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残暑お見舞い。

1 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時20分55秒
いちごまいきまーす。純情レズネタです(笑)。
夏の夕暮れ描きながら読んで下さい。
2 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時21分41秒
こんなに愛してるのに、結ばれない。
あの人には、心から愛してる人がいる。
だからあたしは、愛されない。
だけどあたしは、愛してる。
3 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時22分13秒
---残暑お見舞い。---

紗耶香へ。
暑い夏をお過ごしですか?
紗耶香ともいきたかったけど、紗耶香、最近機嫌がわるかった
みたいだから・・・。誘えなかったよぉ。
けど、まだ夏は残ってるからさ、また遊ぼうね!
紗耶香は彼氏出来た?ダブルデートとかしたいね〜。
のろけならいつでも聞くよ!(なんちて!)
まー、取り合えず、これが届く頃にはうちら遊んでる
かもしんないけどねー、また、電話してよ??

真希より。

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4 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時22分34秒
ミーンミーンミーン ジジジジジ・・・
まだまだ夏。真夏と言った陽気だった。
真希から届いた残暑見舞いをみて紗耶香は一言悔しそうに
吐き出した。
「バカ・・・・。」
5 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時23分08秒
紗耶香は上の空。自分の部屋のテーブルには、汗をかいた
アイスコーヒーがあった。
ベッドの上にちょこんと坐るように置いてあったクッションを
抱き締め、真希からの残暑見舞いを切なそうに眺める。
「はぁ・・・」
小さく溜息をつくと、夏空で焼けた腕を軽くさすった。
「いっつも彼氏彼氏って。・・・ほんとにぶちん。」
ふてくされた顔で携帯を取り出し、意味も無く、なんとなく無意識に
電話帳をスクロールしては、真希で止まる。
その依畳まれない気持ちをどうしたらいいのか?
真希にどう伝えたらいいのか?
毎日悩んでいた。
6 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時23分40秒
「好き・・・・」
毎日、呟いては照れる。
そんな恋をしている自分を、紗耶香は好きだった反面、
悔しさのあまり泣き出すこともあった。
7 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時24分18秒
ピンポーン

「・・・はーい。」
紗耶香の家には訪問客。
ドアを開けた瞬間、紗耶香はギャフンと言わされそうになった。
好きな人が目の前に、自分の家に突然の訪問を。
「真希〜・・さっきハガキ届いたよ、ありがと・・・」
さっきまでこの人のコトで夢中だった。ということが
顔にかいてあるかのように、紗耶香は表情を隠す様に下向き加減だった。
8 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時25分09秒
「えっへへ、じつはねー、アレ、消印なかったでしょ?」
「・・・はぁ?」
「朝ね、自分でココに入れに来ちゃった。早く見せたかったの!
でも、結局会いたくなって来ちゃった!」
「そーなんだぁ。」
めちゃくちゃ嬉しい顔、をしている紗耶香。
「ねぇ、今開いてる?」
真希が聞いた。
「うん、入りなよ」
「やったぁ!」
ソレ。そういうときの真希の笑顔が、紗耶香にとってはたまらなかった。
9 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時25分39秒
夏バテなんか吹き飛ぶ、ひまわりよりも元気な真希の笑顔。
それを始めは「元気の源」的に見ていた。
真希が笑えば、自分も笑える。
けれど、その感情は止まらなかった。
始めからそうだったのか、だんだん変化していったのかはわからない。
正直な「恋愛感情」がそこにあった。
けれどその頃、毎日のように真希から電話などで相談を持ちかけられて
いた。
好きな人がいる、どうしよう という内容だった。
結局真希の「好きな人」が真希に告白して、二人は付き合った。
それは紗耶香にとって、自分を抜殻のようにさせた。
(もう、真希には私は必要無いのか・・・?)
けれど、そんな心配は無用だった。
その後も真希は、何かあれば紗耶香を頼ってくれた。
しかし、『親友』として。
10 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時26分04秒
紗耶香は少し、後悔していた。「女の子を好きになること、親友を違う目で見る事」
もしこの思いを真希に伝えれば、今までの関係が終わる可能性が高い。
けれど、伝えないままずっと真希の彼氏の話などを聞かされていたら、
それも精神的にたまったもんじゃない。
でもやっぱり、「真希をなくす事」が一番怖い紗耶香は、その思いを
伝えることはしなかった。
結ばれることより、今の距離が心地いいのかもしれない というのも
あった。
複雑な気持ち、紗耶香の真希に対する気持ち。
何かが変わりはじめていた。
11 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時26分43秒
「もーすぐ夏休みもおわりだねぇ〜」
真希が言う。外ではせみの声がやかましく鳴り響くが、真里にとっては
そんなもの聞こえてはいなかった。
「ねぇ、紗耶香って結構モテるのに、なんで彼氏作らないの??」
痛い質問。
「んー・・?んん・・・なんとなく、かな。居なくてもいいっていうか・・。」
「えー!でもいいもんだよぉ?なんか、やっぱ潤うよ、生活が。」
紗耶香は我慢がブチ切れそうなのを必死におさえた。
「あ、あたしねぇ。好きな人いるんだ。」
紗耶香はごまかし口調で言った。実際はごまかしでもなんでもなく、
本人を目の前にしての大胆発言ともとれる。
「え!そーなのぉ?ショックゥ。」
「は!?」
紗耶香は目が点になった。
「えへへ、だってさ・・なんだかんだ言って、紗耶香に彼氏とか
出来ちゃったら寂しいもん!一人占めっていうか。」
「真希・・・それ、本気?」
「え???どうしたの???」
紗耶香は生き返ったような笑顔で言った。
「じゃーあたし一生『彼氏』なんてつくんないよ。真希が言うなら。」
「やっだぁ!好きな人いるんなら、うまくいったならそれでいいんだよぉ?
それはそれで嬉しいし!」
「うん、ていうか『彼氏』っていうか、『男』は・・ね。」
「へ?どゆこと?」
「んーん。なんでもない。」
少しづつ自分の気持ちをもらす。
12 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時27分13秒
夏は開放的になるとはこーゆーことかな?と、紗耶香は少し嬉しかった。
変な反応はされなかった。聞いてなかっただけかもしれないけれど。
「でもね、真希、あんたがさっきいったみたいに、あたしもショックだったよ。」
「へ〜?」
ストローを加えながら紗耶香の方を見た。
「だから。真希をさ、あたしのよく知らない人にあずけるのは心配だし。」
「あはぁ、過保護!あははっ」
「プッ・・そうだね、大事だよ。」
真希は紗耶香の気持ちに気付いてはいないものの、今の言葉にはドキっと
させられた。嬉しいという感情ではなく、取り合えず紗耶香に
ドキっとした真希がいた。
13 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時27分50秒
真希、真希、真希!
紗耶香の中では、自分でも想像がつかない程真希の存在が大きくなっていた。
さっき、思いを少しずつ伝えたことで、制御がきかなくなっている様にも見えた。
14 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時28分23秒
「真希・・さぁ。」
「ん?なぁに?」
二人は音楽を聞きながら、クーラーの聞いた部屋でゴロゴロ。
真希は紗耶香のベッドに横たわって、紗耶香はベッドの下でクッションを枕代わりに
ゴロゴロ。
「真希、彼氏のこと、すき?」
「うん。」
「そう・・いいなぁ・・」
「紗耶香も作ったらいいのにぃ。」
さっきの紗耶香の「いいなぁ」は、彼氏がいることに対してではなく、
真希の愛を独占できる彼氏が羨ましく、その人にあてた「いいなぁ」だった。
「あたしは・・・『彼氏』は・・いらないんだぁ。」
今にも寝そうなだるい声で二人は談笑をしていた。
真希がどう思って彼氏と付き合っているか、などを聞き出す紗耶香。
気になって仕方がないのだ。
「ねぇ・・紗耶香?」
「んー」
「なんでさ、そんな聞くのぉ?」
「なんでだろぉー 聞きたいからかなぁ」
「ほんと、それだけ〜?」
「うん、なんでー?」
「もしかして・・・うちの彼氏のこと・・好きだったりとかしない?
だとしたらあたし、紗耶香にすっごく失礼なこと・・・」
「ブッ!!!!!あは!!!」
紗耶香は思わず大爆笑した。
今なら言える気がした。
15 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時29分34秒
「あたしが好きなのはあんただよ、あんた!」
(言ってしまった・・・)
紗耶香には言葉にならない達成感があったものの、言葉が足りなかったらしく、
ふつうに「親友」の「大事」という意味でとってしまった真希。
「えへへ、ありがとぉ」
「いや、あのね・・真希・・・まぁいいや・・・」
クスっと笑いながら、紗耶香は今の二人の距離、居心地、友情さえあれば
いいかな、と思った。
が、そのすぐ後、その安らぎは真希の一言によって撃ち破られる事になった。
16 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時30分12秒
「そうそう、紗耶香・・・実はね、」
「なになに?」
「恥ずかしいなぁ〜」
「???」
「実は・・この前彼んちいったとき・・・」
「!!!!!!!まさか・・・」
「うん・・・そのまさか・・・しちゃったんだ、初。」

紗耶香の体中になんとも言えない空虚感が走った。
「・・・・・嘘・・・」
「ほんとだよぉーーー!!!きゃー!!って・・紗耶香・・?」
「・・・・嘘だ・・」
「紗耶香?ね、ちょっと、笑うとこだって、騒ぐとこだって・・・どうした・・きゃっ」
紗耶香はハっと気付くと真希を押倒していた。
17 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時31分03秒
「ごっごめん!」
とっさに体を真希から離して、壁の方を向いた。
「・・・紗耶香ぁ・・・?」
「・・・・・・・ごめん・・・」
「いいんだ・・さっき紗耶香が大事っていってくれたのに、
なんか勝手なことしちゃったみたいで・・ごめん。」
「な、なんであやまってんのよ?彼氏とあんたのことは、あたしは関係ないじゃん?」
「だって・・・だって・・」
「何・・よ・・・」
「やっぱ、彼氏ができるまで、あたしは紗耶香の一部だと思ってた・・
今も、そう。そうなんだ。」
真希はうすうす、というか確実に、紗耶香の真の気持ちに気付きはじめていた。
「そう・・・あたしも、だよ。真希があたしからはなれてくなんて
考えられないもん。」
「うん・・・・」
「真希、あたしの気持ち、わかったでしょ??ほんと、ごめんね!
イヤならいやって言ってくれていいんだよ!」
「紗耶香ぁっ・・・」
真希は泣きそうな顔を隠すように、紗耶香に抱き着いて顔をうずめた。
18 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時31分42秒
「ま・・き・・?」
「ごめんね、気付かなくって・・・」
「あはは、無理もないよ、無理も。」
「だけど・・・あたしすごく残酷だったよね」
真希の一言一言に胸が痛む。
それは真希も同じだった。紗耶香が一言喋るたびに、
知らなかった真実を見つけていく冒険のような感覚、
ショック、嬉しさ、全てがごちゃまぜで。
「恋人になれなんていわないよ、あたしは。」
「・・・」
真希は言葉が見つからなく、黙っている。
「この気持ちも忘れてもいい。」
「?そんなひどいことできないよ!!」
「じゃぁ真希を好きなままでいろっていうの!?そっちのがつらいよ!!!???」
「っ・・・」
「真希、あたしはね、見返りを求めてるんじゃない。
真希に彼氏が出来て、そりゃぁショックだったよ。けどね、あんたが
幸せならいいんだよ。あんたのせいじゃないんだから。」
「紗耶香ぁ・・・」
「あはは、そんな顔するなよ〜。あたしは大丈夫。
真希は女もイチコロにさせるんだね」
半ベソの真希の鼻をつついた。
紗耶香も泣きそうな思いをこらえながら。
19 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時32分22秒
「今まで通りでいてくれるよね・・・?」
真希がいった。自分が一番心配していたことを、真希からいってくれた。
紗耶香は嬉しかった。
「あたりまえでしょ!そのかわり彼氏と、ちゃんと仲良くやるんだよ」
「え??」
「あたしをフった罪は重い。」
紗耶香はニヤっと笑って真希にそういった。
真希は思わず吹き出した。
「紗耶香ぁあああ 大好き!!!!」
「どーゆー意味でだよ!」
お互い大笑いしながらからかい合った。
そう、これが今までの距離。
進むのより、後退するのより、今まで通りが一番よかった。
紗耶香はなんのわだかまりも持って無い。
ただ、真希を見る時だけに輝く、瞳の輝きは変わらない。
真希も同様。紗耶香だけに見せる表情は、ずっと変わらない。
20 名前:読んでる人 投稿日:2000年08月17日(木)00時33分32秒
蝉女さんの情景、心理描写の仕方がすごく好き。
21 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時33分51秒
終わり・・なんだけど、

前半の方で「真里」ってかいてあるとこ→「紗耶香」です。
ごめんなさい・・・。
前半かいてるときはまりごまだったんですよぉ。
けど紗耶香のほうがあってるかなっておもって直していったんだけど
まだ残ってる箇所があったんで・・・。
すいませんでした!(笑)

真里→紗耶香です(笑)。
22 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)00時35分18秒
20さん>
ありがとうございます〜(T-T)
「すごく好き」って、すごく嬉しい・・・。
がんばります〜!
最近いちごまばっかりなんだよねぇ・・
次は何かこう?
23 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月17日(木)00時39分46秒
やっぱ、女の方が女の心理描写するの素直に話に入れて
読みやすくっていいですね(^^)
かわいい、二人とも〜。
24 名前:読んでる人 投稿日:2000年08月17日(木)00時43分45秒
景色とか表情が伝わってくるので読みやすいです。
次は、そうですね〜・・・自分としては関西人に活躍して欲しい気がします。
まあでもおまかせします。またなんか書いていただけると嬉しいです。
25 名前:おもしろかったです 投稿日:2000年08月17日(木)01時57分03秒
おもしろかったですー。ほのぼの、ほのぼの。
次回作にも期待。
うまいなぁ〜数々のくだりが。
26 名前:ミラクルン 投稿日:2000年08月17日(木)15時09分22秒
ほ〜〜〜ぅ・・・。
いいねぇ。いちーもごまもすごく等身大って感じがする。
自分もこういうの書いてみたいっす。
27 名前:Hruso 投稿日:2000年08月17日(木)21時04分41秒
お疲れさまです。
次回作「そーとー」期待してます。(笑)
28 名前:蝉女 投稿日:2000年08月17日(木)21時37分03秒
ここにまた新作の「◆ゲーム◆」のせてまぁす♪
よろしくです。ブラックものですが。
29 名前:名無しさん 投稿日:2000年08月18日(金)14時31分14秒
す、すごいなあ。コレ。ビアンの心理がわってるみたいだ。
友達以上恋人未満ってのがいちばんつらいんだよね。(市井ちゃんの方からみると)
うん、つらいんだよなあ。

次回に期待大です。
30 名前:蝉女 投稿日:2000年08月22日(火)14時00分56秒
http://morisouri.tripod.co.jp/

自分の小説置場つくりましたー。
掲示板も一応あります。
よかったら覗いてみてください。

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