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=短編小説=

1 名前:雨宮海人 投稿日:2001年02月21日(水)23時12分37秒
短い小説をどんどん書いていきたいと思います。
2 名前:「虹」 投稿日:2001年02月21日(水)23時13分19秒
「あーあ、雨降ってきた・・・」
真っ暗になった空から大粒の雨が落ちてきた
「今日傘持って無いよ」
むうとした顔で真希が空を睨んだ
「あ、あたし持ってるよ」
真希の方を向きながらひとみが答えた
「ホント?」
真希の顔がぱっと晴れた
「それじゃ一緒に帰ろうか?」
そう言うと嬉しそうに笑って頷いた
3 名前:「虹」 投稿日:2001年02月21日(水)23時14分19秒
「結構降ってるね」
外に出るとさっきよりも雨がひどくなってきていた
「そだね、はい」
ひとみはぱっと傘を開いて真希の頭の上にかざした
「よっすぃーも一緒に入るの」
真希が呆れたような顔で言った
あ、そうか
1本の傘を2人で差すのは結構狭い
ひとみはなるべく真希が濡れないように傘を持った
「傘、持とうか?」
真希がちらっとこちらを見ながら問いかけた
「ごっちんが持ったら位置が低くなるよ」
笑いながらそう返事した
4 名前:「虹」 投稿日:2001年02月21日(水)23時15分43秒
「明日晴れるかな」
「うーん、どうかな」
水が傘から流れ落ちるのを見ながら2人は話し続けた
「晴れるといいね」
「虹が見たい」
「虹?」
真希を見ると遠くを見るように目を細めていた
「おっきい虹が見たいなって」
嬉しそうに真希が笑う
「よっすぃー」
「ん?」
「いつかね」

雨がやんで虹がでて
それを2人で見たいな

「何でもない」
「何?気になるよ」

雨よ、早くやんで虹を見せてください
私と、彼女に
5 名前:「SMAIL」 投稿日:2001年02月22日(木)17時13分29秒
「(ん?)」
自動販売機の前で頭を抱えている希美を見た
何をやっているのかと思いながら近づいて声をかけた
「ののちゃん」
「あ、亜依ちゃん」
くるっと振り返る希美は何だか嬉しそうに見えた
でもまたすぐに悩み始めた
「どしたん?」
あまりにも悩んでいるので聞かなきゃならないような気がして
「んっとね、オレンジジュースとりんごジュースどっちにしようかなって」
思わず口が開いた
またこんなどうでもいい事で(人の事は言えないか)悩んでる
同い年のわりに子供っぽいし(と自分は思う)
いつも亜依ちゃん、亜依ちゃんって名前呼んでにこにこ笑って
でも、嫌じゃない
むしろそれが無い方が寂しい気がして
「そんなんどっちでもええやん」
「だってー」
むっとした顔でこっちを見る
しばらく考えて、こう言った
6 名前:「SMAIL」 投稿日:2001年02月22日(木)17時14分20秒
「じゃあ、うちがりんごジュース買うから」
「?」
「半分こすればいいやん、やろ?」
希美がきょとんとした顔をこっちに向けた後笑った
「なんで笑うんよ」
「だって・・・」
笑いながら希美が財布から硬貨を取り出し自販機に入れてボタンを押した
それを見ながらやっぱり子供だと思った
希美が
自分も
希美に続いて「りんごジュース」のボタンを押した
「今回だけやで」
「うん」
嬉しそうな顔でやっぱりにこにこしていた
そういう顔で笑うから「今回だけやで」がウソになる

ごくっと飲んだりんごジュースは甘かった

「ありがとう、亜依ちゃん」
笑う顔が甘さと一緒に胸に焼きついたような気がした
7 名前:「KISS」 投稿日:2001年02月27日(火)23時44分20秒
「裕ちゃん、次あそこ!」
「まだ行くんか?」
髪をかき上げながら溜め息を1つ
「だってさぁ、買い物なんか滅多に出来ないしさ」
なっちは次の店にすたすたと歩いていきながらそう言った
「確かに・・・そうやけどさぁ」
「ほら行くよ、ね?」
小首を傾げてにこっと笑ってみる
「しゃーないなぁ、あ、でも後から・・・」
「ん、何?」
「何でもない、後から言うわ」
この顔で頼まれると断れるわけがない
今すぐにでも後ろから抱き付いてやりたいと思ったり
「(あー、荷物邪魔)」そういう問題か?
8 名前:「KISS」 投稿日:2001年02月27日(火)23時51分26秒
「せっかくの休みやったのに・・・」
わざっとっぽく言ってみる
「・・・ごめん」
しゅんとした顔で下を向いてしまった
そういうトコがめっちゃ可愛いねんって
自分気づいてないやろ?
「やー、いいんやけどさ・・・せめてお礼ぐらい欲しいなー?」
するとなっちが思いっきりイヤそうな顔をした
「そんなイヤな顔せんでも」
「だって裕ちゃんの考えてること見え見えだもん」
「なん?」
じゃあ尚更やん、わかってるんやったら・・・
「・・・『ちゅうしてーや』でしょ?」
ちらっと上目遣いでこっちを見てくる
「えー、してくれんの?そこまで頼んで無いけど」
「なっ・・・」
なっちの顔が真っ赤になる
9 名前:「KISS」 投稿日:2001年02月27日(火)23時52分44秒
「・・・裕ちゃんの意地悪」
「なっちが言ってんから約束は・・・!」
ぐっと腕を引っ張られてそのまま『ちゅっ』と・・・
「・・・こ、これでいいでしょ」
あまりの事に何がなんだかわからなかった
「・・・なっち、積極的やなぁ」
「もういいでしょ、何でも・・・」
離れようとするなっちの腕をぐっと掴んで引き寄せた
「もっとしてーや、な?」
「やーだ」
腕を振って手を振り解こうとするなっち
その腕をしっかり掴んで
「好きやで、なっち」
もう何回言っただろう、この言葉
何度も何度も言っても足りないくらい

「なっちが好き」です
10 名前:「スタートライン」 投稿日:2001年03月02日(金)23時16分48秒
「(ホントにホントなんだ)」
新聞やTVに映る芸能ニュース
『後藤真希、ソロデビュー』
その話を聞いたとき真っ先にあの人の姿が頭をよぎった
「どうしても・・・辞めるの?」
『・・・うん』
「あたし、まだ1人じゃダメだよ、市井ちゃんがいてくれないと・・・」
『1人なんかじゃない、みんながいるよ』
「市井ちゃんじゃないとダメだよっ・・・」
泣いた
抱きしめられた腕の中であたしは泣いた
その日の事は今でもはっきり覚えている
あの日から
市井ちゃんがいなくなったあの日から
ずっと追いかけてきたんだよ
後姿を
11 名前:「スタートライン」 投稿日:2001年03月02日(金)23時17分40秒
やる気がないとか
手を抜いてるとか
そんな事なんて無い
あたしはあたしなりにちゃんとやってきた
自分なりの表現で
頑張ってきたんだよ
やっと追いついたね
同じラインに立てるんだ
待ってて、もっと近くまで近づいてみせるから
全速力で走っていくから
もっと先に進んで
あなたを追いかけていたいから
追いついたとき
その時は
成長したあたしを見てほしい
12 名前:「さよなら、大好きな人」 投稿日:2001年03月09日(金)22時41分30秒
ボーっと通路をし歩いていると後ろに何かの気配を感じた
くるりと振り返って見ても誰もいない
気のせいかと思い向き直るとまた気配がした
「・・・矢口?」
思わず名前を呼んでみる
返事は無い
「・・・」
元に向き直ろうとしたときひょこっと矢口の姿が見えた
「矢口」
思わず名前を呼んだ
矢口の身体がぴくっと動いた
何とも言えない空気が流れた
普段なら普通に会話を交わせるのだろうけど
そんな風にはできなかった
自分の心
他のメンバーのこと
矢口の泣き出しそうな顔
全てが混ざっていく感じがした
今すぐに矢口を抱きしめたかった
すぐそこにいる彼女を
たった数メートルの距離を縮める事すら出来なかった
13 名前:「さよなら、大好きな人」 投稿日:2001年03月13日(火)21時14分19秒
「裕ちゃん」
詰まった声
泣き出しそうな声
俯いたまま投げかけた言葉
きっと泣かないように必死に声を出しているのだろう
「本当に辞めるの・・?」
「うん」
「何で・・?」
そう聞いた矢口の頬を大粒の涙が流れた
今までで初めて本気で矢口を泣かせてしまった
ぐっと心が重くなる
「どうして・・・」
「ごめん」
とっさに出た謝りの言葉
謝っても仕方ない事だと分かっていた
「別に死ぬわけじゃないやんか、だから泣かんでもええやん」
自分の言った言葉は震えていた
矢口の泣き顔を見た事が動揺に繋がっているんだろうと
「あたしはあたしの考えで決めたんやから、その結果や」
「・・・どうして言ってくれなかったの」
矢口はぐっと自分の手を握り締めた
「何で一言も無しで行っちゃうの、どうして・・・」
「矢口・・・」
「裕ちゃんのバカぁ、もう、もう・・・知らない」
そう言い放って矢口は逃げるようにその場を去った
あたしは後ろを追いかける事ができなかった

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