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傷跡

1 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)01時54分33秒
本当に寒い日だった。
もう季節は4月だと言うのに、小雨降りしきるグランドは
突き刺すような風が吹き付けていた。

「寒すぎだよ〜、これ〜」
「こんな中あのカッコで走れっていうのかよ〜」

みんなは口々に不満をたらしている。

明日は「ピンチランナー」の撮影のクライマックス。
駅伝本番の日だ。

「市井ちゃん!」

私達はグランドで明日の開会式の段取りの説明をスタッフから聞いていたが
雨が強くなってきたので体育館に移動する事になった。

「な、なんだよ〜、後藤!びっくりするじゃんか!」

後藤は私に抱きついてきた。
この映画の撮影が始まってから後藤は私達メンバーにずいぶん溶け込んできていた。
この頃はこうやってだれかれ構わず抱きついてくる始末だ。

「だって〜、寒いんだモ〜ン」

後藤はこの日、とにかくテンションが高かった。
この時はそれ意外に後藤の変化に気づく事は出来ないでいた・・


2 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)01時55分53秒
それは突然の出来事だった。
その日の夜、宿泊先のホテルでのこと。
私の部屋の電話が突然けたたましくなった。

(誰だよ、こんな時間に・・)

私は緊張のせいか妙に痛だるい体を起こし電話機に向かった。

「はい?」
「ふええ〜〜〜ん、いちいちゃ〜ん?」

後藤だ。
なんなんだ、この声は・・

「後藤?」
「は〜い、そ〜うれ〜す〜。げんきれすかあ〜」

ろれつが廻っていない・・
酔っ払っているみたいだ。

「あんた、今部屋にいるの?」
「そうれすよ〜〜、えへへへへ・・」

私は受話機を叩きつけるように置いて部屋を飛び出した。
もちろん行き先は後藤の部屋。
3 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)01時57分04秒
ドンドン、ドンドン

私は部屋のドアを叩いた。
後藤はすぐ部屋から出てきた。
真っ赤な顔をして、目はもう虚ろになっている。

「あはははは、いちいちゃんだあ〜〜、ふえ〜〜ん、あいたかったよ〜ん」

そういって、私に抱きついてくる後藤。
と言うより倒れ掛かってきたという方が正しいかもしれない。

部屋に入ると、ビールの缶があちこちに転がっている。
14歳の飲む量ではない。

「あんた!ちょっと、何考えてんだよ!明日は大事な本番でしょ
 どうしてこんなことするんだよ!」
「・・・」
「ちょっと、聞いてるの!あんた!」

後藤は何も答えない。
私の腕に身を預け寄りかかっているので顔が見えない。
何故、急に黙りこくってしまったのか、表情でそれを伺い知る事ができなかった。
4 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)01時57分58秒
「市井ちゃん・・」

急に低い声で喋りはじめた後藤は今までのへべれけの声とは
あまりに違う声だった。

「何だよ!」

私は突然の後藤の変化に多少驚きながらも、敢えてぶっきらぼうに答えた。
と、その時、後藤は垂れていた顔を突然私に向けて上げた
そして後藤の顔が私の顔に覆い被さる。
いや、正確に言うと後藤の唇が私の唇をふさいでいた。

(な!!・・)

突然の事で何がなんだかわからないまま、私は後藤に力任せに
ベッドへと押し倒された。
唇はまだ塞がれたままだ・・

私は必死で後藤の顔を離そうと抵抗したが後藤に力で勝てない事は
初めから分り切ってる事だった。
5 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)01時59分04秒
後藤は唇を離すと私に覆い被さるような姿勢で私を見下ろしている。
さっきの据わった目から一転、後藤の目は強い光を放っていた。

後藤は何も言わずに私のジャージを剥ぎ取ろうとした。

「ちょ!!なに???」

後藤が馬乗りのような姿勢になってるので
必然と私の両腕は後藤の両足に押さえられている。
これでは私は成す術がない・・
後藤は躊躇なくジャージを乱暴にたくし上げた。

寝る前だったので当然下着などつけていない。
私の上半身は後藤の面前で露になった。

後藤は狂ったように私の首筋に貪りついてくる。

「や!やめて・・後藤・・どうしちゃったのよ・・」

私はなすがままだった。あまりにも突然で体が言う事を聞かない。
後藤はそんな私にお構いなく今度は下のジャージに手を伸ばした。
6 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)02時00分55秒
「後藤、ダメッ!!ホントに怒るよ!」

あいかわらず、私の声に耳を傾けない後藤。
私は足を閉じてなんとかこらえたようとしたものの
力任せに引き摺り下ろそうとする後藤の手にいとも簡単に屈服した。

首筋を張っていた後藤の唇はそのまま鎖骨を通過して
私の胸へと移ってきた。
私を押さえつけている反対の手は私の太腿辺りを弄っている。

「い・や・・やめて・よ・・ごとう・・いやだよ・・こんなの・・」

涙が滲んできた。
何で突然こんなことを・・
頭が混乱して何が何なのかわからない。

唾液でべとべとになった首筋や胸が冷たい。
7 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)02時03分42秒
後藤の息遣いが今度は耳元近くで聞こえてきた。
今度は何度も耳に息を吹きかけている。
私は何度も体を捩じらせたが、それはもはや抵抗という形にはなっていなかった。
同時に下腹部に言いようのない疼きを感じ始めていた。

「ねえ、市井ちゃん。なんで、私を置いてっちゃうの・・」
「え?」

私は耳を疑った。
確かに後藤はそう言った。

「なんで、後藤それを・・」

私がそう言った途端に後藤は私の大事な場所に手を滑らせていった。
唇はそれまで弄っていた胸の部分から、より敏感なところへと移動した。
それはしゃぶりつくと言う表現が最も的確だったと思う。
同時に私の下腹部に這っていた手はするりと下着の中へと潜り込んだ。

「ひ、ひあっ・・」
「ウフフ・・市井ちゃん、そんなに拒んでるのに
 どうしてこんなに濡れてるの・・」

後藤は今まで見た事のない妖しい光を放つ瞳で私に囁いた。
私は高波のように押し寄せてくる厭らしい感覚と必死に格闘していた。


8 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)02時13分16秒
超期待!
今日はこれで終わりかな?
9 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)03時41分56秒
ごまに襲われる市井っていいね。
やっぱごまいちがいい。
10 名前:負け犬 投稿日:2000年09月13日(水)23時38分37秒
私は朦朧とする意識の中であの時の事を思い出していた。

去年のプッチモニ結成時の合宿の時、
高熱を出した私に後藤は泣きながら看病をしてくれている。

「市井ちゃん、ごめんね、ごめんね」
「後藤が謝る事ないよ、自己管理が出来てない私がいけないんだから・・」
「でも、でも・・」

そういって、必死に私にすがる後藤をみて
私はそれまでになかった感情がこみ上げてくるのを感じた。

「大丈夫だよ、後藤は自分の事だけ精一杯やりな・・」

そういって、後藤の頭を撫でる私に後藤は唇を重ねてきた。

「ご、ごとう・・?」
「市井ちゃん、大好きだよ・・」

そういって私を抱きしめる後藤。
遠い昔に心の中に微かに記憶している暖かさ。
それと良く似た柔らかい感触に私は不思議と涙がこぼれた。

病院に向かおうとするタクシーの中から私は後藤の顔をずっと見ていた。
後藤はタクシーの横でくしゃくしゃの顔でなにか叫んでいる・・

「わたし、絶対頑張るから!!」

後藤との絆のようなものが生まれたと感じれた瞬間だった。
11 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)23時40分10秒
「市井ちゃん・・厭らしいね・・・もうぐしょぐしょだよ・・」

今、私の目の前にいる後藤にあの時の面影など微塵も残っていない。

後藤は全裸になった私の体を貪りつづけていた。
そんな私も、もはや押し寄せる快楽に完全に呑まれつつあった。
後藤も既に身に纏っているものは何も無かった。

「はあ・・ん、んっ!・・いや・・ん・・くふぅ・・」

後藤の愛撫はもはや一点に集中している。
生まれてこのかた誰にも見せた事が無い、私の一番恥ずかしい部分に
後藤は顔をうずめていた。
私は信じられない格好をして後藤の愛撫を受け入れていた。

(どうして・・なんで、体が言うことを・・きかない・・)

いくら自問自答したところで、快楽を求めつつある私の体には
さして大きな意味を成してはいなかった。
拒もうという気持ちが大きければ大きいほど、私の体は不思議なくらい
後藤の愛撫を求めていた。
12 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)23時41分45秒
どれくらい後藤の舌での愛撫が続いたろうか・・
後藤は私を抱き起こすと、私と向き合うかたちになり再び下腹部に手を伸ばした。
先ほどから執拗なまでに愛撫されつづけて湿りきっている秘部に
後藤の指がするりと私の中に入りこんでくる。

「い、痛いっ!!」

あまりに奥まで入ってきた指に私は激しい痛みを訴えた。
びくっとなる後藤は空いてる他の指で敏感な突起を優しく撫で上げる。

「ごめんね、次は優しくするから・・」

そう言って再び唇を絡めてきた後藤は私の舌を甘噛みしている。

「あ・・う、うんっ・・」
「愛してる・・いちいちゃん・・」

再び後藤の指が今度は優しく私の中に入りこんできた。
そしてゆっくり指を出し入れしている。
さっきの痛みは不思議と無くなっていた。
13 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月13日(水)23時42分51秒
それどころか後藤の指の動きに合わせてだんだん私の体に
今までにない衝撃が襲ってくる。

「くぅわあ・・ああっ・・ひ、いやっ!」

それは次第に速くなっていき、同じリズムで後藤が歓喜の声をあげ始めた。
頭の中が真っ白になり、もう私の中に存在していた理性などは
とっくに消し飛ばされていた。

「あっ、あっ、あっ・・いやあ、だめえ・・」
「い・ちい・・ちゃ・ん・・はあ、はあ・・」

指の動きは一段と速くなり、後藤は頬を赤く染めて恍惚の顔に変化している。
触れ合っている後藤の体は上気しているのかとても熱かった。
粘着質な物が交わるような音が部屋中に響き渡る。
後藤はどうやら自分自身のことも愛撫している。

「い・ちい・ちゃん、・・たし・・も・・だめ・・・い、く・・」

後藤の恐らく絶頂に達しただろう声を聞き取ったと同時に
私の中で最大級の衝撃が襲った。
体が弾かれるような感覚と共に私の意識は遠くかなたに吹っ飛んだ。

「ひぃ・ん・・あ、あ、ああ・・・、イ、イヤァーーーーーーっ!!!」

私は信じられないほどの叫び声を上げていたと思う。
そこから先の意識はもう私には残っていない・・・

14 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月14日(木)01時55分43秒
後藤に一体何があったんだ!!
15 名前:ゴンザレス 投稿日:2000年09月14日(木)02時09分26秒
もぉーたまんねッス。
鼻血ブーッス。
16 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)00時47分14秒
つかみはOKって感じですね。
今後も期待です。
17 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)02時26分35秒
あれはいつのことだろうか・・
きっとそんな前の話じゃない。
そうだ、彩っぺが脱退をした日。
後藤は私の横で子供のように泣きじゃくっている。

「泣くなよ、後藤。彩っぺのことちゃんと送ってあげよう」
「・・・もう、誰ともお別れしたくないよ・・」
「後藤・・」
「ねえ、市井ちゃん?」
「ん?」
「市井ちゃんはずっとそばにいるよね・・」
「え?」
「ずっと、私のそばにいるよね・・」

涙でボロボロになった顔を私に向ける後藤。

「あ、あったりまえじゃん。私はモーニングで骨を埋める覚悟だよ」
「ほんと?」
「うん、ほんと」
「絶対ね、約束だよ」
「うん、約束!」

「ウソツキ・・」
18 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)02時27分23秒
私の後ろから別の声が聞こえる。
そこにはもう一人の後藤がそこに立っていた。

「え?」

それは私が今まで見た事もない悲しげな顔で・・

「ウソツキ」
「ちがうんだよ!別に私は嘘ついたわけじゃ・・」
「市井ちゃんのウソツキ!」
「待って、後藤。ちがうの!」

目が覚めた。
夢だったんだ・・

ここは後藤の部屋・・
私は裸のままシーツに包まっていた。
横では後藤が同じく裸のままで眠っている。

意識がまだ朦朧としている。これも夢なのか。
いや、夢であって欲しかった。今も昨日の夜の事も・・
19 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)02時28分47秒
私は肩まではだけてる後藤のシーツをかけなおすと
そのまま浴室へ向かった。

熱めのお湯で私は汗でべとついた体を必死で洗い流した。
昨日の出来事もそのまま洗い流すかのように・・
鏡を覗くと首筋や胸のあちこちに何箇所も赤い痣が滲んでいた。
こればかりはいくらシャワーで流しても消えてくれない。

(どうしよう・・今日はタンクトップに短パンなのに・・)

涙が止めど無く溢れてきた。
でも、それは決して痣の事なんかで泣いてる訳ではなかった。

シャワーから出ると後藤は既に目を覚ましていた。
シーツに体を包ませぼんやり外の景色を眺めている。
外は既に明るくなっていた。
20 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)02時29分24秒
気まずい空気が立ちこめるなかで後藤は口を開いた。

「雨、あがったみたいだね・・」

意外な台詞だった。
もっと違う言葉が出てくると思ってた私はいささか呆気にとられてしまい

「あ、うん。そうだね」

と生返事で答えるのがやっとだった。。

「よかった、雨の中走るのだけは勘弁だもんね・・」

そう言うと後藤は体を私に向けた。
昨日の夜の後藤はそこにはなく、いつもの屈託のない後藤の笑顔がそこにあった

「わたし、今日一生懸命走るからさ。市井ちゃん、応援してね!」
「うん・・」

まるで昨日の事が夢だったかのように明るい笑顔の後藤。
やっぱり夢だったのか・・

結局私は聞けなかった。
メンバーには誰一人話していない私の脱退の事を、何故後藤が知っていたのかを。
そして、私を抱いた事を・・
きっと、私は今この時がまだ夢の中だと信じたかったからかもしれない。
21 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)02時32分41秒
駅伝本番前、メンバーが待機している部屋とは別の部屋で
私は一人で必死で痣を消していた。
蒸しタオルやファンデーションを使い試行錯誤した結果
なんとか誤魔化せるくらいまでは消えてくれた。

(これくらい消えればなんとかなりそうだな・・)

その時部屋のドアが開く音が聞こえ誰かが中に入ってきた。
私は慌ててジャージで体を隠すとそこには後藤が立っていた。

「ご、後藤・・」
「よかった・・ここにいたんだ。どこ行っちゃったかと思ったよ」
「・・・」
「さ、早く行こう。本番始まっちゃうよ」

何事も無かったかのように接している後藤。
私はためらいながらも後藤に問い掛けてみた。
22 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)02時34分01秒
「ねえ、後藤・・」
「ん?」
「・・なんで・・」
「なに?」

大きく息を吸って呼吸を整える。

「なんで、昨日あんな事したの?」
「・・・」

後藤は黙っている、じっと私の顔を見ながら・・
やがて、おもむろに口を開いた後藤は

「寂しかったから・・」
「え・・・」
「市井ちゃんが私を置いて辞めてっちゃうからだよ」

穏やかの口調で後藤は答えたが、その目はさっきまでの後藤ではない。

「そ、それは・・」

私は金縛りにあったかのように口も開けずに固まってしまった。
どれくらい時間が過ぎただろう・・
じっと、私の顔を見つめる後藤は急にまた微笑みかけ

「大丈夫。私、他のメンバーには脱退の事まだ話してないから・・」

そう言って後藤はすたすたと出口へ歩いていった。
23 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)13時24分36秒
いい感じ。
24 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)15時34分47秒
なんで後藤は知ってたんだろう。気になるな。
面白いです。
25 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月15日(金)17時06分20秒
おもしろいっす。
作者さん、がんばってください。
26 名前:負け犬 投稿日:2000年09月17日(日)02時00分03秒
駅伝はどうにか全員が完走できた。
とりあえず誰かがリタイヤしてしまうという最悪の事態は免れた。
一番心配していた後藤も頑張って走ってくれた。

記者会見の席で裕ちゃんの「絆のようなものを確認できた」と言う言葉に
胸が苦しくなった。
駅伝も終わったしまった今、メンバーには脱退を告げなければいけない。
そう思うと、その場から逃げ出したくさえなった。


帰りのバスの中、みんなは疲れ果てたのか死んだように眠っている。
後藤も例外ではなく、私の横で子供のような安らかな顔で寝息を立てている。
目の前の愛らしい後藤と昨日の後藤、一体どっちが本物なんだろう・・
自分の迷いを誤魔化すように後藤の髪の毛を撫でた。

「ふ・・ん、むにゃ・・」

どうやら目を覚ましてしまった。

「ごめんね、おこしちゃった・・」
「ううん・・市井ちゃんも少し寝た方が良いよ・・」
「うん、ありがと・・」
27 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月17日(日)02時00分53秒
後藤は子猫のように私の肩に頬を寄せてきた。

「今日はありがとね・・」
「なにが・・」
「だって、後藤が一生懸命走ってるの見て感動したって言ってくれたじゃん」
「アハハ、あれね・・」
「ヘヘヘ、うれしかったよ〜・・」

私は後藤の頭を抱きながら

「ほら、もう少し寝てなさい・・」
「うん・・」

そう言うと、再び後藤は目を瞑った。

私は頭の中をいくつものことが駆け巡りおかしくなりそうだった。
28 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月17日(日)02時02分21秒
私の脱退をメンバーに発表する日。
私はその日、自宅に待機してるようにとの指示があったので
一日、部屋から出れずにいた。
彩っぺの時と同じ、私は自分の口からメンバーに伝える事は出来なかった。
あの時は彩っぺのことを信じられなくなってしまったけど
今は彩っぺの気持ちが痛いほどわかる気がした。

私は何をするでもなく部屋の中で過ごした。
時間がゆっくり過ぎていく感覚を久しぶりに感じられ
自分がいかに日常に追われまくっていたのかがよくわかる。
ゆっくり部屋の中が夕空色に変わっていく
こんな光景を私は何ヶ月ぶりに見たんだろう・・

気がつくと部屋の中はすっかり暗くなっていて
私は夕食の準備をはじめようとのそのそと動き始めた、
その時、けたたましく携帯のベルが鳴った。

(後藤・・)
29 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月17日(日)02時03分40秒
「はい・・」
「市井ちゃん?わたし〜」
「どうしたの、もう仕事終わったの・・」

後藤は私の質問に答えず

「市井ちゃんの家の玄関にさ、面白いものがあるからさぁ、見てみてよ〜」
「へ?・・」
「いいから、はやく〜」
「な、なに言ってんだよ、訳わかんないよ。大体アンタ今どこにいるのさ・・」
「はやくってば〜、急いで〜!!」

全く要領の得ない私は、少しの疑いも持つことなく玄関へ走った。

《ガチャ・・》

ドアを開けて外を覗いてみる、そこには何もない。

(なんなんだよ・・あいつは・・)

その時突然、何者かが私に抱きついてきた。
30 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月17日(日)02時05分18秒
「いっちいちゃ〜〜ん!!!」
「う、うわあ〜〜〜〜」

抱きつかれた勢いでそのまま私は玄関に倒れこんだ。

「な、なななな・・」
「いえ〜〜い、市井ちゃん!げんき〜〜!!」

後藤だった・・

「ご、ごと・・う・うわわわ・」

後藤は私の顔中にキスをしまくってくる、まるでじゃれてる犬のように。

「ちょ・・ご・・んっ!・・」

キスは私の唇のところで止まった・・
後藤は顔を離すと倒れている私に覆い被さるような姿勢になり
黙って私を見つめながら再びキスを始めだした。

(うごけない・・)
31 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月17日(日)02時07分58秒
体の力が完全に抜け落ち放心状態で横たわっている私の横には
後藤がやっぱり私のほうを向いて寝そべっている。

「今日ね、マネージャーがメンバーに話してたよ」
「・・・」
「みんな、びっくりしてた・・」
「・・・」
「泣いてたよ・・」
「後藤・・」
「私もさ、知ってるくせに涙が止まんなかった・・」
「なんで・・」

後藤は私を無視するように喋りつづけている

「今日、市井ちゃんがいなかったのはこの事があったからなんだね」

私は起きあがり後藤の肩をつかんだ。

「答えて! なんで後藤は・・脱退の事を知ってたんだよ!」

後藤は私の顔をじっと見ながら呟く

「みんな言ってたよ、市井ちゃんには自分の口から話して欲しかったって」

後藤はそう言って起きあがっていた私を再び押し倒し
私の顔を覗きこむようににこっと微笑みかける。
32 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月17日(日)02時09分33秒
「なんで知ってたのかって。教えてほしい?・・」
「・・え?」

そう言ったと途端に後藤は私の耳元に息をフーっと吹きかけてくる

「・・んっ・・・」
「ヤダよ・・やっぱし、教えてあげない・・」

わたしの首筋に再び絡み付いてくる後藤。
このままじゃ、またこの前の夜みたいになってしまう・・

「い・・いやっ!!」

わたしは思いきり後藤を突き飛ばした。

「・・そうやって、逃げてくんだよね・・」

後藤はゆらりと立ちあがった。
少しの動揺も見せずに氷のように冷めきった目で呟く。

「ち、違うっ!!わたしは・・」
「市井ちゃんが何を言っても、わたしはもう市井ちゃんを信じない・・」
「・・ち・がう・・」
「・・なにが・・違うの?」
「・・・」

いつも後藤が泣く時は突然だ。
全く表情の感じられない瞳から、突然大きな雫が零れ落ちた途端
後藤の顔はくしゃくしゃに崩れはじめた。
小さく震えて嗚咽を繰り返している後藤の体。
今まで、何回こんな光景を見ただろう・・
でも、今日ほど胸が張り裂けそうになったことは無かった。

「・・もうね・・なにも・・信じないよ・・」
「後藤・・」
「市井ちゃんなんか、だいっきらい!!」

後藤は荷物を抱え部屋を飛び出していった。
私は追いかける事すらできずにその場に立ち尽くしていた
33 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月19日(火)05時17分27秒
このはかなげな所がごっちんのキモですな。
34 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月26日(火)01時22分03秒
更新お待ちしております。
35 名前:SOL 投稿日:2000年10月03日(火)23時51分42秒
おねがいですー続きをっ!
36 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月15日(日)01時40分41秒
続ききぼーんアゲ
37 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月15日(日)02時50分42秒
お、面白い・・。
後藤が市井にキスしまくるところが萌えまくりです。
続きはどうなっちゃったんでしょうか・・気になりますです・・。
38 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月30日(月)01時25分21秒
続き読みたい。あげ。
39 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月30日(月)05時38分50秒
寝ようと思ったのに萌えちゃって眠れないじゃないか(藁
期待あげ。
40 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月17日(金)05時55分23秒
あげてみる
41 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月24日(金)03時11分40秒
更新される事を期待してあげてみる。
42 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月24日(金)23時38分56秒
更新お願いしますー。
43 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月25日(土)17時51分32秒
続ききぼーん
44 名前:りるる 投稿日:2000年12月03日(日)23時54分07秒
一気に読んじゃいました。オモシロイです!
みんなも続きが気になってるようですね。
気長に待ってます。
45 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月20日(水)23時35分17秒
続き。。。

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