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とまどい
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月02日(月)04時49分37秒
- 文才もないのに、名作を読んだら何か書いてみたくなってしまいました。
とりあえず書いてみますが、多分駄作になるかと(;;
内容は、実話絡みな妄想話しです。
期待せずに読んで戴けると、助かります。
- 2 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月02日(月)04時52分15秒
- 石黒さんが抜けたタンポポには、梨華ちゃんと加護が加入した。
そして、市井さんが抜けたプッチモニには、私。
正直、市井さんの代わりが私に勤まるかどうか不安だった。
- 3 名前:ティモ 投稿日:2000年10月02日(月)18時05分48秒
- 期待してます。
- 4 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月02日(月)21時20分03秒
- 某日、都内某所。
つんくさんプロデュースによるプッチモニのレコーディングが始まった。
ハピサマに続く2回目のレコーディング。
まずブースに入ったのは、ごっちん。
ハピサマの時は散々だったけど、
その後歌番組や<娘。>ライブとかで頑張ってきたから、
少しは頑張れそうに思える。けど・・・
不安そうにしている私を見た保田さんが、私を気遣って言ってくれた。
「よっすぃ〜、がんばろうね!」
「・・・はい」
「緊張してる?」
「少し・・・」
緊張なのか不安なのか。
どっちにしても、このままじゃいい歌を歌えないのは事実だった。
「大丈夫だよ!つんくさんもちゃんと教えてくれるしね」
「保田さん、実は・・・」
なに?どうしたの?」
「あ、やっぱりいいです」
私は言葉を飲み込んだ。
市井さんの代わりになれますでしょうか?なんて聞けなかった。
「変なよっすぃ〜。変なのはいつものことか」
「私、一生懸命がんばります!」
「うん、がんばろう!」
保田さんは再びイヤホンを耳にあて、新譜の譜面を見つめた。
- 5 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月03日(火)01時00分46秒
- 私も譜面を見つめながらも、気持ちここにあらずだった。
ごっちんがブースから出てきて、保田さんが中に入った。
「お疲れさま〜。どうだった?」
「う〜ん、ちょっと難しかったかな〜、あはは〜」
「ねえ、市井さんってどんな人だった?」
「どんな人って〜?」
「う〜ん、レコーディングの時とかってどんな覚え方してたのかな」
「圭ちゃんと同じじゃないかな〜。歌聞いて譜面見てって感じ」
「そっか〜・・・」
「よっすぃ〜どうしたの?」
「うぅん、なんでもないんだけどね」
ごっちんに気づかれないように、
自然を装ってイヤホンを耳にあて、譜面をじっと見つめた。
市井さんもこの方法か。
とにかく音と歌詞を耳に焼き付けるようにして、私の番がくるのを待った。
- 6 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月03日(火)02時25分19秒
- 「よっすぃ〜の番だよ」
「あ、はい」
保田さんに呼ばれ、私は譜面とペンを持ち、ブースへと歩き出した。
「よろしくおねがいします」
つんくさんは今日もカッコイイ。
シャ乱Qの時のつんくさんを雑誌で見たことあるけど、
今のつんくさんの方が落ちついた感じがして私は好きだ。
「おぅ、よろしく。じゃあ、まず一番始めから通しでな」
「はい・・・」
ヘッドホンから耳へと、さっきまで何度となく聴いた音が流れる。
不安は治まらなかったけど、できるだけのことをしよう。
そう思って頑張ってみた。
「吉澤、緊張してるんか?リラックスリラックス!」
「は、はい!」
目を閉じて、深呼吸ひとつ。
「はい、よろしくお願いします」
「じゃあ、ラップのはじめから・・・」
- 7 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月03日(火)04時28分58秒
- 「ありがとうございました」
一礼をして、私はブースを出た。
私のことを気遣って、ごっちんと保田さんが駆け寄ってくる。
「大丈夫だった?」
「はい、少し難しかったけど」
苦笑いするしかなかった。
けど、保田さんの優しさが嬉しかった。
「よっすぃ〜まだ緊張してるの?」
「うん、少しだけね。あはは・・・」
結局私の緊張が解けたのは、自分の部屋に戻った時だった。
- 8 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月03日(火)22時47分31秒
- レコーディングはまだ終わってないけど、<娘。>の収録はいっぱいあった。
<娘。>でいる時は、緊張こそするものの不安になることはあんまりなかった。
プッチモニでのラジオは、レコーディングほどじゃないけど、不安があった。
頭を横切るのは、市井さん。
市井さんのラジオのトーク、もっとちゃんと聴いておけばよかったな・・・。
「ねえ、ごっちん。市井さんってどんな喋り方してたっけ?」
「市井ちゃん〜?ん〜とね〜、普通かな〜。なんで〜?」
「うぅん、なんとなく」
「吉澤は吉澤なんだから、紗耶香みたいに話さなくてもいいんだよ」
私の考えを察したのか、保田さんが間を割って言ってくれた。
「反対に、紗耶香の真似で喋られると、リスナーも私達もイヤかな」
「うん、うん。よっすぃ〜はよっすぃ〜だよ」
私は私。
その言葉が、その時の私の不安を取り除いてくれた。
- 9 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月03日(火)23時48分19秒
- 『そろそろプッチモニ新メンバー吉澤ひとみさんの、緊急記者会見が始まる模様です。
現場を呼んでみましょう。現場の後藤さん・・・後藤さん?』
『現場の後藤です!会場には大勢の記者達が吉澤さんの登場を今か今かと待ち受けております!
あ、来ました!吉澤さんが姿を現しました〜!』
『どっす〜ん、吉澤ひとみ〜15歳埼玉県出身!もう一度〜みなさんもごいっしょに〜』
『どっす〜ん』
『現場からは以上です!それでは、プッチモニダイバースタァ〜ト〜!』
・・・ラジオは大成功で終わった。
- 10 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月04日(水)07時37分51秒
- その日の夜、私はお風呂に入りながら、今日保田さんに言われたことを考えてみた。
─私は私 それでいいんだ
市井さんの穴は? 誰が埋めるの?
それも私 私しかいない
私は市井さんになれる? なれる自信 ない
市井さんは凄い人だったから
あんなに周りの人に印象を残せる人に 私はなれない
どうする? どうすればいいの・・・
結局結論は出なかった。
明日のレコーディングのために、その日は寝ることにした。
- 11 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月05日(木)03時47分20秒
- レコーディングの日。
つんくさんに今回の内容を聴いてから、ブースの前で待機する。
まずブースに入るのは、保田さんから。
昨日の夜に出なかった結論を、私は相変わらず探し求めていた。
市井さんが抜けたプッチモニ。そこに入った私。
当然、市井さんの抜けた穴を埋めるためだと思う。
市井さんの抜けた穴は、底が見えないくらい深くて、
橋をかけないと渡れないくらい広い。
市井さんでさえ、そこまでくるのに2年もかかったんだ。
入ったばっかりで新人の私には絶対無理だ。
隣にはごっちんが、お菓子を食べながら曲を繰り返し聴いている。
ブースの中の保田さんは、つんくさんの指導を受けながら、
順調にレコーディングをしているみたい。
悩んでいる場合じゃないってわかってても、浮かんでくるのはそればっかりだった。
プッチモニがプッチモニであるかぎり、市井さんは消せない。
どうすればいいんだろ・・・
- 12 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月05日(木)03時50分28秒
- 保田さんんレコーディングも終わり、次はごっちんがブースに入る。
私は相変わらず苦悩している。
「吉澤、紗耶香の代わりになろうとしているみたいだけどさ。吉澤は吉澤だからね。
紗耶香にはなれないよ」
そんな私を見かねた保田さんが言った。
「じゃあ、どうすれば・・・」
隠したりはしなかった。誰かに一緒に悩んで欲しかった。
「吉澤は吉澤のままでいいんだよ。紗耶香の穴も、吉澤として埋めるの!わかる?」
「・・・はい」
わかる。
それはわかってるんだけど・・・
「つんくさんも、紗耶香のポジションを置こうとして、
吉澤をプッチモニに入れたんじゃないと思うよ」
「・・・はい」
うん、それもわかってる。
でも・・・
じゃあ、市井さんの存在はどこにあるの?
プッチモニには市井さんが必要なのに。
- 13 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月06日(金)00時56分16秒
- 「紗耶香がいた頃のプッチモニとは違うプッチモニなんだよ、これは。
プッチモニ2って感じかな」
「プッチモニ2・・・」
プッチモニ2・・・
「そう、プッチモニ2。名前は一緒だけど、まったく新しいユニットって私は考えてるよ。
だから、吉澤に紗耶香の代わりにはなって欲しくない」
「・・・はい」
新しいユニット・・・
「このプッチモニ2は紗耶香じゃなくて吉澤じゃなきゃダメなんだからね」
「・・・はい!」
私は市井さんの代わりじゃない。
このプッチモニは私がいなきゃダメなんだ。
市井さんがいた頃とは違うプッチモニ。
保田さんは、私の不安を取り除いてくれた。
- 14 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月06日(金)00時57分26秒
- その日のレコーディングから、私は私を出すように努力した。
つんくさんに褒められ、ごっちんにはカッコイイって言われた。
そうか、私は私でいいんだ。
保田さんの期待に応えるために、私らしく頑張ろう。
その日のレコーディングが終わると、すっかり夜になっていた。
もうすぐ夏が来る。
今年の夏は熱くなりそうだ。
終
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月07日(土)02時37分26秒
- 健全でいい小説ですね。好きです。
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