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ゼロごま

1 名前:吟遊詩人 投稿日:2001年06月01日(金)22時24分32秒
「コラ市井!また間違えてる!やる気あんのか!?」
夏まゆみの怒号が飛ぶ。もう、今日だけで何度目だろうか。時計は既に夜の八時を回っている。
「あーもう!今日はここまでだ!みんなちゃんと自分で確認しておくように!特に市井!わかったか!」
夏に呼ばれた市井は、ビクッと肩をすくめ、弱々しく頷く。黒髪で、おかっぱ頭、前髪揃いすぎ。弱々しい表情は、いかにも泣き虫そうだ。
「じゃあ今日は解散!」
夏が言うと、メンバー達は続々と部屋から出て行く。全員、へとへとに疲れ切っている様子だ。しかし市井は、そんな他のメンバーについていかず、その場に座り込んでいる。
2 名前:吟遊詩人 投稿日:2001年06月01日(金)22時25分04秒
そんな市井の様子に気付いたメンバーが居た。後藤だ。13歳とは思えない大人びた要望。きれいな金髪。モーニング娘。で今最も人気のあるメンバーである。後藤はゆっくりと、座り込んでいる市井へ歩み寄った。
「紗耶香ぁ。大丈夫?」
市井は顔を上げ、後藤の方を見上げて言った。
「真希ちゃん……。ふぇぇん……。」
市井の瞳から涙がこぼれる。そんな市井の肩を後藤は優しく抱き寄せる。
「ほらほら泣かないで……。もう……。15歳にもなって泣いてばっかりなんだから……。」
確かに、どう見ても市井が後藤より二つも年上であるようには見えない。しかし、泣き虫な市井を後藤がこうやって慰めたり励ましたりしているのは、日常茶飯事なのである。
「紗耶香が新メンバーとして入ってきてからずっと教育係として後藤が見てきたけどさー。紗耶香の泣き虫はどうやっても直らないよねぇ……。」
「真希ちゃーん……。」
年下の後藤が市井を呼び捨てなのに対し、市井が後藤に「ちゃん」付けなのも、何故か不自然には感じられない。
やがて後藤は市井を体から離し、立ち上がりながら言った。
「ホラ!練習しよ!後藤が見てあげるから!」
「……うん。」
市井は立ち上がった。そしてフロアーで、二人だけのレッスンがスタートした。
3 名前:吟遊詩人 投稿日:2001年06月01日(金)22時25分55秒
「ねぇ真希ちゃん……。」
「ん?何?」
「……ありがと。」
「……なぁに言ってんの。」
「……へへっ。」

二人の笑顔は、最高に輝いていた。
4 名前:吟遊詩人 投稿日:2001年06月01日(金)22時27分17秒
とりあえず第一回終了。
これからゆっくり書いていきたいと思っています。
ジャンルは「ゼロごま」です。変なジャンルですが……。
お暇でしたらおつきあい下さい。
5 名前:Hruso 投稿日:2001年06月01日(金)22時40分01秒
立場逆転ですか。(笑
6 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月01日(金)23時55分18秒
あいかわらず、変化球勝負ですね(w
楽しみにします。
7 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月02日(土)03時28分28秒
これは面白い発想ですね。
すごく新鮮に感じます。
零式紗耶香自体、珍しいんでかなり期待大です。
8 名前:吟遊詩人 投稿日:2001年06月03日(日)03時12分47秒
市井の加入から一ヶ月。モーニング娘。は新曲、「LOVEマシーン」のリリースに向けてレコーディングに励んでいた。モーニング娘。の昔の楽曲の振りも何とか覚えた市井には、二カ所だけソロパートが与えられた。『じゃない!』『それでも上手にされちゃ』である。前回までの曲と違って、この曲には全員のソロパートが在る。新メンバーである市井なのだから、パートも最初はこの程度しかもらえない。始めてのレコーディングは緊張のため、かなり戸惑ったが、何とか終えることが出来た。そして、夏休み中に行われるモーニング娘。のイベント、とうとう始めて「LOVEマシーン」を披露する日が来た。
9 名前:吟遊詩人 投稿日:2001年06月03日(日)03時14分15秒

「緊張するよ〜。」
控え室。市井はブルブル震えながら人の字を手に書き何度も飲み込んでいた。しかし、不安は消えない。
「真希ちゃ〜ん……。」
後藤の元へと歩いて行く。ちょうど後藤がジュースを買いに部屋から出ていくところだったので、そのままついていく。まるで金魚の糞である。しかしこんな様子も、別に珍しい光景ではなかった。
10 名前:吟遊詩人 投稿日:2001年06月03日(日)03時15分06秒
「大丈夫だよ紗耶香。なんとかなるって。」
「でも〜。」
自販機で買ったジュースを飲みながら、後藤は市井を諭すが、市井の表情から不安は消えない。そんな市井を見て、後藤はやれやれと言った感じで首を傾げると、言った。
「……おまじないしてあげよっか?」
「えっ?」
一瞬、唇が触れ合い、すぐに離れてた。
「っ!な、なに!?」
「あはは。」
市井が驚いて呆気にとられているのと対照的に、後藤は楽しそうに笑っている。しかし市井は完全に固まっている。後藤はしばらくそれに気づかず、笑っていた。しかしやがて気づき、不安そうな表情に変わる。市井の顔をしたからのぞき込みながら、言った。
「まさか……初めて?」
後藤の質問に、しばらく市井は反応を示さず呆然としていたが、やがてコクリと頷いた。後藤は、あちゃ〜と言った感じで、額を手のひらで叩く。
「ごめんっ!」
両手を逢わせて平謝り。
「ごめんね、まさか初めてだって思わなかった。だってほら、紗耶香ってウチより二つも年上じゃん?だ、だから当然キスぐらいしたことあんのかな〜って……。う……。ゴメンナサイ……。」
最初は早口だった後藤だが、やがてゆっくりとした口調に変わり、真剣に謝る。両手を逢わせたまま、深々と頭を下げる。深々と後藤が真剣であることに気づいた市井は、慌てて表情を崩し、後藤に言う。
「べ、別にいいよ!だ、大丈夫だから……!」
何故か謝られている市井の方が慌ててしまう。今度は後藤がしばらく反応を示さない。市井は後藤が落ち込んでいると思い、必死になる。
「ま、真希ちゃん……。別に私、全然平気だからぁ……!」
市井がそう言った途端だった。後藤は素早く顔を上げ市井を見ると、歯を見せて笑った。
「じゃもう一回。」
その言葉を市井が認知したときには、既に二人の唇は再び合わさっていた。先ほどより少し長い時間、口吻は続き、そして終わった。
「……ま、真希ちゃんっ!」
「へへ。」
後藤が傷ついているように感じたのが勘違いであったこと。そして後藤がまたしても驚かせる行動を取ったことに市井は少し憤慨して、後藤に何か言いかけ口を開いた。しかし後藤の方が早く、言った。
「緊張、解けたでしょ?」
市井は口を開けたまま、また少しの間固まる。が、やがて一度口を閉じ、充分に心を追いつけて、後藤の顔をジッと見た。……ふいに目をそらし、一言。
「……まぁね。」
11 名前:吟遊詩人 投稿日:2001年06月03日(日)03時16分43秒
第二回終了です……。
12 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月03日(日)23時16分57秒
新鮮だな〜
13 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月09日(土)09時49分12秒
次回を楽しみにしてます。
14 名前:吟遊詩人 投稿日:2001年06月14日(木)16時11分18秒
スランプsage
15 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月18日(月)02時42分51秒
いつまでも待ってますsage
16 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年06月19日(火)17時29分26秒
こちらの小説を「小説紹介スレ@銀板」で紹介します。
http://www.ah.wakwak.com/cgi/hilight.cgi?dir=silver&thp=992877438&ls=25
17 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月28日(木)00時13分08秒
新鮮でイイ感じ!続き待ってま〜す。
18 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月05日(木)01時16分28秒
一ヶ月たっちゃった。
19 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月07日(土)06時27分03秒
続き期待age
20 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月14日(土)06時24分21秒
久々に来てみたけど更新は無し、か・・・
21 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月21日(土)01時26分52秒
作者さ〜ん?生きてますか〜?
・・・ageてみっか。
22 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月24日(火)00時58分43秒
>>21
へんじがない。ただのほうちすれのようだ。
23 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月24日(火)15時00分50秒
そんなはずはない!・・・と信じたい・・・
24 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月26日(木)01時51分05秒
連載開始当時、一番期待してた小説なんだがなあ・・・
せめて続ける意志があるのかどうかだけでもしりたい。
25 名前:吟ちゃむ 投稿日:2001年08月02日(木)22時06分57秒
生きてます……ごめんなさい……そのうち書きますので許してください……。
26 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月03日(金)00時55分19秒
待ちます!待ちますとも!
27 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月04日(土)01時32分06秒
おお、作者さんだ!
いくらでも待ちますんで構想を練り上げてください!
28 名前:吟ちゃむ 投稿日:2001年08月08日(水)20時11分27秒
市井の加入からしばらくが経った。最新シングル、LOVEマシーンは、オリコン初登場一位、更に四週間でミリオンを突破。モーニング娘。最大のヒットとなった。そんなさなか、モーニング娘。メンバーに、ラジオ局から一つのオファーが入った。
「ラジオ……ですかぁ?」
後藤は素っ頓狂な声を上げた。マネージャーの和田は言った。
「あぁ。お前達三人に、次期から始めるモーニング娘。のラジオの、新番組にレギュラー出演してもらう。」
「……はぁ。」
お前達三人……の先が示す者は、後藤、市井、保田の三人だった。三人とも暫くの間、黙り込んでいた。しかし、そのうちに、市井が机に勢いよく両手を打ち据えると、言った。
「まぁ、やるからには頑張りましょう!」
そんな市井を後藤と保田が見やる。
「……そうだね。頑張ろっか。」
後藤が言う。
「よし、じゃあそういうことだからな。なあに、慣れればどうにでもなるさ。」
和田がいうと、三人は一斉に、ハイ!と返事をした。
29 名前:吟ちゃむ 投稿日:2001年08月08日(水)20時11分56秒
――数週間後、都内某所。
テレビカメラの前に座るつんくの姿があった。
「今回はすごく、もっと逆に言うと、楽しい、もっと気楽な感じというか――コンビニエンスな感じって言うたら変ですけど、パッて手に取れる感じなグループがひとつあったほうが、このモーニング娘。というマザーシップがまた、幅が広がるんじゃないかなっていう――。」
30 名前:吟ちゃむ 投稿日:2001年08月08日(水)20時13分25秒
第三回終了です。
以降sage進行でお願いします……。
31 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月09日(木)04時28分57秒
プッチ結成といえばミニ合宿。先輩後藤に期待!
32 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月23日(木)02時49分28秒
初めて読みましたけど・・・おもしろい!
続き楽しみにしてます!
33 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月11日(火)04時23分37秒
前回更新から早一ヶ月。次の更新はいつでしょうか・・・

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