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娘。たちの長い夜

1 名前:教授 投稿日:2000年10月25日(水)23時16分33秒
最近、2chが小説にとって辛い状況になってきたので、こちらにお邪魔させていただきます。
途中からです。

過去ログ:http://www.interq.or.jp/yellow/hiuga/morning/novel/night.html
2 名前:教授 投稿日:2000年10月25日(水)23時18分29秒
「それで、こうね、なっちをリーダーに考えてみて欲しいのよ。」
「はいっ。分かりましたー。」
加護は飯田に頼まれていることなど、オクビにも出さずに言い放った。
「ほんと? ありがとねー。」
「考えときますー。」
加護が言ってのける。

(とりあえず、早く話し終わらへんかな。)
安倍は満面の笑顔だ。
(まぁ、考えると言ったけど、入れるとは言ってへんからええやろ。)
3 名前:教授 投稿日:2000年10月25日(水)23時20分36秒
「あれっ、裕ちゃん、起きてたの?」
部屋に戻った保田は、中澤がまだ起きていたことに驚いた。
かなり酔っていたので、すぐ寝てしまっただろうと思っていた。
「お、圭ちゃんか・・・。まぁ、色々思う所があってな。」
そう言いながら、中澤は鏡を見つめていた。
「どうしたの?鏡なんか見つめちゃって?」
4 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月25日(水)23時21分45秒
「ん?まぁ、つくづく私も年取ったんやなって・・・。」
中澤はハードなスケジュールで荒れ果てた肌を触りながら言った。
普段は気丈な中澤のみせる哀しみを鏡が映す。
「ちょっと、どうしたのよ。」
外見とは違い保田は気遣いのできる人間だ。
「・・・いやっ、別に何でもないよ。さー、寝よっかな。」
中澤はいつもの様子に戻る。
5 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月25日(水)23時23分38秒
「あぁそう、ならいいけど・・・」
保田も深く問いただす事はしない。
中澤はベッドに入り布団をかぶっている。
(・・・まぁ、いいか。ん〜、さっ、行こっかな。)
保田はなんとなく出て行こうという気になった。
(なっちの部屋はたしか・・・)
「・・・圭ちゃん!」
中澤がベッドの中から、小さく、しかし、はっきりした声で読んだ。
「ん、どうしたの?」
保田が聞く。
「私、どうしたらええんやろ・・・」
6 名前:教授 投稿日:2000年10月25日(水)23時24分41秒
「あっ、なっち、何やってんの?」
「あ、て、カ、カオリ!?」
自分の部屋に戻ってきた飯田が扉を開けると、目の前に安倍の顔があった。
「あっ、飯田さん。やっと帰ってきたー。」
部屋の中で加護の声がした。
「ちょうど良かっ・・・」
「いや、その、そう、真里っぺを探しに来たの。」
けっして仲の良くない飯田から問われた安倍はテンパった。
「ああ、そうな・・・」
「そ、それで加護ちゃんなら知ってるかと思って、ほら、ミニモニだしね。ねっ、加護ちゃん。」
安倍 in Trouble。
7 名前:教授 投稿日:2000年10月25日(水)23時26分09秒
「ふーん。でね、ちょっと頼みたい事があ・・・」
「いやー、真里っぺどこ行ったんだべか。さ、探さなきゃー。じゃーねー、加護ちゃん。」
テンパった安倍は飯田の言葉を遮って、ささくさと出て行った。
「あっ、なっち・・・」
相撲取りの2mでの瞬間のダッシュ力は世界でもトップクラス。
飯田の処理速度を上回る速さで安倍は出て行ってしまった。

「ねえ、なっち、何て言ってたの?」
付き合いの長い飯田は、安倍の様子から何かあると思った。当然だろう。
「あー、安倍さん、安倍さんをリーダーに考えてくれ、って言ってました。」
安倍が隠そうとした事を、加護はいとも簡単に暴露した。
「えっ!? 本当っ!?」
「はいっ。」
飯田の目が見開かれる。
「なっちがそんな事を・・・」
8 名前:教授 投稿日:2000年10月25日(水)23時26分56秒
「で、あんたは何て答えたのよ。」
飯田は目の前で笑っている加護に聞く。
「考えておきます、って言いました。」
「ちょ、加護っ。あの約束はっ。」
そうだ。加護と辻からは票を取り付けているはずなのだ。
「えー、約束なんてしましたっけ。」
加護が笑う。悪魔の微笑。
「ちょ、ちょっと。」
9 名前:教授 投稿日:2000年10月25日(水)23時27分46秒
「えーと、何だっけかな〜。」
悪魔だ。このガキ。
「ほんっと・・・」
「ん〜、喉が乾いたなぁ〜。」
くっ、票は取りつけていたはずなのに。
そのために、使いパシリもやったのに・・・。
ん、そう言えば・・・。

「そうだ、加護っ。あんた、吉澤に鏡かしてるって言ってたの、
 あれ、嘘でしょ。騙したわね。」
「あっ。」
加護がしまった、という顔をする。
「そうだ。たしか約束してましたね。してました、してました。」
10 名前:教授 投稿日:2000年10月25日(水)23時28分53秒
(もー、面倒なんだからー。)
加護はそそくさと逃げようとする。
「加護っ。早く寝なさい。」
「えー、これから、よっすぃーにイタ電しようと思ってたのに〜。」
「いいから、早く寝なさいっ!」
「はーい。」
11 名前:教授 投稿日:2000年10月25日(水)23時30分06秒
「えっ・・・」
「・・・・」
保田は振り向いた。
中澤の顔は見えない。
「どうしたの? ホントに・・・」
「うん、いや、もし、私がリーダーじゃなくなったら、
 皆どんな風に付き合ってくれるんやろ、って・・・」
12 名前:名無しさん 投稿日:2000年10月27日(金)02時32分22秒
【祝】再開!
13 名前:白版の物書き 投稿日:2000年10月27日(金)20時54分33秒
みーつけったっ♪
教授、応援してるぞ
14 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月04日(土)02時37分04秒
早く続き〜
15 名前:名無しでしょう。 投稿日:2000年11月04日(土)02時47分00秒
続き お願い・・・ 禁断症状が出てきそう。
16 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月04日(土)15時17分04秒
おい、教授!
そろそろ続きを頼む!!
17 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月06日(月)00時02分47秒
続きを・・・・
18 名前:教授 投稿日:2000年11月06日(月)01時00分21秒
大変申し訳ない。 >読者の皆様
いや、話が佳境に入ってきているので、まとめて更新しようと思ってまして、
おそらく今週末に載せることができると思います。
すんまへん。許したって下さい。
19 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月06日(月)17時34分51秒
分かった。
期待して待ってるぞ!
20 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月06日(月)22時28分35秒
許したるっ許したるでぇ、頼む、ばしっときめたってやぁ
21 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月07日(火)00時41分02秒
やっと見つけました。
続きをよろしくお願いします。
がんばってください。
22 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月07日(火)05時36分18秒
一気に読める・・・余韻に浸れそう
23 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月09日(木)07時53分02秒
この小説が一番おもろい
楽しみにしてるぞ
24 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月11日(土)12時31分28秒
いよいよ週末!
マジ期待!!
25 名前:21 投稿日:2000年11月12日(日)00時12分29秒
まだかなぁ
26 名前:はむはむ 投稿日:2000年11月12日(日)00時48分13秒
まだですかぁ〜。
せかすつもりは無いけどねぇ〜。
こ〜ゆ〜のががいけないのかぁ〜?
27 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時46分40秒
読者の皆様、遅れて申し訳ありません。
ふう、今、帰ってきた所なんです。
とりあえず、自分なりの結末まで持って行きました。
28 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月12日(日)07時47分25秒
「真里っぺ〜・・・」
安倍は飯田が部屋の中に入るのを確認して、803号室に入った。
803号室は既に電気が消えている。
「寝てるの〜・・・」
安倍は足音を立てないように、こそこそ、いや、のっしりのっしりベッドに近付いた。
「真里っぺ〜」
「・・・う、うん、・・・何〜?」
矢口は寝ている。
例の顔で・・・。(以下自粛)
29 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時48分30秒
「ねえ、考えてくれた?」
「・・・ん〜・・・」
矢口は布団に顔を埋めている。
隣のベッドにも何やら人が寝ているような膨らみがあり、微かな寝息が聞こえる。
(ん、辻ちゃんだ・・・)
安倍は少し覗き込んで、再び矢口のベッドに近付いた。
「ねぇ、真里っぺ。リーダーのことよ。」
安倍は矢口の耳元で聞いた。
「・・・んあぁ、・・・うん、分かった・・・」
矢口は目をつむったまま答えた。
30 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時49分22秒
「ホント!? なっちに入れてくれるべか。」
安倍は思わず、少し大きな声で聞き返した。
「んっ、・・・なんですか〜。」
安倍の背後から辻の声がした。
起こしてしまったらしい。
辻は瞼を閉じたまま、横向きに少し顔を上げている。
「あっ、ごめんね。おやすみー。」
安倍がそう言うと、再び辻は頭を下ろし、しばらくすると再び寝息を立て始めた。
「ねぇ、真里っぺ。ホントに入れてね。」
安倍はまた矢口の耳元で囁いた。
「・・・うん、そうする・・・」
矢口は枕を抱えながら答える。
31 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時50分12秒
「じゃあ、頼んだよ。」
「・・・おやすみ・・・」
安倍は巨体を揺らしながら部屋を出て行った。

(よし、これで真里っぺと加護ちゃんと、えーと、梨華ちゃんと私で、4票)
安倍が足りない頭で計算する。
(あっ、辻ちゃんにも頼めば良かったんだ・・・)
頭の悪さが爆発している。
(まぁ、いいや、明日にでも頼んだらいいか。
 もう12時か・・・。私も寝るけな。)
32 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時50分44秒
「別にそんな心配することじゃないと思うよ。」
保田は中澤に言った。
「うん、そうなんやけどな・・・」
中澤はベッドから半身をおこし保田の方に顔を向けた。
27歳。
彼女の姿はまぎれもなく27歳。
「・・・・・」
「大丈夫だって」
33 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時51分21秒
「・・・・・」
「なんならリーダー辞めるの止めとく?」
保田は心にもない事を言った。
今更そんな事になっては大変だ。
「いや、それはせーへんよ。決めた事やから。」
中澤はきっぱりと、しかし強くはない口調で言った。
「・・・・・」
「・・・・・」
二人の視線が合う。
34 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時52分07秒
「それにさ、別に裕ちゃんがリーダーに選ばれるかもしれないじゃん。」
保田はまた心にもない事を言った。
「・・・そうやろか。」
中澤は問い返した。
「そうだよ。大丈夫だって。」
保田は笑ってみせた。
「・・・・・」
中澤は保田を見つめている。
「ん、どうしたの・・・・」
保田が聞く。
35 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時52分44秒
「いや、うん、ええわ。まあ、なるようになるか。」
中澤は微かな笑みを浮かべた。
「ゴメンな、圭ちゃん。何や辛気臭い話してもうて。」
中澤は保田の表情から何かを悟ったかのような表情で言った。
「いや、別にいいけど・・・」
保田が答える。

「さっ、明日の結果が楽しみやな・・・・、じゃ、おやすみ。」
36 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時53分26秒
「よっしー、起きてるー?」
デリカシーを無視したアニメ声の人物が804号室に入ってきた。
チャーリー石川だ。
「何〜?梨華ちゃん?」
間延びした声で吉澤が答えた。
「よかった〜、まだ起きてたんだ。後藤さんは?」
「あ〜、ごっちんもここにいるよ。」
吉澤の向うに感情が消えた後藤の顔が見えた。
「あっ、ホントだ。ねー何してたの?」
「ん、普通にまったりしてた。」
物言わぬ後藤の凍った目が石川をうつす。
37 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時54分00秒
「ねぇ、よっしー。明日のリーダー決めるの、誰にするか考えた?」
石川は唐突に切り出した。
「えー、別に考えてはないけど、保田さんにしようかなって、ねえ」
そう言って吉澤は後藤に話を向けた。
「あっ、うん、そうね。」
柔和な表情で後藤は答えた。
「よかった〜、そう言うと思ってたんだ〜」
38 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時54分32秒
「ガチャッ」
保田が廊下に出てきた。
(裕ちゃん、何か気付いたのかな?)
中澤の表情が気に掛かっていた。
(まあいいや、私がリーダーになってしまえばそれでいいんだ。)
保田は802号室に足を向けた。
(よしっ、一応、なっちにも手を向けて・・・)
39 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時55分31秒
「・・・だからね、私、テニス部の部長やってたから分かるの・・・」
「ふ〜ん。」
石川がリーダーとは何たるか、を熱く語る。
吉澤は適当に相づちを打ってあげている。
後藤は微動だにしない。
40 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時56分19秒
「なっちー、石川いるー?」
保田は石川に会いに来たと言う体で802号室に入った。
「あっ、圭ちゃん。梨華ちゃん、いないよー。どうしたのー?」
安倍は寝仕度をしながら答えた。
「いやぁね、明日のこと、でね。」
保田は安倍に軽くブラフを掛けた。
「えっ、なっ、何っ。何の用なの?」
案の定、安部は過剰反応する。
「いや、歌のことでちょっと・・・」
41 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時57分01秒
「あ、ああ、そうなの、うん、伝えとくよ」
テンパった安倍を見て、保田は安倍も動いていることに気付いた。
(こいつも動いてたか・・・。でも、こいつじゃどうせ票は集まらんしな。)
保田は安倍をじっと見つめた
(カオリや裕ちゃんへ回らないだけマシかな。)
安倍はまだオロオロしている。
(もういいっか、寝るかな・・・)
「あっ、いいよ、明日、直接石川に言うし、じゃあね、おやすみ。」
そう言うと安倍の返事も待たずに保田は出て行った。

(出来ることはすべてやったわ・・・)
42 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時57分32秒
「これからのモーニング娘は私たちが引っ張って行かなきゃならないの。」
石川は更に熱く続けている。
吉澤もさすがにうんざりしてきた。
後藤は相変わらず微動だにしない。
「新しく、保田さんを支えて行きましょうっ。」
石川は憑かれたような目をしている。
43 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時58分09秒
「ねっ、よっしー、新メンバーでも年上の私たちが中心になって頑張るのよ。」
石川が吉澤に言う。
「あぁ、うん。」
吉澤がとりあえず答える。
「後藤さんもっ。メインなんだから、もっとしっかりしてよっ。」
「そうね。」
後藤は凍った表情のまま答えた。
44 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時58分47秒
「じゃあね、頑張っていきましょう。おやすみ」
「あー、おやすみー」
「おやすみ・・・」
石川は語るだけ語って出て行った。
一際高い声が無くなると急激に静寂が訪れる。
「どうする、ごっちん?私たちも寝る?」
「うん、そーだね・・・」
45 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)07時59分31秒
「・・・・・」
吉澤が目覚まし時計をセットしている。
後藤はそれを見ながら、肘を付いてベッドで横になっていた。
「8時でいいかな?」
「うん、いいんじゃない・・・」
目覚ましをセットした吉澤もベッドに横になった。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ・・・」
46 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時00分31秒
「・・・・・」
吉澤が目を閉じ、眠りに就こうとした時だった。
「・・・・・ねえ、よっしー、さっきの梨華ちゃんが言ってたことなんだけど・・・」
「うんっ、何・・・?」
「確かにさ、これからは私たちが支えていかなきゃならないのかも知れないけど、」
後藤が言う。
「・・・・・」
「・・・私なりに色々と考えてみたんだけど、なんだかんだ言っても
 やっぱりモーニング娘って言うのはさ・・・・・・・・・・」


47 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時01分04秒
 第五章  朝  〜結末〜


「あ〜〜、気持ちいい〜〜」
眩いばかりの朝日の差し込む大浴場で一人の少女が小さな体を伸ばしていた。
湯船に身を横たえ、矢口は昨夜のことを思い出していた。
(ふうー、やっぱ行動遅かったなー)
若干の後悔を感じていた。
(どーだろーなー、圭ちゃんになるのかなー)
天井を見上げながら、保田と飯田の顔が浮かんできた。
48 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時01分36秒
(んっ、そう言えば、なっちが何か言ってたような・・・)
矢口は昨晩の事をよく思い出せなかった。
(何だっけかなー、何か約束したような気もするけど・・・)
安倍の顔が浮かんでくる。
ふくよかな笑顔と二重あごが頭に浮かぶ。
(まあいっか、別にたいしたことじゃないでしょ)
湯船から体を起す。
「おっ、サウナあるじゃん。・・・腹筋でもしてくかー。」
49 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時02分15秒
「あいちゃ〜ん、はやく、はやく〜」
「何やねんなー、まだ眠いっちゅうねん。」
辻に手を引っ張られ、加護がレストランに入ってきた。
「あんたは早よ寝たからええけど、うちはまだ眠いんやで、隣では何やガチャガチャ音してるし。」
「いたずらしようとするから、いけないんだよ。もうみんな、おきてるよ。」
そう言われて中を見渡すと、確かに全員揃っていた。
50 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時02分49秒
「加護っ、遅いっ」
保田がガメラ目で叱る。
「だって、飯田さんが起してくれへんかったから・・・」
「あんたが、あと5分、あと5分、って、いつまでも起きなかったんでしょ。」
飯田にも文句を言われる。
「おっ、全員揃ったな。じゃ、紙と書くもん配るで」
中澤がそう言って紙とペンを配り始めた。
51 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時03分30秒
「何や、何かピリピリしてへんか?」
加護は隣にいる辻に小声で聞いた。
「あさから、みんなこんなかんじなんだよ。」
辻も小さな声で答える。
「矢口さんはなんで一人立ってんねや?」
「なんか、おしりのかわが、めくれていたいんだって。」
矢口は立ってテーブルに肘を突いていた。
背が低いのでそれほど違和感も無く溶け込んでいる。
「ほい、あんたらもっ。」
中澤が二人にも紙を配る。
「あっ、はい。」
52 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時04分00秒
加護は紙をもらって、もう一度皆を見回した。
中澤はいつものように腕を組んで立っている。
矢口はお尻が痛いのか、元々がそういう顔なのか、怖い顔をしている。
石川はなにやら晴れ晴れしい顔だ。
顔面凶器・保田。
53 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時04分30秒
安倍と目が合った。
満面の笑顔でこちらを向いてきた。
(あっ、そう言えば・・・・)
昨晩、何やら頼まれたことを思い出した。
(何やあんなに笑顔を向けられてもなぁ・・・)
すっと視線をずらすと、今度は飯田と目が合った。
(ぬおっ、どないしよっ)
54 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時05分00秒
(加護の奴、まだこの期に及んで、探ってやがる。)
飯田は加護を見つめた。
(でも、加護がいれても勝てないからなぁ・・・)
加護はまだキョロキョロしている。
(まあいいや、辻はしっかり約束守ってくれるみたいね。)
55 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時05分30秒
(とうとう来たのね、この日が・・・)
保田は笑みを殺しながら周りを見渡した。
(苦節2年と少し、私がリーダーになるのよ。)
石川と目が合った。
石川は深くうなずいた。
(よしっ、石川をゲットしたのが大きかったわ。矢口となっちはカオリに入れないから・・・)
保田は4票のはずだ。
飯田には3票しか入らないから勝てる。
(辻と加護か・・・。んっ、加護は何キョロキョロしてんのよ。)
56 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時06分04秒
(ん〜、どーしよー、書いてないん私だけやん・・・)
加護は飯田と安倍の視線を感じて、まだ態度を決め兼ねていた。
(安倍さんのあの笑顔も、飯田さんの見つめも怖いし・・・どーしよ・・・)
辻はとっくに書き終えている。
(そうや、二人と違う人にしたらええんや・・・でも、誰や・・・)
加護は辺りを見渡した。
斜め前の吉澤の書いた紙がチラッと見えた。


吉澤の紙には『中澤さん』と書いてあった。
57 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時06分37秒
(んえっ! 後藤さんとよっしーは保田さんやないんか?)
後藤と吉澤は二人でなにやら談笑している。
(まぁええわ、うちも中澤さんでいこ・・・・・)
加護は飯田と安倍に悟られないようにササっと書いた。

「んっ、みんな書けたか? ほな集めよか。」
58 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時07分44秒
「はいっ、じゃ票数だけ言うで。」
サッと紙を見て数えた中澤が言った。
「圭ちゃん2票、カオリ2票、なっち1票、で、うちが4票や。」
そう中澤が言った瞬間、保田の表情が凍った。
(!?!?)
「まあ過半数じゃなかったけど、うちが一番多かったから、もう少しうちがリーダーや・・・な。」
中澤はためらいとほんの少しの安堵で言った。
(!? なんで!?)
保田の顔が歪む。
たいして変化はしないが。
59 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時08分15秒
飯田は保田ではなかった事に少し驚きはしたものの、割と冷静だった。
矢口は思わぬ結果に驚き若干テンションが上がっている。
安倍は狐につままれたようなような表情をしている。

だが、誰にもまして保田がもっとも衝撃を受けていた。
ほぼ手中に収めていたリーダーの座から
再びブサイクNO1のポジションに戻ってしまったのだから・・・。
60 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時08分57秒
そんなメンバー達の動揺をよそに、中澤は言った。
「まあ、うち以外のメンバーにも何票か入っとることやし、
 そういうしっかりした自覚を持って、これからの仕事をがんばっていこうや。」
中澤は全員を見回した。
「さっ、とっとと朝ご飯食べて、コンサート頑張ろっ。」
61 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時09分35秒
 エピローグ  〜バスにて〜


「ちょっとぉ、あんた、約束はどうしたの、誰に入れたのよっ」
飯田がコンサート会場へのバスに入るなり加護に言った。
「え〜、中澤さんです〜」
加護は何も悪びれず答えた。
「あ、あんたね〜」
あまりにあっけらかんとしている加護に飯田は呆れかえった。
「まったく、も〜」
62 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時10分14秒
「私も中澤さんにいれましたよ〜」
吉澤があけすけに会話に加わってきた。
「うーん、私もー」
後藤ものんびりした声で言った。
「あんたたちは、てっきり圭ちゃんに入れると思ってたのに〜」
飯田は後ろにいる保田に視線をやりながら言った。
「はじめはそうしようと思ってたんだけどね〜」
後藤が答えた。
63 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時10分48秒
「やっぱ保田さんにはプッチで迷惑掛けてるから・・・」
吉澤が続けた。
「うん、モーニングのリーダーまでやらせちゃ疲れるかな〜、って思って」
後藤が保田の方を見ながら言った。
「ちょっと〜、と言うことは、あんたたちまだ私に迷惑かけるつもり〜」
ようやく保田もショックから立ち直ったようだ。
「圭ちゃん、がんばってね。」
「あんた、何、人ごとみたいに・・・」
「お願いしますー、保田さーん。」
64 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時11分28秒
「やっぱ、リーダーは怒れる裕ちゃんじゃないと務まらないよー」
矢口が明るい声で言った。
「えー、カオリだって怒れるよー」
飯田が文句を言う。
「カオリの怒り方とはまた違うんだってー、ねぇ、辻ちゃん。」
「えー、そうなんですかー」
辻が聞き返す。
「一緒だよー」
「違うってー」
65 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時12分09秒
「おかしいなー」
石川がぶつくさ言いながらバスに入ってきた。
「どうしたのよ、梨華ちゃん。」
矢口が聞く。
「やっぱり、私は保田さんが一番いいと思うんですよねー」
石川が首をひねりながら言う。
「まーねー。でも仕方ないよ、結果出たもん。」
保田も振り切れたようだ。
「でも、私はですねー、・・・」
66 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時12分58秒
「なっち、自分に入れたでしょ。」
石川の言葉を遮り、保田はこっそり入ってきた安倍に声を掛けた。
「え、いやっ、う、そうだべ。」
「なっち、自分の1票だけだったじゃん。恥ずかしー」
飯田が追い討ちを掛ける。
「いや、だって、真里っぺと加護ちゃんも入れてくれるって・・・」
「えー、そんなこと言ってないよー」
矢口が否定する。
67 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時13分41秒
「矢口さん、約束やぶっちゃダメですよー」
加護が横から入ってくる。
「あんたが言うな!」
飯田と安倍が同時に言うと、車内は笑いに包まれた。

「みんな乗ったか? さっ、行こか。」
最後に中澤が乗ってきた。
「よっ、リーダー。」
「やっぱ様になってるね。」
「なんたって27歳だからね。」
皆が口々に騒いでいる。
「誰やー、年のこと言うたんわー」
68 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時14分14秒
昨日とはうってかわって騒がしい車内で、中澤は考えていた。
(結局、うちはリーダーをやらなあかん運命なんかな・・・)
保田の声が聞こえてきた。
(変らへんかったんやな・・・)
辞めて行った連中の顔が思い浮かんできた。
(明日香、彩っぺ、紗耶香、・・・
 うちはまだ娘。を続けなアカンみたいやわぁ。
 あんたらと作り上げたモーニング娘。はもう少し私が支えます。)
69 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時15分12秒
「あっ、着いたみたい。」
「おー、もう結構並んでるじゃん。」
外を見ながら誰かがそう言った。
会場前にはもう既に観客が並び始めている。

「よっしゃ、気合入れていくで!!」

(・・・結婚は・・・まだまだ、かなぁ・・・)


----The End
70 名前:教授 投稿日:2000年11月12日(日)08時22分35秒
以上です。

こんな拙い文章につき合ってくれてありがとうございました。
とりあえず、また後にでも、感想書きます。

本当に読者の皆様の声援には励まされました。
待ってくれている人がいるという一念だけで書き切ることが出来ました。
本当に感謝しています。ありがとう。
71 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月12日(日)13時34分34秒
ま、ハッピーエンドで良かったね。
結局、娘。が何かを一番わかってるのは後藤なのね。
72 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月12日(日)16時06分56秒
すごい、最初から最後まで一気に読みました。
面白かったです、みんなのキャラに個性がはっきりある感じが特に。
73 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月12日(日)17時27分14秒
お疲れ様でした。大変面白かったですよ。
74 名前:21 投稿日:2000年11月12日(日)23時43分59秒
長かったですね、お疲れ様でした。全編楽しんで読むことが出来ました。
各個人の描写において細かい笑いを入れつつも、ストーリーはさくさく進んでいき、
非常に読みやすかったです。
メンバーの心理戦や、ユニークなキャラクターの確立法といい最高です。
75 名前:21(本物) 投稿日:2000年11月13日(月)00時27分19秒
お疲れさまでしたm(_ _)m
とても読み甲斐のある作品でした。
各メンバーの特徴がよくあらわれていておもしろかったです。
またすばらしい小説をお願いします。
76 名前:21 投稿日:2000年11月13日(月)02時58分26秒
すいません。他所の21です。
77 名前:はむはむ 投稿日:2000年11月15日(水)00時47分01秒
お疲れ様でした!!本当にいい話でしたよ〜。
矢口のキャラがぐっどでしたね〜。
有り難うございました〜。
78 名前:名無しさん 投稿日:2000年11月16日(木)01時08分28秒
よかったっす。なっちの1票ってのがいかにもで。
79 名前:教授 投稿日:2000年11月16日(木)02時21分56秒
作者あとがき

まあ、ちんたらやり過ぎました。

振り返ってみてみると、8月から書いてるから、もう3ヶ月もやってる事になる・・・
段々更新する気力が無くなってくるし・・・
読者の皆様に急かされなかったら、終わらなかったかもしれないです。

本当に、長い間ありがとうごさいました。

話の構想・あらすじ・結末は、書き始める前から、全部決めてたので、
本当は、2週間くらいで終わるつもりだったのに・・・
80 名前:教授 投稿日:2000年11月16日(木)02時22分49秒
今まで、感想にあまりレスしてこなかったので、
とりあえず、長々と付き合ってくれた読者の皆様への感謝を込めて、レスを少々

>71さん
まぁ、この結末が一番自然かと・・・
結構、リアリティを重んじてやったので。
後藤が分かっている、と言うよりも、この二人がいわゆる無党派層ってな感じです。

>72さん
キャラは現実のキャラと2chでのキャラを複合させた物です。
中澤・保田・矢口なんかは、その二つが大体一致してるから楽だったんですけど、
飯田・辻・加護が・・・
小説的には、石川がいてくれて助かりました。
81 名前:教授 投稿日:2000年11月16日(木)02時24分22秒
>73さん
ありがとうございます。本当に疲れました・・・

>21さん
長かったです。
題名は適当に付けたんですけど、まさか連載そのものが長くなるとは思いませんでした。
たったの一晩が3ヶ月・・・、漫画並みだ。
基本的にネタ系の人間なので、どうしても小ネタを入れたくなってしまって・・・
PC画面での小説で、読み易い、と言われるのはとても嬉しいです。
ありがとうございました。

>21(本物)さん
まさか、感想の中に21さんが二人いるとは(笑)。
そもそも、メンバー間の人間関係を観察した所から始まったんで、リアルさに気を遣いました。
次の小説ですか・・・
まぁ、構想自体はあって、あらすじも完成してるんですけど、
いかんせん遅筆なもので、とても出来ないような気がして・・・
一気に仕上げるという気力が出れば書きますけど、いつになるやら。
誰か、書きますか?(笑)
82 名前:教授 投稿日:2000年11月16日(木)02時25分07秒
>はむはむさん
矢口はいいですよ。
観察の方でもやったんですけど、矢口の心の動きとか見てると飽きません。
最近、ますます黒く(顔じゃなくて)なって来たみたいで、見ごたえがあります。
寝起きSPでも結構いい顔してましたけど、
やっぱ一番は、昔のプチフォーチュンに、飯田・矢口・辻・加護で出た時の
辻・加護に対する、痺れが来るほどの冷たい目ですよ。ご賞味あれ。

>78さん
ありがとうございます。安倍にも活躍してもらいました。
安倍もやり易かったキャラの一人ですね。
83 名前:教授 投稿日:2000年11月16日(木)02時27分07秒
以上ですね。

最近、2chがますます雑談場と化してきてます。
時代の流れかな・・・、仕方ないですかね。
この小説を書き始めた頃は、春先に2chのネタスレで笑わせてもらったことも有り、
割と2chにこだわってたんですけど、近頃は避難所の方が居心地が良くて・・・
色々ちょこちょこと名無しでネタ書いてるんで、
皆さんも参加しましょう。楽しいですよ。

そうそう、↑で言った小説を書きたいていう人がいれば、教えて下さい。
マジヲタ向けの解散+辻・加護ものです。『約束』系です。泣かせます。
(だから書き切る気力がもてないのかも・・・。モーニング娘が解散とでもなれば、気力出るんでしょうが。)

それでは、本当に長々付き合ってくれた読者の皆さん、管理人さん、保存屋さん、
ああ、それと忘れてた・・・、”モーニング娘。”の皆さん、ありがとうございました。

アディオス
84 名前:教授 投稿日:2000年11月16日(木)02時29分25秒
sageが効いてない・・・
他の作者の皆様、すみませんでしたm(_ _)m

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