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2人の出逢いは衝突で。
- 1 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月23日(土)23時00分24秒
- いちいしです。
はっきし言って、雑です。
それでもいいと思ってくれる方だけ、よろしくです。
また自分でageてしまうかもしれませんが、ここもsage進行でいくつもりです。
- 2 名前:衝突回数―1― 投稿日:2001年06月23日(土)23時02分46秒
- 夏の暑い、ある日の午後。
長い長い坂道を上っている、ある2人がいた。
そのうちの1人の名は、背が高く、真っ直ぐで綺麗な茶髪を腰近くまで伸ばした、飯田圭織。
もう1人は、その飯田より10cmほど小さく、髪を短く切って男前な顔立ちが、市井紗耶香。
2人は、同じバイト先の先輩後輩にあたる。
「あ〜ぁ、何かおもしろいことないかなぁ」
「ナンだよ、おもしろいことって」
「その言葉通りの意味。ねぇ紗耶香、何かおもしろいこと言ってよ」
「はぁ?」
いきなりかい。
というか、いちいち人におもしろさを求めなくても、自分が1番おもしろいじゃん。
もちろんそんなこと、口に出して言えるハズはないのだけれど。
「おもしろいことねぇ……うぅ〜ん……」
腕を組んで、考えて。
汗をかきながら、坂道を必死に歩く。
「じゃあさ、こんな話どうっすか? 誰かがこの坂道、自転車で下ってくんの。
でも、その自転車に乗ってる子…女の子にしようか。その女の子の様子がおかしいんだ」
「うんうん」
「で、なんか必死に叫んでんなぁ、と思ってたら、
『誰か助けてー! ブレーキが効かないんですぅ〜〜っ!!』って言ってんだよ」
「あっはっは! いいねぇ、それ。その冗談。
でも、ホントにあったら、もっとおもしろいよね」
「だよね〜。市井も見てみたいよ、そんなおもしろい光景」
わっはははは、そうやって2人、笑いながら長い長い坂道を上っていると、
坂道の、山になっているちょうど真ん中、上りと下りの境目の所に自転車が見えた。
- 3 名前:衝突回数―2― 投稿日:2001年06月23日(土)23時04分00秒
- 「ん……?」
ここは、急な坂道。
なのに、スピードを一つも落とさず、どんどん自転車は下っている。
乗っている子は、明るい茶色の髪を肩より少し伸ばした、女の子と確認できた。
「……ね、紗耶香……」
飯田の言う事は、判ってる。
「……自転車、女の子。さっきの話に似てるよね……」
そう。似てるのだ。
やばいやばい。
自転車がどんどん加速して、こっちに来る。
こっちに来ると、何かを必死で言っているらしい、女の子の悲鳴と叫びが聞こえた。
「誰か助けてー! ブレーキが効かないんですぅ〜〜っ!!」
「「うそぉっ!?」」
まるっきり、一緒だ。
さっきの、市井の冗談と。
ホントにあったら、もっとおもしろいよね、と言った飯田も、血相変えて逃げる。
その顔からは、笑顔はない。
見てみたいよ、そんなおもしろい光景、と言った市井も、血相変えて逃げる。
もう、そんな光景、見てる暇なんかない。
しかし、どうやらバチが当たったのか。
冗談を現実にしてしまった市井の方向に向けて、自転車はどんどん加速する。
「わ、わ……」
「お、おい! こっちくるなぁ!!」
ハンドルさばきが上手いのか、下手なのか。
飯田は、逃げる後輩と、追いかける自転車(+女の子)をただ眺めていた。
そして……
「きゃっ!!」
「うわあっ!!」
ガッシャア〜〜ンッ!!
ものすごい音がして、市井と自転車(+女の子)、衝突。
- 4 名前:衝突回数―3― 投稿日:2001年06月23日(土)23時04分33秒
- 「いったぁ〜……」
衝突した時、頭を打ったのだろうか。
女の子は、頭を押さえてそう呟いた。
「ちょ、ちょっと2人とも大丈夫っ!?」
眺めていた飯田も、気を取り戻したのであろう。
慌てて、2人(+自転車)の元に駆け寄ってきた。
「ちょっと、紗耶香! 大丈夫っ!?」
自転車のタイヤと足が絡み合い、カマキリならではの大きなハンドルのかたっぽは、見事市井の右腕直撃。
素人の飯田と女の子でも、その腕が変な方向に曲がっているのが確認できた。
足だってそう。
「きゅ、救急車呼ばなきゃっ!!」
はっと気づき、携帯を探す。
「あ、あれっ? もう、なんでこんな時にっ!」
探して、あったはいいが、その携帯は充電切れ。
肝心なところで役に立たない。
「圭織、近くで公衆電話探してくるから、そこで待っててねっ! 絶対だよっ!?」
意識がある女の子にそう言って、飯田はものすごい勢いで走って行く。
取り残された女の子は、もうどうしていいか判らない。
「うっ……うぇっ……く…」
目の前には、気を失っているらしい、全然知らない人。
自分のせいで、こんな風にしてしまった。
そう考えてしまい、思わず涙が。
- 5 名前:衝突回数―4― 投稿日:2001年06月23日(土)23時05分13秒
- 「ごめんなさい、ごめんなさい……」
ヒックヒックと泣きながら、ひたすら謝る。
もう既に、女の子の目は真っ赤。
「う……」
その声が、市井にも届いたのだろうか。
小さなうめき声と共に、うっすら目を覚ます。
「いってぇーっ!」
目を覚ました途端、右腕と右足、両方から激痛。
なんで激痛がするんだ、そう思って見てみると、やっと思い出した。
そうだ。
冗談が、現実になったんだ。
しかも、その冗談を言った張本人、市井と衝突するという、素晴らしいおまけもついて。
「ちょ、うわ……くそっ、なんか、妙な方向に手と足曲がってる!! どうしてくれんだよ!……って……」
目の前にいた子を、キッと睨んで気づいた。
(……この子、すっごい可愛くない……?)
目を真っ赤に腫らして泣いて。
綺麗な顔立ちを、涙が一層引き出させていて。
細いその身体とお嬢様のような顔は、守ってあげたい衝動にかられる。
「……ね、ねぇ……名前、なんていうの……?」
はやる胸の動悸。
「えっ!? あ、あの、石川梨華っていいます……」
あぁ、声まで可愛いじゃあないか。
「石川さん、か……」
もうダメだ。
モロ、タイプです。
- 6 名前:衝突回数―5― 投稿日:2001年06月23日(土)23時06分06秒
- そのまま石川という女の子に、ガクッともたれる市井。
「だ、大丈夫ですかっ!?」
ユサユサ身体を揺らされる。
揺らされたら、痛いんですけど。
そんなことを思いながら、飯田が呼んだ救急車が来るまで、ずっと石川にもたれていた。
そう。
2人の出逢いは、唐突じゃなく、衝突で。
- 7 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月23日(土)23時07分10秒
- 本日は、ここまでッス。
- 8 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月23日(土)23時47分51秒
- 初レスもらっちゃお!(嬉
今回も市井はヘナの予感。(w
いや、楽しいっす。
今回は前に活躍できなかった吉澤坊ちゃんはでるんかな?
がんばって下さい。
- 9 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月24日(日)02時50分50秒
- うわ〜なんか久々にすっげぇ楽しみっす。
ヘナ市井とあの石川だったらモロコメディーっすね(w
続きむちゃくちゃ期待してます
- 10 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月24日(日)12時11分49秒
- いちいしですね。今回の市井もやっぱへナですか?
なんかあまそうな感じがしますね。次の更新も楽しみです。
- 11 名前:衝突回数―6― 投稿日:2001年06月24日(日)20時15分12秒
- ―――――――
―――――
―――
―
「ん〜、全治、二ヶ月ってところですかね」
右腕、右足骨折。
その他、細かい擦り傷などを合わせ、全治二ヶ月。
それが、長いのか短いのか。
わずか17歳にして、入院生活の始まりだ。
「しっかし、紗耶香も馬鹿だねぇ。なぁんで慰謝料請求しないかなぁ」
よいしょ、と病院が用意した椅子に腰掛け、一言。
右足を吊らされ、右腕を固定された市井は、にやにやと答えた。
「そんなことしたら、あの子、石川さんが困るじゃないか。
いいんだよ、市井は。あの子に怪我がなかっただけで、十分さ」
こんな怪我、安いもんだ。
だって結果的に自転車を止めてあげて、石川を守れたんだから。
「なぁ圭織ぃ、あの子、何歳かな? 高校生かな?」
「知らないよ、そんなの」
自分の知っている中では、初めて見る顔。
キラキラ目を輝せながら尋ねる市井に、苦笑いで返す。
「……一目惚れ?」
「かもしんない」
「でも、可愛い子だったから、カレシいそう」
「……………そ、そうだよね……」
何気なしに言ったつもりだった。
別に、悪気があって言ったワケじゃない。
しかしまさかこんなに落ち込むとは。
「大体、女の子に興味あるかなんて、判んないし……」
ブツブツブツ…。
さっきまで高かった市井のテンションは、一気にドン底に。
飯田は焦った。
「ま、まぁ、そんなの、判んないじゃん! 男前の紗耶香にかかれば、きっと大丈夫だって!」
「そうかなぁ………」
いつもなら、飯田にそう言われ、立ち直るのに。
今回は少し、自信がなかった。
- 12 名前:衝突回数―7― 投稿日:2001年06月24日(日)20時16分06秒
- そんな2人のところに、見舞い客が現れた。
お見舞い用の花束を、顔が見えないほど抱えて。
「あ、あの、石川ですっ! 本当にすいませんでしたっ!!」
入って来るなり、これでもかという位頭を下げて。
頭を下げた反動で、いくらか花が落ちてしまった。
「あぁっ、ほ、ほんとすいませんっ。……っと、あぁ!」
花束を片手に持ち直し、下に落ちた花を拾おうと屈む。
しかし石川はどうやらドジみたいで。
下の花に気を取られ、今度は片手で抱えていた大きな花束を落としてしまった。
「あ〜ぁ」
飯田の、呆れたような声。
その声を聞いて、石川は泣きそうになる。
「うぅっ、ご、ごめんなさいっ。私、ほんと、何やってもダメで……。
あの時だって、必死でブレーキかけてたのに、全然効かないんですっ……。
しかも、こんな大怪我させちゃったし……すいません……」
「や、いいって、いいって。大怪我って程じゃないしさ。全治二ヶ月だし。
そんな、自分を責めるのやめなよ。市井だって、悪いんだしさ。
避けきれなかった市井も」
「アナタは何も悪くないですっ! 私が、私が悪いんですっ!」
「や、だから……」
自分を責めるのやめなよ、そう言いたかったが、言えない。
どうやらこの子は、全責任が自分にあると思い込んでいるらしい。
しかも、とんでもないほど、ネガティブだ。
- 13 名前:衝突回数―8― 投稿日:2001年06月24日(日)20時16分41秒
- 「さぁ、じゃあ圭織は帰るとしますか!」
うーん、と背伸びして、立ち上がる。
「えぇっ、か、帰んのっ!? も、もうちょっといなよ」
「ダメだよ。だって、この後バイトの配達あるし」
「そ、そっか……」
本来なら今の時間もバイトだったのが、シフトを無理言って変えてもらったのだ。
これもみんな、可愛い後輩の様子を見に行く為に。
2人きりになると、ドキドキして喋る自信がなかった市井は、それを聞いて残念がる。
「じゃ、ごゆっくり〜」
そう言って、能天気に手なんか振ったりしちゃったり。
にやにやした飯田の顔が、市井は少しムカついた。
「あ、あの〜……」
「へっ!? あ、なに…?」
困った顔をして市井を見つめて。
そんな見つめられたら、照れるじゃないか。
こう見えても結構、照れ屋さんだったりもするのです。
「とととととと、とりあえず座りなよ……」
「あ、はい……」
思いっきりどもりながらも、座るよう指示。
そしてなぜかギクシャクした雰囲気の中、石川が意を決して口を開いた。
「私、入院費から何から、全部払います!
で、でもあの、最近神奈川から東京出て来て一人暮らししてるんで、お金全然ないんですけど、なんとかしますから!
そ、それに、えっと、い、市井さんでいいんですよね? あ、なんで名前知ってるかっていったら、
さ、さっきの飯田さんっていう人に聞いて……。あ、なんで飯田さんの名前知ってるかというと……」
延々と、いらない説明が続く。
誰も、そんなこと訊いちゃいないのに。
どうやらこの子、話に終わりがつかないようだ。
「わ、わかった。石川さんの言う事は判ったから。とりあえず喋るのやめて」
「あぁっ、す、すいませんっ! うるさかったですか!? 私、いつも話長いし…」
「や、だから……」
喋るのやめて、と言っているのに。
石川の謝罪トークは、10分程続く。
- 14 名前:衝突回数―9― 投稿日:2001年06月24日(日)20時17分23秒
- そして10分後……
「い、石川さん、も、いいから…。お願い、そろそろ市井に喋らせて…」
「えっ? あ、ご、ごめんなさい……」
市井の顔は、見るからに疲労している。
ある程度石川がこんな性格だと知っている子も、疲れるのに。
初めての市井は、怪我をしていることもあり、余計に辛かったようだ。
「や、やっぱり、私、来ない方がいいですか? う、うざいですよね…。
で、でも、私が怪我させたから、少しでも何か役に立てることしなきゃ、って…」
「いやあ、充分役に立ってるよ」
少なくとも、退屈はしない。
延々と続くトークも、聞いていたらおもしろい。
でも今は、喋りたいことがあるから、そこでストップ。
「あのさ、市井は、別にいいんだよ。
事故ったのだって、石川さんだけのせいじゃないワケだしさ。
お金なら、ちゃんと都合がきくから。石川さんが、払うことないって」
「ダ、ダメですよっ! 私が払いますっ!」
「………じゃあ、金はいいから、身体で払ってよ」
な〜んてね、そう言って顔を上げると、ビックリ。
「い、石川さん……?」
「……………」
問い掛けても黙って、決心したかのように静かに口を開く。
「わ、判りました……。そ、そうですよね。
人様にこんな大怪我負わせて、自分だけ無傷ですもんね……。
やっぱり、それ相応に、私も何かしなきゃダメですよね……。今日、お店探してきます…」
「や、あの……」
冗談で言ったんだけど。
しかし、石川には冗談は通じなかったようだ。
- 15 名前:衝突回数―10― 投稿日:2001年06月24日(日)20時18分02秒
- 「ごめん。市井が悪かったッス」
右足を吊らされながら、右腕を固定されながら、出来る限り頭を下げる。
「そ、そんな、謝らないでくださいよぉ〜。本気にした私が悪かったんですから〜」
「や、今のは市井が完全に悪い」
「そんな……」
更に、ギクシャクした雰囲気が。
このままじゃ、嫌われちゃう。
それだけはなんとか阻止しなければ。
「そうだっ! い、石川さんてさ、何歳? 市井は、17なんだけど…」
今年の12月31日で、18歳。本来なら高校三年生だ。
でも学校は、途中で辞めてしまったんだけれど。
「私は、16です」
「えっ、じゃあ1コ下かぁ」
「そ、そうらしいですね。あ、じゃあ“さん”付けやめてください。なんか、照れくさいです……」
「じゃ、じゃあ、石川……」
「はい!」
ホッと一安心。
なんとかギクシャクした雰囲気はとれたみたいだ。
――
「とりあえず、お金は払わなくていいからね。
あとそれと、そんな、責任感じなくていいから。この2つ、市井のお願いね」
「は、はい……。でも、イマイチ納得出来ません。やっぱりお金だけでも……」
「じゃあ、もう1つお願い増やしていいッスか? これで、チャラにしよう」
「な、なんでしょう…?」
少々緊張した面持ちで、市井を見つめる。
今度は、冗談なんか言わない。
本気と書いてマジと読む、本気だ。
「毎日とまではいかなくていいから、暇が出来たら、こうやってお見舞いきてくんないかな……?」
「へ……?」
それは、石川にとってはすごく意外な言葉で。
「わ、私が来たら、うざくないですか…?」
「うざくないよ。全然」
「でも、ネガティブだし……」
「ははっ、それがどう関係あんのさ」
「あ、そ、それもそうですよね……。やだ、私、また意味判んないこと……」
とてもとても嬉しかった。
- 16 名前:衝突回数―11― 投稿日:2001年06月24日(日)20時18分38秒
- 「で、でさぁ……ちょいと、質問があるんですけど……」
恐る恐る石川の顔色を窺う。
「? なんですか?」
さっき、飯田と話していたことで、質問したいことが。
「カ、カレシとか、いたり、する? も、もしくは、好きな、人、とか…」
文を、何回も区切って。
もう一度恐る恐る、石川の顔を窺う。
「い、いませんよぉっ!! そ、それに私、男の人とか苦手だし……」
だってなんか、変な目で見てきたりとかするんですもん……、泣きそうな顔でそう言う。
「そ、そうなんだ……」
それを聞いた途端、自然と顔がほころんでしまった。
そしてそのにやけてる口を隠そうと、慌てて口を押さえようとしたが、忘れてた。
「いでててっ!」
右腕を、骨折しているということを。
「きゃあっ、い、市井さん、大丈夫ですかっ!?」
石川の声が遠くに聞こえる。
市井紗耶香、17歳。
入院生活の、始まりだ。
- 17 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月24日(日)20時19分14秒
- ここまででございます。
………ちょっと長かったかな。。。
>>8
( `.∀´)<どう違うのよ! 言ってみなさいよ!!
初レス、おめでとうございます(w
へナの予感……します?(w
坊ちゃんはねぇ、ちょこっと出るか、出ないかのどちらかです。今回は。
>>9
こんな雑なの、楽しみだなんて……。
どうなんだろ……これって、コメディーなのか?(w
>>10
( ´ Д `)<……………はっぱ隊?
今回はねぇ、特にへナを意識したワケじゃないんですが。
一応、少し生意気な中学生の少年のようなイメージで(どないやねん
甘い……ある意味、そうかもしれません。
- 18 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月24日(日)21時50分33秒
- 今回は市井がへナじゃなくても普通に石川がへナの不陰気を出してますね。
病院ってなんか独特の雰囲気があるところだと想うのでそこでどういった展開になるのか楽しみです。
雑だといわれているようですが楽しみにして待ってますよ。
- 19 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月24日(日)23時26分00秒
- なんかほのぼの&初々しい感じでいいっすね。
奥手な二人って感じで。
すんげぇ楽しみっす。作者さんガムバッテ
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月25日(月)04時14分20秒
- ボケボケの石川がいい味出してる〜。
今回は、いままでと違う普通な市井ちゃんに期待しています。(w
- 21 名前:衝突回数―12― 投稿日:2001年06月25日(月)23時39分26秒
――
「暑い……暑すぎる……」
入院して、もうすぐ2週間。
カレンダーの日付も、7月残すところあと10日あまり。
右腕、右足を固定&包帯されているため、暑い。
しかもそれだけでなく、6人部屋の真ん中のベッドの市井は、更に暑いのだ。
もし、窓際のベッドだったら、そこにクーラーがあるから、少しでもマシだろうに。
受付ロビーや、どこか他の涼しい所へ行けるならまだしも。
足を吊らされている市井は、身動きできない。
だから、余計暑いのだ。
そんな暑がっている市井の元に、石川がやって来た。
どうやら今日は、仕事が早く終わったらしい。
いつもはお見舞いに来る時間は4時頃なのだが、今日はそれよりも4時間早い、12時だった。
「こんにちはー!」
「あれ、今日は早いんだ」
「はい!」
とりあえず、座って座ってと言う市井の言葉通り、椅子に座る。
市井が入院してから、毎日来てくれている石川。
そしてその度、いつもいつも何かお見舞いの品を持って来てくれている。
今日はどうやら、石川お手製のクッキーのようだ。
「昨日の夜、頑張って作ったんです。本見ながら」
ウキウキ話す石川に、市井は動揺を隠せない。
たしか1週間ほど前にも、石川お手製のミニケーキをもらったことがある。
しかしそのケーキは、ケーキじゃなかった。
- 22 名前:衝突回数―13― 投稿日:2001年06月25日(月)23時40分05秒
- 「い、石川、味見した?」
「あ、私、いつも味見しないんです」
「あ、そ、そうなんだ……」
そんな、とびきり笑顔で言われても……。
お願いだから味見して、そんなこと、言えない。
これを食べたら、どんな症状が出るだろう。
そんなことを思いながら、クッキーを少しずつ口に近づける。
「………(ゴクッ)」
手が震える。汗がだくだく。
こうなったら、ヤケだ。
石川を悲しませることだけはしたくない。
決意して、一気にクッキーを口に含み、ゴクンと飲み込んだ。
その間、1回も噛んではいない。
喉につまって息ができなくなったが、それも踏ん張った。
「ゲホッ………お、おいしいね、このクッキー……」
「ほ、ほんとですかっ!? よかったですぅ〜ちょっと自信なかったんですけどね……」
えへへへへ。
はにかんだような笑い。
(自信なかったら、お願いだから味見してよ……。
まさか、クッキーを食べ死亡、なんてことになりたくないってのに……)
それなのに強く言えないのは、惚れた弱みというところか。
今の市井にとっては、迷惑なことだ。
- 23 名前:衝突回数―14― 投稿日:2001年06月25日(月)23時40分38秒
- もう一枚食べてください、と言う石川の誘いをやんわりと断わる。
そして石川が帰った後、変わりすぎた味覚の持ち主の飯田にあげるのだ。
捨てるのは、もったいない。
かといって、食べることは命に関わる危険性があるので食べれない。
だから、このクッキーがおいしいという飯田にあげた方がいいだろうということで。
それですべて、一件落着。
「あ、そうだ」
「?」
「昨日圭織が来た時、りんごもらったんだよ。忘れてた」
お見舞いとして、2つ持ってきてくれたりんご。
その内の1つは、昨日飯田が剥いてくれて、食べたんだけど。
もう1つ残っていたことを忘れてた。
「悪いけど、そこに包丁あるからさ、剥いてくんないッスか?
ほら、このとおり市井、片手使えないんで」
「あ、わかりましたぁ。私、結構剥くの上手いですよ」
終始笑顔が耐えない石川につられて、つい市井も笑顔になってしまう。
今更ながら、ほんとに可愛いよなぁ、なんて。
「剥けましたぁ」
そう言って、リンゴを差し出す。
いや、そうじゃなくって。
(ちくしょう、「あーん」って食べさせてくれるの、期待してたんだけどな……)
鈍感な石川には、そんな市井の願望などまるっきり判らないようであった。
- 24 名前:衝突回数―15― 投稿日:2001年06月25日(月)23時41分20秒
- ――
「ふう。それにしても暑いよね」
石川のまったく意味の判らない寒い会話を聞いていても、暑い。
「あ、じゃあ扇ぎましょうか」
「や、そんな、お客さんに……」
「お客さんじゃないですよぉ。加害者ですよぉ」
「か、加害者って……」
「市井さんは、被害者です」
「そ、そうッスか……」
ひきつりながらも、なんとか笑顔。
ここで、疲れた顔や、ヒイたような顔をしたら、石川が心配する。
またネガティブモードに突入だ。
それだけはなんとしても避けなければならない。
「じゃあ、お願いします……」
そこの、棚の中に団扇が入ってるから。
右手を固定されているため取れないので、指示して団扇を出す。
「気持ちいいですかぁ〜?」
ふわふわ風が、市井の前髪、横髪を揺らす。
「気持ちいいッス〜」
目を細めて、起こしていた身体を再びベッドに。
「あ〜……生き返るねぇ」
「そうですか? 扇いでる甲斐があります」
そう言ってにっこり。
バッキューン!!
その石川の笑顔を見た瞬間、何かに胸を打たれたような音が聞こえた。
(ドックンドックンドックン………)
胸に手を当ててみる。
当ててみると、ものすごい速さで鳴る心臓。
こんなこと、初めてだ。
- 25 名前:衝突回数―16― 投稿日:2001年06月25日(月)23時41分56秒
- (はうぅっ……む、胸がっ……苦しい……)
必死で呼吸を試みる。
スーハースーハースーハー。
それでも息苦しいのは変わらない。
そんな市井のことは構わずに、ただ石川はにこにこ微笑んでいる。
その笑顔が実際市井の胸を苦しめているのに、そんなこと知らないよ、な感じの石川。
「い、いし……かわ……」
苦しいながらも、この息苦しさを作った張本人の名を呼ぶ。
「はい?」
もちろん、その返事は笑顔で返ってきて。
あ、もうちょっと強く扇いだ方がいいですか? なんて、見当違いな意見。
違う。違うんだ。
そうじゃなくって。
どうやらワタクシ、キミのことが、とてつもなく大好きみたいなんですけど。
そんな突然な愛のコクハク。
それは、石川に伝える前に、PHSのメールの音で消えてしまった。
- 26 名前:衝突回数―17― 投稿日:2001年06月25日(月)23時42分43秒
- 「あ、ちょっとすいません」
そう言って、一旦扇ぐのを中断し、カバンからピッチを取り出し、メールを見る。
「よっすぃーだ」
「よっすぃー?」
誰だよ、ソイツ。
アンタ、石川のなんなのさ。
見たこともない、話したこともないよっすぃーに対し、敵対心むきだし。
「な、なぁ石川、よよよよよよっすぃーって誰ッスか?」
よっすぃーと言うだけなのに、それだけで思いっきり動揺。
これじゃ、気があるのバレバレじゃないか。
いや、この子は鈍感だから、それだけじゃ気づかない。
だからはっきりと言おうとしたのに、その“よっすぃー”とかいうヤツに邪魔された。
人の恋路を邪魔したんだ。
石川との関係、聞く権利はあるってもんだ。
「よっすぃーですか?」
「そ、そう。よよよよっすぃーです」
「えっとね、私が働いてるフラワーショップの常連さんなんです。
すっごい格好いいんですよ、よっすぃーは」
「かかかかかかっこいいっ!?」
「そうなんです〜。男前なんですよぉ」
「おおおおお男前ぇっ!?」
ガックシ。
思いっきり気持ちダウン。
まさか、石川の口から、そんなことを聞くなんて。
ましてやそれが、
「そそそ、それって男……?」
「や、女の子ですよぉ。1つ下の」
女、だなんて。
「……い、石川はさ、そ、その、よよよよよっすぃーのこと、好きなの……?」
「はい、好きですよ? でも、どうしてですか?」
「いや………」
男に負けるんなら、まだいい。
というか、しょうがない。
けれど、相手は市井と同じ女。
まさかのまさか。
同じ女に、負けるなんて。
初めて、胸が苦しくなるくらい、恋をしてしまったというのに。
衝突という衝撃的な出逢いから、2週間。
市井紗耶香17歳。
失恋、という2文字を、初めて知った夏でした。
- 27 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月25日(月)23時43分25秒
- ( ゜皿 ゜) <交信オワッタヨ
>>18
(〜^◇^〜)<矢口が代わりに答えます!
毎日更新、出来ればしたいそうで〜す!
……………この話出番ないから、ここだけでも出て、存在アピールしとかなきゃ…
石川がへナ……ということは、へナ石か(w
本当に、これからもっともっと雑になっていくので、出来る限り大らかな目で見守ってやってください…。
>>19
ほのぼの&初々しいと言ってくれて、ホッとしてます。
なんか文字打ってても、どもりばっかだし(w
初々しいどころか、ギクシャク過ぎないか?と不安になったりもしました。
いえっさー、ガムバリマス
>>20
( `.∀´)<馬鹿ね! アンタは返上したつもりかもしれないけど、
あたしから見たら、今回もへナよ!!
梨華お嬢さんは、大体ずっとああいう感じで行きますので。
普通っていっても、やっぱり俺が書くと、普通じゃなくなってる気がします……(w
- 28 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月25日(月)23時48分46秒
- よっすぃーが出てきたかぁ!
こりゃー大変っすね。
それにしてもちゃむどもりすぎ(w
- 29 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月26日(火)03時28分12秒
- よっすぃーが出てくるということは新旧男前対決勃発ですね?(w
- 30 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月26日(火)10時54分22秒
- いちいしですよね・・ってことはかおよし? ワーイ!(バカ)
- 31 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月26日(火)21時59分11秒
- (; ゜皿 ゜)<オカシイ……交信デキナイ…
上の飯田さんが言ってます通り、今日は仕事が忙しいので更新できないッス…。
もしかしたら、明日もかも。
とりあえず、報告だけしときました。
楽しみにしてくれて、読んでいてくれている方、ごめんなさい。
- 32 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月26日(火)21時59分50秒
- >>28
やっぱどもりすぎでしたか(w
本人も、やりすぎたかなぁ〜とは思ってたんですが。
>>29
(〜^◇^〜)<だってさ〜、矢口が出たら、紗耶香は絶対矢口に惚れちゃうもん!
でぇ、そんなことになったら、作者が困るからさ〜、
今回の話はいちいしだから、矢口は大人しくしててくれって言われたんだよ〜
本編更新せず、ミニネタ更新(w
2001年、男前対決決勝戦!
出場者:ヽ^∀^ノ(O^〜^O)
審査員:( ゜皿 ゜) ( ´ Д `)(^▽^)(〜^◇^〜)
特別審査員:从~∀~从
司会:(‘д‘)(´D`)
加護&辻「さぁ、最後の瞬間がやってまいりました!
2001年度男前対決、栄冠はどちらの手に!?」
ジャジャジャジャ、と音楽が流れ、ライトが審査員の四人に当てられる。
そして、ジャン!と音が鳴ったと同時に、四人一斉に札があげられた。
辻「ななな、なんとっ! これはすごいことになってしまいましたっ!」
加護「飯田さん矢口さんが、市井さんの札をあげ、後藤さんと石川さんがよっすぃーの札!
2対2で、同点やっ!!」
驚いたように2人声をあげ、ひそひそと相談しあう。
そしてきっかり1分後、判断は、この人に任せることにした。
加護&辻「では、中澤さん、どうぞ札をお上げくださいっ!!」
特別審査員の中澤裕子。
神妙な面持ちで、札を………
「優勝は、この中澤裕子様やーっ!!」
いつのまにか、中澤裕子に変えていた。
市井&吉澤「なにぃ〜っ!?」
矢口「誰だよ、あのアホに特別審査員なんてことやらしたの…。あぁなるの判ってたのに…」
飯田&石川「矢口(さん)の言う通り…」
加護&辻「ちっ、結局、おいしいところ、中澤さんに持ってかれた…」
後藤「ねむい……」
勃発する前に、どうやら中澤姐さんが治めてくれたようです(w
あれ、でも何か忘れているような…。
( `.∀´)<アンタ、どうしてあたしを特別審査員にしなかったのよ!!
っていうか、なんでどこにもあたしがいないのよっ!?
そうだ。保田様を忘れていたんだ…。
>>30
いちいしっすよ〜。ただし、どこかちょっとおかしいいちいしですが。
かおよしは…。
- 33 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月26日(火)22時26分18秒
- >>32の圭ちゃんへ
( ● ´ ー ` ● )<圭ちゃん、大丈夫……。
なっちなんか、いないことにも気づかれてなかったんだから……。
パソコンの電源を切ってから、なっちを忘れてたの気づいたんだって……。
ご、ごめん、なっち……。
あぁ、ほんとにほんとに逝ってこよう……。
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月26日(火)23時18分16秒
- いえ分かります。あんだけいたら一人や二人すっかり忘れてたりします。
僕もよく忘れてます(w
毎日の更新お疲れ様です。一日くらい休んでも(・∀・)イイと思うyo
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月27日(水)03時32分19秒
- 男前対決、笑いました!!
それ以上に、忘れられた圭ちゃんとなっちが笑えました。(w
そんな1日、2日更新できないくらいで〜・・・我慢しますよ〜!!(w
作者さんは、なんて律義な御方なんだ。
- 36 名前:衝突回数―18― 投稿日:2001年06月27日(水)13時50分36秒
- なんとか動けるようになってきた市井は、飯田と一緒に病院の屋上に来ていた。
「はあぁぁ〜〜……」
空は、雲ひとつ快晴なのに、市井の心は、雲ばかり。
ここ2週間、ずっとこの調子だ。
「ちょっと紗耶香ぁ、そんな、こっちまで落ち込むため息つかないでよ」
さっきから、何回も何回も。
「そりゃ、気持ちは判るよ。でも失恋しちゃったからには、しょうがないじゃん」
「………飯田さん、冷たい……」
「なっ……」
久しぶりだ、「飯田さん」なんて。
そう最後にそう呼ばれたのは、いつだったか。
「どうせ、市井はフラれ野郎ッスよ……ケッ。
圭織なら、判ってくれるって思ったのにな………」
「だ、だから、判るって言ったじゃん。………どうして欲しいの、圭織に」
そんな懇願するように目を向けられても。
こっちの気持ちは、一つも判ってくれないっていうのに。
私は、どうしたらいいんですか。
- 37 名前:衝突回数―19― 投稿日:2001年06月27日(水)13時51分13秒
- 「はぁ、判ったゾ」
ポン、と市井の肩に手をやって、にやぁ〜っと笑う。
「市井さんは、まだ好きなんだね。あのお嬢様が」
さっき、「飯田さん」と言ったお返しだ。
こちらも負けじと「市井さん」で。
「むっ…」
図星なんだろう、赤くなって肩に乗せた飯田の手を払う。
「いつもはすっぱり諦めるのが1番だよ、とか人に言ってる人がねぇ〜…。
肝心の自分のことになると、諦めが悪いとはねぇ〜…」
「い、いいじゃんかっ、想ってるくらいっ!」
「……そうだね。想うのは、自由だもんね」
「そ、そうだよ」
バツが悪そうに目を反らす市井がとても可愛い。
見栄を張ったり、出来もしないことまで出来ると豪語したりするけれども、
そんなこと全部含めても、市井は可愛い後輩なのだ。
「よおし、ここは、圭織に任せろぃ! ほんとに失恋したかどうか確かめてきてあげる!」
「えぇっ、た、確かめるもなにも、石川の口から『好き』って言葉が……」
思い出したのだろうか。
急激にテンションが下がって、俯いてしまった。
「じゃあ聞くけど石川は、恋愛対象として、『好き』って言ったの?」
「いや、言ってない……」
「………紗耶香は、思い込みが激しいんだよ。
『好き』って言葉も、色々使い方あるでしょーが」
友達としての、好き。
想っている人に対しての、好き。
「け、けど……」
「まぁ、それはもう一回ちゃんと聞いてみないと判らないからさ。
圭織が聞いてきてあげるよ、可愛い後輩のために」
「か、圭織……」
そんな端正な顔で、キラキラ瞳に見つめられて。
ドキドキしないハズがない。
「わ、わかったから。じゃ、ね」
照れて赤くなってる顔を市井に見られないように反らして、階段を下りて行った。
- 38 名前:衝突回数―20― 投稿日:2001年06月27日(水)13時51分45秒
- ――
1階の、受付ロビー。
ガンガンに効いているクーラーを浴びて、飯田は石川が来るのを待っていた。
「……にしても、おっそいなぁ……」
石川の仕事は3時半に終わるらしい。
だからそれから病院に行くと、大体4時頃に着く。
なのに今日は4時になっても姿を現さない。
もうすぐで4時30分だ。
「今日来ないのかな。いや、でも……」
そんなハズ、絶対にない。これまでも、必ず毎日来た。
それに飯田の感が正しければ、どんなに忙しくても石川は必ず来る。
だって、市井に逢いたいから。
市井の話を聞いて、おかしいなぁとは思ったんだ。
石川はたぶん、市井のことが好きなハズなのに。
そして今日聞いてみると、案の定自分の思い込み。
まったく世話の焼けるヤツだ。
「なぁんで紗耶香も気づかないかなぁ…。紗耶香と喋る時、石川死ぬ程嬉しそうな顔してるってのに。
それに、いくら自分が事故起こしたからって、毎日毎日手作りのクッキーやら何やら持ってくるハズでしょ。
好きな人に食べさせたいと思うから、持ってきてるんだと圭織は思うんだけどなぁ…」
よく人に鈍いとか、言われたりもするけど、それは自分のことであって。
誰かが誰かの事を好きっていうことを気づくのは、鈍くないハズだ。
「でも紗耶香は圭織と似てるからなぁ…」
自分自身の恋愛については、鈍いところ。
そんなとこ、そっくりだ。
と、そんなことを考えている最中、入り口の自動ドアのところで、石川を見つけた。
- 39 名前:衝突回数―21― 投稿日:2001年06月27日(水)13時52分27秒
- たまに、あること。
自動ドアの前に立っているのに、ドアが開かないのだ。
その場でドンドンと飛んでも、開かない。
「え〜? な、なんでぇ〜っ?」
泣きそうな石川の声が、聞こえなくてもそう言っていると判る。
面会時間は、午後5時まで。
現在の時間は、午後4時45分。
「焦ってる、焦ってる」
くくくっ、笑いをこらえて、近寄る。
そして石川と自動ドアを挟んで向かうようにして立ち、ドアを開けてやった。
「い、飯田さんっ。あ、ありがとうございます、どうしようかと思っちゃいましたよぉ〜!
な、なんかね、ちゃんと立ってるのにこのドア全然開かなくて……。
私、よくこんな風になっちゃうんです……呪われてるのかな、ほんとに……」
まただ。石川の終わらないトークだ。
「石川、ネガティブモードはそれくらいにして、早く行かないと面会時間終わっちゃうよ?」
「あっ、そうだった! す、すいません、失礼しますっ」
「頑張れ〜」
走って、人にぶつかりながら、よろけながら市井の病室を目指す石川。
「聞くのは、また今度にしよ」
もっとも、聞く前にもう答えは判っているんだけど。
それでも一応確認のため。
残りあと15分。
石川が市井に逢えるその時間を割いてまで、話をする気は飯田にはなかった。
- 40 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月27日(水)13時53分11秒
- ( ゜皿 ゜) <キョウハ交信デキタミタイ
思いっきり雑で、展開早いんですけどね、中身は…。
こっからもっと雑になって、展開早くなってきます。
読んでくれている方は、どうぞ怒らないでください……。
>>34
やっぱあれでしょうか…愛情の差ってやつでしょうか(ニガワラ
市井、矢口、加護、飯田の4人はまっさきに書いてるのに…。
ありがとうございます。本当は今回も毎日更新目指してたんですけどね…(w
>>35
从~∀~从<納得しろ、ボケぇッ!!
もうね、最近ピュアソウル(ドラマ)見てから、忘れんのが多くて…。
絶対忘れてはいけない2人なのに、忘れてしまった……。
あんまり更新の間が空いたら、だらけてしまう可能性があるので、避けたかったんですか…。
今日は更新できました。
このまま突っ走りたいっす。
- 41 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月28日(木)00時16分18秒
- 雑さなんて全く感じませんよ?
この調子で突っ走っちゃって下さいファイト!
それにしても交信カオリカワイイ(w
- 42 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月28日(木)04時32分48秒
- ちゃんと更新されてる〜・・・素晴らしいっす!!(w
本編の中の自動ドアのくだりの部分、自分もよくあります。
あれは結構恥ずかしいものです。(w
- 43 名前:衝突回数―22― 投稿日:2001年06月28日(木)22時09分37秒
- それから、1週間が過ぎ、市井の退院まであと3週間。
石川はいつものように病院へと足を運んでいた。
3日前だろうか。
飯田に呼ばれ、「紗耶香のこと好き?」と突然聞かれたのは。
いきなりのことでビックリして、頭がパニックになって。
つい素直に、「はい…」と答えてしまった。
本当はずっとその気持ちを胸にしまっておこうと思っていたのに、他人に
その気持ちを知られたことで、石川は少し戸惑っていた。
飯田は、言ったりしないってことは判ってる。
それに飯田が言わなくても、市井は気づいているかもしれない。
もちろん全然気づいてなんかいないのだけれど。
目が合うだけでドキドキして。
笑った顔を見るだけで、幸せで。
今まではそんな気持ちを自分なりに抑え込んでいたつもりなんだけど、
飯田にバレてしまったことで、そんな気持ちの制御が緩くなってしまった。
- 44 名前:衝突回数―23― 投稿日:2001年06月28日(木)22時10分14秒
- 「………石川、どしたの? 下向いて」
「えっ? きゃあっ!」
気が付くと、目の前に市井の顔。
慌てて飛び退いてしまった。
「な、なんだよ……」
しまった。怒ってる?
もしかしたら、勘違いされたかもしれない。
「ご、ごめん。まさか、そんな驚くとは思わなかったしさ……」
「ち、違うんですっ!」
確かに驚いたのは驚いた。
でもただそれだけなら、悲鳴をあげるだけで済んだのだ。
それが飛び退いてしまったのは、それが市井の顔であったからで。
「も、もしかして、男だけじゃなく、お、女もニガテとか……?
や、そ、それだったらなおさらごめん。悪かった」
「そ、そんな、謝らないでください! ち、違うんですよっ」
ただ、あまりにも市井さんの顔が近くだったから……なんて、言えない。
「……石川さぁ、ここ3日ほど、オカシクない? なんか……」
「や、やっぱり、そう思いますか……?」
「う、うん……」
- 45 名前:衝突回数―24― 投稿日:2001年06月28日(木)22時10分46秒
- 前は、変わってるなぁ程度にしか思わなかったけど。
最近はそれにも増して、おかしい。
じゃあ、そんなおかしい子を好きになった、市井はもっとおかしいのか。
市井は考える。
「じ、自分じゃ、一生懸命頑張ってるつもりなんですけどっ……や、やっぱりおかしいですよね…。
ネガティブだし、すぐ泣きそうになるし、何やってもドジだしっ…。
こ、こんなおかしい子、い、市井さん嫌いですよね……」
「や、あの……」
そういう意味のおかしいじゃなくて。
様子がおかしいって意味なのに。
「そ、それに、別に市井、嫌いじゃないよ」
「ほ、ほんとですかっ!? ほんとに嫌いじゃないですかっ!?」
「だから、そうだって」
っていうか、どうやったら嫌いになれるか教えて欲しいよ。
好きになりすぎて困ってるくらいなのに。
- 46 名前:衝突回数―25― 投稿日:2001年06月28日(木)22時11分19秒
- 「よ、よかったぁ……嫌われたら、どうしようかと思いましたぁ……」
「へ……?」
ホッと胸を撫で下ろし、嬉しそうな表情をする石川。
嫌われてないと知って安心して、自分が何を言ったか判ってない。
「な、なんで、嫌われてたらどうしようかと思うの……?」
「えっ? あ……」
慌てて口を押さえたが、もう遅い。
それはすでに言った後。
「そ、それはですね、えっと……」
上手い言い訳を考える。
でも頭の中がぐるぐる回ってしまって、そんなもの考えられない。
「はっきり言ってよ……。また思い込みだったら困るから……」
「あ……」
市井の左手が、石川の髪に。
「い、市井さ……」
「なに…?」
「わたし……」
「うん」
首を傾げるようにして、顔を石川の顔に近づける。
石川は、あまりにも心臓の音が大きすぎて、死んでしまうんじゃないかと錯覚まで覚える。
「私……市井さんのこと……」
好き、です。
その言葉は、2人の唇が触れ合うことで知ることができた。
- 47 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月28日(木)22時12分08秒
- ( ゜皿 ゜) <交信ハ、イチニチイッカイヲモクヒョウニ
>>41
もうどんどん突っ走ちゃいます。
細かいことは気にせず、どんどん(w
交信カオリ自分もすっごく気に入ってます(w
>>42
( ´ Д `)<へ、へぇ……いちーちゃん、そっちの方見るつもりだったんだ…
ああ、そう……ふーん……
自動ドア、俺もあります。
しかもそれ以上に、自動ドアがないと思って歩いてたら、自動ドアにぶつかって恥かいたことも。
何やってんだか……ほんと。
- 48 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月28日(木)22時29分50秒
- マジこの話サイコ−です!
特にいちーちゃんの「ちょ、うわ……くそっ、なんか、妙な方向に手と足曲がってる!! どうしてくれんだよ!……って……」ってとこで爆笑!
期待してるんで頑張ってください!
- 49 名前:ぐれいす 投稿日:2001年06月29日(金)00時08分20秒
- 展開が速いのがけっこうよかったりもします。
交信しているカオリもなかなか(w
よっすぃーはそろそろ出るんでしょうか?教えて矢口さん!
- 50 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月29日(金)03時46分36秒
- ついに市井と石川がぁ〜・・・
最高です!!(w
某誌に載ってた金髪市井ちゃんカワイイな〜
- 51 名前:衝突回数―26― 投稿日:2001年06月29日(金)10時57分43秒
- ―――
――
「えっ!? キ、キスしたのっ!?」
「しーっ!! こ、声でかいって、圭織っ!」
慌てて口を押さえて、飯田を黙らせて。
ぺこぺこと周りの同室の人達に頭を下げる。
「まったく……急に大声出すから、ビックリしたよ」
「ご、ごめん……」
「や、そ、そんな、謝らなくても…」
キスした、と告白した時、喜んでくれると思ってたのに。
なんだか飯田の様子がおかしい。
「どしたー? また店長に何か言われた? それなら、いちいち気にするこたないよ」
市井達が働いているところの店長は、嫌味大好きで。
何か失敗すると、待ってましたとばかりに口を開く。
その店長の嫌味で辞めたバイトは数知れない。
「違うよ。何も言われてない」
「でも、元気ないよ?」
それまでは、全然普通だったのに。
市井が、昨日、石川とキスしたんだ、と嬉しそうに言ってから、飯田の様子がおかしい。
- 52 名前:衝突回数―27― 投稿日:2001年06月29日(金)10時58分16秒
- 「やっぱ、キスしたりすんの、早かった? や、でも、なんか抑えらんなくてさー。
もう石川が可愛いのなんのって!」
泣きそうな顔で、赤い顔で、市井を見つめて。
そんな顔で見られて何もしないほど、手は遅くない。
「あーでも、手ぇ早いとか思われちゃったかなぁ。気持ち聞いて、すぐ。だもんね」
しかし実際その通りなんだから仕方が無い。
もし訴えられたとしても、まったく勝ち目も無い。
「や、でも、ここは少々強引にいかなきゃと思ってですね」
石川みたいなタイプは、押すに限る。
これまでの経験で、そう判断。
「…………本気、なんだ?」
「えっ?」
さっきまで静かだった飯田。
突然の質問に、思わず聞き返した。
「石川のこと、本気なんだ、って言った」
「えっ、そりゃあそうだよ。っていうか、今までの子達もずっと本気ッスよ?」
「違う。今までは、相手の子の方が紗耶香に本気だった」
「えぇっ、い、市井も本気だったよ」
「違う。圭織が言ってるんだから、違う」
「はあ? なんで、圭織が言ってるからなんだよ」
本人が、本気だったと言っているのに。
友達は、本気じゃなかったと言っている。
市井には、飯田が何を言いたいのか判らない。
- 53 名前:衝突回数―28― 投稿日:2001年06月29日(金)10時58分49秒
- 圭織、それ聞いた時、嬉しかった。
想ってるだけだったら、その人に迷惑はかけないし、そのまま関係も続けられる。
でもさ、メリットがあるってことは、デメリットももちろんあるんだよね…」
「?」
一方的に話を続ける飯田に、市井は疑問符を浮かべるばかり。
そんな疑問符を浮かべている市井を横目で見て、飯田は続ける。
「それまで、その想ってる人に幸せになってもらいたいって思ってたのに、
急にそれが現実になったら、一気に虚しさが全身を襲う。
でも気持ちも伝えてないし、ただ気持ちがバレないように想ってるだけだったから、
その人は全然気づいてくれない。
気づいてくれるどころか、その子とのノロケ話まで聞かされる。
なんでだろ……それを望んでたハズなのに、すっごい胸が苦しいんだよね……」
胸辺りの服をぎゅっと握って下を向く。
「か、かおり……?」
心配した市井が尋ねると、飯田はゆっくりと顔をあげた。
周りはうるさいのに、そこだけ、市井のベッドの周りだけ、妙に静か。
飯田と2人でいて、こんな息苦しい空気は初めてだった。
「で、でも、さっきの話と、市井が石川以外本気じゃなかったって言い張るのと、関係あるのかよ」
「………鈍感も、ここまできたら罪だよ、紗耶香」
「なっ、い、市井は鈍感なんかじゃ…」
「圭織が言うんだから、そうだよ」
「だ、だから…」
なんで、そこまで言い切れるのさ。
そんな市井のセリフを読んでいたのか、飯田は言った。
「ずっと、紗耶香を見てきたからに決まってんじゃん」
- 54 名前:衝突回数―29― 投稿日:2001年06月29日(金)10時59分27秒
- 「だから、判るんだよ。だって、今までの子と石川に対する紗耶香の態度、全然違う。
あの時、失恋したと思ってたとき、他の子だったらもう諦めていた。
あそこまでどもりながら喋る紗耶香だって、初めて見たよ」
「うっ…」
確かにどもり過ぎた。
自分でも判ってはいたんだけど、石川の顔を見ると緊張して、上手く喋れなかった。
飯田の言うとおり、他の子の場合は、どもらず、ちゃんと喋っていた。
「鈍感は、説明するまでもないよね。
紗耶香、圭織の気持ち、全然気づいてなかったし」
「…………」
返す言葉がない。
ただ黙って、下を向いていた。
市井達が、そんな話をしているとは露知らず。
仕事が休みなので、いつもより早く石川は、病院へと足を運んでいた。
- 55 名前:衝突回数―30― 投稿日:2001年06月29日(金)11時00分10秒
- 今日は、初めて市井が引きつった顔じゃなく笑顔でおいしいと言ってくれた手作りチョコレートを持って。
いつもより一段と綺麗にラッピングして、見栄えをよくして。
どうせ、すぐにほどいてしまうのだけど。
「市井さん、またおいしいって言ってくれるかな……」
呟いて、赤くなる。
「セカンド・キスは、チョコの味………きゃーっ」
この人は、一体何をやっているんだ。
直接そう言わないが、見る人みんな、目でそう言っている。
触らぬ神に、祟りなし。
そして顔が赤いまま、とうとう病室前。
キスしたのは、昨日。
それから改めて会うのは、今日が初めて。
どんな顔して、逢えばいいのか。
どんな顔して、市井は待っているのか。
石川はドキドキ。
「ん……?」
深呼吸して、いざ病室に入ろうと顔を上げると、市井のベッドの所に、飯田の姿。
「あ、」
どうも、こんにちは。
そう挨拶しようとしたのだが、市井の声が聞こえて、その挨拶は誰に届くこともなく消えた。
「市井も、圭織のこと、好きだよ………」
その言葉を聞いて、石川は黙って1人涙を流し、市井の顔を見ることなく、走って帰って行った。
- 56 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月29日(金)11時00分53秒
- ( ゜皿 ゜) <モウスグデ交信オワリマス
あと1、2回ってところでしょうか。
もしかすると、3回か4回ほどかも。
>>48
ありがとうございます。
そこのところのセリフ、実を言うとすっごく悩んだんで、嬉しいです。
あまり、期待しないでください……がっかりするから……。
>>49
展開早すぎるだろ、って突っ込みじゃなくホッとしております(w
なぜか人気のある交信カオリ(w
(〜^◇^〜)<リクエストにお応えして、矢口が答えてさしあげまSHOW!
よっすぃーは出ないんですよー、残念ながらー。
まあ、師匠の矢口が出ないのに、弟子のよっすぃーが出れるワケないでSHOWってことで
キャハハハッ! 意味判んねー!!
>>50
( ´ Д `)<……………昔のいちーちゃんは、もっと暗かったよ……(ボソッ
ついに、やってしまいました。
金髪ちゃむ、確かに可愛い。っていうか、髪何色でも、市井はなんでも可愛いです!
しかし、その某誌に載ってた記事がホントなら……。
ユウキ刺してやる!!……と思った俺は、最低でしょうか……(悲
- 57 名前:48 投稿日:2001年06月29日(金)16時24分07秒
- あのセリフでいちーちゃんのアホ加減がでてておもしろいですよ!
それより圭織がかわいそう・・・
圭織ヲタの自分としてはいちーちゃんと幸せになってほしいと切実に思います。
- 58 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月30日(土)03時24分16秒
- まさかここで圭織(ニューリーダー)が参戦してくるとは予想してなかったよ〜(w
市井、どうする・・・?どうなる・・・?
>その某誌に載ってた記事がホントなら……。
あの雑誌の信憑性なんて無いも同然でしょう!!
ただ、市井復帰のところだけは信じます。(爆)
- 59 名前:衝突回数―31― 投稿日:2001年06月30日(土)12時18分03秒
- 「市井も、圭織のこと、好きだよ………」
すごく大事で、かけがえのない存在で。
けど。
「やっぱり、圭織のこと、恋愛対象としては見れないや。
圭織も、判ってるから、ずっと黙ってたんだよね…」
「……うん。言ってもそう言われるの判ってたし、ね。
だって紗耶香のことずっと見てきたんだよ? 自分のことどう思ってるかなんて、判るよ」
「はは……」
「でも、言ってスッキリした。やっと、つかえが取れた感じ」
へへへ、と笑う。
こうゆう答えになるのは、予想していたのと同時に、ある意味望んでいたのかもしれない。
恋愛感情としての「好き」より、友達としての「好き」。
どちらにせよ、「好き」でいてくれていることに変わりはない。
言ってよかった。
これでやっと、一歩前に進める気がした。
「………にしても、石川遅いね」
「………うん」
まさか、さっき来ていたということを知らない2人。
そして市井が言った「好き」を、恋愛感情の「好き」と勘違いしてしまったこと。
2人は知るハズもなく。
面会時間終了まで、石川が来るのを待っていた。
- 60 名前:衝突回数―32― 投稿日:2001年06月30日(土)12時18分39秒
- ――
それから石川は一向に姿を見せることなく、退院前日と、日が迫った。
あれから何度も以前聞いた石川の番号に電話をかけてみたが、繋がらない。
飯田に頼んで、仕事場に見に行ってもらったのだが、どうやら辞めたらしい。
元々、知り合いでも何でもなかった2人。
お互い知っている数少ない情報は、あっという間になくなった。
「ふざけんなよな、ホント」
松葉杖を横に置いて、座る。
もしかしたら受付の所にいるのかも、なんていう淡い期待も虚しく。
今日も、石川の姿は見えない。
「このまま、終わるなんてヤだよ…」
呟いたら、涙が出てきそうになった。
最近どうやら涙腺が弱いらしい。
どうしてこんな事になったのか。
やっぱり、キスしたのがいけなかったのか。
判らないことだらけ。
「なんか、どんどんネガティブになってく気がする……」
何回か聞いたことのある言葉に、つい吹き出してしまった。
でも吹き出したのもつかの間。
笑みは消え、表情は曇る。
「石川、何やってんだろ……」
- 61 名前:衝突回数―33― 投稿日:2001年06月30日(土)12時19分25秒
- 「今ですか? 今、見ての通り働いてるんです」
何やってんの、そう質問したら、こんな答え。
「違うよっ、そーいう意味じゃなくて、こんな所で何やってんのって言ったの! なんで病院行かないの!」
偶然寄った、弁当屋。
そこで偶然見つけた、石川梨華。
石川が休憩をもらったのを利用して、飯田は理由を問いただすことにした。
「病院へは、行きません。私が行かなくても、飯田さんが行ってくれてるんでしょ?」
「そりゃあ、行ってるけど…」
「じゃあ、いいじゃないですか。
あ、でも、病院へは行きませんけど、お金はちゃんと返しますからって市井さんに言っておいてくれませんか?
返さなくてもいいって言われたんですけど、やっぱり返します」
「あのねぇ……」
そういうのは、直接本人に言いなよ。
怒った顔で言う飯田に、石川も怒った顔で返す。
「だって、飯田さんが言った方が喜ぶんじゃないですか? 市井さんは。
私なんかがお見舞い行かなくても、飯田さんが行った方が喜ぶんですよ。
だって、2人は両思いですもんね」
「………はあ?」
- 62 名前:衝突回数―34― 投稿日:2001年06月30日(土)12時20分02秒
- どこをどう勘違いしたのだろうか。
両思いは、そっちの方じゃないんですか?
飯田にはなぜそんな勘違いが生まれたのかまったくわからない。
けれど、思い返してみると、納得するところがあった。
石川が顔を見せなくなったのは、飯田が市井に告白した日から。
市井は、キスしたのが悪かったんだー、と落ち込んでいたのだが、石川の話を聞いて違うと判明。
あの時、石川が告白の場面にいて、市井の言った「好き」を恋愛感情の「好き」と勘違いしていたとしたら。
こんな勘違いが生まれないワケでもない。
そうか。そうだったんだ。
「……あのね、なんか思いっきり勘違いしてるみたいなんですけど。
圭織と紗耶香、両思いじゃないよ。っていうか、圭織の片思い。
圭織は紗耶香のこと恋愛感情としての「好き」だったんだけど、紗耶香は友達として「好き」だって断られた」
「え……?」
「まぁね、それは判ってたんだけど、ちょっとした心境の変化で告白したくなってさ。
紗耶香の好きな人は、他にいるよ」
しかも、今、目の前に。
指を石川に向けて差すと、石川はいきなり泣き出してしまった。
- 63 名前:衝突回数―35― 投稿日:2001年06月30日(土)12時20分36秒
- 「わ、わたしっ、私も……いち…さ……のこと、好きなのにっ……。
市井さんが、飯田さ……に、言ってるの聞いて、わたしっ……ぅ……」
「あーもうっ! 泣かないでよ、圭織が泣かしたように思われるじゃんっ」
通り過ぎる人達が、ジロジロと見て行く。
飯田は必死でなだめた。
「ご……ごめんなさ…いっ。ごめんなさ……」
「謝るのはいいから。早く、病院行ってきなよ。紗耶香待ってるよ」
その言葉に、石川は小さく首を横に振る。
「今更、あえないで、す…。……っ…市井さんも、もう私のことなんか嫌いにっ」
「嫌いになってないって! もぉっ!」
いつまでも、うじうじうじうじ。
泣いて、勝手に決めつけて。
こんな子に負けたんだと思うと、情けなくなってくる。
でもなぜか憎めない。
それが、石川の魅力なんだろうか。
「石川ぁっ、何やってんだよ、もう休憩終わりだよ! 早く矢口と交代〜!!」
口調からして、仕事場の先輩だろう。
「す、すいません矢口さんっ。今戻りますっ!!」
慌てて石川が謝ると、その矢口という先輩は、「もぉ〜」と言って、また中へ戻る。
「い、飯田さんすいません。私、仕事あるんで…」
見たところ、先輩はかなりご立腹のご様子だ。
早く戻らないと、怒鳴られるんだろう。
- 64 名前:衝突回数―36― 投稿日:2001年06月30日(土)12時21分16秒
- 「病院行かないの?」
「…………仕事、あるんで」
「………………そっ」
これ以上、言っても無駄。
そう判断した飯田は、じゃ、仕事頑張って、それだけ言って、飯田は帰って行った。
「あ………」
行ってしまう。
ここで、引き止めなければ、飯田とも市井とも会えない。
それは、嫌だ。
絶対に嫌だ。
病院に行こう。
行って、ちゃんと市井の口から、「好き」と聞こう。
そして、もう一度キスしよう。
「い、飯田さ――」
「石川ぁっ! いいかげんにしてよ、遅すぎるんだって!!」
叫んだ声は、矢口という先輩の叫び声に負けて。
飯田は気づくことなく、石川の前から完全に消えた。
「い、今行きます……」
落ち込み度合いもハンパじゃなく、矢口と休憩交代。
「……まったく。矢口は悪者扱いかよ」
まったくもって、その通りである。
- 65 名前:衝突回数―37― 投稿日:2001年06月30日(土)12時21分59秒
- ―――――――
―――――
―――
―
衝突事故から、早半年。
腕も足もその他の傷も完璧に治った、冬の寒い、ある日の午後。
長い長い坂道を上っている、ある2人がいた。
そのうちの1人の名は、背が高く、真っ直ぐで綺麗な茶髪を腰近くまで伸ばした、飯田圭織。
もう1人は、その飯田より10cmほど小さく、髪を短く切って男前な顔立ちが、市井紗耶香。
2人は、同じバイト先の先輩後輩にあたる。
「あ〜ぁ、何かおもしろいことないかなぁ」
「ナンだよ、おもしろいことって」
「その言葉通りの意味。ねぇ紗耶香、何かおもしろいこと言ってよ」
「はぁ?」
いきなりかい。
というか、いちいち人におもしろさを求めなくても、自分が1番おもしろいじゃん。
もちろんそんなこと、口に出して言えるハズはないのだけれど。
「おもしろいことねぇ……うぅ〜ん……」
腕を組んで、考えて。
白い息を吐きながら、坂道を必死に歩く。
「じゃあさ、こんな話どうっすか? 誰かがこの坂道、自転車で下ってくんの。
でも、その自転車に乗ってる子…女の子にしようか。その女の子の様子がおかしいんだ」
「うんうん」
「で、なんか必死に叫んでんなぁ、と思ってたら、
『誰か助けてー! ブレーキが効かないんですぅ〜〜っ!!』って言ってんだよ」
「あっはっは! いいねぇ、それ。その冗談。
でも、ホントにあったら、もっとおもしろいよね」
「だよね〜。市井も見てみたいよ、そんなおもしろい光景。つうか、1回見たか」
「そうだよ。見たんじゃーん」
わっはははは、そうやって2人、笑いながら長い長い坂道を上っていると、
坂道の、山になっているちょうど真ん中、上りと下りの境目の所に自転車が見えた。
- 66 名前:衝突回数―38― 投稿日:2001年06月30日(土)12時22分40秒
- 「ん……?」
ここは、急な坂道。
なのに、スピードを一つも落とさず、どんどん自転車は下っている。
乗っている子は、明るい茶色の髪を肩より少し伸ばした、女の子と確認できた。
「……ね、紗耶香……」
飯田の言う事は、判ってる。
「自転車、女の子。さっきの話、夏に遭った出来事に似てるよね……」
そう。似てるのだ。
やばいやばい。
自転車がどんどん加速して、こっちに来る。
こっちに来ると、何かを必死で言っているらしい、女の子の悲鳴と叫びが聞こえた。
「誰か助けてー! ブレーキが効かないんですぅ〜〜っ!!」
「「うそぉっ!?」」
まるっきり、一緒だ。
さっきの、市井の冗談と。
ホントにあったら、もっとおもしろいよね、と言った飯田も、血相変えて逃げる。
その顔からは、笑顔はない。
見てみたいよ、そんなおもしろい光景、つうか、1回見たじゃん、と言った市井も、血相変えて逃げる。
もう、そんな光景、2回も見たいとなんか思わない。
しかし、どうやら、またしてもバチが当たったのか。
冗談を現実にしてしまった市井の方向に向けて、自転車はどんどん加速する。
「わ、わ……」
「お、おい! こっちくるなぁ!!」
ハンドルさばきが上手いのか、下手なのか。
飯田は、逃げる後輩と、追いかける自転車(+女の子)をただ眺めていた。
そして……
「きゃっ!!」
「うわあっ!!」
ガッシャア〜〜ンッ!!
ものすごい音がして、市井と自転車(+女の子)、衝突。
- 67 名前:衝突回数―39― 投稿日:2001年06月30日(土)12時23分27秒
- 「いったぁ〜……」
衝突した時、頭を打ったのだろうか。
女の子は、頭を押さえてそう呟いた。
「ちょ、ちょっと2人とも大丈夫っ!?」
眺めていた飯田も、気を取り戻したのであろう。
慌てて、2人(+自転車)の元に駆け寄ってきた。
「ちょっと、紗耶香! 大丈夫っ!?」
自転車のタイヤと足が絡み合い、カマキリならではの大きなハンドルのかたっぽは、見事市井の右腕直撃。
素人の飯田と女の子でも、その腕が変な方向に曲がっているのが確認できた。
足だってそうだった。
「きゅ、救急車呼ばなきゃっ!!」
はっと気づき、携帯を探す。
「あ、あれっ? もう、なんでこんな時にっ!」
探して、あったはいいが、その携帯は充電切れ。
肝心なところで役に立たない。
「圭織、近くで公衆電話探してくるから、そこで待っててねっ! 絶対だよっ!?」
意識がある女の子にそう言って、飯田はものすごい勢いで走って行く。
取り残された女の子は、もうどうしていいか判らない。
「うっ……うぇっ……く…」
目の前には、気を失っているらしい、以前好きだった人に似ている人。
自分のせいで、こんな風にしてしまった。
そう考えてしまい、思わず涙が。
- 68 名前:衝突回数―40― 投稿日:2001年06月30日(土)12時26分17秒
- 「ごめんなさい、ごめんなさい……」
ヒックヒックと泣きながら、ひたすら謝る。
もう既に、女の子の目は真っ赤。
「う……」
その声が、市井にも届いたのだろうか。
小さなうめき声と共に、うっすら目を覚ます。
「いってぇーっ!」
目を覚ました途端、右腕と右足、両方から激痛。
なんで激痛がするんだ、そう思って見てみると、やっと思い出した。
そうだ。
またしても冗談が、現実になったんだ。
しかも、その冗談を言った人と衝突するという、素晴らしいおまけもついて。
「ちょ、うわ……くそっ、なんか、妙な方向に手と足曲がってる!!どうしてくれんだよ!……って……」
目の前にいた子を、キッと睨んで気づいた。
(……この子、見覚えあるよな……)
目を真っ赤に腫らして泣いて。
綺麗な顔立ちを、涙が一層引き出させていて。
細いその身体とお嬢様のような顔は、守ってあげたい衝動にかられる。
「……ね、ねぇ……名前、なんていうの……?」
はやる胸の動悸。
「えっ!? あ、あの、石川梨華っていいます……」
あぁ、確かに声は可愛かったか。
「石川さん、か……」
そうだよね。
キミは、石川さんだよね。
「…………あ、あなたの名前は、なんていうんですか……?」
「そッスね……いちーの名前は……」
キミが、思っているとおりの名前でしょう。
- 69 名前:衝突回数―41― 投稿日:2001年06月30日(土)12時26分59秒
- そのまま石川という女の子に、ガクッともたれる市井。
「だ、大丈夫ですかっ!?」
ユサユサ身体を揺らされる。
揺らされたら、痛いんですけど。
そんなことを思いながら、半年振りに味わった石川の腕の中を、堪能していた。
「結局、何度でも、2人の出逢いはこうなるんだね……」
半年振りに出逢った、2人。
一度は離れてしまったけれど。
飯田は変わらない2人の姿を、微笑みながら見ていた。
そう。
2人の出逢いは、唐突じゃなく、衝突で。
おわり。
- 70 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年06月30日(土)12時29分42秒
- ( ゜皿 ゜) <ヨソウイジョウニナガカッタ交信モ、キョウデシュウリョウ
分けようかと思ったんですが、もう一気にいっちゃいました。
最後の最後まで、雑でごめんなさい。
出演者:ヽ^∀^ノ(^▽^)( ゜皿 ゜)
友情出演:(〜^◇^〜)
ただ名前だけ登場:(0^〜^0)
次は、続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!!でお会いしましょう。
明日か明後日、再開予定です。
このスレは、ハロ学が終わった後、こっちに一つ書く予定なので、両方ともどうぞよろしくお願いします。
とりあえず、ありがとうございました。
>>57
アホ加減でてましたか。よかったです(w
いちかお好きなんですが、それ以上にいちいしの方が作者は好きだったようです……。
>>58
( ´ Д `)<ご、ごめん。まさかそんな暗くなるとは思わなかったよ…
圭織はちょっとそれっぽい発言も入れたつもりだったんですが、判りづらかったですね。
市井、こうなっちゃいました(w
もう、市井が可愛かったので、すべてよしとします。
ちゃむ最高!!
そんなワタクシは、三人祭りをどんなことがあろうと応援します(w
ボン最高!!(w
- 71 名前:名無しさん 投稿日:2001年06月30日(土)12時31分28秒
- リアルタイムで見れた!お疲れ様でした。
ほんとさやりか(いちいし?)最高でした!
なんどでも、エンドレスで出逢って欲しいものです(w
つづきはあるんでしょうねぇ?(w
それにしても金髪いちーちゃんかわいかった。
復帰待ちですね。
- 72 名前:名無し読者 投稿日:2001年06月30日(土)12時32分35秒
- ごめんなさい!ageちゃいました。
許してください。ごめんなさい。
- 73 名前:48 投稿日:2001年06月30日(土)13時48分18秒
- >ユウキ刺してやる!!……と思った俺は、最低でしょうか……(悲
大丈夫です!私も思いましたから(w
ほんとダメ経営者さんの作品おもしろいですね♪
私の好きなセリフがもう1回出てきてくれて嬉しかったです!
続・ビバ!? 今日和(ハロー)学園の生徒達!!もおもしろおかしく読ませていただきます。
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月01日(日)03時42分17秒
- 作者さん、お疲れ様でした。
最後のシーンはやられました!!やはり作品の作りが上手ですよね。
あの後二人がどうなったかなんて聞くだけ野暮ですかね〜(w
さて、ついに今日和(ハロー)学園の復活ですね!!
それに伴ってヘナ市井も復活ですね。(w
楽しみにしていますんで頑張って下さい。
>そんなワタクシは、三人祭りをどんなことがあろうと応援します(w
>ボン最高!!(w
そんな自分も、三人祭りをどんなことがあろうと応援します(w
あやや最高!!(w
- 75 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月01日(日)09時46分18秒
- >>71-72
(;^▽^)<そんなことないですよぉ! とってもいい人ですよね!
リアルタイムですか。それはなんとお恥ずかしい(w
こんな出逢いがエンドレスで続いたら、市井ちゃん骨が砕けてしまいそうです(w
続き……さあ、それはどうでしょう?
復帰してもしなくても、元気でやってくれればいいなぁ……と。
そりゃ、復帰してくれたら死んでもいいくらい幸せですけどね。
>>73
全然おもしろくなんかないッス。ほんと。
今回のは特に、雑な上、最悪でした。
ハロ学も、どうぞよろしくお願いします。
>>74
(〜^◇^〜)<いいってことさぁ!
でもどうせなら友情じゃなくて、愛情出演にして欲しかったなぁ〜なんて
………………所詮、悪者扱いだったけど
あのあと2人がどうなったのかは、書いたヤツにもわかりません(w
でもやっぱり見返して思ったけど、今回もへナだったかもしれませんね。
そうスか、あなた様は、あややですか。
応援する子は違えど、三人祭り好きには違いない!
ボン最高!! あやや最高!!
(;^▽^)<わたしはどうなるですかー……
- 76 名前:名無し@市井ヲタ兼、吉澤ヲタ 投稿日:2001年07月02日(月)10時26分25秒
- 今まではROMってただけですが、完結祝いとして(偉そうやね、オイラ)レスします。
出会いが衝突なら再開も衝突で。ヘナ気味の市井… カワイイ…
今日和(ハロー)学園の復活も期待しております。
今度はいちよしも見たいなぁ…なんて
………(某芸人風に)忘れてちょうだい。
閑話休題
>金髪ちゃむ、確かに可愛い。っていうか、髪何色でも、市井はなんでも可愛いです!
>しかし、その某誌に載ってた記事がホントなら……。
>ユウキ刺してやる!!……と思った俺は、最低でしょうか……(悲
最低ではありません。大丈夫、と〜ぜんです(w
つーか少なくとも、ユウキは市井ヲタの9割以上を適に廻しました(爆
ちなみに、残りの役1割の市井ヲタは“某紙を見ていない”に分類されます(さらに爆
- 77 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月03日(火)23時53分39秒
- >>76
ヽ^∀^ノ<どしたー? ごとーちゃん
やっぱへナ気味でしたよね……見直して思いました。
いちよし……ハロ学のいちよしもどきで、おいらはどうも精一杯です(w
前は、何気にEE見てたりもしてたんです。
でも今は曲とか誰かが「いーじゃん」とか言っただけで、こめかみがピクッと動いてしまう…。
某誌を見ていない人が羨ましかったりします……。
あ、でも、某誌見てなかったら、金髪ちゃむ見れなかった!う〜ん……。
- 78 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月19日(木)22時02分10秒
- 「少年少女」という話は、やぶうち優先生の「少女少年」を参考に作っております。
話も主人公達の年齢も性別も変えてあるので、原作が好きな方にもなるべく
おもしろくできるように努力していますが、やっぱりパクリは嫌だ、という方は、ご遠慮ください。
それと……都合上、無理やりのこじつけや理由が多々見られると思いますが、
これが作者の精一杯なので、どうか見逃してください…。
- 79 名前:少年少女 投稿日:2001年07月19日(木)22時03分14秒
- CHAPTER1 〜少年少女〜
あるファーストフード店。
そこで、制服姿の女子高生達が、週刊誌を読みながら雑談している。
「ねーねー、またゴマキ、男といるとこ写真撮られたでしょ」
「あー、これね。ほんっと、後藤って男好きだよねー」
週刊誌“センチメンタル♂向き”のある記事を見て、1人の子が口を開く。
そしてその子が言った事に同意する、もう1人の子。
雑誌“センチメンタル♂向き”は、女性アイドルや女優が男といる所ばかりを撮った雑誌で。
もちろん、今1番人気のある女性アイドル、ゴマキこと後藤真希もその対象だ。
トップアイドルならでは、執拗にスキャンダルを撮ろうと色んな所にカメラマンが潜んでいる。
けれどさっきも女子高生達が話していたとおり、男といる所を何回も撮られてはいるのだが、何故か人気が落ちることはなかった。
それはただ一緒に遊んでいただけで、本当に付き合っているという確証がないからというのもあるが、
それ以上に、そんな事では潰れない、彼女の魅力があるからでもあった。
「へぇ……また撮られたんだ、ゴトウマキ」
「みたいだね」
そんな女子高生達と、背を向かい合わせて座っている、2人の少年。
聞こうと思って聞いていたワケではないのだが、そこは、女子高生達と背を向かい合わせて座っているからか。
静かに話そうという常識のない女子高生達の会話は、2人にも丸聞こえ。
「『みたいだね』とかクールに言っちゃって……。
ほんとは市井さん、ゴトウマキの事好きなくせにー」
「なっ、ち、違うって言ってんじゃん! そーいう吉澤の方が好きなんじゃん!」
「だからー、自分は好きだって認めてるじゃないっすか。
それなのに、ファンじゃないって言い張る市井さんが、記事気にしてるから言ってんすよ」
「き、気になんかしてない……」
とはいうものの、その記事が気になって仕方がない、市井。
ほら、なんていうのかな。
冷やかされるのが嫌なのか、好きな子がいても、いない、なんて言い張る子っているじゃない。
でも本当は気になって気になって仕方がないっていう。
まさしくそれが、この人、市井さんに当てはまる。
- 80 名前:少年少女 投稿日:2001年07月19日(木)22時04分01秒
- 「………つんくさん、あの子ら、ええんと違います?」
「…ん? おお、中澤もそう思うかっ!?」
「当たり前ですよっ。この業界、もう何年やと思ってるんですか。
…………悪いけど、人を見る目は、つんくさんよりかは自信ありますよ」
同じく、ファーストフード店で怪しい雰囲気を醸し出している、カップル(?)。
お互い金髪で、真っ黒なサングラスをかけている。
そんなサングラスの奥の瞳は、2人の少年、市井と吉澤に。
「どっちみち、今日がオーディション最終日やし……」
「それに、そろそろ、女ばっかり集めんと、男も集めな。
ごっちんとなっちだけじゃ、そのうちつんくファミリー潰れてしまいすよ」
「そやな……。問題は、後藤が気に入るかどうかやけどな…」
「気に入りますて。絶対」
中澤と呼ばれた女性が立ち上がり、サングラスを外す。
外すと、垂れ目がちで、ブルーのカラコンをした、綺麗な顔立ちが。
中澤裕子、28歳。
そして今自分と向かい合っている男、つんくは、女子高生達の話の話題、後藤真希が所属している、事務所つんくファミリーの社長。
中澤は、その事務所、つんくファミリーの敏腕マネージャーだ。
「にしても、梨華ちゃん遅いな。何やってんだろ」
中澤達の視線に気づくことなく、吉澤は時計と睨めっこ。
今日は、家が隣同士の幼馴染み、石川梨華と待ち合わせをする為にやって来たんだ。
そしてもう一つ。
ちょっとした悪戯心が働いて、驚かしてやろうと思ったんだ。
男が苦手な石川梨華。
そんな石川が、男にナンパされたらどうなるだろう。
そう考えて、わざわざ“男装”して、こうして待っているんだ。
2人は、少年ではなく、少女だった。
名前もすごく綺麗な名前で、市井紗耶香と吉澤ひとみ。
少年のような少女達。
- 81 名前:少年少女 投稿日:2001年07月19日(木)22時05分01秒
- しかしまさか、吉澤のそんな下らない思いつきで、こうなってしまうとは。
その時の2人は知るハズもなく、ただ、石川が来るのを待っていた。
「なぁ吉澤、やっぱやめない? どーせすぐバレるよ」
驚かすことに罪悪感を感じたのか。
市井が言う。
「なぁーに言ってんすか。絶対バレませんって。それに、もう遅いっす」
ほら、と指差した吉澤の視線の先には、ピンクのワンピースの石川梨華。
キョロキョロと、2人を探している。
「さぁ、行きましょう!」
前髪を後ろにするため、ヘアバンドみたいなのを装着して、いそいそと席を立つ。
「お前、ものすっごいやる気だね……」
何がそんなにやる気にさせるのか……市井には理解できない。
「ねぇねぇ、キミ――」
「――ら、2人?」
「「は?」」
1人?、と石川に聞くハズだったのに。
そんな2人の背後から、2人?、という声。
一瞬市井が言ったのかと思ったのだが、声が違うのと、市井も驚いていたのを見て、それは違うと納得した。
「………ん? あ、よっすぃー!」
後ろからする話し声に振り向いてみると、見慣れた幼馴染みの姿。
けれどその幼馴染みは、なぜか男の格好をしている。
「げ、り、梨華ちゃん……なんでそんなすぐあたしって判るのさ…」
「判るよっ。だって、よっすぃーだもんっ」
「はぁ?」
そんな意味の判らない理由で、判ってしまうなんて。
驚かそうと意気込んでいた自分が虚しい。
「……アナタ、誰ですか?」
けれども、そんなことで落ち込んでられない。
そういえば、逆ナン(?)されてたんだった。
「………誰? この人……」
「さあ……?」
金髪で少々目つきの悪い人が恐いのか。
吉澤の後ろに、寄り添うように隠れる石川。
「あぁ、ごめん。怪しいもんちゃうで」
「だから、誰ですか」
自分で言うほど、怪しい人はいない。
怪しい人ほど、怪しくないと言い張るものだ。
疑り深い市井は、しつこく何度も同じ質問を繰り返す。
- 82 名前:少年少女 投稿日:2001年07月19日(木)22時06分19秒
- 「ま、ま、とりあえず、立ってたら邪魔やから、座ろうや」
そんな4人の元に、もう1人の金髪男が乱入。
「あ、つんくさん」
「つんくさん?」
その珍しい名前、どこかで聞いたことがある……。
しかし思い出そうとしても、今はまだ出てこない。
言う通り、邪魔になっていたので、市井達は座ることにした。
座って早々、中澤とつんくの2人から、名刺を渡される。
その名刺に書かれていたのは、先程説明した、事務所の名前と、役名が書かれていた。
そうだ、聞いたことがあると思ったのは、後藤真希が所属している事務所の社長の名前だったからだ。
「ま、簡単に言うと、スカウトやね」
「「「ス、スカウトぉっ!?」」」
市井、吉澤、石川3人の声が、見事にハモる。
「そ。後藤真希って知ってる? もーちろん、知ってるよな」
「そりゃあ、当然ですよっ! ね? 市井さんっ?」
「い、市井に振るなよっ!」
「なんやぁ、市井くんは、後藤のファンなんか?」
「『くん』って……」
戸惑ってはいるが、なかなかの反応あり。
ここは、もう一息だ。
中澤とつんくは顔を見合わせて、頷く。
そして、2人に、もう一度判り易く説明した。
「なんでスカウトしたかっていうとな、今、ちょっとウチの事務所で、オーデションしてて。
今度ごっちんが出るCMの、相手役の男の子を募集してんねんやんか。
けどごっちん面食いやから、なかなか決まらんのよ」
「はあ……」
「で、そこで、ごっちんが気に入りそうな子、あたしら直々に探しに来て、
キミら2人を見つけたってわけや」
「はあ……」
話は、判った。
けど、いまいち現実味が湧かない。
そんな時、じっと中澤の説明をうんうん言いながら聞いていたつんくが、石川に目を向ける。
「キミ、どっちかの彼女?」
「えぇっ!?」
「そんな、驚かんでも」
クスクスと笑いながら、石川を見る。
何かをしよう、なんて気はつんくには毛頭なかったのだが、なんせ男が苦手な石川。
つんくが自分を見る目が、なんだか恐くてたまらない。
それを見かねた吉澤が、
「あんまり、からかわないでください」
と、つんくに言い放つ。
「そうか。キミの、彼女か」
しかしつんくは、怯えることもなく、静かに笑った。
- 83 名前:少年少女 投稿日:2001年07月19日(木)22時07分05秒
- 「……で、早速で悪いんやけど、別れてくれるか」
「はっ?」
「芸能界は、スキャンダルが命取りやから、さ。
キミらは、絶対売れる。俺の目に、間違いはない。
でもそれで売れても、すぐ熱愛発覚なんて記事が出たらおしまいやから。
その危険性がある芽は、潰しておかんと」
「…………何いってんだよ、アンタ。
っていうか、誰が芸能人になるって言ったんだよ。勝手に決めるな」
「そうっすよ。それに、うちら付き合ってません」
ただの、幼馴染み。
それは石川も判ってるんだけど、そうはっきり否定されたことが、なんだかとても悲しかった。
「付き合ってへんねんやったら、都合がええ。なぁ、芸能界興味あるやろ? なっ?」
あまりに諦めの悪いつんく。
悪い人ではない、とは判った。
けどもそんなつんくの願いは、叶えてやれそうにない。
「………そのCMのオーディションって、男の子対象でしょ……?」
「そんなん、当たり前やん」
「じゃあ、なおさら無理です」
「なんで!? 親か!? 学校か!?」
「や、そんなことじゃなくて……」
「じゃあなんやっ!?」
市井は、すーっと大きく息を吸って、言葉と一緒に、息を吐く。
「悪いんですけど、“女”なんですよね、市井達………」
「「え…………ウソやろ?」」
中澤とつんくの声がハモる。
そして今度は吉澤と2人で、大きく息を吸って。
「「ホントなんです」」
と、男前コンビが、金髪コンビに負けないくらいの、息の合ったハモリを披露した。
- 84 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月19日(木)22時09分12秒
- ( ゜皿 ゜) <マタアエタネ
はぁぁぁぁ……またやってしまった……またageてしまった……。
何やってんねん……ほんま……。
……………比較的、ゆっくり更新で行きたいと思います。
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になってから見て頂けると嬉しいです。
- 85 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月19日(木)23時09分06秒
- わーい、交信カオリだぁ!
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月20日(金)02時13分02秒
- おーー楽しみなスタートですね。期待してます!
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月20日(金)03時24分00秒
- やた、新作だ。
期待しておりまっする。
- 88 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月20日(金)03時41分44秒
- もう始まってる!!
あいかわらず早いですね〜。
さて、「少年少女」ですが、まだ出だしだけですけど、面白そうですね。
とくに設定の部分に惹かれてしまいました。
この先、非常に楽しみです。
最初の市井と吉澤の登場シーンで、二人は男役なのかと本気で思ってしまったYO〜!!(w
- 89 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月20日(金)09時29分33秒
- すでに物語りに引き込まれた(w
今回もおもしろそうだ!
ヽ^∀^ノ<かっこよく後藤をおとすぞ!
( ´ Д `)<いちーちゃんじゃ無理だね…(ボソ
- 90 名前:少年少女 投稿日:2001年07月20日(金)12時35分30秒
- CHAPTER2 〜デビュー決定?〜
「ほらほらほらっ、時間ないから急いでぇっ!」
無理やりつんくの愛車、ベンツに乗せられたと思ったら。
都内某所にあるオーディション会場に連れて行かれて。
トロトロすんなぁ、と急かされる。
「ちょっ、中澤さんっ、つんくさんっ! うちら、受けませんよっ!?」
「もう遅いっ! 今からとびっきりの子ら2人連れて行くって連絡したからな!」
「勝手なことすんなよぉっ」
抵抗するものの、大人2人がかりではどうしようもない。
それが判っているのか、暴れる吉澤とは違い、市井は黙って付いて行っている。
石川は最初呆然としていたのだが、すぐに元に戻って、みんなの後を追いかけた。
つい30分前、自分達は男の格好をしてるけど、女だ。と告白した時。
そこで、話は終了したと思った。
けれど、2人が思ったより、つんくと中澤は諦めが悪かったらしく。
「もーいい。女でも、なんでもいいわ。用はバレへんかったらええねん」
「………そーですよね。バレへんかったらいいねんやん。さっすがつんくさん!」
「ちょ、ちょっとお2人さん……」
なんか、2人は同意しているみたいだけど。
こっちの意見はどうなるんですか、とか突っ込んでみる。
「市井くんは、後藤に逢いたくないんか?」
「ファンやねんやろ? 受かったら、一緒にCM共演できんねんで?」
「な……」
「い、市井さんっ、誘惑に負けちゃダメだっ」
「そうですよ市井さんっ!」
吉澤と石川で、なんとか市井の気持ちを、こちらに引き留める。
「………チッ。中澤、こうなったら強制連行やな」
「そうですね。そろそろ戻らな、ごっちんキャンペーンでまたどっか行ってまうし」
「そうと決まったら?」
「即行動!!」
そうして今こうやって、無理やりオーディション会場に連れて行かれたってワケだ。
- 91 名前:少年少女 投稿日:2001年07月20日(金)12時36分05秒
- そのオーディション会場の中にある、面接のために作られた部屋。
そこに、ふてくされた面持ちで座っている、天下の後藤真希。
最終選考まで残った者の、審査員長の後藤でもある。
そしてその後藤の隣に座っている、マネージャーの保田圭。
2人を囲むようにして、万が一の為の、数人のガードマン。
始まる前からだるそうだった後藤。
そもそも、何で自分が審査員長なんだ。つんくさんが決めればいいじゃないか。
でもそれはまたプロデューサーさんからの依頼で。
どうせ撮るんなら、後藤が気に入った男の子で撮りたい、なんて言い出しから。
でもそんな男の子、何処にもいやしなかった。
だから急遽、それまで後藤の隣に座っていたつんくがスカウトに出たってワケ。
「ねー圭ちゃん、まだ?」
「んー。もうちょっと。もうすぐで、つんくさ…社長達がとびっきりの子連れて来るらしいから」
「もぉいいじゃん。オーディション、気に入る子いなかったんだから。
ガイトウシャなし? でいいじゃん。CMにはあたし1人で出る」
「アンタがプロデューサーじゃないんだから、勝手に決めないの。
それに今回は、男の子2人とアンタとってCM依頼なんだから」
「ぶー」
「拗ねない拗ねない」
ほら、ピスタチオあげるから。
そう言うと、膨らませていた頬が、すぐさま元に戻った。
本来なら、太るからあまり食べ物をやりたくない。
けど機嫌を損ねられても困る。
そこら辺は、かれこれもう2年近くの付き合いなので、保田には後藤の扱いが判っていた。
- 92 名前:少年少女 投稿日:2001年07月20日(金)12時36分51秒
- 「さっ、あそこに、ごっちんが待ってんで」
後藤達がいる部屋には、あともう少し。
そこに、中澤が言った通り、後藤が待ってる。
市井は、柄にもなく、ドキドキしていた。
ブラウン管を通して見ていた後藤真希が、自分の目で直接見れるなんて。
周りの子達には、後藤真希が好き、ってことは黙っていた。
だって、市井の周りの子達は、後藤真希が嫌いらしいから。
周りの子達は、“センチメンタル♂向き”に撮られる、後藤と一緒に写っている男が好きらしいから。
でも、好きなら、判ると思うんだけどな。
写真で見ただけだけど、後藤真希の顔は、彼氏を見る目じゃない。
全部、友達として見る目。
あくまで、写真で見ただけなんだけど。
「市井さん、顔、赤いっすよ?」
市井の気持ちを読んだのか、吉澤がにやにやしながらこっそりと市井に耳打ち。
「へへっ。理由はどうであれ、生で見れて、嬉しいっすよね」
「う、うるさい…」
「またぁ」
クスクス笑いながら、つんく達の後をついて行く。
そして、とうとう、目の前にまで来た。
「よ、よっすぃー、なんか、私すっごい緊張するよぉ…」
「なんで梨華ちゃんが緊張すんだよぉ」
わはは、と緊張感のない笑い。
なぜそんなリラックスできるのか、市井と石川には理解出来なかった。
開かれる、ドア。
そして、その奥に見える、後藤真希。
生の姿に、つんくと中澤を除く3人は、思わず息を呑んだ。
- 93 名前:少年少女 投稿日:2001年07月20日(金)12時37分30秒
- 「あ」
つんくさんと裕ちゃんだ、と声をあげる。
そしてその後ろにいた、3人が目に入る。
「よっ、後藤。この子らが、俺らが選んだ子や。
んでその横におる女の子は、こっちの、吉澤くんの彼女らしい。
めんどくさかったら、一緒に連れてきた」
「ちっ、違いますって! か、彼女なんかじゃ…! なんで女同――」
「しーっ!! それは、秘密や!!」
「ん゛〜!!」
秘密を暴露しようとした吉澤の口を、中澤が素早く押さえる。
大丈夫、後藤と保田の2人は、気づいてない。
セーフだ。
「いやははは…。照れ屋やなぁ、吉澤くんは。
あ、あと、この子は、市井くんっていうて、後藤より2つ上やったよな?」
「………は、はぁ」
憧れの後藤真希に見つめられ、照れたのか、視線を反らして、返事してしまった。
もしかして、怒ったかな。
そう思ってチラッと後藤の方を見ると、さっきと変わらず、じぃっと市井を見つめている。
見つめられて、動けなくなる自分。
視線が合ったまま、その場で固まってしまった。
「………なんていうか、落ち着きのない子と、無愛想な子ね」
それが、保田の感想。
どうやらあんまり良い印象を持ってくれなかったらしい。
「………ごっちん、どう?」
後藤も、同じ意見だろう。
そう思って、聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
「…………うん。いいと、思う」
「「「えっ?」」」
嬉しそうなえっ?と、驚いたえっ?が混じり合う。
嬉しそうな声を出したのは、つんくと中澤。
驚いた声を出したのは、保田。
「………あたし、この人達と、出る」
そう言って、市井と吉澤の2人を指差す後藤。
でも視線は、ずっと市井に。
CM出演、決定らしいです。
- 94 名前:少年少女 投稿日:2001年07月20日(金)12時38分07秒
- ――
「…………とりあえず、キミらが“女”ってことは、後藤と保田には絶対内緒な」
「ごっちん達だけじゃなく、その他、スタッフさん達にももちろん」
社長室に連れて行かれ、今後の方針を決められる。
「で、でも、スタイリストさん達とかにはバレますって。だって服とか…」
「ああ、その点やったら、もう手は打ってある。さっき、電話したから。
メイクさんとスタイリストさんは、何処に行くのもキミら専属にした。
その2人だけには、キミらが女ってこと言うてあるから。
名前は、平家みちよと稲葉貴子。どいつも、信用置ける2人やから。
キミら2人に、めっちゃ金かけてんねんで。期待に応えてくれよ」
バシバシと2人の肩を思いっきり叩く。
……痛い。
「で、でも、ちょっと待ってくださいよ。あたしらだけで話進めても、親とかどーすんですかっ。
絶対反対しますって、あたしの親!!」
「あー、吉澤くん。“あたし”やなくて、これからは“俺”でいこな。
男としてデビューしてもらうのに、あたしやったらおかまとしてデビューすることになるやん」
「ぐっ…」
「それに、親御さんには、もう了解もろてるから。
後藤がオッケー出した後、すぐに電話したら、すぐに了解もうたで」
「な、なんですとっ!?」
そんなの、絶対嘘だ。
この人の、嘘に決まってる。
そう思って、目にも止まらぬ速さで携帯のメモリーを呼び出して家にかけた。
―「もしもし、吉澤ですが」―
「あ、お、お母さんっ!? あ、あたしだけどっ!」
―「ああ、ひとみぃ。ちょっと聞いたわよ、アンタ、スカウトされたんだってね」―
「ってか、なんでそんな呑気に言ってられんの! あ、あたし、男としてデビューすんだよ!?」
―「らしいわね。つんくさんっていう、事務所の社長さんに聞いたわ。
でもほら、ひとみカッコイイから、いいんじゃないの? お母さんはいいと思う」―
「そ、そういう問題!? お、お母さんはいいかもしれないけど、お父さんはどうすんの!」
―「大丈夫。お父さんなら、お母さんが説得してあげるから。
………あ、ごめん、誰か来たみたいだわ。じゃあまたね」―
「え、あ、ちょっと。お母さーんっ!!」
ツーツーツー。
………前から思ってたことがあるんだ。
あたしって、ほんとにお母さんの子どもなの……?
- 95 名前:少年少女 投稿日:2001年07月20日(金)12時38分43秒
- 「で、なんて言うてた? お母さん」
そんなこと聞かなくても、顔を見て判るだろうに。
なんだか衝動的に、殴りたくなった。
けども、必死にそれを抑える。
「ん? 市井くんは、家に電話せーへんでいいの?」
「しなくても、どうせもうオッケーもらってんでしょ」
「当然」
「やっぱり………。母さんなら、絶対オッケーすると思った」
吉澤の母親同様、どうも市井の母親もあんな感じだ。
思えば、2人で男装した時から、こうなるのが判っていたのかもしれない。
「じゃ、今日から、あたしがキミら2人のマネージャーになるんで」
そう言ったのは、中澤。
「あ、それと、言い忘れてたけど、明日から、事務所の寮に住んでもらうから」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。それは、いくらなんでも母さん……」
「許してくれたで?」
フラぁーっと倒れそうになる所を、寸前で吉澤に支えられる。
「だって家なんか帰ったら、すぐにキミらが女って判るやん」
表札を見たり、近所の人に聞いたり。
方法は色々。
女としてデビューするんなら、家から通ってもいい。
けれど、男として、デビューするんだ。
「で、でも、学校どうすんですか、学校っ!」
「市井は、フリーター。吉澤は、単位制の学校。大丈夫や」
「だ、大丈夫って…」
どこが大丈夫なんですか、と言い返そうとしたが、
「早速で悪いけど、仕事行こか」
「「はぁっ!?」」
早速というか、急だろ。
そんな2人の突っ込み虚しく、ガードマン数人に連れて行かれ、言い返すのは無理になった。
- 96 名前:少年少女 投稿日:2001年07月20日(金)12時39分44秒
- 「ちょちょちょっと、何処行くんだよっ」
カツカツと前を歩く中澤に、市井が尋ねる。
「し、しかも、梨華ちゃん……」
あの、怪しすぎるつんくの元に、置いてきてしまった。
吉澤は気になって仕方がない。
でも中澤はまったく2人の言葉に耳を貸さず、2人を車の後部座席に押し込む。
「今から、大阪である、ごっちんの新曲キャンペーンについて行くから。
そこでCMの打ち合わせとかあるから。それに、CMのためにごっちんと仲良くなって欲しいしな」
「そ、そんな勝手に…」
市井の反論は、急発車によって、中断される。
2人は、もう、何がなんだか判らなくなってきていた。
――
吉澤が心配する相手、石川はいうと。
社長室に1人残され、怯えていた。
(ど、どうしよう〜っ……よっすぃー……恐いよぅ。よっすぃー助けてよぉ〜〜………)
さっきからずっと、全身をじぃっと見つめるつんく。
恐くて恐くてたまらない。
こういう時、吉澤がいたら、いつも自分の背中に石川を隠れさせて、守ってくれるのに。
そして石川は、自分を守ってくれるそんな吉澤が好きで好きでたまらなかった。
女同士というのは、吉澤自身に否定されている。
けれど、石川が好きなのは、女、じゃなくて、吉澤ひとみだ。
たまたまその吉澤ひとみが、女だっただけ。
幼馴染みという、2人の関係。
それは小さい頃から、ずっと一緒だった。
「あ、あの私っ――」
帰ります、と言おうと石川。
しかしつんくに手を掴まれ、固まってしまう。
やだ。やだ。
よっすぃー助けてよぉ。よっすぃー…。
目をぎゅっと瞑って、身体を強張らせる。
逃げる、なんてこと、頭になかった。
ただ、つんくから発せられる言葉を、じっと待つばかりだった。
「…………よし。身体は、文句ナシに合格や。声も可愛いし。
………………キミ、アイドルとしてデビューする気ない?」
「へっ………?」
- 97 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月20日(金)12時40分28秒
- ( ゜皿 ゜) <ツギカラ、チョット交信ノペースオトシマス
なるべく待たせないようにはするので。
やっぱ毎日交信、( ゜皿 ゜) さんもしんどいようです(ニガワラ
>>85
( ゜皿 ゜) <コラカラマタヨロシクネ
>>86
期待に添えれるように、このまま頑張りたいです。
>>87
( ´ Д `)<あったみたいだね……別になくてもよかったのに……
ヽ;^∀^ノ<ご、後藤ッ!!
頑張りまっする。
>>88
(〜^◇^〜)<………………そりゃあよかったでござんすね……
(;0^〜^0)<や、矢口さん恐いです……
早いのは、ここまでです(ニガワラ
自分で言うのもなんですが、ホントにおかしな設定でございます。
でもヒクんじゃなく、惹かれていただけて、本当によかったです。
男役でもよかったんですけどね(w
>>89
( ;゜皿 ゜)<サ、サイキンチョットデンパガワルクテネ……(アセアセ
ありがとうございます。
そのまま引き込まれたまま、戻らないように頑張ります。
(^▽^)<かわいくよっすぃーをおとします!
(0^〜^0)<梨華ちゃんじゃ無理だね……(ボソ
いしよしバージョンってことで(w
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月20日(金)14時24分07秒
- うぉ〜〜〜!!
まじで面白いッス!!
なんかこんな何度も読み返しちゃうようなのはじめてっすよ!!
続きがめっちゃ楽しみです!!
- 99 名前:ぐれいす 投稿日:2001年07月20日(金)23時27分10秒
- なんか今までと雰囲気が違ってていい感じ(w
今回のいちごまといしよしをちょっと見ただけですが
なんか明るい未来が自分には見えてきました。
交信カオリも壊れないように気をつけてください。
- 100 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月21日(土)03時33分51秒
- さすが男前の市井ちゃん、後藤の視線を独り占めですな!!(w
よっすぃーに夢中な梨華ちゃんもかわいいっす。
続きが楽しみです。
- 101 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月22日(日)13時04分22秒
- いちごまに期待!!
- 102 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月22日(日)18時19分27秒
- 経営者さんのいちごまが見れるなんて凄い嬉しすぎっ!
ほんとプレッシャーかけてしまうよだけど続き大期待です!
- 103 名前:少年少女 投稿日:2001年07月22日(日)23時23分53秒
- CHAPTER3 〜矢口真里〜
関係者用の入り口へと入って、控え室みたいなところに連れて行かれる。
先に着いていた後藤は、今打ち合わせ中らしい。
挨拶ともう一度自己紹介、それにCMの打ち合わせにやって来た2人は、待たされることに。
「ふぅ、とりあえずお疲れさん。疲れたやろ」
荷物を下ろして、首を前後左右に揺らしながら。
1番疲れたのは、ある意味中澤かもしれない。
「あ、それと、待ってる間、ちゃんと話しとこか」
「話?」
「うん。ドタバタして聞いてなかったけど、本人達がやる気あるかどうかとか」
普通、それを第一に聞かなければいけないのに。
順序がバラバラだ。
「あたしは………」
チラッと、市井を見る。
何でこっちを見たか、それほど長い付き合いではないにしろ、判る。
男装するのに、最初から乗り気だった吉澤。
そして、もともと芸能界に興味があった吉澤。
口では、ヤダ、と抵抗していたけれど。
元々、お調子者の性格だ。
男としてデビューするのも、それはそれでいいんじゃないか?………なんて考え直す。
「やって、みたいです」
そしてそう言うのも、判っていた。
「じゃあ、市井はどや?」
吉澤はオッケー。残るは市井。
吉澤の視線も、市井へと向けられる。
聞かれる前から、色々考えてた。
なんで、ここに来たんだろう。嫌だったら、何処でもいつでも逃げ出せたハズだ。
いくら母さんが賛成したって、自分の人生は結局自分なんだから。
…………けど、今自分はここにいる。
多分、その理由は………
- 104 名前:少年少女 投稿日:2001年07月22日(日)23時25分39秒
- ガチャ、とドアが開いて、入ってくる2人。
マネージャーの保田と、後藤だ。
「どうも」
まずは保田が2人に頭を下げて、挨拶。
慌てて市井と吉澤の2人も、立ち上がって頭を下げた。
「もう1回ちゃんと、自己紹介するわな。じゃ、こっちから」
「えっ」
いきなり指された指。
少しビックリしたが、すぐに気を取り直す。
「あたっ……お、オレ、吉澤っていいますっ。16歳で、ご、ゴトーマキちゃんと同い年です。
み、みんなからはよっすぃーって呼ばれてるんで、そ、そう呼んでくれると嬉しいなぁ、なんて…」
「よろしく、よっすぃー。あたしも、ごっちんって呼ばれてるから、そう呼んでくれると嬉しいな」
「は、はいっ」
暴走して、余計な事まで言ってしまった。
けど後藤は、ちゃんとよっすぃーと呼んでくれた。
しかも、自分も一緒にノッてくれて。
なんだか物凄く嬉しい。
「んじゃ次」
「あ……市井っす。……年は、17っす。よろしく……」
「………よろしく」
また、下を向いて、言ってしまった。
後藤真希の声が低くなるのも、無理ないかもしれない、なんて。
「……ごっちん、そろそろ会場入りしなくちゃ」
「あ、うん……」
それは、判ってる。判ってるんだけど。
気になることがある。
それは、アナタの下の名前。
「市井さんの下の名前ってなんてゆーの……?」
- 105 名前:少年少女 投稿日:2001年07月22日(日)23時26分15秒
- 「えっ、市井っ!?…じゃなくて、俺っ!?」
コクン、と頷く後藤。
なんで? なんで市井?
なんて疑問符が、頭に浮かぶ。
「な、なんでごっちんそんなこと聞くん?」
いきなりの質問に予想していなかっただろう、中澤。
正直に「紗耶香」なんて答えれば、計画が台無し。
なので、そう聞いている間も一生懸命いい名前を考えようとするが、思い浮かばない。
「や……気になったから」
「そ、そう」
あまり、何事にも興味、関心を示さないごっちんが。
今、気になった、と。
そんなこと聞いたの、初めてだ。
保田もそれを判っているのか、焦っている。
一度興味や関心を持ったら、後藤はなかなかそれから目を離そうとはしない。
今までは、それが人間じゃないからよかった。
けどそれが人間なら、また週刊誌に撮られて、今度こそ終わりだ。
アイドルは、スキャンダルが恐い。
今まではそのスキャンダルがすべて嘘だからよかった。
しかし調べた末、それが事実だったら……?
「ごっちん、ほら、早く行くわよ」
「ちょ…、まだ時間あるじゃん。あたし、質問してんの!」
そう言って保田の手を振り解いて。
また市井の方へと向き直る。
けどいきなり現れた中澤の顔で、市井の顔は見えなかった。
「いやっはっはっ、そう、名前ね! 名前!
この子ら、顔はすっごい中世的で少年みたいにかっこいいのに、名前がもうダッサいねん!
吉澤ヨネオくんと、市井スネオくんっていうねん」
「「はあっ!?」」
いきなりでしゃばってきて、何を言い出すかと思えば。
ヨネオくんと、スネオくんだ?
もうちょっと、いい名前が思いつかなかったのか。
「ダッサイやろ〜? だから、苗字だけで売り込もうかな〜って。
だからごっちんも、下の名前じゃなくて、上の名前で呼んで欲しいな〜……なんて」
「上の名前……?」
「そ、そう、上の名前!」
う〜ん、と考えた末出た呼び名。
「じゃあ、市井だから、いちーちゃん!」
- 106 名前:少年少女 投稿日:2001年07月22日(日)23時26分47秒
- 「なんで、『ちゃん』……?」
仮にも、2つ上のハズなのに。
『くん』ならまだしも、『ちゃん』?
「だってさ、なんか、背、あたしと同じくらいだし、顔結構女の子っぽいじゃん。
だから、いちーちゃん」
女の子っぽいんじゃなくて、女の子なんだよ。
その言葉は、必死で抑える。
「………ダメ?」
間にいた中澤を押し退け、心配そうに市井の顔を見つめる。
初、生芸能人。
しかもその上、その芸能人が、大好きな人だったら。
「や、ヤじゃないよ……全然」
誰だって、こう言うに決まってる。
やったー、なんて何故か喜んでいる後藤。
その陰で、中澤はホッと一安心。
でも保田は安心するどころか、そんな後藤が心配で心配でたまらない。
「ごっちん、早く」
一刻も早く市井達から離そうとするが、今日の後藤は妙に手強い。
「やだ。だってまだ、時間あるもん。
あ、そうだ! いちーちゃん、今から、コンビ二行こうよ! あ、よっすぃーも。れっつごー!! 」
「わ、ちょ、ちょっと……」
強引に腕を組まれ、ひっぱられる。
「い、市井さんっ」
「だー、待て待て。うちも一緒に行く。写真撮られたら、言い訳できひんし」
「ちょっと後藤ッ!」
「だいじょーぶだよ。ちゃんと、5分前になったら帰ってくるから」
「ちょ……」
保田の引き止めも虚しく、ドアが閉まる。
中澤がいるから、間違ってもツーショットを撮られたり、時間に遅れたりすることはないだろう。
けれどなぜか保田は、心配でならなかった。
- 107 名前:少年少女 投稿日:2001年07月22日(日)23時27分27秒
- キャンペーン場となる裏口から出てくる、後藤様御一行。
ずっと張り込んでいたかいがあった。
すぐさまカメラを抱えて、シャッターをいつでもきれる準備をする。
そ御一行の中には、何回か見たことがある中澤がいる。
へぇ、いつものマネージャー、一緒じゃないんだ、と思った。
そしてその後ろに見える、2人の少年、市井と吉澤。
「誰……? 初めて見る顔……」
カメラのレンズ越しに見てみる。
うん、やっぱり知らない。
けど、2人ともカッコイイ。
「やっべぇ〜…。ヤグチ、ちょータイプなんだけど♪」
特に、背の高い男の子の方。
ヤグチ…矢口真里の、好みにピッタリ。
週刊誌“センチメンタル♂向き”に、男だけのカットなんていらない。
いるのは、女性のカットと、2人のツーだけ。
でもさ、たまにはいいじゃん。
いっつもいっつも、後藤真希のケツばっか追いかけて、ネガには後藤真希しか写ってないんだから。
……ま、でも、撮っとけば損しないか。
後藤真希と一緒にいて、その隣に事務所関係者がいるってことは、次に売り出す予定の2人ってことだろうから。
売れたら、デビュー前の2人ってことで、違う写真誌に売ればいいんだ。
そうだ、そうだ。
そう1人納得して、矢口は仲良く談笑をしている2人の少年に照準を合わす。
そして、1回、シャッターを押した。
- 108 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月22日(日)23時29分23秒
- ( ゜皿 ゜) <ヤグチ……カオリヨリサキニトウジョウスルナンテ……(メラメラ
ト、シンリーダーノボヤキハコノヘンニシテ、
(〜^◇^〜)<交信です。キャハハッ!
( ;゜皿 ゜)<(イ、イワレタッ……クヤシイ……)
>>98
うぅっ、ありがとうございます。
でも何度も読み返してくれている内に、ボロが出ていないかどうか心配でありますです。
>>99
雰囲気違いますか。確かに。
明るい未来かどうかはわかりませんが……暗くはない、と思います。
( ゜皿 ゜) <シンパイシテクレテアリガト。カオリガンバル
>>100
(〜^◇^〜)<フッ、名キャメラマンは、いつでもスクープを探しているからね。
少し目つきも悪くなるってもんだい!
( ゜皿 ゜) <ヤグチノバアイハ、メツキダケジャナクテ、クチモワルクナッテルキモスルケドネ
(;〜^◇^〜)<な、なんだってぇ!?
( ゜皿 ゜) <……………(サッキカオリノセリフをウバッタシカエシ
後藤eye'sは、いつでもスネオくんを追っているのです。
そして石川eye'sは、ヨネオくんに。
>>101
ごめんなさい……いちごまは当分、小出しになってるんです。
この話の坊ちゃんは前の復讐なのか、どうやら主役を乗っ取る作戦に出たみたいで…。
当分、いしよし色が強くなる話が続きます。
メインは、もう少し後ってことで…。
>>102
さやまり大好きなおいらが書くいちごまは、なんだか少しイチャつき度が少ないみたいで…。
話的に少ないのか、それともおいら自身が矢口にエンリョして書けないのか理由は定かじゃありませんが…(w
期待を壊さないように、頑張っていきたいと思います。
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 109 名前:リアルタイム男 投稿日:2001年07月22日(日)23時34分32秒
- ついにきましたよ!4回目!!!
ヒャッホウ!!!
経営者さんのごまの「いちーちゃん」にはもうやられちゃいました(w
かわいすぎでっす!!
微妙にやぐよしも入ってきましたねぇ…。
これからにも大期待なんじゃないですかぁ!!?(←テンション高すぎ
さて4回目をふんだので後1回ですね(ニヤリ
これから夏休みなのでもっとリアルでみれるかも(w
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月22日(日)23時42分57秒
- スネオとヨシオって・・・
激しくワラッタ
- 111 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月23日(月)03時11分44秒
- 早くも後藤はいちーちゃんが気になるみたいですね。
てゆーが俺が一番気になってるよ。(w
いや、マジで面白いッス。
- 112 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月23日(月)04時20分40秒
- パパラッチ矢口の登場ですね。(w
作者さんのさやまりへの愛情は絶大なので、気がついたらさやまりの話になってた・・・
なんてことが起こったりして。(w
いしよしの話、そしてド〜ンとメインに控えるいちごまの話、どちらも楽しみにしております。
- 113 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月23日(月)21時16分35秒
- まじ面白いっす。
続きに期待!
- 114 名前:バービー 投稿日:2001年07月24日(火)11時42分35秒
- 相変わらず面白いですねー。かなりいいです!
やぶうち優先生って確か、「水色時代」とかも
書かれた人じゃないですか?(自信なし)
いちよしはやっぱ、こうゆう友達ってゆうか悪友?
っぽい感じが一番あいますね(w
いしよし、いちごま共に期待してます!
- 115 名前:少年少女 投稿日:2001年07月24日(火)12時04分29秒
- CHAPTER4 〜吉澤ひとみと石川梨華〜
「えっ? 梨華ちゃん今なんて言った?」
キャンペーンについて行った翌日。
事務所の寮へと入るため、一度、家に戻ってきた吉澤。
そしてそこで待っていたのは、石川。
話があるの、と言われ、しばらく黙って聞いていたら……なんですと?
「だからぁ、私も、デビューすることになったの」
「なんで」
「つんくさんに、スカウトされて」
「へぇ………………って、えぇっ!?」
「なんで? 梨華ちゃんは、そういうの興味ないとか言ってたじゃん。
なんで、オッケーしたの? ワケ判んないよ」
「最初は、断わったよ。だって、つんくさん恐かったし……。
でも、話しているうちにいい人って判って、それで……」
「ウソだね。そんな理由でオッケーする梨華ちゃんじゃない」
人見知りの激しく、喋りもそんなに上手くない石川は、芸能界みたいなところは向いていない。
それなのに、そんな理由だけでオッケーするなんて。
幼馴染みである吉澤は納得出来ない。
「それに、親はどうしたのさ。どう考えたって、おじさんとおばさん、
あたしの母親みたいにオッケーする人とは思えないよ」
石川の両親は、石川と似て、真面目な人。
自分の所の、楽天家の母親とはえらい違い。
「お父さんとかは、了解はしなかったけど、よっすぃーが大阪行ってる間、私一生懸命説得したもん。
だから、芸能界入るのも、1人暮らしするのも、なんとか許してくれた」
「………え? なんか今、許すのが2つあった気がしたんだけど」
「そうだよ。芸能界入るのと、1人暮らしするのを許してくれたの」
「はぁ〜!?」
たった1日の間で、どれほど話が進んでいるんだ。
荷物整理も忘れて、吉澤は石川を怒鳴った。
- 116 名前:少年少女 投稿日:2001年07月24日(火)12時05分07秒
- 「梨華ちゃん、おかしいよ! っていうか、人変わった!
別に、芸能界入るとか、1人暮らしするとかは、梨華ちゃんの自由だよ?
でも、なんでそんなの、あたしに相談しないで決めんの!?」
「相談したくても、よっすぃーいなかったじゃない…」
「携帯に連絡すればいいじゃん! どんなに忙しかっても、梨華ちゃんからの電話だったら出るよあたし!!」
「………………」
梨華ちゃんからだったら、出る。
吉澤の口からそんなことを聞いたら、つい嬉しくなってしまうハズなのに、状況が状況だからか。
そんな感情は出てこなかった。
「………じゃあ、電話かけたら、よっすぃーオッケーしてくれた?」
「は? するわけないじゃん」
「……そう言うと思ったから、電話かけなかったの!」
「だ、だからって、なんでそんな急に……。
なんで芸能人なる必要あんの? あれだけ、嫌だって言ってたのに」
「それは………」
つんくさんがいい人って判ったから。
なんて理由は、ただのウソにしか過ぎない。
あの時、ほんとは何度も断わったんだ。
けどつんくのしつこさは、ファーストフード店で証明済みで。
どうしても石川をデビューさせたいらしい。
だから、石川が気に入るような事を言って、なんとかオッケーさせようとした。
最初は、何を言っても、「なりたくないです」の一点張りだった。
けれどつんくの口から、ある名詞が出て来て。
「なったら、吉澤と仕事できんねんで?」
そう言われて、「なりたくないです」との言葉が途切れたんだ。
- 117 名前:少年少女 投稿日:2001年07月24日(火)12時05分51秒
- 芸能人と、一般人だったら、逢える機会も少なくなる。
しかし芸能人同士だったら、仕事で逢える可能性もあるし、なにより事務所が一緒なら、
逢える確率もグンと高くなる。
けど、吉澤は事務所の寮。石川は家。
それだったら、帰りが一緒になっても、すぐに別れなければならない。
だから、つんくが用意したもの。
―事務所のすぐ隣にある、マンション。
その一室を、石川で借りたる。
そしたら、吉澤も近くやから、泊まれたりもすんで―
2人とも、まだデビューしたての新人。
写真を撮られるのも、マークされるのも、まだまだ先だろう。
売れてきたら、また離れさせればいい。
そう考えて言ったことだった。
そして、石川の決意を決定づけた、一言。
―アイツ、男として売るから、女の子にモテるやろうなぁ。
それを、一般人やったら、指を咥えて見つめてることしかできへんでぇ?―
なんて言われちゃったら。
心の奥底に眠っていた、石川の負けず嫌いの性格。
それが出てくるのは、時間の問題だった。
口をキュッと結んで。
しっかりと、つんくの目を見て。
「私、やりたいです」
と。
- 118 名前:少年少女 投稿日:2001年07月24日(火)12時06分22秒
- しかしそんな一方的な理由、吉澤に言えるハズもない。
かといって、吉澤が納得する理由も思いつかない。
だから石川は、ただ黙っているだけしか出来なかった。
「………もぉ、いい。あたし、行く」
「よっすぃー!」
このまま、許してもらえなければ。
このまま、怒ったままだったら。
それこそ、何のために決意したのか判らない。
けども石川には、もう1つ判らないことがあった。
それは、吉澤の気持ち。
どうして。オッケーなんかしちゃうんだ。
どうして。何でも勝手に決めちゃうんだ。
ウチと違って、女としてデビューする梨華ちゃん。
梨華ちゃんは、可愛い。
そんな可愛い梨華ちゃんは、すぐにファンがつく。
………………なんか、ヤダ。絶対、ヤダ。
あたし以外の人に、笑って欲しくない。
「……なんで、なんで判んないかなぁ!」
「判んないよ、よっすぃーが何考えてるかなんて!」
「………………もぉ、いい」
これ以上話したって何したって。
もう、無駄だ。
石川の決意は固まってるし、両親の了解も、事務所の了解も取ってある。
いくら幼馴染みだからといっても、はっきり言ってしまえば部外者だ。
納得は出来ないし嫌だけど、石川が決めたこと。
帽子を深く被って、荷物を肩にかけて。
静かに部屋を出て行った。
- 119 名前:少年少女 投稿日:2001年07月24日(火)12時06分59秒
- 「ごめん、市井さん。待ちました?」
「おう」
玄関のところに座り込んで、吉澤を待っていた市井。
見上げると、吉澤の様子がおかしいことに気づく。
「……どうした? なんか、あった?」
外に居た為、中で何があったか、何を話していたか判らない。
手短に、要点だけを判り易く吉澤は言った。
「梨華ちゃん、デビューするんですって」
「はっ?」
「デビュー、するんですって…」
自分で言って、悲しくなってくる。
どうして、悲しくなるのか。どうして、こんなに嫌なのか、判らないけど。
「………にしても、中澤さん遅いですね」
「あー、そだね」
2人で玄関に座り込んで、マネージャー中澤を待つ。
「何してんだろ……あ」
声をあげた吉澤の前に、一台の車。
「中澤さんだ」
「違うよ。裕ちゃんの車は黒じゃないって」
駆け寄ろうとした吉澤のGパンを掴んで、座らせる。
市井の指示通り座った吉澤。同時に、吉澤の家から出てくる石川。
「「あ…」」
2人目が合って動きが止まったが、先程の車の持ち主の声で、すぐに目を逸らされる。
「石川ぁ! 何やってんの、外で待ってろって言ったじゃん!」
「あ……すいません飯田さん……」
市井と吉澤の2人は、飯田と呼ばれた人に、面識はない。
けど石川は面識があるようで。
「誰? 石川。あの人」
聞けない吉澤の代わりに、市井が聞いてくれた。
石川梨華のマネージャー、飯田圭織。
名刺を渡され、自己紹介。
そこで対応に困っている所に中澤がやって来て、市井と吉澤、石川は別々の車に乗って、事務所へと走らせた。
- 120 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月24日(火)12時07分45秒
- ( ゜皿 ゜) <ヤットカオリノトウジョウデス
石川のマネージャーは、この人しかいないだろうってことで。
そうさ、俺はかおりか好きさ(もうヤケ
飯田さんが書きたかったんだよう!
>>109
おおお、ついに来ましたか4回目。
あと1回、頑張ってくださいね!(っておいらがいうのも変か
本編での呼び名の理由づけも無理やりなのに、かわいいと言ってくれればそれだけで嬉しいです。
>>110
色々裕ちゃんも悩みまくって、やっと出て来た名前です(w
笑ってくれて、裕ちゃんも嬉しいでしょう(w
>>111
ありがとうございます。
気になってくれたまま、突っ走ります。
>>112
(0^〜^0)<ふっ。スネオさんには前回乗っ取られそうになった思い出がありますからね
いっときますけど、CHAPTER4の話は、あたしメインでしたよ
この話には裏があって、ほんとはさやまりで書きたかったんですよね。
でもさやまりにすると、じゃあ矢口は市井のこと何て呼ばすんだ?ってことになって。
男として売るのに、紗耶香は無理。かといって、名前をまったく変えて呼ばしたら萌えないし。
だから、普段市井のことを苗字で「いちーちゃん」と呼んでるいちごまにしたってワケです。
>>113
ありがとうございます。
なるべく待たせないようにするんで、見ていただけると嬉しいです。
>>114
そうです。「水色時代」書いてた方です。
といっても、「水色時代」は持ってないし、見てもいないんですけど。
なんかおいらのいちよしは、バービーさんが言うとおり、悪友っぽくなるんですよね(w
バービーさんの方も、期待してます!
おいらROM人間で感想は書かないんですけど……(1番最悪
- 121 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月24日(火)20時30分57秒
- なんか、ゆっくりと物語りが進行しっててますね。
ものすご〜〜〜〜く、続きが楽しみですっ!
- 122 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月24日(火)21時29分07秒
- いちごまになった理由がそんなんだったなんて・・・
理由はともかく(笑)いちごま好きな私としてはとてもラッキー
- 123 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月24日(火)22時22分20秒
- 梨華ちゃんとよっすぃ〜は素直じゃないな(w
( ^▽^)<もうよっすぃ〜ったら素直になればいつでも相手するのに
(0^〜^0)<え、遠慮するよ…
- 124 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月25日(水)03時50分02秒
- 二人の気持ちは一緒なのに〜!!
歯痒いっすね(w
>この話には裏があって、ほんとはさやまりで書きたかったんですよね。
そうだったのか〜……でも雰囲気的にですけど、いちごまで正解だったと思いますよ。
- 125 名前:少年少女 投稿日:2001年07月25日(水)19時19分26秒
- CHAPTER5 〜理由〜
CMの内容を、簡単に説明するとこうだ。
後藤真希こと真希ちゃんが、“eカラ(商品名)”で自分の新曲、愛のバカやろうを唄っている。
それを嬉しそうに聞いている真希ちゃんのボーイフレンド、市井くんと吉澤くん。
そして次は、さあ待ってました、愛しの真希ちゃんとのデュエット。
じゃんけんしてケンカして、そしてその結果勝利した市井くん。
で、いざマイクを手にしてみると、真希ちゃんがいない。
最後、場面が変わって、市井くんと吉澤くんの2人がデュエットして、真希ちゃんが宣伝。
絵コンテで表して、3人にCMプロデューサーがそう説明した。
「なんとなく判ったかな?」
新人でもある、市井と吉澤。
この仕事をして、長い後藤だけならともかく、その2人がいるため、比較的ゆっくりと時間をかけての説明。
丁寧なそのプロデューサーさんは、社長のつんくの友達で、まこと、と言うらしかった。
「じゃあ、あと10分したら、ちょっとキミら2人カメラテストして、撮影に入るから。
………後藤どうする? 待ってるか?」
「はい!」
張り切って返事したのは良い。
でもせっかくの返事も、マネージャー保田によって却下される。
「ごっちん、アンタ、雑誌のインタビューの人待たせてるでしょ」
「あ……」
「すいません、時間になったら、戻って来ますんで」
渋々立ち上がる後藤を急かして、撮影スタジオを後にする。
「…………ねぇ中澤さん」
「ん?」
「あた……オレ達、保田さんに嫌われてるんですかねぇ」
「さあ。それより、裕ちゃんでいいって言うたやん、吉澤ぁ」
「や、その、それは恥ずかしいっていうか…」
「柄にもないこと言うなよぉ」
じゃれあう、W澤。
苗字に“澤”がつかない、仲間外れの市井は1人、後藤が出て行った所をじっと見つめていた。
- 126 名前:少年少女 投稿日:2001年07月25日(水)19時19分59秒
- 「圭ちゃん」
「何よ」
雑誌のインタビューも軽く済ませ、みんながいるスタジオに戻る途中、後藤が口を開いた。
「圭ちゃんはさ、なんでそんなにあたしといちーちゃん達、離れさそうとすんの?
なんかさー、あたしはいいけど、いちーちゃん達にシツレイじゃん」
「そうね。そうかもね」
「って、答えてないよ、それ」
ただ、あいづち?打っただけじゃん。
珍しく後藤が突っ込む。
「じゃあ、答えてあげるわよ。
……………ごっちんは、あの、市井って子、好きなワケ?」
「え…」
「恋愛禁止、って、最初に言われたの覚えてるわよね?」
「覚えてるよ……」
「じゃあ、ちゃんと守って」
「…………」
言うのは、簡単。
けどそれを守るのは、すごく難しいんだ。
女の友達は、あたしが嫌いなのか取っ付き難いのか、あたしを見ては文句ばっかり。
そんな文句ばっかり言う子に、あたしも合わせるような性格じゃないから、
必然的に、遊ぶのはサバサバした男の子になる。
友達なのに。彼氏じゃないのに。
写真に撮られて、別れるようにお金を渡されて、そしてあたしは孤独になる。
1人ぼっちは嫌いじゃない。
嫌いじゃないけど、寂しい。
この気持ち、気づいてくれる人。あたしのこと、判ってくれる人。
なんでか、初めて逢ったあの時、いちーちゃんのような、予感がしたんだ。
- 127 名前:少年少女 投稿日:2001年07月25日(水)19時20分36秒
- 「……どしたの? なんか、後藤、泣きそうな顔してる」
スタジオに着いて、真っ先に駆け寄ってきた市井。
心配そうに後藤の頬に手を当てて、見つめる。
最初は触れるだけで、触れてくるだけで、胸がドキドキした。
でももう何度も生後藤を見て、生トークを聞いて、大分緊張が解けてきた。
そして今、こうして自分から触れることが出来るまで、成長。
ブラウン管を通して見てた時から、感じてたこの瞳。
奥には何も見えてないような、寂しさで覆われていて。
誰か、気づかないの? 判んないの?
それは全部、気のせいで済まされる。
思い込みかもしれない。錯覚かもしれない。
けれど、市井は思った。
あの時、つんく達に連れられて後藤と逢った時、
後藤は、気づいて欲しいんだ、判って欲しいんだ、って。
発せられる言葉だけじゃなくて、その奥にある気持ちを。
上辺の、芸能人としての後藤真希じゃなくて、1人の、15歳としての後藤真希を。
「…………いちーちゃんはさ、あたしのファンなんだよね?」
「ん? うん……」
「あたしは、いちーちゃんにとって、何番目に好きな芸能人?」
「へっ? ちょっと待って、その質問に行く意味がよく判らん」
「いーから! 早く答えてくれなきゃ、撮影始まっちゃう!」
「あ、う、うん…。
………………いちーはさ、あんま、テレビとか見ないし、雑誌とかも読まないからさ、
今ドキのヤツが言う事じゃないけど、後藤の他に、どんな芸能人とかがいるのか、よく知らないんだよね」
たまたま、友達の家でつけていたテレビで、後藤を見て。
いつのまにか惹かれていって、ファンになってた。
以前、中澤に聞かれて、答えそびれた質問。
この世界に足を踏み入れた理由は、
キミに逢いたかったから。キミを知りたかったからかもしれない。
- 128 名前:少年少女 投稿日:2001年07月25日(水)19時21分10秒
- ――
市井達がいるスタジオから、約300メートル離れた、スタジオ。
そこに、石川梨華はいた。
「ほら石川、何落ち込んでんの。もっと早く歩く!」
「いたっ、痛いですよ飯田さん!」
背中に張り手を1つ。
バチン、と音がして、石川を驚かせる。
「ブツブツ文句言うな! 新人は黙って歩く!」
「う〜………やっぱ私やりたくないですぅ〜……」
だって、こんな仕事、聞いてなかった。
そりゃ、他の女の子達から吉澤を守るため、こうして芸能界に入った。
でも、でもどうして。
「水着だなんて聞いてなかったですよ〜!」
スタジオに行って、渡された衣装。
デパートやその他の店でよく見かける、水着。
背中が隠れている部分は、一本の紐がくくられている所だけ。
ようするに、ビキニだ。
「いいじゃん、胸でかいし可愛いし似合ってんだから」
飯田に励まされても、ちっとも嬉しくない。
それ以上に、恥ずかしい。
「私、スタイルなんか全然よくないし、色黒いし…」
人様に見せれる程の身体じゃないんです。
いや、でも、よっすぃーに、見せて、と言われれば、恥ずかしながらも、見せるんでしょうけど。
そこは、その………よっすぃーだけの、特権ってことで。
- 129 名前:少年少女 投稿日:2001年07月25日(水)19時21分59秒
- 「アンタ、殺されたい?」
グチグチと、石川お得意のネガティブを発揮しているところに、飯田の一言。
「それさー、他の女が聞いたら、嫌味に聞こえるよ?」
細い人が太っている、なんて言うように、スタイルのいい人が、悪いというのは。
はっきり言って、ムカツク。
「アンタ、この世界、つんくさんにスカウトされて入ったんでしょ?
だったらもっと、スカウトされた自分に自信もって、撮影に挑むべき」
「け、けど、私、“アイドル”としてスカウトされたワケであって…」
こんな、水着着て、セクシーなポーズを取る為に入ったワケじゃない。
「何言ってんの。りっぱな、グラビア“アイドル”じゃん」
「な、なんでですかー! “アイドル”歌手の、“アイドル”じゃないんですかー!?」
「無理だね。だっていくら“アイドル”歌手でも、石川音痴過ぎるもん」
「うっ………」
言い返せない自分が悲しい。
そもそも、こんなあられもない姿、吉澤が見たらどうするだろう。
あれから何回か事務所で吉澤と逢ったけど、一言も会話を交わしていない。
市井とは話したが、吉澤は会話に入ってくることなく、隣で仲良くなっ後藤と、
何事か話して、終始ムッとしていた。
哀しくて寂しくて、1人で広いマンションの部屋で泣いた。
けどここで諦めて、吉澤がどんどん人気者になるのは嫌だ。
今はまだ、CM撮影に入ったばかりで、雑誌やテレビにも出ていないけれど、
売り出し始めれば、あの甘いマスク、あの笑顔で、すぐにファンがつくだろう。
吉澤がホントは女だ、と知っているのは、身内や事務所の人間を除けば、自分だけ。
他の子には、負けたくない。
けど、けど。
こんな姿、よっすぃーが見たら……
- 130 名前:少年少女 投稿日:2001年07月25日(水)19時22分40秒
- 「……石川ってさ、あの、最近入った吉澤っていう子が好きなんでしょ?」
「えっ!?」
「圭織の観察力をなめるなよー、これでも石川の“ジャーマネ”なんだから。成り立てだけどね」
自信満々にそう言って、また背中を叩く。
「あれ位の男の子は、ちょいと刺激を与えたら、イチコロだって!
だーいじょうぶ、圭織の目に、間違いはない!!」
いや、まず、男の子ってとこで、間違いがすでにあるんですけど…。
いや、でも、そんな自信のある飯田さんでも女だと見抜けないのはすごいことだと、プラス思考に考えよう。
そう、何事にもプラス思考。
「そ、そうですかね……イチコロですかね……?」
「やー、その日は、覚悟しといた方がいいかもよ? 寝かせてもらえないかも。
圭織はねー、圭ちゃんとは違って、タレントが恋愛してもいいと思ってんのね。
だってその方がやっぱり可愛くなるし、笑顔もよくなるからさ。
写真誌に撮られなかったら、目撃されなかったら、それでいいんでないか?」
そんな飯田の考えに、石川は大賛成。
けれどそんなこと、マネージャーだけで決めていいのか?……なんて。
「ね……愛しのよっすぃーに、『綺麗だね梨華ちゃん』って言われたくない…?」
ふっと耳に息を吹きかけられて。
思わず身を堅くする。
そして一度、自分の身体を見下ろして、
こんな姿、よっすぃーが見たら………
「言われたいです!」
「よし! じゃあ早く撮影に挑もう!!」
『綺麗だね梨華ちゃん』って言ってくれるよね………?
- 131 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月25日(水)19時24分02秒
- ( ゜皿 ゜) <キレイダネリカチャン
(;0^〜^0)<いや、飯田さんが言うんじゃないでしょう
さあ、愛しのよっすぃーは言ってくれるんでしょうか?
結果は次号を待て。。。(オイ
………ザ☆ピースの石川語りの鼻声最高………。
>>121
ゆっくりゆっくり、慎重にいってます。
今までの中で、1番力入ってるっていうのもありますし…。
>>122
いやはや、そんな理由で決まった後藤は怒ってるかもしれませんが、
読者様にそう言って頂けると、ほっとします。
もっとも、1番怒ってるのは、そんな理由でバツになった矢口かもしれませんが(w
>>123
坊ちゃんが今度は1番ヒネていますから…。
(^▽^)<でもそこも好きなんです
(;0^〜^0)<ははは……
>>124
(〜^◇^〜)<紗耶香には悪いけど、ここのヤグチはよっすぃーの味方だから。
アンタは後藤にでも慰めてもらえばいいんだっ!(イジッパリ
もう少し先で、その歯痒さも治まるかと思います(w
>いちごまで正解だったと思いますよ。
よかったです。嬉しいです。
けどいちごまにするにあたって、また裏があるんですよね。
本当は矢口も芸能界入れて、市井のこと取り合いさせようかと思ったんですが。
けどさやまりの話じゃないから、矢口を悲しませることになるし……とか色々考えて。
じゃあ、市井じゃなくて、吉澤を気に入らせればいいんだ、そうしようってことに。
んであんまり直接的な接点のない、けどそんな違和感のない、カメラマンにしたんです。
っていうか、裏ありすぎやん……。
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 132 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月26日(木)03時55分26秒
- 梨華ちゃんが水着の撮影!?
こ、これはまさか、8月に発売されるという「石川梨華写真集」に使われるやつですか?(爆)
作者さん、今回の話にはいろいろと苦悩があったんですね。(w
- 133 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月27日(金)16時13分42秒
- ここのかおりか、やっぱ好きです。
- 134 名前:133 投稿日:2001年07月27日(金)16時14分35秒
- ごめんなさいsage忘れました!!!
本当にごめんなさい・・・・
- 135 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月28日(土)00時43分50秒
- 飯田さんにのせられてる梨華ちゃんがかわいいですね。(w
アイドル石川、マネージャー飯田って良いコンビな感じ。
- 136 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2001年07月28日(土)01時48分13秒
- 大人の世界で苦しんでる梨華ちゃんを救ってあげてくれ〜、よっすぃ〜!
- 137 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月28日(土)02時13分29秒
- >>136
上でもわざわざ謝ってるじゃん・・
ここはsageだって
- 138 名前:少年少女 投稿日:2001年07月30日(月)15時35分20秒
- CHAPTER6 〜スクープ写真〜
薄暗い部屋の中。
薄暗い電灯に写真をかざして、1人の女が、うっとりと見上げている。
「ぼやけなし! ズレなし!………や〜っぱ、ヤグチって天才?」
ヤグチこと、矢口真里。
かざした写真……ある女性歌手のスクープ写真を、矢口は憧れの人を見るような感じで、
うっとりと見上げていた。
- 139 名前:少年少女 投稿日:2001年07月30日(月)15時36分13秒
- ――
「全ッ然、綺麗じゃないッ!! っていうか、何!?」
「なんでー。綺麗じゃん、石川。でもホント胸でかいな、コイツ」
「ど、どこ見てんすかっ! つ、つーか、なんでビキニ!
ちょっと中澤さん、なんなんですか、コレ!!」
事務所のテーブルに、無造作に置かれていた、某週間少年雑誌。
その雑誌の表紙になっていた、どうやら新人らしい女の子。
なんだかとてつもなく見覚えがあって、ページをめくってみると、
その新人の女の子の名前が発覚。
石川梨華、と、いうらしかった。
豊かな胸の谷間を強調させた悩殺ポーズ数点。
そして最後に顔のドアップ。
そのドアップの上に、小さな字でプロフィール+コメントが書かれている。
石川・梨華
1985・1・19
好きな色・ピンク
ファンの皆さんへ一言・まだデビューしたばかりで、緊張しっ放しの毎日ですが、
一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします!
吉澤曰く、「ふざけんなこのやろう」。
- 140 名前:少年少女 投稿日:2001年07月30日(月)15時36分54秒
- 「あぁ、それな。結構イイ感じやんな」
あの時、初めて逢った時には、こんなに化けるとは思っていなかった。
しかし実際デビューしてみると、結構イケる。
売れるのも早いだろう。
「ほら、石川宛てに、もうファンレター来てんねんで」
まだまだ、十数通程だけれど。
毎日100通近くの後藤に比べれば、足元にも及ばない。
「や、そんなこと、どーでもいいんですよ。
あたしは、このあられもない格好をした、梨華ちゃんのことを言ってるんです」
こんなカッコ、他の、全国のヤツ等に見せるだなんて。
なんだかとても許せない。
「そんなんあたしに言わんといてーな。あたしは、石川のマネージャーやないねんで。
それに何べんも言ってるけど、『あたし』やなくて『オレ』や」
「ぐっ……」
言い返せなくなって、力が抜けて、ソファへと腰を下ろす。
「まぁまぁ、吉澤。気持ちは判るけどさ」
ポンポンとなだめるように市井が吉澤の肩を数回叩く。
「あ、それと裕ちゃん」
「ん?」
「事務所、なんかあったの? なんかゴタゴタしてるみたいだけど…」
さっきから何度も電話が鳴ったり、かと思えば人がドタバタと出入りしたり。
一体何があったんだというんだ。
「もしかして、誰かのスキャンダル…?」
思い浮かんだのは、後藤。
「違う。ごっちんやない。………”なっち”や」
“なっち”という愛称で親しまれる、歌手の安倍なつみ。
後藤が入るまではこの事務所の稼ぎ頭だったのだが、後輩の後藤に押されがちで
勢いが落ちてきたものの、今だ根強いファンがついている、正統派美少女。
そんな正統派美少女の彼女が、一体何のスキャンダルなんだろうか。
「やられた……こりゃ、モロやで。ばぁ〜っちり写っとる」
“センチメンタル♂男向き”とは違う、週刊誌。
その週刊誌の見出しに書かれている、
『安倍なつみ(19)、8月10日の誕生日を迎える前に、祝杯のビールを浴びていた!?』
枠いっぱい使った、大きな文字。
ページをめくると、1ページ丸ごと使った安倍が、今正にビールを口にしようとする所が写っている。
ご丁寧に、その後酔っ払い特有のふらふらになって帰っている所まで。
- 141 名前:少年少女 投稿日:2001年07月30日(月)15時37分34秒
- 「また矢口にやられたッ! ほんまこいつムカつくわぁ!」
写真と文の左下に載っている、『PHOT 矢口真里』の文字。
後藤のスキャンダル記事にもすべて、この名前が載っている。
「何かと、この事務所のタレントばっか撮りやがって……。
アンタらも、CMオンエアと同時に売り込むから、気をつけてや」
もし、女便所に入って行ったりしている所を撮られたら。
言い訳も何もない。
「とりあえずCMオンエアするまでは、アンタら暇やねんから、寮戻っとき!」
「ってぇ!」
背中を押される。
前にいた吉澤にぶつかる。
睨まれる。
一体市井が何をした……?
――
部屋に戻っても、何もすることがない。
吉澤は、あのまま、怒ったまま、何処かへ出かけてしまった。
すっごく暇だ。
「音楽でも聴こ……」
1人で街をぶらぶらするのもよかったのだが、なんだかそんな気にはなれなかった。
だから、ヘッドホンでボリューム大にして、大好きなドリカムの唄を。
やっぱりいいよな、美和ちゃん。
そんなことを思いながら音楽に浸っていく。
そんな風にして過ごしていると、コンコンと部屋をノックされた。
10秒経っても、返事はない。
もう一度ノックしてみる。
30秒経っても、返事はない。
もう一度ノックをしてみようと思ったが、やめて、部屋に入った。
「いちーちゃん、いる〜?」
- 142 名前:少年少女 投稿日:2001年07月30日(月)15時38分05秒
- いた。
ベッドに寝転がって、音楽を聴いている。
だから、ノックの音に気づかないワケだ。
今日は友達と買い物行く約束してるから、と、保田が家まで送るのを断わった。
友達と買い物を行く約束なんか、ハナからしてない。
ただ、1度、市井と2人っきりで話をしてみたかったのだ。
そんなことを保田に言うと、却下されるのは目に見えている。
だから、嘘をついたんだ。
ヘッドホンから漏れる、音楽。
なんだ、あたしの曲じゃないじゃん。
ちょっと期待してみたりもしたのにな。
天井をじっと見ている市井に気づかれないように、こっそりと近付く。
そしてそのまま気づかれずに、ベッドの傍まで来た。
やることは1つ。
「わぁっ!!」
「うわぁっ!?」
…………驚かすんだ。
「ババババカやろーッ!! な、何で勝手に部屋っ」
「だぁってノックしたもん何回も。それでもいちーちゃんが気づかなかったんじゃん」
「だ、だからって、驚かすことないじゃんっ」
「へへ、ごめん」
無邪気な、年相応の後藤の笑顔。
テレビでもそうやって笑ったら、もっと女の子にも人気が出るだろうに。
- 143 名前:少年少女 投稿日:2001年07月30日(月)15時38分51秒
- 「………で、どーしたの」
「ん? 遊びに来た」
「…………そう」
市井が小さくそう言うと、うん、と嬉しそうに頷く。
………よかった、大きめのTシャツ着てて。
汗かいていたから、着替えようかと迷っていたんだ。
けど、着替えなくてよかった。
大きめのTシャツは、身体のラインが見えないから。
「………事務所」
「ん?」
「事務所、なんだかすごい騒ぎになってるね」
「あー、なっちのスクープ記事ね」
「うん」
それがどうしたの、という後藤の顔。
「撮られてしまったもんは、もうどーしよーもないよ」
「まあ、そうなんだけど」
一応、事務所の先輩なんだからさ、もうちょっと心配してやっても。
市井がそう言いたそうなのが判ったのか、後藤は言葉を付け足す。
「ごとーが心配したところで、どうなるってワケじゃないし。
結局はさ、自分自身の問題じゃん」
「………うん」
そうだね、と頷く。
そこで一旦長い沈黙ができた。
- 144 名前:少年少女 投稿日:2001年07月30日(月)15時39分32秒
- 時間にして、5分くらいの沈黙だったろうか。
後藤が、恐る恐るという感じで口を開いた。
「………いちーちゃんってさ、スカウトされる前何してた?」
「へっ?」
う〜ん、と考え込んで。
「そうだなぁ〜、普通に中学卒業して、高校入ったんだけど、なんか合わなくてさ。
辞めて、ずっとバイトしてた。
世間からしてみれば、あんまよくないんだけど、い…俺にとっては、楽しかったなぁ」
笑って、怒って、遊んで。
毎日、とても充実していた。
「………じゃあさ、その間、恋愛とかもした?」
「れ、恋愛っ?」
「そう。キスしたりとか、えっちしたりとか」
「なっ……」
真顔で真剣に尋ねてこられても、困る。
っていうかそんなこと、真顔で真剣に尋ねるものなのか?とも思ってしまう。
「そ、そんなの、してないよっ! つ、付き合ったこともないんだからっ…」
告白されたことは、あるけど。
しかも、同性の子に。
………もちろん、断わりました。
一応自分は、ノーマルだと思っているので。
「へぇ……じゃあ…、ファーストキスまだなんだ……」
こんなに、格好いいのに。
妖しげな視線を市井に向けて、後藤がちょっとずつ近付いてくる。
「ご、ごとー?」
「しーっ。黙って、目ぇ閉じて……」
「ちょ、ちょっと…」
市井は、ノーマルだ。
そう、ノーマルのハズなのに、拒めない自分がここにいる。
後藤のサラサラな髪の匂いと、その寂しげな瞳に意識を奪われながら、
後藤の言う通り、市井は静かに目を閉じた。
- 145 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年07月30日(月)15時40分13秒
- ( ゜皿 ゜) <チョットイソガシクテ、交信オクレガチデゴメンネ
さやまりといちかごが書きたいここ最近……。
>>132
(〜T◇T〜)<…………………
そうですね。使われるかも(w
もう今回は悩みまくりました。
けど悩んで納得して載せたのに、後から読み返してると不自然な点が多数…。
その上、主役のハズの市井が、性格の為か、今回吉澤に押されがちやし……ほんと苦悩しまくりです(w
>>133-134
ありがとうございます。
自分も好きなのを、人にも好きと言ってもらえて、本当に嬉しいです。
>>135
今度の飯田さんはマネージャーということもあり、石川の扱いは上手いようです(w
良いコンビ……ありがとうございます。
>>136
ヒーロー吉澤は、次で活躍です。
>>137
フォローありがとうございます。
本当だったら、ageでやる方がレスしてくださる方に気を使わせることもないんですが、
やっぱりこーいう話は好き嫌いってのがありそうだし……。
なにより、こんなのが上にあがってたら邪魔だろうし…。
だからやっぱり、sageでお願いしたいんですよね。
といっても、自分でageてしまう時がよくあるけど……。
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月30日(月)19時42分16秒
- ぐはっ!!
吉澤君の動向が気になるであります!!
ついでに(笑)、主人公いちい君どうでるか!!(w
- 147 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月30日(月)20時08分12秒
- あああああいちごま〜!!
押されがちないちーちゃんイイ☆
続き期待です。
- 148 名前:たなみ。 投稿日:2001年07月30日(月)23時26分03秒
- 普段はロムしかしないんだけど、あまりの面白さについついレスしちゃった。
この話、すげーいいっす。
特に吉澤君と石川さんが気になって気になって…。
続き希望っす。
- 149 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月31日(火)03時40分30秒
- 惜しい、いいところだったのに〜!!(w
この続きはあるのか?・・・それともこちらで想像するしかないのか?(爆)
気になるっす!!
- 150 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月31日(火)10時53分44秒
- いいとこで止めますな!
まさかこの後ヤッス−が来たりとかは…
ごとー邪魔が入らぬうちにやっちゃえ!やっちゃえ!
- 151 名前:少年少女 投稿日:2001年08月01日(水)13時14分55秒
- CHAPTER7 〜王子様とお姫様〜
セキュリティ設備満タンの、高級マンション。
吉澤は迷うことなく、マンションの入り口にある機械、1444、と番号を押し、応答を待つ。
しばらくして、ちょっとトーンの低い、でも高い声の石川の声が聴こえた。
―「……はい」―
「あたしだけど。っていうか、早く開けて」
―「…………」―
来ることを予想していたんだろうか。
それとも、出る前に深呼吸をして応答をしたんだろうか。
石川は驚くことなく、マンションの中へと通じるドアを開けた。
「石川はもうデビューしてんから、遊びに行ったりとかは自粛してな」
ここに来る前、つんくに呼び止められたと思ったら、そんなことを言われた。
なんでそんなこと、アンタに言われなきゃならないんだ。
アンタに、カンケーないじゃん。
ましてや、デビューして1週間も経ってないアイドルに、張り込みがつくのか?
それに、やましいことなんか、ない。
時々、ちょっと悪戯したくなって、頬や額にキスをしたりするけれど。
やましいことなんか、ない。………と、思う。
- 152 名前:少年少女 投稿日:2001年08月01日(水)13時15分30秒
- 「よっすぃー……」
「入るよ」
もうすでに、吉澤の顔を見た途端、泣きそうな顔の石川。
「……まだ何も言ってないのに、なんでそーゆー表情するかな」
「だって………よっすぃー怒ってるもん……」
「当たり前だよ」
ここで怒らなきゃ、どこで怒る?
「ってかさ、確かにあの時、あたし『もぉ、いい』とは言った。
でもだからって、芸能界入るの許したワケじゃないし、ましてや誰もこんなことやれ、なんて言ってない」
眉をつりあげて、垂れ目な目も無理やりツリ目にして。
持参した、某週間少年雑誌の表紙をバンバン叩く。
「でもよっすぃー、あの時、芸能界入るの私の自由って言ったじゃない。
それに、よっすぃーはやれ、とは言わなかったけど、カメラマンさんにはやれって言われたもん……」
「へ、屁理屈だ、それはっ!」
「そっちこそ、自分の考え押し付けてるだけじゃないっ!!」
「ぐっ……」
「…………」
泣きそうだった顔が、泣き顔へと変わる。
あぁ、なんで、こんなことに。
泣かすために、来たんじゃないんだ。
ただ、なんて言うか………。
年上のハズなのに、年下のあたしより、うんと泣き虫。
それは小さい頃からずっと変わってなくて。
よく、年下のあたしの前で、悩みや不満を打ち明けて、泣いてたっけ。
今までは、泣かしていたのがあたしじゃなかったから。
今回は、泣かしているのはあたしだから。
どうやって、なだめればいいのか。
どうやって、梨華ちゃんに触れればいいのか。
ただ、黙って、泣いている石川を見ないように、吉澤は顔を逸らすことしか出来ない。
- 153 名前:少年少女 投稿日:2001年08月01日(水)13時16分03秒
- あーぁ、昔は、よかったな。
こんな下らない喧嘩なんかしないでよかった。
どうして、こうなっちゃうんだよ。
ただあたしは、梨華ちゃんが心配なだけなのに。
「…………なんかもぅ、わっかんないよっ……」
気持ち、考え、全部。
昔は何でも、石川のことは判っていた。
でも、今は判らない。
「………よっすぃー?」
端正な顔を歪ませてそう吐き出す吉澤。
濡れた瞳のまま、石川は顔を上げる。
「別に、あたしは梨華ちゃんの家族でも恋人でも何でもない、ただの幼馴染みなんだから、
こうやって怒るの、梨華ちゃんにとってははっきし言って、メーワクきまわりないだろうと思う。
そりゃ、あたしだって、人のこと言えないよ? 芸能界自分の意志で入ったんだし。
でもさ…………ホント勝手かもしんないケド、梨華ちゃんは入って欲しくなかった……!」
理由は、一つ。
言うのは、とっても恥ずかしいんだけど。
「なんで、他のヤツに見せるかなぁ……」
「はい?………ごめん、こっちが判んないんだけど……」
いや、だからね。
どうやら説明が足りなかったらしい、吉澤の説明。
補足して、やっと石川にも通じた。
- 154 名前:少年少女 投稿日:2001年08月01日(水)13時16分35秒
- 吉澤が言いたかったのは、こういうことらしい。
笑った顔、怒った顔、哀しみの顔、喜びの顔。
それが、ビキニから覗く、美しい身体と共に、全部この某週間少年雑誌に掲載されている。
今まではそれを見るのが、吉澤の特権だった。
でもそれが、今や、全国の青春を謳歌する諸君達にも見られている。
なんだかとても許せなかった。
「……………梨華ちゃんは、可愛いから、ファンなんかすぐにいっぱいになって。
どんどんどんどん、遠くなっていくんだ、あたしから……」
「よっすぃー……」
……そんな、哀れむような目で見ないでよ。
だから、言いたくなかったんだ。
口では梨華ちゃんが心配だからなんだとか言ってるけど、ホントは違う。
梨華ちゃんを他のヤツに見せたくないだけ。
この気持ち、なんていうのか。
ずっと、認めたくなかった。
ずっと、この気持ち、気づかない振りをしていた。
ずっと、嘘をついていた。
あたしは知ってるんだ。
このモヤモヤした感情を何て言うのか。
そう、“嫉妬”だ。
- 155 名前:少年少女 投稿日:2001年08月01日(水)13時17分08秒
- 梨華ちゃんは昔からよく、あたしの家族や近所の人達から、こう言われていた。
「梨華ちゃんは、なんだかお姫様みたいだね」
って。
そしてあたしは中学の頃よく、全校生徒達から、こう言われていた。
「よっすぃーは、なんだか王子様って感じだよね」
って。
王子様って言われて、悪い気はしなかった。
そりゃあ、そう言われて、人並みに恥ずかしかったけど。
じゃあなぜ悪い気がしなかったというと、理由はものすごく簡単。
だって、お姫様を守るのも、お姫様の傍にいるのも、
王子様じゃないと出来ないから。
- 156 名前:少年少女 投稿日:2001年08月01日(水)13時20分07秒
- 「よっすぃー」
ポロシャツの裾を握られる。
「よっすぃーっ」
手を、握られる。
「よっすぃー!」
顔を、石川の方に向けられる。
その石川の瞳に映る自分を、吉澤はぼーっと見つめていた。
どうやら自分は、市井みたいなキリッと真面目な王子様ではなく、
フニャッと不真面目な王子様で。
いつもいつも石川の想いをはぐらかしては、その想いを利用してからかう。
そのくせ、お姫様が自分から遠くに行ってしまってから、未練たらしくグダグダと。
神様でもなければ、王子様でもない。
そりゃあ、お姫様も呆れてどこかへ行くわな、なんて。
「………行かないよ、私は。遠くになんか、行かない」
「え……」
「だって遠くに行ったら、よっすぃーと逢えないもん。私、そんなのヤダ。
よっすぃーの傍にずっといたいもん」
「で、でも」
「芸能界入ったのは、その世界に、よっすぃーがいるから。
1人暮らししたのだって、よっすぃーのそばにいたかったから……」
「り、梨華ちゃん……」
ホントは、嫌だったんだよぅ。
周りに人もいっぱいいて、視線は全部水着姿の自分に向けられて。
その視線のどこにも、アナタはいなくて。
ホントは、嫌だったんだよぅ。
けど、けど。
ここで諦めたら、それこそよっすぃーが遠くに行っちゃう。
そっちの方が、もっと嫌だったんだよぅ。
でもそれが、よっすぃーを苦しめていたなんて知らなかったから。
- 157 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月01日(水)13時31分21秒
- えーと、どういうワケかスレが立ってしまいました。
ちゃんと自分の所に投稿したんですが…。
とりあえず1つを削除依頼に出しましたんで、ご迷惑に思った方、申し訳ございません。
アップしたのは途中で終わっているのですが、落ち着いてから載せ直します。
本当にすいません。
- 158 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月01日(水)15時41分21秒
- けっこー各所で起こってるみたいですね。
紫でもあったみたいだし。
一読者としては、
事故ですし、あまり気に為さらずに続けていっていただければと思います。
いしよしめちゃくちゃいいとこだし。(w
- 159 名前:少年少女 投稿日:2001年08月01日(水)20時51分36秒
- >>151-156の続き
「……私、やっぱ辞めるよ」
「えっ」
「よっすぃーが、そう言うんなら、私、やめる」
これから、吉澤達の売り込みが始まって、人気が出ても。
大好きな人が、嫉妬してくれたという事実があれば。
大丈夫、耐えれる。
「梨華ちゃん……」
「えへへ……私嬉しかったよ。よっすぃーが可愛いって言ってくれたの、初めてなんじゃないの?」
「なっ……!」
勢いに任せて言った言葉だけに、覚えてない。
覚えてなくても、言ったんだ。妙に恥ずかしい。
「とりあえず、飯田さんに電話……」
呟いて、携帯を取る。
いいのか、このままで。
それで辞めさせて、自分は後悔しないのか。
苦手な世界なのに、追っかけてくれたのに。
それを無駄にしていいのか?
………………否。
- 160 名前:少年少女 投稿日:2001年08月01日(水)20時52分38秒
- 「きゃあっ!」
あまりに突然なのと、初めてのことにビックリの石川。
吉澤に、後ろから抱きしめられたのだ。
「よ、よっすぃー……?」
「ん?」
「ど、どしたの……」
「………引き止めたの」
「……なにを?」
「芸能界、辞めるの」
えぇっ、とワケが判らない石川を置いといて。
吉澤は改めて某週間少年雑誌を見る。
そして、一言。
「さっきは、頭の中ぐちゃぐちゃになってムカついて、思わなかったけど、
………………綺麗だね梨華ちゃん」
石川の大好きな笑顔と大好きな声で。
言って欲しかった言葉なのに、実際言ってもらうと、すごく恥ずかしいことが判明した。
だから、本来ならはっきりと顔を見て言うつもりだったのに。
その言葉は吉澤に聞こえることなく、終わってしまった。
………だって、よっすぃーのことを想って撮ったんだもん。
- 161 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月01日(水)20時53分28秒
- ( ゜皿 ゜) <トチュウ交信トギレテゴメンネ
ちょっと( ゜皿 ゜) さん自身もどうしてか判らないのですが、不具合があったみたいで…。
サザエさんを始め、色んな人に迷惑をおかけしたことを謝ります。
>>146
吉澤くんの動向はこんな感じになりました。
市井がどう出たかは次回ってことで……。
>>147
確かに押されがちですね。
いっそ、いちごまじゃなくごまいちにしようか(w
>>148
ありがとうございます。嬉しいです。
吉澤くんと石川さんの2人は、こんな感じで落ち着きました。
>>149
从 ~∀~ 从<矢口やったら泣きながらどっか行ったから、もう今更、嘘って言っても遅いで
矢口はうちがもらったるわ
(;´D`)<いきなりのきゅうてんかいなのれす……
こちらで想像してください(w
>>150
( ´ Д `)<そりゃごまいち目指してるからね
(;^▽^)<えっ!?
ヤッスーが来たか、そのままやっちゃってしまったかは、すべては次で…。
ごめんなさい。
CHAPTERが終わったら、そこでその話も一旦終わっているので、話が変わるんです。
>>158
紫でもあったんですか。
けど、なぜこうなったか原因が判らない…。
あの時ほんと、どうしようかと思いましたよ(ニガワラ
いいとこできって、ごめんなさい(w
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 162 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月02日(木)00時08分32秒
- ひさしぶりに見ました。
今回の作者さんのいしよしは最高です!!いいんです!!
これからもいしよしを続けてくれるとうれしいです。
事故があったようですが、がむばってください!
- 163 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月02日(木)03時58分39秒
- よかった×2
いしよしの関係は修復どころか一気に進展しちゃいましたね。
メインの二人の関係も一気に……何てことはあるのでしょうかね〜?(w
- 164 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月02日(木)12時24分37秒
- 梨華ちゃんのアパートの暗証番号は「いしよし」ですか(ニヤリ
吉坊も素直になれたしすべてよし!
(0^〜^0)<だって恥ずかしかったんだYO〜!
( ^▽^)<すごい嬉しかったです〜(テレ
- 165 名前:少年少女 投稿日:2001年08月03日(金)15時15分16秒
- CHAPTER8 〜ノーマル〜
朝のTV番組。
時刻は大体、7時半頃。
そのTV番組のキャラクターの時計が鳴ったと同時に、色んな芸能人達の映像が流れて。
その流れたVTRの中には、後藤もいた。
「はい、えー、ゴマキが出演する新CM、どこよりも早く皆さんにお届けしましょう」
「ゴマキって、後藤真希ちゃんだよね」
「そうですよぉ〜。もうすぐ新曲も出るんですよねー」
司会者らしき、少し年をとった男を真ん中に挟み、テレビから見て右に、少し小太りの進行者。
そして左に、最近結婚をしたという、女性アナウンサーが。
- 166 名前:少年少女 投稿日:2001年08月03日(金)15時15分59秒
- 「で、その新曲が、今から見るCMのタイアップになってるんですよ。
しかもそのCMには、ゴマキの事務所の社長自らスカウトしたらしい新人の男の子2人も出演らしいです」
「カッコイイんですかね?」
「そりゃあ、もう」
「じゃあ、早くみましょう」
目をキラキラさせて、前にあるであろう画面に注目する。
その女性アナウンサーの催促がきっかけになって、後藤真希出演のCMが、お茶の間に初めて公開された。
「この男の子2人は、CMオンエアと同時に売り出すらしくて、
このCMが彼らのデビューらしいです」
あまり詳しい情報は入っていないのか、それだけ伝えて、次の芸能ニュースにいく。
しかし視聴者達は、そのわずか30秒あまりのCMに釘付けになってしまって。
次の芸能ニュースなんか目もくれずに、その番組がやっているテレビ局に問い合わせが殺到した。
- 167 名前:少年少女 投稿日:2001年08月03日(金)15時17分21秒
- 「ごめん、もうちょっとこころもち顔上げてくれる?」
「………こうっすか?」
「そうそう! おー、イイ感じ」
カシャカシャ、というシャッターを切る音が、スタジオに響く。
周りには、何人ものスタッフさんと、専属メイク・スタイリストの稲葉と平家の姿も。
そして、マネージャーの中澤。
市井と吉澤の2人は、来週発売されるファッション雑誌“ぷっちもに”の撮影に挑んでいた。
問い合わせが殺到して、2日。
電話やメールは鳴り止むことなく、後藤真希と共演していた男の子2人が知りたい、
という問い合わせが今も続いている。
出し惜しみする必要もないし、秘密にする必要があるのなら、CMになんか出させない。
頃合いもタイミングも、これ以上申し分ない。
今が、チャンスだ。
- 168 名前:少年少女 投稿日:2001年08月03日(金)15時17分55秒
- 本当なら名前も出てない新人の2人が、女子高生達がほとんど購入している雑誌、
“ぷっちもに”の表紙だなんて考えられないのに。
そこは、天下の後藤真希がいる事務所。
色んなコネと圧力を使って、なんとか表紙撮影にこじつけた。
金は、かけてある。
あとは、その金を2人が倍にして返してくれるかどうかが問題。
「…………心配しただけ損やったな」
前にいる中澤にだけ聞こえるように、こっそり様子を見に来た社長、つんくが言う。
「いくら売り出しても、本人達に向いてなかったらどうしようか思ったけど…」
見た限りでは、スタッフさん達にも受けがいいみたいで。
カメラ写りも悪くない。
何より、本人達のやる気がすごい。
ブレイクするまでに、時間はそうかからないのかもしれない。
- 169 名前:少年少女 投稿日:2001年08月03日(金)15時18分30秒
- ――
「じゃあ、いくつか簡単な質問をしていきますね」
「はーい」
新曲“愛のバカやろう”の歌収録の楽屋で、記者の人の質問に慣れたように答えていく後藤。
質問の内容は、大抵どこでも一緒だ。
最近ハマッているもの、おもしろかったこと、新曲についてどう思うか。
出される質問に予め保田と相談して、決めたものを話す。
しかし今回は、ちょっとそれに逆らってみたくなった。
「最近、後藤真希ちゃんの事務所に入った男の子2人とCM共演してますよね。
その2人とは年も近いし、やっぱり仲がいいの?」
「はい。そりゃ仲いいですよ」
そしてこの後に、もう1人入ってきた石川梨華ちゃんっていう子とも仲いいですし。
なんて、さりげに事務所期待の新人を3人も宣伝するつもりだったのに。
「その2人、事務所の寮に住んでるんですけど、
こないだいちーちゃんの部屋に遊びに行ったくらい仲いいです」
「え………」
「あ、でも、何もしてないですよ?」
キスは、したけど。
触れるだけの、キスを1度。
した後、急に部屋を飛び出して何処かへ行っちゃって。
可愛かったなぁ。
- 170 名前:少年少女 投稿日:2001年08月03日(金)15時19分37秒
- 「可愛くないですよぉ、あんなの」
「あんなのとか言うなー。可愛いじゃんか」
ユーフォーキャッチャーの中にある、アザラシのぬいぐるみ。
もう2千円近くつぎこんでいるのに、全然取れやしない。
お互い帽子を目深に被って、見ている。
「市井さん、もうそろそろ帰りませんか? それでなくても今はあんまり外で行動するなって
社長と飯田さんに言われてるんですよぉ〜…」
「じゃあ、石川帰っていいよ。いちーはもう少し粘るから」
石川の方を見向きもせず、そう言う。
「あー、でも夜遅いから、吉澤かマネージャーさんに迎えに来てもらった方がいいかもね」
どっちに迎えに来てもらう?なんて、判りきった答えを聞いたりして。
相変わらず、読まれているなぁ、なんて思ってしまう。
「よっすぃーがいいです……」
「だよね」
- 171 名前:少年少女 投稿日:2001年08月03日(金)15時20分11秒
- 「でも市井さん、なんでそのアザラシにこだわるんですか?
他のやつの方が、取り易いのに」
「んー。あれさ、あのアザラシ、後藤に似てねぇ?」
「えっ? 後藤って、後藤真希ちゃん?」
「うん」
自分の目がおかしいのだろうか。
ごしごしこすってアザラシを見てみるも、やっぱり見えない。
「い、市井さん…?」
「ん?」
それ、間違ってますよ、とは、弱気な石川にはとても言えない。
- 172 名前:少年少女 投稿日:2001年08月03日(金)15時20分58秒
- 「あ、いた」
同じく、帽子を被って、オレンジのグラサンをつけてやって来た吉澤。
コンビ二帰りに電話があって、寮に帰らず寄ってきたのか、それとも、
来る途中コンビ二に寄って来たのか、吉澤の片手にはコンビ二の袋が。
「そーだ市井さん、帰り、1人で勝手に帰るなって中澤さん怒ってましたよ。
スタジオ中捜したやんけー、って」
「あー」
なんか、このまま真っ直ぐ寮へ戻るのもなんだし。
スタジオから寮まではそんな遠くもなく、電車で帰れる距離だったから、吉澤に帰る、とだけ言って帰ってきたんだ。
初めての撮影にまだ少し緊張が残ってたし、行きの中澤の車内では、後藤の新曲“愛のバカやろう”が
エンドレスでかかっていたし。
つい先日の出来事を思い出してしまいそうで、恥ずかしかった。
だから今日は仕事がなかった石川を呼んで、こうして遊んでいたってワケだ。
ノーマルだったハズなのに。
今は、いつもどこにいても、後藤の顔ばかりが浮かぶ。
ノーマルだったハズなのに。
後藤のキスを拒めなかった。
好きなの?
と聞かれれば、
好き。
なんだろう。
- 173 名前:少年少女 投稿日:2001年08月03日(金)15時21分34秒
- けど、後藤は知らない。
後藤は市井を、市井スネオ(ほんとやだな、この名前)をして見ている。
市井はほんとは、市井紗耶香なのに。
ノーマルだったハズなのに、市井はどうやらノーマルじゃなかったらしい。
でも後藤は、ノーマルだ。
市井を、“男”として見てるんだから。
市井が、少女じゃなく、少年だったら。
……………こんな哀しくならなかったのに。
- 174 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月03日(金)15時22分32秒
- ( ゜皿 ゜) <交信ダヨ〜ン
うぅ、文字制限が512文字になってる……(涙
>>162
いしよし初なんで、よかったです。そう言ってもらえると。
これからもっすか〜………うぅ、とりあえず、次、話考えてるのには、いしよしないんです。。。
>>163
从 ~∀~ 从<ハッ。いくらアンタが渡さんって言うても、矢口がどう言うかな
(〜^◇^〜)<…………………紗耶香はごっつぁんとイチャついてればいいんだ
いしよしは進展しましたが、メインの2人が進展するのは、
今5つ先のCHAPTERまで書いてるのですが、まだまだなようです…。
>>164
よかったです。気づいてくれて(w
( ´ Д `)<いちーちゃんはいつになったら素直になってくれるの…?
ヽ;^∀^ノ<も、もうちょっと待って…(アセ
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 175 名前:名無し。 投稿日:2001年08月03日(金)22時34分14秒
- や、やばい!!おもしろすぎる!!
続きに期待してます!!
- 176 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月04日(土)04時12分20秒
- 軽○も大注目のいちよしコンビですね!!(w
いちごまの進展への道のりは険しいみたいですけど、険しいほどその時の喜びは増すものです(w
- 177 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月04日(土)17時00分21秒
- 頑張れ!少年スネオ!!(w
- 178 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)22時57分12秒
- CHAPTER9 〜お食事会〜
「はぁっ? お食事会ぃ?」
「そーや、お食事会や。といっても、
食べに行くのはフランス料理とかじゃなくて、焼肉屋やけどな」
「はぁ……」
でも、なんでうちらまで。
大好きなべーグルを頬張りながら、吉澤が質問を投げかける。
「いやぁ、あたしと圭織と圭坊だけでもよかったんやけどな、
焼肉食べに行く話してた時、ごっちんもおって、あの女王様が自分も行きたいって言うたから。
そやったら、自分らが管理してる可愛いタレントも一緒に連れて行ったろか、ってことになってな」
「可愛いタレントね……」
その割には、全然可愛がってもらってないぞ。
こそっと市井が呟いたのを、中澤は見逃さず、すかさず蹴りを入れる。
けれどそれを読んでいた市井は、べーグルを食っていた吉澤を上手いこと盾にして、
中学・高校時代周りの不良どもを蹴散らした蹴りを中澤は市井じゃなく吉澤に食らわすことになった。
- 179 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)22時57分49秒
- 「ぶはっ!」
まさか自分が蹴られるなんて思ってなかった吉澤は、背中に当たったものすごい衝撃に
大好きなべーグルと一緒に声を吐き出してしまう。
「いってぇぇぇ!!」
オーノー!と叫びながら、のた打ち回りながら。
「わ、悪い、吉澤。まさかそんなに痛がるなんて……」
「や、あ、アンタを狙ったワケじゃないんやで?」
必死に痛みに耐える吉澤と、必死に謝る市井と中澤。
この恨み、一生忘れまい。
半泣きになりながら、吉澤は思った。
- 180 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)22時59分02秒
- ――
ブスッ。
車内での、吉澤の表情。
撮影中はなんとか笑っていたのだが、終わった途端コレだ。
「なー吉澤ぁ、いいかげん機嫌直しぃやぁ」
ハンドル片手に、後部座席のヨネオくんのご機嫌取り。
「けっ。あー、誰かさんが蹴った背中がいてぇなー」
「ぐっ……」
「ま、まあまあ」
ほら、裕ちゃん運転に集中してさ、と市井が間に入り、その場はそこで終わらせる。
中澤に任せるよりも、ここは、まだ中澤より付き合いが長い自分に任せた方がいい。
お調子者で、単純な熱血バカの扱いは任せろぃ!
- 181 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)22時59分36秒
- 「な、吉澤」
「…………なんですか」
「いや、吉澤、べーグル好きだよな?」
「好きじゃなくて、愛してます」
「まあ、どっちでもいいや」
とりあえず、べーグルじゃないけど。
そう言ってカバンからキャンディーを取り出して、吉澤の口に放り込む。
「今はこのキャンディーで我慢してくれや。
今度、市井がいっぱいべーグル奢ってやるからさ」
「ほ、ホントですかっ!?」
「ああ。ホントもホント。もう食べきれなくなる位奢ってやる」
「や、約束ですよ市井さんっ!」
無理やり市井の小指を取って。
「指切りげんまん、嘘ついたら一生恨んでやーる! 指切った!」
「は、は、は……」
針千本飲まされるより、嫌かもしんない。
コイツのべーグルに対する愛情は、市井もよく判ってるから…。
「………裕ちゃん、今月から給料もらえるんだよね……?」
そして市井は、吉澤に聞こえないように、こっそりと中澤にそんなことを尋ねていた。
- 182 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)23時00分34秒
- ――
「裕ちゃん、こっちこっち! もう頼んでるよ」
待ち合わせの焼肉屋。
入ると、奥の座敷らしい所から、51センチという長い茶髪を垂らした飯田が叫ぶ。
中澤達以外は、もう皆集まっていたらしく、頼んだだけでなく、すでに食っていた。
「いちーちゃん! こっちこっち」
自分が座っている所の横をバンバンと叩いて。
市井を隣に座るように指示する。
「ダメよ。そこは裕ちゃんが座るって決まってるから」
「はぁっ? なんで決まって……」
後藤の反抗も虚しく、保田の一睨みで終了。
そんな決まり初めて知った中澤も、言う通り座る。
ちょうど、マネージャーがタレント同士を遮るように。
そんな席順。
- 183 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)23時02分25秒
- 「でもなぁ、もうホンマ腹立つで。あの“矢口”ってヤツ」
「あー、なっちの記事?」
未成年飲酒。
それをバッチリ撮った、矢口真里。
狙われているのを判りながらも飲んでしまった安倍なつみ。
むかつくったらありゃしない。
「裕ちゃん、なっちの元マネージャーだったしね」
だからこそ他の人より腹が立つんだろうし、可愛いんだろう。
「ほんまやったら、今のマネージャーの和田さんが管理しなアカンのに。
意味判らん男とソニンとかいう女の子の二人組に入れ込んでるからこーなんねん」
「ははは…」
酒が入って、愚痴トークの始まり始まり。
- 184 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)23時03分45秒
- 「しかも和田さん、この石川のことお気に入りみたいなんだよねー。
なんか『可愛い』『可愛い』連発で」
ねっ、と隣でこくこくジュースを飲んでいた石川にも同意を求める。
「へえ、『可愛い』ね……」
大人しくジュースを飲んでいた石川とは違い、中澤のビールをこっそり飲んでいた吉澤。
少し頬を赤くして、石川を睨む。
「あっ、吉澤、何人のビール勝手に飲んでんねん!」
「いたっ!!」
背中に蹴りの次は、頭にゲンコツ。
「バカッ! こんなの、なっちみたいに撮られたらどーすんの!
アンタ、あたし達が話してること聞いてた!?」
唾と一緒に、保田の怒声が吉澤に飛ぶ。
「アホだ……」
どんどん焼ける大好きな肉を黙々と食いながら、市井はポツリと呟いた。
- 185 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)23時04分25秒
- 「ちょっとトイレ行ってきます」
こってり怒られた吉澤を尻目に、席を立つ。
立った瞬間、後藤と目が合ったような気がしたのだが、先日のキスを思い出してしまって、
やっぱり長い間見つめあうことは出来ない。
恥ずかしくて、後ろめたくて。
“女”ということを黙っていることに、ものすごい罪悪感を感じる。
「はぁ」
大きなため息をつきながら、トイレの取っ手を回す。
その時、後ろから声が。
「いちーちゃん、そっち女子トイレだよ?」
「へっ?」
振り向くと、不思議そうな顔をしている後藤。
そしてまた前を向いて、ドアの上の方についている名前を見ると、確かに女子トイレを書いていた。
「わっ」
ついクセで、忘れてた。
そうだ、今、男だったんだ。
まだ入る前に言われて、よかった。
出た時に言われたら、言い訳も何も出てこない。
- 186 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)23時04分56秒
- 「うっわー、いちーちゃんえっちぃ〜。女子トイレ覗こうとしてたぁー」
「ち、違うって! ま、間違えただけだって!!」
クスクス笑う後藤と、必要以上に力説な市井。
「そ、それに、なんで後藤がいるんだっ」
「トイレしに来たから」
「あ、そ、そう……」
くだらない質問をしてしまった。
当たり前の答えに、そんな当たり前のことを聞いてしまったことに自己嫌悪。
「………っていうのは嘘。
ほんとは、いちーちゃんと2人っきりになりたかったから」
「え………」
「だっていちーちゃん、あの時、キスした時どっか行ってから、全然目見てくれないし。
…………キスしたこと、怒った? 嫌だった?」
悩んでたんだろう。
その顔からは、深刻な表情が窺える。
「遊びじゃないよ? あの時のキスは。ごとー、真剣だったもん」
「う、うん…」
判ってる。判ってるから、こっちも悩むんだ。
「いちーちゃん………いちーちゃんは、あたしのこと好き?
あたしは、いちーちゃんのこと、好きだよ……」
恋愛に時間なんか関係ない。
恋愛に理由なんかいらない。
この人だ、と思った。
だから、キスもした。
- 187 名前:少年少女 投稿日:2001年08月04日(土)23時05分36秒
- 「お、俺は……」
「うー、保田さんのヤツ思いっきり殴りやがってぇ」
言いかけた時、いつもののんびりとした、けれど何処か怒りがこもった声。
吉澤だ。
「あれ。市井さんとごっちん。トイレの前でどうしたんすか」
「あ、いや……」
「なんでもないよ」
言いよどむ市井とは違い、はっきりと言い放つ後藤。
吉澤は気にせず、トイレの取っ手へと手をかける。
「あ! よ、吉澤そっちは女子便……」
「は? そんなの判ってますよ。だから入る……あ」
市井と同じく、忘れてた。
そうだ、今は男だったんだ。
しかも目の前には後藤もいる。
「「あははははは………」」
笑ってごまかす少年2人に、不思議がる少女1人。
「2人とも、大丈夫………?」
大丈夫じゃ、なさそうです。
- 188 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月04日(土)23時06分57秒
- ( ゜皿 ゜) <ツギノ交信ハ、アラタナヒトガトウジョウスルヨ
多分、明日にでもまた交信できると思うんで。
大分軌道に乗って、溜めてある分もいい感じに進んでます。
にしても、石川写真集が何処にも売ってない……。
そんな田舎じゃないと思うんだけどなぁ〜……。
>>175
ヽ;^∀^ノ<ほ、ほんとに気にしないかな……?(ビクビク
ありがたいお言葉、嬉しい限りです。
大分溜まってきたので、交信の速度は速くなるかもしれません。
>>176
(〜T◇T〜)<…………や、やっぱやだぁ!! 矢口は紗耶香じゃないとダメなんだよぅっ!!
もうみんなが大注目の2人です(w
険しすぎて、途中で諦めてもらわないように、頑張ります。
>>177
ヽ;^∀^ノ<が、頑張れたら頑張ります……
(;0^〜^0)<えっらい弱気だな、今回の市井さんは…
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 189 名前:175 投稿日:2001年08月05日(日)01時14分43秒
- しかしこの場合、いちーくんは
助けられたのだろうか…邪魔されたのだろうか…(w
- 190 名前:名無し 投稿日:2001年08月05日(日)01時34分46秒
- いちごまを…成就さ せて…
グフッ…
>作者様 自分もりかっちの写真集見かけませんよ〜。都心なのに…
- 191 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月05日(日)02時02分05秒
- 今回、ごまのキャラがはっきりしてますね〜。とてもいいっす!好きです!
いちいちゃん、これからどう乗り切るつもりなんだろう・・・。
がんばってね!!(笑)
- 192 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月05日(日)03時23分21秒
- 吉澤君が邪魔したよ〜!!(w
なるほど、確かに二人の未来は険しそうですね。
>石川写真集が何処にも売ってない……。
自分は東京ですけど、地元で普通に売ってました。(隣にはナッチも)(w
- 193 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時16分58秒
- CHAPTER10 〜異性と同性〜
「ねー、“ぷっちもに”買った?」
「買った買った! もぉチョー格好良くない?」
「かっこいいーっ!!」
表紙を飾っている、今話題の少年2人。
以前ファーストフード店で、ゴマキトークをしていた女子高生2人も、
その背を向かい合わせにして座っている所にその2人がいたことにも気づかず、今こうして騒いでいる。
「でもこの2人って、ゴマキと同じ事務所なんだよねー」
「だから一緒にCM出てんでしょ? なんかオーディションして決まったって」
「あー、アタシゴマキになりたい」
「ははは、無理無理」
何よー、なんて言って、笑う。
そして雑誌“ぷっちもに”を重ねてある下ら辺のを取って、レジへと向かう。
けれど向かう途中、友達に呼び止められた。
- 194 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時17分33秒
- 呼び止めた友達に、これこれ、と、とある雑誌のページを広げて。
雑誌“ぷっちもに”の別刊とも言うべきか。
“ぷっちもに”読者の年齢層を少し下げた雑誌“みにもに”。
その“みにもに”の最後のページに、次号予告というのがあって。
その次号予告に、今話題の少年2人、“いちよし”の名前が。
今度一緒にCMに出ることが決まった、同じ事務所でただ今売り出し中の
“松浦亜弥”ちゃんとの対談をするらしい。
「松浦亜弥って、あれでしょ? “トロピカ〜ル恋して〜る”って変な題名の唄唄ってる」
「ああ、あの子か」
そう言われて、初めて気づいた。
「ま、ゴマキじゃなかったら、それでいいや」
もし対談の相手が後藤だったなら、とんでもない。
男好きと通っている世の中の女子達のイメージだろうか。
「とりあえず次号の“みにもに”は絶対買いだ」
嬉しそうに2人笑って、レジへと向かった。
- 195 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時18分41秒
- ――
「でもさ、マツウラアヤって誰?」
雑誌の撮影と言われて、撮影場所に来たのは良い。
けど、一緒に仕事をする、マツウラアヤって?
「あ、あのねぇ市井さん。テレビ見なさ過ぎですよ」
あれだけ宣伝費を使って、事務所は松浦を押しているというのに。
こんな人みたいに、テレビを見なくちゃ、それは何の意味も持たない。
「結構可愛いんすよ。亜弥ちゃん」
「ふーん」
可愛いと聞いても、特別興味なんか湧かない。
別に、松浦が嫌いとかそういうんじゃなくって。
「冷たいなぁ、市井さんは。もっとこう、会話というボールを弾ませましょうよ」
「アホか」
弾ませようとボールを叩いても、市井のその言葉でそのボールは一気に空気が抜けてしまう。
- 196 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時19分15秒
- 「………そんな冷たかったら、ごっちんに嫌われますよ」
「なっ」
弾ませてくれなかった仕返し。
「そ、そっちだって、そんなしょーもないことばっか言ってたら、石川に嫌われるぞっ」
「へへーん。梨華ちゃんに嫌われたって、あたしは痛くも痒くもないですよーだ」
「………………その割には、顔引きつってる気がするけどね」
「くっ……」
口は素直じゃないのに、顔は素直なようです。
「市井、吉澤、松浦来たから、もう入って」
「「はーい」」
中澤の一声で、軽い言い合いは終了して、撮影と挑む。
- 197 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時19分46秒
- 「にしてもアンタら、お願いやからあんま仲良くならんといてや」
「は?」
軽いメイク直しをしている松浦を待ちながら、中澤が言った一言。
「向こうはアンタらのこと、“男”として見てるんやからな。
“女”同士やったら何でもない行為も、“異性”やったらそれが好意や嫌悪に繋がるんやから」
自分達の中じゃ、同性なんだろうけど。
傍から見たら、異性なんであって、同性じゃない。
「事務所も一緒やし、今度のCMも一緒やし……。
仲良くなるんはいいけど、向こうはアンタらのこと、“男”として見てんねんから。
…………あたしの言ってる意味、判るよな?」
「……ようするに、惚れさせなければいいってこと?」
「まっ、そういうこっちゃな」
市井達からは手は出さないのは、もちろん判ってる。
けれど松浦が惚れてしまっては、どうしようもない。
- 198 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時20分51秒
- 「大丈夫っすよ、大丈夫。やー、そりゃ、オレはかっこいいですよぉ?
けど、ちゃんとマネージャーである中澤さんの言いつけは守りますよぉ〜」
わはは、なんて1人能天気に笑って。
アンタが1番心配やっちゅーねん、と中澤のゲンコツが飛んできた。
せっかく平家さんがセットしてくれた髪なのに。
中澤さんのゲンコツのせいで、台無しだ。
ぶつくさ文句を言う吉澤を平家に任せ、市井は先に撮影に入る。
まずは、市井と松浦のツーショット。
そしてその次に吉澤と松浦のツーショットを撮って、最後に3人の写真。
その後に、対談というか、軽いトークで終了。
今日の予定は、そんな感じだった。
- 199 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時21分25秒
- 「松浦亜弥です。よろしくお願いします」
「あ、市井です。こちらこそよろしく」
同じ事務所なのに初対面だったため、少し緊張。
軽い挨拶を済ませて、撮影へと入る。
時間にして、15分ほど。
何十枚かのパターンを撮って、吉澤とタッチ交代。
吉澤達が撮ってる間、髪型を直すためスタジオの端っこに。
そのスタジオの隅っこで、吉澤達の様子を黙って見ていた。
そのままぼーっと見ていると、何かの機材につまずいてこけそうになった松浦を、
吉澤が優しくキャッチしているのが見えた。
それから2人は、楽しそうに何事か喋っている。
(おいおい……裕ちゃんが言ったこと判ってんのか、アイツは……)
- 200 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時22分28秒
- 少し遠くから見る松浦の顔は、明らかに好意を持ったような表情。
カメラマンさんに言われて松浦の肩に手を回している吉澤を見て、少し恥ずかしそう。
まあ、もともと、冷たい、と言われる自分と違って、吉澤は優しいヤツだ。
でもその優しさで勘違いする人多数なので、そんな吉澤に惚れている石川としては大変だろう。
だから、芸能界まで追っかけて行ったんだけど。
「にしても、アイツ……」
そりゃ、嫌悪を持たれるよりは、いいかもしれないけど。
好意を持たせるのは、どうかと思うぞ。
といっても、好意というのは、色んな意味があるんだけれど。
松浦のあの顔は、明らかに男の人に寄せる好意の顔だ。
中澤もそれに気づいたのか、「あのアホ……」という呆れた顔をしていた。
「吉澤ぁっ!」
撮り終わった吉澤をスタジオの外に呼び出して。
またまたゲンコツを頭にめいっぱい。
(…………石川って、吉澤の何処が好きなんだろう……)
殴られている吉澤を見て、つい思ってしまう市井であった。
- 201 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時23分44秒
- ――
「え? 何処が好き、ですか?」
「うん。よっすぃーのドコが好きなのかなぁーって」
「な、なんでそんなこと聞くんですか…? ま、まさか後藤さんもよっすぃーのこと……」
「ち、違う違うっ! そ、そりゃ好きだけど、友達としてだよ」
あぁ、ビックリした。
こっちが質問したのに、その質問をまた返されるとは。
今日は早めに仕事が終わって、家には帰らず、事務所へと戻ってきて。
別に用事があったワケじゃない。ただ、逢いたかっただけ。
けど、お目当ての人は相方さんと、事務所の後輩の子との雑誌の撮影に行ったらしく。
いたのは、昨日発売された“ぷっちもに”の吉澤のページをじぃっと見ている石川だけだった。
特にすることもなかったし、暇だったし。
ちょっと、今こうして喋りかけてみたってワケです。
- 202 名前:少年少女 投稿日:2001年08月05日(日)11時24分19秒
- 「梨華ちゃんでいいんだよね?」
「あ、はい」
「あのさ、敬語やめようよ。梨華ちゃんの方が年上なんだし」
「え、でも……後藤さんの方が先輩だし……」
「そんなのカンケーないよぉ。それに、本人が敬語やめて、って言ってんだしさ。
後藤さんもやめて、ごっちんでいいっす」
「は、はあ……」
やはり遠慮があるのか。
同時期に入った吉澤はもう敬語も止めて、ごっちん、と呼んでいるのに。
そこはまあ、性格の違い。
「けどさ、このいちーちゃん、すっごいいいよね」
はにかんだような笑いが、ページ全体に広がっている。
後藤は目をキラキラさせて、石川に言う。
「……ごと……ごっちんは、市井さんが好きなの……?」
「ん? うん、好き! 超好き」
「そうなんですか……じゃなくて、そうなんだ……」
無邪気に言う後藤。
その後藤に、曖昧に微笑む石川。
後藤さ…じゃなくて、ごっちんは、知らないんだよね。
市井さんが“女”だってこと………。
もし知ったら、どうなるんだろ。
……………う〜ん。
と、そんなことを考えながら、
心の中では、後藤の好きな人が吉澤じゃなくて、どこか安心している石川でありました。
- 203 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月05日(日)11時24分49秒
- ( ゜皿 ゜) <交信カンカクミジカクテ、チョットツカレチャッタヨ
ごめんね、かおり。ここまで載せたかったからさ。
松浦はまだまだ登場しますよー。
>>189
ヽ;^∀^ノ<い、いけたらいくよ……
この場合、助けられたんだと思います(w
>>190
いちごまを成就させれるのはまだ先ですが、
それまでどうか頑張ってください!! 死なないで!
石川写真集も売ってないし、アイドルを探せブックも売ってないんです。
大阪府は田舎じゃないと思うけど、住んでる市が田舎なのか……。
>>191
ごまキャラはっきりしてますか? よかったです。
ヽ^∀^ノ<おう、なんとか頑張る!
>>192
@ノノハ@
(;‘д‘)<わ、悪いけど、構想ではいちかごらしいんやて……
ま、まあ、構想の段階やから、はっきりとはしてへんけど……
(;〜^◇^〜)<!?
前回の吉澤君は、いちごまの皆さんにはどうやら不評だったみたいっすね(w
未来は険しすぎます(w
いいなぁ、売ってて……。
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 204 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月05日(日)12時07分27秒
- 吉澤モテモテですね〜。
市井くんもモテてほしいなぁ〜。市井くんの心は後藤一筋だろうけど(w
>大阪府は田舎じゃないと思うけど、住んでる市が田舎なのか……。
自分も大阪府だけど、発売日前日にフライングゲットしてますよ。
- 205 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月05日(日)13時58分59秒
- やったー!!松浦初登場ですね!これからどう絡んでくるのか楽しみです(w
秘密を共有する3人の今後も気になります。
それにしても市井に積極的な後藤ホントいいっす。
- 206 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月05日(日)17時51分36秒
- ここの後藤ほんとかわいい!!
- 207 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月05日(日)19時00分35秒
- なんかいまさらなんですけど今回のいちーちゃんって普通の人ですよね。
ちゃんと常識のある人って感じがします。
今回は吉澤さんのほうがへナキャラっぽい感じですな(w
- 208 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月05日(日)20時09分32秒
- よっすぃ〜のページをじっと見てる梨華ちゃんに萌え〜(w
梨華ちゃんにとってあややは強敵となるのか!?
気になる〜
( ^▽^)<よっすぃ〜は私のものですから大丈夫です!
( ´ Д `)<でも亜弥ちゃん可愛いからね〜(ボソ
( ;^▽^)<!?
- 209 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月06日(月)04時00分50秒
- 市井君は冷たい人じゃないんです。
高倉健タイプの人間なんです(w
ヽ^∀^ノ<自分は不器用ですから・・・。
- 210 名前:少年少女 投稿日:2001年08月06日(月)11時13分03秒
- CHAPTER11 〜少女と少年〜
「よっすぃーはやっぱ、もうちょっと髪切った方がええんとちゃう?」
「へっ?」
メイクの途中で、何やら髪を触って唸っているな、と思ったら。
「だよなぁ。男として売るのに、やっぱ髪短い方がいいよねぇ」
人事だと思って。
隣に座っている市井も、平家に一票。
いや、でも、これは多数決の勝負じゃない。
「ちょーっと待ってください。あ、あのねぇ、ここまで伸ばすのに、どれだけかかったか」
中学時代はバレー部だったため、伸ばしたくても邪魔で伸ばせなかった。
だから卒業と同時に、石川が反対するも、伸ばし始めたのに。
下ろすと現在、肩ほどまである髪。
少しハメを外して、メッシュを入れたり、明るすぎる茶パツにもした。
石川を始め、周りの評判は悪かったものの、本人は気に入っていたようで。
こうして平家に言われるまで、そのままやってきた。
- 211 名前:少年少女 投稿日:2001年08月06日(月)11時13分39秒
- 「市井さんは、元が短いからいいですよ!?
けどあたしは今のこの髪型気に入ってるんだー!」
ヤダヤダヤダ、と子どものダダッ子みたいに暴れて。
「だ、誰も、切れ、って言ったワケじゃないやん。切った方がええんちゃう、って言うたのに」
「やー、でも切った方がいいっすね」
後ろで束ねると、くくれるほどまである。
そりゃ、ロンゲのモデルもたくさんいるが、吉澤みたいな優しい顔は、
男として売るのにロンゲは似合わない。
それを含めてそう言っているのだが、吉澤にはまだ何かが含まれているとしか思えない。
思い当たる所はある。
ついさっき、“マリア”というドラマの撮影の合間を縫ってかかって来た後藤からの電話。
その電話の内容は、
「明日、午後からオフなんだけど、どっかに遊びに行こうよ」
という、デートのお誘いの電話だったのだ。
- 212 名前:少年少女 投稿日:2001年08月06日(月)11時14分09秒
- 「誰と?」
と聞くと、
「よっすぃーと」
と返ってくる。
「2人で?」
と聞くと、
「2人で」
と返ってくる。
そこに、市井の入る隙間はない。
そんなの、こっちが意味判んないよ。
っていうか、天下の後藤真希ちゃんの誘い、断われるワケないじゃん。
「何か聞きたいことあるなら、直接ごっちんに聞いてくださいよっ。
あたしに怒られても、こっちだって判んないんだから、知りませんよぉっ」
確か後藤は、市井がお気に入りだったハズ。
それなのに、誘ったのは吉澤。しかも2人。
それを根にもって、今こうやって平家の味方につかれてしまっては、吉澤としてはなんともならない。
- 213 名前:少年少女 投稿日:2001年08月06日(月)11時14分56秒
- 「き、聞きたいことなんかないよ。
後藤が吉澤を誘ったんだから、その通りの意味なんだろうしね」
「じゃ、じゃあ、平家さんの味方しないで、あたしの味方してくださいよっ」
「味方じゃないよ。そっちの方がいいって言ってるだけじゃん」
髪が長ければ、やっぱり女性っぽくなるワケで。
それでなくとも、元が女性なんだから、余計に女性っぽくなるワケで。
「よし。つんくさんに電話しよ。吉澤が髪切った方がいいか、って」
「はぁっ!?」
いきなり割り込んできた、と思ったら、とんでもないことを抜かしやがるマネージャー。
髪を切るのも、いちいち社長になんか言われなきゃなんないのか。
そしてその言葉通り指示に従わなきゃいけないなんて。
「男前を売りにしたいんで、髪切ってくれ。やって」
そんなの、納得できるかってんだ。
ギャ―ギャー喚く吉澤を引っ張り、美容院へ。
その間、暴れつづける吉澤。
この時ほど、男として芸能界に入ろうと思ったのを後悔したことなんかない。
入らなければ今頃、格好いい女を目指して伸ばしていただろうに。
カシャリ、という、ハサミが髪を切る音。
そのなんとも言えない音を聞いて、吉澤の抵抗は終わった。
- 214 名前:少年少女 投稿日:2001年08月06日(月)11時16分21秒
- ――
「わっ。よっすぃー髪切ったのぉ?」
事務所に戻って、いつものソファに座ると、背後から聞こえてくるアニメ声。
「わーお。なんか印象変わるねぇ、吉澤すっごいオトコマエじゃん」
そのアニメ声のジャーマネ飯田圭織も。
「えっえっ、な、なんで髪切ったの? どこで切ったの?」
そんなの梨華ちゃんに教えてどうなるんだよ、真似でもすんの?と呆れた突っ込み。
「えーやろー。やっぱ吉澤は髪短い方がいいよなぁ。
市井とはまた違うカッコ良さが出るしな」
うんうんうん、と激しく首を縦に振る石川。
どんな髪型をしてても吉澤は吉澤なのだが、中学時代のさっぱりとした髪型が好きだった石川としては、とても嬉しい。
しかも、髪の色は薄い茶色になっている。
「よっすぃーかっこいい………」
- 215 名前:少年少女 投稿日:2001年08月06日(月)11時16分55秒
- 語尾の他、目もマークまでさせて。
お約束の両手は、胸の前に。
「くっ……こ、こんなの、かっこよくないよっ!」
口ではそう言ったものの、石川に見つめられ、満更でもなさそう。
それが判っている市井は、陰でこっそり笑いを噛み殺している。
お調子者で悪戯大好きな吉澤も、お姫様には弱いのだ。
「………………何笑ってんですか」
「えっ?」
ジト目で睨む吉澤。
それに対して、
「いや、別に」
と、にっこり笑顔で返してやった。
- 216 名前:少年少女 投稿日:2001年08月06日(月)11時17分41秒
- けどさ、1つ不満を言っちゃうと、
市井もほんの少しだけ切ったんだよな、髪。
そりゃあ思いっきり切った吉澤と比べれば全然なんだけど。
誰か、気づいてくれないかな。
いや、別に、気づいて欲しいワケじゃあないんだよ。
ただ、ちょっと、なんていうか……。
「お? 市井何処行くん?」
「や、もう仕事終わったし、ちょっと買い物……」
1度髪をかきあげて。
上がってきた事務所の階段を、今度は下りる。
そして外に出ようとしたのだが、ちょうど仕事から帰ってきた、つんくファミリーのタレントさんとマネージャー。
だるそうにドアを開け、出て来たのは天下のアイドル後藤真希。
- 217 名前:少年少女 投稿日:2001年08月06日(月)11時18分16秒
- 「あっれー? いちーちゃん早いねぇ。もう終わったの?」
目の前にいる市井を見つけて、だるそうな表情は一転して嬉しそうな表情に変わる。
癖なのか、好きなのか。
両手で市井の片腕と手を触って尋ねる。
幸い、保田は携帯で誰かと喋っているため、まだ車からは降りて来ない。
後藤はここぞとばかりに無邪気な笑顔を市井に見せる。
「……………」
笑顔を見せられて、腕に、後藤の大人の色気を醸し出す最大の魅力、大きな胸も押し付けられて。
市井は赤くなって、黙って下を向いてしまう。
別に、女同士なんだから。
そう言い聞かしても、なんでか赤くなる顔は止められなくて。
“後藤真希”という“少女”に、思いっきりハマッてしまっている“市井”という“少年”のような容姿を持つ“少女”。
「ん?」
もちろん後藤はそんな気持ち気づくハズなく。
赤くなっている市井の顔を見て、疑問の声。
「………いちーちゃん、髪切った?」
「え……」
- 218 名前:少年少女 投稿日:2001年08月06日(月)11時18分53秒
- 別に、気づいて欲しかったワケじゃないんだ。
けど、なんていうか………。
………やっぱり、後藤には、気づいて欲しかったのかもしれない。
どうして後藤が吉澤をデートに誘ったのか。
嫉妬のような感情も、その一言で浄化してゆく。
あぁ、やっぱ好きだ。
それも、どうしようもなく。
この少女、後藤真希が。
17歳の少女は、15歳の少女に恋をして。
けどその17歳の少女は、17歳の少年でもあるんだ。
15歳の少女は、その、17歳の少年が好きで。
少女が、いくらメイクや髪型、服でごまかして少年になっても。
………………少女は、本当の少年にはなれない。
- 219 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月06日(月)11時20分21秒
- ( ゜皿 ゜) <ネムイ……
朝の交信ご苦労様です。( ゜皿 ゜) さん。
髪を切ったよっすぃーは、I WISHの髪型から少し伸びた感じのイメージ
を想像してくれた方が、判り易いと思います。
ほんとは、貼るのが1番いいと思うんだけど…。
文字制限にひっかかってしまったので、レスと独り言を分けます。
- 220 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月06日(月)11時27分40秒
- たくさんのレス、ありがとうございます。ほんと励みになります。
>>204
市井がモテるようにしちゃうと、問題が市井ばっかりになるんで…。
それでなくても後藤のことで大分ひっぱってるんで。
吉澤がモテるようにしたのは、いしよしだけ平穏はいかんだろう、ということで。
くそぉ、なんで俺の所は……(泣
>>205
ヽ^∀^ノ<おおっ! getしたの気づいてくれたんだ!!
松浦発登場です。喋り方とか判んないんで、ちょっとドキドキしながらやってます。
後藤人気で、ほっとしてます。
>>206
ありがとうございます。
ちょっと自分としては強引すぎるだろ、と思ったんですが、なぜか人気者でビックリしております。
- 221 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月06日(月)11時28分47秒
- >>207
そうです。ぐれいすさんの言う通り、普通の人です。
そして、吉澤が限りなくへナに近い感じで、書きました。
>>208
( ゜皿 ゜) <サブチャン(サブリーダー)ニイワレチャ、ガンバルシカナイネ
石川萌えさんもいてくれて、ヒロイン達は喜んでおります。
あややの動向は、後ほどでね。
(^▽^)<よっすぃー! 亜弥ちゃんより私の方が可愛いよね?
(0^〜^0)<ん? でも亜弥ちゃんも可愛いよ
(T▽T)<よっすぃー……
>>209
( ‘д‘)<いや、もうほぼ決定やで。だってもう過程をばぁーって打って、
あとはその過程を文章にするだけやからな
市井さんは、加護のこと嫌いですか………?
ごめんなさい。思わず笑ってしまいました。
そうか、高倉健か(w
( `.∀´)<自分は不細工ですから……って、違うでしょ!!
ヽ;^∀^ノ<け、圭ちゃんファンの人、ごめんなさい……
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 222 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月06日(月)15時08分41秒
- いちいくん…
そしてさり気にラブラブないしよしナイス!(w
- 223 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月06日(月)17時06分21秒
- 髪の毛切ってより男前なよっすぃ〜になりましたね!
( ^▽^)<やっぱりよっすぃ〜は髪の毛短い方がかっこいいんです!
(;0^〜^0)<でも長い方がよかったのに…(涙)
髪の毛切ったよっすぃ〜のイメージはこんな感じですかね?
違ってたらごめんなさい。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Cinema/6726/yossuycddata.jpg
- 224 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月06日(月)21時05分35秒
- オイラもいちよしのイメージ貼るべさ!
http://www.bc.wakwak.com/~milky/data/data224.jpg
- 225 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月07日(火)01時52分51秒
- なんか作者さんの今回の話はどっか切ないっすね。
いつも明るかったんで、ちょっと新鮮で良いです。
ごまは女のいちーちゃんも愛するのだろーか・・っていう不安感が特に。
>>224
わっそのちゃむキャワイイ・・。
色付いてない綺麗なバージョンないのかな・・(ボソッ
- 226 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月07日(火)02時07分49秒
- どなたかが作った拾い物ですが。
ttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Akiko/8387/gakuran_318.jpg
- 227 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月07日(火)04時42分18秒
- 苦悩してますね、市井君。
でも、そんなに心配しなくても後藤って、男とか女とか全然気にしないって感じに見えますけどね(w
>>224
まじでイイッスね!!
市井ちゃん、男前すぎです!!
- 228 名前:ING 投稿日:2001年08月07日(火)12時28分04秒
- 初レスです!金板で書いてるものです。
いしよし、いちごま共に良い感じですね!
これからも頑張って下さい!
- 229 名前:ING 投稿日:2001年08月07日(火)12時29分24秒
- 申し訳ありませんっっ!!ageてしまいました・・
本当に、本当に申し訳ありません!!!
作者さん、読者の皆様申し訳ありません!
- 230 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月07日(火)22時47分15秒
- ご要望にお応えして元ネタ画像を…
ちゃむ→http://www.bc.wakwak.com/~milky/data/data330.jpg
よすぃ→http://www.bc.wakwak.com/~milky/data/data331.jpg
>>作者たん
スレ汚しゴメソだべ!
- 231 名前:少年少女 投稿日:2001年08月08日(水)12時18分25秒
- CHAPTER12 〜シャッターチャンス〜
いつ来ても、いつ見てもいっぱいな、首都東京。
そんな東京の中の、もっとも若者がいる街での待ち合わせ。
目印を指定していても、なかなか見つけるのは困難で。
思いっきり深く被ったキャップから、少し上を向いて見下ろすように、吉澤は後藤を探していた。
「あー、マジ緊張する」
バレーの試合でも、こんなに緊張しなかったのに。
その緊張をなんとか解すように、何度も何度も、被ったキャップを被り直す。
相変わらず、後藤の姿は見えない。
何処だ。何処にいるんだ。
キョロキョロと後藤の姿を探していたら、不意にポンと後ろから肩を叩かれた。
「ごっめ〜ん。途中でさ、圭ちゃんから電話かかってきてさ」
あまりに人が多かったものだし、今日はアニメビデオでも借りて家でゆっくりするなんて、
嘘を言っちゃったもんだから。
少し場所を移動して、話していたらしい。
後藤の服装はあくまでもラフな感じで。
顔は、薄い色のサングラスで瞳を覆っているだけ。
「………バレないの?」
と、尋ねると
「意外と、気づかないもんだよ」
なんて、お気楽なお答えが返ってきた。
- 232 名前:少年少女 投稿日:2001年08月08日(水)12時18分55秒
- 「素人が気づかなくても、この天才ヤグチ様の目はごまかされないぞ」
2人から20mほど離れたくらいに潜む、背の小さいギャル。
派手な服装に不釣合いな、大きなカメラを持参して。
「シャッターチャンスは、いつ何処であるか判らないかんねぇ」
こんな日常の中にも、こうしたチャンスがあるんだ。
しかも、そのシャッターチャンスは、天下の後藤真希。
たまたま、友達と買い物をしている所で、最近のマイブーム吉澤を見つけて。
わーお、ラッキーラッキー。逆ナンでもしちゃおっかな。
別に、芸能人のスキャンダルを狙うカメラマンがタレントと付き合っちゃいけない決まりなんてないんだから。
と、こちらもお気楽な事を考えていて、友達と別れ、ナンパのタイミングを計っていたんだ。
したら、その吉澤が向かった先は、どうやら後藤の所だったようで。
こりゃあ、なんてラッキーなんだ。
ヤグチって、世の中の男達だけじゃなく、神様にも好かれてる?
と、大袈裟も大袈裟に喜んでしまった。
- 233 名前:少年少女 投稿日:2001年08月08日(水)12時19分26秒
- 安倍のスクープを撮った報酬も、ほとんど服と、カメラのお手入れや何やらですぐになくなってしまった。
そろそろ、大きなスクープが欲しいなぁ。
けれど最近は、安倍の記事のせいかおかげか、つんくファミリーの全体が厳しくなったようで。
なかなかこれといったシャッターチャンスが恵まれない。
それじゃあ、つんくファミリーじゃない事務所のタレントにすればいいじゃないか、と、
“センチメンタル♂向き”の編集長にも言われたけど、ちょっとしたこだわりってものがあって。
もっとも、こだわり、というのはおかしいのかも知れないけど。
つんくファミリー所属のタレントの写真を撮るのが、矢口にとっての生きがいなのだ。
(後藤の今度の相手がヤグチ推薦のよっすぃーってのも気に入らないけど……
まあ、よっすぃーも最近人気急上昇だから、その分こっちのギャラもいいかな………?)
きゃはは、と、お金の事を考えて思わず笑いが。
おっといけない。集中しなきゃ。
シャッターチャンスの決定的瞬間を狙って、2人の後を追いかける。
- 234 名前:少年少女 投稿日:2001年08月08日(水)12時19分56秒
- ――
後藤が、一体何をしたいのか。
後藤が、何故自分を呼び出したのか。
ワケの判らないことばっかりのまま、後藤に手を引かれ、吉澤はついて行く。
「ごっちん、ごっちん」
「ん?」
「や、その……」
喫茶店に入ったのは、いい。
けど、テーブルに乗せた手を、いつまでも触られていては。
「…………あー、ごめんごめん。梨華ちゃんに怒られちゃうねぇ」
「なっ…!」
違う、そういうことじゃなくって。
自分が言いたいのは、こんなトコ写真になんか撮られたらどうするんだ、ってことで。
決して、梨華ちゃんに怒られるとか、そんなんじゃなくって。
「あっれー? 付き合ってるんじゃないの? 2人」
「ち、ちっがーうよ! 付き合ってなんかないって!」
「でも、初めて会った時、よっすぃーの彼女って自己紹介されたよ?」
「あ、あれは……その……」
つんくさんが勝手に言ったというか、なんというか。
さっきから、決定力のない言葉ばかり。
- 235 名前:少年少女 投稿日:2001年08月08日(水)12時20分27秒
- 「っていうか、なんであた、……じゃなくてぇ、オレ誘ったの?」
「んー?」
「せっかくのオフなのに、市井さんと遊べばよかったのに」
「や、よっすぃーじゃないとダメだったの」
「な……」
思いもしなかった言葉に、言葉がつまる。
確かこの後藤真希は、市井さんが好きじゃなかったのか。
それは、大きな勘違い?
もしかしてこの後藤真希は、吉澤さんが好きだったのか?
(そ、そんな、困る! や、ご、ごっちんが嫌いってワケじゃないけど……)
一生懸命悩んでいる吉澤とは対照的に、あっさりと言ってのける後藤。
「だってよっすぃーじゃないと、いちーちゃんのこと聞けないじゃん」
「はいぃ!?」
吉澤の考えは、勘違いの勘違いだった。
- 236 名前:少年少女 投稿日:2001年08月08日(水)12時20分59秒
- 「いちーちゃんに直接聞くってのもいいんだけどさー、やっぱ恥ずかしいじゃん?
それに、なんか、キスしてから目も合わせてくれないし……」
「キ、キスぅ!?」
なんだ、それ。聞いてないよ。
「な、なにごっちん。市井さんにキスしたの?」
「うん」
「そ、そう……」
それを聞いて、今自分が男と騙していることに、罪悪感を感じる。
直接関係のない吉澤でも、罪悪感を感じるんだ。当事者の市井はもっと感じてるんだろう。
女なのに、男として騙していることに。
そして騙していることに気づかず、相手は恋をして、キスをした、と言った。
おいおい、どうすんだよ。
オレ、知らねーよ?
…………と、他人ぶってみる。
- 237 名前:少年少女 投稿日:2001年08月08日(水)12時21分31秒
- 吉澤の心を知らず、無邪気に市井のことを聞いてくる後藤。
石川も可愛いけど、後藤もまた違う意味で可愛い。
ついついからかいたくなってきたんだけども、それは寸止め。
そうだ、彼女は、石川梨華じゃない。
彼女は、後藤真希だ。
自分達が“女”だという秘密を、彼女―後藤真希は知らない。
このまま、知らないまま、話を合わせた方がいいのか。
そしたら、後藤は、もう戻れなくなるんじゃないのか?
もし何かでバレた時、傷つくのは両方だ。
……2人の傷つく顔は見たくない。
そう思って、言ったんだ。
「……や、やめといた方がいいよ、市井さんは」
「……え?」
「や、その、ね? 市井さん、他に彼女いるしさ…」
「はっ? いちーちゃん付き合ったことないって言ったもん」
「それは、嘘だよ」
「………………」
無邪気な顔が一転して、暗くなる。
ここで、負けちゃダメだ。ここで、踏ん張らなければ。
「………市井さんは多分、ごっちんのこと好きじゃないよ」
- 238 名前:少年少女 投稿日:2001年08月08日(水)12時22分05秒
- ――
胸が痛い。
息苦しい。
重い沈黙。
これも、後藤の為を思って言ったこと。
彼女は、知らないんだ。
自分達が、“女”だということを。
ずっと一緒だった石川は知っている。
けど、男として出会った後藤は、知らない。
後藤の為を思って言ったこと。
傷ついた顔を見たくないと思ったから。
もし市井が女だと知った時、どうなるか。
それだったら、もう最初に諦めてもらう方が後藤もあまり傷つかない。
傷は、浅いうちに。
深くなってからじゃ、手遅れだから。
それは、市井にも言えることで。
勝手なことをしたことに悪いと思いながらも、吉澤は2人のことを思って言ったこと。
- 239 名前:少年少女 投稿日:2001年08月08日(水)12時22分38秒
- 「じゃ、ここで……」
人目を気にしながらも、後藤を家の前まで送って、そこで別れを告げる。
後藤は相変わらず黙ったまま。
気のせいか、少し目が赤いようにも見える。
「ごっちん……」
弱々しい声で、後藤を呼ぶ。
それに反応し、顔を上げる後藤。
その顔は、泣いていた。
違う。
泣かせるつもりなんか、全然なくて。
あぁ、なんでこうなるんだ。
ただただ、あたしは、ごっちんのことを想って。
泣いている後藤の顔が、以前泣かせてしまった石川の顔とダブる。
泣くなよ、泣くなよ梨華ちゃん。
ごめん、あたしが悪かった。
泣かれて気が動転しまった吉澤は、後藤と石川を錯覚し、
泣いている後藤を優しく、包み込むように抱きしめた。
…………カシャリ。
そして、どこかで、シャッターを切る音が聞こえた。
- 240 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月08日(水)12時23分14秒
- ( ゜皿 ゜) <キノウ交信デキナクテゴメンネ
ファンクラブで頼んでたへそのビデオと大運動会(競技編)が届いて、
ずっと見てたからなんて理由じゃ、決してありません。
しかし、ちょっと思ったことがある。
ボンが言ってたとおり、東京は組み体操なのか?
おいらの小学校(大阪)でも、組み立て体操だったのに……。
なんでそれだけで田舎って言われなきゃいけないんだ、えぇっ、辻!?
加護様の故郷を田舎って……(ブツブツ
ネタバレ&グチ、ごめんなさい。
- 241 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月08日(水)12時24分23秒
- >>222
いしよしはのんびり甘々で考えてます。
>>223
おおっ! ありがとうございます! そんな感じです。
それを、顔をもうちょっと男の子にしたような感じを、この話で思い浮かべてくれると嬉しいです。
>>224
やあ、マジ最高っす。ありがとうございます。感謝。
- 242 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月08日(水)12時25分03秒
- >>225
もっともっと切なくなるというか、後藤好きには痛くなります。この後の展開。
いつもは市井がへナだったんで、明るくて、今回はへナじゃないから余計かも知れません。
後藤は女のちゃむでも愛するんでしょうか……。
>>226
そのちゃむverは見たことあるんですが、よしver初めてなんで、嬉しかったです。
しっかり保存しました。感謝です。
>>227
( ‘д‘)<………『でも』ってことは、うちが1番じゃないんや……
うち、こんなに市井さんが好きやのに……どうせどうせ……
( ´D`)<さあ、誰をとるですか? いちいさん
市井くんの苦悩は、多分最後まで続くと思います(w
>>228->>229
INGさんの、読んでるんですよ。っていっても、いつものごとくROMなんだけど…。
ごめんなさい。読んだらちゃんと、名無しでも感想書くようにします…。
大丈夫っす。お気になさらず。
おいらもよくするし、赤は回るの早いから、すぐ沈みますから。
>>230
そのよっすぃーかっこええんです…。
224さん、ありがとう!
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 243 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月08日(水)15時21分48秒
- 切ないままか・・・。いや!経営者さん、ラブくいちゃって下さい!
- 244 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月08日(水)16時25分34秒
- 切ねぇ…
こんなに続きが待ち遠しい作品も久しぶりですよ(笑)
期待してます
- 245 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月09日(木)00時37分13秒
- ・・・よしこのバカァ!!!(ダッ
- 246 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月09日(木)02時30分10秒
- 梨華ちゃん愛されてるなぁ
こんな気になる展開の中いしごまの女同士の友情も勝手に期待♪
- 247 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月09日(木)03時15分49秒
- >>246
1をよく読みましょう。
- 248 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月09日(木)04時16分01秒
- やってくれましたね、吉澤君。
これは極刑ものの罪ですよ!!(w
さらに、写真まで撮られちゃってこの先どうなるんだ??
>東京は組み体操なのか?
確かに東京では組み体操ですよ……ってゆうかそれって全国共通だと思ってた(w
- 249 名前:少年少女 投稿日:2001年08月09日(木)09時30分55秒
- CHAPTER13 〜哀しい嘘〜
「はぁぁぁ〜………」
大きな大きなため息。
フラフラ、と、市井の部屋を訪ねたと思ったら、すぐベッドに転がって、ダウン。
昨日の夜から変だったけど、まさか今日もとは。
「元気者の吉澤がそんなため息つくなんて、どーしたんだよ。
裕ちゃんにでも怒られたのかー?」
雑誌のインタビューに答えている時も、この通りまったく覇気がなくて。
マネージャーである中澤に何かを言われたんだろうか。
「……怒られたけどぉ、原因はそれじゃないですー……」
「じゃあ、なにさ」
ここまで、吉澤が落ち込んでるのは、珍しい。
石川絡みか?とも思ったけど、今朝事務所で石川に会った時、石川は普通だったので、
原因は石川ではないと思う。
じゃあ、何なんだ。
- 250 名前:少年少女 投稿日:2001年08月09日(木)09時31分29秒
- だるそうに身体を起こして。
やりきれない感じで、頭をガーッと掻く。
「……昨日、ウチごっちんと遊ぶ約束してたじゃないっすか」
「あー、そうだっけ?」
そんなこと忘れてたよ、とすっとぼけてみたけど、ほんとは忘れてなんかなくて。
実は気になって気になって仕方がなかったなんて、気づかれたくないから。
「そうなんです。で、実際待ち合わせして遊んだんはいいんですけど……」
「う、うん」
ゴクッ、と小さく喉を鳴らして。
吉澤の口から発せられる、次の言葉を待つ。
「あたし……ごっちん泣かせちゃったんですよね……」
「えっ?」
その言葉を聞いて、頭が真っ白になった。
- 251 名前:少年少女 投稿日:2001年08月09日(木)09時32分02秒
- 「お前、後藤に何したんだよ。なんで、泣かせたりなんかしたんだ」
「わっ」
それでなくても目が据わっている市井なのに。
胸倉掴まれて、睨まれちゃったら。
「ちょちょ、こ、恐いっすよ市井さんっ! か、勘弁勘弁っ!!」
ひー、と情けない声を上げて、顔の前で両手でバッテンを作る。
ちょっとでも、ガードのつもり。
「だから、後藤に何したって聞いてんの」
誰も、勘弁してくれ、なんてことは聞いてない。
「ぐっ……」
何もしてないですよ、ちょっと言っただけです。
そう言ったら今度は、
「何を言ったんだよ」
と、また突っ込まれ、いいかげんこっちも頭に来た吉澤が、逆ギレをした。
- 252 名前:少年少女 投稿日:2001年08月09日(木)09時33分20秒
- 「そもそも、市井さんが悪いんじゃないですかっ!
ごっちんを、その気になんかさせるから悪いんだっ! ごっちんのキス受け入れるから悪いんだっ!!」
「な、なんで知って……」
「ごっちんに聞いたんですよ! いちーちゃんのこと知りたいって。
でも、いちーちゃんキスしてから、目も合わせてくれない、って」
「そ、それは……」
後藤に対して、急激に罪悪感が増えてきたからであって。
惹かれていくのと同時に、増えていく罪悪感。
その2つに悩まされて、後藤の顔を直視出来ないのだ。
「………別に、市井さんが誰を好きになろうが、市井さんの自由だ。
けど、市井さんは、ごっちんを騙してるんですよ? 男って、偽ってるんですよ?」
市井の気持ちは、痛いほどよく判る。
でもだからこそ、その気持ちを判る自分が、言わなくちゃいけない。
「………市井さんは性別を通り越して、ごっちんが好きなのかもしれない。
でもごっちんは、“男”として市井さんを見てる……。“女”って、知らないんです。
事情を知ってる梨華ちゃんやつんくさん、中澤さん達とは違うんですよ」
- 253 名前:少年少女 投稿日:2001年08月09日(木)09時34分30秒
- 自分達が“女”だ、ということは、どうやっても変えられない。
それでも吉澤が好きだ、と思っている石川とは違うのだ。
胸倉を掴んでいた手が、ゆっくりと離される。
市井の表情はもう怒っていなくて、反対に泣きそうになっていた。
「あたしは、ごっちんが可哀想だと思って……市井さんは他に彼女いるからって嘘ついて……。
まさか、泣くなんて思ってなかった。そこまで本気なんだって、思ってなくて……」
悪いことを、した。
そして嘘をついてしまったことに、ものすごく胸が痛い。
けどそれ以上に、もっと大きな嘘をついてしまっていることに、どうしようもなく切ない。
「吉澤は、悪くないよ……。全部、市井が悪い……」
掴んで乱れてしまった胸倉を、軽く直してやって、呟く。
- 254 名前:少年少女 投稿日:2001年08月09日(木)09時35分04秒
- 「好きなんだ、後藤が。もう、どうしようもないほど好きで。
抜け出せないほど、後藤にハマってる。
ホントは、こんなこと想っちゃいけないのに、どうしても想ってしまう自分がいてっ…。
キスだって、ホントは拒めたハズなのに、拒まなきゃいけなかったのに…………」
「いち……さ……」
「……なぁ、どーしたらいい……? いちー、どーしたらいい……?」
「……………」
ずっと、市井さんは強い、って思ってて。
ずっと、市井さんは泣かない、なんて思ってて。
全然、疑いもしなかった。
けど、それは、あたしの大きな思い違いで。
市井さんは、実はものすごく弱くて、泣き虫なんだ……。
- 255 名前:少年少女 投稿日:2001年08月09日(木)09時35分35秒
- ――
ドラマの帰りの車の中。
後部座席に座って、携帯の名前登録一覧を見て。
じっと、考え込んでいる、後藤真希。
「どしたの。今日ずっと暗いじゃない」
「んー……」
信号が赤になったのを確認して、後ろの後藤を見やる。
返ってきたのは、生返事。
「どっか電話かけるの?」
「……………別に」
「なによぉ〜、何時にも増して、無表情ね」
「そっちこそ、何時にも増して、あたしに聞いてくるじゃん」
「そぉ?」
無言で頷く。
妙に笑顔なマネージャー保田が、今日は何時にも増して、憎たらしい。
今日は給料日のせいか、なんだかウキウキみたいなのだ。
- 256 名前:少年少女 投稿日:2001年08月09日(木)09時36分11秒
- 「………圭ちゃん、信号」
「えっ?」
言われて、前を向く。
おっと、いつの間にか青に変わっているではないか。
急いでアクセルを踏もうとしたら、後ろからブッブーという音。
「判ってるわよ、うっさいわね!」
後ろの運転手に聞こえるハズもないのだが、やっぱり文句は出てしまう。
そんな文句に慣れている後藤は、気にせずまた視線を携帯にやった。
心地よいスピードで走る車。
ムニャムニャと、いつもは眠っているんだけれども、今日はこの携帯に用がある。
しばらくいじって、意を決したように、通話ボタンを押した。
かけた先は、『いちーちゃん』。
- 257 名前:少年少女 投稿日:2001年08月09日(木)09時36分46秒
- 3回半のコールの後で聞こえてきた、ちょっとくぐもっている相手の声。
「あ、も、もしもしっ。あの……」
―「………何?」―
「あ………その……」
ちょっと、暇だったから、電話しちゃって。
違う。
いちーちゃんの口から、聞きたかったから。
―「………………悪いけど、こっちは暇じゃないんだよね」―
だから切るよ、と言う市井を咄嗟に引き止めて。
けど次の言葉が出てこない。
相手も、無言。
あぁ、ツライ沈黙。
そのツライ沈黙を破ったのは、もっとツライお言葉。
―「……………吉澤が言ったことは、ホントだよ」―
- 258 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月09日(木)09時37分54秒
- ( ゜皿 ゜) <交信スルノハイイケド、カオリデテコナイ……
あぅぅ。ごめんね、かおり。ごめんなさい、かおりファンの人。
今あるストックにも、まだかおり出て来てないんだ(アセ
>>243
切ないままです…。ラブく!……いきたいんですけど…。
>>244
ありがとうございます。嬉しいです。
けど交信しても、まだ切ないままなんですが(ニガワラ
>>245
多分、言われると思いました。
これでヨネオくんのファンは減ったか……っていうか、いるんだろうか(w
- 259 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月09日(木)09時38分28秒
- >>246
なんだかんだいって、愛されてるんですよね。石川は。
いしごまの友情は……う〜ん、どうだろう。
sageで書いてくれると、もっと嬉しかったです……。
わがまま言ってすいません。
>>247
ありがとうございます。
そういえば、1に書いてたんですよね。
>>248
(〜^◇^〜)<なんで圭織に助け求めんのさ! スパッと矢口に決めればいいの、紗耶香は!!
( ´ Д `)<違うよ、ごとーだよ
( ^▽^)<違いますよぉ。このスレッドの1の通り、いちいしですよぉ
( ‘д‘)<みんな甘いな。これが終わったら、いちかごやねんで?(タブン…
( ゜皿 ゜)<カオリダッテ、紗耶香スキ
( ´D`)<ふふふ……もうしゅうしゅうがつかなくなってしまいましたねいちいさん(ニヤッ
やってしまいました、吉澤君。
極刑ですか(w
この先どうなるかは、後ほどで(ニヤッ
へ、へぇ。やっぱ組み体操なんすか…。
うぅむ、なんか複雑。
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 260 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月09日(木)10時10分34秒
- ぐはっ!!
なんかこれぞいちごまって感じですね!!
(俺の中でいちごまってどーしても切ないイメージあるんすよ(w
- 261 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月09日(木)23時05分40秒
- ヨネオくんも好きッス!
- 262 名前:246 投稿日:2001年08月10日(金)00時23分47秒
- >247さん、作者さん
ageてしまってすみませんでした…
もう2度としません…
- 263 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月10日(金)00時24分07秒
- ここの吉澤と今日のうたばん吉澤に近いもんを感じました(w
バカ男ヨネオ
- 264 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月10日(金)03時45分41秒
- かなりシリアスな展開になってきましたね。
自分はせつない系は苦手ですが、痛みに耐えて頑張ります!!(w
- 265 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月10日(金)04時33分13秒
- いちーちゃん痛っ!!(w
ごっちんが可哀相だけど、女ってことを隠してるからね…
作者さんいちごま幸せにしてあげてください!
ヽ;^∀^ノ <ごとーちゃん?ごめんね?
(;0^〜^0)<ごっちんごめんよ〜
- 266 名前:少年少女 投稿日:2001年08月10日(金)10時06分02秒
- CHAPTER14 〜ライバル宣言〜
「お邪魔しまーす」
そう言って元気よく部屋に入ってきたのは、松浦亜弥。
場所は、石川が住んでいる、マンションの一室。
どうして、石川の部屋に松浦がいるのか。
それは、松浦が、遊びに行きたい、と言ったからで。
歌手とグラビアアイドルじゃ、種類は違うものの、新人の歌手は大抵最初は
石川と同じ仕事をするものだ。
水着になったり、青年向けの雑誌に登場したり。
そうして何度か撮影スタジオが一緒になったり、事務所が同じな為色々接点が出て来て。
今こうして、部屋に遊びに来る程まで仲良くなった。
「わー、ひっろいですねぇー」
さすが、天下の後藤真希がいる事務所。
マンションの管理も万全で、部屋の中も最高ときた。
けど……
「…………あの、どこ座ればいいですか…?」
座る所が、ない。
- 267 名前:少年少女 投稿日:2001年08月10日(金)10時06分33秒
- 昨日、吉澤が遊びに来た時も、そう言われた。
っていうか掃除しろよー、とも。
結局掃除は、吉澤がしたんだけども。
吉澤が汗を流して綺麗にしてくれた部屋も、わずか一日満たずに元通り。
「ご、ごめんね。いつもは綺麗なんだけど……」
言い訳も、それは嘘にしか聞こえず(いや、実際嘘なんですが)。
松浦は、ただただ苦笑い。
必死に片付けている石川を眺めながら、ふとある物に気づく。
「あっれー? これって、吉澤さんですよね?」
「えっ?」
訊かれて、後ろを振り向く。
松浦の手には、ハート型の写真立てが。
「わぁっ」
確かめなくても、その写真立てに飾ってある写真の映像が浮かぶ。
芸能界に入る前に市井に撮ってもらった、吉澤とのツーショット写真だ。
- 268 名前:少年少女 投稿日:2001年08月10日(金)10時07分08秒
- ―なぁ、せっかくカメラ持ってきてんだし、写真撮ろうよ―
―おー、いいっすねぇ! んじゃ誰かに……―
―や、市井が撮るから、吉澤は石川と並んで撮ってよ―
吉澤に気づかれぬように、石川に1回ウインクして。
奥手な少女の、ちょっとした恋のお手伝い。
吉澤の扱いは判ってるし、石川の気持ちも判ってる。
だから、上手いこと気づかれぬように、吉澤とのツーショット写真をセッティングしてくれて。
上手いこと吉澤をノセて、石川の肩に手をまわさせて、カップルのように写真を撮ってくれた。
「………どーしたんですかぁ、そんな慌てて……」
「う、ううん!? 別に!!」
顔はニッコリ笑顔を作って。
後ろに組んだ手には、写真立て。
ふぅん、とまだちょっと疑問そうに首を傾げる松浦の視線から外れて、
ごしごしと、タオルの端で、写真立てをこする。
(うぅ〜………よっすぃーの顔のとこ、亜弥ちゃんの指紋がついちゃって取れないよぉ〜〜……)
友達を部屋に呼ぶのはいいが、その分後片付けが大変だ。
- 269 名前:少年少女 投稿日:2001年08月10日(金)10時07分41秒
- 「でも、なんで石川さんと吉澤さんが一緒に写ってるんですか?
これって、撮影か何かで撮ったのじゃないですよね」
「え?………あ、うん」
写真を見られた時から、多分、聞かれると思った。
だから、もう答えも用意してある。
「私達、小さい頃から家が隣同士で、幼馴染みなんだよ。だから」
こうやって、2人で撮った写真があるの。
そう言って、その話は終わりだったつもりだったのに。
松浦はどうやら、一筋縄じゃいかないらしい。
「そうなんですかぁ〜。じゃ、石川さんは、吉澤さんのこと好きなんですね」
「えっ!?」
どうして、そんなことが判るの。
多分、そう思ってると思った。
だから、もう答えも用意してある。
「だって、いくら幼馴染みっていったって、ツーショット写真飾らないですよ」
しかも、ハートの形をした写真立て。
「あ…………」
松浦の方が、年は下だ。
けれど、松浦の方が、頭は上だったらしい。
- 270 名前:少年少女 投稿日:2001年08月10日(金)10時08分21秒
- 「吉澤さんって、優しいですよね」
「え?」
「この前、撮影で一緒だったんですけど、私ちょっとドジってこけそうになったんですよ。
そしたら吉澤さんが支えてくれて…………優しいんだなぁって思いました」
「へ、へぇ〜、そ、そうなんだ……」
その時のことを思い出しているのか、松浦はどこか遠くを見ている。
あぁ、だから、嫌なんだ。
優しいのは、吉澤のものすごくいい所だと思う。
自分だって、吉澤のそんなところを好きになったワケなんだし。
けど、それにしたって、誰にでも優しくするのもどうかと思うワケで。
今自分の目の前にいる松浦を筆頭に、その優しさに惚れる人がいるワケで。
こっちとしては、大変なんだ。
心中穏やかじゃない石川に視線を戻し、松浦はにこっと笑う。
その笑顔に、可愛いと思ってしまったのは間違いだった。
「……私、負けませんよ」
…………だってその笑顔の裏には、ライバル宣言が含まれていたんだから。
- 271 名前:少年少女 投稿日:2001年08月10日(金)10時09分16秒
- ――
「あ、社長。お疲れさまでーす」
「おう安倍。明日のラジオ頑張れよー」
暇なのか、事務所内をウロつき、帰って行く安倍にご挨拶。
まだ問題は解決してないものの、なんとか最悪の事態には免れた。
落ち込んでいた安倍も何とか元気を取り戻し、いつもの調子に戻りつつあった。
記事が表に出た時は、安倍にはこれ以上にもないお怒りをしたんだけれど。
なんとか、元に戻りつつある。
まったく、俺の事務所のタレントは、なんでこんなにスクープが多いんや。
一難去って、また一難。
社長としては、とてつもなく、大変。
「まあ、でも、こっちには新たな稼ぎ頭がおるしな」
くくく、と笑って、新たな稼ぎ頭、市井と吉澤を思い出す。
今の所順調の順調、大順調で。
周辺関係の記事も出てないし、女関係の記事も出てない。
超超超いい感じ。超超超超いい感じ。
手を顔の横にやって、意味の判らない振り付けをしながら、唄っている最中だった。
- 272 名前:少年少女 投稿日:2001年08月10日(金)10時09分59秒
- 「社長、ちょっとこれ見てくださいっ!!」
「あ〜?」
慌ててやって来る事務所関係者。
その手には、一枚の記事。
「なんや」
「やってくれましたよ〜……」
泣きそうになりながら、記事をつんくに見せる。
その記事を見る。
呆然となる。
「マ、マジかい……」
「マジみたいです……」
2人が見てる記事には、こう書かれていた。
『毎度お騒がせ後藤真希(15)! 今度のお相手は同じ事務所の吉澤(16)くん!!』
- 273 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月10日(金)10時11分38秒
- ( ゜皿 ゜) <なっちタンジョウビオメデトウ
おととい、飯田さんの言うの忘れてたよ…。
今現在、ボンの次に好きなのに……。
はぁ、鬱々。
>>260
いちごま派のみなさんには、もうちょっと切なくなってもらわなければなりません。
その切なさに耐えて欲しいです…。おいらも耐える。
>>261
(0^〜^0)<ありがとうございます! 感激っす!
ヽ^∀^ノ<吉澤いいなぁ〜
(;0^〜^0)<市井さん、そ、それ、あたしのキャラ!!
>>262
いやいやいや。わがまま言ってるのはこっちなんで。
ごめんなさい。
- 274 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月10日(金)10時12分17秒
- >>263
ヽ^∀^ノ<吉澤の方がモテてるような気がするんだけど…
うたばんのは、可愛かったです。あのキャラ最高。
ほんとにバカ男です(w
>>264
(〜^◇^〜)<けっ、この優柔不断!! もう知らないっ!!(プイッ
もう少し、もう少し耐えてください(w
いちごまが痛い分、いしよしは甘くするので、それでなんとか(w
>>265
(〜^◇^〜)<くそぉ、ごっつぁんめ。この話がいちごまじゃなかったら矢口のものなのに…(ブツブツ
(;0^〜^0)<いいかげん、さやまりは諦めたらどうですか(アセ
女、ということが、この話の最大の問題なんですよね。
読者の方が思う幸せと作者が思う幸せは違うかもしれませんが、2人が幸せになれるように、頑張ります。
( ´ Д `)<やだ許さない
(;^▽^)<ご、ごっちん……
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 275 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月10日(金)17時05分11秒
- ( `.∀´)<っていしよしもなんだか雲行きあやしいじゃないの!!(w
- 276 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月10日(金)18時26分21秒
- やっぱ市井ちゃんには後藤をだますための相手というのは存在するんでしょうか?
やばいぐらい甘いいしよしに期待!!
- 277 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月11日(土)03時46分27秒
- 旬の二人による吉澤の争奪戦開始ですね!!
二人とも結構気に入ってるんで微妙に複雑な気分です……
が、いちごまがせつないのでこちらは明るく争って欲しいものです(w
- 278 名前:ING 投稿日:2001年08月11日(土)22時02分45秒
- おぉ!松浦が動き出すんですね〜。
こりゃあ、楽しみです!!
ここのバカっぽい吉澤めっちゃ好きっす。
- 279 名前:少年少女 投稿日:2001年08月13日(月)13時58分47秒
- CHAPTER15 〜芸能界〜
記事がつんくの元に出回る、時間にして、24時間前。
「ね、よく撮れてるでしょ?」
ヒラヒラと目の前にかざして。
褒めて褒めて、と、“ヤグチ”という犬がじゃれてる。
「すっごいじゃん矢口! こんなバッチリ撮れてるってことは、あんたずっと張ってたの?」
「や、張ってたっていうかー、つけてたっていうかー」
「尾行かぁ」
「や、尾行しようと思ってたワケじゃないんだよ? たまたま、街でよっすぃー見つけてさ、
ナンパしようとあとつけてたら、後藤真希と合流したから」
「んで、チャンスだから、ずっと2人追ってたんでしょ?」
「うん」
「まるっきり、尾行じゃん」
よしよし、と撫でてた手が、うりゃうりゃ、と攻撃の手に変わる。
「やーめーろーよぉ。セットしてんだからぁ」
とか言いつつも、矢口の表情は、どこか嬉しそう。
でもそれはすぐに終わり、真面目な顔になって、さっきまで自分の頭を触っていた人に問う。
「……で、この写真使って、記事書いてくれるんですよね? 石黒彩さん?」
答えはもちろん。
「……………イエス」
- 280 名前:少年少女 投稿日:2001年08月13日(月)13時59分19秒
- ――
「正直に答えてもらおか。
この記事に書いてあることは、この写真に写ってることは、真実なんか?」
呼び出した2人に見えるように、バンと机の上に置いて。
週刊誌“センチメンタル♂向き”の、今週の目玉記事。
『超人気アイドル後藤真希(15)と人気急上昇中の彼(吉澤)との、人目も気にしない熱い抱擁!!』
大きな写真。しかもカラーときた。
着ている服の色も、2人の熱い抱擁もばっちり撮れている。
ページ数にして、4ページ。
途中、何度も、黒い太文字で大きく書かれている。
『喫茶店で、キスの話』『いつまでも離れない2人の手』などなど。
この文、この写真を見た読者は、絶対にこの2人は付き合っていると思ったろう。
というか、これで付き合っていなければ、おかしい。
「後藤、アンタ、家でビデオ見るって言ってたじゃない。
なんでそーいう嘘つくの! 嘘つくから、こうやって撮られるんじゃない!!」
いや、嘘ついたから、撮られたワケではないんだけど。
なんて突っ込みは、今したら確実に殺される。
- 281 名前:少年少女 投稿日:2001年08月13日(月)13時59分51秒
- 「アンタ、ほんとに芸能人としての、トップアイドルとしての自覚あるの!?
今まであたしが言ってたこと、全然理解してないじゃないのっ!!」
男関係の記事が出る度、嘘でも本当でも、2人で会うのはやめて。恋愛はしないで。
この子は、後藤真希は。
一体何度言えば判るんだ。
「圭坊、何も、今そんなに怒らんでも……」
横にいた中澤が、保田をなだめにかかる。
それでなくとも、つんくもお怒りなのだ。その上、保田まで怒っていたら。
「大体、裕ちゃんも甘いのよっ! 裕ちゃんだって判ってるでしょ!?
アイドルが、どれだけスキャンダル恐いかなんて!!」
「判ってるよ…」
「判ってるんなら、どうしてこーいう記事が出るの!!」
……だって、だって。
そんなん、なるとは思わんやん?
あぁ、でも、今回は、あたしが悪かった。
自分は、吉澤が女やって知ってたから、仲良いのも別に注意せんかったから。
そうや。そうやん。
圭坊達には、吉澤は、男として認識してんねんもんな。
- 282 名前:少年少女 投稿日:2001年08月13日(月)14時00分25秒
- 「……で、一体どっちやねん。
2人は、付き合ってんのか、付き合ってへんのか」
腕を前に組んで、黙って俯いている2人を見て。
別に、保田みたいに、恋愛をしちゃいけないなんて思ってない。
たとえそれが同性同士でも、構わないとも思う。
だけど、2人は芸能人で。
1人は、トップアイドル。
もう1人は、最近人気急上昇中の2人の内の1人。
しかも、同じ事務所ときた。
しかも、抱擁シーンはばっちりカメラに収まっている。
吉澤達の売り出しはまだまだこれからなのに、恋愛沙汰は、早すぎる。
あぁ、もう、勘弁してくれ。
ほんま、一難去って、また一難や。
はぁ〜っと息を吐いて。もう一度質問。
「この記事に書かれてるのは、真実なんか?」
答えは……
「「………ノーです」」
- 283 名前:少年少女 投稿日:2001年08月13日(月)14時00分57秒
- 「……この時あたし、ちょっと色々あって、泣いてたんです。
で、それを見て、よっすぃーが可哀想と思って、抱きしめてくれたんだと思う……」
抱きしめた、といっても、ほんの数秒なんだけど。
我に返って、目の前にいるのが後藤だと再認識して、慌てて抱きしめていた手を離したんだ。
この写真は、そのほんの数秒の間に撮られた、矢口からしてみれば、決定的瞬間。
あぁ、まったく。
とってもとっても、運がない。
「………んで? 付き合ってないんだったら、なんでアンタ達2人で逢ってたの?」
「え?」
『え?』じゃないわよ、とすかさず言い返されて。
吉澤は返答につまる。
そもそも、なんでそんなこと、プライベートなことまで、詮索されなきゃいかんのだ。
そう質問したら、どう返ってくるかなんてことは、いくら頭が悪くても判る。
アンタ達は芸能人で、あたしはそのマネージャーだから。
……………判るけど、判んないよ。
- 284 名前:少年少女 投稿日:2001年08月13日(月)14時01分28秒
- 写真を撮られたことは、悪いと思っている。
だけれど、思ったところで、もう遅いから。
記事よりも、自分達の気持ちを信じて欲しい。
「……なんで? 付き合ってなかったら、2人で遊んじゃいけないの?
恋人じゃなくて友達なのに、逢ったりもしちゃいけないの?」
「ごっちん…」
「おかしいよ、そんなの! なんで、勝手に、あたし達の気持ちも考えないで、
こうやって写真撮って、記事になんかするのさ! なんでほっといてくれないの!!」
目にいっぱいの涙を溜めて、保田を睨む。
睨まれた保田を見て、吉澤は思った。
ごっちんが、こんなに怒るのは、きっとものすごく珍しいことなんだろう。
だってごっちんの扱いは手慣れているハズの保田さんの顔から、動揺の2文字が浮かんでいるから。
「しょうがないやろ。それが、芸能界ってもんやねんから」
つんくの言葉が、後藤の、吉澤の、心に響く。
判るよ。判るんだけど……。
「そんな芸能界に入る意思を告げたんは、まぎれもなく自分なんやで」
……だからこそ、やりきれないこの想い。
- 285 名前:少年少女 投稿日:2001年08月13日(月)14時01分58秒
- バァン!と勢いよくドアを開け、飛び出して行く。
「ご、ごっちん!」
吉澤も追いかけるが、間に合わず。
伸ばした手に後藤が捕まることはなかった。
「……とりあえず、もう寮帰り。今日は、もう寝ろ」
夜中に呼び出して悪かった、と謝って。
マネージャー2人にも謝る。
「ごっちんは……ごっちんはどうするんですか?」
「ん? 後藤は、2人が探すから」
本当なら、自分も探したいところなんだけれど。
朝に配られる新聞と、週刊誌を見た皆さんからの対応にお応えしなければならないから。
それは、出来ない。
吉澤の寮への送りは中澤に任せて、保田は早速後藤を探しに行った。
「………あたし達が“男”としてこの世界にいるから、こんなことになったですよね……」
ポツリと呟いた吉澤の一言が、中澤の耳に入る。
「……気にすんな。そんなことないよ」
安心させるように肩に手をやって、車の後部座席に座るように促した。
- 286 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月13日(月)14時02分32秒
- ( ゜皿 ゜) <カオリハマダカナ……
ごめんね、まだ出てないや…。
>>275
(;^▽^)<い、いちごまよりマシだからいいんです!!
( ´ Д `)<……って、おい
>>276
(〜^◇^〜)<キャハハハ! この名キャメラマンヤグチ様を呼んだかぁ〜?
だます相手は存在します。
やばいくらい甘いいしよし………になるよう、努力します。
>>277
( ´ Д `)<じゃあ、ごとーも行くぅ
(;〜^◇^〜)<!?
あやや押しなんですよね、確か。
これで加護が入れば、3人祭りが出来上がるのに…(w
やっぱりドロドロ嫌いなんで、明るく、なんとか争いたいです。
>>278
松浦は手強そうです、石川にとって。
はい、吉澤に一票。
(0^〜^0)<やっぱへナキャラは強いや♪
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 287 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月14日(火)03時27分18秒
- 今回は芸能界の、芸能人の厳しい部分が見え隠れですな〜。
後藤が公私共々つらい感じっすね。
矢口が憎く思えてきたのは自分の気のせいでしょうか?(w
- 288 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月14日(火)20時03分35秒
- 俺はむしろ圭ちゃんがちょい憎いっつーか痛いです。(w
- 289 名前:名無し読者は正体不明 投稿日:2001年08月15日(水)01時39分58秒
- 今回、矢口は悪役に徹するのかなあ。
(いちごま断固阻止?)
- 290 名前:289 投稿日:2001年08月15日(水)02時36分20秒
- メール欄に 从#~∀~#从 入れたら色がついちゃった…
- 291 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時36分48秒
- CHAPTER16 〜悩める少年少女〜
「っ……っく、ヒック……」
汗と一緒に零れる涙。
勢いよく飛び出してきた外は、真っ暗で。
けど人はいっぱいいて。
何度もぶつかって、ナンパされそうになるのを上手くかわして、後藤は歩く。
行き先なんか、決まってなかった。
けど気づいたら、目の前に見えたのは、事務所のすぐ近くにある寮で。
結局のところ、事務所を飛び出したのはいいが、ぐるぐると周辺を回っていたらしい。
もちろんそんなことを知らない保田と中澤は、何処だ何処だと後藤探し。
それを証明するように、さっきからずっと鳴りっ放しの携帯着メロ。
すぐさま電源を押して、その着メロを黙らせた。
逢いたい。逢いたい。
こんな時だからこそ、逢いたい。
彼女がいる、と言われても、やっぱり逢いたい。
けど、市井から直接彼女がいる、と言われた後、
「じゃあ、彼女に悪いから、もう逢わないね」
なんて、つい意地と虚勢を張って言ってしまった。
- 292 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時37分20秒
- 「でも、逢いたいよぉっ………」
言うの、遅すぎるんだよ。
もう、こんな好きじゃんか。
彼女いるから諦めて、なんて、無理に決まってるよ。
女みたいな顔して。
あたしがいる時は、いっつも慌ててて。
謎と秘密のベールに包まれてる。
好きじゃなかったら、キスなんかしない。
好きじゃなかったら、笑ったりなんかしない。
好きじゃなかったら、こんな悲しくなんかならない。
好きじゃなかったら、逢いたいなんて思わない。
好きじゃなかったら、………………………。
「いちーちゃん……」
- 293 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時37分52秒
- 名前を呟いて、5分。
寮の前にある公園のブランコに座って、3分。
寮の入り口から、人が出てくるのが見えた。
「じゃ、またね」
「うん。ごめん。こんな遅くに持ってきてもらって」
「いいっていいって。じゃあ頑張んなよ?」
「うん」
女の人を笑って見送る、17歳の少年にしては少し背の低い少年。
市井だ。
姿が見えなくなったのを見届けて、くるりと回って、寮の中へと戻ろうと向きを変える。
その時、公園のブランコに、後藤がいるのが見えた。
「おまっ、こんな夜中に何やってんだよっ!」
慌てて走って、注意する。
この辺はうす暗くて、あまりいい人が通ったりしない所なのだ。
そんな所に、年頃の女の子で可愛くて、しかも芸能人の後藤真希がいるなんて。
もし何かあったなら大変だ。
- 294 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時38分27秒
- 早く事務所戻れよ、と手をひっぱると、
「……やっ!!」
と拒絶される。
そして、キッと市井を睨んだかと思うと、悲しそうに呟く。
「……今の人って、いちーちゃん達が言ってた、いちーちゃんの彼女……?」
「はっ?」
彼女、だって?
まさか。あの人は。
「さっきの人は、いち…俺のお姉ちゃ――」
と、言いかけた所で、ストップ。
後藤はどうやら、誤解をしているようだ。
だからといって、その誤解を解く必要はない。
だってこれは、後藤が市井のことを諦める、最大のチャンスなんだから。
「……そうだよ、彼女だよ」
……可愛かっただろ?なんて、意地悪く笑って。
悪役を、演じて見せる。
- 295 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時39分01秒
- 「そもそもさー、なんで後藤ここにいるんだよ。……あっ、もしかして俺に逢いに来たとかー?
困るんだよなぁ、そーゆーの。俺も吉澤みたいに写真撮られたくないし、
何より彼女に誤解されちゃうしさー。
それに、後藤この前、彼女に悪いからならもう逢わないね、なんて言ってたじゃん。
いいかげん諦めてくれよー」
ヘラヘラと、つっかえることなく言い放つ。
その間、直接目を見て言う度胸はないので、斜めの方向を見て。
後藤は、涙をぐっと堪えながら、それでも市井を見つめている。
その視線がとてつもなく痛い。
痛すぎて、つい、自分の本音を言ってしまいそうだ。
けれどそうしたら。
もう後戻り、出来なくなる。
「……ちょっとさ、純情ぶって、付き合ったこともない、
キスもエッチもしたことないなんて、嘘言っちゃったけどさぁ。
でもまあそのおかげで、全国の男達が夢中になってる後藤真希とキス出来たし。
………………いやぁ、よかったよ」
ヘラヘラヘラヘラ。
もうヘラヘラすることでしか、こんなこと言えない。
- 296 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時39分35秒
- 「……………はは。後藤が本当に本気で好きだったかは知らないけど、
少なくとも俺は…………俺は、本気じゃなかったよ」
ぱぁん!!
薄暗い夜道。
薄暗い公園。
その公園の中央に立っている、2つの人影。
しばらくして、その2つの人影は1つになった。
「…………ほんっとサイテーだよ、市井は………」
- 297 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時40分14秒
- ――
「よっすぃー、紅茶持ってきたけど……飲む?」
「あー……うん」
そこ置いといて、と言って、また塞ぎこむ。
突然来たと思ったら、なぜかこんな調子で。
石川は、困っていた。
ベッドを背もたれにして座っている吉澤の隣に、ちょこんと自分も腰を下ろす。
吉澤は1度ちらっと石川を見ただけで、すぐに床に視線を戻した。
「梨華ちゃんさ……、記事見た?」
「え?」
「……明日発売の、“センチメンタル♂向き”……」
「え、まだ見てないけど。どうかしたの?」
ひょいと顔を覗き込むと、反らされる。
それはもちろん恥ずかしいからなのだが、石川はまったく気づかず、?マーク。
吉澤はコホン、と咳払いをして、気を取り直す。
「……その記事にさ、あたしがごっちん抱きしめてるとこ、載っちゃったんだ…」
- 298 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時40分48秒
- 「なんで、抱きしめたんだか判んなくて……。
泣いてるごっちんを見たら、なんか、梨華ちゃんとダブって……。
でもそのせいでみんなに迷惑かけた………」
つんくさん、中澤さん、保田さん、そしてごっちん。
自分のちょっとした行動で、大勢の人に迷惑をかけてしまった。
あんまり気にしないような性格に見られるかもしれないけど、実はすっごい気にしぃなんだ。
それが、石川には判ってるから。
ずっと見てきた石川には判ってるから。
「よっすぃーは、ちゃんと、悪いと思ってるんでしょ?
ちゃんと、自分がしたこと、判ってるんだよね?」
「判ってる。判ってるけど、あの記事見た人は、それがホントだと思ってしまう…。
付き合ってなんかないのに。友達なのに。
なんで、あーやっておもしろおかしく書けるんだろ……」
記事の、半分以上が嘘。
よくもまあ、あそこまで。なんて、感心してしまうほど。
- 299 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時41分23秒
- 「………私は、よっすぃーを信じるよ。
ごっちんとは、付き合ってなんかない。友達だって」
安心させるように、頭を抱いて、胸の前へとやる。
女の自分が言うのもなんだけど、梨華ちゃんは、女の子の匂いがした。
やっぱりどうやっても、自分はこの1つ年上の幼馴染みに弱くて。
そして、やっぱりどう意地を張っても、好きみたいだ。
この、1つ年上の、お姫様が。
だから、ついイタズラというかなんというか。
ついつい、ずっとやりたかったことを、言ってみたんだ。
こんな、精神が、心が、不安定の時しか、言えない。
紅茶を一口飲んで、いつものフニャけた顔じゃなく、真剣な顔。
「………ねぇ梨華ちゃん、ちょっと変なこと言っていい?」
「ん……?」
「…………キス、したいんだけど……」
「えっ!?」
- 300 名前:少年少女 投稿日:2001年08月15日(水)10時41分56秒
- 慌てふためく石川を無視して、首の角度を少し曲げて唇を近づけていく。
夢にまで見た、よっすぃーとのキス。
その訪れはあまりにも突然で、夢とは全然違う。
けれど身体は知っているのか。
知らず知らずの内に目を閉じて、王子様のキスを待った。
…………が。
そんな時に、携帯が鳴り響く。
“トロピカ〜ル恋して〜る”なんていう、ふざけた唄名の着信メロディ。
これに設定している人物は、1人だけ。
そんなふざけた唄名を唄っている、松浦亜弥だけ。
「……はい」
―「あ、もしもし。石川さん、今何してました?」―
(…………あなたの好きな吉澤さんのキスを待ってたの!!)
……とは、弱気な石川は、とても言えない。
ライバルは、強力だ。
- 301 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月15日(水)10時42分58秒
- ( ゜皿 ゜) <カオリデナイナラ、カオリモウ交信シナイ
そ、そんなこと言わないでさっ、お願いだから交信してよ( ゜皿 ゜) さ〜ん。
………だめだ、交信してくれない。
ってことで、( ゜皿 ゜) さんの機嫌が直るまで待つことにします。
ついでに、板の負担を減らすために、お引越しを。
赤に建てるか(っていっても、今建てれない)他に建てるかは、( ゜皿 ゜) さんの機嫌が直り次第で。
何色にしようかな…。
- 302 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月15日(水)10時43分31秒
- >>287
(;〜^◇^〜)<や、矢口は………(モジモジ
今回の話は、書いてる自分が1番痛かったです…。
(〜^◇^〜)<気のせい気のせい! 明るく行こーぜぇ!!
>>288
痛いですか。
でもこんな話の場合は、保田みたいなのが1人は必要なんですよね…。
後で矢口と保田には、もっと憎くなってもらう予定です(w
>>289-290
もう最初に出した時から、矢口には悪役になってもらうつもりで出しました。
(〜^◇^〜)<いちごまぁ? 時代はさやまりなんだよっ!!
( ´ Д `)<それはやぐっつぁんの時代の中だけでしょ
(:〜^◇^〜)<っ!?
自分も前入れて、黒くなったような覚えがあります。
初めてお読みになる方は、>>78をご覧になって頂くと嬉しいです。
- 303 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月15日(水)21時22分45秒
- あああああ・・・。
市井・・・。
頑張れいちごま!!
- 304 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月15日(水)22時54分08秒
- 憎い!!真剣に松浦が憎い!!(w
- 305 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月16日(木)00時02分06秒
- ・・ちゃむ早く素直になれぇ!
作者さんが他板に書くってなんか不思議な感じ。
でも赤立てれないならしょうがないですね。
何処に移っても付いていきます!
- 306 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月16日(木)03時21分45秒
- 痛いっす!!
作者さんの小説では、初めて味わうこの衝撃!!(w
なかなかヘビーですな。
次回は別板なのかな?もちろん嫌がられようが何処へでも付いて行くっす!!(w
- 307 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時48分51秒
- 移転先は花版になりました。
http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=flower&thp=998156300
こちらも、どうぞよろしくお願い致します。
>>303
いちごま頑張りたいとこなんですが、ここでまたへナ吉が出てくるんです…。
主役は、後でね。。。
>>304
( ゜皿 ゜)<24時間テレビニメンジテ、キゲンナオシテアゲタ
憎い人、松浦に一票(w
>>305
ちゃむが素直になるのは、まだまだ先なんです…。
赤色好きなんですけど…しょうがない。花のバックが気に入ったんで、そっちに。
何処に移っても付いてきてくれる……うぅっ、感謝です。
>>306
(;〜^◇^〜)<や、やだっ、後藤となんか行かないでよぉ!
以前の話は、周りまでお馬鹿なキャラばっかりだったんでね。
何より誰より、書いてる自分がとっても痛いです…。
嫌がるわけないじゃないですか! もう泣くほど嬉しいです……(ウッウッ
- 308 名前:娘。レストラン番外編〜ご無沙汰なんです〜 投稿日:2001年08月22日(水)21時53分53秒
- 娘。レストランで働いて、もう3年。
紗耶香と付き合って、もう3年。
そして、最後にエッチをしてから、…………もうすぐ1ヶ月。
ここんとこ、ご無沙汰なんです。
- 309 名前:娘。レストラン番外編〜ご無沙汰なんです〜 投稿日:2001年08月22日(水)21時54分26秒
- 「紗耶香、今日、家行っていい?」
「んー、裕ちゃんがいいって言ったら」
「もう了解もらったよ」
手回しいいね、なんて言う、苦笑した紗耶香の顔が見える。
当たり前じゃん、計画的なんだから。
「ねぇ」
甘えるようにそう言って、両手で組んでた紗耶香の腕を、自分の胸に押しつける。
紗耶香は、知ってのとおり、エロオヤジだ。
これで、完璧にノックアウトのハズ。
なのにどうしたことか。
「やめてくれたまえ矢口くん。そんなくっつかれたら、暑いッスよ」
紗耶香は、マジメオヤジになっていた。
「っていうか、なんで暑いんだよっ! クーラーガンガンに効いてんじゃんここ!」
頭に来て、足をガンガン床に叩きつける。
指先は、誰がしたのか、設定温度15℃の、出てくる風が冷たいクーラーに向けて。
「暑い。暑いったら、暑い」
「嘘つけっ! めっちゃ身体震えてんじゃん!!」
「違う。これはやぐっちゃんが恐いから震えてるんであって」
「……………あ、アンタねぇ」
あたしゃ、どれほど恋人に恐れられてるっていうんだ。
- 310 名前:娘。レストラン番外編〜ご無沙汰なんです〜 投稿日:2001年08月22日(水)21時55分32秒
- もうあったま来た。
キスもしてくれなけりゃ、せっかく頑張ってくっついたのに、それさえも邪険にされる。
矢口が、何したっていうんだよ。
ただ、紗耶香のことが好きなだけじゃん。
「バカさやか! そんなに矢口が恐いなら、別れてやるっっ!!」
「えぇっ!?」
娘。レス規定の制服のため、残念ながら厚底靴じゃなかったんだけど、
それに代わるように、いつもより強く腹を蹴ってやった。
「さ、さすがやぐっちゃん……」
倒れながら、感心したように呟くバカ紗耶香を放って、矢口はホールへと戻った。
――
「お待たせしました」
ドカン!とテーブルに料理を置く。
そんな矢口の態度に、加護と一緒にご飯を食べていた圭ちゃんはビックリ。
「ちょっと、どうしたのよ。営業スマイルお得意の矢口が…」
「得意から不得意に変わる時だって、人生の中じゃあるんだよ」
それもこれも、誰かさんのせいで。
今、厨房で、圭織にコキ使われてる、誰かさんのせいで。
「でも、普段歩いてる時も目つき悪いのに、ここでも悪かったらお客さん帰ってまうで…」
「あぁ!? なんだってぇ、加護!?」
「ひ、ひぃーっ!」
「こらこらこら」
ちっ。圭ちゃんがいなかったら、ただじゃ済まなかったところだ。
それでなくとも加護には、日頃紗耶香との仲を邪魔されてばっかなのに。
- 311 名前:娘。レストラン番外編〜ご無沙汰なんです〜 投稿日:2001年08月22日(水)21時56分16秒
- 「アンタ、一言多いのは石川のキャラなんだから。取っちゃだめよ」
「だ、だって、ジョーダンで言うたんですよ?」
2人は、こそこそ話してるつもりかもしれないけど、ちゃーんと矢口の耳には聞こえてる。
「まぁ、とりあえず早くご飯食べよう」
「はいっ! へっへぇ、保田さんのおごり〜」
………ちくしょう。イチャつきやがって。
……………チクってやる。圭織に。
「かおりー」
「何ー? 今忙しいんだけど」
「いや、圭ちゃんが石川のこと、一言多いって言ってから」
「………今何処にいるの、圭ちゃん」
くっくっ、と指差して。
「圭ちゃん!! 圭ちゃん、石川に謝れー!!」
「うわぁっ! な、なによ圭織っ!」
くっくっ、と笑ってやった。
「ね、ねぇごっちん。なんか、矢口さんが恐いんだけど…」
「あー、別に気にしなくていいよ。時々、あんな極悪になるから」
「へ、へぇー…。なるべく、その場には居合わせたくないね…」
「1番そう思うのは、いちーちゃんだろうけどね」
とりあえず、あたしには関係ないってことで。
バカップル2人は、人の事なんか気にもせず、この後よっすぃーの家に泊まるぅなんて言ってやがった・
- 312 名前:娘。レストラン番外編〜ご無沙汰なんです〜 投稿日:2001年08月22日(水)21時57分04秒
- でも、なんで急に触れてくれなくなったんだろ。
それまでは、矢口が鬱陶しがるほど、触れてきたがってた紗耶香なのに。
もしかして、嫌いになっちゃったのかな。
もしかして、もうそんな気感じられなくなったのかな。
怒っていた気持ちはやがて、どんどんどんどん落ち込んでゆく。
あんまりしつこかった時、エルボーを喰らわせたのがいけなかったのかな。
それとも、いくら言っても胸触るのやめないから、歯が折れちゃうくらいの
右ストレートを喰らわせたのがいけなかったのかな。
……………っていうか、こんな暴力振るうから、やめたとか?
いや、そんなハズない。
今までだって、メゲずにアタックしてきたんだから。
じゃあ、なんで。
そんなの、知るかっていうんだ。
「や〜ぐっちゃん」
「………」
ご機嫌を取るような、そんな声のかけ方。
ここで、こんな呼び方するのなんか、1人しかいない。
「別れるって言ったでしょ。気安く喋りかけないでくれる?」
「やだなぁ、何怒ってんの」
「何怒ってんのってぇ? 紗耶香が全然矢口の相手してくんないからじゃんか!」
「や、相手してるじゃん」
「してないよ! 全然してくんないじゃん!!」
「…………?」
「全然、矢口に触れてくれないじゃんかぁ!!」
そこまで言って、なんだか泣けてきてしまった。
- 313 名前:娘。レストラン番外編〜ご無沙汰なんです〜 投稿日:2001年08月22日(水)21時57分39秒
- 「ちょっと、矢口どーしたの」
「彩っぺ……」
大声、出しすぎたのかな。
心配そうな顔した彩っぺが、駆けつけてきた。
そんな矢口の目の前には、ぼやけて映る、きょとんとした紗耶香。
そりゃあ、そうだよね。
いきなり、全然違う話になってんだから。
「……ぅ、さっきだって、あつ、暑いって…言うしっ。それどころか、さっ、最近っ、手も繋いでくれないし……」
「……あー」
「矢口、なんかした…? 紗耶香のヤる気なくなるほど、何かしたっ?」
「ちょ、ちょっとちょっと。事態が飲み込めないんだけど」
間に割ってくる彩っぺに、早口で説明する。
所々どもってしまって判りづらかったかもしれないけど、彩っぺは一発で理解してくれた。
「………ようするに矢口は、したいんだよね?」
「なっ……!」
いや、実際、そうなんだけど。
「あ、ごめん。ちょっと核心つきすぎた。じゃあ、言葉を変えて……触れて欲しいんだよね?」
「…………」
コクン、と、一度頷く。
最初から直接紗耶香にそう言えばよかったんだけど……。
ちらり、と紗耶香を見てみる。
すると、矢口の予想外の顔が飛び込んできた。
「よっしゃー! 裕ちゃんの言う通りだっ!!」
叫んで笑って、いつのまにか抱き締められてた矢口。
………………なに? なんなの?
- 314 名前:娘。レストラン番外編〜ご無沙汰なんです〜 投稿日:2001年08月22日(水)21時58分32秒
- 「くぅーっ! ずぅっと我慢してたかいがあったよ。
いくらやぐっちゃんに甘えていっても、やぐっちゃん冷たかったしさぁ」
ぐりぐりと首筋に顔を埋めて。
甘えてくる、紗耶香。
「…………ねぇ紗耶香。それが、なんで裕ちゃんと関係あるの?」
思っていた疑問を、代わりに彩っぺが投げかけてくれた。
「ん? あぁ、なんかやぐっちゃんがなかなかエッチさせてくんないって相談したんだよ。
そしたら、『それやったらなぁ、向こうがしたいって言うてくるまで、迫らんかったらいいねん』って
アドバイスもらってさ、それで実行したってワケさぁ」
「「………………」」
そうか、原因は、あのアホ店長か。
それですべて、納得がいく。
だってそれじゃなきゃこの紗耶香が、この1ヶ月何もしてこないワケないもん。
「………ばぁか」
「へっ?」
「紗耶香は、いつもタイミング悪すぎなの!」
「??」
疲れてる時とか、生理の日とか。
楽しみなテレビ見てる時とか、真剣に話してる時とか。
本当に本当にタイミングが悪い。
「……もぉっ、怒ってんだからね? 矢口っ」
「ご、ごめん」
「ホントだよ。それに、勝手にそんなこと、裕ちゃんに相談すんなっ。
どうせそんな変な案しか出てこないの判ってんのにっ!!」
「ご、ごめんなさい」
「…………だからね」
「えっ?」
「……………今日、……ガンバッテ……もらうんだからね!」
「う、うん 1ヶ月分、しっかり頑張る!!」
「バカ!!」
パシコーン! と、いい音。いつもの2人に、元通り。
そして、話もこれで終わりなんだけど……矢口と彩っぺには、1つしなきゃならないことが。
「「………裕ちゃんには、明日紗耶香に変なアドバイスしたお仕置きしなきゃね」」
そして次の日。
朝から全身アザだらけの中澤店長が事務室で発見されたとか、なんとか。
- 315 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月22日(水)22時00分11秒
- どうしても甘いさやまりが書きたかっただけで出来た話です…。
なぜ短編じゃなく、娘。レスだったかというと、ただ作者がこのさやまりが好きなだけでっていう理由が…。
や、みんな好きなんですけどねっ!
悪矢口気味になってしまいましたが、暴力気味なのは前からなんで、お許しください。
- 316 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月22日(水)23時12分50秒
- くぅ…いいっす…
なんかもーちょいすね気味のやぐっちゃんがツボ!!
そしてへたれな中澤店長が素敵すぎです!!(w
- 317 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月23日(木)03時55分35秒
- 久々の娘。レス最高でした。
向こうのいちごまが今のところアレですから、こういった甘い作品は俺の心を癒してくれます(w
やっぱり、作者さんのさやまりは天下一品です!!
- 318 名前:ぷち 投稿日:2001年08月23日(木)16時37分53秒
- 良すぎです・・(感涙)
もう、ニヤけっぱなしですよ・・・。
やっぱり、経営者サンのところの さやまりが一番だぁ!!(叫び)
向こうも頑張ってくださいね♪
- 319 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月23日(木)20時36分04秒
- 娘。レス万歳!さやまり最高!
- 320 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月24日(金)02時45分53秒
- ヽ^∀^ノ<う、うん1ヶ月分、しっかり頑張る!!
ちゃむキャワイ過ぎぃ!!!!!!
- 321 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月24日(金)20時10分39秒
- やぎっちゃーん
- 322 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月24日(金)20時33分13秒
- だからageるなよ!!
- 323 名前:名無し読者は182cm 投稿日:2001年08月25日(土)18時57分19秒
- 1ヶ月もよく我慢したね(w
偽装ageレス
- 324 名前:ここはsageスレです。 投稿日:2001年08月26日(日)00時08分55秒
- >>323
わからない人もいるから、やめた方が良いと思う。
- 325 名前:323じゃないけど 投稿日:2001年08月26日(日)01時05分30秒
- >>324
実質上あがってないんだから、問題ないと思うけど…?
- 326 名前:ここはsageスレです。 投稿日:2001年08月26日(日)01時20分03秒
- >>325
わからない人が見るとageスレと勘違いして上げてしまうかも……
- 327 名前:323 投稿日:2001年08月26日(日)01時29分22秒
- >>326 なるほど。すまね。
いや、ageレスにツッコむときは注意しようってことで。
Converted by dat2html.pl 1.0