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■GAME■
- 1 名前:サカナの7 投稿日:2000年09月28日(木)22時31分39秒
- TO:参加者の皆様
FROM:サカナの7
SUBJECT:GAME_START
ゲームへのお問い合わせを頂き有り難うございます。このメールは今回のゲームに参加希望をお寄せ
頂いた皆様にお送りしています。皆様もご存じのとおり、このゲームは参加者の皆様が出会うことだ
けを目的としております。ただし、参加者の皆様の中からは一人、ランダムに『鬼』が選ばれます。
鬼に見つからないように全員が集まった時点でゲームオーバーとさせて頂きます。皆様同士の連絡手
段はhttp://xxx.xxx.xx/xxx/内の掲示板しかございません。鬼に気付かれないよう、また鬼の仕掛
ける罠にはまらないよう、頭を使って連絡を取りあってください。制限時間は2時間です。それでは
ゲームをお楽しみください。
■参加者:7人(貴方も含みます)
■鬼は貴方に選ばれました。
- 2 名前:鬼 投稿日:2000年09月29日(金)00時52分41秒
- 彼女は、そのメールを受け取ったとき凍り付いた。
インターネットをやりはじめて、初めてのオフ会なのに、いきなり大役だなあと。
ゲームの舞台は最近できたばかりのELZAタワー21。21階建ての、ゲーム
センターやスポーツセンター、カラオケ、屋内型の遊園地などが複合してできたア
ミューズメントスポットである。中にはレストランやファーストフード、本屋にC
Dショップなどの店舗もある。範囲は著しく巨大だった。
- 3 名前:プレイヤー1&2 投稿日:2000年09月29日(金)23時42分40秒
- 「なんかコレっれさ、人捜しでいちんち終わるような気、しない?」
「するする。めっちゃするって」
「捜すとこひろすぎだってば、ねぇ」
「せやねぇ…」
「暇人じゃないとさ、できないよねぇ」
「なんだろ、告知見たときはめっちゃ面白そうやと思ってんけどなぁ……」
「まったまた……」
「なんやろ、ほら、前にNHKでやってたやん。なんかビルに閉じこめられるやつ」
「『ネットワーク・フォックス・ハンティング』?」
「それそれ。たぶん」
「あれねー、あれってインターネットじゃなくって……う、うわ」
「こわ。なんやの? 今の……地震?」
「おおいねー最近……震度3ぐらいかな?」
「4ぐらいいっとんのとちゃう? なんかイヤやなぁ……震災思い出すわ……」
- 4 名前:ichi 投稿日:2000年09月30日(土)00時56分38秒
- 今まで読んだ中で1番期待させられる出だしです。
ひっそりと見守っております >小説の途中で感想いれるのは好きではないので
- 5 名前:ichi 投稿日:2000年10月14日(土)01時55分06秒
- なんだよ。俺が書き込んだから更新する気なくしたとか?
だったら謝るからさー。更新してちょーだい
- 6 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月31日(火)07時11分20秒
- 頑張ってください。
- 7 名前:プレイヤー3 投稿日:2001年04月29日(日)17時22分14秒
- 「すみません、誰かいませんか? だれか」
詰襟を着た少年が通話ボタンを叩くように何度も押して、通話口にむかって叫んだ。裏返った早口な声だった。さほど熱くもないのに、ぶつぶつと汗の玉を浮かび上がらせている。制服に包まれた腕は棒のようにまっすぐで細い。少しうらやましい。
夕闇が次第に迫ってきている。街が橙に染め上げられていく。せいぜい10階建ての建物しかないこの区域でELZA21はひときわ高くそびえている。その最上階付近から眺める地上は壮観だった。
少年は荒い息を吐きながら、震える手で再び通話ボタンを叩く。
照明が二、三度またたき、ふっと消えた。
少年は悲鳴をあげて、両手で顔を覆うようにしてその場に座り込む。
彼女はあくびをかみ殺しながら、外の景色を楽しんだ。
- 8 名前:プレイヤー4 投稿日:2001年04月30日(月)21時21分41秒
- 「あれー、エレベータ動いてないんだぁ」
聞き覚えのある訛が耳に飛び込んでくる。この地域では少ない、故郷の訛だ。
「ちょお、冗談じゃないよう。どーっしよ、時間ないべ?」
慌てたように少女は時計とエレベータの電光表示を見比べた。
独り言にしては大きい声だったが、エレベータを待ち合う人の雑談に紛れていく。
彼女は、少女をざっと検分した。
小柄でかわいらしい顔だちが、肥満によって崩れようとする一歩手前の、思春期特有のアンバランスさを持った少女だった。
「ああもう。これじゃゲームに参加できないべ!」
注意をよそに向けようとしたとき、ふいにこの言葉が滑り込んできた。
ということは彼女もプレイヤーってワケか。
- 9 名前:プレイヤー5 投稿日:2001年05月01日(火)01時02分21秒
- 「階段、あるよ?」
声を掛けられて、彼女はギョッとして振りかえった。可愛いらしい声とは裏腹な長身の少女が視界をふさぐ。
「かいだんーっ?」
「そう、階段」
「や、だってアタシが行きたいとこって21階だよ? 最上階・・・」
長身の少女は、彼女には構わず時計を見た。鎖の細い大人っぽいアクセサリのような時計。彼女はなんとなく自分の時計(キャラクターものの子供っぽいやつだ)を後ろ手に隠した。
「1時間はかかんないと思う」
「・・・」
「あたしは行くけど、あなたはどうする?」
「あたし・・・あたしは・・・」
「そ?」
長い髪をなびかせて、長身の少女はエレベーターホールの裏手にある階段室に消えた。
「ああ、もう。行く。行くべさ!!」
彼女も後を追い掛ける・・・
- 10 名前:プレイヤー6 投稿日:2001年05月03日(木)03時47分31秒
- 夕焼けは滲んだ血のような色だった。
望遠鏡で舐めるように街を俯瞰する。シビック、フォード、コルベット、ジムニ、インテグラ、ガブリオレ、ロードスター、ビートル、カローラ、ミゼット、ベントレー、、、
車の姿を追ってるうちにシャッターを切るような音がして視界が真っ暗になった。時間切れだった。
彼女は溜息をついてベンチに座ると、携帯電話を手にとった。小さな文字盤を器用に操って、『サカナ』のサイトにアクセスする。
このゲームの招待主のサイトだ。
i-mode用の掲示板をチェックする。ゲームに参加できなかった面子から激励の書き込みが並ぶばかりで、有益な情報は何も無かった。
=
159 名前 : プレイヤー6 投稿日 : 2001年05月01日(火)17時52分21秒
やっほー。いまELZA21最上階にいます(^o^)ノ
みんなはまだ来ていないみたい。
夕陽が足の下に見えます。とても綺麗です。
=
いまいちかな? ま、いっか。
彼女はメッセージを送信した。
- 11 名前:放置して沈めて下さい 投稿日:2001年05月05日(土)11時16分52秒
- いったんage
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月05日(土)12時14分55秒
- >>11 ?とりあえずsage
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月16日(水)02時13分19秒
- 沈まないんで放棄
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月12日(木)21時37分42秒
- 沈んだから書いておくれ
- 15 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月16日(月)22時51分48秒
- >>14 委細承知。
- 16 名前:プレイヤー1&2 投稿日:2001年07月16日(月)23時02分20秒
- 「お、もう来てはる人がいてるやん」
「え、だれだれ?」
「知らん」
「知らんって・・・」
「だって名前書いてへんもん。プレイヤー6て。掲示板に書き込んではる」
「あ。そっか。そうなんだ。誰なんだろ。知ってる人かな。ね?」
「ね、言われても」
「もうココ来てんだ? 21階」
「ん。最上階にいてるって」
「へー・・・」
- 17 名前:プレイヤー1&2 投稿日:2001年07月16日(月)23時16分20秒
- 小柄な少女は身体ごとぐるりと周囲を見渡した。厚底のサンダルがツルツルの床にこすれてキュッという耳障りな音がする。
少女とは一回り程も年齢差がありそうな女は、回転する少女の視線を追うように視線をめぐらせた。
半円形になったラウンジの中央には噴水が配置され、床には涼しげに水路が廻らされている。そこには不愉快に感じる一歩手前ぐらいの人々でごった返していた。
老若男女のさまざまなグループがそれぞれ窓べりで見晴らしの良い景観を楽しんだり、噴水に見入ったり、腰かけるのに具合のよい段差でくつろいだりしている。
「案外、探すの難しいかもしれないね」
「ここで叫んだらええやん。『ゲーム』の参加者あつまれーって」
「ゆーちゃんがやってくれる?」
「あほか。なんでうちがそんなことせなあかんねん」
「あっしだってそんなことしたくないよ!」
「あたし、やろ。また、あっし言うてんで。あんた寅さんか」
「あっ、あたしちゃんとあたしって言ってるもん」
「いーや。言うてへんね。絶対あっし言うた」
「言うてないっ。言ってないもん」
- 18 名前:プレイヤー7 投稿日:2001年07月16日(月)23時26分02秒
- 軽妙に言い争う声が通り過ぎる。
二十代半ばぐらいの女と、ミドルティーンぐらいの少女だ。二人ともお揃いのように髪を金髪に染め、青いコンタクトを入れている。
口喧嘩の様子に思わず微笑んで見送った。
親子かな?
一瞬思って、それはないかと打ち消した。
親子にしても姉妹にしても中途半端な年の離れ方だ。
どういう関係なんだろうな、と思う。口喧嘩の馴れ馴れしさは、まるで友達のようだ。
下宿人と大家。
従姉妹。
学校か塾の先生と生徒。
後妻さんと義理の娘。
オフ会で知り合った・・・。
ん?
振りかえったとき、二人の姿は人ごみに呑まれて、もう見えなかった。
- 19 名前:プレイヤー3 投稿日:2001年07月17日(火)20時47分26秒
- 肺が熱く灼ける。
汗の皮膜が全身を覆っているようだ。
連れの方はというと、基礎体力が違うのか、そもそも身体の構造自体が違うのか涼しげな態で一心不乱に階段を昇っている。
すでに2階半ほども差がついているが、スニーカーの作る足音のリズムはいっかな乱れる気配もない。
膝の裏の筋肉が微妙に緊張しているのがわかる。
ここで歩みを辞めたら、自分はもう二度と歩き出せないだろう。
やすみたい。やすめない。
一歩ほとに重たくなる身体をひきずって、彼女は階段を昇る。
換気用なのか明かり採り用なのか判然としない中途半端に幅が狭く縦長の窓からは、夕陽が指し込んで、長く長く光の絨毯を敷く。
せめてあの窓が開いたらいいのに。
- 20 名前:プレイヤー5(↑発言19はプレイヤー4の誤り) 投稿日:2001年07月17日(火)21時01分23秒
- 流れる風に彼女は振りかえった。長い髪が動作に遅れて踊るのを、軽く手で払って整える。
背後にいたはずの少女がいない。
「・・・」
彼女は首を軽く傾げて数歩、階段をくだった。
「・・・ねえ」
名前を呼ぼうにも、それを知らない。
19Fと銀色に輝くプレートの横を通りぬけて、長身の彼女は、小柄な少女の姿を求めて階段をくだった。
「・・・どこ?」
18Fのプレートも通り過ぎる。その下に少女はいた。窓辺に凭れてぐったりと夕焼けを見ていた。小さなその身体は、蜜柑色に染め上げられている。
「置いてかれたんだと思った」
少女は曖昧に微笑んだ。
強い風に煽られて、短い髪が淡い光の中で輪郭がふわっと溶けた。
蜜柑色が赤みを増してつよいオレンジ色へと変わった。
「・・・っ!」
一拍遅れて、文字通りの轟音が、階段室を壊すほどの勢いで駈け抜けた。
文字通り。
壊して。
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