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クロニック ラブ
- 1 名前:アリガチ 投稿日:2001年02月28日(水)23時59分52秒
- 初めて小説らしきモノを書きます。
HNの通り、ありがちなモノになると思われるので
どうかお手柔らかに(^^;
- 2 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月01日(木)00時01分03秒
- ここは空港。
あたしはやっと日本に戻ってくることが出来た。
でも、期限付きなんだけどね。
それを思うとため息が出た。
あたしの未来は日本を発つ前よりも真っ暗なのだとわかっていたから。
「紗耶香ー」
聞き慣れた声。そして、抱きつかれる。
「圭ちゃん!裕ちゃんも来てくれたんだ!!」
まさか本当に来てくれるなんて思ってなかった。
一応、今日戻るって連絡したけど今の娘。は忙しいから無理だと思ってたのに。
「当たり前でしょー」
抱きついたままの圭ちゃんは誇らしげに言う。
「ちょっと苦しいって」
あまりに圭ちゃんが力一杯抱きしめてるものだから少し苦しがっていると今度は裕ちゃんから声をかけられた。
「ホンマに久し振りやな。ちょっと大人っぽくなったんかな」
「ま、一年近く会ってなかったもんね。そう言う裕ちゃんは化粧が濃くなった?」
冗談っぽくそう言うと裕ちゃんは苦笑いする。
- 3 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月01日(木)00時02分39秒
- 「紗耶香の毒舌も相変わらずやな。普段だったらムカツクけど久し振りに紗耶香に会えたってことで許したるわ」
「へへ。裕ちゃん。ちゃんと新曲聴いたよ。もちろんC/Wもね。歌詞はかなり意味深だね(笑)」
「意味深っていうか…ってあれ?なんでや?向こうにおってなんで聴けんねん??」
裕ちゃんはビックリしている。
その会話を聞いていた圭ちゃんがニヤリと笑う。
「えへへ。ちゃんと娘。と裕ちゃんとプッチの曲を紗耶香に送ってあげてたんだー。あ、もちろんタンポポもね」
「圭ちゃんには感謝だね。これで時代遅れにならなくてすむや。今までの出演ビデオとかも送ってくれてたもんね」
あたしが日本にいない間の番組は全て圭ちゃんが送ってくれていた。
娘。を脱退したあたしが番組チェックしてるっていうのもおかしい話だけど気にならないわけないし。
「あのスケジュールの中、そんなことする時間なんてあったんか?圭坊って案外、暇人なんちゃうか?」
「…裕ちゃん、酷いよ」
「や!本当に有難かったし!そういえば他のメンバーにはアノ事言ってないよね?」
- 4 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月01日(木)00時03分34秒
- ちょっとこじれそうだったのであたしは無理やり話題を変えてみた。
でも、これは大事な確認。
「こんな重要なこと言えるわけないやん!
そうや!その為に今日はこうして来たんやった!」
「そうよ!結局、どうだったわけ!?」
同時に二人に問い詰められてちょっと身を引いてしまう。
「あー…えーと、うん。なんて言うか…もう一回日本を発たないとダメみたい」
「…」
今度は二人して黙ってしまう。
しばらくして圭ちゃんが口を開いた。
「…ねぇ?それって…」
「ん。前にも言った通り…ってことかな」
さすがにまた同じ言葉を自分の口にする気にはならなかった。
「…それで今日戻ってきたんか」
「ん。しばらく戻ってこれないかもしんないからさ…っていうか、ずっとかもね」
「アホ!そんなん言うたらアカン!」
裕ちゃんはあたしの頭をグシャグシャ撫でながら叱りつける。
でも、それは本当の事だから。
あたしは裕ちゃんと圭ちゃん二人だけにその事を前々から教えていた。
- 5 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月01日(木)00時07分04秒
- ―++ここで休憩++―
早速、困りました。
ごっちんのソロ話を知る前から書き出したものだから
話の流れを変えないといけない。
過去の話にすればよかった…痛。
- 6 名前:ま〜 投稿日:2001年03月01日(木)00時18分26秒
- 気にしない気にしない♪
パラレルワールドとでも考えて・・・。(w
続き期待してます。
- 7 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月01日(木)18時13分42秒
- 『クロニック ラブ』って言う歌ありますよね。中谷美紀の。
あの歌好きなので期待してます。って関係ないかもしれませんが。
- 8 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月02日(金)00時26分40秒
- >ま〜さん
初レスありがとうです!
そう言ってもらえると助かります(^^;
>7さん
ビンゴです!(笑)
中谷美紀好きなんですよ。
一応、タイトル借りてますが
内容と歌の関係がなくなりそうなんです(^^;
- 9 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月02日(金)00時28分08秒
- 「どれくらいこっちにいることが出来るの?
私は紗耶香がこっちに居る間は出来るだけ一緒にいたいよ」
「一ヶ月くらいかな。あたしも出来ればそうしたいけど…」
「なー?そういや、なんでうちら二人にだけ事情を話してくれたんや?」
「そうだよ。私てっきり矢口やごっちんには話してるのかと思ってたのに」
「…」
圭ちゃんが口にした名前を聞いて言葉を無くす。
一番に会いたい相手だけど、一番話したくない相手でもあるから。
「あんまり人に話せる話題じゃないし
それに年長組の二人なら動ぜずにいてくれると思ったからさ」
「確かに他のメンバーが知ったら仕事にならなくなるかもしんないね」
「っつーか、さーやーかー。年長組は余計やと思うんやけど!」
「あ!本当だ!紗耶香、あんた失礼ね!!」
「あははー」
ちょっと場が和んできた。
さすがに久し振りに会ったのに重い雰囲気が続くのはキツイってもんだ。
「しかし、一ヶ月か。なにかとスケジュールが詰まってるしな。
どうしたらええんやろ?」
「そのことなんだけど裕ちゃん、一つお願いがあるんだ」
「は?」
この提案はずっと飛行機の中で考えてたこと。
受け入れてくれるっていう自信なんて全然ないんだけど。
- 10 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月02日(金)00時29分29秒
- あたしの提案はこうだった。
『メンバーと一緒に行動させて欲しい』
裕ちゃんも圭ちゃんもこの言葉にはさすがにビックリしていた。
もちろん一緒に行動するって言っても
また一緒に活動したいとかっていうんじゃなくて。
こっちにいる間の期間、出演している番組を裏で
見させて欲しいとかっていう意味なんだけど。
もうあたしは部外者ってことはわかってるけど
なんとか出来ないものなのかな?と裕ちゃんにお願いしてみたのだ。
- 11 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月02日(金)00時31分08秒
- 「そこまでして一緒にいたいんか?」
「裕ちゃん!?」
圭ちゃんはビックリしている。
でも、真剣な表情をしている裕ちゃんはかまわず続ける。
「ハッキリ言って紗耶香が居た時よりハードスケジュールなんやで?
移動とかも多いし。もちろんそれをわかってて言ってるんやんな?」
「うん、わかってる」
今のスケジュールがどれだけ殺人的なモノかなんて当事者じゃなくてもわかるよ。
「わかってて、どうして四六時中一緒にいたいんや?
一緒に行動するだけでも、きっと一年のブランクがある紗耶香にはキツイで」
痛いとこをついてくる。
これはあたしのワガママだっていうことはよくわかってる。
でも、この方法しかないと思っていた。
今日みたいにあたしに皆が合わせてくれることなんて時間的に難しい事だ。
今はあたしが皆に合わせないと。
「どうして一緒にいたいかっていう理由は…なんだろう?
自分でもハッキリとはわかんないや。
でも、これからわかると思う。そういうんじゃダメかな?」
「…」
この言葉に嘘はない。
本当に自分でも理由がわからなかった。
ただ…ちゃんとした言葉には出来ないけど
皆の傍にいたいという気持ちだけが先走っていたのだ。
だから、こうしてあたしは二人の前に姿を現したのだ。
- 12 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月02日(金)00時32分24秒
- 「…ま、ええわ。でも、私の力じゃどうしようもないからなー」
裕ちゃんはため息をつきつつ頭に手をやる。
「とりあえず、つんくさんに相談してみようよ」
圭ちゃんが助け舟を出す。
「ホントにゴメンね。なんかワガママ言っちゃって」
「そんなことあらへんよ。それに皆喜ぶと思うしな。私だって嬉しいわ」
「そうだよ。まー、上手くいけばの話なんだけどね」
二人して微笑みながらそう言ってくれる姿を見てやっぱり大人だなーと思った。
あたしも他人に優しく出来る人間になれればいいんだけど。
なかなか上手く出来ないものだ。
- 13 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月02日(金)00時34分33秒
- ―++ここで休憩++―
今日はこのへんで。
これからも、これくらいのペースでやっていこうと思います。
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月04日(日)01時12分21秒
- 市井が出てる。うれしいっす。がんばって。
- 15 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月04日(日)02時14分33秒
- その後、空港から二人に連れられた所は某TV局だった。
玄関口に立ち、あたしはキョロキョロと辺りを見回す。
「うわー。スゲー久し振りって感じ!」
あたしは興奮気味にはしゃいでしまう。
一年前までは皆と一緒によく来てたのに、なんだか凄く懐かしい。
「…紗耶香。恥ずかしいから止めなよ。それにたかが一年くらいでしょ」
圭ちゃんは周りを気にしながらそう言う。
ちなみに今の時間はこの周辺の人通りは少ない。
「いいじゃん」
「そんな事より他人にバレないようにしなよ」
「…うん」
そうだ。
まだあたしの提案が認可されたわけじゃないんだった。
- 16 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月04日(日)02時17分13秒
- 「裕ちゃん。まだなの?」
圭ちゃんが傍で電話している裕ちゃんを急かす。
裕ちゃんはTV局までの道のりの途中でつんくさんと連絡を取ってくれていた。
とりあえず、つんくさんはあたしの事情を全て知っている。
だから、少しはあたしの気持ちをわかってくれると思いたい。
そして、裕ちゃんは結果を聞いている最中なんだけど。
−ピッ−
裕ちゃんは携帯の電源を切ってこっちに振り向く。
「おっし。社長もOK出してくれたらしいわ」
「やったじゃん!紗耶香!!」
あたしが喜ぶ前に圭ちゃんが大喜びする。
「あー、ホントだね。
…社長に話を持っていったっていうのを聞いてもうダメかと思ったよ」
「あんた、他人事のように言わないでよ」
圭ちゃんはヤレヤレという表情になった。
「ただなぁ…」
裕ちゃんが渋い顔をして言葉を続けた。
「何?」
「社長からじゃなくて、つんくさんからなんやけど…条件があるらしいわ」
「「条件?」」
圭ちゃんとあたしは同時に言葉を発していた。
「あんたら、一年会ってなくてもバッチリ息合ってんな」
「それはいいから!条件って何?」
- 17 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月04日(日)02時20分44秒
- つんくさんの考えることなんて一般人には予想もつかない。
と、いうわけであたしも予想出来ない。
裕ちゃんは落ち着きを無くしたあたしを見ながら
なんとも言えない表情でこう言った。
「私らと一緒におるのを認める代わり、その間の期間は娘。のマネージャーをやれって」
「「マネージャー!!???」」
「…だから、二人一緒に言わんでええって。私も今聞いてビックリしたんやけどな」
マ、マネージャーってあたしが娘。の??
っていうか、何したらいいの??
「裕ちゃん…それってかなり無理じゃないの?」
圭ちゃんは眉間に皺を寄せて言った。
あたしもそう思う。
「や、今のは言い方悪かったわ。
まー、簡単に言えばマネージャーみたいなもんなんやけど細かく言えば娘。の指導役になって
歌やダンスとかのダメ出しをやってくれって。
別にスケジュールのチェックとかの仕事をやれっていうわけじゃないらしいわ」
「あたしが指導役!!??」
あたしはさらに驚く。
「これからさらに忙しくなるやん?
それでどこか手を抜き出すメンバーとか出てくると思うねん。
それをちゃんと本人に指摘してして欲しいっちゅーことらしいわ。
紗耶香は元メンだからこうやったらいいっていうのが素人よりよくわかるっていうのがあるし
今は一般市民寄りに娘。を見れることが出来るだろうから、そういう見方での指導もして欲しいんやってさ」
確かにそうだろうけど…なんつー条件を出してくるんだ!?
- 18 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月04日(日)02時23分20秒
- 「よかったじゃん。それなら問題なく一緒に行動出来るんじゃない」
圭ちゃんは少しホッとした表情。
「や、でも…あたしなんかが口出したら皆怒るんじゃないの?
あたしだったらきっとムカツクよ」
「口やかましく細かいダメ出しとかしなかったら大丈夫なんじゃないの?」
「うーん…」
「やる、やらんを決めるんは紗耶香や。
どっちの結果を出しても圭坊と私は紗耶香の味方ってことには変わりないからな。
な、圭坊?」
「そりゃ、もちろん」
二人はあたしに微笑みかける。
あたしは本当に幸せ者だ。
「ありがと。確かに度肝抜かれる提案だけど最初っからあたしの答えは一つしかないから」
「言うと思ったよ。じゃ、行こっか」
キッパリと答えたあたしを見て二人はさらに笑顔になる。
だってさ、ここで断ったらこうしてここに来た意味なんてないじゃん。
こうなったら、なんでもやってやろうじゃんか。
そして、あたし達はTV局の中に入っていった。
- 19 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月04日(日)02時25分42秒
- 「じゃ、私は先に皆の所に行っとくから」
「圭坊。まだ皆に紗耶香の事言ったらアカンで」
先にその場を離れようとした圭ちゃんに裕ちゃんが声をかける。
「なんで?」
「驚かせる為や」
「ふーん。ま、いいや。じゃ、また後で」
首を傾げながら圭ちゃんは去っていった。
裕ちゃんは何を考えているんだろう?
そして、裕ちゃんに連れられたとこは衣装部屋だった。
「裕ちゃん…なんでこんなとこに?」
あたしが部屋中をキョロキョロと見回しながら聞くと
裕ちゃんはニヤリと笑った。
「変装する為や」
- 20 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月04日(日)02時28分19秒
- ―++ここで休憩++―
わけわからん展開で申し訳ないッス。
自分でもよくわかってなかったり。
>14さん
ありがとうございます!
自分、市井ちゃん好きなもんで(笑)
いちごまになればいいんですけどー・・・。
- 21 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月04日(日)04時11分49秒
- わ〜い、いちごまになるのか〜
最近またいちごま増えてきてマジ嬉しいな♪
- 22 名前:マルボロライト 投稿日:2001年03月04日(日)04時39分42秒
- いちごまですか!?
私もいちごま書いてるんですがこの2人大好きです!
期待してます!
- 23 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)00時57分37秒
- 「変装?そんなことしたってメンバーにはバレバレじゃない?」
一年やそこら会わなかったからといって
ちょっとやそこらの変装で皆を騙せるとは思えないんだけど。
「アホ。そんなんわかっとるわ。部外者用の対策っつーことや。
今、紗耶香が娘。の傍にいるっていうのがマスコミにバレてみ?大騒ぎやん」
「あー、なるほど。裕ちゃんってそういうのは冴えてるよね」
「うっさい!早よ、こっち来い!」
そして、裕ちゃんはあたしにつけ毛・帽子を被せ
伊達眼鏡もかけさせて最後にはメイクも濃くした。
作業中の裕ちゃんはそれはそれは楽しそうだった。
「どうや?これで完璧に誤魔化せられるって。メンバーにもバレへん自信があるわ」
「…そ、そうだといいんだけどね」
裕ちゃんは少し誇らしげにしてるんだけど本当にこれでいいのかぁ?
「ちょっとトイレ行ってきてもいいかな?」
「ええで。ついでに変装がバレるかどうか試してき。場所わかるよな?」
「うん。…じゃ、行ってくる」
…かなり不安だ。
- 24 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)00時59分07秒
- あたしはキョロキョロしながら廊下を歩いていた。
ちゃんとトイレの場所覚えてなかったらしい。
あたしって記憶力悪いのかなー。
「えっと…たしかこの角にあったような…」
−ドンッ!−
角を曲がった所で誰かにぶつかった。
「ってー…」
顔面強打しちゃったよ、おい…。
あたしが涙目になって鼻を抑えているとぶつかった相手が叫んだ。
「紗耶香!!?」
「…え?」
なんで速攻でバレてんの?
っつーか、裕ちゃん…これじゃ変装の意味全くないじゃんか…。
でも…ちょっと待て?
この声聞き覚えが…。
顔を上げて相手の顔を見ると…相手は二人いた。
「圭織に…矢口」
あたしがぶつかった相手は圭織だった。
そして、その後ろには矢口の姿が。
- 25 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)01時00分02秒
- 「どうして紗耶香がここにいるの!?」
驚きを隠せないままの圭織に問われる。
イキナリの再会に心の準備が全く出来ていなかったあたしは
なんて答えたらいいのかわからない。
「っつーか、何?その格好は」
圭織があたしをジロジロ見ながら痛いとこをついてくる。
「やー…あの、これは…えーっと」
言葉を濁していると突然…。
「紗耶香ー!!」
「わぁ!ちょっ、矢口!!」
ガシッと矢口に抱きつかれる。
「いつ帰ってきたのさ!?なんで早く連絡くれないの!!」
「きょ、今日帰ってきたばっかなんだってば…いてててて」
思いっきり抱きしめられて苦しい。
相変わらずのバカ力だ。
「なんや?なんや??」
そこで裕ちゃんが現れた。
「やかましいなーって…あ!なんでバレてんねん!!??」
その言葉を聞いて聞き捨てならないと言わんばかりの表情になる矢口。
「ちょっと紗耶香!矢口より先に裕ちゃんに会ってたの!?どういうこと?」
- 26 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)01時02分29秒
- 「や、たまたま…ね。あ!そうそう!!それよか、タンポポの新譜可愛いねー」
話題を変えないと!
「えへへー。そうでしょ♪」
矢口は自分でも曲が気に入っているのか嬉しそうに答える。
「でも、あたし的にはC/Wが好きだなー。
二人ともロックな曲が意外とハマってて」
「でしょ!」
「青色で培ったものが今回、発揮されてるって感じだよね」
この調子でドンドン話を逸らさないと…と思っていると。
「圭織ー?どないしたんや?」
裕ちゃんが圭織に声をかけていた。
しかし、圭織はあたしを見たまま固まっている。
相変わらず交信してるのかな?と思っていると圭織は突然口を開いた。
「紗耶香…なんか隠し事してない?」
「「…は?」」
何故か裕ちゃんもあたしと一緒に聞き返す。
「ちょっとー、なんで裕ちゃんも反応してんの?」
「え!?な、何言ってんの!矢口ー。私何か今言ったか?」
ギクッして裕ちゃんはその場を取り繕うとする。
おいおい、裕ちゃん…。
「怪しい…」
圭織と矢口は二人して疑いの眼差しであたしと裕ちゃんを見比べている。
「何を隠してるのさ!?白状しろー!!」
矢口は叫びながらあたしを抱きしめていた腕に力を入れた。
「いてててて!!」
っつーか、あたしマジでトイレに行きたいんだってば!!
- 27 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)01時07分36秒
- ―++ここで休憩++―
>21さん
ある程度先まで書いてるんですが、ごっちん登場回数少ないッス(苦笑)
自分もいちごま好きなんで、なんとかしたいですねー・・・。
>マルボロライトさん
いちごま書かれてるんですか?!
自分、ここらの掲示板の数が多過ぎてあまりちゃんと見る事が
出来てないんですよー(TT)
申し訳ないッス!
どこで書かれてるのか教えて頂ければ嬉しいッス!
- 28 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月05日(月)01時12分27秒
- さやまりの絡みがいい感じ!
僕はさやまり希望です。
- 29 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月05日(月)01時29分38秒
- いちごまきぼんぬ
- 30 名前:マルボロライト 投稿日:2001年03月05日(月)02時02分18秒
- 黄板で「恋が愛に変わるまで−SIDE A−」という
タイトルで書いてます。けど…いちごまなのに
まだ一回も市井ちゃん出てきてないです(汗)
- 31 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月05日(月)02時15分31秒
- 「恋の記憶」を聞きながら読んでみました。
頬が緩んでます。続きが楽しみです。
- 32 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)22時39分58秒
- 「…はー」
あたしは思いっきり深呼吸する。
「紗耶香、緊張してんの?」
矢口があたしを見て面白そうに言う。
「そりゃ、緊張するさ。だって、皆に会うのって約一年ぶりなんだもん」
「何さー?矢口と圭織の時は全く緊張なんてしてなかったじゃん!」
「そりゃイキナリだったから…」
「っていうか、時間が空いたらキッチリさっきの件を白状させるからね」
「…はー」
今度はため息が出た。
裕ちゃんは申し訳なさそうな顔をしていた。
「ねー?いつまでドアの前でつったってるの?
時間ないんだから早く入ろうよ」
と、いいながら圭織はドアを開けてしまった。
ーゲッ。
ちょ、ちょっと待ってよ。
- 33 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)22時41分05秒
- 「「おはよー」」
矢口や圭織はさっさと中に入ってしまう。
「裕ちゃん…」
助けを求めてみたけど裕ちゃんはバシっとあたしの背中を叩く。
「覚悟決めたはずやろ?しっかりせなアカンって!」
「ってー…そんなに力一杯叩かなくてもいいじゃん」
あたしは背中を撫でながら裕ちゃんに文句を言う。
「ちょっとー、早く入ってきなよ」
部屋の中から矢口に呼ばれる。
「やぐっつあん。誰か外にいるの?」
「気になるなら外に行ってみたら?」
「何?何??そんな風に言われたらすっごい気になるじゃん」
…この声。
−コツコツコツ…−
足音が近づいてくる。
そして音が止まった。
「…市井ちゃん」
あたしの前には会わない内にすっかり大人っぽくなった後藤の姿があった。
ビデオで見てわかってたけど実際本物をこうして見てみると
本当に成長したんだなぁ。
「……や、久し振り」
あたしはやっとのことでそれだけの言葉を口にする。
「市井さん!!??本当に??」
後藤の声に部屋の中にいたメンバーが反応する。
そして、あっという間に囲まれる。
いつの間にか後藤とあたしとの距離が広がってしまった。
- 34 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)22時42分48秒
- 「お久し振りです!」
「あ、うん。みんなの活躍ちゃんと見てたよ。頑張ってるねー」
「ちゃんと見てくれてるんですね!嬉しいー!!」
新メンバーは皆はしゃいでいた。
「実は密かに暇人だった圭坊がビデオ送ってたらしいで」
裕ちゃんが笑いながら嫌味を言う。
「裕ちゃん、クドイよ!」
圭ちゃんはムッしてそして反撃に出た。
「ねぇ…裕ちゃん。皆を驚かせるって言ってたのは
紗耶香のこの格好の事を言ってたわけ?誰一人驚いてないんだけど?」
「う、うっさいなー。そういや、なっちは?」
裕ちゃんは分が悪くなったのか辺りを見回しながら話題を変える。
確かに誰もあたしのこの格好にツッコミを入れる人はいない。
それはそれであたしも嫌なんだけど…。
そういえばー…今、ここにいるのはあたしを除くと9人だ。
「いつもの通り遅刻だよー。本当に直らないよね。
今度、電波で起こしてやりなよ、圭織」
「やだよ。面倒くさい」
「って、そんな事出来るんかい!」
漫才してる矢口と圭織を余所にあたしは一つ気になる事があった。
一人、輪の中から外れてこっちを見ている後藤の事が。
- 35 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)22時43分50秒
- そして、あたしが娘。の指導役をするという事を皆が知った。
「何それー!?マジで??紗耶香に指導なんてされるの怖いよー」
一番激しく驚いたのは矢口だった。
「っていうかさー、紗耶香ソロデビューの話はどうなってんの?
勉強中じゃなかったの?」
う…圭織のツッコミはいつも痛い。
「それはちゃんとやってるって!ね、紗耶香!」
圭ちゃんが間髪入れず助け舟を出す。
そして、裕ちゃんも。
「そや。今回の指導役っつーのも一つの勉強やしな」
「ふーん」
「…」
一人納得のいかない顔をしている圭織を横目で見つつ
あたしは内心ビクビクしていた。
…圭織だけは注意しないと。
電波恐るべし。
- 36 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月05日(月)22時53分01秒
- ―++ここで休憩++―
>28さん
ありがとうございます!さやまりは自分も好きですよ。
っていうか、市井ちゃんが絡んでたらオールオッケーなんですけどね(笑)
矢口は重要な役になりますよ、多分(^^;
>29さん
いちごまになればいいんですけどー・・・。
見守ってて下さい(^^;
>マルボロライトさん
読ませて頂きました!かなり好みです!!
話が被らないようにしたいと思います(^^;
そして、やっとこちらもごっちん登場させました。
一言しか話してないけども・・・。
>31さん
「恋の記憶」イイ曲ですよね!
もんじゃ=市井ちゃんで市井ちゃんファンにはたまらない曲ですよね。
抜けた3人宛ての曲なのかもしれませんが。
- 37 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月06日(火)00時25分45秒
- おぉ〜。おもしろそうですね。
頑張って下さい。
いちごまにして下さい(切実)。
- 38 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月07日(水)00時55分26秒
- なっちも合流し、皆がスタジオに向かう時間になった。
ゾロゾロと控え室から出て行くメンバー達。
困った。
指導なんてどうやってやれっていうんだ?
「さ、行くで。紗耶香の初仕事やな」
そう言いながら裕ちゃんにひっぱられてため息をつきながらあたしも列に続く。
先を行くメンバーを歩きながらぼんやり眺める。
新メンバーも入りたての頃に比べると立派になったもんだなぁ。
うーん、新メンバーっていう言い方も、もうおかしいのかもね。
なんだか時の流れを感じて、なんだか少し寂しい。
あたしは一人だけ完璧に取り残されてるんだと思ってしまう。
そして、さらにあたしを酷く寂しい思いをさせているのはやっぱり後藤だ。
久し振りに会ったんだからテンション高く接してくると思ってたのに。
吉澤と並んで歩いている後藤を何気に見ると、どうにも大人しい感じがする。
違和感を感じるのはあたしだけ?
会ってからあまり後藤の話し声を聞いてないんだけど。
- 39 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月07日(水)00時56分22秒
- スタジオの隅で番組収録が進むのを見守る。
どうやら、あたしの正体は周りのスタッフには気付かれていない。
裕ちゃんの変装はやっと役に立ったようだ。
なんだか、裏方に回るのってやっぱり変な感じがする。
でも、しょうがない。
しっかり指導役をする為にはちゃんと一瞬たりとも見逃さず皆を見てないと。
っていうか、やっぱり後藤に目がいってしまう。
娘。を抜けるまであたしと後藤は仲良くしてた。
まるで本当の姉妹のように。
でも、娘。を抜けてからは全く連絡を取っていなかった。
引越ししたり、日本を離れたりしてたし
それに後藤も仕事で忙しいと思ってあたしから連絡するようなことはしなかった。
そして、携帯のナンバーを変えてしまっていたので後藤から連絡が来ることもなかった。
目まぐるしく変わる環境の中であたしは圭ちゃんから送られてくるビデオでしか
メンバーを知る事はなかった。
気にならなかったわけじゃない。
でも、それだけあたしにも色々とあったのだ。
- 40 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月07日(水)00時57分49秒
- 番組収録が終わりメンバーが控え室に戻ってきた。
「あー、疲れた。私これからまだラジオあるわー。辛ー」
裕ちゃんはすぐ椅子に深く腰掛けうなだれるようにぼやく。
「「中澤さんー。元気だして下さいよー」」
その傍で加護と辻がステレオ放送みたく二人で騒いでいる。
このテンションの差ってやっぱり、歳の差かな。
「紗耶香ー。で、どうなのよ?」
「なにが?」
矢口は何言ってんの?という顔になる。
「なにがじゃなくて!指導役として見てて今日の私達はどうだったって事!」
「あ、そういうことか」
うーん。
どうだった?って言われてもなぁ。
あたしが困っていると、何時の間にか周りは静まりかえり皆の視線があたしに集中する。
うわ。さらに言い難いじゃん。
「…そうだなぁ。今日のところは別に問題なかったと思うけど…」
「あのさー、それじゃ意味ないじゃん。何でもいいから気になった事とかないの?」
けなしてないんだからいいじゃんか、もう。
なんだかんだで今日は後藤ばっかり見てた気がするからなぁ。
でも、何かを言っておかないとまた文句が出そうだ。
なんとなく言い難かったけど…。
「…じゃ、あるとしたら後藤の表情かな?」
メンバーのほとんどがあたしのその言葉で微妙な表情になった。
しかし名指しされた本人、後藤は…。
- 41 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月07日(水)00時59分37秒
- 「後藤のどこがダメだっていうのさ!」
後藤は座っていた椅子を倒しながら立ち上がり癇癪起こした。
皆、静まり返る。
「やっと、ちゃんとあたしの顔を見てくれたね。後藤」
あたしがそう言うとムッとした顔をし、またフイっと顔を逸らして
後藤は小声で呟いた。
「…ふざけないでよ」
「別にふざけてるわけじゃないよ」
「大体、なんで市井ちゃんにダメ出しされないといけないのさ!?
私そんなの納得出来ないよ!」
ほら、やっぱり。
だから、あたしなんかが口出ししたら怒るやつが出てくるって言ったじゃん。
まさか、それが後藤だとは思ってもみなかったけど。
一番、安全かと思って言ったのに。
「紗耶香が指導役になったのは決定してるんだから文句言っても仕方ないよ、ごっちん」
圭ちゃんがフォローを入れるが後藤は聞く耳を持たないようだ。
「嫌なものは嫌!」
- 42 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月07日(水)01時01分05秒
- 「まぁまぁ、ごっちん落ち着いて。で?ごっちんの表情の何が気になったわけ?」
矢口が話を進めようとする。
「ねぇ?指導っていうのは皆に聞かせないといけないもん?一対一でやっちゃダメ?」
皆がいると凄く話し難いんだけど。
「いや、別に構わへんよ。今回はごっちんにだけみたいやし、私もまだこの後仕事あるしな」
裕ちゃんがそう言いながら帰り支度を始める。
「えー?矢口、続き聞きたいよー!」
矢口が駄々をこねる。
「あんたが聞いてどないすんねん。関係あらへんやろ。あとは二人でやらせとき」
そう言って裕ちゃんはあたしに軽くウインクした。
サンキュー、裕ちゃん。
矢口はむくれてたけど。
「じゃ、後藤、一緒に来てよ」
あたしがそう誘うと後藤はまだ不満顔だった。
そして、その様子をうかがっていたメンバーもいつもと少し様子が違っていた。
- 43 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月07日(水)01時02分08秒
- 明日も早いということで、一緒に帰りながら話すことにした。
皆と別れてから、しばらく歩いてたけど後藤はずっと無言のままだった。
「…本当に久し振りだよね。ずっとTVで見てたよ」
あたしはようやく会話を始める。
このままだとあっという間に駅についてしまいそうな勢いだったから。
しかし、後藤は無言のまま。
これじゃ、会話になんないよ。
「何か話してくんないかな?かなり困ってるんだけど」
あたしは頭をかきながら本当に困ってそう言った。
すると後藤は立ち止まってあたしを見つめた。
「なんで今頃戻ってきたの?」
「…どういう意味?」
「今頃何しに戻ってきたの?っていう意味」
- 44 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月07日(水)01時04分29秒
- ―++ここで休憩++―
今日は少しだけ多めに。
自分が書くとごっちんが性格悪くなるのは何故だろう?(^^;
>37さん
ありがとうございます!
やっと市井ちゃんとごっちんが絡みだしたんですが
険悪です(爆)
- 45 名前:マルボロライト 投稿日:2001年03月07日(水)01時18分18秒
- わ〜い♪更新されてる〜♪
いちごまはいいな〜やっぱり♪
しかし険悪なムード!?
この先どうなるか期待してます!
- 46 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月07日(水)14時37分48秒
- 幸せにしてやってください。
- 47 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年03月08日(木)00時22分21秒
- 後藤はあたしを睨んでいた。
…なんでこんなに怒ってるんだろう?
今頃、今頃って…。
そして、こんな後藤、初めて見た。
「何しにって…だから指導役をだなぁ…そうそう、さっきの続きをしないとね」
今回戻ってきた本当の理由なんて言える訳がない。
それに指導役としての役割もちゃんと果たさないと。
「そんな話どうでもいい。ちゃんと私の質問に答えてよ」
「どうでもよくないよ。
後藤さー、確か年末の番組で『素顔禁止』って自分で言ってたじゃん?
ハッキリ言ってさ、まだまだだよ」
「どうでもいいっていってるじゃん!」
後藤は両手で耳を塞ぐ。
「ちゃんと聞いて」
あたしは後藤の腕を取って耳から離そうとしたが無駄だった。
力の強さの差が違い過ぎる。
話が噛合っていないのはわかってるけど、そのまま話を続ける。
「プロなんだからちゃんとTV映ってる時はそれを意識してないとって
あたし前から言ってるでしょ」
「…」
「後藤。ちゃんと聞いて」
両手で耳を抑えたまま下を向いていた後藤の顔を
無理やりあたしは自分に向けさそうとしたその時。
−バシッ!−
「ーっ!」
思いっきり手を払われた。
- 48 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月08日(木)00時23分19秒
- 「後藤…」
あたしは払われた手もそのままに呆気に取られていた。
「…市井ちゃんはさ、本当に自分勝手だよね!」
言葉に力を込めて後藤は話す。
「はぁ?…どういう意味だよ?」
「わかんないなら別にそれでも構わない。
言っておくけどあたしはもう市井ちゃんの言う事なんて絶対に聞かないから」
「はぁ??何言ってんだ!?」
「指導役だか何だか知らないけど、私はそんなの従わないから」
「あーのーさー、さっきから何を一人勝手に怒ってんの!?いい加減にしなよ!」
後藤のあまりの反抗ぶりにさすがのあたしもムカついてきた。
「それにちゃんと気になるところは指導役として直させるからね!」
「私は自分の事は自分でやる!口出ししないでよ。じゃーね」
そういって後藤は走り去ってしまった。
「なんなんだよ!あいつはー!!」
むしゃくしゃした気持ちで取り残されたあたしは
傍にあった石を思いっきり蹴飛ばした。
あたし達の再会一日目は最後まで険悪なままだった。
- 49 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月08日(木)00時24分19秒
- 「ただいまー」
ガチャっとドアが開く音と共に裕ちゃんの声が聞こえた。
「おかえりー」
「はぁ!?なんで、紗耶香まだ起きてんねん?」
裕ちゃんは癖でただいまって言っただけらしく
まさか返事が返ってくるとは思ってなかったらしい。
あたしは一ヶ月間、裕ちゃんのとこに泊めてもらうことになっていた。
「なんだか眠れなくてさー」
「眠れないって…まぁ、今日一日は確かに疲れたやろ…って、あー!!コラー!!!」
裕ちゃんはあたしの手にあるものを見つけて絶叫する。
「あんた未成年やのに何飲んでんねん!」
「眠れないから飲んだら眠くなるかなーって思ったんだけど
不味かったからちょっとしか飲んでない」
「アホー!!それ最後の一本なんやで!!」
たかがそんな事で嘆く裕ちゃんを見てため息をつく。
「最後ってわかってるんなら帰って来る時に補充用を買ってきたらよかったんじゃん」
「…こんな時間にビール売ってるとこなんてあるかいな」
確かにそりゃそうだ。
ちなみに今の時間は夜中の3時。
- 50 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月08日(木)00時29分09秒
- ―++ここで休憩++―
ねーさん脱退はヘビー級な衝撃…(TT)
よって、今日は全く書けませんでした。
が、今まで溜めてるものを少しだけアップしときます。
あぁ、ねーさん…(TT)
>マルボロライトさん
結構、先まで話を溜めてるので更新は早く出来るんです(笑)
邪悪なムードはまだまだ続きます・・・。
>46さん
話の中くらいはみんなを幸せにしてあげたいんですけどね(TT
なんとか頑張りますです。
- 51 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月09日(金)00時26分52秒
- 「そんで?あの後、どーなったんや?」
風呂から出て来た裕ちゃんはバスタオルで髪を拭きながら
ビール…ではなく、お茶を片手に戻ってきた。
「ねぇ?後藤ってちょっと変わった?」
「はぁ?質問に質問で返すなや。話進まんやんか」
「そりゃそうだけどさー」
だって、こっちから話するよりも先に聞きたかったんだもん。
裕ちゃんが帰ってくるまでの間、昔の後藤ってあんな感じだったっけ…とか
ずっと考えてたんだけど。
結論は出なかった。
「そやなー…、紗耶香が抜けてから一時期はものすごく落ち込んでたっちゅーか
暗かったわな」
それはあたしもTVを見てわかってた。
「でも、ふっきったんちゃうの?
色々あって最近のごっちんって仕事に対して前向きになってると思うけど」
「…」
前向きねぇ。
確かに自分から素顔禁止とか言ってみたり
笑顔が戻ってきたりと頑張ってるのはわかるんだけど。
でも、色々ってなんだ?
っていうか、あたしに対するあの態度はなんなんだ!?
「なんやねん!?聞くだけ聞いてだんまりかいな!」
「あのさー。あの後ね…後藤と修羅場った」
「はぁー??」
裕ちゃんは奇妙な声で声を張り上げた。
- 52 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月09日(金)00時27分45秒
- あたしは裕ちゃんに全てを話した。
「なんかしんないけどさー、後藤あたしに対して怒ってるんだもん。
こっちもいい加減キレちゃってさー」
「そういや、今日のごっちんは機嫌悪かったわな」
「ずっと一緒に活動してた裕ちゃんにも後藤の怒ってる原因がわかんないのか。
だったら、あたしなんかにわかるわけないじゃんー!」
あたしは頭を抱えた。
「ピリピリしてる理由はなんとなくわからんでもないけどな」
「何のことさ?」
「んにゃ、何でもない。ま、なんとかなるって。
とりあえず明日も早いし、今日はもう寝よ」
「…そだね」
裕ちゃん、何か知ってるのかなぁ?
後藤は何が不満なんだろう?
一度も連絡取ってなかったのが気に入らなかったのかなぁ?
でも、こっちにも事情があるんだからしょうがないじゃんか。
ずっとあの調子で接してくるつもりなんだろうか?
だとしたら、望むところだ。
それに、あたしは後藤専属の指導役になったわけじゃない。
今の娘。の為に自分に出来ることは全てやりたい。
あたしの勝手な都合で娘。を抜けて迷惑かけたのに
それでも笑顔で迎えてくれた皆の為に。
- 53 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月09日(金)00時28分33秒
- 「紗耶香。もう寝た?」
暗闇の中、ベットから裕ちゃんの声。
「…まだ」
「あんな…指導役なんやけど辞めるんなら今の内やで?」
「…」
「紗耶香?」
「……あたし、やるよ。ただ、中途半端なことはしないつもり」
「どういう事や?」
衣擦れの音がした。
どうやら裕ちゃんはベットから起き上がったようだ。
「やるからには厳しく、今の娘。をより良い方向に持っていけるようにする。
だから、裕ちゃん…あたしがどんなにキツイ事やってても口出ししないでね」
「…わざと悪役に徹するつもりなわけか?」
「そうとも言うね」
「私も同じような事やってるけど、結構キツイで?覚悟してるんやろな?」
「大丈夫、期間限定だし。それに…」
「それに?」
「や、なんでもない」
「…ま、ええけど。一つだけ言っておくで」
「何?」
「紗耶香。あんた、もっと自信持ちや。今のあんたが一番後ろ向きやで」
―うん、そうかもね。
自分でもそう思うよ…。
- 54 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月09日(金)00時29分24秒
- ――今頃、姿を現したってもう遅いよ。
今の私が昔の私と変わらずにいるとでも思ってたの?
だとしたら甘いよ。
甘過ぎる。
ずっと変わらないモノなんてあるわけないじゃん。
あの頃の私の想いは行き場を失ってどこかへ行ってしまったんだから。
今の私は昔の私とは別モノ。
貴方が知らない私になったの。
早くそれに気が付いた方がいいよ。
そうしなければ傷つくのは貴方だから。
だから、早く私の前からいなくなって。
決して私に優しく接しないで。
そうしないと、今度傷つくのは私かもしれないから。
行き場を失った私の想いが戻ってきてしまうかもしれないから――
- 55 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月09日(金)00時31分48秒
- ―++ここで休憩++―
本当に続きが書けなくなり始めた…鬱だ(TT
ねーさんとの絡みはもっと早くに上げておいた方がよかったッス。
ちなみに最後のはごっちんの心情です。
- 56 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月09日(金)05時11分02秒
- 後藤素直になれ(w
姐さんのショックはあると思いますが作者さんがんばってください
- 57 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月11日(日)02時35分52秒
- 次の日からあたしの叫び声が響き渡っていた。
「加護、辻!あんた達いつまでも、そのキャラが通用すると思うな!」
「裕ちゃん!眉間のシワ!怖い!!」
「石川もイジられた後は笑顔に戻って!それじゃ、イジメに見えちゃうでしょ!」
「吉澤はもっと自分ってものを表に出して!ラジオとかでのあの調子でいいから!」
「圭織ー。交信してないでそろそろ帰って来いよ!」
「なっち。最近、笑い方とかおばさん臭い!見てる人が引いちゃうってば!」
「圭ちゃんももっと前に出ないと!」
「矢口ー。加護と辻に舐められ過ぎ!」
「後藤!司会の時の笑顔がわざとらしい!もっと自然な笑顔出来ないの!?」
あたしに文句を言われた相手は明らかに不満そうな顔をしている。
でも、傍にいる仲間にコソコソと何かを言いつつ言われた通りにしていた。
でも、誰かの声が聞こえた。
「市井さんってこういう人だったっけ?なんか嫌なタイプの人になったね。ショックー」
…こうなるのはわかってた。
あたしは聞こえないふりをした。
そして、ただ一人全く言う事を聞いていない人物がいた。
―後藤だった。
- 58 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月11日(日)02時37分03秒
- 「ごっちん、紗耶香の言うことも一理あるんやから直せるとこは直そうとせなアカンで」
裕ちゃんが見るに耐えられないという感じで割って入ってくる。
後藤は知らんふりしている。
「そうだよ。ちゃんと人の話聞けっつーの」
「市井ちゃんだって私の話聞いてないんじゃないの?言ったでしょ。私に口出ししないでって」
「あのなぁ…」
なんでこんなに頑ななんだ!?
いい加減にしろ!とあたしが思っていると後ろから加護が声をかけてきた。
「市井さん、無駄ですよー。
後藤さんはこれから一人ででもやっていかないといけないんですから」
その言葉に後藤は眉間にシワを寄せる。
「は?何それ。どういう事?」
「あれー?市井さんが今回戻ってきた理由ってこの事があったからじゃないんですかぁ?」
「だから、何のこと?」
「加護!」
そこで、裕ちゃんが加護を叱りつける。
- 59 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月11日(日)02時38分14秒
- 「…まぁ、いつかはわかる事やからこの際、言うけどな。
あのな…ごっちん、ソロになんねん」
「えっ!?マジっすか??」
「マジやって。なんで嘘つかなアカンねん」
「…」
後藤は下を向いてしまう。
裕ちゃんまでもがそんな後藤を見つつ、気まずい顔をしていた。
私といえば、その内容に驚きはしたけどなんだか納得もしていた。
今まで色んなとこで噂はされてたけど現実化したのかぁ!
「…へぇ、それはそれでおめでたいね。
別に娘。を抜けるってわけじゃないんでしょ?」
そう言いながら周りのメンバーを見回すと皆静まり返っていた。
ふーん…なるほど、それでか。
あたしと皆が再会してからここ数日間、皆の後藤に対する様子がずっとおかしかったのは。
あからさまに後藤に何かを言うような事はなかったけど
どこか距離を置いてたような気がしてたから。
矢口に少し複雑な表情で寄ってきた。
「紗耶香、悔しくないの?」
「は?なんで?」
「何言ってんのさ。紗耶香、あんた自分が娘。から抜けた理由忘れたとか言わないでよ?」
あぁ…そういう事か。
「忘れてないけど。別に悔しいとかは思わないよ」
遅かれ早かれ、いつかはそうなると思ってたし。
自分が歌えないからって後藤を憎らしく思うっていうのも違うと思うし。
しょうがないものはしょうがないと諦めてるよ。
…ん、諦めてるんだ。
- 60 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月11日(日)02時39分13秒
- 「ま、その話はこれで終わりっちゅーことで」
裕ちゃんが話の区切りをつけようとすると
すかさず矢口が元の話を切り出してきた。
「あのさー、紗耶香はごっちんのソロの話を知らなかったって事でしょ?
じゃ、今回の指導役っていうのはどうして?何の為にさ?」
「だーかーらー、別に大した意味なんてないってば」
「嘘つけー」
あたしは矢口のしつこさに困り果てていた。
どうやってこの場から逃れようかと考えていると
「ねぇ。もういい?私これから行くとこがあるんだけど」
後藤がそう言って立ち去ろうとする。
「ちょっと後藤!話終わってないってば!!」
あたしが慌ててるのをシカトして後藤は出て行ってしまった。
「なんだかなー」
矢口はため息をつく。
そして、周りのメンバーも、そしてあたしも。
「紗耶香、頑張れ」
「…」
- 61 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月11日(日)02時42分02秒
- ―++ここで休憩++―
>56さん
ありがとうございます!(TT
少し回復しました。
ただ、書いてる途中にごっちんのソロ、ねーさんの脱退が発覚しちゃった
もんだから話の流れが変わりまくってますけどね(^^;
なんとか終了させたいです、はい。
- 62 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月11日(日)17時30分44秒
- 頑張って下さい!!
- 63 名前:マルボロライト 投稿日:2001年03月11日(日)18時38分52秒
- お〜早くもごっちんソロを取り入れたんですね〜
素直じゃないごっちんもまたなかなか…(笑
続きがんばって下さいね♪
- 64 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月12日(月)00時29分50秒
- 「あー。お腹空いたー」
「矢口、何頼んだんや?」
「無難にカレー。裕ちゃんはうどん?」
「そや。欲しいって言ってもやらんで」
「いらん」
「素直やないな、矢口は」
「素直に答えてんの」
「じゃあ、石川に下さいー。最近、二の腕が気になるらしい中澤さんー」
「石川、うっさい!」
「じゃ、なっちに一口ちょうだい」
「…なっちは自分のだけにしとき」
「そうだよ、なっつぁん。結構、注文頼んでたじゃんか」
あたしはぼんやりその光景を眺めていた。
なんだかホッとする。
ここは近くの定食屋。
中学生であるメンバーは学校へ行く為に帰ってしまっていた。
ここにいるのは…
あたし、裕ちゃん、圭ちゃん、矢口、なっち、圭織、石川の7人だ。
- 65 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月12日(月)00時30分26秒
- 「はぁ…」
あたしは大きなため息をついて手にしていたタブレットを口に入れた。
「紗耶香は何も注文してなかったよね。もしかして、それで終わり?」
なっちが目ざとく聞いてきた。
「うん。ちょっと食事制限してるんだ。…言っておくけどコレお菓子じゃないよ」
「もぅ!別に欲しいとか言ってないべさ」
「ちょっと最近、太り出してきちゃったからね。これはダイエット食品みたいなものだよ」
「えー、なっちも欲しい!」
「結局欲しがってんじゃん。それに、高かったんだからヤダ。自分で買いなよ」
「ケチー」
「あ、なっち。注文してたやつ来たよ」
なっちがボヤいてるのをみかねて圭ちゃんがそこで気を使う。
「あ!ホントだ!!」
その言葉を最後になっちは無言になった。
そして、その代わりに圭織があたしをずっと見つめていた。
- 66 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月12日(月)00時31分15秒
- 「しかし、紗耶香のスパルタにはまいるね」
矢口がスプーンを口に運びつつ話をふってきた。
「スパルタっつーか、指導役としては当たり前の事をやってるだけじゃん」
「市井さんの指導は石川にはとても為になります!」
石川はそう言いながらニコニコしている。
「っていうか、特に後藤にキツくない?
最初はソロの話を知ってるからやってるのかと思ってたけど」
圭織は頬杖ついてあたしに聞いてきた。
ちなみに圭織はすでに食事を終えていた。
「うーん、それは一番、目に付くからだよ」
あたしは苦しまぎれにそう言う。
「ま、後藤って何もしなくても目立つからねーっていうか…ソロかぁ」
「何?矢口…まさか、あんたも狙ってんの?」
圭ちゃんが聞き捨てならないと言わんばかりに反応する。
「えー?だって皆もそう思ってるでしょ?」
「矢口ー!あんたミニモニもタンポポもあるくせに!っていうか
タンポポをもっと大事にしろ!!」
ありゃりゃ…圭織が怒り出しちゃったよ。
「そうですよー。あいぼんも矢口さんも酷いです!」
石川は泣きそうになりながら訴える。
「い、言ってみただけじゃんー。ちゃんとタンポポ大事にしてるってば!
いつもそう言ってるやんかー」
「お前いつも嘘臭いんだよ!電波食らわすぞ!オラー!!」
「やめてよー!マジでなんか飛んできそうだから!」
どうして、この二人の会話はいつも漫才みたいなんだろう。
- 67 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月12日(月)00時35分09秒
- ―++ここで休憩++―
思ったより長くなりそうな予感。
そろそろ矢口が動きだします。
>62さん
ありがとうございます!
調子が戻りつつあるので大丈夫です。
>マルボロライトさん
ありがとうございます!
相変わらずなごっちんになってます(笑)
ちなみに、ごっちんソロもアレも入りますよ(^^;
- 68 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月12日(月)09時53分16秒
- 矢口が動きだすとは?
市井にアタックを始めるのか?
- 69 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月14日(水)00時53分53秒
- 日々、今まで以上の容赦のない指導振りを発揮していた為
あたしはメンバーとも少し距離が出来てしまっていた。
わかってたことだけど少しキツイかな。
でも、そうしてないと気分が晴れないんだ。
なんだろう…このモヤモヤとした気分の原因は…。
- 70 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月14日(水)00時54分51秒
- 「紗耶香ー?」
呼ばれて我にかえる。
顔をあげると矢口が目の前にいた。
「なんでここにいるのがわかったの?」
「たまたま店の前を歩いてたら紗耶香の姿が見えてさ」
矢口はそういいながらあたしの向かい側に座る。
ここはTV局近くの喫茶店。
あたしはここで小説を読みながら集合までの時間を潰していたのだ。
皆と一緒にいても重い空気が漂うだけだろうし。
これ以上、裕ちゃんと圭ちゃんに気を遣わしたくなかったから。
その時、ちょうど流れ出した有線の曲が耳に入る。
「これ聴いたことある曲だ…」
「んー?あぁ、前にドラマの主題歌にもなってたよね。
途中、英語ばっかだから矢口には意味わかんないけど」
矢口はメニューを手に取りながら言う。
あたしは意識してその曲に耳を澄ましてみる。
確かに英語が混じっている。
でも、今のあたしなら少しくらいのヒアリングは出来る。
…これってこういう曲だったんだ。
きっと、少し前のあたしなら矢口のように英語の歌詞まで気にしなかっただろう。
そんなあたしを矢口はさほど気にせず、会話を振ってきた。
「そういえば再会してから二人きりになるのって初めてじゃない?」
「そだね」
あたしは小説をカバンにしまい、矢口を見る。
「矢口って会わないうちに随分と綺麗になったなぁって思ってたさ」
「そんな事言っても何にも出ないよーだ」
両手で頬杖ついてあたしにベーと舌を出す矢口。
可愛いけどちょっと憎たらしい。
- 71 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月14日(水)00時55分42秒
- 「矢口はあたしの事、怒ってないの?」
「何がさー?紗耶香のスパルタについてってこと?」
「んー、まぁそう。新メンバーなんてあんまし口きいてくれなくなったのにさ」
「だって、紗耶香にも何か考えがあるんだろうし
・・・って、そうだ!思い出した!!」
矢口は突然テーブルを勢いよく叩きながら叫ぶ。
「何さ?」
「紗耶香が何を隠してるか聞くの今まで忘れてた!」
「…ホント、矢口ってしつこいよね」
あたしはため息をついた。
本当に忘れてて欲しかったんだけど。
「何言われてもいいもん。ここでハッキリと答えてもらおうかー」
ムっとしている矢口を見ててぼんやりと思った。
…今ここで全てを話してしまったらどうなるだろう?
でもね…。
「…言えない」
「え?」
「あたしね、矢口の事が大切なんだよ。だから何も言えない」
「…」
あたしの真剣な顔を見て矢口は言葉を失い、そして顔を伏せた。
「わかってよ。矢口の事を大切に思ってるから傷つけたくないんだ」
「……嘘つき」
「え?」
「言い訳なんて聞きたくない!
それに、紗耶香が一番に大切だと思ってるのは矢口なんかじゃない。後藤でしょ…」
- 72 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月14日(水)00時56分26秒
- 「な、なんで後藤の名前がここで出るんだよ?」
あたしは戸惑っていた。
「紗耶香が自分で気付いてないから代わりに矢口が教えてあげてんの」
矢口は少し悲しそうな顔をしてあたしを見上げて言った。
「あたしには矢口が言ってる意味がわかんないよ。どうしてそんな事言うのさ?」
「・・・それは」
「それは?」
「矢口が紗耶香の事を好きだからだよ!」
「??」
あたしは話が見えない。
あたしが大切に思ってるのは後藤で矢口はあたしが好き?
なんのこっちゃ。
あたしは後藤の事も矢口の事も好きだよ?
「なんか話の流れがよくわかんないけど、えっと・・・あたしも矢口の事を好きだよ?」
「違うー!!そういうお友達的な気持ちじゃなくって!!」
どうやら、さっきの言葉は意を決して言ったらしく
矢口はあたしの返答に対して思いっきり不満顔になった。
- 73 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月14日(水)00時57分10秒
- 「もう、いい!」
矢口はそう言って席を立ち、外へ出て行ってしまった。
「ちょ、ちょっと矢口!?」
あたしは慌てて立ち上がり矢口を追おうとしたが会計を済ましている間に見失ってしまった。
『紗耶香が一番に大切だと思ってるのは矢口なんかじゃない。後藤でしょ…』
矢口に言われた言葉が頭から離れない。
自分ではよくわからない。
矢口は親友として大切だし、後藤は妹のように大切だし。
比べられないよ。
そして、また矢口に言われた言葉が頭をよぎる。
『紗耶香が自分で気付いてないから代わりに矢口が教えてあげてんの』
気付いてない?
…そうなのかもね。
わざと気付かないようにしてるのかもね。
- 74 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月14日(水)01時00分56秒
- ―++ここで休憩++―
書いては消しを繰り返してるので自分でもわけがわかりません(TT
期待通りにならなかったらゴメンなさい。
>68さん
アタックかどうかはよくわかりませんが
とりあえず矢口が沢山登場するかも?という事で(^^;
そういう意味で動きだします。
- 75 名前:マルボロライト 投稿日:2001年03月14日(水)03時01分56秒
- 市井ちゃん自分の気持ちに
気づいていいんだよ(笑)
続き期待してます♪
- 76 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月16日(金)00時07分32秒
- コンサートが近いこともあって今日はレッスン場で
ダンスの最終チェックをしていた。
あたしは用なしかと思ってたんだけど圭ちゃんに無理やり連れられていた。
今ここにいるのはプッチの三人だけだ。
後藤は吉澤と何か話し込んでいた。
「ねー?なんであたし呼んだの?」
あたしは壁全体に貼ってある鏡に背もたれて座り
少し離れていた圭ちゃんに話しかけた。
「だって、生のプッチ見た事ないでしょ?
一度、見てもらいたかったんだ」
準備体操をしながら圭ちゃんは笑顔で答える。
「そういや、この前PV見たけど…圭ちゃん無理し過ぎ」
「何がよ?」
「花畑でこっちに走って来るとこ」
「……」
「そ、そろそろ練習戻った方がいいんじゃない?」
「…ムーカーツークー。人が気にしてる事を…まぁ、いいや」
そう言ってまだブツブツ言いながら圭ちゃんは自分のポジションに戻って行った。
ヤバイ、ヤバイ。
つい、いつもの毒舌が出ちゃったよ。
- 77 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月16日(金)00時08分38秒
- 「じゃ、始めるよ」
圭ちゃんが他の二人に声をかける。
そして、ラジカセから新曲が流れ出す。
三人はしっかり鏡で自分の姿を確認しながらダンスをこなしていく。
あたしのいないプッチかぁ。
なんか変な感じ。
前の曲の時にも思ったけどさぁ。
こんなことをウダウダと考えていたらあたしは眠たくなってきた。
最近、睡眠ちゃんと取れてないからなー…。
ヤバ…。
激しい曲が流れ続けているというのにドンドンあたしの意識はぼやけてくる。
膝を抱えるように座っていたあたしはそのまま頭を伏せ夢の中に入ってしまった。
- 78 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月16日(金)00時09分10秒
- …なんか聞き覚えのある曲が聴こえる。
これは…ちょこLOVEだ。
でも、あたしはここにいるのに…。
そうか、今はあたしがやってたとこは吉澤がやってるんだっけ。
意識して耳を澄ましてみる。
あぁ、別に違和感ないかも。
…これって、なんとなく寂しいね。
元からあたしなんて歌ってなかったかのように聴こえちゃうよ…。
…………。
- 79 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月16日(金)00時10分14秒
- 何かが顔に当たりあたしの意識が戻る。
ふと顔を上げると後藤があたしに上着をかけてくれてるとこだった。
あたしが目を覚ましたことに気付き、気まずい表情をする後藤。
「…こんなとこで寝てたら風邪引くよ」
「あ…サンキュ」
「それと、それ…」
後藤はあたしの顔を指差した。
「え…?」
あたしは頬に手を当てるとハッと気付いた。
―涙?!
あたし泣いてたの?
「後藤ー。紗耶香、起きた?」
「うん。そうみたい」
後藤は何もなかったかのように振り返りながら圭ちゃんに返事をする。
近づいてきた圭ちゃんに涙がバレないようにあたしは素早くゴシゴシと腕で顔をこする。
「何よ?紗耶香、よだれでも出してたわけ?」
圭ちゃんが呆れて言う。
「…えへへ」
なんとか誤魔化せたかな。
バレたら格好悪い。
- 80 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月16日(金)00時12分18秒
- ―++ここで休憩++―
>マルボロライトさん
自分が書く市井ちゃんやごっちんは素直じゃなくて動かし難いッス(笑)
なので、マルボロライトさんとこのいちごまに期待!(笑)
- 81 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月17日(土)00時28分09秒
- そして、またダンスの練習に戻った三人をぼんやり眺めつつ
あたしはタブレットを口にする。
無意識にため息が出た。
最近、疲れがたまってきてるのかもしれない。
こっちにいられるのは、あと何日だったっけ?
とりあえず、それまでもてばいいけど…。
―ガチャッ―
突然、ドアが開いた。
「ーキタ!」
そして、扉を開けた本人はイキナリこう言ったのだった。
「い、飯田さん…何を言ってるんですか?」
吉澤がビックリしている。
「来たって何がよ?呼んでないよ?」
圭ちゃんは眉をひそめている。
二人の問いには答えず圭織はあたしに近づいてきた。
「紗耶香、ちょっと話したいことがあるの。一緒に来て」
「な、何?」
なんか、スゲー嫌な予感がするんだけど。
「いいから来て」
「ちょ、ちょっと待ってよ!?」
戸惑っているあたしを余所に圭織は強引に腕を引っ張り部屋から連れ出して行く。
最後にあたしが見たのは何事かという顔をしていた後藤だった。
- 82 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月17日(土)03時47分42秒
- 何がきたんだァーーー??
嫌な予感って・・・
- 83 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月18日(日)23時55分02秒
- 圭織があたしを連れてきたのは屋上だった。
薄着な格好しかしてないあたしには少し辛い。
早めに戻らないとマジで風邪引きそうだ。
「ねぇ。あたしになんの話があるっていうの?」
なんか、聞きたいような聞きたくないような…。
風で乱れそうになる茶髪になった綺麗な髪を抑えながら
圭織はまっすぐにあたしを見つめている。
「紗耶香はいつも自分一人で問題を解決しようとするよね。
脱退する時もそうだった」
「…」
「あの時は本当に悲しかった。
別に圭織に相談して欲しかったっていうんじゃなくて
どうして、誰にも話してくれなかったんだろうって事に気付いて悲しかった」
「…ごめん」
「でも、今回は違うんだね。少なくとも裕ちゃんと圭ちゃんは知ってるみたいだし」
そこで初めて圭織は笑顔になった。
「…な、何が?」
あたしはビックリする。
「とぼけなくてもいいよ。圭織にはわかってるから…紗耶香の本当の事」
言いながら圭織は少し寂しそうな笑顔になってしまう。
「…本当に怖いね、圭織の電波は。さっきの『キタ』ってやつはそういうわけか」
あたしは苦笑いする。
普通なら電波で事の全てを知るだなんてあり得ない話だけど
圭織の場合はそれが信じられるってとこが凄いよね。
普段から不思議な事ばっかり言ってるし。
- 84 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月18日(日)23時56分22秒
- 「紗耶香が今何をしようとしてるのかまではわかんない。
そんで、それが本当に紗耶香にとっていいことなのかどうかもわかんない。
けど圭織の力が必要な時はいつでも言って。力になるからさ」
「…ありがと」
あたしは圭織に抱きついた。
「…紗耶香、背が少しのびたね」
圭織はあたしの頭を優しく撫でてくれる。
自然と涙が出た。
ダメだ、今日のあたしって泣き虫だ。
「ゴメンね。今回もちゃんと本当の事を話せなくて。
信じてあげられなかったってわけじゃないからね…」
「いいよ。気にしないから。それに、言い難い事だろうから」
それを聞いて圭織は本当にあたしの事情を知っているとわかった。
- 85 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月18日(日)23時57分06秒
- そして、しばらくしてあたしは圭織と別れ、圭ちゃん達のいる部屋に戻ってきた。
「おかえりー。で、何だったの?」
圭ちゃんはあたしの傍まで駆け寄ってきた。
「…圭織にバレちったよ」
「えー!!??」
あたしの言葉に圭ちゃんが驚く。
その声を聞いた吉澤と後藤が振り向いた。
それを見てあたしは慌てる。
「圭ちゃんってば声デカイよ。
あたしから言ったわけじゃなくて圭織が一人で気が付いたんだけどね」
「そっか。確かに何か気付いてるような気がしたけどね」
「うん。まぁ、圭織なら大丈夫だと思うし」
小声でそう言うと圭ちゃんはゲッという顔になった。
どうしたの?とあたしが圭ちゃんに聞くより先に後ろから声が聞こえた。
「…どういう事?」
あたしの後ろには怖い顔をした矢口がいた。
- 86 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月18日(日)23時57分39秒
- 「…矢口」
あたしはあまりの驚きにそれだけの言葉しか口に出来なかった。
「…圭織が知っても問題ないのに矢口には何も教えてくれないわけ?
紗耶香はそんなに矢口の事が信じられないんだ…」
矢口は悔しそうに目に涙を浮かべる。
「それは…」
あたしが何か言い訳をしようとしたその時
「ちょっと来て!」
矢口に思いっきり腕を捕まれ部屋から無理やり連れていかれる。
これじゃ、さっきの圭織と同じパターンだ。
- 87 名前:アリガチ 投稿日:2001年03月19日(月)00時00分22秒
- ―++ここで休憩++―
>82さん
電波がキタようです(笑)
うちの圭織はわりと普通なんですけどね。
でも、やっぱり交信少女になっちゃう(笑)
- 88 名前:マルボロライト 投稿日:2001年03月22日(木)23時12分56秒
- やっぱ圭織の電波はすごいね〜便利だぁ(笑)
ん?矢口怒ってますかい?
- 89 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月31日(土)13時44分33秒
- 楽しみに読んでます。
ちょっとペースが落ちたみたいですけど、気長に待ってます。
激励のおてまみ。
- 90 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月01日(日)23時53分08秒
- あたしの腕を引っ張ったままズカズカと無言のまま歩く矢口。
そして、あたしも無言でされるがまま歩く。
しばらくこの状態が続いたけど重い雰囲気に耐えられなくなったあたしは
捕まれたままだった手を振り払った。
すると矢口は立ち止まりあたしの方を振り返った。
あたしは何となく矢口の顔を直視する事が出来ない。
思わず下を向いてしまう。
「…矢口の事を信じてなかったわけじゃないんだよ。
矢口の事を思うと言えなかっただけなんだ」
「そんな言葉聞きたくない。矢口はもう紗耶香の言う事なんて信じないから」
その言葉を聞いて息を飲む。
軽い眩暈がした。
もうダメだ。
…今のあたしはどんな顔をしてるんだろう?
あたしが顔を上げると矢口は矢口で苦しそうな顔をしていた。
「…そっか。何度も同じような事ばっかり言ってたら、そりゃ愛想つかすよね」
「矢口には紗耶香が今何を考えてるのか全然わかんないよ。
前はそんなんじゃなかった…」
「そだね。もう昔のあたしとは違うかもしれない。…嫌ってくれてもいいよ」
「……」
「…じゃあね」
苦笑いをしながらそう言ったあたしは心の中でゴメンと呟いていた。
矢口に背を向け、あたしはフラフラと歩き出す。
ズシッと重い錘が胃の辺りに入ったかのように重い。
あたしが最後に見た矢口の顔は泣き顔だった。
……最悪な気分だ。
- 91 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月01日(日)23時54分27秒
- …自業自得なのはわかってるけど凄く辛い。
胃がますます痛くなる。
…矢口には嫌われ、後藤にはシカトされたまま。
さらに視界がぼやけてきた。
…そもそも、あたし何の為に皆の元へ戻ってきたんだっけ。
なんだか意識までぼやけてきちゃった。
―ガタンッ!―
…痛い。
あれ?
なんで、あたし倒れてんの?
「紗耶香!!」
誰かの叫び声が聞こえる。
誰の声だっけ…。
そして、あたしは完全に意識を失った。
- 92 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月01日(日)23時55分17秒
- あたしには娘。を脱退する時に皆へ語った夢があった。
ソロでデビューする事。
ごめんね。
それは全部、嘘だったんだ。
他に言い訳が思いつかなかったんだ。
あたしには娘。としてこのまま歌いたい気持ちがあった。
メンバーの皆とずっと歌いたい気持ちが。
でもね、もう無理なんだよ。
悲しいけれどこれが真実。
- 93 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月02日(月)00時01分44秒
- ―++ここで休憩++―
>マルボロライトさん
圭織の電波はかなり便利です(笑)
自分も欲しいッス。
矢口…怒ってますね(^^;
そちらの話はハッピーエンド迎えそうで嬉しいッス!
>89さん
ありがとうございます!(TT
マジ嬉しいです!
最近、書いたものを直したりHPイジってたら
更新が止まってしまいました…。
あと、運動会に行って今日帰ってきたりしてたもので(^^;
- 94 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月02日(月)00時13分27秒
- ええぇ、市井に何があったんだ!? 続きが楽しみっす。
- 95 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月04日(水)03時08分20秒
- 大変だ!!市井ちゃんがぁぁぁ〜〜〜〜!!
- 96 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月06日(金)01時37分31秒
- 「ん…ここは?」
あたしはぼやけた視界のまま周りを見回す。
身体を起こして見るとあたしが寝かされていたのは娘。の控え室だったようだ。
この部屋にいるのは裕ちゃん、圭ちゃん、矢口、圭織の4人だった。
「気が付いた?」
圭ちゃんは心配そうな顔をしてあたしが座っているソファーに腰をかける。
「あたし…倒れたの?」
「うん。その時ちょうど、そこに圭織が通りかかったらしくてね。
ここまで運んでくれたんだ」
あたしは圭ちゃんの後ろにいた圭織を見る。
圭織は穏やかな顔をしてこう言った。
「安心しなよ、他の人にはバレてないからさ」
「…サンキュ」
それだけ言ってあたしは黙り込む。
あたしが倒れたことを知ってこのメンバーがここにいるってことは…。
「裕ちゃん…」
「ん。二人には本当の事言った。もう誤魔化しきかへんやろ」
「…そっか」
「…」
皆、無言になってしまった。
- 97 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月06日(金)01時38分17秒
- 静かになった部屋に圭ちゃんはため息が大きく聞こえた。
「紗耶香…。もう無理だよ。これ以上、今みたいな事を続けるのは」
「嫌だ、やる…やらせてよ。これじゃ、何の為に戻って来たのかわからないままだ」
あたしはギュッと拳を握る。
「紗耶香…」
圭ちゃんだけじゃなく、皆黙ってしまう。
「紗耶香…裕ちゃんが言った事って本当なの?」
そこで一番に口を開いたのは意外にも今まで黙り込んでいた矢口だった。
矢口はあたしが座っているソファーに一番遠い場所で俯いて立っていた。
いつもより、矢口の姿が小さく見える。
正直かなり辛い。
「…うん」
あたしがそう答えると矢口は息を飲み、そして苦しそうにポツリと呟いた。
「…嘘だ」
「矢口…」
傍にいた裕ちゃんが矢口の肩を抱くと矢口は肩を震わせ突然叫びだした。
「嘘だ……嘘だ!嘘だ!!」
「や、矢口!?落ち着けって!!」
裕ちゃんは驚いて矢口の肩に置いていた手に力を込める。
「矢口はそんなの信じない!!どいてよ!裕ちゃん!!」
矢口は裕ちゃんの腕を乱暴に振り解き、そして部屋の外へ走り去ってしまった。
- 98 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月06日(金)01時39分19秒
- 「矢口…」
あたしは矢口が走り去ってしまった後も呆然としているだけだった。
「…最悪だね。紗耶香が矢口に黙ってた理由がよくわかったよ」
圭ちゃんは深々とため息をついていた。
その様子を見ていた圭織はヤレヤレという顔をしていた。
「嘘や偽りっちゅーもんは良くないってわかるけど
時として必要な時もある…難しいなぁ…」
裕ちゃんは自分自身に問うように呟いた。
思ってた通りの結果になってしまった。
どうしてあたしは矢口を傷つけてまで…ここまでして皆の傍にいたいのか。
その理由は…。
本当はわかってる。
ただ考えないようにしていただけ。
- 99 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月06日(金)01時40分30秒
- それからというもの、仕事場での矢口は誰の目から見ても明らかに荒れていた。
原因を知っているあたし達は事情が事情なだけに何も出来なかった。
「矢口さんー。何、怒ってるんですかぁー?」
何も知らない辻が矢口に近づいたが矢口は完全無視。
一人の世界に没頭中だった。
「矢口さんってばー」
辻が矢口に構ってもらおうとまた声をかけたその時。
「…うるさいな!」
矢口が叫んだ。
周りのメンバーはその声の大きさに驚いていた。
「矢口だって考え事くらいすんだから構わないでよ!」
それを聞いて辻は泣き出してしまった。
いくらなんでも言い過ぎだ。
あたしは近寄って何か言おうとしたが矢口の言葉はまだ続いていた。
「あー、もう!!怒られた時には泣けば全て解決するとでも思ってんの!?
それに、いつまでもお子様きどりでいないでよ!ハッキリ言ってウザイの!」
「矢口!」
あたしが止めに入ろうとしたその時、部屋中に乾いた音が響いた。
- 100 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月06日(金)01時41分11秒
- 矢口は頬に手をあてて黙り込んだ。
「…いい加減にしなよ」
そう言いながら矢口をぶった本人は自分も痛かったのか手をヒラヒラさせていた。
「何すんのさ?圭織…」
矢口は頬に手を当て圭織を睨みつける。
そう、圭織が矢口をぶったのだ。
「辻に当たるなって言ってんの。八つ当たりなんてカッコ悪いよ」
そう言いながら圭織は辻を抱き寄せた。
「飯田さぁん…ひっく…」
辻が泣きながら圭織の胸に顔をうずめるのを見て矢口は少し気まずい顔をした。
そして、矢口は部屋を出て行ってしまった。
かすかに聞こえるくらいの大きさでゴメンと言いながら。
- 101 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月06日(金)01時42分24秒
- 矢口が出て行ったのを確認して部屋にいたメンバーは一斉にざわめき始める。
「辻ー。昔から矢口って疲れとかがたまったら突然癇癪起こすんだ。
だから、気にしないようにね。
さっきの矢口が言った事は本音ってわけじゃないんだからさ」
圭織は辻の頭を優しく撫でながら言う。
「…わかりましたぁ」
辻も涙を溜めたまま圭織に微笑みかける。
何時の間にか大人になったんだねぇ、圭織ってば。
「圭織。ヤな役させてゴメンね」
あたしが謝ると圭織は辻から離れてあたしの傍にやってきた。
そして圭織はこう言った。
「別に?それよか、矢口の事は圭織に任せてよ。
仕事で一緒にいる時間も多いし何とかしてみせるから」
「な、何すんねん?」
傍にいた裕ちゃんはオドオドしながら聞く。
「何とかってどうするつもりよ?」
同じく圭ちゃんも不安顔になっている。
「任せといてってば。いいでしょ、紗耶香?」
少し笑顔を見せて圭織は言う。
どういう根拠があってそんな事を言うんだろう?…とは
さすがに言えずあたしの口から出た言葉はこうだった。
「…お願い出来るかな?」
今のあたしじゃ何も出来ないのはわかっていたから。
人の手を借りてでも矢口をいつも通りの元の矢口に戻したかった。
- 102 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月06日(金)01時45分42秒
- ―++ここで休憩++―
誤字発生・・・。
鬱。
>94さん、95さん
スンマセン。
まだ倒れた理由が出てきません(爆)
当分、先になりますです。
- 103 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月06日(金)02時46分11秒
- な…何だか全然先が読めない…
続きが気になる〜!(ドッキドキ)
- 104 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月06日(金)05時08分57秒
- 久々に、先が気になる作品だ。
- 105 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月07日(土)07時59分01秒
- >当分、先になりますです。
と言うことはまだ、はらはらさせられるのね。
- 106 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月07日(土)20時06分55秒
- ―++先に休憩++―
>マルボロライトさん
>名無しさんさん
>名無し読者さん
そう言ってもらえると嬉しいッス!
先が読める話だと思ってたのでそのお言葉は
マジで嬉しいッスわ(笑)
まとめてのレスで申し訳ないッス。
ある程度、書き上がったのでマメにアップします。
ってなわけで、ここからは矢口バージョンに…。
- 107 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月07日(土)20時07分49秒
- ――矢口は絶対に信じない。
皆、矢口を騙そうとしてるんだ。
きっとそうに違いない。
でも、再会した紗耶香の様子はずっとおかしかった。
突然、娘。の指導役になったり
あれほど仲良かった後藤のソロの事を知らなかったり。
それに、食事もろくに取ってる所を見た事がない。
口にしていたのはタブレットくらい。
何よりどうして今まで連絡取れなかったの?
どうして?
これは何を意味してる?――
- 108 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月07日(土)20時08分59秒
- 翌日、タンポポのラジオ収録の為に私は夜スタジオ入りしていた。
昼に娘。での仕事があったけど昨日のこともあって
他のメンバーとも上手くいかなかった。
私って最低だ。
紗耶香にも会ったけど一言も会話をしなかった。
視線が合う事もなかった。
いや、私が合わせなかったのだ。
紗耶香の姿を見るのが辛かったから。
今日の収録は珍しく圭織と二人だけ。
時間が時間だから加護と石川は欠席。
本番までに時間がたっぷりあったので台本に目を通す。
でも、パラパラとページをめくるだけだった。
どうにも集中出来ない。
昨日からあまり眠れてないんだからしょうがないか。
それを見かねてかどうかはわかんないけど珍しく圭織から声をかけてきた。
「矢口ー。大丈夫?」
「…大丈夫なわけないじゃん」
「そうみたいだね。今日だってTV局の人が言ってたよ。矢口の元気がないって」
ヤレヤレという顔をして矢口の隣に座る圭織。
昨日のことなんて何も覚えていないかのように私に接してくる圭織に
私は戸惑いを覚える。
「昨日は悪かったね、ぶったりして」
…ちゃんと覚えてるんじゃねーか。
てっきり昨日のアレは交信中の出来事なのかと思ったよ。
「別に…あれは誰が見ても矢口が悪いし」
「ま、そりゃそうだ」
ニヘっと笑う圭織。
「…圭織はどうしていつも通りでいられるのさ?何も思わないの?」
「思わないわけないじゃん。圭織だって普通の人間だもん」
なんでもないように言う圭織に少しムカつきを覚える。
っちゅーか、圭織のどこが普通なのさ!?
「どこが!?あんなの聞いたら冷静でいられるわけないじゃんか!!」
私は立ち上がり圭織に向かって怒鳴る。
「…落ち着きなよ、矢口。周りの人がビックリしてるじゃん」
「…」
確かに周りのスタッフは何事かとこっちの様子をうかがっていた。
私は仕方なくまた座り直した。
- 109 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月07日(土)20時10分22秒
- 「そりゃ知った時はビックリしたけどさ
圭織がいつも通りにしてるのは紗耶香の為だよ」
「…」
「どうして紗耶香が矢口に何も言わなかったと思う?」
「…知んないよ、そんな事」
「意地はってないでちゃんと考えてみ?」
「…うるさいなー。どうせ、矢口に心配かけたくなかったって事でしょ」
「ま、それもそうだけどね」
圭織は手にしていた台本を丸めて肩を叩いていた。
「どういう事さ?」
「あんね、圭織が思うに紗耶香は矢口を傷つけたくなかったんだよ」
その言葉を聞いて紗耶香が言っていた言葉の数々を思い出す。
『あたしね、矢口の事が大切なんだよ。だから何も言えない』
『わかってよ。矢口の事を大切に思ってるから傷つけたくないんだ』
『…矢口の事を信じてなかったわけじゃないんだよ。
矢口の事を思うと言えなかっただけなんだ』
それは、何度も同じような言葉が繰り返されていた。
圭織は黙り込んでしまった私を穏やかな顔して見ていた。
「きっとさ、矢口の今の姿が見たくなかったから…。
本当の事を言ったら矢口がこうなるのがわかってたから黙ってたんだよ。
だから、紗耶香は何も知らせないままでいる事が
矢口にとって一番いいと思ったんだろうね」
「…紗耶香」
私は無意識に涙を流していた。
紗耶香…。
ゴメン…本当にゴメンね。
矢口ってどうしてこんなに子供なんだろう。
圭織に言われるまで気付かないだなんて。
紗耶香の優しさに全然気付かず、責めるだけ責めて…。
今日ほど自分で自分の事が嫌いだと思ったことはないよ。
- 110 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月07日(土)20時11分30秒
- 私が泣き続けるのを見て圭織は明るい口調でこう言った。
「ったくさー、こっちはやってらんないっつーの!」
「…え?」
私が涙を拭きながら聞くと圭織はニへッと笑う。
「だってさー、裕ちゃんや圭ちゃんは最初っから知ってたわけでしょ?
で、紗耶香が最も隠したかったのは矢口と後藤。
新メンはまぁいいとして。
じゃ、残された圭織となっちって何さ?」
「あ…」
確かにそうだ。
言われて初めて気が付いた。
「まったく扱い悪いよねー。圭織はショックだよー」
圭織は笑いながらそう言った。
「…ゴメン」
「謝るなら紗耶香に謝りなよ?
残り時間少ないんだからいつまでも気まずいままでいるのはマズイっしょ?
あと、もちろん辻にも謝っておかないとね」
「うん、ありがと。圭織がいてくれて良かったよ」
「へへ。あ〜、よかったな♪って感じ?」
圭織は前にTV用にハモリを二人で練習した曲を口ずさむ。
「そだね。心から本当にそう思うよ」
私はそう言いながら圭織の腕を取り身を寄せる。
「いつか、また昔のタンポポみたいな歌を歌いたいね」
「そりゃ無理でしょ。もしかして二人で新しいユニットでも作る気かい?」
「それもいいねー。圭織、考えておいてよ」
「よく言うよ。これ以上ユニットが増えたら矢口、過労死しちゃうかもよ?」
「やめてよー。演技でもない!」
二人で笑いあう。
本当に圭織がいてよかったよ。
- 111 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月07日(土)20時13分08秒
- 今日は娘。としての番組収録があった。
紗耶香は様子を見るってのはしてるけど
顔色がいい方ではなさそうで、調子も悪そうだった。
私はといえば、まだメンバーから少し距離を置かれていた。
早めに謝らないと。
控え室に行くとそこには圭織と紗耶香しかいなかった。
私に気がついた紗耶香はどこかぎこちない笑顔になった。
きっと私の笑顔もぎこちないんだろうな。
「おはよー。矢口」
「おはよ。大丈夫?顔色が少し悪いみたいだけど」
わざとらしく聞こえないように努力しながら言ってみた。
「大丈夫。それよか、この前はゴメンね」
「うぅん。ちゃんと紗耶香の気持ちはわかったから。
矢口の方こそ本当にゴメン!」
私は紗耶香に向かって深く頭を下げた。
「わ!や、やめてよ!!あたしが悪かったんだから!!」
紗耶香は慌てている。
なんだかお互いにマヌケ過ぎて笑えるね。
「…ま、これで一件落着かな?」
私達のやり取りを見ていたそう言いながら圭織は清々しい顔をしていた。
いや…まだ終わりにするには早いよ、圭織。
- 112 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月08日(日)15時29分18秒
- 面白いですね、がんばってください。
- 113 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月09日(月)00時45分14秒
- う〜んええ娘や圭織…
何気に私は圭織が好きだったりする(あんな話書いてるくせに!?)
そろそろあの娘が出てくるかな?
- 114 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月09日(月)01時00分06秒
- 「あのね、紗耶香の為に一つ言っておくけどさ」
私は真面目な顔をして言うと紗耶香は少し戸惑っていた。
圭織もキョトンとしている。
「は?何さ?」
「…紗耶香さー、まだ気付かないフリするの?
いい加減、後藤の傍に居たいから戻ってきたって素直に認めなよ」
「……なんのこと?」
「もう誤魔化さないで。そんな時間なんてないでしょ」
「…」
「矢口は気付いてたよ。紗耶香ってばいつも後藤の事見てんの…今も昔も」
そう。
昔からずっと紗耶香の視線の先には後藤がいた。
そして後藤の視線の先にも紗耶香がいた。
そんな二人を見て矢口がどんな想いでいたと思ってんの?
そりゃ、辛かったさ。
でも、こんな事を紗耶香に言っても困るだけだもんね。
この前の喫茶店ではマジトークしてみたけど
紗耶香にはわかってもらえなかったし。
ってか、これは紗耶香が鈍いだけか。
矢口も大人になんなきゃ。
今は紗耶香の幸せだけを…紗耶香がやりたい事を尊重してあげたい。
「自分の気持ちにまで嘘つかないで…これは矢口からのお願い」
- 115 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月09日(月)01時01分17秒
- 紗耶香はくしゃくしゃな顔になって私を抱きしめて来た。
私はそれをちょっとよろめきながらでも、しっかり受け止めた。
「嘘ばっかりついてたら疲れるでしょ。
事情を知ったら紗耶香にこれ以上辛い想いなんてさせたくないって
誰もが言うはずだよ。
だからさ、もう周りに気を遣わなくてもいいんだよ」
「…そだね」
「そうだよ」
「矢口にそう言われるとそうしなくちゃいけない気がして来た」
紗耶香は顔を上げて私に笑いかけてきた。
「バーカ。『しなくちゃいけない気がして来た』じゃなくてするんだよ!」
「…うん」
「後藤の事が好き?」
「…うん」
「……正直でよろしい」
チクショー。
わかってて聞いたけど、なんか胸が痛いよ。
それなのに紗耶香はダメ押しをする。
「じゃ、気を遣わずに矢口に本当の事言ってあげる」
「何?」
「…あたし矢口の事好きだったよ」
「……嘘つき」
私は少しドキっとしたけど顔に出さないように気をつける。
紗耶香は私のおでこに自分のそれを合わせてきた。
「嘘なんかじゃないって。
…あいつが入ってくる前まではマジで矢口が一番だったんだよ」
「…そんな真実は口にしなくてもいい」
「矢口が自分の気持ちに嘘つくなって言ったんじゃんか」
申し訳なさそうに笑う紗耶香。
「ちぇ…そりゃ、そうだけどさー」
私がぼやいていると圭織は苦笑いしていた。
はぁー…意外と残酷だね。
- 116 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月09日(月)01時02分06秒
- ――そう。
ずっと気付かないふりをしてた。
あたしが後藤のことを好きだって事を。
でも、それを自分で認めてしまうと本当に後藤だけしか見ないようになってしまう。
それじゃ、ダメだと思ってた。
後藤ならあたしなんかが傍にいなくても…一人でも大丈夫。
今のあたしじゃ後藤と昔みたいな関係に戻ったとしても後藤にとっては
マイナスにしかならないと思ったから。
でも、圭ちゃんが送ってくれていたビデオとかでの後藤を見てたら
あたしの中でどこか不安が生じてきた。
それが何なのか確認する為にこうして会いにきたんだ。
矢口にも言ったとおり、後藤が現れる前までは矢口の事が好きだった。
見かけは妹みたいだけど本当は頼れるお姉ちゃんみたいで。
本当に大好きだったんだよ。
それなのに…。
自分でもよくわからない。
いつからこんなに後藤の存在が大きくなったんだろう?――
- 117 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月09日(月)01時03分02秒
- 紗耶香が私を好きだったのは後藤が入る前。
そして、実は私が紗耶香を好きになったのは後藤が加入してから。
後藤に向けられてた優しい視線にはいつも気付いてたのに
自分に向けられてたかもしれない視線には全く気付いてなかっただなんてね…。
なんだか、すれ違いまくってるこのタイミングの悪さに正直泣けてくるさ。
でも、これで本当の自分の気持ちに気付く事が出来たよ。
私は後藤の事が好きだと思ってる紗耶香が好きだったんだって。
ってことは、紗耶香の幸せを願うならば後藤と上手く行く事を願わないとね。
紗耶香の為に一肌でも二肌でも脱ごうじゃんか。
- 118 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月09日(月)01時04分03秒
- でも、ちょっと待った。
頭で分かっても、そう簡単に気持ちの整理なんて出来るわけないじゃんか。
だって、一年以上も想い続けてたんだから。
じゃあ、どうするか?
最後に少しくらいは私にいい思いさせてもらおうかな。
「ねぇ?紗耶香ー」
「何?」
「もう一つお願いがあるんだけど」
「一つだけじゃないのかぁ?」
紗耶香は苦笑いする。
まぁいいじゃん、と言いながら私は紗耶香に微笑みかけ、そして。
「キスして」
「はぁぁぁぁああっ!!??」
紗耶香は大声をあげて驚いた。
「いいじゃん。前だってよくふざけてやってたでしょ?」
「いや、今の話の流れで言われるとだなぁ…」
なんか変な感じ、とブツブツ言いながら明らかに困惑している紗耶香を見て
ザマーミロとか思ってしまう。
少しくらい困りやがれってんだ。
「気にすることなんて何もないじゃん、はい」
いつまでも話してたらしてくれそうにないので私は自分から目を閉じた。
- 119 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月09日(月)01時05分12秒
- 密かにドキドキしながら私が待っていると
「…わかったよ」
紗耶香はそう言って私に軽く触れるか触れないかというキスをしてくれた。
「へへー」
私が嬉しそうに目を開けると紗耶香は頭をかいていた。
うん、これでもう大丈夫。
私の想いは今ので浄化出来たはず。
いや、ちゃんと浄化するから。
これからはちゃんと二人を応援するから。
「あのさ、二人とも…キスするのは別にいいけどさー。
圭織の存在忘れてない?」
「「あ…」」
紗耶香と二人で声の主を見る。
圭織はしかめっ面をしていた。
ゴメン、完全に忘れてた。
「どうせやるなら人のいないとこでやりゃいいのに…」
圭織がそうぼやいた瞬間、部屋のドアの辺りで音がした。
何?
三人ともその音に反応して、そして首を傾げた。
一番ドアの近くにいた圭織が無言のままドアを開けると
「あ…」
紗耶香が目を見開く。
そこにいたのは…後藤だった。
- 120 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月09日(月)01時09分52秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<何気に誤字が多いんでないの?
・・・すんません(−−;
>112さん
有難いお言葉!
頑張りますです!
>マルボロライトさん
毎度です(笑)
自分も圭織好きですよ。
っていうか、この話の内容見たらどの娘達が好きか一発でわかるでしょうね(笑)
そして、こういう形であの娘が登場しました(爆)
- 121 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月09日(月)04時22分46秒
- まだまだ、波乱含みな展開ですな。
続きが気になるっす!!
- 122 名前:名無し3 投稿日:2001年04月09日(月)16時46分45秒
- なんとタイミングの悪い後藤・・・
でもがんばれ。
- 123 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月10日(火)00時40分08秒
- ゴメン圭織…私も存在忘れてた(w
うわ〜後藤ちゃんこんな時に出てくるのね〜!
- 124 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月10日(火)00時59分44秒
- 後藤は何も言わず立ち尽くしていた。
「えっと…あの…これは二人がふざけててね」
圭織がしどろもどろにフォローをしようとする。
何時からここにいたんだろう?
まさか全部聞かれた?
紗耶香はあまりの事に放心状態になっていた。
「いつからいたの?」
私が声をかけると後藤は何も言わずに立ち去ってしまった。
「…」
三人とも無言になってしまった。
「…矢口、あんたが更にややこしくしてどうすんのさ?」
圭織は大きなため息をついた。
「は、はは…」
紗耶香はヤケクソ気味にひきつって笑う。
「……ゴメン」
心から紗耶香に謝罪するつもりで言った。
まさかこんなことになるなんて…。
……最悪だ。
- 125 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月10日(火)01時02分00秒
- その後、他のメンバー達が集まったので番組収録前に謝った。
辻には特に。
メンバーは私の態度の変化の早さに少し戸惑っていたようだけど
時間と共に何もなかったかのように接してくれた。
「ま、何はともあれ良かったよ。あたし、責任感じちゃってさ」
紗耶香はホっとした表情をしながら寄ってきた。
当たり前じゃんか、元はと言えば紗耶香のせいなんだから。
「紗耶香もマジでなんとかしなよー?」
「わかってるって…っていうか、矢口が言うなよ」
少しむぅっとした顔をする紗耶香。
誰のせいで後藤と更に話せなくなったんだ?と今にも言いそうな顔だ。
…マジ、ごめん。
ちゃんと後藤には説明しないといけないよなー。
それに、どこまで話を聞かれたとかも気になるし。
そう思って部屋の中を見回してたんだけど…あれ?
「そういや、後藤は?」
「あれ?いないなぁ。どこ行ったんだろう?」
この控え室にはメンバー全員いるのかと思ってたんだけど。
「ま、今じゃなくてもいいし。
まだ収録時間まで時間あるから飲み物でも買いに行かない?」
「さーやーかー。まさか逃げるつもりじゃないだろうね?」
「違うってば。ね、矢口も行こうぜ」
「まぁ、いいか」
- 126 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月10日(火)01時02分56秒
- 自動販売機までの道程。
突然、紗耶香の口から素っ頓狂な声が発せられた。
「んぁ〜?あれって…」
「何?何??」
曲がるべき角の奥にあるベンチに誰かの姿が見えた。
とっさに私達は姿を見えないように隠れてしまう。
「後藤に…裕ちゃん?」
紗耶香が意外そうな声をあげる。
確かに意外な組み合わせだ。
二人の様子を窺ってみるとどうも楽しそうな雰囲気ではなさそうだ。
どちらかと言えば暗い。
「何、話してんだろ?」
紗耶香はかなり気になるようで。
もちろん、私も気になるけど距離が遠過ぎて
会話をなかなか聞き取る事が出来ない。
くそー。
何を話してんだよ、裕ちゃんー。
あんな表情、滅多に見せないくせに。
もどかしい気持ちのまま、でもこれ以上近づくとバレるので
距離は変わらないまま私達はなんとか会話を聞き取ろうとした。
- 127 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月10日(火)01時04分12秒
- 「なんや、元気ないなー、ごっちん。紗耶香とまた喧嘩でもしたか?」
「…市井ちゃんは関係ないよ」
「ふーん。ならええけど」
「…で?話って何?」
「ん。まぁ、なんだ。そろそろソロの件が表に出るわけやけど…」
「…」
「…後藤はこれからどうしたいん?」
「……そんなのわかんないよ」
「皆と一緒にいたいか?」
「そりゃ…」
「そうか。じゃ、紗耶香とは?」
「………」
「ごっちん、素直にならなアカンで。後で後悔するかも知れへんぞ?」
「…どういう意味?」
「さぁな?ま、とりあえずごっちんの気持ちはわかった!」
「…今ので何がわかんの?」
「皆と離れたないっつー気持ちが知りたかっただけや。
あんな、まだ秘密やけど、これから皆が悲しむ事が娘。の中で起きんねん」
「…?」
「特にごっちんは辛い目に合うかもしれん。だからな、その時は紗耶香に頼りぃ」
「裕ちゃん…言ってる意味がサッパリわかんない…」
「いつか、わかるわ」
「…なんか嫌な予感がするんだけど」
「……娘。を守るんはリーダーとして当然やからな」
- 128 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月10日(火)01時05分20秒
- 裕ちゃんが去った後も後藤はその場で何かを考え込んでいた。
そして、私達はと言うと…。
しばらく無言だった。
「…ねぇ?…何なのさ?今の会話…」
紗耶香がポツリと呟く。
私も混乱していた。
後藤と裕ちゃんの会話は聞き取り難いながらも
内容はちゃんと聞こえたんだけど。
「裕ちゃん、何する気なんだろ?
…っていうか、皆が悲しむ事ってなんだー?」
「後藤が特に辛い目に?守るって…」
紗耶香は少し考え込んでいる。
「紗耶香には何かわかるの?」
「いや、ちっともわかんないけどさぁ」
「…ダメじゃん」
「…」
娘。を守る…。
裕ちゃん…どういう意味なの?
- 129 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月10日(火)01時14分30秒
- ―++ここで休憩++―
>名無しさん
波乱含みな展開ですかね?(苦笑)
自分、自信ないんスけど(^^;
続きを楽しみにしてもらえて嬉しいッス。
>名無し3さん
マジでタイミング悪いッスね…ごっちん(笑)
頑張って頂きたいものです(他人事?)
どうも自分が書く話は立ち聞きが多くてなんとも…(^^;
>マルボロライトさん
圭織…これじゃ、いい役なんだか悪い役なんだかわかんないッスね(笑)
ごっちん、もっと出したいんですけどねぇ…って
またおかしい方向に話が進んでるし(^^;
- 130 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月11日(水)00時25分23秒
- か…悲しい事?
ごっちんと同じく嫌な予感が…
続きが気になるよ〜!
- 131 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)00時46分07秒
- その後、裕ちゃんにそれとなく聞いてみたけど上手く誤魔化されてしまった。
そんな中…。
後藤のソロ発表、カントリー娘。へのレンタル話で
ますます世間は大騒ぎになっていた。
娘。解散か?なんて噂されてるみたいでなんともいい気分じゃない。
「なんだか最近さー、バタバタしてて疲れるっつーの」
「うちらも歳だべか?」
「なっつぁん、そんなの裕ちゃんに聞かれたら殴られるよ」
圭織がボヤき、なっちもそれにのり、圭ちゃんがツッコミを入れていた。
ハードスケジュールが堪えてるのか
それとも精神的にやられてるのか皆テンションが低い。
もちろん私もヘロヘロになっていた。
でも、ユニットでの活動が増えて
メンバー全員と会う日も少なくなっていたので
今日みたいに会うとなんとなくホっとする。
「矢口。ちょっと来て」
その時、ひょっこり顔を出した紗耶香に声をかけられた。
「なーに?」
「いいから早く」
そういえば…。
紗耶香といえば何故かあれから裕ちゃんといる姿をよく見る。
- 132 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)00時46分56秒
- 「紗耶香ー?どこ行くのさー?」
私が声をかけても紗耶香はずっと無言のまま。
何か言えよー。
私には紗耶香がどこへに行こうとしてるのかサッパリわかんない。
「…着いたよ」
着いた場所は前に後藤と裕ちゃんが何か話をしていたベンチだった。
そして、そこで待っていたのは裕ちゃんだった。
私の姿を見て裕ちゃんは大きくため息をついていた。
どういう意味だぁ?!
私が来たらダメなんかい!?
でも…なんだかヤな予感がすんだけど。
ここに来るまでもそうだけど紗耶香もずっと真面目な顔をしてたし。
「紗耶香。ここで待っとれって言ったのは矢口を連れてくる為だったんか…」
裕ちゃんはまたため息をついている。
「ちゃんと言っておいた方がいいと思うんだよ。
黙ってるのはあたしの件で良くないって裕ちゃんもわかったでしょ」
「もしかして…この前の話?」
私が恐る恐る聞くと紗耶香は即答する。
「そう、それ。その話」
- 133 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)00時48分38秒
- 紗耶香、裕ちゃん、私の順でベンチに座ったのはいいけど幅が少しキツイ。
「今から話す事は誰にも言ったらアカンで」
「うん」
真剣な裕ちゃんの顔を見てたらこういうしかない。
でも、裕ちゃんは自分からなかなか話し出そうとしなかった。
紗耶香は自分の隣に座っている裕ちゃんを心配そうに見ている。
しばらくして裕ちゃんが口にした言葉はこれだった。
「…あんなぁ、私、娘。を脱退することを決めたんや」
「はぁ〜っ!!!!???」
「矢口!声デカイよ!!」
紗耶香は口元に人差し指をあてながら辺りを見回す。
「ちょ、ちょっと待ってよ!!??
これが驚かずにいられるわけないじゃんか!!!」
「そうだよねぇ、あたしだってビックリしたもん」
紗耶香、何を呑気に!!
「っていうか、なんで!?あんなにTVでも最後まで辞めないって言ったじゃん!!」
私はあまりの事にパニくって涙が出て来た。
「…泣かんといて、矢口」
「バカー!!これが泣かずにいられるかー!!」
私は周りを気にせず号泣していた。
- 134 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)00時52分49秒
- 実は去年の11月くらいも裕ちゃんの脱退話が出ていた。
でも、その時はみんなで反対して取り下げてもらったのだ。
しばらく泣き続けていた私を裕ちゃんはずっと優しく抱きしめてくれていた。
そして、紗耶香もそれを見守ってくれていた。
徐々に私も落ち着いてきたけど全く納得出来ない。
「裕ちゃん…前の時みたいに取り下げるってことはないの?」
「あん時と今回は状況がちゃうんや…」
「…どういう事さ?」
「あの時は娘。の平均年齢的なもんを考えて
私はもう不要やと思って辞めようと思った。
でも、今回はちゃうねん…」
「歳以外で裕ちゃんが抜ける理由なんてあるわけないじゃん!
正直に言って?ダンスがキツかったんでしょ?」
「矢口…喧嘩売ってんのか?」
少しムっとする裕ちゃん。
ギャグっていうわけじゃなかったんだけど…でも違うのか。
「理由はそんな簡単なもんじゃなくてやな。…ま、色々あんねん」
「色々って何さ?」
「だから!!ちゃんと話そうとしたのに矢口が泣くから…」
…そりゃ、ゴメン。
でも、納得出来ないままだよ。
「でも、なんで突然…」
「ごっちんのソロ話がまだ先なら脱退なんて言わへんかったかもなぁ」
「…どういう事?」
はぁ?
後藤のソロと裕ちゃんの脱退って何の関係があるのさ?!
- 135 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)00時56分51秒
- ―++ここで休憩++―
ここでやっとねーさんの脱退話が登場しました(笑)
結構、前に予告(?)してたと思うんですけどね(^^;
>マルボロライトさん
嫌な予感は当たりましたか?
っつーか、バレバレだと思いますけど(笑)
- 136 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月11日(水)01時23分37秒
- やっぱり脱退絡めるんですね、そういえば予告?ありましたね(w
ごっちんソロと関係するって事は…更に嫌な予感大!?
- 137 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月11日(水)04時28分23秒
- 後藤のソロが裕ちゃんの脱退に関係する!?
どこかで聞いた事ある話ですな〜!!(笑
- 138 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時11分21秒
- 裕ちゃんの話はこうだった。
後藤のソロは娘。加入当時から計画されていた。
そして、後藤のソロが上手くいけば後藤は娘。を脱退させられるだろう。
すると娘。の人気はガタ落ちするのは目に見えている。
つまり今回のソロは娘。の解散への序章だと。
これが上の人等の考えらしい。
でも、そんなのメンバー全員、納得いくわけがない。
私達はモノじゃないんだから。
だから、それを知った裕ちゃんは
後藤のソロを止めさせるように話をしてたらしいんだけど
止めるより先に発表されてしまったらしい。
- 139 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時12分05秒
- 考えた事もない話ばかりで頭の整理が出来ない。
明らかにムカつく内容だったのには違いないんだろうけど。
「…信じられないし、わけわかんないよ。事務所は何考えてんの?」
「まぁ、大人の世界は大変やっちゅーことやな」
いや、むしろ汚いってことか、と裕ちゃんは苦笑いする。
「っちゅーか、矢口達は一体なんなのさ!?」
「…なんや、酷い話やけどなぁ。これが真実やねんって」
「ねぇ?どうして、それで裕ちゃんの脱退に繋がるのさ!?
裕ちゃんはこの状況から逃げるってわけ!!!??」
私はまたボロボロと涙を流す。
裕ちゃんは無言で私を見ている。
「なんとか言ってよ!?裕ちゃん!!!」
「それは違うよ、矢口」
紗耶香がキッパリと言う。
「裕ちゃんは脱退して後藤のソロを失敗させようとしてんだよ」
- 140 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時16分00秒
- 「…失敗させる!?そんなことしてどうなるわけ?
そんな事より裕ちゃんがいなくなったら娘。はバラバラになっちゃうよ!!」
「一世一代の賭けや。
今この状況で脱退したら後藤のソロにも響くかもしれへんやろ?
つまり後藤のソロが失敗したら後藤が娘。から抜ける事はなくなるかもしれへん。
いや、なくなりはせんでも先延ばし出来るかもしれん」
「どうしてそこまでして…」
「今現在のことより先の事を考えたいんや。
私は娘。の事が好きや。それにメンバー皆の事が好きや。
だから、娘。をなんとかして守りたいねん。
事務所もまだちゃんとOKくれへんけど
色々脅しかけてるから何とかなりそうやし。
ま、向こうさんも色々とあるやろうしな。
私は娘。を抜けても一人で何とかしてみせるし。
ただ、これで事務所の後藤への扱いが悪くなったら困るんやけど」
裕ちゃんはそう言いながら遠い目をした。
「裕ちゃん…」
「実はな、後藤本人も自分の置かれた状況を知ってるんや」
「え!?」
これには紗耶香も声を上げる。
だから、後藤の様子もおかしかったのか。
マイペースを装ってても意外と脆いとこがあるし。
「色々悩んだんや。
後藤も娘。よりもソロでやりたいっちゅー気持ちが大きかったらどうしよとか。
でも、この間に話して大丈夫やってわかったから」
後藤の気持ちはまだ娘。にいたいって事か。
確かに言ってたもんね。
そして、裕ちゃんはキッパリと言った。
「近々、発表する。私が抜けたところで大したダメージにならんかもしれへんけど」
- 141 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時17分04秒
- その時、遠くの方からスタッフの声がした。
「中澤さんー。ちょっとこれ確認してもらえませんか?」
「あー、はいはい。ちょっと待ってて下さい」
裕ちゃんはスタッフにそう返しながら立ち上がりこの場を去ろうとしたが
途中で止まりこちらに振り返った。
「紗耶香。私がこれで娘。内はなんとかするから後藤の事…頼むで。
後藤を救えるのはアンタだけや」
「裕ちゃん…」
「最初、紗耶香がこっちに戻ってくるって知って私、スゴイ嬉しかったんやで。
救世主が帰って来よったってな。
今回のことで後藤は周りから色々と叩かれるはずや。
それで、また胃炎とか起こしかねんし、何よりあの子は顔に出やすいからな。
今の紗耶香の状況を考えたらそんな事言ってる場合ちゃうってわかっとるけど…」
「…いいよ、そんなの。大体、救世主っていうのは大げさだよ」
紗耶香は苦笑いする。
「矢口も私がちゃんとアンタに話した意味わかるよな?」
「…うん」
「じゃ、頼むわ」
そういって手をヒラヒラ振りながら裕ちゃんは行ってしまった。
私と紗耶香はしばらく無言のままだった。
- 142 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時26分07秒
- ―++ここで休憩++―
先に言っておきますがこのねーさん脱退の元内容は
知ってる人は知ってるアノ噂からッス(苦笑)
ちょっとボカしてるけど。
ねーさんの脱退は予定外だったんでこういう流れになってしまいました。
一応、リアルタイムな内容にしようと思ってたんで。
この話の主人公はねーさんではないって事でご了承下さいませ(^^;
>マルボロライトさん
>137さん
思ってた通りになりましたか?(笑)
- 143 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時45分17秒
- 数日後、裕ちゃんは事務所からOKを貰い
報告する為にメンバー全員を集めた。
裕ちゃんの表情は硬い。
事情を知っている私と紗耶香も胃が痛い思いだった。
そして、メンバーも裕ちゃんの脱退を知った。
でも、真実は闇の中。
裕ちゃんが伝えたのは自分は娘。以外でやりたい事があるからだ、と。
- 144 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時47分44秒
- メンバーの泣き声が響く部屋を一番に出て行ったのは後藤だった。
その姿を紗耶香は無言で見ていた。
視線を変えて今度は裕ちゃんと無言で見つめう。
そして、ふいに紗耶香は頷いてみせ、部屋を出て行ってしまった。
私が慌ててその後を追いかけようとすると
裕ちゃんが突然話し出したので足を止めた。
「皆、もう泣かんといてや。
まだ一ヶ月期間あるんやし、今直ぐおらんよーなるわけやないし」
「嫌ですー!中澤さん辞めないで下さいー!!」
辻、加護がガッチリ裕ちゃんを抱きしめて泣き叫ぶ。
「二度と会えなくなるわけでもないのに大げさやなぁ。
今と変わらず、この業界に残るって言ってるやんか」
裕ちゃんは苦笑いしながらされるがままになっていた。
私はタイミングを失ったというか、先に話を聞いていたのもあって
ぼんやりとその光景を見ていた。
「矢口を見習えや。動じずにおるやんか」
裕ちゃんのその言葉に皆が一斉に私の方を見た。
「…矢口が一番に泣くかと思ってた」
なっちが少し意外そうな顔をして言う。
「矢口が泣いたからって…事実が変わるわけじゃないし…。
それに………裕ちゃんが自分で決めた事だから…」
自分で言ってておかしいと思った。
確かにこれは裕ちゃんが決めた事だ。
でも、気持ちは…気持ちは娘。から離れたいと思ったわけじゃないんだ…。
そう思うと泣きそうになってしまう。
本当に悔し涙ぽろりだね、裕ちゃん…。
- 145 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時48分55秒
- 「ホンマにえー加減気持ち切り替えるで。
これからミーティングやるんやから!」
裕ちゃんが区切りをつけるように叫ぶ。
「…そうだね。
凄い悲しいけど裕ちゃんの為にも、うちらがシッカリしないと!」
圭織は皆にそう言いきかす。
「矢口ー。ちょっと後藤、呼んで来てくれへん?」
裕ちゃんは私にウインクしてみせる。
「え?…あぁ…うん!」
二人の様子を見て来いってことだね。
そうだ。
私は紗耶香のフォローに回らないと。
これが先にちゃんと裏事情まで話してくれた裕ちゃんの希望だろうから。
- 146 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時50分37秒
- 私はそれからTV局中を探し回った。
どこに行ったんだろう?
あと、見てない所と言ったら屋上くらい?
寒いのにいるはずないかも、と思いながら屋上へと続く階段を上る。
あれ?
屋上の扉が少し開いている。
その少しだけ開いていた扉の間から覗いてみると
…紗耶香と後藤がいた。
二人はお互いの距離を少し空け、柵にもたれていた。
ちょうど扉の傍にいたので少しだけ会話が聞こえる。
なんか立ち聞きが多いよね、私って…。
- 147 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時52分08秒
- 「市井ちゃんとやぐっつぁんは相変わらず仲がいいよね」
「いや、あれは圭織も言ってた通り、ふざけててだなぁ…」
「後藤には関係ないからどうでもいいけどね」
「う、うーん。あの時、話も聞いた?」
「キスしてるとこは見たよ」
「う。…まぁ、それは事実だからしょうがないか」
「…あっそ。それより話って何?」
「あ、あぁ…あのさ、無理な事言うけど
…裕ちゃんの事は気にしない方がいいよ」
「…」
「後藤?」
「…もう、いいよ。…隠さないで」
「は?何を?」
「市井ちゃんは全部知ってるんでしょ?
裕ちゃんの本当の脱退理由…」
「…ん」
「そうだよね…後藤のせいで市井ちゃんも同じような目にあって
脱退したんだもんね」
「??…どういう事だ?」
「後藤がいなかったら市井ちゃんも裕ちゃんも
娘。を辞めることなんてなかったのにね」
「…それは違う」
「お金…貰ったんでしょ?
それで騙されたんでしょ?
知ってるんだよ、後藤は」
「…っ!」
「後藤がいなかったらこんな事にはならなかったかもしれない。
本当の事言いなよ。
……市井ちゃんは後藤の事が憎いんでしょ?」
「…どうしてそんな事言うんだよ?」
「だって!」
「だって?なんだよ?」
「……何でもない。もう戻る」
「話は終わってないだろ!?」
「市井ちゃんと話す事なんてもう何もない…もう、ほっといて」
「…後藤は何にもわかってないね」
「…?……本当にもう戻るから」
- 148 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時53分29秒
- ……なんか泥沼?
それより紗耶香…お金って何さ?
…っていうか、ヤバイ!!
こっちに来る!!
狭い階段の端に身を縮めて隠れる。
後藤は私に気付かずに階段を下りて行ってしまった。
…身体が小さくてよかったよ、矢口。
そして、恐る恐る屋上の扉を開くと紗耶香は柵に肘を付き
物思いにふけっていた。
「…紗耶香」
「やっぱ矢口か」
紗耶香は私が声をかけても振り向かずに返事をする。
「なんだ…立ち聞きしてたのバレてたのか。後藤にもバレてんのかな?」
「それは大丈夫だと思うよ」
そして、二人して無言になってしまう。
- 149 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時54分49秒
- 突然、紗耶香の身体がよろめいた。
私は慌てて紗耶香の身体を支える。
「紗耶香!?大丈夫?!!!」
「あぁ…うん。ちょっと眩暈がしただけ」
「お願いだから無理しないでよ…」
「大丈夫だってば。あのさ、多分…裕ちゃんは知ってると思うんだけど…」
「?…うん」
「あたし、脱退する時にお金貰ったんだよね。しかもかなりの額を」
「……」
ギャラでもめてたって言う噂は本当だったの!?
私は少し驚いた。
「色々とさ、必要だったから…」
「…そっか」
なるほど、そういう事か。
今の紗耶香にはお金が必要なのは事情を聞いて知ったから。
「でもねぇ…どうも後藤はあたしが事務所から多額のお金貰って
厄介払いされて…って誤解してるみたいだね」
ヤレヤレという顔をしてため息をつく紗耶香。
「そういや、そんな感じだったね」
「しかも、全部自分の責任だと思ってる…」
少し複雑だ。
確かに後藤が娘。に入らなかったら
こんなに問題が多発する事はなかったかもしれない。
でも、それは後藤一人のせいじゃない。
後藤のせいじゃない…。
「こっちにいられる間
あたしが後藤の為に出来る事が
やっと見つかったような気がする…」
紗耶香はキッパリとそう言った。
「何を突然…それに、どういう事さ?」
私には意味がわからない。
でも…紗耶香は私を見て
ただ微笑んでいるだけで何も答えてくれなかった。
- 150 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時55分55秒
- ――ねぇ?後藤…。
あたしは後藤の心の中を全て知ることは決して出来ないけれど。
きっと後藤は今からあたしがやる事を嫌がるかもしれないけど。
それでもあたしは前へ進むよ。
後藤の為なら全てを失ってもいいんだ。
今のあたしには恐れるものはもう何もないんだから。
きっといい方向に事は転ぶと思う。
あたしが後藤を救ってあげる。
だから、許してね。
その結果、たとえ二度と会うことが出来なくなったとしても…――
- 151 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月11日(水)23時58分17秒
- ―++ここで休憩++―
長っ!!
区切りのいい所まで上げたら長くなってしまった…。
ちなみに最後の独白は市井ちゃんです(何回も説明すんなよ)
ついでにこれで矢口バージョンは終わりです。
- 152 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月12日(木)00時21分41秒
- いちごまの絡み全然少ないのにとても引き付けられるッス・・
がんばって下さい。
- 153 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月12日(木)00時31分30秒
- 市井ちゃ〜ん!頑張って〜!!
そして後藤を救ってあげて…(泣)
- 154 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月12日(木)05時33分46秒
- 市井ちゃんなにをする気なんだい?
もう会えなくなるかもってどうゆうことなんだい?
続きが楽しみでもあり、恐くもあり複雑です。
- 155 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月13日(金)01時07分30秒
- 階段を一気に下りて近くの自動販売機まで走ってきた。
少し息が切れていた。
『…後藤は何にもわかってないね』
市井ちゃんの言葉が頭の中をよぎる。
何が?
わかってないのは市井ちゃんの方だよ。
今まで私がずっとどんな想いでいたか…。
市井ちゃんがいなくなってどれだけおかしくなったか。
私の心も環境も。
わかってないのは市井ちゃんの方…。
でも、私は今の市井ちゃんの何を知っているというんだろう…。
「何にもわかってない…か」
私は誰に言うでもなくポツリと呟いた。
- 156 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月13日(金)01時08分22秒
- 皆のいる部屋に戻ると裕ちゃんはもういなかった。
少しだけ気が楽になる。
…私のせいで裕ちゃんが脱退してしまう。
裕ちゃんの顔を見ると考えたくなくても考えてしまう。
私はこのまま娘。にいていいの?
でも、もう私の意志だけでは何も出来ない。
周りの大人達に全て操作されてしまうから…。
- 157 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月13日(金)01時11分09秒
- ラジオの収録日。
私は打ち合わせが終わると圭ちゃんとよっすぃーから離れて
一息ついていた。
二人共、私のソロを応援してくれている。
でも、裏では良く思ってないんだろうなぁ・・・。
本当の事なんてわかんないけど。
ため息をついていると声をかけられた。
「後藤ー」
この声は…。
「何?今、休憩中なの?」
「・・・市井ちゃん。なんで?」
市井ちゃんがこんな所まで来るのは珍しい。
娘。としての仕事の時はいつもいるけど。
「これから、あたしがこっちにいられる期間は後藤と一緒にいようと思ってさ」
「・・・何考えてんの?ほっといてって何度も言ってるのに…」
「そう言われたら一緒にいたくなるんだよねぇ。不思議だなぁ」
市井ちゃんは笑いながらそう言った。
わからない。
市井ちゃん…何を考えているのさ?
この前、やぐっつぁんとキスしてたくせに。
私の事なんて好きでも何でもないくせに。
今の私は市井ちゃんと一緒にいるのは辛いんだよ。
お願いだからわかってよ…。
- 158 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月13日(金)01時14分44秒
- 「紗耶香?あんた、何してんの?」
圭ちゃんが市井ちゃんに気付き近寄ってきた。
市井ちゃんは圭ちゃんにニカっと笑顔を見せ、こう言った。
「後藤をイジメに来たの」
「はぁ?!!!」
それを聞いて圭ちゃんは大声を上げる。
私も市井ちゃんが言ってる事の意味がわかんない。
「だってさ、ムカつくじゃん。
裕ちゃんが辞めるのって、明らかに後藤のせいでしょ?
事務所のやり方っていうのもあるんだろうけど
きっと裕ちゃんもさぁ、後から入ってきたのに
後藤だけが目立ってるのが気に入らなかったんだよ。
デビューして三年間こんなに頑張って来たのにさ。
圭ちゃんも吉澤もそう思うでしょ?」
市井ちゃんが冷ややかに笑いながらそう言うのを聞いて
圭ちゃんは凍りついていた。
私は私で混乱していた。
市井ちゃんは裕ちゃんが娘。を辞める本当の理由を知っているはずなのに。
それなのに何を言い出すんだろう!?
「市井さん!」
少し離れた所にいたよっすぃーはズカズカと近寄ってきた。
明らかに怒っている。
「ごっちんに謝って下さい!そんなの誰も思ってませんよ!!」
「嫌だね。本当の事言っただけじゃん」
なんでもないような顔をしている市井ちゃんに
よっすぃーはますます感情を露にした。
- 159 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月13日(金)01時16分24秒
- 「市井さん!おかしいですよ!前はそんな事言う人じゃなかったのに・・・」
「ははっ。吉澤が知らなかっただけじゃないの?あたしは前から毒舌ばっかだよ」
市井ちゃんはニヤニヤしている。
よっすぃーは怒りのあまり肩が震えていた。
その肩を引き、よっすぃーの前へ立つ圭ちゃんは複雑な顔をしていた。
「紗耶香、あんた何考えてんの?」
「別に?思った事を口にしただけじゃん」
「…嘘」
「ははっ。嘘って何を根拠に?」
「だって、あんたには時間が…」
「圭ちゃん!」
「……」
「…それは言わない約束だったよね?」
「……ごめん」
それだけ言って圭ちゃんは黙り込んでしまった。
わからない。
二人の会話を気にする事が出来ないくらい私は混乱していた。
わかった事はただ一つ。
「…市井ちゃんはやっぱり後藤の事が憎いんだね」
- 160 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月13日(金)01時19分35秒
- 「憎い?そうかもね」
ニヤっと笑う市井ちゃんを見てズキっと胸が痛んだ。
「市井さん!!」
よっすぃーが市井ちゃんに掴みかかろうとするのを圭ちゃんが必死で止める。
「紗耶香も、もう止めなよ。吉澤はこっちに来て頭冷やして」
圭ちゃんはそう言いながらよっすぃーを無理やり連れて行ってしまった。
「ははっ。吉澤って怒らせたら怖いねぇ」
市井ちゃんは二人が去った方を見て笑っていた。
−憎い…−
この前は同じ質問をしても答えてくれなかった。
でも、こうして答えられるとキツイ。
私の中での市井ちゃんという存在の比重が高い事を物語っているんだ。
「……メンな」
「…え?」
今…何か聞こえたよ…ね?
市井ちゃんは私の方なんて向いてなかったからちゃんと聞こえなかったけど。
…ゴメンって言ったの?
それとも私の空耳?
「後藤もそろそろ戻った方がいいんじゃないの?
あたしは帰るよ。じゃあね」
市井ちゃんは手をヒラヒラさせながら帰ってしまった。
やっぱり、空耳だったのかな…。
- 161 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月13日(金)01時25分15秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<相変わらず日本語おかしいわね!
っつーか、今度はごっちんバージョンなのね!!私は!?
>152さん
ありがとうッス!恐縮ッス!!(笑)
いちごまの絡み…やっと絡んでこれかい!と、突っ込んでやって下さい(爆)
>マルボロライトさん
いつもありがとうッス!(笑)
ごっちん、救われるといいんだけど(^^;
>154さん
そう言ってもらえて嬉しいッス(笑)
市井ちゃん・・・おかしくなってますね(^^;
- 162 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月13日(金)02時19分10秒
- 読んでる方はわかってるだけになおつらい・・
- 163 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月13日(金)03時54分48秒
- 痛い、痛すぎるぞ〜!!
いちごま両方に救いがあることを、願わずにはいられない〜!!
- 164 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月15日(日)01時34分01秒
- 2人とも辛い方を選択してる…
でもそうしなければいけない理由も分かるから…辛いっすね〜
>161のヤッスーへ(笑)
ごまの顔文字と同じくらい心が和むのは何故だろう(笑
- 165 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月17日(火)23時29分56秒
- ここ最近のスケジュールは殺人的だ。
ソロデビューも本来、一ヶ月遅かったはずなんだよね。
でも、裕ちゃんの脱退がわかって事情が変わったみたい。
おかげでC/Wもないし、TV出演の予定もなんかもバタバタして決まっていった。
そうでなくてもレギュラー番組や特番の撮りもあれば
コンサートも近いからリハがあるし。
ハッキリ言ってかなり疲れていた。
こうして考えてみると裕ちゃんの作戦は効果があるのかも。
明らかに周りは慌しく動いているから。
でも、裕ちゃんの脱退の件がなかったとしても波風たってたに違いない。
後から入ってきた私が一番にソロデビューするだなんて
それ以前からのファンには腹立たしいに違いないし。
裕ちゃんの脱退でファンに責められるのと
ソロとして娘。からいずれ完全に抜けてファンに責められるのと
私にとってはどちらがツライんだろ?
…今はもう頭が働かない。
色々あり過ぎて。
- 166 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月17日(火)23時30分50秒
- 「後藤ー、何してんねん?」
私がぼんやりしていると裕ちゃんに声をかけられた。
そして、手にしていたジュースを私に差し出した。
「これ、飲むか?」
「ありがと」
私がペットボトルの栓を開けている間に裕ちゃんは隣に座る。
ここはTV局の控え室。
他のメンバーはまだ時間があるという事でコンビニに行っていた。
「そういや、紗耶香は?」
裕ちゃんは自分も手にしていたジュースを飲みながら聞いてきた。
「…知らない」
「後藤もなぁ、さっさと素直になりや。脱退会見すんの明日やで?」
「明日!?」
「そや。ちょっとドキドキやねんけど。プレッシャーに弱いしなー」
裕ちゃんはもうちょっと早くにしたかったけどなぁと、言いながらため息をついた。
「明日…」
「んー…自分自身のことはそない心配してへんけど娘。の方が心配やわ」
きっと、大騒ぎになるんだろうなぁ。
裕ちゃんいないと娘。はどうなるんだろう…。
- 167 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月17日(火)23時31分39秒
- 「ま、なんとかなるって。
でも、週刊誌に私と後藤が仲悪いやなんやって出てたからなぁ。
ホンマあほくさい事やねんけど
ちょっと時期悪かったから周りの反応はキツイかもしれへん。
私は別に気にしてへんけど後藤は大丈夫か?
辛くなったら素直になって紗耶香頼りや?支えになってくれるはずやで」
「…」
「だから!なんで、そこまで拒むねん?」
「だって…市井ちゃんに頼る事なんて出来ないよ」
私がシュンっとしてそう言うと裕ちゃんはため息をついた。
「紗耶香が何の為に戻って来たと思うてんの?あんたの事を想ってるからやで?」
「…嘘だ。だって、『私の事憎んでるでしょ?』って聞いたら
『そうかもね』って言ったもん」
「はぁ〜?なんやそれ!?」
裕ちゃんは大声を上げる。
- 168 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月17日(火)23時33分25秒
- 「紗耶香の奴、何考えてんねん?」
「さぁ?やっぱ後藤の事嫌いなんじゃないの…」
自分で言ってて辛くなる。
泣きそうになってる私を見て裕ちゃんは抱きしめてきた。
「後藤はどうなんや?紗耶香と仲直りしたないんか?」
「…だって、後藤のせいで市井ちゃんは娘。を抜けたんだもん」
「はぁ?」
「あの頃、プッチで人気が急上昇した市井ちゃんは後藤を売り出すのに邪魔だった。
だから、ちょうどお金も問題でモメたからそれを利用して厄介払いしたって…。
前のなっちのスキャンダルだって記事を抑えようと思えば抑える事が出来たんでしょ?
でも、それをやらなかったのは…。
後藤のせいでメンバー皆が不幸になっていくんだ…。
私は別に人気が一番にならなくてもいい!
娘。を抜けてソロにならなくてもいいのに!
もう、嫌だよ……」
最後にはもう涙声になってしまっていた。
「後藤…」
裕ちゃんは少し力を入れて私を抱きしめ直した。
「市井ちゃんが後藤を憎むのは当たり前だよ。
だから、後藤は市井ちゃんに頼る事なんて出来ない…」
「私は真実をちゃんと知ってるわけやない。
後藤が言ってる事も真実かどうかなんてわからん。
でもな、紗耶香の事は違うってのはわかる」
「…どうして?」
「だって、紗耶香が後藤を憎む事なんてありえへんもん。紗耶香はそんな奴やないから」
「……」
「紗耶香には紗耶香の事情があって娘。を抜けたんや。
だから、後藤は自分を責めたらアカンて」
「ぅ…裕ちゃん…」
私は裕ちゃんの胸の中で泣きじゃくった。
その間、ずっと裕ちゃんは頭を撫でてくれていた。
そして、ポツリと呟いた。
「憎んでるっていうのを否定せんかったのは
紗耶香なりに考えがあっての行動なんかもしれへんなぁ…」
- 169 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月17日(火)23時46分02秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<私がサブリーダーよ!私の時代がやってくるのよ!!
大阪二連チャンで体調崩しました(爆)
でも、生黒ごま、やぐちゅーを見れたので良しとしよう。
>162さん
まだまだこの状態が続くかも(^^;
>163さん
ハッピーエンド好きですけどイタイのも好きなもんだから(^^;
>マルボロライトさん
いつも思うんですけどヤッスーの顔文字作った人ってスゴイっすね(笑)
- 170 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月18日(水)00時27分09秒
- 現実のマスコミの噂とリンクして辛いっす…
大人の包容力を持った裕ちゃんが素敵です♪
市井ちゃんも辛いとこですね〜でもガンバ!!
- 171 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月18日(水)01時35分51秒
- そして、会見の日。
その前にレギュラー番組の収録があったので控え室にメンバーは集まっていた。
しかし、空気は重い。
いつもうるさい加護と辻までもが今日は静かだった。
裕ちゃんはといえば忙しいらしく、まだ来ていなかった。
「なんか暗いねぇ。
皆が暗くなってても会見は行われちゃうんだから
意味ないと思うんだけどなぁ」
市井ちゃんは能天気にそう言う。
「ちょっと、紗耶香!」
やぐっつぁんが慌てて止めようとしたけど市井ちゃんの言葉は止まらなかった。
「大体、誰のせいでこうなったんだっけ?」
その瞬間、メンバー全員の冷たい視線が市井ちゃんに集まる。
また?!
前に言ってた後藤いじめって言うのは本気なわけか…。
「紗耶香…何が言いたいの?」
なっちが眉間にシワをよせて聞く。
「またまたぁ。わかってんでしょ?全ては後藤のせいじゃん」
笑いながらそういう市井ちゃんによっすぃーが掴みかかった。
「また何を言い出すんですか!?」
「後藤の事になったら熱くなるね、吉澤は。
後藤、よかったじゃん。いい親友が出来て」
笑いながら言う市井ちゃんによっすぃーは詰め寄ろうとする。
しかし、後ろから圭織に止められた。
「紗耶香…どういう事さ?」
- 172 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月18日(水)01時37分20秒
- 「だーかーらー。今の娘。じゃ後藤が目立ちまくるから
それが気にいらなくて裕ちゃんは辞めるんだよ。
何度も同じような事言わせないでよ」
当たり前のように言う市井ちゃんを見てよっすぃーはまた殴りかかろうとする。
「いい加減な事を言わないで下さい!!」
「吉澤!止めなってば!!」
圭織はよっすぃーを羽交い絞めにして止める。
「新メンバーはまだしも、オリメンの皆だって正直
後藤の事務所の扱いにはムカついてんでしょ?
あたしだってそれで辞めたんだから」
ますます冷たい視線で市井ちゃんを見るメンバー達。
私はただ立ち尽くしていた。
裕ちゃん…やっぱり市井ちゃんは私のこと憎んでるんじゃん。
完璧に嫌われてる…。
この部屋の空気が重いこともあって胃までおかしくなりそうだった。
「後藤ちゃんはあたしがずっとこう思ってたって知ってたかい?」
市井ちゃんは意地悪そうに笑う。
…胃が痛い。
「あたしって後藤の事、ムカついてたのに仲良くしてあげてたんだよ。
泣かせる話だと思わない?
それなのにさ、コロっと態度変えやがって。
再会してからあたしの事を邪険にしちゃってくれてさ。
こっちはますます気分悪いっつーの」
市井ちゃんはそう言いながら鼻で笑った。
私が完全に言葉を無くしていると部屋中に激しい音が響いた。
- 173 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月18日(水)01時38分03秒
- よっすぃーが隣の壁に拳を打ちつけた音だった。
「………それ以上言ったら、いくら市井さんでも許しませんよ」
いつもの声より遥かに低く呟くよっすぃー。
「吉澤は関係ないでしょ。引っ込んでてくんない?
ハッキリ言ってウザイんだけど?」
「…なっ!」
よっすぃーが反論しようとするより前に圭織がぽつりと呟いた。
「…紗耶香は間違ってる」
「何が?」
「紗耶香が今やってる事だよ」
その圭織の言葉を聞いて市井ちゃんの顔色が少し変わった。
- 174 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月18日(水)01時38分59秒
- 「やっぱ圭織の電波は怖いなぁ。でも……何も言わないで」
苦笑いする市井ちゃん。
圭織は下を向いて無言になってしまった。
二人の会話の意味がわからない。
何を言ってるの?
戸惑っている私の心を読んだかのように市井ちゃんはこう言った。
「なんか空気がおかしくなってきたね。ま、とりあえず暗くすんのは止めなって」
「市井さんにそんな事を言われる筋合いはありません!」
よっすぃーはそう言って圭織の腕を振りほどいた。
そして、部屋中静まり返ってしまった。
皆の市井ちゃんに向けた冷たい視線はそのままに。
私は過密スケージュールの疲労からか本当に気分が悪くなってきた。
今の状況が状況なだけに頭の中も混乱していた。
傍の壁に寄りかかって立っているのがやっとだ。
「ごっちん、大丈夫?」
梨華ちゃんが心配そうに声をかけてくれるけど
私にはもう答えるだけの気力も残っていなかった。
「ごっちん!!??」
叫び声が聞こえた時には私は床に崩れ落ちていた。
薄れゆく視界の中で最後に見えたのは市井ちゃんの何故か心配そうな顔だった…。
- 175 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月18日(水)01時41分27秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<私の出番は何時なのよ!?
>マルボロライトさん
ホンマにいつもありがとうッス。
なるべく現実に近い話にしようと思ってるので(笑)
ま、作り物は作り物ですけどね。
- 176 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月18日(水)04時40分29秒
- イタイのは嫌いじゃない方だけど・・・
これは辛いっす。
それにしても、よっすぃーコワイよ〜(w
- 177 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月18日(水)23時27分18秒
- ハラハラドキドキ…
アリガチさんの話読んでると、アホみたいな話書いてる自分が情けなくなる(苦笑
ごっち〜ん!大丈夫か〜!?
- 178 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月19日(木)00時31分02秒
- 痛。
この後どうなるんですかぁー!?
- 179 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月19日(木)03時30分41秒
- …夢を見た。
市井ちゃんが抜けて間もない頃の自分の姿が見える。
あの頃、私はかなりヘコんでいた。
そして、新メンバーが注目されて精神的にもキツかった。
今までちやほやされてた分、余計に。
今、市井ちゃんがいてくれたらどんな風に言うだろう?
どうやって慰めてくれるだろう?
…どうして?
どうして今、市井ちゃんは傍にいないの?
今では連絡も全く取れない。
市井ちゃんにとって私はその程度の存在だったの?
同じメンバーじゃなければ会う必要もないって事?
酷いよ。
私をほっておいてどこかに行っちゃうなんて。
市井ちゃんは私の事なんて何とも思ってなかったんだ。
私は市井ちゃんの事がこんなに好きなのに。
そして、市井ちゃんが脱退した理由をしばらくしてから知った。
私のせいなの?
私のせいで市井ちゃんはいなくなっちゃったの?
市井ちゃんの夢を壊したのは私なの?
- 180 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月19日(木)03時32分38秒
- …そして、現在へと場面が変わる。
市井ちゃんにまた会えて本当は嬉しかった。
でも、前みたいに接することは出来なかった。
本当はずっと娘。にいたかったんだよね?
ちょこLOVEを聴いて泣いてた市井ちゃんを見て胸が痛んだ。
心が壊れそうなくらい。
他人に何を言われても、どう思われてもいい。
でも、市井ちゃんにこれ以上嫌われる事だけが怖かった。
だから、再会してからはあまり自分から市井ちゃんに近づくような事はしなかった。
近づかなければ傷つかない。
これ以上、傷つけることもない。
だから、市井ちゃんの存在を無視していこうと思ってた。
気にしない。
やぐっつぁんとキスしてたよね?
気にしない。
どうして突然、冷たい事を言うの?
気にしない…それなのに。
どうして、こんなに私の心は反応するんだろう?
- 181 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月19日(木)03時34分50秒
- どこからか声が聞こえる。
誰の声だろう?
「……バカだね…後悔する…なら…たらいい…の…は」
「…うる…な」
声が遠くてハッキリと聞こえない。
「…犠牲になる…なの?」
「……そんなんじゃないよ」
何を言ってるの?
犠牲って何?
「とりあえず、協力してよね」
「ヤだよ、なんで矢口がそんな役すんのさ…」
「あたしの事情知ってるでしょ。だったら協力するよね?」
「汚っ!矢口が一番貧乏くじ引く事になるやんかー」
「そこをなんとか!おねーちゃん!!」
「こういう時だけー…ちぇ、わかったよ。でも、やるからには徹底的にね」
「ちょ、ちょっと…何?」
「文句言わせないもんね」
「おいおい…今しても意味ないじゃん…って、おいーっ!!」
何?
何してるの?
そして、自分の意識も視界も戻っている事に気付いた。
私の目に入ったモノ。
それは市井ちゃんとやぐっつぁんのキスシーンだった。
「…あ」
先に私が目を覚ました事に気付いたのはやぐっつぁんの方だった。
市井ちゃんもようやく私の方を見た。
- 182 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月19日(木)03時36分20秒
- 「あ、ゴメンー。後藤がいるの忘れてたよ」
「ワリィ、あたしも」
やぐっつぁんも市井ちゃんもあっけらかんとしている。
私は放心状態になっていた。
「まだ調子悪い?自己管理が出来てないようじゃソロなんてやってけないよ」
市井ちゃんのその言葉にまた胃が痛くなる。
もう止めて。
お願いだから。
私は強い人間じゃないんだよ。
「何とか言いなよ?」
ニヤニヤ笑う市井ちゃんを見て段々頭に血がのぼる。
「…何が望みなの?」
「は?」
「市井ちゃんは後藤にどうして欲しいのさ?!
もう、わけわかんないよ!!
後藤が嫌いならこうして傍にいないでよ!
どっかに行ってよ!!
それに後藤が倒れたっていうのにやぐっつぁんとイチャイチャしてるなんて
どういう神経してんの!?」
私はヒステリーを起こしたように叫んだ。
…気がおかしくなりそう。
ハアハアと肩で息をつく。
「後藤…」
そんな私を見て市井ちゃんは少し動揺しているようだった。
- 183 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月19日(木)03時38分31秒
- 部屋にいる三人はしばらく無言になっていた。
自分の息遣いが大きく聞こえる。
そして、最初に口を開いたのはやぐっつぁんだった。
「…ふーん。『どっかに行って』か。じゃ、矢口がもらうよ?」
「え?」
「矢口ね、ずっと紗耶香の事が好きだったの。後藤が現れる前からね」
「そうなの?矢口ってば。それならそうと早く言ってくれよぉ」
市井ちゃんは嬉しそうにやぐっつぁんに抱きつく。
私は俯いて唇を噛む。
「…勝手にすりゃいいじゃん。後藤には関係ないもん。
市井ちゃんも望んでる事みたいだし」
「あたしが望む事ね…そんなの一つだけだよ」
「……何?」
「…後藤があたしを嫌う事」
?!
…何言ってんの?
逆でしょ?
でも………そうか。
私達はもう傍にいてはいけないって市井ちゃんもわかってるんだ。
お互いを傷つけるだけしか出来ないもんね…。
「…わかった」
たったこれだけの言葉を口にするだけなのに搾り出すような声にしかならなかった。
でも、ちゃんと市井ちゃんには聞こえたみたいだ。
「…サンキュ」
ただ、それだけの言葉が痛い…。
- 184 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月19日(木)03時46分02秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<重っ!!
>176さん
よっすぃー怖いッスか?(笑)
彼女が一番何度も嫌な言葉聞いてますからねー。
そりゃ怒るわ(笑)
>マルボロライトさん
自分の話には遊びテイスト入れられないですから羨ましいですよ(笑)
ちなみにマルボロライトさんとこの圭織が好きです。
>178さん
痛いッスか(笑)
次は休憩挟むのでまだマシだと思いますが。
その後は・・・(苦笑)
- 185 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月19日(木)04時18分07秒
- 作者さ〜ん!!この作品読んでると俺の胃もキリキリ痛みます。(w
- 186 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月19日(木)07時08分18秒
- どこまでも・・・・・・なんですね。
つらい・・・・・そして、今後もかぁ・・・・・・泣きそうだ。
- 187 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月19日(木)23時15分00秒
- 痛いよぉ・・・(泣)。
いちーちゃぁぁん。
けど読みたいんだなぁ。続き期待してます。
- 188 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月20日(金)01時11分11秒
- その後、収録はなんとか終わり、裕ちゃんは会見をする為に一人帰ってしまった。
「会見では綺麗なお姉さんぶりを見せたるからなー」
別れ際に笑顔でそう言いながら。
他のメンバーはダラダラと着替えをしていた。
今日は一日中空気が重い。
それぞれのため息をつく回数も半端じゃなかった。
それでも市井ちゃんはやぐっつぁんとイチャイチャしてた。
見るつもりはなくても視界に入る。
気にしちゃいけない。
でも、ズキズキと胸が痛んだ。
そして、メンバーの市井ちゃんに対する悪口も半端じゃなかった。
それを私が気にしてると思ったのか、よっすぃーが声をかけてきた。
「ごっちん、調子はどう?」
「うん。なんとか大丈夫だよ」
「なら…いいんだけど」
そう言いながらよっすぃーは横目で市井ちゃんを見る。
「市井さん…なんか、変わっちゃったね。
この前までは普通だったのに…。正直ガッカリしたよ」
「…」
何も言えなくなる。
私も同じような事を思っていたから。
二人して黙り込んでいると梨華ちゃんのよっすぃーを呼ぶ声が聞こえた。
「今は辛い事ばっかりかもしんないけどあんまり溜め込まないようにね」
そう言ってよっすぃーは梨華ちゃん達がいる方へ戻っていった。
私はため息を一つつき、手早く着替えて部屋を出た。
ちょっと夕日でも見に屋上にでも行ってみようかな。
そうでもしないと明日の仕事にまで響きそうだよ…。
気分転換なんてしたところで何も変わらないような気もするけど。
- 189 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月20日(金)01時13分21秒
- 屋上の扉を開くと鼻歌が聞こえてきた。
この曲聴いた事ある、と思ってたら鼻歌が止まった。
そこにいたのは市井ちゃんだった。
「…まだ帰ってなかったんだ?」
市井ちゃんはヘッドホンをつけたまま私を見て言った。
「あぁ…うん」
さっきまでメンバーと一緒の部屋にいたのを見てたから油断した。
まさか、市井ちゃんもここにいるなんて…。
どうしよう…。
このまま引き返そうかな…。
気まず過ぎるよ…。
それなのに市井ちゃんは普通に会話を振ってきた。
「あ、もしかして鼻歌聴こえちった?」
市井ちゃんはカッコ悪いなぁ、と笑いながら言いヘッドホンを外す。
どうしたらいいんだろう?
普通に会話を続けるべき?
「…今のなんて曲?」
「中谷美紀さんの『クロニック ラブ』だよ。
この前、喫茶店で流れてた有線でかかっててさ。
気にいっちゃったんでCD買ったんだ」
そのタイトルには聞き覚えがあったけど少し前の曲じゃなかったっけ?
「なんで今頃、その曲聴いてるの?」
「うん。詩がね…なんか、好きでさ」
市井ちゃんはそう言いながら穏やかな表情になった。
「ふーん」
「ちょっと聴いてみる?」
市井ちゃんはそう言いながら私にヘッドホンをつける。
ずっとかけっぱなしだったMDから英語の歌詞が聴こえてきた。
「どう?いい曲っしょ?」
「…何言ってるのかわかんないよ」
「ははっ。後藤は英語苦手だもんね」
そう言って市井ちゃんは笑った。
いつもの市井ちゃんだ。
- 190 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月20日(金)01時15分26秒
- 「後藤さ、ちょっとは勉強しなよ。もう高校生になるんだからさ。
ちょうどいいや、この曲の英語でも調べてみたら?」
市井ちゃんはそう言ってカバンからCDを取り出す。
「なんでCDまで持ち歩いてんの?それMDでしょ?」
私は市井ちゃんのウォークマンと渡されたCDを交互に見ながら
疑問に思った事を言う。
「まだちゃんと覚えてないから歌詞見る為にね」
「市井ちゃんだってバカなんじゃん」
「…うるせぇな」
市井ちゃんは少しムっとして…そして、やがてふっと笑った。
「なんかやっと会話らしい会話してるって感じがするね」
「……」
「まーた黙る」
市井ちゃんがわからない。
数時間前は私に嫌いになれ、なんて言っておきながら
今ではこうやって昔みたいに優しくなったり。
だから、聞いてみる。
「…市井ちゃんが何を考えてんのかわかんない」
「別に何も考えてないもん」
「嘘だ」
「さてねぇ?」
市井ちゃんはわざとらしく肩をすくめ
そして、また鼻歌を歌う。
その仕草に段々腹が立ってきた。
答えにならない答えを返さないでよ!
なんなの!?
市井ちゃんって二重人格なの?!
徹底的に悪い態度で接してくれないとこっちだって対応に困っちゃうよ!
だって…私はまだ……。
…嫌いなら嫌いってハッキリ言ってくれればいいのに!
そして、イライラしてた私を市井ちゃんが抱きしめてきた。
- 191 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月20日(金)01時17分20秒
- 「!?」
突然のことに私の身体は硬直する。
「あー…ゴメン。ちょっと気分が悪くてさぁ…。
もう少しだけこのままでいさせてくんないかな?」
市井ちゃんの顔は見えないのでどういう表情をしてるのか
わかんなかったけど本当に少し辛そうだった。
「…だ、大丈夫?」
私はイライラしてたのも忘れて、今度はドキドキしながら聞くと
「んー。なんか今日の後藤は優しいねぇ。
あたしは後藤にあんな酷いことばっか言ってたのに」
「…市井ちゃんだって優しかったり、冷たかったりするじゃん」
「うーん。ダメだなぁ。二人っきりになるとダメだ、あたし。
これじゃ矢口に申し訳ないな」
「…」
今、ここでやぐっつぁんの名前なんて出さないでよ。
なんかムカムカしてくる。
なのに、私の気持ちなんておかまいなしに市井ちゃんは続ける。
「意思の弱さがあたしの自身の弱さかもしんないなぁ。
だから後藤は頑張ってあたしを嫌ってね」
「…」
意味がわかんない。
いっそのこと嫌いになれたらどれだけ楽か。
簡単そうで難しいんだよ。
こうやって優しくされると、ますます難しいんだって事わかってんの?
そして、しばらく無言のまま抱き合っていた。
「裕ちゃんの会見…もう始まってる頃だね…」
市井ちゃんがポツリと呟くように言う。
その言葉を聞いて一気に気分が沈む。
思わず下を向いてしまう。
「これで全て上手くいけばいいけど…」
「…全て?」
「……んにゃ。何でもない」
「何さ?」
市井ちゃんは私から離れた。
「後藤は知らなくていいの。とりあえず高校生になるんだから
英語の勉強でもやってな」
「…それとこれとは関係ないじゃんか」
私が不満顔をすると市井ちゃんは笑っていた。
- 192 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月20日(金)01時22分25秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<気が付いたら既に話の半分過ぎてるわ!イイ感じ!!
>185さん
胃が痛みますか・・・(苦笑)
今回の話で少しはマシになったでしょうか?
>186さん
なるべく長くしないようにしたいと思ってるんですけども。
耐えて下さい(笑)
>187さん
今回はさほど痛くないと思われますがどうでしょ?(笑)
続きの催促、ありがとうッス!
- 193 名前:185 投稿日:2001年04月20日(金)03時22分42秒
- 今回の話を読んで痛みが少し和らぎました。
でも、この先また痛み出すのかな?(w
それでも、続きが気になって仕方が無いんですよ〜!!
- 194 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月21日(土)01時43分08秒
- 案の定、裕ちゃんの脱退は世間を騒がせた。
ファンの間でも賛否両論。
基本的に私とは関係なさそうな感じだった。
メンバーも私に対してはいつもと変わらなかったけど
明らかに市井ちゃんへの態度がおかしくなっていた。
そして、現に今もTV局の控え室でまたモメていた。
「紗耶香ー。いい加減にしなよ」
「何がさ?」
「後藤を悪く言うの止めなよって言ってんの」
「事実を言ってるだけだもん」
市井ちゃんは終始ニヤニヤして、周りのメンバーは眉間にシワを寄せている。
一人、やぐっつぁんだけはハラハラしながら見ている。
まただ。
市井ちゃんってどうして皆がいる所ではこんなに私に対して攻撃的なの?
二人っきりの時に言えばいいのに。
でも、二人っきりの時はそれほどキツイことは言わない。
どうして?
屋上のあの時だけ優しかったの?
私がまた混乱していると市井ちゃんは見透かしたかのように私の方を向いてニヤっと笑った。
「後藤もさぁ、違うなら違うって言い訳した方がいいんじゃなの?」
確かに違うけど、本当の事を言えるわけがない。
言ったら裕ちゃんが皆に黙っている意味がなくなっちゃう。
「あたしが指導するって時はあんなに反抗してたくせにさ。
自分の都合が悪くなったら黙り込むってわけ?
後藤って昔と全然変わってないんだね」
市井ちゃんは私の胸ぐらを掴んで脅すように言う。
「紗耶香!」
圭ちゃんが驚きの声を上げる。
そこまで言われるとさすがの私も頭に血がのぼる。
「どうして…どうして、そこまで言われないといけないのさ!?」
「逆ギレか…面白いじゃん!」
そう言って、壁際にそのまま押し付けられた。
- 195 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月21日(土)01時44分26秒
- 周りは静まり返ってこっちを見守っている。
「そういうとこが前から気にいらなかったんだよね。
調子に乗りすぎてるんじゃないの!?」
口調は怒ってるけど言った後に少し笑顔が見えた。
何?
よくわからない。
でも、余裕見せてるみたいでそれが少しムカッと来た。
バカにしてんの?
私は市井ちゃんを睨み返す。
「別に後藤は何もしてないよ!」
「良い子ぶるのもいい加減にしろっつーの!」
「そんなんじゃないもん!!」
「市井さん!」
そこでよっすぃーが市井ちゃんの肩を取った。
「何?吉澤、また邪魔すんの?」
市井ちゃんは私から手を離し、少し不機嫌そうな顔をして振り返る。
「この部屋から出て行って下さい。もう、ごっちんに近づかないで下さい」
「よっすぃー!?」
私は少し慌てて言うが市井ちゃんが言葉を続ける。
「なんの権利があって吉澤がそんな事言うわけ?」
「皆も同じ気持ちですよ。私だけじゃありません」
よっすぃーにそう言われて市井ちゃんと私は皆の表情を見る。
…敵意を剥き出しにした表情になっていた。
「ははっ。こりゃ、まいったなぁ。とりあえず、今日は退散するか」
市井ちゃんは全く困っていない口調でそう言う。
それが気に障ったのか、よっすぃーは静かにこう言った。
「もう二度とごっちんに関わらないで下さい」
「そうはいかないんだな」
ニヤっと笑って市井ちゃんは部屋を出て行った。
- 196 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月21日(土)01時45分35秒
- 部屋の中でそれぞれが大きくため息をついた。
加護、辻なんかは泣きそうな顔をしている。
やぐっつぁんが市井ちゃんを追うようにして部屋を出て行くのを
圭織はぼんやり眺めていた。
そして、よっすぃーはため息をついて私の肩に手をのせた。
「ごっちん、大丈夫?」
「後藤は大丈夫だけど…」
「あんなに酷い事言われてるのにまだ庇うつもり?
ごっちん、いい人過ぎるよ」
「そんなんじゃないけどさ」
「ならいいけど。私は何があってもごっちんの味方だからね」
その言葉に救われる。
そうだよね、いつもよっすぃーが助けてくれてるもんね。
「ありがと、よっすぃー」
私が泣きそうになりながらよっすぃーに抱きついていると、裕ちゃんが部屋に入ってきた。
「うおっ!空気重っ!!あんたら何やってんの?」
「紗耶香に会った?ちょうど出て行ったとこなんだけど」
圭ちゃんは沈んだ声で言う。
「いや、会わへんけど?」
「そう…」
「よーわからんな。紗耶香がどうかしてん?」
「裕ちゃん…そろそろ紗耶香……ヤバイよ」
圭織が裕ちゃんに深刻そうな顔をして話し掛ける。
「ヤバイって何がやねんな?」
「なんかね、ビビッ!とキタんだよ。圭織にはわかるんだ…」
「何がどうなってんのかサッパリわからへんけど嫌な事言わんといてや」
裕ちゃんは事情が全く掴めず眉間に皺を寄せ首を傾げていた。
- 197 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月21日(土)01時48分38秒
- 裕ちゃんが圭ちゃんと圭織から事情説明を受けている間に私は一人、部屋を出た。
もうダメだ。
市井ちゃんにはついていけない。
私に嫌えって言ったかと思ったら優しく接してくるし。
わけわかんないよ。
離れようとしても向こうから近づいてくるし。
本当は何を望んでんの?
今までにも何回か同じ事を考えてみたけれど答えが出るわけがない。
市井ちゃんは何も言わないし、また改めて聞くことも出来ない。
その理由は真実を知るのがなんとなく怖かったから。
「…わかったってば。ま、いつかはそっちに帰るから。
今?今は裕ちゃんとこに泊まってるよ」
市井ちゃんの声?
廊下の角を曲がると携帯で電話してる市井ちゃんの姿が見えた。
傍にはやぐっつぁんもいる。
「はぁ?…わかってるよ。ちゃんと約束は守るよ。じゃね」
「…紗耶香。お母さん、何て?」
「帰って来いってうるさいんだよね。
ま、確かに一度も戻ってないし…仕方ないよね」
「それで?」
「後は…ま、あの事だよ」
「…まさか迷ってるとか言わないよね?」
「………さぁ?」
「何?今の間は」
「ヤダなぁ。矢口ってば考えすぎだって」
市井ちゃんは何かを誤魔化すようにやぐっつぁんに抱きついた。
実家に戻ってなかったんだ…。
と、いうことはすぐ娘。と合流してたって事?
そういえば期限付きでこっちにいるって言ってたよね。
そもそも、市井ちゃんは何しに私達の所へ戻って来たんだろ?
しばらく考え込んで一人の世界に入り込んでいた私を現実に引き戻す会話が耳に入った。
「でもさ、話は変わるけどもさっきの口論激しかったねー。
矢口、ちょっとハラハラしちゃったよ」
「ひひ。結構あたしは楽しめたよ。吉澤も扱いやすいヤツだね」
楽しそうにいう市井ちゃんを見て不愉快になった。
私の中で何かが音を立てて崩れた。
- 198 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月21日(土)01時52分32秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<またかよ!クドイっつーの!
でも、徐々に終わりに近づいてるのよね!
>185さん
また胃が痛んでないでしょうか・・・?(^^;
続きを楽しみにしてるっつー言葉はマジでありがたいッス!(TT
- 199 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月21日(土)02時34分30秒
- うっ…胃腸薬探さなきゃ(w
圭織になって(市井ちゃんの)電波受信したいよ〜
市井ちゃんの考えてる事が気になる…
>ヤッスーへ
いつも和ましてくれてありがとう(w
- 200 名前:185 投稿日:2001年04月21日(土)03時07分58秒
- 痛んでますよ〜。
症状悪化でもう末期状態です。(w
- 201 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月21日(土)08時11分03秒
- 「いい加減にしてよ!」
私は二人の前に自ら歩み出た。
二人は突然現れた私の姿を目にして少し驚いていた。
「後藤か…何、怒ってんの?」
市井ちゃんはキョトンとしている。
「後藤は別に何言われても構わないけどよっすぃーをバカにしないでよ!」
「…ふーん。本当に仲いいんだね」
「もちろん否定しないけど、市井ちゃんとやぐっつぁんほどじゃないよ」
「じゃ、早くあたし達みたいにラブラブになっちゃえば?」
「ちょ、紗耶香…。なんかマズくない?」
やぐっつぁんが私から何かを感じ取って少し慌てる。
「気にすんなってば」
市井ちゃんはヘラっと笑いながらまたやぐっつぁんを抱きしめる。
そのふざけた仕草を見てプチッと来た。
こっちは真面目に言ってるのに。
怒りが湧き出して止められない。
ここのところ、ずっとこのイライラに耐えてきたけどもう我慢の限界だ。
下を向き、歯を食いしばり、爪が食い込むくらい拳を握る。
「市井ちゃん…後藤に言ったよね?市井ちゃんの事を嫌えって」
「あぁ…言ったよ」
私の声のトーンが下がっているのに気付いたのか、市井ちゃんは少しテンションを下げた。
- 202 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月21日(土)08時12分11秒
- 「じゃあ、言ってあげる。市井ちゃんなんてこの世で一番大っ嫌い!!」
「……」
「後藤の事憎んでるのはわかってるけど本当は何がやりたいわけ?
口だけの嫌がらせだけじゃなくて殴ったりしたらいいじゃん!
気がすむまでやればいいじゃん!!
そんで、もう後藤の前から…皆の前からもいなくなってよ!!
市井ちゃんがいるだけで皆が迷惑してんのわかんないの!?
嫌い!嫌い!嫌い!大っ嫌い!!」
「後藤っ!!」
私がそこまで一気に言うとやぐっつぁんに止められた。
「や。…いいよ、矢口」
「だって、紗耶香…」
二人のラブラブぶりも怒りに拍車をかける。
「もう顔も見たくない!」
私が吐き捨てるように言い、市井ちゃんの顔を見ると意外にも穏やかな顔をしていた。
- 203 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月21日(土)08時13分56秒
- 「…わかった。後藤のお望み通り消えてあげる。二度と姿は見せないから」
市井ちゃんはむしろスッキリした顔をしていた。
まるで憑き物が取れたような表情。
私はまた歯を食いしばった。
必死で何かの痛みに耐えるかのように。
何の感情でこんなに胸が痛くなっているんだろう?
それはきっと何もかもがハッキリしないからだ。
ぶつけるモノが何もないから。
だから強要する。
「……最後に言ってよ」
「何を?」
「…市井ちゃんも後藤が嫌いってちゃんと言ってよ」
その言葉を聞いて市井ちゃんは目を見開いた。
「…言ったらあたしの事忘れてくれる?」
「……忘れるよ。綺麗サッパリと」
「そっか」
市井ちゃんは下を向いて少し寂しそうに笑い、そして意を決したらしく顔を上げた。
「あたしは後藤が…」
言葉の途中で私の視界の中にいる市井ちゃんの身体がぶれた。
- 204 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月21日(土)08時14分49秒
- 「紗耶香!!!!!」
やぐっつぁんが悲鳴に近い声を上げる。
私には何が起きたのかわからない。
ただ、わかるのは市井ちゃんが床に倒れている事だけ。
やぐっつぁんが市井ちゃんの身体を揺さぶって必死に名前を呼んでるけど
それに対しての反応が全くない。
苦しそうに胸を抑えていた。
「どうしたの!?」
そこでタイミング良く圭織がやってきた。
「圭織!ちょうど良かった!紗耶香がっ!!」
やぐっつぁんが泣きそうな声を出しながら圭織にすがりつく。
そして、倒れている市井ちゃんの姿を確認した圭織は素早く市井ちゃんをおんぶした。
「やっぱり…。なんか嫌な予感がビビっとしたんだよね。
圭織がこのまま控え室に連れて行くよ」
辛そうな表情の圭織の理由は市井ちゃんが重いからではなく、今の現状が辛いからだろうか。
「矢口はそこで固まってる後藤を何とかして…って
おいー、矢口!あんたもしっかりしてよー!!」
そう言って圭織は高速で去っていった。
…残された二人はしばらく固まったままだった。
- 205 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月21日(土)08時18分04秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<圭織はいつもタイミングいいわ!憎いね!コノヤロウ!!
>マルボロライトさん
もうちっとで全てわかりますですよ(笑)
( `.∀´)<私の活躍の場はここしかないのよね!
>185さん
うお、末期状態ッスか(苦笑)
もう少しだけ耐えて下さい(^^;
- 206 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月21日(土)13時44分09秒
- い、いちーちゃん?
どしたの?
お願いです!!早く続きを・・・。
- 207 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月21日(土)23時26分30秒
- 言っちゃった…大っ嫌い。嘘でも辛いねごっちん…
しかしそれより市井ちゃんどうした〜!?
ヤッスー助けてあげて〜(w
- 208 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月22日(日)06時55分04秒
- 「……今…何て言った?」
場所は裕ちゃんの家。
ここにいるのは私、やぐっつぁん、圭織、圭ちゃん、裕ちゃん…
そして、傍のベットに寝かされている市井ちゃんの6人。
「ま、後藤が信じられへんのはわかるけどな」
信じられるわけがない。
市井ちゃんが…市井ちゃんが病気だなんて…。
「最初っから話すわな。後藤は紗耶香の脱退とかずっと勘違いしてたし。
紗耶香は脱退する前くらいから自分の身体の異変に気付いててな。
で、病院行って診てもろうたら病気が発覚してんて。
脱退してからは外国の病院で診てもらってたらしいねんけど…。
珍しい病気らしくてな、ついでに妙に長い病名で
サッパリ名前とか覚えられへんかってんけど」
現実味が全くなくてぼんやりと私は裕ちゃんの説明を受けていた。
私が聞いているかどうかなんて気にしないように裕ちゃんは話を続けていた。
「だからな、後藤が紗耶香が脱退したのは自分のせいやって思うてんのは間違いやねんて。
紗耶香は病気の為に娘。を抜けたっちゅーのが真相や」
「…それはわかった…けど、その病気って……」
私はまだ放心状態のままで裕ちゃんに質問した。
自分の意思で話しているという気がしない。
言葉が勝手に口から出ているという感じがした。
「…なんや難しい病気らしくてな…
こっちに戻って来たのも手術する前に一度日本に戻りたかったかららしいわ…」
「手術!?」
「手術せな治らへんらしいわ。その成功率も半分くらいの確率らしいねん…」
成功率が半分くらいって…どういう事?
市井ちゃんが死んじゃう可能性があるって事?
そんなの…嘘だ。
「大丈夫か?後藤…」
心配そうな顔をして裕ちゃんが私の肩に手をのせてきたけど触れられてる感覚がない。
- 209 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月22日(日)06時57分12秒
- 相変わらず呆けたままで私の口は勝手に動く。
「…嘘なんでしょ?」
「はぁ?」
裕ちゃんは眉を上げる。
「全部、裕ちゃんの作り話なんでしょ?
だって、信じられるわけないじゃん…そんなの」
「あのなぁ、こんな状況で冗談言えるかいなぁ」
裕ちゃんは困った顔をしていた。
だって…あんなに元気だったじゃん。
前と変わりない姿で…
それなのに突然、実は病気ですって言われても信じらんないよ。
「だって、本当に病気なら裕ちゃんの家じゃなくて
病院に連れて行った方がよかったんじゃないの?」
「それは紗耶香がどうしてもアカンっちゅーたからや」
「そんなんじゃ信じれないよ。やっぱ、おかしいもん…」
「…ホンマやねんて!」
それまでずっと黙ってたやぐっつぁんが口を開いた。
「矢口も聞いた時はそう思ったさ。でも、ホントの事なんだよ…後藤。
紗耶香、よくタブレット口にしてたでしょ?食事もろくに取らないで。
あれって薬なんだってさ…」
「……皆、知ってたの?」
「矢口は数日前に紗耶香が目の前で倒れて知った。圭ちゃんは裕ちゃんと一緒に知ったみたい。
圭織は自分で察したんだよね?」
「…うん」
いつもなら圭織はやっぱり普通じゃないねってツッコミ入れるところだけど
今はとてもそんな気にはなれない。
「なんかさ、実感わかないんだよね。紗耶香が病人っていうのがさ」
圭ちゃんは市井ちゃんの寝顔を見ながらポツリと呟いた。
同感。
他の三人も同じようだった。
だから、事実を知っても案外普通にいられるのかもしれない。
だって市井ちゃんは傍でいつもと同じように寝てるだけだから…。
- 210 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月22日(日)06時58分23秒
- 脱退の真相はわかった。
でも、まだまだわからない事だらけ。
「じゃあ…市井ちゃんの脱退が後藤の事と関係なかったとすると…」
「何?」
「市井ちゃんはどうして後藤に絡んできてたの?
後藤の事を憎んでたのには変わりないじゃん…」
「…バーカ」
やぐっつぁんはそう言い放った。
「最近、紗耶香が後藤の事悪く言ってた理由を言ってあげようか?
紗耶香は裕ちゃんの脱退が後藤と関係してるかもって思われないようにするのと
ソロの事でメンバーから嫉妬されて冷たくされるのを防いでたんだよ。
むしろ矛先を変えて自分が悪者になって後藤を被害者に見せて
皆の同情を得させようとしてたんだよ」
それを聞いて裕ちゃんはポツリと呟いた。
「あれは紗耶香流のやり方かいな、後藤を守るっちゅー…」
「…」
私は何も言えなくなった。
確かに今回のソロの件で皆に責められるような事はなかった…。
本来なら嫌味の一つくらい言われても仕方ないのに…。
市井ちゃんは私の為に?
身体の調子も悪いのに…。
「ねぇ?一つ聞いていい?」
何も話さなくなった私の代わりに今度は圭織が矢口に質問する。
「何さ?」
「矢口と紗耶香って最近イチャイチャしてたけどアレって意味あんの?
紗耶香って確か…」
ズキズキと胸が痛む。
それはお互いが好きだからじゃ…。
私がそう言おうとした、その時。
「あれは演技だよ」
「え?」
「紗耶香がさー、どうしても後藤に嫌われたいから手伝ってくれって」
やぐっつぁんはため息をつく。
- 211 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月22日(日)06時59分33秒
- 「なんで後藤に嫌われないといけないわけ?」
圭ちゃんが首を傾げながら聞く。
「さっきも言った通り、後藤をより被害者に見えるようにする為と
…多分、こっちにいられる時間がわずかだから後藤と仲良くしたら
別れの時に辛い想いさせると思ったんじゃないかな」
「なるほどね」
圭ちゃんは頷きながら納得していた。
そうだったんだ…。
今思えば、最初再会したばかりの市井ちゃんは普通だったもんね。
きっと途中で裕ちゃんの脱退を知ったから。
それで急に私への態度が変わったんだ…。
でも……別れ…って……。
………。
「それにしても…矢口、ご愁傷様」
圭織がそう言うと
「…ホント貧乏くじ引いたよ、矢口は」
でも、紗耶香の為になるならいいんだ、と苦笑いしながらやぐっつぁんは言った。
「あ!裕ちゃん、電話!」
突然、圭織はそう言ったけど電話の音なんて聞こえない。
「はぁ?圭織、何言うてんの?」
裕ちゃんが不思議そうな顔をしたその時、電話が鳴り出した。
「本当に電話だ!さすがは圭織!!」
圭ちゃんは感心していると、圭織は誇らしそうに笑った。
「ふふん。これくらいちょろいもんだよ」
「すれ違いまくりのそこの二人にもその能力分けてやってや」
裕ちゃんは笑いながら別の部屋にある電話を取りに行った。
皆…わざと場を明るくしようとしてくれてんのかなぁ…。
でも、ゴメン。
やっぱり、まだそんな気にはなれないよ…。
- 212 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月22日(日)07時00分40秒
- 落ち込んでいる私に気を遣ったのか、やぐっつぁんが謝ってきた。
「後藤…ヤな想いさせてゴメン。
紗耶香は別に矢口の事が好きなわけじゃないから」
「ヤな想いって…別に」
「もう意地はることないでしょうに」
「…」
やぐっつぁんはヤレヤレという顔になった。
「圭織、圭ちゃん。夜食買いに行かない?」
「…あ。そだね。圭織、ちょっとお腹空いちゃったよ」
「裕ちゃんの為にビールも買ってこようか。この時間ならまだ大丈夫っしょ」
「えー?もう無理じゃないの?」
「圭織に任せて!お酒置いてるコンビニ見つけてみせるから」
「おー。頼もしいね」
三人はそれぞれに話しながら立ち上がる。
「あ、後藤は紗耶香の傍にいてあげてよー。
目覚めると誰もいなかったってことにならないようにね」
「え…ちょ、ちょっと!」
私が戸惑っている間に三人は出て行ってしまった。
この部屋にいるのは寝ている市井ちゃんと私だけ…。
- 213 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月22日(日)07時07分35秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<散々、引っ張っておいて病名なしかい!しかも、嘘臭いわね!
・・・ずっと病気について何にするか悩んでたんスけど止めました(爆)
色々、調べてたんスけどコレっちゅーのがなかったんで・・・。
最初っからボカしておいてコレかい!と、ツッコミ入れてやって下さい(TT
あー、嘘くせー!(爆)
>206さん
説明にならぬ説明で申し訳ないッス(^^;
>マルボロライトさん
( `.∀´)<ゴメンね!私何もしてないんだよね!!
- 214 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月22日(日)11時32分45秒
- >>213
病名に関しては別にいいんじゃないですか。
去年TBSで高視聴率だったあのドラマも何で車イス乗ってんのかだけ謎だったし。
- 215 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月22日(日)15時23分01秒
- いちーちゃん・・・そうだったのか・・・。
素直になれ!!後藤。
- 216 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月22日(日)23時05分55秒
- テレビの中のやる気のない後藤・・
アリガチさんが書くクロニックな後藤・・・
ものすごくリンクしちゃってみえます・・・・・
- 217 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月23日(月)01時26分37秒
- 二人だけしかいないこの部屋は当たり前だけど物音一つしない。
私は三人が出て行ったドアをぼんやりと見つめたまま立ち尽くしていた。
市井ちゃんが起きたらどうしよう…。
素直になってもいいのかな…。
「…ったく、格好ワリーよなぁ」
私の背中ごしから突然、声が。
「市井ちゃん?起きてたの??」
「…んー、まぁ…ね。くそー、矢口余計な事ばっか言ってさ」
頭をかきながら市井ちゃんはふくれる。
それでもまだ少し顔色が悪いみたいだ。
「身体、大丈夫?」
「…………まぁ、なんとか」
気まずい顔をしながら市井ちゃんは起き上がった。
私が市井ちゃんの寝てるベットに腰掛けると
市井ちゃんは私から視線を外した。
それを見て私はわざと市井ちゃんを見つめる。
「…後藤はまだ信じられないよ」
「何が?」
「今さっき聞いた話、全部」
「…まぁ、そうだよなぁ」
窓の外を眺めながら市井ちゃんは苦笑いする。
「本当に市井ちゃんが脱退した理由は後藤のせいじゃなかったの?
突然、後藤に冷たくなった理由ってやぐっつぁんが言ってた通りなの?
………病気って本当なの?」
私が一気に質問すると市井ちゃんは黙り込んでしまった。
「…どうして黙り込むの?」
「そんなに一度に質問しないでくれるかなぁ…」
「答えてくれないの?」
「うーん…そうじゃなくて。…やっぱり格好ワリーと思ってさ」
「何が?」
私がしつこく聞くと市井ちゃんはやっと私の方へ振り返った。
「全部バレたら今までやってきた事の意味なくなるじゃんよ…」
- 218 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月23日(月)01時28分05秒
- 「皆にもそうだけど後藤にだけは知られたくなかったなぁ」
「…どうして?」
「何も知らないままでいて欲しかったから…」
「…」
「もしね、もしだよ?あたしが二度と後藤と会えなくなるとするでしょ?」
「…嫌な喩え出さないでよ」
「そんで、後藤はあたしの事情も何も知らなくて、あたしの事を嫌ったままで…」
「…止めてってば」
「そしたらさ、あたしの事なんて簡単に忘れられるでしょ?
何もなかったかのように日々過ごせる…。
お互いの為にこれが一番いいと思ってたんだよ」
市井ちゃんは少し寂しそうに笑った。
私は俯き唇を噛む。
…わかってない。
全然、わかってないよ…市井ちゃん。
「市井ちゃんは後藤の事が全然わかってない」
「え?」
「それに二度と会えなくなるって…死ぬって事?
手術受ける前から諦めてんの?!」
「それは…」
「後藤は市井ちゃんの事、一生嫌いになんてなれないよ!
酷いよ!それなのに嫌いだって言えって言うんだもん!!!
後藤の気持ちなんて全然考えてくれてないじゃん!!」
そう叫んだ途端に目から涙が溢れ出した。
- 219 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月23日(月)01時29分54秒
- 「頼むから泣くなってば」
市井ちゃんの困り果てた声。
知らないよ。
勝手に涙が出てくるんだもん。
ポツポツと音を立てながらベットのシーツに水玉模様が出来る。
「…市井ちゃんが好きなの。出逢った時からずっと…」
「……」
「だから、連絡取れなくなって寂しかったし…悲しかった」
「…ゴメン」
「でも、病気のせいだったんだね。
後藤はずっと憎まれてる、嫌われてると思ってたよ。
だから、前みたいに素直になれなかった。
自分から市井ちゃんの傍に行くのが怖かった。
でも、本当は会った時から楽しく話したかった。
前みたいに仲良くしたかったんだよ…」
やっと素直に言えた。
もう自分の気持ちを抑える理由なんてないから。
「…誰が嫌うかっつーの、…バーカ」
そして、市井ちゃんに軽く抱きしめられた。
「後藤に冷たくしようと決めたのは自分だけどさ、結構キツイもんがあったよ。
完璧に徹する事なんて出来なかったしね」
…だからか。
優しくなったり、冷たくなったり。
そのせいで私も戸惑ってばっかだったけど。
「あー、やっと自分の気持ちに素直になれるー。
ったく、二度とこんなのしたくないよ。
はぁ、辛かった…」
市井ちゃんはそう言いながら私を抱き締めた腕に力を入れる。
やっとお互いに素直に話せる。
前は当たり前だと思ってた。
でも、ただそれだけの事がこんなに嬉しいなんて不思議だよね。
「…最初っから素直になってよ」
「それは後藤もじゃん。でもさ、一応ヒントみたいなのは出してたんだよ?
後藤は気付いてなかったみたいだけどさ」
「ヒント?」
私は市井ちゃんの身体から離れて聞き返した。
「ほら、やっぱ気付いてない」
市井ちゃんは軽く笑った。
- 220 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月23日(月)01時31分27秒
- 「ヒントって何の事さ?」
サッパリわかんない。
っていうか、何のヒント?
「さぁね?ちゃんと自分で当てなよ」
「ケチー」
「ちゃんと勉強しとけば簡単なのにさ。やっぱ後藤はバカだ」
「最近、スケジュールがキツくて勉強する時間なんてないもん」
「じゃ、いつまで経ってもあたしの気持ちが後藤に伝わんないって事だね」
「はぁ?」
私が首を傾げていると裕ちゃんが戻って来た。
「…お邪魔すんでー」
「何が邪魔だっつーの」
市井ちゃんは苦笑いする。
しかし、裕ちゃんの真面目な顔をしていた。
どうしたの?と、私が聞く前に裕ちゃんはこう言った。
「紗耶香…お母さんから電話あったで」
この言葉に市井ちゃんはピクっと反応する。
「…何て?」
「こっちにいられる期限は後二日。とりあえず明日実家に帰って来いやて」
「……お母さんってばちゃんとカウントしてたのか」
市井ちゃんは目を瞑って苦笑いしていた。
明日!?
明日になったらまた市井ちゃんと会えなくなるの!?
そんな…。
やっと…やっと、素直になれたのに…。
やっと前の市井ちゃんに戻ってくれたのに…。
市井ちゃんと昔みたいに話せるようになって幸せを感じたのも束の間。
一瞬にして絶望のどん底へと落とされた。
- 221 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月23日(月)01時35分01秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<簡単に終わらないのよね!
>214さん
そう言って頂けると救われます(笑)
確かにあの車イスは謎でしたね・・・。
>215さん
やっと、ごっちんは素直になりました(笑)
いやはや、長かった・・・。
>216さん
ありがたいお言葉・・・しかし、喜んでいいのだろうか(笑)
ごっちん、現実でも頑張って欲しいッスね!
- 222 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月23日(月)02時50分06秒
- 素直になる事は良い事だ、ウンウン(親父ぎみ)
ヒント?…私も後藤並みにバカのようです(w
時間少ないっすね〜明日なんて…
- 223 名前:185 投稿日:2001年04月23日(月)03時04分23秒
- やっと、やっと二人は素直になれたんですね。
おかげさまで、私の胃痛も無事完治いたしました。(w
でも、なにやらこの先の雲行きが怪しいようで・・・
展開しだいでは、再発の可能性アリ。(w
- 224 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月23日(月)20時42分21秒
- スゴイです。わたし、いいように引きずり回されてマス。はあはあ...。一気に読みました。
- 225 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月23日(月)22時33分53秒
- しばらくして買い物に出かけていた三人が戻り
何故か宴会になっていた。
いつものように裕ちゃんはビールを飲み
そして、気分が良くなったのか
やぐっつぁんと圭ちゃんまで無理矢理飲ませたりしていた。
圭織はというと、どこかへ交信中。
市井ちゃんはもう一眠りすると言って寝室から出てこなかった。
三人が騒いでいる中、私はジュースを片手に一人沈んでいた。
もしかしたら、こうしてみんなが騒いでいるのも
何かを誤魔化す為に騒いでいるのかもしれない。
市井ちゃんと会えなくなる。
手術…。
成功するよね…。
市井ちゃんがいなくなっちゃうなんて嫌だよ…。
ため息をついているとカバンの中に入れてあった携帯が鳴り出した。
メールだったらしく一瞬で鳴り止む。
私は内容を確認しようとカバンを手にした。
そして、気付いた。
もしかして、市井ちゃんが言ってたヒントってこれ?
…うん、これしかないよ。
- 226 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月23日(月)22時34分56秒
- 「裕ちゃんー。この家に辞書ってある?」
私の突然の問いかけに一同が静まり返る。
「…裕ちゃんがそんなもん持ってるわけないじゃん」
やぐっつぁんが言い放つ。
「矢口、どういう意味やねん!?辞書くらい持ってるわぃ!」
裕ちゃんはやぐっつぁんをどつく。
悪いけど二人の漫才に付き合ってる暇はないんだ。
さっさとある場所を聞いちゃおう。
「どこにあんの?」
「あっちの部屋の机のとこにあるわ。でも、何すんの?」
「じゃ、借りるね。ちょっと調べ物したいんだ」
「後藤に辞書…似合わないねー」
少し酔ってる圭ちゃんにツッコミを入れられつつ
私は部屋を出ようとすると圭織に声をかけられた。
「ミカがいれば楽だったのにね。頑張って解読しなよ」
「あは。さすが圭織だね。でも、これは後藤一人の力でやらないと」
「うん、そだね」
圭織はニヘっと笑う。
さっきまで交信してたかと思ったら…。
やっぱり圭織はスゴイね。
全部、バレてるや。
- 227 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月23日(月)22時35分41秒
- そして、数時間後。
いつの間にか机に座ったままうつ伏せで眠ってしまっていた。
周りも静かだ。
「…後藤…後藤ってば」
誰かに呼ばれる。
「………うぅん…」
睡眠時間が少なかったから直ぐには目が開かない。
「後藤。起きろって!」
小声で叫ぶような声。
この声は…。
私はゆっくり顔を上げて声の主の顔を確認する。
「なーに寝ぼけた顔してんの」
「…い、市井ちゃん!?もう起きて大丈夫なの?」
ガバッと起き上がった私を見て市井ちゃんは慌てる。
「大声出さない!皆が起きちゃうよ」
そう言われて周りを見渡す。
各自それぞれに床に転がっている。
皆、死体のように眠りこけていた。
「何してんの?こんなとこで」
「ちょっとね…」
何してんの?って聞かれても困るんだけど。
私が少し困っていると思いがけない言葉が市井ちゃんの口から出た。
「ま、いいや。それよか今日時間ある?」
「え?」
- 228 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月23日(月)22時42分04秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<最終章、突入よ!・・・っていうか、章で区切ってないっつーの!
>マルボロライトさん
今回の圭織とごっちんの会話はヒントになってますがどうでしょ?(笑)
ちなみに残り一日が長くなりそうです。
>185さん
毎度ありがとうッス!胃は完治されましたか!よかったです(笑)
再発ですか?多分・・・大丈夫でしょう(笑)
>224さん
ありがとうです!一気に・・・って全部ですか!?マジでご苦労さまです(笑)
通して読むと粗探し出来て違う意味で楽しめると思いますです(爆)
- 229 名前:185 投稿日:2001年04月24日(火)02時55分44秒
- 続きが気になる〜!!でも終わって欲しくない。
この矛盾した気持ちを何とかしてくれ〜!!(w
- 230 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月24日(火)19時16分21秒
- 「はー。今日はいい天気だね」
市井ちゃんは両手を空へ上げ大きくのびをする。
夜が明けたばかりの街に出てきた私達。
周りにはほとんど人影がない。
「でも、いいの?皆に黙って出てきちゃって」
「あたしが折角強制送還から逃げて後藤と一緒に遊びに行こうって
言ってんのに不満なの?」
そう言いながら不満顔になってるのは市井ちゃんの方じゃん。
「だってさ、皆もそうだけど…お母さんも心配してるんじゃ…」
「大丈夫だって。それに、後藤も夕方から仕事入ってんでしょ?
それまでにはちゃんと帰るさ」
「…いいのかなぁ」
私がまだブツブツ言っていると案の定、携帯にメールが入った。
しかし、そこでバッテリーが切れた。
「あ…充電してなかったんだった」
その様子を見ていた市井ちゃんは自分の携帯を取り出した。
「ちょうどいいや。あたしも切っちゃおう」
「な、なんで!?」
「へへ。誰にも邪魔させないようにね」
笑いながら市井ちゃんは携帯の電源を切る。
「さ、どこ行こうか?」
清々しい顔をして私に微笑む市井ちゃん。
そんな顔を見てたら私だけ渋ってるのもバカバカしくなってきた。
市井ちゃんと一緒にいられるのはあと数時間だけ。
今度はいつ会えるかもわからない。
だとしたら、いつまでもゴチャゴチャ考えてる時間ももったいない。
と、いうわけで私は何も考えないようにして楽しむ事にした。
「市井ちゃんー。後藤、お腹減ったよ」
「あ、そっか。朝ご飯食べないとね」
そして、私達はファミレスへ入った。
- 231 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月24日(火)19時18分59秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<こ、これだけ!!??
・・・一週間前から体調悪くて・・・っつーか、風邪が治らず。
続きは後日ということで(^^;
>185さん
やー、マジで有難い言葉ですわ!(笑)
でも、もうちっとで終わるんですなー。
- 232 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月24日(火)21時35分34秒
- 電源なんて切っちゃえ!(w
2人の時間は大切だからね〜
それと…アリガチさん、体には気をつけて下さいね!
ゆっくり治して下さい(^^
- 233 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月24日(火)22時52分12秒
- アリガチさん、体調万全で書いて、どうか二人を幸せにしてやってください。
- 234 名前:185 投稿日:2001年04月25日(水)03時30分00秒
- アリガチさん、お体の方は大丈夫っすか?
ゆっくり休んで、しっかり体調を整えて下さいね!!
それにしても、スゴイっすね!!体調不良の状態でありながら、毎日更新!!
もしや、命を削りながら書いてらっしゃるのでは・・・!?(w
- 235 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月25日(水)18時08分06秒
- 入ったファミレスは空席が目立っていた。
私は適当に注文したけど、市井ちゃんはアイスティーだけだった。
「市井ちゃん…ちゃんと食べないとダメだよ」
「食欲ないんだよね。とりあえず薬で誤魔化してるけど」
市井ちゃんは苦笑いしながらタブレットを口に放り込む。
ここ一ヶ月で市井ちゃんの姿が一回りくらい小さくなった気がする。
ずっと、ちゃんと食べてなかったのかな…。
私が黙り込んだのを見て市井ちゃんは優しく微笑んだ。
「大丈夫だって。そういや、ヒントわかった?」
「え?…ああ、ヒント!わかったよ!」
「ホントかぁ?」
意地悪そうな顔をして笑う市井ちゃんを見てムッとする。
「…意味がちゃんとあってるかどうかまでは自信ないけどさ。
昨日、あれから頑張って調べたもん!」
私はそう言って昨日、辞書を引きいて調べた原文の意味を
書き写した紙を市井ちゃんへつきつける。
「そうかぁ…だから、あんなとこで寝てたのか。
頑張ったね。えらい、えらい」
そう言って市井ちゃんは私の頭をなでなでしてくれた。
なんかとっても幸せ。
「市井ちゃんの言いたい事…後藤、わかったよ」
「んー…でも、ちゃんと意味を訳せてるのかどうか怪しいんだけど?」
「…むぅ。じゃ、ちゃんと見てよ」
「へへ。採点といきますか」
意地悪そうな顔をして市井ちゃんが笑う。
…う。
確かに自信があるわけじゃないけど。
でも、なんか悔しい。
そこで、ウエイトレスが注文したものを持ってきた。
それから私が食べている間に市井ちゃんは手渡した紙をずっと目にしていた。
- 236 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月25日(水)18時10分35秒
- 「…どう?」
私が恐る恐る聞いてみると市井ちゃんはうーん、と唸った。
「多分、合ってると思う。
実はあたしもちゃんとはわかんない…えへ」
「何それー!?『えへ』じゃないよー!!」
私が文句を言うと市井ちゃんはうっさいなぁ、と一言。
頑張って訳したのに。
「で、どうよ?いいでしょ?」
「うん。なんか、まるで後藤と市井ちゃんの事を書いてるみたいだよね」
「それは言い過ぎ」
「なんだよー?!」
私は本気で言ったのに市井ちゃんは笑い飛ばす。
それが不服で仕方ない。
「まぁまぁ。そろそろ出よっか」
「むぅ…。ま、いいや」
二人で席を立つ。
テーブルの上に残った紙。
それは市井ちゃんに借りたCDの歌詞の訳が書いてあるものだった。
- 237 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月25日(水)18時14分20秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<ヒントの解決編!バレバレだわね!!
>マルボロライトさん
いやはや、一時は少し回復してたんですけど昨日辺りからまた酷くなりまして。
心配していただいてありがとうです!
>233
体調不良で少ししかアップ出来なくて申し訳ないです。
次回は多めに!
>185さん
命削りながらの更新ッスか?(笑)
もうラストはある程度出来上がってるんで簡単なんです、実は(^^;
- 238 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月26日(木)23時40分35秒
- ヒント…調べたんですが英語できねぇ〜(w
市井ちゃんとアリガチさん、体は大事ですから気をつけて♪
- 239 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月27日(金)00時11分19秒
- しばらく街をうろつき少し疲れた私達は
公園のベンチで一休みしていた。
何時の間にか日が暮れ始めている。
ふと隣に座っている市井ちゃんを見ると顔色が悪い。
「市井ちゃん…身体大丈夫?」
不安になってきた私が恐る恐る聞くと市井ちゃんは笑顔になって答える。
「んー、何とかね」
「何とかって…本当に無理しないでよ…」
「マジで大丈夫だって。そういや後何時間だっけ?」
私の心配を余所に市井ちゃんは腕時計を見ながら聞く。
「えっとね…あと1時間くらいかな…」
「…思ったより時間が経つのが早いね」
「………そだね」
なんとなく二人は黙り込む。
聞きたい事。
話したい事。
まだまだ沢山あるのに。
何一つ口にする事が出来てない。
ずっと私の顔を見ていた市井ちゃんは
私が考えてる事がわかったのか突然、語りだした。
「全部、言っておくかな…」
「え?」
「ホントはさ、あたし手術が怖かったんだよ。
イキナリ死ぬかもしれないなんて言われて…」
「…」
「だから、逃げたかった。でも、逃げても意味がないって事はわかってるし。
でも、勇気が出なかった。すぐ手術受けます、なんて…とても言えなかった」
なんて言っていいのかわからない。
市井ちゃんの気持ちもわかるし。
少し震えている市井ちゃんの手を握る事くらいしか出来なかった。
- 240 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月27日(金)00時12分13秒
- 市井ちゃんは優しく微笑むと握った手を握り返してくれた。
「だから、勇気を貰う為に皆に会いに来たんだ。
頑張ってるメンバーを見たら支えになるかなぁ、と思って。
それなのにイキナリ後藤はあたしに冷たいさ」
市井ちゃんは苦笑いする。
冷たいって言われても…。
それはちょっと言い訳させて欲しい。
「市井ちゃん。覚えてる?後藤が今頃、何しに戻ってきたの?って聞いた事」
「覚えてるっつーの。今頃って何だよ?とか思ったもん」
「あんね、市井ちゃんが脱退してからずっと連絡取れなかったでしょ?
その間に新メンの人気とか凄くてさ、プレッシャーが凄かったのね。
それに…裏の事情とか知ったりしたし。
後藤はずっと市井ちゃんに助けてもらいたかったの。
だから、今頃なんで?って…もっと早く現れてよって思ったの。
自分勝手かもしんないけどあれは八つ当たりだった…ゴメンね」
「んにゃ、構わないよ。後藤の気持ちもよくわかるし。
あたしも自分の状況がね…まぁ、こんなんだったから連絡取れなかったし。
…っていうか、もう後藤は独り立ちした方がいいと思って連絡取らなかったんだけど。
まさか後藤の周りの状況がこんなに変わってるだなんて思わなかったしね」
「…うん」
「それに…自分勝手だったのはあたしの方だよ。色々と嫌な想いさせちゃったし」
「そんな事ないけど…じゃ、お互い様って事でいいのかなぁ?」
「いいんじゃないの?」
二人で笑いあう。
- 241 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月27日(金)00時13分28秒
- 今の話の中で一つ確認した事があった。
「手術…受ける決心は出来たの?」
「…うん。もう大丈夫。ちゃんと帰ってくるよ」
市井ちゃんはちゃんと私の目を見て言ってくれた。
「信じてる…後藤はずっと待ってるからね!」
「おう。何年かかるかわかんないけど、絶対に戻ってくる。
そんで、今度会う時は後藤の最大のライバルになってやろうじゃん」
「ライバル?」
「そだよ。後藤はソロデビューもしたし、多分遠からず娘。を抜けるわけでしょ?
今回は裕ちゃんが頑張って先延ばししようとしてくれてるけど。
結果はまだどうなるかわかんないけどさ…」
「…うん」
「後藤はさ、娘。に入る前まではソロでやっていきたかったんでしょ?
でも、娘。に入ってよかったとも思ってるでしょ?
それは、あたしもそうだけど」
「…うん」
「ただ、いつまでも娘。はこの世には存在しない…キツイ事言うけど現実的に考えたらね」
「…」
…そうだよね。
…グループっていつかは解散するもんだよね。
わかってるつもりだけど改めて考えると正直辛い。
無言になってしまった私を市井ちゃんは心配そうな顔をして見る。
「落ち込むなってば」
「や、そういうんじゃなくて。
ただ…娘。って何なんだろう?って思ってさ。
後藤が抜けたら解散しちゃうのかな?
それともそのまま継続されていくのかな?」
「さぁね?こればっかりはわかんない。
人気が落ちたら解散するかもしんないし。
メンバーが変わりまくっても娘。っていうブランドとして
ずっと継続されていくものなのかもしんないしね」
「私達って一体何なんだろ?
全部、周りの人達の言いなりになってさ。
自分の意思なんて無関係に事が進んでるような気がして」
「うーん…」
市井ちゃんは腕組みをして唸った。
- 242 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月27日(金)00時14分31秒
- 「…あのさ、ここ一ヶ月の間、裕ちゃんのとこに泊めてもらってたわけだけどさ。
いつだったか、裕ちゃんが言ってたんだよね」
市井ちゃんは遠くを見つめていた。
「何を?」
「今回の脱退で裕ちゃんがダメになるかもしれないって言ってる人がいるけど
なんでそんな事他人に勝手に決め付けられないといけないわけ?って」
「…」
「確かにこれからどうなるかなんてわかんないけど
それでも自分は結果はどうあれ、走り続けるんだ、って。
そりゃ結果をいい形で残せたら一番いいだろうけど
でも、どれだけ自分が頑張れたかっていうのが大切だと思う…って言ってた」
その言葉を聞いてちょっと目が覚めた。
これから独りで活動していく裕ちゃん。
あんなにプレッシャーとかに弱いのに…。
不安で潰れそうになってるだろうに…。
それなのに、なんてカッコイイんだろう。
「裕ちゃん…前向きだね」
「うん。これ聞いてさ、あたしも手術が怖いなんて言ってられないなぁって思ったさ」
「そうだね。それに後藤も見習わないといけないね」
「まぁ…後藤はさ、深く考えずに自分なりに精一杯頑張ればいいさ。
あたしはそれに負けないくらい頑張るけどね」
市井ちゃんは笑いながら私の頭にわざと自分の頭をコツンと当ててくる。
「わかったよ。市井ちゃんが同じ土俵に上がってくるのを
後藤は待ち続けるよ。だからといって負けないけどね!」
私も笑いながら言うと上等じゃん、と市井ちゃんはさらに笑う。
「け。今に見てなよ」
- 243 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月27日(金)00時17分00秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<次回は多めにって言っておいて、あんまり多くないかもね!
>マルボロライトさん
少しマシになりました・・・今は心臓が痛いだけです(おいおい)
ヒントの本当の解決編は後で出てくると思うのでそれまでお待ち下さいませ(笑)
- 244 名前:185 投稿日:2001年04月27日(金)02時53分31秒
- 読んでたら、しみじみしてきた。
市井ちゃ〜ん、必ず戻って来てね〜。(現実の方も)
- 245 名前:233 投稿日:2001年04月27日(金)05時25分53秒
- 泣けます。なんか、ホントの話みたいです。重くて痛い話ですが、現実の市井の不在を埋めるために、ここの市井にどんどん引き込まれてしまいます。
- 246 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月27日(金)18時39分30秒
- ポジティブっすね!
市井ちゃんも後藤も裕ちゃんも皆頑張れ〜!
アリガチさん、心臓痛かったらヤバイっすよ!?
そうゆう私も心臓痛いですが(w
- 247 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月27日(金)19時32分26秒
- 時間は刻々と過ぎ、市井ちゃんと一緒にいられる時間も
あとわずかになった。
お互いにそれがわかっていて。
だから、口数が減っていた。
さっきからずっと繋いでいる手に力が入る。
もっと一緒にいたいよ。
ずっと傍にいて。
ずっと手を繋いでいて。
そんな言葉を口にしようとして思い留まる。
言っちゃダメだ。
市井ちゃんの決心を鈍らすような事は。
でもね…これが本心なの…。
「…そろそろ時間だね」
何を話していいのかわからないまま
自分から別れを促すような事を言ってしまう。
私ってバカだ。
自然と涙が溢れ出す。
「…泣くなってば。相変わらず泣き虫だなぁ」
市井ちゃんがそれを見て困った声を出しながら軽く抱き締めてくれる。
「だって…っく…」
「言ったでしょ?また会おうって」
「わかってる…わかってるけど…うわーん!!」
私は泣き崩れる。
頭では理解したつもりでも気持ちがついていかないよ。
「はは。後藤の号泣も久し振りに見るなぁ」
私を抱きしめたまま頭を撫で、市井ちゃんが言う。
「市井ちゃん…好き…大好きだよ…っ…」
「うん…ありがと…」
市井ちゃんも涙声になっていた。
お互いに抱き締めてる腕にギュッと力が入る。
- 248 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月27日(金)19時33分44秒
- しばらく抱き合ったままだったけど
やがてお互いに少し身体を離す。
そして、見つめあう。
市井ちゃんの目に吸い込まれそう…。
お互いにどちらともなく瞼を瞑り、顔を寄せた。
……。
ずっとこのまま時間が止まればいいのに…。
だけど、そんなのは無理だってわかってた。
だって市井ちゃんの唇は間もなく私から離れて行ったから。
………。
…唇は濡れていた。
それは二人どっちの涙のせいかはわからなかったけど。
そして、また抱き締め合う。
きつく、きつく…ギュっと力を入れて。
暖かい…。
ずっとこうしていられればいいのに…。
でも、これも無理だってわかってた。
今、私に出来る事はこの温もりを忘れないようにする事だけ。
「…後藤、ずっと今のままの後藤でいてね」
「どういう意味?」
「今の後藤って外見はさ、大人っぽくなったけど中身は昔のままじゃん?」
「それって精神的に成長してないって事?」
むぅ。
私だって頑張ってるよ。
「そういう意味じゃなくて」
市井ちゃんはふふっと笑う。
「あんね、何て言うのかな?
んー…えっと…つまり市井の大好きな後藤のままでいてって事かな」
え?
市井ちゃんの…何って?
私の聞き間違い?
- 249 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月27日(金)19時34分32秒
- 「…今…今、何て言ったの?」
私は市井ちゃんの顔を見て聞く。
市井ちゃんは何言ってんだ、という顔になった。
「……何度も言わせるなっつーの」
「市井ちゃんも後藤の事好きでいてくれてるの?」
「あのなぁ…好きってちゃんと言葉で言わないとわかんなかったわけ?
好きでもない相手の為に身体はれるかっつーの」
市井ちゃんはヤレヤレという顔をしてため息をついた。
「だって、言葉って大事じゃん!
後藤の思い込みとかだったら嫌だなぁ、って思ってたんだもん」
「…後藤はやっぱりバカだ」
「なんでー!?」
「へへ。マジで可愛いな、後藤は。
そういうとこが大好きだよ」
ヘラっと笑う市井ちゃんを見てやられたと思った。
「…市井ちゃんの意地悪」
相変わらずむぅっとした顔のままの私。
「その意地悪な奴を好きだと言ったのは誰だっけ?」
私の反応を楽しむようにニヤニヤしながら言う市井ちゃん。
…ますます意地悪だ。
でも、正直に答える。
「…後藤です」
「ははっ、よく言えました。
あと茶髪な後藤もいいけど黒髪な後藤もまた見たいかな」
「へ?市井ちゃんは黒い方がいいの?」
「へへ。その方が幼く見えて可愛いから」
「じゃ、染める」
「ははっ。即答かい」
「や、今度から行く高校の校則っていうのもあるから」
「校則?後藤には似合わない言葉だなぁ。
おっと!そろそろマジでもう行くね」
笑いながらそう言い、市井ちゃんは立ち上がった。
- 250 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月27日(金)19時35分24秒
- 「もう…行っちゃうんだ」
表には出さないようにしたつもりだけど
でも、やっぱりガッカリしたような声になってしまう。
「だって、後藤から先に帰れって言っても時間かかりそうなんだもん」
「…それはそうだけど。市井ちゃんは後藤とあっさり別れられるの?」
「うん」
即答されて言葉を無くす。
「市井ちゃん…本当に後藤の事好きなの?」
「あのなぁ……何でそういう事言うかな?」
「だって、後藤は市井ちゃんと離れたくないもん…」
思わず下を向いてしまう。
あぁ…ついに本音を言っちゃった。
こんな事言ったら市井ちゃんが困るってわかってるのに。
恐る恐る顔を上げてみると意外にも市井ちゃんは笑顔だった。
「後藤の傍にいなくても、あたしと後藤の心はいつだって離れないよ
そうでしょ?」
そう言われると何も言えなくなる。
「寂しくなったらあの曲聴いて思い出せ。あたしはそうするぞ」
あの曲…。
あ、そうか。
「…うん、わかったよ」
「じゃ、元気でね」
そう言って市井ちゃんは振り向きもせずドンドン進んでいく。
そして、私の視界はやっぱり溢れてきた涙のせいでぼやけ
ますます市井ちゃんの姿を確認し難くなる。
市井ちゃん…。
またボロボロと泣いていると私の視界の中の市井ちゃんの姿が止まった。
- 251 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月27日(金)19時41分47秒
- ―++ここで休憩++―
( `.∀´)<今回はちょこっとラブ?
次回でラスト!読んでくれてる人、今までありがとね!!
>185さん
市井ちゃん、マジで帰って来て欲しいッスねー。
この話の噂のようにはなって欲しくないです・・・(^^;
>233さん
いやー、マジで有難い御言葉を!恐縮です・・・(^^;
でも、次回で終わりなんですねー。
>マルボロライトさん
皆、頑張って欲しいですねー。
どうやら、自分・・・インフルエンザになってたらしいです(爆)
皆さんも気をつけて下さい(苦笑)
- 252 名前:233, 245 投稿日:2001年04月27日(金)20時48分43秒
- もう、最後なんですか?つらい思いしているいちごまには悪いけど、ずっと読んでいたいです。
アリガチさん、インフルエンザをおして更新だなんて、そんな市井みたいなことしないで(笑)、体調整えて下さい。この際、少し待ちますから(最後を読むのがもったいないというのもあるかも)。
- 253 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月28日(土)01時59分58秒
- 次でラストっすか…この小説大好きなんで寂しいです。
でも最後まで付きあわせてもらいます(w
ごっちん…泣くな〜(涙)私も泣いちゃうだろ〜
- 254 名前:185 投稿日:2001年04月28日(土)03時13分01秒
- ああ、ついに終わってしまうのですね。
でも、悲しくなんてありません。
なぜなら作者さんは当然、続編の構想を練っていると信じて疑わないからです。(w
- 255 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時37分33秒
- 「…市井ちゃん?」
「言い忘れてた!貸してたCDちゃんと持っててよ!!」
何をいきなり?
別に大声出して言うような事じゃないじゃん…。
それなのに市井ちゃんはまた大声を出す。
「わかってんの?今度ちゃーんと返して貰うからね!」
返して貰いに来る…。
そっか!…そういう事か!!
「わかってる!」
私が笑顔でVサインを見せ、そう言うと市井ちゃんも笑顔になった。
「よし!じゃ、後藤も頑張れよ!」
「うん!市井ちゃん大好きっ!!」
私は最後にもう一度自分の気持ちを大声で叫ぶ。
「なんだよ!?誰かに聞こえたらどーすんの!」
そう言いながら市井ちゃんは嬉しそうな顔をした。
「聞かれてもいいもん!」
別に他の人にどう思われてもいいもん。
市井ちゃんは?と、聞く前に笑顔で市井ちゃんはこう叫んでいた。
「バーカ!あたしも大好きだよ!!」
- 256 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時38分32秒
- …これが市井ちゃんの最後の言葉になった。
最後の最後で私が一番聞きたかった言葉を言うなんて。
市井ちゃんってやっぱり意地悪だ。
あ、最後って言っても私の前からいなくなる前って意味だけど。
あの後、仕事場に行くと裕ちゃん達に思いっきり怒られた。
突然、姿を消し連絡も取れなくなっていた私達が逃亡でもしたのかと
思っていたらしい。
しかし、まだ心配事は続いていた。
あの後、市井ちゃんの姿が消えたというのだ。
「多分…あのまま実家に帰ったんやと思うけどなぁ。
っていうか、一度うちらのとこに帰って来いっちゅーの!」
裕ちゃんは怒っていた。
「ねぇ?誰も実家の電話番号とか知らないの?」
圭織がそう言うと一同、首を横に振る。
「引越ししてからは知らんし、携帯もわからん」
皆、ため息をつく。
「大丈夫だよ。心配しなくても市井ちゃんはちゃんと帰ってくるから」
私がそう言うと意外そうな顔を皆がする。
「どっからそんな自信が?」
きょとんとした顔をしてやぐっつぁんが聞く。
「市井ちゃんはちゃんと約束守ってくれるもん」
私はそう言って手にしていたCDへ視線を落とした。
- 257 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時39分33秒
- 「なんや、よーわからんなぁ」
「ま、後藤が言うなら大丈夫じゃない?さっきまで一緒だったんだし」
「私達は帰りを待つだけだよ」
「そだね。紗耶香を信じて皆で待とうよ」
市井ちゃん。
皆、ずっと待ってるからね。
たとえ…どんなに時間がかかっても。
たとえ…皆の記憶から市井ちゃんの存在が薄れてきたとしても。
それでもずっと私は待ってるよ
市井ちゃんを信じてる。
- 258 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時40分30秒
- 再会してからの市井ちゃんが残してくれた物。
それはこの手にあるCDだけ。
たったこれだけだけど。
でも、それだけでいい。
他に何もいらない。
他の人にはなんの意味もないモノかもしれないけど。
私と市井ちゃんにだけは大事な意味のあるモノだから。
- 259 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時41分24秒
- 涙の味もこの胸に馴染んで
いつしか穏やかな波がさらうよ
乾いた風を素肌に受けながら
口笛吹く君はあの空の色
I had to let you sleep last night
'cause I keept you too long on the phone
(僕は昨日の夜、君を眠らせなければいけなかった。君と長電話しすぎたから)
but as you know we've never felt the distance
(だけど君は知っている。僕らが決して距離を感じていない事を)
I konw you should spend the time to
make yourself even more involved
(だから僕は知っている。君が自分のための時を過ごすべきだという事を)
Even if you have to leave me
(それは君が僕を残していくことになるとしても)
I will have veen waiting 'till the time comes
(僕は時が来るまで待っているだろう)
And I'll let you go
(そして君を行かせるだろう)
乾いた風を素肌に受けながら
あなたの口笛響く空の果て
Can you hear me ? Is it you ?
(わかるよね?)
Today I feel better than last night
(今日は昨日よりもっとよくわかる)
'cause Ikonw you'll be here to hold me tight
(知ってるから。君がここにきて僕をキツク抱き締めてくれるだろうから)
My heart follows while you're playing
(君が遊んでいる間も僕の心はついていく)
Although my timing's off yours
(タイミングは君とずれているけど)
Even if you have to leave me
(君が僕を置いていかなくちゃいけないとしても)
I'll have been waiting 'till the time comes
(僕は時が来るまで待っているだろう)
And I'll let you go
(そして君を行かせるだろう)
さよなら 今 すこしだけ
いつの日か きっと 会えるだろう
あなたと僕をつないでるサテライト
今夜と明日を一緒に感じてる
あなたの呼吸が静かになるのを
ここから僕はそっと見届けるよ
地平線ギリギリまでの星空に
願いを込めて僕は今叫ぶよ
涙の味もこの胸に馴染んで
いつしか穏やかな波がさらうよ
乾いた風を素肌に受けながら
口笛吹く君はあの空の色
- 260 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時41分58秒
- そして、私はこの曲を聴きながらまた忙しい日々を過ごす。
ソロデビューも出だしは好調。
ただ上の人達が望んでた数字が出てるのかは私にはわかんない。
裕ちゃんも脱退後の心配はあまりなさそうでホッとした。
ただ、今後の娘。自体はいつまで続くかなんて誰にもわからないけれど。
私がいつまで娘。でいられるかわかんないけど。
それでも私達は…私は一生懸命走り続けるんだ。
黒髪になった私は口笛を吹きながらその時を待つ。
いつか出会う最強のライバル、そして愛しい人に出会う、その時まで…。
- 261 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時42分50秒
-
−終わり−
- 262 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時44分06秒
- *****
あとがき。
*****
ここまで読んで頂いた方、本当に有難う御座いました。
ラストは最初っからああいう風にしようと思ってたので
ガッカリした方がもしいたらスミマセン。
その後、二人がどうなったか?と、いうのはご想像にお任せします(笑)
最初は市井ちゃんの病気ネタだけだったんスけど
書いてる途中でごっちんソロ、ねーさん脱退が発覚し
話の流れが随分変わってしまいました。
が、自分的には何とか最後まで進める事が出来たので良しとします(笑)
あと、『クロニック ラブ』の歌詞にどれだけ近づけるか、というのと
どれだけ現実とリンクさせられるか、というのが
最初からの課題だったんですけども、どうでしょう?(^^;
今回、本当に小説らしきものには初挑戦だったわけですが難しかったです。
文章滅茶苦茶だし(爆)
基本的には自分は趣味小説書きと言うよりは趣味絵描きなので
しばらくはそっちに戻ります。
ひっそりこっそりと自分のサイトで絵でも描きながら次回作でも考えますです。
何か話が出来上がったらまたここで書きたいとは思ってますが…。
ただ、ここまで長い、しかもシリアスなものはもうやらないでしょうね(苦笑)
ではでは。
- 263 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月28日(土)16時50分07秒
- レスを。
>233,245さん
最後まで有難い言葉の数々・・・本当に有難う御座います。
既に話は出来上がってたのでこれ以上長くすることが出来なかったんですねー(笑)
>マルボロライトさん
毎回嬉しいレスの数々、有難うでした。
マメにレスいただけるつーのは幸せでしたよ(笑)
>185さん
読んでレスもいただいて有難う御座いました。
続編ですか!?コレ読んでビックリしました(笑)
ちょっと時間下さい(^^;
- 264 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時50分59秒
- このままだとラストが見えてしまう・・・えい!
- 265 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時51分43秒
- よいしょ!
- 266 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時52分14秒
- どっこいしょ!
- 267 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時52分54秒
- あらよっと!
- 268 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時53分40秒
- ・・・消えたかな?
- 269 名前:アリガチ 投稿日:2001年04月28日(土)16時54分40秒
- ( `.∀´)<読んでくれてありがとね!
次回があれば私の扱いを何とかしてもらいたいわ!!
じゃ!また会う日までー!!
- 270 名前:233, 245, 252 投稿日:2001年04月28日(土)17時21分33秒
- 涙止まんないっす。基本的にROMってる方で、レスはあまりつけないんですが、終盤でいてもたってもいられなくて、ついついレスしてしまいました。
アリガチさん、本当にお疲れさまでした&ありがとうございます。次回作も待ってます(すぐわかるように同じHNで書いていただけるとありがたいです)。
これからもう一度、最初から読み直します(また泣けるだろうな...)。
- 271 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月28日(土)18時24分24秒
- さわやかでした!!
アリガチさんお疲れ様。
いいもん読ませてもらったよ。ありがとうでした。
- 272 名前:マルボロライト 投稿日:2001年04月28日(土)23時38分11秒
- 長編連載お疲れ様でした。
ずっとレスしててウザイかなと思ってたんですが…気になってレスしまくりました(w
アリガチさんには私の小説もいつも読んで頂いて、私は随分助けられました(^^
最初の頃ごっちんが素直じゃなくてハラハラしっぱなし(笑)だったんですが
しかも途中で市井ちゃん演技派女優になるし(w
でも話の最後がとても好きですね。また会いに来るって思えて(あんまり書くとネタバレになるか…)
英語のヒントも解ったし(^^)もし、また小説書くのであれば教えて下さいね。
( ´ Д `)<お疲れさま〜♪
ヽ^∀^ノ<体には気をつけるんだぞ〜!
- 273 名前:89 投稿日:2001年04月28日(土)23時43分58秒
- 185さんではないですが、ちょっと痛すぎて、長期の入院生活をしていました。(笑
何回かレスしようとしたんですが、あまりの痛さに、ろくでもない言葉しか浮かびませんでした。(涙
最後まで読ませていただいてやっと言えます。
ありがとう。
- 274 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月29日(日)00時53分20秒
- アリガチさん、つきなみですが、お疲れ様、そして良い小説を読ませて頂きありがとう。
- 275 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月29日(日)03時48分21秒
- 面白かったです。
市井、死んじゃうのかな〜って思ってた。
- 276 名前:185 投稿日:2001年04月29日(日)04時09分40秒
- まずは一言、お疲れ様でした。
いや〜よかったっす!!最後まで引き付けられっぱなしでした。
最初はこの「クロニック ラブ」のタイトルに惹かれました。(好きな曲なんで)
しかも大好きな市井が主役だし・・・しかしこの小説が途中、痛いこと痛いこと(w
あまりの痛さについレスしまくってしまいました。(w
でも、最後まで読んで清々しい気持ちでいっぱいになりました。
アリガチさんには、ほんと感謝感謝です。
気が向いたらでいいんで、また小説書いて欲しいっす!!
今度は甘い、いちごまなんてどうですか?(切望)(w
- 277 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月30日(月)01時29分13秒
- おー。
沢山のレスを有難う御座います!(感激)
>233,245,252,270さん
最後まで本当に本当に有難い言葉ばかり頂いて幸せです(笑)
次回作を書くとしたらこのスレッドでやると思うですよ。
と、いうわけでHNもそのままですね(このHN名はどうかと思うけど)
その時は宜しくお願いしますー。
>271さん
よかった。爽やかでしたか。
途中、ずっとドロドロしてたので(笑)
最後はスッキリとした形で終わりたかったのでその言葉は嬉しいです。
こちらこそレス、有難う御座います。
>マルボロライトさん
レスがウザイだなんてとんでもない!
自分、単純な性格なんでレス頂いた方がより書く気になれました(笑)
最後を気に入ってもらえてよかったですー。
またここのスレッドが上がってたら次回作が始まったと思って下さい(笑)
>89さん
更新が止まってた時にレス頂いて、あの時は本当に救われました!(笑)
誰も待ってないかも・・・とか思ってたので下手したらもっと更新がのびてたかも。
っつーか、ろくでもない言葉ってお叱りの言葉を自分は食らう所だったんでしょうか?(苦笑)
ちょっと聞いてみたかったかも(笑)
- 278 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年04月30日(月)01時46分21秒
- しまった。
ただのレスなのに上げちゃった(爆)
>274さん
有難い御言葉・・・感謝です。
こんなに長くなるとは自分でも思ってなかったので
読んでる方もお疲れだとは思いますけど(笑)
レス、有難うです。
>275さん
有難う御座います。
市井ちゃん好きなんでさすがに殺しませんよー(^^;
自分では先が見えやすい話かなーと思って書いてたので
ハラハラしながら見て頂けたとしたら嬉しいんですけどね(笑)
>185さん
有難い言葉の数々、マジで感謝します。
歌のイメージ壊してなかったかどうか不安ですけど大丈夫ですかね?(^^;
甘いいちごまですか?(笑)
そうですねー、次回は軽めなヤツをやりたいですね(今回、重かったみたいなんで)
えっと、話を書く時は少し溜めてからでないと
アップ出来ないんで(途中、辻褄あわせで直すので)
次の話を書くとするとアップするまでに時間かかるとは思いますけど
また何か始まったらよろしくお願いします。
いやー、感想レス頂けるとクセになりますね、やる気が出ます(笑)
これからちょっくら頑張りますわ。
- 279 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月30日(月)01時55分00秒
- お疲れさまでした!
- 280 名前:ななし 投稿日:2001年04月30日(月)09時47分28秒
- あぷろだから案内板経由でたどりつきました。
案内板で質問してくれた方に感謝。
もちろんアリガチさんにも感謝です。
大枠は素晴らしいんで、あとは細かい部分
の修正ぐらいかと思います。
また読みたいんで、新作ぜひ書いてください。
- 281 名前:アリガチ(HN) 投稿日:2001年05月23日(水)01時31分12秒
- お久しぶりになってしまった(^^;
レスを。
>279さん
有難う御座います。
>280さん
どなたかがあぷろだにアップしてくれてたみたいッスね。
自分はやり方がわかっていないので(^^;
有難いお言葉、有難う御座います。
- 282 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時32分35秒
- 一年前の今日…。
それは娘。からまた一人、みんなの前から姿を消した日。
それは私の前から大切な人がいなくなった日。
- 283 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時33分20秒
- 「はぁー…」
「どうしたの?やぐっつぁん??」
移動中の車の中で私の隣で大きくため息をついているやぐっつぁん。
さっきまでポータブルDVDを見てたかと思ったら…。
連日のミュージカルで疲れてるのかなぁ?
ラジオも人気が出て大変そうだし。
っていうか、私も疲れてるけどさ。
「今日さ、アレじゃん…」
やぐっつぁんは何故か周りに聞こえないように小声で話す。
「アレって何?…っていうか、なんで突然小声になるの?」
「アレっつったらアレだよ。小声なのはみんなにあんまし聞かれたくないから」
もどかしそうにやぐっつぁんは言うけど、何を言ってるのかわかんない。
「だーかーらー。コレ!」
ちょっと声を荒げて手にしていたポータブルDVDを私に差し出す。
その画面に映っているのは…去年の武道館のコンサートの風景だった。
……そっか。
もう一年になるんだ…。
や、まだ一年なのかなぁ…。
「…今頃どうしてんだろうね?」
やぐっつぁんは窓の外の風景をぼんやり眺めながら呟く。
その質問にどう答えていいのかわかんない。
だって、私にもわかんないもん…。
数ヶ月前に会ったけど…また遠くへ行っちゃったし…。
でも、なんでこんなに小声で会話しなくちゃいけないんだろ?
そう思った瞬間にわかった。
市井ちゃんの話題はメンバー内では御法度だったんだ。
前に色々とモメちゃったから…。
「さぁ〜…元気にしてるんじゃないかなぁ…」
結局、周りに聞かれてもいいようなどうでもいい返答をしたら
やぐっつぁんは気にいらなかったらしい。
「ごっつぁん…なんか冷たいね」
「そ、そんな事ないよ〜」
もぉ〜、こんなとこで聞くからじゃん。
- 284 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時34分14秒
- ――その後…。
ミュージカルを終え、みんな控え室で疲れを癒していた。
後、一週間で終わるけど約一ヶ月間もやってると、さすがに疲労も激しい。
裕ちゃんとか大丈夫なのかなぁ?
…って、これは余計なお世話か。
それより自分の心配した方がいいかもしんない。
ソロデビューの時は市井ちゃんのおかげでさほど陰口とか言われなかったけど…。
最近、またしてもメンバー内の雰囲気が重い。
う〜ん…私、何かしたっけ?
んんっ??
あ〜、そういえばドラマの話題が表に出ちゃってたっけ。
まいったなぁ…私の意志じゃなくて上の命令なんだから…さ。
そりゃ、やりたい気持ちはあるけど。
はぁ〜…、また胃が痛くなるなぁ…。
私がため息をついていると圭織が近づいてきた。
「後藤、これからちょっと時間ある?」
「どしたの?急に…」
圭織に誘われる事なんて今まで滅多になかったもんだから、ちょっとビックリした。
その様子を見ていた圭ちゃんも驚きの声をあげていた。
「圭織が後藤を誘ってるとこなんて初めて見たっ!」
「なんで、そんなに驚くのさ?」
圭織は圭織でちょっと心外って顔になっていた。
「で?どうなの?」
「別にいいけど…何か後藤に用があるの?」
「…用ってわけじゃないけどさ」
なんか言葉を濁してる所が気になったけど
とりあえず、一緒に帰ることになった。
- 285 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時35分03秒
- ――数時間後。
「…あのさぁ〜、圭織…」
「んー?何ー?」
「…なんで、圭織が後藤の家に来ることになったわけ?」
…そう。
何故か圭織は今、後藤の家にいる。
てっきり、どっかにご飯を食べに行くのかと思ってたのに…。
…お腹空いた。
私がちょっとガッカリしているのとは対照的に圭織はもじもじしていた。
…何だろう?
「だって人のいないとこで後藤と話したかったんだもん…」
「…はぁっ!?」
「圭織は後藤と二人っきりになりたかったの…」
な、何?この思わせぶりな発言の数々は!?
…なんか嫌な雰囲気だなぁ…まさか………ねぇ?
お願いだからラブラブ光線だけは出さないでよね。
「な、な、なんで二人っきりになりたかったのさ?」
「最近、後藤の事が気になって…」
「ゲッ!」
マジ!?マジなの!?
「…『ゲッ』って言うのは何?」
私がひきつった顔をしているのを見て圭織はムッとした。
- 286 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時35分58秒
- 「あのさぁ…なんか勘違いしてない?」
「…ほぇ?」
私が目を丸くしていると圭織はため息をついた。
「誰にも聞かれちゃ、マズイ内容だから二人っきりになりたかったって言ってんだけど?」
「じゃ、じゃあ、聞かれたらマズイって………何?」
私がまだオドオドしながら聞くと。
「最近、うちら色々と大変じゃん。
裕ちゃんが抜けて圭織が新リーダーになって。
レギュラーの数も増えたし、今はミュージカルもやってるし」
なんだ、仕事の話か。
ビビって損した。
「まぁね〜、色々あったし、あるねぇ〜」
この数ヶ月で本当に色んな事があったもんなぁ…。
本当に…。
「後藤は高校生になって環境も変わっただろうし、ソロもプッチもあるしさ。
それに今度のドラマ出演も決まったじゃん?
色々と悩み事とかあるんじゃないかなー?と、思って。
そこらへんを新リーダーとして、ちゃんとフォローしてあげたいって思ってさ。
っつーか、役に立てないかもしんないけど…あはは」
最後の方は照れながら圭織は言ってたけどちょっと感動した。
- 287 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時36分32秒
- 「コレ!っていう悩み事なんかはないけどさ〜、なんか最近、冷たい視線を感じる気がすんだよね」
私は正直に圭織に今の心境を伝えた。
「うん、圭織もそう思ってた」
「あ、やっぱり?」
さすがは圭織。
電波で何かをキャッチしてたんだね!
普通の人とは違うね〜。
「圭織には何かわかる?」
「いや、わかんない」
「…ダメじゃん」
「…」
「あ〜あ、誰かわかる人いないかなぁ〜?
そんで、何とかして欲しいよ」
「…」
…悩み相談、終了。
結局、何も解決しないまま。
夜がふけていった。
- 288 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時37分16秒
- 圭織はふいにキョロキョロして部屋を見回す。
それを見て私は慌てた。
「な、何!?部屋ん中汚いんだからあんまし見ないでよ〜!」
「汚いのはわかってるけど時計ドコ?」
「…もうちょっとで0時になるよ」
圭織の失礼な発言にムッとしつつ、携帯で時間を確認する。
っていうか、圭織も自分の携帯で見たらいいじゃん。
「…そっかー。5/21も、もう終わるね」
「……そだね」
「紗耶香、元気かな?」
「…」
みんな…っていうか、やぐっつぁん以外のメンバーは今日一度も口にしなかったけど
考えてた事は一緒だったんだ。
「あれから紗耶香とは連絡とった?」
「…うぅん。あれっきりだよ」
「そっか。後藤になら連絡先教えてるのかと思ってたよ」
「…」
ちょっと落ち込んでしまう。
前に連絡取れなかった時は市井ちゃんに事情があったから。
今もそうなんだろうけど今回はちょっと違う。
連絡が取れないっていうのは
前とは違う意味を指すのかもしれないっていう可能性が…。
市井ちゃん…大丈夫だよね?
- 289 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時38分02秒
- なんだか圭織と話す前より気分が重くなってきたんだけど…。
「はぁ〜。圭織はいいよねぇ〜」
「何?突然??」
「後藤も交信したいよ。なんか楽しそう…」
私がため息をつきながら言うと。
「でも、最近はそんなにしてないじゃん。
リーダーとしてキチンとやるべき事はしないとね」
でも、ちょっと残念そうに言う圭織。
やっぱり、そんなに交信って楽しいのか…。
「いいなぁ〜、後藤も交信出来たらそっちの世界で市井ちゃんと会えるのかなぁ…」
「…」
突然、圭織が黙り込んでしまった。
なんか、おかしい事言ったのかな?
「圭織?」
「…え?あ、何?」
「や、何でもないけど…」
…早速、交信してたのか。
- 290 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時38分52秒
- しばらく二人とも無言になったのち、最初に口を開いたのは圭織だった。
「紗耶香は戻って来るよ…」
「え?」
「でも、今の後藤を見たらちょっとガッカリするかもね」
「…な、なんで?」
「こんな後ろ向きな後藤なんて紗耶香は見たいと思わないから」
「……後ろ向きって…今の後藤って後ろ向きに見えんの?」
私的には別にそんな事ないと思うけど…。
「そりゃさ、今日は他のメンバーにとっても思い出深い日なはずだけどさ。
でも、紗耶香に会いたい、会いたいって言ってるのは後藤だけだよ」
「何でさ!?だって、圭織は会いたいと思わないの!?
それにやぐっつぁんだって市井ちゃんに会いたいって思ってるはずじゃん!」
「ま、そりゃそうだね」
「ほら〜!!」
「言い方がおかしかったかな…。
んーと、紗耶香に会って助けてもらいたいって思ってるのは後藤だけって事かな?」
「…助けてもらいたい?」
「そう、今の自分の状況から」
確かに…そうかも。
今現在の娘。内にある重い雰囲気を何とかしてもらいたいって心のどこかで思ってるのかもしれない。
明らかにメンバーの誰かに憎まれている気がする。
その誰かっていうのがわかんない…だから、余計に不安になる。
市井ちゃんなら私を助けてくれるかもしれない。
もしかして前みたいに自分を犠牲にしてまでも…。
「後藤は紗耶香に甘え過ぎなんだよ」
圭織は私に一番キツイ言葉をつきつける。
- 291 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時40分29秒
- 「それに、紗耶香もさー、世話焼くの好きな性格だからもし今戻ってきたら
『後藤ー!また番組中にボーッとすんな!!』とかって喝を入れそうだけどさ。
こういうのって自分で気づいて直していかないと。
ま、圭織もあんまし人の事言えないけどさ」
「……」
「後藤は一人でもやっていける力を持ってるはずだよ。
それなのに紗耶香に甘えようとしてる。
自分で解決出来ないような事があったら人の手を借りるのも別に問題ないと思うけど
でも、最初っから自分で解決しようとしない限りは何も成長出来ないよ」
圭織の的を射た発言に言葉をなくす。
そうだよね…いつも人に頼ってばっかで、自分一人で何かをしようだなんて思わなくて。
こんな私を見たらそりゃ市井ちゃんだってガッカリするだろうなぁ…。
ふと机の上に置いてあるCDに目をやる。
…そうだ。
あの時に市井ちゃんに言われたじゃん。
『後藤はさ、深く考えずに自分なりに精一杯頑張ればいいさ』って。
そうだ…頑張らないと。
甘えた考えはなくさなきゃ。
メンバーの誰かに憎まれてても気にする必要なんてないよ。
私は自分の信じた道を進むだけだ。
いつか戻ってくる市井ちゃんがビックリするくらいの大きな人間にならないと!
- 292 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時41分20秒
- 「ゴメン。圭織、言い過ぎた…かな?」
ちょっと心配そうに言う圭織を見てちょっと笑ってしまった。
「あは、ゴメン。大丈夫だよ。圭織の言ってる事はその通りだし。
おかげで後藤は目が覚めた。ありがと、圭織」
「??…よくわかんないけど…ま、いっか。
それと、別に一人の力で何もかもやれって言ってるわけじゃないからね?
何かあったらいつでも相談に乗るし」
「うん、わかった」
圭織は本当に変わったと思う。
最初、私が入ってきた時なんて本当に自分勝手っていうか我が道をいってたのに。
今ではこんなに頼りになるおねーさんだもん。
きっと、市井ちゃんも前に戻って来た時にも思っただろうな。
しばらく会ってない間にこんなに変わってるんだもん。
そんな事を思いながらCDを見つめていた私を見て圭織は首を傾げている。
「それ何のCD?」
「市井ちゃんに借りたんだ、中谷美紀さんの『クロニック ラブ』のCD」
「へー、紗耶香ってこういうのも聴くんだー」
私が差し出したCDを手に取りながら圭織が呟く。
「詩が好きなんだって言ってたよ」
私と市井ちゃんにとっては特別な詩。
でも、それは言わずにいた。
「へー、どれどれ…」
圭織は普通のCDケースではない紙のケースを開きつつ歌詞カードを取ろうとした。
しかし、手を止め私にCDを返してきた。
「どしたの?」
「後藤さー、コレちゃんと中身確認した?」
「へ?」
「歌詞カードだってば。いいから見てみなって」
??
- 293 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時41分57秒
- 圭織から受け取ったケースを開く。
紙で出来ているケースの横の隙間に歌詞カードが入ってたはずなんだけど…。
英語の歌詞だから訳したものをメモってからはこの歌詞カードを見ることもなかった。
…だって英語苦手なんだもん。
ーあれ!?
歌詞カードを取った瞬間、別の紙がヒラリと床に落ちた。
「後藤、気づいてなかったっしょ?」
「…うん。こんな紙が入ってるの知らなかった」
ケースの奥の方に入っていた為、わかりにくかったみたいだ。
それに小さい紙だし。
…あれ?
「っていうか、何で圭織はわかったの?」
ケースを手にしただけだよね?
「なんとなく」
…さすが圭織。
「あのさー、ちょっとお手洗い借りていい?」
「え?あ、あぁ…うん。階段下りてすぐのとこにあるよ」
「ありがと」
そう言って圭織は部屋を出て行ってしまった。
気を使ってくれたのかな?
この紙に何が書いてあるのかはまだわかんないけど
市井ちゃんが入れたっていうのはわかりきってる事だから。
- 294 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時42分54秒
- 私は大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
ちょっとドキドキする。
紙を開くとそこにはやっぱり市井ちゃんの文字が。
―後藤へ。
この手紙に気づいてくれるかな?
あたしが後藤の前からいなくなったのを前提にして書いてるから
変なとこあったら見逃してね(笑)
今はまだケンカっていうか、あたしが一方的に後藤をイジメてる状態なんだけど(苦笑)
ゴメンね、許してね。
なんであたしがあんな事をしたかっていうを、何時かわかってもらえたらいいんだけど。
後藤の為を想っての行動だからさ。
あたしがいなくても大丈夫って信じてるから。
うーん、これ以上書いていくと余計な事書いちゃいそうだからこの辺で止めとくよ。
じゃ、元気でね。
―PS
誰にも負けるな!
そして、自分にも負けるなよ!!
−市井より。
- 295 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時44分12秒
- 市井ちゃん…。
ポロポロと涙がこぼれる。
確かこのCDを貸してくれた時は市井ちゃんに散々イジメられて
身も心もボロボロだったけど、こんなメッセージをくれてたんだ…。
早く気づけばよかった…。
いや。
今だから良かったのかもしれない。
市井ちゃん…私……後藤は頑張るよ。
- 296 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時45分28秒
- 圭織にもちゃんとお礼を言わなくちゃ。
市井ちゃんと再会した時にも頑張ろうと思ってたくせに
全く成長出来てなかった私の背中を押してくれたんだもん。
それに…圭織に言われなきゃ、多分何時まで経っても私はこのメッセージに気づけなかっただろうし。
本当に圭織には感謝しないとね。
そう思ってたのに時間が経っても戻ってくる気配がない。
ちょっと心配になって圭織の様子を見に行くと圭織はトイレで眠りこけていた…。
……。
確かにスケジュールがキツイってのもあるんだろうけど
普通トイレで眠らないよね……。
頼りになるのか、なんないのか全くわかんないね。
この新リーダーは…。
- 297 名前:クロニック ラブ(番外) 投稿日:2001年05月23日(水)01時49分47秒
- ( `.∀´)<私の台詞は一行だけ!!!????
何なのよ!!!???
あぁ・・・ヤッスー、久しぶり(笑)
PCの初期化やら色々としてる間に時間が経ってしまったッスね・・・。
ちょっとした短編書いてみました・・・が。
どうも、設定変えると書きにくいってなわけで続きモノっぽくしました(^^;
っつーか、別にいちごまじゃないし(爆)
ラブラブに挑戦するはずだったのに・・・。
むしろ圭織プッシュ話になっちゃいました(笑)
では、また会う日までー。
- 298 名前:アリガチ 投稿日:2001年05月23日(水)01時51分51秒
- ぐはっ!
HN入れるの忘れてた。
・・・どうでもいいか(爆)
最初、何故かメルアド入れてるし・・・眠気でわけわからんくなってますな(−−;
- 299 名前:マルボロライト 投稿日:2001年05月23日(水)02時09分11秒
- わ〜い続編だぁ〜♪
最初かおまき?かと思って期待してしまった(w
市井ちゃん手紙入れてたんですか〜気づかなかったのは後藤っぽいっす!
ってゆうか圭織可愛いなぁ〜トイレで寝ないで(w
またいつでもいいんでアリガチさんの話読みたいです(^^
>>297 ヤッスー久しぶり〜(w
- 300 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月23日(水)02時53分18秒
- 何で上がってるんだ?と思って見てみたらなんと番外編が・・・うれしいっす!!
紗耶香は出てこなかったけど、これは間違い無くかおまき風のいちごまでしょう。(w
今度はラブラブなのも期待して待ってま〜す!!
- 301 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月23日(水)03時45分04秒
- さわやかで気持ちがいいです。
かおりのキャラならではですね!
それにしても市井ちゃんは男前な技使いますね(w
- 302 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月23日(水)22時35分27秒
- 233, 245, 252, 270でレスしていた者です。
いくつかの小説が21日を機に更新されていましたが、アリガチさんも更新
して下さっていたとは。
アリガチさんの小説は、現実とリンクしているので、なにか本当に娘。の中で
起こっていることのような気がして、本当に引き込まれてしまいます。
21日をどう迎えたらいいのか分からず、少しへこんでいたので、救われたような
気がしました。
ありがとうございます。
- 303 名前:アリガチ 投稿日:2001年05月24日(木)00時47分34秒
- 実はウイルス食らって一ヶ月病院通いしてたんスけど
昨日はメールウイルス食らいました(爆)
みなさんも気をつけて下さいませ(^^;
>マルボロライトさん
かおまきっぽく見せるのが最初の狙いだったので(笑)
手紙は・・・少し無理があるかもしれないと思ってたんスけど(^^;
( `.∀´)<ちゃんと貴方の話見てるわよ!バタバタしててレス出来なかったのよ!ゴメンね!!
>300さん
いちごまに見えたのなら嬉しい限りッス(笑)
次回はそうですねー、今度こそラブラブで!って感じですかね(^^;
>301さん
最近、( `.∀´)と( ゜皿 ゜)がお気に入りなもんで。
本人は出てこないのにおいしい役だったかもしれませんな、市井ちゃんは(笑)
>302さん
本当なら21日にアップ出来たらよかったんでしょうけど昨日、数時間で作っちゃった話なもんで(^^;
自分の作った話を読んでそのようなお言葉もらえるなんて嬉しいッス!
本当は違う話を考えている最中だったんスけど、どうにも文字化するまで進んでなかったので(しかも、長くなりそうだったので)短編を作ってみたんスよ。
なので、いつもに増してかなり支離滅裂な話なんですな(爆)
次回もちゃんと話が作り上がったとしたらこのスレを使うので設定もこのままかと。
っつーか、雑談はこの辺で止めておきます(^^;
- 304 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月27日(日)00時17分07秒
- 短編よかったです
次回作大期待♪
キャストは誰だろう、、、
- 305 名前:STRANGE PARADISE 投稿日:2001年05月28日(月)01時35分46秒
- 丸一ヶ月もあったミュージカルも千秋楽。
間違えた所も沢山あったけど怪我や体調を崩す事なく今日という日を無事に迎える事が出来た。
さーて、これからのんびりとビールでも飲んで…というわけには残念ながらいかない。
これから生放送でラジオがあるのだ。
大阪の卒業コンサートでも思ったけどなぁ、なんで疲れてんのにまだ仕事があんねん!
事務所もちょっとは労わってくれ…もう、歳なんやし。
……。
…はぁ…自分で思ってて悲しくなるわぁ。
「あーあ、矢口でもからかって気分転換でもしよかなー…」
「お疲れ様ー」
「え?」
挨拶しながら娘。のメンバーはゾロゾロと控え室を出て行ってしまう。
「ちょ、ちょぉ!?皆、もう帰んの?」
私がビックリしながら聞くと。
「だって、これからレコーディングがあるんだもん」
圭織は裕ちゃん、またねと笑顔で手を振りながら出て行ってしまった。
…ウゲ。
この後、仕事あるんは私だけやないんか。
皆、大変やなぁ…。
気がつくと控え室にいるのは私一人だけになっていた。
…なんか寂しいわ。
っていうか、眠たくなってきたな。
やっぱり疲れが溜まってるんかなぁ。
こういう時って皆より体力ないっていうのを改めて実感してしまうわなぁ…。
- 306 名前:STRANGE PARADISE 投稿日:2001年05月28日(月)01時37分00秒
- ……。
「裕ちゃんー」
…んぁ?
「裕ちゃんってば!」
なんやねん…もうちょっと寝かせてくれや…。
「起きろ!裕子!!」
うっさいわ!
誰やねん!?
寝かせてって…。
「もー…起きろってば。本当にババァなんだから…」
…っ!!
ホンマに誰やねん!!!
「…なんやと!?コラッ!!!!!!」
机に伏せて寝ていた私は大声を上げながらガバッと起き上がった。
「ったくもー…やーっと、起きた」
そこにいたのは矢口だった。
「矢口…あんた…今、なんて言った?」
「えー?矢口、何も言ってないよ?」
「とぼけても無駄やで…今、私のことババァ言うたやろ?」
「わー、そんなに怒んないでよー、こう言ったら裕ちゃん起きると思ってさー」
睨みを利かせてる私を見ても全く堪えてない矢口は笑いながら言う。
その顔を見てたらどうでもよくなってきた。
「で?なんや用があんの?」
「いや、矢口ちょっと忘れもんしたから戻って来たんだけど。
そしたら裕ちゃんが爆睡してっからさー」
「…あのなぁ、用もないのに起こさんといてや」
「だって裕ちゃんラジオあるんでしょ?寝過ごしたらマズイじゃん」
「まだ時間あるっちゅーの。…ったく、人の睡眠邪魔しよってからに」
「せっかく起こしてあげたのに人の好意くらい素直に受け取ってよね」
「ハイハイ。矢口もこれから仕事なんやろ?一緒に出よか」
「そだね」
- 307 名前:STRANGE PARADISE 投稿日:2001年05月28日(月)01時37分53秒
- 外に出ると少し日が暮れ始めていた。
…何時間、寝てたんやろ。
ちょっとあのままやったらマズかったかもしれんな。
心の中で矢口に礼言っとこ。
「裕ちゃん、見てー。あそこのケーキ屋さん、何時の間にか改装されてる!」
「あ、ホンマや」
「前に一緒に行った時は改装するっていう張り紙すらなかったのにね」
「うちら、時の流れについていけてないんかもなぁー」
「うわっ!それってかなりヤだ!!」
「しょうがないやんか…ミュージカル三昧の一ヶ月だったんやし」
「そうだね。しっかし、やーっと終わったね」
「そうやなー、ホンマに疲れたわ」
「裕ちゃんもやっぱ歳には勝てないね」
「…うっさいわ」
どうしてこう余計な事ばっかり言うかな?
…ったく。
ま、矢口らしいっちゃらしいけど。
「わっ!」
矢口が厚底靴で躓き転ぶ。
「アホやなぁー。そんなに高いの履くからやんか」
「…ィテテテ。くそー、アホって言うなー!」
ちょっと涙目になって文句を言う矢口。
「ちょっと見せてみ?すりむいてないか?」
フラフラしながら立ち上がった矢口の足元にしゃがみ込み怪我してないか確認する。
「ちょっと赤くなってるけど…まぁ大丈夫やろ」
足とかに擦り傷とか作ったら事務所がうるさいからなー。
大した事なくて良かったわ。
立ち上がって矢口を見ると神妙な顔をして黙り込んでいる事に気づいた。
- 308 名前:STRANGE PARADISE 投稿日:2001年05月28日(月)01時39分15秒
- 「どうした?急に黙りこんで…」
「…うーん」
「なんやねん?」
「なんかさ、裕ちゃんとこうやって歩く事もこれからはもうあんましないのかなーとか思って…」
「…ま、そうやろうなぁー」
「なんか寂しいね」
「………」
…そうか。
卒業してからミュージカルで今までずっと毎日のように会ってたから気がつかへんかったけど
もう一緒にメンバーと仕事するっちゅーこともあんましないんやろうなぁー…。
「なんや辛気臭いわ」
「裕ちゃんは寂しくないの?」
「寂しくないって言うたら嘘になるけど、もう二度と会えへんわけやないし」
「そりゃそうだけどさー」
「なんや?なんや??矢口は裕ちゃんと離れるんがそんなに寂しいんか?」
「…バーカ」
プイッと顔をそむける矢口を見てちょっと寂しくなってきた。
もうこうやって矢口をからかう事も出来へんようになってしまうんやなぁ…。
脱退を決めたんは自分自身の意思やけど…。
…いや、今更こんなん考えても意味あらへんか。
「ねー?裕ちゃんはさ、脱退するの決めた時ってどんな気持ちだった?」
「どんな感じって言われても…なぁ」
「矢口さ、明日香もあやっぺも……紗耶香も…脱退決めた時って
どんな気持ちだったのかなーってたまに思うんだよね」
「……」
私も自分が脱退するまでは残される側の気持ちしかわからへんかった。
そして、今は逆に皆を残していく側になってしもうた。
……でもな。
「…正直、前の三人の気持ちなんてわからへんわ。私とは違う道を選んでいったからなぁ…」
「でも、紗耶香は近いんじゃない?だって、ソロデビューする意思はちゃんと持ってるんだし」
「………そうやけど、私にはわからへんわ」
「…そっか、そうだよね」
矢口はうつむいて苦笑いしていた。
- 309 名前:STRANGE PARADISE 投稿日:2001年05月28日(月)01時40分06秒
- …そうか。
矢口が知りたいんは紗耶香の気持ちか。
でも、やっぱりわからんわ。
私とは違った悩みを持ってたんやし…。
「ま、裕ちゃんの顔が見たくなったら何時でも携帯で言ってきーや。会いに行ったるから」
「ホント?」
「ホンマやー。一緒にいることが出来んよーになっても矢口をちゃんと遠くから見守っててやるからな」
「…裕ちゃん、ありがと」
「ホンマにありがたいと思うんなら、たまには矢口からキスしてや」
「バーカ。それにいつも裕ちゃんが勝手にキスしてくんじゃんか!」
「いつもの事ながらつれないなー」
「あったり前でしょ!」
ほんの少し会話が弾んできたところで目的地についてしまった。
もうちょっと喋っていたかったのになぁ…。
「じゃ…裕ちゃん、またね」
「またな。ちゃんとラジオも聞くからな」
「うん。ありがと……じゃ」
矢口はそう言って手を振りながら去っていった。
ただでさえ小さい矢口の身体がますます小さくなっていくのを見ながら
どこか自分の心に穴が開いたような気がしていた。
- 310 名前:STRANGE PARADISE 投稿日:2001年05月28日(月)01時41分03秒
- ラジオの仕事も終わり、外に出ると少し肌寒かった。
「中澤さんー。車を用意してますけど…」
「…今日はいいです、スンマセン。少し歩いて帰りますから」
疲れていたけどなんだか少し歩きたい気分だった。
トボトボと矢口と一緒に歩いた今ではもう暗くなっている道を歩く。
なんやろ?
この虚しさっちゅーか、なんちゅーか…。
なんか抜け殻になった感じは…。
ぼんやりと歩いていると躓きそうになった。
…ここって行きしに矢口が転んだ所やんか。
はは…一緒のとこで躓くなんてな。
苦笑いしながら顔をあげると改装されて綺麗になったケーキ屋が視界に入った。
夜も遅いこともあって証明は消えて真っ暗になってる。
その瞬間、もの凄い喪失感に襲われた。
…数時間前には隣に矢口がいたのに。
今は一人ぼっち…。
別に一人で行動してても今までは何とも思わへんかったのに…。
なんやろう…この孤独感は…。
- 311 名前:STRANGE PARADISE 投稿日:2001年05月28日(月)01時41分50秒
- しばらく立ち尽くしていると突然携帯が鳴り出した。
「…はい」
『裕ちゃん?矢口だけど』
「矢口!どうしたんや?」
『もうラジオが終わった頃かなーと思ってさ』
「あー。今、家に帰ってる途中やわ」
『そうなんだ。お疲れさま』
「どうした?なんや、もう会いたくなったんか?」
『バーカ。そんなんじゃないけどさー…今度あのケーキ屋さんに一緒に行かない?」
「ケーキ屋さんって今日通ったとこにあった店?」
『そうそう、あのお店』
そういいながら視界の中にあったケーキ屋を見る。
まさか、そのケーキ屋の傍にいるだなんて思わんやろうなぁ。
「…うーん。何時になるかわからへんけどまた今度な」
『そっか…。じゃ、また今度ね』
「うん、またな。おやすみ」
『おやすみー』
携帯を持ったまま、また立ち尽くしていた。
そして暗闇の中で唯一、光を放っていた携帯もしばらくして暗くなった。
- 312 名前:STRANGE PARADISE 投稿日:2001年05月28日(月)01時43分12秒
- 矢口と見てきたもの、一緒に過ごした場所全てが私を悲しくさせる。
アンタはもう私の傍にはいない…。
ケーキ屋を見ながら自然と涙がポロリこぼれた。
−終わり−
- 313 名前:アリガチ 投稿日:2001年05月28日(月)01時48分34秒
- 初めてのやぐちゅー。
やっと短編書いたって感じッスね(笑)
っつーか、書こうとしてた話が全く出来ないので代わりをば。
タイトルはまた中谷美紀さんの曲から…またかけ離れてるかも(爆)
っつーか、暗い話だなー・・・(−−;
ラブラブは…いつの日にかってことで(^^;
>304さん
有難う御座います。
今回はやぐちゅーになりました。
いかがだったでしょうか?(^^;
- 314 名前:304 投稿日:2001年05月28日(月)07時38分24秒
- 今、そこに居ることを言えない中澤さん、切ない・・・
ちょうど昨日というタイムリーなだけに尚更胸にじーんときました。
本当にこんな会話がされてそうですね。
切ないけど爽やかで良かったです。
- 315 名前:道化師 投稿日:2001年05月28日(月)17時20分36秒
- ずっと前から読もう読もうと思ってて、なかなか時間が取れなくて、先日一気に読みました。
音楽を聴きながら読むので、途中のシーンでいろいろとマッチしてて泣きまくりでした。
途中の吉澤がキレるシーンとか、こっちまでプルプル震えながら読んでたり。
作中のキャラと同調して読むのは疲れますが、私はこういう読み方しかできません(笑)
だから、すごく現実味のあるこの話は、映画とかドラマとかで見てみたいです、マジで。
全編通して、切ない話でした。でも、大好きです。
番外編は、やっぱり手紙が泣かせてくれましたね。続けて読んだからさらにこう…。
市井ちゃん、きっと元気ですよね?(そう信じたいです)
本編中で気になった所を…
>紗耶香、よくタブレット口にしてたでしょ? …
>>65 で見たときに薄々と感じて、>>91 を読み終わったときに確信して、
それからずっと、市井ちゃん死んじゃうんだ…って思ってました。
だから、後藤に嘘をつくシーンとか、読んでて辛かったですよ。
自分はどんなに傷ついても、後藤だけは……って感じで。
>今頃何しに戻ってきたの?
これは後藤の気持ち本心だな〜って感じですよね。
逢いたいのに、あなたはなぜ…。遅すぎるよ! って感じでした。
だから、この辺から話が気になって気になって。いつ本心を伝えるんだろうって。
>ヒント
これはわかりました。でも、私は『クロニックラブ』という曲を聴いたことがないので、
歌詞の内容まではわかりませんでしたが。だから、歌詞を知ることができてよかったです。
最後に、
>言葉って大事
これに尽きると思います。
全てのセリフ一つ一つにアリガチ(HN)さんの、そしてキャラクターの命がこもっている。
どんなに意味がなさそうな言葉でも、時には重要な役割を持つ。
アリガチ(HN)さんの紡ぎ出す言葉、すごく心に染みました。
これからも頑張ってください。次回作、楽しみに待っています。
追伸 あの〜、私がこの話を読んでてなんとなく世界観が合うな〜って思った曲があるので、
もしよろしかったら聴いてみて下さい。(もしかしたら全然合ってないかも…)
L'Arc〜en〜Cielの『虹』『あなた』 Gacktの『dears』
Do As Infinityの『永遠』です。
- 316 名前:アリガチ 投稿日:2001年05月29日(火)21時06分41秒
- ( `.∀´)<証明って何よ!?照明でしょ!!
相変わらず誤字脱字が多すぎて泣けてきます(TT
>304さん
有難い内容のレス嬉しいッス!
作ってる最中に日付が変わってしまったのが残念なんですが(^^;
自分が書く話はどうも重くなったり、暗くなったりして・・・。
いつか甘い話が書けたら良いのですけど(苦笑)
>道化師さん
今までにない細かいレスを有難う御座います!
っつーか、恐れ多いお言葉ばかり頂いてかなり恐縮ですよ(^^;
ラストで市井ちゃんがその後どうなったのかっつーのを明らかにしない事にしてたので、その過程でハラハラしていただけたのなら嬉しいッス(笑)
『クロニック ラブ』はT●Sでやってたドラマ『ケイゾク』の主題歌だったので耳にした事があるかもしれませんよ(わかんないけど)
もし興味あれば是非聴いてみて下さい(笑)
『永遠』聴いてみましたが良い曲ッスね!DAIは好きなんでナイス選曲だと思いました(笑)
- 317 名前:my best of love 投稿日:2001年06月20日(水)08時10分38秒
- Fly to you my best of love
どこにいるの?
もう一度会いに来て
- 318 名前:my best of love 投稿日:2001年06月20日(水)08時11分33秒
- 重い、重い雰囲気。
…それはとても私の気分を重くする。
そして、周りは重い雰囲気を作ってる事すら気付かないように接してくる。
…それは更に私の胃を重くする。
気にしちゃいけない。
私は誰にも負けないと誓ったはず。
そして、誰よりも私自身に負けないと誓ったはず。
それはあの人との大切な約束。
- 319 名前:my best of love 投稿日:2001年06月20日(水)08時12分26秒
- 「疲れた〜」
そう言いながら、ばふっとベットに倒れこむ。
何時になったら少しはスケジュールが落ち着くんだろ。
シャッフルにドラマ撮影、レギュラー番組の収録に新曲のレコーディング。
体調管理に気を付けないと過労で倒れそう。
でも、頑張らなくちゃ。
はぁ〜、寝る前にお風呂入らなくちゃいけないんだけど。
それなのに私の意志とは関係なく瞼が重くなる…。
う〜ん。
お風呂は朝入ればいいか。
もし、ここに市井ちゃんがいたら、ちゃんと入らないとダメ!って言いそうだけど。
どうでもいい事にまで細かいもんね、さすがA型。
でもね…怒られるのでも何でもいいから、また会いたいな…。
夢でもいいから会いたいよ…。
今まで一度も夢で市井ちゃん出て来たことないんだけどさ…。
見る夢を自分で選べられたらいいのにね…。
市井ちゃん…後藤は頑張ってるよ。
そして、私の意識は遠のいていった。
- 320 名前:my best of love 投稿日:2001年06月20日(水)08時13分05秒
- …。
……。
………何…ここ?
気がついたら私は一人立ち尽くしていた。
なんで?
さっき、寝たとこじゃん。
試しに自分の頬をつねってみたけど…痛い。
ってことは、現実?
そのわりになんか変なんだけど…。
違和感を感じるのはなんでだろ?
…そうか。
周りに誰もいないからだ。
「…というわけなんだけど」
あれ?
どこからか声がする。
自分の周りを見回して見たけど何も見つからない。
どうやら、ここはどこかのスタジオのようだ。
「ねぇ。どうしたらいいかな?」
「うーん…こりゃ、難しい問題だね」
…この声。
「しかし、まさか圭織が新リーダーになったなんてさ、ビックリだよ」
「なんでビックリするのさ?」
「はは。いや、でも…裕ちゃんはいい選択したなーって思うよ」
「ホントにそう思ってんのー?」
…圭織?
それにもう一人は…。
私は勢いよく、後ろへ振り返った。
- 321 名前:my best of love 投稿日:2001年06月20日(水)08時13分57秒
- やっぱり!
…そこにいたのは圭織と市井ちゃんだった。
ってことは、やっぱり夢だ。
市井ちゃんが私達の近くにいるわけないもん。
…寂しいけど。
そんな事を思っている間にも二人の会話は進んでいた。
何故かこの夢の中の二人は神妙な顔をしている。
二人共、私の存在に今まで全く気付いてないようだ。
圭織、何か悩みでもあるのかな?
夢の中でだけど、やっと市井ちゃんに会える事が出来て嬉しいんだけど。
なんで私の夢にこの二人が出てくるんだろ?
市井ちゃんだけならまだしも。
なんで圭織も?
別に邪険にするわけじゃないけど、少し不思議だった。
「紗耶香…ちょっと肩貸してくれる?」
「…うん、いいよ。っていうか、圭織の方が大きいんだから身体ごと貸すよ」
市井ちゃんはへへっと笑いながら両手を軽く広げる。
圭織は市井ちゃんに身体を預け、そっと瞳を閉じる。
それと共に市井ちゃんは圭織の腰の辺りに腕を回した。
なんだか…ちょっと嫌だ。
夢だってわかってる。
でも、嫌。
市井ちゃんが誰かに優しくしてるとこを私は指を加えて見てるだけだなんて。
- 322 名前:my best of love 投稿日:2001年06月20日(水)08時14分30秒
- 「あたしはずっと圭織の味方だからさ。それを忘れないで」
「…ありがと。圭織も紗耶香の事、ちゃんと応援してるから」
「へへ。うちらって相思相愛かぁ?」
笑いながら言う市井ちゃん。
「相思相愛なんて言葉、後藤以外に使わないでよ…」
二人はハッとして私の方へ振り向く。
いつの間にか私は自分でも気付かないうちに、思ってる事を口にしていたようだ。
更にいつの間にか私の目からボロボロとこぼれる涙を見て市井ちゃんは絶句していた。
「後藤…」
- 323 名前:アリガチ 投稿日:2001年06月20日(水)08時16分13秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<昨日、ビジーで投稿出来なかったわよ!
短編っていうより中篇くらいの長さかも。
時間がないので今日はこれだけッス(^^;
- 324 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月20日(水)23時24分21秒
- いちかおですか?
いちかお好きなのでうれしいです。
でも後藤はどうなるんだろう・・
どっちも好きなのでめっちゃ楽しみです。
- 325 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月21日(木)02時51分03秒
- 上がってたんで見てみたら・・・
久々の新作、嬉しいです。
- 326 名前:道化師 投稿日:2001年06月21日(木)15時23分53秒
- あう〜…。最後の部分でいきなり頭の中が混乱してる(苦笑)
夢なのか現実なのか。。。
「クロニック・ラブ」聴きました。たまたまケイゾクの再放送で見て。
なんか不思議な曲って感じです。英語の部分は全く聞き取れなかったし(笑)
- 327 名前:my best of love 投稿日:2001年06月21日(木)20時39分28秒
- …スズメの鳴き声が窓の外から聞こえる。
恐る恐る瞼を開くと、そこは思った通りの自分の部屋の天井だった。
「…やっぱ、夢じゃん」
…っていうか、なんて夢見てんだろ。
それにもの凄く現実っぽかった…。
現実と何が違うかって言うと、人があんまりいなかった事と市井ちゃんが傍にいるかいないかくらい。
頭がぼんやりする。
私はゆっくりと起き上がり、頭を抑えながら鏡を見た。
そして…自分の顔を見て言葉を無くした。
「…うげ」
寝てたはずなのに疲れきった顔。
それに、涙の乾いた後まであった。
心なしか夢の中でつねった頬まで痛いような気がしてきた。
…そんなのあるわけないけどさ。
- 328 名前:my best of love 投稿日:2001年06月21日(木)20時41分04秒
- 私はいつもより早く楽屋入りしていた。
早く目が覚めてしまったのはあの夢のおかげと言うべきなんだろうか。
メンバー皆が珍しいよねーと言う声も聞こえてたけど
それに答える元気もなく、目を閉じてウォークマンで曲を聴くのに集中してるように見せていた。
実は再生ボタンなんて押してないんだけど。
…。
やっぱり、何か感じる。
何だろう?誰だろう?
目を閉じたまま、ジッと何かを感じ取ろうとしていた私に声をかけて来た人物が。
「後藤ー?なんか朝から疲れてる顔してるけど大丈夫?」
今、一番顔を合わせ辛い人間の声。
閉じてた目を開き、見なくてもわかってるけど一応、確認すると。
やっぱり…圭織だ。
「ちょっと…夢見が悪くて…ね」
「…ふーん。ちゃんと睡眠取らないとバテちゃうよ」
「わかってるんだけどね…」
別にここにいる圭織が悪いわけじゃない。
大体、あれはただの夢だし。
でも…なんか調子が狂う。
「なんか悩みとかあったりする?」
圭織はいつもマメに心配してくれる。
娘。に入ったばかりの頃の私によく気を使ってくれてたのも彼女だ。
感謝してるけど…市井ちゃん絡みになると話は別。
私って嫌な女だな…。
独占欲がこんなにも強いだなんて自分でも知らなかったよ。
- 329 名前:my best of love 投稿日:2001年06月21日(木)20時45分22秒
- 「別に〜?」
わざと答えをはぐらかす。
自分が今思ってる事なんて言えるわけがない。
圭織相手に誤魔化しが効くとは思ってないけど。
「…そっか。あのさ、後藤は『甘える』と『頼る』の違いってわかる?」
「へ?何を突然…それに何が違うの?」
いきなり何を言うかと思えば。
「圭織が思うに『甘える』っていうのは相手に依存する事、『頼る』は相手に救いを求める事」
「…は、はぁ」
何が言いたいんだろう?
ハッキリ言ってついていけない。
圭織の頭の中ってどうなってるんだろうってたまに思うけど。
今日は特に何を考えてるのかわからない。
「そろそろスタジオに行きましょうー」
梨華ちゃんがドア付近でメンバーに声をかける。
「もう時間かー。じゃ、行こうか」
圭織はそう言い、私の前に手を出してきた。
椅子に座ってる私を立ち上がらせてくれようとしてるのかな?
でも、私はわざとその手は取らずに立ち上がった。
あの夢を見た後だったから、圭織の何気ない優しさに触れる気になれなかった。
- 330 名前:my best of love 投稿日:2001年06月21日(木)20時49分21秒
- 「で、圭織は何が言いたかったの?」
私は圭織の横に立ち、答えを聞こうとしたけど
圭織は手を出したままの状態で私の顔を見てるだけだった。
そして、ため息をついていた。
「圭織?どうしたの?」
「…なんでもない。あ、圭織はちょっとメイク直しに化粧室に行くから先に行ってて」
「うん」
私は首を傾げながら、楽屋の出口に向かった。
結局、圭織が私に言いたかった事はわからないまま。
でも…何となくだけど、わからないままで良かったんだと思う。
それに、夢の事があって、これ以上圭織と会話をする気分じゃなかった。
ゴメンね、圭織。
もう少しだけ時間をちょうだい。
そしたら頭の中でちゃんと切り替え出来ると思うから。
部屋を出る時に圭織がいる方へ振り向くと圭織は自分の手を見つめたまま何か考え込んでいた。
- 331 名前:my best of love 投稿日:2001年06月21日(木)20時50分38秒
- 番組収録後、楽屋に戻って来たのはいいけれど次の仕事の時間が迫っていて
私は手早く帰り支度をしていた。
バタバタしていたおかげで夢のことなんてすっかり忘れてたんだけど。
椅子に座ってぼんやりしている圭織を見たら思い出してしまった。
思い出したのは夢の中での二人の会話。
「ねぇ…圭織」
「…あ?何??」
私に突然、声をかけられハッと我に返ったという感じの圭織。
…また交信でもしてたんだろうか。
「さっきの話なんだけどさ〜、圭織の方こそ何か悩み事でもあるんじゃないの?」
「はぁ?なんで?」
「…いや、なんとなく。じゃ、圭織って市井ちゃんの事どう思ってる?」
なんかあの夢の中では親密そうな感じがしたから…。
「はぁー?なんで突然、紗耶香の話題が出るの?」
「いやいや、いいから」
「よくわかんない質問だけど。そりゃ、もちろん今でも大切なメンバーだと思ってるよ」
「…だよね〜。あは」
「変な後藤」
やっぱ夢は夢か。
- 332 名前:アリガチ 投稿日:2001年06月21日(木)20時56分51秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<お宝ビデオを見てちょっと鬱よ!
ストーカーになった気分だわよ!!
>324さん
いちかお、自分も好きですよー。
しかし、この話はどうだろう・・・(苦笑)
期待を裏切らなければ良いのですけども。
>325さん
ずっと見てくれてたんスかね?
嬉しいッス(笑)
久し振りのようで、ちょこちょこっと書いてたんですけどね(^^;
>道化師さん
混乱ですか・・・ちなみに自分も混乱してたりしますけど。
ケイゾクの再放送ですか・・・いいですねー。
最近、またビデオで見てたりしたんですけどね(笑)
- 333 名前:325 投稿日:2001年06月22日(金)03時15分00秒
- 何やら先の読めない展開で続きが楽しみです!!
市井ちゃんはまた、夢の中?で登場してくれるのかな〜?
>ずっと見てくれてたんスかね?
そりゃーもう、クロニック ラブから見てますよ!!
あの話にはよく胃を痛めつけられましたっけ・・・(w
- 334 名前:道化師 投稿日:2001年06月22日(金)12時22分14秒
- やっぱり、夢って感じがしない。
もしかしたら、カオリもごっちんと同じ夢を見てたり、とか……?
- 335 名前:道化師 投稿日:2001年06月22日(金)12時26分31秒
- やっぱり、夢って感じがしない。
もしかしたら、カオリもごっちんと同じ夢を見てたり、とか……?
- 336 名前:マルボロライト 投稿日:2001年06月22日(金)23時47分10秒
- しまった!出遅れてる!(w
アリガチさんの書く圭織好きなんで嬉しい♪
市井ちゃんと後藤は…ん〜先がわからないよ〜
- 337 名前:my best of love 投稿日:2001年06月23日(土)00時18分40秒
- …。
……。
………まただ。
また誰もいない世界…っていうか、あの夢の世界。
前回とは違って、どこかのホテルの一室みたいな場所。
夢なのに前見た記憶が残ってるっていうのもおかしい気がするんだけど。
今日もまた誰か出てくるのかな。
ガチャっと私の後ろにあるドアが開く音がした。
そして間髪入れずに声をかけられた。
「おー、後藤じゃんー」
振り返る前に誰かわかった。
「市井ちゃん!」
ガバっと抱きつく。
「うぉっと!」
よろめきながらも市井ちゃんは私を抱き止めてくれた。
「ずっと会いたかったよ〜!たとえ夢でもこうして会えて後藤は嬉しいよ〜!」
「……」
「どしたの?」
「いや、歓喜の余り言葉が出ないっつーか」
そう言いながら笑う市井ちゃん。
でも、その言葉と今の表情が一致してないような気がした。
…なんとなくだけど。
- 338 名前:my best of love 投稿日:2001年06月23日(土)00時20分12秒
- それから私達はベットに並んで座り、自分の近況について語っていた。
一方的に私が話してるって感じだったけど。
「へー。ドラマまでやってんだ。すげーじゃん、後藤」
「もう大変だよ〜。体力がもたないもん」
首をコキコキ鳴らしながら言う私を見て市井ちゃんは呆れた顔をした。
「まだ若いくせに何言ってんだか。それに暴飲暴食には気をつけなよ」
「…は〜い」
やっぱり細かいなぁ。
っていうか、年寄り臭い説教だよね。
「後藤の為を思って言ってるんだからね」
「わかってるってば」
私が苦笑いしながら答えるのを見て、市井ちゃんは真剣な顔になった。
「何?ホントに大丈夫だってば。信じてよ、市井ちゃん〜」
「いや、そうじゃなくてさ。後藤、マジで大丈夫?」
「何が〜?」
「……」
ほんのちょこっと口を開くのに戸惑っている市井ちゃん。
一体、何の心配をしてるんだろ?
「…ちょっと前にあたしが戻って来た時はさ、別に何にもならなかったけど…っていうか
ま、あたしと後藤のケンカはあったけど」
「あは。まぁ、あれはしょうがないよねぇ〜」
私があははと笑いながら頭をかいているのとは反対に市井ちゃんはまだ真剣な表情のまま。
「あの時は周りから別に何も後藤に対して言われなかったと思うんだけど…」
あぁ…そのことかぁ。
「その後、何もない?何も言われたりしてない?
あれからまた状況が変わってきてると思うからちょっと心配なんだよね」
- 339 名前:my best of love 投稿日:2001年06月23日(土)00時22分40秒
- 何もないかと聞かれたらあるような気もするけど。
でも、ちゃんとした形で何かされたわけでもないし。
言われたわけでもないし。
ただ、メンバー内の雰囲気がおかしく感じるって事だけ。
…ただ、それだけ。
「市井ちゃんは心配性だなぁ〜。何もないよぉ」
にへっと笑っておどけて言う私の顔を市井ちゃんはジッと見ていた。
「うーん…心配性っていうか、後藤が能天気過ぎなだけだと思う」
「酷い〜、後藤だってちゃんと考えてるよ」
「…うん、わかってる」
「ホントかなぁ〜?」
「信じるものは救われるって言うじゃん?と、いうわけで信じておきなよ」
「あは、何それ〜!」
二人で笑い合う。
市井ちゃんは夢の中でも私の事を大切にしてくれる。
どうせならこのまま覚めないで欲しいなぁ…。
だって、こんなにも幸せな気持ちになれるから。
ここしばらくこんな気持ちになんてなれなかったから余計に嬉しい。
- 340 名前:my best of love 投稿日:2001年06月23日(土)00時25分37秒
- 市井ちゃんってなんでこんなにも優しいんだろ…って、あれ?
ちょっと、待って。
今、嫌なこと思い出しちゃった。
「ねぇ…市井ちゃん」
「何?」
「この前、圭織と抱き合ってたのはどういうわけ!」
圭織とイチャついてたのはなんだったの?!
私にだけ優しくしてくれてるのかと思ったら!
「はぁ?何それ??」
「とぼけないでよ!もしかして圭織と二股かけてんの!?」
「後藤ってば、何言ってんの?」
「何って…」
市井ちゃんは呆気に取られたような顔になっていた。
もしかして…前の夢と今が繋がっているのは私だけ?
それって私の夢だから?
そうか…そういうもんなのか…。
「後藤ー?大丈夫かぁ?」
私が一人考え込んでいると市井ちゃんは心配そうに声をかけてきた。
そこで私の夢の記憶は途切れた。
- 341 名前:アリガチ 投稿日:2001年06月23日(土)00時32分59秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<私も夢の中に出しなさいよ!旧プッチで歌いたいのよ!!
>325さん
市井ちゃん、登場しましたよ(笑)
最初っから読んでくれてるんスね!
ありがたや!(笑)
>道化師さん
不思議ーな話にしたかったんで(^^;
だからといってファンタジーとかじゃないですけども。
うーん、圭織はどうでしょ?(笑)
>マルボロライトさん
ひっそりとここは再開してました(笑)
有難いお言葉頂いて嬉しいッス。
圭織は確かによく出てきてますわな、自分が書く話って(笑)
- 342 名前:325 投稿日:2001年06月23日(土)03時20分12秒
- やった〜!!夢の中で市井ちゃんが再登場!!
それにしても本当、不思議な感じのする話ですね。
続き期待!!
- 343 名前:マルボロライト 投稿日:2001年06月24日(日)00時20分09秒
- う〜む…ますますわからねぇ(w
市井ちゃんが気になるなぁ…
とりあえず、ごっちん頑張れ〜!
- 344 名前:my best of love 投稿日:2001年06月24日(日)01時05分45秒
- 私はTV局のロビーのソファーで空いてる時間を過ごしていた。
近くの自販機で買ったジュースを片手にため息をつく。
もっとあのまま市井ちゃんと二人っきりでいたかった。
たとえ夢でも。
どうして、あんな下らない質問しちゃったんだろ…。
夢が繋がっていないのなら、何も気にせずにラブラブしてたらよかったのに…。
それに…。
市井ちゃんに何か聞かなくちゃいけない事があったような気がするのに…。
それが何なのか思い出せない。
自分自身に腹が立った。
軽く自分の頭をこづいてみたけど。
きっと…もうあの夢の続きは見れないんだろうなぁ…。
「ごっちん?何やってんの?」
財布を片手にやぐっつぁんが声をかけてきた。
「ジュース飲んでるの」
「見りゃわかるよ、そんなの」
「…質問に答えたつもりなんだけど」
「なーんか、その気の抜けたコーラみたいだね、今のごっちん」
そう言われて自分が手にしていたコーラの炭酸が抜けかけている事に気付いた。
- 345 名前:my best of love 投稿日:2001年06月24日(日)01時07分49秒
- それから、やぐっつぁんは自分の飲み物を買ってきて私の隣に座った。
「ごっちん、大丈夫?疲れてるんじゃないの?」
「…やぐっつぁん、一つ質問していい?」
「何ー?質問返ししちゃって」
「もしね…もし、市井ちゃんと夢の中で会えたとしたらどうする?」
「はぁー?」
「えっと〜、もしもの話だよ」
「うーん。そうだなー。夢だから何してもオッケーって事だよね?
じゃあ、紗耶香に矢口の事を好きになってもらってラブラブになるってのはどう?」
ニヤリと笑いながら私の顔を見るやぐっつぁん。
「どう?って、そんなの後藤に言われても…意地悪だよ、やぐっつぁん」
そんなの聞かされて私がいい気分になるわけないのはわかってるくせに。
「ま、今のは冗談として」
「…う、うん」
ホントに冗談だったのかなぁ…顔がマジだったけど。
「信じてよー。まー、また会えたら甘えたいっていうのはあるけどさ。
紗耶香っていい相談相手になるから日頃の愚痴とか聞いてもらいたいなー」
「そうだね…」
答えながら何かがよぎった。
甘える?
そうだ、圭織のこの前の言葉だ。
『甘える』と『頼る』。
確か、圭織は甘えは相手に依存する事って言ってたような…。
ってことは、やぐっつぁんはまだ市井ちゃんの事を…。
- 346 名前:my best of love 投稿日:2001年06月24日(日)01時10分46秒
- そんな事を考えてる間にもやぐっつぁんの話は続いていた。
「あと、矢口なら今の自分の不安材料を夢で消しちゃうね」
「不安材料って?」
「そ。矢口の不安材料っていうのは今の紗耶香はどうしてるのかサッパリわかんないって事。
やっぱ、不安じゃん?
だから…今、どうしてるとか、いつ戻ってこれるとかそういうのを聞きたいね。
夢だから自分のいいような答えしか返って来ないかもしんないけどさー。
『夢=願望』ってとこかな。
ま…でも、夢って自分の意思通りに話が進んだりしないもんだから、何とも言えないけどさー」
やぐっつぁんはそう言って手にしていたジュースを一口飲んだ。
「なるほど…」
私は一人、納得していた。
そうか…これだよ。
こういうのを聞いたらよかったんだ。
今度、もし夢で市井ちゃんに会えたら聞いてみよう。
何て答えてくれるかな…。
「ま、結局は自己満足ってやつだよね」
やぐっつぁんの言葉はもう私の耳には届いていなかった。
いや、聞こえてないふりをしてただけかもしれない。
- 347 名前:アリガチ 投稿日:2001年06月24日(日)01時15分01秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<悔しいけど相変わらず、紗耶香はモテモテね!
>325さん
ありがとうッス!
まだまだ出てきますんで待ってて下され(笑)
この話はあんまし長くないので、あと半分くらいで終わるッス。
>マルボロライトさん
書いてる本人も何が書きたいのかわけわからん状態なので
読んでる人はサッパリわからんでしょうな(爆)
ごっちんは・・・大丈夫かなぁ?(謎)
- 348 名前:マルボロライト 投稿日:2001年06月24日(日)23時06分13秒
- 夢は願望の表れといいますもんね。
でもやぐっつぁん…まさか本気?これからどうなるか楽しみ♪
私はヤッスーが大好きだぞ〜!(w
- 349 名前:my best of love 投稿日:2001年06月24日(日)23時57分56秒
- …。
……。
………。
「市井ちゃん!」
「こんな近距離で大声出さないでよ、耳痛いっつーの」
またこの前と同じ夢。
よかった、市井ちゃんだけが出てくる夢だ。
それに前回と同じどこかのホテルの一室のような世界で、私の隣には市井ちゃんが。
まさか、本当にこの前の続きの続き?
ちょっと試してみようか。
「市井ちゃん…この前はゴメンね」
「いいよ、気にすんなってば。っていうか、この前って何?」
「へ?…いや、だから何の事かわかってんの?」
「だから、さっき言ってた圭織と二股って話のことでしょ?わけわかんないけど」
ラッキー!
ついてるよ、私!!
前回の目を覚ます前の続きからだ!
「何、ガッツポーズしてんの?」
「あは。何でもないよ〜」
「……変な奴」
早速、聞きたかった事を聞かなくちゃ。
「ねぇねぇ!市井ちゃんの方こそ最近どうなの?」
「んー?別に普通だよ。手術も成功したし」
…え?!
ちょ、ちょっと待ってよ!
今、もの凄く普通に言ってたけど!!
「え!?手術成功してたの!!そんな大事な事、会ってすぐに言ってよ〜!!」
「や、タイミングがねー…はは」
「バカ〜!!」
なんだか安心してまたボロボロと涙をこぼす。
「泣くなよぉ」
市井ちゃんは私の頭をワシャワシャと乱暴に撫でる。
これは夢だってわかってる。
本当に手術が成功したかどうかなんて私にはわからない。
でも、このどこまでも現実に近い世界で。
しかも現実の世界と何も変わらない市井ちゃんのままで。
そんな事を言われたら素直に現実と錯覚してしまうのはしょうがないと思う。
たとえ、それが自分が作り出したかもしれない願望の返答でも。
- 350 名前:my best of love 投稿日:2001年06月24日(日)23時59分03秒
- 「…グスッ。市井ちゃん…いつかまた後藤の近くに戻ってきてくれるの?」
「まだわかんないけどさ。手術後の経過を見ないといけないし。
それがどれくらいかかるのかもわかんないしさ」
「……そっか」
「そんな顔すんなってば。いつかは帰るさ」
「ちゃんと待ってるからね。そうだ。市井ちゃん…前に手紙くれたでしょ?」
「あぁ…アレ見つけてくれたんだ」
少し嬉しそうな、そして少し恥ずかしそうな顔をする市井ちゃん。
「後藤ね、誰にも負けないよ。もちろん自分にも」
「…ん。あたしはそれをちゃんと傍で見届けてあげられるようにするよ」
強い意志の込められた目を見て、私は頷くつもりだった。
しかし…出来なかった。
誰にも…そして、自分にも負けない。
市井ちゃんと約束してずっとそれを守らなくちゃって頑張ってきた。
たまにヘコんだりしてるけど、それでも頑張ってきた。
でも、やっぱり…。
…もう嘘はつけない。
「でもね…やっぱダメだよ、後藤は」
「どうした?」
「市井ちゃんがいなくなってから何も問題ない、大丈夫だって言ったけど…そんなの嘘。
ずっとメンバー内の空気が重いの。皆わかんないふりしてるけど後藤にはわかる。
きっと誰かに憎まれてる…。
それは誰かはわかんないけど…もしかしたら皆かもしんない」
「……」
「気にしないようにしてる…うぅん、してた。でも、もう限界だよ…。
今、すっごく居心地が悪いの…今の後藤には味方なんていないんだもん」
いつの間にか私の目からまた涙がボロボロと流れていた。
ずっと自分の中で溜めてた気持ち。
メンバーの誰にも、とても言える事じゃない気持ち。
だって、誰が自分の味方かなんてわかんない。
私を憎んでる人が誰かって事がわかんないから。
たまに皆が敵に見える…。
そんな事を考えてしまう自分が嫌だった…。
「…そっか」
市井ちゃんはポツリと呟いた。
- 351 名前:my best of love 投稿日:2001年06月24日(日)23時59分46秒
- 「後藤…自分の周りに味方がいないだなんて、そんな悲しいこと思わないで。
近くに絶対いるから」
何を根拠にそんな事が言えるの…。
「それに、少なからずここに一人味方がいるじゃんか」
「そんなんじゃ無理だよ…だって、本当の市井ちゃんは後藤の傍にいないもん」
「……」
市井ちゃんを困らせる気なんてない…。
でも、これは事実。
今は傍にいる。
こんなにも私を励ましてくれる。
でも…これは夢。
現実の世界では私の傍に市井ちゃんは…いない。
ここにきてやっとわかった。
『甘える』と『頼る』。
今の市井ちゃんに甘えることは出来る。
でも、決して頼ることは出来ない…。
夢の世界で救いを求めたって現実に戻っちゃうと何の意味も持たないから…。
「あは…はは。もういいよ、もうどうでもいいよ…こんなの全部嘘で出来た世界じゃん」
「後藤…」
「…さよなら、市井ちゃん」
そして、私は自分の世界に戻った。
- 352 名前:my best of love 投稿日:2001年06月25日(月)00時00分19秒
- 目を覚ますと、やはり私の頬は涙で濡れていた。
もはや、ベットから起き上がる気力もなかった。
バカみたい。
何やってんだろ…。
そして、聞くのを拒絶したはずのやぐっつぁんの言葉を思い出した。
――自己満足。
そうだね……ホントにその通りだね。
現実逃避したかっただけなのかもね…。
そういや前に圭織にも言われたっけ…。
『後藤は紗耶香に甘え過ぎなんだよ』って。
私って全然成長出来てなかったんだね…。
私は両手で顔を覆い、しばらく声を出さずに泣き続けた。
- 353 名前:アリガチ 投稿日:2001年06月25日(月)00時03分37秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<ごっちん、自爆してんじゃん!
>マルボロライトさん
今回、矢口はあんまし関係なかったりして(爆)
絡むと長くなりますからね・・・。
( `.∀´)<ありがと!私も好きよ!!
- 354 名前:うのじ 投稿日:2001年06月25日(月)02時39分12秒
- 新作始まってたんですね。
アリガチさんの書くごっちんはけな気でかわいーですね♪
現と夢の交差する不思議な世界でどうなるのか…期待してます。
- 355 名前:325 投稿日:2001年06月25日(月)03時44分04秒
- やった〜!!夢の中で市井ちゃんが再々登場!!(爆)
俺的には、「後藤、市井ちゃんにもっと甘えなさい」っていう感じっす。(w
- 356 名前:道化師 投稿日:2001年06月25日(月)12時42分11秒
- 前作の続き? って思うのは私だけ?
なんか、市井ちゃんとの会話が前作『クロニック ラブ』とリンクしているような…。
- 357 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月25日(月)19時17分10秒
- >>356
( ´ Д `)< んぁ?気付くの遅いよぅ
- 358 名前:my best of love 投稿日:2001年06月25日(月)23時55分28秒
- 「おっはよー…って、あれ?ごっちん今日も早いね」
なっちが楽屋に入ってくるなり、私を見て少しビックリしていた。
私はいつものようにウォークマンを聴いているふりをして目を閉じ黙っていた。
何も反応しない私を見て、肩をすくめながらなっちは圭ちゃんがいる方へ行ってしまった。
「後藤さんー。アメ食べますかぁー?」
辻がアメの袋を持って傍に来たけど、それでも聴こえないふりをする。
なんか、もう誰とも話したくない。
いや…怖い。
何もかもが…。
甘えられる人はここにはいない。
頼れる人も…。
私は一人ぼっちだ…。
今日もまた何か感じる。
目を閉じててもわかる。
…それは私に向けられた憎しみの感情を含んだ視線。
しかし、それは突然、消えた。
私がハッと顔を上げ、何か状況が変わったのかどうか確かめる為に辺りを見回す様を見て
辻は不思議そうな顔をした。
「後藤さん?どうしたんです…」
辻が言い終わらないうちにそれを遮る声が。
「辻ー。もうちょっとで収録始まるけど、アンタちゃんとトイレ行った?」
「あ、保田さんー。ちゃんと行きましたよぉ!バッチリです!!」
「あっそ。じゃ、ちゃんと台本読んだの?」
「……」
「はい、あっちでちゃんと読んでこいー」
「はぁーい」
辻は素直に加護の隣にある自分の台本を置いている机に戻って行った。
- 359 名前:my best of love 投稿日:2001年06月25日(月)23時56分18秒
- 圭ちゃんは辻が戻っていったのを見送り
そして、ほとんど台本チェックをしてなかった私に説教する。
「ごっちん、アンタも台本ちゃんと読んどきなよ?」
「……」
「こらーっ!!人の話はちゃんと聞けっつーの!」
「…わかった」
「ったくもー、何なのよ。最近、おかしいよ?」
首をかきながら圭ちゃんがボヤいているの見て、圭織が声をかける。
「圭ちゃん、さっき矢口が探してたよ」
「あ、ホント?じゃあ、ちょっと行って来る」
「時間までには戻ってきてよ」
圭織にそう言われて圭ちゃんは部屋の壁時計で時間を確認し、そして圭織に視線を戻すと
アレ?と首を傾げた。
「あんまし時間ないね…って、どしたの?圭織、なんか疲れた顔してるよ?」
「そう?んー、あとでメイクで誤魔化したら大丈夫っしょ」
「そうしなよ。顔に出やすいから気をつけないと大変だね」
圭ちゃんはそう言って外へ出て行った。
- 360 名前:my best of love 投稿日:2001年06月25日(月)23時57分09秒
- そして、圭織は私の傍に来て、ため息をつく。
「後藤ー、生きてる?」
「…半分死んでるかもね」
自虐的な笑いを浮かべながら私は答える。
「確かにそんな感じだね」
「…ごめん。一人にしといて」
「別にいいけど、あんまし自分の殻に閉じこもらないようにね。
前にも言ったけど自分一人でどうしようもない事があったら助けを求めるってのもアリだからさ」
圭織の顔を見ると心配そうな表情をしていた。
もしかしたら圭織だってこんな風に優しく接してくれていても
裏があるのかもしれない。
そう思うと私はずっと目を合わす事が出来なくなってすぐに顔を伏せた。
私は人間不信になっている自分に気付いていた。
誰にも助けを求められない場合はどうしたらいいの?
そして、自分一人で解決出来ない場合はどうしたらいいの?
そんな事を口にしようとして止めた。
言った所で答えなんて戻ってくるわけないもん。
「…今の後藤には誰にも甘える事も頼る事も出来ないよ」
やっと口を開いた私をしばらく眺めて圭織はまたため息を一つついた。
「後藤…アンタを助けてくれようとしてる手を自分から払っちゃダメだよ」
何それ?
自意識過剰じゃないの、それって…。
- 361 名前:アリガチ 投稿日:2001年06月26日(火)00時09分06秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<ドンドンごっちんはひねくれていくわ!
>うのじさん
自分が書くごっちんは性格に難があると思われ・・・(^^;
>325さん
ごっちん素直にならないですな・・・。
>道化師さん
その通りですよ、続きものだと思って下さいな。
>357さん
ヽ^∀^ノ<よくわかったね!
上にもある通り、このスレの話は最初っから話が続いていると思って頂ければ。
基本的にタイトル別にしてるものは単発でも見れるようにしたいと思ってるんですが
今回の話はあからさまに番外の後の話にしてますです。
- 362 名前:道化師 投稿日:2001年06月26日(火)11時40分52秒
- そうそう、カオリについてですけど……
イイヒトですね。ホント、友達思いのイイヒトです。
でも、ごっちんは相変わらず素直じゃないですね〜。もっと、素直になればいいのに。。。
- 363 名前:my best of love 投稿日:2001年06月27日(水)21時10分16秒
- …。
……。
………。
「よかった…また会えた」
「……な…んで?」
ニッコリと笑う市井ちゃん。
そして、戸惑う私。
また、あの夢だ。
この状況じゃ、また続きになってるのだろう。
そうか…。
見たいモノを自分で選べないもんなんだよね、夢って。
もういいのに…。
こんなの何の意味もないのに…。
「今日で、もう最後だよ」
私の考えてる事なんてまるで全てお見通しのような言葉。
そして、それを残念そうに言う市井ちゃん。
…え?
最後って?
「…何が?」
「こうやって後藤と会うのも…って事」
「なんでそんなのわかるの?」
「なんとなく」
市井ちゃんはそう言って、おどけて笑う。
もし、それが本当なら…。
もうこの夢ともサヨナラか。
ここにいる市井ちゃんともサヨナラ…。
関係ないのに…。
ただの作りモノの世界なのに。
作りモノの市井ちゃんなのに。
これでサヨナラしたって、この夢を見る前と何も変わらないのに。
別にどうでもいいって思ってたはずのに…。
それなのに自然と私の頬にまた涙が流れた。
- 364 名前:my best of love 投稿日:2001年06月27日(水)21時12分11秒
- 自分が作り出した偽りの世界の市井ちゃんでも本物の市井ちゃんでも。
好きという気持ちは変わらないから。
「なんか泣いてばっかだね、後藤ってば」
市井ちゃんはそう言って抱き締めてくれた。
無意識に私もギュッと抱き締め返す。
「あんね、今日は後藤にあげるものがあるんだ」
「…ひっく……な、に?」
市井ちゃんは私を抱き締めていた手を離し、自分のGパンのポケットから何かを取り出した。
そして、ニカっと笑った。
「はい、手出してー」
私は言われるまま素直に手を出した。
そして、市井ちゃんの両手が私の手を包んだ。
市井ちゃんがくれたもの。
…それは指輪だった。
「……これって」
私はわけがわからず、自分の手にある指輪と市井ちゃんの顔を交互に見つつ尋ねた。
すっかり涙も止まってしまった。
「いやー、去年の後藤の誕生日に何もしてなかったじゃん?
会う事が出来なかったんだから当たり前だけど。
だから、数ヶ月遅いけどプレゼント」
「数ヶ月っていうか…前の誕生日より次の誕生日の方が近いと思うんだけど」
「うるさいなー、後藤だって何もくれてないんだからいいじゃん」
ちょっとムッとして市井ちゃんはそっぽを向いてしまう。
「…ありがと」
「最初っから素直にそう言え。それに驚くなよー?これを見よ!!」
市井ちゃんはそう言いながら自分の手を私の顔の前で広げて見せた。
そこには同じ指輪。
「ペアリング?」
「そうだよ。嬉しいだろー?女同士で何やってんだかって感じだけどさ」
市井ちゃんは笑いながらそう言ったけど…。
「……っ、ぅ…」
「わー。また泣くなー!」
- 365 名前:my best of love 投稿日:2001年06月27日(水)21時14分48秒
- 私は市井ちゃんに酷いこと言ったのに。
どうしてこんなに優しいんだろ。
私の願望の世界だからなのかな…。
きっと何を言っても笑顔で答えてくれるようになってるのかもしれない。
「…ック…市井ちゃん…大好き」
「ずっと、そうやって素直になってよね」
全くもう、とブツブツ言いながらまた抱き締めてくれる。
市井ちゃんの肩に置いた自分の手にある指輪を眺めながら、もうどうでもいいやと思った。
いいじゃん、夢なら夢で。
我慢しないで甘えられるだけ甘えたらいいじゃん。
素直になったら自分から幸せな夢を嫌な夢にすることもないもん。
私が市井ちゃんを好きなのは変わらないし。
現実に戻っても夢とのギャップの差に落胆しない。
夢でも現実でも…たとえ傍にいなくても市井ちゃんだけは私の味方だもん。
市井ちゃんがいる限り、決して私は一人ぼっちなんかにならない。
うん、私が信じなくちゃ何にもなんないよ。
現実の世界に市井ちゃんがいなくても信じる事で充分な支えになる。
疲れとかがあったせいで気弱になってたのかもしれないけど。
あとは前みたいに耐えたらいいだけ…。
誰が私を憎んでるかを知ったとしても相手に何も出来ないだろうし。
「…夢の世界の市井ちゃんも現実世界にいる市井ちゃんも、ちゃんと後藤は信じてるから。
市井ちゃんの言葉を信じるから」
「よーし、その言葉忘れないよーに。あたしはいつでも後藤の事を想ってるからさ。
それと、あたしの他にもちゃんと味方がいるってことも忘れないようにね」
「うん…まだなんか怖いけど、頑張るよ」
「怖いかぁー…うーん。じゃ、これを試してみな?」
「何?」
「あのさ、手を繋ぐっていうのと、心を繋ぐっていうのって似てると思わない?」
「…へ?」
何を突然?
意味もわかんないんだけど。
「えっとねー…手を繋ぐと心も繋がるっていうか、なんか安心するっていうか…。
何か伝わってくるもんがあるんだよ。
うーん、何言ってんのか自分でもわかんないけどさ。
手を繋いでみて安心出来る相手っていうのは少なからず自分の敵じゃないと思うよ」
「そういうもんかなぁ〜?」
「自分の事を嫌ってる相手と手を繋いだら、そういう気持ちって伝染すると思うんだよね。
あ、こいつあたしの事嫌いなんじゃない?って。
あたしが言いたいのは、それの逆もあるって事」
そう言って市井ちゃんは私の手を取ってニコっと笑う。
- 366 名前:my best of love 投稿日:2001年06月27日(水)21時16分07秒
- …………。
確かに何かが伝わってくるような気がする。
私って単純なのかなぁ〜…。
「どう?嫌悪感とかある?」
「…そんなのあるわけないじゃん」
「そりゃそうだよ。あたしは後藤の事好きだからね」
「……照れちゃうよ。でも、凄いね。ホントに市井ちゃんが言ってた通りだ。なんかホッとする」
繋いだ手から伝わる体温の心地よさ。
なんだか凄く落ち着く。
「へへ。ちなみにあたしにもちゃんと後藤の気持ちが届いてるよ」
市井ちゃんは笑いながら言う。
「ん〜…でも、これって他の人にも当てはまるのかな〜?
ちゃんとホントの気持ちが伝わらなかったりして…」
「疑うわけ?じゃ、他の人に試してみ?」
市井ちゃんは自信満々に言い放った。
他のメンバーに試してみたら何かわかるかな。
よし、今度やってみよう。
何もしないでビクついてるよりはいいもんね。
「ま、これはある人からの受け売りなんだけどさ」
そう言って市井ちゃんは笑う。
「へ〜、ある人って誰?」
「へへ…秘密。後藤もよく知ってる人だよ」
「え〜?誰なのさ〜??」
「だから、秘密だって言ってんじゃん。いつかわかるよ」
「…ケチ。ホント、市井ちゃんって秘密主義だよね」
「何でもかんでもベラベラと話せるもんかぃ」
「…ちぇ」
「おっと!そろそろおねむの時間から目覚める頃ですよ、後藤ちゃん」
え〜!?
もう!!!???
「だから、なんでそんなのわかるの?」
「気にすんな」
市井ちゃんはニカっと笑った。
- 367 名前:my best of love 投稿日:2001年06月27日(水)21時16分44秒
- もうサヨナラなんだ…。
さっきまではどうでもいいって思ってたけど、やっぱり寂しいな…。
「後藤に会えて嬉しかったよ」
「うん、後藤も市井ちゃんに会えて嬉しかった」
「今はこの世界でしか会えないけど、また会えた時には何時でも甘えていいからさ」
そう言って市井ちゃんは私をギュッと抱き締めた。
「市井ちゃん〜…そんな事言ってもさ、また会えるかどうかなんてわかんないじゃん」
あんまし期待させないでよ、と私は苦笑いした。
その私の顔を見て市井ちゃんも苦笑い。
「会いたいって思う気持ちがあれば、また会えるさ。
ま、こうやって連チャンで会えるかどうかわかんないけど」
「うん…でもな〜……」
「でも?」
私は自分の手を差し出して苦笑いした。
「コレを現実に持っていけないのが残念だな〜って思ってさ」
「ははっ!絶対そう言うと思った。あたしの思ってた通り言葉を言うね、後藤ってば」
「何それ〜?!」
なんかバカにされてる気がするんだけど…。
まったくもぅ。
意地悪だなぁ、相変わらず。
市井ちゃんの勝ち誇ったような顔を見てたら心からそう思うよ。
「あたしをみくびるなって事だよ」
これが夢の中での市井ちゃんの最後の言葉。
- 368 名前:アリガチ 投稿日:2001年06月27日(水)21時19分40秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<ごっちん!あっさり浮上かよ!アンタ、単純過ぎじゃないの!?
>道化師さん
圭織をただの交信少女にしたくなくて、普通のとこも表現したかったので(笑)
ごっちん、あっという間でした(爆)
( ゜皿 ゜)<次回でラスト。
- 369 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月27日(水)23時24分42秒
- 心が和む。いいっすね。
- 370 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月28日(木)04時06分18秒
- ヽ^∀^ノ<あたしをみくびるなって事だよ!!
いいですね、このセリフ。(w
- 371 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月28日(木)11時11分41秒
- やっぱりいちごまはいいな〜
ラスト楽しみにしています。
- 372 名前:道化師 投稿日:2001年06月28日(木)11時30分59秒
- あう〜…。誰の受け売りか、わかっちゃいました。
きっとあの人ですよね…。
- 373 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月29日(金)00時20分33秒
- >>327
うん、オレもきっとそう思う...。
- 374 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月29日(金)20時22分57秒
- ≫372〜≫373
つんく♂?
- 375 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月29日(金)21時33分21秒
- いや市井が目標とするアーティストだと思われ
- 376 名前:my best of love 投稿日:2001年06月30日(土)12時58分25秒
- ザワザワ…。
何だか周りが騒がしい。
近くで男の人と女の人の声が聞こえる。
「………」
「あの…ちょっと」
「…あ、すみません…ちょっとボーッとしちゃって」
「いや、別にそれはいいんですけど」
「えっと、もう少し寝かしておいてやってていいですか?」
「うーん…でも、あともう少しで出番ですからお願いしますね」
「わかりました。時間が来たら私がちゃんと起こしますから」
ん〜?
あれ…。
「あ。…やっと目を覚ました。何時まで寝てんのかと思ったよ」
「あれ…圭織。なんで?」
「何?寝ぼけてんの?」
確かに寝ぼけてるかも。
瞼が重いまま周りを見回すと…やっぱり。
「なんでドラマの撮影所に圭織がいんの?」
私は何時の間にか出番待ちしてる間に眠ってしまっていたようだ。
今日この場所にいるのは私一人のはずなのに。
「遊びに来たんだよ」
何でもないような顔をする圭織を見てすぐ嘘だと思った。
今日はラジオの収録があって圭織もそんなに暇なわけじゃないはず。
…っていうことは。
「嘘ばっか。ホントは心配して見に来たんでしょ?」
「んー、まあ、それもあるけどさ」
圭織は私から視線を逸らして頭をかいている。
私は夢のおかげで吹っ切れたのか普通に会話出来るようになっていた。
- 377 名前:my best of love 投稿日:2001年06月30日(土)12時59分30秒
- 「どう?初めての連ドラは」
「あは…なんか、まだ緊張するんだよね…」
「しょうがないよ。ドラマってうちらはそんなに慣れてない仕事なんだし」
「台詞とか覚えるの苦手だしさ…ほら、見て?本番前なんかこんなになるんだよ」
圭織の目の前に差し出した私の手は少し震えている。
「大丈夫だって。ちゃんと覚えてきたんでしょ?」
そう言って圭織は私の手を両手で包み込んだ。
「……」
「何で黙り込むわけ?…まさか、ちゃんと覚えてないとか?」
「……」
「なんか、まだ寝ぼけてるみたいだけど…こんなんで収録は大丈夫なの?」
「……」
「…あのさ、後藤…もう手を離してもいい?」
無意識に圭織の手をギュッと握りかえしていたらしい。
私はハッと我に返ってぼんやりしちゃった、と圭織に平謝りする。
『手を繋いでみて安心出来る相手っていうのは少なからず自分の敵じゃないと思うよ』
…ホントだね、市井ちゃん。
ゴメンね、圭織。
ちゃんと信じてあげられてなくて。
「あのね…後藤は圭織には頼ろうと思う」
「…え?」
「前に言ってたじゃん?『甘える』と『頼る』っていう話」
「あぁ…あれか」
「圭織に対して甘えはしないけど頼る事は出来ると思う…。
ま〜、圭織にはそれって迷惑かもしんないけど」
「…そんな事ないよ。圭織は頼りにされた方が嬉しいもん。
あんまし大した事出来ないかもしれないけどさ」
二人共が最後は自信なさそうな発言をしてる事に気付いて私達は顔を見合わせて笑ってしまった。
- 378 名前:my best of love 投稿日:2001年06月30日(土)13時00分57秒
- そして、圭織は笑顔でこう言った。
「圭織には甘えはしないって…そっか、後藤が心から甘えられる人間は一人だもんね」
「…ま、そういう事だね」
「とりあえず、よかった。自分の殻に閉じこもるのを止めてくれて…圭織、実は心配だったんだよ」
「……そんなに…あからさまだった?」
最近、他人を拒絶してるのがそんなにわかりやすく表に出てたのかな…。
私って演技下手だもんね…今回のドラマでちょっとは演技力を身につけないとダメかな。
「んー、わかる人にはわかるっしょ。それに最近さ、今の現状にちょっと…危機感を持ってるんだよね」
「どういう事?」
危機感?
そんなに私ヤバイ事やってたのかな?
圭織の真剣な表情を見てるとすごく不安になるんだけど…。
「いや…何でもない…あ、そうだ。今日はこれを渡しに来たんだった」
圭織は自分で無理矢理気持ちを切り替えたかのようにパッと表情を明るくした。
私も何故かこれ以上は聞かない方がいいと思った。
「何〜?」
「後藤宛のプレゼントだって」
圭織は意味深な笑顔を浮かべそう言いながら小さな四角い箱を差し出した。
「わざわざコレを届けに?」
「そう。そろそろ圭織は帰るね。撮影頑張って…じゃ」
「え?ちょ、ちょっと!」
私が戸惑っている間に圭織は帰ってしまった。
全くも〜、マイペースだなぁ。
ため息をつきながら箱を見ると、差出人の名前を見てビックリした。
…えっ?!
な、なんで…こんな事ってあるの!?
まさか、と思いながら箱を開けると。
…出て来たのは指輪だった。
- 379 名前:my best of love 投稿日:2001年06月30日(土)13時02分10秒
- 私は精神的にとても弱いけど。
それでも今の自分を保てるのはこの想いがあるから。
たまにフラついたりするかもしれないけど。
でも、もう大丈夫。
もうすぐ会えるはずの貴方の事を信じている限り。
たとえ私の事をよく思ってない人がいても。
私には強い味方がいるから。
前進するスピードが遅くてたまには後退もしちゃうけど。
それでも前に進もうと思えるのは貴方が傍にいてくれるから。
願わくば、いつか貴方が私の傍にまた現れてくれますように…。
願わくば、貴方にあまり心配かけないでいられる自分でいられますように…。
−終わり−
- 380 名前:アリガチ 投稿日:2001年06月30日(土)13時13分17秒
- ( `.∀´)<謎は謎のまま!しかもなんか増えてんじゃん!
>369さん
ありがとうございます!
そう言って頂けると嬉しいッス。
>370さん
市井ちゃんの台詞の意味はこの通りです。
・・・わけわからんですよね(爆)
>371さん
ラスト・・・こんな風になりましたが怒らないで下さいね。
やっぱ、いちごまはイイっす!
>道化師さん
>373さん
>374さん
>375さん
いつの間にやら予想大会みたいになってたようですが(笑)
最初っから名前を出すつもりはなかったので基本的に誰が正解というのはありません。
一応、自分が設定してる人はわかる人にはわかる・・・かもしれませんが。
とりあえず、心の中にでもしまっておいてください。
今後の話で明らかにするかもしれませんし。
次の話が無事に出来上がったらこのスレともオサラバですね。
また長くなりそうです・・・まだ全く書いてませんけど(爆)
- 381 名前:マルボロライト 投稿日:2001年07月01日(日)04時41分46秒
- お疲れさまでした。でも謎が…(w
圭織と後藤の会話がすごい好きです。何か温かくて…かおまき書きたくなりました。
でも指輪をプレゼントされた日にゃもぉ…ねぇ…(w
ゆっくり次の話考えて下さいね。いつまでも待ちますので♪
- 382 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月02日(月)03時07分14秒
- お疲れ様でした。
例の謎は誰だったのかの答えは心の中に秘めておくことにします。(w
次回作も期待していますので頑張って書き上げて下さいね。
- 383 名前:道化師 投稿日:2001年07月02日(月)12時54分14秒
- お疲れさまでした。
2つともなんとなくわかっちゃいましたけど、このまま伏せておきます。
だって、その方がよさそうですから。
- 384 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月02日(月)16時47分33秒
- あぁ〜かおまきにはまっちゃいそう!!
お互いがマイペースでのんびり〜とした雰囲気になりますね。
次回作マジで超期待ッス!!!
- 385 名前:MIND CIRCUS 投稿日:2001年07月29日(日)22時35分54秒
- 何でも叶えてあげるって言われたら何を願う?
何でも自分の欲望のまま行動出来たとしたら何をする?
貴方なら何を望む?
- 386 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月29日(日)22時37分52秒
- 「なんやねんー!ここは!!」
「ホント…どうなってんだろね、これって…」
…なんか、周りがうるさいなー。
なんだか意識がぼやけている。
目を開くのもおっくうだ。
そもそも、いつの間に眠ってしまったんだろう。
えっと…頭の中に残っている記憶で一番新しいのは…。
仕事が終わってから家に帰って疲れたからそのままベットに入って…。
あぁ…そのまま寝ちゃったのか。
………あれ?
なんで自分の部屋なのに騒々しいんだろ。
疑問に思いながら目を開くと、そこは自分の部屋の天井ではなく…。
「…あれ?」
気がついたら私は学校にいた。
「よっすぃー!!やっと気がついた!!」
「り、梨華ちゃん?!」
何故か廊下で眠っていた私を梨華ちゃんは泣きそうな顔で見下ろしていた。
おかしい…。
ここは私が通ってる学校じゃない。
何故なら今着てる制服は自分の学校の制服とは違うから。
それに、梨華ちゃんと同じ学校じゃないし…っていうか、梨華ちゃんは学校行ってないじゃん。
それなのになんで私達は同じ制服着てるんだろう。
………っていうか!
「どうなってんの!?これ!!」
「きゃっ!」
突然、叫んだ私に梨華ちゃんは驚き、腰を抜かしてしまった。
「あ…ごめん」
「ビ、ビックリさせないでよー…」
「だって!どこなの?ここは…」
そう言いながら辺りを見回すと奇妙なモノが視界に入ってきた。
- 387 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月29日(日)22時39分35秒
- 「なっ!!」
「おうー。よっさん!やっと目を覚ましたんかいな…って
何で口パクパクさせてんねん?」
中澤さんの言う通り、私は中澤さんを指差したまま言葉を発せずにいた。
「矢口にはわかるね。よっすぃーが凍っちゃってる理由は
きっと裕ちゃんのその格好がヤバ過ぎるからだよ」
「なんでやねん!?別におかしくないやんか!」
「うわー、怖っ!よくそんな事が言えるねー」
「ですよねー」
「石川ー…アンタまでそんな事言うんか?」
中澤さんと漫才みたいな会話をしている矢口さんと梨華ちゃんは
すでに慣れてしまっているようだ。
二人共、絶対おかしいよ…。
…中澤さんは私と同じ制服姿なのに。
今、私の目の前にいる中澤さんの姿。
それは、今まで通りの金髪に近い髪、青いカラコンに厚化粧
…あ、これは本人には言えないけど…何故なら命が惜しいから。
そんないつもの姿に+セーラー服。
しかも超ミニスカ。
…………恐ろしい。
違和感がありありと…。
- 388 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月29日(日)22時40分23秒
- 「そういや、他のメンバーはいないのかな?」
矢口さんはキョロキョロと周りを伺う。
いや、そんな事より…。
「あの…どういう事なんでしょうか?」
「何が?」
キョトンとして矢口さんが聞いてくる。
…本当におかしいよ。
だって、こんな変な状況なんだから普通はすぐに疑問に思うじゃん。
「いや、だって…ねぇ?」
私は梨華ちゃんに救いを求めた。
「これって夢なんですかねー?私、家で寝てたはずなんですけど」
「私も!」
「そういや矢口もそうなんだよね、仕事終わってから家に帰って寝てたはずなんだよ」
「私は覚えてへんなぁ…飲んでたし」
「裕ちゃん…最近太り出してるんだからさ、ちょっとはお酒控えないと」
「うっさいわ!酒飲まなやってられへんねん」
「へー、なんか悩み事でもあんの?」
「…別にあらへんけど」
「何だよー、言えよー、矢口が相談にのってあげるから!」
「いや、ええねんて…」
変な夢だなぁ。
なんだか会話が凄くリアルなんだけど。
じゃあ、みんな一緒に同じ夢を見てるってわけ?
うーん…そんなの普通は有り得ないし。
でも、本当になんでこのメンバーなんだろう…。
もしかしたら、他のメンバーもどこかにいるのかもしれない。
中澤さんと矢口さんの脱線した会話はどこまでも続きそうだし。
ほっといて他を見てこようかな…。
- 389 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月29日(日)22時41分04秒
- 私は中澤さんと矢口さんにちょっと周りがどうなってるのか見てきます、と告げ
校内を歩き回っていた。
見た事もない学校の校舎内に戸惑いながら。
古くもなく、かといって新しいわけでもなく。
中途半端な歴史を刻んでいる建物。
妙なリアリティがあるけど…。
これって昔懐かしのドッキリカメラとかじゃないだろうな…。
ちょっと心細くなっていた私は隣にいる梨華ちゃんの存在に助けられていた。
「本当に不思議だよねー、どうなってるんだろう?」
梨華ちゃんは私のような不安を持ってないのか、何でもないように言う。
「これが夢なら起きた時、夢見が悪くて最低な気分になってるんだろうね」
「えー?どうして?」
キョトンとしている梨華ちゃんを見て、私は大きくため息をついた。
「…だって、あの中澤さんの姿がね」
「あははっ!」
こんなどうでもいい会話をしながらも私はどこか違和感を感じていた。
…何だろう?
私がそんな事を思っている間も梨華ちゃんは一人喋り続けている。
梨華ちゃんの甲高いアニメ声は廊下中響いていた。
…あ。
「ねぇ!やっぱおかしいよ!」
「きゃっ!ど、どうしたの?よっすぃー…」
突然、大声をあげた私に梨華ちゃんは心底驚いていた。
「…変だよ、ここ全く人がいない」
- 390 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月29日(日)22時41分58秒
- 「本当だ!そういえば中澤さん達と別れて結構歩いたけど誰にも会わないね」
梨華ちゃんは手をポンと叩いて納得する。
「っていうことは、やっぱり現実じゃないって事なのかなぁ?」
学校の中に誰もいないっておかしいよねぇ…。
休日で私達が勝手に入り込んだっていうのも変だし…。
新しいTVの企画?
…そんなの聞いたことない。
結局は夢ってことになるのか…。
「私はよっすぃーと一緒ならどこでもいいけどね」
「…そ、そう。ありがと」
何時の間にか梨華ちゃんに腕を組まれていた。
そこから梨華ちゃんの体温が伝わってくる。
なんだか、とってもリアルだ…。
「本当に本当なんだからね。私、よっすぃーの事大好きだから」
「…は、はは。ありがと」
梨華ちゃんのうっとりした顔を見て、ちょっとひいてしまった。
な、何を期待してるんだろう…。
梨華ちゃんの事は好きだけど…。
私の梨華ちゃんに対する好きと彼女が言ってる好きは別物のような気がして。
どうにも居心地が悪い…。
深く考え過ぎなのかなぁ…。
私は梨華ちゃんと話しながら中庭らしき場所に出ようと扉に手をかけた。
「あれ?」
「よっすぃー、どうしたの?」
「開かない…コノヤロー、ふんっ!」
気合を入れて扉を開けようとしたけど、全く歯が立たない。
「開かないの?壊れてるのかもしれないね」
「うーん、他の扉を探した方がいいかなぁ」
私はその後、他の扉も開けようとしたけど全く開かなかった。
- 391 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月29日(日)22時43分08秒
- 「つまり…矢口達はこの中に閉じ込められてるってわけ?!」
「そうなんですよ…出られないんです」
私と梨華ちゃんは中澤さんと矢口さんのとこへ戻ってきて
自分達が見てきたものの報告をしていた。
不安になっている私達とは対照的に中澤さんは落ち着いていた。
やっぱり矢口さんは予想を裏切らずに騒いでたけど。
「アンタ等、やっぱアホやなー。そんなんドアとか窓のガラス割ってもうたら速攻解決やん」
あ…そっか。
「じゃあ、中澤さん、よろしくお願いします」
「はぁ?なんで私がせなアカンの?こういうのは男前のよっさんの仕事やろ?」
…なんでだよ。
「キャー!よっすぃー、頑張って!!」
いや、ちょっと待ってよ…梨華ちゃん。
「よっすぃー、頼りにしてるからね!」
いや、だから待って下さいってば…矢口さんも。
三人の視線は私に集中したまま。
私はため息をつきつつ、近くにあった掃除用具置き場からホウキを取り出してきた。
「危ないですから、少し下がってて下さいよ」
「「「オッケー!」」」
声を揃えて私に返事をする三人。
…なんかムカつく。
ちょっとは手伝おうとか思えよ。
三人と一緒にいる事が苦痛になってきた私は窓に向かい
ホウキを手にして大きく振りかぶった。
- 392 名前:アリガチ 投稿日:2001年07月29日(日)22時51分03秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<久し振りだわっ!ラストストーリがようやくスタートよっ!!
今回、メンバーによってはとんでもない目にあうかもしれませんが(毎回じゃん)
そこらへんはご了承下さい。
『クロニック ラブ』から続けて読んでいただければ嬉しいです。
今まで残してきた謎みたいなものが今回解けたり、解けなかったり・・・。
この話が一番わけわからんものになると思いますが・・・。
- 393 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月30日(月)01時34分12秒
- クロニックラブとリンクしてるんですか?
でもこれはこれでおもしろい!
ヤッス−更新頑張れ(w
- 394 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月31日(火)00時51分54秒
- ――しばらくして。
「…な、なんで?」
私は呆然としていた。
ホウキを持っている手は痺れている。
「…よ、よっすぃー、もう一回やってみたら?」
矢口さんも信じられないという顔になっている。
「やめとき。この状態じゃ、無駄やろ」
中澤さんはため息をついている。
「すっごーい!防弾ガラスみたいな硬さですね!!」
梨華ちゃんのコメントはどこかズレている。
「…どうするんですか?これじゃ、本当に外に出られないですよ…」
「諦めも肝心やでぇ。別にええやん、これって夢やろ?いつか目覚ますって」
「裕ちゃん…何を呑気に」
そう言う矢口さんは呆れ顔になっていた。
「ええやん。夢は夢で楽しもうやー。矢口ー、好きやでー!」
中澤さんはどさくさにまぎれて矢口さんを襲っている。
「やめろー!裕子!!」
本当に嫌そうに中澤さんから自分の身を守る矢口さんを見ながら私はため息をついた。
「二人とも、本当に仲いいよね」
梨華ちゃんはじゃれあっている中澤さんと矢口さんを羨ましそうに見ている。
「…本当だね」
「夢ならここから出られない事を深く考えなくてもいいよね。
別にこれから何か起きるってわけじゃないし」
梨華ちゃんももうここについて考える事を止めたようだ。
夢ねぇ…。
どうせ夢なら自分が見たい夢にして欲しいよ。
よりにもよって、どうしてこのメンバーしかいない夢なわけ?
私、こんなの見たいって思ってたんだろうか…。
そんなはずないと思う、決して。
夢なら早く覚めて欲しいんだけど…。
- 395 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月31日(火)00時54分28秒
- …しばらくして。
「そういや、ここ壁時計とかないね」
矢口さんは傍にある『3−11』と書いてある教室に勝手に入り込み
首を傾げていた。
そう言われて初めて気がついた。
本当に時計がない。
学校なら普通あるはずなのに。
「矢口ー、私な、さっきから疑問に思っててんけどな。
ここにいる四人ってお揃いの腕時計してへん?」
「…あ、ホントだ!」
「でも…これっておかしいですよ」
梨華ちゃんは時計を見つめながら戸惑いの表情。
確かに私達はデジタルタイプの同じ時計をしているんだけど。
そのディスプレイには時間が表示されていなかった。
「…あの、この大きく表示されてる『11』って何でしょう?」
梨華ちゃんの言うとおり、表示されてるのは『11』という数字のみ。
「そんなん知らん」
「そういや、ここの教室は『3−11』ですね」
「それはたまたまじゃん」
「何だろ?なんかひっかかるなー…あ!」
「矢口さん、どうしたんですか?!」
「『11』って紗耶香のゼッケンの文字じゃん!」
「ア・ホ」
「…別に間違ってないじゃん」
バカにしたような中澤さんの顔を見て矢口さんはふくれる。
- 396 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月31日(火)00時56分02秒
- 『11』って何だろう?
本当に市井さんを表してる?
何のために??
それとも偶然?
別の意味があるんだろうか?
私の頭の中には『?』が渦巻いていた。
「あ〜!!!裕ちゃん達発見!!」
一人の世界に入り込んでいた私を呼び戻す声。
「ごっつぁん!それに……さ、紗耶香ー!?」
矢口さんは心底驚いた顔になっていた。
それは私を含め、あとの二人も同じだった。
「会えてよかったよ〜、気がついたら後藤達もここにいたんだよね〜」
ごっちんは、ね〜?と、自分がべったりとひっついている市井さんに話をふる。
「紗耶香ー!!元気だった?」
矢口さんは市井さんに会えた事がよっぽど嬉しかったのかすぐさま飛びついていた。
中澤さんはそれを見て、小声で矢口ー…、と寂しそうにぼやく。
そして、ごっちんと矢口さん二人に抱きつかれている市井さんはニコニコしていた。
その光景を見ながら私は憤りを感じられずにはいられなかった。
ごっちん…なんで?
「まさか皆に会えるとはねー、さっき、圭織達も見つけたんだ」
「え!?」
「追い抜いてきちゃったから後からすぐ来ると思うよ」
あっちは人数が多いからね、と市井さんは何でもないように言うけど。
あっちは人数が多い?
…っていうことは、娘。のメンバー全員がここにいるって事?
- 397 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年07月31日(火)00時57分34秒
- そして、しばらくすると『3−11』の教室にメンバー全員が集まった。
「これってどうなってんだろうね?」
窓際の一番後ろの席に座っている飯田さんが大きくのびをしながらぼやく。
「うーん…私達以外に誰もいない学校で外に出られない状態。
そして、みんなお揃いの時計に謎の『11』っていう数字…うーん」
梨華ちゃんは黒板前のセンター席に座って考え込んでいる。
「っつーか、なんで紗耶香もいるんだろ?」
保田さんは暇つぶしに後ろの黒板に謎の絵を落書きしながら首を傾げている。
その絵を見て一緒に落書きをしていた安倍さんは圭ちゃん、ヘッタクソー、とツッコミ。
そういうなっちの絵はまたペーやないか、と更に中澤さんがツッコミを入れている。
そして、いつもはうるさい辻と加護はこの状況に戸惑っているのか静かだ。
「本当だよね、自分でもわかんないよ」
市井さんはセンターの一番後ろの席に座っている。
右にごっちん、左に矢口さんを引き連れて。
「別にどうでもいいじゃん〜。ずっとこのままでもいいや」
そう言ってごっちんが市井さんに抱きつくのを見た矢口さんも負けてはいない。
「えー!?ごっつぁんだけズルイ!矢口も甘えるー!!」
二人に思いっきりホールドされている市井さんは苦笑い。
「そういうのはまた後でいいから…っていうかさ…」
市井さんはそう言いながら肩をすくめる。
「なんで新メンバーの諸君はあたしに近寄ってくんないのかな?」
- 398 名前:アリガチ 投稿日:2001年07月31日(火)01時01分58秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<今回の話はメンバー全員登場すんのよ!
>393さん
早速のレス、ありがとうッス!
『クロニック ラブ』とリンクしてると言うより
ここに載せてる話全部とリンクさせるつもりです。
期待を裏切らないように頑張るッスよ!
( `.∀´)<今回はマメに更新するわよーっ!
- 399 名前:マルボロライト 投稿日:2001年07月31日(火)02時12分28秒
- ( ´ Д `)<また出遅れたよぉ…圭ちゃんヒサブリ〜
みんな制服なのか〜見てみたいかも。でも裕ちゃんは…(w
更新頑張って下さいね。
- 400 名前:400男 投稿日:2001年07月31日(火)16時06分34秒
- 400突破おめでとうございます。
これからもがんばってください。
- 401 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月31日(火)16時38分03秒
- 更新されてる‥‥
正直、早く続きが読みたいです。期待してます。
- 402 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年08月01日(水)00時16分19秒
- 中澤さん、飯田さん、保田さん、安倍さん、矢口さん、ごっちんは後ろの席。
そして、他の私達四人は一列目に横に並んで座っていた。
「そんなの決まってるじゃないですか!市井さんはごっちんの敵だからです!」
私は声を荒げて言う。
市井さんが脱退してから再会した数ヶ月前。
市井さんは突然現れてごっちんを傷つけるだけ傷つけて。
そして、また突然姿を消してしまった。
ずっと許せないと思ってた。
でも、何故かごっちんは穏やかな表情になってたけど。
それはきっと市井さんがいなくなったからホッとしてたのかと思ってたんだ。
その事をごっちんに聞いても笑ってるだけで何も言ってくれなかったし。
それなのに、例えこれが夢だったとしても。
何もなかったかのように仲良くしてるだなんて…。
おかしいよ、二人共。
「敵って…随分な言われようだね、あたしって」
市井さんは苦笑いしている。
それがまた気に障る。
「ごっちん、なんで市井さんの隣になんか座れるの?あんなに酷い目にあったのに!」
「え〜?だって、もう仲直りしたもん〜」
「……え?」
さらっと言ってのけるごっちんに対して私は呆然。
…仲直りしてたんだ。
なんだよ…それならそうと早く言ってよ。
すげーカッコ悪いじゃん、私。
「もう、気がすんだか?いい加減、本題に入ろうや」
中澤さんが仕切りだす。
「裕ちゃんー、本題って言っても何一つわかんない事ばっかじゃん」
矢口さんがぼやいていると。
「ねぇ?これ何だろ?」
それまで静かにしていた飯田さんが自分の後ろの席の掲示板を指差す。
- 403 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年08月01日(水)00時17分26秒
『――貴方の願いを一つだけ叶えます――
ここから重要なのでよく読んでおいて下さい。
どんな内容の願いでも一つだけ叶えてあげます。
ちなみに願いを叶えての身体・心の変化はこの世界だけです。
ただ、この世界で起きた事は元の世界に戻っても全て覚えています。
つまり、記憶だけは持って帰る事になります』
- 404 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年08月01日(水)00時19分17秒
- 「…はぁー?何コレ?」
矢口さんが掲示板に貼り付けられていた紙を凝視したまま首を傾げている。
掲示板の前に勢揃いした私達全員が同じ状態だった。
「この世界?元の世界?…うーん。ってことは、やっぱし普通の夢じゃないって事か」
保田さんは顎に手をやり考え込んでいる。
「つまり…ここは異世界って事ですか?」
梨華ちゃんも唸っている。
「なんか胡散臭いねー。何でも願いを叶えてくれるなんてさ」
飯田さんがそう言いながら拒否反応を起こしているのとは対象に喜んでいる人達がここに。
「本当だべか!?」
「マジで?何でも叶えてくれんの!?」
「なっち、裕ちゃん…まさか本気で叶えてもらおうとしてんの?」
市井さんは呆気にとられている。
「ここだけしか通用しない願いなんて意味ないじゃんー」
ホントに叶うかどうかもわかんないし、と矢口さんは眉間にしわを寄せて訴える。
「ええねん、面白そうやないか…っちゅーわけで、私の願いはこれや!」
「ちょっと!!裕ちゃん!?」
矢口さんの言葉を無視して中澤さんは続ける。
「私を10歳若返らせてくれー!」
「「「「「「「「「「はぁーっ?!」」」」」」」」」」
10人分の声が響き渡る。
その時…腕時計がピカッと激しく発光した。
そして、私はあまりの光の強さに目を閉じてしまった。
- 405 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年08月01日(水)00時21分04秒
- 「裕ちゃんー!!!???」
矢口さんのキンキン声が部屋中をこだまする。
目を閉じていた私には何が起こってるのかわからない。
それはみんな同じだったようで…。
それぞれが目を擦りながら目を開ける。
そこにはなんと…。
本当に若返った中澤さんの姿が…。
セーラー服を着てても違和感なんて感じられなくなっている…。
「ちょお!ホンマに若くなってるやん!」
見て見てー!と、中澤さん(女子高生バージョン)は嬉しそうに
自分のスカートをピラピラさせながらグルグル回っている。
…キショ。
いや、若返ってるから見た目は普通の女子高生なんだけど…。
でも…中身は今まで通り三十路が手前である中澤さんなわけだから…。
そう考えるとやっぱり…キショ。
「くぅーっ!!肌の張りとか全然ちゃうわー!今ならスッピンでTVに出てもええねっ!」
若いってやっぱええな!と中澤さん(女子高生バージョン)はとってもご満悦のようだ。
しかし、中澤さん(女子高生バージョン)以外は皆、言葉を失っていた。
「…マ、マジ?」
しばらくして矢口さんが口を開いた。
- 406 名前:−吉澤ひとみ視点− 投稿日:2001年08月01日(水)00時22分00秒
- 中澤さん(女子高生バージョン)の変貌ぶりに他のみんながざわめいている。
「ね〜、ちょっとコレ変わってるよ〜」
ごっちんが腕時計を指差して言うのを見て、メンバー全員が自分のを見る。
…あれ?
「本当だ。『10』になってますよ…」
辻がキョトンとしている。
「ホンマや〜、さっきの光に関係してんのかなぁ〜?」
加護はどういう仕掛けだろう?と、時計をコンコンと軽く叩いている。
「わかりました!願いを叶えると時計が光って数字が減るんですよ!」
梨華ちゃんは誇らしげに言ってるけど、そんなの他の皆ももう気付いてると思うんだけど。
「元からそう仕組まれてたんやなぁー」
と中澤さん(女子高生バージョン)が妙な関心をしていた。
「本当にまた数字が減るかどうか、なっちが試してみる!」
安倍さんが嬉しそうに言うと市井さんがツッコミを入れる。
「試すとか言って、ただ単に願い事を叶えたいだけなんじゃないの?」
「別にいいっしょ。問題ないって」
そう言って安倍さんは大きく息を吸い込んだ
そして、安倍さんは中澤さん(女子高生バージョン)に続いて自分の願いを叫んだ。
- 407 名前:アリガチ 投稿日:2001年08月01日(水)00時42分31秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<今回で吉澤視点は終わりよ!次は誰かしら?
>マルボロライトさん
( `.∀´)<ヒサブリだぜっ!
制服はセーラーなので新曲の衣装っぽいのをイメージして頂ければ。
ねーさん、現実では着られないだろうなぁ・・・。
>400男さん
400ゲット、おめでとうッス!
有難いお言葉を・・・嬉しいです。
これからも頑張りますので!
>401さん
有難うございます!
ひそかに新作スタートしてました(笑)
話は出来上がってるので更新は早いですよー。
先に自分でツッコミ入れておきます(爆)
実は他の方が書かれている話をあまりちゃんと読む事が出来ていない為
ネタが被ってそうで怖いんです・・・(ヘタレ)
ワザとじゃないんで、そこらへんはご了承下さい。
- 408 名前:pleasule 投稿日:2001年08月01日(水)01時47分22秒
- まとめて全部読みました。
もう新作もスタートされててうれしいかぎりです。
まだ四人は市井ちゃんのことを嫌ってるようですね(安倍はどうなんだろう)
それと疑問なんですが市井ちゃんの手術は成功したということでよろしいんでしょうか?
もうそのことが気になって眠いです・・(グー グー
- 409 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月01日(水)06時59分41秒
- なっちの願いはやっぱりアレなんでしょうか(笑)
- 410 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月01日(水)10時35分37秒
- >>409さんと同じくなんとなくだがなっちの願い事がわかる気がする…(笑)
(●´ー`●)<まだ教えてあげないべ!
- 411 名前:マインドサーカス 投稿日:2001年08月02日(木)00時21分45秒
- 不思議な世界。
何でも自分の思い通りになる世界。
ここはきっと私達の為だけの世界。
- 412 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月02日(木)00時24分27秒
- 光が消えた後、腕時計を確認するとやはり『9』になっていた。
「これってやっぱり願い事の数なんだね〜」
後藤さんは何事もなかったかのように納得してるけど。
「…安倍さんの願いって」
梨華ちゃんはこれ以上何も言えなかったらしい。
顔が引きつっている。
「すごーい!本当にサマナイくらいまで痩せた!すっごーい!あははははっ!!」
歓喜のあまりテンションが林屋パー子さんみたいになっている。
安倍さんは激ヤセした身体を願ったのでその通りの姿になってんけど…。
おばちゃんキャラは変わってないで…。
っていうか、怖っ!
これやったら骸骨みたいやんか…。
安倍さん、最近頑張ってダイエットして痩せてたけど、やっぱ気にしててんなぁ…。
…でも、本当に何でも叶えてくれんのかぁ〜。
姿が変わった二人ポーっと見てる人間が私の隣にいる。
「ののはもう決めたん?」
「えー?迷ってるんだよね!お菓子いっぱい出すとか
最近太り出したから安倍さんみたいに痩せるとか」
…もうちょっと派手な願いを考えたらええのに。
なんか、ののらしいけど。
「あいぼんは何か考えたの?」
「いや〜、まだやけど」
「…知らないよ、見返りとかあっても」
私達の後ろから聞こえたその言葉にハッとした。
「圭坊は夢も希望もないこと言うなぁー。絶対、人生損して生きてるやろ?」
「裕ちゃんとなっちが考えなしなのよっ!」
キレてる保田さんを相手にせず、中澤さんはバカにしたように鼻で笑っている。
「意地はってないで、圭坊もそのエラ治してもらったらええやんか」
「な!何て事言うのよーっ!?」
保田さんに対する御法度な言葉を言う中澤さんに対してキーッと発狂する保田さん。
「ま、ええやん。こうやって姿変えられるのも今だけなんやから」
「そうそう。こんくらいなら元の世界に戻っても何の影響もないっしょ」
二人は顔を見合わせてニヤリと笑った。
- 413 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月02日(木)00時28分21秒
- 他の人等も自分の願いを何にするか考えてるみたいやねんけど。
「はい!は〜い!!後藤は市井ちゃんを男の人にしたい!」
後藤さんは手を挙げ、嬉しそうに言っている。
「はぁー?!後藤ってば何言ってんの!?」
突拍子もない後藤さんの言葉に驚いている市井さん。
「え〜、だって……ねぇ?」
「何が、ねぇ?…だか。そんな願いしたら絶交だからね」
「え〜!?…ちぇ。じゃあ、せめて学ランってのはどう?」
「だから、何がせめてなんだか…」
市井さんは呆れている。
「…じゃあ、市井ちゃんは何をお願いするの?」
市井さんの男性化案を仕方なく諦めた後藤さんは心底残念そうに聞く。
っていうか、今の願いにどういう意味があんねん?
「あたしは別に何も願わないよ」
当たり前のように言う市井さん。
そしてそれに対して後藤さんはえ〜!?と大声を出して驚いている。
「もったいない〜!どうして!?」
「だって、別に叶えてもらいたい事なんてないもん」
「…欲がないねぇ〜、市井ちゃんって」
市井さんと一緒にいると、こんな風になるのかぁ〜。
後藤さんがこんなに幼いとは思わなかった。
私や他の新メンバーが市井さんと一緒に活動してたのは数ヶ月。
その時はすでに後藤さんは私の教育係だったからビシッとしてたのに。
いや、ビシッとしてるっていうよりはボーッとしてたのかもしれないけど。
前に市井さんが現れた時も何故か険悪だったから仲良くしてるとこを見た事がなかった。
だから、本当に変な感じがした。
- 414 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月02日(木)00時29分59秒
- 「矢口の願いは背を伸ばすってのはどう?」
飯田さんがそう言うと矢口さんは人差し指を立て、チッチッチッと横に振った。
「そんな事したら普通の人になっちゃうじゃん。チャームポイントがなくなっちゃう」
「そりゃそうだ。じゃあ、何を願うの?」
「うーん…紗耶香の心を矢口のものにするとか?」
矢口さんのこの言葉にすばやく後藤さんと中澤さんが反応する。
「ダメ!ダメ!!ダメ〜!!そんなの却下!!」
「アカン!そんなん絶対アカン!」
「別にいいじゃん、矢口の願い事なんだしー。
っていうか、なんで裕ちゃんまでダメ出しすんだよ?!」
矢口さんは首を傾げている。
「矢口ー、そんなのしても現実に戻ったら虚しくなるだけだよ」
飯田さんが願いで心を変えても現実では元通りって書いてたじゃん、と諭すように言う。
「…わかってるよ。言ってみただーけ」
矢口さんはすぐに諦めた。
それを聞いて、後藤さんと中澤さんはホッとしている。
「あのー、あたしの意志はおかまいなしなわけ?」
市井さんは苦笑いしている。
よっすぃーと梨華ちゃんはぼんやりこの光景を見ていた。
「よっすぃーは何か考えたの?」
梨華ちゃんが聞くとよっすぃーは首を横に振り、逆に梨華ちゃんに聞く。
「梨華ちゃんの場合は色白にしてもらうっていうのはどう?」
「酷いー!!よっすぃー!どうしてそんな事言うのー!?」
よっすぃーが何気なく言ったこの言葉に心底ショックを受ける梨華ちゃん。
「な、なんでそんなに怒るのさ?!」
よっすぃーはうろたえている。
「そりゃ、よっすぃーは色白だからいいよね…どうせ私は色黒だもん……」
どうせ自分の力だけじゃどうやっても白くなれないよ、と泣きそうな顔をしてぼやく梨華ちゃん。
よっすぃーはその様子を見て途方に暮れていた。
ネガティブモードに入ってしまった梨華ちゃんはもう誰にも止められない。
- 415 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月02日(木)00時31分15秒
- よっすぃーがため息をついているのとは対照的に隣で大声をあげる人が。
「あ!いい事思いついた!矢口、天才ー!!」
「…どうせろくでもない事なんでしょ?」
保田さんのツッコミをシカトして矢口さんは興奮している。
「願いを叶えなくてもこの世界にいるうちに紗耶香の気持ちを自力で矢口に向けたらいいわけだよ!」
「……は?」
それを聞いて市井さんは呆然としている。
「なんでそうなんの〜!?」
後藤さんは本気で焦っている。
「だって、記憶は残るわけでしょ?
そりゃ、紗耶香がごっつぁんの事を好きなのはわかってるけどさー。
今後どうなるかわかんないじゃんー?
へへへ…もう、ごっつぁんに気を使ったりしないからねー。
紗耶香の気持ちを変えてみせるぞー!!」
これってスッゴイ名案!と矢口さんは自分の閃きにご満悦。
市井さんは相変わらずこの流れについていけていない様子。
「…矢口ってば、マジであたしの事好きだったの?」
「何回も言ってんじゃん!紗耶香がいつも真剣に受け止めてくれてないだけだよ!」
その言葉に激しく反応する中澤さん。
「なんやとー!!矢口ー!酷いわ!!
いつも紗耶香、紗耶香って言いよってからに!
裕ちゃんはメッチャ矢口の事が好きやねんで!!」
「はぁー?それとこれとは関係ないじゃん!それに裕ちゃんのは冗談でしょ!」
「なんちゅー酷い事を!」
「そうだよ、矢口。裕ちゃんの気持ちも考えてあげなよ」
「なっちまで何言うんだよー!?裕ちゃんこそ、ふざけて言ってんじゃん」
「紗耶香も矢口もモテモテだね」
「も〜!ホントにやめてよ〜!!」
それぞれが異様なテンションで騒ぎまくってるからやかましい。
なんだかよくわからへん状態になってんけど…。
「なんだかんだ言って皆仲がいいよね」
「そうだねー」
よっすぃーとネガティブモードが何時の間にか解除されていた梨華ちゃんは顔を見合わせている。
横を見るとののはまだ自分の願いを何にするかひたすら悩んでいた。
- 416 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月02日(木)00時33分34秒
- ようやく騒ぎが落ち着いて来たら今度は何もする事がなくて
皆、退屈し始めた。
「暇やなぁー。誰かなんか面白い事やってや、暇でしゃあないわ」
中澤さんはあくびをしながら行儀悪く机に足をかけた状態で座っている。
若返ってもこういうとこは変わらへんのか。
「でも、確かに暇だけどたまにはいいんじゃない?
こんなにのんびりした時間を過ごす事が出来るっていうのも滅多にないもんね」
飯田さんはそう言いながら中澤さんのスカートがめくれあがっていたのを直してあげている。
「そうだ!ちょうどいいわ!!」
保田さんは何か閃いたのか、勢いよく私達の方へ振り向いた。
どうも不敵な笑みを浮かべているように見えるのは気のせいやろか。
「…どうしたんですか?」
「あんた達、最近ちゃんとしたボイトレしてないでしょ?
せっかくだからここでやりなさいよっ!」
梨華ちゃんがおどおどしながら聞くと保田さんはニヤリと笑ってこう言った。
「「「「えー!?」」」」
叫んだのは私とののと梨華ちゃんとよっすぃー。
保田さんがあんた達と言ったのはこの四人だからだ。
「えー?じゃないわよ!大体、娘。っていうのはねー、最初は歌で勝負してたのよっ!
何時の間にかアイドルなんて呼ばれるようになっちゃったけどっ!!
まだまだアーティストとしての志は持ち続けないとダメなのよ!」
胸の辺りに拳を作って保田さんは力説している。
「いいねー。圭ちゃんは相変わらずカッコいいねー」
市井さんはそんな保田さんを見て感心していた。
「あのぉ…」
ののがポカンとした表情のまま手を挙げる。
それを見て保田さんはキリッとした顔でののを見る。
「何よ?」
「『志』ってなんですかぁー?」
ののの言葉に保田さんはずっこけた。
「…辻は学校の勉強も頑張れ」
飯田さんがののの頭を撫でながらフォロー。
「コラ!加護!!どこ行くのよっ!!」
その間に私はこの場から逃げ出そうとしたが、あっさり保田さんにバレる。
「ちょ、ちょっとトイレに行ってきます」
「あ、辻も一緒に行ってきますぅー」
ののも逃げるようにして私についてくる。
「早く戻ってきなさいよっ!じゃあ、残った二人は早速始めようか」
「「えー!?」」
逃げ送れたよっすぃーと梨華ちゃんの悲痛な声を聞きながら
私とののは悪魔の住む部屋から逃げ出した。
- 417 名前:アリガチ 投稿日:2001年08月02日(木)00時41分27秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<加護の関西弁が胡散臭いけど気にしないでっ!
>pleasuleさん
一気に全部読破ですか・・・お疲れさまです(笑)
新メンは嫌ってるわけではなく、戸惑ってるだけ・・・かなぁ。
手術についてはあんまりここでは触れないかもです(爆)
(〜^◇^〜)<っていうか、寝るのかよ!
>409さん
>410さん
やはり、なっちの願いはコレでしょう!・・・ってことで(笑)
というか、今のうちにこういうネタは出しておかないと!
なっちは既に痩せてきてますからね(笑)
( ● ´ ー ` ● )<もうこの顔文字ともおさらばだべさ。
- 418 名前:409 投稿日:2001年08月02日(木)07時04分17秒
- まあ予想通りというか何というか(笑)
あとの人間の願いはちょっと予想が付きませんけどね。特に吉澤は。
- 419 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)01時13分07秒
- 結局、願いを叶えたのは中澤さんと安倍さんだけ。
他の人等はいまだ何にするか考え中のようやねんけど。
「なんか変なとこだよねー」
ののはキョロキョロしながら歩いている。
悪魔の住む部屋に戻る気が全くなかった私達は
かなりの時間をかけて校内探検をしていた。
あれからどれくらい時間が経過しているのかどうかなんてわからないけど。
それでも、やっぱり私達以外の人を見つける事は出来なかった。
「ホンマやなぁ〜。それに、ここに来て結構時間経ってるのに…ほら見てん?」
私は窓の外を指差す。
窓の外は真昼間って感じで、太陽がちょうど真上にあった。
「時間が止まってるのかも。来た時も太陽の場所同じくらいのとこにあったやろ?」
「本当だねー。うーん…どうしたらいいのかなぁー?」
「でも、これってただの夢やろ?あんまし深く考える事もないような気がすんねん」
自分自身にボヤいたつもりやってんけど、ののはそうだよね、と返してきた。
なんかおかしいなぁ、ののがホンマもんみたいやわ。
それは他の人等にも言えることやねんけど。
どうでもええけど、いつになったらこのヘンテコな夢から覚められるんやろ…。
- 420 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)01時19分21秒
- 今のこの状況に戸惑いを感じて、ため息をついていると。
「きゃっ!!」
遠くから叫び声が聞こえた。
その声に驚き、肩をビクつかせるのの。
今の声は…。
「あいぼん…今の」
ののはおどおどしながら私の顔を見る。
私も少し緊張気味な表情になる。
「ひ、悲鳴…やんなぁ?」
そう言ってまた何か聞こえてくるかどうか待ってみたけど。
辺りは静まり返っている。
「…何も聞こえないね」
「きっと、ここが悲鳴があったとこから離れてるんや。
とりあえず聞こえてきた方へ行ってみよ!」
声が聞こえた階段へののと二人で急いで走る。
その時、誰かの影が見えた。
私がそれを確認しようとすると後ろから声をかけられた。
「何があったの?今の叫び声は何?」
「あ!よっすぃー!!」
「わからへんねん。あっちの階段やと思うんやけど」
私が指差して言うとよっすぃーは先に行ってしまった。
「のの、急ご」
青ざめた顔をしているののの手を引っ張り私達も駆け出した。
- 421 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)01時23分59秒
- 「大丈夫?!」
私達が階段についた頃にはよっすぃーが倒れている主に心配そうに声をかけていた。
私とののは何が起こったのかわからずにその場で立ち尽くしてしまう。
「後藤!大丈夫!?」
その声を聞いてハッとする。
私の視界には階段の一番下で倒れている後藤さんの姿があった。
後藤さん…もしかして階段から落ちたんか…。
市井さんが倒れている後藤さんを抱き起こし、激しく揺らす。
もし頭打ってたら揺らしたらマズイんちゃうのかなぁ。
「…ん。大丈夫」
気絶はしてなかったようで、すぐ返事が返ってきた。
「よかったー、ビックリしたよ」
よっすぃーはホッとしたようだ。
「…い、一体、どうしたんですか?」
ののが聞くと。
市井さんは言い辛そうな顔をして、こう言った。
「…あたしと後藤が階段を降りてたら後ろから誰かに突き落とされた」
「え!?」
市井さんの衝撃の告白によっすぃーとののも驚く。
もちろん、私も。
そして、私はさっき見た人の顔を思い出した。
まさか…そんなアホな。
「ここには私達しかいないはずですよ…ね?」
この…ののの言葉を最後にみんな黙り込んでしまった。
- 422 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)01時25分20秒
- それからしばらくして全員を招集する為に私達は他の人達を探し歩いていた。
私達の周りの空気は重い。
自らさっきの話題を振る者もいなかった。
「市井ちゃん〜…後藤、重いんだから降ろしてくれていいよ〜」
後藤さんは市井さんにおんぶされたまま控えめな発言をする。
「いいからジッとしてなよ!大きな怪我がなかったからいいものの…」
市井さんは何故か怒っている。
後藤さんはこれ以上、何も言う事が出来ずに黙り込んでしまった。
一番先頭を歩いているよっすぃーも何故か怒ってるように見えるし。
隣で歩いているののはずっと下を向いている。
…なんで、こんな事になったんやろ。
私はため息をついた。
- 423 名前:アリガチ 投稿日:2001年08月03日(金)01時31分23秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<すっかりツッコミ入れるの忘れてたけど悪魔の住む部屋って何よ!
>409さん
後の人は何を願うのでしょうかね。
もはや願い事どころじゃなくなった感じがしますけども(笑)
っつーか、毎回ごっちんはエライ目にあいますな(他人事)
- 424 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月03日(金)02時51分29秒
- (他人事)って‥‥
ゴマキヲタには辛い言葉っすね‥‥
- 425 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)21時47分23秒
- 教室に全員が揃ったのはいいが、やはり空気が重い。
現場にいなかったメンバーは後藤さんが
誰かの手によって怪我した事に心底驚いていた。
それぞれの表情が硬い。
「後藤の怪我は右肩の軽い打撲ってとこか。よかったなぁ、大したことなくて」
しばらくして中澤さんが安心した顔で言ったのだけど。
「……何がいいのさ?!」
後藤さんの肩を抱いたまま、市井さんは顔を強張らせて大声を出す。
その声に他のメンバーはビクッとした。
「…さ、紗耶香?」
「考えてみなよ?ここってあたし達しかいないんでしょ?」
「そうやなぁ…って、ことはつまり…」
「この中に後藤を怪我させた人がいるって事だよ!」
市井さんは本気で怒っている。
「ちょ、ちょっと待ってよ、紗耶香。
もしかしたら私達の他に誰かいるのかもしれないじゃない?」
見つけられなかっただけかも、と保田さんが慌てて言うけど市井さんは聞く耳を持たない。
「まだそんな事言ってんの?あれだけ探して誰も見つからなかったんだよ?
いい加減にここにはあたし達しかいないって認めようよ。
真実から目を背けちゃダメだよ、この中に確かに犯人はいるんだ」
「そんな、バカな…」
矢口さんは言葉を失っている。
- 426 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)21時51分00秒
- この中に犯人がいる。
市井さんのこの言葉を聞いて、それぞれが自分以外の人を意識し始めた。
誰一人として、いつもと何も変わらない態度を取っているように見える。
後藤さんを階段から突き落とした後に普通の態度をとっていられるなんて
よっぽどの演技派か神経が麻痺してるとしか思えない。
それでもこの中に犯人がいるのは確かやねん…。
さっきまでピリピリしていた市井さんも徐々に落ち着きを取り戻したようだ。
それでも市井さんは後藤さんに他に怪我していないのか何度も聞いている。
こんなに自分に余裕のない市井さんを見るのは初めてや。
私が娘。に入る前の市井さんはよく知らへんねんけど。
一緒に活動してる時はいつも生き生きしてて、自信に満ち溢れていて。
そんな姿しか見た事がなかったから、なんや不思議な感じがした。
私はそんな事を思いながら、横目である人を見ていた。
彼女の顔色は悪い。
悲鳴を聞いた時に見た人。
でも、その後決して現場には近づかなかった人。
私に自分の姿を見られた事に気付いているはず。
だって、目が合ったから。
- 427 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)21時53分38秒
- 彼女が犯人?
突き落とす瞬間を見たわけじゃないからハッキリそうだとは言い切る事が出来ないけど。
それでもこれだけ不自然な行動をしてたら怪しいと思わない方が変だ。
本当に…彼女なのやろか…。
私が考え込んでいると横からののが困り顔をして小声でささやく。
「…ねぇ、あいぼん」
「何?」
どうしたんやろ?
ののは何か知ってんのかなぁ〜?
私が呑気にそんな事を思っていたら、ののは泣きそうな顔になってこう言った。
「あいぼんは違うよね?何もしてないよね?」
はぁ?!
私はののの問いかけに度肝を抜かれた。
「ちょ、ちょっと待って。ののは疑ってんの!?」
この私を!?
私がビックリしているとののは慌てて首を横に振った。
「ち、違うよぉー!ちゃんと確かめておきたかっただけだよ!
あいぼんの事、ちゃんと信じてるからこうやって聞けるんだよぉ!!」
「ホンマ、止めてや〜、ビックリするやんか。
もちろん犯人ちゃうで。大体、悲鳴が聞こえた時に一緒にいたやんか。
それにこっちだって、ののがそんな事するわけないって思うてんねんから!」
「ゴメン…。でも、それを聞いて安心した」
ののはすまなさそうな顔をして笑った。
- 428 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)21時54分56秒
- そっか。
ののはちょっとでも今、自分が抱いている不安を取り除きたかったんや。
誰一人、信じらないまま一緒に行動するって嫌やもんなぁ。
周りはまだ疑心暗鬼のままで、会話らしい会話も聞こえてこない。
私とののみたいにすればいいのに。
でも、そう簡単にはいかへんねんな。
「そういえば、のの達はお願い使ってないけど、もう何もしない方がいいかもしれないねぇー」
しばらく前まではあんなに願い事を何にするか考えてたののが
イキナリ否定的になっていたので少し驚いた。
「何で?」
私が聞くとののはだってー、と唇を尖らせる。
「保田さんが言ってたみたいに見返りとかあったら嫌だし。
それに今はそれどころじゃないもん…」
「まぁ、確かにそうやなぁ〜」
私はそう言いながらも上の空だった。
実は少し前から自分の願いの事を考えていたのだ。
一つ閃いたんやけどなぁ〜…。
でも、今その願いを言う状況やあらへんねんもんなぁ…。
どうしよかな…。
しばらく様子みとこかな。
事態が変わったら、その時どうするか考えよ。
- 429 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)22時06分59秒
- 「ね、ねぇ?これなんか変わってない?」
安倍さんが教室の後ろを指差す。
それは例の願いを叶えますうんぬん〜の紙があった掲示板。
「あれ?ホントだ。なんか紙が一枚減ってない?」
矢口さんのこの言葉を聞いて初めて気がついた。
願い事を叶えると書いてあった隣の紙が剥がされている。
その紙を固定していた画鋲はそのままに。
「何が書いてた紙なんだろ?誰か内容を見た?」
保田さんがみんなに聞くけど一同に首を振る。
「剥がされてるのって何か意味があるんでしょうか?」
何か重要な事が書いてあったとか…と、梨華ちゃんが言うと。
「ちょお、待って。みんな誰も剥がしてないねんな?」
中澤さんが何かに気付き、真剣な顔をして聞いてくる。
その質問にもみんな自分は違うと首を振っていた。
- 430 名前:−加護亜依視点− 投稿日:2001年08月03日(金)22時07分36秒
- 「中澤さん、どうしたんですか?」
よっすぃーが尋ねると中澤さんは口をつぐんでしまう。
それを見て市井さんはため息をついた。
「…裕ちゃんが言いたい事はわかるよ。
ここにあったはずの張り紙はこの中の誰かが剥がしたんじゃないか、って事でしょ?」
市井さんの言葉にまたみんな黙り込む。
それでも市井さんは気にせず、言葉を続けた。
「この中にいる嘘つきさんは剥がした紙の内容を誰にも見せたくなかったって事か…」
- 431 名前:アリガチ 投稿日:2001年08月03日(金)22時15分06秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<キー!犯人、誰よーっ!
>424さん
あ、スンマセン。
ちょっと言葉の使い方が悪かったみたいッスね(^^;
あれは「他人事」で終わらすより「他人事かよ!」っていう意味にとって下さい(苦笑)
自分で話作っておいて何言うか!ってツッコミ入れて下さい(爆)
424さんの為と言うわけではないですが
次はごっちん視点で進みます(笑)
( `.∀´)<コラ!次のメインをバラすんじゃないわよ!
- 432 名前:424 投稿日:2001年08月04日(土)01時49分58秒
- あ・ありがとうございまふ!(涙
- 433 名前:マルボロライト 投稿日:2001年08月04日(土)04時01分37秒
- ここにも重度のごまヲタが1人います(w
推理物にはめっぽう弱いから推理できない…
続きが気になりますねぇ。
- 434 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月04日(土)08時52分18秒
- いちーちゃんがちょっとコナンに見える…
マルボロライトさんと同じく重度のごまヲタです(w
ごっちんを突き落としたやつは誰だ!?(怒)
- 435 名前:マインドサーカス 投稿日:2001年08月04日(土)20時51分49秒
- 何が真実で…。
何が虚空で…。
そんなもの何もわからない…。
道に迷っても自分を信じて進むだけ。
ただ、それだけ…。
- 436 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月04日(土)20時54分37秒
- 市井ちゃんはしばらく後藤と二人っきりにして、とメンバーに言い
私達は美術室に入った。
「やっと二人っきりだ〜」
私が嬉しそうに言うと市井ちゃんもニコっと笑ってくれた。
「あの時、以来だね」
「へ?あの時って?」
「前に指輪あげた時だよ!忘れんなよー」
まったくもー!とブツブツ言っている市井ちゃんを見て、まさか…と思った。
「い、市井ちゃん…。ちょっと質問してもいい?」
「んー、何?」
「……市井ちゃんも前の夢の記憶があるの?」
「うん、あるよ。だから、あの時に言ったじゃん。また会えるさって」
いや、それはそうだけど…。
まさか本当に会えるなんて…。
っていうか、なんでまた会えるって市井ちゃんはわかってたんだろう?
- 437 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月04日(土)20時55分36秒
- 『この世界で起きた事は元の世界に戻っても全て覚えています』ってあの紙に書いてあったけど。
前回の夢の内容もこの世界での出来事だったって事?
ってことは今回も同じ夢を皆で共有してるって事になるのかなぁ…。
そういえば市井ちゃんから貰った指輪も不思議だったんだよね…。
今の私達二人の指にはペアリングがある。
もちろん現実の私もこのリングをしてるんだけど。
う〜ん…って事は…。
この世界=異世界=皆が一緒に見てる夢の中
…こういう事?
- 438 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月04日(土)20時56分19秒
- 「後藤…大丈夫?ホントは怪我したとこ痛いんじゃないの?」
黙り込んでしまった私を見て市井ちゃんは心配そうな顔になってしまった。
私が黙った理由はちょっと違うんだけど…。
「あ!まさか頭もブツけてたとか!?これ以上頭悪くなったらどうすんの!?」
……?………っ!?
「い、市井ちゃん!何て事を言うのさ!!
せっかく、この変な世界の謎について考えてたのに!」
私の頭が悪いのは事実だけど、あんまりだ。
いくら市井ちゃんだって言って良い事と悪い事があるよ。
まったくも〜。
私が怒ってるのにあまり気にしていない様子で平謝りする市井ちゃん。
「あー、そうだったんだ。ゴメン、ゴメン。
ま、いいじゃん。深く考えたってわかんないもんはわかんないさ」
「う〜ん、そりゃそうだけどさ」
なんか変なの。
なんでこんなに市井ちゃんは落ち着いてるんだろ。
だって普通は誰だってもっと戸惑ったり、不安になったりすると思うんだけど。
何時の間にか市井ちゃんって楽観的な思考の持ち主になったんだね。
…って、そういう問題なのかな。
- 439 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月04日(土)21時00分11秒
- 「でも、マジで怪我は大丈夫なわけ?」
「大丈夫だよ〜、後藤って頑丈だからね!
そんな事より市井ちゃんが階段から落ちなくてよかったよ〜」
市井ちゃんの身体ってなんか直ぐ折れそうだもんね、と私は笑いながら言ったのに
市井ちゃんは真剣な顔をしていた。
…まさか、市井ちゃんも私と同じ事を考えてるのかなぁ。
「あのさ…あれって本当はあたしを狙ったんだと思うんだよ」
…やっぱり。
「…うん、後藤もそんな気がしてたんだ。でも、今までにも現実世界で誰かの視線を感じてたから
本当に後藤を狙ってやったのかも…とも、思うんだけど…」
「どっちも考えられるね。あたしも気付いてないとこで誰かの恨みを買ってるかもしんないし…」
市井ちゃんは苦笑いしながらそう言い、さらに言葉を続ける。
「もし、狙われてるのが後藤だとしたら、それって現実でも感じてた視線の主だろうね。
現実では何もしてこなかったけど、ここは異世界みたいなもんだから
犯人のやりたい放題出来るってわけだ」
- 440 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月04日(土)21時01分06秒
- 「や、やりたい放題って…後藤、何されるわけ?」
私がおどおどしながら言うと。
「相手がどこまで本気なのかがわかんないから何とも言えないけど…。
嫌がらせはこれだけじゃ終わらない気がする。
ここでは何でも願いを叶えてくれるらしいし。
もしかしたら、その願い事で後藤に何か仕掛けてくるかもしれない…」
「じょ、冗談でしょ〜!?」
「冗談だといいんだけど…」
「市井ちゃん〜…」
泣きそうな顔をしている私を安心させようとしたのか市井ちゃんは抱き締めてくれた。
「まだわからないよ。あたしを狙ってる可能性もあるわけだし」
「そんなのもっと嫌だよ!市井ちゃんに危険な目にあって欲しくないもん!!」
私は思いっきり市井ちゃんを抱き締め返す。
「へへ…ありがと。それはあたしも同じ気持ちだよ」
それでも私の中にある不安は取り除けなかった。
だって、市井ちゃんめがけて手が伸びてきたのを私は見たから。
とっさに自分の身体をその手に寄せたら自分が落ちちゃったんだけど。
あの時、ちゃんと相手の顔を見てたらなぁ…。
- 441 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月04日(土)21時05分05秒
- 市井ちゃんは私の両肩に手を置き、そしておでこを合わしてきた。
「あたしはさ、物理的な攻撃にはなんとか耐えられると思うんだよ。
でも、精神的な攻撃をされた時には…自信がない」
「…え?」
市井ちゃんが何を言ってるのかわからない。
「市井ちゃん…後藤、バカだから意味がわかんないよ」
「つまりさ、あたしが攻撃されると一番ダメージを受ける事ってのは後藤に何かあった時って事だよ」
正直、今もまいってる…と、市井ちゃんは眉間にしわを寄せ目を閉じた。
「そ!そんなの後藤だって一緒だよ!!」
「うん、だから…また、そこを突かれたら痛いなーと思ってさ。うちらってまだ願い使ってないじゃん?」
「うん」
「後藤はあたしに何があっても願いを使わないでね」
「え?!どういう意味…?」
「もし、仮にあたしが相手に何かされた後じゃ後藤を守る事が出来ない。
だから、後藤はあたしの事なんて構わず自分の為に願いを使って自分を守って」
「そんなの嫌だよ!!」
私はそう言いながら市井ちゃんを強く抱き締める。
- 442 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月04日(土)21時06分13秒
- 「いいからそうしろっつーの!
それに、別にこれから絶対に何かが起きるってわかってるわけじゃないし。
とりあえずは何かあった時の為に備えて、簡単に願いを使おうとすんなって事が言いたかっただけだから」
市井ちゃんは優しく背中をポンポンと叩いてくれる。
「…う、うん。市井ちゃんの言う事ならなんでも守るよ」
「よーし、いい子だ」
市井ちゃんは私の頭を乱暴に撫でる。
「でも、市井ちゃんも守ってよ?」
私は市井ちゃんの肩に両手を置き、市井ちゃんの顔をよく見えるようにする。
「何を?」
「逆に後藤に何かあっても同じだからね!」
「…うん、わかった」
市井ちゃんはニッコリと笑ってくれた。
市井ちゃんの事を信じてるから。
後藤は何でもその通りにするよ。
- 443 名前:アリガチ 投稿日:2001年08月04日(土)21時13分42秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<相変わらずベタベタしてるわー!
>424さん
喜んでいただけましたでしょうか?(笑)
自分もごっちん好きだからこんな長い話を書いてるんであって
嫌いだから苛めてるわけでは決してないですからね(笑)
>マルボロライトさん
推理モノといっても大した内容ではないので大丈夫ですよ。
結構、先が読める展開かと(ダメじゃん)
っていうか、ちゃんと寝て下さいよ(笑)
>434さん
市井ちゃんは結構おいしい役かもしれませんね。
とりあえず、今のところは(謎)
犯人予想、頑張って下さい(笑)
しかし、文字数制限があるのは少し辛いッスね。
全部の話がちゃんとここで収まればいいんですけど・・・不安だ。
- 444 名前:マルボロライト 投稿日:2001年08月04日(土)23時21分51秒
- 市井ちゃんかっこいいなぁ。何気にラブラブだし(w
でもいちごま2人とも狙われてる可能性があるのかな?
文字制限はお互い辛いっすね…私も上手くまとまるかなぁ。
- 445 名前:424 投稿日:2001年08月05日(日)04時54分34秒
- ふおぉーー!いちごまフォーエバー!(涙
- 446 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月05日(日)21時34分17秒
- そういえば、一つだけちょっとした疑問があるんだけど。
「ねぇ?市井ちゃん…」
「どした?」
市井ちゃんは私の顔を見て首を傾げる。
「さっき絶対に願いを使わないって約束したけどさ。
また危ない目に合わない為にも、もう元の世界に戻りたいっていう願いはしちゃダメなの?」
「え?」
「その方が早くない?」
また怪我するかもって不安に思ってるより、さっさとここから逃げた方が安全だと思うんだけど。
私がそう思ってると市井ちゃんは腕を組んで考え込んでいた。
「そりゃそうだけどさー…。
でも…ここなら後藤がずっと元の世界で感じてた視線の相手がわかるかもしんないんだよ?」
「…う」
それを言われたら何も言えなくなる。
確かに知りたい。
誰が私の事を良く思ってないのかを。
でも…。
- 447 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月05日(日)21時36分25秒
- 「仮にだよ、あたしが後藤の事を嫌っててそれを元の世界でそれを隠してるとするじゃん?
で、たまたまこんな変な世界にやってきて。
じゃ、何するか?って考えたら自分の日頃の鬱憤を晴らすと思うんだよ」
「や、止めてよ!そんな事言うの〜!!」
「…だから、仮の話だってば」
「……仮でも嫌だよ」
そんな話聞いたら私がこれから市井ちゃんに意地悪されるように聞こえて嫌だ。
「んー、だから絶対にここなら…言い方悪いけど犯人が判ると思うんだよ。
だから頑張ろう!
もし、犯人が誰なのかを知る為に様子を見てようよ。
確かに危険な目に合うかもしんないけどさ」
「…わかった。自分から元の世界に戻るとかってのは考えないようにする」
私は仕方なく言うと市井ちゃんは苦笑いしていた。
「でもさ〜、よく考えたらなんで誰一人、元の世界に戻るっていう願いを思いついてないんだろ?
不思議だよね」
私が頭を傾げながらそう言うと市井ちゃんは軽く唸る。
- 448 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月05日(日)21時37分33秒
- 「うーん…確かにそれはそうだよね。
犯人はもちろんの事、あたし達にはここに残る目的がある。
でも、あとのメンバーにはここに残る理由なんてないか…」
「あんまし、そこまで深く考えてないのかな?」
「そうかもね。それに皆は後藤と違って危険な目にあったわけじゃないからだろうね」
「やっぱ、願い事を叶えてくれる〜って言われたら普通は自分のしたい事しか考えないか」
「だね」
私も本当は自分の願いを叶えたいとこだけどね。
元の世界でも市井ちゃんと会えますように〜、って願いかけても
そういうのは叶えてくれないみたいだし。
ま、私の願いは別にいいや。
市井ちゃんとこうやって一緒にいられるだけでも充分幸せだもん。
だから、今のうちにイチャイチャしとこっと。
- 449 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月05日(日)21時38分38秒
- 私は甘えるように市井ちゃんに頬擦りする。
「くすぐったいよ…後藤」
「じゃあ…これでどうだ〜!」
そう言いながら私は市井ちゃんのほっぺに軽くキスをする。
市井ちゃんは少し驚いてみせて、それから白い歯を見せてニカッと笑う。
「何だー?積極的だなぁ」
「だってさ〜、折角市井ちゃんとまた会えたのに辛い思いばっかなのは嫌じゃん。
だから、二人っきりの時は何も考えずに楽しみたいだもん」
「そりゃそうだ。じゃ…」
そう言いながら市井ちゃんは顔を近づけてくる。
私はそれを確認して、そっと瞳を閉じた。
- 450 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月05日(日)21時39分28秒
- ……。
あ〜、やっぱ幸せ。
現実でも早くこうなればいいのに。
「ねぇ…市井ちゃん」
私は市井ちゃんの首に腕を絡めて市井ちゃんの顔を覗き込む。
「どした?」
市井ちゃんは私に抱きつかれたまま、軽く私の背中に腕を回す。
「そういえば、前に手術は成功したって言ってたよね」
「何?突然。……ったく、相変わらずムードも何もないな、後藤は…」
市井ちゃんは呆れている。
「相変わらずとか言わないでよ…で、言ってたよね?」
しつこく聞く私を無言で見つめて市井ちゃんはため息をつきながら私を抱き締めていた腕を離した。
「うん、言ったね」
「じゃあさ、戻ってこれる時期とかまだわかんないの?」
「それって元の世界で…って事?」
「…当たり前じゃん」
私はむぅ〜、と頬を膨らせる。
…なんでそんなつれない返事するかな。
- 451 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月05日(日)21時40分41秒
- 「後藤は何時だと思う?」
逆に市井ちゃんは質問してくる。
「わかんないから聞いてんのに…」
「だって、簡単に教えたら面白くないじゃん」
「面白いとか面白くないとかそんなんどうでもいいじゃんか〜!!」
ますます不機嫌になる私を見て市井ちゃんは笑っている。
ハッキリ言って私にとっては全く面白くも何ともないんだけど。
そんな意地悪してないで早く教えてくれればいいのに。
「あー、もうそんなに怒るなってば」
そう言いながらも、まだクスクスと笑っている市井ちゃん。
「怒らずにいられないもん!」
イジけ始めた私を見て市井ちゃんは笑いを止める。
「ありゃりゃ…そんなに怒るなってば。
大体、後藤が悪いんじゃん…」
「なんで〜!?後藤、何もしてないじゃんか!」
「……まぁ、いいけどさ。あー、もう怒るなって」
ちょっとやり過ぎたと思ったのか、市井ちゃんは頬をポリポリと掻いている。
「…ちゃんと教えてくれたら機嫌直すよ」
「わかった、わかった。ちゃんと言うよ。だから、もう機嫌直してよ」
やっと市井ちゃんは言う気になったようだ。
- 452 名前:−後藤真希視点− 投稿日:2001年08月05日(日)21時41分52秒
- やった〜!
市井ちゃんと元の世界でまた会えるのは何時だろう?
もしかしたら案外もうすぐだったりするのかな?
それともまだ時間がかかるのかな?
…どっちだろう?
かなりドキドキしてきた…。
私が今か今かと市井ちゃんの口が開くのを待っていたら
その時、市井ちゃんの声ではない誰かの声が先に私の耳に入った。
- 453 名前:アリガチ 投稿日:2001年08月05日(日)21時50分49秒
- ++ちょこっと休憩++
( `.∀´)<やっぱ、文字数ヤバイわよーっ!
>マルボロライトさん
どうも自分が話作ると甘くならないのが難点なんですが。
いちごま・・・この先どうなることやら。
>424さん
喜んで頂けた・・でしょうかね(笑)
そうだといいんですけども。
ここって確か800くらいまでに収めないとマズイんですよね・・・。
超えた時はどうなるんだろう・・・。
- 454 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月05日(日)23時14分12秒
- >>453
800ってレス数のことですか?そちらの方がわからないのですが・・・。
案内所では、スレの容量がが200KBYTE過ぎると新スレへの引越しを進めています。
容量が増えすぎるとどうなるかというと、板が飛びやすくなります。
ここの容量は何気に400KBYTEに近づいていますのでよしなに……
感想下手の一読者からでした。今後も楽しみに読んでます。
- 455 名前:アリガチ 投稿日:2001年08月05日(日)23時58分43秒
- >454さん
そうです、800レスって意味だったんです。
っていうか、倍くらい容量オーバーしてた事に自分で驚いたんですが(爆)
何気に最初の話とリンクさせてるのと新スレ使うのも申し訳ないというので
ここで書いてましたが・・・こりゃ、引越ししないとマズイですね。
アドバイス有難うございました!
というわけで。
話の途中ですが引越しします(苦笑)
まだまだ話が続くというのもありますし・・・っていうかまだ半分もいってない(爆)
タイトルは『マインドサーカス』になりますが[1]で『クロニックラブ』の
続きという事を書いておきますね。
読んで頂いている方々、これからもよろしくお願いします。
- 456 名前:マルボロライト 投稿日:2001年08月06日(月)00時50分05秒
- 2人の邪魔しちゃダメ!(w
市井ちゃんごっちんを守ってあげてね。
次から新スレですかね?もちろんそっちもお邪魔しますよ(w
ってゆうか容量私もヤバイんじゃ…どうしよう。
- 457 名前:アリガチ 投稿日:2001年08月06日(月)02時25分45秒
- >マルボロライトさん
ここで邪魔が入るんですねー(笑)
新スレでもお相手していただければ嬉しいッス。
この続きは『海板』にて。
今後とも宜しくお願いします。
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