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痛めも甘めも挑戦します。

1 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月12日(木)03時24分48秒
FANTASISTAと言います。BOOTLEGの変名です。
ただいま白板の方で長編を書いてますが、ここではショートショートを書きます。
組み合わせはいろいろ、題名通りに痛めも甘めも書いていきます。
よろしくお願いします。
2 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月22日(日)03時11分10秒
だいぶ時間が経ってしまいましたが話のあらすじができました。
今回は甘めのやぐよしでいきます。他にもメンバーが絡んでくるでしょう…
3 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月22日(日)03時12分19秒
「ふぃ〜今日のレッスンも疲れちゃったね〜」
「そうですね」
「あれ? 何か元気ないね。どうしたの? よっすぃ〜」
「そ、そんなことないです…」

いつものダンスのレッスンが終わった。
吉澤は憂鬱だった。教育係の矢口は…とにかくカワイイ。
逢った時からそうだった。どんなことしてもカワイイ。
それに尽きる。

でも憂鬱だった。一緒にいられることに満足感はある。
それでも憂鬱だった。
理由は分かってる。

「まりっぺ〜」
「い――いきなり抱きつくんじゃねーよっ!! こらぁ! 裕子!!」
「別にええやんかぁ…減るもんやあるまいし…」

この人だった。中澤裕子という存在。
吉澤にとってはあまりにも高い壁であり…存在である。

(ゆーちゃんいいな…あたしも矢口さんとあんなことしたい…)
4 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月22日(日)03時35分55秒
「ほらっ! よっすぃ〜が呆れた顔してみてるよ?」
「…顔赤いで。何や? よっすぃ〜。まりっぺのことスキなんか?」

からかうつもりで言ったんだろう。
ただ、吉澤はその言葉に、さらに顔を真っ赤にして俯いた。

「か――かわいいっ!!」
「うわぁっ!」

小さな身体をいっぱいに広げて矢口は吉澤に抱きついた。
吉澤は情けない悲鳴を上げながら成すがままになってしまう。

「よっすぃ〜、めちゃカワイイわ〜。裕子と違ってウブなとこがヤグチはスキ〜」
「や、矢口さん…」
「なんやてっ!? 聞き捨てならんわ!! そのセリフ」
「あっち行ってよ。ヤグチはよっすぃ〜と話があるんだからさぁ〜」
「もうええわ!! つじ〜…」

別の標的を見つけようと中澤は息を切らしていた辻の方に近寄っていった。

(中澤さんって…誰がスキなんだろう? 矢口さんじゃないのかな?)

「よっすぃ〜。いつまでこうしてたい?」
「……」

上目遣いで見つめられて…吉澤は慌てて身体を離した。

「ははっ。よっすぃ〜ってやっぱりカワイイね」
(矢口さんのほうがよっぽどかわいいです…)

声には出来ない吉澤。
5 名前:0120 投稿日:2000年10月22日(日)23時51分31秒
やぐよしー。甘いの期待してます!
よっすぃーがかわいくていい感じ
がんばって下さい。
6 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月23日(月)04時26分23秒
>>5 0120さん
早くも目を通していただいてありがとうございます。
矢口がガンガン攻めて、吉澤がテレまくる展開を作ります。
更新は白板があるので遅めですけど、頑張りますのでよろしくお願いします。
7 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月23日(月)04時33分49秒
「ねぇ…よっすぃ〜。聞きたいことあるんだけどさぁ…」
「はい?」
「あのさぁ…ごっちんとはどんな関係なの?」

珍しく矢口がモジモジする姿に吉澤は少しビックリした。
ダンスレッスンが終わった帰り道、二人で歩きながら矢口が聞いてきたのだ。

「ごっちんは…同い年ですから仲いいですよ」
「いや…そーじゃなくってぇ、ごっちんはよっすぃ〜のことがスキそうだから…」
「わたしは別に…」(矢口さんがいますから…)

そう言うと矢口は大きく伸びをした。
いつも矢口のようにニコニコした表情に戻った。

「ならいいんだけどね〜。なんだぁ…よっすぃ〜違うんだ…」
「…嬉しいですか?」
「え、あの、いや〜、まあ、ねぇ〜…」

テレまくりの矢口。
8 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月25日(水)03時14分07秒
「そーゆー矢口さんは…中澤さんのこと…」
「裕子は…」
「違うって言えないですよね?」
「ぶぅ…そんなことないもん〜」

そうは言うものの、矢口はハッキリとした答えは言わなかった。
吉澤は…不安だった。矢口は自分をスキだと言ってくれる。
でも、全てを任せることがどうしても出来ない。

「よっすぃ〜ってさぁ…ヤグチと手をつないだり抱きついたりするの…イヤ?」
「そんなことはないです!!」
「ちょ、そんなにおっきな声出さなくても分かるよぉ…ははっ、やっぱりカワイイ〜」
「…ごめんなさい…」

吉澤が頭を下げると矢口は彼女の腕をつかんだ。
しっかりと手のひらを握って指を絡ませる。

「…よっすぃ〜は何してもカワイイっ!! 謝ってもカワイイんだもん。ズルいね」
「……」
「ありゃりゃ? 頭の中真っ白だね〜。よっすぃ〜」

矢口に翻弄されっぱなしでも吉澤は幸せだった。
9 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月25日(水)03時25分42秒
…手を繋いで歩くその後ろ姿をずっと見ていた。
後藤はその光景を自分の目で見なかったことにしたいくらい、ツラかった。

「よっすぃー…」

名前をつぶやくだけでも顔が赤くなる。
心臓がドキドキする。頭の中が真っ白になるほど…いとおしくなる。
矢口のことは嫌いだとか憎いとかそんな感情はない。
ただ、羨ましかった。吉澤と自然体でいられる矢口が羨ましかった。

「どないしたんや? ごっちん?」
「ゆ、ゆーちゃん…」
「はよウチに帰らんと明日のレッスンがツラくなるで」
「…ねぇ、よっすぃ〜ってさぁ…まりっぺのことがスキなのかな?」
「どやろ? 好意はあるんやないかなぁ? でも、まりっぺはウチのもんや! 誰にもやらん!!」

関係ないことを口走る中澤をシカトして後藤は歩き出した。
…好意はある。それは事実みたいだ。

「ちょ、冷たいがな!! 待って〜な。タクシーのトコまで帰ろうや〜」
10 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月26日(木)00時16分51秒
よしやぐに後藤が絡む展開ですね。面白そう。
11 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月27日(金)01時55分28秒
>>10 名無しさん
よしやぐに後藤とそして、中澤が絡む展開が中心です。
意識的にあま〜く書いていくんでよろしくお願いします。
12 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月27日(金)01時56分50秒
「…もしもし、よっすぃ〜」
「……」
「あ、ごめ〜ん。寝てた?」

まだ朝の八時半だった。
今日は久しぶりのオフで吉澤は身体を休めようとしていた。
まだ、あのハードなスケジュールに付いていけない。

「…おはよーございますぅ…」
「あははっ! すごい声がガラガラだね〜」
「寝起き弱いんです…」
「あれれ? そーだっけ? ごめんね〜」

電話口から聞こえる矢口の声はいつもと全く同じテンションだった。
いつも、いとおしく感じるその声も寝ぼけた頭には響かない。

「あのさ〜。今日オフじゃん。一緒に買い物行かない?」
「……」
「よっすぃ〜…聞いてる?」

吉澤はベットから飛び起きた。
寝ていた身体も意識もあっという間に覚醒する。
初めての…二人っきりの初めてのデートの誘いだ。

「はいっ! 聞いてます! 絶対行きますから…」
「ははっ。よっすぃ〜ならそう言うと思った。じゃあさ、お昼に原宿の駅前に集合ね」
「分かりました…」
「んじゃ〜ね〜。起こしてごめんね。お・や・す・み。chu!」

携帯が切れても吉澤はその場でじっとしていた。
…しばらくして重みのある静かなガッツポーズを取ったのは言うまでもない…
13 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月28日(土)00時04分12秒
吉澤は部屋の中を右往左往していた。
所狭しと並べられた服の数々…何を着ていこうか悩んでいた。
初めてのデートなのだ。二人きりで逢える…少ない時間だ。

「どうしよ…アルバは着てかれないし、エゴイストもダメだろうし…」

何気に矢口に気を使っている吉澤。そんなことにも気づかず、ひたすら悩みつづける。
すると…

「あれ…? ごっちんからだ…もしもし?」
「…あ、よっすぃ〜…あたし、後藤だけど…」
「どうしたの?」

肩と頬で携帯を挟みながら服を選ぶ。
正直、電話に構っているヒマは吉澤にはなかった。
電話をしても頭の中はデートのことでいっぱいだ。

「あのさぁ…今日ヒマ?」
「あ、ごめん…さっき矢口さんから電話あって一緒に買い物行かない買って誘われたんだ」
「…」

後藤は沈黙した。
やっぱりゆーちゃんの言ってたことはホントだったんだと噛み締める。
胸の辺りがぎゅっと苦しくなる。

「ごっちん?」
「あ、ああ…ならいいや。ごめんね〜」
「じゃあ、今度一緒に買い物行こうよ。ね?」

吉澤の優しさが…後藤が惹かれる吉澤の長所が今日は苦しかった。

「うん…ありがと。んじゃね」

吉澤の答えも聞かずにケータイを切った。
ベットにうずくまった後藤は…やり場のない気持ちをどこにぶつけていいか分からなかった。
ただ、ひたすらケータイを握りしめることしか出来なかった。
14 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月28日(土)00時34分08秒
「…矢口さん…遅いなぁ…」

原宿の改札前――竹下通りの入口で吉澤は待っていた。
約束の時間の30分前に到着している健気さはいかにも吉澤らしい。
しかし、予定の時間を10分過ぎても矢口は現れない。

「あ…なんかヤバイなぁ…」

空を見上げてつぶやく。
どんよりと曇った空。自分はこんなに幸せなのにそれに反したような色の空。
しかも、天気予報に気が回らずに傘を持たずに出てきてしまった。

――と、吉澤の頬が急に熱くなった。
何か熱いものを頬に押し付けられたのだ。

「うわぁっ?」
「へへっ…おっは〜!! ビックリした?」

矢口だった。
その右手には午後の紅茶のホット缶が握られている。
少し息が切れているところをみると走った来たらしい。

「ごめんね〜電車で来ちゃったらさぁ、ヤグチだってバレちゃって、撒くのに時間かかっちゃったよ〜」

何かいつもと雰囲気が違う。
仕事の時の矢口はどこかきりっとしているところがあるが、今日はまるでない。
ホントにプライベートな矢口の姿がそこにある。

(ああ…矢口さんってホンキでカワイイなぁ…どーしてこんなにカワイイの?)

いっそのこと抱きしめたかった。
誰にも…ホントに誰にも渡さないぐらいに抱きしめたかった。
その小さな唇を奪って自分のものにしたかった。
甘い味のするその唇を吉澤自身のものだけにしたかった。

「よっすぃ〜…どしたの?」

小首をかしげながら矢口はと呼びかけるが、吉澤の頭はどこかに飛んだままだった。
15 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月28日(土)01時10分28秒
「なんかさぁ〜今日のよっすぃ〜…雰囲気違うね」
「そうですか?」

竹下通りを通らずに迂回することになり、渋谷方面に歩き出した二人。
ちゃかりと手を繋ぎながら、矢口はそんな風に切り出した。

「いつもはだいたいトレーナーとかシャカパンだけどさぁ…今日はなんか大人っぽいよ」
「矢口さんだって…」

矢口の格好はいつもとあまり変わらなかった。
コテコテのエゴイストのバック片手の矢口は…全く一緒だった。

「……」
「ははっ。いつもと一緒でごめんね〜。でも、ヤグチのカッコで一番オキニはこのカッコ。
 大事な人と逢う時は…このカッコだもん」

中澤さんと逢うときも…?
吉澤の胸がずきんと痛む。こんなに側にいるのに…矢口の言葉の一つ一つに反応して、
すごく不安になる。

「あ、そのシャツ、ジル・スチュアートじゃん!!」

そんなことにまるで気づかない矢口は吉澤のシャツを見ながらわいわいと騒いでいる。

「いいなぁ〜、ヤグチもそーゆー服を着てみたいなぁ〜」
「え? 着ないんですか…?」
「ほら、ヤグチってすっごいちっちゃいじゃん? 何か大人っぽい服とか着れないんだよね〜
 いつか大きくなったら着たいんだけど…身長止まったしね〜」

「でも、よっすぃ〜はカワイイし…背も高いからさ、きっとキレイな女の人になるよ」
「そ、そんなことは…それなら…」

矢口さんだってかわいいです…
そんな風に言ってあげたい。本当にそう思うから言ってあげたい。
吉澤は…少しの勇気を振り絞った。繋いでいる手に力がこもる。

「や、矢口さんだって…きっと似合います。ジルだって似合います。それに…今のままでも…」
「……」
「…じゅーぶんカワイイですっ!!」

吉澤は視線を道の方に外した。
顔だけじゃなく、耳まで真っ赤になるのが分かる。心臓がすごいドキドキする。

「…ははっ! ありがとっ!! よっすぃ〜にそんな風に言われたの初めて。すごい嬉しいよっ♪」

ぎゅ〜と腰の辺りに抱きついてきた矢口を見て、「もぉ死んでもいい」と吉澤はホンキで思った。
16 名前:0120 投稿日:2000年10月28日(土)18時43分38秒
よしやぐ〜、すっごくいいですね。
吉澤がメチャクチャかわいいですよー!!
後藤や中澤がからんでくるのも楽しみですが
こんな甘い感じを期待してます。
17 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月29日(日)00時52分48秒
初めて読みました。
よっすぃーがすごいかわいい♪
純情よっすぃーかなりいいかも。
矢口もさっぱりしててホントの矢口っぽいっす。
もっとよっすぃーを振り回してあげてください(笑)
18 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月29日(日)01時50分18秒
>>16 0120さん
毎度のレスありがとうございます!
吉澤の性格が萌えの原因のようですね〜(w
吉澤は書いてて面白いキャラで気に入ってます。
これからもお願いします。
>>17 名無しさん
レスありがとうございます!
よっすぃー人気爆発ですねぇ。これは意外です。
俺は矢口にチカラを入れて書いているんですけど…
これから矢口や後藤が吉澤を振り回していきます。ある意味不幸キャラかも(w
19 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月29日(日)01時51分19秒
ちょっと早めの食事を終えて帰る間際になって…
今にも泣き出しそうだった空は…とうとう泣き始めた。

「あ…やっぱり降ってきちゃったよ〜…ね〜よっすぃ〜は傘持ってきてないの?」
「はい…天気予報見てこなかったから…」
「ふ〜ん…そ〜なんだ。ラッキ〜」

矢口はバックから折り畳み傘を取り出した。

「へへ〜ヤグチは天気予報見てきたんだ。ちっちゃい傘だけど、一緒にはいろ」
「あ、じゃあ、わたしが傘持ちます」
「お願いね〜」

空を見るたび、どうして曇っているんだろうかと吉澤は腹を立てていたが、
こんなシチュエーションになるんだったら雨は大歓迎だ。

「…やったぁ…」
「? どーしたんですか?」
「えっ? だってさぁ…傘が一つしかなくて、ちっちゃいから、人の目を気にしないでくっつけるじゃん?
 も〜嬉しいなっ♪」

…あんなにくっついていて人目を気にしていたのだろうか…
と、吉澤は思ったが、腕を絡ませる矢口はいつにも増してくっついていた。
むしろ、抱き合って歩いていると言っても過言ではない。

(もーダメ…矢口さんの魔法にかかっちゃってて何されても嬉しくってしょーがないよ…)

pipipipi…pipipipi…

そんな魔法も意外な出来事で解けてしまった。
…矢口の携帯電話だった。

「誰ですか?」
「ん…あれ? 裕子からだ」
20 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月29日(日)02時02分38秒
吉澤はドキドキしながらその光景を見ていた。
矢口に電話をかけたことが少ない吉澤はそれがよくある光景なのか…不安だった。

ピッ…

矢口の指が…保留のボタンに伸びた。
何もなったかのように再び、携帯電話をバックにしまう。

「出なくて…いいんですか…?」
「…うん。今はよっすぃ〜と一緒にいるから…出たくないなぁ〜とか思ったりして。
 それにさ、よっすぃ〜に変な誤解されたくないの。裕子はあくまでただのメンバーだから…」

その言葉を信じていいんですか…とは聞き返せなかった。
矢口が無理しているのが分かったから。横顔が苦しそうな顔をしていたから。

「…雨降ってきちゃったし…明日のレッスンも早いから帰ろっか? 買い物たくさんしたしね〜」
「そう…ですね」

二人は駅の方に向かって歩き始めた。
吉澤は…ある決心をした。
21 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月29日(日)02時33分31秒
駅にはたくさんの人が傘をさして歩いていた。
そのせいか、傘の中に矢口と吉澤が手をつないで歩いていることに誰も気づかない。

「ふい〜本格的に降ってきちゃったよ〜」
「…矢口さん」
「はぁい。ど〜したの? よっすぃ〜」

どこから取り出したのかカロリーメイトなんか食べている矢口。
吉澤はどうしても矢口に聞きたいことがあった。確かめたいことがあった。
それが…この光景で、自分の意思が砕けそうになるのを感じた。

「あ、食べる〜? ここに来る時買ってきたんだよ。チョコ味の奴…はい、ど〜ぞ」
「……」
「おいしい?」

吉澤は頭のどこかがぽーんとはじける感覚に襲われた。
気が付くと…自分の胸には矢口がいた。

「あ、あれ…?」
「……」
「ど、ど〜したの…?」

矢口に聞かれても吉澤は答えない。いや、答えられない。
早鐘のような鼓動のせいで自分の今いる状況すら明確に理解できない。
溢れんばかりにある心の言葉も今では指からこぼれ落ちる水のようだった。

「よっすぃ〜…すっごいドキドキしてるね…」
「は、はい…」
「ヤグチも…ドキドキしてるんだよ…分かんないかなぁ…」

不意に吉澤の背中に手が回った。
小さくて暖かい手…紛れもなく矢口の手だった。
吉澤は傘を持ちながらも…抱いている片手に力をこめた。

「……」
「よっすぃ〜って暖かいね…」

矢口が吉澤の顔を見上げる。
吉澤は視線を合わせることができなかった。
傘を持つ右腕を見つめてたりする。

背中に回っていた矢口の手が…吉澤の髪を触れた。
ガチガチになっている吉澤はなすがままになっていた…

「…ん…」

駅前はたくさんの傘で乱れていた。
その傘の一つで…傘の下で吉澤は初体験をした。

「…やったぁ…よっすぃ〜と…キスしちゃった」
「……」
「もっとメロン味のアメとかなめてればよかったね〜チョコ味だったのはガッカリだな〜」

的外れな感想をもらす矢口。
もちろん、吉澤の意識は遥か彼方に飛んでいた。ただ…唇の感覚だけはハッキリと残っていた。
22 名前:ティモ 投稿日:2000年10月29日(日)09時27分37秒
うう・・・。
後藤・・・。
23 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月31日(火)02時24分10秒
>>22 ティモさん
レスありがとうございます!
後藤の扱いが今の段階ではちょっと悲しすぎですが、ここから盛り返します。
後藤の反撃に期待してください。
24 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月31日(火)02時42分40秒
吉澤は自分の家に帰ってもぼんやりしていた。
何がどんな風になったのか…よく分からないが、自分の希望だけは叶ったらしい。
矢口と…キスをすること。

「や――やったぁぁっっ!」

ベットにダイヴした吉澤はその喜びを噛み締めるかごとく、何度も身体をバタバタさせる。
口許に指を当てて…その感触を思い出す。
それだけで…幸せになる。

「もう…ちょ〜嬉しいよ…」

声に出さずにはいれられない。
あの時…あの一瞬だけは…矢口は吉澤だけを見ててくれた。
それだけでも、吉澤は満足できる。

「キスって…あんなモンなんだなぁ…引き寄せられて…」

その光景はハッキリと覚えていない。
でも…どういうわけかチョコの味がした事だけは覚えている。
別に舌が入ってきたわけでもない、ライトキスだが。

「……」

そんなキスでも思い出すだけで顔が赤くなる。
嬉しさとともに恥ずかしさもある。

「明日から…普通にできるかなぁ…」

吉澤は枕を抱きながら夢見ごこちに天井を見た。
いつになっても唇からキスの感触が消えない。
でも、それでよかった。消えて欲しくなかった。

「今度はちゃんと顔を見てしよ…しかも、わたしからちゃんと…うん」

一人で納得する吉澤――世の中で自分が一番幸せだと思っている人間の一人である。
25 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年10月31日(火)02時59分38秒
荷物を置いた矢口はベットに倒れこんだ。
なんだかいろいろあって今日は疲れた。
明日のレッスンが…ほんのちょこっと憂鬱だった。

「ヤグチのしたこと…あれでよかったのかな?」

バックから携帯電話を出す。
画面にはカセットテープのマークが点滅している。
伝言がある――相手は誰だか確認しないでも分かる。

ピッ…

「あ〜…うちや…昨日の夜はごめんなぁ…電話かけ直さんでもええから、聞いてくれへんか…
 うちは…ちゃんと矢口を見てるで。他の娘。はただちょっかいだしてるだけや。せやから…」

矢口は途中で電源を切った。
そのちょっかいが矢口を苛立たせていることに中澤はまるで気づいていない。
矢口の苛立ちは少しずつ積もる…

かといって捨て鉢な気持ちで吉澤と出かけたわけではない。
吉澤のこともスキだ――中澤が持っていない独特の魅力がある。
二人とも同じぐらいスキだ。

「う〜ん…やっぱ、ヤグチってゆーじゅーふだんって言われちゃうよねぇ…」

吉澤とキスしたのは本心だった。
あの時だけは吉澤のことしか頭になかった。目の前の吉澤だけがスキだった。
でも、普段は? 中澤といるときは? 吉澤といるときは?
…2人が一緒にいるときは?

全てにおいて気持ちが違う。

「困ったよぉ…ど〜すればいいんだろ…?」

額を隠すように右腕をかざして、天井を見る。
考えても考えても…答えは出ない。

「ま、いっか〜。まだヤグチが決める問題じゃないもんね〜」

勝手に答えを出す矢口――世の中で一番危機感のない人間である。
26 名前:0120 投稿日:2000年10月31日(火)19時13分45秒
おもしろいですね、今回も!
う〜ん、矢口は罪な女ですねぇ。
中澤とよっし〜の今後の動きが気になります。
続きがんばって下さい。
27 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月31日(火)23時27分33秒
めっちゃ自分に素直な矢口っすねー(笑)
でも本当のやぐっつあんは一途な気がするー。
よっすぃーはどこまでも純情でいて欲しい。希望。
梨華ちゃんも出てきて欲しかったりして・・・。
28 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月01日(水)03時01分18秒
1レスにショートショートと書いていますが、何か長くなりそうな予感です。
俺ってショートショートが書けない体質みたいだ…

>>26 0120さん
毎度のレスありがとうございます!
今回はよっすぃ〜とヤグチの対比ですね。お互いの心境を知ってもらおうと思いまして…
まだ、沈黙を保っている後藤と中澤の絡みに注目してくれるとありがたいです。

>>27 名無しさん
レスありがとうございます!
この話の矢口は自分にものすごく忠実です。その分、ウソがないから自分の気持ちにも
ウソがなくて、真っ直ぐです。だから、一途になれば…お分かりですね(w
矢口の気持ちの移ろいも書いていきます。よっすぃ〜はひたすら純情です。
梨香ちゃんは…考えときます(w
29 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月01日(水)03時01分54秒
(ヤバイ…すっごい眠いんですけど…)

楽屋でぼんやりとしていた吉澤は睡魔と闘っていた。
今日は「HEY!HEY!HEY!」の収録がある。時間通りに入っても…
ダウンタウンの松本が遅刻をしたので、時間が余っているのだ。

「ね〜、よっすぃ〜」
「……」
「ね〜てばぁ〜、聞いてる?」

「よっすぃ〜ってば!!」

後ろから誰かに抱きつかれて吉澤は思いっきり振り返った。
…中澤だった。

「な、中澤…さん?」
「何や? そんな期待ハズレな顔しよって。矢口かと思うたんか?」
「そ、そんなことはないです…」
「ホンマかいな? わざわざ矢口っぽく声色変えたのに…」

イタズラが終わっても中澤はなかなか吉澤から身体を離さない。
吉澤はなんだかドキドキしてきた。

「あ、あの…中澤さん…」
「何や?」
「ちょっと、あの…離れてくれませんか…」
「いやだ」

にべもなく返されて…ここぞとばかりに吉澤をぎゅ〜と抱きしめた。
その抱擁が妙にツボを得ていたようで吉澤は腰砕けになってしまった。

「ちょ、中澤さん…」
「聞きたいことあんねん。ウソつかへんで答えてくれたら離したる」
「……」
「ごっちんから聞いたんやけど…昨日、矢口と買い物でかけたらしいな?
 そこでやよっすぃ〜…あんたは矢口のこと、スキなんか?」
30 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月03日(金)01時38分43秒
「な…何でそんなこと…」
「大きな声でみんなに聞こえるように言えとは言っておらへん…うちだけに聞こえるように言えばええんや」
「……」

楽屋を見回しても助けてくれそうなカンジはなかった。
みんな中澤がいつもどおりに吉澤とじゃれているようにしか見えないのだろう。
こんな時に限って…矢口の姿がなぜかない。

「…矢口さんは…教育係です。わたしの教育係です」
「……」
「ただ…それだけです」

吉澤の答えを聞いた中澤は…手を緩めた。
口を少しだけ曲げたまま、軽く頷いている。

「!」

一瞬、気の抜けた吉澤を中澤は力強く抱きしめた。
手加減のない…抱擁に吉澤は声を失った。

「あっ…」
「よっすぃ〜はカワイイなぁ…矢口が気に入るのも分かるわ…」
「あっ…ちょ、中澤さん…」
「あんま、ゆ〜ちゃんのことバカにせんといてな…ウソがバレバレや」

腰に巻きついている手がなぜか徐々に上のほうにあがっている。
吉澤は何とも言えない気持ちになって声が出なくなった。

「矢口はうちのモンや。手を出さんといてな…って普通なら言うんやろーけど…
 よっすぃ〜は別や。矢口と一緒によっすぃ〜にも手、出さへんようにしたる」
「???」
「矢口ともどもよっすぃ〜もうちのモンや…」
31 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月03日(金)01時55分16秒
(どど、どうしよう…何かヘンな気分になってきちゃったよ…)

吉澤は急に自分の頬が熱くなるのを感じた。
今まで中澤を見ても何も思わなかったのに、肩越しにいるだけで、ドキドキする。
首筋にかかる吐息が…その思いを強くする。

と――

すぱぁぁんっ!

中澤の首がブレる…横から何かが飛んできたことだけしか分からなかった。
乾いた音と向こうに転がる緑色のスリッパ…
そのスリッパが飛んできた方向に目をやる。

「ゆ〜う〜こ〜」

思いっきり矢口だった。
楽屋の入口からスリッパを投げたらしい。その場所で小さな肩をいからせている。
その身体からは想像も出来ないほどの怒りで満ちているのが分かる。
中澤の手が…外れた。

「や、矢口…ジョ〜ダンやて…落ち着いて〜な…」
「てめ〜っ!! よっすぃ〜に手を出しやがって!! 何するつもりだったんだよっ!!」
「別に…よっすぃ〜とじゃれてただけやん。何や? 嫉妬してるんかぁ?」

矢口が走る。
素早い動きで中澤に追いつくと、今度は左手に握っていたスリッパで張り倒す。

「こんのぉ…ばかやろぉっ!! ホントにサイテ〜だっ!!」
「や、矢口さん…」
「もう…よっすぃ〜怯えてるじゃんかよっ! ほら、もうだいじょぶだから…」

その場で吉澤をあやすように抱きしめる。
吉澤は…中澤に矢口に翻弄されっぱなしだった。
32 名前:べぃぐる。 投稿日:2000年11月03日(金)21時00分29秒
えっ!?
裕ちゃん、よっすぃにまで!?
・・・この先がかなり気になるっす(ドキドキ)
33 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月04日(土)00時01分29秒
やっぱりよっすぃーの描写が魅力的ですねえ。
作者さんは矢口押しなのに。。。
不思議なもんだ。
34 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月06日(月)05時15分48秒
>>32 べぃぐる。さん
毎度のレスありがとうございます!
メンバーにまんべんなく手を出すのがやはり中澤かと(w
中澤は書くのがスキです。動かしやすいキャラですから。

>>33 名無しさん
レスありがとうございます!
よっすぃーはチカラを入れて書いてます。やぐよしと銘打って書いてますけど、
心境的にはよしやぐです。主人公はよっすぃーっぽいですし…
それでも矢口押しになってしまうのは…矢口ばっかり書いているせいです(w
よっすぃー描写が魅力的って言われるのはすごい嬉しいですね。
35 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月06日(月)05時16分37秒
(よっすぃ〜…やっぱりスキなんだね…)

楽屋の中で後藤は確信した。
中澤が絡んでいるときの会話、態度、全てを見て客観的に考えてみた。
…間違いなかった。

「や、矢口さん…だいじょぶです、だいじょぶです!!」
「ちょ…何でそんなに逃げちゃうんだよ!! よっすぃ〜、やっぱりゆ〜ちゃんのことを…」
「それは違いますっ! 中澤さんは関係ないです。わたしは矢口さんだけですからっ!!」

墓穴を掘る吉澤。別に逃げたわけじゃなく…照れくさかったから身体を離しただけだった。
周囲から白い目で見られるのを感じる…同時に頬が真っ赤になる。

「あの、いや…そーゆー意味で言ったんじゃないです。あの、教育係として…です」
「……」

(ウソだよ…そんなのゼッタイウソじゃん…やっぱり、やぐっちゃんのことがスキなんだね…)

後藤がなくて矢口が持っているもの…
まるで分からなかった。明るいところ。教育係であること…理由は挙げればキリがない。
全部が全部、矢口が持っているような気がした。吉澤の全てを矢口が持っているような気がした。

(じっとしてられない! あたしだって…あたしだって…)

「松本さん入られましたー! お願いしますー!」

立ち上がろうとした後藤を制止したのはディレクターの声だった。
みんながぞろぞろと部屋を出ようと立ち上がる。
後藤は…運がなかった。身体は立ち上がらなかったが…心は完全に立ち上がっていた。
36 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月08日(水)02時19分06秒
「よっすぃ〜」
「あ…矢口さん」
「あははっ。今日はいろいろあって疲れちゃったね〜」

収録が終わっていつもどおり、吉澤は矢口と一緒になった。
嬉しい反面…吉澤は少し心苦しかった。

「あの…その…」
「? ど〜したの?」
「さっき楽屋で…みんなに疑われるようなこと言ってすいません…」
「えっ…?」

矢口は思いっきり不思議そうな顔で聞き返した。
その顔には…驚きというより、むしろ悲しみの方が滲み出ていた。

「…よっすぃ〜…ヤグチのことさ、ホントに教育係として…だけしか見てくれないの?」
「……」(そんな、上目遣いで見上げないで下さい…)
「ちゃんと答えて欲しいよぉ…」

悲しそうに下を向いた矢口をどうすればいいのか、吉澤には分かりかねた。
実は簡単な解決法があることに吉澤は気づかない。
抱きしめること…ただ、それだけで全てはうまくいくはずだった。

「あ、あの…わたしは…」
「よっすぃ〜!!」

元気な声が二人の間を綺麗に割って入る。
遠くで手を振っていたのは…後藤だった。

「あ、ちょ、ちょっと待って!!」
「…いいよ。ごっちんのところに行っていいよ…」
「そ、そんなわけには…」
「お疲れ…」

矢口は俯き加減のまま、吉澤の横を通り過ぎた。
隠し切れないショックだった。ここまで落ち込むとは思わないくらい…矢口にとってショックだった。
37 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月08日(水)02時43分56秒
「やぐち〜」
「…なんだよ、どうせ見てたんだろ?」
「ちゃうわ。たまたまや、たまたま。何や、よっすぃ〜とうまく行ってないみたいやなぁ」

吉澤を置いて帰ろうとして、曲がったところに中澤がいた。
腕を組んで壁に寄りかかっている。

「裕子にはカンケ〜ないだろ。ヤグチとよっすぃ〜の問題に首を突っ込まないでよ」
「そんな冷たい言い方せんといてもええやんか?」
「ふ〜んだ! 今日のヤグチはキゲン悪いからね。ホンキでいじめるよ!?」
「ははっ。うちにそ〜やって向かってのはホンマに矢口だけや」

人目もはばからずに中澤は矢口を抱きしめた。
ほとんど人が通らないようなところだが…周りに見られないように矢口を壁を背にして包み込む。

(くっそ…悔しいけど、こ〜されるとヤグチも弱いんだよぉ…)
「なぁ…矢口」
「……」
「そんな怖い目で睨まんといてや。明日は夕方からやんか? 久しぶりに部屋で飲まへんか?」

耳元で囁く中澤の言葉はすごく甘くて耽美に響いた。
吉澤と違って駆け引きを知ってる中澤の魅力的な部分はまさにそこだった。

「な、何もさせねーぞっ!! ヤグチは忙しいから…」
「よっすぃ〜と買い物に行ったんやってなぁ?」
「…そうだよ」
「じゃあ、今度はうちと付き合って〜な。誰か着てるわけじゃあらへんから無理に一気させたりせぇへんし」
「……」
「ま、黙ってても…うちが連れて行くけどな」

あごに手をかけた中澤が赤裸々に矢口の唇を奪う。
口の中に…少し冷たいものが入り込んでくる。紛れもなく…中澤の舌だ。

「…んんっ…はぁ…ん…」

矢口にとって中澤とのディープキスは初めてではなかった。
むしろ、矢口が中澤に惹かれるところの一つの理由として…このキスのうまさもある。

(ダメ…どうしてもヤグチはよっすぃ〜だけに絞れない…)

キスをされて意識が少し薄れている矢口は…吉澤の無邪気な微笑みが浮かんでいた。
38 名前:名無し 投稿日:2000年11月08日(水)03時02分25秒
も、萌える
39 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月09日(木)09時52分17秒
いい展開だあ〜。
40 名前:いずのすけ 投稿日:2000年11月11日(土)01時48分23秒
矢口のストレートさと吉澤の反応のかわいらしさにうなっております。
41 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月11日(土)02時42分16秒
>>38 名無しさん
レスありがとうございます!
こ〜ゆ〜展開って結構みんな萌えて下さるんで意図的に入れます。
書いてる本人はあんまりスキじゃないんですけどね(w

>>39 名無しさん
レスありがとうございます!
そろそろ展開を振らないと面白くないんで一波起こしてみました。
今後の展開にも期待してください。

>>40 いずのすけさん
レスありがとうございます!
ストレート=矢口、純情=吉澤、ライバル=後藤、何でもあり=中澤(w
というキャスティングで書いてますね。よっすぃ〜の反応はとにかくかわいくという
コンセプトで書いているのでそう言っていただけると嬉しいです。
42 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月11日(土)02時43分52秒
「どうしたの?」
「……」

吉澤は後悔していた。あの時、何もしなかった自分に…
後藤の声も、矢口の声も振り切って…受け止められなかった自分を責めた。
何だか…矢口が二度と戻ってこないような気がした。

「よっすぃ〜…」
「ご、ごめん。何?」
「あのさ…明日って始まり遅いじゃん。だからさ…一緒に受験勉強しない?」
「……」

後藤の顔はものすごく不安そうだった。
断られたらどうしよう…つっぱねられたらどうしよう…そんな顔をしていた。
吉澤は気持ちを切り替えようとした。

「うん。いいよ。ちゃんと勉強しないとうちらどこにも行けなくなっちゃうもんね」
「ホント!?」
「勉強道具持ってきてないけど…貸してね」
「ありがとっ♪」

あっさりと了解してくれた吉澤に後藤は抱きついた。
――と、向こう側から、吉澤の見えないところから矢口と中澤が通り過ぎるのが見えた。
一瞬、矢口と目が合い…その表情がこわばった。

(…こーゆーときは…どうすればいいのかな…よっすぃ〜に言うべきなのかな…?)

後藤は…きつく吉澤を抱きしめた。
矢口に悟られないように…首元に顔を埋める。

「ちょ、ごっちん…苦しいよ…分かったからさぁ…」
「……」

矢口は…何も言わずに通り過ぎた。
きっと吉澤と後藤は仲がいいと思ったに違いない。それは誤解ではないが…吉澤にとって誤解かもしれない。
吉澤の髪の香りが鼻元をくすぐる。

(あたしって…イヤな女の子かも…)
43 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月15日(水)02時15分58秒
ただ今、白板で書いている小説がクライマックスを迎えているため、
こちらで書くのをいったん止めて、白板のほうに集中したいと思います。
終わり次第、すぐに執筆再開するんで少々お待ちください。
遅くとも、来週までにはUPできると思います。
44 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月18日(土)01時50分48秒
とりあえず、思いついたんで更新です(w
これから先はちょっとシリアスかもしれませんが…後に甘くなります。
矢口と吉澤の心の葛藤が分かって下されば幸いです。
45 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月18日(土)01時51分58秒
タクシーに乗り込んだ矢口はずっと沈んだままだった。
あの時見てしまった光景は…矢口をドン底に叩き落すには十分すぎる出来事だった。

(よっすぃ〜…顔が見たいよ…あの時の顔が見たいよぉ…)

嬉しいのだろう。矢口と抱き合っているときよりも嬉しいに違いない。
笑っているのだろう。矢口と抱き合っているときよりも幸せに違いない。
きっと…そうなのだろう…

「どうしたんや? 矢口?」
「う、ううん・・・何でもないよ〜。何か今日はすっごい飲んじゃうかも〜」
「ホンマかいな? いつも酔いつぶれて『ゆうこ〜、も〜ダメ〜』ってゆーてるやんか?」
「へへっ。今日のヤグチは一味ちがうよ〜。ちょっと鍛えたからね〜」

矢口の抱える悩みを中澤は完全に見抜いていた。
無理をしているのも、我慢しているのも分かる。それを隠し切れないのが矢口の性格だ。
そして、中澤はそんな性格の矢口が好きであり…潜む矢口の気持ちをひっくり返す自信もある。

(いつになったら遊びやないって分かってくれるんかなぁ…)

表面上はとことん軽い中澤であるが、こと矢口に関しては戸惑いを覚えるほど惹かれている。
矢口のようにまっすぐな性格なら、こんなことにはならなかった。
自分が歪んでいるから…あらぬほうに曲がっているから本心が告げられない。
ある意味、思春期の男の子のようだった。

(ごっちんが頑張ってるんや…今夜が一番のチャンスかも知れへんな…)

タクシーは着実に中澤のマンションに近づきつつある。
中澤は静かにこれからすべきことを頭に浮かべていた…
46 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月18日(土)02時34分24秒
シリアスもまたよし。
>>42
の最後の後藤の独白がなんかいい感じ
47 名前:0120 投稿日:2000年11月21日(火)22時30分05秒
だんだん複雑な感じになってきましたね。
相変わらず、おもしろいです。このあと、中澤がどう動くのか?!
続きも期待してます!最近はレスの返事、大変かな?と
思ったんでひかえめにしてます・・・。
48 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月22日(水)02時15分32秒
白板が完結したんでしばらくはここに専念します。
久しぶりなんで・・・ちょっと感覚戻りませんが。頑張って書きます!
では、さんくすを。

>>46 名無しさん
レスありがとうございます。
甘い話にホントはシリアスシーンはあまり入れたくないんですが、
話の展開上、少し硬くなります。痛くしないように書くつもりですが…
もしかしたら、少し痛いかも。

>>47 0120さん
毎度のレス、ありがとうございます。
ずっと単調に書いてきたんで少し話を絡ませてみたいと思います。
レスの返事は…確かに大変ですが、これも小説を書くうちの一環です。
やはり、放置はツライので気にせずにレスをいただけると…
レスはもらえるとやっぱり嬉しいです。書く気になりますから。
49 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月22日(水)02時16分27秒
「うわ…ごっちんの部屋キレイだね…」
「ありがと。お茶でも入れるからさ、座っててよ」

後藤の家に着いた吉澤はまず最初にそう思った。
非常に整理された部屋。毎日掃除機をかけているのだろう。ゴミ一つ落ちてない。
ただ・・・テーブルの上にはスケジュール表が散乱しているが。

「ちょっと待って…勉強道具も出さないと…」
「ははっ。探さないとないの?」
「よ、よっすぃ〜だってそうでしょ? ちょっと待ってよ」

吉澤は部屋の中央にあった小さなテーブルの前に座った。
壁を見回すと…写真があった。
ライヴの舞台袖でアシスタントの人が撮ってくれた写真だった。
恥ずかしそうに映っている後藤の隣に…手を繋いでいるのは吉澤だった。

「あ…あの写真、この前のライヴの時に撮った奴じゃん」
「えっ! あ…ちょっと…」
「? 隠すことないじゃん。わたしも飾ってあるよ、部屋に」
「ほ、ホント…?」
「うん!」

後藤は…頭が真っ白になっていた。
嬉しかった。偶然とは言え、吉澤と同じ事をしていたのだ。
写真を貼るような些細な行為でも…後藤にとってはものすごく嬉しい。
それは…早くも行動に出ていた。

「わ、わわ…ごっちん…抱きつかれると重たい…」
「重たい!?」
「いや…そうじゃないです…」
「へへっ…よっすぃ〜と同じことできて嬉しいんだよ…」
50 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月22日(水)02時41分37秒
「かんぱーい!!」

中身がこぼれるほど強くグラスを叩きつける。
中澤は缶ビールで矢口はグラスに注いだモスコミュールだった。

「…ぷはぁっ!! 仕事のあとの一本目はたまらんわ!」
「ちょっと〜、サラリーマンみたいなこと言わないでよ! トシが出てるぞっ」
「何ゆーてんねんっ!! ビールの一本目は誰もがおいしいっちゅーねん」
「え〜? ヤグチは苦いからヤダ。おいしくないんだもん」

矢口はモスコを口にした。ものすごく甘いわけではないが、口当たりがよくてちょっと甘い。
そう、チョコレートのように…吉澤のキスのようにちょっとだけ甘い。
矢口は…思い出していた。

(はぁ〜…よっすぃ〜、ごっちんと一緒にいるのかな? ヤグチのことヤになって…
 キスとかしてるのかな? あたしが最初にしたキスを…今度は自分でしてるのかな?)

矢口は自分の考えに驚いた。
中澤の家に向かうタクシーの中もずっと吉澤のことだけを考えていた。
後藤と一緒にいると思っている。吉澤はやっぱり後藤がスキだと思っている。
ここまで吉澤だけのことを考えたのは…初めてだった。

「矢口…なあ、矢口!」
「あ…ああ…ごめん〜。ちょっと考え事してた…」
「…さっきのよっすぃ〜のことやな…」

中澤に露骨に当てられて矢口はしどろもどろになった。

「ちち、違うよっ!! 裕子と一緒にいるんだから…」
「一緒にいるんだから…何や?」
「その…こんなこと、ヤグチに言わせるなぁ、ばかぁっ!!」
「…なら、うちが態度で示したる」

矢口は驚いた。
抱擁…初めてされる中澤の優しい抱擁に…言葉を失った。
髪を撫でられて…中澤の香水の匂いが鼻元を静かにくすぐった。
51 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月22日(水)03時02分24秒
後藤は抱きしめた吉澤を放そうとしなかった。
ずっと欲しかったこの感触を…簡単に手放したくなかった。
やわらかな身体としなやかな髪…全てが後藤の感覚を支配していた。

「ち…ちょっとごっちん…」
「お願いだから…ちょっとでいいの…こうしていたいの…」

吉澤は震える手を押し上げて…後藤を抱きしめた。
座ったままのぎこちない抱擁であったが…二人の距離は心も接近していた。
感じる早鐘のような後藤の鼓動は一途な気持ちを何より代弁している。

(でも…どうしてなんだろう…どうしてこんなにヒドイことを…わたしは考えているんだろう…)

抱きしめているのが矢口ならいいと…思っていた。
感じる吐息も、鼓動も、矢口のものならいいと…思っていた。
でも、抱きしめているのは…後藤だ。矢口ではない。

「……」

二人は黙って抱き合ったままだった。
後藤は吉澤の肩に顔を埋めたまま、固まっている。吉澤も同じような態勢だ。
どうしていいのか…分からないのだ。

(ど…どうすればいいの…勢いでこんなことしちゃったけど…)
(わたしは…どうしたんだっけ? いつも矢口さんに任せっきりだからわかんないよ…)

じりじりと時間だけが過ぎていった。
二人の間はいつしか焦燥感に変わっていた。
何をしていいか分からないもどかしさを感じるのだ。
しかし…そんな時間も長くは続かない。

静かに…後藤は前に体重をかけた。
それに従うように…吉澤はカーペットに横になった。
組み敷いた後藤は…初めてとまどいにあふれる吉澤の表情を見た。

「…スキなんだ…よっすぃ〜…あたしね…ずっとスキだったんだよ…」
52 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月22日(水)03時29分28秒
「ち…ちょっとっ!! 酔うには早すぎるぞっ!」
「……」
「聞いてんのかよっ!! 裕子…」
「…聞いてる…」

耳元で色っぽく囁かれて…矢口の身体の中に光が走った。
思わず、その手が中澤の身体を抱きしめ返してしまっていた。

「…分かってくれるんかなぁ、って思ってな…」
「何を…?」
「うちが…矢口のことをめちゃくちゃスキやってこと…」
「……」

中澤が持っている独特の軽さを感じなくて…矢口の心臓は早くなった。
ホンキで言っていると…思った。今の中澤には何を言ってもどこか信用できないところが微塵もない。

「うちはいろんなメンバーに手を出してるけど…どれもが遊びや。からかいに近いなぁ…
 でも、矢口は…違うで。だから誰にも渡さへん…」
「……」
「よっすぃ〜は…間違いないんや。矢口のことがスキなんや。それは分かる…
 うちと同じ目で矢口を見てるから…」

中澤はゆっくりと矢口を押し倒した。
いつもと違って…活発な矢口が真剣な中澤を見ておしとやかになっている。
そんな姿は…中澤を駆り立てる。

「…ヤグチは…分かんないよ。よっすぃーがスキなのか…裕子がスキなのか…」
「正直やな…」
「ウソ…つきたくないんだもん…二人ともスキだから…ウソつきたくない…」
「……」

中澤は矢口に…優しくキスした。
唇を軽く触れるライトキス…中澤らしからぬキスに矢口は少しだけ目を見開いた。

「うちが…これほど想ってること…分からへんか?」
「…分かってるよ…分かってる…」
「なら…なくしたる。矢口の中のよっすぃ〜の気持ちを…うちの気持ちだけで…いっぱいにしたる」
「……」

真剣な中澤の顔に…矢口は逃げ切れないところまできたことを感じた。
53 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月22日(水)16時57分53秒
感情の描写がすごく上手です。
健気なごっちんがたまらん♪
54 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月22日(水)17時59分57秒
二元中継ですな(w
場面の切り替えが上手いっす。
55 名前:0120 投稿日:2000年11月22日(水)19時12分56秒
あ〜中澤と矢口はどうなってしまうんだーー!!
矢口と吉澤のお互いを思う気持ちが通じないのが
もどかしいけれど、書き方がうまいんで話にひきこまれます
続き、がんばってください
56 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月22日(水)23時47分02秒
ハッピーな2カップル作ってしまえ!裕ちゃんとごっちんが可哀想だ!
57 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月23日(木)01時49分15秒
ドシリアスな展開になってきました。さあて…どうなる、よしやぐとごまゆう…
実は書いてる自分もラストを決めてません。どうなることやら…
でわ、さんくすを。

>>53 名無しさん
レスありがとうございます。
感情の描写がうまいと言っていただければ、この作品ですべきことは終わりです(w
そーゆー描写が俺としては苦手なんでうまいと言っていただけると嬉しいです。

>>54 名無しさん
レスありがとうございます。
露骨に分かる二元中継は初の試みなんでいろいろ悩みどころですが…
今のところは成功みたいです。交差するポイントがこの作品のヤマですかね。

>>55 0120さん
いや〜いつも目を通していただいて嬉しい限りです。
今の時点のコンセプトはモロに「もどかしさ」です。これからどうなるのか…
作者である俺にもわかりません(w

>>56 名無しさん
レスありがとうございます。
甘めのやぐよしなんと銘打ってるから最後は2カップル作ってハッピーエンドもいいですね。
ゆーちゃんとごっちんがかわいそうなのは…仕方ないですね(w
58 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月23日(木)01時50分16秒
「……」
「よっすぃ〜がね…やぐっちゃんのことをスキなのは分かってるよ…でもね、
 あたしもスキなんだ…だから…分かって欲しいんだ…」
「……」

吉澤は黙って後藤を見つめた。
動けない吉澤を確認するように…後藤は顔を近づけてきた。
キスすると思ったのだが…後藤は頬をすり寄せただけだった。

「答えてよ…よっすぃ〜はあたしのこと…どう思ってるの?」
「…スキ…だよ」
「やぐっちゃんよりも?」
「……」

いつしか後藤は吉澤の上に乗っていた。
下が床だから抱きしめることは出来ないが…後藤の鼓動はしっかりと伝わっていた。
吉澤は…視線を逸らした。

「ちゃんと…ちゃんと答えてよっ! やぐっちゃんのことスキならスキって…」
「スキだよ…どうしようもないくらい…矢口さんがスキなの…」
「……」

すると…後藤が吉澤の顔をこちらに向けた。
ナミダが…あふれていた。

「勝てないの!? あたしは…やぐっちゃんに勝てないの?」
「…ごめん…」
「…よっすぃ〜」

後藤は再び動き出した。
吉澤の腕を動けなく固定させると、ゆっくりと顔を近づけた。
こぼれるナミダが…吉澤の頬に落ちる。

「…キスしたい…よっすぃ〜とキスしたい…」
「……」
「忘れるから…忘れるから…キスして…お願い…」

必死の後藤の懇願に…吉澤の手がゆっくりと後藤の頭を抱きかかえる。
二人の距離はどんどんと縮まっていく…

「…ん…」

その距離は…ゼロになった。
59 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月23日(木)02時12分53秒
「…矢口…」
「……」

甘く中澤は耳元で囁くと、今度は激しく唇を奪った。
強引に入れてくる中澤の舌が…矢口と絡む。
部屋の中は…二人の息づかいだけが支配した。

「…今日は…止まらへん…」
「……」
「矢口をもらう…」

再び長いキス。
そのかたわら、中澤の手が…矢口の胸元を攻める。
細い手が器用に上着のボタンを外していく。

「は…ぁん…ゆう…こ…」
「……」
「も…やさ…ぅん…やさしく…して…」

押し寄せる快楽の波に矢口は身体を任せようとした。
その時…一瞬だけ矢口の携帯電話が目に入った。
テーブルから垂れているストラップ…エゴイストのストラップだった。

(あ…)

白くなってきた意識を戻すその力は…吉澤だった。
このエゴイストのストラップは…この前の買い物の時に吉澤が選んでくれたものだった。
吉澤の思案顔、笑顔、寝顔…いろいろな吉澤の姿が思い浮かんできた。

(ヤグチは…何をしてるんだ…こんなところで…何してるの?)

それだけで、引っぱたかれたように意識が戻ってくる。
行為に夢中になりつつあった中澤を…矢口は見ていた。

「…やめてっ!!」

その一声で…全てが止まった。
60 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月23日(木)02時56分46秒
ディープキスも知らない二人は…ただ、唇を重ねる行為に夢中だった。
吉澤が離そうとするが、後藤はそれを許そうとしなかった。
しかし…その唇も離れるときが来る。

「…はぁ…」

吉澤は…自分の取った選択肢が間違えていることに気づいた。
こんなことをしても…こんなことをしても、後藤の気持ちに応えることは出来ない。
ただ、どうしても…あの時はキスをすることでしか、後藤を慰めることが出来なかった。

「…よっすぃ〜」
「……」
「何で…キスしたの?」
「……」

後藤は身体を起こした。
乱れた髪を手で梳って…吉澤を見ようとせずにじっと我慢していた。
やがて…後藤は嘆息した。

「もう…いいよ。ごめんね」
「…?」

静かに…後藤は目を閉じた。
吉澤は結局、何も見てくれなかった…抱きしめた時も、キスしたときも…
見ている相手が違った。
全てが…矢口だった。

「一つだけ言っておくよ…欲しいものがあるなら、ちゃんと言った方がいいよ。
 よっすぃ〜の欲しいものは…願えば手に入るんだよ? あたしと違って…手に入るんだよ?」
「……」
「ごめんね…収録終わった後にね、よっすぃ〜といるところを…やぐっちゃんに見られたんだ。
 抱きついてたから…黙っててごめんね…」

吉澤は…肩を震わせてそっぽを向いている後藤に声をかけることが出来なかった。
ここでやさしい声をかけるわけには行かなかった。
かけてしまえば…後藤が惨めになるだけだと分かっているから。

「…ごめん。ごっちん…わたし…矢口さんしか見えないの…いつでも…どこでも…」
「……」
「…ごめんなさい…」

吉澤は部屋を出た…携帯を握りしめて…後藤を振り切って…
とことんヒドいことをしている自分があまりにも情けなくて…ナミダが出た。
61 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月23日(木)03時19分20秒
ダメだ! 話がガンガン痛い方向へ進んじまってる!
何とか軌道修正します。ホントにすいません。力量不足や…
62 名前:ファン 投稿日:2000年11月23日(木)04時07分08秒
>61 そんなことないですよ。がんばって最後まで言っちゃってください。
63 名前:0120 投稿日:2000年11月23日(木)22時09分56秒
力不足じゃないですよ、すごいドキドキの展開です。
後藤がすごく切ないけれど、吉澤には早く矢口の所に
行ってほしいです。でも後藤と裕ちゃんもなんとか幸せな
ラストに期待します。続きがんばって下さい!
64 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月24日(金)01時57分05秒
はぁい。書いているうちにラストが見えました。多分、その流れでいきます。
明日は学校が早いんで、1レスだけあげます。では、さんくす〜

>>62 ファンさん
レスありがとうございます。
いや〜、やっぱり甘く書くと宣言して痛めに進んではウソになっちゃいますから。
最後辺りはあま〜く書くつもりですけどね。

>>63 0120さん
毎度ながらレスありがとうございます。
いつもらってもレスは嬉しいものです…まあ、後藤が早くも玉砕なんですが(w
切なすぎて痛いのは…クセです。白板のクセもありますが(w
シリアスシーンがどうも自分は好きみたいですね。書きやすいですし。
65 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月24日(金)01時58分00秒
甲高い声を中澤の耳元で叫んでしまい…中澤は転げまくった。

「どあぁぁっっ!!」
「……」
「な――何やねんっ!! イキナリ出す声じゃあらへんわっ!!」

矢口は俯いたまま…身体を起こした。
半裸にされたシャツのボタンをかけなおす。
中澤は…固まっていた。

「…ヤグチは…このままじゃいけないと思う」
「……」
「ヤグチは裕子に抱かれる資格がないよ…こんなに…こんなに…スキなんだもん…」

言っていることが分からなくて…中澤は眉をひそめた。

「資格がないって…スキならええやんか…」
「違うの。違うの…裕子がスキだって…そういう意味じゃないの…」
「……」

中澤は…理解した。
矢口が耳元で「やめて」と叫んだ意味が…
そして、自分が急ぎすぎたゆえに、矢口に気づかせてしまったことを…
矢口の心の中には…想像以上に吉澤がウェイトを占めていた。

「ヤグチはよっすぃ〜がスキ…大事なの。こんな風にならないと気づかないなんて…バカだよね…」
「…分かってるわ…それでも…うちはええんや」
「でも…」
「でももへったくれもあらへんっ!! うちだって矢口が大事や! よっすぃ〜より…」

携帯の着信音が流れた。プッチモニの青春時代1、2、3!だった。
指定着信音で流れるこの曲は…吉澤だった。

矢口は携帯に手を伸ばした。
しかし、それを見た中澤が携帯を取り上げる。

「…ゆうこっ! 返せよっ!」
「ゼッタイ…あかん! うちが納得いくように説明せん限り…ダメやっ!!」

保留ボタンが押された…
矢口は…自分のされた行為に言葉にならない感情が燃え上がるのを感じた。
66 名前:ファン 投稿日:2000年11月24日(金)04時20分05秒
おおっすごいことになってきたー早く続きを
67 名前:いずのすけ 投稿日:2000年11月25日(土)00時11分05秒
この先すごく気になる! どうなっちゃうんだあ!!!
68 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月25日(土)01時15分38秒
はぁ〜、何かやぐちゅら〜の俺にとってかなりキツイ展開です。
たまにはいいんだろうけど…胸が痛いです(w
ではでは、さんくすを〜

>>66 ファンさん
毎度のレスありがとうございます。
すごいことになってます。当初の予定とは大きく話がズレている気もします。
痛いし、せつないし…甘く書きたいのに…

>>67 いずのすけさん
再び、レスをつけていただいてありがとうございます。
このままではゆ〜ちゃんとごっちんは…ツライよ、全然甘くないし(w
最後だけ思いっきり甘くしても、これじゃ意味がないかもしれません。
69 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月25日(土)01時16分41秒
「ただいま電話に出ることが出来ません…」

勇気を振り絞って…初めてかけた矢口への電話は繋がらなかった。
吉澤は…震える手のまま、携帯をバックに戻した。

「わたしは…ダメだね、ごっちん。タイミングが悪いよ」

無我夢中で部屋を飛び出して…タクシーを拾って、たどり着いた先は…
矢口の住んでいるマンションだった。
逢いたかった。あの笑顔と声が…どうしても聞きたかった。

「…願えば叶うんだね。あたしの願いは…でもね、もう遅いかもしれない…」

建っているマンションを見上げ…吉澤は気持ちを抑えきれないでいた。
でも…電話にも出ない。部屋の明かりも見えない…行き先はただ一つだろう。
…中澤の家だ。

「……」

吉澤には中澤の家に行くという選択肢がとてつもなく、つらいことに思えた。
もし、矢口が中澤のことをスキだったら? あくまで吉澤とは友達のままだったら?

「…死んじゃうかも知れない…そんなの見ちゃったら…」

でも、このままでいることもできない。矢口を忘れることなんかできるわけがない。
あの時、雨の降る日に…矢口を抱きしめてから余韻がどうしても消えない。
髪の匂い、声の調子、身体の柔らかさ…全てが吉澤を包んでいた。

「抱きしめたい…どうしても抱きしめたい…」

吉澤には…待つことしか出来なかった。
深夜のこの寒空の中を…矢口が帰るのを待って…
70 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月25日(土)01時45分51秒
あまりに非現実的なものを見せられて矢口の頭は混乱していた。
携帯をテーブルにおいて…中澤はもう一度矢口の顔を見た。
目を真っ赤にして…唇をぐっと噛み締めていた…初めて見る矢口の姿だった。

「ヒドいよ…まるでヤグチが…ヤグチがよっすぃ〜のことをスキなのがいけないみたいじゃんか…」
「……」
「ホントにヤグチのことがスキなら…よっすぃ〜のことを認めるんじゃないの!?」
「それはキレイ事や…人間、ホンマに人をスキになったら、どんなことをしても…
 どんな汚いことしても…自分のものにしようとするんや…」

中澤は立ちすくんでいる矢口を…後ろからやさしく抱きしめた。
すがっているつもりはこれっぽっちもなかった。
ただ、どこかで…この手を振り切られたら諦めないといけないと言っているように聞こえた。

「今…これに全部を賭けてる…うちの今までの気持ちを…言葉に出来ない矢口への気持ちを…」
「……」
「伝わらない気持ちを…分かって欲しいんや…」

矢口には…はっきりと分かっていた。
やさしく抱きしめているその手が…震えている。背中越しに感じる中澤の鼓動…
今、自分がホンキで愛されていることに矢口は気づいた。

(…これほどヤグチをスキでいてくれる人が…他にいるのかな…)

自然と矢口の手が抱きしめている中澤の手に伸びた。
そして…ゆっくりとその手を握った。
71 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月25日(土)01時46分26秒
「教えてよ…ヤグチは誰をスキになればいいの? 裕子? よっすぃ〜? 誰なの?」
「……」
「おかしいね…こんなに裕子の気持ちを感じるのに…嬉しく感じるのに…
 何で…? 何でなんだろう…どうして、よっすぃ〜のことが…頭から離れないの…?」

その瞳から堰を切ったように涙があふれた。
どちらに優劣があるわけじゃない。そうじゃないのは矢口にも分かっているのに…
吉澤という光がちらついている。
いや――ちらついていただけの光が…今は太陽のように強く輝いている。

「ごめん…ごめん…ヤグチはよっすぃ〜がスキなの…裕子だって同じぐらいスキなのに…
 ダメなの…ココロがぎゅってなって…どうしてもよっすぃ〜が消えない…」
「……」
「こんなによっすぃ〜が大きくなってるのに…ヤグチ、バカだから気づかないんだもん…
 裕子に言われないと…分かんないぐらい…バカだね…」

中澤の手が…外れた。
72 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月25日(土)03時34分39秒
いい展開だ。痛いけど。
どうせなら痛い話といったらFANTASISTAって位まで極めてみるのも...  
73 名前:トーア 投稿日:2000年11月25日(土)05時30分24秒
どーも、読ませていただきました。
痛い話ですね〜。けど、頑張って書いてください。
74 名前:名無し 投稿日:2000年11月25日(土)05時56分13秒
最近バカップルやぐちゅーから
痛いやぐちゅー多いね…
75 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月26日(日)02時40分48秒
この作品ほど途中から書き直したいと思ったことない…
でも、やぐよしはこのまま突っ走ります。甘くしますが…甘くならないかもです。
この場を借りて言いますが、ごっちんとゆーちゃんは確実に救済します。
俺自身も納得いかん。では、例の如くさんくす〜

>>72 名無しさん
レスありがとうございます。
甘いはずなのに痛い。それじゃダメですね。やっぱり。
痛い話はBOOTLEGに任せます(w

>>73 トーアさん
今度は青板でのレス…ありがとうございます。
痛いんですよ、ホントに(w
白板のクセじゃないんですけど…書きたいんです、甘い話を。

>>74 名無しさん
どこかでレスをもらったような気がします(w
あるべきやぐちゅ〜像ってホントはバカップルのような気がします。
痛いやぐちゅ〜が多いのは…オレのせいじゃないよね?(w
76 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月26日(日)02時41分47秒
「…もうええわ…」
「……」
「矢口の気持ちがよう分かった。うちがどんなに逆立ちしてもよっすぃ〜には勝てない…
 それだけ分かったからええわ」

中澤は矢口から身体を離した。
これからしばらく…矢口の感触は得られないことを予感しつつも…
強がって見せた。矢口の前では…どうしても「大人の中澤」でありたかった。

「何てことはない…結局ダメだった理由はうちが急ぎすぎたことや…
 よっすぃ〜に取られるんじゃないかって急いだのが…逆にダメだったんやな」
「……」
「もし、うちがいつもどおりに矢口と接していれば…よっすぃ〜の影に怯えないで、
 いつも通りにやっていれば…分からんかったかもな」

中澤の言うコト全てが今となっては強がりにしかならなかった。
吉澤の邪魔をするどころか…むしろ、吉澤に援護射撃する結果になってしまった。
タイミングまでも…吉澤の味方をした。

(分からんかったかもな…か。それでも、最後はうちには転ばんかったやろうな。
 よっすぃ〜と矢口の二人には目に見えないチカラが働いてるとしか思えんわ…)

今まで中澤はもっとツライ恋愛をしている。苦しい恋愛もしている。
だから…それに比べれば、矢口にフられたことは…

(…どうやろうな…ナンバー1候補にはなるかもなぁ…)

「…裕子…」
「あ…ごめんな…はよ行きや。よっすぃ〜のトコへ…」
「……」
「うちのことは気にせんでええ。これでも娘。のリーダーや」

矢口は…中澤の部屋を出た。
何だか胸が張り裂けそうに痛いのに…
同時に吉澤に何も考えずに逢えることへの喜びを感じてしまっていた。
77 名前:0120 投稿日:2000年11月26日(日)20時29分18秒
後藤も裕ちゃんもつらいですね。でもそのぶん
矢口と吉澤を幸せにしてあげてください!
今回もすごい楽しかったです〜
78 名前:T.N 投稿日:2000年11月26日(日)23時24分18秒
裕ちゃんとごっちんを救済するってことは、もうひと波乱は、あるって事ですよね!楽しみに待っています!!
79 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月27日(月)02時07分39秒
そろそろやぐよし編が終了する予定です。
ごっちんとゆーちゃんの救済はこの話の続編というコトで書くつもりです。
ええ、すぐに書きますよ。かわいそうですから(w
ではさんくすを〜

>>77 0120さん
来るたびにレスをつけてくださっているようで…嬉しい限りです。
とりあえず、やぐよしは甘めなんで…それなりのラストを考えてます。

>>78 T.Nさん
再び、レスありがとうございます。
一波乱起こしてもいいんですが、ますます痛くなりそうなので…
全く独立したゆうごまを書くことになりそうです。
続編ですから、一応救済と言うコトになります。甘く書いて見せます!
80 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月27日(月)02時08分44秒
吉澤の携帯が鳴った。
タンポポの乙女パスタに感動だった。
指定着信音…画面を見なくても誰からの電話か分かる。

「もしもしっ! 矢口さん!!」

マンション入口の植え込みのところに座っていた吉澤はバックから携帯を取り出す。
…沈黙だった。電波の状況が悪いのか、声が聞こえない。

「わたしです! 吉澤です…」
「…あ…」
「矢口さんっ!」
「…よっすぃ〜だ…よっすぃ〜の声だ…」

電話口からナミダ声で矢口の声が聞こえて…吉澤は少しだけ驚いた。

「何かあったんですか!? わたしにできることなら…」
「ううん…何でもないよ…よっすぃ〜が電話に出てくれないんじゃないかって…心配しちゃった」
「そんなこと…ないです…わたしはいつでも…」
「ありがと…よっすぃ〜…」

会話が途切れて…小さな沈黙が生まれる。
吉澤は後藤の言葉を思い出していた。
…欲しいものがあるなら、ちゃんと言った方がいいよ…

「あ、あの…矢口さん…」
「うん…」
「帰って…来てください。中澤さんと一緒にいないで下さい。わたしとだけ一緒にいてください。
 待ってますから…矢口さんのマンションで待ってますから…」
「……」

矢口から返事が返ってこなかった…
吉澤は自分がつくづく運のない、最悪な女だと自覚した。

(ごっちん…願いは叶わなかったよ。タイミング悪かった…ちょっと遅かったよ…)

その時…吉澤は見た。
マンションの入口にいる小さな人影を。背を向けて吉澤と同じように携帯を握っていた。
その影は…ゆっくりと吉澤の方に振り返った。

「はい…帰ってきたよ。よっすぃ〜…これでいいかな?」
81 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月27日(月)02時33分14秒
携帯を持ったまま、ゆっくりと歩み寄ってくる矢口が…信じられなかった。
吉澤が見ているこの光景は何かの間違いだと思っていた。

「……」
「逢いたいかったよ…よっすぃ〜」
「は…はあ…」
「む、何だよぉっ! その気のない返事はっ! ヤグチが帰ってきたのが嬉しくないのか!?」

むくれている矢口は…確実に、誰がなんと言おうが吉澤の知っている矢口だった。
ただ、どうしてここにいるのか…なぜ、ここにいるのか…まるで分からない。

「ちょっとちょっと!! よっすぃ〜…聞いてる?」
「はい…」
「もぉ〜、裕子の家から帰って来いって言ったのよっすぃ〜だろ?」
「……」

吉澤の胸がちくりと痛んだ。
その瞬間、バックが落ちる音が静まり返るマンション内に響いた。

「あっ…」
「…矢口さん…矢口さん…」
「ちょ、苦しいって…どうしたんだよぉ?」
「…わたし…矢口さんをスキになっていいんですか? このまま矢口さんをスキになって…」

ゆっくりと吉澤の腰に矢口の手が回り…ぽんぽんとやさしく叩かれた。
いつものように上目遣いで矢口が見上げる。

「いいんだよ。ヤグチだって…よっすぃ〜のことスキなんだから…」
「…あの…」
「とりあえずさ、寒いから家の中へ入ろ。よっすぃ〜、すごい手が冷たいし」
「…はい」
82 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)02時24分16秒
「温かいものすぐ作るよ。とりあえず、ヒーターの前で暖まっててね」
「はい…」
「…そ、そんなにじっと見ないでよ〜。ヤグチ、恥ずかしいじゃんか!」
「ご、ごめんなさい…」

矢口の部屋に初めて入った吉澤はまだ自分の状況が把握できていなかった。
こんなことになるなんて…自分の思い描いていたことが現実になるなんて…
そのギャップにひたすら驚くしかなった。

「…はい。紅茶だよ」
「あ、ありがとうございます…」
「ヤグチもね、外にちょっといたから寒いんだ。横、いいかな?」
「……」

ヒーターの電源が入り…熱風が二人を暖める。
吉澤の隣に座って…ティースプーンをくるくるとかき回す矢口が妙にかわいかった。

「あの…矢口さん…」
「うん?」
「どうして…あたしの電話かけたときにもうマンションにいたんですか?
 あの…中澤さんのところに…いたんじゃないんですか?」

吉澤は攻めるつもりで聞いたわけじゃなかったが、矢口は少しだけ…
ほんの少しだけ、不満そうに口を尖らせた。

「そ〜ゆ〜よっすぃ〜だって…楽屋通路で、ごっちんと…抱き合ってたじゃん…」
「あれは…」
「それで…ごっちんといたんじゃないの?」
「……」

二人の間に沈黙が訪れた。
ヒーターの駆動音だけが部屋の中を静かに満たしていた。
83 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)02時25分00秒
「…わたしは…いました。ごっちんの部屋で…」
「…ごめん…ヤグチも…裕子の部屋で…」

二人が同じ言葉を言って…同じところで言いよどんだ。
手を温めるようにカップを両手で握っていた矢口は…それを床に置いた。

「ねぇ…やめようよ。お互い、何があったのか…今日は聞くのやめよ?」
「……」
「多分ね、ヤグチと同じことしてたんだと思う…」
「……」

さまようように矢口の手が吉澤の手を求める。
やがて…その手がゆっくりとつながれた。

「まだ、冷たいね…よっすぃ〜の手…」
「矢口さんだって…冷たいです」
「…なら、ヤグチがあっためてあげる…」

不意に…二人の唇は距離をゼロにした。
84 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)02時25分34秒
「…んっ…」

ぎこちなくする二度目のキス。
矢口に押し倒されて…吉澤はなすがままになっていた。
苦しげに吐息を漏らす。

「…矢口さん…」
「行くよ…」

再び、唇をふさがれた。
今度は矢口の舌が口元に入り込んでくる。
とろけるような唾液と舌の温度に吉澤もぎこちなく舌を絡ませる。

「はぁっ…ぅんっ…んんっ…あっはぁ…」

意識を支えるどこかが故障したように吉澤の頭は白くなっていた。
感じるのは矢口の体温とその息づかいだけだった。
長いキスを終え…矢口の手がするすると服の中にもぐりこむ。

(えっ…? ええっ!? そこまでいっちゃうの!?)

「…や、やぐ…ちょ、はぁ…やぐち、さぁん…シャワーだけでも…」
「今日は言うコト聞かないからね。ヤグチだって…浴びてないし…」
「そ、そういう問題じゃ…やぁんっ!」

一瞬訪れた快楽に吉澤は身体をよじらせた。

かたんっ!

「あっ…あっちぃぃぃぃっっ!!」

床に置いたカップが倒れて…紅茶が矢口の足に引っかかった。
その絶叫で…場は見事に白けてしまった。
85 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)02時26分40秒
「ご…ごめんなさい…タオルとかどこかに…」
「ああ、台所にあるから…」
「ちょっと待ってて下さい…」

ごそごそと吉澤が台所をあさっていると…軽い音が響いた。

「ああっ! コップが…ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
「も…もういいよ…手を切っちゃうと危ないから…そのままでいいよ」
「…すみません…」

(ああ…でも、よっすぃ〜のイイトコってこ〜ゆ〜トコなんだろな)

嫌味のある謝り方を吉澤は矢口に一度もしたことがない。
そんな姿を矢口も見たいことがない。周りも見たことがないだろう。
そんな純粋な部分が矢口の最も惹かれるところだった。

「あのさぁ…今日はもう何もしないよ」
「えっ…? それって…」
「ううん、別にキライになったとか…イヤになったとかじゃないよ。
 急がなくていいんだなぁ〜って思ったんだ」

矢口は紅茶のカップを起こすと、吉澤の手にしているタオルを手にとった。
やさしい瞳で…いとおしい恋人を見るまなざしで…吉澤を見つめる。

「もう…よっすぃ〜はヤグチのものだってこと♪」
「そ、それは…あの…」
「?」
「『もう』じゃなくて…『ずっと前』からです。ずっと前から…わたしは矢口さんのものです」

吉澤は…初めて意識して矢口を抱きしめた。
それに答えるように力いっぱい矢口が抱きしめ返す。

「ちょっと…矢口さん…チカラ入れすぎです…」
「な〜に言ってんだよっ! よっすぃ〜はいっつもこれぐらいのチカラで抱きしめてるんだよっ?」
「…そうなんですか?」
「そうだよ…あ、そうだ…今日は何もしないけどさ…」

矢口が背伸びをすると、吉澤の耳元でめいっぱい甘く囁いて見せた。

「今日は一緒に寝よ〜ね…ヤグチはずっとずっとずっと…よっすぃ〜の近くにいるよっ」

−FIN−
86 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)02時32分11秒
〜あとがき〜
これにてやぐよし編は終了です。一応甘めと銘打ってたので…
こんな風に終わらせました。次回はゆうごまの、今度こそ甘めです。
この話のあとの時間の話ですが…やぐよしはあまり絡んでこないと思います。
明日にも続きを書くつもりです。あ、題名忘れてるじゃん(w
一応この話は「見えないチカラ」ということで。あの歌とは全く関係ないです。
次回ゆうごまの題名は今のところ未定なので、それは今度のあとがきで。
87 名前:りるる 投稿日:2000年11月29日(水)21時08分53秒
ども。やぐよし編よかったです!
自分がやぐよしやるときいつもネタになるからな〜。
甘めもなかなかいいもんだと・・・(わら)
次のゆうごま頑張ってください!
88 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)23時25分08秒
>>87 りるるさん
レスありがとうございます!
白板のほうにも足を向けていただいたようで…ありがとうございます。
やぐよし編は…ちょっとダメでした。最後だけ甘くしてもねぇ…
今更ってカンジです。読み返すとカナリ強引に終わってるし…
89 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)23時29分20秒
はい。気持ちを切り替えて…ちゃっちゃと行きます(w
宣言どおりにゆうごまです。これこそは…甘めに行くつもりです。
頑張って書くのでどうぞあたたかい目でご覧下さい。
時間はやぐよし以降の話になります。
それと三人称書きをやめて、一人称書きにします。
視点はごっちん、ゆーちゃん問わずコロコロ変えて書くつもりです。
90 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)23時30分46秒
「やぐち〜」
「ちょ、ゆうこっ! 抱きつくんじゃね〜よ!」
「な…中澤さん…」
「何や、よっすぃ〜…ちょっとぐらい貸して〜な」

あたしは楽屋で三人のやりとりを見ていた。
あんなことがあってから…あたしとよっすぃ〜の関係がギクシャクしたままなのに…
ゆーちゃんはすでにやぐっちゃんとうまくやっていた。

(うらやましいな…あーゆーのがホントの大人の女の人なんだろうなぁ…)

思わず、ゆーちゃんをじっと見る。
もう27だけど…とてもじゃないけど、そんな風に見えない。
あたしよりもずっと細いし、かわいいし、魅力的で…不思議だった。

「? 何や、ごっちん?」
「え…えっ!?」
「何や、じっとうちのこと見つめて…ゆーちゃん、テレるがな〜」
「な〜にバカなこと言ってんだよっ!」
「イタっ! 矢口イタ〜イわ…」

ウワサに寄れば、ゆーちゃんとやぐっちゃんもかなりドハデにやりあって別れたらしい。
なのに…どうしてなんだろう? どうしてあんなに仲良く振るまえるんだろう?
あたしなんか…まだよっすぃ〜とうまく話せないのに…

「ごっちん、熱でもあるんか?」
「ち、違うよっ。だいじょぶだって…」
「ならええけど…」

心配してくれるゆーちゃんのココロづかいがはっきり伝わってきて…あたしは嬉しかった。
91 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)23時32分10秒
「…ふう…だいぶ慣れたかなぁ…」

いつも通りにダンスのレッスンを終えたうちは伸びをした。
明日は久しぶりのオフになる。せっかくやけど…寝てようかと思ってんけどな…

「あ…やぐ…」

矢口の後ろ姿を見かけて声をかけようかと思ったけど…やめた。
プライベートの矢口にはしばらく踏み込めん。今はよっすぃ〜とうまく行ってるみたいやし。
釈然としないトコはあるにせよ…幸せそうな矢口を見るのはスキや。

(あん時言われたとおりや…ホンマにスキになると自分じゃなくても祝福できるんやなぁ…)

急にセンチメンタルな気持ちになる。
うちは自分に似合わない雰囲気に酔いそうになって頭を振った。
雰囲気に酔うぐらいなら…酒に酔った方がまだ幸せや。

「…ゆーちゃん?」
「お、ごっちん…お疲れ」
「お疲れさん♪」

シャワールームがあるところから出てきたごっちんと偶然出くわした。
濡れぼそった髪を拭きながらTシャツ一枚で出てくる。
…こうしてみると、ごっちんはホンマにかわええなぁ…

「な…なな、なぁに? じっと見て…」
「ごっちんがかわいいなぁって思うたんや」
「……」

をや…珍しい…
いつもは何を言われてるのか「わかんな〜い」みたいな態度取るくせに…
いっちょ前に顔を真っ赤にしてる。

「ふ、ふ〜んだっ! ど〜せ、ゆーちゃんはやぐっちゃんのことスキなんでしょ!?」
「そりゃ…うちもいろいろあってな…」
「…ごめん…」
「そや…今日うちの部屋でちょっと飲まへんか?」
「えっ…ええっ!? あたしとゆーちゃんの…二人きりで?」
「まぁなぁ…矢口とよっすぃ〜誘うわけにもいかへんし、ごっちんもイヤやろ?」
「…うん…」
「ま…明日はオフやし。無理にとは言わへんよ。どや?」

すると…さっきとは裏腹にごっちんの表情に光が戻った。
こくこくと何度も頷いてみせる。

「飲むっ! あたしも久しぶりだから飲んじゃう!」
92 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月29日(水)23時33分59秒
あたしは戸惑っていた。
よく分からない感覚に自分が制御できないでいた。
ただのリーダー…ずっと年上の面倒見のいいお姉さん…そうだと思っていた。

なのに…最近違う。
よっすぃ〜とギクシャクしてすごく憂鬱なのことに気づいてくれるのはゆーちゃんだけだった。
しかも、あたしの気持ちを察してくれて、やさしくしてくれる。
そのせいなんだろうか…ゆーちゃんがすごく気になりだしてきた。

(ダメダメ…あたし、よっすぃ〜のことあんなにスキだったんでしょ?)

もう、そんなことが霧の中の出来事のように曖昧になってきた。
気が付けば、目を追っているのがよっすぃ〜じゃなくて…ゆーちゃんだった。
いけない…このままじゃゼッタイにいけない…

「ごっちん?」
「う…うん。な〜に?」
「最近、ホンマにおかしいで。よっすぃ〜と…何かあったのは分かるけど…」
「…あのさ、相談しよっかなって思ったんだ。ゆーちゃんなら答えてくれるかも…」

そうだ…ゆーちゃんはあくまであたしの「おねーさん」的存在だ。
こんな風に困った時に助けてくれるおねーさんだ。市井ちゃんみたいな存在だよ。
だから、違うよね…

これが…恋ってことはゼッタイ無いよね…
93 名前:いずのすけ 投稿日:2000年11月29日(水)23時50分29秒
インカレ(観戦)頑張ってたら、更新されて。
94 名前:いずのすけ 投稿日:2000年11月29日(水)23時53分05秒
すみません。宇宙と交信した・・・。 ゆうごま好きなのでがんばってください。
95 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年11月30日(木)01時02分56秒
ここんトコ、ごっちんの様子がおかしい。それはうちが見ただけでも分かる。
ウワサやけど…かなりすったもんだがあってよっすぃ〜と別れたのは聞いた。

(心境としてはうちと変わらへんけど…ごっちんはまだ幼いからなぁ)

こうして飲みに誘ったのもその辺のことが聞きたかったからだ。
周りからすれば、同じ傷を持つ者が互いの傷をなめあうようなものだ。

「…ねぇ、ゆーちゃん?」
「何や?」
「あのさ…さっき、相談したいことがあるって言ったでしょ?」
「おう。気にせずうちにどんどん相談しいや。茶化さずちゃんと答えたる」
「あのね…」

ごっちんはぎゅっと自分のジーパンを握りしめた。
辛そうに…下を向く。

「よっすぃ〜ってさ…もう、あたしのこと、何とも思ってないのかな?」
「……」
「ゆーちゃんも…やぐっちゃんと別れたんでしょ? それなのに…どうしてあんな風に、
 いつもどおりに一緒にいられるのかなって…」

みんなにはバレとらんと思っとったけど…ごっちんにはバレてたか。
ま、みんなはただの遊びウワサとしてしか捕らえとらんけど、ごっちんは違う。
うちと同じ気持ちで…よっすぃ〜を見とった。

「別れたんじゃあらへん。そこまで行っとらん。断られたんや」
「で、でも…それなのにどうして…」
「どうしてやろ…うちにもはっきりと分からへん。でも、矢口はうちを選ばんかった。
 それだけのことや。だから…ここで冷たくしたって矢口に余計な心配かけるだけやからな」

ごっちんはじっとうちの話に聞き入っていた。
あまりにも真剣で一途すぎるその瞳は…意外だった。
こんなに真面目にうちの話、聞くことあったかぁ…?

「そう…なんだ。でも…ゆーちゃん、カッコいいね」
「は、はぁっ!?」

思わず出てしまったと言わんばかりに…ごっちんは口元に手をやった。
今、ごっちんに…カッコいいって言われた? 何や何や? ど〜したんやろか…

「ああ、あたしが誉めてるんだから…ちょっとは嬉しそうにしなよ…」
「おう…ありがとな、ごっちん」
「も、もうっ…困っちゃった…」

気恥ずかしそうに俯くごっちん。
…何やろか? 今日のうちは何か付いてるんやろーか?
96 名前:ま〜 投稿日:2000年11月30日(木)01時20分12秒
おお!いいぞ!ゆうごま(ごまゆう)万歳!
97 名前:T.N 投稿日:2000年11月30日(木)02時31分43秒
めっちゃイイ感じ、ここのごまゆう!長編でお願いします。
98 名前:0120 投稿日:2000年12月01日(金)01時20分16秒
矢口と吉澤が幸せになってよかったー!!
吉澤にせまる矢口にドキドキさせられました(笑)
ゆうごまの後にその後の二人をみてみたいですね。
ゆうごまも楽しいです〜、新しい恋でこっちの二人にも
ハッピーエンドをあげてください。では、続きもがんばって下さい
99 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月01日(金)01時31分10秒
いつも飛び出しはなかなか気に入ってるんですけど…
でも、今回は頑張って甘めを持続します。切ないトコはあるかもしれないけど。
では、いつもどおりのさんくす〜

>>93-94 いずのすけさん
ちょっと風変わりなレスをありがとうございます(w
宇宙と交信って…やっぱり宇宙のココロが分かるとか(w
すいません、スキなんです…

>>96 ま〜さん
毎度のレスありがとうございます。
この作品はだいぶま〜さんの影響を受けてると思います(w
じゃなきゃ、ゆうごまなんてカップリング思いつかないもん。
でも、書いてみるとなかなか…いいかも。

>>97 T.Nさん
毎度のレスありがとうございます。
話の始まりはいつも、自分でもイイカンジなんですけどね…
ショートショートにはなりませんが、中篇小説ぐらいになると思います。

>>98 0120さん
毎度毎度ホントに励みになります。
やぐよしはまあ、ハッピーエンドにするつもりでしたので。
ゆうごまの新しい恋は…どうなるでしょうか(w
まあ、甘めですので…ヒドいラストにするつもりはないですけどね。
100 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月01日(金)01時54分59秒
「(ごくごく…)……ぷはぁっ!!」
「ごっちん、いくら何でもペース早いで…」

乾杯をするなり、ごっちんは早々にビールを一気した。
そして…今飲んでるカクテルはすでに三本目。
いくら、酒が強い家系に生まれたとはいえ…これじゃヤケ酒や。

「ふぅ…何で、こ〜んな甘いカクテル置いてあるの〜」
「もう、すでにだいぶまったりしてるやんか! その辺でペースダウンしとき」
「あたしが聞いてるのは…ど〜してモスコなんか冷蔵庫にあるってことだよ〜
 ゆーちゃんはビールしか飲まないじゃんかぁ〜」
「…そりゃ、まあ…」

…矢口が来た時のためや…
そう言おうとすると、ごっちんはうちを睨んだ。
…何で、そんな目で見られなあかんねん…

「そ〜か…やぐっちゃんのためなんだ〜…ふ〜ん…一途だね〜」
「な、なな…何ゆーてんねんっ! そりゃお互い様やんか!」
「…そ〜だね…お互い…すっごいスキだったんだよね…」

ごっちんは…グラスに目線を落とした。

「すっごいスキだったのに…やぐっちゃんに負けないぐらい…スキだったのに…」
「…しょうがあらへん。人のキモチは簡単に変わるもんじゃあらへん」
「そんなこと…ないもん…」
「お互いのキモチが通じ合ってこそ…成り立つのが恋人同士や。友達とはわけがちゃう。
 矢口とよっすぃ〜は…これ以上ないくらい、キモチが通じ合ってるやん」

うちは切れた氷を取りにいこうと腰を上げた。
俯いたままいたごっちんは…また、グラスを煽った。
…これじゃ、上司に文句が言えないサラリーマンの愚痴を聞いてるみたいや…

「ゆうこっ!」

イキナリ耳元に飛び込んできた言葉に…思いっきり振り返る。
そや…ここにいるのはごっちんや。でも今…ものすごく矢口に似とった…

「へへっ♪ どお? やぐっちゃんに似てた?」
「べ…別に…あんまし似ておらんわ」

自分のココロが…見事に動揺するのが分かって、うちは何とも言えへん気分になった。
101 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月01日(金)02時10分25秒
「ほらほら〜、ゆーちゃん全然飲んでないじゃんかぁ〜」
「…もうダメや…こんなにへべれけになってる奴を放っておいて酔えるわけあらへん…」
「あ〜…そだ♪ 今日さ、メンドーだからゆーちゃんちに泊まっていい?」
「勝手にせい…明日のオフ、二日酔いでゼッタイ動けへんぞ」
「いいんだもん♪ ゆーちゃんが一緒だからね〜」

真っ赤な顔をしているごっちんは…とうとうわけのわからないこと言うようになった。
だいぶ出来上がってしまってる。
でも、とろんと潤んでいる瞳は矢口にない魅力を感じる。

(ごっちん、ホンマに色っぽいわ〜…15歳じゃあらへん。しぐさも…身体も…)

矢口と対極にいるのがごっちんやと思っとったけど…そうでもない。
外見はそうやけど…こうして酔ってる時はどことなく矢口っぽい。

「ふ〜…さっきからずっとあたしのこと見てぇ…ど〜したの?」
「いや、ごっちんが本格的に酔うとこんな風になるんやなぁ〜って思うてな」
「さっきから…誰と比較してるの〜? ま、やぐっちゃんだと思うけどさぁ…」

うちはごっちんの言葉にドキッとした。
イキナリ核心をつかれて、うちは返す言葉を探していた。

「…ダメかなぁ〜…あたしじゃ、やぐっちゃんの代わりになれないのかなぁ〜…」

…前言撤回。
今のはホンマに、たまたまで、グーゼンやったらしい。
ごっちんがうちに迫ってくるなんて考えたこともあらへん。
でも、ここは面白おかしく返しておこか。

「ど〜やろ? もしかしたら、別れたモン同士付きおうたらうまく行くかも知れへんな」
「じゃあ…あたしのこと…スキになってよ」
「は…はぁっ!?」
「…ゆーちゃん、あたしね…ゆーちゃんのこと、スキになっちゃった…」
102 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月01日(金)02時26分00秒
「だいぶ酔ってるなぁ〜、ごっちん」
「…違うもんっ。最近、あたし…ずっとゆーちゃんのこと気になってるんだもんっ」
「よっすぃ〜のことがあんなにスキだったのに…急にうちのことスキなるなんておかしいやんか」

うちはグラスに残っていたビールを一気に飲み干した。
ごっちんは…ずっとうちのことを見ていた。
一途すぎる瞳だった…矢口と付き合う前のよっすぃ〜を見ている瞳、そのままだった。
ジョ…ジョーダンやろ…

「…信じてくれないならいいもん…」
「何で、そんなふてくされてんねん。眠いんか? うちはソファで寝るからベット使ってええで」
「じゃあ…そうする」

のそのそとごっちんは立ち上がると…ベットの方に足を向けかけた。
急に方向転換して…うちに抱きついてきおった。

「…ゆーちゃんっ!」
「ち…ちょお! ごっちん重たいわ!」
「重たい!? ど〜して、あたしが気にしてることをズバズバ言うわけっ?」
「ええいっ。絡むんやない!」

ぐでんぐでんになっているごっちんを振り払うと…べったりと横になったごっちんと再び目が合う。
酔っ払い特有の潤んだ瞳だが…その奥では何か言い知れない決意がみなぎっている。
まさか…そんなわけあらへんな。よっすぃ〜とうまくいかんから幻想が見えてるだけや。

「ゆーちゃん…ううん、ゆうこって呼べばいいのかなぁ…」
「……」
「やぐっちゃんみたいに…スキになってもらうにはゆうこって呼んだほうがいいのかなぁ…」
「……」
「ねぇ、ゆうこ…」

どくん…どくん…
な、何でや…どうしてうちはこんなにキンチョ〜してんねん!!
ごっちんやで!? うちとあまり関わり持たんかったごっちんやで!?

(…あかん…この状況はホンマにあかん…流されそうや…)

「ゆうこ…スキだよ」
「…うちもや…ごっちん」

気づいた時には…柔らかなごっちんの身体をチカラいっぱい抱きしめていた。
103 名前:りるる 投稿日:2000年12月01日(金)23時10分23秒
恋するごまってやっぱり大好きだ〜!
ぜひとも幸せにしてあげてください!
104 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月01日(金)23時22分34秒
好きと言いつつふてくされる後藤と「眠いんか?」と応える中澤がいいなあ。
このへんがゆうごまの醍醐味というか、本人たちも戸惑ってるみたいなとこが。
105 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月02日(土)01時18分58秒
なんか、書いててあま〜いカンジが出ている(ような気がする)ので、
このまま持続したいと思います。何となく甘く書くコツが分かったようです。
では、定例どおりさんくす〜

>>103 りるるさん
ごまファンですね〜。
俺の小説にはごまのウェイトが少ないですけど…書いてるといいカンジです♪
一途なごまは俺もスキです。

>>104 名無しさん
レスありがとうございます。
やっぱりゆうごまの醍醐味はおっしゃる通り、戸惑いですね〜
中澤をスキになりかけてることへ戸惑いを感じる後藤とそれに押されて戸惑う中澤を
感じてくださると嬉しいですね。
106 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月02日(土)01時19分28秒
「……」

無言で抱きしめてもうて…うちの頭は真っ白だった。
ただ、無意識に…やさしくごっちんの髪を撫でていた。
身体同様に柔らかくて、指通りのいい髪が手元に少しだけ絡みつく。
戸惑いに表情を固めていたごっちんの腕が…うちの身体を抱きしめ返した。

「うわぁ…ゆーちゃん、すっごい細いじゃん…」
「…ありがとな…」
「ごめんねぇ…ちょっとお酒クサイけどさぁ…こ〜してて欲しいんだ…」

先ほどまで高鳴っていた鼓動は落ち着きを取り戻し始めていた。
ふんわりと舞い上がるごっちんの甘い香りと胸元に当たる刺激で…
頭の中は依然として何も考えていなかった。

「やぐっちゃんと違って、ちっちゃくないけど…ガマンしてね〜」
「…るな…」
「うん? くすぐったくって聞こえないよぉ〜」
「矢口の話をするなや…もう、カンケーあらへん」

ぷっ…ちぃぃぃぃんんっっ!!

理性の糸があっさりと引きちぎれるのが分かってから…
うちはごっちんを押し倒した。

「あははっ。は〜や〜い…ゆーちゃん、ヤリ手の手口じゃん〜」
「…うちをその気にさせてしもうたやんか。もう知らんで」
「…いいよ…」

導かれるようにごっちんの手が…うちの頬を軽く撫でる。
これじゃ…攻めているのか、攻められてるのか分からへん。
でも、今日はカンケーあらへん。決めたんや…今日はごっちんを抱く。

pipipipi…pipipipi…

タイミングよく…ケータイ電話が鳴った。
光る画面に出ている文字は…矢口真里という名前だった。
107 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月02日(土)02時12分35秒
「…やぐっちゃんから…?」
「…おう。そやな」
「ずっと鳴ってるじゃん…出なよ…」
「……」

ケータイを見ながら…うちはどうすればいいか分からずにいた。
ごっちんの見つめる瞳に寂しさが宿っている。
きっと…この一瞬だけでも、ごっちんはホンキやったんや…

「…カンケーあらへん。矢口に接する時間はもう…この時間はちゃうわ」
「……」
「だから…なんてゆーていいか分からんけど…」
「……(すーすー…)」

(こいつ…何で、こんな重要な時に眠ってんねんっ!!)

半分投げやりな気持ちでケータイに出ようとする頃にはそれも切れている。
うちは思わず…頭を抱えた。

(なんやなんや…さっきからずっとごっちんに振り回されてばっかりやんか…)

ごっちんが残したビールを飲み干して…静かに寝息を立てるごっちんを見た。
うわ…なんちゅー幸せそうなカオして眠ってんねん、こいつ…
うちのことが…スキやっていうのは、もしかしたらマジかもしれへん…
でも…どないすればええんや?

「とりあえず…せなあかんことは、ここにごっちん転がしといたらあかんちゅーことやな」

酔いが回り、気だるくなった身体を起こして…うちはごっちんをベットに引きずり込んだ。
うかつに手なんか出せへんわ…このチョーシじゃ……
108 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月02日(土)02時30分22秒
FANTASISTAさんの書く、裕ちゃん最高です!ゆうごまも最高!!
甘くも大好きなのですが、たまには、裕ちゃんの繊細な面や大人のせつなさ、
みたいなものも、描いて欲しいと思うFANTASISTAさんのFANでした!
109 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月03日(日)01時29分27秒
さぁて調子いいです。書いててなんか楽しいです♪ ゆうごま…恐るべし(w
矢口スキな俺ですが、最近はどうもゆーちゃんの方がスキらしい。
これも小説書いてて気がついた…まあ、それはどうでもいいとして、さんくす〜

>>108 名無しさん
レスありがとうございます。
いや〜、こんな小説でファンになってくれる人がいて嬉しい限りです。
そうですね。ゆーちゃんの繊細さとか大人の切なさってあったらいいですね。
後半はちょっと取り込んでみようと思います。
110 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月03日(日)01時30分46秒
……
あ…れ? あたし…ゆーちゃんの部屋でお酒飲んで…
うわ、すっごい頭イタイぞ……

「……」

ふと周りを見まわして…あたしはベットに寝ていることに気づいた。
ベット!? ベットじゃん!! どうしたんだろう…記憶ないよ…

(と、とりあえず…ブラは…してるね。パンツも…履いてるじゃん…)

布団の中でごそごそと自分の身体をチェックした。
あたしはほんのちょこっとだけがっかりした。
…えっ? がっかりしてる? あたし…ガッカリしてるんじゃん…

半身だけ起こすと…向こう側のソファにゆーちゃんが寝ていた。
ブランケットを二枚ほど重ねて、丸くなっている。
寝返りを打ったのか、こちらから表情を窺えない。

「…ふぅ…」

あたしはとりあえず台所まで歩いていき、冷蔵庫にあったミネラルウォーターを飲んだ。
いがいがする喉元を洗い流してくれたが…気持ちはそういうわけにはいかない。

「…うぅん…」

小さくゆーちゃんが喉を鳴らして寝返りを打つ。
その拍子に、ブランケットの一枚がソファからずり落ちたのが見えた。

「なんか面倒かけちゃったみたいだね…まだ寝てていいよ、ゆーちゃん…」

ブランケットをかけなおそうとして…ゆーちゃんの寝顔を見た。
か、かわいい…ムチャクチャかわいいぞ…こんなにゆーちゃんかわいかったっけ…?

(キ…キスとか…したくなってきちゃったじゃんかよぉっ!)
111 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月03日(日)01時49分00秒
「……(すーすー…)」

ゆーちゃんの寝息が聞こえるほど、あたしは顔を近づけた。
こんなに近くでゆーちゃんの顔を見るなんてどれぐらいぶりだろ…
その時は、こんなにドキドキしてなかったのに…

(一回ぐらい…一回ぐらいしてもOKだよねぇ?)

あたしは薄く瞳を閉じると…唇を重ねた。
…あれ? こんなカンジだっけ? 唇って…
ゆっくり目を開けて…あたしはぎょっとした。
ゆーちゃんの指にキスをしていたのだ。

「!!!!」
「ちょ…そんな逃げんといて〜なっ! ビックリさせてもうたんは悪いけど…」
「な…なな、何だよぉ…おお、起きてるんだったら早く言ってよ…」
「いや…そのなぁ…起きたら、ごっちんがうちの前でそわそわしてたから…ふわぁ…」

あたしは口から心臓が出そうなくらいドキドキしていた。

「あ、あのさぁ…ゆーちゃん…あたし、昨日…ごめんね…」
「…なあ、ごっちん」
「ん?」
「昨日のこと…どこまで覚えてるんか?」

寝起きにも関わらず…真剣なゆーちゃんの質問にあたしはしどろもどろになってしまった。

「えっと…四杯目ぐらいからちょっと記憶ないんだ…でも…何か…そのね…」
「……」
「ゆーちゃんが…抱きしめてくれたのは…その、覚えてるよ」
「そっか…」

ゆーちゃんは自分に言い聞かせるように頷いて…くしゃくしゃと頭をかいた。
別に怒っているわけでも焦っているわけでもなさそうだった。

「なら、ええんや。それだけ覚えといてくれれば…かまへんよ」
「聞いて、ゆーちゃん…あたし、ホントだよ? あの時言ったのは…酔ってたからじゃないよ」
「分かってるわ…ごっちんだってそうや。うちがスキやっていったの…ウソやないで」

えっ!? えっ…ええっ〜〜!!
ゆ、ゆーちゃん…あたしのことがスキだって言ったの!?

「ははっ。そん時の記憶あらへんってカオしてるなぁ〜」
「ホント…に? ホントに?」
「ホントにホントや」
「ホントにホントにホント?」
「ホントにホントに…ああ、もうええわ」

伸びてきたゆーちゃんの腕に…あたしは抱きしめられた。
112 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月03日(日)02時00分12秒
おおっとリアルタイムで読んじゃったな。
どうやら本当に甘く書くコツも分かったみたいですね〜。いい感じだ〜。
113 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月03日(日)02時17分58秒
寝起き5分後に…こんなことするとは思わへんかった。
ソファに座ったままやけど、ごっちんの頭だけを胸に抱く。

「こうすれば、分かってもらえるやろ?」
「……」
「その…なんや、うちもちょっと訳分からんことになって戸惑ってるんや」
「あたしも…だよ…」
「すまんな。言葉が思いつかへんから…」

ごっちんはうちの胸で首を横に振りつづけた。
その姿は…まるで言葉はいらないよ、と言わんばかりの態度だった。

…静かに、ゆったりと時間が流れた…
うちはごっちんを離すと、立ち上がった。
矢口みたいに…慣れてれば、キスぐらいできるんやろ〜けど…できへんわ。

「ごっちん、ええんか? 今日はせっかくのオフなんやで」
「別に…ゆーちゃんといられるから…いいよ」
「そっか…」
「ならさ、午後から出かけようよ? 買い物とかさ。たまには若い子と買い物しといたほうがいいよ〜」
「何ゆ〜てんねん。二日酔いヒドいんちゃうか?」
「ちょっとするけど…頭ハッキリすれば全然だいじょぶだよ〜」

わ…若さってこの辺なんやろな…
あれだけハデに潰れてたら次の日はゼッタイ二日酔いでベットと仲良しのはずなのに…

「ね〜一緒に行こうよ?」
「分かったがな。ごっちん、まだ二日酔いヒドイんやろ? 横になっててええよ」
「…うん…まだちょっと…」
「朝食作ったるわ。そや、紅茶とコーヒー、どっちがええんか?」
「うーん…紅茶って言いたいけど、やっぱりコーヒーかなぁ〜」
「? 何でや?」
「も〜、忘れちゃダメじゃん〜…『モーニングコーヒー』だよ♪」
「ア…アホかいな! 恥ずかしいこと言うなっ〜!!」

自分のカオが一気に赤くなっていくのが分かる。
それが分かったのか…寝起きのちょっと外れたごっちんの歌声が聞こえた。
114 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月03日(日)03時01分33秒
矢口の電話の意味は???いずれ登場??
115 名前:ま〜 投稿日:2000年12月04日(月)00時38分00秒
いいですね〜。ごまゆう♪
かあいいっす♪
116 名前:りるる 投稿日:2000年12月04日(月)01時06分39秒
矢口のことがやっぱり気になってるの?ゆーちゃん!
矢口からも謎の電話が・・・。ひと波乱ありそうですね。ごまガンバ!
117 名前:いずのすけ 投稿日:2000年12月04日(月)01時25分34秒
ごまかわいい。 裕ちゃんもいい感じで読んでる私も幸せだあ。
矢口はどうからんでくるのかなあ。
118 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月04日(月)01時56分55秒
だいぶゆーちゃんもごっちんもマターリしてきました。
一波乱起こすと、痛くなる可能性があるのでビックウェイヴは避けますが、
ちょっと揺さぶりかけることはあるかもしれません。
では、さんくす〜

>>112 名無しさん
レスありがとうございます♪
今の段階では甘く書けてます。ホントに些細なコツですけど…
甘く書くにはどうすればいいのか分かったようです。
甘くしますよ〜。徹底的に。

>>114 名無しさん
レスありがとうございます♪
矢口の電話はジツのところは全然関係なかったんですけど…
指摘されたので使います(w
結果はこの先で。

>>115 ま〜さん
一応、本家のま〜さんがほのぼの系、中澤暴れ系なので(w
俺はカワイク書いています。特にごまが主人公的扱いで書くのが初めてなんで、
いろいろ悩むところはありますけど…

>>116 りるるさん
まさか矢口の電話がこれほど波紋を及ぼすとわ…
ちょっと意外です。ただのネタフリであんまり関係ないとは口が裂けても言えん(w
一波乱というか…震度2ぐらいですの揺さぶりは起こします(w

>>117 いずのすけさん
ごまがカワイク書けているのは俺もビックリです。
あんまりスキじゃないと言いつつ…実はスキなのか、オレ(w
矢口が絡んでくるのはまあ、作品の進行上当然になりますね。
119 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月04日(月)01時59分19秒
「うお〜い…ゴハンできたぞ〜」
「……」
「ごっちん?」
「……」

うちが朝食を作り終わる頃…
キッチンから呼んでもごっちんの声が聞こえなかった。

「おい、ゴハンが…って、寝直してるやん…」
「……(すーすー…)」

今度はソファの上に寝床を変えている。
うちが使ってたブランケットをしっかりと身に纏って小さく寝息を立てている。
やっぱ…買い物はムリやな。

(まさか一昼夜にして…ここまでごっちんと仲良くなれるとは思わへんかったわ…)

テーブルの上にある温かいコーヒーを飲みながらごっちんの髪にやさしく触れる。
ごっちんは自分が少し太っていることを気にしてるようやけど…うちにはどうでもいいことや。
これぐらいのほうがカワイイ。

額の方から…頬の方に手が移る。
若さゆえなんやろうなぁ…こんなにつるつるしてる。しかも柔らかい。
…いかん、いかん。つねったりしたらごっちん起きてしまうわ。

pipipipi…pipipipi…

ケータイの音がして…ごっちんは薄く目を覚ました。
うちはごっちんの髪を撫でながら…自分のケータイをとった。

予想した通りや…矢口からやんか…
120 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月04日(月)02時13分41秒
「もしもし?」
「…あ…もしもし? ゆうこ?」
「あ、ゴメンなぁ。昨日の夜出れへんかって…」
「あはは、いいよ。あのさぁ…今、ヒマ?」

タ…タイミング悪い時にヘンな事聞くんやなぁ…
ごっちんがうちのことごっつ睨んでるわ…

「…ゆーちゃん…」
(ちょ、そんなに怒らんといて…)

「あれ? 誰か遊びにきてるの?」
「え…ま、まぁなぁ…」
「あのさ、よっすぃ〜にプレゼント買ってあげたいんだ…」
「あ、そ〜か…二人が付きおうてもうそろそろ一ヶ月か…なるほどな〜」
「…ごめんね…ホントはゆうこに相談するべきじゃないと思うんだけど…」
「ああ、かまへんよ。ま、矢口はまだ子供だからな〜」
「ふ〜んだっ! ヤグチはまだ子供ですよ〜だっ!!」

あかん…こんな時に限ってうちのトークが冴えてしまう…
ごっちんは耐えられないのか…視線を脇のほうに逸らした。
こ…これじゃ…マズイ…

「あのさぁ…今日、オフじゃん? できれば…一緒に買い物に付き合って欲しいんだけど…」
「あ…ちょ…それはなぁ…」

「…貸して」

うちが了解したわけでもないのにごっちんはケータイを取り上げた。
静かに…吐息を漏らす。

「…あれ? もしも〜し…」
「やぐっちゃん」
「…へっ? ゆうこ…」
「ゆーちゃんは今日は…あたしといるの」
「ご…ごっちん!? どうして…そこに…」
「あのね…やぐっちゃん、よっすぃ〜のことスキなんでしょ?」
「……」
121 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月04日(月)02時37分26秒
あたしは震える手を必死にガマンして…もう一度深呼吸した。
電話の向こうで…やぐっちゃんが押し黙っているのが分かる。

「別にやぐっちゃんのこと恨んでるわけじゃないよ。よっすぃ〜が選んだんだもん…
 それにやぐっちゃんをよっすぃ〜が選んだ理由も分かるよ…」
「……」
「でもね、あたしはね…ゆーちゃんのことが…」

そこまで言って今度は再びゆーちゃんにケータイを奪われた。

「あ〜、ちょっと立てこんでるから後でな。今日はちょっと買い物付き合えへんわ〜」
「……」
「じゃ」

早口でまくし立てて…ゆーちゃんはケータイを切った。
しばらく…無言でケータイを見つめていた。
怒られる…

「あのなぁ…」
「……」
「ごっちん…こんなことしてどないすんや?」
「…ごめん…」
「いや、そうやなくて…せっかくやからみんなに黙っとかへんか?」

意外な言葉に…あたしは表情を上げた。
ゆーちゃんはテレくさそうに…頭をかいていた。

「なんや…矢口が気になるのは分かるけど、もう別に何かあるとか…ゼッタイあらへんから」
「……」
「それに、まだお互い…ハッキリせーやんか? だから、もっとハッキリして…
 ごっちんがよっすぃ〜をスキになったように…うちが矢口をスキになったように…
 ハッキリするまで他の人には黙っとかへんか?」
「自信ないから…? ゆーちゃんはまだあたしをスキか自信ないから?」

「そうやない…うちがごっちんがスキなんは…間違いないわ。でも、戸惑いが消えへんねん。
 どうしてええか分からへんねや。だから慣れるまでは…黙っとこ〜や」
「……」
「それに…みんなにナイショで付きおーてるほうが萌えるで」

あたしは何も言えなくなってゆーちゃんに抱きついた。
嬉しかった。ちゃんと真剣に考えてくれてるから…酔った時の出来事で片付けてくれなかったから…
ああ…やっぱりあたし、ゆーちゃんのことがダイスキになっちゃった…

やぐっちゃんがゆーちゃんをスキになった理由、すっごくよく分かるよ…
122 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月05日(火)00時06分41秒
ナイショで付き合ってるほうが萌えるって・・・
何気に2ちゃんねらーなゆうちゃんに萌え〜!(w
123 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月06日(水)00時43分17秒
さてと…続き書きます。そろそろやぐよしカップルの登場予定。
あまり絡まないと思いますが…では、さんくす〜

>>122 名無しさん
レスありがとうございます♪
「燃える」でもよかったんですけど…二人の間には「萌える」のほうが
いいと思いまして…でも、「萌え〜」は2ch用語なんですかねぇ?
124 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月06日(水)00時44分58秒
「おいし〜」
「せやろ? まあ、一人暮らし慣れると朝食なんてこんなもんや」

あたしはゆーちゃんが作ってくれたエッグマフィンを頬張りながらにこにこしていた。
目の前であたしと同じように…楽しそうに笑ってるゆーちゃんの顔がある。
それだけであたしはお腹いっぱいになりそうになる。

「…なんかさ、音楽とか聴かない?」
「そうやなぁ…ラジカセの側にCDあるからスキなの聴いてええよ」
「んじゃ…」

テレビの横の棚のCDラックをごそごそと探る。
…あ、ちゃんとモーニングのアルバムもあるんだ。あとは…
これ…

「…気に入ったのあったら貸すで〜」
「うん。じゃあこれ…聴こうかな? 最近久しぶりに聞いてたんだよね〜」
「何のアルバムや?」

あたしはCDを入れて…ボリュームを少しだけ小さめにしぼった。
スピーカーから流れた曲はちょっと古めの曲だった。

ホントにスキだったあなたがいない…
初めての恋 終わった…
今夜は夢に 笑顔のままで出てこないでよ ねえ…

「ご…ごっちん…あんまりうちをいじめんといて〜な」
「あははっ。そ〜ゆ〜つもりじゃないよ。あたしね、この曲…スキなんだ。
 アルバム持ってるんだよ? 『TANPOPO 1』」
「それは…矢口からもろうたもんや。たまに歌わせたりしてたんやけど」
「やぐっちゃんから聞いたことあるよ〜。『酔うとすぐに『センチメンタル南向き』を歌えっ!』
 とか言って…困らせてたらしいね」
「よ…余計な話ばっかりすんなや…矢口は…」

くちびるにだけ…
やめてよ あなたの温もりが…
くちびるにだけ…
ずっと残ってる やさしいあなた…

この歌詞…あたしとよっすぃ〜みたいなんだよね…
はじめてキスして…その日に全てが終わった…
そうなんだよ…ラストキッスになっちゃったんだよね…
125 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月06日(水)01時22分10秒
結局…何もせずにゆーちゃんの家でまったりしていた。
買い物に行きたかったけど、二日酔いはそれを完全にブチ壊した。
動けなかったのは…あたしだった。

「さて…ごっちん、明日あるから…」
「…うん…」
「そんな悲しいカオすんなや…明日もまた会えるんやで?」
「分かってるよ…でもさ、ナイショだから、よっすぃ〜たちみたいに…」

あたしは顔が真っ赤になった。
たった一日なのに…もうこんなにゆーちゃんと離れるのが怖くなってる。

「…イチャイチャできへんって言いたいんやな?」
「……」
「明日っから楽屋でちゃんとちょっかい出したるわ。その代わり逃げんといてな」
「…分かったよ…」

「じゃ、送ったる。いこ〜か」
「そうだね…」
「あ、そやそや。忘れモンがあった…」
「…えっ!?」

あたしは後ろからゆーちゃんに抱きすくめられた。
首筋から肩にじーんと衝撃が走る。

「…こ〜しとかへんと夜中に人恋しくなって…呼び出してしまうから」
「呼ばれたら…いつでも行くよ」
「ははっ。ごっちんって恋愛するとゼンゼン人変わるんやなぁ〜。姉さん、意外や」
「あたしだって…ビックリしてるよ…」

キスがしたい…ゆーちゃんとキスがしたい…
あたしの髪に顔を埋めているゆーちゃんはあたしを振り向かせようとしない。

「…ゆーちゃん?」
「ご、ごめんなぁ…それじゃ行こうか?」
「あ、あのさ…ううん、いいや! 明日また…帰ろうね」

ゆーちゃんは…あたしの唇に触れようとしなかった。
どうしてなんだろう? これだけ抱きしめられて…距離が接近してるのに…
キスしてくれないのは…どうしてなんだろう?
126 名前:いずのすけ 投稿日:2000年12月06日(水)09時43分05秒
ごまがんばれ!
ゆうちゃんはやはり大人ですなあ。
127 名前:トーア 投稿日:2000年12月06日(水)21時42分56秒
どうも、久々に読んでみたら甘い展開になっているじゃないですか。
コツをつかんだと書いているけど、そのとおりっすね。
では、がんばってください。
128 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月06日(水)23時20分28秒
でもちょっと切なくなりそうな感じ・・・かな?
129 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月07日(木)00時33分20秒
書いていてちょっと中だるみしてくる時期です。なるべくそうならないように
書くつもりですが…そのためには少し揺さぶらないとダメですね。
この話で「キス」はかなりのキーになりそうな予感も…(w
でわでわ〜、さんくす〜

>>126 いずのすけさん
ごまは子供っぽく、ゆーちゃんは大人っぽくですね。
しかもごまは矢口みたいな子供っぽさで書かないようにしています。
ごまを応援したくなるように…書いてるつもりです。

>>127 トーアさん
甘めに行くつもりです。ただ、このままダラダラとイチャイチャシーンを
書いていると、ネタが切れるので(w
少しだけ…揺らします。

>>128 名無しさん
レスありがとうございます♪
その通りですね。ちょっと一時的にですが切なくなります。
痛くならないと思いますが…そのボーダーが難しいので。
ごまがゆーちゃんを想う気持ちを切なく表現できたら…と思います。
130 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月07日(木)00時34分01秒
「ごっちん〜」
「ゆ、ゆーちゃんっ…!」

今日は「HEY×3」の収録だった。
慣れた番組のせいか…楽屋の中はリラックスしていた。
そのせいだろうか…こんなに視線を感じるのは。

「…ちょっと恥ずかしいかな…」
「何でや〜?」
「み、みんな見てるじゃんか…」
「ん〜?」

ゆーちゃんはメイクしているあたしを後ろから抱きしめたまま、周りを見回した。
きょろきょろと視線を送って…再びあたしの耳元で囁いた。

「…あんまり気にすんなや。最初のうちだけやて…」

「ちょ…ゆーちゃん?」
「ん? なんや圭。ごっちんとじゃれてるんやから邪魔すんなや」
「い、いや…ねえ…そうじゃなくってさ…」

圭ちゃんが困ったように言葉を探している。
そりゃそうだな…あたしはゆーちゃんとまるで関わり持ってなかったから…
オフを境にいきなりベタベタしたらそりゃビックリするよね…

「ごっちんは…その、イヤじゃないの?」
「待ちや、圭! それじゃまるでうちがごっちんに抱きついてるのがムリヤリみたいやんか!」
「そうじゃないけど…ごっちん?」
「べ、別…に。ゆーちゃん、スキだから…」

あたしは自分の言った言葉に重みがあることをすっかり忘れてしまっていた。
今の一言で…楽屋が色めき立った。

「ええっ!? ゆーちゃんとごっちんって…そーゆー関係だったの?」
「ゼンゼン分からなかったよ…」
「ちょ〜意外なカップル…ビックリ…」

(あ、あのなぁ…黙ってようって言うたやんか…)
(そうじゃないよっ! スキの意味がメンバーとしてって意味で言ったのに…)
(あの脈絡からじゃそーゆー意味には聞こえへんよっ!)

ひそひそと話し合ってもすでにメンバーには完全に別の意味で「スキ」だと思われてしまった。
でも…あたしはこっちのほうがいい。コソコソするのは誰かに隠れてしてるようだから…
…隠れて付き合ってる? そうなの…そうなの?

「ゆ〜ちゃん…そうなの!?」
「えっ…えっ…ま、まあ…そーゆーことや…」
「「「ええっ〜〜〜〜!?」」」

みんなの声が重なる。
ただ一人だけ…その光景を悲しそうに見ていたのは…
やぐっちゃんだけだった。
131 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月07日(木)00時47分08秒
「おつかれさまでした〜」

収録を終えて…あたしはシャワールームに駆け込んだ。
ほとんどミスなく終えて、周りから「らぶらぶぱわー」ってからかわれたけど…
ゆーちゃんも周りにニコニコしながら答えていたのが…嬉しかった。

「はぁ〜…疲れたぁ〜…」

いつもよりもどっと疲れを感じる。
周囲の視線を感じるせいもあるけど…中でもやぐっちゃんの視線がきつかった。
別に怒ってるわけじゃないのは分かるけど…明らかにあたしを祝福してくれなかった。

「……」

少し熱めの温度のシャワーがあたしの身体を癒してくれる。
あたしがゆーちゃんをスキなのは…よっすぃ〜にフラれたからじゃない。
心底、ホンキでゆーちゃんのことがスキになったんだ。

でも、やぐっちゃんの目は違った。
真相を知っているやぐっちゃんは…あたしがヤケになって付き合ってると思ってる。
あたしがやぐっちゃんにイジワルしようとして…ゆーちゃんと付き合ってると思ってる。
そうじゃないのに…そうじゃないのに…

(よっすぃ〜はいいよ…話せば分かってくれるから…でも、やぐっちゃんは…)

「…ごっちん? そこにいるの…ごっちん?」
「…ん? だぁれ?」
「あ、あたし…矢口だけど…」

あたしは…条件反射でカーテンを取り払った。
132 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月07日(木)01時37分59秒
「ちょ…ちょっとっ! ごっちんっ!!」
「えっ…?」
「い、イキナリ呼んじゃったのはヤグチが悪いけど…隠してよ…」
「わ、わわっ…」

あたしはカーテンを開けたときの同じぐらいの早さで閉めた。
は…恥ずかしいよ…でも、よかったぁ…ゆーちゃんじゃなくって…

「ご…ごめん…」
「あのさ…聞きたいことあるんだけど…いいかなぁ?」
「……」
「あ、シャワー浴びたままでいいよ。あたしも隣で浴びながら話すから」

ごそごそとやぐっちゃんが服を脱いでいるのだろう…衣擦れ音が聞こえる。
カワイイんだよね。やぐっちゃん…
撮影とかで抱きついたことあるけど…ホントに細くてちっちゃくて…
ポケットに入れて持って帰りたくなるぐらい…カワイイんだ。
だから…ゆーちゃんがスキになった理由も分かるんだ…

「あのさぁ…ごっちんってゆーちゃんと付き合ってんの〜」
「え…えっ!?」

いきなり核心をつく質問をされてあたしはしどろもどろになってしまった。
一枚の壁を挟んで…やぐっちゃんの笑い声が聞こえた。

「あははっ。ビックリした?」
「う、うん…」
「で、ど〜なの? 付き合ってるの?」

あたしは…シャワーを少しだけ強くした。
喉元に声が詰まりそうになるのを…ガマンした。

「そうだよ…あたし、ゆーちゃんと付き合ってるよ」
「…やっぱり、そうなんだぁ…」
「スキなの…すごく。ゆーちゃんのこと…スキなんだ…」
「……」

壁の向こう側からシャワーの音しかしなくなった。

「やぐっちゃんがね…ゆーちゃんをスキだったのが…分かるんだ」
「…ホントなんだね?」
「…?」
「よっすぃ〜のことがあったから…ゆーちゃんと付き合ってるわけじゃ…」

「そんなわけあるわけないじゃん!! ゆーちゃんに失礼だよっ!!」

分かっていても…あたしは制御が効かなかった。
二人の間が静かになった。
133 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月08日(金)02時06分33秒
喜びを隠せない…
ごっちんといることが、みんなから祝福されることがこんなにプラスになるなんて…
身体のキレもトークも今日は冴え渡ってた。

「何や何や…ごっちんと一緒になれて一番嬉しいのうちやんか…」

歌っていても、座りトークの時もごっちんと視線が絡み合うときがある。
その時のごっちんのカオがまた…抱きしめたくなるぐらいウブでカワイイ。

(今日も一緒に帰ろうかなぁ…メシでもどっかで食べて…)

シャワールームに差し掛かって…声が聞こえた。

「そんなわけあるわけないじゃん!! ゆーちゃんに失礼だよっ!!」

…ごっちん? 今の声…ごっちんか?
うちはドアノブに手を伸ばそうとした。
誰と…話してるんや…?

「…ヤグチがよっすぃ〜と付き合ってるから…そうじゃないんだね?」

あ、相手は矢口かい…
確かに今日の矢口はうちと一回も話そうとしない。
表面的な話はするが、すぐに距離を置いていた。
かといって見せ付けてよっすぃ〜といるわけでもなかった。

(戸惑ってんやろな。うちがごっちんと付き合うてるから…ムリもあらへんけど)

「そうだよ…あたしはゆーちゃんがスキ。どこがスキって言われれば…全部だよ」
「……」
「でもね、ゆーちゃんはまだやぐっちゃんのことがスキなんだよ…
 どこかでね、引きずってるし…いつもあたしと比較してる」

……
認めないといけへんか…うちの気持ちがまだ矢口に少しあることを…
ごっちんを矢口の代わりにしていることを…

「でも、ヤグチにはどうにもできないよ…よっすぃ〜がいるから…」
「……」
「ごっちんがゆーちゃんと付き合ってくれるなら…ヤグチは嬉しいよ」

頭痛がした…後ろから殴られたような鈍痛が走る…
今の…今の矢口の言葉は…どーゆーことや…?
厄介払いってことか…よっすぃ〜と付き合うことが出来たから…
もう、いらん過去ってことかい…

「それって…今のゆーちゃんが邪魔みたいなセリフじゃんか…」

震えるごっちんの声がして…うちはゆっくりドアノブをひねった。
134 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月08日(金)18時02分43秒
あー続きが、気になるっ!続き期待
135 名前:りるる 投稿日:2000年12月08日(金)22時46分07秒
うんうん。甘い中にも心地よい痛さが・・・(わら)
ラストキッスの歌詞出されたときは読んでるこっちがドキドキしたっす。
ここで3人が鉢合わせ・・・あ〜!一体どうなるの!?
136 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月09日(土)02時42分16秒
少しだけ切なくなってきました。意図的です。クセではありません(w
あまり多くを語るとこっちとしてもつまらないので、避けますが…
では、いつも通りにさんくすを〜

>>134 名無しさん
レスありがとうございます♪
いいトコで切ったなぁと自分でも思ってました(w
今、上げます。

>>135 りるるさん
甘い中にも心地よい痛さ…そう受け取っていただけるのがベストですね。
モノスゴイ痛さじゃなくてチクチクするぐらいの心地よい痛さがいいかなぁと。
でも、少し…出血する可能性も(w
137 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月09日(土)02時43分11秒
「そう…かもしれない。今は…ヤグチにも分かんないんだよぉ…」
「そんな…! そんな言いかたってないでしょっ!!」
「ごっちんに何が分かるんだよっ!! ヤグチが…どんな思いでゆうこを…」

「ふぅん…どんな思いなんや…あ?」

あたしは…シャワーを止めた。
今の声はゆーちゃん…?
あたしは手早くバスタオルを身体に巻きつけるとカーテンを開けた。

「…ゆーちゃん…」
「おう。ごっちん…すまんな。聞いてもうたわ」
「……」

ゆーちゃんはやぐっちゃんがいるシャワールームを睨みつけていた。
細い腕に力が入っているのがはっきり分かるほど、筋がたって見える。

「ゆう…」
「そのまま出てくんなや、矢口…ええから、その場で聞いてくれへんか?」
「……」
「一つだけ言わしてもらおっか…うちは矢口に思われてるほど憐れやないで。
 ここに…うちが一番スキな人がおるんやからな」

……
あたしはヒステリーの波に押し流されそうになるのを必死で食い止めようとした。
こんなことになるなんて…思わなかった。

「ごっちんは…カン違いしてるで。うちは矢口と比較なんかしてへん。
 こんな…こんな身勝手なコトをしゃあしゃあと言うようなんは…うちの知ってる矢口じゃあらへん」
「……」
「うちが言いたいのは…それだけや。邪魔したな…あ、ごっちん、あとで外で待ってるで」
「……」
「返事せ〜よ…パスタのおいしい店知ってんねんで?」
「う…うん…」

ゆーちゃんはあたしの身体を一度だけ軽く抱きしめて…部屋を後にした。
抱きしめられた時と同じままの姿勢であたしは固まっていた。
あたしは…なんて取り返しのつかないことをしちゃったんだろう…

「やぐっちゃん…」
「……」

シャワーからはじける音が強さを増した。
…黙って部屋を出て行くしかあたしには出来なかった…
138 名前:0120 投稿日:2000年12月09日(土)09時09分31秒
うわ〜、おもしろいぃぃーーー!!!!
久々に読ませてもらったら、こんな展開に・・・。
どうしてこんなに、読まずにはいられない話しがたくさん
書けるんでしょうか? 続きも期待してるんで頑張って下さい!
139 名前:T.N 投稿日:2000年12月09日(土)11時29分15秒
毎日、更新しているかチェックするほど、先が気になっています!
いいですね、波乱、やっぱり少しは、ないと・・・
とにかく最高です!頑張って下さい!

140 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月10日(日)02時32分56秒
今日の一言はお題がないので控えさせていただきます(w
では、いつも通りにさんくすを〜

>>138 0120さん
感激していただいて書いているほうも嬉しいです。
まあ、書くことは楽しいです♪ それとモーニングへの屈折した愛かな?(w

>>139 T.Nさん
こんな小説に毎日更新チェック入れていただいているだけ嬉しいです。
そーゆーこと言われるとやっぱり最低1日1レスでもつけないと…
毎日書いてるほうがテンションが維持できるので書きやすいんですけどね。
141 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月10日(日)02時34分25秒
外に出ると…ゆーちゃんが壁に寄りかかって待っていた。
でも、俯いていて…悲しそうな横顔をしていた。
あたしは声をかけそびれそうになったけど…ちゃんとした声で呼んだ。

「ごめ〜ん…待った?」
「お、ちょっと待ったぞ。むっちゃ外寒いし…」
「……」
「ほな、行こうか? 明日はちょい始まるの遅いから…部屋に来んか?」
「うん…」

ゆーちゃんはさっきのことをまるで意にも返さない様子だった。
やぐっちゃんとケンカしてるなんて微塵も見せてない。
ホントなのかな…? ホントに比較してないのかな…?

「な、何やねん、じっと見て…ゆーちゃん、テレるがな〜」
「……」
「まぁ…さっきはゴメンな。うちも大人げないことしたわ」
「ゴメン…あたし今日は家に帰るよ」

あたしは…このままじゃゼッタイにいけないと思った。
やぐっちゃんとゆーちゃんが仲良くないなんて…ゼッタイにいけない。
この二人がいることでどれぐらい場が和むか分かってない。

「……」
「ちゃんと考えて。ホントにあれでいいのか…でもね、この問題はあたしは首を突っ込まないよ。
 ゆーちゃんと…やぐっちゃんの問題だから」
「…厳しいなぁ…ごっちんは」
「やぐっちゃんはまだ中にいるよ」

ホントはものすごい不安だよ…行かせたくないよ…
でも、あたしがゆーちゃんのことをホントにスキで…ゆーちゃんもホントにあたしがスキで…
それを証明するにはどうしてもやぐっちゃんの祝福が受けたい。
みんなから…祝福されたいんだよ…

「ちゃんと話し合ってよ。お願い…このままじゃゼッタイにダメだよ…」

ポケットに手を突っ込んだままのゆーちゃんは…寄りかかっていた身体を起こした。

「分かった…」
142 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月10日(日)02時55分00秒
「でもな…ごっちんには待ってて欲しいんや」
「えっ…?」
「うちが矢口と何でもあらへんことを証明するためには…ここで待ってて欲しいんやよ」
「……」

ゆーちゃんはあたしをきつく抱きしめた。
これが最後の抱擁じゃないと…願いたい。行かせたらダメかもしれないと…思いたくない。
この抱きしめてるチカラを全部変えてでも…護りたい。

「もし、30分経ってもうちが出てこなかったら…ケータイに電話してくれへんか?」
「うん…うん…」
「うちは必ず出る。そんで…ここに戻ってくる。矢口と二人で」
「……」
「ごっちんの前で認めさせたる。うちがホンキでごっちんをスキなことを…」

あの時の朝、寝起きのゆーちゃんが言ってたみたいに…
言葉はいらない。こんな風にゆーちゃんの体温を間近で感じられれば…何もいらないよ…

「それじゃ…行ってくる」
「うん…」
「ごっちん、うちな…ホンマにごっちんのことをスキになれてよかったわ…」
「……」

悲しそうにゆーちゃんは微笑んで…再び扉をくぐって行った。
必ず…あたしのトコに帰ってきてね…
143 名前:りるる 投稿日:2000年12月10日(日)03時32分50秒
ごま・・・ええ子やな〜。
行かせたくないけど行かせる気持ち・・・分かる。
ゆーちゃん、帰って来るんだよー!って言ってみたりして。(わら)
144 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月10日(日)03時37分54秒
ゆーちゃん、ちゃんと帰って来いよ
145 名前:ばね 投稿日:2000年12月10日(日)06時59分40秒
ごまいし一筋なはずだったんですけど…すっかりはまってしまいました、裕ごま。
ごまが潔くてかっこいいなぁ。裕ちゃんは…ごまの想いに応えられる人であって欲しいです。切望。
146 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月10日(日)21時49分04秒
待ってまっせ!
147 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月11日(月)02時04分25秒
クライマックスが近づいてきた…ようですね。
今週中には終わると思います。話の「肝」の部分なので多くは語りませんが…
ではでは〜いつも通りさんくす〜

>>143 りるるさん
ごまはかなり現実離れした尽しっ子です(w
ここで行かせないと話にならないので…

>>144 名無しさん
レスありがとうございます〜
ゆーちゃんがちゃんと帰ってくるか…それがこの話のクライマックスです。
どうなることやら…ってオレは決めてるんですけどね。

>>145 ばねさん
レスありがとうございます♪
ゆうごまって意外とハマります。危険なほど(w
ごまの潔さって恋愛中のときしか発揮されません。ごまのする恋愛は彼女を強くします。
その想いの答えられるのは…誰でしょうか?(w

>>146 名無しさん
レスありがとうございます〜
今上げますんで…どうぞ!
148 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月11日(月)02時05分24秒
階段を駆け上がって…うちは一直線に楽屋に向かっていた。
矢口のことやからきっと楽屋にいる…シャワー室にはいなかったし。
見えてきた楽屋…確か今日はモーニングの後は誰も使わんとかゆーてたし。

「はぁはぁ…」

思いっきり息が上がっている。
うちは…何とか呼吸を整えて扉を押し開けた。

部屋は…一箇所を除いて真っ暗だった。
鏡の前のスポットライトだけが点いている。
そこに矢口らしき人物が…突っ伏していた。

「や…矢口…」
「……ゆ、ゆうこ…?」
「あの…何や…」
「どぉして…どぉしてこんなところに来たんだよぉ…」

目を真っ赤に腫らして…矢口はきつい眼差しでうちを睨みつけた。
きっと…シャワーから出てきてずっとここで泣いていたんやろうと思う。

「…ごっちんに…言われて来た…」
「お願いだから…一人にして…お願いだから…」
「そんなわけにはいかん。うちが…謝らんといけないから…」
「どぉしてだよ…ヒドイこと言ったの、ヤグチだもん…」

再びあふれたナミダを…矢口は乱暴に拭った。
何かに耐えられないように頭を横に振る。

「どこかで…まだゆうこはヤグチのことをスキでいてくれてるんだって…カン違いしてた…」
「……」
「ヤグチが一人しかいないから…だから、ヤグチはよっすぃ〜を選んだの」
「もうええやんか…」
「よっすぃ〜と一緒にいるのに…ごっちんにゆうこを取られたのが…」

「ごっちんにゆうこを取られたのがすっごい悔しかったんだもん…」

……
矢口のキモチは、まだうちがウェイトを占めてる…しかも想像以上に。
いつでもよっすぃ〜を逆転できるくらい…うちがその気になればいつだって…

「ゆうこも…ごっちんと話してる時、ヤグチの前よりもずっとずっと…楽しそうだから…」
「…もうそれ以上言わんでええ…」
「ゴメンね…ゴメンね…ゴメンね…」
「それ以上言うんやない!!」

うちは…無意識に矢口を抱きしめていた。
あまりにも懐かしい意識と感覚に酔っていた。
149 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月11日(月)02時14分33秒
もっと書いてなぁ!今日は、これだけ?
150 名前:T.N 投稿日:2000年12月11日(月)02時22分08秒
今日は、切ない、やぐちゅー?イイですね!
でも、裕ごまも大好きです!
どうなるのかな!
次回、やぐなちゅー・・・リクエストだめですか?それも痛いヤツ希望!熱望!
151 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月11日(月)02時45分04秒
話を書いているうちにレス二つ…かなりビックリ。
この場で返させていただきます。

>>149 名無しさん
レスありがとうございます♪
今は書いては上げ、書いては上げの繰り返しで時間がかかります。
1レス分だけ出来たんで上げます。それで今日は最後ですね。

>>150 T.Nさん
今日はというか…この場面はせつないやぐちゅーです。
やぐなっちゅ〜は…オレではなく別スレの人にお願いいただけると…(w
でも、書いてみたい気もします。スキだし。
152 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月11日(月)02時45分44秒
「……」
「……」

黙ってうちと矢口は力強く抱き合っていた。
お互いが風で飛ばされないように…忘れかけた感情を取り戻すように…
崩れたものを再び積み上げるように…必死で抱きしめあった。

「ダメだよ…こんなことしちゃ…ダメだよぉ…」
「……」
「…ゆうこ…聞いてるの?」
「…聞いてる」

うちの頭は目の前にいる矢口のことだけで頭がいっぱいだった。
やっぱり…ごっちんとは比較やったんや。ホンマにうちが欲しかったんはごっちんやない。
ここに抱きしめてる…矢口や。ごっちんやないんや…

(ゆうこっ!…へへっ♪ どお? やぐっちゃんに似てた?)
(も〜、忘れちゃダメじゃん〜…『モーニングコーヒー』だよ♪)
(べ、別…に。ゆーちゃん、スキだから…)

何かがフラッシュバックするようにごっちんの笑顔がよぎった。
これは…ホンマにうちが望んでることか? 矢口を追いかけることがホンマに望んでることか?
目の前にいるごっちんを薙ぎ倒して行くことが…ホンマにええことなんか?

(ごっちんの前で認めさせたる。うちがホンキでごっちんをスキなことを…)

さっきまで威勢のいいうちはどこへ行ったんや…
こんなことして…まさに一時の感情に流されて、矢口っていう名の麻薬に酔うのが正しいんか…?
そんなん聞かんでも分かってるわ…

ゼッタイちゃうわ…ゼッタイ…
こんなんするために…ここにきたんちゃうわ。

「…矢口」
「…うん…」
「ごめんな…うちはもう矢口のものやあらへんわ。もう…ごっちんのものや」
「……」
「ここまでしてもうちを引き戻せるチカラがごっちんにはあるみたいや…
 確実に…スキになってる。ごっちんを…」

うちは…ゆっくりと矢口の身から身体を離した。
153 名前:T.N 投稿日:2000年12月11日(月)04時20分45秒
今日は、切ない場面と言う意味だったのですが・・・
それと、やぐなっちゅー、FANTASISTAさんが書くのを読んでみたいのです!!
どおにかなりませんか?
154 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月12日(火)13時08分49秒
ぐっときますね!
155 名前:Oー150 投稿日:2000年12月12日(火)17時58分45秒
おぉぉ一気に読みました。。。
凄いっすね〜凄いっす・・・。もうこの一言に尽きます。。
やっぱごまに力入れて読んじゃう僕としてはこの展開気になる所!!
続き頑張って下さい!!
156 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月12日(火)23時52分55秒
そろそろと言うか…もしかしたら完成してるかもしれません。
ちょっと書いている途中ですが、できれば今日中には…頑張ります!
でわでわ〜、さんくす〜

>>153 T.Nさん
ど〜しても痛めのやぐなっちゅ〜を書いて欲しいみたいですね(w
需要があるなら書いてみたいと思いますが…なんせ隣のスレが本家がなもんで…
意見を聞いてみたいですね。他に見たい人いますかねぇ〜?

>>154 名無しさん
レスありがとうございます♪
今日はもっとぐっとこさせます(w

>>155 Oー150さん
これはこれは遠路はるばる…(w
ありがとうございます!! いちごま書きとしてはやはりごまに(にやり
最近ごまもスキらしい…ってオレってばモーニング全員スキらしい(w
157 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月12日(火)23時54分47秒
「ゆう、こ…」
「ごっちんは…矢口に喜んでもらいたいんやって…うちと付き合うのを…認めて欲しいんやって…」
「……」
「矢口が想像してるようなことは…ごっちん考えてへんで。
 よっすぃ〜を取られたからイヤガラセでうちと付き合ってるなんて…あらへんよ」
「そ…そんなの…誰が証明するんだよ!!」
「うちが証明したる」

真っ直ぐに矢口を見つめる。
うちの言葉に偽りがないことを認めさすには…口で言ってもしょうがあらへん。
行動で示さんとあかん。

「うちがごっちんをスキなことがその証明にならへんか?」
「……」
「矢口は知らんかもしれへんけど…あの二人はもういつも通りやってるで。
 ゴタゴタが起こる前と全く同じ状況に戻してる。それが…」
「…もぉ…分かったよ…」

そう言って矢口はうちの横を通り過ぎ…半歩後ろで止まった。

「ヤグチだって…ゆうこがスキだったんだよ? ごっちんのキモチが分からないわけないでしょ…」
「……」
「今日のごっちんの態度を見れば分かるよ…ホンキでゆうこのことをスキだって…」
「矢口…」
「分かった。信じる…ごっちんとゆうこのこと…信じてみる…」

矢口はそのまま…部屋を出て行った。
うちは自分のしたことに言葉にならない満足感を覚えていた。
これでええんや…もう、何のしがらみもなく、ごっちんをスキになれるんや。
158 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月13日(水)00時05分31秒
あたしは入口をずっと見ていた。
ゆーちゃんが入ってすでに20分ぐらい経つ。追いかけたかったけど…
信じたかった。あたしをホンキでスキでいるのか…信じてみたかった。

「……」

ゆらりと人影が見えた。小さな一つの影だった。
あれは…やぐっちゃん…

「…ごっちん」

あたしのカオを見るなり、やぐっちゃんはやさしく微笑んだ。
ゆーちゃんの姿が見えないのは…どうしてなんだろう…

「ゴメンね…ヤグチ、カン違いしてた。ごっちんがヤグチにイヤガラセしてるのかと思った…」
「……」
「でも、それが違うんだって…ゆうこが教えてくれたよ。だから…」

「だから、ゆーちゃんのこと、ヤグチの分までスキになって欲しいんだ…」

身体を震えが駆け抜けた…
欲しくて欲しくてたまらなかったその言葉を…あたしは手に入れることが出来た。
その瞬間、あたしはやぐっちゃんに抱きついていた。

「お〜い!! ヤグチはゆうこじゃないぞっ!!」
「ありがと…ありがと…やぐっちゃん…」
「くすぐったいよぉ〜…そ〜ゆ〜トコ、よっすぃ〜と一緒だね」
「ご、ゴメン…」
「んじゃ、ヤグチ帰るね〜。ゆうこ、すぐに来ると思うよ。後は…任せたぁっ!!」

やぐっちゃんはあたしの背中を思いっきり叩いた。
思わず息が詰まったが…あたしは嬉しくて嬉しくて、痛みなんか感じなかった。
ちょっとカッコつけて、振り向かずに右手を振っているやぐっちゃんを見て…
あたしは何もかもが解決したような気がした。

かつかつかつ…

聞こえてきた足音は…どことなくクセがある。
誰だかすぐに分かってあたしの心臓は高鳴った。

かつん!

「ごっちん」
159 名前:ま〜 投稿日:2000年12月13日(水)00時11分24秒
かぁ〜!たまらん!
FANTASISTAさん!あんた最高っす!
続きをがんばってくらさい。
160 名前:いずのすけ 投稿日:2000年12月13日(水)00時21分20秒
矢口かっこいいぞ!!
やっぱり心からの祝福がないとね。
続きが楽しみです。
161 名前:トーア 投稿日:2000年12月13日(水)00時35分57秒
本当に最高だ〜。痛め書くのうますぎるっす。
では、ラスト楽しみにしてます。
162 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月13日(水)00時53分37秒
うちが入口に戻る頃…矢口はとっくに帰っているようだった。
待っててくれたごっちんがうちを見て微笑んでいた。
…と、思ったが…

「ゆーちゃん…ど〜してやぐっちゃんと一緒に帰ってこなかったんだよ〜?」
「い、いやぁ…なんかいろいろ気持ちの整理みたいんがあって…何でそんなムクれてんねん」
「だって〜『矢口と一緒にごっちんがスキなこと証明したる』って言ったのに〜…」

ムクれているごっちんは…半分照れが見え隠れしていた。
おそらく、矢口がなんかゆ〜たんやろ〜けど…

「やっぱり今日は帰ろっかなぁ?」
「な…何でやねんっ! ちゃんと誤解といたし、これからごっちんと…」
「そ〜だね…ならさ、一つだけ、お願いしちゃっていい? 叶えてくれたら…許したげる」
「あ〜、分かったがな…魔法でも何でもごっちんのために使うたる」

半分投げやり口調で言った言葉が…ごっちんにはカチンと来たらしい。
ぐっと睨みを効かせると頬をぷくっと膨らませた。

「ふ〜んだっ! 何でもしてくれるんだね!? それじゃ…この曇った空をいっぱいの星空にして!!」
「な…何ゆ〜てんねん!!」
「ほら!! 出来ないじゃんか!! 魔法でも何でも使って願い事叶えてくれるんじゃないの!?」
「……」

「魔法なら、使える」

ごっちんとの距離が一息でゼロになる。
その柔らかい唇が…どうしても欲しかったその唇の距離までもがゼロになる。

「……!」
「ほら…効いたやんか…世界でたった一人にしかかからへん魔法やけど」
「……」

ごっちんは…カオを真っ赤にして俯いた。
行くあてのない気持ちが爆発して…どうしていいか分からないようだった。
ちょっと…カッコつけすぎやったかな?

ぽす…ぽす…

「! な、何やねん! そんなに胸を叩かんといて〜な」
「…あたし、どうしてこんなにゆーちゃんのことスキになっちゃったんだろ…」
「……」
「どうしてして欲しいことまで…分かっちゃうの?」
「カオに書いてあるやん」
「そお? そんなに…キスしたいってカオ、してた?」
「そーやな。今したばっかりなのに…まだ、足りんってカオしてるわ」

うちは…再びごっちんの唇を奪った。
互いの背中に回る手に余分なチカラが抜けていた。

うちらは自然体だった。こうすることが…当たり前になった。
163 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月13日(水)01時02分20秒
     ★ ☆ ★ ☆ ★

「ねぇ、ゆうこ…」
「ちょ、何やいきなり抱きついてきて…!」
「今日さ、一緒に飲みに行かない? よっすぃ〜お酒弱くって…」
「お、たまにはええなぁ…ごっちんにはナイショやで…」

「誰にはナイショだって!?」

「な…ごっちん…」
「ま〜た、あたしに隠れてコソコソ出かける約束!?」
「た、たまにはさ、ヤグチにもゆうこ貸してよ。代わりによっすぃ〜貸すからさ」

「…誰を貸すんですかぁ!? 矢口さん…」

「げっ!! よっすぃ〜…聞いてたの?」
「おかげ様で。最初っから全部聞いてましたよ…ぜ・ん・ぶです」
「…ゆうこ…」
「…矢口…」

「「二人ともっ!! いい加減にしてよっ!!」」

「「は…はぁい…」」

−FIN−
164 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月13日(水)01時13分09秒
はい! これにてゆうごま編は終了です。最後まで甘く書けた…と思います。
一応これはやぐよしの外伝的要素の強い作品ですが、
なんかこっちの方がいいような…それは言っちゃダメですかね?(w
結構、書き切って充実感があるので俺的にはマルなカンジです。
製作中につけてくれた人たちにさんくす〜

>>159 ま〜さん
この作品を書く上でのすぺしゃるさんくすはま〜さんになりますね。
あの「後藤と中澤」がなければこの作品は誕生しませんでした。
ありがとうございます! 続編も楽しみにしてますよ、めいっぱい(w

>>160 いずのすけさん
やはり甘めは全員の祝福が大事です。例え表面的でも(w
矢口がカッコいいんですけど、ちょっとだけ強引になったかな?

>>161 トーアさん
痛め…というか、書いているオレは切なめなんですけど…どっちでもいいです(w
ラストまで上がったんで、どうぞ!

…次回作は痛めやぐなっちゅーって言う話が上がっていますが、現段階では未定です。
なんか他人のスレでやってるカップリングをここでパクっている気が…(w
そこで、やぐなっちゅーを含めてリクエストしてくださると嬉しいかと思います。
何でも書きますが…基本的には多数決かな? 書きやすさにもよりますけど(w
165 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月13日(水)01時18分37秒
どうでもいいけど、題名を忘れてました。
一応「キスまでの距離」と言うコトで。
某村山様の作品とはとは関係ございません(w
166 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月13日(水)01時31分01秒
お疲れ様でした。とても好きな作品です!
おいらも、痛めのやぐなっちゅー読んでみたいス!でもゆうごまパート2も読みたい!
後、裕子アンドかおりなんてのは???裕子が、かおりに甘えるようなの!
このコンビみた事なくないですか?
167 名前:りるる 投稿日:2000年12月13日(水)02時06分34秒
いや〜、お疲れさまでした!(パチパチパチパチ!)
こっちも最後まで面白く読ませてもらいました。
うんうん。ハッピーエンドでよかったです〜。
ホントにゆーちゃんいい魔法持ってるな〜。(わら)
次は痛めですか?なっち痛めをリクしてしまいまっす。
168 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月13日(水)02時06分43秒
ゆうごま すき
最近少しずつ増えてきた?やっすーの痛めなやつがいいなぁ
他の珍しい組み合わせもいいかも

某村上様の新刊が出るみたいですね。
169 名前: 投稿日:2000年12月13日(水)02時21分05秒
ゆうごま、最近お気に入りー(はあと)
某村山氏の新刊は12/25発売予定ですね(笑)
170 名前:シーマ・ノブナガ 投稿日:2000年12月13日(水)03時28分10秒
いつもいつもお疲れ様です。
毎回楽しみに読んでます。
次は圭ちゃん絡みで是非!!
出来れば甘めで・・・・
あ、でも泣いてる圭ちゃんもいいかも・・・。
171 名前:いずのすけ 投稿日:2000年12月13日(水)10時17分27秒
ゆうごまお疲れさんでした!
ラストのところだいすっき!(笑)
加護ちゃん絡み希望・・・ 何でだろ?
172 名前:0120 投稿日:2000年12月13日(水)23時21分26秒
お疲れ様でした〜。いやーすごくよかったです!!
始めの方からすごく大好きな作品です!
最後はみんな幸せになってくれたんで、こっちまで
幸せな気分になりましたよ。
次回は痛めになるんですか?甘いのが好きですが
痛いのもうまいんで、期待してます!!がんばって下さい。
173 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月14日(木)00時10分53秒
テスト前日に俺はここに来て何してんだか…(w
すごい事になっているんでビックリ…ありがとうございます!!
きっちりレス返させていただきます。

>>166 名無しさん
レスありがとうございます♪
やぐよし編では憂き目に遭ってしまった二人ですが…きっちり救えました。
気に入ってもらって嬉しいです。痛めのやぐなっちゅーを希望ですか…
いるみたいですね、他にも。ゆうかおはちょっと…難しいかな(w

>>167 りるるさん
甘めなんで今回はハッピーエンドで…
いいよね、ゆーちゃんの魔法。使ってみたいよな(w
なっち痛めとのリクは…困った、やぐなっちゅーで代用できるし(w

>>168 名無しさん
レスありがとうございます♪
ゆうごまは読んでも書いてもかなりいいカンジです。未開発なだけに。
やっすーの痛めですか…保田はどこかで書きたいと思ってるんですよ。

>>169 Qさん
レスありがとうございます♪
某村山様の新刊発売は…ホントに久しぶりで楽しみにしてます(w
有名な方ですけど、読者が周りに誰もいないんで知っている人がいて嬉しいです。
174 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月14日(木)00時19分34秒
>>170 シーマ・ノブナガさん
レスありがとうございます♪
別のスレで何度かお見かけしたことがありますが…
こちらにも足を伸ばしていただいて嬉しい限りです。
やっすーのリク…保田の需要が多いのは嬉しいです。どーすっかなぁ…

>>171 いずのすけさん
ラストって…ゆーちゃんの魔法のトコですか?(w
このラストは作品の中盤で「これでシメ!」と決めていたので…
俺的にはもっとあま〜くしたかったのですが…力量不足ですね。

>>172 0120さん
やぐよし編は中盤でコケてしまい納得できない終わり方でしたが…
ゆうごま編で汚名返上できたんでよかったです。
次回作はまだ未定ですが…痛めのやぐなっちゅーが何となくいいかなぁと。
保田を絡ませて石川…ってのもどうだろうとか思ってんですけどね。
175 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月14日(木)00時19分36秒
お疲れ様でした。いつのまにかゆうごま一押しになってしまった
自分としては、すぐにとは言わないので、この話の続きもまた書
いて欲しいところです。
これはつき合い出すまでの話だと思うので、つき合っていく中で
の切なめの話など。今度はやぐよし以外との絡みで、ってそれじゃ
最早外伝じゃなくなっちゃいますけど。
176 名前:ばね 投稿日:2000年12月14日(木)00時22分24秒
お疲れさまでした。あ〜、お腹いっぱい♪
裕ごまはしばらく読まなくても大丈夫そうです。
ごちそうさまでした。(w
177 名前:21 投稿日:2000年12月14日(木)01時31分17秒
おいらも、痛めのやぐなっちゅ−希望!
ゆうごま最高!パート2もおねがいします!
178 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月15日(金)00時50分09秒
めでたくテスト終了。でも、明日もあるのに何してるオレ(w
二度目レス返させていただきます。

>>175 名無しさん
レスありがとうございます♪
やぐよし・ゆうごま編の続きは…今の段階ではちょっと考えてませんが、
書いてみたい気もします。でも、それはおそらくこの後になるだろうかと…

>>176 ばねさん
満足していただいてすごく嬉しいです!
確かにめいっぱい書いたのでお腹いっぱいですね。

>>177 21さん
レスありがとうございます♪
ゆうごまパート2は気が向いたら書くことにします。ちょっと難しくなりそう…
痛めやぐなっちゅー…希望者多いですね。これにしますか…

とゆーことで。次作は痛めのやぐなっちゅーで決まりです(w
隣が本家なので、それとは趣を異にするためにカップリングを変えます。
やぐちゅー×やぐなちの形で主人公は矢口になるかと…
まだプロットすら出来ていないので時間を下さい。
179 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月18日(月)02時18分05秒
話のアタマが完成したので…さっそく上げさせていただきます。
痛めのやぐなっちゅーです。若干甘痛いと思いますが…
後半痛くしていくつもりです。では、スタ〜ト!!
180 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月18日(月)02時19分03秒
pipipipipi…pipipipipi…

『おっは〜!! まりっぺもう起きてる? 今日は早いんだぞっ。ちゃんと起きろよ〜』
「…ふぁ…」

あたしはほとんど毎日来るメールで目を覚ました。
やっぱり、なっちだぁ…ま、あたしが起きる時間まで知ってるのはなっちしかいないけど…

『おっはぁ〜。ヤグチ今起きた〜。チョ〜眠いよ。でも起こしてくれてありがと♪』

目すら半分開かないけど、あたしの指はボタンを軽やかに押す。
いつもどおりに返すメールだ。あたしはなっちとのやりとりで朝が始まる。

「よいしょっと…う〜〜ん…」

ベットから起き上がって大きく伸びをする。
きっとなっちのことだから…あたしが冷蔵庫に行って飲み物を出すまでには返事を返してくる。
コップにミネラルウォーターを注いで…口につけようとする。

pipipipipi…pipipipipi…

ほら、来た…
…ん? あれ? アドレスが違うなぁ。なっちじゃない…

『おはよ〜さん。ちゃんと起きとるか〜? 遅刻したらゆ〜ちゃん怒るで』

あ…ゆうこからだ…珍しいなぁ〜。
メールはいっつもあたしからやってるから…何かちょっとだけ嬉しいな。

『今日は新曲のダンスレッスンの続きだよね? 一緒に一日がんばろ〜ね!!』

あ…なっちも一緒に来てた…
朝から二人に起こされて…何かヘンなカンジだな。
ま、あたしに気をかけてくれるのは嬉しいけど…
181 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月18日(月)02時19分35秒
「…嬉しいなぁ…」

カーテンを引いてあたしは早々に帰ってきたメールを見て笑った。
やっぱり…やっぱり、あたしはまりっぺがいないとダメ。
あの笑顔と声が自分の側にないとどうしても不安になる。

「あんなこと…しなきゃよかった」

ケータイの着信履歴を見て思う…
あの男からかかってきてばっかりだ。でも、ずっと居留守を使っている。
もう、いい加減に嫌気が差したんだ。今は顔も見たくない。

(どぉして…なっちはヤグチのことスキじゃないの…? キライになっちゃったの…?)

あたしがあの男と付き合うって言った時の…ナミダでくしゃくしゃになったカオが思い浮かぶ。
大事なものは失ってみないとわからない、なんて誰かが言ったけど…
ホントだった。まりっぺを失って…あたしはホントに後悔だけしか残らなかった。

「でも…今は違う」

不安をかき消すようにあたしは声に出した。
時間が流れて…あたしとまりっぺは再び仲良くなったが、若干の距離がある。
特に夜の連絡はこちらからしない限り、電話をかけてこなくなった。

まだ…言えないでいる。
あの男と別れたことを…あたしは言えないでいる。
正直に別れたって言って、まりっぺをこの手に抱きしめられたらどれほど嬉しいんだろう…

あの笑顔と声だけじゃガマンできない。
細い身体とひなたの香りがする髪…そのぬくもり全てを感じたい。
あたしのこの五感全てを支配してみたい。

「よし…今日こそ会って言ってみるべ」

あたしは…リビングに足を運んだ。
182 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月18日(月)02時20分05秒
『おっは〜!! 朝からゆうこにメールもらえて嬉しいな♪ 今日も一日がんばろ〜ね!!』

うちは…すぐに返ってきたメールをもらってちょこっと自信がわいた。
最近、どうしても矢口のことが気になってしょうがない。
すぐ側に…息づかいが聞こえるぐらいに側にいると心臓が高鳴る。

(ゆうこぉ…えいっ!!)
(イタッ!! や〜ぐ〜ち〜)
(だって〜、みんな遊んでくれないんだもん。だってゆうこ、ヤグチのことスキでしょ?)
(まぁなぁ…)
(うそぉ…あんなにラジオでスキスキ言ってるのに…『まぁなぁ』ぐらいしかスキじゃないの?)
(…ダイスキやっ!! 矢口!!)
(イヤ〜、みんな〜ゆうこが抱きついてくる〜)

…はっ!!
いかんいかん…思い出してあっちの世界に行ってもうた…
今日もあの感覚が味わえるだけで…モーニングやめられへんわ。

「ま、そろそろかなぁ…うちと矢口が答えだしてええのは…」

最近は二人きりで出かけることも多くなった。
夜は昔はゼンゼンでかけてくれなかったが…二ヶ月ぐらい前から誘われることも多くなった。
なついてくれるのは嬉しいんやけどな…

あれは何か隠してるんやよなぁ。
ま、うちが仲良くする前まではなっちとだいぶ仲良かったけど…
なっちは男が出来てもうて、構ってもらえへんからなぁ…

…ん? なっち…やて?
もしかして…隠していることって…なっちのことか?
イヤ、ちゃうやろ。そんなことだったら、うちに話すもんなぁ。ましてやメンバーだし。

ま、いずれにせよ…矢口はうちのモンや。
誰にも渡さへん。こればっかりはマジや。
…例えメンバーであっても…矢口だけは…
183 名前:T.N 投稿日:2000年12月19日(火)00時48分23秒
わ〜い!やぐちゅーとやぐなちだ!
希望のやぐなっちゅーでとてもうれしいです!
マジ、サンキューです!
某版14日から更新されていませんが、あちらのほうも、のんびりでいいので、
頑張って書き上げて下さい!
184 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月21日(木)00時56分31秒
正式に許可も下りたので更新再開です(w
痛めですが…最初は甘くなりそうな気もします。
デタトコ勝負な書きかたしているので分かりませんが…
ではでは、さんくす〜

>>183 T.Nさん
まあ、一番最初にリクしてくれたので…やぐなっちゅーですね。
某板の更新…14日っていう板を探したら見つかりましたよ、あそこに(w
話を書いたので一応目を通してくれるとありがたいです。
185 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月21日(木)00時57分34秒
「おっはぁ〜!!」

楽屋に飛び込んだあたしの周りにはすでに他のメンバーが来ていた。

「おう、おはよ〜さん」
「ゆうこ〜。おっは〜!! 今日の朝、メールさんきゅね♪」
「まぁなぁ…」

「お、なっち、今日も早いね〜」
「…うん」
「どしたの? 元気ないね?」
「あのさ…ううん、何でもない」

浮かぬ顔をしたなっちはぷっつりとそれだけを言って鏡の方を向いてしまった。
…あれれ? どしたのかなぁ?
カレシとうまく行ってないのかも…最近、あたしにその話しなくなったし…

「矢口さん…」
「お、よっすぃ〜。おっはぁ〜」
「…おはようございますぅ…」
「? どしたの? 何かあった?」
「な、中澤さんに…」

よっすぃ〜の目はいつも以上に潤んでいる。
とゆ〜か…軽く泣いたようだった。

「あははっ。なんや、よっすぃ〜。あんなキスで感激されたらゆーちゃん叶わんで」
「もぉ〜!! あれほどよっすぃ〜にムリヤリキスするなっていっただろ!?」
「ムリヤリじゃあらへんわ。からかってたらしとうなっただけや」
「あのね!! よっすぃ〜はまだヤグチと違って慣れてないんだから!!」

あ…あれ? 今…あたし、ヘンなこと言っちゃったなぁ?
みんな…ものすごいカオしてこっち見てるよ…

「ち、違うよっ! そーゆーことじゃなくて…ダメだって…」
「ぷっ…あはははっ!!」
「ゆ…ゆうこっ! 笑ってんじゃねーよ!!」
「そら確かにそうや。矢口に比べたらよっすぃ〜はキスになれてへんわ」
「矢口さん…?」
「こ、こらぁっ!! よっすぃ〜もそーゆー目でヤグチを見ないの!!」

うわ…すごいドキドキしてきちゃったよ…
確かにあたしはゆうこのことスキだけど…別にそーゆー風に思ったこと…
どぉしよぉ…あたし考え出すと止まらないタイプなんだよ〜!!

「と、とにかく!! ダメだかんね、ゆうこ。イヤがるよっすぃ〜にキスなんて」
「はぁい…矢口にそー言われたら何も言い返せへんわ」
「ったく…どしたの? なっち? ヤグチのカオに…何かついてる?」
「べ、別に…そんなことないっしょ…」

…今日のなっちヘンだなぁ…後で聞いてみようっと。
ま…あたしとしても、なっちが元気ないのはすごくヤだし。
186 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月21日(木)01時28分27秒
あたしは半ば愕然としていた。
もう…あの頃のまりっぺがいないのだと思った。
あたしのことがスキで…あたしもスキだった、あのまりっぺの姿が。

「…まりっぺ…」

鏡に映る自分の姿は…ゼンゼン、カワイクなかった。
…すごいブサイクじゃん。あんなにはじけてるまりっぺとゼンゼン違うじゃん…あたし…

「…なっちぃ〜」
「へっ…?」

いきなり横から声が飛び込んできて…あたしはビックリした。
すぐ隣に…もうちょこっと近づけば息づかいが聞こえるぐらい距離に…
まりっぺがいた。

「何かさ…元気ないよ〜。どこか調子でも悪い?」
「そ、そんなこと…ないよ」
「どれどれ〜」
「!!」

突然ヒタイをつけられて…あたしは目の前がクラクラした。
ほんの5センチ先にはまりっぺのカオがある…唇も…

「う〜ん…もしかしたらチョットあるかもね。ヤグチ体温高いから分かんないなぁ〜」
「……」
「ん? なっち…」
「だ、だいじょぶだよ。うん! だいじょぶだから…」

あたしは頬の辺りに熱を感じてそっけなく横を向いてしまった。
ホントは…こんなコト、したくない…
「ありがと」って一言いって…ぎゅって抱きしめてあげたい。

「分かった…でも、何かあったらヤグチに言ってね」
「うん…」

少しだけ悲しそうなカオをして…まりっぺは自分のトコに座った。
でも、すぐにいつも通りの笑顔を取り戻して…あたしと反対の方に視線をやった。
その先には…あたしが世界で一番羨ましいと思う人物がまりっぺに笑いかけていた。

…ゆーちゃんだった。
187 名前:0120 投稿日:2000年12月22日(金)00時05分32秒
やぐなっちゅー、なっちが切ないですね。
でも個人的には、裕ちゃんとくっついてほしいです。
あいかわらずおもしろいです。続きも楽しみにしてます。
188 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月22日(金)03時01分49秒
ちょっと詰まりぎみですが…頑張って書きます。

>>187 0120さん
基本的には積極的=中澤、消極的=なっちで書きます。
切り札を持っているのは今の段階では…分かりますか?(w
実は書いてるんでどっちか想像して下さい。
ちなみに矢口をどちらにくっつけるかは決めていません。
レス次第では…いろいろあるかも。
189 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月22日(金)03時02分28秒
「なぁ…矢口」
「ん? なぁに〜」
「チョットだけ…ええかな?」
「うん…」

うちはごそごそと座ったまま矢口の側に近づいた。
少しだけ戸惑っているような…うちに何かされるんやないかと身構えているような…
そんな矢口までもがカワイイ…

「あのさ…今夜、ヒマか?」
「えっ?」
「だからぁ…今夜ヒマかって聞いてるんや」
「今夜…うーん、だいじょぶだけど…ってヤグチが夜ヒマなの知ってるじゃん!」
「それじゃあ決まりや…うちに付き合うてくれへんか?」

今日の矢口を見て…決めた。
このモヤモヤしたカンジを吹き飛ばすためには…この手に矢口を抱きしめておかヘンとダメや。
何も気にしない…自分が矢口をスキであるこのキモチだけを信じる。

「いいよ〜。どっかゴハンでも食べにいこうよ」
「そうやな…」
「…? どしたの? なっちだけじゃなくてゆうこもおかしいよ?」
「そ、そうかぁ?」

マジメな話を矢口とあまりせえへんからこんな時は、どうしても表情が硬くなる。
…いかんいかん。チカラを入れるとうまくいくモンもダメになるわ。

「ゴハン誘うなんていつものことじゃん〜。何か大事な話でもある?」
「…そん時話すわ」
「…ゆうこ?」
「そんなにうちにカオ近づけてると…こ〜するで!!」

うちはかすめるように矢口の頬にキスをした。
周りから…狙ったように歓声が上がる。

「あ〜!! ゆーちゃん、またやぐっちゃんにキスしてる〜」
「確かに『矢口はうちのモンや』って言ってるけど…ゆーちゃん、やりすぎだよ…」
「へへっ…」
190 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月22日(金)14時48分04秒
やぐなち強く希望っす
191 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月23日(土)00時44分21秒
超超超超やぐちゅー希望!
192 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月23日(土)00時58分21秒
少し先が見えてきて…書きやすくなった気がします。
どーすっかなぁ…この後…

>>190 名無しさん
レスありがとうございます〜♪
話の始めの方は少々やぐちゅ〜色が強いと思いますが…
中盤から後半にかけてなっちが盛り返してきます。
やぐなち…最近、ケモノミチ化しつつあるカップリングですが…
何とかこれで盛り返せればいいなぁと思ってます(w
193 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月23日(土)01時01分14秒
>>191 名無しさん
レスありがとうございます〜♪
やぐちゅーとやぐなち…完全に真っ二つですね。
あらかじめ言っておきますが…俺は熱烈なやぐちゅら〜です(w
でも、だからといってやぐちゅー決定と言うコトは全くもってないです。
書いててラストが変わることが多々ありますので(w
194 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月23日(土)01時02分05秒
「そんなにうちにカオ近づけてると…こ〜するで!!」

あ…
あ、ああ、あれ? 何で…何で? なんでだよぉ〜!!
どうして…あたしこんなにカオが真っ赤になってるんだ?

「へへっ…」
「ゆ、ゆうこ…」
「ん〜? 何や、カオ真っ赤やで、矢口」
「……」

うるさいよっ!!…って言い返せなかった。
まるで頬を叩かれたようにあたしはキスされた頬を抑え…
その感触に酔っていた。

「あ〜、やぐっちゃん、ゆーちゃんにキスされて嬉しいんだ♪」
「そ…そんなことね〜よ!!」

やっと出た言葉は…ホントに反射的に出た言葉だが…あたしの思いと裏腹だった。

「…ごめんな、矢口」
「そ、そんなつもりで言ったんじゃないよ!!」
「ぷっ…ジョ〜ダンやて。どした? 今日はなっちもおかしいけど…矢口も十分おかしいで」
「も、もうっ!! ホント〜に…」

あたしは大きく息を吸い込んだ。
その姿を見て…周りのみんなが耳を塞いだ。

「ゆうこなんか〜…ダイキライだぁぁぁぁっっ!!」

一瞬だけビリビリと空気が震える。

「お〜…今日の矢口、ええ声してるで〜」
「…さいてぇだぁ…」

あたしは…急に胸が詰まるような思いにとらわれて、この場にいるのが辛くなった。
自然と身体が立ち上がる。

「…矢口?」
「!!」

思いっきりゆうこを睨みつけて…あたしは楽屋を出た。
195 名前:T,N 投稿日:2000年12月23日(土)01時35分02秒
いつも、楽しく読ませて、頂いています!
やぐちゅー!も・・・やぐなち!も大好きですが!
意外性を持たして、主役の矢口が・・・で
最終的に、ゆうなちというのはムリですよね!
196 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月23日(土)01時59分57秒
やぐちゅ〜派の作者さんなら・・・
197 名前:ヤグヲタ 投稿日:2000年12月23日(土)02時34分28秒
主役が矢口なら相手が誰でも可
198 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月23日(土)13時44分45秒
どうも190っす。
自分的には、やぐなちが
どうしても見たいけど…作者さんにまかせるっす
199 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月23日(土)21時10分38秒
やぐよしをもっと書いて欲しいです。主役が矢口ならいいんだけどでも矢口とよっすぃがすき
200 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月23日(土)23時50分24秒
そろそろビックウェイヴが来るかと思います…あ、まだかも(w
でも後々には…なっちが絡むと痛くなると思います。

>>195 T,Nさん
一応矢口が主人公でゆーちゃんとなっちに狙われるというのがコンセプトです(w
主人公をほっぽってゆうなちは展開として面白いですけど…やりません、多分。
やっぱり矢口書きとしてはどうしても…矢口がいないと落ちつないので。

>>196 名無しさん
レスありがとうございます〜
確かにやぐちゅー派ですが…ラストは決めてません。
Meicos保存のやぐなち読んで今はチョット…わかんね〜マジで(w

>>197 ヤグヲタさん
レスありがとうございます〜
結局はそうなんですよね。俺もそうだったりする(w

>>198 名無しさん(190)
やぐなちもスキなカップリングなんですよね〜、オレ。
今回のラストはかなり悩むと思います。

>>199 名無しさん
レスありがとうございます〜
やぐよしは…というか、今回は吉澤が登場しない作品です(w
現在ドンガメ更新の白板に行っていただければやぐよし書いてます。そちらで。
201 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月23日(土)23時51分30秒
「今のはマズいんじゃない?」
「そっか〜? ま、矢口はすぐにあ〜ゆ〜ことあっても忘れるからだいじょぶやろ?」
「でも…泣いてましたよ。今の矢口さん…」

うちには矢口が泣いているようには見えんかったなぁ…
ま、からかうことなんか日常茶飯事やし…こんなコトで矢口がうちをキライになるとも思えんわ。

「だって…今、うち何か悪いことしたかぁ〜?」
「キスしてからかったじゃないですか」
「あれはからかいなんかじゃあらへんよ。うちマジやもん」
「……」

何やねん…みんなどないしてそんなに睨むんや…

「わ、分かったがな…うちが謝りに行けばええんやろ?」
「そのと〜りです」
「へいへい…」

うちが立ち上がって後ろを振り返ると…側にはなっちがいた。
どこかへ行こうとしているみたいやな。

「ん? なっちどこ行くん?」
「ゆーちゃんが今行ったら…ケンカしちゃうかもしれないっしょ? だから…
 なっちが代わりに見てきてあげるよ」
「そ、そうかぁ?」
「このまま、まりっぺとケンカして終わりたくないでしょ?」

なんつー冷たい言い方するんや、なっちは…
いつものなっちならもっと穏やかに物事言うやろーに…

「かまへん。うちが行くからええわ」
「…なっちに行かせてよ」
「???」
「いいから…なっちに行かせてって言ってるの!!」

苛立つようになっちは吐き捨てて…はっと我に返った。
自分のこぼした言葉を恥じるように俯いた。

「…分かったわ。なっち…頼むで」
「う、うん…」

少しだけ頬を赤くしてなっちは足早に楽屋を出て行った。
なんや…揃いも揃って今日はみんなおかしいなぁ〜
202 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月24日(日)01時05分56秒
「ゆうこの…ばかぁ…」

あたしは…トイレの鏡の前で自分の顔を見ていた。
ずっとみているのは、ホントに一ヶ所所だけ。
ゆうこにキスされた…その頬だけだった。

唇でもない気軽なキス。何度もゆうこにされてきたキスの一つ。
でも、どーゆーわけか今度は違う。
こんなにドキドキして…自分が嬉しくなるキスはされたことがなかった。

「…ばっか…」

だから茶化された時…すごく悲しかった。
あたしはゆうこがスキなんだろう…もう、それは認めるよ。ゼッタイそうなんだ。
どことなくキモチが似てる。あの時みたいに…
なっちをスキになったときみたいに…

「まりっぺ…?」
「あ…なっち!!」

あたしは急に気恥ずかしくなって鏡の前から後ろへ後ずさった。
なっちだった。一瞬でもなっちのこと考えてて…しかもなっちが来たから…
ビックリしちゃったよ。

「だいじょぶ?」
「う…うん! なんか勢いで飛び出してきちゃっただけだから…」
「そうならいいけど…ってウソついちゃダメだってば」
「えっ?」

ふっ…となっちの手が伸びて、あたしの頬を軽く撫でた。
親指で頬をなぞるように指を動かす。

「…泣いてるじゃん」
「あ、ああっ!? あれ? 別にそんなつもりじゃないのに…」
「ねぇ…まりっぺ」
「?」

なっちはやさしくあたしの頬を触れたまま、訊ねてきた。
やさしいなっちのカオだ…あたしがスキだったなっちのカオだ。
もう一度モノにできるのなら、ゼッタイに独占したい…なっちのカオ。

「ゆーちゃんって…スキ?」
203 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月24日(日)01時25分28秒
震える手を必死でごまかして…あたしはまりっぺに聞いてみた。
きょとんとした大きくて、丸い目があたしのことを見返している。
純粋で何も知らないその双眸が…あたしを中を駆り立てる。

(このままぎゅ〜と抱きしめて…言いたいこと言えたらあたしはどんなに嬉しいだろう…?)

「…スキ、なの?」
「うん…スキだよ」

…分かっていたことだよ。アタマの中ではゼッタイにそうだって…分かってた。
ゆーちゃんがまりっぺのことがスキで…まりっぺもゆーちゃんが好きなんて…
あたしだけじゃなくて、ファンですら知ってることだ。
でも…でも、こんな風に現実に突きつけられると…

「ダイスキだよ…ゆうこのこと。今のヤグチの生活に大事なヒトだもん」
「そう…なんだ! そうだよね〜…」
「最近ね、一緒にいると…ドキドキするんだよ〜? なっちには教えたげるね」

耳を塞いであたしはこの場から逃げ出したくなるのを必死にガマンした。
ここでまりっぺの話を聞かなかったら…またまりっぺを傷つけることになる。
あのカオだけは…ナミダでいっぱいのまりっぺは二度と見たくない。

「さっきね…チューされたでしょ? あの時…すっごい嬉しかったんだ。でも…
 みんなが見てたでしょ? それでゆうこが…何でもない、みたいな態度とったから…」
「……」
「なかなかゆうこ…ハッキリしてくれないから…ちょっとイライラしちゃってね。
 もうだいじょぶだよ。ありがとね♪ なっち」
「まりっぺが元気になってくれれば…なっちも嬉しいよ」

表情がどことなく硬くなってしまったのは…しょうがないと思う。
こんなコトを…自分にとってこんなに苦しいことをされて笑える自分にビックリした。

「あ、そだそだ♪ なっち…」
「なあに?」
「あのさ…最近、うまくやってるの? その…ほら、カレシとだよ…」
「……」

もう限界だった。

「早く戻ろう。みんな心配してるよ」
「えっ…ちょっと…」
「ごめん。じゃあ先にあたしだけでも…戻ってるね」

この場にいるのがツラかった。
まりっぺの声を聞くのもカオを見るのも…どちらも限界だった。

あたしは…このやり場のないキモチをどうすればいいんだろう…?
204 名前:シーマ・ノブナガ 投稿日:2000年12月25日(月)03時37分55秒
どことなく痛くなりそうな雰囲気・・・。
後半痛くなるって書いてたってことは
既に後半ですか?
205 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月27日(水)01時56分53秒
久しぶりの登場です!
何となくですが、ラストをどうするか決まって来た気がします。

>>204 シーマ・ノブナガさん
痛くするといったので…とことんではありませんが、痛くします。
今は後半ではないですけれど…中盤にさしかかった辺りですね。
まだしばらく続けます。
206 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月27日(水)01時57分37秒
「待ってよっ!!」

あたしはなっちを追わなければならないような気がした。
ヒドくなっちを傷つけてしまった…そんな気がしてならなかった。

「…!!」
「待ってよ…なっち!!」

楽屋とは正反対の方へなっちは逃げる。
逃げていた…あたしと接触するのをあからさまに拒んでいた。
その姿がさらに不安を募らせる。

「待ってってば!!」
「…!!」

なっちの足は悪いけど、そんなに早くない。
ましてや、ここはリノリウム張りの床だし、靴ではなく、スリッパだ。
今だけ、たまたま靴を履いているあたしが追いつけないわけがなかった。

「…なっち…泣いてるの?」
「な…泣いてなんか…泣いてなんかないべ…」
「…聞いちゃ悪かったの? あのヒトのコト…聞いちゃいけなかったの?」

ナミダをいっぱいこぼして…なっちはあたしに抱きついてきた。
チカラいっぱい…今まで抱きしめていなかった分を取り戻すようにチカラいっぱい…

「まりっぺ…まりっぺ…あたし…」
「お、落ち着いて話してよ〜…ね? なっちの話…ちゃんと聞くからさ」
「…ありがと…ありがと…」

あたしより背の高いはずのなっちが…ずっと小さく感じた。
そして、思い出していた…あの甘くて、楽しかった日を…
なっちがスキだった記憶が戻りかけていた。
207 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月27日(水)02時22分14秒
「……」

なっちは…しばらくあたしに抱きついたまま何もしなかった。
理由を聞きたかったけど、あたしは聞かなかった…ううん、聞けなかった。
これだけなっちのぬくもりを感じられることに…酔っていた。

「あのね…なっち、別れたの」
「…?」
「あの男と…別れたの。もう…イヤになっちゃった」

意外とサバサバした様子でなっちは話し始めた。
抱きしめる身体は少しも離れていない。
誰かが頻繁に通るような場所じゃないけど…誤解されてもおかしくなかった。

「何で…? 何で別れたの? なっち…何かされたの?」
「ううん、そうじゃないよ。思ったよりやさしいし…ヒマ見て会ってくれるし…」
「じゃあ何で? なっちのことがあのヒトもスキなのに…どこがイヤになったの?」
「……」

なっちは黙り込んで…あたしの胸にカオをうずめた。
ふるふると首だけを振って…子供が母親に抱きつくように黙った。

「……」

ためらいがちにあたしはなっちの髪を撫でた
あたしみたいにブリーチをきつくかけていない髪は…CMじゃないけど、サラサラだった。
あの頃からスキだった。なっちの髪が…あたしはたまらなくスキだった。
そして、それは今も変わってない。

「いいよ、なっち…ヤグチにムリに話さなくても…なっちが落ち着くまでこうしてるよ」
「…まりっぺ…」
「うん…?」
「あの…ね。お願いがあるの…」

喉に声を詰まらせながら…でも、なっちはハッキリとあたしを見て…告げた。

「……ゆーちゃんのトコに…行かないで…」
208 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月27日(水)02時46分54秒
…うちは居合わせてはいけない場所にいた。
なかなか帰ってこないなっちと矢口の様子を見に行って…
トイレにいない二人を確認して…後悔した。

なっちに行かせるんやなかったと…やっぱりあの二人は過去があったんや…

「…ってよ!!」

矢口の声が聞こえて…うちはそっちの方に向かって走った。
誰かを呼び止めるような声だった。状況からして止めようとしてる相手は…なっち。
それから…その声が聞こえなくなって、うちは通路の死角に隠れた。

「…なっち…泣いてるの?」
「な…泣いてなんか…泣いてなんかないべ…」
「…聞いちゃ悪かったの? あのヒトのコト…聞いちゃいけなかったの?」

ハッキリと、何を意図しているのか分かる会話だった。
最近、なっちが例の男とうまく行っていないのはひしひしと感じていた。

やがて…二人の距離がゼロになった。
感極まったなっちは別として…それを受け止める矢口には『慣れ』があった。
よくあるためらいなどどこにもなくて…お互いを知り尽くした抱擁だった。

(なっちと矢口は…やっぱりそうやったんか…)

自分のキモチがヒドく鬱な方に傾くようでうちはまともに見ることができんかった。
矢口みたいなカワイイやつが、浮いたウワサ一つないなんておかしいと思っていた。
でも、寄りによってなっちとは…シャレにならんで…

「あの…ね。お願いがあるの…」

それからこぼれたなっちの言葉は…ヒドく残酷なものだった。
やっぱり居合わせるべきやなかったと、後悔した。
飛び出したいキモチを必死に抑えてつけて…うちはあと来た道を戻った。

(なっちがそう来るんやったら…うちも負けへんで…)

理由のない怒りと、やり場のないもどかしさがぶつかり合う。
矢口がスキなのはうちだけでええんや…この世に二人もいらへん。
ましてや、男を捨ててやっぱり矢口がええなんて…そんな理屈ゼッタイ認めんわ。

これだけはゼッタイに譲らんと決めたんや…なっちには悪いけど、諦めてもらうで…
209 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月27日(水)14時08分39秒
痛い、痛すぎる・・・。
210 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月27日(水)18時36分53秒
矢口、なっちと幸せになって欲しい。
211 名前:0120 投稿日:2000年12月27日(水)19時03分41秒
うおーー!!すごい展開ですね!!
痛いけど、切ないけれど、すっごい楽しいです
でもなっちより、裕ちゃんとくっついてほしいですね〜。
続きもめっちゃ期待してます、がんばって下さい。
212 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月27日(水)21時35分20秒
同じく裕ちゃん希望〜
「男を捨ててやっぱり矢口がええなんて…」
ねえさんの決意がいい感じ♪

213 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月28日(木)00時45分35秒
きましたね、お得意の痛い展開。
安倍対中澤か。なっちゅー好きにはきつい話だ〜(涙)。
でも、たまにはそれもまたよいか。果たして二人の対決はあるのか。
214 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月28日(木)01時50分34秒
裕ちゃん 悪いけど今回だけは なっちに譲ってください。お願い。
っちゅーわけで、ミー的には(笑)やぐなち希望!!
でも、やぐちゅーも好きなんだよな。でもやぐなち、カナ。
215 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月28日(木)02時08分53秒
今日、朝の暴露番組(関西系)で、カラスの演歌歌手が、
ずっと前から、脱退したがってる・・・
芸能関係者が、彼氏と居酒屋でいるのも何ども目撃している・・・
事務所からストップがかかっているので、名前は、いえませんが・・・
ってこれ中澤でしょ!
と言うことで
娘でいるために!やぐちゅーで、お願いします!
216 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月28日(木)02時14分37秒
一度できた溝をうめるのは難しい!
…てことでやぐちゅー希望!
217 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月28日(木)18時06分55秒
最近、やぐちゅーが多い中あえてやぐなちにするべき!
と言いつつ作者さんにおまかせします。
ってほんとやぐなち少なくなった・・・。好きなんだけどなぁ。やぐなち。
218 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月29日(金)02時15分12秒
うわっ!! すごいレスの数…ビックリだよ、オイ(w
とくばんが見れなくて凹んでたけど、嬉しい。
きっちりレス返させてもらいます。

>>209 名無しさん
痛いと言ってもまだ序のですよ。これからますます…

>>210 名無しさん
まず一人目がなっちですね。どちらが多いか数えたいですね〜

>>211 0120さん
まあ、痛めのやぐなっちゅーですので…展開は切ないです。
いつも楽しみに待っていてくれているのでこちらも気が抜けません。
とりあえず中澤に一票ですね〜

>>212 名無しさん
お、中澤に二票目。
まぁ今の段階では中澤の正論が強いですけどね。
219 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月29日(金)02時24分04秒
>>213 名無しさん
得意の展開です、はい。久しぶりの痛めなんでちょっと躊躇がありますが…
二人の対決は…ズバリあります! 書く予定です(w
もう少しあとになると思いますが…

>>214 名無しさん
なっちに二票目。完全に割れてるなぁ〜。
やぐなちって最近書かれないんですよね。みんなやぐちゅーかやぐよしで。
私生活のせい…じゃないよね?(w

>>215 名無しさん
えっ!? ゆーちゃん辞めたがってるんですか?
実はあんまりモーニングのこと知らないんで、びっくりです。
でも、ゆーちゃん辞めたらオレはかなりイヤ(w
これで中澤再びリードですね〜

>>216 名無しさん
一度できた溝が…さらに二人を深くすることもあるんですけどね(w
現実の世界はだめだろうけど(w
中澤が二歩リードです。うーん…偏りないなぁ〜

>>217 名無しさん
あえてやぐなちもいいですよね? これでまた縮まった…
やぐなちってホノボノしてていいです。やぐよしと違ったカンジで。
また、誰か書いてくれないかなぁ…(w
220 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月29日(金)02時25分21秒
「……ゆーちゃんのトコに…行かないで…」

あたしは…サイテーだ。
さっきゆーちゃんのことがスキだと言ったまりっぺに…こんなヒドいコトを頼んでいる。
そんな自分がトコトン惨めだった。

「…なっち?」
「お願いだから…ゆーちゃんのコト…これ以上スキにならないで」

あたしの口はとどまることを知らなかった。
こんな…こんなサイテーなことをしている。
自分が捨てた相手を…また自分の手元に取り戻そうと、キタナイことをしている。

「……」
「ゴ、ゴメンね…あたし…」

身体を離そうとしても…それをまりっぺが許そうとしなかった。
あたしの腰を押さえつけているまりっぺの手に…チカラがこもっていた。

「ヤグチは…今、誰がスキなんだろう…?」
「……」
「自分のスキなヒトが…分からなくなっちゃった。誰がスキなのか…分からないよ」

まりっぺはこつん、とあたしと額を合わせた。
何かを考えているように…目を伏せたままだった。

「ゆうこはスキなんだよ。それだけじゃなくて…やっぱりなっちもスキなんだって…」
「……」
「だから…これ以上スキにならない保証は出来ないよ。ヤグチは…やっぱり…」

やっぱり…?
ゆーちゃんのことがスキなの? それとも…あたしのことがスキなの?

「……」

まりっぺは答えてくれなかった。
221 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月29日(金)02時40分34秒
おお!ひさしぶりにきたらなんかいい感じ♪
僕的にはやっぱ中澤希望かな…。
あ〜でも、やぐなちも捨てがたいっすね。(w
あのほのぼのさは捨てがたいっす!

…でもこれ痛系なんだよね?(w
なんか不幸ななっちも最近ツボなんだけど…あれ…だめ?(w
222 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月29日(金)03時11分01秒
やぐちゅーは、もういいよ!
お願いだからやぐなちにしてくれ。
223 名前:名無し 投稿日:2000年12月29日(金)03時18分38秒
やっぱ、痛めのやぐちゅー!で
お願いします!
224 名前:0120 投稿日:2000年12月29日(金)10時30分18秒
いやー、完璧に意見がわかれてますねー(w
昨日のとくばんではやぐちゅーでしたよ。
現実では二人はもう、小説以上にいちゃついてるんで
なっちでもいいかもなぁ・・・。
どちらにしても、FANTASISTAさんの小説自体が
好きなんで楽しみにしてまーす
225 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月30日(土)00時28分01秒
今日はバイトもないんで落ち着いてUPできます。
さあて…どんなカンジかなぁ?

>>221 名無しさん
やぐなちのホノボノさはやぐなちしか出せないんですね。
最近、なっちの不幸キャラ似合いは…なぜなんでしょうかね?(w
ま、俺の書くなっちも不幸キャラなんですけど…毎回…

>>222 名無しさん
やぐちゅーが多いからやぐなち…なるほど、それも一理ある(w
確かに「あの頃〜」書き始めた時に比べて多いような?

>>223 名無し(さん)
結局どっちやねん(w
ま、さっきの人と違うと思いますが…やぐちゅーですね。
困った…どっちも完全に分かれてる。なら、どっちでもいいってこと?(w

>>224 0120さん
とくばんのやぐちゅー…見たかった(ナミダ
実際のテレビでやぐちゅーが仲いいの、ど〜ゆ〜わけか見たことがない(w
見てる番組が少ないせいもあるけど…
226 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月30日(土)00時29分58秒
「矢口…準備できたか〜?」
「ちょ、待ってよ〜!! まだ着替え終わってない…」
「うちが手伝ってやろ〜か?」
「ば〜かっ!! オヤジみたいなこと言ってんじゃね〜よ!!」

うちはいつもどおりに仕事を終えた。撮影だったせいか大して気も使わなくてよかった。
矢口は何食わぬカオをしてうちの誘いに乗った。
あの後…二人に何があったのか、分からんが…少なくとも、すぐに付き合うことはないよーだった。

「うち、今日クルマで来てんねん。先に地下行ってるで〜」
「ちょ、待ってよ〜!! ヤグチ、あそこ暗いからコワイんだもん」
「はよせ〜よ。ホンマに…着替えおっそいなぁ…」

メンバーのほとんどはすでに帰った。
辻加護がまっさきに帰り、ごっちんもよっすぃ〜と一緒に帰り…
なっちもあっさりと帰っていった。あまりにもあっけなくて…拍子抜けしたぐらいだった。
何か矢口に諭されたんかもなぁ…

「お待たせ〜♪」
「おっしゃ。んじゃいこ〜か…」
「こらっ!! ゆうこ、ココは禁煙だぞっ」
「ま、固いことは気にせんといて…」

矢口の手を取り上げて…その指をしっかりと絡ませた。

「ちょ、ゆうこ…」
「恥ずかしいか?」
「べ、別…に〜」

コートの中に矢口の手を閉まって…うちは歩き出した。
このまま矢口をポケットに入れて持って帰りたい、という衝動が駆け抜ける。

(今夜中にはハッキリしとこうか…こーゆーのは先手必勝やからな)
227 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月30日(土)00時51分55秒
助手席にちょこんと座って…あたしは何を話していいか分からずに困っていた。
結局、なっちには告げられなかった…なっちだけがスキだとは言えなかった。
当たり前じゃん…ゆうこだって、スキなんだもん…

「……」

ベベルを口に加えているゆうこの運転姿は…正直、カッコいい。
隣でその姿を見れるだけでも…あたしはこのクルマに乗りたくなる。

「ヤグチも吸っちゃおっかなぁ〜?」
「やめときや。身長伸びなくなるで」
「ふ〜んだ!! ヤグチはね、身長伸びちゃいけないんです〜」
「あ、そやな。『ミニモニ。』やもんな…」
「それに…だいぶ前に止まっちゃったもん…」

ゆうこと歩いているときほど、あたしは身長がもう少しあったらなぁと思う。
隣にいて…一緒に、同等に見られたいと思う。
そんなことを話すと…決まってゆうこの答えはこうだった。
その答えにあたしは何度も救われて…そのたびゆうこがスキになった

(矢口は小さいから矢口なんやで? うちと同じぐらいの矢口なんかちっともカワイクあらへんわ)

「なぁ? 矢口?」
「…は…はぁい?」
「…何ぼぉーとしてんねん…今日は…ちょっと寄り道してかんか? ええトコ知ってるんや」
「オイシ〜ゴハンのお店とか?」
「そうやないんやけど…ま、食事はその後やな…」

少しの笑いもない…凛としたゆうこの姿にあたしはびっくりした。
撮影の時に作るりりしいゆうこのカオが…なぜか、今日はそのままここにあるカンジだ。
あたし…何かされるかな? もしかして…告白とかされたら?

そしたら…あたしはどうするんだろう? 何て言えばいいんだろう…?
228 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月30日(土)01時10分54秒
「…着いた」
「ココって…どこ?」
「さぁ? うちもわからへんわ。でも…外出れば分かるで」
「な、なんだよ〜…今日のゆうこ、何かちょっとヘンだぞ〜」

うちは…しばらくクルマを走らせて、自宅のそばにあるとある場所に着いた。
ここが、この辺で一番高いところだった。うちが知る限りで…一番、キレイなトコだった。

「うわぁ…」
「ここがうちの秘密の場所や。なんかツライことがあったり…ヘコんだりしたらココに来るんや」
「……」

一望とまでは行かなくても、ここから都心のビル群が見渡せる。
その光景が…東京をあんまり知らん、うちの知ってるサイコーの景色だった。

「ま、そんだけの場所やけどな…んじゃ、どっかでゴハンでも食べに行こうか?」
「えっ? えっ? そん…だけ?」
「そ〜や? 何か他にあるんか?」
「そ、そんなこと…ないよ…」

こんなトコで白黒つけたらうちはホンマもんのお笑い種や。ドラマじゃあらへんし。
今日、矢口を家に帰さんようにして…じっくり攻める。
お笑いみたいに返されるのがうちにとって一番怖いからなぁ…

「も、もう少しだけココにいようよ〜」
「…寒いからほどほどにして欲しいんやけど…」
「じゃあさ…もっと近づいてよ…手を繋いだりしてれば…温かいと思う…けど?」
「…ええんか?」
「…うん」

もしかしたら…うちが思っているよりずっと楽なのかもしれへん。
もう、なっちを上回るほど…うちのことをスキになってくれてるのかもしれへん。
だったら…世の中ラクなんやけどなぁ〜。
229 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月30日(土)01時36分42秒
「じゃあさ…もっと近づいてよ…手を繋いだりしてれば…温かいと思う…けど?」

あたしの言葉は全てをかけていた…
どこかで願っていた。このココロのモヤモヤを何とかして取り払って欲しいと…
ゆうこなら出来そうな気がした。なっちも忘れ去れてくれるんじゃないかって…
どこかで期待してた。

「……」

ゆうこの手があたしの腰に回る。
何度もされている行為だけど…今日はいつになく、ドキドキした。
みんなの前ではどこか『日常』って雰囲気があるけど…
そうじゃなくって…今のはプライベートな…言葉にするのがすごく難しい。

「あ…ヤグチも…タバコちょ〜だい…」
「お、おう…」

さっきまでタバコはダメだ、何て言ってたのに…あ、もしかして…
ゆうこもキンチョーしてるのかな? そーだったらチョット…嬉しいな。

街はcereblation 喪服を纏って…
子供らを生贄に 聖なる祭りは続く…
愛してるって言って あなたの口から…
この世界が再び まぶたを閉ざさぬうちに…

カーオーディオから聞いたことのない曲が流れていた…
あたしは…ゆうこから火をもらってタバコを吸おうとした。

「…やっぱり…あかんで」
「なんだよぉ〜!! さっきまでいいって言ったじゃんかぁっ!」
「こっちの方が…ええと思うけど?」

ちょいっとタバコを取れてから…不意にゆうこの唇が重なってきた。

「!!」
230 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月30日(土)02時02分31秒
瞬きするよりも早くキスが始まり…そして、終わった。
キスというよりも、ホントにチョットだけ、ぽんっと触るぐらいの早さだった。

「……」
「……」

あたしは…ゆうこのカオを見ることができなくて、俯いたままだった。
ずっとあたしの身体を抑えているゆうこの手にチカラが入ったかと思ったら…
その瞬間、思いっきり抱きしめられていた。

「矢口…」
「…はぁい」
「このまま…家に持って帰ってええか…? 誰にも…渡さないように持って帰ってええか…?」
「……」

銃声が響いても 二人はキスを止めない…
愛してるって言って ウソでもいいから…

「ゴメンな…うち、なっちのいるトコ、見てもうたんや…」
「えっ…?」
「なっちが、『これ以上スキにならないで』ってトコまで…」
「……」
「せやけど、こうして来てくれた。だから…ホンマに嬉しくて嬉しくて…」

「矢口が…スキや。メンバーの誰よりも…なっちよりもずっとずっと…スキや」
「……」
「だから…矢口も…」
「…うん…」

愛に傷ついて また愛を信じた…
約束は永遠と 疑わなかった二人…

「お願い…ヤグチを…スキになって。誰にも負けないくらい…ヤグチをスキになって…」
「……」

地球より青い愛に気づいた二人…
誰にも止められない 真夏の奇蹟…
地球より速く回り始めた恋は…
誰にも止められない 真夏の奇蹟…

FMから流れる時季外れな曲が終わる頃…
二度目のキスは…すでに深くなっていた。
231 名前:FANTASISTA 投稿日:2000年12月30日(土)02時04分41秒
うわっ! 何かエンディングっぽくなっちゃったよ(w
まだまだ終わりじゃないです。老婆心ながら。
今年はこれで終わり…です。たぶん。その分多めにUPしました。
では、みなさんよいお年を(w
232 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月30日(土)02時15分37秒
や、やっぱりやぐちゅーなのか・・・。
希望は・・・ないのか・・・。
233 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月30日(土)04時47分39秒
やぐちゅーだ!!!
BUTこの後、やぐなちにんりそうだな?
>215
この芸能番組みましたが、あのカラス・・・裕ちゃんですよね!やっぱり!
オイラもちょっと凹み気味!

作者さん、ゆぐちゅーで元気にして下さい!
234 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月31日(日)08時02分55秒
なっちがあまりに可愛そう…
やぐちゅーは今までいっぱいあったんだしせめて今回は…
235 名前:名無しさん 投稿日:2000年12月31日(日)20時51分55秒
なっちはなっちで自業自得じゃん(w
やぐちゅー希望
236 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月01日(月)04時45分18秒
まあまあ、喧嘩ふっかけないで。
荒れたら困るので。
237 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月01日(月)06時47分52秒
>>236
 それだけみんな気にしてるって事かな?
 これだけ白熱してるのも珍しいよ。
 確かにやぐちゅー派となっちゅー派では割れるとこだよね。
238 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月02日(火)00時04分16秒
やぐちゅーはどんだけあってもイイので、
このままやぐちゅーがいいなあ。
239 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月02日(火)08時51分33秒
んー…なんかいろいろ意見あるようだけど
おれは作者さんの文章好きだし、
作者さんの好きなように書いていってほしいな。
240 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月04日(木)03時18分28秒
>>237
なっちゅーじゃなくてなちまりだろ?
241 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月05日(金)01時54分44秒
あけおめ…っておそいじゃん、俺ってば(w
すみません。年始暴れててネットできませんでした。
きっちりレス返させていただきます。

>>232 名無しさん
現時点では…そうですね、やぐちゅーです。
でも、希望はあります! これからやぐなちですから…

>>233 名無しさん
はい、予想通りにやぐなちとのカラミがあります(w
しかし、ゆーちゃん…娘。にいるのがホントにイヤなのかなぁ?
そうだったらチョット悲しいぞ…

>>234 名無しさん
なっちがあまりにかわいそう…ですね、ホントに(w
このままだとやぐなっちゅーじゃないので…ちゃんとなっちのほうも書きます。
でも、今回の話は…どちらかが救えないと思います。ホントかよ?(w

>>235 名無しさん
それを言われてしまえば、確かに自業自得だわな(w
でも、別れてから「しまった!」って思うことない? ないよね…(w
242 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月05日(金)02時04分51秒
>>236 名無しさん
確かに荒らされるとちょっと…でも、放置の方がもっと痛かったりする(w

>>237 名無しさん
こんな小説に、ホントに注目してくれてありがとうございます。
もともとこーゆー小説は書かないハズなんですけど…いや、ホントに(w
やぐちゅーVSやぐなちがこんなに激しいのは予想できませんでした。
その分、ヘンな終わらせ方ができないプレッシャーも(w

>>238 名無しさん
このままやぐちゅー…それはないですね。なっちの反撃があります。
どんなカタチでもやぐちゅーがいいのは分かりますけど。

>>239 名無しさん
俺の文章がスキなんて…ホントに嬉しいです。
やっぱり「文章がスキ」って言われるのは自称物書きとしてはサイコーの誉め言葉です。
言われるとおり、オレのスキなように書かせていただきます(w

>>240 名無しさん
確かに…まあ、間違えなんて誰にでもあるでしょ? 例えば俺とかさ(w
243 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月05日(金)02時43分51秒
「「おはよ〜ございます〜」」

「あ、中澤さん、矢口さん、おはようございます〜」
「石川か〜…おっはぁ〜…」
「ど〜したんですか? 二人とも…疲れてるんですかぁ?」
「寝てないんだよぉ〜…」

あれから…あたしはゆうことゴハンを食べにいって…
そのまま、ゆうこの家に泊まってしまった。
別にえっちしたとか、そんなことはなかったけど…
一緒に寝ていたことは否定しない。

「あれ? 矢口さん、昨日と同じカッコですよ?」
「ま、まぁね…チョットいろいろあってさ…」
「中澤さんと一緒にいるって…まさか!!」
「い、石川っ!! 声が大きいぞっ!!」
「…なにかあったんですか? そんなに大きな声出して…」

…こいつ…天然まるだしじゃんか…
ま、このことはしばらくメンバーに黙ってるつもりだし…
なりより、なっちには言えなかった。
正直…キモチが傾ききっていない。だから、なっちには言えない…

「…矢口とはそこで会うたんや。ところで…なっちはまだ来ておらんか?」
「まだみたいですけど…遅刻ですかね?」
「うーん…でも、『今年はなるべく遅刻しない』って言ってたような?」
「あ、そうですね…」

遅刻なら…必ずあたしのトコにメールが来るはずだ。
『まただよっ。どーしよ』とか『うわ〜ん。寝過ごしちゃった!!』とか…
誰よりも早く、なっちらしいメールが来るはずだった。

「あ…夏先生だ。どうしたんだろ? まだチョット早いのに…」
「えーと…今日はなっちがカゼで休みって連絡入ったから…なっち抜きで練習するよ」
244 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月05日(金)10時14分52秒
やぐなちにして欲しい。やぐなちの幸せを久しぶりに見てみたい。やっぱりなっちでしょう。やぐちゅーはいっぱいあるんだし、たまにはやぐなちをして欲しい。
245 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月05日(金)12時16分05秒
…ま、まぁ落ち着けって…
246 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月05日(金)18時04分23秒
やぐなち大希望だな。
247 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月06日(土)00時35分50秒
やぐなち編にそろそろ突入です。どちらを矢口を取るのか…
困ったことに俺も決めかねています。ここまできてラストが決まらないのは初めてだ…

>>244 名無しさん
やぐなち欲望まっしぐらですね〜。改行もせずに(w
そろそろやぐなちですけど…楽しんでいただければ幸いです。

>>245 名無しさん
まあ、その通りですね(w
この時点でこんなにコーフンされたら…やぐなち編はだいじょぶかな?(w

>>246 名無しさん
お、ここからやぐなちが盛り返してきてますね〜。
果たしてやぐなち編が終わったらどうなることやら…
248 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月06日(土)00時36分34秒
「ねえ…ゆうこ…」
「あいよ」
「あいよって…あのさ…」
「何やねん。言いたいことがあるんやったらハッキリ言いや」

一通り、レッスンが終わり…一休みしている時だった。
隣には…矢口がいる。昨日よりもずっと近づいた矢口がいる。
でも…矢口のカオは晴れなかった。

「あのさぁ…なっちのこと…なんだけど」
「…お見舞いに行きたいんか?」
「…うん」
「……」

分かりきってたことやった。矢口のカオが晴れない原因なんか…すぐに分かった。
なっちがいないこと。ただそれだけやった…
今日、なっちが休んだのは…うちにとっては大きな誤算になった。

「ダメ…だよね〜。やっぱり。ゆうこと一緒にいたいんだけど…」
「だけど?」
「だけど…だけど…」
「……」

ここで矢口を行かせたら確実に元の木阿弥になるのは目に見えてる。
昨日まで積み重ねたものが全て崩れる。何もかもが…なくなる。
あくまで切り札はなっちが握っている。
これだから…イヤなんや…過去があるっちゅーのは…

「だけどね…ハッキリ決着つけたいんだ。一日も早く…ゆうこだけを見たいんだ…」
「うちは…そう言ったら何も言い返せないやんか…」
「そうだよね…」
「…行ってきや。矢口の気が済むようにやってみればいいんや」

あまりにも分が悪い賭けになる…そんなんは誰に言われるまでもなく、うちが分かってる。
ただ、現時点でリードしてるのはなっちやなくてうちや…
急いだ分、少しだけ余裕がある。その分を…矢口に任せてみるしかなかった。
少しでも矢口自身の中でうちを想うキモチが昂ぶってくれれば…うちのブッちぎりや…

「ありがと…」
「けどな、一つだけ約束して欲しいことがあるんや」
249 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月06日(土)00時59分46秒
「約束?」
「そや…必ず、うちのコトを選ぶこと。そんだけや」
「……」

矢口は押し黙って、俯いてから…カオを真っ赤にした。
耳まで真っ赤にして…うちの肩をばしばしと叩いた。

「もぉ〜…こんなトコで恥ずかしいこと言うなよなぁ〜…」
「ホンマのことや…うちはマジやで。矢口をなっちに取られたら…」
「分かってるよ…ちゃんとなっちに言うよ。ヤグチがスキなのは…ゆうこだって…」

うちは…座っている矢口の髪をくしゃっとした。
自然に矢口が…うちの肩に寄りかかる。

「ゆうこって…ホントにヤグチのことスキなんだね〜…ビックリしたよ…」
「そうかぁ? 周りは…ゼッタイそうやと思ってるやろうけど?」
「ゆうこってみんなにキスしたり…抱きついたりしてるじゃん? だから…」
「あれはリーダーとしての仕事や。し・ご・と。矢口の場合は…ちゃうから…」

身体の向きを変えるとうちは真正面から矢口を抱きしめなおした。
レッスンで動かした身体が妙に熱くて…何とも言えんキモチになる。

「あ、汗臭いよ〜…今のヤグチ…」
「構わんって…こ〜して矢口の熱を感じていられれば…感触を感じていられれば…」
「あははっ。何にもいらない?」
「何もいらんわ。矢口だけが…欲しい」

抱きしめる手にチカラを込めると…矢口の方もしっかりと抱きしめ返してくれる。
首筋に軽く吐息をかけて…求めるように矢口の小さな唇を塞ぐ。
チャームポイントと豪語するだけあって…キスの味は別格だった。

「はぁ…ゆうこのキス…うますぎ…」
「こんなんでグッタリされたらレッスンどーすんや…?」
「もう知らないよぉ…」

なっちのトコへ行く気を失せさせるぐらいのキスが出来たら…
それぐらいのキスが出来たらいいのに…

そんな風に初めて思った。
250 名前:238 投稿日:2001年01月06日(土)02時07分44秒
ああ、すいません。じゃ、ちょこっと訂正。
最終的にやぐちゅーだと良いなあ、ってことで(ワラ

やぐなちがいいっていう理由が、やぐちゅーはいっぱいあるからって
のが府に落ちなかったもので。
251 名前:0120 投稿日:2001年01月06日(土)02時23分16秒
今の所、甘いやぐちゅーなんだけどな〜。
痛くなるのは、なっちでですか?
あ〜でも最後には今みたいなやぐちゅーがいいですねぇ・・・
けれど切り札はやはりなっちが持ってるからなー
ここまで先が読めないおもしろさ!!・・・って
作者さんも悩んでるからあたりまえかな(w
ま、ともかく続き頑張ってください
252 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月06日(土)03時43分30秒
執筆中に電話が入ってしまいました。こんな時間だし(w
1レス書いたので上げさせていただきます。

>>250 238さん
間違いなんて俺もありますよ。よく読めば細かいところが…ホラ(w
まあ、作品の良し悪しはカップリングの量じゃないのは分かります。
よしんばそうだとしたら、最高峰はいちごまになってしまいますし。
あ…「我が闘争」っていちごまだっけか?(w

>>251 0120さん
痛くなるのは後半…そろそろです。
今回は中澤となっち、どちらかが救えないと言うコトになりそうです。
キーポイントは…これから書く予定の「なっちとの過去」です。
ここの流れが…どちらかを決める指針となりそうなカンジです。
あ、これはあくまで現時点でのプロットですよ(w
253 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月06日(土)03時44分45秒
「…なっちの家…かぁ…」

不安でいっぱいのゆうこを見送りを受けて…あたしはタクシーでぼんやりとしていた。
あの日以来…なっちに別れを告げられた日から行っていない。
あの頃はお互いの家に泊まりっこしてた。そして…呆れるぐらい囁きあった。
…ゼッタイにスキだよって…

(まりっぺ…なっちってこーゆーカッコ似合わないかな?)
(え〜!? そんなヤグチみたいなカッコじゃなくて…こーゆー古着っぽい方が…)
(そうじゃなくって…まりっぺみたいなカッコしたいべさ)
(…なっちはそーゆーカジュアルな方がヤグチはスキだな。aikoってみたくって…)
(は…はははっ!! ありがとっ!! 嬉しいなっ♪)

あれ…? あたし…なっちのこと考えてる?
やっぱり…なっちなのかな? あたしは…なっちのことがスキなのかな?

あ…メールだ。
誰だろ? こんな時間に…ゆうこは車に乗ってるし…

『真里…逢いたい』

……
懐かしい…すごく懐かしい…
こんなに短いメールなのに…なっちのメールだってすぐ分かる。

なっちと付き合い始めてから…あたしはまりっぺじゃなくて、『真里』って呼ばれた。
あたしもなつみって呼びたかったけど…なっちはどこでもなっちだった。
あたしの中では仕事もプライベートも、恋人も…全部がなっちだった。

(どうしよう…なんか…ナミダ出てきちゃったよ…)

こんな短いメールであたしのココロはぎゅ〜って絞られるように苦しくなった。
たくさんの『逢いたい』の中で…一番嬉しい『逢いたい』だった。
もう…不安だった。

ゴメン…ゆうこ、あたし分からなくなってきちゃったよ…
やっぱり…やっぱり…なっちは普通のメンバーじゃないよ。
あたしの中で…いつでも特別だよ…
254 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月06日(土)10時11分55秒
なっちはどうでるんだ?
255 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月06日(土)15時14分36秒
ん〜、やぐなちもいいかもぉ〜っ!
ちょっとそう思ってきた。(w
256 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月06日(土)17時32分20秒
どっちもいいから迷うね〜!!!
257 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月07日(日)00時58分18秒
やぐなち編の執筆中です。自分にとって初のカップリングですが…
これもなかなか切なくてスキかも(w やぐちゅーまではいかないにせよ…
さぁて、ラストはどうなるのか…オレが一番楽しみだったりする(w

>>254 名無しさん
なっちがどう出るのか…それはこの後上げます!
258 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月07日(日)01時00分28秒
>>255 名無しさん
やぐなちも少しいいかも…ふふっ、術中にはまってますね(w
そう思っていただけると嬉しいです。

>>256 名無しさん
どちらのカップリングもいいですよね〜。
でも、どちらかハッキリすることは確かのようです。
259 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月07日(日)01時01分54秒
「…もしもし? なっち?」
「まりっぺ…?」

なっちのマンションの前まで来て…あたしはなっちに電話をした。
来ることはもう伝えてあるけど…なっちの声が妙に色っぽかった。
カゼをひいているせいなのかもしれないけど…

「着いたよ。今…マンションの前だから…」
「…何で…何でそんなになっちのコト…気にするの?」
「それは…なっちが心配だからだよ。ノドにカゼが来ちゃったら…歌えないじゃんか…」
「ホントにそれだけ…?」

あたしは…言葉に詰まった。
それだけじゃない…なっちのカラダが心配だけじゃない…
ホントは…もう一度逢ってキモチを確かめたかった。
なっちがスキかもしれないって…それがホントなのか確かめたかった。

「なっちは…なっちはゆーちゃんみたいにカッコよくないもんっ!!」
「……」
「ゆーちゃんみたいにキレイじゃないし、細くないし、キスだってうまくないしっ!!」
「……」
「…それにもう、ゆーちゃんみたいに…まりっぺのコト、真っ直ぐにスキになれないもん…」

なっちは必死に泣くのを堪えていた…
苦しいなっちの胸のうちがハッキリと伝わってきて…あたしは何も言えなくなった。
ココに…来るべきじゃなかったのかも知れない…

「もぉ…イヤなの…まりっぺとゆーちゃんが一緒にいるのを見ると…苦しいの…」
「……」
「なっち自身と重ねて見ちゃうから…余計に苦しいの!! こんなに…こんなに…」

言葉を切って…なっちはハッキリとあたしに告げた。

「こんなになっちは…まだ真里のことがスキなのに…」

切ないなっちの声があたしの耳に届くと…あたしは携帯を切った。
そして…走り出した。マンションに向かって…
何も考えられなかった。ただあるのは…なっちにすごく逢いたいキモチだけだった。
260 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月07日(日)01時22分03秒
長いこと来ていないはずなのに…足はしっかりと道を覚えている。
エレベーターを待ちきれずに階段を駆け上がる。
なっちの部屋は3階だから、大して時間もかからない。

(もう…あたしはこれ以上ウソつけない…まだ…ゼンゼンなっちのこと忘れてない)

ゆうこには悪いけど、認めるしかなかった。
あの時…なっちにカレシができて、あたしは大泣きした。
なっちが自分の手から離れて…すごくツラくて…泣いてばかりだった。

今度はあたしのことを想ってなっちが泣いている…
なっちにカレシができて、別れたことをあたしは恨んでいない。
しょうがないことだから…なっちはオンナノコだから。あたしもオンナノコだから…

だからこそ、分かるんだ…泣いているなっちがツライコトを…
ものすごくツライから…黙って見てられないんだ…

「はぁはぁ…」

なっちの部屋の前まで来て…あたしは呼吸を整えなおして、インターホンを押した。
…やっぱり返事が返ってこない…
ドアのノブに手をかけると…思った通りに扉が開いた。

「なっちっ!!」

まるで自宅にでも入るようにあたしは乱暴に靴を脱ぎ捨てて部屋の引き戸を開け放った。
なっちは…カーペットにぺたんと座ったままだった。
茫然とこちらを見返すと…珠のように大粒の涙をこぼしてあたしに抱きついてきた。

「真里…真里…真里っ!!」
「なっち…」
「ゴメンなさい…ゴメンなさい…なっちが悪かったよぉ…」
「…なっち…っ!?」

強引に唇を奪われて…あたしはよろけそうになった。
けど…なっちのカラダをしっかりと抱き止めて…あたしの手が…
静かに…なっちを抱きしめた。

なっちのナミダがあたしの頬を濡らす。
カゼっぽい温かなカラダと唇が…あたしの全てをとろけさせていた。
今までの過去も積み重ねも…何もかもを…溶かし去ってしまった。
261 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月07日(日)06時17分09秒
おお?ねーさんぴんち?(w
262 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月07日(日)09時21分10秒
やぐなち!!やぐなち!!
作者さん続ききぼ〜ん。
263 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月07日(日)13時50分02秒
いやーーー!!!
裕ちゃんがんばってーーー。
やぐちゅー!やぐちゅー!
264 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月07日(日)14時09分01秒
やぐなち良すぎる・・・。
新鮮でいいね、やぐなちは。
萌える。
265 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月07日(日)14時21分46秒
あはは!なっちせこい!(w
ひそかに悪女だね。(w
266 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月07日(日)16時00分24秒
あやまられたってゆるしたらあかんて、矢口。
コラ、とけるな!!矢口は裕ちゃんのまえでしか
とろけちゃあかんねやーーーー!!!!!!
267 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月07日(日)23時17分23秒
この場合悪女は矢口の気がするが(w
今後の展開も楽しみ〜♪
268 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月08日(月)01時08分05秒
>>267
あぁ…なるほど。
確かに……はっきりしろ矢口〜!(w
なんか裕ちゃんが哀れになってきたよ…
269 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月08日(月)01時40分11秒
今、青版になちまりあるので!
やぐちゅーといいたいところだが・・・!
作者さんに皆まかせようよ!
270 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月08日(月)03時01分50秒
やぐなち派とやぐちゅー派の対立(?)が激しいなw
まあ作者さん頑張ってね〜。
271 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月08日(月)09時25分54秒
ぜひ、なっちゆうでお願いしますW
272 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月08日(月)12時41分50秒
じゃぁ、僕はやぐちゅーで。W
273 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月08日(月)14時19分43秒
MUSIXみたいにやぐなちで。モー娘。選手権のあの、ほのぼのがよかった。
274 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月09日(火)02時15分44秒
なんじゃこのレスの数は…しかも、こんなに熱い攻防が繰り広げられてるし(w
レス数が多いので簡潔に返させていただきます。すいません。

>>261
少しピンチかな? 巻き返しがありますよ。
>>262
このままやぐなちが行くことはないです。まだ…決めかねてます。
>>263
こっちはやぐちゅー…どっちにしようかマジで悩む。
>>264
しばらく誰も書いてなかったですからね。萌えていただいて嬉しいです。
>>265
こーゆーヒトいるんですよね。後で後悔するヒト(w 笑ってみてやってください。
>>266
こっちはやぐちゅーか…ふむ、こんなにすごくなるとは俺も思わなかった。
>>267
悪女の矢口もなかなかいいでしょ?(w ハッキリしないのは今回のキャラです。
中澤はこれから…巻き返しに出ますよ。ホントに(w
275 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月09日(火)02時21分09秒
>>268
中澤はこれからマジで攻めてきますよ。ゆーちゃんらしく。
>>269
任せてください。どちらかに納得できるような終わり方にさせます。
>>270
対立、マジ激しいです。頑張って書きます!
>>271
きたね、アウトサイドなレス(w こーゆーのダイスキです。
>>272
どっちに転ぶかまだ分かりませんよ〜
>>273
今度はやぐなち…MUSIX観てないんですけど、やぐなちやってるんだ〜。
276 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月09日(火)02時47分59秒
「…なっち…」
「な、何だよぉ…」
「だから、ムリしちゃダメだって言ったのに…」

あたしは…台所でなっちのためにおかゆを作っていた。
ベットの上でなっちが赤いカオをして寝ている。
カゼなんてウソなのかと思ったら…ホントにカゼを引いていた。

「でもさぁ…キスした後、ヤグチに寄りかかって倒れちゃうなんて…」
「なっちらしい?」
「あはは。そうだね〜…」

もはやあたしとなっちの間に障害はなくなっていた。
付き合っていたあの頃とまったく同じような…そんな雰囲気すらあった。

「…ねぇ、真里?」
「はぁい。なぁに?」
「なっちってさ…みんなから見たらサイアクだよね? 特にゆーちゃんとか…」
「……」

味見をしていたあたしの…思考が止まった。
普通の人から見たら…ゆーちゃんから見たら、なっちはサイアクかもしれない。
でも、あたしからすれば…そうじゃないと思う。

「…なっちは自分にスナオなんじゃないかな? 自分に欲しい時は欲しいって言えるトコとかさ」
「そうかな…?」
「そーゆートコ、ヤグチはスキだよ。そう言えばそうだよね〜」
「え?」

あたしは出来たおかゆをベットまで運んで、なっちの前で言った。

「スキだって言うの…なっちのほうがゼンゼン多かった。ヤグチはハズカシイからあんまり…」
「そうだっけ?」
「そ〜だよ〜。楽屋で二人っきりになるといっつもキスしたがったじゃん?」
「…そうだっけ?」
「もぉ〜、そ〜だよ〜…って、へっ…?」

起きぬけのなっちに抱きしめられて…あたしのカラダは固まった。

「じゃあ言うね…なっちともう一度やり直して欲しいんだ…真里がもう一度…欲しいよ」
277 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月09日(火)03時04分46秒
「……」

抱きしめて向こう側の壁を見ながら…あたしはどうしようもないことを頼んでいた。
何かをムリヤリ剥がした後が壁に残っている。
…あたしと真里が腕を組んで楽しそうに笑っている写真があったところだ。

(こ…こんなトコに写真貼らないでよ!! ハズカシイじゃんか…)
(別にいいじゃん。なっちは真里が側にいるみたいで落ち着くし…)
(で、でもっ!! 他のメンバーとか来たら…茶化されるよ? それでもいいの?)
(別に…真里がスキなんだからカンケーないっしょ?)
(も、もうっ…なっちって…こーだから困るんだよ…ヤグチがいっつもさぁ…)
(ブツブツ言わないの!!)

「真里…答えてよ…」
「…うん…ヤグチね…」
「……」
「やっぱり…やっぱり…」

「なっちのコト、どこかでスキだったみたいだよ。こんな風にされて…すごく嬉しいよ」

ゴメンね…ゆーちゃん…
あたしはなぜだか分からないけど、ココロの中でゆーちゃんに詫びていた。
あたしのワガママで…二人を引き裂いてしまったから…

pipipipipi…pipipipipi…

「ご、ごめんっ。チョット電話出る…」
「…ダメ。ゼッタイにゆーちゃんだから…出させるわけにいかない…」
「チョット…なっちってば…」
「お願いだから…お願いだからゆーちゃんのトコに行かないでっ!!」

pipipipipi…

電話が…切れたと思った。
でも、違った。伝言メモに切り替わった電話口から…声がこぼれた。
278 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月09日(火)04時07分16秒
「…うちや。この電話に出ないちゅーコトは…うちの予想したとおりになってんのかも知れへんな…」

ゆうこの声にあたしはその携帯をとることなく、ぼんやりと眺めていた。
なっちは…静かにカラダを離した。

「なっちのトコに行かせたのは…矢口を信用してたからや。矢口がチョットだけでも…
 うちのことがスキなんやと思って…行かせたんや…」
「……」
「なっちとどんな過去があったのかうちは聞かん。どんなことがあってもカンケーあらへんから。
 うちがスキなのは今のヤグチやから…なっちのように…昔の矢口じゃあらへんから…」

あたしの手は…自然と携帯に伸びた。
それをなっちが止めようともしなかった。

「…もしもし…」
「や…矢口…?」
「…うん…」
「…今、何しておったん…?」

あたしは…何も答えることが出来なかった。
ゆうこが想像しているようなことを…してしまっていたから。

「…なあ…矢口はなっちのほうがスキなんか? そんなに…なっちがええか?」
「……」
「ハッキリ…ハッキリせぇや!! 矢口はどちらかしか選べへんねやで!!」
「…うん…」

あたしの目にはナミダが溢れていた…
電話の向こうでゆうこが息が止まったように絶句しているのが伝わってくる。

「ヤグチはぁ…ヤグチはぁ、なっちを放っておけないんだよぉ…」
「……」
「ヤグチのゼンブを知っているから…ヤグチをゼンブ包んでくれたヒトだから…」
「……」
「でも、決められないよっ!! ゆうこだっていなきゃヤグチはイヤなのっ!!
 なっちがいなくなってから…ホントに、ホントにゆうこがダイスキになったんだよっ!!」

苦しくて苦しくて…たまらなかった。
なっちとゆうこ…あたしにとってはどちらも捨てられないヒトで、どちらもダイスキなヒトで…
どちらかに絞るなんて…どちらかを捨てるなんて…できっこないよ…

「もうええわ…電話で話してもラチがあかん…」
「……」
「そこにうちも行く…直接なっちと向かい合って話さんと決められへんわな」
「どうしてもっ!? どうしても…どちらかに決めないといけないの!?」

ゆうこの答えはすぐに返ってきた。迷いのない、強い答えた方だった

「うちかて矢口がおらへんといられないんや…独占するにはそれしか方法があらへん」
279 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月09日(火)07時49分10秒
もうやぐなちはないのか?このままやぐちゅーになるんですか?
280 名前:0120 投稿日:2001年01月09日(火)16時38分20秒
おお!ついに修羅場をむかえようとしていますね。
どうなるんだ?どうするんだー?続きがすごい楽しみです
裕ちゃん頑張ってほしいですがね、個人的には。今の矢口を本気で
好きなのは裕ちゃんだと思うし・・・。過去は・・・忘れて・・・。
そしてそろそろ、このやぐちゅーVSなっちゅーにも決着がつくのかな。
作者さん、頑張ってください。
281 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月09日(火)23時32分49秒
どっちでもイイが頑張って下さい!
その後、どっかにあったが、なちゅー!希望!
その後、敗者と矢口希望!
282 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月10日(水)02時02分11秒
いけいけリーダー!(W
個人的には、やっぱりやぐちゅー希望です。
>>280さんと同意見。
なんかここのなっちは矢口よりもむしろ、矢口といた幸せな時間に
こだわってそうで痛いんすよね。(w
283 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月10日(水)02時29分12秒
そろそろシュラバってきます。それと同時にラストも見えてきました。
今のところ…ラストのカップリングも確定しています。
なっちとゆーちゃん…どちらが矢口を取るのか(w

>>279 名無しさん
いえいえ。これからなっちの言い分、ゆーちゃんの言い分があるので…
矢口がどちらを採用するかです。今の段階では五分五分と思って下さって結構です。

>>280 0120さん
「別れても好きなヒト」なっちか…「付き合っていないけど好きなヒト」中澤か…
あくまで過去軸中心がなっちで、未来軸中心が中澤なんで…
果たしてどちらが本当に「スキ」といえるのか…その辺がキーですね。

>>281 名無しさん
結局矢口、中澤、なっちの全てのカップリングをやってくれと?(w
残念ですけど、その予定はないです。次回作はいしやすにしようかと思っているので…

>>282 名無しさん
ここにきてやっぱり強いやぐちゅー…なっちに関してはその通りです。
過去の矢口に恋しているといって過言じゃないですけど…
矢口の性格からすれば、そこまで自分を巻き戻せるんじゃないか…とも思うんですけどね。
284 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月10日(水)02時30分48秒
…あたしはぼんやりと真里が電話をする姿を見ていた。
何をゆーちゃんとしゃべっているのかすぐに分かった。
それでも…あたしはこの手から矢口を失うわけにはいかない。もう二度と…
あんなツライコトを…させるわけにいかない。

「…真里…」

何かが信じられないように…真里は首を振りつづけていた。

「何を言われたの? ゆーちゃんに…何を言われたの?」
「どぉすればいいの? ヤグチはどぉすればいいんだよぉ…」

誰かがこんなコトを言っていた…女性で美しいカオは泣きガオだと…
振り返った真里の泣きガオは…ホントにかわいかった。
不謹慎だと思ったけど…その姿に言葉にならない快感が走った。

「…真里…」
「ヤグチには…選べないよぉ…なっちとゆうこどっちかなんて…選べるわけないよぉ…」

あたしの肩にきつく抱きついた真里の嗚咽を聞きながら…
全ての原因は他ならないあたしにあると痛感した。
あたしのせいで…矢口がまた、ツライ思いをしてナミダを流している…

でも、このナミダも…きっとこれで最後になる。
ゆーちゃんを退けてあたしだけになれば…真里はきっと幸せになれる。

「…真里」
「ちょ…なっ…ち…」

あたしは真里を押し倒した。
なつかしい真里の戸惑ったカオを見下ろして…あたしはゼッタイに矢口を手放さないと心に決めた。
285 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月10日(水)02時45分05秒
「なっち…」
「もう…誰にも渡さない。例えゆーちゃんでも…もう、誰にも…」

「渡さない」

熱でハッキリしない意識を何とか保ちながら…あたしは矢口の唇をきつく塞いだ。
逃げられないように重心をしっかりと押さえてつけて…動かなくさせた。

「なっ…ち!!」
「真里が…スキ…スキ…スキ…」
「やめてよっ!! お願いだから…やめて…」

少しの抵抗には耳を貸せない。
昔のように…昔のように時間を巻き戻すにはどうしても…
どうしても、真里を抱く必要がある。

「ゆ…ゆーちゃんが…ここに来るんだよぉっ!! だから…だから…」
「なら、余計に…大事だよ…」
「こ、こんなの…こんなの…ヤグチはイヤだよぉ…」

あたしは少し苛立って手早く真里のスカートの手を入れた。
上気した頬に、荒い吐息…あたしの腕をチカラ強く掴むその手のひら…
感じていないわけがなかった。

「っひゃ…な…ち…お願い…やめてぇ…」
「どうしてっ!! どうして…どうして昔みたいに…昔みたいにならなんだよっ!!」

頭をかきむしりたくなるような嫌悪感にあたしは思わず叫んでいた。
うなだれた右手の指に感じる…わずかな湿り気…
こんなコトをしてもどうにもならない…間抜けな右手を眺めてあたしは沈黙した。
286 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月10日(水)03時04分44秒
なっちとのえっちは…初めてじゃなかった。
初めてどころか、あたしにとっては男のヒトよりもなっちのほうがずっとその経験が多い。
あたしのゼンブを知っているのは…ホントになっちしかいない。

「ゆーちゃんに来られたら…なっちはゼッタイに勝てないんだ」
「……」
「今、どんなに真里がなっちのコトがスキでも…ゆーちゃんが来ると変わるんだよ」
「どうして…?」
「なっちと…見ている方向が違うからだよ…ゆーちゃんの方向は…誰が見ても正しいんだよ…」

「なっちだって…今の真里を見ていたいよ!! あの時より…こんなにカワイくなった真里を見たいよ!!」
「見てよ…」
「ムリなんだよ…どうしてもあの頃の真里がフラッシュバックして…」
「ゆーちゃんみたいに…ヤグチを包んで見せてよ!! ヤグチだけを見てよ!!」

あたしにとって…
なっちはなっちだけの役割があって…ゆうこにはゆうこだけの役割があって…
二人が調和してたからきっと二人ともスキになっちゃったんだと思う。
それが壊れようとしている…たった一人にそれを望まないといけなくなっている…

「なっちには…ゆーちゃんのようなことはできない。でも、なっちみたいなことは…ゆーちゃんは出来ない」
「……」
「それを選ぶのは…もう、真里しかいないんだよ。なっちは選ばれる側だから…」
「……」
「ゆーちゃんが来るのを待とう…さっきはゴメンね…」

なっちは居住まいを正して…再びベットに潜り込んだ。
何ともいえない沈黙が…あたしたちを支配した。
あたしは…ぼんやりとどちらかを諦めなければいけない事実を受け止め始めていた。
287 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月10日(水)21時37分38秒
うへぇ・・・。痛い・・・。
もう、決まったんだ・・・。やぐちゅーっぽいなぁ。
なっち・・・。あぁ、でもがんばって希望もとう。
288 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月11日(木)00時03分38秒
やぐちゅーがいいなー・・・・。
次回はいしやすですか?もし、決定ではないのなら
よしごま希望っす!!!よかったら考えてみてください。
289 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月11日(木)00時10分15秒
ピーンポーン…

来た…とうとうこんなヒドイ…あたしにとってツライコトが目の前に来た。
座っているなっちは…結局、一度も口を開かずに俯いていた。
あたしは…玄関に向かった。

「はい…」
「お、矢口…」
「…なっちいるよ。入って…」
「ん…」

空気の重さをすぐに察知したのか…
ゆうこはにこりともせずに靴を脱いだ。
リビングに向かうその直線上に…なっちがいる。

「…ゆーちゃん…」
「カゼ引いてるんやろ? ベットに横になってていいで」
「う、ううん…だいぶ、よくなったから…だいじょぶ…」
「そっか…」

俯き加減で視線を上げないなっちと…いつもどおりに装うゆうこの姿はまるで対照的だった。
あんなに側にいたのに自信がないなっちと…手放したのに自信があるゆうこ…
この二人を分かつモノっていったい何なんだろう…?

「その…なんや、すまんなぁ。ゴタゴタ引き起こしてもうて…」
「そ、それは…悪いのは…なっちだと思ってる…」
「悪いと心底思っておらんのやろ? そんな取ってつけたセリフ、うちにはいらんで」

来た…ゆうこのキツイ口調をあたしは止める術を知らない。その権利もない。
あたしは目の前に…お茶を差し出した。
この場から逃げたい…こんなツライモノを見るのは…イヤだ…

「ま、ヒトはヒトのモンやけどな…矢口に関しては別や。これは…うちのモンや」
「…堂々と…言うね」
「当たり前や。昨日の夜はうちとおったんやから…それにちゃんと約束したんや」
「……」
「矢口を悲しませないこと、他のメンバーに気軽に手を出さないこと、キスしないこと…」

軽くゆーちゃんは笑ってから…しっかりとなっちを見つめた。
その視線に…なっちはまだカオを上げられないでいる。

「たわいもないことや。ガキくさくてたまらんけどなぁ…うちはゼンブ守ろうと思ってる」
「そんなの…できっこないよ」
「うちはなっちやあらへん。やってみなきゃ分からんわ。それにな…」

「矢口だけおれば他に何もいらないって思うてるのは…うちも同じや」
290 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月11日(木)00時25分47秒
ほとんど決まりかけていた…こんな残酷なことをしたって…なっちは勝てない。
気持ちの強さ…あたしを見る目…向いている方向…
その全てがなっちの言うとおり…ゆうこの方が正しいに決まっている…

「さっき矢口には言うたけどな…なっちとの過去なんかうちにとってどーでもええコトや」
「……」
「誰にせよ、ツライ過去なんかあるんやし…そんなこと気にしてたら誰とも付き合えへん」
「なっちは…過去を持ち出すつもりはないよ。スキなのは…今の真里だよ」
「……」

初めてなっちがカオを上げた。その瞳には…もうナミダが溢れている。
ぎゅっとパジャマを握りしめて…続けた。

「なっちは…なっちはぁ…真里をスキなだけ…ホントにそれだけなの…」
「……」
「理由なんかないの…カレと別れたなんて…きっかけにもならない。付き合ってるときから…真里が…」
「なら、どうして…うちが手を出す前に奪い取らなかったんや!!」

初めてゆうこが声を荒げた。
あたしは…その光景をただじっと…見ていることしか出来ない…

「なっちが真っ直ぐでスナオな性格なんやったら…どうして男と付き合うたりしたんや!?」
「……」
「少しでも…ハズカシイと思うたんやろ!? 矢口と付き合うてるのが…ヘンやと思ったんやろ!!」
「……」

「なんで何も言わんねん…もし、それがホンマのことなら…うちはなっちを許さんで…」
「……」
「人をスキになることに…そんなことはカンケーあらへん…なっち、あんたに矢口は…釣り合わん」
「……」

ゆうこは流れるナミダを乱暴に拭った…
あたしの中で…ぽっかりと大きな穴が開いた…
291 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月11日(木)00時54分43秒
ん?ん?
なんかこの
「…ゆうこの方が正しいに決まっている…」
ってのが気になるなぁ…。
うーむ…。
やぐちを幸せにできるとしたらねーさんだとは思うんだがなぁ…。
気持ちはそうそううまくいかないと…。
やぐちゅー派としてはまだ安心できないって事か…。(笑
292 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月11日(木)01時09分02秒
「…これ以上話しても意味ないわ…矢口を傷つけるだけや…」
「……」
「帰るわ。でも、これはここだけの話や…誰かに話したりせぇへんから…」

ゆうこは席を立ち上がった。
なっちは…その姿をただただ見ているだけで…止めることが出来なかった。
声すら…制止を促す声すら出ないみたいだった。

「矢口…外で待ってるで。ここでなっちといてもええけど…出てくるまで待ってるから」
「……」

「…愛してる」

固まったまま、動けないあたしの頬にキスをして…親指でナミダを掬った。
いつもみたいにアタマを軽く撫でてくれて…後ろ髪を梳って…
最後の最後まで…あたしとの接し方は変わらなかった。

「じゃあ、帰るわ…」

静かに去っていく…ゆうこの姿をぼんやりと見届けて…
あたしもなっちも何も出来ずに…ずっと俯いていた。
どちらかを選ばないといけない…ここで…どちらかを選ばないといけない…

「……」
「……」

あたしは…どうしても聞かないといけないことがある。
なっちに、これだけは聞いておかないといけないと思う…

「ねぇ…なっち…ヤグチと付き合っててハズカシイって思ったことあった?」
「……」
「なっちは…ヤグチと付き合っててヘンだと思ったことがあるの?」

ウソだよって…そんなことはないよって…言って欲しい。
いつもの笑顔で…あたしを包んでくれた笑顔で…そんなことはないよって言って欲しい…

「何か言ってよ…なっち…」
「なっちは…サイテーだから…サイアクだから…ゆーちゃんみたいに出来なかった…」
「……」
「周りが気になって…周りを見てヘンだって思い始めて…自分を裏切っちゃったんだよ…」
「そん…な…」
「ゴメンね…真里…なっち遅かったよ。ゆーちゃん見てやっと思い出したんだよ…」

「なっちじゃ…また真里を傷つけちゃうかもしれないよ…同じコト、しちゃうかもしれないよ…」
293 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月11日(木)01時18分07秒
気分を変えて色変えしてみました。某ハンドル入れたらこんな色に(わら
次回UPで終了…だと思います。だとよかったりして(わら

>>287 名無しさん
だんだん絞れてきたかと思います。最終決定はもうでたので…
でも、やぐちゅーと決まったわけではないので(わら

>>288 名無しさん
次回は放置状態にある白板のほうを重点的に書いてこちらは遅くなると思います。
保田の需要がたくさんありましたし…自分なりにも書いてみたいと思うので、
いしやすは確定的です。他によしごまがいいと言う人が増えれば別ですけど。

>>291 名無しさん
細かいトコまできっちり読んでますね〜。でもこの場合は一般論で矢口が述べている
ので矢口の意見ではありません。まだ言うか俺は(わら
大逆転は…もしかしたらあるかもしれません。まだやぐちゅーと決まってないので。
294 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月11日(木)02時17分43秒
どう考えてもやぐちゅーやん・・・。
やぐちゅー大好きだけど、
今回はやぐなちが良かったんだけどな。
でも、話しはすっごい面白い!!
295 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月11日(木)02時43分01秒
これを読んだかぎりは、なちまりに見えるが!おいらは・・・
でも、やぐちゅーがいいな!このストーリーは!
>294の人とはまたっく逆?(笑)
296 名前:Hruso 投稿日:2001年01月11日(木)04時17分42秒
今日やぐなっちゅー編を初めて、一気に読んでしまいました。
痛い・・・、でもなっちに男ができてたっていう既成事実があるのがいいっす。
もうすぐ終わりですか、楽しみにしてます。
結末がどっちにころぶか全然わかんない。
297 名前:0120 投稿日:2001年01月11日(木)14時39分49秒
>295の人と同じくなちまりに見えます。
 やぐちゅー派の人にはなちまりに見えて、なちまり派の人には
 やぐちゅーに見えるのか?
結末がここまで読めないのは作者さんのすごいところですね。
続きがかなり気になります!!最後まで頑張ってください。
裕ちゃんのかっこよさに惚れた・・・
 
298 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月11日(木)17時39分33秒
288です。もう確定ならいしやすでいいですよ。
圭ちゃんの話しも大好きなんで。
白も期待してるんで、両方楽しみにしてます
299 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月12日(金)02時50分49秒
圭ちゃんの話好き。でも少ない。
やぐけい というのは何処かにないのでしょうか。
300 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月13日(土)01時20分21秒
今、話が書き終わりました! ちゃんと白黒つけたので…
その分、いろんな意見が出てくる(はず)ですので、
そこまで行った詳しい経緯はレスにて暴露していきたいと思います(わら

>>294 名無しさん
どうでしょう? それの結果はこの後明らかになります。

>>295 名無しさん
こっちはさっきの人と違いますね〜。結果は…この後に!

>>296 Hrusoさん
お久しぶりですね。白板以来です。
痛めは書いててやっぱり「書いてるぞっ!」って気がします。
男関係がおおっぴらに使えるのはなっちぐらいですからね(わら)

>>297 0120さん
確かにその通りですね〜。結果はこの後に…ですね。
ゆーちゃんは…俺の作品でヘンな役ないですね。みんなカッコいいです。
意識的にカッコよくするつもりないんですけど…なぜかかっこよくなるみたいです。

>>298 名無しさん
いしやすってあんまりないカップリングですから…書き甲斐ありそうな気がします。
でも、次は白中心で行こうかなぁ…と思ってます。

>>299 名無しさん
圭ちゃんがらみの組み合わせっていえば…俺的にはかおけいかな?(わら
白板にありますけどね。やぐけいは…見たことないですね。
301 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月13日(土)01時20分58秒
「ヤグチは…」
「……」
「ヤグチはそれでも…なっちがスキなんだよ…スキで…スキで…」

ショックじゃないと言えばウソになる。
なっちがカッコいいオトコノコをスキになって…いつかあたしから離れるって分かってた。
覚悟は出来てるんだもん…

「…真里は…ううん、まりっぺは…ダメだよ。なっちみたいになったらダメだよ」
「……」
「ゆーちゃんがあんなにスキでいてくれる。あんなに一生懸命になってくれる。だから…」
「なっちは…なっちは出来ないの!? ヤグチに…出来ないの!?」
「ゆーちゃんのキモチが痛いほど分かるから言ってるんだよ!!」

なっちはあたしと目を合わせないように背を向けた。
立ち上がって…ぐっと手を握り締める。

「まりっぺをスキだった…あの頃のなっちにゆーちゃんは似てる。同じじゃないけど…似てるんだ」
「……」
「その時、まりっぺも幸せだったんでしょ…? だったら、ゆーちゃんのほうがいいに決まってる…」
「なっちは…出来ないの? それが…出来ないの?」

「今のなっちは…あの頃のなっちと違う。まりっぺをスキになる資格なんて…ないもん」
「……」
「なっちは取り戻さないといけない…ウソついてた自分からホンモノを取り戻さないといけない…」

あたしは…今見ているなっちと、あたしが求めているなっちが違うことに気づいた。
そして、今のなっちは…あたしを必要としていないように見えた。

ゆっくりと…あたしは立ち上がった。

「…ハッキリ言っておくね。ヤグチは…ゆうこがスキだから。今のヤグチが欲しいのは…ゆうこだから」
「うん…」
「ゆうこがスキなんだから…知らないよ…ヤグチは…ゆうこがスキなんだからぁ…」
「うん…」

それから…あたしは背を向けた。
なっちの姿が…もう見えなかった。

「バイバイ…なっち…」
302 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月13日(土)01時21分29秒
まりっぺが出て行って…あたしは糸が切れたように動けなくなった。
ぺたりと…その場で腰が砕けたように座り込む。
もう…二度とまりっぺはあたしのところに戻ってこないだろう。

「…これで…いいんだね…」

ふつふつと自己嫌悪のカタマリが押しあがってきてあたしは泣きそうになった。
それでも納得している。全ての原因はやはり自分にしかないのだから。
今、まりっぺをこの手で抱きしめても…今のあたしにはそれを抑え込むチカラがない。

「ヒトをスキになる資格すら…今の自分にはない」

ヒトを欺いて…恋人を激しく傷つけて…自分を裏切った罪はあまりにも大きい。
あんなに輝いていた自分を周りの雑音で汚して…何もかもを壊してしまった。
あたしがしなければいけないことは…それを作り直すことだ。

「今は…まだダメだ。自分もスキだなんて…言えない…」

押し留めていた堤が一気に決壊したように…あたしの目からナミダが溢れた。
信じられない勢いで…ナミダが流れつづけた。
今日一日は泣いていたかった。このわずかな時間だけでも…泣いていたかった。

流れたナミダで…自分の犯した過ちを流し去ってしまいたかった…
303 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月13日(土)01時22分24秒
「……」

ゆうこの姿は…降りたエレベーターの前にいた。
いつも通りにタバコを口に加えて…あたしだと分かると軽く微笑んだ。

「…お待たせ」
「……」
「ヤグチがくると…思ってなかったでしょ?」
「……」

その答えを肯定するように…ゆうこはあたしをチカラ強く抱きしめた。
思わず持っているバックを下に落としてしまうほど…

「…よかったぁ…ちゃんと…うちのトコに来てくれた…」
「ら、らしくないじゃんか〜…ゆうこ〜」
「ホンマはカッコつけてるだけで…来てくれへんかったどうしようかと思って…ドキドキしてた」
「ヤグチが…まだなっちのコトスキなの…知ってるんでしょ…」

「…知ってるわ。現在の人間は過去には勝たれへんのや。想い出は…何より強いから…」
「それでもいいの…? なっちはきっと…ずっとしっかりして戻ってくると思うよ」
「そん時は…またうちが奪い取るだけや。うちだって…もっともっと…矢口のコト…」
「……」

あたしの全てを受け入れてくれる…あたしを全て分かってくれてる…
ゆうこは…あたしの全てになろうとしてる。
こんなヒトが…あたしの側にいる。

「矢口のコト…愛してると思うから…」
「…そんなハズカシイコトよく言えるよね…」
「う、うちだって…ハズカシイに決まってるやん…」

カオを真っ赤にしながらゆうこは落ち着かないように視線を外した。
きっと…あたしはゆうことうまくやっていける。なっちの過去を乗り越えて…うまくやっていける。
こんなに…あたしのキモチは幸せでいっぱいなんだから。

だから…あたしの選んだヒトは間違いじゃないと思います。

−FIN−
304 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月13日(土)01時28分20秒
〜あとがき〜
これにて痛めやぐなっちゅー編が終了です。
痛めのせいか…やはりチカラが入ってしまい、かなり一生懸命書きました。
このようなラストは…つい最近決まりました。これほど最後まで悩んだもの
初めてでした。いや〜、ホントに悩みまくったよ(わら
ちなみに題名は「Just The Two Of Us」と言うコトで…意味はよく分かりません(わら
次回は白板のやぐよしを重点的に書きたいと思いますが、こちらは甘めのいしやすで行きます。
そちらのほうもよろしくお願いします〜。
305 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月13日(土)01時45分12秒
Just The Two Of Us・・・
私達2人きり、とかそんなカンジ?
わからないので誰か英語の得意な方よろしく。(w
306 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月13日(土)02時17分36秒
なっちは最近不幸が似合うみたいだね。

甘めのいしやす期待しています。圭ちゃんの出番少ないからなぁ。
誰が絡んでくるのかも楽しみ。(ごま、やぐ、よしとかかな?)
個人的にはごまやす、やぐけい、ゆうけいあたりもよんでみたいけど。
307 名前:4649 投稿日:2001年01月13日(土)20時58分04秒
痛めも甘めも挑戦します。最初から読みかえさせて頂きました。
FANTASISTAさんの描く小説最高です!FANになりました!
そこで、お願いなのですが、裕ちゃんのシリアス(繊細で弱い)なのを
描いて頂けないでしょうか?相手は、男でもメンバーでもいいのでお願いします!
勿論、ヒマになってからでいいので・・・
いしやすも楽しみにしています!後、ゆうごま続編も楽しみにしています!
308 名前:0120 投稿日:2001年01月13日(土)23時58分31秒
おつかれさまでした。今回の話しも最初から最後まで
すごく楽しませてもらいました。最後は期待通りに裕ちゃんと
でうれしかったです。矢口を抱きしめるシーンに感動しましたよ!
本当に本当によかったです!!!
次は白のやぐよしですね。こちらもかなり楽しみにしてるんで
やぐよしも大好きなんですよ。それではこれからも応援してます、
がんばってください!!
309 名前:名無し娘。 投稿日:2001年01月14日(日)00時55分47秒
やぐなっちゅーお疲れ様でした。やぐちゅーで終わったようで、
なちまり風味も残しつつ…うまいですよね。
自分的には、続きのごまなちなんて読んでみたいです。

甘めのいしやすもがんばってください。
310 名前:ま〜 投稿日:2001年01月14日(日)02時56分40秒
さすがです・・。面白かったです♪
ああ、俺もこれくらい面白いの書けるようになりたいっす!
これからも期待してます♪
311 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2001年01月15日(月)23時09分18秒
誰かが武道板にこの小説の一部をコピベしていた
読んでいてBOOTLEGさんぽいから確認したらやっぱりこの小説だった

まさか武道板でこの小説みるとは夢にもおもわなかった
312 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月17日(水)01時46分35秒
ども。ここんとこ試験でなかなか小説が書けませんが…
ヤマは明日を越えればないんで、明日から再び本格始動します。
この場でレスは返させて頂きます。

>>305 名無しさん
英語は苦手です。なんとなく俺もそんな風な意味として解釈してます(わら
これはとあるヒップホップの題名です。分かった人、いるのかな?

>>306 名無しさん
なっちの不幸が似合う…やっぱり恋愛は前向きなヒトが勝つと言いたいんです!(わら
だから今回はなっちにナミダを飲んでいただきました。
いしやすに絡むのはおそらくよっすぃ〜かと思います。意表をついて市井かも(わら

>>307 4649さん
いえいえ、こちらこそよろしくお願いします(わら
確かこの前にも同じように儚げゆーちゃんを書いてくれとリクがありましたね。
ちょっと考えさせてください。書いてみたいと思います。

>>308 0120さん
やっぱり最後はやぐちゅーになってしまいました。
今回に関しては当初、やぐなちで行く予定でしたが…あまりにゆーちゃんを
カッコよく書きすぎてしまい、なっちが逆立ちしても勝てませんでした(わら
今回の反省点はそこにあります。もう少しゆーちゃんをパワーダウンしないとダメですね。
313 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月17日(水)01時54分33秒
>>309 名無し娘。さん
そうですね。ちょっとだけなっちにもあがけるスペースを作って終わりにしました。
続きが自分の中では最も書けそうな話です。それの救済でなちごまか…
また、救済にごまちゃんだ(わら

>>310 ま〜さん
続・後藤と中澤の再開、ホントに楽しみにしていました。
うまいだなんてとんでもない! 誤字脱字は報告しないだけで目立つし(わら
思ったように最後を締めくくれなかったりまだまだっすよ。
あの小説があったから俺のゆうごまりすぺくつがあるんですから(わら

>>311 名無しさん
やったっ!! とうとう俺の小説も2chでコピペされるようになった♪
ものすごいジツは嬉しかったりする(わら
武道板は2Chにありますけど、できればスレ名を教えていただけませんか?
すっげー見に行きたい。嬉しいな♪(わら
314 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2001年01月17日(水)03時55分13秒
「少林寺が弱いといわれるのは仕方ない」
179にコピベされてます
URLの貼り付けは一応やめときます
315 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月18日(木)01時41分21秒
>>314
行ってきました! 確かにやぐよし編の一部がコピペされてました。
その後のレスのツッコミもあって「ああ、名前が知られてるらしい(わら」
って思いました。実際に見たけど、やっぱり嬉しいです♪
316 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月18日(木)01時43分56秒
白板優先ですが…一応、話の最初はUPさせていただきます。
えーと、今回は甘めのいしやすになります。
天然キャラ石川が主人公です。一度でいいから主人公で書いてみたかった(わら
師弟コンビですのでその辺も意識していこうかと思います。
更新はちょっとゆっくりめですが、よろしくお願いします。
317 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月18日(木)01時44分28秒
わたしにはスキなヒトがいます。

そのヒトは歌がすごくうまいです。
そのヒトはダンスがすごくうまいです。
そのヒトは何をしてもカッコいいと思います。

レッスンの時の真剣な眼差しは誰もマネ出来ないような鋭い、ヒトを寄せ付けないトコもあります。
でも…ホントは、それ以外ではそのヒトはとってもやさしいです。
言葉数が少なくて、自分の意志を示すのがニガテみたいですけど…そんなトコもわたしはスキです。

テレビで見ているときからわたしはそのヒトだけしか見てませんでした。
ダイナミックなダンスに迫力ある声量…わたしもこんな風に歌えたらなぁと思ってました。
友達とカラオケボックスに行った時は必ずそのヒトのパートを歌ってました。

でも…それだけじゃ満足できない自分もいました。
もっともっと近づきたい…いつか、そのヒトのマネだけじゃなくって…
隣で肩を組みながら、一緒に歌ってみたい…その息づかいをわたしが一番感じてみたい…

チャンスはすぐにきました。わたしは何とかそのヒトに近づくチャンスを得ました。
そして…ココロから願っていたことも叶いました。
そのヒトがわたしの教育係になってくれたことです。

ずっと一緒にいられるんだと…何もかもが一緒になれるんだと…
そう思っていました。
318 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月18日(木)02時05分06秒
「保田さん…」
「……」
「保田さん?」
「…あ、ゴメン。どした? 石川」
「これ、どうぞ」

あたしは石川からポカリを手渡されて…何ともいえない気分だった。
普通なら、逆だ。あたしが気を使ってダンスで疲れた石川をねぎらわねばならないはずだった。
今日のあたしは…どうしようもないくらいダメだった。

「さんきゅ。どう? チョットは慣れた?」
「はいっ! 保田さんからしたらまだまだだと思いますけど…わたしなりには結構頑張ってると思います」
「保田さんからしたら、って言うのは余計でしょ? でも、頑張ってるのは分かるよ」
「わたしは…保田さんみたいにダンスがうまくないから…」

確かに石川のダンスはあたしから見ても決してうまいとは言えない。
けど、石川には…その、言葉にするのが難しいけど、ヒトを惹きつける何かがある。
寒いなんていわれるけど…ホントに寒かったら誰も相手にしないだろう。
どこか憎めない、そして一生懸命さがある。

「ダンスはね、ある程度までは誰でもうまくなるんだよ。それは量の問題だからね」
「わたしも…うまくなれますか?」
「石川はまだ練習量が少ないからね。あたしと四つも離れてるんだから…その差だよ」
「……」
「あたしと同じ年の頃はあたしよりもずっとうまくなってるかもよ。だから頑張って」
「…はいっ!! 頑張りますっ!!」

石川は誉めれば誉めるだけチカラに還元できるタイプの子だと…ゆーちゃんが言っていた。
それはホントだった。石川の成長は新加入組の中でも抜けた成長を見せている。
話題性や持っているチカラは別にして…成長の伸びは間違いなく石川がダントツだとおもう。

「あの…保田さん?」
「うん?」
「えっと…その、今日ですけど…一緒に帰りませんか?」
「…別にいいけど…」
「ホントですか!? ありがとうございますっ♪」

ホントに変わった子だと思う。
あたしと是が非でも一緒に帰りたがるのは今はこの子ぐらいしかいないような気がする。
そう…今はこの子ぐらいだけだと思う…
319 名前:ばね 投稿日:2001年01月18日(木)04時16分48秒
保田ヲタな石川ですか(違うって)。
マイナーカップリングは萌えますねぇ(w

「Just the two of us」って、ウィル・スミスがカバー
してた曲ですか? 違うかな。
320 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月21日(日)02時15分21秒
ゆっくりめの更新という公約どおりにマターリと更新します。
白板はなんかちょっと寂しいけど…ここは元気ですね。
ここでも言っておこうかな…誕生日おめでとう! 矢口!!

>>319 ばねさん
一途に保田がスキな石川を表現します。
題名は…大正解です!! けっこう前の曲なので知っているかどうかと思ったのですが…
hiphopスキなんです。この曲は「BIG WILLIE STYLE」に入ってる曲です。
このアルバムの中で一番スキな曲なので…題名として借りました(わら
321 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月21日(日)02時16分17秒
「……」

わたしは幸せです。
保田さんと並んで一緒に帰れるだけでホントに嬉しい。
話しかけてくれないし…雰囲気が暗いけど、わたしはゼンゼン気にならない。

「保田さん」
「…?」
「どっかでゴハン食べに行きましょうよ〜。わたし、いいお店知ってるんですよ〜」
「うん…いいよ」
「はい〜♪(やったぁっ!! 嬉しいな〜)」

そんなわたしのキモチが歩く速度を速める。
並んで歩いていたはずの保田さんが…急に足を止めた。
リュックに手をかけて…俯いている。

「保田さん…?」
「ねえ、石川…石川はあたしのことをからかってるのかい?」
「えっ…?」
「あたしみたいに…遊ぶ場所もよく知らないのと一緒にいて楽しい?」
「そ、そんなこと…」

…もう少し、構ってほしいと思う。
わたしがこんなにも保田さんがスキだって…少しでも伝わって欲しいっていつも思う。
でも、ストレートに言葉に出来ないし…そんなこと言うと保田さんは怒りそうな気がする。

「…あんまり、あたしに気を使わないでいいよ。吉澤とかと遊んだ方がゼッタイ面白いと思う」
「わたしは…」
「石川があたしに気を使ってくれるキモチは嬉しいよ。でもね、仕事が終わったら別にいいんだよ…?」
「……」

保田さんは再び歩き始めた。
立ち尽くすわたしの横を通り過ぎていく…踏み出したくても足が動かない。
引き止めたいのに…声が出ない。

(保田さん…寂しそう…ここで行かなきゃダメだ)

わたしは…やっと前に足が出た。
走って保田さんに駆け寄ると…少しビックリしたようなカオでわたしを見た。

「今日は…わたしとゴハン食べてくださいっ!! わたし…そのつもりできたんです!!」
「……」
「保田さん、一人でゴハン食べるんでしょ? だったら…わたしも付き合います。
 別に気を使ってるとか…そんなんじゃなくて…」

言葉が出てこないで…わたしはちょこっとイライラした。
頭の中が真っ白で言葉が浮かんでは消えてしまって…本意がうまく伝わらない。

「…石川…」
「はい…」
「ありがと…」

薄い、やさしげな保田さんの微笑が見えて…わたしのカオは赤くなるような気がした。
322 名前:名無し読者 投稿日:2001年01月21日(日)02時45分42秒
保田Loveな石川かわいいね。保田は石川のことどう思ってるのだろうう。
この時点では他に好きな人がいるのだろうか?今後の展開に期待。
ゆっくりめの更新なんて言わずもっとー。
323 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月22日(月)02時21分47秒
今日はこっちだけを書きます。いろいろあって今日は疲れました。
1レス上げて退散させていただきます。

>>322 名無し読者さん
保田が石川をどう思っているのか…誰かスキなヒトがいるのか…
それは次のレスでかるーく匂わせています。誰でしょう? バレバレですが(わら
白板が放置だったんでゆっくりめなんですけど…ネタはこっちの方が思い浮かんだりする(わら
324 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月22日(月)02時22分26秒
石川はホントにやさしい。そしてカワイイ。
それはあたしも認める。こんな子があたしになついてくれるから…
ちゃんと接してあげたいって思う。石川の思いに添うように行動してあげたいって思う。

(決めたんだ…あたしはメンバーのことをスキにならないって…決めたんだ…)

しゃべり方、歌声、考え方…それはゼンゼン違う。
でも、どことなくあたしが愛した…もうこの手にいないあの子に面影が重なる。
近づくとそんなことはないのに、少し距離を開けると似て見えるときがある。

(どうすればいいんだろう…あたしは石川に失礼なことばかりしてる)

石川はあたしがヒドイコトをしてるって言ってもゼンゼン信じてくれない。
石川のキモチにも答えず…カッコつけて距離を置いてみたり…
でも、自分が果たして石川のことがスキなのか分からない。

「保田さん?」
「…ゴ、ゴメンっ。チョット考え事してた…」
「その保田さんのカオ、チョット怖いですよ〜。何か眉間にこんなカンジで…」

そう言って石川は眉間にしわを寄せて見せた。
にこにこと無邪気に話す石川…さっきの悲壮感はまるでない。
また、マイウェイなコだから多少失礼なことは朝飯前で言ったりする。

「何か『踊る大捜査線』の室井さんみたいですよ〜。あ、カッコいいってことです」
「ありがと…ってそれって誉めてるのか?」
「誉めてますよ〜。室井さんってカッコいいじゃないですか〜?」
「じゃあ石川は深津絵里?」
「そんな〜…そんなにカワイイわけないじゃないですか〜」

間に受けてるのかな…石川は…
しかし、あたしは室井さんって男だし…石川からするとあたしはとっつきにくいヒトなのかも…

…あたしは…また、メンバーをスキになりかけてる…
ココロの整理も出来ていないのに…どうすればいいんだろう…
325 名前:名無し読者 投稿日:2001年01月22日(月)02時44分18秒
ちょっとネガティブになってる圭ちゃんですね。
圭ちゃんの好きな人はあのかたですね。
バカップルな圭ちゃんというのもいつかは読んでみたいものだ。
326 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月22日(月)13時01分16秒
<多少失礼なことは朝飯前で言ったりする。
確かに「あの方」とかぶるかも・・(w
327 名前:カキMAX 投稿日:2001年01月23日(火)03時05分06秒
うわっ!室井ネタいいなあ〜。自分も使いたいっす〜
328 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月24日(水)02時52分56秒
ネタを思いついたのはこっちなんでUPさせてもらいます。
うーん…白板よりこっちのほうが面白い(わら
白板優先は変わりませんけどね…

>>325 名無し読者さん
連続でレスですね。ありがとうございます。
まあ、けーちゃんの大の仲良しはやはりあの方と言うコトで…
バカップルけーちゃんは「続・後藤と中澤」でやりそうですよ(わら

>>326 名無しさん
容姿は(遠く離れてみると)あの方に似てると思うのは俺だけじゃないはず。
特に「ポッキーの日」のCFはマジであの方に見えた(バカ
天然だから許される特権ですけどね<失礼な発言

>>327 カキMAXさん
室井ネタは反射的に思いつきました。
こんなモンでよければドンドン使っちゃってください(わら
329 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月24日(水)02時53分41秒
ゴハンを食べて…わたしはゆっくりと駅に向かった。
少しでも、ゆっくり歩いて…わずかの時間でも保田さんと一緒にいたかった。
でも、今日の保田さんは少しだけ…ほんのちょこっとだけど、楽しそうに見えた。

「…今日は楽しかったよ。今度は…あたしが誘わないとね」
「えっ? ええっ!?」
「そんなに驚かないでよ。石川と一緒にゴハン食べられて…ホントに楽しかった」

口許だけに笑みを浮かべる…保田さんはいつもそうだ。
テレビとかで大笑いしてるのは見かけるけど、楽屋で声を上げて笑うことは少ない。
いつも静かに…それでも、わたしは嬉しかった。

「あ、ありがとうございます!! わたし…何て言っていいか…」
「そんなに感謝されても困る。でも、今日で…石川のコト、たくさん分かったよ」
「例えば…何ですか?」
「そうだね…すごい純粋で、真っ直ぐで…ちょこっとおっちょこちょいなトコとかかな?」

わたしは…こんな時間があと少しで終わってしまうことが耐えられなかった。
俯いて足を止めて…手を伸ばした。
そこには保田さんの腕があった。

「…?」
「今日は…帰りたくないです。保田さんと一緒にいたいです…」
「……」

わずかな沈黙の後、保田さんの少しキツイ口調が待っていた。

「石川。あしたは早いんだよ。今日は早く帰って…疲れをとったほうがいいよ」
「…はい…」
「……」

保田さんを掴んでいる腕を引っ張られて…わたしはよろけそうになった。
反射的に目を閉じてしまい…その瞬間には保田さんの肩に自分のカオがあった。

「あたしも頑張って石川のコト教えるから…頑張ってね」
「は、はい…」

後ろ髪を軽く撫でてもらって…保田さんはすぐにカラダを離した。
抱き合っていたのはホントに数秒だった。撮影よりも短いぐらいの抱擁だった。

それでもわたしの頭の中は…真っ白だった。
返事をするだけで精一杯だった。
330 名前:シーマ・ノブナガ 投稿日:2001年01月24日(水)03時00分45秒
おおっ!圭ちゃんものが始まってる!!
組み合わせとして結構好きなやすいしってのも嬉しい限りです。
それにしてもモー娘。ファンで自分以外にHIPHOPとか聞く人いたのか・・・(←偏見?)。
俺はNAS、THE FIRM、FUGEES、2PAC辺りが好きですね。
でもどっちかというと日本のHIPHOPの方が好き。
失礼、話が脱線してしまいました(汗)。
331 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月24日(水)03時29分50秒
書いてるうちにレスが! 変えさせてもらいます。

>>330 シーマ・ノブナガさん
HIPHOPを聞いてるヒト、いるんじゃないんですか?(わら
ジャパニーズも聞きますけど、基本的に俺は外国ですね。
JUNGLE BROTHERS、Speech、ARRESTED DEVELOPMENTなどなど…
2PACは「ME AGAINST THE WORLD」がスキですね。
ジャパニーズはガリヤとか五年位前のアッシュとか(わら
オキニはDJ HASEBEやMUROでしょうかね…ってレスじゃないじゃん、オレ(わら
332 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月24日(水)03時33分57秒
「おっはぁ〜」
「あ、梨華ちゃん、おっはぁ〜」

眠い目をこすりながらわたしは楽屋に駆け込んだ。
そこにはよっすぃ〜が一人だけ、お茶を飲んでいた。
保田さんは…まだ、来ていないみたいだった。

「梨華ちゃん、今日も早いね〜」
「遅刻すると保田さんが怒るから…それにメーワクかけちゃうし…」
「すごいね! 梨華ちゃんはホントに保田さんっコって言うか…」
「まぁ…スキなヒト、だから…」

よっすぃ〜はわたしのこのキモチを知ってる唯一のメンバーだ。
わたしの方が年上なのに…なぜか、よっすぃ〜に相談したりしている。
どんなことでもよっすぃ〜は茶化したりしないでマジメに聞いてくれる。

「あ、そうそう! ごっちんからチョット…スゴイ話聞いちゃったよ」
「保田さんのこと?」
「うん。あ…でも、梨華ちゃん、聞かないほうがいいかも…」
「そ、そんなコト言われると余計に聞きたくなるよ〜」

でも、よっすぃ〜はホンキで迷っているようだった。
そんなに…そんなにわたしに話しにくいコトなのかな?

「あのね、この話は…梨華ちゃんにとってタイセツな話になると思う」
「…うん」
「今はそうじゃなくっても…保田さんをこのままスキになるなら、ゼッタイに知っておくべきだと思う」
「分かったよ〜。お願いだから聞かせて」
333 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月24日(水)03時35分05秒
「ごっちんから聞いたんだけど…保田さん、スキなヒトがいたんだって」
「だ、誰!? それってどんなヒト!? わたしの知ってるヒト!? メンバー!?」
「お、落ち着いてよ〜…あのね、そのヒトに、保田さんがものすごい入れ込んでたみたい」

あの保田さんが入れ込んでたヒトって誰なんだろう…?
きっと、わたしなんかとゼンゼン違ってやさしくて、カッコよくて…
保田さんのコト、ゼンブ知ってるんだろうな…

「付き合いはそんなに長くなかったみたいだけど…相手のヒトも保田さんのことスキだったみたい」
「当たり前だよ〜。あの保田さんからアプローチかけられたらどんなヒトだって…」
「そのヒト…市井さんなんだって」
「えっ!?」

「プッチができる前から…矢口さんと一緒にモーニングに来た時からもう仲良かったんだって」
「……」
「ごっちんがプッチの時に何度も見たんだって。その…保田さんと市井さんが…」

保田さん…市井さんのことがスキだったんだ…
そうだよね…同期だし、プッチのメンバーだったし…同じ出身だし…
それに市井さん、わたしと違ってカッコいいし、それでカワイイし…
わたしみたいにボケてもない。歌もダンスもゼンゼンカッコいいし…

「でもね、梨華ちゃん、あんまり気にしちゃダメだよ。二人はもう別れてるんだし…」
「うん…そうだね…」

表情が硬くなってしまったのはしょうがないと思う。
保田さん…まだスキなのかな? 市井さんのコト…まだスキなのかな?
334 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月24日(水)04時23分02秒
石川ガンバレ!
保田の話はなかなか無いのでもっとたくさん読みたいよー
335 名前:名無し 投稿日:2001年01月25日(木)00時52分21秒
保田っコの石川もなかなか萌えるものがあるっす。
336 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月25日(木)01時24分03秒
ごまの「圭ちゃんパーマだよ」いいツッコミだ。最近のダイバーとかの「圭ちゃんは?」
の一言に思わず萌える・・・のは自分だけか。ごまやすというのいいなぁ。
チャーミーの「ホイ」話。相変わらずでした。
ってここのお話とは全然関係ないですな。すんません。続き待っております。
337 名前:名無し読者 投稿日:2001年01月25日(木)21時57分37秒
最近ヤッスー話が増えていいですね。
ヤッスー話の中でここが1番好きですね。
期待してるんで頑張ってください。
ところで関係ないんですがホイ話って何ですか?
338 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月26日(金)02時36分45秒
切なめ甘めが出ているようで…なかなかいいカンジです♪
やっぱり保田絡みはこーでなくっちゃな(わら

>>334 名無しさん
石川は自分なりに頑張って保田をゲットしようとします。
そこが書ければいいかなぁ…と思ってます。

>>335 名無し(さん)
保田っコっていうトコがここの一番のウリですかねぇ〜。
ひたすら保田をスキになっていく石川…シチュとしては最高だな(わら

>>336 名無しさん
何かダイバーの実況板みたいなカンジですね。
すいません…ダイバーも聞いたことないです。はぁ…何か見たほうがいいかな?

>>337 名無し読者さん
そうですねぇ〜。最近、けーちゃんが頑張ってます。
やぐちゅーがもはや王道と呼ばれる時代、けーちゃんはその片翼を担えるか?(わら
339 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月26日(金)02時37分21秒
「はーい! ストップストップ!!」
「……」
「何やってんの! 石川!! やる気ないなら出てきなさい!!」

夏先生の厳しい声が響いて…辺りが静まり返った。
息が切れる音だけが空間を支配した。石川は…俯いていた。
あたしはたまらず夏先生に頼んだ。

「ちょっとすいません。一息入れてくれませんか?」
「…分かったわ」
「すいません…ちょっと石川…」

石川は俯いたまま…ぐっと拳を握り締めていた。
今日の石川は全部がおかしかった。ダンスだけじゃなくて歌も…全部がダメだった。
あたしにはその不調の理由が分からなかった。

「どうしたの? どっか痛めた?」
「…何でも…ないです」
「何でもないんだったらどうしてそんなに…」
「保田さんには…保田さんには分かりません!!」

ヒステリックに石川は叫んだ。ナミダでいっぱいのその瞳であたしを睨みつける。
そのナミダがこぼれると…何かを信じられないように首を振って…部屋から出て行った。
あたしだけじゃなくて…みんなもぼんやりしていた。

「……」
「どうしたんだろう? 石川…」
「何だよ〜。けーちゃんがやさしく話しかけたのに石川の態度ヒドくない!?」

あたしは…ショックだった。
石川のコトを全て把握しているつもりだった。行動も考えも…
あたしのことをスキでいてくれることさえ…

「…ちょっと、行ってくる」

何で追うのか分からなかった。
こんな時は放っておくのが一番いいのは分かってる。
でも…石川のナミダの意味がどうしても知りたかった。
340 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月27日(土)02時14分06秒
「…わたしは…サイテーだ…」

誰もいない楽屋に飛び込んで…わたしはナミダを拭った。
今日のわたしは抜け殻のようだった。ダメだと思っても…修正できるチカラすら出ない。
よっすぃ〜から聞かされた事実は…どうしようもないくらいだった。

わたしは市井さんに勝てるわけがなかった。
付き合いの長さも、カオも、性格も、ダンスのうまさ、歌のうまさ…
挙げればキリがないほど、わたしは市井さんに劣っている。
そんな事実がわたしを悲しいほど打ちのめしている。

「…こんなにスキでも…わたしは市井さんに勝てないよ…」

キモチだけは市井さんに負けないと思いたかった。
でもそれすら…わたしは市井さんに負けている。
保田さんが入れ込むほどなんて…わたしには出来ない。

「石川…?」
「!!」

後ろから聞こえた声に…わたしは部屋の奥のほうに逃げ込んだ。
そんなことをしたって逃げられるわけもなく…声の主に腕を掴まれた。
…確認するまでもなく、保田さんだった。

「……」
「ご…ごめんなさい…今日のわたし…みんなの足を引っ張るだけです…」
「……」

怒られると思っていたけど…保田さんは声を出すことなく、わたしの腕を握っていた。
珍しく…俯いて、言葉を選んでいるようだった。

「理由が知りたい」
「……?」
「石川がそんなに苦しんでる…理由が知りたい。ゴメン、もっとやさしく言えればいいんだけど…」

「石川の悲しいカオを見たくないんだ…見てるあたしも苦しいから…」
341 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月27日(土)02時40分17秒
あたしは昨夜、石川と別れてから…さんざん考えた。
このままでいるべきなのか…それとも石川のキモチに答えるべきなのか…
結論は堂々巡りでその時の気分で答えが変わった。

だからあたしは変わらないものを探した。
自分のキモチだ。純粋に、石川だけを見て…どう思っているのか。
その答えは明確だった。一つしかなかった。

あたしは石川をスキになっている…なりかけている。それだけは確かだった。

「石川は…笑っているほうがいいよ。笑ってるカオの方がずっとカワイイ」
「……」
「だから…泣かないで。みんなの前だけでもいいから…笑っててよ」

あたしのココロには紗耶香がいる。あたしが死ぬまで…死んでも消えない存在。
石川と同じようにあたしをスキになってくれた…あたしはそれに全力で答えた。
あたしたちは不変不離だと…カッコつけて紗耶香は言っていた。

石川は紗耶香じゃない。それは分かってる。
でも…どうしても紗耶香の影がちらつく。姿が似ているせいだけじゃない。
理由は分からないけど…石川は紗耶香に似てる。

「わたしは…わたしは…」
「……」
「…保田さんが…保田さん、が…」

石川に抱きつかれて…その勢いで思わず後ろに数歩下がってしまったけど…
わたしはチカラいっぱい抱きしめた。昨日のとはゼンゼン違う。
石川も感情に任せてあたしを抱きしめる。石川のキモチも昨日とゼンゼン違うだろう。

「…だいじょぶだよ。あたしは石川の側にいるんだから…だいじょぶだよ…」
「…はい…」

ふんわりとその髪があたしの鼻元をくすぐった。
甘い甘い…石川を象徴するような香りがあたしのココロをぎゅ〜っと引き締める。
髪をゆっくりと撫でながら思った。石川は…確実にあたしの意識を支配しようとしていた。
342 名前:名無しさん 投稿日:2001年01月28日(日)16時55分25秒
FANTASISUTAさん1度でいいので
ゆういし書いて下さい!
お願いします!
343 名前:名無し読者 投稿日:2001年01月29日(月)03時49分44秒
いしやす めちゃ好き。市井とのエピソードは出てくるのかな?
344 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月30日(火)03時01分17秒
久しぶりの登場の挙句、今日はマイPCからのカキコではありません(わら
まさか、こんなトコで小説をUPすることになろうとは…

>>342 名無しさん
ゆういしですか…いいですよ。久しぶりのリクなので考えさせてください。
俺的にははかなげゆーちゃんで行こうかなぁと思ってます。
りかちゅーって言ったほうがいいかな?

>>343 名無し読者さん
いちやすのエピソードは書きません。
それはみなさんでスキなように思い描いてください。
ただ、石川が羨むほどの仲…けーちゃんがひきずるほどの仲ということです。
345 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年01月30日(火)03時04分35秒
「石川、もうだいじょぶだよ」
「さっすが、けーちゃんは違うね〜」

わたしのアタマは…依然としてハッキリしていなかった。
あの時の保田さんに抱きしめられて、わたしの胸はいっぱいだった。
その一瞬だけは…市井さんを上回ったような気がした。

「あの…メーワクかけてかけてすみません。頑張りますから…」
「…そのカオならだいじょぶだね。じゃあそろそろ始めるよ」
「はぁ〜いっ!!」

みんなががさがさと立ち上がった。
一瞬だけ、保田さんと視線が交じり合って…わたしにウインクした。
いつも静かな物腰の保田さんが見せた…わたしに初めて見せたちゃめっけのようだった。

「……」
「梨華ちゃん…ごめん、あたしのせいだね」
「……」
「梨華ちゃん、聞いてるの!?」

「…はぁい?」
「何でそんなに赤いカオしてるのよ?」
「…さぁ?」
「…何かヘコんでたあたしがバカみたいに思えてきたよ…」

よっすぃ〜がそんな風に思えるのもしょうがないかもしれない。
わたしは…ほんのちょこっとだけだけど…自信がわいた。
もっと自分らしさを出していこうと…そんな風に思えた。
346 名前:名無し読者 投稿日:2001年01月31日(水)03時05分38秒
普段まじめそうな人の見せるちゃめっけはものすごくかわいく見えるね。
>「…はぁい?」「…さぁ?」
うわのそらの石川がかわいい

いしやす好きです。保田がらみが好きなだけかも・・・

347 名前:やすぅ 投稿日:2001年02月01日(木)13時08分12秒
今日初めて読ませて頂きました。ズバリ最高です。
梨華ちゃんの切ない想いとか、
それに答えてあげたいけど・・・っていう保田さんの葛藤とか、
読んでいて胸が「ぎゅっ」ってしました。晴れて両思いになれたのでしょうか?
これからも頑張って執筆して下さいませ。応援しています。
348 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月03日(土)01時50分12秒
ども。お久しぶりです〜。
カゼを引いてしまい、2日ほど寝込んでいました。
あまりカゼを引かない体質でしたので苦しいのなんの…
病み上がりですが、ベットでうなりながらもネタを考えていたのでUPします(わら

>>346 名無し読者さん
けーちゃんのウインクはちょっときごちなく…そこがまたよかったり(わら
そんなカンジで書いてました。

>>347 やすぅさん
胸が「ぎゅっ」ってなってくれれば一番伝わっていると思います。
晴れて両想いには現段階ではなっていません。そうだと話が終わってしまうので(わら
「甘め」なので…最後は…分かりますね? 期待には答えます。
349 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月03日(土)01時51分26秒
「…石川」

仕事がなんとか終わって…わたしは帰ろうとしていた。
誰かに呼び止められて…振り返ったら保田さんがいた。
いつもと違って…チョット落ち着きがなさそうにこっちを見ている。

「はい? 何ですか?」
「あ…あのさ…その…今日、一緒に帰らない?」
「はい。いいですよ…って…えっ!! ええっ!?」
「しっ!! 声が大きいよ!!」

とっさに保田さんがわたしの口を手で覆う。
まただ…こんなに保田さんとキョリが近づいちゃってるよ…
しかもどうしよう…わたし保田さんの手のひらにキスしちゃってる…

「…この前ゴハン食べに行ったから…今日はあたしが誘うよ、時間ある?」
「……(こくこく)」
「なら、決まりだね。あたしは下で待ってるから」

そう言って、保田さんはいつもどおりにみんなに「お疲れ」と挨拶して部屋を出て行った。
わたしは…その姿を黙って見ていることしか出来なかった。
誘われた? わたしが保田さんに誘われたの?

「チョット、石川〜。早く上だけ着なよ。カゼ引くよ〜」
「ケンカ売ってるのか〜!? ヤグチ…ぺったんこだから…」
「うわぁっ!!」

着替えの途中で保田さんに話し掛けられたから…
しかも、わたし…知らないうちに上着が下に落ちてるし…

「ゴ…ゴメンなさい…すいません…」
「…誰に謝ってるの…? 梨華ちゃん…」
「わ、わたしも…早く帰らないと…保田さん待たせるわけに行かない…」

わたしは手早く上着とコートを羽織って化粧品をバックに入れる。
忘れ物は…ないね。最近、お菓子とかよく忘れるから…
よし、これでだいじょぶ。

「お先に失礼しまぁ〜すっ!!」

扉を開けると…わたしはエレベーターに向かって走った。
350 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月03日(土)02時32分12秒
「保田さん〜」
「お、早いね…そんなに走らなくてもいいのに…」
「いえ…その、すぐ準備できたんで…」

入口の壁に寄りかかっていた保田さんは…ちょっと斜に構えているようでカッコいい。
それとリハの時と違って…私服の保田さんもまた、雰囲気があってスキ…
ジーパンに古着っぽいトレーナーだけど…そこがまたいい。

「お腹減ってる?」
「あー…ちょこっとだけ…減ってます」
「…だいぶ減ってるね。いいよ、お腹いっぱい食べられるぐらい安いトコだから」
「やったぁっ♪」

保田さんはわたしを見て薄く笑みを作った。
もう…わたしと保田さんの間にある溝は少しずつだけど、埋まり始めた。
楽屋で抱きしめられて…それはもうコトバで表せないぐらい嬉しかったんだもん。

「ところで…どこのお店ですか?」
「まあ、あたしが知ってるトコだから…期待しないでよ。でも…味は保証する」
「…保田さんとゴハンが食べられれば…どこだっていいですよ…」
「でも、コンビニのお弁当じゃイヤでしょ?」
「…それはチョット…」

タクシーに乗り込んで…保田さんが行き先を言う。
場所はここからそんなに離れていないトコだ。駅の側だし…
あんなトコにこんな時間にゴハン食べられるトコあったかな?

「実はね…あたしも久しぶりに行くんだ。そうだね…半年ぶりくらいかな?」
「だいじょぶですかぁ〜? お店潰れてたりとか…」
「それはゼッタイないよ…帰る時にちゃんと見てるから…」
「……」

そう言った保田さんのカオは…とても悲しそうに見えた。
そのお店で何かツライ想い出でもあるのかな…イヤなコトでもあったのかな…
やっぱり…市井さんの想い出の場所なのかな…?
351 名前:やすぅ 投稿日:2001年02月04日(日)13時29分12秒
カゼですかぁ?もう大丈夫なのですか?
続きはすごく楽しみにさせて頂いておりますが、
あまりご無理をなさらないように執筆して下さいね。
読んでいて本当に暖かい気持ちになれます。
甘め。んー・・・良いですね〜。はいっ ありがとうございます!
これからも頑張って下さい。楽しみです。
352 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月06日(火)01時03分28秒
今年のカゼはしぶといです。再び体調を崩してましたが、
何とか復活です。もうだいじょぶ…だと思う(わら
気を抜くとカゼにやられます。受験のヒトが多い(みたい)ですが、
カゼをひかずに頑張ってください。終われば天国です(わら

>>351 やすぅさん
まだ大復活には程遠いですが…動くには支障なさそうです。
今回はちょっと「お遊び」を入れてみました。
分かる人には分かるかな…? ストーリーとはあんましカンケイないです(わら
353 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月06日(火)01時04分45秒
「ここ…ですか?」
「そうだよ。ここだよ」

わたしは…連れてこられたお店を見てビックリした。
お店…だけど、何て言えばいいのかな…そう! 屋台ってやつだ。
青い雨よけのビニールシートの向こう側からはいい匂いがしてくるけど…

「ラーメン屋だよ。ここのラーメン、メンバーの中じゃすごく有名なトコだよ」
「知りませんでした…」
「ま、チョット汚いからビックリするのは仕方ないけどね」

そう言って保田さんは普通に暖簾をくぐって中に入ってしまった。
わたしもいそいそとそれについていく。

「おっす。久しぶり」
「あっ!! 久しぶりじゃんっ!! なになに〜? 誰か連れてきたのか?」
「新メンの石川つれてきたぞ」
「ど、どうも…」

お店の中にいたのは保田さんぐらいの歳の男のヒトだった。
目鼻立ちが割とハッキリしていて、ちょっと濃い顔つきのどこにでもいるヒトだ。
保田さんとはどんなカンケイなんだろう…?

「はじめまして。けーちゃんに連れてこられたってことは…ははぁ、なるほど」
「???」
「カワイイコじゃんか…けーちゃんも大事にしなよ」
「ちょ、何言ってんだよ!! ったく…このオトコは…」

そう言って保田さんはにわかに頬を赤く染めてそっぽを向いた。
…照れてるのかな? 保田さん…?

「で…石川はけーちゃんのコト、スキなのか?」
「は…はい!? イヤ…それは…あのですね…」
「ああ、もういいよ。そのカオ見れば何となく分かる」
「……」

わたしは…どうしていいか分からずに、下を向いてしまった。
何なの? このヒト…わたしと保田さんのコト、全部分かってるみたいじゃん…

「来てイキナリ石川いじめないでよ。ああ、もう、とりあえずいつもの二つ」
「ほーい…分かりましたよ…」

そう言って男のヒトはラーメンを作り始めた。
…ヘンなヒトだな…
354 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月06日(火)01時05分16秒
「おいし〜!!」
「でしょ? メンバーのみんなもここだけはおいしいっていってくれるんだ」

細麺のフツーのトンコツラーメンだけど…ホントにオイシイ。
何がおいしいのかって言われても説明しにくいけど…今まで食べたラーメンの中で一番オイシイ。
やっぱり、保田さんと一緒に食べてるせいかな…

「…すごーい…ホントにサインある…」
「あ、悪いけど、後で書いてくれないかな? ここに飾りたいんだ…」

右から矢口さんと…誰だか分からないサインが一緒の色紙に書いてある。
次に矢口さんと中澤さん、矢口さんとよっすぃ〜、中澤さんとごっちん、矢口さんと安倍さんと中澤さん…
何だか、矢口さんのサインが異様に多いなぁ…

「あたし…とうとうサイン書いていいの?」
「よろしく頼む。あ、石川と一緒にな」
「ホント? 紗耶香と食べにきた時なんか、書きたいってごねても書かせてくれなかったのに」
「……」

やっぱり…そうだったんだ…
ここのお店、市井さんと来たんだ…

「…どうしたの? 石川…」
「……」
「石川?」
「あ、何でもないです…じゃあ、サインしますね〜」

わたしは右側にサインをする。
もしかして…保田さんと一緒に、同じトコにサインするの初めてだ…

「ありがとう。今日のラーメン、タダな。サインでオマケだ」
「ホント? 嬉しいね」
「と…それと、助言ってわけじゃないんだかな…」
「……」
「過去は…程ほどにしておきな。現在が寂しそうなカオするからな」

保田さんは…何を言ってるのか分からないように首を傾げていたけど…
わたしには何を言いたいのかハッキリ分かった。
このヒト…ただのヒトじゃない…かも。ヘンなヒトだけど…
355 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月06日(火)01時28分32秒
お店をあとにしてわたしは保田さんと駅に向かって歩いていた。
そのキョリは…いつもどおりにチョットだけ広がってしまった。
タクシーの時よりチョットだけ…間が出来てしまっていた。

「それじゃ…石川、また明日…」
「はい…」

わたしのうちと保田さんのうちは方向が真逆だから…電車も一緒に乗れない。
今日は抱きあったのに…あんなに近づいたのに…
もう、保田さんはいつも通りだ。やっぱり…市井さんだけなんだろうな…

「その…今日の石川、最初チョーシ悪かったよね? あれ…何か原因あるの?」
「……」
「石川自身が分かってる気がするんだ。何なの?」

…話していいのかな…? 話したら、保田さん、困るよね…きっと。
でも、話したい。保田さんには全部知ってもらいたい。全部包んでもらいたい…
保田さんのコト、スキだから…

「…市井さん、のことです」
「……?」
「ウワサで聞きました。保田さん…市井さんと付き合ってたって…」
「……」

「わたしが…そのことでショック受けたんです。ショック…でした」
「…紗耶香みたいなコがあたしと付き合ってたってコトが?」
「そうじゃないです。違います…その…そうじゃなくて…」

わたしが保田さんのコト、スキだから…そう言えばいいのに…
保田さんだってきっと…わたしがスキだってコト、分かってるのに…
どうしてイジワルするんだろう?

「…紗耶香は別格だよ。あのコは何においても別格だよ。だから邪魔できない」
「……」
「誰にも踏み込めないあたしたちの領域がある。そこに踏み込むなら…」
「邪魔なんですか!?」

わたしの声は自然と大きくなっていた。
頬に熱を感じる…そこを通り抜ける光のような一筋のあと…

「わたしの今までの行動って…保田さんにとって邪魔なんですか!?」
356 名前:ま〜 投稿日:2001年02月06日(火)23時40分09秒
やっぱりFANTASISTAさんの小説は雰囲気がいいな〜♪
見習わないと・・!
357 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月08日(木)02時04分03秒
そろそろ終わりそうです。今回はチョット短かったかな?
次回作はりかちゅーだったんですが…その前にソニン×ユウキを
書いてみようかなぁと思ってます。EEJUMP小説ないからなぁ〜。

>>356 ま〜さん
ちょっと切な過ぎるカンジですが…ま〜さんのほのぼの系の方が
俺はスキですよ。逆にあんな風に書けたらって思います。
誉めてくださってホントに嬉しいです。
358 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月08日(木)02時05分21秒
「石川…?」
「保田さん…どうしてそんな言い方するんですか? どうしてわたしを…」
「……」

あたしはナミダでいっぱいの石川を見返した。
紗耶香との想い出に…何かを言ってくるのだと思っていた。
でも、そうじゃなさそうだった。

「わたしは…市井さんが羨ましいなって…そう言おうとしただけなのに…」
「ゴメン。そうじゃなくて…」
「保田さんはずるいです!!」

その言葉に…あたしは茫然としてしまった。
ぐっと拳を握り締めて…石川はあたしに近づいてきた。

「こんなに…こんな側に保田さんをスキなヒトがいるのに…いるのに…」
「…石川…」
「やめてくださいっ!! 石川なんて…呼ばないでください…」

あたしの目の前まで来て…石川は止まった。
楽屋に行った時とは違った意味のナミダ…
それはあたしが一番分かってる。石川のキモチが爆発するからだ。

「…市井さんみたいに下の名前で…梨華って呼んで下さい」
「…出来ない…あたしには出来ない」
「やってくださいっ!! 梨華って…市井さんを思い出す時みたいにやさしいカオで…」

ふっと視界が遮られた。
石川があたしに抱きついていた。ものすごいチカラを込めて…
まるであたしが逃げるのを止めようとしているみたいに…

「スキです。保田さんが…スキです。スキなんです…」
「……」
「…お願いです…答えて…」
359 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月08日(木)02時26分52秒
あたしは…いつまで紗耶香の呪縛を背負って生きないといけないのだろう…
いつもそう思って石川と接してきた。
正直に…ただまっすぐ石川をスキになれたらどれほどラクだろうと…そう思ってた。

「…答えるのが難しい。あたしは…スナオになれないから…」
「そんなに…そんなに市井さんがスキなんですか…」
「違うよ。そうじゃない。紗耶香との想い出が…あまりにも強すぎるんだ…」

あたしの声が小さくなる。
ずっと強がってた。石川の前では…弱くなれなかった。
あたしが教育係だから。石川に『教える』立場にあるから…

「…自分の思うままに石川をスキになりたいよ…」
「……」
「こんなにスキになってくれる人がいるんだから…あたしもそれに答えたいよ…」

気が付くとナミダが流れていた。石川のカラダを抱きしめていた。
隠してた…石川を誰にも渡したくない、そんな自分の純粋なキモチを、ずっと…

「保田さん…」
「ホントはヨワイ自分を…見せたくないんだ。あたしは石川が思うほど強くないから…」
「……」
「いつでも強くいたかったんだ。石川の前だけでも…カッコよくいたかったんだよ…」

紗耶香はいつもカッコよかったから…あたしの前で泣いたりしなかった。
あたしはそれを見習った。自分を必死に押し隠して…強がりつづけた。
いつか…それが本当の自分になっていた。

「石川が…スキだよ。ホントはこんなにヨワムシでナサケないあたしだけど…」
「保田さん…」
「あたしもスキだよ…誰にも渡したくないくらい…スキだよ」

あたしは額を石川と合わせる。
二人とも頬にはナミダが流れている。
何となく…気恥ずかしくなって笑う。

「…あたしたち、何で泣いてるんだろう…?」
「分かりません。でも…キモチいいナミダだから…」

「…梨華…」

電車が走り抜ける音がして…周囲の音が消えた。
クルマのヘッドライトがあたしたちをシルエットとして映し出す。
一つの人影として…
360 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月10日(土)01時18分51秒
「ホントに…いいんですか…」
「たまにはね。それに今日は…いてほしいんだ」
「……」

こんなコトになるとは思わなかった…
終電間際の、ギリギリの時間で乗り込んだわたしは…
ううん、わたしたちは…保田さんの家に向かっていた。

「…石川? どうしたの? なんか…拍子抜けしてるみたい」
「ち、違いますっ! あの…えーと…何かウソみたいで…」
「…こんな風に手をつないで一緒に帰れることが?」
「そうです。こんな風に…保田さんと一緒にいられるのが嬉しいんです…」

電車はかなりのヒトが乗っていて、わたしたちのことに気づくヒトもいたけど…
そんなのカンケイなかった。周りに何を言われようがカンケイない。
市井さんがいたって…いいんだから…

「…あたしも嬉しいんだ。石川と一緒に…電車に乗って帰りたかったから」
「……」

わたしはつないでいる手にチカラを込めた。
それに答えてくれるように…保田さんの手にもチカラがこもる。
…不意に電車が揺れる…

「わっ!!」

反射的にわたしがよろけると…それを見計らったように保田さんがわたしを捕まえる。
互いの吐息が確認できるぐらい近いキョリに…ドキドキする。
離してくれればいいのに、抱きしめたわたしを保田さんが離そうとしない。

「…ここを通り過ぎる時って必ず電車が揺れるんだよ。だいじょぶ?」
「だい…じょぶです。あ…でも、だいじょぶじゃないかも」
「どこかぶつけた?」
「そうじゃなくて…こんな側に保田さんがいるから…ドキドキして死んじゃいそうです」

そう言うと保田さんは少し吹きだして…もっとわたしを引き寄せた。
ほとんど、誰がどう見ても抱き合ってるようにしか見えない。

「石川は死んじゃダメだよ…あたしを残していなくなったりしないでよ…」
「…はい。ゼッタイにゼッタイに…保田さんの前からいなくなったりしませんから…」

電車に乗る時間はわずかに15分ぐらいしかないけど…
15分のシアワセは…世界で一番のシアワセだよ…
361 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月10日(土)01時44分03秒
「うわぁ…部屋がキレイですね…」
「まあ、マメに片付けてるからね。それに必要以外のモノがないし」

保田さんの部屋はワンルームのちょっと広めの部屋だけど…
ホントにキレイに片付けてある。わたしの部屋と正反対だ。

「あ、コーヒーしかないけど…飲む?」
「お願いします。あ、わたしも手伝いますよ」
「それじゃ…向こうにコップあるから出してきて」
「はい〜」

キッチンの側に立てかけてあったコップを二つ持ってくる。
保田さんは…その光景をじっと見ていたみたいだった。

「はい。ど〜ぞ」
「……」
「保田さん…?」

その瞬間…わたしは思いっきり抱きしめられていた。
コップが手から外れそうになって…それでもちゃんと受け取った。

「ど、どうしたんですか〜? 保田さん…」
「プライベートは保田さんって…呼ばないで欲しい。ちゃんと…下の名前で呼んで欲しいよ」
「え? それは…チョット…」
「梨華…」

コートも着たままなのに…保田さんはわたしをベットに押し倒した。
えっ!? チョット…困るよ…イキナリ…

「ゴメン。あたし…愛に飢えてる。ずっとずっと…梨華のコト、気にしてたから…」
「保田さん…」
「お願いだから…下の名前で呼んで…」

そう言って保田さんはわたしの首元にキスをした。
されたコトのないキスだから…身震いがする。キモチが…とろけそうになる。
わたしはハズカシイ気分になって…そっぽを向いた。

「…答えてくれないんだ。それなら…」
「へっ?」

着ていた赤いダッフルコートのボタンが外されて…セーターをまくられる。
わたしは…何をされているか分からずに目をぱちくりした。
脱がされている…みたい。わたし…

「ちょ、ちょっと!! 保田さん…」
「今は…保田さんじゃない…」
「そんな…困ります! まだ早いです!!」

どうしてか知らないけど、前で止めているブラのホックをあっさり外れて、セミヌードにされている。
チョット冷たい保田さんの手が動いて…わたしはカラダをよじらせた。
声が出そうになって…吐息だけが漏れる。

「っはぁ…保田さん…」
「……」
「圭…圭ちゃん…お願いだから…待ってよぉ…」

…保田さんの手がやっと止まった。
362 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月10日(土)02時12分19秒
「やっと…呼んでくれた。ゴメン、チョットビックリさせちゃったかな?」
「……」
「コーヒー入れるから…そのずっと持ってるコップ借りるよ」

…ホンキだった。今のはホンキで石川を…いや、梨華を抱こうとした。
せっかく手に入れたから…どうしても手放したくなかった。二人だけの証が欲しかった。
チョットぐらい嫌われても…強引に証が欲しかった。

「…やす…圭ちゃん…」
「……」
「ゴメンなさい。やっぱりわたし…抱かれた方がよかったのかな?」
「……」

梨華のほうを見ることが出来なかった。
コーヒーの粉をティースプーンに入れて…ゴマかすしかなかった。
答える権利がないから…

「焦らないで…下さい。わたしはすぐにいなくなったりしませんから…」
「……」
「わたしだって…その、圭ちゃんに…ねえ? 何て言えばいいのか分かりませんけど…」

テレくさそうにアタマをかいているのが想像できる。
梨華なりに一生懸命あたしを持ち上げてくれているのが分かって…嬉しかった。
急がなくてもいいんだって…心底、そう思えた。

「…ゴメンなさい。偉そうにイロイロ言っちゃって…」
「そんなことないよ」

あたしは出来たてのコーヒーを梨華に手渡した。
きょとんとした瞳には…うっすらとナミダのあとが浮かんでいた。
よかった。あそこで思いとどまれて…梨華を傷つけずに済んでよかった…

「ホンキの梨華のキモチがやっと分かって…安心できた…」
「な、泣かないで下さいよ〜…」
「…やっぱりホントのあたしはこれなんだ…誰かに支えられないと生きられないんだ…」
「…圭ちゃん…」

梨華があたしの髪をゆっくりと撫でてくれた。
いつもあたしがしているコトを…今は梨華がしている。
それが…とてつもなく、嬉しかった。

「今日は…ずっと一緒です。誰にも邪魔させませんから…」
「ありがと…」
「あ、今の圭ちゃん、すっごくカワイイ〜(はぁと)」
「な、なな、何言ってんだよ! 梨華の方がずっとカワイイよっ!!」

梨華から圭ちゃんなんて呼ばれるの…何かヘンだけど、悪くない。
あたしが石川を梨華って呼ぶのも…悪くない。
きっとあたしたちがやっていくことも…悪くないんじゃないかな?

あたしにもスキなヒトがいます。

−FIN−
363 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月10日(土)02時18分24秒
−あとがき−
これでいしやす編は終了です。うーん…チョット短すぎたかな?
ホントはもっとイロイロネタがあったので、書こうと思ったんですけど…
そうすると今度は多すぎちゃって壮大になりすぎるので…こうなりました。
やはり、マイナーカップリングのせいでしょうか…苦戦しました。
いいベンキョーにはなりましたが…

次回はEEJUMPにしようかと思いましたが…いかんせん資料が少ないので、
今回はパスさせていただいて…リク通りにりかちゅーです。
ゆーちゃんを儚げに…書くつもりです。チョット頑張ろうかな?(わら
364 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月10日(土)02時26分57秒
題名忘れてるよ…バカな俺(わら
「すれちがい、とまどい」です。
何がすれちがいで、何がとまどいなのか俺にも分かりません(わら
題名付けるのだけはニガテです…
365 名前:名無し読者 投稿日:2001年02月10日(土)02時28分51秒
マイナーカップル最高!!でももうちょっと長く読みたかったです。
たくさんネタはあったみたいだから続編なんて期待しちゃったりなんかして(w
次もマイナーなので楽しみ!!
366 名前:名無し@読書中 投稿日:2001年02月10日(土)02時56分24秒
EE JUMP見てみたいっス...。
367 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月10日(土)04時27分28秒
りかちゅー面白そうですね!
しかも、このカップルこの頃、自分のツボだったりします!
しかも裕ちゃん儚げって、とっても気になります!
FANTASISTAさんの描く裕ちゃんいつも好きなので頑張ってください!
368 名前:名無し読者 投稿日:2001年02月10日(土)05時59分54秒
なんか保田のエロシーン新鮮だ
369 名前:読者のひとり。 投稿日:2001年02月11日(日)01時03分08秒
今回初めて読ませていただきました。マジで萌えです。
平家さんの出る小説も読んでみたいなぁと思いました。

ところで、いしやすで出てきたラーメン屋のサインって、
このスレでの組み合わせになってますよね?(>>354
だとしたら、最初の2組って、何に書かれたんですか?
370 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月11日(日)02時09分03秒
りかゆう?りかちゅー?
楽しみにしています!
371 名前:やすぅ 投稿日:2001年02月11日(日)12時33分06秒
お疲れ様でしたぁ!感動でした・・・。てか、照れ屋保田さん可愛過ぎです〜。
もう本当に胸が「ぎゅうぅっ」ってしました。切なくて甘くて。ですね!
えぇ〜!まだネタ沢山有ったんですか?見・見たいです・・・。
>>365
さんと同意見で、「続編?」期待。という事で・・・。
いつかお手隙になりましたら執筆して頂けますか?
それでは。素晴らしいお話をありがとうございました!
372 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月12日(月)01時58分21秒
こんなにレスが…ありがとうございます!
よかったよ、いしやすなんて誰も読んでないのかと思ったから(わら

>>365 名無し読者さん
短くなってしまったのは書いてる身としても少し残念です。
やっぱりもう少しイロイロ波乱があってもよかったと思います。
続編は…チョット難しいな…

>>366 名無し@読書中さん
EEJUMPは書きたいんですけど…やはり資料がないです。
現在集めている最中ですので、それ次第では書くかもしれません。

>>367 名無しさん
俺は見てないですけど、何かの番組で一緒に出てるらしいですね。
りかちゅー…ただ今プロット作っています。結構面白いかもしれません(わら
373 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月12日(月)02時05分44秒
>>368 名無し読者さん
えっちシーンは現在勉強中です。今回はムリヤリ書きました(わら
やっぱりそーゆー営みが恋人関係ならあるはずだし…
でも、ハズカシイですね。現実通りに書くともっとヘンだし(わら

>>369 読者のひとり。さん
よかった! ラーメンのトコ、分かってくれた人がいたよ!
その通りです。あのサインは今まで書いてきた組み合わせです。
ちなみにラーメン屋の男のヒトはずばり俺自身です。
最初のサインは「妊婦矢口」のことで、二番目は「あの頃の想い出」
のことを示してます。よかった…書いた価値があったよ…(わら

>>370 名無しさん
はい、りかゆうというよりもりかちゅーっていうカンジです。
今回も甘めです。もはやここでは甘めしか書いてないな…

>>371 やすぅさん
ジツはテレ屋のけーちゃんがいつもとのギャップでより萌えて頂ければと…
切なめ甘めがいちおうこの作品の根幹を成しているんで…
374 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月12日(月)02時29分32秒
裕ちゃん儚げって書いてありましたが。。。甘めですか?
痛めって勝手に思い込んでました!
とにかく、楽しみに待っています!
375 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月15日(木)04時45分29秒
ただ今リニューアルオープンしたHPを宣伝中です(わら
アドレスは白板にある「モー板名作集・出張所」のスレに張ってあります。
興味のある方はぜひどうぞ。

>>374 名無しさん
儚げという言葉が悪かったですね。
今回のゆーちゃんは完全に「受け」のゆーちゃんを書こうと思います。
俺が書く強いゆーちゃんと反して「儚げ」に行こうかと思いまして…
376 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月15日(木)04時51分51秒
えーと…ちょこっと間が開きました。宣言通りにりかちゅーを書きます。
りかちゅーと言えば「チャレモニ」のチャーミー石川とのカラミが思いつきそうですが…
俺は「チャレモニ」を観たことがないのでチャーミーについては全く知りません。
そーゆーのは少しは出てくると思いますが、その辺のリンクはあんまりないです。
自分勝手なりかちゅーを書くかと思いますが…とりあえず、よろしくお願いします。
今回も「甘め」です。ゆーちゃんは完全にいつものキャラと反対に書くつもりです。
377 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月15日(木)04時52分42秒
「「「「ぐ〜う〜ちっ!!」」」」

「やったぁ〜!! ヤグチはよっすぃ〜とだぁっ!!」
「あたしは矢口さんと一緒だぁ〜!!」
「やったぁ〜!! あたしは中澤さんといっしょですぅ〜!!」
「……」

…こんなコトがあってええんやろ〜か…
うちは出してしまった「グー」の手を見ながら心底後悔した。
ライヴで一泊することになったホテルの部屋割りを賭けて出した渾身の「グー」は…
うちの期待を見事に裏切った…

「もういっぺんやらへんか?」
「え〜!? だって公平にグーチで決めようって言ったのゆうこじゃん?」
「イヤや!! チャーミーと同じ部屋なんて…ゼッタイにイヤや!!」
「あ、そこまで言わなくても…」

うちは…こっそりと横目で石川を見た。
…なんつーカオしてんねん…何でナキそうなカオしてんねん…

「中澤さんは…ホントにわたしのコト…キライなんですね…」
「あ〜!! ゆうこが石川泣かした〜!」
「ちょ、待ってや…石川…マジで泣いてるんか…?」
「だって…中澤さんが…そんなに…なんで…悲しい…」

し…しまった…泣かしてもうた…
半分ジョーダン(半分はマジや)でゆーたのに…そんな大ナキされるとは…

「中澤さぁん…」
(げっ!! 泣いてる石川…むっちゃかわええやん…初めて見た…)
「どぉして…どぉしてですか? そんなにわたしのコト…キライですか…?」
「そ、そそ、そ…そんなコト…あらへんがな〜。石川と部屋が一緒で嬉しいで〜」

半分ヤケクソになって石川のアタマを撫でてやる。
ぐすぐすとハナをすすって…上目遣いでうちを見上げる。
その姿は、親に怒られてびくびくしている子供のような…彼氏に怒られて謝っているような…

「よかったぁ…わたし、中澤さんにホンキでキラわれたら生きていけません」
「…はぁ?」
「いや〜!! 石川がゆうこに告白した〜!!」
「ちゃうやろ!! 今のはゼッタイちゃうやんか!?」

な…なんでこんなに焦ってんや!! カオから火が出そうや…
ゼッタイに今のうちのカオ…真っ赤や…

「……」
「い、石川〜! なんでそんなカオをして俯いてんや〜! なんか言え〜!!」
「……」
「違うんや!! 今のはゼッタイちゃうやんかぁ〜!!」

うちの悲しい叫びが…楽屋に響いた。
全ての始まりはここからだった。
378 名前:ま〜 投稿日:2001年02月15日(木)07時47分58秒
おお、新しいの始まってますな。
りかちゅぅですね。期待してます!!
最近、中澤は石川のことを気に入ってるみたいですしね。
って言うか、新メンで一番絡んでるのって石川のような気がする。
379 名前:名無し読者 投稿日:2001年02月15日(木)16時42分05秒
緑板のtestスレで最初にりかちゅー希望した者です。
長〜く頑張って下さい。
380 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月15日(木)22時45分29秒
りかっちゅー♪
381 名前:nanasi読者 投稿日:2001年02月16日(金)01時28分20秒
ANNSで姉さんが「マイブームは石川」
って言ってたな
382 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月16日(金)02時32分13秒
最近、人気上昇中のカップリングのせいかレスもすごいですね〜(わら
チョット緊張してきちゃったよ。頑張って書かないと…

>>378 ま〜さん
白板に続いてこちらまでレスをつけてくださって…ありがとうございます!
最近石川がスキなんだ…俺の中ではゆーちゃんはいつも矢口なのに(わら
あきちゃったのかな…?

>>379 名無し読者さん
緑板のtestスレ、いつになく盛り上がってましたね!(わら
あんな風にみんな読んでくれてるんだな〜って思いましたよ。
なが〜くなるかどうか分かりませんが…短くはないと思います。

>>380 名無しさん
そうですね。りかちゅーです(わら

>>381 nanasi読者さん
最近、名無し読者さんが多いですね…誰だか分かんないです。
矢口イジメの次は石川ですか…ねーさん、浮気性(わら
りかちゅー絡みの情報はゼンブここで手に入れてます。
だから、内容が似たり寄ったりになるかもしれません(わら
383 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月16日(金)02時33分19秒
「うわぁ…結構広いですよ〜。中澤さ〜ん」
「…ホンマや…」

ホテルに移動してダブルの部屋に入ると…案外広かった。
間違えてツインベットだったらどないしようかと思ったけど…
それはそれで…楽しいかも知れへんかったな…

ん? 楽しかったかも知れへんかった?
な…何を考えてんねん、うちは…石川やで? あの寒いチャーミーやで?
構うなら矢口のほうがええし、話すならなっちの方がええし…

「中澤さぁ〜ん?」
「!!!」

目の前に石川のカオがあって…うちはその場から二歩ほど後ずさった。
そんなキラキラした無邪気な目でうちを見るんやない!!
ああ…何で声にならへんねん…

「さっきから…様子がおかしいです。やっぱりわたしじゃイヤなんですか…?」
「そ、そそ、そんなコト…あらへんわ…」
「じゃあ、カゼでもひいてるんじゃあ!! ちょっと、すみません」

そう言って石川はずんずんとうちに迫ってくる。
そ、それ以上近づかれたら…うちがおかしくなってしまう…

「に、逃げないで下さい!!」
「逃げてなんか…あらへん…」
「じゃあその場でじっとしててください!!」
「…はぁい…」

なぜか石川の声でうちの動きが止まってしまい…
石川はちょっとかかとを上げて…うちと額を合わせた。
手…手のひらでもじゅーぶん分かるのに…何でや…

「熱は…わ、わっ…こんなにあるじゃないですか!! カオも…赤いし…」
「イヤ…あの…それはちゃうで…」
「中澤さんは…頑張りすぎちゃうから…今日はちゃんと休んでください」

ホンキで心配してくれている石川の姿がホントにケナゲで…うちの胸が熱くなった。
抱きしめたい衝動に駆られるけど…なぜかカラダが動かない。
矢口には自然にできる事が石川には出来ない…何でや…わけわからん…
384 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月16日(金)03時53分47秒
「…お願いだからシャワーぐらい浴びさせてーな」
「ダメですっ!! そんなに熱があるのに…シャワーなんか浴びたらヘロヘロになります!!」
「あのなぁ…だいじょぶやて。もう元気になったから…」

ベットに寝かされてる…中澤裕子たるものがなんとも情けない…
なんでや…どーしてうちは石川にはアタマがあがらへんねん!
テレビの時みたいに…自然に振る舞えへんねや…

「じゃあもう一度熱を…」
「あー!! 石川…今度は手のひらで測ってーな。石川が熱あるかもしれへんのやから…」
「そうですね〜。どれどれ〜?」
「……」

熱なんかあらへんに決まってるやろ…今はカオも赤くあらへんし…
ドキドキしてへんし…ゼッタイにだいじょぶや。

「あれ? 熱…下がってますね〜」
「せやろ? だから、ゆーちゃん元気やってゆーたのに…」
「…よかった…」
「はぁ?」
「中澤さんは…元気な方がいいです♪ だってその方がカワイイんだもん」

こ…こいつは…ハズカシイコトをためらいもなくよう言えるわ…
しまった!! またカオが赤くなる…

「あれ? どうしたんですかぁ? カオが赤いですよ?」
「べ…別にカオなんか赤くなってへんわ! 石川の思い違いやで!」
「…そんなに怒らなくてもいいのに…」
「怒ってへんよ! 石川がイロイロ…なんや、ホラ…勝手に…」

言葉が浮かんでは消えてしまう。本心を伝えたくても…靄にかかったように曖昧になる。
こんな感覚なんて感じたことがない。胸の辺りがぎゅ〜って絞られたみたいになる。

「…ありがたメーワクなんですか?」
「そうやないけど…そうやない! ホントに心配してくれて…嬉しいんやで…」
「中澤さん…」
「…は、はい…」

何が「…はい」や…これじゃまるでうちが攻められてるみたいやんか!
…攻められてる? 石川に…今度はうちが攻められてるやんか!

「ホントにカゼを引かないよーに…おまじないのchu!」
「……」

石川のキスは頬を軽くかすめたが…うちにはハッキリとその感覚が分かった。
カオも上げられずにカラダを起こすと、すぐにバスルームに駆け込んだ。

「…中澤さん…ヘンだね。今日…」

石川の行動ゼンブの方がよっぽどヘンやんか!!
…うちは心の中でそう叫ぶしかなかった。
385 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月16日(金)04時20分37秒
りかちゅー最高!
ホントに中澤風邪ひかせて。。。石川の看病するシーン書いて下さい!
作者様!!!(弱い中澤が見てみたい)(天然石川も)
386 名前:みるくる 投稿日:2001年02月16日(金)17時46分26秒
最高です!!
最近梨華ちゃん好きになってます。
ていうか、大好きです!!裕ちゃんがんばれ!(何を?)
387 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月18日(日)03時55分04秒
こっちも頑張って書きます。何か白板でヘンなの(?)書いて来たから
その後遺症が抜けてないから…(わら

>>385 名無しさん
実際にゆーちゃんはカゼを引いているわけではないので難しいですね。
しかも、ゆーちゃんを看病するのはある人がやってしまったので(わら
できませんね〜。期待に添えなくてスミマセン…

>>386 みるくるさん
最近、チョット矢口に飽きたので…石川に凝ってます。
あの雰囲気と声がスキです。チャレモニ見ようか悩むくらい(わら
時間の都合上、見れないんですけどね…
388 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月18日(日)03時56分48秒
「…何やってんねやろ…」

まだドキドキしてる心臓が…何とも言えずにむずかゆくて許せなかった。
矢口の前でもこんなにキンチョーしたコト、あらへんのに…
ただ、軽く、挨拶代わりみたいに頬にキスされただけやのに…

「…なんちゅーカオしてんねん…真っ赤やんか…」

ユニットバスになっているバスルームの鏡を見て…
想像以上に頬に朱が散っていて…情けなくなった。
こんなに石川を意識したことがなかったからかもしれへん…

「…どないせい、ちゅーねん…」

とりあえず服を脱ぐ。バスローブもあるし…スッキリするにはええかもな。
今日のうちは疲れてるだけや。だからこんなに石川のコト、意識してるんや。
早よ寝て…疲れを癒せば治るやろう。

シャワーの温度を少し熱めにして…お湯を出した。
心地よい熱さがカラダの疲れをとってくれる…ホンマにキモチええな…

水滴がカラダの上を小躍りして…軽くはじいて流れる。
まだまだうちのハダも捨てたモンやないな。ごっちんやよっすぃ〜には負けるかも知れへんけど…
細さとツヤはまだ自信がある。

「ふぅ〜…」

バスタブにある程度お湯が張ってきて…うちはカラダを沈めた。
思わず、「極楽極楽〜」などと年寄りじみたコトバが喉元まで上がってきて…こらえる。

「はぁ〜…恋をして〜…仕事して〜…」

何気に歌を口ずさんでしまい…気恥ずかしくなる。
その時…側においてあったシャンプーがイキナリ倒れた。

「な…何や…」

がたんっ!

大きな音がした後…横に大きく揺れる。
沈めていたカラダを起こしてみた。

「じ…じ…地震や!!」
389 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月19日(月)00時07分44秒
何?何?何?
先が・・・読みたい!
390 名前:ま〜 投稿日:2001年02月19日(月)23時24分45秒
どうした!?
大丈夫か?中澤!?

ところで『ゆーちゃん看病ネタ』は、私ですか・・?
全然書いてOKですよぉ〜。
FANTASISTAさんの方が文章うまいし!
せひFANTASISTAさんバージョンが読みたいっすねぇ〜♪
391 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月20日(火)02時40分26秒
HPのアクセス数がウナギのぼりです♪
レスをつけてくださった皆さん、この場においてもありがとうと言わせてください。
これからも書きつづけていきたいと思います。

>>389 名無しさん
とりあえず…地震です。意外とキーになる地震です(わら
何故なのか…それは続きで!

>>390 ま〜さん
その通りです! 看病ネタは見事にりかちゅーを書かれたので…
俺もあの雰囲気がスキだからやりません。難しいですし…(わら
まあ、ちゃんとしたストーリーがある程度あるからムリなんですね〜
そっちの方向には書けないんです。
392 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月20日(火)02時41分13秒
「きゃああぁぁっっ!!」

この世のモノとは思えないような甲高い悲鳴が聞こえた。
あの高い声は…確実に石川や。

「ど…どうしたんや!! 石川!!」
「…な、中澤さ、ん…コワイです!! コワイ…」
「ホテルの上のほうやから…どうしても揺れるな…」
「ま…まだ、ゆ、揺れて…る…」

…ヤケに長い。一瞬突き上げるような振動があってから…
今は横揺れに変わっている…何や…フツーの地震やったみたいやな…

「ちょ、どっかぶつけたんやないやろーな…」

とりあえず何か着た方がいいやろうとバスローブに手を伸ばして…

がちゃ!!

「…!!」
「ご…ごめんなさいっ!!」

……
…はっ!? イカン!! 何でこんなトコに石川が…
しかも、うち…全裸やし…抱きつかれてるし…

「コワイです…コワイですぅ…」
「石川…」

がたがたと震えて必死に抱きつく石川…
押し留めていたなけなしの理性があっさりと吹き飛んだ。
でも…カラダが動かない。抱きしめ返すことすら…できない。

ハダカのままのうちは…石川に抱きしめられっぱなしだった。
393 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月20日(火)03時02分30秒
「石川…」
「…はい…」
「だ、だ、だだ、だいじょぶやで〜…地震は収まったから…」

中澤さんは…カオを真っ赤にして、そっぽを向いてわたしに言った。
でも、今の中澤さんがすごく柔らかく感じるのは何でなんだろう…?

「…きゃあっ!!」
「さ…叫びたいのはうちのほうや!! いきなりドア開けられて…」
「ご、ゴメンなさい…」

中澤さんが…ハダカだ…
でも、初めて見た…すごいキレイなハダしてる…しかも、細い…

「そ、そんなにじっと見んといて!!」
「……」
「い、石川…?」

…何? このモヤモヤとドキドキが入り混じったキモチは…
中澤さんのハダカを見てると…ドキドキする…
スゴイ…触ったら…どんなカンジなんだろう?

「…中澤さん」
「ちょ、ちょっ…な、何すんねん…」
「……」

わたしは…中澤さんの肩に触れた。
シャワーを浴びたてのせいか…つるつると光沢があって柔らかい。
…欲しい…この柔らかさが欲しい…

「な、何すんねん!! 石…川…」
「……」
「そ、あ…や、やめて…ん…」

首筋に舌を伸ばして…カラダの線に沿ってなぞる。
びくびくと中澤さんのカラダが震えて…わたしのカラダを抱きしめた。
あー…なるほど。あたしより感じるタイプなんだ…

「ま…待って…そんなに…はぁ…」
「初めてじゃないですよね? 当然…」
「バ、バカにしてんのか…そうやなくて…」
「ツラかったら、座っちゃっていいですよ」

わたしよりずっと小ぶりの胸を…小さく刺激する。
見事な反応があって…あたしはそのカオに胸を埋めた。
声を出さないように…こらえているのが分かる。
わたしは…ゆっくりとしげみの方に指を伸ばした。

「くっ…石川…何で…そんな…ああっ!!」
「わたしは高一です。いちおう経験はありますよ…男の人だけど」
「せやない…なんで急にうちと…っはぁっ…むっちゃツライ…」

ひんやりと冷たいタイルの上に中澤さんがぺたりと腰を落としてしまった。
立ってるのはさすがにツライかな…どうしよっかな…

どばんっ!!

「ゆうこっ!! スゴイ地震…って…あれ?」

飛び込んできた声は…矢口さんの声だった。
394 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月20日(火)03時20分22秒
「ゆうこ〜!! どこにいるの〜?」

…矢口の声やんか…そっか地震でうちのトコ来たんか…
あかん!! こんなトコ見られたら…一生、口利いてくれへん!

「い、今フロ入ってるで〜…」
「あ、そ〜なの? すごかったね〜地震…」
「そ、そやね…」

うちにしたら…目の前にいる石川の方がずっとすごかった。
あの時の石川の目は…いつもの石川とは正反対やった。
えっちすると性格変わるんかな…?

「別にケガとかしてへんで〜…」
「あれ〜? 石川がいないじゃん? どこ行ったんだろ〜」

ぎくっ!!
まさか、ここにいって一緒に抱き合ってえっちしかけてましたなんて言えへん…

「な、何かロビーの方に用があるって言って、下行ったようだったけど?」
「ふ〜ん…そうなんだ。それじゃヤグチはテレビでも見てるから〜」
「な…何でや!!」
「何でって…よっすぃ〜がごっちんと遊びに行っちゃって寂しいんだよぉ〜」

し…しまったぁ〜!!
このままじゃ…石川をどないすればええねん…あかん…マジあかん…

「あの…ドアを開けたらわたし…入口のほうに行きますから…」
「石川…」
「いいんです。矢口さんにキラわれたら…中澤さん、悲しそうなカオすると思いますから…」
「……」

…どっちがホントの石川なんやろーか…
ポジティブ石川って…やっぱりさっきの石川なんやろうな…

「…ごめんな。そんな悲しそうなカオ、すんなや…」
「はい…」
「それじゃ…」

うちはバスローブを羽織って…ドアノブをひねった。
395 名前:名無し読者 投稿日:2001年02月20日(火)04時46分27秒
ありゃ、こっちでもいいところで邪魔が(笑)
それにしても石川、なんかいきなり凄いな。
396 名前:ま〜 投稿日:2001年02月21日(水)00時18分24秒
石川・・・、なかなかやるな!
397 名前:読者のひとり。 投稿日:2001年02月21日(水)01時39分46秒
い、石川が・・・(w
どうなるんだろ。読めません。
398 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月21日(水)03時38分24秒
さっそく続きです。ちょっと詰まり気味ですが…なんとかなりそうです。
意外と難しいカップリングですが…

>>395 名無し読者さん
白板のほうも同じような展開になってしまいましたね(わら
別に意識したわけじゃないんですけど…たまたま、そんな風になってしまったと言うコトで。
しかし、えっちシーンはダメですね。挫折しそうです…書くのがキツイです。

>>396 ま〜さん
石川の変貌振りにはちゃんと解答編を用意しています。
まだ、ゆーちゃんにも石川にもその理由が分かっていませんが…

>>397 読者のひとり。さん
なかなか「受け」の中澤をうまく書けないので展開が俺自身も読めません(わら
石川はチョットやりすぎたかなっと思ってます。二重人格みたいだ、これじゃ。
399 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月21日(水)03時39分20秒
「や、矢口〜」
「あ、やっと出てきたよ〜。矢口ヒマでヒマでさぁ〜…」

テレビを見てベットで寝そべっている矢口を尻目に…石川は入口の方に走っていった。
よし…これでバレるコトはないやろ…

ばんっ!!

「!! ったぁ〜いっ!!」
「な…何やねん…?」

ドアを開けて出ようとした石川を誰かが吹き飛ばしたように見えた。
でも、それは違った。開けようとしたドアが開いたんや…

「あれ? 何やってるの? 梨華ちゃん…」
「……?」

アタマを抑えてぺたりと腰を落としている石川を飛ばしたのは…
よっすぃ〜だった。なぜか知らんけど…ごっちんもおる。

「な、なな、何で…ここに来たの?」
「いや…あたしの部屋は隣だよ? 地震があって…梨華ちゃんの悲鳴が聞こえたから…」

し…しまったぁぁっ!!
隣はごっちんの部屋や。遊びに行ってたよっすぃ〜が石川の声を聞いてくるのもムリはない。
こ…この状況は…

「…あれれ? 石川…ロビーに用があったんじゃないの?」
「えっと…その…」
「ドア開けたら梨華ちゃん向こうから逃げてきたみたいでしたけど…」
「えっ? こっちにはヤグチしかいなかったけど…?」

あかん…ホンマにあかん…
この状況じゃ…確実にバレてしまうわ…

「まさか…石川…」
「ゴメンなさい! ゴメンなさい…わたし…」
「やっぱり…ゆうこと一緒にオフロ入ってたんでしょ!?」
「……」

矢口が…モノスゴイ鋭い目でうちを睨みつける。
ダメやった…もう、謝るしかあらへん…

「ど〜ゆ〜ことなんだよ!! はっきり説明してくれるよね!?」
「…分かってるわ…」
「分かってる!?」
「はい! 分かってます! ちゃんと説明します!!」

うちは…ぐいぐいと矢口に腕を引っ張られた。
どないな風に説明せなあかんねん…うちが石川に説明して欲しいわ…
400 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月21日(水)23時59分46秒
うちは矢口とごっちんとよっすぃ〜の前で…どうしてこうなったのか説明した。
もちろん、えっちしかけたことだけは伏せたが…

「なるほどね…そ〜ゆ〜ことだったわけだ」
「ホンマやて…石川に罪はあらへんよ」
「な、何だよぉ〜…ゆうこ、石川かばってるみたいな言い方してるじゃん…」
「そ、そんなコトあらへんよ…」

当の石川は…さっき、うちを攻めていた強さはどこ吹く風で小さく肩を落としていた。
うちは…なんとも言えないキモチになって石川の肩を叩いた。

「矢口だってあんな地震があったら『ゆうこ〜!! コワイよぉ〜!!』って泣きつくやん」
「ち…違います! ヤグチは地震なんかコワクないよ〜だ!!」
「どうだか…誰もいなくて地震にあったからうちのトコ、来ちゃんちゃうか?」
「ぎくっ!! ヤ…ヤグチはそんなに小心者じゃないもん…」

そんなやりとりを見て…石川は小さく微笑んで軽く頷いて見せた。
カ…カワイイ…ふわふわ〜ってカンジが何とも言えへんなぁ…
また、えっちの時と性格が違うのもうちのコノミやし…

「ゴメンなさい。矢口さんに…心配かけるようなことしてしまって…」
「し、心配なんかしてねーよ!! 別に石川とゆうこがどうなったって…そんな…」
「そんな言い方せんでもええやんか! うちは石川のコト…スキやで」
「……」
「あれ? 梨華ちゃん…カオ真っ赤だよ〜」

ごっちんにツッコミを入れられて…ますますカオを赤くして俯く。
あれ? うちは…別にそーゆー意味でゆーたわけじゃ…
矢口が…むっちゃ睨んでるし…

「あ〜そっ!! 一瞬でも心配したヤグチがバカでしたよ!!」
「ちょ…待ってや! 何でそんなヘソ曲げてる…」
「石川とえっちまでしちゃえばいいんだよ!! ヤグチの知ったことじゃないもん!!」

過激な発言を残して…矢口は部屋を出て行った。
うちは追いかけようとして…腕をつかまれた。
…石川だった。

「な…何や…どした? 石川…」
「…行かないで下さい…」
401 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月22日(木)00時22分10秒
石川の爆弾発言に…うちらは目を丸くした。
今のコトバは…なんと解釈すれば…

「矢口さんのコトばかり…構わないで下さい。わたしも構ってください」
「い、いい、石川…?」
「テレビだけなんて…イヤです。矢口さんみたいにずっと一緒にいたいんです…」

こ…こんなよっすぃ〜とごっちんのいるトコで言うかフツー!?
二人きりの時ならまだしも…しかも、こーゆー話題がスキなごっちんの前で…

「ご、ごめん〜…あたしらジャマみたいだから、部屋に戻るね〜…」
「えっ!? ごっちん?」
「いいからよっすぃ〜…あの二人だけにした方が面白いから…」

くっ…ごっちんめ…このコトをメンバーにブチまけるつもりや…
今のコトバ、ゼッタイ忘れへんで…

「…べ、別に石川が思うほど、うちは矢口と仲良くあらへんで…」
「ウソです。そんなウソ…聞きませんから…」
「謝らんと…矢口を傷つけてしもうたから…」
「わたしのコト、スキだって言ったじゃないですか…」

扉が閉まる音がして…うちらは再び二人きりになった。
二人きりになるとうちは弱い…石川には押されっぱなしや…

「スキやで。石川のコト…でも、矢口だって…」
「矢口さんは…ダイスキなんですか?」
「…はぁ?」
「だ、だから…わたしのコトはスキで…矢口さんのコトはダイスキなんじゃないんですか?」

こーゆー議論をしたことがないのか…石川はカオを真っ赤にしながら分からないコトを聞いた。
伝えたいコトは分かるんやけど…説得力はゼロやね…

「二人ともダイスキや…これでええか?」
「……」
「矢口と同じ状況に石川が置かれたら…ツライやろ? だから…」

そう言って立ち上がろうとすると…ものすごいチカラでベットに倒された。
一瞬、目をつぶってしまい…気がつくと石川に組み敷かれている。

「石川…!」
「選んでください…さっきの続きをここでするか…矢口さんを追いかけるか…」

あの目や…さっきのうちを弄んだ時の目や…
理由が分からへん…どうしてこんなにキツイ手段でうちと結ばれるコトを考えるんや…?
402 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月24日(土)01時08分00秒
「…選んでください…」
「アホかい…」

中澤さんはあたしを押しのけるとゆっくりと立ち上がった。
バスローブの居住まいを正して…わたしを見ようとしなかった。
何をしてるんだろ…わたし…

「矢口は娘。のメンバーや…誤解が生まれたら解かなあかん…リーダーやからな」
「わたしは…」
「キモチは分かるで…石川のキモチは嬉しいんや…」

そういってバスルームに向かおうとする…
わたしは考えるよりも先に後ろから中澤さんを抱きしめた。

「い、石川…」
「わたしも…見てください…矢口さんと同じように…」
「な、何すんねん…石川…」

襟の部分から手を忍び込ませると…わたしは中澤さんの胸に触れた。
その丘の頂上に指を這わせようとした時に…
モノスゴイ勢いで後ろに飛ばされた。

「…ええ加減にせぇよ…」
「……」
「矢口はそんなことしてうちに気を引こうとせんで!!」

鋭い中澤さんの声でわたしは茫然とその姿を見返した。
見下ろす中澤さんの瞳は…初めて見るほど、きつかった。
背中に…何かが走った…

「カン違いしてたようや…石川のコト、スキやあらへんわ…うち」
「……」
「…軽蔑する…サイアクや…」

バスルームに消えていく中澤さんを…わたしはぼんやりと見ていることしか出来なかった
403 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月24日(土)01時31分23秒
「矢口…」
「ふんっ!! 何しに来たんだよ! 石川と一緒にじゃれてればいいじゃん!!」

そんなことが出来るんやったら…そうしていたかった。
手早く着替えると…うちは足早に部屋を出た。
矢口を見つけるには時間がかからない。ヘソを曲げるといつも自室で菓子を食べてるはずやから…

「…すまんな。ヘンな誤解されてもうた…うちの責任や」
「チョ、チョット…どうしたんだよ〜? ゆうこから謝るなんて…」
「うちがワルイんや…全部な…あんまり、目くじら立てんといて…」

ヌケガラような自分をなんとか建て直そうとして…ムリヤリ笑う。
そのカオが矢口にはえらく不気味に映ったらしい。
ぎょっとしたまなざしてうちを見返す。

「ゆうこ…何かヘンなモノでも食べたんじゃないの? おかしいよ…」
「おかしいもんか…うちは…おかしくないで」
「そ〜ゆ〜姿がすでにおかしいんだよ…」
「石川とは…仲良くしてやってな。あのコは不可抗力やったんやで…」

チョット…やりすぎたし、言い過ぎたと思う。
でも、石川にも態度を改めて欲しかった。
うちを求めることだけに集中しているその態度は…どうしても許せない。

(…じゃあ、どないせいっちゅーねんなぁ…)

スキになって欲しい…ちゃんと石川とうちのキモチを確かめ合いたい…

ア…アホかい、うちは…なんでそんな思春期のチェリーやヴァージンやあらへんのに…
なんでそんなコト、考えるんやろか…
ホンキで石川のコト…スキになってしもうたんかな…

「もしも〜し…ゆうこ、カオ赤いよ? 熱でもあるんじゃん?」
「な、何ゆーてんねん…そんなコト、あるかいな…」
「ならいいけど…とりあえず、ありがとね…いつもいつも…」
「これもリーダーの仕事やから…な」

矢口を軽く抱きしめると…うちは早々に部屋を後にした。

「…ゆうこらしくないなぁ〜…」
404 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月26日(月)02時27分48秒
「部屋に帰りづらいなぁ…」

することがなくて、うちはホテル下のロビーでタバコを吸っていた。
その辺にあった雑誌をパラパラ見ていると…娘。に関する記事が山ほどあった。
人気があるちゅーコトやな…

『モー娘。次に辞めるのは後藤? それとも中澤?』

…こーゆー記事にはいい加減にハラも立たなくなってきた。
自分にもスポットが当たっていると思えば、こんなコトは何でもない。
人気があるからいいコトでも、よからぬコトでも騒ぎ立てるのだ。

「辞めてもうてもええんちゃうかなぁ〜…うち…」

弱気になっているのが分かる。
ゼンブは石川のせいや。石川の…態度のせいや…
どうして…あんなにうちのコトを…

(こんばんは!! チャーミー石川ですっ♪)

うちは自分のことが分かってる。
ツッコミが激しくなるのは…石川がスキな証拠だ。
スキだから、石川を困らせたり、泣かせたり…そのカオがたまらなくかわいかったりする。

(どぉして…どぉしてですか? そんなにわたしのコト…キライですか…?)

キライなわけあるかいな…あんな風に見上げられて泣かれたりしたらうちだってダメや。
ホンマは…ぎゅ〜って抱きしめて自分のペースで…
番組のように自分のやりたいように石川を動かしたい。

「…ずっと石川のコトばかり考えてる…」

髪をぐしゃっとすると…鬱なキモチがさらに増したような気がした。
カオが見たかった…できることなら、謝りたかった。
石川の本心がどうしても知りたかった。

「しゃ〜ない! 部屋に戻ろうかなぁ…」

うちはエレベーターに向かって歩き出した。
405 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月26日(月)02時45分24秒
「ぐすっ…ぐすっ…」

わたしは…ベットの上に大の字になっていた。
キラわれてしまった。中澤さんにサイアクだって言われてしまった。
わたしはサイアクなんだって…

「分かんないです…わたしだって分からないんですぅ…」

中澤さんを見ると、ど〜しても抱きたい!って…キモチが先走っちゃう。
病気なのかもしれない。男のヒトだってこんな風にならないと思うのに…
気がつくと、アタマが白くなって…中澤さんを抱きしめてる。

スキだから…キスしたいとか、抱きしめたいとか…
そーゆー純粋で、最初に行うステップがなぜがなくって…
えっちすることだけが先に来て…それからキモチが付いて来てしまう。

「インランなのかな…? わたし…」

こんなキモチになったのは初めてなんだ。
昔付き合ってた男のヒトにだってこんなコトはなかったのに…
中澤さんのカオを見ると、どうしても喜ばせてあげたいって思っちゃう。

それは中澤さんが強そうだけど…どこか弱そうで、誰かを求めているようで…
一人でだいじょぶそうだけど、実はだいじょぶじゃなさそうで…
だからかもしれない。あたしはそれに応えようとしているのかもしれない。

「…でも、それはえっちしちゃう方向とは違うよね…」

このままじゃ、きっと仕事にもならない。
カオをあわせるたび、二人きりになるたび…中澤さんを抱きたくなっちゃう。
そのたびに中澤さんを困らせたり…怒らせたりしちゃう…

「わたしの本心は違うのに…ホントは矢口さんみたいに…自然でいたいのに…」

くやしい…アタマでわかっているのに、実際にカラダが動いてくれないことが歯がゆい。
どうすればいいいんだろう…? わたしのすることは…何なんだろう…?

「…謝りに行こう! それしかない…」

ナミダを拭って…あたしは部屋を出た。
406 名前:シーマ・ノブナガ 投稿日:2001年02月26日(月)03時20分02秒
約一ヶ月ぶりに読まさせて頂きました。
やすいし終盤、いしゆうと
まとめて読んでいる最中
「いしかわーーーーーーーーっ!!」
と叫びたい衝動を抑えるのに精一杯でした。
いしゆうで一番気に入ったのは
かなりいい味出してるごっちんですね。
407 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月26日(月)04時11分45秒
タイムリーな脱退ネタが入ってたのが。。。
脱退して欲しくない!
でも最近、中澤が疲れてるのTVみてもよく分かる
一歩引いたところから他メンみてる気がするし
って全然関係ないスレしちゃった
作者さん楽しみにいつも見させて頂いています
408 名前:ま〜 投稿日:2001年02月26日(月)22時10分46秒
407さんに激しく同意!
中澤が脱退したら、もう娘見ないと思う・・。(多分見るけどw)
ところで最近は中澤と石川がいい感じですね〜。
いしゆうもいいですね。
俺も近いうち書こうと思ってます。

ここでの中澤の心の葛藤がいいな〜。
二重人格のような石川も・・・♪
409 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月27日(火)03時23分45秒
完全にやってしまいました。最初のやぐよし編以来の失敗作です。
理由は分かってます。石川の動かし方を間違えました。
頑張って立て直していますが…これは悔いが残る(わら

>>406 シーマ・ノブナガさん
一ヶ月ぶりのごぶさたです♪
りかちゅーに関しては…みなさんの期待に答えられずに悔しいです。
えっちしーんが急激過ぎて収拾つかなくなったのが原因です。
ごっちんは…意外とクセのあるキャラです。もっと出したいんですけどね…

>>407 名無しさん
「脱退ネタ」は新聞の広告で見ました。その雑誌は見ていませんが…
そうだよなぁ…しょっちゅー中澤脱退出てるよなぁ…
辞められては困る。矢口のためにも、石川のためにも(わら

>>408 ま〜さん
俺が失敗したんでそりゃーもー、ぜひ書いちゃって下さい(わら
「受け」中澤もなんとなくでただの弱気なゆーちゃんみたいで…
思い描いているように書けないんですよ…ムズカシイです。
410 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月27日(火)03時24分43秒
「…つ〜か、何チンタラやってんねん! ここのエレベーターは…」

ロビーのトコには三つのエレベーターがある。
ところが、その一つが故障して全く下りてこない。
うちの部屋は15階だから階段で上がるにはあまりにもキツすぎる。

「こんなコトなら…ロビーなんかに来るんやなかった。圭坊の部屋で遊んでれば…」

電光掲示を見ていると…15階でエレベーターが止まった。
誰かいるんかな? あの階層はたしか全部モーニングの関係者しかおらへんし…
まさかロビーに用があるとも思えへん。ジュースだって高いんやし…

その止まったエレベーターが…みるみるうちに1階に迫ってくる。
何や…ようやく来おったな…とりあえず、部屋に戻って石川に謝らんとな…

ちんっ!

「……」
「……」

カオを伏せたまま、うちはエレベーターに乗り込んだ。
いつものクセや。マスコミが自宅にうろちょろされるクセがここで出る。
うちの横を誰かが小走りで駆け抜けた。

「…何階ですか?」
「あ、15階です。スミマセン」

「中澤…さん…?」

ロビーの方から家を呼ぶ声が聞こえて…思わずカオを上げた。
エレベーターを降りた先には石川がいた…
さっき15階から来たのは…石川やったんか…

「石川っ!!」

扉が閉まりそうになって…うちはその隙間にカラダを潜り込ませた。
がんっ! と背中に衝撃が伝わったが…すぐに扉が開く。

「中澤さん…」
「イテテ…ああ、すんません。どうぞ…行って下さって結構です」

エレベーターが閉まって…ロビーに人影がなくなった。
石川と二人きりになった…
411 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月01日(木)04時36分16秒
「中澤…さん!」

抱きつきそうな素振りを見せて…石川はその場に押しとどまった。
ぐっと何かをこらえているような姿はまるでエサを目の前にした犬のような姿や…

「…どうしたんや…」
「あの…その…もう少し近づいてもいいですか…」
「べ、別に構わへんけど…どうせ話するなら部屋でもできるやんか。一緒なんやし…」
「えっと…そうですね…」

そう言ってうちはエレベーターのボタンを押した。
後ろにいる石川はしばらく俯いて…何かを思い出したようにカオを上げた。

「中澤さん! ゴメンなさい!!」
「…?」
「その…中澤さんのキモチも考えずにその…えっちなコトして…」

ハズカシそうにカオを真っ赤にして俯く。
…やっぱり真っ直ぐなコなんやなぁ…ちゃんと恥じらいがあるやん…
イマドキのコなのかと思ってた…あんなことするから…

「そら…まぁ、うちも石川にあんなコトされるなんて思わへんかったからビックリしたけど…」
「……」
「突き飛ばしたりしてゴメンな。ケガとかしてへんか?」
「……」

ただ無言で…石川は首を振りつづけていた。
その姿がなんとも痛々しくて…えらく傷つけてしもうて…

「…すまんな」

自然に石川を抱きしめる…
初めていつもどおりに自分のカラダが動いた…

ちんっ!

「…でさぁ〜、スゴイんだよ〜」

……
あれ…? なぜ、こんなトコにごっちんとよっすぃ〜が…
しかも…この態勢は…マズイ!!

「あ〜!! ゆーちゃん、梨華ちゃんのコト抱きしめてる〜!!」

ロビー全体に行き渡る大声で…ごっちんが叫ぶ。
その声量を歌に生かせっちゅーねん…
412 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月03日(土)17時31分50秒
次はまきまりを書いてくれませんか?FANTASISTAさんのまきまりがみてみたいです。
某スレでまきまり、すごいいい感じで。もしよかったらの話なんですが、よろしく
おねがいします。
413 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月06日(火)02時37分00秒
ちょっと開いてしまいましたね。なんだか当初とゼンゼン話が違ってしまい…
書いててかなりツライです。そろそろ終わりになると思いますが…

>>412 名無しさん
まきまりですか…白板でもリクエストしたヒトですか?
のちのち書いてみようかなぁと思っているカップリングですね。
次は…そろそろ話もたまってきたので青板やぐよし・ゆうごまの続編でも
書こうかなぁとか思ってるんですけどね…
ちなみに俺はまきまりを書いたコトありませんよ? 違うヒトじゃないかな?
414 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月06日(火)02時38分36秒
…ことごとくジャマが入る…
そのせいかエレベーターに乗ったもののものすごい不機嫌だった。
ただ…抱きしめていたことは叫んでも消えないから何とも言いようがない。

「…ほら…中澤さん、怒ってるよ…」
「…そうかなぁ? たしかに悪いことしちゃったけど…ロビー全員にバレちゃったし…」
「…梨華ちゃんまんざらでもないカオしてたよね…」
「…あたしだってビックリだよ。ゆーちゃんと梨華ちゃんじゃ犯罪だって…」

「うちを差し置いてこそこそ何話してんねん!! ゼンブ聞こえてるで!!」
「あははっ〜。ゴメンね〜」

ったく…ごっちんにまるで悪気がないからムリに叱るコトだって出来ない。
うちも限界や。これ以上…ジャマが入られたりしたら精神的におかしくなってしまう…

「それじゃ、あたしたちは消えるよ。ゆーちゃん、頑張ってね〜♪」
「こら!! ごっちん!! 明日きつ〜くしばいたるからな!!」

うちの声と同時にごっちんとよっすぃ〜がダッシュで逃げていく。
でも…今度こそはちゃんと話ができるはずや…
用心にカギでもかけておこうかなぁ…ちとやりすぎか…

「それじゃ石川…」
「はい…あの…」
「…?」
「手とか…繋いじゃったりしていいですか…?」

ハイもイイエも聞かずに…石川はうちの手を握ってきた。
その手が妙にあったかくて、生まれたての赤ちゃんのように…
眠そうな時の手のようなあたたかみがあった。

「中澤さんの手って…冷たいですね…」
「石川の手があったかいんや。まあ…タバコ吸ってるせいもあるんやけど…」
「あったかくします。中澤さんの手を…あたためてあげたいです」
「…ありがとな…」

誰がどう見ても…今のうちと石川はコイビト同士や…
でも、違う…決定的な何かが…足りない。
どうすればええんや…? このコトバにならないもどかしさが分かってくれへんかな…
415 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月06日(火)06時33分50秒
「なぁ…石川…」
「ハイ…」
「うちな…石川のコト、スキかもしれへんわ…」

正直に話した。
これが一番石川に伝えるにはいいと思った。
カッコつけていろいろ言ってみたって…きっと石川には伝わらへんねやから…

「あ…ありがとう…」
「な、なんや…えらいフツーやな…」
「わたしは…ダイスキです。中澤さんがいないと…ダメなんです」
「…そうか…」

「正直に話します…中澤さん、淋しくないですか?」
「何が…?」
「イヤ…その、コトバにするとすれば…そんなカンジしか思いつかないんですけど…」
「淋しいかぁ…」

確かに…淋しいかも知れへんな…
リーダーして、まともな恋愛も出来へんから結婚も出来んし…
彼氏がおらへんから、イロイロ不安もあるときがあるし…文字通り淋しくなるときもある。
このコは…そんなトコが皮膚感覚で分かってるんかもな…

「でも、さっきのオフロは…ゴメンなさい。あんなコトして…」
「ええねん…過ぎたことやし、うちかて…」
「…?」
「な、何でもあらへん…気にせんでええよ…」

一瞬だけキモチよくって…どうなってもええって思いかけたことだけは…言うのをやめた。

「…お願いがあります。一緒に寝てもいいですか…」
「……」
「何もしませんから…何も…中澤さんの側にいたいんです…」
「…こっちへ入り…」

大きくもないシングルベットに二人…
石川は…うちの腕の中で小さくナミダを流した…
理由はなんとなく、分かった。
このコも…うちと同じ寂しさを感じてたんやろうから…

「…中澤、さん…」
「…うん?」
「スキ…です。これからも…一緒にいてください」

「もちろん…」
416 名前:ま〜 投稿日:2001年03月06日(火)22時44分26秒
か、かわいい・・りかちゅ〜・・。
最近、ごまゆうから、りかちゅ〜に浮気してます・・・。

中澤・・。石川といつまでも一緒にいてやってくれ!(w
417 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月07日(水)03時02分24秒
今日でりかちゅー編は終わりになります。
詳しくはあとがきで語りましょう…

>>416 ま〜さん
緑の方でこことは「路線」を隔した話を書いていますね〜。
今日見たら終わっちゃってましたけど…りかちゅーいいですよね…
418 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月07日(水)03時03分55秒

      ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

「お〜い…ゆうこ〜…」

…ん?
何や…今、矢口の声が聞こえたような…

「ふぁ…ねむ…」
「……」
「なんやぁ…もう出る時間かい…」
「……」

寝グセで髪がぐしゃぐしゃになるにもかかわらずアタマをかく…
つーか…寒いなぁ…今日はよう冷える…

ばんっ!!

「おっはぁ〜!! あっさだ…よ…」
「おう…おはよーさん…やぐちぃ…」

部屋に飛び込んできた矢口はうちをみるなりカオを赤くして…そっぽを向いた。
…ん? なんや、うちにホレてもうたんか…?

「ちょ、ちょちょ…ゆうこ…頼むから…」
「おう…」
「上着…ぐらいは着てほしい…」
「はぁ?」

視線を下に落とす…うん…おわぁっ!?
ハ…ハダカや…何でや…? 昨日は脱いで寝てへんはずや…
隣に石川がいた…から…

石川がいたから!?

「げっ!? まずい!!」
「…むー…」
「な…なんだよぉ…ゆうこのばかやろぉ!! 石川と寝るなんて…!!」
「寝るって…寝たけど…ただ一緒に添い寝しただけや!!」
「じゃあ、何で…二人とも上着を着てないんだよ!!」

横にいる石川もむくりと…なぜか下着姿の上半身を起こして…挨拶した。

「矢口さん、おはようございます〜」
「おはようじゃないよ!! 石川は…石川は…ゆうこと寝ちゃったの!?」
「はい〜…寝てました〜…えへっ♪」
「サ…サイテーだっ!! ばかやろぉっ!!」

枕がうちのカオに飛んできた…
ばすっと乾いた音を立てて…見事に命中する。

「なぁ…何でうちはハダカなんやと思う…?」
「…?」
「イヤ…そんな首を傾げて黙って見つめられても困るんやけど…」
「わたしが…脱がしちゃったかもしれないです〜…おやすみ〜」

な…なにぃっ!? まさか…手違いでもあったんや…
カラダはそんなカンジせえへん気がするけど…微妙にだるいような…
まさか…寝ている間に…

「ちょ! 寝るな!! 石川、ハッキリ思い出せぇ!!」
「う〜ん…キモチよかったです〜…むにゃむにゃ…」
「イミシンな発言をするなぁ〜!! 起きろ! 石川!! ちゃんと答えてくれ〜!!」

−FIN−
419 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月07日(水)03時13分16秒
〜あとがき〜
何も言うコトはありません。完全に失敗作です。
初めて放置…というか、放棄しようか悩んだ作品でした。
やんなっちゃうよ、ホントにさ(わら
題名は「失敗作」にしようかと思ったんですが…ちゃんとつけます。
「フライング」です。題名にも熱意がないです(わら

ちなみに次回は…このスレで最初に書いたやぐよし・ゆうごまの続編になります。
お互いに付き合ってしばらく経ったぐらいの話を書きます。
主人公は言うまでもなく、矢口と中澤です。視線をちょこちょこ変えて書くつもりです。
420 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月07日(水)03時18分07秒
不安なので…一応ここでログを上げておきます。
上のURLがスレログで下があぷろだになります。
スキな方でお読み下さい。

やぐよし編
>>3-85
http://www.musume2ch.f2s.com/up/files/123.htm

ゆうごま編
>>90-163
http://www.musume2ch.f2s.com/up/files/124.htm
421 名前:かもん 投稿日:2001年03月07日(水)03時52分06秒
おお、上げたてを読んでしまった。
失敗作だなんて、そんなことないですよ。楽しませていただきました。
責める梨華ちゃんとおろおろする裕ちゃんがとても好きでした。
また、梨華ちゃんがらみ書いてください。旬だし。
やぐよし・ゆうごまの続編、待ってます。
422 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月07日(水)09時55分01秒
白板に続いて一気に読ませていただきました。4作品ともめちゃよかったです
何で「フライング」失敗なんですか?よかったけどなぁ。
またいつか「受け」の中澤をお願いします。
今日は仕事が休みなので、HPにもよらせていただきます。
どうやらファンになってしまったようです(藁
423 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月09日(金)20時17分06秒
これが失敗だと言える作者さんってすごいっす!
おもしろかったですよ♪
424 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月10日(土)01時01分04秒
思いのほか、好評だったみたいですね(わら
もう少し長くしてもよかったかも。でもムリだったかな?
レスを返させていただきます。

>>421 かもんさん
もう少しゆーちゃんをオロオロさせたかったんですけど…
なんとなくしかできませんでした。俺の中ではもっとこう…ねぇ(わら
書いてて拒絶反応も出てしまって…

>>422 やぐ×2さん
また四作品ブッ通しとか…体力ありますね(わら
「フライング」は自分の思うようにかけなかったから失敗だったんです。
でも、読んでくれてるヒトがよかったというなら…成功かもしれませんね。
マイHPに…来てくれましたか? チョット確認できませんでしたが(わら

>>423 名無しさん
いえいえ。そんなスゴイなんてコトは決してないですよ。
やっぱり失敗だと思う作品は満足度も低いですし…
でも、面白いって言ってくれたのは嬉しいですね。
425 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月10日(土)01時03分20秒
宣言通りにやぐよし・ゆうごま編の続編となります。
ハッキリ言っておきましょう! 今回は「痛め」です。
ずっと甘めばかりだったので…スレ通りに痛めも書こうかと思います。
理由は…みなさんがお分かりになっていると思います(わら
その辺もさっそく絡めて話を作ります。チョット気合い入れて書きます!!
426 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月10日(土)01時04分17秒
ずっと…うちの側にはごっちんがいた。
コトバに出来なかったけど…すごく嬉しかった。
浮気性のうちをコトを笑ってみていてくれる…かけがえのない存在だった。

「も〜…どうしたの〜?」
「何でもあらへんよ…それよりプッチの新曲オリコンで1位やな。おめでと」
「へへっ〜♪ 全部ゆーちゃんのおかげだよっ♪」

はちきれんばかりの笑顔を向けてくれる…ごっちん。
最初は矢口の代わりだった。お互いフラレて…寂しくて…手をつないでいただけだった。
知らないうちに…それは変わっていた。恋に…

「何ゆーてんねん。ソロも決まったし…これからごっちんが娘。を背負ってくんやで」
「リーダーはゆーちゃんでしょ? あたしは…リーダーなんかできないよ」
「まあ…そうやけどな…」
「やる気ない! なんて言われてるし…たまにそーゆー時もあるし」
「こら。そーゆーことは思ってても言ったらあかんで」
「あははっ〜」

うちとごっちんがこんな風に…ハッキリとお互いを意識して三ヶ月以上経った。
始めはイロイロ波もあってタイヘンやったけど…今では安定期に入っている。
カオを見れば何を考えてるのか分かるし…ごっちんもうちのコトを分かってくれる。
スキでスキで…たまらないごっちん…

「最近さぁ、チョット思ったんだけど…ゆーちゃん、遠くにいない?」
「何が?」
「イヤ、テレビとかさ、一歩離れて見てるみたいなんだよね…気のせいかなぁ?」
「…気のせいやで! ちゃんと…」

後ろからごっちんをきつく抱きしめる。
柔らかい、しなやかな身体つきが…腕にしっかりと伝わる。

「…こんな風に側におるやんか?」
「ま、あたしはぼぉ〜っとしてるけど…ゆーちゃんに関しては別だからね」
「そんなコト、あらへんよ。イロイロあって疲れてはいるけどな」
「なら、あたしが癒してあげる〜♪」

抱きしめている腕をやさしくごっちんが掴む。
チョットだけごっちんが体重をうちに預ける…
サラサラの髪からいつものシャンプーの匂いがした。

「癒し系アイドル後藤真希! どうかな?」
「…他人なんか癒さんでええ…うちだけのモンやから…」
「……」

甘い甘い…ごっちんの唇。香り。熱…
手放したくなかった。うちのものだけやから…手放したくなかった。
427 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月10日(土)01時05分06秒
最近、ゆうこが元気がない。
ごっちんもみんなも気づいてないみたいだけど…元気がない。
あんなに覇気のないゆうこを見たことがなかった。

「矢口さん?」
「あ、ゴメン…聞いてなかった」
「おかしいですよ? なんか悩みでもあるんですか…?」
「悩みってモンじゃーないけどさ…」

テレビに出ているゆうこはいつもと一緒だった。
一緒だったように見える。でも、明らかにキョリを置くようになった。
まるであたしたちと違う世界を見ているような…そんな感じさえするのだ。

「ねぇ、最近のゆうこってどう思う?」
「どう思うって…ごっちんがいるのに、梨華ちゃんに手を出して怒られたりしてますよね?」
「まぁ、そうなんだけど…」
「何でですかね〜? ごっちんがあんなにスキだって言ってくれてるのに…」
「……」

やっぱり気のせいかもしれない。
そうだよね。楽屋で石川を冗談で押し倒したら、スゴイ剣幕でごっちんに怒られてたし…
ゆうこもちゃんと謝ってたし…

「中澤さんのコト…気になりますか?」
「メンバーとしてはね。それにごっちんと付き合ってて、うちらと仲いいじゃん?」
「ほとんど同じ時期にくっつきましたからね〜。お互い」
「四人の中でイロイロ情報が行き渡るから困る時もあるけどね…」

ふわっと…あたしの腰に手が回った。
アタマの上に置かれている…よっすぃ〜のアゴ。

「…なんでそ〜ゆ〜『あたしの方が身長高いわよ、いいでしょ〜?』みたいなコトするの?」
「こ〜やると何か…落ち着くんですよね〜」
「ヘンなコトして落ち着かないでよ〜。ヤグチにしたらショックだよ〜」
「だって…カワイイんだもん。矢口さん…」

ストレートにもどしているあたしの髪に手をやる…
指通りは滑らかだけど…少しきしんでる。きつくブリーチかけたせいだけど…

「…あたしも髪のばしたいなぁ〜…そしたら矢口さんみたいにカワイクなれるかな?」
「そんなコトしなくても…よっすぃ〜はゼンゼンカワイイよ」
「…ありがと…」
「……」

最近のよっすぃ〜はスゴク積極的だ。あたしにキスしてくることも珍しくない。
何より二人の仲が進展してる…証拠だった。
だいじょぶか…きっとごっちんがいるから、あたしじゃなくてもだいじょぶだね…

きっと、あたしと同じコトしてるよね…だから、だいじょぶだよ。たぶん…
428 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月10日(土)13時46分45秒
なんかつらいっすね。はじめから「痛め」と言ってるという事は・・・。
4人の関係がすごく気になります。頑張ってください。
429 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月10日(土)21時58分56秒
こんな時だからこそ、甘いのが読みたかった・・・。
これから痛めが増えるのかなぁ。
できれば、あんまり痛くしすぎずにお願いします。
430 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月11日(日)00時01分43秒
あ、もう目が潤んできた…
姐さんがいなくなる現実から逃れられないのなら… いっちゃってください!
我々を号泣させちゃってください!!
431 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月11日(日)02時38分24秒
気合いが空回り気味(わら
ネタがそんなに豊富ではないので…頑張って書きますが…
今回はなんだか背負ってるものがいつになく重い気がします。

>>428 名無しさん
「脱退」にカンケイなく今回は痛めにする予定でした。
ラストの方向はだいぶ変わってしまいましたが…ごっちんには注目してください。

>>429 名無し読者さん
こんな時に甘めが読みたい…ならばぜひ黄板へお越しください(わら
まだ、ゆーちゃんは登場していませんが、甘くなる…と思います(わら

>>430 やぐ×2さん
いきなり泣かないで下さいよ(わら
でも、今回はかなりナキの入る作品になると思います。
最近、こーゆー方向での「泣いた」作品を書いていないので…
チョット意識して…泣かせようかなぁと思ったりしちゃったりして(わら
432 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月11日(日)02時39分24秒
「おはよぉ〜」

…何やねん…最近多いなぁ…
矢口とよっすぃ〜が一緒に来ることが…
しかも、うちとごっちんが同じクルマに乗ってるときに限って…

「あれ? やぐっちゃん〜。おっはぁ〜」
「ごっちんも? なんだよ〜…また、このメンバーだね」
「ごっちん、おはよ〜」
「よっすぃ〜!! あたしと一緒じゃん! やぐっちゃんの家に泊まったんだ〜」
「うん。ごっちんも…そうみたいだね」

ごっちんはうちの腕をチカラいっぱい組んだ。
思わずよろけそうになるくらい…うちもごっちんの肩をしっかり掴む。

「まぁな。最近よー会うなぁ…このカップル同士で」
「そうだね。原宿で会ったときはホントにびっくりしたよね」
「しかも、一緒に買い物付き合わされて、ゴハン食べて…ホテルまで一緒だったなぁ…」
「つーか、出るときも一緒だったじゃん」

「ねえねえ! 今度さ、また四人で出かけようよ。ゆーちゃんのクルマで♪」
「うちはイヤや! オサケ飲めへんやんか!!」
「あたしは助手席〜(はぁと) ゆーちゃん、タバコ吸ってるのカッコいいんだよ〜」
「…ごっちん、話を聞けい…」

ぐしゃぐしゃっとごっちんのアタマを撫でると…矢口がくすくすと笑った。

「幸せそ〜だね。ヤグチ妬いちゃいそう〜」
「矢口さん…?」
「チョ、そんなに…睨まないで…ジョーダンですよ…」
「いいなぁ! ごっちんは中澤さんに愛されてて!!」
「そ、そんなコトないよ!! ヤグチだってよっすぃ〜のコトスキだよ!!」

…相変わらずやな。追い詰められると声が大きくなるトコが。
そのクセをよっすぃ〜もちゃんと使ってるみたいやし。

「…ありがと♪ 矢口さん(はぁと)」
「こ…こらぁっ! ヤグチにハズカシイコト言わせんなぁ〜!!」
「勝手に矢口さんが叫んだだけですよ。嬉しいけど」
「むぅ〜…よっすぃ〜!! 待て〜!!」

サイコーの時間やね。こんな空気を吸っていられるのが…ホントに嬉しい。
みんなに混じって自分が生きていることが実感できるから…
ホントに最高で…かけがえのない時間や…
433 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月11日(日)03時08分13秒
「ふぅ〜…」
「……」
「あれ? ゆーちゃん?」
「…ス、スマン…死にそうなぐらい疲れたぁ…」

あたしの隣に座ってるゆーちゃんが…午後の紅茶を片手に肩で息をしている。
何でかなぁ? 今日のレッスンはそんなにツラくないよ。
あたしがのほほんとやってるだけなのかな…?

「だいじょぶ? 最近、めちゃ疲れたとか言ってるけど…」
「…だいじょぶ…って言いたんやけど…ツラいわ…」
「…汗で髪をかきあげるゆーちゃんもホントにカッコいい♪」
「アホかい…ほら、そろそろ始まるで…」

いつも通りに…あたしの髪をくしゃって触る。
最近のあたしにするゆーちゃんのクセなんだ。
こーされるとホントに嬉しい。愛されてるんだって感じるんだ。

「…くっ…」
「やっぱりヘンだよ…ゆーちゃん…?」
「だ…だいじょぶやて…」
「カゼ引いてるのかなぁ…」

カラダを激しく動かしたせいだからいつもより熱いけど…
あたしと同じぐらいのあったかさだ。別に体調が悪いわけじゃないね…
まさか…

「ゆーちゃん…花粉症のせいじゃない?」
「何が…?」
「疲れてるの。あたしは花粉症じゃないけどさ、集中力が切れるって言うじゃん?」
「そうかもしれへんなぁ…」

うつろにゆーちゃんの目が動く…
違う。花粉症のせいなんかじゃない…何で? 理由がわかんないよ…

カーン…

乾いた金属の響く音がした…
持っている紅茶の缶がフロアに響く…
静かに崩れ落ちる…目の前の人影…

「…ゆーちゃん!!」
434 名前:かもん 投稿日:2001年03月11日(日)04時37分46秒
…裕ちゃん!?
なんかとても痛そうですが…
この際大泣きしてすっきりしたいです。
泣く準備して待ってます!
435 名前:007 投稿日:2001年03月11日(日)12時43分32秒
のっけから・・・
今回は、痛めだそうで待ってましたと言いたいのですが・・・
中澤の脱退でへこんだ時に・・・
でもFANTASISTAさんの痛め大好きです!
あの頃2って感じですか?相手は、違いますが
関係ないが7月から中澤のドラマも決まったようでへこみから立ち直れました
更新待ってます!
436 名前:ま〜 投稿日:2001年03月11日(日)12時55分35秒
しまった!
先にやられた!って感じです。
自分も後藤と中澤の最後をやろうと思ったんですけど、
でもFANTASISTAさんならうまく書いてくれるだろう!
期待してます。

はぁ〜・・。まだ鬱だ・・・。
437 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月12日(月)01時48分47秒
ちょっ、ちょっと何ちゅう所で止めるんだぁー!
あーもう!続きが気になって仕方が無い!!

>>435
ソースはどこっすか?
438 名前:キリ 投稿日:2001年03月12日(月)02時07分28秒
今日初めて読んだんですけど、一気に全部読んじゃいました。
読みやすくて、おもしろいです(^ ^
そしてひっぱるのがうまい(笑
勉強になります。がんばってください!
439 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月12日(月)02時24分05秒
触れ込んだせいなのかすごいレス…
イロイロ軌道に乗ってきてほこほこネタも浮かんできました。
これは痛いね…俺もナキそうです(わら

>>434 かもんさん
泣いてスッキリするのがいいかもしれませんね。
まあ、芸能界からゆーちゃんがいなくなるわけではないので、見守りましょう…

>>435 007さん
逆にいえばこんな時期じゃないとこーゆー小説って書けないんですね。
痛くなる要素はバッチリありますので…雰囲気は「あの頃」に近いかも。
ドラマに出るんだ…要チェックやね(わら

>>436 ま〜さん
「続・後藤と中澤」のほうは幸せにしてやってください。
甘くできるのはま〜さんだけなので…俺は痛いの専門ですし(わら
あのスレのゆうごまは永遠にくっつけて欲しいです。

>>437 やぐ×2さん
最近は「寸止め」も勉強中です(わら
ずんずん引っ張らないとやっぱり面白くないですから。

>>438 キリさん
また随分量があったのに頑張りましたね(わら
改行を多めにして読みやすくしていますが…勉強になりませんよ。
ひっぱるのはただ今練習中です。成功してるかも(わら
440 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月12日(月)02時25分20秒
…どこや…ここは…
眩暈がする…アタマがぐわんぐわんいっとるわ…
二日酔いよりヒドイわ…しかも胸の辺りが妙に圧迫されてて…

「…ってオイコラ! ごっちん!!」
「ゆ…ゆーちゃん…?」
「そんなトコにアタマ置かれたらむっちゃ苦しいわ!」
「…ゆーちゃん!!」

カラダを起こそうとする間もなく、ごっちんに思い切り抱きつかれた。
見境なしにチカラを加えるモンだから…苦しくなる。

「コラ…マジ苦しいって…」
「だってだって…ゆーちゃん…倒れちゃって…名前呼んでも返事しなくて…」
「分かったから!! 分かったからうちのコトを締め上げるな!!」
「……」

上目遣いでごっちんが額を合わせてくる。
真っ赤になっている目に頬の辺りに残るナミダの道筋…
メイクが落ちるぐらいナキまくってたんやな…

「よしよし…うちはだいじょぶやから…」
「原因は過労だって…ゆーちゃん、頑張りすぎだよ…」
「そら、うちはリーダーなんやから…ちゃんと頑張らへんと…」
「倒れるまで頑張ったら…何にもならないよ…あたしを不安にさせないでよぉ…」

ベットに腰掛けたごっちんが頬をすり合わせてくる。
ぷにぷにしててごっちんの頬はとても柔らかい…
流れるナミダもそのキモチを代弁しているようで…とても熱い。

「…ここは…医務室ちゃうんか…?」
「近くにある病院だよ。みんなは…ここにはいないから…」
「そうなん?」
「うん…」

ごっちんのナミダを親指でやさしく払う。
ホンキで心配してくれるから…期待に答えてやりたくなる…

「ん…」

今日はじめてのキスは…ちょっとしょっぱかった。
441 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月12日(月)02時44分46秒
「矢口!!」

ゆうこが病院から出てくるって話を聞いて…
あたしとよっすぃ〜はレッスンが上がってから病院に向かった。
入口に着くなり…すぐごっちんと一緒に出てきた。

「心配したんだぞ!! イキナリごっちんの目の前で倒れたりするから…」
「スマンな…」
「ったく…ごっちんが泣き出しちゃってゼンゼンゆーちゃんから離れないから…」
「あははっ。だって〜」
「でも、ゆうこもゆうこだよ。倒れるまでムリしちゃダメだって…」

年末からずいぶんスケジュールがハードになって…
あたしですら、投げ出したくなるぐらいキツい。
ゆうこは悪いけど、歳のこともあるだろうし…なによりリーダーだから仕事も増える。
そんな中でこんな風に倒れてしまうのはムリもないと思うけど…

「…分かってる。みんなに心配かけちゃってすまんな」
「ゆーちゃんは一人しかないんだから…代役も効かないんだよ?」
「はいはい。説教なら明日の朝にでもみんなから聞きますよ〜」
「チョ…ったく…しょうがないな〜」
「ま…それじゃ罪滅ぼしってわけじゃあらへんけど…四人でゴハンでも食べ行こうか?」

すると荷物を持っていたごっちんが嬉しそうに声を上げた。
…同様によっすぃ〜も同じように声を上げた。

「「いいね〜」」
「…そうだね。ヤグチだってホントに心配したんだから…今日はゆうこのおごりね」
「マ、マジですか…」
「当たり前だろ!! どれほどヤグチたちに不安をさせたと思ってるんだよ!?」
「そらそうやけど…若いモン二人がしこたま食べるから…せめて二ワリで…」
「何か文句!?」
「…いえ、喜んでおごらせていただきます…」

みんなを心配させたんだから…
ごっちんやよっすぃ〜の目の前だから泣いたり出来なかったけど…
あたしだって泣きたいぐらい心配したんだから…

これ以上、あたしにも不安かけさせないで欲しいよ…
442 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月12日(月)03時09分03秒
また、矢口が意味深な事を…
寸止め勉強中の作者に早くも引っ掛かってる俺って一体…(w
443 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月12日(月)03時25分30秒
痛いっすか。泣けますか。自分でも泣きそうですか。
初っ端から本領発揮、全開っすね?
ハンカチ片手に、続き期待してます。(笑)
それにしても引っ張るのがうまい、っていうか、言葉はアレだけど
読者あしらいがうまい、ってかんじですな、FANTASISTAさんは。
444 名前:007 投稿日:2001年03月13日(火)02時15分42秒
毎日2時30分位に更新みたいだけど・・・
後、1時間ぐらい早く更新してくれたら、とてもうれしいのですが(w
なにしろ、ここ2日これ読んでから寝るので会社で眠い(w
次の日読めばいいのだが・・・今日も待ってます
まだかな?まだかな?
445 名前:007 投稿日:2001年03月13日(火)02時47分42秒
>>437
ソースは、新聞及び、朝のワイドショーです
中澤7日の卒業会見以降、ドラマやトーク番組でオファー殺到らしい
その中で、7月からの連ドラは、決定の模様
446 名前:さち7 投稿日:2001年03月13日(火)03時11分06秒
初めて書き込みします。
[キスまでの距離][見えないチカラ]両作品 読ませて頂きました。
って言うか「あのころの…」も読んで 泣いてしまいました。
それも「3回読んで三回とも↑ (泣)」です。
ゆうやぐ。やぐよし。ゆうごま。ゆうよし。
良いコンビですね。
こう言うのも恥ずかしいのですが「この小説家のファン」っす。
これからも「小説」期待してます。
もし新作など有ったらレスにURLでも・・・
なんか「2ちゃん」で小説探すの苦手なんで(爆)<いつも迷って
では、今後も頑張って下さいm(_ _)m

PS:さち7の
ネット関係の知り合い仲間ではFANTASISTA さんの「小説」人気ですよ!


447 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月13日(火)03時33分09秒
長電話のせいでUPが遅れちゃいました。
ド派手につきまくるレスにびっくりですね(わら

>>442 やぐ×2さん
UPまで待っていてくれたみたいですね。
寸止めになってるのかなぁと思ったんですけど、ちゃんとなってるみたいだ(わら
今日は寸止めにならないかも・・・

>>443 名無し読者さん
今回は自分も泣いてしまうかも? そんな作品が書きたいです。
これだけひっぱってゼンゼン泣けない作品だったらどうしよう(わら

>>444-445 007さん
俺もその時間に書きたいんですけど、バイトがありますから…
挙句の果てに今日は更新まで遅れてしまって…ケータイでお読みください(わら
ゆーちゃんは脱退しても各方面で頑張ってほしいですね。

>>447 さち7さん
どうも。こちらこそ初めまして。
こんなにいくつも書き散らした不精者の作品に付き合ってくださって嬉しいです。
俺は2CHでは書きませんよ。ここだけで書いてます。
今は青板のこのスレと黄板で書いてます。ハンドルの色で分かりますよ(わら
ちなみに白板の出張所スレにはHPのアドレス載せてます(←ちょこっと宣伝)
448 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月13日(火)03時33分58秒
「ぷはぁ〜…あたし、もう食べきれないよ…」
「…うちはこれ以上払いきれんよ…」
「ゆ〜ちゃん! おごってくれてありがとっ♪ おいしかったよ♪」
「…そうか」

そんな振り返りざまに笑顔でお礼言われると…何ともいえない。
ま、この笑顔だけで全部帳消しになるんやけど…
生活切り詰めんと…死んでまうかも…

「ゆうこってね、あーゆームジャキな笑顔にすっごい弱いんだよ」
「…そうなんですか?」
「ヤグチだってさんざん使ってきたテのひとつだもん。さすがごっちん…」
「それって誉めるトコなんですかね…?」

…聞き捨てならないセリフが後ろのシートから聞こえたのは気のせいか?
ま、実際そんなモンやけどな。あのごっちんの笑顔のためなら死ねる…かもしれへん。

「…今日はどーすんや? よっすぃ〜の家まで送るんか? それとも矢口の家か?」
「え〜っ!? 今日はみんなでゆーちゃんちに泊まるんじゃないの?」
「マジかい!? ごっちんは今日もうちの家に泊まるつもりやったんか?」
「だって〜…ゆーちゃんと寝ないと最近ぐっすり眠れないんだもん」
「ぐっすり寝れへんのはただ寝過ぎなだけや。ったく…」

ごそごそとタバコをあさる…
あれ? あらへんな…どこにやったんやろ?

「はい、ゆーちゃん」
「…さんきゅ。ごっちんはゼッタイ吸ったらあかんで!」
「はぁい…ゆーちゃんにそこまでキツく言われたら吸いませんよ…」
「それより…どーすんねん。うちは…別に構わへんけど」

「…それじゃ、今日は久しぶりに四人でゆーちゃんちってことで…」
「「やったぁ〜!!」」
「…途中でオサケ買わんとあかんな…お金がなくなる…」
「…しょうがないでしょ? よっすぃ〜もごっちんも…似たもの同士だから…」
「お互い苦労するなぁ?」
「…まあね…」

にやけている矢口の顔がバックミラーに映る。
きっとバックミラーから見えるうちのカオも…似たり寄ったりのカオをしてるやろうな。
…いつまでもこんな時間が続くとええなぁ…
449 名前:007 投稿日:2001年03月13日(火)04時21分04秒
携帯でなく、寝る前に読んでしまった(w
日課になってるよ(w
毎日出来たら、更新お願いします!
ムリはしなくいいですけど勿論
450 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月13日(火)04時47分48秒
今まで積み重ねてきたユーザー辞書が逝ってしまった…
ショックが大きくて…書くペースも遅い…鬱だ…

>>449 007さん
こんな時間までだいじょぶなんですか?
小説は逃げたりしないのでそれこそムリせず読んでください(わら
451 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月13日(火)04時48分23秒
あっという間に買ってきたビールが底をついた。
原因は分かってる。ごっちんとよっすぃ〜のせいや…
飲みなれてないせいなのかペース配分が分からんみたいや…

「…で…結局こーなるわけやな…」
「しょうがないでしょ…二人ともあんまりオサケ強いほうじゃないし…」
「またソファで寝なきゃあかんやん。ホントは労わってもらわんとあかんのうちやのに…」
「そーいえば、体調はだいじょぶなの? 明日は出れるの?」

何とか確保してある缶ビールを細々と飲む。
すでに酔っ払って倒れている二人はベットに叩き込んできた。
薄暗い部屋に矢口と二人…さんざんあったようで、今ではあんまりない時間だ。

「そうやなぁ…ゼンゼンだいじょぶなんやけど、明日は休もうと思う」
「最近、スケジュールすごいからね。ゆーちゃんはリーダーなんだから、ちゃんと…」
「ちゃんとおらへんとあかんわな。何で倒れるんだか…」
「……」

「うちがいないと娘。はあかんからな…」
「ゆうこは代わりにならないからね。でも明日はちゃんと休んだほうがいいよ」
「…なぁ、矢口…」
「ん?」
「……何でもあらへん」

うちは冷蔵庫に入っているモスコミュールの残りを引っ張り出してきた。
寝酒せんと…なんか今日は寝れへん気がした。

「何だよ…まるでヤグチのために用意してあるみたいじゃん〜」
「イヤ…これはごっちんのお酒や。ごっちんもモスコがスキでな…」
「…お互い、タイヘンな時期もあったよね…」
「まさか、ごっちんとこんな風になるとも思わんかったけどな」
「でも、みんなもだいぶ慣れちゃったよね? もう二人で一人みたいなトコあるし」

「たまにウザい時もあるけどなぁ…愛されてるって気がするわ」
「あははっ。ヤグチの時なんか、そんなコト、言わなかったじゃん?」
「そん時はそんなコトバ知らなかったんや。ホンキで…マジメに…」
「…ごっちんが…教えてくれたんだ…」
「今のごっちんはうちの一部になってるから…」

そう…ごっちんはうちの一部や。
もし、残せるなら…うちの考えたくもない考えが実際に起こってしまうなら…
やっぱりうちの意思はごっちんに継いでほしい…

こんなコト…やっぱり考えたくあらへんわ…
452 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月14日(水)00時33分47秒
あぁ、姐さんまでが意味深な事を…
作者殿は読者をじらすのが趣味なんでしょうか。もしかして…サド?(w
453 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月14日(水)02時11分26秒
思いつくものがないので、コメントはナシです(わら

>>452 やぐ×2さん
そろそろタネを蒔いておかないと話になりませんので…
ちなみに俺はサドではありませんよ! 誤解を招くようなことは避けてください(わら
じらしてじらしては…UPの基本ですから♪
454 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月14日(水)02時16分12秒
あたしはちょっとだけショックだった。
愛されてるっていうコトバのホントのイミを知ったのがごっちんだったって…
あたしのことはそうじゃなかったんだって…思った。

「ヤグチだって…よっすぃ〜のコトが大事なんだ。愛してるんだ…」
「チョ…イキナシこっぱずかしいこと言うなや…」
「だって、ゆうこ…ヤグチといるより幸せそうなんだもん」

ついポロッと出てしまった。
別に昔のことを掘り返すとかそんなわけじゃないけど…
ちょこっと…ほんのちょこっとだけ、劣等感を感じた。

「そんなコトはあらへんよ。ヤグチのコトをスキだった時は…世界でいっちゃん幸せだって思ってたで」
「ヤグチだって…よっすぃ〜がいたけど、ゆうこのコトがスキな時はもう死んでもいいって思ってたよ」
「……」
「……」

お互い…ゼッタイに離れられないヒトがいて…絶対にスキなヒトがいて…
二度と、カオも合わせられないかもって思って絶望して…あきらめて…
でも、やっぱり、お互いが気になる…ゆうこはきっとそんな存在なんだと思う。

「なぁ…矢口」
「……」
「キス、せえへんか?」
「……」

静かに壁の上にかけられた時計の音だけが響いた。
まっすぐにゆうこを見つめる…
変わらない凛々しいまなざし…でも、あの時とはどこか違って落ち着いて見える。
ごっちんがいるせいなんだろうね…

ふっと…あたしとゆうこのキョリが縮まった。
455 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月14日(水)02時37分30秒
おいおいおいおい、ああああああ〜!
っていちいち引っ張られる俺はマゾ?(笑)
456 名前:007 投稿日:2001年03月14日(水)02時40分04秒
あらま・・・
お互い寝てるとはいえ恋人の前で・・・
キスしちゃいますか?(w
457 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月14日(水)02時46分35秒
書いているうちにレスが…みんないい大人なんだからちゃんと待とうよ(わら
イヤ、本気でうれしいですよ。こんな時間なのにちゃんと見て下さってるから…

>>455 名無し読者さん
引っ張られるように書いているんですからいちいち引っ張られてください(わら

>>456 007さん
まだまだ決断を下すには早いですよ(わら
次のUPで真実を確かめてください。
458 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月14日(水)02時48分51秒
「ゆーちゃん!!」

後ろから聞こえた声に…うちは思い切りカラダを離した。
すぐに飛び込んできた姿は…ごっちんの姿だった。

「な、なな、何やねん…」
「……」
「…ごっちん?」
「ダメでしょ? 食べ過ぎちゃ…あたしの分も残しておいてよ…」

そう言うなり…ふっとその場に倒れこんだ。
何事かと思って駆け寄ると…静かな寝息が聞こえてきた…
…何、寝てんねん…

「ホンマにおどかすなや…マジであせったで…」
「一瞬、ヤグチどーしよーかと思っちゃったよ…」
「ったく…このヤロ…」

真っ赤なカオをしてシアワセそうに寝息を立てているごっちんの頬を突付く。

「ううん…だーめー…ダメだってばぁ〜…ゆ〜ちゃぁ〜ん…」

何かうちが出てるユメでも見ているらしい。
それにしても…ごっちんの寝ガオはムチャクチャカワイイな…
こんなカオ見て寝れるうちはシアワセモンやけど…

「…こんなカオされたら何も言えへんな…」
「スゴイ…ごっちんってマジでカワイイね…」
「今頃気づいたんか?」
「イヤ…そっか…何かゆうこがマジでスキになる理由が分かった気がするよ…」

いつもぼんやりしてて、無防備そうで…
でも、実は誰よりも自分を守ってて…それでも甘えんぼで、人一倍ヤキモチヤキで…
それが一番よく分かるのが寝ガオなんやよなぁ…

純粋で、まっすぐで…それがごっちんの一番ええトコなんや。
うちがスキになった…どうしようもない、ゆるぎない答えなんやよ…
459 名前:007 投稿日:2001年03月14日(水)02時49分50秒
それと、皆から明日の朝、説教聞くって言ってませんでしたか?
おサボりするみたいですが(w
細かい事、気にするなって感じですよね(w
すいません!
460 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月14日(水)03時05分14秒
一旦寝床についたのに続きが気になってまたPCの前に…
俺も多分マゾ(w
461 名前:さち7 投稿日:2001年03月14日(水)05時20分38秒
あら お返事が貰えるとは光栄です。
さて超ド素人質問してよろしいですか?
白版の出張所ってなんですか?
HPにも行ってみたいです。
よかったら「出張所URL」希望します。m(_ _)m
これからも出筆活動頑張って下さい。
462 名前:ま〜 投稿日:2001年03月14日(水)23時35分57秒
中澤・・。かわいいごっちんを幸せにしてあげてください・・・。
463 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2001年03月15日(木)02時45分53秒
あれ?今日は、定刻UPじゃないみたいですね(w
バイト大変ですね!頑張ってください!
464 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月16日(金)02時53分51秒
一日置いてしまいました…さっそくUPします。
チョット眠いですけど…

>>459 007さん
説教逃れはリーダーの特権ですから(わら
でも、このあと聞く…かもしれないですね。

>>460 やぐ×2さん
そんなに気になるみたいですね。嬉しい限りですよ(わら
なるべく毎日UPするように頑張ります!!

>>461 さち7さん
白板に「モー板名作集・出張所」というスレが上がってますが…
そこから調べるのもなんですのでURLはっつけますね。

http://shibuya.cool.ne.jp/bootleg/index.html

例の如く自動リンクは外してあります。
お手数ですがコピペしてお越しください(わら

>>462 ま〜さん
「続・続・後藤と中澤」お疲れ様でした!!
最後に「さらに! 後藤と中澤」を書かれるようで…楽しみにしてます。
幸せな中澤と後藤にしてほしいという希望があります。

>>463 名無し募集中。。。さん
定刻UPになっちゃってますね。最近は…(わら
昨日は友達とメシ食いに行って泊まっちゃったんでUPできませんでした。
ケータイでレスはチェック入れてたんですけどね(わら
465 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月16日(金)03時14分06秒
…はれ…?
なんであたしは…ベットに…また飲みすぎた…
アタマ痛いよ…

「…ゆーちゃん」
「ううん…」

隣でうずくまるように眠っている…ゆーちゃん。
あれ? こんな寒いのにハダカで寝てるじゃん。
何だよ〜…いつもはカゼ引くからって上着きせるクセに…

「ゆーちゃん。カゼ引いちゃうね…」
「……」
「寝たフリすんなよ!! そーゆーコトするなら…イタズラしちゃうからね」
「…矢口…さん…」

……
今…ネゴトだけど…やぐっちゃんの名前呼んだ…
でも、何で「さん付け」なんだろう…矢口さん? ヤグチじゃなくて?
あ、そっか…あたしをからかってるんだ。

「ゆーちゃん!! そーゆーコトするなら…」
「…やぁ…ん…」
「…違う…」

ゆーちゃんのハダは確かにスベスベしてるけど、これは違う…
しかも、こんな子供っぽい声を出さないし…
何よりムネの大きさが違う…なんかもっと…丸くて…

「げっ!! よっすぃ〜!!」
「矢口さぁ…ん…朝からえっち…」
「ち、ちち、違うよっ。あたしは…その…」
「……(すーすー)」

…寝なおすんじゃない…
でも、ドキドキしてる…よっすぃ〜のムネ触っちゃったよ…
どうしよう。こんなコト、ゆーちゃんに言えないよ…

「ってゆ〜か、もう八時じゃん!! 遅刻しちゃうよ!!」
「矢口さん…」
「オイコラ吉澤!! い〜加減に起きろ!! 遅刻するってば!!」
466 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月16日(金)03時34分05秒
「あ、ごっちんが起きたみたいやな」
「そうだね〜…はぁ〜、朝の紅茶ってサイコ〜(はぁと)」
「しかしまぁ…矢口は紅茶スキやなぁ…」
「ま〜ね〜♪ これがないと朝始まりませんから」

どたどたと寝室からけたたましい音がして扉が開いた。
…案の定、ごっちんだった。
うちの小さめのTシャツを着て…息を切らしている。

「おはよ。なんやねん、バタバタバタバタ…騒々しい…」
「騒々しいって…なんであたしはよっすぃ〜と寝てたんだよ!!」
「寝てたって…そら、二人とも酔っ払ってもうたやんか。うっさいからベットに放り込んでおいた」
「ジョーダンにもほどがあるよ!! よっすぃ〜を…その、ハダカにするなんて…」

ハダカ? よっすぃ〜のハダカ…?
そらちっとは見てみたいけど…ってそうじゃあらへんか…

「よっすぃ〜のコトなんか…脱がしてへんよ?」
「…えっ?」
「あっちゃ〜…やっぱり脱いじゃってたかぁ〜…」
「? 何や? 矢口、心当たりでもあるんか?」

「イヤ…その、よっすぃ〜って寝るときいっつもハダカなんだよ…」
「そんなコト…聞いたコトないよ。だってジャージ着て寝てたし…」
「そうじゃないの…その、ヤグチと一緒に寝るときは…ハダカで…」
「…ぷっ」

ガマンしきれずにうちの口から笑いが漏れた。
その声をすぐに察知するとモノスゴイ目で矢口が睨み付ける。

「…何がおかしいんだよ…ゆうこだって知ってるでしょ…」
「そうか…そら、そうやわ…矢口と一緒に寝るんやから…」
「? わけ分かんないよ?」
「矢口と一緒に寝てるとよっすぃ〜がカン違いしたんやな」

そうやった…矢口は寝るとき、何も着ないで平気で寝てるときがよくあった。
うちは寝るときに一枚でも上に着ないと寝れへんけど…
よっすぃ〜は矢口と同じように何も着ないで寝るタイプなんや…

「…さっきから笑ってんじゃねーよ!!」
「笑ってへんよ」

やっぱりちょこっと…おかしかった。
467 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月16日(金)23時55分53秒
そろそろタネを蒔くと言っておきながらこのほのぼのとした1コマ…
このまま甘〜く… いかないんだろうなぁ

>昨日は友達とメシ食いに行って泊まっちゃった

作者さんもはだかで寝るんですか?
468 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月17日(土)01時40分08秒
そろそろ痛くなり始める…予定です。もう少しかかるかも。
しかし、話は確実に予定通りに流れています。

>>467 やぐ×2さん
その通り、このまま甘〜くいくわけありません(わら
ほのぼのを書いて落差がないと痛くなりませんから。
俺は…ハダカで寝る方です。下はジャージ着て寝てるけど、
上はだいたいハダカが多いですね…ってどうでもいいじゃん、そんなこと(わら
469 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月17日(土)01時43分07秒
「それじゃ行ってきな」
「はぁ〜い…なんか、ゆーちゃんに見送られるってヘンなカンジがする」
「…そうやな。いちおう夏先生にはうちから連絡入れておくから」
「『メチャメチャ元気でした』って言わないように気をつけておくから!」

矢口は…あいかわらずクチの減らんやっちゃなぁ…
そんなにうちがズル休みするのが気に入らんらしいな。

「ホラホラ、早よせんとホンマに遅刻するで。急ぎな」
「うん…ねえ、ゆーちゃん…」
「…こんなトコでするんかいな…」
「だって〜…こーゆーシチュエーションってあんまりないじゃん」

目を閉じたごっちんがうちに向かって唇を突き出す。
泊まりの帰りにいつもしているとはいえ…今日はギャラリーもおるし…
こっぱずかしいわ…

「チョ、矢口たちは先に行ってくれへんか?」
「…見たいなぁ…」
「こ、こんなんヒトに見せるもんじゃあらへんわっ。早よ行きや!」
「はぁい…」

二人の足音が静かに遠くなっていくのを確認して…
うちはごっちんをやんわりと抱きしめた。

「明日は必ず行くで…今日は寂しいかも知れへんけど、ガマンしてな」
「うん…待ってるから…今日はどうせレッスンだから適当にやる」
「ちゃんと真剣にやりなって…あとで矢口からまじめにやってなかったか聞くで」
「はぁ〜い。分かってるよ…」

早くキスしてほしいみたいでごっちんは黙ったまま唇を出した。
セットされたサラサラの髪を撫でながら…しっかりとキスした。

「うちの分まで頑張るんやで!」
「…うん。頑張るね。それじゃ…行ってきます」

名残惜しそうに何度も振り返って手を振りながら…
ごっちんの姿が見えなくなるまで、最後まで見送った。

「……」

あんなに騒がしかったリビングは…不気味なほど静かだった。
無造作におかれたケータイを取り上げて…メールを打った。
…もう起きていると思うんやけど…

『あの話なんですけど…もう少し、真剣に考えさせてください』
470 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月17日(土)02時11分52秒
「は〜い。とりあえず休憩いれるよ〜」

ゆうこがいないせいか、みんなのテンションもそんなに上がらなかった。
それはメンバーだけじゃなくて、夏先生も一緒みたいだ。

「ふぅ〜…」
「矢口さん、飲みもの買ってきましょうか?」
「あ、いいよ。ヤグチが買ってきてあげるよ。何がいい?」
「えっと…ヤグチさんと同じやつでいいです」
「ごっちんは?」
「ポカリがあったらそれがいい。なかったら…何でもいいや」

いつもテンションは高くないごっちんはいつにも増して静かだった。
ただ黙々とレッスンに打ち込む姿はゆうこがいないほうがいいんじゃないって思うくらい…
もちろん、それはそれでかなり困るんだけど。

「じゃ、買ってくるね〜」

ホールを出て、自販機は実はかなりのキョリがある。
会議室やら楽屋やら、まるでフンイキとしては学校に近いかもしれない。
でも…ダンボールやその辺のものはないだろうけど…

「…あれ? つんくさん…? 珍しいな。こんなトコに…」

ちょっとした小会議室の入り口に隠れるように電話していた。
誰だろ…? レコーディングでスタッフと揉めてんのかな…?

「…だから、もう少し待ってください。中澤から考えさせてほしいってゆーたんで…」
「もちろん、おっしゃる通りになりますけど…本人は迷ってるみたいで…」
「ソロになった際にはオレがプロデュースします。まだ、脱退ってそんな時期じゃ…」

ふと…あたしの足が止まった。
今のコトバ…何…? つんくさん…脱退って言ったの…?
ゆうこのこと…?

「…矢口か…?」
「今の…今のどう言うコトなんですか!! ゆうこか脱退って…」
「こ、声が大きいねん!! ちょ…誤解されるとあかんから、ちゃんと話たる…」

あたしに…わけの分からない怒りがぐっと胸に込み上げてきた。
ゼッタイに…ゼッタイにゆうこは脱退させるわけに行かないんだから…!
471 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月18日(日)00時31分07秒
あぁ、とうとうあの悪夢がやってくるのか…
472 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月18日(日)03時40分45秒
>>471 やぐ×2さん
まあ、そう言うコトになりますかね…
ちょうど話の真ん中に入ったトコですね。
ここから痛くなっていきますよ。本領発揮ですかね(わら
473 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月18日(日)03時41分32秒
…あたしは呆然としたままだった。
つんくさんから聞かされた事実は…どうしようもないくらいのものだった。

(中澤な…ずっと前から娘。を辞めたいゆーてたんや)
(そんな…そんなのおかしいよ!! リーダーの仕事が大変だから!?)
(そうやない。ソロで本格的に歌いたいって言うんや…)
(……)

(…オリジナルメンバーの夢はソロで活躍していくことや。そのせいなんやろうな)
(それじゃ…脱退を許さないなんて言えないじゃんか…)
(矢口、このことは誰にも言ったらあかんで。まだ本決まりじゃあらへんけどな)
(…分かってます。こんなコト誰にも言えませんから)

(それにな、まだ決まったわけじゃあらへん。中澤も迷ってるみたいやからな)
(…はい)
(矢口は中澤と仲がええやんか? だから…チカラになってやるんやで)
(…分かりました)

どんなカオしてゆうこに会えばいいの…? それにごっちんにも…
ダメだ! ゼッタイに…ゼッタイにごっちんにはこんなコト言えない…
ごっちんが冗談抜きに壊れる…

「…遅かったですね〜、矢口さん」
「うん。チョット…トイレ行ってたりして遅くなっちゃった」
「ちゃんと手を洗った〜?」
「洗ったよ。はい…」

ムジャキに笑っているごっちん…
このコがいったい何をしたんだろう…ワルイコトなんか何もしてないのに…
神様の仕打ちはあまりにもヒドすぎる。
紗耶香に続いて二度目なんだから…

「やぐっちゃん?」
「あ、ああ…ゴメン。聞いてなかったよ…」
「おかしいよ〜? お腹でも壊しちゃった?」
「だいじょぶ。元気だよ〜」

ムリヤリ作った笑顔が…苦しい。
結局、みんな…誰の相談もなしに辞めおうとするんだね…
悲しいな…あたしたちってその程度の仲でしかないのかな…
474 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月18日(日)03時55分44秒
ピーンポーン…

…ん? 何や、インターホンか…?
ソファでうとうと眠ってしもうた…あかんあかん…

「はぁい。どなたさん?」
「…ヤグチだよ」
「おお、何や? 忘れ物でもしたんか? カギかかってへんから入ってええよ」
「……」

まあ、ごっちんは今日は家に帰るみたいなコト言ってたし…
ハラ減ったな…メシでも作ろうかな…

どばんっ!!

玄関のほうからけたたましく扉を閉める音が響いた。
…何やねん? 何かあったんか…?」

「コラ矢口〜。扉は静かに閉めろっておかんから教わんなかったんか〜?」
「……」
「どうしたん? そんなトコでぼぉ〜と突っ立って…」
「…カ…うこ…」

ノドに物が詰まったような言い方でよく聞こえなかった。
聞き返そうとして近づこうとして…胸倉を掴まれた。

「なっ…!」
「バカゆうこ!! てめー…なんで脱退なんてフザけたコト考えてんだよ!!」
「…?」
「どうして…どぉして…そんな大事なコト、相談しねーんだよ…」

ナミダが…流れていた…
真っ赤なカオと瞳をきらつかせて…下唇を噛んでいる。

「…何とか言えよ!! ソロに専念したいだ!? 納得できるか!!」
「…誰から…聞いたんや…」
「たまたまつんくさんが誰かに電話してるの聞いた…つんくさんからも聞いた!!」
「……」
「どうして…誰にも言わないんだよ!! 大事なことじゃんか!!」

矢口の手が…うちからゆっくりと離れた。
その場で…ぺたりと座り込んでしまった。
うちも…ぼんやりと矢口を見下ろした。

「もぉ…イヤなんだよ…福ちゃんも、あやっぺも、紗耶香も…」
「……」
「みんな黙って辞めちゃった…その理由がゼンゼン分からないで…辞めちゃった…」
「……」
「ちゃんとみんなに話してちゃんと決めてよ!! 特にゆうこは…リーダーなんだから!!」

…何も言い返せなかった。
475 名前:007 投稿日:2001年03月19日(月)00時14分52秒
キマシタネ〜!
毎日、更新待ってます!
1日に2Pと決めずに何ページでも更新していいんですよ(w
特に今日は、一気に書いちゃってください(w
476 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月19日(月)00時37分47秒
>>475 007さん
黄板の方も書いているんで、だいたい1日2Pが限界です(わら
最後のほうは一気に5Pとか書いちゃったりするんですけど。
今日もおそらく2Pで終わってしまいそうです(わら
477 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月19日(月)00時38分51秒
「…矢口…」
「ゴメン…ゴメンなさい…やりすぎちゃったね…」
「……」

矢口の目線まで腰を下ろして…ナミダをぬぐってやる。
チョットだけハズカシそうに視線を伏せて…笑った。

「ゴメン。ゆうこにはゆうこなりに考えて決めたんだよね…それをちゃんと聞かないと…」
「…すまんな…」
「……」

きゅっと矢口を抱きしめる。
いとおしかった。こんなに自分のコトのように…うちを心配してくれるキモチがいとおしかった。

「あはっ。ごっちん見たらチョ〜怒りそうな光景…」
「怒らんって…うちらが何もないの分かってるし…認めとるし…」
「こんな風になってもヤグチたちってホントに何もないんだよね〜」

半分はウソだった。
ごっちんで満たされてない…自分のわがままは矢口にしか満たせなかった。
だから、こんな風に抱きしめる…この感触だけはごっちんにはできない。

「…ちょっと離れよっか」
「……」

矢口の声でうちはカラダを離した。
これじゃまるで相談にきたのが矢口じゃなくて、うちのような気がしてきた。
…脱退、イヤ、卒業について…

「聞かせてよ…何でなの? 何で今になって…卒業を考えたの?」
「それは…一言じゃ言えへんな。長くなってまう…」
「いいよ。今日はヤグチがゼンブ聞くから…ごっちんにはムリでしょ?」
「そうやな…今のごっちんにはゼッタイに…話せへんな…」
478 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月19日(月)01時08分52秒
「ラブマの頃からな…ずっと考えてたんや。ここにいてええんかなって…」
「どうして…」
「年のコトもある。体力のこともある。ま…そんなイロイロな事情があったんや」
「今更じゃん…だって年だって体力だってもう関係ないじゃん。ラブマってもうかなり前だよ?」

「ラブマが売れて…ぱぁ〜と辞めてしまおうかと思ったんや。でも…どうしても辞めたくなかった」
「…その理由は?」
「矢口のコトをスキになってしもうたからや」

あたしは…まっすぐなゆうこのコトバに頬が熱くなる気がした。
そう言えば…あれからチョットしてからだ。
あたしがゆうこのコトをスキになってしまったのは…

「ハ、ハズカシイコト言うなぁ〜!!」
「だって…しゃあないやろ? ホントのコトなんやから…」
「そ、それで? それだけが理由ってわけじゃないでしょうね?」
「もちろん…ソロで挑戦したい、自分の歌がどこまで通用するのか…試したかった」

福山雅治のコンサートに一緒に行ったことがあった。
ライヴが終わってから…ゆうこは口癖のように繰り返して言っていたコトバを思い出した。

(カッコええなぁ…うちもあんな風にソロで歌って…ヒトを惹きつけたいなぁ…)

「矢口と別れてから…もうええと思った。これ以上、娘。にいるなって神様が言ってる気がした」
「でも…神様はヤグチの代わりに…ごっちんを遣したね」
「そうや。ごっちんのコト…誰よりもスキや…誰にも渡しとうない…」

全てが偶然のように思えるけど…全てが必然のようにも思えた。
ゆうこは娘。の中にいなければいけないという…運命のような気がした。

「ごっちんは三月の終わりからソロになる。だから…うちもソロで頑張りたいんや」
「……」
「同じレベルで肩を並べていたいんや。そのためには…うちは娘。を出るべきなんやないかって…」

あたしは返答に困った。
これじゃ…卒業したって、しなくたって…どちらにも大きなメリットがある。
こんなコトを…ゆうこはずっと前から考えていたのか…

「…最近、ごっちんの笑顔を見るのがツラくてな。なんて伝えていいんかと思うて…」
「難しすぎるモンダイだね…あまりにも難しいモンダイだよ…」

アタマをかきむしりたくなるほど…あたしは悩んだ。
カンタンに引き止められないと思っていたけど…こんなに難しいとは思わなかった。
どうすればいいんだろう…あたしはゆうこに何をしてあげられるんだろう…
479 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月20日(火)01時08分23秒
「ヤグチの意見を…言っていいかな?」
「もちろん…」
「ゆうこのためとか、ごっちんのためとか…そーゆーのは抜きで言うから」
「……」

「ヤグチは辞めてほしくない。ゆうこがいないと…イヤだもん」

うちは…アタマを抱えたくなった。
この発言はどう受け止めればええんや? 愛の告白か?
そうやないやろ…ため息が出てもうた。

「なんやそら…ホンマに矢口の意見やな」
「そうだよ。でも、それがゆうこのためにもなるし…ごっちんのためにもなると思うんだ」
「…うちの代わりはもうみんなで出来るで。それも含めて…卒業しようと思ったんや」
「ゆうこの代わりなんて…誰も出来るわけないじゃん。ゆうこしかできないよ」

「それは建前や。うちがいなくても娘。はちゃんとやれるって」
「建前じゃないもん!! ゆうこがいないと…」
「いつまでうちに引っ張られるつもりや!!」

語調が荒くなる。
テーブルについていた手が…乱暴に髪をかきあげた。
分かってない…ゼンゼン分かってへんやん…

「もうな…娘。は独り立ちしてええんや!! うちがおったら…ずっとそれが出来へん」
「…そんなコト…ないもん…」
「甘えるんやない!! 矢口かて…もううちの手から離れてるんや」
「……」
「これから自分でどうするのか…どうすべきなのか…自分のチカラだけでやるんや」

ソファに背を向けて座っていた…矢口が立ち上がった。
自分よりもずっとナキムシで…強がりで…でも、みんなを惹きつける不思議なチカラ…
矢口にはそれがちゃんと備わっている。だからこそ…

「ヤグチは…ゆうこの手から離れてない」
「……」
「タンポポだから? ミニモニ。だから? それとも…よっすぃ〜のものだから?」
「……」
「そんなコトで…ヤグチとゆうこのココロって離れちゃうの…?」

何も言えなかった。何も言い返せなかった。
実際に、矢口に関しては自分の手から出てしまったと思っていたから…

「よっすぃ〜はスキだよ。ダイスキだよ。でもね…ゆうこだって…」
「それ以上言ったらあかんで。戻れなくなる」
「ゆうこだって…」

「ダイスキなんだから…」
480 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月20日(火)01時57分09秒
「…うちは違うで。そんなコト言う矢口は…キライや」
「……」
「何を言ってんねん…よっすぃ〜が聞いたらゼッタイ泣くで…」

落ち着きを失って椅子を立った。
冷蔵庫を乱暴に開けるとミネラルウォーターを一気飲みする。

「ええか…あの…何て言ってええか分からへん…」
「…ゆうこらしい答えじゃんか。ココロの底からごっちんをスキだって…言えない証拠じゃん」

何度も何度も…矢口の姿が思い出された時期があった。
それは今だったそうだ。繋がりが…結びつきがあまりにも強いからだ。

「…ごっちんと付き合うゆうこを見て…ヤグチは取り残されてると思った」
「……」
「あんなに幸せそうなごっちんのカオを見て…ヤグチはずっと嫉妬してた」

「そんな自分がつくつぐイヤになった。よっすぃ〜を負けないくらいに愛しても…勝てない気がした」
「ハッキリ言っておくで。もう矢口とやり直そうなんて…」
「思ってないんでしょ? ヤグチだって分かってる。でもね…」

「ヤグチにとって…ゆうこは別格なんだよ…」

人間の恋愛心理に…『別格』というコトバがある。
目の前にスキな人がいる。付き合ってるヒトがいる。
でも…それをあっさりと、無条件で吹き飛ばせる強力な存在が必ず誰しにもいる。
そのゆるぎない存在を『別格』と呼ぶ。

『別格』はゼッタイにミスを犯さない。『別格』は相手にイヤなコトをゼッタイにしない。
そもそも『別格』が行動すべてが…自分にとってスキなヒトのタイプを形作っているのだ。
別れてもスキなヒト…それを超える存在が『別格』と呼ばれるのだ。

「…それがどんなイミを持ってるか…矢口は分かってるんか…?」
「…うん…だからこそ…ゆうこから離れたくないんだ…」

きっと、今、よっすぃ〜と別れろと言っても…悩んだ末には必ず別れてしまうだろう。
矢口の大半を…全てを握っているといっても過言じゃない。

「矢口のキモチは嬉しいで。でも…ごっちんだってうちが『別格』なんやで」
「……」
「ごっちんに何で卒業を告げられへんか教えたる。ただスキだからとかちゃうで」

「それは…ごっちんがうちの『別格』だからや」
481 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月21日(水)00時26分34秒
「むっちゃツライんやで…どうしようもないくらいごっちんのコトスキなんやから…」
「……」
「ホントは辞めたくないんや…ごっちんの側に…ずっといたいんや…」

ゆうこは…泣いていた。
昔からすっごくナキムシだったけど、最近はめっきり泣く姿を見ていなかった。
ホンキだった…ゆうこのホントの姿だ…

「…でも、このまま黙っているわけにはいかないでしょ…?」
「…分かってる。このキモチを伝えないとあかんのは…分かってる…」
「ごっちんがホンキでゆうこのコトがスキなら…きっと認めてくれるよ」
「……」

あの時、ゆうこが言ったとおり…あたしはすでにゆうこの手から離れていた。
イヤ…ゆうこの手から離されたのかもしれない…
もう、一人前になったから…ゆうこがあたしの教育係みたいなものだったから…

「ヤグチは…もう何も言わないよ。ゆうこのとる行動に…賛成するから」
「…ありがとう…」
「でもね、ごっちんは…二度目になるの忘れないで。紗耶香のコトがあったんだから…」
「……」

あたしはこの目でしっかりと見ているのだ…
紗耶香のラストライヴの時に…動けなくなったごっちんの姿を…
痛々しくて…直視できなかった、あの姿を…

「…じゃあ、ヤグチ帰るね。明日はちゃんと来るんだよ」
「分かってるわ。これ以上、休んだら…ますますごっちんと会えなくなる…」
「……」

こぼれ出るナミダを見られないように…あたしは部屋を出た。
ナミダの理由が分からなかった。あたしよりもごっちんを選んだコトなのか…
それとも、純粋にゆうこがいなくなるコトなのか…

どちらにせよ、あたしにとっては悲しいことであることに代わりない…
482 名前:007 投稿日:2001年03月21日(水)01時34分02秒
おー今日は、早めの更新ですね!
最初に中澤が倒れたのは、本編自体にはあまり関係ないのですか?
この作品とは関係なく、作者さんに質問?
やぐちゅー主義の作者さん!この頃は、やぐよしのほうが。。。なのかな?(w
483 名前:名無し君 投稿日:2001年03月22日(木)00時36分10秒
ずっとROMってました!
先がめっちゃ気になっています。
作者さん待ってるぜ!
484 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月22日(木)00時47分50秒
>>482
中澤が倒れたのはカラダが悲鳴を上げていることを示唆しただけです。
本編に鋭く関係はしていません。俺はモーニングが出ている番組をゼンゼン
見たことがないので、情報はほとんどここで入手しています。
最後にちらっとみたのは年末の「百人に聞きました」のやぐちゅーだけです。
>>483
ありがとうございます。待たせずに頑張って書くつもりです。
485 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月22日(木)00時48分33秒
「…もしもし?」
「ゆーちゃん! ちょうどよかったぁ。今から電話しようとしてたんだよっ」
「そっか…」
「ゆーちゃん…?」

いつものテンションだった…
ふわふわしてて、にこにこしてて…うちだけのごっちんだった。
いつもの、プライベートのごっちんだった。

「元気ないね…? やっぱり体調よくないの?」
「そんなコト…あらへん。急にごっちんの声が聞きたくなった」
「あははっ〜。ゆーちゃんがそーゆー時ってゼッタイなんかあったときだね?」
「…今から会えんか? どうしても話がしたいんや…」

ぐっと…ごっちんが押し黙った。
何かを聞こうとして…ためらうように呼吸する。

「…別れ話じゃないよね?」
「当たり前やろ!!」
「あ〜…よかったぁ〜…もし、そうだったらどうしようかと思ったよ…」
「クルマですぐ行くから…ついたらケータイに電話するから、そしたら出てきな」
「うんっ! 今から準備するから! 切るね〜」

ケータイを切って…ため息をつく。
薄暗い部屋には飲みかけのペットボトルがきらきらと光っていた。

「別れ話…か…そうかもしれへんな…」

うちが娘。を卒業したら今みたいに気軽に会うことはできないだろう。
お互いがすれ違う時間がゼッタイに増えてくる。
そして、同じソロ活動…お互いを見てうちはごっちんになんて声をかけるんだろう…?

「…もう、夢を見る時間は終わってしもうたんかもな…」

うちは財布とキーホルダーを握り締めて…家を出た。
486 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月22日(木)01時12分17秒
「珍しいよね〜? 仕事の後でドライブってさ」
「手持ちぶたさだったし…一日一回はごっちんの姿見とかんと落ち着かなくてな…」
「あたしだってそうだよ〜。今日なんか、みんな『後藤の様子がおかしい』とか言うんだよ〜」
「ちゃんとやってるごっちんの姿がヘンだったんやろなぁ〜」
「ふぅ〜んだっ! どうせ、あたしはいつもやる気ないですよ〜だ!!」

ごっちんを家の前で拾ってからうちは高速を走っていた。
どうしてもレインボーブリッジに行きたいとごっちんが言ったせいなんやけど…
ま、たまにはええかな?

「あ、この歌あたしスキなんだよ〜」
「お、平井堅やんか。ええオトコやよなぁ〜」
「むっ! あたしの前でそーゆーコト言うかなぁ〜!?」
「ごっちんかてええオンナやよ? そんなん言わんでも分かってるわ…」
「へへっ。ゆーちゃんもカワイイオンナだよっ♪」

FMから流れてくる…静かで響き渡るような歌声。
実際に…車内には静かに聞き慣れた歌声がこだましていた…

…満たされた時間の中で 僕らは何が出来るだろう…
…遙か遠い あの記憶を抜け僕らはどこへ行くのか…

「相変わらずええ声してんなぁ〜」
「これって『楽園』じゃん。あたしダイスキなんだよね〜…ちょっと古いけど」
「平井堅ってこれで知ったんや…確か」
「あたしだってそうだよ〜。アルバム持ってんだよね」

…Let me fly 誰もがここで迷いながら 今も何か探してる…
…U & I いつかまた めぐり会えたら この場所で歌おう…

「おおぉ〜…やっぱりいい曲だぁ〜…」
「こんな歌…歌ってみたいなぁ…ごっちんを感動させるような曲…」
「まあ、娘。とかって…こーゆー曲難しいよね…あたしのソロもちょっと違うし」
「…そうやな」
「でも、ゆーちゃんの声、あたしダイスキだよ。カラオケで聞いてるからだいじょぶだよ〜」

ごっちんのやさしいコトバが…すごく嬉しかった。
でも、同時に…自分がすごく無力だと感じた。
ココロに響くような歌って…自分で歌えてないんだなって…思うた。

今日…告げなきゃあかんな…うちが卒業するコトを…
487 名前:名無し君 投稿日:2001年03月22日(木)01時33分25秒
そうですか!とうとうごまに卒業を伝えてしまいますか?
出来たらなっちとカオリに伝える所も読んでみたい気が・・・
ムリですよね!
488 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月23日(金)00時49分43秒
現実の出来事とリンクしてるから、余計に涙腺がゆるくなる…
続き読みたいけど、最後までちゃんと読めるだろうか自分で心配になってきた。
489 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月23日(金)01時11分07秒
>>487
次のUPでとうとうごまに卒業を告げます! ここからが痛くなってくるでしょう…
この話は一応、やぐよし、ゆうごま編ですのでカオリやなっちはムリですね。
>>488
せっかくここまで読んでくださったんですから最後までお願いしますよ(わら
現実世界とリンクすると、感情移入もまた大きくなりますから…狙ってます。
490 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月23日(金)01時11分48秒
「うわぁ〜! チョ〜キレ〜!!」
「……」

真っ黒な大黒埠頭がぼんやりと光を浴びて輝いている。
駐車禁止のはずにもかかわらず、止まっているクルマはとても多い。

「レインボーブリッジってさ…あたし初めて来たんだよ。キレイだね〜」
「…そうやな」
「どしたの? クルマならだいじょぶだよ〜。パト来たら急いで逃げちゃお!」
「……」

場所の選択を確実に間違えてしまった。
こんなに笑顔イッパイのごっちんを見て…言えるはずがなかった。
くわえているタバコの煙が…夜空に消えた。

「…どうしたの? さっきから」
「……」
「やっぱり…カラダの調子、よくないの…?」
「……」

タバコの火も消さずに、そのまま下に吐き捨てる。
ゆっくりと呼吸を整えて…まっすぐ前を見た。
逆光の中で…ごっちんの髪がキラキラと滝のように流れていた。

「大切な…話があるんや」
「……」
「ずっと…ごっちんと付き合う前から…ずっとずっと考えてたコトなんや」
「……」

何事かとこわばったカオを見上げることが…できなかった。
反射的に視線を伏せて…いけないと思ってカオを上げる。

「うちな…娘。に入った頃から…ソロで歌いたいって目標があった…」
「知ってるよ…そのコト…知ってる…」
「ごっちんはソロになれたやんか? それが…ちょうどええ区切りかと思うてな…」

こくん、とツバを飲み込む。
苦しい。まるで宇宙に来たみたいに…息ができない。

「…ごっちん」
「……」
「うちな…モーニング娘。卒業しようと思うねん」
「……」

…ごっちんはしばらくためらう素振りを見せてから…うちの腕をつかんだ。
ぐいぐいとクルマの中に引き込まれる。

「な、何や…?」
「お願いだから出して!! こんなトコで…こんなトコで、そんな話聞きたくないよ!!」

ごっちんにせかされるまま…うちはキーを回した。
491 名前:007 投稿日:2001年03月23日(金)01時24分19秒
とうとう・・・
そうですか。伝えちゃいますか?
作者さん
どうせなら、思いっきり痛めでいっちゃってください!!
492 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月23日(金)01時33分39秒
行くあてもなく、クルマはごっちんの家に向かってしまった。
続きの話を切り出そうとしても…フンイキがそれを許さなかった。
黙ったまま…FMだけが静かにクルマの中を支配していた。

「……」
「……」

こんな時に限って車はスイスイと進んでしまう。
渋滞にも信号にも引っかからずに…ごっちんの家は迫っていた。
…時間がない…

「…落ち着いてきいてくれんか? ごっちん…」
「落ち着いて…聞けるわけないじゃん…ゆーちゃん、辞めるなんて…」
「……」

はらはらと…横顔しか見えないごっちんの瞳からすでにナミダが流れていた。
かたくなに両手をひざの上に組んで…俯いていた。

「ソロはな…うちが芸能界に入ったときからの夢やったんや…」
「でも! ゆーちゃんは…『中澤裕子』でちゃんとシングルだしてるじゃん!!」
「そうやけど…そうやないねん。今の中澤裕子は…モーニング娘。の中澤裕子や…」
「……」

誰でもいいから…100人に聞いてとしても…
中澤裕子をソロだと答えるヒトはきっと誰もいないだろう。
それは…うちの思い描く『ソロ』とはやっぱり違うんや…
493 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月23日(金)01時34分14秒
「…着いてもうた…」
「ねえ…考え直してよ!! ゆーちゃんと離れ離れになるなんて…ゼッタイ出来ないよ!!」
「だいじょぶや。ハローには籍を残せるし…ごっちんと会える時間もちゃんとあるで」
「そういう問題じゃないよ!!」

こちらを振り向いて…チカラいっぱい肩を抱き寄せる。
肩に痛みが走るほどだったけど…そんなコトはどうでもよかった。

「あたしは…もう、自分のスキなヒトを離したくないんだよ…」
「…離れるんやないで。ごっちんにもっと近づくんや。お互いソロとして…」
「あたしがソロになるから!? だからゆーちゃん、辞めるなんて言うの!?」
「それは…」

「だったら、あたしはソロで歌わない!! ゆーちゃんのために…歌わない!!」
「何を…言うてんねん!! ソロで歌うことがどれほどのコトか…何でわからへんねん!!」
「分かんないよ!! 自分のダイスキなヒトを離しちゃうなら…歌なんか歌いたくない!!」

…ぱんっ!!

「!!」
「もうええわ…勝手にせぇよ…一人で悩んでたうちがバカやった…」
「……」
「もうこれでココロ置きなく…娘。を卒業できる」

右手に感じる消えることのない感触…
謝ろうにも謝れないほどの瀬戸際に…立たされた。
…叩かれた頬も気にせずに…鋭い眼差しで…うちを見据えた。

「…さよなら…ゆーちゃん…」
494 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月23日(金)01時58分19秒
…もう勘弁してください(涙

>現実世界とリンクすると、感情移入もまた大きくなりますから…狙ってます

いや、だから最後まで冷静に読めるかどうか心配なんですけど…
作者さん、あなた絶対サドですわ。
495 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月23日(金)12時07分28秒
裕ちゃん・・・・(号泣
感情のすれ違いが痛いですね。
496 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月25日(日)00時41分28秒
>>494
話も佳境です。『痛め』宣言してるので、全力で書いてます。
冷静に読めば、ホラ…脱字とかさ、ありますから(わら
だから、俺はサドじゃないってば…
>>495
大人と子供が付き合うとこーゆーコトに直面しそうな気がします。
お互いの想いの相違ってやっぱりケンカの原因にもなりますから…
497 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月25日(日)00時42分02秒
「…おはよう」
「あ、ゆうこ…今日、ごっちん休みだってさ…」
「そっか。しゃあないわな」
「…やっぱり…言ったんだね…」

あたしはげっそりしたゆうこの姿を見て…すぐに分かった。
目元が真っ赤に腫れ上がっていて…どうしようもなく落ち込んでいた。

「ハッキリ言うたけど…分かってくれへんかった。だから、もうええわ」
「…えっ?」
「もうええんや。何を言っても聞く耳持ってくれへんやもん。言うだけムダや」
「そんなの…」

面倒くさそうにゆうこはバックをロッカーに入れた。
ポケットに手を突っ込んで…タバコを口にくわえる。

「…疲れたわ。ホンマに疲れた。これ以上、やってられへんわ…」
「……」
「今日のシメに…卒業をみんなに連絡するわ。矢口も合わせといてな」
「分かった…」

心底、かったるそうに煙を吐き出す。
こんなに投げやりで、やる気のないゆうこを見たことがないから…
なんて声をかければいいかコトバにならなかった。

「…なんや? うちのカオに何かついているか?」
「う、ううん、何でもないよ…」
「……」

くわえタバコで立ち上がると、スリッパを履いてどこかへ言ってしまった。
…あまりの出来事に、あたしはその場で立ち尽くすコトしかできなかった。

「…今日の中澤さん、なんかおかしいですね…」
「チョット…疲れてるみたいだね。やっぱり病み上がりだから…」
「ムリしちゃダメなのに…」
「……」

よっすぃ〜の心配も他所に…あたしは呆然とゆうこが出て行ったドアをぼんやり見つめていた。
498 名前:やぐ×2 投稿日:2001年03月25日(日)02時14分24秒
姐さんの行動に何か鳥肌立ってきた。
作者さん、全力で読ませていただきます。
499 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月26日(月)00時59分28秒
>>498
ちょっと話が佳境なのでレスは控えさせていただきます。
なんか話しちゃいそうで(わら
500 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月26日(月)01時01分18秒
「…なんつーカオしてんだか…」

何度も何度も冷たい水でカオを洗う…
どんなに洗っても目元が赤い。カラダもハッキリしない…
理由なんて考えなくても分かる…

「……」

謝るつもりだった。うちから…
誰だってイキナリあんな話をされたら取り乱したってしょうがない。
しかも、うちはかっとなって頬を叩いてしまったから…

「…なんで…なんで分かってくれへんのや…」

ちゃんとソロデビューすれば…うちはごっちんと対等になれる。
今はどんなに引け目で見ても…ごっちんに負けている。
話題も、容姿も、歌唱も…すべてが負けているような気がする。

自分の努力が及んでいない…
ここ最近、うちはずっとごっちんに頼っていた。頼りっぱなしだった。
寝ても覚めても、ごっちんのコトだけしか考えてなかった。

卒業を真剣に考えたのは…ホントは最近だった。
このダメな方向へ惰性が働く今の生活から…どうしても脱却したかった。
そのためには…ごっちんとキョリを置くことが一番だと思った。

別れるんじゃない。むしろ近づくんだ…
それだけのためにうちは卒業を決心した。
お互いのキョリは…実際の長さじゃないと…うちだけは思っていた。

「でも、もうダメや。なにもかも…」

(…ちゃんと分かってほしいんや。ごっちん)
(分かりたくないよ!! ゆーちゃんと離れるのが…イヤだよぉ…)
(うちの夢は…ソロで歌うことなんや。ゼッタイに、何の後ろ盾もなく…歌うことなんや)
(…あたしは違う…モーニング娘。に入るコトが…夢だったから)

(違うね…違っちゃってるね…あたしたち…)
(……)
(ゆーちゃん…今まで楽しかったよ。あたしも…ゆーちゃんから卒業するね…)
(ゼッタイに!! 認めへん…そんな別れ方ゼッタイに…!!)
(だいじょぶだよ。ソロになれば…あたしのコト忘れられるんだから…)

…いったいナミダっていうのはいつになったら枯れるんだろう…
うちが…完全に、ソロになって、それでもごっちんといたいと思うのはエゴなんやろうか?
やっぱりごっちんと一緒に娘。という枠におらんと…うちらは成立せんのやろうか?
501 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月26日(月)01時02分44秒
「つーことや。イロイロ考えた末にうちは4月のライヴでみんなとお別れやで」

…みんなが泣いていた。
矢口の目にもうっすらとナミダが溢れていた。

「ホントなんですか? ホントに…辞めちゃうんですか…?」
「…そうや。考えたんや」
「ごっちんには…言ったんですか?」
「…まだ言っておらへん。今日会って…言うつもりや…」

大ナキしている石川に…うちはウソをついた。
卒業宣言をしたうちも…どうでもよかった。
ぽっかりと空いた穴を埋めてくれるのはやっぱりごっちんだけだと思った。

「詳しいことは三月七日に…記者会見を開くコトになってるから」

辻も加護もわけがわからないくらいナキじゃくっている…
みんながみんな…思い思いにナミダを流しているにもかかわらず…
うちのココロはまったくここにはなかった。
自分の卒業が遠い友人の卒業のようでしか…なかった。

「…それだけや。みんな世話になったな」

静かに出て行くうちを…止めるメンバーは誰もいなかった。
ヒトにナミダを見られるのがハズカシイと思ってくれたんやろ…

チョット早かったが…ある場所に向かうコトにした…
行く先は東京お台場…ニッポン放送スタジオがある場所だ。
502 名前:007 投稿日:2001年03月27日(火)01時57分11秒
話が佳境見たいなのでレスは、控えさせて頂いておりますが・・・
ってレスしちゃった!
作者さん頑張って更新してね!
503 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月29日(木)01時58分49秒
「マジですか!?」
「…さすがにヤバいかなぁ?」
「そりゃチョット…イロイロありますけど…」

ディレクターとの打ち合わせである提言をした…
電話にも出ない、メールも返さないごっちんにうちの話を聞いてもらう…
それはラジオを使うことだ。

「別にそんな細かいコト言うわけじゃあらへんから…ええやろ?」
「…脱退ってホントなんですね…」
「ホンマや。もちろん、会見まで伏せといてほしいんやけど…ごっちんには…」
「……」

うちがごっちんとひとかどならない仲であるのは周知だ。
まさかホンキで付きおうてると思ってはおらへんと思うけど…

「…分かりました。その代わり…自分の発言に責任は持ってください」
「分かってるがな。うちだってええ大人なんやから…」
「そーゆーコトなら最初にやったほうがいいんじゃないですか? リクの曲に行く前に…」
「そや、用意してほしい曲があるんやけど…」

…準備は万端だ。
あとは…時間になるのを待つだけやな。
504 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月29日(木)02時00分50秒
「ごっちん…中澤さんが卒業するって…今日言ったんだよ?」
「……」
「…ごっちん、どうして…」
「…知ってるんだよ…」

あたしはあれからずっと部屋にこもって…泣いていた。
泣いても泣いても…ナミダが止まらなかった。
苦しいとか…そんな次元じゃなくって…どうしようもなかった。
ただ、泣くことしかできなかった。

「やっぱり…だから、休んだんだ…」
「…ありがと。よっすぃ〜…心配してくれて…」
「明日…ムリそうだね…」
「ゴメン…もう、ゆーちゃんの話、やめて…」

あたしはケータイを切った。
今日の朝から…ひっきりなしにメールが届いている。
中を見るコトができない…山積みのゆーちゃんからのメールだ。

もし、これを見たら…あたしはゼッタイに…生きてられない。
きっとあたしと別れるコトしかメールにはないんだ。
だから…だから…怖くてメールが見れないんだよ…
…また…電話だ…

「…もしもし?」
「ごっちん…あたし、ヤグチだよ…」
「…ヤメテ…」
「ごっちん…」
「やぐっちゃん…知ってたでしょ? ゆーちゃん辞めるコト…知ってたね…?」

電話口が静かになるだけで…何もかもが分かる。
なんで…やぐっちゃんなんだろう? あたしじゃなくて…やぐっちゃんなんだろう?
カワイイから? それもあるね。ゆーちゃんのモトカノだから? それもあるね。
…そうなんだね…

「…つんくさんから…初めて聞いて…それが昨日だった。それで…」
「行っちゃったんだ…やぐっちゃんならそうしそうだもんね…」
「……」
「…勝手にしてよ…あたしとゆーちゃん別れるんだから…スキにしてください」

…もう、何もかもがどうでもよくなった。
ソロで歌うことも、娘。のセンターであることも、芸能界にいること…
ゆーちゃんをスキでいるキモチでさえも…

どうなってもいいや…ドウナッテモイイヤ…
505 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月30日(金)00時24分43秒
ふっ…

コンポの電源がイキナリ入って…あたしは時計を見た。
そっか…今日は木曜日じゃん…いつもMDで録ってるから…
…ゆーちゃんの声が…聞きたいよ…

ホントはゆーちゃんの声が聞きたいよ…姿も見たいよ…
抱きしめて欲しいよ…ゼッタイに離さないって…
いつもみたいに髪を撫でながら…離さないって言って欲しいよ。

「…が10時をお伝えします…」

「はい。こんばんは〜、中澤裕子です〜」

あっ…
一日しか会ってないのに…こんなにココロがゆーちゃんの声を欲しがってる…
なんでナミダ…止まらないんだろう…

「……」
「えーと…実は今日はとても鬱なんですよ〜。鬱って分かるかなぁ?」
「……」
「とってもメランコリックってことです。まあ、今日はイロイロありまして〜…」

ムリにテンションを上げようとしてるのがすごくよく分かる。
もともと気分屋のゆーちゃんだから、こんな日は…ラジオなんてでたくないんだろうね。
…あたしのコト…考えてくれてるのかな…だから、鬱なのかな…

「あ、とりあえずタイトルコールしておきましょうか」
「モーニング娘。中澤裕子のオールナイトニッポンスーパー!!」

…なんだか、リアルタイムで聴くのって初めてかもしれない…
でも、ゆーちゃんの声を聴いたら…逢いたくなっちゃった…
ダメだよ…別れるんだもん…あたしとゆーちゃん…

「いつもどおりじゃなくて…今日はチョットわたくし、中澤裕子から連絡があります」
506 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月30日(金)00時26分18秒
そっか…今日のうちに卒業を言っちゃうんだね…
あたしじゃ止められなかったもん…やぐっちゃんでもムリだったんだから…
あたしなんかゼッタイムリだよ…

「えーと…まあ、ものすごい私用なんですが、ハガキを預かってきました」
「ペンネーム…『ゆーちゃん』さんです」

「…わたしは実はすごくスキなヒトがいます。向こうもスキだって…言ってくれます」
「仕事場も一緒なんです。職場の中でも有名なカップルって言われてます」
「でも、わけあってわたしはそのヒトから離れないといけなくなってしまいました」
「お互いが成長するために…少し、キョリを置こうって思いました」
「別れるんじゃなくて…もっと近づくんだって…わたしはそう思ってました」

「相手は…当然、納得してくれませんでした。わたしの言い方も悪かったと思います」
「でも、わたしはどうしても…自分のために…相手のためにも…離れようと考えてます」
「わたしはそのヒトがダイスキです。そのヒト以外…スキになれないです」
「離れたくないです。わたしだって離れたくないです。でも…夢に向かって…」
「わたしは…あなたと離れるつもりです。でも、ゼッタイに…」

「わたしがあなたの側にいること…あなたを愛していること…忘れないで下さい」

……
あたしは急いでケータイを取り上げた。
見てない…何十通ものメールを開いていく。

『今日のラジオ…ゼッタイに聴いて欲しい。大事なコト言うから…』

「…この『ゆーちゃん』さんから曲のリクエストがあります」

…忘れてしまおう もうすべて 眠りはやさしい そう唄を…
…そのままでいいよ そのままがいい 哀しい夜をおぼえた今は…

…!!
この…ウタ…あたしが…ゆーちゃんが…
ゆーちゃんが…何度も聴いていた…あのやさしい曲…

…こんなにココロ震えるから あなたの そばにいるだけで…
…こんなにココロ焦がれるから あなたの そばにいるだけで…
…雨が 止む前に その前に むかえにいくよ…

…ナミダ 止む前に この愛で むかえにいくよ…

…あたしは部屋を飛び出した。
507 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月31日(土)00時28分32秒
>>506
この曲って姐さんが大ファンのあの人の「you」ですね。
いいじゃあないですか。
508 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月31日(土)03時28分28秒
「…はい!! お疲れ様です〜!!」
「ふぅ〜…結局、何の連絡もなし、か…」
「何言ってるんですか、最初の手紙のコトでメールがごっそり来てますよ」
「ああ、それはええねん…それは…」

何度も何度もメールをチェックした。
でも、ごっちんのコトを匂わせるメールは何もなかった。
…やっぱり、聞いてくれなかったんやろうな。

「しかし…大胆なコト、しましたね。会見の時に必ずツッコミ入りますよ」
「ツッコミは大歓迎やで。一応…関西生まれってコトになってるからな」
「そうですね」

うちは座りつづけたパーソナリティ席を立った。
さすがにずっと座りつづけているせいか、腰が痛い。
やっぱり、娘。をやめてしもうてもしょうがあらへんな…

「…しゃあないな。直接、引っ張り出すしかあらへんか…」

もともと、こんなシャレたコトするつもりはなかった。
こうせざるをえなかったから…こうすれば、ゼッタイに聴いてくれると思ったから…
公共の電波を無断で私用してもうたなぁ…

「さぁて…寝るわけにはいかへんのな。頑張らんと…こっからうちの仕事や」

うちの側を何人ものスタッフが走って通り過ぎていく。
次の録が始まるからな…タイヘンな仕事やな…

「…ヒドイ…」

消え入りそうな声が横からして…うちは何気なく振り返った。
…肩まで伸びたまっすぐでクセのない髪。ふっくらとした頬に、少し大きな胸…
その辺にいる若い、カワイイ女の子だ。でも…

うちにとってはかけがえのない、たった一人の…愛するヒト。

「ごっちん…?」
509 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月31日(土)03時29分25秒
「…!」

イキナリ抱き付かれて…うちはコトバを失った。
うちの胸にカオを埋めて…必死で泣くのをガマンしていた。
…そうか…聴いてくれたんか…

「…どない、したん?」
「っんぐっ…ゆーちゃんがぁ…ゆーちゃんが…」
「ああ、もうええ…落ち着いて話しなや。うちは…ココにいるんやから」

たった一日…24時間しか逢っていなかっただけなのに…
こんなにうちのココロが安心してなかったなんて…思わなかった。
でも、ごっちんと逢ったことで…こんなに満たされるなんて…思わなかった。

「カッコつけすぎだよぉ…あんなコトしたら…」
「まぁなぁ…ちゃんとごっちんが話を聞いてくれたら、こんなコトにならへんかったんやで?」
「しかも…あたしのスキなウタじゃなくて…ゆーちゃんのスキなウタじゃん…」
「あ、そうやった…まあ、あんまり、気にするなや…」

そう言っていつもみたいに…ぐしゃぐしゃと髪を触る。
いつもみたいに太陽の香りがして…ほんのりシャンプーの香りもして…
ぎゅ〜ってココロが絞られるみたいだった。
でも、それがキモチよくて…ココチよかった。

「…忘れてしまおう…もうすべて…」
「……」
「眠りはやさしい…その唄を…」
「「そのままでいいよ…そのままがいい…」」

小さく声が…うちとごっちんの中だけで聞こえる。
あのウタが…うちの家に行くと必ずって言うぐらい聴いた、このウタを…
「あなた」だけのために…

「「…こんなにココロ震えるから…あなたの…そばにいるだけで…」」
「「…こんなにココロ焦がれるから…あなたの…そばにいるだけで…」」
「「…雨が…止む前に…その前に…むかえにいくよ…」」
「「…ナミダ…止む前に…この愛で…むかえにいくよ…」」

「…迎えに行くはずだったのに…来てもうたな…」
「…ナミダが止んだあとに…来ちゃった…」

静かに…ごっちんと重なる…
何も…もう、コトバはいらない。聞くことも問うことも…いらない。

もう…離れることはないんだから…
510 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月31日(土)03時30分24秒

      ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

「…あなたにとってモーニング娘。とは?」
「青春! ですね!!」

…きっと…こんな日が来るんじゃないかって…思ってた。
あたしと一緒にいるときに…別れるんじゃないかって…
別れがあたしじゃなければって…そんなことも思ったよ。

もし、卒業するんだったら、笑顔で送ってあげようって…付き合ったとき決めた。
でも実際にそうなってみると…そうじゃなくて、拒絶しかできなかった。

「…ごっちん…」
「な、やぐっちゃん〜…泣いちゃダメだよ〜」
「だってさぁ…やっぱり、ゆうこいなくなると…悲しいよぉ…」
「あんまり泣くと…よっすぃ〜が心配するからさ…」
「だって〜…ナミダって止まるもんじゃないじゃんか〜…」

あの夜に…ゼンブあたしには分かったんだ。
ゆーちゃんの結論が簡単に出たわけじゃないって…分かったから…
納得しようって思ったわけじゃなくて…納得できた。

あたしのソロの強力なライバルの出現になった。
あたしだって…ゆーちゃんと肩を並べて恥ずかしくないようなアーティストになりたい。
モーニング娘。に入ったことだけで終わってたあたしに…
…初めて目標ができたんだ…

「では、最後に…あの、ラジオで読んだハガキは…誰に向けたんですか?」
「…誰でしょうかね(笑) でも…うちの中でとても大事な人で…」

「今、このテレビを見て…きっと笑って、納得してる…愛しているヒトですよ」

−FIN−
511 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年03月31日(土)03時38分20秒
〜あとがき〜
途中、レスをくださったみなさん、ありがとうございました!!
これにてやぐよし・ゆうごま編の終了です。
やぐよしはほとんど出ませんでしたが…まあ、しょうがないです(わら
「痛め」でしたが…脱退の影響で他のゆーちゃん絡みの話が「痛め」になっていたので…
甘くしてみました。ノド越しスッキリってカンジです。わけわからんか(わら
題名はツッコミもありましたが「you」ということで。
ゆーちゃんの「ゆー」の意味もあるからちょっといいかも(わら

えー…この作品をもちまして、「痛めも甘めも挑戦します。」は終了です。
ハンドルも捨てさせていだたきます。何か機会があったら、別の板で
このようなショートストーリーも書くと思います。
これらの話を少しでも読んでくれた皆さんにココロからお礼を。

みなさん、ありがとうございました!!
512 名前:ま〜 投稿日:2001年03月31日(土)04時03分46秒
ご苦労様でした。
FANTASISTAさんの小説は、いつも雰囲気があってとてもよかったです。
またどこかの板でお会いさせていただきます。
513 名前:某紫板の人 投稿日:2001年05月15日(火)22時01分01秒
FANTASISTAさんごめんなさいです。

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