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よしごま小説

1 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月21日(水)14時03分52秒
赤板でも小説かいてるのでよければそちらも
覗いてみて下さい。題名は「初小説」です。
2 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月21日(水)14時32分56秒
あたしの通っているのは私立の女子校。
大学までエスカレーター式なのでとりあえず受験の心配はない。
友達とも上手くやってるし、毎日は楽しく過ぎていく。
あたし、別に部活をやってるわけじゃないから放課後は結構暇だったりするんだよね。
いつもなら友達とフラフラ遊びに出かけるんだけど今日はみんな他の用事があるみたい。
このまま帰ってもすることがあるわけじゃない。
だったら、図書室で少し居眠りでもして暇を潰そうと思って足を運んだ。

図書室の扉を開ける。
「お〜!誰もいないよ…。」
あたしにとっては好都合の状態。
シンと静まり返った図書室。
なんとなく嬉しくなる。
読書専用の机に鞄をおいて、あたしは広い図書室の奥へ足を進めた。
別に読むわけでもないのにあたしはどんな本があるかなぁと辺りを見渡しながら歩く。

奥の方はなんだか分厚くて難しそうな本ばかりが並んでいる。
あたしは一番奥の本棚を横切ってその本棚に目線を移す。
「!!」

そこには1人の女の子が本棚を背もたれに、長い足を放り出して床に座っていた。
「び、びっくりした…。」
あたしは誰もいないと思っていたので突然視界に入ってきた女の子に驚いていた。
(…ん?寝てるのかなぁ?)
その子は手に分厚い本を持ったまま目を閉じていた。
本はちょうど真ん中辺りのページが開かれていて小さい活字がギッシリ書かれている。
たぶん、本を読んでて寝ちゃったんだろう。
3 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月21日(水)15時10分00秒
あたしはちょっとした好奇心からその子の顔を覗いてみる。
(うっわ〜、すごい美人…。)
寝顔からでも美人と分かるくらい整った顔立ち。
短めの髪が色白の顔にとても似合っている。
名札に目をやると
『3−D 吉澤ひとみ』
そう記してあった。
同じ学年だ…そういえばクラスの子がスポーツ万能で勉強もできるかっこいい子が
D組にいるって騒いでたっけ…。
あたしも後ろ姿くらいなら何度か見かけたことがある。
それにしても美人だなぁ…。
あたしはしばらくその顔に見とれてしまっていた。

その時、吉澤さんの目がパチッと開かれた。
「…うわっ!!」
吉澤さん相当びっくりしてる。
まぁ、確かに…起きた瞬間、知らない人が至近距離で自分の顔見てたらビックリもすよね。
「ご、ごめん!…」
いきなり吉澤さんが起きた事にビックリしながらもあたしは謝った。
しかし、そんなときでもあたしは吉澤さんの目を覚ましている時の
顔が見れたことに嬉しさを感じていた。
彼女は驚いたときに落とした本を拾いながらあたしの名札を見て
『あ!』と言うような表情をした。
「あなた…後藤真希さん?」
「あ、そうだけど…。」
「そっか、あなたが後藤さんか…。」
吉澤さんがあたしの顔を嬉しそうに見ながら言う。
「へ?」
「あ、いやクラスの子がね言ってたの。
 A組に後藤真希って言うすっごい可愛い子がいるって。ほんとに可愛いね〜。」
お互い様ってことか…。
それにしても吉澤さんはまだあたしの顔をマジマジと見ている。
それもかなり顔を近づけて…。
なぜだかさっきからずっと胸がドキドキしてる。
あたしは何か話さなきゃと思って吉澤さんが脇に抱えている本のことを聞いてみた。
「ずいぶん、難しそうな本読むんだねぇ。」
「あ、これ?そうでもないよ。結構面白いし、後藤さんも読んでみる?」
「え?あ、無理無理!あたし、本読んでると眠くなっちゃうから。」
「あはは…ん?あ!!やばっ!!」
吉澤さんは側の柱にかけてある時計を見てびっくりしたように叫んだ。
「ごめん!あたし、これから部活なんだ、じゃあね!」
そう言って慌てて図書室を出ようとした。
「ね、ねえ!!いつも、ここいるのー?」
「放課後は大抵ね!」
そう言い残して図書室を去って行った。

あたし後藤真希、なんだか恋をしたみたいです。
4 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月22日(木)01時19分50秒
おっと学園物スタートっすか!
いい感じですね。面白そう。
頑張って下さい!
5 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月22日(木)03時08分34秒
学園モノもよしごまも大好きです。頑張って下さい。
6 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月22日(木)13時12分59秒
赤板のよしごまもいつも読ませて頂いてます。
ここも、楽しみ♪
7 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月22日(木)15時58分17秒
>4,5,6
まだ全然内容予定のない話ですが、皆様に満足してもらえるようやっていきたいと思います。
8 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月23日(金)22時33分05秒
次の日、あたしは朝から落ち着かなかった。
いつもはウトウト眠くなる授業もなんだか胸がドキドキして全然眠くなかった。

昼休み。
あたしは1人屋上でボーッと雲一つない青空を見ながら考えていた。
どうしよ……マジで好きになっちゃった…こんな気持ち初めてだよ……。
出るのは熱っぽい溜め息ばかり。
その時、後ろから自分を呼ぶ声がした。
「ごっちーーーん!!」
「あ、やぐっつぁん。」
「一緒にお昼たべよー。」
「いいよぉー。」

あたしとやぐっつぁんは家が隣同士。昔から家族ぐるみの付き合いで、
小さいときから姉妹みたいな仲なんだ。
やぐっつぁんはこの学校の高等部2年生。
校舎は違うけど昼休みや放課後は結構一緒に過ごしてる。
見た目はギャルってるやぐっつぁんだけど、かなり頭良いんだよねぇ〜。
そのギャップと145cmという背の低さからなのか、うちの学校で
『矢口真里』って名前を知らない人はいないぐらい顔が広い。

「どうしたの〜ごっちん?食べないのー?」
あたしが手に持ってるパンが全然減らないのに気づいて
やぐっつぁんは不思議そうに聞いてきた。
「え?あ…うん。」
「??………何?どうしたのさ〜!!」
そう言う目は教えて!!て、訴えてる…。
「じ、実は……。」

あたしは事の経緯をやぐっつぁんに話した。
「お〜!!ごっちんが恋に落ちるとはねぇ〜。」
少し驚いたように言う。
確かにあたしは他の中学校の男子からコクられたりしても全部断ってきた。
理由はあたしが好きじゃないから。
全く知らない相手と付き合うなんてあたしには考えられないよ。

「本当に美人なの!かっこいいって言うのかなぁ……
 背も高いし。知らない?吉澤ひとみって言うんだけど…。」
「あ〜、あの子?知ってる、知ってる。」
9 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月23日(金)22時38分15秒
「本当!?」
「うん。だってあの子生徒会で書記してるから本部の集まりの時とか会うもん。」
そう、やぐっつぁんは顔の広さと頭の切れの良さで、高等部の副生徒会長を
任されてる。ほんと、優秀だよ。
しかし、吉澤さんがそんなことしてたなんて知らなかった。
今まで生徒会なんて興味無かったからなぁ…。

「まぁ、確かにごっちんが好きそうな感じかもねぇ〜。」
「そ、そうかなぁ…。」
10 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月23日(金)22時49分13秒
「そうだよ。中世的な感じでさ。」
そう言われればそうかも。
「でも、ごっちん、結構大変かもよ〜。」
「へ?」
「あの子、相当ルックスいいじゃん?高等部でも人気なんだよねー。」
「え゛ーー!!そうなの!?」
「うん、生徒会にも入ってるから結構目立ってんのよ。本部の仕事も文句一つ
 言わずに引き受けてくれるから、先輩受けいいし…狙ってる子多いんじゃない?」
「………う〜…困るぅ〜…」
「あはは、まぁあたしはごっちん応援してるからさ。頑張りなよ!」
「うん…ありがと。」
11 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月24日(土)02時23分41秒
優秀なやぐっつあん萌え(w
12 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月24日(土)03時21分56秒
知って実際アイドル偏差値順位で結構いい位置付けてた(過去形 んだよね。
ローティーンアイドルではトップクラスだったはず
どうでもいいすねすんません
作者さんファイトっす
13 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月24日(土)10時32分08秒
>11,12
感想ありがとうございます♪
14 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月24日(土)12時46分48秒
そして放課後………

あたしは友達の誘いに適当な理由をつけて断った。
1人図書室へ向かうあたし。何となく自分の顔が熱くなってるのが分かる。
大体あたし、吉澤さんに会って何を話すんだ?
昨日会ったばっかで、ほんの少し言葉を交わしただけ。
それでも、あたしの足は止まることはなかった。
どうしても、会いたい。もっと、彼女のことが知りたい。

ついに図書室の入り口前まで来ちゃった……。
一回深呼吸をして、そっと扉を開ける。
いるかなぁ?………あ!!

吉澤さんは誰もいない静まり返った図書室で1人机に向かって本を読んでいた。
扉の金具の音がギッ…と部屋に響く。
彼女はパッと振り返ってこっちを見た。
15 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月24日(土)22時22分40秒
>10
ここの、一番最初の台詞が…
「中世的」じゃなくて「中性的」ですね……
ほんと、すいません。。。
16 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月24日(土)22時32分45秒
「あ、……また、会ったね。」
吉澤さんは少し驚いたようにあたしを見たあと笑顔でそう言ってくれた。
「う、うん。」
(はぁ〜、可愛い〜〜……)

「どうしたの?」
あたしがその場に立ちつくしているのを不思議に思って吉澤さんは言った。
「へ!?あ、その………隣座ってもいい?」
「え?うん。」
吉澤さんは首をかしげながら答えた。
あたしは彼女の隣のイスに座る。
「本、借りに来たの?」
本を読みながら吉澤さんは聞いた。
「ううん、なんとなく暇だったから……。」
「そっか。」
17 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月24日(土)22時46分09秒
「うん…、面白い?その本…。」
彼女が読んでる本を見つめてあたしは聞いてみた。
「うん。面白いよ。」

はぁ〜、なんでそんなにかっこいいのぉ〜…。
あたしは吉澤さんの横顔にボーッと見とれていた。
彼女の行動、一つ一つに胸がドキドキする。

「吉澤さんてさぁ、かっこいいよねぇ。」
「は?」
吉澤さんはそれを聞いてまた不思議そうにあたしを見た後、笑いながら
「後藤さんって変わってるよね。面白い。」
そう言った。
「そうかなぁ…。」
「うん、後藤さん相当面白いよ。」
「あ、後藤さんじゃなくてごっちんでいいよ。」
「ごっちん?」
「そう。」
「じゃ、あたしも吉澤さんは堅苦しいから、適当に呼んで。」
「そうだね、じゃぁ〜、うーんと……よっすぃー。」
「よっすぃー??」
「うん。いいでしょ?」
「あはは、うん。気に入った!」
こうして、あたし達は20分程度おしゃべりをして楽しんだ。
18 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月25日(日)21時13分18秒
「あ、そろそろ時間だから、行くね。」
そう言ってよっすぃーはイスから立ち上がる。
「バレー?」
「うん。」
「そっか、頑張って。」
「ありがと、それじゃあね。」
「バイバーイ!!」
……行っちゃった。
一日でこんなに仲良くなれるなんて。
話してみて分かったけど、見た目とは違ってよっすぃーは結構普通の女の子だった。
その事があたしは妙に嬉しかった。

始まったばかりの恋。
出だしは順調です。
19 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月26日(月)00時35分55秒
よしごまいい感じ
学園モノなので矢口以外も出る予定なのでしょうか?
20 名前:名無しさん 投稿日:2001年02月26日(月)01時23分11秒
正統派学園モノですね。
続きが楽しみです。
21 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月26日(月)17時26分22秒
それから、一週間。
毎日、あたしは放課後、図書室に通い詰めた。
そのかいもあって
随分よっすぃーと仲良くなることができた。
そして、今日もまた図書室に向かう。

あー、遅くなっちゃった!
も〜、なんでこんな日に日直なのさぁ〜!!
あたしは廊下を全速力で走る。
よっすぃー、もう部活に行っちゃうよ〜!!

22 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月26日(月)17時29分35秒
>19
そうですね、自分としてはそうしていくつもりです。
>20
どうも、ありがとうございます
実はこの後、よっすぃーとごっちんに大変なことが起こるんです……
23 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月26日(月)17時35分42秒
このネタは、昔こんなTV番組があったような気がして
面白いかなっと思い使わせてもらいました。
拙い文章ですいませんm(_ _)m
24 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月26日(月)17時42分17秒
飛び込むようにして図書室のドアを開けた瞬間………

『ドン!!!』

あたしはちょうど、図書室から出てきたよっすぃーと、思いっきり
ぶつかってしまった。
二人ともぶつかった勢いで倒れた。

「……った〜…。」
「よ、よっすぃーゴメン!」
あたし達は同じように頭を押さえて起きあがった。

「「………………」」

……なんで……目の前にあたしが……いるんだ??


25 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月26日(月)18時08分37秒
……よっすぃーは?確か、さっきぶつかったはず……だよね?

あれ??あたしは図書室に入ろうとしたんだよ?
なんでこっち側にいるのさ……
あたしが倒れていたのはなぜか図書室の中のドアの側。
そう、ちょうどよっすぃーが倒れているはずの場所………
どうなってんだぁ???

もう1人のあたしも困惑の顔であたしを見た後、自分の体をまじまじと見ている。
髪の長さまで触って確かめてる。
そして、自分の名札を見て
「………えええええええええ!!!!!!!」
思いっきり驚いて叫んだ。
「……あたし……ごっちんになってる……。」
あたしが真っ青な顔で呟いた。

ごっちんになってる?何?どういうことなのさ……
そうだよ、あたしは誰なんだ?目の前にいるのはあたし……
髪を触ってみる
…髪が……短い…あたし、長かったよね?髪……
足下に目をやるとソックスが違う。
あたしが履いてたのはルーズ。
けど、今履いてるのは学校指定の紺のソックス……
名札に目をやると
『3−D 吉澤ひとみ』
「……へ?……」

見つめ合う二人。

「………よっすぃー?………」
「………ごっちん?………」

もしかして……こんな事って……
……あたしとよっすぃー中身だけ入れ替わっちゃった!!??
26 名前:ティモ 投稿日:2001年02月26日(月)22時36分59秒
お〜すごい展開。
期待してます。
27 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月26日(月)22時48分35秒
>26 ティモさん
有り難うございます♪
28 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月26日(月)22時55分03秒
とりあえずあたし達は図書室の机で向かい合ってすわる。
う〜ん…どっからどう見てもあたしだ……。
あたしはあたしの姿をしたよっすぃーにむかって
「その……中身はよっすぃーなんだよねぇ?」
聞いてみた。
「うん……そっちは、ごっちんなんだよね?」
「うん……。」
「入れ替わっちゃったってことかなぁ……。」
「たぶん…。」
沈黙。。。。
29 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月27日(火)23時02分59秒
「……ぶつかっちゃった時か…。」
よっすぃーは自分に言い聞かせるように呟いた。

そっか……あの時だよね……どうしよぉ…もっと、あたしが注意してれば…。
「ご、ごめん…あたしのせいで。」
「え?そんな、ごっちんは悪くないよ。あたしがボーッとしてたんだし…。」
あ〜、よっすぃー、なんて優しいんだろう……(はぁと
こんな時でも、よっすぃーに胸をときめかせてる自分がちょっと情けない。
でも、あたしはその大好きなよっすぃーになっちゃったんだよね……。
なんとも言い表しにくいこの感じ。
とりあえず、あたし達はこのまま普段の生活を送ることになったので
お互い、生活をする上での気をつけること等を色々と話し合った。
よっすぃーは、事の状況が飲み込めてからは意外にも前向きな考え方だった。
これまで優等生をしてきたこともあってか、あたしの自由気ままな学校生活を
体験できることがかなり嬉しいらしい。そして、160cm以下になれたことも…。
30 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月27日(火)23時17分33秒
よっすぃーとあたしは一緒に帰ることにした。
廊下を歩いていて確かに目線の位置が高いことに気づく。
よっすぃーっていつもこんな風に見えてるんだ……。
なんだか、少し嬉しい。

あたしのローファーと違ってかかとが踏みつぶされてないよっすぃーのローファー。
それを履いて二人並んで校門に向かう。
なんだか、二人並んでいるのが不思議なほど正反対なあたし達。
こんなあたし達が中身が入れ替わっちゃうなんて、神様は何が目的なんだ?
31 名前:すなふきん 投稿日:2001年02月27日(火)23時18分22秒
これからはよっすぃー視点も混ぜていきたいと思います。
32 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月01日(木)23時07分18秒
帰り道。
「明日から大丈夫かなぁ……。」
あたしはちょっぴり不安になってよっすぃーに言ってみた。
「う〜ん、大丈夫でしょ。」
そうなんだよね。この一週間、よっすぃーとあの図書室で色んな話して思った
んだけど、よっすぃーって要領がいいって言うか、度胸があるって言うか…
結構、マイペースって言うのかなぁ……。あたしも人のこと言えないけどさぁ……。
あたしの場合、それがうまく学校生活とかみ合ってないんだよねぇ。
その点、よっすぃーはうま〜く歯車がかみ合ってて何事も要領よく
こなせちゃってるみたいなんだぁ。

その後、あたし達はお互いの住所を教えあって、それぞれの家へ向かった。
よっすぃーのお家は結構学校から離れてて、バスで40分くらいのところにあった。

「うっわ〜、おっきぃー……。」
あたしの目に入ったのは、日本風のでーーっかいお家。
立派な門に吉澤と書かれた表札。
よっすぃーは昔から代々続いている有名な和菓子屋さんの1人娘。
両親はとても理解のある人達だから、ってよっすぃーは言ってた。
とは、言われたモノの、やっぱり不安だ。。。。
33 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月01日(木)23時08分49秒
とりあえず、更新。
リクエストや感想待ってます。
34 名前:ま〜 投稿日:2001年03月02日(金)00時42分08秒
おお!?
すなふきんさんの新しい小説だ!
続き期待してますよ〜♪
35 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月02日(金)23時09分51秒
>34 ま〜さん
ありがとうございます!
36 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月03日(土)17時39分34秒
「と、とりあえず中に入らないとね。」
あたしは、門を通って砂利の間に敷き詰められた石畳に従って歩く。
辺りには手入れの行き届いた松の木等の大きな植木が上品に並んでいる。
少しすると家の玄関が見えた。
(落ち着くのよ、後藤。いつものマイペースでいけば大丈夫!)
そう自分に言い聞かせて玄関の戸を開ける。
開けたとこに家政婦さんらしき人がちょうど通りかかった。
人の良さそうなおばさんだ。
「あら、ひとみお嬢さんお帰りなさい。」
あたしの顔を見て笑顔でそう言ってくれた。
「た、ただいま……(汗」
あたしがよっすぃーと入れ替わって初めてよっすぃー意外に話しかけられた。
家政婦さんはそれを聞くと忙しそうにまた何処かに行ってしまった。

ふ〜、……焦ったぁ〜。でも、あのおばさん何にも気づいてないや。
あたしはそれがなんだか自信になって、気持ちに余裕が出てきた。
とりあえず靴を脱いで家の中に入る。

「二階の一番奥の部屋があたしの部屋だから。家の中でそこだけフローリングに
 だからすぐ分かると思うよ。」
よっすぃーがこう言ってたのを思い出す。
あたしは辺りを見回しながら廊下を歩く。
「階段…階段…お!見つけた。」
長ーい廊下の曲がり角のところに階段があったのでゆっくりとのぼって二階にあがる。
「奥の部屋……これかなぁ??」
なんとか、あたしは廊下の一番奥らしいところへ着いたけどここがよっすぃーの
部屋かどうか分からない。
「フローリングの部屋ならいいんだよね。」
そっと扉を開けるとそこは綺麗に片づけられたフローリングの部屋。
37 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月03日(土)17時47分40秒
よっすぃーの台詞がおかしいですね…
「〜ふろーりんぐにだから〜」
になってますが正しくは
「〜ふろーりんぐだから〜」
です。読者の皆様すいません……(汗汗
38 名前:マルボロライト 投稿日:2001年03月04日(日)20時30分13秒
やっぱりすなふきんさんのよしごまは良いですね〜
この話「転校生」や「放課後」を思い出します。
がんばって下さい!
39 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月04日(日)20時54分12秒
>38 マルボロライトさん
感想ありがとうございます。
頑張りますよ〜♪
40 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月05日(月)22時37分43秒
赤板の話が軌道に乗ってきたので、こちらの更新は少し遅くなるかもしれません。
気長に待っててもらえれば幸いです。
41 名前:まだ名無しです@ごめんなさい 投稿日:2001年03月09日(金)20時25分48秒
すっごい期待してます〜
頑張ってこちらも更新してくださいね♪
42 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月09日(金)22時01分27秒
>41 名無しさん
ありがとうございます♪
43 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月09日(金)22時16分18秒
「ここかぁ……。」
辺りを見回しながら部屋に入る。
よっすぃーらしいって言うのかなぁー、サッパリとしていて清潔感がある部屋。
これから元の姿に戻るまであたしの部屋はここなんだよね……。
「ん〜……。」
制服のままでバサッとベッドに倒れ込む。
「何だかなぁ〜……こんな事になるなんてさぁ。」
天井を見つめながら呟く。
その時、携帯から着メロが流れてきた。携帯だけはお互い、自分のものを持っていた。

44 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月09日(金)22時16分59秒
次はよっすぃー視点です。
45 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月09日(金)22時41分43秒
何故、こんな事が起きたのか全く分からない。
そう、あたしは友達になったばかりのごっちんと
図書室の前で思いっきりぶつかっただけ。
そう、それだけなのに………あたし達は中身が入れ替わってしまった。
人格だけそっくりそのまま。
元に戻る方法なんてあたし達には分からない。
まぁ、どうにかなるでしょ。
「あ、ここか……。」
ごっちんと別れて約15分。
ごっちんの家に着いた。洋風の新築っぽい感じの家。
あたしはごっちんの鞄からゴソゴソと鍵を取り出す。
ごっちんの家は母子家庭。だから、昼間は誰も家にいないんだって。
ガチャッと扉を開ける。
「……ただいま〜…。」
シンと静まった家にそっとあがる。
誰もいないんならこっちとしてはやりやすいぞ。
「ごっちんの部屋は……。」
二階に上がって右の部屋……。ごっちんが言ってた。
入ってみると
「…………。」
……あたしの想像を超える散らかりよう。
足の踏み場もないってこのことを言うんだなぁって思わずにはいられなかった。
「……と、とりあえず片づけないと……。」
あたしは制服のまま1人淋しく片づけ始めた。
46 名前:すてっぷ 投稿日:2001年03月10日(土)22時13分02秒
とりあえず片付けてしまうよっすぃー…良いですねー。
続き楽しみです、がんばって下さい!!
47 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月10日(土)22時48分31秒
>46 すてっぷさん
有り難うございます。
黄板のよっすぃーはマイペースと言うことで……(笑
48 名前:まだ名無しです@ごめんなさい 投稿日:2001年03月13日(火)14時55分53秒
面白いですね〜
この後どうなっていくのかすごい期待です♪
49 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月13日(火)22時44分37秒
>48 名無しさん
有り難うございます♪
黄板の方は更新が遅いので気長に待ってもらえれば幸いです。
50 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月17日(土)23時09分28秒
片づけ初めて約30分。
床に散乱していた雑誌、マンガ、教科書を本棚に綺麗に整頓すると
だいぶ部屋も片づいた。
「結構片づいたなぁ……。」
あたしは、少し疲れてその場に座り込む。
「………ごっちん、どうしてるかなぁ?……。」
あたしは鞄から使い慣れたケータイを取り出してごっちんにかける。

『……もしもし?』
「あ、ごっちん?」
『あ〜〜、よっすぃ〜』
ケータイを通してごっちんのホッとしたような声が聞こえる。
と言ってもあたしの声だけど……。
「そっちどう?」
『もう、ドキドキだよぉ。よっすぃーの家、家政婦さんとかいてさぁ。』
確かに、それは大変だ。
「……ま、まぁみんないい人達だから大丈夫だよ。」
向こうからう〜んと困ったような声がする。
あたしも自分で言っといて何が大丈夫なのか分かんないけど……。
『で、よっすぃーは?』
「う〜ん、誰もいないから、特には何もないけど………あ!!ていうか、
 ごっちん、部屋汚すぎだよ!」
『あ〜、ゴメンゴメン。あたし、出したものそのままにして
 片づけないんだよねぇ〜、あはは。』
ん〜……何て言っていいのか、言葉が出ない。
あたし達はのまま20分くらい話した。

51 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月17日(土)23時10分09秒
久々の更新です。
52 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月18日(日)17時25分22秒
ケータイを切ったあたしはこのまま制服でいるわけにもいか
ないので、とりあえずタンスの中にあった服に着替えた。
「………。」
部屋にある全身鏡に着替え終わった自分の姿をうつす。
イメージ通り、ごっちんの服はギャル系のものばかりだった。
何というか、何処から見てもごっちんだ。
あたしは、バフッとベッドに寝転がる。
「……はぁ〜、どうなんのかなぁ……。」
53 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月19日(月)23時12分18秒
…………ん…んっ!……
あたしはガバッとベッドから体を起こした。
「…寝ちゃったんだ……。」
あたしはベッドに寝ころんだまま寝てしまったらしい。
「何時だろ?」
ベッドの側にある時計をみると7時ちょっと前。
1時間くらい寝ちゃってたみたい。
「……ん?」
なんか、下の階から物音が聞こえる……。
「……なんだろ…?」
あたしはボーッとした頭のままソロソロと
階段を下りて物音のする方へ行ってみた。
……台所?
バタンと冷蔵庫が閉められる音。
あたしはそーっと台所を覗いてみた。
「……!!」
そこにはジュースをグラスに注いでいる男の子が……。
「あ、真希ちゃんいたの?」
うっ、見つかってしまった………真希ちゃん?
あ!あたしのことか……と言うことは、これがごっちんの言ってた
生意気な弟くん?
確か、ゆうきって名前だったよね……。
あたしは、ごっちんから弟が1人いるからと聞かされていた。
「……あ、うん。」
しかし、似てる………。
ごっちんが、かなり似てるとは言ってたけど、いくらなんでも
この兄弟は、似すぎなのでは……。
う〜ん、生命の神秘……。
54 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月20日(火)22時10分23秒
あまりにごっちんと似ているので、あたしがジッと見ていたら
「な、何ジロジロ見てんだよ。」
と一言。
うっ……確かにごっちんの言うとおり生意気かも……。
あたしは、クルッと向きを変えて、また自分の部屋に戻った。

バタン、とドアを閉めて机に向かう。
「……明日の予習でもやるか……。」
クラスが違っても、勉強内容はそんなに変わらないだろうと思って
あたしは習慣になっている明日の予習をしようと思った。
バッグから教科書を取り出そうとしたが、ごっちんのバッグには
ほとんど教科書が入っていなかった。
「……はぁ〜。」
……学校に置いてきてるんだ…。
仕方ないので本棚にある参考書を勝手にやらせてもらうことにした。
全く開いた形跡がない参考書。
まぁ、ごっちんらしいと言えばごっちんらしいのだけれど……。
あたしは、何もしていないと余計なことを考えそうだったので
黙々と問題を解いていった。
55 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月21日(水)05時42分00秒
はたから見たら、黙々と勉強する後藤の姿・・・。
他人が見たら(いや、家族もか)驚きそうだ。(笑)
吉澤の姿の後藤はどうしてるかな。こっちの方が騒ぎ起こしてそう。
56 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月21日(水)23時07分50秒
>55 名無し読者さん
自分も書いてて二人のギャップを楽しんでます♪

それにしても、更新遅くてすいません(汗…
57 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月22日(木)13時42分59秒
〜後藤視点〜

あたしはよっすぃ〜にまた明日ねと言ってケータイをきると、寝転がっていた
ベッドから体を起こして思いっきり腕を伸ばした。
「ん〜〜〜、はぁっ……着替えよっかなぁ…。」
あたしは部屋にあるクローゼットを開けた。

「よっすぃーってこういうの着るんだぁ。」
クローゼットの中は意外にも今時の服が多くてちょっとビックリ。
「もっと、シンプルなの着るのかと思ってたんだけど…。」
あたしはブツブツと独り言を言いながらクローゼットの中をあさりまくる。
「スカート、はかないのかなぁ……。」
そう、あさっていて気づいたんだけど、スカートがあんまないんだよねぇ〜。
あってもロング。
「パンツスタイルが好きなのかぁ……。」
自分の周りに散らばっている服の中から適当に選んで着替えた。

「スタイル良いんだからミニはけばいいのに……もったいないなぁ〜。」
呟きながら、よっすぃーになってしまった自分の姿を見る。
「………そうだ♪」
あたしは側にあったよっすぃーのバッグと自分の財布を掴み、上着を
着て部屋を出た。

「あら、お出かけですか?」
ドタドタと階段を駆け下りるあたしを見て家政婦さんが声をかけてきた。
あたしは足を止めて
「あ、うん。え〜と…学校に忘れ物しちゃって…。」
「外も暗くなり始めてますから気をつけて下さいね。」
「は〜い。」
あたしは靴に履き替えて外に出る。
「ふ〜、ジッと家にいてもしようがないしね〜♪」
あたしは鼻歌を歌いながら買い物に出かけることにした。
58 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月22日(木)13時53分52秒
〜吉澤視点〜

『コンコン』
部屋のドアがノックされた。
あたしは問題を解くことに集中していたので机に向かったまま返事をした。
「は〜い。」
ガチャとドアが開く音がしてゆうき君の声が後ろから聞こえた。
「母さんがごはんできたから下りてこいって………って、何してんの……。」
その質問にあたしは後ろを振り返った。
……何って……言われても……
「問題解いてるけど……。」
「……何で……。」
「え?」
何でって言われてもなぁ……。
「暇だったから……。」
「…………。」
二人の間に沈黙が流れる。
……あたし変なこと言ったっけ?……
ゆうき君が何故か固まっているので
「ね、ねぇ……。」
と声をかけると、ハッと我に返ったような顔をして
「か、母さ〜〜〜〜〜ん!!ま、真希ちゃんがーーーー!!!」
そう叫んで行ってしまった。
59 名前:マッチ 投稿日:2001年03月22日(木)14時33分40秒
お・面白いッス(^^)
真面目に勉強してるごっちん…(わら
更新頑張って下さい〜
60 名前:バービー 投稿日:2001年03月22日(木)18時52分10秒
さっすがすなふきんさんですね〜。おもしろいです!!
赤板の方もROMってます。頑張って下さい!
61 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月22日(木)22時19分02秒
>59 マッチさん
真面目に勉強しているごっちんの姿はなかなか好評のようですね(w
更新頑張ります♪

>60 バービーさん
いえいえ、まだ修行不足で拙い文章なんですが、そう言っていただけると
嬉しいかぎりです♪
その上赤板の方まで見ていただけているなんて(涙涙…
62 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月22日(木)23時09分07秒
〜後藤視点〜

「あ〜、これも可愛い〜♪」
さっきから洋服屋を何軒も見て回ってるあたし。
せっかくこのスタイルの良い(その上大好きな)よっすぃーの体に
なれたんだから……。
すっかりご機嫌のあたし。
「このスカートにしよっかなぁ〜♪……あれ?……。」
洋服が並べてある棚の向こう側に見覚えのある後ろ姿が。
金髪に近い色に染められた髪にギャル系ファッション。
そして何よりあれだけの厚底を履いてるのにあの身長ということは
「やぐっつぁ〜〜〜〜〜ん!!」
「え?」
あたしはやぐっつぁんに思いっきり抱きついた。
だって、この体になって初めて知ってる人に会ったんだもん。
しかも、大の仲良しのやぐっつぁんに。
ん?待てよ……この体になって?……そうだ……あたし、よっすぃーに
なっちゃてたんだ………。
あたしの腕の中にいるやぐっつぁんはかなりの困惑顔であたしを見つめている。
気まずく苦笑いをしながらあたしはゆっくり体を離した。
「あ、あははは……。」
「あなた……吉澤さん……よね?」
63 名前:マッチ 投稿日:2001年03月23日(金)13時56分46秒
うっ…どうなる?(わら
64 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月23日(金)15時51分09秒
>63 マッチさん
ほんとに、どうなるんでしょうね(w
自分でかいてても先が予想できない……
65 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月23日(金)16時26分35秒
何故か喫茶店にいるあたしとやぐっつぁん。
あれからやぐっつぁんの誘いでここへ来てしまった。
多分、あたしが毎日やぐっつぁんによっすぃーの話しばっかしてたからだ…。

「後藤真希って知ってるでしょ?」
やぐっつぁんはあたしを面白そうに見ながら話しかけてきた。
……ていうか、あたしなんだけど……
「あ、はい…。」
あたしは、何だか変な気持ちで答えた。
「あたし、あの子と家が近所で仲いいんだよね。それで、毎日のように
 『よっすぃー』の話し聞かされてわけ。」
……顔がにやけてるよ、やぐっつぁん……
「はぁ…。」
あたしはどうリアクションしていいのか分からなくて曖昧な返事をする。
「それにしても、ごっちんの言うとおり美人だよね〜。」
あたしの顔をジッと見つめてやぐっつぁんが言ってきた。
いきなりそんなことを言われたのであたしは飲んでいたコーヒーを喉に
詰まらせてゴホゴホとむせた。
「だ、大丈夫!?」
「あ、はい……。」
もう、急に変なこと言わないでよ……でも、好きな人が誉められてるのって
やっぱ嬉しい……。
「まぁ、仲良くしてやってよ。あの子、よっすぃーのこと相当気に入ってる
 みたいだからさ♪」
「はぁ……。」
うっ……なかなか辛いかも……この状態って……
あたしはそんなことを思いつつもやぐっつぁんて、やっぱりいい奴だなぁ〜と
思わずにはいられなかった。
66 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月25日(日)14時22分44秒
ちょっと、息抜きと言うことで、短編いきたいとおもいます♪
もちろん、よしごまで(w
67 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月25日(日)14時39分56秒
〜最後の願い〜

メンバーのみんなが寝静まった深夜ののホテル。

「……っ……んっ…」
「…よっすぃー……よっすぃー……」
暗い部屋に響く喘ぎ声を聞いてあたしは執拗に彼女を求める。


彼女はあたしが望めば何だって応えてくれる。
愛してるって言って、と言えば愛してると言ってくれる。
キスして、と言えばキスしてくれる。
体を求めれば何も言わずに服を脱いでくれる。


「ハァ…ハァ……」
ベッドの上で荒く呼吸を繰り返す彼女を抱き起こしてきつく抱きしめる。
「…ゴメン……」
あたしは少し体を離して呟くように謝る。
それを聞くと彼女はいつも
「……ううん。……ごっちんの言うことだから……」
と、悲しそうに笑うんだ。


あたし達2人がこんな関係になってどれくらい経ったっけ………。
すぐ横で白い肩を見せながら静かに寝息をたてる彼女を見て思った。

これほど人を好きになるなんて思わなかった。
ましてや同性なんて………。

彼女のことを思うたびに涙を流し、独占欲ばかりが沸いてきた。
自分がこんな人間だったなんて、と驚くほどに……。

自分だけを見て欲しい。
あたしのことだけ考えて欲しい。
「あたしのことだけ見てよ!」と、彼女に怒鳴ったこともあった。
それでも、彼女はただ哀切な表情を浮かべて微笑しているだけ。

結果的にあたしの願いは彼女を抱くことでしか叶わないと分かった。
睦言のように彼女の名前を呼び幾度と無く交わった。


68 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月25日(日)14時51分32秒
だけど、その後に見せる彼女の悲しい笑顔があたしの脳裏から
離れることはなく、あたしは酷い罪悪感に包まれた。


彼女の体を後ろから抱きしめて囁く。
「…よっすぃー……」
彼女は抱きしめたあたしの腕を解いてあたしの方に寝返りを打った。
「…どうしたの?……」
「あのね………」

最後のお願い。一緒に死んで………。

「あたし、よっすぃーのその顔が一番好き…」
彼女はやっぱり、何も言わずただ悲しい笑顔を浮かべる。


 〜END〜 
69 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月25日(日)14時53分43秒
いかがでしょうか?
思いつきでバーッとかいたので、変なところがあるかも……(汗
感想お待ちしています。
70 名前:バービー 投稿日:2001年03月25日(日)18時57分37秒
すごくいいと思います、文章の表現が何か
きれいで、読みやすかったです。私的には
こういうタイプも好きだったりします。
71 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月25日(日)21時46分22秒
>70 バービーさん
感想ありがとうございます♪
たまにはこういう話しも出していけたらなぁ〜、なんて思ってます。
72 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月25日(日)21時54分08秒
あ゛ー!!早速ミスが……。
一番最初のところ「深夜ののホテル」になってますが
「深夜のホテル」です。
「の」が一個多かった……
73 名前:マッチ 投稿日:2001年03月26日(月)19時53分03秒
いいですよ〜
ちょっと最後の”死”って言葉にドキッとしてしまいましたが…
74 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月26日(月)21時38分34秒
>73 マッチさん
初の短編なんで、そう言ってもらえると嬉しいです♪
75 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月27日(火)00時28分18秒
かなり、きゅん、ときますね。やっぱ優しいよっすぃ〜と求める後藤はサイコ〜です。赤板のほうの小説も大好きなんで頑張って下さい
76 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月27日(火)22時41分43秒
有り難うございます♪
しかし、どちらの板も更新が送れてしまっていて……。
ほんと、すいません。
77 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月27日(火)22時42分40秒

>75 名無しさんへ
78 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月28日(水)22時28分50秒
−翌朝−

〜吉澤視点〜
「いってきまーす。」
玄関を出ながら言った。
ごっちんの家から学校までは結構近い。
あたしは時間に余裕があるのでゆっくり歩きながら登校する。

昨日はとにかく大変だった。
「何か、悩み事でもあるの?」
なんて、ごっちんのお母さんが言い出すからあたしはビックリ。
そんなに、ごっちんの勉強する姿は珍しいのだろうか…。
「べ、別にないよ…。」
と言っても、ごっちんのお母さんは神妙な顔つきであたしをみるばかり。
今日の朝も時間通りに起きて、顔を洗っていたら
「あんた、なんで起きてるの?」
って言われたし……。なんでって、学校に行くからだよ……。

「はぁ〜……。」
なんだか、朝から疲れてしまった。
一体ごっちんはどんな風に生活してきたのかと、疑問が浮かぶ。
色々なことを考えていたらすぐに学校に着いた。
間違えないようにごっちんのクラスの靴箱に向かって履き替える。
3年生は校舎の2階に教室がある。
……A組…A組…
頭の中で呟く。
結構緊張するなぁ……。
新学期にあったクラス替えを思い出す。
あたしはA組のドアの前で一回深呼吸をしてから、ガラッとドアを開ける。

79 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月28日(水)22時29分51秒
更新です。
80 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月28日(水)22時58分57秒
〜後藤視点〜
あたしは、さっきバスをおりて、学校に向かって歩いていた。

今日は遅刻しそうにもない。
なぜなら、朝、家政婦さんが起こしてくれたから。
と言うより、無理矢理起こされたの方が正しいかも……。

それより、昨日は大変だった……。
『お風呂』
思い出すだけで顔が赤くなる。
着替えるとか、その程度ならまだ良いんだけど……。
あたしは、好きな人の体になっちゃてるわけだし……。
お風呂に入るだけなのに、入り終えて自分の部屋に戻るときには
すっかりのぼせてしまってた。
よっすぃーに会ったりしたら、また想い出しちゃうかも……。

ボーッとそんなことを考えながら靴を履き替えようとしたら
「……あ!!」
いつもの習慣であたしは自分のクラスの靴箱へ来ていた。
慌ててよっすぃーのクラスの靴箱に行く。
周りの人達が変な目で見てるのが何となく分かる。
結構、恥ずかしいかも……。
え〜っと、D組だよね……。
階段を上ってよっすぃーのクラスにドアを開けて入る。
81 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月28日(水)23時20分15秒
真面目な後藤って…なんか想像しただけで…(w
おもしろすぎっす!作者さん!!
82 名前:マルボロライト 投稿日:2001年03月29日(木)03時41分01秒
たぶん今頃後藤家では家族会議が
開かれてるに違いない!?
ごっちんもよしこも色々大変そう(笑)
83 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月29日(木)22時21分26秒
>81 名無しさん
これから、真面目なごっちんがかなり出てくると思います(w

>82 マルボロライト
そうなんですよね〜(w
2人とも大変なめにあわせたいと思ってます(w
84 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月29日(木)22時50分18秒
〜吉澤視点〜

ドアを開けたあたしに、先に来ているクラスメイトの目が一気に向けられる。
普通ならこの後すぐにいつものざわめきを取り戻すのはずなんだけど……。
何でだろう……クラスのみんなは、あたしを見たまま動きが止まっている。
このまま、ドアの前に立っているわけにもいかないので、あたしは
気まずさを感じながらごっちんに聞いておいた自分の席に着く。
……あたし…どっか、変なのかなぁ……。
窓側の自分の席でそんなことを思っていると
「ちょ、ちょっと!!真希!どうしたの!?」
多分、ごっちんの友達なんだろう。
ドアをすごい勢いで開けてあたしの方に駆け寄ってきた。
「……どうしたのって?」
さっぱり、分からないあたしは聞き返す。
「どうしたのって……その格好だよ……。」
彼女は本当に不思議そうにあたしを見ながら言った。
………格好?……別に普通に紺のソックスに………!!
あたしは自分の心の中で呟きながらハッと気づいた。
そっか……ごっちん、いつもルーズだったからなぁ……それに、昨日の夜
コンビニに買いに行って髪を黒く染め直したんだ……。
それなりに優等生をやってきたあたしは、ついついやってしまった自分の行動に
全然気づかなかった。
そういえば、確かに登校中もみんなに見られてたような……。
「あ、あはは…その……気分転換に……あはは…。」
その場しのぎに言ったその言葉に彼女は目を丸くして聞き返してきた。
「はぁ?気分転換!?」
「そ、そう……。」
彼女はあたしの言葉に首を傾げる。

あ〜、何だか、今日は大変な一日になりそうです……。
85 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月29日(木)23時12分48秒
〜後藤視点〜

大きな欠伸をしながら、よっすぃーに教えてもらった自分の席に着く。
その席は、あたしには都合のいい廊下側の一番後ろの席。

ん〜?なんだか、あたし注目されてない?
確か、朝来るときもそんな感じだったよねぇ〜?
う〜ん、まぁいいや。
あたしは鞄を机の脇にかけるとホームルームの時間まで爆睡……しようと
思ったのに、すぐ後ろのドアがうるさく音をたてて開くといきなりあたしに向かって
「ちょっと!あんた何してるんや!!」
と関西弁が飛んでくる。
……うわっ…中澤じゃん……。
顔を上げると目の前に仁王立ちであたしを見据える中澤先生の姿。
あたし、この先生ダメなんだよね〜。
いっつも、あたし見ると口うるさく、ルーズだの、髪の色だのって
注意してきてさ。
「何って…別に何もしてないけど?」
睡眠の邪魔をされたあたしは、ムッとしながら答えた。
「何もしてへんやてぇ?じゃあ、なんでこんな髪の色してるんや!
 それに、ルーズソックスは禁止やで!」
もう、そんなに大きな声で言わなくても分かってるよ。
そうなんだ、実は昨日髪染めちゃったんだよね〜。
そのついでに、ルーズも買ってきちゃった。だって、よっすぃーの部屋いくら
捜してもルーズないんだもん。
「も〜、別にそれくらいいいじゃん。」
「あかん!」
あ〜、いつものやりとり。なんだか、周りに人だかりができてきちゃった。
86 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月29日(木)23時16分14秒
なんだか、最近更新のペースが遅いですね。
読者の皆様すみません。
87 名前:ポルノ 投稿日:2001年03月30日(金)04時33分36秒
すなふきんさん、あんたサイコー!
88 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月30日(金)14時30分57秒
>87 ポルノさん
ありがとうございます♪
89 名前:しゅら 投稿日:2001年03月30日(金)22時40分41秒
ギャルよっすぃーか、想像しただけで最高。
90 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月30日(金)23時43分46秒
二人して髪染めてるとこがなんかいいっす。
ギャルよっすぃー…ホント最高だ…(w
91 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月31日(土)14時02分39秒
>89 しゅらさん 90 名無しさん
真面目な後藤も人気でしたが、ギャルよっすぃーも人気ですね(w
92 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月31日(土)14時27分21秒
〜後藤視点〜

はぁ〜、何でこうなるかなぁ〜……。
あたしは中澤先生に右手首をしっかり掴まれて指導室行き。
通り過ぎる教室からは何人も面白そうに顔を覗かせている。
あ〜面倒くさいなぁ〜……ん?……あれって……
あたしの横を通り過ぎる見覚えのある人影。
中澤先生に手を引かれながらパッと振り返る。
向こうもこっちを振り返って固まってる
「えぇぇぇぇぇぇぇーーーー!!??」
「あぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!??」
見覚えのある人物って言うのはあたし。
そう、よっすぃーってこと。しかし、あの姿は……。
ほんとに、あたし?
黒い髪に紺のソックス……
自分で言うのも何だけど、かなり真面目そうに見える。
黒髪の自分の姿なんて、かなり久しぶりに見た。
お母さん驚いてるだろうなぁ〜……。

それにしても、よっすぃーそんなに驚かなくても……。
目が点になってるよ。ん?なんか、考えてるぞ?
固まっていたよっすぃーはハッと我に返ると何だか考えてる様子。
すると、意を決したように、どんどん進んでいく中澤先生の方に駆け寄って来た。
93 名前:マッチ 投稿日:2001年03月31日(土)14時47分52秒
ううぅぅぅ〜
面白いッス〜
早く続き期待♪
頑張って下さい〜
94 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月31日(土)15時17分36秒
〜吉澤視点〜

教室の外にはあたしの(ごっちんの)変貌ぶりを見に来ているのか人垣が……。
確かに、ごっちんは普段から何かと目立ってたし、しようがないか……。
それにしても、高等部の先輩が多いなぁ……。
高等部の制服は中等部とは違うのですぐに分かる。

「ねぇ〜、ちょっとすごい人だかりじゃん。」
ごっちんの友達が数人、あたしの周りで喋り続けてる。
「あんた、先輩達に人気だもんねぇ〜。」
「そ、そうなの?」
つい、聞き返してしまった。
「あ、知らなかったの?」
「え、あ…うん(汗」
そっかぁ、ごっちんって先輩達に人気なんだ……。
まぁ、後輩達は怖がって近づいてこないかもね……。
すると、一人の先輩が教室に入って来た。
何となく、顔は見たことのある先輩だった。
「ねぇ、今付き合ってる人とかいるの?」
あたしの机の前に立つと、いきなりそう聞いてきた。
今まで周りにいた友達は雰囲気を感じていなくなってしまった。
「あ!待ってよ!」と言ったけど「まぁ、頑張れぇ〜」と言い残して
去って行った。
「いないの?」
すっかり、困ったあたしを見て先輩はもう一度聞いてくる。
ごっちんはいないって言ってたけど……。
「あ…いや……その…。」
何度か(何度も…かな…)告白された経験のあるあたしだけど、何度されても
あたしは慣れることができなかった。
何と言って断ればいいのか分からなかったのだ。
その結果いつもとる行動は
「あ、えっと用事があるんで……あはは……。」
「え?あ、ちょっと!」
あたしは人垣をかき分けて教室を逃げるようにして出た。
不覚にも自分のとった行動でこうなってしまったことに後悔していた。
「はぁ〜……。」
今日は溜め息ばっかりついてる気がする。幸せが逃げていきそうだよ。
少し暗い気持ちになって歩いていた廊下の先にまた人だかりができていた。
3−D……あたしのクラス……。
まさかとは思ったけど、何となく悪い予感はしていた。
95 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月31日(土)15時18分59秒
>93 マッチさん
いつも感想有り難うございます♪
今日はたくさん更新しようと思ってますのでお楽しみに。
96 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月31日(土)16時55分29秒
〜吉澤視点〜

人垣の中からあたしのクラスD組担任の中澤先生と……もう一人出てきた。
中澤先生の後ろでよく見えない。
ま、まさかね……。
自分に言い聞かせる。
中澤先生は何だか、怒っているようで足早にあたしの横を通り過ぎた。
「ねぇ〜、手離してよぉ〜。」
「あかん!!」
間違いない……あれはあたしの声だ……。
パッと通り過ぎた2人を見る。
向こうも手を引っ張られながらこっちを見た。
2人同時に声を上げる。

あ、あれが、あたしの姿!?ハッキリ言ってギャル。
ルーズにミニスカ。ネクタイを外して襟元をけだるく開けたシャツ。
それに、髪の色……かなり明るめの色に染められてる。
でも、結構似合ってるかも……。
おっと、そんなこと今はどうでもいい。
あれじゃあ、中澤先生が怒るのも無理ない。
多分、指導室行きだろう。生徒会本部の人間がこんな事じゃしめしつかないし…。

ふと、あたしは考えた。中澤先生に入れ替わった2人のことを相談しようかと…。
中澤先生は怒るとメチャメチャ恐いけど普段は生徒思いのとても良い先生だ。
信じてくれないならそれで良い。……よし、言ってみよう!
どんどん進んでいく2人の方に駆け寄ってあたしは、
「中澤先生!」
不機嫌そうにこっちを向く中澤先生。
か、かなり恐いんですけど……。
だけど、中澤先生の顔は一瞬にして変わった。
「あ、あんた……後藤?」
「あ……え、はい……。」
さっきすれ違ったんだけどなぁ……。
ごっちんは急に駆け寄ってきたあたしに少し驚いてたけど、今は面白そうに
あたしと中澤先生のやりとりを見ている。
「ど、どうしたんや!?その格好……。」
「そ、その……あ、それより相談したいことが……。」
「あ、ちょっと待ってや。今、吉澤を説教しよう思ってんねん。」
と言ってごっちんにギラッと目をやる。ごっちんはもう慣れているのか、はいはい
分かりましたよ、みたいな感じ。
「いや、2人からの相談なんです。」
「よっすぃ〜、言っちゃうの?」
「うん…ダメもとで……。良い?ごっちん。」
「あたしは、良いよ。」
「2人とも何いうてんのや?まぁ、ええわ。
 そう言うことなら2人ともついてき。」
あたし達2人は中澤先生についていって生徒指導室に入った。
97 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月31日(土)17時29分19秒
また、夜辺りに更新すると思います(たぶん…(汗
98 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月31日(土)21時18分00秒
おもしろいですねえ!!展開的に赤板のが気になりますが
こっちもいいですねえ・・・今日の特番ちょっとよしごま
ありましたねえ〜。ごっちんが肩に首をのせてた・・
99 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月31日(土)22時23分02秒
>98 名無しさん
特番…姐さんがちょっと可愛そうでした(w
よしごまは気づかなかったですね…そんなシーンがあったなんて。
100 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月31日(土)22時47分12秒
〜後藤視点〜

ここでお説教を聞くはずだったあたし。けど、今は隣のパイプイスには
よっすぃーが座ってる。そして、机をはさんだ向かい側には中澤先生。
さっきからずっとあたしの姿をしたよっすぃーが事の経緯を説明してる。
こういうのは、頭のいいよっすぃーに任せた方がいい。
「……というわけなんです。ね、ごっちん?」
「あ、うん。」
話を聞かずにボーッとしていたあたしは慌てて
よっすぃーの言葉に相づちをうった。
中澤先生は不思議そうにあたし達2人を何度も見比べている。
「それ……ほんまなん?」
「ほんとです。」
よっすぃーがハッキリとした口調で答える。
「ん〜、それじゃあ……。」
中澤先生はイスから立って入り口の側にある棚から紙を二枚と、ペンを
二本持ってきた。
……何するんだ?
先生はサラサラと紙に数学の問題を書きだした。
ちなみに、この先生は数学担当。
「げっ……それ、数学の問題じゃん…。」
「そうや……よし、これ解いてみ?」
2人の前に同じ問題を書いた紙が出される。
「何これぇ!チョー難しいじゃん!!後藤こんなの解けないよぉ〜。」
文句を言ってるあたしをよそに、よっすぃーは少し考えるとバーッと式を書いて
すぐに問題を解いてしまった。
「あってますか?」
そう言って中澤先生に紙を渡す。
紙をジッと見る先生。そして一言。
「正解や。」
それを聞いてよっすぃーはニカッと笑った。
「ほんまに入れ替わってしもうたんやなぁ〜。」
「ちょっと、何それ〜!なんで、数学の問題が解けないだけ
 で判断すんの!」
あたしが抗議の声をあげると
「だって、後藤にこんな問題解けへんやろ。」
「う゛…。」
そりゃそうだけど……。
そんなマジ顔で言わなくてもいいじゃん。
101 名前:すなふきん 投稿日:2001年03月31日(土)22時47分42秒
やっと、100突破♪
102 名前:ポルノ 投稿日:2001年03月31日(土)22時59分06秒
おおー、数学の問題でためすとは、、、
さすが姐さん!!
103 名前:ティモ 投稿日:2001年03月31日(土)23時42分42秒
今日の特番って?
104 名前:読む人 投稿日:2001年04月01日(日)00時42分04秒
>>103
7時から2時間、フジテレビでやってた特別番組です。
いちおう、『中澤スペシャル』だったんですけどね・・・
105 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月01日(日)16時15分52秒
〜吉澤視点〜

あたし達2人は中澤先生になんとか信じてもらえたようだ。
「それにしても、2人とも変わりすぎやで〜…。」
中澤先生は机に肘をついて言った。
中澤先生の言うとおり中身だけではなく外見までも
そっくり入れ替わったみたいだ。
「でも、今の2人やったら吉澤の方がタイプやな。」
そう言って、ごっちんの姿をしたあたしを指差した。
「え!?……あ…。」
そ、そんなこと言われても……。
実は中澤先生は怒ると恐いと有名だけれど、スケベ教師としても有名だった……。
「2人っきりの相談やったら、変なことしてたかもしれへんで?」
先生はニヤニヤしながらあたしの顎に手をかけようとした。
だけど…
「痛っ!!な、何すんねん、後藤!」
中澤先生の差し出された手はごっちんに激しく払いのけられた。
「エロ教師!」
「ま、まだ、何もしてへんやんかぁ〜。」
痛そうに右手をさする中澤先生。ごっちんの剣幕にすっかりビビってる。
中澤先生には悪いけどあたしは、ごっちんに感謝した。
「よっすぃーに何かしたら絶対許さないからね!!」
「そんな、吉澤の姿して怒んなや。……あ、まさか後藤……はは〜ん。」
「な、何よ!」
顔を真っ赤にさせてるごっちん。どうしたんだろう……。



106 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月01日(日)16時17分59秒
>102 ポルノさん
姐さんはなんでもお見通しのようです(w

>103 ティモさん 104 読む人さん
特番…あれで良かったんでしょうか?(w
107 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月01日(日)17時25分36秒
〜後藤視点〜

「中澤のやつぅ〜……ブツブツ…。」
ホームルームの時間が終わったので教室に戻るあたしとよっすぃー。
廊下を歩きながらあたしはブツブツ文句を言っていた。
あのエロ教師によっすぃーを好きだってばれてしまった……。
幸いにもよっすぃーは、このての話にはうといようで怒るあたしを見て
首を傾げていた。
「じゃ、ごっちんまた昼休みね。」
「あ、うん。またねぇ〜。」
教室の前でよっすぃーと別れて自分の教室に入った。
……いくら、中澤にひやかされようともあたしの愛は変わらないんだから!

あっという間に授業も終わり昼休みになった。
よっすぃーのクラスに行こうと思って教室を出たところにちょうど
女の子が走ってやってきた。
「ひとみちゃん!」
「え?あ……。」
あたしは彼女の顔を見て一瞬ギクリとした。
彼女をあたしは知っていたから。
高等部一年 石川梨華
よっすぃーとの噂が絶えない女の子だ。
確かに校内でよっすぃーと石川さんが一緒にいる姿をよく見かけた。

うわ〜……どうしよぉ〜……
「もう、ひとみちゃんどうしちゃったの?そんな格好して…。」
石川さんは悲しそうな顔でそう言いながらあたしの染めた髪に手を
のばして軽く撫でてきた。
よっすぃーと石川さんって一体どういう関係なの?……
あまりにも自然に彼女が自分の髪に触れてくるのでそう思わずには
いられなかった。
「なんか、悩み事でもあるの?」
「べ、別に……。」
「ん?なんか今日ひとみちゃん変だよ?」
「そ、そうかなぁ…。」
「ふふ、変なの。あ、ねえ今日一緒に帰らない?」
正直どう返事をすればいいのか分からなかった。
だけど、敵を知るには絶好のチャンス……。
「……うん、いいよ…。」
「やった♪じゃ、放課後下駄箱の前で待ってるね。」
そう言い残すと石川さんは足早に戻って行った。
……言っちゃった……。
あたしは彼女の姿が見えなくなったとたん、何であんなこと言ったんだろうと
後悔した。
108 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月01日(日)17時41分13秒
ごっちんにとっては恋のライバル石川さんの登場です。
さて、この先どうしよう……。
リクエストお待ちしています。
109 名前:どっかで書いてる人。 投稿日:2001年04月01日(日)21時29分33秒
△関係ですか?
できれば、後藤→吉澤→石川→後藤(後藤、吉澤は中身の方)がいいなぁ。
そうすれば、完璧な△関係じゃないでしょうか。
まぁ、作者さんのやりたいようにやるのが一番いいんで、
聞き逃してもらって結構です。
110 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月01日(日)22時50分26秒
やっぱ石川は吉澤をおっかけててほしいなあ。
ごっちんも吉澤を・・んで、吉澤はタラシっぽく・・
111 名前:ティモ 投稿日:2001年04月01日(日)23時36分13秒
>104さん
あの辻の特番(笑)ワシの地域では今日放送されました。ああ…田舎って悲しい
すなふきんさん
三角関係突入っすね。すなふきんさんが「これだ!」と思うような展開を頑張ってください。
期待してますぜ!
112 名前:ポルノ 投稿日:2001年04月02日(月)02時59分49秒
おーーと!おもしろい展開に!
石川はどういう行動するのかねえ
113 名前:KEI 投稿日:2001年04月03日(火)01時26分17秒
スナフキンさん
いつも楽しく読ませてもらっています。
できたら、アプロダの方にも書き終わった奴を入れてもらえませんでしょうか?
そうしたら探しやすいんで。
これからもたくさん書いて下さい。
114 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月03日(火)21時49分29秒
>109 どっかで書いてる人。さん
聞き逃すなんてそんなこと。しっかり、参考にさせてもらいます♪

>110 名無しさん
なるほど…よしこはタラシと……(メモメモ

>111 ティモさん
読者のみなさんに満足していただけるように頑張ります!

>112 ポルノさん
そうですね〜、石川さんには今回ちょっと黒く……

>113 KEIさん
あぷろだにはどうやって入れるんですかね?
115 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月03日(火)22時13分37秒
〜後藤視点〜

「あのさ…よっすぃー……。」
「ん?」
あたしは石川さんと別れた後、よっすぃーと屋上でお昼ご飯を食べていた。
……やっぱり、聞かなきゃね……
あたしはさっきから、石川さんとよっすぃーの
関係が気になってしようがなかった。
「さっき、教室に石川梨華っていう先輩が来たんだぁ……。」
よっすぃーが彼女の名前を聞いたとき、一瞬だったけど表情が変わったのを
あたしは見逃さなかった。
「よっすぃーさぁ、あの先輩と仲良いの?」
「うん…まぁ……。」
「……それで、あたしに今日一緒に帰ろうって……。」
「そっか…。」
何だか、よっすぃーいつもと様子が……。
見た目は冷静を保っていたものの、明らかにいつものよっすぃーとは
違っていた。何か……こう、焦っているような……。
「よっすぃー、どうしたの?」
「ど、どうもしないよ……。」
よっすぃーはそう言いながら食べ終えたパンの袋をコンビニの袋に入れて
片づけた。
2人の間に沈黙が流れた……。
「……ごっちん…。」
「何?」
よっすぃーは立ち上がるとフェンス越しに
グラウンドを見下ろす。
そして、口を開いた。
「あたしはさ……多分、ごっちんの思ってるような人間じゃないよ……。」
「…え?」
あたしは、よっすぃーが何を言いたいのか分からなかった。
「もうすぐ、昼休み終わっちゃうから戻ろっか?」
「あ、うん……。」
よっすぃーはいつもの明るい口調に戻っていた。

分かんないよ……よっすぃー………。
116 名前:ポルノ 投稿日:2001年04月04日(水)12時12分22秒
いや、マジでわかんねーよ!よっしぃー!
どんな秘密があるのかねえ




117 名前:マッチ 投稿日:2001年04月04日(水)13時11分39秒
すっごい気になる…
どんな関係…?
118 名前:どっかで書いてる人。 投稿日:2001年04月05日(木)22時41分28秒
どうなんの?
痛いの?切ないの?
メチャメチャ気になる。
とりあえず続き期待。
119 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月05日(木)23時05分37秒

放課後……
あたしはよっすぃーの意味深な言葉を胸に抱えたまま下駄箱に向かった。
下駄箱の前であたしを見つけた石川先輩は
すぐに駆け寄ってきて腕を絡めてきた。
「帰ろ、ひとみちゃん。」
「はい……。」
……一体、何喋ればいいのかなぁ…。
…よっすぃーに聞いとけばよかった……
でも、あの雰囲気じゃ聞けないか……。
そんなことを繰り返し頭の中で考えていると、先輩から
「ねぇ、家、寄ってくでしょ?」
と聞かれた。
……どうしたらいいんだろ……。
う〜ん…この際だから、行ってみよっかな……。
よっすぃーとこの先輩の関係が分かるかもしれないし……。
「じゃあ、少しだけ……。」
「ふふ、良かったぁ。」

途切れ途切れに話をしていたら、彼女が一人で住んでいるマンションに着いた。
「あがって。」
「おじゃましまーす。」
部屋に入ってみるとそこには、一人で住むには広すぎる、生活感の
感じられない空間が広がっていた。
「お茶、いれてくるね。」
先輩はそう言い残して台所へ行ってしまった。
やることのないあたしは、部屋にあった大きめのソファーに座った。

「はい。」
「有り難うございます…。」
あたしは目の前のテーブルに紅茶を差し出されたので
ペコリと頭を下げた。
先輩も自分の紅茶を置くとあたしの隣に座った。
しかも、かなりあたしに体を密着させて……。
……これって結構ヤバイ雰囲気じゃない?……
あたしの予感は見事に的中した。
「ひとみちゃん、どうして髪染めちゃったの?」
先輩はそう言った途端あたしをソファーに押し倒した。
「ちょっ!」
「せっかく綺麗な黒髪してたのに……。」
そう言いながらあたしの髪に指を通した。
「ど、どいて下さい!」
先輩はあたしの言うことなんか全く聞いてないみたい。
そして、髪を撫でながらこう言い放った。
「まさか、ひとみちゃん好きな人できたんじゃないよね?
 許さないからね……。あたし以外の人好きになるなんて……。
 ひとみちゃんは、あたしだけのものなんだから。」
先輩はこのセリフを微笑みながら言ったのだ。
あたしは先輩を突き放すと、鞄を掴んで飛び出すようにして部屋を出た。

……どういうこと…ねぇ、よっすぃー……どういうことなの!……。

走っているあたしの目からは止めどなく涙が流れていた。 


120 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月05日(木)23時07分51秒
>116 ポルノさん 117 マッチさん 118 どっかで書いてる人。さん
石川さんの発言から何となく分かってもらえたでしょうか?
これから吉澤視点でハッキリさせようと思ってます。
121 名前:にちゃんねらー 投稿日:2001年04月06日(金)00時18分23秒
嫌ー、、、よっすぃ〜。
122 名前:ポルノ 投稿日:2001年04月06日(金)01時43分59秒
なんか石川がダークだ、、、
123 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月06日(金)21時48分46秒
>121 にちゃんねらーさん
これからよっすぃーには、ちょっとかわいそうな役をしてもらうかも……。

>122 ポルノさん
石川さんには歪んだ愛を演じてもらう予定です。
124 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月06日(金)23時34分04秒
すごい楽しみです!!
125 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月07日(土)06時54分33秒
お、おおー!
そう来ましたか。うーむ、さすが、一筋縄では。
しかしこれから、どうなるんですかー!
ホント続きが楽しみです。
126 名前:マッチ 投稿日:2001年04月07日(土)17時47分43秒
歪んだ愛ですか…
気になる…
続き楽しみです♪
127 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月07日(土)22時48分19秒
〜吉澤視点〜

あたしは学校が終わるとすぐに教室を出て家に帰った。
そして、今は部屋のベッドの上。
頭の中を色んな事が掠めていく。
「……言った方が良かったのかなぁ。」
あたしは枕に顔を埋めながら呟く。
視界に入る部屋の窓からは綺麗な青空が見えていた。


あたしと先輩が知り合ったのはあたしが中2の時。
先生から生徒会役員に誘われたあたしは断るに断れず、結局引き受けてしった。
一つ上の学年で役員をやっていた先輩達は、新しく引き継ぐあたし達に
色々と活動内容や仕事のやり方を教えてくれた。
すると、必然的に役員の一人だった石川先輩と話をする機会も増えていった。
そして、ある日の放課後。
石川先輩が
「ひとみちゃん、途中まで一緒に帰らない?」
あたしを誘ってくれた。
もちろんあたしは
「はい。」
と、快く返事をした。

あたりはすっかり暗くなっていて、空にはうっすらと三日月が
顔を覗かせていた。
あたし達2人は、たわいない話しをしながら、
少し離れたバス停まで歩いていた。
「先輩って好きな人とかいるんですか?」
あたしは何となく頭に浮かんできたので先輩に聞いてみた。
「…ひとみちゃんはいるの?」
「あたしですか?いませんよぉ。」
先輩が聞き返してきたのであたしは笑いながら答えた。
けれど、何故か先輩は俯いたまま黙って立ち止まってしまった。
「先輩?どうしたんですか?」
あたしは気分でも悪いのかな、と思って先輩の側に駆け寄った。
「気分、悪いんですか?」
あたしが顔を覗きながら聞くと顔を背けながら
「…違うの…。」
と、先輩は小さな声で答えた。
あたしには、さっぱり状況が飲み込めなかった。
「……なんか、怒ってます?」
そう聞いても黙って首を振るばかり。
どうして良いのか分からずに立ちつくしていると
先輩がやっと口を開いてくれた。
「……ごめんね……ごめんね…。」
…ごめんね?…何が?……
あたしには先輩に謝ってもらうようなこと、された覚えはない。
「え?ちょっ、何がですか?」
先輩が繰り返しあたしに謝るので慌ててあたしは聞き返した。

「あたし……あたし…ひとみちゃんのこと……好きなの…。」

そう言うと先輩はワッと泣き出してその場に座り込んでしまった。
あたしは呆然と先輩を見下ろしていた。
これが人生初めてされた告白。
今なら、何とか対応できただろうけど、あの時は
どうして良いのか全く分からなかった。
128 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月07日(土)22時50分22秒
>124 名無しさん 125 名無し読者さん 126 マッチさん
有り難うございます♪
129 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月07日(土)23時08分30秒
また、ミスが…。
「〜結局引き受けてしった。」になってますが
         ・  
「結局引き受けてしまった。」です。

ほんと、毎回毎回すみません…(汗         
130 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月09日(月)00時30分54秒
めちゃ楽しみです!
石川不気味ですね〜。
がんばってください!
131 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月09日(月)21時44分27秒
>130 名無しさん
頑張ります♪
132 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月09日(月)22時49分31秒
あたしの目には石川先輩があまりにも、か弱く見えた。
泣きながらあたしに謝り続ける姿が痛々しくて………。
あたしは座り込んでいる先輩の目の前に行くと
身を屈めて視線を先輩と同じ位置にもっていった。
「先輩…泣かないで下さい……。」
あたしの声を聞いて、先輩は嗚咽を漏らしながらそっと顔を上げた。
泣きすぎて先輩の目は真っ赤になっていた。
「…目…真っ赤じゃないですか…。」
あたしは先輩の顔に手を添えて涙のあとを拭いた。
先輩はあたしの手が顔に触れたときビクッと体を震わせて驚いていたけど、
少しすると顔に触れているあたしの手に優しく自分の手を重ねてきた。
「…ひとみちゃん……。」
そのまましばらくあたし達2人は見つめ合ったままだった。

そして、あたしは先輩の綺麗な瞳に吸い込まれるようにして口づけをした。

それから、あたし達の仲は急に親密になり、すぐに
肉体関係をもつようになった。
行為を重ねるごとに先輩のあたしに対する欲望というか、独占欲みたいなものが
強くなっているのを感じた。
あの温厚な性格だった先輩がこんなに変わってしまうなんて……。
あたしが先輩を狂わせてしまったんだ…。

…回りだした歯車は、止まってはくれないのだろうか?………
133 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月10日(火)22時46分39秒
〜後藤視点〜

「…うっ……んぐっ……っ…。」
あたしは家に着くとすぐに部屋に入ってテーブルに顔を伏せて泣いた。
さっきからずっと涙が溢れてくる。
人間ってこんなに泣けるんだな…と自分でも驚くくらいだ…。
それくらい、先輩とよっすぃーの関係を知ってしまったのはあたしにとって
すごいショックだったってこと…。

……でも、何となく予感はしてたんだ……。
移動教室の時、よっすぃーと石川先輩が一緒にいるのを見て
もしかしたら、そうなのかなぁ……ってさ。
けど、実際真実を突きつけられるとこの有様。
心の何処かで覚悟はしてたはずなのに……。
それでも、あたしの涙が止まらないのは

よっすぃーが好きだから。

好きで好きでしようがないから………。

あたしは涙を拭きながら立ち上がって制服のまま、よっすぃーの
いるあたしの家へ向かった。
134 名前:にちゃんねらー 投稿日:2001年04月11日(水)19時15分54秒
行くんだ。そしてよっすぃ〜になぐさめてもらって・・・。
135 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月13日(金)23時00分24秒
>134 にちゃんねらーさん
ごっちんには少し可愛そうな役をしてもらったので
これからはいい思いをさせてあげたいですね(w


読者の皆様
ほんと、更新が遅くてすみません。
気長に待ってもらえれば幸いです。
明日はたくさん更新したいと思っていますので……。
136 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月14日(土)15時12分10秒
〜吉澤視点〜

『ピンポーン』
家中にインターホンの音が響く。
家にはまだあたししか帰って来てないのでとりあえずベッドからおりて
玄関に向かった。
「はい…?」
そっとドアを開けるとそこには
「おっす!遊びにきた〜。」
と笑顔で話す矢口先輩の姿が。
矢口先輩とは何度か本部の集まりの時とかに話を交わしたことがある。
…ごっちんが仲良しだって言ってたっけ……。
「上がるよぉ。」
矢口先輩はそう言いながら当たり前のように一人であたしの部屋に入っていった。
どうしよ…何話せばいいんだろ……。
不安になりながらあたしも二つのグラスにジュースを注いで部屋に入った。
ジュースの入ったグラスをテーブルに差し出すと矢口先輩は
「ありがと。」
と、一口ジュースを飲んだ。そして
「ごっちんいきなりそんな格好になってるからビックリだよぉ。
 もう、高等部の子みんな言ってたよ?」
面白そうにそう言いながら話を続けた。
「あとねぇ、よっすぃーもすごいことになってたよねぇ〜。見たでしょ?」
「あ…うん。」
やっぱ噂されてるんだ…。
自分のことを客観的に聞くのはなかなか面白いものがあった。
「そうそう!実はねぇ〜昨日よっすぃーに会ったんだよ!」
え?…ということはごっちんに会ったってことかな。
「あたし服見てたらさぁ、いきなり『やぐっつぁ〜ん』って言われて
 抱きつかれて。ビックリしたよ。」
ごっちんらしいや。
「いや〜あの子綺麗だよね。ごっちんが惚れるわけだわ。」
……惚れるって?……え……まさか…
固まってるあたしを見て矢口先輩が
「あれ、ごっちん?どうしちゃったの?」
137 名前:ティモ 投稿日:2001年04月14日(土)21時07分07秒
おお!いい展開
138 名前:にちゃんねらー 投稿日:2001年04月18日(水)14時33分48秒
わくわく。
139 名前:どっかで書いてる人。 投稿日:2001年04月20日(金)01時42分37秒
いくらでも待つんで、いいもの書いてください。

現実でも、ごまが黒髪、よっすぃーがさらに茶髪になってた。
この小説とダブって見えてしまう・・・。
140 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月20日(金)22時07分54秒
土日には更新しようと思いますので…(^^;
141 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月21日(土)02時42分28秒
ほい、楽しみに待ってます。
>>139
ということはもしかして…
142 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月21日(土)23時21分31秒
〜吉澤視点〜

「ん?ごっちん?」
矢口先輩はボーッとしているあたしの目の前で手をヒラヒラさせたりしている。
「ちょっと、ごっちんってば!」
矢口先輩の大きな声でハッと我に返ったあたし。
その時丁度
『ピンポーン』
また誰か来たようだ。
「ほら、ごっちん誰かきたよ。もう、しっかりしてよ?」
「う、うん…。」
あたしは混乱した頭でゆっくり玄関へ向かう。

ごっちんが惚れてる?…あたしに?……まさか…そんなことあるはずない……
だってあたしは……石川先輩と……多分もう、ごっちんだって気づいてるはず…
そうだ、きっとそうだ……きっとあたしのことなんかもう呆れてしまって……

「はい…。」
あたしは玄関を静かに開けた。
「!!……。」
そこには目を真っ赤にさせて嗚咽を止められずに涙を流しているあたしの姿が。
ごっちんが立っていた。
「うっ…んっ…よっすぃー…。」
ごっちんはそう言うといきなりあたしに抱きついた。
「ごっちん……。」
どうして…ごっちん泣いてるんだよ……。
143 名前:よっすぃ〜ファン 投稿日:2001年04月26日(木)01時23分47秒
すなふきんさん、がんばってー。楽しみにしてます。
144 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月29日(日)21時59分29秒
>143 よっすぃ〜ファンさん
有り難うございます♪
145 名前:すなふきん 投稿日:2001年04月30日(月)19時49分28秒
〜吉澤視点〜

「あ……。」
なかなか部屋に戻らないあたしの様子を見に来た矢口先輩。
あたし達2人の姿を見て目を丸くしている。
そして、気を使っているのか
「…それじゃ、そろそろ帰るね…。」
そう言い残して隣にある自分の家へ帰っていった。
ごっちんは矢口先輩が姿を現しても全く顔を上げようとはせず
只、あたしの肩に顔を埋めて嗚咽を漏らしながら泣いているだけだった。

……どうしよ。

さっきからこの言葉があたしの頭の中をグルグル駆け回っている。
あたしはどうしてごっちんが泣いているの全く分からない。
その理由も何だか聞いてはいけないような気がして、この場をどうしたら
いいのかあたしにはさっぱり思いつかない。
今のあたしにできるのは、泣きやむ気配のないあたしの姿をしたごっちんの頭を
繰り返し撫でてやることだけだった。
146 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月04日(金)02時02分03秒
よっすぃー優しいね。
ちょっぴり鈍感だけど^^;
続き楽しみにしています。
147 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月12日(土)13時46分18秒
〜後藤視点〜

何であたしは、よっすぃーに会いに来ちゃったんだろう。
会ってどうしようっていうの?
あたしにも分かんない。
でも会わずにはいられなかった、っていうのかなぁ〜。
そんな感じだったんだ。


何も言わずに玄関先で泣き続けるあたし。
かなり迷惑だよね。自分でも分かってる。
けどそんなあたしをよっすぃーは問いただすこともなく、
優しく抱きしめてずっと頭を撫でてくれた。
そうしていると、何だか気持ちもさっきよりは落ち着いてきた。
あたしはよっすぃーの肩から顔をそっと上げて
「…ゴメンね。」
と謝った。
よっすぃーは、そう呟いたあたしを見て優しい表情で
「部屋上がってくでしょ?ていうか、ごっちんの家だもんね。」
と冗談っぽく笑いながら部屋に通してくれた。
あたしがあんな表情できるなんて…。
あたしの姿をしたよっすぃーの顔を見て正直驚いた。
それと同時になんだか気恥ずかしさも感じていた。
人間って中身が変わると顔つきまで
変わっちゃうんだなぁ、なんて思ってしまう。

あたしの部屋はビックリするくらい綺麗に片づけられていた。
よっすぃーは部屋に入ってきたあたしを見て
「ははっ、ビックリしたでしょ?」
と、悪戯っぽく笑った。

ベッドに腰を下ろしたあたしは足を左右交互にフラフラと遊ばせて
気を落ち着かせようとしていた。
「何か飲むでしょ?ジュースでいいよね?」
そう言って下に降りようと、あたしの前を横切ったよっすぃー。

148 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月12日(土)13時53分40秒
久々の更新です(^^;
149 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月12日(土)14時18分31秒
〜吉澤視点〜

「え、何?…。」
いきなりで驚いたあたしは、右手を掴んでいる
ごっちんを見て思わずそう言ってしまった。
自分の口から出たその言葉は何だか素っ気なく聞こえた。
ごっちん気分悪くしたかも…。
もっと、言葉を選べばよかったかな…。
言ったあとであたしは後悔した。
案の定ごっちんはあたしの右手を掴んだまま無言で俯いている。
2人の間に流れる沈黙。
それを破ったのはごっちんだった。
「…ジュース…いらないから……あたしの話し、聞いて……。」
「あ、うん…。」
そう答えてあたしはごっちんの座っているベッドの横に
同じように並んで腰を下ろした。

何なんだろう…話って……。
150 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月12日(土)14時40分27秒
さっき矢口先輩が言った言葉が頭の中を掠めた。

『ごっちんが惚れるわけだわ』
あたしにはこの言葉の意味がうまくつかめなかった。
これは言葉通りの意味なのかな……?


「あたし…さっきまで石川先輩の部屋にいたんだ…。」
ごっちんは自分の足でも見つめているのか、視線を下げたまま話し始めた。
「そっか…。」
先輩の部屋に行ったんだ…。それならもう……。
あたしが先輩の部屋へ行って寝なかったことはない。
それくらい先輩は、あたしをいつも求めてきた。
ごっちんが続ける。
「先輩…どうして髪の色変えたの?って、押し倒してきて……。」
……やっぱり…。
もう、話しちゃった方が楽かな…。
「だったらもう……ごっちん気づいたんでしょ?…あたしと先輩との関係。」
ごっちんは何も答えない。
「呆れるでしょ?…自分でもそう思う。でも、先輩は悪くないんだ……
 あたしが……あたしが先輩をあんなふうにしたんだと思うし。」
151 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月12日(土)14時51分39秒
〜後藤視点〜


『だったらもう……ごっちん気づいたんでしょ?…あたしと先輩との関係』
聞きたくなかった。嘘でも良いから違うと否定して欲しかった。
でも、世の中そう甘くはないみたい。

よっすぃーの話す口調はとても痛々しく聞こえた。
なんでそんな悲しそうなの?
よっすぃーのそんな姿見たくないよ……。



152 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月12日(土)16時43分44秒
〜吉澤視点〜


「!!……。」
先輩との関係を話すあたしを、いきなりごっちんが抱きしめた。
「あたし、先輩突き飛ばして家へ帰った。
 涙が止まんなくて…何でなんだろう?って考えたんだ…。」
あたしをきつく抱きしめたままごっちんが言った。


「あたしがマジでよっすぃーのこと好きだから。」


その言葉を聞いた途端あたしの目から涙が溢れた。
人に抱きしめられるってことが、こんなに気持ちがいいなんて始めて知った。
あたしも同じように抱きしめてくれているごっちんを抱き返した。
「…よっすぃー……。」

 
153 名前:チャーミーブルー 投稿日:2001年05月12日(土)18時52分48秒
切ないですねぇ。
更新されてて嬉しかったです。。
これから、どうなるのか気になります。
154 名前:名無し娘。 投稿日:2001年05月12日(土)22時43分26秒
待ってました!
155 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月13日(日)09時58分37秒
魂の入れ替わりも含めて、話がどうすすんでいくんだろう?
次の更新、楽しみに待ってます。
156 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月13日(日)12時47分19秒
みなさんレスほんとに有り難うございます。
これをエネルギーに頑張っていきます。
157 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月19日(土)20時23分24秒
〜後藤視点〜

ハッキリ言ってビックリした。あのいつも落ち着いていて、気丈なよっすぃーが
涙を流すなんて……。
後になって話を聞くと、
『あの時は何か自分を隠していた殻が一気に崩れ落ちたような感じ』
だったんだって。


あたしの背中にきつくまわされたよっすぃーの手。
まるでさっきと立場が逆だ。
よっすぃーは泣きながらあたしの肩に顔を沈めて言った。
「…あたし……先輩と別れたい……ッ……ンッ
 もうイヤだよ…ウッ……こんなの……ッ…。」
嗚咽混じりにハッキリとそう言った。
あたしにはよっすぃーを独占したいという先輩の
気持ちが分からないわけではない。
人を好きになるって少なからずそんな気持ちを含んでると思うんだ。
でもさ、先輩は超えちゃいけない一線を越えちゃったんだよね…。
愛し方を間違えた先輩。あたしはすごく可愛そうだと思った。

158 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月19日(土)20時26分35秒
とりあえず更新です。


159 名前:チャーミーブルー 投稿日:2001年05月20日(日)19時56分33秒
梨華ちゃんの今後の動きも気になりますね。。。
160 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月27日(日)21時17分08秒
続きかきます。
161 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月27日(日)21時33分01秒
〜吉澤視点〜

あたしの口からはき出された言葉。
こんな状況に追い込まれなきゃ分からないなんて、あたしは相当な馬鹿だ。
結局のところ何となく自分の中にそういう気持ちが潜んでいる、とは感づいて
いたのだけど、あたしにはそれを認める勇気もなくて。
先輩を傷付けたくない、なんて綺麗事を言いながら、状況の変化が恐くて
逃げ続けていたのはあたしだった。

このことをあたしに気づかせてくれたごっちん。
こんなどうしようもないあたしを好きになってくれたの?



162 名前:すなふきん 投稿日:2001年05月27日(日)22時43分12秒
〜後藤視点〜

よっすぃーはそっと顔をあたしの肩から上げた。
「ゴメン……。」
真っ赤になった目であたしを見つめながらよっすぃーは謝った。
「ううん…。」
「ごっちん…。」
あたしはよっすぃーの言葉を待った。
「ありがと……。」
「え?…。」
なんのこと?
あたしは何故よっすぃーがそう言ったのか分からなかった。
「あたし…ずっと先輩とのこと認めたくなくて気持ち押し殺してた。
 多分ごっちんに会わなかったらこれからもそうだったんだと思う
 ごっちんと会えて良かった…。」
「…よっすぃー。」
あたしとよっすぃーはジッと見つめ合う。

そして静かに唇が重なった。

163 名前:チャーミーブルー 投稿日:2001年05月28日(月)18時36分19秒
お待ちしておりました(笑)。
梨華ちゃんは、どうなるんだぁ?
ちょっと怖い気が…。
164 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月21日(木)19時23分58秒
すなふきんさん元気?
165 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月03日(火)08時52分15秒
激しく続きを期待!

そしてあげ
166 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月05日(木)22時30分24秒
〜後藤視点〜

あたしとよっすぃーの唇が重なった途端いきなりあたし達2人は眩しい真っ白な
光に包み込まれた。

「えっ…!?」
「っ…!!」

お互い訳が分からず体を離す。驚いたあたしはよっすぃーの方を見た。

「よっすぃー……?」
「ごっちん!?」

これって……。よっすぃーはあたしと目が合うと、はっとした表情であたしの
肩を両手で掴みながら
「戻ったよ!あたし達戻ったんだよ!!」
167 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月05日(木)22時36分41秒
そう、あたしの目の前にはかなり明るい髪の色をした制服姿のよっすぃーが。

元に戻った………。

よっすぃーは、良かったぁ〜ってはしゃぎながらあたしに抱きついてる。
あたしは抱きついてるよっすぃーの肩越しに自分の手を見た。

あたしの手……。ほんとに戻ったんだ…。

あたしは元に戻れたにもかかわらず喜びより、淋しさと焦りが
あたしを包み込んだ。

「やだっ!……。」
あたしは抱きついているよっすぃーをギュッと抱きしめた。
「え!?…。」
よっすぃーはビックリしてあたしから体をゆっくり離して顔を覗き込んできた。
「ごっちん…?」
168 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月05日(木)22時37分26秒
かなり久しぶりの更新!皆様お待たせしてすみませんでした(^^;
169 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月06日(金)22時13分28秒
まーってましたあー!!!!!!
170 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月07日(土)12時46分05秒
ごごごごっちんは何が嫌なんだ!?
171 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月15日(日)21時11分15秒
作者さん、がんばってー!
172 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年07月19日(木)21時19分32秒
こちらの小説を「小説紹介スレ@黄板」↓に紹介します。
http://www.ah.wakwak.com/cgi/hilight.cgi?dir=yellow&thp=995445727&ls=25
173 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月20日(金)22時40分28秒
〜後藤視点〜

あたしはお互いが元に戻ってしまったことで、このままだと2人を
繋いでいるものが無くなってしまう、と思った。
何だか今までの出来事が夢の中での出来事のように
記憶の中から、消えて無くなってしまうんじゃないんだろうかと………。

「ヤダぁ……やだよぉ…よっすぃーがあたしのこと忘れちゃう……。」
あたしは再びよっすぃーに抱きつき、目をギュッと閉じて掠れた声で呟いた。
すると、よっすぃーは優しくあたしの頭を撫でてきた。
「ごっちん…大丈夫だよ……あたしがごっちんのこと忘れるわけないじゃん。」
あたしは黙ってよっすぃーの話を聞いていた。
「ごっちんはあたしを変えてくれた大切な人だよ。」
よっすぃーはそう言い終わるか終わらないかのタイミングであたしに優しく
キスをしてくれた。
そして、スッとお互いの顔が離れるとよっすぃーは優しい顔でニコッと微笑む。
 
174 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月20日(金)22時59分32秒
〜後藤視点〜


『良かった……夢じゃない…』

そう思った瞬間だった。

ガチャッ……
突然開いたドアの向こうには石川先輩が立っていた。
「ひとみちゃん…酷いよ……あたしがいるのに……。」
目からは涙がポロポロ雫となって落ちていく。
まるで映画のワンシーン。

あたしの心臓は驚きのあまり止まるんじゃないかと思ったくらいだ。

「…何で……何でよっ!!!」

映画のワンシーンはスローモーションのようにゆっくり目に映る。
先輩は両手に固く握りしめた包丁の先をよっすぃーに向けたまま走り出す。

ねぇ、よっすぃーあの時、貴方が一瞬逃げるのを迷ったように見えたのは
あたしの目の錯覚?

「よっすぃー!!」
鋭い切っ先はよっすぃーの脇腹を捕らえた。
彼女は何が起きたかまるで分からないのか只、自分に刺さっている刃物を
唖然と見つめているだけだった。


175 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月21日(土)01時28分02秒
マジかよ・・・。
176 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月21日(土)07時58分36秒
今日この作品を見つけて、一気に読んでしまいました。
やっぱりすなふきんさんの書くものはおもしろいです。

ところで、以前赤板で連載していた作品って、「愛のかたち」ですか?
あの作品、かなり大好きだったんです。(もし違ってたらゴメンナサイ!)
もう何度も読んだんですけど、是非もう一度読みたいです。
どこかで読めるのでしょうか?もし読める場所があったら教えて下さい!

くどくどと長いレスをつけてしまってすみません(汗
続き、期待しています。頑張ってくださいね!
177 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月21日(土)13時13分40秒
>175 名無しさん  >176 名無し読者さん
感想有り難うございます。

>名無し読者さん
愛のかたちは自分の作品ではないのでよく分からないのですが、
検索などで捜してみてはいかがでしょう?
178 名前:チャーミーブルー 投稿日:2001年07月21日(土)13時29分26秒
更新されてるぅ(嬉し泣)。
でも、よっすぃ〜が梨華ちゃんに刺されてるぅ(/_;)
女同士の嫉妬って、そぉ〜とぉ〜怖いらしいから…。
179 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月21日(土)21時46分52秒
〜後藤視点〜

先輩はゆっくり後ずさりしながら、よっすぃーから離れる。
「ち、違うの……あっ……い、いや……見ないで!あたしを見ないで!!」
事態が飲み込めず、幼い子供のような目で不思議そうに、先輩を見る彼女に
先輩は耐えられなかったのかその場に、へなへなとしゃがみこんで
嗚咽を漏らしながら泣き始めた。
「うっ…ああっ……ごめんなさい…ごめんなさい…
 あっ……こ、こんなつもりじゃ……。」
よっすぃーは暫く黙って先輩を見ていた。
すると、何を思ったのか自分に刺さったまま真っ赤に染まった柄の
部分をしっかり両手で持ったかと思うと
「…うっ……はぁ…はぁ…っ。」
「!!…ちょっ!!!何してんの!そ、そうだ救急車!!」
あまりの衝撃的な出来事に唖然としていたあたしは、彼女がいきなり
自分に刺さっている包丁を抜き、吹き出た真っ赤な血で
我にかえることができた。
あたしが机の上に置いていた携帯から救急車を呼ぼうと慌てて手に取る。
「はぁ…うっ…ちょっと…待って……。」
彼女はあたしの手を包み込むようにして番号を押す手を止めた。
「……え?」
「…だっ…はぁ…大丈夫……だから。」
苦しそうに傷口を押さえてあたしに言った。
「大丈夫って…その傷で……。」
そして先輩の方へ近づきしゃがみこんでる先輩に合わせて片膝をつく。
「…っ……先…輩…。」
よっすぃーは泣き崩れている先輩の顔を触ろうとしたけど
『あ…』というような顔をして話し始めた。
「…ははっ……あたし手……が汚れてるんだった。」
「…ひとみちゃん?」
静かに顔を上げる先輩。
「あたし…他に好きな人がいるんです。……すみません…もう…先輩とは
 一緒にいれない……。」
「……うん…。」
先輩はコクリと頷いた。
よっすぃーは悲しそうに笑いながら
「ほんと、すみません……いい人……見つけてくださいね……先輩。」
「!!ひとみちゃん!?」
「!!よっすぃー!」
よっすぃーはそう言い終わるとグラッと体が傾きその場にうずくまってしまった。
「う゛っ……はぁ…はぁ……。」
あたしはすぐに救急車を呼んだ。
「……先……輩…つっ……逃……げて。」
「イヤ!……そんなことできないよ!」
先輩は激しく首を横に振りながら言った。
「よっすぃー!!しっかりして!!お願いだから!!」
程なくして救急車はよっすぃーを担ぎ込み病院に向かった。

180 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月21日(土)21時58分41秒
〜後藤視点〜

あたしは薄暗くなった病院の廊下で、手術中と書かれたランプを横目に
ベンチに座っていた。
もう半日近くこうしている。
「よっすぃー……。」
向かい側のイスにはよっすぃーのお父さんお母さんが落ち着かないといった
様子で座っている。

一体何でこんな事に……

あたしの頭の中では、救急車の中で必死で呼びかけるあたしに、顔面蒼白で
酸素マスクをあてれているのに何とか笑みを浮かべてあたしに応えようと
するよっすぃーの姿が浮かんでは消える。
真っ赤に染まった白く細い腕。苦痛に顔を歪める彼女。

181 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月21日(土)22時14分56秒
その時、手術中というランプが消えて、ドアが開き中から若い先生が現れた。
「先生!!。」
よっすぃーのお母さんが先生に駆け寄る。
あたしと彼女のお父さんも後に続く。
「先生!!ひとみは!」
お母さんが目を赤くしながら先生に詰め寄る。
「手術は成功しました。」
先生は優しい笑みでそう答えた。
お母さんは安心したのかワァーッと泣き出してしまった。
それをお父さんが赤い目をしながらなだめている。
「幸い、傷が急所を外れていましたよ。それでも、あれだけの血を
 流して助かるなんて奇跡ですよ。」
よっすぃーの両親は有り難うございますと何度も頭を下げていた。
あたしはフラフラした足取りで自販機の前まで言って側にあったイスに座り
一息ついた。
「良かった……助かったんだ……良かった。」
あたしは緊張の糸が切れて目からボロボロ涙が溢れて止まらなかった。
182 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月01日(水)20時01分52秒
続き早く読みたいっす。
183 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月04日(土)20時12分07秒
あたしは溢れてくる涙が治まりだすと疲れからか、座っているベンチで
ウトウトしはじめた。
しかし、あたしは眠ることはできなかった。何故ならあたしの目の前に
中年のおじさんと若い男の人、2人から挟まれるようにして、あたしを見つめる
石川先輩の姿があったから。
「せ、先輩……?」
あたしはこれが夢じゃないかと思い目を軽く擦る。
すると先輩の右側に立っている中年のおじさんが警察手帳を
あたしに見せながら言った。
「彼女がどうしても最後にあなたと話しがしたいって言うもんでねぇ…。」
すると、若い男の人が
「10分だけだからね。あっちで待ってるから。」
そう言い残して去って行った。


先輩はあたしの隣に座ると
「ごめんなさい……急に…。」
「……いえ。」
あたしは先輩が何故、最後にあたしのところへ来たのか分からなかった。
184 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月04日(土)20時21分58秒
「さっき、ひとみちゃんの手術が終わったって聞いたわ。」
「そうですか…。」
何か他人事みたいに話す先輩にわたしは苛立っていた。
何だかどんどん頭に血が上っていくのが分かる。
「良かった、本当に…。」
先輩がホッとしたように呟いた。
あたしはその一言でカーッとなり立ち上がって
「………良かったって……先輩が…先輩が刺したせいじゃないですか!!」
あたしは先輩に向かって怒鳴った。
「……ほんと、そうよね……何でなんだろ……なんであんなこと……。」
先輩は俯き肩を震わせて泣いていた。
「…あ……。」
その姿にあたしはハッと我に返るとまたベンチに腰を下ろした。
185 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月12日(日)10時57分06秒
「ごめんなさい……。」
静かに先輩はあたしに言った。
「あたしも分からないの……気が付いたら…目の前に血まみれの
 ひとみちゃんがいて………。」
ギュッと両手を握りしめながら話す先輩。
あたしは何も言わずに先輩の言葉に耳を傾けていた。
「あたし…あんなに人を愛したの、ひとみちゃんが始めてなの……。
 どんどん気持ちが溢れてきて……止められないのよ……。
 ひとみちゃんが他の女の子と楽しそうに笑ってるのも許せなくなって……
 それでも…最初の頃は、本当に幸せだったわ………。」
「……………。」
昔のことを懐かしむように先輩はあたしに言った。
「彼女だって普通の女の子なのよね……重すぎたみたい……
 あたしこれからきちんと罪を償って自分を見つめ直すつもり………。」
先輩はスタッとあたしの隣から立ち上がると、刑事さん達が待っている方へ
歩き出した。 

「先輩!………よっすぃー、分かってたと思います!先輩の気持ち!…。」
足早に歩いていく石川先輩の背中に叫ぶことしかできないあたし。



186 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月12日(日)11時00分50秒
先輩はクルッとあたしの方を振り返った。その目には今にも
こぼれおちそうな程涙を浮かべて。


「彼女優しすぎるのよ。本当は弱いくせに……全部背負ちゃって。
 ……あたしじゃダメなの。
 ………後藤さん……彼女の、ひとみちゃんの支えになってあげてね……。」


そう言ってニコッと微笑む先輩の目からは綺麗な涙が流れていた。
187 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月12日(日)16時19分43秒
更新嬉しいです。
よしごま万歳!!
188 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月13日(月)13時12分03秒
ありがとうございます♪
189 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月13日(月)15時20分40秒
おーっと名前入れるの忘れてました……(汗)
不思議に思ったかたはすいませんm(_ _)m
190 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月13日(月)15時48分26秒
「うわーーーー!!!もうヤッバーーー!!!」
ドタド騒がしく階段を下りる。
あたしの毎朝の光景。
「お母さん!何で起こしてくんなかったのよっ!!ングッ……ゲホゲホッ!」
慌てて台所に駆け込み用意してあった朝ご飯を適当に食べる。
「起こしたわよ、何度も!もう、ほら慌てて食べるから…はい!」
差し出されたグラスの中身を一気に飲み干すとすぐさま玄関へ。
「行ってきま〜す!」
「気をつけるのよー。」


ハァハァ…間に合うかなぁ…。
携帯の時計を確認しながら待ち合わせ場所まで全力で走る。
あ!いたいた。

「よっすぃー!!ごめ〜ん!」
「あぁ!!もう、ごっちんおっそい!!ほら、行こっ!」
あたしを見つけて抗議の声をあげる彼女。
「えぇ〜!!疲れたぁー!」
「ダメ!遅刻しちゃうじゃん!」

そう、よっすぃーは3週間の入院のあと、無事に退院してこうして
毎朝一緒に学校へ通っている。
入院して間もない頃は、元気のなかったよっすぃー。
いっつも窓の外を眺めて何か考えてるみたいだった。
ある日、石川先輩からよっすぃーへ一通の手紙が届いた。
191 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月13日(月)15時55分29秒
丁度お見舞いに来ていたあたしはよっすぃーに席を外そうかとも聞いたけど
「ここにいて。」
と言われたのであたしはそこにいることにした。
病院のベッドでそれを読みながら泣いているよっすぃーを見てあたしは
何も聞かなかった。
多分、2人だけにしか理解できない内容だったんじゃないかな?
もし、あたしが理解できたとしても、人には誰にだって言いたくないこととか
あると思うし……。

192 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月13日(月)16時07分52秒
よっすぃーは、そんなことを考えてるあたしの方を、真っ赤な目で見て
「ごっちん、ありがとね……。」
と一言呟くように言ってくれた。
あたしには何のことだか分からなかったけど。
それからは、すっかりよっすぃーも持ち前の元気を取り戻すことができた。

そして今は二人して学校へ全速力………。

間に合わないからってあたし達は滅多に使わない裏道を通っていた。
「あぁ〜ん、もう疲れたぁ!」
さすがに疲れたあたしは草が茂っている砂利道に座り込んだ。
「ほら、もうちょっとだからごっちん。」
あたしの前を息一つ切らさずに走っていたよっすぃーが足を止める。
「やだぁ…もう、疲れたぁ…。」
193 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月13日(月)16時26分28秒
「もう、しょうがないなぁ……。」
困ったような顔であたしを見るよっすぃー。

そして、少し悪戯っぽい顔で微笑みながらあたしを見て
「そだね、もう間に合わないしサボっちゃおっか?」

「え?…ホント?」

「ははっ、ほんと。」

そう言って、あたしの方に来ると、図書室で長い足を放り投げて
居眠りしていたあの時のようにあたしの隣に座る。

あたしはその仕草にちょっぴりドキッとした。

「よっすぃーゴメンね……。」

「いいって、たまには。それに、こんなに天気良いのになんか勿体ないじゃん?」

よっすぃーは青空に向かって思いっきり伸びをした。

あたしは、そんな少年みたいなよっすぃーの横顔をチラッと見た。

少し、生ぬるい夏の風が出会った頃より少し伸びた彼女の髪を撫でていく。

「……あたし…よっすぃーと出会えてホントに良かった。」

「ん?…!!」


194 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月13日(月)16時43分25秒

不意打ち。もうちょこっと長くしてたかったかも…。

「へへっ、ビックリした?」

真っ赤な顔をしたまま手の甲で今まであたしの唇が触れていたところを隠してる。

「何だか、急にしたくなっちゃったんだもん。」

「………。」

よっすぃーは無言のままあたしの手をそっと繋いできた。

「…気持ちいいね……ごっちん。」

真っ青な空を眺めながらよっすぃーが言う。

繋がれた手。あたしのドキドキ伝わってるかな?

あの不思議な出来事はきっと、神様が2人に仕掛けた運命だったのかもね…?

あの記憶は2人だけの秘密。

あたしも彼女と同じように青空を眺める。


 
 〜fin〜

195 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月13日(月)16時47分52秒
あーーーー!!!
やっと、終わりました♪
読者の皆様、気になる箇所があると思いますがどうかおおめに…(苦笑)
ここまで付き合ってくれた皆様有り難うございました。
次回も、もちろんよしごまですので!
感想などお待ちしております。
196 名前:JAM 投稿日:2001年08月13日(月)22時28分50秒
いや〜終わってしまいましたか。
ご苦労様でした〜!
やっぱりすなふきんさんの小説は良いですよね〜
ここに入り浸るようになったのは
すなふきんさんの「初小説」読んでからなんですよ。
そういえば,ここが終わったら赤板の方を書くようなことが
書かれてたんでそっちの方も期待してます。
頑張ってください!!本当にお疲れ様です!!
197 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月14日(火)22時13分10秒
>196 JAMさん
いや〜なんだかすごく嬉しい感想有り難うございます!
そうですね、赤板の方もこれから頑張ります♪
198 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月15日(水)19時08分48秒
次回作、どうしようか迷ってるんです。
この話の続きを書こうか、それとも全く違う学園ものを書こうか…。
皆様の意見お待ちしております。
199 名前:夢追人 投稿日:2001年08月16日(木)02時14分35秒
できればシリーズ物がいいですなぁ

すなふきんさんがやりやすい方で(w
200 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月16日(木)03時20分14秒
学園物がいいなぁ……
201 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月17日(金)19時07分48秒
やっぱりもう一度よしごまで・・・
202 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月20日(月)13時38分58秒
皆様の意見を見て、学園ものが人気のようなので
この話とは全く別でよしごまの学園ものをぼちぼち始めようかなぁ、と
思います。
203 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月20日(月)23時53分49秒
ありがとうございます!!
204 名前:この前のハロモニ見て 投稿日:2001年08月30日(木)01時18分02秒
よしごまもアリなんじゃないかと初めて思った。作家さんよろしくお願いします
205 名前:204 投稿日:2001年08月30日(木)01時34分41秒
失礼・・・!!あげてしまいました。
206 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月30日(木)13時24分11秒
>203 名無し読者さん
さっそく始めます♪期待に応えられればいいのですが(汗…
>204 この前のハロモニ見てさん
仲むつまじくて大変素晴らしい(w
207 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月30日(木)13時56分00秒
−友情?愛情?−


「っくしゅん!!」
「なんか寒くなってきたね……もう帰る?」
「う〜ん…もうちょっといる。」
今日は珍しく部活がないよっすぃーと放課後の屋上にきてる。
別に二人することもなくて、屋上のフェンスに寄りかかってお喋りしながら
適当に時間を潰していた。
でもさすがに、夕方にもなると夏が終わろうとしてるせいなのかなぁ…
吹いてくる風はちょっと肌寒いや…。
「やっぱ、ちょっと寒いかもぉ〜。」
半袖の制服から出ている腕をさすりながら隣に座ってケータイを弄っている
よっすぃーに言った。
「んじゃ、そろそろ帰ろっか?」
「はぁ〜い。」


家が近くて小さい頃から幼なじみの彼女と過ごす時間は
あたしにとってはとても楽。
そんなよっすぃーと久しぶりに一緒に帰れてあたしはすごく嬉しいのに……。

208 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月30日(木)14時41分33秒
「ねぇよっすぃ〜。」
「ん?」
「さっきから誰とメールしてんのぉ?」
「梨華ちゃん」
……やっぱり。最近よっすぃーの口からはこの名前ばっかり聞くんだもん。
だいたい梨華ちゃんて誰?あたしあんま知らないんだけどぉ〜。
「最近さぁその子と仲いいよねぇ。」
少し嫌味っぽく言ってみる。
「そうかなぁ…?」
よっすぃーはケータイからあたしに目線を移すと首を傾げた。
「そうだよぉ…。さっきからずっとケータイしか見てない…。」
「え?あ!ゴメン!」
よっすぃーはケータイをパチンと閉じてバッグの中になおした。
「その…『梨華ちゃん』てどんな人?」
「……ごっちんが他人のこと聞いてくるなんて珍しぃー。」
「べ、別になんとなくだもん。」
あたしの質問に驚いたような顔をするからあたしは慌てて答えた。
それを見てよっすぃーはクスクス笑っていた。

だって、よっすぃーと仲よしの人なんでしょ?……
そんなん、気になるに決まってるじゃん……。

「え〜っとねこの前バレー部のマネージャーになりたい、つって
 部活見学に来たとき友達になったんだけど、高校からの編入生だって。
 1−2なんだけどごっちん知らない?髪が長くてすごくかわいい子なんだけど…」
「知らなぁ〜い。」
「そっか…4組からじゃちょっと遠いもんね…じゃ、今度紹介するね。
 ごっちんと梨華ちゃんならきっと仲良くなれるよ。」
「うん……。」
よっすぃーの嬉しそうな顔とは反対にあたしの気持ちは暗くなるばっかり。
そんな人紹介しなくていいよ……。
よっすぃーが他の子と仲良くしてるのって…なんか…やだなぁ……。
 
209 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月30日(木)14時54分15秒
話の都合でごっちん、梨華ちゃん、よっすぃーを高校一年生にします。
他のメンバーや柴田、松浦なども出演予定です。
新メンは……う〜んまだ未定ですね。
自分的には小川さんと愛ちゃんあたりは出したいんですが…。
しかし、愛ちゃんかわいい……。
210 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月30日(木)15時50分21秒
「ただいまぁ〜…。」
まだ誰も帰ってきてないのかなぁ…。
あたしは靴を脱いで階段を駆け上がり自分の部屋に向かった。
制服のままベッドにゴロンと横になる。

「よっすぃー……。」
声に出してみる。どうしてかなぁ…近頃あたしよっすぃーのことばっかり
考えてる気がする…。何でなんだろ……?
妙に意識しちゃうっていうか……。
今日だってよっすぃーが他の子の話してるとき、自分で
イライラしてるのが分かった。


これって……嫉妬……?

あたしが?どうして……?

よっすぃーとは只の幼なじみじゃん…。

そうだよ……只の幼なじみ……そう、それだけ……。

ダメ……絶対ダメ……こんな感情よっすぃーにもっちゃダメ……。

でも、あたしは知ってる…この感情を……小さい頃からずっと隠してきた……。

今までずっと隠してきたんだもん……隠し通してみせる……。

211 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)19時31分22秒
再開マンセー!(w
いやいや、待ってました。
新作も楽しみに読ませて頂きます。
これからもよろしくおねがいします!
212 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)21時52分14秒
マジで嬉しいッス!
213 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月01日(土)22時39分06秒
>211 名無し読者さん 
よしごま学園ものということで始めてみました。
今回は前の作品と違って普通に2人の淡い感じの恋心をかければいいかなぁと。
期待に添えられるように頑張ります。

>212 名無し読者さん
有り難うございます♪やっぱり一度はこういうの書いてみたいと
思っていたので自分もかいていて嬉しいです(w
214 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月01日(土)22時54分37秒

『リンリン!リンリン!!』

「あ〜〜、はいはい!いってきまーす!!」
急いで靴を履いて玄関を開ける。
「今日はいつもより早いね。」
赤いママチャリに乗っているよっすぃーがあたしの方を見て悪戯っぽく言った。

最初のうちは2人とも家が学校からそんなに離れてるわけじゃないし、歩いて
行ってたんだけど、あたしがあまりに仕度が遅いから、ある日突然この赤い
ママチャリに乗ったよっすぃーがいつものようにあたしを迎えに来て
「今日からこれで行こ。」
と一言。
それからは当たり前のようにこうして2人乗りで登校している。

「どーせ、いつも寝坊ばかりしてますよ。」
ちょっぴり拗ねて言い返す。
すると、よっすぃーは嬉しそうに少年みたいな笑顔を見せてくれた。
あたしは自分の顔が赤くなってるのを見られないように急いでバッグを前
カゴに放り込んで後ろの荷台に跨った。
ちょっと強く地面を蹴ってからペダルを漕ぐ彼女の背中にしっかりと
抱きついた。

心臓……ドキドキしてる……

よっすぃーの背中に顔を寄せながら思った。
215 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月01日(土)22時55分16秒
少しだけど更新です。
216 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月02日(日)21時31分07秒
う・れ・し・い・・・・。
217 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月02日(日)22時21分10秒
>216 名無し読者さん
有り難うございます(照
218 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月02日(日)22時48分12秒
毎朝あたし達は正門からじゃなくて通学路に近い裏門から入って
自転車を留めてから教室へ向かう。
するとよっすぃーはいつも溜め息をつく。
なぜなら……

「あ!吉澤先輩!!」
「きゃ〜おはようございまぁす!」
「よっすぃーおはよぉ〜。」
と、毎朝のように先輩・後輩・同級生から黄色い声がとんでくるから。
「あはは……おはよう…。」
それを聞くとよっすぃーは苦笑いでみんなに返す。
下駄箱で靴を履き替えながらよっすぃーは
「もう…恥ずかしい……。」
と赤い顔で呟いた。
「なんでぇ〜?いいじゃん。人気者で。」
「はぁ?あたしは恥ずかしくて堪らないよ……あんな毎朝…。」
「あたしなんか、誰も声掛けてくれないよぉ?」
「だってごっちんいつも寝てるし、寝起き悪いからしょうがないじゃん。」
「だって眠いんだもん。」
よっすぃー曰く、あたしの寝起きの悪さは最悪らしい…。
219 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月13日(木)00時10分54秒
「ぶ〜・・・。」教室に向かう廊下であたしはそんなはずないと一人言をぶつぶつ・・・。そんなときもよっすぃーはすれちがう学園の生徒達に赤い顔をされたり声をかけられたり色々大変そう・・・。 うちの学校は中高一貫の女子校だからよっすぃーみたいなユニセックスな感じの子は入学してすぐにこんな扱いをうけちゃう。さらによっすぃーの場合は常に学年トップ3以内の優秀な成績、バレー部エースそしてあの温厚で誰にでも優しい性格ですごい人気だった。
220 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月14日(金)23時57分45秒
ごっちんの新曲カッコイイ〜!ダンスがステキですね♪そして今日のfanはよしごま好きにはたまりませんでした(w二人でパーティ・・・(w
221 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月15日(土)01時16分54秒
すなふきんさんって昔からよしごまですね。
そんな俺もよしごま好きです。
222 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月16日(日)02時54分55秒
fan最高でしたね。よしごま万歳!!
すなふきんさんに期待大!!
223 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月16日(日)20時17分41秒
>221 名無し読者さん
はい!もう大好きです!…実はいちごまも好きなんですけどね(w

>222 名無し読者さん
ばんざ〜い!!期待に添えられるよう頑張ります。
224 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月16日(日)20時36分42秒

−始めての出会い−


でも当の本人はこの通り…。
あたしがブツブツ言っている間にもう一組まで来てしまった。
ちょっと不愛想によっすぃーは
「んじゃ、昼休みね。」
と言って教室に入っていった。
よっすぃーがこの時いつも不機嫌になるのはもう慣れちゃった。
けど、もうちょっと喋りたかったなぁ〜。
あたしはちょっと物足りなさを感じながら4組の教室へ向かった。

1組の前を通り過ぎて2組の教室の入り口へ差し掛かったときに
中から白い花の入った花瓶を持った子が出てきた。
まだ人気も疎らなこの時間。たぶん水でも取り替えるのかな。

「………。」

あんな可愛い子いたっけ??始めて見る気がするんだけど……?
真っ黒で肩よりちょっと長いロングヘアー。
優しそうで女の子らしい顔つき。
あたしはその知的な雰囲気を少し羨ましいと思いながら教室へ足を進めた。

225 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月16日(日)20時46分08秒
「ごっちぃ〜〜〜〜〜ん。ほら!起きろぉ〜!」
……昼休みだ……。ねむ……。
机に伏して寝ているあたしの背中をポンポンと軽く叩きながらよっすぃーが
いつも起こしてくれる。これが昼休みになった合図。
「んぁ……。」
まだ頭がボーッとする。フラフラしながらイスから立ち上がると
「行くよ。」
ぶっきらぼうに差し出されたよっすぃーの手。
それまでの眠気なんて吹っ飛んじゃう。
「へへっ〜。」
左手にお弁当を持って、右手でギュッとその少し冷たい手を握った。
「ったく、もぉ。」
呆れたようによっすぃーは言うけどちゃんとその顔は笑っていて
あたしはすっごく嬉しくなった。
226 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月16日(日)21時47分26秒

2人だけの場所。
いっつもお昼休みは校舎裏にあるコンクリートの非常階段
の上の方で過ごしている。
心地良い日陰。風通しの良い、誰も来ないこの場所が好き。

……いや…違う…よっすぃーと2人でいれるから好きなんだっけ……

お弁当を食べてるときのよっすぃーはどこか子供っぽくて、
いつもはかっこいいのにとても可愛く見えちゃう。
そしてあたしだけにその顔を見せてくれるのが堪らなく嬉しい。
「…何?ニヤニヤして……。」
よっすぃーがあたしの顔を覗き込みながら言ってきた。
あたしにやついてたのかなぁ…。
ちょっと恥ずかしいかも……。
「ニヤニヤなんかしてないもん!」
あたしはそう言ってよっすぃーにクルッと背を向けた。
「あ、もしかして怒った?」
「…別に。」
お弁当の卵焼きをパクッと一口食べて答える。
「はははっ。変なごっちぃ〜ん。」
あたしの背中によっすぃーが背中をくっつけて寄りかかってきた。
背中合わせの2人…。
あたしの気持ちもきっと、お互い見えない顔みたいに、
ずっと気づかれないままなんだろうなぁ…。


227 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月16日(日)21時51分28秒
「あ……梨華ちゃん?」
背中から温もりが消える。あたしも何となくよっすぃーに付いて
裏庭を見下ろす。
「おーーい!梨華ちゃ〜ん!」
よっすぃーが手すりから少し身を乗り出して下に向かって手を振った。
その『梨華』という女の子も声に気づいてこっちを見上げる。


「…………。」


間違いない。今朝見た子だ。
228 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月16日(日)21時55分06秒
いちよう更新です。イマイチ後藤の気持ちを表すのが難しくて
頭を悩ませてるんですけど…。
まぁ、気にくわない部分も見逃してやって下さい(冷汗)
229 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月17日(月)00時46分22秒
いしよしごま大好き!
頑張ってモンモンさせてください。
230 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月17日(月)21時55分45秒
>229 名無し読者さん
この3人みてるとドンドン妄想が膨らんでしまいますよね(w
書いていて何時も思うのですがどうも自分は後藤さんを
苛めるのが好きみたいです(w
231 名前:普通視点にします。 投稿日:2001年09月17日(月)22時19分00秒
後藤が見たその少女は間違いなく石川梨華だった。
石川に向かって笑いながら手を振る吉澤を見て、後藤の胸の中には
何かブワッと込み上げてくるような嫌な感情が広がった。

吉澤にしてみれば只、単に最近仲良くなった隣のクラスの友達を見つけたので
手を振っているにしか過ぎなかったのだが。
小さい頃から人見知りの激しかった吉澤が、自分にだけ見せてくれる
あの子供っぽい笑顔を、自分以外の人に向けているのが
悔しいと言うより悲しかったのかもしれない。
確かに吉澤は人と接するとき、何処か距離を置いて付き合う部分がある。
色白で長い手足。短くて黒く美しい髪。そしてあの意志の強い目。
人はみな吉澤のそんな外見だけを見て勝手な想像を作り上げる。
吉澤自信みんながそんな目で自分を見ているのを知っていた。
本当にわたしを理解してくれる人にしか自分は見せない。
いつからか吉澤はこういう風に思うようになった。
一種の人間嫌いなのかもしれない。
232 名前:普通視点にします。 投稿日:2001年09月17日(月)22時25分54秒
「……あの子が梨華ちゃん?」
もう行ってしまった少女を思いながら後藤は何気なく吉澤に聞く。
「え?あ〜!そうそう。朝言ってたじゃん?あの子あの子。」
「…へぇ〜。可愛いじゃん。」
「そうなんだよねぇ。見た目だけじゃなくってさぁ中身もマジ女の子らしいの。」
吉澤は軽く笑いながら石川のことを後藤に説明する。
233 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月18日(火)06時15分21秒
ごっちんをもっと苛めてください(w
234 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月26日(水)02時45分08秒
ごごごごっちんがもぉ超可愛い…
よっすぃーはチョト可愛くてかなりカッケー感じでも〜ぉかなり(・∀・)イイ!
幼なじみっていう設定がかなり好みです。今までで一番タイプ(w
期待してますんで頑張ってください
235 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月28日(金)10時45分39秒
>233 名無し読者さん
ええ、これからちょっと可哀相な役をやってもらう予定です(苦笑

>234 名無し読者さん
自分もこういう設定で一度書いておきたかったので今とても楽しいですよ♪
でも、やっぱりこの2人は書くのが難しい…(^^;
236 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月30日(日)12時40分06秒


−嫉妬って言うの?−



後藤は昼休みが終わって教室に戻るとすぐにバックを持って学校を出た。
とても、午後の授業を受ける気にはなれなかったからだ。

(よっすぃーがあんな嬉しそうな顔で友達のこと言うなんて………
 始めて見た……)

家に着くとすぐに自分の部屋への階段を駆け上がる。


バタンッ!!


乱暴にドアを閉めてベッドへ倒れ込む。

「………疲れたぁー………。」

別にあの『梨華ちゃん』が悪い訳じゃない。
けど、今まで自分に向けられていたあの優しい視線が
自分以外に向けられてしまった悲しみを誰にぶつければいい?
そんなどうしようもない独りぼっちの葛藤。

「……バカみたい…。」





237 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月30日(日)12時56分21秒


トントン……


「…ん?…」
あのまま寝てしまった後藤を起こしたのは自分の部屋をノックする音。
眠たげに目を擦りながら体を起こす。
(お母さんでも、帰ってきたのかなぁ…)
時計を見ると夜の7時。

トントン。


(もう〜!うるさいなぁ〜)
後藤はドアの向こう側にはすっかり母が立っていると思って
「開いてるよぉ〜。」
と少し大きな声でドアに向かって言った。


「ごっち〜ん?」



「え?………」


開けられたドアの向こうには、部活帰りだからだろう。
バレー部のジャージを着て、バッグを抱えた吉澤がいた。


238 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月30日(日)13時39分25秒


「ど、どうしたの!?」


後藤にしてみれば予想もしていなかった吉澤の登場。
慌てて寝癖のついた髪を手櫛で整える。

「いやぁ〜、放課後、四組行ってごっちんいる?ってクラスの人に聞いたら
 昼休み終わってからすぐ帰ったよって言われてさぁ。んで、ちょっと様子を
 見に来たわけ。けど、なんか寝てるとこ邪魔だった?」
吉澤が笑いながら言った。

「あ、いや全然!入ってよ。」
「ゴメンね。」
「良いってば。」
吉澤が所々に雑誌が散らばった部屋へ足を入れる。
「具合でも悪かったの?」
吉澤は後藤が座っているベッドを背もたれにして腰を下ろした。
「う〜ん、そんな感じぃ…。」
「大丈夫?」
「大丈夫じゃなぁ〜い!苦しーーよぉ!!」
わざとらしく後藤はベッドの上で、もがいている。
「もう……心配したんだからぁ。」
呆れたように吉澤は溜め息を吐く。
(……………なんか、嬉しいなぁ………)
後藤の中で沸々と何かが溢れてくる。


「ねぇ……よっすぃー…?」
「ん〜?」
吉澤は散らばっている雑誌を適当に手にとって読み始める。
この部屋に2人っきりで居るのかと思うと後藤は気が変になりそうだった。






239 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月30日(日)13時48分58秒





「…………好きな人いる?」




「あたし?」
「うん……。」
「好きな人ねぇ……どうだろ〜?」
いつもだ。いつもそうやって誤魔化す。
「ごっちんは?」
「あたしは………いるよ。」
精一杯のアピール。耳まで赤くなっているのが後藤自身でも分かる。

「へぇ〜?頑張ってね。」

興味のなさそうなその態度に後藤はまたあの少女に嫉妬を覚えた。

(もっと気にしてくれたって……いいじゃん……)




240 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月30日(日)17時02分07秒


吉澤のあまりに素っ気ない態度に少しムッとした後藤。
「ねぇ〜、あたしが誰を好きか気になんないのぉ〜?」
吉澤の髪の毛に指を絡めて弄びながら聞いてみる。
「だって、聞いても教えてくれないんでしょ?」
「まぁ〜、そうだけど……。」
(だって、よっすぃーが好きとか絶対言えないじゃん……)
「だから聞かないの。」
「ちぇっ!よっすぃー面白くなぁ〜い。」


「それに、ごっちんの好きな人聞いたら………」


「え?」
吉澤が小さな声で喋ったため後藤はよく聞こえなかった。
「ううん。何でもない。んじゃ、そろそろ帰るね。」
「?……うん。わざわざありがと。」
まるで、逃げるようにして帰っていった吉澤。
吉澤を玄関まで送った後ゆっくり階段を上りながら首を傾げる後藤。



………よっすぃーどうしたんだろ?






241 名前:すなふきん 投稿日:2001年09月30日(日)17時04分05秒
更新です。
え〜っとこの小説思いつきでバーッと書いてるので一回息詰まるとなかなか
大変で…(汗)
この先どうしよっかなぁ〜。
皆様の感想・アドバイス待ってます。
242 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月01日(月)00時15分21秒
このまま突き進んでください!
243 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月01日(月)01時47分55秒
もうしばらくカワイソウなごっちんがみたいかな(w
244 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月13日(土)20時00分41秒
>242 名無し読者さん
このまま突っ走っていきます!!!(w

>243 名無し読者さん
もうしばらくそうなりそうです(w
245 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月13日(土)20時03分24秒
 
 〜お知らせ〜

 今まで赤板でかいていたのですが海板に新しくスレッドを立て直しました。
 前と変わらず題名は『初小説』でのせていますので是非覗いてみて下さい。
 お知らせでした。

 
246 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月14日(日)19時32分07秒

−この想い伝わりません…−



「…………。」
吉澤はスタスタと早足ですぐ近くにある自宅に向かう。
すっかり周りは暗くなっていて、所々にある電柱の光が弱々しく光っていた。
空には星が何個か見えた。

最初は早足だったのに歩くにつれて、段々とスピードが落ちて
吉澤はついに立ち止まった。

どこか険しいその表情。

「ごっちん…好きな人……いるんだ……。」
俯いて自分の靴を見ながら呟く。

「…………はぁっ〜〜〜〜!!」
大きな溜め息をわざと吐いてゆっくり自宅へ歩き出した。
視界がグニャっと歪んで目の奥がツーンとする。
涙が落ちる前にジャージの袖で目を擦ることしかできなかった。



247 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月15日(月)22時50分14秒
両想い!!
ああ…もどかしいっす!!
248 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月19日(金)15時47分23秒





暗くなり始めた校庭には、まだ生徒達の話し声がチラホラと聞こえる。
やっと部活が終わって、これから帰ろうとしているのだろう。
シンとなった体育館の側から座って吉澤はそれを眺めていた。
もう、とっくに部活は終わっていたが友達とは帰る気になれず、さっきから
こうしてボーっとしながら時間を潰していた。
そんな吉澤の頭の中では



『あたしは……いるよ。』



昨日、後藤が顔を真っ赤にしながら言ったセリフが頭の中をグルグル
と嫌にリフレインしている。
「聞かなきゃ良かった……。」
呟くように吐き出したものの、知ってしまったものはしょうがない。
口では頑張ってね、なんて言ったけど内心はイライラして
あれが精一杯の後藤にかけれる言葉だった。
小さい頃からいっつも泣いてばかりで、変ところで意地っ張りで、
ひどいマイペースで、何考えてるか分かんなくって、無表情で……………
それでも、たまに自分にだけ見せてくれる笑顔は、どんな花よりも
綺麗で目が離せなかった。















249 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月19日(金)15時50分23秒









ごっちんを
ずっと見ていたい………………
ずっと一緒にいたい……………
でも………………




……………幼なじみなんだから…………
……………女同士なんだから……………














250 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月19日(金)16時15分15秒




吉澤が重いため息を付いたとき
「……ひとみ…ちゃん?」
本人かどうか確認するように石川が後ろから声を掛けてきた。
その声にクルッと振り向く。
「あ……梨華ちゃん。」
不思議そうに首をかしげて、自分を見ている石川。
「どうしたの?こんなとこで。」
「ん〜…なんとなくね。」
そういう吉澤の表情はどこか曇っていた。
「…梨華ちゃんこそどうしたの?」
「あたしはちょっと保田先生に呼ばれてて。」
バレー部のマネージャーをしている石川は、練習が終わると顧問の保田から、明日
の予定等をを告げられるためバレー部員よりも帰りが遅くなる。

「マネージャーも大変だねー。
 あ、ねぇ、一緒に帰ない?」
「うん、帰ろ。」


石川なら相談にのってくれる。吉澤はそう思って石川と帰ることにした。








251 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月19日(金)16時36分25秒



「そっか……。」
「……………。」
吉澤は毎朝後藤と一緒に乗ってくる自転車を押しながら石川に胸の内を伝えた。
確かに後藤のことを話すときの吉澤の顔はいつものクールな顔とは違って
ニコニコしたとても女の子らしい表情だった。
石川も、吉澤がそんな可愛らしい幼なじみに振り回される話を
面白そうに聞いてくれていた。

石川自身、今時、女の子同士なんて珍しくないしいいと思う。
そういうことは結局のところ当人達の問題だ。
二人が愛し合えればそれでいい。
この前チラッと見たけど真希ちゃんすっごく可愛かったし。
ひとみちゃんだって、そこら辺の男の子よりずっとかっこいいし、
いいカップルになると思う。

しかし……いくら吉澤が好きでも、向こうに好きな人がいるのなら
どうしようもない。
石川もそのことを聞いて返答に困った。
いつもは嬉しそうに後藤のことを話す吉澤が今日は本当に辛そうだった。





252 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月19日(金)16時55分31秒
少しですけど更新です。
もう、250越えちゃいましたね。
よくかいたもんだ♪

今のところ、この二人をかくのはすごく楽しいです。
これからは、梨華ちゃんが重要な役をしてくれると思います。


>247 名無し読者さん
すれ違う二人の思いをかくのはなかなか楽しかったりします(W

253 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)13時19分24秒

〜大切な友達なんです…〜



「吉澤―!!どこ見てんの!!」
「すいません!!」
体育館に保田の怒鳴り声が響く。
そんなのはいつものことなのだが、吉澤が怒鳴られているというのが珍しいのだ。
滅多にないことに部員の間にも張り詰めた空気が流れる。
「ったく…もうすぐ試合だってのに…。」

「ひとみちゃん……。」
石川は保田の座っているパイプ椅子の後ろあたりで
ボール等の準備、整理をしながら、
ミスばかりが目立つ吉澤の姿に複雑な表情をする。

吉澤がこうなっている理由を知っている石川は
何とも言えない憤りを感じるしかない。


結局、昨日は何の言葉も掛けられずにいた石川に
「ゴメンね…こんな話して……。」
と、下手な作り笑いを浮かべていた。



254 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)13時19分57秒



前からやってみたいと思っていたマネージャーに、
学校も変わったことだし、と思い切ってやってみた。
見学しに行ったときの吉澤はクールで少し恐そうな感じがした。
しかし、マネージャー初日、分からない事があって保田に聞こうとしたが、
まだ体育館に来ておらず、一人困っていたら
「どうかした?」
と話し掛けてきてくれたのは吉澤だった。それを境に仲良くなって
吉澤のことが色々分かった。
隣のクラスで、成績は学年トップ。容姿端麗、性格温厚。
今では石川の大事な友達でもあるし、憧れでもある。
そんな吉澤が困っているというのに、自分は何もできず見ているだけ。


どうにかしてあげたい…でも、どうすれば……。


頭の中は同じことがグルグル堂堂巡り。

保田に怒られ、コートの中で一緒にプレイしている先輩達に、
申し訳なさそうに謝る吉澤の姿を見ても、良いアイディア等は
何も浮かんでこなかった。




255 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)13時25分18秒
〜…欲求不満……〜
「へへ……よっすぃーお疲れ!」
「あ、ごっちん。」
バレーの練習が終わったよっすぃーを、あたしは体育館裏でお出迎え。
「ごめんね、遅くなっちゃって。」
「ううん。全然平気だよ。」
よっすぃーは優しくフッと笑ってくれる。
「…ごっちん……。」
え……?
ちょっと、艶っぽい目で見つめられて、あたしは頭にどんどん血が上っていく。
「……よっすぃ。」
そっと顔に手が添えられて、だんだんよっすぃーの顔が近づいてくる。
え…あのぉ〜……これって……。
あたしの手から鞄が落ちた。ドサッと落ちた音が聞こえる。
ちょっと顔を傾けたよっすぃーの唇をチラッと見て、あたしはギュッと目を閉じた。




・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・





256 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)13時28分32秒





「!!!っ……。」

なななな、何!?この夢!!……。
目の前には当然よっすぃーの顔ではなく、部屋の天井が広がっているだけ。

「ハァ…ハァ……。」
ゆっくり体を起こす。
汗ばんだ背中。チラッと横目で見た時計は、まだ朝の五時を指している。

「……あんな夢見るなんて……。」

あたしは頭をグシャッとして、またベッドに倒れこむ。

「欲求不満………。」
だよねぇ…どう考えても………。
…すっごいリアルだった。




257 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)13時29分51秒




よっすぃーのあの表情。
      あの目。
      あの唇。



ゴロンと寝返りを打つ。

夢にまで見るなんて………。
あたしはオヤジか、っての……。



……でも……続きを見たいと思ったのも事実。

「はぁー………。」






258 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)13時32分09秒







「ごっちん、ちゃんと掴まってないと危ないよ?」
「う、うん…。」
いいです…こんなバカ一回くらい死んだ方が…。気にしないで下さい……。
意識している自分をどうしても止めることができない。
よっすぃーはそんなエロオヤジを乗せて自転車を漕いでくれる。

「ごっちん、掴まってなって。」
よっすぃーが少しこっちを振り向きながら言った。

「…あーい。」
間の抜けた返事をして、大好きなよっすぃーの背中にぎこちなく抱きつく。

昼休みまでに収まるかなぁ………。

後藤はそんなことを心配している自分が情けなくもあったが、
それすらも楽しんでいる自分がいることに気付いていた。








259 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)13時43分39秒


〜お役に立ちたい!〜



楽しくもない英語の授業を聞きながら、ノートをとる。
吉澤には敵わないと言っても、全体から見れば上位にいる石川。
いつもなら、授業内容を理解しようと集中して先生の話を聞くのだが、
今日は上の空。

昨日、部活帰りに考えてみた。
吉澤のために自分ができること。
そして、出た答えが一つ。


……後藤さんに会ってみようかな…………。


もちろん吉澤には内緒だ。
ただ、後藤が吉澤のことをどう思っているのかを知りたいだけ
余計なことを言うつもりはない。
まずは、そこが分からないとどうすることもできない。



260 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)13時45分30秒



吉澤から聞く分だと、後藤はいつも眠そうにしていて、マイペースな女の子。

しかし、友達やクラスの子からは、あまり良い噂は聞かない。
男をとっかえひっかえしているとか、他校の生徒と喧嘩して病院送りにしたとか…
ひどいのになると、クスリをやっているなんて話まで聞く。
そして、みんな口をそろえて言うのが
「あんな子がどうして、吉澤さんといるんだろうね?」

石川の中で後藤という人物がどんどん分からなくなる。

ひとみちゃんの恋…上手くいくと、いいけど………。

教室の窓側から見下ろしたグラウンドには、
ジャージ姿の後藤が端の方で眠そうに蹲って座っているのが見えた。







261 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)14時25分42秒


〜雨がくれた出会い…〜




大きな欠伸をしながら、帰ろうと学校を出ると
「んあ?……」

空からは大きな雨粒がポツリポツリ。

「……もぉ…傘持ってないのにぃー。」
雨は嫌いじゃない。
ただ、こんな時に降られては大迷惑。
「どぉーすっかなぁ……。」

空と睨めっこしながら呟く。


「あ、あの〜…。」
耳に入ってきたのは可愛らしい声。
そして、目に入ってきたのは傘。

ん?…あたしに?

ボーっと考えていると
「あたし…か、傘1本置いてて…それで、2本あるからどうぞ!」
再び傘を差し出される。
差し出してくれた女の子は色白で黒髪の綺麗な中等部の女の子。
制服ですぐに分かった。
「あー……でも…。」
少し迷いながらそう言うと
「い、いいんです!どうぞ。」
少し強引に渡される。

…貸してくれるって言ってるしいいか…。

「…ありがとぉ。」
「い、いえ…。」
俯く姿がいかにも女の子らしくて微笑ましい。


262 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)14時27分50秒



「あのぉー、名前なんて言うの?」
借りたものは返さなければ。
そう思って名前を聞いた。

「あ、ま、松浦です!松浦亜弥!」

なんか、忙しい子だなぁ…。
そんな姿がとても可愛らしく後藤の目に映る。

「中等部でしょ?何年生?」
「さ、3年です。」
恥ずかしいそうに顔を赤くさせながら答える。

「そう、んじゃ、明日にでも返しに行くよ。」
「え、あ…ホントいつでもいいですから!」
そう言い残して松浦は、赤い傘を差して雨の中を走り去って行った。







263 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)14時29分29秒




「中3かぁ…。」

ふと、思い返すとあの頃はあのままでも十分満足していた。

毎日のようにお互いの部屋で遊んで、時には泊り込んで、
だらない話で盛り上がって。
そして、吉澤の部活が休みの時には二人で買い物したり、行き先も決めずに
フラフラしたり。

今でも、すごく楽しいけどあの頃はそれだけで良かった。

だけど、今は何かが違う。それだけでは何か足りなくて、何か寂しくて。
そんな自分がいる。

あの頃よりは成長したってことなのかなぁ……。


「あたしも帰ろっかな。」
貸してもらった傘を開いて校門まで歩く。

それは、爽やかな水色のステキ傘だった。








264 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月28日(日)14時32分40秒

ずっと書きためていたので一気に更新しました(w

松浦をちょっと出してみました。
この辺からちょこっと複雑にしてみようかと…。
でも、やっぱり学園ものは書いていてすごく楽しいです。

感想・リク、何でもお待ちしています。
265 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月28日(日)18時21分25秒
このもどかしさが青春って感じでいいですね〜。
あとエロオヤジなごっちんも(w
梨華ちゃんの活躍に期待っす!
266 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月29日(月)00時06分02秒
( ´ Д `)ノ アーイ

カワイイな〜ごとー。
リクって程じゃないですが、
学園ものだし、せっかくだから文化祭とかそういうイベントにからめてみてはいかがでしょうか。
ちょうどそんなシーズンですし。

気持ちはすれ違いつつ、無意識してなくても実際なんかラブラブな2人の雰囲気がいいすね。
プッチの新曲宣材写真?のよしごま制服姿を見て、ここの小説連想しましたw 萌えます
267 名前:すなふきん 投稿日:2001年10月29日(月)10時36分58秒
>265 名無し読者さん
そうですね(w
これこそ、学園ものの良いところ。
まったり進められるのが気に入っています。
ごっちんは、そうですね、うん、エロオヤジで(w
梨華ちゃんはこれからの話で重要な役を占めていくと思いますよ。

>266 名無し読者さん
やっぱり、ごっちん書くときはそういうキャラになっちゃいますね(w
文化祭!!不覚にも思いつきませんでした(汗…
ちょっと、使わせてもらおうかと思っています。
二人にとって、どんな文化祭になるのやら(w
もちろん中等部と合同でやりますよ!
加護ちゃん辻ちゃんあたりも出してみようかなぁ……ブツブツ…
(まだ、検討中です(^^;
268 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月31日(水)14時50分38秒
およ!新展開の予感。楽しみにしてます!!
269 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月04日(日)15時05分03秒



−密室!?−




『〜〜〜♪』
机の上に置いていた携帯が奏でる今流行りの曲。
「んあ、メール……。」
ベッドの上で読んでいた雑誌から、ヒョイと顔を上げる。
少しウトウトしてきた目を擦りながら机まで移動。


『ごっちーん何してる?今日部活が早く終わってさぁー。
なんかやることなくって暇っす〜・・。』


眠気なんかすっかり覚めた。
だって、大好きなあの人からのメールだもん。
携帯を右手、左手を顎に添えて
「ん〜…。」
少し考える。





そして、すぐに行動。







270 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月04日(日)15時16分30秒





クローゼットの中から下着、トレーナー、ハーパン。
ハンガーから制服を掴んでバッグに詰め込む。

「あ!ケータイっと…。」

慌てて引き返して携帯をポケットへ。
 
「おかぁーさぁーん!!今日よっすぃーんとこ泊まるからぁー!」

台所で洗い物をしている母親に、玄関で靴を履きながら
大きな声で告げる。

「迷惑かけんじゃないわよ!」
「はぁ〜い。」

準備完了。
ガチャッとドアを開けて近所にある吉澤の家に向かう。






271 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月04日(日)15時22分30秒




ピンポーン。


「はーい。」

出迎えてくれたのは吉澤の母親。
「こんばんわぁ。」
「あら、真希ちゃん!?あがって、あがって。
 ひとみなら部屋にいるわよ。」

「じゃましまぁ〜す。」
と靴をきれいに脱ぎ揃えて階段を上がる。
 
 コンコン!

いちようノック。

何となく予想していた通り、吉澤は返事もせずに、
少し開いたドアの隙間から、眠たそうな顔を覗かせた。

「あ…ごっちぃ〜ん。」
ちょっと不機嫌だった顔が、ニッと笑った。



272 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月04日(日)15時26分45秒



「あはっ。」

手に持っているバッグを、少し持ち上げて見せる。
泊まりに来たというサイン。
後藤は吉澤の家に泊まりに来るときは、いつもこのバッグでやってくる。
次の日、学校に持っていくのにも使い勝手がいいから。

「ごはんは?」
部屋に後藤を通しながら吉澤が聞く。
「もう食べたぁ。」
相変わらず綺麗な部屋。
バッグを床に置いてベッドに飛び込む。
吉澤は何時ものことなので何も言わずに
ベッドを背もたれにして腰を下ろした。

「部活早く終わるなんて珍しいね?」
枕を抱きしめてゴロゴロしながら吉澤に質問。
「ん〜、なんか先生が出張みたいでさ。」
 吉澤は雑誌に目を通しながら後藤に答える。
「あ〜、ねぇ今日さ雨降ったじゃん。
 あたし、傘持ってきてなかったからさぁ、もうずぶ濡れだよ。
 ごっちん大丈夫だった?」




273 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月04日(日)16時04分59秒




…素敵な傘だったなぁ……。
あの子が貸してくれた水色の傘を思い出す。
名前、何ていったっけ?
えーっと……あ!確か、松浦さん。
…松浦亜弥だったよね。


「あ〜、それがさぁ 、あたしも持ってきてなかったんだけどぉ〜…。」
「けど?」
「なんかぁ、中等部の子が2本持ってるからって、貸してくれたんだよね。」
「…中等部?」
「うん。3年生だって。マジすっごい可愛い子なの。
 あ!ねぇ、明日返しに行くから、ついてきて?」

「…ああ、うん。」



どこの誰だか知らないその子に嫉妬する自分。
こんなことなら今まで数え切れないほどあった。
だけど、未だに慣れる、なんていうことはない。



残酷だよ…ごっちん…





それでも、そんな小悪魔みたいな彼女が好きでどうしようもないんだけれど………







274 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月04日(日)17時15分05秒
少しですが更新です。
275 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月04日(日)18時51分19秒
文句無しにいいです!!
276 名前:さるさる。 投稿日:2001年11月07日(水)11時53分33秒
すなふきんさんの、よしごまはやっぱしいいなぁ・・・。
ごっちんを追いかけるよっすぃがたまらん!
後藤っていつも追いかけてる小説多いので、なんか新鮮。
愛ちゃん登場はまだですか?愛ちゃんかわいいなぁ。
しかも憧れてたのは後藤さんだっていうし、
愛ごま希望ー笑
277 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月07日(水)14時14分20秒




久しぶりに来るこの部屋。
いつも綺麗に片付けてあって、吉澤らしいな、と思う。

この部屋に来る度、静かに鼓動が速まる。

ペラペラと口が動いてどうでもいいことまで
言ってしまった自分が、なんか恥ずかしい。

こんなになっちゃうのは、彼女の前だけなんだけどなぁ。



「ごっちん、お風呂入ってないでしょ?」
回想中止。
乙女モードだった後藤は一気に吉澤の声で
現実に引き戻される。
床に座って、こっちを見上げるようにして聞いてくる。

「ん、まだだけど。」

「そ、じゃ入ってきなよ。」
雑誌に目を戻す。




278 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月07日(水)14時15分32秒




目の前に好きな子がいるんだ。
易々と引き下がると思う?


「よっすぃーは?」
「あたし?言ったじゃん、ずぶ濡れになったって。
 帰ってきてすぐシャワー浴びちゃったよ。」

1人で入るの?
………そんなのヤダ…
せっかく、可愛い下着選んできたのに、これじゃ納得いかない。

「1人じゃつまんないじゃん。
 一緒入ろぉ〜よぉ〜。」

「は!?」
驚いたようにこっちを振り向いた顔は
方眉が上がっていて、不思議そうな目で見つめられた。


顔が少し赤くなっていたのは、後藤の気のせいなのかなぁ?








279 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月07日(水)14時19分26秒





心臓に悪いから冗談は止めて欲しい。

トレーナーの袖をちょこんと掴んで、子猫みたいな顔されても……。

「ヤダよ。」
咄嗟に口をついて出た言葉。
自分の顔が熱くなっていくのが分かる。

「なんでぇ〜?いいじゃん!ね?」

ベッドの上で寝転がっている後藤に、肩に手を置かれ後ろから顔を覗かれる。

そんな甘えてくるような声を出す後藤をゆっくり押し返す。

「もう、入ったって言ったじゃん。ほら、着替え持って。」

渋々といった感じで、バッグから着替えを取り出す。

小さい頃はよく一緒に入ったのに…
最近では全然肌を見せようとしてくれない。

「後藤1人じゃつまんないじゃん。
よっすぃ〜、一緒入ろうよぉ〜。」
背中をグイグイ押されながらも、まだ食い下がる。


「ほら、もういいから、湯船で寝ないでよ?」
最後に一言忠告されて

バタン…。






280 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月07日(水)14時21分42秒





また、失敗……。

この前泊まりに来たときもこんな感じで、結局1人で入った。
「照れてんのかなぁ…?」
後藤は首を傾げながら浴室へ向かった。





「はあ〜……。」
扉に寄り掛かったままズルズルと座り込む。
俯いて頭をグシャグシャと掻く。

後藤が見た目の割に、ものすごい甘えん坊なのは
小さい頃からよく知っている。

「ごっちん…。」

お風呂……
誰かと一緒には入るなんて別に気にすることでもない。
合宿や、友達との旅行などそんな機会は今まで沢山あった。

ただ、後藤は別だ。
好きでしょうがないあの子とあんなところに
お互い裸でいたら……。
情けないけど、自分を抑えきれる自信がない…。

「馬鹿みたい……。」

いいじゃないか。一緒に入ってあげれば。
変に意識することなんてない。
小さい頃から何も変わらない幼なじみという関係。
大体、自分にそんなことできる度胸があるのか?
一番安定しているこの関係を自ら壊す度胸なんて持ち合わせているのか?


自嘲の言葉を並べて何とか自分をコントロールする。
もう、慣れたことだ。



281 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月07日(水)14時27分15秒







「うわっ、さむ!」
振り返ると浴室から戻ってきた後藤が寒そうにこっちを見ていた。
半乾きの茶色い髪が妙に官能的に目に映る。

「よっすぃー、そんなとこで何してんの?風邪ひくよ?」
「あ…あぁ、そうだね、ごめん。」
あれから随分時間が経っているようだ。
部屋では後藤がいかにも寒そうにこっちを見ていた。

「そんなに寒い?」
鍵を閉めてカーテンを引きながら聞く。
「寒いよぉ。もぉ。」
そんな寒いかなぁ…あんま分かんないや。

カーテンを引き終わった途端、ギュッと手を握られた。






282 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月07日(水)14時29分51秒




温かい…
あたしと違って体温高いもんね。
思わず苦笑してしまった。

「ほら、手ぇすっごい冷たくなってんじゃん。」
ちょっと、怒られた気分。
心配してくれている後藤を少し困らせてやりたくなる。
「手はいつも冷たいよ。」
少し笑いながら言ってやった。
「う〜…いっつも薄着ばっかしてるからだよ!」
拗ねても、ちゃんと両手で包み込むように手を温めてくれている。




他人には無関心なのに、こうしてくれるのは幼なじみだから?








283 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月07日(水)14時32分55秒




「……体冷えちゃうよ、もう寝よ?」
指と指を絡ませギュッ、ギュッと何度も握りなおしながら、上目遣いに言われて
「……うん。」
としか答えられなかった。

自然と手が離れる。

相変わらず吉澤の手は冷たいままだった。


「布団…出さなきゃね。ちょっと、待ってて。」
吉澤が隣の和室に布団を取りに行こうとすると

「い、いいよ!」
…せっかく、来たのにそんなんじゃつまんない。
もっと、側にいたいのに…。


「え?」
トレーナーのフードをグイッと引っ張られた。
「…めんどいし、ここで寝ても良い?」
部屋にあるベッドを指さす。
ちょっと、本気の目。
一瞬だけど目が合う。


一緒にってことだよねぇ……。


「……そだね。」
「…へへ。」
後藤がフニャッと笑ってくれたのを見て、少しだけ罪悪感を感じた。








284 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月07日(水)14時36分11秒
更新です♪
最近黄板が波に乗っていてなかなか海板の方が更新できませんが
話はいちようあるのでそのうち更新すると思います。


>名無し読者さん
ほんとうにありがとうございます!!
そんな有り難い言葉をもらえると、調子に乗りそうです(w

>276 さるさる。さん
基本的にはやっぱり、ハッピーエンドが好きなので設定はいつも
両想いになっちゃうんですよね(w
あいごまですか…愛ちゃんほんと、可愛いですね〜♪
だけど、ここではあややを出しているのでそれは
ちょっと難しいかもしれません。ほんとすみません(汗)
チャンスがあれば愛ちゃん登場させますので。
多分、あいよしになるんじゃにかなぁ…。


285 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月07日(水)16時24分20秒
うわ!! >284の最後が変になっていますが気にしないでください(−−;
さるさる。さんすいません…m(_ _)m
286 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月07日(水)21時46分33秒
よしごまでないの? 続き待ってる。。。
287 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)14時38分32秒

〜二人の夜〜






「電気消すよ?」
「うん。」
ベッドの中から返事。
パチッと音がしてオレンジ色が部屋を包んだ。

「…………。」

布団から半分顔を出してこっちに歩いてくる吉澤を見る。



……なんか……Hっくない?……




後藤の体温で温かくなっているベッドに片足入れたところで気が付いた。

「…何ニヤニヤしてんの?」
「え?べ、別に!」
見られたのが恥ずかしくってクルッと壁側を向く。

「?……変なごっちん。」




288 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)14時47分49秒



どうせ変だもん……。
あっ…腕、あたった………。

自分から言い出しておいて、いちいちそんなことに反応してしまう。
吉澤の冷えた体と外気が入ってきて布団の中がひんやりする。
吉澤はそのまま背を向けてベッドに横になった。
ゴソゴソと吉澤の方に向き直って距離の近さを確認。


…………抱きつきたいけど……ヒかれたらヤダし………



吉澤の背中を見つめながらそんなことを考えていたら少しずつ瞼が重くなってきた。





よっすぃーもう寝てるかなぁ……
顔見えないから分かんないや………

こっち…向いて欲しいなぁ………



・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・





289 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)14時49分09秒




「…スー…スー……。」


起こさないよう静かに、寝息を立てる後藤の方へ体ごと向ける。

頬にかかっている髪の毛をそっと指で直してやる。
シャンプーの甘い香りが漂う。

「…………綺麗な顔……。」

頬に手を添えたまま呟く。

少しだけ開いた口が自分を誘っているように見えた。
唇を見つめる。

「……ごっちんが一緒に寝ようって言ったんだからね?」




290 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)14時51分27秒





少しずつ顔を近づける。

興奮とか欲情とかそういう感情は不思議と湧かなかった。
ただ、この子が好きというそれだけが胸を締めつける。
あともう少し…。
目を閉じて唇を重ねようとしたとき


「んっ……。」


寝言。
その声にハッと我に返って顔を離す。


「スー…スー…。」
規則正しい寝息。


何してんだろう……あたし…。
ごっちん好きな人いるって言ってたじゃん……。


溜め息をつきながら、横目で枕元にある時計を見る。

「…1時……。」


全くと言って良いほど眠気はなかった。








291 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)15時39分24秒





昔よく遊んでいた公園。
その公園で10歳くらいの小さい女の子が1人でブランコを漕いでいる。


あれって……あたし……。
あぁ……これ、夢か………


昔のあたし。
着ているワンピースはすごくお気に入りだった。

そこへ同い年くらいの男の子が3人寄ってきた。
何か言われているみたい。
言い返しもせずにジッと俯いているだけ。


嫌な思い出。
小さい頃のあたしはいっつもこんな風に虐められていた。
今思えば、無口で友達も少ないあたしがターゲットにしやすかったんだろう。

助けてあげたいけど、遠巻きに見ていることしかできない。
ブランコに座ってワンピースの端をギュッと掴んで耐えている。

もう……見たくないのに……。
もう……思い出したくないのに……。




292 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)15時42分06秒







「ごっちん!!」


え………?



男の子達が声の方を振り返って怪訝そうな顔をした。
「げ……吉澤じゃん…。」
「ほんとだ…もう、行こうぜ!」


あっと言う間にいなくなっちゃった。


よっすぃーは、小さい頃から賢くてしっかりしてたから先生のお気に入りで
あんな類の子たちはよっすぃーを見つけるとすぐに逃げちゃう。


「ごっちん、帰ろ。」

「…………うっ……っ…んぐっ……。」

よっすぃーの顔を見た途端、泣き出してる。
さっきまで我慢してたのに。

いつもその繰り返し。

後ろからトボトボと、涙を拭いながら付いて行く。



あんな目にばっかり合ってきたのに、あたしが捻くれずにここまでこれたのは


帰り道、あたしの右手をよっすぃーの左手が当たり前のように
しっかり繋いでいてくれたからかもしれない………。





293 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)16時13分27秒









………ん……ごっ……ん……ごっちん!…



パッと目を開けると、上半身を起こして心配そうな顔をした吉澤が。


「え?……」
その発言に少し呆れながら
「『え?』って……うなされてたんだよ…大丈夫?…」

…そうなんだ……。


目元に違和感を感じて手をやると濡れていた。


「……あたし泣いてた?」
「みたいだね…。嫌な夢でも見たの?」

うわぁ……気付かなかった………。


「ゴメン…起こしちゃったよね……。」
「そんなのいいから。」
「大丈夫だよ…ちょっと、うん。変な夢見ただけだから…。」
「そう……ならいいけど……。」

まだ少し心配そうな顔をしたままベッドに体を戻す。




294 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)16時19分52秒





「………ねぇ…。」
「…ん?」

「……ちょっとだけ……抱きついてもいい?」

言った後、上目遣いで怖々と様子を伺う。
吉澤は、いつもの後藤らしくない、その行動がとても可愛くて。


「そんなのいちいち聞かないでよ。」

意地悪そうに笑って後藤の頭を抱き寄せた。

モソッと腕の中から顔を出して子供のような目で吉澤を見つめる。

「へへ……よっすぃー……。」

そっと腕が背中にまわされてギューッと抱きついてきた。

涙目ではにかんだようなその表情に胸が高鳴った。


……聞こえなきゃいいけど………





295 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)16時34分44秒




青をイメージさせるような爽やかな匂い。



……さっきまでヤな気分だったはずなのに。
だけど少し体温の低いこの腕につつまれたら、そんなの消えてなくなった。

すぐ側で聞こえてくる吐息。
自分のと重なって聞こえる心臓の音。


十分すぎるくらい近い距離。
…満足……満足なはずなんだけど……。


一番満たされて欲しいところが、ポッカリ空いている。

………分かってる。

だって……あたし達恋人同士なんかじゃない………。
 
友達なんだもん………。





あたしのこと好きになって欲しい……


愛して欲しいよ………









296 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)16時46分27秒
>286 名無し読者
もちろんよしごまが基本ですよ。
説明が足りませんでした。すみません(汗



この小説なかなか進みませんね(ニガワラ

この前のうたばんのよっすぃーはイイ感じじゃなかってですか?(w
モーニングの時の男前っぷりとプッチモニの時の女の子らしい感じがツボです(w
297 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月11日(日)22時48分10秒




チチッ、チチチッ


小鳥の囀りが耳に入る。

…平和だなぁー…

ああやって、小鳥が電柱の上で鳴いているのも、こうして空が青いのも、
そして、自分が自転車の後ろに跨ってるのも。

なんか、昨日の夜が夢みたい……。

朝、目を覚ますともう吉澤は起きていて、制服に着替えている途中だった。
あまりに普通に「あ、おはよう。」なんて言われたから、
こっちも普通に「あぁ、おはよう…。」と返してしまった。
彼女らしいといえばそれまで。


もうちょっと、昨日の夜のこと気にして欲しかったりするんだけど……。




298 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月12日(月)01時15分01秒
ああ…ほんとにもどかしい…
読めば読むほど次が待ち遠しいっす!
299 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月12日(月)01時40分34秒




「ひとみー、次移動教室だよー。」
「……ん…あぁ、うん。」

クラスメイトに起こされ、机から教科書を引っ張り出して席を立つ。

「居眠りなんて珍しー、昨日遅かったの?」
「うん。ていうか、全然寝てなくて…〜〜っ…はぁ…。」

廊下で大きな欠伸。

すれ違う上級生達は
「ほら、ねぇ、あの子。ふふっ、可愛いぃ〜。」
などと熱っぽい視線で振り返る。

そんなのもう慣れた。
隣で歩いている友人も呆れ顔。



そんな感じで、一時間目から四時間目まで机に突っ伏したまま眠り続けた。
教壇に立つ先生達は、優等生が始めてみせるそんな態度に、戸惑っていて
注意されることはなかった。


日頃の行いが、こういうときに役に立つとは……。


うーん、世の中面白いもんだ。


昼休み、すっかり覚めた頭で四組に向かいながら、
そんなことを思って苦笑してしまった。






300 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月12日(月)01時47分01秒
>298 名無し読者さん
自分も同じく!!(w
まったり進めていきますので、どうぞ宜しくお願いします。



ついに300………。
自己満足でかき始めてもうすぐ一年に…。
腕を磨くべく読みあさる毎日です(w
301 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月12日(月)22時10分36秒
いつ読んでもドキドキします、ここのよしごま!!思い合ってるのに進展しない二人に萌え〜どっちもカワイイ〜〜はあとはあと
自己満足なんかで終わってませんよ、すなふきんさん!!
影響されて銀板でよしごま始めた者がココに…(w   レスアリガトウゴザイマシタ!
302 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月15日(木)01時22分54秒
いろんなところでよしごまが増えてきていいかんじ。
303 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月16日(金)18時50分58秒
同じく、よしごま小説が増えて嬉しいかぎりです。
これも、小説界の中でいしよし全盛、よしごま不遇の時から、甘ぁ〜くて萌える
よしごま小説を書きつづけてくれた、すなふきんさんの功績によるものなんで
すね。
304 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月18日(日)17時45分43秒
>301 名無し読者さん
いや〜、ありがとうございます(照
ココの二人、微妙なすれ違いがあったりしてなかなか進みませんが(ニガワラ
ただ、学園ものはキャラがたくさん出せるので
その辺期待してもらえれば、イイかなと…(大それたことを言ってみたり…)
銀板の小説期待しているので頑張って下さい!

>302 名無し読者さん
そうですよね♪最近、よしごまが増えてきて自分もかなり嬉しいです(^^

>303 名無し読者さん
イヤイヤ(照
ほんと、駄文ばかりしかかけませんが…(汗
いしよし…実はよしごまの次に好きだったりするので、
いしよしにも頑張ってもらいたいです。はい。
305 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月20日(火)16時24分30秒
すなふきんさんの書く甘甘な、よしごまが大好きです!
当然、初小説も読ませて頂いてますヨ。
最初は、いしよしが好きだったんですけど、今はよしごま一筋です!!
どっかに、よしごまばっか集めた保存板とかできないかなぁ?!?
更新を楽しみにしてます、これからもがんばってくださ〜い!(はぁと)
306 名前:すなふきん 投稿日:2001年11月29日(木)01時08分14秒
>>305 名無し読者さん
おぉ〜、何だか嬉しいお言葉を頂きまして♪ありがとうございます。
何かこういうレスもらうと、あぁ〜書いててよかったなんて…(照
いしよしも大好きですけど、やっぱりよしごまですよね?(w
そして、なかなか更新できないのが読者の皆様に申し訳ないと…。
実は今HPを悪戦苦闘しながら準備中でして…あはは…。
しかも試験期間だったり……。
もう少ししたらドッと更新したいと思いますので(言い訳だぁーー!!(汗)
307 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月29日(木)23時39分32秒
楽しみにしてます!告知してくださいね。
308 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)00時07分56秒





〜あの子を探しに…〜





「あ、加護亜衣いる?」


昼休み、中等部の校舎に来た二人。

人探しなら、あいつに聞けばすぐ分かる。
そう思って訪れた2年3組。

ドアをそっと開けて、近くにいた子にそう尋ねると
怯えたようにこっちを見ながら加護を呼んでくれた。



はいはい…もう慣れてますよ……。
……はぁ〜…これがよっすぃーだったら……。


当然、黄色い声が耳を貫くはず。


廊下にもたれ掛かって、後藤を待っている吉澤。

その前を通り過ぎる生徒達は

「ねぇ、吉澤先輩だよ!」
「うわ〜カッコイイ……。」

そして、そのすぐ先にいる後藤を見て

「……ねぇ、後藤先輩だよね…?」
「…う、うん……。」

ヒソヒソと話しながら、俯いて足早に去って行く。
いつもの光景。
もちろん二人、全く動じる様子もない。




309 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)00時11分49秒




「あぁ〜!後藤さぁ〜ん!!」

嬉しそうに思いっきり後藤に抱き付く。


笑いながらその頭を撫でてあげる。
「久しぶり。」


…他の子はああなのに、こいつはちょっと
怖いもの知らずというか、なんというか……。


とにかく、後藤にとっては珍しく自分になついてくれた
本当に数少ない後輩の一人。
妹みたいに可愛い奴。

そして、加護、変わり者とあって何故か
学園中のあらゆる情報を知り尽くしている。


「加護、3年生の松浦亜弥って何組か知ってる?」
目を細めて嬉しそうにしがみついてくる加護に聞くと
フッと後藤を見上げて

「ちょ〜っと待ってくださいねぇー。えーっと…。」
ポケットから取り出したメモ帳をブツブツ言いながらパラパラ捲る。

一体、何が書き込んであるのか……。

その辺は暗黙の了解。



310 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)00時14分38秒



「松浦さんはー、え〜っと3年2組37号です。」

出席番号は聞いてないんだけど…。


しかし、後藤も慣れたもので何も言わない。
「そっか、ありがとね。」

「いえ〜、なんかあったらいつでも呼んで下さぁい。」





311 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)00時18分38秒

あぁ〜(汗
加護ちゃんの名前
亜衣ではなくて、亜依ですね……すみません。
312 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)00時42分09秒







加護にお礼を言って、訪れた3年2組。


「亜弥ちゃーん!」

入り口から大きな声で呼ぶ。
教室にいる子達はビックリしたようにこっちを振り向いた。

あ、いた…。

その女の子の集団の中で、一際色の白く顔の整った子が
こっちに慌てて席を立った。

「えーっと…これ、返しに来たんだけど。」

傘を見せると笑顔で駆け寄ってきてくれた。

他の子達と違う自分に対する反応。
何だか、加護に似てる気がした。

「す、すいません!わざわざ…。」
ぺコッとお辞儀。

…借りたのこっちなのに、気ぃ使わせて悪かったかなぁ……。

「いや、貸してもらったんだし。これありがと。」
傘を手渡す。
「あ、いえ…。」
何故か、ちょっと寂しそう。

ん…?気のせいか……。

「んじゃ、またねぇ〜。よっすぃー、帰ろぉ〜。」
廊下で待たせている吉澤に告げる。






313 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)00時46分03秒




「もういいの?」
「うん。」
二人で校舎に帰ろうとすると





「……ご、後藤さん!!」

廊下に響いた少し高い松浦の声。


「へ!?」
その声にビクッとして後藤と吉澤が振り返る。

「あ…あの……。」

呼び止めたのはいいが、松浦自身どうしていいのか分からなかった。
只、仲良さそうに吉澤と帰る後藤の後姿を見ていたら
すごく嫌な気分になって。

気付けばこの状況。


相変わらず間抜けな自分に泣きそうになる。




314 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)00時52分24秒
なぁ〜んか中途半端ですが……ここできります。(汗…
久々の更新。
松浦さん出してみました(w
315 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月01日(土)08時58分38秒

現実のまつーらはあんまり好きじゃないんだけど、(w
すなふきんさんの書く「亜弥ちゃん」は、なんだかかわいく思えます(なんじゃそら
ホントに、描写が上手くて、先が気になります〜!
続き、首をキリンにして待ってますので…
316 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時39分51秒




 〜後藤先輩……〜





高鳴る胸で10歩程先にいる後藤を見つめる。




いつも眠そうにしてて、無表情で……
『あたしなんかほっといてよ』みたいな、擦れた感じが好きだった。

友達やクラスの子は恐いなんて言ってるけど、そんなの関係ない。
あたしには、そんなことすらも素敵に思える。


ダルく開けられた胸元とか、短いスカートとか他校の指定バッグとか………
誰だってやってることだけど、後藤先輩がやると何故か、とてもカッコ良く見えた。


そして、最初はただの『憧れ』だと思ってたけど……

あの雨の日……『好き』に変わった。





317 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時42分53秒





朝の天気予報で80%なんて言ってるのを聞いて持って行った傘。

だけど、学校に着いてから、一本置いていたのを思い出した。
持ってこなきゃ良かった……。
そう自分を責めて、赤い方の傘を差して学校を出ようとした時。



いつも目で追っていた茶色い髪。


灰色の雨雲を、ジッと睨むように見つめるその目。



この時だけは流石に、間抜けな自分を責める気持ちは起きなかった。


急いで教室にもう片方の傘を取りに行って
『まだいるかな……』
心の中で祈りながら廊下を走った。



勇気を振り絞って声を掛けたら相変わらず眠そうに
振り向かれて、ちょっと恐かったけど…。


傘を差し出すと、今まで見たことないような優しい笑顔でお礼を言って貰えた。


思わず見惚れてしまいそうな綺麗な笑い方だった。




………もっと、もっと後藤先輩のことが知りたい。






318 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時44分14秒





「先輩!!」

松浦はタタッと後藤の側に駆け寄る。


今、気持ち伝えなきゃ…。


もう『今度』は無いような気がして。




揺らぐことのない決心で、チラッと横にいる吉澤を見た。

……吉澤先輩には負けたくない。



「?」マークが浮かんでいる後藤の腕を掴んで
松浦は屋上に向かって走り出した。





319 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時45分42秒

「え…。」

呼び止められたから、立ち止まった。
それだけなのに、何故自分は屋上なんかに連れてこられたのか……。



…さ、さむ……。

もうこの季節。
空がいくら晴れていても吹く風邪は冷たい。


ハァハァと下を向いて、息を整えている松浦を横目に
握られている手首が痛いとも言えず肌寒さに耐える。



一体、松浦は自分に何をしたいのか…。

さっぱり見当も点かない後藤。






320 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時48分48秒




大抵、呼び出される場合、相手は2、3人。
しかも、上級生がほとんど。
内容はもちろん吉澤絡みで、そしてどうしてか自分の態度が気に入らないと言う。
別に話したこともないあんた達に、こっちは気に入られようなんて思ってない。
とにかく、そんなものなら後藤も幾度となく経験しただけあって
対処の仕方もあるのだが……。



しかし、今横にいるのは後輩でしかも一人…。
まぁどう見ても、あんな類のものではなさそう。


じゃあ何?

まさか、『あたし、吉澤先輩のこと好きなんです!』とか言われて
相談されるんじゃ……。

それは困る。




……だってあたしも…よっすぃーのこと好きなんだから……。



あぁ〜……もう帰りたいよぉ……。





321 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時50分37秒



この手首さえ掴まれてなかったら、とっくに誤魔化して戻ってるのに…。




「後藤先輩…。」

「な、何?」

まだ幼さの残る松浦の声に、今さっきまで考えていたことが
バレてはいないかドキッとしたが、何とか平静を装って答えた。



「すみません…急に……。」

そう言って松浦は握っていた後藤の手首を開放する。

「あ、いや…別いいけど………。」



気まずい雰囲気が後藤を憂鬱にさせる。




「先輩……あたし……。」

黒い髪に隠れて、横からでは表情がよく見えないが
隣から聞こえてくる声の感じから察すると、泣きそうに
なっているんじゃないか?等と思ってしまう。





322 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時55分16秒




「どうしたの?」

このままでは何時まで経っても帰れない、と出来るだけ優しい口調で
俯いたままの松浦の顔を覗き込みながら促してみる。

するとやっぱり目に一杯の涙を溜めていて、今にも零れ落ちそう。

そんな顔をされたら自分まで泣きたくなってしまう。



「亜弥ちゃん…。」

後藤はちょっと情けない表情で呼んだ。

松浦はその声に、顔を上げて後藤の目を見つめると
ヒュッと息を吸って抱きついた。



「うわっ!…。」

急に抱きつかれた後藤は少しよろけてしまう。


松浦の綺麗な黒髪からはイイ匂いがしてきた。




323 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時56分32秒




松浦は抱きついたまま


「先輩……あたし…先輩のこと…好きです。」


「…………。」

あぁ…そういうことか………。

初めてされた告白。

本当に何がどうなってこんなことになるのか。




こんな状況だというのに後藤は、自分を置いて先に教室へ
戻っているかもしれない吉澤のことが気になっていた。







324 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時57分54秒




「はぁ〜…もう疲れたぁ。」


廊下を友達と歩いていたら、保田が後ろから
『あ、石川!ちょっとあたし今から用事あんのよ。
だから、これ中等部の先生とこ持ってってくれない?』


手渡された資料のような冊子。

断るわけにもいかず、友達から中等部の職員室の場所を
聞き、行って、そして今戻っているところ。

保田先生…人使い荒いんだから……。


せっかくの昼休みを削られ、石川は冴えない気分で
後輩達がいる校舎内を歩いていた。







325 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月01日(土)23時59分46秒



溜息をつきながら階段を下りていたら、下の方から
タンタンタンと小気味良く走って上ってくる音が。

音は段々近付いてきて、自分の横を二人の女の子が通って行った。



ピタッと階段の途中で石川の足が止まる。


「……後藤さん?…」


間違いない。

なんでこんなとこに?

それなら後輩に用でもあったのかもしれない。

だけどあの様子はどう見たって、どこかに連れて行かれてるとしか……。

後藤の手を引っ張るあの子は?



湧き上がる疑問。


目に浮かぶあの日の吉澤の悲しそうな顔。




「…………。」


石川は下りていた階段を再び上り始めた。










326 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月02日(日)00時06分17秒
更新です。
久しぶりの石川さん。
ちょっと重要な役目みたいです。はい。


>>315 名無し読者さん
そう言って頂けるとほんと嬉しくて、やる気でます!(w
松浦さんかくのはちょっと楽しいです。
なんか初々しくて(w

327 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月02日(日)17時36分38秒



  〜知る人〜




引っ張られてる後藤さんを見たときから、絶対良い事ではない気はしてた。
それは何となくだけど……絶対にそういう気が。


見失わないよう慌ただしい二人を、気付かれないように追い駆ける。
ただ、ここはもう3階。
このまま、あの二人についていくと…



「……屋上?」


もう二人は屋上への扉を開けて、そのまま向こうに行ってしまった。

石川は少し上がった息を整えながら、薄暗い階段を音が立たないように
少し開いたままのその扉に近付く。

こんな覗くような真似、気は進まないけど……。

なぜか自分に言い訳をして、少し錆付いた扉の間へ顔を移動させる。
すると、向こう側から冷たい風が入り込んできて
見るなと言われている様だった。




328 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月02日(日)17時54分38秒





二人はフェンスに近い、向こうの方にいた。
辛うじて、会話が聞こえるか聞こえないかの距離。


……う〜ん、屋上……普通こういうのって……告白…だよね?


特に何も喋らない二人を見つめながら、石川は首を捻る。
しかし、すぐに色白の後輩が、何か後藤に言って掴んでいた手首を離した。

石川の方からでは後姿なので表情は見えない。

それから数分間、二人は言葉少なに何やら会話をしていたようだったが
吹き込んでくる風の音で、それは全く聞こえなかった。




会話は全く聞こえなかったが、一つだけ確かなのは
99%これは告白現場だろうということ

なぜなら…


「え………。」

…やっぱり…あの子後藤さんに………。


会話は聞こえなくても、この雰囲気とあの光景をみれば誰だって分かる。


「…ひとみちゃん……。」

思わず呟いてしまう。




ねぇ…あたしがこの状況を知ってどうなる?





329 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月02日(日)18時36分10秒

 


 〜気に入らない…〜
 




あの子も…

あの雰囲気も…

あっさり連れて行かれた後藤も…


………そしてそれを見ているだけだった自分も…



全てが気に入らない。


校舎に一人で戻りながら吉澤は思った。

どう考えたって、あの子……ごっちんに想いを伝えるはず。

後藤を連れて行くとき自分を、ライバル心剥き出しで見た目。
後藤もなぜあんな子に付いて行くのか。
好きな子ってあの子?
いや、それはないだろう…。
あの子の話を聞いたのは、あれから大分後だ。

じゃあ、何なんだ?


何もかも、後藤のことが分からない。
これだけ一緒にいるのに何も分からない。
親友の好きな人すら知らないなんて……。

……いや…違う…
…ごっちんのことを…知ろうとしてないのは………

……あたしだ。




後藤は今頃、あの子から告白でもされている。
そう思うと、ムシャクシャして堪らなかった。






330 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月02日(日)19時31分33秒




「お?よっすぃ〜じゃん。」

校舎に戻り、教室に向かっていた吉澤にそう声を掛けてきたのは
高等部3年1組の矢口真里。
吉澤が中学の頃から、生徒会やら何やらでお世話になってる先輩。


矢口さん、前よりまた髪が黄色くなってる……。

成績も良く、人付き合いも上手い矢口。
高等部の生徒会で副会長を務めていたり、と優秀な生徒。
しかし、それとは反対に服装面の違反では先生達を困らせていた。



「よっすぃーって怒るとそんな顔すんだ?」
そんな矢口がムッとしている吉澤を見上げて冗談っぽく言った。

「え?」

冷たい顔つきだった吉澤。
矢口の言葉に間抜けな声を出す。

そんなに恐い顔をしていたのだろうか?
後藤のことで頭が一杯で気が付かなかった。




「何かあったの?」

矢口は相変わらず悪戯っぽい笑みで、優しくそう言った。





331 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月02日(日)20時06分26秒






どうせ誰もいないから、と矢口が気を使ってなのか入れてくれた生徒会室。
確かにあんな人の沢山通るような廊下じゃ、話し難い内容ではある。



始めて見る部屋にボーっとしていたら
「あ、座って。」
と矢口。

簡素な横長の机に入れられているパイスイスを引いて
吉澤は、既に座ってケータイを弄っている矢口の前に座った。


………話したかったら話せってことかなぁ……


自分を気にする様子のない矢口に吉澤はそう思うしかない。

「……あのぉ…。」
「んー?」
矢口はケータイから目を離さず答える。


「あ〜……えっと…矢口さんって彼氏とかいるんですか?」


何から言えばいいのか分からず、とりあえずそう聞いてみる。

「ヤグチ?ん〜…いない。」
「…あ、すいません。」
バツが悪そうに謝る。

「いや、謝んなくていいだけどね。」
笑いながら言う矢口はそのまま

「彼氏はいないんだけどー…。」

「?」

矢口の言いたいことが分からない吉澤。






332 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月02日(日)20時12分35秒





「彼女ならいる。」



矢口はメールを打つ手は休めず、当たり前のように言い放つ。


「彼女………え!?」

理解するのに少しばかり時間がかかった。

「うん。あ、返事きた…。あっと、2年の市井紗耶香。知らない?」


……そういえば、名前は聞いたことあるような……


「名前だけなら…。」

「そう。そいつが彼女。」

「はぁ………。」


世の中というのは、広いようで狭く、狭いようで広いものだ。



「驚いた?」

やっとケータイから顔を上げて、楽しそうに吉澤を見る。

「あ、いや…まぁ。」
「キャハハッ!だよね〜。んじゃ、今度はよっすぃーの番。」

「は?」

まだ、クスクス笑っている矢口の言葉に眉を寄せる。

「は?じゃなくて。よっすぃーの番。矢口の好きな人聞いたじゃん。」

この先輩は本当に昔から何を言い出すか分からない。




333 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月02日(日)20時20分10秒
ダラダラ更新です。
一気に増えましたね、キャラ。
実は自分の中では飯田さんを一番出したいんですけど…(w
辻ちゃんとセットで(w
まぁそのうちということで(ニガワラ


334 名前:名無し 投稿日:2001年12月02日(日)22時43分25秒
なにげに、かおよしのコンビも好きなんですが・・・
お姉さんかおりに頼る妹よっすぃ〜みたいな。

これからも楽しみにしています
335 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月04日(火)16時34分49秒
>>334 名無しさん
レスありがとうございます!
かおよし自分も好きです♪
いつか書いてみたいですね〜。
336 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月10日(月)00時19分44秒




「何でそうなるんですか……」
呆れ顔の後輩に、矢口は机に肘をついてズイッと前に出る。
「いいじゃん。ね?いるんでしょ?」


正直今はそんな気分じゃないのに……。

「はぁ…。」
「フフ…やっぱねぇ〜。」
ニヤニヤ顔の矢口を見てもあまりいい気はしない。

「で、誰?」
「…………。」

…もう、ごっちん戻ってきてるかなぁ……。

後藤のことを考えて少し気が重くなる。




「ほら、早く!」
矢口の声でまた、後藤のことを考えている自分に気づく。

そんな自分に少し苛立ちながら吉澤は



「………後藤真希…」





337 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月10日(月)00時21分16秒



「え?」


「後藤真希ですよ!4組の!」
半ばやけくそで告げた後、恥ずかしいのか吉澤はフイッと横を向いてしまう。
それを見て矢口は吉澤には分からないように、口の端を上げてニッと笑った。


「あ〜…あの子?」

「…………。」

矢口のどこか嫌みっぽい言い方にムッとする。



「よっすぃー、あんなのがタイプなの?」
そんなの矢口には関係ないじゃないか、と心の中で呟く。

無言の吉澤を気にするでもなく矢口は喋り続けた。

「まぁ、見た目可愛いけどさぁ。」


そうだ、可愛いんだ。
ハッキリした目鼻立ち。
寝起きのフニャってしたときの顔。
からかってムッとしたときの顔。
たまにフッと見せる大人っぽい顔。


とにかく可愛いんだ。

吉澤は心の中で返す。





338 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月10日(月)00時22分23秒


「でも、矢口のタイプじゃないなぁ〜。」

関係ないじゃん…
ていうか、自分、市井さんっていう彼女いるし…と言いたいけれど
余計、話が長引きそうなので敢えて言わない。


けど、ここで市井の話題に変えておけば良かった。

お喋りな矢口の口から出た言葉。



「だって、すごい遊んでそうじゃん?」




ガタッと席を立つ吉澤。
明らかに怒っているその表情。

「…………。」

「よっすぃー?」
立ち上がった後輩をはてと見上げる矢口。






339 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月10日(月)00時24分55秒




「……何で…何でそんなこといえるんですか…」

ずっと幼なじみだった自分。
後藤がそんな子じゃないのは吉澤が一番知ってる。
本当は人懐っこくて、素直で、泣き虫で……。


「ごっちんは…あんな風にしてるけど、そんな子じゃありません!…
 そうやって……見た目ばっかで……言う人がいるから……もういいです!」

吉澤は怒りにまかせて言いたいことだけ言うとバンッと乱暴に
ドアを閉めて行ってしまった。



矢口は誰もいなくなった部屋でヤレヤレと言った表情で溜め息をついて
机にのびる。

「はぁ〜……よっすぃーこえーよぉ。
 何でヤグチがこんな目に……ったく、石川ぁー。」






340 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月10日(月)00時26分23秒
ちょこっと更新です。
この辺からゴチャゴチャしてきて、一気に登場人物が増えると思います(w

341 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月10日(月)01時43分34秒
ちょっとお知らせ

海板の方で久々に長編を書き始めました。
sageで更新しているので、もしお気づきになっていない方がいたら、と思いまして。
もし、良ければ読んでみてください。
342 名前:カム 投稿日:2001年12月11日(火)20時29分33秒

最後のやぐっつぁんのセリフ、気になります〜!
 梨華ちゃん、いったい何しでかしたんだぁ〜?早く続きが読みたいです。
 
海板の「初小説」チェックしてますよ〜、珍しくイタそうな感じに
ドキドキしてます。複数連載で大変でしょうけど頑張ってくださいね!!
343 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月11日(火)23時19分20秒




 〜頼れる先輩!〜





転校初日。



「ハァ…緊張する……。」
今日初めて着る制服に身を包んで、校長室に向かう石川。


立派な作りの校舎。見知らぬ生徒。
どれもが自分を緊張させる。


校長室はここから2つ先の角を曲がってちょっと行けばすぐ。

しかし、単純な道順も初めての場所では、迷路のように見えてしまう。
その上方向音痴な彼女。
案の定、一つ手前の角で曲がってしまい、全く違う場所に来てしまった。


あ、あれ〜??…校長室は??


この辺にあるはずだ、と見回すが見当たらない。


迷ったかなぁ……。


首を傾げながら来た道を戻ろう、と廊下を曲がると



344 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月11日(火)23時20分26秒




『ドンッ!!』



「キャッ!」
「!!」


向こうから来た生徒と思いっきりぶつかってしまった。
ブワッと舞う白いプリント。
二人とも勢いで尻餅をつく。
死角になっていたので仕方がないのだが、下を向いて歩いていた自分に
やっぱり責任を感じてしまうのが石川らしい。


「った〜…。」
腰をさすりながら立ち上がる相手。

「す、すいません!」
石川も慌てて立ち上がり、廊下に散らばったプリントを拾う。

「あ〜、いいよいいよ。」
二人で拾い始めて数分後、やっと数十枚のプリントを集め終わった。

ほんとに今日はついてないや…と心の中で溜め息。





345 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月11日(火)23時21分34秒



「ほんとにすみませんでした。」
ペコリと頭を下げる。

相手は雰囲気から多分上級生だろうと察しがついていた。

「あ〜、ゴメンね手伝わせちゃってさ。」
優しい物腰にホッとする石川。


改めて見ると、とても綺麗な人だった。

女性なら一度は憧れるような、黒くて綺麗なロングヘアー。
高い身長。大きな目。堂々とした態度。


モデルさんみたい………


「見ない顔だよね?1年生?」
少し微笑まれながらそう言われてドキッとしてしまう。

「あ、はい。実は今日転校して…」

「カオリー!!何処いんのさぁ〜!」


石川の声を掻き消すように突然聞こえてきた大きな声。




346 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月11日(火)23時22分58秒




「あぁ、ここだよぉ!!」
目の前のモデルさんも大きな声でそれに答える。


「あぁ〜、いたぁ!もう、コピーすんのに何分かかってんだよぉ!」

現れたのは金髪の小さなギャル。



な、何…この人…。


突然現れてはキーキーとモデルさん相手に怒っている。

「ゴメンってばぁ。あ、こいつ矢口つって、このガッコの副生徒会長。」
隣にいるギャルの金髪頭に手を置いて、石川に紹介。


「え?」

…この人が?



「あ〜、もしかして疑ってる?ま、別にいいんだけどね。キャハハ!」
ムカツクからやめろよぉ!と頭の手を払いながら石川にそう言った。

デコボココンビとはこのこと。





347 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月11日(火)23時25分37秒





それから、何となく繋がりが出来た先輩二人。

生徒会長の飯田圭織。副生徒会長の矢口真里。
両極端なこの二人、小さい頃からの親友だという。

矢口は見た目の割にはかなりの優等生。
明るい性格は石川の羨むところだった。

飯田は大人っぽい雰囲気からクールに見られがちだけれど、意外にも天然。
彼女独特の物の考え方はいつも石川を驚かせる。


とにかく、尊敬するこの先輩達に、実は石川、数日前から吉澤のことを相談していた。




348 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月11日(火)23時27分27秒




「吉澤ってバレー部の?」

生徒会室で3人お菓子を食べながら会議中。

「はい…。」
ここ最近元気のない吉澤に比例するように石川も暗い返事を返す。


「あぁ〜、ネガティブ駄目!」
飯田は石川の背中をバシッと叩く。

「うぅ〜、痛いですよぉ。」
背中を撫でながら涙目で石川が抗議。

「痛いと思うから痛いんだよ?石川ぁ分かる?」

「そんなん分かるわけないじゃん!!」
横から矢口が尤もなツッコミ。


「けど、よっすぃー、ついに恋におちたか。ファンの子は悲しむねー。」
矢口は深くイスに座り直し、お菓子を口に運びながら独り言のように呟いた。




349 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月11日(火)23時29分06秒





「後藤でしょ?確か幼馴染みじゃなかったっけ?」
新聞部の部長をしている飯田。学園の生徒のことなら良く知っている。

「そっかぁ〜。幼馴染み……色々難しいわけだ。
 ……ま、あの二人ならお似合いだと思うけどね、ヤグチは。」

可愛い後輩のため、一肌脱ぐのもいいか…と矢口。


石川の肩をポンポン叩きながら
「とりあえず、どうにかしてみるよ。」
「すみません…あ!ひとみちゃんには内緒にしてくださいね。」
「分かってるって。」

自分だって伊達に市井と付き合ってる訳じゃない。
よく考えてみれば自分達とあの二人、なかなか似ている部分がある。
素直になれない吉澤。うん、よく市井に似ている。


「まぁ結局は本人達なんだけどさ。」


この優しい先輩が一つ背中を押してやろうじゃないか。




350 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月11日(火)23時34分00秒
>>342 カムさん
石川さんと矢口さんこういうことにしちゃいました…(汗
無理矢理な展開は多めに見てやってください!!(ニガワラ
海板へのレス有り難うございました♪
こっちとは対照的な話で結構楽しみながらかいてたりします。
早めの更新を目標に日々修行です(w
351 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月12日(水)00時13分16秒
おお!飯田さん登場ですね
凸凹コンビ(・∀・)イイ!!っす
そして矢口の言動は何故ゆえ・・・
352 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月12日(水)17時03分29秒




確か、石川はこう言っていた。

『ひとみちゃんは、後藤さんのことがすごく好きなはずなんです。
 だけど、ひとみちゃんって結構ポーカーフェイスなとこあるじゃないですか?
 だから、幼馴染みっていう関係を簡単に壊したくないんじゃないか、って…
 きっと恐いんだと思います…。』


だから、ヤグチはよっすぃーの本当に気持ちに
気づかせてあげよう、とああ言ったんだ。

なのに、すっごい剣幕で怒らせちゃったし……。


……まぁ、それは全部石川のせいにして、と。


「あ、紗耶香ぁ?うん。じゃあ待ってる。」

ケータイはパチンと閉じてバッグの中へ。

これから楽しいデート。


「よっすぃーもちょっと勇気出せばなぁ……。こんなに楽しいのに。」




353 名前:44×53 投稿日:2001年12月13日(木)12時53分17秒
矢口がイイコだあ!何か新鮮…(w
それにしても、最近は質の高いよしごまが増えてうれしいですな。
すなふきんさんの、微妙に進展しないよしごまラブ♪です。
続きがんばってくださいね!期待して待ってます!
354 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月14日(金)01時30分44秒
>>353 44×53さん
有り難うございます!!
只今、姉御肌のやぐっつぁんを目指して奮闘中(w
自分も同じくよしごまが増えてくれて嬉しい限りです!!
こっちの板はダラダラマイペースで進んでおりますね(w



ちょいとお知らせ。
え〜…はい、作りましたHP…(汗
http://yosi-goma.hoops.ne.jp/index.html
355 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月14日(金)02時30分59秒
HP見ました。
すなふきんさんの作品がまとめて読めるのは嬉しい限りです。
こちらの作品の続きも待ってます。
356 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月20日(木)23時23分50秒
それにしても続きが楽しみ
( ´д`)はいったいどうするのか!?
357 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月23日(日)01時35分21秒





〜一難去ってまた一難…〜







「疲れたぁ…。」
トボトボと高等部の廊下を歩きながら後藤は溜め息を漏らす。

あんなに積極的だと、はっきり反応に困ってしまう。



とりあえずは抱きついて離れない松浦の腕をやんわりと解いて
「えっと、…気持ちは嬉しいんだけど…。」
と、口を濁す後藤。

「ハッキリ言って下さい…その方が諦めつきますから。」
強い松浦の口調に、後藤は困ったように頭を掻いて
「んじゃ…あたし好きな人いるんだ…。亜弥ちゃんとは付き合えないよ。」
お望み通りハッキリと。




358 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月23日(日)01時36分22秒




すると、松浦

「…ウッ……ヒッ……ッ…」

「え?」


えーーー!?
言われたとおりしたのに…。
そっちが言ったんじゃん?
もぉ〜…泣きたいのはこっちだよぉ…。


ワァーッと座り込んで泣き出す松浦をなんとか宥めて、今ここにいる。



正直、いつも告白ばかりされている吉澤はすごいと尊敬する。
元々優しい性格の吉澤には、それほど苦ではないのかもしれない。






359 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月23日(日)01時37分44秒





「よっすぃーはすごいよ…ハァ…。」

2度目の溜め息を吐いたときだった。

後ろから腕を掴まれたのは。
「へ?」

眠たそうな目で振り返った後藤の目に映ったのは、あの時廊下ですれ違った子。
朝早くに花の入った花瓶を持っていたあの子だ。

大好きなあの低い声がこう呼んでいたのを思い出す。


……石川さん?



「あ、あの!」

落ち着いた見た目の割には高い声に、ちょっとビックリしてしまう。

「何か…。」
一度も喋ったことのない自分に一体何のようだろう。





360 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月23日(日)01時38分41秒




「えっと、その…」

この子実は意外とドジなんじゃないんだろうか?と思わせるような口調に行動。
見ていて飽きないなぁ…と場違いなことを後藤は思っていた。

「あ、あたし…吉澤さんの友達で…
 えっと、色々聞きたいことがあって…今からイイ?」
オドオドしたその様子は何もしていないのに、まるで後藤が
悪いみたいな雰囲気にさせる。

「別いいけど…。」
…何だか、今日は色んなことがあるなぁ……。

面倒くさいから4組のベランダで良いよね?と言う後藤に
石川は慌てて頷き、二人は足を進めた。





361 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月23日(日)01時40分25秒





「んで、聞きたいことってぇ?」

後藤はベランダ側の塀に凭れ、教室側の窓に
寄りかかっている石川に話を切りだした。

「あ、うん……」

石川はフウッと大きく息を吐いた後、キッと後藤の方を見て


「あたし、ひとみちゃんに告白しようと思ってるの。」

「…………は?」


…ひとみちゃんに告白……

…え!?……ええええええ!!!??






驚いて呆然としている後藤を気にする様子もなく

「後藤さん、いっつもひとみちゃんといるから、止めて欲しいなって思って。」

何だか、さっきまでの雰囲気とは一変して、いかにも自分を敵視したような言い方。




362 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月23日(日)01時42分52秒






「それだけだから。」

石川は寄りかかっていた窓から重心を離し、行こうとする。

「え、ち、ちょっと。」

呼び止めようとした後藤に石川はクルッと振り返り

「あたし、ひとみちゃんがOKしてくれる自信あるの。」


それだけ、言い残して石川は足早に去って行ってしまった。



「な、なんだよぉーそれぇ…。」


なんで、自分にそんなこと言ってくるんだ。
後藤は一人残されたその場で沸々と苛立ちを感じる。


あたしがよっすぃーといようと、いまいとあたしの勝手じゃん!
石川さんには関係ないじゃん!!
何で、そんなこと言われなきゃいけないの!!


何度かこういう類のことはされたことはあるが、今までとは
まるで危機感が違っていた。






363 名前:すなふきん 投稿日:2001年12月23日(日)01時46分51秒
今日はここまでです。

>>355 名無し読者さん
HPの方も覗いていただいたようで。
本当に有り難うございます。
こっちの方は結構自己満足的な感じで進めているので
そう言って頂けて嬉しいです。

>>356 名無し読者さん
有り難うございます♪
ごっちんは行動的なんです、とだけ申し上げておきます(w
364 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月24日(月)21時56分52秒
りっ・・・りかたん!?
おもろいっす!!!最高!!!!!
365 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月03日(木)22時46分50秒
あけましておめでとうございます。
つづきがめちゃ楽しみです!!
今年もよろしく頑張ってください!!
366 名前:カム 投稿日:2002年01月14日(月)18時29分39秒

海板もHPの方でも楽しませて頂いてます。
ところで、こっちの更新は、当分さきになるんでしょうか?
連載掛け持ち&Hp運営で大変でしょうけど頑張ってくだされ〜!!
いつまでも待ってまーす。
367 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月27日(日)22時16分22秒
待ってます。
お早めの交信を・・・
368 名前:名無し読者 投稿日:2002年02月24日(日)19時40分05秒
保全sage
マターリ待ってます
369 名前:すなふきん 投稿日:2002年02月24日(日)23時35分56秒

あー!!沢山のレス、有り難うございます!
随分と、更新が遅れてしまって本当すみません!!
海板の方が、もうすぐ終わりそうなので、あっちが一段落したら
ゴリゴリ更新するつもりです。

もうすこしで、こっちも最終回になりそう…。
370 名前:パム 投稿日:2002年02月26日(火)06時29分55秒
今日この小説みつけてダバァっとよみました!。
いいっす!。いまから海板のほうにもいってきます。
ここの更新もまってるっす!。がんばってください!。
371 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時16分34秒












吉澤は颯爽と鞄を掴んで、教室を後にした。

一応優等生で通している吉澤だが、こんなときまでそんなことやってられない。
仮病を理由に家に帰るつもり。



どうやってこの苛立ちを消化すればいいのか。

曇り始めた空でさえも鬱陶しい。
どう足掻いたって、彼女には好きな人がいて、自分の想いなど伝わらない。
それが分かっているというのに、この気持ちが収まってくれる気配はなく。
最悪だ。

少しでも、望みのある恋だったら。


ブレザーのポケットに入れていた携帯のバイブ。
それに気づいたのは校門を出て、暫くしたときだった。



372 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時19分12秒




メール…?


乱暴に髪を掻き上げて、見てみると後藤から。

今更何の用が?

少しだけ自嘲気味に笑う。



【公園で待ってて。】



内容はそれだけだった。
ここから歩いて5分程度の場所。
昔、よく遊んだのを思い出す。

あの頃は、それだけで良かったのに。

何だか、そんなことを思ったら自分が随分と自分が汚れてしまった気がして
吉澤は溜め息を吐いてそこへ向かった。





373 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時20分53秒




心臓が破裂してしまいそうなほど大きく鳴っている。
石川は1人足早に廊下を歩く。

き、緊張したぁー……


でも、あの顔を見た限りでは手応えあり。

吉澤の方は矢口に任せてある。
市井と付き合っている矢口ならきっと上手くやってくれるだろう。
残るは後藤。
そこで石川は一芝居打った。
やはり、恋というのは障害があってこそ燃えるものだ、と。
確か、記憶では吉澤が随分な負けず嫌いだと後藤のことを言っていた。

なら、自分が恋敵になれば……。

単純な考えではあるのだが、それなりに上手くいったと思う。


お節介と言われればそれまでなんだけど、そこが石川らしいとも言える。



「ひとみちゃん、頑張ってね…。」


石川はまだ落ち着かない鼓動を感じながら、呟くように言った。





374 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時25分05秒




「ハァ…ハァッ…。」


冗談じゃない……



学校からずっと走って公園を目指す後藤。
息も切れ切れだけど、そんなの関係ない。


あたしはずっとよっすぃーのことが好きで、ずっとバレちゃいけないって隠してきて…。

誰にだって負けない自信がある。
あっさり現れて好きです?


もう待ってられない。
どうせ石川に吉澤を持って行かれるくらいなら、当たって砕けても。
そう思って、後藤は吉澤の姿を校内探し回ったが、どうやら帰ってしまったらしい。
急いで、携帯を取り出してメールを打った。

…見てるよね……。

返事がないけど、不安になってる暇なんかない。



とにかく、急がなきゃ…。




後藤はきっと待っていてくれると、走り続けた。




375 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時27分07秒




「着いた……。」


やっと見えた近所の公園。

……息が苦しい…。

入り口の手前で立ち止まって膝に手を付く。

「ハァ…ハァ…。」

少しだけ息を整えてから公園の中に入る。
そう広くもないそこに置いてる色褪せたブランコに吉澤は座っていた。



「よっすぃ……。」


後藤はどこか夢のような錯覚に陥りそうになる。
こんな時でも、その姿を目ざとく追ってしまうから。


顔を歪めて睨むように眺めていたら、吉澤が気が付いた。




376 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時29分22秒



諦めは…ついてる……。


そう自分に言い聞かせて、やけに不機嫌な彼女に近づく。
もしかしたら、勝手にいなくなったことを怒っているのだろうか。
けど、今はそれを気にする余裕さえもない。


大丈夫……。

呪文のように頭の中で繰り返して、隣にあるブランコに腰掛けた。

「…………。」
「…………。」

自分から言っておきながら、いざとなると無言になってしまう。
でも、一体何から言えばいいんだろう。
吉澤もブランコにただ、座っているだけで何もいってこない。
こういうとき、石川のような自信が欲しいと思ってしまうから皮肉だ。


錆びた鎖を握りしめたまま後藤は俯いて、目を閉じた。


大丈夫……
大丈夫……




377 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時31分44秒




「……よっすぃー…あの、好きな人とかいるの?」
「…何で、そんなこと聞くの?」


やっと口を開いて言えたのがこのセリフ。
その上あっさりと返されて、戸惑ってしまう。
でも、ここで逃げたら次のチャンスはない。


「いや…別に、それは良いんだけど…あはっ……。」


自分でも、顔が引きつっているのが分かった。
どうして、こうも素直になれないのか。
唇を噛んで、気持ちを落ち着かせようとした瞬間だった。


グイッと乱暴に手を引かれたのは。


……え?


何なのか分からないまま、ドンッと遊具の物陰に突き放された。
この中では随分新しい遊具で、2つの滑り台と、簡単な綱渡りがセットになっている。
後藤はその死角に連れてこられ、背中に湿ったような木で
出来た壁を感じることしか出来ない。



378 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時34分09秒



な、何…。


ハッキリ言ってこんなに冷たい目をした吉澤を見るのは初めて。
いつだって、大人で、優しかった吉澤。
目の前の吉澤と、頭の中にいる吉澤が上手く繋がらない。



よっすぃ…




379 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時35分38秒




怯えた目で見る後藤に吉澤はバツを悪くしたように視線を外す。


この子は、全然自分の気持ちを分かってくれない。


吉澤の中に溢れる感情は、怒りにも似た嫉妬だった。


ダンッと後藤の顔の両脇に手を付く。
後藤の体がビクッと固まった。
涙目の子犬のような後藤を見て、反発するように2つの感情が増長していく。

愛おしさと、怒りが。

抑えられない。
感情が溢れてきて。
もう随分と我慢してきたんだ。
これ以上は……。




380 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時38分25秒




「……どれだけ…どれだけ待ったらいいんだよっ!!」



気持ちが態度に表れる。
声を荒げて怒鳴った。


さらに強張る後藤の体。
俯いて、その言葉を受けるしかない。



よっすぃ…何で、そんなに怒ってるの。
…分かんない、分かんないよ…。





「全然ごっちん分かってない!!……あたしが、どんなに好きか……。」



初めて聞く。
こんなに取り乱した吉澤を。


だけど、その怒鳴り声に後藤は目の中の怯えた色を消す。
顔を上げると、吉澤は泣いていた。
苦しそうに顔を歪めて。
大きな目から涙を流して。




381 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時42分02秒




「よっすぃ……。」
「分かってよ…もう、ごっちんの気持ちなんか待てないよ……。」


泣き顔を見られたくなくて、顔を下げた吉澤がとても弱く見えた。
もしかしたら、自分よりもずっとずっと苦しんでいたのかもしれない、と思わせるくらい。


一緒にいるのが当たり前だったウチラは、どっか気づかなかった。
ううん、お互いが大事過ぎて、素直になれなかったのかもね。



「あたしも…同じ…。」


顔の両脇についている手をとって、後藤は自分より少しだけ大きいその背中に腕を回した。


我が儘だったあたしは上手くよっすぃーを受け止めてあげられなかった。
いつだってよっすぃーはどんなあたしも受け止めてくれたのに。



382 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時46分52秒




これ以上ないほどきつく抱きしめたら、自然と後藤の背中にも
吉澤の腕が回ってくるのが分かった。



「ゴメンね……。」
「ごっちん…。」




香ってくる吉澤の香水はやっぱり、彼女らしい青をイメージさせた。







とても長い夢を見ているようだった。
悪い夢なのか、良い夢なのかも分からないくらい長い長い夢。
でも、それさえもあたしの中の事実。
ようやくその夢から覚めることが出来る気がする。





383 名前:それぞれの想い 投稿日:2002年03月05日(火)00時47分27秒


…END

384 名前:すなふきん 投稿日:2002年03月05日(火)00時49分15秒
海板に続いて、こっちも完結です。
でも、こっちは気が向いたら短編をちょこちょこと。
呼んでくれた皆様、本当にどうも有り難うございました。
385 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月05日(火)17時47分25秒
ああ〜っ、終わってしまいましたか・・・
よしごま大好きなので、楽しみが減ってしまった気分(w

すなふきんさんの書くよしごまはどれも最高です!お疲れさまでした。
386 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月05日(火)20時30分09秒
同じく、すなふきんさんの書くよしごま、大好きです。
お疲れさまでした。
387 名前:にゃん 投稿日:2002年03月06日(水)18時48分24秒
小説読ませてもらいました。最近よしごま少ないんで終わっちゃうと淋しいです。番外編みたいな続編をちょこっとみたいんですが・・・いつでも良いんで書いてくださ〜いm(__)m
388 名前:名無し読者 投稿日:2002年03月16日(土)14時52分58秒
最近パソコンの調子が悪くてこれなかったら‥‥‥
お、終わっちゃってるじゃないっすか〜すなふきんさ〜ん!!
↑にゃんさんの言うとおり、最近よしごま少ないので寂しいです。

でも最後はしっかりと通じ合ってよかったよかった。
 
389 名前:すなふきん 投稿日:2002年03月17日(日)14時53分41秒
>>385 >>386 名無し読者さん
レス有り難う御座います。
はい、終わってしまいました(w
大分、先になるかも知れませんが今は次回作のをちょこちょこ書いてる最中なので
そのうちまたお目に掛かるかも知れません。その際はよろしくお願いします。

>>387 にゃんさん
レス有り難う御座います。
番外編、自分も暇があれば書いてみたいなぁ、と。
ほんと、いつになるか分かんないですけど(w
その時にはどうぞ、読んでやってください。

>>388 名無し読者さん
レス有り難う御座います。
パソコン、調子の方はどうでしょうか?(w
そうなんです、終わってしまいました。
よしごま、確かにいしよし等のCPに比べたら少ない気もしますが
前に比べたら随分と増えた気がします(自分だけかな?
しかも、どの吉後も質が高くて…(焦
暫く板の方に関しては読者側にまわって、修行の旅へ。

やっぱり、基本的にハッピーエンドが好きな自分です(w

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