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80%・・・Sweetness

1 名前:バービー 投稿日:2001年04月19日(木)21時08分07秒
黄板で書かせてもらっているものです。ここでは主に
よっすぃーを主役にして、後藤・矢口・加護・石川編を
それぞれ書いていくつもりなので、宜しくお願いします。
2 名前:・・・めっちゃ、好きやねん! 投稿日:2001年04月19日(木)21時41分03秒
「・・・・よっすぃ〜!!・・・よっすぃ〜ってばぁ!・・」
背後から、甘い声が聞こえる。・・・私の、ほんの少し好きな声。
「も〜!!・・・・こっち向いてくれたっていいじゃんかぁ!!」
・・・あれ?何だか少し・・・拗ねちゃった?

「・・・なんだよ?」
少し、笑いを含んだような声で私は振り向く。彼女を見るために。
「あんなぁ〜・・・・あんなぁ〜・・あの・・・」
はにかんでいるのか、手を後ろに組んで彼女は俯いている。

今日はテレビの2本立ての収録日。
大体、いつもボーイッシュなファッションをしている私だが
今日はいつもと違っていた。少し、ウェーブのかかった髪に
花柄のワンピース。・・・柄じゃない、なんて笑われたりもして。
そんな私に、何故か今日はずっと視線を外さない・・・目の前の彼女。

「あんなぁ〜・・・今日・・・今日のな、よっすぃ〜なぁ・・・」
「・・・なんだよ〜、早く言えよな〜」
いつもの調子で私は彼女にヘッドロックを仕掛ける。
「きゃぁ〜、もう何すんねんな〜!!・・・きゃははっ」
上目遣いで私を見つめる彼女。・・・すごく嬉しそう。

「早く言わないと・・・・・チューしちゃうよ?」

私は冗談めかしてはみたものの、少し真剣な表情で彼女に言ってみた。
・さっきまで、笑いを含んでいたのに、彼女は次第に真剣になる。

「・・・・やだぁ・・、そんなの」

そう言いながらも、目では訴えてる。・・・・私に・・きっと・・
ペロッと、一度私は唇を舐める。・・視線は外さないままに。

「・・・・・・チュッ」

唇が離れるときに、そう音がした。
ゆっくりと目を開けていく・・黒目がちな彼女。

「・・・・ヨーグルトの、味・・・・した・・・・」

頬を真っ赤に染める彼女。・・・愛おしくて、たまらない。

「お前がさっき、ヨーグルト食べてたからだろ〜っ!」

そう言って彼女を罵っても、彼女は笑顔しか見せない。
「・・・それでな、さっきのことやねんけどな〜・・・・」
急にまた、彼女は話しを変えようとする。・・人の話は、聞かない彼女。
「・・だから、なに?・・・早く言わないと・・・」
「・・・はずかしいねんもん・・・・」
唇を付きだして、モジモジする。・・・さっきキスしてとれたグロスの跡が
妙にいやらしくて、・・艶っぽい。なぜか女っぽい魅力のある、彼女。

「・・・耳、・・・貸してよ・・」


3 名前:・・・めっちゃ、好きやねん! 投稿日:2001年04月20日(金)17時04分31秒
耳にかかる、熱い吐息。少し、甘ったるい匂い。

「・・・・あんなぁ・・今日のよっすぃーなぁ・・むっちゃ綺麗・・・」

何だ、そんなこと?少し、期待はずれ。

「な〜に、言ってんの?そんなのあったり前じゃ〜ん」
「あたし・・・今、・・真剣、やで・・・」
私は、彼女の言動を茶化したことにほんの少し後悔した。
「・・・ごめん、だって・・何かあんたとはいっつもバカやってるから」
「それだって!・・それだって・・・よっすぃーの気、引きたいから・・・・」
また彼女は上目遣いに照れくさそうに言った。

「・・あたしなぁ・・今日のよっすぃ〜見て・・めっちゃドキドキやねん・・」
私から視線を外し、彼女はそう言った。

「・・・・なに、あんた・・・・・あたしのこと、好きなの?」

彼女は一瞬、戸惑った。

「・・・・・す・・・・き・・・かも、しれへん」

小さな、呟き。言った後に彼女の唇からこぼれるため息。

「・・・なぁ、よっすぃ〜は?・・・よっすぃ〜はどうなん?」
不安そうな表情で、目を潤ませて私を見つめてくる彼女。
私が視線を外しても懸命にその健気な眼差しが追いかけてくる。

「・・・やっぱり・・・女の子やから・・・あかんのかなぁ・・・」
彼女がそう言うと同時に、私は思わず彼女のことを抱き寄せた。
「・・・ね、聞こえる?・・・私の心臓の、音・・」
少し、かすれた小さな声で私は彼女の耳元でそう尋ねてみた。
「・・・聞こえる、よ・・・ドキンドキンいってる。・・・よっすぃーのん」
「私も・・・ドキドキしてんだよ・・・・あんたのせいで・・・」

「・・・・え、じゃ・・じゃあよっすぃ〜も、あたしの・・・」
パッと顔を輝かせた彼女。私はそう言いかけた彼女の唇を指で塞いだ。
「・・・・言ーわない、あたし、そんなこと!」
さっきとは違う声で、私は彼女に向かって悪戯っぽく微笑んだ。
「・・え・・いややぁ、ゆってぇ・・ゆってよぉ・・!・・・」

「・・・帰りに、いっぱい言ってあげるから・・・」

私は彼女の耳元で、出来る限り色っぽくそう言ってみる。
彼女の真っ赤になる頬を想像し、階段の踊り場からゆっくりと足を進めた。

「・・・・よっすぃ〜!!!」

途端に彼女の高い声が追いかけてくる。自然と顔がにやけちゃう。

「いじわるっ!・・きらい!・・一緒になんかっ、帰ったらへんもん!」

・・・・・今日の帰りは、彼女をゆっくりと、愛してあげよう。
4 名前:KEI 投稿日:2001年04月20日(金)17時45分22秒
こんにちは!ヤッターレス一番乗りだぁ。
黄板の方も読んでます。これからも、がんばって下さい。
5 名前:ポルノ 投稿日:2001年04月21日(土)12時29分54秒
黄板からとんできました!
メッチャ期待してます!
6 名前:バービー 投稿日:2001年04月21日(土)19時09分21秒
>4・5さん
レス、どうも有り難うございまーす!!
そう言って頂けるとものすごく励みになります。
黄板の方も読んで下さっているとは・・嬉しいです!
自分は、ちょっと「よしかご」にはまりつつある・・
それでは、続きです↓
7 名前:茜差す帰路 投稿日:2001年04月21日(土)19時31分11秒
「お〜い、・・・・・・お〜いってばぁ!」
収録が終わり、今日は直帰となったので各自が帰る準備を始める。
そんな中、荷物の整理が終わった私はメイクも落とさずに彼女を呼んだ。
「・・・・・・おい、加護ぉっ!・・帰んぞ?放ってくよ?・・も〜・・」
彼女は部屋の隅の方で、まだモタモタの荷物の整理をしていた。整理を
しながらも、隣にいる希美とちょっかいを出し合ったり、笑い転げたり
しているから、ちっとも進んではいない様子だ。

「大変だねぇ、ちびさんの子守りは」

その声に気づいて、視線を少し下げると、その金色に近い髪の色が目に入る。

「疲れたらいっつでも、相手したげるからねっ!・・セクシー隊長がっ★」

そう言って、彼女は唇を付きだして私にウィンクをした。
そのウィンクがあまり様になっていなくて、それが尚更可愛らしい。
・・・・・・ほんのちょっと、・・・ドキドキしちゃった・・・

「よ〜しこっ!!」

後ろから急に抱きつかれる。さっきとは違う、甘い匂い。
荷物を提げた右肩に、体重をかけられて私は少々辛い、気もした。

「・・・・あたしも、一緒に帰ってい〜い?」

少し、官能的な彼女の声。耳元で囁くから思わず私はまたドキッとしてしまう。
自分と身長が近い彼女・・・初めて視線を落とさずに話すことができる相手だ。

「・・・・ん〜、何か髪いい匂いする〜・・・・・」

そう言って、彼女は私の髪をくわえた。・・・髪をくわえられたのはさすがに
初めてだ。・・・・吐息が耳にかかって、何だか気恥ずかしい・・・

「・・・ねーぇ、シャンプーどこの?・・同じにしよっかなぁ〜・・・・
  だって・・シャンプー、一緒だったらさ・・いつも一緒みたいじゃん・・」

「・・・・・・え?・・・」

その言葉に、私はまたドキドキする。
・・・・・・こいつもあたしが好き、なのか?・・
なんて、うぬぼれたりもしてしまって。

「・・おまたせっ!・・・あ・・ぁ・・後藤さんっ!?・・何やっとんねん!」

私の髪をくわえたままの、ごっちんにたいして加護が思わずタメ口で・・
しかも、関西弁でまくしたてる。・・・更に言い合いが続く。言い合い、
というよりも、一方的に加護がごっちんに言っているだけなのだが・・・



8 名前:茜差す帰路 投稿日:2001年04月21日(土)20時44分01秒
「・・・加護にさぁ〜・・あんま手ぇ出して欲しくないんだよねぇ〜・・」
ごっちんはあたしの肩に抱きついたまま、意地悪そうに瞳を加護に向けた。
「よっすぃ〜とあたしってー・・すっごい波長合うんだ〜・・・」
「・・・あっ、あたしとよっすぃ〜のが合ってるわ!は、はちょう・・?」
加護は、波長という言葉の意味を知らないようだ。・・言えていなかった。

「あは〜っ、波長も知らないんだぁ。後藤よりバカなんてそぉ〜とぉ〜だよね」
「・・・〜っ・・!!」


「Oh〜♪悔し涙ポロリ〜・・涙ポロリ・・ポロリ・・泣かないと〜・・・」

そんな加護を見て、後ろで歌う人。・・・勿論、あの人だった。

一瞬、二人の間の緊張感が緩んだような気がしたが、吹き出す加護に対して
眉ひとつ動かさずにずっと加護を見つめ続けるごっちん。

何と言えば、良いのか。

「フッフーン・・そんな事言うけどなぁ、後藤さん。あたしはすごいねんで〜」

「・・・何が?」

「・・あたしなぁ、よっすぃーの唇、知ってんねんで〜」

ごっちんの表情が微妙に変わったような。

「さっき、収録の合間にキスしたんやもんっ!・・な〜、よっすぃ〜!」
そう言って、加護は私に首を傾ける。・・素直に頷く私。だって、事実だから。
その瞬間、私が立っていた机の向かいに座っていた梨華ちゃんがビクッと
反応して加護と私の顔を交互に見た。・・すぐに視線を戻したが・・

「・・・・キス、なんて別に大したことじゃないじゃんっ!」

そう言ったごっちんの表情は、明らかに動揺している。
「甘〜い、ヨーグルトの味してんっ!めっちゃ柔らかかったぁ・・」

「・・・キ、スなんて・・キス・・こ、ここでしちゃえばおんなじ事だよっ!」



そう彼女が口にした瞬間、私と彼女の唇が重なった


「・・・・んっ!」
思わず、その接吻に目線が釘付けになってしまった加護。

瞬きもせずに、梨華ちゃんが見つめてる。・・少し、馬鹿にしたような・・目?

「・・・ぷはぁっ・・・」


「・・・もう〜・・ごっちん・・大人げないよ・・・」

私は、悔しがっているような悲しんでいるような表情の加護を見て
やるせない感じで呟いてしまった。

「・・・・ごっめ〜ん、だってぇ〜・・」
まるっきり、彼女は悪いとは思ってないらしい。・・一応は、私の唇なのに。


・・・結局、私は自分の気持ちに一番疑問を感じた。

9 名前:通行人 投稿日:2001年04月23日(月)02時40分20秒
やっと見つけました。と言うか教えてくれてありがとうです。
これからも楽しみにしてます。
10 名前:茜差す帰路 投稿日:2001年04月23日(月)21時47分35秒
とりあえず、今日は私が彼女ら二人をなだめて三人で帰ることにした。
「・・・・ね〜、お茶してこーよ、よっすぃ〜」
腕を絡めながらそう言ってきたのは、ごっちんだった。
加護の方は、もう10時だからか眠そうに目をこすっている様子。
「お茶・・・?・・・んー・・けど、加護先に送ってから・・・」

「そうしよそうしよっ!じゃあ、加護送り届けてから二人で行こっ!」
ごっちんが弾んだ声でそう言った。・・加護はその言葉に対して
何か反発してみせようともしていたが、もはやその体力はなかったようだ。
風船がしぼんだように、いつもの元気はなくなって肩を落としてしまった。
「・・・・・・加護・・・・」

背中がどうしようもなく、寂しそうで・・
私はこのままでは、帰ることはできない・・・そう思った。

「・・ごっちん!じゃ、表のカフェで待っててくれる?」
「・・・・・・うへぇ〜?・・1人で待っとくの〜・・・?」
「あたし、こいつ送ってからすぐ行くから・・ねっ?」
私はそう言って、ごっちんに軽くウィンクしてみせた。
するとごっちんは、何かを察したのか素直にうなずいて行ってくれた。


11 名前:茜差す帰路 投稿日:2001年04月23日(月)22時05分30秒
「・・・・・加〜護っ!」
私は彼女の目線の高さまで首を傾けてそう呼んでみた。
「・・・加護ってば!・・・」
彼女は、私の目を見ない。頬をふくらませている様子。
暗い路地で、あたりにはもうすでに誰もいなくて・・・
私が彼女を呼ぶ声が、何となく響いているような気がする。
「・・・・・ねー・・・怒んないでよ〜・・もう〜・・・・」
私が呆れたような声を出すと、彼女はやっと目を合わせた。

「・・・・だって・・・・よっすぃ〜、嘘つきやねんもん・・・・」
彼女はそう呟く。・・・確かに、そう言われても仕方がないかもしれない。
「帰りには好きって言うって言ったのにさ、後藤さんまで一緒やし・・」
更に彼女は私に対しての不満を続ける。放っておくと止まらなくなりそうだ。
「・・・・・あたし、あんなに真剣・・やったのに・・・・ひどいわ・・・」
彼女の目が、ほんの少し潤む。・・・やっぱり、泣き虫な彼女だ。

「・・・・・・・ごめん・・、な?・・・・ごめん、加護・・・・」

私はそう言って、柔らかい彼女の唇にそっと口付けた。
唇が離れると、何かにときめいたように彼女は目を見開く。

「あんたは、さ。・・・こうゆうあたしがするキスとかに、愛を感じないの?」

私は彼女を抱きしめながら、そう尋ねてみた。

「・・・・感じたよ・・・痛いぐらい、感じた。よっすぃーの愛・・いっぱい」

「・・・・・・好きだよ、加護。・・・あんたのことが、一番・・・」

「・・・えへ・・・えへへ・・・・よっすぃー・・髪、サラサラ・・・・」

かがんだ私の髪に指を通しながら、彼女は嬉しそうに照れ笑いを浮かべる。
「・・・・あーあ、あたしはしばらくこのチビと離れられそうにないなーっ!」
キューッと彼女を抱きしめながら、私はそう言ってみた。

きっと、私が彼女をぎゅってしたいのと同じくらい、彼女も私をぎゅっとしたい
 って強くそう思ってる・・・・・おんなじこと、考えてる・・・きっと・・

「・・・ダメだよ」

「・・・・・・・・何が?」

「・・・・子供扱いしないで・・・・・」

真剣な眼差しでそう言う彼女の表情は、まだあまりにもあどけなくて。
私は彼女の頬をギューっとつまんで言ってみる。

「じゅーぶん、子供だよっ!」

そう言うと、彼女は可愛らしい小さな目を細くしてにへっと笑った。






12 名前:バービー 投稿日:2001年04月24日(火)20時22分02秒
何だかほぼ自己満足で更新してます(w
もしも、1人でも読んで下さっている方が
おられたら、お手数ですがレスとかで感想を
聞かせてもらいたいです。お願いします。
13 名前:カプチーノ 投稿日:2001年04月24日(火)20時38分58秒
「・・・もっかい、チューして・・・おねがい、もっかいだけやから・・」
彼女はかがんだ私の頬を掴まえ、挟み込むようにする。そうして私を見つめる。
「・・・・・・・・・・・・しゃーないなぁ・・」
そう言いながらも、実は彼女の言葉が嬉しかったりもする、私。
彼女のその閉じた目に伏せられた長いまつげに妙に愛しさがこみ上げる。
キスをした後、彼女は必ず目を見開いてから照れ隠しのように笑う。

・・・・・・・それが、たまらなく可愛いんだ。

3度目のキスの後、彼女は満足したのか
「・・・・こっからは・・1人で帰れるから・・・」
そう言って、私の元を離れていった。
彼女の小さな背中が遠くなるのを確認し、振り返ろうとすると・・大きな声。



「・・・よっすぃーーーーー・・・・だいすっき〜!!!!」

それは、ちょっとふざけた言い方だったけれど・・

  ・・・茶目っ気たっぷりの彼女の精一杯の等身大の、気持ち。



そんな幸せの余韻を残しながら、私はごっちんの待つカフェへと向かう。
プッチの仕事の時に、一度時間つぶしに来ていたあのカフェできっと彼女は
待っている。お気に入りの、甘ったるいキャラメルフラぺチーノを飲んで・・

店のウィンドウ越しに、店内の様子を見てみる。



やっぱりちゃんと、待ってた・・少し不安げな表情で・・・

お気に入りの、甘ったるいキャラメルフラぺチーノを飲んで・・


14 名前:無名 投稿日:2001年04月25日(水)00時59分36秒
途中でレスつけるのって他の読んでる人にとってウザいかな、って
思って遠慮してましたけど、面白いです。胸がきゅうんとなるかんじ。
引き続き楽しみに読ませていただきます。
15 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月25日(水)02時16分52秒
甘い二人に我を忘れレスするのを忘れてました(w
それほど楽しませて貰ってます。
16 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月25日(水)03時03分20秒
吉澤くん、もてもてですね。(笑
更新後に、何か一言入れておいてもらえると、レスしやすいかも……
17 名前:バービー 投稿日:2001年04月25日(水)17時07分46秒
14・15 無名さん 名無しさん
感想をどうもありがとうございます!!すっごい感激です。
これからも頑張って甘くしていきたいのですが、ちょっと
加護ちゃんにとっては痛め・・になるかも(笑)これからの
展開としては・・お楽しみ頂ければ・・、と思います。

16 名無しさん
アドバイス、ありがとうございます。
わかりました。これからは更新後に一言いれておきますね。

それではっ、続きです。
18 名前:カプチーノ 投稿日:2001年04月25日(水)17時34分35秒
「・・・あの・・、モーニング娘。の後藤真希さん・・ですよね・・・?」

私はそっと後ろから彼女に近づき、声色を変えて彼女の背中を叩いた。

もちろん、ちょっとした悪戯のつもりで。

「・・・・」
恐々と姿勢を正してから、私の方を振り向く彼女。



「・・・・・な〜んだ、よっすぃ〜かぁ!」

そう言った瞬間、彼女はとびっきりの笑顔を浮かべる。
気持ちが溢れだしているかのように、その可愛い笑顔がこぼれる。

彼女のお気に入りの、キャラメルフラぺチーノがあと残り3分の1程に
なっていた。・・・そんなに待たせちゃったんだね。・・ごめんね、ごっちん。

僅かな罪悪感・・・そういうのが・・何かの始まり・・・・

「もー、おっそいよ〜!」

私と話していると、彼女は終始笑顔を絶やさない。
・・・自信過剰、なのかもしれないけど、最近それに気づいたんだ。

「ごめんね〜!そのかわりっ、何か一個だけお願い聞くから!!
  ほら、そのお気に入りのやつ。もういっこおごろっか?」
待たせたことは、純粋に悪いと感じて私の口からは自然とそんな言葉が出た。
「・・・え〜?お願い聞いてくれるの?マジィ?・・無理めなヤツでも?」
「うん、別に・・私にできることなら別にいいよ。・・・・ただしっ!
  肉食べろとか〜、どっかまで行って来いとか〜、そんなんはダメだよ?」

私がそう言うと、彼女は何か考えがあるのか、含み笑いをして無言で頷いた。
    

まあ、帰るまでには言ってくれるんだろう。

・・・・こうやって、何事も安易すぎるのが、私の悪い癖。



「今日の仕事疲れたよねぇ〜・・・・」
もうその話題は終わらせたいのか、彼女は違う話題を持ちかけてくる。
「うん、そうだねー。長かったしねー・・」
「あたし、収録って苦手なんだよね〜・・・・ボーっとしてたら怒られるし」

最もごっちんらしい悩みだ。

「うーん、私もわりとボーっとしてるけど、後ろだからあんま目立たないしね」
そういう点では、明らかにごっちんより私の方が得である。
「うっへ〜、なんだよそれぇ!」
彼女はケラケラ声を上げて笑った。

こういう他愛ない会話・・同い年でしかできない話。それがあるから・・
・・・・こうゆう面で、ごっちんといるとものすごく安らぐんだよね。



神様、思えば・・・これが最初の過ち・・だったのでしょうか?

19 名前:カプチーノ 投稿日:2001年04月27日(金)23時20分29秒
「・・・ねー・・、最近さー・・恋愛とかしてる?」

カフェを出た帰り道。彼女が急にそう尋ねてきた。

「・・・・・恋愛?・・・んー・・どうだろ・・忙しいからなぁ・・なかなか」
私は、とりあえずそう答えるしかなかった。
加護のことは、本気にかわいいと思うし、好きだと思う。
けれどまだ・・・自分の中で恋愛といえるかどうかはわからない。

「・・・・・あたしはさー・・好きな人・・、いるんだよねー・・一応」
彼女の口から出た意外な言葉。
「そうなの!?」
私は、何となくその言葉に嬉しくなった。
「・・・・うん・・・」
頬をほんのり赤らめて彼女は嬉しそうに頷いた。

「・・・・・・・だけど・・・ね・・・・」

「・・だけど・・・?」

「その人には・・・きっと、好きな人がいるの・・・」

切なげな表情で彼女はそう呟く。

横顔が、夜空に浮かぶ月の光に照らされて・・ものすごく綺麗。

「・・・・・ごっちんの好きな人って、どんな人?」

私は唐突にそう尋ねてみる。

「・・・ん〜・・そうだなぁ・・あったかくって・・一緒にいると和むの。
  優しいし、話してて全然飽きないし、・・・・すっごく、美人だしー・・」

「そうなんだ〜・・・・・え?・・・美人・・って・・・?」

「・・・・・うん、女の人、なんだ・・好きな人・・」
少し罰が悪そうに彼女は私の目を見て言った。恥ずかしそうに。
「ふ〜ん・・・そっかぁ・・・」

「・・・・・・・・やっぱ・・・、ダメ・・かな・・・?」

「別にいんじゃない。好きに男女なんてないじゃん」
私は少し、冷めたようにそう答えてみる。

「・・・・・・・そうじゃなくて・・・・」

彼女が私が着ていたシャツの裾を掴む。

「・・・・?」
これでも、わからなかった私はもしかして・・鈍感?




「・・・・・よっすぃ〜・・好きに・・・・なっちゃったの・・・・・」



彼女の乾いた唇から出たその一言。たった一言。

私の頭の中に今までの彼女の様々な行動が浮かんでくる。
・・髪を噛んだり、後ろから抱きついたり、腕を絡めたり、
加護といると・・何だか妬いたような仕草を見せたり・・・・

・・・・・・・それも全て、正直な彼女の気持ちからだったのかな・・?
20 名前:カプチーノ 投稿日:2001年04月27日(金)23時42分16秒
「・・・え、じょ、冗談でしょ〜?なに、言ってんの!ごっちん・・」
少し、笑顔がひきつっているのが自分でも分かった。


「・・・・嘘、じゃない。・・・冗談なんかじゃ・・ないんだもん・・・」


彼女の真剣な眼差し。私は思わず目を反らすことができなかった。

今更だけれど、やっぱり彼女はもの凄く美しくて。

さすがは人気ナンバー1と歌われるだけあるんだな、と感じてみたり。

相変わらず、この物怖じしない性格が彼女らしいところだ。

「・・・・イエスか、ノーか・・答えてよ・・・・」
彼女の瞳はとことん責めてくる。怖いぐらいに追いつめられる。

「・・・・・・・イエスか・・、ノー・・なんて、そんな・・・・」

「恋愛ってそうでしょ?白黒はっきりつける。・・中途半端は、あたしイヤ」


「・・・・・そんなこと突然言われたって・・あたし・・急に・・・」




「・・・・あたしね・・・、さっき・・・・加護とキスしてきたの」

私はそう言葉を切り出した。

一瞬、彼女の表情が変わったのが手に取るように分かった。

「それって、加護のこと可愛いって思ったからだと思う・・・きっと、
  誰よりも好きだ、ってそう思ったからだと思ってるの。・・あたしはね」

「・・・・・・加護、ちゃんとキス・・」



「だけど・・・ダメ・・なの・・今、ごっちんの事もどうしようもなく・・
  可愛いって思う。すごく、抱きしめたいの・・抱きしめたいよ・・・・・」

これは、あまりにも正直な私の気持ちであって。

決して浮気とか、そんなものではないはず。

「・・・・・・ごめんね、・・優柔・・不断、で・・」



「・・・・・・いいよ・・・、抱きしめてよ・・・・・・抱きしめてっ!!!」

勢いよく、彼女が叫ぶと同時に私は彼女の細い背中を折れる程強く抱きしめる。



「・・・・・ずっと・・・待ってた・・・・こうされること・・・・・・」

「ごめん・・・あたし・・・・・こんなこと、するつもりなかったのに・・」

言葉を濁す私の唇を、彼女は強引に奪おうとする。


混ざり合う二人の唾液と、舌から感じる甘い・・・甘い味。

それは、さっき私が飲んだカプチーノと、彼女のお気に入りの・・


甘ったるい、キャラメルフラぺチーノの味・・・・


21 名前:バービー 投稿日:2001年04月27日(金)23時45分24秒
本日、19・20を更新致しました。
何かあまりにも淡々としすぎてて・・ダメです・・
勉強不足。もっと頑張りますね。
22 名前:名無し娘。 投稿日:2001年04月27日(金)23時59分08秒
何おっしゃいます!いつも楽しみにしてます。最近キスしてない・・
23 名前:名無しさん 投稿日:2001年04月28日(土)20時09分42秒
よしごま良いです
24 名前:催眠 投稿日:2001年04月28日(土)23時47分54秒
彼女の乾いた唇に口づけている間も私は彼女を抱きしめたままだった。

・・・・彼女の肩が、小さく震えているのに気づいた。


唇を離すと、頬を上気させた彼女がうっとりと私を見つめる。

「・・・・・・・・よっすぃ〜・・・・もう・・あたし・・・・・」


・・・ひょっとして、本格的な接吻は初めてだったのだろうか?

娘内の七不思議にでも入りそうだ。・・こんなに早熟な彼女なのに。

「・・・・・・幸せ・・・かも・・・・ちょっとだけ・・」

私は思わずそう口に出してしまう。自分の胸に押しつけられる彼女の胸。
あまりにも柔らかくて・・女の躰がこんなに気持ちいいものだと思わなかった。



「・・・・・・・ね・・、さっきのお願い・・・今・・言ってもいい?」

ふいに彼女がそう尋ねてくる。
素直に頷く私。・・・だって、約束だったから・・・




「・・・・・・抱いて欲しいの・・・・・あたしの・・コト・・・」


抱く・・・つまり・・、セックスするってことでしょ?
・・・女同士で?・・・・・まあ、男女は関係ないけれど。
しばらく、何と返答して良いのかわからなかった私は
とりあえず黙っていることでその場をやり過ごす。


「・・・・・ね・・・、お願い・・・・・・・一度だけで・・いいの」

「そんなこと・・・できない・・・一時的な感情だけなんて・・ダメだよ」
私がそう言っても、彼女は縋るような目つきで私のことを見つめる。

「・・・・例えば、今あたしがごっちん抱いたら・・何のメリットがあるの?
  一線を越えても、関係は変わらないかもしれないんだよ?・・・そんな
 ごっちんを傷つけるなんて・・こと・・、あたし・・できないよ・・・」

彼女を抱きしめていた腕の力を少し、緩めてみる。


「・・・・・いいの、たった少しだけでも・・ずっと・・愛して欲しい。
  あたしのからだ・・全部・・見て欲しいの・・・・抱いてよ・・」

「・・・・・・・・・あた・・し・・そ、んな・・・・」

私には、経験というものすらなかったから自信がないというのも正直なところ。


「・・・・・今日・・、さ。・・家・・誰もいないの・・・・・」

「・・そうなんだ・・・・」



「・・・・・来てよ」


25 名前:催眠 投稿日:2001年04月29日(日)00時12分39秒

・・・・・結局、来てしまった。

何事も、安易すぎるのが私の悪い癖。



「お待たせ〜、ごっちん特製のね〜、紅茶と〜・・昨日焼いたケーキ」
甘い匂いと共に、彼女は私がいるリビングへと入ってくる。
可愛らしいその笑顔と、妙に似合うピンクのフリルのエプロン。

目の前に差し出された、またまた甘いミルクティーを一口すすった。




「・・・ね・・、知ってた・・・・?紅茶ってね・・、興奮剤なんだって・・」


急に、彼女は耳元で私にそう囁いた。


手に持っていたカップの中の、紅茶がほんの少し揺れた。
・・・・・こんなことで、動揺なんてしちゃダメ。・・してらんないよ。

徐々に、彼女が私の体に自分の体をすり寄せてくるのが分かった。
自身の足の親指をさすりあわせているような仕草を見せる。




・・・・・・ダメ・・・・ダメ・・・・その気になっちゃ・・・ダメ・・・・





彼女の熱い吐息が私の髪にかかる。



ダメ・・・・・惑わされる・・・・・ダメ・・・自分が出て来ちゃう・・



潤む瞳で私を求める彼女。



ダメ・・・・・・・いけない・・・・だけど・・・・・・・けど・・・・




私は彼女のことを座っていたソファーに押し倒した。

手首を掴んで、彼女のことを見つめると彼女は一瞬寂しそうな笑顔を浮かべ、
その後に・・・・照れたような、嬉しいような笑顔を見せた。

身にまとっていた、彼女にしては珍しい白いワンピース。

その上から、形の良いやわらかな胸を優しく・・形を崩すように揉みしだく。

少し、私は彼女の表情の変化を楽しむ余裕ができた。

「・・・・ん・・・・・あぁ・・・・・」

胸を、揉んだだけでも彼女は我慢できずに小さく喘ぎ声を上げる。
・・・・目を閉じて、無抵抗に私の愛撫を受け入れる彼女。

私は彼女を起こし、背後からブラジャーのホックを外してやり、
固いワイヤーの下から、手を滑り込ませる。・・その自己主張する固い
突起に触れ、スカートの中にも手を忍ばせて、パンティの上から秘部を
そっと、優しく撫でてやる。

「・・・・んん・・・・ふっ・・・・・ぅ・・・ぁっ・・・」

素直に私の指を受け入れるから、すでに彼女はパンティが透けるほどに
愛液を流してしまっている。・・・今だけは・・・私、彼女しか見ていない。


26 名前:バービー 投稿日:2001年04月29日(日)00時16分46秒
>22・23さん 感想レス有り難うございます。
    私自身、よしごまは好きなんで書きやすいです。
    そう言っていただけると、本当に光栄です。

24・25も更新いたしました。これぐらいのペースで
頑張って行けたらと思います。私は同性としたことはないので、
よくわからないけど、頑張って書いてみようと思います(w
27 名前:ティモ 投稿日:2001年04月30日(月)17時30分13秒
よしごま大好きなので嬉しいです。
これからも頑張ってください。
28 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月01日(火)00時23分53秒
黄板も愛読してますが、やっぱりバービーさんの書くよしごまはサイコ〜ですね
29 名前:催眠 投稿日:2001年05月01日(火)21時43分14秒
「♪〜・・・・」
虚ろな目で彼女のことを愛撫していると、聞き覚えのある
着信音が聞こえた。・・・・私の携帯だった。間違いない。
ふと、ベッドサイドにおいてある携帯のディスプレイを見る。

「加護ちゃん」

そう表示されていた。
私は横目でそのデジタル文字を見ながらも
彼女を愛撫し続ける。・・・悟られないように。・・・何を・・・・?


「・・・・あ・・・んぅっ・・やっ・・・はぁ・・はぁ・・」
彼女は荒い息を繰り返し、吐きながら私にしがみつくように
腕につかまっている。・・・感情が入っているから、こんなにも感じるの?
私は少し、疑問を感じた。・・私は、経験なんてしたことがなかった。
ただ、女子校だったし、仕事場でも女だらけだったから、いわゆる・・
耳年増ってやつで・・知識だけはやけに豊富っていう典型的なやつだ。

しかし、それよりも今はこの携帯に出るか出ないかということ。
彼女は快楽に身を捩って、全く気がついていない様子だった。
私の愛撫に溺れている・・そう考えると、自然といい気分になってくる。
・・・・加護、の電話・・まだ、携帯は鳴り続けている。・・しつこい。
私がふいにテーブルに手を伸ばそうと、体を起こす。

「・・・・やっ・・・よっすぃ・・電話・・出ちゃ、ダメ・・・」
気がついて、いたのだろうか。・・・それとも今、気づいた?
彼女は潤んだ目で、私を見つめてくる。・・・・そんな・・・・・

「・・・・おねがい・・あたしだけって・・今日はあたしだけって・・・
  言った・・・でしょぅ・・・・ねー・・・、おねがい・・・・」

消え入りそうな声で、涙をためて彼女は呟く。
私は彼女のそんな表情を見たのは初めてだった・・
だって、彼女はいつも強かったから・・・・
繊細な部分は、そうそう見せたことはなかったのだ。
30 名前:催眠 投稿日:2001年05月01日(火)21時54分08秒
「・・・・・・わかった・・・」
彼女を抱く、と決断したのは私だし、感情を抑えきれなかったのも
私自身の気持ちであって、事実だ。だから、やはりわたしは彼女に
対しての、責任とかそうゆうものをおう義務というのもあるのだ。
・・・・考えすぎかな?・・・でも恋愛は・・・単純には・・・・
私はできない。いつも理屈で考えてしまう。・・・・だって・・・・・

「・・・・・・良かったぁ・・・・嬉しい・・・」
彼女はそう言うと、再び目を閉じた。

薄暗い部屋に、彼女の喘ぎ声とピチャピチャという愛液のいやらしい音
だけが響いている。私は自分がどういう存在なのか・・正直不思議だった。
自分がこの空間に存在していることすら、何だか違うような気がする。



「・・・・はぁ・・・はあ・・んっ・・・よっすぃー・・・・よっすぃー・・」
彼女は何度も何度も、私の名前を切なそうに呼んだ。

私はその度に、
「・・・・ん?」
と返事をしてやった。

すると、彼女は私の存在を確かめるかのように満足そうな笑みを
浮かべて、唇を求めてくるのだった。・・・・可愛い、と思った・・

「・・・・・・・ふぅ・・・んっ!!」
急に彼女が高い声を上げる。
指を侵入したからだった。その声を聞いて
私は一気に指の動きを早める。

クチュクチュという音と、同時に彼女の喘ぎ声が重なる。

・・・・・もうすぐ、てっぺん。




「・・・・・・・・ぅはあっっっ!・・・・よっすぃー・・・・・・」


頂上にたどり着いても、彼女は私の名前を呼んだ。

「・・・・・・気持ちよかった?・・・・・ごっちん・・」

私がそう問いかけると、彼女は肩で息をしながらそっと微笑んだ。
そうして、また私の唇を求めようとする。


・・・・・・彼女の頬に一筋の涙が・・伝っていた
31 名前:バービー 投稿日:2001年05月01日(火)21時57分40秒
>27・28さん ありがとうございます!ほんとに嬉しいです。
        だけどこっちの板ではちょい、よしごまは痛めに
        なります。今は黄板のがハッピーな展開(笑)
        けど、本格的に書いてるのはこっちですね。
        どちらとも、よろしくお願いします。

29・30 更新いたしました。ごっちんの気持ちを考えて
      読んで頂ければ、と思っています。このストーリーは
      名前を書き込むとこの題名が大事なキーワードに
      なってるんです(カプチーノとか、催眠とか・・)
      これからも宜しくお願いします。
32 名前:ブラック 投稿日:2001年05月03日(木)00時54分28秒
バービーさんのよしごまに超ハマってます♪石川も絡むのかな〜?
33 名前:催眠 投稿日:2001年05月04日(金)23時19分48秒
「・・・・・よっすぃー・・・?」

「・・・・・・・ん?」

「あのね・・・、あたし・・・・よっすぃーが、大好きだよ」

事が終わってから、彼女はそう言った。
しっかりと、私を見つめながら。・・・誠実な響きだった。

私は、そんな彼女の言葉に・・頷くことしかできない。
胸の中に、小さな罪悪感が沸々としていた。


「・・・・・・ひっ・・・」

「・・・・どした・・?」

彼女が急に、声を立てて泣き出したものだから、私は少し心配になる。
細い肩が震えている。

「・・・・・っでも、ないの・・・何でも・・・・何でも、ない」

彼女がそう言い続けるから、私も深くは追求しなかった。
もしかして彼女は・・・追求してほしかった?・・・

「それじゃ、あたし・・・そろそろ・・・もう遅いし」

「・・・・・・泊まってかないの?」

「うん、今日は・・・帰るね」


「・・・わかった・・・・・・・」

いつもは、わがままな彼女が随分と聞き分けがいい。
・・・・さっきまで、強気だったのに、私に抱かれた途端に・・

「・・・・・今日は、ありがとね」

「ううん・・・、何もしてないもん・・・」


「・・・・・今日のこと、あたし絶対に・・絶対に忘れないから」

「・・・ん・・・」



「・・・・・・・バイバイ、よっすぃー・・」
34 名前: 投稿日:2001年05月04日(金)23時36分56秒
・・・・あたしって・・・・・・ほんとは誰が好きなんだろ・・・

自分の中で、何度も何度も繰り返されるこの疑問。
私は、今日もそんな自分と戦いながら仕事場へと向かった。


「おっはよ〜!!よっすぃ〜!!!」

正面から、勢いよく走ってきて私に飛びついたのは加護だった。
・・・・こういう時は、本当に彼女の振りまく笑顔や明るさが救いだ。

「・・・・おはよ」

「昨日、携帯出てくれへんかったやろ〜?・・電車ん中とかやったん?」

「・・・・・え?・・あ、あ、うん。そうなんだよねー・・ごめんな」

「ううん、全然。そんなん気にしてへんから」

「・・・・そう?・・ごめん。・・・そんじゃ、行こっか?」

廊下での立ち話だったので、とりあえずは楽屋へ向かうことにする。
私が、そのまままっすぐ歩いていこうとすると・・急に加護は照れた
表情で、何やら可愛らしい仕草を見せる。


「・・・・ねー・・手ぇ・・つないでぇ・・」



そう言い出した彼女が妙に可愛くて、愛しくて
思わず抱きしめたくなってしまった。

私は、彼女の望み通り手をつないで歩くことにした。


すると、後ろから声をかけられる。

「おはよっ!」

高く、突き抜けた声。

「・・あ、梨華ちゃん。・・・おはよ」

「朝から仲良しだねぇ〜・・あいぼん嬉しい?・・真っ赤なっちゃってるよ?」

・・・意外にも、梨華ちゃんはそんな私達をからかってきた。

「・・・・もうっ!梨華ちゃんはすぐそんなこと言うねんから〜・・・」

そう言って、加護は怒ったけどその顔はすごく嬉しそう。

「あ〜、照れ隠しだ〜ぁ。やだなー、まだまだ子供だねえー、あいぼんってば」

「ちゃうってば、も〜!!梨華ちゃんきらいっ!」

「嫌いでもいいよ〜ぉだ。別に。・・・じゃ、あたし先行くね」

実に爽やかな態度で彼女は私達より先を歩いていこうとする。

「・・・あ、ごめんね。梨華ちゃん・・何か悪かったね」
一応は、気を使って彼女にそう言っておく。

すると、彼女は「しょうがないね」といったような感じで微笑んで
背を向けた。颯爽と歩いていくその後ろ姿・・・・



私は、何か悪い予感がしてならなかった・・・・
35 名前:バービー 投稿日:2001年05月04日(金)23時42分22秒
>32 ブラックさん ありがとうございます!そう言って頂けると
          すごい、嬉しいですね。緑板でも地味(?)に書いてる
          ので、また宜しくお願いします。

33・34 更新です
36 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2001年05月05日(土)16時33分42秒
やっぱり、最後は加護なんでしょうかね〜?
37 名前:ブラック 投稿日:2001年05月05日(土)16時44分38秒
もしかして怖めの梨華ちゃんなんでしょうか?ドキドキします。最近、茶髪になっちゃったから個人的にはショックなんですよね〜
38 名前: 投稿日:2001年05月08日(火)00時18分59秒


私達二人は、手をつないだまま楽屋に到着した。

このままで入ったら・・また無意識のうちにごっちんを傷つける・・
そう感じて、私がさりげなく手を離そうとすると加護はすぐに
追いかけてきて、絶対に離そうとしないのだった。・・・どうしよ・・・

ガチャッ・・・

「「おはようございまーす」」

低いあたしの声と、高い彼女の声が重なった。

楽屋に入って、正面に座っていた梨華ちゃんとまず目が合う。
・・・・彼女は、何か意味深な笑みを浮かべて、またつないだ手を見つめた。
一体、何を考えているのだろう・・あんな、かわいい純粋そうな顔して・・

「あ、おはよー・・あいぼん、よっすぃー」

鏡に向かって、一生懸命メイクをしていたごっちんが振り返る。
・・・・随分と、目が腫れている。・・昨日、あれから泣いてたのだろうか?
そんな彼女を見ると・・やっぱり今でもすぐに駆け寄って抱きしめたくなる。

・・・・・・ごめんね、ごっちん・・・・

口を開くと、すぐにでもそんな言葉が飛びだしてきそうだ。
健気に笑いながら、あたしの隣にいる加護と話をするごっちんが・・
たまらなくあたしにとっては・・罪悪感。・・ってゆうか・・



「そういえば、どうしてごっちんは今日、目が腫れてるの?」

急に声をかけてきたのは梨華ちゃん。
彼女はすでにメイクを終えたようだった。
ちょっといじりすぎたせいか、妙に眉が濃くて怖い。

「・・・あー・・・・・、ちょっと泣いちゃって・・・」


「ふぅん・・昨日は大好きなよっすぃーと一緒に帰れたのにね・・不思議ね」

り、梨華ちゃん・・・?
一体、何を言い出すんだ・・この子は。

見る見るうちに、ごっちんの表情が強ばる。
笑顔を見せていても、口元だけ。・・目が笑っていない。
正直言って、その笑顔はどう見てもひきつっていた。
39 名前: 投稿日:2001年05月08日(火)00時27分39秒
「・・何言ってんねんな、梨華ちゃん。よっすぃーはあたしとラブラブやもん。
  そうゆうの、下世話っていうねんで。やっぱ、中卒はあかんよな〜」

思いっきり、バカにした口調で加護が言い放った。
下世話・・というのも微妙にニュアンスがずれてる気がするが・・


だけど、彼女の言葉で張りつめた空気がほんの少し和らいだ。


「・・・どうして泣いたの?」

さっきとは売って変わって、心配そうな顔で梨華ちゃんは
ごっちんの顔をのぞき込んだ。・・・本当に、心配そうに・・。

「・・・・うーん・・、まあ・・色々・・悩んでて・・」

「あたし、何でも聞くよ?・・あ、そうだ。今日・・一緒に帰らない?
  ほら、ごっちんのお気に入りのあれ・・飲みながら話そうよ」

「・・・・・キャラメルフラぺチーノ・・?」

昨日、飲んだばかりの例のやつ。
そんな物、今日飲めるほど・・ごっちんは
図太い神経の持ち主ではない。

「・・・・うん・・、でも最近あれ飲み過ぎで・・太っちゃって・・」

「何言ってるのよ、あれは確かカロリーゼロだから飲んでたんじゃない!
  ね、ほら・・・遠慮するようだったら、よっすぃーとあいぼんにも
 一緒に来てもらおっか。・・・・ね、そうしよそうしよ!・・決まり!!」

「そうやな、久しぶりにみんなでしゃべろう〜!!」

同意したのは、もちろん加護の方。

あたしとごっちんは至って・・暗い表情のままだった。

何を企んでるか知らないけど・・本当に梨華ちゃんってば、生き生きしてる。


「そうと決まれば・・あ〜あ、楽しみっ!」

彼女は鼻歌を歌いながら、再びメイクの手直しを始めた。
40 名前:バービー 投稿日:2001年05月08日(火)00時30分54秒
>36 ラヴ梨〜さん さぁ〜、どうでしょうか?(笑)

>37 ブラックさん そうなんです・・怖めにしちゃった・・
         
38・39 更新しました。 アンチ梨華ちゃんとかじゃ決して
              ないんですよ〜。むしろ、好きなんです。
              けど何か今回は・・・
41 名前: 投稿日:2001年05月13日(日)12時36分38秒
・・・・ひどいよ、梨華ちゃん・・何考えてんだよ・・・・・

状況を知らないから、しょうがないことはしょうがないけど。


梨華ちゃんは、かわいい。
テレビの前のファン達は、あの健気な感じや
女の子らしいキャラクターとかに魅了されてるんだ。
・・・・・けれど、本当の・・彼女の姿。

それはまだ・・・・・私も知らない。

収録中、そんなことばっかり考えていたから
差詰め私は、いつものごっちんのような表情をしていたことだろう。



「さ〜っ!帰ろっか」
楽屋に戻って、一等先に梨華ちゃんが弾んだ声を上げる。

すでに、時計は8時半という時間を差していた。

「・・・ねー・・、梨華ちゃん・・今日なしにしない?」

さりげなく、浮かれた彼女に私は声をかけてみた。
急に見開かれる彼女の瞳。

「え〜、いやだよぅ。・・・どうして?・・ねえ、どうして?イヤ・・なの?」

・・・・うっ、・・・そんな表情されたんじゃ・・あたし・・・・・・

「ごっち〜ん、よっすぃーが今日なしにしようとか言ってるの〜!
  何とか言ってあげてよ〜!・・ごっちんも今日、楽しみでしょ?」

今まで、ボーっとソファーに座っていたごっちんは、急に姿勢を正した。
やっぱり・・・・表情が強ばっている。そうとしか思えない。

「・・・・ね〜、何とか言ってあげてくれな〜い?」

更に追い打ちをかける梨華ちゃん。・・・一体、何の恨みがあるわけ・・・?

「・・・・・よ、よっすぃー・・行こうよぅ。楽しそうじゃん!」

ぎこちない、彼女の誘い。けれど、今はそれが精一杯なんだ、きっと。

「・・・う、うん・・・・・」

「変なの〜、何かごっちんとよっすぃーって空気へ〜ん!
  何かやましいことでもあるんじゃないの?・・ほんと、変だよ?」

そう言って、意地悪そうに梨華ちゃんは微笑んだ。
42 名前:名無し娘。 投稿日:2001年05月14日(月)00時53分44秒
梨華ちゃんコワイ・・・・
43 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2001年05月14日(月)01時24分37秒
梨華ちゃんの動向が気になりすぎる〜!!バービーさんの小説の多種多様な性格設定大好きです。
44 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月17日(木)04時24分21秒
今日初めて最初から読みました。
すごく面白いです。
続き楽しみ。
45 名前: 投稿日:2001年05月17日(木)18時32分30秒
「別にあたしらは何もないよ〜?・・・あるわけないじゃん」

あたしは、努めてさりげなく梨華ちゃんに向かってそう言った。
その強い表情に、負けないように。・・・・絶対に、負けないよ・・


「・・・・ふ〜ん・・・・・・・・ならいいけど」

やけにあっさりと、梨華ちゃんは納得した。
ごっちんが、あたしに向かって安心したように微笑んだ。

その笑顔が・・・・かえってあたしを辛くさせた。


「なーなー、今日行くんやろ?はよ、行こ〜!もうみんな帰ったし・・」

後ろから声をかけてきたのは加護だった。
さっきまでののと騒いでいたのに、ののが帰った途端にそう言い始める。
絶対、一瞬をも暇したくないんだな・・ま、わからないこともないけど・・


「そうね〜、じゃああいぼん行こっか!」

梨華ちゃんは笑顔で、加護の方を向いた。

「・・あたし、まだ荷物とか片づいてなくて・・・」

あたしがそう言うと、ごっちんも頷く。
・・・・人一倍、マイペースな二人だから・・?


「・・・・・・じゃあ、ごっちんとよっすぃーは後で二人で来て?」


梨華ちゃんはしばらく間をおいた後に、そう言った。
・・・・恐ろしいほどの、笑みを浮かべて・・

やめてよ、・・・今・・・あたしとごっちんが二人きりになったら・・・


今度こそ・・・・・・・あたしの理性が・・もたない。

「えぇ!?いややっ、あたしよっすぃーと一緒に行きたいねんもん!」

意外にも助け船(?)を出してくれたのは加護だった。

「そ、そうだよね〜・・じゃー、待っててよ」

あたしは曖昧な笑みを浮かべて、加護に向かってそう言った。

「よっすぃーは後から来るからいいじゃん。あたし、ちょっとあいぼんに
  相談があるんだよ。タンポポのことで・・だから、行く道でちょっとだけ。
 話させてよ・・・?・・・ねっ。・・・ダメ?」

出た。・・・・必殺、「ダメ?」攻撃。


「・・・・う、んー・・まいっか。後ですぐ来てくれるんやし・・・・」


もう!加護のやつ〜、ひっかかんなよなあー・・・
46 名前: 投稿日:2001年05月17日(木)18時42分09秒
梨華ちゃんは、どうしてもあたし達を二人きりにさせたいらしい。



・・・・・・・・・いいじゃん、受けて立ってやる。


「わかった、じゃあ先に行っといてよ」

あたしは、視線を梨華ちゃんに向けて言った。
「梨華ちゃんに」ってとこが、ポイントだ。

「・・・う、うん。じゃあそうするね」

あたしの言動に、梨華ちゃんはちょっと驚いたのか分からないけれど
一瞬、視線を反らして・・その表情が変わった気がした。

・・・・けれども、隙を見せないのが・・・彼女。


「ほんなら、梨華ちゃん行こ〜」

加護は機嫌良く、梨華ちゃんと連れだって楽屋を出ていった。



・・・・・楽屋には、二人きり。

あたしとごっちんが、たった・・・二人きり。


「・・・・何か、ごめんね・・あたし・・」

あたしがしゃべりかけるよりも先に、ごっちんが話し始めた。

「何で、謝んの?・・・何も悪いことしてないじゃん」
あたしは謝ってばかりいるごっちんに、少しばかりの苛立ちを感じた。

「・・・だって、梨華ちゃんがあんなことばっか言ってくるから・・」

「だから、何でごっちんが謝んの?」

「・・・・・え・・あたしが・・変な素振り見せたかなー・・って」

戸惑ったように、視線を泳がせるごっちんを見ていると・・・・



急に・・虚しさを感じた。

同時に、彼女に対する・・・同情・・・


切なさ・・・


・・・・・・・・愛、情・・・?


咄嗟にあたしは、椅子に座っているごっちんを抱きしめた。
47 名前: 投稿日:2001年05月17日(木)18時48分51秒
抱きしめたごっちんの髪は・・・・昨日と、おんなじ匂いがした。

柔らかさも、暖かさも、彼女の何もかもが・・昨日とおんなじ。



「・・・・・・ど・・して・・・?」

ごっちんが、抱きしめたあたしの腕に触れながらそう尋ねた。
その視線は・・あたしの方には向けられていなかった。・・伏せたまま。


「・・・・ごめん、また・・こんなこと・・・・懲りないな、・・あたしも」

本当に、言葉の通りだった。

何で抱きしめてるの?・・・・・好きなの?・・・あたし・・




だけど、失いそうになった途端・・・・彼女が欲しくなるんだ。


「・・・・よっすぃー・・あたしのこと・・好き・・・・・・・・?」

震える、ごっちんの肩。・・きっと泣いている。

そっか、愛してる人にしか・・体には触れさせないんだよね。


・・・いつか・・・・・そう言ってたね、ごっちん。


まだ、お互いが気持ちに気がつく前に。



「・・・キライ、・・じゃない」

曖昧な答えをあたしは彼女に返す。

「・・・・・・ごめん、こんなやつで・・・」

48 名前: 投稿日:2001年05月17日(木)18時57分59秒
「・・・・・・・いいよ、別に」

ごっちんの、優しい答え。


「・・・・ごっち」






「・・・・・・・・でも、もうあたしに触れないで」




あたしが何かを言いかけると、ごっちんはそう言い放った。

さっきと変わらずに・・・優しい目をしているのに・・・



「行こっか、梨華ちゃんも加護も待ってるし」

彼女はあたしの両腕を緩くほどくと、笑顔でそう言った。



「・・・・うん・・・・・・」



昨日も、この道を通った。
カフェに向かう暗い暗い、暗いこの道・・・・


昨日は、迷宮に見えたはずなのに・・・


確かに・・そう見えたはずなのに・・・・・今日は、道は道でしかなかった。

あたし達は、楽屋を出てから一言も喋らなかった。


ただ、奇妙だったのは・・・・ごっちんが、ずっと笑っていること。

ずっと、唇の両端を上げて穏やかに笑っているんだ。



・・・・何で、だよ。

何で、こんな気持ちなんだよ・・あたし。


妙に切ない、っつーか・・寂しいっつーか・・・・・



違う。




愛しい人を、乞う気持ち。
49 名前:バービー 投稿日:2001年05月17日(木)19時01分32秒
>42 名無し娘。さん
      梨華ちゃんこわいです、作者も(w

>43 ラヴ梨〜さん
      そうなんです、梨華ちゃんはすごい企みをしてるんですね、実は。
      いつもありがとうございます、緑・黄板も頑張りますね。

>44 名無しさん
      ありがとうございます!続きお楽しみ下されば幸いです。
50 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月18日(金)00時37分48秒
う〜ん。ごっちん切ない。
51 名前:tuma 投稿日:2001年05月24日(木)23時31分14秒
すごい面白いです!
なんかこの梨華ちゃんのキャラが私的にかなりつぼ!
続き楽しみにしてますね♪
52 名前: 投稿日:2001年05月26日(土)17時55分41秒
「お待たせ」

あたし達は、奥のテーブルにいた加護と梨華ちゃんに声をかけた。
何かすっごく楽しそうに話してたみたいだけど・・ちょっと気になる。


「・・あ〜、やっと来たぁ」
梨華ちゃんがけだるそうに振り返った。

「ごめんね、遅くなっちゃって」

ごっちんが遠慮して声をかけた。・・・あたしは黙ったまま。

あたしの手には、あの日と同じカプチーノ。
ごっちんの手には・・・・あの日とは違う、ミルクティー。

「もう、ほんとに遅いんだからぁ。・・・ねえ、何してたの?」

また言ってる。・・・・頼むよ、ほんと。






「・・・・・・抱きしめられてきた」




ごっちんは、急にボソッと呟いた。

それを聞いて、加護は持っていたカップを落とす。
飛び散った紅茶の、茶色い液体・・・・

ごっちんの目がおかしい。・・うつろな目だ。



「ギュって抱きしめられた」




「・・・・・・・は・・」

声を出したのは、加護だった。







「・・・・・・・ついにボロが出たね、ごっちん」



鋭い梨華ちゃんの一言。


「待っていたの、こうやって二人の関係がバレること」

「・・・・なん・・・」




「だって、あたしは自分より人が幸せになるのは許せないんだもの」

梨華ちゃんは1人で言葉を続ける。

あたしは、ただ放心状態でそれを聞いてるだけ。



「絶対に、特によっすぃーには幸せになってほしくないの。・・・・あたし達、
  いっつも横並びなんだもん。・・・よっすぃーだけメンバーにモテモテ
 なんて絶対に許せない。・・・・・絶対に壊してやりたかったの」
53 名前:かんかん 投稿日:2001年05月26日(土)18時07分20秒
り、梨華ちゃん・・・・こわいっす・・・・。
やはり黒梨華ははまりますね。
54 名前: 投稿日:2001年05月28日(月)21時14分06秒
不気味なほどに美しい梨華ちゃんの横顔。

「・・・・さ〜ぁ、あいぼんはどうするのかな〜?」

憎らしさたっぷりに、梨華ちゃんはそう言った。
加護の方を笑顔で見ながら・・・・

「・・・・ぁ・・・たしは・・・」

加護は、最初に視線をごっちんに向け、次にあたしへと移らせる。
あたしは・・・あの、まっすぐで純粋な目に責められるのがこわくって・・
思わず、目を反らしてしまった。・・・・何て弱虫なんだろう・・

「・・・・・・・どうするも、こうするも・・・そんなん・・」


こぼれて、テーブルに飛び散った紅茶の水滴。
それを見つめるごっちん。
微笑む梨華ちゃん。
何かを言いかけようとしてはため息をつく加護。
・・・それに、弱虫なあたし。


みんなみんな・・・似たもの同士。

弱いモンが、肩寄せあってるだけ・・・・


「・・・よっすぃーが・・・・後藤さんを好きになってもたんやったら・・」

ダメだよ、そんな健気なこと言っちゃ。
・・・また・・・惑わされちゃう。

「あたしは、仕方ないと思う。・・・・じゃない・・・?」



子供な加護にしては、ものすごく大人な意見。
あどけないその唇や、小さな爪や黒い瞳が嘘みたい。
案外、彼女は一番この中で賢いのかもしれないね。


「・・・・それでも、好きやねんから・・しゃーないやん?・・」



「・・・ふーん・・変なの。遠慮しちゃって」

また出てきたのは梨華ちゃん。

「・・・・わかった〜ぁ、・・・アレ、見たからでしょ?」


アレ・・って何?・・その意味深な笑いがまたあたしの中の不安を呼び起こす。
55 名前:tuma 投稿日:2001年05月29日(火)00時58分55秒
アレって何〜〜〜!!?
気になるーー。
56 名前: 投稿日:2001年06月14日(木)23時09分49秒
「・・・別に、そんなんちゃうもん・・・・」

決まりの悪そうな顔をして、加護は俯いた。
・・・・何なんだよ、アレって。



「・・・アレ、ってなぁに?」


あたしのかわりに、聞いてくれたのはごっちんだった。
あぁ、ごっちん・・・かなり、感謝。



「・・・ん〜・・・アレぇ?・・・ふっふふ〜ん・・教えてあーげない♪」


「・・・っっ!!梨華ちゃん、いい加減に・・」



「・・いいよ、やめて、よっすぃー」

あまりにも理不尽な梨華ちゃんの態度に腹を立てたあたし。
今にも飛びつかんばかりの勢いで梨華ちゃんをまくしたてようとした、

のに・・・横から手を出してあたしを止めた・・・・・ごっちん。




「・・・・なぁ、今日はもう・・帰らへん?・・・うち、疲れてもた」


そう言って、あいぼんは笑ったけど。・・・・笑ったけど・・笑ったけど・・
その笑顔はあまりにも寂しそうだった。ほんの少し、潤んだ目で。
ダメ、だよ。反則だよ、そんなの。・・・・笑っちゃ、いけないよ・・・

「・・・・・そうだねぇ・・帰ろっか。よっすぃーもご機嫌斜めだしぃ・・」

くぅ〜っっっっ!こ、こいつっ!!殴ってやりたい!!
一体、誰のせいでご機嫌斜めになったと思ってんだよ!!!
ああ・・・激しく、愛のバカやろう。・・恋愛の、バカやろう。

ほんとは・・・・・・


梨華ちゃんに、バカやろう。
57 名前: 投稿日:2001年06月14日(木)23時18分30秒
「・・・それじゃあ、あたしは逆方向だから、・・お先に〜」

あたし達は気まずい雰囲気のまま、店を出た。
すると、梨華ちゃんが一等先にこの言葉。

・・・散々波乱を起こしといて、お先に〜、はないだろう!

しかも、そんなに軽やかなステップで帰らなくても・・・・・

思わず、口に出して言いそうになってしまったが・・。
吉澤ひとみ。・・ここは我慢する。・・・あたしのこの拳を
止めるのは・・理性、でしかないのだ。



「・・・・じゃあ、あたし達も帰ろっか・・」

ぼんやりと、空を見上げながらごっちんはそう言った。
間の抜けた声で。・・・・あたしは、正直言って・・・・
ごっちんの気持ち、というのが一番よくわからないんだ。



「・・・・よっすぃー・・一緒に、帰ろ・・・?」

消え入りそうな声であたしに誘いをかけてきたのは加護の、方。
・・ごっちんが、あたしを見ている。責めるような目で・・
強い目のその力に・・押しつぶされてしまいそうだ。


「・・・・な・・、一緒に、帰ってくれるやろ・・・・・?」



頷くしか、なかった。

いくらごっちんがそんな目で見ても。
あたしには、加護がいる。
失いたくない、彼女がいるんだ。


あたしは、やっぱり加護のことが好き。
・・・・・そう、信じたいの。
58 名前:ラック 投稿日:2001年06月15日(金)19時49分32秒
こんな悪梨華みたことない。
それにアレってなんだ?
59 名前: 投稿日:2001年07月06日(金)23時28分20秒
「・・・それじゃ、久しぶりに二人で帰ろうか?・・・なっ、加護?」

二人、ってとこ・・・・思わず強調しちゃったよ・・
ごめん、ごっちん・・・・・傷付いた、・・よね・・・・?

「ほんまぁ!?やった、帰ろ帰ろっ!」

あたしのちょっと重い気持ちとは裏腹に、
加護の明るい声がその路地に響いた。



「・・・・わかった、じゃ・・あたし・・タクシー拾って帰るから」

ごっちんは・・・意外にも、あっさりとあたし達二人の前から姿を消した。



・・・・本当の戦いは・・、これからかもしれない。


「・・・なぁ、よっすぃー・・・・今日、泊まってもいい?・・家・・」

緩く繋いだ手を恥ずかしそうに見つめながら、加護はそう言った。
・・・・可愛くて、仕方がなかった。
あたしは・・・この子を前にして理性を保つ自信がなかった。

「・・・ん、いいよ・・泊まってきなよ」

「やった!・・・・今日は何か・・・ええことずくしやなぁ〜!」


さっきまで、あんなことがあったのに・・・
気丈に笑う加護を見て・・あたしは・・・
どうしてか、涙が溢れそうになってしまった・・・・
60 名前: 投稿日:2001年07月06日(金)23時36分00秒
ねえ、どうしてそうやって笑っていられるの?
・・・・・・あなたは、それでも・・幸せ・・・・?
こんなに、ボロボロになってまで・・あたし、好きでいてくれんの?


「・・・・ん?・・どしたん、よっすぃー」

「あ、う・・ううん、別に何も」


帰り道は・・近かったのに遠かった。
歩いて、たった15分の距離なのに・・・・
そこがまるで、どこかに続く永遠の道のように。




「・・・おじゃましま〜す・・・・・」
加護は、遠慮がちに足を踏み入れる。
・・・・家には、また旅行好きの家族がでかけているのか、
中は不気味なくらい、静まり返っていた。

フッと、何気なく加護と視線が交じりあい、
それだけなのにくすぐったくて笑ってしまう・・・


前は、それだけで・・・・幸せだった、はずなのに・・・・


「・・・もう、遅いから・・シャワー浴びてきなよ。・・眠いでしょ?」

さっきから、あまり元気のなかった加護にあたしは
気を使ったつもりで、そう言った。

「・・・・・・あ・・、う、うん・・」


何?・・・今の、間。
明らかに何か戸惑っていた。
一度、視線を落として
そうかと思えば、またまっすぐに
あたしを見ていた。



しばらくすると、サーッというシャワーの水音と、
ちょっと鼻にかかった、甘い歌声が聞こえてきた。

何の意味もない、ただ普通に過ごしている今日。
加護は・・何が目的でここへ来たんだろう・・・・?
そんな、疑問の答えを・・あたしはこの時、

知る由もなかった。
61 名前: 投稿日:2001年07月06日(金)23時45分07秒
「・・・・・おまたせ」

あたしも、シャワーを浴びた後に加護の待つ自分の部屋のドアを開けた。
・・・髪が濡れて、唇も艶やかで、加護はほんの少し・・色っぽい。
まだ、13歳のくせして・・・・妙に、色気あんだよな、こいつ。


「・・・・疲れたよねー、今日・・・」

そう言って、正面にあったベッドにドサッとあたしは腰を下ろす。
何だか今日は・・・肉体的にも精神的にも疲れてる。


そんなあたしを見て、さっきまで床で雑誌を見ていた加護が
急に立ち上がる。


「・・・・へへぇ〜・・・よっすぃー・・抱っこぉ!」

悪戯っぽい笑みを浮かべて、甘えてくる。


そんな彼女を、あたしは両腕を広げて
受け入れてやった。



「・・・・・は〜・・・いい気分・・・」

「あったかいね、加護の体・・」

抱きしめあってると、何でこんなに安心するのかな?
・・・・お互いの体温が解け合うのがわかって
とっても・・・気持ちがいい。


膝にのっけても、まだあたしとはちゃんと視線があわない加護。
それどころか、腕の中にすっぽり収まっちゃうぐらいに小さいのだ。
彼女の顔は・・・・ちょうどあたしの胸の前。


「・・・・・っとに、かわいいよなぁ〜・・・加護は」

素直に、あたしがそう言うと
加護は急に真剣な表情をする。


「・・・・ほんまに!?・・・ほんまに、そう思ってる・・・?」


「・・・・思ってるよ、もちろん」



「・・・・・・キスして、よっすぃー」


彼女の要求通り、あたしは彼女の唇に自分のそれを落とす。
柔らかくて・・・気持ちいい加護の唇。ちょっと、冷たい・・
触れるだけの、フレンチキス。・・・これが、あたし達の法則。



「・・・・・いやや、もっと・・入ってきて・・・・・・」
62 名前: 投稿日:2001年07月06日(金)23時53分22秒
・・・・・・・・・?
彼女の言葉の意味が・・最初はあたしは理解できなかった。


「・・・・べロ、入れてよ」



「・・・なっ、なーに言ってんだよ、子供のくせに。ほんっとませてんだから」
あまりにも、真剣な加護の表情にあたしは思わず視線を反らしてしまった。
そして、同じく・・・言葉も。・・・からかうように。


「・・・・・冗談で、終わらさんといてぇや・・・本気やで・・・あたし・・」
「・・・か、・・・加護・・・・・・・・」



「・・・わっ!・・・ひゃっ、ちょっ、何すんっっ!!!」

次の瞬間、あたしは力一杯ベッドに押し倒された。
こんな、小さな小娘に。

顔を固定されて、強く唇を吸われる。



「・・・・んっ!・・・ちょっ、加護・・・・・・!」

強引に、あたしの着ていたパジャマの一番上のボタンに手をかける。
あたしの上に、馬乗りになった彼女。・・・真剣な、彼女。

抵抗するべきなのか、受け入れるべきなのか・・・・

それは、あまりにも微妙で難しいことのようにあたしは感じていた・・・・
63 名前: 投稿日:2001年07月07日(土)00時02分02秒
あたしの鎖骨のあたりに、熱っぽい唇で彼女は口付けた。
・・・・まるで、赤い跡をつけるように・・強く、強く・・・



「・・・・・っ!!・・・・やっっっ!!」


・・・やっぱ、ダメ・・・・だよ。・・・できないよ、こんなこと。
あたしは、力いっぱい加護の体を押しのけた。



「・・・・なんっ・・・でやねんっ!・・・・」

押し退けられたショックで、加護はベッドの端の方にいた。
・・・・・・そして、涙目で・・・怒りと、悔しさ・・・・?
それらしき、透明な涙が・・・頬を伝っていた・・


「・・・・やっぱ、あたしやったら・・・・あかんの?」


それは、あまりにも不思議な彼女からの疑問。



「・・・後藤さんや、梨華ちゃんやったらセックスできるんやろ!?」
涙のたまった、強い目線で彼女はあたしに大きな声を上げた。

「そんなん・・・じゃ、ないよ」

「・・・・あたしは・・そうゆうのの対象に・・・なられへんの?・・・」

さっきの甘えた表情とは、想像もつかなかった。
この、意志の強い彼女の瞳。



「・・・・よっすぃー・・ひどい、わ・・・でけへんのに・・つきあうなんて」



「侮辱や!」と叫んで、彼女はあたしに背を向ける。
・・・・声を立てないように、嗚咽が漏れないように懸命に
涙をこらえている姿が・・あたしの目には鮮明に写っていた。


「なんで・・あたし・・・・・子供、なんやろ・・・・?・・・・」

やけに、切ない響きを持ったその言葉。



加護を抱くことができないあたし。
それを悔しがる加護。

・・・・・・どこが、悪い・・・・?
64 名前:タケ 投稿日:2001年07月10日(火)10時27分37秒
ヨッスィーしっかりしろ〜!個人的にはよしごま希望。
65 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月10日(火)21時08分23秒
激しく同意!
66 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月27日(金)00時01分05秒
よしかご好きな自分としては、ちょっとツライ。。。
67 名前: 投稿日:2001年07月28日(土)11時57分34秒
「・・・・加護・・」
彼女の存在を確かめるかのようにゆっくりと、その名前を呼ぶ。
拗ねているような、本当に怒ってるような、その表情。
「ね、加護ってば」
もう一度、呼んでみる。

・・・返事をしない。



「・・・・一緒に、寝よ?」
あたしの、精一杯してあげられる彼女への悪いコト。
こんな不安定で優柔不断なままに、彼女を抱くことだけはできない。
涙を溜めて、決してあたしの方を見ない彼女。
だけど、その健気さに・・・妙に、愛しさだけがこみ上げてきていた・・

あたしはまだ、自分の感情に気付いていないのかもしれない。


「ねー、ほら・・寝ようよ?」
無理矢理に彼女を抱き寄せて、彼女の髪の香りを感じる。
可愛くて、可愛くて、可愛くてたまらない。
あたしより、小さなこの娘が・・可愛くてたまらない。

徐々に彼女は、固くしていた体の力を弱めて、
身をあたしに預けていく。・・・・時刻は、すでに12時。
「ほら、もう眠いでしょ?・・・寝よ?」
必死で宥めている自分に、途中で気がつく。


どうやら、彼女は本音でぶつからなければ納得してくれないらしい。
68 名前: 投稿日:2001年07月28日(土)12時07分44秒
「・・・・正直なこと、言ってもいい?」
彼女の表情が変わったのが、わかった。
あたしはそれを極力優しい眼差しで見つめる。

頷いた彼女。


「あたしは、さ。・・加護のこと、スキ」
「・・・・ん・・」
やっと、返事をしてくれた。
「でも、・・・・・・愛、じゃないのかもしれない」
ずっと、ずっと疑問に感じていた加護への気持ち。
そう。・・愛じゃないかもしれないってこと。

「・・・可愛いと思うし、どうしようもなく抱きしめたい時がいっぱいあるの」
「・・・・・うん・・」
「だけど、それは愛してる、とかゆうのとまた別なんだよ」

そう、じゃない?
・・・ほんのちょっと芽生えた浮気心に似たものだ。
彼氏がいるのに、他の人としちゃう感じ。
好きだけど、・・好きじゃない?

「そうゆう気持ちはわかるよな?」
「・・・ん、わかる、気がする」
懸命に、わかろうとしてくれている。
きっと・・彼女はそうだ。

「じゃあ、よっすぃー・・もうあたしとは・・・・」


それは、最後の切り札。
まだ・・・言っちゃダメじゃん?

「わかんない、・・・これから好きになるかもしれないよ?」
そう言って、意地悪そうにあたしは笑う。
そんなあたしを、笑いながら睨む彼女。



「・・あーあ!・・女って、惚れた人には弱いって話、ホンマやってんな〜」
それを痛感したのか、しみじみと彼女は言った。
言い方に、ほんの少し切なさも混じっていたけれど・・
これは持ち前の彼女の明るさ。・・しつこくは言わないのである。



「・・・・寝よっか」

そう言った、彼女の微笑み。
あたしの中に罪悪感がまた・・一つ。
けれど・・・ごっちんの時に感じたのとは・・
また別の種類のようだった。
69 名前: 投稿日:2001年07月28日(土)12時17分05秒
薄暗い部屋の中・・・
あたしと彼女は手を繋いで布団に入った。
これ以上ないってくらいに、体を密着させて。

「・・・梨華ちゃんがさー・・、アレとか言っとったやん?」

アレ?・・・あー・・そういえば言ってた気がする・・
気になったけど、あんまり気にすると彼女の思うツボだからやめにしたんだ。


「・・うん、何なの?・・アレって」
今、明らかになる事実。
あたしは、それを加護の口から聞くことが出来て
何よりも嬉しかった。梨華ちゃんに・・・
面白がられながら言われるのより、百倍マシだ。


「・・・よっすぃーと、後藤さんの・・・してた、とこ」

は?・・してたとこ?・・って、あれか?
前、ごっちんの家でしたこと・・・・?
でも、そんなの二人が見てるわけねーじゃん。
盗聴器とか?カメラとか?そんなもん、ついてるわけないし・・

「え?・・あたし、そんなこと・・した覚え・・」
「・・・・・あるやんかー・・三ヶ月、・・くらい・・前かな?・・」

三ヶ月くらい、前?
あたしは、記憶を辿る。
三ヶ月前=・・3月・・・?(このストーリーはまだ6月なんです)
3月と言えば、ツアーだよな?・・春コン。

で、ちょうどプッチの新曲リリースとごっちんのソロ・・・



わかった!・・・あの時か・・
70 名前: 投稿日:2001年07月28日(土)12時28分23秒
―――――

「は〜・・疲れる〜・・今度の曲のダンス、超ハードじゃない?」
「うん、言えてる・・ゾンビとかって・・何だよって感じ」
「アハッ、まさにその通りでございますね〜」
「だよね」

ダンスレッスンの途中だった。
体調悪くて、途中で保田さんは帰っちゃって・・
夏先生も他の仕事で、自主練だったんだ。
マネージャーは一時間経ったら迎えに来る、とか言って。
普通なら、スタッフ誰かいるはずなのに誰もいなくって・・・
スタジオにはまさにごっちんとあたしが二人きりだった。

その頃は、まだ何にもなかった時期。
加護や、梨華ちゃん・・ごっちんの気持ちだって知らなかった。


「・・・ねー・・、よっすぃーって・・まだ処女なわけ?」

そんなごっちんからの突然で、唐突な質問。
当然、あたしは戸惑うに決まってる。
そんなことこの世界に入って、聞かれたのは初めてだ。
・・・まあ、普通あんまり聞かないと思うけど・・

「はっ!?・・なっ、何言ってんの?急に変なこと聞かないでよ〜・・」
「何で〜?別に変な事じゃないじゃん。むしろ、大事な事だと思うけど・・」
大まじめにごっちんは言う。・・って言うか、茶化せなかったんだ。
確かにごっちんはそりゃ早熟な感じだし、盛んっぽいよ?
ジャニ系との噂だって絶えないし、あたしに比べれば・・・
「ねー・・・どうなのよー?」

「・・・どうでもいいじゃん、そんなこと」
よく言う、強がりってやつ。
当然、処女であるあたし。
だけど・・・何となく、負けたみたいで・・
処女って言うのはイヤだった。
「・・・・興味あるくせに。・・潔癖ぶっちゃって」
妙に挑戦的な言い方をしたごっちん。
彼女にしては、珍しかった。
こんなことに必死になるなんて・・


そりゃあ、あたしだって興味がないわけではなかった。
むしろ、下ネタ話はあんまり嫌いな方でもなかったし、
友だちの暴露話にはよく首を突っ込んで、キャーキャー言ったものだ。


「・・・ねー・・あたしが、教えてあげよっか・・?」

そう言って彼女はあたしの肩に手をかけ、色っぽい視線を向けた。
71 名前: 投稿日:2001年07月28日(土)12時53分21秒
開けっ放しの扉。
・・・いつ、誰が入ってくるかもわからない。
一時間後にはマネージャーが来て、
隣のスタジオで、コンサートのリハ。
正面の鏡の前で、寄り添うあたし達・・・
ヤバイよ、こんなとこ。

「・・・なっ、何言ってんだよ、ごっちん!」
あたしはそう言って、彼女の手を乱暴に祓って退けた。
それでも、追ってきた彼女の視線・・・
何故か反らすことができなかった。
焦るばかりのあたし。

「ね、ほら。・・目瞑って。・・・キスしよ?」

迫ってくるごっちんの顔。
伏せられた睫毛。
綺麗、だった。
息を呑みそうになる瞬間・・


あたしは、目を閉じた。


重ねられた唇は、何だかなま暖かくて。
変な感じ。・・・でも、柔らかくて・・・
気持ちいい、みたいな。・・不思議な気持ちだった。

「・・・んっ・・」

ふいに、彼女の舌が滑り込んでくる。
やらしい音が、スタジオ中に響く。
・・・あたしは、こんなこと初めてだった。

興味だけでつきあった、中学時代の先輩。
手を繋ぐだけでも抵抗を感じてた。
別れ際にキスされた時、何にもときめきとか・・感じなかった。
キス、ってこんなもんなんだー・・
空っぽの心に、そう刻み込んだ事だけ覚えている。


「・・・・んっ、ごっちんっ!!」
これ以上、されたら・・
ごっちんの思いのままになっちゃう気がして。
突き放したんだった。

彼女はちょっと、不満そうな顔をしたけど。
反対に、・・安心したような表情をしたのをあたしは見逃さなかった。


「後藤ー、吉澤ー!・・次、行くよーっ」

いいタイミングなのか、悪いタイミングなのか・・
マネージャーがスタジオに入り込んでくる。
そして、立ち上がるあたし達。

並んで歩いてると、耳元で一言ごっちんが



「・・・ホントはね、あたしも・・・初めてだよ?」

そう言った。
そうして、笑いあったんだった。
72 名前:バービー 投稿日:2001年07月28日(土)12時57分29秒
>>64 >>65 微妙によしごま入れてみました(w
     よしごまならば、黄板の自分の小説に・・(w

>>66 おぉ!!よしかご好きな方がいらっしゃって嬉しいです!!
  これから、もう少しハッピーなシーンもあると思います。
73 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月19日(日)20時53分43秒
こ・・・更新して・・・・
74 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)22時24分15秒
続きが読みたいです。
75 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月13日(木)00時10分57秒
わたしも。
76 名前:was,ing,will… 投稿日:2001年09月24日(月)19時59分41秒
翌朝、目覚めると隣に加護の姿はなかった―――

枕には、昨日抱きしめた彼女の髪の甘い匂い。
彼女の代わりにあったのは一枚の便箋。
こんな時にまで、キティちゃんのものを使うのが加護らしくて
手紙を書くという行動が、妙にマニュアルっぽくて子供っぽくて。

  「色々迷惑かけてごめんな。わがまま言ってごめんなさい。

   あたし結構かわいくなれるように頑張ったつもりやねんけどな〜ぁ…
   やっぱ、あかんかったんかなー!!

   後藤さんとか、りかちゃんには勝たれへんの?
  
   ムカつくからバイバイは言わへん!
   ほんまにほんまに、ほんまに大好きなよっすぃーへ
 亜依」

形容し難い気持ちに陥ったのは、言うまでもない。
文面にミスマッチな蛍光ピンクの辿々しい文字。

優柔不断かもしれない。


だけど、愛しくてたまらなかったんだ。
77 名前:CROSS ROAD 投稿日:2001年09月24日(月)20時18分54秒
「―――おはようございます」

悩んでいても、1日は始まる。
地球は回って、街は動く。
同じように仕事だって当然のように始まる。

いつも、楽屋には早く着きすぎるあたし。
今日も一番乗りで、誰もいない楽屋に挨拶をする。

コーヒーを入れて正面のテーブルへ向かい、そのまま腰掛ける。
メンバーが来るまで、ここで1人で過ごすのは貴重な時間。

――――そう思っていた、矢先だった。

「おはよう」

声に気付いて、振り返る。
立っていたのは……梨華ちゃんだった。

「……ぁ、おはよ…」
思わず、目を反らしてしまう。
別に何も悪い事なんてしてないんだけど。

「そんなに構えないでよ、あたし…別に襲ったりしないよ」
そう言われて、視線を上げる。
目があったのは、昨日の梨華ちゃんじゃなかった。

瞳の奥に寂しさと、切なさを宿していて。
半開きの物欲しげな唇。
華奢な腕と、柔らかそうな髪。

何があったと言うのか。
正直最初は戸惑った。
78 名前:CROSS ROAD 投稿日:2001年09月24日(月)20時26分22秒
「……いつからだったっけー、よっすぃーとゆっくり話さなくなったの」
あくまで自然に、彼女はあたしの隣に腰掛ける。
昨日までと違う彼女に、戸惑いながらもあたしは視線を合わせた。
「梨華ちゃん、最近カントリーとかで色々忙しかったからじゃない?」
「そうだよねぇ…ユニットもみーんな別々だもんね」
立ち上がって、彼女の分もコーヒーを入れようとすると
彼女は服を掴んで、笑顔で首を振る。
「……」
再び、座り直す。
何だか、とても居心地の悪い空間だった。

「昨日は…あいぼんが家に泊まったんじゃない?」
「………うん、そうだけど」
「…やっぱりね」
確信したかのように、彼女は唇の端を上げて頷く。
理解できない、梨華ちゃんのことが。
何を考えているのかが全く分からない。
加護があたしの家に泊まったら何か問題でもあるのか?

「ねぇ、梨華ちゃん」
79 名前:CROSS ROAD 投稿日:2001年09月24日(月)20時37分09秒
「一体、何考えてるの?」
一番聞きたくて、聞けなかったこと。
昨日、あたしに浴びせたあの言葉。
あたしがモテるのは許せないってこと、壊してやりたいなんて。
そして、今日のしおらしい態度。

一体、何なの?

「……何考えてる、って…」
「だって、何なんだよ!……昨日言ってたこととか、今日の態度とか」
梨華ちゃんは決まり悪そうに視線を下に落とす。
それに妙に腹が立った。
ヤバイ。―――ひどいこと、言っちゃうかもしれない。

「わっけわかんないんだよ!うまくいってたことも、全部あんたのせいで…」
言葉を荒げる。
口調がきつくなっていくのがわかる。
自分の表情も……
「あんたさえ、何にも言わなかったら加護とだってごっちんとだって!
  みんなとうまくいってなんだよ!………それなのに!……」
悔しくて、腹が立って涙目になっていく。
感じるのは怒りの気持ちだけ。
80 名前:CROSS ROAD 投稿日:2001年09月24日(月)20時43分41秒
「あたしの何がそんなに気に入らないわけ!?何かした?」
梨華ちゃんが昨日あんな事言わなければ。
加護があんなに思い詰めることはなかった。
ごっちんに、悲しい思いをさせることだってなかったはず。

「……梨華ちゃんさえいなかったら!全部うまくいってたんだからっっ!!」

言っては、いけないことを言った。
思わず自分の口を押さえる。
「梨華ちゃんさえいなかったら」なんて。
存在を否定するような事、言ってはいけない。
そんなこと、わかってるはずなのに…

「そ、そんな……」
今にも泣き出しそうな、梨華ちゃんの声。
相当傷付いたのだろうか?顔を伏せたままだ。

「……あ、の梨華ちゃん……」


「―――――ほんっと、バカだよね。よっすぃーって」
ふいに、顔を上げる。
バカ?あたしが?

視線をあわせた時には既に、梨華ちゃんは昨日の目をしていた。
81 名前:CROSS ROAD 投稿日:2001年09月24日(月)20時53分23秒
「あたしがめちゃめちゃにした?……勝手に人のせいにしないでよね」
「梨華ちゃ…」
「壊れたとか言ってるけどね、それだって全部自分が引き起こした事じゃん」
反論することが出来なかった。
怒りは沸々としているものの、言葉が見つからない。
ただ、彼女の姿に圧倒されるばかりで。

「ごっちんとした事だって、あいぼんをだまし続けたのだって」
「だますって…!」
「キレイ事ばっか言ってるけど、実際は騙してるんだよ!」
あたしは、それに言葉を失う。
勝ち誇ったような笑みを浮かべる梨華ちゃん。
今一番言われてはきつい、加護のことに触れられたのが一番の打撃。

「よっすぃーが優柔不断で、フラフラしてるからいけないんじゃんか!」
「……」

わかってる。
気付いてたよ、そんなこと。
優柔不断なことぐらい。
あたしだってわかってる。
分かってて、ごっちんのことを抱いた。
加護と一緒にいた。
そして、梨華ちゃんのことを責めた。

全部自分が引き起こしたことなのに、全て梨華ちゃんのせいにして。
そうやってやり切れなさを抑えようとしてるのだって。
82 名前:CROSS ROAD 投稿日:2001年09月24日(月)20時59分56秒
涙が出てくる。
弱い姿は見せたくないって、思ってるのに。

「………よっすぃー……」
言葉を続けるのを止めた梨華ちゃんを、
ふいに見上げて、あたしは自嘲する。

「……案外さ、梨華ちゃんの言ってること当たってるかもしんないや」
とても、割り切れなかった。
今まであんな悔しいことを言われてると思ってたのに。
自分の犯してきた罪みたいなものを、ズバッと言い当てられることが。

頭を抱える。
もう梨華ちゃんと視線をあわせる余裕すらなかった。
机に突っ伏して、虚ろな目を壁に向ける。
現実を目の当たりにしたようで、たまらなくつらかった。

自分が一番誰が好きかっていう悩みと、オーバーヒートしていく思い。
重なり合って、自分の姿はひどく滑稽なもののように思える。


「―――ひどいでしょ、…あたし」
「…………え?」
「この間から、よっすぃーにひどいことばっかり…言ってるね」
83 名前:CROSS ROAD 投稿日:2001年09月24日(月)21時05分47秒
「ほんとは……こんなこと、言いたくないんだけど」
顔を上げる。
明らかに、さっきまでの梨華ちゃんの物腰とは違っていて。
目まぐるしい彼女の変わりように、些かまた戸惑う。

「あたし、自分の感情とかどうやって表していいのかわかんなくて…」
「ん……」
「最初は、邪魔したりひどいこと言ったりするつもりなんてなかったの」
彼女の目には、いつの間にか涙が溜まっていく。
今にもこぼれ落ちそうで、その状況をあたしはただ見つめる。
慰めることも、かと言って罵ることも、不審に思うこともせず。

「………ただ、とられたくなくて」
とられたく、ない?
誰が?誰に?
そして、何の為に?
「あたしの存在とか、忘れられたくなくて」
「……………」



「――――――好きなの」
84 名前:CROSS ROAD 投稿日:2001年09月24日(月)21時09分52秒
「ずーっと、ずっと……好きだったの……よっすぃー」

好き?
梨華ちゃんが……あたしの事を?
好きって、そんな。

「あいぼんと最初にキスしたの聞いた時、悲しくて辛くって…」
あの時?あの時、梨華ちゃんは笑ってたじゃん。
そうじゃなかったっけ?
「すごい、焦ってた。……ずっと好きで、たまんなかったのに」
「………梨華ちゃん」

「ねぇ、よっすぃー……」
真っ直ぐに見つめられる。

「あたしじゃ……ダメ?…」
85 名前:バービー 投稿日:2001年09月24日(月)21時11分34秒
大変お待たせしましたが、更新いたしました・・
あまりにも下がっていたので、一旦ageさせてもらいましたが
基本的に、こちらの方はひっそりとゆっくりとsage更新でお願いします(w

いしよしになってしまう予感も、しなくはない作者(w
86 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月24日(月)21時34分05秒
待ってました!

その予感当たって欲しい
87 名前:Charmy Blue 投稿日:2001年09月24日(月)22時12分18秒
おおお、いしよしぃぃ〜〜〜!
梨華ちゃんがんばれ〜〜〜!!!!!!!(なにげに興奮
88 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月25日(火)00時07分09秒
よ、よしごま
89 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月25日(火)11時14分23秒
やたー!待ってました。
更新、ありがとうございます。
90 名前:理科。 投稿日:2001年10月03日(水)15時26分52秒

い、いしよしだ♪続き期待してます。
頑張って下さい♪
91 名前:P.S  投稿日:2001年11月10日(土)14時35分10秒
「……え、あの…」
そんなこと、突然言われたって。
あたしは戸惑わずにはいられなかった。
梨華ちゃんの今までの行動を、笑顔を、真剣な眼差しを。
全て、受け入れるべくして思い出す。


「あたし、何て言っていいか……」
「……そうだよね、あたしひどいことしちゃったもんね…」
それはそうだけど。
今は、梨華ちゃんという一人の存在が分からない。
「分からなくて、当然だと思う」
ならどうしてこんな時にあたしを好きなんて言うのだろう?

「焦らなくていいよ、ゆっくり考えてくれれば……」
反射的に、あたしはその言葉に頷く。
「あたし、ずっと………待ってるから」


私は、どこへも行かないよ?
あなただけを見てる。
ずっと一緒にいたいから、待ってるよ?
92 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月13日(火)01時26分59秒
いろいろあっても、やっぱりいしよしが一番いいなぁ(^^)
他とは一味違う、素直になれない黒梨華がすっごい良いです。
93 名前:名無しさん 投稿日:2002年01月14日(月)00時49分55秒
よっすぃー、モテモテvv
今度の梨華ちゃんにはどういくんやろ。

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