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駄小説

1 名前:るる 投稿日:2000年10月09日(月)13時45分06秒
えっと、よしごま小説をかいていきたいなぁと思っとりますぅーー。
文章ごっつヘタなんでわけわかんないところも多少あると思いますが、そのへんはご理解いた
だけますよう・・・。
あとだいたい筋は考えてるんですが、細かいことはまだきめてませんので、なかなか
更新できないと思いますがよろしくおねがいします。
2 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月09日(月)21時27分23秒
よしごま好きですー 期待age
3 名前:ティモ 投稿日:2000年11月06日(月)17時25分04秒
まだ書かないですか?
期待してますよ。
4 名前:ばった 投稿日:2001年01月09日(火)01時24分44秒
ちょっとスレ使わしてもらいます。
5 名前:やすかご 投稿日:2001年01月09日(火)01時35分43秒
粉雪

はらはらと、白い雪が綿みたいに舞い落ちてくる。
口から出る息も白い。
加護はつい立ち止まって、毛糸の手袋に包まれた手のひらを差し出した。指の先ほどもない大きさの雪が落ちてきて、しばらくすると消えていく。
思わずほうとため息を漏らした。
その加護の肩をぶつかるように押して、
「何立ち止まってんの?早く行くの」
と、保田がぶっきらぼうに言った。加護はさっき感じた気持ちが無視…というか踏みにじられたようで面白くない。
 でも、移動中に足を止めた加護の方が悪いことは頭で認めていた。自分が分刻みのスケジュールの中にいることも。
 そうだとしても、少しくらいいいじゃないか。そんなすねた気持ちが生れかけていた、その時。
ふと視線だけを上げた保田がつぶやいた。
「雪ってさ、落ちてて来るまでが一番きれいだよね」
白くて、天使の羽みたいで。
ぽつりとそう言った保田の横顔を加護は見つめた。
そして、「はいっ」と元気よく返事してその背を追った。さっきまでは膨れてた頬をゆるませて。
彼女の目には、ちらちらと雪のかけらを前髪につけた、苦笑している保田の顔だけが映っていた。
6 名前:ばった 投稿日:2001年01月09日(火)18時53分35秒
上のに↑〈完〉て入れるの忘れた。

改めてみると、改行足りなくてちょっと見にくい感じするかな。
7 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月10日(水)19時46分13秒
ほのぼのしててイイっすね♪
8 名前:やすかご・その2 投稿日:2001年01月12日(金)00時07分23秒


待ち合わせは駅に9時。
10分遅れて来た加護は、保田に言い訳する。
「ここの駅、すごい複雑じゃないですか、入り口いくつもあって」
そいで、と次ごうとする加護を、保田は彼女の名前を呼ぶことで制した。
「言い訳しないの。早く行こ」
腕時計を見ながら、保田は手を差し伸べる。
加護はぷっとふくれた頬を隠そうともせず、その手を握った。
先に行く保田に加護の表情は見えない。
しばらく唇をとがらせて手を引かれていた加護は、急にぽつりと保田に声をかけた。
9 名前:やすかご・その2 投稿日:2001年01月12日(金)00時16分49秒
「ん?」
「すんません…」
大きな瞳ににらみつけられる感じで見つめられて、加護はついびくつきながらも、
「さっきの、…遅れて」
と言う。
すると保田は、「あ――」と声を上げて、別にもういいということを、素っ気無く告げた。
そうしてつないだ方の手を少し上げて、「行こ」と促す。
歩きかけ、
「でも、仕事の時はやっちゃダメだからね」
思い出したように首だけひねって付け加える保田は、何故か満面の笑みを浮かべて
答える加護の顔に出くわして、ちょっとだけ目を丸くした。
10 名前:やすかご・その2 投稿日:2001年01月12日(金)00時28分30秒
――昼。
不機嫌そうにせかせかと早歩きをする保田の手につかまりながら、加護が必死に脚を動かして付いて行く。
その腕には真新しいロゴの入った紙袋を2つ3つさげていた。
11 名前:やすかご・その2 投稿日:2001年01月12日(金)00時31分47秒
――駅。
「何とか間に合いそうですね」
「何とかね。ちょっと何本か見送っても大丈夫そうだし、ここで食べてく?」
さっき買ったファーストフードの紙袋をごそごそと探って、加護に手渡す。
「これ、加護のだっけ?」
「ハイ」
「じゃ、これ私のね…」
「あ、コレ保田さんも食べます?」
「ありがと」
「――」
「加護はいいんだっけ、飲み物?」
「ぺットボトルまだ残ってるから…」
加護が保田の口元に目を止めて、「あ」と口を小さく開いたのと、保田が「ごちそうさま」と
手に残った包み紙を片手で丸めたのは、同時。
次の瞬間隣に首を顔を向けた保田は、加護の視線が一瞬泳いだ後口の端がきゅっと上がるのを見る。
そして、見る間に加護が近づいて来て――――。
12 名前:やすかご・その2 投稿日:2001年01月12日(金)00時40分48秒
「!!」
思わず保田は唇の近くに手をやる。
「ケチャップ、ついてたんですよ」ここに、と自分の口元を指差す。
保田のうろたえぶりがおかしいのか、加護は白い歯を見せた。
「だからって……める、こと…ないでしょ」
「手がふさがってたんですよぉ」
歯切れの悪い保田と対照的ににこにこしどうしの加護。
彼女はさっきまでは自分の手をふさぎ、今は中身のなくなった包み紙をつぶして、空の袋にぽいと落した。
保田はそんな加護を1度にらみつけ、無言で残ったごみをねじって近くのゴミ入れに捨てた。
そこへ、音を立てて電車が走ってきた。
13 名前:やすかご・その2 投稿日:2001年01月12日(金)00時43分22秒
言葉を交わさずに、2人はベンチから立ってホームの端へ近付く。
鼻先を走り過ぎる風に髪をなぶられながら、保田はつぶやく。
「さっきの…本当に――?」
語尾は電車の止まる音でかき消されたけど、保田の表情をずっとうかがっていた加護には聞えた。
プシューと音をたてて、電車のドアが開く。
「行こ」
前を向いたまま電車に乗り込む保田の腕を、加護は軽くつかむ。
車内にはまばらにしか空席がなくて、2人はドアの近くに固まった。
加護は背伸びをして保田の顔に近付けて、そっと。
「ついてましたよ」
――ケチャップ。
囁いて、保田に小さく舌をのぞかせてみせた。
その仕草に、保田は唇を結んで顔をあさっての方に向ける。
そしてその様子を見ていた加護が、相好を崩したことは、最早言うまでもなく。

〈完〉
14 名前:ばった 投稿日:2001年01月12日(金)00時58分15秒
改行をこまめにしてみた。
肝心なとこの描写がないから、わかりにくいかも。それよりも、「粉雪」と上のとの
間に2つくらい話入るのに、その2でこれだから唐突な感じがするかな。

>>7
読了感謝です。
こういうのがほのぼのなのか、と今気付いたっす。
15 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月12日(金)07時38分42秒
7っす
改行した方が読みやすかったっす
加護が、かわいかった〜。
16 名前:ばった 投稿日:2001年01月13日(土)00時15分20秒
7=15さん、感想ありがとうございます。
確かに、文は横に広がらない方が見やすいですね。今回1文毎に改行したのですが、
それを紙に書くと、物足りない気がする。紙の上とネットと違うってことを知りました。

改めて見てみた。
描写がちょっと固いかな。ネタ自体はありふれたものですが元ネタがあって…。
ブギ―ポップの二作目で、そんなシーンがあったことから、思いついた。
17 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月14日(日)19時10分00秒
いいっすね〜やすかご!!
その3は、あるのでしょうか?
かなり期待です!!
ほのぼの〜として、心あらわれました。
次も頑張ってください。
18 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月14日(日)20時49分54秒
面白いですー。
次はごまなちを希望したいんですが駄目ですか?
19 名前:ばった 投稿日:2001年01月15日(月)13時49分14秒
17さん。
このままだと中途半端なんで、その3はあります。ネタがまだぼやけてるんでいつかはわかりませんが。
期待に添えるよう頑張りたいです。

18さん。
ごまなち、ちょっと書いてみましたが、2人は出てくるもののカップリングな話にはなりませんでした。
そういう話をご希望なら、もうちょっとシチュエーションそえるか他の方に頼むかしてくれますか?
私はどうもストレートにごまなち、って浮かばないんで。
仲いいみたいなエピソードってありましたっけ、この2人。
20 名前:やすかご?その3 投稿日:2001年01月17日(水)23時42分03秒
ポッキーやらオーザックといった菓子の箱や袋が、封の開いたままテーブルの上に
転がっている。
それぞれのメンバーの荷物は、隅に置いてあったり畳の上に倒れてあったりと、
雑然とした様子だ。
その持ち主の行動も色々だった。今日の楽屋は二部屋があてがわれたようだったが、
この部屋には3人しか人がいない。
「それじゃわたし、買ってきますね」
出入り口に立った石川が、少し声をはりあげて呼びかけた。
呼びかけた先には、化粧直しをする安倍と壁にもたれて本を読んでる保田がいた。
「梨華ちゃんよろしくね〜」
安倍が鏡に向かったまま返事をする。奥にいる保田は一度石川に目を向けるものの、
すぐに視線を手元に戻した。
すると、「保田さ〜ん」
「何」
「保田さんはいいんですか?飲み物」
「朝買ったの、まだ残ってるから」
「わかりました〜行ってきま〜す」
財布を手に、石川が楽屋を出て行く。
何がおかしいのか、苦笑しながら安倍が「行ってらっしゃい」と声をかけた。
しばらく、2人は各々の行為に没頭する。
が、2人の間の沈黙も、そう長くは続かなかった。
21 名前:やすかご?その3 投稿日:2001年01月17日(水)23時54分52秒
テンションの高い奇声が聞えてきたかと思うと、加護がどたばたと中に入ってきた。
「どうしたの、加護ちゃん?」
「あっちで矢口さんがいきなりののちゃんと一緒に――」
動きを交えて、話が始まる。
一重瞼の瞳をますます細くさせる加護に、ころころと笑う安倍。
区切りのいい所で、安倍が
「なっちトイレ行ってくるね」
と立ちあがった。軽く伸びをしながら部屋から出て行く。
それを「いってらっしゃ〜い」と見送った加護は、はたと思い出したような顔つきに
なる。
膝立ちで自分のバックの元へ行くと、「ノート、ノート」と鼻歌でも歌うようにつぶやきながら、
中をあさりだした。
やがて、明るい色の手帳を取り出す。
そうして顔を上げた加護は、つと視線を、テーブルの向うにいる保田に向けた。
ぺら、とページを繰る音が保田の手の中でたてられる。
2人しかいない部屋に、隣のけたたましい笑い声が伝わってきた。
22 名前:やすかご?その3 投稿日:2001年01月18日(木)00時00分38秒
加護が小さく口を開く。
だが声も発さずに閉じると、眉間にしわを寄せて、
「んん?」
と声を漏らした。
眉もぴくりと動く。
半開きにした口から舌を少し覗かせたところで、本から顔を上げた保田と視線が絡んだ。
「あ、あろ」の、と言うところで出しかけだった舌をべ、と見せる。
「何」
保田が壁から背を離す。
「ひた…。舌に何か…」
一旦引っ込めて、口内で動かしてみて、
「何か付いてるみたいなんです」
とまた保田に、ぴ、と舌を出して見せた。
「ん〜髪か何か?」
開いてた本にしおりをさし、脇に置くと、保田が加護に寄って来る。
正座をした両膝の横に手を置き、若干身を乗り出して、見せてと加護に求めた。
23 名前:やすかご?その3 投稿日:2001年01月18日(木)00時10分52秒
「これれ…」
「これね」
すとんと正座に座って、加護から離れる。
「先の方にちっちゃい髪の毛がくっついてる」
「とっれくれないんでふか?」
舌を仕舞いきらないまま、加護がしゃべる。
「えぇ?」
今度は加護が上体を傾けて、舌を出しきった。
加護の目が細く、笑みを浮かべる。
それを見て保田は加護のあごに左手を伸ばした。
そこへ。
「お帰り梨華ちゃん、あった?」
「ありましたよ〜、ノンシュガーの方ですよね?」
声が聞えて、ドアが開く。
加護を見つめていた保田の視線が外されて、後の、部屋の入り口の方へ行く。
そのままぴたりと固定されて、2秒は過ぎた頃、保田が顔ごと真横へ向いた。
視線の先に左手が伸びて、
「鏡」
テーブルの上にあった誰かのそれを差し出される。
加護はさっきとは違う感情をにじませ眉間を寄せると、
気の抜けた声で答えて手鏡を受け取った。
〈続く?〉
24 名前:ばった 投稿日:2001年01月18日(木)00時25分26秒
思いついたので、書いてみました。
石川のセリフがらしくないないのとか人物の描写がないのは別としても、。
ちょっとあれだな、これで終わりじゃ話にならない感じがする。

題名書くの忘れてた、「舌の上の髪の毛」。
25 名前:ばった 投稿日:2001年01月21日(日)21時39分39秒
改めて見た。
思ったより文は破綻してないと思うけど、キャラがイマイチ出てないかな。
この後なちけいの今昔ちょっと書けば、なちごまにつなげるかな。
26 名前:けいなち 投稿日:2001年01月31日(水)00時00分06秒
芽生え

(あぁ)
ため息と共に、よみがえる。
古い記憶。
夢を見ながら、わかっていた。
今更、何故こんなことを夢に見るのか。
全ては昼間のことが原因だ。
加護の下に付いてた髪の毛と、その肩越しにみたなっちの笑顔。
それが、あの時のことを連想させた。
―――二年前の恋のきっかけのことを。
27 名前:けいなち 投稿日:2001年01月31日(水)00時01分56秒


鏡の前に、一人の少女がいた。
黒く肩にかかるくらいの髪を、手ぐしですいている。
反対側の手は、そのすいて抜けた毛を握っていた。
しばらくして、整えた髪型をチェックするために、鏡に映った顔を右左と
向けてみせた。
一応満足したのか、少女はきびすを返し空いてる個室の一つに入る。      (そう、ここはトイレなんだ)
和式のため、少しかがんで、左手に持ってた毛を中に捨てた。
手を軽く払い、ノズルを踏む。
ザーと流れる音を背に、出口へ向かう。
が、「ん?」と声を出して、彼女は立ち止まった。    
口は閉じたまま、下あごだけが横に動く。前歯に舌先が擦り付けられた。
少女はまた、鏡の前に立った。
舌を目いっぱい出して、鏡に顔を近付ける。
とその時、キィとドアをきしませて、誰かが入って来た。
自然振り向く。舌を、出しっぱなしにしたまま。
二人の目があった。
28 名前:ばった 投稿日:2001年01月31日(水)00時14分23秒
すいません。
>加護の下に付いてた髪の毛と、その肩越しにみたなっちの笑顔。
これは、
>加護の舌に付いてた髪の毛と、その肩越しにみたなっちの笑顔。
です。
下じゃなくて舌ですね。
29 名前:けいなち 投稿日:2001年01月31日(水)00時16分56秒
「どうしたの?」
微笑みながら、入って来た子は言った。
「華奢」という言葉が、まさに当てはまる身体。
(なっち)
手には赤いハンドタオルとポーチを持っている。
「安倍さん」
少女はそう答えて、安倍に小さくあごを引いてみせた。
「髪の毛、口の中に入っちゃって」
苦笑いして、安倍から視線をそらす。そしてまた、舌を出した。
沈黙が生れる。
(私は焦っていた)
二人の間の空気は動かない。
(見られてる気がして、……胸が、ドキドキしていた)
ふと、停滞していた安倍の気配が変わる。
「圭ちゃん」
その呼びかけに、圭は即座に反応した。
顔だけ、安倍の方を向く。今度は舌をちゃんとしまったまま。
「舌出して」
安倍が一歩、近付いて来る。
「なっちが取ってあげるよ」
おそらく辞退の言葉を口にしようと開きかけた唇は、安倍によって遮られる。
「早く」
二人は向き合った。
圭はおずおずと、安倍に舌を見せる。
「もっとべ〜って」
自分も舌を出しながら促す安倍に、圭は目いっぱい、舌を出しきった。
それにともない、何となく圭のまぶたが伏せられる。
(こんなに近くでなっちを見たのは、はじめてだった…)
30 名前:けいなち 投稿日:2001年01月31日(水)00時31分15秒
けれど、さらりとあごにあたる冷ややかな感触を知ると、つい目をむくように
まぶたを開けてしまった。
そこには。
白い腕が彼女の視界のそばにあって、
「あった。ちっちゃい毛だよ」
舌に、固いもの(爪だ)とやらかいもの(肉)が一瞬押し付けられる感触がして。
圭の胸にはある種の衝動と、判然としないもやもやとした感情が生じていた。
二人の距離はそのまま、安倍は指を鳴らすように取った毛をはじいた。
圭の目には、笑みをたたえて伏し目になっている安倍の姿が映る。
「――あ」
圭が瞬きをした時、そうして目をしっかりと開けると、彼女の前には安倍はいなかった。
さっと右腕に伝わった安倍の服の感触が、圭に安倍が自分の横を通りすぎたことを教えた。
(かわされた)
何故か圭の頬が熱を帯びる。
そのことに気付き、またお礼を言ってないことにも気付く。
「あ、ありがとう…」
圭が振り向いた時、
「どういたしまして」
と、赤いハンドタオルを持った手がひらひらと揺れ、個室の中に消えていった。
鏡の前に残された圭はしばらく一点だけを見つめていたが、ザーと流れ出す水音に
顔を上げると、足早にトイレから出ていった。
火照り出した頬を気にするように、手をあてながら。

〈とりあえず続?〉
31 名前:けいなち 投稿日:2001年01月31日(水)00時33分11秒
やすかごその3?の続きというか、この後のごまなちの前振りになると思う。
というか、上手く話が続くといいんだけど…。
32 名前:ばった 投稿日:2001年01月31日(水)08時54分31秒
改めて見た。
一つ目の()の位置は失敗。あと見た感じ情景描写が多いか。
もう少し内面のことも書かないとわかりにくいな。
33 名前:ごまなち 投稿日:2001年01月31日(水)20時55分03秒
不意打ち

駅の階段を下りてる時、何かの拍子で右手に持ってた切符を落としてしまった。
そのまましゃがんで取ってもよかったんだけど、はいてた靴がちょっと厚底だったから、
何段か下りてかがんで拾った。
そしたら先にホームに下りてたごっちんが、
「なにしてるの〜?」
と振り返って笑った。
私は切符を今度は落とさないようにスカートのポケットに入れると、
ゆっくりとごっちんの元へ急いだ。
(こういうとき、ごっちんは待っててくれるけど、こっちに戻って来てくれはしない)
「あ、中行こーよ」
いつものクセで私がホームの端の方(ベンチには人がいなかった)へ行こうとしたら、
ごっちんに引きとめられた。
(こういうところ、誰かに似てるかも)
くすぐったいような気持ちを抱く。
階段を回りこんで、ホームの中程へと向かう。
思い出したように昼食の時のことを話しだすごっちんの横顔を見ながら、
私はホームの端・白線のところを歩いた。
喫煙コーナー、ジュースの自動販売機の横を過ぎて、もっと中のほうへ。
「んでさっきの店員がさぁ」
としゃべるごっちんに、あいづちをうつ私。
ごっちんの腕には今日買った服やアクセサリーの入った紙袋が二つハンドバックが一つさがっている。
私の腕には、唐草模様の紙袋が一つ。
ごっちんの持ってる一つのと同じお店の、一回り小さいのを持っている。

34 名前:ごまなち 投稿日:2001年01月31日(水)21時36分15秒

私たちは自分たちのこれから乗るのとは反対側のホームの端を、
おしゃべりしながら歩いてた。
何メートルか先にある、「まもなく電車が来ます」の白いランプがともったのを見て、
私はごっちんの後に下がった。
白いブロックの線の横を、てくてくと進む。
ホームのずっと向うに明りが入ってきて、遠くから電車の音が近付いてきた。
ふいにごっちんがおしゃべりをやめたので、私はごっちんの方に顔を向けた。
それと同時に、トンと軽くだけどごっちんの背中にぶつかってしまう。
私が謝罪と抗議を口にしようとした時、ごっちんが私に体をひねって、
イッと歯を見せた口の前に人差し指をもってきた。
(『静かに』?)
私はごっちんが立ち止まりその視線の先を見る。
緑のベンチ。時間帯のせいか人はそんなにいない。
私のすぐ隣にある壁が邪魔で、全部は見えない。
けど、人が座ってるのはわかった。
(何?)私はごっちんに、眉をひそめてみせた。
ごっちんはそれでも口をつぐんだまま、指だけをちょいちょいと壁の向うに示した。
(だから何さ?)
体を傾け、壁に手をかけて、私は向うを――――
「――!?」
――――覗いた。
思わず、右手で口をおおう。
かさりと左腕の下で袋が揺れる音がした。
35 名前:ごまなち 投稿日:2001年01月31日(水)21時50分21秒


「いや〜おどろいたよね〜」
気付くと私はごっちんに腕をつかまれて、さっき通り過ぎた喫煙コーナーのスぺ―スに
戻っていた。
ごっちんがベンチに座る。
私も、一つあけた隣に腰掛けた。
「ねぇ、電車さ、…一本見送ろ?」
言ったのは私。
「やっぱ気まずい?」
ごっちんが笑う。「上りの列車が発車します」というアナウンスをバックに。
私は頷いて、腕にくいこんでた買った物袋を横のベンチに置いた。
(頭が真っ白な感じ)
だって……。


「――」
ごっちんの指す先には加護がいた。それと、
(圭ちゃん?)
撫で肩の後姿とその茶髪でわかった。

二人はぴったりとベンチに並んで座っていて。
寄り添ってるようにも見えた。
二人の頭の距離も、すごく―――。

ゴウと、私の横に風が吹く。電車が通り過ぎていた。
私ははじかれるように、後へ、死角になる壁の影に入った。


二人の顔は近付きすぎていた。くっついてると言ってもいい。
いや、そうしてたのを、ちょうど離すところだった。
ごっちんはその前半を見て、『静かに』って立ち止まったんだ。
ふぅーと息をつく。腕の前に置いていた両手を口元にやる。
ちくちくと、ごっちんの視線がほおにささるのを感じた。
一瞬、迷った。
その視線に気付かない振りをするか、ごっちんの方を向くか。
「あ…」
私がちょっととまどったような声を出す。
左手をベンチの背もたれに置いて、ごっちんを見た。
また、電車の入ってくる音がした。目が行く。
36 名前:ごまなち 投稿日:2001年01月31日(水)23時36分51秒
私たちが乗る筈だった下りの電車が入ってきた。左から右へ、電車が流れていく。
そのことに私はほっとした。
逆向きだったら、(気付かれないかもしれないけど)電車の窓から私たちを
見つけてしまうかもしれない。
それは…やっぱり気まずいと思う。
「なっち?」
ごっちんもベンチの背もたれに腕を乗せて、ほお杖をついてる。
「あのさ、さっきのって…やっぱさ」
なんて言おうかと言葉を探すように、目を動かす。
視界の端で、ゆっくりと電車のドアが閉まっていく。
「やっぱ…」
尻すぼみに、口をつぐむ。
「加護と圭ちゃん?」
ごっちんの目はなぜか下を向いてた。
「そう」
言葉を飲み込むように、うなずく。
「……てたのかな、その…」
「キス?」
あっさりと口にしたごっちんが、こっちを見てきた。
「大胆だよね〜」
「でも駅だよ?」
にやにやとごっちんが笑みを浮かべる。けど、その目は口元ほどは笑ってなかった。
「いくら人少ないからってさ」
私は勢いついて、しゃべりだすかのように。
「なんか、圭ちゃんらしくないっていうか…」
「んー…」
「だって、駅だよ?」
ごっちんの黒い瞳の、奥をのぞきこむ。
私はあの二人のキス(ていうか本当はニアミスだったと思う)を見て、
ごっちんが感じたことを知りたかった。
それは私の中にある、ある気持ちの裏返しで。
驚いてないと言ったら嘘になるけど、どこがで小さな損失感があったから。
(うめたかった)そう、どうにかしてこの気持ちを処理したかった。
「――じゃない?」
「え?」
ごっちんの瞳が少し真剣味をおびてるのに、私は気付いた。
「だから、不意打ちだったんじゃない?って」
でもその割に投げやりな声に、私はごっちんから体をそむけてベンチにきちんと
座りなおそうとした。
37 名前:ごまなち 投稿日:2001年01月31日(水)23時40分23秒
私は再びごっちんを見る。
きゅっと膝の前に置かれたごっちんの手が、握られるのをわかった。
「なっちってさ…」
ややかすれ気味の声が、私の耳に届いた。
「その…圭ちゃんのこと、好き…だったの?」
「へぇ!?」
思わず声が裏返ってしまう。
「だtってさっき…」
「さっきて何さ」
「さっきすごいびっくりしてたじゃん…」
「あれは!だって驚くっしょ?あの二人が…。つーか後藤、二人のこと知ってたの?」
「知らない。なんだか色々あったみたいなのは聞いたけど」
ごっちんの視線が、一旦二人の間の荷物に注がれる。
「それよりなっちさぁ…」
「好きじゃない。あ、もちろん、メンバーとしては大好きだよ?圭ちゃんも加護も」
すると。
「よかったぁ…」
「へ?」
(なんで?)
期待する私と(だめだよ)と囁く私。
そうだねとあの悲しい気持ちを思い出そうとした私に、ごっちんんは。
38 名前:ごまなち 投稿日:2001年01月31日(水)23時50分50秒
「好きだから」
「は?」
このごに及んで、気付かないふりをするかどうか、私は悩んでいた。
「なっちが、好き…」
ごっちんの唇は結ばれる。
次は私の番。でも…。
「なんで?」
「え?」
「だって…なっちのこと、見てなかった」
私の口からこぼれたのは、この言葉だった。
「えぇ?」
「見てたこと、なかったっしょ?」
見てたのは、絶対私の方が多かった筈だ。
「そんなことないよ」
(嘘)思いは声になる。
だって、私は視線に関して敏感だ。
それは職業柄というよりも。
ずっと前に付き合ってた人が、あまり私を…一緒にいる時でも、見てくれる人じゃなかったから。
「ホント嘘じゃないって」
そう言うごっちんに私は首を振る。俯きがちに、両手を胸元に置いた。
「いっつも、なっちは前向いてるからさぁ」
そして、ごっちんがぼそぼそしゃべるのを聞く。
「その先…ずっと見てた」
私の中で、何かが弾ける。
「同じもの、見たかったから」
そして―――。
39 名前:ごまなち 投稿日:2001年02月01日(木)00時04分27秒

結果から言うと。
私は、すぐに答えることはできないと、ごっちんに伝えた。
ちょっと前(ごっちんが『好き』って言い出したその瞬間まで)なら、
どうとでもはぐらかしてたんだろうけど。
けど。
あの時私はそうすることができなくて。
もしかしたらあの瞬間、私もごっちんのことを―――――
なんて思ってしまった。
この先私たちの間がどう変わるかはまだわからないけど、あの日つないだ(そっと)
ごっちんの手は柔らかくてあったかくて。
二人の関係がこの後どうなっても、それだけは、絶対忘れないような気がした。

〈完〉
40 名前:ばった 投稿日:2001年02月01日(木)10時22分02秒
改めて見た。一人称の割りに思ってることが書いてない。
あと最後が急ぎすぎというか強引に終わらせてるというか。続くと言ってた話も続いてないし。

ちょっと迷走気味だ…。
なのでここで見てる方へ、お願いがあります。
良かったらアドバイスをもらえませんか?

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