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love junkie

1 名前:-Prologe- 投稿日:2001年02月09日(金)18時48分28秒
「もぉ、さわんなよぉー!」

思ってへんかった。

「うるさい!いーじゃん、別にぃ」

こんなにどっぷりハマってまうなんて。

「バカやろぉ・・・・矢口もだよ」


最初はメチャクチャに壊してやろうと思ってたのに。
2 名前:BAGEL 投稿日:2001年02月09日(金)18時52分20秒
ということで一番乗り−(笑
青板でリクエスト受けつけながらやってるモンです。
新スレでやぐなっちゅーを書いて下さいと言われたのですが、どうも青板は混み合ってるようなんで(笑
しかも「やぐなっちゅー」ではなく何故か「ごまなちやぐちゅー」になっちゃってます。
後藤さんがついてきちゃいました。ご了承下さい☆
ちょっとイタイのかもしれません。よくわかんないですけど。
至らぬところもありますが、どうぞヨロシクお願いします。
ちなみに明後日からいっぱい更新しますので(笑
3 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月09日(金)23時23分21秒
きゃー、二番乗りー(謎
ごまなちやぐちゅーって、、どう絡むんすかね?複雑そうだ…
頑張って下さいな。
4 名前:たれ。 投稿日:2001年02月10日(土)01時14分02秒
よし!3番ゲット(笑
前に言ってたやつだね♪
すご〜く楽しみです。がんばれー!
5 名前:Hruso 投稿日:2001年02月10日(土)01時18分43秒
4番ゲットしてみたり。(笑
イタくなるかもしれないのですか。
明後日から頑張ってください。
6 名前:FANTASISTA 投稿日:2001年02月10日(土)02時29分35秒
5番ゲットじゃん、俺(わら
誰だか分かってるのですごく楽しみです(わら
明後日に期待!
7 名前:名無し娘 投稿日:2001年02月10日(土)04時34分58秒
6番GET!
待ってました!
ごまなちやぐちゅーって。。。楽しみに待っています!明後日!
8 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月10日(土)07時48分49秒
これは面白い組み合わせだ。
楽しみ!
9 名前: 投稿日:2001年02月10日(土)11時36分20秒
8番ゲット(笑
明日を楽しみに待ってます。
頑張って下さい。
10 名前:紅餓唯 朧 投稿日:2001年02月10日(土)11時49分19秒
やった10番ゲット(笑)
ごまなちやぐちゅ−楽しみ!
11 名前:BAGEL 投稿日:2001年02月12日(月)11時57分42秒
ごめんなさいーっ!
昨日色々あって寝ちゃいました・・・(汗

>3さん
 二番乗りー♪
 えぇ、複雑ですとも(笑 ガンバるす!

>たれちゃん
 あぁ、いらっさい!(笑 ダメだ、やっぱりこう呼んでしまう・・
 3番乗り☆前言ってたヤツですけど・・・期待しない方が(笑

>Hrusoさん
 4番乗りぃー。そうなんです、イタくなるかもしれないのです。
 ヤだなぁ、イタイの・・・(笑

>FANTASISTAさん
 5番ゲットだぜー!(爆
 ね、どうやって絡んでいくんでしょうね、この4人(笑

>名無し娘さん
 6番ゲッター!待ってたんですか・・・(笑
 あぁ、楽しみに待たないで・・・(笑

>8さん
 面白い組み合わせですね、確かに(笑>ごまなちやぐちゅー
 だから楽しみにしないで・・・(笑

>聖さん
 8番げっとぉー♪すいません、昨日あぷ出来ずに・・・
 ガンバります!入試も終わった事だし(笑

>紅餓唯 朧さん
 10番さーん☆楽しみって・・・
 だから楽しみにしちゃ・・・あぁぁ・・・(笑

どうしよう、もしかして・・・結構期待されてる?!(爆
ダメだよ、みんな・・・そんな期待出来るほどのモンじゃないよ・・・(笑
 
12 名前:love junkie 投稿日:2001年02月12日(月)11時59分16秒
「えー、本日から本校に教育実習生が来る事になりました。
 高2の数学担当の・・・」
教育実習生?どうでもいいよ、そんなの。
ってゆーかぁ、カッタルイよ。早く終わってって感じ。
「ねー、やぐっつぁん。見て、あの人キンパツだよー、アハッ」
後藤がニヤニヤ笑いながら指差す先にはキンパツで眼鏡かけた女の人が居た。
「えー、マジ?だって教育実習生なんでしょ?」
「でもさー、先生からあんなんだし、あたしたちがしてもよくない?」
「・・そうだね」
既に髪をチャパツに染めてるあたしは他の色に染め変えようとは思ってなかったけど。
あたしは校長のながったらしい話なんて聞く気にもならなかった。
昨日寝たのが4時だったし相当眠かった。
隣の後藤の肩を借りてちょっと目をつむった。
どうせあと10分くらい話すんでしょ。
目を閉じる前にさっきのキンパツが目に入った。
目を閉じたあとも、暗闇の中にその色だけは残っていた。

またツマラナイ一日が始まった。
13 名前:love junkie 投稿日:2001年02月12日(月)12時02分51秒
先生が何か話してる。
誰も聞いてない。
右の耳から入って左の耳から出ていく。
無駄な時間だけが過ぎていく。
もうどうでもいいよ。
聞きたくもないよ、そんなツマンナイ事。
横では後藤が折り紙してた。
あたしの机の上は折りヅルでいっぱいになっていく。
「・・・それしか作れないの?」
「だってー、これが一番カンタンでしょ?」
そう言ってまた一羽。
不格好な折りヅルが机を満たしていった。
頭の中にさっきのキンパツが出てきた。
キレイな色だった。
教室はウルサかった。
14 名前:love junkie 投稿日:2001年02月12日(月)12時03分59秒
「やぐっつぁーん、カラオケ行かない?」
「あー、ごめん、今日バイトだ」
「まだやってんのー?ヤめるって言ってなかったっけー?」
「んー・・・もうちょっとでヤめるかな」
「ホントにー?絶対だよー」
「うん、判った」
「バイトヤめたら、一緒にいっぱーい遊ぼうね」
にこぉっと笑う後藤。
同い年には見えないあどけない笑顔。
あたしが今心から笑えるのは後藤の前でだけだ。
----今のところは。
いつ後藤があたしから離れていくかなんて判んないし。
15 名前:love junkie 投稿日:2001年02月12日(月)12時05分32秒
後藤と別れたあと、自転車置き場に向かう。
紺の自転車のかごに鞄を入れてサドルにまたがる。
校門を出て、緩やかな坂道を降りていく。
涼しい風が顔にあたって横をすり抜ける。
前の方にキンパツの人が居た。
「先生、さようならー」
律儀なヤツらがいちいち挨拶する。

「はい、さよなら」

初めて聞いた声は風の音にかき消された。
でも忘れられないのは何故だろう。
16 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月12日(月)23時21分48秒
いい感じの作品ですね!!
楽しみにしてますねー。
17 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月13日(火)01時45分00秒
期待、ますます増加です。
18 名前:6番GET!! 投稿日:2001年02月13日(火)02時58分58秒
4人のカップリングがとても気になります!
一人を他の三人で奪い合うのか?
2カップルなのか?
???がいっぱいでとても先が気にまります!
そしてとても楽しみです!
19 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月13日(火)17時23分55秒
上手い。期待。
20 名前:BAGEL 投稿日:2001年02月14日(水)08時10分18秒
>16さん
 ありがたうござぃます。
 でも、ここの裕ちゃん、ちょっとだけ黒かったりします・・・(汗

>17さん
 増加しちゃったよ!(笑
 ・・・あとで減少しても責任とりませんよ?(笑

>6番GET!!さん
 4人のカップリングはですねぇー・・・まだナイショ(笑
 一応最後は1つのカップルに落ち着くような気がします。もしかしたら2つかも・・・
 ボクにも謎が多くてよくわかんなぃっす(爆

>19さん
 ありがとうございますぅ。
 その一言だけでもかなり嬉しっす・・・(ほろり

でわ、今日家に帰ってからあぷさせていただきます〜。
21 名前:love junkie 投稿日:2001年02月14日(水)23時14分28秒
「ただいま」
「おかえり」
たった四文字でいい。それ以上の言葉は必要ない。
それだけでコミュニケーションはとれる。
無駄な事はしない。出来るだけ力は使いたくない。
部屋に入ってソッコーで着替える。
制服はベッドの上に。鞄は床の上に。
別にハンガーにかける必要ない。
家に帰ったらかかってる。
ジーパンはいて。オレンジのトレーナー。
マフラーまいて。毛糸の帽子。
財布もって。部屋を出る。
「いってきます」
返事は皿の音で聞こえなかった。
別に聞きたくもなかったしそのまま家を出た。
外はさっきよりちょっと暗くなってた。
22 名前:love junkie 投稿日:2001年02月14日(水)23時15分24秒
「こんばんわー」
「あ、真里ちゃん。こんばんは。早速だけどいいかな?」
「はい。どこですか?」
「こことここと・・・」
店長の人使いの荒さにももう慣れた。
ちょっとガマンしたらお金もらえるんだから。
住所が書かれた紙をもらって、注文分のピザを持って。
バイクに乗せてヘルメットかぶった。
バイクを出して、書かれた住所に向かう。
免許は持ってないけど運転の仕方は知ってた。
中学校の時、先輩に教えてもらった。
バイトの人には何も言われない。
だからあたしはここでバイトしてる。
一番やりやすい環境。
23 名前:love junkie 投稿日:2001年02月14日(水)23時17分57秒
「お待たせしましたー・・・」
愛想笑い。世間話。
ウザッタイよ。聞きたくないってば。
早く帰らせてくんないかな。
やっとお金を持ってくる。
ちょっと、あと200円足りないよ。
バイトだからってナメてんの?早く出せっての。もういいからさ。
残り200円もらって次の家に。
あー・・・もうかったるいな。このまま帰っちゃおっかな。
頭をよぎるのはそんな事ばかり。

メンドウダヨ。

24 名前:love junkie 投稿日:2001年02月14日(水)23時22分00秒
「真里ちゃん、お疲れー。じゃ最後、ここよろしくねー」
差し出されたメモには近くのマンションの名前。
「ここなら歩いていけるでしょ?終わったらそのまま帰っていいからねー。お金は明日にでも持ってきてくれたらいいから」
「はい。お疲れ様でした」
あたしにお金まかしちゃっていいのー?
勝手に使っちゃうかもよ?
ま、使うほどのお金でもないし。
ピザの入った箱だけ持って外に出た。
外はもう真っ暗だった。

ヤッテランナイヨ。
25 名前:love junkie 投稿日:2001年02月14日(水)23時24分12秒
「ここか・・・」
闇の中に大きくそびえたつマンションの前に立つ。
エレベーターに乗り込んで『6』のボタンを押した。
独りの時間。嫌い。
人がいっぱい居るトコはもっと嫌いだけど。
独りはヤだ。絶対。
白い壁に頭をもたれかけてるとすぐに6階に着いた。
メモに書いてある番号を探す。
「・・あった」
白い息を吐いて、インターホンを押した。
少し間があって声が聞こえる。
『はーい』
「ピザお届けにまいりました」
『あ、ちょっと待っててくださいね』
バタバタバタ・・・・
ガチャ。
「お疲れ様ですー」
「アメリカンピザのMサイズでよろしいですね?」
「はい」
「お会計、2100円になります」
「あ、はい、ちょっと待って・・・あれ?」
出てきた子は17、8くらいの可愛い子だった。
あたしよりは年上だと思うんだけど、どうも幼気のある顔だ。
地元の人じゃないのか、ちょっと言葉のイントネーションがおかしい。
「あれー、おかしいなぁ・・・あ、すいません、ちょっと待ってくださいね。裕ちゃーん!」
その子はあたしに一言謝って、同居者らしき人の名前を呼んだ。
部屋の奥の方で、ドアの開く音が聞こえる。
「なんやぁ・・・・」
何処かで聞いた声。
胸の奥でドクンという音が聞こえた。
「ピザ代、出してよ。なっち、お金ないの」
「・・・・アンタ」
「・・・」
目を疑った。耳を疑った。
何で。こんなところに。居るの。
キンパツのその人はあたしを見て動かなかった。
あたしも動けなかった。
手の上の箱からはピザの熱が伝わってきた。
間に立った可愛い子は不思議そうにあたしたちの顔を交互に見てた。
---二度目の出会いは最悪だった。
26 名前:love junkie 投稿日:2001年02月16日(金)22時02分32秒
「・・・つぁん。やぐっつぁんってばぁ」
「・・え?」
「もー、どうしたのぉ?元気ナイじゃん」
「あ、ううん、何でもないよ・・・」
いつのまにか後藤があたしの前に立っていた。
腰に手をあてて、ほっぺたを膨らましてる。
「もー、やぐっつぁんが元気なかったらあたしまで元気出ないよぉー」
しゃがみこんであたしの机にあごを乗せてから唇を突き出す後藤。
呆れたように笑ってから、目の前の後藤のほっぺを指でぷにっと押す。
「ぷにぷに」
「・・・気にしてるんだからぁ、もぉーっ!」
机をダンと叩きながら立ち上がる後藤。
おどけたようにあたしも席を立って逃げるフリをする。
「わー、後藤が怒ったぁー」
「待てぇー!許さんぞぉー!」
教室の中で鬼ごっこ。
楽しい。授業なんかより何倍も。
バイトなんかよりカラオケなんかよりゲーセンで遊ぶより。
後藤と一緒に遊んでる時が一番楽しい。
そんな幸せな時間を引き裂くヤツ。
27 名前:love junkie 投稿日:2001年02月16日(金)22時06分22秒
ガラッ。

「席つきぃ」

低くて通った声に誰も逆らう事が出来なかった。
いつもは先生が入ってきても気にもしないみんなが大人しく席に着いた。
得体の知れない威圧感が漂っていたからかもしれない。

「えー、数学担当の中澤裕子です。短い期間ですが、どうぞよろしく。何か質問とかあればどうぞ」
「はーい」
「何ですか」
「スリーサイズ教えてくださーい」
クラスにどっと笑いが起こった。
と、彼女は質問した男子につかつかと歩みより、そいつの腕を掴んで立ち上がらせた。
「なっ、何するんスか」
先生は何も言わずにそいつの手を掴むと、自分の胸に持っていった。
「!!!!」
「自分で計った事ないねん。このくらいや。判ったか?」
「・・・」
そいつは口をパクパクさせながら先生を見ていた。
先生は軽くフンと鼻で笑うと、そいつの手を離した。
「まだ童貞のクセしてスリーサイズなんか聞くな。えぇか」
そいつは何も言えないまま、ただ自分の手を見ながら立ち尽くしていた。
先生に座れと言われるまでずっと。
28 名前:6番GET!! 投稿日:2001年02月17日(土)00時13分17秒
レスじゃまかなーと思ったので書きませんでしたが。
先がものすごく気になってます!
黒裕ちゃん?最高!!
どうなることやら?楽しみです!
29 名前:BAGEL 投稿日:2001年02月19日(月)00時18分07秒
>6番GET!!さん
いや、レスはあった方が燃えますケド(笑
黒裕ちゃん、あー、黒いですね。
この頃黒キャラが好きだなんてのはナイショっす(笑
で、実は後藤さんもちぃーとばかし黒いかもしれません。
それはまぁ後々に、ね・・・(にやり
30 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)00時20分26秒
「じゃあ授業を始めます。教科書の126ページを開いて・・・」
さっきのを見てからかみんなが素直に従った。
隣を見ると後藤まで賢く教科書開いちゃってる。
あらら・・・マジで?
みんな、あんな人の言う事聞く事ないよ。
あんな人の事・・・
31 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)00時22分02秒
『ウチの学校てバイト禁止やなかったかなー?』
『・・・』
何でこの人が・・・
確かにその人は朝学校の講堂でかしこまって椅子に座っていたキンパツの人だった。
口にタバコをくわえてて、眼鏡は外してた。
『ねー、裕ちゃん、知ってる人?』
可愛い子が『裕ちゃん』に不思議そうに聞いた。
『裕ちゃん』は嬉しそうににやっと笑うと、その子の頭を優しく撫でながら言った。
『・・・なっち。確か牛乳と食パンなかったよなぁ』
『うん。もうないよ』
『悪いけど買ってきてくれへんか』
と財布の中から五千円出してその子に渡した。
『なっちの好きなモンも買ってきてえぇから。な?』
『うん、判った!行ってきまーす』
その子は無造作にハンガーにかかったコートを羽織り、素早く靴を履いた。
そして、あたしの横をすりぬけてエレベーターへと向かっていった。
カンカンカンという足音が反響した。

32 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)00時29分43秒
「ここで使う公式は-------・・・」
みんないつになく先生の言葉を聞いている。
確かにあの先生の声は独特で。何だか引き付けられる。
いつもより断然聞きやすい授業。そりゃみんなも大人しく受けますか。
後藤なんて珍しくノートなんてとっちゃってる。
おいおい、どうしちゃったのー?
みんな、あの先生に惑わされちゃってんの?
あの先生、信じない方がいいってば。
ヒドイ人だよ、あの人・・・
33 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)00時31分02秒
『さて・・・とりあえず上がりぃ』
『・・・』
何も言わずに靴を脱ぎ出されたスリッパを履いた。
促されるままついていくとリビングに着き、ソファに座るよう言われた。
大人しく従う。すると急に視界が暗くなった。
『?・・・っ!!』
突然かぶさってきた唇。
強く押し付けられ、どうあがいても引き剥がす事が出来ない。
呻き声をあげながら抵抗していると、唇に何か湿ったものがあたった。
これって・・・・!!?
『んんぅっ!!』
舌だった。あたしの唇をこじあけて無防備だった口の中に入ってきた。
歯の裏側をなぞられたり、舌を絡められたり・・・
今までに体験した事もないキスに体を動かす事が出来ない。
流し込まれる唾液を飲む事も出来ず、口の中に溜まっていく。
とうとう口の端から唾液がつぅと筋を作る。
『ふ・・・・んん・・・』
何だかだんだん視界がぼやけてきた。焦点が合わない。
何かが奥から込み上げてきてる。
それが何なのか判らないまま、いつのまにか押し倒されてた。
唇を離され、ぷはぁと息を吸い込んだ。
『・・・名前』
『ぇ・・・』
まだ頭がぼぉっとしてて、考える事が出来ない。
『名前、なんてゆぅん』
『・・・やぐ・・ち・・』
『矢口、ね・・・』
そう呟いて、あたしの首筋に顔を埋めた。
柔らかく湿った何かがそこを這う。
だんだんと体が火照ってくる。何が何だか判らない。
舌を離さぬまま、手が服の中に入ってくる。
微妙な手の動きがあたしの心の疼きを大きくする。
すぅと撫でられ、一気に下着をたくしあげられた。
『んッ・・・ヤぁ・・・ヤめ・・』
抵抗したいのに体がイウコト聞かない。
彼女は今度は舌で首をつぅとなぞると、耳を弄り始めた。
胸の突端を指の腹で擦られる。背中にビクビクと電気に似たものが走る。
『何か硬くなってんで・・・?』
『いぁっ・・・・っあ・・・』
静かの部屋をあたしの吐息混じりの喘ぎ声が占領していった。

34 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)00時32分29秒
カッ、カッ、カッ。
チョークの音が軽快になる。
周りからはカリカリとペンの走る音。
どうやらノートをとってないのは、あたしだけみたい。
ノートをとる気になんてなれない。
あの人の声を聞いていたら昨日の事が思い浮かぶ。
それをかき消すように頭を横にぶんぶんと振る。
でも消えない。
なじる声が。
嬲る指が。
鈍い視線が。
恨めしい吐息が。
流した涙が。
35 名前:名無し 投稿日:2001年02月19日(月)00時39分07秒
黒い中澤…最高です
36 名前:あつし 投稿日:2001年02月19日(月)00時54分44秒
おもしろいですね
応援してます
37 名前:6番GET!! 投稿日:2001年02月19日(月)01時24分51秒
本当に最高!
黒裕ちゃんって?こんな意味の黒なのね!
何か皆、裕ちゃんに食われそうですね?
更新楽しみに待ってます!
38 名前:BAGEL 投稿日:2001年02月19日(月)21時37分18秒
>35さん
 黒い裕ちゃん、これからも黒く黒く・・・(ニヤリ☆
 やっぱ黒キャラっすよね!(笑

>あつしさん
 ありがとぅーございます☆
 その応援がボクの指を動かしてくれるです(笑

>6番GET!!さん
 いつも読んでいただいてホントに嬉しっす(ほろり☆
 黒裕ちゃんとはですねー、いろんな意味で黒そうです(笑
 でも御安心を。裕ちゃんに食われるのは矢口と安倍さんだけです(爆
39 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)21時39分07秒
彼女の指がだんだんと下の方におりていく。
『・・っ・・・・!』
手が下着の中に侵入してきた。
そして、中指をそこにそっとあてがった。
『っ、イヤぁっ!』
渾身の力で彼女を押しやった。
今まで抵抗が少なかったから油断してたのか、意外と簡単に彼女の体が離れた。
『っはぁ・・・な、何すんのよ!』
『何って・・・判るやろ?』
皮肉そうな笑みを浮かべて笑う。
その笑顔が何故かキレイに見えてしまって。
『な、何でこんな事するんだよぉ!』
『何で、やって・・・?』
彼女はおろしていた右手をあげると、あたしの前に中指だけを突き出した。
『見えるやろ』
それにはあたしの体から出た液体が目に見えるほど光っていた。
息を呑んだ。
目の前のそれが信じられなかった。
40 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)21時40分46秒
『こんなに濡らしといて言うセリフか?』
咽の奥がくっと鳴った。
悔しくて、ムカついて、涙が出た。
自分がイヤになった。
こんな人に感じてしまう自分が居るという現実を拒否したかった。
その指を楽しそうに赤い舌で舐めながら、彼女は静かに言う。

  バらされたくなかったら、ウチのもんになりぃ

はだけた服をかきあわせながら、彼女を睨む。
しかしそれも彼女には通用しない。
恐怖と。悔しさと。寂寥と。
様々な思いがあたしの中を巡っていきながら。

あたしの首はいつのまにかこくんと折れた。


何であの時頷いたんだろう。
41 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)21時48分51秒
「っつーこと。判った?」
はーい、と異口同音に返事が出る。
前までこんな事なかったのに。
たった一時間の授業で変わってしまったクラス。
たった一人によって変わってしまったクラス。
もしかしたらみんな、心のどこかでこういうのを望んでいたのかもしれない。
先生の質問にちゃんと答えて。偉いよとホめられて。
そんな時間が。欲しかったのかもしれない。
あたしはそんなモノ要らない。


キーンコーンカーンコーン。
鐘の音が授業の終了を告げる。
「宿題は初日やから出さへんわ。ま、明日もあるし、よろしく」
「きり・・・」
「あー、ちょっと待って」
礼の号令をかける生徒の言葉を遮った彼女はあたしを見て言った。
「あんた。あとでちょっと来ぃ」
その目は確かに昨日のものと一緒だった。
42 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)21時50分02秒
「起立、礼」

号令と同時にみんなが礼をする。
次の瞬間、教室の中がウルサくなる。
そんな喧噪の中、あたしの足は言う事を聞かず、先生の元へと向かっていった。
待ち受けていたのは先生の笑顔だった。
昨日のあの笑顔。
何故こんなに眩しく見えるのだろう。
今までの中で一番憎らしい笑顔なのに。
先生は口の端を少し上げると、あたしの手を掴んで外へと促した。
43 名前:love junkie 投稿日:2001年02月19日(月)21時51分17秒
「ちょ、どこ行くんですか・・」
「イイトコ」
先生はそう言ったまま、あたしの手を掴んでぐんぐんと歩いていく。
速度が速くて、あたしだと小走りじゃないとついていけない。
廊下の生徒が珍しいモノでも見るように横目であたしたちを見る。

何デコンナ目ニアワナキャイケナインダ。

「ちょ、離して・・ッ」
手を振りほどこうとしたその時、先生の足が止まった。
ドアの上の「保健室」という文字が逆光でよく見えなかった。
44 名前:6番GET!! 投稿日:2001年02月20日(火)01時18分39秒
ここの裕ちゃんは、
矢口の前・・・黒裕?
なっちの前・・・白裕?
二面性をもってるのかな?
ごまは、食わないのですね(w
この作品ツボですわ!ホント
45 名前:35 投稿日:2001年02月20日(火)05時15分59秒
ハンドルネームが英語なんで今まで気が付かなかった。
作風が黒くなってる。英語のコテハンはこれからこのノリでいくんすか?
どこかの黒裕より、はるかに黒いっすね。
なっちのまえでは白なのかどうか気になりますねぇ、確かに。
ソロだったら笑うな。
46 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月20日(火)21時13分32秒
黒裕最高
47 名前:まこと 投稿日:2001年02月20日(火)23時56分45秒
どうも、こんにちは。
すごく自分の好きな感じです。
続き期待してます!!
48 名前:BAGEL 投稿日:2001年02月21日(水)21時52分39秒
>6番GET!!さん
 ここの裕ちゃんは・・・どうなんでしょう?
 矢口の前では黒だという事は確かですね(笑
 ごまは・・・まぁ、ね。色々と(笑

>35さん
 ・・・アナタはまさか?アナタですね!?アナタでしょう?(謎
 作風が黒いというか・・・ただ黒いのを書きたくなって(爆
 わかりませんよ、いつソロになるか(笑

>46さん
 最高ですよね!やっぱ黒ですよね!(笑
 いやー、同志を見付けたようだ(笑

>まことさん
 いらっしゃいですー。好きな感じですか?それわヨカッタ(ほっ
 期待・・・しないで・・(爆
49 名前:love junkie 投稿日:2001年02月21日(水)21時56分15秒
あたしの抵抗などかまいもせず、無断で保健室のドアを開ける。
「シツレーします」
感情の欠片もこもってない挨拶を言って部屋の中に入る。
もちろんあたしの手首は掴んだまま。
急にぐぃと手首を引っ張られ、ベッドの方へやられる。
「いつっ・・・」
軽くベッドに当たる。鈍い痛みが太股を襲った。
先生は口の端をにぃとあげると保健室の鍵をしめた。
「!な、何してんだよっ!」
密室にされた事を理解して、それを解除しようとする。
しかし、ドアの前に立った先生を押しやる事が出来ない。
「・・・イイコトしよか」
「?!・・・・やァっ!」
ドサッ。
一気にベッドに押し倒される。
キレイに整えられていたシーツに皺がよる。
「ちょ、な・・・!!」
先生はあたしの上に覆い被さってきたかと思うと、短いスカートの裾から手を侵入させている。
「ヤ、めっ・・・んっ!」
柔らかく太股をさすられていく。
手はだんだん局部を目指している。
「んっ・・・いぁ・・」
先生があたしの首筋に顔を埋め、そこに舌を這わせる。
生暖かい感触が往復する度、小さな痺れが全身を襲う。
行き場のない手でシーツをきゅっと掴んだ。
白い波があたしと先生の体を乗せて静かに揺れた。

ギシッ。

ベッドの軋む音は廊下の喧噪と生徒達の会話にかき消されそうになった。
50 名前:love junkie 投稿日:2001年02月21日(水)21時58分13秒
「ん・・・・はァ・・」
既に制服は半分まくられてホックを外された下着が外気にさらされていて。
先生の舌は胸の下の下着の跡をつぅとなぞる。
右手は相変わらず太股を撫でていて、肝心の所には触れようとしない。
自分が焦らされているというのが判って、悔しい。
また本当にそれに焦らされている自分が居るというのも悔しい。
心の何処かで『早く』と求めている自分が居る。
早く------疼きを無くして。
「っ・・ねがぃ・・・・」
「・・ん・・・?」
「ぁ・・やくぅ・・・・」
「・・・聞こえんなぁ」
「ッ・・・」
恥ずかしさでおかしくなってしまいそうだ。
「ちゃんと言いたい事は言わなアカンやろ・・・?」
耳元で吐息と共に吐かれた言葉に体の奥が熱くなる。
言イタクナイ。コンナヤツニオ願イナンテシタクナイ。
そう思うのに。思ってるのに。
体は求めてる。彼女の手を。声を。愛撫を。
「・・さわ・・・ッ・・て・・」
「・・何処を?」
「・・っ、ねがぃ・・・だからぁ・・・」
「・・・」
先生は何も言わずに、胸の先の突端を口に含んだ。
舌先でそれを遊ぶようにする度、口から嬌声が漏れていく。
そして、先生の手があたしの下着の中に入って-----
51 名前:love junkie 投稿日:2001年02月21日(水)22時08分30秒
キーンコーンカーンコーン・・・


先生は動きをピタリと止めた。
体を起こしてあたしを見下ろしながら言う。
「時間切れ」
まるで何もなかったかのような顔で服をただしてドアへと向かう。
「ちょ・・・待ってよッ」
まだ冷めてない体を無理に起こしながら、先生を呼び止める。
「・・・何や?」
先生は振り向かないまま応えた。
ベッドからおり、制服をただしながら問う。
「何で・・・何でこんなコトするの?」
「・・・」
「彼女・・・居るクセに」
「・・おらんよ」
「ウソだ!あの時のコ、彼女なんでしょ?一緒に暮らしてるじゃ・・・ッ!」
そこまで言いかけた途端、先生があたしを壁に押し付けた。
背中に走る鈍い痛み。
52 名前:まこと 投稿日:2001年02月22日(木)14時53分09秒
いいですね、黒裕。
惚れてしまいますよ。(笑)
53 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月25日(日)04時16分28秒
いいっすねぇ・・
54 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月26日(月)01時13分26秒
めっちゃ続き読みたいんすけど…
55 名前:BAGEL 投稿日:2001年02月27日(火)11時41分57秒
>まことさん
 黒裕同盟でも作りましょうか?(笑
 もうボクはほれてるんれすけどネ!(笑

>53さん
 いいっすかぁ・・・
 うれしっすねぇ・・・(ガンバろうっ)

>54さん
 あぁ、ごめんなさい。今夜あげますんで。
 でもこの頃書いてないんだよなぁ・・・ぐはっ。

ってことで今日家に帰ってあげますです。
56 名前:BAGEL 投稿日:2001年02月28日(水)21時53分27秒
「つッ・・」
「・・・知りたいんか?」
「ぇ・・」
「何でそんな事知りたいねん。アンタはウチのコト、嫌いなんちゃうんか?」
明らかに煽りが混じった言葉。
言い返したいが言い返せない。
否定、出来ない。
「・・・・」
「・・そやな。アンタからキスしてくれたら教えたるわ」
「なっ・・?!」
「知りたいんやろ?あのコとウチがどんな関係なんか」
「・・・」
至近距離であたしに条件を突き付けてくる彼女の目は。
薄く澄んでいた。

「っ・・」
あたしが息を呑む音が静寂な保健室の中に響いた。
57 名前:love junkie 投稿日:2001年02月28日(水)21時55分09秒
こんなヒトの----
こんなヒトの言う事聞かなきゃいけないなんて。
でも体は頭の意思に従わない。
かかとをあげ、腕を掴んで。
少しずつ唇を寄せていく。

女の人に自分からキスするなんて、初めてだった。

先生は少しも動かずに、あたしのキスを受け入れていた。
窓の外からヘリコプターの飛ぶ音が聞こえてきた。
58 名前:love junkie 投稿日:2001年02月28日(水)22時00分12秒
唇を離すと、先生はあたしを思いきり抱きしめた。
苦しくて、息がしにくかった。
ムカツクくらいに嬉しかった。

「あのコはな」
あたしを抱きしめたまま、耳元で言う。
「恋人なんかやない」
「・・じゃあ?」
「あのコはあたしの------」
先生の言葉が止まった。
あたしの耳には先生の緩やかな鼓動だけが聞こえていた。

「あたしの玩具」

オモチャ?
59 名前:love junkie 投稿日:2001年02月28日(水)22時02分28秒
「・・ただの遊び道具や。ヤりたい時にヤってるだけ」
「・・・何だよ、それ」
あたしは思いきり先生を突き放し、ギッと睨んだ。
「それじゃ・・・ただのセックスフレンドじゃんかよぉ!」
「悪いんか?」
「っ・・あのコは、あのコはアンタのコト、好きなんじゃないのかよぉ!」
「さぁ。聞いた事ないし」
「じゃあ何で一緒に暮らしてんだよ!お互い好きでもないクセに何で一緒に居るんだよ!!」
「・・・アンタには関係ないやろ」
「関係・・・っ」
「あたしがあのコを-----なっちをどうしようが。何しようが。アンタには関係あらへんやろ」
「・・だって、アンタ、あたしのモノになれって・・・!!」
「・・・飽きてきただけや」
「飽きて・・?」
「ずっとおんなじ相手やったら感じるもんも感じれへんし。第一反応がおもろない」
先生はポケットからタバコを出して、口にくわえた。
もう1つのポケットからライターを出し、タバコに火をつける。
「反応って・・・」
「なっちの気持ちなんて関係ないし。どうせヤりたくなったらあっちからよがってくる-----」

パァン。

気持ちいいくらいにいい音がなった。
60 名前:love junkie 投稿日:2001年02月28日(水)22時07分41秒
「バカやろぉ!!そんな、そんなヒトだとは思ってなかった!!!」
あたしは一目散に保健室の鍵をあけ、飛び出した。
廊下を走りながら、視界が滲んでいった。
ほろほろと熱いモノが目から落ちていった。
あたしはただただ走った。
さっきの先生の言葉を頭から打ち消すような勢いで。
固く握った手にはまだ痺れが残っていた。
61 名前:6番GET!! 投稿日:2001年03月01日(木)03時49分55秒
何か本編に入ってきましたねー
なんと表現していいのか分かりませんが、
黒裕の心の影というか?闇というか?冷めた態度にハマリマシタ。
作者さんゆっくりでもいいので、長編にして下さい(w
でも、更新忘れないでくださいね(w
62 名前:まこと 投稿日:2001年03月01日(木)15時37分03秒
黒裕最高!!
黒裕同盟、いいすね。
作りましょう(笑)。
63 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月04日(日)11時25分42秒
あああ・・・。
続き気になります。
64 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月04日(日)17時27分28秒
超期待!!
続き頑張ってください!
65 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月09日(金)00時56分33秒
黒裕・・・がんばれ
66 名前:BAGEL 投稿日:2001年03月10日(土)08時19分29秒
>まことさん
 そうですね、作ります?(笑
 黒裕でごー!(謎

>名無し読者さん
 すいません、更新が遅くて・・・
 今日家に帰ったらソッコーあげますんで。

>64さん
 ありがとうございます!
 ガンバリます!でもあんまり期待しないで・・(笑

>65さん
 黒裕は永遠に不滅です!(笑

67 名前:love junkie 投稿日:2001年03月10日(土)22時16分33秒
「・・・アホくさ」
タバコから出る煙がゆっくりと昇っていく。
頬のビリビリとした痺れは当分消えそうもない。
----ビンタされたのなんて、久しぶりだった。
そう言えばなっちにもされた事あったな・・・・
イタイ思い出につい顔がほころんだ。

何であのコは泣いてたんやろ・・?

「・・・矢口、やっけ」
今朝やっと思い出した名前を呼ぶ。
さっきの顔を、声を思い出すと何だか嬉しくなってきた。

新しい玩具。見ぃつけた。

舌で下唇をペロリと舐めた。
心の何処かで叫んでる自分が居るのに気付きながらも沸き上がってくる興奮を押さえきれなかった。
先程の柔らかい肌の感触を思い出し、手を固く握った。
喘ぎ声を思い出すとゾクゾクしてきた。
「当分楽しめそうやな・・・」
今の自分の表情がどんなものか容易に想像出来た。
68 名前:BAGEL 投稿日:2001年03月10日(土)22時18分23秒
>6番GET!!さん
 ごめんなさいーっ!ボケてきたらしいです、どうやら(苦笑
 黒裕の黒い暗い過去はのちのち・・・多分長編になるようです(笑
69 名前:love junkie 投稿日:2001年03月10日(土)22時20分08秒
愛なんて在るワケない。


今まで愛を貰った事なんて無かった。
親からの虐げ。
友からの苛め。
恋人の裏切り。
本当の愛なんて感じた事無かった。

----ってーか本当の愛って何?

長い前髪がウザくてかきあげた。
タバコの煙は天井にあたっては空気と溶けた。

70 名前:love junkie 投稿日:2001年03月10日(土)22時25分38秒
「っはぁ、はぁ、はァ・・・」
どれだけ走ったのかすら覚えてない。
気付いたら屋上に居た。
空は憎らしいくらいに青くて。
何処までも続いていて。
----青は空気中の酸素が一番あらわしやすい色なんだって。
誰かがそう言ってたのを思い出した。

呼吸を整えて、とりあえずその場に座り込む。
冬なのにコンクリートは太陽の光で暖かくて。
その暖かさに身を委ねる。
天然のホットカーペットとでもいうのだろうか。
家のやつとは比べものにならないくらい暖かかった。
屋上ってこんなにあったかかったんだ。
初めて知った。
71 名前:ガンツ 投稿日:2001年03月12日(月)21時58分14秒
やっぱりやぐちゅ〜はいいなあ。
テレビでこれが見れなくなるなんて・・・・。
この小説では幸せにしてあげて下さい。
ということで大期待。
72 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月20日(火)02時07分37秒
お祭りの準備で忙しいのは知っているけど
これも読みて〜
ということで、これも忘れないでね
73 名前:ばね 投稿日:2001年03月20日(火)06時44分03秒
これも祭の一貫でしょう(と、勝手に解釈)。
今頃ココの存在に気付きました。

最近、同じく黄板にスレ立てました。やぐちゅーです。
これも祭に賛同したことになるのかな。
74 名前:BAGEL 投稿日:2001年03月20日(火)18時01分24秒
あぷせずに、申し訳ございませんでした。
無事卒業出来たので、これからはなるべくあぷさせてもらいますです。

>ガンツさん
 やっぱやぐちゅ〜ですよねぇ(しみじみ
 もちろん幸せにしてあげるツモリですよ!最後には(笑

>72さん
 申し訳ないです〜!(ぺこぺこ
 お祭りの方もちゃんとやってないし・・・あぁ、ダメだめ人間(自虐

>ばねさん
 そうそう、祭の一貫で(笑)
 ばねさんもお祭に賛同してくださるなんて・・・(ほろり☆
 やっぱやぐちゅーでしょっ。

75 名前:love junkie 投稿日:2001年03月20日(火)18時02分35秒
高台から見下ろす街は時間帯のせいかそれほど騒がしくない。
ふと、目の前に先生の表情が浮かぶ。
あの笑顔。
何であんなにキレイなんだろう。
何であんなに柔らかいんだろう。
あんな非道な言葉を吐くのに、何で笑顔だけはあんなに----

『あたしの玩具』
それを否定するかのように頭をブンブンと横に振る。
違う、そうじゃない。
あの人はそんな人じゃない。
だって、あたしを壁に押し付けた時、それほど痛くなかった。
あの人は、そんな-------
酷い人じゃない。
邪推な人じゃない---ハズ。
76 名前:love junkie 投稿日:2001年03月20日(火)18時03分37秒
「・・・・?」
目からはまた熱いモノがほろほろと落ちていた。
何でこんなに胸が痛いんだ?
あたしはあの先生がキライなんじゃないの?
だって、あんな非道い事言う人・・・
学校であんな事する人・・・

あれ?
何であたし、さっきあんなに必死だったんだろう?
何で先生をあんなに責め立ててたんだろう?

あんな人、どうだっていいのに。

あたしは。
あの人が。

キラィ・・・

「・・・好き・・ッ・・」
77 名前:love junkie 投稿日:2001年03月20日(火)18時04分23秒
やっと判った。
あの人が好きなんだって。
初めて出会った時から、惹かれてたんだって。
あの人をこの上なく、愛してしまったんだって。

でなきゃ、この胸の痛み、説明出来ないよ。


頬を伝った涙はコンクリートの上にぱたと落ち、小さな染みを作った。
潤んだ視界の中に先生のキンパツが映った。
それはまるで。

太陽みたいな色だった。
78 名前:love junkie 投稿日:2001年03月20日(火)18時05分55秒
「あ〜の〜」
「ン?」
振り返ってみると、そこには可愛らしい女の子が。
「やぐっつぁん、どこ行ったんですかぁ?」
「やぐっつぁん?」
「矢口真里の事ですよぅ。さっきつれてったじゃないですかぁ」
あぁ、そうか。
この子は矢口のクラスメートか。
「・・・矢口の友達?」
「うん。後藤真希です」
「後藤、ね・・あんた、授業は?」
まぁ自分も一応教師なワケなもんで、聞いてみる。
「やぐっつぁん居ないから・・・」

ツマンナイの。

そう言い放たれた言葉がやけにリアルに聞こえて。
少し虚ろな目でそう呟く彼女に悪寒を感じさえもした。
79 名前:love junkie 投稿日:2001年03月20日(火)18時07分33秒
「ねぇ・・・やぐっつぁんは?」
「・・あぁ、矢口なら」
先程話を終えてもう帰ったと告げた。
後藤はそれで納得したようだ。
屈託のない顔に戻って首を傾げる。
「そーなんですかぁ。じゃーどこ行ったのかなぁー?」
先程の妖しい目の光は、あれは何だったのだろう。
気のせいか・・・
頭の中でそう理解しておいた。いや、しておきたかった。

「じゃー、あたしやぐっつぁん探してきますんでー」
そう言い残して後藤は廊下を走っていった。
後藤が去っていって、何故かホッとした。
あの子は危ないような気がする。
見た目からは感じ取れない何かが湧き出てる。
あまり近付かないようにしておこう。
と、心に決めたところで。

あたしはさっき矢口の下の名前を知った事に気付いた。
80 名前:love junkie 投稿日:2001年03月22日(木)19時42分28秒
「・・・キレー」
屋上に寝そべって抜けるような空に見とれる。
空を見るのが久しぶりの事で。
いつも自分の上にある空はこんなにもキレイなんだと初めて知った。
目を閉じて、深く息を吸い込み、吐く。
さっきから頭の中には先生の事しか浮かばない。
「先生・・・」
ごろりと寝返りを打って、横向けになる。
コンクリートを指で摩りながら先程の先生の笑顔を思い出す。
やっぱりそれはキレイだった。
否定したいくらいに。

こんな感情、初めてだ。

初めて会った時に襲われそうになったのに。
学校でも授業が終わった後、あんな事されたのに。
何でこんなに好きなんだろう。
忘れられないんだろう。
81 名前:love junkie 投稿日:2001年03月22日(木)19時43分40秒
「・・わかんなぃよ・・・」

矢口はどうすればいいの?
先生に『好き』って言えばいいの?
それとも先生の言いなりになってればいいの?
あたしもあの子みたいに『玩具』になればいいの?

それで傍に居れるの?

それならあたしは玩具にでもなろうか、と思った。
でも。

あたしは。

先生の。

愛が欲しい。

こんな事言うあたしは贅沢者ですか?


太陽の光が眩しくて目を瞑った。
季節はもう交代する支度をしていた。
82 名前:undefined 投稿日:2001年03月22日(木)19時44分47秒
「やーぐっつぁーん、どーこー?」
居ない。居ない。
どこ探しても居ない。
呼んでも出てこない。
不安と憎悪が混ざったものが込み上げてくる。
まだ探していない教室をぐるぐると回ってみる。
音楽室から『カタッ』と物音がした。
「やぐっつぁん!」
嬉しくて勢いよく音楽室に飛び込む。
でもそこには誰も居ない。
あるのは床に転がった大き目のリコーダーだけ。
「・・・・ンだよ」
誰も居ないじゃん。
どこ行ったの?
ねぇ、やぐっつぁん。
早く出てきて。
かくれんぼする歳じゃないでしょ・・・
ゆっくりと転がっていたリコーダーがぴたりと止まった。
それに歩み寄り、拾う。
「・・・」
無言でそれを見つめた。
白くて長い物体しか目に写ってなかった。
頭が一瞬くらっとなった。
そして。

鈍い音がした。
83 名前:love junkie 投稿日:2001年03月22日(木)19時45分40秒
「あれ?後藤、何してんの?」
もうそろそろお昼の時間だから屋上からおりてきた。
教室に帰る途中、音楽室に誰かの後ろ姿を発見した。
それが後藤だと判ったから声をかけた、んだけど。
ごっちんは今まで見た事もないような顔で素早くこっちを振り向いた。
その顔はまるで-------昔見たドラマの中の殺人犯のような。
でもそれは一瞬の事だった。
「あ、やぐっつぁーん。もぉ、探したんだよぉ?」
後藤はいつもの無邪気な笑顔で駆け寄ってくるとあたしの腕に抱きついてきた。
いつもの感触に何故かほっと安心する。
「あー、後藤もうお腹ぺこぺこだよー。早くごはん食べよぉよー」
「はいはい、判りましたよ、おヒメサマ」
「へへー」
後藤は嬉しそうにあたしの肩に顔を擦り付ける。
妹みたいなこの存在。
やっぱりあたしが居ないとダメなんだなぁ。
なんてちょっとうぬぼれちゃったりする。
「?何一人で笑ってんの、やぐっつぁん?」
「へ?」
いつのまにかあたしは笑ってたみたい。
「な、何でもないよ」
「うっそだぁ。いいからハクジョーしなさいっ!」
「ヤだよぉ〜だ」
二人でじゃれ合いながら教室へと続く廊下を歩いていった。

音の無い音楽室では、一つから二つに分裂した不揃いな穴空き棒が、ただゆらゆらと床の上を踊っていた。
84 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月23日(金)20時46分57秒
後藤?
85 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月25日(日)01時52分07秒
う?後藤??
86 名前:BAGEL 投稿日:2001年03月27日(火)19時00分46秒
>84、85さん
 ・・後藤、ですよ?はい。

ちょっと佳境に入ってくるようなこないような・・・(笑
87 名前:love junkie 投稿日:2001年03月27日(火)19時01分49秒
「ばいばーい」
「お前、明日CD忘れんなよ」
「うん、電話するー」
下校時間、玄関は生徒達の会話が飛び交う。
もちろんその中にはあたしも入ってる。
今日はバイト入ってなかったし、後藤と帰る事になった。
「どっかいこっかー?」
「んー、別にドコでもいいよ」
「あ、でもあたし、おカネないんだよなぁー・・」
上履きを脱いで下駄箱の中の靴と取り替える。
靴を履いて、まだちゃんと履けてない後藤を待った。
「じゃあ別にドコも行かなくていーんじゃない?」
「えー?!久しぶりにやぐっつぁんと一緒に帰れるのにぃー」
やっと靴を履いた後藤は立ち上がって、唇を突き出した。
まるでダダっ子みたい。
思わず吹き出してしまった。
「あっ、笑ったー!」
「笑ってないよ」
そうは言いながらもあまりにもハマりすぎて笑いが止まらない。
「笑ってんじゃんー!」
「あはは、ごめん、後藤ー!」
「もぉー、やぐっつぁんのばかぁー!」
握りこぶしを作って、殴り掛かるマネをする後藤。
「きゃー、ヤめてー」
「待てぇー、許さんぞー」
おどけたように二人でヘタな演技をする。
88 名前:love junkie 投稿日:2001年03月27日(火)19時02分37秒
二人でじゃれ合いながら、外に出る。
少しひんやりした空気にふるりと身を震わせた。
「サムイ?だいじょーぶ?」
顔を覗き込んでくる後藤。
「だいじょぶ。ありがと、後藤」
そう言って後藤の頭をよしよしと撫でてやった。
後藤はしばらく黙ってると、にへっ、と顔を崩して笑った。
「へへっ」
少し顔を上げると、視線の先に校門が写った。
そこに見えたあのキンパツ。

先生だ。

声をかけようとして、口を開きかけた。

でも。

口から言葉が出なかった。

「やぐっつぁん?どーしたの?ねー、やぐっつぁんってばぁー」

後藤の声があたしの耳の中をすり抜けた。


-------何デアノコガココニ居ルノ?

ワケがわかんなかった。
89 名前:love junkie 投稿日:2001年03月27日(火)19時03分25秒
疲れた。
教師って結構体力を使うもんなんやな。
教頭に体の具合が悪い、と告げて、少し早引きさせてもらった。
首をポキポキと鳴らしながら、学校の外へと歩いていく。
ちょうど生徒達の下校時間と重なってか、校門附近はガヤガヤとうるさかった。
カシコイ生徒はいちいち挨拶してく。
「先生、風邪ー?」
「あー、まぁそんなもん」
「気をつけてねー。サヨナラー」
「はい、さようなら」
敬語使えへん生徒にももう慣れた。
どうせ言うても聞かへん。
軽く息をついて、足を進めた。
90 名前:love junkie 投稿日:2001年03月27日(火)19時04分14秒
「裕ちゃん」

決してココでは呼ばれる事のない名前が聞こえた。

声のした方に振り向いてみる。
そこには。

「・・・来ちゃった」

なっちがおった。

しばらく言葉が出ぇへんかった。
91 名前:love junkie 投稿日:2001年03月27日(火)19時04分58秒
「っ・・・」
「ごめんね、裕ちゃん。家出ちゃって・・・」
「・・何で、何で家出たん?!寝とかなアカンて言うてるやろ?!」
「ごめん、だって・・・」
「だってもクソもあらへん!はよ、帰るで!」
「待って、裕ちゃん」
「待たへん!」
「裕ちゃん」

ふわり。
首に巻かれた白いマフラー。

「今日ね、午後から寒くなるって言ってたから・・・」

少しためらいがちに言う彼女に、目の奥が熱くなった。
92 名前:love junkie 投稿日:2001年03月27日(火)19時05分43秒
「・・・アホ、だからって出てくる事あらへんやろ」
「でも・・」
「もうえぇ。はよ帰るで」
「うん・・・・・」

頷きながらもなっちは動こうとしんかった。
なっちの視線はあたしじゃない他の誰かに向けられてた。

「なっち?どこ見てん、はよ行くで」
「・・うん」

なっちはあたしからはちょうど死角の場所に居る誰かに軽く会釈した。
そして、あたしの腕に抱きついた。
「帰ろっ」
そう言って笑う顔を見るのが久しぶりのような気がした。
93 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月31日(土)00時12分30秒
なっち純粋で良い。。。
94 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月31日(土)00時33分09秒
裕ちゃんとなっちには複雑な事情がありそうですね。
あと、なっちの身体にも何か秘密も…
95 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月05日(木)22時07分44秒
続き希望age
96 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月06日(金)01時02分49秒
俺も期待!!
97 名前:BAGEL 投稿日:2001年04月08日(日)21時19分28秒
>93さん
 サスガにみんな黒かったら話にならないんで・・・(笑
 なっちは白く。時に黒く(アレ?)

>94さん
 裕ちゃんとなっちの関係は・・・まだ言えません☆
 なっちの身体には・・・・何か秘密があるでしょう(笑

>95、96さん
 ありがとうございますっ!(ぺこり
 何度も言うようですけど、期待はあんまりしない方が・・(以下略

98 名前:love junkie 投稿日:2001年04月08日(日)21時20分48秒
「やぐっつぁんってばぁ!」
「・・・へ」
「へ、じゃないでしょお?さっきからヘンだよー?」
「あ、ごめん・・」
あの後、あのコはあたしに軽く礼をして、先生とどっか行った。
あたしはあとを追う事も出来ず、ただ二人が居た校門を見つめてた。
後藤に連れられて、いつの間にかマックに来てた。
目の前にはスプライトのMサイズとポテトのSサイズ。
後藤はビッグマックのバリューセットとチキンナゲットをおいしそうに食べてた。

「・・・さっき、誰見てたの?」

ぐさ。

胸に深く突き刺さった言葉。

後藤はこういうトコに変に気付く。
野性のカンとでも言うのかな。
だから、後藤には隠し事なんて出来ない。
でも、今回の事は-------言いたくない。
後藤にも、誰にも・・・
99 名前:love junkie 投稿日:2001年04月08日(日)21時21分50秒
「・・・あの先生?」

ぶぼっ。

飲んでたジュースを吹き出してしまった。

「な、何言ってんのさ・・・」
「数学の。キンパツの先生。あたし、あの先生、好きだなぁ」
「す、好き!?」
「うんっ。だって、今までの中で一番ヤリヤスイんだもん」
「や、ヤリヤスイって・・・何が?」
鼓動が速まった。
「ほぇ?勉強」
「・・・・」
まさか後藤の口から『勉強』っていう言葉が出るとは思わなかった。
「あぁ、勉強ね・・まぁ、確かに」
「やぐっつぁん、何だと思ったの?」
「・・・・別に」
「えっちとか?」

ぶばっ。

本日二回目の吹き出し。

「ちょ、な、何言ってんのさ?!」
「ね、やぐっつぁん」
後藤はむせかえってるあたしの前のずぃっと身を乗り出して。

「先生のコト、好きなの?」
100 名前:love junkie 投稿日:2001年04月08日(日)21時22分50秒
----うん。
違うよ。

二つの答が頭の中をぐるぐる回った。

後藤の質問にも、ただ俯くだけで。
首を縦にも横にも振れなかった。

後藤にみんな言っちゃうベキなのかな?
それとも言わないままのがいいのかな?

ワカンナイよ。
101 名前:love junkie 投稿日:2001年04月08日(日)21時24分00秒
「・・・好きなんだ?」
「ちがっ・・・」
違うくない。
でも。でも・・・
「好きじゃないの?」
「・・・」
「好きなの?」
ふるふると首を横に振る。
「じゃあどっちなの!」

ガタンッ

机が勢いよく揺れた。
ポテトが宙を舞って、床に散らばった。
ジュースが倒れて、とくとくと中身がこぼれ出してく。
でも、あたしは動けなかった。
他の人達も。
後藤も。
誰も動かなかった。
102 名前:love junkie 投稿日:2001年04月08日(日)21時25分05秒
目の前の後藤が、後藤に見えなかった。
その顔は、こないだ音楽室で一瞬だけ見た、アノ顔。

後藤は感情のカケラもない座った目であたしを睨んだ。
その瞳にあたしは映ってなくて。
今までにない恐怖を感じた。


「・・ごと・・・」
喉の奥から絞り出した声は掠れていた。
上手く言葉が言えない。
後藤の視線は、刃物で刺すように鋭くあたしを貫いた。

後藤の口がゆっくりと開く。

「ねぇ・・はっきり言ってくんなきゃワカンナイよ」


後藤の手が伸びてきて、あたしの手に重なる。
少し冷たい感触が手から全身へと伝わる。
あたしの手を掴む力がだんだん強くなっていった。
「イっ・・・」
痛くて声を上げた。
するとあたしの手が解放された。

後藤は体を起こして、軽く制服をはらった。
そして立ち上がり、またあたしの手首を掴んで立たせた。
何も言わないまま、後藤はあたしをひきずってく。
「ちょ、離してっ・・・」
あたしの言葉など聞く耳も持たず、後藤はあたしを連れて店の外へ出た。
店の中から背中に刺さる視線が痛かった。
103 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月19日(木)14時23分52秒
続き希望〜
104 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月21日(土)11時26分08秒
期待age
105 名前:BAGEL 投稿日:2001年04月25日(水)21時19分57秒
>103、104さん
 遅れてしまってホントウに申し訳ないです。
 サッソク、あげさせていただきます。
106 名前:love junkie 投稿日:2001年04月25日(水)21時21分13秒
「ごとぉ・・・!」
後藤はうしろを見ないまま、ずんずん足を進めてく。
転ばないようについていくのが精一杯で。
後藤が馬鹿力だって事知ってたけど、こんなに強いなんて思ってなかった。
道行く人々があたしと後藤をすれ違いざまにちらりと横目で見る。
そんなの気にせず、それとも気付いてないのか、後藤は速度を遅めようとしない。
そしてだんだん人気が少なくなっていく。
見た事もない、来た事もない場所。
怪し気な人がいっぱい居て、制服姿のあたし達が通る度、ヘンな目でこっちを見てくる。
「カーワイーねー。オレとイイコトしない?」
「すんげぇキモチイイからさァ。こっちおいでよ」
「ウルサイ」
後藤は冷たくそう言い放って、ヘンな男達の誘いを断わった。
うしろから男達の呼ぶ声がまだ聞こえた。
107 名前:love junkie 投稿日:2001年04月25日(水)21時22分10秒
「いつッ!」
ドン、と壁に背中を押しやられ、鈍い痛みが走る。
今どきこんなトコロがあるなんて信じられないような路地裏。
やけにひっそりしてて、物音一つしない。
痛みに眉をしかめていると、スッと視界が暗くなる。
後藤は腕をあたしのうしろの壁にあてて、顔を至近距離に近付けてくる。
相変わらずその目にあたしは映ってない。

「ねぇ・・・・」

低い声。

「やぐっつぁんさぁ・・・」

静かな吐息。

「先生の事、好きなんでしょ?」

---------頷きたくても頷けない。
何でだろう。
顔が動こうとしない。

後藤の威圧感に唾を飲む。
108 名前:love junkie 投稿日:2001年04月25日(水)21時23分17秒
「じゃあ・・・あたしと先生、どっちが好き?」
「な、それは・・・・」
「ねぇ、答えてよ・・」
「・・ンなの・・っ!」

答えられなかった。
後藤の唇のせいで。

突然のキスに、思考が止まる。
---何で後藤があたしにキスしてんの?
---何であたしは後藤とキスしてんの?

何で?

109 名前:love junkie 投稿日:2001年04月25日(水)21時25分50秒
「---------っ!」
ワケも判らないまま、重なってきた唇をがむしゃらに噛んだ。
ドンッと後藤の肩を押しやる。
目から熱いモノがはらはら落ちてった。
「何で・・・っ」
涙が止まらなくて。どうしようもなくて。
あたしはそこから逃げるようにして走った。
ただがむしゃらに走った。
道も確認せず、前も見ず。
途中、さっきのヘンな男が声をかけたけど、何言ってんのかも聞こえなかった。

『後藤にキスされた』

何でこんなに胸が苦しいんだろう?
何でこんなに涙が出るんだろう?
何でこんなに心臓の辺りがちくちくするんだろう?
答は走って走って、走っても依然出てこない。

唇には後藤の唇の感触だけが残ってた。
110 名前:BAGEL 投稿日:2001年04月25日(水)21時29分06秒
次回は後藤の黒さ発揮?なお話しです。多分。
111 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月26日(木)00時21分01秒
久々の更新ですね(嬉
黒ごまに激しく期待!!
112 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月01日(火)02時17分04秒
続き期待っす
113 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月01日(火)02時26分19秒
期待♪
114 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月05日(土)03時03分51秒
そろそろ続きが見たいっす
115 名前:BAGEL 投稿日:2001年05月06日(日)22時07分01秒
>111さん
 黒ごまに期待していただけるなんて・・・・(ホロリ☆
 そんなに黒くないかもしれない・・・(汗

>112さん
 期待していただいてありがとございまっす♪
 遅筆でホントに申し訳ないっす・・・

>113さん
 御期待、ありがとうゴザイマス☆
 ガムバるっす!

>114さん
 へぃ、今すぐあぷします。
 遅くて申し訳ないっす・・・
116 名前:love junkie 投稿日:2001年05月06日(日)22時08分03秒
「・・・うぇ」
やぐっつぁんに噛まれた唇から血が出てた。
血って何で鉄の味すんのかな。
ワカンナイなぁー。
とりあえず、二つの鞄を拾って、路地裏から出る。
おっきな道に出てタクシーでも拾おっかな・・・
さっき来た道を一人で歩いてく。
そしたらさっきの男がまた声かけてきた。
「ねェ、さっきもう一人のコ、泣いてたよー?」
「彼女泣かしちゃダメじゃーん」
ひゃはは、と何が面白いのかヘンな笑い声をあげる。
117 名前:love junkie 投稿日:2001年05月06日(日)22時09分28秒
「なに、もしかしてフラれちゃったとかー?」
「カワイソウだねー。忘れたいでしょー?イイモノあげるからおいで・・・・」

グシャッ。

「ガッ・・・・ぐぁあぁあァア!!」
手にぬるりとした生温かい液体の感触が広がる。
「鼻がァ・・・オレのはナ・・・はひぃ・・」
情けない声を出して、右に曲がった鼻を押さえながら崩れ落ちる。
手の甲は赤い液体で染まった。
「あ・・うァ・・・・」
もう一人の男はガタガタ震えながら、おぼつかない足取りで後ずさりしてる。
視線をその男に向けると、「ひィっ」と涙混じりの怯えた声を出す。
男のクセに、何でこんな弱いんだろ。
・・・ムカツクなぁ。
壁に背をつけて、顔をぐちゃぐちゃに崩してる男に近付く。
「く、来るなぁッ・・・来ないでくれェ・・・」
男の手が空を切る。
つかつかと男に近付くにつれ、表情が歪んでく。
「ぁ、頼むッ、許して、許して下さいィ・・・」
別に悪いコトしてないのに、許してだってさ。あはっ。
しかも敬語になってるし。どう見てもアンタのが年上じゃん。
118 名前:love junkie 投稿日:2001年05月06日(日)22時10分25秒
。ヨ、荀皃テ。ヲ。ヲ。ヲ。ヲ、ェ、ヘ。「・ャ・テ。ラ
コヌク螟ホ。リ・ャ・テ。ル、マクタヘユ、ク、网ハ、ッ。「メ、ュタシ、ヒカ皃ォ、テ、ソ。」
、゚、セ、ェ、チ、ヒーネッニ、、ニ、荀テ、ソ、鬘「ク、ォ、鮃、゚、ソ、、、ハアユツホ、テ、ン、、、ホ、ナヌ、ュスミ、キ、ソ。」
。ヨ・ャ、マ・テ。「・ー・。・「・・・テ。「、マ・ャ、テ。ヲ。ヲ。ヲ。ラ
テヒ、マ、ェハ「、イ。、オ、ィ、ハ、ャ、鬘「・エ・・エ・ナセ、ャ、テ、ニ、。」
ク、ォ、鬢マ、オ、テ、ュ、ホアユツホ、テ、ン、、、ホ、ャ、゙、タスミ、ニ、。」
、オ、テ、ュ、隍タヨ、ッ、ハ、テ、ニ、。」
、キ、网ャ、、ヌ。「テヒ、ホエ鬢ヌチ、ュケ、爍」
。ヨ、タ、、、ク、遑シ、ヨ。ゥトヒ、ス、ヲ、タ、ヘ。」・ォ・・、・ス・ヲ。ラ
。ヨ、。、ャ・テ。ヲ。ヲ。ヲ。ラ
イソ、ォクタ、ェ、ヲ、ネ、キ、ニ、、゚、ソ、、、タ、ア、ノ。「・・ォ・・ハ・、。」
、ノ。シ、ヌ、筅、、、・ア・ノ、オ。」
、ク、罍「、ス、、ス、、ォ、ィ、、テ、ォ、ハ。」
、。シ、テ。「、ネソュ、モ、、キ、ニホゥ、チセ螟ャ、。」
、オ、テ、ュ。「ノ。、ャアヲ、ヒカハ、ャ、テ、チ、网テ、ソテヒ、ャ、「、ソ、キ、ホケヤニー、ヒ・モ・ッ・テ、ニネソア、キ、ソ。」
、「、マ。「、ェ、筅キ、。シ、、。」
。ヨ、ク、罍シ、ヘ、テ。ラ
セミエ鬢ヌノ。カハ、ャ、テヒ、ヒ・ミ・、・ミ・、、キ、ソ。」
マモサキラ、クォ、、ネ。「、筅ヲ、ケ、ー」カサ。」
。ヨナナシヨ。「エヨ、ヒケ遉ヲ、ォ、ハ・。。ラ
、ス、ヲメ、、、ニ。「アリ、ホハ、ヒハ筅、、ニ、、、テ、ソ。」

、「、。ゥ、「、ソ、キ、ホマモサキラ、テ、ニタヨ、ォ、テ、ソ、テ、ア。ゥ
、゙。「、、、テ、ォ。」
119 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月06日(日)23時04分55秒
文字化け?
120 名前:BAGEL 投稿日:2001年05月06日(日)23時16分01秒
>119さん
 ・・・みたいっすね。
 うわ、ショックだ・・・・申し訳ないっす。

もっかいトライ。えい。
121 名前:love junkie 投稿日:2001年05月06日(日)23時17分14秒
「やめっ・・・・おね、ガッ」
最後の『ガッ』は言葉じゃなく、呻き声に近かった。
みぞおちに一発入れてやったら、口から血みたいな液体っぽいのを吐き出した。
「ガはッ、グァアゥッ、はガっ・・・」
男はお腹を押さえながら、ゴロゴロ転がってる。
口からはさっきの液体っぽいのがまだ出てる。
さっきより赤くなってる。
しゃがんで、男の顔を覗き込む。
「だいじょーぶ?痛そうだね。カワイソウ」
「ぁがッ・・・」
何か言おうとしてるみたいだけど、ワカンナイ。
どーでもいいケドさ。
じゃ、そろそろかえろっかな。
んーっ、と伸びをして立ち上がる。
さっき、鼻が右に曲がっちゃった男があたしの行動にビクッて反応した。
あは、おもしろーい。
「じゃーねっ」
笑顔で鼻曲がり男にバイバイした。
腕時計を見ると、もうすぐ6時。
「電車、間に合うかなァ」
そう呟いて、駅の方に歩いていった。
あれ?あたしの腕時計って赤かったっけ?
ま、いっか。
122 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月08日(火)07時19分54秒
ごま、強すぎ・・・。
123 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月08日(火)10時54分15秒
本当だね。
124 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月11日(金)09時09分07秒
続き待ってます
125 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月13日(日)20時10分31秒
続ききぼーん。
126 名前:通りがかり読者 投稿日:2001年05月16日(水)14時19分42秒
この、黒ごまって
彼氏彼女の事情ってアニメの
彼氏の方にそっくり・・・・・・

この後が楽しみです。
127 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月20日(日)01時58分56秒
最強ごま萌え〜
続き期待してます
128 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月27日(日)00時19分50秒
まだ待ってるよ
129 名前:読者 投稿日:2001年06月05日(火)03時06分09秒
小説の内容、展開がトッテモ面白いです。
続きが更新されるのを願ってます。
では、頑張って下さい<作者様 すたあすたあ
130 名前:迷子です。 投稿日:2001年06月14日(木)02時10分31秒
う〜ん続きが気になって
毎日更新確認してますが、かれこれ1ヶ月動きが…
放置してしまったのか?気になる
超面白いので応援してます。
是非、頑張って続けて欲しいです<作者さん
ファンより。
131 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月21日(木)23時25分13秒
放置なのか〜?
書く気がないなら一言でいいからお願いしますよ〜
132 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月22日(金)00時01分08秒
過去の実績やホームページの状況から
放置はないでしょう。
なんらかの事情で書けないだけでは?
のんびり待ちましょうや
133 名前:BAGEL 投稿日:2001年06月26日(火)20時55分39秒
大変長らくお待たせいたしまして、申し訳ございませんでした。
展開が気に入らなかったり、他のリクやら書いてたり……って言い訳してごめんなさい(謝

>名無し読者さん
 こういうごまを書いてみたかったんです……てへ。
 一応ごまは音楽室でもアルトリコーダーへし折ってるし(笑)

>123さん 
 強いごまはお嫌いですか?(笑)

>124さん
 すいません、お待たせしてしまって。すぐにあぷしますので……

>125さん
 ホントウに申し訳ないデス、全然あぷせず……(反省)
 
>通りがかり読者さん
 既出だったか!(笑)
 決してパクったワケぢゃあないですよぅ(笑)

>128さん
 待っていただいて、ホントにありがとうございます。遅筆で申し訳ない……

>読者さん
 ありがとうございます!そう言っていただけると元気が出ます。
 これからはなるべく早めに更新出来るよう心がけます…!

>迷子です。さん
 一ヶ月も放置してしまってすいません………(謝)
 毎日確認してくださってるなんて……!ホントに嬉しい限りです。
 ガムバッテ書き上げますので、末永くヨロシクお願いしますデス。

>131さん
 放置ではないのです……すいません、ほとんど放置状態にしてしまって…
 遅くなっても、必ず最後まで書き上げます!

>132さん
 すいません、ホントウに……ホームページまで見てくださってるなんて(涙)
 みなさんに迷惑ばかりかけてしまって、ホントに申し訳ないデス。

134 名前:love junkie 投稿日:2001年06月26日(火)20時56分48秒
いつのまにかあるマンションの前に居た。
どこだか判らない。
でも、何だか見覚えがある。
いつだろう、1回だけ来たコトがあるような・・・
「ここって・・・」
そびえ立った建物を見上げる。
まるで押しつぶされそうな感覚に陥る。
変な寒気に襲われ、すぐに視線を落とす。
と、見覚えのあるキンパツが目に入った。

---------先生だ。

そうだ。ここ、先生のマンションだ。
初めて先生と会った時、バイトでピザ届けに来た時。
そして・・・・初めて先生に抱かれた。
道理で見た事あると思った。
135 名前:love junkie 投稿日:2001年06月26日(火)20時57分56秒

先生はちょうどエレベーターに乗ろうとしてた。
自分でも知らない間に足が勝手に先生に向かってた。

先生。先生。
行かないで。
あのコのトコロに行かないで・・・!!

ガシャアアァァァン・・・

エレベーターの扉が閉まりかけるのを、必死で手を挟んで食い止める。
中では何か買い物をしてきたのか、紙袋を持った先生が驚きを隠せない顔であたしを見てた。
タバコの火は今つけたばっかなのか、あんまり煙たくなかった。
136 名前:love junkie 投稿日:2001年06月26日(火)20時58分44秒

「・・・どないしたん、矢口」
何故か先生があたしの名前を呼んでくれたのがすごく嬉しかった。
先生は紙袋を左手に乗せ、右手で「開」のボタンを押した。
するとエレベーターの重みがなくなり、スーッと横に開いた。
「・・・乗らんのか?」
「・・・・」
あたしは無言でエレベーターの中に足を踏み入れた。
先生は「閉」のボタンを押す。
今度は何ものにも阻まれる事なく、スムーズに扉が閉まった。
ガシャァーン。
さっきよりも少し小さめの音が鳴った。

「・・・・どないしたん」
先生はタバコをくわえたまま言った。
「・・・押さないの?」
質問に答えず、ボタンの方に向いた。
「6階・・だよね」
「6」のボタンに指を近付ける。
と、急に視界が暗くなる。
「・・・押さんでえぇ」
先生があたしの手を掴んで、それを制止する。
今日の先生の手は少しあったかかった。
137 名前:love junkie 投稿日:2001年06月26日(火)20時59分49秒

「・・・何か用か?」
相変わらず、先生の手はあたしの手を握ったままで。
タバコの煙を吐きながら、少しだるそうに先生は聞いた。

別に、これと言った用はない。
ないけど---------

ここから出たくない。
先生の傍から、離れたくない。

こんなにも、こんなにも先生が好きになるなんて。

「・・・先生、あたし・・・・・っ!」
そこまで言いかけたトコロで、先生はあたしの顎に手をかけて、半ば強引にキスしてきた。
息をつぐヒマもないような、激しい、深いキス。
もしかしたら、先生は判っていたのかもしれない。
あたしが、さっき何を言おうとしてたのか。
だから、だからこんなキスをするのかもしれない。
ホントの事は、先生にしか判らないけど。
138 名前:love junkie 投稿日:2001年06月26日(火)21時01分33秒

「ふ・・っ・・・・ん、ちょ、せんせっ・・・」
どうにかして唇を離そうとしても、先生は止めようとしない。
こんなトコ、誰かに見られたら--------・・・・。
あたしは停学くらいで済むかもしれない。
でも、先生は・・・!
それに女同士ってコトもあるし、きっと学校でも今まで通りに生活なんか出来ない。
そんなの、絶対ヤだ・・・ッ!
「せんせ・・・っん・・・誰、か・・・・来た・・っら・・・・」
どうするの?の言葉は、先生の唇に吸い取られる。
先生は聞こえてないハズないのに、キスを止めない。
呻きながら、先生の肩の辺りをドンドンと叩く。
すると、さっきまで激しいキスが急に止まった。
そして、先生は静かに言った。
「・・誰も来ぉへん」
「そ、そんなのわかんな・・・っん」
また重なってくる唇に、言葉を最後まで言えない。

何で、何でそんな事判るの?
そんなの、ワカンナイじゃん・・・

でも、そこには安心してる自分が居た。
何の確証も持たない、先生の言葉が、やけにあたしの心を落ち着かせた。
好きな人の言葉というものは、こんなにも強い力を持ってるんだ。

先生、好き・・・

あたしの目から一筋の涙が頬を伝った。
何で涙が出たのか、自分でも判らなかった。
139 名前:love junkie 投稿日:2001年06月26日(火)21時03分02秒

その時。

グィーン・・・・

急にエレベーターが上昇し始めた。

「・・・?!ちょ、どういう事?!」
「・・・」
先生はあたしから離れて、階数表示のランプをじっと眺めた。
ランプの光はゆっくり右へと移動してく。
あたし達はボタンを押してないのに、何で・・・・?
頭の中が混乱して、上手く考えをまとめられない。

「あれや・・・多分上で誰かがボタン押したんや」
先生は、ランプを見上げながら、静かに言った。
そうか、上の階の誰かがエレベーターを使う為に「▽」のボタンを押したんだ。
だから、エレベーターはあたし達の意志に反して、勝手に昇り始めたんだ。

そのランプはもう4の数字を照らしてた。
5、6--------チーン。
高い音を立てて、エレベーターが止まった。
そして、ゆっくりと扉が横に開いて-----------

「・・・なっち?」

エレベーターの前に立ってたのは、ついこないだ学校に来てた、あの可愛い子だった。
140 名前:love junkie 投稿日:2001年06月26日(火)21時05分08秒

彼女はそんなに驚いてないみたいだった。
小さく口を動かして何か呟いたみたいだけど、聞こえなかった。
この中で、一番驚いてるのは、先生だ。
彼女を見ながら、目を大きく見開いてる。
腕にのっかった紙袋が、ズルと少し落ちかけた。
慌てて、それに手をかける。
「あ、すまん・・・」
「うぅん・・・」
あたしと先生の距離が縮まった瞬間、彼女の顔が少し強張ったような気がした。

「・・・ね、裕ちゃん、その子、生徒さん?」
可愛げのある声で、先生にそう聞く。
先生は、突然の質問に少したじろいだみたいだけど、それでも少し安心したように言った。
「・・そうや」
「ふぅん。ね、何年生?」
と、今度はあたしに聞いてきた。
「・・高2、です」
「高2ー?!うそぉ、ホントに?見えないねー」
「・・・どうせちっちゃいですから」
「そうじゃなくて、もっと大人かと思ってた」
そう言われたのは、これが初めてだった。
背がちっちゃく、顔も童顔なせいか、中学生に見られる事も多い。
決して年上に見られる事なんてなかったのに・・・
彼女は柔らかく笑って、言った。
「何か、大人っぽく見える。雰囲気が、そんな感じ」
そう言った彼女の顔こそ、とても大人っぽく優しかった。
141 名前:love junkie 投稿日:2001年06月26日(火)21時10分42秒

とりあえず、という事で、エレベーターを降りる。
部屋に寄って行って、と彼女に促された。
ちょっと困って、先生の方を見る。
先生は小さく息をつき、肩をすくめた。
「ねっ、決まり!」
そう言って、彼女はまた笑った。
よく笑う子だ。もっとも、彼女にはよく笑顔が似合う。
その笑顔を見てたら、今までの嫉妬とかそういう汚いモノが全部どっかに流されてった。
何故だか、嫌いになれない、この笑顔。

-

「あ、あたし、安倍なつみ。なっちって呼んでね」
台所でお茶を入れながら、彼女はそう言った。
「なっち」という呼び名はこないだ先生が呼んでたから知ってたけど、本名は初めて聞いた。
その「なっち」という呼び名は彼女に怖いくらいに似合ってた。
「あ・・・矢口真里です」
「あー、いいよ、敬語使わなくても。なっち、真里ちゃんの1コ上だしさ」
真里ちゃん、なんて昔遠い親戚にくらいしか呼ばれた事ない。
何だか、体が痒くなるような呼び方。
「あの・・矢口って呼んでくれません?」
「矢口?いーよ、いーけど・・・」
「・・けど?」
「真里ちゃんが敬語使わないって約束してくれるなら、そう呼ぶ」
どうやら彼女---なっちはなかなかの策略家ラシイ。
142 名前:BAGEL 投稿日:2001年06月26日(火)21時13分54秒

今日はここまでデス。お待たせしてしまって、タイヘン申し訳ないデス。
最強ごまのその後は次の機会に書きます(笑)
当分はこの3人の話になりそうデスが……
143 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月26日(火)21時42分25秒
おおー!ついに復活かー!!
この先楽しみにしてます。作者さん、がんばってください!!
144 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月27日(水)06時22分02秒
おお!復活ですね!!
待ってました!!
続きに期待してます!!
145 名前:mo-na 投稿日:2001年06月28日(木)02時20分14秒
待ってたべさ〜。良かった更新されて(ほっ
146 名前:読者の名無しさん。 投稿日:2001年07月17日(火)05時57分53秒
そろそろ催促しちゃっていい?
147 名前:読んでる人 投稿日:2001年07月18日(水)06時19分11秒
まさかこのまま放置・・・じゃないよね?
148 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年07月19日(木)21時43分13秒
こちらの小説を「小説紹介スレ@黄板」↓に紹介します。
http://www.ah.wakwak.com/cgi/hilight.cgi?dir=yellow&thp=995445727&ls=25
149 名前:BAGEL 投稿日:2001年07月20日(金)23時26分53秒

>143さん
 応援ありがとうございます♪
 ガンバりますよー!いつ終わるかは全く不明ですけど(自爆

>144さん
 お待たせしてしまって。遅筆で申し訳ないす。
 さぁ、どう展開していこうかなぁ……

>mo-naさん
 待っててくださってありがとです〜。
 ガンバりますんで、末永くよろしくです。

>読者の名無しさん。
 はい!催促があれば書きまっす!
 他のリクとかでごったがえしてて…催促さえいただければ書いてあげますんで。

>読んでる人さん
 放置はないです!えぇ!
 放置だけは絶対にしたくないのです。だから、ガンバルのです!

>パク@紹介人さん
 あ、はい、ヨロシクです。
 こんな小説紹介しても……(自爆

150 名前:love junkie 投稿日:2001年07月20日(金)23時27分56秒

気になるコトはいっぱいあった。
何で彼女はこんなに人なつっこいんだろう。
先生の持ってた紙袋の中身は一体何なんだろう。
でも、その中で、一番気になるのは。


「・・・・先生」
「ん?」
台所のなっちに聞こえないように、そっと聞いた。

「・・なっちと、どういう関係なの?」

先生は黙ってあたしを見てた。
その視線は、冷ややかで刺すようなモノで。
でも、あたしは先生から目を逸らしたりしなかった。

ホントの事が、知りたいから。
151 名前:love junkie 投稿日:2001年07月20日(金)23時28分41秒

先生はポケットから新しいタバコを取り出して、火をつけて口にくわえた。
口から吐き出された煙は薄くて、すぐに見えなくなった。
先生はしばらくその煙の行方を捜すように宙を見てた。
そして、タバコを指で挟んで、口から離してから、言った。

「・・それは言うた筈やで」

え?

必死に記憶を探ってみるけど、なっちとの関係を聞いた事なんて一度もないハズ。
そんなあたしの様子を見てか、先生はドコで言ったのか、教えてくれた。

「保健室で」
152 名前:love junkie 投稿日:2001年07月20日(金)23時29分39秒

・・・あ。
確か、今日保健室でそんな感じの事・・・

『あたしの玩具』

その言葉が思い出されて、急に頭が熱くなった。
目の前の先生が無性にムカツイて、ソファから勢いよく立ち上がった。
「・・何」
「--------・・・っ」
先生があまりにも平然とタバコをふかしてるから、ペースが狂う。
怒る気にも声を出す気にもなれず、またぼすっとソファに座った。

「・・・ホントに?」
「・・何がや」
先生の口のタバコは半分くらいの長さになってた。
透明な灰皿が灰で埋まってく。

「・・ホントに玩具なの?」
153 名前:love junkie 投稿日:2001年07月20日(金)23時31分41秒

「・・・ホンマやって言うたら?」

「・・・別に、やっぱそーゆー人なんだ、以上」

何か頭の中でぐるぐる回ってる。
その回転はだんだん速度を速めていって、まるで摩擦熱が起こってるかのように、ひどく熱い。

「・・じゃあ、ウソやって言うたら?」

「・・ウソ、だったら・・・・・」

ウソ=玩具じゃない。
玩具じゃない=・・・何?

「・・じゃあ、ホントは何なの?」


タバコの先の灰が落ちそうで、気になって仕方がなかった。
それでも先生はタバコをくわえたまま、じっと一点を見つめてた。
154 名前:BAGEL 投稿日:2001年07月20日(金)23時32分46秒

とりあえず、今日はここまでです。
続きが読みたくてガマン出来なくなったら言って下さい。
155 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月21日(土)00時24分46秒
我慢できません。
いや、マジで。
156 名前:mo-na 投稿日:2001年07月21日(土)04時31分34秒
更新待ってましたよ!
>>155さん と同じく、ヤバイです。
読みたいです。
157 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月21日(土)10時59分58秒
ホントの関係が何なのか、すげー気になる〜〜!
158 名前:読んでる人 投稿日:2001年07月21日(土)11時13分11秒
続きが読みたいです。我慢できませ〜ん!!
159 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月21日(土)23時24分14秒
「love junkieの続きが読みたくて我慢できない!!」って
スレ立てたいぐらいです。
160 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月22日(日)14時08分06秒
我慢限界!
作者さんお願いします(w
161 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月22日(日)16時23分19秒
なんか読めば読む程我慢できなくなるんすよ!!
続き、お願い!!
162 名前:読んでる人 投稿日:2001年07月29日(日)10時11分34秒
もう1週間以上待っているんですけど、まだですか?
我慢の限界です・・・
163 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月30日(月)23時37分03秒
マッタリ待ってるです。
ということで、期待sageで。
164 名前:BAGEL 投稿日:2001年07月31日(火)22時19分34秒
ありゃりゃ。まさかこんなに反響があるとは…(ビックリ)

>155さん
 そんなに早く!(笑
 もう我慢出来ないですか。て、遅くなってすいません…

>mo-naさん
 ヤバイですか!?そりゃタイヘンだ……
 すいません、もうちょっと更新ペース速められるよう努力します。

>157さん
 ホントの関係?ふふふ〜〜(謎
 それは今回の更新を読めば判る………かな?(ニヤリ

>158さん
 うーむ、我慢出来ない人が多いですねぇ(笑
 すぐに上げますから、待ってくださいね。

>159さん
 あははは!!!(爆笑 えぇ、もう是非立ててください(笑
 てかそれほど待たせてるんですね……すいません。

>160さん
 限界っすか!(笑
 今すぐ上げます〜〜。遅くて申し訳ないです〜…

>161さん
 まじですか?!ふぇ〜……
 ストーリーがだんだんごちゃごちゃになってきてるような気がしてるのはボクだけなんでしょうか?(爆

>162さん
 一週間も更新せずに申し訳ありません………
 すぐに、すぐに上げますです!!

>163さん
 マターリ。ホントすいません…
 sageて書いたら怒られるかなぁ…(笑
165 名前:love junkie 投稿日:2001年07月31日(火)22時20分21秒

「・・・・・何か、言ってよ」
「・・・・・」
先生はようやくタバコを手にとって、灰を灰皿に落とした。
少しずつ透明さを失くしてく、灰皿。

先生は息を一つつくと、視線をあげてまたあたしを見た。
その視線は、さっきのモノよりも少し優しくて。
むしろそれは優しいっていうより、淋しいって感じだった。

先生の口がゆっくりと開いてく。
息を吸う音が、聞こえた。

やっと沈黙を破った言葉は、---------




「お待たせ〜!」

なっちの明るい声だった。
166 名前:love junkie 投稿日:2001年07月31日(火)22時21分27秒

「・・・・・なっち」
あたしはガッカリして肩を落としながら、決して確信犯ではない彼女の名を呟いた。
なっちは「ん?」と不思議そうな顔をして、あたしと先生の顔を交互に見交わした。

あ。

何か懐かしい感じ。
前にもこんな事・・・・


『ねー、裕ちゃん、知ってる人?』

そうだ。
初めてなっちを見た時。
あたしがピザ届けた時。
あの時のなっちも、不思議そうにあたしと先生の顔を見交わしてた。

・・・あれ?
167 名前:love junkie 投稿日:2001年07月31日(火)22時22分45秒

「ねぇ、矢口、昨日も会ったよねぇ」

あ、そっか。

まだ先生と初めて会って、一日しか経ってないんだ。

「昨日も、こうやって裕ちゃんと矢口の顔、見交わしてたよね、確か」
クスクスと肩をひそめながら笑う。
その仕草は女の子らしくて。
純粋で、純真で、真っ白。そんな感じ。

「だね。あん時、なっちが年上だなんて思ってなかったよ」
「あっ、何それー!ひどいべさー!!」
「あははっ、なっち訛ってんじゃんー!」
「もーっ、ウルサーイっ!」
168 名前:love junkie 投稿日:2001年07月31日(火)22時25分14秒
さっきまでの沈黙がウソみたいに、部屋は騒がしくなった。
もっぱらあたしとなっちの会話なんだけど。
先生はというと、あたしとなっちを見ながらまた新しいタバコをふかしてた。

でも、あたしは見逃さなかった。
なっちが入ってきた時の、先生の安心した表情を。

何、隠シテルノ?

169 名前:love junkie 投稿日:2001年07月31日(火)22時27分28秒

こんな近くに居るのに、先生の事、全然わかんないよ。
先生が考えてる事、少しもわかんないよ。
先生がすごく、遠くに感じるよ。
ねぇ、先生。

あたしの声、聞こえてる?


心の中で呟いた先生に向けた言葉。
それにちょっと自嘲気味に笑った。
なっちはまた不思議そうな顔をして、あたしを見た。
それに、あたしは苦笑を返した。
170 名前:undefined 投稿日:2001年07月31日(火)22時34分00秒

・・・・ん?

「ね、なっち」
「んー?」
なっちはお茶の入ったカップで手を暖めてる。

「なっちさ、」
なっちは

「先生の事、好き?」
先生の事、好きなのかな?

心の中だけのはずの疑問。
まさか口に出ちゃうなんて、あたし自身信じられなかった。

先生は、もっと信じられないという顔であたしの方に視線を回した。

なっちは、きょとんという擬音が似合いそうな表情で、あたしを見てた。
171 名前:BAGEL 投稿日:2001年07月31日(火)22時37分55秒

シマッタ、最後の最後で題名入れるの忘れてしまった……
てゆーか、まだ話が始まってから、2日しか経ってないんですよね……
長ったらしいったらありゃしない(笑
次回更新はもっと早く出来るよう、努力します。
172 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月01日(水)01時49分11秒
うお!更新されてる!
ここから痛くなんのかなー
173 名前:読んでる人 投稿日:2001年08月10日(金)08時44分17秒
続きまだかなぁ……
174 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月23日(木)04時49分09秒
そろそろ我慢できません(w
どうか続きを…
175 名前:マイルドセブン 投稿日:2001年08月29日(水)03時31分00秒
お願いします。
176 名前:マイルドセブン 投稿日:2001年09月04日(火)13時24分15秒
おねがひ!つ・続きを・・・
177 名前:名無し読者@やぐなっちゅー大好き 投稿日:2001年09月08日(土)15時30分34秒
そろそろ更新を・・・
首がかなり伸びたのですが・・・
待ってまーす。
178 名前:名無し読者@やぐなっちゅー大好き 投稿日:2001年09月08日(土)15時32分07秒
すいません!あげちゃいました。
179 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月09日(日)05時24分29秒
BAGEL様、夏休みはそろそろ終わりということで
更新してくだせぇぇ〜

え、あげちゃだめなの?
180 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月10日(月)09時41分35秒
そろそろ更新(w
頼みます!
181 名前:BAGEL 投稿日:2001年09月12日(水)21時05分43秒
>172さん
 痛く……なるんでしょうかねぇ。ボクにも判りません、マジで(笑

>読んでる人さん
 お待たせしてしまってすいません……続きはこの後すぐ!(自爆

>174さん
 すいません、いつも遅くて……心からおわび申し上げます(涙

>マイルドセブンさん
 遅くなってしまって誠に申し訳ないです……(あぅあぅ 今すぐ!上げますんで!!

>名無し読者@やぐなっちゅ大好きさん
 首、伸びちゃいましたか……すいません(笑 すぐ上げます〜〜…
 あ、別にあげてもいーですよぉ。

>179さん
 はぁ、大変申し訳ないです……全然あげていただいて構わないですよぅ。

>180さん
 そろそろ更新します!すぐに!えぇ、今すぐに!ホント送れてごめんなさい…

182 名前:love junkie 投稿日:2001年09月12日(水)21時06分53秒

「なに、どしたの、急にそんな事聞いちゃってー。あ、まさか矢口ってぇ……」
なっちは悪戯っこのような顔でにぃと笑うと、あたしの顔を覗き込むようにしてきた。

「裕ちゃんの事す」
「なっち」

先生がなっちの言葉を遮った。
多分、意図的に。

「ん?なに、裕ちゃん」
「…ちょおタバコ買ってくるわ」
「うん、行ってらっしゃい」

なっちは柔らかく微笑った。
先生は、少しやりきれないような表情で、財布を手に部屋を出た。

ふと、電話の横にタバコの買い置きがあるのを見つけて、ドアに目をやった。
ちょうどその時、玄関が閉まる音がして、あたしは追い掛ける事も出来なかった。
183 名前:love junkie 投稿日:2001年09月12日(水)21時09分10秒

「で、えーっと……あ、そうそう」
なっちがくるりとこっちに向き直った。
にやにや笑いながらあたしに聞いてくる。

「ね、裕ちゃんの事、好きなんでしょ?」

「……………」

答えるべきなんだろうか。

唾を飲む音が、あたしの耳にはやけに大きく聞こえた。

184 名前:love junkie 投稿日:2001年09月12日(水)21時10分59秒

「………は」
「え?」
「……なっちは、どうなのさ」
「どう、って、何が?」
「……裕ちゃんの事、好きなの?」
「うん」

それは、少しも"迷い"のない、即答。

「好きだよ、裕ちゃんの事」

なっちは不思議そうに首を傾げながら笑うと、あたしの隣に座り直した。
クッションをぽすっと太股の上に置く。

「好き」というその二文字はかきまぜ棒となって、あたしの頭の中をぐるぐるかき回した。
185 名前:love junkie 投稿日:2001年09月12日(水)21時12分09秒

「なっちはね、裕ちゃんが居なかったら今ここに居なかったの」
まるでその視線の先に愛しい人がいるかのように目を細める。
「ここに居なかった……?」
「うん」
「……どういう意味?」
「…ちょうど一年くらい前になるのかなぁ」
クッションをぎゅぅと抱きしめながら、なっちはぽつりと話を始めた。

二人の、出会いを。


「なっちさ、生まれつき身体弱くて、子供の頃とか全然外で遊べない子だったんだよね……」

186 名前:BAGEL 投稿日:2001年09月12日(水)21時15分13秒

更新ペースをあげるとほざいたクセに結局またこんな事に……
大変申し訳ないのです(涙
せめて……週一くらいにはしたいです。

次回はなっちと裕ちゃんの出会い編なのです。
今からちょうど一年前ほど、この作品の中では去年の冬という事になりますので。
187 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月13日(木)11時45分42秒

やった〜☆更新されてる〜
 待ったかいありっすね!!!
 気になります・・続きが・…
 がんばってくださ〜い!!
188 名前:マイルドセブン 投稿日:2001年09月14日(金)19時25分40秒
よっしゃ!更新だがんばってね。
189 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月29日(土)19時10分27秒
う〜、更新してほし〜〜〜!!
190 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月09日(火)12時35分33秒
そろそろお願い
191 名前:とうりすがりの読者。 投稿日:2001年10月09日(火)21時10分45秒
そろそろ・・・(w
待ってまーす。
192 名前:のぉねぃむ   投稿日:2001年10月13日(土)18時09分08秒
放置なの??
193 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月15日(月)05時20分59秒
age
194 名前:BAGEL 投稿日:2001年10月15日(月)12時33分08秒

>187さん
 続き・・・もう少しお待ちください!今週中には必ず!!

>マイルドセブンさん
 ありがとうございます!マイルドセブンさんもガンバテください!

>名無し読者さん
 します、します!だからちょっと待ってください・・・(汗

>190さん
 すいません、そろそろ書きます・・・!

>とうりすがりの読者。さん
 もう少しだけお待ちくだされ〜・・・・

>のぉねぃむさん
 放置ではないっす!ちゃんと書きます!!

>193さん
 ageてくれてありがとございます(笑

レスにも書いたように、今週中には必ず書いてあぷしますので!!
195 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月15日(月)14時16分56秒

 今週中!?
 やった〜!!楽しみが戻ってきた!
 待ったかいありっす!!
 がんばってくださいね。
 楽しみに待ってます。
196 名前:セーラム 投稿日:2001年10月17日(水)00時50分39秒
マイルドセブンですがHNを変えました
197 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月19日(金)14時14分05秒
待ってます。
198 名前:BAGEL 投稿日:2001年10月19日(金)23時10分05秒

>名無し読者さん
 お待たせしましたーっ、更新いたしやす!がんばりマス!!

>セーラムさん
 おぉ、HNかえられたんですか。ちゃんと頭の中にインプットしておきマス。

>名無し読者さん
 今すぐあげますのでー!!

何かなっちと裕ちゃんの出会いの予定だったんですけど、結局幼き頃のなっちって感じになっちゃいました。
多分裕ちゃんは次から出てくるっぽいです。

199 名前:love junkie 投稿日:2001年10月19日(金)23時12分11秒

「あ、雪」
窓の外では雪がちらほらと降っていた。
すでに庭の植物は少し白くなってる。
北海道で雪は珍しいものでも何でもないけど、あたしにとっては特別なものだった。

あたしは、生まれてから1回も雪に触った事がない。
200 名前:love junkie 投稿日:2001年10月19日(金)23時15分44秒

物心ついた頃から、あたしは窓の外ばかり眺めていた。

ねぇ、おかあさん。
なんでなっちはおそとであそんじゃいけないの?
ねぇ、おとうさん。
なんでなっちだけいつもベッドでねてなきゃいけないの?
ねぇ、おねえちゃん。
なんでなにもおしえてくれないの?

ねぇ、なっちはびょうきなの?

お母さんもお父さんもお姉ちゃんもみんな、あたしの質問に答えてくれなかった。
あたしが質問する度にはぐらかしては目を逸らした。

それくらいからだろう。
あたしが、他人を信じないようになったのは。
201 名前:love junkie 投稿日:2001年10月19日(金)23時18分05秒

外から聞こえてくる子供達の楽しそうな声を聞く度、あたしは窓を割りたい衝動にかられた。
別に何も悪い事してないその子達がやけにムカツいてならなかった。
ウルサイ、ウルサイ、ウルサイ。
頼むから、静かにして。
頼むから─────そんなに楽しそうな声を聞かせないで。


 全て、壊れてしまいそうだから。
 全て、壊してしまいそうだから。
202 名前:love junkie 投稿日:2001年10月19日(金)23時21分06秒

ひろいひろいおへやのまんなかの、   でも、
おっきなベッドのなかで、       そのまっしろなゆきに、
あたしはずっとずっと、        あたしはさわることが、
まどのそとでふっている、       できませんでした。
ゆきをみていました。


だから、そのゆきが、         でも、
あったかいのかも、          ふゆはさむいから、
つめたいのかも、           きっとつめたいんだろうなぁ、と、
わかりませんでした。         おもってました。




それが確認出来たのは、小学六年生の冬。
203 名前:BAGEL 投稿日:2001年10月19日(金)23時24分12秒

てコトで、なっちの幼き頃のお話でしたー。
昔はなっちもちょこっと黒かったっぽいっす(笑
黒かったっていうか、人間不信だったというか…
次回らへんで裕ちゃんが出てくる頃でしょう。
もし、裕ちゃんの登場を待ってた方が居たら…ゴメンナサイ(ぺこり)

次回、なっちの病気が明らかに…?(大体見当ついてるだろうけど)
204 名前:名無し読者。 投稿日:2001年10月20日(土)00時54分35秒
黒なっち良かったよ
でも裕ちゃん待ってたよ(w
今度は更新早めでお願いします。(w
待ちきれないよー
205 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月20日(土)03時40分52秒

 よいけり・・
 裕ちゃん待ってたなりが…
 なっちとの出会いが早くしりたし…。
 上に同じくまちきれませぬ。
 がんばってください〜〜〜
206 名前:セーラム 投稿日:2001年10月21日(日)23時56分22秒
がんばれ〜!待ってるよ
207 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月01日(木)14時18分29秒

 待ってます。
 続きがすごく楽しみです。
 あ〜気になる・・・
208 名前:名無しさん推奨 投稿日:2001年11月05日(月)17時43分56秒
がんばってくだぁさいっ!!
209 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月12日(月)16時34分44秒
1週間に1回くらいの
続きお願いage
210 名前:BAGEL 投稿日:2001年11月14日(水)09時42分50秒
>204さん
 やはし裕ちゃん待ってましたか(笑 黒なっちは何故白くなったのか・・・
 ボクにも判りません(爆

>205さん
 応援ありがとーございますー。次は裕ちゃんとの出会いなんで今しばらくお待ちをば・・

>セーラムさん
 ありがとーございまーす!がんばらせていただきます・・(笑

>207さん
 どうも読んでくださってありがとうございます。
 すいません、ホント更新遅くて・・・

>名無しさん推奨さん
 がんばりまぁすっっ!!!ありがとです☆

>209さん
 ほんっとに遅くて申し訳ないです、はい・・・・(涙

今週中には更新させていただきますので〜。
211 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月23日(金)01時56分40秒
作者さん、首を長くしてお待ちしています。
212 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月23日(金)02時52分08秒
madakana?
213 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月23日(金)02時57分26秒

 ずっっっっと待ってますよ。
 今週中ってのは…?
 いえいえ、あせりません。
 ただ待ってますから…。
214 名前:BAGEL 投稿日:2001年11月24日(土)02時05分20秒

>211さん
 ごめんなさい、今週はもう終わってますね……(涙

>212さん
 もう少しお待ちください………(涙

>213さん
 すいません、ホントに、マジで…もうちょっとお待ちを……(涙

ただ純粋に、今「書けない」状態なんです(涙
や、風邪が悪化して…言い訳がましいんですけども。
頭回らないんです……今月中には必ず………
お待ちくださってる方々、大変申し訳ないです……
215 名前:211 投稿日:2001年11月24日(土)02時43分11秒
風邪ですか?体調不良でしたら、仕方ありませんよ。
今年の風邪はタチが悪いようなので、お大事になさって下さい。
216 名前:BAGEL 投稿日:2001年12月01日(土)18時25分07秒

>211さん
 大変長らくお待たせしてしまいました……ホントに申し訳ないっ!!

今回はちょっと長めです。
217 名前:love junkie 投稿日:2001年12月01日(土)18時26分16秒

十一月の終わり頃。
こっちでは、もう雪が降ってる。
もう何度見てきた事だろう。
触れた事のない、雪を。

いつもお昼頃になったら本を持ってきてくれるはずのお母さんが、今日はやってこない。
今日は仕事ないって言ってたはずなのに。
もう、なっちのとこに来るのがイヤになったの?
それならもうそれでいい。
あたしはもう、一生ここでひとりで生きてく覚悟くらい出来てるから。


やる事がなくて、枕にぼすっと顔を埋めた。
今日は窓の外から聞こえてくる子供の声も、まばらだ。

その時、声が聞こえてきた。
それは窓の外からじゃなくて、ドアの方から。

218 名前:love junkie 投稿日:2001年12月01日(土)18時27分26秒

「………でも………そんなの………」
「だって……そ……言って………てる……」
「だからって…………なつみ……」
「…かしだな………だろうし………」

お母さんとお父さんとお姉ちゃんの声。
なんだ、来てるんじゃん。
じゃあ早く入ってきたらいいのに。
何を話してるんだろう?

その時聞こえた、お母さんとお父さんとお姉ちゃん以外の声。

「いいかげん、決めてもらえます?」


はっきりした、声。
少なくとも地元の人じゃないみたい。
あたしとは全然違う喋り方。
219 名前:love junkie 投稿日:2001年12月01日(土)18時28分33秒

「あなた達も、もう疲れたでしょう?あんなコの世話するの」

あんなコ?
あんなコって、誰?

「だからあたしが面倒見るって言うてるじゃないですか。
 別に誰にも言わんかったらえぇんやし、あなた達は『娘は白血病で死にました』言うて落ち込んだ顔しとけばいいでしょ」

娘?
はっけつびょう?

あたし?


その人は、さらに続けた。
220 名前:love junkie 投稿日:2001年12月01日(土)18時29分30秒

「別にお金も何も要求してない。お互いに残るもんはメリットだけでしょう?いい話やないですか。断わる理由なんかどこにありますのん?」
「でも!」

おねえちゃんの声だ。


「なつみは……あたし達の……家族の一員なんです!!」
「家族?あんたらに家族の資格があるとでも?」

家族になるのに資格なんているのかな。
何だか難しい事言うな、この人。

「……………」
「……ま、決めんのは娘さんでしょ。とりあえず話してみますわ」


その言葉が終わったと同時に、ドアが開いた。
221 名前:love junkie 投稿日:2001年12月01日(土)18時30分45秒

そこから出てきたのは、髪の毛が金色のおばさん。

「なつみちゃん?」
「……」

応えずに、ただこくりと頷いた。
誰なんだろう、この人は。

その人はベッドに近寄ってきて、傍の椅子に座った。

「あたし、中澤裕子。裕ちゃん、でえぇよ」
「ゆう……?」
「ゆうちゃん。言ってみ?」
「……ゆう、ちゃん?」
「そうや」

そう言いながら笑ったその笑顔は、今まで見たこともないくらいきれいで。
一瞬にして、あたしはこの人に惹かれた。
222 名前:love junkie 投稿日:2001年12月01日(土)18時33分35秒

「えと……なつみちゃん、でえぇんかな?」
「………なっち」
「なっち?」
「うん」
「なっちか。かわいらしい名前やな」

そう言って頭を撫でてくれたその手は、すごく優しかった。

「なぁ、なっち?」
「?」
「今日から、裕ちゃんと一緒に暮らそっか」

ゆうちゃんと?一緒に?

「……ここで?」
「うぅん。もっと南の方で」
「どこ?」
「東京。日本の首都やな」
「東京……」
「な、裕ちゃんと一緒に暮らそ?」
「……ゆき」
「雪?」
「……雪、触れる?」
「………うん。いーっぱい触れんで?」

ゆきに、さわれる。
ゆきに、さわれるんだ!!

「……うんっ!」


あたしはこの時、生まれて初めて笑ったような気がした。

223 名前:BAGEL 投稿日:2001年12月01日(土)18時35分45秒

今回はここまでです。まぁなっちの病気はほとんど見当ついてたでしょうけど…
謎が多いなっちゅーの出会いですが、お許しを(笑
次回は……どうしましょう?(笑
この続きか、それとも回想を一旦終えるか…
………考えておきます(笑
224 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月01日(土)23時52分12秒
わーい!待ってました〜!!裕ちゃん優しいっすね?
なんでなっちを迎えにきたんだろ?繋がりは?
気になりますね〜!またがんばってください!
もちろんアナタサマのペースで…待ってます!
225 名前:名無し読者。 投稿日:2001年12月02日(日)17時51分37秒
待ってました!!
風邪よくなりましたか?
マタ−リでいいので・・・待っています。
226 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月14日(金)18時34分42秒
>>225
227 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月29日(土)14時59分02秒
そろそろ更新してもいいんでないかい?(w
228 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月30日(日)12時59分28秒
放置なの???
そんなのイヤー!!!
229 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月30日(日)21時59分22秒
人攫い
230 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月16日(水)02時56分44秒
sorosoro・・・更新して下さい(w
231 名前:BAGEL 投稿日:2002年01月17日(木)23時31分55秒
大変遅くなってしまってすいません……とりあえず、レスをば。

>224さん
 なっちと裕ちゃんのつながりは……いずれ判るかもしれません(笑
 かんなり遅すぎるペースで、ホント申し訳ありません……

>225さん
 風邪はスカーリ治りましたです。てかいつの話だ(死
 随分とお待たせしすぎて…ホントに申し訳ありません…

>226さん
 …?どう返していいのか判らないです、ごめんなさい(笑

>227さん
 更新遅れてホンッッッットに、申し訳ないです……!!

>228さん
 放置ではありません!完結させる気は満々です!!

>229さん
 …確かにそうですね(笑<人攫い
 でもそこには愛が(略

>230さん
 お待たせしすぎて、ホントに申し訳ありませんです……!!

一つお知らせしたい事がありまして。
232 名前:BAGEL 投稿日:2002年01月17日(木)23時42分25秒

僕のパソが大分古い為、ここに書き込むのにも一苦労なのです。
いっぱいあぷしたくても出来なくて…
更新速度が遅いのは、そういう理由もあるんですけど。
大変言い訳がましい事を言ってるのは、自分が一番よく判ってマス……

なので、しばらくHPの方で続きを書かせていただきたいと思っております。
大変勝手な事を言ってるのは、充分承知してますです……

詳しい事などは、また後日にお知らせさせていただきたいと思います。
ただ、早ければ四月には新しいパソコンを購入出来るかもしれないので、その時はまたここで続きを書かせていただきたいと思います。
その間は倉庫に行かないよう(笑)たまに短編などを上げたいと思ってます。

皆様に大変迷惑をかけて申し訳ありませんでした。
放置する気は全くございません。完結させたいと思っています。

それでは、自分勝手な奴ですが、どうぞ見捨てないでくらさい。

233 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)00時27分14秒
出来たらHP教えて欲しいな。
ムリにとはいいませんが。
放置じゃなくってよかったです。
自分のペースで頑張ってください。短編期待してます。
234 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月18日(金)16時17分06秒
おっ、ホームページで続きやってくれるんだ!
でも、あっちもお祭りとかつもりつもったリクの処理で大変でしょ。
見たいけど、無理しないで頑張ってね。
235 名前:>>253 投稿日:2002年02月24日(日)03時32分16秒
googleで
やぐちゅー
で検索かけると早めにでるよ。
236 名前:BAGEL 投稿日:2002年02月27日(水)09時36分46秒

そろそろ短編書かないとヤヴァそうだなと思ってます。
思ってるだけ?ゴメソナサイー。

HP、>235さんのおっしゃるとおり、やぐちゅーでかけるとよく出ます(笑
てか、結構カプ名かけると出るっぽいです・・・
一応メアドのトコで解説してますので、参照にしてくらさい。

新しいパソ子が早くほすぃ今日この頃。
237 名前:名無しさん 投稿日:2002年03月04日(月)15時51分08秒
うまくホームページを見つけられません。どうしたらいいでしょうか?
分かりやすく教えてくれたら嬉しいです。パソコンあまりわからなくて
238 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月06日(水)02時24分38秒
>237
とりあえず、案内板の総合質問スレへ…

作者さん、続きも短編も楽しみです。マターリと頑張ってください!
239 名前:BAGEL 投稿日:2002年03月13日(水)16時23分14秒
>237さん
 もうちょっと判りやすく説明してみました。出来てるかどうかは謎ですが(ヲイ
 名前のトコにカーソル持ってってみて下さい。
 それでもダメなら、238さんがおっしゃるように、総合質問スレで質問してください。

>238さん
 御親切にどうもです。
 
そろそろ短編を。ここの話とは全く無関係の話です(爆
240 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時28分14秒

「やっぱ二回は疲れるねー」
「そうですねー」
「でも、やっぱ楽しかったね」
「はい」

ライブが終わった後、矢口さんと外にご飯を食べに行った。
帰りのエレベーターの中。
他に誰も居なくて、あたしと矢口さん二人きり。

今しかない。

「…あの」
「んー?」
「矢口さん、あたし…」
「?なに、よっすぃー」
「……あたし、矢口さんの事…」
「………」
「……す」「ね、よっすぃー」

想いを打ち明けようとしたその時、矢口さんに阻まれた。

「…近くに公園あるじゃん?あそこに、今夜八時に来てくんない?そこで話そうよ」
「………はい」

あたしは、告白出来なかったもどかしさと、言わずに済んだという安心さに、小さく息をついた。

241 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時29分16秒

お風呂に入って部屋を出ようとした時、ちょうど外に食べに行ってた梨華ちゃんと鉢合わせした。

「どっか行くの?」
「あ、うん…」
「そう…遅くなるの?」
「うん、多分…先寝てていいよ」
「……うん、判った」

梨華ちゃんは微笑ってそう言った。
いってきます、と笑いながら言うと、いってらっしゃい、と笑顔で返してくれた。

242 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時30分03秒

外の空気はまだ冷たかった。
もう三月だってのに、吐く息は冷たい。
もうちょっと着込んでくれば良かったと後悔したけど、携帯で時間を確認するとあと四、五分で八時だったし、今更戻っても遅かった。
あたしは噴水のトコに座ると、膝の上にひじを置いて、手を組んだ。

今度こそ、ちゃんと言わなきゃ。


どう言えばいいかな。
普通に「好きです」?
それとも、ちょっとためらいがちに「実は…好きなんです」とか?
それとも、男らしく「好きだ!!」とか?
……最後のは止めとこ。
243 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時31分14秒

八時六分。
矢口さんの姿はまだ見えない。

どうしたんだろ?
お風呂が長引いてるのかな?
まさか、セッケン踏んで滑って転んで頭打ったとか?!
…そんな漫画みたいな事、ないよなぁ。


八時十八分。
矢口さんの姿はまだ見えない。

何してるんだろ?
ご飯食べすぎで、動けないのかな?
メールくらい入れてくれてもいいのに。


八時二十五分。
矢口さんの姿はまだ見えない。

何かあったのかな?
あ、中澤さんに捕まっちゃったとか?
今日に限って……もー、頼みますよ、中澤さぁん。
244 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時32分22秒

八時四十分。
矢口さんの姿はまだ見えない。

どうしたんだろ?
もしかしてあたし、待ち合わせ時間、間違えてる?
でも、ちゃんと八時って言ってたよなぁ……


八時五十三分。
矢口さんの姿はまだ見えない。

何で来ないんだろ?
まさか…寝ちゃったとか?
でも約束はちゃんと守るもんなぁ、矢口さん。


九時。
矢口さんはまだ来ない。

あ、雨だ。
どーしよ、傘なんか持ってないし…
矢口さん出てくる時、傘持ってきてくれるかなぁ。
245 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時33分40秒

九時十五分。
矢口さんはまだ来ない。

もー、こんな時期に雨降んなよー。
薄着で来たのがダメだったのかなー。
…寒いなぁ。


九時二十二分。
矢口さんはまだ来ない。

メールしてみよっかなぁ。
『矢口さん、何かあったんですか?来れないんならメール下さい。吉澤』


九時三十二分。
矢口さんはまだ来ない。
メールはまだ返ってこない。

うー、寒っ。いい加減やめっつーの。
もー真っ暗じゃん。酔っ払いとかに絡まれたらどーしよー…。
あ、雨だしだいじょぶか。

246 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時34分57秒

九時四十五分。
矢口さんはまだ来ない。
メールはまだ返ってこない。

メール送れてないのかな?
もっかい送ってみよっかな…でも迷惑かなぁ…。
ま、いいや。送っちゃえ。
『さっきメールしたんですけど、送れてなかったみたいです。雨だから電波悪いのかなぁ(笑)もう八時過ぎてますよー。早く来てください。寒いっす。吉澤』


九時五十六分。
矢口さんはまだ来ない。
メールはまだ返ってこない。

何でこんな寒いんだろ。
噴水の傍だから?
あー、もー夜くらい止まれっつーの。



十時過ぎた。
矢口さんはまだ来ない。
メールはまだ返ってこない。

それでもあたしは認めたくない。



  矢口さんにすっぽかされたんだよ。


何処かであたしの声がした。
247 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時36分27秒

  もうこんな時間だよ?

  来る訳ないじゃん。

  よーするに、最初っから会う気なんて無かったんだよ。

  矢口さんには、そういう気は全くないの、まだ判んないの?


あたしの声が、あたしの頭の中で響く。

それは、全てを認めてるあたしの声。



いやだ、いやだ、いやだ。
聞きたくない。

矢口さんに捨てられただなんて、そんなの

  いー加減、認めたら?


声が、響く。

248 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時39分10秒

十時半。
三回目のメールを送ろうとポケットから携帯を取り出した時、人影が見えた。


矢口さん!

あたしは立ち上がった。
雨に濡れた服が、重く感じた。


…あ…れ?


「…ひとみちゃん」


何で…?

「…り…か…ちゃん……」


何で、梨華ちゃんなの?

何で、矢口さんじゃないの?



  だから言ったじゃん。


また、声が響いた。


携帯が手から滑り落ちてくのが判った。
高い音を立てて、地面に落ちた。
壊れたかな、携帯…
249 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時41分37秒

「…矢口さんが中澤さんの部屋に入ってくの見たの…」

「あたし…寝れなくて…」

「何か気になっちゃって…」

「ひとみちゃん、ズブ濡れじゃない…」

「風邪ひくよ…?」


梨華ちゃんの言葉が耳に入ってくるけど、頭まで来ない。

矢口さん?中澤さんと?あたしは?
約束は?噴水の前?八時?
梨華ちゃん?矢口さんは?何してる?


  いー加減認めろっつっーの。この弱虫。


どーせあたしは弱虫だよ………


身体中の力が抜けてって、あたしはまた座った。




雨の音がうるさい。
250 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時45分23秒

雨が身体に当たって、痛い。
大きな雨粒が身体に強く打ちつけられる。
身体中が痛くて、感覚がマヒしてるような気がしてきた。
もう、ドコが痛くてドコが痛くないのか、判らない。

頭も、肩も、腕も、手も、足も、心も。
みんな、痛い。

痛くないトコなんて、ない。
251 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時46分33秒

「…ひとみちゃん」

雨が身体に当たってないのに気付いた。
ぼやけてた視界をはっきりさせてみると、すぐ目の前に梨華ちゃんの姿があった。
いつのまにかピンク色の傘の中に居た。


「ぁ……」


あたし、何が言いたいんだ?
何でここに居るんだ?

もう、帰りたくなってきた…。
252 名前:pain rain 投稿日:2002年03月13日(水)16時48分19秒

気がつくと、また雨が身体を打ってきてた。
視界のはしっこで、ピンク色の小さな傘が落ちてくのが見えた。
そして、何かがあたしの身体を包み込むのが感じられた。



「…帰ろ?」
  もう帰ろうよ…。

頭の中で響いた声は、すごく優しかった。



「…うん」



その時初めて、あたしの頬を伝うのが、雨じゃないと判った。


end.
253 名前:BAGEL 投稿日:2002年03月13日(水)16時51分59秒

以上です。中途半端な終わり方でスイマセヌ…。
次は、矢口さん編を書きたいと思います。
新しいパソ子が来るまで、終わるかな…(爆
254 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月14日(木)02時55分14秒
矢口編楽しみにしてます。
もちろん、ここの本編にはかなり待ち焦がれてますが。
255 名前:名無し愛読者 投稿日:2002年05月22日(水)11時31分06秒
本編更新はまだ???
HPで更新されてないよね?
256 名前:名無しさん 投稿日:2002年05月27日(月)23時10分34秒
続きが気になる。。。
257 名前:名無しさん 投稿日:2002年06月18日(火)17時57分57秒
HPのアドレス教えてください!!!

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