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死と彼女とあたし
- 1 名前:水車新田 投稿日:2000年09月24日(日)01時26分11秒
- この板を読んでいて自分も書きたくなりました。多分いちごまですが、
甘いのはとてもとても無理っぽいです。
元ネタは『死と彼女とぼく』と『地獄使い』です。だから、オカルト
ものなのですが……。気になる点があればどうかご指摘してください。
- 2 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)01時34分28秒
- 教室でふざけあってるうちにうっかり窓から落ちて3日ほど、意識がなくなった。
それからなんだ。なんだかちょっと目がおかしくなったのは……。
あたしは後藤真希。15歳。
ちょっと前まではコギャルに憧れるフツーの中学三年生だったんだけれども……
- 3 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)01時46分51秒
- 一週間ぶりに登校したら、わっとクラスメイトに取り囲まれて小突かれる。
「もーそぉとぉっ心配したんだよー、このこのっ」
「3階から落ちたのに無傷なんだもんなー」
「無傷じゃないよ。いま制服の下で見えないけど包帯とか巻いてんだから一応」
「擦り傷程度のね」
「う」
それは、否定しないけど。
あたしは校舎の3階から落ちたわりに超無傷だった。あっちこっちに擦り傷や
ひっかき傷を作った程度。植え込みがクッションになったんだろうって、お医者
さんは言ってたんだけど。
- 4 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)02時02分21秒
- 授業が始まって、ようやくクラスメイトたちから解放される。ちょっとした芸能
人みたいだった。まったくみんな娯楽がないからって人の不幸を面白がるんだから
……なんて、あたしは自分がおちたあたりをフッと見た。
「………………」
目が、あった。
カーテンの後ろにいた、なにかと。
それはすぅっと目を細めると、サッとカーテンの影に隠れた。さぁっと秋の風
が教室を吹き抜ける。カーテンはなにごともなかったかのようにひらひら揺れる。
だけど、あの裏にはまだ──いる。
- 5 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)02時10分07秒
- そういえば。
確かにおかしかった。
落ちたとき。
窓際でふざけあってて、男子にちょっとぶつかって、バランス崩して、それで
おっこっちゃったんだけど、そのとき、確かにグッって肩を──肩を押された気
がする……。白い透き通る腕を見たような気が……気のせいだろうって、そう思
ってたんだけど。
だって、その腕の向こうからカーテンが見えたから……
その腕は、透き通っていたんだから。
だから。
- 6 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)10時52分49秒
- てゆーかなんなのさこれ?!
あたしは思わず目を伏せた。
ひたっ ひたっ ひたっ……
真っ白な素足が教室の床を歩いている。臑から上の部分は透き通って、なにも
ない。
ひたっ ひたっ ひたっ……
足はゆっくりと近付いてくる。そしてあたしの机の横で止まると──消えた。
「………………っ!」
悲鳴を呑み込むのが精一杯だった。
- 7 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)10時57分46秒
- あたし、『見える人』じゃなかったハズなんだけどっ。
霊感だってまったくないし、コックリさんだって成功したことないし、怪談なん
か、大爆笑しながらやっちゃって「アンタ邪魔」なんてウザがられちゃうほうだし
さ!
胸のあたりに両手をあてる。心臓がすごいバクバクいってるのがわかる。熱くも
ないのにじんわりと気持ちの悪い汗が流れている。恐い。恐い恐い恐い。
だって、ここ、すごくたくさんのモノの気配がするんだもんっ!!
- 8 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)11時02分17秒
- 「先生! ごっぴん…後藤さんが気分悪そうなんですけど」
隣の席のヨッスィー…吉澤ひとみが、片手を挙げて席を立つ。
「どうしたぁ? 後藤? 大丈夫かぁ? ……おい、真っ青だぞ。吉澤、おまえ
保健委員だったよな? 保健室に連れてってやれ」
「ハイ……大丈夫? 立てる?」
「うん……ヘーキ」
身体のほうはね。全然大丈夫なんだけど……教室じゅうの“気配”があたしに
注目しているのがわかる。あたしが彼らに気が付いたことを、彼らは識っている。
その証拠に、教室の扉を出てからも、ずるっずるって、何かが追いかけてくる気
配が消えない。そちらのほうから冷気が漂ってくる。
……恐い。
- 9 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)11時07分15秒
- 保健室のなかは、教室よりすごかった……
教室のなかの“気配”たちには、少なくとも“顔”はなかった。でもここは……
あたしは扉の前で立ちすくんで、一歩あとじさりした。
“顔”
「や……」
“顔”だらけだった。首がずらずらと保健の先生の後ろの棚に並んでいて、一斉
にじろりとこちらを見た。
「ごっぴん? どうしたのさ?」
ヨッスィーが怪訝そうにあたしを振り返る。
「ごめん。あたし帰る。先生にうまく言っといて」
「帰るって、ねぇ、ちょっと……」
「も、ダメ……我慢できない……」
あたしは、ダッシュで駈けだした。あとで鞄持ってないことに気が付いたけど、
取りに帰る気にはなれなかった。
- 10 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)11時13分46秒
- 朝のこんな時間から、手ぶらでブラブラと歩いてるとまるでサボッた人みたい
だった。
今まで全然気が付かなかったけど、街には、学校ほどではないにしろ、色々な
モノが漂っていた。交差点ですれ違う人のなかには何人も、影のない人が混ざっ
ていた。ゾクッとする。
上から人が降ってきて、ぐしゃりとアスファルトの上で潰れる。でも、その人
はフラフラと立ち上がって、またビルの中に入る。ブツブツと「また失敗した…
…また失敗した…また失敗した…」と呟きながら。そしてまた上から降ってくる
……もう、とっくに成功しているのに。
- 11 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)11時23分05秒
- あたしは、あまりにも周囲のことに目を取られ過ぎたらしい。
背中がドンッと激しくと歩行者にぶつかってしまった。
「ごめんなさ──」
「気ぃつけろバカ野郎!!」
「──……」
口汚く罵って去っていくヤンキー風の男の人の足にはいくつもの子供の手が絡
まっていた。そのひとは時折足を取られながら交差点を歩いていく。
すぐに、ものすごいドリフト君みたいなスキールの音が、響いて、どん、とい
う鈍い音がした。振り返るとさっきの男の人が車に撥ねられて、道路に倒れてい
た。どくどくと血が溢れてる。血が──
- 12 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)11時33分09秒
- 「見なくてもいいんだよ」
ふっと視界が遮られて、ホッとした。
「いちいち気を取られ過ぎなくてもいい──あれは当たり前のものだから」
女の人の声だった。
「そんなこと言われても……無理だよぉ……」
泣きたい気分で振り返った。同じくらいの年頃の、ショートボブをルーズにセッ
トした女の子がいた。
- 13 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)11時36分16秒
- 女の子は困ったような顔をして、言った。
「見えるようになったのって、最近?」
「うん……」
「聞こえたりは、する?」
「え、わかんな……」
言いかけて、さっき飛び降りを続ける人の独り言を聞いたことを思い出した。
「たぶん、聞こえる……」
「そう……」
女の子の顔は、悲しげに曇った。
- 14 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)11時46分40秒
- スッキリした綺麗な顔をしているなって思った。
「その制服って、どこの高校? 可愛いね」
「え? 千代田学園ですけど」
「そっか。どうもね……あのさ、あいつらのことは無視しといたらいいよ。怖がっ
たりしたらいけない。じゃあね」
女の子はくるっと踵を返して歩き出した。どうしよう。いっちゃう。あのひとが
いっちゃう。いってしまう。
- 15 名前:見えすぎた瞳 投稿日:2000年09月24日(日)11時49分28秒
- 「あっ、あの! 名前! 名前教えてください! あっ、あたしゴトウマキって
言うんですけどっ!」
なにナンパみたいなこと聞いてんのあたし!! バカまるだしじゃんかっ!!
女の子はびっくりしたような顔をして振り返って、それから。
ニコッて笑った。
「イチイサヤカ」
いちいさやか。魔法の呪文みたいにそういって、ひらひらと手を振って、人混み
のなかに消えた。
- 16 名前:水車新田 投稿日:2000年09月24日(日)11時51分03秒
- こんな雰囲気で進めていこうと思ってます。よろしくお願いします。
- 17 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月24日(日)18時21分02秒
- エトオモデ
- 18 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月25日(月)00時59分08秒
- 元ネタは知らないですが、話の続きが楽しみです。
- 19 名前:ティモ 投稿日:2000年09月25日(月)01時06分02秒
- なんかおもしろそう。
期待してます。
- 20 名前:水車新田 投稿日:2000年09月25日(月)20時19分41秒
- >>17-19
構って頂いて有り難うございます。元ネタは──
「死と彼女とぼく」川口まどか講談社KC 少女漫画です。1巻しか持ってないの
ですが相当長く続いてます。独特な気怠い諦観の漂う雰囲気で面白いですよ。この
作者は「動悸息切れ眩暈に殺人」(これは少年漫画なのですが)の頃からファンで
して……「やさしい悪魔」というシリーズも面白いです。
「地獄使い」麻城ゆう角川スニーカー文庫 どういう作品かは──「見えすぎた瞳」
は「死と彼女とぼく」の世界観そのままなのですが、次から書く「溢れだした地獄」
をご覧頂ければわかるかと……。誰も書いたことない話ばかり書くオリジナリティ
高い作者の、佳品です。少し前に出た作品なので入手は困難かと思いますが、一読
の価値はあると……。というかどうしてこんなに面白いのに誰も知らないんだろう。
(もうちょっとメジャーな作品にならぞえれば……「黄門じごく変」(少年漫画)
ってとこなのですが……)
元ネタのぱくりに留まらないよう頑張りますので今後ともよろしくお願いします。
- 21 名前:溢れだした地獄 投稿日:2000年09月26日(火)03時17分45秒
- ひらひらと振った手を軽く握る。可愛いコだと思った。魅力的なオーラを放って
いる。とくに好奇心にあふれた目が印象的だった。何もかもおもしろがりそうな、
穏やかでちょっとやそっとのことではヘコまないような強さが見えた。
あたしは笑顔をスッと奥にひっこめた。
あれでは、さぞかしあいつらに目を付けられるだろう。ひたひたと影のない者
どもが蠢くこの街では。
- 22 名前:280 投稿日:2000年09月30日(土)04時35分27秒
- 元ネタは全然わかりませんが、すごく面白そうで期待してます!!
頼りになるイチイチャン萌えです。
ごまを守って欲しいなぁ。
次の更新期待して待っています。
- 23 名前:名無しさん 投稿日:2000年09月30日(土)23時31分28秒
- 私も川口さんの作品は大好きです。やさしい悪魔でファンになったのですが(最新刊も面白かった)死と彼女もいいですよね。期待してます。
- 24 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月20日(金)07時58分40秒
- 作者さん・・・続き気になります・・・。
- 25 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月22日(日)20時48分44秒
- 忙しいんですかね。。。続き楽しみです。
- 26 名前:ティモ 投稿日:2000年11月25日(土)14時24分06秒
- ほしほし
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