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市井紗耶香、苦悩の日々

1 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月01日(日)15時23分11秒
市井ちゃんの話を書こうと思います。
長くなると思います。シリアス系です。
近いうちに始めようと思ってます。
2 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月01日(日)17時20分28秒
でははじめます。
暗めになります。
3 名前:プロローグ 投稿日:2001年07月01日(日)17時21分04秒
『1件の新着メールが届きました』

受信トレイに置かれた1件のメッセージ。

『これから会わない?会えるんだったら電話ちょうだいね。』

――マタカ

わたしは携帯電話のメモリに入っている『保田圭』を探すと、
コールボタンを押した。

プルルル…プルルルルル…プルル、ガチャッ

『紗耶香?メール見た?』
「みたよ。会う気なんてないから、それじゃあ。」

ガチャッ…ツー…ツー…ツー、ピッ
4 名前:プロローグ 投稿日:2001年07月01日(日)17時21分35秒
「ふぅ…」
大きくため息をつくわたし。

いつからなんだろ。わたしが圭ちゃんを避けるようになったの。
別に嫌いじゃないんだけどね。

――ドウデモイイケド

ホットコーヒーを入れる。
できるまでの間、新聞を読む。
相変わらず、くだらない事件が多い。
コーヒーが入った。
10秒ほど香りを楽しむと、
ゆっくりすする。猫舌なので大変だ。
舌がヒリヒリする。火傷したようだ。
ちっ、と舌打ちしてテレビをつける。
最近はくだらない番組ばっかりだ。
テレビの電源を切ると、外に出た。
5 名前:プロローグ 投稿日:2001年07月01日(日)17時22分06秒
何をするわけでもなかったのだが、涼しい風に当たりたかった。
軽く走ったり、歩いたり繰り返してるうちに近くのコンビニにきた。
喉が乾いたのでミネラルウォーターを買った。
清涼飲料水は、体に悪いということを知っている。
そしてまた歩き出し、自分の部屋がある、マンションの前まできた。
ここで、買ってきた水を一気に飲み干す。
炭酸ではないので簡単に喉を通りぬけていく。
しかし、さっき火傷した部分がヒリヒリした。
空になったペットボトルはちゃんと持ちかえる。
部屋に入ったわたしはそのままベッドにダイブした。

――ツカレタ

外に出たことじゃない。精神的にだ。
原因はわからない。
何で疲れてるんだろ。
寝た方がいいのかな。うん。そうしよう。

そしてわたしは眠りについた。
6 名前:プロローグ 投稿日:2001年07月01日(日)17時22分36秒
次の日の朝、わたしはいつもどおり新聞を読み、
モーニングコーヒーを飲み、朝のニュースに目をやっていた。
何もない普通の日常。いや、普通すぎる日常。
わたしが求めていたもの。『普通』。
ホントに求めているのだろうか?
ホントに『普通』でいいのか?
市井紗耶香!

……なんてね、1人で熱くなっちゃった。
そうだ。『普通』でいいんだ。
わたしには『普通』が1番合っている。
…さて、そろそろ出勤しますか。
7 名前:プロローグ 投稿日:2001年07月01日(日)17時23分09秒
バイト先は…近所のスーパー。レジ打ちをしている。
1週間ほど前から始めたバイトだ。
わたしはこれでも元モーニング娘。なのだから、
ファンらしい人物がたくさん買い物に来る。

「いらっしゃいませー!」
営業スマイルを保つのはなかなか辛いが、
娘。にいたころよりずっと楽だ。
しかし、客のわたしを見る目が気に食わない。
わたしが金髪にしたからか?
眉毛を細くしたからか?
それとも、こんなところで働いているのが珍しいからか?
元娘。だからか?
なぜ、そんなに見る?

気持ち悪いのでさっさと片付けてしまおう。
さあ、次のお客さんだ……と思うと、
レジはわたしのところだけ、長蛇の列となっている。
8 名前:プロローグ 投稿日:2001年07月01日(日)17時23分43秒
――ウザイ

こんな言葉、娘。にいるころは使ったこともなかった。
娘。のころは楽しかったなぁ…。
矢口がねぇねぇ、と寄りそってくると、
後藤も負けじと寄ってきたんだ。
それを遠めにみてる石川もなんだかかわいかったなぁ。
板ばさみになってたけど楽しかった。
なんで辞めちゃったんだろう?

「いらっしゃいませー!」
また営業スマイル。微笑むと、向こうも笑ってくれる。
それはうれしいのだが、失礼なこと言うと、
顔立ちがよくない人にされると気持ち悪くなる。
ホント気持ち悪い。

――ウザイ
9 名前:プロローグ 投稿日:2001年07月01日(日)17時24分26秒
そんなくだらないバイトの時間が終わり、時刻は夕方の6時。
どうしようか。
この時間ならまだ街へ出ることもできる。
誰かを誘って喫茶店とかでバカ話しもできる。
……

――アホラシイ

さっさと帰るか。
こんな精神状態、自分でもおかしいと思う。
でも、そうしてないとわたしはどうなる?

――タスケテ…ダレカ……

違う!わたしはそんなこと望んでない!
わたしは何も望んでいない!
わたしは……

――ワタシハイッタイ、ナニヲノゾンデイルトイウノカ?
10 名前:プロローグ 投稿日:2001年07月01日(日)17時25分01秒
そんな事考えたくない。
わたしには『普通』の日常がある。
それ以外にいったいなにを望むのか。

そんなの、わかってるんだ。
わたしが今望んでいるもの。
あと少し、手を伸ばせば手に入ったのかもしれない。
しかし、もうそれは不可能だ。
今、いくらがんばって手を伸ばしても、
『それ』は手に入らない。
11 名前:プロローグ 投稿日:2001年07月01日(日)17時25分37秒
気がつけばわたしは丘に足を運んでいた。
初めて来た時は、東京にもこんなところがあるんだとか思った。
でも、最近思い始めた。
ホントにここは丘なのか?
わたしがいるところはどこ?
わたしは夢を見ている?
わたしは……

――ココハゲンジツ?

夢か?現実か?
わたしにはわからない。
知っているのは…この空間だけ。

夜空の星に手を伸ばした。
なぜ届かないんだ。
近くに見えてるじゃないか。
ずっと見てるじゃないか。
ずっと…ずっと……



そう、まるで恋のよう。
12 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月01日(日)17時27分05秒


           ――プロローグ (了)――

13 名前:第1章 事件 投稿日:2001年07月02日(月)18時17分16秒
どうやって家に帰ったかは覚えていない。
わたしは玄関の前に立っていて、
そして…

涙を流していた。

わたしはあえてそのことに自問しなかった。
涙を拭うと家の中に入った。

家に帰ると、メールをチェックするのがわたしの日課だ。
受信トレイには2つ入っていた。
1つはメールマガジン。いらないや。削除。
もう1つは圭ちゃん。

『紗耶香は間違ってる、そんなことしてたって後藤は……』

まだあと5行くらいあったが、見たくなかった。
よくもそんな簡単に言えるなと思い、圭ちゃんを軽蔑した。
14 名前:第1章 事件 投稿日:2001年07月02日(月)18時17分46秒
『後藤の話なんてするな!!』

送り終わったわたしに残ったのは虚しさだけだった。
誰のせいだ?
わたしのせいか?
後藤のせいか?
圭ちゃんのせいか?

――コ、コロシテヤル!

圭ちゃんのせいだ!
誰が間違ってるって?わたしが?間違ってる?
何を言ってるんだ?おかしいのは圭ちゃん、あなたでしょう。

――サバイテヤル!!
15 名前:第1章 事件 投稿日:2001年07月02日(月)18時21分38秒
「紗耶香がうちに来るなんて珍しいんじゃない?」
「そう?」

まずは普通の話。
しかし、圭ちゃんはすぐに本題に入ろうとした。

「でね?わたしが言いたいことは…いい加減へこたれるのやめなってこと。」
「………」
「後藤はさぁ、もういないんだから……」
「圭ちゃんに何がわかるって言うんだ!」

ホントむかつく。この女。

「甘ったれんじゃないわよ!わからないからいってんでしょ!」

ありふれた言葉。『普通』の言葉。
『普通』…わたしが望んでいるもの。
望んでいる?何をだ?
わたしが望むのはただ1つ!
後藤だけだ!!

――コノオンナ、コロシテヤル
16 名前:第1章 事件 投稿日:2001年07月02日(月)18時22分10秒
わたしはすばやくキッチンに行き、包丁を出した。
そして、包丁の切っ先を圭ちゃんに向けた。

「ちょっと!わ、悪い冗談はやめてよ!」
「ウルサイ!シネ!」
「ちょっ!紗耶、うっ……グブッ…ガハッ!」

包丁は見事圭ちゃんの腹に突き刺さっていた。
圭ちゃんは口をパクパクしていた。
何か言いたげだった。
そんな圭ちゃんをわたしはかわいそうとは思わなかった。

――ミニクイ

頭を思いっきり踏みつけるとどうやら息絶えたようだ。
17 名前:第1章 事件 投稿日:2001年07月02日(月)18時23分36秒
圭ちゃんは死んだんだ。
わたしが殺した。もうじき警察に連れてかれるのか。
……
わたしは自分でも驚くほど冷静だった。
人を殺して、ましてや親友だった人を殺して
冷静でいられるのはわたしぐらいか?

そんな事を考えているととてもおかしかった。

「アハッ、アハハハッ、アハハハハハハハハハ!!!
 アッッッハ!!!!!!!」

わたしは気が狂ったように笑っていた。
やがて、近所の人が不審に思って通報したのだろう。
パトカーの音が近くで止まると、あっという間に警察官が入ってきた。



こうしてわたし、市井紗耶香17歳は殺人の容疑で逮捕された。
18 名前:第1章 事件 投稿日:2001年07月02日(月)18時26分09秒


           ――第1章 事件 (了)――

19 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月02日(月)18時32分49秒
『市井紗耶香、苦悩の日々』は題名ではないです。
題名はまだ考えていないので、考えついたら発表したいと思います。
20 名前:第2章 現実 投稿日:2001年07月06日(金)19時38分35秒
わたしは鑑別所行きとなった。
どんなところか詳しくは知らない。
適当に説明を聞いて、これから暮らす部屋へ案内された。
同室には他に2人の女がいた。
わたしの姿を見ると、目をギョッとさせた。
「あ、あんた元モー娘。の市井紗耶香?」
「そうだけど?」
「おぉ!やっぱり?ねぇねぇあのさぁ……」
しばらくわたしは質問攻めを受けた。

――ウザイ

こいつらも殺してやろうかと思った。
これ以上罪を増やすのはいけないと思い、踏みとどまった。
第一、武器など持っていない。
この女たちはわたしより体格がいい。
まともにやりあって勝てるわけがなかった。
適当に話をすることに決めた。
21 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時39分09秒
そして鑑別所で初めての夜を迎えた。
今までベッドだったので敷布団で寝るのは辛かった。
慣れるのには結構時間がかかるだろう。

次の日、朝起きるとやはり背中が痛かった。
朝なのにコーヒーが飲めない。
わたしには日課となっていたので、飲めないと何かが違う。
そんな事考えててもどうしようもないので、
新聞に目を通すことにした。

『モーニング娘。保田圭(20)刺殺される!』

スポーツ新聞の一面を飾っていたのはこの事件だった。
圭ちゃんの写真が大きく載っていた。
今までで一番目立ったんじゃないかなぁ?
22 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時39分40秒
それから3日後、そのスポーツ新聞の記事には驚いた。

『モーニング娘。解散!』

理由は圭ちゃんが死んだことによって、メンバーのみんなが
仕事を続けれる状態ではなくなったかららしい。
あと、犯人が17歳の少女と報道され、
世間の人たちがわたしを犯人だと言い、
娘。のみんながパニックに陥ったのもあるらしい。
確かに犯人はわたしなのだが。

通夜の映像がニュースで流れていたが、
みんなは相当参っている様子だった。
辻と加護なんかしゃくりあげていてまともに言葉も話せていなかった。
石川はやはり教育係の死には耐えられなかったようで、
吉澤の胸の中で泣いていた。
その吉澤も泣いていた。
矢口は、涙をこらえていた。
が、やはりこらえきれなくて、裕ちゃんの胸を借りて泣いていた。
裕ちゃんは涙を溜めながらずっと矢口の頭を撫でていた。
かおりとなっちはお互い抱き合ってた。
その体はテレビ越しにもわかるほど震えていた。
23 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時40分12秒
そして後藤。
後藤だけは泣いていなく、淡々としていた。
なぜだ?
圭ちゃんが死んで悲しくなかったのだろうか。
そんなはずはない。
プッチでも一緒だったし、仲もよかった。
それなのに泣いていなかった。
その哀しみを浄化させるほどのことがあったのだろうか。

そんな事があってモーニング娘。という
アイドルグループは解散した。
24 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時40分43秒
これでよかったのか?
わたしのしたことは正しいのか?
圭ちゃんはわたしを思っててくれたから、
いろいろ言ってくれてた。
それをウザイと思ってつっぱってたわたし。
圭ちゃんは大切な親友だった。

――シンユウ

そう、親友だった。
その大切な親友を殺したのはわたし。
わたしは間違っていた?

いくら考えてもわからない。
圭ちゃんを殺したことを、悪いことだと認める心と、
悪くないと自己防衛する心と、2つが混ざり合っている。

今はわからない。
何年か経てばわかるのだろう。

だから今、わたしは眠る。
25 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時41分22秒
そして3年が経った。
わたしは成人していた。そして、今日は出所の前日。
今までの日々とはもうおさらばだ。
長かった。
ベッドを欲している体をベッドに寝かせることができる。
朝、コーヒーを欲している喉もコーヒーで潤せる。

今日は午後の4時から面会の予定が入っている。
なぜ今日なのか?
明日出所するのだからそれからでもいいのに、と思った。

しかし、わたしには不思議だった。
今まで誰かが面会に来たことは1回もなかった。
いったい誰だろうか。予想もつかない。
26 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時42分00秒
時刻は午前の10時。
まだ半日のこっている。
ここでやり残したことはないか?
……ないな。

さて、暇だ。何をしようか。

ここに来たばかりのころを思い出してみる。
ああ、そうだ。あの時、圭ちゃんを殺したのは悪かったのかと自問していた。
答えは、まだ見つかっていない。
答えなどあるのか?
それはわからない。
ただ、見つける努力はしようと思っている。
27 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時42分37秒
さて、昼の時間だ。
食堂に向かい、自分で御飯をよそう。
こんな不味い飯とは今日限りでおさらばだ。

適当な量を食べたわたしは、部屋に戻って1人でいることにした。
来た時とは部屋がかわっている。
わたしが所長に直接たのんで個室にしてもらったのだ。
ここでのわたしの態度は、他の人にとって模範的だったので、
あっさりこの申請は承諾された。

1人で部屋にいると、いやでも考え事をしてしまう。
他愛のない事ばかりなのだが、
今日のために、1つ残しておいたことがあった。

後藤のこと。

出所前日にゆっくり考えることにしていた。
そして今日、その時がきた。


わたしはゆっくりと目を閉じた。
28 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時43分21秒


           ――第2章 現実 (了)――

29 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時44分32秒
あれ、ハンドル入れミスってる。
それにしても、誰か読んでいるのだろうか、この小説。
30 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月06日(金)19時48分06秒
結構注目されているみたいですよ羊でも案内板でも見たし。
静観て感じです。
31 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月07日(土)01時56分13秒
読んでますよ 作者さん
続き気になります
32 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月14日(土)06時54分14秒
スレ汚しになると思って書き込んでなかったんだけど
読んでるよ。かなりおもしろい。期待してるよ。
33 名前:第3章 回想(1) 投稿日:2001年07月14日(土)12時43分34秒
「市井さん、すいません!」

後藤がわたしに謝っている。
もう何度目だろう?その『すいません』という言葉はもう耳タコだ。
「後藤さぁ、もう少しやる気あるのを前に出してみなよ。」
加入当時の後藤は、誰が見てもやる気がなかった。
そのたび、マネージャーに怒られていて、
後藤が決まって泣くと、そのとばっちりはわたしに渡ってくるのだ。
そして、一緒になって怒られた後、後藤は決まって謝ってきたのだった。

「わたしやっぱり入ったの間違ってましたかねぇ?
 みなさんに迷惑かけてばかりで……」
このころの後藤はかわいいもので、
後に石川がたくさん口にすることになる、
『ネガティブ』という言葉がとっても似合っていた。
34 名前:第3章 回想(1) 投稿日:2001年07月14日(土)12時44分26秒
「後藤さぁ、自分に自信持ってる?」
「え?どういうことですか?」
「ルックスとかそういうところにじゃなくって、
 今自分がしていることに自信持ってる?」
「え、…あぁ……いや……その…」
後藤は曖昧なため息混じりの言葉を繰り返し呟いていた。
「じゃあ、まずそこからだね。モーニング娘。をよく知って、
 モーニング娘。に誇りを持てるようにならなきゃ。」
「はい!」
そのときのパッと明るくなった後藤の表情を見ると、
苛立っていた気持ちも何処かへ行ってしまった。

そしてわたしは後藤にモーニング娘。のことを知っているだけ全部教えた。
後藤はモーニング娘。に関しては無知だったので、
一部始終、驚いていた。
35 名前:第3章 回想(1) 投稿日:2001年07月14日(土)12時45分47秒
インディーズ時代、愛の種を手売りで5万枚完売したこと。
デビュー曲のモーニングコーヒーで、なっちとかおりの間で
メインパートの争奪があったこと。
裕ちゃんが昔、髪が長かったこと。
わたしと矢口と圭ちゃんが追加メンバーであったこと。
(これを知らないといわれたときは、ちょっとショックだった。)
ふるさとの売上げが悪くて、モーニング娘。が
がけっぷちに立たされていること。

後藤はわたしの話を真剣に聞いていてくれてた。
もしかするとわたしを真剣に見ていただけかもしれない。
って、そんなことはないかぁ。

「そうだったんですか…わたし、知らなくてすいません。」
ペコリと頭を下げる後藤を見て、普通にかわいいなぁと思った。
「いや、別に謝らなくていいよ。ぶっちゃけた話、わたしも
 入った時はよく知らなかったしさ。」
36 名前:第3章 回想(1) 投稿日:2001年07月14日(土)12時46分26秒
「そうやったん……」
ん?このイントネーションは……裕ちゃん!?
「紗耶香、『娘。に憧れてました』と言っとらんかったか?入った時。」
「あ、…いや、その……ごめんなさい。」
「どうしよっかなぁ〜♪」
おどおどするわたしと、それを楽しむ裕ちゃんと、
やはりわたしを見て微笑する後藤と、3人がそこにいた。
「ま、紗耶香はウソつきやったってことやな。」
「いや…だってさ、あの時は必死だったんだよ。
 入った時、わたしたち歓迎されてなかったしさ。」
「そんなことなかったで。ほな、ウチはいくで。
 後藤も紗耶香のウソにだまされんようにな。」
「もう〜!早く行ってよ裕ちゃん!」
「またなぁ〜。」
ったく、疲れた。それに後藤にはカッコ悪い所見せちゃったし。
37 名前:第3章 回想(1) 投稿日:2001年07月14日(土)12時46分57秒
「市井さん。」
「へっ?な、なに?」
バカだなぁ。明らかに動揺してるじゃん、わたし。
後藤は顔をにやつかせながら言った。
「よ〜くっ!娘。のことわかりました!ありがとうございました!」
その顔には満面の笑みがあったが、わたしには悪戯っぽい笑みに見えた。
「バカにしたなぁ〜、このぉ〜。」
そうやってギャアギャア騒ぐ。後藤も一緒になって騒ぐ。
「ま、今日のところはよしとしよう。後藤も元気になったことだし。」
「あはっ♪ありがとうございます。それじゃあ。」
「あっ、ちょっと待ってよ。」
楽屋を出て帰ろうとする後藤をわたしは呼びとめた。
38 名前:第3章 回想(1) 投稿日:2001年07月14日(土)12時47分42秒
「あんさぁ、もうそろそろわたしのこと市井さんって呼ばなくていいよ。
 敬語もやめていいし。なんかよそよそしいじゃん。」
「え?そんなぁ、いいんですか?」
言葉では遠慮してるが、顔はすでに笑顔だ。
「もろ顔に出てるよ。遠慮しなくっていいから。」
「ありがとうございます!」
「こらぁ〜、つかってるじゃん。」
「あはっ♪そうでした〜♪」
「まぁ、これからも仲良くネ。」
「うん、いちーちゃん。」
「もう、呼び名決まったの?」
「うん、ずっと考えてたんだぁ。えへへ〜。」
「そっかぁ、可愛い奴だなぁ。」
頭を撫でてやると、子供っぽい笑顔で笑う後藤。
新しい一面を見れた1日だった。

その後の後藤のがんばりもあって、
ラブマシーンは娘。で1番のセールスを記録した。
39 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月14日(土)12時48分48秒


           ――第3章 回想(1)(了)――


40 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月14日(土)12時50分12秒
レスがあるとうれしいです。よかったらどんどんレスって下さいね(w
少しいちごま色が強くなってきました。

>>30
そうだったんですか。嬉しい限りです。

>>31
読んでくれてますか。ありがとうございます。
続きを気にさせれてるなら、それだけで嬉しいです。

>>32
ぜんぜんスレ汚しなんかじゃないですよ。
むしろ、スレ掃除(w
たくさんの誉め言葉ありがとうございます。
41 名前:酢漬け 投稿日:2001年07月15日(日)01時23分46秒
とても期待しております。
期待のあまりレスしてませんでした。
続きが気になります。とっても。
42 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月20日(金)00時52分49秒
http://www.tcup5.com/538/yumi.html
43 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月25日(水)19時44分11秒
続き〜カモ〜ン
44 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月25日(水)21時48分24秒
>>42
そのアドレスことあるごとに貼ってあって、もうブックマークしたからいらないようざいよ
45 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月02日(木)00時50分10秒
続きは〜?
46 名前:スーパー千石 投稿日:2001年08月04日(土)18時21分57秒
忙しくて更新できませんでしたので、少し多めに更新します。
47 名前:スーパー千石 投稿日:2001年08月04日(土)18時23分04秒
すいません。間違いました
48 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月05日(日)04時16分02秒
>>46-47
期待させないでくれよ〜(泣
49 名前:第4章 回想(2) 投稿日:2001年08月07日(火)23時20分27秒
当然、わたしたちはテレビにひっぱりだことなり、
忙しい日々が続いていた。
そんな中、わたしは後藤と圭ちゃんと3人で「プッチモニ」を
結成することになった。
デビュー曲は「ちょこっとLOVE」
って言ってもわたしはプッチではこれしか歌ってないんだけど。
そして、ちょこLOVEはまたまた大ヒット!ミリオンにも達した。
そして、3人でラジオもするようになった。
そのラジオでわたしは脱退表明したんだけどね。
まぁ、そのときは3人で仲良くやってたよ。

3人でといっても、圭ちゃんはなぜか席を外すことが多くて、
後藤と2人でいることが多かったのはこの頃だった。
あとで気付いたのだが、圭ちゃんのはわざとだった。
誰が見てもあれはわざとだ。うん。
だってさ、トイレに行って1時間も帰ってこないやつなんているかい?
聞いたら、
「いやぁ、メイクさんとしゃべってたんだよ。」
とかわけわからんこと言うしね。
そして、わたしは圭ちゃんの意図が全くわかってなかった。
50 名前:第4章 回想(2) 投稿日:2001年08月07日(火)23時21分33秒
…あれだけ、仲良くしてた圭ちゃんをわたしが殺したんだよね…。
なんで殺すまで至ったのかなぁ。
きっと、わたしはそのときどうにかしてたんだ。
この罪は一生償えないよね。

ふと時計を見る。
時刻は2時。もうこんな時間かと思った。
時間が経つのは早いものだ。
面会まであと2時間か。誰なんだろうな。
お母さん?お父さん?娘。の誰か?全然予想つかないや。

……わたしの中には、わずかな期待もあった。


そして、また後藤のことを考える。
51 名前:第4章 回想(2) 投稿日:2001年08月07日(火)23時22分42秒
圭ちゃんがいなくて2人っきりの時、
わたしは雑誌に目を落としていた。
そんなわたしに後藤はブーブー言って拗ねてた。
「いちーちゃん、遊ぼうよぉ〜。」
「遊ぶって、何してだよ〜?」
「じゃあ、トランプ!」
「2人でなにやるのさ?」
「……ぶぅ、もういいよ!」
って言って、後藤は更に拗ねてそっぽ向いた。
そんな後藤がかわいくて、わたしは後ろから甘く囁いたんだ。
「大人の遊びしよっか。」
耳元で囁くと、後藤は耳まで真っ紅にして俯いた。
そのまま後藤をわたしに向かせ、口付けした。
「んんっ!」
後藤はわたしの激しいキスに驚いてた。
わたしは終始、後藤の口の中を弄んだ。
52 名前:第4章 回想(2) 投稿日:2001年08月07日(火)23時23分21秒
甘い口付けが終わった後、ゆっくり唇を離して、
お互い見つめ合った。
「……なん…で?」
「ん?」
「…なんでわたしとキスしたの?」
なんでだろう?
後藤が拗ねてたから?
わたしがしたかったから?
いやちがう。
後藤がかわいかったからだ。
「後藤がかわいかったからだよ。」
まっすぐ見つめて言う。
予想通り、後藤は顔を紅くして俯いたんだけどね。
「…ありがと。」
その声には恥ずかしさと嬉しさが混じってたように聞こえた。

「もっかいしようか。」
再び2人の唇は重なった。
53 名前:第4章 回想(2) 投稿日:2001年08月07日(火)23時24分16秒



このとき、わたしに恋愛感情はあったのか?
いや、なかったはず。
このときは、後藤がむしょうにかわいくて、
遊びのつもりでキスしたんだけど、どんどんマジに
なっちゃって…。後藤にはわるいことしたなぁとか後で思った。


54 名前:仕掛け人 投稿日:2001年08月07日(火)23時24分49秒


           ――第4章 回想(2)(了)――

55 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月07日(火)23時32分55秒
更新遅れてすいません。
気をつけます。最終更新日から3週間も過ぎてるなんて
思ってもいませんでした(w
更新もなんか中途ハンパだし。

>>41
そんな誉め言葉までいただいて嬉しい限りです。
長い間更新しなくてごめんなさい。なにぶん忙しいもので(いいわけ)

>>42
情報提供ありがとうございます(w

>>43
続き〜ゴー(w
満足できたでしょうか?(w

>>44
ありがとうございます。
自分もそのリンク紫でした(w

>>45
更新しました!!遅れてすいません!!
どうだったでしょうか?

>>46-47
気になさられずに……だいじょうぶっす♪自分は。

>>48
これでどうでしたでしょうか?
56 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月09日(木)04時39分39秒
後藤が可愛すぎる♪
しかし面会人は誰なんだろ。
57 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月23日(木)02時40分34秒
続き待ってるよ。
58 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月06日(木)00時48分23秒
そろそろ一ヶ月・・・まだかなあ・・・
59 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月18日(火)00時49分35秒
放置の気配。
60 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月30日(日)06時05分53秒
作者さ〜ん、反応くださ〜い。
61 名前:王大人 投稿日:2001年10月06日(土)01時23分22秒
死亡確認!!
62 名前:作者 投稿日:2001年10月08日(月)22時44分00秒
すみませ〜ん!!
ホント忙しいです。放置は管理人さんが消さない限りしません。
でも久しぶりにきたら板が増えてる…(w
近いうちに…と約束はできませんが更新する予定です。
こんな小説を待っていてくださるみなさま、ありがとうございます。
63 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月08日(木)00時53分01秒
最後のレスから一ヶ月たったか・・・
まあ、期待しないで待ってるよ
64 名前:待ち人 投稿日:2001年12月13日(木)10時24分30秒
つ、つづきを・・・
65 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月26日(水)02時41分09秒
結局放置か。
66 名前:王大人 投稿日:2002年01月15日(火)06時40分58秒
死亡確認!!
67 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月21日(月)09時24分44秒
作者、何かリアクションしてくれ

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