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誰が為に…鐘を鳴らす。
- 1 名前:フレッシュストロベリー 投稿日:2001年02月28日(水)04時18分38秒
- 某有名アニメをモチーフにして書いてみました。
…ゴメンナサイ、パロです。
凄い好きなんです…。私以上にネタ元の作品を好きであの作品のパロは
許せないって人は飛ばしちゃってください…
作品を知っている人にはあの人とあの人がメインだとすぐわかると思いますが…
全て人物を当てはめてるわけではないので…
- 2 名前:フレッシュストロベリー 投稿日:2001年02月28日(水)04時22分48秒
- 本当は「ジャイアント・かおりむ」と言うベタな題で行こうとしたんですが
いいらさんは当分出てこないので止めときました…(汗
- 3 名前:序章 世界情勢 投稿日:2001年02月28日(水)04時27分31秒
- 時は世紀末、一つの国際シンジケートによって世界は暗闇に包まれようとして
いた。BY団と呼ばれたその一団は、ビッグヤマザキを頂点としたヒエラルキーを
形成し、日夜世界征服を企んでは実行に移していた。
また、全ての構成員は何らかの能力を有しており(能力者はエキスパートと呼
ばれる)、特に上級のエキスパートからなる最高幹部会「十傑衆」はビッグヤマ
ザキの勅命を受け、ある時は指揮官として、ある時は単身で、世界を又に暗躍し
ていた。
- 4 名前:序章 世界情勢 その二 投稿日:2001年02月28日(水)04時45分01秒
- そんなBY団に対して、世界征服を阻止せんと世界中から集結した正義のエキ
スパート達がいた。国際警察機構である。梁山泊に総本部を置き、九大天王と呼
ばれる特級エキスパート達を中心に固く結束し、BY団に対峙した。
しかし国際警察機構が先手を取り、優勢を保ったのは九大天王の「韋駄天の矢
口」と「鼻ピ忍者黒江」がタンポポを結成し、表舞台に現れたラスキス上陸作戦
ぐらいで、その後のニューヨーク電撃作戦、ふるさと創生資金強奪事件等、こと
ごとくBY団の行動を完全阻止する事は出来なかった…。
だがBY団にとっても完全な勝利が得られていたわけではなく、十傑衆の一人
「銀杏の明日香」が散るなど勝敗はいつもぎりぎりの線にあり、BY団の快進撃も
鈍ってはいた…
- 5 名前:FS 投稿日:2001年02月28日(水)05時01分23秒
- 甘い作品にはたぶん成りませぬ…でもしたいんだけど…
新メンは活躍できるのかしら?
福ちゃんファンにはスマンです…
とりあえず市井、保田、後藤、中澤、石川、辻、飯田、平家、稲葉、加護、
吉澤、は登場する予定です…
- 6 名前:名無し読者 投稿日:2001年02月28日(水)07時56分34秒
- 元ネタ判んないですけど、楽しみにしてます!
- 7 名前:第一章 上海は踊る その一 投稿日:2001年02月28日(水)23時48分51秒
- 某県F市ジャスコ地下38FにあるBY団の東京本部、ここに三人の十傑衆が
集っていた。ショートカットが似合う市井紗耶香、通称「衝撃のさやりむ」、
三人の中では一番年長者な保田圭「鬼面魔王圭」、いつも眠そうで退屈そうな
表情の後藤真希「金髪のごまき」の三人である。
市井が、後藤あるいは保田とペアを組む事自体は珍しい事ではなかったが、
三人が集まると言う事、いや、そもそも十傑衆が三人集まると言う事はよほど
の事であった。とはいえ、十傑衆に抜擢されたばっかりの三人であったが…
- 8 名前:第一章 上海は踊る その二 投稿日:2001年03月01日(木)00時09分19秒
- 「圭ちゃん久し振り!」
「何が久し振りよ。三日前に会ったでしょうが。それより後藤!あんたいい加減
に紗耶香べったりは止めなさい!」
「あはっ」
「あはっ、じゃないわよ…ったく」
「しかしなんのために集まったんだろうねぇ」
保田の説教が始まりそうなのを察して紗耶香が話を振る。その時、作戦室の
モニターにビッグヤマザキが現れた。すぐさま年長者の保田が敬礼で応え、二
人もならい敬礼をする。
「三人ともご苦労だった。今回集まってもらったのは、三人にユニット形態で
もって、ある作戦を実行してもらいたいのだ。その際ユニット名はプッチモニと
言う。これは決定事項だ。」
「「「はっ」」」
「作戦指令は後ほどりんねに送らせる。それでは期待しているぞ…」
「「「全てはビッグヤマザキのために!」」」
- 9 名前: 第一章 上海は踊る その三 投稿日:2001年03月01日(木)00時28分06秒
- モニターからヤマザキが消えるとまず後藤が嬉しそうに話だした。
「あはっ!いちーちゃんとずっと一緒だ(はぁと」
「私もいるんだからね。まあいいけど。紗耶香頑張ろうね。」
「うん、頑張ろうね。後藤もね。」
市井はなによりも妹の様にかわいがっている後藤と、姉の様に慕っている保田
と仕事ができる事が嬉しかった。それは他の二人にとっても同じであった。
そして、三日後チョコラ作戦が決行された。日本中の電子辞書の、愛の項目に
プッチモニの名前が書きこまれた。
- 10 名前:シグマ博士 投稿日:2001年03月01日(木)04時43分47秒
- まさかここで、あの某作品のパロを見るとは・・・
楽しみです、がんばってください。
- 11 名前:シズマ博士 投稿日:2001年03月01日(木)04時51分24秒
- ↑名前まちがえた
飯田はロボですか?やっすーの鬼面魔王は、はまりすぎ
- 12 名前:FS 投稿日:2001年03月01日(木)16時02分04秒
- >>6
ありがとうございます。
TVアニメではないので…その筋(どんな筋や!)では有名なんですが…
>>10
>>11
シズマドライブのあたりは出てきません…原作のストーリー展開からすると
サイドストーリーで進めていく感じです。
やはり飯田はロボの方がいいでしょうか(笑)
- 13 名前:第一章 上海は踊る その四 投稿日:2001年03月01日(木)16時04分45秒
- プッチモニが結成された後、徐々にではあったがBY団と梁山泊の間の微妙な
バランスがBY団に傾きだしていた。三位一体で警察機構の各支部を襲うプッチ
モニは跡に何も残さず、彼女らを目撃した生存者もいなかった。何よりも手薄な
支部が狙われ続けたため、九大天王自ら各地に散り巡回に出る始末であった。
そして今回BY団から梁山泊へ警察機構の上海支部を壊滅させると言う予告状が
送られてきた。予告日は明日…
- 14 名前:第一章 上海は踊る その五 投稿日:2001年03月01日(木)16時08分16秒
- 予告日、上海のあるカフェのテラスで、赤青黄のトレーナーを着こんだ三人が
お茶をしていた。ただし一人は寝ている様子であったが…
「紗耶香、今回はタンポポが出てくるかもね。」
「上海は支部って言っても彼らのお膝元だしね〜。それなりのが来てるんじゃな
いかな。」
市井と保田は、BY団に入団した直後、タンポポが勝利を収めたラスキス上陸作
戦にC級エキスパートとして参加し、九死に一生を得ていた。その後、虎の穴で
の特訓と地道な作戦実行が買われて十傑衆に昇格したのだ。だから二度は負けな
い。それが二人の固い意思であった。
「さてと作戦開始時刻だ。紗耶香、後藤を起こして。私が起こすと寝起きが悪い
んだよね…。ムカツクんだけど」
「後藤、ご〜と〜う」
「ぅん?…あはっ!いち〜ちゃん、おはよう。」
「後藤起きた?じゃあ作戦開始だから。」
紗耶香がにこっと笑いかけると後藤がにへらと笑い、保田が苦笑いをする。
そして三人が真剣な表情になった瞬間、突風が巻き起こり、レシートを残し三人
は姿を消していた。
- 15 名前:第一章 上海は踊る その六 投稿日:2001年03月01日(木)16時25分03秒
- その頃、国際警察機構上海支部ではタンポポの黒江と矢口、軍師のネガティブ
石川、それに中澤長官が作戦会議に集まっていた。
「BY団の連中は本当に来るのかな〜。襲撃予定日を告知するなんて矢口には信
じられないよ。」
「しかし軍師の読みではBY団の連中は来るんやろ?」
「石川はそう思います。今回は分析に自信があるんです。」
「梨華ちゃんの予想を疑うわけじゃないケドちょっとね…」
「そんなぁ…」
「でも私ら九大天王が迎え撃つとかは考えなかったのかな。」
彼女らにはわざわざ破壊予告をしたBY団の目的がわからなかった。
- 16 名前:第一章 上海は踊る その七 投稿日:2001年03月01日(木)16時27分14秒
- 「緊急事態発生!緊急事態発生!東Aブロックの閉鎖中の正面入口が爆破されま
した。侵入者も確認!映像送ります。」
「平家が出てきたんか!それとも稲葉か?」
十傑衆「MCの平家」、文殊原発の惨劇において唯一生き残った十傑衆であり、
今でも十傑衆に名を連ねる実力者である。そして「OPDの稲葉」、チームOPDで副
長を務め、当時B級エキスパートでありながら九大天王の一人「月面殺法信田」を
討ち取る金星も上げ、十傑衆に昇格した。特に最近の作戦においても良く見る顔
であり、作戦室の面々が平家か稲葉と思ったのも無理はなかった。
- 17 名前:第一章 上海は踊る その七 投稿日:2001年03月01日(木)16時29分49秒
- しかし、映像には見た事のない顔が映し出されていた。
「ん?ちゃうな〜。平家でも稲葉でもないやん。しかしあの破壊力、十傑衆クラ
スやな。」
偽装されたGIF製の耐熱耐光波シャッターがいとも容易く破壊されたことを考えて
十傑衆クラスである事には間違いがなかった。
「となると…」
「おそらく最近十傑衆に抜擢されたと言うプッチモニだと思います。まだ彼女の
姿を見て生き残った者は居りませんし…」
「矢口が行って来る!」
「私も行くよ!」
「彩っぺはいいよ。それより敵が一人って事はないでしょ?他の奴も来てるかも
しれないし。」
と矢口が言った瞬間、西Bブロックからアラームが入った。
「彩っぺと裕ちゃんにはそっち頼んだ!」
「了解!」
「しゃあないな。」
「あの石川は…」
石川が言い終える前には三人の姿はなく、本当に自分は軍師として必要とされ
ているのか、ちょこっとネガティブになる石川であった。
- 18 名前:第一章 上海は踊る その八 投稿日:2001年03月01日(木)16時35分32秒
- その頃、紗耶香は破竹の進撃を進めていた。上海支部が今までBY団の進入を許
さなかった第三層にも進入、突破しかけていた。
「「「「「「「おいおいおいおい!」」」」」」」の掛け声と共にA級エキスパー
ト7人が連なり壁となる国際警察機構の「青いカーテン」をも一蹴した。
「所詮、警察機構のエキスパートなんて、今の私にとっては準備運動にもなんな
いね!」
しかし第三層の最終区画で紗耶香は一人の少女と対峙する事になる。
- 19 名前:第一章 上海は踊る その九 投稿日:2001年03月01日(木)16時38分51秒
- 矢口は最初第二層で迎撃しようと考えていたが、敵の進撃スピードの異様な速
さに第三層の終りで余裕を持って迎撃しようと変更した。しかしそれでも遅かっ
たらしく、現場に着いた矢口が見た光景は、第三層を守備していたエキスパート
の最後の一人が倒れる姿であった。
そして燃え盛る炎の中、ショートカットの女性がこちらを振り返った。炎に照
らし出されたその端整な顔立ちは返り血に塗れていた筈なのに女神のような美し
さを表していた。この世に闘神が存在するなら彼女がそのものなんじゃないかと
思うような美しさであった。凄惨な戦場と燃え盛る炎の中で彼女は輝いていた。
- 20 名前:閑話 投稿日:2001年03月01日(木)19時07分30秒
- 心が壊れる
心が壊れる
あの人が舞台から消えても
あの人いない舞台を見ても
壊れなかった心が悲鳴を上げている
半年耐えた心が悲鳴を上げている
心が壊れる
心が壊れる
心が壊れる
心が壊れる
あの人の隣で笑っていた私達が
あの時本気で泣いていた私達が
今とても綺麗に笑っているから
私の心はまだ泣いているのに
心が壊れる
心が壊れる
心が壊れた
心が壊れた
あの人のいた場所で
知らない人が謳っていたから
知っているはずの曲を
知らない三人が踊っていたから
心が壊れた
心が壊れた
心が壊れるだなんてリアルな恋愛みたいだね
心が壊れただなんてリアルな失恋みたいだね
心が壊れる
心が壊れた
だから私は心を閉じる
だから私は笑わない
冬が去り春が来て
あの人に再び会えたなら
私の心は蘇えるのだろうか
私の心は温まるのだろうか
まだ冬は終らない
- 21 名前:: 第一章 上海は踊る その十 投稿日:2001年03月01日(木)19時12分19秒
- 「おやおや、かわいいお嬢ちゃん来ないのかい?」
紗耶香の言葉に自分がぼーとしてしまったことに気がついた矢口は、敵前での
不覚に恥ずかしく思い顔を真っ赤にさせた。
「来ないならまあいいや。今回は戦った事のない九大天王にしか興味はないし…」
紗耶香は第四層へと歩みを進めだした。すると目の前の少女から予想しなかっ
た答えが返って来て紗耶香は驚いた。
「私が韋駄天の矢口だ!」
「韋駄天の矢口は確か外跳ねの髪型がトレードマークではなかったのか?一度遠
目で見たときは…そうか、我ら十傑衆を欺くためにそのような髪型にしたのだな!」
「違うよ!単なるファッションだ!バカ!」
「そう…私は紗耶香、市井紗耶香。BY団では衝撃のさやりむと呼ばれているけど
ね…」
「それじゃあサヨウナラ、紗耶香。矢口と戦えた事を冥土の土産にしなさい!」
言うや否や、持ち前の神速から8分身を作りだし紗耶香に襲いかかる。そして
手刀を振り下ろしかまいたちを発生させ、8本の真空波が紗耶香の体を切り刻む。
そしてそのうちの一本が紗耶香の首を刎ねた。
- 22 名前:第一章 上海は踊る その十一 投稿日:2001年03月02日(金)08時34分56秒
- 「なんて事はないじゃん。本当に十傑衆だったのかな?」
紗耶香がここまで進入出来たという事に矢口は疑問を感じた。しかし下から声が返ってきた。
「本当に十傑衆だよ。凄いじゃない。攻撃できる8分身なんて十傑衆でも早々出来
る事じゃないよ。全力でやったらどのくらいまで行くの?」
笑いながらそう応える紗耶香。いつのまにやら下から覗き込むように矢口の顔
を眺めている。
「な!確かに首を刎ねたはずなのに!」
急いで間合いを取る矢口、紗耶香は何事もなかったかのように髪をかき揚げ笑う。
「おいおい矢口〜、私はこれでも十傑衆だよ。リアルな残像でも一つや二つなら
作るのは容易い事。」
そして煙草を一本取り出し、発火能力で火をつける。その余裕たっぷりの姿は、
自分が笑われているような気がして矢口はむかついた。
「じゃあ。こっちからいくね。」
煙草を放り投げ、紗耶香が気合を込めて拳を突き出すとそこから衝撃が発生し
矢口を襲う。その後数十分間、矢口の分身攻撃と紗耶香の噴射拳がぶつかり合う
事になる。
紗耶香は十傑衆になって初めての快感を感じていた。真剣勝負で自分と渡り合
うものがいる喜びと、その者を倒してよい喜び、そしてかわいい顔を歪ませて攻
撃を耐える矢口、これらの前には自分に与えられる痛みなど気にもならなかった。
- 23 名前:FS: 第一章 上海は踊る その十二 投稿日:2001年03月02日(金)09時59分59秒
- (…香、紗耶香…、紗耶香!作戦は成功。撤収を開始するよ!)
(後藤は?)
(作戦どおり撤収を開始した。)
(そう。ふ〜ここまでか…)
「矢口〜、悪いけどもう遊んでちゃダメだってさ。それじゃあまた会いましょう。
次まで無事でいてよ。今度は最初から全力で行くしさ♪」
紗耶香はそう言うと来た方から帰って行った。矢口にはまだ追撃に移るだけの
余裕はあったが、生存者の救出を優先させる事にした。倒せなかった悔しさを胸
に秘めて…
「紗耶香嬉しそうじゃん。なんかいい事でもあった?」
「矢口って言う子にあったよ」
「あんた矢口ってタンポポの矢口?戦ってたんじゃなくてナンパでもしてたの?」
「違うって。やりあってたに決まってんじゃん。あの子速いのよ、だから本気で
逃げながらとか違う戦い方もあるのに、市井の正面から衝撃をさばこうとするの。
やっぱり九大天王よね。もう気に入っちゃった。あの子は私の獲物だから取らな
いでね。」
「いいけどさ、そんな事言ってると後で後藤怖いよ〜。気に入っちゃったなんて
言ってさ。聴いてないフリして絶対に今の全部聴いてるから。ねっ後藤」
「聴いてないよ。」
「聴こえてんじゃん。それにそんなに頬膨らませても説得力ないって」
「後藤かわいいなぁ~後で稽古しよっか」
(やれやれ…、紗耶香も後藤には甘いよね。)
この日上海支部は第一層〜第三層までにおいて、死傷者238人と言う多大な
被害を出したが、梁山泊は上海支部の無事を世界各国にアピールし勝利を宣言し
た。しかしこの日の出来事は次の作戦で悲劇の元となる。
- 24 名前:第二章 タンポポ その一 投稿日:2001年03月02日(金)10時02分27秒
- 石川は今日の襲撃の際における全ての監視記録を見なおしていた。「ネガティ
ブ石川」持ち前のネガティブさからあらゆる危険をも予測した作戦を立てること
が出来る。ただあまりにも要らない部分まで緻密で多岐に渡る作戦を計画し、し
かも悪い部分しか当たらない為役に立っていないとも言われる。
そんな彼女にはBY団の行動がどうも引っかかった。西と東から進入した十傑衆
が二人。確かに、今までなぜ表に出て来なかったのかというぐらいの凄腕であっ
たが、第三層で暴れた程度で上海支部が落ちると思ったのだろうか?彼女等が本
気を出せばもっと被害は大きかったのではないだろうか?そもそも何故十傑衆が
二人がかりでこんな支部を襲うのだろう?彼女らの目的は本当に上海支部を叩く
事にあったのか?本当は何か真の目的が在ったのではないだろうか…。
そして三回目の見直しの途中で彼女はついにそれを見つけ出した。それは第四
層にある第参医務局44番集中治療室の監視カメラに写されていた。
「44番、連中の目的は彼女だったのね!」
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月03日(土)12時25分17秒
- おもろい。
元ネタ分からんから先が見えぬ。
期待大。
- 26 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月04日(日)21時27分11秒
- スレ違いをやらかしたりして凹んで居りましたが、
そこののスレの作者様にお許しを頂きましたので
続けて書いていこうと思います。
>>25
ありがとうございます。期待を裏切るかもしれませんが頑張ります。
- 27 名前:第二章 タンポポ その二 投稿日:2001年03月04日(日)21時32分39秒
- 早速中澤長官を呼び出し説明する。
「なんや、石川。」
「長官この映像を見てください。」
そこには治療室の様子が変わることなく映し出されていた。ただ一瞬だけ人影
が映った。無論中澤もその姿を見つけていて、石川はそこで映像を止めた。
「彼女らの目的は飯田さん。今確認させましたが、治療室にはいなかったです。」
「と言う事は飯田かおりを攫う事が連中の目的だったちゅうことか?」
「はい、おそらく…」
「しかし、かおりを奪ってどうするんや?」
「さぁ、そこまでは石川もわかりません。でも例えば洗脳とかされたら大変です
よね。飯田さんに対抗できるのは九大天王だけですよ。」
「そうか!かおりの運動能力と特殊能力に目をつけたんやな。さすが石川、たま
には軍師っぽい事考えるやん。」
「たまにはって…」
「とにかく、そうなったら一大事や、至急本部に報告やな。」
事態を重く見た本部は全支部に対し飯田かおり失踪を告げ、発見した場合、速
やかに本部に報告する様に指示した。ただ上海支部最終層の第4層から誘拐された
ことだけは伏せられた…
- 28 名前:第二章 タンポポ その三 投稿日:2001年03月04日(日)21時34分27秒
- タンポポの矢口と石黒にもこの事が告げられた。
「かおりが?すぐ取り戻さなくちゃ。」「落ち着けや矢口。大切な仲間ていうの
は解るし、私にとってもそうや。とにかく本部に連絡したし、隠密に最優先で捜
索させてるはずやから…」
矢口はあの日の事を思い出していた。かおりが意識を失った日の事を…
- 29 名前:第二章 タンポポ その四 投稿日:2001年03月04日(日)21時35分39秒
- 一年前、タンポポが結成された当時、タンポポは三人であった。「韋駄天の矢
口」「鼻ピ忍者黒江」そして「電波戦士かおり」こと飯田かおり。死ねない体と、
地球上の誰ともお話が出来る念話能力(相手が念話能力を持っていなかろうと…)
を持つエキスパート。
そしてラスキス上陸作戦の勝利の二ヶ月後、パリ解放作戦が発令された。パリ
でもタンポポは活躍し激戦を制し勝利は目前であった。
- 30 名前:第二章 タンポポ その五 投稿日:2001年03月04日(日)21時36分51秒
- この時、タンポポは「銀杏の明日香」と対峙していた。
「明日香!もうおしまいだから、投降しなさい!命までは取らない。」
「かおり!無理無理。連中が投降するわけないじゃん。」
「でも三対一なんだよ。やっぱりそう言う時に投降を呼びかけないのはイケナイ
とかおりは思うの。」
「もういいよ矢口!二人でやるよ。明日香に時間を与えるのはまずい!」
「わかったよ。も〜明日香ゴメンね」
そしてタンポポが明日香に襲いかかる。さすがに十傑衆No.2の明日香も防戦一
方であった。そして遂にかおりが明日香を追い詰めた。
- 31 名前:第二章 タンポポ その六 投稿日:2001年03月04日(日)21時39分50秒
- その時であった。かおりの真後ろに少女が現れたのだ。
(九大天王と十傑衆の戦場に一般人死かも少女がいるなんて危険じゃない!)
一瞬かおりの意識がそれた。少女は廃墟となったパリでようやく見つけた大人
に救いを求めようと姿を現したのだった。しかし一瞬の隙ではあったが明日香に
取っては十分な時間であった。かおりの胸を明日香の右拳が貫き、心臓を握りつ
ぶす。
「「かおり!」」
駆けつけた矢口と黒江がすぐさま明日香を追う。
「大丈夫?怪我はない。」
かおりは微笑みながら少女に話しかける。
「あぁぁぁ、お姉さんの方が、お姉さんの方が…」
「私は大丈夫だから。あなたは大丈夫?」
「私は大丈夫れす。でもお姉さんの血が止まらないのれす。」
かおりの胸からは血がどくどくと溢れ出ていた。
「私は死ねないから。そう言う体だから、ちょっとお休みするけど。」
「でも、辻はちょっと切っただけでもとても痛いのれす。泣いてしまうのれす。」
「痛いよ。でもね、私達の戦いのせいであなたが傷つかなかったことのほうが、
かおりは嬉しいの。」
そう言うとさすがのかおりも地面に突っ伏した。
「お姉さん?お姉さん?誰か!誰かいませんかァー」
戦場に一人残された少女の悲鳴がこだました。
- 32 名前:第二章 タンポポ その七 投稿日:2001年03月04日(日)21時42分34秒
- その後明日香は二人に討たれ、すぐさま飯田と少女はタンポポに保護された。
そして少女は梁山泊に匿われる事になった。しかし翌日襲来した稲葉、小湊を飯
田を欠いたタンポポは退けきれず、作戦は痛み分けに終ってしまう。
そして飯田かおり…死ねない身体を持つ彼女の体は傷も癒え元に戻っていた。
しかし今回に限り、彼女が目覚める様子はなかった。体は元の状態になっており、
健康体そのものであったが意識だけは戻らなかった。
そして上海支部で療養中の今日、BY団に攫われてしまった。矢口はただただ無
事を祈る事しか出来なかった。
- 33 名前:第二章 タンポポ その八 投稿日:2001年03月04日(日)21時46分19秒
- (辻の覚悟)
「中澤さんお話があるのれす。」
タンポポに保護された少女、辻希美はまだあどけない少女であった。しかし今
日は真剣な面持ちで中澤の前にいる。
「辻、なんや話って」
「私を梁山泊に入れて欲しいのれす。」
「身寄りがいないんやったら、いつまでも梁山泊に居てもいいで」
「裕ちゃん!いいの?もう子持ちになるの!」
「ちゃうわ!かおりが命を懸けて守った子やから、私が面倒見たるで〜って話や
ないの。」
「さすが裕ちゃん!やっぱ長官って言うのは名前だけじゃないね!」
「矢口、うるさい!」
「あの〜、そうじゃなくてエキスパートにして欲しいのれす。」
「それは無理や…辻。」
「辻、ゴメンね。エキスパートに普通の人は入れないのよ…」
「でも…」
「よし!じゃあ能力が現れたらな。あるいは、特殊能力がなくてもとても頭が良
かったり、ロボットが自在に動かせたりしたら特別に入れたりするから。そした
ら入れてやるから勉強をしっかりしいや。」
「はいなのれす。」
てへてへと嬉しそうに笑いながら去る辻。
「本当に辻を入れるの?」
「ちゃんと規格を通ればな。そうそう通るもんやないし。それにあんな小さい子
を戦場に送る気もないしな…」
辻がエキスパートとなり、梁山泊を支えるのはまだ遠い未来の話であった。
- 34 名前:第三章 休日 その一 投稿日:2001年03月06日(火)08時59分40秒
- 梁山泊奇襲以降もBY団と国際警察機構は各地で死闘を繰り広げる。市井と矢口
も何度と言わず対決する。リオ、ボンベイ、モスクワ、キト、重慶、オタワ…結
局雌雄はつかないまま一年が過ぎた。今、矢口は思う。何故戦うのだろう。弱者
を守りたいから…BY団のやり方に憤慨しているから。ただ、紗耶香の非戦闘員に
手を出さない点、戦闘時の美しさに惹かれる自分もいた。市井との命を凌いで戦
う瞬間に生きる実感を手応えとして得る事もある。自分は手を抜いているのでは
ないか?九大天王として任務をこなし、リードして行けているのか、最近の自分
が分からない矢口であった。
- 35 名前:第三章 休日 その一 投稿日:2001年03月06日(火)09時03分52秒
- そこで、そんな自分にゆとりを持たす為にと今日は渋谷にやってきた。普通の
女の子の様にショッピングしてお茶して、余暇を楽しんでいた。
人気がある店なのかなかなか空かない店の状況を見て矢口が席を立とうとした
時、声を掛けられた。
「相席してもいい?」
「もう行きますから、どうぞ。」
「それは残念…」
聞き覚えのある声に矢口はぱっと顔を上げるとそこに居た人物に驚いた。そこ
には市井紗耶香がにこやかな表情をして立っていた。
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月06日(火)09時17分39秒
- さやまりですか?
さやまり好きなので続き楽しみにしてます。
- 37 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月06日(火)09時17分41秒
- ↑は休日 その二でした。
- 38 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月06日(火)09時31分42秒
- 作者はさやまり好きなんですよ…
>>36
ラブラブチュッチュッな甘さではないですが、さやまりがある意味メインです。
ストーリーはだらだらと仮想世界の歴史を述べるような感じになってしまいます
が、そこにさやまりのエッセンスが入ればいいなぁ…と思ってます。
- 39 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月06日(火)15時34分11秒
- さやまりがメインですか。
自分もさやまり大好きなんで嬉しいかぎりです。
でもここの後藤もかわいいから好き。
- 40 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月07日(水)09時53分31秒
- 責任もって最後まで書く所存ですが、ちょっと話を修正します…
市井ヲタであり、旧メンが好きな者には辛い朝になりました。
バイトを急遽増やそうと思ってますので
更新は…て具合になりそうです。
こんな拙い文章でもさやまり好きとか言っていただける
方がいるので何とかしたいのですが…混乱してます(泣)
- 41 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月11日(日)08時47分59秒
- 例のあのことでですよね…。
俺もデビュー時から応援してたんで、かなりダメージきました…。
バイト増やしすぎて、身体こわさぬよう頑張ってください。
さやまり、俺も好きですよ。
- 42 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月18日(日)15時58分46秒
- 続き見たいけど、作者さんの気持ちの整理がつくまで待ってます!
- 43 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月21日(水)10時55分17秒
- 読んでくださっている方々ありがとうございます。
ナカザーの事はそれなりに後遺症は無かったのですが
ストーリーが変わっちゃってその方向修正が上手く行かず
更新できませんでした。
今後、えっ!そんな設定は無かっただろう!ゴルァッッ!
という事が起こるかもしれませんね…(遠い目
そこで、今後は裏設定を少しずつ出しながら更新します…
それでは今後もよろしくお願いします。ぺこり
- 44 名前:第三章 休日 その三 投稿日:2001年03月21日(水)11時00分26秒
- 「なっ!なんで衝撃の紗耶香がいるんだよ!」
「今日はヤル気ないから落ちついて、殺気もなにも感じないでしょう。」
慌てて立とうとする矢口に対して紗耶香はおどけて見せる。
「もちろんここでやっても良いんだけど矢口は嫌なんじゃない?」
そう言うと紗耶香は向かいの席に座り店員を呼んだ。確かにこんな人の多い
所で戦ったら死傷者がどれぐらいになるか想像もつかない。その上逃げられる
可能性も高い。相手にヤル気がない以上、余計な犠牲者を出すよりはと仕方な
くその場に座る。
「一度矢口とはゆっくり話がしたかった。」
煙草に火をつけ、矢口を正面から見つめる紗耶香。そしてしばらく見つめた後で
話を切りだした。
- 45 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月21日(水)11時04分02秒
- >>41 様
>>42 様
読んで頂いてありがとうございます。
今後はこまめに更新して行きますので今後もよろしくお願いします。
- 46 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月21日(水)13時40分19秒
- こーゆう、さやまり好きです。
作者さん頑張ってください
- 47 名前:: 第三章 休日 その四 投稿日:2001年03月24日(土)00時21分30秒
- 「どんな事を話そうかな。とりあえずそうだな〜。矢口はなんの為に戦う?私は
自分を拾ってくれたビッグヤマザキに恩があって、自分の能力を使う事が自分の
使命だと思って戦ってきた。なにより自分の力が必要とされるのは心地良いしね。
だから私自身は世界征服にも権力にも興味は無いんだけどさ。」
まるで世間話でもするかのように気負わずに話をする紗耶香。
- 48 名前:第三章 休日 その五 投稿日:2001年03月24日(土)00時36分08秒
- 「なんで矢口に、敵にそんな話をするんだよ…」
「いつも思うんだよ。矢口と戦う時、この子はなんで戦うのかって。今一番矢口
が気になるから。それと、いつも矢口と戦う時に興奮し、肉体の奥底から震えが
来るんだよね。強い奴と試合う喜びだけじゃなくて、全身全霊が矢口を欲してる
ような感覚、この感覚だけは他の人には感じないんだ…」
真剣な目でじっと矢口を見つめたまま、紗耶香が熱く語る。矢口はまるで告白
されたかの様な気持ちだった。見る見る間に顔が赤くなって行くのが自分でも判
る。
「そんな事をいわれても、おいらは困る…」
「そりゃそうだよね。人類のにっくき敵BY団にこんな事を言われてもね〜」
- 49 名前:第三章 休日 その六 投稿日:2001年03月24日(土)00時44分28秒
- 店員がバナナパフェを持ってきたので一旦話は中断した。紗耶香は美味しそう
にパフェを食べ出す。
「甘いの好きなんだ…」
美味しそうに食べる紗耶香を眺めていてつい言葉がこぼれた。
「好きだよ。女の子だもん。でもどちらかと言うとお肉の方が好きかな。」
「肉?肉って焼肉とかの肉」
「他にないじゃん。焼鳥とかレバ刺しとか生姜焼きとか好きなの。」
「そう…」
(一体おいらは何をしてるんだ…。十傑衆とお茶して雑談して…)
紗耶香がパフェを食べ終わり、店員が皿を下げる。
- 50 名前:第三章 休日 その七 投稿日:2001年03月24日(土)00時59分55秒
- パフェが下げられた後、緊張の元でまったりとした時間が過ぎる。
「紗耶香は戦う事に疑問を感じたりはしないの?」
矢口は一度BY団に投げかけたかった質問を、この異常な出会いの場で紗耶香に
ぶつけてみた。
「疑問かぁ〜。力の行使に付いてなら正義とか言うものもの為じゃあない。どち
らにも言い分はあるだろうからね。さっきも言ったけど、恩があるから、仲間が
いるから私は戦う。その際非戦闘員に手は出さない出させないというポリシーは
あるけど…。だから自分たちが悪であるとか、何をしているのかという事に対す
る疑問は感じない。いやあえて考えない。さっきは答えてもらえなかったけど矢
口はどうなの?」
「おいらは弱い人を、無垢な子ども達を守りたい。共に正義を信じる仲間を守り
たい。それが私を支えてくれるんだ。」
- 51 名前:第三章 休日 その八 投稿日:2001年03月24日(土)01時08分07秒
- 「そうか、子どもたちと仲間の為か…」
「笑う?」
「いや、矢口らしいと思っただけ。うん、矢口らしい。それじゃあいい事を教え
てあげる。」
矢口は怪訝そうな顔をした。敵が教えてくれる事でいい事なんかある訳が無い。
そんな表情の矢口に構わず紗耶香は続ける。
「5月21日ある場所が爆破されるのね。それで、今日ショッピングに付き合ってく
れたらその場所と日付を教えてあげる。」
「ええっ〜!!」
矢口はこうして休日を十傑衆とショッピングして過ごす事になった。
- 52 名前:第三章 休日 その九 投稿日:2001年03月24日(土)01時25分34秒
- そして日が暮れる頃、奇妙なペアは散々歩き回った後で渋谷駅にたどり着いた。
矢口は途中不覚にも楽しくて、つい何の為に付き合っているのか忘れそうになっ
たが、今日の紗耶香は普通の女の子だった。
「今日は楽しかったよ。」
渋谷の高速鉄道のホームで紗耶香が嬉しそうに話す。
「じゃあ約束の話ね。一ヶ月後の5月21日にヒューストンの原発群を爆破する
よ。メルトダウンさせてアメリカ南部に多大な被害をもたらせる。」
「本当なの?」
「本当。そしてここからが肝心なとこね。」
紗耶香は真剣な顔をして矢口に告げる。
「矢口、賭けをしよう。」
「はぁ〜?なにそれ」
思わず矢口から疑問符が返る。
「私も今回作戦に参加する。そこで、その場で真剣勝負をしよう。そして敗者が
勝者に従うの。もし矢口が勝ったならあなたの一言で私は自分で首を落としても
良いし、大切な仲間をおいてBY団を抜けてもいい。本部の場所を教えてもいい。
まあ、私が生きていたならって話だけどもね。でも私が勝ったら矢口は私のもの
になる。どう?」
「どうって…(何を言い出すんだぁ〜!?っていうか私のものになれって言われ
ても…)」
「まあいいや。一方的な約束でもいいから、これだけは覚えててね。私は本気だ
から。」
- 53 名前:第三章 休日 その十 投稿日:2001年03月24日(土)01時34分25秒
- 紗耶香は一方的に宣言すると、ホームにやってきた列車に乗り込む。
「今日は本当に楽しかった。でももっと楽しくスリリングな時間を、全てを燃や
し尽くせる熱い一時を過ごせる事を祈ってる。そして賭けの件、いい返事を待っ
てるね。
それじゃあ、一月後、ヒューストンで…」
紗耶香が言い終わるかどうかの所で扉が閉じ、列車は静かにホームを去った。
矢口は夕方のラッシュの中、ただただ立ち続けていた。
そして、去り行く紗耶香と同じ列車にはある人物がいた…
「ヤマザキの忠犬」と呼ばれし女、りんねであった。
運命のヒューストン爆破作戦まで残り一月、運命は加速する。
- 54 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月24日(土)01時45分22秒
- かなり話が破綻してるかも…いやしてるのか…
今回は本当に描きたいシーンの為の下地なのですが
スマートさに欠けましたね…そんな気がするっす。
やはり面白い人の文章と言うのは展開がうまいなぁ〜
>>46様
読んで頂いてありがとうございます。
どうでしょうこんな感じになってしまいましたが…
- 55 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月24日(土)01時53分08秒
- 5月21日って… ものすごくいやな予感…
- 56 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月24日(土)01時55分50秒
- 5月21日・・・
続き、楽しみにしてます。
- 57 名前:第四章 嵐の前の… その一 投稿日:2001年03月26日(月)19時22分01秒
- 矢口のもたらした情報(賭けの件は抜き)は当初疑問符が付けられたが、その
後の情報局の情報と符丁があった事、特にBY団の動きがアメリカ南部で最近頓に
おかしい事から信憑性が増した。
そして4月28日、情報部は指令書の一部と思われる情報をキャッチした。この
時点で確信を得た本部は北の梁山泊から中澤長官、タンポポの3名、南から九大天
王の「ウルフ安倍」「禁軍師範夏」を派遣しヒューストン防衛を行う事が決定さ
れた。
- 58 名前:第四章 嵐の前の… その二 投稿日:2001年03月26日(月)19時25分44秒
- 作戦会議の終った後で二人の九大天王が話していた。
「裕ちゃんどうしたべさ。」
「いやな、最近矢口が深刻な顔しとんねん。」
安倍と中澤の視線の先にはじっと窓の外を眺めている矢口がいた。
「そういえば今日はあんまし笑っていないね。」
「情報を持ってきた日からおかしいやんか。絶対なんかあんねん。」
「矢口が私達を裏切るわけないべさ!」
安倍が言外に含められた意味を深読みし声を荒げる。
「そこまでは言わんけどもやな、なんかあったのは間違いないで。ソースは絶対
に明かさんくせに先遣隊には絶対入れろって言うしなぁ。いくら裕ちゃんでも困
るわ〜」
「裕ちゃん…(でも矢口を先遣隊に入れちゃうあたり甘いよね…)」
「なっち誤解せんといてな。矢口を心配しとんねん。あれだけの情報を得たとし
て見返りはなんや?私達を裏切らんとしたら矢口は何にこだわってるんや?それ
がわからん。」
「裕ちゃん心配ないべさ。なっちがちゃんと守るよ。矢口が暴走しかけても止め
てあげるべさ。」
「なっち・・・ありがとう」
- 59 名前:第四章 嵐の前の… その三 投稿日:2001年03月26日(月)19時28分24秒
- 二人の思いの外で、この時だけは矢口は紗耶香の事だけを考えていた…
(紗耶香はなんであんな賭けを言い出したんだよう…思った通りヒューストン防
衛は九大天王が五人配置なんて大事になったよ…十傑衆がまとまっって来ても応
援が来るまでは堪えられる陣立て。紗耶香はそれでも良かったのだろうか…十傑
衆を、BY団を敵に回しても私と戦いたいのだろうか・・・おいらにはわかんない
よ。おいらには…)
しかし、苦悩する中で一つだけ決意したことがあった。
(紗耶香が来るのなら勝負は受けよう。賭けには乗れないけど…)
雲の切れ間から挿す陽光は矢口の目にはまぶしかった。
- 60 名前:第四章 嵐の前の… その四 投稿日:2001年03月26日(月)19時32分25秒
- 所変わってここはBY団の本部。
「うん?後藤どうした?」
「市井ちゃんどうかしたのかなって思って?さっきから真剣な顔しちゃってる。」
物思いに耽っていた市井を後藤が下から覗き上げる。
「眉間にしわ寄っちゃってたもん。」
「後藤ほっときなさい。どうせ恋煩いだからさ〜」
「圭ちゃんどういうこと!?恋煩い?市井ちゃん後藤以外の誰かに恋してるの?」
「圭ちゃん余計なこと言わないでよ〜。だいたい後藤に恋してるって訳でもない
しさ〜」
「ヒドイね。市井ちゃん…あんだけ愛ししてくれたのに。飽きたらポイだなんて。」
「へ〜あんた達ってそうだったんだ…」
「後藤も何言ってんのよ〜。圭ちゃんが信じちゃうじゃん」
「ぁはっ!」
後藤が市井に跳びつき後ろから抱きつく。
「やめろよな、後藤〜」
紗耶香が笑いながら、後藤の頭をぺしぺし叩く。
- 61 名前:第四章 嵐の前の… その五 投稿日:2001年03月26日(月)19時35分58秒
- 秘密結社の幹部のものとは思えない一時の中で、紗耶香は再び思考の海に浸る。
(今回の布陣はプッチモニとみっちゃんの四名。そして現在別行動中のこみなっ
ちゃんとあっちゃんはいざとなれば日が変わる頃には後詰として参加できる所に
いる。対して九大天王も今回は本部の南の梁山泊につんくが残って、残りは参加
できるだろうな。場合によってはつんくも含めて全員か…これで決戦の場が出来
上がった… 後はこの中で矢口と決着をつけるのみ。それで全てが終る。勝った
のがBY団ならば後はヤマザキ様が好きなようにすればいい。負けた時にはBY団
はもう終りだから考える必要もないでしょ…)
「圭ちゃん、後藤、死なないでね…」
紗耶香はそっと二人には聞こえない様に呟く。自分は自分勝手な都合で大事な
仲間を危険にさらしてでも、矢口が欲しいのだ。それだからこそ二人の無事を祈
らずにはいられない…。本当に無責任だと思いながら。
- 62 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月26日(月)19時42分49秒
- 後でテレホにも上げ様かな…
>>55>>56様
レスありがとうございます。市井ヲタなんでどうしても意味のある日って言うと
5月21日とか12月31日とかになってしまいますね(ワラ
- 63 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月26日(月)19時49分02秒
- 設定
能力 超常の力の総称。能力を持つ人をエキスパートと言う。元ネタを見た事
有る人は判るでしょうがなんでも有りです。念(by HxH)とか○○の実
(ワンピース)とか、ありとあらゆる普通でない力を想像してもらえれば
判りやすいかと…ちなみにほとんどパクリです。
BY団 ビッグヤマザキをトップとする秘密結社
十傑衆 BY団の最高幹部会 4月21日現在で七人在籍。
- 64 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月26日(月)19時52分44秒
- 十傑衆一覧
「衝撃のさやりむ」あるいは「衝撃の紗耶香」一次プッチモニメンバーで噴射
拳の使い手。同郷の保田圭と共にヤマザキに拾われた。長年芽が出なかったが
ラスキス上陸作戦で生き残った事が鍵となり能力が開花した。
「鬼面魔王圭」 一次プッチモニメンバー 鋭い眼光で敵を麻痺させる鬼面フ
ラッシュを用いる。体術のみではA級エキスパート並だがプッチにいるが為に
体術においても優れていると思われている。紗耶香と出会う前に文殊暴走に
巻き込まれている。
「金髪のごまき」 一次プッチモニメンバー パワーにおいて最強の十傑衆。
元々能力的には秀でていたが、短期間で更に能力を引き出してくれた紗耶香を
今でも慕っている。
「銀杏の明日香」 当時十傑衆筆頭だったがラスキス上陸作戦で戦死。
「OPDの稲葉」 チームOPDで副長を務め、B級エキスパートでありながら九大
天王の一人「月面殺法信田」を討ち取る金星も上げ、十傑衆に昇格した。
愛称はあっちゃん。
「小湊流直系の美和」 小湊流暗殺拳の使い手。子持ち。こみなっちゃんと
呼ばれる。
「MCの平家」 十傑衆筆頭。明日香に筆頭の座を譲ったが再び筆頭として
十傑衆を束ねる。
「五木の申し子前田」 五木一門にして唯一の十傑衆。
- 65 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月26日(月)19時55分37秒
- 国際警察機構 世界政府の対BY団の組織 別名梁山泊
九大天王 国際警察機構の幹部連 4/21現在で七人在籍。
九大天王一覧
「鼻ピ忍者黒江」 タンポポ結成時メンバー。結果として飯田の呪と引き換えに
命を絶つ。
「韋駄天の矢口」 タンポポ結成時メンバー 上海襲撃で初めて相見えた時より
数多くの戦いを紗耶香と繰り広げる。その中で紗耶香の正正堂堂とした戦い振り
に惹かれつつある。神速を誇りそのスピードは両陣営でも屈指。
「月面殺法信田」稲葉にやられた。
「人間爆弾中澤」中澤長官 北の梁山泊の長官である。しかしその姉御振りから
も南でも長官と言えば中澤を指す。(ちなみに南の長官は総長と呼ばれる)
「電波戦士かおり」 タンポポ結成時メンバー。念話と体術のエリート。彩っぺの
命を引き換えにして貞子の呪いを乗り越えた。その際得とくした貞の陣(貞の字と
不快な音が相手の脳を刺激する。)は精神攻撃としては超弩級の破壊力。
「総取りのルル」美味しいとこはみんな持ってく。
「ウルフ安倍」元々は軽量級で、矢口が現れるまではスピードを売りにしていた。
現在はスピードに体重をのせた突進力が売り。現在でも瞬間的ならば矢口に劣ら
ない速さも持つ。
「禁軍師範夏」現在は主に軍事顧問として各支部の指導に当たる。
「黄帝つんく」南の梁山泊の長官。
- 66 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月26日(月)20時01分05秒
- BY団の主要A級エキスパート
「華麗なる吉澤」つんくも認めた天才的な容姿の持ち主。
「ヤマザキの忠犬りんね」 ヤマザキ直轄の部下であり、他のA級エキスパートと
は一線を隔す。
国際警察機構のA級エキスパート
「ネガティブ石川」本分参照。文殊暴走に巻き込まれ地黒になる。
「落ちない加護」後にタンポポに追加される。
「メロン戦隊」四人組で一人一人がA級エキスパート。
「中和能力者ののの」敵味方問わずありとあらゆるエキスパートの能力を一時的に
消滅させる中和能力者。後に最後の九大天王になる。
- 67 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月26日(月)20時02分48秒
- ↑訂正というか追加
「中和能力者ののの」は現在は普通の少女。能力発現はまだ先の話…
- 68 名前:FS(作者) 投稿日:2001年03月26日(月)20時04分03秒
- と言う状況下で次回からヒューストン編です。
- 69 名前:第五章 5月18日 その一 投稿日:2001年03月27日(火)19時11分29秒
- 5月15日、タンポポが密かにヒューストン入りをした。予定では20日に長官と南
の面々も合流し迎撃する手はずになっていた。
5月17日、紗耶香は抜き打ちである支部で奇襲迎撃訓練の指揮を任された。夕方
から行われ、夜間戦闘の演習も兼ねた本格的な訓練であった。雨の降る中、泥にま
みれながらの訓練が終わったのは夜中のことであった。
紗耶香は翌日に本部で最終打ち合わせがあったため本部に帰還したが、睡眠を取
れたのは夜が明ける少し前であった。
5月18日、定時の10時になっても他の十傑衆が現れないため、不審になった紗耶
香は保田を探していた。
「あっちょっといい?他の十傑衆を見かけないんだけど何か知らないかな?」
偶然通りかかって歩いていた参謀のエキスパートに尋ねてみる。十傑衆の行動を
指示できるのは十傑衆及びビッグヤマザキだけであり、しかも彼女らは余程の事が
ない限り独自に動くため、もし日程を紗耶香が間違えていた場合、参謀クラスでは
十傑衆の予定を知らない可能性の方が高かったがとりあえず尋ねてみた。
- 70 名前:第五章 5月18日 その二 投稿日:2001年03月27日(火)19時52分58秒
- しかし思ってもいなかった返答がきた。
「はい、十傑衆の皆様は作戦中であります。」
「そんな話しは聞いてないけどなぁ〜。じゃあヒューストンに圭ちゃんは行かない
のかなぁ〜?そこまでは知らないよね。」
すると怪訝そうな表情を浮かべて団員が答える。
「現在、MCの平家様以下、4名の十傑衆を中心にした作戦部隊が旗艦ヒューベリオン
以下第13船団と共に0900にヒューストンに向けて出撃しました。」
「!!!!!!!!」
紗耶香は後頭部殴られたかのような衝撃を受け、驚愕から声が出ななかった。9時と
いうことは起きた時刻だ。確かに多少は騒々しかったが気に留めるほどではなかっ
た。
「出撃は、早朝、急遽決定した模様でして、昨日市井様は訓練に出向かれていたの
で予定を変更し吉澤様が随行されたと聞いていますが・・・」
あきらかに自分が2カ月前から打ち合わせてきた作戦と決行日が違うし、そんな報
告は聞いてない。何かがあったのだ。
「他の二名は誰ッ!答えなさいッ!」
「鬼面魔王様、金髪のごまき様です。」
「後、吉澤はまだ十傑衆に昇格したなんて聞いてないわ。それになんで今日なの!」
「吉澤様に関しては本日付けで昇格を決定、正式な発表は後で行うと聞いておりま
す。また、今日の決行になった訳は聞いておりません。ただ本部直轄の近衛師団の
みが緊急召集されました。」
- 71 名前:第五章 5月18日 その三 投稿日:2001年03月27日(火)19時56分18秒
- 紗耶香はこの時点で人為的に作戦から外された事を悟った。なぜなら今回の作戦
の中核を担う第7師団は今回の為に過酷な演習を行っていて紗耶香自身も何度かその
演習に参加していた。近衛師団はエリートであるが今回のような(アメリカ南部を
壊滅に追い込むような)万全を期す作戦で、何がしかを想定した演習を行わずに実
戦投入なんてことは今までにはありえない事であった。それは紗耶香が知らない所
で近衛師団は演習を終えていて、しかもあらかじめ日時が変更される事が決定して
いたため迅速な出陣が可能だったということを意味するからだ。そして作戦に参加
する吉澤以外の十傑衆の顔ぶれは紗耶香も知っているものであった。
そして彼女は自分の立てた賭けが外された事を認識した。しかしながら自分の漏
洩がばれたのだろうか?と言う事よりも気になることがあった。九大天王の何人か
はヒューストンに着任していると聞いているが、矢口がその中にいて自分を待って
いる気がしたのだ。そしてもう2度と戦いまみえる事は無いんじゃないかと言う気が
していた。
紗耶香はいても立ってもいられなくなり、全速力でヒューストンを目指した。
10時23分。降下作戦開始時間まで3時間37分
- 72 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月28日(水)00時37分23秒
- 市井頑張れ!
矢口が待ってるんだぞ!
- 73 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月04日(水)01時03分15秒
- これからどうなるのでしょう?
気になって気になって……期待sage
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月06日(金)05時19分00秒
- 同じく非常に気になってます。
- 75 名前:FS(作者) 投稿日:2001年04月07日(土)12時17分47秒
- >>72‐74様
ありがとうございます。
ヒューストン編は今晩にでも上げます。
- 76 名前:第五章 5月18日 その四 投稿日:2001年04月08日(日)02時46分27秒
- 11時45分、旗艦ヒューベリオン作戦指揮室、ここには今朝急に召集された十傑
衆及びりんねが顔を揃えていた。
「みっちゃんどういう事よ。いきなり召集かけちゃってさ。」
口火を切ったのは鬼面魔王。その鋭い眼光で見つめられたせいか思わず平家は
目を逸らす。
「今回集まってもらったのはヒューストンを落す為です。」
りんねは答えると平家を見る。平家が続きを答える。
「圭ちゃん、今回は情報が漏れたため、緊急の出撃となったんや。」
「情報が漏れたの?だったら作戦を辞めるべきよ。それに近衛師団や、第13船団
は緊急にしちゃあ完璧な対応だったわね。召集から出撃まで2時間かからなかった
わよ。訓練でも100点満点だわ。後、紗耶香は召集されていないし、いきなり吉澤
が昇格してるしどうなってんのよ。」
- 77 名前:: 第五章 5月18日 その五 投稿日:2001年04月08日(日)02時52分02秒
- 「それに付いては私が説明します。そもそも今回の機密漏洩は市井紗耶香が行っ
たのです。4月16日市井紗耶香が九大天王の矢口と密会していた事が諜報部の調
べで判っているのですよ。そして5月15日には九大天王が数人到着しています。
そこで私の提案で作戦を前倒しにしたのです。」
「!!!!!!!」
驚く保田、後藤は話が判って無いのかポカンとしている。しかし見る間に保田
の顔面は怒気に包まれていった。
「りんね!あんたね〜、言って良い事と悪い事があるわよッ!どこにそんなソー
スがあるって言うのよ。見せてみなさいよ。これがブルドックソースですなんて
冗談いったら承知しないわよ!」
親友にして戦友、そして生涯のライバルとして誇りですらある紗耶香がりんね
に悪し様に言われるのは保田には耐えられなかった。元々内偵等諜報活動を行う
りんねと十傑衆は仲があまり良くないという背景もあったが…
- 78 名前:第五章 5月18日 その六 投稿日:2001年04月08日(日)03時03分10秒
- あまりの剣幕に平家が保田を慌てて止める。
「圭ちゃん、落ちついてや〜。(ブルドッグソースってなに?)事は慎重に扱う
必要がある。今回は大事を取って紗耶香には抜けてもらったけども、作戦後に十
傑衆裁判を開き紗耶香に直接この件は問いただして疑惑は晴らすから。それから、
りんね!そう言うことやから、これ以上の言葉は慎んでや。戦意に関わる。それ
では作戦の最終チェック行う」
「ウソだ…ウソだ。市井ちゃんがBY団を裏切るなんて事があるはずが無い。私
を裏切るはずが無い。ウソだ。ウソだ…」
後藤はただただつぶやくだけであった。降下作戦まで残り2時間。
- 79 名前:第五章 5月18日 その七 投稿日:2001年04月08日(日)03時13分48秒
- 国際警察機構がBY団の奇襲に気付いたのは13時44分、BY団の降下作戦が始ま
る16分前であった。13時52分BY団の高速飛行船団が肉眼でも確認された。
慌しく迎撃態勢を取る国際警察機構の中で矢口はひどく落ちこんでいた。市井
に騙された事に落ちこんでいた。いつのまにか市井紗耶香は敵ではあったが正々
堂々とした、ある意味尊敬できる戦士だと思いこんでいた。本人が気付いている
かどうかは知らないが淡い恋心のようなものもあった。
しかし現実にはBY団の飛行船がやってきていて、数分後には核融合炉群の上空に
たどり着くだろう。失望感の中、矢口は責任部署の指揮を取るため一号炉へ向った。
- 80 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月09日(月)04時33分41秒
- 更新されてる〜!!うれしい限りです。
それにしても、矢口と紗耶香の関係はどうなってしまうのか?
それ以前に紗耶香自身どうなってしまうのか?非常に気になります。
- 81 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月13日(金)03時57分07秒
- 続き、期待してますよ〜
- 82 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月17日(火)04時10分54秒
- 続きが気になる〜
- 83 名前:FS(作者) 投稿日:2001年04月20日(金)03時49分41秒
- 放置してしまいました…
なんとバトロワ系のある小説と中盤の盛り場がかぶってしまったんです。
セリフとか組み合わせとか…
そこでちょっと方向を変えてみました。
- 84 名前:第五章 5月18日 その八 投稿日:2001年04月20日(金)04時19分30秒
- 14時00分、BY団作戦部隊が降下開始。原発周辺に配置された対空防御陣から
打ち上げられる対空砲火の中、降下部隊は所定の集合ポイントに集結して行く。
同刻8分、耐熱対閃光バリアーが十傑衆によって強引にこじ開けられると、
梁山泊は炉心融解を恐れ、制御棒を炉心に挿入し運転を停止、予備電源に切り
替えた。
そして各所でBY団と梁山泊の熱く激しい戦いが繰り広げられようとしていた。
そんな中、紗耶香はもうヒューストンまで280kmの所を疾走していた。そして
その前方10kmの地点には、やはり全力で疾走する九大天王「ウルフ安倍」がいた。
- 85 名前:第6章 なっちとの遭遇 その一 投稿日:2001年04月20日(金)05時16分46秒
- 安倍は作戦前に特別休暇を取り、他の後詰より先にアメリカ入りをしていた。
目的は西海岸縦断グルメツアー。しかし今回の奇襲に際してはツアーのおかげで
ヒューストンに近い位置にいることが出来た。
そして全力で走るウルフ安倍が後方からやってくる人物に気付いたのはヒュー
ストンまで200kmの所であった。
(誰だべさ。まさか十傑衆?)
気になったなつみは、追走者を確認するために一旦潜み、突然その人物の前に
飛び出した。その為、紗耶香は突如飛び出した影を交わす為に四肢から気を噴射
し急減速をかけざるを得なかった。しかし影の正体を見るやいなや急停止した事
を後悔した。
相手は九大天王「ウルフ安倍」であった。力士の瞬発力はあらゆる格闘技中で
最速という意見もあるぐらいである。こんな至近で足を止めてしまった以上、逃
げ切るのは至難の技。一刻も早くヒューストンに辿り着く為には激突してしまう
可能性があったとしても減速するべきではなかった。紗耶香は思わず舌打ちをす
る。
一方安倍も十傑衆が相手となれば気を抜けない上、万が一にも通すわけには行
かないという思いからすぐさま腰を下ろして臨戦体制を取った。激突必死!戦い
は避けられぬ。
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月21日(土)03時16分15秒
- 再開、待ってました。
紗耶香VSウルフ安倍の激突が楽しみです!!
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月11日(金)02時12分22秒
- 作者さ〜ん、どうしたんですか〜?
- 88 名前:FS(作者) 投稿日:2001年05月26日(土)16時21分47秒
- 申し訳ありませんでした。
オフ会、ミュージカル、武道館巡礼と遊びすぎました。
反省。
- 89 名前:第6章 なっちとの遭遇 その二 投稿日:2001年05月26日(土)16時43分14秒
- (今から駆けつけても大勢は決まっちゃったかな?でもまだ間に合う。きっと間に
合う。信じて進むのみ!)
安倍が片手を地面につけ、重心はそのまま落としたままで腰を浮かす。紗耶香は
じわりじわりと近寄り安倍の間合いに入る。安倍の両手が地面に軽く触れた瞬間、
安倍の強靭な両足が大地を力強く踏み込む。クレーターを残して全開で踏み込んで
くる安倍の体は宙を飛び、弾丸となり紗耶香に突撃する。紗耶香はかわしながらの
攻撃を繰り出す。
「やっぱりこの程度じゃあ効かないか…」
地面を抉りながら着地した安倍は何事もなかったかのように第2弾に備える。
安倍のエキスパートの能力、そして肉のカーテンの前に先ほどのようなしょぼい
攻撃ではダメージは届きそうにない。安倍に効果的な攻撃を仕掛けるなら着地した
直後か、加速する前だ。しかしそんな事は相手も承知で急所だけはしっかりガード
している。隙を見出しながら戦っていては長丁場になってしまうと感じた紗耶香は
意を決した。
安倍を最初から五体満足で突破しようとするから大変なのだ。今は勝つ必要は
無い。相手の足を一旦封じれればいい…
- 90 名前:第6章 なっちとの遭遇 その三 投稿日:2001年05月26日(土)16時57分48秒
- 「来いっ!正面から受け止めてやるッ」
紗耶香が挑発しズカズカと安倍の間合いに入る。
「生意気だべッ!ミンチにしてやるべさ!」
安倍が再び突進する。紗耶香は今度は動かずにその場で構える。安倍が両手を
クロスさせて飛び込んでくるのに対して、紗耶香が全身の気を左拳に集め、左腕を
フルスイングして衝撃を派生させながら噴射拳をぶつける。
「時間が無いんだッ。左手よ、もってくれよォォォッ!!」
なつみの超弩級の突進と拳から先行した紗耶香の衝撃波がぶつかり合うが安倍は
止まらない。当然両者は激しく衝突し、気と気が直接触れ合って爆音を上げる。
紗耶香が堪え、堪えた分地面がくぼみ、砂塵が舞う。砂塵がと閃光が両者を隠す。
しかし砂塵が薄れた時、そこには安倍だけが取り残されていた。
- 91 名前:第6章 なっちとの遭遇 その四 投稿日:2001年05月26日(土)17時21分31秒
- 激突の瞬間、紗耶香は左手一本で安倍の突進を支えた。そして瞬時に右手に気を
移し組み手に移行しようとした安倍の左足に渾身の一撃を振り下ろした。そして
がっぷり四つに組まれたらひとたまりもないので、バックステップで緊急離脱する。
そして砂塵から逃れると安倍には目もくれず再びヒューストンを目指した。
安倍は追撃に移行しようにも左足がしびれてすぐには使い物にならないため追走
は断念し、左足の回復を待つ。紗耶香は数分で安倍を突破したが、その代償は
小さいものではなかった。もう左腕は治療をせねばこの戦いの最中に動かす事すら
出来ないであろう。しかし紗耶香は痛みを堪えヒューストンを目指した。
運命の邂逅まで残り52分。
- 92 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月26日(土)23時29分41秒
- わ〜い更新されてる!
面白いです。期待してますので頑張って下さい。
- 93 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その一 投稿日:2001年05月27日(日)15時54分19秒
- 戦場では一号炉と二号炉に両軍が集結していた。九大天王側は矢口が一号炉、
飯田が二号炉、その後方に石川、加護が陣取り、BY団は一号炉攻略に後藤、二号
炉攻略に保田が当り、平家は旗艦にに残り総指揮、吉澤は遊軍として待機した。
(あれは上海に紗耶香と一緒に来た十傑衆じゃない?)
矢口は一号炉の眼前に以前紗耶香と共に上海に現れた金髪少女を見つけると、
自ら後藤の迎撃に向かった。
(紗耶香は来ていないのか?)
梁山泊の陣営から矢口が小さな身体を現し陣頭に立つ。
「十傑衆の誰が来ようとも、タンポポの矢口の名にかけてここは通さないッ」
自らを鼓舞するかのごとくBY団を煽り、梁山泊のエキスパート達が矢口の左右
に展開し陣営を固める。小さな体ではあったが配下に最も愛された九大天王であり、
その姿が前線にあって国際警察機構の戦意が揚がらぬ訳がなかった。梁山泊陣営は
数で劣っていたがその戦意の高さでBY団に対峙していた。
「矢口…嫌な奴。お前さえいなければ、お前さえいなければ市井ちゃんが疑われる
事なんかなッかったのに〜」
いつもプッチの外では無表情に近い後藤が珍しく感情を露にし、一人矢口に突如
突進を開始した。慌てて後藤配下のエキスパート達が続く。
「応戦だッ!」
矢口の一言で梁山泊も応じてあっという間に一号炉正面は地獄絵図と化す。血が
至る所で大地に吸い上げられ、両軍ともに一人、また一人と倒れて行く。そんな中、
矢口対後藤、スピードとパワーの戦いは矢口が後藤を持ち前の神速で翻弄し後藤を
抑えつづけた。後藤は気持ちが前に出過ぎて矢口を捉えることができなかったのだ。
そんな矢口の姿をみて梁山泊がBY団を押し返し、激突から1時間が経過した後も一号
炉戦線は梁山泊の優勢で経過していた。
- 94 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その二 投稿日:2001年05月27日(日)16時42分15秒
- 飯田の指揮する2号炉戦線も健在で依然として落ちる様子は無かった。保田の鬼面
フラッシュと飯田の電波の戦いでは血の雨は降らなかった。その変わりに失神する
者、ヒキツケを起こす者、大声で喚き涎を流す者など精神に失調を起こす者が続出し
やはり惨状を呈していた。
飯田と保田はお互いの精神攻撃圏に入り込んでおり、隙を見せたら一撃加えるつ
もりでいたが、続く配下が相手のテリトリーに入ると大概の者は行動不能に陥る為、
戦線全体が膠着してしまった。それでも飯田の方が格段に体術面で勝っていたため
接近戦に持ちこめば勝機はあったが、相手がプッチのメンバーであると言う事、自
分が最後の防衛線であるという自覚から1歩引いてしまい状況は変わらなかった。
しかし保田は数に勝るがゆえの策を選択し、実行した。数に任せ押し続け飯田の
精神攻撃に耐えうるエキスパートの選出を始めた。行動不能、意識不明になる者が
続出する中、飯田のテリトリーに入り耐えうるエキスパート達が相応に整ったのは
十数分後であった。
- 95 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その三 投稿日:2001年05月27日(日)17時10分31秒
- その頃、平家は吉澤の投入を決定した。保田vs飯田の戦いに投入するのは無駄と
判断し、後藤のサポートに向かわせることにした。りんねとあさみにも本部の戦隊
の半分を指揮させ、吉澤に同行させた。本来なら平家自身が降下すればいいのだが、
戦いに不測の事態は付き物であり保田があっさりと不覚を取るとは思えなかったが
諜報部のりんねやまだ経験の浅い吉澤に総指揮を任すのはためらわれた。
(紗耶香さえ入れば楽できるのになぁ…)
本来ならば紗耶香と後藤のツートップに保田を遊軍として用意し平家が指揮を取
る手はずであっった。あるいは保田に指揮させて自分が一軍を担い、市井&後藤に
コンビを組ませても良かった。これらの布陣を敷けなかった事が悔やまれる。やは
りヤマザキに黙ってでも紗耶香を連れてくるべきであった。
15時04分、総指揮を取っていた平家は依然として入口さえも確保できない戦況打開
(だかい)のために予備兵力の「華麗なる吉澤」を一号炉戦線にぶつける。
- 96 名前:FS(作者) 投稿日:2001年05月27日(日)17時20分53秒
- 次の更新でヒューストンの戦局は一転します。
キーとなるのは飯田vs保田。
ちなみにこの二人は好きなので本当はカッコ良く描いてあげたいのですが…
>>92様
おまっとーさまでした。今後も間を空けることがあるかもしれませんが
なんとか書き上げる予定なのでよろしければたまにのぞいてやってください。
- 97 名前:92 投稿日:2001年05月27日(日)18時47分48秒
- おお、戦闘が始まってしまいましたね。今後の展開が楽しみです。
まめにチェックしますので、がんばって下さい。
そういえばロボは出てくるのかな?
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月01日(金)03時59分46秒
- 電波とウィンクの戦いって...(w
- 99 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月07日(木)03時07分47秒
- 放置だと思って諦めていたら知らんうちに更新されてる〜!!(感激)
ついに戦闘が始まったみたいですけど面白いですね〜。
この先も期待してます。
- 100 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その四 投稿日:2001年06月14日(木)06時37分22秒
- その頃一号路戦線。
(なんだ強いじゃんか。でもこいつを倒さなければ市井ちゃんの心が十傑衆に戻っ
てこないよ〜)
後藤は矢口に押されっぱなしの自分を歯がゆく思っていた。気持ちが前に出すぎ
ている事が分らない訳ではなかったが、焦燥感が更に後藤自身の能力に陰りを作っ
ていた。しかしそんな状況下で吉澤が現れた。
「ごっちん。お待たせ〜」
「よっしーいいとこで来た!」
「二人掛りじゃあおちびさんには悪いけど、そんなに時間もかけらんないし。」
「よっしぃぃぃ!!は私の隊の指揮をお願いね。」
「ハァ?」
「矢口は私が直接ヤルの。」
一対一にこだわる後藤に危惧を抱いた吉澤であったが、後藤の瞳の中にある憤怒
と決意が吉澤でなくともありありと見て取れた。後藤がここまで激しく感情を噴出
させるのを吉澤は初めて見た。
「結局私はサポートかぁ。じゃあ後方は任されたYO!」
「ありがとう…」
吉澤の加入で後藤隊の士気が上がり、後藤は心を落ち着かせることになった。
この事だけでも吉澤投入の価値があった。
「おまえがいなければ、後藤は市井ちゃんとずっとプッチでいれたのに〜」
後藤が再び矢口に襲いかかる。
「何をいっているの!?そう言えば、市井はここにはいないのかぁぁああああ!!」
「おまえがそうさせたんじゃんか〜」
「私がそうさせた?とりあえず市井はいないの!!」
(市井不在。自分は騙されたんだろうか…)
「市井ちゃんは機密漏洩の疑いでヴァルハラに残留だ〜」
「!!!!」
「誰のせいだと思う?誰のせい?みんなあんたが生きてるからいけないんだ〜」
「勝手なことを!」
(機密漏洩?矢口に情報を漏らしたことがバレタのかな?でもこの件は九大天王
以下少数の幹部と守備隊しか詳細は知らないはずなのに…しまった!!!)
いらない考え事をしてしまったがために矢口はスキを作ってしまった。冷静に
なった後藤がそれを見逃すはずがなく、あっという間に矢口は劣勢に追いやられる。
「市井ちゃんが万が一にも罪を犯したならその代償が必要なの。そうでなくても
おまえの存在が市井ちゃんを危うくさせる。だから、市井ちゃんとあたしの為に
死んでよ。矢口・・・」
15時26分、ついに後藤が矢口を組み伏せた。
- 101 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月18日(月)02時40分17秒
- 楽しみにしてます。
頑張って!!
- 102 名前:熱血+必中+全力パンチ 投稿日:2001年06月21日(木)14時03分33秒
- 草間○作役が誰か気になるけど、
衝撃のア○ベルトなさやりむの活躍に期待。
で、よっすぃ〜は、素晴らしきヒ○ッツカラルドでよかと?
でもロボが圭織なら不死身の村○健二は…?
う〜ん、奥が深い(爆)。
- 103 名前:FS(作者) 投稿日:2001年06月24日(日)14時06分00秒
- いいらさんは不死身でロボなのれす。
だから村雨さんのいめーじもいいらさんにあるのれす。
もちろん、いいらさんがロボならわたくしG2が大作君役ののれす。
ってかんじです。実際辻は強力な能力が設定上与えられています。
問題はそこまで更新できるか(ry
- 104 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その五 投稿日:2001年06月24日(日)14時41分58秒
- 時間を少し戻して、15時24分、2号炉戦線では飯田めがけて保田と30人近いエキ
スパートが突っ込んだ。飯田陣営からも保田の鬼面フラッシュに抵抗できる者が飛
び出して飯田の盾となろうとした。
その時、突進中の保田が片目をパチクリさせた。所謂ウインクと言う奴であったが
飯田の盾となろうとしたエキスパート達は心臓を停止させていた。
「飯田〜その命もらったわよ〜!!!」
(やられた!)二つの意思が交錯する中、飯田の防衛反応が限界性能を引き上げた。
その瞬間、強力な電波が2号炉戦線一帯を覆った。保田の後続のエキスパートたちが
電波障害で次々と倒れる中、飯田は何とかいったん保田を退けた。
「なんて危険な必殺技なの・・・」
「ウィンクをもってしても突破できないとは、ム〜カ〜ツ〜ク〜」
しかし惨事は進行していた。
強力過ぎる電波は敵味方の区別なく襲い掛かり、2号炉内部で待機していた1小隊の
内7割が狂乱し同士討ちを開始。生き残った狂乱者が一旦停止させた炉心にバケツで
水を汲み反応を開始させた。
コントロール室でも混乱が起きており、炉の運転を開始させた者がいた。暴走を
止めようとした者を撃ち殺した者がいた。15時30分、戦域全体にエマージェンシー
が流れた。
- 105 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その六 投稿日:2001年06月24日(日)15時04分55秒
- 15時30分、そして戦域全体にエマージェンシーが流れた。
「2号炉炉心はメルトダウンの恐れあり!現場でコントロールは不能。全軍直ちに
緊急離脱してください!繰り返します。2号炉・・・ぐはっ。」
2号炉コントロールルームから最後の通信と爆発音が響いた。
後藤の気がそれ、矢口に振り下ろしかけていた一撃の力が抜けた。
「チャンスッ!」
その瞬間矢口は後藤から脱する。
「しまった!」
後藤の顔にいつもとは違う不愉快そうな表情が浮かぶ。
「なんてこった!〜」
BY団は予期せぬメルトダウンに、梁山泊は守りきれなかった事に失望感を覚えた。
2号炉では両軍が撤収を開始、飯田は内部へ進入を図ったが反応を止められない事を
知ると残存を率いて後方及び退路の確保に戦力を割いた。
代わって一号炉では逆に後藤以下が内部へ侵入を開始していた。
(ごっちん!はよ戻りーや!)
(………)
平家の指示を無視して進入する。後藤は矢口が内部に戻って行くのが見えたからで
ある。
(絶対矢口はここでトル。)
そんな後藤に吉澤も同行する。
- 106 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その七 投稿日:2001年06月24日(日)15時32分34秒
- 「矢口さーん待ってくださ〜い」
矢口が向かう方向に後方にいたはずの石川がいた。矢口は足を止めることなく
石川にここにいるわけを尋ねると石川も必死に矢口の移動速度に付いて行きながら
答える。
「梨華ちゃん、どうしたの?」
「後方はあいぼんが一人でできるもんと言ってましたので任せて応援に。飯田さんも一号炉から後方へ
移動中ですし。」
「そう。じゃあせっかくで悪いけど石川は戻りなさい。」
「矢口さんはどうするんですか?」
「1号炉から2号炉のコントロールいっしょに戻りましょう!戻ってくださ〜い」
「やってみなくてはわからないでしょう!それに石川は戻れって言ってるじゃん」
「そんな事いっても2号炉内からでも受け付けないんですよ〜」
「奇跡は起きる。起こして見せる!」
石川と矢口がコントロールルームにたどり着く。しかしそこにはりんねと荒らさ
れたコントロールルームがあった。
「梁山泊の皆さん早かったですね。しかし手遅れです。一号炉も15分後にメルト
ダウンです。」
広いコントロールセンターはジャンクパーツの山と化し、直営部隊の遺体が
そこらに存在した。
「それでも私は優しいから最後に1つだけ残してあげましたよ。希望の光を。」
りんねは手にしている一つのマシンを見せる。
「このキーを押せば一号炉は止まりますよ。でも動かないで下さいね。
このマシンも壊しちゃいそうになるから。クックックッ アーハハハッ」
りんねはとても面白そうに笑った。石川は顔面を蒼白にして立ちすくみ、矢口は
動く事が出来なかった。
- 107 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その八 投稿日:2001年06月24日(日)16時35分24秒
- 「しかしあなたと市井のおかげでいい奇襲になりました。梁山泊の面子をつぶした
上で破壊もできた。」
上機嫌で語り出すりんね。
「やはり衝撃の紗耶香もグルだったのか・・・」
「クククッ違いますよ、韋駄天のお嬢さん。彼女は21日が決行日だと思ってヴァル
ハラで惰眠をむさぼっていましたよ。今頃どうしているのか・・・私もあの日、渋谷に
いたんですよ。まさか十傑衆たる彼女があんなことをあなたに話すとは・・・
彼女があなたに心を許したおかげで今回はいい奇襲になりました。」
嬉しそうに話すりんね。矢口の中で一つわだかまりが解けた。
そこへ後藤が吉澤と現れた。
- 108 名前:FS(作者) 投稿日:2001年06月24日(日)16時47分25秒
- レスくださる皆さんありがとうございます。
読み返すと誤字だとか変な日本語だとか・・・凹みます。
しかし書いてるときは気づかないものなのか・・・
>>104
防衛反応 → 防衛本能 だとか・・・
後は100get市井をやり損ねた事が心残りです。
- 109 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その九 投稿日:2001年07月04日(水)07時44分33秒
- 「後藤さんいいところへ…このスイッチを守ってください。」
りんねは後藤に訳を告げずに後藤に託す。
「あんたが勝手にやればいいじゃん」
「私は後方指揮に戻りますので…要は矢口に渡して頂かなければ結構。矢口を
倒してくれれば結構ですよ。」
「最初からそう言えばいいじゃんか…」
後藤は興味なさげにマシンを一瞥すると、矢口に向う。
(本当に思うとおりに動いてくれる。市井様々ですね。)
りんねは心の中でほくそえむとコントロールセンターを後にした。
「ごっちん!こんな所にいても意味が無い。戻ろう!」
「よっすぃーだけ戻ってれば。私はこいつは許さない。」
私怨に猛り狂っている後藤の前では通じない。
(仕方ない…2対1でささっと倒そう。)
矢口にはチャンスが到来していた。何故かあの女はマシンの重要性を言っていない。
今ならあのマシンを抑えれる…。
「石川、私がこの場を何とかするから、撤収の手伝いに行って。」
「矢口さん・・・・」
泣きそうな表情で石川が矢口を見つめる。
「もしもと言う時のためあなたは戻って十分以内に撤収させなさい。それも上級
エキスパートの使命だから。」
「…はい…。信じてますから。矢口さんを信じてますから。」
「ありがと…」
石川が振りかえらずにコントロールルームを飛び出す。メルトダウンまで15分。
- 110 名前:外伝 少女日記 その一 投稿日:2001年07月04日(水)22時28分21秒
- あれは何年前だったろうか、つい最近のような気もする。まだ人類はエネルギー
問題をクリアしておらず、原子力に替わる次世代のエネルギーの開発に情熱を燃や
していた。
私はその年も、家族と湖岸のキャンプ場で夏休みを過ごしていた。しかもその年
は隣のロッジにやって来ていた少女と朝から夜まで遊び過ごした。たった1週間で
あったが、1週間経った頃にはまるで幼馴染であるかのような気がしていた。
そのキャンプ場の裏山にはちょっとした洞窟があり、私のお気に入りの秘密の場
所であった。
「明日そこに連れてってあげる。」
「えっ、そんなところに行ってもいいの?」
「平気平気。ママにもパパには内緒だよ。」
私はその女の子と次の日、秘密の場所に行く約束をした。
幸せという言葉に影が無かった、遠い昔の話。
- 111 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その十 投稿日:2001年07月04日(水)22時53分58秒
- 「みっちゃん、2号炉はもうだめ。手が付けらんない。」
「圭ちゃんご苦労さん。撤収の準備てつだってや〜。まだ1号炉の後藤隊が混乱して
るんやって〜。」
「なんで?後藤は何やってんのよ」
「さっきりんねが1号炉に行ったから焚き付けられたかもしれへんわ。」
「どちらにしても直接1号炉に行ったほうが良さそうね。」
「お願いするわ。」
「了解」
一号炉に到着した保田はまだ内部に突入を試みる後藤隊を収拾させると状況を把
握した。後藤と吉澤は単独で矢口を追いかけていったが、団員は矢口の部隊に阻ま
れ連絡が取れないらしい。
(どうするべきかしら。鬼面フラッシュは飯田との戦いで打ち尽くしちゃってるし、
鬼面フラッシュは飯田との戦いで打ち尽くしちゃってるし、とりあえず後藤隊を
撤収させるか…)
「誰かが後藤を引き連れてこないと行けないんだけど…」
「その役は任された。」
突然のその声に振り返る保田。
「何であんたここにいるのよ!」
「まあ詳しい話は置いといて、時間がないから。じゃあね。圭ちゃん、今まで
ありがとう。」
「どういうことよ?あっ…行っちゃった…」
その青き疾風は入り口の矢口隊を一蹴すると相手が立ち直る前に内部へ去っていっ
た。
- 112 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月06日(金)03時22分51秒
- 意味深な言葉・・・いやな予感が・・・
何も無いといいんだけど。
- 113 名前:FS(作者) 投稿日:2001年07月19日(木)13時34分39秒
- なんとかヒューストン編は下書き終了
後はUPするだけ…今夜には…
- 114 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その十 投稿日:2001年07月20日(金)07時10分32秒
- 石川が飛び出たコントロールルームでは闘いが再燃していた。
「おいらも二人がかりでかかられるほどになったとはね!」
矢口の挑発に後藤、吉澤の若いコンビがすぐさま乗って襲いかかる。
(スイッチさえ押せれば後はいい…)
二人の攻勢をしのぎながらカウントダウンプログラムの停止のタイミングを
図る。先ほどから矢口は吉澤に一時的に攻勢をかけては、後藤の気がそれるのを
待っていた。ついに後藤が吉澤のフォローに回り、マシンへの道が開いた。
残り10分。
(チャンス!!)
分身を数体作りだし、分身に吉澤を襲わせつつ矢口自身はマシンへ急ぐ。
しかしスイッチへのコース上には何故か後藤がいた!
(ウソ!フォローに回ったんじゃないいの!!)
「あんたの事はなめて掛かってはいない!仮にも市井ちゃんが見とめた相手を!」
吠える後藤が矢口と激突する。痛撃をもらいながらも矢口はバックして間合いを
取る。しかしそこへは吉澤が指パッチンを構えていた。
ぱちんッ。
吉澤渾身の指パッチン。吉澤が指を鳴らした瞬間、その交差する指のから生じた
真空は斬激となって矢口を襲い真っ二つになるはずであった。
(やられた!)
吉澤が指をならした瞬間矢口は切り刻まれたと思った。しかし、何とも無い。
思わず瞑ってしまった目を開けると後藤と吉澤がとても驚いた表情をしている。
そして目の前には宿敵の背中姿があった。
- 115 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その十一 投稿日:2001年07月20日(金)08時13分58秒
- 「市井ちゃん…」「市井さん…」「紗耶香…」
吉澤の攻撃を受け全身に裂傷を受けた紗耶香がそこに居た。身に纏った真空波で
斬激を散らしたとは言え、ほぼノーガードで受けきった紗耶香は少なからぬダメー
ジを受たように見えた。
「いちいちゃんがどうしてここにいるの?」
「心配かけた?後藤!吉澤!あんた達の役目は終った。撤収を開始しなさい。」
「でもりんねがそのマシンを渡すなって…」
「私が後に残るから問題無いって。」
「…市井ちゃんが残るなら後藤も残る。」
後藤の決意はやはり決まっていた。
紗耶香が後藤に歩み寄る。
「後藤、迷惑をかけたね。きっと…」
「うんうん、そんな事無いよ。」
飛んでいってしまいそうな勢いで首を横に振る後藤。そんな後藤にふっと微笑むと
そっと自分のおでこを後藤のそれにこつんとぶつける。
「かわいいなぁ、後藤は。いつも大事に思っていたよ。でも、でも、最後のわが
ままゆるしてね。」
「えっ!!」
後藤が市井の言葉に驚いた瞬間、紗耶香のジャブが後藤の弱点を的確に撃ち抜く。
教育係として特訓を重ねた市井だけが知っているたった一箇所の弱点。
「いちいちゃん…な…」
「ゴメン。後藤…」
後藤の体が市井の胸の内に倒れこんだ。
- 116 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その十二 投稿日:2001年08月03日(金)04時19分42秒
- 薄れゆく意識の中でゴメンと言ういちーちゃんの声が聞こえた。泣いてばっか
だった私を励ましてくれたいちーちゃん。指導中は厳しかったいちーちゃん。
でも作戦が終った後は誰よりも優しかったいちーちゃん。新人で一気に十傑衆に
抜擢された私をずっと支えてくれたいちーちゃん。影で悔し涙を流していた
いちーちゃん。
想い出が走馬灯の様に駆け巡る中、暗闇が覆い意識が途切れた。
いちーちゃんも私も(圭ちゃんも)全てが無くなった。
- 117 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その十三 投稿日:2001年08月03日(金)04時40分27秒
- 意識を失った後藤をそっと紗耶香が抱きあげる。
「市井さん何してんですかァ!!!!!」
市井の突然の行動に混乱し、慌てふためく吉澤。
「慌てるな吉澤。後藤は気を失っているだけ。吉澤は後藤と脱出しろ。」
「市井さんはどうすんですか?矢口が残ってますよ!」
「約束がある。吉澤は後藤を無事脱出させ、今からの事を上に報告しろ。」
そう言うと紗耶香は左腕を自ら手刀で切り落とす。一度混乱から脱しかけた吉澤
だが今度は言葉も出ない。
「私は十傑衆として罪を贖わなければならないけど、今後出来るか分からないから
ね…。吉澤も今後は十傑衆として生きていくなら、それなりの決意と覚悟を持って
挑みなさい。…私の様になるわよ…」
紗耶香の行動は十傑衆としての責任の取り様であり、後輩への最後の指導であった。
- 118 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その十四 投稿日:2001年08月03日(金)05時00分17秒
- 市井はゆっくりと振り返ると矢口と相対する。
「残り十分です。」
マシンボイスがカウントダウンを告げる。
「吉澤!急げ!それと後藤と圭ちゃんを・・・よろしく。」
市井に後藤を託された。それは吉澤にとってはなにより力のある言葉だった。
「ごっちんは何としてでも本部へ連れ帰ります。市井さんもどうか無事で、
まだ教わりたい事が、話たいことがあります。」
吉澤は市井から後藤を託されると一礼してコントロールルームを去った。
- 119 名前:第7章 閃光と電波とウインクと その十五 投稿日:2001年08月03日(金)05時29分12秒
- 「遅かったじゃないか、衝撃の〜。おいらは待ちくたびれたぞ。」
吉澤が去り、広い管制室に二人きりになると、矢口は紗耶香に話かける。小さい
体は二人の十傑衆とBF団員を相手にもうぼろぼろだった。ぼろぼろではあったが
今だ背筋は伸びてその闘志に陰りは無い様に見えた。
「すまなかったね矢口、ちょっと手間取ってね…」
市井も、走りつづけ、安倍の追撃を振りきり、吉澤の斬撃を受けきって、左腕を
切り落とし壮絶な姿をしている。お互い言いたい事はあったがその事は口に出さな
い。今は自分の為に相手が残っている。それだけで十分だった。
そして矢口には時間がどうしても気になった。2号炉が融解するとしても、
この戦いが梁山泊の完全な敗北だとしても、なんとしてでも時間を稼ぎ、少しでも
味方の被害を防ぎたかった。撤退する時間が欲しかった。
- 120 名前:閃光と電波とウインクと その十六 投稿日:2001年08月03日(金)05時30分53秒
「紗耶香、その後ろのプログラムは一号炉のメルトダウンのカウントダウンを指し
示しているんだ。(もちろん2号炉が今すぐメルトしちゃうかもしれないけど…)」
紗耶香は矢口が指したスイッチを確認した。それは残り7分15秒を指し示してい
た。市井もこの場の状況が把握できた様だった。
「りんねのやりそうなことだな。まったく…」
「賭けの件は乗れないけどそのプログラムのためなら、全霊をこの命を賭ける。」
「そうか…矢口ありがとう。」
- 121 名前:閃光と電波とウインクと その十七 投稿日:2001年08月17日(金)00時16分23秒
- 「さてとやろうか!衝撃の〜!時間が無い!」
他に誰もいない管制室でで紗耶香と矢口の二人に気が集中する。溢れ出る気が
オーラ状に体を纏わりつく。宙を舞う紙片やらコンピューターであった物の残骸
は二人に触れると散華して塵と化す。
そして15時55分遂に1号炉で炉心融解のアラームが一斉に鳴り出した。
「後五分、五分でここは融解する。お互い手は知り尽くしている。決着をつけよ
う…今なら緊急停止も間に合うでしょう…」
「最後までおいらとの勝負にこだわるんだな…」
「今の生きがいだからな…矢口と戦っているこの瞬間に生きている事を実感する。」
市井は矢口の目を見て語りかける。
- 122 名前:閃光と電波とウインクと その十八 投稿日:2001年09月08日(土)07時27分36秒
- 二人の間に穏やかで緊迫した空気が集まり凝縮される。そして高まりあった空間
に押し出されるままに、二人ほぼ同時に突進する。紗耶香は小手先無しの全身全霊、
渾身の一撃を矢口に繰り出す。高速で二人が突撃した瞬間、周囲は爆発し閃光が煌
く。体を返し振り返りつつ、閃光の中で紗耶香は勝利を手応えとして感じていた。
「私の勝ちだ!矢口〜!」
しかしすぐさま矢口が応える。
「いや、おいらの勝ちだ!」
「なんで!」
振り返った紗耶香の目に入ったのは、胸に大きな穴をあけながらもカウントダウ
ンプログラムにたどり着いた矢口であった。
「おいらの勝ちだよ…紗耶香…。ゴメンね。本当にゴメンね。衝撃の…。でもね。
やっぱり矢口には仲間を見捨てられないんだ。」
(うかつだった…矢口なら自分の命よりも仲間を優先するか…)
紗耶香は自分の判断の甘さを悔やむ。しかし、マシンの前にたどり着きながらも、
矢口はもはや自力で立っていられなかった。
(だめだ…、キーを押さなきゃ…押さなきゃ… なんで体が重いんだよ…
後、数秒… 持てば… イイのに…)
矢口は崩れ落ちた。
- 123 名前:閃光と電波とウインクと その十九 投稿日:2001年09月12日(水)14時56分34秒
- その時矢口は崩れ落ちたはずの体がフワッと重力に逆らい持ち上がるのを感じた。
「相変わらず詰めが甘い。それで九大天王とは泣けてくるよ。」
紗耶香が片手で矢口を抱え上げる。
「衝撃の紗耶香…」
紗耶香は何も言わず、矢口を抱えたままで時に身を任せる。矢口は最後の気力を
振り絞りキーを押し、プログラムは残り1分3秒を表示して停止した。緊急冷却水が
炉心を冷まし、アラームはしばらく鳴リ続いた後に止んだ。キーを押させた後も
矢口を抱えたまま紗耶香はその場にとどまる。
「行かなくていいの。もう他の炉は持たないよ?いくら十傑衆でも爆心にいては
無事ではすまないでしょうに…」
もう石川がコントロールルームを去ってより20分が経過していた。
「賭けに勝ったんだから好きにさせてよ…このままいるのも心地良い…。」
(一人で死ぬのが寂しいなどと言う気はないけれど、誰かと一緒というのも悪くな
いね…)お互いの体温と心音を感じながら時を待つ。そして数分後2号炉が爆散。
閃光が周囲を支配し、最後の原発がこの世から消滅した。
- 124 名前:帰路 その一 投稿日:2001年09月12日(水)15時05分08秒
- 耐熱対閃光防御を解除したBY団旗艦ヒューベリオンでは、後藤がようやく意識を
取り戻していた。
「ここは? んぁ? いちいちゃんは?」
後 藤は意識と記憶を取り戻すと直ぐに一号炉から撤収したエキスパート達に市井の
安否を聴きまわっていた。
「ごっちん落ちついて。」
「うるさいッ!落ち着けるわけないじゃん!」
吉澤が後藤を落ちつかせようとするが、後藤は泣きそうな顔で聞き込みを止めよ
うとはしない。保田ははるか彼方のきのこ雲にじっと視線を固定させたままで、
口を開かなかった。
- 125 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月14日(金)02時38分14秒
- 悲しいな〜(涙)
- 126 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月31日(水)12時34分01秒
- 続きは?
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