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if...〜you are the one〜
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月30日(金)03時15分58秒
- ゆーちゃんは…まぎれもなく、あたしの全てでした。
- 2 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月30日(金)03時28分37秒
- あんなにスキだったゆーちゃん。
あたしを抱きしめては、ひたすら囁いた『スキ』というコトバ。
髪を撫でては、香りをかいで、手で梳って…時にはキスもした。
あの頃が懐かしい…ホントに懐かしいな。
あたしとゆーちゃんが何の障害もなく時を紡げたそんな時間…
もう、戻らない、あの時間…
急にあたしの前から去った、あの時にかけたあのコトバ…
忘れない。死ぬまで忘れない、ナミダ色で染まりきった、あの声で…
「ゴメン…ゴメン…お別れなんや…矢口…」
あたしは泣きじゃくった。
声もナミダも失っちゃうんじゃないかってくらいに泣いた。
あたしの全てだったから。全てが全てが…失っちゃうと思ったから。
「…わかったよ。ヤグチは…ゆーちゃんのコト、ダイスキだから…喜ぶよ…」
そんな答えに行き着くまでものすごい時間がかかった。
今でも終着点にはたどり着いていない。
きっと…あそこであたしが止めておけば…
今、こんなコトにはならなかったんだと思うんだ…
- 3 名前:名無しさん 投稿日:2001年03月30日(金)03時42分01秒
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「中澤さんにとってモーニング娘。とは?」
「青春!! ですね」
ぼんやりと…記者会見を見ていた。
ゆーちゃんは満面の笑みを浮かべて…ナミダを流していた。
きっと、この笑顔の裏にあたしとツライ別れがあったなんて分かってない。
知られても困る。あたしとゆーちゃんの間は…誰も踏み込めないんだから。
「まりっぺは…ずいぶん、落ち着いてるね」
「まあ…さんざん泣いたからね。それに卒業は…笑顔で送らなきゃ」
「そうだよね…でもさ…寂しいよね…」
「寂しい…」
寂しい? そんなナマヤサシイものじゃないよ。
苦痛だよ。地獄だよ。ゆーちゃんがいない生活なんて…
空気のないトコで生きていくようなもんだよ。
(…中澤さんは結婚とかは?)
(もし結婚だったら今日、「卒業でなく私は結婚します!」という会見を開いています)
ウソツキ…ほとぼりさめたら結婚するじゃんか…
結婚するから…あたしと別れて、娘。をやめるんじゃん…
ゆーちゃんのカレシがあたしのコト、嫉妬しちゃうようなオトコだから…
リーダー辞めて…あたしと離れなきゃいけないんじゃん…
「まりっぺ〜…怖いよ〜。眉間にシワ寄ってる」
「え、マジ? 別に怒ってなんかないって〜」
「…やっぱり、ゆーちゃん、辞めてほしくないよなぁ〜」
「……」
あたしはオトコに生まれたかった。
もし、そうだったら、ゆーちゃんと一緒に何の障害もなく、結婚できたのに。
相手のオトコの代わりに結婚してやりたいくらい…ゆーちゃんのこと、愛してる…
それは今だって…『事実上の婚約会見』を見たって…変わらないよ。
- 4 名前:名無し 投稿日:2001年03月30日(金)06時34分34秒
- い、痛いの?それとも甘いの?
痛そうだけど、ただでさえ中澤脱退でそんなのばかりだから
甘くして欲しい…でもあくまで勝手な希望だから、気にしないでね。
期待しています。
- 5 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月01日(日)02時00分41秒
- 会見を開いてしばらくして…4月15日…
ゆーちゃんのラストライヴ。モーニング娘。としての最後のライヴ…
あたしは見事に動けなくなった。
「それじゃあ矢口〜…最後の一言頼むぜ〜!!」
「……」
舞台の前に出て…あたしは静かに周囲を見回した。
あたしを囲うようにファンの視線が集中する。
それよりも…横にいたゆーちゃんの目が…一番ツラかった。
「…ゆーちゃんはぁ…ゆーちゃんは…」
「……」
「ヤグチの…タイセツなヒトです。ダイスキだから…」
「……」
コトバが出ない。チカラが入らない。
俯いて…あたしはしゃがみこんでしまった。
観客の声が…途切れ途切れ…聞こえた…
「もう…どうしてこんなコトになっちゃったの? どうしてなの?」
「矢口…」
「ゆーちゃんのコト…」
「……」
「…ゆーちゃん、頑張ってね…」
あたしの名前を呼んだゆーちゃんのカオが複雑そうで…
結局、ありきたりな別れになってしまった。
ゆーちゃんは最後まで…最後に泣いちゃったけど…
毅然と胸を張って…堂々としていた。
それから…ゆーちゃんはソロになった。
あたしはラジオを引き継いで…あたしも頑張った。
逢える時間はほとんどなかった。
- 6 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月01日(日)02時19分28秒
- それから事務所にとんでもない…でも、当たり前の報告がされた。
ゆーちゃんが正式に婚約会見を開くということだった。
相手は青年実業家。年はゆーちゃんよりも年下だ。
あたしからすれば…大したオトコじゃなかった。
束縛したがりな性格で、あたしと出掛けることですら目くじらを立てた。
でも、カレシの話をするゆーちゃんはホントに嬉しそうだった。
「なんつーかな…仕事で疲れて帰ってきて、声聞くと癒されるねん」
それは同時に…あたしじゃゆーちゃんを癒せないってコトを意味した。
こんなに一緒にいるのに…こんなにあたしはゆーちゃんがスキなのに…
あたしは結局、何もできていないなんて…思った。
どうして、あんなに不釣合いなオトコと付き合うんだろう…
あたしはそれだけがいつもココロに引っかかっていた。
やっぱり、結婚したいのかなぁと…思っていた。
「ゆーちゃん、やっぱりあのヒトと結婚するんだね」
「そうや。やっと…結婚できるんやで」
「おめでとう…結婚式にミニモニ。で歌でも歌ってあげるよ〜」
「ありがとな〜」
ゆーちゃんが幸せなら…あたしだって幸せだと…言い聞かせた。
このはちきれそうな想いをあたしの中だけにしまい込んで…
ゆーちゃんだけのコトを考えようと努力した。
会見の日が迫ってきて…あたしのココロも決心がつきかけた時だった。
みんなに…連絡が伝わった。
「中澤さんが事件に巻き込まれた…」
- 7 名前:名無し娘。 投稿日:2001年04月01日(日)17時38分35秒
- なんか、冒頭読んだだけでクリーンヒットです。
痛めになりそうですね(w
事件に巻き込められるのはいいですが、中澤殺すのだけはやめてください。(w
お願いします。
- 8 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月04日(水)02時17分24秒
- 事件は…衝撃的なモノだった。
あのオトコと食事に行った帰りに…犯人にナイフで刺された。
しかも、オトコの身代わりになって…挙句の果てに、オトコは…
刺されて倒れているゆーちゃんをおきざりにして逃げたそうだった。
ゆーちゃんの容態は危険というわけではなく、命に別状はないとのコトだった。
だけど…ゆーちゃんが愛した、あのオトコは…
後ろからメッタ刺しにされて…亡くなったらしかった。
犯人は…オトコの経営する金融機関からお金を借りていたヒトだった。
親の七光りというか…オトコは親の事業をバックに犯人にかなり強引な取立てをしていたらしい。
それを苦に…犯行に及んだらしかった。
「ゆーちゃん!!」
病室で…静かに眠っているゆーちゃんを見て…
あたしはその場で腰が砕けたように…座り込んでしまった。
安心で動けなくなった。助かったから…ホントに助かってたから…
「や、矢口…」
「…ヤグチ…ゆーちゃんが死んじゃってたら…どうしようかと思った…」
「だいじょぶだってさ。今は麻酔が切れてないから…そろそろ目を覚ますかもよ」
「そう…」
なんとかゆーちゃんだけが助かったのは嬉しいけど…
あのオトコは死んじゃったって…どうやって伝えればいいんだろう…
- 9 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月04日(水)02時18分50秒
- しばらくして…ゆーちゃんは目を覚ました。
「ゆーちゃん…」
「矢口…か…?」
「そうだよ…よかった…ゆーちゃん、起きて…」
「…すまんな…」
酸素吸入器がジャマをしてよく聞こえなかったけど…
ゆーちゃんはちゃんとあたしだって分かって…アタマを撫でてくれた。
「カッコ…つけすぎだよ。ゆーちゃんは…」
「そう…やな。代わりに刺されてもうたんやから…」
「それで…その…」
「…あのヒト、助かったんか…?」
あたしは…横になっているゆーちゃんの手をゆっくり握った。
俯き加減に…ゆーちゃんを見ることができなかった。
「…ゆーちゃん、あのオトコ…」
「……」
「ごめん。あのヒトね…ゆーちゃんを置いて逃げたんだよ。ゆーちゃんを守らずに…」
「死んでもうたんか…」
その声にあたしは肩をびくりと動かしてしまった。
…しばらく、部屋の中が静かになった…
「…結局、後ろからメッタ刺しにされちゃって…」
「そっか…そうなんか…」
「…うん。ゴメン…」
「矢口が謝ったってしゃあないやんか。うちは助かったんやからな…」
規則的に髪を撫でていた手が…止まった。
「ゴメンな。チョット…一人にさせてくれへんか?」
あたしは何も言わずに…部屋を出た。
誰かがすすり泣く声が…ロビーに静かにこだましていた。
- 10 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月04日(水)02時23分22秒
- 〜レス〜
>>4
返事が遅くなってしまって申し訳ありません。
某板で中澤脱退をほんのり痛めで書いたので、ここではかなり痛く書きます。
>>7
やぐちゅーですので、ゆーちゃんが死んでしまうと話になりません(わら
痛めに、切なめに書いていきます。献身的な矢口が書きたいですね。
- 11 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月06日(金)02時11分08秒
- 「ゆーちゃん、元気〜?」
「お、矢口〜会いたかったで〜」
「へへっ〜。お土産持って来たよ〜」
あの日から…ゆーちゃんは泣くことはなかった。
通夜は入院中で出れなかったけど…告別式には車椅子で参加した。
送られていく…その姿をしっかりと、目を焼き付けるように見つめているだけだった。
「リンゴむいてあげるね」
「王道やなぁ。ま、矢口にそんなコトしてもらえるだけで嬉しいんやけど」
「ありがと。あ、ヤグチのコト、バカにしてるでしょ〜?」
「してたりして」
「ぶ〜っ!! ちゃんと皮ぐらいむけますよ〜だ!!」
仕事はあいかわらず…イヤ、いつも以上にキツかったけど…
こうしてゆーちゃんのカオを見ると、とっても元気が沸いてくる気がした。
そして、目に見えるようにゆーちゃんも回復していた。
「あさって退院なんだってね。ちゃんと迎えに行ったげるよ〜」
「…ありがとな。うち…矢口がおらへんかったら…」
「はい。できたよ」
あたしはその先のコトバが聞きたくなくて…むきたてのリンゴを口に突っ込んだ。
ハンパな告白は…いらない。ゆーちゃんからもらうものはいつもホンキがいいから…
だから、あたしがホンキにならないと…ダメなんだ。
「…さんきゅ…」
「ヤグチも一コ食べちゃお」
「…ほら、うちが食べさせたる」
「ホント? あ〜ん…」
…口元に入ってきたのはリンゴじゃなくて…
ゆーちゃんの唇だった。
- 12 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月06日(金)02時12分08秒
- 「…んんっ!!」
「…矢口…」
「や…めて…やめて!!」
イスから転げ落ちるように…あたしはカラダを離した。
はぁはぁと息の荒いあたしを…恥じるコトなく、ゆーちゃんは見つめていた。
「…矢口…スキやで」
「……」
「いつもするチューやあらへんから…ホンキのキスやから…」
「…ゆーちゃんは…動揺してるだけだよ…」
「ゆーちゃんは…あのヒトがいなくなったショックで…寂しいだけだよ…」
「……」
「それはね…ホンキって言わないんだよ!! 誰でもいいんだよ!!」
「…違う。矢口じゃないと…あかんねん…」
半身だけを起こしているゆーちゃんは…布団をチカラ強く握り締めた。
細い腕に小さな筋が…浮き出る。
「矢口は…ダメなんか…うちみたいなオンナのヒトにスキだって言われるの…」
「そういう…モンダイじゃない…」
「お返しがしたいんや。いつでもやさしくしてくれる矢口に…何か返さへんと…」
俯いていたゆーちゃんはカオを背けた。
小さく肩が震えている…
「何もいらない…ヤグチといるだけで…ゆーちゃんはお返ししてるんだよ…」
「……」
「それは…ゆーちゃんのコト…」
「…ゴメン。ヤグチ…わけ分かんなくなっちゃった…」
あたしは…バックを乱暴にむしり取って部屋を出て行った…
- 13 名前:名無し娘。 投稿日:2001年04月08日(日)15時29分06秒
- 作者さん、更新待っています!
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月10日(火)04時34分36秒
- レスありがとうございます。
ただいま、学校が始まってバタバタしているのでなかなか更新できません。
しばらくお待ちください。
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月12日(木)00時51分17秒
- どうして…あたしはスナオになれないんだろう…
ゆーちゃんが遊びだから? そうじゃないよ…
ゆーちゃんが軽いから? そうじゃないよ…
不安なんだよ…漠然と不安があって…あたしを締め付けてるから…
「分かってるんだ…ヤグチのホントのキモチなんて…」
あのまま抱きついて、キスでもしちゃえば…よかったんだ。
あたしはゆーちゃんしかスキじゃないし…ゆーちゃんもあたしがスキだって言ってくれる。
でも、何か足りないんだよ…何か…
ゆーちゃんはあのオトコが死んじゃって、やっぱり動揺してるんだと思う。
あたしは自分を振り向かせるためにゆーちゃんに尽くしたわけじゃないから…
もう少し時間をおいて…それでもゆーちゃんがスキって言うなら…
「ヤグチって、なんか切ないオンナノコってカンジだね…」
自分でぼんやりつぶやいてみる。
ハズカシイけど、ホントにそうだと思う…
スキなのにスキって言えないし…相手にスキだって言われるのに…答えられない。
「…どうしよう…退院の時とか行きたいけど…行けるのかなぁ…」
ゆーちゃんの退院はすでに明日の夕方に近づいていた。
- 16 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月12日(木)00時52分52秒
- 「お疲れ様でした〜」
あたしはみんなの誘いを断って…スナオに病院に向かうことにした。
ゆーちゃんが娘。を辞めてすでに二ヶ月は経とうとしていた。
メンバーはゆーちゃんがいない生活にだいぶ慣れてしまっていた。
「あれ? 矢口さんは…」
「うん。今日はゆーちゃんの退院だから…」
「あ、そっか…あたしはみんなのほうに行くんで。飲みに行くみたいなんですよ〜」
「そう。ヤグチは行かない。今回はパスさせてもらうね」
意外とみんなは冷たい…ゆーちゃんが退院だって言うのにあたし以外に行かない。
もちろん、快気祝いは今週中にあることはあるけど…
ほとんど形だけで実際に一時間くらいで終わってしまうだろう。
「…何かなぁ…ヤグチの方がおかしいみたいなカンジだけど…いいや」
メンバーの中ではあまりゆーちゃんの話をしないようにしている。
あんな事件もあったし、事務所のほうからも極力かかわりを持たないようにと言われている。
まあ、あたしにはお構いなしだけど…知ったことじゃない。
「あ、すいません。○○病院までお願いします」
タクシーに乗り込んで…あたしはケータイを取り出した。
リダイヤルを見て…それからあたしは電源を押す。
やっぱり、メールのほうがいいな。電話できる自信がない…
「退院おめでとさん♪ これからヤグチが行ってあげるからカンシャしてよね」
…まあ、こんなモンでだいじょぶかな?
でも、ゆーちゃんとメールのやりとりするのすごい久しぶりだな…
電話はしてたけど、メールはケータイだから、病院じゃできないんだよね。
…あ、もう返ってきた。早いなぁ…
「早よ来てくれな…カオが見たくてしゃあないわ。矢口のカワイらしいカオ」
……
…ばっか…
…ハズカシイコト言うなよ…あんな別れ方しちゃったの忘れたのかよ…
- 17 名前:名無し読者 投稿日:2001年04月21日(土)19時55分34秒
- いい感じですね。更新まってますー。
- 18 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月07日(木)03時57分53秒
- 私も更新まち。
- 19 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年06月19日(火)17時27分21秒
- こちらの小説を「小説紹介スレ@銀板」で紹介します。
http://www.ah.wakwak.com/cgi/hilight.cgi?dir=silver&thp=992877438&ls=25
- 20 名前:読んでる人 投稿日:2001年07月22日(日)15時44分19秒
- 破棄?
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