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雨と涙と

1 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時02分26秒
ちょっと遅れ馳せながら、裕ちゃん脱退モノを一つ。
2 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時03分22秒
この世に神様がいるのなら、一つだけ叶えて欲しいことがあります。


お願いです。
裕ちゃんを私から奪わないで下さい。


3 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時04分18秒
突然だった。

「あ、矢口。ちょっと話あんねん。残ってくれんか?」
「なんだよぉ〜裕子ぉ、大切な用事ぃ?」
「まぁな・・・」
「オッケー!待ってるからね!」
「ああ・・・」

いつもと同じような言葉のやりとり。
特別変わったことなんかなかった。
4 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時05分29秒
仕事が終わったあと、
ヤグチは裕ちゃんに言われた通り楽屋で待っていた。
その日は朝から雨が降っていた。
他のメンバーは帰ってしまったので、
楽屋にはヤグチしかいない。
暇を持て余しながら窓の外を眺めていると、
ようやく裕ちゃんがきた。

「おかえりー裕ちゃん」
「ああ、ただいま・・・」

なんだか元気が無いような感じが気になった。

「ねえ、裕ちゃん。話って?」

突然訊かれて、裕ちゃんはちょっと困っていた。
それでもヤグチの方を向いてくれた。
じっと床を睨んだまま、裕ちゃんは口を開いた。
5 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時06分48秒

「実はな・・・モーニング、卒業しようかと思うねん・・・」

躊躇いがちに、でもしっかりと言葉を選んで裕ちゃんは言った。
ヤグチはその言葉の意味がわからなかった。
何のこと言ってるのかな?って不思議に思った。

「昨日、社長と話してきた。4月15日の大阪城ホールで娘。を卒業する・・・」

具体的な期限を聞かされて、私はやっと言葉の意味を理解し始めた。


ユウチャンガヤメル・・・・・?

6 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時07分45秒
知らない間に涙が溢れてきた。
頭で理解できていないのに、体が先に理解したみたいだ。
止めたくても止まらない。
瞳から溢れる透明な液体は、はらはらと頬をつたっていくだけだった。
7 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時08分47秒
「・・泣くなや・・・・」

絞り出したような、掠れた、裕ちゃんの声。
頬を撫でてくれる彼女の手は、
いつもと同じで優しいのに・・・・
どうして・・・
こんなに哀しいのだろう・・・?

「・・で・・・?」
「え?」
「・・なんでやめちゃうの・・・?」
「・・・・」
「『やめない』って・・・『一生娘。だ』って言ったじゃん・・・」
「・・・・」
「行かないでよ・・・・ヤグチを一人にしないでよぉ・・・・」
「・・ゴメン、矢口・・・・でもなぁ裕ちゃん、怖いねん」
8 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時10分59秒
顔をあげたら、裕ちゃんの哀しい顔があった。

「明日香や彩っぺ、紗耶香に先に脱退されて『また置いて行かれるんかな?』
 って思うと怖いねん・・・もう・・置いて行かれたないねん・・・」
「じゃあ!置いてかれる矢口はどうなるの!?他のメンバーはどうなるの!?」
「スマンなぁ、矢口・・・
 裕ちゃんもう耐えられへんのや・・・ゴメン、ゴメンなぁ・・・・」

裕ちゃんはそう言ってヤグチを抱きしめ、泣き出した。
私達は抱き合って大泣きした。
雨は、まるで一緒に泣いてくれているかのように、
静かに、ただ静かに降り続けていた。
9 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時12分06秒


この世に神様はきっといないんだ。
本当に神様がいるのなら、こんなひどい仕打ちを与えるのでしょうか?
教えてください・・・・

10 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月21日(水)23時13分02秒
その日、私は裕ちゃんと約束した。
『絶対に忘れない』と。
二人で過ごした三年という時間と、大切な思い出達・・・
そして―――優しかったあなたの温もりを・・・・


FIN
11 名前: 投稿日:2001年06月21日(木)02時16分41秒
うーん切ないね。(泣)
12 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年07月18日(水)19時47分16秒
こちらの小説を「小説紹介スレ@黄板」↓に紹介します。
http://www.ah.wakwak.com/cgi/hilight.cgi?dir=yellow&thp=995445727&ls=25

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