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始まりの言葉

1 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時40分41秒
隻(〜対になった物のかたわれ〜)

1. 始まりの言葉

「あんたと私は前世で恋人だったのよ。」
「えっ?」
驚いて彼女の顔を見る。
うつむきながら、でも楽しそうに笑っている。

2 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時42分17秒
2. カウンセリング

私はベットに横たわって目を閉じ、つんくさんの声を待っていた。

「いいですか?石川さん。
目を閉じてリラックスしてください。」
古びた扇風機がふひぃんふひぃん回っている。
暑い風をただかき回しているだけの扇風機。
かび臭い臭いがする。
横になっているベットがジメッとしている。
こんなところで大丈夫なのかな?
私の心配をよそにつんくさんの声が続けられる。
「では、始めましょうか。
石川さん
あなたは今、白い光の繭に包まれています。
ミルクのように白い白い光です。
何も怖がることは有りません。光はあなたの全てを受け止めてくれます。
あなたの笑顔も、あなたの泣き顔も全部受け入れてくれます。
さあもっと体の力を抜いて私の言うことをに耳を傾けてください。

いいですか?

光はあたたかく
やさしくあなたを包み込んでいます。

私がこれから数を10まで数えます。
するとあなたはその光の奥にゆっくりと潜っていきます。
.....そう.....ゆっくりと....
いいですか?
...1....2....3.....
だんだん私の声以外の音が遠ざかっていきます。
...4...5...6.....

3 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時43分28秒
また、あの夢だ。
私は走っている。いや、誰かに追われている。
時々振り返りながら逃げている。
森だと思う。
周りが良く見えない。
まるで濃い霧の中を走っているようだ。
霧というよりミルクか?
手足にまとわりついてうまく走れない。
....このままでは追いつかれてしまう。

とつぜんミルクの中から手が現れる。
ああ またあの人だ。
顔はやはり見えなかったがすぐにわかった。
私はその手をしっかり握った。

なんて冷たい手なんだろう。

その手に引っ張られながら走る。
......私を助けてくれるのね。

4 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時44分21秒
3.ひとり

彼女は何時も一人だった。
私はまた彼女を見つめている。
いつも気だるそうに遠くを見つめている。
(キレイナ顔。)
彼女の笑った顔を見たことがない。
(笑ったら素敵だろうな。)
表情のない顔は回りに強い結界を張っているようだ。
「後藤さん...」
彼女と同じクラスになってもう1年が過ぎている。
誰も彼女と話をしない。誰も彼女に話し掛けない。
彼女の瞳はいつも気だるそうに寂しそうにしている。
でも.....
(なにか強い光を隠しているような瞳。)
ひとりという状況をそのまま受け止めている。
どんな状況でも何を言われても「で?」といって受け流してしまう。
「強いのね。あなたは。」
梨華は後藤がうらやましかった。
自分とは違う。
人とは違う後藤が。
5 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時45分04秒
「あっ!」
突然 梨華の視界の片隅に黄色い物体が見えた。
(テニスボール!)
とっさに後ろに仰け反ったが運が悪いことにテニスコート一面に転がっているテニスボールを踏んでしまった。
ボールを踏んだ足が仰け反った勢いのままに大きく蹴りあがった。

ごぶぃ〜んん!!

鈍い音とともに後頭部に激痛が走った。
(またやっちゃた。)
消え行く景色の片隅に後藤が見える。
「ごとうさん?...」
後藤と目があった?

6 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時45分56秒
4. なまえ

「梨華ちゃん!梨華ちゃん!」
私は眠りからゆっくりと浮上しつつあった。
「ねえ!聞いてる。梨華!しっかりしなさい。」
親友の心配そうに覗きこむ顔が見えてきた。
「。。。」
「いつものことだからしょうがないけど大丈夫?」
私は親友の顔をぼんやり見ている。
意識と実世界の間に白い布がかぶさったような感覚。
「大丈夫よ。。またやっちゃたね。」と笑う。
まだ変だ。
「梨華ちゃんフェンスの支柱におもいっきり頭打ったけど大丈夫?ごばーん!!て。ねえ大丈夫? 。。。私誰だかわかる?」
親友が心配そうに聞く。
「なにいってるの。。」
そこまで言って息を呑んだ。
(だれだっけ?)
「ご。。後藤 真希!」
親友の顔が曇った。
(やばい!!だれだっけ? )
「梨華ちゃんその冗談面白くないよ! りんねびっくりしたんだよ。本当に心配したんだよ。それなのに」
(りんね? そっか!りんねだ。私の大親友りんねだ。)
「ごめんね りんね。石川また場の雰囲気読めないギャグいっちった。」
「そうだよ!梨華ちゃん。よりによって後藤 真希はないよ。」
(後藤さん?私なんで。。あれ!そう言えばあの時後藤さん私を見ていた。)
ふいに立ち上がり後藤の姿を探す。
「後藤さん。。」
「梨華ちゃん!」
りんねが叫ぶ。
その声でようやく意識の上に覆われていた布が消えてくれた。
「あははは。」

7 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時47分14秒
5. 恋人

「頭壊れちゃったんだって?」
その日の帰りだった。りんねが心配して家まで送るというところを
「もう大丈夫よ。いつものことじゃん。りんねお家遠いじゃない。私の家なんか行ってたら遅くなっちゃうよ。」
そう言って一人での帰り道だった。

声の主は。。
後藤だった。
「後藤さん!」
「へー私の名前は覚えてるんだ。」
「えっ?」
「みんな言ってたよ。梨華ちゃん頭壊れたって。」
「うそよ!そんなこというはずないもん。」
後藤は梨華の周りをくるくる回っている。
「ふ〜ん まあいいけど。」
今まで見たことのない後藤だ。
(笑っている。)

「ねえ あんたさぁ あんたと私は前世で恋人だったのよ。」
「えっ?」
驚いて彼女の顔を見る。
(何言ってるの?)
後藤は驚いた梨華の顔をチラっと見て俯き、でも楽しそうに笑っている。
「どうして?どうしてそんなことわかるのよ。」
「夢」
「。。ゆめ?なんだ夢の話しか。」
「前世を 私たち前世を“夢”の形で垣間見たんだ。」
「わたしたち??」
後藤は話しながら梨華の周りをぐるぐると舞っている。
梨華の顔を覗き込む。
「別に信用してくれなくてもいいんだ。でも、本当なんだ。あんたと私は前世で恋人だったの!」
そう言って後藤は駆け出して行った。
「なにいってるんだろう?」
前世?恋人?夢?
(いまの後藤さん。。だよね?私頭壊れてるのかな?)

8 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時48分07秒
6.教室

「おはよう梨華ちゃん。大丈夫?頭おかしいんだって?」
あさみだ。
「もう!りんねちゃんったら本当に私の頭壊れてるって言いふらしてんだ。」
「ねえお医者さん行った?包帯してないところ見ると行ってないでしょう。頭は危ないんだよ2,3日してからころっと死んじゃうこともあるんだから。」
私はあせった。なにしろ“ぼ〜よ〜よん“とやちゃているから。
「きょ 今日行ってくる。」
そういうとあさみが
「この薬草 打ち身なんかの腫れに良く効くんだよ。」
といってへんな形の葉っぱを渡してくれた。
「あ。。ありがとう。」
葉っぱのにおいを嗅いでみる。(ちょっとくさい。。)
「これをすりつぶして患部に塗りこめるといいんだよ。」
「私医者いきます…」
あっまたやってしまった。気まずい雰囲気だ。
「で でも医者行く前にとりあえず塗っておこうかな。あははは」

9 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時48分51秒
私は教室で葉っぱをすりつぶしていた。
「石川!お前何やってるんだ!なんか臭うぞ。お前 昨日部活のとき頭打ったんだって?まだ壊れたままなのか?あたま」
押尾先生がいつのまにか教室にきていた。
教室に入るなり、いきなり梨華に向かって怒鳴った。
クラスの全員がくすくす笑いながらこちらを注目する。
りんねがニィーと笑っている。
「いえ!これ薬草なんです。頭に良く効くって。」
「そっか。石川頭良くなればいいな。」
みんながドッと笑った。
私はなにげに後藤を見た。
私と目が会った。
無表情だけど何かが前と違ってる感じがする。
後藤は私のほうを見たまま無表情のまま突然立ち上がった。
「つまんね〜。」
そう言って教室を出ていってしまった。
「なにあいつ。」
教室のどこかからそんな声が聞こえた。


10 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)05時58分45秒
すまんです。2つ刷れ立てておったのね。
こっち削除願い出しました。
スマンです。
11 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)06時00分47秒
ってことでSageます。
12 名前:G3HP 投稿日:2001年04月30日(月)07時16分14秒
あれ?さがってない。

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