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記憶喪失
- 1 名前:まえふり 投稿日:2001年07月20日(金)02時13分00秒
- いちごま書きます。
モチーフは映画『三月のライオン』。
内容を御存じの方はどうぞネタばらししないで下さい〜。
とは、いっても大分変えてありますので、
興味のある方は是非映画の方もどうぞ。
- 2 名前:〜思いで〜 投稿日:2001年07月20日(金)02時14分22秒
- 私といちいちゃんは小さい頃からいつも一緒だった。
私達の家はお隣同士で、共に母子家庭だった。
私のお父さんは事故で、いちいちゃんのお父さんは失踪。
形は違うけれど、私達の環境は似ていた。
私のお母さんもいちいちゃんのお母さんも働いていたから
私達はいつも一緒にいた。
いちいちゃんにはお姉さんがいて、私にもお姉ちゃんと弟がいたけど、
なんでだか、私達はいつも一緒だった。
幸せだった。
いちいちゃんは私よりも2つ上でちょっとだけお姉ちゃんで、
すごく私のことを可愛がってくれた。
私もホントのお姉ちゃんより、いちいちゃんをすごく大切に思った。
- 3 名前:〜思いで〜 投稿日:2001年07月20日(金)02時15分09秒
- 何をするにもいつも一緒で、いちいちゃんは決して私を邪険に扱ったりしなかった。
それから、いちいちゃんはとっても恥ずかしがり屋であまり友達がいなかった。
それは、いちいちゃんと同じ歳に生まれてこれなかった私にとって
すごくすごく幸運なことのように思っていた。
私はいちいちゃんの一番の親友で、一番の妹で、世界中の誰よりもいちいちゃんに
大事に思われてる。
そう信じていた。
いちいちゃんが中学2年生のとき初恋をした。
ショックだった。
なんだか分からないけど、奪われた気がした。
嬉しそうに好きな人のことを話してくれるいちいちゃん。
そんないちいちゃんの笑顔はすごく素敵だったけど、
その笑顔の素が憎くてたまらなかった。
- 4 名前:〜思いで〜 投稿日:2001年07月20日(金)02時16分09秒
- その後、いちいちゃんはふられた。
いちいちゃんは私の胸でたくさんたくさん泣いた。
こんなにいちいちゃんを泣かせる人が憎くて、
こんなにいちいちゃんを泣かせることができる人が羨ましかった。
そして、いちいちゃんの恋が実らなかったことが嬉しかった。
私の胸の中で上気したいちいちゃんの泣き顔。
腫れたまぶた。
涙で額にくっついた前髪。
胸にこもった熱。
初めて気がついた。
私、いちいちゃんに恋してる。
いちいちゃんの全部が愛おしくてたまらなかった。
でも、私の恋は秘密の恋だった。
いちいちゃんは男の子が好きだから…
だから、私が告白したらきっとこまっちゃう、そう思ってた。
いちいちゃんを困らせて、今みたいに大切にされなくなることが
すごくすごく怖かった。
今のままでも幸せ。そう自分に言い聞かせて、愛してるいちいちゃんを
慕ってるふりをして見つめ続けていた。
- 5 名前:〜思いで〜 投稿日:2001年07月20日(金)02時17分20秒
- いちいちゃんが高校1年生のとき恋人ができた。
泣いた。いちいちゃんに隠れてこっそり泣いた。
相手は女の子だった。
悔しかった。ただ、悔しかった。
誰よりも傍にいたのに、どうして私じゃないんだろう。
そう考えると体中の血が逆流したみたいに燃え盛った。
いちいちゃんの恋の相手は男の子。
そう決めつけた私が悪かったのか。
相手が同じ女の子だったから余計辛かった。
「あのね、後藤…。報告したいことがあるんだ。」
不安そうないちいちゃんの顔。
「私ね、恋人ができたの。それが…」
目を閉じてひと呼吸おくと、
「女の子なんだ。」
はっきりと私の目を見つめて言い放った。
いちいちゃんは私の反応を伺っていた。
私は、しばらく何も言えず、動くことすらできなかった。
いちいちゃんはそれを拒絶と受け取ったのか
「ごめん。嫌だよね、そういうの…」
と言ったきりうつむいてしまった。
私はいちいちゃんを傷つけたくなかった。精一杯の笑顔をつくって
「いちいちゃんの選んだ人ならどんな人だっていいじゃん。後藤はそんなこと気にしないよ。」
そう言った。
あのときのいちいちゃんの笑顔、今でも忘れられない。
- 6 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月20日(金)07時23分29秒
- 始まりが面白い!(w
頑張れ〜
- 7 名前:〜思いで 市井〜 投稿日:2001年07月20日(金)21時29分11秒
- 私と後藤はいつも一緒だった。
私達はお互いに父親がいなくて、それが余計二人を親密にさせていたのだと思う。
後藤は何でもかんでも私の真似をしたがって、いつも私の後にくっついていた。
それは何だかくすぐったいような感覚で、後藤は私の本当の妹のようだった。
後藤は自分の本当の姉よりも私を慕い、私も本当の妹のように可愛がった。
後藤が可愛かった。
とても大切に思っていた。
人見知りの激しい私には友達が少なかった。
けれど傍にはいつも後藤がいたから寂しくはなかった。
むしろ、後藤と一緒にいりより楽しい友達なんていなかったから、友達は必要じゃなかった。
何をするにもいつも後藤と一緒で、いつも後藤と同じ世界をみていた。
後藤はただ一人私と同じ世界を共有できる大切な人。
私は後藤の一番の親友で、大切な姉で、世界中の誰も二人の世界は壊せない。
そう、信じていた。
- 8 名前:〜思いで 市井〜 投稿日:2001年07月20日(金)21時30分09秒
- 中学2年で初恋をした。1つ年上の先輩だった。
とても優しい人だった。彼は誰にでも優しかったのだけれど、
男の人に優しくされることなんてほとんどなかった私はそれを勘違いしてしまった。
告白…そして失恋。
悲しくて後藤にすがった。
ゴトウは優しく抱きしめてくれた。
恋をしてからしばらく忘れかけていた後藤と二人だけの世界が見えた気がした。
後藤の温もりに包まれて、とても安心して、それが一層私を泣かせた。
優しい後藤。可愛い後藤。
その優しさは私だけに向けられている、後藤といるとそう思えた。
後藤が好きだと思った。
私の恋愛感情は秘密の感情だった。
後藤は姉として、親友として慕って、優しさをくれる。
告白して後藤を失うのが怖かった。
後藤の笑顔を曇らせて、その優しさが遠のいていくのは何にも堪え難い苦痛だから。
臆病な私は気持ちを押し殺して、後藤に笑顔で接するのが精一杯だった。
このままでも、ただ後藤が傍にいてくれるなら…
そう自分に言い聞かせて。
- 9 名前:〜思いで 市井〜 投稿日:2001年07月20日(金)21時31分20秒
- 高校に入った私は相変わらず友達が少なかった。
運のいいことの学校の校舎には屋上があって、生徒は滅多にやってくることはなかった。
私はお昼休みになると大抵そこで一人の昼食をとり、ぼんやりと過ごしていた。
密かに歌が好きだった私は、よくそこで歌を歌ったりもした。
ある晴れた昼下がり、私は彼女に出会った。
いつものようにお昼を食べ、寝転びながら目を閉じて歌を口づさんでいると。
視界が急に暗くなった。驚いて目を開けると一人の少女が私の顔を覗き込んでいた。
恥ずかしくてたまらなくて、咄嗟に私は鞄をつかんで屋上を走り去った。
何だかプライベートを覗かれたようで嫌な気持ちでいっぱいになった。
後藤のことを思って歌った歌。
それを聞かれていたかと思うと、そんなことがあるはずもないのに
自分の本心を見抜かれたような気がして恥ずかしくて、悔しかった。
- 10 名前:〜思いで 市井〜 投稿日:2001年07月20日(金)21時32分12秒
- 次の日、いつものように屋上に行くと先日出会った少女が柵にもたれて景色を眺めていた。
『帰ろう』
咄嗟にそう判断した私は身を翻して階段を降りようとした。
その時
「ちょっと待ってよ」
少女に呼び止められた。
待つつもりなんてなかったはずなのに何故か足は動かなくて、
何時の間にか横にやってきた少女に腕をとられ、屋上へとひっぱりだされた。
「昨日、歌歌ってたよね?」
俯いて何も応えない私に彼女は焦ったようで
「いや、別にいじめようとかそうゆうんじゃないんだよ?ただ、綺麗な声だったから…」
そう言われて顔をあげると彼女は恥ずかしそうに続けた。
「何かさ、すごく気持ちのこもった歌だったからもっと聞きたいな、っていうか、
こんなに綺麗に歌える人ってどんな人なのかな?ってさあ…」
正直に嬉しかった。だが、口下手な私はお礼を言うこともできずただ、
「私、市井紗耶香。」
それしか言えなかった。無愛想だよなあ…なんて落ち込んでいると彼女はにっこりと笑って
「私は矢口真理。よろしくね!」
そういって右手をさしだしてきた。
その笑顔があんまり後藤に似て輝いていたから私も思わず右手を差し出した。
手と手が重なった瞬間、矢口真理が後藤と被った。
後藤への行き場のない思いが何故だかこの人にはぶつけられる気がしてしまった。
それが一つ目の私の罪。
- 11 名前:名無し 投稿日:2001年07月20日(金)23時10分25秒
- あれほど美しい映画はないね。
- 12 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月21日(土)00時53分43秒
- 小さな事だけど「真里」です。
好きな話な分だけ、基本的で細かい事なんだけど
気になりました。
ちゃちゃ入れすんません。
- 13 名前:作者〜 投稿日:2001年07月23日(月)01時48分55秒
- >11さん 本当にあの流れるような映像美は鮮烈です。
>12さん 御指摘ありがとうございます。気付かずに書きすすめるところでした(汗
- 14 名前:〜思いで 市井〜 投稿日:2001年07月23日(月)18時23分20秒
- それから私と矢口は毎日屋上で会うようになった。
矢口は私よりも1つ年上の2年だった。彼女は明るく賑やかな性格で友人も多いようだった。
それなのに矢口は時間の空く限り私と一緒にいようとしていた。
一緒にいたというよりも矢口が私のことを追いかけているようにも思えるほどだった。
一度だけ矢口に尋ねた。どうして私と一緒にいてくれるの、と。
彼女はさっと頬を朱色に染めて俯いた。
そして顔をあげると私の目をまっすぐに見つめてはっきりと言葉を放った。
「紗耶香に恋をしたから。」
その瞳に後藤を見た。ああ、後藤、後藤、私だってこんなに好きなのに。
「私も好き、だよ。」
こうして私と矢口は恋人という肩書きを手にした。
- 15 名前:〜思いで 市井〜 投稿日:2001年07月23日(月)18時24分27秒
- 身代わりの恋を永遠に身代わりであり続けさせる為に、私は後藤に告白をしなければならないと思った。
それがたった一つだけの私の恋の昇華方法であると信じていたから。
相手に後藤を重ねて恋をしていれば、永遠に後藤を愛していられる。
「あのね、後藤…。報告したいことがあるんだ。」
後藤にカミングアウトすること、それはひどく歪んだ形であっても私の気持ちを後藤に伝える
唯一の方法。それが、どっちに転んだとしても、後藤を愛していられる。
「私ね、恋人ができたの。それが…女の子なんだ。」
後藤の目を見つめる。
固まった後藤。予想していたこととは言え、やはり拒絶の反応は辛かった。
「ごめん。嫌だよね、そういうの…」
そういうのが精一杯だった。
どれくらいの間があったのだろうか。後藤がゆっくりと言葉を発した。
「いちいちゃんの選んだ人ならどんな人だっていいじゃん。後藤はそんなこと気にしないよ。」
ああ、後藤。その慈しみの瞳を向けてくれるなら私はどんな地獄に落ちてもかまわない。
恐らく私は微笑んでいただろう。
後藤の笑顔が愛しくて。
- 16 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月24日(火)04時15分27秒
- 市井と後藤はちゃんと結ばれるのかな〜?
元ネタを知らない俺が知るよしもないが……。
- 17 名前:〜思いで 矢口〜 投稿日:2001年07月30日(月)23時04分31秒
- あたしの毎日は何となく楽しくて、何となくつまらなかった。
高校に入って、髪を染めてみて、ピアスをあけてみて、友達をたくさん作ってみて、一通り遊んでみて、
女子高生を満喫した。
それはとてもぼんやりとした楽しみで、何か足りないな。そう感じていた。
恋かもしれない。そう思ったりした。
言い寄ってくる男の子は結構いた。
悪い気はしなかった。かといって付き合う気にもならなかった。
なんとなくぼんやりとした毎日。特別な刺激が欲しいわけじゃない。
でも、心が満たされない。退屈なわけじゃない。でも、何か足りない。
そんな毎日が続いていた。
- 18 名前:〜思いで 矢口〜 投稿日:2001年07月30日(月)23時05分30秒
- 友達と喋ったり、戯れたりする毎日は嫌いじゃなかった。
けれど時々ふっと心が遠くにいってしまうことがあった。
そんな時は一人になりたくて、友達には適当に嘘をついて学校の屋上でぼんやりしていた。
いつものように一人になりたくて、ある晴れた昼下がり、私は屋上へ向かった。
そして、彼女に出会った。
屋上へと続く扉をあけると外の光りがさあっと目に飛び込んできた。
眩しくて思わず目に手をかざした。その時、小さな声が耳に飛び込んできた。
「ねえ どうして すごく すごく 好きなこと ただ 伝えたいだけなのに
涙がでちゃうんだろう ねえ せめて 夢で …」
とても細くて綺麗な声だった。透き通った歌声。
思わず声の聞こえてきる方向へ足が進んだ。
スカートからすらりと伸びた足が無造作に投げ出され片手をお腹に当てた
一人の少女がその目を閉じて歌っていた。
私のなかで何かが燃えた。
もっとこの人を見てみたい。そんな好奇心が少女の顔を覗き込ませた。
整った顔だち、少し影のある雰囲気が漂う少女。
時が止まってしまったように彼女に見とれた。
- 19 名前:〜思いで 矢口〜 投稿日:2001年07月30日(月)23時09分02秒
- どれくらいの時間がたったのだろうか。ほんの一瞬だったかもしれない。
もっと長かったのかもしれない。
少女が目をあけた。少女は突然起き上がり、傍においてあった鞄を持って
走り去ってしまった。
しばらくぼんやりしていた私だったがしばらくして思考がはっきりしてきた。
『あ、名前聞かなかったなあ…』
もう一度会いたいと思った。同じ学校だしチャンスはいくらでもあるか。
そう考えるといままでの足りない何かが急に消えてしまったような気がした。
不思議にすごくすごく気分が良かった。
次の日、昨日の少女に会えるんじゃないかという期待を抱いて、昼休みに屋上に向かった。
『きてないか…』
彼女の姿を見つけることができなかった私はなんとなく柵にもたれて屋上からの景色を眺めていた。
昨日まではもやのかかった景色が何故だかとても澄んで見えた。
誰かが階段を昇ってくる音が聞こえた。振り向くと昨日の少女が帰ろうとするところだった。
「ちょっと待ってよ」
思わず声が出てしまった。少女は立ち止まってくれた。
チャンスだ。
そう思った私は一気に彼女のもとまで駆け寄った。
彼女の腕を掴むと屋上までひっぱりだした。手が熱くなるのを感じた。
『この感じ、新鮮だよ』
なんだかすごくわくわくした。
- 20 名前:〜思いで 矢口〜 投稿日:2001年07月30日(月)23時09分56秒
- とりあえず何か話さなきゃ。そう思い、私は彼女に話しを始めた。
「昨日、歌歌ってたよね?」
しかし、彼女は怯えたように俯いて何も答えない。ちょっと焦ってきた。
「いや、別にいじめようとかそうゆうんじゃないんだよ?ただ、綺麗な声だったから…」
いやに馬鹿正直に昨日の感想を述べてしまった。引かれるかな…そう思っていると
少女は顔をあげてくれた。思っていた通りの綺麗な瞳。
「何かさ、すごく気持ちのこもった歌だったからもっと聞きたいな、っていうか、
こんなに綺麗に歌える人ってどんな人なのかな?ってさあ…」
もっと、上手い社交術なんていくらでも知ってたはずなのに、こんなにつたない、でも正直
な言葉しかでてこない。
『あれ、こんなに正直になれるなんておかしいよな。』
そんな風に考えていると正面の少女がやっと口を開いてくれた。
「私、市井紗耶香。」
『そっかあ。紗耶香かぁ。』
名前を知れたことがただ嬉しかった。
「私は矢口真里。よろしくね!」
そういって私は右手をさしだした。
するとおずおずと紗耶香も右手を出してくれた。
重なりあった手が温かかった。一瞬合った紗耶香の目が熱く燃えていた。
瞬間、体中の血が燃えた。
『一目惚れ…ってやつ?』
- 21 名前:〜思いで 矢口〜 投稿日:2001年07月30日(月)23時11分02秒
- それから私と紗耶香は毎日屋上で会うようになった。
会うといっても、紗耶香はあまり友達を作らないタイプみたいでいつも一人で屋上にいたから
私が毎日屋上に通ったってことなんだろう。
私が紗耶香に対する気持ちが恋だと気付くのに時間はかからなかった。
しかも自分の中でその気持ちは驚く程抵抗なく受け入れられた。
それは、ただ紗耶香が好きだから。それだけだったからだ。
女の子が好き、男の子が好きというのではなく紗耶香という人だけが好きだから。
恋をした私は自分でも意外なほどしつこかった。
時間の空く限り学年の違う紗耶香を追いかけて一緒にいようと試みた。
そんな私は紗耶香は何も言わずただ受けとめてくれた。
一度だけ紗耶香に聞かれた。
「どうして私と一緒にいてくれるの?」
そんなの決まってるじゃないの。すごく自然に言える気がした。
頭に血が昇ってくるのを感じながら紗耶香の瞳を見つめて言った。
「紗耶香に恋をしたから。」
私を見つめる紗耶香の目がまた、熱く燃えていた。
また体中の血が燃える。
そしてとどめの一言。
「私も好き、だよ。」
幸せでいっぱいなんだろうけどそんなこと冷静に思えなくてただ興奮してしまった。
世界がぐるぐる回転し始めた。
そして回る意識の中で
『絶対に紗耶香を手放さない。』
その思いだけがやけにはっきりとうずまいていた。
- 22 名前:作者〜 投稿日:2001年07月30日(月)23時12分52秒
- >16さん
自分はいちごま大好きなんですけど…
続けて読んでもらえると嬉しいです。
- 23 名前:記憶喪失 1 投稿日:2001年07月31日(火)23時16分54秒
- それから二年の月日が流れた。
矢口は高校を卒業して大学に進んだ。
市井は高校三年になり、進路について迷う日々が続いている。
後藤は市井を追う形をとり、同じ高校に進学した。
市井の恋人が同じ高校というのは少しためらいがあったが、既に卒業していることを
考えると二人がいちゃつくところを見ずにすむし、なにより少しでも市井の傍に
いれるということで決めた。
- 24 名前:記憶喪失 1 投稿日:2001年07月31日(火)23時18分35秒
- 市井は高校一年の終わりにバイクの免許をとった。
最近やっと二人乗りができるようになり、矢口を乗せてデートにでかけている。
市井は後藤にも声をかけるのだが断られる。
「後藤、折角二人乗りできるようになったんだからたまには二人でドライブでも行こうよ。」
「ん〜、嬉しいけど…でもいちいちゃんの後ろは恋人さんのものでしょ?
だから後藤が乗っちゃいけないよ〜。」
二年も矢口と付き合っているのだからそれなりの愛情を矢口自身にも感じていた。
けれどやはり矢口は後藤の代わりでしかなかった。
市井がバイクの免許を取ったのも本当は後藤を後ろに乗せたかったから。
「そっか〜?そんなこと気にしなくてもいいのになぁ。矢口だって気にしないよ?」
一応最後のおしをかけてみるが
「市井ちゃんが気にしなくても私が気になっちゃうもん!」
後藤は少し怒ったような、泣き出しそうな、そんな顔で市井に言い返す。
市井はそんな後藤の顔をみてしまうと思わず抱きしめたくなってしまう。
しかし、そうすることもできずそれ以上は何も言えなくなってしまうのだった。
- 25 名前:記憶喪失 1 投稿日:2001年07月31日(火)23時19分31秒
- 市井と矢口は毎週土曜にバイクを飛ばしてデートをした。
行き先は決めずに何となく走る。
市井よりもずっと背の小さい矢口は精一杯市井の背中にしがみついてその背中に顔を埋める。
市井は何も言わずにただバイクを走らせる。
適当に一時間程走り、適当な場所におりる。
適当な場所で食事をし、他愛のナイ話しをする。
そしてデートの終わりに必ず矢口が聞く。
「ねぇ、紗耶香あたしのこと好き?」
そしていつも同じように市井は答える。
「うん。好きだよ。」
その瞳はどこか遠くを見つめている。
いつも優しく、決して矢口のことを粗雑に扱ったりはしない市井だが、
その言動はいつもほんの少しだけ違う所を向いていて、市井の全てが
矢口に向いていることはなかった。
矢口はそれに気付いていた。気付いていながらそれを問いただしてしまうと
市井が自分のもとを去ってしまうことも直感的に感じ取っていた。
それだけは耐えられない。
市井の心が違うところを向いていたとしても、自分に対して少しでも注意が向けられて
いるのならそれでいい、そういい聞かせて過ごしてきた市井との時間だった。
市井は言葉だけなら欲しい言葉はいくらでもくれる。
「ねぇ紗耶香、あたしのこと一番愛してくれてる?」
「うん。矢口を愛してる。」
- 26 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月01日(水)03時52分24秒
- なんとも言えない切なさですね。
いちごま好きとしては二人が結ばれて欲しいけど、矢口が可哀相な気が・・・
- 27 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月19日(日)19時19分01秒
- 続き気になります・・・
頑張ってください。
- 28 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月20日(月)07時34分18秒
- くぅ〜いちごま好きなんだけど、さやまりも好きなんだよなぁ。
なんか、3人とも・・・切ない・・
- 29 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月25日(土)20時58分42秒
- tudukimatemasu
- 30 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月29日(水)14時49分05秒
- 忙しいのかな?続き待ってます。
- 31 名前:記憶喪失2−後藤− 投稿日:2001年09月03日(月)17時26分26秒
- 愛が動機ならやってはいけないことなんてひとつもない
音楽の道を志したいちいちゃんは音楽関係の専門学校に通うことになった。
進路も決まり、毎日暇そうないちいちゃん。
そんな3月に嵐がふいた。
いちいちゃんがバイクで事故をおこした。
病院に駆け付けるといちいちゃんは何くわぬ顔をして病室のベットに座っていた。
先にきていたいちいちゃんのお母さんの顔が少し強張っている。
いちいちゃんの体のどこにも怪我はなかった。
でも、ひとつだけ病気にかかった。
「記憶喪失」
何も覚えていないいちいちゃん。
私のコトも覚えていない。
家族のことも。
いちいちゃんの恋人のことも…。
(奪ってしまいたい)
医者は何かきっかけがあればいつか思い出すと言った。
それが明日なのか、何十年後かはわからないけれど。
- 32 名前:記憶喪失2−後藤− 投稿日:2001年09月03日(月)17時27分20秒
- いちいちゃんの恋人は泣いていた。
いちいちゃんの顔を両手で包んで
「矢口のことホントに忘れちゃったの?」
泣きながら聞いていた。
「ごめんなさい…」
いちいちゃんは罰が悪そうにうつむいてしまった。
いちいちゃんの恋人はよほどショックだったのかそれ以上何も言わず
「またくるね…」
そう言って帰っていった。
いちいちゃんのお母さんも荷物を整理すると言って先に帰ってしまった。
「あの、後藤さんですよね?さっきの人は誰ですか?」
いちいちゃんに後藤さんなんて呼ばれると少し胸が痛い。
「さっきの人は矢口さん。いちいちゃんの…」
嘘、ついてもいいよね。
許されなくてもいいや。
一生恨まれてもいいや。
「親友だよ」
「ああ…。そうだったのか…。じゃあ、後藤さんは?」
世界を敵にまわしても欲しいものありますか?
あたしにはあります。
きっと今日は人生で一番罪深い日。
「あたしは…いちいちゃんの恋人だよ」
- 33 名前:〜作者 投稿日:2001年09月03日(月)17時38分47秒
- ごめんなさい。他の話しに手を出してしまいこっちを
ほったらかしてしまいました。
金版でちゃむを争奪してました(汗
たくさんレスを頂いて本当に感謝です。
いきなり時が流れて記憶喪失1から1年たってますが
見逃して下さい。話しが進まないので(汗
>>26さん
矢口は可哀想です…ほんと。
切ない3人を見守って下さい
>>27さん
1ヶ月も放置してすみませんです。
もしよければまた読んで下さいm(_ _)m
>>28さん
私もいちごまとさやまりが好きなんですよ〜。
んで、三人を絡ませたらこんなことに…
>>29さん
yattokousinsimasita.omatasedesu.
>>30さん
煮詰まってました(泣
やっと書きだせたので良かったらまた読んで下さい。
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月04日(火)03時27分08秒
- やった〜!!復活した〜!!と、思ったらなんと金板のあの小説の作者さんだったとは(驚
いや〜、こちらは向こうと違いかなりシリアスなので、いったいどうなってしまうのか
楽しみであり、不安でもあります。
2作品抱えて大変でしょうけど頑張って下さい。
- 35 名前:記憶喪失2−市井− 投稿日:2001年09月05日(水)23時29分46秒
- 気がつくと白い天井が目の前に広がった。
ここは、どこだろう?
手を見る。
足を見る。
手も足もついている。
体を動かしてみる。
何ごともなくスムーズに動く。
見知らぬ中年の女性が私の動き回る姿を見て
「紗耶香!!良かった、気がついたのね」
そう言った。
見知らぬ中年女性。
見知らぬ…。
この体は見知らない…。
私が動かしているこの体はなんだった?
この手も足も見知らない。
鏡を見るとそこには一人の少女の顔が写る。
これは誰?
私は誰?
- 36 名前:記憶喪失2−市井− 投稿日:2001年09月05日(水)23時30分44秒
- しばらく何が起ったのかわからなかった。
私は私のことが何もわからない。
世に言う『記憶喪失』。
そう理解するのにはしばらく時間がかかった。
私の様子がおかしいことに気付き中年女性は私の横たわっていたベッドについた
何かのボタンをおした。
そこで初めてこの場所が病院であることに気がついた。
医者がやってくる。
いくつかの質問をされる。
全てがわからない。
「知りません」
「わかりません」
そんな単調な答えの繰り返し。
- 37 名前:記憶喪失2−市井− 投稿日:2001年09月05日(水)23時31分50秒
- やがて二人の少女が立て続けにやってきた。
少女達は私の母親だという女性に話しを聞き茫然としていた。
しばらく静寂が続き、ほどなく二人のうち背の低い方の少女が私に近づいてきた。
彼女は私の頬を両手で包むとじっと私の目を覗き込んだ。
見つめ合う瞳と瞳。
彼女に浮かぶのは熱い炎とこぼれ落ちる涙。
私に浮かぶのは困惑。
「矢口のことホントに忘れちゃったの?」
哀しみの瞳に私まで悲しくなってしまう。
「ごめんなさい…」
本当にわからないのです。
ごめんなさい。
自分がすごく酷いことをしているような罪悪感が私を襲う。
少女は瞳に落胆を色濃く反映し、
「またくるね…」
そう言ってこの病室を後にした。
私の母だという女性も荷物を整理するといって部屋を去っていった。
一人残った少女は後藤真希というらしい。
母という女性が立ち去る前に教えてくれた。
私がどういう人間であり、どういう人間関係を持っていたのか知ろうと思った。
- 38 名前:記憶喪失2−市井− 投稿日:2001年09月05日(水)23時32分39秒
- まずはさっき泣きながら去って行った少女のことを聞くのが妥当だろう。
「あの、後藤さんですよね?さっきの人は誰ですか?」
後藤と言う少女は少し傷ついたような顔を私に向けると
「さっきの人は矢口さん。いちいちゃんの…」
奇妙な間があく。
「親友だよ」
「ああ…。そうだったのか…。じゃあ後藤さんは?」
親友…。
そうなのか。素直な感想だった。
何故だろう、何もわからないけれどこの少女は、
後藤というこの少女は私の胸をざわつかせる。
「あたしは…いちいちゃんの恋人だよ」
『恋人』
甘美な響きを持つ言葉。
私の目の前に立つこの少女は私の恋人。
私にとって性別などは問題ではなかったのだろう。
何故なら、私は初めて見るこの少女に恋をしていたから。
とても、とても、『嬉しい』そう思った。
そして昔の自分に感謝した。
この少女と『恋人』であってくれてありがとう、と。
- 39 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月07日(金)00時57分21秒
- よかった・・・のか?
いやいや・・・
- 40 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月07日(金)06時14分02秒
- 矢口が可哀相〜
すごく面白いですね。続きを楽しみにしてます!
- 41 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月14日(金)05時16分10秒
- こっちのちゃむもガムバッテ争奪して頂きたい(w
ごまガンガレ
- 42 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月15日(土)03時27分49秒
- 初めて読みました。
あの映画は今でも強烈に記憶に残っている作品です。
作者さんがこれからどう調理するか期待してます。
- 43 名前:記憶喪失2−矢口− 投稿日:2001年09月16日(日)01時06分32秒
- 3月の嵐。
私はその日とても不安だった。
紗耶香はその日バイクででかけた。
その直前まで私達は電話で話しをしていた。
「え!?こんな嵐なのに出かける?やめた方かいいって!!」
「ん〜、でも後藤がさ、すごく欲しがってたもんがさ、今日までの限定発売なんだよね」
「そんなの…」
「ま、とにかく行ってくるよ。心配しないでよ」
「ちょっ、さや…」
プッ、プ−プープ−。
後藤という紗耶香の幼馴染み。
私はいつも彼女に嫉妬する。
紗耶香と付き合ってきた2年間、後藤という少女の影が消えることはなかった。
紗耶香は時々強烈な愛情行為を後藤という少女に見せる。
私がそれを非難すれば紗耶香は笑って
「後藤は大事な妹のようなものだから…」
そう言って目を細め大切なものを見つめるように微笑んだ。
そう、その目は決して私には向けられることのない目。
そして事故は起った。
- 44 名前:記憶喪失2−市井− 投稿日:2001年09月16日(日)01時07分34秒
- 紗耶香と電話を切ってから1時間半くらいだっただろうか。
彼女の母親から紗耶香が事故にあったと連絡が入った。
私は友達のあまりいない紗耶香の貴重かつ親友とでも思われていたのか
紗耶香の母親はとても私に親切であった。
生まれてはじめて味わう死ぬかと思うほどの恐怖感。
紗耶香、紗耶香、紗耶香、紗耶香、紗耶香、紗耶香。
あなたはいつも違うどこかを見ていたけれど、
あなたは私の向こうに何かをみていたけれど、
それでもあなたが好きなんです。
どうしようもなくあなたに囚われているんです。
あなたに置いて行かれたら…。
私はもっと強い人間だと思っていたのに。
私は一人でも生きていける人間だと思っていたのに。
紗耶香が変えた。
私を変えた。
矢口は紗耶香がいないともうダメになってしまうの。
紗耶香、知っている?
- 45 名前:記憶喪失2−矢口− 投稿日:2001年09月16日(日)01時08分52秒
- 病室をこわごわ覗くと視界に飛び込んできたのは元気そうな紗耶香の姿。
泣きたくなるほどホッとした。
「あの子ね、どうやら今までの記憶が全て無くなってしまったみたいなの」
紗耶香の母の声は私を一転奈落のそこへと突き落としていった。
溢れる涙は止まらなかった。
私を忘れた紗耶香。
あなたはもう一度私と付き合ってくれますか?
答えは…
愛しい紗耶香。
あなたの頬を両手で挟んでもこの感触は何も変わらないよ?
「矢口のことホントに忘れちゃったの?」
「ごめんなさい…」
罰が悪そうにうつむいてしまう紗耶香に
(ああ、本当なんだ)
と実感する。
はじめからきっと私のことを見てはくれなかったあなた。
全てを忘れたあなたが私に振り向いてくれる確立はどれくらいあるのでしょう。
「またくるね…」
私は絶望のうちに病室をあとにした。
誰にも渡したくないよ…。
例え見てくれてくなくても。
傍にいてくれればそれでよかったの。
終わりなの?
…終わらせない…。
- 46 名前:ちびのわ 投稿日:2001年09月16日(日)01時25分44秒
- >>44 訂正 記憶喪失−市井− → 記憶喪失−矢口−
HNちびのわにしました〜
>>34さん
金ちゃむも読んで下さってるみたいで嬉しいです。
アッチも微妙にシリアスになってきて…
もっとアホにいきたいのですが(汗
こちらは寂し気なイメージでいきたいと思います。
>>39さん
よかった…と思いたいですが矢口を絡ませるとドローリ(泣
>>40さん
可哀想な矢口がこれからどのように絡んでいくのか見守ってください。
面白いと思ってもらえるのはとても励みになるっす!ありがとございます
>>41さん
こっちのチャムはどーろどろ(苦笑
ごま押しですね!金チャムが選ぶ相手とはかぶらせたくないな〜。
なんて金チャムごまに暗雲を(汗
>>42さん
割と下がってたのに見つけてもらえて嬉しいのです!
『三月のライオン』は鮮烈でした。
邦画を見る目がかなり変わるきっかけでした。
あの作品には遠く及びませんがちょこちょこリンクさせてみるので
共通点があったら
「お、パクってる」
と思いつつ見逃してください(苦笑
一度ageてしまいました…。
失敗…
また下がった頃にお目にかけると思います。
- 47 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月25日(火)01時33分00秒
- どろどろかぁ。楽しみだ(w つづき待ってます。
- 48 名前:記憶喪失3−市井− 投稿日:2001年09月26日(水)23時06分26秒
- 入院は一日だけで終わった。
何やら頭の中を調べる検査をいくつか受け、結果は『特に問題なし』
やはり記憶を失ったこと以外の障害はなかったようだ。
早々と家に帰ることになったが、私は『私の部屋』という場所にも
やはり何の見覚えはなかった。
割と綺麗に片付けられた部屋。
机の上には譜面。
ベットサイドにはアコースティックギター。
私は音楽が好きだったのだろうということが部屋から伝わってくる。
「まるで他人の部屋だね…」
そう独りごちて、何とはなしにタンスの一番上の引き出しをあけてみた。
すると奥の方にまるで隠すかのようにしまわれている一冊のアルバムを見つけた。
そっと出して手にとってみる。
何か他人の秘密を覗くようなひどく後ろめたい気持ちがする。
表紙をめくると、そこにはゴトウマキとイチイサヤカという二人の少女の写真が
まるで記録のように、幼い頃から順にきれいに挿まれていた。
- 49 名前:記憶喪失3−市井− 投稿日:2001年09月26日(水)23時07分48秒
- 「本当に大事にしてたんだ…」
同じ自分のはずなのに何故か記憶を失う前の自分に嫉妬してしまう。
私はそのアルバムを元のようにしまった。
すると、ドアをノックする音が聞こえる。
「いちーちゃん、入っていい?」
「あ、あぁ、うん」
ガチャとドアの開く音。
「えへへ。いちーちゃん」
そう言うと私に抱きついてくる少女。
とてもドキドキして顔が熱くなるのが自分でもわかる。
「あ…あの、何かな?」
やっとの思いでそういうとゴトウ私の体を離し一つの提案を口にした。
- 50 名前:記憶喪失3−市井− 投稿日:2001年09月26日(水)23時08分42秒
- 「療養?」
「はい。私のおばあちゃんちの近くにおばあちゃんが持ってるアパートがあるんです。
そこ、使ってもいいって言うから…どうかなって思って」
ゴトウが私の母に切り出した。
「お母さん?私さ、まだ何も思い出せないけど…。ゴトウさんと小さい頃そこに行った
ことあるんだよね?」
「そうねぇ…紗耶香が五歳くらいの時に一度あったわね」
「それだったら…。そこに行けば何か思い出せる気がするんだ」
これは私の本心だ。
幼い日の思いでを辿れば何かあるような気がする。
「まぁ、そうね…。今は春休みだし、あなたの体調も問題はないしね…。
でも真希ちゃんにお世話かけないのよ」
「はい…」
母という実感のない人に『お母さん』というのはなにかとても重苦しいものを感じた。
今はまだ何もわからない。
けれど、ゴトウと私の思いでを辿れば何かがあるかもしれない。
そんな気持ちと同時に過去の私に嫉妬し、少しでもゴトウを知りたい。
昔の私にゴトウをとられてしまうかもしれないという異様な焦りが私の中にあった。
- 51 名前:ちびのわ 投稿日:2001年09月26日(水)23時10分26秒
- >>47さん
どろどろです(苦笑
更新はスローペースですが気長におつき合いいただければ幸いです。
- 52 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月27日(木)07時53分21秒
- 三人の関係がどうなっていくのか楽しみです
- 53 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月28日(金)03時26分15秒
- >作者殿
元ネタの映画は観た事がないんだけど、興味が湧いて是非観たいと思ってる。
この話が終った後観た方がいいかな?それとも今すぐ観るべき?
元ネタをどう扱っていくかわからないので、どっちがいいか教えて欲しい。
- 54 名前:ちびのわ 投稿日:2001年09月28日(金)23時59分48秒
- >>52さん
悲しい三角関係になりそうですが最後までおつき合い頂けると
幸いです。
>>53さん
元ネタ『三月のライオン』はこの小説のイントロ及び流れとは全く違う
美しい映像美と情緒豊かな独創的な作品だと思います。
この小説では『三月のライオン』の雰囲気を目標に書いているので
話しの中身自体はあまり被っていないので先に見て頂いてもよいの
ではないかと思います。
- 55 名前:53 投稿日:2001年09月29日(土)23時38分01秒
- レスありがとう。
早速探してみます。
- 56 名前:記憶喪失3−後藤− 投稿日:2001年10月02日(火)20時34分55秒
- 早くしなければいちいちゃんを取り戻されてしまう。
いちいちゃんは明日には退院してくる。
それなら、あの人がもう一度いちいちゃんに会いに来る前に
二人でどこかへ行ってしまえばいいんだ。
どこか遠くヘ行って、あたしはいちいちゃんだけを見て、
いちいちゃんはあたしだけを見て。
そうやってずっと暮らせばいいんだ。
ずっと、ずっと、ずっと…。
……ううん。
ずっとじゃなくても、一瞬でもいい。
そうしたらあたしはその後どんな罰を受けたとしても
その一瞬を胸に抱いて生きていける。
- 57 名前:記憶喪失3−後藤− 投稿日:2001年10月02日(火)20時36分02秒
あたしはいちいちゃんを親戚の持つアパートに連れていくことにした。
いちいちゃんのお母さんには少しだけ嘘をついて、
偽りの住所を教えることにして。
ごめんなさい。
だって、そうしないと、あの人は簡単にあたしの夢を壊してしまう。
いちいちゃんの部屋の前に立つ。
(あたしはいちいちゃんの…恋人)
両手を胸に当てて一度、深呼吸する。
コンコン、ドアをノックする。
「いちーちゃん、入っていい?」
「あ、あぁ、うん」
ドアを開けて、あたしはいちいちゃんに抱きつく。
「えへへ。いちーちゃん」
- 58 名前:記憶喪失3−後藤− 投稿日:2001年10月02日(火)20時36分48秒
ずっとずっとこうしてみたかったよ。
この匂いも温もりも全部独り占めしたかったよ。
記憶のないあなたは小さなひな鳥。
あたしはあなたの親鳥になって、全てをあなたに与えたい。
だから、どうかもう飛び立たないで。
あたし、ずるくて醜いね。
でも、いいよ。
今は、この夢にしがみついていなければ生きていけない。
だから神様、もう少しだけあたしにこの幸福な夢を見続けさせて…。
- 59 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月03日(水)01時26分23秒
- 後藤の想いが好きな感じです〜。文章の切ない感じも好き
切ない雰囲気の中にこんな感想で申し訳なです(笑)
- 60 名前:記憶喪失4−市井− 投稿日:2001年10月11日(木)23時46分16秒
- 電車に揺られもうすぐ三時間が経とうとしている。
ゴトウは私の肩に頭を乗せ浅く眠っている。
静かに上下するゴトウの肩。
静かな息づかいが心地よく耳に届く。
列車が進めば進む程人は少なくなっていく。
三回目の乗り換えをすませた時には車両は4両編成となり
私とゴトウの乗る2両目には私達以外誰もいない。
日も落ち、窓から見える景色は黒い緑。
この静けさが永遠に続くかのような不思議な空間。
特急にせず、普通列車できてよかったと思った。
この時間をゴトウと共有できる私は幸せだ。
そっと彼女の前髪をかきあげ、額に息を吹き掛ける。
ゆっくりとゴトウが目をあける。
あぁ、目的地はもう目の前だ。
電車の扉が二人のためだけに開かれた。
それは私とゴトウの
もう一人のイチイとゴトウのはじまり…。
- 61 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月11日(木)23時49分59秒
- 市井紗耶香さん復帰祝い!!!
うれしいっす!!!ほんとに!!!11月29日が待ち遠しい…
>>59さん
ありがとうございます。少しずつですが物語りを進めていくので
気長におつき合いいただければ幸です。
- 62 名前:記憶喪失4−後藤− 投稿日:2001年10月13日(土)01時34分48秒
- お昼過ぎ、いちいちゃんと一緒に長野県へと出発。
電車はあたしのわがままで普通電車。
特急もあったけど、どうしても普通電車で時間をかけて行きたかった。
一駅一駅知らない駅に停車していく不思議な楽しさ。
それをいちいちゃんとゆっくり楽しみたかったから。
二人で作る新しい世界。
新しいあたしと新しいいちいちゃん。
素敵だね。
今、あたしは幸せ。
そんなことを考えているとだんだん眠くなっていく。
いちいちゃんを独占できる幸せと安心があたしを心地よい眠りに誘う。
ゆっくりといちいちゃんの肩にもたれかかると
いつしか夢の中へとすいこまれていった。
- 63 名前:記憶喪失4−後藤− 投稿日:2001年10月13日(土)01時35分37秒
泣いている小さなあたし。
浴衣を着てしゃがみ、泣いているあたし。
いくつくらいだろう。
きっとまだ小学校に入ったばかりかな。
あぁ、そうだ。
あたしはいちいちゃんとお祭りにきていつの間にか
はぐれて迷子になて座り込んで泣いていたんだ。
いちーちゃん寂しいよぅ。
どこにいっちゃったの?
「ごとーーーー!!!」
あたしを呼ぶ声が聞こえる。
「ごとーーーー!!!どこ!?」
大きな声で何回も。
騒がしい縁日のざわめきの中であたしの耳にはいちーちゃんの声だけが
はっきりと聞こえる。
あたしも泣きながら大声をあげる。
「…っちーちゃん!!っく…、っひっく…いちーちゃん!!!」
人の波をかきわけながら息をきらせたいちいちゃんが
あたしの目の前に飛び込んでくる。
あたしが飛びつくその前にいちいちゃんがあたしを抱きしめた。
- 64 名前:記憶喪失4−後藤− 投稿日:2001年10月13日(土)01時36分15秒
- 「後藤。大丈夫?ごめんね」
「…っく。…ちーちゃん、怖かった」
「ごめん、ごめんね後藤」
優しくあたしの頭をなでてくれるいちいちゃん。
「いちいちゃん、あのね…、お願いしてもいい?」
「ん?なぁに?」
「あのね、後藤の手、ぎゅってしてて…」
いちいちゃんを見ると少しはにかんだように微笑んでいる。
「うん…。離さないよ。もう後藤の手、離さない。
後藤がはぐれないようにちゃんと握ってるから…」
そういうといちいちゃんは私の手を優しくぎゅっと握ってくれる。
「離しちゃやだからね」
いちいちゃんの手を強く握り返しながらそう言うと
いちいちゃんは優しく笑いながらそっとあたしの額に息を吹き掛ける。
縁日の灯りが優しく二人を照らす。
それはどこか儚気で…。
夢の終わり…。
すっと目をあけると夢の中と同じ優しさでいちいちゃんが微笑んでいた。
あぁ、もう着くんだな。
電車の扉が二人のためだけに開かれた。
それはあたしといちいちゃんの
もう一人のゴトウとイチイチャンのはじまり…。
- 65 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月13日(土)03時12分29秒
- 切ない…
何か泣けるね…
- 66 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月13日(土)16時50分32秒
- 二人の幸せな生活を見たいけど...
矢口がかわいそう...
どうなるんですかー
- 67 名前:名無し 投稿日:2001年10月14日(日)02時19分16秒
- こういうの好き!!
金もあがってたし頑張れ〜!
- 68 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月14日(日)13時49分10秒
- 言葉のひとつひとつが切ないね
- 69 名前:記憶喪失5−矢口− 投稿日:2001年10月18日(木)02時29分00秒
- 好きだったら、相手を信じられるなんて嘘だ。
好きだから不安になるんだ。
好きすぎて不安になるんだ。
私は…、
私はずっと不安だった。
ずっと、ずっと、ずっと…。
だから今は頭が真っ白なの。
あなたが私を不安にさせる、それだけが全てになっていたんだもの。
不安は
好き?嫌い?
愛されてる?愛されてない?
そんな次元を越えてしまった。
忘却。
それが一番残酷だね。
大好き、紗耶香。
愛してる、紗耶香。
忘却によって訪れる恋の終わり。
痛すぎて、痛すぎてもう立ち上がれないくらいで…。
- 70 名前:記憶喪失5−矢口− 投稿日:2001年10月18日(木)02時30分14秒
紗耶香が退院して3日。
今は何もしたくなくて、
あなたに会いに行く勇気すらなくて、
学校にも行かず、
あなたと撮った写真を見るの。
この写真を撮ったときだって心の距離は感じていた。
でもそれでもあなたと一緒にいたのは
あなたと積み重ねた2年の日々があったから。
それすら失った私達の距離は
取りかえしのつかない距離になる。
私の視力じゃ捉えきれないほど、あなたは遠くなっていく。
- 71 名前:記憶喪失5−矢口− 投稿日:2001年10月18日(木)02時31分20秒
私は、紗耶香を取り戻すことができるんだろうか。
それとも恋はこのまま死ぬのだろうか。
このまま、私は紗耶香を遠くから見つめるだけの傍観者のままで。
一歩を踏み出す勇気。
それを躊躇させるのは記憶を取り戻したあなたが
私をもう一度見てくれる自信がないから。
テレビをぼんやり眺めながら思う。
私の恋は…。
私の恋は今、失恋までの執行猶予期間。
気がつくと紗耶香の家に足が進んでいる。
何もかもが思い通りになって欲しいなんて思わない。
ただ一つだけでいい。
ただ、もう一度あなたの側で息をさせて…。
- 72 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月18日(木)02時44分37秒
- sage進行で行こうと思っていたことをすっかり忘れていました(汗
ま、どっちでもいですよね〜。
>>65さん
一番切ないのは矢口ですよねぇ…
書いてて切なくなりましたよ(汗
>>66さん
いちごまはしばらく幸せを味わってもらおうとは思っていますが…。
矢口が動き出すまでは。
>>67さん
金もよんで下さってるのですか!感謝感謝です。
>>68さん
切なく、切なくと思いつつ言葉を選んでいますがいかがでしょう?
気にいって頂けると嬉しいです。
何か、後藤と市井の逃避行で一旦終わらせてあとは
御想像にお任せ…なんて思ったのですが
あまりにも無責任かと思いもうしばらく
続けてみようかと思います。
- 73 名前:ぐれいす 投稿日:2001年10月19日(金)20時14分13秒
- 見つけちゃいました。
最近出来た某HPにて教えてもらっちゃいました(w
いいですね〜。金板とはまた一味違った切なさがたまらないです。
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月20日(土)03時01分35秒
- 矢口、後藤、どっちを選んでもあまりに悲しく切ない結末ですね……。
- 75 名前:記憶喪失5(前)−市井− 投稿日:2001年10月21日(日)00時56分40秒
- 目的の駅に着いたのは18時を少し回ったところだった。
無人の改札を抜けると辺りは大分暗くなっていた。
駅前は殺風景で店も見当たらず、街灯の光りだけが明るい。
「ここからバスに乗るんだよ」
そう言うとゴトウは私の手を握りバス停の方へと歩いていく。
握られた左手が妙に汗ばんでくる。
じっとりとした感触がゴトウにも伝わっているのかと思うと
何だかとても恥ずかしい。
きっと今私の顔を赤いだろう。
時刻表をじっと見ていたゴトウが急に私の方を振り返った。
「18時…40分だって。結構待つね」
ただ話し掛けられただけ。
ただ、それだけなのに何故だかすごく驚いてしまって
思わず声が上ずる。
「そ、そうだねぇ」
- 76 名前:記憶喪失5(前)−市井− 投稿日:2001年10月21日(日)00時57分45秒
ゴトウはそんな私を不思議そうに見つめると少し微笑んだ。
そして私の手を握ったままベンチに腰を下ろした。
つられて私も自分の腰をゴトウの隣に下ろす。
無言の二人。
街灯が時々ジッジッっと音を立て、その音だけが
こだまする不思議な空間。
繋がれた手がゴトウを認識させる。
それはひどく私を安心させる。
ふと横を向きゴトウを見つめると、
少し俯いていたゴトウもその顔をあげた。
綺麗な髪。
綺麗な瞳。
綺麗な肌。
綺麗な唇。
綺麗なゴトウ。
- 77 名前:記憶喪失5(前)−市井− 投稿日:2001年10月21日(日)00時58分29秒
「キスしていい?」
何故そんなことが言えたのかなんてわからない。
ただゴトウがあんまり綺麗だから…。
ゴトウがその綺麗な瞳を閉じる。
私はその唇に吸い込まれるようにくちづけをした。
触れるだけの短いくちづけ。
唇が離れ、ゴトウがその綺麗な瞳を開くのと同時にバスはやってきた。
私の恋が歩き始める…。
- 78 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月21日(日)01時01分30秒
- >>ぐれいすさん
おお!!こっちも見つけて下さったとは☆
ダメさんに感謝ですね(W
>>74さん
どう転んでも不幸になりそうな話しですが…。
本当は幸せに終わらせたいなぁ…(苦笑
- 79 名前:ぐれいす 投稿日:2001年10月21日(日)22時52分29秒
- このままあま―いいちごまで終わって欲しい…
でもそうしてくれない作者さん…(w
期待!期待!!期待!!!
- 80 名前:記憶喪失5(前)−後藤− 投稿日:2001年10月22日(月)21時42分15秒
- あたしはイチイチャンにキスして貰いたかった。
あたしからじゃなくてイチイチャンから。
駅前はホントに何もなくて寂しいくらいだった。
だから灯りは街灯だけ。
人も全然いない。
まだ6時だっていうのにもうみんな家に閉じこもってるかな。
アパートへ行くにはここからバスに乗るんだ。
「ここからバスに乗るんだよ」
そう言ってイチイチャンの手を握る。
- 81 名前:記憶喪失5(前)−後藤− 投稿日:2001年10月22日(月)21時43分06秒
自分で握っておいてなんだけど…、きゅんってした。
少し汗ばんでいるイチイチャンの手。
ドキドキしてるのかな?
あたしもホントはすごくドキドキしてる。
イチイチャンと触れてる右手から全身に熱い血が流れてるみたい。
今イチイチャンはあたしのことどう思ってる?
『恋人』だって言ったから、意識してる?
『恋人』だって言ったから好きって感じてる?
『恋人』だって言ったからキスしてくれる?
キスしたい。
イチイちゃんと。
イチイチャンをさらってここまで逃げてきたけど
やっぱり不安で不安でたまらない。
一つでいいから証拠を作りたい。
今だけでいいから、イチイチャンはあたしの『恋人』だって。
- 82 名前:記憶喪失5(前)−後藤− 投稿日:2001年10月22日(月)21時43分53秒
- そんなことを考えながらバス停の時刻表を見つめる。
だめだよ、あたし。
そんなに焦ったら。
心のどこかで誰かが警告してる。
この不安をどこかに投げ出したくて勢いよく振り返ってみる。
「18時…40分だって。結構待つね」
イチイチャンはなんだか驚いた顔をして
「そ、そうだねぇ」
って。
変なイチイチャンだな。
可愛いな。
独り占めだよ、イチイチャンを。
幸せ…。
- 83 名前:記憶喪失5(前)−後藤− 投稿日:2001年10月22日(月)21時44分35秒
- あたしはイチイチャンの手をひいてベンチに腰掛ける。
あたしの隣には当然イチイチャンが座る。
何も喋らないイチイチャン。
何を考えているのかな?
時折聞こえるジッっていう街灯の音が静けさを実感させる。
ひとりぼっちになっちゃうような怖い気持ちがするんだけど
それは、繋がれた手がかきけしてくれる。
今は大丈夫。
イチイチャンはあたしの傍にいる。
そう言い聞かせる。
- 84 名前:記憶喪失5(前)−後藤− 投稿日:2001年10月22日(月)21時45分16秒
- ふいに視線を感じた。
顔をあげるとイチイチャンがあたしを見つめていた。
熱い視線。
同じ位、ううん、それよりもっと熱い視線を送りかえす。
キスしてよ。
キスしてよ。
キスしてよ。
キスしてよ。
キスしてよ。
やっぱりあたしは証拠が欲しいの。
ねぇ、イチイチャン…。
「キスしていい?」
突然のイチイチャンの告白。
一瞬頭が真っ白になって無意識のうちにあたしは目を閉じた。
唇に触れる柔らかい感触。
欲しくて欲しくてたまらなかったもの。
すごく甘いのにすごく切ない。
初めて知ったよ、スゥイート・ペインってこと。
それは理屈じゃなくて、
感じるんだね、甘い痛み…。
目をひらくと視界の端にバスが見えた。
- 85 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月22日(月)21時48分36秒
- またageちゃったYO!
手探り状態の更新です…。ちっとも『三月のライオン』なんかじゃ
ないですわ…(鬱
>>ぐれいすさん
おぉ、そんなに期待して下さるとは…。
感謝です。飽きられないように頑張りマッス☆
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月22日(月)22時44分49秒
- 三月のライオンなんかじゃなくても最高!
記憶喪失『が』いいです(笑)
- 87 名前:記憶喪失5(後)−市井− 投稿日:2001年10月23日(火)23時17分12秒
- バスが停車すると何人か降りてくる。
どうやらここが終点で始発のようだ。
バスに乗り込み一番後ろの席に座る。
私達以外には誰もいない。
さっきキスしたんだよな…。
そんなことを考えながらゴトウの顔を見つめる。
ゴトウの瞳はやはり綺麗だった。
もっとキスしたい。
突然そんな気持ちが沸き上がってきた。
どうしてこんなに私は焦るのだろう。
怖いの?
心のどこかで私に尋ねる声がする。
あぁ、そうか。
私は怖いんだ。
ゴトウを失うのが。
『恋人』といわれても実感のない自分が。
思い出せない今までの私達の関係。
それが私の中のゴトウを愛しいと想う気持ちをどこかで
思いとどまらせ、そして焦らせる。
- 88 名前:記憶喪失5(後)−市井− 投稿日:2001年10月23日(火)23時18分25秒
- ピンポーン。次、止まります。
車中のアナウンスで我に帰ると
「次、降りるからね」
私の手を握りゴトウが微笑む。
私達はバスを降りた。
ゴトウに連れられて着いたアパートは
生活感の溢れる普通のアパートだった。
「電話してね、カギ、ポストにいれといてもらったんだ」
ゴトウはそう言うと、鉄の階段を軽い足取りで登って行く。
203とプレートのかかったドアの前で立ち止まり、ポストを
探るとカギをだした。
私はただぼんやりとゴトウを見ていた。
「さ、入ってよ。何もないけどさ」
ゴトウに促され部屋へと足を踏み入れる。
確かに何もない。
小さなキッチンを抜けるとフローリングの八畳程の空間が広がる。
「電気、つかないみたいだね」
スイッチをいじりながら呟く。
「あ、そういうの明日になれば使えると思う。
一応お風呂とトイレはあるからね」
「うん」
- 89 名前:記憶喪失5(後)−市井− 投稿日:2001年10月23日(火)23時19分13秒
- 途中のコンビニで買った夕飯を食べながら
ちらちらゴトウの顔を見る。
「んー?何かあたしの顔についてる?」
不思議そうに私に尋ねるゴトウ。
私はそれには答えず箸を置き、そっとゴトウの髪に触れる。
一瞬ゴトウはビクッと体を震わせた。
私は立ち上がりゴトウの後ろにまわると背中から抱きしめた。
「触れてみたかった…。ごめん。嫌だった?」
「嫌なわけないよ…。あやまることなんてないよ、イチイチャン?」
一層抱き締める腕に力をこめる。
「あたしたちって恋人同士なんだからさ…」
そう言って私の腕を握りそっとくちづけをするゴトウ。
「気持ちは変わってないの……。ずっとずっと好きだったの、いちいちゃん。
あたしたち、同じ気持ちでいるのかな?」
少し声を震わせているゴトウ。
気がつくと私はゴトウを上から見下ろしていた。
少し上気した頬。
潤んだ瞳。
窓から差し込む月の光りがやけに明るい。
あんまり明るくて私とゴトウの姿をはっきりと映し出す。
月の明かりに照らされて、私はゴトウを抱いた。
- 90 名前:記憶喪失5(後)−市井− 投稿日:2001年10月23日(火)23時19分56秒
ゴトウは目を閉じて私のされるがままになっていた。
そっと服を脱がせて体中にキスをする。
ゴトウは私の頭を抱えて
「いちいちゃん、いちいちゃん」
と、私の名前を呼び続ける。
私、覚えている。
この感じ。
「私、覚えてるよ。この感覚。ゴトウ。
愛してるってこの感じ」
私はゴトウに囁き続ける。
その度にゴトウはきゅうっと目を閉じて私の背中に爪をたてる。
ゴトウの肌の甘さを全身に感じながら
幸せにひたりながら
私はゴトウの『恋人』を実感していた。
ゴトウの甘い声を聞きながら、いつしか私は眠りに堕ちていった。
そして目を覚ました時、部屋にゴトウの姿は消えていた。
- 91 名前:記憶喪失5(後)−後藤− 投稿日:2001年10月23日(火)23時20分47秒
- バスがくるとあたし達は一番後ろの席に座った。
バス停に誰もいなかったからもちろんバスの中も誰もいない。
さっきされたキスのことを考えてみる。
あたしがあんまりキスして欲しいって思ってたから通じちゃったのかな。
何にしても正直嬉しかった。
嬉しくって、切なくって頭がぼんやりする。
あたしのファーストキス。
初めてのキスはイチイチャン。
いちいちゃんだけど、イチイチャン。
だから切ないのかな…。
目指す停留所は次だ。
あたしは停車ボタンを押した。
次、止まります。
車内アナウンスが流れる。
あたしはイチイチャンの手を握り
「次、降りるからね」
と言って笑う。
- 92 名前:記憶喪失5(後)−後藤− 投稿日:2001年10月23日(火)23時21分58秒
- アパートはいたって普通のアパート。
今朝電話してポストのカギを入れておいて貰った。
「電話してね、カギ、ポストにいれといてもらったんだ」
イチイチャンにそう言って私はアパートの二階へと階段を上がる。
203の部屋の前で立ち止まりポストからカギを出す。
がちゃりとドアを開け部屋に入る。
後ろで見ていたイチイチャンに
「さ、入ってよ。何もないけどさ」
と、声をかけるとイチイチャンは部屋に入り、
電気のスイッチをいじりながら
「電気、つかないみたいだね」
と言う。
「あ、そういうの明日になれば使えると思う。一応お風呂とトイレはあるからね」
今朝電話した時に言われたことを思い出しイチイチャンに告げる。
「うん」
イチイチャンは短い返事をくれた。
- 93 名前:記憶喪失5(後)−後藤− 投稿日:2001年10月23日(火)23時22分41秒
- コンビニで買った夕飯を食べながら
明日はイチイチャンにあたしの手料理食べてもらいたいな、
なんて考えてみる。
すると、イチイチャンがしきりにあたしのことを見ていることに気がついた。
「んー?何かあたしの顔についてる?」
そう聞くとイチイチャンはすっとお箸を置いて
あたしの髪をそっと触った。
何故だか体が反応してビクって震えた。
イチイチャンは何も言わずにすっと立ち上がると
あたしの後ろにまわる。
どうしたんだろう?
そう思っていると突然背中から抱き締められた。
「触れてみたかった…。ごめん。嫌だった?」
静かな声でイチイチャンが話す。
「嫌なわけないよ…。あやまることなんてないよ、イチイチャン?」
あたしね、ちょっと感動したよ。
愛されてるかも、なんてずうずうしくも思ったりして。
イチイチャンはぎゅっとあたしを抱きしめてくれる。
- 94 名前:記憶喪失5(後)−後藤− 投稿日:2001年10月23日(火)23時23分15秒
- 「あたしたちって恋人同士なんだからさ…」
そう言ってイチイチャンの腕を握りそっとくちづけをする。
「気持ちは変わってないの……。ずっとずっと好きだったの、いちいちゃん。
あたしたち、同じ気持ちでいるのかな?」
初めての告白。
イチイチャンは知らないよね。
あたしからいちいちゃんへの初めての告白。
少し声が震えてしまう。
イチイチャンはあたしを抱きしめたまま自分の方を向かせると
そっとあたしに覆いかぶさってくる。
ドキドキしちゃうよ。
期待しちゃうよ。
愛されてるって思っちゃうよ、いちいちゃん…。
窓から差し込む月の光りがやけに明るい。
あんまり明るくてあたしの醜い心がイチイチャンに伝わってしまいそう。
- 95 名前:記憶喪失5(後)−後藤− 投稿日:2001年10月23日(火)23時24分08秒
- あたしは目を閉じてイチイチャンを待った。
イチイチャンはあたしの服を優しく脱がせて体中にキスをする。
こういうこと、あの人としてたのかな。
ものすごい嫉妬があたしを襲う。
イチイチャンの頭を強く抱きしめて必死に嫉妬と戦うあたし。
いつの間にかイチイチャンはいちいちゃんに変わっているような気がしてた。
「いちいちゃん、いちいちゃん」
あたしはいちいちゃんの名前を呼び続ける。
愛されたかったの、いちいちゃんに。
イチイチャンじゃなくていちいちゃんに。
ほんとはね。
ほんとはね。
ほら、あたしってホントに汚いよ。
今、イチイチャンに愛されてるのに
いちいちゃんを欲しがってるの。
最低……。
最低……。
- 96 名前:記憶喪失5(後)−後藤− 投稿日:2001年10月23日(火)23時24分51秒
- 「私、覚えてるよ。この感覚。ゴトウ。
愛してるってこの感じ」
イチイチャンがあたしに囁く。
その言葉はすごく残酷。
そしてあたしに罪を与える。
違うんだよ、いちいちゃん。
それ、あたしじゃないの。
あたしじゃ……。
その辛さから逃れたくて、イチイチャンの背中に爪をたてる。
愛されてるのにこんなに辛くて、
でもやっぱり幸せで。
欲しかったもの、全部もらってるくせに
ホントに欲しいのは違うんだって叫んでる醜いあたし。
感じてる体と裏腹に心はチクチク痛い。
朝、起きるとイチイチャンはまだ眠っていた。
あたしは何だか恥ずかしくていたたまれなくて
そっと服を着て散歩にでかけた。
- 97 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月23日(火)23時58分34秒
- >>86さん
そう言って頂けるとまじ嬉しいっす。
ちょいと矢口さんにはお休みしていただき
いちごま度アップ!!でも痛い…
- 98 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月24日(水)00時47分21秒
- 余計かもしれませんが補足。
イチイチャン→記憶を失った後の市井
いちいちゃん→記憶を失う前の市井
ちとわかりにくかなー、と思いまして…。
同様にゴトウと後藤も市井の中で記憶喪失前と後の
存在の違いって感じでお読み下さい。
- 99 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月24日(水)00時52分18秒
- 記憶喪失5(前)のくらくらくる甘いいちごに感動。
どうか後藤と市井が勘違いですれ違ってしまわないように・・(強祈
- 100 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月24日(水)02時27分31秒
- 以前、映画をどのタイミングで観るべきか聞いた者です。
おかげ様で良い映画にめぐり合うことが出来ました。
ありがとうございます。
細部までこだわりがある素晴らしい映像でした。
終り方が意外かつ、とても良かったです。
- 101 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月25日(木)03時27分26秒
- いちごま好きにはたまらん(少し切ないけど)展開だけど、さやまりも好きな自分は、
どうしたらよいでしょう?(w
- 102 名前:記憶喪失@閑話休題−矢口− 投稿日:2001年10月31日(水)03時36分01秒
『幸福なのにまだ多くをせがむということは、その幸福を信頼しないということだ』
ふうっと溜め息をつくと私は本を閉じた。
大学受験の勉強のため学校の図書室で勉強をしてみたものの今一つ調子があがらない。
気分転換に少し読書でもしようかと手に取った本は
『動物園 世界の終わる場所 著 M・ヴェンチュラ』
なんとなくタイトルがおもしろそうだから。
ただそれだけの理由で手に取ってみた。
そして私はひどく後悔した。
途中に出てくるフレーズ。
これはまるで私のことなんだもの。
紗耶香と出会ったのは5月。そして付き合い始めたのは6月。
スピード交際って感じだけど、とにかく私は紗耶香に一目惚れで
付き合い始めた頃はただただ嬉しかった。
月日は流れ、今は1月。
受験生の私にとっては正に追い込みの時期だ。
- 103 名前:記憶喪失@閑話休題−矢口− 投稿日:2001年10月31日(水)03時37分04秒
私は恵まれていると思う。
友達は多い方だと思うし、先生受けも上々で内申も心配ない。
ごく普通の家庭で父親も母親もおり特に金銭で困ったこともない。
趣味はお洒落と音楽。
そして何より大好きな人と恋愛をしている。
彼じゃなくて彼女なのがちょっと周りと違うけど、
何よりも私が好きって気持ちが重要なんだよ。
紗耶香はお洒落だ。そして音楽が好き。
顔も綺麗な顔だちで、私と違ってメイクしなくっても素のままで十分に素敵だ。
趣味も合う、顔もいい。そしてすごく優しい。
条件としては最高の恋人。
紗耶香と付き合い始めて気付いたことはいくつかある。
まず、優しいってこと。
すごく恥ずかしがりやでシャイなんだけど一度仲良くなれば
甘えてくるし、言うことはきっちり言う。
儚いようで芯はとっても強い。そんな人。
あと、紗耶香にはすごく大切にしている幼馴染みがいるってこと。
その子を初めて見たのは雨の日だった。
- 104 名前:記憶喪失@閑話休題−矢口− 投稿日:2001年10月31日(水)03時37分47秒
9月の雨。
夕方突然降り出した雨。あいにく私は傘を持っていなかった。
学校の昇降口で佇む私。
(あーあ、やだなぁ…。ルーズびちゃびちゃになっちゃうよ…。
ふぅ…、紗耶香は今日用事があるから一緒に帰れないって言ってたし…)
雨は夏の名残りなど感じさせず秋の到来を示すように冷たかった。
(やっぱ濡れて帰るしかないか…。うし、行くか)
制服が濡れるのは嫌だったが仕方ない、そんな気持ちで一歩を踏み出そうと
したときだった。
「あれ?矢口?」
振り返ると紗耶香が傘を片手に私を見ていた。
「紗耶香…」
「もしかして矢口、傘持ってないの?」
「あ、うん…あのさ、い…」
一緒にいれてもらえる?そう言おうとした前に
「じゃ、この傘貸すよ」
そう言って紗耶香は私に傘を差し出した。
「え、でもそれじゃ紗耶香が濡れちゃうよ…」
「ん〜、私は大丈夫だよ。気にしないでいいからさ」
躊躇する私に無理矢理傘を押し付ける紗耶香。
私に傘を持たせると紗耶香は冷たい雨の中を走り出した。
私は傘を開いて慌てて追い掛けた。
校門を出てすぐに紗耶香の姿は見つかった。
紗耶香は近くの中学の制服を着た少女に駆け寄るとその少女の傘に入り
何やら談笑していた。
私はその様子を見てその場から動くことができなかった。
紗耶香の目がすごく優しかったから。
今まで見た中で一番優しい目をしていた。
そして愛おしそうな目。
(用事ってあの子と会うことだったのか…)
ぼんやりする思考の中で理解したのは私の中に生まれた嫉妬。
私は紗耶香にあんな目をさせることのできる少女に嫉妬した。
- 105 名前:記憶喪失@閑話休題−矢口− 投稿日:2001年10月31日(水)03時38分21秒
- 次の日私は昼休みの屋上で紗耶香に傘を返した。
「昨日はありがとね…、紗耶香」
「あ、ううん。全然いいよ」
そう言って柔らかく笑う。
「昨日さ、ちらった見たんだけど中学生の子と一緒に帰ってたよね?」
「あぁ…見られてたんだぁ。うん。そうそう」
「知り合いなの?」
なんとなく探りを入れているようで自分でもむかむかする。
「あの子は後藤って言うんだけどさ、私の幼馴染みなんだ。
なんかさ、妹みたいで本当に可愛いんだ」
「ふぅん…」
「昨日はね、買い物付き合って欲しいって言うから…」
いつもより楽しそうに話す紗耶香に何故だか悲しくなってしまう。
「………」
無言の私。
「あれ?どした?矢口?」
困った顔で私を覗き込む紗耶香。
少し涙目の私を見た紗耶香はハッとした表情をしてそっと私を抱きしめた。
「ごめんね、紗耶香…」
何故か謝っている私。自分でもよくわからない。
「んーん。全然。矢口何も悪くないじゃん」
「……」
「もしかしてさ、嫉妬したの?」
核心を突く紗耶香の質問に私は顔を真っ赤にして頷く。
紗耶香は私を離すを曖昧な笑顔をしていた。
そしてゆっくり私の頬を両手で挟むとそっとキスをした。
「初めてのキスだよ…」
紗耶香はそう言うと空を見上げた。
紗耶香の視線は果てしなく遠くを見ているようで、切なかった。
「私もだよ…」
ぽつりと私がそう呟くと
「そっか…。好きだよ」
と空を見上げたまま返事をした。
- 106 名前:記憶喪失@閑話休題−矢口− 投稿日:2001年10月31日(水)03時38分57秒
- 9月の雨は思いがけない出来事を運んできた。
あの時気付いてしまった紗耶香の遠い目。
私は今でもその不安を拭いされない。
紗耶香はどこか遠い所を見ている。
私の向こうに何か別のモノをみている。
そんな不安がつきまとい、それが一層私を紗耶香に夢中にさせる。
『幸福なのにまだ多くをせがむということは、その幸福を信頼しないということだ』
紗耶香がどこかに行ってしまいそうなのが私は怖い。
だから私はいつも不安。
でも今、紗耶香は私の傍にいる。
それは事実。
不安でたまらないけど、だけど一つだけとびきり嬉しいことがある。
それは紗耶香のファーストキスは私。
私のファーストキスは紗耶香。
この幸福は信頼できるよね。
携帯のメールが届く。
『勉強頑張れ!紗耶香』
私は少し微笑むと本を棚に戻して再び勉強を始めた。
- 107 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月31日(水)03時58分33秒
- >>99さん
クラクラするだなんて嬉しいですよ〜(W
切なく進んでいくこの話しはどこにいきつくのか…(汗
>>100さん
とうとう100までいったのですね。(しみじみ
映画気にいって頂けたそうで!良かったです!!
薦めたかいがありました。
あの映画は本当に映像美がすごい…。ラストは私も鮮烈に覚えています。
『三月のライオン』お好きでしたら
ジャン・コクトーの『恐るべき子供達』
監督は忘れましたが『汚れた血』もよいですよ!!
特に『汚れた血』は…一見の価値ありです。特にラスト。
『記憶喪失』には全然関係してませんが(苦笑
>>101さん
いやー、自分もさやまり好きなんですよ。でもさやまりって難しい…(汗
今回は矢口を甘切なく登場させました。いかがでしょう?
閑話休題と題して少し時間を遡り矢口と市井の初キッス物語りでした。
やっぱ、ちと切なくなりましたが…。
雰囲気は『三月のライオン』からは離れて離れて見えないくらいに
なってしまいましたが、よろしければおつき合い下さい。
- 108 名前:名無し読者@通りすがり 投稿日:2001年11月02日(金)00時01分07秒
- 『汚れた血』って、レオス・カラックス監督作品ですね。
ジュリエット・ビノシュが素敵でした。
DVDやビデオで簡単に手に入るし、レンタルにもあると思います。
- 109 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月08日(木)01時51分48秒
- 本当切ないですね。個人的にはいちごまに〜って感じなのですが
続き楽しみにしてます。
- 110 名前:100 投稿日:2001年11月08日(木)01時56分20秒
- 考えなおしてくれ
というのは無駄かな。君のお勧めで映画までみたんだぜ。
俺を哀れと思って、完結して欲しい。
- 111 名前:ちびのわ 投稿日:2001年11月08日(木)02時24分54秒
- >>110さん
大変もうしわけありませんが名作集にでていくのはもうやめようと
思います。
このスレッドが削除されるかどうかはサザエさんの判断なのでまだ
わかりませんが、ここで続きはもう書きません。
ただあまりにも無責任かと思いますので個人のH.Pで完結させようと
思っております。
まだできていませんが
http://chibinowa11.hoops.ne.jp/
アドレスはここですのでいつか覗いてみてください。
(2週間後くらいにはできると思います)
いままで読んで下さった方にお礼申し上げます。
- 112 名前:100 投稿日:2001年11月08日(木)14時14分42秒
- 問題なし。読めるのなら場所には拘らない。
もうひとつのも、もちろんマイペースでいいから
終らせて欲しい。
完結しない小説ほど悲しいモノはないからね。
- 113 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月10日(土)06時53分15秒
- うん待ってるから!
- 114 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月10日(土)18時58分07秒
- 私も待ってます
- 115 名前:名無しさん 投稿日:2001年11月11日(日)15時36分56秒
- HPできたみたいですね。うれしい。
ageといていいかな。
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