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幻想封歌
- 1 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)00時35分53秒
- 小説書きます。
初めてなので、誤字脱字は大目に見てください。
- 2 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)00時36分32秒
- シン…。
大広間は水を打ったように静まりかえった。私は頭の中が真っ白になった。
私の横で師匠がうつむいてる。どんな表情をしているのかよく分からないが
あんな依頼をされて楽しいはずが無い、そのうち爆発するだろう。
- 3 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)00時37分13秒
- それにしても…。
ゆっくりと浸透してきたその言葉に、私は発言した人間の正気を疑わずにはいられなかった。
「返答せぬか、つんく。私の願いを叶えてくれるなら、礼は思いのままだぞ。
金銀でも美女でも何でも褒美にとらす」
- 4 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)00時38分17秒
- 沈黙している師匠を玉座から見下ろし、まだ年若い王がそう言った。
聞いた話では二十歳になったばかりだそうだ。
金髪に水色の目をした線の細い風貌で、王者というよりも売れない詩人の方がぴったり来る
と思うのは私だけだろうか。
- 5 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)00時38分48秒
- (竜の都)の王はたけ二世、この人が今回の依頼人である。
ついでに私が正気を疑ってる人間でもあるのだが…。
「魔法使いつんく、王返答いたさぬか」
「いつまで黙っているのだ」
王座の両脇に控えているはたけ二世の腰巾着、もとい側近が口を挟んだ。
- 6 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)00時41分17秒
- 依頼人のはたけ二世も気に入らないが、この側近達も気に入らない。
はっきり言って薄気味悪いのである。顔が妙に似ていて双子ではないかと思ったくらいだ。
似ているのは顔だけではなく、抑揚のない話し方もだ。
- 7 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)00時41分51秒
- だが、その薄気味悪さは側近達だけではなく、城内、いや都にいる人間全てに
共通しているのだからたまらない。
この都にいる人間全て、型からでて来てるんじゃないかと思える位個性がないのだ。
- 8 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)00時42分28秒
- これは気味が悪いなんてもんじゃない。
そんな訳だから、都中が静かだ。
活気というものがまるで無い都なんて初めてだ。
- 9 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)00時42分58秒
- こんな都早く出て行けば良かった…。
私は激しい後悔にさいなまれた。こんな馬鹿げた依頼を押し付けられると分かっていたら
城になんてのこのことやって来なかったのに。
- 10 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)01時09分16秒
- 目の前の美女の涙と金貨に目が眩んで、飛びついた自分と師匠が恨めしい…。
「もう一度、依頼の内容を言ってくれ。よく聞こえなかった。」
低い声で師匠。怒り出す寸前の合図のようなものだ。
私は師匠からこそこそと離れた。
- 11 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)01時09分47秒
- 怒りの巻き添えをくらって怪我などしたくない。
しかし、玉座でふんぞりかえっつているはたけ二世に師匠の危険さなどわかるはずもなく
ふたつ返事で引き受けるものと信じきった表情で、依頼の内容を繰り返した。
- 12 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)01時10分21秒
- 「私を不老不死にしてくれ」
…。どこかおかしいのではないだろうか、この王は。
私ですらめまいを感じる発言なのに
側近達は顔色ひとつ変えない。
- 13 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)01時10分53秒
- 王を含めてこんな連中が国政を動かしているから問題だ。
「……」
聞き取れないくらいの小声で、師匠が何やら呟き、ゆっくりと顔を上げた。
いやに真面目くさった表情をしている。
こういう表情の時は、ろくでもないことをすると決まっていた。
返答を待って身を乗り出している若い王に、師匠は一言一句区切りながらこういった。
- 14 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)18時54分39秒
- 「面洗って出直して来い」
水をうったように静まり返っていた大広間は、瞬時にして氷室と化した。
冷たい視線といたたまれない空気が私と師匠に突き刺さったが
師匠は平然たるものである。
「そんなものがあるか、この阿呆!二十歳にもなってつまらん夢物語に夢中になるんじゃない!
おまえには他にやらなくちゃならん事があるだろうが!」
侮蔑むきだしの師匠の声音に、玉座にいる王の顔色が面白いぐらい変化した。
真っ赤になり、青くなり、土色になったらまた赤くなった。
人の顔色というのは何種類ぐらい変わるのだろう
そんな下らないことを考えながら、はたけ二世を見ていた。
私と違って育ちのいいはたけ二世は、師匠に馬鹿だ阿呆だと罵倒され
頭から湯気が出るほど怒り狂った。
これは面倒な事になりそうだ…。私はため息をついた。
同じ断るにしても断り方というものがある。
師匠は最低最悪の断り方をしたのである。
- 15 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)18時56分14秒
- 「私は王だぞ、王に対して無礼にも程があろう!」
若い王が怒鳴ったが、師匠は得意の冷笑をうかべただけだった。
この人には身分だの権威なんて通用しない。
「俺はお前の部下じゃない礼を尽くす義理も義務もないね」
鼻先で笑い飛ばした。これがまた小憎らしいのだ、やられたほうから見ると。
ここで止めておけばいいのに、師匠はいつも不用意に一言つけくわえて、いらぬ恨みを買う。
今回も礼にもれなかった…。
「俺は礼を尽くす人間は選ぶことにしている。王だろうが宰相だろうが
阿呆に尽くす礼は無いし、必要も無い」
これだけ言いたいことを言う人も珍しい。
結果、師匠だけでなく弟子の私も巻き添えをくうのだ。これも。毎度の事だが…。
- 16 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)21時15分59秒
- 「この無礼な魔法使いを殺せっ!」
面罵され、理性の糸が切れてしまった王がかなきり声で叫んだ。
声を聞きつけて、大広間の扉が次々と開き、完全武装の兵がなだれこんできた。
ざっと見ても二百人はいる。まるで戦の騒ぎだ。長剣や槍の先を物騒な光が滑り抜けた。
「師匠どうにかしてくださいね。私は十代の若さで死にたくありません」
ぐるりと周囲を取り囲まれ、完全武装兵達を見ながら、私が唸ると
「俺を誰だと思っているんだ。こんな連中、あっという間に消してやる」
涼しい口調で頭の痛くなる発言をする。大広間ごと吹き飛ばしかねない…。
- 17 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)21時16分39秒
- 「大口を叩くなつんく!この兵士達をただの兵だと思うなよ」
兵士達に遮られ、すがたの見えないはたけ二世の勝ち誇った声が大広間に響きわたった。
常軌を逸した声だ。
「不死の兵を相手に勝てるか?」
「不死!?」
私は驚いて師匠を見た。
「木偶人形に武装させて戦わせるとは(竜の都)も人手不足だな」
師匠は余裕たっぷりに不敵に笑っている。どうしてこう好戦的なんだろう、いい年をして…。
「このつんくに木偶人形をむけるとはいい度胸じゃねえか」
フン、とひとつ鼻先で笑い飛ばし、師匠は呪文もなしに周囲を取り囲んでいる兵士
正確には木偶人形を一瞬にして、文字どおり粉々にした。
大広間には無数の砂山が出来た。
「呆気ないですねぇ」
などと呟いた私だが、次第に目が丸くなった。
砂山が、まるで生物のように揺れながら、復元していくではないか…!
- 18 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)21時17分36秒
- 「…気持ち悪い…」
私は本気で吐きそうになった。ううっ。
「どうだ、つんく」
自信満々のはたけ二世。
「破壊されても自己再生する兵だ。貴様ごとき下級魔法使いでは手も足もでまい」
「その下級魔法使いに泣きつくてめーは何者だよ、能無しのぼんくら」
悪口雑言で師匠に勝てる人は少ない。ましては育ちのいい王様では
一方的にやりこめられるのがオチだ。
予想通りはたけ二世を悪口雑言の嵐で黙らせて、師匠は再現した木偶の兵士達を
一瞥すると、にっこり笑ってこう言った。
「完全に消滅させりゃ再生できんよなぁ。この城ごと消滅するかもしれんが仕方ないことだ
そう思うだろう、矢口」
私に同意させて後々の言い訳にする気だ。「やりすぎだ」という私の抗議を
「同意したくせに」といって封じ込める魂胆が見え見えである。
私が返事を渋っていると、師匠は器用に片方の眉だけつりあげて
「そうか、じゃ、おれはこの場から逃げるから、お前は一人で戦ってくれ」
薄情極まりない発言をした。これ以上黙っていると本当に置いていかれるので
不承不承頷いた。
- 19 名前:七氏 投稿日:2001年03月26日(月)21時23分51秒
- はい、書き忘れたけどプロローグ終了です。
レスがないと結構さびしいっすねぇ。
誰か読んでるのかなあ、いやマジで
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2001年03月26日(月)22時01分27秒
- 読んでますよ。
- 21 名前:七氏 投稿日:2001年03月27日(火)01時02分44秒
- 酷い話しに巻き込まれた……。
つまらない欲を出し、うますぎる話にとびついた自分に腹が立つ。よくよく考えてみれば
最初からおかしかったんだ……。
それはある仕事の帰り道(その仕事は師匠が依頼人を殴り飛ばしておじゃんになった)
(竜の都)に立ち寄ったのが始まりだった。
人は大勢いるのに活気がない、陰気な都だったので素通りしたかったのだが
突然、美女がやってきて、師匠に泣きついたのである。
「今にも死んでしまいそうな人がいるんです。身分の高い御方で、その方が亡くなられると
この都が混乱に陥ってしまいます。どうぞつんく様のお力でお助けください」
美女の涙と礼金の詰まった布袋につられ、私と師匠は罠に簡単に引っかかった。
そんな重大な事を師匠に頼む奴なんているはずないのに。
何しろ、あのつんくである。あの、悪名高い…。
- 22 名前:七氏 投稿日:2001年03月27日(火)01時04分37秒
- 私の師匠はつんくという名の魔法使いである。魔法使いは魔法を売って生計を立てるものだが、
師匠に限れば生計が成り立たない特殊な魔法使いだ。
他人にこんな事を言うのは恥ずかしいのだが、なにしろ依頼を成功させた試しがない。
「依頼の内容と、俺の魔法の強大さが比例しないからだ」
これは本人の弁だが、とにかく破壊する。
城をひとつ壊せといわれりゃ丘ごと消滅させる
敵軍を全滅させろといわれりゃ依頼人の軍を巻き込んで全滅させる。
一事が万事この調子。これでは依頼人が来なくて当たり前だろう。
- 23 名前:七氏 投稿日:2001年03月27日(火)01時14分09秒
- 今日はここまで
明日からはゆっくり行こうと思います。
>20
いやマジ読んでくれてる人いてよかったっす。
だいぶ長くてつまらない話なると思いますが
最後まで読んでくれると幸いです。
- 24 名前:七氏 投稿日:2001年03月27日(火)17時44分38秒
- そのとんでもない師匠だが、黙って立ってれば貴公子で通る美青年。
しかし口を開くとたちまち化けの皮がはがれる。
金髪碧眼、髪は長く、派手な格好をして若造りをしている。
歳は万年二十八歳。何年前から二十八歳を主張しているのかは知らないが
私が弟子入りした二年前から言ってることは確かだ。
派手と気障をこよなく愛し、私以外の女性には暑苦しい位親切だが
私を含めた男には非常に冷たい。男女差別の激しい人である。
(ちなみになぜ私にも冷たいのは何故だか分からない)
総じて、魔法にも性格にも問題のある人なのだ。
そう言う魔法使いの弟子は苦労する。
- 25 名前:七氏 投稿日:2001年03月27日(火)17時45分20秒
- 私の名前は矢口真里、髪の色は金色、目の色は茶色っぽい、肌は結構白い
身長が145cmと異常に低い。十六の時に弟子入りして
現在二年目を迎えた十八歳。が
ニ年たっても魔法のひとつ教えてもらえず、もっぱら家事にいそしんでいる。
別に好きでやってるわけではなく、やらざるを得ない状況に追い込まれているだけだ。
念のため。何しろ師匠は怠け者で、スプーンの上げ下げですら面倒がるありさまなのだ。
こういう人間が家事全般をやるわけがない。で、必然的に弟子の私に回ってくる。
これで私が何もしなかったら、山中にあるあの家は二日で廃屋になるだろうと
断言できる。今では諦めがついたが、それでも時々、ふと思い出して虚しい気分になるのだ。
「私は一体、魔法使いに弟子入りしたにか、花嫁養成所に入ったのか、どっちなんだろう…」と。
貴重な青春を犠牲にして家事をやってるんじゃ暗い気持ちにならない方がおかしいと思う。
- 26 名前:七氏 投稿日:2001年03月27日(火)17時46分25秒
- こういう師弟のもへ重大な仕事をもって来る人間は二種類しかいない。
どん底まで堕ちたので、これ以上は悪くならないと開き直ったやけくそ型
依頼は口実で、師匠に含むもののある策謀型だ。依頼人に多いのは前者だが
これ以上の底がないと思っていたら実は上げ底で、師匠に奈落の底に叩き落され
泣きながら帰って行くことになる。
(竜の都)で助けを求めた美女は後者だった。と、分かった時は後の祭りだった…。
「美女」に師匠が惑わされ、「礼金」に俺が飛びついた。
こう言うと、私はまるで金銭の亡者みたいだが、誤解しないでほしい。
金銭感覚の欠落した浪費家が師匠なので、家計のやりくりに苦労しているのだ。
齢十八にして金策に苦しむなんて…私の青春って何だろう…。
目の前にぶらさがったエサにとびつて、私達は美女の案内されるまま、城へ来た。
そして、大広間ではたけ二世に正気とは思えない依頼をされたのである。
- 27 名前:七氏 投稿日:2001年03月27日(火)21時38分21秒
- その依頼を丁寧とはほど遠い断り方をして、私達は不死身の木偶人形に囲まれてしまった。
「師匠、破壊はやむおえないとしても、必要以上に被害を大きくしないでくださいよ」
城ごと破壊する気でいる師匠に私が釘をさすと
「努力はする」
まったく頼りにならない返事。私が口やかましく注意しても
師匠の破壊力は限定範囲を必ずオーバーする。
本当に努力しているかと疑いたくなるほどに。
「悪名が底なしになったらどうするんですか。そのうち塩スープすらたべられなくなりますよ
貧乏のどん底は嫌です。」
「そうなったら盗賊になって、金持ちからしこたま宝をかっぱらう」
「私、犯罪者になりたくありません。師匠が盗賊になったら密告して
賞金貰ってどこかの魔法使いに弟子入りします」
- 28 名前:七氏 投稿日:2001年03月27日(火)21時38分52秒
- …殴られはしなかったが、師匠は私を無言で木偶人形の方へ力一杯つきとばした。
「私を殺す気ですかー!」全速力でもどってきて叫ぶと
「我が身を挺して師匠の危機を救おうとした弟子の気持ち、一生忘れないぞ」
「弟子を盾にした師匠の事、死ぬまで忘れませんからね!」
「師はあえて弟子を危険にさらし、その成長ぶりを見守ろうとしただけだ
獅子は我が子をがけから突き落とし、這い上がってきた者だけをそだてるという
異国の古い格言もある」
「師匠は私を崖から突き落とすだけじゃあきたらず、上から矢を射かけてるんじゃないですか」
わけのわかんない事いってごまかすつもりだろうが、そうはいくか。
それにしても、私の師匠ながら何を考えているのか、さっぱりわからない。
- 29 名前:てうにち新聞新入社員 投稿日:2001年03月28日(水)13時40分01秒
- 読んでますよ。
頑張ってください!
名作集はレス付きにくいけど頑張ってください
- 30 名前:七氏 投稿日:2001年03月28日(水)17時45分52秒
- 木偶人形は音もなく、砂からもとの形に復元していく。師匠は一度に破壊する
タイミングを測っているのか、私に同意させたのに、まだ魔法を使っていない。
「後で騒がれたくないから、先にいっておくが、俺がどれだけ派手に破壊しても
生きた人間を犠牲にする事はないからな」
私は穴の開くぐらい師匠の顔を凝視した。
「…どういう意味ですか?」
「(竜の都)に生きた人間はいない。都の人間全部が木偶人形だ。はたけ二世を除いてな
依頼に来た美女も側近も、都の老若男女、全て人形だ」
驚きのあまり、俺は声を失った。(竜の都)に生きた人間はいない…。
驚きながら私は心のどこかで納得していた、街の活気のなさ、奇妙に似ている人々
木偶人形だとすればつじつまが合うではないか。
- 31 名前:七氏 投稿日:2001年03月28日(水)17時46分38秒
- 「木偶人形の都とは呆れたもんだぜ。それほど人間が恐ろしいのか、はたけ二世
そんなに王としての自信がないなら、さっさとやめちまいな。その方が自分と他人のためだぜ。
王としての自信と責任感もないくせに、王座にしがみつく姿なんざ
醜悪以外の何者でもないぜ」
返答はなく、かわりに正面から冷風がふきつけてきた。凍てつくような風。
寒さを感じるより、痛みを感じるくらい冷たい。
このままなら、立ったまま凍死できるだろう。歯がガチガチとなっていた。
「つんく、おぬし、噂よりきれる男らしいな。人の噂はあてにならぬ」
壁のような木偶人形兵達が左右に割れて、はたけ二世が姿を現した。
いつの間にか、彼の服装は黒ずくめになっていて、まるで魔道士にようだ。
はたけ二世を通すと、木偶人形達は動きを止めた。
「出来る事なら温和に事を収めたかったのに、残念だな。おぬしと一戦、交える事になった」
はたけ二世が口の端で薄く笑った。
- 32 名前:七氏 投稿日:2001年03月28日(水)17時52分42秒
- >てうにち新聞新入社員さん
ありがとうございます。頑張ります。
- 33 名前:てうにち新聞新入社員 投稿日:2001年03月28日(水)21時18分20秒
- 更新してるラッキー
sageたほうがいいのかな?
コンスタントに更新してくれるから読みがいがあります。
頑張ってください
- 34 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月29日(木)08時49分02秒
- 読んだよー。
頑張って!
中澤、保田と石川の協力師弟コンビ?希望
- 35 名前:七氏 投稿日:2001年03月29日(木)11時53分05秒
- おやっ…と私は思った。本当にこの男ははたけ二世なのだろうか?
玉座で、師匠に言う事を聞けと喚きちらしていた青年とは別人のような
中身がそっくり入れ替わったように見えた。
寒さを感じない体質なのか、平然としている師匠が冷笑をうかべた。
「おまえさん、はたけ二世じゃねぇな」
「私ははたけ二世だ」
「外見はな。俺が言ってるのは中身だ。とり憑きやがたったな…」
ニッと、はたけ二世の姿をした者が笑った。背筋が寒くなるような、嫌な笑い方だった。
「今は私がはたけ二世だ」
「世迷い事えおぬかすな!」
師匠の両手の手の平から閃光がほとばしり、はたけ二世の身体を貫いた。
油紙に火がついたみたいに、はたけ二世の身体が燃えた。
「私は殺せぬぞ、つんく」
明らかにはたけ二世とは違う声だ、しゃがれた
地の底から響いてくるような君の悪い声、燃えながら
はたけ二世を乗っ取ったそれが天を指した。
「見るがいい、これが私の帝国の第一歩だ」
それだけ言うと、人形をした炎の塊は倒れ、灰が冷風に流された。
- 36 名前:七氏 投稿日:2001年03月29日(木)11時54分16秒
- 私は師匠にくっいて、色々な場所へ行き、様々なものを見てきた。
美しいもの、醜悪なもの、哀しいもの、やりきれない怒り。
けれど、こんな薄気味悪いものと向かい合った事はなかった。
はたけ二世の姿は消えたが、彼の指差した方向には光の渦ができていた。
まばゆい光ではない、赤黒い禍々しい光だ。
「矢口、何を見ても動揺するなよ」
「努力はします」
自信はないが、そう答えるしかなかった。
赤黒い光は膨張を続け、大広間を呑み込んだ。
「…………!?」
悲鳴が喉元まで突き上げたが、かろうじて呑み込んだ。
大広間も城も消え、私達は(竜の都)の上空に浮いていた。
「師匠…!?」
「ただの幻だ」
- 37 名前:七氏 投稿日:2001年03月29日(木)11時54分51秒
- 足元では、都の人々が城を中心にぬかずいてきた。
「裏切りのない絶対服従の都、それがはたけ二世の、いや、この私の望みだ」
どこからともなく、あのしゃがれ声が響いてきた。師匠は腕組したまま身じろぎひとつしない。
「なにが裏切りのない絶対服従の都だ。人形並べて喜んでるだけじゃねえか。
はっきり言って、ひでえ悪趣味だぜ。美意識ってものがないのか、おまえらには」
「人形かどうか、よく見る事だな」
その声と内容に私はゾッとした。ぬがづいている人々を見ると、どの顔も苦悶に歪んでいた。
人形にしては…。
「死者の帝国かよ」
師匠が低く唸った。
「そのとおり。生きている者は裏切るが、死者なら裏切るまい」
誇らしげな声に私は気分が悪くなった。
死者の帝国…恐ろしく歪んだ醜悪な野望ではないか。
こいつの精神は病んでいるに違いない。
だが、はたけ二世な憑依した者は誰なんだろう?
- 38 名前:七氏 投稿日:2001年03月29日(木)11時55分26秒
- 「都の人間全員殺したのか」
「私の力の糧となっただけの事。その功績を評価して、我が下僕にしてやったのだ」
腹たってきた…。私でさえ怒っているんだから、短気な師匠はそろそろ限界点だろう。
「てめーなんぞの下僕になり下がるぐらいなら、安らかに死ねるほうがマシだろうよ」
師匠の青い目が鋭く光った。
「何が死者の帝国だ!こんな物は地上から抹消してくれる!」
制止する暇もなかった。師匠が両手を頭上にふりかざすと、両手の中に光る球体だ生まれた。
私がまともに覚えているのはそこまでで、後はどうなったのかわからない。
記憶にあるのは、轟音と熱風、そして足元から突き上がってくる衝撃だけだ。
- 39 名前:七氏 投稿日:2001年03月29日(木)12時10分28秒
- ここまでが1
最近ちょっとスランプ気味・・。
>てうにち新聞新入社員さん
読みがいがあるなんてそんな…(藁
春休みだから毎日更新できているだけです。
age、sageについては独自の判断に任せます。
>34
中澤、保田と石川の協力師弟コンビ、出したいのはやまやまですが
それを出すと矢口・つんく師弟が目立たなくなるので
次回作にでも…。
- 40 名前:七氏 投稿日:2001年03月30日(金)14時54分33秒
- 2
「…師匠…」
何が起きたのかわからないまま、私は呟いた。わかったのは、あの幻の中から出れた事
木偶人形やはたけ二世が消えた事だけだ。つまり、助かったのだ。
確かに助かりはしたのだが…。
「力加減を誤ったな」
髪をかきあげ、師匠はけろっと明るい口調で言った。
私達は助かった.木偶人形もはたけ二世の姿も無い。が
消えたのはそれだけでなく、城はおろか、都そのものも消えたのだ!
一面の瓦礫の山…。
一面の焼け野原…。
「師匠っ!街は、城は、都は!?」
「はっはっはっ」
「はっはっはっ、じゃありません!」
(竜の都)消滅…。事情がどうであれ、これが人の口にのぼってみろ。
師匠の悪評に拍車がかかり、依頼人は皆無、私達は路頭に迷うしかない。
「仕方ないだろう。結果的に俺たちは無事なんだし、感謝してもらいたいぜ」
「感謝はしてますけどね…」
「城を消滅させる事には同意したじゃないか、おまえ」
「都ごと消滅させて、何を威張っておるんですか!」
見事としか言いようがない惨状である。(竜の都)と言えばこの辺りでは大きな都だった。
それがどうだ。この瓦礫の山は。建物は全壊、丘は崩れ、大地は引き裂かれ
こりゃ、完全に地形が変わっている。どうしたらここまで破壊できるんだろう。
- 41 名前:七氏 投稿日:2001年03月30日(金)14時55分11秒
- 「師匠、都の人たちはどうなったんです?」
「吹っ飛んだ」
あっさりと言う。そんな簡単に言って良い事なのだろうか?いや、いいわけがない。
「師匠、いくら殺されて下僕にされたって、もとは人間なんですよ。
それを、吹っ飛んだ、の一言ですませるのは、あんまりじゃないですか!」
私は強気で師匠につめよった。
「死者を生き返らせろなんて無理は言いませんけど
せめて埋葬ぐらいぐらいしてあげたっていいじゃないですか」
「だから、ちゃんと埋葬しただろうが。いちいち墓を掘りたくないから
全員まとめて地の底に埋めたよ。放っておけば土に還るさ」
「そうだったんですか…。」
しまった、迂闊に責めたもんだから機嫌が斜めになっている。師匠は私に身体ごと向き直った。
「すみません、師匠。早とちりしてしまって、つい口調が強くなってしまいました」
「いいんだ、別に。どうせおれは魔法を出し惜しみして
そのくせ破壊の時だけ加減ってものがなくて、歩く破壊神みたいなもんだろうからな」
笑っているところに怒りの深さを感じる。しかし二年も一緒にいると
お互いに考えている事がわかるようになるんだなぁ…少し気をつけよう。
- 42 名前:七氏 投稿日:2001年03月30日(金)21時50分47秒
- ご機嫌斜めの師匠をおだてていると、目の端に動くものがひっかかった。目をこらして見ると
瓦礫の中から土砂をおしのけるように、巨大な物体が姿を現したのである。
「師匠っ、何ですか、あれは!」
地鳴りを伴いながら、巨大な岩がせり上がってくる。
それひとつで城ほどありそうな巨大さ、に私は自分の目を疑った。
こんな物が地中から出てくるなんて、誰に予想できただろう。
「可愛げの無い物を」
師匠の声には苦いものがあった。
「師匠はあれが何か、知ってるんですか」
「この都に封印されていたとはな。すっかり忘れたぜ」
こういう時だけ異様に冷静になるのだ。
「冷静ですね、師匠」
「冷静沈着が俺の信念だ」
「今日まで知りませんでした」
平手打ちをくらった…。本当の事を言っただけなのに。
- 43 名前:七氏 投稿日:2001年03月30日(金)21時52分30秒
- 今日はここまで。
- 44 名前:七氏 投稿日:2001年03月31日(土)20時13分08秒
- 今日は色々あって疲れたのでお休み。
- 45 名前:七氏 投稿日:2001年04月01日(日)15時10分16秒
- 大地から現れた巨岩はその全貌をさらけ出した。でかい・・。予想していた大きさの三倍はある。
突然、山が出現したようなものだ。更に驚いたのはその巨岩が蠢きながら
形を変えていくことだった。私は呼吸するのも忘れて見入っていた。
「(地の獣)なんぞを蘇らせやがって」
冷静沈着を信念にしている師匠が低く唸った。(地の獣)私は耳にしたことが無い。だが
師匠は知っていた。不敵で傲慢な師匠がこんな表情をするのだ、ただの巨大な岩ではない。
「(地の獣)は私が貰い受けた」
いまや巨大な竜へと姿を変えた(地の獣)の頭部に黒くずめの人影
はたけ二世が立っていた。
「その化物をどうするつもりだ!」
師匠が怒鳴った
「さぁて?(地の獣)をとめたければ、私の依頼を引き受けて下さい」
はたけ二世の口調、いかにも他人を小馬鹿にした丁寧なものになった。
こいつ、自分が優位になると態度が豹変する人種だ。
ところで依頼って、まさか、不老不死にしろってやつだろうか。
「不老不死なんてない!何回同じ事を言わせるんだ、お前は!!」
「信じませんね。私は知っているんです、
つんく、不老不死の秘密を知っているのが貴方だとね。
「どこのどいつに聞いたのかは知らないが、そんな頼りない話しに振り回されるようじゃ
利口とは言えんな、そろそろおまえの正体を教えてもらおうか、ええ?」
- 46 名前:七氏 投稿日:2001年04月01日(日)15時10分54秒
- 師匠は光の弾をつくり、(地の獣)に投げつけた。
直撃をうけて(地の獣)は音をたてて崩れ…。なかった。それどころか…。
「うわああ!」
師匠が放った光の弾は(地の獣)に弾き返され、私めがけて跳ね返ってくるじゃないかっ!!
三年間の修行、と言うより経験から、私の逃げ足および反射神経は、鍛えぬかれていたのだろう。
私はすれすれで光の弾をかわし、その場にへたりこんだ。足元に大穴が開いている。
…まともに当たってたら死んでるぞ、おい。汗がどっと吹き出した。
魔法使いつんくの弟子をやってると、危険がやたらと多い。そんな悲しい生活を反映したのが
逃げ足の速さと反射神経と家事能力である。
二年間、魔法使いの弟子をやっている人間の特技にしちゃ、あんまりだと思う…。
汗をしたらした必死の形相な私と、足元の大穴をしげしげと見比べ
「矢口、おまえ、反射神経だけはいいな」
心底感心したらしく、師匠が呟いた。誰のせいだと思ってるんだ!
「(地の獣)に魔法はききませんよ。だからこそ(地の獣)なのではありませんか?」
「お前は何者だ?」
「私ははたけ二世ですよ。昔の名前など忘れてしまった、あまりにも長くこの世と
あの世の境をさすらっていたのでね。この愚か者が呼んでくれたおかげで
私は再びこの世に復活できたというわけです」
自分の身体を指さし、喉の奥でクックッと笑っている。
こいつは、はたけ二世に憑依したのは死霊だったのだ。
「復活したからには世界を支配してやる。そのためには不老不死の秘密を手に入れ
さらに残る古代帝国の宝も我が物としてみる」
竜の姿になった(地の獣)の上で、はたけ二世が高笑いした。
もう世界を征服した気になっている。
- 47 名前:七氏 投稿日:2001年04月02日(月)20時26分52秒
- 「死霊はおとなしくあの世で昼寝でもしていろ!!」
師匠は数回なわたって(地の獣)に攻撃を試みたが、すべて弾き返され
私が悲鳴をあげながら逃げまわる羽目になった。
反射角度を計算しながら攻撃しているのではないか、と疑いたくなるほど正確に
私に跳ね返ってくる……。
「くそぉ…」
歯軋りする師匠を見下ろし、はたけ二世は笑いながら
「いずれ、おぬしから私に頭を下げる時がくるだろう。ここでおぬしを殺すのは簡単だが
それだはつまらぬ。大魔法使いなどと自惚れている高慢な馬鹿者には
己の非力さをじっくりと味わってから死んでもらおう」
「そっくり返してやるぜ、その台詞をよ」
風もないのに師匠の長い髪が揺れた。私の知る限り、師匠がここまで他人に言いたい事を
言わせた事はなかった、強がっているけど、流石の師匠も相手が悪いらしい。
「私が支配していく様子を、指をくわえて見ているがいい、そして気がかわったら
私の元へ来るのだな。私が不老不死となったあかつきにはおぬしを下僕にしてやるぞ」
- 48 名前:七氏 投稿日:2001年04月02日(月)20時27分28秒
- 強風がまきおこった。
竜の姿に変化した(地の獣)が折りたたんだ翼を広げ、動かしたのだ。
バサバサと翼が上下するたびに突風が生じ、私は飛ばされないように大地に伏した。
瓦礫を舞い上げ(地の獣)は上昇し、すばらしい速さで視界から消えた。
私達はなす術もなく(地の獣)の消えた方角を見つめていた。
私はともかく、師匠は悔しさに唇を噛んでいたにちがいない。
廃墟となった(竜の都)に立ちながら、師匠は独白めいた呟きをもらしていた。
「覚えていろよ、このつんくを敵にまわした事を必ず後悔させてやる。
今度は地獄のどん底に叩き落して、二度と現世に迷い出れないようにしてやる」
…師匠は本気で怒っていた。短期で怒りやすい人だが、本気で怒る事は滅多にない。
それだけに本気にさせたら何をするかわかったものじゃない。
死霊に憑かれたはたけ二世に勝てるかどうかも不安だが
怒りにまかせた師匠も不安である。
世界制服するならおとなしくやってりゃいいのに、何だって師匠にちょっかい出すんだろう。
これでまた、大騒ぎになるのだ。勝ち目がなくてもおとなしくしてる人じゃないから
(地の獣)とはたけ二世に挑むだろう。怒りにまかせた師匠が…。
師匠が勝っても大騒ぎはまぬがれない、かといって負けたら困るし。
私は泣きたくなった…。
- 49 名前:七氏 投稿日:2001年04月02日(月)20時28分27秒
- 3
「ちょっと、そこの人、手を貸してちょうだいよ」
私は声のした方向に走った。都の人間は一人残らず殺されたと思っていたが
生きていた人がいたらしい。いや、通りすがりの旅人かもしれない。
とにかく、生きている以上はやく助けなきゃ。
「大丈夫ですか?」
声をかけながら瓦礫をかきわけていると、ぬっと腕が突き出てきた。
私は周辺の瓦礫をどかした。弟子が人命救助しているのに、師匠ときたら知らん顔している。
声から助けを求めているのが男とわかると、たちまちそっぽをむいたのである。
これが女性だったら、私を突き飛ばしてでも助けようとするくせに。
ここまで男女差別を徹底する事はないと思うけど。
瓦礫の下から男を見つけた。髪も髭も伸ばしっ放しの男が這い出てきて、大きくのびをした。
旅人という風体ではない。どう見ても逃げ出してきた囚人、である。
「あー、凄い魔法だったわねぇ。あら、この都、なくなっちゃったの?」
う・・・・。思わず私は後ずさりした。私は大抵のものには動じないと思っていたが
むさくるしい髭面の男に女言葉で話しかけられ、反射的に逃げてしまった。
世の中にはいろんな人がいる・・・・。
- 50 名前:七氏 投稿日:2001年04月02日(月)20時29分06秒
- 「あら、可愛い女の子だこと」
「し、師匠つっつっー!!」
私は助けを求めて叫んだ。何なのだ、この男はっ!!
「あら、あなた、魔法使いの弟子なの?あそこに立っているのが師匠?」
師匠は私と男に背を向けて立っている。男はすたすたと師匠の方に行き、声をかけた。
有無を言わさぬ馴々しさだ。それどころか
「ちょっと,つんくじゃないの!こんな所で会えるなんて、あたし、感激だわ!」
「俺は少しも嬉しくない!」
顔見知りだったらしい。
「なんでお前がこんな所にいるんだ!」
やたら感激している髭面の男の襟首をつかみ、師匠が怒鳴った。
- 51 名前:七氏 投稿日:2001年04月03日(火)18時48分36秒
- 「お前、はたけ二世につまらん事を吹き込んだんじゃないだろうな」
「ちょっと、乱暴しないでよ」
「男なんかに手加減がいるか」
「ひどいっ、男女差別だわ!」
「それがどうした!おれは野郎なんか大嫌いだっ!」
異様な光景に私は笑っていいものか悩んだ。笑いたいのはやまやまだが、師匠の様子からすると
笑わないでおいた方が身のためらしい。
「あのー、師匠の友達ですか?」
おそるおそる口をはさむと
「こいつが勝手にそう言ってるだけだ!」
怒声がもどってきた。
「つんく、この子、あなたの弟子ですって?前の子はどうしたの?留守番?」
「前の弟子の事なんてどうでもいい」
初耳だ。私の前に師匠に弟子入りした物好きがいたなんて。師匠は何も話してくれなかったし
自分の他にそんな酔狂な奴がいるとは思いもしなかった。
- 52 名前:七氏 投稿日:2001年04月03日(火)18時49分41秒
- 「お前、はたけ二世につまらん事を吹き込んだんじゃないだろうな」
「ちょっと、乱暴しないでよ」
「男なんかに手加減がいるか」
「ひどいっ、男女差別だわ!」
「それがどうした!おれは野郎なんか大嫌いだっ!」
異様な光景に私は笑っていいものか悩んだ。笑いたいのはやまやまだが、師匠の様子からすると
笑わないでおいた方が身のためらしい。
「あのー、師匠の友達ですか?」
おそるおそる口をはさむと
「こいつが勝手にそう言ってるだけだ!」
怒声がもどってきた。
「つんく、この子、あなたの弟子ですって?前の子はどうしたの?留守番?」
「前の弟子の事なんてどうでもいい」
初耳だ。私の前に師匠に弟子入りした物好きがいたなんて。師匠は何も話してくれなかったし
自分の他にそんな酔狂な奴がいるとは思いもしなかった。
- 53 名前:七氏 投稿日:2001年04月03日(火)18時50分49秒
- 52は無かった事にしといて下さい
- 54 名前:七氏 投稿日:2001年04月03日(火)18時52分03秒
- 「それよりどうしてお前が(竜の都)にいるんだ。お前がはたけに
つまらない事を教えたんじゃないのか」
私には状況が把握できない。目をぱちぱちさせていると、髭面の男が首を締められ
苦しそうにもがいている。放っておいたら殺し兼ねない雰囲気に、私は師匠をとめた。
犯罪者の弟子なんて遠慮したい。
「師匠、やめて下さい。死んじゃいますよ」
私の必死の説得で、師匠は殺人を思いとどまった。が、次は尋問ときた。
まるで罪人の取調べのような口調に、髭面の男もたまりかねたのか叫んだ」
「あたしが何をしたっていうによっ!こんな扱いを受けるような事、してないわ!」
「(地の獣)の封印が解かれたと聞いても、そう主張するんだな。はたけの馬鹿
正確には奴の呼び出した死霊が、封印を解きやがった」
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