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1 名前:罪人 投稿日:2001年05月23日(水)15時07分25秒
『御挨拶』

2ちゃんで娘。小説を読んで、早二週間。
自分でも書いてみたくなって
ダダッっといしやぐを書いてみました。
乱筆乱文、ご了承ください。

あと、しょっぱなから質問なんですが
個人サイトでやってる娘。小説とかってチェックしますか?
やっぱ小説はここでまとめてチェックできた方がいいんですかね?
2 名前:罪人 投稿日:2001年05月23日(水)16時47分40秒
なんで矢口なんだろう?
相談ならよっすぃーとか・・・・・・
先輩にしか出来ない相談?
なら、圭ちゃんでもいいじゃん。
教育係なんだし。
ん?圭ちゃんにも相談出来ない事?
私こと、矢口真里は困っていたのである。
相談相手は、目の前の少女。
と、いっても、矢口より背大きいけど。
ノースリーブのワンピースから覗く腕。
健康的な肌。
何を思ったのか、突如、茶色くなった髪の毛。
彼女の名前は石川梨華。
仕事帰りの真夜中のファミレス。
二人はテーブルを挟んで、向かい合って座っている。
「でだ、石川。」
「はい」
「例のブツ出せや」
「え?」
梨華ちゃんは本当に困った顔をしてる。
何が例のブツなのか分かってない。
当たり前だ。
矢口がアドリブでかましたボケなのだから。
3 名前:罪人 投稿日:2001年05月23日(水)17時26分54秒
「いや、嘘」
「嘘・・・・・・ですか?」
「うん、嘘」
矢口がニコニコと引っ掛かったのを喜んでるのを見て
梨華ちゃんも釣られて笑ってる。
かと思ったら、次の瞬間には、ネガティブモードだ。
「え、あ、ごめん・・・・・・」
思わずいじめてしまった。
どうも、梨華ちゃんを前にすると、いじめたくなる。
なんだろう。
言うならば、小学生の恋愛。
構いたくなる。
思わずいじめちゃう。
そうさせてしまうオーラが梨華ちゃんからは出てる。
「相談ってなにさ?おいらでいいの?」
「はい・・・・・・」
小さくうなづく梨華ちゃん。
そのまま、沈黙。
矢口も気まずくて、黙ってしまった。
梨華ちゃんの胸。
形がいい。
そのままスラっと流れるようなライン。
細い腰。
矢口の求める理想のボディ。
(いいなぁ、梨華ちゃん・・・・・・)
心の中では梨華ちゃんと呼んでても
いざ口に出すと、なぜか石川って呼んでしまう。
なぜだろう。
「矢口さんっ!」
「ほえぇえ!!」
身体なんかうっとり見とれてたから
梨華ちゃんの声に思わず驚いて
飛び跳ねてしまった。
「私・・・・私っ・・・・」
そう言って、上げた梨華ちゃんの顔は
とても切羽詰まってて
緊張していた。
うわぁ、いじめたの恨んでたりするのかなぁ?
4 名前:罪人 投稿日:2001年05月23日(水)17時28分10秒
「私、矢口さんにつっこまれたいんです!」
「え?」
十分つっこんでるじゃん。
そう言いそうだった。
「あの、私、矢口さんみたいに自分の言葉でしゃべれてないと思うんです。」
「え、だって、チャーミー・・・・・・」
ハロモニから生まれた石川の持ちキャラ、チャーミー石川。
御夫人のような衣装に身を包み
持ち前のお嬢様言葉でしゃべり
悲しくみんなにいじられまくり
むしろ、いじめられるという
今までのモーニング娘。では考えれなかった
斬新なキャラである。
「チャーミーじゃだめなんです。あれは私であって私じゃありません!!」
まるでヒステリーのように叫ぶ梨華ちゃん。
「石川、シーーーーーッ」
「あ、ごめんなさぃ・・・・・」
お客さんは少ないが、何事かと見てる。
「・・・・・・よかったら、うちに来ませんか?」
梨華ちゃんはちょっと涙目で矢口を見てた。
ただそれだけなのに。
今まである種ネタとして石川をからかった事はあるけど
こんな相談を受けるような間柄でもない。
「忙しいですか・・・・・・」
「うー・・・・・・」
私こと、矢口真里は困っていたのである。
目の前の少女石川梨華がたまらなく愛しくなっていた。
5 名前:罪人 投稿日:2001年05月23日(水)17時31分33秒
=ちょっと休憩=

パソの暴走で、書き始めから
管理人さんに迷惑をおかけして
軽く凹んでましたが
書かせていただきます。
というか、むしろ、もう全部書き終わってます。
一気にアップしたいですけど
読者さんの反応も見てみたい。
頑張って、のほほんとアップするので
待っててください。
6 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月23日(水)17時51分48秒
いしやぐってほんと見かけないからかなり期待してます。
普段あんなに梨華ちゃんに冷たいけど誰よりもちゃんと見てますからね、矢口さんは。
これからも頑張ってくださいね。
7 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2001年05月23日(水)18時21分27秒
ここの梨華ちゃんツボっぽい♪続きが気になる〜
それから個人サイトの小説は知りませんでした。できれば教えてほしいです。むっちゃ読みたい〜
8 名前:罪人 投稿日:2001年05月23日(水)21時20分09秒
なんで愛しくなったんだろ?
自答しなくても分かってる。
梨華ちゃんの姿に昔の自分を重ねたから。
私達、第一回追加メンバーは
初めての追加メンバーって事もあって
その溝はものすごく深かった。
やっぱりオリジナルでやってきた
ゆーちゃんやなっち、かおり達には
インディーズで手売りをやったり
努力してきたというバックボーンがある。
テレビとかでも暴露してたけど
本当に最初の頃はマジでやめさせるつもりだったらしい。
今となっては笑い話だけどね。
そんな中、私と紗耶香と圭ちゃんは
先輩を立てつつ、少しずつテレビでしゃべれるようになった。
私はいつの間にか持ち前の明るさで
前に出れるようになったわけじゃない。
ゆーちゃんがいたからだ。
ゆーちゃんがかわいがってくれて
私のつっこみを寛大な心で受け止めてくれたから。
自由に裕子なんて呼び捨てにさせてくれて
私のキャラクターを引き出してくれた。
9 名前:罪人 投稿日:2001年05月23日(水)21時23分03秒
紗耶香だってプッチモニのセンターになった頃から
ググッと市井紗耶香という独自のキャラを打ち出して
今だに固定ファンがいるし
圭ちゃんは、自ら唄を磨き、後輩達だけじゃなくて
娘。全体を良く見てて、
叱る時は叱って誉める時は誉める
姉さんキャラだ。
私達も自分達のキャラクターに悩んでいたのだ。
そんな自分達と同じように
梨華ちゃんが悩んでたと思うと
すごく愛しくなってしまったのである。
それだけじゃなかった。
ゆーちゃんがいなくなった事で
私は時には全体の空気から暴走する事もあった
はじけたトークが出来なかった。
笑顔の下に隠してた感情。
寂しくて仕方がなかった。
梨華ちゃんが相談してきた事で
不意にその寂しさを呼び起こされ
私は動揺していた。
そして、同時に私は思った。
『今度は私が梨華ちゃんにとってのゆーちゃんにならなきゃ』
10 名前:罪人 投稿日:2001年05月23日(水)21時30分20秒
どうも、矢口ヲタ→小説の影響でチャーミー寄り
という感じの作者です。
やっぱいしやぐはめずらしいですよね。

個人サイトに関しては、今、googleで
モーニング娘。 小説で探した所
14400件も出てしまいました。
2ちゃんや名作集の作品が入ってるようなので
漁ってみてください。
11 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)08時37分38秒
引っ越してきたばかりの1人部屋。
3LDKくらい?
矢口はそういうのよく分からない。
ここは笑ってごまかすか、あははは。
梨華ちゃんの好きなピンク色の物は多い。
だけど、まだ物が少なくて
どこか寂しい。
本が落ちてた。
2冊。
手に取ってみる。
『初心者に分かる心理学』
・・・・・・梨華ちゃん
こんなもので勉強してたんですか。
『きっと伝わる会話講座』
あぁ、あなたのトークが、あなたの声が
なぜかそれまでの流れをブった切ってしまう事
実は気にしてたんですね?
12 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)08時38分34秒
「え、あ・・・・・・」
それを見つけた梨華ちゃんはバツの悪そうな顔をした。
ここは、あえてコメントしないでおこうか
いや、なおさら空気が・・・・・・
「よくこういう本読めるねぇ。矢口、国語嫌いだから、すぐに寝ちゃうよ」
「私も寝ちゃいますよー。なんか好きなんですよね、こういうの。」
テーブルには梨華ちゃん自慢のお紅茶。
ごとーが、梨華ちゃんが林檎のブローチを探してて
りんごちゃんりんごちゃんなんて呼びながら探してたのを
『気持ち悪い』なんて暴言ブッ放してたけど
私はいやじゃなかった。
矢口がやると
『林檎ー、てめー出てこい、このぉー』
に、なってしまうであろう。
私も女の子なのに、こうも違うと
ちょっと悲しくなってくる。
13 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)08時39分20秒
「あ、紅茶でよかったですか?うち、コーヒーないから・・・・・・」
「お酒がよかったけどね」
ふざけて言ってみた。
ゆーちゃんの顔がよぎった。
(矢口、カクテル飲むか?)
ゆーちゃんの部屋。
冷蔵庫に手をかけ
こっちを振り向く。
あの声が頭に響く。
「ありますよ」
「え?」
「行ってないけどもう高校生ですよー。お酒の一つや二つ・・・・・・」
「ビール?」
「ビールは苦手ですー」
梨華ちゃんは苦笑いしてた。
ゆーちゃんの思い出がまたあらわれる。
ビールの缶を片手に
(ほらぁ、やぐちぃ、ビール飲め、ビールゥウ!)
むりやり私に飲ませようとするんだ。
「どっちがいいですか?」
「あー、桃」
「はいっ」

案の定、梨華ちゃんの方が先に酔いつぶれて
突然、コテンと倒れたと思ったら
そのまま眠ってしまった。
矢口はその寝顔がとてもかわいく思えて
梨華ちゃんの髪をそっと撫でた。
やわらかでサラッとした髪。
でも、なんでいきなり茶髪に?
チャーミーのイメージとはガラッと変わっていた。
梨華ちゃんなりに努力した結果。
でもね、梨華ちゃん、矢口・・・・・・
黒い方が好きかも
14 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)08時43分09秒
=ちょいと休憩=
一度、書き終えたものをコピペすると
やっぱり楽ですねー。
で、すでに新しいのを書き始めました。
カップリングじゃなくて、よっすぃー単品です。
leadが終わり次第、アップしたいと思います。
15 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)20時12分03秒
「こないだー、矢口さんとお買い物に行ったら
 真紫のバッグを手にしてずーーーーーーーっと
 ニヤニヤしてたんですよー。」
「いしかわぁ!」
私は梨華ちゃんを意識していた。
私のつっこみや笑いは
梨華ちゃんのトークを彩る。
そして、テレビなどに映ることが増え、
梨華ちゃんのキャラはグンと
前に出てきたのである。
迷いが無い目。
成長していた。

局のトイレ。
手を洗っていたら
圭ちゃんが隣にいた。
「矢口」
「なにさ?」
「ありがとうね」
「へ?」
「石川のこと」
「あ…うん」
「私さぁ、自分がこんなんだから
 矢口みたいなことは教えれないんだよね」
「そんな…」
圭ちゃんの横顔は
少しさびしそうだった。
「今の二人、ゆーちゃんと矢口みたいだよ」
心がキュッと締められた。
16 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)20時13分14秒
家に帰って、自分の部屋に入って
ベッドに寝転がって、天井を見ていた。
矢口のつっこみにニコニコして
笑って返す梨華ちゃんの顔が浮かんだ。
よっすぃーはごとーと一緒に
ぼーっとしてる和み系のほほんキャラが
すっかり定着していた。
辻と加護は先輩達のよい所を
子供らしい柔軟な吸収力で
どんどん身につけている。
唄なんか入った時よりずっと上手い。
携帯が鳴っていた。
「誰だよー」
手に取る。
液晶を見る。
そして、時が止まる。
『最近、よーがんばってんな。新メンバーも
 すっかりプロの顔やん。娘。に栄光あれ。』
ダイヤルを回してた。
何時の間にか。
呼び出し音。
「ゆーちゃん!」
『矢口―、メール見たんか?私に会えなくてさびしーんか?
 ゆーちゃんも寂しくて寂しくて、ついお酒を………』
17 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)20時13分46秒
「ヒッグ…ゆーちゃぁん」
泣いていた。
ゆーちゃんの声を聞いた途端に涙が溢れた。
『どないしたん、矢口』
「私、大丈夫かな?私、ちゃんと石川の支えになってるかなぁ?」
『テレビ見て思ったんやけど、いいコンビだよ。
 よー似合ってる。ちゃんと引っ張ってるよ。』
鼻水で顔をグシャグシャにして、私は泣いちゃった。
ゆーちゃんが娘。からいなくなって
笑顔の下に寂しさを隠した。
いつもの笑い声で自分をごまかした。
そんな私を頼ってくれた梨華ちゃんに
こんな弱い姿は見せたくなかった。
無理してないかな。
ちゃんと出来てるかな。
自分を追いつめていた。
梨華ちゃんを見つめることで
過去の自分を見、昔のゆーちゃんを見、今の私を見つめてる。
私はちゃんと出来てる、ゆーちゃん?
『好きなだけ泣いてええよ』
ゆーちゃんの優しい声が耳元で聞こえた。
矢口の目からまた涙が溢れ出したよ。

泣き疲れて、眠っても
ゆーちゃんの夢を見た。
18 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)20時16分31秒
=御休憩 二時間3500円=

かはぁ、矢口かわいい!!
1人で矢口萌え中。

19 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月24日(木)20時19分13秒
矢口さいこー!
20 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月24日(木)22時38分24秒
矢口〜萌え萌え〜〜
ぜひ、お持ち帰りしたい。(w
21 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)22時40分55秒
次の日、仕事が終わって
早々と帰ろうと
椅子を立ったその時
ギュっと誰かが
袖を掴んで
それがあまりに急だったから
矢口はまた椅子に引き戻された。
「おわぁ!」
「あ、ごめんなさいぃ!」
梨華ちゃんがあわてて、謝ってる。
「なんだよー、石川?急だからビビッたじゃーん」
「えっと…あの、空いてますか?」
「この後?」
「はい」
直らない敬語。
新メンバーでも梨華ちゃんだけだ。
まぁ、それもキャラだし
気にしてないけど。
「空いてるよー」
「そうで…………………」
「よし、帰るぞ、石川」
ふざけて、梨華ちゃんの腰に手を回した。
見てみると、その顔は真っ赤になっている。
かわいい。
「真里っぺ、お持ち帰りー?」
なっちが後ろから叫ぶ
「ぶっ!!」
吹き出してしまった。
メンバーはみんな大声で笑う。
「なんでおいらが石川持ち帰るんだよー」
「梨華ちゃんはまんざらでもなさそうだけど。」
ごとーといちゃついてるよっすぃーが
ニンマリと笑いながら、ちゃかす。
「いや……そのっ!!」
あわてふためく梨華ちゃんもまたおかし。
あれ、なんで、古典表現なんて使ってるんだろ。
矢口、国語は苦手です………

22 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)22時41分44秒
夏の暑い日だった。
この前、この部屋に来たのはあの日。
5月の頃のことだから、だいぶ経ってる。
それを表すように部屋の中のものが増えていた。
テーブルの上のアイスティー。
梨華ちゃんは手をつけず
黙って、ずっとうつむいていた。
何かあったのかな?
何かなきゃ私がここにくることもないか。
「矢口さん、手出してください」
絞り出すようなか細い声。
「うん……」
テーブルの上に手を乗せる。
冷たい手が重なる。
また震えてたんだ。
どうしてか分からないけど
矢口は梨華ちゃんが消えてしまいそうで
さらに、その上から手を重ねたんだ。
「やぐ…さん……」
小さな小さな声
「なに?」
なんだよーっていつもの調子でしゃべれない。
「私……やぐ……」
より一層強く握られる手。
空気がピリリと緊張した。
23 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)22時43分08秒
「矢口さんの事・・・・・・」
そこで気付いたんだ。
この震えの意味。
私はそのケはないんだってば。
心の底でつぶやいた。
いや、ないって思ってただけなんだ、きっと。
だって、今、口から心臓出そうなぐらい
ドキドキしてるんだもん。
「好き・・・・・・」
梨華ちゃんが言い終わる前かもしれない。
抱き締めてしまった。
ガタッて梨華ちゃんの手がテーブルにぶつかって
グラスから紅茶がこぼれた。
静かな時間。
梨華ちゃんの心臓の音が
私には聞こえていた。
「私も好きかもしれない」
「かも・・・・・・ですか?」
「分からないよ、だってだって
 女の子なんて初めてだもん
 これは、恋なの?」
「きっと・・・・・・そうです」
逆に押し倒され、唇をふさがれた。
そして、頬に落ちる涙。
「梨華ちゃん?」
「名前・・・・・・」
「あ」
「嬉しいです」
無意識に名前で呼んでしまって
照れくさくて、笑うと
梨華ちゃんも笑ってくれた。



24 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)22時43分57秒
ゆーちゃん
「んっ・・・・・・」
私、やっと
「やぐちさん・・・・・・」
大人になった気が
「リードさせてください」
へ?
「だって、ずっと矢口さんはリードしてくれたから」
梨華ちゃんがこんなに成長してる事
気付かなかった。
梨華ちゃんの手が、矢口のちっちゃな身体を
スーッと撫でてく。
頭が痺れる。
「好きです」
「私もだよ」
唇を重ねた。
いつになく積極的。
いつになく、なんて嘘。
最近はすごくポジティブ。
だけどさ、梨華ちゃん
一つ教えてよ。
なんで、そんなにじらすの上手いの?
「どうですか?」
「もぅ・・・・・・」
「もう?」
「して」
「ダメ」
梨華ちゃん・・・・・・leadしてくれていいから
ちょっと頭の中readさせてよ。
なんで矢口より上手なんだよぉーーーーーーーーー!!

「秘密です」
梨華ちゃんは頬を赤くしながら
矢口の耳もとで囁いた。

-fin-
25 名前:罪人 投稿日:2001年05月24日(木)22時50分33秒
=後書き=

というわけで、矢口萌え勢いアップ。
あ、全部上げちゃった(爆)
んー、いしやぐ・・・・・・ですか?
満足ですか?これはありですか?
ポジティブですかぁーーーーー?
しばらくもしないうちに
宣言通り吉澤の単品パラレル書きますー
26 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月24日(木)23時26分50秒
満足です。ありです、おおあり名古屋は城でもつです。
メガチブです〜〜(w
「吉澤の単品パラレル」期待して待ってます〜
27 名前:私の場所 投稿日:2001年05月25日(金)19時30分23秒
「えっとぉ、今日はダイバーかぁ。」
吉澤ひとみは、ベッドに寝転がりながら
愛用の手帳を眺めていた。
毎朝、欠かさない当日のスケジュールチェック。
覚えているけど、一応の確認。
時計を見ると、ちょうど母親が呼んでくれる時間。
手帳を閉じると、鞄の中へ放り込んだ。

ボーっと学校へ向かう。
今日は夕方から仕事だから、授業には出れる。
「おはよー、よっすぃー」
クラスメイトの女子が自転車で抜いていく。
「おはー」
ひとみもそれに満面の笑みで返す。

3時間目の国語の授業が始まった直後
なんだか急に眠気が襲いかかる。
仕事だったら、こんな所で負けたら
怒られてしまうが
幸いここは学校である。
というか、そんな事を考えさせるほどの
余裕を与えないほどの
強烈な眠気だったのだ。
ひとみは先生に謝りながら、目をつぶった。
28 名前:私の場所 投稿日:2001年05月25日(金)19時31分41秒
「ひと・・・・・・ひとみ・・・・・・」
誰かの声。
友達の声だ。
よだれ出てる。
袖でゴシゴシこすった。
「吉澤、寝るなよ」
先生にバレちゃった。
でも、頭が動かない。
「はい」
寝起きの声で、そうつぶやき、黒板を見た。
一行も進んでいない。
時計もあの瞬間と同じ。
(一瞬だけ寝ちゃったのかな)
そう思いながら、隠れて携帯電話に手を伸ばす。
机の下で操作する。
後藤にメールでも送ってみよう。
だけど、アドレス帳に後藤の文字はない。
なぜ?
「あれ?」
小声。
誰も気付いてない。
「なんで?」
ない。
ない。ない。ない。
どこにもない。
後藤の文字がない。
それだけじゃない。
ないのは、それだけじゃない。
メンバーのも。
マネージャーのも。
全部、全部。
娘。に関する番号、アドレスが無くなっていた。
なぜ?
「壊れたかなぁ・・・・・・」
29 名前:私の場所 投稿日:2001年05月25日(金)19時39分55秒
というわけで、吉澤単品パラレルもの。
最後にあの人が出てくる以外は
本当によっすぃーしか出ないです。
ネタ元はleadと似てますが
これも楽しんでもらえるんじゃないかなー・・・・・・

今、すごいノってるらしくて
あいなちで三作目書いてます。
というか、むしろ完成しそう。
だから。目離しちゃダメですぞー。
30 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月25日(金)20時07分55秒
オーケーカマン。
なんぼでも、かかってこいや。(w
きっちりチェックしときます。
31 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)00時16分56秒
休み時間に、手帳を開いてみた。
そこに確かに載っていたはずの
今日のスケジュール。
なくなっていた。
なくなったのは、それだけじゃない。
娘。に関するスケジュール、メモが無くなっていた。
全て、全て。
まるでひとみが娘。である事を否定するような
そんな事実。
「どうして?」
「どうしたの?」
隣の親友が声をかけてくる。
「携帯からも手帳からも、娘。の事が無くなってるの」
「なに、携帯番号?あんなの嘘に決まってるじゃん」
嘘?
「シールとか張ってたのもないの?」
シール?
そんなんじゃない。
友達はなんの不思議な顔もせず
ひとみを見てた。
「そうだ!」
集まってきた子の1人が何やら雑誌を取り出した。
32 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)00時18分04秒
「よっすぃーに見せたいものがあったよ!」
「え?」
ひとみの前で開かれた雑誌。
モーニング娘。の文字。
そして、サルティンバンコ。
だけど、ひとみはすぐにその違和感に気付いた。
そこに自分がいない。
人数は一緒。
なんで?
「やっぱり市井ちゃんはかっこいいねぇ」
そう。
ひとみの代わりに、そこにいるのは
やめたはずの市井紗耶香。
なぜ?なぜ?なぜ?
「なんで、市井さんが!?」
「は?」
「市井さんファンクラブ筆頭のあんたが何言ってるのさー」
「寝ぼけてる?」
「もしくは、熱がある。」
1人が雑誌を掴んで、離さないひとみの頭に
手をのせた。
「ないねぇ」
「どうしたんだろ・・・・・・」
いぶかし気にひとみを見るみんな。
「ねぇ」
「ん?」
「今日、何日!?」
「12月13日」
恋愛レボリューション21、発売日。
「ちょっとーこんな大事な日、忘れる?」
「ごめん、私っ!!」
鞄を掴むと、ひとみは教室からあっという間に消えた。
「マジで忘れてたのかな?」
「うーん」

こんな時、運動部で本当によかったと思う。
学校の近くのCDショップに飛び込む。
サイフを見た。
これは、シングルを買うと経済状況が悪くなる。
「くっ・・・・・・」
そこで、気付いた。
家に帰れば、サンプル版がある。
だけど・・・・・・
さっきの事を考えると
それがあるか定かじゃない。
ひとみは、レジに自分が写ってない恋愛レボリューション21のCDケースを持っていく。
本当はそこに私がいるんだ。
大きな声で叫びたかった。
なにが、なんで、こうなってるの?
酷い混乱のまま、ひとみは家路を急いだ。
33 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)00時19分48秒
もうフリもほとんど覚えたのに
なんでそこに私はいないの。
部屋の中には、娘。メンバーの明るい歌声。
「ラブレボリューション、トゥエンティー・・・・・・」
涙で声が掠れる。
どうしたらいいのか、分からない。
ひとみは自分の記憶を探る。
眠る前までは確かに、ひとみはモーニング娘。だったのだ。
このジャケット写真の中にもいた。
この歌の中にもいた。
眠る前までは・・・・・・
涙をぬぐって、深呼吸をする。
そして、目をつぶる。
ベッドに倒れ込む。
「って、これで寝れたら、ごっちんだよ・・・・・・あれ?」
また、あの時と同じ眠気だ。
(あ、帰れるのかな?)
(早く帰して)
(あぁ、ダイバーまでには帰れますように)
(遅れたら、保田さんに怒られる)
(それだけはいやだ!!)
いやなのは、保田に怒られる事なのですか!!!?
34 名前:作者 投稿日:2001年05月26日(土)00時26分14秒
=本日、終了=
見た方はなるべく感想レスなんてつけてもらえると
嬉しい、というか、めっちゃやる気でます。
カップリングとかも好きに書き込んでくださいねー。

で、今回出てきた
吉澤がいなくて、市井がいる恋レボのジャケってこんな感じ?
http://www.musume2ch.f2s.com/up/files/248.jpg
ひま見て、適当に作ったんで
微妙な違和感とか
これ、アナログ盤ジャケじゃん、とか
そういうツッコミがありそうですが
御勘弁を・・・・・・
だって、CD版ジャケ修正難しそうだったんだもん・・・・・・
35 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月26日(土)04時11分59秒
まちくたびれて、寝てもーた……
吉澤くんの代わりに市井ちゃんのいる娘。……
ちょっとわくわくしてしまう、不謹慎な私……
吉澤メンゴ〜
36 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月26日(土)04時41分01秒
よっすぃーの今後が気になる。期待してます。
あいなちの後にはぜひ裕ちゃんがらみでお願いしたいな。
37 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)09時33分11秒
数日前。
辻と加護はいつものようにふざけている。
矢口がメイクの邪魔だと叱りつける。
それを聞いてるのか聞いてないのか
中澤が矢口にちょっかいを出す。
安倍と飯田がそれを見て、笑ってる。
保田石川は雑誌に目を落としていて
後藤は酢イカを食べながら、
ボーーーーーーっと天井を見てた。
「ごっちん、飯田さんみたいだよ」
「へあぁ?」
「あはっははは、なんだよぉ、その声」
矢口の笑い声はよく響く。
ごっちんの顔を見たその目は
優しそうに細くなる。
楽しい娘。の楽屋。
だけど、ひとみが心中穏やかでない事を
誰が知っていただろうか。
矢口にでも相談しておくべきだった。
後藤が市井に頼るように
ひとみの教育係である矢口に言えばよかった。
今の悩み。
『私の場所はどこですか?』
38 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)09時33分49秒
事あるごとに言われるキャラクターの話。
活発で男の子みたいなキャラ。
そう、それはまるで、市井紗耶香がやめる穴を埋めるような言葉。
苦痛だった。
誰か本当の吉澤ひとみを見て。
心の中で、いつも叫んでいた。
後藤は同じようにのほほんとしてても
最初からセンターを張るような大きな器で、
時折、その片鱗をニヘラって感じのいつもの笑いの影から見せる。
辻と加護は子供らしい順応能力でマスコットキャラのようになっている。
たぶん石川もひとみと同じ事で悩んでるだろう。
真面目な石川の事だから、また自分で背負い込んでるに違いない。
とにかく、ひとみは自分のキャラに迷っていた。
スポーツ大好き体育会系少女。
その反面、超天然ボケのお嬢様。
つんくの天才的にかわいいの一言がひっかかる。
かわいくても、しゃべれなきゃ、前には出れない。
悩んでいた。
39 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)09時35分13秒
目を覚ます。
窓の外は暗くて、
携帯電話の時計を見る。
真っ暗な部屋にオレンジ色のキーが光る。
そこはさっきと変わらない世界。
そこはひとみがいない、モーニング娘。
だけど、ひとみの頭ははっきりとシャープになっていた。
夢を見た。
まるで神様のお告げみたい。
ひとみは娘。に入ってから
ずっと娘。の中しか見てない。
中でのバランスばかり見ていた。
そうじゃないんだ。
第三者が見た時、どうなってるか
それが大事なんだ。
そして、この状況は
ひとみがいない娘。や、その代わりの市井紗耶香を見るいい機会。
押してダメなら引いてみろ。
ひとみはすっかり立ち直っていた。
「恋愛レボリューション21って事は・・・・・・」
市井がやめたのは、ハッピーサマーウェディング。
恋愛レボリューション21の前に
娘。は後藤メインの楽曲I wishをリリースしてる。
娘。ファンの私が持っていないはずがない。
CDケースを探る。
案の定、そこには、I wishがあった。
そして、市井もいる。
40 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)09時36分06秒
コンポのCDを変える。
耳を澄ます。
娘。になって、何度もレコーディングして
音に対する感覚が鋭くなっていた。
(前奏は同じ・・・・・・?)
そこから、メロディに入った瞬間、ハッとする。
後藤の声にかぶるようにして、ハモる市井の声。
「そんな・・・・・・」
ビデオをが整然と並べられた棚を漁る。
あった。
その頃のテープ。
急いで、デッキに射し込む。
ちょうどよく、Mステ。
娘。がいる。
ひとみはいない。
後藤の笑顔は市井に向けられる。
ひとみの知ってる後藤は、いや、ごっちんは
この頃、ダルそうだった。
こんなに元気じゃない。
しっとりと唄いあげるラストに気持ちがいってたのか
それとも、市井がいなくなったショックが抜け切らなかったのか
ごっちんは、悲しそうな笑いをするようになっていた。
41 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)09時36分39秒
違う。
変わってる。
市井がいるだけで、顔が違う。
声が違う。
それだけ、彼女にとって市井の存在は大きいのだ。
違う、後藤だけじゃない。
ひとみが知ってる限り
この曲は前の3曲に比べ
売り上げを落としてる。
つんく路線変更かと言われた作品だったはずだ。
それがミリオンまであと少しという所まで来てるのだ。
市井がいるおかげ?
ひとみは、パラドックスに陥る。
『私はいらないの?』
すっかりネガティブ。
(梨華ちゃーん、こういう時はどうやって
 ポジティブになればいいんですか?)
42 名前:作者 投稿日:2001年05月26日(土)09時44分20秒
=朝っぱらから=
1時までには寝るよい子な作者です。
市井観点から見たこの状況なんてのも書けそうですが
今回は吉澤のみに絞ってます。

裕ちゃぁーん。
って、あの人、色々な所で色々な人とからんでますけど
どのカップリングが意外なのかな・・・・・・
43 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月26日(土)10時39分43秒
市井ヲタのくせに、吉澤くんがかわいそうになってしまった……
中澤vs飯田は読んだことないかも……
44 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月26日(土)11時51分31秒
>>43
自分もです……よっすぃ〜戻っておいで〜

>>42
他の人も書くんですか?
いしやぐ(特に矢口)最高だったので作者さんには矢口中心で書いて欲しい
読者の勝手な意見でした(w
45 名前:作者 投稿日:2001年05月26日(土)12時18分04秒
ロックボーカリストオーディションの頃からの
最古参ファンなんで、どのカップリングも
書けると思うんですよ。メンバー全員好きだし。

leadは石川の成長と思わせておいて
実は矢口の成長を書いてるんですよね。
あの続きを書けば、甘いのが出来そうですけど。
んじゃ、やっぱ王道やぐちゅー行きますか!?
46 名前:44 投稿日:2001年05月26日(土)12時28分32秒
すごい自信ですな(w
じゃぁ作者さんにおまかせします。
やぐちゅーいっちゃってください!
かごやぐなんてのを観たかったりする
今日このごろ(w

その前によっすぃ〜続きも期待
47 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月26日(土)12時30分56秒
やぐちゅー好きっす。
でもやぐなちも読みたいな。
48 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)12時48分51秒
朝のテレビ番組。
娘。のメンバーの声がして、振り返る。
サルティンバンコの番宣。
辻加護と一緒に市井がいた。
大好きだった。
今みたいにテレビの前で心踊らせていた頃
パッと輝き出した市井を見て
その格好良さや
マイペース後藤の教育をちゃんとしてる姿が
大好きだった。
だけど、今はそんな気持ちだけで
テレビの中の市井を見れなかった。
『私とこの人の違いはなに』
市井の穴を埋めるため。
違う。
埋まってない。
この人は私よりすごい。
キャリア?
違う。
キャラクター?
そうじゃない。
私と違うのは一体どこ?
「ひとみ?」
母親に声をかけられ、自分の顔が
強張っている事に気付いた。
「どうしたの?」
「ううん。今日の英語のテストやだなって」
「受験生なんだから、がんばりなさいよ」
「はーい」
ひとみは作り笑いを浮かべる。
49 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)12時49分36秒
「じーんせーってすっばらしぃーーーーー!!」
まるで最近の事をフッ飛ばすように
シャウトするひとみ。
友達が嬉しそうに一緒に唄う。
「汗かいたぁ!!」
それもそうだ。
カラオケの個室でフリを全部完璧に踊ったんだから。
「ひとみさぁ、カラオケ通ったでしょー?」
「えぇー?」
「めっちゃうまくなってるよー」
「嘘だぁー」
(だって、私はプロだもん。ましてや、持ち歌)
他の子が唄いはじめる。
ひとみは、歌本をたぐりよせる。
新曲の欄。
恋愛レボリューション21。
入ってる。
(まだテレビでもやってないけど、全部フリ付きで唄ってやる!
 梨華ちゃんのほいっ!もやってやる!!!)
素早く入力!
ピッ!
「おいおい、シングル、全部唄う気?」
「なにいってんの、アルバムもだよ!」
(私は・・・・・・モーニング娘。吉澤ひとみ)
市井の後釜なんかじゃない。
まるで自分に言い聞かせるように
そうつぶやいて
画面を見つめた。
50 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)12時50分47秒
カラオケの帰り。
ひとみは1人街中を歩いていた。
家に帰りたくなかった。
唄ってて、思い出した。
なんで自分がモーニング娘。に入ったか。
芸能人になりたかったからじゃない。
歌が唄いたかったんだ。
ずっと運動部で頑張って
次は唄いたかったんだ。
最近、浮き沈みが激しい。
分かったと思った瞬間に
次の悩みが頭をかすめ
また悩んでる。
HMV前。
モーニング娘。のポスター。
交差点を渡ろうとしていたひとみの足は止まった。
「吉澤ぁー」
突然、声をかけられて、
はじかれたように後ろを見る。
ギターを抱えた少年のような人。
サングラスをはずす。
そう、その人は市井紗耶香、本人。
「いち・・・・・・市井さっ、フゴッ!!」
市井に口を封じられ、HMVのドアの前まで引きづられる。
「やっぱり、あんたは記憶があるみたいだね」
「え?」
51 名前:作者 投稿日:2001年05月26日(土)12時55分26秒
=寸止め上げ=
期待させるような所まで上げとこう。。
この後はエンディングまでノンストップ(by
辻ソロ)

やぐちゅーは、書こうかなと思ってたいちごま用のネタを
変換して作ってみましょう。
黒矢口の痛い系かもしれません。
52 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月26日(土)13時17分01秒
だあっ〜
まさに寸止め……
いじわるすると泣くぞ〜(by辻ソロ)
最後にこの人出すとは、おいしいとこ独り占め?
53 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月26日(土)16時19分54秒
いちごまがよいな
54 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)17時50分23秒
状況が飲み込めず、ひとみの顔は?マーク。
だけど、心の中に響く彼女の声。
一番あこがれてて、一番近付きたかった。
今はそこにいてくれるだけでうれしい。
「吉澤へ」
市井はギターケースから手紙を取り出す。
黒い封筒。
なんて不吉な感じ。
手渡されたひとみは急いで開ける。
「どうや、吉澤。少しは冷静に見れたか?なんか思い出せたか?
 俺はお前をかわいいから入れたわけじゃない。
 ましてや、市井の穴を埋めるために入れたわけじゃない。
 俺はお前に惚れたんや。
 なんも、構えないで
 いけ。とことん、いけ
 愛しの師匠 プロデューサーT・・・・・・
 Tって電波少年のつち・・・・・・・・・・・・」
「つんくさんでしょ」
「ですかねー・・・・・・
 それにしても、なんで
 私はこんな事になってるんですか?」
「もう一枚入ってなかった?」
「あ」
もう一枚の手紙
なんとつんくちゃんレターセット。
今はかわいいと思えない。
「あぁ、そうだ。今の状況を説明しておこう。
 君は私達の時空軸からはずれた所にいる。
 吉澤ひとみがいなくて
 市井紗耶香が残ってる娘。のある世界だ。
 吉澤が何かを見つけれたら帰ってこれる。
 ちなみに、ドラエもんを探してきた分の
 領収書は全部お前持ちだからな。」
「え!?つんくさん、私達より金持ってるじゃないですか!!」
「いや、吉澤、それよりもドラエもんに驚こうよ」
「はっ!!ドラ焼きで釣ったんですかね?」
「いや、そうじゃなくて・・・・・・」
市井は苦笑いしながら立ち上がった。
「行こっか」
「どこにですか?」
「もう帰っちゃうんだろ?」
「・・・・・・・・・・・・はい。
 私がいるべきなのは
 この世界じゃありません。」
「いい所連れてってあげるよ」
そう言って、市井はひとみの手を引っ張った。
55 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)17時51分16秒
海岸。
星が見えた。
なんて綺麗な場所なんだろう。
月夜の光の中でサーフィンをしてる人がいた。
「どうだった?」
不意に市井が聞いた。
「なにがですか?」
「自分のいない娘。は」
「なんか落ち着かないです」
「だよなぁ。私なんかやめたはずなのに
 つんくさんに呼び出されたと思ったら
 いきなり、こっちにいたんだ。
 それで、恋レボの発売すぐで
 夏先生が怒るんだよー。
 かぁさん、身体きついんだってば」
市井はひとみに気をつかってるのかよくしゃべる。
もしくは、この空と海がそうさせてるのかもしれない。
「市井さんはどうでしたか?」
「サルティンバンコすごいね!」
「あははは」
「もー、本当に興奮したよ。矢口なんかキャーキャー言ってさぁ。」
「目に浮かびます」
笑いかける。
中性的なかっこよさ。
(そう、私は市井さんに、みんなにあこがれて、娘に入った。)
56 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)17時51分48秒
「あーそうだ」
しばらくの沈黙を破り
市井が話し掛ける。
「はい?」
「ごとーの事よろしく」
「あ、はい!」
「あいつさぁ、基本的に甘えん坊だし
 吉澤、頼られる事多いだろー?
 ごめんなぁ、だいぶプロらしくはなったんだけどな」
「いえ、ごっちんは親友ですから」
ひとみが笑って返すと、市井は安心したように
ギターケースからギターを取り出す。
「向こうの世界から持ってきた唯一の手荷物。」
「市井さんも一緒に帰れるんですかね?」
「うーん、なんか吉澤が帰る時に一緒に帰れるらしい」
「よかった。」
「今、娘。の曲、練習してるんだ。」
ギターピックを口にくわえた横顔。
「唄ってもいいですか?」
「もちろん」

やがて、浜辺に鳴り響くアコースティックギターの音と
二人の少女の歌声。
古いシングルは市井メイン。
新しいシングルは吉澤メイン。
変わりばんこに唄っていく。
そして、夜は更けていく。
57 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)17時52分21秒
「思ったんだけどさぁ」
「?」
「今、冬なんだよねぇ」
「あ」
「どうりで寒いと思ったよ」
「どっかで休みませんか?」
「そだな」
コンビニらしき光を見つける。
恋愛レボリューション21のシングルを買ったので
ほとんどお金はないし
市井もあんまり持ってなかった。
二人で一本のコーヒーを買う。
店先で寄り添って
口をつける。
(私の場所は・・・・・・私が見つけるんだ)
「吉澤?」
市井は自分の肩に頭を乗せて
眠ってしまってる吉澤を見た。
柔らかな笑み。
「がんばれよな」
58 名前:私の場所 投稿日:2001年05月26日(土)17時53分10秒
「ひと・・・・・・ひとみ・・・・・・」
誰かの声。
友達の声だ。
よだれ出てる。
袖でゴシゴシこすった。
「吉澤、寝るなよ」
先生にバレちゃった。
でも、頭が動かない。
「はい」
寝起きの声で、そうつぶやき、黒板を見た。
一行も進んでいない。
時計もあの瞬間と同じ。
(一瞬だけ寝ちゃったのかな)
そう思いながら、隠れて携帯電話に手を伸ばす。
机の下で操作する。
後藤にメールでも送ってみよう。
『授業サボって、カラオケ行こうよ』
なんでこんな事送ったんだろ。
だけど、その時は授業なんて聞いてられなかった。
唄いたかった。
バイブレーション。
『ラジオなんだから、ちょっとだけだよ』
そして、ひとみは返事を返す。

『不思議な夢を見たんだ。なんか急に唄いたくなった。』
(私の場所は・・・・・・私が見つけるんだ)
59 名前:作者 投稿日:2001年05月26日(土)17時57分30秒
=fin付け忘れ終了報告=
私の場所は終了しました。
う、読み直すと
市井ちゃん出る前にもう一落ちあってもよかったかも

今、三作目、あいなちを書いてますが
どうやら、旧メンバーが新メンバーを助けるとか
仕事に対する姿勢の変化とか好きみたいです。
娘。はただのアイドルじゃないと思ってます。
『仕事』に対して、本当にシビアな目をした
プロのアーティストだと思ってます。
あとは、つんくの曲次第・・・・・・
60 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月26日(土)21時28分23秒
おもしろかったです。
次回作も期待してます。
61 名前:44 投稿日:2001年05月26日(土)21時52分03秒
よっすぃ〜戻ってこれてよかったよぉ
いち〜ちゃんもでてきたし(w

あいなちにも期待
62 名前:少女愛 投稿日:2001年05月28日(月)08時33分57秒
「安倍さん、安倍さん」
加護が愛くるしい笑顔を振りまいて
お菓子に手を出そうとしていた安倍の元へ
走り寄ってきた。
「見ててくださいねー」
その手にはトランプ。
加護の目は辻を見た。
辻の手にはポッキー。
「1、2、3」
加護はフーっと息を吐くと
トランプを1枚投げる。
すぅっとまるで吸い込まれるように
ポッキーに突き刺さっていた。
「おぉ!」
「あー、ダメだぁ」
驚いてる安倍を後目に苦笑する辻と加護。
「なんでさー、すごいっしょやー。
 なっち驚いたよー。」
「えへへ」
安倍の笑顔を見て
二人の顔もほころんで
笑い出す。
「でも、それを覚えてどうすんのさ?
 マチャアキさんに対抗すんのかい?」
「いいですねー」
「打倒マチャアキ!」
娘。の仕事とは関係ないが
なんか燃えてる二人がかわいくて
安倍は頭を撫でた。
63 名前:少女愛 投稿日:2001年05月28日(月)08時34分32秒
新曲のレコーディングがあって
メンバーは皆スタジオにいた。
昔はヘタで三日とかかかったレコーディング。
今は上手くなったけど、人数は増えたし
つんくが突然ネタ仕込んだりで
結局、同じぐらいかかってしまう。
安倍の隣に加護がいた。
辻はレコーディング中で
後藤はボーーーーーーーっとしてるし
飯田は交信中。
他のメンバーは各々なにかしてて
はしゃぐ空気でもなく
ただ座ってたらしく
うつらうつらとし始めていた。
安倍はそれに気付き、起こしてあげる。
「加護ちゃん、加護ちゃん」
「うぁ・・・・・・」
「寝たら、ダメだよ」
「んぅ・・・・・・」
「寝たら、ノドが閉じちゃうから」
「あぃ・・・・・・」
だけど、しばらくすると
眠りそうになる。
安倍が困ってると
マネージャーが寄ってきて、言う。
「外に行って、新鮮な空気でも吸っておいで。目、覚めるから。
 でも、すぐに帰ってきてね。」
「分かりました。加護ちゃん、ちょっと外行こー」
64 名前:少女愛 投稿日:2001年05月28日(月)08時35分09秒
「・・・・・・」
怯えた表情。
これはトラウマだ。
外といえば、廊下。
という事は何かしゃべれるという事。
しゃべるって事は何か言われる。
言われるとしたら、寝てた事
・・・・・・って事は怒られる・・・・・・
という中澤姐さんが生み出した
恐怖の構図がフラッシュバックしたのだ。
「だいじょぶだよ」
安倍が笑ってくれたので
加護は安心して
後ろについていく。
スタジオの扉を開けると
冷たい空気が吹き込む。
「目、覚めた?」
「はい」
安倍が上を見上げる。
「あぁーあ、北海道だったら手が届きそうなのになぁ」
「キレイですよねー」
「こないだのツアーの時、おもしろかったよね」
「ののちゃんですか?」
「そうそう。星見てたら、突然、アロエヨーグルトって
 叫んで、飛び出していくんだもん。
 戻ってきた時の嬉しそうな顔は
 なっち、忘れらんないっしょ。」
65 名前:少女愛 投稿日:2001年05月28日(月)08時35分44秒
「・・・・・・」
加護は安倍の腕にしがみつく。
「・・・・・・」
安倍は無言で加護の手を握って
頭をちょっと加護の頭に寄せる。
その顔を見て、加護は
彼女がこのモーニング娘。の核である
というつんくの言葉を思い出す。
永遠の少女性。
どんな事があっても、全て
いつしか成長する少女の姿に掻き消されていく。
アイドルとしての最大の武器を
彼女は持っていたのである。
「寒くないかい?」
「安倍さんがいるから」
「うーん、やっぱ入ろう。あんま冷やすと
 歌えなくなるべさ」
「はーい」
教育係の後藤とも違うし
他の先輩メンバーとも違う。
なんか落ち着く。
ふざける時は辻加護のパワーに
負けないぐらいはしゃぐ。
優しくてあったかくて
なつかしい匂い・・・・・・
「安倍さん」
「ん?」
「また一緒にいてください」
「いいよー」
手をつないで廊下を歩く。
マネージャーの声が聞こえた。
「安倍ー、もうすぐねー」
「はいよー」
66 名前:作者 投稿日:2001年05月28日(月)08時37分57秒
=朝アップ=
三作目のあいなちです。
なんか最後はうはーな展開になってます。

四作目宣言したやぐちゅーは雲行きが妖しい・・・・・・
出来ないとかではなくて
暗い・・・・・・
痛いというより、ブラック・・・・・・
67 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月28日(月)20時28分22秒
題名みた時、おいおいと思っちゃいました(w
何かほのぼのしていい感じですね。
楽しみに更新待ってます。
68 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月28日(月)20時46分48秒
いや〜、おもしろいです。
また一段落着いたら、よしごまで
書いてみて下さい!期待してます。
69 名前:作者 投稿日:2001年05月28日(月)22時29分10秒
>67さん
ロリィじゃないですよーーーー!!
加護となっちの少女性にすごい共通点を見つけて
このカップリングにしたのです。
(元ネタはどこかで見たスペースヴィーナスの画像)

>68
よしごまですねー。。。
王道カップリングですが
独自の切り口を編み出したいと思います。

近況
あいなちのラストを練りつつ
やぐちゅーがエロになってる事に気付く日々。
矢口が壊れてる!!!
70 名前:少女愛 投稿日:2001年05月28日(月)22時30分22秒
加護は自分のレコーディングの番が来て、ブースに入る。
ザワっとする。
空気が違うのだ。
要求されるプロとしての自覚。
ここは遊び場じゃない。
思い出すのは、ここにいた時の安倍の目
数少ない娘。のオリジナルメンバーでありながら
ユニットに参加してないない分ブースに入る回数が少ない安倍。
だから、一つ一つのレコーディングの意気込みが違う。
それが目に現れていた。
ずっとメインを張っていて
突然、後藤が出てきても
彼女は唄っていた。
彼女はアーティストなのだ。
まだそこまでの物は加護の背中にはない。
安倍の真剣な表情が
プロである自覚を
触発してくる。
『じゃ、行くで』
ブースの外のつんくも加護の表情が
いつもと違う事に気付く。
(なんや気合い入ってるな)
と、出だしから、音がズレたり
うわづったりしてる。
『加護、ちょっと肩の力抜いてみぃや』
「はい」
上手くなりたい。
そして、安倍と唄いたい。
高い目標が出来た・・・・・・
71 名前:少女愛 投稿日:2001年05月28日(月)22時30分53秒
「ふあぁ・・・・・・」
後藤がストレッチしながら、廊下をブラついていた。
後藤がやると、ブラついているように見えるだけで
実は身体をあっためると同時に
意識を集中させるための
プロのお仕事だったりする。
(あー、トイレ行っておかねば・・・・・・)

 ガチャリ

鏡が見えた。
そこに写っていたのは加護。
その目はちょっと赤かった。
「どうしたー、あいぼーん?」
「あっ」
小さな悲鳴のような声を出して
加護は後藤を見る。
「んー?」
「なんでもないですよー」
「うそだーい。目、赤いぞ。
 私じゃ・・・・ダメ?」
後藤は膝を折って、笑いかける。
加護は神妙そうな顔で袖を引っ張った。
「レコーディング終わったんでしょ?」
「うん」
「じゃ、ジュースでもおごってやるかー」
スタジオのロビー
背もたれのあるソファ
「はいよ」
後藤は買ったジュースを手渡し
加護の隣に座る。
72 名前:少女愛 投稿日:2001年05月28日(月)22時32分24秒
堰を切ったように加護はしゃべりだした。
「あのなー、うち、めっちゃ
 唄上手くなりたいねん」
関西弁。
加護のテンションが上がってる。
静かな落ち付いた顔をしているが
その心の中は燃えていた。
「安倍さんが歌ってるの聞いて
 感動してもうてん。
 同じ娘なのに負けたくない。
 うちも・・・・・・歌いたい」
そう言うと、うつむいてしまった。
白々とした太ももにポタポタと落ちる涙。
「確かになーなっつぁん上手いよ。
 気合い入ってるもん。
 だけど、あいぼん。
 なっつぁんはめっちゃがんばってるんだよ。
 後藤みたいにヘラヘラ生きてないよ、あの人は。」
ヘラヘラ生きて、娘。のメインをやってる後藤のすごさは
この際置いておいて
後藤は加護の肩をポンポンと叩く。
「上手くなりたきゃ、努力!!
 腹筋やって、声出しやって
 ノド大切にして、遅刻しないで
 うんと、あとは・・・・・・」
「がんばる!」
「よし!手だして!!」
加護の小さな手に後藤が重ねる。
「がんばっていきまーーーーっ」
「しょーーーーい!」
えへへと笑顔を見せ
スタジオに戻っていく後藤の
後ろ姿がかっこよかった。
73 名前:作者 投稿日:2001年05月28日(月)22時36分36秒
=休憩=
かっこいいごっちんの巻。
いちごまな甘えまくりのごとーじゃなくて
おねーさんぶってみた後藤先輩にしちゃいました。
ごっちんに負けず頑張るなっちに乾杯。
74 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月28日(月)23時17分15秒
ああ美しき師弟愛〜
実際も、こんなんかな?
75 名前:少女愛 投稿日:2001年05月29日(火)07時57分54秒
レコーディング最終日
ラフミックスに近い物が出来てやっぱり修正が入る。
こういう時は矢口の出番。
「えぇー、それ、はずかしいっすよー
 矢口、お嫁に行けなーーーーーい」
『ほんなら、俺がもらってやるて』
「あははははは、つんくさんの
 お嫁さんかー。いいかも」
などと談笑しながら、
言われた通りに様々なパターンの声色を出していく矢口。
メンバーもスタッフも初日よりかはリラックス。
・・・・・1人を覗いて
辻が心配そうに見てた。
飯田が声をかける。
「加護、大丈夫?」
「え、あ、はい」
「顔青いよ」
いつもは血色のいい顔があんまり晴れてない。
「いえいえ」
「なんかあった?」
「ううん」
それまで目をつぶっていた後藤が
加護の手を掴んで、つぶやく。
「トイレー・・・・・・」
「・・・・・・ごっちん?」
寝ボケてるのか、誰の手を握ってるのかも分かってないみたいだ。
「なんだありゃー」
保田が加護に引っ張られる後藤を見て爆笑していた。
「亜依ちゃん・・・ネガティブでしたね・・・・・・」
石川の一言。
笑いが止まる。
そう、後藤のボケよりも
加護のあの表情は気になる。
何があったのだろう。
76 名前:少女愛 投稿日:2001年05月29日(火)07時58分24秒
「緊張してるでしょ?」
手を洗ってる後藤に言われ
加護は身体を震わせた。
「やっぱー?」
「どうして分かったん?」
「ふふふ、ごっちんはエスパーなのだよ」
水のしたたる指を広げ
ぐにゃぐにゃと動かす。
「エスパー?」
「そう、心を読み取れてしまうのだよ」
「すごいすごい!」
素直に喜んでる加護を見て
一安心の後藤は
加護の肩を掴んだ。
「緊張しないおまじない。目つぶって・・・・・・」
言われた通りに目をつぶる。
後藤の唇が加護の唇をふさぐ・・・・・・
「よし、これでOK・・・・・・」
「えぇ・・・・・・」
「どうよ?」
「うん・・・・・・」
不思議と緊張は取れた。
加護の顔に笑顔が戻る。
77 名前:少女愛 投稿日:2001年05月29日(火)07時59分05秒
スタジオに戻った時には矢口のレコーディングは終了していた。
加護はそのままつんくのところへ向かう。
「おぅ、なんや、加護?」
「あの・・・・・・もう一回歌わせてください!」
頭を下げる。
少し悩むつんく。
マネージャーを見た。
時間はあるらしい。
レコーディング最終日なので
仕事は入ってなかった。
「よし、やってみよっか?」
「ありがとうございます!!」
加護は笑ってブースに入る。
後藤はそれを見て、うんうんとうなづく。
「ごとー、何か知ってるだろー」
メンバーに言われると
ニヘッと極上の笑みを浮かべ
「まぁ、見ててあげなよ」
と、後藤は言う。
こんな事は初めてだ。
加護が歌う事に意欲を燃やしていた。

澄んだ高い声
それは歌声だ。
今までの声じゃない
加護亜依の歌声だった。
トイレから帰ってくる時
後藤が教えてくれた
発声方法。
歌っている加護自身も
とても気持ちよかった・・・・・・
78 名前:作者 投稿日:2001年05月29日(火)08時03分20秒
=加護、涙のレコーディング編終了=
ちょっとあいなちは長くなってしまいました。
でも、悩むあいぼんとか、それを支える後藤とか
君臨する安倍だとか色々書きたいものがあったんで・・・・・・
さて、次からはとうとうなっちが加護に!!

どうも四作目、やぐちゅーじゃない気がする
やぐよしだったり、やぐかごだったり、やぐいしな気がする。
いやいや、あれも立派な愛の表現か(悩)
79 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月29日(火)19時08分49秒
いよいよですか。
そーいえば、ここまでは、あいごまのような気が・・・・
80 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月29日(火)21時02分05秒
あいごま最高ッスよ!!
81 名前:作者 投稿日:2001年05月29日(火)21時41分48秒
確かにあいごまってのも
師弟関係にしてはあまり見ないですね。
でも、ここではあくまで師弟っす。
今晩中にアップしたいと思いますー
82 名前:少女愛 投稿日:2001年05月29日(火)23時26分50秒
帰り
安倍は後ろから走ってくる足音に気付く。
加護が飛びついてきた。
「ど、ど、どうしたんだべさ?」
「今日、お泊まりしてもいいですか?」
「別にいいけど、なっち、これからボイトレだよ?」
「行きたい!!」
さっきの加護を見た安倍は
喜んで連れていく。
タクシーの中で聞いてみる。
「加護ちゃん上手くなったねぇ」
「もっと上手になりたい」
「いい事だー」
「うち、なっちの歌ってるの聞いて
 感動したんよー」
「なっちも加護ちゃんの唄聞いて
 感動したよ。なっちも
 負けちゃいられねぇやって思った」
互いに笑いあう二人。
娘。はみんな仲間であり、ライバル
誰かの声に影響されて
上へ上へと向かう力。
83 名前:少女愛 投稿日:2001年05月29日(火)23時27分22秒
後藤はそのタクシーを後ろから眺め
満足そうにうんうんとうなづく。
「ごっちん」
「おぉ、よしこー」
吉澤が浸ってる後藤に声をかける。
「やるねぇ、教育係」
「へへーん」
「今度は僕が君を教育してあげようか?」
「よしおさん・・・・・・」
なんか腰なんか抱き寄せちゃって
なっちと加護ちゃんのいい雰囲気が
別な意味でのいい雰囲気に殺される。
少しずつ顔が近付いて
肩を抱く力が強くなる。
そして・・・・・・
「うらぁ、ウザイぞぉ、バカップルよしごまぁあああああ!!」
矢口がハピサマばりの蹴りで乱入!!
「やぐっつぁん、邪魔ぁ!お子様はあっち言ってろぉ」
「そうっすよー、愛する二人がせっかく愛の確認をしようとしてるのに・・・・・・」
「ごとぉ、てめぇ、お子様扱いすんなぁ!」
そんな3人に声をかけれない石川
「あ、あの・・・・・・外でそんな・・・・・・」
そんなんばっかりかよ!!!!
84 名前:少女愛 投稿日:2001年05月29日(火)23時28分12秒
で、安倍と加護はというと
レッスンは終わり、
安倍の家にいた。
「お風呂入っておいでー」
「はーい」
料理していた安倍が言うと
加護は返事をして
バスルームへ向かった。
服を脱ぐ音が聞こえる。
ドアの音。
他意はなく、ちょっと開けて、聞いてみる。
「あつくないべか?」
身体が泡で覆われてる。
ちょっと上気した顔。
安倍はドキッとする。
(なに!なんだべ!?)
「んー、OKですよー」
「そか、よかったよかった」
大人びた横顔。
加護の切れ長の目がスッと笑う。
ドアを閉めて、胸の鼓動を確認するように手で押さえる。
あまりの事に腰が抜けたようにその場に座り込む。
(うそぉ、なんで?なんで!!?)
ちょっと顔をあげると、運悪く(?)ちょうど
加護の脱いだ物があった。

 ドキンッ

無意識に脱いだみたいで
ブラジャーが乗っていた。
手を伸ばす。
(中2の時、こんなに胸あったっけ?)
不意にドアが開き、加護が見ていた。
「やぁー、安倍さんなにしてるんですか?」
「あのね、加護ちゃん・・・・・・・・・・・・
 着てた物というか、下着は・・・・・・
 服の下に入れようね・・・・・・」
「あっ」
恥ずかしさからか
顔を真っ赤にして
ドアを閉めた加護。
同じく恥ずかしくて
顔を赤くする安倍。
果たして、どうなる事やら。
85 名前:少女愛 投稿日:2001年05月29日(火)23時29分06秒
加護がハンバーグを口に運ぶその姿を見てる。
「うん、おいしい。さすが、安倍さん」
「安倍さんじゃなくて、なっちでいいよー」
「なっちぃーー」
あどけない笑顔。
安倍は自分の頬が熱くなるのが分かる。
「おわっ」
加護の箸からキャベツが落ちる。
服にシミがつく。
「取れるかなぁ・・・・・・」
タオルでそれを拭う加護。
少し前屈になって
貸してあげた大きめのワンピースの
胸元から覗く胸・・・・・・
(・・・・・・やっぱ大きい)
「あれ、食べないんですか?」
「え、ん?いや、食べるよー。おいしい?」
「うんっ」
安倍は自分の気持ちを押し殺すように
口の中に放り込んでいく。
86 名前:作者 投稿日:2001年05月29日(火)23時33分59秒
=本日、ここまで=
気付いてしまった安倍なつみ。
87 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月30日(水)03時34分49秒
なにに気づいたんだか(w
88 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月30日(水)06時55分46秒
やっぱり少女愛(ボソッ
89 名前:少女愛 投稿日:2001年05月30日(水)07時56分16秒
お風呂の中
湯舟の中に顔半分まで沈む。
(なんでやねん・・・・・・)
ブクブクと泡が浮かび上がる。
(・・・・・・ってなんで関西弁なんだろ)
安倍なつみの脳の中は
今、大混乱である。
八歳下の加護亜依にドキドキしてる。
(うーっ・・・・・・)
しかも、メンバー
でも、考えてみれば
メンバーにはドキッとする事はある。
圭織は写真撮影の時に驚くくらい綺麗な顔になる。
ゆーちゃんは怒ってる時も笑ってる時も素敵だ。
まりっぺはおしゃべりしてる時の声
圭ちゃんは歌にかける姿勢を見せられた時
ごっちんは寝顔やあの笑顔がかわいい
よっすぃーはフとした時のダンディーさ
梨華ちゃんは絵に書いたような女の子らしさ
辻ちゃんは泣きたい時に泣ける純粋な心
加護ちゃんは・・・年令に合わないセクシーさ
(うわぁー)
90 名前:少女愛 投稿日:2001年05月30日(水)07時57分00秒
それにメンバーって事は
みんな芸能人なのだ。
輝いてるに決まってる。
第三者から見れば
心ひかれるに決まってるのだ。
「なっち、携帯鳴ってんで」
ドアから顔を出した加護の手には、自分の携帯。
今、湯舟から出たら、裸を見られる。
下着姿だって風呂上がりだって
何回も見られてるけど
今、見られるのは
死ぬほど恥ずかしい。
「ん、あ、ののちゃんや。出ていい?」
「う、うん」
「ののーーー」
嬉しそうな加護。
安倍は恥ずかしそうに目をふせる。
「そやねん、めっちゃ旨かったでー」
91 名前:少女愛 投稿日:2001年05月30日(水)07時57分34秒
自分の気持ちに気付いたら
この少女はどう思うだろう。
あの年代なら恋愛に興味がないわけではないけど
女同士だし、メンバーだし
ましてや、自分だし・・・・・・
「うんうん。で、なんで、安倍さんの携帯にかけてるのさー」
「加護ちゃん」
「ん?」
「頭洗うから、ドア閉めてほしいんだけど」
「あ、はーい」
声が離れてゆく。
湯舟から上がる。
梨華ちゃんのようにほっそりとしてないし
ごっちんのように胸も大きくないし
よっすぃーのように締まってもいない。
ちょっと恨めしい。
写真集を見て、思い出話でもしようかと思ったけど
やっぱりやめた。
こんな私を加護ちゃんは愛してくれるかな?
92 名前:作者 投稿日:2001年05月30日(水)08時02分35秒
>87
きっと将来自分よりデカくなるであろう胸に・・・・・・

>88
あの12才コンビの場合、どうやってもそっちに流れますか
でも、中2ってもうちょっとこざかしかった気がするなぁ。
93 名前:少女愛 投稿日:2001年05月30日(水)23時26分11秒
お風呂の中
湯舟の中に顔半分まで沈む。
(なんでやねん・・・・・・)
ブクブクと泡が浮かび上がる。
(・・・・・・ってなんで関西弁なんだろ)
安倍なつみの脳の中は
今、大混乱である。
八歳下の加護亜依にドキドキしてる。
(うーっ・・・・・・)
しかも、メンバー
でも、考えてみれば
メンバーにはドキッとする事はある。
圭織は写真撮影の時に驚くくらい綺麗な顔になる。
ゆーちゃんは怒ってる時も笑ってる時も素敵だ。
まりっぺはおしゃべりしてる時の声
圭ちゃんは歌にかける姿勢を見せられた時
ごっちんは寝顔やあの笑顔がかわいい
よっすぃーはフとした時のダンディーさ
梨華ちゃんは絵に書いたような女の子らしさ
辻ちゃんは泣きたい時に泣ける純粋な心
加護ちゃんは・・・年令に合わないセクシーさ
(うわぁー)
それにメンバーって事は
みんな芸能人なのだ。
輝いてるに決まってる。
第三者から見れば
心ひかれるに決まってるのだ。
94 名前:少女愛 投稿日:2001年05月30日(水)23時26分59秒
「なっち、携帯鳴ってんで」
ドアから顔を出した加護の手には、自分の携帯。
今、湯舟から出たら、裸を見られる。
下着姿だって風呂上がりだって
何回も見られてるけど
今、見られるのは
死ぬほど恥ずかしい。
「ん、あ、ののちゃんや。出ていい?」
「う、うん」
「ののーーー」
嬉しそうな加護。
安倍は恥ずかしそうに目をふせる。
「そやねん、めっちゃ旨かったでー」
自分の気持ちに気付いたら
この少女はどう思うだろう。
あの年代なら恋愛に興味がないわけではないけど
女同士だし、メンバーだし
ましてや、自分だし・・・・・・
「うんうん。で、なんで、安倍さんの携帯にかけてるのさー」
「加護ちゃん」
「ん?」
「頭洗うから、ドア閉めてほしいんだけど」
「あ、はーい」
声が離れてゆく。
湯舟から上がる。
梨華ちゃんのようにほっそりとしてないし
ごっちんのように胸も大きくないし
よっすぃーのように締まってもいない。
ちょっと恨めしい。
写真集を見て、思い出話でもしようかと思ったけど
やっぱりやめた。
こんな私を加護ちゃんは愛してくれるかな?
95 名前:作者 投稿日:2001年05月30日(水)23時29分26秒
ハッ!!同じ所アップしてる!!
ガァーーーーーーーン!!
いつ上げたんだっ!?
朝!?
記憶ねェ!!
ちゅーわけで、ミスりました。
>91の後からアップします。
96 名前:少女愛 投稿日:2001年05月30日(水)23時30分01秒
お風呂から上がった安倍は
テレビを見てた加護の隣に座る。
「なっちー」
加護が抱き着いてくる。
「いやぁ、暑いっしょやー」
「んーーーーー」
キスを求める唇
心臓の音が大きくなった。
「ちゅ」
「えへへ」
「加護ちゃんのHー」
「なんでさー」
ふざけて身体を押し付けてくる。
腕に当たる胸。
安倍は身体を硬直させる。
「なっち?」
何か悪い事をしたのかと顔が陰る加護。
そのまま、安倍は加護をソファに押し倒して
唇を奪った。
「うぅん・・・・ふっ・・・・・・」
「はぁ・・・・・・」
97 名前:少女愛 投稿日:2001年05月30日(水)23時30分38秒
目があった。
潤んでた。
「嫌?」
「なっち」
「?」
「わたし、なっちの事、好きやねん」
「加護ちゃん・・・・・・」
「だからな、汚くしないで・・・・・・優しくしてや」
安倍はきつく抱き締める
「な・・・・・・なっち」
「なんだべ?」
「苦しい」
自分よりちっちゃな彼女が出来てしまった。
98 名前:少女愛 投稿日:2001年05月30日(水)23時31分54秒
翌日。
手をつないでスタジオに行く二人。
まるで、姉妹。
「なっちがボーーっとしてるからやで」
「亜依ちゃんがミニモニ見て御飯食べないからでしょー」
と、言うか、走っていた。
どうやら遅刻ギリギリらしい。
その横を誰かが通っていく。
「遅いぞぉー」
「先失礼しますね」
吉澤が矢口を背負って、走っていく。
「あー、リーダーによっすぃー!」
「ずるーい」
「なっち、うちもおぶって!」
「はぁ?無理っしょ!」
「とりあえず走る?」
「そーしよ、待てぇ、やぐっつぁああん、よっすぃーー!!」
少女が二人大きな通りを叫びながら、走ってくのであった。

-fin-
99 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年05月30日(水)23時36分30秒
「矢口」
裕ちゃんの顔がいつになく真剣になる。
誰もいない楽屋。
テーブルを挟んで、向かい。
「あのな」
次の言葉は分かってる。
いつも通り。
「うるさいよ」
私は遮る。
「・・・・・・」
裕ちゃんは黙る。
「気持ち悪い」
そうやって吐き捨てて、
私は楽屋を出ていくんだ。
少し乱暴に叩きつけるように
ドアを閉めるんだ。
いつものように・・・・・・

あははははと笑う。
かわいくて、高らかな子供のような笑い。
18才にしては幼気な風貌。
それは彼女の表の顔。
100 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年05月30日(水)23時37分27秒
ツアーの途中、地方のホテル。
矢口真里はシャワーを浴びていた。
そのうら若き肌は水滴をはじき飛ばす。
栓を閉め、タオルで大雑把に拭くと
それを身体に巻き付ける。
扉を開けると、室内は
そのまま出ても寒くないように
暖められていた。
二つあるベッドを見る。
吉澤ひとみが眠っていた。
裸の肩が見えていた。
矢口はかけてあった布団を剥ぎ取り
吉澤の上に乗る。
長年のスポーツで鍛えられた
白くて美しい裸体。
101 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年05月30日(水)23時38分47秒
「あ・・・・・・」
吉澤は目を覚まし、矢口の顔を見るや否や
その頬を紅くしたのである。
「寝れた?」
「はい・・・・・・」
「失神しちゃったんだよ」
「・・・・・・」
「気持ちよかったんでしょ?」
「はい」
「そう・・・・・・」
矢口は人さし指を吉澤の顔に近付ける。
吉澤はそれを口で受け止め、
舌で丹念に味わう。
「かわいい・・・・・・」
吉澤の額につけられた矢口の唇はそのまま、
吉澤の顔を這う。
鼻、顎、首、項、耳・・・・・・
102 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年05月30日(水)23時39分36秒
「んっ、あ・・・・・・ダメ。」
「好きなクセに」
「ふあぁ・・・・・・」
「ひとみってこんな子だったんだ?」
「はい・・・・・・」
「言ってごらん、どんな子か」
「私は・・・・・・淫乱なアイドル吉澤ひとみです」
「一つだけ違うよ」
矢口は唇をはずし、両手でひとみの顔を押さえると、言い放つ。
「アイドルなんかじゃない・・・・・・
 あんたは只の・・・・・・」

 kiss

103 名前:作者 投稿日:2001年05月30日(水)23時42分40秒
黒矢口でーーす。
他のメンバーとからんでいくんで
やぐちゅーではないように見えますが
逆説的な愛なのでつっこまないでくださいねー。
しかも、言葉&プレイが具体的かつ
一般的ではない事があるかもしれませんので
ご了承ください。
104 名前:名無し読者 投稿日:2001年05月30日(水)23時54分50秒
さわやかな、あいなち小説ありがとう。
と書こうと思ったのに…
すぐ、黒矢口を入れちゃう作者さんの、い。け。ず。(ポッ
105 名前:名無しさん 投稿日:2001年05月31日(木)00時27分42秒
あいなちよかったぁ。二人ともかわいい(はぁと
かごま師弟もごっちんのおねぇぶりが◎(w

あと加護ヲタの勝手なな意見ですが
97は『わたし』⇒『うち』のがよかったかなと…(w

それにしてもいきなりブラックな方向っすね…すごい…
106 名前:作者 投稿日:2001年05月31日(木)01時22分02秒
>104さん
本当は全部書き上げてからアップするのが
俺のやり方なんですけど
あいなちの後、すぐに読んでほしかったんで
あげちゃいました(w

>105さん
はうぁ、そういえば、ここはうちの方が自然だ。
関西人ではなく、むしろなっちと同じ北海道人なので
より自然な北海道弁を目指しました。。
(〜べさも使いますが、〜しょ、〜しょやも出ますよ)

勢いでサイト作りました。
元々ページを持ってたんですが
そこと娘。小説を一緒にするのがいやだったのと
作品にあったデザインが浮かんでしまったので作ったんですが、
ここにアップしてる作品は全て、当初、ここに載せず
そっちだけでやるつもりでした。
97の部分もHPにアップする時には修正しておきますね。

http://tomohiroweb.tripod.co.jp/
107 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月01日(金)09時09分36秒
矢口真里は不思議な子だった。
初めて会った時から
着てくる私服にしてもなににしても。
少しずつ少しずつ距離は縮まっていって
しまいには裕子なんて呼び捨てにされたけど嬉しかった。
あの日、脱退を伝えるまでは・・・・・・
彼女の目から光がなくなる。
辻や加護の泣き声と共に
突き刺さったのは冷たい視線。
彼女を壊したのは、私。
紗耶香を失った後藤はまるで
一週間以上もぬけの殻になっていた。
それより酷いかも知れない。
彼女を好きな私。
私を受け入れない彼女。
受け入れられない事に甘んじる私。
そんな私を困らせて楽しむ彼女。
誰も自分の傷に気付かないで
このまま壊れたかった。
108 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月01日(金)09時10分16秒
リハと本番の間は
かなりの時間が空いている。
メイクを始める前に
シャワーを浴びて
身体にまとわりつく嫌な汗を流そうと
中澤はタオル片手にやってきた。
水の音。
先客がいる。
・・・・・・水の音に混じる吐息
中澤は動じない。
彼女の仕業。
大好きなあの子がまた
いじわるするんだ。
わざと一番奥へ行く。
1つ目の個室
2つ目・・・・・・
3つ目・・・・・・・・・・・・
開いていた。
それもわざと。
降り注ぐシャワーに濡れた幼い肢体。
加護だ。
その向こう。
加護の肩から腰に落ちる腕で
身体を抱き寄せ
薄く色付いた桃色の唇を
奪うのは、矢口真里。
「気持ちよさそうやな」
中澤はわざと声をかける。
絶対的に引かれた境界線。
声に驚いたのか涙目で振り向く加護。
矢口はニヤリと笑う。
「あげないよ」
「いや・・・・・・やぐ・・さん」
矢口の小さな手がむりやり加護の顔を動かす。
一度離れた唇をまたむさぼり食う。中澤は隣の個室に入る。
加護の『中澤さんがいるから』という
甘く切ない吐息まいじりの声が聞こえた。
水の音で掻き消す。
まるでそれに反抗するように
加護の声は大きくなる。
シャワーをいら立ちや色々な物が止めさせたその時、
矢口の声がした。
『イッちゃいなよ』
109 名前:作者 投稿日:2001年06月01日(金)09時18分25秒
どうなる、やぐちゅー!!?
とりあえず一通り書いたんですが
現在推敲中。
と、いいつつ気になって
差し換えにするシーンなんかあったり
まるまんまシーン新しく書いてみたり
よりダメな感じに出来るよう努力してます。
今回は痛いかな・・・・・・

ところで、4月15日、中澤姐さんは1人ずつに
なんて声かけてましたか?
なんぼ探しても、ミュージカルネタに埋もれて
見つからないんですよねぇ・・・・・・
俺が想像してる通りの言葉を
矢口にかけてくれてると、嬉しいなぁ
110 名前:大阪。4月15日。 投稿日:2001年06月01日(金)18時57分31秒
裕ちゃんから、メンバーへの言葉。
なんかもう9人の分がごっちゃになってもて
正確な言い回しまでは思い出せんのやけど。
たしか、矢口のときは

裕「やぐちぃ〜。好きやでぇー?」
矢「ん〜・・・好き!」

矢「矢口はね。中澤裕子に出逢えて、ほんとによかった。
  ありがとう、裕ちゃん」
裕「こちらこそ。また、一緒に遊んでな?」
矢「うんっ」

てな感じやった…と、思います〜。や、オフィシャルにあった
コメント一覧は、いちおう保存してあんねんけども(爆)
当時それ見たとき、全然ちゃうわー!こんなんで全公開とか言うなぁー!!
とか思ったおぼえがあるんで。ここはあえて記憶のみで(w

他のメンバーも、それぞれにいい感じやったね。
後藤とか、子供みたいに泣いててかわいかったし。
関係ないけど、なんで中澤・飯田のカップリングは、こうマイナーなんだべ?
111 名前:105@名無し 投稿日:2001年06月01日(金)19時00分31秒
やぐっさん黒いねぇ…元に戻れるのかねぇ
それにしても当てつけ過ぎやて(w

作者さん更新頑張ってね
112 名前:110 投稿日:2001年06月01日(金)19時20分57秒
肝心の感想、忘れた(爆)

作者さんの書く娘。は、どれもかなりツボっす。
とりあえずは黒矢口の今後がすっげー楽しみですね。
黒でも白でも痛くても・・・そんだけ影響されあうやぐちゅー萌え(ワラ
113 名前:作者 投稿日:2001年06月02日(土)01時16分51秒
>110さん
それはやっぱオリメンバーだからじゃないべか?
どっちも大人の魅力放ってるから
書きづらいっしょや・・・・・・(北海道弁でお送りしました)

>111さん
この矢口ははっきり言って、病気です。
leadの時の矢口も実は結構アレですけど、
プッツンしてますからね、黒矢口・・・・・・
そして、かき回されるメンバー・・・・・・

>110さん感想
いやぁ、嬉しいです。
作品の途中でも構わず感想入れてほしいっすねー。
精神的な物をここのレスだけで保ってる現状。
とりあえず、読者さんが何人いるのか見てみたい(藁
114 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月02日(土)01時36分21秒
恥ずかしそうにうつむく加護
「ちゃんとふくんやで」
「・・・・・・あい」
何かに急き立てられるように
身体を拭き服を着ている。
中澤の目は
そんな加護ではなく
ドアの向こうの人影を見ていた。
「中澤さんさようなら」
その声と同時に、影は姿を現す。
「矢口・・・・・・」
自分を見上げる少女。
「なに?」
感情のない声。
「・・・・・・」
「気持ちよさそうだったでしょ?」
視線もくれない
まるでここには誰もいないようなそぶり。
「加護にまで手だしてるんかいな」
矢口は振り返る。
その顔は下卑た物を見るように笑っていた。
「濡らしてたくせに」
「・・・・・・やっ」
「自分もしてほしかったでしょ?」
下着姿の矢口はゆっくりと歩み寄り
中澤が巻いていたタオルを剥ぎ取る。
動けない。
115 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月02日(土)01時40分10秒
今、手を前に突き出せば
彼女を突き飛ばし、
彼女の小さな身体は倒れるだろう。
だけど、まるで全てを見透かし
本質を捕らえ
身体の中まで見られてるような
矢口の視線に捕われて、出来ない。
唇からチロッと舌が出る。
そのまま胸へと近付く。
瞬間的にギュっと目をつぶり、
身体を強張らせた・・・・・・
「なにやってんの?」
まるで汚い物を見るような目
「バカじゃないの?」
「・・・・・・」
好きだ。
やっぱり、矢口が好きだ。
だけど、私は彼女を裏切った。
彼女はその代償に冷たくするのだ。
「なにされると思ったの?」
今、両腕を伸ばせば
彼女を抱き締められるだろう。
抱き締めたら、離さないだろう。
だけど・・・・・・彼女はそれを許さない。
「・・・・ウザいよ、あんたの視線」
服を着始める矢口。
閉まるドア。
矢口がいなくなった。
閉まる音で、中澤は我に帰る。
空気がザワつく。
唇が震えていた。
だけど・・・・・・彼女じゃなきゃダメなんだ。
116 名前:作者 投稿日:2001年06月02日(土)01時45分40秒
=本日、終了=
内容が固まり次第、順次打ち直してます。
打ち直したデータを入れ替えるよりは
決まってから打つ方が無駄がないですから。

で、なんで4月氓T日ネタを探してたかというと
まぁ、流れ的にもラストシーンなわけですが
期待通りでしたね。
これぐらい言ってもらうと、温度差出るなぁ。。
よきかなよきかな。

BS2の中澤特番でやってたオリメンバー3人の愛の種の動画を見ながら
チャオ!
117 名前:110@新旧リーダー萌 投稿日:2001年06月02日(土)12時59分39秒
矢口、すっげ黒いけど…哀しいです。
すれ違いもぶつかり合いも、痛いですね。
なんとか悪循環から脱け出せますよーに(祈

んで自分的には、新旧リーダーの絡みって、めっちゃ
微笑ましく思えるんやけどなぁ…ダメなんですかね。。
118 名前:作者 投稿日:2001年06月02日(土)22時44分35秒
確かに最近、ちょっと飯田さんかっこいい。
俺がやるなら、やっぱ脱退した後で
ミュージカルの練習中
もしくは、5月27日以降かな。
聞いた話によると、娘。増員とかなんとか。
それであたふたする飯田も書きたいけど
オーディションなりなんなりの情報が
アサヤン時代と違って、入ってこなさそうですよね。
119 名前:105@名無し 投稿日:2001年06月03日(日)01時30分55秒
うぁっ…ふたりとも苦しんどるねぇ
ものすご痛い…
うちにできるのは回復を願うだけ…
120 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)14時14分15秒
美しく彩られた爪。
そこから、伸びる白い指。
ペンを握っていて
手帳には×と書き込んだ。
その×はあの日から続いている。
「ゆーちゃん」
同室の飯田がベッドの縁に座り直して、声をかけてくる。
「なんや?」
「あと3日だね」
「そんな顔しないでや、一生のお別れでもあるまいし」
中澤は手帳をテーブルの上に置いて、お茶を口に含む。
「だってさぁ、カオ寂しいよぉ」
「・・・・・・圭織、そんなん言わんと。
 しっかりせな、あかんよ。
 あんたはリーダーなんやから」
涙は見せまいと下を向いた頭を
ポンポンと叩き、中澤も自分のベッドに座る。
「電気、消してええか?」
「うん」
暗闇。
ベッドの横のランプだけが
淡い光を放っている。
「なぁ、圭織」
「ん?」
「矢口・・・・・・気ぃつけてや」
「・・・・・・」
「紗耶香の時の後藤よりあかんなぁ。
 私、どうしたらええか、わからへんわ」
「ゆーちゃん・・・・・・」
飯田が見ると、中澤はさっと背中を向けた。
きっと泣いてるんだ。
そう思って、飯田はそれ以上何も言わなかった。
121 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)14時14分58秒
移動の新幹線
雑誌を読んでいた中澤の所に辻がやってきた。
「中澤さん、さっき買ったんですけど
 おいしいんですよーーー」
「何味?」
「ヨーグルトですー」
「牛乳は飲めないけどな」
「えへへ」
ニコニコした笑顔。
まるでひまわりのよう。
中澤はそれを矢口にダブらす。
あの子がこんな風に笑ってくれたら
あの子のこんな笑顔は・・・・・・もう見れないのかな
「ん・・・・・・ほんま、うまいな」
「でしょー」
辻は中澤の手を取ると、3個置いていった。
「いっぱい食べてくださいねー」
最近、すごくなついてる。
離れてしまう寂しさからかも知れない。
辻はそのまま矢口の所へ向かう。
隣には吉澤が座っていて、その膝の上に飛び乗る。
矢口はそっぽを向いている。
中澤の表情が少し曇る。
「それでいいの?」
中澤の隣に座ってた保田がMDのイヤフォンをはずしながら、つぶやく。
「なにがや?」
「ゆーちゃん、辛そうだよ」
「圭坊・・・・・・」
「歌いたくてやめるのはいいけど
 やめる前にする事あるんじゃないの?
 今のままじゃ辛過ぎるよ、ゆーちゃんも私達も
 このままじゃ、モーニングは・・・・・・」
「何言うてんねん」
それ以上の言葉は飲み込もうと、MDの音量を上げた。
中澤も雑誌に目を落とそうとしたその時、
保田の落ち着いた声が脳まで響いた。
「このままじゃ・・・・・・終われないよ」

最後の時が近付いていた。
122 名前:作者 投稿日:2001年06月03日(日)14時23分28秒
110さんの新旧リーダーの話から
こんなもの挟み込んでみたり。

もーカタルシスっすね・・・・・・
123 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)22時52分02秒
「今日はなしね」
ホテルのルーム。
照明は極力落ちている。
矢口がつぶやく。
「え?」
床に座ってた石川は顔を上げる。
浅黒い肌に白い下着。
何かを期待してうるんだ目で
矢口を見上げる。
矢口の表情は暗い。
ステージで見せる笑顔でも
凍り付くような冷たい表情でもなく
その顔は沈んでいた。
「私・・・なにかしましたか?」
石川を無視するように
無言で立ち上がり
冷蔵庫に入っていた
ビールに手を伸ばす。
「つぎます・・・・・・」

 カタカタッ

震えた手でつがれるビールは
グラスに当たり、音を立てる。
不意に矢口がグラスをテーブルに置いたせいで
ビールは足にかかる。
「あ・・・・・・」
「舐めて」
「はい・・・・・・」
124 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)22時52分43秒
ピチャピチャという一定感覚の音に
涙声が混じり出す。
「黙れ!」
辛気くさい石川に嫌気が刺して、怒鳴り付ける
「ごめん・・・なさい」
涙はより一層溢れ出す。
矢口はその姿を見ても、何も満たされない。
カーテンを開けた。
眼下に広がる夜景。
石川の手を引っ張り、
そこに押し付けた。
「や・・・・・・やめてくだ・・・さい」
「うるさいっ!」
「ひっく・・・・・・」
「みんなに見てもらいながら、自分でするの!」
「は・・・・・・い・・・・・・」
石川の涙まじりの声を聞いて、少し落ち着いた。
椅子に座り、ビールを口をつける。
窓に映り込んだ石川の痴態。
細い身体が時折ピクッと動く。
シャワー室での出来事を思い出す。
何かを欲しがるような、それでいて
まるで哀れむような目。
石川の少しかん高い喘ぎ声が漏れ出す。
それ以上、何も考えたくなくて
石川の肩を掴み、こちらを向かせ、
形のよい胸をわしづかみにする。
125 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)22時54分15秒
「痛っ・・・・・・」
「・・・・・・」
手の力が弛んだ。
驚いて、石川は矢口の顔を覗き込む。
「・・・・・・やぐっ」
「ごめん・・・・・・今日は寝る」
1人、ベッドに潜り込む矢口。
石川が服を着てる音。
ルームキーを手にした。
たぶん圭ちゃんか、よっすぃーの所に行くんだ。
なにやってんだろ、私
全てがアンチ。
寂しくて、どうしようもない。
そして、あんなに好きだったゆーちゃんの事が憎くて、仕方がない。
黒い感情が心を這う。
ゆーちゃんの顔もまともに見れない。
それよりも、ゆーちゃんとしゃべれない。
口を開いたら、最後、たぶん傷つけちゃう。
我侭になる。
どうしたらいいか分からない。
矢口は大きな声を上げて、泣き出した。
126 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)22時55分49秒
同じ夜。
同じホテル。
違う部屋。
後藤は携帯電話のメモリーを回していた。
同室の辻はどこかに遊びにいっていた。
目的の人を見つけ
ベッドにゴロンと身を預ける。
片手で枕を引き寄せ、抱く。
携帯は耳へ。
『どしたー、ごとー?』
「いちーちゃぁん」
『おっ、なにかお困りかね?』
「やぐっつぁんがね」
『ゆーちゃんだろ?』
「うん・・・・・・」
『ゆーちゃんにベッタリだったからなぁ。
 ゆーちゃんもゆーちゃんでどうしたらいいか
 分からないんだろうなぁ』
「ごとーはどうしたらいいか分からないよ」
『ツアー中だよね?』
「うん」
127 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)22時56分21秒
『プロなんだから、仕事に穴は空けないだろうけど
 いやだなぁ、そんなモーニング。』
「寂しいよぉ、いちーちゃん」
『こらこら、ごとー。私に甘える前に
 お前はお前の仕事があるんじゃないか?』
「えぇー、それが分からないんだよぉ」
『ごとー、あんたのいい所はね
 気持ちをちゃんとぶつけれる事なんだから。
 まぁ、それは悪い所でただの我侭だったりする事も
 あるんだけどな』
「うぅっ、それほめてるの?」
『けなしてる』
「いちーちゃんのいぢわる」
『大阪でしょ、携帯ヤバイんじゃないの?』
「あ、そうだ。うん、ごめんね、なんか・・・・・・」
『いいって事よ。困った時はかーさんだっ。
 って、お前もそろそろ大人になれよ』
「ごとー、まだ子供だもーん」
『フフッ、じゃぁね、ごとー』
「愛してるよ、いちーちゃぁん」
電話を切った後の後藤の目は水を得た魚のように輝いている。
(いちーちゃんパワー充電完了っ!)
128 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)22時57分07秒
リハーサル。
滞る事なく進んでいくように見えた。
MCに入る所で安倍が声を張り上げた。
『すいませーん!』
音楽やライティングが全て止まる。
「どないしてん?」
「どうしたのさ、なっち?」
みんなが集まってくる。
押し黙る安倍。
「なっち、時間もないんやで・・・・・・」
「ゆーちゃんは変だと思わないの!?」
まるで会場全体が揺れるぐらいの大きな声。
目に涙を溜めながら、叫ぶ。
「絶対変だよ、今のモーニング!!
 ただお客さんに歌を聞かせれればいいの!?
 それだけでいいの!!?
 こんなにまとまってなくて
 壊れてるモーニング、見せていいの!?」
安倍の言葉は全員の心を揺さぶる。
プロだからと押さえ込む感情。
このツアーには特に意味がある。
中澤の脱退。
このツアーが終われば
モーニング娘。として、一緒にこうやって
全国を回ることはない。
そういう寂しさを押し殺して
毎日毎日やってくる舞台に立っているのだ。
膿が溢れ出す。
もう、押えれない感情。
矢口を見る安倍。
「笑えてないよ、真里っぺ」
中澤の腕が安倍を引き寄せ、抱き締めた。
「なっち、みんなナーバスになってるんや・・・・・・
 飲み込まれたらあかん。
 ずっと、ずっと・・・・・・
 私等はそうやって来たやんか」
安倍を離すと、中澤はスタッフ全員に言う。
『10分だけ休憩くださいっ』
129 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)22時58分11秒
安倍の肩を抱く保田。
圭織も神妙な顔をしている。
ライトの消えたステージ。
ほとんどの人間が残っていた。
1人、通路に消える矢口。
「中澤さん、私も耐えれません・・・・・・」
吉澤がその強い意思を目に浮かべた。
「矢口さん辛そうなの見て、
 うちどうしたらええか分からんくて、
 矢口さんに笑ってほしくて・・・・・・」
加護は涙を堪えている。
「私の好きなモーニング娘。じゃないです」
辻はすでにポロポロと涙を流している。
「中澤さん、しっかりしてください!
 一番、歳なんですから!!」
石川がなかば絶叫と言った感じで叫んだ。
それにはじかれたように、後藤が走り出した。
瞬く間に通路に消えていく。
「石川」
穏やかな表情の中澤
「はい?」
「一言よけいやで」
「あ・・・・・・」
「でも、なんかすっきりしたわ。
 なにやってんやろ、うち。
 明日までは、うちがモーニングのリーダやん。」
中澤が通路の方向へ歩いていくのを、
みんなはずっと見ていた。
130 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)22時59分10秒
長い長い通路
それはまるで
今まで彼女達が歩いてきた道のようであり
これからの未来のようでもある。
矢口真里は1人で歩いていた。
自分を見る安倍の目。
キッと睨んでいた。
こういう時、安倍は感情を隠さない。
みんな、ボタンをかけ違えているよいう真実を分かっているのだ。
「やぐっつぁん!」
後ろから声がする
「ごっつぁん・・・・・・」
「やぐっつぁんらしくないから
 クールなフリするのやめなよ!」
「なにが?」
「超ダサッ」
矢口は足を止めた。
さっきまで動いていたから
汗が流れ落ちる。
131 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)22時59分48秒
「ゆーちゃんの事、人一倍好きなくせに失うのが怖くて、
 わざと冷たくするんだ!!」
「知った口聞かないでよ・・・・・・」
後藤は矢口の背中を壁に叩き付け、自由を奪う。
「じゃぁなんでみんなとセックスして
 なんであんな事するのさ!?
 みんなが泣くのを見て
 自分の気持ちごまかしてるんでしょ!」
矢口は何も言わない。
「今のやぐっつぁん、痛いよ!
 ごとーも、いちーちゃんがやめた時
 マジ辛かったけど、
 やぐっつぁん、病んでるよ!
 狂ってるよぉ!!」
スタッフの声が聞こえた。
「行くよ、ごっつぁん」
後ろをついてくるすすり泣く声も
通路が終わる頃には止まっていた。
光が溢れる舞台へ・・・・・・・・・・・・
「!?」
132 名前:私の目を見て、嫌いと言って 投稿日:2001年06月03日(日)23時00分26秒
「矢口」
光の中から現れたのは中澤。
早足でその横を通り抜けようとする矢口。
腕を掴む中澤の手。
振り向けない矢口の顔。
振り向かせる中澤の指。
見れなくてうつむく矢口の目。
張り上げる、中澤の声。
「いい加減にしなさい!」
ビクッと震える身体。
「私の最後の舞台なんやから
 モーニングとして
 かっこいい舞台にして
 ちゃんと見送ってほしいんや!
 それをあんたはいつまでもウダウダしおって。
 私の好きな矢口真里はどこ行ったんや!!
 あの元気でいっつも笑ってる真里はどこに行ったんや!」
モーニング娘。リーダーとしての中澤裕子。
私人中澤裕子としての叱咤。
矢口は下唇を噛んで、涙を耐える。
「さ、仕切り直そか」
舞台の上、10人の手が重なった・・・・・・
133 名前:作者 投稿日:2001年06月03日(日)23時04分43秒
書いてて、中澤萌してる俺って一体・・・・・・
やっぱ怒るシーンは似合うのぅ・・・・・・
それにしても、今回はちょっとばかし
一気に上げ過ぎたかな(ワラ
134 名前:105@名無し 投稿日:2001年06月04日(月)01時35分35秒
やっぱゆうちゃんはこうでないと。
みんなの頑張りでなんかいい感じになってきましたなぁ(涙
次が楽しみや♪

ちなみにうちは途中のいちごまに萌えちゃいました(w
135 名前:作者 投稿日:2001年06月04日(月)02時17分33秒
あのいちごまは悩みました。
どう書いても他所のいちごまにそっくり!
あぁ、なんで、甘くなっちゃうんだぁ(叫)
状況から言って、圭ちゃんとかでもよかった気がしますが
とりあえずおねーさんごまが俺の中では定着しつつあります。
136 名前:110@平家ヲタ(ワラ 投稿日:2001年06月04日(月)19時31分24秒
どうやら、光が見えてきたようで…。
やっぱり裕ちゃんが吹っ切らないとねぇ。
澱んだままで、誰もがダメになっちゃいそうだし。。
は〜…しっかしみんなええ子らやな〜。

てか、新旧リーダーの場面、マジ嬉しいっす♪
あの日、声を詰まらせながら「泣かないよぉっ…」って一生懸命に笑おうと
してた圭織と、それを受けとめる裕ちゃんの顔を思い出しました。
137 名前:作者 投稿日:2001年06月05日(火)03時00分24秒
>110さん
平家ヲタだったんすか(驚)
みっちゃん、しばらく小説の中でしか見てへん・・・・
女の子故の確執とかあると想うけど、そこはプロだから。
うちのサイトにもあるけど、そこら辺
一重に和田マネのおかげだと思ってます。

新旧リーダー&圭ちゃんとの絡みはどうも
かっくよくなりがちですね。
きゅんって来るような感じの。
俺自身はそれを書ける自分に敬礼!!
138 名前:作者 投稿日:2001年06月05日(火)22時15分50秒
その後は皆様がお知りのごとく
4月15日の公演を持って
中澤裕子はモーニング娘。を脱退した。
ステージ上の中澤が深々と頭を下げ
ライトは暗くなっていく。
鳴り止まない観客の声
それを背に中澤はバックステージにやってくる。
仲間が待っていた。
「なかざぁさぁーん!」
「うわーーーーーーん」
まっ先に飛び込んでくるチビ二人。
ギュっと抱き締めてやりながら
同じように泣きじゃくってる安倍や保田の頭を撫でる。
少し離れた所。
輪の中には行きづらそうに立っている矢口。
「やぐっつぁん!」
「おわぁ!」
後藤の怪力が腕を引っ張った。
なにすんだよって言おうとして
顔を上げたそこには、中澤がいた。
「矢口・・・・・・」
矢口は暴れない。
瞬間に、その顔は歪む。
そして、溢れ出す涙。
この日まで押さえ込んでた物が全て溢れる。
「ゆーちゃぁーん!」
「やぐち、しっかりしてや」
「ゆーちゃ・・・・・ヒグッ・・・・・・ゆーちゃぁ・・・・・・」
「なんや?」
「私・・の・・・・目をみ・・見て・・・・・・嫌い・・・・・・って言って」
「大好きやで、矢口」
より一層強くなる。
「なんでだよぉ、あんな事したのにぃ。
 なんで嫌いにならないんだよぉ。」
「矢口の事が大好きだからや。」
耐え切れなくて、メンバーみんなが二人を囲うように抱き寄せる。
長い長い通路に響く少女達の泣き声。
彼女達は出合いと別れを重ね
一つずつ成長してゆく。

「酒飲めぇ、酒ぇえええ!!」
「裕子、暴れるんじゃねぇ!!!!」
「中澤さん、一升瓶はダメですよー」
「うるさい!石川は黙っとれ!」
「ごっちーん、俺とちゅーしようぜ、ちゅー!」
「圭ちゃん、よっすぃーがキス魔になってるんだけどぉ」
「よかったじゃないの、私なんか・・・・・・ブツブツ」
「辻ちゃん加護ちゃん、このお菓子おいしいべさ」
「ほんまやー、ほら、ののちゃん」
「おー、オイスィデース」
「こら、辻、一気に10本もポッキー食べないの」
忘れないよ、この日も
今まで歩いてきた道も
そして、これから歩いてゆく新たな道も・・・・・・
「矢口、踊れ!!ジャンケンぴょん!!!」
「おぅよ!辻ー加護ぉ!!」

-fin-
139 名前:作者 投稿日:2001年06月05日(火)22時19分40秒
うげ、ラストのラストでタイトルじゃなくて
作者で書き込んじゃった。ま、いいか。
さてさて、絶好調で進んできましたが
ここいらで一息つこうかと思います。
オリジナルサイトの更新、一ヶ月近くしてないもんで(苦笑)
おもしろいネタ(カップリングのみならず、プレイ、デート場所、設定)
なんかあったら、カキコください。
ヒマ見て、短いのでも書きます。
140 名前:105@名無し 投稿日:2001年06月06日(水)23時52分58秒
クライマックスのやりとりいいっすね(泣
わざと嫌われようとしていたやぐっちゃんに、
それさえも包み込むゆうちゃん…最高ですよぉ。
その後のドンチャン騒ぎもかなりいい味出てますねぇ(w

しばらく読めなくなるのかぁ…
復帰待ってますよぉ(はぁと
141 名前:危険レベル 投稿日:2001年06月12日(火)00時29分50秒
パクッ
この瞬間が一番幸せー
モグモグ・・・・・・
あ、どうも。
よっすぃーこと吉澤ひとみです。
相変わらずうるさいモーニング娘。の楽屋にいます。
テレビ収録が終わって、別な局へ移動する合間に
好物のベーグルなど一つ。
矢口さんが昨日、買い物のついでに
買ってきてくれたんですよ。

 パクッ!

「んぐぅっ!!!」
ビックリですよ。
吉澤、ビックリですよ、ほんと。
だって、ごっちんが、
私が加えてたベーグルの残りの部分を食べるんですもん。
距離にして1cm。
いくら、メンバーとはいえ
これはどきどきだぁ!
「ん、おいしーじゃん。
 やぐっつぁーん、ごとーにも
 ベーグルちょーだぁい」
「そうか、そうか。そんなにうまかったか。
 たーんと食って、肥えろよ。」
「こ、肥えろ・・・・・・」
142 名前:危険レベル 投稿日:2001年06月12日(火)00時30分56秒
安倍さん、目がマジですよ。
ダメですよ、矢口さんにボディプレスしちゃ。
つぶれちゃいますよ。
ごっちん、どさくさまぎれ、通称どさまぎで
安倍さんに回し蹴りはダメだって。
なに?最近、格闘技がいいカンジ?
いや、私は知らないけど・・・・・・
「って、ごっちん、なんで私が食べてるの食べたの!?」
つっこみ遅れ。
危ない危ない。
ごっちんのマイペースに
飲み込まれる所だったよ・・・・・・
「だって、よしことキ・・・・・・キャァーーーーーーー」
顔を真っ赤にして、一人悶えるごっちん。
お遊技してた辻と加護が
引きまくって、固まった。
「後藤さん、大丈夫ですか?
 頭もダメになっちゃったんですか?」
梨華ちゃん、『も』ってなに?『も』って????
「じゃかぁしぃねん、このなめし革がぁあああ!!」
ごっちん、オープンフィンガーグローブはめて
梨華ちゃんをサンドバックにするのやめなよ。
「ウルサァアアアアイ」
ひぃっ!!!
飯田さんの目からビーム!!!
メンバーは皆、ふせる。
143 名前:危険レベル 投稿日:2001年06月12日(火)00時39分58秒
「ド・・ドンド・・・ドンドコ・・・・・ドンドコド・・・・・・ドンドコドン」
その声が聞こえると、私達全員身体の動きを止めた。
いや、止められたのだ。
矢口さんにチビンバの神が降りてきているのである。
「よし、静まったなぁ。ごめんなぁ、よしこ。
 また買ってやるからな」
「は、はい」
モーニング娘。に普通の人はいないんでしょうか?
あ、ポッキーでも食べよ。
吉澤ひとみでした。
144 名前:作者 投稿日:2001年06月12日(火)00時45分32秒
あるみかんさんのチャイルドプラネットを
読む前に授業中にダラダラっと書いたら
2ちゃん娘。小説特有の格闘技ネタとか混じってしまった。
武藤ーーーとか叫ばせるとこだったっす・・・・・・

チャイルドプラネットの影響で
また書き始めてます。
って、休むって言って
一週間しか経ってないじゃん!!(驚)
145 名前:105@名無し 投稿日:2001年06月12日(火)18時18分51秒
お早い復帰で(w
なんか今までとは感じが全く違いますなぁ
なんかめちゃおもしろいで
146 名前:作者 投稿日:2001年06月19日(火)11時22分30秒
とりあえずネタだけ浮かんだので
カキコしておこう。
そして、自分にプレッシャーを・・・(自虐)

アベナツミ MM。−Ab
プロトタイプ、とりあえずは何でも出来るのだが
消費エネルギーが激し過ぎる。

フクダアスカ MM。−Fa
プロトタイプ二号機。戦闘用なのだが、
安全性の面から滅多に武器を使用しないように
設定されている。

イイダカヲリ MM。−ED
VIPボディーガードを想定して、見栄えまで考慮されたモデル。
フクダより武器は少ないものの、通信やセンサーが強化されている。

イシグロアヤ MM。−IA
カヲリのサポートとして、制作。戦闘や追跡の途中でエネルギーが切れたり
故障した時のための修理プログラムなどを搭載。

ナカザワユウコ MM。−Ny
あまりにまとまりのないメンバーを統制するべく
作られた秘書ロボット。
147 名前:作者 投稿日:2001年06月19日(火)11時48分42秒
ゴトウマキ MM。−GTm
最新型汎用ロボット。
衛生を介した光速通信が可能。
行動していない時は自動的に
省電力モードへ移行できる。

イチイサヤカ MM。−II
戦闘用ロボット、スピードと可動範囲、強度を重視して制作。

ヤスダケイ MM。−Yk
学術研究用ロボット、高い演算処理システムを積みながら
危険性の高い実験にも耐えれる設計。

ヨシザワヒトミ MM。−YzH
戦闘用ロボット、サヤカよりは汎用性が高い。
フレキシブルアタッチメントシステムによりパーツの変更が容易。
チタニウムケースに各種武器を搭載してある。

イシカワリカ MM。−IRK
召し使いロボット、各種センサーに秀でているが
故に自分のしゃべりが引かれてるのが分かると
ネガティブになるのが、たまに傷。

ツジノゾミ MM。−Tjn−F
加護と二身一体のツインズで、共通フレームを使用。
ボケ担当。シリーズの中で最も省電力に作られている。
脚部に逃げ足強化システム搭載。

カゴアイ MM。−Kga−F
ツッコミ担当の辻のツインズ。どっちが姉かにはこだわってない。
ただ髪型だけはかぶらないように気を使っている。
腕に炸裂ツッコミエンジン搭載。

ヤグチマリ MM。−YR
愛玩ロボット。人間との触れ合いをテーマに制作。
髪のパーツを自由に変更できるのがウリ。

プロフェッサーT
MM。シリーズの開発者。アベの起動前に死んでおり
墓は彼女達が暮らす屋敷の庭にある。
屋敷は生前は彼の研究所であり
まだ残された研究や、論文などがあると言われているが
MM。シリーズはTに関するデータのほとんどを消去されている。


・・・・ちょっとありきたりっぽいけど
飯田だけじゃなくて、全員ロボットなんていかがでしょう?
A.Iとかぶってるとかなしね。
今朝初めてあの映画の内容を知って愕然としてしまった。
でも、キューブリックのネタとあっては
見たくて仕方がないのであった・・・・・・
148 名前:名無し三村 投稿日:2001年06月19日(火)19時09分04秒
せっかくだから突っ込んでおこう。
ゴトウマキ
>衛生を介した
衛生て看護婦ロボット「リリ」かよ!!
149 名前:作者 投稿日:2001年06月19日(火)20時01分50秒
三村かよ!!(つっこみ返し)
うわ、衛星やんなぁ・・・・・・
痛い所で噛んでもうたわ。
あと、特殊能力、口ぐせなども募集してます。

大学の課題がはやく終わったんで
早速書き出してみようかと思う所であります。
150 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)00時07分08秒
『a state of emergency! a state of emergency! a state of emergency!』
館内に鳴り響く警報。
古めかしい木造の壁からメカが露出し、
幾重もの積層装甲壁が飛び出す。
日曜の早朝の侵入者。
まだ寝ていたものも多い。
一番最初に部屋を飛び出したのは、短髪の少女。
スラッとした短距離選手のような美しい身体。
それに似合わない長刀を片手にたずさえ
廊下を走っていくのだが足音がない。
「ヨシザワァ!!」
彼女は咆哮した。
すぐにその後ろをもう1人
長身の少女が追走する。
彼女は刀の代わりに
大きな金属のケースを手にしている。
短髪の少女の手が壁の一枚に触れる。
「来るよ」
「はい」
触れた彼女の手から波紋上に壁が波打ち、光り輝く。
『MM。-II認識。』
光は次第に幾何学から機械の基盤のような図を描き出す。
プシュゥという音と共に、壁が4方向に消える。
目の前には黒づくめの人間が3人。
突然、壁が開いた事に戸惑う事なく
少女の拳銃を向け
迷いなく発砲する。
「当たらないねぇ」
短髪の少女は笑っていた。
高々と振り上げたのは、左手にしていた刀。
完全に抜かれている。
相手の人間は驚く様子もなく
飛びかかってくる。
151 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)00時07分56秒
まず、1人。
少女は刀を遠慮なく振り下ろす。
肌に触れた瞬間、キィイイイイインという高周波数の音と
青白い火花を巻き散らしながら、
刀はなおも深く切り込んでいく。
一刀両断にする事、ものの一瞬。
まっぷたつになったそれはゴトリと倒れる。
人間ではない。
コードのようなものがバチッと火花を放っていたのだ。
そして、何か黒い液体のような物が床に広がる。
「げ、イシカワに怒られそうだな」
「大丈夫ですよ、リカちゃんはイチイさんの服に飛んだのを気にします」
後ろにいた少女が持っていたケースから
小型のレーザーガンを取り出す。
狙いを定めるでもなく、
スッと持ち上げた腕は
確実に相手を捕らえていた。
そして、残ってた2体の内、1体の眉間を
見事に真っ白な光線が撃ち抜く。
「どっちがやる?」
「じゃんけんしますか?」
152 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)00時08分33秒
「そうだ・・・・・・!!?」
辺りが真っ白な光に包まれて、二人の少女は何が起きたか把握しきれない。
2秒、攻撃がない。
身は安全そうだ。
いや、それよりも、自分達の後ろに行ってしまっている可能性がある。
感覚を尖らせる。
目も慣れてくる。
その途端・・・・・・

  ベキィイイイッ!!

まるで、壁を剥がすような音。
「・・・・・・ゴトー」
「あ、イチーちゃぁんと、ヨッスィーだぁ」
パジャマが左肩からはずれて
第2ボタンまではずれた胸元が見えそうになっている。
その胸元にちらつく茶色い髪。
しかし、その手にはグチャグチャになったさっきの敵。
少女はニヘラと笑うと
二人に飛びつく。
「なんかねぇ、うるさかったから起きてきたら
 いきなりぶつかってね、拳銃向けるから
 頭掴んだら、つぶれちゃった」
「ゴトー・・・・・・」
「なにー?」
「力加減を覚えような?」
「うん」
素直にうなずいて、刀を持ってた少女に頬を寄せる。
絶対に分かってない。
イチイサヤカは、長身の少女ヨシザワヒトミと目をあわせる。
やれやれといった表情。
イチイの胸にいる怪力少女ゴトウマキはただ幸せそうな
笑顔を浮かべていた。
153 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)00時30分16秒
そんな喧騒の中
窓からは太陽の光が射し込む部屋。
愛らしい寝顔
真ん丸で少し赤みがかった頬。
ふくよかな胸が上下する。
眠っていた。
しかし、その身体には何ケ所もセンサーのような物が伸びていた。
「ん・・・・・・」
小さく声を上げ、目を覚まし、
自らセンサーをはずしていく。
古めかしい木のドアについた
ピカピカのドアノブが回る。
現れたのは、タバコをくわえた彼女よりかは
幾分、年上の女。
「起きてたんか、ナッチ」
「うん」
「気分は?」
「大丈夫だよ」
ベッドから起き上がった少女は女にむけて笑いかける。
窓から射す光で逆光になった。
「そっか」
パジャマを脱ぎ始める少女。
その身体の至る所にまるで身体を分割するようなラインがある。
「人工皮膚のデータさえ見つかればどうにかなんねんけどなぁ」
「仕方ないよ、ユウちゃん」
少女は最後にロングスカートのボタンをはめ、顔をあげる。
「私達はロボットだもん」
154 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)00時31分26秒
人工皮膚が存在しないわけではない。
医療用としてきちんと人工生成できるほどに発展した未来。
もちろん、人型ロボットも存在する。
だが、彼女達はそれとは趣が違う。
動作、仕種、感情全てが備わっている。
だから、厳密に言えば、ロボットではなく
アンドロイドなのだが、彼女等を設計した研究者は
アンドロイドという単語を彼女達の知能AIに登録しなかった。
真意は誰も知らない。
だから、彼女達は自らの事をロボットと言う。
少女は希代の天才と言われたプロフェッサーTの最初の作品
MM。-Abアベナツミ。
そして、彼女を愛おしそうに見てる金髪の関西弁の女は
MM。-Nyナカザワユウコ。
プロフェッサーTが生み出した13体の様々な少女ロボットを人は
MM。シリーズと呼ぶ・・・・・・・・・・・・

  グゥ

「お腹空いた・・・・・・」
「ほんまあんたは燃費悪いね」
「だって、エンジンが違うっしょや」
廊下を並んで歩く姿はまるで姉妹のよう・・・・・・
155 名前:作者 投稿日:2001年06月20日(水)01時26分50秒
趣味丸出し。
だけど、これ・・・・新しいかも
156 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月20日(水)15時51分17秒
新しいですね〜。僕は面白いと思いますよ。
先が楽しみです。頑張って下さい。
157 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)23時01分20秒
まるで、中世ヨーロッパの貴族のような
長い長い机。
上座は誰も座らない。
その右から順にナカザワ、アベと並んでいく。
まだ誰も来ていない。
だが、焼き立てのパンがカゴに
ピンクの花と共に置かれていた。
「イシカワァ、腹減ったーー」
ユウコはこの食堂全体に聞こえるぐらい
いや、館の中全体に聴こえそうな大きな声で呼ぶ。
個性的に作りすぎて、統率力のないMM。シリーズを
まとめあげているのは彼女のこの大声のおかげだ。
ユウコは、秘書用としての機能と
MM。シリーズの姐さん的な役目を与えられている。
「すみませーん」
お皿を4つ手にのせて、さらにオレンジジュースの器とコップ2つを手に持って
ペタペタ歩いてくるピンク色のメイドさん。
MM。-IRKイシカワリカ。
言う間でもなく、召し使いロボットであり、
13体が一緒に暮らしてるこの屋敷の管理を
ほぼひとりでやっている。
158 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)23時03分19秒
「アベさんはいっぱい食べてくださいね♪」
(なんでかリカちゃんにいっぱい食べてって言われると
 食べなきゃ動かなくなるの分かってるけど
 食べるのがいやになるべさ・・・・・)
ナツミの目は、リカの身体を見てる。
最初の設計に不埒なメイドと御主人様でも考慮したのか
リカのボディバランスはとてもいい。
それに比べ、ナツミは愛らしい少女を元に作られたため
柔らかさ重視だ。
締まる所がキュキュッとしまってるリカの身体が
ロボットながらうらやましかったりする。
そして、リカのMM。シリーズ最高のセンサー群は
そんなナツミの心を読み透かす・・・・・・
(うぅ・・・・・・アベさんが嫌がってる・・・・・・)
「チャーミーはいけない子なんですぅ」

  ダッ

1人、涙を隠すように走り去るリカ。
「あ・・・・・・」
「ほっときほっとき」
「え、でも・・・・」
「ええねん、イシカワやから」
「そっか」
変な所で納得するナツミ。
何事もなかったように食べるユウコ。
159 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)23時04分56秒
ドアが開き、他のメンバーが流れ込む。
「おはよー」
「朝から大変だったよ」
「ナカザワさん、おはようございます」
さっきのイチイ達だ。
ゴトウは相変わらずイチイと腕を組んでいる。
空いてる席に好きずきに座るといっても
ゴトウがイチイの隣なのは言うまでもない。
リカは何事もなかったように
朝食を運んでくる。
「ゴトーー!!」
「んあ?」
「あんた、今、スリープ入ってたろ?」
「ふあぁー、分かんないよー」
「だぁっ!んなの、AIのログを調べれば分かるだろー」
「面倒」
「省電力ってゴッチンはただ寝てるだけで
 これが本当のスリープモードですね」
ヒトミは笑いながら、そう言う。
ゴトウは寝ボケてて、その言葉の意味を
半分も理解してない。
「本当にこいつが最新型汎用ロボットなのかね?」
イチイが首をかしげると
頬をふくらませるゴトウ。
彼女達には友達や親友、シリーズの仲間よりも
深い関係で結ばれているというプログラムがなされている。
それで、ベタベタなのだ。
160 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)23時06分20秒
次に入って来たのは、背の高い3人。
黒髪のモデルのような綺麗なのが、MM。-EDイイダカヲリ。
ゆるいウェーブパーマに鼻ピアスしているのは、MM。-IAイシグロアヤ。
つり目で無愛想な顔をしてるのが、MM。-Ykヤスダケイ。
中澤の次に年上と設定されているロボット達である。
まぁ、彼女達の能力については今後触れるとしよう。
早速、リカの運んできたクリームスープを飲んでいた時
カヲリの腕がスプーンを持ったまま
ある一定の位置で止まり
目もあらぬ所を見てる。
「カヲリ?」
ケイが気付いて、話しかけるが聞いてない。
「仕方ないな」
アヤはカヲリの耳の裏当たりに触れる
「ひゃぁ!アヤッペなにすんのさ!!」
「あんた、交信してたよ」
「いや、違くてー、あのね、カヲ、宇宙に何個星があるか
 考えてたのー・・・・・・」
「はよ飲まなスープ冷えてまうで」
ユウコに言われ、思い出したように
急いでスープを飲んで
逆に咳き込むカヲリ。
それを見て、アヤッペは大笑いして
ケイは口元に笑みを浮かべる。
161 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)23時08分14秒
そこに最後の団体がやってくる。
さっきのイイダ達とは反対に小さいグループ。
「はいはい、入った入った」
まだ眠たそうに目をこする後ろの二人を引き連れてきたのが
MM。-Faフクダアスカ。
ナツミとほぼ同時に作られたプロトタイプ二号機であり
戦闘用にチューンアップされているが
武器を封印するプログラムがAIに存在する。
そして、その後ろについてきたのが
ツインズロボット、MM。-Tjn-FツジとMM。-Kga-Fカゴである。
普段ならめちゃめちゃハイテンションでそこら中を飛びはねるように歩き
ネタを披露するようなキャラなのだが
めちゃめちゃ寝起きらしく
テンションが低い。
二人は手をつないで、目をこすったり、あくびしたりしてる。
162 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月20日(水)23時09分22秒
最後の1人は、MM。-YRヤグチマリ。
人々に可愛がられるべく生まれた愛玩用ロボット。
そのため、MM。シリーズの中で最も身長が低い。
ヤグチを見た途端に、ユウコは飛びつく。
「やーん、ヤグチー、かわええわぁ」
「うるさいよ、ユウコォ」
「いやぁ、離さへんでぇ」
「離せよ、離せよぉ」
ユウコの胸の中でジタバタするヤグチは可愛い。
「ご飯食べさせろよぉー」
「食べたら、いっぱいしてええんやな?」
「え・・・・・・」
「ええやん、自分、愛玩用って書いてあるやん」
「ヤグチ、おもちゃじゃないもん!!」
「うわぁ、デカい声、ここ押したら、静かになるんかな?ポチっとな」
頭頂部を押されて、またジタバタするヤグチ
「ヤグチ、目覚まし時計でもないもん!!!」
にぎやかな食卓。
こうして、MM。シリーズ13体の朝は始まるのだ。
163 名前:作者 投稿日:2001年06月20日(水)23時12分05秒
朝の光景兼キャラ紹介。
ロボットといえども、大差はなし。
矢口が60センチぐらいっぽい。
・・・・・・か、可愛い
164 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月20日(水)23時39分03秒
愛玩用ロボットヤグチ確かにかわいい〜
・・・1体欲しいな(爆
165 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月21日(木)06時27分13秒
石川がメイドってかなりピッタリ。
なっちが燃費が悪いってのもなんかおもしろいね。
この先どんな話になるのか楽しみ。
166 名前:作者 投稿日:2001年06月21日(木)08時40分40秒
〜勢い雑談アップ〜
今日、某あぷろだに上がってたBSSPの抱いてとサマナイを聴きました。
なんじゃこりゃぁ!!
なっちメインってのをひさしぶりに聴いた・・・・・・
そして、圭坊パート多っ!!
やっぱりいい曲です。
嬉し涙ポロリ(ワラ
167 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月21日(木)21時30分58秒
(資金?)
(えぇ)
(なんや、手の平を返したような扱いやな)
(博士の研究はこれからの社会にとても役に立つであろうという判断です)
(まぁ、それはその通りや)
(我が国の最新の施設も自由にお使いください。
 連絡頂ければ、すぐに使えるようにいたします。)
(んー、まぁ、ええか)

記憶。

 コンコン

ドアを叩く音がする。
ケイは側頭部のプラグを抜き、作業を中断する。
「コーヒー豆買ってきましたぁ」
「ありがとう。飲んでく?」
いつも通りピンク色のメイド服に身を包んだリカが大きくうなづく。
ケイの部屋の一角にある本棚の前のカフェブースには先客がいて
アスカがそこでぶ厚いハードカバーの洋書に目を通していた。
「わぁ、すごいですねぇ。私、こんな英語読めませーん」
「・・・・・・辞書ツールの起動ぐらいできるしょ?」
「え、辞書ですか?お部屋にはありますけどぉ」
明らかに呆れた顔のアスカ。
ケイが豆を挽きながら言う。
「あんた、家事に関するデータだけしか入ってないんじゃないの?」
「一回、アヤッペに見てもらったら?」
「イシカワ、おかしいんですかっ!!?」
泣きそうな顔。
「おかしいっていうか」
「ロボットが他言語解析の一つも出来ないのは・・・・・・」
「うぅ・・・・・・」
「泣くな泣くな」
168 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月21日(木)21時32分35秒
次第にコポコポとドリップする音と共に
コーヒーの香りが部屋に充満する。
アスカが本を閉じ、壁一面に作られた本棚に本を戻す。
「なんで本棚なんてあるんですか?これぐらいのデータなら」
リカは指で自分の頭を示すようにつつく。
「入るじゃないですか」
「バカねぇ」
「イシカワ、バカですか?」
「・・・・・・いちいち、凹むんじゃないわよ」
「はい・・・・・・」
「例え、記憶していたとしても、そこに本があるという事に意味があるのよ。」
コーヒーをカップに注ぐ。
湯気がフワリと立つ。
アスカとリカが座るテーブルにカップが3つ。
ケイは椅子を引き寄せ、座る。
「まぁ、私が本を読むという行為が好きってのもあるんだけどね」
「へぇー」
ロボットになっても、小指を立てる事を忘れないリカ嬢。
「あぁ、そうだ、メイドさん」
ケイが思い出したように立ち上がり、
机の引き出しから封筒を持ってくる。
「これ、今月分ね」
「ありがとうございますー」
MM。シリーズはガソリンのような液体エネルギー源や
バッテリーの類いも使えない事はないのだが
より人間に近付け、社会的行動が出来るようにと
プロフェッサーTは『味覚』を与え
消化プロセスを組み込み
食べる事をそのプログラムに盛り込んだのである。
となると、当然、買い物にいかなければいけない。
お金がかかる。
働かなければいけない。
もともと、仕事に使えるように作られたMM。シリーズなのだから
一度、現場に行けば、プロ顔負けの仕事をする。
そして、そこで得たお金はリカが管理し
仕事のスケジュールをユウコが管理しているのである。
169 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月21日(木)21時33分10秒
「ヤグチさん、ヤグチさん」
「んー?」
そんなみんなの仕事のスケジュールを調整していたユウコの膝の上で
絵本を読んでいたヤグチが顔を上げる。
ニコニコしてるツジ、カゴ。
いつ見てもかわいらしい。
「ヤグチさんの歌を作ったんです」
「おぉ、唄ってみてよ」
ポーズから入る二人
「ちっちゃなちっちゃなヤグチさーん」
「チョコチョコチョコチョコ歩いてーる」
「ちっちゃなちっちゃなヤグチさーん」
「でもでもでもでも怒るとこわーい」
「ヤーグゥチィーさぁーーーん」
「ヤーグゥチィーさぁーーーん」
「身長っ60セーンチ」
「でも、声はおおきー」
「髪の毛が変えれるぅー」
「でも、ハゲてるのは見た事ーーないーーー」
「ヤーグゥチィーさぁーーーん」
終。
「ありがとうございましたー」
「てめぇら・・・・・(怒)」
「ヒィッ!!」
「ヤグチさん、チャイルドプレイより怖い顔れす!!」
「待て、こらぁあああ!」
「カゴちゃんがハゲなんて言うかられす」
「ハゲ入れよう言うたの、ののちゃんやないかー」
歌の通り、チョコチョコ走って
お笑い芸人2匹を追い掛けるヤグチ。
「かわいいなぁ・・・・・・」
ユウコはその後ろ姿を見て、
1人ニヤけるのであった。
170 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月21日(木)21時36分38秒
一転、ここは、空港。
飛行機のタラップをゆっくりと歩いてくる。
どこぞの外国のお偉方。
それを外務大臣が笑いながら、迎えいれる。
その後ろに立っているのが
カヲリとアヤ。
今回の訪問に対し
外務大臣には恐ろしいほどの圧力がかかっており
暗殺予告まで出されており
警察だけでは手に余り
MM。シリーズの中でも武闘派の人間が借り出されたのである。
外務大臣のSPにVIPボディーガード用に作られたカヲリと
技術的なサポートをするアヤのコンビ。
さらに、もし万が一の事態になった時のために
サヤカとヒトミが警備に当たっていた。
イタリア製の仕立てのよいスーツに身を包んだ彼女達を見て
警官達も影で会話の中に出している。
「あれで、本当にロボットなのかよ。」
「それは、本当だ。こないだの訪問の時の未遂事件だって
 うちらじゃ絶対に片づけれなかった。」
171 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月21日(木)21時37分33秒
男の脳裏に浮かぶ光景
それは、先進国蔵相会議での一幕である。
遥か2キロはある場所から光学兵器を使って会議場を狙われたのである。
壁を貫通するレーザー。
カヲリが狙われた人間を突き飛ばす。
肩に見事なまでに穴が開き、黒い煙を上げる。
『カヲリ、レーザーの照準位置を割りだせ!』
すでに会議場を飛び出し、外へ出たサヤカとヒトミがバイクにまたがる。
警察との共同開発で、使用には許可が必要な特殊なものである。
カヲリの側頭部にアヤが抱えているアタッシュケース型コンピューターから出たプラグを接続する。
そのデータからレーザーの照準された距離を割り出し、随時、サヤカ達に送られる。
ちなみに、この通信にはMM。シリーズ専用の衛星WA-7D4aが使用されており
傍受される心配がない。
一斉にかけられる交通検問。
サヤカ達は照準位置に当たるビルにたどりつく。
こうしてる間にどんどん情報は明解になっていく。
部屋。
ヒトミが遠慮なくドアを壊し、中へ押し入ると、そこはもぬけの殻。
172 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月21日(木)21時38分03秒
「ま、当然の結果ね」
「考察だけはやっておきましょうか」
いつも持っている大きなケースからパーツを幾つも取り出し
拳銃と同じサイズのハンドレーザーガンが
遠距離照準のスナイパーレールガンに変型する。
加速装置、照準装置などの処理を終え、
ヒトミは窓から会議場を狙う。
壁の穴が見える。引き金を引けば
間違いなくまたあの中にレーザーを打ち込める。
「ここ、みたいだね」
数時間後には見事に逃げられてしまったものの
犯人の特定には結びつき
その道では名うての暗殺者である事が分かった。
場所の特定、初動までの時間、その全てが生身の人間では
考えれない速さであった。
「なるほどなぁ」
「それに量産されてないってのがいいよなぁ」
「うんうん、個性っていうか、生っぽいっていうか」
と、そんだけ彼女達ががんばってかせいでるにも関わらず

「ハァ・・・・・・」
溜息をつくリカ
目の前の台帳は今月も真っ赤
「あぁ、また赤字。貯金くずさなきゃ・・・・・・」
おかきの袋を抱えたゴトウが
リカのいる台所を覗き込む。
「御飯まだー?」
「まだだよ」
「そっかー、できたら教えて、ゲームしてっからー」
(・・・・ちょっとは働きなさいよ、最新型汎用ロボット)
173 名前:作者 投稿日:2001年06月21日(木)21時41分57秒
リカちゃんの苦悩編(違っ

そろそろマジで本編のネタでも考えてみようかなと
思っております。なんかおもしろい展開とか思い付いたら
どうぞ、カキコんじゃってください。
もしくは、ヤグチの髪型とか。
174 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月22日(金)00時02分25秒

矢口さんの髪型ですが、ここは一発
ダンスマン風アフロなんて……。
175 名前:作者 投稿日:2001年06月22日(金)08時27分14秒
ボ、ボンバーヘッドですか!?
あとで、画像いじってみよ・・・・・・
176 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月22日(金)20時36分13秒
昔の黒髪&外はねに無理矢理して
いやがる矢口を見てみたい・・・
177 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月22日(金)21時35分50秒
1st stage 

壁一面に映し出された映像。
MM。シリーズが住む館。
窓ガラスをはずし、中に入っていくカメラ。
鳴り始めた警報。
次々と行く手を阻む壁が現れる。
「厳重なセキュリティだな」
「えぇ」
次の壁を壊そうとした時に
センサーがその壁の向こうに
何かがいる事を知らせる。
開く壁。
相手に拳銃を突き付ける。
微動だにしない。
「MM。-IIですね」
ショートカットの少女は
刀を高々と振り上げた。
カメラの視点が斬り変わる。
その後ろにあるカメラが、
斬り付けられ、無惨に壊れた前のカメラを映す。
次の瞬間には、そのカメラもまた壊される。
最後の一台が一瞬だけ、後方に立っていた長身の少女を映す。
「後ろのは?」
「MM。ーYzHです」
「すばらしい反応速度だな」
画面が真っ白に覆われる。
フラッシュを焚いて、視覚を狂わせたのである。
一気に二人の間を抜け
前へ進む。

  ドンッ!

ぶつかった。
何に?
カメラから伸びた手は拳銃を向ける。
パジャマ姿の茶髪の女の子。
「こ、これは!?」
「たぶん新機種です」
「最後のMM。シリーズか!!?」
「確認されてる限りは・・・・・・」
カメラを搭載したロボットの頭部を掴む女の子。
映像はそこで途切れた。
「にぎ・・・握りつぶした?」
「たぶん」
「なんて事だ・・・・・・」
「すばらしいロボットを作り上げたな、プロフェッサーT」
暗闇の中でプロジェクターが作り出した光の中で
その笑顔は不気味すぎる。
「だが、彼の研究はこんなものではないはずだろう?」
178 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月22日(金)21時59分00秒
F.C0069
発達、いや、進化した科学によって
星の命すら長らえされた地球。
1人の科学者が量産された女性型ロボットに飽きて
自らロボット制作を始める。
プロフェッサーT。
本名などのデータは国家によりすでに消去されている。
彼はあくまで凡人だ。
天才、と呼ばれるような事はその時まで
何一つしたことがなかった。
そう、彼がなにゆえ
オリジナルの女性型ロボットにこだわったか。
それは・・・・・・
単に女好き、基、アイドルヲタだったから。
彼の部屋を知ってる者は言う。
『それは、科学者の部屋ではなく、ヲタの部屋だった』、と。
今もこの館に残っている。
玄関入って、右に曲がって、真直ぐ行った所の便所の横の部屋
・・・・・・そこが、今だかつて誰も作らなかった
一見、普通の女の子、MM。シリーズを完成させた
プロフェッサーTのプライベートルームである。

  ガチャリ・・・・・・

  ビクゥウウウウウ!!

「イチーちゃん?」
「な、なんだ、ゴトーかぁ」
イチイが刀を抱えたまま、マンガを読んでいた。
ゴトウは酢こんぶを噛みながら、その横に座る。
「イチーちゃんがいないっていったら、ここしかないもんねー」
「だってさぁ、すごいじゃん。どの図書館にもないよ、こんなマンガ」
表紙を見せる。
ドラエもん。
・・・・・・残ってるのかよ
179 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月22日(金)21時59分39秒
「おもしろいの?」
「うん」
「へぇー」
ゴトウも辺りを見回して、何やら引っ張り出す。
そして、めくる。
「うへぇ」
「どした?」
「なんだよぉ、これ」
なんか反応が変なので、イチイも覗き込む。
エロ本。
硬直するイチイ。
「イチーちゃん、顔あかーい」
「ゴ、ゴトーだってあけぇよ!」
「照れるなってー」
その騒がしさを聞き付けて、ナツミが部屋を覗き込んだ。
「どうしたのさー?」
「ナッチー、見て見てーーー」
ゴトウが悪ふざけで思いっきり開いて見せる。

  プシュー!!

どっかから煙が吹き出したナツミ。
「「あ」」

その後、しっかりユウコに怒られた二人は、自分の部屋に戻る途中
あの部屋の事を思い出す。
「でも、あそこってなんなんだろーねー?」
「書庫かな?」
「チョコ?」
「チョコじゃないって。なんでゴトウは食べる事ばっかなんだよ」
「しょこ?」
「そう、書庫」
「あはー、分かんねー」
「最新型汎用ロボットじゃなくて、最新型ポンコツに変えちまえー」
ゴトウの顔が陰る。
3歩進んで、それはすすり泣く声に変わる
「ゴトウ!?」
「ふえーん」
「ど、どうした?あ、ごごごご、、、ごめん!!」
「わかんないよぉーーー」
「わかんない?」
「私はどうして作られたの?」
180 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月22日(金)22時40分29秒
「青春・・・・・・それは、若さ故の過ちと苦悩っ」
「イシカワ、それ、ハンドミキサーのかきまぜる奴・・・・・・」
ギュっと手で握って、遠い彼方を見てるリカにつっこむアヤ。
その横ではツジ、カゴがボールの中に残ったクッキーのタネを舐めてる。
クッキーが焼き上がるまで、あと10分。
181 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月22日(金)22時55分29秒
-過去-

「なんやねん、いきなりロボットなんて?」
「そやなぁー」
プロフェッサーTは空を仰ぐ。
「唯一無二・・・・・・ってとこか?」
「オリジナル?」
「そうや、この世界に1人しかいない、
 その子じゃなきゃいけない。
 そういう大切さってのが
 今のロボットにはないねん。」
182 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月22日(金)22時56分24秒
  パチッ

目を開けるナツミ。
「大丈夫?」
アヤとユウコが顔を覗き込む。
「ん・・・・・・」
「いきなりオーバーフローするとはなー」
「ナッチ、どうしたの?」
「ゴトウがね、エロ本見せつけて
 ナッチ倒れちゃってさぁ」
「そっか・・・・迷惑かけて、ごめんね」
「なに、言うてんねん。あんたがいなけりゃ
 ワシらはおらんねんで。」
ユウコは背を向けたまま、そう言う。
そこへ、トテテテテっと走ってくる影。
「ユウコォーーーー」
「お、どないしてん、ヤグチ?」
「髪がぁー髪がぁああ」
「「ブッ!!」」
ドアから現れたのは、見事なまでのアフロヘア。
60センチの身長に対して、さらに30センチは上乗せだ。
そんなヤグチの首が後ろにガクガク揺れる。
「痛っ!痛いよぉーーーー」
「わぁ」
ヤグチがお仕事で預かった子供。
まだ小さい。
アヤがそっと抱き上げ、揺らしてあげると喜んだ。
「なんでアフロなんかなっとんねん」
「いやぁ、喜んでくれるかなぁーって」
「まぁ、おもろかったけど
 そのもみあげはどうにかならんかったんか?」
「いいじゃんかよー」
そんな二人の問答はさておいて
アヤはナツミに子供の顔を見せる。
「アーー」
「かわいいっ」
ナツミの顔もほころぶ。
MM。シリーズの最初のその人、アベナツミ。
最初の唯一無二のロボット。
アヤはユウコと目を合わせ、その笑顔に安心する。

183 名前:作者 投稿日:2001年06月22日(金)23時00分50秒
出ました、ボンバーヘッド矢口。
うーん、どうしても和みシーン先行だ。
しかも、小ネタ満載だ。

>>176
むしろ、さらに遡って、茶色いスーツ着せちゃいましょうか?
(追加オーディションの写真より。当時の矢口は例え
 似合っていなかったとしてもかっこいいと思った物を
 身につけていたのだが、背伸びしすぎた。)
184 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月23日(土)00時51分35秒

提案したはいいければ、マジで採用されるとは……。
30センチ上乗せボンバーヘッド矢口萌え〜(w
絵で見てみたい!!
185 名前:作者 投稿日:2001年06月23日(土)01時44分29秒
出来る限りのネタは盛り込むのが心情です。
ミニモニの矢口生写真にフォトショップで
アフロにしてみた・・・・・・
それがそーとー似合うのな、こりゃまた。
186 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月27日(水)01時10分10秒
>>185
>ミニモニの矢口生写真にフォトショップで
 アフロにしてみた・・・・・・

……超見てえっ!
187 名前:作者 投稿日:2001年06月27日(水)23時48分58秒
アイコラとかそういうレベルではないんですけどね。

最近:ライブビデオ、ゲット。5回目を見てる最中。
   小説のネタ探し中。ちなみに、これを見た後、
   俺の書いたゆうやぐを読むと、いやぁーんな気分になります。
   ねぇ、なんか梨華ちゃん、カットも多いけど
   やたらロックボーカリストな顔する時ありません!?

http://tomohiroweb.tripod.co.jp/bommari.jpg
188 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月28日(木)00時03分16秒
「さ、お紅茶入れましょうねっ!」
「私、コーヒーがいい」
「え・・・・・・・・・・・・」
思わずアスカの顔を見るリカ。
「こ、このクッキーはコーヒーの方が合うかな?」
「ねぇー、恥ずかしいわーーーってミニスカが恥ずかしいんだってば(ボソリ)」
「・・・・・・」
リスペクトイシカワの異名を取るリカですら返せないネガティブ発言。
オーブンの前に張り付いてるツジとカゴがニヤリと笑った。

クッキー焼き上がりまで、あと5分。
189 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月28日(木)00時17分00秒
ヒトミの部屋。
戦闘用ロボットといえども、そこはMM。シリーズ。
他のメンバーと同じようにほぼ人間と変わらない自我が存在する。
雑誌やらなんやらを読み散らかしてる
・・・・・・のは、マキだ。
「ちょっとー、ゴッチン」
「んあ?」
「散らかし過ぎ」
「あー、片付けるからー」
「うー・・・・・・」
イチイとマキが恋人ならば、ヒトミとマキは双児の姉妹のようなものだ。
マキは頬をふくらましてるヒトミを見て、ニカッと笑うと
瞬間的にベッドに押し倒す。
「ちょ・・・・・・ちょっと!?」
「パワーはヨシコの方が強いでしょ」
「・・・・・・イチイさん、いるじゃん」
「別だよ」
触れる唇。

  ガチャリ

「もーゴッチン、探したべさー。リカちゃんとフクちゃんがクッキーや・・・・・・」
「えーっと、ですね」
「アベさん・・・・・・」

 プシューーーーーーーーーーーーーーッ!!

またしても、煙が吹き出したナツミ。
「「げ」」
190 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月28日(木)00時33分56秒
アフロ矢口かわいいぃ〜!(w
もみ上げが、も、もみ上げが…(笑いすぎにより痙攣中)
191 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月28日(木)00時40分55秒
夕方も過ぎた頃
ナツミはベッドの側に誰かいるのに気付いて、起きる。
「あ、起こしちゃったかね?」
サヤカ。
「そんな事ないっしょ」
「ごめんな、ゴトウが・・・・・・」
「いや、ナッチも突然倒れたりするから・・・・・・
 はぁ、なんでこんなに弱いんだべか?」
白いネグリジェをまとったナツミは憂いを帯びた顔を見せ、俯く。
サヤカはかける言葉を失って、窓の外を見た。
「外、散歩したいなぁ」
「綺麗だよ、緑が青々として・・・・・・」
「ゴミとか入ったら、やばいべさ・・・・・・」
そこに鳴り響く警告。
サヤカの顔が変わる。
『K-86ポイントより侵入』
「チィッ!近くじゃん!!ナッチは動かないで!」
「う、うん」
廊下に出ていくサヤカ。
敵への距離。
ものの壁1、2枚。
(1人?いけるな・・・・・・)
壁に触れる。
光が満ちて、拡散し、敵は姿を現す。
動かない。
「!?」
192 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年06月28日(木)00時41分32秒
『MM。-GTmに異常発生』
「ゴトウ!」
もう一度、目の前の物体を見る。
ダミー。
思いっきりそのツラを蹴飛ばし
突き破られたガラスからサヤカは出る。
跳躍で屋根に上がり視界の精度を上げる。
『ヨシザワ、なにしてんだよ!』
『MM。-YzHに反応なし』
『サヤカ、やられとるで』
ユウコからの通信。
『なにがあった?』
『CPウィルス系の弛緩剤を使われとる。相手はプロの仕事や』
衛星からの情報が来ない。
完全に逃げられている。
逃げきってはいないかも知れないが
衛星のレーダーに反応しないという事は
自分達のレーダーにも映らない。
『クソッ!!』
MM。シリーズ、それは永遠の唯一無二。
MM。シリーズ、それはプロフェッサーTが作り出した宝石。
193 名前:作者 投稿日:2001年06月28日(木)00時47分50秒
話の山が動き出しましたー。。
さらわれたゴトウ!

>名無しさん
気に入ってもらえました?アフロというか、ボンバーな感じで。

シリアスとコメディの温度差を出せる事を目指してみましょう。
194 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月01日(日)21時14分50秒
ケイは即頭部のジャックにプラグをつなぐ。
衛星を介した高速回線が膨大な情報の波の中へ
ケイの意識を放り込む。
探し出すのは、自分達のマスター、プロフェッサーTに関する情報。
T自身によって、MM。シリーズはおろか
国家レベルのデータも消し去られている。
ケイが覚醒してから、20年以上の時が過ぎているが
仕事をこなす以外のほとんどの時間は
データの検索に費やしているのである。
それによって分かった事が幾つかある。
MM。シリーズの制作に関して
途中から国が関与していた事。
また、費用の一部が国から支給されていた事。
それは、国が計画していた膨大なプロジェクトの中の一部であった事・・・・

この館の中というものは、実はまだMM。シリーズ自身も
全てを把握しきれていなかった。
ここは、プロフェッサーTの研究所である。
と、いう事は大掛かりな装置などがあって
当然なのだが、それらのものは一切見つかってないのだ。
覚醒した時は皆、自分達の部屋にいて
そこはすでに覚醒した瞬間に快適な暮らしができるようセッティングされており、
また、覚醒するまでそこはどんな手を使っても侵入できないようになっている。
・・・・・・館の中の扉はすでに開かれている。
だが、まだ秘密は隠されている。
どこにあるのかは、分からない。
しかし、今は見つけなければいけないのだ。
度重なる、侵入。
相手が誰かも分からない。
誰かも分からない相手に手をこまねるなど好きじゃない。
Tの真意がどこにあるのかは謎だが
MM。シリーズは1人1人、特殊な能力を与えられた。
そして、感情と意識を・・・・・・
永遠の唯一無二。
ロボットを超えたロボット。
それこそが、MM。シリーズの存在意義である。
私達は人間の言う事を聞いてるだけのロボットじゃない。
195 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月01日(日)21時33分04秒
庭。
柱にくくりつけられた竹の束。
サヤカは目をつぶり、真剣を握る。
対ロボット用の高周波ブレードではなく
日本刀である。
服装も普段着ているジーンズや、伸縮スーツの類いではなく
さらしに袴である。
開かれた目。
束だけを見つめる。
一瞬で切り落とされ
地面にゴトリと落ちた。
腰に下げた鞘に収まる刀。
「サヤカァーー」
声に気付いて、縁側風の庭への出入り口を見た。
マリが立っている。
「ブッ!!」
めっちゃシリアスな顔をしてたサヤカの顔がほころぶ。
思わず吹き出してしまった。
マリの髪が今度はいつもの金髪から
内ロールの真っ黒なショートになっていて
しかも、背伸びしすぎな茶色いスーツなのだ。
60センチのくせに。
「なんだよそれー」
「ユウコがこれ着れってうっさいんだよー」
「あははは」
マリの隣に座るサヤカ。
沈黙が続く。
「お昼も食べてないでしょ」
「・・・・・・」
「食べなきゃダメだよー」
「大丈夫」
「心配?」
「そりゃぁ・・・・・・」
サヤカの顔が陰っていく。
マリは逆に笑顔になる。
「暗い顔してたら、また怒ってるーってゴトウが泣きだすぞ!!」
「えぇ・・・・・・」
ゴトウの涙にはサヤカはてんで弱い。
脳裏に浮かぶヒックヒックとしゃくり上げる姿。
「今はさ、まだ手がかりないけど
 きっとケイちゃんとかさ、
 リカちゃんが見つけてくれっから」
「お、おぅ!・・・・・ところで、ヨシザワは?」
「目、覚めたよ!!!」
196 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月01日(日)22時48分43秒
「でな、でな!」
「めっちゃおもしろかったんれすよ」
ヒトミのベッドの横でツジ、カゴがひっついてる。
「ほらほら、まだ本調子じゃないんだから 
 向こうで遊んでなさい」
アヤが二人を追い払う。
「うぅー・・・・・・」
「だって・・・・・・」
「私にまかせときな」
そう言って、頭を撫でると、おとなしく部屋を去る。
アヤはそれを見届けると、こ難しい顔をヒトミに見せた。
「なん・・・・・・ですか?」
ただ事ではない雰囲気。
「ゴトウがさらわれたよ」
「え・・・・・・」
「この館自体のセキュリティもだいぶ落ちてる。
 なんとかしなきゃいけないけど
 相手が誰なのかも分からない・・・・・・
 敵は間違いなくあんたと同じ
 戦闘型ロボットなんだ。」
「ゴッチンが・・・・・・」
(今は何を話してもダメか・・・・・・)
あきらめの表情を浮かべ、アヤは道具を仕舞う。
「とりあえず、ウィルス除去プログラムは使ったけど
 伝達系統に不備は出るかもしれないから
 おとなしくしてなさい」
「はい、ありがとうございました」
締まる扉。
ヒトミは顔を天井に向ける。
涙が溢れてきた。
そっとベッドを出る。
振り出す拳。
壁が大きく裂け、機械が露出し、スパークを放つ。
「ゴチッィイイイイイイイイイン!!」
197 名前:作者 投稿日:2001年07月01日(日)22時50分38秒
-本日、ここまで-
交錯する思い。
198 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月04日(水)02時40分39秒

壁を破壊する吉澤……
やはり( `.∀´)←この人とかに叱られるのだろうか(w
199 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月04日(水)21時15分31秒
必殺技とかあるのかな?
矢口のセクシービームとか(w
200 名前:作者 投稿日:2001年07月05日(木)00時51分11秒
でも、ヤグチは愛玩用だしなぁ・・・・・・
201 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月06日(金)22時13分05秒
2nd stage

『んー・・・・・・』
真っ白な部屋
何もない
ヒマすぎる
まぁ、縛られて、身動きも取れないんだから
ここはスリープモードだ。
『おやすみ・・・・・・』
MM。-GTmゴトウマキは
いつも通りマイペースである。
「ね・・・・寝てるのか?」
「たぶん」
「なんて図太い神経店」
驚かされたのは彼女をさらってきた連中の方だ。
「というより、何を考えてるか分かりません」
「MM。シリーズは社会生活を基盤に作られたんじゃなかったのか?
 こんなに無表情でいいのか!!?」
「さぁ・・・・・・」
「でも、内部機構は素晴らしいですよ」
技術者らしき白衣の男達の目が、上手に座る初老の男に向く
男は遮光サングラスの位置を指で直す
「バラせ」
202 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月06日(金)22時13分40秒
幼稚園の中に轟く声
園児の声じゃなくて
この声はヤグチの声だ。
「キャハハハハハハハハハハハ!」
本日はツジ、カゴと一緒に園児のお相手がお仕事である。
「とりゃぁあああ!」
「うわぁあ、やーらーれーたーーー」
男の子の園児と格闘ごっこのヤグチ。
「こらっ、ののちゃんつまみ食いはあかんでぇー」
「あーい」
ツジ、カゴは女の子とおままごと。
「さ、そろそろお片付けしましょうね」
保母さんが言うと、園児は明るい返事。
ヤグチも自分の身長とほぼ変わらない大きさのブロックを片付ける。
「ヤグチさん、持ったるで」
「すまんのぅ」
「ヤグチおばーちゃんになっちゃったのれす」

バスに乗り込んだ子供達が手を振ってる。
3人は手を振り返す/
少しずつ小さくなっていくバス。
「はい、おつかれさまでした」
「はー大変れすね」
「おもろかったわー」
お給料をしっかりもらって帰路につく。
幼稚園を出て、角を曲がったところで
ヤグチは足を止めた。
「ヤグチさん?」
「どうしたんれすか?」
「動かないで」
ツジカゴは真剣なヤグチの顔に身を緊張させる。
203 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月06日(金)22時14分33秒
「ツジ、私を抱えて」
「へ?」
「抱えて」
「へい」
「二人とも、エンジンあっためておきな」
「来たんやな・・・・・・」
「ツジから離れるんじゃないよ」
「ほい」
音は聞こえない
姿が見えない
1000分の1の世界
センサーが風を読む
カゴの両腕の周辺の空気が歪み始める。
『炸裂ツッコミエンジン 発動』
「ナンデヤネン!」

  バシュゥウウウウウウウウ!!

空中に火花が飛び散り、敵は姿を現した。
真っ黒な偏光スーツに身を包んだ戦闘用ロボットである。
ゴトウが狙われたように、自分達を狙ってきたのだろう。
「あかん、ヤグチさん、まだおるで」
「行くよ!ツジ!!!」
「あいっ」
ツジの足から低いモーター音の唸り。
『逃げ足強化システム 発動』
あっという間に煙だけを残して、3人は消えた。
204 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月06日(金)22時16分37秒
  カタンッ

ドアが開く。
ユウコの部屋。
入ってきたのはヒトミ。
サヤカとカヲリ、アヤ、ケイがすでに集まっていた。
「ほな、始めようか」
ユウコの膝にヤグチはいない
部屋の中の空気は非情にピリピリしていた。
「で、ケイ坊、発表してや」
巨大なスクリーンに流れる文章。
「プロフェッサーTに関する情報が少し手に入ったわ。
 MM。シリーズの制作に国が関与してたの。
 サヤカやヨシザワが戦闘用なのもそれが理由よ。」
アヤはタバコに火をつけながら、言う。
「この国の生産力と、Tの技術力を使って、大量生産して
 他の国に売るって計算だね。」
「でも、こうやって何度も襲来するって事は・・・・・・」
マキを奪われたあせりからかヒトミの言葉には動揺のようなものが見え隠れする。
ケイは静かにうなづく。
「国はMM。シリーズのデータを手に入れれなかった。」
「そして、あたし達も自分達の事以外はなにも知らない」
サヤカは、左手の親指で唇を撫でる。
沈黙が訪れる。
(もし、戦闘用じゃなかったら)
そんな疑問が襲いかかる。
戦闘用じゃなかったら。
いや、国がそんな要求をTに出さなかったら
Tは自分を作らなかったのだろうか。
戦闘用だけじゃなく、1人1人に付加能力がついてるのは
きっと国のせいだろう。
だって、彼女達には・・・・・・
205 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月06日(金)22時17分53秒
「フークちゃん」
アスカの部屋のドアを覗き込むナツミ。
机に伏せて、眠ってるアスカ。
「寝てるのかぁ」
少しだけ考えて、そっと中に入ると
アスカに触れる。
やわらかい肌。
自分のに触れてみる。
無理をすれば、ちぎれ、機械が露出するほど
老朽化した人工皮膚。
「私も目覚めるのが、10年遅かったらなぁ」
「・・・・・・ごめんね」
「ん?」
寝言?
アスカは眠ったままだ。
「毛布かけといてあげようかな」
「フクちゃーーーーん、遊ぼうぜーーーーーーー!!」

  ガタァン!!

ドアを蹴り開けて、ヤグチが入ってくる。
「シーーーーーッ」
「あ」
「ん・・・・・・」
「起きちゃったぁ」
「うぉお、ごめんねー、フクちゃぁーん」
「うるさいよ、マリッペェ」
眠たそうな目をこすって、大きく伸びをするアスカ。
部屋の中には、所狭しとレコードやCD、楽器の類が並ぶ。
3人は顔を見合わせ、笑った。
206 名前:作者 投稿日:2001年07月06日(金)22時25分57秒
囚われのゴトウ。
読み返してみたら、時折、呼び名を間違えてたりする
ヤグチとマリの両方を使ってたり。
まぁ、HPに収録する時には直しますです。

さて、今も後ろでは大阪城ライブのビデオがかかってたり
10人祭がかかってたりしますが
将来的には、辻がメインボーカルだったりして・・・・・・
加護の声ってメインっていうより、飯田寄りじゃありません??
207 名前:105@名無し 投稿日:2001年07月06日(金)23時16分09秒
かなり久しぶりに来たらこんな話が!
めっちゃおもしろいです。作者さん何でもいけますねぇ(w
続き期待してますよ〜
208 名前:作者 投稿日:2001年07月09日(月)06時05分13秒
ひさしぶりにHPのアドレスでも入れておくか。
今までの完成した作品はこちらに掲載しております。
あと、途中で載せた限界レベルのもうちょい長いやつも掲載済。
おヒマがなくても、来ていただいて、カキコいただけると
ありがたし。

http://tomohiroweb.tripod.co.jp
209 名前:ndustrial'wave 投稿日:2001年07月14日(土)16時54分26秒
パタパタという呑気な音が部屋全体に響く。
ゴトウがさらわれた事実。
それは分かってるのだが、
自分は戦闘ができるわけじゃない。
ただセンサーと家事しか取り柄のないメイドロボ。
(あぁ・・・・・・ダメ・・・またネガティブだわ)
リカはためいきを一つついて、気合いを入れ直す。
本を一冊取り、丁寧にはたきをかける。
四方を本棚にかこまれた部屋。
誰の物でもない。
きっとケイが書庫として使っているのであろう。
その時、リカの手が止まった。

 キュイィーン

確かにそれは機械音。
センサーにしっかり出ている。
部屋の中央に置かれた木製の大きな机。
その中から聴こえている。
目覚めて16年、ずっとこの部屋を掃除してきたが
こんな音は初めてだ。
机に触れる。
何もない。
引き出し。
椅子を引く。
一番大きな場所に手をかける。
「キャァッ!!」
指の先が青白くスパークし、吹き飛ばされる身体。
もろに壁に激突してしまう。
「な・・・・・・なに?」
210 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月14日(土)16時55分08秒
衝撃を聞き付けたのか、ヒトミが部屋に飛び込んできた。
「リカちゃん!?敵!!?」
「ううん、違うの・・・・・・」
「顔、青いよ」
「あのね、この机からなにか機械の動く音がして」
そう言われ、ヒトミは耳を澄ます。
片方だけ眉があがってる。
「なにも聞こえないよ」
「え?」
「それで、どうして、あんな衝撃が?」
「で、机に触ろうとしたら、スパークが・・・・・・」
いぶかしげな顔のヒトミ。
敵の襲来かと思い、その肩に担いできた無反動レーザーキャノンが重々しい。
「え・・・・・・ちょっと」
リカはあわてて、止めようとする。
そりゃそうだ。
ヒトミはおもむろに机に向けて
キャノンを構えるのだから。
「かっけーしょ?」
「そうじゃなくて」
「リカちゃん、下がってなよ。」

  カチッ

ヒトミの指が引き金を引く。
一本に絞り込まれた高圧縮レーザーは一直線に机に向かっていく。
「え?」
またしても青白いスパークがレーザーを全方向からしとめる。
いや、それはまさしく食う、だ。
レーザーの出力が上がれば上がるほど
逆にスパークも巨大になっていくのである。
スパークはヒトミにも襲いかかる。
MM。シリーズ最高の瞬発力を持ってしても、それを避ける事は適わなかった。
頬の皮膚がスゥッと裂けていく。
「なにかある・・・・・・」
「うん」
二人は他のメンバーの元へと走った。
211 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月14日(土)16時56分20秒
プロフェッサーTは完成した13体のロボットを見ながらつぶやく。
「お前等が目覚ます時には、オレはおれへんかもしらんけど仲良くやるんやで。」
一つのカプセルを撫でる。
ふくよかな身体。
やんわりとつぶったその瞳は純朴な少女を思わせる。
「Innocent sanctuary」
コポッという音と共に水泡がカプセルを浸す水の中を昇っていく。
手元のスイッチを押すと、全てのカプセルのランプが点滅し
開いた天井に吸い込まれて行った・・・・・・

寝かされたままのゴトウの周りを
何本もの輪が光を発しながら回転し、交錯していく。
「スキャン率34%」
「手こづってるな」
身体組織の解析。
文字通りゴトウを丸裸にする作業は進んでいく。
「構造的には他のロボットとなんら変わりはありません」
「そうか」
「やはり、同時にプログラム解析を進めますか?」
答えを考え倦ねる責任者らしき男の元へ通信が開く。
「はい?」
『私だ』
212 名前:作者 投稿日:2001年07月14日(土)16時57分33秒
更新終了
この後の展開をねりながら書いてたら
こんなに遅れていた・・・・・・
213 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月15日(日)00時27分01秒
車は大きな通りを北上していた。
仕事を終え、アヤがハンドルを握っている。
隣の席では、カヲリがスリープモードに入ってる。
「!?」
突然の煙。
視界を奪われるが、アヤは自らのセンサーで他の車との位置を計り出す。
4台前が急停車する。
そして、次の車が止まり切れず、そこにつっこみ
次々と玉突き事故となる。
「カヲリ!」
「なに?」
「救助行くよ」
「・・・・・・うん」
車のドアから飛び出し、前方の車の束を覗く。
うめき声。
サーモグラフィーや、超音波探査などで人の状況などをデータベース化し
優先順位が決まった瞬間、二人は動き出す。

  バキィッ

カヲリの細い腕が屋根を引き剥がす。
血まみれの額。
隣には幼き少女も乗っている。
「大丈夫ですから!」
「うぅっ・・・・・・くぅ・・・・・・」
父親を引きずりだし、背中におぶると
左脇に子供を抱え、最初の負傷者を助け出したその時
『カヲリッ!』
(アヤッペ?)
『これは、敵のしわ・・・・・・ザザッ・・・・・・』
(どうしたの!?)
次の作業に入りながらも、カヲリのセンサーは少なくとも100メートル以内にはいるはずのアヤの姿を探していた。
(アヤッペ!!?)
214 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月15日(日)00時27分47秒
『・・・・・・ぼうが・・・・・・で・・・・・・ぱ』
(妨害電波?)
遠くから救急隊の音。
カヲリはドアを引きちぎる。
雪崩れるように助手席に座ってた女性が出てくる。
「かれ・・・・・・かれがっ!!」
「はい、今助けますから」
『はや・・・・・・みつけ・・・・・・』
逆方向のドアを強引に開けると、
彼女のボーイフレンドらしき男がハンドルを握ったまま
意識を失っていた。
(脈はある・・・・・・助け出さなきゃ・・・・・・でも)

  ピクンッ

カヲリの身体が波打つ。
『Wa-7D4aより、情報。MM。-IAの位置を特定。』
目の前に広がる付近の地図
そして、そこを走る赤い点
アヤはこの現場からすでに数百メートルは移動していた。
やっと来た救急隊員のコンピューターに
事故当初の画像データを渡し、車に乗り込むと
現場の隙間を縫い、一気にアクセルを踏み込む。
(絶対に渡さない!!)
215 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月15日(日)00時28分21秒
館の中にいる全員がそこに集まっていた。
「なんも音せーへんやん」
「リカちゃんのセンサーにはひっかかってるみたいなんです」
と、言って、ヒトミは最小化したレーザーガンを机に向けて、放つ。
さきほどと同じようにレーザーは現れた青白いスパークに飲まれる。
「カゴちゃん、どうなってるんれすか?」
「んー、分からん」
二人で首をひねってるツジカゴをどけて
ケイが身を乗り出す。
「ここは・・・・・・」
「お、ケイ坊なんか分かったか?」
「私のデータベースにはこの部屋は開かない事になってたのに」
「え?」
「イシカワ、どういう事よ!」
ケイに睨まれ、慌てるリカ。
「し、知らないですよぉ。私はずっとこのお部屋は掃除してましたし」
「とりあえず、私はこのスパークがなぜ発生するかを
 突き止めなきゃいけないわね」
防電用にゴム手袋をはめ、ケイは机に近付く。
と、その瞬間、大きく口を開いたスパークが
ケイを丸ごと包む。
216 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月15日(日)00時29分29秒
「キャァアア!!」
「ケイ坊!!」
「ナカザワさん、ダメですっ!!」
ヒトミがユウコを押さえる。
「!?」

  バッ!

みんなの横から飛び出してきたのは、アスカ。
その両手には同じようにスパークが走る。
「とりゃぁっ!」
右手を振ると、そこから放たれたスパークが
机から放たれるスパークを裂き
ケイを解き放つ。
「アスカ・・・・・・」
「稼働率60%低下・・・誰か部屋に寝かせてあげて」
人工皮膚は大きく捲れ上がり
金属部分が露出している。
モーター音もかすかに漏れていて
そのダメージがどれだけ大きかったのかを
物語っていた。
「アスカ、あんた・・・・」
ユウコがポツリとつぶやいた。
「なに?」
「能力・・・・・・」
「え、あぁ」
今まで誰1人として見た事がなかったアスカの戦闘能力。
「分からないけどリミッターがはずれちゃったみたいで」
アスカはそう言うと、机を見た。
「こいつがスパーク出した瞬間、なにか閃いたように
 なったんだよ。そしたら、腕から出てた。」
机に手をかざす。
すると、何もなかったように、机はおとなしい。
217 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月15日(日)00時30分31秒
「ナッチ」
「へ?」
アスカに呼ばれ、ユウコの影から顔を出す。
「私?」
「ここはね、ナッチしか開けれないんだ」
「なんで?」
「だって、プロフェッサーTがそう仕掛けたんだもの」
アスカに促されるまま、机の前に立ち、
引き出しに手をかける。
スパークはない。
手が触れた部分から青い光がやんわりと紋章を作り
反応を始める。
長い年月を遡るように、その反応は徐々に早くなっていく。
「わぁ。」
部屋全体が光に満ちて行く。
『MM。-Ab認識。』
『Open the Heaven's door』
全員の意識が確かになった時、
そこは、すでに広すぎるほどの
研究室であった。
無機質な印象はない。
木をふんだんに使用しており
もう何十年もそこに誰も立ち入っていないとは
とても思えないほど整とんされ、綺麗だった。
218 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月15日(日)00時31分23秒
「遅かったやんかー」
「誰!?」
ヒトミは全員を自分の影に隠し、
レーザーガンを声の主に向ける。
「待っとったで」
その場にいる全員が、それが誰なのか言われなくても
例え今まで一度も会った事がなくても
理解できた。
使い古した白衣。
きちんとプレスされたチノパンに
鮮やかな緑のポロシャツ。
サラサラの金髪に
横長の黄色いレンズのサングラス。
そう、その人はMM。シリーズの生みの親
プロフェッサーTだったのである。
219 名前:作者 投稿日:2001年07月15日(日)00時49分24秒
本日の更新終了。

導かれし娘。が終わっちゃいましたねぇ。
娘。小説4大作品と呼ばれる作品に匹敵するぐらい
うまい作品でしたねぇ。
読者の引き込み方とか勉強になります。
220 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年07月19日(木)21時20分28秒
こちらの小説を「小説紹介スレ@黄板」↓に紹介します。
http://www.ah.wakwak.com/cgi/hilight.cgi?dir=yellow&thp=995445727&ls=25
221 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月20日(金)18時24分04秒
椅子に腰掛けたプロフェッサーTは重々しく口を開く。
「なにから話したらええかな?」
みんなの前にはリカが用意したお茶が並ぶ。
「とりあえず、どうしてここにおるんですか?
 死んだんちゃいますの?」
ユウコは睨むような目でTを見る。
まだ本人とは半信半疑らしい。
「冷凍保存して、なにか起こった時のために眠ってたんや。
 コールドスリープっちゅーやっちゃな。」
「じゃぁ、マスターはなにが起きたか知ってはるんですね?」
「あぁ、知っとる」
おもむろに立ち上がり、背後のモニターに触れる1秒間に何十行と
コンピュータープログラムらしきものが流れて行く。
「よ、読めないれす」
「アイも目が回ってきましたー」
「ケイ坊なら分かったやろ」
Tがケイに向かって、笑った。
静かに頷き、答えるケイ。
「ゴトウの生体パターンですね」
222 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月20日(金)18時24分35秒
「そや。実はな、この屋敷、今までは18%程度しか動かしてないねん。
 上の連中に万が一ここを発見されても悪用されへんようにな。」
そう言いながら、Tはキーボードの前に座り
次々とアルファベットと数字の羅列を打っていく。
それまで、まったく動いてなかった他のコンピューターも光を放ち始める。
「これで衛星の機能もフルに動作する。」
エンターキーを叩く指。
空の遥か彼方、宇宙に浮かぶWa-7d4aはメインコンピューターを起動し
命令された作業を開始する。
「まずは、ゴトウ見つけようや」
「出来るんですかっ!?」
ヒトミは思わず立ち上がる。
「俺はお前等を作ったんやで。」
不敵な笑みを浮かべるTの後ろのモニターには次々と地図が開かれて行く。
そう、ゴトウがいる場所を瞬時に絞り込んでいるのである。
ピンッという警告音と共に、衛星とメインコンピューターが出した
最終報告は建物の中のどの部屋かまで映していた。
223 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月24日(火)23時16分17秒
  ビクッ

サヤカは身体を震わせる。
今まで感じた事ないぐらい強烈な電波。
(誰からの通信?)
『おー、サヤカか』
「だれ?」
思わず声に出して、つぶやく。
『ワイや、Tや』
「え?」
『ゴトウの場所が分かった』
「マジっすか!?」
サヤカの手の中で高周波ソードは唸る。
目の前にはクライアントの重要データを盗もうとしたネットワークラバーの使いロボ。
フロッピーなどに保存されたデータをラバーのクライアントに運ぶところである。
ロボットは逃げるのをやめて、サヤカを壊そうとしていた。
『仕事中やろ』
「すぐ終わります」
『データ送っておくわ』
頭の中に流れ込む地図などのデータ。
ロボットがこっちに向かって走ってくる。
突き出された腕を寸での所で避け、
腕ごとボディも叩き切る。
クライアントとの通信を開く。
『終わったか?』
(終了しました。報酬の方は銀行に)
『データは破壊しておいてくれ』
(了解)
ロボットのボディに隠されたディスクを切り終わると
サヤカはソードを止め、鞘に戻す。
向かうは、只一つ。

224 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年07月24日(火)23時21分09秒
アヤが目を覚ましたのは無機質な空間だった。
何もない。
「おはよう」
「ここは、、、、」
そう言いかけて、とめる。
考えるまでもない。
きっとゴトうもこの建物の中だ。
「君じゃなければいけなかったのだよ」
まるでこちらの考えてる事などお見通しのようだった。
サングラスをかけたその男は、傍に連れ立ってたスーツ姿の若者から
大きな封筒を受け取る。
「そ、、、それって、、、、、」
男はニヤリと笑う。
それはアヤの記憶装置の中に納められていたMM。シリーズのデータ。
「これがあれば、MM。シリーズのコピーなどすぐだ。」
「そんな事ない!」
噛み付くように叫ぶアヤ。
「私達は心を持ってるのよ」
部屋を去ろうとしていたその男は振り向いて、こう言う。
「兵器に心など必要ないのだよ」
225 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月25日(水)16時36分42秒
おもしれー!
226 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月01日(水)19時43分26秒
ナツミはその肌の感触を確かめていた。
ピンと張り詰めた弾力のある若々しい肌。
「思ったより、持たなかったなー・・・・・・」
予想外という感情をもろに声に出して言うのは、プロフェッサーT。
「動いたら、あかんで。まだスキンとの接着剤が乾いてへんからな」
やさしく頭を撫でられ、小さくうなづいた。
その横のベッドには、ケイが横たわっている。
先ほどのスパークで異常は見られないかチェックしているのである。
「どや?」
「大丈夫です・・・・・・マスター、一つお聞きしてもいいですか?」
ケイの突然の質問に、Tは反応が遅れる。
「・・・・なんや?」
「なんで、国家と契約したんですか?」
「資金はあった・・・・いや、あの時代はロボットを作る事なんか
 趣味で出来るようなもんやったんや。
 そやけど、俺はそこで納得できへんかった。
 自分だけのロボットが作りたかったんや。
 別に容姿がどうのちゅー問題やない。
 純粋で女の子らしい・・・・・・人間に近い女の子を作りたかった。」
「でも、アスカやサヤカ、ヒトミは戦闘よ・・・・・・」
227 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月01日(水)19時44分06秒
Tの表情が陰る。
「しゃーなかったんや・・・・・・
 お前達の心を作るためにはここの機械だけでは
 どうしようも出来なかった。
 ただ、あいつらにも必要とされる場所はある。
 戦争の第一線で活躍するだけが
 あいつらが輝ける場所じゃない。
 俺が作ったMM。シリーズはそんなもののために作ったんやないんや」
黙って、座ってたヒトミの目がTを斬る。
「じゃぁ、ゴッチンがさらわれた理由はそれですよね」
「きっと・・・・・・な」
横に置いていたアタッシュケースを手にすると、
スッと背を向け、外に出ようとする。
「あ、ヒトミちゃん・・・・・・」
紅茶のポットを持ったまま、寂し気な、心配そうな表情を浮かべたのは、リカ。
ヒトミは振り返り、笑いかける。
「大丈夫、帰ってくるから。」
228 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月01日(水)19時51分18秒
道路脇のフェンスに腰掛けて、タバコをくゆらせる少女の前に車は止まる。
「速かったね」
「お姫さまが1人捕まってるもんでね」
運転席から顔を出したモデルのような美女を見て、少女は笑いながら、そう言った。
彼女はタバコの味がよく分からなかった。
なにがおいしいのかもよく分からない。
けど、なぜだか、タバコが吸いたくて
100円ライターも買った。
「行く?」
「車で?」
「別に歩いてもいけるよね」
「だろー」
少女の目は目の前の建物をグルリと囲むコンクリートの壁を見る。
「じゃ、降りよ」
「行きますか・・・・・・」
二人は難無くその壁をひとっ飛びで乗り越える。
イチイサヤカ MM。−II
イイダカヲリ MM。−ED
敵地 国際情報技術センター研究開発部前に立つ・・・・・・
229 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月02日(木)11時17分45秒
館の中
眠るナツミの髪の毛を撫でるユウコ。
「あんたはほんまかわいいなぁ
 目なんかキラキラして
 お人形さんみたいやわ・・・・・」
そこにスッと射す一筋の影。
ユウコは顔を上げた。
「プロフェッサー・・・・・・?」
「眠ってるね」
アスカだった。
「あんたも疲れてるんちゃう?」
「大丈夫」
「そか・・・・・・」
アスカはベッドの縁に腰掛けた。
「私は全部知ってたんだ」
「え?」
「あの扉の開け方も、プロフェッサーが生きている事も」
「じゃぁ、なんで黙ってたん?」
「本当に必要な時にしか動かない様プログラムされてたから」
アスカが指を広げる。
その間をスパークが走る。
ジジッという音がして、閃光が走っている。
「戦闘用として作られたけど、その能力を案じたプロフェッサーは
 私の感情が高まった時だけ、力が使えるようにしたんだよ」
「そか、、、、」
「私はこの力を・・・まだどう使ったらわからない」
230 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月02日(木)11時33分51秒
「カヲリ!」
「なにさ?」
「一気に二人で行かない?」
「サヤカのレーダーじゃ頼り無いもんね」
「言われちゃったや」

  バシュゥウウン!!

などとしゃべりながらも、二人のロボットは目の前に現れる戦闘用ロボットを
見るも無惨な姿に変えていく。
「ここから一番近いのはどっちのお姫様だい?」
「ゴッチンだね」
「うちのお姫様か、、、、」
ブレードを振り上げたサヤカの前に飛び出す巨漢。
身体全体をプレートで覆い、その大きな口から煙を吐いてる。
「気をつけて!」
「ぐっ!!」
加速に入ったサヤカが見たのは
まさに今、口から放たれようとしている
荷電粒子砲。
231 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月02日(木)11時40分57秒

  ベキベキィッ!!!

黄色い閃光は壁を引き剥がし、天井を焦がす。
「っ!」
螺旋上に壁などを蹴り上げ、身を翻しながら
サヤカは奴の頭上に舞う。
払うブレード。
身体についてる金属が固く、切る事が出来ない。
「おもしれーじゃん、、、」
サヤカは笑った。
「同時だよ」
カヲリがつぶやく。
「あぁ」
「ヴグゥウウウウウ!」
口の周辺の空気が歪み始めた。
「ッシャァアアアアア!!」
「・・・・・・」
232 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月02日(木)11時41分30秒

  ヴァァアアアア!!

通路を満たす光。
スキンがジリジリと焼ける匂い。
そんな事かまってられない。
サヤカのブレードが、金属の隙間と隙間を縫い、突き刺さる。
奴の目はサヤカを見ている。
「ガァアアッ!!」
「グゥウ!」
振り下ろした腕がサヤカを弾き飛ばし、
壁に叩き付けた。
「ツゥウ!!」
反対側、まったく死界になってた。
身を屈したカヲリが飛び出して
手刀を首にかざした。
勝負あり。
奴の首から大量の粘液が飛び散る。
「サンキュ、、、」
壁から自力で出てきたサヤカはブレードを抜き
粘液を振払う。
「動力とか大丈夫、、?」
「あぁ」
「アヤがいれば、すぐ直るよ」
「ゴトウは、、、近くだよな」
「う、、うん」
「ダラダラしてられねぇや」
損傷部分がないか、軽く身体を動かしてるサヤカの顔には
まだまだ余裕が見られて
カヲリは安心したように笑った。
233 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月02日(木)11時45分08秒
カプセルの中のロボットを見ながら
男はサングラスを直した。
「これが、、、、完成か、、、、」
「はい、完全にMM。シリーズ最新作の機構をトレースいたしました。」
「動作実験は?」
「今、研究室に2匹、ラットが忍び込んでいます」
「そうか、、、、」
「早めに始めましょうか?」
「あぁ、、、、楽しませてくれ」
234 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月03日(金)10時59分31秒
火花が散り、頑丈なドアは開けられた。
「ふぅ・・・・・・」
「この中だよ」
「うっし!」
気合いを入れ直して、ブレード握り直して、いざ突入・・・・・・
真っ暗闇
なにが飛びかかってくるか分からない。
「電気は?」
「付かないわ」
「センサーあるからいいけどね」
暗視フィルターを介せば、どんな暗闇でも見える。
すぐに後藤の姿を見つけ、近寄っていく。
「・・・・・・おい、起きろよ、ゴトウ」
サヤカの手が身体に触れる。

  ヌメッ

なにかヌルヌルしたものが指に付着する。
「?」
235 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月03日(金)11時00分09秒
「サヤカ、ここって・・・・・・」
足下、壁、、、、ゴトウがよりかかる何かの山。
「全部・・・・・・ロボット・・・・・・」
そう、全てが廃棄されたゴミの山。
砕かれ、捨てられたロボット達の残骸。
「じゃぁ、ゴトウも!!?」
何もまとってない身体に耳をつける
エンジンが止まってる
スリープモードじゃない停止してる。
「どうしよう、カヲリ!こいつ止まってるよ!!」
「まず、アヤを助けよう。そしたら、直してくれるよ」
「ゴトウを置いてくの?」
「背負ってたら、動きがにぶるよ」
「まぁ、その前に壊しちゃうけどね」
入り口から二人を覗く影。
その声に聞き覚えがある。
「声紋パターン79% ゴトウ」
「そう、俺はゴトウのクローンだ」
手を振りかざす影。
青い雷が走っていた。
236 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月03日(金)11時05分09秒
館の前の路を女の子が走っていく。
ほうきをかけていたリカの前で転ぶ。
「大丈夫?」
「うぅ、、、、、」
「傷ないよね、、」
「、、ありがと」
泣きそうな顔がくしゃっと笑って
リカも安心する。
また元気に走り出す女の子。
だけど、リカの心は晴れない。
なぜ自分が生まれてきたのか。
なぜMM。シリーズは生まれてきたのか。
プロフェッサーTの言う事は分かる。
だが、それを聞いても、釈然とはしない。
自分達が活躍できる場所がある。
自分達を求めてくれる人がいる。
この世界のどこかに・・・・・・
237 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月03日(金)11時22分21秒
「ヤグチさん・・・・・・」
「ん?」
ヒトミは自分の後ろを走るヤグチの話し掛ける。
そうしないと、押し寄せる何かに心が負けそうだった。
「私、今まで自分が戦闘用である事に自信がありませんでした」
「ちょっと分かる」
「人を傷つける事しか脳がないと思ってました」
「・・・・・・」
「でも・・・・」
行く路を塞ぐ大量の兵器用ロボット。
「ののちゃん止まって!」
「あいあいさーー」
ヒトミ、ヤグチ、カゴを引っ張っていたツジは、能力を停止する。
止まり切れず、足と床の隙間から火花が飛ぶ。
「くらえっ!!」
ヒトミが実装してる中で最強の火力を誇るアームキャノンの銃口を向ける。
「ヤグチさん、まだなんか?」
「んー、もうちょいかな」
ベレー帽のような物をかぶってるヤグチが首をかしげた。
ヤグチのヘッドチェンジシステムを利用した通信機なのである。
衛星から降ってくるプロフェッサーTとの会話もクリアにできる。
センサー類も豊富でリカに負けないぐらいの感度になっている。
ヒトミが敵を片付け、4人はさらに奥へと進む。
238 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月04日(土)11時47分53秒
(ゴトウにそっくりだ・・・・・・)
サヤカはその鋭敏な動きの中で思う。
思考パターンや、足運び、その全てがまるでゴトウのものなのだ。
「サヤカッ!」
カヲリの声が耳に届いた時には遅かった。
ゴトウのクローンは左腕を掴む。
こいつがゴトウのクローンなのだとしたら
この後の攻撃は分かってる。
ただ・・・・分かってても、逃げれないだろう。

  グシャッ

部屋中に痛々しい音が響く。
皮膚が一瞬にして裂け、グチャグチャにされた金属のパイプやコードが飛び出した。
「痛い?」
ゴトウの顔をしたそいつは無表情で聞いてくる。
ゴトウもいつもは無気力で無表情だ。
だけど、こいつにはたまに見せる笑顔すらない。
感情がない。
(そんなのゴトウじゃない)
MM。シリーズは唯一無二のロボット。
感情がある。
239 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月04日(土)11時48分35秒
「せりゃぁあああああああ!!!」
サヤカが持つ超振動ブレードはさらに威力を増す。
クローンの顔はサヤカではなく、背後から来ていたカヲリを見ていた。
「動いちゃダメだよ」
「!!!?」
「サヤ・・・・カ・・・・・・」
サヤカの頭を掴んで、離さないその細い腕。
いつの間にかだった。
ほんの1メートルの距離とはいえ
反応できないはずはないのに
なんの術もなく掴まれた。
屈辱。
これがゴトウの実力だとしたら
俊敏性を重視したサヤカより速いとなる。
(こりゃ一本取られたね)
サヤカは苦笑いする。
240 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月04日(土)11時51分27秒
ゴトウが目を覚まして、部屋から出てきた時
運がよかったのか悪かったのか
ちょうど部屋の前を歩いていた。
『おろ?名前は?』
『ゴトウマキです』
『そこから出てきたって事は目覚めたばっかか』
『はい』
『なんだよー、固くなるなよ。私とゴトウは姉妹みたいなもんだからさ』
初めてゴトウが笑った瞬間だった。
胸が高ぶった。
ずっと一緒にいたかった。

  グッ・・・・・・

クローンの手に力が籠る。
(ゴトウの顔してんだけどなぁ・・・・全然ドキドキしねーや)
241 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月04日(土)12時04分07秒
次の瞬間、手から力が抜けていくのが分かった。
「?」
二人の間から煙が立ち上っていく。
サヤカの目は煙がどこから来たのか追っていく。
クローンの腹に穴が開いていた。
「イチイさん、大丈夫っすか?」
「サヤカァーーーーー」
「おわぁ!!」
顔面にはりついてきたそれを引き剥がすと、ヤグチだった。
隣ではヒトミが微笑んでいる。
「ツージーーー」
「イイラしゃぁーーん」
抱き合ってるカヲリとツジ。
「カヲリ、ダメージはない?」
カヲリは声に気付いて顔を上げた。
そこに立っているのはアヤ。
242 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月04日(土)12時04分42秒
「アヤッペ!」
「先に助けてきたんやでー」
カゴが自慢そうに胸を張る。
頭を撫でてやりながら、深刻な顔でいまだ眠るゴトウに視線を向ける。
「完璧にやられてるの」
「え?」
「ゴッチン!?」
「どうしたんれすかー?」
「眠ってる、、とはちゃうな」
アヤは駆け寄り、センサーを働かせる。
「ダメだ、ツールもないし、中は覗けない」
「アヤッペ、どうにかならないの!?」
切実な表情のサヤカ。
しかし、アヤはうなだれる。
その時、ヤグチのベレー帽から声がする。
『みんな集まってるんか?』
「プロフェッサーだー」
『とりあえず一旦引け。たぶん無事じゃないんやろ』
「ゴトウとサヤカが・・・・・・」
『設備もフルで動かせるようになった。
 はよ帰ってきて修理しよう。』
243 名前:作者 投稿日:2001年08月04日(土)12時07分48秒
ひさしぶりに後書き
長々と細々とやってたこの作品もあとちょっとで終わりです。
めちゃくちゃ実験作品で勢いのみで書いてるので
よーわからん事になってるんですけど
読んでくださった方、ラスト楽しみにしててください
244 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月05日(日)10時17分49秒
リカの手が止まる。
巻き起こる砂吹雪
「キャァ!!」
「速かったなぁ・・・・・・」
横を颯爽と駆け抜けるサヤカを見る。
フッと目を戻した。
ヒトミが笑ってる。
「ただいま」
「お、おかえりなさい!!」

  ギュッ

反射的に、ヒトミを抱き締めていた。
なぜだか分からないけど
込み上げる嬉しさ。
「ヒューヒュー熱いねぇ」
ヤグチが足下からやじを飛ばしていた。
「リ、、リカちゃん、とりあえず仲はいろう」
「はいっ」
245 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月05日(日)10時19分04秒
全員が研究室に集まっていた。
ベッドに横たわるゴトウとサヤカ。
プロフェッサーTはロボットアームを使いながら
サヤカの断裂した神経プラグなどをつないでいく。
「私はいいから、ゴトウを・・・・・・」
「ゴトウはまだ俺がする仕事じゃない。
 一旦、脳内の作業領域をクリアせんと・・・・・・」
「え・・・・クリアするって、記憶は・・・・・・」
「分からん、基本中枢だけやったらまだなんとかなるかもしらんが
 記憶部分まで壊されてたら、上手く取り出して復元するのも
 むずかしいかも知れないんや」
ゴトウに接続されたコンピューターは膨大な量のデータを破損がないか調べていく。
246 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月05日(日)10時20分16秒
「そんな・・・・・・」
他の者がショックを隠しきれない中、サヤカだけは笑っていた。
「いいよ、プロフェッサー。」
「なにがや?」
「ゴトウがここにいてくれたら、私はそれでいい」
「でも、今までのゴトウとは・・・・・・」
「いいや、きっとゴトウはゴトウだよ。
 ズボラで無表情で、かわいいゴトウだよ」
サヤカの目からこぼれる涙。
「痛いよ・・・・・・プロフェッサー・・・・・・
 もっと優しくしてくれよぉ」
「すまん・・・・・・」
247 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月05日(日)10時20分47秒
数日後、サヤカはゴトウの部屋にいた。
「寝ぼすけ」
やはりゴトウはズタズタに壊されていた。
全てのデータを破棄し、保存してあったMM。-GTmの基本データを
インストールしてみたものの再起動されない。
バッテリー関係の問題かと、充電器を差したまま
部屋に放ってみたのである。
安らかな寝顔。
スリープモードじゃないし
モーターも動いてないし
意識もないし
死んでるようなもんだが・・・・・・
248 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月05日(日)10時21分46秒
『a state of emergency! a state of emergency! a state of emergency!』
「またか・・・・・・」
敵の襲来。
また同じ日々がやってくる。
そして、大切な人を守り続ける。
窓の外が光に満ちた。
「アスカだな・・・・・・」
『イチイさん、館内に1人います!』
ヒトミの声
「了解」
立て掛けてたブレードを手にし、部屋を出・・・・・・
その前に、ゴトウに近付く。
「じゃ、、行ってくるぞ」
頬に優しいキス。
「・・・・・・反応しろよ、バカ」

  ゴツン!!

頭を殴ってみる。
閉められたドア。
249 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月05日(日)10時22分25秒
  ピー・・・・・・ヴィイイン

部屋全体が暗くなっていく。
プロフェッサーTによって館内の防備がアップされた。
機構上、今のこの部屋の壁を壊し、侵入するのは不可能である。
しかし、それと同時に眠り姫は目を覚ました。
「ん・・・・・・」
何もまとってない姿。
身体に付いてたプラグをはずす。
しばらく、ボーーーっとしてて
何かを思い出したようにドアに近付く。
部屋のガードが解けていく。

  ガチャ

ドアノブを握り、回す。
「あ、イチーちゃん」
「ゴトウ!?」
250 名前:Industrial'wave 投稿日:2001年08月05日(日)10時23分48秒
『MM。-GTm認識、確保する』
敵ロボットがサヤカからゴトウに目標を変え、突進してくる。
ゴトウの細い腕が頭を掴んで、そのまま握りつぶした。
「イチーちゃん、おはよぉ」
「お、ぉう、おはよ」
「なんかねー大変だったよー」
「?」
「悪の軍団にさらわれて、改造されるの」
「へぇー」
拉致された事を夢だと思ってる少女がここに1人
「仮面ライダーになれるかな?」
「なれるかもよ」
「なったら、嬉しい?」
「嬉しい・・・・・・かな?」
「イチーちゃん、漫画好きだもんね」
「ゴトウ、やってみろよ」
「んー・・・・・・へーーーんしん!」
仮面ライダーの変身ポーズをやってみるが出来ない
「出来なかったー」
「出来なかったな」
「アハ」
ゴトウは極上の笑顔を浮かべた。
サヤカは笑って、ゴトウの肩を抱き寄せると元気よく叫ぶ。
「さ、飯食うぞ!!」
「おーーー、ご飯ご飯!!」

 『end』
251 名前:作者 投稿日:2001年08月05日(日)10時24分52秒
終了。。
あーちゃんとプロットたてればよかったかも。
次回からは短編に邁進します。
252 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月05日(日)17時13分20秒
おもしろかったよ〜
次回作も楽しみにしてます。
253 名前:Like Ocean Dreamer 投稿日:2001年08月11日(土)13時33分18秒
7月・・・・・
テストが終わって、あとは夏休みまでの時間を浪費するだけの期間
今年はよりにもよって、暑い。
成績に関係ない授業なんか聞いてる余裕もなく
矢口真里は机の上に顔を伏せ、ウダウダとしていた。
ポケットの中で震える携帯電話。
ソッと取り出し、隠しながら
メールを確認する。
『今年も来るんでしょー?待ってるからねー(はぁーと)』
それは、あの海からの知らせ。
かわいいかわいいあの娘からのメール。
きっとあの娘は今も白い波間に立ってるんだ。
耳を澄ますと、ザァーッという波の音が聞こえた。
254 名前:Like Ocean Dreamer 投稿日:2001年08月11日(土)13時33分53秒
ホームルームが終わったら
真里は教室から駆け出した。
階段を降り、靴を履き替え
生徒玄関を出る。
深緑色の軽車を見つけると、真直ぐに向かった。
「ごめんね、裕ちゃん」
「ほんま突然だったから、ビックリしたわ」
サングラスの奥から覗く優しい目。
真里の悪友 中澤裕子。
友達と言っても、10歳も離れてるような人なのだが
いい意味でも悪い意味でも姉貴分みたいな人だ。
「この後、学校どうするんや?」
「いいよ、別に」
「サボるんか?」
「行っても、意味ないもん。それより、裕ちゃんと一緒にいたいんだ」
「かわいいなぁ、矢口」
そう言って、裕子は真里を抱き締めた後
車はゆっくりと発進した。
255 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月11日(土)13時35分15秒
HN統一記念で、1作品(笑)
お楽しみに。
256 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月12日(日)12時45分46秒
新作ですよね?
全く先が読めないー。続きを大期待してます。
257 名前:読んでる人 投稿日:2001年08月12日(日)21時39分53秒
矢口が主人公?
激期待♪
258 名前:エロ 投稿日:2001年08月13日(月)00時46分50秒
やっと全部読みました。
「私の場所」(・∀・)イイ!
259 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月13日(月)21時37分49秒
「矢口、ダッシュボードのテープ入れてくれへんか?」
「これ?」
「そう」
ガチャリと必要以上に大きな音がして、
車に備え付けのデッキはテープを飲み込んだ。
液晶画面に表示される再生のマーク。
こんな軽車に似合わない美しい波の音が
裕子が有り金叩いてつけた高いスピーカーから流れ出した。
「やっぱ、ええスピーカーはちゃうね」
真里は、窓の外を見てた。
海岸線を走る道路。
どこまでも、海。
真っ青で、時折、波が白い泡を水上に残す。
照りつけるような太陽が反射して
少し眩しかった。
「あ・・・・・・」
真里の目が車内に戻ったのは
BGMがサザンだって分かったから。
「やっぱ夏の海はサザンやろー」
ニッと笑う裕子。
真里も笑い返す。
「しっかり掴まっておき。飛ばすで!!」
「おぅ!!」
誰もいない海岸線。
開けっぱなしの窓から流れ込んでくる空気は
鼻をくすぐり、しょっぱかった。
260 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月13日(月)21時46分06秒
それは、去年の夏の事。
裕子と行った旅行。
三泊四日であの海へ行った。
そこは、観光で行くような所ではなくて
本当にローカルな人間しかいないような綺麗な浜で
海の家というよりは、サーフショップが一軒あるだけ。
旅行代理店に勤める裕子がサイパンで知り合った
プロサーファーの人(といっても、40のおじさん)が経営してる。
真里達は、そこに居候させてもらったのだ。
サーフショップ『パハラマ』の看板娘、真希と真里はすっかり意気投合し
真里はマリンスポーツのやり方を教えてもらったりした。
261 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月13日(月)22時15分39秒
その時貰ったお古のサーフボード。
1年間、言われた通りに手入れして
たまにおじさんの知り合いのサーフショップに持っていったり
そこで色々教えてもらったりして
真里はずっとこの日を待っていた。
もちろん、忘れる事なく
荷物と一緒に車の後ろに積んでいる。
家を出る時、親と喧嘩した。
もうどうでもいい。
日々の雑踏の中
自分を無駄な時間に押し込める。
意味もなく行く学校。
聞いてないつまらない授業。
手当たり次第に服をつっこんで
バッグをかついだら
サイフと通帳と携帯を掴んで
家を飛び出した。
いいんだ
私は晴れ上がったこの空のように
どこまでも広がるこの海のように
自由に生きてみたいんだ。
262 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月13日(月)22時16分28秒
更新終了。
263 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月14日(火)12時52分46秒
むっちゃおもしろい!
264 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月16日(木)22時30分14秒
-1ー

Dear やぐっつぁん

やぐっつぁんが学校に来なくなって、一週間が過ぎました。
ぽっかりと空いたあなたがいた場所。
空虚な教室の中で、その空間だけが異様で
みんな無意識にそこを意識してる。
金髪でいっぱいピアスしてて
ちっちゃくて、よく笑うあなたの事を
いつの間にかみんな
当然、そこにいるべき人と捕らえてたようです。

学校はいつも通りです。

fromなっち
265 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月16日(木)22時36分01秒
空色の封筒を、白い波立つ海に重ねて
潮風に吹かれながらニヤついてた。
なっちからの手紙。
本当は、なっちと一緒にここに来たかった。
優等生で、自己中というかお嬢様思考のなっち。
だけど、本当はがんばり屋さんで明るい子。
真里は彼女がいるから
これまで学校に入れた。
こっちに来て、携帯の電源はずっと入れてない。
せわしない音がウザい。
一回だけ、なっちにここの住所を教えるためにメールを入れただけだ。
なっちはすぐに手紙を書いてくれた。
丸い字で、きっと授業中に書いたのだろう。
「誰からやー?」
上から覗き込むように裕子が見てくる。
「なっちだよ」
「あの子か」
裕子は、アイスコーヒーにミルクを入れ、ストローでまぜながら
真里の顔を見て、嬉しそうに笑う。
「なんだよぉ」
「なんかええなぁ、こういうの」
266 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月16日(木)22時43分26秒
ザァーっと波が押しては返す。
真里がそれを眺めてると
裕子はバックからノートパソコンを取り出す。
「仕事?」
「そうや。愛する矢口のために仕事を中断して来たんやでー」
裕子の仕事は旅行ライターである。
昔は、世界各国を渡り歩いていたが
今、ハマってるのは、日本の四季を楽しむ事らしい。
「また、どっか行くの?」
「2、3日はゆっくり出来そうやな」
「そか」
遠くからシャァーーーっという自転車の音が聞こえた。
「あ!!」
店の横に自転車を倒し、サンダルで浜をかけてくる女の子。
「真希ちゃぁーーーーん」
「やぐっつぁーーーん!」
抱き合う二人。
背の高い真希が、矢口を抱え、グルグルと回す。
「あ、中澤さんだ」
「やぁーん、真希ちゃん、他人行儀やでー。
 裕ちゃんって呼んでみぃ」
「ゆ、、、、裕ちゃん、、、、」
「かわええ、、、、」
真希をギュッと抱き締める裕子。
しかも、どさくさでキスしようとしてる!!
「なにしてんだよ、バカ裕子ぉ!!」
267 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月16日(木)22時44分13秒
更新終了
268 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月17日(金)17時08分18秒
これはまきまりですか?
269 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月17日(金)20時13分45秒
まきまりだったり、やぐちゅーだったり
なちまりだったり・・・・・・
とりあえず、主人公は矢口です。
270 名前:読んでる人 投稿日:2001年08月23日(木)07時48分54秒
そろそろ続きをお願いします。
271 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月23日(木)11時55分19秒
Dear なっち

やっほー、こっちは目の前が海ばかりで何もないよ。
みんな泳ぐ事、波に乗る事しか考えてないの。
お店を手伝ってるんだ。サーフショップの。
前に話した事あるでしょ、あのおじさんの所。
私もね、サーフィン始めたよ。
まだまだだけど、こないだ波の上で立てた。
今もその時の感覚が残ってる。
どこまでも広がったこの海が
私の物になったみたいで
気持ち良かった。

from まり
272 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月23日(木)12時05分14秒
「ただいま」
「・・・・・・」
台所からの返事はない。
テーブルに用意されたご飯に目もくれず
なつみは2階の自室に上がった。
大好きなバンドのCDを大音量で流して
ベッドに寝転がった。
「ちょっと!ご飯は!?」
階段の下から母親の声。
「いらない!」
「こんな時間まで遊んで!」
「・・・・・・」
無視しよう。
時計を見た。
10時過ぎ。
このまま眠りたい。
けど、制服のままじゃ、明日の朝グシャグシャになってて
アイロンかけなきゃいけないし
とりあえず服だけは変えておこうと
ベッドを降りた。
高校3年。
受験生だ。
大して頭のいい学校ではないが
進学率だけは高い。
どうせ、みんな途中でやめたりするくせに。
273 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月23日(木)12時18分35秒
なつみも同じ。
例え、大学に行っても、その後の事は何も思い付かない。
夢がない。
いや、嘘だ。
大学に行く意味がないだけなのだ。
なつみには夢がある。
けど、それには大学は必要ない。
メロディを口づさむ。
歌手になりたかった。
ずっと昔から。
なのに、親はバンドをする事も許してくれなかった。
死んだ方がまだマシな人生。

ちっちゃい時から優等生がシミついたなつみには
親を裏切って、唄の道に進む勇気がなかった。
274 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月24日(金)16時16分25秒
おもしろすぎる!
275 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月27日(月)21時33分11秒
真里は店先に飾ってた一枚の写真を手に取った。
陽に焼けた女性サーファー。
ショートカットが夏の太陽のせいで色が抜けて
金髪っぽくなってる。
スラッとして見えるけど、地味に幼児体型っぽい。
「これ、誰ですか?」
奥でボードの手入れをしてたおじさんに声をかける。
タオルで顔の汗を拭いながら
おじさんは答えてくれた。
「地元から出たプロの子だよ。
 真里ちゃんの一個下だ。」
「へぇ・・・・・・」
写真を元の場所に戻す。
裕子の車の音がした。
真希を伴って、買い出しに行っていたのだ。
真里は走って、表へ出る。
風が強かった。
「お出迎えありがとーさん」
両手に荷物を抱えた裕子が抱き着いてくる。
穏やかな時間。
少し陽に焼けた気がする。
276 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月27日(月)21時39分21秒
夕飯が終わって、後片付けが終わって
もう太陽は海の彼方に行ってしまった頃
真希が海へ誘い出した。
「行こうよー、やぐっつぁん」
「え?」
真希の片手にはサーフボード。
波に乗りに行こうと行ってるのだ。
「大丈夫!私がいるから!!」
「あー、うん!行く!!」
部屋に戻り、急いでウェットスーツを着る。
真希のお下がりじゃなくて
今年は自分のを作ってもらった。
このために一年間お金を溜めたんだ。
ピッタリサイズのピンクの女の子らしいやつ。
普段の格好はギャルみたいだけど
ウェットスーツは爽やかでかわいいのがよかった。
想像通り。
私はボードを抱えて、浜へ駆け出す。
真希は先に柔軟を初めていた。
海は店が放つオレンジ色の光に照らされて
闇夜の海の深い蒼をより美しく見せた。
「さ、行こうか」
「おぅ」
277 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月27日(月)21時48分05秒
何回見ても、真希が波に乗る瞬間は
彼女が人魚のように見える。
長い髪を一本に束ねて
波間に立ち上がる。
それだけでこの世界で一番綺麗だった。
「やぐっつぁん、おいでよー」
「・・・・・・」
ドキドキする。
夜の海で乗るのは初めてだった。
昼の海で乗ると、青い空もこの海も全てを
制覇する鳥のような気分になれる。
ゆっくりと、真里は波に入っていった。
真っ黒な空。
真っ黒な海。
何も見えない。
何も聞こえない。
唯一、ザァッと雫の弾ける音。
無重力の中みたい。
他の感覚が遮断されて
自分の居場所が分からなくなる。
波が終わる。
海に戻ってく。
「やぐ・・・・・・どうしたの?」
真希の声がして初めて気付く。
真里は泣いていた。
とめどなく涙が溢れだした。
「店、戻る?」
「ううん・・・・・・」
裕子にこの顔を見られたくなかった。
浜に戻ってもたぶん、
『どうやーー調子はーーー』
とかってビール片手に来るだろう。
「真希ちゃん、、、」
「ん?」
「波に乗って、寂しくなった事ってある?」
「あるよー。そのままどっかへ行きたくなっちゃう瞬間がさ」
無意識だったかも知れない。
真希に抱き着いてた。
その胸で声を出して、泣いた。
「私がどこにいるのか分からなくなっちゃったよ」
不思議。
大好きなサーフィンなのに
今日は悲しい。
278 名前:作者 投稿日:2001年08月27日(月)22時25分08秒
-一休み-
といいつつ、今日上げるか分からないや。
ではでは、梨華ヲタから紺野ヲタになりかけのL.O.Dでしたー
279 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月28日(火)21時43分34秒
Dearやぐっつぁん

元気そうで、何よりです。
私は元気じゃない。
夏休みに入っちゃったから。
いつも家にいなきゃいけない。
すっごい息苦しい。
逃げ出したい。
私のしたい事とは反対の事を強要されるのは辛いよ。
やぐっつぁんがうらやましい。
どうせなら、私も連れさってくれればよかったのに。

fromなっち
280 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月28日(火)21時54分28秒
鞄には参考書。
図書館で勉強するって嘘をついて
家を出てきた。
そんな毎日の繰り返し。
昨日も来たCD屋でまた同じCDを見てる。
勉強出来ないからってバイトも禁止された。
CD一枚買うお金もない。
肩を叩かれた。
誰か知り合いかと思って振り向くと
猫目のちょっと怖そうなお姉さんが立ってた。
「なん・・・・ですか?」
「そのバンド好き?」
「は、はい」
「私も好きなんだー」
笑った顔は柔らかくて優しそう。
心底、このバンドが好きなんだって分かった。
「もしよければ、お茶でもしない?
 友達に約束すっぽかされてヒマなのよ」
「いいですよ」
こんな暑い日にこれから誰かを呼び出してもきっと来ない。
それなら、お茶でもおごってもらって
好きなバンドの話をこの人として
時間を過す方が楽しいかもしれない。
私も笑って、返事した。
「あの、名前は?」
「私?」
猫目の彼女は振り返る。
「私、保田圭」
「私は安倍なつみです」
「んー、なっつぁんね」
281 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月28日(火)22時45分29秒
すっごいバンドにも音楽にもくわしくて
圭ちゃん自身もバンドをやってて
サックスを吹いてる。
20歳で年上で、落ち着いてて
お姉さんみたい。

圭ちゃんと別れて、1人、道を歩く。
顔はきっとニヤけてたと思う。
ひさしぶり。
誰かと一緒にいて楽しかった事なんて。
帰ったら、すぐにあのCDを聴こう。
二人が大好きなあの曲。
口づさみたい。
足を少し速めた。

その日の夜、夢を見た。
私がボーカル。
圭ちゃんが隣でサックスを吹いて
ライブをやってる。
目の前はお客さんの波でいっぱい。
気持ちいい。
こうやって唄いたい

・・・・・・唄いたい、唄いたい、唄いたい

朝早く、私は家出した。
282 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月28日(火)22時47分28秒
更新終了。
なっち編、どうっすかね。
283 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月29日(水)11時34分04秒
なっちどこに行く!
284 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月30日(木)01時09分09秒
車が砂浜に乗り込む。
助手席に置いたノートパソコンがガタンと揺れた。
エンジンを切り、日射しを避けるように
日陰から、サッとサーフショップに潜り込む。
「おかえり、裕ちゃん」
おじさんはいつものようにサーフボードをシェイプしてる。
この辺りのサーファーは皆、彼の所に板を持ってくるのだ。
「ただいま。」
店の中には誰もいない。
カウンターの中に入って、冷蔵庫からビールを取り出す。
プシュッと音を立てて、その下から泡の弾ける音。
一気に半分ほど飲み干す。
「っかぁー!」
「いい飲みっぷりだねぇ」
「あぁ、そうそう。忘れる所やったわ」
ノートパソコンと一緒に置いてあった封筒を
おじさんに渡す裕子。
「ありがとな」
「気持ちいただいておくよ」
おじさんがニッと笑うと、白い歯が見える。
裕子も釣られて笑って、またビールに口をつけた。
視線の向こうには、こっちへ走ってくる真里。
すっかり日に焼けて、髪も色が抜けてきた。
285 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月30日(木)01時09分46秒
「裕ちゃぁーーーん」
「やぐちーーーー、寂しかったんかぁ?
 裕ちゃんがギュってしたるからなぁ!!」
「いや、そうじゃなくて、手紙来てたでしょ?」
「へ?手紙?」
「あぁ、そこにあがってるよ」
おじさんが、示した机の上にポンと置かれてる。
かわいらしい文字。
「なっちからだぁ」
「あの子もまめだけど、あんたが『手紙』なんてものを
 飽きずに書いてるのにビックリやわ」
「へへっ」
そこら辺にあったはさみで上を切って
さっそく取り出してみる。
「ふむふむ・・・・・・」

Dear やぐっつぁん

なっちは家出をしてしまいました。
って、なんか他人行儀な言い方だね。
今ね、知り合いのバンドやってる女の人の家に
寝泊まりしてるの。
なんていうのかな・・・・・・
やぐっつぁんと裕ちゃんみたいな関係かな?
勉強道具はみんな置いてきた。
やぐっつぁんの手紙とお金とペンと紙だけ持ってきた。
ペンと紙なんかそこら辺で買えるのにね(笑
でもね、一転して、毎日が楽しいよ。
すっごい楽しい。
色んなライブハウスに行ったよ。
今まで聴いた事なかったけどジャズなんかも聴いた。
今、一緒の人、圭ちゃんて言うんだけど
サックス吹くんだ。
すごいかっこいいよ。
私もあのステージに立ちたい・・・・・・

fromなっち
286 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月30日(木)01時10分17秒
夜、部屋の窓を閉めても、波の音が聞こえる。
心落ち着く。
「矢口、電気消してもええ?」
「んー、もうちょっと」
机の前に座って、なにか書いてる真里
「なにしてんの?」
「手紙」
「そか」
沈黙の時間。
真里がペンを走らせる音が響く。
裕子はそっと布団から出て、真里の後ろに立った。

  ギュッ!

突然、抱き締められて、手に力が入る。
「やめろよぉ!」
「なんでやねーん、裕ちゃんもかまってやぁ」
「手紙書けないよ!!」
「手紙は明日でも書けるけど、うちは今こうしたいねん」
「邪魔・・・・・・んぐ・・・・・・」
裕子の手が真里の顎を掴み、無理矢理キスする。
入り込んでくる舌。
ねっとりとからんでくる。
上手。
大人だからかな。
「な・・・・今日は・・・・・・もう寝よ」
「ん・・・・・・・・・・・・」
287 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月30日(木)01時10分53秒
暗い廊下を歩く。
立ち止まった部屋の向こうではきっと
今頃、あの二人が夢中になってる。
「いいな・・・・・・」
真希は自分の部屋のドアを開ける。
かわいげはあまりない。
物は散らかってるし。
壁中にかけられた服。
床にも散らばってる。
服も、本も、CDも、ビデオも。
唯一、窓辺に置かれた写真立てだけがその存在を
はっきりとさせていた。
その写真立てを手に取る。
大好きなあの人。
波を自由に渡り歩く。
特に笑った顔が素敵。
写真立てごと、その人の写真を抱き締めた。
違う。
この人には抱き締められたい。
そう思った時、真希の頬を涙が流れた。
「寂しいんだよ・・・・・・
 早く帰ってきてよぉ・・・・」
頭で分かってる。
この夏のこの時期に帰ってくるはずがない事。
だって、この浜から飛び出して
あの人は今日も遠い海の向こうで
また波を自由に操ってる。
写真立ての向こうのあの人にキスして
真希は布団をかぶった。
288 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月30日(木)01時11分29秒
長いので、更新age
289 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月30日(木)01時12分03秒
表示短縮化の術
290 名前:L.O.D 投稿日:2001年08月30日(木)01時13分01秒
更新終了
次回は、真希の想い人登場。
291 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)17時25分18秒
想い人たのしみー。
292 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月05日(水)23時40分21秒
「んー」
褐色の肌
大きく伸びをした
焼けた髪の毛
その横にはサーフボード
さっきまで彼女を乗せていたバスが
ブロロロッと低い音を響かせ
去っていった。
板を抱えると、彼女は鼻歌まじりに歩き出した。

  ペタシ、ペタシ

頼り無い音のサンダル。
でも、海が近く感じる。
293 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月05日(水)23時47分33秒
上り坂。
これを越えれば、海が見える。
「ふぅ」
ハワイの孤島で見る海とはまた違うのに
それは同じ海。
場所は違うのに、海の色も違うのに
そこに集う人の気持ちは同じ。
そこで生まれた人の気持ちは同じ。
海が好きだ。
「さて、と」
彼女は海に向かって歩きだした。
「やぐっつぁん!捕まってなよぉ!!」
「え!?ちょ、ちょっと!!」
後ろから声。
彼女は振り向く。
二人乗りの自転車。
立って漕いでるのは栗色の髪の毛をなびかせた美少女。
その後ろにちぃさなギャル。
自分の横をビュンッと通り過ぎてく。
風が起きた。
彼女のショートの髪が浮く。

  キキィイイイイッッ

「きゃぁーーーーーーーーーーー!!」
後ろに乗ってた女の子の声
坂道の下から聞こえた。
転んだわけじゃなさそうだ。
運転してた女の子がこっちを見てた。
「いちーちゃん!!!」
「・・・・・ごとー?」
市井紗耶香が、この海に帰ってきた。
294 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月05日(水)23時48分51秒
ちょこっと更新。
王道に走りました。
というか、この展開でちゃむを出さないのも
いかがなものかという感じで。
まぁ、いちごまでは終わらせませんがね(ニヤソ
295 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月06日(木)01時26分58秒
やぐちゅー!
じゃないみたいだけど・・・
最終的にはまきやぐですか?
いっぱい絡みがあって面白い

296 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月15日(土)22時22分05秒
Dearなっちへ

ごっちんの師匠(?)市井さんが帰ってきて1週間が経ちました。
今年のシーズンは怪我の治療を優先して出場しないんだって。
いいよなぁ、一年中働かないでボーッとしてても
暮らせるぐらいもうかせいじゃってるなんて。
今日も市井さんはテーブルの上に漫画を積み上げて
海の風を浴びながら、気持ちよさそうに寝てる。
自由って彼女みたいな人のためにある言葉なんだよね、きっと。
さぁ、おいらも自由を手にするため
海へ行くかーーーー!

P.S バンドはどうですか?

From 真里
297 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月15日(土)22時27分22秒
  ガタンッ

テーブルに誰かが座る。
紗耶香はうつぶせてた顔を上げた。
「飲む?」
中澤がビールをかざしてた。
「いや、いいっす」
「飲める歳やろ」
「まだっすよ・・・・・・」
「そか、こんなにうまいねんけどなぁ」
喉の音が心地よさそう。
紗耶香は漫画を一冊取って、開く。
「怪我悪いんか?」
「まぁ・・・・・・」
「いい温泉、紹介したろか?」
「・・・・・・」
飲み干した缶ビールをゴミ箱に放り投げる。
カンって音を立てて、砂の上に転がった。
「あちゃー」
「プッ」
「・・・・・・笑えるんやないの」
「あ」
中澤の手が紗耶香の肩を叩く。
「笑ってなきゃ大切な事も見失ってまうで」
298 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月15日(土)22時29分35秒
ドアが開く音を聞いて
安倍はげんきよく振り向く。
「いらっしゃいま・・・・・・」
父親だった。
「なつみ」
「お父さん・・・・・・」
「なにしてるんだ、家にも帰らないで」
「・・・・・・」
「帰るぞ」
「・・・・・・」
腕を掴まれる。
身体がギュっと強張った。
「ほら!」
「ちょっとお父さん!」
店の奥から保田が飛び出してくる。
父親は睨み付ける。
「あんたか、娘を家出させたのは」
「なに、その言い方!?まるで拉致したみたいな言い方しないでくださいよ!」
「当たり前だろう。娘が1人でこんな長い間家にも帰らず
 外にいれるわけないじゃないか」
「・・・なっちもなんかいいなさいよ!」
「・・・・・・ごめんなさい」
「そんなものは後でいい。とりあえず帰るぞ」
無理矢理引っ張っていく・・・・・・
安倍の今にも泣きそうな目だけが店内に、保田の目に焼き付いた・・・・・・
299 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月15日(土)22時47分00秒
矢口は中澤の呼ぶ声に気付き、海から上がってくる。
「なにさー?」
「なっちから手紙やで」
「ほんと!?」
「おぅ、それにMDも入ってるわ」
「MD・・・・・・デッキないや」
「これ、使いなよ」
紗耶香が自分の聴いてたMDを抜いて
携帯プレーヤーを貸してくれる。
「ありがとっ!」
早速入れて、イヤホンを耳にはめる。
再生ボタンを押す指に力が入る。
ベースソロ。
ドラムが絡み出す。
ボーカルと同時に走るギター。
さらに、サックスが心地よく鳴り響く。
「なっちだっ!」
300 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月15日(土)22時50分16秒
「へ?」
「なっちのバンドだよ!!」
同封してた手紙を読んでるうちに明るかった矢口の顔は
どんどん暗くなっていく。
一緒にいた中澤だけでなく、紗耶香も何事かと不安になる。
「なっち・・・・・お父さんに連れ戻されたんだってぇ」
「そか。仕方ないわな、家出同然やったし・・・・・・」
「あの、なっちって・・・真里ちゃんの友達?」
「高校の時の親友、親が厳しくてバンドしたかったのに出来なくて
 家出して、バーの手伝いしながら、バンド組んでたの・・・・」
泣きじゃくる矢口をなだめる中澤の横で
紗耶香の顔が翳った。
自分もそう、半ば家出同然で海外へ行った。
逃げ帰ってきそうな時がたくさんあった。
でも、がんばってこれたのはなぜだろう。
きっと・・・・・それだけ海が好きだったから・・・・・・
301 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月15日(土)22時55分21秒
『分かりますか?ここの骨と骨の間が・・・・・・』
『はい・・・・・・』
病院。
暗く落とされた照明。
いつからだろう。
腰の痛み。
海に乗り
叩き付けられ
繰り返してる度に
傷ついていた。
『しばらく休まないと、下半身不随も・・・・・・』
脅すような言葉。
海が呼んでる。
毎日
毎日
どんな日も
そこに、海と太陽がある限り
その上にいたのに
板は無言の涙を流し始めるだろう。
いつの事になるんだろう。
また、あの蒼い海へ戻れるのは・・・・・・
302 名前:鎮魂歌 投稿日:2001年09月18日(火)00時39分34秒
つづきみてぇー!
ちゃむいいね!
303 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月21日(金)01時18分58秒
夜の海。
風は生温い。
「後藤」
「なーに、いちーちゃん?」
甘えるように肩に頭を乗せてくる。
「私、しばらく休もうと思うんだ」
「休む?」
「うん、この怪我、1年やそっとで直らないと思う。
 プロを続けて、いつか波に乗れない日が来るぐらいなら
 今、直して、死ぬまでこの波の上に立ちたい」
「いちーちゃん・・・・・・」
「また、世界中を駆け回るまでよろしくな!」
「・・・うん!」
うなづいた勢いで後藤は市井を押し倒す。
「わぁ、、なんだよぉ」
「いちーちゃん・・・キスしよ」
「・・・・・・」
ゆっくりと瞳を閉じる市井。
月の光だけが少女達を見ていた。
304 名前:L.O.D 投稿日:2001年09月21日(金)01時20分17秒
この先の展開悩んでます(w
むしろ、ラスト悩んでます。
すこーしお待ちくださいませ。
305 名前:読んでる人 投稿日:2001年09月21日(金)17時27分35秒
待ってます。
306 名前:鎮魂歌 投稿日:2001年09月27日(木)04時30分10秒
待ちますよ、待ちますとも!
307 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月14日(日)14時46分04秒
Dear やぐち

元気ですか?
もう少しで夏休みが終わるね
戻ってくるの?
やぐちがいなかったら、さみしーよ
でも、あんまり学校行きたくない
家にもいたくない
最近は眠りに帰るだけ
ほとんどバーにいる
圭ちゃんが働いてるから
昼間はカフェなんだ。
CD作ったよ
やぐちに聴いてほしくて。

from なっち
308 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月14日(日)14時47分34秒
封筒の中から滑り落ちてくる一枚のCD
「プ、プレーヤー!」
真里は慌て、そのCDを入れるプレーヤーを探す
「はい」
ぶっきらぼうに突き出されたウォークマン。
紗耶香がかけてたヘッドフォンをはずす
「いいの!?」
「聴きたいんでしょ?」
「うん!」
CDをセット。
再生ボタンを押す。
ピアノの音色。
優しく奏でられるメロディ。
ホーン部隊の華やかな演奏が加わり
曲調が変わる。
跳ねるようなリズム。
309 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月14日(日)14時48分55秒
「あ・・・・・・」
なつみの声
楽しそうな
笑ってるような
そんな声
なつみの気持ちが
いっぱい・・・・・・いっぱい
この中に詰まっていた。
「なに、泣いてんねん」
裕子の指が知らず知らずの内に
流れ出てた涙を拭う。
「泣いて、、、ないもん」
ヘッドフォンを置き、サーフボードを抱えると
海に走っていく真里。
少しだけ風が冷たい。
夏が終わりを告げていた。

310 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月14日(日)14時50分13秒
暗闇の中で古ぼけた小さな電球だけがついている
「裕ちゃん、寝てていいよ」
「えー、矢口の寝顔見ないと、裕ちゃん寝れなーい」
「あそ」
真里の手紙を書く音だけが聞こえる。
しばらく、会話もなく
静かな時だけが過ぎる
やがて、裕子が寝てしまったのだろうと振り返ると
裕子はじーっと真里の背を見てた
「な、なんだよぅ」
「いや、ちっちゃい背中丸めて
 かわいいなーと思ってな」
「フフ・・・・・・」
「なぁ、ほんまどないするんや?」
「なにが?」
「夏休み終わるんやろ?」
「そうだね」
「帰らないでええんか?」
「・・・・・・いいよ、別に」
「なぁ」
裕子の声が近付いてきて
そっと真里の身体を後ろから抱き締めた。
311 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月14日(日)14時53分50秒
真里はペンを置く
「ん・・・・・・」
「私と一緒にならへんか?」
「け、、、、こん?」
「ええやん、そんなもん、紙の上の事や。
 ずっと一緒にいたいねん」
軽く耳をかじる
舌が裏側をなぞり・・・・・・
穴の中に侵入する
身体を震わせ
その快楽に耐える
意識が全てさらわれてしまいそうで
たったそれだけで何も考えられなくなる
「ゆう、、、、ちゃ、、、、」
「ええか?」
「んぅ、、、、」
首に手を添え、倒されて
布団の上で覆いかぶさる
そして、キス
最初はついばむように
次第に激しく
舌を絡め
唾液まで吸い
音を立てる
「や、、、聞こえちゃう、、、」
「蕎麦だって音立てた方がうまいやん?」
「それは違うと思う・・・・・・」
「そう?」
「うん、、、、」
真里の上着のボタンを一つはずす指
真里がつぶやく
「電気、、消して」
312 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月15日(月)14時19分17秒

 更新されてる!!やった〜
 二人うまくいくのかな?
 やぐちゅー好き!!
 がんばってくださーい!!
313 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月17日(水)18時02分05秒
「え・・・・・・帰っちゃうの?」
真希はさみしそうに真里を見る。
「大丈夫。帰ってくるから」
「本当!?」
「親と話し合って、学校もやめてくる」
「決断したんだね」
紗耶香がそう言って、柔らかい笑みを見せてくれた。
真里は大きくうなづく。
「そろそろ行くで」
「うん。じゃ、1、2週間で帰ってくるから」
「じゃね」
裕子の車はゆっくりと発進する。
見送る真希はやっぱり少し寂しそうで
紗耶香は手を伸ばし
その手を握った。
少し冷たい。
314 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月19日(金)16時15分07秒
「大好きだよぉおおおおお!!」
真希が叫ぶ。
「おい」
絡められた指。
テーブルに腰掛けてた紗耶香がふてくされたようにする。
「私はどうなの?」
「いちーちゃんはねー、愛してほしいの」
「で?」
「やぐっつぁんは愛したいの」
「・・・・・・そういうもんか?」
「いいじゃん。」
「まぁ、可愛いしね」
舌舐めずりする紗耶香
「狙ってるのー?」
「私は真希がいるだけでいいんだけど。」
真希の顔が近付く。
紗耶香の頬を流れる・・・・・・涙
「泣いてる」
「ふふ・・・・・・」
「へへ・・・・・・」
「って、お前も泣いてるじゃん」
315 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月19日(金)16時16分02秒
制服を着た少女が転がるように
昼は喫茶店を営むバーの扉を開け
カウンター席に飛び乗る。
「おかえり」
「ただいまっ」
安倍なつみ。
「マフラー、向こうにかけておいで」
「うん」
カウンターの中の圭は、なつみ専用のコップの中に
お湯を注ぎ、あったかいココアを作る。
戻ってきたなつみの前に出されたのは
ココアが八分目まで入ったコップと
1通の手紙。
「矢口だっ!」

316 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月19日(金)16時16分36秒
Dear なっち

いよーっす、元気かい
矢口も元気だよ
そっちに帰った時、会えなくてごめんね。
なっちの顔見たら、泣いちゃいそうで
そっから歩き出せなくなりそうで怖かったんだ。

やっぱね、いいよ、サーフィンは。
これから年中いつでもどんな時でもサーフィンが出来ると思うと
もう心がワクワクしてくるよ。

なっちにとって、音楽がそうなのかな?
これだけはやめたくないっていうか
失いたくないっていうか
続けていきたいっていうか。
それと一緒に死にたいね。
どんなに年老いても、ずっとサーフィンしたいし
乗れなくても、サーフィンに関わりたいし
海の近くにいたいんだ。

317 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月19日(金)16時17分14秒
私が感じる、この音、この海、この空
地平線の向こうに消えていく夕日、色んなものが
思いとなって、貴女に届けばって思ってる。

なっちが奏でる音楽は私にとって
この波と同じ。
溶けて、身体の中に流れこんでくる。
素敵なモノ。

今度会った時、ナマで聴かせてね
なっちの歌声、大好きだよ。

from まりっぺ
318 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月19日(金)16時18分00秒
そんな手紙と一緒に一枚の写真。
スナップ写真。
あの海のみんなで映ってる。
アップで真里と真希がキスしてる。
その後ろにはチラッと紗耶香と裕子が見えて、大慌て。
ほんの隙間に店のオーナーがVサインしてた。
「裕ちゃんはどうしたんだよぉ、矢口・・・・・・」
なつみの耳にもはっきりと聞こえた、海の鳴声。

終。
319 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月19日(金)16時18分40秒
更新終了
320 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月19日(金)16時19分20秒
更新終了
321 名前:L.O.D 投稿日:2001年10月19日(金)16時23分18秒
『Like Ocean Dreamer』でした。
途中で息切れしました、スマソ。
本人的にはこの空気感は嫌いじゃないです。
この後、少しの充電期間・・・・・・と言いたいところですが
2ちゃんねるで書き始めました。
http://choco.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1003192997/l50
御愛読ください。

L.O.D 2001.10.19
322 名前:読者A 投稿日:2001年10月20日(土)02時15分53秒
最後の一文がすごく好きです。
なちまりのような、やぐちゅうのような、まきまりのような、
と言う最初のコメントもようやくわかりました。
僕にも、『なつみ』の歌声と、頬を撫でる海のそよ風、その波の音が
聴こえたようにも感じました。

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