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娘。の背中には羽根がある
- 1 名前:sugerbaby 投稿日:2001年02月14日(水)14時23分05秒
- なつみ「紗耶香ぁぁ…もうあたしどうしたらいいかわかんないよぉ…」
安倍はコンビニの前で膝を抱えて座っていた。外は雨が降っている。
安倍は雨に濡れながらもこう言い続けていた。
すると安倍の前に傘が出て来た。
亜依「おいで、なっち…」
加護が傘を差して言った。
安倍は何も言わず加護について行った。
*
話は数時間前にさかのぼる。
200X年5月×日の東京・両国国技館。
娘。達の楽屋内である。
娘。達はみんな悲しい顔なのに安倍だけ一人無表情である。
真希は机に顔を埋めて泣いていた。
ひとみだって梨華の心で泣いていた。しかし安倍だけは普通に帰り支度をしていた。
なつみ「じゃあ、あたしはこれで帰るから」
安倍はこう言うとみんなの元から去っていった。
安倍はタクシーを拾うとそれに乗り、自分の部屋があるアパートへと向かって行った。
- 2 名前:sugerbaby 投稿日:2001年02月15日(木)17時01分36秒
- ラジオの声「スワローズのピッチャー戸田第三球を投げた、松井空振り!ゲームセット、10対1でスワローズが勝ちました!」
タクシーのラジオの声が聞こえた。
運転手「やっぱりんねはいいよな〜」
運転手は言った。
なつみ「それって誰なんですか?」
運転手「ASAYANからデビューしたヤクルトスワローズの戸田鈴音投手だよ」
なつみ「元カントリー娘。のりんねが野球選手?」
安倍は首を傾げた。
運転手「お客さん、着いたよ」
運転手はそう言うとタクシーを止めた。
安倍は料金を払うとタクシーから降りて、自分の部屋へと歩いていった。
そして安倍はドアの鍵を開けると部屋の中に入った。
と、その時である。
ジリリリーン…
電話のベルが鳴った。
安倍は慌てて受話器を取るともしもし、と言った。
電話の相手は希美だった。
希美「安倍さーん、どうしたんれすか?」
なつみ「ののちゃん?」
希美「何か暗いみたいれすけど…」
なつみ「大丈夫よ…あっそうだ、ののちゃんは泣かなかった?」
希美「大丈夫れすよ。安倍さんは?」
なつみ「悲しむ暇はないの…」
希美「そうれすか…安倍さん、おいで」
なつみ「えっ?」
希美「一緒によっすぃーの家で遊びましょう」
なつみ「うん、行くけど…」
希美「じゃあサンクスの前で待ってて?あたし達が来るのれす」
なつみ「わかった、すぐ来るよ…」
希美「じゃあ、あとでね」
希美がそう言った途端、電話が切れた。
安倍は受話器を置いた。
するとテレビのスイッチを入れた。
スポーツニュースをしていた。
女子アナ「はい、次は神宮球場でのヤクルト−巨人戦です。」
女子アナはこう伝えた。
男性アナ「ヤクルトは2回、ペタジーニのソロ・ホームランで先制すると3回にも古田の2ランで3−0とします。」
安倍は既に画面に釘付けになっている。
男性アナ「そして6回には打者一巡の猛攻で一挙に6点を挙げました。さあこうなれば栗山監督はピッチャー五十嵐から今日支配下選手登録された戸田にスイッチします」
なつみ「これか…」
安倍は納得した。
男性アナ「戸田は9回、マルティネスに痛い一発を浴びますが後続を断ち切り最後は松井を空振りの三振。初のセーブを挙げました。」
なつみ「春まで同じ仲間だった人が野球選手になったとは…」
安倍はそう言うとテレビの電源を切った。
そして電気も消すとドアを開けてコンビニへと向かっていった。
- 3 名前:sugerbaby 投稿日:2001年02月21日(水)12時19分58秒
- さて、ここは吉澤の家である。
そこには安倍の他に、希美と加護が来ていた。
希美は吉澤にこう言った。
希美「もう落ち着いた?」
ひとみ「うん、大丈夫よ…ありがとう」
希美「そうだ、よっすぃーに忠告があるのれす」
ひとみ「何ですか?」
希美「紗耶香さんの分までがんばるのれす」
ひとみ「…わかった。」
吉澤の顔は既に明るさを取り戻していた。
- 4 名前:sugerbaby 投稿日:2001年03月06日(火)15時04分53秒
- するとガチャ、とドアが開く音がした。
なつみ「誰だべ!?」
安倍がこう言いながら振り返ると梨華が立っていた。
梨華「突然お邪魔して悪かったよ」
梨華はこう言った。
ひとみ「ううん、そんなことない…」
ひとみは控えめに言ってみた。
梨華「しかし驚いたな」
亜依「何がですか?」
梨華「3月まで同じハロプロのメンバーが突然野球選手になるのは」
なつみ「今日の巨人戦から出場してたよ」
梨華「あれって、カントリー娘。やってた人じゃなかった?」
なつみ「そうそう。」
梨華達の野球談義は10分間も続いた。
梨華「じゃあ、夜も遅いのでそろそろ帰るか」
亜依「そうだね」
みんなはそう言うと立ち上がった。
ひとみ「今日はありがとう。楽しかったよ」
ひとみはみんなに言った。
すると梨華達は各々自分の部屋に帰っていった。
- 5 名前:sugerbaby 投稿日:2001年03月07日(水)14時26分31秒
- 市井紗耶香脱退の原因は実はりんねと同じであった。
「野球で自分の実力を試してみたい」
その思いが強くなった為であった。
200X年は2年以上芸能界で頑張った方のみプロ・スポーツの世界に派遣できるというルールが定められていた。
今までに数々の芸能人がプロ・スポーツの世界に派遣されて来たのであった。
ハロプロでもりんね、市井の他に前田有紀や大谷雅恵が派遣されている。
*
翌朝。
とある新聞紙面ではこんな記事があった。
「市井紗耶香、モー娘。卒業と同時に広島入団」
その紙面を真里は目を通していた。
そこで真里は言った。
真里「プロ野球界もこれで賑やかになるのでは?」
圭織「そうかなぁ〜…」
亜依「でも打撃の面では心配はいらないと思う」
梨華「守備もよく出来てたし」
真里「しかしすぐに支配下選手登録って事はなさそうだね」
真里はこう予測した。
しかし数日後、その予測は見事に外れてしまった。
- 6 名前:sugerbaby 投稿日:2001年03月07日(水)16時19分37秒
- 200X年5月29日のとある新聞紙面。
「球界情報(28日)
支配下選手登録公示 【広島】市井紗耶香内野手
出場選手登録公示 【広島】市井紗耶香内野手(打線強化)」
真希は上野駅構内でその新聞を読んでいた。
真希「なぜかすごい事になってるよな…」
真希は言った。
希美「今日の阪神−広島戦から出場するかもしれないのれす」
真希「その試合の予告先発は阪神が木村麻(2勝4敗)で広島が滝沢(2勝)という風になってるのだが…」
希美「スタメン出場がなくても代打で出場という事もあるのれすが…」
真希と希美が話しているうちに電車が来た。
二人はその電車に乗り込むと他の娘。達のいるスタジオへと向かった。
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