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ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!
- 1 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年05月20日(日)23時09分42秒
- 吉澤主役の学園物でございます。
ハロー学園なだけあって、ハローのメンバーも何人かは出てきます。
カップリングは、前作と大分変更しております。
変わってないのは、さやまりくらいでしょうか。
書いてるヤツが市井好きなので、市井が出てくる機会がたくさんあります。
でも、主役は吉澤だってことは、忘れないでやってください(w
- 2 名前:出だしの一言 投稿日:2001年05月20日(日)23時10分44秒
- 東京都内にある、私立今日和(ハロー)女子学園。
全寮制で、中高一貫。
校則は特になく、制服だって決まっちゃいない。
別に、私服で行ったって、素っ裸で行ったって(まあ、まさか裸で行く人はいないだろうが)。
怒られることはまったくない。
そんな自由が利く学校に通っている、ある生徒達の話。
- 3 名前:第1話「ルームメイトはヘナチョコ野郎」 投稿日:2001年05月20日(日)23時12分20秒
- ―――
――
―
「ただいまー」
高等部1年D組の、バレー部に所属する吉澤ひとみが帰ってきた。
中にいるハズであろうルームメイト、2年E組の市井紗耶香に対して、元気よく「ただいま」。
でも、中からは「おかえり」という言葉は返ってこない。
まあ、別に仲良しってワケではないから、絶対に「おかえり」と返して欲しいわけじゃないけど。
やっぱり、寂しいじゃないか。
「市井さん、いないんですか?」
靴を脱いで、手を洗って。
ベッドと机がある部屋のドアを開ける。
「市井さん?……わっ」
「あぁ、吉澤おかえ…り…」
「おかえりってアンタ、何してんですかっ」
何って、壁に支えてもらって、逆立ちの練習しているんだよ。
顔を引きつらせながら市井が言う。
「…………はぁ」
部活で疲れて帰ってきたのに、部屋に帰ってまで疲れなければならないとは。
本来、部屋は落ち着けるように作られたハズ。
なのに、同室の市井が、それをすべて台無しに。
周りの子達は皆、同級生と同室なのだ。
なのに何故、自分は一つ上の、よりにもよって市井なんだ。
友達は、
「えー、市井先輩と一緒の部屋なんて羨ましーい」
なんて馬鹿な事を言ってはいるが。
羨ましいなら、いくらでも代わってやるのに。
- 4 名前:第1話「ルームメイトはヘナチョコ野郎」 投稿日:2001年05月20日(日)23時13分06秒
- ボスッ
「うぇっ」
鞄を放り投げた所、それが市井の倒立している腹に命中。
見事に頭から崩れ落ちる。
「あ、すいません」
全然心が篭ってない謝罪の言葉。
「よ…よしざわぁ……」
息も絶え絶えのまま、目の前を通り過ぎようとする吉澤の足を掴もうと手を伸ばす。
それをいとも容易くヒラリとかわす吉澤。
ついでに、その伸ばした手を踏んづけてやる。
「ギャー!」
悲鳴が聞こえたが、無視。
机に座って、今日出された宿題のページを開く。
どうせその内起き上がるだろう。
それまで、予習させてください。
そう吉澤が願ってからおよそ1分。
「てめっ、よくもやってくれたなっ」
「わぁっ、ちょっタンマ!」
背後から首を絞められ、予習をストップさせられる。
これはもう、ほぼ日課に近い。
1日1回、市井との喧嘩。
「市井さんが、逆立ちなんかしてるからじゃないですかっ!」
「吉澤が鞄を投げたせいであーなったんだ!」
ギャアギャアと言い合いしている、学園内では男前で通っている二人。
こんなトコ、ファンなんかに見られたら、大変だ。
しかし二人はそんなこと気にもせず、喧嘩。
コンコン
そんな二人の元に、来客の合図。
- 5 名前:第1話「ルームメイトはヘナチョコ野郎」 投稿日:2001年05月20日(日)23時14分14秒
- 「………吉澤出ろよ」
「………市井さんが出てください」
それを、誰が出るか。
せっかくノックの音で収まった喧嘩も、また始まりそうな予感。
「この前は、市井が出た。だから次は吉澤」
「はあ? どっちみちあん時は市井さんの友達だったんじゃないですか」
「細かいことは気にしない」
「するわっ!」
そんな口喧嘩してる間に、ちょっと歩いて出ればいいものを。
シビレを切らしたノックの主が、怒ったようにドアの向こう側から怒鳴った。
「紗耶香っ、アンタが来てって行ったのに、居留守使う気っ!?」
中にいる事は判ってるんだ。
けれど、勝手に部屋に入るのは、同室の吉澤に悪いワケであって。
こうやって、外から怒鳴ってるワケ。
「ああっ、やぐっちゃん」
それを聞いた市井は、吉澤を蹴飛ばしダッシュで部屋のドアを開ける。
そこには、不機嫌な顔をした市井より1つ上、矢口真里が立っていた。
「ごめんごめん、なんか吉澤が『あたしの傍にいてください!』ってきかなくて」
「言ってねーよ、そんなこと!」
そんな事を言わなくても矢口は判ってくれるだろうが、言わなくてはいられない。
二人に駆け寄って、本当に言ってませんからね、と矢口に念を押す。
「よっすぃー……こんなバカなヤツの言う事信じるほど、矢口はバカじゃないよ」
「ぬっ、バカとは心外だな」
市井が口を挟むも、矢口は無視。
どうぞ、部屋入ってください、と言う吉澤の言葉に甘え、矢口は部屋に入る。
「なんだよやぐっちゃん、無視すんなよ〜。つれないなぁ〜」
市井もそれについて行く形に。
- 6 名前:第1話「ルームメイトはヘナチョコ野郎」 投稿日:2001年05月20日(日)23時15分35秒
- 「で、逆立ち15秒間出来た?」
矢口の前では吉澤に逆らえないことをいい事に、市井をパシリに使い、ラウンジにある冷蔵庫から
ジュースを取ってきてもらう。
そして、そのジュースを一口口に含んでから矢口が言った。
「ああ、余裕余裕。出来たら、ホントにデートしてくれるんだよね? ねっ?」
「してあげるってば。だから離して」
潤んだ目ですがりつく市井の頭を撫でながら、矢口が少し身体をずらす。
吉澤はその二人を、おもしろそうに眺めている。
市井と同室になってから、もうすぐ3ヶ月。
その3ヶ月の間で、色んなことが判った。
その判った中で、1番おもしろかったこと。
いつも吉澤の前では偉そうなのに、何故か矢口の前ではヘナチョコだということ。
どうやら市井が高等部に入ってから約1年、ずぅっと矢口に片想いらしい。
そして毎回デートに誘っては、何か条件をつけられる。
今回の条件は、逆立ち15秒というワケか。
「じゃあいくよー」
ご丁寧にタイムウォッチまで用意。
ヒモを首からさげて、スタートのボタンをポチっと。
「倒れろー」
「よ、吉澤うっさい!」
頑張って踏ん張っている市井に対し、冷やかしの言葉。
矢口は黙って秒を見つめている。
そして、あと2秒で15秒になろうとした時、「うわっ」という声がして市井が倒れてしまった。
「はいアウトー」
「惜しかったッスねぇ、市井さん」
「うぅ…」
練習の時は出来たのに、本番になってバランスを崩してしまった。
そう矢口に言い訳するも、あっそ、という冷たい一言であしらわれてしまう。
「もう一度チャンスを!」
「また今度ね」
出て行こうとする矢口にまたすがりつく市井。
「好きなんだよやぐっちゃ〜ん……愛してるんだよぉ〜」
「わーかったから離れろ〜」
「離れたら付き合ってくれるか〜?」
「それとこれとは話が別〜」
ズルズルと、市井にすがりつかれたままドアの前へと辿り着く。
そして、ドアのノブに手をかけ、最後市井を振り払い、矢口は自分の部屋へと帰ってしまった。
- 7 名前:第1話「ルームメイトはヘナチョコ野郎」 投稿日:2001年05月20日(日)23時16分29秒
- 「ちぇっ」
軽い舌打ち。
まあでもああやってかわされるのはいつものことだ。
メゲずに、次の作戦を考える。
「ある意味、羨ましいですよ」
かわされても、ひどいことを言われても、懲りずにアタック出来る所が。
自分はそうはいかない。
「好きだったら、アタックしなきゃ。だってそうしなきゃ相手に気持ち判ってもらえない」
「そりゃそうですけどね……」
それが出来ない人間もいるんです。
「……なに、まだ喋ったことないの?」
「…………」
前に一度、市井に話したことがある。
好きな子がいる、と。でも、喋ったことがない、と。
「えーっと、なんだっけ。後藤まみ? だっけ」
「真希です」
「あっ、そうそう。真希ちゃん。同じクラスなんだろー?」
「そうですよ…」
「じゃあ、喋るチャンスいっぱいあるじゃん。市井みたくアタックしろ、アタック。
つっても、ボール使ったアタックじゃないぞ。言葉を使ったアタックだぞ」
そう言って一人で笑う。
自分で言って自分で受けている、バカな先輩。
なんだか情けなくなってくる。
「もう、いいです」
2段ベッドの下。それが、吉澤の寝床。
そこに行き、布団をかぶる。
「おーい、もうすぐ夕食だよ。寝るなら、食べてから寝ろよ」
「ほっといてください」
せっかく言ってくれてるのに悪いと思いながらも、布団を更にかぶってそんな事を言ってしまう。
「なんだよー、寝たら、市井がヒマじゃんかよー」
しょうがないから、アヤカんトコにでも遊びに行こうかな…、夕食までの時間の間、
同じD組のアヤカの部屋に遊びに行くことにした。
- 8 名前:第1話「ルームメイトはヘナチョコ野郎」 投稿日:2001年05月20日(日)23時17分26秒
- やがて、ドアが閉まる音がして、吉澤がかぶっていた布団をのける。
その勢いで立ち上がり、机の引出しを開け、写真を取り出した。
この前、もらったばかりのクラス写真だ。
そこには当然、吉澤、そして同じクラスの後藤も写っている。
みんな笑顔で写っているのだが、後藤一人だけ無表情。
どこか面倒くさそうな、嫌そうな、そんな顔。
「なんで、好きになんかなったんだろう…」
クラスの子とはほとんど喋らず、寝てばかりの後藤。
そのせいか、周りとはいつのまにか距離があって。
けれど別段気にすることなく、いつもどこかを見ている。
好きになんかなるつもりなかった。
けど、好きになってしまった。
彼女には、好きな人がいるのに。
けど、好きになるのは止められない。
あんなヤツになんか、負けるもんか。
そう決意し直し、食堂へと向かった。
- 9 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年05月20日(日)23時20分16秒
- 第1話「ルームメイトはヘナチョコ野郎」終了。
今回は吉澤、市井、矢口、後藤・アヤカ(名前だけ)しか出てきませんでしたが、
これから登場人物が増えていく予定なんで。
今のトコロ出てくる予定は、飯田、中澤、保田、石川。
それに、ハローの何名かを検討中。
- 10 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月20日(日)23時30分10秒
- すげー・・ヘナ炸裂だ(w
ヘナ市井を書けるのは(書いてるのは?)作者さんだけです(w
設定も最高に好きな組み合わせで滅茶苦茶楽しみです。
頑張って下さい
あと今回もやっぱ下げに徹するんすよね?じゃ気をつけよっと。
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月21日(月)00時51分38秒
- こんなに早く経営者さんのが読めるなんて!!
嬉しすぎっす!!
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月21日(月)04時30分52秒
- 早い!!前作の余韻覚めやらぬうちに、早くも新作を読めるとは・・・幸せ〜(w
もちろん今回もヘナ市井に注目です!!
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月21日(月)06時36分46秒
- 影薄くならないように、吉澤もガンバ。
ごっちんとはどうなるのか(w
- 14 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月21日(月)20時34分24秒
- よっすぃーとごっちんの絡みに期待!!
- 15 名前:ぷち 投稿日:2001年05月21日(月)22時07分28秒
- へナ〜〜〜!!(w
今回も、へナはやぐっちゃんに弱いのね・・・(w
経営者さん、頑張ってくださいね♪
あと、市井も・・・・(w
・・・・メロンの柴田は出てこないのかな・・・・(ボソッ(w
- 16 名前:第2話「ゆでたまごの悲劇」 投稿日:2001年05月22日(火)01時18分41秒
- 「おう吉澤ぁ、一人?」
食堂へ向かう途中、聞き覚えのある先輩の声。
矢口と同室の、飯田圭織だ。
「なに、また紗耶香とケンカしたの?」
「そんなの毎日の事ですよ。あの人は、アヤカさんトコ行ってます」
飯田とは、市井経由で仲良くなった。
時々宇宙と交信したりもするけれど、面倒見の良いいい先輩だ。
「飯田さんも一人ですか?」
いつもは飯田の隣に矢口がいるのに。
「あぁ、なんか来る途中、大木と北上に呼ばれてどっか行った」
「あ、そうなんですか。でも、矢口さんってあの二人と仲良かったですっけ?」
確か、その大木と北上は、市井の熱狂的ファンだったハズ。
そんな二人が、市井の想い人の矢口と仲が良いのだろうか。
「あんま聞いた事ないなー。つーか、同じクラスだから、多少は仲良いんじゃない?
圭織、違うクラスだから知んなーい」
矢口とクラスが一緒な二人にヤキモチを妬いているのだろうか。
それともただ単に関心がないだけなのだろうか。
まったく読めないのが、飯田である。
とりあえず、立ち話もなんだから行こうよ、と飯田に言われ、再び食堂へと向かう。
着くと、もうそこはいっぱいだった。
「あっちゃー、結構並んでるねー」
こんなにいっぱいじゃ、食事にありつけるまで時間がかかる。
少々出てくる時間が遅すぎたか。
「誰か知ってる子いないかな…」
そう言って飯田は、キョロキョロと並んでいる子達を見渡す。
…………いた。
「りーんねっ」
「あっ、かおりー。今来たのぉ?」
「うん。でも今から並んでちゃすっごい遅くなるから、入れてくんないかな」
「あぁ、いいよ」
「ほんとっ? ありがとりんねー」
ご厚意に感謝し、順番に入れてもらう。
その時吉澤も入るよう言ってくれたのだが、断わった。
(カップルの邪魔しちゃ悪いしね……)
別にそんなにお腹が減っているワケでもないし。
並んだって、しれてるし。
仲良く喋っている二人の邪魔をする程、嫌味なヤツでもない。
「けど、さすがにこれは多いかな……」
そんな事を考えている内に、どんどん増えて行く人。
今更ながら、さっき誘ってくれた時応えなかった自分に後悔した。
- 17 名前:第2話「ゆでたまごの悲劇」 投稿日:2001年05月22日(火)01時19分28秒
- ――
覚悟して並び始めてから20分。
やっと、最初に取ったおぼんの上にご飯が置かれる。
それから知っている子を探して、隣に座りご飯を食べる。
「よっすぃー、ゆでたまごいる?」
「いる!」
ゆでたまごが嫌いな友達に、ゆで卵をもらう。
その他にも、ファンの子やバレー部の先輩達にももらったりして、部屋に帰る頃には
ゆでたまごが20個近く手の中にあった。
「どうしよう……」
もらったのは嬉しい。
けれどこれは貰い過ぎのような気もする。
とりあえず食堂のおばちゃんにゆでたまごを入れる袋をもらって、改めて手に持つ。
「食べれるかなぁ…」
こんなことなら、すべて「いる」と答えるんじゃなかった。
10個程たまった時点で、断わるべきだった。
「じゃあ市井が食べてやるよ」
「はいお願いします……って、オイ!」
ついつい、お願いしますと言ってしまった。
止めた時には、ゆでたまごはもう市井の胃袋の中。
「あーっ!」
「うむ。やっぱり塩が欲しいかな」
文句を言いながら、次のたまごに手を伸ばす。
吉澤はそれに気づき、即座に払いのけた。
「なんだよぉ、そんなあるんだから、一つくらいいーじゃん」
「もう既に一つ食べたじゃないですか!」
「だって、吉澤が『お願いします』って言ったから…」
急に大人しくなる市井。
「そんなしおらしい真似したって、許しませんよ」
「ちぇっ」
「『ちぇっ』ってアンタねぇ…」
「まあ、いいじゃん」
「よくないわっ!」
この人といると、血圧が上がる一方だ。
- 18 名前:第2話「ゆでたまごの悲劇」 投稿日:2001年05月22日(火)01時19分58秒
- 「大体、なんでいるんですか」
いきなり人の前に現れて、いきなり人のゆでたまご食べて。
「ってか、ここの生徒なんだから、食堂にいても当たり前でしょう」
「にしても、市井さんの場合は急過ぎるんですっ」
それで、何度驚かされたことか。
今思い出してみたものの、数知れない。
「まあいいじゃん。そうカッカしない」
「したくもなるわっ!」
「おぉ恐っ。よっすぃーが恐いよぉー」
そう言いながら、近くを通っていた子の背中に隠れる市井。
身の盾にされた子は、市井に触れられ、吉澤に見られ、すごい嬉しそう。
「………矢口さんに、言いつけてやる」
そうやって他の子に触れたこと。
そう吉澤が言うと、市井が急に顔色と態度を変え始める。
「よ、吉澤く〜ん、市井が悪かった、ゆでたまごの礼は必ず返すから」
「本当ですか?」
「市井が、嘘言ったことあるかい?」
「ほぼ毎日」
「……………」
あっさりと言う吉澤に、市井は言葉を失う。
そんな市井が、吉澤は可笑しくてたまらない。
「ジョーダンッスよ、ジョーダン」
落ち込んでいる市井の肩をポンポンと叩く。
「矢口さんに言いつけたりなんかしませんよ」
「ほ、ほんと?」
「ほんとッス」
笑顔で言ってやると、落ち込んでいた市井が元の市井へと戻った。
こういう所はすっごく単純で、可愛いと思う。
「じゃ、部屋戻りましょうか」
「おう! 食堂ではやぐっちゃん発見出来なかったから、部屋戻ったらソッコー
やぐっちゃんの部屋に行くぞ!」
気合十分にそう言って、元気よく吉澤の前を歩く。
そんな市井の後ろを苦笑しながら吉澤もついて行こうとすると、誰かに肩を叩かれた。
- 19 名前:第2話「ゆでたまごの悲劇」 投稿日:2001年05月22日(火)01時20分52秒
- 「いる?」
ゆでたまごを吉澤を見せ、一言。
「ゆでたまご、いる?」
「え……」
戸惑っている吉澤を苛立たしそうに見ながら早口で。
「アタシ、別にあんま好きじゃないし。
吉澤さん、最初の授業の自己紹介ん時、ゆでたまご好きって言ってたから」
「え、でも……」
あまりにも突然で。
言葉が上手く出ない。
「あぁ、そんなあるから、アタシのいらないか」
チラッと吉澤の手に掴まれている袋の中身を見て、勝手に納得。
「あ……いや……」
「ゴメンね、気づかなかった」
そう言ってクルリと踵を返し、部屋へと戻ろうとする。
このままじゃいけない、そう思った吉澤は、思い切って引き止めてみた。
「待って!! やっぱ、いる!!」
肩を掴んで、自分の方へと向かせる。
最初驚いていた彼女だったが、すぐにいつもの無表情に戻った。
「………はい」
「ありがとう……後藤さん」
「別に」
短く言って、今度こそ部屋へと戻る。
錯覚だったかも知れないが、「別に」と言った直後、微笑ったような気がした。
初めて自分に向けてくれた笑顔と言葉に、吉澤は嬉しくて泣きそうになる。
「初お喋りだ」
そう言ったのは市井。。
「初お喋りです…」
吉澤は、ポーッ、と去っていた後藤の方向を見つめる。
そこにもう後藤はいないのだが、なぜかとっても幸せ。
「あたし、このゆでたまご、絶対一生大切にしますよ……」
「よぉーし、市井も応援するぞ!」
「ありがとうございます!」
バチン、と手を合わせたまでは良かった。
そこで、合わせた手と反対の手に力を入れたのが悪かった。
パリッ グシャッ
「「あ」」
好きな人からの初めてのプレゼント、ゆでたまごの命は、1分も持たず。
- 20 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年05月22日(火)01時21分30秒
- 第2話「ゆでたまごの悲劇」終了。
今回同じクラスに入って、初めて話した吉澤と後藤でございますが。
みなさん、どうでしたでしょうか?
第1話の所で、間違いを発見。
アヤカのクラスは、E組です。
市井と同じE組です。
ごめんなさい。
>>10
早速のレスどうもです。
>ヘナ市井を書けるのは(書いてるのは?)作者さんだけです(w
というか、へナ市井というのが通じるのって、まずここを読んでくれている人達だけでしょうね(w
今回はそんなにsageにこだわることはあんまりないッス。
別に、あげてくれても構いませんよ?
とりあえず自分はsageで書いてますが、レスしてくださる時はどっちでも構わないッス。
>>11
ありがとうございます。
私的にすっごい気に入ってたので、早く載せたかったんです(w
>>12
へナ市井……やっぱり人気だ(w
吉澤、負けないように頑張れよ(w
>>13
なるべく影が薄くならないように、作者も気をつけております(w
ごっちんとは………お楽しみに
>>14
今回、ほんのちょこっと入れてみました。
本当に、ほんのちょこっとだけど……。
>>15
へナが矢口に弱いのは、これ定説です(何?
市井の頑張りに負けないよう、俺も頑張りたいと思います(w
柴田は一応出てくる予定ですよ。
- 21 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月22日(火)03時53分07秒
- いちよしの掛合いが面白いですね〜。
この二人、ケンカするほどなんとやらってやつですよね?(w
- 22 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月22日(火)22時37分24秒
- なんと!かおりん(←ワカリヅラヒ)とわーーー!
そぅきたのか・・・んじゃ、アレはどうなるんだ・・・?
なんだか密かに期待(笑
- 23 名前:第2話「朝の風景」 投稿日:2001年05月23日(水)14時00分42秒
- 昨日の悲劇から一晩明けた、朝。
『起きろ〜、二人とも起きろ〜』
録音が出来る目覚ましの矢口の声で、市井は目覚めた。
今までどんな目覚ましでも一発で起きたことはないのだが、見かねた吉澤が
この目覚ましを買ってきて矢口に声を吹き込んでもらうと、この通り。
「やっぱ朝はやぐっちゃんの甘い声で目覚めるのにかぎるよね〜」
目覚ましをナデナデ。
ナデても、まったく意味はないのだが。
「おら吉澤ぁ、起きろよ」
顔を洗って髪を整えてから、まだ布団をかぶっている吉澤を起こす。
「う〜……」
「ほら、早くしないとまた食堂混むって」
「……………」
混むのは嫌だ。授業に遅れるかもしれないから。
「はい、起きたなら早く着替える」
「はいはい……」
「返事はいっかぁ〜い!!」
朝から、何もそんな大きな声で。
目覚ましが変わる前は、逆だったような気もする。
吉澤が起こして、市井が起きる。
けれど、目覚ましが変わってからは。
- 24 名前:第2話「朝の風景」 投稿日:2001年05月23日(水)14時48分58秒
- 「だって、矢口さんの声余計眠くなるんだもん…」
「なにぃ!? 貴様、やぐっちゃんの悪口言ったなぁ!」
「ぐわっ」
頭を挟まれ、ユラユラと。
朝からそんなことをされては、いつものように抵抗ができない。
「ちぇっ、弱いな。相手になりゃしない」
「朝からそんな力でるかっ」
「たはは」
「笑うなっ」
本当にこの人といると、血圧が上がる一方だ。
「じゃあ、市井先行って、席とメシ取っててやるよ」
「はぁ〜い」
のそのそと起き上がる吉澤を尻目に、市井はもう最後の仕上げ。
今日は体育がないから、ビシッとスーツで決めてやるか。
ネクタイをグッと締めて、耳の少し上を両手で後ろへやって。
最後、中のシャツの襟を外に出して、完了。
「なんか、気合入ってますね」
隣で顔を洗っていた吉澤が話し掛ける。
「へへへ。だって今日から期末一週間前だから、午前で終わりじゃん?
だから、やぐっちゃんをデートに誘おうかと思ってー」
嬉しそうに答える市井。
確かに市井の言う通り、今日から期末テスト1週間前。
この学園は、1週間前でも授業が午前中で終わるのだ。
「でも、矢口さん勉強するんじゃ…」
嬉しそうにしている所を悪いが、当然のことを市井に言う。
矢口は髪の毛金髪にしたり、ギャルみたいなカッコをしたりしているけれど、
実は毎回テストは学年10位以内という頭の良い人なのだ。
学年ビリから数えて10位以内の市井とは大違い。
そんな頭のいい人が、テスト1週間前にデートしたりするだろうか。
「だから、こうやってビシッと決めて、格好良いトコ見せるんじゃんかぁ。
それで、勉強なんてバカな事考えないで、市井と遊んでもらう」
バカな事考えてるのはアンタの方だよ、そう言おうとしたが、やめておいた。
「健闘を祈りますよ……」
- 25 名前:第2話「朝の風景」 投稿日:2001年05月23日(水)14時49分36秒
- ――
市井が食堂に行ってから数分。
吉澤も一通り用意が出来た。
いざ、部屋を出、食堂へと向かう。けれど。
「行きたくないなぁ…」
食堂へ行ったら、昨日のゆでたまごのことを思い出して、憂鬱に。
せっかく後藤が、自己紹介の時ゆでたまごが好きと言ったことを覚えていていて、
吉澤にゆでたまごをくれたというのに。
大事にするとか言いながら、1分も持たずに握りつぶしてしまった。
その時の感触が、今だに手に残っている。
「うぅ…なんか、人を殺した気分…」
「ええっ、よよよよっすぃー人殺したのっ!?」
「りりり梨華ちゃんっ!!」
落ち込んでいて、ついそんな事を口に出してしまったことに気づかなかった。
そして、いつのまにか隣にいた梨華ちゃん―後藤と同室で、同じ1年石川梨華―がいたことにも、
全然気づかなかった。
石川は人を信じやすく、疑うことを知らない。
その上すごいアニメ声で、からかうのには最高の条件。
なのでよく、先輩の飯田や矢口達にからかわれている所をよく見かける。
「ち、違うよ、人殺してなんかいないからね」
「ほ、ほんと…?」
「嘘だったら恐いでしょ…」
「そ、そうだよね。私、またやっちゃったみたい」
吉澤がすぐさま誤解を解き、石川も納得。
また人の言葉を素直に信じてしまった石川は、どこか照れ臭そう。
「まあ、そこが梨華ちゃんらしいってことで」
とかなんとか言いながら、内心すごく焦っていたことは言わない。
- 26 名前:第2話「朝の風景」 投稿日:2001年05月23日(水)14時50分10秒
- 「そ、そういえばあゆみちゃんは?」
「ん?……うん」
さりげなく話題変え。
けれどその話題は、あまり石川は気に食わなかったようだ。
吉澤が言う「あゆみちゃん」とは、石川と同じA組の柴田あゆみ。
石川の、恋人だ。
「風邪かなんか?」
飯田が矢口と一緒に食堂に来るように、石川と柴田もいつも一緒に食堂に二人来ている。
大抵みんなは同室の子やらと行くことが多いのだが。
石川の場合は後藤が同室ということもあり、柴田と一緒。
(以前、思い切って後藤に誘った事があるものの、一睨みで却下されたというトラウマがあるらしい)
「あゆみちゃんは、一緒じゃないよ。
どうせ、村田先輩とか斎藤先輩達とかと一緒にいるんだ」
「え、なんでぇ?」
「だってあゆみちゃん、最近ずっと先輩とばっか遊んでて、私とは遊んでくれないんだもん。
だから昨日、私なんかどうでもいいんだ、って言ったら怒っちゃった…」
「そっかぁ…」
石川の、恋人である自分と遊んでくれない寂しい気持ちは判る。
柴田の、「私なんかどうでもいいんだ」って言われて怒った気持ちも判る。
だからどっちの味方もできない。
「私が悪いんんじゃないもん。あゆみちゃんが悪いんだもん」
そう言って唇を尖らせる石川。
拗ねているのだろうか。けれど、すっごく可愛い。
「まあ、すぐ仲直り出来るよ」
笑ってそう言って石川の背中を軽く叩こうとした時だった。
「石川ぁー!」
「キャアッ」
背後から、生徒に対してセクハラしている、教師に見えない教師。
矢口より少し明るめの金髪で、ブルーのカラコンをしている、吉澤の担任中澤裕子。
傍には、矢口のクラスの担任の保田圭もいる。
「裕ちゃん、アンタ何してんのっ!」
「いやぁ、スキンシップやん」
「完璧なセクハラじゃないですかぁっ!」
怒鳴る保田。笑う中澤。泣きそうな石川。
吉澤は1人無表情。
- 27 名前:第2話「朝の風景」 投稿日:2001年05月23日(水)14時51分02秒
- 「まったく、裕ちゃんって人は…」
「ごめんごめん。ほら、清水も圭ちゃんに謝りぃ」
「なんで被害者の私が謝らなきゃいけないんですか! それに、私清水じゃないです石川です!」
キャアキャアと怒鳴る石川と、そんな石川をからかう中澤。
やがてあきたのか、視線を吉澤に。
「よっすぃーおはよー」
笑顔でそう言う中澤に、吉澤は睨んだまま挨拶をしない。
「な、なんやぁ? そんな熱い眼差しで見られたら先生困るわ〜」
「恨みの眼差しの間違いじゃない…?」
突っ込む保田に、ボソッと挨拶だけして、吉澤は足早にそこから去って行く。
「あ、よっすぃー待ってよぉ」
そんな吉澤を石川が慌てて追って行った。
「なんやねん、アイツは…。ここ最近、ずっとあんなんや」
アタシ、なんかしたかぁ?と、保田に問い掛けるも、
「したんじゃない? 裕ちゃん、もの覚え悪いから」
とあっさり返される。
「う〜ん」
そう言われて、しばらく考えてみたのだが、全然思い当たるフシがない。
「………ふむ」
これ以上考えていても、頭が痛くなるだけ。それに…
「圭ちゃん、早よご飯食べに行こ」
まず腹ごしらえが先だ。
そんな中澤の言葉に頭を抱えながら
「そりゃ、恨まれて当然だわね…」
保田は一人呟き、吉澤と石川、それに中澤のあとを追った。
- 28 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年05月23日(水)14時51分52秒
- 第2話「朝の風景」終了。
今回は一気に4人(内、1人は名前だけ)登場。
これで、大体登場人物はそろいました。あと何人かだけ。
名前だけしか出てない子も、その内喋らせるんで、安心してください。
次から、物語が動き出す予定でございます…。
>>21
いちよしがある意味メインなんで、そう言ってもらえるとすごい嬉しいです。
へナ「ケンカするほどなんとやらって…」
吉澤「ね、大間違いッスよね」
へナ「そ、そうだ。大間違いだ。……でも、なんとやらって……なんだ?」
吉澤「(ガクッ)知らんかい! 知らなかったら同意すんな!」
こんなのでも、仲は良いのだろうか…(w
>>22
そうなんです。かおりん(確かに判りづらい)なんです。
前から、書きたいな、と思ってたんで。
かおりかも捨てがたかったんですが…。
- 29 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月23日(水)16時27分43秒
- 下から十位以内のチャムなんて、
ホント初めて(w
- 30 名前:第3話「負けるもんか」 投稿日:2001年05月25日(金)00時01分29秒
- ただ今、3時間目の授業、数学の真っ最中。
もうすぐテストが近いから、範囲の復習をしたり、プリントをやったり。
数学が苦手の子が多いD組の生徒は、これが最後のチャンスとばかりに熱心に聞いている。
しかし、そんな中で、吉澤は1人窓の外を見ていた。
「お〜い吉澤ぁ、黄昏んのはいいけど、それは休み時間にやってくれよ〜」
滑らかな関西弁。
その突っ込みに、何人かの生徒が笑う。
「いいじゃん、カッコいいんだからぁ」
「そうだよ、黄昏てるよっすぃー、もうちょっと見たかったなー」
言われた当本人吉澤を庇う、目立っている生徒達。
そんな生徒達に対して、笑いながら、数学担当の教師であり担任の中澤が返す。
「なんやとー、そんなんやったら、裕ちゃんの顔見んかい。めっちゃカッコええやんけ」
「中澤センセー、その冗談全然おもしろくない」
「あっはっはっ」
中澤に突っ込む生徒。
その突っ込みで、教室内が盛り上がる。
肝心の吉澤は、全然盛り上がってないのだが。
(もういい。早く終わって…)
こんな授業、つらすぎる。
笑えないし、笑いたくないし。
原因はすべて、中澤。
- 31 名前:第3話「負けるもんか」 投稿日:2001年05月25日(金)00時02分15秒
- 盛り上がってるD組のみんなをよそに、チラッと吉澤の席から斜め後ろの席を見てみる。
もう1人、吉澤と同じく盛り上がっていない人がいた。
正確に言うと、寝ている為盛り上がることが出来ないのだ。
ノートも教科書も出さず机に突っ伏し、1時間目からひたすら爆睡。
2時間目の体育の時も、誰1人起こさず、ひたすら爆睡。
よく寝ていられるな、といつも思う。
けれど、それがとってもキミらしい。
(あぁ、ホント可愛いなぁ…後藤さん)
机に突っ伏している姿も、股広げて寝ている姿も。
本当に本当に可愛い。
これもすべて、惚れた弱み。
みんなは、後藤の事を恐いとか言うけれど、自分はそうは思わない。
ただ単に、元があんまり笑わないってだけで。
だから、たまに笑うと、すっごく可愛いんだと思う。
昨日初めてその笑顔を、自分だけに見せてくれた。
3ヶ月目にして、初めてだけど。
でも予想は大当たり。
やっぱり笑顔は可愛かった。
(けど、やっぱり敵わないんだよね)
どうしてだろう。
もうちょっと早く市井の言う通りアタックしていれば、後藤のその笑顔は自分のモノになったのだろうか。
1回だけじゃなくて、何度も笑顔を見せてくれたのだろうか。
なぜ、あんなヤツになんか負けるんだ。
後藤の好きな人は、みんな知らない後藤の笑顔をいっぱい見てる。
その笑顔は、吉澤の為じゃなく、その好きな人の為に笑っている。
「こらごっちん。いつまで寝てんのや」
寝ている後藤にやっと気づいたのか、中澤が後藤に近付く。
後藤は、まったく起きる気配ナシ。
「おぉ〜い、ごっちん」
ユサユサと揺らしてみる。
ピクッと動く後藤。
やがて、不機嫌そうに顔をあげたと思ったら、起こしたのが中澤と知り、急に照れたように笑顔になった。
「へへへ、寝てた?」
あぁ、やっぱりね。
そんなとびきりの照れくさい笑顔は、あの人にしか見せないんだ。
あたしには、絶対見せてくれない。
見せるのは、好きな人、中澤の前でだけ。
- 32 名前:第3話「負けるもんか」 投稿日:2001年05月25日(金)00時03分05秒
- 知ったのは、1ヶ月前。
授業中出せなかった提出物を中澤に出そうと、職員室に寄ったら、
中澤は資料室に行ったと言うので、言われた通りに資料室に向かったのだ。
でもそこにいたのは中澤1人じゃなかった。
後藤がいた。
二人で、仲良く喋っているではないか。
「なぁごっちん、もう遅いし早よ寮帰り」
「え〜、裕ちゃんが帰るなら帰る」
「アタシはもうちょっとおる。えーからごっちんは帰りなさい」
吉澤にはまったく気づいていない。
まるでそこは、二人の世界。
普段いつもブスッとしていて、誰も寄せつけようとはしない後藤が、
今中澤の為だけに笑顔を見せ、甘えているのではないか。
「じゃあ、チューしてくれたら帰る」
「はぁ?」
「ん〜」
なんでやねん、と言っている中澤を無視して、構わず唇を突き出す後藤。
中澤はふぅ、と一息はき、チュッと音を立てて後藤の唇に触れた。
なんで?
そんな言葉が頭に浮かんだ。
中澤には、付き合っている人がいたハズだ。
この学園の3年の、安倍なつみという人が。
なのに、なんで?
中澤先生は、あんな純粋な後藤さんを、弄んでいるんだ。
頭が真っ白で、何も考えることは出来なかったけど、それだけは判った。
- 33 名前:第3話「負けるもんか」 投稿日:2001年05月25日(金)00時03分42秒
- ジリリリリ
授業終了のベルが鳴る。
号令をかけ、中澤はベルに従い授業を終了し職員室へと戻って行く。
そんな中澤を、少し寂しそうに見送る後藤。
吉澤は、そんな後藤を、見つめていた。
「よっすぃー、市井先輩が呼んでるー」
「あ、あぁ、うん」
途端、ドアの所で、自分を呼ぶ声。
傍には、せっかく朝グッと締めたネクタイを緩めている市井の姿が。
「どーしたんですか、市井さん」
「いや、ちょっとご相談がありまして…」
仕方が無いなぁ、と立ち上がり、市井の元に。
その時、もう一度バレないように後藤の方へ視線を移す。
移してみると、後藤はもう起きてはいず、また爆睡へと。
中澤の姿が見えなくなった途端、再び机に突っ伏す。
そんなに、中澤が好きか。
他の人は、見たくないのか。
たとえ、そうだとしても。
負けるもんか、絶対。
二股をかけてるような人なんかに、後藤さんを幸せになんか出来ない。
いずれ、後藤さんの笑顔を、絶対曇らせる。
そんなこと、絶対させたくない。
あんなヤツなんかに、負けるもんか。
絶対に、負けるもんか。
- 34 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年05月25日(金)00時04分30秒
- 第3話「負けるもんか」終了。
今見返してみると、第2話は誤字間違いが多い…。
何回も見返したつもりだったんだけどなぁ…。
ごま裕に挑戦してみた、ここ最近。
>>29
ここは、他の市井と違い、へナ市井ですから(w
ヘナチョコがすべてです(w
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月25日(金)04時11分13秒
- ごま裕とは意外でした。
負けるな吉澤!!
- 36 名前:バービー 投稿日:2001年05月25日(金)23時39分00秒
- 相変わらずおもしろいですねえ!!
ごま裕って微妙にいい感じです。
続きも期待してますね。
- 37 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月26日(土)00時59分33秒
- 保田先生はどなたかとラブラブなのでしょうか?気になりますです・・・。
お相手が居れば良いのですが。。。
- 38 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月27日(日)00時19分04秒
- 裕ちゃんか〜・・・
相手は手強いな(w
- 39 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月28日(月)01時05分27秒
- 保田先生・・・やはり出番は少ないんでしょうか?個人的には学生な保田が見たかったです。
それにしても相変わらずなヘナ市井良いですね。
(元々市井は意外にヘナなイメージが強いんスよね自分には)
- 40 名前:第4話「矢口の気持ち」前編 投稿日:2001年05月28日(月)01時26分17秒
- 「で、相談って何ですか」
教室の前じゃなんだから、と言われて来た高等部の屋上。
さすがに、3時間目と4時間目の間の休み時間なので、屋上には人がいない。
これが昼休みともなると、人がいっぱいいるのだが。
「あのさ…」
「うん」
言いかけたその時、4時間目開始のベルが鳴る。
一瞬戻ろうか、と思ったが、何だか妙に市井の様子がオカシイのでやめた。
「………いいの?」
「何がですか?」
「授業」
「……別に、市井さんに心配されなくても大丈夫ッスよ」
市井さんこそ、大丈夫なんですか? と、笑顔でそう言う。
すると、市井がムキになって返してきた。
「バカかっ、市井は頭いいっつーの。現に、2年に上がれたじゃんか」
「聞いたら、単位ギリギリだったじゃないですか! そんなんでよく言いますね!
嫌ですよ、あたし。次進級した時、部屋も同じなのに教室でも市井さんと同じになったら」
「それは、市井が留年するとでも言いたいのか」
「だから、大丈夫なんですか? って聞いてるんです」
う〜、と唸る市井。
気づくといつのまにか話が思いっきりズレている。
「……で、相談っていうのは?」
これじゃ、いつまで経っても解決しない。
強引に、話を元に戻すことにした。
戻した途端、さっきまでの勢いは無くなって、一気にショボンとなる市井。
市井がこんな風になるのは、たった一つ。
(矢口さん関係だな……)
それはズバリ当たっていた。
- 41 名前:第4話「矢口の気持ち」前編 投稿日:2001年05月28日(月)01時27分13秒
- 「なんか、今日朝、3−A組の教室行った時から、やぐっちゃんが妙に冷たいんだ…。
昨日の晩からずっと逢えなかったからさ、教室行ったんだけど…。
ほら、市井は1日1回やぐっちゃんの顔見ないとダメな人間じゃん?
だから、教室行ったのに。
『教室とかにはもう来ないで!』とか、ホントに迷惑そうに言われたんだ…」
「うわぁ…」
そりゃあ、ショボンともなるわな。
ましてや、矢口の一言で一喜一憂する市井なのに。
自分が後藤に言われた事を想定すると、すっごい鬱な気分になった。
「アヤカに言ったら、『そんなのいつものことじゃん、気にしないで』とか言ってくれたんだけどさ〜。
まあ、そりゃいつものことさ。気にはするけど、もう慣れた。
でも、今までは一つも迷惑そうな顔なんてしてなかったんだよ。思い込みかもしんないけど」
「思い込みじゃないと思いますよ」
これは、自信がある。
だって、吉澤が見てきた矢口は、いつも笑顔だったから。
もちろんそれは、市井の前ででも。
多少、呆れるような表情はした事があっても、迷惑そうな顔は見たことが無かった。
というか、矢口が迷惑そうな顔なんてするだろうか。
(………だって……)
矢口は市井のことが好きなのに。
好きな人に想われて、迷惑なんかは絶対しないと思う。
けれどこれは、直接本人に聞いたワケじゃない。
あくまで、吉澤の考えなだけであって。
だからこの意見は、市井には言えない。
- 42 名前:第4話「矢口の気持ち」前編 投稿日:2001年05月28日(月)01時28分04秒
- 「やっぱり、嫌われてんのかなぁ〜……」
頭を抱えて泣きそうな声。
あれだけ矢口のことを見ているのに、なぜ気づかないのか。
「嫌われてないですって。大丈夫ですって」
矢口のどこをどう見て、市井のことを嫌ってるように見えるのか。
そんなの、誰に聞いても、「好きでしょ」と答えるだろう。
人は、色んなパターンがあって。
例えばその1。
好きな人が出来ると、すぐアタックする市井タイプ。
その2。
好きな人が出来ると、吉澤みたいに陰で想ってるタイプ。
その3。
好きな人が出来ると、素直になれなくて、ついいじめちゃうタイプ。
矢口はそれのその3に当てはまるんだと思う。
「ほら、嫌いじゃなかったら、デートオッケーとかしないでしょ」
「…………」
一生懸命市井の機嫌を取り戻そうと、必死でフォロー。
「嫌いだったら、デートなんかしたくないでしょう」
「………けど、デートオッケーする前に、必ず何か条件付きなんだけど。
他の子デート誘ったら、一発で『行きます!』とかなのに……。
やっぱり、嫌われてんじゃん……」
「あ…」
フォローしたつもりが、益々落ち込ませることになった。
それは照れ隠しなんですよ、と言いたいが言えない。
『なんで照れ隠しなの?』と聞かれるとして、その後の言葉が続かないからだ。
(そういうのは、自分が気づくか、直接本人に聞かないとね…)
鈍感な市井が気づくのが先か、矢口が我慢出来ず気持ちを伝えるのが先か。
一体、いつになるのやら。
- 43 名前:第4話「矢口の気持ち」前編 投稿日:2001年05月28日(月)01時28分38秒
- 「あ」
「……あ?」
そういえば、思い出した。
「あれですよね。夕食前に部屋来た時は普通でしたよね」
「……うん。いつも通り、最後ドアの前で蹴られて別れたけど」
「で、矢口さんが冷たくなったのが、朝」
「………だから、それが何」
「いや、なんでそんな急に冷たくなったのかなぁ〜って。
あたし、昨日夕食前、飯田さんに会ったんですよ。そんで、その時矢口さん居なくて聞いたら、
3年の、大木さんと北上さんに呼ばれてどっか行ったって言われたんです」
それから市井が朝矢口の教室に行くまで、二人は会っていない。
普通だったら食堂で、大体会うのだ。
もし会えなかったとしても、後で部屋に行けば済むこと。
けれどあれから市井が矢口達の部屋へ行った時、矢口は違う子の部屋に遊びに行っているとかなんとかで、
部屋にはいなかったと市井が言っていた。
でも部屋の奥から、矢口らしいクシャミも聞こえたと言っていた。
避けられているのかもしれない。
「もしかしたら、もしかしたらですよ?
その、夕食前、大木さんと北上さんに何か言われたんじゃないですか?」
「はあ? 何それ。いじめられてるってこと?」
「いやいや。じゃなくて。忠告とかかも。
あの二人、市井さんの熱狂的ファンですからねぇ」
近付くな、とか、市井は私のモノ、とか。
その他イロイロ。
ファンって、ある意味恐い。
「まだ証拠とかもないし、ただの憶測だけですけど、一度聞いてみたらどうです?
………まぁでも、聞いても、どっちもホントのこと言うワケないか」
そこで言うような人達だったら、そんな事しないだろう。
「………市井さん?」
「………ん? あぁ」
「………?」
地面の一点を見つめて、黙っている市井を不審に思って、呼びかけてみる。
返ってきたのは元気な返事じゃなくて、生返事。
おかしいな、とは思ったが、それ以上話し掛けるのは出来なかった。
- 44 名前:第4話「矢口の気持ち」前編 投稿日:2001年05月28日(月)01時29分33秒
- ――
昼休みの、裏庭。
数人でお喋りしている生徒達から隠れるようにして、立っている、ある3人。
「……あのさ、もういいかげんしてくんない?」
「いいかげんにして欲しいのはこっちだよ。昨日、あれだけ言ったのに」
「好きじゃないなら、これ以上近付かないでって言ったじゃん」
「…言ったね。だから?」
「っ!」
馬鹿にしているような眼差しにカッとなって、つい手が出てしまった。
パーン、という小気味いい音が、頬にヒット。
「ちょっと…衣吹、やばいよ」
「わ、判ってるよっ」
その音に反応して、お喋りをしていた数人の生徒が、こちらの存在に気づく。
チラチラとこっちを見ては、何かを耳打ちしている。
このままじゃチクられると思った3人の内2人は、逃げるようにそこから去って行った。
「………なんだよ…チクられたくなかったら、こんなことすんなっつーの、意気地なし。
…………違うな。意気地なしは、矢口か」
近付くな、と言われて言い返せない。
好きじゃないんでしょ? と聞かれて答えられない。
もし言ったとして、その後何をされるのか。
やっぱり恐いのだ。
意気地なしは、自分の方。
ぶたれた頬を押さえながら、矢口は頭と頬を冷やそうと思い、5時間目をサボって
人手のない体育館裏の水道へと向かった。
- 45 名前:第4話「矢口の気持ち」前編 投稿日:2001年05月28日(月)01時36分16秒
- 第4話「矢口の気持ち」前編終了。
次は、当然のことながら、後編です。
もしかしたら、中編かも……(w
>>35
(〜^◇^〜)<……じゃ、やれば?
(;0^〜^0)<………ホントに冷たいですね、矢口さん…
ちょっと違ったカップルに挑戦してみたかったので。ごま裕の他にもね。
吉澤の活躍はこれからです!
>>36
わぁ、バービーさんありがとうございます。
よしごま好きのオイラは、バービーさんの応援すっげぇ嬉しいでございます。
>>37
保田先生は………好きな人はいる、とだけ言っておきましょう(w
>>38
手強いのなんのって(w
けど1番手強いのは、後藤だったりもするんですが(w
>>39
从#~∀~#从<いくら張り切ったって、アタシには敵わんのや
保田先生の出番はねぇ……飯田さんよりかは出番はあります(意味不明
生徒役はちょっと都合で出来なかったんですよ。
なんとか吉澤の影を消さないように、へナ市井を頑張って書いてます(w
(後藤には格好いい市井だったけど、矢口にはすっごいヘナチョコだったと自分的に思ったりしたり)
- 46 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月28日(月)03時05分59秒
- 勇気を持って素直になろうぜ、矢口〜!!
- 47 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月31日(木)02時23分01秒
- 素直じゃない矢口萌え〜
- 48 名前:第4話「矢口の気持ち」後編 投稿日:2001年06月01日(金)13時38分14秒
- 「あーあ、サイアク…」
肩から提げた小さなカバンから鏡を取り出し、ぶたれた頬を見てみる。
見てみるとその頬に、爪が当たったんだろう、小さな傷がついていた。
水をすくって、頬を冷やす。
「はぁ……」
なんなんだよ、そう呟き、壁にもたれるようにして腰を下ろす。
出しっ放しにした水道の水の音が、矢口の苛立った心を少し落ち着かせてくれた。
さっきみたいな呼び出しは、初めてじゃない。
市井に告白されてからというもの、それからずっと。
もっぱら呼び出す相手は、あの2人と決まってはいたが。
「…んとに、どこがいいんだろ……矢口なんかの……」
そんなにモテているのに、いつも矢口にひっついて。
何度断わっても、全然メゲずアタックを続ける。
しかも、告白を断わるのはもちろんのこと、去年のバレンタインのチョコも矢口のしか受け取っていない。
『せっかく紗耶香のために作ったのに可哀想じゃん』と言ったが、
『だって市井はやぐっちゃんが好きなんだもん。変に期待持たせる方が可哀想』という返事。
そう言ってくれた時、正直すごい嬉しかったのだが、意地を張って『バーカ』と言ったのを覚えている。
義理だ、義理だ、と言って渡したが、それでもすごく嬉しそうにして受け取っていた。
「義理なんかじゃないよ、ホントは本命だったんだよ…」
素直になれなかった自分と、ファンを敵に回すのが恐くて意気地なしだった自分。
「今年は、ちゃんと『本命だよ』って言えるかな……」
少し痛む頬を押さえ、膝に顔を埋めた。
- 49 名前:第4話「矢口の気持ち」後編 投稿日:2001年06月01日(金)13時38分55秒
- そんな矢口の耳に、誰かの足音が聞こえる。
その足音は、矢口がいる体育館裏の水道にどんどん近付いてくる。
そして、現れた足音の主は。
「裕ちゃん、いるの?」
「えっ?」
3年の矢口でも、ちょっとした噂を聞いたことがある。
1年のクセに生意気で、呼び出してもガン飛ばして態度悪いし。
同じクラスの子が、忌々しそうに話してくれた。
その子の名は、後藤真希。
「あ…」
しまった、と言わんばかりの顔。
間違ったのだ、矢口を。裕ちゃん―中澤―と。
「『裕ちゃん』って……あの、中澤裕子のこと?」
「…………」
少なくとも自分が知ってる限りでは、中澤しか知らない。
中澤と親しい生徒は、中澤のことを「裕ちゃん」と呼んいるし、自分だってそうだ。
それに、安倍と2年の時同じクラスで仲が良かった矢口は、その安倍の口から何度も「裕ちゃん」と聞いている。
名前を言うだけで、妙に嬉しそうで、弾んでる安倍の声。
そんなに好きなんだ、と微笑ましく思ったりもした。
が、その後藤も、安倍のように表情を輝かせ、中澤の名を呼んだ。
いや、まだ、中澤とは決まったワケではないが。
「ねぇ、聞いてるんだけど…」
それを確かめようと、矢口が問う。
けれど、後藤からは答えは返ってこない。
「………」
一度目を矢口に向け、くるりと向きを変えて帰って行く。
「な、なんだよぉ……恐いっつーの…」
睨まれた矢口は、怯えたように後藤の後ろ姿を見送っていた。
- 50 名前:第4話「矢口の気持ち」後編 投稿日:2001年06月01日(金)13時39分41秒
- それからしばらく、ブツブツと先程の後藤の態度の文句を1人で言う。
「ったく、最近の1年は……」
どうなってるんだ、とその他色々。
年をとると、小言が多くなる。といっても、まだ17歳なんだけど。
「ホント、何しに来たんだよぉあの子」
と言って帰ろうとして腰をあげた時だった。
「悪いごっちんっ、ちょっと書類の片付けしてて遅なった!」
「わぁっ!?」
ビックリしてしまい、思わずコケてしまう。
目の前にいたのは中澤だった。
「ゆ、裕ちゃんっ」
「や、矢口! な、なんでこんなトコおんねん!」
「いや、それはそっくりお返しするよ…」
ひどく慌てた様子で矢口を起き上がらせ、怒鳴る。
「おま、授業やろ今! 早よ戻り!」
「わっ、判ったから。手ぇ痛いよっ」
「あ、ごめん…」
起き上がらせた時から、ずっと掴まれてた手。
離されてから見てみると、少し赤くなっていた。
「裕子のばーか!」
アッカンべーをして、足早にそこから去る。
いつもの様子と違った中澤が、なんだかとてもムカついたからだ。
アッカンべーをされた相手は、1人頭を抱えて何やら反省をしていた。
「最低やな、ホンマ………」
- 51 名前:第4話「矢口の気持ち」後編 投稿日:2001年06月01日(金)13時40分21秒
- ――
「だるい…」
渡り廊下にある何本かの一本の柱にもたれながら、市井は呟く。
時刻は、14時ジャスト。
もうすぐで、5時間目の授業も終わり。
けれど渡り廊下にいるってことは、授業に出ていないワケで。
退屈をもてあそんでいた。
吉澤はあれからちゃんと授業に戻った。
市井も戻ろうとしたのだが、何だか面倒くさくなって、こうしてサボっている。
ちょっと昼寝をしたり、財布の中に常に入れている矢口と市井のツーショット写真を眺めてニヤニヤしたり。
でもそれだけじゃ1時間は持たなかった。
だからこうやって柱にもたれて、ボーッとしているのだ。
そんな市井の近くで、バタバタをこっちに向かって走る、足音。
その方向を見てみると、そうあれは…
「やぐっちゃん」
市井が叫んだ途端、足音は止み、ゆっくりこちらへと静かに矢口が向かってくる。
「……何してんの」
「やぐっちゃんを待ってたんだよ」
砂が付いたスーツを軽く払って、立ち上がる。
もちろん、待っていたのは嘘だ。
たまたまサボっていて、矢口に逢えただけ。
「やぐっちゃんもサボり?」
市井の問い掛けに、コクリと頷く。
今日は髪の毛を下ろしているからだろうか。
頷いた時肩の後ろにあった髪がサラッと前へ流れる。
それがなんだかすごく色っぽかった。
しばらくじぃっと矢口を見ていたかったのだが、矢口が許すハズがなく。
「…何よ」
「い、いや、別に」
キッと睨んで、市井の視線をそらさせる。
「じゃ、ね」
「う、うん。バイバイ」
教室に戻ろうとする矢口を見送る為、視線を矢口に戻す。
そして、矢口が市井の横を通り過ぎた時、市井はある事に気づいた。
「あれ……やぐっちゃん、ほっぺたんトコ、どしたの?」
昨日、市井達の部屋に来た時はなかった。
しかもよく見ると、その傷はまだ新しい。
矢口はハッとして、頬を押さえる。
「紗耶香には、カンケーないでしょっ!?」
そのセリフに、一瞬グサッときた。
でもここで引いたら市井じゃない。
「カンケーあるよ。だって市井、やぐっちゃんのこと好きだもん」
- 52 名前:第4話「矢口の気持ち」後編 投稿日:2001年06月01日(金)13時41分42秒
- 好きだから、その人のことを知りたい。
だから、関係ある。
真剣な顔でそう言って、矢口を見る。
矢口は下を向いて、何かを耐えていた。
「やぐっちゃん…?」
おかしいな、と思って覗き込もうとしたら、避けるように顔を上げられた。
自分も追うように顔を上げる。
矢口は一度市井を見たかと思うと、すぐにまた目を逸らし、言う。
「紗耶香に言わなきゃいけない義務なんてない…」
「それはっ、そうだけど……」
そうだけど、後に続く言葉が出てこない。
「もう、いいでしょ? 矢口、教室戻るから」
そう言って帰ろうとするものの、市井は離してくれない。
「ちょ、紗耶……香…」
そしていつのまにか、矢口は市井に抱きしめられていた。
今まで、こんなことされたことなかった。
アタックはしても、触れることはなかった。
「手、繋いでいい?」と時々聞いたりもしたが、矢口が嫌がると絶対に無理やりにはしなかった。
強引なのは、自分の主義に反するやらなんやら。
けど今のは完璧な強引。
「主義、反したじゃん…」
「……だね。けど、やぐっちゃんが悪いんだ…」
抵抗することもなく、市井に抱きしめられたまま。
「なんで矢口がっ」
「だって、教えてくれないから。
…………やぐっちゃんは市井のこと、どう想ってますか……?」
「え…」
あまりに突然な質問。
つい身体を離して市井の目を見てしまった。
その目は今までに見たことないほど頼りなさそうな瞳で、今にも泣き出しそう。
もう、目を逸らすことはできない。
- 53 名前:第4話「矢口の気持ち」後編 投稿日:2001年06月01日(金)13時42分24秒
- 「何度も言うけど市井は、やぐっちゃんのことが好きだ。
だから、やぐっちゃんのこと知りたいし、市井のことも知ってほしい。
けど、市井はまだ全然やぐっちゃんのこと知らない…。
だから、教えて欲しいんだ」
「…………」
「嫌いなら嫌いって、はっきり言ってよ。そしたらもう、迷惑かけないから。付きまとわないし。
じゃあもう、やぐっちゃんも嫌な思いしなくていいもんね」
傷を見た時から、吉澤に話を聞いて大体察しはついていた。
それをもう二度と起こらせないようにするには、自分がつきまとわないこと。
それが1番だ。
注意をしても、たぶんまた見えないところで呼び出すだろうから。
だからこの際、もうハッキリさせよう。
「…き……らいだよ」
しばらくの間の後出た言葉は、「嫌い」。
「は、はは…や、やっぱりね…。そうじゃないかと思ってたんだよ…。
けどやっぱ、ハッキリ言われるとキツイね……覚悟してたんだけどな…」
よろよろと矢口から離れる。
矢口はその間ずっと下を向いたまま。
「教室、戻るから…」
「…うん」
よろけて、再び柱にもたれて、返事をする。
下を向いて頷いた市井の視線の先には矢口の足があったのだが、それもすぐ消えた。
教室に戻ったんだろう。
そう納得した途端、涙が出た。
- 54 名前:第4話「矢口の気持ち」後編 投稿日:2001年06月01日(金)13時43分26秒
- 「ちっくしょー……フラレちゃったよぉ……」
足を広げ、太股に手を置き、泣く。
ボロボロとズボンに水滴が落ちるが、気にする余裕もなく。
視線に先程の足が入ってきたが、気にする余裕もなく。
涙は流れ続ける。
「……紗耶香、紗耶香」
屈んで、俯いている市井の髪を優しく撫でる。
撫でられる感触に気づいて、市井が顔を上げた。
そこには愛しい、何か吹っ切れたような矢口の顔。
「泣くなよぉ、ばぁか。なんで泣くのさぁ」
親指で涙を拭き取ってやる。
「やぐっちゃんにフラれたから…」
拭き取ってやると、市井が鬱陶しそうに矢口の手を顔から離した。
意外な行動に、少々ビックリ。
「あんま、優しくしないで。市井はフラれても仲良く出来るほど大人じゃない…」
「そんなの、判ってるよ」
1年もずっと、教えてくれたんだ。
市井がどんな人間か、どんな性格か。
だからこれからは、せっかく「知りたい」といってくれてる人に、教えてあげたい。
本当の、矢口の気持ち。
下を向いていた顔を少し上げさせて、ぎこちなく唇を合わせる。
そしてしばらくして、ゆっくりと離し言った。
「ファーストキス……」
「え、ええっ!?」
「ファーストキスだったんだからね、今のっ!」
自分で言っておいて、顔が真っ赤になる。
照れくささを少しでも隠す為、市井の胸に顔を埋めた。
「ホントは、ずっと好きだったの。ずっと、こうしたかったの。
でも素直になれなくて、ずっと意地張ってた……」
「うん」
「ごめんね? 傷つけて、ごめんね?
『嫌い』なんか言って、本当にごめん…」
「いいよ、もういいよ。市井は、全然大丈夫だから。
やぐっちゃんの一言で、傷もすぐに治っちゃうんだからさ」
にっこり笑って矢口を抱きしめる。
「市井こそ、さっき冷たいこと言ってごめんね?」
「うん。傷ついた」
でもほんのちょっぴりだけど。
自分に対して鬱陶しそうな顔をした市井は初めてだったから。
「えぇっ、じゃ、じゃあどうやったら治る?」
「へへへ…」
そう来ると思った。
市井の言うことはもう、全部知ってるから。
治る方法は一つ。
授業終了のベルが鳴る。
2人がいる渡り廊下に向かう足音が聞こえる。
聞こえていたお喋りが止み、それが悲鳴に変わったり。
自分達2人が囲まれているのも知っていたけれど。
それでも、それでも。
2人の熱いキスは、やめることを知らない。
- 55 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月01日(金)13時44分12秒
- 第4話「矢口の気持ち」後編終了。
これからは、さやまりバカップルがやっと書ける(w
>>46
(;○^〜^○)<演じてたんですか!? すごい演技力ですね!
(;〜^◇^〜)<よっすぃー……信じるなよ、そんなこと
素直になりました矢口さん(w
>>47
矢口さん、素直になっちゃいました(苦笑
- 56 名前:ぷち 投稿日:2001年06月01日(金)21時19分33秒
- さやまり〜〜〜〜!!(感涙)
ついに・・・ついにラブラブさやまりがぁぁああああ!!!!(壊)
- 57 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月02日(土)00時24分14秒
- さやまり最高!
はっきりいってその他はいらないくらいっす。
ぶちさんの壊れっぷりわかります!!(笑)
- 58 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月02日(土)03時09分19秒
- まさしく、ビバ!?さやまり(意味不明
ニヤケタ顔が戻らない…
けど授業には出ろよall、特に市井!!
- 59 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月04日(月)03時18分30秒
- やはり、さやまりはこうでなきゃダメでしょう!!
この先は、今までの、うっぷんを晴らす意味でもバカップルぶりを発揮して欲しいものです。
- 60 名前:第5話「協力するよ!」 投稿日:2001年06月04日(月)15時17分47秒
- 期末テスト初日まであと3日。
吉澤は、机に向かって、必死で勉強をしている………のだが。
「やぐっちゃん、髪いい匂いすんね」
「へっへ〜、最近シャンプー変えたんだ〜。マジでいいでしょ、この匂い」
「うん」
頷いて、肩に顔を埋めるようにして甘える。
「くすぐったいよ紗耶香〜」
とかなんとか言っていても、こうやって甘えてくれるのはとても嬉しい。
市井は、矢口を間に挟むようにして後ろから抱きしめている腕に力を込めた。
「ちゅーしよっか」
「………いいよ」
少し身体の位置をずらして、市井がキスしやすいように顔を向ける。
お互いの唇まであと数センチ。
そんな時に、ボキッというシャーペンの芯が折れる音が聞こえたと思ったら、
吉澤の怒鳴り声が部屋に響いた。
「アンタら、そういうのは人がいないトコでやってくれっ!!!」
バカップル―市井と矢口―がいるので、勉強に集中できないのだ。
- 61 名前:第5話「協力するよ!」 投稿日:2001年06月04日(月)15時18分21秒
- 「大体、そこ! そこはあたしのベッドじゃないですか! どいてくださいよ!」
2段ベッドの下。
どっちが上か下か、同室になった時あれほど「上がいい!」と駄々をこねていた市井。
本当は吉澤も上がよかったのだが、仕方なく先輩市井に譲ってやったのだ。
でも最近は、下もいいかなぁと思い始めてきたっていうのに。
「はいはい、どいたどいた〜」
ひっついてる二人の間を引き裂いて、ベッドから離れさせる。
ここは、自分の場所だ、と言わんばかりに。
「なんだよ邪魔すんなよぉ。勉強しろよぉ」
「そっくりそのままお返しするわっ!」
ブーブー文句をたれている市井に、噛み付くように言い返す。
実を言うと、羨ましいのだ。
イチャイチャできる2人が。
「くそぅ…市井さんは仲間だと思ったのに…」
「バカか。キミは一方的な片想い。市井は両想い。全然仲間じゃない」
「なっ、なんだとぉ?」
「まぁ、吉澤に大木とか北上とかいう人教えてもらったのは感謝してるけど。
やぐっちゃんを傷つけるヤツは、お仕置きをしなきゃならなかったからねぇ」
だからといって、仲間じゃないぞ。
そこだけは念を押しておく。
「……へっ、いいですよ別に。矢口さんはあたしの仲間だもん」
ね、矢口さん? そう言うと矢口は、真顔でこう言った。
「わるい。矢口は紗耶香の味方」
ガーン。
信じていた人に裏切られたとは、こういうことをいうのか。
ついこないだまでは、吉澤の味方だったハズなのに。
一緒になって市井をからかって遊んでたのに。
お互いの気持ちを確かめあったら、そこまで人は変わるのか。
「ごめんねよっすぃー。矢口は友情より愛をとります!」
「えらいやぐっちゃん! よく言った!」
人って変わるもんだね……身をもって体験した。
- 62 名前:第5話「協力するよ!」 投稿日:2001年06月04日(月)15時18分54秒
- 「は〜ぁ…」
フラフラと立ち上がり、机に戻る。
相手にするだけ無駄だということがやっと判ったのか、勉強を再開。
とりあえずもう人の事を気にするのはやめた。
勉強しないでイチャついてる人は、放っておけばいいんだ。
それに自分が心配しなくても、矢口は陰で勉強しているだろう。
市井は………。
まずは自分。
「えっと…」
さっきまでやっていたページを開き、続きをやり始める。
けれどやり始めた途端、イチャつくことに飽きたのか、吉澤のベッドに座っている矢口が
吉澤に質問し始めた。
「ねぇ、よっすぃーって好きな人いるの?」
「………はあ?」
会話に何の繋がりもない。
思わず聞き返す。
「だってさっき紗耶香が、よっすぃーは片想いって言ってたじゃん。
だから、好きな人いんのかなーって」
ああ、そういえばそう言っていたような。
思い出して、納得。
「………いますよ」
別に隠すことじゃない。
それに矢口は、好きな人がいるということを、おもしろがって人に言うような人じゃない。
むしろ、応援してくれるだろう。
「なんだっけ、マキちゃんだったけ?」
「……そうです」
市井にしては珍しく名前を覚えていた。
以前は「まみ」と勘違いしていたのに。
- 63 名前:第5話「協力するよ!」 投稿日:2001年06月04日(月)15時19分29秒
- 「マキって……末永真紀?」
ガクッ。
市井が覚えていたと思ったら、今度は矢口か。
「マキ違いです。後藤真希です」
「だ、だよね。一瞬ビックリしたよ」
末永真紀は、矢口と同じ3年でみるからにヤンキーそうな子。
3年の時に転入してきたと思ったら、えらく態度がでかい。
だから末永と思った時、本当にビックリした。
「え……でも今後藤真希って言った?」
「は、はい。なにか?」
「いや……別に……」
あの時の、体育館裏での時を思い出す。
あの子の名前は後藤真希だ。これは間違いない。
そして後藤が言っていた「裕ちゃん」とは中澤のことだ。これも間違いないと思う。
だって後藤が去ったすぐ後、中澤が来たんだから。
けど、確定したワケじゃない。
それを確定するにはあと一つ。
「……ねぇ、後藤真希ってさ、裕ちゃ…中澤センセーに『ごっちん』って呼ばれてる?」
あの時中澤は「ごっちん」と言った。
矢口の読みが正しければ2人は……
「……呼んでますよ。『ごっちん』って」
「……そう。ね、もう一つ訊いていい? 2人って――」
もしかして付き合ってんの?
そう恐る恐る訊ねた矢口に、吉澤は小さく頷いた。
- 64 名前:第5話「協力するよ!」 投稿日:2001年06月04日(月)15時20分02秒
- 2人の深刻な様子に、事態があんまり飲み込めない市井。
吉澤と矢口の顔を交互に見て、首を傾げる。
「別にいいんじゃないの? 教師と生徒って、なんか燃えるじゃん」
「バカ。全然よくないよ」
「うぅ…」
怒ったように矢口にそう言われ、落ち込む。
「あぁ、ごめん。そっか、紗耶香知らないんだよね」
気づいたかのように謝り、落ち込んでいる市井の頭を撫でる。
そして何でよくないかを説明し始めた。
「簡単に言うと、二股してるんだよ、裕ちゃんは」
「えぇっ、マジっすか!?」
「安倍さんって知ってます? 3年の」
「う、うん。やぐっちゃんの友達だよね。喋ったことはあるけど、まさか裕ちゃんと
付き合ってるなんて知らなかった」
というか、安倍にはまったく関心がなかった。
安倍だけじゃない。他のみんなに関心がなかった。
あったのは矢口だけ。
「まぁね。2人共『付き合ってます』って発表してるワケじゃないからさ。
でも、密会っていうのかな? そうゆうの見た子、いっぱいいて、いつの間にか殆どの人が知ってるワケ」
「ふーん」
あんまり関心がなさそうにそう相槌を打つ。
矢口はそんな市井に苦笑しながら、再び吉澤に質問した。
「でもホントに付き合ってるって証拠あんの?」
「証拠、ですか?」
証拠というのかどうかは判らないが。
「ただの担任とその生徒が、キスしますか?」
そんなの、付き合っているとしか吉澤には考えられない。
それに、付き合ってもないのにそんなことをしたんなら、余計に中澤を許せない。
後藤が、可哀想だ。
「そっか……見たんだね、その現場。そうだよね…」
だから片想いって判るんだ。
それを知った矢口は、少し悲しくなった。
- 65 名前:第5話「協力するよ!」 投稿日:2001年06月04日(月)15時20分37秒
- 「協力するよ、矢口。よっすぃーに。後藤さんとの恋、協力する!」
立ち上がり、意気込んで、決意を表明。
「なっちには、裕ちゃんが必要なんだ。それなのに、そのなっちを裏切って、
後藤さんと浮気してる裕ちゃんは許せない。矢口は絶対よっすぃーの味方だからね!」
「矢口さん…」
嬉しくて、少し涙が出そうになった。
それを堪え、矢口に笑顔で返す。
「さぁ、ほら、紗耶香も『よっすぃーに協力します!』って言うんだ!」
昨日、夜遅くまで漫画を読んでいたせいか、うつらうつらとしかけていた市井を矢口が無理やり立たす。
そして、無理やり言わせる。
「……市井も…よっすぃーに協力します…」
「よぅーし、よくできました」
パチパチと拍手。
「ほら、よっすぃーも」
「え…」
「早く拍手!」
「は、はい!」
パチパチパチパチ…。
意味も判らず拍手している自分が、なんだかとても恥ずかしかった。
寝かけのところを起こされて不機嫌な顔の市井。
満足気に、1番大きく拍手の音を出している矢口。
そんな意味の判らない2人に協力されて、大丈夫なんだろうか。
吉澤は1人、不安を募らせた。
パチパチパチパチ……
拍手は、当分鳴り止まない……。
- 66 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月04日(月)15時21分19秒
- 第5話「協力するよ!」終了。
矢口の性格がどんどんバカっぽくなっていくのは気のせいじゃないような気がする…。
まあ、なるべく前作と違うようにしたかったから、こんな矢口もいっか(なんじゃそりゃ
>>56
へナ「まぁまぁ、壊れる気持ちは市井もよぉ〜〜く判る」
腕を組んで、うんうん頷く。
矢口「感動して涙が出る気持ちは矢口もよぉ〜〜く判る」
同じように腕を組んで、うんうん頷く。
そして、2人顔を見合わせて。
へナ&矢口「けど、2人のラブラブはこんなもんじゃないもんね〜」
チュッとキスを一つ。
それを、隣で見ていた孤独吉澤。
吉澤「けっ、バカップルめ……(実は羨ましい」
>>57
へナ「おい、その他はいらないってさ(ニヤニヤ」
吉澤「主人公はあたしなのに……(涙」
>>58
さやまりも全部ひっくるめて、今日和学園ビバなのです(こっちこそ意味不明
矢口や吉澤は頭いいので、少しくらい出なくても平気なのですが、
市井と後藤は……(w
>>59
(〜^◇^〜)<うん! めちゃくちゃカッコよかったよ
(;○^〜^○)<………えらい変わりようッスね、矢口さん…
前作とは違って、めちゃくちゃバカップルを書きたいと思ってます(w
どうぞ、お付き合いください。
- 67 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月04日(月)20時53分09秒
- いや〜本当に早いっすね〜!自分としては嬉しいかぎりです。
ヘナ市井も,そんな市井のことが大好きな矢口のことも好きです。
これからも毎日のようにチェックすると思いますんで、よろしくおねがいします。
- 68 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月04日(月)23時39分36秒
- ヲタなツッコミでゴメソなんだけど
末永こそ「真巳」(まみ)だと思われます(w
でもお話面白いから、どっちでもいいっつぁーいいんだよな。
- 69 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月05日(火)00時44分27秒
- >>68
うわ…やってしまった…。
すいません、今の今までずっと勘違いしてました…。
気分を害された方、ごめんなさい。
末永ファンの方、ごめんなさい。
( `.∀´)<あんたは本当に「ダメ」経営者ね!
- 70 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月05日(火)02時53分36秒
- バカップル最高っす
そんな二人に拍手!!
パチパチパチパチ・・・(w
- 71 名前:かんかん 投稿日:2001年06月05日(火)15時55分50秒
- マジで面白いっす!
市井のキャラが好きだなー。
よっすぃー頑張れ!って言いたいとこだけど・・・・・・
ごま裕好きなんで・・・・・・。
- 72 名前:第6話「夏休みの始まりです」 投稿日:2001年06月05日(火)16時17分47秒
- 「じゃあ、テスト返すで〜」
1学期の終了日のホームルーム。
今日和学園ではその日に、一斉に担任からテストを返される。
出席番号順に名前を呼んでいって、その一番最後。
「吉澤ぁ」
「………はい」
中澤に呼ばれ、教卓まで取りに。
「アンタほんま頭ええよなぁ。先生にならんか?」
「絶対になりたくありません」
「あ、ああそうでっか…」
せっかく褒めて、冗談でそう言っただけなのに。
キッパリと一つの迷いもなく即答された中澤。
脱力したまま、テストを吉澤に手渡す。
11科目中、合計960点だった。
それから、通知表やら宿題やらプリントやらと色々渡し、あとみんなに待ってるのは一つだけ。
「うし、じゃあホームルーム終わりっ! みんな、楽しい夏休み過ごせよー!」
約40日の、長くて短い夏休みの始まりだ。
- 73 名前:第6話「夏休みの始まりです」 投稿日:2001年06月05日(火)16時18分24秒
- この学園は寮制。
けれど、夏休みや冬休み、春休みといった休みは、みんな、家に帰る子が殆ど。
部活がある子は、どうせ帰っても毎日学校へ来なければいけないから、寮に残る子もいるけれど。
吉澤は帰省する組。
夏休みの間後藤に会えないのは寂しかったが、親や弟達に会いたかったので、帰ることにした。
前日に、電話で夏休みは帰るという事は伝えてある。
あとは寮へ戻って、荷物の整理をして出て行くだけだ。
友達にバイバイと言って、ウキウキしながら寮へと向かう。
向かう途中で、ある4人が目に入った。
「よっ、吉澤。元気がいいねぇ」
そう言ったのは飯田。
「どうも。今から家帰るんで。ちょっとね」
「えっ、もう家帰るんだ。早いね」
驚いたように声をあげたのは矢口。
いつもの3年のデコボココンビ。
じゃあ残りの2人はというと。
「市井も家帰りたいよぉ…」
「ダメよ。アンタはこれからほぼ毎日補習なんだから。
とりあえず今日は深夜までビシバシ勉強よ」
これまた珍しい、保田と市井コンビだ。
市井が逃げないようにおもちゃの手錠を両手にかけられ、首根っこを掴まれてる。
「そんなに点数悪かっ…」
「聞かないでやって」
矢口にストップされ、言葉を止める。
言わさないようにするのは、彼女なりの優しさなのか。
けれどそんなに悪かったんだとは充分窺える。
- 74 名前:第6話「夏休みの始まりです」 投稿日:2001年06月05日(火)16時19分03秒
- 「ほら、早く実習室行くわよ。善は急げよ」
「あぅっ」
渋ってる市井を無理やり引っ張り、保田が行動開始。
でもなぜ矢口のクラス担任の保田なんだろう。
疑問に思い、隣にいた飯田に尋ねる。
「紗耶香の担任ってあっちゃんじゃん。しかも学年主任、音楽の前田先生だし。
そんで美術以外は一通り教えられる圭ちゃんが動いたってワケですわ」
市井の担任のあっちゃんこと稲葉貴子は、吉澤が覚えていた限りでは教えている科目はダンスのハズ。
それにこの前市井が、他の教科は全然ダメとか言っていたような。
だから頭の悪い市井の勉強を教えることが出来ず、学年主任で音楽担当の前田も教えることが出来ず、
厳しくて有名な、保田に教えてもらうことになったのか。
少し説明足らずな飯田の説明。
それを自分なりに考え、答えを出した。
「あーあ。せっかく夏休み予定空けてたのに…」
ほぼ毎日補習の市井のせいで、それも台無し。
大きくため息をついて、呟く。
「まぁまぁ。ヒマならさ、圭織と遊ぼうよ」
「圭織には、りんねちゃんがいるじゃんかぁ」
「恋より友情。圭織は矢口の味方」
「……ほんとかぁ?」
疑いの眼差し。
自分は友情より恋を取っておいて、よく言えるよ。
以前そう言われた時の古傷が痛む。
「あったり前じゃん。矢口まだ帰らないんだよね?」
「うん。とりあえず紗耶香が家帰るまで待つけど…」
「じゃあ圭織もまだ帰んないからさ、今日パァーッと遊ぼうよ! もちろん吉澤も!」
「ええっ、でもあたし、今日家帰るのに…」
「細かいこと言うなぁ! それでも男か!」
「女です!」
いちいち突っ込んでも無駄だということは重々わかっております。
けれど言わなきゃいられません。
市井と一緒で、この人と一緒にいると疲れる。
- 75 名前:第6話「夏休みの始まりです」 投稿日:2001年06月05日(火)16時19分40秒
- 「さっ、思い立ったら吉日。即行動!」
1人張り切っている飯田。
矢口は、仕方ないなぁという感じで飯田の後ろについていっている。
吉澤はそのままばっくれようとしたのだが、飯田に見つかり失敗。
覚悟を決めて、二人の目を盗んで携帯で家に連絡しようとした時、やっと見つけたと言わんばかりの
声が3人の耳に届いた。
「もぉ〜探したんだからね、圭織」
「あ、りんね」
飯田の恋人、戸田鈴音だ。
「圭織まだ帰んないの? りんねはもう北海道戻るけど」
両手には、大きな旅行バック。
帰る準備は満タンだ。
「あ、ちょっと待って。圭織も帰ろうとしてた所だから」
「「はあっ!?」」
言っていることが全然違う。
つい今の今まで、みんなで遊びに行こうとしていたんじゃないのか。
「ちょっと圭織っ」
「あーごめん矢口っ。そーいうことだから。じゃ、また電話してよ。夏休みでも会おうねぇー」
「なっ、待てよおいぃ!」
止める矢口に目もくれず、一目散に恋に走る飯田。
やっぱり、この人といると疲れる。
それに、余計頭が痛くなる。
どうして周囲には変わった人しかいないんだ。
早く、家に帰りたかった。
- 76 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月05日(火)16時23分17秒
- 第6話「夏休みの始まりです」終了。
もしかしたら、またしてもさやまり番外編(エロなし)書くやもしれませぬ。
さやまりに愛を注ぎまくってる気がする…。
その愛を、吉澤にも注いでやればいいのにと思うのに…(w
>>67
情けないへナと、そのへナを育てた矢口を好きといってくれてありがとうございます。
なるべく合間をぬって、早めの更新を心がけていますので、お暇があればチェックしてやってください。
>>68
上でも謝ったんですが、もう一度。
自分も市井の名前、「沙耶香」と間違えられたら頭に来るんで。
68さんごめんなさい。
末永ファンの方、ごめんなさい。
また、他に間違ってたら訂正してやってください。
本人、全然気づいてないので、指摘してくだされば嬉しいです。
( `.∀´)<そんなこと言ったら、この話間違いばかりよ!
>>70
(○^〜^○)<任せられるもんなら、とっくの昔に任せてますよ…
( ゜皿 ゜) <ジャアカオリニマカセテヨ
(;○^〜^○)<余計任せられませんよ!
やっぱ一組くらいはバカップルは必要でしょうってことで。
とか言いながら、ホントは俺が書きたかっただけ(w
>>71
面白いは最高の褒め言葉です。
市井のキャラが好きですか。へナ市井が好きですか。
ありがとうございます。
ごま裕は、これから動き出す予定……。
- 77 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月05日(火)18時26分27秒
- いや〜更新されてましたね。やっぱはやいっ!
見ましたエロ無くてもいいので番外編も書いてください。
ちなみに自分はさやまりも大好きっす!
- 78 名前:ぷち 投稿日:2001年06月05日(火)20時53分22秒
- さ・・・さ・・・
さやまりの番外編!?
激しく希望です!!
- 79 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月06日(水)03時02分17秒
- 作者さん!!さやまりの番外編は書くべきです。
書くのが吉と占いで出てました(w
- 80 名前:68 投稿日:2001年06月06日(水)07時55分53秒
- 末永ヤンキーってのがワラタのでちょこっと残念だっただけッス。
作者さん、あんま気にしないで(w
- 81 名前:第7話「最強の凸凹コンビ」 投稿日:2001年06月06日(水)15時49分44秒
- 夏休みも8月の中旬に入り、部活から1週間休みをもらった。
ほぼ毎日あった部活の、先生が休みたいが為の突然の休暇に少々驚いたが、吉澤も
身体を休めたかったので、嬉しかった。
「さぁ〜て、どうしようかな…」
夏休みの宿題は7月中に終わらせた。
最初の方で終わらせておかなければ、あとでしんどくなることは判ってるから。
じゃあこの1週間何しようか。
「梨華ちゃんでも誘おうかな…」
石川なら、たぶんもう宿題も終わっているだろう。
それに石川が所属しているテニス部はインターハイ予選で敗退して、今は休暇中と言っていた。
そう思った吉澤は、早速電話をしようと携帯を手に取った。
と、その時、賑やかな着メロが鳴り、画面に『石川梨華』の文字。
「もしもしー」
『あ、よっすぃー? 私、梨華』
「はははっ、判ってるよ。だって名前出てるもん」
『あ、そっか』
電話越しに、いつもの照れ笑い。
お互い部活をやっている為、大抵毎日夏休みでも学校で会っているけれど、何だか懐かしい気がした。
『あのね、明日遊ばない?』
「明日?」
えらい急だな。
でも特に予定がなかったので即オッケー。
待ち合わせ場所と時間を決めて、電話を切った。
- 82 名前:第7話「最強の凸凹コンビ」 投稿日:2001年06月06日(水)15時50分33秒
- ――
夏休みなだけあって、人が多い。
若者の街だけあって、若者が多い。
そんな中に1人、約束時間を30分過ぎても待っている吉澤がいた。
何度携帯に電話しそうになったろう。
けれど昨夜充電するのを忘れ、現在充電切れしている携帯を見てはため息。
番号を覚えていれば、公衆電話でかけれるのに。
ただ待ってることしか出来ない自分。
「梨華ちゃ〜ん…」
待ち合わせ時間から、もうすぐ40分経つ。
1時間経ったらもう帰ろう。そう決心した矢先、ピンク色の洋服が見えた。
「あ」
あれは、あのピンクは絶対に梨華ちゃんだ、そう確信して歩み寄ると、
その石川の隣に、背の小さい金髪のギャルと、モデルのようなスタイルをした、長い綺麗な茶髪の人が。
サーッと、一瞬冷や汗が出た。
確認した石川の顔は、見つかってしまったという後悔のような。
今の、吉澤と同じ顔だ。
「ごめん、よっすぃー」
来た早々、謝られた。
これは、遅れて来ての謝罪じゃなく、見つかってしまったことに対する謝罪だろう。
「い、いや。いいよ別に」
見つかってしまってから、文句を言ってももう遅い。
それにもうデコボココンビはそこにいる。
「いやぁ〜、そんな、2人だけで遊ぶなんてみずくさいなぁ。
矢口達も呼んでくれればよかったのに」
「そうだよ。いつでも実家の北海道から飛んでくるさぁ!」
「飛んでこないでください」
飯田の言葉にすかさず反応。
その為に飛んでこられちゃ、本当に迷惑だ。
それに、単体でいてもこんなに疲れるのに、このデコボココンビ2人が揃うと、とんでもないことになる。
前遊んだ時、それがよく判った。
矢口はイイのが見つかるとどんどん買い、最後は1人で持てなくなるほど買い込む。
市井がいれば喜んで市井が持つのだが、その時は授業をサボって怒られていたので、行けなかった。
だからそれは全部その中で1番力があった吉澤が持つことに。
飯田は飯田でイイのが見つかると、誰にも言わずに1人で消えて、迷子に。
しかもこっちは何時間も探していたのに、あとで聞くと一つの店にずっといたとか言い出すし。
だからもう、この2人と買い物をしたりするのは嫌なんだ。
それは石川も一緒。
- 83 名前:第7話「最強の凸凹コンビ」 投稿日:2001年06月06日(水)15時51分10秒
- ――
「大体さぁ、本来なら昨日だって紗耶香と遊ぶつもりだったのにさ!
あのバカ、また補習で行けないとか言い出すし。矢口と補習、どっちが大事なんだよ」
「荒れてますねぇ、矢口さん」
「そりゃ荒れたくもなるよ! 先週もさ、せっかくかなりイイ雰囲気の時に、圭ちゃんから電話かかってきて…。
『アンタ、今日補習でしょ! どこほっつき歩いてんの!』って。
あーもう。思い出しただけでムカツク。まぁ、仲直りしたからいいけど」
「バカなヤツが相手だと苦労するねぇ、矢口君。
その点圭織は、りんねでよかったぁ〜」
大分天然が入ってるけれど、毎日補習がある市井程バカじゃない。
地元が一緒ということもあり、会おうと思えばいつでも会える。
「なっ、バカって言うなぁ! 紗耶香のことバカって言っていいのは矢口だけぇ!」
「ごめん。じゃあ言い直す。アホに」
「殺すよっ」
「やってみろよぉ」
そう言って、喫茶店でケンカを始めるデコボココンビ。
もちろん本気じゃない。本気でやり始めたらこっちも困る。
「相変わらずだねぇ」
「……だね」
夏休み前と一つも変わらない2人を見て、思う。
けど、少しは進歩して欲しかった。
うるさいなぁというのが丸判りな店員と周りの客の視線が、とてつもなく痛かった。
かといって、止めることの出来ないのが、石川と吉澤である。
- 84 名前:第7話「最強の凸凹コンビ」 投稿日:2001年06月06日(水)15時51分46秒
- 「そういえばさ、」
思い出したかのように石川に声をかけようとしたのだが、突然鳴った電話の音に阻まれる。
「ごめん、ちょっと待って」
それは石川の携帯であったようで、カバンに入れていた携帯を取り出し出る。
出た途端、石川の顔色が不機嫌な顔になる。
「……誰だと思う?」
その、かかってきた電話の相手。
矢口がこっそりと飯田と吉澤に耳打ち。
いつのまにかケンカは止めて、吉澤だけじゃなくデコボココンビの視線は
少し離れた所に移動して話している石川に向けられている。
「矢口さんは、誰だと思うんですか?」
おもしろそうに笑ってる矢口に、反対に問い掛ける。
すると矢口は飯田と顔を見合わせ、2人同時にこう言った。
「「んなの、あゆみちゃんに決まってんじゃん」」
自信たっぷりの顔で。
まあ、確かにそうとも考えられるが、柴田だとしたら、石川が不機嫌な顔するだろうか。
むしろ反対に上機嫌な顔だろう。
そう言い返すと、何言ってんのとばかりに矢口が言う。
「梨華ちゃんとあゆみちゃん、ずっとケンカしてたじゃん。
ほら、よっすぃーも聞いたでしょ? あゆみちゃんが村田さんとかとばっか遊んでて相手してくれないって」
「圭織なんか、そん時泣かれて、どうしようかと思ったよ」
「えぇ? でもあれは夏休み前の話じゃ…」
まさか、それからずっと?
でも先輩の観察力はすごかった。
- 85 名前:第7話「最強の凸凹コンビ」 投稿日:2001年06月06日(水)15時52分22秒
- 「あの子ら、お互い、頑固なトコあるじゃん。だから、自分が謝らないって決めたら、
向こうが謝るまで絶対謝らないぞってトコとか」
「それに、梨華ちゃん食堂に最近はずっとあさみちゃんと来てたもん。
仲直りしてない明らかな証拠でしょう」
人がケンカしているのを見ているのがそんなにおもしろいのか、楽しそうに話す先輩2人。
後輩の心配はしなくていいのかと突っ込みたくなるが、それが出来れば苦労しない。
「じゃあ、今回の電話、相手があゆみちゃんだとすると、何言ってると思います?」
それだけ観察力に優れているんだったら、試してみよう。
早速吉澤の質問を聞き、石川の様子を見て推理。
「瞳が潤んでる石川から見て、あれは、あゆみちゃんが折れたね。
あゆみちゃんの方が我慢弱かったか…」
「それもあるけど、村田さんとかに色々言われたからかもしんないよ。
まっ、あゆみちゃんが謝らなきゃこのまま破局だったから、いい選択だったね」
「同感」
そう言って、2人して頷く。
しばらくして戻ってきた石川に聞くと、まったく2人の言ってる通りだった。
ちょっぴり先輩2人を見直した今日でありました。
「あーっ、そういや今日、3年登校日の日だったー!!」
「そうだっ! その為に北海道から出て来たのに!!」
……といっても、見直したのはほんのちょっぴりで、ほんの一瞬だけだったんだけど。
- 86 名前:第7話番外編「補習組」 投稿日:2001年06月06日(水)15時53分20秒
- ミーンミーンと、セミの鳴き声が聞こえる。
夏だ。
ガミガミと、怒鳴り声が聞こえる。
保田だ。
「ほら、問4間違ってる! さっき説明したばっかりでしょ!」
「えぇっ、そうでしたっけ〜?」
「そうよ! アンタ、人の話ちゃんと聞いてる!?」
「ひぃっ!」
ドン、と机を叩く音に反応し、ビクッと身体が震える。
さっきからずっとこんな調子だ。
しかも保田が怒る度に、汗とつばが市井にかかる。
本人に自覚がないので、言うに言えない。
今度、学園の職員室前にある生徒投書箱に、『保田先生、汗とつばを飛ばさないでください』と
書いて入れようと誓った市井であった。
- 87 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月06日(水)15時54分09秒
- 第7話「最強の凸凹コンビ」終了。
それに、第7話おまけ「補習組」終了。
>>77
チェックしてくれて、ありがとうございます。
ご期待に応えれるよう、できるだけ早く更新心がけます。
番外編希望っすね、わかりました(w
>>78
おぉっ、ぷちさんじゃないですか。
ぷちさんの更新も、激しく希望しとるんですが…(w
>>79
(#〜^◇^〜)<バカッ! エロなしって言ってんじゃん!(カオマッカ
占いで出てましたか(w
わかりました、占いに従います(w
>>80
(○^〜^○)<じゃあ、あたしのファンですか?
何回も確かめたつもりなんですけど、ずっと勘違い。
そんな自分が恥ずかしいんです……(w
- 88 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月07日(木)04時03分30秒
- いいですね〜凸凹コンビ!!
それにしても、みんないい個性を持ってますね。
これじゃ〜吉澤の影が薄くなる訳だ。(w
そんなことを心配しつつも、それ以上にバカップルの番外編を楽しみにしてたりする・・・(w
- 89 名前:第7話サイドストーリー「先週の詳細」 投稿日:2001年06月07日(木)13時32分57秒
- 午前9時、今日和学園の校門前。
中を窺うようにして見ている、ショートカットで男前な人物。
そこに、準備運動のため学園の周りを走っていた陸上部の子達が帰ってくる。
その陸上部の子の1人が、その怪しい男前を見て嬉しそうな声を出す。
「あー、市井センパイだぁ」
言われた男前―市井は、すぐさま体勢を整え、いつもの外面。
「おはよう。部活、頑張ってね」
キラッと白い歯を見せ、その子に微笑みかけ。
そして何事もなかったかのように中へ入って行った。
「はぁ…やっぱり今日も来ちゃったか…」
本当はばっくれようと思ったのに。
毎度毎度校門の所で窺っていると、ああやって声をかけられ入らざるをえない。
「保田センセー、来ましたよー」
職員室の扉を開けて、保田を呼ぶ。
そして一緒に実習室に行って勉強を開始するのだが、呼んだのに中々保田が出てこない。
「センセー、市井ッスよ。いないの?」
中に入って保田の姿を探してみる。
………いない。
こんなの、夏休み入ってほぼ毎日行ってるけど初めてだ。
- 90 名前:第7話サイドストーリー「先週の詳細」 投稿日:2001年06月07日(木)13時33分41秒
- 「おっ、紗耶香やない。どーしたん?」
「おぉ、あっちゃん」
キョロキョロ職員室を見回していると、そこに担任の稲葉が登場。
「圭ちゃん探してんの? あっそっか、補習か」
「そう。補習。で、センセーは?」
「圭ちゃんは……あ、そうや。さっき、なんやお客さん来とったで」
「お客さん〜?」
「うん。生徒が学校辞めて専門学校行きたいとか言って、その親が相談してんねん」
「へぇ…」
話的には全然興味はなかったが、あることを思い付いた。
「その相談って、時間かかるよね?」
「まぁ、多少は。だから、先行って勉強しててって伝言預かってたけど」
「わかった。じゃ、市井は1人で勉強してますわ」
じゃあねぇ〜、と不気味な笑みを浮かべ、職員室を去って行く市井。
一瞬変に思った稲葉だったが、時計を見るとダンス部の練習が始まる時間なので、
すぐに忘れて生徒の元へ向かった。
それを、こっそり柱の陰に隠れて見送る市井。
稲葉の姿が見えなくなったのを確認し、うひゃひゃひゃ、と1人笑った。
「だぁ〜れが好き好んで勉強なんかするかってんだ。
このチャンス逃すほど、バカなんかじゃないぞ」
そう言って携帯を取り出し、愛しい人矢口の番号を呼び出す。
そして……
『もしもしー。なんだよ、どうしたのさこんな早くに』
「いやぁ、おはようやぐっちゃん。今から遊ぼうと思ってさ」
『えっ、遊べんの? 補習は?』
「今日は、保田先生が便秘で休みなんだ」
『キャハハッ、何それ〜そんなのアリなの〜?』
補習をサボり、矢口を誘い出すことに成功。
- 91 名前:第7話サイドストーリー「先週の詳細」 投稿日:2001年06月07日(木)13時34分13秒
- ――
「おっじゃましまーす」
「どうぞどうぞ。まっ、市井ん家じゃないけどさ」
ウィークリーマンションに矢口を招き入れる。
珍しそうに部屋を見渡して、矢口はベッドのふちに腰を下ろした。
「ねぇ、こんなトコって高いんじゃないの? 家帰った方が安いじゃん」
冷蔵庫からジュースを取って、矢口に指し出す市井に話かける。
「そりゃ家帰れば金かからなくて済むけど、千葉だよ?
どうせ毎日補習で学校来なきゃならないんなら、こうやって都内で借りる方がいいよ」
「……寮にいれば1番楽なような…」
「まぁ、そうだけど。なんだかんだいって寮ん中いると、厳しいし。
学園の中が規則緩いのあって、寮うるさいじゃん」
「あ〜、そういわれればそうだね」
納得したように頷く。
そんな矢口の隣に、市井も腰を下ろした。
(なんか、すっごい緊張するんですけど……)
2人っきりになるのは、初めてじゃない。
何度か、お互いの同室の吉澤や飯田が気をきかして2人にさせてくれた。
でもここは寮の部屋じゃない。
だから、余計に緊張するのかも。
チラッと市井を見てみると、早起きしたのか、眠そうな感じで、頭を掻いている。
別に、緊張しているみたいじゃない。
(なんだよぅ、ちょっとは緊張しろよなぁ。好きな人と2人っきりなんだぞぉ?)
自分だけが緊張しているのがとってもムカツク。
ムカついたので、ぺシッと頭をはたいてみた。
「えぇっ!? い、市井なんかした!?」
突然何の前触れもなく頭をはたかれた市井はすごく動揺。
「………してないからムカツクの!」
市井にあたっても意味のないことは判ってる。
けどまだ素直にちゃんと言えない。
「………?」
ハテナマークがずっと飛び交っていた市井だが、それ以上矢口が何も言いそうになかったので
自分もそのまま黙っていた。
- 92 名前:第7話サイドストーリー「先週の詳細」 投稿日:2001年06月07日(木)13時34分58秒
- 居心地が悪いとは、こういうことをいうのだろうか。
市井は思っていた。
すぐ隣には、俯いて怒っている―ように見える―矢口。
本当は、市井の右手の小指と矢口の左手の親指が少し触れていて、それに対して
ドキドキして顔が紅潮しているのを見られたくないからなのだが。
そんなこと、市井が知っているハズもない。
「ねぇやぐっちゃん」
思い切って、下から顔を覗き込んでみる。
瞬間、ピンク色だった頬は一気に真っ赤になって。
もう遅いと思ったが、急いで今度は顔を横に向ける。
「………もしかしてやぐっちゃん、緊張してんの?」
「う、うるさいっ!」
やっと気づいてくれたことには嬉しかったが、気づいてくれたら気づいてくれたで恥ずかしい。
耳まで赤くなる。
「…………かわいいなぁ」
「な、何言って…」
「すっげ、かわいい」
抵抗して手を振り回すが、あっさり捕らえられ、大人しくなる。
そして、引き寄せられるまま唇を重ねた。
何度も顔の角度を変えて、キスを繰り返す。
市井のキスは強引とはすごく程遠く、矢口の気持ちを考えた優しいキス。
これまで幾度となくキスを交わしてきたけれど、未だキス止まり。
それ以上先に進んだことはない。
それに、ただ合わせたりするだけのキスより、もう少し進んだ、舌同士を絡め合うディープキスだってまだだった。
- 93 名前:第7話サイドストーリー「先週の詳細」 投稿日:2001年06月07日(木)13時35分46秒
- 「……ハァッ…」
顔を離し、トロンとした目で市井を見上げる。
見上げた市井の顔はとても優しく、目が合うと微笑んでくれた。
それだけで胸の奥がいっぱいになって、とても幸せな気分になれる。
「………」
「や、やぐっちゃん…?」
黙って、背中に手を回した矢口に少しビックリしたが、市井も受け止めてくれる。
それが嬉しくて、甘えるように頭を肩に埋めた。
埋めた時、市井の身体が大きくビクッと震えると、いつのまにか矢口はベッドに押し倒されていた。
「嫌だったら、押し退けていいよ…」
「んっ」
喉元にキスされる。
そのまま市井の唇は耳や首筋を行ったり来たり。
最初、押し倒された時、戸惑ったが、矢口もこうなるのを望んでいたので押し退けたりはしない。
反対に、離れないように覆い被さってる市井の背中を両手でしっかり抱きしめた。
それを市井も判ったのか、徐々に大胆に。
キャミソールの裾をたくし上げ、やわらかい2つのふくらみを覆っている下着をずらす。
見られることに恥じらいを感じた矢口は、両手で顔を覆う。
それが気に入らなかったのか、市井は胸から視線を外し、覆っていた手をどける。
どけると、例えようのないくらい真っ赤で瞳に目いっぱい涙を溜めた矢口が見えた。
「いいのに……ヤだったら我慢しなくても…」
「ヤじゃないもん……我慢なんかしてない……んっ」
そう言った途端、いきなり唇を塞がれる。
その時、初めて舌を入れられた。
初めてのことに驚きすくんでいる矢口の舌を、市井の舌が探し出し絡ませる。
矢口もオドオドと、市井に応えるよう一生懸命舌を絡ませた。
絡ませている内、口内にお互いの唾液が溜まっていく。
気持ち悪いなんて、一つも思わない。
その唾液を、迷わずに飲み込んだ。
- 94 名前:第7話サイドストーリー「先週の詳細」 投稿日:2001年06月07日(木)13時36分19秒
- 「はっ…んんぅっ…」
舌を絡ませながらも、市井の手は休まない。
市井がたくし上げたせいで、覆うものは何もなくなった胸に添えるよう、先端に親指の腹を当てる。
そこはもうすでに固く、尖っていた。
しばらくそこで遊んで、手を下へとずらしていく。
その手が、ミニスカートの中、太股に差し掛かった時、市井の携帯の電話が鳴った。
携帯の着メロは、最近リバイバルされた、エクソ○ストのテーマだ。
不気味な音楽が、静かだった部屋に響く。
サァーッと市井の顔色が悪くなり、胸にあった顔を上げる。
もう、続きをすることは出来なくなった。
ベッドの隅っこで、三角座りになりブルブルと震え始める市井。
その間も、エクソ○ストのテーマは鳴り続ける。
「紗耶香?」
中途半端に中断された上、電話にも出ない。
オカシイと思い声をかけるが、市井は答えることなくブルブル震えるだけ。
「もうっ」
なんなんだよぉ、と不満をこぼしながら、たくし上げられたブラやキャミソールを直し、
市井の代わりに電話に出てやる。
出た途端、いきなり電話越しに大声で怒鳴られた。
『アンタ、今日補習でしょ! どこほっつき歩いてんの!』
「け、圭ちゃんっ!?」
電話をかけてきた人物の正体が判り、隅っこで震えている市井をものすごい形相で睨む。
確か市井は、今日補習はないと言ったハズだ。
なのになぜ、便秘で休んでいる保田から電話がかかってくるんだ。
それに、見ての通り怯えて震えている市井。
頭のいい矢口は、すべてを悟った。
- 95 名前:第7話サイドストーリー「先週の詳細」 投稿日:2001年06月07日(木)13時37分04秒
- 「圭ちゃん? 矢口だけど」
『矢口?………なるほど、矢口の所に逃げ込んだのね』
「紗耶香のバカが迷惑かけてごめんね。すぐ連れて行くから」
『悪いね』
「いやいや。こっちこそ」
謝るのもそこそこに、電話を切る。
そしてその携帯をポンと市井の方に投げた。
「アンタね、矢口に嘘ついたね?」
「い、いや……嘘ついたワケじゃ…」
「黙って」
「ご、ごめんなさい」
シュンとなっている市井を無理やり立たせ、勉強道具を入れていたカバンを持たせる。
「さっ、早く学校行くよ」
「えぇっ、マ、マジっすか!? 勘弁してよ、殺されるよっ」
「バカッ。なんでサボったくらいで殺さなきゃなんないのよ。ぐずってないで、早く!」
「ひえ〜っ」
矢口にも怒られ、学校に着いてから保田にも怒鳴られることを想像すると、泣きそうになる。
こんなことなら、ちゃんと1人で勉強するんだった。
今頃後悔が出てくる。
「………ごめん、やぐっちゃん」
迷惑かけて、ごめんなさい。
市井の手を引いて前を歩いてる矢口に謝る。
「………ホント、まいるよ」
振り返って、呆れたように矢口が言う。
けど最後には笑って、こう言ってくれた。
「今度は、ちゃんと補習がない時に………しようね」
自分で言っておきながら照れて赤くなる。
それを隠すように、歩く歩調を速めた。
「う、うんっ」
市井はその矢口の一言で元気を取り戻し、いつもの調子に戻る。
「そうだっ! やぐっちゃんも一緒に勉強しようよ!」
「バカッ! 学年違うのに一緒に勉強してどうすんのっ!」
「あ、そっか」
納得して手をポンと合わせる市井に、つい笑ってしまう。
(迷惑はいっぱいかけられてるけど、その分楽しさはいっぱいもらってるから……いっか)
そのあと、市井と一緒に保田の元へ到着。
到着した途端、ガミガミと、市井と一緒にお説教される。
(やっぱりよくない……)
そう思い直す矢口であった。
- 96 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月07日(木)13時38分02秒
- 第7話サイドストーリー「先週の詳細」終了。
先週というのは、第7話の>83で矢口が言っていた時のことです。
エロなしとか言いながら、やっぱり少し書いてしまった……(w
>>88
ヽ^∀^ノ<まぁ、表向きはな。本当の主役はこのへナ市井だぁ!!(嘘
吉澤の個性は、普通っぽいってことで(w
やっぱ周りは濃すぎるのかなぁ。
あまりに影の薄い吉澤に、作者はちょっと心配になったりしてます(w
- 97 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月07日(木)14時42分29秒
- ちゃむキャワイイ!!
サイコーっす。最後までいける日を心待ちにしております(w
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月07日(木)18時14分31秒
- やべぇ〜。ニヤけた顔が戻らない・・・。
さやまり最高!!
続き期待!!
- 99 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月07日(木)19時34分34秒
- 矢口のかわいさがすっごく伝わってくるようでした。
市井の単純なところもとてもよかったです。
やっぱこの小説ではさやまり一番好きです。
続き期待してます!頑張って下さい!!
- 100 名前:ぷち 投稿日:2001年06月07日(木)23時19分27秒
- さやまりぃぃぃいいい♪
>ぷちさんの更新も、激しく希望しとるんですが…(w
ギクッ!!(w
も・・もう少し 待っていただけると嬉しいです(汗)
必ず完成させますんで・・・・
- 101 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月08日(金)03時56分25秒
- いいっす!!
やっぱりさやまりは最高です!!
>吉澤の個性は、普通っぽいってことで(w
吉澤の個性が無いところが、この小説では十分個性になってます。(w
- 102 名前:第8話「保田と市井〜千葉県好きですか?〜」 投稿日:2001年06月08日(金)16時43分39秒
- 今日も今日とて実習室で勉強。
夏休みも残り3日となったのに、ほとんど(というか全然)遊びに行っていない。
でも、保田と一緒にやっているおかげで、夏休みの宿題は終わったのだが。
「ほらぁ、まーた同じ間違いしてる」
一生懸命考えて書いた問題は、その保田の一言で意味をなくす。
渋々けしごむで答えを消し、また問題を解く。
けれど、さっき教えてもらったハズなのに、一つもわからない。
「……センセー、どうやるんでしたっけ?」
「ア、アンタねぇ…それでも約40日、勉強してきたの?」
「何言ってんスかセンセー。それこそ死に物狂いで…」
「死に物狂いで、何よ」
「うっ」
まさか、勉強してきた、なんて言えない。
「教えてる人が悪いんだ……やぐっちゃんだったら……」
「何!?」
「な、なんでもありません!」
言えたら、毎日来る苦労なんてしないでいい。
「はぁ、もうそろそろ、食事にしようか」
時計を見ると、もうすぐ12時。
お昼ご飯にはちょうどいい時間だ。
「やった! じゃあ食堂行きましょう!」
「アンタ、ご飯の時だけ元気ねぇ」
「まぁね。元気だけが取り得ですから」
「ホント、元気だけね」
「…………いちいち、その部分だけを強調しないでください」
そんな話をしながら、2人は食堂へと向かった。
- 103 名前:第8話「保田と市井〜千葉県好きですか?〜」 投稿日:2001年06月08日(金)16時44分14秒
- 食堂に行くと、練習を再開したバレー部やテニス部、その他の運動部がそこそこ並んでいた。
今日はいつもよりそんなに混んではいない。
でも並ぶのが面倒くさかった市井は、同じ2年の運動部の子の後ろに入れてもらおうと声をかける。
それでオッケーをもらったのだが、無言で後ろに立っていた保田に連れられ最後尾に。
毎度飽きもせず、いつもこの繰り返しだ。
「あ、そうだ。ご飯食べ終わったら、ちょっと職員室ついて来てよ」
「えー、そんなの、1人で行ってくださいよ」
「ダメよ。アンタ1人にしたら、また矢口のトコ逃げ込むからね」
前科があるからか、以前より更に市井のマークが強くなった気がする。
でもあれだけ怒られたのに、またサボって同じように怒られたくない。
だからもうしませんと言っているのに、全然信じてくれないのだ。
「わかりましたよ、しょうがないなぁ」
「悪いわね」
いえいえ、と返すものの、
(悪いと思うなら1人で行けよな……先生じゃなかったら蹴っ飛ばしてるところだ…)
出来もしないのに心の中でそんなことを思いながら、笑顔で返す市井であった。
- 104 名前:第8話「保田と市井〜千葉県好きですか?〜」 投稿日:2001年06月08日(金)16時44分47秒
- ――
保田が職員室の中に入ってから、早20分。
出て来る気配が一つもない保田に、市井は苛立ちを募らせる。
「ちくしょう…このまま行くと、30分近くオーバーじゃんか」
補習が終わる時間は、午後4時。
しかしその途中市井がトイレに行った時間やこういう勉強をしていない時間が
ロスタイムとなり、終了時間延長。
勉強だけでなく、時間にも厳しいのだ。保田は。
「おっそいなぁ…まだかなぁ…」
耐え切れなくなって、職員室の中を覗いてみる。
みると、保田はいたのだが、何やら中澤と喋っている。
「あれ、裕ちゃんもいたんだ」
朝、いつものように覗いて見た時には、中澤はいなかったハズ。
そもそも中澤は部活の顧問をしているワケでもないのに、なぜいるのだろうか。
まぁ、先生は色々あるから、何か用事もなくここにいるワケがない。
なんだろう……そう市井が考えた時、一瞬にしてそれは解決。
「センセー」
スッ、と市井の目の前を、肩より少し長い髪をなびかせて通って行く。
首から提げた携帯のストラップ同士がぶつかり、ジャラジャラと音が鳴っている。
(へぇ……この子が吉澤の好きな……)
後藤真希。
夏休みの間に、染め直したのだろうか。
入る前はかなりの茶髪だったのに、今は大分黒が目立っていた。
- 105 名前:第8話「保田と市井〜千葉県好きですか?〜」 投稿日:2001年06月08日(金)16時45分18秒
- 「さっき言ったセンセーって、裕ちゃんのこと?」
「…は?」
「いや、言ってみただけ」
あきらかに、この人何言ってんの? という視線を向けられるが、まったく市井は気にしない。
ただ、前の吉澤と矢口の会話を思い出して、本当かどうか確かめたくなった。
「裕ちゃんなら、今保田センセーと話してるよ」
後藤が呼んだのをもう中澤と決め込んで会話を進める。
「誰も、中澤センセーなんて言ってないじゃん」
「じゃあ、誰センセイ?」
「………」
決め込まなくても、その黙ってしまった後藤を見ると、すぐに判るのだが。
それに、もし吉澤の言う事が本当なら、後藤が中澤以外の先生に、笑顔で「センセー」と呼ぶハズがない。
滅多に笑わなくて、無表情な子らしいのに。
「いぇーい、あったりぃ♪」
当たったから、今度デートしてよ、と冗談でそう言うと、
「バッカじゃないの?」
と、すごい呆れて言われた。
「センセー、何やってんの。早く実習室行こうよ」
「もう少し待ってー」
もうこんな人と隣に居たくないと言わんばかりに、中で保田と話している中澤を急かす。
その後藤の言動に多少ムカッときたものの、1つ先輩ということで落ち着かす。
ここで怒っちゃ、吉澤にも悪いしね。
「なんだ。後藤さんも補習かぁ。市井と一緒だねぇ」
ニコニコと、無理やり笑顔を作って言う。
そんなところで無理しても、どうせ結果は一緒なのだけど。
「………毎日補習の、アンタと一緒にされたくない。
それに、アタシは補習で来たんじゃないもん」
「なっ…」
毎日じゃないやい、“ほぼ”毎日だ!
そう言い返そうとするが、そこに、話終わった中澤がやって来て、それは言えなくなる。
けれど、これだけは言わずにはいられなかった。
「補習じゃないなら、何しに来たんだよ!」
中澤の手伝いか? 個人面接か?
それとも、
密会か? 逢引か?
「……………補習だよ」
なんだよそりゃ、思わず突っ込みたくなる答えだった。
- 106 名前:第8話「保田と市井〜千葉県好きですか?〜」 投稿日:2001年06月08日(金)16時46分06秒
- 「あーくそっ、マジむかつく」
補習で来たんじゃないとか言いながら、あとで補習で来たとか言い出す後藤。
ムキになって言った自分がバカみたいだ。
いや、実際バカなんだけども。
「何をそんな怒ってんの。別に、いいじゃない」
「よくないっスよ! なんなんだ、アイツは。裕ちゃんもよくあんなヤツの面倒見るな」
「それは、あたしにも言えることよ」
「…………それは、市井のことですか」
「直訳すると、そうね」
「直訳しなくても、もう最初からそう言ってるでしょう」
あらそうだった? 笑う保田に、睨みで返す。
「………でも、裕ちゃんが後藤の面倒を見るのは、放っておけないからなの」
「へっ?」
「裕ちゃんはああ見えて、ホントはすごく優しいから……。
放っておけないのよ、他人に心開かない後藤さんを………。
だからって、許すワケにはいかないんだけどね」
前方を歩いている中澤を見つめ、呟く。
「……許すワケにはいかないって、何を許すワケにいかないんですか?」
まったくと言っていいほど、話が見えてこないし、保田の言っている意味が判らない。
「………なんでもない。ほら、早く勉強するわよ! 30分延長だからね!」
「えー! その30分は、センセーの勝手な都合じゃないッスか!」
「黙って言う事聞く!」
「ひぇ〜っ、やぐっちゃん助けてくれぇ〜」
「助け求めたって、矢口はここにはいないわよ。いるのはあたしだけ」
「もっと嫌だぁ〜」
「なんですって!?」
大きな目を更に大きくさせ、市井をすごい形相で睨む。
瞬時に黙る市井。
それから、反抗することはなかった。
市井が、鈍感でよかった。
保田は、つい口走ってしまったことを後悔しながらも、鈍感な市井に感謝した。
「ほらぁ! またそこ違う!」
「ご、ごめんなさい!」
もっと頭が良ければ、もっともっと感謝するんだけど。
- 107 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月08日(金)16時46分46秒
- 第8話「保田と市井〜千葉県好きですか?〜」終了。
サブタイトルはまったく関係ございません(w
今頃気づいたんですが、あぷろだに娘。レスアップしてくださった方、ありがとうございました。
気づくの遅くて、ごめんなさい。
それと、思ったんですが、それぞれのカップルの成り行き書いた方がいいかなぁ、と。
ごま裕となっちゅーは本編で語る(と思う)から省いて。
あとは、柴田×石川、飯田×りんね。
あとは何があるかなぁ。
市井→矢口の成り行きとかも?
他にも書いた方がいい、または書いて欲しい話があったら言ってください。
萌えが足りない人、話的に前後の話が欲しいなぁと思う人は、どうぞ。
なるべく書かせていただきます。
でも10個とかそんなにあったらさすがに全部は書けないですが。
って、そんなにリクあるわけないって(w
>>97
最後……いけるんだろうか、今回は(w
>>98
ありがとうございます。
ここを読んでくれて、少しでもさやまりをいいと思ってくれたら嬉しいです。
>>99
市井オタなのに、矢口を可愛く書こうと必死なんです(w
なんでだろう。
俺が書くと、市井は絶対へナ市井になってしまう…。
>>100
ぷちさん、100ゲットおめでとうございます。
わかりました、もう少し待ちますね(w
マターリマターリ(w
>>101
( `.∀´)<アンタらだけ、幸せにさせるもんですか!
さやまり&かおりか。
この2つは最高です。
(○^〜^○)<個性がないのに個性って……全然嬉しくないですよ!(シクシク
- 108 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月08日(金)19時27分12秒
- 夏休みももうおわりみたいですね。
これからは学校生活のなかでのラブラブなさやまりが見れるのでしょうか?
それと成り行きというわけじゃないんですがいいでしょうか?
矢口をいじめてた大木と北上がその後どうしてるのか知りたいです。
- 109 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月08日(金)19時31分42秒
- 今回の「千葉県好きですか」を読ませて貰って思ったんですが、
やっぱこの2人のこのフレンドリーな感じ良いですね。市井ちゃんいつも怒られてて。(w
好きな人はなんとなく目星がついたんですけどね。違うのかな?
相手の方にはちゃんとした人が居るようで。どうなるんですかね?(ハラハラ
とかく、幸せを願うばかりです。(w
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月08日(金)21時50分13秒
- 話のテンポがいいっすね。
自分的には、名前しかまだ出ていないアヤカが出張った話が見てみたいです。
- 111 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月09日(土)04時30分56秒
- ちば〜ずの二人の絡みってありそうだけど意外と無いんで結構新鮮だったりします。
それにしても、夏休み中ずっと補習とはこれではヘナというよりただのバカなような・・・(w
しかし、市井推しとしては、何かのきっかけで市井ちゃんの頭脳が覚醒すると信じております。(w
ちなみに自分は、1度はあったであろう、さやまりの夏休み中のデートなんかを見てみたいっす!!
- 112 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月09日(土)20時02分08秒
- 作者さん市井ヲタなのかぁ・・知ヲタかとオモテタ。。
個人的には市井→矢口の成り行き見たいっすねぇ。
しかし市井ってヘナも違和感ないすね。つーかなんでも違和感ないなぁ・・なんちゅーキャラだ・・。
- 113 名前:第9話「2学期の始まり、恋の始まり?」 投稿日:2001年06月10日(日)00時16分22秒
- ガヤガヤ。ワイワイ。ザワザワ。
色んな音が混じる体育館。
今日は、2学期初日、始業式だ。
「よっ、久しぶりだね吉澤くん」
先生達が整列しろと言っている中、一向に言う事を聞かない生徒達を見守るように、
後ろでもたれていた吉澤に、あの人の声。
顔を見なくても判る。嫌でも毎日のように聞いているんだから。
「あのねぇ、夏休み中ほとんど会ってたのに久しぶりはないでしょ、市井さん」
「あれ、そうだった?」
そうですよ、呆れて言うと、市井はへへっと笑う。
部活で学校に通っていると、嫌でも見てしまうのだ。
実習室でいつも保田に怒られている市井の姿を。
「まぁ、そんな人の言ってること、いちいち細かいこと気にしてたらハゲるからさ。
ところで、ちょっと聞きたいことがあって話かけたんだけど」
「…………なんですかぁ? 矢口さんなら見てませんよ?」
市井の聞きたいこと=矢口。
それは吉澤の頭の中で決められていて。
一応、質問を先に読んで否定しておく。
「いや、やぐっちゃんのことじゃなくて」
「あっ、そうなんですか。じゃあなんですか?」
「や、あのさ………」
「うん」
「……………E組の列って………ドコ?」
真顔で質問する市井がとても情けなくて。
涙が出そうになった。
「………初めて来た地でもないのに、体育館で迷うなぁ!!」
同時に、これからまた毎日、こんな突っ込みをせにゃならんのかと思うと、
考えただけで頭が痛くなる吉澤だった。
- 114 名前:第9話「2学期の始まり、恋の始まり?」 投稿日:2001年06月10日(日)00時16分57秒
- ――
場所は変わり、1−Dの教室。
担任の中澤がニヤニヤしながら、お決まりのことを発表。
「………でぇ、2学期になったことやし、みんなも、楽しみにしてるやろ」
「やったー! ね、裕ちゃん早くやろ!」
「待ってました!」
例えば、校外学習が終わった次の日。
例えば、球技大会が終わった次の日。
何か終わったり、こうして始まったりする度、中澤がすること。
「席がえしようやないかぁ!!」
普通の席がえだったら、こんなに盛り上がったりはしない。
しかも事あるごとに席がえするのも、めんどくさいしおもしろくない。
でも、ここD組の席がえはちょっと違う。
くじ引きで決まった一つ一つの席によって、色んなことがあるのだ。
7列ある机の真ん中1番前は、先生のお手伝い(悪く言えば雑用)。
1番後ろの両サイドは、次の席がえがあるまで、学級委員。
その他、席がえしても前と同じ席だった人はトイレ掃除とか。
そして、毎回席がえをする時、中澤が言った席の番号を引いた子は、ワガママいい放題女王様。
嫌なものから良いものまで。
とんでもないものから普通なものまで。
色々あるから、緊張感があっておもしろいのだ。
そして今回、吉澤が引いた席は……
「……って、真ん中の1番前じゃん!」
中澤の、お手伝い席。
- 115 名前:第9話「2学期の始まり、恋の始まり?」 投稿日:2001年06月10日(日)00時17分30秒
- 「おっ、今回先生の手伝いしてくれんのはよっすぃーか。よろしくなぁ」
「うっわ、よっすぃー頑張ってねぇ」
「大変だよ、裕ちゃん人使い荒いから」
能天気な中澤と、まるっきりおもしろがってる友達。
くそ、やってられるか。
ニヤニヤ笑ってる中澤に対する抵抗を少しでもしようと、ふいと横に視線を逸らす。
誰が、目を合わせてやるものか。
「あがいても、席はもう決まってるからなぁ、逃げられへんで〜」
「判ってますよっ、ちょっと横の子誰か確かめようとしただけです!」
とかなんとか言いながら、中澤の言っている事は図星だったんだけど、
それを悟られては困るので、言い訳通りに横の子を確かめる。
「あれっ?」
確かめてみると、すごいことに気づいた。
(ご、ご、ご……………後藤さんじゃ〜ん)
「なんや? 吉澤どうした?」
固まって、後藤の方を見ている吉澤。
おかしいと思い、中澤が声をかける。
けれど吉澤は、そんな中澤の声なんか、届いているハズがない。
完全に、1人の世界。
- 116 名前:第9話「2学期の始まり、恋の始まり?」 投稿日:2001年06月10日(日)00時18分07秒
- (ああ、神様はやっぱりいたんだっ!
そしてその神様は、あたしと後藤さんが結ばれるように、協力してくれたんだ!
神様、ありがとう あたしは今、すっごく幸せです……)
「こりゃアカン」
理由は判らないが、完璧に逝ってしまっている吉澤を見て、中澤はお手上げ。
そしてそのまま、吉澤から視線を横に移す。
横に移した視線には、またしても早速机に突っ伏して寝ている後藤が。
「ふっふっふっ」
からかうターゲットを、吉澤から後藤に変更。
寝ている後藤の頭をチョップし、起こす。
「………なによぉ、授業じゃないんだから、寝かせてよぉ」
「あかん。だって今ごっちんが座ってる席は、
“居眠り禁止!守らなかったら1日ノーメイク!”の席やからな」
「…………」
絶句。
自分が今、座っている席を見る。
見たところでどうしようもないのだが、つい見てしまった。
「サイアク……」
せっかく中澤と席が近くて嬉しかったのに。
一気にどん底に落とされたような気がした。
寝れないのはツライ。
けどそれ以上に、ノーメイクはツライ。
- 117 名前:第9話「2学期の始まり、恋の始まり?」 投稿日:2001年06月10日(日)00時18分39秒
- 地獄にでも落ちたかのような後藤と、天国にでも昇ったような吉澤。
そんな2人を目の前と横に置いて、中澤は話を続ける。
「ええかぁ〜? みんな、新しい自分の運命、素直に受け止めるんやでぇ?
次の席がえは、ハロプロが終わるまでないからなぁ」
ハロプロとは、ハロープロジェクトの略。
ハロープロジェクトの意味は、俗にいう文化祭と同じようなものだ。
それを、今日和学園なりに言い換えたもの。
ハロプロは、10月の頭。
屋台や模擬店、まれに劇など。
色々なことを決めて、行動しなければならない。
当然それを仕切るのは先生であって。
そしてその先生の手伝いをするのは吉澤であって。
1番大変な時に、大変な席に座ってしまった吉澤。
でも今だけは、そんなこと考えなくてもいいじゃないか。
(よ、よ〜し。これを機に、後藤さんにアタックするぞぉ!)
今だけは。今だけは。
先のことを考えず、この状況を喜びたい。
「あ、そうやよっすぃー。HR終わったら、早速やけど、
この紙に誰がどこの席かって書いといてなー」
「げっ」
それは本当に、一瞬だったけど。
- 118 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月10日(日)00時19分12秒
- 第9話「2学期の始まり、恋の始まり?」終了。
どうでもいいけど、シャッフルお祭り企画、自分の中の、現在の娘。ベスト3、全員バラバラやん…。
嗚呼、かおりかも離れ離れ……(悲
>>108
夏休みも終わり、次はハロプロの始まりです。
市井が出ている限り、さやまりは必ず出ますよ(w
大木と北上は、本編に入れようと思ってたんで、もうちょっと先になりますが…。
もう少しお待ちください。
>>109
フレンドリー………なんだろうか?(w
保田先生の好きな人、どうでしょう? 多分、その通りだと思います。
保田先生の恋は実るのだろうか……(w
>>110
アヤカですね。わかりました。
番外編みたいな感じで、話考えますね。
>>111
(〜^◇^〜)<よしよし。矢口が来たから、もう恐くないよ
( ゜皿 ゜) <ケッ、バカップルメ
(;○^〜^○)<飯田さん! それはあたしのセリフですよ!
それに、同じくバカップルのあなたに言われたくない!
確かに、ただのバカですよね。
ん?なんだ、矢口。スタンガンなんか持って。
え、「バカって言っていいのは矢口だけって言ったでしょ!」って?
そ、それはそうだけど、おい………(ビリビリビリビリ)ぎゃあー!!
夏休み中デート、了解しました。
>>112
昔、知自身が否定している、外ハネ白ヤグ時代の知オタです。
あの、外ハネがよかったのに!(力説
男前キャラの市井が個人的には好きです。
へナキャラを書いてる自分が言うのは変ですが(w
- 119 名前:110 投稿日:2001年06月10日(日)20時24分33秒
- 言ってみるもんですなぁ!
番外編、楽しみにしております。(番外編…てことはアヤカは本編に絡むキャラじゃないか…そうか)
ありがとうございました!
- 120 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月11日(月)04時19分36秒
- 久々に吉澤が主役だったと感じる事の出来る話でしたね。
でも、しっかり市井ちゃんが出てくるあたり作者さんの市井への愛情を感じました。(w
>どうでもいいけど、シャッフルお祭り企画、自分の中の、現在の娘。ベスト3、全員バラバラやん…。
俺の、現ハロプロメンバーでのお気に入りは二人、その二人が上手い具合に三人祭に・・・(w
- 121 名前:バービー 投稿日:2001年06月11日(月)22時58分28秒
- よしごまが待ち遠しい・・
ってゆうか、作者さんの書く
よしごまのエロが見たい(w
- 122 名前:第10話「出し物を決めよう」 投稿日:2001年06月12日(火)02時33分19秒
- 「うーし、今日は休みもおらんみたいやし、ハロプロの出し物決めよかー」
そう言ったのは中澤。
午後の5、6時間目を使って、10月にあるハロプロの出し物決め。
中澤がそう説明している間に、お手伝いの吉澤はせっせとプリント配り。
配る時、後藤には1番綺麗なプリントを渡すのは忘れない。
決して後藤は、そんなことに気づいているワケがないのだが。
「えぇっと、今何個か案出てるけど、みんなは屋台を出したい人が多いねんなぁ。
あんなん、1番大変やのに。屋台作って、広告作って。
しかもそれ以上に、作る人とかは検便受けなアカンねんでー? それでもいいんか?」
えー、という声も聞こえるが、それでもやりたいという声も聞こえる。
どっちも微妙で、判断しかねないのだけれど。
とりあえずこのまま行くと、1-Dは屋台に決まりそうだ。
あとは、何を作るのかが問題だけど。
それから最後に、何を作りたいのかを紙に書き、吉澤に渡す。
そしてそれをお手伝いの吉澤が集計して、1番多いのを発表するのだ。
予算や、時間、その他諸々の問題もあるから、絶対に1番人気のを作るワケにはいかないけれども。
――
「えーと……フランクフルト、たこ焼き……焼きそば……。
う〜ん……やっぱたこ焼きとか、焼き系が多いなぁ。
………ん? フグぅ?…………誰だよ、こんな常識はずれなこと書いたの……」
常識はずれ。
それを書いたのは、後藤だということを吉澤は知らない。
- 123 名前:第10話「出し物を決めよう」 投稿日:2001年06月12日(火)02時33分53秒
- 「あっれー? 何見てんの、吉澤。あっ、もしかしてラブレターっすか?」
ひきつづきチェックしてた所に、市井が帰宅。
吉澤のまわりをうろついて、見せろよぉと騒いでいる。
「あぁもう、ちょっと邪魔ですよ。今集計してんですから」
しっしっ、と追い払うも、効きはしない。
今度は、何の集計してんのーと質問を変えてまわりをうろつく。
仕方がなしに吉澤は集計を中断して、市井に説明を行った。
「ふーん、ハロプロの出し物ね。D組は屋台なんだ」
「まぁ、まだ本決まりじゃないですけど」
よっこいしょ、とはしごを登って自分の寝場所に到着。
身体はベッドに預け、頭は吉澤の方に。
「けど、屋台とかなんか、結構競争率激しいよー。去年凄かったもん」
幸か不幸か、同じ出し物が、くじ引きの場所取りで隣同士になり、客の呼び込みにすごく命を懸けていた。
誰も、試合じゃないんだから、勝ち負けなんて気にしてないし、売上げ多い方が勝ちなんて決まりもない。
けれど負けたくなかったんだろう。それはよく判る。
「客…っていうか、生徒達を呼び込むのにすごい労力いるからねぇ。
呼び込んだりしなかったら、人なんか全ッ然来ないし。それはそれで悲しい結末」
「うぅ〜む…」
こうゆう面では、市井の意見はすごく役立つ。
市井は先輩だったんだと、改めて確認。
「……じゃあ、市井さんのクラスは、出し物屋台じゃないんですか? 話聞いてると。
劇とか? それか、まさか歌とかじゃないですよね」
「バカッ、なんでそんなことしなきゃなんないんだっ。
市井んトコは、吉澤と同じで本決まりじゃないけど、たぶん……」
そこまで言って、言葉につまる。
「たぶん、なんですか?」
吉澤が催促すると、渋々市井が言った。
「福顔占いだよ……」
「はっ?」
まさか、そうくるとは。
ただの占いじゃない。福顔占い。
ちょっとビックリした。
- 124 名前:第10話「出し物を決めよう」 投稿日:2001年06月12日(火)02時34分25秒
- 「何ですか、その、福顔占いって…」
「知らないよっ。なんか妙にアヤカが張り切って言ってるんだっ。
アイツ、実行委員だし……あっちゃんもアヤカの気迫に押されて何も言えない…」
そう言うと市井は、ふぅと天井を仰ぎ、今日の午後、5、6時間目の事を思い出した。
――
―
「そやなぁ、フリマとかもいいかもしれんな」
「でしょ? 儲かるし、服も整理できるし、一石二鳥!」
「いいねぇ、あたしもサンセー」
まとまりがいいのか、大体すんなりと決まっていくのが2-Dの特徴。
けれど今回は、そんなに上手くは行かなかった。
「フリマ反対!」
ビシッと片手を綺麗に挙げ、稲葉に抗議。
2-Dの実行委員、アヤカだ。
その大きなアヤカの声に、稲葉に見つからぬよう教科書の端っこにペラペラ漫画を書いていた
市井が顔を上げた。
「みんな、よく考えて。フリマなんかしたら、後々後で問題が色々出てくるよ。
それぞれがいらない服持って来ても、全員が全員の服売れるワケない。
そんなことしたら膨大な数になるし、場所の範囲だって決まってる。
それに、お金の問題だってきっと出てくるよ」
確かに、アヤカの言う事は正しい。
全員がいらない服を持ってきたら、100着なんか軽く越すだろう。
クラスは全員で35名。
まさか全員が全員出すワケにもいかないし。けれどみんな出したいだろうし。
そうしたら必ず、争いが起きる。
アヤカはそれを言っているのだ。
「うん。言われてみればそうやな」
稲葉もそれを判ったのか、アヤカに同意。
「じゃあ、そういうアヤカは、何がいいと思う?」
そしてアヤカから答えが返ってきたが、それは同意出来なかった。
「………ワタシは、福顔占いを推薦します」
- 125 名前:第10話「出し物を決めよう」 投稿日:2001年06月12日(火)02時35分09秒
- 「はぁ〜?」
あまりに予想出来なかった答えに、市井が真っ先に疑問を投げかける。
「何の占いだよ、そりゃ。普通、手相とか言わないか?」
福顔占いなんて、少なくとも市井は聞いたことがない。
けれどアヤカは何の迷いもなくそう言った。
福顔占いって、メジャーなの? 市井の頭はその疑問でいっぱい。
「………あたしも、紗耶香と同じ意見なんだけど…」
「っていうか、福顔占いって何?」
しかし仲間がいた。
それも、アヤカ以外のクラスメイト全員。
知らないのは自分だけじゃないようだ。
ドォン!
ビクッ。
突然の大きな音に、みんな身体が震える。
その大きな音は、黒板から。やったのはアヤカだ。
「みんなっ、流行りのモノばっかりに気を取られちゃダメだよ!
もっと、奥にある、自分達だけの、掘り出し物を見つけなくちゃ!」
えらく熱血感のアヤカ。
しかも言っている意味が、あまり繋がっていない。
アヤカってこんな性格だったけ……市井は思う。
「………じゃあ、その、福顔占いは、掘り出し物ってことなん?」
恐る恐る、稲葉が訊ねる。
「違います。これは、掘り出し物じゃなくてメジャーなものです」
キッと睨み、言い返すアヤカ。
だから、言ってることが全然繋がってないんだってば……、市井が突っ込むと、
稲葉を睨んだみたいに、市井もキッと返された。
「顔の部分のあらゆるところにスポットを当てて、その人がどんな性格、どれ位金使いが荒いかとか、
色んなことが判ります。
鑑定師は、ワタシが責任を持って探すから、みんなは心配しなくていいよ」
みんなの意見まるきり無視して、勝手に話をどんどん進めて行く。
市井を含めたみんなが、稲葉に「アヤカを止めろ」と目で語っているのだが、
それを実行に移せない稲葉。
稲葉の気持ちは、痛いほどみんなには判ってる。
でも先生なんだから、何とかして欲しい。
しかしそんなみんなの願い虚しく、アヤカの気迫押された稲葉はその後も何も言えなかった…。
- 126 名前:第10話「出し物を決めよう」 投稿日:2001年06月12日(火)02時36分02秒
- ――
―
「………っていうワケなんだ……」
「そ、それはそれは……大変ですね…」
話を聞いた吉澤は、市井、そして、E組のクラスの子と稲葉に同情を覚える。
「が、頑張ってください……」
というありきたりな言葉しか言えなかったが、それでも市井が微かに笑ってくれたのでホッとした。
その後すぐ、部屋に矢口が現れて、市井は矢口と一緒にラウンジにテレビを見に行った。
現金なものだ。
でもちょこっと羨ましかったり。
「……よぉし」
1人になって静かになったところで、集計を再開。
再開しようとした時、ドアから来客の合図。
誰だ、市井さんかな、忘れ物でも取りに来たんだろうか。
けれど、ラウンジに行ってテレビに行くだけなのに、忘れ物なんてものがあるのか?
様々なことを思いながら、ドアを開ける。
開けたそこには、ノート片手に後藤がいた。
「………これ。なんか、間違ってアタシんトコ入ってたんだけど」
机が隣同士だからか。
ない、と思ってたノートは、後藤の机の中に。
「あ…ありがとう」
緊張して震えてる手を、気づかれないようにノートを受け取る。
受け取る時、少しお互いの指が触れた。
ドクン、という心臓の音が、はっきりと聞こえる。
そして、役目を果たして帰ろうとする後藤に向かって、口が勝手に言っていた。
「あ、あのさ……部屋、上がってかない…?」
しっかり十秒考えた後、後藤が口を開く。
「……ん〜、別にヒマだし、いいよ」
少なくとも、嫌われてない。
それが判っただけでも、嬉しくて幸せだった。
- 127 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月12日(火)02時36分48秒
- 第10話「出し物を決めよう」終了。
第11話は、初、よしごま2人っきり?の予定です。
>>119
えと、謝らなくてはなりません。
番外編じゃなく、本編に入れちゃいました。
しかも、アヤカの性格あんまり知らないから、こんなのになっちゃったし…。
出張った話が見たいってことだったんですが、こんなのでよかったでしょうか…?
少し、いやかなり、心配です。
>>120
(〜^◇^〜)<そうだねぇ。詳細は、もうちょっと後でね
ホント、陰の薄い主役でごめんなさい(w
次は、頑張りますよ?(多分…
>俺の、現ハロプロメンバーでのお気に入りは二人、その二人が上手い具合に三人祭りに・・・(w
いいなぁ、固まってて…。
俺はどの祭りを応援すればいいんだ!(w
(市井がいれば、その問題もすぐに解決するのに……)
>>121
次はやっとこさよしごまです。お待たせしました。
よしごまエロですか。
エロ………やべぇ。下手なんだけど、書きたくなってきた(w
- 128 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月12日(火)02時47分23秒
- >まとまりがいいのか、大体すんなりと決まっていくのが2-Dの特徴。
またやってしまった。
DじゃなくてEです。市井達のクラスは。
いっつも吉澤のクラスとごっちゃになって、懲りずに間違ってしまう自分が悔しい。。。
- 129 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月12日(火)03時31分40秒
- ついに、吉澤にスポットライトがあたるのか!?
でも、俺的には2人っきりの後についてる?に期待してます。(w
アヤカの福顔占いにはワラタ。
- 130 名前:119 投稿日:2001年06月12日(火)14時22分44秒
- 自分も笑いました。アヤカ…。
このまま文化祭まで突っ走って欲しいです。
- 131 名前:第11話「2人っきりで、進展あり?」 投稿日:2001年06月12日(火)17時21分58秒
- チッチッチッ……時計の針が秒を刻む音。
それがはっきりと聞こえるということは、それだけ周りが静かだということ。
吉澤は緊張していた。
(どどどどうしよぉ……何から話せばいいんだぁ?)
後藤が何を好きか、何を言ったら喜ぶか。
クラスメイトなのに、まったく知らない。
困った。本当に困った。死ぬ程困った。
ここで何の進歩がなければ、たぶんこの先、もうチャンスはないだろう。
それはなんとなく、判る。
だから、一生懸命話し掛ける最初の言葉を探しているのに、なかなか見つからない。
「あ〜………」
「?」
「や、あの……静かだね……」
「……そりゃ、喋ってないからね」
「……………」
思い切って出した言葉も、わずか15秒で終了。
1人虚しく自己嫌悪。
- 132 名前:第11話「2人っきりで、進展あり?」 投稿日:2001年06月12日(火)17時22分49秒
- 「はぁ」
ため息だろうか。後藤の口から漏れる。
それだけでビクッとなる吉澤の身体。
後藤はそんなこと知らずに、立ち上がった。
「も、戻るの…?」
居心地が悪かったのだろうか。
何も喋ろうとしない自分に腹が立ったのだろうか。
吉澤は動揺を隠せない。
「ご、ごめんっ。自分から呼んどいて、何してんだろうねっ!?
意味わかんないこと言って、黙っちゃって……」
「…………」
「ほほほほらっ、今日はちょっと見てのとおり、あたしオカシイんだよっ。
だ、だから、こんな意味わかんないこと言ってるんであって、普段のあたしはっ」
そこまで言って、ふとある事に気づく。
後藤は、帰ろうとはしていない。
口元を押さえて、必死で笑いを堪えている。
「……ぷっ、アハッ……アハハハハッ!」
しかしそれも堪えきれず、とうとう吹き出してしまった。
吉澤はただただ唖然。
「ご、後藤さん……?」
「だ、だってさっ、もっと、クールだと思ってたのに…ア八ッ。
まさかこんなおもしろいだなんて思わなかった……あー苦し」
慌てふためく吉澤がよっぽどツボにはまったのだろうか。
目に涙を溜め、笑いながら拭いている。
その笑顔は完全に、吉澤に向けて。
初めて、後藤の内面部分を見たような気がした。
- 133 名前:第11話「2人っきりで、進展あり?」 投稿日:2001年06月12日(火)17時23分30秒
- 「でも、あたしも後藤さんがそんな大笑いする人なんて思わなかったよ。
いっつもまったく笑わなかったからさ」
「アハッ」
さっきの出来事で、大分緊張が解けた。
でもまだ少しドキドキしながら、なんとか普通に。
話してみると、全然見た感じと印象は違って、年相応の15歳の女の子だった。
「だってさ、おもしろくもないのに笑うことなんてできないじゃん。
それに、あたし寝てるのが大半だし愛想悪いから、友達とかもいないし。
それなのに1人で笑ってたら気持ち悪いでしょ」
「恐いを通り越して、変な人になるよね」
「でしょ〜?」
そう言って、ケラケラ笑う。
「………後藤さんさ、」
「ストップ。同じクラスなんだし、もうこんなに喋ってんだから、さん付けはやめようよ。
あたしのことは、ごっちんでいいよ」
「…………ごっちん」
今まで、後藤のことをごっちんと呼んでたのは中澤だけ。
正直、めちゃくちゃ羨ましくて、自分も呼びたかった。
今回、初めてそれを口に出せて、自然と顔がにやける。
「じゃ、じゃあさ、あたしのこともよっすぃーでいいよ。
矢口さんていう3年の先輩に付けてもらったんだけど、みんなもそう呼んでるし」
「判った。よっすぃーね」
「う、うん」
お互いをあだ名で呼ぶだけで、こんなに親密な関係みたくなるのか。
みんな同じくよっすぃーと呼んでいるのに、後藤が言うとそれは、特別に聞こえる。
それから2人は、もう大分前から友達かのように仲良くなり、先程までの静けさは何処へやら、
まったりとした雰囲気で2人の時間は過ぎてゆく。
- 134 名前:第11話「2人っきりで、進展あり?」 投稿日:2001年06月12日(火)17時24分08秒
- 「うぅむ、いちーは、いつまでここにいればいいんだろうか……」
入り口のドアにもたれるようにして、立っているもう1人のこの部屋の主。
テレビを見るのをやめ、部屋へと帰って来たところ、中から笑い声が聞こえてきて
誰かと思ったら、後藤だった。
確認すると、2人に気づかれないようにこっそりドアを閉め、後藤が帰るのを待つ。
しかしいくら待っても、帰る気配一つもナシ。
別に乱入してもよかったのだが、可愛い後輩吉澤に殺されたくはないので、そんなことは出来ない。
それにそこまで鈍感じゃあない。
自分だって片想いしてる子と初めていい感じに喋れた時に、誰か途中で乱入されたら不愉快だ。
しかも吉澤のごとうに対する気持ちを知ってて、乱入するなんて。
市井は、悪いヤツではない。
ちょっと捻くれてるけど、後輩想いのいいヤツなんだ。
「やぐっちゃんの部屋にでも行こうかなぁ……」
――
コンコン。
「はぁ〜い」
「あ、やぐっちゃん。市井ッス」
「紗耶香ぁ? どしたのさ、部屋戻ったんじゃなかったの?」
それがさぁ、と説明して、市井がここに来たワケを話す。
「じゃあ紗耶香は、よっすぃーを想って、2人きりにさせてあげたんだよね。えらいえらい」
そう言って矢口は市井の頭を背伸びして撫でてくれた。
へへへ、と照れる市井。
「……っと、カオは?」
いつもならこんな時、部屋の前でイチャつくなーという飯田の声が聞こえるのだが、
今日はその声が耳に届いてこない。
「圭織は、りんねちゃんトコ。りんねちゃんと同室の子が遊びに行ったから、
さっき飛んで出て行ったよ」
「………じゃあ、市井達も、吉澤やカオ達と同じく、2人っきりなワケだ」
「そうだね」
照れるように笑って、部屋の中へと市井を促す。
そして案内されるまま部屋に入り、早速キスを交わす。
「………なんか、キスしたの久しぶりだね」
「うん……ねぇ、もう一回…」
駄々をこねるように市井の服の袖を引っ張り、キスをねだる。
夏休み最後の日にデートしてから、2人っきりになると矢口が妙に可愛くなる。
いや、2人っきりじゃなくても、とてつもなく可愛いのだが。
やっぱりあれだね。
ヤると、更に愛しくなるんだねぇ。
そんなことを思いながら、市井と矢口の2人っきりの時間は過ぎてゆく。
- 135 名前:第11話「2人っきりで、進展あり?」 投稿日:2001年06月12日(火)17時24分50秒
- ――
場所は戻って、吉澤・後藤の所へ。
「へぇー……やっぱよっすぃーってモテんだねぇ」
「いやいや。そんなことないよ」
謙遜するものの、机の引出しの中にしまってあった何十通ともらったラブレターを発見されたら、
そんなものは意味をもちろん無くす。
「そういえばあの時、ゆでたまごあげた時も、いっぱいもらってたし。
あれ全部ファンの子とかにもらったの?」
ゲホッと咳き込む。
覚えてたんだ、あの時のこと。
絶対に忘れてると思ったし、忘れてて欲しかった。
「ち、違うよ…あれは部活の先輩とか、同期の子とかに、調子に乗ってもらっちゃって…。
ファンの子になんかもらってないよ」
「ふぅん。でもあのたまご、全部食べたの?」
「そりゃ、もちろん」
ただ、その内、1番大事な人からもらったゆでたまごは不幸があって食べれなかったけど。
それ以外は全部食べました。
もちろんそんなことは口には出せない。
後藤に食べた?と聞かれ、おいしく頂きましたと返す。
(ごめん、ごっちん……。嘘は、今回限りにするから……今日だけは許してください神様……)
ゆでたまごを握り潰してしまった手に、懺悔。
そうやって会話を続けている最中、後藤の携帯が震え出す。
「あ、ちょっとごめん」
断わって、電話に出る。
出た瞬間、その電話の相手が誰だかすぐ判った。
後藤の顔をこんな幸せそうに出来る人なんて、1人しかいない。
中澤だ。
「……うん、うん。あ、でも今……」
チラッと吉澤の方を見て、目が合うと気まずそうに視線を逸らされた。
「あっ、ちょっと待って。やっぱ行く。だから、もうちょっと待ってて」
早口でそう言うと、電話を切って、真っ先に吉澤に謝る。
「ごめん、ちょっと他校の友達から電話あって、なんか急用みたいなんだ。だから、ごめんね」
「あ、あぁ…うん。いいよ、別に」
「ごめんねっ。また、話そうね」
「うん。バイバイ」
手を振って、後藤を見送る。
その見送った後ろ姿が、とっても嬉しそうに見えたのは、気のせいなんかじゃない。
「やっぱり……友達で精一杯なのかなぁ…」
ポツリと呟いて、さっきまで後藤がいた場所をただ見つめていた。
- 136 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月12日(火)17時25分38秒
- 第11話「2人っきりで、進展あり?」終了。
次は本編からずれて、さやまりの夏休みデート(最後まで詳細あり)です。
多分、夜に更新予定。
>>129
(〜^◇^〜)<じゃあ矢口も7人祭りやめて、そこに入るよ!
( ゜皿 ゜) <カオリモハイル
@ @
(‘д‘)<うちも入んで〜
これで、最強メンバーだ(w
次は希望された通り、さやまり夏休みデートです。
もしよければ見てやってください。
>>130
笑ってくれてよかったです…。ほんと、心配だったんです。
アヤカの暴走を止めることは出来るのか、みんな!?(w
- 137 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月12日(火)22時40分47秒
- 気づいたら一気に二話も更新されててびっくりしました。
しかもアヤカが福顔占いって・・・。
さやまり夏休みデート楽しみにしてます!
- 138 名前:第?話「モーニングコーヒー飲もうよ、二人で」 投稿日:2001年06月13日(水)02時46分10秒
- 夏休みも残すところあと2日。
そろそろ、帰省していた生徒達が、再び寮へと戻ってくる。
別に始業式が始まるまでに帰ってこればいいのだが、遠い所から通っている子や
時間の都合とか色々あるので、大抵休みが終わる2日前頃にみんな戻る。
市井はそんな子達とは一足先に、4日前に寮へと戻った。
吉澤は夏休み最後の日(明日)まで帰って来ないので、部屋には市井1人。
ずっと寂しかったのだが、それも今日で終わり。
矢口が、戻ってくるのだ。
矢口と同室の飯田は吉澤と同じく明日にならないと寮には戻らない。
だから、市井はこう考えた。
やぐっちゃんに一緒に寝てもらえば、朝まで2人っきりじゃん……それに………
この前の、続きが出来るってもんだ。
- 139 名前:第?話「モーニングコーヒー飲もうよ、二人で」 投稿日:2001年06月13日(水)02時47分11秒
- ――
「ほぉら! 机にへばりついてないで続きやりなさい!」
市井と保田の2人しかいない実習室に、保田の怒鳴り声が響く。
市井1人しかいないんだから、何もそんな大声で怒鳴らなくても。
以前そう言うと、「アンタにはどの声の大きさで怒鳴っても一緒よ!」とまた怒鳴られた。
しかも、大声で。
慣れたくないが、もう慣れてしまった。
今日は、補習最後の日。
しかも保田が午後から用事があるとか何とかで、午前中で終わり。
それを利用して、神奈川から寮へと戻ってくる矢口と遊びに行こうと計画中。
矢口には、戻ってきた時に、実習室へと来てと事前に言ってある。
そして矢口がやって来る時刻まで、あと1分。
「おっはー!」
正午ジャスト。
矢口が実習室に現れた。
「あら、矢口。ごめんね、まだなのよ」
「えっ?」
市井の話によると、午前中には全部終わっていると言った。
だから約束の12時に間に合うように、荷物を部屋に置くのも後回しにして実習室に来たのに。
話が違うじゃないか。
「何だよぉ、早く終わらせて遊び行こうよ」
約束した日から、ずぅっと楽しみにしてきたのに。
今日の日の為に、昨日地元の友達と新しい洋服を買ったのに。
夜のことも考えて、新しい下着も買い、お風呂から上がって、はこうと決めてたのに。
そんなに張り切ってた自分が、なんだか馬鹿みたいだ。
「ごめんね。あと、一問解けば終わりなんだけど、その一問がね…」
「全然判んないんですぅ……」
いくら保田が説明しても、頭が覚えてくれない。
保田が答えを言ってあげればそれで終わりなんだけれども、それじゃ市井のためにならない。
矢口もそれを判ってるから、何も言えない。
ただ膨れて、2人の様子を黙って見ていた。
- 140 名前:第?話「モーニングコーヒー飲もうよ、二人で」 投稿日:2001年06月13日(水)02時48分01秒
- しばらくして、保田が立ち上がった。
「ごめん、あとお願いできる? あたしもう行かなきゃいけないの。
この子が解いた問題の答え、矢口が代わりに見てやって」
「……うん」
頬を膨らませたまま頷いて、保田とバトンタッチ。
保田が座っていた場所に、矢口が座る。
市井と向かい合う形だ。
「…………やぐっちゃん、怒ってる?」
じっと黙って見ているだけの矢口。
怒っていると判断したんだろう、市井が首を傾げながら問う。
「……そう思ってんだったら、早く終わらせてよ」
「う、うん」
やっぱ怒ってるんだ……、機嫌を直す為には、早く解くに限る。
「……………」
けれど答えが判らない。
「もうっ、なんで判んないんだよぉ。だからあれほど授業聞いとけって言ったのに!」
「ご、ごめん」
「謝るヒマがあるなら、早く解いて!」
「は、はい」
と、返事はするものの、やっぱり判らない。
時々矢口にヒントややり方を教えてもらいながら、1時間後にやっと解けた。
- 141 名前:第?話「モーニングコーヒー飲もうよ、二人で」 投稿日:2001年06月13日(水)02時50分01秒
- ――
部屋へと戻った瞬間、苛立ちからか、カバンを投げ捨てる。
投げ捨てた時、中からパリンという音がしたが、気にせず机のそばにある椅子に座った。
「あ、あの〜……矢口さん」
「なに」
「いや……あの……デートは行かないんでしょうか…?」
「そういう気分じゃなくなった」
「そ、そうッスか…」
入り口の所で、小さくなってる市井。
ものすごく居心地が悪そうだ。
矢口がこの日を楽しみにしてたのは知っていた。
昼ご飯を何処かで食べて、その後遊園地に行こうとも言っていた。
でもそれは全部市井のせいで狂っちゃって。
矢口の気分まで狂わせてしまった。
申し訳なくて、申し訳なくて。
とりあえず矢口の機嫌がおさまるまでは、自分の部屋で大人しくしてようと、矢口の部屋を出て行く。
そんな市井に、後ろからストップの声がかかった。
もちろんそれは矢口。
「普通、こういう時は、『どうすれば許してくれる?』って聞かない?
前聞いてくれたじゃん、なんでここでも聞かないのさっ!」
「え、いや…」
「言葉濁してないで、ほら、言う!」
矢口の頭の中には、脚本が出来ていたんだろうか。
市井が、その矢口が用意していたセリフを言わなかったから。
次に言うハズだった矢口のセリフは、宙に浮いたまま。
そのセリフを浮いたままにしておかない為にも、市井のセリフは必要なのだ。
「じゃあ、どうすれば許してくれる…?」
よぉし。これで、脚本どおり。
あとは矢口がこう言うだけ。
「キスしてくれたら許すよ……」
- 142 名前:第?話「モーニングコーヒー飲もうよ、二人で」 投稿日:2001年06月13日(水)02時50分35秒
- 「んっ……っ……ぅんっ」
入ってきた舌が、口内を荒らす。
多少強引だったその行為に、最初は拒否反応を示したが、それもすぐに止む。
コマがついている椅子なので、動かないように机にぶつからせ、更に手で押さえる。
深く、矢口を味わうために。
「………これで、許してくれますか…?」
離した唇をそのまま矢口の耳元にもっていき、銀の、大きな輪っかのようなピアスを揺らす。
一瞬くすぐったそうに、眉を寄せた矢口であったが、すぐに元に戻る。
艶っぽい視線を市井に向けて、おねだり。
「これだけじゃ……足んないよぉ…」
もっとして、と言わんばかりに、背中に腕を回し密着させる。
キスだけで大分まいってしまったのか、矢口の瞳はもうトロンとしていた。
「ぅ……あっ、あっ」
4つある胸元のボタンを全開にして、空いた、胸の谷間の少し上や、その辺りに舌を這わす。
手は下から服の中へと忍び込み、ブラの上から優しく包み込む。
「…ぁっ……んん…」
「き…もちいい…?」
「ん…気持ちいい…」
それを聞いて安心したのか、市井は、大胆な行動に出だした。
- 143 名前:第?話「モーニングコーヒー飲もうよ、二人で」 投稿日:2001年06月13日(水)02時51分21秒
- 「ちょっと…身体上げてくれる…?」
「こう…?」
「うん…」
椅子から間が空いたのを確認し、下着をずらす。
「ちょっ…」
さすがに矢口も驚いたのか、すぐに腰を下ろして、ずらされた下着を元通りにしようとする。
でもそれは市井に遮られ、しかも下着を脱ぎ取られてしまった。
「や…何すん……ひゃあっ!」
頭を、股の間に合わせ、両足を市井の両肩に乗せる。
そして頭は、スカートの中、大事なトコロを攻撃。
「ぅんっ、きたな…いからっ、やめろ……よぉ…やだ…よっ」
手で頭をどけようとするが、力が入らない。
続けてどんどん攻撃していくと、抵抗力も無くなった。
「あっ、んんっ、ふぁっ……あぅ」
もう蜜は、溢れるほど出ている。
矢口はもう自分に正直になったのか、頭を更に自分のトコロへと押し付ける。
そしてより感じることによって、もうほとんど何も考えられない状態だった。
「やっ、ぅ…もっダメ……ダメ、だよぅ……」
「………わかった」
矢口がもうすぐ達することを知り、市井は一旦顔を離す。
そして椅子にかろうじて座っていた矢口を、自分の元に引き寄せる。
向かい合う形になって、一度、キスをした。
「ちょっと痛いかもしんないけど……ごめんね」
言うと同時に、添えていた割れ目にある小さな入り口に、人差し指一本を挿入する。
「つっ…」
入った瞬間、苦痛に歪ませる矢口の顔。
「くぅぅっ……はっ…ん」
でもそれも最初だけで、だんだん少しずつ動いていく市井の指に合わせ、快楽の声を漏らし始める。
そしてそれが頂点に昇るまで、そう時間はかからなかった。
- 144 名前:第?話「モーニングコーヒー飲もうよ、二人で」 投稿日:2001年06月13日(水)02時51分57秒
- ――
「ん〜……」
カーテンを開けっ放しにしていたのが悪かったのか。
朝、窓からこぼれる太陽の光で目が覚める。
その市井の隣には、まだ小さな寝息を立てて眠っている矢口。
「くぅーっ! 寝顔も可愛いのかやぐっちゃんはぁ!」
ガバッと寝ている矢口に抱きつき、頬にキス。
そんなことをされて起きないほど、矢口は寝起きは悪くない。
「もぉ……寝かせてよぉ、もうちょっと…」
「ダメだよっ。ちょっと待った」
「なにぃ…?」
眠そうで、面倒くさそうな眼差しを、市井に向ける。
そんな眼差しを向けられても市井はメゲることなく、矢口に覆い被さった。
そして……
「やっぱ、モーニングコーヒーを飲まなくちゃダメだと思うんだよ」
「………はぁ?」
いいかげんにしろよてめぇ、そう目で物語ってる矢口。
真剣な顔で言っている市井の腹に蹴りを入れて、再び眠りに就いた。
「ちくしょう……。市井の夢、破れたり……」
バタッと市井も、矢口の後を追うように、再び眠りに就いた。
- 145 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月13日(水)02時52分36秒
- 第?話「モーニングコーヒー飲もうよ、二人で」終了。
今回の話、自分的にすごく納得いってなかったり…。
でも、本編じゃないので、あまり細かいことは気にしないようにします……。
>>137
一応、毎日更新を目標としているので、間が空けばそれだけ話は進んでいます。
といっても、やっと進み始めたばかりですが…(w
やっぱ、毎日更新って、読んでくれている方からすれば、嬉しいものなんですか?
ちょっと知りたいです……。
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月13日(水)03時01分39秒
- こんなにも早く夏休みデートを書いていただけるとは感謝感激です〜♪
いったいどんなデートだったのか楽しみに待っております。
- 147 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月13日(水)03時13分09秒
- 不覚!!11話の感想?レスを投稿してる間に更新されてる〜(w
それにしても素晴らしい!!
作者さんが納得いかなくてもこっちは大満足です。
本当にありがとうございましたです。
- 148 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月13日(水)03時15分58秒
- 正直に嬉しい限りです!
さやまり最高です!
- 149 名前:バービー 投稿日:2001年06月13日(水)18時13分19秒
- やぐっちゃんがかわいいっす・・・
けれど、よしごまのエロが見たいっすねえ。
かなり、禁断症状(笑)
毎日更新されてるってのは読者にとっちゃ
かなり嬉しいモンです!!ほんとに。
それに作者さんの書くのが面白いから
いつもこんなにレスがつくんですよ。
あぁ、素晴らしい〜♪
- 150 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月13日(水)19時15分20秒
- ここのさやまりはやっぱ最高!!
他の人にとってはどうかはわからないけど、自分はかなり嬉しいです。
- 151 名前:Tak 投稿日:2001年06月13日(水)20時34分54秒
- さやまりのエロだけってのはちょっと・・。
- 152 名前:ぷち 投稿日:2001年06月13日(水)20時40分02秒
- さ・・さやまり・・・(感涙)
やっぱ、経営者さんは、最高です!!!(手をバタバタさせながら)
最近、少し、イヤな事があったんですが経営者さんのおかげで
ふっとんじゃいました♪
さぁ、私も頑張ろうかな♪
- 153 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月13日(水)21時07分38秒
- >>151
嫌がらせか…?
- 154 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月13日(水)21時41分35秒
- >>151
嫌がらせ…だよな?
- 155 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月13日(水)23時23分43秒
- すいません、別に嫌がらせってわけでは無かったんですが・・。
- 156 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月14日(木)00時32分13秒
- >>155
じゃあ、そうゆうのは自分の心の中だけにしまっておけよ
しかもわざわざageてまで。
それで、作者さんが書く気なくしたりとかしたらどうすんだ。
自分は、さやまりのエロだけも大歓迎っす(笑
- 157 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月14日(木)03時04分06秒
- >>156
さやまり以外の話か、エロではない甘い話
が見たかったのでは?
ま、作者さんはなにを書いても巧いからな〜
ほんと罪な人ですよ(w
- 158 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月14日(木)06時43分32秒
- >>156
てゆーかこれってエロだけなのかな?
十二分に甘い話だとも思うんだけど…
批判てわけじゃないけど、なんか不思議。
- 159 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月14日(木)11時14分04秒
- すいません作者さん。気分を悪くされたとしても、書くのを止めないでください。おねがいします。
- 160 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月14日(木)15時45分06秒
- >>146-147
(○^〜^○)<いい人度は、市井さんに勝つ自身ありますよ!
最近ちょっと生活サイクル狂ってしまって、夜遅くに更新で…。
ちょっと今日は、元通りの時間帯に戻してみました。
>>148
喜んで頂けてこちらも嬉しいです。
最近ちょっと浮気して、かおりか最高!と思ってる私でありますが…(ニガワラ
>>149
うぅ、よしごまのも書きたいのですが、今回の話では無理かもです…(涙
あくまで、ごま裕前提なものなんで……。
書くとしても、違う話か、続編みたくなっちゃうかも…。
いっそ、HPでも作ろうか……時間があれば……。
そう言っていただけて嬉しいです。
毎日更新目標に、コツコツやってきます。
>>150
1人でも喜んでくれてる人がいるだけでも、かなり励みになります。
そのお言葉、とても嬉しいです。頑張ります。
>>151
お気に召してもらえなかったようで、すいません。
甘くて、個人的にエロを入れたくて、書いてしまいました。
やっぱり色んな意見があるんで、今後は前回と同じくsageでやりたいと思います。
最初のレスで、今回はsageにこだわらないと書いたばかりなんですが…。
ごめんなさい。
>>151
イヤな事があったんですか……そうとも知らず、催促なんかしてごめんなさい。
けど、こんなのなんか見て、ふっとんでくれてありがとうです。
>>153-159
なんかすいません。
色々、迷惑かけてしまったみたいで。
レス見て、エロを書くのはもうやめようと思ったんですが、それはちょっとできそうにないので…。
今度はまた、見てくれている人には迷惑になるかもしれませんが、sageでひっそり
書いていこうかと思います。
なるべく目立たず、ひっそりと。
応援してくれている方は、見捨てずよろしくしてやってください。
- 161 名前:第12話「恋のライバル登場だ」 投稿日:2001年06月14日(木)15時46分06秒
- 今日から、午後の授業はハロプロの準備へとあてられる。
学園から支給される板やペンキ、それらを使って屋台作り。
屋台じゃないクラスは、それぞれの出し物に必要な買出しを。
女の子はいつだって、時間がいっぱい必要なのだ。
「ねー、そこに置いてある布取ってよー」
「誰かこっち手伝ってー」
トントン、という釘を差し込む音と混じり、応援を頼む声やらがあちこちから聞こえる。
フラフラと見回りをしていた中澤にも応援を求める声が届いたが、笑ってごまかした。
そんな、自分のクラスも手伝って、他のクラスの所も手伝える程、今日はそんな元気はない。
昨夜、ハロプロでD組に使える学園からお金の援助を、屋台に使う吉澤がリストに書いた
必要なものの値段を計算して、色々悩んでいたのだ。
中澤が計算したところによると、どうやっても予算オーバー。
何かを削らなければならない。
でもそれは可哀想なので、足りない分を自腹で払ってやるかどうか悩んでいるのだ。
「………まぁ、別に出してやってもいいねんけど……」
今月は、ちょっとピンチで。
独身の、見栄を張って高級なマンションに住んでいる中澤には大変だ。
- 162 名前:第12話「恋のライバル登場だ」 投稿日:2001年06月14日(木)15時46分41秒
- そうやってフラフラ歩いていると、前からデコボココンビがやって来た。
「おぉっ、裕ちゃんじゃんっ!」
「あ、ほんとだ。裕子ぉ、何してんだよぉ、ここ3年とこだよ。
しかもフラフラしちゃって……夢遊病?」
「アホかっ! なんでこの年にもなって夢遊病にかからなアカンねん!
しかも今は起きとるわっ! お前はいつもそんなことばっかりやな!」
逃げようとする矢口の頭を掴み、ギュウッと抱きしめる。
「わぁっ、裕子やめろぉ!」
抵抗する矢口を無視し、どんどん顔を近づけていく。
なぜそんなことをするのか。キスするためだ。
一緒の現場にいる飯田は止めようともせず、ただニヤーっとおもしろそうに笑っている。
やばい。もう逃げられない。
いつもこんな時は、市井が飛んで来て邪魔をしてくれるのだが、それは休み時間だから出来たことで。
今はこうやってハロプロの準備でお互いウロウロしているものの、授業中。
それにさっき、窓から下を覗いていたら、市井がアヤカと一緒に焼却炉前に置いてある
板を取りに行っているのを見た。
助けに来るハズなど出来ない。
「だ〜いじょうぶ。愛しのマイダーリンには黙っといてあげるから」
中澤の声が、すぐ目の前で聞こえる。
あぁ、もうダメだ。
そう覚悟した時、中澤の少し後ろから、中澤を呼ぶ声。
「あー、裕ちゃんだぁ! 何してんの、そんなとこで」
「あわわっ! なっち!」
安倍なつみ。あだ名はなっち。
後藤真希の、恋のライバル登場だ。
- 163 名前:第12話「恋のライバル登場だ」 投稿日:2001年06月14日(木)15時47分21秒
- 助かった、そう言わんばかりにホッと安堵の顔を浮かべ、すかさず安倍の後ろに回りこむ矢口。
「あぁっ! せこいぞ矢口!」
「ベー、だ! スケベの裕子が悪いんだ! なっちぃ、さっき裕ちゃんが無理やりキスしようとしてきたぁ〜」
「なっ、矢口、それホントだべか!?」
同じ北海道出身の飯田と違い、もうこっちに来て大分経つのに、まだなまりが抜けない安倍。
でもそんなところも可愛いのが安倍である。
「あ、アホ言うなっ。なっち、嘘やで。その後ろにおる、非行に走った犬が言ってんのは!」
「だ、誰が非行に走った犬なんだよぉ!」
「アンタや! 矢口や! 生意気に金髪なんぞにしよって! うちが途中で甘やかし過ぎたんやろか……
こんな、言う事聞かん、飼い主に懐かん犬になってしまって……」
「誰がいつ裕ちゃんの飼い犬になった! このエロ教師!」
「なんやとぉ!? 誰が年誤魔化してるってぇ〜!?」
「言ってねぇよそんなことぉ!」
ぎゃあぎゃあと言い合いを始める2人。
その2人の間に挟まれた安倍は、1番の被害者であろう。
飯田は飯田で、2人の言い合いを聞いて腹を抱えて笑っている。
「こらアンタ達! うるさいわよ!」
そんな4人の前に、この今日和学園の中で最も恐いという噂の、保田圭が現れた。
同じ教師で年上の中澤も、みんなと一緒になってビクッとしてしまった。
「ご、ごめん圭ちゃん……静かにします……」
代表して中澤が頭を下げる。
それで、怒りが静まればいいのだが。
「…………気をつけてよね!」
いつもならここでお説教のハズなのに。
どうやら忙しいのか、念を押してA組に帰って行く。
でもその途中、思い出したのか、振り返り矢口に言った。
「矢口! アンタいつまでサボってるつもり!? 言い出しっぺの委員長でしょ!?」
「い、今行くよぉ…」
怒鳴る保田に、情けない返事一つ。
そりゃあ保田の言う通り、ハロプロの出し物を何にするかで、意見を最初に出したのも矢口だし、
クラスの委員長も矢口だ。
でも少しだけ、気分転換させてくれたっていいじゃんか。
クラスの意見を聞いて、まとめたりするのは、色々と気を使うんだ。
こう見えても結構、苦労してるんです。
- 164 名前:第12話「恋のライバル登場だ」 投稿日:2001年06月14日(木)15時47分54秒
- 「なんやぁ? 圭ちゃんえらい張り切っとんなぁ。そんな忙しいんか、A組は」
何をするかってところまでは判らないが、食べ物屋じゃないことは聞いた。
何だかんだ言って、食べ物屋は屋台や食料の計算、色塗りまであるから、忙しいのだ。
ハロプロまであと3週間近くあるが、こんなに早く準備をするのは、屋台のことを考えての為である。
「A組はねぇ〜、衣装集めが大変なんだよね〜…」
「衣装集め?」
「ま、それは当日のお楽しみってことで。それじゃ、矢口は戻りま〜す!」
バイバイ、と飯田と安倍に手を振り、中澤にはアッカンべー。
そうやって戻ったはいいが、戻った途端、早速保田に怒られている声が。
「よかったぁ、圭ちゃんのクラスじゃなくて」
怒鳴られてシュンとしている矢口を尻目に、飯田はホッと安心。
そんな飯田の担任は、中澤と稲葉と同じ関西人で、不幸な人生を歩んでいる平家みちよ。
毎度、飯田を始め、生徒にからかわれてはなめられて。
けれどそれは嫌っているからじゃなく、おもしろいから。
中澤と一緒に居酒屋に行っては、よく愚痴をこぼしあっていると安倍も聞いたことがある。
内心、中澤と一緒に居酒屋や色んな所に行けて、羨ましい面もあったりなんかして。
「矢口も戻っちゃったし、みっちゃん可哀想だから、そろそろ圭織も戻るとしますかぁ!」
よっこいしょ、とおばさんみたいな掛け声よろしく立ち上がる。
そして、奇妙な歩き方(本人が言うには16ビートを刻んでいるらしい)をして自分の教室へ戻って行った。
当然ながら、残りは安倍と中澤の2人。
飯田は本当は、気を使って2人にさせてくれたのだろうか。
そんなことを思いながら、窓がある壁にもたれて、安倍が少し照れながら話始めた。
「なんか、久しぶりだね。裕ちゃん最近、忙しかったし」
「うん。新学期始まって、ハロプロの準備入ったからなぁ」
中澤も、安倍がもたれているように、自分もそうする。
こういう、ほのぼのとした空気。
安倍といると、それが味わえる。でも最近は、味わってなかった。
それは安倍も気づいている。
- 165 名前:第12話「恋のライバル登場だ」 投稿日:2001年06月14日(木)15時48分30秒
- 「夏休みも、受け持ってるクラスの子の補習とか、資料整理とかって、遊んでくれなかった。
せっかく夏休み、家帰らないで寮に残ってたのにさ」
ぶー、とふてくされて言う安倍。
中澤はあせった。
「あ、あれはそのっ。ほんまに補習しててんでっ? 資料整理とかもっ」
「…………誰も、疑ってないよ。なにそんな慌ててんの?」
「あ、いや……」
しまった。余計なことを言ってしまった。
何も言わず、言い訳するじゃなかった。
「ここんとこ裕ちゃん、オカシクない? なっちになんか隠してることとか…」
「あ、あるわけないやん!」
知られちゃいけない。
感付かれちゃいけない。
何とかその場を取り繕う。
「中澤先生」
そんな最悪な状況に、吉澤が乱入。
「よっすぃーやないかぁ! どどどーした?」
先程の名残だろうか。
まだ少し動揺している。
「いや、なんか、職員室にペン借りに行ったのはいいんですけど、ペンなくて。
それで、コンビ二でペン買い行っていいかって言ってるんですけど」
「あ、判った。今行くわ」
ついさっきまでの中澤裕子の顔じゃなく、教師中澤裕子の顔になり、ごめんな、と安倍に
吉澤に気づかれぬように謝り、階段を上がって行く(1年の教室は、上の階にあるため)。
吉澤も後を追おうとしたが、忘れてた。
ぺコッと安倍に頭を下げることを。
それに気づき、安倍に頭を下げて自分も上へ上がって行く。
本当は、聞いていたんだ。
中澤先生と、安倍さんの話。
そのまま、バレちゃえばいいと思った。
でもバレて、もしごっちんが傷ついたらと思ったら、先生に助け舟を出していた。
バレちゃえば、よかったのに。
あたしは、ごっちんの恋人にもなれなけりゃ、悪役にもなれないのかな。
バレちゃえば、よかったのに。
でもバレなくて、どこか安心してる、あたし。
………きっと、素直にもなれないね。
- 166 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月14日(木)15時49分10秒
- 第12話「恋のライバル登場だ」終了。
12話目にして、やっと安倍さん出せました(w
- 167 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月14日(木)19時01分56秒
前作からいつも楽しく読ませていただいております
作者さんの思うがままにがんばってください
いつも更新楽しみにしてます(それにしても今作は更新早いっすね)
- 168 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月14日(木)19時34分13秒
- 今回の中澤姐さんはなんか違いますね。
やっぱなっちといるとこうなんでしょうか?
それとなっちと後藤のからみもみてたいです!
- 169 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月15日(金)03時16分16秒
- なっちも登場してにぎやかになってきましたね。
これからも楽しみです。
色々あるみたいですけど頑張って下さい。
- 170 名前:なっちゅーですか? 投稿日:2001年06月15日(金)04時21分28秒
- ほのぼのごまゆう好きです!
でも、なっちゅーも・・・好きかも
先が・・・・・・・
- 171 名前:第13話「なりたい人」 投稿日:2001年06月15日(金)12時42分11秒
- 寮の利点、それは、遅くまで出来ること。
寮がすぐ隣りにあるので、作業も夜遅くまで出来る。
服が汚れて気持ち悪かったら、ちょっと抜け出して、大浴場か部屋のシャワーに入ってこればいいのだ。
こういう時、寮っていいなと思う。
「あー、でもホント疲れた」
途中抜け出して、シャワーを浴びに行ったのが失敗だった。
更に疲れが出てきてしまった。
「あ、矢口。そんなトコ居た。あのね、B組の子が貸してもいいって言ってくれたよ」
「えっ、ホント?」
疲れている所に、クラスの子が来て、ハロプロの打ち合わせだろうか。
あまり周りに聞かれないように、コソコソと耳打ち。
「でも寮には持ってきてないから、今度外出許可取って家取りに帰ってくれるって。
その子の家、近くだから」
「オッケー。これで大分揃ったよね。……みんなは?」
「あぁ、準備室で、早速持ってきたやつ試着してるよ…」
「…………まったくぅ、あれほど、最初に試着すんのは矢口だって言ったのにー!」
ダダーッと準備室に向かい、走って行く矢口。
それを、友達が呆れて追って行った。
- 172 名前:第13話「なりたい人」 投稿日:2001年06月15日(金)12時42分52秒
- 矢口達A組のクラスの出し物。
その名は、コスチュームプレイ。略してコスプレ。
色んな友達、ツテを探しまくり集めた、様々な衣装達。
セーラー服、学生服、チャイナドレス、お古のナース服、タキシード、エトセトラ。
A組の中での1番人気は、学ランと忍者の衣装。
あと次点で、大学教授(白衣と眼鏡つき)なんかも。
今年は、総合金額トップ狙ってます。
どうせ、ここは私服なんだ。だから、何着たっていいじゃない。
そう思ったのが最初だった。
それに、みんな何かになりたいって願望はあるし。けどなかなか実行できない。
でももしそれが実行出来たら、みんな飛びつくハズ。
多少、集めるのに時間と苦労はかかるけど、それを乗り越えれば、総合金額トップ間違いナシ。
何より、言い出しっぺの自分が、着れる。
それが1番の目的でもあるんだけど。
「いやぁ、やっぱ矢口さんはすごい! こんなの思いつくなんて、頭いい!」
「さっすが委員長! よっ!」
パチパチパチと2つの拍手。
大木と北上だ。
「……っていうか、すっごい白々しいんですけど…」
心に思ってないことを言ってるの丸判り。
いくらなんでもそれはひどいぞ。
「な、なぁ〜にを言ってんの! ホントの事言っただけなのに!」
「そ、そうだよ!」
そう言う割には、額には無数の汗。
なんとか矢口の機嫌を損ねないように必死だ。
「……ま、いいけどさ」
まだ少しムカつくが、今は新しくやってきた衣装の試着が先。
それに、もう仕返しはしたし。
ずっと根にもつほど、ひどいことはされてない。
- 173 名前:第13話「なりたい人」 投稿日:2001年06月15日(金)12時43分38秒
- 市井と気持ちを確かめ合ったあのすぐ後、教室に戻り、反対に大木と北上を呼び出した。
そして、頬を殴られたお返しを、同じように食らわせた。
そして最後に、一睨みをして終わり。
それがよっぽど恐かったんだろうか、それとも次の日に市井に何か言われて懲りたのだろうか。
矢口には判らないし、別に判りたくもない。
気づけば、矢口に対し、へーコラへーコラしてたのだ。
「何にしようかなぁ〜」
ウキウキと、服の選びの真っ最中。
「よぉし、これに決めた」
そう言ってハンガーと一緒に取った服は……
「や、矢口……あ、あんた……」
プークックックッ、と笑いを押し殺した声。
判ってる。変だってことは。
でも、懐かしくてちょっと、着てみたかったんだ。
「それ、似合い過ぎだよーっ!!」
「へっ?」
わーはっはっはっ。
A組、全員大爆笑。
似合わないから、笑ってると思ったのに。
反対に、似合ってるから、笑ってる。
矢口が来た衣装は、幼稚園児の衣装だった。
- 174 名前:第13話「なりたい人」 投稿日:2001年06月15日(金)12時44分11秒
- ――
「なんだぁ?」
「………なんだろうねぇ」
お腹が空いたので、仲良くなった後藤とコンビ二へ行こうと(食堂はもう空いてない)、階段を下り、
3年生がいる階も下りようとした時、ものすごい笑い声。
その笑いの原因が、矢口の幼稚園児のコスプレにあるのだが、そんなこと2人が知るハズもない。
首を傾げて、下りて行く。
「あ」
「あ?」
そうだ、忘れてた。
「コンビ二行くのに、財布教室に忘れてきちゃったよ。ごめん、ちょっと待ってて」
「え、あ……うん」
吉澤の後ろ姿を見送る後藤。
財布忘れたと聞いた時、あたし貸してあげるよ、と言おうとしたのだが、
財布の中に200円しか入ってないことに気づき、断念。
ぼーっ、と吉澤が来るのを待つ。
暇なので、視線をキョロキョロしてると、ある人が目に入った。
(安倍なつみ……)
職員室の前で、誰かを待っている。
担任か、それとも……。
「よっ、どしたなっち」
「ごめん、忙しいとこ。……ちょっと、裕ちゃんと喋りたくて……」
2人からは、後藤のいる所は死角になっていて見えない。
でも後藤には、2人が見える。
人間って、オカシイものだ。
見たくないのに、目が離せない。
- 175 名前:第13話「なりたい人」 投稿日:2001年06月15日(金)12時44分46秒
- 「携帯に電話すればいいのに。そしたら話せるやん。それに、人目も気にせんでええし」
「でもそしたら、顔見れないもん」
「………ワガママやなぁ、なっちは」
俯いて膨れる安倍の頭を、愛おしそうに撫でる。
撫でてもらうと、途端に嬉しそうな顔に変化する安倍。
へぇ、あんな顔するんだ。
アタシ、あんな裕ちゃんの顔、見たことない。
………いっつも、困ったような顔、ばっか。
「ごめんごっちん、お待たせっ」
「よっすぃー……」
ニコニコしながら、後藤の元へと駆け寄って来る。
人懐っこい笑み。
「ど、どしたの…? なんかあったの…?」
その吉澤の顔が、曇り顔に変わる。
後藤が、泣いているから。
「…っ…な、なん……っもないっ」
「なんでもないワケないよっ。どうしたんだよぉ…」
オロオロしながら、控えめに肩に手を置く。
そして、座る所がないかと辺りを見回したとき、後藤が泣いている原因が判った。
仲良く、幸せそうに、笑ってるじゃないか。
後藤の好きな人、中澤と、後藤の恋のライバル、安倍が。
どうして。
傍にいるのに、何も出来ないんだ。
泣き止んでくれるのを、待つしか出来ない。
「ごっちん…」
あたしじゃ、中澤先生の代わりに、なれないですか?
……結局あたしは、なんにもなれないんだ。
- 176 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月15日(金)12時47分18秒
- 第13話「なりたい人」終了。
題名、打ち間違えた。本当は「なれない人」だったのに…。
でももう遅いんで、「なりたい人」で。
吉澤くん、ちょっと最近悩んでます。
そして、そろそろそれが、爆発しそうな雰囲気です。
あと、矢口の幼稚園児姿は、快適三昧のエアコンのCMを参考にしてくれれば助かります。
>>167
( ´ Д `)<………そのまま出てこなきゃよかったのに……(ボソッ
娘。レスの頃からなんて、ありがたいです。
う〜ん、そう言われてみれば、早いような気がします<更新
まぁ、また骨折とか熱でたりしたらたまりませんからね(w
>>168
姐さんはやっぱり市井同様、今回も少しヘナチョコにしてみたんですが。
なっちといるからかどうかは、不明です(w
後藤と絡むのは……それもまだ不明です(w
今回の話の前半で、大木と北上のその後を入れてみました。
>>169
(○^〜^○)<もう出番なくていいよ! 市井さんがいると目立たないんだよ!!(三村風に)
なっちが出たということは、これからメインの話が始まるってことで。
予定よりかなり遅くなってしまいましたが。
ありがとうございます。頑張ります。
>>170
なっちゅーであり、ごまゆうでもあります。
最終的にどっちかというのは言えませんが……。
あとすいません。他の人達の迷惑になるの嫌なんで、sageでお願いしたいです。
勝手な上、我が侭でごめんなさい。
- 177 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月15日(金)14時01分07秒
- 大木と北上も変わるもんですね(W
なんか吉澤が可哀相です、吉澤に春は来るんでしょうか?
- 178 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月16日(土)03時18分39秒
- メインの話が始まるってことは、ついに4人の女達による血生臭い抗争が・・・!!(w
これは目が離せないですな〜。
- 179 名前:178 投稿日:2001年06月16日(土)03時24分51秒
- sageチェックし忘れました。
作者さん、本当に申し訳ございません。
以後気をつけます。
- 180 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月16日(土)22時45分20秒
- >( ´ Д `)<………そのまま出てこなきゃよかったのに……(ボソッ
くろごま萌え〜
- 181 名前:第13話「三角関係、四角関係」前編 投稿日:2001年06月17日(日)01時07分17秒
- 体育館から、少し離れた所にある体育倉庫。
そこ、体育倉庫は、まったくと言って良いほど人が来ない。
体育倉庫とか言いながら、体育に使う用具なんかは入っていない。
全然使わなくなった物や、処分に困ったものを収納しているだけの、倉庫。
格好の、サボり場所。
もちろん、そんなのとっくに、サボり魔こと、ワタクシ市井紗耶香は、リサーチ済みであります。
「よぉし、ここなら、アヤカにバレないだろ」
やってられない、そう思ってサボろうと抜け出すと、必ず引き戻される。
占いのテーマに合う子をスカウトして来いやら、司会をやってみろやら。
何をそんなに張り切る必要があるのだ。
それに、その福顔占いの鑑定師、朱麗華って誰なんだよ。
一体どこから呼んできたんだ。
アヤカに直接言えないため、今まで溜めてきたものをここで吐き出す。
そして、ドカッと腰を下ろした時、その少し離れた所にある、図書室から明かりが漏れているのが見えた。
(図書室……あぁ、図書委員かなんかかな……)
カーテン越しに見える、2人の人影。
それは図書委員なんかじゃなく。
中に居たのは、中澤と後藤だった。
- 182 名前:第13話「三角関係、四角関係」前編 投稿日:2001年06月17日(日)01時07分50秒
- 「どしたん? ごっちんが図書室に呼び出すなんて、ビックリしたがな」
まあ、人目が付かない所を考えると、図書室もアリなのだが、なんせ後藤だ。
図書室なんかは、全然寄り付かないし、考えも出来ない。
「なんや、ホンマにどうした? さっきからずっと下向いて。
どっか痛いんか? 大丈夫か?」
心配して、近寄る。
近寄った途端、急に抱き付かれた。
「ちょっ……ごっちん」
ヤバイて、あせったように言う中澤の言う事なんか聞かず、ただ抱きしめる力を強めるだけ。
普段もあんまり喋ったりしないのだが、ここまで無言なのも問題だ。
後藤がなぜこんな所に呼び出して、抱きつくのか。
中澤にはまったく判らなかった。
自分を心配してくれてた吉澤に悪いと思った。
泣いて、目が腫れてしまった後藤を心配して
「ちょっとタオル冷やして来るから、そこで待ってて」
と言ってくれたのに、黙って消えてしまった。
怒ってるかな。探してるかな。呆れたかな。
せっかく友達になれたのに。
でも、なんで泣いていたかバレたら、困るから。
裕ちゃんが。安倍さんが。
それに、アタシが。
だから黙って消えてしまった。
奇妙な三角関係。
その頂点にいる裕ちゃん。
その両脇にいる、アタシともう1人。
天秤にかけると、一目瞭然。
アタシは、アナタには敵わない。
ひっそりと、バレなければいいんだ。
バレなければ、続けられる。
2人が、幸せそうな顔を見るのはツライけど。
裕ちゃんを失うのは、もっとツライ。
だから、何故泣いているか、バレないように。
逃げて来たんです。
- 183 名前:第13話「三角関係、四角関係」前編 投稿日:2001年06月17日(日)01時08分33秒
- 図書室に逃げて、数十分。
もう、話は終わったかな。
そう思って、電話をした。
したら、話は終わっていて、中澤は来てくれた。
だから今、こうして図書室に2人。
「キスして……」
抱きしめていた力を緩め、中澤と後藤の距離を少し空ける。
そして、涙目でお願い。
「でも……」
困ったように、頭を掻く。
いつも、このような表情ばかりだ。
またさっきの、安倍を見ていた中澤の愛おしそうな顔が浮かぶ。
「……お願い、1回でいい……。そしたら、教室戻るから。戻って、作業するから…!」
「ご、ごっちん…」
う〜、と唸る。
そしてしばらく考えて、中澤は言った。
「もう、こーゆうの、やめにせん……?」
「へっ……?」
やっぱり、もう耐えられない。
自分でやったことは、責任を持つ。
それは充分判ってるつもりだ。
でももう、やっぱり耐えられない。
これ以上は、無理。
「実はさっき、ここ来る前、なっちと喋っててん…。
あの子さ、アタシがごっちんと付き合ってんのも知らんと、ニコニコニコニコ……。
やっぱ、無理や。あの子の顔、曇らすこと、出来ひん! だから……」
もう、付き合うの、やめにしよ。
中澤の声が、後藤にはものすごくスローモーションに聞こえた。
- 184 名前:第13話「三角関係、四角関係」前編 投稿日:2001年06月17日(日)01時09分04秒
- 「っ!?」
一瞬我が耳を疑った。
てっきり、少し離れているから、聞き間違いかと思った。
でもそれは本当で。
入り口から半分だけ見える後藤の、片方の目からは、涙がボロボロ出ていた。
(ごっ……ちん……)
タオルを冷やして戻って来たら、後藤はいなかった。
だから、探した。
探しまくった。
そして、見つけた。
だから、入って行こうとした。
そしたらそこに、中澤が来た。
だから、様子を見ることにした。なのに……。
一般的には、どうなんだろう。
想っている人がフラれた時、嬉しいのだろうか。
それとも、悲しいのだろうか。
吉澤は、正直、嬉しかった。
でも、後藤の涙を見た時、
とっても、悲しかった。
あぁ、自分の気持ちが判らない。
そして気づいたら、また口が勝手に動いてた。
「てめー、ふざけんなよぉぉっ!!」
- 185 名前:第13話「三角関係、四角関係」前編 投稿日:2001年06月17日(日)01時09分42秒
- ガッターンッ!
机か椅子が、倒れる音。
それは、少し離れた市井がいる体育倉庫まで届いていて。
「な、なんだなんだぁ?」
驚いて、図書室へと駆け寄る。
幸い、窓は空いていて、吉澤がいた入り口と反対側にある、もう一つの入り口から中を覗いた。
「なんでっ、なんで、そんなこと言うんだよっ! アンタは、自分のことしか考えてないじゃないかっ!!
結局、ごっちんはなんだったんだよ! ふざけんなよぉっ!!」
「ちょっ…よっすぃー!!」
「よし…ざわ……」
市井が覗いたそこは、正に修羅場。
しかもその修羅場を作った原因は、どうやら同室の吉澤にあるようだ。
「何してんだよアイツはぁ〜……」
勝手に、盗み聞きしてたこと丸判り。
しかも、中澤と後藤の関係を知っていたことも丸判り。
せっかく協力すると言ったのに、自らそれを辞退すると言ったようなものだ。
でもそんなことは、今の吉澤には考えられなかった。
考えられたことは、2つだけ。
好きな人を泣かせるヤツは、絶対許せない。
そして、好きな人は、自分が守る。
後のことなんか、まったく考えもしなかった。
- 186 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月17日(日)01時10分21秒
- 第13話「三角関係、四角関係」前編終了。
もちろん次は、後編です。
このまま行くと、もうすぐ終わりそう。
といっても、まだ終わらすか続かせようか考え中なんですが。
続かせるんなら、よしごまエロ書けそうです……多分。
でも、次回はいしよしも書きたいなぁ、いちいしもいいよなぁとか考えてたりも…(w
とりあえず、終わらせるのが先決ですね。
>>177
ヽ^∀^ノ<春よ〜♪ 遠き(強調)春よ〜♪(by春よ来い)
(○^〜^○)<いちいち強調しないでください! 近いですよ、春は!
………だそうです(w
>>178-179
(○^〜^○)<あたしを食う気ですか……
血生臭い抗争、始まっちゃいました(w
sageでやらせてくれって言ったのは、自分なんで。
そんな、本当は読者の方に気を使わせてしまい、こっちが謝らなければならないのです。
すいません。
>>180
萌えていただいて、よかったです。
本編は白を押したいので、レスでは黒を押してみようかと……
( ´ Д `)<っていうか、なっちが出てこなきゃ、幸せだったのに……(ブツブツ
- 187 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月17日(日)01時36分08秒
- あぁ〜とうとう姐さん言っちゃったね、それによっすぃ〜も・・・。
でもよっすぃ〜あそこで言わなきゃ男じゃない(w
続かせてエロもいいんですけど、いしよしも読みたい気が・・でもやっぱ続かせて下さい。
- 188 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月17日(日)02時41分20秒
- いしよしも好きだけど、このままよしごまで見てみたいっす。
つうか、続けてほすぃなぁ。。。
この設定のままがいいなぁ。市井ちゃんとよっすぃもおもしろいし。
- 189 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月17日(日)05時14分23秒
- 続けて欲しいすねぇ・・よしごまエロみたい・・(ボソッ
ここのさやまり好きだし・・・。
ところでいちいし、僕も最近気になってるカップリングです。
- 190 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月17日(日)16時16分10秒
- 続きの方向で出来れば・・・
作者さんのなちゅーも、もう少し読みたいな!
よしごまも・・・
作者さんお願いします
- 191 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月18日(月)03時52分36秒
- まさに、修羅場・・・後編が楽しみです。
自分も、ここのさやまり好きなんで続けて欲しいです。
- 192 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月18日(月)11時44分39秒
- 私も・・・この頃なっちゅー少ないので出来ればもう少し・・・
ごまゆうも好きなのですが・・・もう逆転ホームランはありえませんよね?
- 193 名前:第13話「三角関係、四角関係」後編 投稿日:2001年06月18日(月)16時00分42秒
- 出逢いは、すごく、ありきたりで。
少女漫画によく出て来るような、出逢い方。
そして、いつのまにか好きになっていて。
その想いを、止めることなんか出来なくなってた。
彼女には、好きな人がいて。
あたしは、それでも彼女が好きで。
彼女の好きな人も、彼女が好きで。
でもそれは、1番好きってワケじゃなくて。
彼女の好きな人の1番好きな人は、他にいる。
それでも彼女は、その人が、好き。
それでもあたしは、彼女が、好き。
彼女と、彼女の好きな人と、彼女の好きな人の1番好きな人。
その3人の中、三角関係の中に、もう1人。
彼女と、彼女の好きな人と、彼女の好きな人の1番好きな人と、彼女のことが好きなあたし。
その3人の中、三角関係の中に、もう1人入ったら。
それは、四角関係になるんだろうか。
- 194 名前:第13話「三角関係、四角関係」後編 投稿日:2001年06月18日(月)16時01分21秒
- ――
あの後すぐ、吉澤の怒鳴り声を聞いて、近くを通っていた保田が駆けつけて来た。
そして事情を察した保田は、俯いて、下を向いていた中澤を連れて、どこかへ行った。
だから、図書室には、吉澤と後藤、それに、覗いていたことがバレた市井の3人だけ。
「「……………」」
吉澤と後藤、両方ともただ無言。
2人の距離は離れてはいるが、その中間に市井が挟まったかのような形になっている。
(……おい、どうすりゃいいんだよ……逃げるに逃げれないぞこれは……)
吉澤は気を取り戻したのか、先程自分が中澤に対して言った言葉を思い出し、全身真っ青。
仮にも、教師に向かって。
それに、立ち聞きしてたこともバレたであろう。
後藤の勘が良ければ、吉澤の気持ちだって。
2人っきりになると、後藤が何を言うか判らないので、必死にここから逃げようと考えている市井に、
声には出さず、涙目で訴える。
(市井さぁ〜ん……お願い、助けて……)
協力してくれるって、言ったじゃないですか。
でも、協力も何も、フォローの言葉も浮かんでこないよ。
いいから、なんでもいいから、喋ってください。
目で会話。
本棚にもたれて、座って俯いている後藤からは見えない。
う〜、と小さく唸った市井は、恐る恐る口を開いた。
- 195 名前:第13話「三角関係、四角関係」後編 投稿日:2001年06月18日(月)16時01分53秒
- 「ま、まぁ、あれだね。や、やっぱ、二股はいけないよねぇ!
二股するんなら、同じ学校じゃなくて、違う学校の子としたらよかったのに。なははは……」
シーン。
市井の渇いた笑いだけが図書室に響く。
「バカ……」
ボソッと、一言。
頼んだ人が悪かったのか。
いや、それにしても、もうちょっと、状況を考えたことを言えないのか。
この人は。この先輩は。
やっぱり、バカだ。
「あっ、さやか!」
「げぇっ、アヤカ!」
忘れてた。
今は、アヤカから逃げている最中だったのだ。
ちょうどよかった。これで、ここから逃げられる。
「わ、悪いっ。市井、ちょっと用事が出来たんで失礼しますっ」
「い、市井さんっ!?」
逃げるが勝ち。
止める吉澤に振り向きもせず、市井は逃げる。
でも逃げる時、入り口のドアを開くことを忘れてドアに激突。
けれどすぐに意識を取り戻して、打った額を押さえながら今度はちゃんとドアを開けて出て行った。
その市井のすぐ後ろをアヤカが追いかけて。
吉澤は呆然と2人を見送るしかなかった。
図書室にいるのは、吉澤と後藤の2人。
辺りには、人の声もあまり聞こえない。
こんなチャンス、滅多にない。
でもそれ以上に。
こんな居心地悪い部屋、滅多にない。
- 196 名前:第13話「三角関係、四角関係」後編 投稿日:2001年06月18日(月)16時02分37秒
- 刻々と、秒を刻む針の音。
その秒針が12のところに来たら、後藤に話し掛けよう。
そう決意して針が来るのを待つが、どうも踏ん切れない。
何と言って話し掛けていいのか判らないのだ。
そして、針が12を指した時、後藤の方が吉澤に向かって話し掛けていた。
「……よっすぃーは、知ってたの? アタシと裕ちゃんの関係……。
聞いてたからじゃなくて、知ってたの?」
「そ、それは……」
やっぱり、後藤は勘がよかった。
もしさっき2人の関係を初めて聞いたのなら、あんな風には出ないハズだから。
ビックリして、動揺して。
結局、ごっちんはなんだったんだよなんか、言わない。
嘘をついたところで、どうしようもない。
正直に、話す。
「知ってたっていうか……見ちゃったんだ。資料室で、2人、喋ってんの。
盗み聞きするつもりじゃなかったんだ……けど……」
あまりにも後藤が、無邪気に笑っていたから。
その顔を見せる相手が、誰だか知りたかった。
もちろんそれは、口には出せない。
「そ、っか……。アハッ、なんか、バカみたい。
よっすぃーにバレないように、必死で隠してた自分が。
しかも、その現場も見られて、失恋の現場まで見られちゃったなんてなぁ〜……えへへっ」
ぺろっと舌を出して、おどけてみせる。
痛々しくて、見てられなかった。
涙が、出てきそうだ。
それを必死に我慢して、吉澤は言う。
「…なんで、我慢するの? あたしじゃ、不満ですか?
それとも、中澤先生以外の人じゃ、ダメですか?
泣いても、いいんだよ………悲しいときは、泣かなきゃ。
ちゃんと、傍にいるからさ………」
そう優しく論す。
頬に、手を添えてやると、今まで無理に笑ってた後藤の顔が崩れた。
「…ふぇっ……」
ぅっく、んっく。
その交じりに聞こえる、「裕ちゃん」、「好きなのに」、「やだよぉ」。
そんなことを聞く度、後藤の背中に回した吉澤の腕が緩まる。
でも緩めると、寂しいのか、後藤がぎゅうっと抱きついてくる。
そしてまた、腕に力を込めるのだ。
- 197 名前:第13話「三角関係、四角関係」後編 投稿日:2001年06月18日(月)16時03分09秒
- どうして、後藤のことになると、自分が押さえられなくなるんだろう。
口と、身体が無意識に動く。
「ずっと……ずっと…好きだったんだ……」
気づくと、勝手に告白していた。
泣いていた後藤も、驚いて顔を上げる。
あと、もう一つ気づいたこと。
後藤が身体が震えるのがビクッと判った。
抵抗する時間がなかったのか。
それとも、ただ、抵抗する気がなかったのか。
意外とあっさり、一瞬のようで、永遠のような。
いつのまにか2人は、キスを交わしていたのだ。
四角関係っていうのは、全員繋がっていなければ成立しないワケであって。
吉澤と安倍ラインは、繋がっていない。
三角関係っていうのは、全員繋がっていなければ成立しないワケであって。
これまでは、中澤を頂点に、後藤と安倍がライバル、あとは「好き」で繋がっていて。
その片方、中澤・後藤ラインが、ぷっつりと切れてしまった。
後藤の気持ちは、どこに向いているのだろう。
中澤? 吉澤?
そんなこと、どうでもいい。
初めて人に触れた、唇の感触がとても気持ちよくて。
ずっと、こうしていたい。
吉澤はただ、そう願うだけだった。
- 198 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月18日(月)16時03分49秒
- 第13話「三角関係、四角関係」後編終了。
とうとう吉澤坊ちゃん、やってしまいました(w
あぁ、無意識って恐いやねぇ……。
終わらせて、いしよしを書こうと思ったのですが、一つ困ったことが。
いしよしにしろ、いちいしにしろ、必ず市井は出す(いちいしの場合は石川主人公で)
でも、へナ市井じゃないことなんですよね…。
やっぱ、さやまりじゃないと、へナが書けない。困ったことに。
なので、とりあえず区切って、続編みたいな感じでこの、ハロ学(省略)を
書きたいと思います。
応援してくれている方、どうぞよろしくお願いします。
>>187
ここのよっすぃーは、どうやら暴走がお好きなようでして…(w
色々と、問題を起こすの大好き坊ちゃんを、可愛がってあげてください(w
ちょっと2chのいしよしスレの中のある作品見て、いしよしにはまっちゃったんです。
それで、自分も書きたくなってしまって…
>>188
この設定のまま、続編いきます。
なんだかんだ言って、愛着も湧いてきたりしますねぇ。
>>189
よしごまエロは結構たくさんあるんで、俺が書いてもいいのだろうかという感じはめいっぱいするんですが(w
ちょっと、チャレンジしてみたいです。
エロは……続編であるかもです。
いちいし少ない……けど、好きなんです。
>>190
なっちゅー、よしごまですか。
頑張ります。
>>191
(;〜^◇^〜)<ダ、ダメだよ紗耶香っ! 浮気は、絶対許さないからねっ!!
修羅場の次は、変なトコで区切ってごめんなさい。
ヽ^∀^ノ<さやまりは続編でも健在だぁ〜!!
>>192
ぎゃ、逆転ホームランですか……。
可能性は、ないとは言えないですね。
- 199 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月19日(火)03時53分19秒
- ついに吉澤が多少暴走気味ですが勝負にでましたね。さあ、どうなる?
それにしても、市井と吉澤が目で会話してるところには笑いました。
何か良いんですよね〜、この2人!!
どうやら、この小説が続くみたいなんでよかったです!!
でもちょっとだけ作者さんが書くいちいしも見てみたかったかも・・・(w
- 200 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月19日(火)07時55分33秒
- 何気によっすぃー男前!!(w
- 201 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月19日(火)08時33分18秒
- 後藤はこれからどうなるんでしょう。
やっぱり市井と吉澤はいいコンビですね!
- 202 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月19日(火)13時00分10秒
- 圭ちゃんキーパーソンですか?
- 203 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月19日(火)14時47分50秒
- だからageるなって…
- 204 名前:第14話「押しの一手でいこう!」 投稿日:2001年06月19日(火)15時12分56秒
- 寮スタッフの1番偉い人、夏まゆみ先生に外出許可をもらって。
そのついでに、夏先生に自転車借り出し許可ももらって。
土曜日の午後、市井、矢口、吉澤の3人は外食をすることにした。
その目的は、作戦会議。
――
カランカラン
入り口にある鐘が鳴って、お客が来たという合図。
吉澤達がやって来たのは、娘。レストラン。今1番人気の店だ。
「いらっしゃいませー、何名様ですか?」
高くて、その上アニメ声の店員がやって来る。
どことなく、石川に似てなくもない。
でも3人は気にせず、矢口が代表して5本の指の内3本を立てた。
「3名様ですね。えっと、福田さーん! 両方席空いてますよねー」
「空いてるよー」
奥の方から、声。
たぶん、福田という人だろう。
それを聞いた石川似の店員は3人に向き直り、聞いた。
「喫煙席と禁煙席、どちらも空いておりますが」
「あ、じゃあ喫煙席で」
そう言ったのは市井。
「アホかっ」
矢口の叩きが、市井の頭にベシッと一発。
綺麗に決まる。
「なんで禁煙席も空いてんのに、わざわざ喫煙席選ぶんですかっ。
アンタ吸うんかいっ!!」
「いや、吉澤が…」
「吸いませんよっ!!」
「ちぇっ」
「『ちぇ』ってアンタねぇ……」
漫才のような2人の掛け合いに矢口は頭を抱えながら、石川似の店員に
「すいません…禁煙席お願いします…」
と、恥ずかしそうに言った。
- 205 名前:第14話「押しの一手でいこう!」 投稿日:2001年06月19日(火)15時14分47秒
- 「で? その後、どうしたんだっけ?」
頼んでやって来た食事を、半分くらい食べた頃、矢口が不意に尋ねた。
「その後って、どの後ですか?」
一応、しらばっくれてみる。
矢口の興味津々な顔を見れば、どの後なのか一目瞭然なのだが。
市井はその後どうしたか、吉澤が寮に帰ってから聞いたから知っているため、
矢口と一緒になって尋ねたりはしない。
頼んだ焼肉定食を、黙々と食べている。
「まぁた、しらばっくれちゃって〜。キスした後に決まってんじゃん!」
「そ、そんな、大声で言わなくても…」
興奮しているのだろうか。
普段の声より数倍大きい声で、話す矢口。
「あ、あぁ、ごめん。で、だから、その後どうしたの?」
「どうしたの?って。矢口さんが期待してるようなことにはならなかったですよ?
その…唇が離れてから少しして、ごっちんが『帰ろう』って言っただけで……」
「なぁ〜んだ、それだけぇ〜?」
どんなことを期待していたんだろう。
すっごく残念な、拍子抜けた言葉。
市井と一緒にいるせいだろうか、「ちぇっ」と言って少しふてくされた真似。
でもそれでメゲる矢口でもなかった。
- 206 名前:第14話「押しの一手でいこう!」 投稿日:2001年06月19日(火)15時15分25秒
- 「殴られたりしなかったってことはだよ? 脈ありってことじゃあないのかい!?
それに、ごっちんは失恋した! 失恋の痛手を治すのは、新しい恋をするのが1番!!」
「矢口さん、いつのまにごっちんって……」
「よぉし、あとはもう押しの一手に限るね! ここが勝負所だよよっすぃー!!」
「は、はあ……」
人の言うことも無視して、自分の意見を突き通す。
なぜこんな熱血的なんだろう。
以前、後藤との恋を協力すると言った時もこんな感じだった。
なんなんだ、この人は。この先輩は。
吉澤の周りには、市井をはじめ、飯田、矢口と、変わった先輩が多い。
「でもさー、今思ったんだけど、朝っていうか、午前中どうだったの?
喋ったの? よっすぃーとごっちん。ごっちんと裕ちゃん。よっすぃーと裕ちゃんは」
「んー……ごっちん、休んでたんですよ。梨華ちゃんに聞いたら、時間だよって言っても
ベッドから下りなかったって。だから、喋ってないです。
先生とは………別に、いつも通りですよ」
「いつも通りって?」
「いつも通り、全然喋ってません」
といっても、一方的に吉澤が無視をしているだけなんだが。
「ふーん。……あ、じゃあ部屋行ったの? ごっちんのお見舞い」
「いや……だって、どんな顔して会っていいか判んないじゃないッスか…」
「んなの、どんな顔してってもいいから、会わなきゃ!
会って、もう一回はっきりコクんなきゃ」
「でも……」
「い・い・か・ら! 早く行く!」
ここは、押しの一手だ。
それを実行しようと、無理やり吉澤を立たせて、その背中を押す。
「じゃ、じゃあ、行ってきます…」
「おう、行ってらっしゃい!」
ここで逆らうとマズいと判断したのか。
矢口の言う通り、吉澤は娘。レストランを出て、寮へ帰って行った。
- 207 名前:第14話「押しの一手でいこう!」 投稿日:2001年06月19日(火)15時16分08秒
- 帰ってから気づいたこと。
「あ、お金、もらってない…」
今日は、ワリカンで来たのだ。
しかしそれを忘れ、勝手に帰してしまった。
「……まあいいか。矢口が言ったんだしね……」
幸い、吉澤が頼んだのは650円と安かったので、自分が帰れと言ったこともあり、
奢ってやることにした。
一応これでも先輩だ。
可愛い後輩のため、ちょっとは犠牲になろう。
にしても、静かだ。
全体的にはうるさいが、隣が妙に静か。
いつもは、うるさいくらいなのに。
「紗耶香〜、なんか喋れよぉ〜」
テーブルに顎と腕を乗せて、横から市井を覗き込む。
市井は、チョコレートパフェに夢中だった。
いつのまに頼んだのだろう。
「ちょっと頂戴」
「いいよぉ」
どの部分が欲しい?と聞き、このアイスクリームのところがいいとの希望通り、
そのアイスの部分をすくって、
「アーンして」
「アーン」
バカップルならではの食べ方。
「うん、おいしい」
歯にちょっとしみたものの、おいしいことには変わりはない。
でも問題は、違う所にあった。
パフェも食べ、伝票を持って会計に向かう。
そして、吉澤の代金は矢口が出し、自分の代金も矢口が。
あとは、市井が払うだけ。
しかし……
「あ、あれ? お、おっかしいなぁ…」
カバン、ポケットのあらゆるところを探してはみるが、ない。
「ま、まさか…」
矢口の顔が、徐々に青色に。
財布の中を見てみるも、大きなお金は、寮に置いてきた。
残りは、千円。
市井が食べた料理は、850+パフェ代400円。
あきらかに足りない。
「あ、あの……」
中澤似の、店長らしき人も困ってる。
しかしもっと困っているのは、市井と矢口の2人である。
その後市井は、矢口を残して寮へと財布を取りに戻った。
矢口はその間、ひたすら謝りっぱなし。
もう、ここには来ない。
そう誓った、9月の、ある土曜日の午後だった。
- 208 名前:第14話「押しの一手でいこう!」 投稿日:2001年06月19日(火)15時16分49秒
- ――
さっきから鳴り続ける、ノックの音。
布団で身体全部覆っても、そのノックの音は聞こえる。
(なんでノックなんかすんのよ……自分の部屋でもあるんだから、さっさと入ってくればいいのに…)
ノックの主は、石川。
中にいる後藤は、勝手に決めつけ。
「もぉー!!」
いいかげんにしてよ、嫌がらせのつもり!?
いつも、石川に対して、嫌っているような態度を取っているからだろうか。
でもそれは嫌っているんじゃなくて、ただ機嫌が悪い時に、タイミング悪く
石川が話し掛けてくるからであって。
決して、嫌ってなんかいない。
でも石川には嫌っているように見えるんだろう。
だからって、こんな仕打ちはひどいじゃないか。
「開いてるよ!!」
そう大きな声で言って、ドアを開けた。
「あ……」
そこに立っていたのは、石川なんかじゃなく。
矢口に言われて、部屋に向かった吉澤でもなく。
「ゆー……ちゃ…ん」
「……よっ」
中澤だった。
- 209 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月19日(火)15時21分38秒
- 第14話「押しの一手でいこう!」終了。
ゲスト、娘。レストランの石川、福田、中澤が駆けつけてくれました(w
ごめんなさい。出したかったんです……。
似てるんじゃなくて、同じ顔じゃん。という突っ込みは、作者も判っておりますので、
どうかお許しを……。
>>199
(〜^◇^〜)<へナの方がカワイイんだもん。だから、紗耶香はへナじゃなきゃダメッダメぇ〜
( ゜皿 ゜) <Oi! Oi! Oi! Oi!
( ´ Д `)<………………青色7(ボソッ
勝負に出たのはいいんですが、ほんとどうなるんでしょうか?(w
鍵は、市井が握ってる!!(嘘
へナ「いちいしの最初だけは出来てんだよねぇ」
石川「そうなんです。またしてもパラレルで、飯田さんも出演」
へナ「なんか、病院が舞台とか、そうじゃないとか……」
石川「もしかしたら、このままお蔵入り……?」
へナ「そ、そんなこと、このへナ市井の名にかけて、絶対させないぞぉ〜!!」
石川「きゃあ、市井さんカッコいい〜」
へナ「て、照れるなぁ…(デレデレ」
嗚呼、いちいし……。
>>200
ありがとうございます。
吉澤坊ちゃんも、とても嬉しがっております。
ヽ^∀^ノ<男前NO.1は、この市井様だけどね!
>>201
後藤のこれからは、次か、その次で明らかにするつもりです。
いいコンビと言ってもらえて、本当に嬉しいです。
ここの市井と吉澤は、嬉しがってないようですが(w
>>202
キーパーソンっていうワケではないのですが…。
でもまあ、中澤にとっては大事な役ってところです。
我が侭でホント悪いんですが、sageでお願いしたいです。すいません。
>>203
言ってくれてありがとうございます。
こっちの我が侭なのに……すいません。ホント。
- 210 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月19日(火)18時34分38秒
- 市井か〜わいいなぁマジで
知やんちゃな人が好きとか言ってたから、凄い自然で実際ありそうな錯覚に陥ります(w
とりあえず僕も言っとこ。
、、、嗚呼いちいし・・
- 211 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月19日(火)19時45分20秒
- どうなるよ後藤!!
せっかくいー感じだったのになぁ、吉澤。(w
- 212 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月20日(水)04時23分54秒
- まさかこの話が『娘。レストラン』とリンクしていたとは・・・ビックリっす!!
でも、『娘。レストラン』のファンとしては、嬉しい仕掛けでした。
さて、終わり方を見る限りでは次回はシリアスっぽいですね。
どうなるのかな〜?楽しみです!!
- 213 名前:第15話「好きになった理由」 投稿日:2001年06月20日(水)10時21分51秒
- 「……どしたの? 今まで、部屋になんか来たことなかったじゃん…」
「まぁ、そうやけど。休んでたから心配になって……」
部屋に入れてもらったものの、あまり歓迎されてないのは充分判っている。
昨日の今日なんだ。
「じゃあ、大丈夫だから。もう、帰ってよ」
本当は来てくれて、すっごく嬉しい。
けど、昨日自分は振られた。
振っといて、どうして部屋になんか来たんだ。
余計に辛くなるじゃないか。
「判ってる? 裕ちゃん、昨日アタシを振ったんだよ?
裕ちゃんは、優しすぎるんだよ! なんでそうやって振ったヤツに優しくするかなぁ!」
「ごっちん…」
「あの時だって……裕ちゃんが優しくなんかしなけりゃ、こんな悲しまなくて済んだんだっ!!」
後藤の涙声が、部屋に響く。
部屋が、シーンと静まり返った。
- 214 名前:第15話「好きになった理由」 投稿日:2001年06月20日(水)10時22分28秒
- 高校入試の時受けた、この今日和学園。
中学、ずぅっと寝てて勉強していなかった後藤は、レベルの低い公立の普通科にも受かる確率が低いと言われた。
だから、お金が大分かかるが、私立のここを受けることにしたんだ。
そして、テスト当日。
眠たいながらもやろうと思い、筆箱を開けてみると…
(……おい。色ペンしか入ってないじゃん……)
シャーペンが一つも入っていないことに気づく。
誰か、貸してくれる人はいないか。
しかしもうテスト開始されているので、周りに話し掛けたり見回したりすると、カンニング扱いされる。
だから、テスト開始する前、試験官の人がちゃんとシャーペン、ケシゴム、芯があるか確かめときやーと言っていたのに。
テスト開始直前まで寝てた後藤は、聞いていなかった。
(はぁ〜あ。中卒になるのかぁ……履歴書に書くのはせめて高卒がよかったんだけどなぁ)
ボーッと、そんなことを考えていた。
そんな後藤に気づいたのか、試験官が近付いてくる。
そして、机の上にばらまかれている色ペンばかりに気づいたのだろうか。
「シャーペン、ないん?」
後藤に、こっそりと尋ねる。
その試験官の言葉に後藤はチラッと試験官を見たのだが、ただそれだけ。
しかし試験官はそんな後藤の態度にムカツキもせず、黙って胸ポケットにささっている
シャーペンを後藤の机の上に置いた。
「ホンマは、アカンねんけどな。キミ可愛いから特別やで」
「なっ……」
かぁっ赤くなって、試験官を見るが、その試験官はもう教卓の前。
ちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべて、早よやり、とテストを指している。
その試験官にとっては、何気ないことだったのかもしれない。
でも後藤にとっては、他人に初めてされた優しさだったのだ。
試験官に付いていた、名札を見てみる。
試験官の名前は、「中澤」というらしかった。
- 215 名前:第15話「好きになった理由」 投稿日:2001年06月20日(水)10時23分00秒
- 「あの後…担任が裕ちゃんだって知ったとき、すっごい嬉しかった。
嬉しくて嬉しくて……裕ちゃんが笑いかけてくれるだけで、すっごい嬉しくて……。
でもその内、他の子達と一緒じゃ嫌になった。自分だけ特別だって思いたかったの。
だから、付き合って、って。彼女には、絶対迷惑かけないし、他の人達にもバレたりしない。
彼女とはまた違う、特別になりたかった………」
「ごめん……ごめんなぁ。ごっちん…」
後藤を、ぎゅうっと抱きしめる。
こうやって抱きしめてやれるのも、これが最後だ。
こうやって抱きしめてもらえるのも、これが最後だ。
2人は判っていた。
やがて、ゆっくりと、回していた腕の力を解く。
「こんなトコ、彼女に見られたらどう思うだろうね。
裕ちゃんが、自分以外の子、抱きしめてるとこ見たら」
クスクスと、冗談が入った皮肉を言ってみる。
負けじと中澤も言い返した。
「そっちこそ、こんなトコ、よっすぃーに見られたらどうするつもりや?
アイツ、昨日判ったけど、怒ったら恐いからなぁ」
「ななっ、なんでそこでよっすぃーが出てくんのさっ」
珍しく慌てる後藤。
昨日のキスを思い出したからかもしれない。
「あれ、ごっちん知らんかった? あんま人に興味示さんごっちんが、友達になってなかった時から
よっすぃーを見てたとアタシ思うんですけど」
「み、見てないよっ。アタシ、裕ちゃんしか見てなかったもんっ」
「いーや、見てた。それに、前言うてたやん。
この前、吉澤さんにゆでたまごあげたんだー、って。自己紹介ん時、ゆでたまご好きって言ってたよね、って。
あれだけ人の話聞かんごっちんが、なぜか1番初めの授業でした自己紹介覚えてんねんもん。
それ聞いた時、正直言ってめちゃビックリした」
指摘され、またかぁっと顔が赤くなるのが判った。
「よっすぃーはいいと思うでぇ。アタシよりよっぽど。
アタシみたいに、二股かけたりせぇへんヤツやろうし、何より大事にしてくれると思う。
まぁ、カッコええし優しいから、モテるやろうけどな」
「……………」
急に黙ってしまい、下を向いてしまう後藤。
照れているのだろうか。
「どした〜? お〜い」
今後藤はどんな表情をしているのだろう。
確かめようと思って、顔を覗いてみる。
覗いた瞬間、抱き付かれた。
- 216 名前:第15話「好きになった理由」 投稿日:2001年06月20日(水)10時23分31秒
- 「わっ」
後藤に、押し倒される形に。
「………ごっちん、痛いやないかぁ」
「えっへへ。ごめん、ごめん」
口ではそう言っても、反省してないの丸判り。
その体勢のまま、2人見つめ合う。
「好きだった………本当に、好きだったよ……」
「アタシだって……好きやったよごっちんのこと。信じてもらわれへんかもしれんけど、
ホンマに、ホンマに好きやった……ごっちん」
「信じるよ。だって裕ちゃんは、嘘つけないもんもんね。
嘘つけないから、正直にホントの気持ち言って、アタシを振ったんだし。
…………好きって聞けて、嬉しいよ」
はい、シリアスな展開はここまでー。
そう言って後藤は立ち上がり、まだ倒されたままの中澤も、自慢の怪力で起こす。
「裕ちゃんがこの部屋から出たら、先生と生徒の関係に戻るね。
気持ちも、ちゃんと吹っ切るから。裕ちゃんもちゃんと、吹っ切ってよね」
「わ、判ってるよっ」
「そ。ならよかった」
にっこり笑って、中澤を部屋から追い出す。
「……ばいばい」
そう言って、ドアを閉めた。
「………ック。ぅうっ……ふぇっ……っく」
涙は、決して中澤の前では見せることなく。
1人静かに、部屋で泣いた。
- 217 名前:第15話「好きになった理由」 投稿日:2001年06月20日(水)10時24分35秒
- 「どうでしたか?」
出て来た中澤に、待っていた保田の声。
「ちゃんと、ケリつけてきたよ。…いや、つけられたんかなぁ」
思い出して、笑ってしまう。
ツライのは、後藤の方なのに、無理してるのなんかすぐ判ったのに。
最後頑張って、自分自身、中澤のケリをつけた。
後藤は強い。でも。
本当は、弱いんだ。
今だって、ドアの向こうで1人、泣いているだろう。
けれど、そんな後藤の傍にいてやるのは、自分じゃない。
そんな後藤の傍にいてくれる人は、他にいる。
「はぁ…はぁ……あれっ?」
ちょうどよかった、ナイスタイミング。
「お帰り、よっすぃー。中で、ごっちんがお待ちかねです」
「えっ? はっ?」
なぜお待ちかねなのか。
なぜここに中澤と保田がいるのか。
娘。レストランから戻ってきたばかりの吉澤は、意味が判らない。
「……ごっちん、大事にしてあげてな」
意味が判らない吉澤に事情を説明せず、それだけ言って、保田と共にそこを去る。
しばらく、中澤の言葉が伝わらなかったのだけど、今やっと伝わった。
「………もちろんですよ。言われなくても、そうするつもりです」
もう帰ってしまってここにはいない中澤に向かって、微笑む。
そして、1回ノックをしてから、後藤のいる部屋へ入った。
- 218 名前:第15話「好きになった理由」 投稿日:2001年06月20日(水)10時25分16秒
- 「さぁて、ヤケ酒や。飲みにでも行こか、圭ちゃん」
「おっ、いいねぇ。裕ちゃんのオゴリ?」
「アホかっ。給料前やのに、そんな金ないわっ」
ハロプロの準備は、生徒達に任せて。
こんな日は、居酒屋にでも繰り出そう。
「あーでも、やっぱ、寂しいねぇ」
何が寂しいのか。
中澤の右目に光った、一粒の涙。
判ってる。判ってるから。
好きだったんだよね。本気だったんだよね。
でもいつまでもこんな関係じゃ、後藤が傷つく。なっちが傷つく。
それに、裕ちゃんは気づいてたんだよね。
後藤も、吉澤のことどこか気にしてるって。
だから、それに気づかせてあげた。自分を犠牲にして。
結果は二股なんだけど。
裕ちゃんは、どっちも本気で好きだったんだ。
昨日、後藤に別れを告げた裕ちゃん。
吉澤達から遠ざけて、話を聞いた。
その時、裕ちゃんの目から零れた涙を見て、判ったの。
浮気だったんじゃない。この人は、本気だったんだ。
ただ同時に、2人の人を愛してしまったから、困ってた。
ずっと、放っておけないからだと思ってた。
ずっと、許せないと思ってた。
けどそれは、あたしの思い違いだったんだ。
「まぁ、寂しかったらいつでもあたしに言ってよ。相手してあげるよ」
「ええっ、え、エンリョしとくわ…。どうせやったら、もっと可愛い子に頼むから…」
「なんですってぇ〜!?」
裕ちゃんは、優しい。
そのせいで、こんな風にもなっちゃったりしたけど。
あたしは、それでも。
裕ちゃんの、そんな、優しいところが大好きです。
みんな、裕ちゃんのそういうところ、好きになったんだろうね。
- 219 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月20日(水)10時26分05秒
- 第15話「好きになった理由」終了。
ごま裕書くの、何気に楽しかったりしました。
多分、次で最終話です。
>>210
やんちゃな人が好きって言ってたんですか? うぅ、記憶にない……。
ってか、後藤がハロモニで言ってた、完璧な人がタイプとしか記憶にない俺はなんなんでしょうか?
でも、実際ありそうな錯覚に陥ってくれてよかったです(w
武道館ビデオの、MCの時、市井と石川隣り同士。
他の人が喋ってる間、市井はほとんど石川と喋りっぱなし……。
嗚呼……いちいしよ、もう一度……。
>>211
後藤さん、なんとかなったみたいです。
あとはよっすぃーが頑張るだけだ!(w
>>212
(〜^◇^〜)<オイラはお蔵入り賛成だぞぉ〜!!(いちいしなんか許せるもんかぁ!)
ずっと娘。レストラン書いてたんで、未だに愛着がね。。。
出す機会待ってたんですが、あそこで我慢出来ずに出してしまいました(w
シリアスに入った途端、もう終わりに近付いてしまいました…(w
ご期待に添えるように、頑張りたいです。
- 220 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月20日(水)18時10分27秒
- 後藤の強さと優しさがみれてなにげに感動しました。
さらになにげにいちいしも期待!!
- 221 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月21日(木)00時22分16秒
- ん〜〜〜なんかめっちゃ良かったです。イイ話って感じですねぇ。
そしてよしごま、、楽しみにしております
- 222 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月21日(木)03時54分12秒
- 後藤も中澤も保田も、み〜んないいですね
さあ、後は吉澤が最後の締めくくりをすれば完璧ですね。
- 223 名前:最終話「ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年06月21日(木)16時35分01秒
- 日は、瞬く間に過ぎて。
文化祭(ここではハロープロジェクトという)の日がやって来た。
「コーラ2つください」
ポケットから、先程ピロティーで買った金券を取出し、ジュースと交換。
そのジュースを、こぼれないよう1個づつ手に持って、人が多い校庭を通って行く。
そうやって通っている最中に、例のバカップル発見。
「やぁ吉澤くん。ここで会ったのも何かの縁。E組の出し物、福顔占いに参加しない?
吉澤だったら、頬鑑定でチャンピオンになれるよ」
「何意味判んないこと言ってんですか、市井さん」
「意味判ってよ。誰か連れて行かなきゃ、後でアヤカに殺されるんだ」
「じゃあ殺されてください」
「冷たっ! それが同室であり先輩に対する態度かっ!!」
「態度ですよ」
こちとら、市井の相手をしてるほど暇じゃない。
手にコーラを2つ持っているのが判るように、人を待たせているんだ。
と、そこに、矢口が会話に入ってきた。
「へっへっへ。よっすぃー見てー、セーラー服! 超可愛くない!?」
「え、あ、あぁ…」
矢口のクラス、A組の出し物からお借りしたのだろう。
ご丁寧に、隣りにいる市井にも、学ランを着せていた。
「つーかね、暑いのよ。コレ。こんな人多いのに、上着なんか着てられるかー!」
もうやめた、そう言って黒の学生服を投げ捨てる。
「あっ、何すんだよぉ! これ借り物なんだから!」
捨てた途端、矢口に頭をすっぱたかれ、また着せられる。
何をやってんだか。
- 224 名前:最終話「ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年06月21日(木)16時35分34秒
- だって暑いんだもん……、まだブツブツ言う市井。
でも矢口に聞こえないように言っているのが、市井のヘナチョコ度を表しているのだろうか。
矢口は構わず、吉澤に話し掛ける。
「もうねー、矢口1回着てみたかったんだよね、セーラー服。
いやぁ、コスプレを推薦してよかった。最高だね、こりゃ」
満足気に微笑む矢口とは反対に、見るからに不満顔の市井。
暑いって言ってるのに。嫌だって言っているのに。
さっきからずっと無視してるんだ、この人――やぐっちゃんは。
「何、何か言いたいことあんの?」
そんな市井に気づいたのか、矢口が声をかける。
「別に」
言いたいことはいっぱいあるけど。
今、拗ねたい気分なんです。
でもそんな市井の扱いは手慣れたもの。
「………カッコイイのになぁ、学ラン着てる紗耶香……」
ピクッ。
反応あり。
「ま、まぁ、その内、教室とかも見て回ってたら、クーラーとか効いてるし……。
寒くなったらいけないから、学ラン着てた方がいいかもな………」
そんな言い訳も、市井のニマニマ顔を見てたら、説得力一つもない。
『カッコイイのに』
矢口にそう言われて、嬉しくてたまらないのだ。
「……ほんと、この人矢口さんには、一生敵いませんね……」
「えっへへへぇ。まぁね♪ でもそんなトコが好きだったりもするんだなぁ」
「はいはい。ごちそーさまです」
笑ってそう言って、これから付き合いで
「圭織んトコの、『飯田圭織のお説教部屋』に行かなきゃいけないんだよぉ〜」
「日頃の懺悔を口にして、お母さんの代わりにカオが怒ってくれるんだってさ……。
一体、終わるのいつになるやら……」
という2人を見送って、吉澤はまた歩き出した。
- 225 名前:最終話「ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年06月21日(木)16時36分07秒
- 「やっばぁ〜…怒ってるかなぁ」
市井達に会った後、石川と柴田達にも会い、そこでちょっと立ち話をしてしまった。
吉澤がジュースを買いに行ってから、もうすぐ30分。
両の手にあるコーラは、氷が溶けて、紙コップから汗が出てきていた。
「急がないとっ!……って、おい!」
コーラがぬるくなってしまう前に、早く戻らなければ。
そう思ってあと数階を駆け上がろうとした時、誰かにコーラを取られてしまった。
「中澤先生! 返してくださいよぉ!」
「えーやん。ちょっと飲ませてや。喉渇いててん」
「だーっ、もう、だからダメですって!」
返せ返せ、と連呼し、無理やり中澤の手から奪おうとする吉澤を、スッと交わす。
「ほれほれ。早よ取り返さな、裕ちゃん飲んでまうで」
「ぐっ……」
だから、構っている暇はないというのに。
どこまでもこの人は、邪魔をしたいのか。
「こうなりゃ、強引に行ってやる!」
そう言って、コーラを持っている中澤の手めがけて掴まえに行ったのに。
失敗。それも大失敗。
バッシャァ〜ッン!!
強引に来た吉澤にビックリして、つい後ろにやり過ぎてしまった。
中澤の手から、ジュースは離れ、ちょうど中澤の真後ろを通りがかっていた保田の顔面に、
ジュースを浴びせてしまった。
「「あ……」」
言葉を失う2人。
そんな2人を、妙に笑顔で見る保田。
「ありがとう。ちょうど、シャワー浴びたかったの。………って、そんなワケないでしょーーっ!!!」
「「ぎゃーっ!!」」
逃げる2人。追う保田。
- 226 名前:最終話「ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年06月21日(木)16時36分41秒
- 「あれぇ、裕ちゃんどしたのさ」
途中、安倍が通りがかり、血相変えて逃げて行く中澤に尋ねる。
「ななななっち! ちょ、ちょうどよかった!! うちと一緒に逃げてくれ!!」
巻き添えにする気かい。
吉澤はそう突っ込もうと思ったが、
「え、えぇっ!? そ、そんな、急に言われても困るべさ……。
で、でも裕ちゃんとなら、なっち、何処にでもついて行く……」
どうやら安倍も、巻き添えにされて喜んでいるみたいだ。
多少、誤解はしているようだけど、この際突っ込まない。
そして、二手に別れた方がいいと判断し、吉澤は中澤達と反対の方向に逃げた。
――
ぜぇぜぇ、息も絶え絶え。
どうやら保田は中澤に狙いを定めてくれたみたいだけど、またしても時間をくってしまった。
かれこれ、10分近く追いかけられていたのか。
ジュースを買いに行ってから、約40分。
ずっと、1人にしたままだ。
「……とりあえず、ジュースは無事」
走ってる間、ずっとこぼさないように気をつけていた。
自分の分は、ああなってしまったから、もう諦めるしかない。
小さく深呼吸して、屋上の、ドアを開けた。
カチャ、と小さく音がして、真っ先にずっと待たせていたキミを探す。
「ごっち〜ん……?」
呼びかけてみる。
返事はない。
壁に座って、もたれている。
「お、怒ってる……?」
恐る恐る、覗き込んで。
「……………」
寝ているのを、確認。
- 227 名前:最終話「ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年06月21日(木)16時37分18秒
- 「ほんと、ごっちんらしいや……」
怒って、口も利いてもらえないのかと思ったら、寝ていただけだった。
いつもいつも10時間以上寝ているハズなのに。
どこでも寝れる、キミがとても素晴らしい。
「…………」
キョロキョロ辺りを見渡して。
人がいないの確認して。
「い、いいよね……寝てるんだから、ちょ、ちょっとくらい……」
ドキドキと高鳴る心臓。
だってしょうがないじゃない。
こんな、無防備な寝顔見せる、ごっちんが悪いんだ。
自分でそう言い聞かせ、ちょっとずつ唇を、後藤にそれに近づけていく。
唇まで、あと数センチ。
もう少し、もう少しだ。
なのに………
「ストーップ」
吉澤の唇が触れたのは、後藤の手に。だった。
- 228 名前:最終話「ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年06月21日(木)16時38分13秒
- 「お、起きてたのっ!? ヒッ、ヒドイよぉ!!」
「だってまさか、チューしてくるとは思わなかったんだもん」
「だ、だからって…!」
言いかけた吉澤の手から、コーラを取り、一口。
「……来るの遅いから、ぬるくなってんじゃんやっぱぁ」
「ご、ごめんなさい」
「ウソだよ。おいしいよ」
「なっ…」
翻弄されっ放しだ、この子に。
それでも抜け出せないのは、どこかにそれを嬉しがっている自分がいるから。
「にしても、いくら両方ともマイペースだからって、待たせすぎだよ〜」
40分は、いくらなんでも遅い。
もしかしたら戻って来ないんじゃないかって、不安になったくらいだ。
「基本的にアタシ、待つのキライな人なんであって。
……でも、よっすぃーだから許すケドね」
照れくさいのか、プイと顔を反らす。
吉澤はそんな後藤を、とても微笑ましく思った。
「……でもあたしは、待つの好きだな」
「へっ? なんでぇ〜?」
「最終的に、自分の元に来てくれるって信じてるから。
だから、いくら待っても、全然苦にならないよ」
待つよ。いくらでも、待ちますよ。
いつか、ちゃんと吹っ切れてくれるまで。
それまで、あたしはちゃんと待ってるから。
あたしのところに来てくれるって、信じて待ってるから。
泣きじゃくっていたごっちん。
まだ、自分の気持ちがわかんない。
どうしていいか、わかんない。
あたしの告白に、そう答えを返した。
忘れろ、なんて言わない。
無理強いなんか、しない。
ごっちんが、自然に、あたしにだけに向かって、とびきりの笑顔を見せてくれる日まで。
いくらでも待ちますとも。
- 229 名前:最終話「ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年06月21日(木)16時38分49秒
- 「………キッザぁ〜」
「へへへ……やっぱし? 今自分でもそう思った」
今度はこっちが照れる番。
頭を掻いて、下を向く。
「……でもさ、もう、待たなくていいのかしれないよ……?」
「え? それ、どういう意味?」
「ん〜?……あ、そうだ。よっすぃー、喉渇いてない?」
「え、あ、渇いてるけど…」
「じゃああげるよ」
先程言った後藤の言葉の意味が判らなかった吉澤は、判らないままジュースを受け取ろうとする。
でも後藤は渡してはくれず、自分がジュースを口に含んだ。
そしてそのまま、吉澤の口に。
「〜〜〜っ!!!」
唇同士が離れた瞬間、両手で口を押さえる。
もちろん顔は真っ赤。
「アハッ」
そう言って笑った後藤の頬も、薄く染まっている。
「……そろそろ、アタシ達も出し物見に行こうか」
「……………そだね」
どちらともなく、手を繋いで。
屋上のドアを開け、ゆっくりと階段を下りる。
結局、後藤の言葉の意味は判らないままだったけど。
時間が経てば、鈍感な吉澤も判るようになるだろう。
まだ、始まったばかりなんだ。
ハロプロも、学園生活も。
そして………
2人の、恋も。
お楽しみは、これからだ。
- 230 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月21日(木)16時40分25秒
- 最終話「ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」終了。
予定通り終われて、一安心です。
続編は、もうしばらく待ってください。
ただ今、構想練っております。
で、その間しのぎといっちゃなんですが、いちいしといしよし、どっちにするか迷い中。
それか、続編まで何も書かないか。
いしよし、いちいし書くんなら、スレッド立てようか、ここで書こうか。
あぁ、迷うことばっかりだ……(w
>>220
うぅっ、こんな下手な文に、感動してくれて、こっちが感動です。
いちいし……迷い中なんですよねぇ…(w
>>221
ありがとうございます。
よしごま……もう少し待ってくださいね(w
>>222
(〜^◇^〜)<矢口も、紗耶香が1番だよ!
吉澤坊ちゃん、ちゃんと締めくくれたでしょうか?
心配です……(w
最後の最後で、自分でageてしまった……。
どうしようもないほどショック……。
逝ってこよう……。
- 231 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月21日(木)18時20分22秒
- ひとまずお疲れ様でございました。。
なんというか、、作者さんキャラの使い方がすごい上手いから、イメージというか映像がはっきり浮かぶんで、滅茶苦茶楽しかったです。
よしごまってスキでもキライでもないって感じだったんですが、か〜なりスキになりました。
勿論、さやまりはスキに拍車かかりましたけどね(w
で、どんなカップリングも違和感なくその雰囲気を上手く作っちゃう作者さんの(いやおだてじゃないですよ)いちいしorいちよし、どっちであっても滅茶苦茶楽しみなんで、作者さんにお任せします。
もし長くなりそうであればスレ立てちゃっていんじゃないすか?
- 232 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月21日(木)18時37分34秒
- みちやぐが見てみたいですっ!
- 233 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月21日(木)19時06分17秒
- あんま無茶は言わない方がいいんじゃないの?
しかもageてるし…
- 234 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月21日(木)20時47分58秒
- 本当にお疲れ様でした。最初から最後まで楽しく読ませていただきました。
最後は市井じゃなくて吉澤がもってきましたね(w
あっついよしごまを見たいです。続編を楽しみにしてます!
それから個人的にはいしよしよりいちいしがいいかも。
長編になりそうならスレ立ててもいいと思います。
作者さんの作品ならつなぎで終わらせるのももったいない気もするので・・・。
- 235 名前:味の素 投稿日:2001年06月21日(木)21時01分52秒
- 最後まで最高でした!
次を楽しみにしてます。
いちいしでもいしよしでも僕はおいしくいただけますヨ!(w
- 236 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月21日(木)21時02分37秒
- よかった!!!
一般に三角関係ってどろどろしがちだけど
とってもさわやかに読ましていただきました。作者さんの力量ですな!!!(W
あと、相変わらずへな市井最高でした!!
次回作期待しています!!!
- 237 名前:ぷち 投稿日:2001年06月21日(木)23時24分31秒
- お疲れ様でした〜〜!!
「娘。レストラン」も良かったけど、コレもイイ!!(感涙)
素晴らしい作品をありがとうございました!
これからも頑張ってください!!
- 238 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月22日(金)02時55分40秒
- 最終話すごくイイ!!
このみんなでドタバタした雰囲気と主役で爽やかに
終わっていく感じが。
なんか好きだったアニメが終わったような
懐かしい思ひ。(遠い目
こう想える程、楽しませて貰いまして
マコトニ、誠に御疲れ様でした。
- 239 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月22日(金)04時28分11秒
- 作者さん、お疲れ様でした。いや〜、最後は素晴らしい大団円を迎えましたね。
途中までは、市井に主役交代か〜!!なんて勝手に思っておりました。(w
しかし、後半はしっかり吉澤が主役の座をキープし、最後もしっかり締めてくれました。
本当に面白い作品を有り難うございました。
ちなみに、いちいしといしよしのどちらにするか迷ってるようですが、
新スレ立ててどっちもやっちゃえ〜っていうのは駄目ですか?(w
- 240 名前:バービー 投稿日:2001年06月22日(金)23時46分27秒
- 私的には、保田が結構いい味出してるような気が
してたんですが・・(笑)よしごまはやっぱ
いいっす。照れる吉澤がたまらん!!
まあ、機会があればよしごまエロも書いて下さいな!!
続編はいしよし、がいいかも。
- 241 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月23日(土)01時27分08秒
- たくさんのレス、本当に感謝です。
>>231
いやいや、キャラの使い方、上手くなんかないですよ。
よしごまは、最高です。ビバです。
もっともっと好きになってください(w
やっぱ、新スレ立てた方が判り易いですかね。やっぱり。
>>232
みちやぐはちょっと……すいません…。
>>233
リクエストはありがたかったんですが、さすがにみちやぐはちょっとね……。
フォローありがとうございます。
>>234
最後は、やっぱり主役が頑張らないと、と思いまして(w
いつもへナに負けてたんで、最後だけは坊ちゃんに頑張ってもらいました。
続編、期待に応えられるかどうかは判りませんが、頑張ります。
もちろんよしごまは、アツアツでね(w
>>235
ヽ^∀^ノ<本当におつかれだよ〜。あ、吉澤、肩揉んで
(O^〜^O)<ヤですよ! あたしが1番のおつかれですよ、ほんとに!!
次は、早く書けそうです。
どうか、次のもおいしくいただいてもらえれば、幸せです。
>>236
なるべく読みやすく、ドロドロにならないように心がけてたので、そう言ってもらえて嬉しいです。
続編でもへナはもちろん頑張るので、どうぞ次もよろしくお願いします。
>>237
両方イイと言ってくれて、本当に感激です。
娘。レストランほどこれは長くなかったけど、娘。レス位の愛着があるんで、書いてて楽しかったんです。
これからも、頑張りたいと思います。
>>238
とりあえず、メインのみんなは出しとこうと思いまして。
けどそんな出張らないようにするの、陰ながら努力しました(w
この話連載してから、約1ヶ月で終了。
自分で言うのも嫌なんですけど、本当に御疲れです(ニガワラ
>>239
次こそ主役……さあ、それはどうかな?(ニヤッ
書いてる俺も、市井が主役かのように錯覚したこともありました(w
でも吉澤が途中で怒って、やっと正気に(w
ごめんね、吉澤坊ちゃん(w
どっちもか〜……出来るかなぁ……(w
>>240
保田先生に気づいてくれましたか!(w
やっぱ坊ちゃんはお嬢さんには弱いってことで、ああしてみました。
よしごまエロ……頑張りますよ!
- 242 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月23日(土)01時29分21秒
- 次のお話と、続編のことについてなんですが。
続編の間のつなぎは、「いちいし」にすることに決めましたデス。
「出逢いは激突でやって来る」(題名)デス。
おいらはもう、パラレルでしか書けそうにもないです……。
明日か明後日、遅ければ来週中にでも。
ハロ学の続編についても少し。
とうとう、主役交代。
新たな主役は、まだシークレットということで。
続編はちょっと、長くなるかもしれませぬ……。
もう嫌。自分が本当に嫌になった。
なんでageてんねん……もうやだ……。
- 243 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月23日(土)03時55分09秒
- 次の話は「いちいし」に決まりましたか〜
どちらも、なんて書きましたが個人的には「いちいし」に期待してたんで嬉しいです。(w
どんな話になるのか楽しみにしています。
- 244 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月23日(土)22時33分52秒
- 「いちいし」の題名、間違えてました。
「2人の出逢いは衝突で」でした。
全然違うやん。何をやってるんだ俺は……。
>>243
(〜^◇^〜)<この浮気者っ! もう知らないからねっ!(プンプン
なんかいちいしの方が多かったみたいだし、自分自身書きたかったんで、いちいしにしちゃいました(w
今回のは雑なのがメチャクチャ判ると思うんですが、大目に見てやってください、お願いします(w
- 245 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月23日(土)22時38分54秒
- じゃあ矢口の相手は?楽しみです。
- 246 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月23日(土)22時39分52秒
- ageごめんなさい。うっかりしてました。
- 247 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月23日(土)23時11分01秒
- >>245-246
矢口の相手ですか?
え、えと、どういう意味なんでしょうか…? おいら馬鹿だからちょと判んないっす…。
俺もうっかりして、つい先日ageてしまいました…。
- 248 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月01日(日)09時54分32秒
第一話「シャーペン泥棒の正体」
- 249 名前:第一話「シャーペン泥棒の正体」 投稿日:2001年07月01日(日)09時56分33秒
- ゴソゴソ。
カバン、机の引出し。
何かないかと物色中。
誰だか判らないように、マスクをつけて、分厚い眼鏡をかけて。
ひたすら、ある部屋の、ある人物のカバン、机、その他を物色中。
そんなことをしていると、その部屋のもう1人の住人+その彼女が帰ってきた。
「うわっ、この部屋さむーい!」
入って来た早々、不平を言う。
「じゃあやぐっちゃん、市井があっためてあげるよ」
「いいよ。紗耶香のあっためてあげるは、意味が違うもん。
暖房あるじゃん、暖房つけてよぉ〜」
「なんだぁ、市井より暖房を取るんだな、やぐっちゃんは……」
「そんな、暖房相手に嫉妬するかぁ〜?」
キャハハ、という能天気な笑いが、部屋の中にいる変装野郎にも聞こえてきて。
困った。ピンチだ。
あの笑い方、やぐっちゃんというあだ名の彼女を、自分は知っている。
逃げなきゃ。でも、まだ取ってない。
けどもそれ以上に、バレたら困る。
- 250 名前:第一話「シャーペン泥棒の正体」 投稿日:2001年07月01日(日)09時57分12秒
「あれぇ? なんだ、吉澤。帰ってたの?」
入り口のスリッパを見て、そう判断したのだろう。
けれど、中からは、吉澤の声は帰ってこない。
「吉澤ぁ〜、暖房つけてよ。やぐっちゃん寒いんだってさ」
「くっ……」
市井の声がどんどん、近付いてくる。
やばい。見つかったら、えらいことになる。
もういい。これでいい。
選り好みしている時間はなくなった。
手近にあったシャーペンを強引にポケットに突っ込む。
突っ込んだと同時に、ドアが開いた。
「…あれ? キミ、吉澤じゃないよね…」
「ちっ」
邪魔や! 言葉汚くそう言うと、ドンと市井に身体をぶつけ、部屋の外へと出て行った。
「………なんだぁ? 一体……」
邪魔や!と言われて、ぶつかられて。
しかもなぜか、吉澤の机は、散乱状態。
「ん? どしたの、ぼーっとして」
「や、なんか、今誰かがこの部屋から出て行ったんだけど…」
矢口は、洗面所で髪をチェックしていた為、見てもないしすれ違ってもいない。
見たのは、市井だけ。
「気のせい気のせい。ね、早くやろ?」
「う、うんっ」
気のせいで済むハズもないのだが、そんな笑顔で急かされちゃうと。
どうしても言う事を聞いてしまうんです。
- 251 名前:第一話「シャーペン泥棒の正体」 投稿日:2001年07月01日(日)10時06分33秒
- 「おっ、10問中、5問正解。半分出来たから、ご褒美をあげよう」
「やたっ!」
家庭教師が違うと、成績も違うものなのか。
英語教科担当のルル先生にマンツーマンで教えてもらった時に出来なかった問題も、
今なら簡単とまではいかないけれど、解けてしまう。
これぞ、矢口マジック。
やっぱりそれなりの見返りがあると、頑張れるってもんだ。
「ん〜」
ご褒美は、触れるだけのフレンチキス。
「え〜、じゃあ今度は56ページの問題やってみようか」
「はいっ!」
非常に元気がよくて、よろしい。
矢口にいいこいいこされる。
「半分出来たらキスで、あとは5問間隔で、もっといいご褒美考えてあげる」
「じゃ、じゃあ、全問正解できたらどうなるんですか…?」
「全問正解できたら、何でも一個、さやかくんの言う事を聞いてあげよう!」
「ま、まじっすか!?」
「女に二言はないっ!」
胸を張って、元気よく答える。
市井の頭の中には、矢口に何をしてもらうかでいっぱいで。
先程の怪しい人物のことなど、頭の片隅にも、どこにもなかった。
- 252 名前:第一話「シャーペン泥棒の正体」 投稿日:2001年07月01日(日)10時07分17秒
- ――
「へっへへへっ。ちょっと失敗したけど、成功や!」
高等部の寮に、ちょうど背を向けるように建っている、中等部の寮。
寮の廊下を走るな、と書かれた紙も無視して、自分の部屋へと急ぐ。
そんな関西弁の彼女の前に、茶パツで、鼻ピアスをした、中等部担当教師、石黒彩が立ちはだかる。
「加ぁ護ぉ〜……そこにある、張り紙見えないのかなぁ〜?」
「い、石黒せんせー……」
加護と言われた少女、加護亜依の担任でもある石黒。
嫌がる加護の、怪しい変装、マスクと眼鏡を剥ぎ取る。
取ると、少々生意気な、けれど、愛嬌のある顔が現れた。
「まったく。アンタは、大人しくするって言葉、頭の中にないのかい」
「シツレイなぁ〜、うちの頭の中、難しい言葉でいっぱいですよぉ」
「よくそんな事が言えるよ」
笑って、加護の手を引き、歩いて部屋へと誘導する。
わんぱくで落ち着きがないが、口だけは達者だ、この加護は。
一体、どこで覚えたんだろうと、石黒は考える。
「はい、部屋に到着。今日はアタシが見つけたらよかったけど、走ってるの夏先生が見たら、
今頃加護どうなってたか判んないんだからね」
「はぁ〜い」
子どもならではの、元気な返事。
ちゃんと聞いているのか、聞いていないのか。
そんな所も、可愛かったりもするのだけれども。
「じゃあ、明日学園でね。寝坊するなよ!」
「はぁ〜い!」
先生らしくそう石黒は言って、自分も寮へと戻る。
先生は本来、寮で暮らしたりしないのだが、家探しするのが面倒だった石黒は、無理を言って部屋を取ってもらったのだ。
- 253 名前:第一話「シャーペン泥棒の正体」 投稿日:2001年07月01日(日)10時08分12秒
- バタン。
見送って、部屋の中へと入る加護。
中には、同室の辻希美が、待ってましたとばかりに目をキラキラさせていた。
「取ってきた?」
「当たり前やん! うちを誰やと思ってんねん!」
「え、あいちゃんでしょ?」
「や、それはそうやけど……」
そんな、素で返さんでもええやん…。
と、そんな思いは置いといて。
「ちょっとな、ほら、あの、2年にカッコイイ人おるやん。よっすぃーと部屋同じの人」
「市井さん?」
「そう! その市井さんが帰ってきたから、あんまいいの取ってこられへんかってんけど、
見て!! “これ”取ってきてん!!」
そう言って加護が天井にかざした“これ”とは。
「シャーペン〜〜?」
思いっきり不満そうな顔で、加護を見る。
「なんや、のの! よく考えてみ。シャーペンって、結構いいと思わん?」
「なんでぇ」
「だってやで? 毎日のようによっすぃーが握ってんねんで!?
そんで今うちがこのシャーペン握ってるってことは、間接キスならぬ間接握りやん!!」
きゃぁ〜とかなんとか言いながら、照れる加護。
「はぁ……」
もう勝手にして、と呆れる辻。
中等部一、手がかかって。
中等部一、うるさくて。
そして……
中等部一、吉澤が大好き。
そんな加護が、今回の主人公だ。
- 254 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月01日(日)10時13分23秒
- 第一話「シャーペン泥棒の正体」終了。
あぁ……またしても人様のスレに迷惑をかけてしまった……。
もうほんとどうしよ……。
- 255 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月01日(日)10時14分28秒
- 向こうでもリアルタイムで見れ、
こっちでも見ることができました。(感涙
よしかごですか。経営者さんのボンかわいいです。
がんばって下さい。
どうしたんですか?
迷惑?かけてないんじゃないすか?
- 256 名前:255 投稿日:2001年07月01日(日)10時18分07秒
- あ…ほんとだ。
でもおちこまないで下さい!
( `.∀´)<わたしが慰めてあげるっ!
- 257 名前:255 投稿日:2001年07月01日(日)10時20分06秒
- あうう……おれのほうが迷惑かけてる……
2回目だ…もうレスできない……
これからはROMで見守ります……
ホントにごめんなさい……
氏んでこよ……(マジ鬱
- 258 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月01日(日)10時33分54秒
- 見ました。「続」ってかんじですね。(w
新しく出てきた加護と辻が今後どうなっていくのか期待してます。
今回の設定などは前回の続きということでいいんでしょうか?
今回も楽しみにしてます!!
- 259 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月01日(日)12時10分24秒
- >「え、あいちゃんでしょ?」笑いました!
やっぱサイコ−だね♪
交信(更新)頑張ってください!
- 260 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月01日(日)23時56分06秒
- やた〜!!続きだ!続きだ!!
今回も頑張ってください、応援させていただきます。
- 261 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月01日(日)23時56分51秒
- ごめんなさい、マジで、sage忘れました。
本当にごめんなさい。
- 262 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月02日(月)04時04分18秒
- 早速、始まりましたね。
今度はよしかごですか〜・・・ボンはごっちんからよっすぃーを奪えるのか?
楽しみであります。
でもやっぱり、さやまり最高
なので個人的希望として、よしかごとさやまりの比率を4:6くらいで(爆)
- 263 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月02日(月)06時56分37秒
- 俺はむしろよしごまかな?
一応前主人公だったみたいだし、その後が気になるっす。(w
- 264 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月02日(月)12時15分43秒
第二話「愛の為、友の為」前編
- 265 名前:第二話「愛の為、友の為」前編 投稿日:2001年07月02日(月)12時17分39秒
- 「あれっ? あれれれっ?」
「どした? 何かないの?」
机の上をゴソゴソと動かして、慌てている吉澤。
学園へ行こうと、ドアの前で吉澤を待っていた市井が、様子に気づき声をかける。
「なに、何がないの」
「……シャーペンです」
「シャーペン?」
そんなの、そこら辺に落ちてるんじゃないの?
そう思って屈んで下を見てみるものの、ない。
机の上や引出しは、吉澤が一生懸命探している。
「あれ持ちやすいから、すっげぇ気に入ってたのにぃ〜!」
半泣き状態でそう言う吉澤。
たかが、シャーペンでそんなになる吉澤に少し呆れながら
「諦めな。諦めるのが1番」
と、言った。
それを聞いて、少しの間黙っていた吉澤だったが、思い出したかのように市井の方へ振り向いた。
「……返してください」
「へっ?」
「シャーペンです。返してください」
「………もしかして、疑われてる?」
はい。その通りです。
- 266 名前:第二話「愛の為、友の為」前編 投稿日:2001年07月02日(月)12時18分16秒
「ち、違うよ。市井じゃない。市井は無実です」
「ウソだ。目が泳いでる」
「お、泳いでないって!」
いくら言っても、どうやら信じてもらえないようだ。
以前、吉澤に黙って勝手に吉澤のサングラスや帽子を借りた前科があるからか。
でも、その後ちゃんと返したのに。
「それに、あたしが昨日帰ってきたとき、なんかめっちゃ机の周り、散乱してたんですけど。
あれ、市井さんでしょ。発見した時、矢口さんといたから何も言わなかったけど」
「ばっ……なんで市井がっ」
わざわざ疑われるのを判ってるのに、そんなことしなきゃならんのだ。
それにそんな馬鹿なことをしたら、10倍になって返ってくるのに。
「そもそも、シャーペンを取って何になる? いくら勉強嫌いでも、シャーペンくらい市井も持ってるよ。
吉澤のシャーペン取って、この市井に何のメリットがあるんだ」
「………そーいえば、そうっすね」
よく考えてみれば、そうだ。
だって市井が好んでシャーペンを持っていることなんか見たことない。
学園にも持って行くのだって忘れてるくらいなんだから。
ほら、今日も机の上に置きっぱなし。
そんな人が、人のシャーペンなんか取るだろうか。ましてや吉澤の。
「とりあえず市井さんは容疑から外れたか……。あとあの場にいたのは矢口さんだけど、矢口さんは違うし…」
「…おい。なんで確認もせず、やぐっちゃんは違うって判るのさ」
「だって、矢口さんは盗みを働くような人じゃないし」
「じゃあ、市井は盗みを働くような人って思われてたんだね……」
シクシクと泣き真似をする先輩は放っておいて、学園に向かうことにした。
- 267 名前:第二話「愛の為、友の為」前編 投稿日:2001年07月02日(月)12時18分58秒
- 「吉澤ぁ、ちょっと待ってよ」
寮の玄関でスリッパから靴に履き替えていたところで、やっと市井が追いついた。
もう始業ベルがなる5分前なので、吉澤達の他、数人いる生徒達はダッシュで靴を履き替え、学園へと走る。
吉澤達も、それについて行く形で、学園へと向かう。
向かっている途中で、市井が思い出したように手をポンと打った。
「昨日さ、そういや、市井が帰ってきた時、なんか怪しいヤツが部屋にいたんだよ」
「怪しいヤツ〜?」
「そう。なんか、分厚い眼鏡して、マスクして。
吉澤の机の傍に確かいたと思うんだけど」
「………でもそんな怪しい人だったら、寮の前で止められてるハズですけどね」
「けど、いたんだよ」
「う〜ん……」
市井が嘘を言っているとは思えない。
けれどそれは信じられない。
信じれたとしても、じゃあその怪しいヤツが、どこから入ってきたのか。
あともう一つ考えられることは、同じ高等部の生徒。
高等部の生徒だったら、寮の受付に行って、誰々に会いたいとか了解を取らなくても、
自分の名前を言えば、すんなりと入れる。
「でも、そんな、恨まれるような覚えとかないんですけどね……」
人当たりはいいし、先輩や後輩の人気者。
「でもさ、恨まれる覚えはなくても、惚れさせた覚えとかはあるんじゃないっすか〜?」
人気者の吉澤のことだ。
知らず知らずの内に、何人もの生徒達を虜にさせているのかもしれない。
そしてその虜になった子が、大好きな人がいつも使っているシャーペンを取ったってことは、
考えられないこともないんじゃないっスか?
市井の予想は、100パーセント近く当たっていた。
- 268 名前:第二話「愛の為、友の為」前編 投稿日:2001年07月02日(月)12時19分29秒
- ――
「へぇ、昨日、加護来たんだ」
3年生の階段の踊り場で、矢口が意外そうな声をあげた。
「そうなんだけど、でも、会ってないんだよね。
ただスタッフさんから、『加護亜依という中等部の生徒さんが、会いたいと言っています』っていう連絡入っただけで」
で、それで、いいですよ、と返事したはいいが、肝心の加護がいつまでたっても部屋に来ない。
おかしいなぁ、と思ってスタッフの人に連絡してみたら、もう帰りましたと言われた。
「なんだよ、そりゃ。一体何しに来たのさ、アイツ」
「わかんない」
加護の魂胆はこうだ。
10月の終わりにあった、今年から新しくなった高・中等部合同の、大運動会。
赤・白に分かれて、得点を競い合うという、皆ご存知のルール。
そして運動会には応援団というのも必要なもので。
白の中等部代表の応援団になった加護は、白の高等部応援団長の飯田と知り合ったのだ。
そしてその時赤の高等部応援団長、矢口とも知り合い、辻と一緒に仲良くなった。
当然、仲良くなったら、寮にも遊びに行けるワケで。
入っていいよ、と了解をもらったら、寮の中を自由に行き来できるワケで。
最初は矢口の名前を使って入ろうとしたのだが、不在の為飯田に。
そしてその飯田に許可をもらうだけもらって、会いにもいかず、吉澤の部屋に直行したってワケだ。
何しに来たのさ、アイツ。
答えは簡単。
ちょっと頭を使って、悪いけど、愛のために飯田さんを利用させてもらったんです。
- 269 名前:第二話「愛の為、友の為」前編 投稿日:2001年07月02日(月)12時20分58秒
- 「なんや〜、利用なんて、言葉悪いなぁ」
ただ、ちょっと名前借りただけやん。
うひゃひゃ、と笑って、辻の頭をポンポンと叩く。
「だってしょうがないやん。よっすぃー、うちのことまったく知らんワケやから、
会いたいっていうても断わられるやろうし。
だから、飯田さんに了解をもらって、ちょっと頭を使っただけやん。
だって、いくら寮のセキュリティとかが厳しくても、本人に了解もらったら、
その後は何話してるとかも判らんわけやん? ということはや。
了解もらって寮の中に入ったんはいいけど、ホンマに本人と会ってるかなんてのも判らへん。
………………やろ?」
「そーだよね。だから、よっすぃーの部屋からシャーペン取ってきても、おこられなかったんだよね」
「そう。ようは、“ここ”の使いようや、“ここ”の」
“ここ”と自分の頭を指す。
普段の成績は悪いのに、こういう悪知恵だけは働く加護の“ここ”。
「じゃああいちゃんっ、こんど、後藤さんのところ行ってきてよっ!」
「えぇっ!? ご、後藤さん〜?」
辻の憧れの君、高等部1年D組、後藤真希。
同時に、吉澤の大事な人でもある、後藤真希。
高等部と中等部の生徒達は今まで、向かい合わせに学園&寮があるのに、まったく会うことがなかった。
しかし今回から新しくなった大運動会をかわきりに、高・中等部合同という行事が増えるらしい。
それは、大運動会で一目惚れした、加護・辻の2人にとって、とてつもなく嬉しい事。
また、会えるのだ。
- 270 名前:第二話「愛の為、友の為」前編 投稿日:2001年07月02日(月)12時21分50秒
- でもまた会える前に、もっと仲良くなって、その人のことを知りたい。
そしたらもっと、会えた時楽しくなる。
だから、やり方はいいとは言えないが、加護が動いたのだ。
「で、でも後藤さん、いつ部屋におらんか予測もできひんからなぁ……」
吉澤は、部活に入っているため、多少は予測もつく。
同室の市井は、吉澤が部活に帰ってくるまで、寂しいのか、滅多に部屋にはいない。
大抵部屋にいる時は、誰かと一緒。
「あの人、調査では部活に入ってなかったしな……同室の石川梨華っていう人は、テニス部でおらん時間は予測つくけど…」
ぺラペラと、必需品の手帳を取り出し、チェック。
辻は横から、邪魔にならないように覗いてる。
「………うー」
もし行くならば、危険なことだ。
しかし、横ですがるような目で加護を見ている自分の相棒辻を、悲しませたくはない。
「…………わかった。明日、ちょっと行ってみるわ」
「やったーっ!!」
あいちゃん大好きーと抱き着いてくる辻を、離せやぁ、と言い暴れる加護。
けれども、そんな加護の顔からは、笑みがこぼれている。
たまたま2人の前を通りがかった石黒は、そんな2人を微笑ましく見ていた。
- 271 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月02日(月)12時23分27秒
- 第二話「愛の為、友の為」前編終了。
やっぱり飯田さん登場は外せません(w
>>255-257
二回連続でリアルタイムとは……お恥ずかしい(w
ボンはねぇ、おいらが書くと、生意気になってるような気がするですよね…。
だから、かわいいと言ってもらえて、素直に嬉しいです。
投稿する時は、慎重に。
何度も確認してから載せてたつもりなんですけど……(泣
ヽ;^∀^ノ<い、いいよ。やぐっちゃんに慰めてもらうから……
そんな、全然迷惑なんかかけてないですって。
ただ、俺が我が侭言って、それを心優しい読者さんが聞いてくれてるだけなんですから。
だから、氏んでこよ……、なんて言わず、生きてください!
生きてるかどうか、いつでも連絡待ってます……(w
>>258
(〜^◇^〜)<じゃあ、一時間千円ね
(;0^〜^0)<金取んのかいっ!!
加護辻の今後は、暴走で突っ走ります(w
設定やらなんやらは、前回のまんまってことで。どうぞよろしくお願いします。
>>259
辻は、あくまで天然系で行こうかと思ったんで、あのセリフを入れました。
( ゜皿 ゜)<交信ハ、カオリニマカセテ
>>260-261
応援、ありがとうございます。
sage、お気になさらず。自分ももう何回もしてますから……。
>>262
(〜^◇^〜)<っていうか、浮気したのが誰であれ、紗耶香殺す
今回のボンは、前と比べて押して押して押しまくる子なんで。
奪える確率も、低くないぞボン!
っていうか、前回の見直してみたら、さやまり半分以上のような(w
もしかしたら今回も、そんな比率になるかもしれませんね(w
>>263
(;0^〜^0)<い、一応ってなんですかっ! れっきとした主人公でしたよっ!!
ヽ^∀^ノ<吉澤、まあそう興奮せずに
(;0^〜^0)<アンタになだめられたくないわーっ!!
続編なんで、もちろんその後もありますよー(ニヤッ
- 272 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月02日(月)14時25分35秒
- やっぱこれからは吉澤,後藤,辻,加護の三角関係四角関係でドロドロしてくんでしょうか?
辻と加護のやりとりはなんかこう、くるものがありますね(w
- 273 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月03日(火)04時29分18秒
- いいですね〜♪
ガンガン奪い合っていきましょう。(w
波瀾な展開に期待!!
でも、さやまりは現状維持の方向で。(w
- 274 名前:バービー 投稿日:2001年07月03日(火)19時19分33秒
- 奪われたとしても、あいののだったら何か許せるような・・(w
よしかご、自分も大好きです。うおー、続き楽しみっ!
- 275 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月03日(火)22時40分28秒
- 飯田さん登場が嬉しいっす。ちょっとでも。
経営者さんの書かれる飯田さんは、安易な電波キャラではなく、
ちゃんとした一個の人格の持ち主なので好きです。
- 276 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月04日(水)00時00分41秒
第二話「愛の為、友の為」後編
- 277 名前:第二話「愛の為、友の為」後編 投稿日:2001年07月04日(水)00時01分42秒
- 「おっ、なんだ。やぐっちゃん1人だったんだ」
「そーだよー。だから、矢口の部屋行こって言ったんじゃん」
大嫌いな勉強も終わって、あとは寮でくつろぐだけ。
でも1人でくつろぐのは、寂しがり屋の市井には到底無理なこと。
だから今日は、吉澤が部活から戻ってくるまで、矢口の部屋で待機中。
でも飯田が部屋にいない事をいい事に、市井と矢口の2人はイチャイチャ真っ最中。
「よいしょっと」
鞄を机の上に置いて。軽く前髪を直して。
2段ベッドの柵にもたれるようにして座っている市井の膝の上に。
市井はというと、それを当然のように受け入れて、矢口の肩に顎を乗せて後ろから抱きしめる。
市井の膝の上は、矢口の指定席だ。
「ねぇ紗耶香〜」
「ん〜? なに〜?」
「へへへ、呼んでみただけ〜」
「なんだよぉ」
この、バカップルめ。
吉澤、飯田に、もう何十回と言われた言葉。
けれども今は、そんな言葉を言う人はいないので、バカップルのイチャイチャはとどまることをしらない。
- 278 名前:第二話「愛の為、友の為」後編 投稿日:2001年07月04日(水)00時07分27秒
- 「そーいえばさ」
「ん?」
「もうすぐ、冬休みだよね」
「あぁ、そだねぇ」
後ろから矢口を抱き抱え、身体を左右に揺らしながら相槌を打つ。
話難いな、とは思うのだけれど、やめられては寂しいので、されるがまま。
「今度は、補習なんかないよね? 冬休み中遊べるよね?」
「ん〜、再来週の期末の結果、半分以上欠点じゃなければ遊べるよ」
「……それって、確率的にどうなのさ」
「えと……」
これまでの結果と、今矢口の家庭教師で教えてもらったのを総合して。
「ご、51パーセントかな……?」
たとえ1パーセントでも、確率は半分以上。
「じゃあ、冬休みの予定、空けてていいんだよね」
「う、うん」
「テスト、頑張ってね」
「う、うん」
にっこり微笑んで応援してくれているが、目の奥では『補習なんてことになったら殺す』と圧力をかけられているようだ。
今回ばかりは、夏休みの保田とのマンツーマン補習地獄はもう許されない。
というか、やりたくない、と言った方が正しいだろうか。
「や、やぐっちゃんの為、愛の為、が、頑張ります」
そう言うと矢口は嬉しそうに笑って、ご褒美のキスをくれた。
- 279 名前:第二話「愛の為、友の為」後編 投稿日:2001年07月04日(水)00時08分06秒
最初は、ホントにご褒美のキスのつもりだった。
けれどそのキスがだんだん激しくなっていき、いつのまにか舌が絡み合う本気のキス。
こうなったら、もう止まらない。
市井のキスが、唇からどんどんと下がって今度は首筋に。
矢口の両手は、後ろからまわされた市井の両手に、しっかりと繋がれていた。
「…カオ、いつ戻ってくんの……?」
「んっ……わ、かんない…。でも、多分当分戻ってこないと思う。だから……」
「だから?」
その続きは、いくら頭の悪い市井でも判ってる。
でも矢口の口から聞きたいので、わざと聞いてやる。
「う〜………、なんで、こんな時に意地悪すんのかなぁ」
「こんな時しか意地悪できないじゃん。いつもは反対にやられてんだよ」
「なっ、矢口、意地悪なんかしてないって」
「やぐっちゃんに自覚がないだけだよ〜」
「あるよっ、ちゃんと自覚っ!」
膨れて、ムキになって返す。
すぐそういう風になったりするから、よく裕ちゃんとかにからかわれるんだよ。
そう市井が言うと、決まって、『ムキになんかなってないっ』と、またムキになって返すのだけど。
「……っていうか、いいの? いいんだったら、市井、やめるけど」
肩に乗せてた顎も離し、ついでに回した腕も離す。
「あっ」
市井が離れただけで、一気に表情が曇る。
そしてすぐに向きを変えて、抱きついた。
「………市井は、どーしたらいいんでしょう」
抱きついたまま離れない、おてんばなお嬢様。
そのお嬢様の命令であれば、どんなことでも言う事を聞くのですが。
「…………紗耶香は、矢口を愛してくれればいい」
「それは、お安い御用です」
笑って1回額にキスして、今度は唇に。
そして次はお嬢様のご命令通り、矢口を身体全部使って愛そうと思い横たわらせたら、
突然なった部屋の、寮の受付に通じる電話の音で2人の甘い時間は終了した。
- 280 名前:第二話「愛の為、友の為」後編 投稿日:2001年07月04日(水)00時08分59秒
- (なんで、あと1時間遅くかけてこなかったんだよぉ〜…)
せっかく久しぶりのチャンスだったのに。
やぐっちゃんだって、十分ヤる気はあったハズなのに。
何の用で、2人の愛を引き裂いたんだ。
くだらない用だったら、今すぐスタッフルームに殴り込みに行ってやる。
出来もしないことを、ブツブツと考えていた。
「……はい、はい」
一方矢口は、邪魔されたことに市井と同様腹を立てながらも、電話に出る。
その電話の声が夏先生だったので、不機嫌だった声も、一瞬にしてシャキッとした声になったが。
「……加護、ですか? 今、いるんですか。はい。
………あぁ、いいですよ。じゃあ、部屋来るよう言ってください。待ってる、って。
………はぁ、はい。じゃ、失礼します」
失礼します、と電話を切った後、ホッと一息。
あー緊張した、そう言って、いつもの指定席へと戻る。
戻ると予想通り、市井が尋ねてきた。
「誰か来んの?」
会話を聞いていたんだろう。
こんなところで嘘をつくようなことでもないし、正直に言う。
「うん。加護がね。なんか、前遊びに来た時、忘れ物をしたから取りに来たい、って」
「ふーん」
確か市井は、加護と面識はないハズ。
けれど、加護って誰?とも何とも聞かず、ただ興味なさそうに相槌一つ。
興味なさそう、というか、興味がないのだ。
「でもさー、何か、おかしいんだよね。
アイツ、この前遊びに来た時、何も持ってこなかったのに、何忘れたんだっつーの」
それにちゃんと部屋を出て行く時、置き忘れないようにしろよー、と注意して、
『大丈夫ですよー』と能天気な返事をもらったんだ。
「一昨日の圭織のこともあるしなー…。何かねー」
怪しい。
一度そう思ったら、なかなか消えないもので。
ちょっとした探偵気分になった気がした。
- 281 名前:第二話「愛の為、友の為」後編 投稿日:2001年07月04日(水)00時10分08秒
- 「やぐっちゃ〜ん、どこ行くんだよ。部屋で待っとかなくていいの〜?」
「いいの。どうせ、多分来ないんだから」
加護が会いたいという電話をもらってから、数10分。
やっぱり思った通り、加護はいつまで経ってもやって来ない。
飯田の言った通りだ。
「アイツぅ…、絶対ラウンジでジュース取ってるんだ」
食いしん坊の加護の事だ。
了解さえもらえば、寮の中は出入り自由。
寮内のラウンジにある冷蔵庫に入ってるジュースも取り放題。
ヤツめ、考えたな。
そんな矢口の予想は、大外れ。
2人は(といっても、市井は矢口について行っているだけだが)ラウンジへと向かう。
「加護ぉっ!!」
ラウンジに来た途端、大声で怒鳴る。
けれど、加護の姿はない。
「あれ……?」
ここじゃ、なかった? それとも、帰っちゃった?
その、どちらでもなく。
確かにそこに加護はいて。
けれどそれは加護には見えなくて。
分厚い眼鏡と、マスクをした怪しい人物の加護がいた。
「あ、あいつっ!」
あの時、吉澤の机の所にいたヤツだ。
「お前のせいで、市井は犯人扱いされたんだぞー! てめっ、こら待て!」
「ちっ!」
まさか、こんなことは計算していなかった。
予想外の出来事に、加護はとりあえず逃げる。
愛の為、友の為。
ここでバレてしまっては、自分にとっても辻にとっても、最悪のことだ。
でも運命の神様は、どうやら市井の味方だったらしく、後ろを気にしながら逃走していた加護。
前に人が来ているのに気づかず、思いっきりぶつかって尻餅をついてしまった。
しかもその尻餅をついた反動で眼鏡が飛び、マスクの紐が片方取れた。
- 282 名前:第二話「愛の為、友の為」後編 投稿日:2001年07月04日(水)00時11分27秒
- 「ったぁ〜……」
「うはは、思いっきりぶつかったねぇ」
加護とぶつかった人は、隣に友達がいたらしく。
へらへら笑われている。
加護とぶつかった人は、笑っている友達を照れくさそうに睨み、立ち上がった。
「あ、いた!」
すぐ後ろから、市井の声。
でももう逃げるどころか、立ち上がる気力もない。
やっぱり、なんとなく嫌な予感はしてたんだ。
でも断わったりしたら、相棒が悲しむから。
「…………あれ、加護?」
「えっ、やぐっちゃん知ってんの?」
だから。
相棒の為に、友の為に、オッケーしたんだ。
もうアカン。
これでうちは夏先生に連れられて、つんく校長から強制退学言い渡されて。
奈良に強制退行させられて、お母さんにビルの屋上から逆さはりつけにさせられるんや。
覚悟して、目をつぶった。
そしてしばらくして目を開けてみると、一つの差し出された手。
夏せんせーや! 殺される……!
そんな物騒なことを思いながら、差し出された手を、ゆっくりと見上げる。
そこには、ぶつかられたというのに、優しい顔をした、大好きな人の顔が。
「……大丈夫?」
間違いない。
この優しい顔は、あの時、加護が一目惚れした、あの人の顔。
吉澤ひとみの顔だった。
そして、その吉澤の隣にいる、後藤真希。
あぁ、ここに、ののもおったら。
愛の為、友の為にしたことも、無駄にはならなかったのに。
加護は、少し、後悔していた。
しかし後悔していたと同時に、運命の神様に感謝してみたりもした。
- 283 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月04日(水)00時12分10秒
- 第二話「愛の為、友の為」後編終了。
本当は載せる直前まで内容少し違ったんですけど、都合で少し変えてみました。
だから題名に沿ってないの、お許しください…。
>>272
@ @
(‘д‘)<想ってくれるのは嬉しいねんけど、うちの身も心はよっすぃーのもんやから堪忍なぁ
ドロドロ関係は、自分自身あまり好きじゃないので…。
できるだけ、あっさりと言っちゃおかしいけど、ドロドロは避けるつもりです。
辻と加護のやりとり、なんか、くるものがありますか(w
>>273
(#〜^◇^〜)<……さ、さむっ!
(0^〜^0)<とかいいつつ、照れてるのはなぜなんでしょう(ニヤニヤ
ドラ○エの作戦、「ガンガンいこうぜ」くらいの勢いで(w
今回、現状維持の状態、また入れてしまいました……つくづくさやまり好きなおいらです。
>>274
よしかご好きなんですか。
あ、白で書いてますよね。
期待に添えれるよう、頑張りたいと思います。
>>275
まだまだ飯田さんは出しますぞー。っていうか、出さなきゃ気が済まない…。
なんか、褒められているようで、めちゃくちゃ嬉しいです。
- 284 名前:リアルタイム男 投稿日:2001年07月04日(水)00時14分29秒
- sageチェックと…。
これでいいですね?
これで3回目ですよ。リアルタイム。
おれにとっては嬉しい限りっす。
加護ちゃんついに出会えましたねぇ!
このチャンスを生かせよ!ボン!
- 285 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月04日(水)00時21分38秒
- リアルタイムです!
加護ちゃんの妄想っぷりがやっぱり自分にはなんかきました(w
- 286 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月04日(水)00時35分35秒
- いや、いいっす!!いい感じっすよ!!
ただ贅沢言っちゃうとせっかく結ばれた二人(よしごま)の
ラブラブっぷりも見たいかなーなんて思っちゃいます。(w
なんか三角、四角関係って言っても、
爽やかにいきそうなのが作者さんのすごいとこですね。
- 287 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月04日(水)01時20分56秒
- ついによしかごが…?楽しみっす
しかしごまは嫉妬とかするんだろーか
- 288 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月04日(水)03時02分38秒
- 出だしからラブラブ全開なバカップル・・・最高です!!
まあ途中でお約束のお邪魔が入りましたが・・・(w
そしてついに加護ちゃんが吉澤に遭遇!!
まさに『2人の出逢いは衝突で。』ですね。(w
- 289 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月04日(水)07時49分14秒
- >>287
確かに・・・
でもちょっと見てみたいかもなぁ…後藤の嫉妬
- 290 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月04日(水)15時06分04秒
第三話「さらばシャーペン?」
- 291 名前:第三話「さらばシャーペン?」 投稿日:2001年07月04日(水)15時06分48秒
- 「なんだ、吉澤。早かったんだね」
「あぁ、今日は、先生出張らしくて。早く終わったんです」
呆然としている加護を、優しく抱き起こして。
同室の市井の問いに答える。
「へぇ〜」
聞いときながら、興味なさそうな返事をして、チラッと加護を見やる。
見て、思い出した。
そうだ、この為に、追いかけてきたのに。
「ほら、シャーペン吉澤に返しなさい。今なら、市井達の胸だけにしまっていてあげるからさ」
「………シャーペン?」
「ほらぁ、昨日言ったじゃん。怪しいヤツ見た、って」
「あぁ」
もうすでに忘れてた。
あれほど人のこと疑っていたのに、まったくなんてヤツだ。
ここまで走って、捕まえようとした市井は何なんだ。
「なるほど、圭織んとこ行かなかったワケは、そういうことね。
お前何やってんだよー、盗みはいくらなんでも悪いって」
ほら、シャーペン早く返す、そう言って加護の頭を矢口は軽く小突く。
でも加護は下を向いたまま動かない。
「……シャーペン、寮に置いてきてんの?」
ブンブン、と首を横に。
「じゃあ、早くよっすぃーに返しな?」
「いやや」
「はあ?」
泣いちゃダメだと思って、優しく言ったら。
いやや、だと?
矢口の細い眉が、ピクッと動く。
市井と吉澤は、2人の間でオロオロ。
後藤は1人、あくびをかみ殺していた。
- 292 名前:第三話「さらばシャーペン?」 投稿日:2001年07月04日(水)15時07分22秒
- 「ちょっと待ったぁ!」
「はあ?」
返そうともしない加護に、しょうがないから夏先生のところに連れて行こうと、矢口。
そこで、待ったの声。
妙に張り切っている飯田だ。
隣には、オドオドした辻希美の姿も。
「の、ののっ! アホ、何しに来てんっ!」
最悪のタイミング。
せっかく何とか切り通そうと頑張っていた所なのに。
「だってあいちゃんっ……あいちゃんが、心配だったから……。だから、飯田さんに言って…」
「だから行く前、心配すんな言うたやん! ほら、早よ帰れ!」
「やだ! 辻もいっしょにおこられるもん!」
「な、なんでののも一緒に怒られるねん。なんも悪いことしてないやんか」
「だって、辻が取ってきて、って言わなかったら、今バレてなかった…」
「そ、それはうちが見つかるようなヘマしたからで、のののせいちゃう…」
お互い庇い合い。
怒っていた矢口は、まるっきり悪者扱い。
そんなこんなで、意味のない庇い合いが続く。
これじゃ、待ったをした意味がない、と見かねた飯田が、口を開いた。
「そもそもさ、加護はね、吉澤のファンらしいんだよ」
「えぇっ、あ、あたしのですかっ!?」
いきなりの飯田の衝撃発言に、吉澤ビックリ。
だって、自分としては会ったことも喋ったこともない加護。
そんな加護がいきなり自分の前に現れて、ファンだというのだから。
「そう。だから、つい出来心で吉澤のシャーペン取っちゃったんだってさ。
で、それで辻も羨ましくなって、辻が憧れてる後藤のやつも取ってきて、って加護に頼んだの」
「え、アタシ?」
吉澤と同じく、いきなり名前を呼ばれ、後藤もビックリ。
「…………だよね、辻?」
「……はい。ごめんね? あいちゃん……」
勝手に、飯田さんに喋っちゃって。
加護は小さく、首を横に振った。
- 293 名前:第三話「さらばシャーペン?」 投稿日:2001年07月04日(水)15時07分56秒
- 「ごめんなさい、よっすぃー……」
取ってから、ずっと肌身離さず持ってたシャーペン。
とうとう、お別れの時がやってきた。
「もう、しーひんから……。ほんまに、ごめんなさい…」
グスッと可愛らしい泣き声をあげて、頭を下げる。
それを見た吉澤は、最初少し戸惑ったが、フッと笑ってこう言った。
「……シャーペン、あげるよ。あたしより、加護ちゃんが持っててくれた方が、大事にしてくれるだろうし」
「え、でも…」
「いいって、いいって。あげる」
ニコッと微笑まれて。
一体、どうしたらいいんだろう。
「もらっちゃえ、もらっちゃえ」
「そうだ。もらえるもんは、何でももらった方が得だよ」
コソコソと飯田と市井の腕が加護の腕に当たる。
コソコソといっても、明らかにみんなに見えてはいるのだけれど。
「いいん……?」
「こら。『いいんですか?』でしょ」
また軽く矢口に小突かれて。
「いいんですか……?」
言われた通り、言いなおす。
「いいよ」
シャーペンとのお別れは、しなずに済んだようだ。
- 294 名前:第三話「さらばシャーペン?」 投稿日:2001年07月04日(水)15時09分01秒
- 「あいちゃんやったね!!」
「う、うんっ」
キャアキャアと手を繋いで飛び回って。
喜びを露わにする。
「よっすぃー、もてもてだぁね」
「ぐっ。そ、そっちこそもてもてじゃんか」
にやにやと後藤に見られ。
「こーいう優しさが、知らず知らずの内、人を好きにさせてるんだよね」
吉澤は罪なヤツだ、市井に言われ。
「やっぱ人間、優しくなくちゃ」
優しいよっすぃー好きーと矢口に抱きつかれ。
飯田には、二股にならないように気をつけなよー、なんてからかわれた。
「今度は、部屋に入りたかったら、ちゃんと連絡入れてね」
「は、はいっ!」
「じゃあ今度、お好み焼き食べに行こう」
「は、はいっ!」
それぞれの好きな人に、ありがたいお言葉を頂いて、辻・加護の2人は中等部の寮へと帰って行く。
それを、吉澤は見送りながら、隣でまたあくびをかみ殺している後藤に問い掛ける。
「…………ごっちん」
「んん?」
「お、お好み焼きってさ、ふふふ2人で食べに行くの?」
「…なんで?」
「や、べ、別に……」
今日初めてあった、年下の子。
そんな子にも、嫉妬してしまう自分が悲しい。
「よっすぃー、行かないの?」
「えっ?」
「よっすぃーが行かないなら、アタシ行かないよ。だってつまんないもん」
もう一度、行かないの? と聞く。
その返事の選択肢は、ただ一つ。
「ごっちんが、来て欲しいなら、行く」
そう言うと笑って、キスを交わす。
加護と辻は、2人が付き合っていることを、まだ知らない。
ただこれからは悪知恵を使わなくても堂々と会えるんだと、天にも昇る気持ちだった。
- 295 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月04日(水)15時10分13秒
- 第三話「さらばシャーペン?」終了。
なんだかちょっと暗い感じで終わってしまいましたが。
ドロドロにはしないつもりです。
よしごまは、次話で入れるつもりです。
>>284
おお、格好いいコテハンだ(w
ほんとに、3回目とはすごいです。
5回リアルタイムで見てくれたら、なんかリクエストお応えしましょう!……なんて。
加護は、チャンスに強いヤツです。
悪知恵を使って、なんとしても生かすでしょう(w
>>285
これまたぐれいすさんも、リアルタイムとは。
加護の妄想(?)は、これからもまだ出てきますよ。
>>286
ラブラブは、本来今回入れるつもりだったんですが、予定が狂っちゃって。
どうやら次話になりそうです。
爽やかで終われますでしょうか……不安です(w
>>287
よしかごが動き出すのは、次からっすね。
ごまは………どうだろう。
>>288
(〜^◇^〜)<作者はね〜、ビデオをごっちんの方にして、裕ちゃんの方を見るらしいよ〜
ビデオでゆっくり見直しながら見るんだってさ〜
お約束でごめんなさい(w
ついでに、宣伝(?)もありがとうございます(w
>>289
後藤の嫉妬ですか……ここの後藤は微妙ですからねぇ……。
後藤よりも、吉澤が嫉妬深いらしいです。
- 296 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月04日(水)23時21分31秒
- やっぱ辻と加護のコンビはほのぼの感があって他のカップリングとは違いますね。
そうですか吉澤と後藤が付き合ってることを知らないんですか…。
でも辻加護なら独特の雰囲気があって好きですけどね(w
- 297 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月05日(木)04時07分50秒
- 辻・加護コンビ、いいっすね〜!!
二人ともかわいらしくって応援したくなりますな。
でも、吉澤と後藤が付き合ってることを知らんってことは、
天まで昇った彼女たちはこの先、地の底まで落とされるちゅーことですね。(w
どうなってしまうのか、楽しみです。
>作者はね〜、ビデオをごっちんの方にして、裕ちゃんの方を見るらしいよ〜
残業のため死亡・・・・・・ビデオもセットせず・・・。
だって、余裕で間に合うと思ったんだYO!!(w
- 298 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月05日(木)15時23分25秒
- ついに、次からはよしごまが・・!
楽しみです。よしごま、大好きです。
ビバです、マジで(w
- 299 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月07日(土)02時33分06秒
第四話「ケシゴムの行方」
- 300 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月07日(土)02時33分43秒
- 「……………あれ?」
ない。
昨日、ちゃんと入ってたハズなのに。
ケシゴムが、ない。
部活から帰ってきて、大浴場に行くのが面倒くさかったから、部屋のシャワーを浴びて。
さあ、期末テストに備えて、勉強しよう。
そう思った矢先、これだ。
「………市井さん」
「んぁ?」
「今日、部屋いました?」
「おぅ、いたよー。やぐっちゃんもいたよー」
「じゃあ、今日、部屋に加護来ました?」
人のベッドに寝転がって、漫画を読んでいる市井に尋ねる。
さっきからずっと上の段にある自分のベッドで寝ろ、と言っているのに。
一向に聞く気配もなく、勉強する気配もなく、漫画を読んでいる。
「え?」
「……だからぁ、今日、加護ここに来ましたか、って聞いたんです」
「あー」
あー、じゃないですよ、まったく。
ぶつくさと文句を言う吉澤を無視して、来たよ、と一言。
視線はまた漫画に戻る。
- 301 名前:第四話「ケシゴムの行方」 投稿日:2001年07月07日(土)02時34分55秒
- やっぱり来たか。
第一の感想は、これ。
「来た時、なんかふでばことかいじってませんでした?」
「んー。いじってたかもしんない。けど、いじってなかったかもしんない」
なんですか、それ。
そう突っ込もうと思ったのだけれど、そう突っ込んだら市井が何を言うか判っていたので、やめた。
どうせ、『だって加護が何してたのか知らないもん』なんてことを言うんだろう。
この人は、矢口さん以外の人には、関心も興味もないから。
「加護が、どうしたのさ」
またなんか取ってったのかー、なんて言って笑って。
まったく、お気楽な人だ。
加護が部屋に遊びに来た日は、必ず何かが無くなっている。
それはもう毎度のことで。
最初はムカついていたのも、こう毎日続くと、慣れてしまった。
物が無くなる=加護。
吉澤の頭の中では、それが定着しつつある。
「市井さんのケシゴム借りますからね」
返事を待たずに、勝手に市井の机の中からケシゴムを取って、間違った文字を消す。
「あー!」
後ろで市井の声が聞こえたものの、無視。
構わず消す。
「キサマ、何を勝手に…」
「何言ってんですか、『借ります』って言ったじゃないっすか」
「いちーはまだ返事してなかった!」
「どうせ使わないでしょ!」
「今使おうと思ってたんだ!」
「漫画読んでんのに、何にケシゴム使うんですか!」
「使うったら使うんだ!」
「勝手に使えよ!」
たかがケシゴムの貸し借りでケンカなんてしなくても。
この場に、誰かがいたら、そんな声が聞こえていただろう。
けれど今この部屋には、市井と吉澤の2人だけ。
くだらないケンカは、そんな2人のコミュニケーションの一環だ。
- 302 名前:第四話「ケシゴムの行方」 投稿日:2001年07月07日(土)02時35分33秒
- けれどもそんなコミュニケーション、いつまでも続けているワケにはいかない。
当然終わりはやってくる。
今日のコミュニケーションの終わりは、部屋のノックの音で終了された。
「あーい」
だるそうに身体を起こして、市井がドアを開けに行く。
開けるとそこには、後藤が立っていた。
「よっすぃーいる?」
中を覗き込むようにして、尋ねる。
「いるよー。勉強もせず、漫画読みふけってるよ」
「それはアンタの方だろっ」
心外だ、と言わんばかりに飛び出してきて。
そんな慌てて飛び出して来なくても、と苦笑しながら市井に言われた。
「市井さんに応答を頼むと、ロクな事になりません」
「失敬な」
それこそ心外だ、という顔をして。
ジェントルマンよろしく、ミス後藤を部屋へと通す。
「いいかぁ、吉澤。優しい先輩は2人の仲を邪魔しない為に、ちょっと消えるけど。
ベッドのシーツとか乱さないようにしてくれよな」
5冊ほどの漫画を抱えて。
後輩2人を見ながら。
「あのねぇ……ベッド乱さないように、って。ここはあたしのベッドでしょうがっ!!」
さんざん狭い幅のベッドをゴロゴロと行き来して、暴れて。
アンタが1番シーツとかを乱してるんじゃないかと思う。
でもそう言おうとするが前に、市井は出て行ってしまった。
- 303 名前:第四話「ケシゴムの行方」 投稿日:2001年07月07日(土)02時36分10秒
- 「……変わってるよね、いちーちゃんって」
「まぁ、否定はしないけど。……ごっちんも、人のことは言えないよ、とは言っておく」
「何よ、それ」
と、お得意の「アハッ」笑い。
何度見ても、そうやって笑う後藤は、とてつもなく可愛いと吉澤は思う。
誰か他の人、矢口や飯田、石川などが笑っているのを見ても、可愛いとは思う。
けどそれだけで。
やっぱり後藤の笑顔が1番だ。
それは、市井やりんね、柴田でも一緒だろう。
好きな人の笑顔は、他の誰の笑顔でも敵わない。
「あ、そーだ。これ渡しに来たんだった」
「ん?」
ポケットから取り出して。
見慣れたケシゴムを、吉澤の前に差し出す。
「あ、これあたしの。……なんで?」
持っているのは、加護のハズだ。
しかし今持っているのは、後藤。
「今日アタシんとこにあいぼん来たんだよ。多分、よっすぃーのとこ寄った帰りに来て、
忘れて置き忘れたんだと思う」
「あー」
落ち着きがないせいか。
多少、忘れっぽいことが多い加護。
この1週間ほど、ちょっかいを出され続けて判ったこと。
「わざわざ、持ってきてくれてありがとう」
教室が一緒なんだから、その時に渡してもよかったんだ。
けれど後藤は、夜遅く(といっても8時だが)吉澤の所に持ってきてくれた。
それがとてつもなく嬉しい。
「へっへっへ」
ありがとう、と面と向かって言われたのが照れたのか。
頭を掻いて、吉澤に背を向ける。
普段は結構、奥手というか照れ屋な吉澤を引っ張っていく後藤も、こういう事には弱いらしい。
「やっぱ可愛いや」
つい、言葉に出てしまった。
こんなこと思うのは、後藤だけ。
悪いけど、ケシゴムなんかどうでもいい。
後藤を抱きしめて、髪を撫でるには、今手に握っているケシゴムが邪魔。
未練も何もなく、静かに握っている力を緩めて、ケシゴムを床に落とした。
せっかく戻ってきたケシゴムは、どこかに転がって、また消えてしまった。
- 304 名前:第四話「ケシゴムの行方」 投稿日:2001年07月07日(土)02時36分47秒
- 「あーっ!」
「わ、な、なにっ?」
ケシゴムを落としてしまったことが、そんなに悪かったのだろうか。
慌てて机の下に落ちた、ケシゴムを拾う。
「ひ、ひろったよ、あいちゃん」
だから、おこんないで。
泣きそうな顔でそう言っている辻。
「……は? なんで、怒らなあかんの?」
「え……」
だって、あー!ってさけんだじゃん、とオドオドとそう言うと、加護がうひゃひゃ、と笑った。
「ちゃうって。落ちたから、言ったんじゃなくて、思い出して言ってん」
「おもいだしてって、なにを?」
「ケシゴム」
後藤の部屋に置き忘れたケシゴムのこと。
ボーッと、漢字の勉強をしている辻を眺めていて、その時自分の視界に落ちてきたケシゴム。
そのケシゴムを見て、置き忘れていたことを思い出した。
「明日、取りに行かな」
面倒くさいなぁ、とか言いながら、顔はすごい笑顔。
結局のところ、行く口実が出来て、嬉しいのだ。
辻は、よくそんな毎日行って、羨ましいなぁと思う反面、なんだか少し寂しかった。
もちろんそんな辻の気持ち、加護が知るワケもなく。
吉澤のことを考えながら、1人ニマニマと時を過ごすのだった。
- 305 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月07日(土)02時37分25秒
第四話「ケシゴムの行方」終了。
やっぱりよしごま好きです……。
>>296
辻加護、自分も好きです。
なんていうか、自分的には書きやすいんですね。
娘。レスでは出番のなかった辻、ここでは書いていきたいです(w
>>297
(〜^◇^〜)<じゃあウチらは焼肉で!
あ、でも焼肉だったら、あとでキスとかできないしな……(ブツブツ
地の底まで落とされるのは、どうやらまだ先のようです(w
ヽ^∀^ノ<残業っすか。そりゃあ、大変だったようで……
市井はゆっくり、陽世を堪能させてもらいましたぜっ
(〜^◇^〜)<…………………この、浮気者め
ヽ;^∀^ノ<や、やぐっちゃん、堪能っていうのは、そういう意味の堪能じゃなくて……(アセアセ
>>298
よしごま大好きですか。いえい。
ビバと思ってもらえて、嬉しいであります。
- 306 名前:mo-na 投稿日:2001年07月07日(土)03時33分58秒
- も〜超バカップル最高です。
吉後&矢市 可愛い
- 307 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月07日(土)11時28分14秒
第五話「告白タイム」
- 308 名前:第五話「告白タイム」 投稿日:2001年07月07日(土)11時29分05秒
- 期末テスト、一週間前。
しかしどうやらこの学園の生徒達は、勉強が嫌いなのか、一週間前になっても、勉強する気配まったくナシ。
いつも通り毎日のように、加護は吉澤のところに遊びに来ていた。
「なーよっすぃー。トランプしようやぁ」
甘えた声を出して、机に向かっている吉澤を揺らす。
けども吉澤は無視を決め込んでいるのか聞こえないのか。
加護の誘いに乗ることはない。
「加護、諦めなよ。よっすぃーの勉強の邪魔しちゃダメだって」
矢口の声。
こちらもまたいつも通り、矢口が指定席の市井の膝の上に座って、何やら教科書を持っている。
さっき、何してるんですかと聞いたら、紗耶香の勉強を手伝って、本読みをしてあげてるの。と。
加護にはただ、イチャついてるようにしか見えない。
なんだかんだ言って、よっすぃーは真面目やから。
机に向かって、一生懸命勉強してるよっすぃー。
かっこいいなぁ、なんて思うけど。
ちょっとぐらい、相手してくれてもいいやんか。
「なーよっすぃー、トランプぅ」
さっきより強く、揺らしてみる。
「なあよっすぃー」
さっきより多く、呼んでみる。
それまで無表情だった吉澤の顔が、だんだん引きつっていくのが市井には見えた。
「加護、もうその辺にしといた方が……」
とりあえず、言っても無駄なんだろうが、止めてみる。
加護はチラッと市井を見ただけで、また吉澤を揺らして誘う。
あぁ、可哀想に。
心でそう呟いて、耳を塞いだ。
- 309 名前:第五話「告白タイム」 投稿日:2001年07月07日(土)11時29分39秒
- ――
「なんやねん、よっすぃーの馬鹿。なにも、怒ることないやんか」
ただ、トランプをしたかっただけなのに。
吉澤と2人で、トランプをしたかっただけなのに。
そんな、耳が潰れるくらい、大声で怒鳴らなくても。
「もういーもん。もう、よっすぃーなんかいーもん」
涙声で、出てきそうになる涙を服で拭いて。
さんざん悪態をつく。
けども一向に晴れることはない。
いくら文句を言ったところで、好きな気持ちはやめられない。
怒られた理由だって、こっちが悪いのは判ってる。
でもちょっと、甘えてみたかったんだ。
まさか怒るとは、計算外だったけど。
「……………もっかい、部屋戻ろかな」
戻って、謝ろう。
そう思い直して、踵を返す。
けどその前に、後藤のところへ行くのを忘れてた。
ケシゴムを取りに行くのを忘れてた。
「おるかな……後藤さん。………多分、おるやろうな……」
いなかったら、勝手に部屋に入っていいものかどうか迷ったが、後藤は絶対部屋にいる。
そう思って、後藤の部屋に先に向かうことにした。
- 310 名前:第五話「告白タイム」 投稿日:2001年07月07日(土)11時30分12秒
- ドンドン、とノックを数回。
大きな音でノックしても、誰か出てくる気配全然ナシ。
普通これくらいの音だったら、石川がすぐ出て来てくれるから、今は部屋に石川はいないんだと判断できた。
「ごとーさーん! 部屋入りますよー」
まだ後藤が中にいるとは決まっていないのに。
でも加護は後藤が中にいることを断定して、ドア越しに問い掛ける。
中からは返事がない。
仕方が無いので、恐る恐る部屋へと加護は歩を進めた。
入ってみると、やっぱり。
後藤はいつも通り、爆睡中。
しかもベッドで寝てるんじゃなくて、壁にもたれて眠っている。
「ベッドで寝ればいいのに…」
そんな加護の呟きも、寝ている後藤には聞こえるハズがない。
加護は起こさないように、ケシゴムを探した。
部屋中探してみるものの、ケシゴムがない。
おかしい。確かに、ここに置き忘れたハズなんだ。
そう思って一生懸命探してみるが、まったく見つからない。
「なんでぇ?」
まさか、捨てちゃった?
そんなことを思ってしまって、加護は焦った。
「後藤さん、後藤さん」
ユサユサと、後藤の身体を揺らす。
揺らす度に前髪がサラッと揺れて、すごく綺麗。
加護は内心ちょっと、ドキッとしてしまった。
でもそれと同時に、なかなか起きない後藤に、苛立ちを感じる。
「なぁ後藤さんってば!」
ケシゴム、どこやったか知りませんか、大声でそう言って。
後藤が目を覚ますのを待った。
- 311 名前:第五話「告白タイム」 投稿日:2001年07月07日(土)11時30分49秒
- 「…………ケシゴムなら、よっすぃーに返したよ」
起こされたことにムカついたのか、少し不機嫌に返事して。
加護をビビらすことには十分だった。
「………返しちゃ、悪かった?」
ビビっている加護に気づいたのか。
ちょっとバツが悪そうに、今度は優しく、加護を窺うようにして話す。
「あ、いや、別に…」
気まずそうに目を逸らし、そう呟く。
後藤はつい、笑ってしまった。
「……ごめん。あいぼんが返したかった?」
直接、吉澤に。
そしたらまた話をするきっかけも、何かを取るきっかけも掴めるから。
「ち、違いますよっ。べ、別に、返したかったからとか、そんなんちゃうもん…」
口ではそんなことを言いながらも、顔が図星と物語っている。
少し、からかいがいのある子だな。
吉澤と中澤以外の人にそう思ったのは、初めてでもあった。
「ほんとにあいぼんは、よっすぃーが好きなんだねぇ」
くすくすと笑いを隠せないようにそう言う。
赤くなっている加護が、とてつもなく可愛い。
何度も物を取られているのに、許してしまう吉澤の気持ちがすごく判った。
「………後藤さんも、好きな人とかいるんですか?」
「えっ?」
いきなりの質問に、ちょっとのことでは動じない後藤も、少しビックリしてしまった。
流れ的には、そういう話に流れもしょうがない。
でもちょっとビックリした。
「なんでぇー? 後藤が誰を好きか、気になりますかー」
「…………うち、知ってますよ。後藤さんの好きな人」
え、と後藤の表情が固まる。
まさか、バレてた? なんてことが頭に浮かぶ。
加護は真剣な顔で、後藤の好きな人の名を告げる。
「……中澤先生ですよね」
「……………はい?」
あまりに不意打ちすぎて、つい声が裏返ってしまった。
- 312 名前:第五話「告白タイム」 投稿日:2001年07月07日(土)11時31分21秒
- 「なんで、裕ちゃん?」
そりゃ、確かに大好きだった。
しかもあまりにも、古すぎやしないかい?……なんて。
「後藤さんは気づいてなかったかもしれんけど、屋上は中等部も高等部も同じ高さにあるから、見えるんですよ。
サボってて屋上とか行ってた時、いつも後藤さんとかがおったの知ってるもん。
その時は、それが後藤さんって知らんかったけど…」
迂闊だった。
まさか、中等部から見えていたなんて。
後藤は一瞬焦りもしたが、加護は誰にも言ってないだろうと思って、落ち着きを取り戻す。
もし誰かに言っていたら。
自分ではなく、中澤に迷惑がかかる。
そんなの、絶対に嫌だ。
でも、加護がそんなこと、ベラベラ言う子には見えない。
見られたのが加護でよかったと不本意ながら、思った。
「でもさ、その情報はさ、ちょっと古いんだよね」
もうそれから3ヶ月近く経っているんだ。
残念ながら、間違ってます。
「裕ちゃんには、フラれちゃったから。アタシ。へへ」
以前は、そう口に出すだけで、泣きそうになったりもしたけれど。
中澤の顔を見るだけで、胸が少し苦しかったけど。
今はそんなこと、全然ない。
これも全部、キミのおかげ。
「アタシが好きな人は、あいぼんと同じ、よっすぃーだよ」
- 313 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月07日(土)11時31分59秒
- 第五話「告白タイム」終了。
>>306
ありがとうございます。
そう言ってもらえると、ほんとの本当に嬉しいです。
- 314 名前:バービー 投稿日:2001年07月07日(土)13時29分13秒
- やった、更新されてる!
やっぱここのよしごまいいですよぉ!!
- 315 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月07日(土)14時30分33秒
- 加護ぉ!どうするんだ!?
- 316 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月07日(土)15時55分12秒
- なんだかんだラブラブなんすね!!
- 317 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月07日(土)21時24分44秒
- 後藤はかなり吹っ切れているみたいですね。
加護ちゃんどうするんでしょう?やっぱショックでしょうね…。
あまりひどく加護ちゃんを壊さないで下さいね(w
- 318 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月08日(日)03時20分49秒
- ごっちんの突然の告白に加護はどうするのか!?
でも、加護はまだ二人が付き合ってるって知らないんだよな〜
面白くなってきましたね!!(最初から面白いけど)
- 319 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月09日(月)12時42分35秒
第六話「キミのおかげ」
- 320 名前:第六話「キミのおかげ」 投稿日:2001年07月09日(月)12時43分18秒
- 「へぇ、やっと加護に言うたんか」
放課後の実習室。
机の上に数学のノートと教科書を広げて。
中澤講師の下、後藤真希、お勉強中。
「やっとって何よ〜。ただ、言うタイミングがなかっただけなのに」
「アホか。タイミングなんか考えてたら、よっすぃー獲られてまうぞ」
「大丈夫だよ、よっすぃーは」
その自信はどこからくるんだ。
さも当然のように、後藤は答える。
「よっすぃーは、誰かさんと違って、あたし一筋だから」
「ぐっ……」
そして中澤は、当然言い返せないのだ。
「くそっ…前は、そんな、嫌味みたいなこと言わんかったのに……」
「失恋を機に、強くなったんだよ。裕ちゃんのせいだ」
「な、なんでアタシのせいやねんっ。普通、アタシのおかげとかじゃないんか?」
「あーもう、ちょっとうるさいよ。今問題解いてる最中なんだから」
ぎゃあぎゃあ文句を言う中澤を制し、黙らせる。
自分から、昨日加護に自分もよっすぃーが好きだって言ったんだ、って言ったクセに。
なんて、勝手なヤツなんだ。
でも、そこがまた可愛くて、つい許してしまう自分も悪いのだけれど。
- 321 名前:第六話「キミのおかげ」 投稿日:2001年07月09日(月)12時43分51秒
- 「裕ちゃんのせいで、余計勉強がはかどらなかった」
時計の針が6を指したのを確認して、お勉強タイム終了。
そして身支度を整えた後藤は、そんなことを言い出す。
「よお言うわっ! ハナから勉強する気なんかなかったクセにっ」
「する気あったから、裕ちゃんに教えてって言ったんじゃんか」
「話聞いて欲しいから口実作っただけやんけ」
「う……」
今度は後藤が言い返せない番。
だって中澤が言ったことは、その通りだから。
まさか加護に言ったこと、吉澤に相談というか、言えるワケがないし。
でも、誰かに聞いて欲しい気持ちがあって。
思い浮かんだのが、中澤だった。
ショボンとしている後藤の背中。
中澤はその背中を見て、小さく苦笑し、思いっきりその背中を叩いてやる。
「ったぁ!!」
案の定、ビックリしたような叫び声。
中澤は謝りもせず、後藤を見る。
「……でもな、理由はなんであれ、教室以外で会ってくれんの、嬉しかったりすんねんで」
「……………裕ちゃん」
「こう言っちゃ、教師失格やねんけど。
やっぱり、他の生徒達に比べて、ごっちんはアタシの中で全然違うし。
傷つけもしたし、泣かせたりもしたし、悩ませたりもしたし。
だから、今、こうやって、色んなこと話してくれんの、すっごい嬉しいねん。
アタシの時はごっちん1人で考えてたんやろうけど、よっすぃーのことで、よっすぃーに言われへんことやったら、
ごっちんと一緒に、アタシも考えるから。どんな些細なことでも、一緒に」
「…………ありがと」
ボソッと言う。
一瞬、今の聞こえたかな?と思ったが、中澤の顔を見ると笑顔だったので、その疑問はすぐに解消した。
「………ねぇ、裕ちゃん」
「ん?」
アタシ、裕ちゃんを好きになって、ホントよかったよ。
そう言うと裕ちゃんは、前までいつも見ていた困ったような笑顔じゃなくて、
今までアタシに見せたことのない、ものすごく嬉しそうな顔で笑ってくれた。
- 322 名前:第六話「キミのおかげ」 投稿日:2001年07月09日(月)12時44分27秒
- そんな笑顔の2人の前に、1人の女の子の姿が目に入る。
安倍なつみだ。
どれ位実習室の前で待っていたんだろうか。
寒い廊下に負けないよう、白い息を吐きながら、手をこすり合わせている。
「なっち!」
「あ、裕ちゃんだぁ。勉強終わったの?」
慌てて中澤が駆け寄って、壁にもたれて座っていた安倍を抱き起こす。
「アホ。6時半に待ち合わせや、って言うたのに」
こんな寒い中、寒い廊下で。
「だって、待ちきれなかったから……」
泣きそうになりながら、俯いて呟く。
「そやったら、声かければよかったのに」
「勉強の邪魔しちゃ悪いから……」
はぁ、とため息一つ。
相変わらず、放っておけなくて、手のかかる子だ。
だからこそ、自分が傍にいてやらなくちゃダメなんだ、と実感するのだけれど。
「悪い、ごっちん。ホンマやったら、寮まで送って行こ思っててんけど…」
「い、いいよ。寮なんか、すぐそこなのに」
反対に、送らせてる、なんて思われたら。
それこそ恥ずかしい。
「じゃあ、お邪魔虫はこの辺で」
「なっ…」
「お幸せに〜」
文句を言いたそうな中澤を無視して、2人の間を通って行く。
大丈夫。もう、大丈夫。
泣き顔になるどころか、笑顔になって。
胸が苦しくなるどころか、胸が晴れ晴れとして。
そうだね。
これも全部キミの、よっすぃーのおかげ。
- 323 名前:第六話「キミのおかげ」 投稿日:2001年07月09日(月)12時45分08秒
- 「ごっちんのヤツめ……」
何が、お邪魔虫、だ。
何が、お幸せに、だ。
いつのまに、そんな嫌味が言えるようになったんだ。
「ホンマ、後でシバキまわさなあかんな」
「………でも裕ちゃん」
「ん?」
「そんな事言ってる割には、顔、すっごい嬉しそうなんだけど」
「え?」
変な裕ちゃん、なんて声が斜め下から聞こえて。
でも前から変だけど、なんて声が続けて斜め下から聞こえて。
すかさず、頭をぐりぐりしてやった。
「ご、ごめんっ、こ、降参降参っ!」
ギブギブ、と叫んで、やめてくれるよう、中澤の腕を叩く。
「よぉし、勘弁したろ」
「………裕ちゃああんっ!」
離した途端、怒って飛びつく安倍。
それを軽く交わし、スタスタと前へと進む。
「わっ」
待ってよぉ、なんて言いながら追いかけると、何も転ぶ要素がない廊下で安倍は転んでしまった。
また中澤は慌てて駆け寄る。
「何してんねん、アホッ。大丈夫か?」
キツイ口調とは裏腹に、表情から、ものすごく心配しているのが見て取れる。
「えへへ…心配かけてごめん」
そう言って、1人で立ち上がる。
「ホンマ、かけすぎやで、なっち」
ほら、と自分の右手を安倍の左手の前に。
安倍は何も言わずにその手を取って、今度は転ばず、ゆっくりと中澤と一緒に歩き出す。
中澤の手は、すごく暖かくて。
さっきまでいくら息を吹っかけていても冷たかった手。
中澤に手を繋がれた途端、暖かくなった。
「ね、どこ食べに行こっか?」
「そやなぁ〜、別にどこでもいいで。ビール飲めるとこやったら」
「え〜、そんなの、いっぱいあるじゃん。なっちどこがいいか決められないよぉ〜」
「適当に行きたいとこ言えばいいやん。うちどこでもいいから」
「だって行きたいとこ、いっぱいあるんだもん」
迷う彼女。微笑む自分。
可愛くて愛しくて。
行きたい食べ物屋の名を呟く彼女の唇に、軽いキスを落とした。
- 324 名前:第六話「キミのおかげ」 投稿日:2001年07月09日(月)12時45分42秒
- ――
「1年D組出席番号10番、後藤真希、帰宅しました」
寮の玄関を入って、目の前にある受付。
靴箱に靴を入れて、スリッパに履き替えて。
帰宅したことをスタッフの人に告げる。
それがここの、今日和学園寮のルールというか、規則だ。
「あ、そうだ」
それを伝えて、部屋に戻ろうしたが、その前にちょっと寄り道。
でもその寄り道が無駄になるのは嫌だから、まず確認。
「すいません。1年D組の、吉澤ひとみ、帰ってますか?」
広い広い寮の中。
その寮の中にある、数え切れないほどの部屋。
部屋の前についている、部屋番号と、名前。
覚えるのが苦手な後藤は、それをたよりに、いつも吉澤の部屋へと行く。
そして、到着。
中に吉澤が居るのは、受付で聞いて確認済み。
コンコン、ノックを2回。
「はぁーい」
なんていう、ちょっと間の抜けた声が中から聞こえてきて。
その声が誰の声かなんて、すぐ判る。
「あ、ごっちん。どーしたのぉ?」
「アハッ、遊びに来ちゃった」
入ってもいい? と首を傾げて。
そんな上目遣いで見られて断われるほど、吉澤は後藤に対して強くはない。
「ももも、もちろんっ」
頬を赤くして、少しどもりながら、オッケーするんだ。
つい笑ってしまう。
「な、なんだよぉ」
「べっつに?」
「………で、どうしたの」
「だから、別に。……なんか用がなきゃ、遊びに来たら、ダメ?」
「い、いや、全然っ! ど、どんどん来ちゃってください!」
「アハッ」
本当は、用っていうか、理由があったんだけど。
裕ちゃん達見てたら、実はちょっと、羨ましくなっちゃって。
だからアタシも負けじと、よっすぃーに逢いに来ました。
………なーんてことは、素直に言えるハズなくて。
ついつい、いつものようにからかって、答えをはぐらかす。
「………よっすぃーは、アタシのこと、好き?」
「え、何。いきなり」
「いいから」
「………好きだよ? っていうか、このセリフ、もう何十回と言ってるような…」
「いーじゃん。いくら言ったって」
言ってくれると、ものすごく心が暖かくなって。
冬なのに、心はポカポカ。
そんな風になれるのは全部、キミの、よっすぃーのおかげ。
- 325 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月09日(月)12時46分18秒
- 第六話「キミのおかげ」終了。
今回どうしても、これを入れておかなければと思って、後藤をメインにしてみました。
主役のボンは、ちゃんと次話で。
じらしてごめんなさい。
>>314
ありがとうござます。
よしごま書いている人によしごまを褒められるのは、とっても嬉しいです。
もう、泣きそうです(w
>>315
どうでるかは、次回でってことで……ごめんなさい。
>>316
マジでよしごまは最高です。
ハロモニで坊ちゃんにじゃがいも(?)を食べさせている若奥さんに自分は惚れました。
今回は少し、ラブラブを多めに。
>>317
どこまで吹っ切れているかというのも、続編で書きたかったんで、今回も入れてみました。
これで、どこまで吹っ切れているのか、読んでくれてる人も判ってくれたか不安ですけど…。
おいらは、今の娘。さんで加護様を1番愛しております。
なので、壊すほどのひどいことは、できません(w
>>318
(;0^〜^0)<あたしが主役の時はあんなに目立ってたのに……加護になった途端……
ここからが、まあ言えば2回目の物語の始まりなんですよね。
最後まで楽しませることが出来るように、頑張りたいと思います。
- 326 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月10日(火)03時30分08秒
- もちろんよしごまはいいんですが、個人的に今回はなっちゅーがよかったっす!!
さて、次回の『後藤の告白を受けてどうする加護!?』編(?)も楽しみです。(w
- 327 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月10日(火)16時10分47秒
- ひ、ひそかによしごまの進展を待ってたり・・・(モジモジ
- 328 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月10日(火)17時18分30秒
- >>327
激しく同意!!
- 329 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月10日(火)17時53分36秒
- >>327
上に同じく…
- 330 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月13日(金)02時52分33秒
第七話「ライバル宣言をしよう」
- 331 名前:第七話「ライバル宣言をしよう」 投稿日:2001年07月13日(金)02時53分27秒
- 「じゃあ、みんなまた明日ね。
明日は担任のあたしが教える教科なんだから、頼むわよっ!」
「へ〜い」
はりきる保田とは反対に、3年A組の生徒達はだらけた返事。
1週間続く、期末テスト。
その最初の日が終了して、皆疲れているのだ。
「いよぉっ、矢口。どうだった?」
「あぁ、圭織…」
「どした。元気ないじゃん」
飯田のクラス、C組も終わったんだろう。
妙に嬉しそうな飯田が、教室から出て来た矢口に声をかける。
けど矢口の顔からは、いつもの元気さはない。
「テスト範囲、間違えてた……」
「げ。マジっすか……」
「大マジっす……」
この調子からすると、散々な結果だったんだろう。
安易に想像がつく。
しかし散々といっても、市井が取るような散々なテスト内容じゃなく、あくまで矢口の中での散々。
通常90点台の矢口。
予想、50点くらいでも散々なのだ。
- 332 名前:第七話「ライバル宣言をしよう」 投稿日:2001年07月13日(金)02時54分04秒
- くっそぉ〜、マジ悔しい。
オール90点以上の目標が潰れた〜、なんて悔しがってる矢口に苦笑しながら、飯田は言う。
「へっへ〜、圭織はねぇ、悪いけど今回100点もらったよ! 手ごたえあり!」
なぜ飯田がご機嫌なのか、ここで解明された。
ああ、そうですか。いいですねぇ。
「どうせ矢口は、テスト範囲間違えましたよ」
ヒネて、ついでにグレる。
「まぁそう怒らない。矢口より馬鹿なヤツは、すぐ前にいるからさ」
「はあ?」
誰だよ、と言おうと顔を上げる。
顔を上げた先に見えた、マイダーリンの後ろ姿。
その後ろ姿は、矢口よりも暗かった。
「ちょ、ちょっと紗耶香、どーしたの」
あれほど勉強して、あれほどご褒美をして差し上げたのに。
まさか、テスト問題全然判らなかった、なんて言い訳通じない。
「ややや、やぐっちゃん……」
駆け寄って来た矢口に少々ビックリして、後ずさる。
でもすぐに追い込まれた。
「2年って今日、英語と体育と音楽だよね」
「う、うん」
「紗耶香、その2つ、結構得意だったよね」
「う、うん」
「じゃあなんで、そんな暗いの」
「そ、それは……」
都合が悪い時は、答えを濁す。
このまま濁させて、たまるもんか。
テスト結果が悪いと、こっちまで影響が来るのだから。
- 333 名前:第七話「ライバル宣言をしよう」 投稿日:2001年07月13日(金)02時54分36秒
- 半分以上欠点だったら、冬休みもまた補習。
半分以上欠点じゃなかったら、冬休みは快適三昧ならぬ、イチャつき三昧。
不得意なやつだったらまだしも、得意だったやつが欠点になったりなんかしたら。
イチャつくもなにも、まず逢えないじゃんか。
それだけは、勘弁してくれ。
「何問中、何問書けなかったか言って。欠点かどうか計算するから」
「あ、いや…書けなかったんじゃなくて……」
「ん?」
「書いてなかったんだ……」
「………は? 何を」
一瞬、最悪な事が頭によぎったりした。
でも、まさか。
そこまで、馬鹿じゃないだろう。なんて希望を持つ。
しかしその希望は、あっさりと打ち砕かれた。
「……その、名前をね? 全部、書くの忘れてたんです………」
ふらぁ、と倒れそうになる身体を必死でこらえて。
マイダーリンのあまりの馬鹿さ加減に呆れてしまう。
「ほらね。矢口より馬鹿なヤツがいたでしょ?」
可笑しそうに言う、飯田。
そうだね。いたね。しかも、思いっきり馬鹿なヤツ。
名前の書き忘れは、0点だ。
何度もそう言われてきたハズなのに、書き忘れた馬鹿なヤツ。
けどその馬鹿なヤツが、愛しのママママイダーリンだったんて。
恋人同士揃って、馬鹿。
これぞ、究極の馬鹿ップル!
………………なーんちゃって。
- 334 名前:第七話「ライバル宣言をしよう」 投稿日:2001年07月13日(金)02時55分08秒
- ――
「はあ……」
教室を出た時よりも遥かに暗い表情で、寮へと帰宅。
飯田は途中、石川をからかいに何処かに行ってしまった。
だから、部屋の中には、矢口1人。
そう、1人のハズなのに。
「矢口さん……」
「う、うわあッ!!!」
机、ベッドが置いてある部屋のドアを開けた瞬間、立っていた加護。
あまりに驚いて、しりもちをついてしまう。
「ななな、何でいるんだよぉっ! 何勝手に入ってんだよぉっ!!」
「……ごめんなさい。でも、一応入る前、ノックして入っていいですかって聞きましたよ?」
でも中に人がいないんじゃ、意味ないじゃん。
元気があれば、そう突っ込んでいただろう。
でも元気がなかったので、そう突っ込む余裕がなかった。
「もぉいい。早く、自分トコの寮、戻んなさい」
しりもちをついている、格好悪いところを見られた。
先輩としてのメンツが、崩れてしまう。
慌てて立ち上がって、加護を追い出すことにする。
しかし加護は、なかなか言う事を聞いてくれない。
「ちょっと、話聞いてくださいよ。今から、後藤さんとこ行くんです」
「ごっつぁんトコぉ?」
「そーです。でもその前に、矢口さんに聞いて欲しかったから」
「聞いて欲しかった?」
「そーです。ライバル宣言です」
「ライバル宣言〜?」
「そーです。後藤さんに、ライバル宣言です」
- 335 名前:第七話「ライバル宣言をしよう」 投稿日:2001年07月13日(金)02時55分47秒
- じゃあ、直接ごっつぁんにしてきなよ、と冷たくあしらう矢口にしつこく食い下がる。
「なんで応援してくれないんですかぁ〜! 応援してくださいよぉ〜! うち1人じゃ心細いんですよぉ〜」
「だー、もううるさいぃ!」
そもそも、ライバル宣言て何さ。
加護が吉澤のことを好きなのは、後藤も知っているハズ。
「でも後藤さんは、うちが本気でよっすぃーのこと好きと思ってないと思います」
「あぁ………そーかもね」
じゃなきゃ、危機感ナシで加護を見れるワケがない。
もし加護の好きな人が吉澤じゃなくて市井だったら、多分心配で心配でたまらないだろう。
でも後藤は、心配する素振り一つも見せない。
それは、強がっているだけなのか、それとも本当に心配してないのか。
正解は、限りなく後者だと思う。
「こないだ、後藤さんも、よっすぃーが好きやって言ってくれたワケやし。
その時はあまりに突然のことであっさりと帰ってしまったけど、
ここでうちがもっかいはっきりと、真剣な顔してライバル宣言しなアカンなと思いまして」
「はぁ」
あまり興味ないような相槌。
けれども加護は、構わず続ける。
「そりゃ後藤さんにライバル宣言したところで、あんま意味ないけど…。
とりあえず、しとかなな、思って。
まぁアタックしても、こっちが分が悪いのは見てのとおりですけどねっ」
「いや、分が悪いっていうか……」
分、ないじゃん。
と、突っ込む前に。
もしかしてこの子、まだ2人が付き合ってること知らないのか?
ごっつぁんも、好きだ、とは言ったけど、付き合ってる、とは言わなかったのか?
「あ、そうや。ねぇ矢口さん、よっすぃーって、好きな人いませんよねぇ。
よっすぃーに好きな人おったら、いくら後藤さんにライバル宣言しても、意味ないもんな」
「そ、そうだね……」
いや、十分意味あると思いますよ。
だってよっすぃーの好きな人、その後藤さんなんだから。
………それが言えたらこの話、もうとっくに終わってるっつーの………。
- 336 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月13日(金)02時56分19秒
- 第七話「ライバル宣言をしよう」終了。
さんざん時間かけて打ち直して、この内容。
3日間、おいらは何を書きたくて載せ渋ってたんだ…。
今は、これが精一杯です…。
>>326
@ @
( ‘д‘)<いちーさんには悪いけど、うちはよっすぃーとは違うで。
そう簡単に、メインの座を渡してたまるかっちゅーねん
( ´D`)<そう言うあいちゃんも、なんだか後藤さんと矢口さんのかげにおされぎみれすけどね…
おいらもなっちゅー気に入ってたんで、嬉しいです。
期待通りにいかなくてごめんなさい……これがおいらの精一杯です……うぅっ。
>>327-329
よしごまの進展ですか。
ずっと書こう書こうと思ってはいるんですが、本編ではどうやら書けないです。
だから、番外編という形で書こうと思ってるんで、それまで待っていただけるでしょうか?
なるべく、待たせないようにはするつもりです。
続編ではもう進展はあった後の設定なんで、前回と続編の間という感じで…。
- 337 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月13日(金)03時21分43秒
- 初のリアルタイムに感激!!(w
さて加護・吉澤・後藤の話の方も気になるが、俺にとっての最重要問題は、
さやまりが冬休みにイチャつき三昧になれるかどうかであります!!(w
- 338 名前:327 投稿日:2001年07月13日(金)03時23分34秒
- やっぱここの市井むちゃくちゃキャ〜ワイイなぁ・・・
登場するだけでワクワクしてしまう(w
すいませんあれじゃあリクですよね・・。よしごまは、作者さんの書きたい時に書いてくれて全然!構わないんで気にしないで下さい。
- 339 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月13日(金)04時20分25秒
- >>338
同じくッス。
俺は経営者さんのお話が読めるだけで幸せッスから!!
- 340 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月14日(土)00時44分05秒
- 第八話「イイコトorワルイコト」
- 341 名前:第八話「イイコトorワルイコト」 投稿日:2001年07月14日(土)00時44分58秒
- 「いーですか? 人間はそもそも、勉強するために生まれてきたんやないんですよ。
それやのになんで、勉強が義務なんですか。おかしいでしょ」
「おかしいのは 加護の頭の間違いでしょ」
「な、なんやてぇっ!?」
かぁっとなってつい大きな声になってしまった。
しかも、つい言葉遣いが荒くなってしまった。
「……アンタ、ここが何処だか判ってんの?」
「職員室です……」
「そう。だから、もう少し静かにしようね」
「はい……」
2学期終了日の放課後。
友達はみんな、これから帰省するために寮へと戻って行く中、加護は1人、担任の石黒に呼び出しをくらってしまった。
で、行ってみると、どうやらあまりにも悪かったテストと通知表のことのようで。
加護は今、怒られている真っ最中なのだ。
しかし先程反抗してカッコイイこと言ったつもりだったのだが、その後が悪かった。
興奮してしまって、我を忘れてしまった。
背中に突き刺さる、他の先生方の視線。
「まぁ、アタシの言い方も悪かった。こんな点数取れる加護の頭は、おかしいんじゃなくて、すごいと思う」
「で、でしょう? やっぱうちはすごいでしょ」
「そこはえばる所じゃないよ。っていうか、反省しろー!」
加護の目の前に突きつけられた答案用紙。
その答案用紙の右上には、どれも一桁の数字。
「このままじゃ、やばいよ加護。こうなったら、補習だね」
「ええっ!?」
いやや、いややー、と逃げる加護を、構わず石黒はひっぱる。
そして石黒にひっぱられ、加護が連れられた先は、高等部にある総合実習室とボードに書かれた教室だった。
- 342 名前:第八話「イイコトorワルイコト」 投稿日:2001年07月14日(土)00時45分37秒
- 「とりあえず、ここで待っときな」
もうすぐしたら、みんな来るから。
そう言って、石黒は元来た道を帰って行く。
高等部の、しかも総合実習室という意味の判らない場所に1人残された加護は、不安でたまらない。
とりあえず今出来ることといえば、辺りを見回すことくらいか。
「…………ちゅーか、広」
総合、と名がつくせいかどうなのか知らないが、広い。
まず部屋の真ん中に、口、という字を横長にしたような形の机があって。
その口の真ん中に、教卓が一つ。
教室にはもちろんのこと、エアコン付き。
「………こんな部屋連れて行かされて、うち何されんねんやろ……」
そう1人呟いた後、加護の耳に足音が2つ聞こえた。
石黒せんせーが戻って来たんかな、と思って姿勢を正しく直したら、予想していなかった人が入ってきた。
「ほら。何やってんの。早く入りなさい」
「うぅっ…」
まるで、警察署に連行される犯人のようだ。
両手には、おもちゃの手錠が。
「市井さんっ、何で、ここに」
「わ、か、加護っ」
自分だけだと思って入ってみると、そこには予想もしていなかった人がいた。
なんで、中等部の生徒がここに?
連行して来た保田に答えを求めると、市井につけたおもちゃの手錠を外しながら答えてくれた。
「中等部は、ここみたいにマンツーマンの実習室みたいのがないからね。
だから、高等部に連れて来たんでしょ」
「あぁ、そうなんだ」
自由になった両手。
その両手をウキウキと上下に揺らして、加護の隣に座る。
- 343 名前:第八話「イイコトorワルイコト」 投稿日:2001年07月14日(土)00時46分14秒
- 「そうか。加護も、冬休み補習なんだね」
ここに、連れて来られたってことは。
そういうことになるんです。
「………加護『も』ってことは、市井さんも?」
「……………ここに連れて来られたってことは、そういうことになるんです……」
誰も連れて来られたくて、連れて来られたワケじゃない。
けど今回は、最初の名無しで予定が狂った。
見事に半分以上欠点。
テストが返されたと同時に、稲葉から保田へとここへ強制連行。
あぁ、やぐっちゃんとの冬休み……。
それもすべて、補習へとあてられる。
「……けど、まだ1人じゃなくてよかったよ。
隣に誰かがいるってだけで、心強い」
個別にある、いくつかの実習室。
隣で、自分と同じように怒られている人がいると思うと、まだ少しでもマシだ。
「夏休み1人で、寂しかったんだよー」
「何言ってんの。もう1人いたじゃない」
「「え?」」
もう1人、馬鹿の子が。
そう保田は言って、目線をドアへと向ける。
そこに登場した、馬鹿な子。
「ほらぁ、ごっちん。いいかげん諦めぇ」
「やだー! 誰がイベント多しの冬休み、補習で過ごさなきゃなんないのよぉ!」
「しょうがないやろっ! アンタが0点取るから悪いんやっ」
ドアにしがみ付き、最後の抵抗を試みる後藤。
それを必死で引き剥がそうとしている、担任中澤。
冬休み、補習するメンバー。
2年E組、市井紗耶香。
1年D組、後藤真希。
中等部2年A組、加護亜依。
そしてその問題児達を教えるメンバー。
3年A組担任、保田圭。
1年D組担任、中澤裕子。
中等部2年A組担任、石黒彩。
あまりに濃い、冬休みライフの始まり。
- 344 名前:第八話「イイコトorワルイコト」 投稿日:2001年07月14日(土)00時46分50秒
- ――
「ただいま…」
疲れきった表情で、部屋のドアを開ける。
そして中からは、いつものおっとりとした吉澤の優しい声……じゃなくて、低い、怒気が思い切り篭った声。
「お帰り、紗耶香」
「や、やぐっちゃんっ!」
しまった、まさか、自分の部屋にいたとは。
わざわざ矢口の部屋の前や辺りを通らないように上手く避けてたつもりだったのに。
油断していた。
「どどどどど、どーしたの。いいい家、帰らないの?」
「帰ろうと思ったんだけどね。誰かさんが、補習になったとか言うから」
「そそそ、そうですか」
「うん」
眉、口、顔。
どれも全部、引きつっている。
そして全身から、大量の冷や汗。
このままじゃ殺される、そう感じた市井は、吉澤を探す。
吉澤がいたら、殺されるのは延期されるだろうと考えたからだ。
けど……
「よっすぃーなら、ごっつぁんトコ行ったよ。だから、今部屋には矢口と紗耶香2人だけだよ」
「そ、そうですか…」
うん、なんて言いながら、徐々に市井へと近付く。
「………ねぇ、イイコトしよ……?」
「イ、イイコト……? ワルイコトじゃなくて……?」
市井の首に腕を回して、ぎゅうっと力を込める。
そしてきっかり5秒後。
市井・吉澤部屋に、物凄い悲鳴がこだました。
- 345 名前:第八話「イイコトorワルイコト」 投稿日:2001年07月14日(土)00時47分28秒
- 「………なんだ? 今の悲鳴……」
「えー、悲鳴なんか、聞こえたっけ」
「聞こえたよー。ごっちん、何聞いてたんだよー」
コツン、と頭を小突く。
へへへ、と笑う後藤。
つられて、ははは、と笑う吉澤。
ひとしきり笑った後、後藤が呟いた。
「あー、超やだ。こんなことなら、もっと勉強しとくんだった」
「だから、言ったじゃんか。勉強した方がいいって」
「えー、言ったっけ」
「言ったよー。ごっちん、何聞いてたんだよー」
コツン、と頭をまた小突く。
へへへ、とまた笑う後藤。
つられて、ははは、とまた笑う吉澤。
2人はどこまでいってもマイペース。
――
「ええーっ!? なんで、ほしゅうなのぉ? あいちゃん、ジシンあるって言ったじゃん!」
「言うたよ。言ったけど、そうなってんからしょうがないやん…」
「しょうがなくないよ! 冬休み、いっぱいあそぼうってやくそくしたのに!」
「だから、しょうがないやんって言うてるやん!!」
帰ってきて早々、辻の文句。
加護だって、判ってるんだ。
けど、補習になってしまったものは、もうどうしようもない。
「うち、今から勉強するから」
「…………」
返事はない。
怒っているのだろうか。布団にくるまっている。
「なんで、それくらいで拗ねんの。いいかげんにしぃや」
ゆさゆさ揺らしてみるも、反応ナシ。
どうやら無視を決め込んだ模様。
あぁそうでっか。そっちがそうなら、こっちもそうさせてもらうわ。
イライラしながら、乱暴にふでばこを開けて、シャーペンを取る。
そして、今日出された宿題をやろうと、シャーペンの芯を出そうとてっぺんを押した時だった。
- 346 名前:第八話「イイコトorワルイコト」 投稿日:2001年07月14日(土)00時48分19秒
- (あ、これ……よっすぃーにもらったやつ……)
正確に言うと、よっすぃーから盗んだやつ、なのだが。
間違って、ふでばこの中に入れてしまったのか。
このよっすぃーシャーペンは特別なもので。
いつもは机の1番上の引き出しに大事にしまってあるのに。
慌てて、また引き出しに入れなおす。
そして、思い出した。
(補習は、高等部の実習室……ということは、堂々と高等部に侵入できるやん……。
もちろん、高等部の体育館も見放題……)
これは、願ってもいないチャンス。
幸い、後藤も補習のメンバーだ。
ということは、抜け駆けしないように、見張ることも出来る。
これは、イイコトなのか、ワルイコトなのか。
…………ののと市井さんには悪いけど、イイコトですわ。
- 347 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月14日(土)00時49分33秒
- 第八話「イイコトorワルイコト」終了。
矢口、辻にとってはワルイコト。
でも加護にとってはイイコト。
坊ちゃんにとっては、どうなんでしょうか?(w
>>337
(〜^◇^〜)<…………日頃の行いが悪いから、こーなるんだ
リアルタイムですか! くぅ、恥ずかしい…(w
さやまりはそう簡単に、イチャつき三昧にはなれないみたいです(w
>>338
へナをキャ〜ワイイだなんて……嬉しいです。
よしごま、書きたかったんです。っていうか、書いた(w
だから、そんな、謝らなくていいですよ。
>>339
そのお言葉、死ぬ程幸せです……。
調子に乗って、番外編よしごまも、どだッ!!
- 348 名前:番外編「協力するよ!2〜2人のエッチのお手伝い〜」 投稿日:2001年07月14日(土)00時51分01秒
- 「いち、にぃ、さん、しぃ………」
さっきからずっと、卓上カレンダーの数字を数えている。
市井の寝床、2段ベッドの上の段で、大浴場へと行った市井を待っていた矢口が、不思議に思って声をかけた。
「なぁーにやってんのよっすぃー。どーしたぁ?」
そう言いながら、はしごを下りて、地面に到着。
「何を数えてんのさ」
「えー……日数です」
「日数? 何の?」
「…………ごっちんと、付き合い始めてからの、日数です」
「なぁーんだ、つまんねぇー」
自分から聞いていて。
そりゃないだろう、と思いもしたが、ここの生徒達に、常識は通じない。
それはもう入学してから大分経って判っているハズなのに、どうしてか突っ込みたくてしょうがなかった。
「うぃ〜、帰ったよ〜ん」
「あ、紗耶香だ」
「…………おかえりなさい」
髪をオールバックにして、男前パワーアップ。
そんな市井が帰ってきたので、話はそこで終了。
部屋の空気が、イチャイチャと甘い空気へと変わる。
「わぁ、ちょっと紗耶香ぁ〜、今胸触った〜」
「えー? ごめん、そんなつもりなかったんだけど」
「絶対ワザトだ」
「へっへっ、バレた?」
付き合って、ちょうど1ヶ月の吉澤と後藤。
付き合って、もう4ヶ月の市井と矢口とは違うのは判ってる。
けど、たまにはこんな風に、イチャつきたい。
だって、もう1ヶ月なんですよ?
そろそろ、キス以上のことも、したいじゃないですか。
- 349 名前:番外編「協力するよ!2〜2人のエッチのお手伝い〜」 投稿日:2001年07月14日(土)00時51分33秒
- ――
それから、3日経ったある日。
「で、なんでトランプするために、部屋に集まらなきゃいけないの?」
「え、あ、あたしも判んないんだけど……」
突然、イチャついていたと思ったら、トランプするから、後藤呼んできて。
なんでトランプするのに、ごっちんを呼ぶ必要があるんですか、と反抗すると、
だって大勢の方が楽しいじゃん? と、返されて。
有無を言わせない矢口の目にこれ以上反抗出来ずに、言うことを聞いてしまった。
協力するよ、と言ったことには責任を持たなければ。
あの後、なんで日数を数えていたのか聞いた矢口は、ある事を考えた。
何かと理由をつけて、後藤を市井達の部屋へと呼んで。
そこで、どうにかして、いまいち押しの足りない吉澤をその気にさせてやろう、と。
大丈夫。作戦とその他の準備はばっちり。
「紗耶香っ、よっすぃー達来たよっ」
「う、うん」
「いい? ちゃんと、よっすぃーをその気にさせるような雰囲気作るんだよ?」
「う、うん」
「じゃあ……」
「う、うん」
目を瞑った矢口に、市井の顔が覆い被さる。
そして、2人の唇が触れ合い、矢口の身体がゆっくりと押し倒される。
押し倒されたと同時に、部屋のドアが開いて、吉澤達の声が聞こえてきた。
「連れて来ましたよー」
「よっすぃー、アタシ、ポーカーだったら負けない自信あるよ」
「はは……だって、無表情だもんね」
楽しい会話もそこそこに、市井達がいる部屋へのドアを開ける。
開けたそこには、行為の真っ最中だった2人がいた。
- 350 名前:番外編「協力するよ!2〜2人のエッチのお手伝い〜」 投稿日:2001年07月14日(土)00時52分11秒
- 「わぁっっ!! ご、ごめんなさいっ!!」
バタン、とドアを閉める。
そして、後藤の手を取って、部屋の外へ。
吉澤の顔はまるでトマトのように。
「行った!?」
「わっ!」
ドアの閉まった音を確認して、矢口が飛び起きる。
そして、こっそりと外に出た2人の会話を聞いて、作戦が成功したことを知る。
「よぉし、ごっつぁんの部屋行った! 石川は、柴田ちゃんの部屋に行かせてある!
ということは、ごっつぁんの部屋に2人っきり! そのまま勢いで押し倒せぇ!!」
「や、やぐっちゃん……」
暴走気味の矢口を、何とか現実に戻そうと試みるが、どうもなかなか戻りそうにもない。
「よし、ホントに押し倒せるかどうか、覗こうか!」
「や、待て待てっ。大人しく、ここに居とこうよ」
もし覗いてたのがバレたりでもしたら……。
そう考えただけでも恐い。
「ほら。トランプでもしよう」
覗きに行こうとする矢口を自分の腕の中に納めて、カードを配る。
「何すんの?」
「んー……何がいい?」
そうだなぁ、と考えるだけ考えて。
にこっと笑って、最初から考えていたことを言ってみた。
「………さっきの続きはダメ?」
吉澤をその気にさせるために行った行為。
自分もその気になってしまった。
「……っていうか、聞かなくても、やぐっちゃんの言う事、市井が断わるワケないじゃん……」
そしてまた、押し倒す。
部屋には、甘い雰囲気が流れ出していた。
- 351 名前:番外編「協力するよ!2〜2人のエッチのお手伝い〜」 投稿日:2001年07月14日(土)00時52分48秒
- ――
一方、市井達の甘い雰囲気とは別に、まったりとした雰囲気が流れている、後藤の部屋。
矢口の作戦通り、石川は柴田の所へ行っているため、部屋には2人きり。
そしてこれまた矢口の作戦通り、吉澤は1人、ドキドキしていた。
(くそぉ……2人の見たせいか、なんかすっごくごっちんを押し倒したい……)
今までも、何度もそう思った。
けれど勇気と押しが弱くて、なかなか実行できなかった。
でも今なら、なんだか勢いでどこまでもいけそうな気がする。
チャンスだ、あたし。
「ね、ねぇごっちん……」
「んぁ?」
「ご、ごっちんは、あたしのこと、好き?」
「うん。大好き」
「じゃ、じゃあ、キスしても怒らない…?」
「怒らないよ」
笑って、目を瞑ってくれる。
理性が崩れた瞬間だった。
「んんっ!」
強引に入ってくる、舌。
優しい、いつもの吉澤のキスじゃない。
ドンドン、と胸を押したのだが、反対にこっちが押し倒されてしまった。
- 352 名前:番外編「協力するよ!2〜2人のエッチのお手伝い〜」 投稿日:2001年07月14日(土)00時53分28秒
- 「やっ…」
乱暴にシャツのボタンを外され、耳の後ろに口付けられる。
「ちょっ……ほんと……」
やめてよ、そう言おうとするのだが、その度に口を塞がれ、どうにもならない。
しかし息苦しくなって唇を離した瞬間を狙って、大声で叫んだ。
「よっすぃー!!」
叫んですぐ、ビクッと震える吉澤の身体。
「あ……ご、ごめ……。あ、あたし……」
自分がした事にやっと気づいたのか。
後藤から飛び退いて、1人、震える。
そんな吉澤を、後藤が優しく抱きしめた。
「………バカ。よっすぃーに乱暴は、似合わないよ」
「ご、ごめん…」
「よっすぃーは、優しい方がいいな……」
「ごっちん……」
見本を見せるかのように、震えている吉澤に、優しいキスを。
唇を挟んだり噛んだり、舌を入れたり。
何もかも優しいキス。
「………ダイジョーブだよ……ちゃんと、よっすぃーが好きだから……。
そんな、慌てなくても、アタシ、逃げないよ……?」
だからさ、優しくね?
その言葉は、しっかりと吉澤にも伝わった。
- 353 名前:番外編「協力するよ!2〜2人のエッチのお手伝い〜」 投稿日:2001年07月14日(土)00時54分04秒
- 「……ん……はっぁ…」
「ごっちん…」
「…んー?」
「気持ちいい……?」
「……うん。きもち、…い…よぉっ?」
豊満な胸の頂上。
そこに、優しく舌を這わす。
最初はくすぐったそうに身をよじらせていた後藤も、その頂上が固く尖っていくのと同時に、
甘い声を出すようになった。
「んっんっ……ハァッ」
強弱をつけて、下着の上から、秘部に触れる。
触れると、どれだけ後藤が感じていてくれているのか。
それは、下着の濡れ具合で、確認できた。
下着を両手で下ろして、脇にやった顔も、下ろしてゆく。
そして顔は、先程下着で隠されていた秘部の前へ。
愛液の匂いだろうか、少し甘酸っぱいような匂いがしたが、構わずソコに口付ける。
「ふわぁっ!」
口付けた瞬間、口内に広がる後藤の味。
迷わず飲み込んだ。
「……汚いよぉ、そんなの……」
「汚くないよ……全然、汚くない……」
「んんっ……あ、んっ」
まだ何か言いたそうな後藤。
それを遮るように、指を1番感じるトコロに当て、動かす。
「はっ、あっ、くぅ……んぁっ!」
髪の毛が乱れるのも気にせず、涙を流しながら、首を左右に振る。
嫌だからじゃない。気持ちいいから。
- 354 名前:番外編「協力するよ!2〜2人のエッチのお手伝い〜」 投稿日:2001年07月14日(土)00時54分49秒
- 「よっすぃー……よっすぃーっ…」
「ん…」
何度も何度も名前を呼んで、背中に回した腕に力を込める。
部屋に響く、後藤の喘ぎ声と、指を出し入れしているトコロから聞こえる厭らしい音。
それは聞こえなくなる所か、どんどん大きくなっていって。
「やっ、あぁっ……アタシっ……うんっ…」
「ごっちん…ごっちん……」
「よっすぃぃ……うぁっ! はっ、あぁっ!!」
最後、1番大きな声で叫び、初めてのエッチは、幕を閉じた。
「…………どーしよ、よっすぃー……」
「へ?」
終わって、シャワーを浴びて出て来た早々、困ったような後藤の声。
幸せの絶頂にいた吉澤は、あっさりと現実に引き戻される。
「どどど、どーしたの。何かあった?」
「うん…」
今気づいた、とか言って。
はぁ、とため息。
「ベッドでしたのはいいんだけど、下って、梨華ちゃんだったんだよね……」
「え……」
先程、2人が愛し合った2段ベッドの下のベッド。
布団やシーツがめちゃくちゃ。
その上、汗やら何やらで、シーツが濡れている。
今から洗ったら間に合うか?
でも、遅い。
石川がタイミングよく、帰ってきた。
その日の夜から、後藤が下で寝ることになった。
その理由は、後藤と吉澤しかしらない……。
- 355 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月14日(土)00時55分29秒
- 番外編「協力するよ!2〜2人のエッチのお手伝い〜」終了。
オチ、判りづらかったかもしれません。
後藤が下のベッドで寝るようになったのは、シーツを洗う時間も直す時間もなく、
バレてしまっては困るので、無理やり石川をその日から上で寝てもらうことにした、ということです。
判りにくくて、すいません。
- 356 名前:mo-na 投稿日:2001年07月14日(土)02時54分32秒
- >後藤が下で寝ることになった。
これで充分わかりますよ!>作者さん
あ〜〜よしごまは幸せなんだ〜
でもごっちん、あいぼんにご注意ですね。(笑)
- 357 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月14日(土)03時24分21秒
- ショック!!・・・やっぱり補習ですか。
でも今回は楽しいお仲間がいっぱいいるし、まっいっか♪(w
それに番外編で、Wカップルのイチャ×2を見させて頂いたんで満足です!!(w
- 358 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月14日(土)04時39分11秒
- いや〜も〜たまらんです!!
よしごま万歳!!
- 359 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月14日(土)04時48分02秒
- 全然分かりますよ
ってか、よしごまエロ・・無茶苦茶萌えた・・・何故だろう・・・・
うぅん何故だろう・・・・新鮮だからかな。
それにしても互いの呼び名が「ごっちん」に「よっすぃー」、ムード無い呼び名ですよね(w
でも萌えた・・・
ありがとうございました
- 360 名前:バービー 投稿日:2001年07月14日(土)21時16分39秒
- めっちゃ良かったです。
吉澤と後藤の関係がすごい好き!!
やっぱ、うまいですよ。
よしごまは最高です、マジで!!!!
- 361 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月15日(日)01時18分18秒
第九話「運命の赤い糸は誰と?」
- 362 名前:第九話「運命の赤い糸は誰と?」 投稿日:2001年07月15日(日)01時19分17秒
- 「はあぁぁぁ………鬱だ」
「鬱って………こっちまで、鬱になっちゃいますよ」
部活の合間の、15分休憩。
グビグビとマネージャーに支給されたアクエリアスを飲んでいた所、背の小さい先輩を見つけた。
そしてその背の小さい先輩、矢口の所に駆け寄って、お喋りタイム。
「仲間になろうよ、よっすぃー。一緒に鬱になろうよぉ」
「ヤですよ。引き込むのはやめてくださいね」
「冷たいぞぉ〜、矢口は、そんな風に育てた覚えないぞぉ〜」
「そりゃあ、覚えないでしょうね。だって育ててないんだから」
「ぐっ…」
ホント、最初は素直で可愛かったのに。
いつからこんな、ひねくれた性格の持ち主になっちゃったんだ。
そうだ、これも全部、アイツのせいだ。
「まぁた市井さんが何かしたんですか?」
「………しまくりだよ。せっかく、冬休みなのに、補習だよ?
紗耶香が家に帰れないのは当然だけど、矢口も家帰れなくなるの!」
家に帰ったって、どうせ市井に逢うには、学園に行かなければならない。
じゃあ逢わなければいいじゃん、なんて突っ込みはなさらずに。
「…で、市井さんの補習が終わるまでの間暇だから、学園内ブラブラしてたんですか?」
「………だって、部屋に居たって、圭織帰省しちゃったし、おもしろくないんだもん……」
「じゃあ、そんな暇なら、見学して行きます?
どうせ、あと1時間くらいしたら終わるし、一緒に迎えに行きましょうよ」
矢口は、市井。吉澤は、後藤。
ただし、互いのお迎えの相手は違うけれど。
- 363 名前:第九話「運命の赤い糸は誰と?」 投稿日:2001年07月15日(日)01時20分10秒
- ――
「はい、じゃあ今日はここまでにしとこうか」
「やったぁ!!」
朝の9時に石黒に叩き起こされ、ただ今昼の3時。
途中1時間休憩(ご飯タイム)しただけで、後は全部勉強。
けど、頑張った。
加護亜依、頑張りました。
「でも、いくら頑張ったからって言って、明日補習ないってワケじゃないんだからね」
「わ、判ってますよぉ……」
いちいちうるさい人やなぁ、と呟いたのが聞こえたのか。
おだんご頭にした真ん中の所をグーで殴られた。
「ったいなぁ! 何するんですかっ!!」
「聞こえてるっつーの」
ぐりぐり。ぐりぐり。
「わぁー、ご、ごめんなさいぃ、もう言いませーんっ」
「よーし」
なでなで。なでなで。
今日は頭を触られっぱなしだ。
机の上を片付けて、帰りの用意。
早く終わったのはいいのだけれど、今日はバレー部も早上がりだ。
加護がいる実習室から見える体育館の入り口は、今はバスケ部が使っている。
「じゃあ、また明日部屋に呼びに行くから」
「あ、はぁーい」
同じ寮に住んでいるため、逃げられない。
呼びに来ないでください、と断わろうとしたが、またぐりぐりされることを思うと、やめておいた。
- 364 名前:第九話「運命の赤い糸は誰と?」 投稿日:2001年07月15日(日)01時21分01秒
- 「……あれ? せんせー、ドコ行くんですか?」
「ん?」
「中等部、そっちじゃないですよ。こっちですよ」
職員室に戻るんだ、と思っていたら。
中等部の職員室とは反対の廊下を歩いて行く石黒。
その先には、マンツーマン用の実習室しかない。
「あぁ、ちょっと、他の生徒達の様子でも見ようかな、なんてね」
加護も行く? と言われたら、当然返事は
「はいっ!!」
に決まってる。
だって、暇やねんもん。
「ほらぁっ! アンタ、本当に何度言ったら判るのっ!? 教えて欲しいわっ!!」
「ご、ごめんなさいっ」
アセアセと焦りながらケシゴムで消していると、ビリッという紙が破れた音。
「あ………」
「………ア、アンタねぇ……」
「ひぃーっ! た、助けてやぐっちゃあ〜んっ!!」
聞こえないように、耳を塞いで。
見えないように、目を瞑って。
しかしそんな小さな抵抗は、保田の手によってあっさりと終了するのだけれど。
「いーかげんにしなさーーいっっ!!!」
「ごごごごごめんなさーーいっっ!!!」
ドアを開けた瞬間、怒鳴り声と謝る声。
「………裕ちゃんとこに行こうか」
「………そっちの方が、いいみたいですね……」
入って行ったりなんかしたら、こっちまでとばっちりをくらう可能性も。
少し市井が可哀想、と思いもしたが、自分も怒られるよりか、何百倍もマシだ。
ごめんな市井さん……心の中で謝罪して、ライバルが待っている実習室へ行く為、ドアを閉めた。
- 365 名前:第九話「運命の赤い糸は誰と?」 投稿日:2001年07月15日(日)01時21分33秒
- 「にしても、保田せんせーって、めっちゃ恐いんですね」
「そうだよ。恐いよ、圭ちゃんは。よかったね、加護。担任、アタシでさ」
「でも、せんせーも恐いです……」
「何言ってんの。こんな優しいお姉さんいないよ?」
「そう思ってんのは、石黒せんせーだけですよ」
「なんだってぇ!?」
「ぎゃーっ」
後ろに回られ、こしょばされる。
その時、2人の後ろから、元気な声が聞こえてきた。
「あー、彩っぺが、生徒に体罰してるー!」
「なっ、矢口っ! 人聞きの悪いこと言わないでよっ!!」
「キャハハッ」
矢口と石黒は、矢口が中等部にいた頃の、生徒と担任の仲。
石黒が受け持ったのは3年の時だけだけれど、親しくなるのは、1年で十分。
矢口が高等部に上がっても、2人の仲は変わらず良かった。
「でも、どーして高等部いんの? しかも加護と」
矢口は、加護が補習ということを知らない。
だから石黒の説明で、初めてそれを知った。
「なんだよ。お前も、テスト悪かったのかー?」
「あっ、よっすぃーやん!」
これぞチャンス、と言わんばかりに抱き着いて、吉澤を困らせる。
「ちょ、加護ぉ。やめろって」
「やめて欲しかったら、うちを離してみぃ」
必死で引き剥がそうとする吉澤に対して、必死にしがみつく加護。
決着が見えない勝負を終わらせてくれたのは、矢口じゃなく石黒だった。
- 366 名前:第九話「運命の赤い糸は誰と?」 投稿日:2001年07月15日(日)01時22分04秒
- 「はいはい。加護、困ってるじゃん。離れなさい」
「うー…」
さすがは担任、といったところか。
どうやら石黒の言う事は、素直に聞くらしい。
「そーやって素直に聞いたら、可愛いのに」
矢口にデコピンされる。
痛くはなかったのだが、ついデコを押さえてしまった。
「じゃ、矢口、こっちの実習室に用があるから」
押さえたデコの所を、今度は撫でてやって。
挨拶もそこそこに、先程怒鳴り声と謝る声が聞こえていた部屋の中に何のためらいもなく入っていった。
「あ、そうだ。自己紹介まだだったよね。アタシ、この子の担任の石黒彩っていうの」
「あ、あたしは、中澤先生のクラスの、吉澤ひとみって言います」
吉澤と石黒は、初対面。
初対面とは言っても、中等部の廊下や何かですれ違ったりしていたのかもしれないが、
クラスを受け持ったこともないし、授業を受け持ったことない2人がこうやって向き合うのは、初めてだった。
「よっすぃー、ドコ行くん?」
「んっ?」
斜め下から、体操服が引っ張られる。
加護だ。
「あたしはー、ごっちんのトコ。加護は、もう補習終わったの?」
「うんっ! だから、暇やから、うちも後藤さんとこ行こうと思っててん!」
「そっか。じゃあ、一緒だね」
「う、うん」
くぅっ! 一緒のトコ行こうとしてたなんて……。
なんて、すごい偶然なんやろうっ。いや、偶然なんかじゃない。
これは、“運命”やっ!!
うちとよっすぃーは、運命の赤い糸で繋がれてんねんっ!!
後藤さんとやないで……このうちとや!
あぁっ……運命の赤い糸………なんてイイ響きなんやろう………
- 367 名前:第九話「運命の赤い糸は誰と?」 投稿日:2001年07月15日(日)01時22分40秒
- 「………加護? 加護ぉ、早く、こっちの世界戻ってこーい」
ヒラヒラと視界に広がる、大きく手のひら。
そしてその綺麗で細い指の隙間見える、大好きなポイントでもある、優しげな垂れ目。
「あわわわっ」
妄想世界に入っている間に、加護と吉澤の顔の距離が、近くなっていたようだ。
慌てて離れる。
内心、惜しいことしたな、とか思ったりもしたんだけれど、離れてしまってから思っても遅い。
一瞬不思議そうな瞳を浮かべた後、またすぐ笑顔に戻る吉澤。
「なんつーか……可愛いよね」
そしてクシャクシャと、頭を撫でてくれた。
どうしよ………今日、頭洗われへんやん。
あ、でも、よっすぃーに触られる前に、石黒せんせーにも触られたからな。
うー、うー……。
くだらないことで悩んでいる加護は放っておいて。
2人は、中へと入る。
入ってみると、市井達のような声は聞こえてくることなく、カリカリというシャーペンの音が聞こえてきた。
「おっ、勉強してるねぇ」
「なんや、彩っぺ。どないしたん」
「ちょっと様子を見にね」
「ふっふ。うちらは、何も怪しいことしとらんで。言うとくけど」
以前、後藤との密会を見られた事があるからか。
それから石黒に知られた。
「あぁそう。せっかく怪しいことしてたら、なっちにチクってやろうと思ってたんだけどな」
「あ、アホかっ!」
ムキになって怒る中澤と、それをからかう石黒。
そんな2人を横に置いて、カリカリとシャーペンを動かしている後藤に吉澤は声をかけた。
「勉強、判ってきた?」
「んー……まあまあ」
「あははっ。まあまあって、また微妙だね」
「その微妙さがいいんだよ」
「どこがいいんだよ」
そう突っ込んで、2人爆笑。
2人にしか判らない、笑いのツボ。
そんな中、加護は1人、今だ頭を洗うかどうか悩んでいた。
しかしその数分後、余計な事を言った加護の頭を中澤が鷲掴みをしたのをきっかけに、
加護の頭、洗うことに決定。
- 368 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月15日(日)01時24分22秒
- 第九話「運命の赤い糸は誰と?」終了。
あんまり意味のない更新です(ニガワラ
久しぶりに今日、仕事を休んで、城ホールに行って夜公演の加護様見て来ました。
娘。じゃなくて、加護様を見に。
アリーナの3列目から見る加護様が可愛いのは、当たり前。
にしても、なんであんなに子どもが多いねん!!
………ごめんなさい、ちょっと言いたかったんです……。
>>356
どうやら判っていただけて、よかったです…。
言葉足らずな文章ですが、読者様が頭いいおかげで、助かってます。
>>357
(〜^◇^〜)<アンタが頭悪いのが良くないんじゃないかぁ〜!!
やっぱり補習です……(w
でも補習してても、それなりにラブラブにはしますけどね。
満足していただけて、こちらはホッと一安心です(w
>>358
>よしごま万歳!!
同意です。よしごま万歳!!
>>359
萌えてくれて、ほんとによかったです。
今回のはちょっと展開が強引すぎたかなぁ、とか思ったりしてたんですが。
いや、自分も打っててなんかムードねぇよな、とか考えたんですが、
でもヤル時だけ名前に言い換えるってのも、この話の2人じゃ合わない気がして…。
読んでくれて、こちらこそありがとうございました。
>>360
ありがとうございます。
ここの吉澤は、箱入り坊ちゃんというのをイメージしていただくと、助かります。
そして後藤は、近所に住む、ちょっと大人な色気のお姉さんということで(w
………ごめんなさい、書いてる自分もよくわかりません(w
でもこれだけははっきりとわかります。
よしごまは、ビバです! 最高です!
- 369 名前:unリアルタイム男 投稿日:2001年07月15日(日)01時50分11秒
- はぁ、微妙に逃してしまった…(鬱
後2回でリク権ゲットですよね?
ずっと張りこんでますよ(w
- 370 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月15日(日)02時05分59秒
- >>370
頑張れ〜(w
- 371 名前:370 投稿日:2001年07月15日(日)02時07分06秒
- ん?あ、あれ?
…ごごごごめんなさい…
しかも上の間違いだし…
とにかくすいません!!
- 372 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月15日(日)03時29分10秒
- 加護、吉澤、後藤の三人が揃ってもちっともドロドロしないんで安心して読むことが出来ます。
そういえば、辻はこの中に絡んでくるのか?と、少し思ったりもしてみたりする今日この頃。(w
>久しぶりに今日、仕事を休んで、城ホールに行って夜公演の加護様見て来ました。
早速、初日からですか〜、うらやましいですね。
でも、自分は去年の春の武道館以来、娘。関連のコンサート封印というバカなことを、
やっちゃってるんで行けないっす。(w
- 373 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月15日(日)15時16分45秒
- 今回の補習はいろいろありそうな感じですね。
頭を洗うかどうかで悩んでいる加護ちゃんも保田に怒られている市井もいい感じです。
妄想している加護ちゃんは自分の仲ではへナ市井に負けないくらいの好きなキャラだったりもします。
- 374 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月15日(日)23時48分46秒
第十話「夫婦喧嘩は犬も食わず」
- 375 名前:第十話「夫婦喧嘩は犬も食わず」 投稿日:2001年07月15日(日)23時50分05秒
- 「ただいまー」
冬休み2日目。そして、補習2日目。
2日目の補習は、昨日より2時間増えた、5時に終了。
そしてその後、石黒先生達に、近くにある娘。レストランで奢ってもらって、
部屋に帰ってきたのは、夜の8時。
「ののー、ののー? おらんの?」
ベッドがある、11畳くらいの部屋の中。
いつもは電気が点いているのに、今日は真っ暗。
入ってすぐにある電気をつけて、加護は辻を呼んだ。
「………何処行ったんやろ」
洗面所にもいない。部屋にもいない。
食堂? それとも大浴場?
どちらにせよ、部屋に1人は久しぶり。
大抵何処に行くのも、加護と辻は一緒に行動していたからだ。
けれど最近、吉澤と仲良くなってから、やっぱり恋の方を優先するからか、
辻とは一緒にいないことが多くなった。
それは補習があるから、というのもあるが。
「でも、なぁんかののおかしいよな」
補習があるから遊びに行くこと出来なくなった、と言ったあの日から。
前までは、あいちゃーん、と言って抱き着いて来たりしてたのに。
ちょっと寂しかったりする。
「…………もしかして、ヤキモチやいてるとか?」
後藤と毎日逢えるから。
だから、あいちゃんだけずるい、なんて、思っているのかもしれない。
- 376 名前:第十話「夫婦喧嘩は犬も食わず」 投稿日:2001年07月15日(日)23時50分46秒
- 「うんうん。そーやんな、そりゃ、怒るわな」
もしそれが反対だったら。
うちは、間違いなく怒ってる。
やっと辻がおかしい原因が判った加護は、1人にやにや。
辻の帰りを待つ。
そしてその数10分後、辻が鼻歌を歌いながら帰って来た。
どうやらラウンジに行っていたらしい。
辻の片手には、チョコレート。
「のの、おかえりー」
「あ……ただいま」
不意に声をかけられて、少し驚く。
でもすぐに顔を元に戻して、ぶっきらぼうに言う。
「なんやねん冷たいなぁ〜。笑顔でなんで返してくれへんの?」
少なくとも、前までは、笑顔で返してくれていた。
しかし最近は、その笑顔が見れてない。
「……べつに、つめたくないよ。フツーだよ」
「何をおっしゃいますやら。今のが普通やったら、今までのののは、おかしいってことになんで」
「……ふーん」
「ふーん、って……」
もっとこう、弾ませることの出来る話を、自分は振ったハズだったのに。
一言で、しかも冷たくそう言われちゃうと。
なんや、調子狂うなぁ。
こんなのの、初めてや。
- 377 名前:第十話「夫婦喧嘩は犬も食わず」 投稿日:2001年07月15日(日)23時51分53秒
- 「な、な。明日、ののも一緒に勉強せーへん?
だいじょーぶ、石黒せんせーやったら、怒らんと思うから」
ちょうどよかった。
こんな機嫌の悪い時に用意した、辻の機嫌がすぐによくなる話があったんだ。
「……ヤダよ。辻、べんきょー好きじゃないもん……」
「それは判ってるって! でもうちと一緒に来たら、後藤さんに逢えるで?
まあ、逢えるのは後藤さんだけじゃなくて、その他余計な付属品も付くけどな」
加護のいう付属品=中澤。
まだ吉澤の後に頭を触られた恨みが残っているのか。
中澤がもし聞いていたら、また頭を鷲掴みにされている所だ。
「な、一緒に行こうや」
黙って考え込んでいるような辻に、もう一押し。
加護は一生懸命語りかける。
「……………いいよ、辻は。あいちゃん1人で行ってよ」
けれども返ってきた答えは、また冷たい答え。
なんなんだ、一体。
「後藤さんに逢いたくないん? ふつう、好きやったら逢いたくない?
うちやったら、絶対よっすぃーに逢いに行くで」
「そんな、あいちゃんと辻はちがうもん。
それに……………」
そこまで言って、止まる。
なんだよ、気になるじゃあないか。
「それに、何なん?」
「………なんでもいいじゃんっ!」
どいてよ、と加護を押し退ける。
その拍子で、倒れて頭を打つ加護。
「………モー、怒った。ののなんか知らんわっ!!」
打ったところを押さえて、勢い任せに怒鳴って、部屋を出て行く。
1人になった辻は、手近にあったぬいぐるみを、こちらは力任せに壁にぶつけた。
- 378 名前:第十話「夫婦喧嘩は犬も食わず」 投稿日:2001年07月15日(日)23時53分11秒
- ――
「いたっ、いたたっ」
ぶつけられて、額を押さえる。
市井の横には、先程矢口に投げつけられた、誰が見てもぶさいくな、小さな犬のぬいぐるみ。
「ぁにすんだよぉっ!」
「うっさい! このぶさいくなぬいぐるみのどこが、矢口に似てるんだよっ!
紗耶香、頭だけじゃなくて、目も腐った!?」
「ななな、なんだとぉっ!?」
これでも、コンタクトをしている矢口と違い、目はいい。
頭が悪い分、他の部分でカバーしなきゃならないのだ。
それなのに、目も腐った、なんて言われたら、いくら相手が矢口でも頭に来る。
「んだよっ! やぐっちゃんが、寂しい寂しいばっか言うから、
ゲーセン行ってそのやぐっちゃん似のぬいぐるみ取ってきてやったのに!」
「だから、どこが矢口に似てるんだってば!!」
「全部似てんじゃん。ぶさいくって思うの、やぐっちゃんだけだよ」
市井の目には、その犬のぬいぐるみ、ものすごく可愛く見える。
矢口は、ものすごくぶさいくに見える。
じゃあ、部屋の隅っこで、私は一切関係ございません、だから、話を振らないでください、
と知らんぷりをしている吉澤は?
「や、あ、あの………」
今のところ、一対一。
それが、吉澤の一言で、逆転に変わる。
上で書いたとおり、確かに市井以外の誰が見てもぶさいくな、小さな犬のぬいぐるみ。
けど、長いこと同室の市井の切ない目を裏切ることは出来ない。
だけど、可愛い、とウソをつくのもちょっと……。
困った、決めれない。
あぁ、こういうの、なんていうんだっけ。
優柔不断?
でもでも、そんな、決めれる方がおかしいよ。
だってどっちを言ったって、後で地獄が待ってるんだ。
「そ、そうだっ! あたし、ちょっとミーティングがあるの忘れてました!!」
夜の8時にミーティングなんて、あまり聞いたことがない。
しかし呆気に取られた市井と矢口の隙をついて、逃げ出すことに成功。
- 379 名前:第十話「夫婦喧嘩は犬も食わず」 投稿日:2001年07月15日(日)23時57分35秒
- 「なんだよアイツ……」
「わかんない……」
誰も脅しているんじゃないんだから、そんな真剣に焦って逃げなくても。
「………貸して」
「ん?」
ボーッと、ドアへと顔を向けていたら、目の前に、小さな可愛い手が。
「そのぬいぐるみ、矢口に貸して」
この手は、矢口の手だ。
言われた通り、(市井にとっては)可愛い矢口似の犬のぬいぐるみを渡す。
もらって手に取って、しばらく訝しげに見ていたが、急ににやにやしだす。
「な、なに…?」
「んー? いや、よく見たら可愛いなぁ、なぁんて…」
というのは嘘。
本当は、よく見てもぶさいくだ。
けれどそのぶさいくなぬいぐるみを、どういうワケか、市井は可愛いと言う。
最初、このぬいぐるみやぐっちゃんに似てたから、と渡された。
だから、なんでこのぶさいくなのが、矢口に似てるの?
もしかしてずっと、紗耶香、矢口のことぶさいくと思ってた?
と、考えてしまって、頭に来て、つい投げつけてしまったんだ。
けどよく聞いたら、真顔でこのぬいぐるみを可愛いなんて言っているじゃないか。
ちょっと美的センスを疑ったが、市井曰く、やぐっちゃん似のぬいぐるみ。
傍から見たらものすごいぶさいくだが、マイダーリンは、可愛いと言う。
矢口のこと、ちゃんと可愛いと思っててくれてたんだ………嬉しくて、顔がにやけた。
「………しょーがないから、もらってあげるよ」
「なんだよぉ、さっきまで、いらないって言い張ってたクセに」
「うっ…。き、気が変わったのっ!」
「へぇ?」
「………んだよぉ〜!」
「べっつにぃ〜」
やっぱり、可愛い。やっぱり、犬に似てる。
からかったら、すぐにノッてきて、で、やめると、寂しがるんだ。
うむ。やっぱり、市井の目は腐ってないぞ。
この小さな犬は、やぐっちゃんに似てる。
…………でもそう思うのは、市井、唯1人だけ、なんなんですが。
- 380 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月15日(日)23時58分52秒
- 第十話「夫婦喧嘩は犬も食わず」終了。
まだ十話か……前回に比べて、ちとペースが遅いなぁ。
やはし、十話のさやまりみたく、いらん話が多すぎるのだろうか……。
で、でもさやまり入れたいし……うー。
海版と森版出来たんですね。
>>369
わ、ほんまに微妙にっすね。
そうですよ、後2回で、リク権ゲットです。
番外編でも、その他でも、なんでも受け付けますよー(w
ヒントというか、なんというか。
週末は、更新が深夜になること多いです。
平日は、大体昼間が多いです。
その上最近、毎日更新、ちょっとサボり気味です(ニガワラ
>>370-371
リアルタイム男さんの応援団だ!(w
どうか、お気になさらずに。
>>372
(〜^◇^〜)<大丈夫! ここの作者は、さやまりが1番好きだから、
所々イチャつく所を、十話みたいに無理やり入れ込んでるから!
あ、でも、矢口いいこと思いついた! さやまりを主役にすれば、もっとイチャつけるじゃん!
次回のやつは、さやまり主役にすればいいんだ!
ヽ;^∀^ノ<それがダメなんだよやぐっちゃん……次回作は、いちごまなんだ
(;〜^◇^〜)<えっ!?(オドロキ
ドロドロにしちゃうと、話がややこしくなるし、暗くなるし。
何より自分がドロドロ嫌いだから、なるべくそっち方面は避けてます。
辻は………今回の更新で、推理してくれればおもしろいかもです。
ぶ、ぶ、ぶ、武道館行ったんすか!!ちゃむに逢ったんすか!!
い、いいなぁ〜…………。
>>373
ほんとは、直前まで加護を補習にさせるつもりはなかったんですけど…。
そっちの方が、おもしろいかな、と思って。
ぐれいすさんは、妄想ボンがお好き、と………(メモメモトキメモ
- 381 名前:unリアルタイム男 投稿日:2001年07月16日(月)00時32分29秒
- 今日も(現在0時10分)また微妙なんです(w&涙
その時間帯、しっかり張りこみますよ(w
後悔しないで下さいよ!(ww
一応、「衝突で」のほうでメモリアル初レスもとってるし、
こっちでもがんばりまっせ!
で、今回の感想↓
いちーちゃんの網膜を観察したのですが…、
全治2ヶ月でしょう(w
ずっとやぐっちゃんしか見てなかったので、
「なにもかもやぐっちゃんに見えてしまう病」
にかかりました。1度、やぐっちゃんと離すのが良策でしょう。(w
さぁ、耐えれるか!いちーちゃん!(爆
長文、駄文、駄ネタ、スマソ…
これかくのに25分くらいかかった(w
- 382 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月16日(月)03時21分03秒
- いらん話なんてないですよ!!
どの話もすべて必要不可欠ですよ!!(特にさやまり関係は・・・。)(w
それはそうと作者さん、こっそり衝撃発言してませんか?
次回作マジでいちごまですか?
ついに、『カップリングの元祖』と言われるいちごまに手を付けますか〜(w
期待していますんでそちらの方の執筆も頑張って下さい!!
それにしても、辻の様子が気になるな〜。
- 383 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月16日(月)03時56分39秒
- い、いちごま!?作者さんのいちごまが見れるなんて・・・・
やぁばい・・・楽しみすぎる・・・・・
明日が楽しみ(ウキウキ
今日はハヤクネヨ
- 384 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月16日(月)04時40分38秒
- ののは遠くの王子様より近くのやんちゃ坊主に…?
やば。この二人の展開も楽しみっす。執筆頑張って下さい。
あと、密かにイチャイチャよしごまもまた見たいなあ、なんて(w
- 385 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月16日(月)06時35分49秒
- い、いちごまっすか!!(ドキドキ
ん?そーすっとやぐっちゃんはどーなるんだ?
やっぱりねーさん?(w
妄想は膨らみつつも、経営者さんのお話なら安心して読める事間違い無しっすね。
とりあえず、今は、今後の加護の動向に注目しつつ…
楽しみにしてます!!
- 386 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月16日(月)12時13分28秒
- 昔はさやまりよりだったのに今では加護辻が気になって仕方が無い・・・やっぱ作者さんはスゲーよ!
- 387 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月16日(月)16時34分04秒
第十一話「違い」
- 388 名前:第十一話「違い」 投稿日:2001年07月16日(月)16時34分45秒
- さっきから、打った頭はズキズキするし。
人の好意までも無視しちゃって。
「なんやねん、のののヤツ! むかつくわ……」
イライラとした、この感じ。
外で気分転換しようとしたのに、どうやらそれは失敗のよう。
寮を出てすぐある、小さな公園。
ブランコとすべりだいとベンチがあるだけの小さな公園。
そしてそのベンチに座っている、カップル。
イチャついている所に加護が登場して気分がそがれたのか、いそいそと公園から去った。
「人が出て来て続けられへんねんやったら、イチャつくなボケ」
外でイチャつくんなら、それなりの覚悟をしろよ。
それなりの覚悟が出来ないんなら、家でイチャつけ。
加護の悪態は尽きない。
「なーんか、荒れてますねぇ、加護さんは」
「……?」
背後から聞こえる、優しい声。
公園内は暗くて、その声が誰なのか、よく見えない。
けれど、ショートカットでスラリとしてて、その優しい声が一緒になっている人は、
加護の頭には1人しか思いつかない。
「……よっ、と」
2つあるブランコ。
その内の1つを跨いで、座る。
もう1つのブランコは加護が座っているので、これでブランコは占領された。
「ひっさしぶりだなぁ、ブランコ。加護は、前ブランコ乗ったのいつ?」
微笑む、人。
それは加護が思った通り、吉澤だった。
- 389 名前:第十一話「違い」 投稿日:2001年07月16日(月)16時35分21秒
- ギィ、ギィ、と懐かしい音を立てて、2つのブランコが揺れる。
吉澤は黙って、加護の話を聞いていた。
「……そっか。辻と、ケンカしたんだ」
「うん……。でも、ケンカっていっても、うちが一方的に怒ったって感じやけど…」
「うん」
俯いて弱そうに喋る加護。
何で怒ったの、とは、吉澤は聞かない。
話したかったら、自分で話すだろうから。
「……なんかな、うち最近、ののがよう判らんねん。
前までは、顔見て、何考えてるかすぐ判ったのに……」
「うん」
「最近ずぅっと、なんか笑ってくれへんし。だから、笑って欲しくて、
後藤さんとこ………ほら、のの、前、後藤さんのこと好きって言うてたやん。
そんで、後藤さんに逢ったら笑ってくれるかなぁ〜、って思って、誘ったのに」
断わられた+押し退けられた。
何を考え、思っているのか、加護にはさっぱり判らない。
「…………あれ? 辻って、ごっちんのこと好きだったっけ? 憧れじゃなかったの?
だから、吉澤が言ったことも、よく判らなかった。
「なんで? 同じ意味じゃないん?」
「ちっが〜うよ。憧れと好きは、違うよ」
でもどう違うの、と聞かれれば、吉澤にも判らない。
けど、判る。
なんとなく、辻が、思っていることは。
- 390 名前:第十一話「違い」 投稿日:2001年07月16日(月)16時35分52秒
- 「辻はさぁ、ごっちんのこと、好きじゃないよ。
憧れてるだけだと、あたしは思うな」
と、座って漕いでいたのを、今度は立ち漕ぎにチェンジ。
ちょっとボロいこのブランコで立ち漕ぎをするのは内心恐かったが、久しぶりのブランコ、
冬といっても、当たる風は心地よかった。
しかしそれは最初の5分だけ。
5分過ぎるとさすがに冷えてきて、すぐに立ち漕ぎをやめた。
「…………もしかして辻はさ、矢口さんと同じで、寂しいんじゃないかな」
「矢口さんと同じ……?」
「うん」
勝手に名前を出して、怒られるかな。
でもたぶん今はあたしがいなくなった部屋で、お楽しみ中だろうから。
まぁ、いっか。
「市井さん、加護と同じで、補習じゃん。
で、矢口さんはせっかく作った冬休みの予定、オジャンなワケ。
その上、補習でほとんど時間とられるから、逢えない方が多くて。
いっつもあたしに『寂しい、寂しい』って愚痴こぼしてさ。
やっぱり好きな人には、いつも一緒にいて欲しいんだよ。でもそれがなかなか叶わないから、
つい怒っちゃって、ケンカする。
で、だからあたしが、今逃げ出してここにいるんだけどね」
わはは、と笑う。
笑っているのは、吉澤だけ。
加護は黙って吉澤の話を聞いている。
- 391 名前:第十一話「違い」 投稿日:2001年07月16日(月)16時36分42秒
- 「だからさ、あたしが思うに、辻はさ、加護のことが好きなんじゃないかな?」
「え………?」
まさか。
なんで。
「だから、辻が嫉妬してるのは加護じゃなくて、あたしかもしんないね」
「……………」
「そーすればさぁ、辻の行動言動、結構辻褄合わない?」
自信満々にそう言う吉澤。
確かに、そう、吉澤の言う通り。
「……………アホちゃう?」
「んっ?」
「くっ………あははははっ。よっすぃー、それ絶対おかしいわぁー!」
腹を抱えて笑い出す加護。
何がそんなにおかしいのか、目に涙まで溜めている。
「ののが、うちのこと好きなワケないやん。なんで、そーなんねん」
必死で笑いを押し殺しながら。
涙を服で拭いながら。
加護は言う。
「や、でも……」
話を聞いている限りでは、そう思ったんだけれど。
張本人の加護に、それだけ否定されちゃ、吉澤も何も言い返せない。
「そもそも、ありえへん。だって、ののにはうち、結構つらくあたってる時とかあるもん。
そんなののが、うちを好きになるなんて、ありえへん」
「加護……」
じゃあなんで、ありえへん、なんて言う時、つらそうなの?
- 392 名前:第十一話「違い」 投稿日:2001年07月16日(月)16時37分13秒
- よっすぃーの冗談おもんないわぁ、と、今度は加護が立ち漕ぎ。
吉澤も慌てて立ち漕ぎにチェンジして、加護の漕いでるペースに合わせた。
寒い。けど、仕方ない。
「なんで、そんな思いっきり否定するのさ。
加護だってホントは、気になるんじゃないの?」
「ならんよ。そりゃ、友達としてはなるけど…」
「……加護は、辻のこと好きじゃないの?」
「友達としては、好き。でも、よっすぃーが言ってる意味の好きとは違う」
はっきりとそう言い放って、漕ぐ力を緩める。
習って、吉澤も力を緩めた。
止まる、ブランコ。
下りる、加護。
見上げる視線。
見つめる吉澤。
「だってうちは、よっすぃーのことが好きやねんもん」
- 393 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月16日(月)16時38分22秒
- 第十一話「違い」終了。
物語もそろそろ、終盤に差し掛かっております。
>>381
わ、また微妙ですか。
どうぞどうぞ、張り込んでください(w
リアルタイムレス、いつでも待ってます(w
「なにもかもやぐっちゃんに見えてしまう病」……それは重症だ。
よし、すぐに市井を何処かに監禁させて……って!
や、矢口やめろ、何する………うわぁっ!!
………市井じゃなく、おいらが監禁されてしまいました(泣
25分近くもかかって、感想書いてくれるのはとってもありがたいです。
貴重な時間割いてくれて、嬉しいかぎりですよ、こっちは。
>>382
(〜^◇^〜)<敬礼してる紗耶香もかっこいいね
次回作は、ほんとにいちごまです(w
ちょっと3つの王道のうちの2つをいっぺんに挑戦しようと…。
1つは、いちごま。もう1つは、以前どっちを書くか迷って、諦めた方です(バレバレ
>>383
あんまり楽しみにしてくれるのは嬉しいんですけど………某漫画のパクリネタなんで…。
>>384
やんちゃ坊主……いいっすね(w
うっす、頑張ります。
よしごま……話的に入れれるかどうかは判りませんが、頑張ります。
>>385
やぐっちゃんは……悪役とでも言っておきましょうか(w
加護が、どうやら動き出した模様です。
>>386
いやいや……全然凄くなんか……(テレテレ
加護辻、より気になるように、一生懸命です(w
- 394 名前:unリアルタイム男 投稿日:2001年07月16日(月)16時52分22秒
- 泣き入るほど微妙でした。(現在16時40分)
微妙が3回…リアルタイムの回数と同じになりましたよ!(涙)
駄ネタにのって下さってありがとうございます(w
経営者さんが監禁!?それは助けなければ!!(ガチャッ)
え?この部屋は……や、やめてくれ!
悪かった!邪魔したの悪かったよ!や、やぐっちゃ〜ん(涙
↑意味通じてないですね(ニガワラ
時間なんて、経営者さんのためならいくらでも割きますよ。
次こそ!絶対!リアルッタァ〜〜イム!(爆
- 395 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月16日(月)20時09分03秒
- 今回の吉澤さんはなかなか紳士な感じでしたね(w
辻の気持ちを吉澤から聞いた加護さんはどうするんでしょう。
そろそろ終盤ですか最後までちゃんと見るのでがんばってください!!
今回の作品で作者さんの書く加護関係の話がとてもよかったので次回もお願いします(w
- 396 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月16日(月)22時25分14秒
- 加護の「好きやねんもん」てか〜なりキャワイイっす
某漫画のパクリって、、、んんなんだろ。
- 397 名前:ぷち 投稿日:2001年07月16日(月)23時22分07秒
- どうも、お久しぶりです♪
最近、学校が忙しくて、ネット繋いでなかったんで、今日まとめ読みしました♪
ん〜・・・やっぱ、経営者さんの作品はイイ!!
もぉ、顔、ニヤケっぱなしですよ(w
(どれもイイけど、特にさやまりが・・・)
これから、自分の方も更新を再開しようと思ってますので、
良かったら見てやってください!
ではでは、これからも、頑張ってくださいね〜〜♪
- 398 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月17日(火)03時20分35秒
- 作者さんの愛情がこもってるだけあって、加護がめっちゃかわいく思えてきたよ〜!!(w
>ちょっと3つの王道のうちの2つをいっぺんに挑戦しようと…。
いっそのこと3つともチャレンジしてはいかがっすか?(元ネタがあるなら無理かな・・・?)(w
- 399 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月17日(火)11時14分19秒
第十二話「機嫌を治す方法〜私はこうしてアナタの機嫌を治すことが出来ました〜」
- 400 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月17日(火)11時14分51秒
- 「だってうちは、よっすぃーのことが好きやねんもん」
「え……」
突然の告白。
困った。
「え、それは、ファンとか憧れとかじゃなくて……?」
「好きです」
「そ、そう……」
真っ直ぐに自分を見つめる、加護。
その加護の目を見て、それがホントか嘘かどうかなんて、すぐに判る。
加護は、本気だ。
「合同の大運動会の時よっすぃー見て……。
中等部によっすぃーがおった時、カッコイイとか色々周り言ってたけど、うち直接見たことなかったから。
「うん…」
「最初飯田さんは、うちがよっすぃーのファンって言ってた。
でも、普通やったら、うちがこんなに想ってんのに、気づかんわけないやん」
「ご、ごめん。気づかなかった……」
「鈍感すぎるわ、よっすぃー」
「ごめん……」
なぜか謝る。
そんな吉澤が、加護には少し可笑しかった。
- 401 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月17日(火)11時15分22秒
- 過去、さんざん中澤に、後藤の気持ち判ってやれよ、とどれほど言ったろう。
けれど今ここに中澤がいたら、多分反対に言い返されてる。
加護の気持ち、判ってやれよ、と。
まさか、自分がこんなに鈍かったとは。
これでも、自分は鈍感なんかじゃないって自信、あったんだけどな。
「…………よっすぃーは? よっすぃーはうちのこと、どう想ってる?」
「…………ん」
これだけ、加護が真剣に言ってくれているんだ。
じゃあこっちも真剣に返すのが、礼儀ってもんだよな。
正直に、自分の思ったこと。
加護は、ちゃんと正直に自分の気持ちを言ってくれた。
そしてその加護は、今、自分の気持ちを待っている。
「あたしは………加護のこと、可愛いな、と思う。
けどそれは、妹みたいで可愛いな、ってことで………」
「………そっ」
「……うん」
予想していたのか、加護の動揺やらは見られない。
それを横目で見て、吉澤はまた緩くブランコを漕いで、話を続けた。
- 402 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月17日(火)11時16分08秒
- 「白状しちゃうと、あたし、コクハクされんの初めてだったりするんだよね」
噂で、誰々がよっすぃーのこと好きなんだって、と言っているのは聞いたことはある。
でも、こんな風に、直接面と向かって告白されるのは、初めて。
「なんつーのかな……すっごい驚いたんだけど、でも、すっごい嬉しかったよ」
「うちのこと好きじゃないのに……?」
「そんなの、カンケーないよ。好きとか嫌いとか、そんなのカンケーない。
でもなんか、すっごい嬉しかったんだ」
「意味判らへん……」
「言ってるあたしも、意味判りません」
たはは、と、困ったように笑って、漕ぐスピードを増す。
やっぱり寒かったけど、なんだかとても気持ちよかった。
「加護知ってる? 怒ってる人の、機嫌直す方法」
「えー?」
「簡単だよ。キスしちゃえばいいんだ」
「キスぅー?」
「そう。そしたら、辻の機嫌も、一発で直るよ」
「な、なんで、うちがののとっ」
思わずその光景を想像して、かぁっと身体が熱くなる。
「だから、違う言うてるやん! なんぼ言うたらわかんねんっ!!」
「まあ、そう怒るなって」
キィー、と暴れる加護の頭を撫でて。
大人しくなった加護の前髪を掻きあげて。
額に、軽いキスを1つ。
「な、な、な、なにした? 今………」
「怒ってる人の機嫌直しただけだよー」
そう言って逃げる吉澤。
確か、自分より2つも上のハズなのに。
そのあまりに子どもっぽく笑う吉澤につられて、つい加護も笑ってしまった。
- 403 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月17日(火)11時16分42秒
- 「ほら。あたしの言った通りだ」
さっきまで怒ってたのに、今はもう笑ってる。
「ち、ちが、これは……」
「かぁーっ、可愛いなぁ、加護ちゃんは」
照れて赤くなる加護を、吉澤は力いっぱい抱きしめる。
もう加護はそれだけでいっぱいいっぱい。
「あたしは、加護の気持ちには応えられなかったけど、加護には、ちゃんと近くに相応しい人がいるよ。
加護の良いトコも悪いトコも見て、加護のことをよく判ってる子が。
あたしは加護のこと、何も知らないけど、その子はちゃんと知ってる」
「何も知らんって………じゃあ、知ってくれればいいやん。
うちのこと、もっと知ってくれれば……」
「……ごめん」
力いっぱい抱きしめた手を緩め、距離を作る。
そしてちゃんと加護の目を見て、言った。
「………あたしが知りたいと思うのは、ごっちんだけなんだ。
ごっちんの思ってること考えてること、全部知りたい。
けどそう思うのは、ごっちんだけだから……」
「よっすぃー……」
どっかで、そうなんじゃないかな、とは思ってた。
だってよっすぃーの視線はいっつも、後藤さんに行ってたし。
けど、それを認めたくなくて。
敵うハズないのに、ライバル宣言までして。
見事、敗北。
「………あんま、ショックそうじゃないね」
告白を断わられて、好きな人が違う人のことを想っていると知ったのに。
「なんでだろう。今は、呆然として、考えることが出来ないから?
それとも、実は他に気になる人がいたことが判明したから?
…………………この2択問題の答えは、いつ出るんだろうね」
加護は黙って、吉澤の言葉の意味を、ずっと考えていた。
- 404 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月17日(火)11時17分24秒
- ――
「ん……?」
小さい加護を、中等部の寮まで送って、自分も寮へと帰って来たところ、
寮の玄関に座ってる、愛しいキミ。
「ごっちん、こんなとこで何やってんの」
同じくしゃがみこんで、後藤の目線に合わせる。
寮はもう、目の前。
なのに寮には入らず、寒い外で座り込んでいる後藤。
「………よっすぃーの浮気現場を覗いてたの」
「はあ?」
どうやら、拗ねていたらしい。
「部屋行ったら、なんか飛び出して行ったってやぐっつぁんが言って……。
寮の中捜してみたけどいなくて、んじゃ外かなって思ってスタッフさんに聞いたら、出て行ったって聞いて…。
んで公園行ってみたら、あいぼんにキスして、抱きしめてるよっすぃーを発見」
「はは……」
「モテる人はつらいねぇ、よっすぃー」
「ははは……」
刺さる視線。
視線は痛かったんだけど、顔がにやけるのを止められなかった。
「………ごっちんでも、嫉妬してくれるんだ」
「なっ…! 嫉妬なんかしてないもん、アタシっ! しかも、ごっちん“でも”って何よ!」
「まあ、そう怒んないで、さ」
「怒りたくもな――」
「「…………」」
沈黙。
どうして沈黙したかというと、吉澤が機嫌を直す方法を行ったから。
「……ひきょーだ」
「なにが?」
「………こんな時だけ、強引になる」
「へへへ」
「……………」
でも、ま、たまには、いーよ。
機嫌も直り、仲良く手を繋いで。
2人、寮へと帰る。
- 405 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月17日(火)11時18分37秒
- 第十二話「機嫌を治す方法〜私はこうしてアナタの機嫌を治すことが出来ました〜」終了。
なっげぇサブタイトル(w
名前欄に打ち直すの忘れてました…。
ちょっと展開に無理があった、と突っ込まれるような内容ですが…。
これは自分の中で成功と思っております。
最終話まで、あと1、2回。
>>394
わずか2分の差……。微妙すぎますね…。
どうやらリアルタイム男さんにもうちの矢口が迷惑かけたみたいで…。
でも一体、どの部屋入っていったんだ?(w
今回は、リアルタイムでしたでしょうか?(w
>>395
( ‘д‘)<ぐれいすさん萌えてくれてありがとー
坊ちゃんが紳士みたいな感じに見えたなんて……嬉しいです(w
さあ、ボンはどうするんでしょう。
次回の次回でよろしければ、加護を主役に話を考えます(w
>>396
奈良って、「好きやんねんもん」とか言うんでしょうか…。
大阪と奈良の言葉って違うのかなぁ。でも可愛いと言ってくれたんで、よかったです。
某漫画がなんなのか、ある作者様のHPの掲示板でちょっと書いたのを見たことがある人は判るかもしれません。
やぶうち優先生の作品です。
設定をチェンジしたのを借りて、結末やら何やらは一応変えるつもりなんですが…。
>>397
お久しぶりです。
さやまりはやっぱいいです。いくつものカップリング書いてるけど。
だから、ぷちさんの作品、もちろん見ますよ!
>>398
(〜^◇^〜)<…………なんで悪役………なんかムカツク……
そっちこそ、次は弟子のよっすぃーが頑張ってるみたいだから、負けないように頑張ってね
愛情は他のメンバーよりもめいっぱい注いでおります(市井除く)(w
入れようと思えばいれれるんです。ちょっと原作の設定を逆にしているだけだから。
本編とかは設定を逆にさせてる上、年齢も違うんで、話を自分なりに作ってるし。
実はぶっちゃけ言っちゃうと、残ってる王道、あまり好きじゃないんです……(ボソッ
- 406 名前:バービー 投稿日:2001年07月17日(火)14時29分36秒
- 最終話まであと1、2回かぁ〜・・
これは寂しいなぁ(w
妬いたごっちんがかわいいです。
あんまり感情を表に出さない子がこうゆうこと
すると何かほんっといいですよねえ。
機嫌を直すよっすぃーもグッドです!!
ちなみに、自分の1押しカップリングはさやまりで
2押しがよしごま、んでやぐよしとか続くわけなんですが・・
王道ものは好きだけど・・ん〜・・って感じ。(例の3つ)
- 407 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月17日(火)17時04分58秒
- ごまでもやっぱり焼き餅は焼かれるんですね(w
いじらしい可愛さが加護氏共々出ていて良かったです。
吉澤も罪なお人で。今回は優しくもかっけー感じで、惚れました。
いよいよラストスパートっすね。頑張って下さい。
- 408 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月17日(火)18時31分05秒
- >>406
激しく同意!!<あまり感情を
ごっちん可愛いッス!!
- 409 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月18日(水)00時38分56秒
- 王道3つって、、いちごまいしよし、あと一個ってなんなんだろう・・やぐちゅ〜・・?
なんでもかんでも好きな節操のない僕は、とりあえず作者さんのだったら
なんでも(・∀・)イイっす。
某漫画、分かりました。楽しみにしてます
- 410 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月18日(水)03時17分36秒
- 市井達といる時には、まずお目にかかる事の出来ない大人なよっすぃーでしたね。
焼き餅ごっちんもGoodです!!
>実はぶっちゃけ言っちゃうと、残ってる王道、あまり好きじゃないんです……(ボソッ
そうだったんですか〜、じゃあ無理に入れる必要ないっすね!!
- 411 名前:続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達! 投稿日:2001年07月18日(水)13時31分31秒
最終話「続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」
- 412 名前:最終話「続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年07月18日(水)13時32分18秒
- さてここで問題です。
12月24日は、何の日でしょう?
みなさんは、多分、こう答える。
クリスマス・イブ。と。
けれど、市井は、こう答える。
補習の日だ、と。
- 413 名前:最終話「続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年07月18日(水)13時32分52秒
- 「大体ねぇ、そもそも、なんでこーいう日とか、恋人と過ごすのが当たり前なの!?
別に、親と過ごしたって、1人で過ごしたって、関係ないじゃない!!
なのに、なんでそんな、みんな馬鹿にした笑いをするのよ!!」
酔っているんだろうか、この人、保田先生は。
部屋で寝ている所を、叩き起こされたと思ったら、いきなり実習室に連れて行かれて。
もうかれこれ3時間近く、勉強じゃなく愚痴を聞いている。
「そーだよね。矢口もそう思うよ。だから、もうそろそろ…」
紗耶香を、帰してやってくれ。
今日補習があるのは、このコンビだけ。
他の先生達は、相手がいるから、そちらを優先。
けれど市井の先生は、相手がいないのだ。
今日くらいは見逃してくれると思ったのに……なんでこーなるんだ。
「………紗耶香」
「…………え?」
横でグッタリしている市井に、こっそり耳打ち。
保田は愚痴に一生懸命になっていて、気づいていない。
「今のうちだよ、逃げよ」
「え、ちょ、や、やぐっちゃん!?」
話を飲み込めていない市井の手を引っ張って、実習室から脱走する。
ごめん圭ちゃん、この日だけ、見逃して。
だって今日は、圭ちゃんには悪いけど、愛しい人と過ごす日なんだから。
- 414 名前:最終話「続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年07月18日(水)13時33分24秒
- 「アンタ達待ちなさいよぉーーっ!!!」
学園中に響き渡るか、というくらいの大きな声。
「な、なんやぁ…?」
職員室で安倍を待っていた中澤は、何気なく見ていた教科書から目を離す。
「なぁ、あっちゃん、今、圭ちゃんの声聞こえへんかったか?」
「え? そう? あたしは何も聞こえへんかったけど」
そりゃあ、ヘッドホンをつけて音楽聴いてたんやから、聞こえへんやろ。
でもそれを判っていたのに、稲葉に聞いた自分が馬鹿だった。
「それより、姐さんの可愛いコウサギちゃんが待ってんで?」
「コウサギぃ?」
うち、ペットなんか買ってないでー、と稲葉が指した方向を見た時。
あ、そうや。買ってたわ。
それも、とびきりワガママで甘えたのヤツを。
「ここ来る時にさ、裕ちゃんのクラスの子の後藤さんと吉澤さん見たよ」
「ごっちんとよっすぃー? なに? 何かエロいことしとった?」
どうしてそこに話が行くのかな。
毎度のことなんだけど、毎度呆れてしまう。
「裕ちゃんじゃないんだから、人来るとこで変なことなんかしないっしょ。
現になっちが見た2人は、ただ手繋いでただけだし」
「なんやおもんないな。人が来るから、緊張感が出ていいねんやん」
「いいのは裕ちゃんだけだよ。なっちはヤダ」
「いやいや。ごっちんは結構、人が来てもオッケーな方やで」
秘密の恋じゃなかったら、多分、外でキスとかも平気だったろう。
けど秘密の恋だったから。
「…………でも、なんでそんなこと、裕ちゃんが知ってんの?」
「へっ…?」
秘密の恋だったのに。
つい、喋り過ぎた。
「ちょっと裕ちゃん、なんか、なっちに隠してないかい?」
「かかかかかか隠してないよっ」
せっかくの、クリスマス・イブ。
そんな日に、殴られたくはない。
楽しく、行こうじゃないか。
- 415 名前:最終話「続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年07月18日(水)13時33分58秒
- ――
「ねぇごっちん。さっきから何処行こうとしてんの」
「ん〜?」
後藤についてきて、と言われ、部屋を出て数分。
途中、安倍とすれ違ったりもしたけど、後藤は気にせずウロウロ。
「せっかく部活もないし、ごっちんの補習もないんだよ?
しかも今日はイブじゃん。寮ん中うろうろしてないで、どっか行こうよ」
はっきり言って、全然おもしろくない。
これで隣に後藤がいなければ、おもしろくないのは更に倍増。
けれど後藤は吉澤のことを無視して、自分の部屋に入った。
「やっぱ、静かなのっていいよねぇ」
ドアを開けっ放しにしていても、周りからは話し声も聞こえない。
みんな、思い思いの人のところへ行っているからだ。
「どっか行っても、どうせ、周り人ばっかりじゃん。
それだったら、人がほとんどいなくなった寮で過ごす方がよくない?」
「え……」
だから、寮の中をウロウロして、人がいるかどうか確認していたのか。
こういう所だけは計画的だ。
「……やっぱ、外の方がよかった?」
黙って何も言わない吉澤。
気に食わなかったのかと、後藤は心配になって尋ねる。
「それとも、加護のこと気になるの……?」
「まさか。加護は、今頃違う子と楽しんでるよ。
………なんだよ〜、ごっちん、まだ加護とのこと気にしてたの〜?」
「ち、ちがっ!」
「あー、もう、ホント可愛いっ」
そう言って、抵抗する後藤を無理やり抱きしめた。
「………やっぱり、お楽しみは夜の方がいいのかな……」
「夜もすれば、問題ないよ…」
「そっか。それもそうだね……」
開けていたドアも閉めて。
カーテンも閉めて。
2人だけの、甘い空間の出来上がり。
- 416 名前:最終話「続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年07月18日(水)13時34分28秒
- ――
「…………あいちゃん、いつまでここにいるの?」
「えっ? なんで?」
「よっすぃーと、どっかいかないの?」
漫画をめくる手を一旦止めて、まだふてくされた顔をしている辻を見る。
「よっすぃーは、後藤さんと一緒やもん」
「え、なんで? つきあってんの? 2人」
「多分」
「たぶんって……あいちゃん、いいの?」
「なにが」
「よっすぃー」
あれほど好きだ好きだと言い続けてきた加護。
なのになぜ今こんなに、落ち着いてられるのか。
辻には全然判らない。
「……うちなぁ、フラれてん。よっすぃーに」
「え………」
「後藤さんが好き、って、断わられた」
あっさりと言う加護に、辻は戸惑いを隠せない。
けどなぜか、妙に嬉しがっている自分がいた。
「…………なんで、笑ってんの」
「え?」
顔に出てしまったんだろうか。
手近にあった鏡で見てみると、確かに笑っていた。
「なあ、ちょっと聞いていい?」
「な、なに?」
「ののって、うちのこと好きなん?」
- 417 名前:最終話「続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年07月18日(水)13時34分58秒
- 「なっ……」
顔が赤くなっていくのが判る。
それに比例して、心臓の音がどんどんどんどん速くなっていく。
加護は真面目な顔をして、そんな辻を見ていた。
「な、なにいってんのっ! そ、そんなワケないじゃんっ!!」
否定をするも、加護の顔は信じていない。
なんだかおもしろがっているようにも見える。
人の気持ちを見透かして、その反応を見ておもしろがって。
そしてそんな悪趣味な加護が好きな、自分。
自分の方が、よっぽど悪趣味だ。
「あ、あいちゃんなんか、だいっきらいだもん!!」
これほど反応がおもしろい子なんか、そういない。
一体どれだけ顔を真っ赤にさせて、そう叫ぶんだ。
「まあ、そう、怒りなや」
なだめるようにそう言って、加護は、辻の柔らかいその唇に、自分のそれを重ねた。
おわり。
- 418 名前:最終話「続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」 投稿日:2001年07月18日(水)13時35分29秒
- 最終話「続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!」終了。
辻さんの機嫌が治ったかどうかは、加護さんだけが知っている、ということで。
ここまで読んでくれた方、本当にどうもありがとうございます。
今日でこのシリーズも、完結となりました。
それぞれの見方、感じ方、色々あると思いますが、自分の中ではこれが最高です。
本当にどうもありがとうございました。
そして、また懲りずに新しいのを今現在書いております。
それはもう、すぐにでも開始出来る状態なので、お目にかかれる日も近いかと思います。
新しいのは、ここにあるもう1つのスレで開始しようと思います。
ちょっと変わったいちごま、そしていしよしをメインで。
さやまり、よしごま好きな方も、読んでくれると嬉しいです。
やぶうち優先生の「少年少女」という本の設定を逆にして、「少女少年」という題名です。
原作を知っている方は、逆、という意味、判るかもしれません。
それでは、この辺で。
次回の「少年少女」で、逢える方は逢いましょう。
- 419 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月18日(水)13時36分22秒
- >>406
妬いたごっちん、可愛いと言ってもらえて、ホント嬉しいです。
ほんとはあのシーン、入れるつもりなかったんですが、嫉妬する
ごっちんを見たい、という声がいくつかあったので。
あの時ばかりは、ここのよしごまの立場逆転です。
バービーさんと、押しカップル結構似てるかもしれません。
でもおいらの場合は、2押しによしごまといちかごが入るんですけど…(w
いちごま以外の王道、おいらもあまり好きじゃなかったんですけど、
いしよしはある小説に影響されて……。
>>407
やっぱり人間ですから、ヤキモチくらい妬かせてやろうと(w
へナ吉でもよかったんですが、やっぱあそこはかっけー!だろうと。
>>408
ありがとうございます。
結局最後まで、あんまり何考えてるか判んない子だったんですが、
可愛いと言ってもらえて、ごっちんも光栄です。
>>409
そうです。自分の記憶だと、やぐちゅーだと。
やー、ありがとうございます。嬉しいです。
某漫画わかりましたか。おいらも、多分、アナタ様が誰か、判りました(w
………間違ってたらごめんなさい。
>>410
(〜^◇^〜)<何当たり前のこと言ってんのさ!
紗耶香も、矢口だけのものだよ
( ´ Д `)<………………でも次は、いちーちゃんあたしのものだよ
(;〜^◇^〜)<!?
市井達といると、どうしても突っ込み役に入ってしまいますしね。
坊ちゃんも、加護にちょっと格好つけてやろうと思ったんでしょう(w
人物設定上、どっちみち入れれない…。
やぐちゅーを見たい、と思った人、ごめんなさい。
- 420 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月18日(水)15時08分41秒
- すごい面白かったです!
長い間大変お疲れ様でした。
次は「いちごま」「いしよし」ですか(w
それも楽しみにしてます!
- 421 名前:JAM 投稿日:2001年07月18日(水)22時57分39秒
- 約2ヶ月の連載おつかれさまです
次の作品が楽しみです絶対読みますよ!
- 422 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月19日(木)03時35分49秒
- 作者さん、お疲れ様でした。
いや〜、本当に楽しい作品でした。
なんたって、みんな幸せなのが1番ですよ!!(独り身の圭ちゃんは除く)(w
自分も読んでて幸せな気持ちにさせてもらえましたし、
ほんと作者さんには感謝の言葉もございません。
さて、次回作の方はいちごま、いしよしだそうで今から楽しみにしております。
ぶっちゃけて、自分は市井押しなんで、市井が出てくれば相手は誰でも良かったりする。(爆)
もちろん、1番好きなカップリングはさやまりですけどね。(w
- 423 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月19日(木)13時57分49秒
- お疲れ様です。とても楽しませてもらいました。
ヘナチョコの市井サイコー!(笑)
次回作も楽しみにしてまーす。
- 424 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月20日(金)03時07分13秒
- 最後はなかなかいい感じのほのぼの感が出てて良かったです(w
そしてやっぱりここの加護ちゃんはいいなぁとおもいました。
次回もほんとに楽しみにしてます!!
- 425 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月24日(金)20時12分24秒
- 今日初めて見て泣いちゃいました
- 426 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月24日(金)20時32分16秒
- sageスレあげないようにね。
はじめてなら、まずはそのスレのルールをよく見よう。
それに、この作品は一応完結してるんだから。
- 427 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月25日(土)00時33分59秒
- 初めての方は必ず一読の事って上に書いてるよ。
http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=imp&thp=986141452&ls=50
- 428 名前:名無し読者は迷走中 投稿日:2001年08月25日(土)18時42分12秒
- sageスレでなくても、感想レスは sageのほうが無難ですよ。
あがってると小説が追加されたと思っちゃうからね。
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