先に戻ってきてくれて嬉しいでしょ?」
「え?・・なぁーに言ってるんだよぅ」
市井に自分の正直な想いを言われて、少しつっこみが遅くなる。
「矢口が一人でさみしがってるかなーって思ってさ」
「・・・・・・」
「先に戻ってきちゃいました」
その答えを市井はちょっとニヤニヤしたいつもの顔で言っていた。
「べ、別に嬉しくないもーん、あ〜ぁ、せっかく一人の時間を満喫してたのにぃ」
「そ?それは悪い事しちゃったなー」
「そうだよそうだよ。ったくさー」
「フフフ」
なんだかその余裕の微笑みがちょっとだけにくたらしいと思った矢口真里。
- 162 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)19時02分00秒
- 「置いてきてだいじょぶなの?」
ちょっと話題を変えようと、矢口はさっきの質問を市井にする。
あえて誰をとは言わないのはさやかな抵抗。
「ん?平気でしょ?もうだいぶん数こなしてるんだし」
市井も、矢口が誰の事を言っているのかわかっているので、その名前は口に出
さずに答える。
「そうそうかまっててらんないしさ」
へへへと笑う市井。
最近の市井の、後藤に対する態度は、自分がいなくてもちゃんとできるように
という事で、仕事中は意識して少し距離をおくようにしている。
「矢口は知らないぞぉ」
「平気♪平気♪」
そんな市井を見ていると、後藤が少しかわいそうに思える。
ま、とりあえずは、一人さみしく部屋に残っていた矢口にとって、話し相手が
できた事はかなり嬉しかったのだが。
心の中でさっきの強がりを撤回する。
- 163 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)19時02分31秒
- 「あいつもいいかげんあたしに頼るくせ、直させなきゃやばいしね」
「そうかなぁ?」
「そっ。いつまで一緒にいられるとは限んないし」
「・・・・・」
「娘。のメインの一人なんだから、もっとしっかりしてもらわないとかあさん
としては、も〜、気になって気になって」
何かを隠すようにハハハと笑う市井。その言葉の中に真剣な想いと冗談をまぜ
ながら。
「相変わらず後藤にはきびしいねぇ、紗耶香は」
「そりゃー、教育係ですから♪」
「ひぇ〜、なんて怖すぎる先生だぁぁぁ!!!」
「なんだとぉ?」
矢口はそんな市井に気付かないフリをして一緒になって笑った。
- 164 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)19時03分08秒
- 「そういえば、圭ちゃんは?」
プッチのもう一人のメンバーである保田が戻ってこない事に気づく。
「ん〜、なんかジュース買ってくるって」
その後、どこまで買いに行ったんだろ〜と続ける市井。
「そのうち戻ってくるじゃないかな」
「圭ちゃん、矢口の分も買ってきてくれないかなぁ」
「どうかでしょ。ん〜わかんない」
ふむ・・と、矢口は思う。
圭ちゃんの態度も前とは少し変ってきている感じがする。
なんだか一人でいることが多くなったような。
「それ後藤の?」
ふいに市井がさっきまで矢口が読んでいた雑誌に目を向けて言う。
「うん、なんか一人だとする事なくてさ〜」
「やっぱりさみしかったんじゃん」
つい本音を言ってしまった矢口は、市井にむかって舌を出す。
ハハハと笑って市井もお返しとばかりに舌を出した。
「ふーん。ま、確かに相手いないもんね」
意味深な微笑みを浮かべる市井。
「なんだよ〜」
「別に♪」
- 165 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月01日(金)19時13分20秒
- 今回は以上っす。
どうしても、やぐちゅー&いちごまが最高のカップルと思ってしまっている
自分は、こんな設定でしか書けないんですよねぇ。
とりあえず・・がんばります!!
>151さん
そう言って頂けると・・・ありがとうございます。
ご期待にそうような小話だといいんですけど。
がんばりますです。
>ムーミンさん
わけわかんないですよねー。
自分でもわかってなかったりして(笑
そんな・・師匠だなんて・・恐れ多いっす。
>Qooさん
甘甘はいいっすよねぇ。
もっと甘くしたいと日々努力しております。
楽しんで頂ける様な作品目指して!!
>まいのすけさん
いつもはたいてい先に寝ちゃうのって後藤でよね(笑
寝顔を見てるだけで幸せ♪な気持ちにさせてみたかったんです。
ありがとうございます。がんばるっす。
>Yamboさん
かなりいきおいで書いてしまったので、もうちょっと後藤の想いを入れれば
よかったかななんて思ってるんですけど。
そうすると・・ほとんど「好き好き好きだよ市井ちゃ〜ん」って感じになっ
ちゃうような(笑
ありがとうございますです。
みなさんのレスを読んで、がんばろーと思うたれきりんでした。
- 166 名前:たか 投稿日:2000年09月01日(金)23時11分29秒
- なんといっても、やぐちゅー&いちごまのカップリングがサイコー!
このままの路線でお願いします(笑)
- 167 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月02日(土)00時53分56秒
- その頃の中澤と後藤。
「いちーちゃん、先に帰っちゃった〜」
「もーなー、いいかげんに泣くのやめえなぁ」
「だってだってぇ」
「ほら、カメラマンさんもすぐ来るて言うてたやろ?」
「なんでこんなに遅いんですかぁ」
「しゃーないやん。交通事故に巻き込まれたて・・」
「しゃーなくないもん。根性で来なきゃだめだもん」
「あんたがそれ言うんかい」
「もー、そんなカメラマンは市井ちゃんに怒られちゃえぇぇ!!」
「は〜、つきあいきれんわ」
「ちょっとくらい待っててくれてもいいのにさー」
「あんなぁ、裕ちゃんがここにいるのに不満なんか?」
「だって、裕ちゃんは市井ちゃんじゃないんだもん」
「・・・たしかにそや」
「でしょ?」
「ごっちん・・」
「はい?」
「うちをこけにしたヤツはお仕置きのチュ〜したる!!」
「えー!!なんでぇぇ!!たすけてぇいちーちゃーーーん!!」
カメラマンはいつ来るんでしょう。
- 168 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月02日(土)00時57分10秒
- ちょっと書いてみたかった裕ちゃんと後藤の場面。
間にちょこちょこ入れていくつもりっす。
はたして、裕ちゃんは予告通り後藤にチュ〜できるんでしょうか?(笑
>たかさん
そうですよねぇ。このカップリングが最高ですよねぇ。
これからどうやって「さやまり」にしていくか・・やべっす。
とりあえず自分の目的は1つなので(笑
ささやか〜な願いなのです。決してピーではないです。
- 169 名前:さんちー 投稿日:2000年09月02日(土)07時50分24秒
- わーい、新しい話しがある!!
いや〜、いちさやもいいけど、やっぱいちごま派としては
お互いにヤキモチ妬き合ってもとサヤに戻るってのがいいな。
たれきりんさん頑張って!!
- 170 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月02日(土)16時33分11秒
- いつも、甘くていいすね。
大変そうですが、頑張って下さい。
- 171 名前:Yambo 投稿日:2000年09月02日(土)21時59分14秒
- ほほーう、さやまりですな。
なんかこの二人は友達の絆を強めて欲しいような、そんな気がします。
途中の裕ちゃんと後藤のシーン、面白いです。がんばれ、裕ちゃん(笑)
ちなみに、私もいちごま&やぐちゅーカップリング推しです。
- 172 名前:Qoo 投稿日:2000年09月02日(土)23時03分44秒
- いちごま特推しなんだけど・・・
甘甘さやまりも見てみたい・・・。気がする。
- 173 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時31分29秒
- 「ふーん。ま、確かに相手いないもんね」
意味深な微笑みを浮かべる市井。
自分の心を覗き込んでくるようなそんな表情。それを見て、何を言おうとして
いるのかわかる矢口は、精いっぱいの強がりを言う。
「なんだよ〜」
今の矢口の精いっぱい。
(紗耶香にこんな顔をされると、何にも言えなくなっちゃうのはなんでだろぉ)
「別に♪」
思ってた通りの反応で満足げな市井。
結構、そのムキになって強がり言ってる姿が「かわいいな」なんて思ってたり
するんですが。
(やっぱりあたしっていじめっこ・・・かな?)
目の前で口を尖らせながら、自分の事を睨み付けてくるその顔を見る。
(裕ちゃんも矢口の事思いっきりいじめるからなぁ、ま、こんな顔見せてもら
やるんなら・・・裕ちゃんの気持ちもわからないではないけどね)
その表情が後藤のそれと重なる。
また一人、納得したかのように笑う市井。
- 174 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時32分01秒
- 一度だけ、偶然に見てしまった矢口と中澤のそういう関係。
はじめは戸惑いばかりだった。
まさに「まさか!!」である。
それからは、どうしても気が付けば二人の事ばかり見てるようになって。
今まではたんなる「仲がいい」としか写らなかった自分の瞳に、やはりそれ以上
の二人の間にある信頼感というものが見えてくるようになって。
どんどん綺麗になっていく矢口の姿と。
それを満足げに眺めている中澤の姿。
少しうらやましいと思ってしまった。
自分にもそんな相手がほしいと思ってしまった。
相手を変えさせちやうくらい、自分を変えさせちゃうくらい。
そんな・・そんな恋愛してみたい。そう思っていた。
(それがまさか後藤になっちゃうとは思ってなかったけど)
心の中で頭をかく。
人生、何が起こるかわかんないって事です。
- 175 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時32分34秒
市井が誰の事を思ってそう言っているのかわかっている矢口。
一度だけ、キスしてる所を見られているから、否定はできない。
かといって、開き直って肯定もできないのだが。
矢口はテレ隠しに顔を背ける。
「なっち達は?」
「・・・食料仕入れにコンビニ行った」
横を向いているくせに、こうやってちゃんと答えてくれるのが矢口が矢口たる
所で。そんな態度にニヤニヤする市井。
(後藤もそうだけど、矢口もいじめがいがあるヤツなんだよなー)
「なんだ〜。市井も買ってきてほしいのあったのになぁ」
大袈裟に驚いてすごくくやしいマネをして市井は矢口の答えを待つ。
「・・・なんか色々買ってくるって言ってた」
「なに?聞こえないぜぇ♪」
指で頭をつつく。
「もぉ〜!!とにかく帰ってくるの待ってればいいじゃん」
ちょっとムッとして思わず振り返ってしまう矢口。
「だね。じゃ、そうしよっと」
それに平然と答える市井。
色々とかまってくるくせに、こっちが乗ると待ってましたとばかりにスッと引
いてしまう市井に矢口はいつもくやしい気持ちになる。
- 176 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時33分12秒
- (・・・紗耶香って)
「ん?」
じっと自分を見つめている矢口に顔を少しかしげる。
「・・・紗耶香ってさぁ」
(後藤はいっつもこんな気持ちなんだろうか)
「あたしって?」
「すごいいじわるだよね・・」
その言葉を聞いて、市井は思い出す。
自分の顔を隠しながら、それとおんなじ事を言った愛しい人の顔を。
状況はぜんぜん違うけど、なんとなく同じニュアンスを感じてしまう市井。
(あん時のあいつもすっごくかわいかったけど・・・)
「なんだよ〜」
(矢口にそう言われるのも悪くないよなぁ)
- 177 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時33分54秒
- なぜだかすごくあせりまくっている矢口。
何にも言わずに自分の事を見ている市井の視線が体温を少しあげる。
(なんか言えよ、このヤロウ)
「あのさぁ・・・」
「なんだよ?」
「後藤にも言われた、そのセリフ」
ドキドキしながら待ってたセリフがこれ。
また事もなげに、さらっと言う市井。
「・・・・・」
矢口はただ絶句。
「最高の誉め言葉として受け取っておきます」
椅子を傾かせながら深々と頭をさげる。
そしててゆっくりと顔をあげる。
その顔は、憎たらしいほど魅力的で。
「誉めてなんかねぇぇぇ!!!」
今度は絶妙なタイミングでつっこみを入れる矢口。
(いつもいつもそうだ。どんなにがんばっても、紗耶香はいっつも矢口の上を
いっちゃうんだ・・・後藤って、毎日こんな思いをしてるのかな)
ちょっと後藤に少し同情してしまう矢口でした。
- 178 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時34分44秒
- −その頃の中澤と後藤−
「こら、待てゆーてるやんか」
「やだよー、待たないってぇぇ」
「ごっちん、あたしから逃げようなんて10年早いで!!」
「キャーー!!たすけてよぉぉいちーーーちゃーーーん!!」
(あ、あかん。このままやと体力持たん。ちよっと息苦し〜なってきたやんか)
「やめてよ〜裕ちゃぁぁん」
(このままでは埒があかん。そや、それなら・・・)
「あれ?裕ちゃん?」
「・・・・・・」
「急にどうしたの?」
「なー、ごっちん・・」
「?」
「そんなにあたしの事きらいか?」
「え?」
「どーなんや?」
「どーなんやって・・え?なに?」
「あたしの事、そんなに嫌いなんか?」
「嫌いって・・・・そんな事ない・・けど」
「ほんとに?」
「うん・・どうしたの?急に・・」
(やた!!ひっかかりよった。)
まんまと中澤の作戦にひっかかろうとしている後藤。
目的達成の為なら手段は選ばず。
カメラマンさんはまだ来ない。
- 179 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時44分32秒
- はい、「お互い様」更新です。
矢口の事を見ながら、ちょこちょこと後藤の事を思い出すのは、基本に
「いちごま」があるからなのです。
いや〜、やっぱりこんな感じになっちゃいます。
>さんちーさん
自分もいちごま派なんで(笑
一応、設定として裕ちゃんも市井ちゃんも何気に「たらし」という事なので、
たぶん・・ねぇ(爆
>まいのすけさん
ありがとうございます。
でも、甘〜いの書いてると悲しいっぽいのも書きたくなるんですよねぇ。
あ・・書きたくなっちゃったから書いてみよう。
>Yamboさん
このカップルって似てるようで似てなくて。
似てないようで似てるような・・・。
お互いの性格上、微妙に立場は変わってくるんですが。
いいですよねぇ、やぐちゅー&いちごま♪
裕ちゃん・・・このままいっちゃいそうなふいんき。
>Qooさん
気がしますか(笑
自分もそんな気がします。
でも今、一番気になってるのは裕ごまだったりして♪
やりたい事は1つなのに。
そこまで行くのに時間がかかりそうな気配。
- 180 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時46分56秒
- 意味もなく、書いてみたくなるんですよね。
流れ、ぶち壊しな気がする。
- 181 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時47分26秒
- 「あなたじゃない」
あたし、誰と比べてるんだろ。
あたし、誰を求めてるんだろ。
- 182 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時48分03秒
- それはささいな日常で気付く事。
朝、事務所へ行って、あいさつしながら部屋へ入る時。
「おはよー」
「おはよ」
「おはよー」
「ごっちん、おはよー」
「グ〜〜〜」
「おっはよぉぉ!!」
「おはようございます、後藤さん」
「・・・・・ざいます、後藤さん」
「おはようございまーす」
「おはようございます」
ちょっとだけ感じる違和感。
聞こえてくるはずの声が聞こえないそんな違和感。
『遅いぞ、後藤』
誰の声?
誰の声が聞こえないの?
- 183 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時48分39秒
- それはささいな日常で気付く事。
仕事場へ移動する為にみんなでバスの中。
「今日のゲストって誰なんだろー」
「えっとねぇ・・たしかアイドルで女の人?って聞いたよ」
「なんや、男じゃないんかい」
「またー、だからそんな番組じゃないってば裕ちゃん」
「そんな番組なんですぅ」
「違うってばぁ」
「まーまー、裕ちゃんだけそう思ってるって事にしとけばいいじゃん」
「なんやと、なっち・・ちょっとこっちこい」
「キャー!!裕ちゃんが怒ったー、矢口助けてぇぇ!!」
「こら、待て」
うとうとしかけてるあたしの頭がそのやわらかい何かを探す。
でも返ってくる感触は、冷たい窓ガラス。
これじゃない。
あたしが寄りかかりたいのはこんなんじゃない。
誰に寄りかかりたいの?
誰がそこにいたの?
- 184 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時49分16秒
- それはささいな日常で気付く事。
雑誌の撮影中。最初は6人だけで。
「安倍さん、もうちょっと矢口さんに寄って」
「はーい」
「中澤さん、こっちの方をもっと見つめて」
「はい」
「矢口さんは・・こっちの方に移動してもらえますか?」
「はーい♪これで写ります?」
「飯田さん・・なんていうのかなぁ・・そんな固い表情じゃなくて・・」
「カオリ、笑ってますよ?」
「後藤さーん、もっと思いっきり笑ってくださーい」
「こうですか?」
あたしへの指示が終って、次は・・。
あれ?
カメラマンさんの指示はこれで終った。
みんなそれぞれ表情を作っていく。
そして、何事もないように進んでいく撮影。
ん?ちょっとおかしい。
まだ・・まだ一人いたはず。
まだ・・いたはずだったのに。
誰がいないの?
私の隣に誰がいないの?
- 185 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時49分47秒
- 「お疲れ〜」
なっちがあたしに笑いかける。
待ってたのはこの笑顔じゃない。
「なんや?おなかすきすぎて動けへんのか?」
裕ちゃんが笑いながらあたしの肩をたたく。
待ってたのはこの手じゃない。
「どしたの?後藤。元気ないじゃん」
圭ちゃんが心配そうにあたしの顔を覗き込む。
待っていたのはこの優しさじゃない。
「疲れた・・・」
圭織があたしの横を通り過ぎる。
待っていたのはこの背中じゃない。
「今日も一日無事終了!!さ〜、なんか食べに行くぞぉぉ」
やぐっつぁんが後ろからあたしに抱きついてくる。
待っていたのはこの腕の中じゃない。
誰を待ってるの?
誰と比べてるの?
- 186 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時50分31秒
- みんなの優しさに触れれば触れるほど。
あたしはさみしさで押しつぶされそうになる。
なんでもないように笑っているけど。
ほんとのあたしは涙が流れて止まらない。
ここにいない。
側にいない。
あの人が。
あの人だけが。
こんな事で泣いちゃだめだよね。
これからもずっといないんだから。
こんな事でさみしがってちゃだめだよね。
いつか・・いつか必ず戻ってくるって約束したから。
- 187 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時51分12秒
- でも、あたしは比べてしまう。
つらいってわかってても思い出してしまう。
あなたの笑顔が見たいから。
あなたに触って欲しいから。
あなたの優しさを感じたいから。
あなたの背中を追っかけて行きたいから。
あなたのぬくもりが欲しいから。
「市井ちゃん・・・」
自分で自分を抱きしめる。
強く強く抱きしめる。
でも、これもあなたの腕じゃない。
「さみしいよぉ」
誰にも聞こえないようにそっと呟く。
- 188 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月03日(日)04時52分22秒
- あなたじゃない誰かの笑顔。
あなたじゃない誰かの優しさ。
あなたじゃない誰かの背中。
あなたじやない誰かの声。
あなたじゃない誰かのぬくもり。
あなたじゃ・・・市井ちゃんじゃないとみんなみんな何の意味もないもの。
あたしはずっと待ってるから。
ずっとずっと待ってるから。
だから、絶対・・・。
- 189 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月03日(日)04時56分53秒
- 手段を選ばない姐さん萌え〜!
カメラマンもっと遅れてくれ。
- 190 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月03日(日)11時22分26秒
- おもしれー!
ごまがカワイイ。
- 191 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)00時30分33秒
- 「誉めてなんかねぇぇぇ!!!」
勢いよく市井につっこむ矢口。
一瞬びっくりした表情になるが、またすぐにいつものニヤニヤに戻る市井。
「も〜そんなにおもいっきりつっこまなくてもいいじゃん」
椅子を足で前後に揺らしながら不平を言う。
「うるさい!!紗耶香ののろけ話聞いてるほど、矢口はひまじゃないんだからな」
ガウッと小犬が吠えるように次々とまくしたてる。
「別にのろけてないって。後藤にも言われたって言っただけ・・・」
「それがのろけっていうの!!」
「そうかなぁ?」
「そう!!」
尚も椅子を揺らしながら、余裕の表情。
矢口はそんな市井を睨み付ける。わかってて言っているのか、ほんとにわかっ
てないのか。
それともこれが普通なんだろうか。なかなか市井をつかめないでいる。
- 192 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)00時32分00秒
- そんな矢口を無視して、う〜んとしばらく考え込んでいるような市井。
そして何かを思いつく。
「あっ・・・もしかしてヤキモチ焼いてるとか?」
『ぺシっ!!』
「いってぇぇぇ」
今度の言葉には言葉よりも先に手が出てしまった。
絶対にまた変な事言い出すと思って、おもいっきり身構えいた矢口は、ちょう
ど市井の身体が前に出てきた時を狙ってた。
額をこすりながら顔をしかめている市井を見て、手が届いてホッとしている矢
口。ちょっとした優越感にひたる。
(あぶなかったぁ。空振りだったらまた紗耶香にばかにされるとこだった)
小さい体は、こんな時にはちょこっと不便。
- 193 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)00時33分04秒
- としきりじゃれあった後、『はあ〜っ』と市井が大きくため息をついた。
「あ〜でも今日は疲れた〜」
市井はそう言うと、背もたれから両腕を上に突き出しながら、両足を思いっき
り前にのばす。そして、首を左右にコキコキ振り出した。
「また言ってるぅ。朝から何回目だよぉ」
「だってさ〜」
朝からずっとこのセリフ。毎日続く仕事の数に、やはり少なからずとも疲れが
たまってきているのかもしれない。
「これ終われば解散なんだし、後ちょっとじゃん」
「でもな〜。もうさ、取材中眠たくて眠たくて」
おもいっきりなさけない顔をする。最近あんまりしなくなった、後藤がきてか
らしなくなったその顔。
「どしたの?睡眠不足?」
とりあえず、そんな市井が気になって、心配そうに声をかける。
「ん〜、なんかここんとこ、夜寝れなくて」
「おぉ、悩み事でもあるのぉ?」
「どうなんだろうね。わかんないんだけどさ」
「ふーん・・でも疲れた時にはあれ飲めばだいじょーぶじゃん♪」
ニッコリ笑って唯一この部屋に置いてあるペットボトルを指差す。
娘。でCMしている飲み物。
「あれ?いいかげん飲みあきた」
「そーゆー事言うか〜〜?」
「だってほんとのことだもん」
「それ、外でも言ってないよね?」
「う〜〜ん・・・少しだけ」
「おいおい」
なんて正直な人なんでしょう、この市井紗耶香って人は。
- 194 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)00時34分04秒
- 「まじで疲れたよ〜」
まだ同じセリフを言っている市井を見て、矢口はここに入れば必ず言ってたで
あろうあの人の言葉を思い出した。
さっき市井が自分に言ってた「誰か」さんの言葉。
「なに笑ってるんだよ」
それに気付いた市井。
「だってさぁ。その言葉、もうほんとにみんなの前で言わない方がいいと思うよ」
「あ〜、あれ?」
あんまり「疲れた」を連発する市井にむかって、矢口の「誰か」・・中澤裕子が
呟いた言葉。
『さやかはあたしよりも若いんやで。そのセリフはあたしの言うセリフや』
あの、ちょっとムゥ〜っとした表情が、またメンバーの笑いを誘って。
みんな一斉になぐさめに入った。
「裕ちゃんもまだまだ若いってぇ」最初にフォローに入ったのは矢口で。
「そうそう、たんに紗耶香が体力ないだけだよ」保田がその後に続く。
「・・・・・」そんな二人をまだムゥ〜として表情で見ている中澤。
「ほらほら〜、なっちだってもう疲れて疲れて倒れちゃいそうなんだよ?」
満面の笑顔で言って説得力を持たない安倍。
「カオリも〜、倒れる〜」と実際床に倒れてしまった飯田。
「・・・・・」まだまだムゥ〜な中澤。
- 195 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)00時35分00秒
- 「あん時の裕ちゃん、ちょっと切れかかってたんだからぁ」
「ハハハ。たしかに目がするどかったもんね」
市井もその状況を思い出す。
確か、後藤がトドメの一撃くらわしたんだよな。
『裕ちゃんはそんな年寄りじゃないって』って。
その言葉に固まるメンバー全員の顔がまた・・。
すかさず入る「それやばいって」っていう声。
隣にいた矢口に「いじめや〜、娘。みんなであたしの事いじめる〜」って倒れ
込む裕ちゃん。
大慌てのみんな。
ほんとに楽しすぎる仲間たちだ。
まだまだなんだよなぁ。
ま、そこがあいつのいいとこなんだろうけど。
一人、訳わかんないって顔で見ていた後藤。
事の張本人である市井の顔には苦笑い。
- 196 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)00時36分29秒
- またあの顔だ。きっと後藤の事思い出してるんだろうな。
なんやかんや言って結局は後藤が一番なんだから。
矢口はちょっと遠い視線をしている市井の横顔を見て思った。
この二人を見ていると、自分達もみんなにそういう風に見られているのかなっ
て思う時がある。
誰の視線も気にせず、こっちが見ていて赤くなっちゃうくらい、後藤が紗耶香
に思いっきり甘えてる所とか、そんな後藤を優しい目で見つめながら相手をし
ている紗耶香とか。
そういう関係はこっちにも充分当てはまるとことかあって。
もしかしたら矢口達も・・・。
たとえば裕ちゃんが後藤に抱きついてるとこを見ちゃった自分が、みんなに
ばればれでヤキモチやいちゃってる所とか、それを見て妙に嬉しそうな顔を
する裕ちゃんとか。
なんだか思いあたる事は多すぎて。
- 197 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)00時37分13秒
- 紗耶香と裕ちゃんって似てるとこがある気がする。
矢口の気持ちを知ってて、わざといじわるする所。
でもその後、必ずすっごく優しく接してくれる所。
そんな風にされるとあっというまに優しい気持ちになってしまう自分。
そんな所はまんまこの二人にもあてはまってるような気が。
でも・・・矢口と後藤は似てないと・・思う。
あんなに堂々と甘えれるのは決まって裕ちゃんの方だし。
矢口には、とてもじゃないけどドキドキしすぎてできない。
ちょっとだけそんな後藤がうらやましい。
こういう所はきっと矢口と紗耶香は似てるんだろうな。
ちょっと想像してみる。
後藤に甘えている紗耶香の姿。
なんか・・・似合わないっていうか(笑)
直接見てないからわかんないんだけどね。
- 198 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)00時38分38秒
- −その頃の中澤と後藤−
「裕ちゃん?」
「なんかそんな風にごっちんにマジで逃げられると、あたしの事嫌いなんかなぁて」
(どや?このふいんきの持っていき方は?)
「そんな事ないって!!」
「でもなぁ・・・うちらこんなに年離れてるやん?」
「(うなづく)」
(ごっちん、少しはフォロー入れんかい)
「なんの共通点もないし、時々思うねん。ごっちんはあたしの事好きなんやろ
んなって」
(ええ感じちゃうん、自分)
「あたし・・裕ちゃんの事大好きだよ。ほんとだよ」
(よしっ!!ごっちん落ちた!!)
「ありがとなぁ。裕ちゃんもごっちん好きやで」
(このさみしそうな笑顔見せれば完璧や。)
「裕ちゃん・・・(中澤の方へ近づいてくる)」
(よしよし、そのままこっち来いや。素直なごっちんの事は好きやからな)
カメラマンさん・・ほんとにどうしたんでしょうか。
- 199 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)00時42分49秒
- 少しずつ、目的に近づいていってる気がします。
ゆっく〜りなんですけどね(笑
>189さん
いい加減来てくれないと、話が先に進まなくなっちゃうんですよ<カメラマン
でも、かなり裕ごまが気に入っちゃったりしてるんで・・う〜む。
>190さん
ありがとうございます。
市井ちゃん一筋な娘なんで。
でも裕ちゃんの魔の手が忍び寄ろうと(笑
- 200 名前:さんちー 投稿日:2000年09月04日(月)00時45分05秒
- おお!!こんなに更新されてる。
やっぱ、たれきりんさんの話しはおもしろいなぁ。
続きが気になるよ〜。
- 201 名前:Qoo 投稿日:2000年09月04日(月)00時58分42秒
- 訳わかんなくなってきた・・・(笑
でもラストはやっぱいちごま♪♪
- 202 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)19時48分39秒
- 矢口は中澤を、市井は後藤を思い出し無言になる。
少しの間だけ二人に会話はなかった。
しばらく物思いにふけっていた市井だったが、いきなり大きなあくびをした。
おもいっきり口を開けて、息を吸い込んでいる。そして目をこすりながら呟いた。
「だめだ・・・眠たくなってきた」
「眠いの?」
「うん・・・ちょっと限界に近いかも」
うつむきながらまだ目をこすっている。
寝不足が続くと、決まってものすごい睡魔が襲ってくる時間帯がある。今がちょ
うどその時で、いつもだったらみんなとワイワイ騒いでいるから、それでなん
とか我慢できていた。
しかし、今は矢口と二人きり。
それも市井にとって、かなり居心地のいいふいんきなのだ。
「だいじょぶ?最後までもちそう?」
市井の方へまっすぐ瞳をむけて、心配そうな顔で言う。
それをぼんやりと見つめている市井。
「ん〜、だめっぽい」
「ちゃんと、夜、寝なきゃ身体もたないよ?」
「わかってるんだけどねぇ」
笑っているような、泣いているようなそんな表情。
(紗耶香も色々とため込んじゃうタイプだから)
自分には、はっきりと言ってくれない市井を見ていると、なんだか少しさみし
い気持ちになってしまう。
(後藤には言ってるのかなぁ・・・)
- 203 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)19時49分09秒
- 「どうする?少しだけど寝とく?」
とりあえず、なんだかそのままほっとけなくて、なんとかしなきゃという思い
がはたらく。
「どうしようかな」
(まだ仕事あるしなぁ)
「時間がきたら矢口が起こしてあげるよ?」
「ん〜〜〜」
「ね?」
その笑顔には逆らえなくなる力があって。
眠気以外のゆったりした気持ちが沸き上がってくる。
(矢口にお願いされちゃ、聞かないわけにはいかないよな)
「じゃ・・ちょっとだけ」
「よし!!」
パァッと輝くような笑顔。
市井は、このままずっと見ていたいと思ってしまった。
- 204 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)19時50分00秒
- 「ふぁ〜〜・・・」
また1つあくびが出た。
いつも以上に眠気を感じるのはなぜだろう。
「なんか、マジでお疲れって感じ」
「ん・・・ねむ・・」
「どこで・・・あ、ここで寝たら?」
まわりをキョロキョロ見渡して、結局、一番寝る場所に向いてるのは、今、自
分が座っている長椅子だと気付き、ポンと叩く。
「ん?矢口んとこ?」
「そ、ここだったら横になれるし」
「・・・ん〜、そだね」
市井はゆっくりと自分が腰掛けている椅子から立ち上がろうとする。
その動作を見て、長椅子からどこうとする矢口。
「いいよ、そのままで」
「へ?」
思ってもなかった言葉に、矢口はちょっと首をかしげる。
長椅子の幅は、矢口がどいたとしても少し足があまってしまうくらいしかない
のだ。身体を曲げて眠るよりかは、まっすぐ寝た方が疲れがとれると思ってい
た矢口は、訳が分からず、市井を見ている。
ゆっくりと矢口と長椅子に近づいていく市井。
- 205 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)19時50分36秒
- そして、椅子の真ん中に座っている矢口の目の前に立った。
端から端までを確認して、矢口に視線を止める。
なにするの?という顔に向って、市井は左の方へ視線を移動させながら言う。
「ちょっとそっちに移動してくれる?」
「こっち?」
「ん・・・」
矢口を左端へと動かす。
「ここでいいの?」
こくんとうなづく市井。
「???」
「よいしょっとっ・・・」
まず、市井は矢口から少し離れた常呂に座る。そして、顔を矢口に向けて確認
するように呟く。
「そのままでいてね」
「なに?」
何をしようとしているのか矢口にはまだわからない。
(矢口がここにいたら足曲げなきゃいけなくなるなにぃ)
- 206 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)19時54分11秒
- 市井は、また身体の向きをかえて、今度は足を椅子の上に乗せた。必然的に背
中を矢口の方へむける格好になる。
「なんなの?紗耶香」
「じゃ・・寝ま〜す」
「え?」
そう言うと、そのまま上半身を矢口の方へと倒してきた。
「ちょっ・・ちょっと・・・紗耶香??」
そんな矢口の戸惑いを感完全に無視するように、市井はゆっくりと仰向けになっ
ていく。そして・・・。
「よっ♪」
「あっ・・」
何事もなかったように市井は矢口の膝に頭を置いた。
「ん、思ってたとおりいい感じ」
「紗耶香〜・・」
へへへと笑いながら、下から顔を覗き込んでくる市井。
やっと今までの行動の意味がわかった矢口は、市井の額を指ではじいた。
「いってぇな〜」
おおげさに顔をしかめて抗議してくる。
「もぉ、なにかと思ったじゃない」
「そう?てっきりしてくれるもんだと思ってたのに」
「そんな事、思ってね〜よぉ」
「なんだ、市井の勘違いだったか」
瞳で「どく?」と問い掛ける市井。
- 207 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)19時54分47秒
- (そんな目ぇされちゃうと、抵抗できないじゃんかぁ・・・って
矢口がそう思っちゃうのがわかっててやっているんだろうなぁ)
「いいよ、特別にこのままにしといてあげる」
嬉しそうな顔をする市井の頭に手を置いて、そう呟いた。
たまに、こうやって甘えてこられたりなんかすると、なんだか彼女がやりたい
事は全部かなえてあげたくなってしまうの自分は、やっぱり彼女の事が好きだ
からで。中澤への想いとはまた違った感情が矢口の心を満たしていく。
「紗耶香・・・」
「・・・ん?」
「ゆっくり休みなよぅ」
「・・・ん」
「ちゃんと矢口が起こしてあげるからね」
「・・・・・ん・・」
返事の感覚が少しずつ広がっていって、やがて市井は眠りについた。
- 208 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)19時55分18秒
- −その頃の中澤と後藤−
「裕ちゃん・・・逃げたりしてごめんね」
「もぉえ〜よ」
「でも・・・」
「ええて。さっきごっちんがあたしの事好きってゆーてくれたから、それだけ
でもぉええて」
(よっしゃ、この距離やったら逃げれんやろ)
「(だまって中澤を見つめる後藤)」
「なぁ、ごっちん・・・キスしてえーか?」
「・・・・」
「だめか?」
「・・・・」
「いややったら正直に言ってぇな」
「・・・・いいよ」
「ほんまか?」
「裕ちゃんなら・・・いいよ」
(なんて素直な良い子なんでしょう♪)
「ごっちん・・・ほんまに好きなんやからな」
「・・・ん」
いいのか?ほんとにいいのか?後藤!!
カメラマーン、早く来てれぃ(笑
- 209 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月04日(月)20時04分43秒
- はい、「お互い様」更新です。
なんか題名とあんまり関係ないような内容になってしまった。
でも、とりあえず目的だったひざまくらが書けてよかったなと。
いきなりですが、今までのは「前編」という事にしました。
次からのUPは「後編」になって、視点が裕ごまになります。
早めの展開を心がけて。
>さんちーさん
とりあえず、前編という事になりました(笑
これからは題名通りに進めて行きたいと思ってます。
待っててくださいませ。
>Qooさん
すみませ〜ん。
ちょっと話の進み具合がゆっくりになってしまいまして。
ど〜もだらだらと書き続けてしまう性分なようです。
次回からはさくさくっと(笑
- 210 名前:Yambo 投稿日:2000年09月04日(月)20時38分23秒
- ひざまくら…いいっすねぇー。甘いっす。
あーなんか、この雰囲気好きだなー。気に入りました。
そして、裕ちゃんは目的を果たせるのか!?
- 211 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月05日(火)00時29分17秒
- 後編へ行きますと宣言してから気がつきました。
とりあえずこの話を終らせないとだめですね。
- 212 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月05日(火)00時30分05秒
- −その頃の中澤と後藤−番外編
一度やりたいと思った事は、どうしてもやり遂げたくなってしまう。
中澤にはそんな所があった。
矢口に言わせれば、そんな「子供っぽい所がかわいい」となるのだが。
だから今は、後藤と絶対キスしてみせるという目的に向って爆走していた。
(いよいよごっちんとちゅ〜できるやん)
中澤の作戦にまんまと引っかかってしまった後藤は、何も知らずにそっと目を
閉じる。それを確認してから自分もまぶたを閉じた。
そして、ゆっくりと後藤の唇に向って近づいていく。
(ほな・・いっただきま〜す♪)
後藤の唇まであと10cm。
−裕ちゃん・・・−
矢口の声が聞こえたように感じて、閉じていた目をちょっとだけ開けてみる。
少しだけ罪悪感を感じたのだが、(キスだけやし)と思い直し、再び瞳を閉じ
た。自他共に認める「キス魔」といたしましては、こんなおいしい所で止まっ
ていられません。
後藤の唇まであと7cm。
−裕ちゃん・・・−
(矢口・・許して〜な。ちょっとだけ・・)
−裕ちゃん?−
(だいじょぶだいじょぶ。矢口にするみたいな技は使わへんから)
−裕子ぉ?−
(怒らんといてな・・・ちょっとしたお遊びなんやし)
−・・・・・−
(許してくれる?優しいな矢口は・・ほな・・・)
勝手な解釈をする中澤。
- 213 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月05日(火)00時32分03秒
- 後藤の唇まであと4cm。
中澤は後藤が息を止めている事に気付く。
(ひゃ〜、やっぱごっちんかわええなぁ)
はたして、後藤の唇はいったいどんな感触なんでしょう。
後藤の唇まであと2cm。
再度、心の中で「いただきます」を呟いて、後藤のそれに触れようとしたその瞬間。
「やっぱりだめぇぇぇ!!」
中澤の肩を両手でつかみながら後藤は叫んだ。
例のその腕力によって、いきなり後方へと押し出された中澤はバランスをくず
し、そのまま後ろへ倒れていく。
「うわっ、ちょ・・・ごっち〜・・」
「裕ちゃん!!」
後藤はあわてて中澤の身体を抱きかかえようとする。
あわててその腕にすがった中澤は、なんとか足で踏ん張って、頭から落ちてい
くような事体だけはまぬがれた。
「な、なんやの急に」
「やっぱりできないよぉ」
今にも泣き出しそうな後藤。
ここで大泣きされてしまうと、後々面倒な事になる。
まだ撮影が残っているというのに、後藤のまぶたが腫れてるなんて事になれば、
同じ部屋にいたリーダーとしての中澤の責任問題にも発展しかねない。
「とりあえず、落ち着き。な、落ち着いて話そう」
「うん・・・」
一生懸命涙を止めようとしている後藤に、なぜか矢口の泣き顔がだぶる。
(矢口も泣き出すと止まらへんとこあるからなぁ)
中澤はぼんやりとそんな事を考えていた。
- 214 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月05日(火)00時32分42秒
- 少し落ち着いてきた後藤は、また「ごめんね」と小さな声で呟く。
中澤の心は罪悪感でいっぱいになった。
「ごっちんはなんも悪くないんやからあやまらんでいいから」
「・・・裕ちゃん」
「なんや?少しは落ち着いてきたたか?」
「ん・・・」
「無理言ってごめんな。ごっちんがあんまりかわいいから、ついいじめたなっ
ただけなんや」
「・・・・」
「そや、冗談、冗談やで。だから泣かんといて〜な」
「裕ちゃん・・」
「なん?」
「ごめんね」
「せやからごっちんはなんも悪くないて」
「あのね・・」
「ん?」
「市井ちゃんと約束したの」
「紗耶香?・・約束?」
「うん、約束したの。市井ちゃんの唇はあたしの物だから、あたしの唇は市井
ちゃんの物だよって」
「・・・・」
「だから自分の他に誰にも触れさせちゃだめだよって」
「紗耶香がそう言ったんか?」
「(うなづく後藤)」
(あいつ、どこからそんなうまい言葉仕入れてきたんや)
「だからやっぱり裕ちゃんとはキスできない」
後藤は再びごめんねと呟く。
(あたし、おもいっきり悪者やんか)
まさにその通りである。
- 215 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月05日(火)00時33分23秒
- 「わかった。ごっちんとのちゅ〜はあきらめる!!」
「裕ちゃん・・・」
「すっぱりあきらめるわ」
「・・・・」
「そんな顔せんと。なんや、あたしにも約束してた相手ているの思い出したしな」
「それって・・・やぐっつぁん?」
「ごっちん、自分、痛いとこつくなぁ。ここで名前言うなっちゅうねん」
中澤は胸をおさえて痛がるマネをしながら、ニヤッと笑った。
「アハッ」
その姿を見て笑う後藤。
「ハハハハハ」
その笑顔を見て笑う中澤。
2人して笑い合う。
そんな所へ。
「すみませ〜ん、やっとかめらマンが到着しました〜」
ノックもなしに部屋に飛び込んできた某雑誌の記者。
「どうしたんですか?」
なぜか、お互いの腕をつかみ合って大笑いしている二人を交互に見ながら、記
者は不思議そうに聞いてくる。
- 216 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月05日(火)00時34分02秒
- 「あ、なんでもないですよ。じゃそっちに行きますね」
営業スマイルを浮かべて答える中澤。
「お願いします。ほんとに遅れまして申し訳ありません」
「あ、いえいえ〜、ちょうどいい休憩にもなりましてし」
「すみませんでした。じゃ、お願いします」
「は〜い」
にこやかに答える中澤に安心したのか、記者も笑顔で頭を下げて部屋から出ていった。
「カメラマン、やっと来たって」
「うん」
「早いとこ終らせて紗耶香のとこに戻ろか?」
「うん!!」
そのイキのいい返事に中澤は苦笑い。
「ほな行くか?」
「は〜い♪」
そして、パッと右手を差し出す中澤。
その手を見て、ニッコリ素顔の後藤。
二人は仲良く手をつなぎながら部屋を出て行くのであった。
(しかし・・・惜しかった・・あと、あとちょっとやったのに)
後藤の手のあたたかさを感じながらも、懲りずにそんな事を考えている中澤裕
子。あきらめたって言ったのはどうも嘘っぽい気がするのは気のせいか・・・。
- 217 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月05日(火)00時39分23秒
- これで前編は全て終わりです。
やっぱり裕ちゃんとチュ〜は無理でした。
やっぱりやぐちゅ〜でいちごまだから(笑
後藤は市井ちゃんと。裕ちゃんは矢口と。
こればっかりはどうにもなんなかったっす。
>Yamboさん
矢口のひざまくらはきっとものすごく気持ちいい事でしょう(笑
悲しいかな、裕ちゃんの野望は失敗に終りました。
「たらし」宣言も取り消ししなきゃですね。
- 218 名前:さんちー 投稿日:2000年09月05日(火)00時56分15秒
- ほっとしたよ〜。
後藤はやっぱ市井ちゃんのものでいてほしいもんね〜。
しかし矢口の膝枕は浮気にはならんのか??
後藤がみたら妬くのでは?
後半も楽しみです。
- 219 名前:Qoo 投稿日:2000年09月05日(火)01時18分19秒
- あと2cm〜!!やばかった(笑
市井ちゃんの唇は後藤のもので、
後藤の唇は市井ちゃんのものなのだぁ(笑
後編もゆっくり頑張ってください♪
- 220 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月06日(水)18時59分47秒
- 某テレビ局内の廊下。
中澤と後藤の二人は、遅れていた雑誌取材の仕事も終え、自分達の控え室へと
戻っている所であった。後藤の顔には満面の笑み。待たされ続けられたが、よ
うやく市井に会えるという気持ちが自然とあふれ出ているのだ。
「ニヤニヤしすぎやで。もうちょこっとしめなあかんで、ごっちん」
ちょっとつっかかってみる中澤。
仕事が終ったとたんさらに笑顔が輝いたように感じ、市井に対してジェラシー
を感じていたのだ。
その言葉を聞き、あわてて両手を頬にあて、なんとか修正しようとするのだが、
瞬く間にニヤけていく後藤の顔。
「そんなに紗耶香に会いたいんかいな」
「うん!!」
「あ〜、そうですか〜、はいはい」
呆れ顔の中澤。
「ね〜、先行ってもいい?」
「あかん」
「え〜、なんでぇ」
「廊下走ったらあかんて学校で習わんかったか?」
「あたし走んないよ?」
「あんたは絶対に走る」
「そんな事ないも〜ん」
「あんな、もうちっと裕ちゃん大事にせなあかんで?」
「ちゃんと大事にしてるよ?」
「・・・どの口が言うんや」
「ね、いい?」
「あか〜ん」
「もー」
早く控え室に戻りたい後藤は、そのはやる気持ちをおさえられずにいたが、や
はり、なんといっても『リーダーの中澤』には逆らう事はできない。
その場でかけ足!!みたいな事をして中澤と一緒に歩いて行った。
最後の角を曲がり、目指すは控え室のドア・・・大きく一歩ジャンプしてその
角から飛び出した。
- 221 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月06日(水)19時00分17秒
- 「あれ?圭ちゃんだ」
後藤が控え室の方へ視線をうつすと、そこには市井と先に戻っていったはずの
保田の姿があった。ドアに寄り掛かりながらジュースを片手にぼーっとしてい
る。見れば、足元にももう一本。
「なにしてるんや?圭坊」
後藤よりやや遅れて角を曲がってきた中澤が、保田の姿を見つけ声をかける。
保田は、中澤達の方へ顔を向けると、少しむずかしそうな困ったようなそんな
顔をして、指を口元に持っていって「シ〜ッ」とやった。
二人は顔を見合わせて、お互い首をかしげていたが、とりあえず保田の言う通
り静かにそっと近づいて行った。
「なにしてんのや?」
「どうしたの?圭ちゃん」
二人、小声で話し掛けた。ちょっとね・・と答える保田。
訳わからんという表情の中澤と眉間にしわをを寄せ、真剣な面持ちで保田を見
つめている後藤。
「何かあったんですか?」
「んー・・たいした事じゃないんだけど」
「なんや?」
「ちょっと、中に入りづらくてさ・・・」
「はい?」x2
(入りづらいてどういう事やねん)
(ん?ん?)
保田は、他のメンバーがあきれるくらい、まわりに気を使いまくる人であった。
安倍からも「もっと自由にしていいんだよ?」と言われる時もある。
それが彼女の長所にも短所にもなっているのだが。
だからその保田が、中に入らずこうやって外で待っているという事は・・・。
答えは1つ。
入っては行けないふんいきを、中の人達は醸し出しているという訳で。
- 222 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月06日(水)19時01分00秒
- 「誰がいるんや?」
「誰がいるんですか?」
同時に二人の声が保田に向けられた。
(市井ちゃん、どっかに行っちゃったのかなぁ。ここにいると思ってたのに〜
後から探しに行かなくちゃ)
後藤は、「先に戻ってるから〜」と出ていった市井の姿を思い出していた。
保田が言う「入りづらい」人達の中に、まさか市井が入っているとは、全然思っ
ていないらしい。
(か〜、いつのまにそんなんできてたんや?裕ちゃんびっくりやで。んと、こ
こにおらへんヤツゆーたら・・紗耶香となっちと圭織?矢口はちゃうやろし)
中澤は、部屋を出て行く時に「早く戻ってきてよぅ」と小さな声で呟いた矢口
の姿を思い出していた。
保田が言う「入りづらい」人達の中に、まさか矢口が入っているとは、全然思っ
ていないらしい。
だから、保田の口からその二人の名前を聞いた時、誰の名前を言ったのか理解
できなかったのだ。
「紗耶香と矢口」
「・・・・・・・」
二人の時間が止まった。
遠くからスタッフらしい人の声が聞こえる。
誰かの携帯の音も鳴り出した。
今日は朝からいい天気で、移動中の車窓の隙間から眺めていた娘。達。
いつもの光景。いつもの仕事場。
あ〜ぁ、はやく家に帰りたい。
まだ時間は動きだそうとしていない。
- 223 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月06日(水)19時05分45秒
- 「お互い様」後編はじまりです。
前編は時間の流れがゆっくりだったので、サクサクと(笑
>さんち〜さん
やっぱり基本はいちごまなんで♪
膝枕はですねぇ、どうなるんでしょうか(笑
市井ちゃんは何事にも(一応)余裕で対応する人なので。
>Qooさん
やばかったですねぇ。
でも、ほとんどちゅ〜してるようなもんじゃないっすか?(笑
いちごま♪いちごま♪やぐちゅ〜♪やぐちゅ〜♪
せっかくのチャンスを・・裕ちゃんすまん!!
- 224 名前:Yambo 投稿日:2000年09月06日(水)22時47分26秒
- >たれきりんさん
矢口の膝枕…うーん、気持ち良く眠れそうですね。
紗耶香がうらやましい(笑)
それにしても、たれきりんさんの世界の後藤、いいっすねぇー。
まさしく、好き好き市井ちゃん♪あなたひとすじっ♪て感じですね。
後編も頑張ってくださいね。
- 225 名前:さんちー 投稿日:2000年09月07日(木)00時06分06秒
- おお!!!何と気になる切り方...。
どうなるんでしょう??
後藤の嫉妬は可愛い感じするけど、裕ちゃんは怖そう〜。
後半も期待してます!!
- 226 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月07日(木)18時55分21秒
- 今日は朝からいい天気で。
窓から見る空は、まぶしいくらいに真っ青で・・・。
「いい加減なんか言ってよ」
とうとう保田がしびれを切らして、今尚固まっている二人に声をかけた。
(なんか今、矢口と紗耶香って聞こえたような気がするなぁ)
(市井ちゃんとやぐっつぁん?んん?)
まだ理解しきっていない。とりあえず聞き間違いに違いないと思い、もう一度
確認してみる事にした。
中澤は大きく深呼吸して保田に顔を向ける。
「もういっぺん聞くわ・・誰と誰やて?」
「だから、紗耶香と矢口」
事も無げに告げる保田と、それを聞いて小さくため息をつく中澤。
その2人を見ながら「なにしてんだろ?」な後藤。
中澤は、真剣な顔をして「ふむ」と納得したようにうなづこうとしていたのだ
が、その流れを無視して、いきなり保田との距離をつめる。
「なっ!!」
(なんで、あたしの矢口と紗耶香がそうやねん!!)
保田の胸元に手をのばし、思わず大声で叫びそうになる中澤。
保田は、あわてて素早い動きでその口を抑えてしまう。
ガッと組み合う2人を見つめる行司のような後藤。
まだ訳がわかっていない。
「裕ちゃん、声大きいって」
「えああえ・・あういおあやあえあいいうあいえおううーおおあ?」
(注:訳(せやかて・・矢口と紗耶香で入りづらいてどうゆーことや?)
口を塞がれてもなおしゃべろうとする中澤。どうやらかなり気になっているる
らしい。矢口はともかく相手があの紗耶香なのだ。ここはきちんと確認してお
く必要がある。
- 227 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月07日(木)18時55分56秒
- 「落ち着いてよ、裕ちゃん」
「おいうええあえんっうーんあ」
(注:訳(落ち着いてられんっちゅーんや)
胸元から手を離し、自分の口を押さえている保田の手を離そうと移動させる。
「ああえお!!えーおー!!」
(注:訳(離せや!!圭坊!!)
保田はちょっと困ったなという顔をして、中澤の耳元でつぶやいた。
「静かにしてくれないんなら・・・後藤との事、矢口にばらしゃうよ?」
「あっ!!あんえおおおおお・・・」
(注:訳(なっ!!なんでその事を・・・)
中澤の頭の中に、さきほどの後藤との出来事が次々と沸いて出てきていた。
(やばい、あれを矢口に知られたらまじでやばいっちゅ〜ねん)
「やっぱりだ」
保田は、してやったりという感じで「フフフ」と笑う。
(こいつ、はめやがった)
「で、なにされたの後藤?」
「え?」
いきなり話を振られた後藤は、言葉がつまる。
今の二人の間にどんな会話があったのか・・・。
(何で裕ちゃんの言ってる事わかるんだろ)
後藤にはさっぱりわからない。しかし保田には理解できてるらしい。
恐るべし保田圭。
ただ二人の事を交互に見ながら、「えっと〜」を繰り返す後藤。
「・・・・」
(ちっ、さすがは圭坊、のせられてもたやないか)
「別に・・なんにも・・・」
とりあえずは、後藤も大手を振って話せる内容じゃない為、言葉を濁す。
- 228 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月07日(木)18時56分38秒
- そんな後藤を見ながら「まだまだだね」ってな感じで余裕の微笑みを見せる保
田は言葉を続ける。
「ま、だいたい想像できるけどね。裕ちゃんあんまりあちこち手ぇ出してると、
後で痛い目に合うんだからね」
その素晴らしい笑顔に恐怖心を覚える中澤。
「とにかく、静かにしててよ、裕ちゃん」
「(ウンウン)」
ただうなづく事しかできない。
「よし、じゃとりあえずあっちに移動しようか」
そのままの体勢で控え室から少し離れた所へ移動する三人。
ちょっとまぬけである。
「えーおー、おーいいあお?」
(注:訳(圭坊、もーえーやろ?)
中澤はまだ押さえたままになっている保田の両手を指差した。
「あ、ごめんね」
それに気付いて両手を下ろした。
やっと口が自由になって、中澤は大きく深呼吸をした。にこやかな保田を見つ
めながら。
(こいつ、もしかしたら一番怖いヤツかも)
「なんか言った?」
「なんも言ってないで」
「そ?」
後藤はまだ「?」状態。
- 229 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月07日(木)18時57分27秒
- 「とりあえず、中に入りにくいてどーゆー事なんや?」
「あ、そうですよー」
三人、ちゃんと向かい合って会話の続きを始める。
ちゃんと小声で聞いてくる中澤は、基本的に素直な人のようだ。
後藤も思いだしたかのように話に加わる。
「紗耶香が先に戻ってるって言ってたから、ちょっと驚かそうと思ってそっと
ドアを開けたのね」
「うんうん」
「一人だと思ってたら矢口も残ってて」
「うんうん」
「二人で長椅子のとこにいたの」
「・・・・」
「そこでね・・・」
「・・・・」
「いや〜、これ以上は言えないなぁ」
「なんやねんな!!」
間髪つっこみを入れる中澤。
「市井ちゃんとやぐっつぁんがどうしたんですか?」
「ん〜、とりあえずさ、中見てみたら?」
「なっ!!」
(もったいぶらしてそれかい!!)
(なにしてるんの?市井ちゃん・・)
完全に振り回されている二人・・・正確には中澤一人なのだが。
「そこまで言うなら見たろやないか」
とうとう開き直って声高々に小声で宣言する中澤。
(あたしの矢口がんな事するわけないやん)
一生懸命自分に言い聞かせる。
「あ、あたしも行く〜」
控え室へと向おうとした中澤に、あわてて声をかける後藤。
しかし中澤は、その身体をクルッ反転し妙に真剣な口調で告げる。
「ごっちんはここで待っとり。裕ちゃんが先に見てくる」
「ん・・・」
「そぉ〜とだよ、音たてちゃだめだよ」
後ろで小さく声をかける後藤に手を振り、控え室へと近づいていく。
ドアの目の前。
1つ深呼吸をして、右手をノブにかける。
静かに・・・静かに回していく。
(矢口・・どこや?)
- 230 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月07日(木)19時01分24秒
- はい、「お互い様」更新です。
相変わらず時の流れはゆっくりで(笑
あきませんな〜。
>Yamboさん
ものすごく気持ちいいはずだ。
どんな不眠症の人でも夢の世界へ〜♪
ありがとうございます。
もう後藤に対してはそういうイメージで固まっちゃってるんですよ。
市井ちゃんしか見えないのって。
>さんちーさん
わかってて、あんな所で切ってしまいました。
しかし・・さらに墓穴掘ってるような気が・・・。
そうですね、自分の事は棚に上げて「あぁぁぁ!!!!」って
すごい事になりそうっす。
- 231 名前:I&G 投稿日:2000年09月07日(木)19時30分20秒
- いいところで切りすぎだ〜。
すごく気になるじゃないですか〜。
更新待ってます。!!
- 232 名前:Yambo 投稿日:2000年09月07日(木)21時44分36秒
- >たれきりんさん
私も夢の世界へ行ってみたいっす。
さて、ドアが開いたらどんな世界が待っているのやら…!?
あ、私も市井ちゃんしか見えてない後藤が一番いいです。
やっぱ一途な想いがいいですな。
- 233 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月07日(木)23時21分02秒
- 「!!!!!!!」
そこに飛び込んできたのは!!
(や・・・やぐちぃぃぃぃ)
みるみる泣き顔になっていく中澤。
その瞳に写っていたのは、市井に膝枕してあげている愛しい人のその姿で。
目の前にしてもまだ信じられないその光景。
さ、紗耶香に・・・膝枕?。
あたしでさえまだしてもろた事ない、矢口の膝枕。
なんで紗耶香にしてあげてるんや・・。
なんでや〜!!なんでや矢口!!
なんちゅうこっちゃ。おのれ紗耶香。
あたしの矢口になんちゅーことさせてるんや。
あいつまた気持ちよさそうに寝てやがるやんか。
う〜〜、そりゃ気持ちいいに決まってるわな。
矢口やで?あたしの矢口やで?
矢口の膝枕やで?
あぁ・・・矢口に膝枕してもろたらどんなに気持ちええか。
きっとすっごくやわらかいはずや。
「裕ちゃん♪」なんて呼ばれて「なんや?矢口」ってあたしが答えて。
「好きだよぉ」てな事言われたりして。
あかん、裕ちゃんまいってまうやんか・・・。
って違う違う、今はそんな事考えてる場合やない。
そうか!!
そやから朝から「疲れた〜疲れた〜」ってゆーてたんか。
あたしの矢口に膝枕してもらおー思て。
そやったんか!!紗耶香!!
なんちゅーこっちゃ。見抜けなんだ。
ゆるさ〜〜〜ーん!!
しかし、矢口も矢口や。
なんで紗耶香、膝に乗せてんねん。
あたしかてまだしてもろた事ないやんか〜。
くっそー、なんて嬉しそうな顔であいつの事見てんねん。
矢口!!裕ちゃんはここやで!!
あんたが大好きな裕ちゃんはここにいるんやで!!
- 234 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月07日(木)23時21分48秒
- ドアの前で固まったまま、動こうとしない中澤に、しびれを切らした後藤がそっ
と近づいていく。
「あたしも見てくる」
「いってらっしゃい」
保田の返事を受け、そっと中澤の後ろについた。
中を覗いている中澤の下へ潜り込んで、後藤も中の様子を見る。
(市井ちゃん達、なにしてるのかな?)
そこに飛び込んできたのは・・・以下略。
ああぁぁぁぁぁ!!!!
市井ちゃんが・・市井ちゃんが。
なんで?なんで?なんでぇぇ?
やぐっつぁんに膝枕してもらってるぅぅぅ。
え?どうして?
だって、市井ちゃん何にも言ってくれてないじゃない。
やぐっつぁんに膝枕してもらうからって。
あたしにそんな事言ってくれてないじゃなーい。
また気持ちよさそうに眠っている市井のその顔。
なんで?
あたしだって言ってくれればいくらでもしてあげるのに。
市井ちゃんに膝枕くらい好きなだけしてあげるのに。
後藤じゃだめって事なのぉぉお!!
いちーちゃんのばかぁ〜〜〜!!
そんな安心しきったような顔、やぐっつぁんに見せないでよ。
市井ちゃんの寝顔、見せないでよ。
あたしだけだって思ってたのに。
市井ちゃんの寝顔を見れるのあたしだけだって思ってたのに。
も〜、いいもんいいもん。
市井ちゃんがその気なら、あたしだって考えがあるんだからね。
絶対市井ちゃんと一緒にねてあげないんだからね。
あたしも市井ちゃんに膝枕してあげたぁぁぁぁい!!
二人はまだ動こうとしない。
保田はそんな光景を見ながら(さて、これからどうなるんだろ)とまるで他人
事のように思いながら、ジュースに口をつけた。
- 235 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月07日(木)23時27分05秒
- ちこっとだけ更新(笑
こういう感じでいかがでしょうか?
これからどうなっていくんでしょう。
>I&Gさん
ちこっとだけですが、更新しました。
いやぁ、今回はちょっと狙いすぎでしたね<切る
がんばりま〜す。
>Yamboさん
自分も夢の世界へ行ってみたいです(笑
後藤は一途と決めております。
市井ちゃんに向ってまっしぐら。
というわけで、裕ちゃんはまだ矢口に膝枕してもらってなかったみたいですね。
くやしいだろうなぁ。
- 236 名前:Qoo 投稿日:2000年09月07日(木)23時41分07秒
- おぉ、結構更新されてる!
裕ちゃんと後藤のパニくったカンジ、いいですねぇ。
ここからの展開が楽しみっす。
- 237 名前:さんちー 投稿日:2000年09月07日(木)23時55分07秒
- おおっと!浮気現場発見か!?
市井と矢口はどうするんでしょう??
続き楽しみにしてます。頑張って!
- 238 名前:Hruso 投稿日:2000年09月08日(金)00時09分23秒
- いちごま&やぐちゅー+さやまり。
難しそうだなと思ってたら、こんなに面白いものを書けるなんて。
たれきりんさんに感服です。
- 239 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月08日(金)01時07分08秒
- どーなっちゃうのか!?
修羅場っても甘い匂いがするのは、気のせいすかね。
- 240 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月09日(土)01時24分25秒
- 観察時間は終わり、二人は保田の元に戻ってきた。
その足取りはかなり重い。
「どうだった?」
笑顔で迎える保田。中澤は無言でじーっと見つめ返す。
(自分、わかってて聞いてきてるやろ・・あんたはオニやで)
「矢口が膝枕してた」
「市井ちゃんが膝枕されてた」
二人の言ってる意味は同じだが、言葉が違っている。それぞれ本命の人が別だ
という事で。中澤には市井に膝枕している矢口しか見えていなかったし、後藤
も同じく市井しか見えていない。
二人同時にため息をついた。
「なんであーなってるんや?」
「そうだよー、何でああなっちゃったんですかぁ?」
「あたしも知らないって。戻ってきたらああなってたんだから」
「それもかなりいいふいんきやで?」
「市井ちゃん・・・」
浮かんでくるのは幸せそうな市井と矢口の姿。
「あたしの矢口がー」
「えーん、市井ちゃーん」
かなりぼろぼろ状態です。
しかし、中澤、ついさっきまで余裕で後藤と遊んでいた筈なのに、矢口に対し
てはなんともろい事。
(後藤はともかく、裕ちゃんって矢口の事になるとへなちょこなんだよね)
保田はまだ落ち込んでいる二人を見ながら思った。
他のメンバーに対しては、かなりの余裕で相手している中澤であったが、矢口
がらみになるとその態度が豹変してしまう。それだけ好きなんだと言ってしま
えばそれまでだが、いつものリーダーはどこに消えてしまったんだろうと、首
をかしげてしまうほどの弱気ぶりに、見てると笑い出しそうになってしまう。
あちこち手を出すのも、結局は矢口という存在が中澤の中を大きく占めている
から。保田もたまに軽く注意をするのだが、「矢口は別やねん」の一言で片づ
けられてしまう。
(ちょっとくらいは痛い目に合わないとね♪)
保田圭・・影の黒幕というのは嘘ではないらしい。
- 241 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月09日(土)01時25分31秒
- しばらくの間、しょぼんとしていた中澤がいきなり顔をムクッと上げ、後藤の
方に向けた。
「・・・・・なぁ、ごっちん?」
「ん?」
「なんや・・裕ちゃん腹たってきた」
「?」
見れば、泣きそうだった顔が何か決意を秘めたみたいなきびしい顔に変っている。
「あの二人、このまま好きなようにさせたらあかんと思わんか?」
「うーーん。やぐっつぁん、市井ちゃんの事好きなのかなぁ」
「んな訳ない!!矢口はあたしのもんや」
「市井ちゃんだってあたしのだもん」
後藤とはいまいち会話が合わない。
「やからな・・・ちこっと二人におしおきせんか?」
「え?おしおき?」
「そや、矢口にはあたしがおるし、紗耶香にだってごっちんがおる」
「うんうん」
「せやけど、今のあの二人のムードははっきりいってうちらをコケにしてる」
「・・・・」
中澤が何を言おうとしているのか、ただ真剣な顔で聞く後藤。
「そこでや。ちょっとあの二人にそんなんなったら怖いでっちゅ〜のを教えた
らなあかん」
「ちょっ、裕ちゃん何するつもり?」
話の成り行きが少しあやしくなってきた。保田はあわてて口をはさむ。
「圭坊はだまっとり。これはうちら四人の問題なんや」
「あ〜、それってさみしいなぁ」
いつもの怖いリーダーの表情で保田の言葉を切る。
「どうするの?裕ちゃん」
かなり興味を持ったらしく、話の続きを催促する後藤。
- 242 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月09日(土)01時26分11秒
- 「向こうがそうくるんなら、こっちも同じように攻めるんや」
「同じって?」
「裕ちゃん、ええ作戦思いついたで。名づけて『矢口と紗耶香に痛い目あわせ
たろ作戦』!!」
「・・・そのまんまじゃん」
「だまれぇ!!」
「・・・・・」
「どや?ええ作戦やろ?さすがは裕ちゃんだけの事はあるやんか」
「なに自分で言ってんの」
中澤の発言を聞いていると、ついつっこみを入れてしまいたくなる保田。
「うるさいっちゅ〜ねん。ええか?ごっちん。うちらが今した想いを、矢口達
にもさせたるんや」
「市井ちゃん達にも?」
「そや。うちらが仲良うしてるとこをあの二人に見せつけて、ヤキモチ妬かせ
るんや」
「えーーー!!」
(結局はそれなのね・・・)
「どや?ええ作戦やろ?」
「う〜ん、すごい・・・かな」
「かなて・・あたしを誰や思てんねん。天下の中澤裕子やで!!」
「だてに年はとってないって」
「けーぼー!!自分、いちいちいちいち・・・」
このままほっといたら、とんでもない方向に進んでしまいそうで。
中澤はかなり熱くなっている。
「で、何するんですか?」
「何て・・そやなぁ。まず、ごっちんは紗耶香に近づかへんようにする」
「ええぇぇぇ、やだーーー!!」
「いややないやろ。うちらの仲いいとこ見せなあかんねんで、ごっちんが紗耶
香にひっついてたら妬くもんも妬かんやろ?」
びしっと人差し指をたてて後藤の顔の前で止める。
- 243 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月09日(土)01時27分19秒
- 「だって・・・市井ちゃんの近くに行っちゃだめなんて・・やだもん」
「それだけやない。話もしたらあかんし、ましてや同じ部屋で寝るのも禁止や」
「・・・・」
「もちろん、あたしも矢口には近づかんし話もせえへん」
「・・・・」
「どや?」
「したくない」
「するんや!!そや、ごっちん。あれやで。紗耶香がヤキモチ妬くっちゅ〜事
は、自分の事好きやでって言ってるようなもんなんやで?」
「あたしの事?」
「そや。これは大きなチャンスやで。えーか、ごっちん。大人の世界では『ヤ
キモチ妬く』っちゅ〜事は、愛の告白と一緒なんや」
「ほんとですかー?」
「裕ちゃん嘘つかんて。紗耶香に告白されたいやろ?」
「うん!!!」
「ほな、決まりな。裕ちゃんの言いたい事わかってるな?」
「うん。あたしがんばって市井ちゃんにヤキモチ妬かせる〜」
「それでこそ、ごっちんや」
「へへ〜、市井ちゃんに告白♪告白♪」
「・・・またそんな大嘘ついて」
なんだか中澤の思い通りに話が進んでいってる気がするのは気のせいか。
矢口にヤキモチを妬かせたいのか、それとも後藤とただ仲良くなりたいのか。
「圭坊、あいつらにばらしたらあかんで」
キラーンと光る目を保田に向ける。
(ばらさなくても気付かれると思うけど)
「なんや?」
「ううん。別にいいけど。ま、とりあえずがんばってみたら?」
「見てろよ、矢口と紗耶香。うちが本気になったらどれだけ恐ろしいか見せたるわ!!」
「あたしも見せてやる〜!!」
(こんな時だけすごいやる気出すんだよね)
「待ってろ〜紗耶香!!!」
「おぉぉぉ!!!」
二人、ガッと肩を組んで、自分達の勝利を信じて宣言する。
(後藤、本気でわかってるのかなぁ)
なかなか楽しい展開の流れに、これから起こるであろうドタバタコメディーを思いながら
保田は一人微笑していた。
- 244 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月09日(土)01時33分32秒
- 「お互い様」更新です。
相変わらず展開が遅い・・まいりましたっすねぇ(笑
>Qooさん
更新しないと埋もれてしまいそうで(笑
そりゃ〜も〜浮気現場ですからねぇ、一応。
ましてや相手が相手ですし。
がんばります。
>さんちーさん
とうとう見られてしまいましたー。
どうするんでしょうってもう書いてますよね(笑
市井ちゃんと矢口・・・なんかぜんぜん平気とか?
ありがとうございます。
>Hrusoさん
いや・・難しいです。
それもどんどん長くなつていってるような気が。
やばいです。
そう言って頂けるだけで・・幸せかみしめてます。
>まいのすけさん
どーなっちゅうんでしょうか?
甘いの好きなもんで。
甘い修羅場っていうのもむずかしい気が・・・。
やっと話が進みだしたような。
すみません、やっぱりサクサクっとは無理でした。
- 245 名前:たか 投稿日:2000年09月09日(土)04時59分25秒
- おお!更新されてる♪
相変わらずいいところで切りますね〜
頑張って下さい
- 246 名前:さんちー 投稿日:2000年09月09日(土)23時35分23秒
- 後藤が可愛いです〜。
市井ちゃんと矢口の反応が楽しみ!!
- 247 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月10日(日)00時15分29秒
- で、ここは控え室のドアの前。
作戦開始は中に入ってからという事で、中澤と後藤は仲良く2人並んでいた。
あの後さらに練り上げた『矢口と紗耶香に痛い目あわせたろ作戦』
あくまで自然に見えるようにと、こっちから会話はふらないが、向こうからの
話にはかるーくのって消えていくとか。あいさつだけはきちんとするとか。
かなり真剣に今後のことについて話し合っていた。
さぁ、今戦いの火ぶたが気っておとされようと。
「いくで、ごっちん」
「うん」
仲良しをアピールする為にその手はすでにつながれている。
なかなかいいやわらかさなどとギュッとしてみた中澤。
それをちゃんと返してくる後藤。
するといきなりその手を振り解く中澤。
「ごっち・・痛いっちゅ〜ねん!!」
「ごめーん・・・アハッ」
「なにが『あは』?ったく若いもんは力の加減ちゅーもんを・・・」
「裕ちゃん早く入れば〜?」
「うっさい、圭坊。わかってるわ」
「ほな、いくで」
「うん・・・」
中澤は大きく深呼吸をしてドアへと手をのばした。
「コンコンッ」
思わずコケそうになる保田。
(なんでそこでノックしてるの?裕ちゃん)
いつものように、バーンとドアを開けて、中にずんずん入っていくかと思って
いた。どうやら緊張のあまりついノックしてしまったらしい。
『どちら様ですかぁ?』
中から聞こえてきたのは矢口の声。どうやら市井はまだ眠っているようだ。
(か〜、やっぱ矢口の声はかわえ〜な〜)
さっきの決意はどこへやら。中澤は、今聞こえてきた矢口の声を反芻している。
「裕ちゃんどちら様だって・・」
にへらとしている顔を無視して、後藤は中澤の服のスソを引っ張りながら指示
を仰ぐ。
「お、おぅ。せやったな、ごっちん」
あわてて顔を元に戻す。
せやな、とりあえずは・・・。
「裕ちゃんとごっちんやで〜」
ドアに向かって名乗ってみた。
- 248 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月10日(日)00時16分02秒
- 中に入ると、案の定市井はまだ矢口の膝枕で眠っている。
「なんか、紗耶香がすっごい疲れてたから〜」
「市井ちゃん・・寝てるんですね」
「怒んないだよぉ、後藤ぉ」
「べ、別にそんな事で怒りません」
「そや、な〜、ごっちん」
「ね、裕ちゃん」
「?」
いつもなら、ここに寝てい市井が起こされてしまうくらい大騒ぎする中澤と後
藤なのだが、作戦の為に一生懸命こらえている。
それが少し妙にうつった矢口は、「あれ?」と二人をを見上げる。静かな所が
逆に怖い。
(その上目遣いはだめやってば。くぅぅぅ)
(市井ちゃんの寝顔がぁぁ!!もっと近くで見たいよ〜)
気にしないように気にしないようにと、その視界に入れないようにするのだが、
どうしても見てしまう。その好きな人の膝枕してる姿とされてる姿。
(矢口のひざまくら〜)
(市井ちゃんの寝顔ぉぉぉ)
早くも作戦実行する事を後悔しはじめる二人。
叫びたくなるのをグッとこらえ、中澤と後藤の二人は、手をつなぎ合ったまま、
矢口達からは一番離れた椅子に座る。その動きのぎこちなさがおかしさを誘う。
椅子に腰掛けて、わざとぴったり顔を近づけて、なにやらないしょ話を始めた。
(ええか?ごっちん。いちゃいちゃやで?)
(うん!!まかせてよ、裕ちゃん。)
「ねーぇ、なんでそんな遠くに行くんだよぉ」
矢口が声をかけてくる。とりあえずは、向こうから話しかけてきたのだから返
事はしないと。
「いや、矢口と紗耶香のジャマしたらあかん思て」
「なに言ってるんだよぉぉ」
「そうですよ。お二人のジャマはしません」
「後藤まで〜」
「こっちはこっちで仲良うするから。矢口は紗耶香見とき」
「へ?」
まさな中澤にそんな事を言われると思ってなかった矢口は驚きの顔に変わる。
「うちら仲良しさんやもんな〜?」
「そうでーす」
「・・・・」
何故か妙に寒さを感じるのは矢口の気のせいか。
中澤はともかく、後藤がかなり無理しているように見えるのだが。
「なんだよぉ?なに変な事言ってるんだよぉ」
撮影から帰ってきてから、かなり様子がおかしい二人に矢口は思わず大声で叫
んでしまった。膝が少し浮いてしまって、市井身体が少し揺れる。
「ん・・・・・」
矢口の膝で眠っていた市井がゆっくりと寝返りをうった。
(あ!!!!)×2
- 249 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月10日(日)00時30分39秒
- 市井は、なんのためらいもなくコロンと位置を変える。背中を少し丸め、矢口
の方にひっつくように、そして甘えるように。
中澤達の方からは市井の背中しか見えていない。その顔は完全に矢口の方に向
いてしまっている。まさしく矢口のお腹に顔をうづめているようにしか見えない。
(なッ、なんちゅ〜ことするんや!!それしてええのはあたしだけなんやでぇぇ!!)
(市井ちゃんがッ!!市井ちゃんがッ!!やだぁぁぁぁ)
もぞもぞと肩を動かしている市井。その寝顔を覗く矢口。
「紗耶香ぁ?起きた?」
「ん・・・・」
どうやらさっきのショックで目が覚めてしまったらしい。
「よく寝れましたか?」
「ん・・・ありがと矢口」
「よかったぁ」
「すごく・・・」
「ん?」
「すごく気持ちよかったよ」
「へへへ♪」
その二人のふいんきがあまりにも甘くて、まるで恋人同士みたいに見える。
遠く離れて座っている中澤と後藤の側までその香りがただよってきそうだ。
自分と(中澤&後藤)相手が(矢口&市井)反対なのがくやしい二人。
「今の見たか?ごっちん」
「ちゃんと見ました」
「なんやの、あの二人。完全にうちらの存在無視されてるで」
「市井ちゃんがあたし以外の人に甘えてる〜」
「矢口・・・あんなニヤけた表情しよって」
「気持ちよかったって〜。あたしだってしてあげたいのに〜」
「ちゅ〜か、いい加減その体勢はやめい」
くら〜い視線を送るすみっこの二人。
なんだか向こうと全然空気の温度まで違う。かなり・・寒い。
「矢口の膝ってあったかいね」
「そぅかなぁ?」
「うん。なんかよ〜く寝れた。疲れも取れちゃったよ」
「それはよかった」
「また寝てもいい?」
「いつでもいいぞぉ」
尚も甘甘なふいんきを放つ長椅子組。季節にたとえるなら・・・そう「春」
市井はどんな表情をしているのか。中澤達からは見えない。
「聞いたか?ごっちん」
「聞きました」
「完全にうちら無視やで」
「あたしが膝枕したいです」
「うちかてしてもらいたいわ」
「市井ちゃん・・・やっぱりやぐっつぁんの事好きなのかなぁ」
「んなわけないわ!!矢口はあたしのもんや」
「でもぉ・・・」
「ったく〜、あいつらいつまで膝枕してんねん!!」
どんどん温度がさがっていく。言うまでもなくこっちは「冬」
しかし、作戦はどうなったんだろう。すっかり忘れているような。
- 250 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月10日(日)00時35分55秒
- 時の流れというものは、ゆっくり・・・そうゆっくりなんです。
どうか捨てないでくださいませ(笑
>たかさん
やっぱり切ってますか?
いやぁ、ここまでしか書いてないんですよ。
書き上げたとこまでUPという感じなもので。
ありがとうございま〜す。
>さんちーさん
反応もなにも、市井はまだ裕ちゃんと後藤がいる事に気付いてません(笑
完全に無視されちゃってます。
これからどうなるんでしょうか・・ってまたこんな事言ってるし。
- 251 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月10日(日)00時51分39秒
- 更新されてる!!後藤とねえさんおもしろすぎ。
がんばってくださいね。
- 252 名前:さんちー 投稿日:2000年09月10日(日)01時41分21秒
- わはは!裕ちゃんおもろすぎ。
市井ちゃんってば愛をたくさんもってる人なのね。
って、思わず『ラムのラブソング』が浮かんでしまいました。(笑)
- 253 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月10日(日)01時48分33秒
- この話の中澤萌え♪
- 254 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月10日(日)02時35分58秒
- さくさくな更新いつもおつかれさんです。
このまま、さやまりもありって感じでたのしいです。
- 255 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月10日(日)14時57分47秒
- 甘党ばんざーい!!
無視され組いいなぁ・・・(笑
更新頑張って下さい。
- 256 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月11日(月)00時13分31秒
- なんか、マジで楽屋でありそうなぐらいリアルなんですけど・・・。
“家政婦は見た!!”の市原悦子みたいに
なにげに覗いてたりしてたんじゃないっすか??
- 257 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月11日(月)00時49分55秒
- 「裕ちゃん達戻ってきてるよ?」
「ん?」
矢口が視線を中澤達の方へ向け伝えると、市井もそれにつられてゆっくりと起
き上がりながら、その方向へと顔を向ける。
市井の瞳に、部屋の隅の方で、べた〜と机につっぷしてこちらを見ている中澤
と後藤の姿が入る。その視線は妙に暗い。しかもなぜか手がつながれている。
「おかえり、後藤に裕ちゃん」
「ただいまぁ」
「ただいまです」
その笑顔がものすごくまぶしくて、後藤はつい見惚れてしまう。
(やっぱり市井ちゃんってかっこいーよぉ)
「んなとこでなにしてんの?」
「別に・・・なんもしてへん、なッ?」
なぜか部屋の隅に座っている二人を見て、素直に聞いてみる。中澤はともかく、
後藤までも自分から離れたとこにいるのが不思議で。てっきり後藤に起こされ
ると思ってた市井だった。中澤はやっと話題に入れるやんか〜と仲良しさんア
ピールの為、後藤にふった。
ただだまってコクコクとうなづく後藤。その視線は市井だけに注がれていた。
「ん?」というような顔をして、市井は首を少しかしげる。
(やっぱり市井ちゃんってかわいいよぉ)
「なんでそこで裕ちゃんと手ぇつないでんの?」
わざと、デンと机の上に置いていたその二人の手。中澤は左手、後藤は右手だ。
長椅子に座っている二人にも見えるようにと、腕を曲げて、上へとつきあげて
いる。
市井は二人が手をつないでいる所を見て、真顔で後藤に聞いてきた。
そんな顔で見つめられると何にも言えなくなる後藤。
「市井ちゃん・・・」
(もしかして・・ヤキモチ妬いてくれてるのかな?)
「あー!!そうなんだよぉ」
いきなり大声を上げて、矢口がビシッと指差す。
「帰ってきてからずっと手ぇつないでるんだよ、この二人」
「ふーん」
「裕ちゃんなんか変な事ばっか言うしぃ」
「こら矢口、変な事てなんや」
「だってそうじゃんかぁ」
いきなり騒ぎ出した矢口。二人が入ってきてから、なんもつっこみもなかった
のでてっきり気付いてないのかと疑っていたのだが、どうやらかなり気になっ
ていたらしい。ちょっと嬉しくなる中澤。
- 258 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月11日(月)00時50分35秒
- ええやんええやん。作戦の効果はばっちりやんか」
「・・・・」
後藤に小声で話しかけるが、何の反応もない。見ればずっと市井を見つめている。
「ごっちん、作戦!!」
「あ!!」
どうやらすっかり忘れていたらしい。あわてて何か言おうと口を開きかけた瞬間。
「ま、とりあえずはどうでもいいけどね」
市井の言葉がそれを遮った。口を開きかけたまま動かなくなる後藤。
中澤の考えでは、ここで市井も自分達につっこんできて、それを尻目に余裕の
表情で、さらにアピールしたろと思っていたのに。その作戦も市井の一言で切
られてしまった。
(なんやこいつは)
思ってたよりも冷たい反応の市井に、後藤との仲を疑ってしまう。
(普通、自分の好きなヤツが別の相手と、それも『モテモテの裕ちゃん』と仲
良く手ぇつないでるっちゅ〜のになんやその反応は・・)
中澤がモテモテかは別にして、やはりなんとなく突き放した印象を覚えてしまう。
「・・・どうでもて」
「なに?」
「なぁ、紗耶香。少しくらいはなんやろ〜て思わへんのか?」
「別に」
「なんでやぁ!!」
目が覚めてからの、市井の矢口に対する態度と後藤に対する態度のあまりの落
差に思わずつっこみを入れる中澤。
市井の隣に座っている矢口は、「しょうがないなぁ」ってな感じで苦笑いして
いるし、肝心の後藤はただ市井だけを見つめている。
「つなぎたくてつないでるんでしょ?ならそれでいいじゃん」
「それでいいて紗耶香・・」
「なんか変?」
「いや、変やないけど」
せっかくはりきって打ち出した作戦も、市井がのってこないのなら何の意味も
ない。矢口は思い通りの反応を返してくれたのだが・・。
「ごっちん、あいつはいつもあんなんか?」
「・・・・うん」
「そうかぁ。そりゃやばいなぁ」
「最近、ちょっといじわるなんです、市井ちゃん」
少し顔を下げて後藤がポツリと呟いた。つないでいる手も少し緩くなってくる。
(こりゃピンチやで)
作戦云々よりも、後藤と市井の関係が気になりだした中澤だった。
- 259 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月11日(月)00時51分44秒
- 「紗耶香ぁ、いいの?」
「ん?なにが?」
「だって・・相手裕ちゃんだよ?」
「関係ないって。後藤がそれでいいって言うならさ」
見るからに落ち込んでいる後藤の顔が気になって、矢口はそっと聞いてみた。
しかし返ってきた答えは、やっぱりそのまんまで。
「・・・紗耶香」
「あいつもあたし以外に頼れる人ができていいんじゃない?」
市井は笑顔でそう言った。いつもと変わらないその笑顔。矢口はなんだか心が
痛くなる。
「さ〜て、なんか喉かわいちゃった」
その話題を終らせるように、市井はわざと大きな声で言う。
矢口は市井の横顔を見ながら、小さくため息をついた。
「なんか飲みたいのない?」
中澤と後藤にも声をかける。でも市井の視線は後藤を見ていない。
「あ、あたしはそんな喉乾いてへんし。ごっちんは?」
「・・・いいです」
「そっ。矢口は?」
「あ、じゃあ〜、なんかスポーツドリンクみたいなの」
「オッケー。じゃ行ってくる」
そう言って控え室から出て行く市井。その背中を無言で見送る三人。
中澤は矢口へ視線を送り、問いかける。
(どうなってんの?紗耶香)
(ん〜、どうなんだろうねぇ)
(あいつらラブラブとちゃうんか?)
(矢口はそう思うけどさぁ)
(わっからんなぁ)
そんな二人をよそめに、後藤は机に倒れ込む。そして小さな声で呟いた。
「なんであんなに冷たいのかなぁ」
中澤から作戦の話を聞いた時、最近態度が冷たい市井も反応してくれて、自分
にヤキモチ妬いてくれる事を期待していたのに。待っていたその言葉はやっぱ
り自分の事を突き放すような言い方で。
(でもやっばり大好き・・・)
市井の背中を思い出しながら後藤は呟いた。
- 260 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月11日(月)00時59分52秒
- 「お互い様」更新です。
なにやら少しだけあやしいふいんきになってきたような・・・。
はたして、「痛い目あわせたろ作戦」はどうなるのか!!
>251さん
この二人書いてて、まるで漫才コンビだと思いました。
ここの裕ちゃんと後藤って・・精神年齢が一緒?
ありがとうございます。
>さんちーさん
市井ちゃんはなにげにたらしですから〜。
本人気付いていなくても愛されちゃってるんです。
うらやましい。
>253さん
ありがとうございます〜。
裕ちゃんってば、書いてて本当にかわいくてかわわいくて(笑
いじめちゃうんですよ。
>254さん
さやまりはですねぇ・・もう少しあると思います。
いちごまがなんだか冷えたふいんきになっちゃいまして。
どうなるんでしょう。
>まいのすけさん
部屋の隅でブツブツ呟いてる二人。
想像するとなかなか笑えますよねぇ。
二組の間に想いカーテンが一枚・・・。
>ムーミンさん
実はこっそり覗きに行ってるんです(笑
あ〜、楽屋!!すごく見てみてえぇぇ!!!
- 261 名前:さんちー 投稿日:2000年09月11日(月)01時19分25秒
- わーい!!更新だ。
何やら波瀾の様子!?裕ちゃんごっちんを助けて!!
たれきりんさんいつも楽しく読んでます。
頑張って!!
- 262 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月11日(月)01時23分10秒
- 市井・・・。
- 263 名前:たか 投稿日:2000年09月11日(月)02時28分57秒
- 焼もち焼いているのに素直じゃないね、市井ちゃんたら♪
と考える自分は、あくまで市井は後藤にベタぼれと疑わないのさ(w
- 264 名前:たか 投稿日:2000年09月11日(月)02時35分07秒
- 失礼。誤字発見。
焼いている→妬いている
なんとなく気になったので訂正させて頂きます。
- 265 名前:ティモ 投稿日:2000年09月11日(月)07時43分30秒
- ご、後藤がかわいそう…。
- 266 名前:ぱな 投稿日:2000年09月11日(月)18時01分20秒
- おもろいです♪
会話が自然なのでつい引き込まれたりしてます。
- 267 名前:Yambo 投稿日:2000年09月11日(月)22時10分28秒
- ちょっとごぶさた。
んー、市井…。そのクールさが怪しいぞぉ(笑)
もっと素直にならなきゃねっ。
あと中澤&後藤コンビがかわいい。
続きが楽しみですー。
あ、あと先日のチャットではどうもでした。
たれきりんさんとお話できて良かったです。
また話しましょーね♪
- 268 名前:Qoo 投稿日:2000年09月11日(月)23時56分42秒
- ちょこっとひねくれモードの市井ちゃん♪
そんなトコも良かったりする(笑
それにしても、後藤は市井ちゃん一筋やねぇ(^^;
楽しみにしてます!
- 269 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月12日(火)00時39分59秒
- 「なんなんやぁぁ!!あいつはぁぁぁ!!」
完全に閉まったドアを見つめながら、中澤が大きな声で叫ぶ。
途中まではうまくいってたはずだった。矢口もちゃんとヤキモチを妬いてくれ
たし、二人の事も口に出してくれた。市井も気にする風につないだ手の事も聞
いてきた。
全てうまくいくと思ってた所へ、思いがけない市井の無関心が全てを壊す。
(なにが悪かったんや?作戦は完璧やったはずなのに)
さっき起きた出来事を一生懸命思い出しながら、中澤は一人考える。
「やっぱり・・市井ちゃんはあたしの事きらいになっちゃったんだ・・」
その横で、後藤が今にも泣きそうな顔でポツリと呟く。
それに気付いた中澤は、あわてて後藤に言葉をかける。
「そ、そんな事ないて、ごっちん」
「だって・・だって・・。ぜんぜん相手にしてくれないよ・・」
「それはやなぁ・・」
「どうでもいいって・・市井ちゃんがそんなのどうでもいいって・・」
「そんなはずない。裕ちゃんの本能がそれは間違いやでってちゃんと言ってるで」
「そんなのぜんぜん当てになんない」
「そないな事言うなや」
「だって・・・」
すっかり意気消沈している後藤を懸命に慰めようとする中澤。
しかしそれはまったく意味を持たず、後藤の顔はどんどん沈んでいく。
(いかん・・このままやと今までの作戦が全てパァや)
焦りだした中澤は、助けを求めるように矢口へと視線を移した。
(やーぐーちー、裕ちゃん助けてぇなぁ)
矢口ならきっと何かいい慰め方を知っているはず。
自分の事を慰めてくれるみたいに、きっと後藤の事も。
おもいっきり期待を込めて視線を送った中澤のその瞳に写ったものは・・・。
こちらを観察してる様な、そして何故か少し微笑んでいる様な。
そんな矢口の顔だった。
てっきり一緒になって心配そうな顔をしていると思っていた中澤は、ガクン
と膝から崩れ落ちそうになった。
左手にははげしく落ち込みはじめている後藤。前方には、何故か笑顔の矢口。
もう、何が起こっているのかさっぱりわからない。
- 270 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月12日(火)00時41分10秒
- 「なんで・・笑ってるんや?」
(いつもの矢口やったら、そんな顔せえへんやろ?)
その顔を見つめながら、思い切って聞いてみる。
少しして返ってきたのは、いつもの中澤が大好きなその笑顔だったが・・。
「ん?あ〜、矢口笑ってる?」
「おもいっきり」
(自分でも気付いてへんのかい!!)
「そう?そっかなぁ」
どうやら、自分の顔に笑みが浮かんでいた事を、矢口本人は気付いていないら
しい。その可愛い笑顔そのままでちょっと考えてるような感じ。
「矢口・・ごっちんがこんなに悲しんでいるっちゅ〜のに、なんちゅうやっちゃ」
「ん〜、ねぇ・・・裕ちゃん?」
「なんや?」
「裕ちゃんと後藤って仲良しさんなんでしょ?」
いきなりガラリと話題が変わった。まさかここでそんな事を言われるとは。
返事に困った中澤だったが、とりあえず作戦の事をばらすわけにはいかない。
「なんやいきなり」
「どうなのぉ?」
どうやらごまかしは通用しないらしい。じっとこちらを見ている矢口の視線が
痛い。ここはやはり認めておいた方が無難だと悟った。
「そ、そや。ラブラブなくらい仲良しさんやで」
中澤の焦りがそのまま声に出てしまう。矢口に見つめられると、どうも弱い自
分がいた。
(なんや?矢口。いったい何が言いたいんや」)
「なら、ちゃんと後藤の事、慰めて上げなきゃだよ?」
「へ?」
「矢口が言いたいのはこれだけ」
「これだけて・・なんやの?いったい」
どうしてそんな事を言ったのか、中澤には理解できてなかった。
(まさか作戦がばれてる?・・いや、そんな事ない。あれは完璧や)
「じゃ、あたしちょっと外の様子見てくるぅ。なっち達遅すぎなんだよねぇ」
「ちょ・・矢口ぃ」
「がんばってね、裕ちゃん」
「待てて〜、やぐっ・・」
それだけ言うと、矢口は長椅子からサッと飛び降りて、そのまま「ててて♪」
とドアへと向かった。開ける前にクルッと後ろを向いて、中澤に舌をちょっと
突き出した。
それはとけちゃいそうなくらいかわいかったのだが。
「じゃね♪」
無情にもドアがバンッと閉められて、矢口の姿が消えた。
「なんやねんな〜、矢口までぇぇぇ!!」
空しく響く中澤の叫び声。
- 271 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月12日(火)00時41分55秒
- 控え室に残された2人組。
訳が分からなくて爆発しそうな中澤と、くら〜い顔で市井の名前を呟き続ける
後藤。これが超人気アイドルの一員。その中の最年長と最年少である。
「いったい何が起きたっちゅ〜んや」
現状を整理してみよう。
取材から帰ってきて控え室で見たものは、市井と矢口のラブラブな場面。
これではいかんと後藤と手を組んで、「矢口と紗耶香に痛い目あわせたろ作戦」
を発動したのだが、肝心の市井がぜんぜんのってこなくて。それどころか後藤
に対して妙に冷たい態度。そこから全てが壊れはじめる。
結果として中澤の横には、地の底まで沈んでしまった後藤だけが残された。
「なんでや、なにがあかんかったんや」
作戦は完璧なはずである。
矢口にも市井にも見破られるはずはない。そうだ、なんてったって『作:中澤
裕子』なのだから。どう考えてみてもその可能性は低い。それなら、こんな状
況に陥った原因はなんなのか?・・・わからない。
ちょっと後藤が気になって横目で見てみる。相変わらずだらんと机につっぷし
たままで動いていない。まさかあのまま寝てしまったとか?
「ごっちん・・起きてるか?」
「・・・・」
返事はないが、頭だけがコクンとうなずいた。
とりあえずは寝ていないみたいだ。
「そか・・・なぁ、ごっちん?」
「・・・・」
「紗耶香もなんも悪気があってあんな事言ったとちゃうと思うで」
「・・・・」
「ほら、あれや。わざと無関心を装って、うちらにヤキモチ妬いたのごまかし
たとか?」
「・・・・」
後藤は返事をしなかったが、とりあえず話し続ける中澤。
「二人のラブラブパワーがムカついたんやで、きっと」
「・・・・」
「矢口もなんやねん、意味不明な事言ってさっさと出て行きよって」
「・・・・っき・・」
「ん?なんや?」
「さっき・・・ちょっとだけ市井ちゃんが私の事見たの・・」
「ほんまか?」
「ん・・・その後やぐっつぁんの耳元になんか呟いてた」
(紗耶香め、いつのまにそんな事を)
- 272 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月12日(火)00時42分36秒
- 「矢口の?そんな事してたか?」
「あたし、ずっと見てたもん!!」
「そ、そやな・・で、なに言ってたんや?」
「わかんない。けどやぐっつぁん、ちょっと驚いた顔して、市井ちゃんに聞き
返してたみたいだった」
「はて?」
「すっごく仲良さそうに見えたんだぁ。あたしと一緒にいる時よりもずっと・・」
「それは間違いやで、ごっちん。矢口はうちといる時の方が楽しそうやて」
「だってそう見えたんだもん!!」
所々に強い口調が入る。後藤はかなり不安定になってきているのかもしれない。
「それは・・気のせいや、うん」
「その後にした市井ちゃんの笑顔。あたしが大好きな笑顔だったの」
「・・・・」
「すごく余裕たっぷりな感じの・・ほんとにあたしの大好きな笑顔だったんだ」
「・・・・」
慰めようにも言葉がみつからない。中澤は黙って後藤の肩を抱いた。
「なんでやぐっつぁんに見せてあげるのかなぁ?」
「きっと・・なんか理由があるはずや」
「どんな?」
「それはやなぁ・・・なんやろね」
「裕ちゃんてさ」
「なんや?」
「ぜんぜん当てになんないね」
(な・・それ、まじできついで、ごっちん)
今のはちょっと傷ついた気がする。たしかに、今まで好き勝手やっきたけども。
無言の世界が二人を覆う。
それからしばらくの間、ただ黙り込んでいた二人の間に突然、変化が起きた。
意外にも、先に口を開いたのは後藤だった。
- 273 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月12日(火)00時43分21秒
- 「ねぇ、裕ちゃん」
「なんや?」
(まだなんか言うんかい)
「まだ作戦続けるの?」
「へ?あ、あれかぁ?どうしよか・・ごっちんがもういやならやめてもええ思
てるけど?」
忘れかけてた作戦の事を後藤の言葉で思いだした。
なにがいけなかったのかわからないが、とりあえずは完璧なその作戦。
まだ、相手にぜんぜん痛い目に合わせてない。
「あたし・・・やりたい」
「はい?」
いきなり、それまで机につっぷしていた身体を、ガッと起き上がらせながら、
後藤が呟いた。その言葉に驚いて、中澤は後藤の顔を凝視する。
「あたし、やるよ?」
「いや、やるよて」
「どんなに冷たくされたって、あたし市井ちゃんの事好きなんだもん!!」
「・・・ごっちん」
「好きな相手には、あたし、絶対に好きって言わせてみせる!!」
その声には「本気」というパワーがみなぎっていて。
先ほどの遊び心とはぜんぜん違う、かなりのヤル気。
「そやけど・・」
「裕ちゃんはやんないの?だったらあたし一人でもやるからね?」
どこをどうしたら、こんな考えにいきつくんだろう。
中澤にはちょっと理解できない。
「あ・・・いや、つきあうけども」
「・・・・・」
言葉を濁した中澤を後藤は黙ってにらむ。
その視線の恐ろしい事といったら。思わずご機嫌取りに出てしまうほどである。
「裕ちゃんもやりたいな〜もう無茶苦茶やりたいな〜」
「じゃ、決まり!!がんばろうね、裕ちゃん」
「お、おう・・がんばろーなぁ」
そう言って見せた笑顔は見ていられないくらい眩しくて。
後藤のそのヤル気はいったい、どこから沸いてくるのだろう。
中澤は目を細めながら、これが若さなんだろうかと思った。
「絶対に市井ちゃんに告白させてやる!!」
右手でガッツポーズを作って、再度後藤は叫んだ。
(ま、なんかわからんけど、とりあえずごっちんがここまで本気になるんなら、
ちこっとは楽しい思いができそうや)
その姿を見ながら、のほほんとこれからの事を気楽に考えている中澤。
作者はどうなっても知りませんぜ。
- 274 名前:さんちー 投稿日:2000年09月12日(火)00時56分29秒
- おお!!後藤がやる気ですね。
でもなんだか市井ちゃんの手の上で踊らせレているような気も..。
裕ちゃんも矢口に然り。
わしは恋する乙女なごっちんを応援っす!!
- 275 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月12日(火)01時07分04秒
- 「お互い様」更新です。
やっと・・やっと舞台は整った。
ここまでくるのになんと長い時間がかかったのでしょう(笑
飽きずに読んで下さっている読者様に感謝です。
>さんちーさん
助けるもなにも、裕ちゃんただ一人、訳がわからず進んでしまってます。
うちの鼓動は強いみたいです。何事にも立ち向かっていくのです(笑
ありがとうございま〜す。
>まいのすけさん
はははは(笑)なんなんでしょうねぇ。
冷たい市井ちゃんも好きなんですよ、自分。
はい!!もちろんあま〜くを目指しております♪
>たかさん
そうきますかぁ・・実際の所どうなんでしょう。
後藤は市井ちゃんにべた惚れなんすけどねぇ・・とか言ったりしてみて(笑
>ティモさん
ですよねぇ・・って自分が書いたくせに(笑
どうしても悲しい物好きの血が騒いでしまって。
>ばなさん
ありがとうございます〜。
その言葉が何よりも元気をくれるのです。
いやぁ、ほんとに嬉しいっす。
>Yamboさん
市井ちゃんはクールっていう路線で行こうかと思ってまして。
クールっていうかあれじゃ単なる冷たい人ですけど(笑
裕ごま、書いててすっごく楽しいんですよぉ。
は〜い。楽しみにしてます。
>Qooさん
後藤は最初からきっと最後まで市井ちゃんしか見えてないと思います。
なぜって?それが後藤だから(笑
市井ちゃんは後藤がからむとひねくれちゃうんですよ。
もう、書いててどうにもなんないっす。
- 276 名前:Hruso 投稿日:2000年09月12日(火)01時18分53秒
- クールな市井にベタ惚れのごま。
そして、その市井が矢口にした笑顔の意味は?
くぅ〜、先が楽しみだぜ。
- 277 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月12日(火)01時35分53秒
- “本気と書いてマジと読む”
後藤も裕ちゃんもがんばるべし!!
- 278 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月14日(木)01時45分43秒
- 決意新たに、中澤裕子原作、後藤真希脚本演出による、『矢口と紗耶香に痛い
目あわせたろ作戦』はスタートしたのであった。
その後何事もなく時が流れ・・・。
買い物に行っていた飯田と安倍が、両手に抱えきれないくらいの荷物を持って
帰ってきて。中澤に「誰が食うんや」とつっこみを受けた。
少し遅れて、ジュースを買いに行ってたはずの市井が、手ぶらで部屋に戻って
きて、「お♪やっと帰ってきた〜」と安倍達に近づく。どこで会ったのか、保
田と矢口も市井と一緒に帰ってきてた。
にわかににぎやかになる控え室。
「矢口のお菓子はぁ?」
「ちゃんと買ってきてるって、ちょっと待ってね」
「おぉ!!これちょうど食べたかったんだ〜」
「それ、カオリのだよ?」
「ちょこっとちょうだい」
「うん。あげる〜」
「ジュースくれ〜」
「はーい」
「ちょ、全部取らないでよ紗耶香〜」
「取ったもん勝ちだもんねぇ」
「待てぇぇ!!」
いきなりはじまる矢口と市井の追いかけっこを、相変わらず部屋の隅で見てい
る二人・・・そう、中澤と後藤のである。
「あれ?ごっちんどうしたの?」
いつもだったら真っ先にお菓子がある所へ飛んでくるはずの後藤が、なぜか隅
で中澤と仲良く見ているだけで動こうとしない。そんな異常な光景を安倍は見
逃すはずもなく。
「裕ちゃん」
「なんや?」
「あたし、絶対にやるからね」
「おう、わかってるて。裕ちゃんもメラメラ燃えてるわ」
「それ、今はもう使わないよ?」
「うるさいわ、ごっちん」
「へへッ。じゃ、行くね・・」
「おう!!」
二人はお互いの気持ちを確認して、これからはじまる戦いへと己に喝をいれる。
後藤は椅子から立ち上がり、そして大声で叫ぶ。
「全部食べちゃやだぁぁぁ!!!」
「早く来ないと、なっちが全部食べちゃうぞ♪」
安倍が山となっているお菓子の袋を、腕に抱え込もうとする。
さらに安倍の名前を呼びながら、その席から離れようとする瞬間、後藤は中澤
にウィンクを送る。それが作戦実行の合図。
中澤は、ウィンクと微笑みで返す。
そんなやり取りを、追っかけられながらもしっかり見ていた人物がいた。
ややきつめの視線をその二人に向けている。それは、先ほどの余裕の表情とは
まるで正反対。
その人物の名は・・・もちろん、市井紗耶香である。
- 279 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月14日(木)01時58分32秒
- 「ごっち〜ん、あたしの分もなんか取ってくれ〜」
「りょーかーい!!」
勢いよく輪の中に飛び込んで、辺り構わずお菓子をかき集める。
そんな後藤の後ろ姿を見ながら、中澤は椅子にふんぞり返っている。
作戦の為とはいえ、後藤が自分の言う事を聞いてくれるっていうのは、かなり
いい気分。なかかこう、年下の男の子が自分につくしてくれる・・・みたいな?
かなりおいしいやんと一人御満悦。
「ちょっ、後藤ぉ、あんた取りすぎだよ〜」
「だって裕ちゃんの分も取らなきゃだもん」
袋の中から持てるだけ次々とつかみ取っていく後藤に、飯田が横から止めに入
るが、それを軽々とブロックしつつも、手を休めようとしない。
「裕ちゃんの好きなのわかってるな〜」
「知ってるよ〜、ぴすたちおだよね♪」
「そうそうって、んなもん食うた事ないわ!!」
「なにー、わかんないよ〜、いいいや、とりあえずなんでも持ってっちゃえ」
「こら、サラミはあかんで。匂いが取れへん」
「りょーかーい!!」
仲良しさん度をさりげなくアピール。小さなとこからコツコツと。
中澤に言われるがまま、あれを取りこれを捨てと、好き勝手あばれている後藤
に飯田圭織がとうとう切れた。
「こら!!後藤ぉ!!そんな事してるとね〜カオリほんとに怒るからね」
「平気だも〜ん」
いつも人の話しを聞いてないけど、今日はさらに聞こうとしない。
こうなったらと、飯田は矢口と遊んでいるその人物の名を呼んだ。
「紗耶香ぁ、こいつなんとかしてよ〜」
飯田にとってはいつもの事だった。こんな時の後藤は、市井に叱ってもらうの
が一番・・・のはずだったのだが。
「ほっときなよ、圭織」
「え?」
それは飯田が期待して待っていた言葉じゃなかった。その後にまだ言葉が続く
だろうとちょっと待ってはみたが、市井はその一言だけ言うと、そばにいた矢
口に話しかけ、こちらを向こうともしない。
「ん?ん?」
ただ訳もわからず、目から「?」マークを光らせる。
いつもだったら鉄拳の1つでもとぶはずなのに。
矢口と楽しそうにおしゃべりしている市井と、何故か中澤にべったりの後藤。
その姿を交互に見ていると、何かおかしいとカオリンアンテナから信号が送ら
れてくる。
(なんか変だなぁ・・・)
その場で考え込んでしまう飯田。何かが変なのはわかるけど、それが何なのか
わからない。
飯田圭織・・・その場の空気を読むのが得意ではないらしい。
- 280 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月14日(木)02時09分25秒
- 「お互い様」更新です。
今回はちょっと短かめなんですが・・。
再び作戦を開始した後藤達。まだ些細な事からなんでけが。
>さんちーさん
実際、後藤はその気になったらものすごい事やらかすと自分は思ってるですよ。
ここの後藤はどうかわかりませんけど(笑
どうなんでしょうねぇ。手のひらでコロコロっすかぁ。
>Hrusoさん
後藤のべた惚れはもう大前提なので。
裕ちゃんも矢口にべた惚れのはずなんだけども・・・。
ありがとうございますです。
>ムーミンさん
がんばればがんばるほど・・ってやつですね(笑
- 281 名前:さんちー 投稿日:2000年09月14日(木)02時23分17秒
- ううん…。読みははずれているようっす。
市井ちゃんは嫉妬してる??
わかりそうでわからないよぅ。
毎回更新御苦労様です。これ読むのすご〜〜い楽しみなんで★
- 282 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月14日(木)02時44分08秒
- さすが師匠!!
おもしろすぎる〜〜〜!!
一生あなたについていきます。
- 283 名前:ぱな 投稿日:2000年09月14日(木)09時37分34秒
- くぅ〜♪ですね。
市井ちゃんの態度が妙にハマッテルです。
実際にもそんな態度になるんでしょうねぇ。
- 284 名前:ごさんけ 投稿日:2000年09月15日(金)00時26分02秒
- マジで、ここのいちごま好き。
っていうか、市井が好きです自分。
はぁ〜。市井ちゃんの気持ちがすっごい気になります。
- 285 名前:Hruso 投稿日:2000年09月15日(金)01時02分32秒
- ついに市井ちゃんに動揺が・・・。
なにもわからないロボもナイス!
- 286 名前:ルーク 投稿日:2000年09月15日(金)13時51分23秒
- これ、マジで面白いっすわ。
健気な後藤、意地っ張りな市井、二人がいつ素直になるやら。
続き楽しみしてる。
- 287 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)17時18分49秒
- んんー!!おもしろい!!
市井ちゃん嫉妬か!?
- 288 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)00時23分38秒
- 固まったまま動こうとしない飯田をよそに、後藤の腕の中はもうあふれんばか
りになっていた。そんな後藤の後姿になぜか声援を送っているる中澤。
「裕ちゃんも後藤使わないで、自分で取りに来なよぉ」
「ええやん、取ってきてくれるゆうんやから」
「も〜」
飯田の隣でそんな2人を見ていた安倍が中澤に文句を言う。しかしほとんど相
手にされない。
「だから取りすぎだって〜」
「そんなことないもーん」
「後藤も裕ちゃんもそんなにたくさん食べれないっしょ?」
「えー、そかなぁ。後藤は食べれるって」
「食ーべーれーなーいー。ほらぁ、少しもどそ?」
そう言って、上目遣いに後藤の顔を見ながらちょっと首をかしげた。
こんな事を目の前でされるともうなんにも逆らえなくなってしまいそう。
またそんなかわいい仕草が似合ってしまうあたり、さすがは安倍なつみといった
ところか。
「・・・・うん」
「よし。いい子だね、後藤は」
頭をなでようと腕をのばしたその瞬間、後方から威勢のいい声がかかる。
「逃げろ!!ごっちん」
その言葉を聞いた後藤は安倍の手をよけるように身体を少し沈ませた。
目の前の後藤の目線が、だんだん下に下がっていくのを、ただ呆然と見ているだ
けだった安倍だが、とりあえず声をかけようとする。
「ちょ・・・ごとぉ・・・」
「だーぁっしゅー!!」
「え?」
いきなり後藤はそう叫ぶと、両腕に抱え込んだお菓子を数個落としながらも、ど
んどん安倍から離れていった。その行き先はというと・・・椅子に座りながらニ
ヤニヤしている中澤裕子。
(あ・・・そういえばさっきの声って、裕ちゃん?)
「でかした、ごっちん」
「到着〜♪」
中澤が、自分の元に山のような戦利品を持ち帰ってきた後藤の身体を、しっかり
と抱き締めている。ついでに頭もなでてあげたりして。
(あれ?なんで後藤が裕ちゃんのとこに戻るの?)
- 289 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)00時24分39秒
- 変だなと思いつつ、いつもだったら後藤が真っ先に戻っていくであろう人の姿を
探す。もちろん市井紗耶香だ。しかし当の市井はというと、矢口とのおしゃべり
に夢中といった感じでこっちの事はあまり気にしてないみたいだ。
(こっちには矢口と紗耶香・・・あっちには裕ちゃんと後藤・・あれ?)
安倍は一人まじめに考え込む。4人の顔を交互に見比べながら、またちょっとだ
け首をかしげた。
いつもの中澤のニヤニヤした顔と、いつもの矢口のけたたましい笑い声。
いつもの市井の優しそうな瞳と、いつもの後藤の甘えるようなそのしぐさ。
いつもの光景、いつもの4人。
しかし、お互い見つめている相手が、いつもの相手じゃない。
(なにかあったの?)
安倍なつみ・・・微妙にお互いを避けているその4人の事が、気になりはじめて
いた。
(どうやらなっちも気付いたみたいだね)
先ほどから部屋の隅で、傍観者を決め込んでいた保田だったが、例の4人を交互
に見ながら、かなり真剣な顔して悩んでいる安倍の姿が目に止まる。
(ん〜、あたし一人じゃおもしろくないから・・・)
あの4人の間にはさまれて、一人蚊帳の外にいるのがちょっとかわいそうという
思いと、また、それよりも今の状況を楽しむ相手がほしかったという理由で、安
倍に仲間に入ってもらう事に決めた。
そうと決まれば説明だけでもしとかなくちゃ。
「ね〜、なっち〜」
「ん?」
考え中の安倍の耳に自分の事を呼ぶ保田の声が聞こえてきた。
見ればちょっとちょっとと手招きしている。
安倍はその手招きに誘われるがまま保田の方へと近づいていった。
「どしたの?圭ちゃん」
「用ってほどのもんじゃないんだけどね」
「用がないなら呼ばないでよ〜」
「まま、ここに座って」
「なんだよ〜」
意味不明な顔をしながらも安倍は素直に保田の隣に座った。
その保田はというと、何故か楽しくてしょうがないって顔をしている。それに気
付いて、安倍はちょと気になったが『この妙なふいんきのどこがおもしろいんだ
ろう?』とはさすがに聞けない。
- 290 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)00時25分11秒
- なかなかしゃべりだそうとしない保田に、とりあえず今の4人の事を話題にして
みた。
「あ、ねえ、裕ちゃん達なんか変じゃない?」
「お♪なっちもやっとお気づきですか」
「あー!!その言い方失礼じゃない?」
「まーまー」
どうやら用とはその事だったらしい。保田は何かを知っているのか?
「なんか知ってるの?」
「なんかぐらいじゃないんだよねぇ」
「え?」
いつのまに保田はそんな情報を集めたのだろう。確かにさっき買い物から帰って
きて、控え室に戻る途中に、何やら深刻な顔で密談している市井と矢口と保田の
事を見つけたのだが。
その事と今の状況とどんな関係があるというのか?
「実は全部知ってたりするんだなぁ」
「なになに?どーゆーこと?」
「なっちにだけ特別に教えてあげるよ」
「なんだべー?さっきからずっと気になってたんだよ〜」
「あのねぇ・・・」
そう言うと、安倍の耳元でなにやらコショコショとないしょ話をしだした。
真剣な顔が驚きの表情になり、そして笑顔に変わる。
「ほんとに〜?」
「なんですよね〜」
「そっか〜、そりゃおもしろいよねぇ」
「でしょ?」
二人、顔を見合わせてみんなに聞こえないように会話する。
安倍はやっと真実を知って「なるほど〜」と納得したようにうなづいた。
「で、どっちにする?」
「そうだなぁ・・・」
保田の問いかけに、例の4人を見回した。中澤と後藤、そして市井と矢口。
その顔がパッと輝いて、保田の耳に何事か呟いた。
「OK♪」
保田はウィンクしながら了解の言葉を言う。
- 291 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)00時29分53秒
- 「ったく〜」
さっきからずっと市井の隣で、彼女の行動を観察していた矢口が、あきれたと
いう感じに唇を突き出しながら呟いた。
「なんだよ」
「なーにが『ほっときなよ』だ」
「・・・・」
「紗耶香のいじめっこぉ」
矢口はほんとに楽しそうだ。瞳がキラキラと輝いている。
「うるさいなぁ、別にいじめてないじゃん」
「おっ?自覚がないのかぁ?」
「ないない、そんなものはぜんぜんなーい」
「こえーなぁ」
「なんとでも言え」
やっとの事で口から出た言葉は、軽くいなされてしまった。後はもう、勢いに
のって否定しつづけるしかない。黙り込んでしまえば認めてしまった事になる。
とにかく、今する事は否定のみ。
「もう、そんな事言っても、矢口にはばれてるんだからね」
とってもえらそうに、まさしく『へへん♪』ってな感じにニヤリと笑う。
そんな矢口を市井は無言で睨む。いつもだったら、相手を動けなくさせるよう
なその強い視線なのだが、今の矢口にはぜんぜん効いてない。
「・・・言わなきゃよかった」
(そうだった。矢口には言っちゃったんだ)
後悔のため息と共に吐かれた言葉。
「そんな顔するんじゃない!!」
ぺしっと市井の額をはたく小さい手。けっこういい音をさせる。
「矢口も聞かなきゃよかったよぉ。見てよあれ、裕ちゃんったらずっと後藤に
ひっついてるんだよ?」
「・・・ハハハ」
目で差された方向には、とてもおいしそうにお菓子を食べてる例の二人の姿。
やっぱり、なんとなくだがおもしろくない。市井がそう思うのだから、矢口だっ
たらもっとすごいジェラシーを感じているはずだ。
- 292 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)00時30分24秒
- 『裕ちゃん次なに食べる〜?』
『なんでもええよ〜。ごっちんが食べさせてくれるんなら』
聞こえてくるのは妙なふいんきを醸し出しているあの二人の声。
なんだか少しイライラしてくる。
「も〜ぉ、裕子のヤツ、鼻のしたのばしきっちゃってるしぃ」
「・・・だねぇ」
『じゃ、はい・・・あ〜〜ん』
『あ〜〜〜ん』
「これ終わったら絶対におしおきもんだぁ!!」
「・・・だねぇ」
「ぺしっ!!」
適当にあいづちを打っていた市井の頭をまたはたく。
「いったいな〜」
「そりゃ、いたくしたも〜ん」
「なんなんだよ〜」
「まったくぅ、紗沙香がもっと素直になれば、矢口と裕ちゃん、離れ離れにな
んなくてもよかったのにぃ」
「そんなのあたしに関係なんじゃん」
なんだとぉって言いながら市井を叩くフリをする矢口と、あれ〜って叫びなが
ら大袈裟に腕で防御する市井。
「そんなにいじめてばっかりいると、ほんとに離れていっちゃうぞ?」
格闘する中、市井のちょっとしたスキをついて、矢口は耳元にそっと呟いてあ
げた。市井はその言葉を聞いて、チラッと矢口の方へ視線を走らせたが、すぐ
にそれは外される。
「別に・・それはそれでいいさ」
「相変わらず素直じゃねーなー」
いつまでたってもくずそうとしないそのその態度に矢口はあきれたように言っ
たのだった。
- 293 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)00時39分28秒
- はい、「お互い様」更新です。
やっと終わりが見えてきたような・・しかし長いですね。
いかんいかんと思いつつも、やっぱり長くなってしまった。
>さんちーさん
えっと・・市井ちゃん一応は嫉妬してるみたいですねー。
あんまりおもてには出さないんですけども。
やっと話しが前へ進みだしました。
読んでいただきましてありがとうございます。
>ムーミンさん
あぁぁぁ!!そんなそんなっ!!
いや、そう行ってもらえると・・ありがとうございます。
だから、師匠は勘弁して下さいませ。
まだまだ未熟者なんですから。
>ばなさん
ありがとうございますー。
絶対に素直になんないんですよ、自分が書く市井ちゃんは。
だから後藤も少し悲しい思いをさせてしまうという。
いや〜、市井ちゃんにはクールであってほしい・・願望(笑
>ごさんけさん
ごさんけさんって「御三家」の作者さんでしょうか?
そう言って頂けると・・涙流して喜んじゃいますよ(笑
市井ちゃんの気持ちですか・・どうなんでしょうねぇ。
>Hrusoさん
ついに話しが動き出しました・・って遅すぎですね(笑
飯田さんはなんかあんなイメージのみで書いてしまいました。
ほんとにイメージのみです。
実際の飯田さんはどんな感じになるのか、ちょっと読めないですね。
>ルークさん
ありがとうございますです。
いつになるんでしょう・・終わりまでならなかったらやばいっすねぇ。
市井ちゃん・・かなり手強そうです。
>287さん
ありがとうございます。
やっぱり嫉妬してほしいですもんね。
あんまり無関心だとそれはそれで困るっていうか・・・。
- 294 名前:ごさんけ 投稿日:2000年09月16日(土)01時14分26秒
- いえいえ。決して作者なんかでは!
……わしゃどっちかってーとなっちゅー派ですが、
やぐちゅーもなかなか……。
にしても市井ちゃんは、矢口に何を言ったんだろう。
- 295 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月16日(土)01時44分39秒
- うおーーっ!!
市井もっと素直になれ〜〜!!
そして後藤に“あいしてるぜ ベイべー”と言ってやるんだあああっ!!
- 296 名前:デラックス 投稿日:2000年09月16日(土)01時51分07秒
- >295 市井ちゃんに「あいしてるぜ、ベイベー」って言われてみたい(笑)
- 297 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時11分32秒
- ごめんなさい、またしても流れぶち壊しです。
15日のおねモーを見て、書きたくなってしまった小話です。
勢いにのってダ〜ッと書き上げてしまったので、ちょっと文章的にはまとまっ
てないかもしれませんが・・よろしくお願いします。
- 298 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時12分14秒
- 『家来』
番組の中で、中澤が言ったその一言。
『あたし、矢口の家来ですもん』
・・・・え?
すぐ隣でそんな事を言われてしまっては、もう何にも言えない。
またそんな事ばをすっごく嬉しそうに言う中澤裕子。
心臓は破裂しそうなほどドキドキしていて。
きっと顔も真っ赤にまってるに違いない。
なんで裕ちゃんは平気でそんな事言えちゃうんだよぅ。
矢口・・すっごい恥ずかしいじゃんかぁ。
泣きたい気持ちをぐっとこらえ、今はただ笑っているしかなかった。
口を開くととんでもない事を言い出しちゃいそう。
「いつから裕ちゃんが矢口の家来になったんだよぅ」
「え?だってそうやんかぁ。違うか?」
「ちがーう。矢口がいっつも裕ちゃんにつくしてんじゃん」
「ほやったかなぁ?」
「そうだよぉ」
どんなに騒ぎ立てても、当の本人はぜんぜん気にしてる風でなく。
とぼけた顔してこっちを見ている。
でも、ここらへんはちゃんと怒っておかなくちゃ。
そうしないと、またとんでもない事言い出しそうなんだもん、裕ちゃんって。
誰もいないとこで言ってくれるんならいいけど。
さすがにカメラの前だとちょっと恥ずかしい。
「ま、そんなんどっちでもええやん。矢口があたしのもんっていうのにはかわ
りないんやから」
「・・・・」
また何にも言えなくなる。
なんで、この人はそういう事を平気な顔して言っちゃうんだぁ。
恥ずかしいじゃんか、すっご〜く恥ずかしいじゃんかぁ。
「や〜ぐち♪」
そんな矢口の焦っている気持ちなんか全てお見通しって感じで。
裕ちゃんは、憎らしいほど余裕な顔して矢口に抱きついてくる。
も〜、これじゃ怒るに怒れないじゃないかよ。
「裕子のばーか」
今の矢口にはこれが精いっぱいです。
- 299 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時12分46秒
- 『なっちん占い』
収録中のちょっとしたあき時間。
スタッフの人の声がすると、待ってましたとばかりに中澤はまっ先に矢口に抱
きついてきた。
ちょっと待て、今はまだ早すぎる。
「なんだよ〜、ひっつくなよ〜」
「てれんでもいいやん。あたしと矢口は占いでも認められた仲やんかぁ」
「も〜、裕子ひっつきすぎ〜」
占い結果を見てからというもの、カメラが回っているというのに散々抱きつい
てきてたのに。まだ足りなかったのか?中澤裕子。
も〜、まだスタッフさんたくさんいるんだよぉ?
こんな所でそんな事しないでよぅ。
中澤の腕の中で文句を言いながら精いっぱい暴れてみる。
しかし、どんなに暴れてもその腕は離れてくれない。
なんだよぉ、腕相撲は弱いくせに。
このままほっといたら身の危険を感じてしまう。
まだ仕事は残ってるのだ。なんとかして中澤を落ち着かせなければ。
なんか裕ちゃんの思い通りって感じでいやなんだけどな。
とりあえずは、この場をなんとかして切り抜けなくちゃ。
「や〜ぐちぃ♪」
「・・・ね、裕ちゃん?」
「なんや?」
意を決して中澤に声をかける。
自分の想いを伝える為に、見上げたその瞳にうつったものは。
幸せいっぱいといった感じでニヤニしている中澤の顔。
- 300 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時13分17秒
- なんでそんな顔してるんだよぉ。
やめろぉぉ、裕子ぉぉ。
その笑顔から矢口への愛があふれ出ている。
やばいい、このままだと大変な事になってしまう。
「今は収録中だからまた後でね?」
「え〜、いいやんかぁ、あたし、今、矢口に抱きつきたいのに〜」
「だめだってば〜」
せっかく頑張って言った言葉だったのに、中澤は簡単にはねのけてしまう。
もう心臓が持ちそうにない。今に発作でも起こしちゃいそう。
今はだめだってば!!
もう、さっきもたくさん抱きついてきたでしょ?
せめて続きはみんながいなくなってからにしてよぉ。
「けちぃ・・・なんや?矢口は嬉しくないんか?」
「そんな事ないよぅ。嬉しいに決まってんじゃん」
「ほんとかぁ?」
「うん」
コクコクとうなづく矢口をいとおしそうに見つめる中澤。
まさに目の中に入れても痛くないって感じだ。
ほんとにすっごく嬉しいんだよ。
裕ちゃんの気持ちが矢口に心にストレートに伝わってくるから。
でも、さすがにここではこれ以上・・・。
また続きは後からね?
「わかった。なら終るまでがまんするわ」
「さすがは裕ちゃん!!」
ここでこうやって持ち上げておけば、とりあえずはだいじょぶだろう。
なんとか中澤も納得したみたいだった。
まったくも〜少しは矢口の気持ちにもなってよね。
めちゃくちゃ恥ずかしくて仕方ないんだよ?
ホッと胸をなで下ろしたそんな矢口の耳にささやかれた言葉。
「そのかわり、ちょっとだけちゅ〜さして」
だッ、だからぁ!!なんでそんな事言うんだよぉ。
なんで矢口の気持ちわかってくれないんだよぉ。
も〜、裕子のばーか!!
「いや〜、もぉ、裕ちゃん、ぜんぜんわかってないじゃんかぁ」
「え〜から♪え〜から♪」
- 301 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時13分49秒
- 『好きやで、矢口』
「裕ちゃん最近テレビで言いすぎだよぉ?」
「なにがや?」
番組の収録が終って、帰り支度していたあたしの所に、「かわい〜かわい〜あた
しの矢口」が泣きそうな顔で近づいてきた。
くぅ〜、矢口。そんな顔もめっちゃかわいいやんか。
「矢口の事・・・・だって」
「なに?聞こえへんで?」
「なんだよー、わかってるくせに」
「裕ちゃんぜんぜんわからんなぁ♪なにゆーてる?」
あたし、嘘ついてます。ほとんはちゃんと聞こえてました。
でも、もっとはっきりと聞きたくなって、わざとイジワルしています。
あたしってなんて悪いヤツなんやろう。でも聞きたいもんはしゃ〜ない。
なぁ、もう一回ゆうてぇな、矢口。
「矢口の事・・・好き・・・だって」
「そーか?そんなに言ってたか?」
かわいい顔を真っ赤にしながら、一生懸命あたしに伝えようとしている矢口。
か〜、こんなん見れるんなら、いくらでもイジメたくなるやんか。
あたしってなんてイジワルなんやろう♪
- 302 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時14分20秒
- 「言いまくってる。も〜恥ずかしいからやめてよね」
「ええやん。ほんとの事なんやし」
「矢口はいやなの」
また矢口ったら泣きそうな顔し言うててるし。
も〜、かわいすぎやわぁぁ!!
なぁ矢口、あたしがなに思いながらあんたの事見てるか気付いてないやろ?
その顔が見てみたいだけやねんで?
拗ねてるような、泣いちゃいそうな、そんな顔。
「いややってか?ならどこで言えっちゅ〜ねん」
「・・・えっとぉ・・・二人っきりの時とかぁ」
「あ〜も〜、矢口かわいすぎやぁぁぁ!!!」
こんな事言ってくれちゃうから、矢口イジメはやめれません。
あたしはがまんできなくなって、思いっきりそう叫びながら矢口の事を抱きしめた。
ここでこいつを抱きしめんと、いったいどこで抱きしめろ言うんや?
まったく矢口ってあたしの気持ち、ようわかってるわ。
「だから〜、そうやってひっつかないでよぉ」
「やぐち〜♪」
も〜、ほんとは嬉しいくせにぃ。
口ではいややって言ってるのに、身体は大人しくあたしの腕の中にいる。
まったく素直やないんやから。
ま、え〜わ。
その分あたしが自分の気持ちを正直にあらわしたる。
このままず〜っと矢口の事、抱きしめてあげるわ!!
- 303 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時15分26秒
- 『なっちん占い2』
−裕子バージョン−
(よっしゃ!!これで矢口はあたしのもんやって全国のファンにもわかったやろ)
腕の中でジタバタしている矢口の事をギュッと抱きしめながら、今日の収録の事
を思い出す。
かなり好き勝手してもたやんか。ま、しゃ〜ないな。だってあたしと矢口はお互
いがお互いの存在を必要としてるんやで?
まさしく運命の赤い意図で結ばれた二人って感じやわぁ。
天の声:いいのか?あんなの放送していいのか?<おねモー
そんなん、裕ちゃん的にはぜんぜんOKやでぇ♪
変なとこカットしたら許さへんで、番組スタッフ。
ま、ここまでアピールしとけば、うちらの事ジャマするヤツはおらんやろ。
「も〜、裕ちゃん騒ぎすぎ」
「だって嬉しいんやも〜ん」
あきれたように矢口があたしに呟いた。
こんな幸せな気持ち、あたしの心にしまっとけ言うんか、矢口。
それは無理っちゅ〜もんや。
「なっちん占いってえ〜な〜。裕ちゃんもうあれしか信じへんで」
今日の占いはまじで気に入ったで。
こんなにあたしと矢口の仲を言い当てるなんて、恐ろしすぎて顔がゆるんでまう。
これからはもう、この占いしか信じへん。
「矢口、裕ちゃんの後始末よろしくね♪」
「ちょ、みんなぁ置いてかないでよぉ」
そんなラブラブなうちらを置いて、みんなはとっとと帰ろうとする。
また、圭坊は去り際に嬉しい事言ってきよるし。
すまんなぁ、みんな。あたしと矢口だけこんな幸せで。
矢口ぃ、そんなにあわてて追っかけようとせんでいいやん。
今からが恋人同士の時間やで?
- 304 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時16分24秒
- −矢口バージョン−
「好きやで〜、矢口」
さっきからそう言いながら、矢口の事ずっと抱きしめている裕ちゃん。
だから、矢口は抱き枕じゃないんだよぉ?
見てよ、みんな先に帰ってったじゃん。
明日また冷やかされるんだろうなぁ。あ〜ぁ。
そんな矢口を無視して裕ちゃんは腕をほどこうとしてくれない。
このまんまじゃ、スタジオにお泊まりとかなっちゃいそう。
今日はさすがにちょっと疲れちゃったんだから、早くウチに帰って寝たいよぉ。
「もぉ・・・いいかげんに離してって。帰れないじゃんかぁ」
「お?帰るか?よっしゃなら続きはあたしのマンションで」
「なんで裕ちゃんのマンションに行かなきゃいけないんだよぅ」
思ってもみなかった事を言われて、矢口の身体は固まった。
なッ、なんでそんな考えになっちゃうんだっ!!
今日はまっすぐウチに帰りたいんだぁ!!
やばい、やばいぞ矢口。
このままだったらやばい事になるぞ。
いやだって言わなきゃ。今日は帰らしてってちゃんと言わなきゃ。
「ほらあんた、このまま『はいさよなら』って別れられんやんか」
さも当然の様に中澤は言い放つ。
絶句。
きっと裕ちゃんって、絶対に自分を中心にして世界が回ってるって思ってるんだ。
だから矢口の気持ち無視してそんな事言えちゃうんだ。
そうだ、きっとそうだ。
「そんな事ないって。矢口は自分のウチに・・・」
「ささ、行こか?いや〜今日の裕ちゃんなんかめっちゃ元気やで♪」
自分の気持ちを伝えるべく、腕の中から中澤の顔を見上げ、その言葉を言いはじ
めたのに、当の中澤は完全無視。
かなり強引に矢口の身体を抱きかかえ、一緒に部屋から出ようとする。
裕ちゃん、ちゃんとわかってる?明日も仕事あるんだよぉぉ。
- 305 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時17分21秒
- 「だからぁ、離せよ〜ゆうこぉぉぉ」
一生懸命抵抗するのに、やっぱり中澤の腕からは逃げ出せない。
口はいやだって叫んでるのに、頭のどこかで許してしまっている自分がいて。
裕ちゃんって思いっきり子供だ。
チラッと中澤の顔を見る。
中澤のその横顔は、言葉では言いあらわせないくらい嬉しそうな顔で。
こんな顔されちゃうと、このまま自分の家へ帰れなくなってしまう。
中澤に悲しい顔をさせるのがかわいそうになる。
あ〜ぁ、大人になるって大変だ。
年上なのに自分の気持ちに正直な裕ちゃんと。
年下なのにのそんな彼女を許しちゃって何でも受け止めてしまう矢口。
「な〜矢口?」
「なに?」
「ほんまにあたし、矢口の事大好きやねんからな?」
「わかってるよぉ」
「そか?・・・」
何がそんなに心配だったのか、中澤はホッとしたようなそんな顔をした。
「よっしゃ!!なら、裕ちゃんちに行こか?」
「ったく〜、仕方ないから行ってやるよぉ」
「おッ?矢口は優しいなぁ、もう、裕ちゃんめろめろやで」
「矢口も裕ちゃんにめろめろだよ♪」
結局、なんやかんや言っても。
矢口は中澤が好きで。
中澤は矢口が好きで。
占いなんかなくたって、そんな事ぜんぜん関係ない二人なのだ。
そして・・・仲良く手をつなぎながら二人は控え室から出て行ったのだった。
はい、裕ちゃん、矢口お持ち帰り〜♪
- 306 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月16日(土)15時20分16秒
- という感じです(笑
ご感想お待ちしています。
- 307 名前:F602 投稿日:2000年09月16日(土)22時05分08秒
- この頃純粋なこういう物語が
少し減っていますから、需要があるのでは?
中澤の視点だけでなく矢口の視点があるのは
面白さをましましたね。
- 308 名前:Yambo 投稿日:2000年09月16日(土)22時30分06秒
- すごーい、もう物語ができてる(笑)
しかもそれぞれがそんな気持ちなんだろーなって想像できるから
やっぱたれきりんさんすごい!!
やぐちゅー派としては、昨日のおねモーは永久保存版ですよね。
これで晴れて全国民公認の仲となりましたな。
それにしても、ホントに裕ちゃんうれしそうだった…。
- 309 名前:うみ 投稿日:2000年09月16日(土)23時27分02秒
- 私も昨日のおねモー見ましたよー♪
かなり良い感じでしたよね。矢口と中澤ねーさん。
この物語もすごい甘々で良かったです。ああ、幸せ♪
- 310 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月17日(日)14時42分38秒
- 甘党ばんざーい!!
やぐちゅ〜ばんざーい!!
たれきりんさんばんざーい!!(笑
短いのが何個もあって読みやすかったです。
続きも頑張って下さい。
- 311 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月17日(日)15時14分52秒
- 「ねぇ、ごっちんとケンカでもしたの?」
「なんで?」
「ん・・・なんかずっと裕ちゃんにべったりしてるからさぁ」
今日の最後の仕事である某番組の収録のあき時間に、一人離れた所でスタジオを
眺めていた市井に、安倍が声をかけてきた。何の違和感もなくストンと隣に座る。
全員での収録も終り、今度は二人ずつの個人撮りに入っていて、他のメンバーは
それの終り待ち。今は矢口と飯田が収録中。
市井が一人でボ〜ッとしている姿は、最近ではそんなにめずらしくないのだが、
後藤が中澤にじゃれているというのは、はっきりいってあまり見た事がない。
自分が控え室を出るまでは、別段いつもと変わりがなかったのに、買い物をし
て帰ってきてみると今の状態になっていた。
『ね〜ね〜裕ちゃんってばぁ』
『なんや、ちゃんと聞いてるで、ごっちん』
『も〜、ぜんぜんきいてないよぉ』
視線が自然と声のする方に向く。
二人が座っている場所からかなり離れていたのだが、なぜかその声がここまで
はっきりと聞こえてくる。後藤が中澤に腕をからませ、寄りかかっているとい
うか・・はっきり言ってしまえば甘えている感じが強い。
中澤の顔はかなり嬉しそうなのだが・・・。
何度見てもかなり不自然な感じがする。
「なんか変・・じゃない?」
「そかな?あたしは別に何にも思わないけど?」
「う〜ん・・・」
「あいつのやりたいようにするばいいんじゃないっすか?」
「だって、相手が裕ちゃんだよ?それって・・なんかさぁ」
「・・・・」
安倍の言いたい事はわかっていた。
『どうして後藤がなついてる相手があたしじゃないのか』
娘。内ではすでに公認の仲で。市井には後藤がついてくるっていうのが、今ま
でのお約束だった。それなのに、何故今は・・・。
「ごっちん・・・病気とか?」
中澤裕子、ひどい言われ方である。
とりあえずその言葉に力なく笑うしかできなかった市井。
- 312 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月17日(日)15時15分36秒
- 色々と考えていた事はあるけど、安倍のそのボケた所に少し救われた様な気持
ちになった。市井はちょっとだけでが本音を言いたくなる。
「あたしと後藤ってさ」
「ん?」
「いつも一緒にいないと変かな?」
「えッ・・・あ、いや〜。どうなんだろうねぇ。なっちはさ・・うん、なっち
は別にそんなつもりで言ったんじゃない・・よ?」
語尾を少しあげて市井の顔を覗き見る。心配してるっていうその表情。安倍の
こういう何気ない所が、今の市井の心に安らぎを与えてくれる。
なんだか自分がしている事がばからしく思えた。
「わかってるって・・・とりあえず後藤は裕ちゃんと一緒で楽しそうなんだし、
それはそれでいいんじゃないっすか?」
「ん〜、わけわかんないけど、紗耶香が平気っていうんなら、なっちはそれで
納得するべ」
「そうそう、納得してくれ♪」
(うまく話しを終らせる事ができた)
市井は少しホッとしていた。あんまりしゃべりすぎてしまうと、いつか後藤の
耳にも入ってしまう。それだけは避けなければならなかった。絶対に。
- 313 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月17日(日)15時16分16秒
- 市井の顔を見つめながら、安倍は保田がついさっき、自分に話してくれた内容
を思い出していた。なぜかおかしくなっていた市井と後藤と中澤と矢口の関係。
『紗耶香がさ〜・・・・』
『ほんとにぃ?』
そう、安倍は全てを知っている。
ほんとは気になって気になってしょうがないはずの市井の事。
でも無関心を装って、なんでもないようにしている市井の事。
直接本人に聞かなくてもその思いは見てるだけで充分伝わってくる。
なんでもないって言っていたはずなのに。
それなのに、安倍の顔に向けられているはずの市井の視線はチラチラッとだけど
後ろの後藤と中澤の方へ向けられている。
- 314 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月17日(日)15時16分59秒
- (圭ちゃんの言ってた通り・・素直じゃないんだから)
気になるんなら、そう素直に言えばいいのに。
変なとこで意地っ張りなんだから、紗耶香って。
「ん?なに?」
「なんでもない」
「?」
実は全部知ってるんだって告白したら、紗耶香はどんな顔をするんだろう・・そ
んな事を考えていたら、どうやらずっと見つめていたらしい。
安倍はあわてて否定した。
『安倍さ〜ん、次お願いしま〜す』
「はーい」
ちようどその時、うまいタイミングでスタッフの声がかかる。
どうやら矢口達の撮影が終ったみたいだ。次に入るのは安倍と保田の二人。
まだ少し市井の事は気になっていたのだが、とりあえず仕事だから仕方がないの
で元気よく返事を返した。
(ま、全部話しちゃうと後がつまんなくなっちゃうしね)
「じゃ、行ってくるね」
「おう、がんばれよ」
現場に向おうとする安倍に市井が声をかける。
その声があまりにも大きかったのか、向こうでいちゃいちゃしていた後藤達もこ
ちら方へと顔を向けていた。
(裕ちゃん・・おもいっきり楽しんじゃってるし・・まったく)
安倍と目が合った瞬間、中澤が見せた嬉しそうな顔になんだかハラがたつ。
(ここはやっぱり紗耶香の応援しとかなきゃね)
今のままじゃどうにも進展しそうにないので、遠回しであるが市井に喝を入れる
事にした。安倍はクルッと身体を後ろに反転させ、驚き顔の市井を見ながら一言。
「紗耶香もがんばってね♪」
「へ?」
「いってきま〜す」
「ちょっ、なっちぃ?」
フフっと自然と笑いが込み上げてくる。
きっと市井はなぜ安倍がそんな事を言ったのかわかっていないだろう。
背中からはまだ市井のあわてた声が聞こえてくる。
(みんな、もっと素直になんなきゃだめだぞ♪)
安倍は撮影場所へと小走りにかけて行った。
- 315 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月17日(日)15時17分32秒
- 「なんやってか?」
「だから〜、今日裕ちゃんちに泊まっていいって聞いてるのぉ」
「泊まるって・・・ごっちんがか?」
「うん」
後藤はいとも簡単に重大な事を言い放った。
先ほどから作戦の練り直しという事で、二人スタジオの隅に移動し、あ〜でもな
いこ〜でもないと話し合っていた。話している内容はぜんぜん色気のない物だっ
たが、遠く一人で座っている市井に見せ付ける為、わざとくっついたりなんかし
ている。でも期待していたほど反応も返ってこなく、あんまり意味がないらしい
という事に気付いた。でもこのまま止めたらそれこそ不自然なので、とりあえず
はくついている事に。
(やっぱ、ごっちんの胸ってでかいわ・・)
からみついてくる腕と共に、中澤に押し当てられてくる後藤の胸。先ほどから気
になって気になって。
(男やったらこのまま押し倒すっちゅ〜ねん)
中澤裕子・・そのままでも押し倒してしまいそう。
再び顔を向けると、今度は安倍と親しげに話している市井の姿が目に入った。。
(なっ、紗耶香のやつ、矢口だけではあきたらんと、なっちまで)
自称「モテモテの裕ちゃん」といたしましては、そういう場面はちょっと許せな
い物を感じる。見れば、後藤も黙ったままジッと市井達を見つめている。
このままでは永遠にこのままだと中澤は思った。
(ん〜、でもごっちんと一緒にいられるなら〜・・・・)
その流れにのってしまいそうな自分を押しとどめたものは、自分達から少し離れ
た所で、仕事に入っている矢口の明るい声。そういえば、今日は、こういう状況
に陥ってから一度も矢口に触っていない事に気付いた。
(やぐちぃ・・裕ちゃん矢口に触りたいよぉ。いかん、このままではいかん。下
手したらずっと矢口と一緒にいれんようになってしまうやんか)
やっと本来の目的に気付いた中澤は、後藤が突然言い出した作戦にのることにした。
少し手を加えて。
「どや?ごっちん」
「でも、市井ちゃんひっかかるかなぁ」
「だいじょぶや、、紗耶香がだめでも、あたしの矢口やったら絶対にのってくるて」
「・・・・わかった。やってみよう」
「よし!!ここは一気に決着つけたるで!!」
「うん!!」
いきなり闘志を燃やしだした二人。
はたして自分達の考えた通りに話しは進んでいくのか?
- 316 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月17日(日)15時18分08秒
- 事、全員の収録も終り、後は着替えて家へと帰るだけになった。
「ごっちん、行くで」
「お〜!!」
この作戦がだめだったらと思うとちょっと後の結果が怖いなと思った。
下手をすれば、お互い目当ての人と口を利いてもらえなくなりそう。
二人はなんとか闘志を震い立たせ、控え室へと向った。
「あれぇ?裕ちゃん達どこ行ってたのぉ?」
「ん・・ちょっと。トイレに・・」
「ふーん、早く着替えちゃえば?」
「おう」
「紗耶香ぁ、ちょっとそれ取ってぇ」
「これ?」
「ん♪」
「・・・あ、裕ちゃんに後藤・・お疲れ」
「ん・・お疲れや」
「お疲れ様です」
市井の言葉に後藤が小さな声で答えた。
部屋に入ってきた中澤に声をかけたのは矢口であった。近くに寄ってはこないの
だが、一応こうやって声だけはかけてきてくれる。今の中澤にとってはそれだけ
でもかなり嬉しい。
市井の後藤に対する態度に比べたら・・。
「ごっちん・・」
「うん」
中澤と後藤は、本日最大の作戦を発動した。
(頼むで、矢口。あんたなら絶対にのってきてくれるはずや)
(市井ちゃん・・後藤の事嫌いになってないよね?)
祈るような視線を何もわかっていないはずの二人に向ける。
これが失敗したら、中澤も後藤もしばらく立ち直れそうにない。
大きく深呼吸して、後藤が打ち合わせ通りの言葉を言った。
「ねー、裕ちゃん。今日お泊まりしてってもいい?」
「なんやてか?」
(とうとう言ってもうた・・・、もう後戻りはできん)
そう言った後、サッと矢口達に視線を飛ばす。反応してくれと願いながら。
- 317 名前:名無し 投稿日:2000年09月17日(日)15時28分48秒
- 先週のMステから始まって
日毎にエスカレートしてますね。
金曜のおねモー、土曜のポップジャム、そして今日のハロモニと。
ヤグチュー好きとしてはうれしい限りですね。
短編すばらしいっす、今日のハロモニもぜひ。
- 318 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月17日(日)15時32分32秒
- はい、「お互い様」更新です。
途中、やぐちゅ〜に壊れてしまいまして、話しの流れをまたまたぶち壊してしまいました。
すみません、がまんできませんてせした(笑
>ごさんけさん
あ〜、すみません。自分の勘違いです。
すみませ〜〜ん。
なっちゅーですかぁ・・なっちゅーもOkなんですけど、そうすると矢口の
存在が気になってしまう(笑)骨の髄までやぐちゅ〜好き♪
市井ちゃん、なに言ったんでしようねぇ。ハハハ。
>ムーミンさん
素直になってくれない市井ちゃんがここまで話しを引っ張るのです。
それもようやく終りそうな気配?
あいしてるぜ、ベイベー(笑)
ここの市井ちゃんは絶対にそんな事言わなさそうだ。
>デラックスさん
自分も言われてみたいで〜す♪
無理だな、きっと(笑
>F602さん
ありがとうございます〜。もう何も考えずに書いてしまった小話です。
あぁ、自分の頭の中っていったい(笑
裕ちゃんはもう好き勝手野郎なんで。矢口がいつも大変な思いしています。
>Yamboさん
いつもいつもありがとうございます。
もちろん、あれは永久保存っす。あぁ、また見たくなってきた(笑
どんどん行け行け!!中澤裕子!!
誰もあなたを止めはしない。
>うみさん
もう、いいのか?こんなん放送してって感じですよね(笑
でも、放送してくれたおかげでこんなに幸せ気分を味わっているのですが。
「お互い様」がぜんぜん甘くないんで、おもいっきり壊れてみました。
>まいのすけさん
甘党ばんざーい!!
やぐちゅ〜ばんざーい!!
まいのすけさんばんざーい!!(笑
もう、ダ〜ッて書いちゃいました。
これからもがんばりまっす!!
- 319 名前:ごさんけ! 投稿日:2000年09月17日(日)16時15分40秒
- はう。またしても続きが……。
うまいなぁほんとに。
すみませ〜〜ん。自分ウソついてました。
そうです。前たれきりんさんがいってたので合ってやす。
そっちがやぐちゅーなら、こっちはなっちゅーで……。
- 320 名前:Qoo 投稿日:2000年09月17日(日)18時15分59秒
- 久々に読ませてもらいました。ココやっぱり面白いですねぇ♪
ポップジャムでは、やぐちゅーなち・・・(謎
‘いちなち’もありかも・・・(ウソ
やっぱり、いちごま&やぐちゅーで幸せにしてやってください!
- 321 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月18日(月)06時33分01秒
- たれきりんさんお疲れ様です。初めて読みましたが面白いですね!
特に日焼け止めシーンは最高でした!!
ああいういちごまラブラブシーンもまた見たいな〜。
ハッピーエンドで終わりますように♪
- 322 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月18日(月)16時00分10秒
- 「笑顔のおいしさ」は、まだ終わってないのでしょうか?
家来と、なっちん占い読ませていただきました。
すごい、いいです。かなりつぼ。
これからも頑張ってください。
- 323 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月19日(火)01時33分22秒
- 「なんでぇぇ!!!なんで後藤が裕ちゃんちに泊まるんだよぉぉ!!!」
(でかした矢口♪)
「そんなのダメだよぉぉぉぉ!!」
まっさきにひっかかったのは矢口だった。とりあえずは予想通り。
まさしく小犬がばたばた暴れるように、矢口が大声で騒ぎ出した。
(成功やで、ごっちん)
(うん♪)
こっそりと目を合わせてうなづき合う中澤と後藤。と、ここで喜んでては話しが
進まない。とりあえず少し迷惑そうな態度を取らなければ。
「ええやん、別に。あたとしごっちんは仲良しさんやねんから」
「いつからそんなに仲良くなったんだよぉ。矢口ぜんぜん聞いてないぞぉぉ!!」
「だってゆうてないもん、な〜ごっちん♪」
「ね〜、裕ちゃん♪」
「・・・なんだよぉ、二人して・・・」
(そのまま来い・・来るんや、矢口)
まさに筋書き通りの矢口の反応。中澤はわざと後藤の方に腕をまわして、さらに
仲良しさん度をアピールしていく。矢口の視線はその後藤の方に注がれていた。
(それでこそ、矢口や)
矢口の態度はあきらかに後藤に対して「ヤキモチを妬いている」としか見えない。
唇をどからせて、ウ〜っと小さくうなりながら中澤を見つめている。
(ごっちん、いい感じや思わんか?)
(うん)
後は、矢口がとどめの一言を言ってくれれば、作戦は大成功といえる。
後、一言。
中澤は心から祈った。
「矢口も泊まる!!」
(よっしゃ〜!!やったで、ごっちん)
(やったね、裕ちゃん)
中澤の作戦はズバリ的中。こんなおいしい話しに矢口がのらないわけがない。
矢口は市井の側から離れて、テテテと中澤の方へ近づいてきた。
その姿をニヤニヤしながら見ていた中澤だったが、ふと市井の反応のなさに気付
いた。見れば、椅子に腰掛けたまま、鏡をジッと見つめているような。
- 324 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月19日(火)01時34分55秒
- ちょっと目をこらすと、市井の顔が鏡越しに写っていた。ここから市井の顔が見
えるという事は、向こうからは中澤達が見えているという事で。その鏡に写る市
井の顔はなんだかとてもイラついている様に思えた。
しかし、確かにこちらを見ているはずの市井なのだが、なぜか中澤の視線とは合
わなかった。そう、市井が見ていたのは後藤だけだったのだ。
「裕ちゃんとこに後藤泊まらせたら、何するかわかんないもん」
「それひどいで、矢口」
「いいよね?後藤。矢口も泊まるからね?」
「うん」
矢口に声をかけられ、視線を元に戻した。その表情はまだちょっと怒っているみ
たい。やっぱりかわいいなぁと思いつつ、とりあえずはもうちょっと迷惑なフリを。
「え〜、矢口も来るんかぁ?せっかくの二人っきりの時間やと思たのに」
「なんだとぉ!!こら、裕子、あんまり好き勝手するなよなぁ」
「別にしてへんやんか。なんや?矢口もしかして妬いてるん?」
「妬いてねぇよ!!たく〜。矢口は裕ちゃんの監視役として一緒に泊まるんだか
らね?」
「しゃ〜ないなぁ。がまんしたるわ」
久しぶりの矢口との会話に心から喜んでいた中澤。待ちに待った時がついにやっ
てきたのだ。
(後は〜、紗耶香だけか)
その視線に気付いたのか、後藤が無言でコクリとうなづく。
自分の為にも後藤の為にも、なんとかして市井を家につれて帰らなければ。
「紗・・・」
「よし!!・・・あ、紗耶香はどうする?一緒に行く?」
市井の名前を呼ぼうとした時、ちょうどうまい事に矢口が話しをふってくれた。
矢口に呼ばれてこちらに振り替える市井。心なしかその顔は冷たく感じる。
後ろにまわした後藤の指がギュッと中澤の服をつかむ。
その指が少し震えているみたいだった。
(市井ちゃん・・・)
「あたし、やめとく」
「ええぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「・・・・・・」
部屋中に響き渡る中澤と矢口の悲鳴。
ここまで話しが盛り上がっているのに、まさか拒否されるとは。
後藤はその言葉にショックを受けてか、何も言わずにただ立ち尽くしている。
あまりにも固く市井のその閉ざされた心に中澤はあきれかえっていた。
- 325 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月19日(火)01時36分14秒
- 「な、なんでやねん、紗耶香」
「そうだよぉ。裕ちゃんち一緒に行こうよぉぉ」
「だって、今日はもう疲れたし・・早く寝たいかなぁって」
普通、こんな場面になったら自分もついてくるって思うもんじゃないのか?
中澤は市井の本心がわからなくなっていた。
眉間を寄せ、ただ市井の事を見つめている後藤の視線が痛い。
その視線に気付いていないのか、市井は平然とした顔で答えている。
矢口もなぜか妙に焦っていて、市井を説得している。中澤のそれに続いた。
「寝るんならあたしんちでもぜんぜんOKやで?」
「紗耶香が来ないんじゃ、矢口一人で裕ちゃん止めれないよぉ」
「あたしのなにを止めるっちゅ〜んや?」
「後藤を襲うとこ」
「・・・・・」
必死になって市井を引き止めようとしているのに、矢口の言葉はいちいち気にか
かる。中澤はにらむように矢口の事を見た。しかし本人はあまり気にしてるふう
ではない。
(後で覚えとけよ、矢口)
とりあえず、つっこみたい気持ちをグッ抑える。
ここでのってしまったら、話しがだんだんとそれていってしまうからだ。
「だいじょぶだよ。三人で仲良く泊まってきたら?」
「紗耶香ぁ」
いったい、『何が?』『誰が?』だいじょうぶだというのか?
笑顔でそう言った市井に矢口が泣きそうな声で答えた。
一度「行かない」と宣言してしまったら、その言葉を撤回させるのはなかなかむ
ずかしい。きっと、誘えば誘うほど意地になってしまい、だんだんと作戦成功率
が低くなってしまう。
またしても、市井の一言で全てが壊れようとしていたその時。それまで、ただ黙っ
て市井を見つめていた後藤がそのままの視線で叫んだ。
「市井ちゃん!!」
「ん?」
先ほどから、意識して後藤から視線をはずしていた市井だったが、突然の呼びか
けに反射的に答えてしまう。後藤の自分を呼ぶその声に反応してしまう。
その時、二人の視線がからみ合った。矢口と中澤は黙ってその二人を見ている。
- 326 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月19日(火)01時37分04秒
- どうして急に冷たくなったの?
どうして急に笑ってくれなくなったの?
市井ちゃんはそれで平気なの?
いつものように後藤と話さなくてもそれでぜんぜん平気なの?
さみしくないの?
後藤はすっごく・・・すっごくさみしいのに。
市井ちゃんの顔が見れなくて、すっごくさみしいのに。
それなのに市井ちゃんは平気なの?
後藤はすごく緊張していた。いつもと違うその市井の視線が怖い。
まるで自分の存在を拒否しているようなその瞳。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。ここで自分の気持ちをちゃんと伝え
なければ、このままずっと、市井の側にいられなくなるとそう思っていた。
「一緒に泊まりたくないの?」
「・・・・・」
「後藤の事、ぜんぜん気にならないの?」
「・・・・・」
「絶対裕ちゃんに襲われちゃうよ?」
(これこれ、ごっちん。絶対なんて言い切るな)
「・・・・・」
「それでもいいの?」
それは、後藤にとって一つの賭けであった。
今までの市井の冷たい態度にずっと傷ついてきた後藤。
はじめはおもしろ半分だったのに、いつしか真剣な気持ちになっていって。
今までよりも強く、そしてはっきりと「自分の事を見て欲しい」という想いが後
藤の心を支配していったのだ。
市井ちゃん、答えて・・。
- 327 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月19日(火)01時50分10秒
- はい、「お互い様」更新です。
市井ちゃん・・もっと素直になって下さい。お願いします(笑
でも、悲しい後藤が好きな自分なので、これはこれで仕方がないってことで。
>371さん
まさに!!やぐちゅ〜好きにはたまりません。
だからあんな壊れた物を書いてしまいました。
ハロモニっすか?書いてみたいのはやまやまなんですけど、こっちはかなり
遅れて放送されるんで。見れるのはいつになる事やら・・・。
>ごさんけさん
あ、ありがとうございます。
でもまだまだ。どんどん勉強していかなくては。
ごさんけさん(笑)間違えた〜ってかなり焦りました、自分。
やぐちゅ〜もいいですよ。あ、なっちゅーもいいんですよね(笑
今でもヨッスィーのとこに入って矢口と一緒に騒いでたいと思ってたりしてます。
ごめんね、中澤センセ♪
>Qooさん
ありがとうございます。
やぐちゅーなちっすね(笑
かなりそのユニットの活動してるとこが見てみたい・・・。
がんばります!!
>321さん
そう言って頂けると・・・ありがとうございます。
日焼け止めはもうそのまんまの小話でした。
書いててすごく楽しかったです。
甘〜い甘〜いを目指してたんです、一応。
ラブラブはまた書きたいと思ってます。
>322さん
「笑顔のおいしさ」ははっきりいってまだ未完です。
まだ続きはあるんですけど、UPするきっかけを失ってしまって。
というか、自分がいちごまに転びまくってしまった結果なのですが(笑
おねモニやぐちゅ〜は自分でも後で読み返してみるとかなり恥ずかしい
小話なんですが。ありがとうございます。
- 328 名前:さんちー 投稿日:2000年09月19日(火)01時56分57秒
- やぐちゅ〜もいちごまも最高だ〜★
切なげだけど甘い雰囲気を醸し出すたれきりんさんばんざ〜い!!
ひと粒で二度美味しいみたいな、ね。
- 329 名前:I&G 投稿日:2000年09月19日(火)02時01分09秒
- やっぱり良い所で終わるな〜。
切ないのは好きだけど、はやく市井&後藤を幸せにしてください。
(あと、さやまりもできれば・・・。)
- 330 名前:Hruso 投稿日:2000年09月19日(火)02時08分09秒
- 市井ちゃん、もっと素直になって下さい。
でも素直じゃないあなたも大好きです。(爆)
- 331 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月19日(火)14時20分51秒
- 素直じゃない、いちーちゃん。自分もけっこ好きです。(笑
続きが気になりますな。後藤の言葉に乗ってくれるのかな市井は。
なにはともあれ、更新頑張って下さい。
- 332 名前:Yambo 投稿日:2000年09月19日(火)22時44分07秒
- うーん、ホントいいところで終わってる。
さぁ、市井はどう答えるのでしょうか?楽しみだわぁ♪
そろそろ素直にいっとけ、いちーちゃん(笑)
- 333 名前:ルーク 投稿日:2000年09月20日(水)01時50分06秒
- いいとこで止めないで下さい。マジで続き読みたいです。
そりゃー後藤も市井に聞きたくなるわさ。
市井もそろそろ冷たい同盟から後藤を解放してあげようよ。
マジで面白いっす!
- 334 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月20日(水)02時01分39秒
- うむむ・・・。
続きが気になって寝れねぇっす。
- 335 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月20日(水)23時41分12秒
- 後藤の、市井ちゃん大好き光線がすごく好き。
っていうか一途だね〜ごまちゃん。
- 336 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月21日(木)02時54分57秒
- 後藤は何が言いたいんだろう。
あたしに何を求めてるんだろう。
何でそんな瞳で見つめてくるんだろう。
何でその瞳を見ているとこんなにも苦しいんだろう。
それなのに、何でその瞳から目が離せないんだろう。
逃げ出したくなる自分がいる。
でも、側にいたいと思う自分もいる。
あたし、どうしてこんなに後藤が気になるんだろう。
あたし、どうしてこんなに後藤を見ていたいんだろう。
あたし、どうしてこんなに後藤が欲・・・。
開きかけた唇を閉じる。そのまま素直に言えてしまえば、こんな想いなんかしな
くてもいいんだろう。でも言えない。こいつには言えない。
あたしの事を、眩しいくらいまっすぐな瞳で見ている後藤には言えない。
あたしが何を思っているかなんて。
「・・・別に関係ない」
「紗耶香ぁ」
「紗耶香!!」
そう言い切った市井。その顔は苦痛に耐えているようで。
部屋の中が凍りついた様に静かになる。
苦しそうな顔の市井と驚きの表情の矢口。そして眉をひそめる中澤。
三人の瞳は後藤に注がれている。固まってしまった後藤の顔に。
「とにかく、今日はもう帰る。お疲れ!!」
「ちょっ、ちょっと紗耶香ぁ」
そのふいんきに耐え切れなくなったのか、市井が早口にそう言うと、自分の荷物
を持って部屋から逃げる様に出て行ってしまった。その市井の後をあわてて追い
かける矢口。カバンををすばやく背負い、残された中澤達に言葉をかける。
「裕ちゃんごめん。矢口、紗耶香気になるから」
「へ?」
「後藤、襲われそうになったら矢口に連絡するんだぞぉ?」
「え?・・・えっと・・うん」
「じゃ、お先!!・・・紗耶香ぁ、待ってよぉ。矢口も一緒に帰るってぇぇ」
矢口は、まくしたてる様にそう二人に言うと、開いたままのドアから出て行って
しまう。ただ呆然とだまって見送る事しかできなかった中澤と後藤。
「なんで・・・」
「市井ちゃん・・・」
「なんで・・・」
「やっぱり後藤の事、嫌いなんだ・・」
「なんで・・・」
「嫌いになっちゃったんだ〜」
「なんでこんな事になるんや!!
「え〜ん、市井ちゃ〜〜ん!!」
むなしく響く無視され組の声。
- 337 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月21日(木)02時55分47秒
- 後藤がここまで真剣に市井の事を求めたというのに、返ってきたのはやはり拒否
の言葉。もう何もかもが信じられなくなりそうだった。押え込んでいた感情が一
気にあふれ出てしまう。とうとう後藤は爆発してしまった。
「いちーちゃぁぁん」
その両の瞳から流れ出す涙。止まることを知らないその涙。
自分は市井に嫌われたんだという想い。
すごく・・ものすごく悲しかった。
後藤がこうなってしまっては、とりあえず落ち着くまで待つしかない。
「ンッ・・ンッ・・いち・・ちゃ・・・んッ」
「ごっちん?」
「ウエ〜〜ン」
「はぁ〜」
「ングッ・・・かんけ・・ない・・って・・ンッ」
「そんな事あらへんて」
「だ・・・って、ンッ・・そ・・言った・・もん」
「ん〜、確かになぁ・・・っとちゃうちゃう」
「エーーーン」
少しだけだか、会話ができる程度には落ち着いてきたらしい。中澤は一生懸命慰
めようとするのだが、いかんせん、市井の言葉が決定的だ。
何か元気づける事を言わなければ。
「ごっち〜ん、ほら、ぜんぜんだいじょぶやから・・」
「ンッ・・だい・・じょぶじゃな・・ンッ・。いもん」
「そんな事言わんと・・な?」
「市井ちゃん・・ンッ・・やっぱり後藤の事・・ングッ、嫌いになっちゃったんだ〜」
「そなことない。あれは紗耶香がめっちゃ恥ずかし屋さんっちゅ〜ことでな」
「エーーーーン」
「まいったなぁ」
どうしようもなくなって、中澤はあきらめの言葉を吐く。どうして市井はあそこ
までかたくななんだろうか。自分が後藤を襲うかどうかは別として、もう少しま
しに断り方ぐらいあったはずなのに。とりあえずなんとかしなければと、気ばか
りが焦る。後藤は泣き止む気配さえ見せない。
- 338 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月21日(木)02時56分48秒
- 「市井ちゃぁぁん」
「そや!!ええ事思いついたで!!」
後藤に向ってわざと明るく言った。しかし後藤は無視して泣き続ける。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。市井には自分達の作戦が見破られ
ているのか?
口からでまかせで適当な事を言ってしまったのだが、とりかく何か手を打たなけ
れば。矢口も市井と一緒に出て行ってしまった。
頼れるのは自分のみ・・でもやっぱり何も思いつかない。
(どうすればいいんや〜、誰か助けてくれぇ)
誰か・・という所で、中澤が思い出すのはやっぱり矢口の事で。
今は市井と一緒にいるはずの矢口の事で。
(そや!!・・・あぁ、やっぱり頼れるのはあんただけや)
中澤は後藤に向って自分が思いついた事を伝えた。
「あんなぁ、裕ちゃん今から矢口にメール出すから、紗耶香を絶対うちのマンショ
ンにつれて来いて」
「(グスグス・・)」
「矢口やったらどんな手ぇ使ってもつれて来るはずや」
「・・・・」
「なんてええ考えなんやろ♪待ってな、今、携帯持ってくるから」
「・・・裕ちゃんが思いつく事なんて成功するわけないもん」
「それきついで、ごっちん」
カバンの中をひっかき回している中澤に後藤がポツリと呟く。とりあえずはやれる
事だけでもやってしまわなければ。今となってはまさにワラをもつかむ状態。
「めっけ・・・・えっと・・矢口と・・・」
「・・・・」
だまってその後ろ姿を見つめる後藤。なんやかんやつっこんではいるけど気にはな
るらしい。きっと自分では何をすればいいのかまだ気持ちの整理がついていないのだ。
しばらく考え込んでからからメールを打ち出す。
『矢口頼む!!なんとかしてさやかをうちのマンションにつれて来てくれ。ごっち
ん死にそうや』
それだけ打つと送信のボタンを押す。今の中澤にとって矢口だけが頼りだった。
「これでよしと・・ごっちん、矢口が絶対紗耶香つれてくるからな?・・って〜ごっ
ちん?」
送信しましたというメッセージを確認して、中澤は後藤にの方に振り向いた。
しかし、そこには誰もいない。部屋の中をキョロキョロと見渡すが自分と後藤の荷物
しかなく、肝心の後藤の姿がない。いつのまにか消えてしまったいたのだ。
「ごっち〜ん、どこ行ったやんぁ?」
とうとう一人残されてしまった中澤。
- 339 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月21日(木)02時57分43秒
- 中澤の後ろ姿を泣き顔で見ていた後藤は、市井の事を考えていた。
いつまでも逃げつつける市井。自分を悲しい想いにさせる市井。
でも・・それでも市井の事が好き、大好きなのだ。
それなら今は何をするべきか?
(追いかけなきゃ・・・)
どんな事をされても彼女の事を追い続けなければ。
また笑顔で名前を呼んでくれるように。
また二人で楽しく過ごせるように。
そして、自分の前から消えちゃわないように。
そう思うと、身体が自然と動き出す。
とにかく追いかけなければ。
それしか考えられなかった。
(市井ちゃん!!)
音もたてずに部屋から飛び出す。あれからそんなに時間もたっていないから、ま
だそんなに遠くへは行ってないはず。走ればきっと間に合う。
懸命に廊下を駆けていく。唇から出てくるのは大好きな人の名前。
- 340 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月21日(木)02時58分45秒
- その頃の・・・。
先に部屋から出て来た市井だったが、追いかけてきた矢口にガシッと腕をつかま
れ、そのまま強引にロビーの椅子に座らされている。
自分の事を心から心配している矢口を見ているうちに、なんだか気持ちも落ち着
いてきて、ポツリポツリとだが自分の想いを話し出す。それを真剣になって一緒
に聞いてくれている矢口。今までの自分の考えや後藤への想い、そしてこれから
の自分について。誰にも相談した事がなかった事を全部矢口にきいてもらった。
そのうち、何だか心が軽くなってくる気がした。
「紗耶香は何でも考えすぎなんだよぉ」
「そかな?」
「そうだよ。もっとさぁ、正直にならなくちゃ」
「・・・ん」
「やりたい事はやればいいんだよ?言いたい事があったら素直に言っちゃえばい
いんだよ?」
「・・・ん」
「それでもしだめだったら、その時に考えればいいのさ」
「・・・ん」
そうは思っているんだけれど、やっぱりなかなか素直にはなりづらい。
でも、矢口の言葉を聞いてると、そんな自分がばからしく思えてきた。
(そうだね。市井ももっとがんばらなくちゃ)
「たくぅ。紗耶香もあの人くらいに素直に行動しちゃえばさぁ・・ってそれはそ
れで困るかもだけどぉ」
その言葉を言い終わると、矢口はテレたように笑った。すごく幸せそうなその笑
顔を見て、市井も幸せな気分になる。
(矢口も一途なんだよね・・)
「ハハハ。それって裕ちゃんの事?」
「・・・そーだよぉ!!いっつもいっつもい〜っつも、あちこちに手ぇばっかり
出しちゃうしさぁ。もう矢口は毎日大変だぜ?」
「だねぇ」
「紗耶香もそんな事でいちいち悩んでんじゃねぇぞぉ。矢口に比べたら、も〜ぜ
んぜんかわいいもんさぁ」
二人、見詰め合って、フフッと笑い合った。今なら素直になれる気がした市井は、
こつんと矢口の額に自分の額をくっつけた。
「ありがとね、矢口」
「ん?」
感謝の気持ちを込めて、矢口の耳元にそう呟いたのだった。
- 341 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月21日(木)02時59分26秒
- 「いち〜〜ちゃん!!」
「はい?」
突然大きな声がロビーに響き渡った。名前を呼ばれた市井は声のする方に顔を向
ける。そこには、荒い息を吐きながら、真っ赤な顔で立っている後藤の姿が。
「後藤!!」
「いち〜〜ちゃん!!」
今の所を後藤に見られたというショックが市井を混乱させる。
いるはずのない後藤が何故ここにいる?
どうして?
なんで?
後藤はパッと市井と目が合って、もう何にも考えられなくなったいた。
矢口と仲良さそうよりそっていた姿など頭から消し飛んでしまった。
市井のその驚いた顔を見ていると、もっと近くで見ていたいという想いしかなか
った。後藤の顔ががだんだんとくしゃくしゃになっていく。
もういてもたってもいられい。
その場所から飛び出して、一目散に市井の胸へと飛び込んでいく。
「いち〜ちゃん!!」
「ちょ・・ちょっと、後藤?」
「市井ちゃんが大好きなの」
「は?」
いきなり自分の胸に飛び込んできて、そんな事を大声で告白する後藤に、市井は、
唯、呆然と見つめる事しかできなかった。
「ずっと市井ちゃんの笑顔を見ていたいの」
「・・・後藤」
「どんなに迷惑だって思われてもいいの。ずっと市井ちゃんの側にいたいの」
「・・・・」
「だから!!」
「だから?」
「後藤の事、嫌いになんないで。少しだけでもいいから好きになって?」
まっすぐな瞳とまっすぐな想い。自分にはとうていできそうもない事を、目の前
の彼女はいとも簡単にやり遂げてしまう。
あたしの負けだな・・と市井は素直にそう思った。背中に回されたその腕の力に、
後藤の自分への想いがひしひしと伝わってくる。
(こいつ・・なんてかわいいんだろう)
そんな事を思いながら後藤を見つめていると、市井の顔は自然にと笑顔へと変っ
ていく。
今日、後藤に見せた笑顔の中でそれは最高の笑顔だった。
- 342 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月21日(木)03時00分03秒
- この腕の中で、大好きな人が自分に好きだって告白してくれるというのは、すご
く幸せな気持ちにさせてくれる。こんな想いができるのならば、このままずっと
腕の中に閉じ込めてしまおう。
「少しだけでいいんだ」
「え?」
「後藤はあたしが少〜し好きでいるだけでいいんだ」
「・・・・?」
「でも、その願いは聞き入れられないなぁ」
「??」
市井は、後藤と会話らしい会話をするのが、なんだかとっても久しぶりのような
気がした。ずっといじめたばっかりだったせいか・・。
素直に自分の気持ちを言うのに、やっぱりどうもテレくさくて、ちょっとだけイ
ジワルを言ってみる。どんなに自分に言い聞かせても、やっぱりこれだけは直り
そうもない。
それでも、いままでと違う所が1つだけあって。
それは、自分の気持ちを正直に後藤に伝える事。
「だって、あたしは後藤の事がすっごぉく大好きなんだから♪」
「えっ!!」
「さっきはごめんね。あたしちょっと弱気になってた」
「市井ちゃん」
「でも、もう悩まない。あたし後藤が好きだから・・どんな事があっても後藤の
事が大好きだから」
「あたしも!!あたしも市井ちゃんが大好き!!」
再びギュッと抱き着いてきて後藤を市井も強く抱きしめかえす。
全身で感じる後藤のぬくもりが市井の心をどんどんととかしていく。
「大好きだよ、市井ちゃん」
「大好きだよ、後藤」
(たしか矢口も一緒にいたはずなんだけど。声が聞こえてこないなら、とりあえ
ずはほっといていいか。今は後藤を味わおう)
お互いがお互いの事しか見えてなくて。
市井と後藤はずっとそうやって抱きしめ合っていた。
- 343 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月21日(木)03時01分37秒
- 「なんや?あの二人仲直りしたんか?」
「裕ちゃん!!」
二人っきりの世界を築いている市井と後藤のジャマをしないように、ちょっと
離れた場所に移動していた矢口の背後にいきなり声がかかった。
あわてて振り返った矢口の瞳に、ちょっとだけ息を切らして、そして何故かバッ
クを2つ持っている中澤の姿が飛び込んでくる。
「ごっちん、何も言わんと出て行きよって。探したで、ほんま」
「お疲れさまです」
「まじで疲れたわ」
「よしよし♪」
フゥ〜とため息をついて中澤の額を、精いっぱい背伸びをしながらなでてあげ
る矢口にどんどん中澤の顔もとろけだす。
「で?あの2人はもぉええんか?」
「ん、もうだいじょぶだよぉ」
「そか」
「うん!!」
2人、視線を市井達の方へ戻す。さすがに抱き合うのはやめたみたいで、両手
をつなぎながら、楽しそうにおしゃべりしている。
なにはともあれ、仲直りしたのならそれでよし。
中澤は今度は安堵のため息をついた。
「せや、これからどうする?ウチ来るんか?」
「う〜〜ん。どうしよっかなぁ」
「矢口が来んと、裕ちゃんめっちゃさみしいなぁ」
「そのセリフ、あちこちで言ってないかぁ?」
「そんな事あるわけない。矢口だけや」
「ふ〜〜ん」
ちょっと思案する様な表情を見せながらニヤニヤしている矢口。
その顔を優しい瞳で見つめる中澤。この2人もいいふいんきです。
「みんなで裕ちゃんちに行こっか?後藤も紗耶香も一緒にさ?」
「えー。裕ちゃん矢口と2人きりがえーのに」
「それはまた今度ね?仲直り記念にパ〜ッと騒ごうよ」
「しゃーないなぁ。ならあっちのラブラブさん達にも声かけるか」
「お〜っす!!」
これからの予定、大決定。
とりあえず最初の目的であった、みんなを自分のマンションに来させるという
のが思わぬ展開でかなってしまい、中澤は少し苦笑い。
矢口はテテテと市井達の元へと駆け寄り、これからの事を話す。
「OKだよ〜、裕ちゃん!!」
「後藤も〜」
2人同じような笑顔をしている。
とにかく、いい方に転んでよかったと、中澤はしみじみそう思っていた。
- 344 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月21日(木)03時14分50秒
- はい、「お互い様」更新です。
やっと・・やっと素直になってくれた市井ちゃん。
長かったです。すごく長かったです。
説得してくれた矢口に感謝(笑
>さんちーさん
ありがとうございます〜。
小躍りしちゃいました(笑
やっと市井ちゃんが告白してくれたので、これからはもう!!
とか書いちゃうとまた墓穴ほっちゃうんだけどね(,笑
>I&Gさん
またしても・・ってやつです。
だめですなぁ、もうここまでくるといやみですよねぇ。
なんとか市井ちゃんと後藤も仲直りしたみたいです。よかった〜。
さやまりは・・どうしましょ(笑
>Hrusoさん
ですよね(笑
でも自分も素直じゃない市井が好きなんで。
だからこんなにもひっぱってしまいました。
>まいのすけさん
これって一応のった事になるんでしょうか?
今回、矢口が影でがんばってます。くわしくは書いてないんですけど(笑
がんばります!!
>Yamboさん
またここでも言われてしまった(笑<終ってる
素直になりました〜。ちょこっとイジワルは残ってるんですけど。
好きなら好きってもっと早く言ってくれって感じです。
>ルークさん
すみませ〜ん。今回はちゃんと話しが終ってると思います。
許してくださいませ。
冷たい同盟は解除されました。
ラブラブさん達になってます。
>ムーミンさん
続きです。
ちゃんと寝てくださ〜い(笑
いかがでしょう?
やっぱりいちごまが好きなんです。
>335さん
はい!!ここの後藤はただひたすら市井ちゃん追っかけてます。
ほんとに走っておっかけてます(笑
やっと、微笑んでもらえるようになりました。
- 345 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月21日(木)04時05分33秒
- おっ更新してるぅ〜〜!!!
たれきりんさんお疲れ様です!
さてさてお次はラブラブムード突入ですか??
久々に・・見たい・・。甘美な一時・・(笑)
- 346 名前:たか 投稿日:2000年09月21日(木)04時12分36秒
- 後藤……なんて一途なんだ(涙)
市井は幸せ者だなあ。羨ましいぞ(はぁと)
- 347 名前:Hruso 投稿日:2000年09月21日(木)04時12分45秒
- やぁーーーーっと、素直になってくれた市井ちゃん。
やっぱ素直な市井ちゃんもいいっすわぁ。
今日の更新分は甘々全開で幸せです。
- 348 名前:ティモ 投稿日:2000年09月21日(木)06時54分19秒
- 素直な市井ちゃん、かわいいっす。
いちごま万歳!!!
- 349 名前:うみ 投稿日:2000年09月21日(木)16時45分14秒
- 矢口ホント良い奴ですねー。
実際の矢口もホントこんな感じがしそう*^-^*
私はごまちゃんが好きなんだけど、ここの矢口のかわいさは絶品です♪
- 350 名前:ごさんけ… 投稿日:2000年09月21日(木)21時56分24秒
- ごま…カワイすぎるぞ自分。
いちーちゃんの気持ちが分かる。
- 351 名前:ルーク 投稿日:2000年09月21日(木)23時07分40秒
- いやいや〜、まるくおさまってよかったです。
素直で真っ直ぐな後藤をかわせるわけないでしょう。
今回は市井の負けですな。ラブラブになってよかった。
- 352 名前:Yambo 投稿日:2000年09月21日(木)23時42分32秒
- うーん、いちーちゃんたらっ、もっと早く素直になっとけっ。
後藤の一途さにはかなわなかった訳ね。いいなぁ〜、いちごま…。
甘党ばんさ〜い♪
つぎはめっちゃ甘いいちごまが出てくるといいかなぁ〜。
- 353 名前:哲 投稿日:2000年09月22日(金)02時42分48秒
- すっごいおもしろいっす。
甘々も嫌いではないけど、
もう一波乱二波乱あるのもいいかな!?
期待してま〜す。
- 354 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月22日(金)10時17分54秒
- 修羅場は越えたのですよね・・・?
矢口の頑張りがよかったですね〜。いい姉ちゃんだ。(笑
この先は甘々になるんでしょうか。続き頑張って下さい。
- 355 名前:デラックス 投稿日:2000年09月22日(金)23時27分38秒
- ごま、かわいいですー。
素直な市井ちゃん好きー。
超甘々な話、期待してますね。
- 356 名前:さんちー 投稿日:2000年09月23日(土)01時15分00秒
- わーい★あまあま★
意地っ張りな市井ちゃんがたまにみせてくれる
素直な気持ちに後藤はメロメロなんだね。
後藤ってば健気なやつ。
市井ちゃんも可愛いやつ☆
- 357 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月23日(土)01時55分32秒
- 出口にタクシーを待たせておいて、そのまま4人は乗り込んだ。
向かうは中澤が住んでいるマンション。
途中でコンビニに寄り、ギャーギャー騒ぎながらも大量に夜食を仕入る。
両手いっぱいにビニール袋を持って、再びタクシーに乗り込む。
先ほどは、後部座席に市井、後藤、矢口の順番で座っていて、中澤は一人助手席。
もちろん彼女は、後ろの騒がしい声に、運転手に向ってあやまるという役目を一
手に引き受けている。
「市井ちゃん、奥だよ、奥」
「え〜また市井が奥かぁ?」
「そおだよぉ、早く〜」
「しょーがねえなぁ」
またしても一番最初に乗らされてしまう市井だったが、ブツブツ文句を言いなが
らも素直にそれに従う。その後に後藤が続いて、一番最後に矢口が乗り込んだ。
これは後藤が考え出した、市井から矢口を遠ざける為の作戦。
さっきまで居たロビーで、なんだか妖しいふいんきを醸し出していたこの2人の
事がかなり気になっていたのだ。隣同士に座られたら、また元に戻ってしまいそう。
望み通り、最高のポジションを手に入れた後藤は、そのままピッタリと市井にくっ
つく。ふれあっている腕から市井の体温が伝わってきて、なんだかとても嬉しい。
市井の方に顔を向けてニッコリ笑うと、市井も笑顔で返してくれる。
やっとの想いで手に入れたこの幸せな時。充分堪能しなきゃなのだ。
「あ〜、なるほど、そういう事ですかぁ」
「なに?どしたの?矢口」
「なんでもないよー。さ、運転手さん行きましょう!!」
どうやら、矢口にはあっさり見破られてしまったらしい。後藤はあわてて運転手
に声をかけてそれをごまかす。フゥ〜ンって顔の矢口と、焦りまくりの後藤。そ
の2人をを交互に見ながら?の市井。
運転手は後藤の言葉を受けて、ゆっくりと車を進めだした。
周りのネオンがそれぞれの顔を照らしていく。窓から見える光が、市井の横顔と
重なって少しだけぼやけて見えた。そのまま光にとけて行きそうに思えて、後藤
は思わず市井の左腕を強くつかむ。
「ん?」
それに気付いてこっちを向く市井の顔があまりにも優しくて。
後藤は唇から出そうになる想いをグッと押さえて、そっと市井の肩に寄りかかった。
(どこにも行かないでね)
(後藤・・・)
市井はそんな後藤を見つめながら自分もそっと寄りかかろうとした・・時。
- 358 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月23日(土)01時57分14秒
- 「おりゃ!!」
「わぁぁっ!!」
短い掛け声と一緒に小さな身体が左側から飛んできた。後藤はいきなりのしかかっ
てきたその重さに耐え切れず、市井の方へとおもいっきり寄りかかってしまう。
二人分の体重をもろに受けた市井は、ドアと後藤にはさまれて、まさしくつぶれ
てしまいそうだ。
「ちょっと矢口〜、せまいからやめろよなぁ」
「うぉ〜、ジャマしてやるぅ」
「やぐっつぁ〜ん、重いって〜」
「(ジタバタジタバタ!!)」
いきなり飛んできた矢口の身体は、後藤と市井のひざの上に着地し、まるでただ
をこねてるお子様よろしくに、上半身を大きく揺らす。
たまらず市井が声を上げるが、そんなものは完全無視。矢口の動きは、さらにエ
スカレートしていった。
自分は中澤と離れて座らされているというのに、そのすぐ横でいちゃいちゃされ
ちゃ黙ってはいられない。ここは思いっきり自己主張しなくては。
「矢口を無視すると、こ〜ゆ〜目にあうんだぁ!!」
「暴れるなぁ、矢口!!」
「重い〜、重いよ〜、たすけてぇ」
その大騒ぎは、とうとう切れてしまった市井が、力任せに矢口の身体を起こすま
で続き、3人元の位置についた時には、息も絶え絶え、汗びっしょりになっていた。
もちろん、助手席に座っている中澤は、ただただ頭をさげる。
しばらくして、タクシーが大きく左に曲った。そうすると、再び三人が一斉に騒
ぎ出す。キャーキャー言いながらすごく大袈裟に右の方にとずれていき、市井の
「グェッ!!」という声がせまい車中に響く。
今度は右へ大きくカーブ・・となれば、また大声で騒ぎながら左へとずれていく。
今度は矢口の「つぶれるぅ」という声が聞こえた。市井と後藤の笑い声もそれに
重なった。
「ごとぉ〜、おもいっきりわざとだろぉ」
「そんな事ないよ〜。引っ張られちゃったんだよ。ね、市井ちゃん?」
「いや〜、市井はわざとっす」
「なにぃ?」
いったい何がそんなに楽しいのか。いつまでも終りそうのないじゃれあいに、中
澤もまざりたいなんて思っていたのだが、運転手の目もあってか意識して平静を
保っている。ひとりぼっちはかなりさみしい。
- 359 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月23日(土)01時59分45秒
- タクシーが赤信号で止まる。ふと窓の外を見れば、見覚えのある建物が見えた。
マンションまではもうちょっと。それを確認して、中澤はチラッと後ろに視線を
向ける。いつからはじまったのか、三人の間で指相撲大会が繰り広げられていた。
お互いの腕を交差させて、それぞれ違う相手とつながれている。
右と左で行われている小さな戦いに、かなり熱くなっているらしく、またしても
容赦ない雄たけびが車内に響く。
「ちょっ、ごとっ・・・・よっ!!」
「キャ〜!!市井ちゃん、痛い痛い〜」
「オラッ・・・逃がすか!!・・・くっそ〜」
度々ある、ちょっとした揺れにもなんとかバランスを取りつつも、三人の戦いは
だんだん真剣みをおびてくる。
どんな場所でも、それを利用して思い切り楽しむという事は良い事だとは思うが、
そろそろ一回しめといた方がいいと中澤は思った。遊ぶのは自分のウチに着いて
からでも充分できるのだから。
(しっかしあいつらのって、まんま小犬のじゃれあいって感じやわ)
見ていてほんわかする様なその三人の楽しそうな顔に、いつかテレビで見た、子
犬達のじゃれあっている様子が重なって見える。
小犬の3兄弟・・この場合は姉妹なのだが。
長男:市井−面倒見がいいのに、ちょっといじわるな所があるのがたまに傷。み
んなからの信頼バツグン。
次男:矢口−自己主張が激しくて、まわりをひっかきまわす困ったヤツだが、誰
からも愛されるワンパク坊主。
三男:後藤−ちょっとおっとりしてるけど、意外と強情くんで、気になる物があっ
たらまっしぐら。かわい〜かわい〜末っ子。
さしずめ自分は、その小犬達の母親ってとこか。
自分の想像に吹き出してしまう中澤。
相変わらず鳴り止まない三匹の小犬の遠吠えに、そろそろ自分の出番だと、ゆっ
くりと後ろを振り向いた。まず矢口がそれに気付き、それにつられて市井と後藤
も視線を向ける。
3人の顔がそろったのを確認して、女神の様な極上のスマイルと共に、ひく〜い
声を響かせる。
「あんたら少しは静かにせ〜や?」
瞬時に止まった指相撲大会と、繰り返される3人の無言のうなづきに満足し、中
澤は再びゆっくりと、身体を助手席に戻すのであった。
そろそろマンションに着く頃だ。
- 360 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月23日(土)02時02分19秒
- という事で、ここは中澤さんのマンションです。
「絶対、すごくちらかってるってぇ」
「う〜ん・・案外、むちゃくちゃきれいかもよ?」
「紗耶香、案外てなんやの、案外て」
「いや〜、どうなんでしょうねぇ」
「はい!!後藤、すごく汚いに一票!!」
「ごっちん、あんたももなんやねんな〜」
エレベーターに乗る前から繰り返されているこの会話。
はじめて中澤のマンションに訪れた市井と後藤は、普段はスケベおじちゃんな中
澤の、謎につつまれた私生活が垣間見れるという事で、かなり興奮している様だっ
た。しかし、口にする事といえば、その部屋が、きれいか汚いかのどちらか?だ
けだったのだが。
「やぐっつぁんはどっち〜?」
「え?そ〜だなぁ・・・・」
そんな2人を、おもしろそうに眺めていた矢口に市井から声がかかる。
(どっちって言われても・・知ってるからなぁ)
何回も中澤の部屋へ遊びに来ている矢口は、何がどこに置いてあるかも完璧に把
握していて、今更どっちかと聞かれても返答に困ってしまう。とりあえずは笑っ
てごまかしておこう。
「どっちかなぁ・・・ね、ね、どっちなの?裕ちゃん」
汚いって言えば、中澤が怒ってしまいそうだし、きれいって言えばつっこみが入
るだろうし。色々と考えた結果、中澤に話をふる事にした。
「そんなんめちゃくちゃきれいに決まってるやろ。うら若い美人独身女性の住む
部屋やで?」
「いやー、最近の女の人の部屋はけっこう汚いっていうじゃん?」
「あたしはちゃうて」
「後藤の部屋もすっごく汚いんですよ〜」
「せやから、あたしの部屋とごっちんの部屋と一緒にすな!!」
「はーい!!市井も汚いに一票入れまーす!!」
「せやから汚なないってゆうてるやんか。ごっちんよりもぜんぜんましやでぇ」
話題は矢口の前をうまい事通り過ぎて行って、いつしか後藤の部屋はどれだけ汚
いかに移動していった。
部屋の様子をおもしろおかしくしゃべっている市井に、後藤が隣で「言っちゃだ
め〜」なんて騒いでいるのがかわいい。
そんな会話をしながら、やっと目的地にたどり着いた。
- 361 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月23日(土)02時36分04秒
- はい、「お互い様」更新です。
とりあえずは、仲直りできた後藤のがんばりをちょっと書いてみました。
時の流れは・・・まだまだ遅い(笑
>345さん
ありがとうございます。
次ですか?どうなんでしょうねぇって言ってもバレバレっすね。
甘美・・・う〜〜ん。
>たかさん
ここの後藤は市井ちゃんしか見えていないもので・・。
どこまでも追っかけて行くのでありました。
自分もうらやましいっす。
>Hrusoさん
一時はどうなる事かと思いました。
素直になって頂かないと、ただでさえ話しが進んでないというのに(笑
開き直っちゃえば強い市井ちゃんでした。
>ティモさん
ありがとうございます。
結局は後藤が好きな市井ちゃんなので。
いちごま万歳!!やぐちゅ〜も忘れないで・・・。
>うみさん
矢口って必ずちゃんとフォローしてくれそうな感じがします。
特に裕ちゃんのフォロー(笑
ありがとうございま〜す。
>ごさんけさん
親鳥を追いかけるひなのように・・後藤は市井ちゃんを追っかけるのです。
その大好きな笑顔を見る為に。
後藤の努力は報われた?
>ルークさん
ですよねぇ。
後藤の体当たりに勝てるはずはないのです。
ラブラブ・・・になってくれるのでしょうか・・。
>Yamboさん
そうなんですよ。
市井ちゃんがいつまでも意地張ってるから、こんなに長くなってしまってるんです。
甘いいちごまは・・どうでしょう。
そろそろ題名通りな内容に戻さないと。
>哲さん
ありがとうございます。
二波乱!!!
さらに長くなってしまう気が(笑
どうしましょうか。
>まいのすけさん
矢口は今回もちょっとだけがんばってます。
そろそろ矢口を主人公にして・・・。
ありがとうございます。
>デラックスさん
ありがとうございま〜す。
後藤と市井ちゃんはもうどこでもいちゃいちゃカップルになってしまいそう。
がんばります!!
>さんちーさん
たまーに、ちょこっとだけ。
後藤をとろけさすような事をしてくれる。
そんな市井ちゃんは自分も好きです。
いちごまばんざ〜い!!
- 362 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月23日(土)02時59分07秒
- 相変わらず・・いいね〜たれきりんさんの小説。
読んでて思わずニヤけてきちゃいます。
いいな〜この四人!一緒に遊びて〜〜(笑)
市井ちゃんラブ♪(ラブコール)
- 363 名前:ごさんけ〜 投稿日:2000年09月23日(土)12時52分15秒
- うひゃひゃひゃひゃ。
甘いいちごまは笑いがこみ上げてくる。
なんかくすぐったくなるんですよね、ワシ。
いちごま万歳!!やぐちゅー万歳!!さやまり万歳!!
- 364 名前:ミラクルン 投稿日:2000年09月23日(土)15時36分45秒
- バッチリ読ませていただきました。
もう! 後藤がカワイイ!!
まだ続くんですよね。
終わる前に追いついてよかった!
- 365 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月23日(土)21時17分04秒
- オイラも汚いに一票!!(爆)
ってゆうか、仲間に入りてぇ〜〜〜〜!!
- 366 名前:sada 投稿日:2000年09月23日(土)23時14分21秒
- いいーねー。頑張ってください。
- 367 名前:sada 投稿日:2000年09月23日(土)23時15分41秒
- つづき〜
- 368 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月24日(日)02時11分05秒
- 部屋の中に入るや否や、後藤が大声をあげながら、あちこちともの珍しそうな瞳
で見てまわる。その後を名前を呼ばれながら、ずっとついて回る市井。
2人が想像していたよりも、部屋の中はかなりきれいに片付いていて、見渡した
瞬間「なんだ〜」とかなり残念そうな声をあげたのだった。
とりあえずは、はじめての中澤の部屋という事で、あちこち探索してまわっている。
「ねーねー、市井ちゃん?」
「なに?後藤」
「ねー、こっち来てみて、市井ちゃ〜ん」
「はいはい」
先ほどから聞こえてくるその後藤の声は、今まで甘えられなかった分を取り戻す
かの様だ。市井の名を呼ぶ時に見せるその幸せ一杯な笑顔。
仲が良いカップルを見ていて、思う事といえば「ムカツク〜」か「え〜な〜」の
2つしかない中澤。今回はもちろん「え〜な〜」の方で、矢口と2人、まるでか
わいい孫でも見るかのように、優しい視線を送っていた。
「やっぱ、あの2人はあ〜でなくちゃあかんなぁ」
「うん、矢口もそう思う」
「ありがとな、矢口」
自分がどうしようもなくなった時にパッと出てきた矢口の顔。それが、今、すぐ
側にあるという幸せにひたっていた中澤は、感謝の気持ちを込めてささやいた。
「・・・へへへ」
(なんちゅ〜かわいさや)
あっというまに真っ赤な顔になって、それを隠すようなテレ笑い。中澤はがまん
仕切れなくなって、思わず行動に出てしまった。
「やぐちぃぃぃ!!裕ちゃん矢口の事めっちゃ好きやでぇ」
「ちょっ、裕ちゃんいきなりすぎだよぉ」
大切の人は自分の腕の中に閉じ込めておくのが一番なのだ。
スゥ〜ッと矢口の髪の香りを身体いっぱいに吸い込んで、ギュッと矢口の小さな、
それでいて頼れる身体を思いっきり抱きしめて。すごく単純な事だけど、好きな
人がいるっていうのは、こんなに幸せなんだなと、中澤は心の底から思っていた。
じたばたもがいている矢口も、少しずつ大人しくなっていく。とうとう観念した
のか、「もぅ!!」という小さな呟きが中澤の耳に届く。
(か〜、まじでたまらんわ)
このまま押し倒してしまいたいという欲望が、中澤の中で少しずつ大きくなって
いく。今、ここでキスができたらどんなに幸せなんだろうか。
本能が理性を破壊しようと活動しはじめる。
- 369 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月24日(日)02時14分03秒
- ちょっとだけ、矢口の顔が見たくなった中澤は、うっすらと瞳を開ける。その瞳
に何かが飛び込んできた。
「ゆ〜ぅちゃ〜ん、これなぁに?」
「へ?」
いつのまに近くに来ていたのか、市井と後藤が2人仲良く並んで、驚いている中
澤の目の前にある物を突き出している。
「ちょっ!!それどっから持ってきたんやぁぁ!!!」
「どしたの裕ちゃん?」
耳元で突然大声で叫ばれた矢口は、パッと顔を上げる。見えたのはすごく焦って
いる中澤の顔。その視線を追って、矢口も「ある物」を見た。
「な、どっからそれを〜〜!!」
「いいもん見つけちゃったね、後藤」
「うん♪」
「こらぁ!!返さんかぁぁ!!」
それは市井の手の中にあって、自分達の目の前にかかげられている。
あわてて取り返そうとする中澤の手をひょいっとよけて、後藤にパス。
それをしっかと胸に抱いて部屋の中を走り回る。途中タンスやテーブルにガンガ
ンぶつかりながら、その度に中澤の悲鳴が響き渡る。
やっとの思いで後藤をつかまえ、中澤は腕の中に抱きしめられていた「ある物」
を奪い返した。残念そうな声をあげた市井をキッと睨み付ける。
「ごと〜、つかまっちゃうなよぉ」
「ごめ〜ん、市井ちゃん」
「ったく、あちこちぶつかりよって、壊れたらどないするねん」
「まぁまぁ裕ちゃん、落ち着いて」
息を切らせながら、部屋をグルッと見渡す。さすがにタンスは移動していなかっ
たが、テーブルの方は上に置いてあった物が見事に床へとちらばっていた。矢口
がそこに座り込んで、1つ1つ拾い集めている。中澤は、再び苦情の声を上げ、
取り戻したそれに眼をやった。
後藤から取り戻した物・・それは中澤と矢口のツーショット写真が収められてい
る写真立てで、それもこれはかなりめずらしいのだが、矢口が中澤の頬にキスし
ている姿が写し出されていた。
「ひびでも入ったらどないするっちゅ〜ねん」
フーフー息を吹きかけながら、自分の袖口でガラスの面を拭く。どうやら傷つい
てはいないらしい。
「ラブラブなんだね〜、裕ちゃんとやぐっつぁん♪」
「うっさいわ!!恋する乙女をからこーたら、後がこわいんやで?」
かなり本気で後藤に怒る。まさか見られてしまうとは思ってなかったので、かな
り焦っていた中澤は、そのまま元の場所にうつぶせにして置いたのだった。
- 370 名前:ルーク 投稿日:2000年09月24日(日)02時21分22秒
- なんか10代の女の子の日常を上手く書いてますね。
タクシー中でじゃれあう所とかね。微笑ましいです。
さて、裕ちゃんの部屋がどうなのか?楽しみ。
- 371 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月24日(日)02時27分35秒
- お菓子中心の夕ご飯が終り、その後はおしゃべりしたりしながらゆったりとした
時間を過ごしていた。食事か終ってからあわてて準備したお風呂も、やっと入れ
るという事で、4人は入浴する順番を決めはじめた。
「時間が時間やし、ちゃっちゃと入ってまわななぁ」
「誰が先に入る?」
「後藤は別に後でもいいでーす」
「市井も〜」
「ん〜、じゃ、矢口が先に入ってもいい?」
「は〜い」
全員賛成で、まずは矢口が1番に入る事になった。この部屋の主の中澤以外は、
着替えも何もないので、先ほど寄ったコンビニで買ってきた下着だけを持ち、
矢口は浴室へ向かう。パジャマは中澤のTシャツを借りる事になっているのだ
が、本当は自分用のパジャマもあるのだが、ここでばらしてしまうのはちょっ
とはずかしい。
ドアの前で後ろを振り向けば、何を考えているのかバレバレの中澤の笑みと、
市井にひっついて陽気に手を振っているいる後藤の姿が見えた。
ひっつかれている市井はというと、かなり迷惑そうな顔をしている。
(このままお風呂に入っちゃうと、絶対、裕ちゃん覗きに来るだろうなぁ・・)
2人っきりの時には別にかまわないのだけど、市井達も一緒にいる手前、そんな
行動に出られると、からかいの口実を作ってしまう。
ここは先手を打って・・・。
「ね、紗耶香。一緒に入る?」
「へ?」
「なんやて?」
「えぇぇー!!
矢口は、一番無難だと思った市井に声をかけた。
あまりにも突然な事に、案の定後から忍び込もうとしていた中澤と密かに市井と
一緒に入ろうと考えていた後藤は驚きの声をあげる。
自分の顔を指差して「あたし?」聞いてくる市井に、矢口は笑顔でうなづく。
「ん〜、いいよ別に。じゃ、お先に失礼♪裕ちゃん、後藤」
なんてこともなく、軽〜い口調でそう言って、自分の着替えを小脇に抱え、さっ
さと矢口の元へと移動してしまったその後ろ姿に、残された者の悲痛な叫び声が
追いかける。
「こら待て、紗耶香!!矢口と一緒に入るのはあたしやって!!」
「いちーちゃぁぁん、行かないでよぉぉ」
あわてて後を追いかけようとするが、市井達はそれよりも先に浴室へと消えてし
まう。2人に「じゃーね♪」明るく手を振りながら。
目の前でバタンとドアを閉められて、ただ呆然とした顔で立ちすくむ2人。
- 372 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月24日(日)02時29分03秒
- 「今のは夢か?」
「・・・市井ちゃん行っちゃった」
「あたしはきっと幻を見ているんや」
「やぐっつぁんと一緒にお風呂に行っちゃった」
「なんであたしを誘わんねん、矢口!!!」
「なんで行っちゃうの〜、いちーちゃん!!」
「ごっちん、ちゃんと紗耶香の首つかまえとかなあかんやんか」
「やぐっつぁんが、市井ちゃん連れてったんじゃないですかー」
「あぁぁぁ、矢口ぃぃ」
「いちーちゃぁぁん」
またしても取り残された2人。
- 373 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月24日(日)02時45分29秒
- 「お互い様」更新です。
やっと、前に言ってたさやまりが書ける(笑
結局残されるのは、裕ちゃんと後藤なんです。
>362さん
ありがとうございます。
自分もこの中にまざりたい!!
でもかなりうるさそうな感じがします。
>ごさんけさん
甘いですか?よかった。
このままさやまりへ・・・。
>ミラクルンさん
まだ続きます。
というか、いい加減終らせなければって思ってはいるんですけど。
>ムーミンさん
矢口が掃除してたって事でいかかでしょうか?<汚い
>sadaさん
ありがとうございます。続きです(笑
>ルークさん
裕ちゃんの部屋・・ぜんぜんふれてないです(笑
とりあえずはきれいだったということで。
あの3人にじゃれさせたかった・・ただそれだけで書いてみました。
- 374 名前:803 投稿日:2000年09月24日(日)06時28分31秒
- んー、いいですねぇ。果たして、このあと残された2人は?
裕ちゃんの野望、復活か?
- 375 名前:こりお 投稿日:2000年09月25日(月)01時36分02秒
- ここのごまってホント一途だよな。
自分がごまと同じ立場だったら絶対市井ちゃん嫌いになるよ。
- 376 名前:さんちー 投稿日:2000年09月25日(月)01時44分52秒
- >375
後藤はMなんだよ。
でもそれは限定市井ちゃん。
程度の差こそあれ、好きになるとそういうとこあるんじゃん?
何はともあれあまあま好きっす★
- 377 名前:Qoo 投稿日:2000年09月25日(月)23時23分26秒
- くぅ〜。タクシー乗りてぇ〜!!
なんか、ほのぼの&らぶらぶでいい雰囲気♪
でもまた怪しげな空気・・・。楽しみです(笑
- 378 名前:Hruso 投稿日:2000年09月26日(火)03時46分49秒
- ごっちん&裕ちゃんがまたも取り残され組になってしまった。
このあとはさやまりですか。
期待しております。
- 379 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月26日(火)14時00分05秒
- 残念でしたね、取り残され組。ガンバレ!(笑
さやまりっすね、甘々もーどですね。
- 380 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月27日(水)00時39分48秒
- ドアを閉めてから、2人は何をするわけでもなくただ突っ立っていた。浴室にい
るのだから、後はお風呂に入るだけ。しかし、なんとなく次の行動に移りづらい。
「・・・・ん〜と、脱ごっか?」
「そだね」
市井の顔を見ながらそう言うと、いつもの軽い返事が返ってくる。お互いに顔を
向き合わせて、わざわざ確認し合うのも変な話なのだが、こうやって言葉にしな
いと脱ぐきっかけがつかめなかったのだ。ややきごちなく服に手をやる。
こうやって並んで着替えるというのは、なんだかちょっとだけ恥ずかしい。
2人きりでというのは、はじめてだ。
市井の方は、特に気にする風でもなく、次々と服を脱いでいっており、すでに上
半身は裸になっていた。
矢口はゆっくりとした動作で服を脱いでいて、まだ上着を肩にかけている。
(なんでこんなに恥ずかしいんだろぉ・・・)
なんだか、落着かない気分になり、キョロキョロと辺りを見回して意識をちらす。
目の前には、全身が写るほどの大きな鏡があって、鏡の中の自分と目が合う。
もちろんその隣には、市井の姿も写し出されていて。
前髪で顔が隠れてしまってどんな表情をしているかわからないけど。
首から肩のラインがかなり細く感じる。
そして、目に眩しい白い肌とかすかに揺れる・・・。
矢口はなんだか変な気持ちになって、ソッと鏡から視線をはずした。
(紗耶香って・・・結構、おっきいんだ)
「2人一緒っていうのはちょっとせまいね」
「うん・・でも矢口ちっちゃいし、ちょうどいいんじゃない?」
「なんだとぉ!!」
黙っているとなんだか心もとなくて、わかりきっていた事を口にしてみる。それ
にちゃんとからかいの言葉を入れて返してくる市井に、何故かホッとしながらも、
いつもの調子でつっこんだ。
(別にそんなに気にする様な事じゃないよね)
矢口は、自分にそう言い聞かせながら、スカートに手をかけた。
- 381 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月27日(水)00時40分59秒
- −その頃の中澤と後藤−
「なぁ、ごっちん?」
「ん?」
「なんでうちら2人ここに座り込んでるんやろ」
「なんでって・・・」
「なんで矢口と紗耶香が一緒にお風呂入ってるんやろ」
「も〜、言わないでよ〜。後藤だって我慢してるんだからぁ」
「あたしは我慢できん。だって、裸やで?一緒にお風呂やで?矢口はめっちゃか
わえーから、紗耶香に襲われたらどないするっちゅ〜んや」
「市井ちゃんはそんな事しないもーん」
「いやいや、あいつやったら何しでかすかわかったもんやない」
「絶対しないもーん!!」
2人、並んで座るドアの前。
- 382 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月27日(水)00時42分02秒
- 「じゃ、おっさき〜」
手早く洋服を脱ぎ終えた市井は、さっさと浴室へと入って行った。
当たり前といえば当たり前なのだが、なんにもつけていない市井の後ろ姿が・・・
特にその背中があまりにもきれいで、矢口はおもわず見惚れてしまう。
「イテッ!!」
ぼけ〜としていたら、壁にひじを打ちつけてしまった。妙なしびれが腕を走る。
「相手は紗耶香じゃないかぁ」
テレ隠しの独り言。なんだかドキドキしている自分がバカみたいに思えた。
鏡に向って笑顔を作ってみる。そこへドアの向こうから何やら話し声が?
(裕ちゃんと後藤だ・・・そんなとこでなにしてるんだぁ?)
はっきりとは聞こえないが、どうやら自分達の事でもめているらしい。
やっぱり市井と一緒っていうのはまずかったのかもしれない。
上がった後の中澤の行動が少し怖い。
「矢口〜?」
「なに?」
「先に身体だけ洗っちゃうから、ちょっとだけ待ってて」
「お〜っす!!」
中から市井の声がして、ポンプを押す音が3回ほど聞こえた。その間、矢口は自
分を落ち着かせる為に深呼吸をする。
まだドアの外から声が聞こえている。いったいいつまでそこにいるつもりだろう。
(後藤は・・・きっと紗耶香と一緒に入りたかったんだろ〜なぁ。)
自分が市井を誘った時の後藤の顔が目に浮かんできた。まるでマジックで「ショッ
ク!!」書いたような表情。わかってはいたんだけど、後々の事を考えると、つ
い言葉にしてしまったのだ。
(裕ちゃんがエッチすぎるからいけないんだ)
全部を中澤のせいにして、矢口はうんうんとうなづいた。そこへ市井の声がかかる。
「終ったよ〜」
「はーい、じゃ失礼しま〜す」
「いや〜、待たせてごめんよ」
「思いっきり待たせすぎだぜぇ」
「はいはい、すまんです」
中に入ると、市井はすでにお湯につかっていて、ニヤニヤしながらこっち見てい
た。これってかなり恥ずかしい状況だ。とにかく、身体を見られない様に横向き
にして、椅子にストンを腰を下ろした。無言でタオルにボティーソープをつける。
「ね〜、矢口ってさぁ」
「ん?」
「けっこう胸でかいよね」
「どこを見てるんだぁぁ!!!」
自分は思ってても口にできなかった言葉を、市井はさらっと言ってしまう。
こういう所がなんか憎めないというか、市井らしいと思う。
- 383 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月27日(水)00時43分15秒
- 恥ずかしくて市井の方に顔を向ける事はできなかったが、市井の自分を見ている
視線は痛いほど感じている。一生懸命泡立てて、なんとか隠そうとする。
これでは、中澤と一緒に入っているのとたいして変わらない。まだ触ってこない
だけましなのだが。
最初から最後まで市井に見つめられていて、なんだかいつもと勝手が違う。
とにかくサッサと身体を洗い、市井が待つ湯船に近づいた。
「そっちつめてくれぃ」
「あ〜い」
身体を触れさせないように湯船に浸かるのはかなり困難だった。どうしても所々
ぶつかってしまうのだが、矢口はなんとか平静を保ちつつ身体を沈める。
「は〜〜〜ぁ」
「いい湯だねぇ」
「うん、仕事の後のお風呂は最高だよぉ」
「これの為に今日も1日がんばりましたって感じ」
「だよねぇ」
向かい合って浸かっているので、目を開けていれば必然的に市井の顔が入ってく
る。お湯が白いのは、何か入浴剤を入れたせい。透明じゃなくてよかったとしみ
じみ思う。見てるのも恥ずかしいけど見られるのも恥ずかしい。
「今日はいろいろとありがとね」
「ん?」
ちょっとだけ無言になった2人の間に、市井がポツリと呟いた。
「なんだか矢口にもいっぱい心配かけちゃって」
「あぁ。い〜よい〜よ、気にするな」
「あたし、後藤相手だとな〜んか調子狂っちゃうんだよなぁ」
「恋しちゃうとそ〜ゆ〜もんだ。想いが強すぎて空回りしちゃってんだよ」
「ん〜、なんかあたしもまだまだっす」
ヘヘッと照れたように笑った市井がすごくかわいい。
お風呂ってなんだか開放的な気分にさせてくれる。悩みなんかどうでもいいよう
に思えてくる。体温よりも高いその温度が、全てをとかしてしまうようで。
「圭ちゃんにちゃんと報告しなくちゃだよ?」
「ん、あいつにも色々迷惑かけちゃったしね」
「とりあえずは万事うまくいったってことで」
「・・だね」
全てにケリをつけたような、スッキリとした印象を与える笑顔。
一番『らしい』笑顔。
「やっぱり紗耶香はその顔が一番かっこいいよ」
「お?矢口・・あたしに惚れるなよ?」
「惚れねぇよぉぉ」
バシャバシャとお湯のかけあい。
悩んでてもはじまらないのだ。とにかく前へ進むしかない。
今の自分達には。
- 384 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月27日(水)00時44分17秒
- −その頃の中澤と後藤−
「なんか楽しそうな声が聞こえる」
「・・なにしてるんだろう、市井ちゃん」
「ちゅ〜か、うちらもなにしてるんやろ」
「上がってくるの待ってるの」
「そか・・・・・はぁ〜〜」
「とにかく紗耶香と仲直りできてよかったな」
「ん。ほんとよかった・・・」
「あんたらがケンカしてると、こっちまでつらなるわ」
「ごめんね、裕ちゃんにも心配かけちゃって」
「え〜て。しっかし、何であんな変な事になってもたんやろ?」
「市井ちゃん?・・・ん〜、わかんない・・けどぉ」
「紗耶香が進んであんな冷たい態度取るわけないし」
「ん〜〜?」
「ま、え〜か。明日になったら圭坊にちゃんと報告しとかなな」
「そだね。圭ちゃんもだいぶ心配してたもんね」
「作戦は失敗やけど、ごっちんら仲直りしたし。前よりもラブラブさんやてな」
「市井ちゃんと後藤はラブラブカップルで〜す♪」
「はいはい、好きなだけゆ〜とれ」
「へへへ♪」
後藤には市井がいて、中澤には矢口がいて。
それ以上何も望んじゃいけないんだ、きっと。
側にいてくれるだけで、それだけで幸せ。
- 385 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月27日(水)00時53分29秒
- 「お互い様」更新です。
なんだかあんまりイロケがないな(笑
お互い相手がきちんといるので、なかなかむつかしいっす。
>803さん
野望を復活させるほど、裕ちゃん余裕ありません(笑
とにかく矢口が心配って感じかな。
>こりおさん
ん〜、確かにすぎるとこあるかもしれないっすね。
こうあってほしいっていう願望かな。
何されてもついてくぞみたいな。
>さんちーさん
あなたのレス読んで、そっかーって納得しちゃいました。
市井ちゃん限定M(笑
なるほどなるほど。
>Qooさん
そんなに怪しい方向には行ってないです。
せっかくの期待を裏切ってしまって(笑
タクシ〜、超せまくてもいいから後ろに4人並びたい。
>Hrusoさん
あんまり甘くないですねぇ。
ど〜もいちごま&やぐちゅ〜好きの血がジャマしてしまって。
>まいのすけさん
ガンバレ!ガンバレ!<取り残され組
あんまり甘い・・・くないかも(笑
- 386 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月27日(水)01時06分34秒
- たれきりんさんお疲れさんです!毎回楽しんでよんでます。
4人の夜はこれから長くなりそうですか?後藤ちゃんがあまりにもいいやつ
なんで、市井からの甘い御褒美を受けさせてやってください(笑
- 387 名前:ジース 投稿日:2000年09月27日(水)01時36分33秒
- すんませんお邪魔します。
隣で暗〜い小説書いてる者です(笑)
たれきりんさん小説に触発されて書いたのですが・・。たれきりんさん小説のが断然好きです(爆)
あ〜〜なんか読んでて風呂入りたくなってきた。いつもシャワーなんで。
いいね〜市井ちゃんいいね〜・・。ますます惚れる・・(笑)
凄い目に浮かびます。市井ちゃんが言いそうだなって感じっす。
いちごまとやぐちゅ〜を書いてるとさやまりって難しそうですね。
何処までいけばいいのかっていう・・。
次の展開楽しみにしてます!ラブラブモード突入するのかな・・ドキドキ
僕もそろそろ突入させたいな・・。
- 388 名前:ミラクルン 投稿日:2000年09月27日(水)08時00分59秒
- たれきりんさんのいちごまが1番理想かもしれない。
ヤバイくらい好きだ!!
でも、矢口もかわいいなぁ〜〜。
- 389 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月27日(水)15時08分59秒
- 市井が後藤に冷たくした理由ってなんだろう……。
前市井が言いかけた、「後藤が欲……」の続きも気になる。
う〜〜ん。
- 390 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月27日(水)15時39分31秒
- お風呂場での矢口の緊張感が、コッチにも伝わって来たっす。
残され組もおとなしく話し合った様で・・・。(笑
もうラスト入っちゃうんですかね?
- 391 名前:名無し 投稿日:2000年09月27日(水)16時37分06秒
- 間にいろいろ入れながら、だらだらと「お互い様」を
続けるってわけにはいかないんすか?
あ、だらだらって他に言い回しがうかばなかったんで
使いましたけど、悪意はないです。
まじでお互い様をやめてほしくないんですー。
- 392 名前:Yambo 投稿日:2000年09月28日(木)20時44分40秒
- 最近ごぶさただったので一気読みです。
相変らずいいなぁ〜。ここの4人の雰囲気。
みんなお互いを想いやってて、んー、いいっすねぇー。
みんな幸せになってほしい…。
- 393 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月29日(金)01時32分28秒
- 「ポチャン・・・」
天井から水滴が1つ落ちる。
市井と矢口はそれを黙って見つめていた。
すっかり心も身体もあったかくなって。
浴室というのは、ある意味全てから隔離された場所だと思う。
聞こえてくるのは市井の息遣いと、流れるお湯。そして、水滴の音だけ。
「なんか、いい感じだね」
「・・・ん」
自分が感じている事を言葉に表すのなら、この一言だけで充分だった。
市井も瞳を閉じて、ただうなづくいている。
お風呂に入る前に、あんなに焦っていた自分が嘘のように、矢口の心はどんどん
と広がっていった。
もし、中澤と一緒に入っていたら、こんなにゆったりとした気分にはなれないと
思った。四方八方からのびてくる腕と格闘しなければならないからだ。
家で入るよりもはるかに時間をオーバーして、尚且つ、湯当たり以上にのぼせて
しまう。このウチのお風呂に入ると、いつもそのままソファーへと倒れ込んでし
まうのだ。
(裕ちゃんには悪いけど、たまには違う誰かとゆっくりお風呂に浸かりたい・・)
これが、今の矢口の本音であった。
市井は瞳を閉じている。いったい何を思っているのだろうか。
静かなそして柔らかい表情に、なんとなくだが思い当たる人の顔。
(紗耶香が幸せなら矢口も幸せだよ?)
声に出さずに呟く言葉。
いつまでもこうやってたいというのが正直な所だが、自分達が上がるのを待って
いる2人がいる。どんな状態で今の時間を過ごしているのか。
後藤は市井にまかせてるから心配ないけど、やはり中澤の事が気にかかる。
(きっと拗ねてるだろうなぁ。でも・・もうちょっとだけ。ごめん、裕ちゃん)
そっと市井に顔を近づけ、さきほど思いついた考えを口にする。
「ね、シャンプーしてあげよっか?」
「ん?・・・矢口が?」
「あ〜、これでもちゃんとうまいって言われた事あるんだよぉ」
矢口の言葉に、静かに瞳を開けた市井は、かなりけげんそうな顔をした。
たしかに、いきなり言われる言葉じゃない。
その眉間によせたシワを指ではじきながら、自分の技術のほどをを披露する。
- 394 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月29日(金)01時33分19秒
- 「誰に?」
案の定、聞いてくるだろうと思っていた質問に、矢口はちょっとだけテレながら
その人の名前を言った。
「・・・・・・・・裕ちゃん」
「だと思った」
市井はやっぱりという顔をして、指でお湯をはじく。少し顔にかかってしまった
が、とりあえずそれは無視して、心の不満を教える為に唇をツンとがらした。
今の会話で、中澤と一緒にお風呂に入った事があると、自ら告白してしまった気
がする。中澤の髪を洗ったって事は、2人だけでお風呂に入った事があるってこ
とで・・という事は必然的にそのままお泊まりも。
これで、一つのコースが出来上がる。
市井のニヤニヤ笑いがちょっと気になった。
「じゃ、お手並み拝見といきますか」
そう言うと、市井はいきおいよく湯船から立ち上がった。
目の前には、やや上気して朱色に染まっている市井の裸体。
矢口の視線がゆっくりと顔から肩、胸、そして腰へと移動していく。
「紗耶香って・・・いい身体してんだねぇ」
「何だよ、急に」
「いや、矢口の素直な感想です」
「今のって・・なんだか裕ちゃんみたい」
「それってなんかやだなぁ」
「ハハハハハ」
今度は思い切って口にしてみた。先ほどのお返しといったところか。
しかし、やはり市井にはサラッとかわされてしまい、カウンターとして、わざと
らしく中澤の名前を出してくる所が、まだ自分よりも上にいるという事を実感さ
せられる。
今、お風呂につかっていなかったら、きっと赤くなっているだろう自分の顔に、
容赦ないつっこみが入っていただろう。
−その頃の中澤と矢口−
「まだあがってこんなぁ、矢口」
「後藤、すごいヒマだよ」
「別に、一緒に座ってんでもええで?向こうでテレビでも見とき?」
「・・・ここにいる」
「しゃ〜ないなぁ・・・なぁ、ごっちん?」
「ん?」
「このまま、矢口らが上がってくるまで、大人しく待ってるってうちら的にガラ
やないって思わんか?」
「・・・何するつもりなの?」
「裕ちゃん、ナイスな考え思いついたねんけど」
「なに?なにするの?」
「あんなぁ・・・・・」
誰もいないはずの部屋で、ないしょ話をしだす2人。
- 395 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月29日(金)01時33分55秒
- 市井はお風呂からあがると、とりあえず椅子に座る。どういう体勢になったら頭
が洗いやすいのかとブツブツ呟きながら、色々と身体を動かしている。
とりあえず、中澤にしてもらった様に、市井にこちら側を向いて座ってもらい、
深々と頭を下げさせた。洗ってもらう側はちょっときつい体勢なのだが、湯船の
へりに頭をのせて洗う方がまだまだきついのだ。
矢口も立ち膝の状態になり、へりにと身体を寄せる。
ちょっと離れた所にあるシャワーに、一生懸命左腕をのばす。やっとの思いでそ
れをつかみ、お湯の温度を確かめて、市井の頭へと降り注いだ。
「どう?」
「・・・・・」
「気持ちよくない?」
「・・・・・」
「なんか言えよ、こらぁ!!」
シャンプーを手につけて、細心の注意を払いながら、優しく泡立たせていった。
市井の髪と泡の感触がうまい具合に混ざり合って、ちょっと気持ちいい。
自分だけが気持ちいいのは悪いので、市井にもそれを確認してみる。
しかし、当の本人は黙ったままで何も答えてくれなかった。この体勢では、市井が
どんな表情をしているのかさえ見えない。
「あのさぁ・・・」
「ん?なにかな?なにかな?」
「・・・気持ちいいです」
「でしょ?へへへ」
市井がポツリと呟いた言葉には、なんだかとても悔しそうなニュアンスが感じられ
て、矢口はかなりご機嫌な気分になった。
自分が望んでいた通りの感想が聞けて、さらに調子にのって髪をかき回す。
手に絡み付いてくる市井の髪が、なんだか愛しく思えてきた。
「誰かに頭洗ってもらうってやっぱり気持ちいいもんだ」
「お?誰に洗ってもらったんだ?」
「美容院のお姉さん」
「なんだぁ〜」
「なんだよ」
市井が、なんだか意味深な事を呟いたので、期待を込めてその続きを聞いてみた。
しかし、返ってきたのはその期待を裏切る言葉。思わず頭の上の手が滑り落ちる。
あまりにもいきおいよく滑らしてしまったので、腕まで泡がついてしまった。
「矢口、後藤かと思った」
「んなわけね〜だろ。一緒に入った事もないんだから」
「へ〜、まだなんだ」
期待していた人の名前を市井に伝える。
それを聞いて、かなりあわてた様子で、顔を上げて否定する市井のその様子がなん
だかちょっとかわいい。かなり焦ってる様な感じがした。
その憮然とした表情が、なんだかとてもらしくて。
もしかして後藤と一緒に入りたかったとか?
- 396 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月29日(金)01時34分26秒
- 「あのね、矢口んとこみたいに、お泊まりしまくりの中じゃないの、あたしらは」
「そだよね。誰かさんは〜恥ずかしすぎてそんな事できないよねぇ」
「うっさいなぁ」
「わからない事があったらお姉さんに何でも聞きなさい?」
「・・・・言ってろ」
「キャハハハハハ♪」
先ほどとは反対に、今度は矢口が市井の言葉をさらっと受け流す。
拗ねたような市井の顔に、矢口は勝ったと思った。
いつまでたっても下げようとしない市井の頭を、両手で強引に押し込んで、矢口は
再びシャンプーを開始した。
(やっぱり、裕ちゃんちにお泊まりしてるのばればれだったか・・・)
矢口は内心ドキドキしながらも、今の状況を壊さない様に、精いっぱい強がっていた。
「今度、後藤に洗ってもらったら?」
「・・・・・」
「きっと、矢口よりもぜんぜん気持ち良くしてくれると思うよ?」
「なんで?」
「そりゃ〜、後藤は紗耶香の事大好きだからさ。愛を込めてシャンプーしてくれ
るって」
再びあげた顔が、かなり真剣な表情をしていたので、矢口はとびきりの笑顔で答
えてあげた。市井の瞳だけが、ちょっと斜め上に移動して、矢口のその言葉につ
いて考え込んでいるような印象を与える。
「紗耶香が素直になってくれて、矢口はほんとに嬉しいんだからね?」
「・・・・矢口」
「やっぱりつらそうな顔は見たくないからさぁ」
「・・・・」
「後藤をもっと大切にしなきゃだよぉ?」
「・・ん」
2人、どちらかともなくフフッと笑い合った。
その後に矢口に向って言ってくれた言葉が、「何気にたらし」復活の合図。
「でもさ・・・」
「ん?」
「矢口に洗ってもらうのもすっごく気持ちいいんだよなぁ。また洗ってよ」
「だ〜か〜ら〜、今度は後藤に洗ってもらえって言ってんだよぉ!!」
矢口のつっこみがお風呂場に響いた。
−その頃の中澤と後藤−
「ちゅ〜わけや。どや?」
「楽しそうだけどぉ・・・」
「名づけて『裕ちゃん・ごっちんの矢口と紗耶香を驚かしたろ作戦』」
「・・・・・」
「フッフッフッ。見とれよ矢口。キャーキャー言わしたろからな」
「・・・(何にもなきゃいいけど)」
- 397 名前:たれきりん 投稿日:2000年09月29日(金)01時46分02秒
- 「お互い様」更新です。
市井ちゃんと矢口って・・なんかかなり好きになりました。
こーゆーのも「さやまり」にあてはまるんでしょうか?
>386さん
ありがとうございます。
後藤には悲しい想いばかりさせてしまったので、少しくらいはと。
しかし・・その少しが書けない(笑
>ジースさん
どもどもです。ジースさんの読ませてもらってます。
いちごま&やぐちゅーがいい感じじゃないですか(笑
ここのとはぜんぜん違う気がする。
目指せ!!ラブラブバカップル!!
>ミラクルンさん
うわ〜、ありがとうございます〜。
矢口はもうめっちゃ好きなんで(笑
あちこち働いてもらってます。
>389さん
冷たくした訳・・早く書いてしまいたいんですけど、そこにたどり着かない(爆
おもいっきりひっぱりまくっています・・反省。
>まいのすけさん
残され組はこのまま待ってるほど大人しい人達じゃありませんでした。
やばいです(笑
ラストは近づいてきてるはず・・・はずなんだけどなぁ。
>391さん
そのお言葉、ほんとに嬉しいです。ありがとうございます。
しかし・・ほんとになんてぴったりな言葉(笑)<だらだら
うーん。でもどこかで終了せさなきゃいけませんから・・。
391さんのお気持ちがほんと嬉しいです。
>Ymboさん
約一名暴走しようとしてますけど(笑
とりあえずはぐちゃぐちゃにならなくてよかったなと。
- 398 名前:まいのすけ 投稿日:2000年09月29日(金)13時55分39秒
- 何を思いついたんだ、残され組!!(笑
気になりますな。(笑
- 399 名前:391 投稿日:2000年09月29日(金)16時14分19秒
- だらだらで怒られなくてよかった…
でも、手を変え品を変えやぐちゅーは続けてくださいね。
はっきりいって、あなたのせいで「やぐちゅー中毒」になっています。
- 400 名前:I&G 投稿日:2000年09月29日(金)22時07分48秒
- 矢口に髪を洗ってもらう紗耶香。
いいな〜〜〜。
- 401 名前:yozemi 投稿日:2000年09月29日(金)23時38分30秒
- ああ〜いちごま派だけどさやまりもいいな〜〜
- 402 名前:ムーミン 投稿日:2000年09月30日(土)11時21分29秒
- やっぱり「お互い様」は最高なのです。
もう、ベタぼれです。脳みそドロドロ溶けてます。
- 403 名前:名無し 投稿日:2000年09月30日(土)22時58分31秒
- たれきりんさんの書く
矢口と中澤の入浴シーン読みてぇ〜。
めっちゃ笑えて、でも微笑ましいんだろうなぁ。
いい意味でエロのかけらも感じなさそう。
- 404 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時20分18秒
- さて、その後はといいますと・・・。
『今度は市井が洗ってあげるから』という言葉を、それはそれは丁寧にお断りし、
矢口は自分で頭を洗った。
市井は、かなり不満そうな顔をしていたのだが、そうそう長い時間、お風呂を占
領している訳にもいかない。話したい事は全部伝えたし、ここのお風呂をはじめ
てゆっくり浸かれたし、矢口的にはかなり満足のいくバスタイムだった。
「そろそろ上がんないと、裕ちゃん達、拗ねてるだろうしさぁ」
「あ〜、裕ちゃんね。(ニヤリ)どうなっても知らないぞ〜」
「そんな事言うのやめろよぉぉぉ」
「だってさ〜、目の前で市井とお風呂に入ってったんだよ?そりゃ、裕ちゃんじゃ
なくてもさぁ」
「やばい・・かな?」
「後でとてつもない事やられるんじゃない?」
「なんだよぉぉ、とてつもない事ってぇ!!怖い事言うなぁぁ」
「仕方ないね。自分で蒔いた種だ。がんばれよ♪」
市井は、かなり楽しんでいるよう。自分だって、後藤がどんな風か気になって仕
方がないくせに。
市井に言われた通り、自分が言い出した事だし。ちょっと怖いけどがんばる事に
した矢口・・・いったい何をがんばるんだろう?
(できれば、あんまりすごいのはちょっと勘弁って感じなんだけどぉ)
自分がお風呂から上がったら、中澤がどういう行動をしてくるのか、かなり怖い。
でも、怖いんだけどちょっと期待していたりもして。
(今日はあんまり甘えられなかったし・・)
今日一日の出来事を思い出してみる。
いきなり膝枕してくる市井と、なぜかくっついていた中澤と後藤。
自分の想いを話してくれた市井と、なぜかいちゃいちゃしていた中澤と後藤。
後藤と仲直りした市井と、さっきまでほったらかしだったくせに、急にいつもの
態度に戻った中澤。
(・・・う〜ん)
考えれば考えるほど、ちょっと腹がたってくる。
あんな意味不明の行動のせいで、かなりやばいとこまで話がこじれてしまったのだ。
がんばるのをやめておく事にした矢口であった。
- 405 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時20分52秒
- −その頃の中澤と後藤−
「さ〜、これやで、ごっちん」
「なにそれ?」
「なにそれて・・これはなぁ、今からやる事には絶対に必要なもんなんやで?」
「?」
「これがないと話ははじまらんのや」
「なんか・・やだ」
「いやってゆ〜な。作戦や、作戦の為や」
(その作戦、ちょっとしたくない・・)
作戦実行には必要不可欠なある物を後藤に手渡す中澤。
いったいなにをするつもりなんだろうか。
- 406 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時24分01秒
- 「ポチャン」
天井から、またしても水滴が1つ落ちてきた。
2人は身体を洗い終え、再びお湯につかっている。
やっぱり、お互いが向かい合うような形になっていているので、矢口の視線は知
らず知らずの内に市井へと向けられている。
前髪がジャマなのか、全部上げてしまっていて、分かりやすく言えば『オールバッ
ク』になっていて、それがちょっと・・いや、かなりかっこいいななんて。
「裕ちゃんてさぁ・・・・」
「ん?」
矢口は、何の考えもなしに中澤の名前を口にしてしまった。ハッと気が付いて、あ
わてて話題をさがす。とりあえず今日の2人の変な行動の事を聞いてみた。
「今日の裕ちゃんと後藤ってさぁ、変にべたべたしてたよねぇ?」
「ん〜、あれって多分わざとだったとは思うんだけど」
「あん時紗耶香言ってたじゃん?『怒んなくてもいい』って。何か知ってるの?」
控え室で、なぜか手をつなぎあっていた2人を見て、ちょっとムッとしていた矢口
に市井がささやいた言葉。言ってる意味がわかんなくて『なんで?』と聞き返して
も、その時はただ笑っているだけだった。
今ならその訳を話してくれそう。
「なんとなくなんだけどさぁ・・裕ちゃんはともかく、後藤がマジであんな事する
わけないかなぁって思って」
(なんだ、結局のろけかよ)
市井から出てきた言葉はやっぱり後藤の事だった。それも信頼してますって宣言し
ているようなもの。だからあの時、あんなに余裕の表情だったのか。
- 407 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時24分45秒
- 「裕ちゃんはともかくって・・・」
「ハハハ。だって、妙にわざとらしかったんだもん、あの2人。多分、あたしらに
妬かせようとしてたんじゃないかな」
「・・・そこまで分かってて、後藤にあんな冷たい態度とってたの?」
「なんか、見てたらちょっと腹たってきちゃって」
「なんだよそれぇ!!矢口一人でバカみたいじゃんかぁ!!」
自分はぜんぜん妬いてませんなんて顔してて、結局はしっかりヤキモチ妬いていた
市井。そういうのも重なって、あんな行動を取ってしまっていたのか。
あの後、控え室を出てから、保田も交えて、かなり真剣な顔して自分の想いを語っ
ていたのに、きっかけを作ったのは人間誰しも持っている「ジェラシー」という
感情。あの時、そんな事一言も言ってなかったはすだ。
「いや〜、わかんないんだけどさぁ」
「もぉ、紗耶香の考えてる事ってわかんね〜よぉ」
「市井もわかんないっす」
笑って手で髪をかきあげる。そういうしぐさもなんとなくきまっていて。
矢口がこう思うんだから、後藤だったらもうとけちゃってる事だろう。
しかし、なんて迷惑な2人なんだろう。市井も後藤も・・・ついでに中澤も。
- 408 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時25分29秒
- −その頃の中澤と後藤−
「ほんとにやるの?」
「あたりまえや!!ここまできたら誰も裕ちゃんの事、止められへんで」
(できれば止めたい)
「え〜か、裕ちゃが先に行くから、ごっちんはちゃんと後ろからついてくるんやで?」
「・・・・ん」
「ほな、作戦開始といきますか」
(絶対に市井ちゃんに怒られる〜)
「なんか言ったか?」
「ねぇ、裕ちゃん、やぐっつぁんに怒られない?」
「かまわん。あたしの目の前で紗耶香と一緒にお風呂に入ったバツや。ま、自業
自得っちゅ〜もんや。行くで、ごっちん!!」
「・・・は〜い」
かなりいやいやながらも、中澤に従うしかない後藤。
- 409 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時28分14秒
- そろそろ身体もあったまってきたので、2人はお風呂からあがる事にした。
思ってたよりもかなり時間が長引いてしまっている。中澤達はどんな想いで待っ
ているだろう。
「そろそろ、あがろっか?」
「おう。なんかかなりゆっくりしちゃったよ」
「本音で語り合おうタイムを満喫したってとこだねぇ?」
「後藤には言うなよ?」
「まだそんな事言ってるぅ」
「い〜のい〜の。じゃ、先に行くね」
「あ〜い」
市井はいきおいよく湯船から立ち上がる。相変わらず恥ずかしそうにはしていない。
お風呂から出ていくのを見て、矢口もそれに続いた。
前を行く市井の後ろ姿は、あの時、一人で落ち込みまくっていたのとはぜんぜん
違う。すごく自信にあふれていて、やっぱり彼女はこうでなくちゃと思っていた
矢口であった。
「ガラッ!!」
市井がいきおいよく戸を開ける。そんなに力を込めて開けてしまったら、戸が外
れてしまいそうなくらい。
「なっ!!!!!」
「げっ!!!!」
「何やってるんだぁぁぁ!!!!」
市井は、いきなり驚きの声を上げて、戸に手をかけたまま、その場に固まってし
まった。
続いて出てきたのは、誰かにたいしてどなっている言葉。戸をつかんでいる左手
がかなりプルプル震えている。いや、腕だけではない。全身が激しく振るえていた。
背の低い矢口には、その市井の身体の向こうで何が起きているのかわからない。
ちょっと待ってはみたのだが、いっこうに前に進みだそうとしない市井にしびれ
を切らして、声をかけてみた。
「どしたのぉ?紗耶香ぁ・・・あっ!!」
市井に向ってテテテと駆け出した矢口の足元を、まるで待ってていましたかのよ
うに作者の野望が形をあらわす。
なぜかタイルに流されずに残っていた『泡』が・・・。
- 410 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時29分38秒
- お約束通り、それに足をすべらしてしまう矢口。
大きな叫び声をあげて、前にいる市井に体当たりをくらわすように倒れていく。
その声に反応して、市井は反射的に後ろへ振り向く。
矢口の頭には、自分が市井に向って倒れ込んでいく様子が想像できた。
あわてた顔をして、まるでスローモーションの様に、ゆっくりとこちらを振り向
いてくる市井。その身体に重力のなすがまま倒れ込んでいく自分と。
突然の事なので、そんな矢口を支えきれず、腕の中にしっかと抱き止めながら、
市井は一緒に倒れていく。
2人の脳裏には『やばい!!』という言葉しかなくて。
ドサッと2人抱き合ったまま床へと落ちていく。
そこへ響き渡った謎の声が2つ。
「やぐちぃぃぃぃ!!!!」
「いちーちゃぁぁぁぁん!!!!」
ちょっと待て、どうしてここに中澤と市井の声がするのか?
- 411 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時31分44秒
- 時間はちょっとだけさかのぼって。
「行くで、ごっちん」
「・・・は〜い」
中澤に言われるがまま、その後に続いて歩き出す後藤。
無言でその後ろ姿を見詰めている。
見れば見るほどおかしな格好だ。どうしてこんな格好をしているんだろう。
さらにおかしいのは自分も中澤と同じ格好をしていて。
後藤は中澤に聞こえないように小さくため息をついた。
「市井ちゃん達の着替えを盗んでくるぅぅ?」
「シッ、声が大きいてごっちん」
「裕ちゃん何考えてるんだよ〜」
「だってな、うちらぜんぜん矢口らに痛い目会わせてないやんか?」
「それはそうだけど〜」
「最後に一発、大きな花火を打ち上げな。娘。のリーダー、中澤裕子の名がすた
るってもんや」
そんな大迷惑な物を打ち上げなくてもいいじゃないか。
しかし、そんな事はとてもじゃないけど口にできない。
今の中澤は、今日一日の中でも(仕事を合わせても)一番メラメラと燃えていた。
「はよそれかぶりや」
中澤の視線は、いつまでも後藤の手の中にある物をさしていた。
『絶対必要なもんや!!』と言い切りながら、自分に手渡された物。
大きさは、かなり大き目のハンカチといった所か。しかし、本当のハンカチより
かはぜんぜんぜんぜんしっかりとしていて。
漫画やコメディードラマとかで見てことのある模様。その形をしいて説明するな
らば、漢字の『井』という字に似ている。
これを身につけている人は、きまって口の周りに真ん丸で黒々としたヒゲをはや
していて。こっそりと他人の家の中を歩き回る・・そう、ドロボーさんが自分の
顔を隠す為に頭からかぶっている例のほっかぶり。
「なんでこんなの着けなくちゃいけないの?」
というか、なんでこんな物を中澤は持っているのだろう。しかも2枚も。
「これつけんと何つけるっちゅ〜ねん!!なぁ、ごっちん。うちらが今から何し
ようとしてるか分かってるやろ?」
「・・・市井ちゃん達の着替えを盗みに行く所」
「そこまでわかってて、何でそんな質問してくるんや」
なんでって、普通してくるだろう。ここは中澤の部屋で他人の部屋じゃない。そ
れもこんなものを着けなくても正体はばればれなわけだし。はっきりいって身に
つける意味がない。
- 412 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時37分42秒
- ただ黙って見つめてくる中澤の視線に負けて、かなり重い気分でそのほっかむり
を頭に被る。
「似合うでぇ、ごっちん」
「・・・ありがとーございます」
ニヤニヤしながら誉め言葉をかけてくる中澤に、一応お礼を言う後藤であった。
というわけで、ここは浴室の着替える場所。
中澤は人差し指を唇に当てながら、ソ〜ッと静かにドアを開けて中へと入っていく。
とりあえず、それに続いて後藤も音を立てないよう慎重に中に入る。
中はお風呂の熱気で少しだけ暑かった。
左手にあるお風呂場へと続くドアの向こうから、市井達の話し声が聞こえてくる。
(あたし、なんでこんな事してるんだろう。あ〜ぁ、市井ちゃんと一緒にお風呂
入りたかったなぁ)
よりにもよって、こんな恥ずかしい格好をさせられて、中澤と一緒にお風呂場へ
と入ってきている自分に腹ただしいを通り越して、あきれてしまい何も言えない。
「あった、これやでごっちん」
どうして中澤は平気な顔をしているんだろう。それもかなり楽しそう。
後藤は返事もできず、強ばった笑顔を見せ、そのまま顔をお風呂場の方へと移動
させた。このドア一枚向こうに、市井がいるっていうのに・・それも裸で。
(大漁♪大漁♪)
早速、お目当てのものを見つけた中澤は、嬉々として顔でそれを自分の腕の中へ
としまい込む。なんだかこういう事をしてるとかなりドキドキしてくる。
なんでだろうとちょっとだけ考え込むが、『ま、え〜か』の一言で片づけてしま
い、他に何かないものかとキョロキョロと当たりを見回す。
「ついでにこれも持ってくか♪」
次に発見した物は、矢口達がさっきまで着ていた洋服であった。着替えを持って
行ったとしても、これが残っていてはせっかく盗んだ意味がない。
着替えがない事に気付いた矢口達が、残っていたこの洋服を着て、浴室から出て
きてしまっては、楽しみもへってしまうというものだ。
そう思いついて、着替えと一緒にそれも自分の腕の中へとしまい込んだ。
- 413 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時43分06秒
- これで作業は全部終了。後はここから静かに抜け出して、矢口達がお風呂場から
上がってくるのを待つだけだ。きっとかなりあわてること必至。
ドアから顔だけ出して、自分達の名を呼ぶであろう。それれはそうだ。だって着
替えがないのだから。
それまで自分達は、ドアの反対側にかくれていて、矢口か市井のどちらかが顔を
出した瞬間、バッとドアを開けてしまう。
ずっとがまんしていたこの瞳に飛び込んでくるものは!!!
「いや〜、めっちゃ楽しみやわ」
その光景を想像して、ニヤケた笑いを浮かべる中澤であった。
しかし、物事は中澤が考えていたようにはぜんぜん進まなかったのだ。
悪い事をしていると、必ず神様が上から見ていて・・・。
いきなり開けは慣れたお風呂場のドア。そして聞こえてきてのは市井の驚きの声。
中澤は反射的にそちらへと振り向いた。
「・・・・・!!!」
あまりに突然の出来事で中澤は声が出なかった。
(なっ!!なんで紗耶香がここに立ってるんやぁぁ!!)
ニヤけていた顔は、一瞬のうちに凍り付く。
中澤はまだ気付いていなかった。今、最悪の状態を迎えているという事を。
ずっとお風呂場のドアを見つめていた後藤は、いきなり現れた市井の姿に、単純
に喜んでいた。目の前に何にも身につけていない市井の姿に・・・。
(いちーちゃんだぁぁぁ♪)
そこで喜んでいてどうするつもりだ、後藤よ。
- 414 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時44分51秒
- 「なっ!!!!!」
「げっ!!!!」
「何やってるんだぁぁぁ!!!!」
間髪入れてくる市井の怒りの叫びと、その場に固まってしまって何も言えなくな
る中澤。思考回路は遮断されてしまい、いい訳の1つも出てこない。
というか、この状況を見られてしまっていい訳するもなにもないのだが。
何も言えずに、アブラ汗をダラダラ流している中澤の顔に、市井のきつい視線が
突き刺さる。
(なんで・・・なんでこんな事になるんやぁぁ)
中澤の心の中で虚しく響いていた。
「どしたのぉ?紗耶香ぁ・・・あっ!!」
市井の後ろから出てきた矢口が、何かに足をすべらしてこちらへと倒れ込んでき
たらしい。市井があわてて振り返り、矢口を支えようとしてかその両腕をのばす。
なんだかそれがたくましく見えた。
ただぼうぜんと見ていた中澤の瞳に、市井の後ろ姿と矢口の腕が飛び込んでくる。
その腕はしっかと市井の身体を抱きしめていて。
そのまま2人の身体は床へと落ちていく。
「やぐちぃぃぃぃ!!!!」
「いちーちゃぁぁぁぁん!!!!」
残され組みが見たものは、裸で抱き合いながら床に寝転がる市井と矢口の姿であった。
『裕ちゃん・後藤の矢口と紗耶香を驚かせたろ作戦』失敗。
- 415 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月01日(日)02時51分54秒
- 「お互い様」更新です。
これで一応、入浴編は終わりになります。
相変わらずな裕ちゃんだったってことですね(笑
>まいのすけさん
こういう事を思いついた訳です(笑
あぁ、うちの裕ちゃんってなんでこんなお笑いの人なんだろう・・・。
>391さん
いや、怒りませんよ〜。まさしくその通りなんで(笑
やぐちゅー大好きなんで、ネタがあるかぎり書き続けると思います。
>I&Gさん
さぞや気持ちいい事と思います<シャンプー
っていうか、市井ちゃん、矢口の愛を一心に受けてる気がするっす。
>yozemiさん
自分もいちごま派でやぐちゅ〜派で、これ書いててさやまりにもすっ転び
ました(笑)かなりやばいです。
>ムーミンさん
ありがとうございます〜。でも今回はそんなにとけちゃう内容じゃなかった
かもですね。
>403さん
自分も書きて〜(笑
いや、ちょっとくらいはエッチっぽくしたいななんて。
でもそうなると、矢口一人大変な目に合いそうな気がします。
- 416 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月01日(日)02時57分14秒
- あ、更新されてる。ラッキ〜
入浴編終わりって事は次は就寝編?(藁
う〜〜〜ん、エッチぽいの希望します(ニヤ
- 417 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年10月01日(日)03時08分33秒
- ホントにやぐちゅ〜サイコー!
うまい! それにかわいい!
いちごまはそんなに好きじゃないけど、やっぱりいいね〜
就寝編は俺も期待しちゃいます(わら
- 418 名前:Yambo 投稿日:2000年10月01日(日)20時01分21秒
- んー、裕ちゃんの暴走はやっぱり未遂に終わりましたか(笑)
いいなぁ〜、ここの裕ちゃん親近感わいちゃう(爆)
入浴編のさやまり、いい雰囲気でしたね。
矢口のシャンプー…ホント気持ちよさそう…。紗耶香がうらやましい。
さて、就寝編はどうなる!?
- 419 名前:Qoo 投稿日:2000年10月01日(日)20時42分18秒
- 久しぶりに来たので一気読みっす♪
何故こんなにも裕ちゃんは笑えるキャラなんだろ・・・
「入浴編ラブラブさやまり」もちっと見たかったかも(笑
・・・夜が楽しみ!
- 420 名前:Hruso 投稿日:2000年10月01日(日)22時19分16秒
- ことごとく作戦失敗の裕ちゃんがいい感じです。
この後はいよいよ就寝タイムですか。
4人はどうやって寝るんだろ?
- 421 名前:391 投稿日:2000年10月01日(日)22時29分46秒
- 笑わしてもらいました。ほっかむりのアイデア最高!
- 422 名前:ごさんけっ! 投稿日:2000年10月02日(月)09時05分12秒
- 久しぶりに見ました。大分溜まってたので一気読み。
感想は……やっぱり良すぎです。
- 423 名前:まいのすけ 投稿日:2000年10月02日(月)13時02分54秒
- ことごとく失敗。(笑
後藤に余裕な市井は焦ったりしないのか・・・。
ココの矢口はカワイイ上に、しっかりしてますね。
「就寝編」楽しみです。
- 424 名前:ミラクルン 投稿日:2000年10月05日(木)09時33分49秒
- さやまりでマッタリした後にほっかむり!!
大爆笑だよ!!も、サイッコー!!
んな姿で素直に喜ぶなよごとー!!(爆)
オイラも就寝編楽しみにしてます。
- 425 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時35分04秒
- 「入浴編」が終ってから、かなり時間がたってしまいました(笑)
では、「お互い様〜就寝編」スタートです。
またしても長くなってしまいそうな予感。
この話はいつ終るんだろう・・・反省。
- 426 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時35分40秒
- 「やばい、やばいでごっちん」
「裕ちゃーん、逃げてきちゃってどうするの〜?」
「どうもこうもない。あの場から逃げんかったらどんな恐ろしい目に合うか」
「も〜、絶対に市井ちゃんに怒られるよぉ」
「紗耶香なんかどうでもええ!!矢口や・・あたしにとっちゃ矢口が・・まじで
やばいって。絶対矢口怒ってるぅぅぅ!!」
今にも泣き出しそうな顔でそう叫ぶ中澤を見ながら(そんなに怖いんなら最初か
らしなきゃいいのに〜)と冷静なつっこみを入れる後藤。
もちろん言葉にはしないが。
「矢口が怖いんやぁぁぁ!!!」
今の状況に陥ってしまった事を後悔する中澤の叫びが、部屋の中を響き渡る。
ちょっとしたいたずら心で、矢口達の着替えを盗もうとしていた所を、当の本人
達に見つかってしまい、その後、何の因果か裸で抱き合う2人の姿まで見せつけ
られしまう。
その体勢のまま発せられた、矢口の怒気を含みながらの言葉に、身の危険を感じ
たらとりあえずは逃げる!!という野生動物の様に、本能でそれを感じ取った中
澤は、側にいた後藤の首をつかまえてダッシュで逃げてきた。
浴室のドアをバタンッと閉めてから、青ざめた表情で言った言葉がこれだった。
今のは確かにやりすぎたかもしれない。
あそこで・・あそこで2人がお風呂からあがってこなければ、笑って冗談と言え
たのに。
怒ってる。矢口は絶対に怒ってる。
いつも好き勝手する中澤を文句を言いながらも笑顔で許してくれる矢口だったが、
今回ばかりはさすがに切れてしまった様だった。
耳から離れないあの矢口の声。
『裕子ぉぉぉぉぉ!!!!!』
目はしっかとこっちを見ていて、まるで憎い親の敵でも見るようなその視線。
こんな状況じゃなかったら、その顔の下から見える胸の谷間でニヤニヤしてしま
う所なのだが、さすが今回はできなかった。
中澤は知っている。あの矢口が本気で怒るとどうなるのかを。
「あぁ・・・・矢口が怒ってもうた・・・もうダメや」
「裕ちゃん・・とりあえずこれ外そう?」
真面目な顔して嘆いている中澤にいつまでものっかっているほっかむり。
後藤もまだ頭に被ったままだ。
はたから見ればちょっとまぬけ。
- 427 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時36分21秒
- 「いってぇ」
「あっ、ごめん・・今どくから」
自分の下敷きになっていた市井が小さく呟いたその言葉に、矢口はあわてて身体
を起き上がらせた。辺りは中澤が投げ散らかしていった自分達の着替えが散乱し
ている。
2人、そのまま床に座り込んで、その着替え達をぼうぜんと見つめていた。
「ハハ。なんかやるだろうとは想ってたけど・・」
「・・・・・」
苦笑いしながら市井が言った。矢口は何も答えられずただ着替えを見つめている。
うなだれるようにため息をついた。
「信じらんないよぉ」
「ハハハハ・・・」
「フツ〜、フツ〜さ、こういう事するぅ?」
「・・・・しちゃってますねぇ」
「も〜、信じらんない」
その場にペタンと座り込んだまま、ガックリしている矢口を、市井はただ無言で
見つめていた。突然何かを思いついたような顔をして、市井は瞳をキョロキョロ
移動させた。何かを探しているようなその動きをしたかと思うと「あった」と小
さく呟いて、立ち上がろうとした。
市井は膝立ちの格好で、そのままトトトと進んで行って、自分達が置いた場所に、
まだそのまま残っていたバスタオルを2枚つかんで、また立ち膝で戻ってくる。
「とりあえず、身体拭いた方がいいよ?」
「ありがとぉ」
市井の優しさが身に染みた。渡されたバスタイルを身体に覆う。
バスタオルごと腕でギュッと肩を抱きながら、矢口はついさっき自分の前から逃
げて行った人の事を思い出していた。
(なんで・・・)
いつも自分を困らせるような事を平気でしてしまうあの人。
(なんで・・・)
いつも自分をいじめては後から優しく抱きしめてくれるあの人。
(なんでそんな事するんだよぉ)
いつも自分の想像するそれ以上の事を思いついて、それを実行してしまうあの人。
(なんで好きな人に着替えを盗まれなきゃならないんだよぉ!!)
矢口さん、そのお怒りはごもっとも。
- 428 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時37分05秒
- 腕に鈍い痛みを感じて、そっとバスタオルから出して見る。そこにはうっすらと
ではあるが、青あざができていた。先ほど倒れ込んだ拍子に、腕が市井の身体の
下になってしまったので、その時、やや強く打ちつけてしまったみたいだ。
「どしたの?」
「なんか、あざができちゃった」
「うそ!!そういや市井も肩とか痛えや」
無理に首をひねりながら、なんとか確認しようとする市井に「ちょっと見せて」
と矢口がその肩に手を置いた。
「どう?」
「ちょっと赤くなってる」
「やっぱり?」
「ごめんね、紗耶香・・・」
「矢口があやまる事ないよ」
「だって・・・裕ちゃんがさぁ・・」
「後藤も側にいたんだし、まったくあの2人から目を離しちゃだめだよなぁ」
カカカという笑い声が浴室に響いた。しかし、そんな市井を見つめている矢口の
顔は真剣そのもので。
市井は、自分の肩をじっと見つめている矢口の頭をポンと叩き、真剣に思いつめ
ているその顔を覗き込む。
「そろそろ着替えよっか?」
「・・・ん」
「このままじゃ風邪引くしさ・・」
「そだね。そぉいえばまだ裸だったよぉ」
市井に優しくされると、荒立っていた矢口の心も少しずつ落ち着いてきて・・・
ってなわけにはいかなかった。やっぱり中澤が許せない。
そんなに怒る様な事じゃないのかもしれないけど、ここはビシっと一発締めなけ
れば、また調子にのって暴走されちゃうと後始末が大変だ。
(なにか、裕ちゃんにお仕置きできるような事・・・そだ!!)
「矢口、今日は紗耶香と一緒に寝るぅぅ!!」
「・・・・」
考えに考えて出した答えがこれだった。今の中澤だったらこれが一番効き目があ
るだろう。
右手でガッツポーズをしながら宣言する矢口。
その隣でただただ苦笑いの市井紗耶香。
- 429 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時37分49秒
- 後藤に指摘されて、中澤はいそいそとほっかむりを取る。
こんな物をつけたまま焦りまくっていた自分が、あまりにも間抜けすぎて、笑う
気もおきない。
「とりあえず・・隠れよか?」
「どこに?」
「・・・・どっか」
中澤はこれから自分が何をすればいいのか、ぜんぜん思いつかなかった。今でき
る事といえばどこかに身を隠すという事だけ。
しかし、こんな狭い部屋でいつまでも隠れていられる訳じゃない。
「どっかって。隠れるとこなんかあるの?」
「ない。でもどっか隠れんと」
じゃないと矢口の怒りが怖すぎる。
そんな事をコソコソ話し合ってると、バンッと浴室のドアがいきおいよく開いた。
その音に異常なくらい身体を反応させて中澤は、自分の姿を隠す為に、浴室から
は死角となる横手の壁にベタッとひっついてた。
そんな中澤の状況がいまいちのみ込んでいなかった後藤は、ぼ〜っとその場所で
立ち尽くす。
「あ・・いち〜ちゃん」
「い〜湯だったぁ」
市井の名を呼んだ後藤の顔が、瞬時に笑顔に変っていく。何度見ても、中澤に見
せる笑顔とは違うような気がする。これが愛情の差というとこか。
浴室から先に出てきたのは市井だった。聞こえてくるその声には、さほど怒りは
感じられない。
「あれ?裕ちゃんは?」
「・・・えっ・・・と」
「(シ〜〜〜!!)」
何事もなかったかの様に中澤の事を話題にする市井だったが、ドロボー2人組には
その言葉が矢となって胸に突き刺さる。
壁にひっつきながらも、指を口元まで持って行って、懸命に「だまってろ」のアピー
ルをしている中澤見て、とりあえず後藤は言葉を濁す。
(言った方がいいのかな・・やっぱり黙ってた方がいいのかな)
中澤と市井を交互に見ながら思案にくれる後藤。中澤の、怖いくらい真剣な顔がま
ぶたに焼き付いて、さすがに目的の人物はすぐそこにいるとは言えなかったのだが、
その瞳の動きでバレバレである。
(・・そこに隠れてるってわけか)
ちょっとうつむき加減に悩んだ顔で市井を見つめている後藤がかわいい。
- 430 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時38分39秒
- (頼む、ごっちん。言わんといてくれ〜)
中澤は、口元に持って行ってた手をお願いポーズに変えていた。
こんな事してて何が解決するわけでもないが、とりあえずは時間稼ぎをしなくて
は。今、矢口と顔を合わせるのははっきりいって怖すぎる。
(なんとかせな・・このままじゃあかん。なんかええ作戦思いつかな)
静かに、それでいてバタバタしながら中澤は次の策を練っていた。
自分で言うのもなんだか、思いつく物はどれもさらにやばい方へと行ってしまい
そうなヤツばかり。焦れば焦るほど変な事しか思いつかない。
そうやって、自分の世界に入り込んでいた為、側にいる後藤の顔が驚きの表情へ
と変わっている事に中澤は気付かなかった。
「裕ちゃん?」
「へ?」
いきなり顔のすぐ側で自分の名前を呼ばれた。そのまま、まぬけな顔で声のした
方へ顔を向けた。
そこには満面の笑みをたたえた市井の姿が。
(・・うぉっ!!な、なんでばれたんや?)
思わず驚きの声をあげる。
「さ、紗耶香ぁぁ!!!」
「あのさぁ・・・市井が言うのもなんだけど。矢口すっごい怒ってたよ?」
「ヴッ!!」
「だからさ、そんな所に隠れてないで、ちゃんと素直にあやまった方がいいと思
うんだけど」
「・・・・・」
そんな中澤の反応を想像していたのか、市井はたんたんと話しを進めて行った。
たしかに彼女の言うとおり、こんな所でコソコソしてないで、ここは一つ思い切っ
てあやまってしまった方がいいのかもしれない。
人にあやまるという事は少なからず勇気のいる事で。でも悪いのは自分の方なん
だから、人としてやる事はちゃんとやっておかなければ。
(そうや。矢口はいっつもあたしの事許してくれたはずや。ここは紗耶香の言う
とおり、素直にあやまっといた方がえ〜な)
なけなしの勇気を振り絞って、そう決意した中澤だった。
誠心誠意、あやまりまくればきっと許してくれるだろうと。
- 431 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時39分58秒
- 中澤に忠告している市井の姿を、後藤はジッと見つめていた。
自分だって被害者なのに、こう、なんていうか心が広いなぁと。
でも同じ事されて怒ってしまっている矢口が狭いという訳ではないのだが。
(市井ちゃんの言うとおり、ちゃんとあやまらなくちゃだ)
まだ中澤と会話している途中だったが、後藤はトコトコと市井に近づいて行って、
服の袖をちょっとだけ引っ張る。
「いち〜ちゃん」
「どした?後藤」
なんだか、ついさっきまで冷たく突き放されてたのが嘘のように思える。
自分が名を呼べば、ちゃんとこっちを向いて返事してくれる市井が嬉しすぎて涙
が出てきてしまいそう。
「ごめんね・・あんな事して・・」
「あ〜、い〜よ。別に怒ってないからさ」
「ごめんね〜、市井ちゃぁぁん!!」
(おのれ!!ごっちん見せつけよってからにぃ)
そう叫びながら市井に抱きついていく後藤の後ろ姿を、うらやましそうに見つめ
ている人物が一人。
後藤を優しく抱き止めて、母親が自分の子供でもあやすような感じで、頭をなで
ている市井。その顔は見てるだけでこっちも心が暖かくなってくる様だ。
(そや、あたしもごっちんみたいにかわいくやれば許してくれるかも?)
そんなラブラブな2人を見ていた中澤は、またしょうもない事を考えていた。
ちょっと甘えた感じで、涙を流しつつ、そして『あたしは反省してまっせ』とい
う態度を全面に押し出して、それで矢口に抱きついていけばきっと許してくれる
だろう。
今の市井と後藤みたいに。
「よっしゃ!!この手で行くか・・・」
想像するのは、自分を優しく抱き止めてくれる矢口の姿と、矢口の胸の中(は身
長差の関係で無理だが)で幸せ顔でとろけている自分の姿。
そして、仲直りした2人は、そのままベッドへと・・・。
(ええやん!!ええやん!!これしかね〜って感じやん♪)
まだ抱きしめ合っている市井達の姿と自分と矢口の姿とを重ねながら、中澤は一
人ニヤニヤしているのであった。
- 432 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時41分28秒
- 浴室のドアの前で一人、矢口が出てくるのを待っていた。
なんとかしてここで許してもらって、今夜は一緒に寝たいな〜なんて事を考えな
がら。市井と後藤の今のふいんきからいって、今夜は2人きりの方がいいはずだ。
中澤のウチで寝れる所といったら、自分のベッドと客用の布団が一組だけ。
2人ずつ別れて寝ればちょうどいい。
(今日は色々あったけど、最後くらいは甘〜い時間を過ごさなな)
「ガチャ!」
(お?出てきた♪出てきた♪)
そして、目の前のドアがゆっくりと開かれた。
「・・・・・」
「お、おかえり、矢口」
お風呂あがりの矢口は、いつ見てもかわいい。
髪もドライヤーで乾かしただけだから、ちょっとボサボサ気味だが、それがまた
色っぽいというか。少しだけ顔も上気していて、思わず抱きしめたくなる。
何度見てもそそられるその姿。
(はぅ〜、このままベッドにお持ち帰りしたいわ)
しかし、そんな目で見られているなんてぜんぜん思いもしてない矢口は、押さえ
切れないニヤニヤ顔の中澤に、冷たい視線を送っただけで、そのまま無言で前を
通り過ぎて行く。
一瞬、何が起きたかわからなかった。
「や・・・」
「!!」
あわてて声をかけようとするが、さらに冷ややかな視線で睨みつけられると、の
ばそうとした腕もその場で止まってしまう。
「紗耶香、もう遅いしさっさと寝ちゃおうか?」
矢口の視線は、中澤の後ろにいる市井へと向けられていた。先ほど見せたきつい
にらみとは対照的に、市井へ向けている顔はとても優しそうで。
「ん?・・別にいいけどさ」
「後藤も早くお風呂入っておいでよ」
「あ、はい」
「上がったら寝室においで。3人で一緒に寝よう?」
中澤の存在を無視して会話は進められていた。
いきなり話しを振られた市井は、言葉の後にソッと中澤を指差す。
(裕ちゃんは?)
しかし、矢口は見事にそれを無視して、後藤に声をかけた。
- 433 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時42分31秒
- 「・・・やぐっつぁん・・さっきはごめんね」
「い〜って、い〜って。じゃ、紗耶香と待ってるからね?」
「うん!!」
後藤は矢口に先ほどの行為をあやまった。返ってきた返事はぜんぜん怒りが感じ
られない。おかしい。自分にはあんなに冷たい視線を向けていたのに、後藤には
いつもと変わらない優しい矢口になっている。
(ちょっと待て・・矢口怒ってないんか?ん?)
もし、怒っていないなら今夜は矢口と一緒に寝れる。しかし今の会話には中澤の
「な」の字も出てこなかった。
(って、ちゃうやん!!今、矢口3人で寝よって言いよった。あたし入ってない
やんかぁぁ!!)
矢口の言葉の意味をやっと理解した中澤は、思い切って聞いてみた。
「あの〜?」
「・・・・」
(うぉっ!!きついな〜、その顔)
またしても睨み返されてしまったけれど、中澤はかまわず言葉を続ける。
「あたしはどこで寝ればよろしいんでしょうか?」
「・・・そっちで寝たら?」
知らず知らずの内に、言葉づかいが敬語になってしまう。それほどに今の矢口に
は恐ろしいほどの迫力があって。
なんとか切り出した質問に、短い返事とリビングへと差された指。
「もしかして・・ソファーですか?」
「当たり前だろ?こっちはお客さんなんだから。なんか文句でもあるっていうの?」
恐る恐る確認してみるが、やはり返事は同じだった。
目の前に矢口がいるというのに、一人さみしくソファーで寝れってか?
もちろん、そんな事は口にはできない。だって矢口が怖いから(笑)
「あっ、いやないです。わ〜い、裕ちゃんソファーで寝るの嬉しいなぁ」
「ならいいじゃん。行こ、紗耶香」
「あ・・・うん」
「じゃ・・後藤お風呂に入ってきますね」
ガーんとショックを受けたまま、その場に凍り付いた中澤を置いて、3人はいそ
いそと移動し始めた。さっさと寝室へと消えて行った矢口の後をおって、申し分
けなさそうな顔の市井が横を通り過ぎる。
- 434 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時43分41秒
- 「じゃね、裕ちゃん。そういう事で・・がんばってね」
「・・・・」
「矢口ってああなっちゃうとどうにもできないんだよぉ」
「・・・・」
「ま、なんとか仲直りできるようにがんばるからさ」
「・・・しくしく」
「じゃ・・おやすみ」
「紗耶香ぁぁぁ」
ぎこちない微笑みと小さく手を振りながら寝室に消えていく市井を、中澤はただ
見送るだけしかできなかった。
「お先に失礼します」
「・・ちょ〜待て」
「はい?」
「なんでごっちんだけ許してもらえるんや?」
「いや〜、わかんないです」
「なんであたしにはあんなに冷たいんや?」
「なんででしょうねぇ」
「他人事みたいに言うな!!」
「すいません。後藤、先にお風呂入っちゃいますんで・・市井ちゃん達待たせる
と悪いから」
「ちょ、待ち〜な・・ごっちん!!」
「じゃ!!」
市井と一緒に寝れると聞いて、後藤はかなり舞い上がっていた。死んだような顔
をした中澤と会話も途中で切り上げて、さっさと浴室へと入っていく。
「なんでや!!なんで紗耶香らは矢口と一緒に寝れるのに、あたしだけだめなん
や!!こんなん嘘や。絶対に信じへん!!」
むなしく響く中澤の声。
今回の残され組は、中澤裕子さんに決定です。
- 435 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月07日(土)00時54分07秒
- 「お互い様」更新です。
とうとう裕ちゃん一人きりになってしまいました。
ま〜、あんな事しちゃったら仕方ないです(笑)
>416さん
エッチっぽいのですか〜。
なんとかご期待に添えるよう努力いたします。
自分も書きたいんすけどね(笑)
>BOOTLEGさん
その期待はやはりエッチっすか?(笑)
甘〜いやぐちゅーが書きたいんですよ、ほんとは。
>Yamboさん
ことごとく失敗している中澤さん。
だって失敗しそうな事ばっかりやらかすんですよ。
ここの市井ちゃん、ほんとに矢口に愛されちゃってます。
>Qooさん
だってそんな裕ちゃんが好きな自分なので(笑)
つい、お笑い担当にしちゃうんっす。
「入浴編」ラブラブでした?よかった〜。
>Hrusoさん
それがここの裕ちゃんの代名詞!!<ことごとく作戦失敗
4人はこうやって寝る事になりました。
裕ちゃん一人ぼっち♪
>391さん
書いてて絶対に似合うと思ったんですよ〜。
ハゲヅラもいいけど・・このかっこ、どっかでしいくれないかなぁ。
>ごさんけっ!!さん
ありがとうございます〜。
やっと続きUPしました。
あぁ、裕ちゃんが・・・(笑)
>まいのすけさん
市井ちゃんはこれからっす。
しかし・めいつそこへたどり着けれるんだろう。
矢口〜♪一人いい娘してたんですけどねぇ(笑)
がんばりまっす!!
>ミラクルンさん
どんなかっこをしてても、市井ちゃんに会えれば幸せな後藤なのです。
ちょっとその場を見てみたいっす(笑)
- 436 名前:さんち〜 投稿日:2000年10月07日(土)01時58分54秒
- わーい!!一気にたくさん読めた★
やっぱおもしろいっす!!
ゆうちゃん弱いっすねえ(笑)いつもの余裕は矢口あってのモノだったか。
- 437 名前:I&G。 投稿日:2000年10月07日(土)02時25分24秒
- おもしろい!!
後藤になって市井と矢口と一緒に寝たい〜〜〜。
裕ちゃん良すぎ。ここの裕ちゃんホントに好きだな。
- 438 名前:Hruso 投稿日:2000年10月07日(土)03時02分44秒
- 裕ちゃんを睨んだときの矢口の顔は飲茶楼のCMの時のような、
頬を膨らませたかわいい表情だったんでしょうか?
それとも、もっと全然怖い顔だったり・・・。
- 439 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年10月08日(日)00時06分44秒
- この小説のゆーちゃんはものすごく若く感じるのはなぜなんだろう?
にしても、風呂上りの矢口・・・ゆーちゃんの気持ちが分かります。
テイクアウトしてーよなー! 男なら(わら
- 440 名前:ムーミン 投稿日:2000年10月08日(日)00時38分38秒
- プゥーーーッッ!!また笑わしてもろたワ。
裕ちゃんおもろすぎじゃーー!!
ことごとく作戦失敗の裕ちゃん。
誰かに不幸になるように
黒魔術でもかけられてるんちゃうか?
- 441 名前:まこと 投稿日:2000年10月09日(月)13時47分25秒
- お互い様、読ませていただきました。
面白いです。裕ちゃんかわいいです。
そしてちょっと間抜け・・・。
いい感じです。続き期待してます。
- 442 名前:Qoo 投稿日:2000年10月11日(水)23時37分31秒
- まりっぺが怖いっす・・・
やぐちゅ〜早く仲直りしますように♪
やっぱらぶらぶ好きなんで。自分(笑
- 443 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時51分55秒
- またかなり間をあけてしまいました。
今回は市井ちゃん視点っす。
- 444 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時52分33秒
- 寝室のドアを閉めて、市井は先にベッドに座っている矢口を見つめていた。
そんな市井に気付いてないのか、矢口はいつも中澤が使っているであろう枕を胸
にしっかと抱いて、何やらむずかしそうな顔をしている。
「矢口?」
「・・・・」
声をかけてみるが返事はない。
まだ中澤の件で怒っているのか・・それとも怒った事を後悔してるのか。
(ま〜、ちょっとやりすぎだもんねぇ、裕ちゃん)
今日あった出来事を色々と思い浮かべてみる。最初のきっかけは、きっとあたし
が矢口にひざまくらしてもらってたからだと思う。
取材から帰ってきて来てからおかしくなりだしたんだよね、あの2人。
妙にひっついてたし。
なんかあの時、あたしもちょっとおかしかったからなぁ。思ってる事と反対の事
ばっかりが口から出ちゃってさ。
あれがさらに変な方へと話を変えていっちゃったんだ。
ふむ・・・やっぱりどう考えても一番悪いのは・・・市井か。
あの時、矢口はロビーであたしに向って『落ち込んでる紗耶香は見たくない』っ
て言ってくれた。『紗耶香は笑顔でいなくちゃ』って。
その言葉にどれだけ安心させられたか。
その笑顔にどれだけ癒されたか。
だから・・その言葉、そっくりそのまま矢口に返してあげるよ。
きっと、あの時のあたしとおんなじ顔をしているだろう矢口にさ。
『落ち込んでる矢口は見たくない』
『矢口は笑顔でいなくっちゃ』
自分を救ってくれた人には、それ以上の想いで返してあげる。
今のあたしにできる事。
矢口にこんな顔させないように。
矢口がまた裕ちゃんの隣で笑っていられるように。
市井紗耶香、精一杯がんばります!!
- 445 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時53分29秒
- 大きめのベッドと(多分、ダブルベッドだ)サイドテーブル以外何も置いてない
その部屋は、なんだかとても裕ちゃんらしく感じる。こういう部屋って、なんか
憧れだな。あたしも一人暮らししたら、絶対にこんな寝室にしたいぜ。
キョロキョロ見渡しながら、矢口のそばへと近づいて行く。
部屋の中はとても静かで、自分の足音しか聞こえない。
ベッドに近づいてみて、気付いた事が1つ。
サイドテーブルの上に、ちょっと小さめの写真立てが置いてあった。
そこには、しっかり笑顔の矢口が写っていて。
これ見ながら裕ちゃんは眠りにつくんだぁなんて考えてたら、自分の部屋の机に
置いてあるあいつの写真を思い出して。
あれだね、考える事はみんな同じなんだ。
きっと矢口の部屋にも裕ちゃんの写真があるだろうし・・・もちろん、あいつの
部屋にもあたしの写真が飾ってある。やめろって言っても絶対に外さないんだよ
なぁ。実際、ちょっと多すぎなんだ。
黙ったまんま、まだ枕を抱きしめている矢口の前に立って、そのまま彼女を見下
ろしながら声をかけた。
「裕ちゃん、あのままほっといていいの?」
「・・・い〜の!!」
その言葉に矢口はやっと反応してくれて、ゆっくりと顔をあげてくれた。でもな
んだかその表情は少し強張っている。怒っているというよりも、どっちかってい
えば、後悔してるって方が強い。
なんだかすごい悲しくなってきた。矢口にこんな顔は似合わねぇ。
市井が後藤と仲直りできたのは、矢口のおかげなんだからさ。
今度は矢口と裕ちゃんを仲直りさせるのが、市井に与えられた使命っす。
やるだけの事はやらなくちゃ。
「矢口が出てくる前さ、ちょっと話したんだけど・・・反省してたよ、裕ちゃん」
「・・・・」
「許してあげたら?あんなのいつもの事じゃん」
「・・・・」
黙っている矢口に向って、あたしはしゃべり続けた。
好きだから・・・。ううん、好きすぎて、矢口に色んな事をやらかしちゃう裕ちゃ
んの想いは、きっとあたしの中にもある。相手の事しか考えられないのに、すご
く大切に想ってるのに、結果的に、何故か好きな相手に迷惑かけてしまってる。
今日のあたしがいい例だ・・って違うか、この場合は悪い例っていうのかな?
後藤に悲しい想いをさせちゃったあたしと、矢口を怒らせてしまった裕ちゃん。
変なとこばっかり似てるよなぁ。
- 446 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時55分08秒
- 「それにさ、元々、矢口と市井が一緒にお風呂に入っちゃったから・・」
「そりゃぁ・・目の前で紗耶香と一緒に入っちゃったのはちょっと悪かったかな
ぁって思ってけどさ。そうしないと覗きに来そうな顔してたんだもん」
あたしの言葉を遮って、矢口がポツリポツリと呟いた。
ちゃんと見てるとこは見てるってわけだ。
確かにあん時、特別ニヤけた顔してたよなぁ、裕ちゃん。
浴室に向おうとしていた矢口の後ろ姿を、幸せそうな顔で見ていた裕ちゃんの顔
を思い出す。あの顔を見たら、この後、何をやろうとしてるかぐらいすぐ分かる。
もう少し、仕事の時みたいにポーカーフェイス気取ればいいのに。
裕ちゃんって矢口の事になるとお子様なんだよなぁ。
「・・・結局は覗きに来たけどね」
「裕ちゃんって、いっつも、なにやっても矢口なら許してくれるって思ってると
こあるんだよ」
「あ〜、そーゆーとこはあるかもだ」
「だから、たまにはお仕置きしなきゃ」
なんだかその言い方、かなり無理して言ってるみたいだぜ?
小さな口をへの字に結んで、一生懸命自分に言い聞かせたるって感じ。
でもね、あたしにはその手は通じないよ?矢口。
だって・・・あたしもおんなじ事やっちゃったから。
ほんとはそんな事する必要もないのに、自分の心にバリアーを張って、あいつを
近づかせない様に。今思えば、ぜんぜん意味のない意地なんか張っちゃって。
その時間が長ければ長いほど、あいつの事を傷つけるって事がわかってなかった。
あれはあれでいい経験だったけど、しなきゃよかったっていう後悔はやっぱりあ
るし。だから、あたしの数少ない貴重な経験を生かす為に、矢口にも裕ちゃんと
一緒にいれる『きっかけ』を作ってあげる。
矢口があたしにくれた『きっかけ』みたいにさ。
あいつと・・後藤と仲直りできた『きっかけ』をさ。
- 447 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時56分05秒
- 「うーん・・・でもさ。さっき矢口がここ来る時の裕ちゃんの顔見てたけど、すっ
ごいさみしそうだったよ?」
「・・・・」
「矢口の後ろ姿、泣きそうな顔でずっと見てたし」
「・・・・」
「きっと、今頃泣いてるよ、裕ちゃん」
「・・・・」
「色々悪さするけど、結局は矢口の事が好きすぎてやらかしちゃうんだし」
「・・・・」
たたみかける様なあたしの口撃は、矢口に言葉をはさむ余裕すら与えない。
矢口の視線は、だんだん下に向いてきて、何かをぼんやりと思い浮かべている様
な、そんな表情へと変わっていった。そして、声には出していなかったけど、微
かに動いたその唇は、確かに『裕ちゃん』って呟いていた。
きっと、矢口は一人でさみしく寝ている裕ちゃんの姿を思っているはず。
あたしはトドメの一言を言ってあげた。
「一人だけソファで寝るなんてかわいそうだなぁ。誰か側に行ってあげないと」
- 448 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時56分41秒
- 「・・なんかさ」
「ん?」
「なんか・・紗耶香のその言い方って、ここから出てって裕ちゃんとこに行けっ
て言ってるみたいに聞こえる」
まだ顔は俯いたままだけど、あたしが何を言おうとしているのか気付いたみたい。
あたしの期待通りの言葉を言ってくれた矢口に、ついニンマリとしてしまう。
とうとう矢口があたしの蒔いた餌に食いついた。
よしよし、それでこそ矢口だ。
このまま最後までついて来いよ。
「そ?そんな事ないけどさ」
「なに?紗耶香は矢口と一緒に寝たくないってか?」
「ううん。おもいっきり寝たいさ〜」
「な〜んか、嘘っぽい響きがする」
「嘘っぽいって失礼な(笑)」
そんな矢口の問いかけに、あたしはわざと軽い口調で答える。
矢口の顔は、すでにこっちに向いてたし、あたしの事を睨みつける様な視線にも
変わってる。きっと矢口は気付いてないな。それとも気付いちゃってて、わざと
そんなフリしてるのかな。
ほんとは裕ちゃんとこに行きたいくせに。
あたしが後藤の事、抱きしめたかったのとおんなじで、強がり言っててもむちゃ
くちゃ気になって仕方ないくせに。
「違うってのか?」
「市井は矢口と一緒に寝たいよ?」
「・・・・」
「矢口と寝るとすっごくあったかいしさ」
「・・・・」
「でも、裕ちゃんはさみしいかなって」
矢口はあたしの顔をジッと見つめてる。腕に抱いた枕をさらにギュッと抱きしめ
ながら、あたしの言葉の意味について考えているようだ。矢口の前にぶらさげた
『きっかけ』早くを手にしてくれよ。
う〜ん・・・ちょっとわざとらしかったかな?
でも、これくらい言わなきゃここから出て行こうとしないだろうし。
ほら、矢口。市井ができるのはここまでだぜ?
早く裕ちゃんとこに行っちゃえ?
「そろそろ後藤もお風呂から上がって来るかなぁ・・」
あたしが何気無しに呟いた言葉を、矢口は見逃さなかった。
裕ちゃんのとこへ行ける『きっかけ』をとうとう矢口は手にしたのだった。
それをそのまま離さないで、素直にあっちへ行っちゃいな。
- 449 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時57分13秒
- 「あぁぁぁ!!」
「なに?なんだよ?」
「わかった!!紗耶香、後藤と2人きりになりたいだけなんだろぉ!!」
いきなり、外にも聞こえるくらいの大声で叫んだ矢口は、あたしにビシッと指差
しながら、とんでもない事を言い出した。なんでそこに後藤が出てくる?あたし
は裕ちゃんの話題しかしてないはず・・・まで考えて、はたと思い出した。
そういや、お風呂から上がってくるとか来ないとか言っちゃってた気がする。
人間って怖いな。ついポロッと出ちゃうもんなんだ。
でも、これっていいチャンスじゃん。矢口を裕ちゃんとこへ行かせる口実ができ
たって感じじゃないか?
さすがは、あたし♪
「・・・・・・・・・」
「少しは否定しろぉ!!」
色んな事を考えすぎて、矢口の問いかけに返事するのも忘れてた。それをまた良
い方に捕らえてくれたみたい。
あたしが後藤と2人だけで過ごしたいから、矢口を裕ちゃんとこへ追い出す。
きっと矢口はこんな風に考えてるんだろう。
「ハハハ。ごめんごめん。なんで市井の考えてる事わかったのかな〜って驚いちゃ
って」
「うっわ〜!!信じられねぇ」
「ごめんって。冗談だよ〜」
ちょっとだけネタも作りつつ、あたしはその考えに便乗した。
こうやればきっと・・。
「も〜いい。矢口、今夜は一人で寝るからぁ!!」
「ちょ・・矢口・・・」
「紗耶香は後藤と甘〜い夜でもすごしな」
「冗談だって〜」
いきなりベッドから立ち上がって、ム〜ッとした顔で(きっとわざとだ)あたし
に向って吠えまくる。一応あわてて追いかける(フリをする)けど、矢口は全然
無視でドアの方へと歩いて行った。
よしよし。このまま裕ちゃんとこに行って仲直りしてくるんだぜ?
なんなら今夜はもう帰って来なくていいし。
一緒にいたい人がそばにいる時は、他の人なんか無視しちゃってもかまわないん
だから。ね、矢口?
「ついてくんなよ」
「・・・・」
後に続いて、ドアへと近づいてあたしに、矢口は背中越しから呟いた。さっきま
での口調とはうってかわって、なんだがテレてる感じ。
そんな後ろ姿を見ていたら、ちょっとだけ、このまま黙って裕ちゃんの元に送り
出すのが・・ほんのちょっとだけ惜しくなってきた。
いかんな。これじゃただのたらしじゃん。
そんな気持ちを押さえつつ、目の前にある小さなその背中に、そっと手を添えた。
- 450 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時58分00秒
- 「裕ちゃんと仲直りして来いよ?」
「・・・ん」
「矢口の落ち込んでるとこは見たくないんだからさ」
「・・・ん」
「矢口には笑顔が一番似合ってるんだからね?」
「・・・それって、前に矢口が言ったせりふじゃん」
「そうだっけ?まぁいいじゃん♪」
矢口はまだ背中を向けたままだったけど、手に伝わってくるあたたかいぬくもりが、
あたしに色んな元気を与えてくれる。
だから、そんな優しいキミには、あたしができる最高の気持ちで答えてあげなきゃだ。
矢口からもらった素直になれたあたしの心を、そのまま返してあげます。
「紗耶香?」
「ん?」
「・・ありがとね」
ロビーであたしが矢口に向って言った言葉を、今度は矢口があたしに向って言って
くれた。
こっちこそ・・ありがとだよ。矢口のおかげで市井はここにいれるんだぜ?
一生懸命、世話焼いてくれたから、ちょっとだけ素直になれたんだよ?
あいつの事、抱きしめる事ができたんだよ?
だから、今度はあたしが世話焼く番っす。
あたしと矢口は、持ちつ持たれつの関係じゃん♪
しばらくして、カチャリと音がした。どうやら裕ちゃんの所へ行く決心ができたみ
たい。・・・ったく、こいつ、振り向きもしないよ(笑)
まぁいいや。きっとあたしの優しさでとけちゃってる矢口の笑顔は、裕ちゃんへの
プレゼントってことにしといてやるか。
「ありがとなんてさ・・・そんなのお互い様だよ、矢口」
耳に残る矢口の言葉を何度も繰り返しながら、あたしはそう呟いたのだった。
- 451 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時58分36秒
- 矢口の姿が部屋から消えて、あたしは一人残った。
さすがの裕ちゃんも、もう悪さはしないだろう。今夜はこのまま帰ってこなくても
いいぜ♪お互い、存分に甘えまくるがよい。
「おりゃ!!」
ベッドにおもいきり飛び込んで、うつぶせに寝転んだ。耳を当てると、少しだけス
プリングがきしむ音がする。
「ま、こんなもんかな・・」
とりあえず、裕ちゃんと矢口はこれでよしと。明日の朝にはいつものバカップルに
戻ってるだろう。
あたしはゴロンと身体を仰向けにさせて、両手両足を思いっきり大の字に伸ばして、
しばらくの間ボ〜ッとしていた。
天井を見つめているけど、意識の中には入ってこない。ばたばたと、慌ただしく過
ぎて行った一日をぼんやりと思い返していた。
寝不足気味のあたしに矢口がひざまくらしてくれた事。
すっごく気持ち良くて、すぐ眠りについてしまった事。
ほんとはヤキモチ妬いてるくせに、つい冷たい態度を取っちゃった自分。
相談にのってくれた圭ちゃんと、何にも言わずただあたしを見守っていてくれた矢口。
そして・・悲しそうな顔した後藤。
- 452 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)21時59分13秒
- 目をつむると、その瞼に後藤の顔が浮かんできた。矢口達の姿が消えて、あたしの
心は後藤だけになった。
あいつ、何であたしなんか好きなんだろう。
こんなにいじわるばっかしてるのに、なんでいっつも追いかけてくれるんだろう。
あたしも・・なんであいつの事が好きなんだろう。
なんで・・こんなにもあいつの事が欲しいんだろう。
側にいるとなんだかむしょうに抱きしめたくなる。
この腕の中にでギュッと抱きとめて、あいつの事をもっと身体で感じたいと思う。
後藤の髪の香りと、肌のやわらかさと。
間近で見るまぬけな笑顔と、あたしの名を呼ぶ声。
あいつがあたしに触れてくるたび、心拍数が一気に跳ね上がって、とうに押さえ切
れなくなっているその感情に流されそうになりながらも、必死になって抵抗し続け
てるあたし。このまま本能に従って、思い通りの事ができたらどんなにか楽だろう。
でも、そんな事するのを許せないあたしもいるただよなぁ。
むずかしいな、恋愛するって。
- 453 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)22時00分44秒
- 矢口が部屋から出てって、かなり時間がたった。
そろそろあいつも風呂から上がってくる頃だ。
あたしは、後藤がこの部屋に戻ってくるのを待っていた。
後藤があたしの元に帰ってくるのを待っていた。
あいつにはちょっと悲しい想いばっかりさせちゃったから、ここらでご機嫌取っと
かないと、また変な事やらかされでもしたら大変じゃ。
上半身を起き上がらせて、視線はもちろんドアにくぎ付け。
湯上がりのあいつはかわいいからさ。見なきゃ損っていうもんだ。
さて、最初に何してあげよう。
おかえり・・って言うのも変だし。かといって何も言わずに黙ってるのもイマイチ
な気がする。そうだ、ここは一つギュッと抱きしめてやるか。
あたしの気持ちを伝える為に、身体いっぱいで表現してやる。
早く上がって来いよ、後藤。
早く声を聞かせてよ、後藤。
早くあたしの名前を呼んでよ、後藤。
早く・・・抱きしめさせてよ、後藤。
あたしは待っている。
そのドアから後藤が姿を現してくれるのを。
見てるといじめたくなりそうな、そんな笑顔をしながら・・・。
- 454 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月12日(木)22時09分33秒
- 「お互い様」更新です。
この話の中で、市井ちゃんメインっていうのははじめてですね。
今まで書いてなかった分、おもいっきり書いてしまいました(笑)
>さんち〜さん
いつもいつもさんきゅーです。ここの裕ちゃんはへなちょこなので(笑)
矢口がいるからってやつっすよ。
>I&Gさん
残念!!矢口は部屋から出てっちゃいました(笑
へなちょこ裕ちゃん大爆発♪
>Hrusoさん
矢口はどんな顔してもかわいいので(爆
目はにらんでるけど、顔は無表情って感じっすかねぇ。
>BOOTLEGさん
自分も書いててそう思いました。もう少し落ち着けよって(笑
お持ち帰りしたいっすよねぇ。
>ムーミンさん
たまには成功させてあげないとかわいそう?
でも、裕ちゃんは嫉視゜いしてこそ裕ちゃんなのです。
誰だろう・・・よっすぃーとか?(ウソ<黒魔術
>まことさん
裕ちゃんイチオシ野郎なんで(笑
間抜けな所がかわいいんです。
ありがとうございます。
>Qooさん
いつも笑顔の矢口が、マジで怒るとどんなんだろう。
裕ちゃんなんか絶対にたちうちできないことでしょう(笑
- 455 名前:Yambo 投稿日:2000年10月12日(木)23時15分31秒
- あっ、更新されてるー。
いいですねー、市井メインの話し。すごい気持ちがこもってる。
いよいよお互いに甘甘モード突入かぁ〜。
早く戻ってこい、後藤!!(笑)
- 456 名前:ごびんだ 投稿日:2000年10月12日(木)23時43分05秒
- 昨日と今日で一気に読ませてもらいました。
いいっすね〜。かなり萌えます。
それにしてもたれきりんさん、よくここまで女の子の心理を
綿密に描けるな〜。
愛読者にならせていただきます。
- 457 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月13日(金)00時25分45秒
- 市井かっこいいねぇ。
- 458 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年10月13日(金)01時38分54秒
- 仕事のゆーちゃんとプライベートのゆーちゃんが違うのが俺のツボ。
ましてや甘い話が大好きな甘党の俺には・・・たまんねー!
しかし、アマアマをここまでかけるんだから・・・いいよなぁ(わら
俺もここまで書けたらぜってー楽しいよ。
いちごまは王道過ぎて書くのに躊躇いるけど、これだけうまけりゃ誰も文句ないわ。
- 459 名前:I&G 投稿日:2000年10月13日(金)02時38分35秒
- 更新ご苦労様です。
この続きはかなり甘々になりそうですね。(笑)
どこまでいくか、楽しみです。♪
- 460 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月15日(日)17時59分43秒
- 「あたし・・・バカかもしれん」
矢口と市井が消えて行った寝室のドアを見つめながら、中澤はため息まじりに呟
いた。頭にあるのは後悔という2文字だけ。途中までみんなも楽しんでいたはず
なのに、どこからこうなってしまったのか。
今までの自分の行動を思い返してみる。
(やっぱり、着替えを盗みに行ったのがあかんかったんかな)
あれは運が悪かったの一言につきる。たまたま盗んでいる所に、たまたま矢口達
が浴室から出てきたのだ。ホントにお互い運が悪い。
久々に聞いた怒気を含んだ矢口の声がまだ耳に残っている。
今まで、矢口が自分に対してまったく怒らなかったといえば嘘になるし、それな
りな悪さをすれば、ちゃんとしっかり怒ってくれる。ま〜少し冗談まじりだが。
しかし、さすがに今日はかなり本気みたいだった。
中澤をにらむ矢口のその視線の冷たい事といったら。思い出したでけで、中澤の
背筋が凍る。
「え〜加減、落ち着なあかん年やのに・・」
10も年下の彼女に甘えきっている自分。
なんだか若い頃の方がまだしっかりしていた気がする。
人に素直に甘えるなんて、昔のあたしやったらとうていできそうにもなかったのに。
誰かに対して無防備に自分をさらけ出すなんて、矢口と出会うまで、そんな事し
たこともなかった。
矢口真里という人は、中澤がいじめるとちゃんと期待通りの反応が返ってきて、
それを見ているとさらにいじめたくなってしまう。
かわいくて・・ほんとにほんとにかわいくて。
できれば大事に箱の中にでもしまっておきたいくらい。
誰にも見せないで、ここにずっと閉じ込めておく事ができたらなぁ・・なんて考
えた事もある。自分だけの矢口でいてほしい。自分だけの・・・。
(だってなだってな、あんたが紗耶香と一緒にお風呂に入ってまうから〜)
だからあんな事してしまいました。
(ごっちんと紗耶香は仲直りできたと思たら・・今度はうちらかいな)
自業自得っていうもんです、中澤さん。
先ほど冷蔵庫から仕入れてきた缶ビールに口をつける。いつもはおいしいと感じ
るそれも、今はなぜか苦いだけ。
(ビールまであたしを見捨ててるし・・・)
まだまだ夜は長い。
- 461 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月15日(日)18時00分15秒
- 今頃矢口達は何をしているんだろう。きっと楽しくおしゃべりしているに違いな
い。案外、中澤の事でもぐちっているのかも。
「あ〜ぁ」
何度目かのため息をついて、ソファにゴロンと寝転がった。
仕方ない。こういう時はさっさと寝てしまうに限る。朝になれば少しは矢口の怒
りもおさまっている事だろう。その時ちゃんとあやまって許してもらおう。
この状態はあまりにもさみしすぎる。
「まじでさみしすぎや・・・」
矢口がすぐ近くにいるのに自分の側にはいない。そう思うと、なんだか涙まで出て
きそうになる。
明日になれば、また自分に笑いかけてくれるんだろうか。
朝が来れば、また自分の名を呼んでくれるんだろうか。
次から次へと矢口の姿が浮かび上がってくる。
こんな時中澤は、矢口の存在がどれほど自分にとって大きなものか気付かされる
のだった。
心は冷えきっていて、ぜんぜん暖かくならない。
酔う事を期待して、ビールに口をつけるが、それもあんまり意味がない。
単にアルコールに強いだけなのか、心がそれに追いつけないだけのなのか。
自分を暖めてくれるのは矢口だけなのだ。小さな身体で、両手を精一杯のばして
包み込んでくれる。その腕の中があまりにも心地よくて、その腕の中があまりに
も暖かくて。
(だから、ついやりすぎてまうんやなぁ)
わかっているけど、どうにもならない。つい理性を失って、おもいっきり暴走し
てしまうくらい、彼女が・・矢口の事が大好きなのだから。
人を好きになるて・・むつかしいなぁ。
- 462 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月15日(日)18時00分50秒
- 『カチャ・・』
後ろの方でドアが開く音がした。多分、後藤がお風呂からあがってきたんだと思っ
た。これから3人仲良く1つのベッドで寝るはず。はっきり言ってうらやましい。
「ごっちんか〜?」
「・・・・」
「矢口らに明日も仕事やからはよ寝なあかんてゆ〜といてなぁ」
「・・・・」
「あたし、朝だめやから起こしてくれて・・」
「裕ちゃん?」
「!!!」
てっきり後藤だと思ってた。彼女が今夜、寝室から出てくる訳がないと思ってた。
でも、この耳に聞こえたのは、間違いなく矢口の声。
あわてて身体を起こして、声がした方へと顔を向ける。
そこに立っていたのは、ついさっき中澤に対して冷たい視線を向けて、市井と一
緒に消えて行った矢口真里。
「や・・矢口・・」
「よっ♪」
「な、なんで?なんで矢口がここにおるん?」
変に明るい顔して、中澤に声をかける矢口。
目の前で起きてる事が信じられない中澤。
なんや?なんで矢口がここにおるん?
なんで矢口、笑っているん?
あ〜、そんな事どうでもいい。矢口や・・あたしの矢口や。
ソファから立ち上がって、小走りに矢口へと近づいて行った。今すぐ抱きしめて
しまわないと、また消えていってしまいそう。笑顔と泣き顔が混ざってような、
なさけない顔をして中澤は、矢口の元へと駆け寄った。
「どしたんや、矢口?」
「・・紗耶香に追い出された」
「はぁ?」
「後藤と2人で過ごしたいから、矢口はジャマだって追い出されたの!!」
「追い出されたて・・・」
さすがに、抱きしめさせてはくれなかったが、こうやってちゃんと会話してくれ
るだけで嬉しい。
矢口の髪はすっかり乾いてて、ちょっと触れたくなってくる。上目遣いに自分を
見る視線が、側に矢口がいるんだって安心感を与えてくれる。
ちょと待て、紗耶香?・・・そうか、あいつがやってくれたんか。
あたしと仲直りさせよう思て。あぁ、なんていいヤツや。
あんな事してほんまにすまん!!
『ま、なんとか仲直りできるようにがんばるからさ』
市井はそう言って、寝室へと消えていったんだ。
- 463 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月15日(日)18時01分26秒
- 「だからさぁ」
「・・・・」
ちょっと不機嫌そうな顔がまたかわいい。矢口がどんな表情しても、その全てが
かわいい。
かわいくてかわいくて、中澤の目が自然と細くなる。
(裕ちゃん・・・絶対わかってる。矢口が今から言う言葉、絶対に期待してる)
そんな顔されたら、素直になんか、なかなかなれない。あんなに大見栄きって出
てったというのに、またここに・・中澤の元にと戻ってきたんだから。
(でもね、あんなに嬉しそうに矢口の事見てくれた裕ちゃんには、やっぱりかな
わないよぉ。どんなにいじわるされたって、矢口は裕ちゃんのほんとの気持ちが
わかってるから、だから・・・)
たっぷり間をもたせて、矢口はポツリと呟いた。
「今夜はこっちで寝ていい?」
「やぐち〜」
(待ってたんや、その言葉ぁぁ♪)
「だめ?」
「ぜんぜんええに決まってるやんかぁぁぁぁ!!!」
(もぉ我慢できん!!)
両腕をバッと開いて、そのまま矢口を抱きしめる。今まで我慢していたものがこ
こで一気に爆発した。
「ちょ、裕子ぉ。痛いってぇ」
「矢口〜、ほんまごめんなぁ。ほんまにごめんなぁ」
「もぉ、いいてば」
「あ〜!!矢口好きやでぇ」
「あ〜も〜うるさい」
「やぐちぃぃ」
腕の中でじたばたする矢口の感触が、この中に、この腕の中に矢口がいるんだと
実感させてくれる。大きく深呼吸すると、矢口の髪の香りも一緒になって、その
香りが、自分と同じシャンプーの匂いなのがすごく嬉しい。
もうこの腕は離へん。もう矢口からは離れへん。
もう1人なんか耐えられへん。
矢口が側にえんと、裕ちゃん生きていかれんわ。
矢口をギュッと抱きしめてまま、中澤は宝物にでも触れるかのように、優しく優
しくそのホホにキスするのだあった。
- 464 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月15日(日)18時05分56秒
- お互い様、更新です。
はい、裕ちゃんと矢口も仲直り〜。
やっぱりこの2人はラブラブバカップルでいたほしいってもんです。
>457さん
ありがとうございます。
ここの市井ちゃんは、なんか妙に冷めてました(笑
他の3人をうまい具合に操っている様に見えるのは、自分の願望のせい?
>BOOTLEGさん
うわぁ(笑
なんだか、恐縮っす。ありがとうございます。
裕ちゃんは、矢口がからむとへなちょこくんなんですよ。
甘々目指してがんばります。
>I&Gさん
どこまでって・・何を期待してらっしゃるのやら(笑
まずはやぐちゅ〜の話からさせて頂きます。
- 465 名前:Yambo 投稿日:2000年10月15日(日)20時53分12秒
- おっ、今度は裕ちゃんがメインだー♪
ホント心理描写が上手いなー。ここの裕ちゃん、矢口にメロメロですね。
私もこの二人にはラブラブバカップルでいてほしいです。
まだまだ夜は長いですよね(笑)
- 466 名前:ゆうや 投稿日:2000年10月15日(日)23時22分15秒
- 裕ちゃんと矢口が仲直りしてくれて(というより矢口が許してくれて?)ほっとしました〜。
次も期待してます。
- 467 名前:Qoo 投稿日:2000年10月15日(日)23時42分02秒
- ラブラブバカップルやぐちゅ〜仲直りだぁ。
良かった。甘々万歳♪
隣の部屋のいちごまも気になるところですが(笑
- 468 名前:さんちー 投稿日:2000年10月16日(月)00時57分47秒
- うはあ。久々にみたらこんなにたくさん読めた★
良かったなあ、ゆうちゃん。へなちょこだけど愛すべきキャラですね○
いちごまもあまーく、とろけさせて下さい。
楽しみに読んでますよ〜★★
- 469 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年10月16日(月)01時30分57秒
- ゆーちゃんの「期待通りの反応するからいじめたくなる」っていうセリフに激しく同意!
矢口のキャラってそこなんですよね。自分の思うとおりの反応するから、
そこがまたメチャクチャかわいいんですよねぇ。
いちごま小説なのに・・・やぐちゅーもいい!
ハッキリ言ってここまで書けたら反則(わら
- 470 名前:まいのすけ 投稿日:2000年10月16日(月)14時34分31秒
- 久し振りに読んだっす。
やっぱしココは安心して甘甘を見れますね。
やぐちゅ〜が仲直り出来たので、今度はいちごまが甘甘っすね。
楽しみです、頑張って下さい。
- 471 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月17日(火)12時37分16秒
- 初めて読ませて頂きましたが、めちゃくちゃおもしろいですね。
ここの後藤と市井がすっごい好き。
話変わるんですけど、連続して投稿するのってどうすればいいんですか?
もう少ししたら小説を書こうと思ってるんですけど、その仕方がわからないので
書くに書けません。どーか私に、連続投稿の仕方を教えて下さい。
- 472 名前:吟遊詩人 投稿日:2000年10月18日(水)02時47分29秒
- >>471
自分は、串ランチャーで、
生と串とで交互に攻撃しています(藁
- 473 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月18日(水)03時57分51秒
- 昨日のハッピーバースデー見て、こんなネタ考えてしまいました。
終ってるかも、自分。
というわけで、「短いんですけど、やぐちゅ〜」です。
- 474 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月18日(水)03時58分41秒
- 「座右の銘」
きっとあたしに振られるだろうと思ってた。
辻&加護の答えはまんまその通りって感じやんか。
ここでキッチリ落としとかなな。
リーダーっちゅうのは大変や。
あたしの頭に浮かんできたのは。
『弱肉強食』
ま〜、説明せんでもわかるやろうけど、そのまんまの意味や。
この世の中生きていくのに、義理人情も大切やろうけど。
やっぱり最後は実力がものをいう。
ちょっとでも油断してたら、いつ飲み込まれてしまうか。
あたしらはそんな危険な橋を渡ってるんや。
もうちょっと自覚せなあかんで?
ってもまだ13か。
これから少しずつ教えてかなあかんな。
まだまだがんばれっちゅ〜ことか。
- 475 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月18日(水)03時59分16秒
- 所変わってあたしのマンション。
帰ってくるそうそう、ソファにどっかと座り込んでビールなんか飲んでいる。
か〜、やっぱ仕事の後の一杯は格別や〜。
こんな時間を過ごせる幸せをあたしは大事にしていたい。
でもな、実は一人やないねん。
ちっちゃいのがついてきいるんや。
誰かて?
そんなんあいつに決まってるわ。
「裕ちゃ〜ん・・・あぁぁ!!またビール飲んでるぅ」
ほ〜ら、出てきよった。
はいはい、すいませんねぇ。止められてたのにビールなんか飲んじゃって。
ふむ、怒った顔もかわいいで。
「も〜、明日も仕事だよぉ?」
わかってるて、そんな事。
せやから最近はずっとがまんしてたやん。たまにはゆっくり飲ませてぇな。
ふむ、心配そうな顔もかわいいで。
「そんなんばっか飲んでると、おなか出てきちゃうんだからぁ」
うう、こいつ痛いとこついてきやがる。
そうです、最近ちょっとやばいかな思てアルコール絶ちなんかしてたりしてます。
でもな〜、やっぱり飲みたくなっちゃうんや。
今日だけ許して〜な。
そやそや、みんなにも紹介してやらんとな。
マイ・スウィート・ハニーの矢口や。
あ?そんなん言われんでもわかってる?
さすがはこんな長い板読んでる人なだけあるわ。
- 476 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月18日(水)03時59分52秒
- こいつ、何かとつけてここに来よる。
かる〜い口調で「裕ちゃんち、今日泊りに行ってもいい?」なんて聞いてくる。
そんな感じでここに来ていいんか?
裕ちゃんちに来るって事は・・・そういう事やで?
わかってるはずなのに、平気な顔して言ってくる。
そ〜ゆ〜事、してもええってことなんかいな。
「聞いてるの?裕ちゃん」
はいはい、ちゃんと聞いてるで〜。
あたしは無言でコクコクとうなづいてみせた。
だって、ビールが口をふさいでる。
「も〜!!ぜんぜん聞いてな〜い!!」
ちゃんと聞いてるて。口はふさがってても耳は活動してるし。
再びビールを飲みながら、あたしはそう目で訴えかける。
「矢口、裕ちゃんの事心配してるんだよぉ?」
ちょっと泣きそうな顔をしてそう言う矢口もまたかわいい(笑)
あかんなぁ、かなり重症や。
なんかな、色んな事してみたいと思うんや。
笑わかせてみたいなーって思うし。
困った顔もさせたいなーって思うし。
泣き顔も見てみたいなーって思うし。
みんなもそう思うやろ?
矢口ってなんかそういうとこがある。
つらそうな顔も見てみたいなーって・・おっと、これはちょっとあかんな。
あの顔はあたしだけのもんやで?
誰にも見せれへんなぁ。
- 477 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月18日(水)04時00分30秒
- 「わかってるて」
あたしはそれだけ言うと、缶を机の上に置いた。
ちょっと惜しい気もするが、今夜はこのくらいでやめておこう。
あんまりいじわるすると後が怖い。
「よし♪」
ニコッとした顔がまたかわいい・・ってしつこいか?
ビールを飲むのを止めると、ちょっと口がさみしくなってくる。
ん〜、なんかかわりになるようなもん・・・。
キョロキョロと視線を動かすあたしの目の前に、おいしそうなモノが。
これしかないって感じ?
ビール取り上げたの矢口やから、その代わりもちゃんと用意してもらわんと。
「なー矢口・・」
「なに?」
「ちゅ〜してええか?」
「えっ?」
いきなりの質問に矢口の動きは止まってしまった。
こんな所もか・・・は、いい加減怒られそうや。
否定も肯定もさせないまま、あたしは強引にそのおいしそうな唇へと近づいていく。
いっただきま〜す♪
ほんとはこうなる事を期待していた。
目の前でビールなんか飲んじゃってたら絶対に止めにくるはずやと。
案の定、矢口は期待通りの事してくれたけど。
いや〜、かわいいなぁ。
「おりゃ!!」
「ってぇ・・・」
後ちょっとって所で、額に走る激痛。
おいこら、裕ちゃんの額、叩きよったな?かなり痛かったぞ?
- 478 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月18日(水)04時01分05秒
- 「そうそう裕ちゃんの手にのってやらないも〜ん」
ウィンクしながらそう呟くと、矢口はキッチンへと戻ってしまう。
こら待て、ここまでさせといて逃げるんかい。
小さな後ろ姿を見つめながら、あたしはガバッとソファに倒れ込む。
なんか最近こういうパターンが多い気がする。
その気にさせといて、スッとかわされる。
あいつ、どこでこんなやり方覚えてきたんや。
前はまだ強引に攻めれば落ちてきてたはずやのに。
ここんとこそれさえも許してくれへん。
つまみ食い命の裕ちゃんといたしましては、ちょっと悲しい。
なんか、うまいこと手なずけられてる気がする。
ごちそうを目の前にしてそれが食えんなんてつらすぎや。
あたし、すっかりへなちょこになったみたいやわ。
おかしいなぁ、ちょっと前までは『怖いリーダー』で通ってたのに。
なんでこんな風になってもたんやろ。
・・・・・あいつのせいか。
考えなくてもわかっている。
あたしがこんなにかわいくなってしまったのも。
全部、矢口と知り合ってから。
全部、矢口と付き合い始めてから。
矢口の事が好きになってしまってから。
矢口なしでは生きていかれへんくらい。
矢口の事が大好きになってしまってから。
もう完全に骨抜きっすわ。
- 479 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月18日(水)04時01分37秒
- 向こうから聞こえてくる、食器を洗ってる音
覗きに行きたいのをこらえつつ、あたしは再び缶に手をやる。
キスさしてくれへんのなら、飲んでもいいって事やろ。
このまま大人しく待っているほど聞き分けがいいわけやないし。
かといって後を追いかけるのもくやしい気がする。
ここはジッとがまんでいくか。
あ〜ぁ、天下の中澤裕子も落ちぶれたもんや。
10も下の女の子に振り回されてる。
でも、こ〜ゆ〜のが心地よかったりして。
矢口とつきあう特権ってやつですか?
うらやましいやろ。
はよ、戻ってこいや、矢口。
はよ、裕ちゃんの側に戻ってこ〜い。
まじで待ち切れんわ。
大好きやで、矢口。
もう、あんたにメロメロや。
あたしの座右の銘。
『弱肉強食』
食うか食われるかの闘い。
あたしはどっちなんやろう。
できれば『強』の方がええけどな(笑)
- 480 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月18日(水)04時14分27秒
- あぁ、ちょっとした発言もこんな事になってしまう。
そろそろ、落ち着けよ自分(爆
>Ymboさん
はい、夜はまだまだこれからです。
矢口と裕ちゃんの夜も後藤戸市井ちゃんの夜も。
っていうか、長すぎて困ってます(笑
>ゆうやさん
矢口もなんやかんやいって裕ちゃんには甘いのです。
で、それに血用紙にのっちやう裕ちゃんが好きだったりして(笑
がんばりま〜す!!
>Qooさん
やぐちゅ〜万歳!!甘々万歳!!
隣のいちごま・・・まだごまが来てません(笑
>さんちーさん
へなちょこ命で裕ちゃんにはがんばってもらってます。
いちごま、まだ甘くなってないですもんね。
書きたい・・・。
>BOOTLEGさん
正直、矢口はめちゃかわいいと思ってるヤツなんで(笑
自分の視点はまんま裕ちゃんな気がする。
反則って(笑)ありがとうございます〜。
>まいのすけさん
すみません、またしても流れぶち壊しなモノをあげてしまいました。
いちごまは次回っちゅ〜ことで。
甘党ばんざーい!!
>471さん
ありがとうございます〜。そう言って頂けるとまじ嬉しいっす。
う〜んと、普通に記事にレスするってやってけば連続投稿できますよ。
文字数オーバーや、二重投稿になってしまうとちゃんとえらーが出てくれます。
がんばってください。
>吟遊詩人さん
わ〜い♪遊びにきて頂けてありがとうございます。
吟遊詩人さんもがんばって下さい。ちょっとつらいっすけど(笑
- 481 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月18日(水)06時14分35秒
- あいかわらずいいっすねー。
わがままいっちゃえば、これの矢口視点なんかも書いていただければ…なんて…。
いえ、読者のちょっとした希望(欲望?)です。(笑
すいません。
- 482 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月18日(水)12時46分37秒
- たれきりんさん・・・、最近いちごま読み切りないっすね・・・。
たれきりんさんの書くいちごま好きなんで、やぐちゅーばかり力を入れず
いちごまにも力を入れて頂けたら・・・。
お互い様おもろいっす。
- 483 名前:名無し 投稿日:2000年10月18日(水)15時51分29秒
- あの弱肉強食で、インスパイアされてしまうたれきりんさんを
マジで尊敬しますわ。
- 484 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)01時58分59秒
- 今回、更新は2つ。
「お互い様」と「短いんですけどいちごま」です。
なんだか、「お互い様」の方が短いな(笑
- 485 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)02時00分09秒
- 「ふ〜」
鏡の前でホッと息をついた。なんだかんだあって、お風呂に入る時間がかなり遅
くなってしまったが、そんな事はどうでもいい。
「いちーちゃんと一緒に寝れるんだ〜」
後藤の頭の中はこれのみだった。すでに矢口の存在はきれいに消え去っていて、
どうやって市井と夜をすごそうかと、そればっかりが次々と浮かんでくる。
いつもよりか時間をかけてないが、髪もちゃんと洗ったし、身体も隅々まで丁寧
に洗った。別にそんな事は気にしなくてもいいのに、鏡の前で自分の体をチェッ
クなんかしたりして。
やばいな〜。最近ちょっと太っちゃったからなぁ。こんな事ならがんばってダイ
エットしておけばよかった。
ちょっと豊かになってきたウェストをつまんでみる・・・ゲッ!!
いつのまにこんなに!!
腹筋をフル稼動させて、おもいっきりお腹をへこますが、そうすると息ができな
くなってしまう。数秒しない内に「ダ〜ァッ!!」という掛け声と共に、お腹は
元の形へと戻ってしまう・・・悲しすぎる。
どんなにがんばっても、今更どうにもできない現実。
後藤は大きくため息を1つついて、肩にのっけていたバスタオルで頭を拭きだした。
早く、市井ちゃんとこに行かなきゃ。
指に自然と力が入る。髪の毛を乾かしている時間ももったいない。
娘。のお仕事でホテルに泊まる時は、一緒に寝たりとかしてたけど、なんだか今日
はいつものそれとはちょっと違う感じがした。
別になんでもない。こんな事いつものことだ。
1つ部屋で、1つのベッドに、2人が眠りにつく。
市井が先に眠りにつくまで、いつもいつもがんばって起きてるつもりが、何故か毎
回、後藤が先に寝てしまって、気がつけば朝っていうのがいつものパターン。
でも今回はちょっとがんばれる気がしてた。
後藤真希、14才。市井に告白されて、パワーがありあまってます。
そういえば、市井ちゃんここに立ってたんだよなぁ・・・。
何気に視線を移した先に、さっき自分が出てきたドアがあった。
できる事なら、今、市井にここにいてほしい。
そしたら、おもいっきり抱きつけるのに。
それって、裸のままって事ですか?
- 486 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)02時00分58秒
- 2人で残されたのがくやしくて(主に中澤)中澤と一緒になってここに忍び込ん
だのだ。着替えを物色していた中澤を横目に、後藤はというと、矢口と一緒にお
風呂に入っているだろう市井の姿を求めて、ただジッとドア見つめていた。
(市井ちゃんと一緒に入りたかったなぁ)
矢口が市井を誘って、2人で浴室に消えていったその後ろ姿を見ていたら、なん
だかちょっとだけムカッてきた。隣で中澤が騒いでなかったら、多分自分が騒い
でたと思う。先に言えばよかったと後悔もしていた。
市井は何気にモテたりするから、ちょっと気をゆるめると、誰かにもっていかれ
てしまう。それが矢口だったり、飯田だったり。
(早くあがってこないかなぁ)
そんな事をぼんやりと考えていたら、ほんとに市井が現れた。
いきなり開いたドア。もちろん、後藤の視線はくぎ付け。
風呂上がりの市井の姿。
ぬれた髪と驚いた顔。
毛先からこぼれる水滴とそれが伝うピンク色の肌。
細い肩と細い腕。
そして、かなり大きめの胸・・・。
自分と正反対の閉まったウエスト。
そして、思いのほかしっかりしている腰。
その下はさすがにはずかしくて見れなかったけど、でもちょっとだけ見てしまった。
(・・・わぁ〜)
この件についてはノーコメント。
後藤の胸の中の奥深くにしまっておく事にした。
すばやく視線を市井の顔へと戻す。
忍びこみ組の姿を交互に見つめつつ、ただあぜんとしている市井。
いい気分でお風呂からあがってきたのに、ほっかむりを着けたまぬけ2人を見れば、
誰だって放心状態になってしまう。
市井の思考回路は智勇段されてしまっていた。
後藤の目の前に何にも身につけていない市井の姿。
(いちーちゃんだぁぁぁ♪)
そこで喜んでいてどうするつもりだ、後藤よ。
どんな時でもどんな格好でも、市井の姿が見れればそれだけで幸せ。
たとえ後から怒られちゃったとしても(笑)
- 487 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)02時02分24秒
- 「早く、市井ちゃんのとこに行かなきゃ」
やや雑ではあったが、なんとか髪も拭き終えて、大急ぎで服を着ていく。
待たせちゃだめだ〜。また市井ちゃんに怒られちゃうよ〜。
焦りまくる後藤に下着は言う事を聞いてくれない。
まだ少し濡れていた太股の所でグッへばりついてしまい、ちょっとバランスを崩
しそうになる。ふんばる足が悲しく揺れた。
うっ・・こんなとこにもおニクがついちゃってる。
え〜い、いっちゃえ!!
落ち込みそうになった自分を無理矢理奮い立たせ、半ば強引に上にあげる。
中澤から借りた短パンとTシャツ。
パジャマ貸したるで?という言葉を丁寧にお断りし、タンスの中からひっぱり出
してきた。
裕ちゃんの趣味って、後藤にはちょっと合わないんだよなぁ。
もちろん、口には出さない。
服を全て身につけて、後藤は今一度鏡の前に立った。
ニカって笑うと、同じ笑顔で返してくるもう一人の自分。
そっちの後藤も嬉しい?こっちもすっごく嬉しいよ〜。
今日は、なんかケンカしちゃったみたいになっちゃってたけど、最後はちゃんと
仲直りできたし。それにね、後藤の事大好きだって市井ちゃんが言ってくれたん
だよ〜。それもギュッて抱きしめながら。
鏡の中の自分にもう一度笑いかける。
「よし!!」
両手でホホに一発気合を入れて、ドアノブに手をかけた。
待っててね、市井ちゃん。愛する後藤がすぐ側に行くからね。
今夜はずっと2人一緒だよ〜。
まだ矢口の事を忘れている後藤であった。
- 488 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)02時03分38秒
- 「お互い様」はここまでです(笑
まじで短い。
さ〜、んで「短いんですけどいちごま」っす。
- 489 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)02時04分51秒
- 「愛する術」
あぁ、あの瞳だ
あたしがわざと傷つけて、その後に必ず見せるあの瞳だ
あたしが好きでたまらない、あいつの瞳だ
悲しみの中には、その人への想いがつまってる
どれだけ自分の事が好きなのか
どれだけ自分の事を想っているのか
それを確かめるように、あたしはあいつを傷つける
そして・・・その悲しそうな瞳を見て、あたしは満足するんだ
あいつはあたしを愛してると
あいつはあたしの物なんだと
あいつはまだあたしの腕の中にいるんだと
相手を傷つけて得る安心感
いつか、この腕の中から飛び出して行く
あたしという物に興味をもたなくなる
あたしの事なんか見てくれなくなる
その時がやってくるのを待っているのかもしれない
あたしはその時、あいつの背中を追っているのだろうか
この腕の中に再び閉じ込めたくて、必死になって追っかけているのだろうか
- 490 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月19日(木)02時05分00秒
- お、リアルタイムで読んでる♪
- 491 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)02時05分48秒
- 全てから守ってやりたいという想いと
その全てを傷つけてみたいという感情
あたしの中でこの2つが攻めぎ合って
触れたくなるようなその笑顔と
涙を流してただ黙って見つめるその瞳
あたしの中がこの二つを求め合ってる
好きなんだと想う
あたしはあいつが好きなんだと想う
あいつはどこまで追いかけて来てくれるんだろう
あたしの事をいつまで想い続けてくれるんだろう
この両腕でギュッと強く抱きしめて
この両腕でドンッてあいつをつき放つ
腕の中にいる時の不安な気持ちと
ぬくもりが感じられなくなった時の甘い呟き
それでもあたしを求めてほしい
泣いたままのその顔で
あたしの名前を呼んでほしい
あたしの事を抱きしめてほしい
- 492 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)02時06分26秒
- そんな方法でしかあいつの想いを確認する術をしらなくて
これってなんていうんだろう
小さい頃に好きなヤツをいじめちゃうって
あれかな、やっぱり
それだよな、やっぱり
あたしもまだまだガキっ事か
あぁ、この瞳だ
あたしがあいつを傷つけてるのに、それでもあたしを求めているその瞳だ
あたしが好きでたまらない、後藤の瞳だ
- 493 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)02時12分10秒
- はい、以上です。
なんだか無茶苦茶な事してしまった気がする(笑
甘いの書いてるとせつないっぽいのが書きたくなるんですよ〜。
ごめんです!!
>481さん
矢口視点ですか〜。どうしましょ〜か(笑
これ、裕ちゃんの一発モンだったんですけどね。
でも、すぐその気になってしまうのが自分の悪いとこだ(爆
>482さん
というわけで、いちごま短編UPしました。
でもどうしてもせつなくなってしまう・・・これも自分の悪いくせ(笑
>483さん
裕ちゃんの一言であれができあがってしまいました。
あぁ、たった一言だったのに・・はぁ〜(笑
尊敬なんてそんなそんな!!
>492さん
それってちょっと恥ずかしい(笑<リアルタイム
- 494 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月19日(木)02時13分04秒
- 490さんの間違いだった・・・。
- 495 名前:490 投稿日:2000年10月19日(木)02時15分52秒
- 489で書き込むつもりだったんだが
作品の途中でかきこんでしまったな
すまん 邪魔をしてしまった
- 496 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年10月19日(木)02時48分05秒
- もうダメだ…萌えまくり。
ゆーちゃんの矢口を想う気持ちがどうしようもないくらいかわいい。
後藤の一直線に想う市井への気持ち。市井の真摯で苦悩する後藤への気持ち。
全部が全部かわいくて、せつなくて、どこか儚い。
あー…もうダメ。ホントに萌えまくりだ。俺(わら
- 497 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月19日(木)08時21分23秒
- >そっちの後藤も嬉しい?こっちもすっごく嬉しいよ〜。
この文章うまいっすねえ・・。
- 498 名前:Yambo 投稿日:2000年10月19日(木)21時47分51秒
- ちょっと一気読み。
いいなぁ〜♪、たまらんなぁ〜♪たれきりんさんのやぐちゅー&いちごま
ほんとにそれぞれの気持ちを上手く表現していますね。
さぁ、いよいよ怒涛の就寝編突入かぁ!?
夜はまだまだ長いですよね、長くていいんです(笑)
さぁ、後藤、市井のもとへ急げっ。
- 499 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月24日(火)20時51分01秒
- 「あれ?」
後藤が浴室から出てきて、まず最初に目にしたのは中澤の姿だった。
寝室から少し離れた所で、ぽつんと一人立っている。
(なんで裕ちゃんこんな所に・・ん?)
眉間をちょっとだけ寄せて首を右に傾ける。後藤が考え込む時につい出て
しまういつものしぐさ。「ん?」は小さく声に出す。
あ!!もしかして、市井ちゃんの事、覗きに行こうとしてるとか?
裕ちゃんが市井ちゃん覗き?そんな事するわけないか〜。
じゃ、何してるんだろ?
不思議に思いながら見ていると、中澤の背中に回された2本の腕に気付く。
(あれって、誰の手?)
確かに誰かをその腕に抱いている。それは間違いないと思った。
自分の身体を抱きしめて、告白なんてまぬけな事、いくらあの中澤裕子でもやり
はしないだろう。では、いったい誰をその胸に抱いているのか?
「好きやで・・・」
(えっ!?)
いつもと違う声。なんとなく背中がもぞもぞしてくるような。
その声は微かにかすれていて妙に熱をおびている。
(うっわ〜、告白しちゃってるよ〜)
とんでもない時に出てきてしまったみたい。これっていわゆるラブシーン?
いつもおちゃらけている中澤とは違う、かなり甘〜いふいんき。
なんだか後藤もドキドキしてきた。
どうしよ〜。早く市井ちゃんとこに行きたいのにこれじゃ行けない〜。
なせだか焦る後藤を尻目に、2人の空気はどんどん甘くなっていく。
中澤のささやきに答えるように、その手の持ち主は、背中に回されている腕に力
を込め、服をギュッとつかんだ。
引っ張られてできたシワがなんとなくえっちっぽい。
- 500 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月24日(火)20時51分50秒
- ゆっくりと下りていく中澤の肩越しに、見覚えのある頭が見えてきた。
あの身長と中澤の腕の中にいるという事実。もう彼女しかいない。
(やぐっつぁんだぁぁぁ!!!!)
はっきりこの目で見てしまった。
一瞬、矢口と目が合ったような気がした。後藤が2人を見ていることが気付かれ
てしまったような気がした。しかし、後藤を見た思ってた視線は、目の前にいる
中澤のみに向けられていて。
裕ちゃんとやぐっつぁん?
なんで?なんで?後藤がお風呂に入る前、ケンカしてたはずなのに?
なんでこんなとこで・・・・ラプシーンしてるの〜?
後藤の存在にぜんぜん気付かず、中澤と矢口は2人だけの世界へと入り込んでし
まっている。
ただ、何もできずにじっとその場を見つめていると、中澤の頭が、ゆっくりと矢
口の顔に近づいていく。
目を閉じている矢口の顔、首を横に曲げ、背中を丸める中澤。
そして、重なり合う2つの唇。
(キス・・・してるんだ・・)
はじめて見る2人のそんな場面に、後藤はただ食い入るように見つめるしかでき
なかった。とてもじゃないが、声をかけるふいんきではない。
中澤の服をつかんでいた矢口の指が、少しずつ緩められていってる。
ふさがれている唇からもれ聞こえてくる矢口の声。
少しずつ動いていく中澤のあごのライン。
そして、だんだん静かになっていく後藤の心。
さらに深く求めようと、矢口を抱きしめる腕に力が入る。
その反動で、2人の身体がゆっくりと入れ代わっていく。矢口の顔が少しずつ見
えなくなって、反対に中澤の顔がこちらへと向いてくる。
閉じられたまぶたが、かすかに震えているような。
(・・・裕ちゃん)
いつもは絶対に見せないだろうその顔が、なんだか後藤の心を締め付けさせる。
そんな2人がうらやましい。
- 501 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月24日(火)20時52分22秒
- 矢口を腕に抱いていて、あたしは幸せ気分でうひょうひょしてた。
今日、はじめてやないやろか、こうやってこいつを思いっきり抱きしめるのって。
いやぁ、なんか長い一日やったわ。
「好きやで・・・」
ありったけの想いを込めたこのささやきは、こいつにしか聞こえへん。
この腕の中にいる、矢口にしか言わへん。
やっとつかまえられたんや。そう簡単には離さへんで。
矢口・・・もっとあたしにあんたを感じさせてぇな。
矢口・・・もっとあたしを感じてぇな。
くるんと体を入れ替えて、さらに深く求めようとしていたあたしの、少しだけ開
かれたこの瞳に誰かの影が飛び込んできた。
うちらの他に誰もえんはずやのに。なんや?幽霊か?
あたしはその時すっかり忘れていた。ま〜、仕方ないっていえばそれまでなんや
けど。だって腕の中に矢口やで?他に何を考えろっちゅ〜ねん。
片目だけ開けて辺りを見渡してみた。そして心の中でのため息。
あぁ、こいつがいたんやった。たしか、あたしを置いて自分だけさっさと風呂に
入っていきよったんや。
浴室のすぐ近くで、まぬけな顔したごっちんが、あたしに向って手を振っていた。
(ごっ!!)
思わず、矢口とキスしたまんま叫んでしまいそうになった。あぶないあぶない。
しかし・・・なんでごっちんそこにおんねん。
なんでそこで手なんか振ってんねん・・・っちゅ〜か、見てんなって。
心持ちニヤニヤしている様なごっちんの顔を見て、あたしはふと我に返った。
- 502 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月24日(火)20時52分58秒
- ちょっと待て・・・あそこにごっちんがいるっちゅ〜ことは・・・。
もしかして、今までのずっと見られてたってことかいな?
間違いない。確実にちゅ〜してるとこは見られてしもた・・・ありゃ。
こ〜なったら、今更じたばたしてもしゃ〜ない。
とりあえずは、矢口の気付かれんと、なんとかしてごっちんを寝室にやってしま
わなあかん。ここで矢口に気付かれでもしたら、今までの苦労が全部パァや。
こいつの事やから、恥ずかしなってあたしから離れていってまうかもしれん。
それだけはいやや。
あたしはそう決めると、早速それをごっちんに伝えようとした。
矢口を抱きしめてた右手をそっと放し、まだホ〜ッと突っ立っているごっちんに
向って合図をした。そのまま紗耶香んとこへ行けってな。
頼む、ごっちん。矢口にばれんとそのままベッドへと行ってくれ。
あんたがこのまま静かにしてくれてたら、今夜はもう、絶対そっちジャマしに行
かんから。そっちはそっちで楽しんで下さい。こっちはこっちで楽しむから。
その合図を確認したのか、ごっちんは無言でこっくりとうなづくと、そ〜っと静
かに一歩ずつ歩き出した。
そやそや、その調子や。そのまま静かに行ってくれ。
あたしは矢口を抱きしめている腕に再び力を込めた。なんかのはずみでごっちん
の姿を見てしまわないように、右手で頭をギュッと押え込む。
「裕ちゃん・・・・」
あぁ、こんなに近くであたしの名前を呼ぶ声が聞けるなんて・・・ほんまに裕ちゃ
ん幸せやで、矢口。
腕の中にいる大切の人。今夜は絶対にこの腕の中から出て行かせへん。
今夜はずっと一緒やで?
せやから・・・お願いやからごっちん見んといてくれぇ。
- 503 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月24日(火)20時53分30秒
- 裕ちゃんの進めの合図を見て、あたしはそっとそっと歩き出した。どうやら、や
ぐっつぁんにはまだ気付かれていないみたい。
まかせといてよ、裕ちゃん!!
後藤真希、14才。やぐっつぁんにばれない様にがんばります!!
できるだけ2人から離れるように意識しながら寝室へと向かう。
でも、裕ちゃんの視線は、ずっとあたしの事おっかけていて。
も〜、だいじょぶだって。心配しないでよ〜。
あたしは、ちょっと唇を尖らせて抗議してみた。でも、裕ちゃんの一睨みでそれ
も消える。寝室に向って歩いて行くんだけど、やっぱり裕ちゃん達が気になって、
どうしてもちらちら見ちゃう。だって、はじめて見たんだもん、キスシーン。
なんかすごいとこ見ちゃった。
裕ちゃん達ってほんとすごい。いっつもこんな事してるのかな。
普段見せられてる様な、そんな感じじゃなくて。
今は、やぐっつぁんの顔は見えないけど、なんか本気っていうか・・ぜんぜん冗
談じゃないっていうか。めちゃくちゃ色っぽいっていうか。
なんだかすっごくうらやましい。
あたしも・・・後藤も市井ちゃんに抱きしめてもらいたい。
耳元で『好き』って言って欲しい。
市井ちゃんに・・・・・・・キスしてほしい。
思い浮かべるのはいつも市井の事ばかり。
裕ちゃんって、今、すっごく幸せなんだろうな。
大好きなやぐっつぁんの事抱きしめられて、すっごくすっごく幸せなんだろうな。
大好きな・・・大好きな市井ちゃんは、後藤の事、抱きしめてくれるのかなぁ。
後藤の動きを確認しつつ、器用に体を移動させていく中澤。矢口の視線の死角へ
死角へと回り込み、なんとか後藤の存在を気付かせないように。
涙ぐましいその姿・・・そんなに矢口といちゃいちゃしてたいのか?
裕ちゃんって、さすがだよ〜。うまい事、後藤の事隠してる。
そんなにのんきに感心してないで、早く市井のとこへ行った方がいいのでは?
- 504 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月24日(火)20時54分02秒
「裕ちゃん・・くるしい・・・」
「あ、ごめん」
ちょっと力を込めすぎたか。矢口は少し赤い顔してあたしに訴えかけてきた。
あたしが強く抱きしめたから、苦しさのあまり顔が赤くなってきたのか。
それとも、あたしに抱きしめられてるのが嬉しくて、それで赤くなってきたのか。
裕ちゃん、後の方がえ〜なぁ。
上目遣い。
ほんのり上気してピンクに染まってる頬。
そして、あたしを呼ぶ舌ったらずなその声。
何もかもがあたしの欲望をかきたてる。
矢口の存在そのものが、あたしを野獣(笑)へと変えていく。
あ〜!!かわいすぎやっちゅうねん。
あんたはなんでそんなにうちの心にズトーンとくるんや?
好きやぁぁ!!!めちゃくちゃ好きやでぇぇぇ!!!!
微かに開いた唇。
そこから漏れてくる吐息。
そして・・・くちづけ卓たくなるような首のライン。
何もかもがあたしを誘っている。
矢口の全てが、あたしの理性を壊しにかかる。
いつもならちゅ〜してまうタイミングなんやけど、さすがにごっちんが見てると
思うと、それもやっぱりやばいやろ。って、もう見られてしまたけどな。
いくらなんでも続けてうちらのラブラブシーンを見せるわけにはいかんやろ。
後から紗耶香にも怒られてしまうよって。
一応、これでも『モーニング娘。』のリーダーやから。
こら、こっち見とらんと、はよ〜部屋に行けっちゅ〜ねん。
裕ちゃんのガマンももう限界や。
- 505 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月24日(火)21時00分42秒
- 「お互い様」更新っす。
すみません、後藤はまだ市井の元にたどりついてません(笑
どうしてそんなにひっぱるのか?
それは、自分、やぐちゅ〜好きなもんで(爆
次回はやっと本命の「いちごま就寝編」っす。
がんばるぞっと♪
>490さん
い〜え、気になさらずに。
なんだかドキドキしちゃいましたよ〜。今、読んでるんだなぁって
思って。これからもよろしくっす。
>BOOTLEGさん
萌えていただき光栄です。
途中で短編入れちゃったんですけど、「お互い様」と妙に合ってる気がして
なんとなく、ホッとしているたれきりんです。
裕ちゃん→矢口と後藤→市井、市井→後藤の想いって・・・なんだかいいで
すよね。書いてて楽しいんですよー。
>497さん
ありがとうございます〜。
鏡に向ってそう言ってそうじゃありません?
市井ちゃんにラブラブ後藤ですから〜(笑
もっと幸せにさせてあげたい今日このごろ。
>Yamboさん
まだ就寝編にはなってません。すみません(笑
まだまだ夜は長かった。
いちごま編はどれくらいになるんだろう。
やべっす。
- 506 名前:ムーミン 投稿日:2000年10月24日(火)23時42分12秒
- うっわ〜い!!ついにこの瞬間がきたのですねっっ!!
神様たれきりん様ありがと〜〜!!!!!
- 507 名前:I&G 投稿日:2000年10月24日(火)23時53分23秒
- よかったっす。
ありがとう。たれきりんさん!!
- 508 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年10月25日(水)00時00分39秒
- やっとだよ…ホントにやっと来たってカンジ。
やぐちゅーに刺激された後藤の行動がミモノだと思います…
さあ、長いぞ! 夜は(w
- 509 名前:Hruso 投稿日:2000年10月25日(水)00時39分06秒
- ついに、ついに待望のいちごま就寝編へ。
- 510 名前:Yambo 投稿日:2000年10月25日(水)20時08分34秒
- 待ってましたー♪
それにしても、裕ちゃんの努力は涙ぐましい(笑)
さすがねーさんって感じですね。
いちごま就寝編、長編でもいいですよぉ(笑)
- 511 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)01時34分09秒
- (静かに・・・静かにと・・)
足の先まで全神経を行き渡らせて、まさに抜き足差し足で進んでいく後藤。
使命はただ一つ。
『矢口に自分の存在を知られない事』
今までなにかと中澤にお世話かけてきた者といたしましては、こ〜ゆ〜時ぐらい
彼女の想いをジャマしたくない。ここでヘマをやらかしてしまっては、後で地獄
を見てしまう。
(後、少しで市井ちゃんに会える♪)
目の前のドアを開けば、市井が自分を迎えてくれる。
『後藤、おかえり、待ってたよ』なんて、くらくらの笑顔で迎えてくれる。
そう思うと、なんだか叫びだしてしまいそう。
「いっ!!!」
自然と出てしまった市井の名を呼ぶ声。後藤はあわてて口をふさぐ。
(やばい!!言っちゃった〜)
そっと後ろを向けば、何事もなかったように中澤が矢口を抱きしめていた。
どうやらあそこまでは聞こえなかったらしい。ホッと胸をなでおろす。
しかし、中澤の睨みは継続中。
(ごめ〜ん、裕ちゃん)
手のひらを顔の前に持ってって、表情であやまる。
それを見て、再度手のひらをヒラヒラさせて、後藤に催促する中澤。
でも、中澤の視線はこっちに向いているというのに、よ〜く見れば、口は何かを
呟いていて、それに答えるように、時々矢口の頭がうなずくように動いている。
中澤裕子、だてに年はとってない。こういう技も使えるのだ。
それを見ていると、なんだかやる気がわいてきた。
あんなラブラフ場面を見せ付けられてしまっては、これからの市井との夜に後藤
もがんばらなきゃという気持ちになってくる。
それを中澤に伝える為に、グッとガッツポーズを作った。
(裕ちゃんもがんばって!!後藤もがんばる!!)
何に対してがんばるというのだろうか。とりあえず、それしか頭に出てこない。
真剣な顔でガッツポーズを向けられて中澤は、ちょっとニヤケた笑いを見せた。
軽くウィンクして、右手の親指を立たせる。
これが中澤の返事。がんばれの合図。
後藤は笑顔のままうなずき返し、ドアのノブに手をかけた。
きっと矢口はこのまま中澤の所で寝てしまうだろう。
という事は・・今夜は正真正銘、市井と2人きり。
はやる気持ちを押さえつつ、最後にもう一度、中澤達を確認してみた。
(よーし!!ばれなかった〜!!)
後藤は、静かに静かにドアを開けた。
- 512 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)01時34分59秒
- 『カチャ・・・』
後藤の事で頭が一杯になっていたあたしの耳に、ドアノブがゆっくり回される音が
聞こえた。やっと上がって来たのかな?
これで裕ちゃんが入ってきたら、あたし・・怒るぜ?
なんだかドキドキしてきたぞ?落ち着け、市井紗耶香!!
今夜はまだまだ長いんだ。これくらいで緊張してどうする。
ドアを見つめ続けていたあたしの瞳に、待ち続けてた人の姿が飛び込んでくる。
ちょっとボサボサの髪と、首にまいた白いタオル。
着ているTシャツは、後藤には小さいみたい。見事に逆三角形な身体のラインを浮
き出させている。
上から下まで観察し終わり、あたしは視線を顔に戻した。
あいつの顔ははちきれんばかりの笑顔で、あたしの心は一気にドキドキ感を増す。
「好きだよ、後藤」
自然と口から滑り出た言葉。
なんだかわかんないけど、好きなんだよな。
理由なんて言えないけど、大好きなんだよな
後藤の顔がくしゃくしゃになる。
あたしもつられてくしゃくしゃになる。
この胸に飛び込んでこいとばかりに大きく両腕を広げ、あたしは後藤の名を呼んだ。
「いちーちゃぁん!!」
そうそう、そのまま走って来い。
あたしに向って一直線に突撃して来い。
後藤の全部を抱き止めて、しっかりギユッと抱きしめてやる。
もうなんでもいいや、何もかもに降参だ。
ビデオのスローモーションみたいに、ゆっくりゆっくりあたしに向って走り出す。
そして、身体に感じる後藤の重み。
あたしは力の限り抱きしめようとした。
- 513 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)01時35分41秒
- その瞬間・・・。
「・・・あれ?」
さっきまで目の前にいた後藤の姿が突然消えた。
景色も裕ちゃんの寝室から、一気に真っ暗闇へと変わってしまう。
なんだ?いったい何が起きたんだ?
一人ポツンと残されてしまったあたし。今、置かれている状況がいまいちのみこ
めない。この静けさはなに?
あわてて後藤の姿を探すが、見えているのは辺りを覆う黒い影だけ。
市井は考えた・・・考える・・・考える・・・考える・・・・・わからない。
は!!これってもしかして。
まさかだと思うが。
あたしがこんな事に巻き込まれるなんて・・・。
そう思ったとたん、意識が少しずつおぼろげになってくる。まるで濃いもやに包
まれてしまったかのように。
やっぱりそうか・・・なんだか落ち込んじゃうよ。
そして、市井は目を覚ます。
「やっぱり夢だった・・・」
今度はしっかりと見開かれた瞳に、さっきまで自分が居たはずの寝室の天井が写
し出される。音もなく起き上がり近くにあった時計を見る。矢口が出ていってか
ら十数分。もちろん後藤はまだここには戻ってきていない。
今日一日の疲れに負けて、いつのまにか眠ってしまったらしい。
市井はガクンとうな垂れる。
信じられない。今のって全部夢っすか?
おいおい・・・なんてヤツだ、市井はよ〜。
あんなにスムーズに後藤をこの腕で抱けたと思っていたのは、全部幻だったのか。
でも・・・でもさ、しっかり夢に見てしまうほど、あたしは後藤を求めてるって
事なんだろうか。
「う〜む・・・」
ベッドの上で考え込んでしまう市井紗耶香であった。
とりあえず、今は後藤待ちって事だ。
今度帰ってきたら、絶対に抱きしめてやろう。
『カチャ・・・』
新たに決心した市井の耳に、再びドアノブが回される音が聞こえた。
今度こそ、後藤の登場といきますか。
- 514 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)01時43分59秒
- 「お互い様」更新です。
すみません。これ、書いてみたかったんです(爆
一応いちごまにはなってますよね?
なんか、石投げられそうだ。
>ムーミンさん
やっぱりみんないちごまが好きなんですねぇ(笑
っていう自分も好きですけど。がんばります!!
>I&Gさん
いえいえ、恐れ多い・・・でもこんなのUPしてしまいました。
書きたかったんですよ〜。
>BOOTLEGさん
長いです。夜はまだまだ長いです。
たまにはギャグっぽいいちごまなんぞを・・・。
>Hrusoさん
待望のですか〜。お待たせして申し訳ない。
就寝編・・だらだらといっちゃうぞと(笑
>Yamboさん
裕ちゃんはけなげなんですよ〜(笑
自分の欲望を満たす為ならどんな努力もいとわない。
長編・・・でもいい加減にしないとな、自分。
- 515 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)01時58分50秒
- では、真面目に続きを・・・。
- 516 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)01時59分35秒
- 「何してんの?後藤」
「あ!!市井ちゃん!!」
待ちに待った、眠りながらも待ち続けてた後藤のご帰還に、とりあえず、さっき
みたいに消えてしまわないように、真っ先に抱きしめてやろうと身構えていた市
井は、ドアノブが回されると同時にベッドから立ち上がった。
いきおいよく中に飛び込んで来るかと想像していたのに、部屋に入ってきた後藤
は、何かから隠れるように静かに、そしてゆっくりとした動作で、忍び込むとい
う言葉通りな感じで中に入ってきた。
(こいつ、何したんだ?)
一部始終をまじまじと眺めながら、変な動きをしている後藤に向けて広げていた
両腕をとりあえず下ろす。ちょっと拍子抜け。
後藤は、部屋に入ってからも、身体は向こうに向けたまま、何かを探るようにド
アに耳をひっつけている。
あっちでいったに何があったというのだろう。
しばらく待ってみたが、肝心の後藤は市井の方に振り向きもしない。
とうとうガマン仕切れなくなって、その背中に問い掛けた。
その問いかけに後藤は、まるで市井がこの部屋にいる事に、今、気付いたかのよ
うな驚きの声をあげた。
「何、驚いてるんだよ〜」
(おいおい、市井がここにいるの知ってて、わざとそんな態度してんのか?)
後藤は妙に焦った顔で、市井の側へと駆け寄り、口をパクパクさせながら何かを
しゃべろうとしている。その動きが笑いを誘う。
「落ち着けって、後藤。どしたんだ?」
「あ、あのね!!後藤がおフロから上がってきたらね・・」
妙に興奮しているその口調で、市井はピーンときた。
(裕ちゃんと矢口、すでにはじめてたのか?・・まったく。こいつまだ14だぜ?
やばいじゃんか)
とりあえず、『おいおい』と心の中で、バカップルににつっこみを入れつつ、続
けてしゃべろうとしている後藤の言葉を聞く事にした。
先に言っちゃったらおもしろくない。
「どしたの?」
「裕ちゃんとやぐっつぁんが・・・」
「ん?」
「あのね・・・」
後藤の方が背が高いのに、器用に上目遣いで市井を見る。
(その顔、かわいいぜ、ちくしょう)
自分に助けを求めるようなその視線。捨てられた子犬のようなその顔。
何もかもが市井を虜にさせる。
- 517 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)02時00分44秒
- 「・・・えっと〜・・抱きしめあっててね」
「あってて?」
それは市井のいつものやり方。何をしてたかすでにわかってるんだけど、わざと
聞いてみる。俗に言う『いじわる』ってやつ。
(後藤の困った顔が見たいと思う自分は、いったい何なんだろうな)
心の中に、後藤に対して盛りあがってしまってる自分の他に、おかしいくらい冷
静に観察しているもう一人の自分がいる。
ま、どっちもこいつの事が好きなんだけどさ。
(絶対わざとだ)
市井は、後藤にいじわるをしている時に必ず見せる笑顔がある。
憎たらしくてえらそうで、でもかっこよくて。
今しているニヤニヤ顔がそれ。
後藤は『わかってるくせに・・・』と視線で訴えかけてみるが、市井のニヤニヤ
は崩れない。ちょっと腹がたっちゃうけど、そんな彼女が好きなのだ。
「キ・・・ス・・してた」
「そっか〜♪」
後藤の口からその言葉が聞けて、満足げな顔に変わる。
(やっぱりだ・・あたしにそれを言わせたくて、わざと聞いてきたんだ。ム〜ッ。
市井ちゃんのいじめっこ)
でも、そんな事も今はただ嬉しかったりして。
市井がかまってくれる。笑顔を自分に向けてくれる。
なんて幸せな気持ちになれるんだろう。
「なんだよ〜?もしかして怒っちゃった?」
「市井ちゃんなんか知らない!!も〜大っきらい!!」
「怒んなってば〜」
「い〜だ!!」
なんだかかなりくやしくて、ちょっと抵抗してみるけれど、下から覗き込んでく
る市井の顔が、後藤の心をとろけさす。
後藤がすねるのわかってて、わざといじわるしてくるくせに、こうやってちゃん
と嬉しくなるような事もしてくれちゃったり。
(市井ちゃんの顔が近くにある〜。あはっ♪)
何しても市井にはかなわないと実感させられてしまう。
- 518 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)02時02分24秒
- 拗ねていたかと思えば、すぐにその顔を崩す。
怒っていたかと思えば、すぐに笑顔へと変わる。
見ていてあきさせないくらい、後藤の表情は変化する。
それってさ・・・。
それって市井のせいだと思っていいのかな?
あたしは後藤に対して、思いっきりうぬぼれてもいいのかな?
あたしの側に後藤がいればそれだけでいい。
自分の心をこんなにも優しい気持ちにさせてくれるのは後藤だけ。
自分の心をこんなにもかき乱してくれるのは後藤だけ。
いつも大好きって言ってくれるけど、それってあたしが想う好きとおんなじ?
後藤はあたしのことが好きだって、そう思っていいのかな?
あたしが後藤を求めるように、後藤もあたしの事求めているのかな?
後藤がここに戻ってきたら、やりたかった事がいっぱいあった。
まず、有無を言わさず抱きしめる。
自分の気持ちを確認して、あたしには何も押さえつけるモノがなかった。
かなりジリジリしながら待っていたのに、やっと帰ってきたあいつは、あたしの
存在なんか忘れてるみたいに背中を向ける。
ちょっと腹がたった。だからいじわるしてみた。
これって単なるわがまま野郎のいい訳っすか?
後藤にこの想いを伝える為に、まずははじめの一歩です。
いつもなら絶対に言わないんだよ。
こんな事あいつに聞くなんて、想像しただけでも恥ずかしい。
だけど今夜は言わずにはいられない。
後藤に伝えなければならない。
やっとたどり着いた結論っす。
あたしは、後藤が好きなんだ。
- 519 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)02時04分06秒
- 「ね、後藤?」
「へ?」
なんだか真剣な声で名前を呼ばれて、思考を中断させて市井の顔を見る。でも、
真剣な声とはうらはらに、後藤が思わず見惚れてしまうくらいりりしかった。
ドキドキするくらい男前で、「何気にたらし」と異名を取るその笑顔。
その顔を後藤に向けているという事は?
「あのさ・・・」
「なに?」
(何だろう、ドキドキしてきちゃった。市井ちゃんの顔見てるだけでドキドキ
してきちゃった。負けるな後藤!!)
「裕ちゃんじゃないけどさ、市井・・・後藤の事、抱きしめたいん・・だ・・」
「!!」
思ってもみなかった言葉だった。そりゃここに来る前は抱きしめてほしいな〜
なんて思っていたけど、実際市井の口からその言葉が聞けるなんて。
心拍数は一気に跳ね上がった。頭の中はまっしろ。
(今・・・市井ちゃん、後藤の事抱きしめたいって言った?市井ちゃんが・・・
後藤の事?えぇぇぇぇ!!!!!)
幻聴だと思った。まさか市井の方からそんな事を言うなんて、今まででだった
ら絶対にありえない。いつも後藤の方からしかけてたのに、何故に今夜は市井
から?彼女の心境の変化にただただ驚く後藤。
(あ、そ〜か。あれだ、空耳だ。後藤の想像が強すぎて、聞こえるはずのない
言葉を聞いちゃったんだ)
そう思うことで処理してしまう事にした。でも・・・もしかしたらほんとにそ
う言ったのかも。目の前にいる市井が後藤の事を抱きしめたいって。
聞き返すのが怖くて、そんな事言ってないよって言われるのが恥ずかしくて、
後藤は市井を見つめ返す事しかできない。
そして、部屋は静かになった。聞こえてくるのは時を刻む後と、お互いの呼吸
する音だけ。2人の間には重い雰囲気。まばたきもせずに見つめる後藤と、そ
んな彼女の気持ちをさぐっているような視線を向ける市井。
手のひらがジワ〜ッと汗ばんできた。つばを飲み込む音が頭の中で響き渡る。
そのやや固い表情から、自分と同じように市井も緊張してるんだと思った。
こうやって、面と向って言われてしまうと、何にもできなくなってしまう。
いつもの様におちゃらけた後藤がどこかへ消えて行ってしまう。
うまく返事できない自分がもどかしい。
- 520 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)02時05分17秒
- 「いい・・・かな?」
そんな後藤から、尚も承諾を得ようとする市井。このまま何も言わずに抱きし
めてくれたら、明るい感じで「いちーちゃ〜ん♪」って後藤も抱きしめ返す事
ができたのに。
こんな夜に限って。
色んな事があった、こんな夜に限って。
(市井ちゃん・・・)
後藤は、口を開いて何かを言おうとするが、言葉がうまい事出てこない。言う
べき言葉は一つだけなのに、市井の強い視線が何もできなくさせてしまう。
胸の中には甘いふわふわした何かが、渦巻くようにぐるぐる回っていて。
息をすれば、一緒にそれも出てきちゃいそうで。
苦しくて・・・せつなくて・・・泣き出してしまいそうで。
後藤は、市井の声が聞きたくてしょうがなかった。
ただ、自分の名を呼ぶ市井の声が。
直立不動のまま微動だにしない後藤を見ながら、やっぱりこいつはかわいいやな
んて思っていた市井。しかける事全てに、見事なくらいな反応で返してくれるけ
ど、今は正直いってちょっと面食らっていた。
いったい何を考え込んでいるんだろう。
市井の言葉の意味を理解しようともがいているのだろうか。
市井ちゃんも後藤の事が好きなんだよね?
後藤と同じ気持ちなんだよね?
側にいてほしいと思う心。
抱きしめてほしいと願う自分。
唇を重ねるたびに大きくなっていく欲望。
市井ちゃんは後藤と同じ気持ちなんだよね?
市井に触れてほしいと欲する身体。
市井に触れてみたいと求める指先。
唇を重ねるたびにあふれ出る想い。
後藤と同じ気持ちなの?
市井ちゃんにこの想いを伝えていいの?
市井ちゃんが・・・大好き。
- 521 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)02時06分04秒
- 『うん』とも『だめ』とも言わないで、でも熱い想いを伝えてくる瞳。
市井だけを見つめて、市井だけを求めて。
本人に自覚はないだろうけど、市井にとってその視線は、誘っているようにしか
思えない。見つめられる度に視線が絡み合う度に、必死になって押え込んできた
感情の波が大きなうねりとなって、何もかもを包み込み、押し流してしまう。
この、狂おしいほどの想いを後藤にぶつけてしまえたら。
全てのしがらみから自分自身を解き放ち、この両腕で抱く事ができたなら。
今までずっと否定してきた。
後藤にこんな自分をぶつけちゃいけないって、ずっとガマンしてきた。
でも、今夜はもうそんな事しない。
後藤に側にいてほしい。
後藤を強く抱きしめたい。
後藤の唇にふれたい。
後藤の心が欲しい。
泣いた顔も悲しそうな顔も、嬉しい顔も怒った顔も。
全部自分のモノにしたい。
こんなの自分勝手って言われそうだけど、今はもうどうでもいい。
市井紗耶香の心も身体も全てが後藤真希を求めている。
これがあたしの真実なのだ。
- 522 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)02時06分49秒
- 市井の名を呼ぶ後藤の声と、後藤の名を呼ぶ市井の声。
後藤を求めている市井の想いと、市井を求めている後藤の想い。
のばされた腕と、それにからませた腕。
熱い身体に感じる濡れた髪と、熱い身体に感じる柔らかな髪。
触れ合う頬。
身につけているモノはなんの意味ももたない。
お互いを求め合う想い。
市井紗耶香と後藤真希。
その全てが1つになった。
- 523 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月26日(木)02時08分01秒
- はい、「お互い様」またしても更新っす。
やっとここまでたどり着けた〜。
- 524 名前:490 投稿日:2000年10月26日(木)02時26分24秒
- やった!!またもやいいタイミングで読めた〜〜
続きが待ちどおしいです
- 525 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年10月26日(木)02時37分13秒
- ふ〜やれやれ、やっと素直になったじゃん(w
これだけ甘く書いてさらに甘く書くなんてことできるのか、おい!
メチャ期待しちゃったりしてるんですけどね(w
- 526 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月28日(土)02時44分13秒
- 後藤へとのばされた腕。
確かな感触、そしてぬくもり。
安心感と緊張感・・・そして何故か不安になる心。
でも、大切な人は腕の中。
(ずっとこうしたかったんだ・・・)
どれだけ自分が緊張しているか、後藤には伝わっているはず。
肩に回された腕が、なんだか自分の物じゃないみたい。
今まで何回も抱きしめた事のある身体。
でも、抱きしめる度に、毎回あたしは反応してしまう。
こいつが・・・後藤が、あたしの胸の中にいるんだと。
ねぇ、後藤。
あたしの想いは届いてる?
あたしがどれだけあんたを好きか。
あたしの想いは届いてる?
もっと、もっと感じたい。
後藤の全部をこの身体で感じたい。
市井はさらに腕に力を込めた。
こうしないと、すぐにでも消えていってしまいそうで。
自分からすぐに離れていってしまいそうで。
いやだ。あたしは絶対にいやだ。
もう、この腕を放す事なんかできない。
こいつに魅せられてしまったあたしは、この腕を離す事なんかできない。
後藤に囚われてしまった自分。
もう抜け出せない所まできてしまっている想い。
全身を満たす欲望。
それを否定し続けた自分。
それでも尚、強く求め続ける心。
でも、それももう今夜で終る。
押さえ切れない想いなら、正直に後藤に見せてあげよう。
これが、ほんとの市井だから。
後藤の事が大好きな市井の姿なのだから。
- 527 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月28日(土)02時44分57秒
- 市井に倒れ込む身体。
確かな感触、そしてぬくもり。
安心感と緊張感・・・そしてとけてしまいそうになる幸せな心。
今は、大切な人の腕の中。
(ずっとこうしてほしかった・・・)
どれだけ緊張しているか、市井には伝わっているはず。
腰に回された腕が、なんだか自分の物じゃないみたい。
今まで何回も抱きしめられた事のある腕。
でも、抱きしめられるたびに、何度もあたしはドキドキしてしまう。
あなたの・・・市井ちゃんの腕の中にいるんだって。
ねぇ、市井ちゃん。
後藤の想いは届いてますか?
後藤がどれだけ市井ちゃんが好きかって。
ちゃんとちゃんと届いてますか?
後藤はさらに腕に力を込めた。
こうしないと、すぐにでも消えていってしまいそうで。
自分からすぐに離れていってしまいそうで。
そんなのやだ。絶対にやだ〜。
もう、この胸から離れる事なんかできないよ。
市井ちゃんが大好きな後藤は、この胸の中から離れる事なんかできないよ。
市井に囚われてしまった自分。
もうあふれ出てきてしまっている想い。
全身を満たす欲望。
それを恐れ続けた自分。
それでも尚、強く求め続けてしまう心。
でも、それももう今夜で終る。
押さえ切れない想いなら、正直に市井に見てもらおう。
これが、ほんとの後藤だから。
市井ちゃんの事が大好きな後藤の姿なのだから。
やっとおとずれた2人だけの時間。
長い、長い、夜のはじまり。
- 528 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月28日(土)02時48分37秒
- 今回は短めですが「お互い様」更新です。
さ〜、いよいよって感じです。
かし、どこまで書けばいいんでしょうか(笑
>490さん
ありがとうございます。
やっとのいちごまなので、悔いのないようにがんばります。
>BOOTLEGさん
いつもいつもありがとうございます。
期待ですか・・・やばいです(笑
甘く・・甘く・・ひたすら甘く・・・。
- 529 名前:490 投稿日:2000年10月28日(土)03時03分35秒
- う〜〜ん、別に待ち伏せている訳ではないが
俺が白覗くと更新されてる(ワラ
- 530 名前:Qoo 投稿日:2000年10月28日(土)04時29分41秒
- たれきりんさんありがとう・・・(涙
ただそれだけっす・・・
- 531 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月28日(土)09時21分02秒
- もう全部書いちゃってください!(藁
- 532 名前:名無し 投稿日:2000年10月29日(日)20時20分20秒
- 短編のリクエストしてもいい?
ポッキー&プリッツの新しいCMで中澤と矢口がはじっこから食い合って
矢口が横向いちゃうシーンあるじゃない。もしそのCMを見て妄想がわいたら
ぜひ。
- 533 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月29日(日)23時56分11秒
- ↑これもいいけどさ、いちごまが大団円を迎えてからのほうが・・・
- 534 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月30日(月)19時36分12秒
- (さて、これからどうしよう・・・)
ラブラブムードの二人には似つかわしくない、左右に素早く移動する市井の瞳。
右を向けば後藤の頭。こんなに近くにいるんだなって実感する。
左を向けば中澤のベッド・・・ベッド?・・・そっか、ベッドか〜。
しみじみとベッドについて考えてしまう。
なにやってんだろ、なんかおかしいぞぉ、市井紗耶香。
念願かなって、後藤を取り戻す事ができた市井だが、これからどうやって話を勧
めていくか、迷ってしまっていた。やりたい事はたくさんあるけど、そこへどう
やって持っていくか。数少ない経験から考えてはみるが、相手が後藤だというの
がちょっと今までとは違う。なんだかものすごく緊張する。
何回かいい雰囲気になったことはある。今みたいに、どちらかの家に遊びに行っ
て、気がついたら2人きりなんて時もあった。一度気づいてしまったら、もう他
に何か考えようとしても出てくるのはそればかり。このまま行くか?市井!!な
んて自問自答したあげく、結局は何もできないまま(キスだけはしたけども)家
に帰る時間になってしまう。
いつも、後藤を見送り、そして見送られながら、市井は後悔しまくるのであった。
今夜こそはと思う。このままうまいことして後藤をベッドへと誘導し、そのまま
事故を装って押し倒してしまえばこっちのもの。
でも、それがなかなかむつかしい。
後、一歩。自分に前に進む勇気があれば。
後藤は黙って市井に抱き着いている。
ここからだと、どんな顔しているのかわからない。たぶん、いやがってはいない
と思うけど。でもなぁ。どうやって次の目的地に移動すればいいんだろ。
あぁぁ、わかんねっす。
こんな事なら、裕ちゃんにでも聞いておくんだった。
それはちょっと違うんじゃ・・・。
真剣に悩んでしまったあげく、とんでもない方向に話がそれてしまう市井だった。
- 535 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月30日(月)19時37分17秒
- 後藤はというと、唯々嬉しさでいっぱいだった。やっと市井の胸の中へと戻れた
んだ。こんな幸せな時間を手放したくはない。
でも・・・これからの事も気にはなる。
『抱きしめたい』と言った市井の真剣な顔。
今までのどんな時よりも胸が締め付けられてしまうその表情。
自分の事をこんな目で見つめてくれた事が今まであっただろうか?
思いだしただけでも、なんだかキュ〜ンとしてくる。
(市井ちゃん・・・どうするのかな?)
いっつも期待だけさせといて、結局は何にもしないまま終わってしまうデートの
数々。後藤をギュッと抱きしめて、で、キスまではしてくれるけど、そこからな
かなか先に進もうとはしてくれない。
このまま、いい感じの雰囲気で時が流れていったら、もしかすると今夜は自分と
市井にとって記念すべき夜になるはず。
(はずなんだけどな〜・・・)
こんな時は、おとなしく市井に着いていけばいいんだろうか、それともこっちか
ら攻めちゃえばいいんだろうか。でも、攻めるっていってもどうすればいいのか、
後藤にはさっぱりわからない。『ん〜』と考えたあげく、ここはやはり市井待ち
という事で・・・。
いつもは考えるよりもまず行動の後藤にしては珍しく、今夜に限ってはかなり慎
重になっていた。
(このままずっとこうしててもいいんだけどね)
市井の腕の中ははとても暖かい。こうやって直に体温が感じられるっていうのは、
ほんとに幸せな事で。ずっと、ずっと・・・永遠にこうやっていたい・・これも
後藤の正直な気持ちだった。
(後藤にこんな幸せな時間を与えてくれるのは、市井ちゃんだけだよ?)
後藤はそっと市井の肩に顔をうずめた。2人の間から漏れてくる熱い想い。
それを胸いっぱいに吸う。
無言のまま抱きしめあって、少しだけ時が流れた。
- 536 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月30日(月)19時38分08秒
- (とりあえず、なんかしゃべった方がいいよな)
いつもなら、後藤の方からなにかしら話しかけてくるというのに、今は嘘みたい
に静かだった。なんだかそんな感じだと、市井も変に緊張してしまう。
この変な間にがまんできなくなって、とうとう市井は動き出した。
「後藤・・・さ」
「ん?」
耳元でささやく様な形になってしまったのは不可抗力。だって抱きしめあってい
るのだから。そんな状況のまま話をしようと思うと、自然と小声になってしまう。
自分はちゃっかり後藤の耳元に話しかけたくせに、その返事が耳のすぐ側で聞こ
えてしまうと、なんだかすごく焦ってしまう。
何を言おうとしてたのか、きれいさっぱり忘れてしまった。
「あっ・・・あの・・」
「市井ちゃん?」
不思議に思った後藤がくっつけていた頬を離して、心配そうな顔で市井の顔を覗
き込む。至近距離でみつめあう2人。
(なんて無防備な顔であたしの事見るんだよ!!)
後藤はぜんぜんたいした事ないしぐさでも、市井にとっては無茶苦茶たいした事
なのだ。自分しか写らないその瞳が、すごくすごくせつない気持ちにさせる。
(う〜、キスしたくなるじゃねえかよ〜)
でも、まだまだガマンしなければ。今はそのタイミングじゃない。
「どしたの?」
再度、後藤が市井に聞いてくる。その首をかしげたしぐさがまた、市井の心にズ
ドーンときて。ファンの人が見たら、それだけでもういいっすって涙流して喜ん
じゃいそうな、そんな表情。こんな後藤を見れるのは、きっと市井だけ。
後藤をギュッと抱きしめて、後藤にギュッと抱きしめられて。
そんな事ができるのは、きっと市井だけなんだ。
- 537 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月30日(月)19時39分32秒
- (あ、思いだした)
黙っているのがつらくなって何かおしゃべりしなくちゃと、後藤に言いかけた言
葉の続き。別にたいした意味はないんだけど。このままじゃ話しも続かないので、
とりあえず・・・。
市井は、覗き込む後藤に向って少しテレながら言った。
「髪がさ・・後藤の髪が冷たいな〜って」
(あたし、なに言ってんだろ・・・)
「あ!!さっき、お風呂でかわかしてこなかったからだ。ごめ〜ん、市井ちゃん」
(しまったぁ!!髪まだ濡れたままだった〜)
その言葉を聞いて、後藤はあわてて市井から離れようとする・・・のを、そうさせ
まいと市井の腕に自然と力が入ってしまう。腰に回されていた後藤の腕が、市井
の胸へと移動した。
離れようとする後藤の腕と、それを押しとどめる市井の腕。
このままこの腕を離しちゃったら、あたしは絶対に後悔する。
このまま後藤を離しちゃったら、いつもの弱虫の市井に逆戻りだ。
それだけはできない。絶対にできない。
あたしはもう、いつもの『市井ちゃん』には戻れない。
後藤の笑顔に笑って返せる、今までの『市井ちゃん』には戻れない。
あたし、わかっちゃったんだからな。
もう、気付いちゃったんだからな。
後藤への想い・・・もうどうにもできないんだからな。
「市井・・ちゃん?」
(どうして離してくれないの?)
確かに冷たいって言ったのに、だからちよっと心残りだけど、ガマンして市井か
ら離れようとしたのに、肝心の市井はその腕をゆるめてくれない。
爆発してしまいそうほどに高鳴る鼓動。
自分を見つめる瞳と、頬に微かにあたってくる市井の想い。
熱い・・熱い・・吐息。
そんな目で見つめてこないで。
そんな目で後藤をじっと見つめてこないで。
もう、ほんとにどうにかなっちゃいそうだよ。
ねぇ、市井ちゃん・・・後藤の事、好き?
この腕から離してしまいたくないくらい、後藤の事、大好き?
あたしも、このままずっと市井ちゃんに抱きしめててほしい。
視線だけで交わされる会話。
- 538 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月30日(月)19時40分22秒
- 「・・・後藤」
自分の想いを全て込め、市井は後藤の名を呼んだ。
肩に回した腕を、ゆっくりと後藤の腰へと移動させる。
もう、この大切な人を逃がさない様に自分の身体に密着させる。
「・・・市井ちゃん」
その想いに答える様に、後藤はそっと瞳を閉じる。
胸に添えていた腕を、そっと市井の首へと回す。
もう、この大切な人を話さない様にその髪に指をからませる。
ゆっくりと近づいていく2人の顔。
少しだけ首を曲げる市井。
彼女の瞳も閉じられる。
小さく息を吸って、その瞬間を待つ後藤。
心持ち、彼女も首をかしげた。
先に伝わってくる暖かい想い。
2人に走る緊張感。
自然と開かれてしまう唇。
心の中で呼び合うお互いの名前。
そして・・・・くちづけ。
- 539 名前:たれきりん 投稿日:2000年10月30日(月)19時47分09秒
- 「お互い様」更新です。
念願かなってのいちごま編ですが・・なんていうか、かなりこっちも緊張
しながら書いてます(笑
あぁ、想いが強い分だけ悩んでしまうっす。
>490さん
それって、運がいいというんでしようか(笑
最近、まめに更新してないのになぁ。
>Qooさん
いえいえ、どういたしましてです(笑
まだこれからのはずなんすけども・・う〜む。
>531さん
全部ですか〜?どうでしょう。
今まで、そ〜ゆ〜のって書いた事ないんで、かなり悩んじゃったりしてます。
>532さん
あ〜、例のシーンですかぁ?(笑
あれ、まじでいいっすよね。やったぜ!!って思いながら見ました。
書き始めたら、速効で書き上げれそうっす。
>533さん
大円団・・はたして迎えられるんだろうか(笑
がんばりまっす。
- 540 名前:532 投稿日:2000年10月30日(月)20時15分04秒
- 楽しみに待ってま〜す。
いや、しかしオレ本当可愛いとは思うし、面白いとも思うんだけど
いちごまに萌えないあ、悲しいくらい。
- 541 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月30日(月)22時02分26秒
- 俺は逆にいちごまは萌えるけどやぐちゅうは受け付けられないよ
- 542 名前:まいのすけ 投稿日:2000年10月30日(月)22時21分32秒
- ゆっくりゆっくり大切に進めますねぇ。
いいすね、いちごま。続きが楽しみです。
- 543 名前:490 投稿日:2000年10月30日(月)22時27分37秒
- >>539
運が良いって事でしょう!
なんか読みながらこっちが緊張してしまったよ
次はいつここを覗こうかな
俺はどの組み合わせでもドンと来い派だ(w
- 544 名前:Yambo 投稿日:2000年10月30日(月)22時52分50秒
- もーたまんないっすねぇ。たれきりんさんばんざ〜い。
市井と後藤のそれぞれの想いがたまんねっす。
ゆっくりじっくりたっぷりと(笑)進めていってください。
まだまだ、夜は長いっす。
- 545 名前:ムーミン 投稿日:2000年10月30日(月)23時18分59秒
- 後藤よ・・早くどうなかなってくれぃ(笑)
- 546 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年10月31日(火)02時05分50秒
- このまどろっこしさがたまんなくスキ。
じっくりひたすら甘く、今はなきチクロのように(w
書くのを待ってます。かわいいなぁ・・・いちごま。
- 547 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月01日(水)23時57分34秒
- 髪の中の十本の指が優しく市井をなであげる。
小指から順に丸まっていく感触。
綺麗に伸ばされた爪ががかすかに肌をひっかく。
耳に直接響く指の動き。
毛先を軽くつまんでは、それをさらさらと流していく。
とうとう愛しさに耐えられなくなったのか、直接、腕を回してきた。
市井を自分の胸にと押し当てるように、きつく・・・きつく・・・抱き寄せる。
腰に回されていたうでが、後藤の身体を締め上げる。
腹部に感じる指の力。
その1つ1つの力強さが、自分への想いとつながっている気がした。
ゆっくりと時間をかけて背中を這っていく手のひらの感触。
下着をつけていない、そのなめらかな背中には、市井の手の動きを止めるモノな
ど何もない。
やがて肩へとたどり着き、そのやらわかい感触を楽しむ。
2人の間に余計なモノを割り込ませない様に、きつく・・・きつく・・・抱きしめる。
後藤の事だけを考えて。
市井の事だけを想って。
2人はくちづけを交わす。
- 548 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月01日(水)23時58分20秒
- 市井の唇が離れた瞬間・・・ボ〜ッとしてしまった。
今夜のキスはいつもと違う。何かを期待させるようなそんな感じ。
最初は軽く触れているだけだった。
はじめて交わした時の様な、そんなキスだった。
市井とのはじめてのキスは、ドキドキの中で終ってしまって、覚えている事とい
えば間近に見えた市井の緊張している顔と、キスし終わった時、どうしても目が
行ってしまった市井の唇。
(あの唇があたしに触れたんだ)
リップでツヤツヤ光っていた市井の唇。
あの時は、そんなキスではちきれんばかりの幸せを感じていたけれど、今はもう、
それだけじゃ満足できない。
もっと、もっと愛して欲しい。
市井ちゃんに愛して欲しい。
もっと、もっと愛してみたい。
市井ちゃんを愛してみたい。
触れ合っていただけの2人のキスは、いつしか唇が開かれるようになり、そして
求め合うキスへと変わっていく。
後藤が感じている欲望が、その動きから伝わってくる。
市井の感じている欲望が、その動きから伝わってくる。
自由になった唇から、無意識のうちに流れ出てしまう甘い吐息。
かすかに開いている瞳には何も写ってはいない。
せつないほどの、甘い余韻・・・。
市井だけが後藤に感じさせてくれる、幸せな瞬間。
口の中に残る市井の味が、微かに、でも確実に後藤の感情を昂ぶらせていく。
いつものように、自分から離れてしまった市井の唇を見つめた。
まるでリップでもつけたみたいに光ってみえる市井の唇。
後藤はもうわかっている。
あれは、キスした後に必ず残る、2人がお互いを求め合った証拠。
- 549 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月01日(水)23時58分55秒
- (さて・・・どうしよう)
思う存分、後藤の唇を味わって、心残りを覚えつつもなんとか市井はその唇から
離れた。できればもっとキスしてたいけど、それだけじゃ今夜はちょっとガマン
できそうにない。
市井はかなりやる気になっている。
(あ、あれかな、やっぱ・・・ほら、立ち眩み?あの貧血起こして倒れちゃうヤ
ツ。あれだったら自然にベッドに行けるかも)
後藤は恥ずかしさのあまり、真っ赤になってしまっただろう自分の顔を、市井だ
けには見られたくなくて、その胸にうずめてしまってるというのに、いったい彼
女は何を考えているのだろう。
市井の腕の中には後藤がいる。
世の中の恋人達は、どうやっとスムーズに流れにのっていくのだろう。
たかが1m。いや、実際には1mもないのかもしれない。ほんの2〜3歩歩いた
だけで簡単に目的地へとたどり着けてしまう。
ベッド・・・ベッド・・・ダブルのベッド。
中澤がいつも寝ているベッド。
今夜、2人で寝るはずのベッド。
市井と後藤が一緒に寝るはずのベッド。
先ほどから、市井の視線はそれと後藤を行ったり来たり。
(あたしって、こんなにすけべ野郎だったのか?)
もんもんとしてくる気持ちを押さえつつ、顔はいつもの男前。
自分が何を考えているのか、後藤にだけは悟られないように、テレ隠しの為に身
につけた表情の1つ。
(とりあえず、あそこに腰掛けるとこまでがんばってみるか)
秘めたる想いを内に隠し、市井は後藤に声をかける。
- 550 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月02日(木)00時09分16秒
- 「お互い様」更新っす。
今回はちょこっとUPという事で(笑
それしか考える事ないのかよ、市井ちゃんって感じです。
>532さん
待ってて下さいね。あれ見たら書かないわけにはいかないってやつっす。
いちごまにもやぐちゅ〜にも萌えな自分・・・やばい?(笑
>541さん
あぁ!!ここにも!!(笑
2つとも好きなんで、なかなか大変だったりします。
>まいのすけさん
ゆっくりすぎてやばいです(笑
ご期待に添えられるよう、がんばります♪
>490さん
運がいいのかぁ。おめでとうございますと言わさして頂きましょう!!
まめにまめに更新するぞと。
>Yamboさん
でも、いい加減長すぎなんて思ってません?(笑
やっぱり運命の日とだったという事で<それぞれの想い
がんばります!!
>ムーミンさん
ね〜、どうにかなっちゃってほしいですよね〜。
後藤も幸せにしてあげたい。
>BOOTLEGさん
こういう書き方しかできないんですよ〜。もうどうしようもない(笑
大切な大切ないちごまですから、たっぷりいかせて頂きます。
- 551 名前:まいのすけ 投稿日:2000年11月02日(木)00時40分10秒
- 大切ないちごま。(笑
いいですね、いちー頑張れ!
- 552 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月02日(木)00時54分34秒
- なんかね。
超古いけど、昔少年ジャンプで連載されてた「キックオフ」っていう
マンガを思い出します。
知ってる人いないだろうな・・・。
それも、むちゃくちゃじれったいんだよぉー(笑)
- 553 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月02日(木)01時36分12秒
- 読んでいてうっとりしました
いや〜〜ん
- 554 名前:ムーミン 投稿日:2000年11月02日(木)01時42分41秒
- くはっ、最高っす。
市井ちゃんがかなりやる気満々のが嬉しいです。
次はいよいよベットに行くのですね(笑)
続きが気になるよ〜!
- 555 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月03日(金)00時53分02秒
- キックオフ……なつかしい。
内容はぼんやりとしか覚えてないけど、
じれったさ加減は何故かよく覚えてる(ワラ
- 556 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年11月06日(月)03時05分01秒
- 淡々と市井がやる気を出しているところがすごく男っぽくていい。
たま〜にこんなカンジに、冷静になるよね?(w
あとは後藤がどう流れるか・・・そこが見物です。
続き気になります。
- 557 名前:Qoo 投稿日:2000年11月07日(火)00時12分14秒
- 大切に読み進めていきたいっす・・・。
- 558 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月09日(木)09時06分00秒
- ?行き詰まって・・るようですね・・違うのかな?
読者のニーズを気にせずに、
作者さんの思うように書けばいいと思いますよ。
- 559 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月11日(土)22時52分48秒
- 応答お願い・・・
- 560 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月12日(日)00時54分14秒
- みなさん、行方不明してまして申し訳ありませんでした。
やっと1つ仕事をやり終えましたので、これからお互い様の続きを書きに
入ります。
たくさんのレス、ほんとにありがとうございました。
もう少しお待ち下さいませ。
- 561 名前:490 投稿日:2000年11月12日(日)01時00分39秒
- お、待ってました〜
かれこれこれで>>543から3回目のチェック
まだ運がいいと言えるんだろうか・・・
いちごま会入るかな(意味不明
- 562 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月13日(月)23時38分16秒
- いつ続きが始まるんだろう。
- 563 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月14日(火)02時24分42秒
- では、「お互い様」更新です。
- 564 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月14日(火)02時26分21秒
- 「あ〜、えっと・・・後藤?」
「・・・・・」
なんだかかなりうわずっている感じのする声で、自分の名を呼ばれた後藤は、ち
らっとだけ顔をあげた。
「あのさ〜・・・・」
「?」
「元気・・かな?」
「えっ?」
市井が何を言ったのか、瞬時には理解できなかった。
何が元気なんだろう。ん?(右に首をかしげる)ん?(左に首をかしげる)
数秒の間、市井の言葉の意味について後藤なりに考えてみたが、さっぱりぜんぜ
んわかんない。ジッと眺める市井の顔は、なぜかテレている様だ。
「元気・・だよ?」
「そっか・・よしよし」
何がよしよし?はにゃ?
後藤はいつでも元気だよ?
市井ちゃんと一緒なら、それだけで元気だよ?
どこからともなくみなぎるパワー。これも全て市井への愛。
さっきから、市井となかなか視線が合わない。後藤はずっと見つめているのに、
肝心の市井の瞳は、意味もなく右へ行ったり左へ行ったり。いったいどこ見て
るんだろう。なにをそんなにそわそわしてるんだろう。
なんというか、いつもの市井らしくない。
「どしたの?」
「えっ?何が?」
「市井ちゃん、さっきからちょっと変だよ?」
「そ・・・かな?後藤の気のせいじゃない?」
「ん〜」
後藤はいまいち納得できない。市井は確かにおかしい。今の態度からもそれはあ
きらかだった。ちょっと前まではいつもの彼女だったのに、急に・・そう、まさ
しく急におかしくなってしまったのだ。
(キスする前はいつもの市井ちゃんだったのに)
という事は、キスしてる最中に何かあったって事なのか?
(・・・キス・・しかしてないよね、あたし達)
問い掛けるような視線を市井に向けてみるが、やはり彼女はどこか違う所を見て
いる。ふいにキョロキョロしてた瞳が止まった。もちろん、後藤はそれを見逃さ
ない。顔は市井に向けたまま、その視線だけを追ってみる。
ゆっくりと、瞳を右へとずらしていく。しかし、すぐに限界がきてしまった為、
市井にばれないように顔を少しだけずらした。
(あ〜!!)
後藤はとうとう知ってしまった。市井がどこを見つめているのかを・・・。
- 565 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月14日(火)02時27分37秒
- (だめだ〜、言えねえって)
勇気を出してはじめの一歩・・・のつもりで、やっとの思いで後藤に声をかけた
というのに、その後に続くべき言葉が、なかなか喉から出てこない。
(よりにもよって、元気かはねぇだろ、市井〜)
自分つっこみを入れてしまうほど、マヌケすぎた今の台詞。
別にたいした意味はない。そう、何かをする為にベッドに行くのではなく、寝る
為にベッドに行くのだ。何故ならば、明日も早くから仕事があって、寝不足じゃ
やっぱりつらいものがある。
(寝不足・・・はつらいよなぁ)
今日の仕事もなんとかこなし、何故か話の展開上、中澤の家に来てしまったけど
も、よくよく考えれば、今はもう眠ってていい時間なのだ。
サイドボードの時計を確認すれば、すでに12時を過ぎている。
(そうだ、そうだよ市井!!寝なきゃいけないんだもんね。そうだよ、うん)
そう言い聞かせている自分がちょっとやらしいというか・・・。
「後藤?」
「なに?」
その瞳を見ていると、やっぱり何も言えなくなってしまう。口を開けたまま微動
だにしない市井を、後藤は不思議そうな顔で覗き込む。
「あの・・・さ・・・」
「だから〜、さっきかに何が言いたいの?」
「だからですね」
よくよく考えれば、2人はまだ抱き合ったまま。それがまた緊張を誘ってしまう。
なんとなく、後藤の顔が近くにある事が恥ずかしくなって、市井は少しだけ身体
をそらせる。
(市井ちゃんの意気地なし)
いつもいつもそうだった。たまに強引にきたかと思えば、突然サッと手を引いて
しまう。自分に期待だけさせといて、盛り上がろうとしている所に、いつもの教
育係の顔へと戻ってしまう。今もそう。ギュッと抱きしめてくれて、好きだって
言ってくれて、で、キスしてくれたのに。
そこから先に進んでくれない。
(あたしだって、市井ちゃんの事・・・)
このままでは埒があかない。市井に任せてたら下手すれば朝までずっとこの状態
だ。それは、さすがにいただけない。
だから、後藤が一歩を踏み出す。
- 566 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月14日(火)02時28分57秒
- 「市井ちゃん!!」
「はい!!」
突然後藤が大声で名前を呼んだ。それにつられて市井も大声で返事をする。
その返事の大きさに今度は後藤が驚いた。
「おっどろいた〜」
(なんでそんなおっきな声で返事するんだよ〜)
「驚いたのはこっちだって。なんだよ、急に」
(自分が先に大声出しといて・・)
腰にまわしていた右手を、耳にあてながら聞いた。さすがにちょっと耳鳴りがす
る。市井の問いかけに、後藤ははたと気づき、彼女がなかなか言い出せなかった
(はずの)その一言を言う。
「あ、そだそだ。あのね・・」
「うん」
「市井ちゃんさ・・・そろそろ寝ない?」
「!!!!」
(ね、寝ない?後藤が?今、確かに寝ないって・・後藤が?)
思ってもみない言葉だった。つい、後藤の顔をジッと見つめてしまう。
(今、絶対に「寝ない?」って聞いてきた〜。まじっすか?)
でも・・・。
(後藤に先に言われてしまった〜)
しかし・・・。
(後藤の言った「寝る」って、やっぱり普通の「寝る」だよね)
市井の考えてる事を後藤も考えてるんだったら、こんなに簡単に言えはしないだ
ろう・・・と思う。という事はやっぱりそれだけか。ちょっとがっかりきたりして。
まじまじと後藤を見つめる市井の視線がちょっと苦しい。もう少し、違う反応し
てくれればこんなにドキドキしなくてすむのに。
後藤は軽く息を吸い込んで、言い訳じみた言葉を続けた。
「えっと〜・・・ほら、もう時間も時間だし・・・そろそろ寝ないと明日きついか
なぁって」
(で、どうかな?)
「あ、そうだよな。明日も仕事があるんだよな」
(やっぱりそうか・・・あ〜ぁ)
2人の思惑が見えないナイフとなって交差していく。
お互い、口には出してはいないけど、思っているとこは同じだったりする。
でも、その一歩がなかなか出ない。
- 567 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月14日(火)02時35分47秒
- 市井は抱きしめていた腕をゆるめ、後藤を解放してあげた。2人の間に護られて
きた熱が部屋へと流れていってしまう。それが少しだけ寂しく思えた。
(こんなに長く後藤を抱きしめてた事なんかなかったな)
(こんなに長く市井ちゃんに抱きしめられてたってなかったかも)
2人の顔は、少し恥ずかしげで、少し嬉しそうで。
でも、少しだけ残念そうだって。
身体が離れてからも、なんだか心が落ち着かない。後藤は市井の事をジッと見つ
めているし、市井はそんな彼女にはやっぱり視線が合わせられない。
でも、このまま突っ立っているのもなんなので、とりあえずベッドに移動すると
しますか。
「じゃ・・・寝る?」
「ん」
後藤に対して、お伺いをたてるような顔をして、市井はベッドへと移動しはじめ
る。一歩、二歩と進む度、後ろからついてくる後藤の事が気になってしかたがない。
(さて・・・やっぱ寝るんだよな)
あっというまにベッドにたどり着いてしまい、まだ心の準備ができてなかった市
井は、そこに足をあげる事をためらっている。
別になんて事ない普通のベッドだ。
中澤が毎日(かどうかはあやしいが)寝ているはずのごくごく普通のベッドなのだ。
でも、後藤に好きだって抱きしめてキスしてしまった後に寝るベッドなのだ。
「え〜い!!」
(市井ちゃん、なにしてるんだよぉ)
「おわっ!!」
(な、なんだ〜?)
そんな考え事をしていたら、後ろからいきなりタックルされて、その流れに乗っ
て市井の身体はベッドへと倒れ込む。
市井の身体は見事なくらい弾・・・まなかった。上から後藤も一緒に乗っかってき
ているから。その重みに耐えきれず、市井は声をあげる。
「ウゲッ・・・」
「アハッ♪」
2人の重みによって、ベッドからかなり激しいきしみが聞こえたきた。下からは
スプリングの効いたマット。上からは後藤の身体。よくよく考えてみれば、これっ
てかなりいい状態な気がする。
(タックルしてきたのはちょっとだけ腹がたつけど、まぁいいか。一応ベッドに
たどり着けたわけだし。でも、やっぱ後藤って胸でけえや)
後藤の下敷きになりながらもそんな事を考えている市井。あなたという人は・・・。
- 568 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月14日(火)02時38分23秒
- はい、「お互い様」更新です。
長らくお待たせしまして申し訳ありません。
これからは以前のようにUPしていきたいと思ってます。
しかし・・・ほんとに長い一日ですよね(笑
>レスつけて下さったみなさま
ほんとうにありがとうございます。
これをパワーにして、最後までよろしくお願いいたします。
- 569 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年11月14日(火)02時41分47秒
- 小説書いてるときに更新してくださってすんげー幸せ♪
リアル・タイムで読んでて自分の小説そっちのけでリロってた(w
また、いい所で切れてるなぁ・・・くそ、先が読みたいぞ。
- 570 名前:O-150 投稿日:2000年11月14日(火)08時55分02秒
- 続きがき、気になる(ワラ
なんかリアルでいいすね〜。市井ちゃん頑張れ!
- 571 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月15日(水)01時18分46秒
- ごまの方が積極的ですね、実際(?)は
こうだと思うしいい感じですね。
しかしまたいいところで切りますね(笑)
- 572 名前:さんち〜 投稿日:2000年11月17日(金)02時45分43秒
- お久しぶりのさんち〜です!
いやあ、やっぱわしは一番たれきりんさんのスレが読んでて
気分良いっす!
無理せずに書き続けてくらはい。
応援してますよ〜★
- 573 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月20日(月)02時35分32秒
- さて、じゃあ寝るか・・・と思っていた市井だったが、後藤が上からかぶさったま
ま一向にどこうとしない。それどころか「つぶしてやる〜」とかなんとか言いなが
らわざと体重をかけてきている。
「ごとぉぉ!!重すぎだってば〜」
「重くないも〜ん」
「重いってば!!」
「そんな事ないも〜ん」
重い、重いを連発する市井に、後藤も少し意地になってきている。市井をベッドに
押え込んだままどこうとはしない。
「こっの〜っ」
「え?」
とうとうい市井は実力行使に出た。無理矢理身体をひねって、左手で後藤を掴もう
とする。しかし悲しいかな、おもいっきり腕を伸ばしても、腰の辺りの服を掴むの
に精一杯。後藤は余裕の笑みでその腕を払う。
「いい加減に・・・」
「そう簡単にはどかないもんね。後藤の事、重いって言ったバツ♪」
「きさま!!」
「へへへへ」
ベッドでこの体勢でいるのはちょっと恥ずかしい。他の人が見たら絶対に誤解する
だろう。この場合の他の人とは矢口と中澤だけなのだが。
後藤は市井の背中に耳を当ててジッとしている。それがまた彼女の体重をもろに受
ける形になって。「後藤に押え込まれている」というのがとっても悔しかった市井
は、なんとかしてどかそうとジタバタしてみるのだが、無駄なあがき。
必死な思いで身体を起こそうとするのだが、後藤はそれを許さない。まるで、完全
に押え込みの体勢に入った柔道みたい。
「絶対に脱出してやる!!」
「無理だってばぁ」
(市井ちゃんイジメって楽しい〜♪)
のほほんとそんな事を思っている後藤。
いつまでもヘッドに上がろうとしない市井に、つい無意識にタックルしてしまって
ベッドの上に倒れ込んでしまったけど、この状況はかなり楽しい。いつもはこれと
反対だから楽しめる時に楽しんでおかなきゃ。
市井が自分をどかそうとする度に、直接身体に動きが伝わってくる。背中に耳を当
てている為、自然と聞こえてしまう息遣いとか呼吸する音、そして微かに響く彼女
の舌打ち(笑
- 574 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月20日(月)02時36分04秒
- 「ね〜、市井ちゃん?」
「ハァハァ・・・なんだよ」
「すごいドキドキ言ってる」
「・・・・」
(そりゃそうだろ!!)
必死の思いの市井とはうらはらにやけに余裕の後藤。これが上にいる者と下にいる
者の差なんだろうか。いい加減疲れてきた。市井はまじでどいて欲しいと思ってい
た。しかし、本音はそうじゃなかったりするのだが・・・。
「ほんと、まじで重いんだからさぁ」
「市井ちゃん、それってすっごく失礼だよ〜」
「もうなんでもいいじゃんか。お風呂あがりに汗かきたくないんだってば〜」
失礼でもなんでもいい。とにかくこの状態から抜け出せれば、後藤に何を言われて
もぜんぜん気にしない。
市井の悲痛な叫びを聞いてるとなんだかとっても気持ち良い。たま〜にしかできな
い市井イジメ。もう楽しくて楽しくて。
(もっとイジメちゃおっと♪)
後藤のその企んだ顔といったら。押え込みの体勢のに入っているから、市井に顔が
見られないっていうのがわかっててやっているのだろう。もし彼女が目撃したら、
きっととんでもない事になってしまいそう。もしかしたら怒りのパンチでも飛んで
くるかも。
(いい事考えた!!)
それは市井にとって、教育係という自分の立場をくすぐられる最低の・・・でも、後
藤にとっては最高に楽しいイジメ・・・っていうのはちょっと違うか。これはちょっと
したお遊び。市井の焦った顔が見れる数少ないチャンス。
「仕方ないなぁ。それじゃぁ『まいりました』って言って?」
(とうとう言っちゃった〜。どうする?どうする?市井ちゃん。いやぁ、市井ちゃん
イジメってほんと楽しい♪なんだかクセになりそう)
「はぁ?」
(なんだとぉぉ!!)
いきなり突拍子もない事を言われて、おもいっきり顔を後藤の方へと向ける。けど、
首がちょっと痛くなっただけで後藤の顔は見れなかった。
「だから〜、『市井紗耶香は後藤真希にかないません。降参です』って」
「・・・・ヤダ」
「いやぁ?信じらんなーい」
(こいつ、絶対におもしろがってる)
後藤は大袈裟に驚きの声を上げているが、背中から伝わってくるクスクス笑いに市
井はちょっと腹が立つ。
(どうしてあたしがそんな事言わなきゃいけないんだ〜!!)
後藤に冗談でも『降参だ』なんて言うのは絶対にいやだ。実際、あたしはまだ負け
を認めていない。勝負はこれからなのだ。
- 575 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月20日(月)02時36分46秒
- 「それだけは絶対にイヤ」
「なんだよ〜。市井ちゃんの負けず嫌い」
「何とでも言え」
「けち〜」
ぶつぶつ文句を言いながら、後藤が身体を起こしたのが市井へと伝わってきた。し
かし、まだ腕で押え込まれたまま。
まあ、彼女が簡単にそんな事を言うわけないと思っていた後藤は、とりあえず『降
参』と言わせるのをあきらめた。ここであっさり言われちゃったら、次に考えてい
る言葉を言わせる事ができなくなってしまう。こっちの方が大本命なのだ。
「じゃ〜ね。あ!!これ言ってくれたら離してあげる」
「なんだよ」
「あのね・・・」
「早く言えっての」
「市井紗耶香は・・・」
「うん」
「後藤真希を・・・」
「後藤を?」
「・・・好きですって」
「はぁ?」
またしても驚きの声をあげてしまった市井紗耶香。一瞬、思考回路が完全に止まっ
てしまい、後藤が言った言葉の意味が理解できなかった。
(なっ!!あたしに何を言わせるつもりなんだぁぁ!!)
やっと理解できた後藤の言葉。それに気づいてベッドに向って深くため息をつく。
どうしていつもいつも後藤はこんな事を突然言ってくるんだ?
心拍数が一気にあがる。
『降参』まではよしとしよう。でも『好きです』はないだろう。さっきあんたに
言ったばかりじゃないですか。なに考えてるんだ、後藤ぉ。
「・・・・」
「言って?」
「・・・・」
「ねえ?」
「・・・・ヤダ」
「えぇぇぇぇ〜〜〜!!!なんでぇぇぇ!!!」
(なにが『なんでぇぇ!!』だ)
市井の頭上から容赦なく降り注がれる後藤の叫び声。それと同時にかなり乱暴に肩
を振られた。前後にガクガクと揺さぶられる市井。後藤の腕力はすさまじい。
「なんで言ってくれないのぉ?」
「なんで言わなきゃいけないんだよ」
「市井ちゃん、さっきは言ってくれたじゃん」
「さっきはさっき。今は今」
こんな形になってはいるけど、そう簡単には後藤の思い通りにはなってあげない。
教育係としてのプライドがある。まだまだ後藤には好き勝手はさせられない。
- 576 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月20日(月)02時37分18秒
- 「さっきも今も関係ないでしょ?市井ちゃんの気持ちは変わってない・・」
市井の答えに少なからずショックを受けた後藤は、すっかり自分の立場を忘れてし
まって下手に出てしまう。もちろん、市井がその事に気づかない訳ない。
「あのさぁ。こんな体勢で何言えっていうんだよ?」
「え?」
自分をベッドにうつぶせに押え込んどいて、そう簡単に好きですって告白できるわ
けない。というかいつまでもこの体勢でいるのはくやしすぎる。なんとかしてここ
から逃げ出さなければ。
後藤はただ単純に『好きだ』って言ってもらいたかった。自分に対してあんまりはっ
きりと言葉にしてくれなかった彼女から、ただ一言『好きだ』って言って欲しかっ
た。だから自分がしてた市井イジメの存在をすっかり忘れてしまってて。
「じゃ、はなしてあげたら言ってくれるの?」
「はなしてくれたら言ってやるよ」
「絶対だよ?」
「うん」
市井はベッドに顔を押し付けて、こもった声で返事をした。
(へへへ♪また市井ちゃんに好きって言ってもらえる♪)
後藤にとってこの約束は効果大。嬉々とした表情で市井を押さえつけていた腕をは
なす。市井からの愛の言葉は何度聞いても嬉しいモノ。
(後藤ってほんと単純なヤツ)
あれだけ暴れてもはなしてくれなかったのに、今はこんなに簡単に解放してくれる。
後藤のそんな所が好きなのだ。そんな所がかわいいって思ってしまうのだ。
(身体は大人でも中身はまだまだ・・・)
市井は後藤の身体を知っているのだろうか。
後藤からやっと解放された身体を起き上がらせながら、市井は心底疲れたようにた
め息をつく。確かに腕力は後藤の方が上だけど、さすがに今みたいに押え込まれた
のははじめてだった。密かに筋トレでもしようか。
「早く言って?」
ニコニコしながら市井の言葉を待っている後藤。こんな時でなければかわいいなっ
て思える笑顔だったが・・・。
市井は大きく息を吸い込んで、約束通りの言葉を吐く。
「市井紗耶香は・・・」
「うん♪」
「後藤真希が・・・」
「うん♪」
「・・・・」
「?」
「大好きだぁぁぁ!!!!」
「キャ〜〜ッ!!」
市井はそう大声で叫びながら、後藤にお返しとばかりにタックルをする。その突然
の出来事に、後藤は何の受け身も取れないままベッドへと倒れ込んでいく。
- 577 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月20日(月)02時37分55秒
- (よくも今まで好き勝手してくれたな〜。このお返しはたっぷりしてやる)
無理矢理告白を要求されて市井の顔は真っ赤になっていた。それを後藤に見られた
くなくて、テレ隠しの為に反撃に出たのだ。
「ヤダ〜!!やめてよ、市井ちゃ〜ん!!」
「こらっ、待て・・・ごとぉぉ!!」
「キャ〜!!痛いってば〜」
「ごとっ・・って逃げるな!!」
「逃げるも〜ん!!」
ベッドの上で繰り広げられる、深夜にしてはかなり騒がしい鬼ゴッコ。階下の人の
迷惑にならなければいいのだが。
「よっ!!」
「キャ〜〜ッ!!」
なんとか後藤を壁へと追い詰めたのを確認して、市井はおもむろに突撃する。両腕
を大きく広げてそのたくまして身体をつかまえて、そのまま自分の身体と一緒にそ
らして、うまい具合にベッドへと倒れ込む。。
先ほどとは逆の体勢になった市井と後藤。違う所といえば、下にいる後藤が仰向け
になっているとこぐらい。
「ハァハァ・・・つかまえた」
「市井ちゃんってごーいん」
「どっちがだよ〜」
後藤のマヌケな言葉に、市井はガクッと首をうなだらせる。
結構走り回ったせいかなかなか呼吸がおさまらない。これくらいの運動量、ダンス
の練習に比べればたいした事ないはずなのに。
「ハァ・・ハァ・・」
市井はだまったまま、息が整うのを待っていた。
ベッドに押え込まれた後藤。彼女を押え込んでいる市井。2人の顔には笑顔がなく
て、ただ見つめ合ってるだけだった。
(なんか・・・この体勢ってあぶない感じがする)
自分の口から漏れる荒い息遣いと後藤の見上げるような視線。
後藤を押え込んでる今の状況と自分のこの体勢。
またしてもドキドキしてくる市井紗耶香。
(市井ちゃんってやっぱりかっこい〜な〜)
そんな体勢でいるにも関わらず、市井の顔をボーッと見上げている後藤。
とりあえず、彼女に『好きだ』って言ってもらって満足していた。
- 578 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月20日(月)02時38分41秒
- あたしはとっても息苦しかった。
これって暴れまわったせいなのか。それとも後藤が目の前にいるせいなのか。
いつまでも収まってくれない激しい呼吸。
あたしはとっても息苦しかった。
これって追い掛け回したせいなのか。それとも後藤が目の前にいるせいか。
いつまでも収まってくれない激しい動悸。
後藤があたしの顔を覗き込み、そして目が合う。
あたしはとっても息苦しかった。
でも、呼吸はすっかり落ち着いてるのに、胸のドキドキだけが一向に収まっ
てくれない。
これは走り回ったせいじゃない。きっと後藤が目の前にいるからだ。
あたしの腕は後藤を掴まえている。こいつをベッドへと押え込んでいる。
あたしの前には後藤しかいなくて。
後藤の前にもあたししかいなくて。
この部屋には2人だけしかいなくて。
あたしはとっても息苦しかった。
後藤があたしをジッと見つめてて。あたしが後藤をジッと見つめてて。
「・・・市井ちゃん」
後藤があたしの名を呼んだ。
「・・・後藤」
あたしが後藤の名を呼んだ。
2人の視線が絡み合う。
(大好き)
(好きだよ)
2人の想いが絡み合う。
- 579 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月20日(月)02時39分22秒
- 市井は後藤を押え込んでいた腕をはなして、静かに彼女の顔へと近づけていった。
少し震える指で、そっと、そっと頬に触れる。
ゆっくりとその曲線をなぞっていく。
頬はとてもやわらかくて、とてもすべすべしてて。
あったかくて、優しくて。
市井がずっと触れたみたいと思ってた後藤の肌。
おちゃらけてる時じゃなくて、じゃれてる時じゃなくて。
こんなに真剣な気持ちのまま、ずっと触れたいって思ってた後藤の肌。
「・・・後藤」
市井が後藤の名を呟いた。
後藤は、市井の指が自分の頬に触れた瞬間、ギュッと瞳を閉じてしまった。
彼女の顔が見れなくなってしまうのは惜しかったけど、今は市井の指だけ感じて
いたい。
指はとっても熱っぽくて、それでいてとってもとっても優しくて。
頬に触れてる指が、ゆっくりと、まるでその感触を味わうかのように、優しく優
しくなぞられていく。
そこから彼女の想いがどんどん伝わってきて、とっても幸せな気持ちになる。
市井が触れてくれる頬が、なんだか自分とはまったく別の存在になってしまった
かのように思える。
「・・・市井ちゃん」
後藤が市井の名を呟いた。
2人はただ、お互いの想いを確かめ合っていた。
- 580 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月20日(月)02時40分17秒
- 瞳を閉じて、あたしの好きなようにさせてくれる。
なんだかすっごく愛しく想える。
このままあたしがしたい事、してもいい?
後藤にずっと触れててもいい?
頬のやわらかさを充分堪能して、あたしの指は移動しはじめた。
頬からあご、そして唇へと・・・。
「後藤の唇って・・」
「・・・・」
「すごくやわらかい」
「・・・市井・・ちゃん」
後藤は閉じていた瞳を開いて、少しかすれた声であたしの名を呼んだ。唇に触れて
いた指が、一緒になって動いている。そして、名前を呼び終わって閉じられてしまっ
た唇に、あたしの指も僅かだか挟まれてしまう。
唇の奥のやわらかい感触があたしの何かを刺激する。
「キス・・していい?」
「・・・・」
あたしは思ってた事を素直に口にした。
『・・コクン』
後藤は無言でうなずいて、優しい表情を浮かべながらあたしの髪の中に指を差し入
れてきた。
あたしは緊張しながらも、後藤のあごに指を当てて顔を上に上げさる。
『ギシッ・・・』
2人の重みに耐え切れなくて、ベッドのきしむ音がする。
唇が近づくにつれ、後藤の指が、奥深くに入り込んでくる。後藤になでられるのは
すごく気持ちがよかった。
お互いの吐息が感じられる距離まできて、後藤が先に瞳を閉じる。
それを確認してあたしも瞳を閉じた。
そして・・・あたしの唇が後藤に触れた。
今日、2度目のキスだった。
このまま時が止まってしまえば、ずっと後藤と一緒にいられるのに。
ずっと、永遠に側にいられるのに。
ねぇ、このままあたしの想いを後藤に伝えてもいい?
後藤はそれを許してくれる?
(愛・・してるよ)
あたしは、心の中で呟いた。
- 581 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月20日(月)02時46分15秒
- 「お互い様」更新です。
いや〜、昔のようにって言っておきながら、またしても間があいてしまいました。
なんなんでしょうね、いったい(笑
>BOOTLEGさん
いつもいつもレスをありがとうございます。
そういえば、更新時間が同じかもですね。
今回もいい所で切れちゃってます?(笑
>O-150さん
続きです(笑)あいかわらずだらだらなのは勘弁して下さい。
そうだ!!市井ちゃんがんばってくれ〜!!
>571さん
色々考えこんじゃってますんで、あんなに焦らされたら後藤も動きだしますよね(笑
いいとこ切りが自分の代名詞?(爆
>さんち〜さん
どもどもです。そう言って頂けてとっても嬉しいです。
ありがとうございます〜。
がんばります!!
- 582 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月21日(火)22時44分57秒
- さあ!これからだ市井!(藁
- 583 名前:ムーミン 投稿日:2000年11月22日(水)00時11分46秒
- 何だかこの光景が夢に出そうだにゃ。
興奮して寝れねえさ(笑)
- 584 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年11月22日(水)01時39分14秒
- 愛してるを口に出せないこのもどかしさ!
そこがサイコーにスキ。
はぁ・・・甘いのっていいですね(w
- 585 名前:Yambo 投稿日:2000年11月22日(水)23時25分42秒
- いよいよきましたね。この時が(笑)
ふざけあってる時とマジな雰囲気のギャップがいいなぁ。
甘々モード大突入だぁー(爆)
- 586 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月24日(金)00時37分31秒
- 市井ちゃんの唇はやわらかくて、何かが音をたてて崩れだしそう。
市井ちゃんの指は暖かくて、このままずっと触っていてほしかった。
市井ちゃんの腕につかまっちゃってるあたしは、市井ちゃん以外に欲しいって思
えるモノが何もない。
触れ合っている唇から、市井ちゃんの想いがそのままあたしに流れ込んでくる。
最初はちょっと触れるだけ。
優しく重ね合わされてる唇の感触を、たっぷり楽しむかのように触れるだけ。
何度となく角度を変えながら、何度となくくちづけてくる。
この唇よりもやわらかいモノをあたしは知らない。
今までそんなにキスした事なんかなかったけど、その中でも市井ちゃんの唇が、
あたしにとっては最高なんだ。
すっごく優しくて、すっごく幸せにしてくれて。
すっごくドキドキしてしまう。
大切な人。
あたしだけの、大切な・・・大切な人。
あたしの唇に、なにか暖かいモノが触れる。それが合図。
触れているだけのキスから、もっとあたしを感じてもらう為のキスへと変わる。
市井ちゃんの舌があたしの歯に触れた。
それが最後の砦。
市井ちゃんに触れられれば簡単に崩れていっちゃう、最後の砦。
市井ちゃんをもっと感じたい。
市井ちゃんにもっと感じて欲しい。
もっと、もっとあたしの中に入ってきて。
開かれた唇から熱い舌が進入してくる。
市井ちゃんを感じる事ができる。
あたしを感じてもらう事ができる。
あたしの想いを伝える事ができる。
- 587 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月24日(金)00時40分36秒
- いつも、それはすっごく熱くて。
あたしと同じくらいすっごく熱くて。
市井ちゃんの想いをそのままあらわしてるみたいに。
それはとけてしまいそうなくらい熱くて。
あたしと同じ熱。
あたしと同じやわらかさ。
あたしと同じ味。
あたしと同じ想い。
全部一緒。
あたしと市井ちゃんは全部一緒なんだ。
この胸のドキドキも。
このどうしようもできない想いも。
全部、市井ちゃんと一緒だよ?
あたしの中で市井ちゃんが動く度に、意識がどんどん壊れていく。
もっともっと。
さらに強く感じて欲しい。
さらに強く感じてみたい。
市井ちゃんになら何されてもいいよ?
どんな事されてもいいよ?
あたしは、いつもそう思ってた。
もっと深く感じたくて、あたしはその腕に力を込める。
抱きしめる事で、市井ちゃんをあたしの中へと呼び込める事ができる。
それはいつものキスだけど。
それはいつものキスじゃない。
ずっと待ってたあたしの身体に、市井ちゃんを感じる事ができるキス。
あたしの想いを市井ちゃんに知ってもらう為のキス。
もうはなさない。
もうはなれない。
あたし、もっともっと市井ちゃんを知りたい。
市井ちゃんの全部を、もっともっと感じたい。
- 588 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月24日(金)00時41分48秒
- 後藤の唇はやわらかくて、何かがプツンと音をたてて崩れていってしまう。
後藤の指は暖かくて、そのままじっくりとその感触を味わいたくなってしまう。
後藤の腕に捕らえられたあたしは、こいつ以外欲しいと思えるモノなんてなかった。
唇づたいに後藤の想いが、そのままあたしの中に入り込んでくる。
最初はちょっと触れるだけ。
優しく重ねられた唇の感触を、じっくりと味わうかのように触れるだけ。
幾度となく角度を変えながら、幾度となくくちづける。
この唇よりもやわらかいモノをあたしは知らない。
今まで何人かの人とくちづけを交わしたけれど、後藤の唇ほど優しくて幸せな気
持ちにさせてくれるモノをあたしは知らない。
大切な人。
あたしにはもったいないくらい、大切な・・・大切な人。
閉じられていた唇に舌でそっと触れる。それを合図に後藤の唇が微かに開く。
触れているだけのキスから、より相手を求めるキスへと変わる。
あたしと同じ感触を持った後藤の歯をそっとなぞる。
それが最後の砦だ。
僅かにぬめっているその感触が、さらにあたしの心をかきたてる。
後藤をもっと感じたい。
後藤にもっと感じて欲しい。
このまま、後藤の中に入ってしまいたい。
この中に押し入れば、後藤のやわらかさを直に感じる事ができる。
後藤を感じる事ができる。
あたしを感じてもらう事ができる。
あたしの想いを伝える事ができる。
- 589 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月24日(金)00時44分32秒
- いつも、その中はとても熱くて。
あたしと同じくらい熱くて。
後藤の想いをそのままあらわしてるみたいに。
その中は焦れるくらいに熱くて。
あたしと同じ熱。
あたしと同じ感触。
あたしと同じ味。
あたしと同じ想い。
全部一緒なんだ。
あたしと後藤は、一緒なんだ。
この胸の高鳴りも。
この壊してしまいたくなる想いも。
全部一緒なんだ。
あたしは後藤の中を存分に味わう。
頬の横のやわらかな壁や、すべすべの歯の裏。
時には優しく、時には激しく。
この身体の中で、これほど自分の想いに正直に動くモノはない。
混ざりあう唾液と、端から漏れてくる苦しげな声。
頭の中に直接響いてくるそれら。
首にからみついてくる後藤の腕。
それを支えてわずかに震えてるあたしの腕。
あたしの髪の中を自由自在にうごめいている後藤の指。
その気持ちよさに流されそうになって、思わずシーツを掴む。
つい、ガマンできなくなって閉じていたまぶたを開ける。
すぐ近くに見える後藤の頬。
その中であたしが動く度に、その動きが見えてくる。
それはいつものくちづけだったけど。
それはいつものくちづけじゃない。
あたしの想いを感じてもらう為の、くちづけだった。
あたしの後藤に対する欲望を感じてもらう為の、はじめてのくちづけだった。
もう、止まらない。
もう、止められない。
あたしはもっと後藤が知りたい。
- 590 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月24日(金)00時46分42秒
- さすがにちょっと腕がつらくなって、市井は名残惜しそうに後藤の唇からはなれ
た。それと同時にお互いの唇から漏れる吐息。
ちょっと恥ずかしかったけど、後藤へと視線を合わす。
2人して微笑み合う。
(なんか幸せだぁ)
その柔らかな髪を指でもて遊びながら市井は思った。やっと待ちに待った時がき
た。後藤を抱きしめる事ができる時がきたのだ。
(いよいよっすか?)
2人はベッドの上。
やっと、やっとたどり着いた。思えば長い一日だった。
はやる気持ちと、教育係としての顔。
その2つを天秤にかければ、今は前者の方が勝つ。
こんな所でえらぶっててはいけない。ほんとの市井を出してしまわなければ。
いつ、後藤が心変わりしてしまうか・・・それだけが怖い。
市井は、微かに震える指をそっと後藤の肩へとのばす。
(市井ちゃんだぁ)
瞳を開ければすぐ近くに市井がいる。これ以上の幸せははない。自然とニヤける
その顔が、後藤がどれくらい幸せなのかをあらわしている。
(でもね〜・・・)
市井とキスしてる途中に思いついた事があった。市井のキスを受けている途中に
考え付いた事があった。
それはなに?
(いつもいつもキスされてばっかりだよ〜)
後藤はいつも市井にキスされるばかり。さっきもそう。今もそう。
近づいてくる彼女の唇を、瞳を閉じて待っているばかり。
たまには・・・そう、たまには反対の事をしてみたい。自分から市井にキスして
みたい。
(今夜はやってやる〜!!)
密かにガッツポーズ。
自分へと伸びてきた市井の指を、ただボ〜ッと眺めていたが、その視線にいきなり
輝きが戻る。
もちろん市井見逃さない。しかし、今回はあえて無視。こんな目をした後藤は、絶
対によからぬ事を考えているはずなのだ。それは自分にとってあまりいい考えじゃ
ない事が多い。はっきりいって、ここまできて『それ』にジャマされたくない。
だから、無視してその肩に触れた。このやわらかさがたまらない。
- 591 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月24日(金)00時49分09秒
- 「ねえ、市井ちゃん?」
「ん?」
「あのさ〜」
「うん」
再び、後藤の唇に近づこうとしていた市井にかわいい声が聞こえてきた。いけないと
思いつつもやっぱり返事をしてしまう。後藤に呼ばれれば意識がそっちに移動する。
教育係の悲しい習性。
なぜか変にテレてる後藤を、怪訝な顔で見つめる市井。彼女は何を言い出すというの
か?できれば今の雰囲気に合った言葉がいいんだけど。
「あたしも市井ちゃんにキスしたい」
「は?今、してたじゃん」
「そ〜じゃなくてぇ・・・あたしの方から市井ちゃんにしたいの!!」
「どっちもおんなじ・・」
「違う〜!!」
「何が違うっつ〜んだよ?」
(なんだ?あたしのキスじゃ満足できね〜ってか?)
突然のお願いに、市井はただただ驚くだけ。まさか、自分としてる最中にそんな事を
考えつく余裕があったなんて・・・かなりショック。
まるで駄々をこねてる子供の様に、顔をくしゃくしゃにして叫んでいる後藤。それは
それでかわいかったんだけど。
後藤はそう叫びながらベッドから起き上がると、真剣な顔で市井を見つめる。
柔らかく揺れるベッドのスプリング。自然と2人の身体も揺れていた。
「市井ちゃんからのキスは待ってるキスなんだよ?」
「うん」
「後藤からだったら、それは待ってるキスじゃないの」
「ん?どう違うんだ?」
「されるのとするの違いなの。市井ちゃんはいっつもする方だから〜」
(ふむ、確かにいつもキスしてる方だ)
1つ1つ丁寧に説明してくれる後藤の話に、なぜか少し納得してしまう。
両手を前について、顔をグイッと市井に近づけながらまだ話は続く。
眉間にシワを寄せて、熱く語っている後藤の顔がちょっとかっこいい。話す話題がこ
れじゃなかったら、しっかりしてきたって誉めてあげたいくらい。
「だから〜、たまには市井ちゃんがされる・・方に・・・」
自分を見詰める市井の視線に急に恥ずかしくなったのか、近づけていた顔を、少しだ
け後ろにそらす。それと一緒に声までもが小さくなっていく。
(しっかし、こいつってどんな顔しててもかわいいなぁ)
後藤の提案も、市井の耳には入ってこない。だって彼女の顔に見惚れていたから。
急に小さくなっていく後藤の声が、やっと頭の中に入ってきて、とりあえずこのまま
でいるよりかはましかと思った市井はそのお願いをきいてあげる。
- 592 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月24日(金)00時50分47秒
- 「よくわかんないけど、わかったよ」
「いいの?」
「ん。別にどっちもそんな変わんないし」
「じゃ〜、こっちに寝て?」
「ん」
ほんとはぜんぜん期待してなかった後藤だったが、まさかの市井のOKの返事に、大
喜び。自分が寝ていた場所から身体を速効でずらして、その場所を軽く叩く。
市井は、その命令に素直に従って、後藤と身体を入れ替える。特になんて事はない。
単に立場が反対になるだけなのだ。市井が後藤のキスを待つ立場になるだけなのだ。
ベッドにゴロンと横になり、いつでもOKの体勢になった市井に、後藤は静かに顔を
近づけていく。
自分の顔を見上げてくる市井の視線が、見なれてないせいか、すごく気になった。
自分から市井へ近づいて行くのが、なれてないせいか、すごく緊張する。
(・・・市井・・ちゃん・・)
市井の顔に近づく度に、まぶたをソッと閉じていく。それは自分を見つめる市井の視
線に耐えれないから。キスしようしている自分の顔を見つめているその瞳に耐え切れ
ないから。
でも、その直前まで市井の顔を見つめていたい。
「目、つぶってよ」
「あ?・・・あぁ、そっかそっか」
後、もう少しで重ねられようとしているのに、肝心の市井は、瞳を閉じようとはしな
かった。思ってる事は後藤とたいして変わらないが、いつもとは違うその顔をまじま
じと観察してしまう。
(つい見ちゃってた)
自分の肌に直接かかる後藤の呟きが、なんだかすごく変な気持ちにさせる。つい、ガ
マンしきれなくなって、市井の方から唇を近づけたくなる。
「も〜、そんなの常識でしょ〜?」
(市井ちゃんって信じらんな〜い)
後藤が睨む。そんな顔して怒られてもちょっとマヌケなんだけど。
「ハハハ。そだね」
(後藤から『常識』なんて言葉が聞けるとは思わなかった)
市井は笑顔で返す。その顔はいつもの教育係の顔。
では、気を取り直してもう一度。
キスする方のドキドキと、される方のドキドキ。
お互いはじめての経験で、なんだか少し手間取ってしまう。
結局どちらも恥ずかしいのだが、どちらがより恥ずかしがっているかといえば?
さっきは笑ってごまかしたけど、ほんとはほんとは・・・・。
(なんか、なんか・・・かなり恥ずかしいかもじゃんか〜!!)
余裕の微笑みをう浮かべながら、後藤の下になって待つ、市井紗耶香その人だ。
- 593 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月24日(金)00時56分02秒
- 「お互い様」更新です。
はぁ、いつになったら先に進むんだろう(笑
この書き方、直りそうにもないです。
>582さん
これから!!だったんだけど、市井ちゃんは下になってしまいました(笑
>ムーミンさん
きっと、ムーミンさんの夢の中の2人はここよりも先に進んじゃってる事でしょう。
>BOOTLEGさん
言ってって言われると、なかなか素直に言えなさそうですよね、市井ちゃんって。
甘いの・・・いいですよねぇ。好きなんですけどねぇ。
>Yamboさん
自分、ことごとく期待を裏切ってしまっているかも。
突入・・・ぜんぜんしてません(笑
- 594 名前:ファン 投稿日:2000年11月24日(金)04時13分13秒
- もはや「超短いんですけど…」じゃないですね。朝夕冷え込みますが、
がんばってください。
- 595 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月24日(金)16時43分23秒
- 市井!早く上になってさっきの続きを!(w
- 596 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月24日(金)17時43分32秒
- このまま後藤が主導権を握ってくれ
作者さんもきっと望んでるはずだ!(笑)
- 597 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月25日(土)14時13分56秒
- 市井さいこ〜ナリ
- 598 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月25日(土)17時22分29秒
- ほしほし
- 599 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年11月26日(日)01時54分26秒
- いいね…完全にいちごまファンをツボを得たシチュでたまらん。
いちごまメチャスキってわけじゃないけど…これは別格
- 600 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月26日(日)03時28分00秒
- つ、ついに・・きたか・・?
- 601 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月26日(日)06時09分13秒
- ドキドキドキ
- 602 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時24分42秒
- 「じゃ・・・するね・・」
「・・・ん」
あたしはまぶたを開けたくて開けたくてしょうがなかった。
そりゃあ、キスする時はまぶたを閉じるのが礼儀ってもんだけどさ。そうなんだ
けどさ〜。
目を閉じるって事は、何にも見えなくなるわけで。
後藤の顔がどこまで近づいて来てるのかもわかんないし、それにやっぱり恥ずか
しい。で、そんなあたしの表情を後藤には見られてるわけで。
それって・・・それって・・・それってぇぇ!!
あたしは瞬時に後悔した。
今までされる側に回った事なかったから、すごく安易に考えていた。
人生、何事も経験が必要だ。
後藤とこうなる前に、ちゃんとやっとけばよかった。
さっき、かなり至近距離だったからもうすぐ後藤の唇があたしに触れてくるはず。
そのはずなんだ・・・けど。
今か今かと待ち構えていたのに、肝心のそれはなかなか触れてくこない。
ん?どうしたんだ?まだなのか、ごとぉぉぉ!!!
自然と閉じてるまぶたに力が入る。
シーツをつかむ指にも力が入る。
こんな事で緊張するなんて・・・っていうか、今日、一番緊張してないか?
ハハハハ・・ハハ。
- 603 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時26分28秒
- そんな市井の心の葛藤に、もちろんまったく気づいてない後藤は、のんきに彼女
の顔を眺めていた。
はじめて自分からするキス。ギュッと目をつぶっている市井の顔。なにもかもが
新鮮だ。
(市井ちゃん、緊張してる?)
微かに震えているまぶた。
(あたしも、すっごくドキドキしてる)
鼓動と同じリズムを刻む腕。
彼女が逃げ出してしまわないようその腕と膝で囲みながら、なるだけ体重をかけ
ないように支える。
(すごく近くに・・・市井ちゃんの顔)
今、息をすれば市井にも感じてしまうはず。それすらも恥ずかしい。
後藤に市井の熱が伝わってくるように、市井にもそれが伝わっている。
(市井ちゃんに・・・キス・・・したい)
後藤の髪がサラリと流れて、市井の頬に当たった。
後、少し。
(・・・ご・・とう)
後藤の唇を待つ市井と。
(・・・市井ちゃん)
市井の唇へと下りていく後藤。
自然と二つの唇が開いて・・・そして重なり合った。
もう何にも考えられない。
さっきまでの恥ずかしさはどこかへ消えてしまった。
ただ、お互いの想いを感じ合う。
(好き・・・愛してるよ、市井・・・ちゃん)
何をしていいのか、何をすればいいのか。
それさえも気づかないくらい、市井の熱にとけてしまった心。
市井の指がシーツからはなれ、後藤の首へとまわされる。
離れないように、離さないように。
このままずっとこうしていたい。
それだけを考えながら。
後藤の腕が、市井の身体を抱きしめる。
離さないように、離れないように。
このままずっとこうしていたい。
それだけを考えながら。
- 604 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時28分19秒
- 唇がはなれ、わずかにうるんでいる瞳を見つめながら、後藤は熱っぽい息を吐く。
キスされる方よりも、する方が緊張するって事を、今、はじめて知った。
市井の荒い息遣いが自分の頬に当たってくる。
このまま市井をはなしたくない。
もっと市井の事が知りたい。
もっと市井に触れてみたい。
(市井ちゃんに・・・触れ・・た・・い)
ふつふつと沸き上がってくる欲望に、後藤はあっさり負けを認め、その首筋へと
唇を近づけていった。
市井の肌に触れる直前、そっと舌を出した。
身体を走る快感。
のけぞる背中。
その唇から逃れようと、無意識に右へと反らされる首。
「アッ・・・」
わかっているのは、後藤が唇以外の場所にキスしてきたという事。
そして、それに自分がすごく感じてしまっているとしう事。
ゆっくりと上下する唇。
時たま熱い舌が優しく触れてくる。
「ご・・とぉ・・・・」
吐息とまじって後藤の名前を呼ぶ市井。
「市井ちゃんが欲しいよ・・・」
少しだけ唇をはなし、市井の耳元で囁いてくる後藤。
腰にまわしていた腕を、ゆっくりとゆっくりと抜いていく。
やっと自由になった指を、一度軽く握り直して、自分の胸の下、そして市井の胸
の上へと滑り込ませる。
柔らかな感触。
薄いTシャツの下の柔らかな感触。
自分じゃない、市井の胸の感触。
怖いほどの柔らかな感触におびえながら、それを壊してしまわないように、後藤
は優しく撫でてみた。
- 605 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時31分28秒
- (あたしが欲しいの?)
ぼんやりとした頭の中で後藤の呟きを反芻してみた。
その呟きには自分の理性を壊してしまうほどの力があって。
(あたしも後藤が欲しい)
答えるかわりに後藤をギュッと抱きしめた。
何がしたいのか、何がしたかったのか、そんなのもうどうでもいい。
このまま流されてしまうのもいいか・・・。
胸に感じる後藤の手のひらがとても熱かった。
間にTシャッ1枚はさんでいたけど、まるで直接触れられてるみたい。
壊れ物でも扱うようなそのきごちない動きに、あたしはさらに壊れていく。
目を開けなくても後藤の緊張は感じられる。
後藤になら、何されてもいいよ。
後藤になら、壊されちゃってもいいよ。
あたしも、後藤の事・・・壊してみた・・い。
後藤の動きは焦らされるくらいにゆっくりで、その動きに夢中になってしまって
いる自分がいる。
後藤の事だけを考えて。
後藤だけが欲しくて。
後藤だけを感じたくて。
もう、娘。のメンバーとしての市井紗耶香じゃない。
教育係としての市井紗耶香じゃない。
あたしが欲しいと言ってくれた後藤真希を愛してる・・・これが本当の市井紗耶香
なんだ。
あたしが欲しいと言ってくれた後藤だけを愛してる・・・これが真実なんだ。
「アッ・・・」
唇から漏れてしまう吐息。
後藤に触れられているという現実が、必要以上に身体を敏感にしている気がする。
「市井・・・ちゃん」
かすれた声であたしの名前を呼ぶ。
それが次の行動へ進もうとする合図だった。
後藤の手はTシャツの下へと伸びてきた。めくり上げられた場所から、肌に直接
触れてくる後藤の指。
そして・・・手のひら。
お腹に触れられただけなのに、あたしの身体は反応する。
その後に、後藤が少だけ上半身を浮き上がらせた事に気付く。2人の身体の間に
自由に行動できるくらいの空間ができた。
- 606 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時34分00秒
- すべすべの市井ちゃんの肌は、とっても気持ちがよかった。
ちょっと汗をかいてるかもだったけど、とってもとっても気持ちよかった。
もっともっと色んなとこに触れてみたい。
そしたら市井ちゃんはどうなっちゃうんだろう。
あたしの動きに感じてくれるのかな?
もっともっと感じさせてみたい。
もっともっと感じて欲しい。
もっともっと色んな市井ちゃんを見てみたい。
あたしだけに・・・後藤だけに見せて。
市井ちゃんのその姿を。
- 607 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時35分29秒
- 「電気・・・消して・・・」
「あっ、うん」
心ここにあらずな感じの市井の熱っぽい声が、後藤の耳に聞こえてきた。それと
同時に首に巻き付かれていた腕が緩められる。
後藤があわてて上半身を起こすと、その腕は市井の顔へと落ちていって、そのま
ま顔を隠すような感じになった。
隠すって事は、やっぱり見られたくないらしい。
せっかくいい雰囲気だったけど、明るいままで続けるのはさすがに恥ずかしすぎ
る。途中まではこのままでもいいかなんて思ってたけど、まぶたの上に感じる明
るい光がやはりどうしても気になる。
ましてや、このままだと見られたくない顔まで後藤に見られてしまいそう。
「ここの部屋って、どこにスイッチがあるのかなぁ?」
その場で膝を突きながら、辺りをキョロキョロ見回す後藤に、市井はちょっとだ
け腕をずらしてその顔を見上げる。
「どこって・・・普通はドアのとこにあるだろ」
「あ!!そ〜か♪」
かなりぶっきらぼうな言葉になってしまったのは、市井特有のテレ隠し。
その言葉に、後藤は嬉しそうな顔で返す。
(このままだと・・・このままだよな)
後藤の顔を見上げながらついたため息が両腕から漏れる。しかし、今更上に戻る
元気もない。
(なるようになれって感じか)
最初だけは後藤にまかせてみよう。その後は・・・どうにかなるだろう。
「じゃ、消してくるね。市井ちゃんはそのままで待ってるよーに♪」
のんきな後藤の声に、考えを改めようかと思ったが、とりあえずはその命令に従
って、そのままの体勢で待つ事にした。
それを確認して、後藤はドアへと振り向いた。
その直後。
「あ!!」
「ん?」
いきなり後藤が変な声を出して、その場で固まってしまった。
市井はあわてて腕をどけて顔をあげるが、後藤の背中しか見えなかった。
(なんだ?何が「あ!!」なんだ?)
はたして、後藤は何を見たのか。起き上がって確認したかったけど、肝心の後藤が
上にのっかったままなので、それさえもできない。
「どしたの?後藤?」
(なんかやばいモノでもあったのか?)
いやな予感が身体中をかけめぐる。
市井は思い切って後藤に声をかけてみた。
- 608 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時36分02秒
- 「・・・市井ちゃん」
「ん?」
後藤の身体はまだ市井の上に座ったまま。そのままの状態で市井の名を呼ぶ。
(いったいどうしたってんだ、ごとぉ〜!!)
訳もわからず見つめ続ける市井。
「ちょっといい?」
「どした?」
「あたし、なんか幻でも見てるのかなぁ?」
「へ?」
相変わらず、謎な言葉を呟き続ける後藤に、市井は怪訝な顔をする。
「幻?なにそれ?」
「・・・・」
「わけわかんないってば〜」
後藤は後ろを振り向いたその姿勢で固まっている。とりあえず、今は彼女の言葉
の続きを待つ事しかできない。
「ドアのとこに・・・」
「ドアのとこ?」
その言葉を受けて、なんとか覗き見ようとする市井の耳に信じられない声が届く。
「裕ちゃん達が・・・」
「なんだとぉぉぉぉ!!!!」
なんとか起き上がろうとするが、相変わらず後藤の身体がジャマをする。一人焦
りまくっていた市井の耳にさらに追い討ちをかける声。
「やば。ばれてもたで、矢口」
「だからやめよって言ったのにぃ」
それは、今ここで聞くはずがないと思っていた声だった。
2人だけの時間をじゃまされたくなかった市井が、絶対に聞きたくかった声だった。
しかし、聞こえてしまった声だった。
その声の主とは?
説明しなくてもわかっている。
モーニング娘。のリーダーでこの部屋の持ち主の中澤裕子と、その相棒で自称セ
クシィー隊長と言い張る矢口真里。この2人の声だった。
(嘘だろ〜!!)
ガラガラと何かが音をたてて崩れだす。
市井の目の前に、信じられない出来事が、今まさに起きてしまったのだ。
それも・・・・・この状況で・・・・。
- 609 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時36分51秒
- 後藤の言葉が信じられなかった。まじで嘘だと思った。でも嘘じゃなかった。
後藤の背中を力任せにどかしたあたしの目に飛び込んできたのは、まぎれもなく
裕ちゃんと矢口の姿だった。
笑顔で手を振る裕ちゃんと、その隣で手を顔の前まで持っていって申し訳なそう
な顔をする矢口の姿だった。
そして、見覚えのある2人の格好。
あたしは、思わず叫んでしまう。
「裕ちゃん!!それに矢口も!!」
「おはようさん」
「あ、紗耶香・・・ごめ〜ん」
信じられない。まったくもって信じられそうにない。
なんでここにいるんだ?なんでそこで笑ってるんだ?
なんで裕ちゃんと矢口がこの部屋にいるんだ?
「市井ちゃ〜ん」
無理矢理どかされてしまった後藤の声が、あたしの耳に聞こえてくる。
聞こえてきたけど、今はそれどころじゃない。目の前にいるマヌケな格好をした
2人に対して、怒りとそして恥ずかしさがどんどん膨らんでくる。
あたしは速効でベッドから立ち上がり、ダッシュで裕ちゃん達の元へと走っていった。
「な、なんしてるんだ、あんた達は!!」
「矢口はやめようって言ったんだよぉ」
「こら、一人で逃げようとすな」
「こんなモノまで被らされてさぁ」
「何ゆーてるんや?楽しそうに被ってたやないか」
「裕ちゃんが無理矢理矢口にかぶせたんじゃないかぁぁ!!」
「そんな事してへんやん。被りたいてゆーたからな・・・・」
目の前で繰り広げられていく、言い訳という名の漫才。そんな事は聞いちゃいない。
「そんなのどっちでもいい。ここでなにしてるのか聞いてるんだ!!」
あたしは本気で怒っていた。いつもだったらこんな2人の会話は、笑いながら聞
けたけど、今はそれにつきあっている時じゃない。
「あ〜、あれやねん。あっちで寝ようかと思ったらな」
「急に裕ちゃんが布団がないって言い出したの」
「いや〜、客用の布団、この部屋にしまってあるのすっかり忘れててなぁ」
「で、ここに取りに行こうって裕ちゃんが」
「ほら、やっぱ布団ないと寒いやんか?ここで矢口に風邪引かすわけにもいかん
かな思て」
「矢口は、紗耶香達のジャマになるから、バスタオルでも被って寝ようって言っ
たんだよ?」
「でもな〜、やっぱあぶないからな。あたしのウチに泊りに来てなぁ・・・」
次から次へと泉の如く沸いて出る言葉の数々。
あたしは完全に切れてしまった。
- 610 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時37分26秒
- 「だから・・・」
「へ?」
「さ・・紗耶香?」
「だから・・・」
「どしたんや?」
「怒ってる?」
「だからぁぁ!!!!」
「!!」×2
「わざわざこの部屋に入り込んだって言うわけ?」
「そや」
「・・う、うん」
「ノックもしないで黙ってか?」
「いや〜、さすがらジャマはせんとこ思てな。ばれんように忍び込もうって」
「だから、矢口言ったじゃん。絶対にばれるって」
「そやなぁ。矢口の言う通りやったわ。さすがやわ」
「・・・・・」
ほんとにほんとに信じられない。普通こんな事する?
もう怒りを通り越してあきれてしまう。
黙ってしまったあたしの顔を、おびえた表情で覗き込んでくる2人。
今更そんな顔したって遅い。こんな事やっちゃってからではもう遅い。
あたしは、今できる最高の笑顔を作りながら、ほっかむりを被ったマヌケな2人
組に向って言い放つ。
「とりあえず、言い訳は明日聞くから・・・」
「へ?」
「さ・・紗耶香?」
「取るモン取ってさっさと出てけぇぇ!!!」
「は、はいぃぃ!!!」×2
笑顔のまま2人の行動を見つめていたあたしに、裕ちゃん達は心底脅えていたよ
うだ。大慌てでクローゼットの扉を開けて、中から布団を取り出した。
時々、チラチラとあたしの方に視線を向けるが、完全に無視。口元には笑顔を作
りつつ、目はその2人を睨んでいる。この姿勢は崩さない。
- 611 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時38分01秒
- 「じゃ・・・ウチらはあっちに帰るから・・・」
「おジャマしました」
誰が見ても愛想笑いってわかる顔で、裕ちゃんと矢口は部屋から出ていった。
もちろん、あたしはドアが閉じられるその瞬間まで笑顔は崩さない。
『パタン』
入ってきた時とは正反対の様に、音をたてて閉じられるドア。
それを確認してから、あたしはガクリと膝をついた。
「いったい、何だっていうんだよ〜」
「市井ちゃん?」
疲れきったあたしの後ろから、心配そうな後藤の声がかかる。そういや後藤はた
だ呆然とあたし達の事を見てただけだったな。そりゃあ、見てるしかできないだ
ろう。あたし、本気で怒ってたもん。
「だいじょぶ?」
「あ・・・なんとか」
あたしの側まで寄ってきて、心配そうに顔を覗き込んでくる。その顔を見たらちょっ
と元気になったりして・・・なんていうのは冗談だけど。
「なんで裕ちゃんってあ〜なのかなぁ」
「う〜ん」
「なんか、すっごい疲れたよ」
「あ、ヘッドに行こう?横になってよ、市井ちゃん」
後藤の口からベッドという言葉を聞いたけど、あたしは何の妄想も抱かず、後藤
の手に引かれるまま、素直にそこへたどり着く。そして、倒れ込むようにダイビ
ング。弾む身体が疲れを呼ぶ。
後藤は静かにあたしの横に寝転んだ。間近で見つめる後藤の瞳があたしの心を癒
してくれる。こんな事になっちゃったけど、気持ちは今でも変わらない。後藤に
触れたい、触れて欲しいっていうあたしの気持ちは変わっていない。
「市井ちゃん・・・」
「ん?」
ふいに、あたしの頭に触れてきた優しい感触にドキッと心が反応した。どうやら、
後藤が頭を撫でてくれてるみたい。優しいヤツ。
「もう・・・今夜は寝た方がいいよ・・・」
「え?・・・でもさぁ」
このまま寝ちゃったら、せっかくの夜が終っちゃうじゃないか。
そんなあたしの想いに気付いているのか、後藤は尚も言葉を続ける。
- 612 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時38分33秒
- 「あたしの事はいいからさ。市井ちゃん、すっごく疲れてるし」
「でも・・なぁ・・」
未練たらたらのあたしの言葉に、後藤は優しく微笑みかえす。
「今夜はガマンしてあげる」
ガマンって・・・おいおい(笑
苦笑いしたあたしに向って、イジワルそうな顔で返してくる。
後藤って、こういうとこは変に敏感なんだよな。いつもはボ〜ッとしてるくせに。
少しずつ曖昧になってきた頭の中でなんとかつっこみを入れた。
「だから、ゆっくり休んでよ。ずっと側にいてあげるから」
「う・・ん・・」
優しい後藤の言葉と、優しい後藤の手のひら。
そして、暖かい後藤の体温。
あたしを癒してくれるモノが、ここに全部あって。
あたしのまぶたは自然と閉じ始める。
「ねぇ・・後藤?」
「なに?市井ちゃん」
「あたしが寝るまでそうしててくれる?」
後藤の手のひらはほんとに気持ちいい。あたしの身体いっぱいに後藤の想いが伝
わってくる。それがさらに眠りをつれてきて。
こうやって、こいつに甘えるのってはじめてのような気がする。
「いいよ」
後藤の返事が眠りかけのあたしの耳に届いた。
今夜はこれでいいか。
好きな人とこうやって一緒に眠りにつけるだけでいいか。
後藤とこうして一緒にいられるだけでいいか。
でもね・・・明日になったら、覚悟しておけ、あの2人。
「おやすみ・・・市井ちゃん」
「おや・・す・・み・・・」
後藤に身体を近づけて、丸まるように眠りにつくあたしの背中に、優しくてあたた
かい手のひらが触れてくる。
なんだか、遠い昔にこんな風に優しく撫でてもらったような気がする。あれってい
つだったかなぁ。
思い出そうとしてもあたしの頭はそれを許してくれなくて。
まぁ、いいか。今は後藤だけなんだから・・・。
「大好きだからね、市井ちゃん・・・」
それが、あたしが覚えている、後藤の今夜最後の言葉だった。
- 613 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時39分34秒
- 今日は、ほんとに色々あった。信じられないくらいに長い一日だった。
矢口にひざまくらしてもらって。
それで、何故かいきなり後藤と裕ちゃんが仲良しさんになって。
後藤を泣かせちゃった事。
矢口に叱られた事。
裕ちゃんの覗きと、矢口の気持ち。
色んな事がたくさんあった。
でも、それもいい経験。
とりあえず、結果がよければ全てよし。オーライって事だ。
あたしは後藤と一緒にいれるだけでいい。
後藤の側にいれるだけでいい。
後藤の隣で眠れるだけでいい。
今夜は・・・今は・・・。
おやすみ、後藤。
あたしもあんたが大好きだよ。
後藤の事が大好きだよ。
しっかし・・・ほんとに覚えておけよ、あの2人・・・いや、裕ちゃん。
あたしが矢口と一緒だったって以上に、裕ちゃんはすごい事やらかしてくれたん
だからな。そんなのお互い様やって言われても、これだけはほんとに許せない。
明日になったら、ちゃんと叱ってあげましょう。
夜はこうして更けていった。
これで、市井と後藤の長い一日は終ったのだった。
- 614 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時40分49秒
- −その頃の中澤と矢口−
「まじで怖かった」
「そだね・・・」
2人、ドアの前で座り込む。
「明日、どうする?紗耶香、本気で怒ってたよ?」
「どうするもこうするも・・・謝りまくるしかないやろなぁ」
「許してくれるかなぁ」
「許してくれんでも謝る。これしかない」
「あ〜ぁ、裕ちゃんの口車にのらなけりゃよかった」
「なんや?あたしのせいやって言うんか?」
「裕ちゃんのせいじゃなくて、誰のせいだったいうんだよぉ」
「・・・・・・」
(あたしの・・・せいか・・・ガクッ)
首を落とす中澤の肩に矢口が手を置く。
「ごめんね。裕ちゃんだけのせいじゃないよね」
「やぐち〜」
「でも・・・今夜は疲れたからもう寝よう」
「へ?」
「布団、ちゃんと2組持ってきたよね?」
「あ・・・うん」
「さっさと引いて、とっとと寝ちゃお?」
「ちょ〜待て。このままおやすみ〜で終らすんか?」
「だって、明日起きたら、紗耶香の怒りの言葉聞かなきゃなんないんだよ?」
「そんなん・・・あいつは今日ずっと矢口の側にいたやんか。裕ちゃんほんとに
寂しかったんやで?そんなのお互い様やんか」
中澤の言い訳に、矢口は耳を貸さない。
「矢口は寝なきゃもたない。今夜はもう寝る!!」
「そんな〜」
「こっちで寝るから。裕ちゃんはソファーで寝てね?」
「やぐち〜」
「じゃ、おやすみ。あ、電気は消しておいてね」
「やぐち〜」
「あ〜、疲れた疲れた」
「シクシク」
最後に残されたのはやはりこの人、中澤さん。
「なんでこんな事になってしも〜たんや〜」
寂しく響く悲痛な叫び。
そんな事やっちゃうから、こうなっちやうんですよ?
自業自得・・・この言葉をあなたら捧げよう。
「しっかし、後藤が上やとは思わなんだ」
ドアの前で立ちすくんだまま、中澤が最後にそう呟いた。
- 615 名前:たれきりん 投稿日:2000年11月27日(月)04時56分28秒
- 「お互い様」更新です。
一気に書き上げてしまいましたが、これで一応この話は終わりになります(笑
とてつもなく長い一日でしたが、なんとか終焉を迎えるとこまでたどり着きました。
あと、残すは後日談のみ。
がんばろう、自分(笑
>ファンさん
そうですね。ぜんぜん「超短い」じゃないですよねぇ(笑
あの題名に、おもいっきり嘘ついてます。
>595さん
すみません。結局市井ちゃんは後藤の上に戻れませんでした。
また次回ってことに(笑
>596さん
途中までは主導権握ってたんだけどなぁ。市井もそれを認めてたんだけどなぁ。
やっぱりというか・・・こんな状態になってしまいました。
>597さん
そうです。市井ちゃんは最高なのです。
後藤も最高。矢口も最高。そして、裕ちゃんも最高(笑
>598さん
最近、マークつけるのはやってるんですね。自分、付け方がわかんない。
>BOOTLEGさん
ツボ・・えてます?どうなんだろうか(笑
本当にいつもいつもレスをありがとうございます。
>600さん
つ、ついに・・きた?・・・やべ(笑
>601さん
そのドキドキが〜!!やべ(笑
- 616 名前:作者様へ 投稿日:2000年11月27日(月)05時04分20秒
- こんな展開になるとは(笑)
ああ、いちごまのイケナイ夜が・・・
でも人の家なんだから・・・紗耶香もそんなにも怒らなくても(ワラ
たれきりんさんの書かれる矢口の描写は生きていて良い感じです。
さやまりとか書いて欲しいなぁ〜とか思ったりします。
- 617 名前:名無し 投稿日:2000年11月27日(月)06時28分01秒
- 最後のオチ、大好きだぁぁぁ。
さすが裕ちゃん!最後まで…
ちょっと風化したけど、ポッキーは書いてくれるんでしょうか?
まだ、書く気持ちがあったらぜひ書いてくで〜。
- 618 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月27日(月)20時24分47秒
- このままこの話しが終わったりしないですよね。この連載って事です。
このいちごま、めちゃくちゃ好きですね。
互いが思う気持ちがバシバシ伝わってきます。
もうとにかく最高って事ですよ。
- 619 名前: T 投稿日:2000年11月28日(火)01時23分18秒
- 最後、優しいごまにラブですね。あーおもしろかった。
簡単ですが、感想です。 お疲れさまでした。
- 620 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月28日(火)04時34分43秒
- 市井ちゃんの頭を撫でるごま最高です!
ほんと良かったです!
- 621 名前:さんち〜 投稿日:2000年11月29日(水)00時05分22秒
- 上は後藤かぁ。
いやぁ、意外でした。そして可愛かった☆
お疲れ様です。心理描写がとっても良かったです!
- 622 名前:Hruso 投稿日:2000年11月29日(水)02時08分08秒
- かつてこんなに長くて甘い夜があったでしょうか?
- 623 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月29日(水)02時37分16秒
- >622
いや、ない・・・。
- 624 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年11月29日(水)02時46分49秒
- たれきりんさん、お疲れ様でした!
いや〜いい話だったよ。やっぱり最後までは行かなかったけど…
ごまの切ない気持ちと市井のとまどいの気持ちがビシバシ伝わってきて
甘くて最高でした。
あ〜俺もこれぐらい甘く書いてみて〜(w
- 625 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月29日(水)16時43分47秒
- お疲れ様でした。
いちごま最高だぁぁぁぁぁ!!!!!!
もっとこの二人が見たいです。
- 626 名前:まいのすけ 投稿日:2000年11月30日(木)16時18分01秒
- オチが良かったです、何気にごまいちなのもツボでした。
甘くて楽しかったです。
お疲れさまでした!
- 627 名前:Yambo 投稿日:2000年12月01日(金)22時48分46秒
- ホントお疲れ様です。
最後に後藤が上になったのは意表をつかれましたね。
でもそれがまた良かったです。ごまいち最高!!
そして、最後までお馬鹿な裕ちゃん…素敵だ(笑)
- 628 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月01日(金)23時21分30秒
- あれで終りでもよかったんだけど・・・すみません。
もう少しだけお付き合い下さい(笑
「お互い様」更新です。
- 629 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月01日(金)23時22分19秒
- 某事務所の控え室。
かなり広めのその部屋には、安倍なつみが椅子に座っている。
時刻は9時20分。
今日は土曜日で学校が休み。という事は、まだ学校に通っているメンバー達がま
ず最初にその恩恵を受ける。普通の学生ならば、一日中自由にできる時間が手に
入る。しかし、モーニング娘。のメンバー達には土曜も祝日も関係ない。そんな
時こそ仕事をこなせとばかりに、悲しいかな、こんな時間に集合がかかるのだ。
「みんな、遅いなぁ・・・」
壁にかけてある時計を見ながら安倍が呟く。
今朝の集合時間は9時だった。しかし、控え室で待っているのは彼女一人。
安倍以外にも、ちゃんと遅刻せずに事務所へ来たメンバーは他にもいる。事務所
の人に呼ばれて、別室へと移動した飯田圭織と、今まで遅刻なんか一度もした事
がないという「娘。」にとっては希少価値が高い保田圭の2人。
保田の方は、ついさっき鳴り響いた携帯の着信メロディーと共に、どこかへ消え
てしまっていた。
すぐにみんな集まってくるだろうと軽い気持ちでいたのに、その3人以外のメン
バーが待てども待てどもやってこない。
たまに、後藤辺りが遅刻するっていうのはいつもの事だけど、今回は少し勝手が
違う。常習犯の後藤以外に中澤、矢口、そして驚いた事に市井もその中に含まれ
ているのだ。
「矢口や裕ちゃんならともかく、紗耶香まで遅刻かぁ・・・どうしたんだろ〜」
どうやら安倍は、昨夜遅刻組4人が中澤のウチにお泊まりした事は知らないらし
い。その顔はかなり本気になって心配している。
時刻は9時25分。
まだあらわれない4人。
机につっぷして大きなため息をつく安倍。
一人はやっぱりどこか寂しい。来るっていうのはわかっているけど、やっぱりな
んとなく寂しい。
(早くみんなの声が聞きたいな・・・)
『おっはよぉ、なっちぃ♪』
笑顔で部屋に入ってくる矢口の顔を思い出す。
『おっす!!だ〜、寝むてぇ〜』
早朝なのにすでにりりしい市井の笑顔を思い出す。
『遅刻だ〜!!』
そう言いながらもぜんぜん悪ぶれてない後藤の笑顔を思い出す。
『おはよーさん』
おもいっきり「眠たいんや!!」と書かれている中澤の不機嫌そうな顔を思い出す。
時刻は9時30分。
まだあらわれない4人。
いい加減来てくれないと、事務所の人に怒られちゃうぞ?
- 630 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月01日(金)23時22分51秒
- 某事務所内。
仕事のはじまりは大抵この建物を使う。「娘。」の控え室も常備用意されている。
一番手っ取り早くて、一番集まりやすい場所。
大きな自動ドアが開けば、まず、ロビーが目に入る。
いつもここは素通りして、さらに奥へと続く廊下へ一直線。その廊下の突き当た
りに上へと移動する為のエレベーターがある。
いつも自分達が集合場所として使っている控え室までは、まずはそのエレベーター
に乗らなくてはいけない。毎回毎回思うのだが、何故、廊下の突き当たりにある
んだろう。もっと出入り口の近くにあればこんな苦労もしなくていいのに。
特に、今回みたいに遅刻してる場合は、もう全力疾走で突っ走る。今更急いでも、
時間的にはそう大差ない。しかし、どうしても、つい走ってしまうのは自然の摂
理。遅くなったという思いがさらに脚の回転を早くする。
突き当たりのエレベーターに向っているであろう人達の足音が、その廊下に響い
ている。その数、3〜4人といったところだ。それと同時にけたたましい叫び声
も聞こえてきた。
「も〜、遅刻だよぉぉ!!!」
一番小柄な少女が叫ぶ。かなり特徴のある高めの声。
「だぁぁ!!!朝からダッシュしたくねぇぇ!!」
口ではそう叫んでいても走る速さは変わらない。ショートカットがすごく似合う、
ボーイッシュな少女が大声で吠える。
「も〜、あかん。まじで死にそうや」
その2人よりもかなり年上の女性の力ない声。関西弁がかっこいい。
「早くしないと、また圭ちゃんに怒られちゃうよ〜」
誰よりも前で走りながら、のほほんとかる〜い口調でしゃべる少女。まだまだ余
裕が感じられる。
集合時間は9時。
しかし、ロビーの壁にかけてあった大きめの時計の針は、その約束の時間よりも
すでに20分過ぎていた。
「だからぁ、もっと早くに出なきゃだめだったんだってばぁ!!」
足音だけでもかなり廊下に響き渡っているというのに、その音に負けず劣らずの
大声が、さらにその上で響き渡る。こだまが聞こえてきたのは気のせいか?
もちろん、その声の主は矢口真里である。
「んな事言うたかて、裕ちゃんは悪くないで?」
「も〜、何で起こしてくれないんだよぉ」
矢口の叫び声に、真っ先に反応したのは、その隣で走るひときわ金色の髪が目立
つ、リーダー中澤裕子。全力疾走で疲れているはずなのに、矢口へのフォローは
怠らない。これも愛ゆえか。
- 631 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月01日(金)23時29分17秒
- ぜえぜえ息をしながらも、ちゃんと受け答えしてくれた中澤の顔を、矢口はチラッ
と視線を送る。すごく真剣な横顔が、不謹慎だがちょっとかっこいいなんて思っ
たりして。
矢口がどんなに愚痴ってみても、中澤にはたいして効き目はない。今だって、走っ
てるから顔は苦痛で少し歪んでいるが、言葉はいつもの中澤節。
実際、朝、ちゃんと起きれなかった矢口が悪いんやと言われればそれまでなのだ
が。はっきりとそう自覚していても、何故か中澤に八つ当たりしてしまうのはい
つもの事。
「いや〜、起こそ思てんけど、矢口の寝顔があまりにもかわ・・」
「ちょっと裕子!!朝っぱらから変な事言わないでよぉ」
突然変な事を言い出したその口を、あわてて手で塞ぐ。走りながらのこの行動は、
はっきりいってちょっとつらい。
口を押さえていても、矢口に向けられている瞳が全てを物語っていて。
所構わずこんな台詞を言えてしまうのは、大人だから・・だけではないらしい。
「矢口も裕ちゃんも朝から元気じゃん」
「元気じゃないって!!」
バタバタと廊下を走りながらも繰り広げられている、中澤と矢口のベタベタシー
ンに、隣で一緒に走っている為いやがおうにも見せつけられていた市井が、と
うとうガマンしきれなくなってつっこみを入れてきた。それに即座にガウッと反
応する矢口。からかわれる事には人一倍敏感だ。
「紗耶香だって、元気じゃん」
「あたし?う〜ん、結構元気かな♪」
「あ〜、若いってえ〜な〜。裕ちゃんまじで死にそうや〜」
まだまだ若い矢口と市井の会話に死にそうな中澤の声が加わる。
「だって、あたし朝からそんなに動いてないもん」
「・・・・・」×2
市井の余裕の返答に押し黙ってしまった矢口と中澤。
朝起きてから現在まで、市井はかなりいいポジションをキープしていた。顔を洗
えば中澤がタオルを差し出して、朝食のテーブルにつけば、何にもしなくても矢
口が料理を運んできてくれる。そして、当たり前のように、服にはちゃんとアイ
ロンがかけてあった。かなり楽チンな朝が迎えられたのだ。
反対に、朝から忙しそうに動きまわっていた中澤と矢口。昨夜の怒りを少しでも
押さえようと、それはそれは健気に市井の世話をする。ついでに後藤の世話もし
てあげたの、市井への効果を期待していたから。もちろん、こうなってしまった
原因を作ったのは、夜中に部屋に忍び込んできた2人なのだが・・・。
- 632 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月01日(金)23時29分47秒
- (くっそ〜、紗耶香め。今だけやからな〜)
また何かやらかそうとしている中澤。とりあえず、今はそんな暇はない。
(とにかく・・・ここは聞こえなかったフリしとこぉ)
これ以上、大事にならないように見守る事にした矢口。懸命だ。
(しばらくこれでイジメてあげるよ♪)
まだまだ昨夜の出来事を根に持つ市井。せっかくいいとこまでいってからね。
「ごと〜、も〜ダメ〜」
無言で死闘を繰り広げられている3人の間に、ついさっきまで余裕で一番前で走っ
ていたのに、いつのまにかズルズルと後退していった後藤のなさけない声が響く。
やっぱり長距離はちょっと苦手。
そのなさけない悲鳴に中澤の目が光る。
「そりゃ〜、ごっちんらはお疲れかもしれんけどなぁ」
「なに〜?裕ちゃん、聞こえないよ〜?」
人の迷惑を顧みず、4人はほぼ横一列で走っていた。向って左から中澤、矢口、
市井、後藤の順。後藤と中澤との距離はそんなに開いてはいないのだが、4人
のうるさすぎる足音がジャマして中澤が発した言葉は、後藤の耳までは聞こえ
てこなかった。
(ま〜たそんな事言っちゃってぇ・・・)
隣で聞いてた矢口の脳裏にいやな予感が走る。
(そんな事言っったら絶対反撃されるのに)
とりあえずは、自分はそんな目には合いたくない。ここは黙っているに限る。
「言いたい事あるんなら、はっきり言えば?」
「なに?どうしたの?市井ちゃん」
案の定、聞こえてほしくなかった市井の耳にはしっかりと聞こえていたらしい。
今日はずっと中澤の優位に立ち続けるつもりの市井のその冷たい言葉。そして、
一人わけわかんない後藤。
「う・・・紗耶香・・・いや、何でもない」
「あっそ♪」
「なに〜?後藤にも教えてよ〜」
今の市井には手が出せない。さらにやばい状態へと追い込まれてしまう。それ
だけは何としてもさけなければ・・・。
でも、つっこみたい事は山ほどあった。
例えば、朝、なかなか部屋から出てこなかった市井と後藤の2人とか。
やっと部屋から出てきたと思えば、市井の顔が何故か真っ赤で、後藤が妙に嬉
しそうな顔をしていた事とか。
昨夜の事を後藤にこっそり聞いてみれば、溶け出してしまうような笑顔で『な
んにもないって〜』と言いまくる事とか。
- 633 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月01日(金)23時30分18秒
- (なんにもないわけないやんか)
喉まで出かかったその言葉。しかし、結局出ずじまい。
中澤裕子・・・昨日の事件で少し学習したらしい。
「来た来た!!ほら、早く乗ってぇ!!」
気がつけば、いつのまにかエリベーターの前に到着していたみたい。矢口のせ
わしない声が聞こえてきた。とにかく今は、少しでも早く控え室に行かなけれ
ば。すでに先に集まっているだろう3人のお怒りの言葉が怖い。
「は〜、なんとかここまでたどり着いた〜」
「さすがに4人一緒に遅刻はやばいよねぇ」
乗り込んだエレベーターの中で、つかの間の休息。
矢口が膝に手をつけながら、ホッと一安心。隣で呟く市井の容赦ない言葉が他
の3人の心に響く。
「とにかく、部屋についたら一斉にあやまるしかないな」
(またあやまらなあかんのか・・・)
あまりの疲れにその場に立っていられない中澤は、おもいっきり壁によりかかっ
ていた。ぐるっと辺りを見回すと、やっぱり市井と目が合った。その顔に浮か
べているにやにや笑いが癪に障る。
いったい、中澤は朝からあやまりの言葉を何回言い続けているだろう。数えて
はいないが、きっと新記録のはず。
(今日はずっとあやまり続けなあかんような気がする・・・はぁ〜)
自分が蒔いた種とはいえ、今日一日、市井と目が合う度にこんな表情を見てし
まうのは気が重い。でも仕方がないのだ。中澤はすでにあきらめていた。
「でも、4人一緒だから後藤は嬉しいよ〜♪」
(おいおい・・・)×3
相変わらずの後藤の一人能天気さに3人はガクッとうな垂れた。
「そや、ごっちん。後で圭坊に報告しとかなな」
狭い空間に充満したまったりとした雰囲気に耐え切れなくなった中澤が、なん
とか話題をかえようと後藤に話を振った。ふと、頭の中に浮かんできたのは、
矢口達のイチャイチャ場面を、いやというほど見せつけられて落ちこんでいた
自分達を勇気づけてくれた(はずの)保田の顔。
「あ、そっかー。すっかり忘れてた」
「圭ちゃん?」
「なに?圭ちゃんがどうかしたのぉ?」
軽い気持ちで言った言葉に、何故か異様に反応した矢口と市井。2人の視線が
中澤へと注がれる。ちょっと、いやかなり怖い。
- 634 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月01日(金)23時31分38秒
- 「なんや、驚くやんか、矢口」
「あっ・・ごめん」
「圭ちゃんになんの報告するの?」
妙に保田の事を気にする2人に『?』と思いながらも、事の成り行きを説明す
る。かなり興味津々な2人の瞳。
「あ〜、昨日な、ウチらの事だいぶ心配してたんや」
「裕ちゃんと後藤の事?」
「そや。ほら、あんたらが部屋でいちゃいちゃしてたやんか〜」
「別に、いちゃいちゃしてないよぉ」
「してたよー。やぐっつぁんが市井ちゃんにひざまくらしてた」
「あれはぁ・・・・紗耶香が寝むたいって言ったからぁ」
「そうそう、眠たかっただけだって」
いきなりの中澤の牽制球にあわてて言い訳をはじめる市井と矢口。やはり僅か
だが良心が痛むらしい。
「そうかぁ?それ見て、ウチらすごいショク受けてなぁ、な?ごっちん」
「(ウンウン)」
昨日の仕返しとばかりに中澤は号に同意求める。
題して『矢口と紗耶香にちょこっとだけ痛い目あわせたろ作戦』
・・・・懲りない人だ。
(真面目な顔してうなずくなっての)
市井は頷き続ける後藤をちょっと睨んでみたが、返ってきたのは、昨日の夜に
いやというほど見せ付けられたいじわるそうなその瞳。
まだちょっと引きずっているみたい。
「で、それと圭ちゃんがどういう関係があるの?」
茶々を入れると話がそれてしまいそうなので、市井はそのまま視線を中澤に移し
問い掛けた。
「あ、そやそや。でな、2人ショボーンと落ち込んでる所に圭坊がなぁ・・・」
そこでいきなりドアが開いた。どうやら目指す階に着いたようだ。4人はそのま
まエレベーターから下りて、近くの長椅子に腰掛ける。会話に夢中になって、遅
刻してる事は忘れてしまったらしい。
「でな、そんなウチらの相談にのってくれたんが圭坊やったんや」
深深と長椅子に腰掛けて、先ほどの会話の続きをはじめる中澤を、真剣な表情で
見つめる2人。後藤は一人、のほほ〜んとしていた。
「ウチらが矢口達にヤキモチ妬いたように、矢口達にも妬かせようって」
「そ〜だよ〜。市井ちゃんにヤキモチ妬いてもらいたかったんだ」
「それで、あの時ずっと一緒にいたのぉ?」
矢口の驚いた声に中澤と後藤はコクンと頷く。今の言い方だと、事の起こりは保
田だと言ってるような気がするが・・・。まぁ、実際、大袈裟に話をして中澤達
のやる気に日を注いでしまったのは彼女なのだが。
- 635 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月01日(金)23時32分21秒
- (やっぱり、紗耶香の言った通りだったんだぁ)
目で言葉を伝えてきた矢口に、市井は「でしょ?」と目で返す。
「ごめんな、矢口。裕ちゃんあんな手しか考えつかんかったんや」
「裕ちゃん・・・」
神妙な顔であやまる中澤に、矢口の心は愛おしさでいっぱいになる。結局は、あ
んな変な出来事も矢口の事が好きだったからやってしまったという事で。そう考
えると、なんだかとてもあったかい気持ちになる。
「いいって。矢口こそごめんね。ひざまくらしちゃって」
「矢口は悪くないて。そんな事でヤキモチ妬いた裕ちゃんが悪いんやから」
「今度、裕ちゃんにもひざまくらしてあげるね」
「ほんとか?むっちゃ嬉しいで、矢口」
「へへへへ」
他人の目をまったく気にせず、中澤は自分の気持ちを正直に行動であらわす。
その両腕で矢口を抱きしめた。
いつのまにかラブラブモードに突入している中澤たちがうらやましくて、後藤は
市井の耳元で囁いた。
「後藤も市井ちゃんにひざまくらしてあげる〜」
(は?あたし?)
いきなりそう呟かれても。市井は驚きと恥ずかしさで思わずお断りの言葉を言っ
てしまう。
「え?いいって。そんな事してくれなくても」
「やだ。絶対にしてあげるんだ」
「いいってば〜」
テレ隠しの為か、必要以上に断り続ける市井に、尚も「してあげるって」と続け
る後藤。対照的な2組のカップルのやり取りが微笑ましい。
しかし、こんな時にそんな事をしてていいのだろうか。
知らぬ間に、時間は刻一刻と過ぎていく。
- 636 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月01日(金)23時43分01秒
- というわけで、最終章に突入です。
次回は正真正銘まじでラスト(笑
無事、話を終らせる事ができるのだろうか。
>616さん
そうんーなんですよ。ここって一応裕ちゃんの部屋なので(笑
やっぱり、お互いの部屋で・・っていうのが理想かな。
さやまりっすか〜。どうなんでしょうねぇ。
>617さん
ありがとうござまいます。うちの裕ちゃんは最後までこんな人でした(笑
ポッキー・・・。ポッキーか〜。
>618さん
一応、最後の締めくくりの話があります。これでほんとに終わりです。
ありがとうございます〜。いちごま最高!!やぐちゅーもね♪
>Tさん
ここの後藤は全てにおいて市井ちゃんが一番なヤツなので。
ほんとは・・・なんだけどもみたいな(笑
>620さん
後藤に頭をなてでもらいたい。すっごく幸せだろうなぁ。
ありがとうございますです。
>さんち〜さん
上が後藤でした。いつのまにかごまいち?っかし〜な〜(笑
>Hrusoさん
甘いかどうかは置いといて、長いっていうのはないかもですね(笑
っていうか、長すぎやん、自分。
>623さん
大爆笑♪
>BOOTLEGさん
流れ的にはこの終りかたがベストじゃないかと。
一応、お気楽ご気楽がモットーの小話なんで(笑
>625さん
ありがとうございます。
まだちょっとだけ続きます(笑)ほんと、長いや。
>まいのすけさん
ごまいちもいいかもっすよ。
だんだんお気に入りのカップルが増えていってます・・やべ。
>Yamboさん
裕ちゃんは最後まで裕ちゃんだったと(笑
へなちょこ・・・大好き♪
- 637 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月02日(土)22時47分23秒
- 終わっちゃうの寂しいけど・・でも最後まで期待してます♪
- 638 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月02日(土)23時31分17秒
- たれきりんさんの小説大好きです
- 639 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時08分23秒
- そして、最後の流れぶち壊し小話です。
ちょっとね、ガマンできなくなってしまって(笑
「ドキドキ」です。
- 640 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時09分15秒
- テレ東の新番組。
娘。とキャイ〜ンのお2人が司会。
今夜は記念の第一回目放送日。
さすがのあたしも直前まで緊張でいっぱいいっぱいやった。
なんちゅうのかな。こんな形での音楽番組参加ってはじめてやから。
手渡された台本をギリギリまで確認してたし。
オープニングは空の下。
娘。とキャイーンさんと、その他諸々、たくさん描かれてる2台のバスの前。
幸い、天気はすこぶる良好。ぼんやりやけど星も見えてる。
しっかし、ここ・・・まじで寒い。はよスタジオの中に入りたいわ。
着々と時間通りに進められていくその雰囲気に、あたしは少しずつリラックスし
ていった。まだ少し手間取ってしまうけど、それはこれからがんばればなんとか
なるやろう。実際、なんとかしてかなあかんねけどな。
次々とゲストの人達が歌い終わっていって、何回目かのCMに入った。
とたんにざわめきだすメンバー。と、忙しく走り回るスタッフさん達。
キャイ〜ンさんも心持ちソワソワしてるみたい。
あたしもちょっと緊張してきた。え?なんだかって?それはなぁ・・・。
え〜い、ガマンできん、言ってしまえ(笑
みんなももう知ってると思うけど、あのちっちゃい矢口がリーダーとしてがんばっ
ている伝説の最小ユニット『ミニモニ。』の歌番組デビユーの時がとうとうやっ
てきたんや。
ほんま、よくここまでがんばってきたなぁ。
思い起こせばハロモニで・・・って長くなるからやめとこか。
21世紀のメジャーデビューに向けて、まずはここでちょこっとデビュー。
みんな・・・よ〜、がんばったな。あたし、ほんまに嬉しいで。
- 641 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時09分50秒
- 時間は番組がはじまる少し前までさかのぼって。
あたしは一人、スタジオの壁に寄りかかってボ〜ッとしてた。なんか、ほんまに
はじまってしまうんやなぁって思いながら。
気がつけば、収録当日。それも今夜は生放送。ちょっとやばくないか?
そんなぼけぼけ状態のあたしの側へ『ミニモニ。』の衣装に着替えた矢口が、な
んともいえない顔でやったきた。
その衣装のあまりのかわいさに・・・。
も〜な〜。あたし、おもわずその場で固まってしまいましたね。
「へっへ〜♪どう?似合ってる?裕ちゃん♪」
「・・・な・・・なんや?その格好」
「ミニモニの衣装なんだよぉ」
「それがか?」
「うん♪」
あまりにも似合いすぎてるその姿があたしの頭ん中をぐるぐるまわる。またちゃ
んとあたしのトコまで見せに来てくれるし。なんかかなり感激してまうね。
いかん、よだれが出そうになった。
「ねねねね、どう?似合ってる?」
そう言いながら矢口は子供雑誌に載ってるようなポーズを決める。
あたしは頭の先からつま先まで、矢口をとかしてしまうかと思うくらい、ジロジ
ロと眺めに入ってしまった。『どう?』って首をかしげてあたしに聞いてくる矢
口のその表情。
そんな顔してこっちを見るな。ガマンできんくなってまうやんか。
「すごい・・・似合ってるで」
もう、それだけ言うのが精一杯。頭ん中はとろとろで、何を言っていいのかさえ
わかんなくなる。
「ほんと?ヤッター!!」
無邪気な笑顔と一緒にジャンブしたスカートの裾から、ちょっとだけ見えた太もも。
こらこら、見えてるっちゅ〜ねん。ただでさえ短いの履いてるんやから。それよ
り上まで見せんでもよろしい。そこを見てえ〜のはあたしだけや。
あかん、これじゃほんとにただのスケベオヤジみたいやんか。
あたしは「娘。」のリーダー中澤裕子。
こんな事くらいでデレデレしてたら・・・・・も〜、したいっちゅ〜ねん!!
- 642 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時10分30秒
- 今すぐ矢口を抱きしめたい。
抱きしめて、耳元に優しくささやいてみたい。
その後に、プックリとふくらんだ唇にキスしたい。
ここがスタジオじゃなかったら。
ここがあたしんちだったら。
その場で抱きかかえてベッドに直行したるのに。
「あ〜、なんかドキドキしてきたぁ!!」
赤と白に染まった両手でギュッと胸を押さえながら、心持ち上気してきた顔であ
たしにそう言ってくる矢口が、ほんとにほんとにかわいくて。
「矢口ならだいじょぶやて。いつもあたしをいじめてる時みたいにおもいっきり
やったらええ」
「え〜。矢口、そんな事してないよぉ」
「してるやんか〜」
「あれはぁ・・・」
「あれは?」
「裕ちゃんがぁ・・・」
「あたしが?」
あたしがそうやってわざとらしく聞き返してると、言葉の続きに困ったのか、矢
口は急に黙りこくってしまった。でも、『ウーッ』ってな感じで見つめてくるそ
の視線がその言葉の続きを言っている。
なんや、テレんでもええのに。
はっきり言ってほしいなぁ、その言葉。
こっそり顔を覗かしてきたいじめっこなあたし。これは素直に従うしかないやろ。
「なんや?」
「なんでもなーい」
「言ってぇな〜、矢口」
「ヤダ!!もぉ、矢口緊張してるんだから、ジャマしないでよぅ」
「なんもジャマしてへんやんか。あたしは少しでもリラックスしてもらおうとやな」
「裕ちゃんが変な事言うから、余計ドキドキしてきたじゃんかぁ!!」
メイクで少し隠れてけど、それでも真っ赤になってるのはわかる。
も〜、ほんとかわい〜なぁ。このままお持ち帰りしたいわ。
でもな、それくらいでドキドキしてたらあかんで?
あたし、矢口の事もっとドキドキさせる事できるんやで?
- 643 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時11分07秒
- 「そか?どれくらいドキドキしてるんや?」
「え?」
「矢口はどれくらいドキドキしてるん?あたしにも教えてな」
「えっ・・・とぉ」
「ん?」
「これくらい・・・かな」
矢口はそう言うとあたしの手を自分の胸元へと引っ張ってった。
あたしの手に重なる矢口の手が・・・手袋でゴワゴワしてる。
服を何枚も着込んだ矢口の胸のドキドキは、残念ながらあたしの手のひらには伝
わってこなかったけど。
心もとげにあたしを見上げる矢口の顔。
微かに震えている手のひら。
ちょっとだけ尖らした唇。
大きく上下する胸。
すべてがどこか不安げで。
ずへてがなんかたよりなさそうで。
すべてがとてもいとおしい。
いっつも元気いっぱいで、ちょっと見、何事にも動じなさそうで。
暗い雰囲気をその笑顔とけたたましい笑い声でパッと明るくしてくれて。
そんな、『娘。』1騒々しい彼女。
でも、あたしにこんな顔を見せてくれるたりする。
そんな所がまたかわいい。
「そんなにドキドキしてんのなら、裕ちゃんのお守りあげようか?」
矢口の真剣な眼差しが、またしてもいじめっこ心をくすぐってくる。あたしは何
気に思いついてしまった言葉を口にした。
これあげたら、どんな反応をしてくれるんやろう。『お守り』の言葉の意味に、
はたして矢口は気付くかな?どうかな?
- 644 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時11分39秒
- 「お守り?」
「そや。あたしの大切なお守りや。これつけたら絶対緊張なんかせ〜へん」
「なに?裕ちゃんいつもそれ使ってるの?」
どうやらその意味には気づかなかったらしい。くぅ、まだまだやで矢口。
気付かへんのならしゃ〜ないな。それなら、裕ちゃん特製の矢口にしかあげへん
お守りをプレゼントしたろ。
「使ってるっちゅ〜か。ま、そんなトコやな」
「裕ちゃんでも緊張するんだぁ」
「なにそんなしらじらしい事言ってんねん。そんな事ゆ〜んならお守りあげへんで」
「怒んないでよぉ。矢口、お守りすっごく欲しいです。下さい!!」
あたしの目の前に突き出された赤と白。
こいつ、ほんまにただのお守りやって思ってるみたいやな。
まだまだお子様やん、矢口♪
「ほんまに欲しい?」
「うん。すっごく欲しい」
「なら、目つぶって」
「こう?」
あたしに言われるがまま矢口はそっとまぶたを閉じた。いつもはこんなに素直じゃ
ないのに・・・それくらいドキドキしてるって事か?
何も知らずに両手を差し出す矢口の唇にあたしはお守りを渡してあげた。
「・・・♪」
「え?」
それは、軽く触れるだけのキス。
だけど、あたしの想いがたくさんたくさんつまったキス。
あたしと矢口だけのないしょのキス。
いや〜、いい想いさせてもらいましたわ。
どや?矢口。最高のお守りやろ?
- 645 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時12分26秒
- 「ゆ・・・裕ちゃん!!」
「なんや?そんなびっくりした声出して」
「急になにするんだよぉ!!しかもこんなトコでぇ・・・」
辺りを見回せば、番組のスタッフさんがあちこちにゴロゴロしてる。でも、自分
の仕事に忙しいのか誰もあたし達の事に気付いていない。それに・・・。
「だいじょぶやて。いつものスキンシップくらいにしか思ってへんて」
「そんなわけ・・・もぉぉぉ!!ゆうこぉぉぉ!!」
し終わってからそんなに騒いでも今更遅いで?
せめて、目を閉じる前に気づかなな。いやぁ、素直って事はいい事や、うんうん。
「どや?緊張はとけたか?裕ちゃんのお守りは最高やで?」
ひとしきり騒いでからまたしても黙り込んでしまった矢口に、自然とニヤけてし
まう顔をなんとか整えつつも(か〜、もうオヤジでけっこう!!)なんて開き直っ
ちゃったりしてるあたしは、矢口にだけにしか聞こえへんくらいの小さな声でさ
さやく。つくづくあたしっていじめっこやわ。
「・・・・・・」
「なん?聞こえへんで、矢口」
確かに何か呟いた様な気がしたけど、何を言ったのかあたしの耳にははっきりと
聞こえてこなかった。もうちょっと大きな声で言ってくれ。
「・・・・してきた」
「ん?」
「もっとドキドキしてきたぁ!!」
「あぁ〜」
何度も聞き返すあたしに向って、怒った感じでそう叫び終ると、きっと真っ赤に
なってるだろう自分の顔を見られたくないのか、矢口はバッと下を向いた。
そら、当たり前やろ。矢口が大好きなあたしのキスや。ドキドキしてくれなんだ
らどうするっちゅ〜ねん(笑)もう、あんたはやっぱ最高やわぁ♪
「裕ちゃんにそんな事されたら、もっとドキドキしてくるに決まってるじゃんか」
うつむきながら小さくそう呟く矢口にあたしはすっかり満足とろとろ笑顔。
またかなり悔しそうに呟いてくれたりなんかして。なんか、あたし、今、おもいっ
きり幸せ感じてます♪
「あたしにキスされたら、もっともっとドキドキしてくるんか?」
「ウ〜〜〜」
矢口はとうとう唸りだしてしまいよった。これ以上いじめると後の仕返しが怖そうや。
「まだ緊張してるんなら、もう1個お守りあげようか?」
「いらない!!裕子のばかぁぁ!!」
矢口はそう叫ぶと『イ〜』って顔してあたしの元から逃げてった。
かかか♪最後の最後までかわいいヤツ。
- 646 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時13分05秒
- そして登場。
今、BSハイビジョンを見てる人だけに限定やけど、全国のファンの人達が待ち
に待った時間がやってきた。
あたしももちろんこの時を待ってた一人で。
ないしょやけど、今夜の番組の中で、これが一番楽しみやったかもしれん。
みんなの、そして、あたしのものすごい期待を一身に浴びて。
あの娘達はスタジオへと入ってきた。
おもわず転がしたくなるような笑顔をしながら。
あかん、あたしまじでやばいわ。
こんなに見せられたらもうおかしくなってまいそう。
辻はかわええ。
ウチらと一緒にいる時よりもすごいのびのびとしてるし。
あの娘の魅力がこれで大爆発?みたいな。
また大きめのカバンがオヤジ心をくすぐるというか。
加護ももちろんかわええ。
あの振り付けがも〜(笑
一番スカートが短いっちゅうのもポイント高いな。
あ〜、あれは矢口の方が背かちっちゃいからそう見えるんかな?
ま、辻とおんなじで、ほんと輝いとる。
ミカちゃんもグ〜やね。
今までファンの人達にも知られてなかったいいトコが、ぜ〜んぶ出てるって感じ
やね。はじけてま〜すみたいななぁ。
なんで、この娘だけ衣装ちゃうんやろ?あ、150cmやからか?
あたしもミニモニに入りたいっちゅ〜のに、うらやましいヤツ。
ほ〜んで♪ほんで♪
あたしの視線はアイツに向けられる。
いや、最初からアイツにだけにしか向けられてへんかったか。
なんちゅうの?惚れ直したって感じ?もうね、目からウロコですわ。
あ〜も〜、あたしは大声で叫びたい!!
『やぐちぃぃぃ!!!むっ・・・・・ちゃくちゃかわいすぎやぁぁぁ!!!』
- 647 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時13分36秒
- 二つに結んだ髪型も、前のあたしとおんなじ色した髪の色も。
黄色いフワフワと、赤白の手袋。
オレンジ色のTシャツ、袖の赤。
チェックのスカートに肩にかけてる黒いショルダーバック。
あれって・・・踊るのにジャマにならへんか?ま、かわえ〜からえ〜か。
何もかもがあたしのハートに響いてくる。
何もかもがあたしを興奮させる。
あの衣装を作ってくれた人にほんと、まじで感謝ですわ。
あぁ、もうあかん。なんか頭がフラフラしてきた。
なんかね〜、何にも言う事ないです。
ミニモニ。ばんざ〜い♪
矢口真里、ばんざ〜い♪
ついでにあたしも、ばんざ〜〜い♪
できたらそのまんまの格好であたしんちに来んんかなぁ。
ぐ〜るぐ〜るま〜わ〜って、裕ちゃんち〜♪とか(笑)
今夜、あたしんち来たらもっとドキドキさせてあげるで?
どや?・・・あ〜、ほんとかわいすぎやっちゅうねん!!やぐちぃぃ!!
- 648 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月04日(月)01時16分21秒
- お粗末様でした〜。
さて、書きたいものも書いたので(笑)次こそは「お互い様」ラストです。
>637さん
やっと・・・です(笑)長い一日でした。
>638さん
ありがとうございま〜す。その言葉がほんと嬉しいっす。
- 649 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月04日(月)02時53分29秒
- 流石たれきりんさん。ネタが新鮮ですね(ワラ
今日のやぐちゅ〜はほんまにやぐちゅ〜ファンにはたまらなかったですもんね。
書いてくれて嬉しいです。しかしあの二人・・本気でありえる・・。
- 650 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月04日(月)03時14分08秒
- お互い様はラストかぁ。
次は「超長いんですけど、一応やぐちゅ〜。」かな(笑
- 651 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)02時44分57秒
- では、「お互い様」ラストです。
よろしくお願いいたします。
- 652 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)02時51分20秒
- 「で・・・矢口達も圭坊になんか言われたんか?」
「あ・・・・うん」
中澤は先ほどから気になっていた事を聞いたみた。エレベーターの中での異様な
反応が矢口達にも何かあると考えていたのだ。
案の定、2人は言葉を濁す。
「紗耶香の事でちょっと・・・ね?」
「・・・うん」
「市井ちゃんの事?」
市井の名前が会話に出てきたので、後藤はすぐに反応する。
「ん〜、ちょっと悩み事相談っていうか。たいした事じゃないんだけどね」
「後藤には言ってくれないの?」
「後藤に言っても解決しないじゃん」
「ひど〜〜い」
思った事はそのまま口に出してしまう市井。らしいというか・・・。
後藤は、せっかくのかわいい顔を無残に崩しながら市井を睨んでいるが、彼女の
そういう所が好きだから、自然と目は笑ってしまう。何はともあれ会話できるだ
けで嬉しいのだ。
「1つ質問してええか?」
「何?」
「昨日の・・・あれってな・・・」
「昨日?・・・あ〜・・・何だっけ?」
中澤は真剣な顔して市井に声をかけたが、返ってきたのはガクッと来させる言葉
だった。昨日からずっと市井の態度が気になっていたというのに。
後藤に対して変によそよそしかったというか、壁を作っていたというか。
「あのなぁ・・・もしかして、紗耶香が後藤にあんな態度取ったのって、圭坊と
関係あるんとちゃうか?」
自分達が保田に相談して(振り回されて?)あんな作戦に打って出たのと同じよ
うに、市井も何か保田に言われたんではないだろうか?
それならば、さっきの異様な反応も説明がつく。
「ん〜〜。圭ちゃんに相談はしたんだ。そしたら『しばらくは後藤の事、遠くか
ら見てみれば』って言ってくれて。それ聞いて・・・ちょっと離れてみようかなって
思ってさ」
「そうそう。紗耶香、一人して悩んじゃってたし。ね?」
「なんかね」
「そか」
市井の答えを中澤はうんうんと頷きながら聞いていた。
(結局は、ごっちんの悩みか・・・)
中澤が思ってた通り、市井の悩みは後藤の事だった。いつもは重いはずのその口
から、『後藤』の名前が出てしまった事に市井は気づいていないらしい。3人の
間には、真面目な空気が漂っていて、いつもなら市井が『後藤の事で悩んでた』
なんて言おうもんなら、即からかいに入ってしまう中澤。
しかし、さすがに今の雰囲気じゃそれもできそうにない。
- 653 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)02時52分29秒
- そんな重い空気の3人に、今回の悩みの種である後藤の、いつもののびやかな声
が聞こえてくる。
「市井ちゃんの悩み事って、後藤の事だったの〜?」
「へ?」×3
声がした方を振り向けば、目を大きく見開いて市井をジッと見詰める後藤の姿。
その時市井ははじめて『後藤』の名前を口にしてしまった事に気づいた。
(あたし、な〜に言っちゃってんだぁぁ!!)
中澤の真剣な顔に、側に後藤がいる事も忘れてついしゃべってしまった。本人に
は聞かすつもりなんかなかったのに。市井は大慌てで否定する。
「あ〜、違う・・・違うって。あたしが後藤の事で悩むわけ・・・」
「・・・?」
「じょ、冗談だからさ〜。気にしないで・・・」
「市井ちゃん!!」
「え?」
あたふたしながら言い訳しばめた市井の話を、首をかしげながら途中までは黙っ
て聞いていた後藤だったが、突然彼女の名前を叫ぶ。そのあまりの力強さに、市
井の口が閉じた。
「後藤はずっとず〜〜っと市井ちゃんの事、大好きだからね?」
「あ?・・・う・・ん」
「だから、後藤の事なんかで悩まなくていいからね?」
「・・・・」
(・・まいったなぁ)
面と向ってストレートに自分の気持ちを伝えてくる後藤。こんな所が、なんとい
うかたまらないのだ。自分じゃとうていできそうにない事を簡単にやってのけて
しまう。一人でウジウジ悩んでたのも恥ずかしくなる。
「そっか。後藤はずっとあたしの事好きか」
「そ〜だよ〜」
「ありがと」
「うん♪」
だから、市井も素直に感謝の気持ちを後藤に伝える。悩んでても何も解決しない
んだ。自分の気持ちはちゃんと相手に伝えなきゃ。
「か〜、やってられんわ。はいはい、幸せやねぇ、ごっちん」
「幸せだよ〜♪」
あんまり見られない市井と後藤のいちゃいちゃシーンに、もちろんちゃちゃいれ
てしまう中澤。返ってきたのは当たり前ってな感じの後藤のとけた顔。そしてそ
の隣に並ぶ、市井のテレた顔。
とりあえずは、これで4人共一件落着って事ですか。
- 654 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)02時53分29秒
- 「みんなで、圭ちゃんにありがとって言わなきゃね」
「そやな。やっぱりさすが圭坊やなぁ。ほんとに頼れるヤツやわ」
「うん。圭ちゃんがいなかったら、あたしもどうなってたかわかんないよ」
「あかん。こんな所でしゃべってる場合やなかった」
「あ〜!!あたし達遅刻してたんだったぁ!!」
「やばい!!急いで・・・」
「圭ちゃん大好き〜♪」
話も一段落着いて、やっと遅刻していたという事を思いだした3人は、大急ぎで
長椅子から立ち上がる。一番最後に聞こえてきたのは、その状況が飲み込めてい
ない後藤の声。そんな所へ・・・。
「なに?あたしの事好きなの?後藤」
「圭ちゃん!!」×2
「アハ♪」
「圭坊!!」
ちょうど、話題にしていた保田が4人を迎えにエレベーターの所まで来ていた。
それもちゃんと後藤の言葉が耳に聞こえていていたらしく、ニヤニヤしながら声
をかける。
いきなりの本人登場で、驚く3人。
「な・・・なによ。みんなでそんな驚いて顔しなくても」
(あたしの顔見て、なんでそんなに驚くの?何?)
言葉は見事にばらばらだが、とにかく3人は保田の登場に驚いている。それがな
ぜなのかは彼女にはわからない。
「圭坊!!」
「なに?ちょ・・・裕ちゃん、あぶないって」
「愛してるで〜、圭坊。ほんまにほんまに大好きや〜!!」
「裕ちゃんどうしたの?ちょっと、矢口、助けてよ」
『?』顔で眺めていた保田に、中澤がいきなり抱き着いてくる。それも愛の告白
をしながら。首に巻き付かれてきた細い腕が、ギュッと自分を締め上げる。その
あまりの苦しさに、本来なら抱き着かれてはいけないはずの小さな彼女に助けを
求める。
「圭ちゃ〜ん!!」
「って、なんで矢口まで抱きついてくんのよ〜」
「後藤も〜♪」
「あんたまで来るなって」
なのに、なぜか矢口までも保田に抱き着いてきた。何が自分の身に起きているの
かさっぱりわからない。ましてや続いて後藤までも・・・・。
「ほんまにあんたはええヤツや。矢口がおらなんだら絶対に恋人にしてる」
「はぁ?」
「矢口も裕ちゃんがジャマしなかったら、絶対に圭ちゃんとラブラブだぁぁ!!」
「後藤は市井ちゃんがいるからダメ〜」
「なに?どうしたの、この人達」
(なんなの?裕ちゃん達、なんでこんなにテンション高いの?)
- 655 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)02時54分14秒
- 「紗耶香!!どうなっちゃってんの?」
中澤達に抱き着かれて、身動き取れない保田。それも『恋人にしてる』やら『ラ
ブラブ』とか。さっぱりぜんぜん意味がわかんない。とりあえずは、嫌われてい
ない事だけわかる。
そんな4人を離れた所から眺めていた市井が視線に入ってきて、思わず自分に何
が起きているのか聞いてみた。
「ハハハハ。なんかすごく感激してるみたい」
「なんで?」
「みんな、昨日の事でありがとって」
「昨日?」
言われてみても保田には記憶にない。みんなに感謝されるような事など何もして
いない・・・はず?
「昨日って・・・あれ?」
「そ。というわけで・・・圭ちゃん愛してるぜぇぇ!!」
そして、最後の一人、市井がみんなと同じように愛の告白をしながら固まりへと
突進していく。その顔は、昨日、保田に一度も見せてはくれなかった、いつもの
憎たらしい・・・それでいて晴れ晴れとした表情で。
保田はその顔を見た瞬間、全部がうまくいったんだと理解した。
理解した瞬間に市井のタックル。
おもいっきり体重をかけて固まりへと倒れ込んできた市井を、とうとう支えきれ
なくなって、5人は仲良く一緒に倒れていく。
「なに?さや・・・キャ〜!!」
「うわっ!!」
「たっ!!」
「倒れる〜〜!!」
辺りにむなしい悲鳴が響き渡った。市井から見て一番後ろにいた中澤がなんとか
それを押し止めようとするが所詮は一人。ましてや、『娘。』の中でも1、2の
非力差を争う中澤。4人の重さを支えきれるはずもなく・・・。
(あかん・・・倒れてまう〜)
身体が自分の意志とは関係なく、ましてや重力に逆らう事ができず、倒れていっ
てしまう事に気づいた中澤は、瞬間、サッと体を入れ替えた。簡単に言えば、
4人の下敷きになってはかなわんと最後の力を振り絞って、誰かが倒れてきたの
を確認してからすばやく身を避けたのだった。
という事で、運悪く、その固まりの一番下になってしまったのは?
「ちょ・・みんなどいてよ〜。おも〜い!!」
「圭ちゃん、ごめ〜ん!!」
「キャ〜!!圭ちゃんつぶれちゃうぅ」
「圭坊・・・ッテテ」
「市井ちゃん♪」
一人だけみんなとはぜんぜん違う事を言ってはいたが、その名前が示してるよう
に、わけもわからず、4人から抱き着かれていた、保田圭その人であった。
- 656 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)02時54分50秒
- 「おっはよ〜、なっちぃ」
まず、部屋に飛び込んできたのは矢口真里。いつもの明るい声と明るい笑顔。
「あ〜、腕がいて〜よ」
何があったのか、少し涙目になりながら腕をさすっている市井。でも、口元には笑み。
「ごめんね、なっち。また遅刻しちゃった〜」
あいかわらず、そのぜんぜん悪ぶれていないその顔が、やっぱりどことなく憎めない。
「朝っぱらからおもいっきり走らされるし、後藤の下敷きにはなるし。最悪やわ」
どうやら寝不足で不機嫌ではないらしい。腰をさすりながら部屋に入っている中澤。
「いたいよ〜・・・もぉ!!今日、仕事できないって〜」
「!!」
最後に保田が入ってきて、安倍は目を丸くする。朝来た時はちゃんとした格好を
してたのに、今はすごく着崩されていて。なんというか、追いはぎにでもあった
みたい。
「どしたの?圭ちゃん。すごい格好」
「ウチらの感謝の気持ちをあらわしたら、なんかこうなってもてん」
驚いている安倍の言葉を受けて、中澤が説明しだす。その後ろでまだ文句を言い
続けている保田。こうなってしまったのはなぜ?
「感謝?はい?」
「ともかく、圭坊があってこそのウチらなんや、な?矢口」
「そ〜だよぉ。もうね、矢口なんか感激しちゃったよぉ」
「圭ちゃん大好き〜♪」
中澤の言葉は、ぜんぜん説明になってないような気がしたが、なんとなく悪い事
ではないらしい。それだけはわかった。
「わけわかんないけど、とりあえずいい事なんだよね?」
「そ〜や」
「なら、なっちも嬉しい」
みんなが嬉しいなら自分も嬉しい。例え意味がわかんなくても。
どうやら、遅刻してきた事なんかすっかり忘れてしまったよう。唯一部屋で待っ
ていた安倍が怒り出さないもんだから、自然とその話題からはそれていく。
遅刻組4人もただ笑いながら保田に向って愛の告白を続けてる。
(わけわかんないけど、みんなが幸せならい〜か♪)
まわりをぐるんと見渡して、一緒になって幸せな雰囲気を楽しむ安倍の脳裏に、
ある1つの事がよぎった。
(そういえば・・・昨日は確か変な雰囲気だったのに・・・)
なぜか昨日は、矢口と市井が一緒にいて、中澤と後藤が怖いくらいにいちゃいちゃ
してた。でも今の4人を見るに、そんな空気はぜんぜんない。
という事は?という事は?
昨日、保田が自分にこっそりと耳打ちしてくれた言葉を思い出す。
- 657 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)02時55分43秒
- 「そ〜だ。圭ちゃ〜ん!!結局どっちが勝ったの?」
「あ!!なっち!!」
安倍の問いかけに、素早く保田のつっこみが入る。
しかし、時すでに遅し。
「勝った?なんや?」
「それ、どういう意味なの、なっち」
「ん?ん?」
こういう時だけ異常に耳の聞こえがいい中澤と矢口と後藤の3人。
保田にじゃれていた手を止めて、一斉に安倍に顔を向ける。
あっという間に変わってしまった3人の顔を見つめながら、おずおずと言葉を続ける。
「矢口達がどっちが先に爆発しちゃうか、圭ちゃんと・・・」
「じ、あたしちょっと用があるから」
こうなっては仕方がない。やばい事にならない内に逃げるが勝ちと部屋から出よ
うとする保田。しかし、この3人が・・・特に中澤がそれを許すはずもなく。
「ちょ〜待て。ちゃんと説明してもらおか?」
「いや・・だから」
中澤は腕をガシッと掴み、壁際まで保田を追い込む。非力非力と言われてるくせ
に、なぜかこういう時は妙に力強い。
「どういうわけなの?圭ちゃん」
「やだな〜、矢口。そんな目で睨まないで」
その隣に矢口も並んで、一緒になって保田に質問の目を向ける。普段はかわいい
その顔でそんな言葉を言いながら睨まれてしまったら、さすがの保田も何も言え
ない。
「あれ?なっち、なんか悪い事言った?」
「ん?ん?」
遠くで安倍の超えが聞こえた。そのあまりにもいつもの彼女のほわ〜んとした声
質に、保田は力なくうなだれる。
その後に聞こえてきた後藤のわかってない声が、さらに抵抗する力を失わさせる。
「爆発ってなんや?勝ちってなんや?」
「いや・・・だからですね」
(裕ちゃん、その目は怖いって)
「圭ちゃんってそんな人だったんだぁ!!」
「誤解だって、矢口」
(あ〜、もうわけわかんない。)
「なんだべ〜?なっち変な事言ったぁ?」
(なっち〜・・・・)
今日はほんとになんて日だ。いきなりみんなに抱き着かれたかと思ったら、今は
こうして囲まれている。それも恐ろしい睨みつきで。
(助けて、紗耶香ぁぁ!!)
必然的に、自分達から離れた所で眺めに入っている市井へと助けを求めてしまう
保田。しかし・・・。
- 658 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)03時03分26秒
- 矢口と中澤の2人から睨まれて、保田は汗でダラダラ。その場から逃げようにも、
背中には壁。前には怖い顔して2人。どうあがいたって脱出できるわけがない。
保田は救いを求めるような視線を市井に投げかける。
だけど、市井には助けるなんて考えは出てこなくて。
(そーいう事っすか)
保田に変わって説明しだした安倍の話を聞くに、どうやら2人は自分達で『どち
らが先に爆発しちゃうか』という『賭け』をしていたみたいだ。
ここに来る前に中澤達の話を聞いて、保田が4人の入り組んだ関係を全て知って
たという事を知った。で、それぞれにフォローを入れつつ、後押しまでしてくれ
てたと思ってたのに、まさか安倍と『賭け』をしていたなんて。
(さすがの圭ちゃんもあたし達にはあきれてたって事か)
そりゃそうだろう。ほんとはぜんぜん絡み合っていなかった糸が自分達の思い込
みで絡み合ってるって、そう信じて疑わなかったのに、全部知ってる保田にとっ
てその考えはあまりにも無意味な事で。少しくらい、遊びたくなる気持ちもわかる。
(ま、とにかく市井的にはよしだからい〜か)
まるで他人事のように大騒ぎの5人を見つめる。保田に向って『ガンバレ!!』
のガッツポーズをしてみせたりして。
その瞬間、声にはならない保田の声が市井の耳にも届いた来たような気がした。
自分に助けを求めるように『紗耶香ぁ』となさけなく呟く保田の声が。
「信じられんな。圭坊ってそんなヤツやったんか。裕ちゃん知らんかった」
「だから〜、ちゃんと説明すれば・・・」
「圭ちゃんひど〜い。矢口、ほんとに怒ったからね?」
「矢口も〜。あたしの話を聞いて・・・」
「で、どっちが勝ったの?なっちにも教えてよ」
「なっちぃ〜」
まだまだあの騒ぎは収まりそうにない。しばらくはこれで遅刻した事はごまかせ
そう。市井は一人、関係ありませせんってな顔をして近くの椅子に腰掛けた。
そこへ、いつのまにか群れから離れた後藤が側に寄ってきて。
「市井ちゃん?」
「なに?」
「今夜・・・」
「今夜?」
「朝の・・・」
「朝の?」
(も〜、市井ちゃんったら・・・わかってるくせに)
後藤は、自分がここまで口にしてるのに、尚も思い当たる事がないと、真面目な
顔して聞き返してくる市井にちょっとだけ腹が立つ。
わかっててそうしてるのか・・・ほんとにただの鈍感なのか。
仕方なく、後藤は市井の耳に最後の言葉をささやいた。
- 659 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)03時04分39秒
- (今夜?・・・ん?)
あたしは後藤の言葉の続きを待った。今夜?はて?なんか約束したかな?
後藤が何が言いたいのかさっぱりもってわからない。
あたしは後藤と同じ台詞を聞き返した。
「今夜・・・」
「今夜?」
「朝の・・・」
「朝の?」
「続き・・しよ?」
「!!」
そこまでいって、やっと後藤が何を言いたかったのか理解した。
今朝の続き?そう言いました?ゲッ!!
あたしの頭によみがえってくる、今朝の出来事。
あれの続きっすか?
まじっすか?
目が覚めて、すぐ目の前にあった後藤の胸と。
自分の背中にまわされた後藤の腕。
布団の中は2人の熱ですっごくあったかくて。
後藤の寝顔はあたしをとけさせちゃうくらいすっごくかわいくて。
つい・・・つい・・・ちょっとだけ・・・。
昨日の夜の汚名挽回とまではいかなかったけど。
真っ赤な顔しながら誘惑の言葉をささやいてきた後藤。
よし、その話にのってやろう。
ここでのらなきゃ、市井紗耶香の名がすたるって感じ?
昨日の晩はいいようにいじめられちゃったから、今夜はあたしがいじめる番だ。
いいの?あたし開き直っちゃうよ?
「後藤?」
「?」
「今夜、あたしんち来る?」
「うん!!」
後藤の誘いにあたしがのったように、あたしの誘いに後藤がのる。
間髪入れず返事した後藤の顔といったら。
市井、ますますいじめたくなっちゃいました。
昨日の仕返しはたっぷりしてあげよう。
覚悟しとけよ、後藤。
どんなに・・・・でもあたしはもうガマンできないからな?
どんなに・・・・って言っても絶対に止めてあげないからな?
そんなあたしの考えに気づいているのかいないのか。
後藤はとけまくりの笑顔でギュッと抱きしめてきた。
- 660 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)03時12分45秒
- ここはあたしの部屋。
真っ暗なのはさすがに怖いから、スタンドを一番暗くしてサイドテーブルの上に置く。
後藤が先に布団の中に潜り込んで。
あたしがその後に潜り込む。
心臓はドキドキ。
まだ何にもしてないのに、なんか汗まで出てきちゃう。
「いち・・・ちゃん」
後藤があたしの名を呼んだのが聞こえた。
「・・・ごとう」
あたしが後藤の名を呼んだのが聞こえた。
そして、あたし達は、ギュッとお互いの身体を抱きしめ合う。
あたしの手が後藤の肌に触れている。
あたしの唇が後藤の肌に触れている。
後藤の手があたしの肌に触れている。
後藤の唇があたしの肌に触れている。
お互いが相手にもっと感じて欲しくて。
お互いが相手にもっと自分を感じて欲しくて。
上に下にと入れ代わる2つの身体。
「もぅ・・・だ・・・めぇ」
でも、先に降参の吐息を吐いたは後藤で。
その時、あたしの耳に矢口の声が聞こえてきた。
『紗耶香は何でも考えすぎなんだよぉ』
『そうだよ。もっとさぁ、正直にならなくちゃ』
『やりたい事はやればいいんだよ?言いたい事があったら素直に言っちゃえばい
いんだよ?』
『それでもしだめだったら、その時に考えればいいのさ』
そうだね、矢口。ほんとにそうだ。
うじうじ考えててもはじまんないね。
欲しいモノは欲しいって言わなくちゃ。
「そんな・・に、いじめ・・・ないでよぉ」
涙目でそう訴えかけてくる後藤の表情が、昨日のあたしがしてたであろう表情と
重なる。そんなうつろな目をした後藤の耳に唇をソッと近づけて、優しく、甘く
ささやいた。
「後藤?」
「う・・ん?」
「お互い様・・・だよ?」
「え?」
あたしの言葉の意味を理解できていないのか、ぽやんとして顔のまま、ボ〜ッと
見つめ続けるその唇に、今夜・・・・何十回目のキスをした。
- 661 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)03時13分42秒
- その頃の中澤と矢口
「やぐち〜」
「だ〜めぇ!!」
「なんでやぁ。せっかく裕ちゃんちに泊まりにきたんやろ?」
「それがなに?」
「あたしんちに来るって事は・・・」
「なんだよぉ」
「そ〜ゆ〜事とちゃうんかいな」
「バシッ!!」
「いった〜!!なにするんや、矢口!!」
「矢口が裕ちゃんちに泊りに来たからって、そう毎回毎回やるわけないじゃん」
「そやかて」
「あ〜!!うるさい!!」
「やぐち〜」
「今日は朝から走りっぱなしで疲れちゃったんだからぁ」
「裕ちゃんかて走りっぱなしやで?」
「やで、なに?」
「いや〜、だから走りっぱなしやけど・・・矢口と・・・」
「バシッ!!」
「だからいたいて〜」
「そんな事ばっか考えてると、紗耶香んとこ行っちゃうぞぉぉ!!」
「なんでそこで紗耶香が出てくる・・・ってこら、寝るなて」
「おやすみ〜」
「やぐち〜」
「グーグーグー・・・」
「昨日といい今日といい、なんでこんな目にあうんや〜!!」
「グーグー・・・紗耶香ぁ・・ムニャムニャ」
「おのれ、紗耶香め。昨日だけにあき足らず今夜も矢口の夢の中に出てきよってからに」
「も〜、くすぐったいってぇ・・・グーグー」
「あ〜、もういい。今夜はおとなしく寝たる。明日こそは覚えとけよ、矢口」
2日続けて目の前に眠る矢口を抱きしめる事ができなかった中澤裕子。
向こうはあんなに幸せな時間を過ごしてるというのに。
あぁ・・・自業自得。
- 662 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月05日(火)03時26分18秒
- 以上を持ちまして「お互い様」終了です。
長い2日間がやっと無事に終りました。
副題の「やぐちゅ〜でいちごまなんだけどさやまり」これ覚えてる方は
はたしているのだろうか(笑
今までレスをつけて下さったたくさんの皆様へ。
本当に、こんな長い話につきあって頂きましてありがとうございました。
書き始めた時は、まさかこれほどになるとは予想だにしていませんでした。
かる〜い気持ちで書き始めたというのに・・・。
ま、なにはともありこれにて終了。書きたい事は全部書かせて頂きました。
最後に、発表の場を与えて下さったfire7様。
一人でこんなに容量くっちゃいましてどうもすみませんでした。
ありがとうございました。
では・・・またどこかでお会いしましょう。
>649さん
裕ちゃんのあんな顔見ちゃったら、もう書くしかないでしょう(笑
「かわい〜♪」連発でしたもんねぇ。
>650さん
次?(笑)それもやぐちゅ〜?(爆笑)
どうでしょうねぇ。これからどうするかは、まだ自分でもわっかりませ〜ん。
- 663 名前:Hruso 投稿日:2000年12月05日(火)03時28分47秒
- たれきりんさんお疲れさまでした。
超短くないじゃん、と何度もつっこまれながら続いたこの作品も
ついに最終回を迎えましたね。
甘々なこのお話の更新は、ずっとずっと楽しみにしておりました。
主人公の4人がいろいろな魅力をいっぱい見せてくれたこの話の
中でも、自分はごまの一途さに感動してしまいました。
こどごとく作戦失敗する裕ちゃんもおもしろ過ぎですし、
矢口はめちゃ可愛かったです。
そして、市井ちゃんは市井ちゃんでした。(笑
いろんな意味で。
最後の市井ちゃんの「お互い様だよ」のセリフ、鳥肌が立ってしまいました。
とても長い連載でしたのでお疲れとは思いますが、
ゆっくり休養して、次回作を発表されることを
心からお待ちしております。
最後に、ありがとう!いちごま、やぐちゅ〜、さやまり、たれきりん!
- 664 名前:ファン 投稿日:2000年12月05日(火)03時51分08秒
- 始めて見た時から数ヶ月(つまり数ヶ月見てるだけのズルイ奴)、
ラストまで,めちゃめちゃ良かったです。
やっぱ一ごまは,最高だあ〜もちろんやぐちゅ〜、さやまりも。
それもたれきりんさんだからです。
でももうこれから見れないと思うと少しさびしい,。
次回作を期待してます。
本っ当にお互い様、じゃなくて御疲れ様でした。(すいません)
- 665 名前:ファン 投稿日:2000年12月05日(火)03時57分14秒
- >664しまったあ〜「一ごま」じゃない。せめて「市ごま」にしろー
- 666 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月05日(火)10時05分33秒
- たれきりんさん、
あんたすげえよ。
あんた最高だよ。
本当にお疲れ様でした。
- 667 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月05日(火)10時10分01秒
- ここのごまいいっス
- 668 名前:まいのすけ 投稿日:2000年12月05日(火)15時24分41秒
- はー面白かったス!
・・・と云う言葉しか出て来ないです。(笑
おつかれした!
- 669 名前:Yambo 投稿日:2000年12月05日(火)21時56分41秒
- おつかれさまでしたぁ〜。
久々にはまった小説でした。
個々の個性が良く出てて、読んでてほんと楽しかったっす。
特に裕ちゃん…素敵過ぎ(笑)
もちろん、ラブリーいちごまですけどね。
これからもラブリーな作品を期待します。
ホントお疲れ様でしたぁ〜。
- 670 名前:BOOTLEG 投稿日:2000年12月05日(火)23時49分30秒
- ラスト近くからあえてレスを控えさせていただきました。
じっくり読んで…どっぷり感動にひたってます。
いちごまがメインとはいえ、やぐちゅ〜まであそこまで甘く書かれると、
自分の力量の小ささにやぐちゅー小説書いてて恥ずかしくなります。
いちごま小説が改めてウケのいい理由が分かった気がします。
お疲れ様でした! 次作でもぜひ応援させていただきます。
- 671 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月06日(水)00時13分49秒
- 長かった!おもろかった!感謝!
- 672 名前:O-150 投稿日:2000年12月06日(水)00時42分31秒
- おぉぉ・・感涙です・・。
感化されないように終わるまで読むの控えてて良かったです。読んだらお腹いっぱいになっちゃって書く気が無くなっちゃうんですよ(w
やはりたれきりんさんの小説はあったか〜い気分になりますね〜・・。
読後感がなんとも・・余韻が残ります・・。
本当にお疲れ様でした!次回作も楽しみにしてます!!
僕はもうちょっとこの余韻に浸ってます(w
- 673 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月06日(水)02時49分58秒
- たれきりんさんの小説は読んでてほのぼのするんですよね、
そしてずっといちごまややぐちゅ〜のこの関係が
続いていくんだろうなぁと思わせる。
ほんと読者をあったかい気持ちにさせる書き手ですね。
たれきりんさんお疲れさまでした、
そして長い間楽しませてもらいました。どうもありがとうございました。
これからもたれきりん節を見せてください。
- 674 名前:Doing 投稿日:2000年12月06日(水)08時39分32秒
- たれきりんサン、ごくろ〜さん。
連載中の数ヶ月間は大変でしたでしょうとも。
無事、連載が終了して見ていたあっしもホッとしています(^^;
という訳でファンが見ている限り、これからも書き続けていって下され。
- 675 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月07日(木)01時02分58秒
- どもども、たれきりんです。
たくさんの感想、ありがとうございました。
感謝!!感激!!感涙!!
本当にこんな長いのにつきあって下さったありがとうございます。
>Hrusoさん
up直後の感想、ありがとうございます(笑
最初はたんに「さやまり」が書きたかっただけだったんですけどね。
矢口にひざまくらされてる市井ちゃんの図が。
なのにこんなにだらだらと・・・。
ここまで書けてもう悔いはありません。
楽しんで頂けてとっても嬉しいです。
>ファンさん
書いててしみじみと、後藤には市井ちゃんしかいないんだなと(笑
裕ちゃんじゃだめだったかと(笑
次回作ですか・・・どうでしょうねぇ。
ありがとうございました。
>666さん
ありがとうございます。
そんな・・テレてしまいます(笑
667さん
最初から最後まで後藤には市井ちゃんしか見えていませんでした。
ちょっとだけ裕ごまな所も考えてはいたんですけどね〜。
自分でそれは許せなかったと(笑
>まいのすけさん
本当にありがとうございます。
こんな長いモノに付き合わせてしまって。
>Yamboさん
うちの裕ちゃんはあれですけども(笑)
っていうか、ほんとに作戦好きな人になってしまいました。
悪だくみが働くというか・・・だから、最後までおあずけ♪
ありがとうございました。
>BOOTLEGさん
途中までは、さやまりがメインだったんですけどね(笑
気がつけばいちごまでつっぱしってしまいました。
やぐちゅ〜好きなもんでやぐちゅ〜モノは書かずにはいられなかったというか。
ありがとうございました。
>671さん
本当に長いですよねぇ。
すごい量になってしまいました。これもあちこち寄り道したせい(笑
ありがとうございました。
>O-150さん
甘く甘くをモットーに、ひたすら恋する後藤を書いてた気がします。
本当はまだ少し書こうと思ってた所もあるんですけど、さすがに削ってしまいしまた(笑
とりあえず、一人を除いてはみんな幸せという事で。
ありがとうございました。
>673さん
自分が幸せになりたかったモノで(笑
いちごま&やぐちゅ〜はずっとこんな感じですかねぇ。
これからも・・・どうでしょう(笑
ありがとうございました。
>Doingさん
あなたがここにカキコするとは(笑
長い間、お世話をかけまして。
ありがとうございました。
その他、今まで読んで下さった皆様。
ありがとうございました。
- 676 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月07日(木)02時33分02秒
- あれ、まるで市井ちゃんのような去り方・・・
やめてくださいよ、そのうちとかいいながら半年音信不通とか(涙
次回書く予定は決まってないんでしょうか?
- 677 名前:MAKING 投稿日:2000年12月07日(木)03時38分56秒
- たれきりんさん
いつのまにか終わってるんですねこれ。
最初から読ませて貰ってますけど。この小説かなり気に入っていただけに
終了は残念です。次にどこかで書くのならぜひ教えてください。
- 678 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月07日(木)05時14分01秒
- 「笑顔のおいしさ」
続行きぼんす
- 679 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月08日(金)19時01分08秒
- すげーおもしろかったぁ。
純情いじめっこの市井ちゃんも、市井一筋の後藤も、突っ走る中澤姉さんも、その姉さんを振り回す矢口も、とっても可愛かったです。
中澤姉さんと矢口は本当にありうるし。
昨日も姉さんラジオで「矢口すきー」って叫んでいたし。
たれきりんさん、おつかれさまでした。
次回作も楽しみにしています。
- 680 名前:たれきりん 投稿日:2000年12月10日(日)01時29分28秒
- 再びですが・・・たれきりんです。
お互い様をあげ終わって、すっかりだらけた毎日を過ごしていましたが・・・。
>676さん
実は、市井ちゃんみたいに去りたかったんですけど(笑
次回というか・・・まだ未完の作品が残ってました。
>MAKINGさん
ありがとうございます。
いつのまにかというか・・・やっとというか(笑
次ですか・・・ハハハ。
>678さん
そうです!!これがまだ残ってたんです!!
いや〜、お互い様に夢中ですっかり忘れてました(笑
これもちゃんと書き終えなくてはですね。
>679さん
ありがとうございます。
この4人は書いててほんとに楽しかったです。
途中で副題の「やぐちゅ〜でいちごまなんだけどさやまり」っていうのを
忘れるくらい、いちごまとやぐちゅ〜に夢中になってしまいましたが(笑
というわけで、次回作・・というか、前に書いてた続きを書いていきたいと思っています。
また、お付き合い下さいませ。
- 681 名前:いずのすけ 投稿日:2000年12月14日(木)23時58分45秒
- いっきに読ませていただきました。
たれきりんさん最高!!
次回作待ってますよ。
- 682 名前:名無し 投稿日:2000年12月17日(日)20時57分08秒
- う〜ん、ひょっとしてMステでのやぐちゅーSSが
アップされてるかな〜と思ってきてみたが
なかったか…
- 683 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月04日(木)18時49分15秒
- さやまりか、やぐののとか、やぐいし又は、やぐなち、あとは、ほとんどない、まきまりなど矢口主役を書いて欲しい。希望です。
- 684 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月12日(月)03時06分05秒
- こんなときだからたれきりんさんの小説が読みたいな…
- 685 名前:たれきりん 投稿日:2001年03月30日(金)00時19分38秒
- ども、お久しぶりです。
ちょっとだけ・・・やぐちゅー小話UPさせて頂きます。
- 686 名前:たれきりん 投稿日:2001年03月30日(金)00時21分23秒
- 「愛の言葉の数々」好きなモンを好きって言って何が悪い?
自分の気持ちを正直に言って何が悪い?
好きは好き。嫌いは嫌い。
嫌いなヤツには話するだけでもいややけど、好きなヤツにはちゃ〜んと気持ちを
伝えてあげる。
自分がどんなに想ってても、やっぱり言わなわからん事ってあるやん?
自分はちゃんと伝えてるつもりでも、それが100%伝わってるとはかぎらんやん?
想いをちゃんと伝える為には?
自分の気持ちを相手に知ってもらう為には?
やっぱ、はっきり言わんとあかんやろ。
中澤裕子、27才。
色んな経験してきた結果、たどり着いたのがこれですわ。
と、最近のあたしの行動を何気に弁解してみたりして(笑
「かわい〜な〜」
「好きやで」
「もうね、ウチに飾っておきたいくらい」
思った事、そのまんま口にしてみる。
もうな、テレビだろうがラジオだろうが関係ないね。
こういうのは言ったモン勝ちや。
自然とニヤけてくる口元といつのまにか下がる目尻。おっと目尻は危険やな。
家に帰ってビデオで見返すと、さすがにやばいなって顔してるシーンがたくさん
ある。おいおいって自分でつっこみ入れたなるくらい、やば〜い表情が一杯ある。
まさか撮られへんやろって油断してる時に限って、バッチリ撮られてたりとか。
ま〜な、収録中に暴走してまう自分が悪いんやけどな。
あの娘を見てると、あたしの唇が勝手に動き出してまう。
今、思ってる事全部、あの娘に伝えたくてしょうがなくなってまう。
いやぁ、自分でも不思議なんやけどね、この行動。
で、その場のノリも手伝って、バ〜ッとカメラの前でさらけ出す、愛の言葉の数々。
- 687 名前:たれきりん 投稿日:2001年03月30日(金)00時22分34秒
- 2人きりん時に言うのもええ気分やけど、こうやって人の前で言うのも結構いい
感じやな。なんか、あれやん?みんなに矢口はあたしのモンやって宣言してるみ
たいやないか?
でもな、今まで言ってきた言葉の他に、まだ一回も電波にのっけてないのがある。
何度となく出てしまいそうになって、その度にあわてて押さえ込んだ言葉。
やっぱりそれは特別で・・・。
今夜も矢口に向かって囁く、愛の言葉の数々。
「かわい〜な〜」
「もぉ!!そんな事言うなって」
「好きやで」
「はいはい、もうわかったからさぁ」
「このままウチに住まんか?」
「そ、そんな事できるわけないじゃん!!」
かなり力強い否定がちょっと悲しかったりして。
ここまではいつもの光景。特に2人きりになんなくても普通に見られるけど。
ここからが特別な時間。あたしのありったけの想いを込めて、そのかわいい耳へ
たった1つの言葉を囁く。
「矢口?」
「なに?」
「あい・・してる・・で?」
疑問形にしてしまったのはちょっとだけテレてしもたから。
好きは簡単に言えるけど愛してるっていうのはやっぱり恥ずかしいね。
「・・・バカァ」
真っ赤になってしまった矢口。もうな、なんて言ったらええの?
そこら辺に転がってる言葉じゃ足りないくらい、今の矢口は可愛かった。
- 688 名前:たれきりん 投稿日:2001年03月30日(金)00時23分38秒
- あたし、自分をこのまま押さえとく自信ないね。
自分で自分の頭をおもいっきり殴りたいくらいやわ。
好きで好きで。どうしようもないくらい好きで。
誰にも渡したない・・・なんて想いがあたしの中を駆け巡る。
束縛なんかしたくなかったはずやのに。
束縛なんかされたくなかったはずやのに。
いつのまにか変わってた。
矢口に出会って変わってしもた。
あたし以上に誰も好きになって欲しくない。
あたし以外に誰も好きになって欲しくない。
腕の中に閉じ込めたい。
矢口をギュッと抱きしめたい。
矢口と一緒じゃない夜なんかいらない。
今日もあたしは矢口に向かって想いを伝える。
明日も明後日も、ず〜っとずっと矢口に向かって伝え続ける。
あたしの側にいて欲しいから。
いつもあたしの気持ちを知ってて欲しいから。
そして、矢口があたしから離れていかないように。
その全てをさらけ出して。
「愛してる」
今夜も矢口だけに言いつづけてる、愛の言葉の数々。
- 689 名前:たれきりん 投稿日:2001年03月30日(金)00時30分36秒
- ここにUPするの久しぶりなんでちょっとミスしてしまいました(笑
矢口が好きです。裕ちゃんが好きです。
そしてやぐちゅーが大好きです。
ありがとうございました。
- 690 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月30日(金)01時34分34秒
- やっぱりいいよ。たれきりんさんの作品。
歌詞にできそうなくらいに(わら
また、長編を書いて欲しいです。熱望!
- 691 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月02日(月)03時47分21秒
- ぜひまた、さやまりを!!
- 692 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月02日(月)03時49分17秒
- すいません!!上の投稿はミスです。
- 693 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月02日(月)10時09分47秒
- やっぱ、やぐちゅ〜だ!!
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